JP2019078585A - 疲労度の評価方法とその装置 - Google Patents

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四郎 池田
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和夫 梅澤
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さとみ 浅井
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Abstract

【課題】本発明は、疲労度の評価方法に関し、従来の疲労度の評価方法を、手軽に簡単に評価できるようにすることが課題であって、それを解決することである。【解決手段】被験者の肉体的または心的な疲労度を、前記被験者の皮膚から放散される揮発性の窒素化合物を前記皮膚表面から離隔させた窒素化合物捕集手段で捕集し、その捕集した窒素化合物の量で疲労度を評価する疲労度の評価方法である。【選択図】図3

Description

本発明は、主にヒトの疲労度(疲労、ストレス、緊張における大小・高低・多少・強弱の程度を、本願では、これらを「疲労度」と纏めて称する、以下、特許請求の範囲を含めて、同じ)の評価方法とその装置に関するものである。
従来、ヒトの疲労度、例えば、肉体的疲労度若しくは心的疲労度を段階的に評価する評価方法がある。例えば、主観評価法(アンケート)、フリッカー、唾液アミラーゼ、交感神経活動指標としてのLF値、副交感神経活動指標としてのHF値、これらのバランスの指標としてのLF/HF値などを測定して疲労度を評価するものである。
前記交感神経、副交感神経を用いたシステムによる評価方法として、特許文献1に記載されているように、被験者のデータを入力してLF値とHF値から交感神経機能のバランスの指標であり自律神経機能評価法としてのLF/HF値を計算して、被験者の客観的疲労度を判定する判定処理システムが知られている。
また、特許文献2に記載されているように、成分採集部に皮膚表面から採集した成分を付着させた吸収パッチの前記成分採集部と分析用試薬とを接触させて、採集成分中の被検物質と反応させる、被検物質の測定方法が知られている。
更に、特許文献3に記載されているように、血液中のアミノ酸の濃度を測定して、精神疲労の疲労度と肉体疲労の疲労度とを評価する疲労度評価装置が知られている。
特許第5491749号公報 特開2007−127422号公報 特許第3923507号公報
しかし、従来の疲労度の評価方法では様々な問題点がある。例えば、前記唾液アミラーゼによる測定方法では、食事や含嗽の状況による影響を受けやすく、繰り返し試験の再現性に難がある。また、主観評価法やフリッカーでは、自己申告型のため被験者自身が測定結果を意図的に調整してしまう恐れがあり客観性に欠ける。更に、前記特許文献1、特許文献3の測定方法では、その測定方法が煩雑で、自分自身での測定が困難であり簡便性や経済性に難がある。
前記特許文献2の皮膚に直接測定手段を貼着する測定方法では、測定毎に皮膚から吸収パッチを剥がして分析装置に掛ける必要があって、手間が掛かるとともに、その場でリアルタイムに結果が得られないという課題がある。また、分析装置が必要な測定方法では、測定装置が大掛かりでコストが嵩み、コンピュータ入力などが必要で手間がかかる。このように、従来の疲労度等の測定方法とは異なる、定量的で簡便な測定法を用いた、迅速且つリアルタイムに結果が得られる測定方法および装置が望まれている。また、費用対効果の面からは、単体で測定でき、比較的安価であることが重要である。そこで、本発明に係る疲労度の評価方法とその装置は、このような課題を解決するために提案されたものである。
本発明に係る疲労度の評価方法の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、被験者の肉体的または心的な疲労度を、前記被験者の皮膚から放散される揮発性の窒素化合物を前記皮膚表面から離隔させた窒素化合物捕集手段で捕集し、その捕集した窒素化合物の量で定量的かつ分かりやすく可視化して疲労度を評価することである。
前記窒素化合物の量が多ければ、疲労度が高いと評価することである。
前記窒素化合物の量の測定は、窒素化合物に対して呈色反応する窒素化合物捕集手段によって、呈色して可視化された色の変化を介して測定することである。
前記窒素化合物捕集手段は、被験者の身体に装着したインジケータ取付部に対して、迅速なインジケータの交換が可能にすべく、着脱自在に取り付けられるインジケータに内包されていることである。
前記窒素化合物の量の測定は、窒素化合物捕集手段を皮膚から離隔して内包するインジケータを保持するインジケータ取付部に、被験者の身体装着用のバンドを取り付けて当該窒素化合物の測定を行い、疲労度の評価は、前記窒素化合物捕集手段の呈色した色と、該呈色した色と目視で比較できるように前記インジケータ取付部に設けた疲労度評価用の色見本シールの色とを比較して評価することである。
前記揮発性の窒素化合物は、被験者の皮膚から放散される皮膚アンモニアまたはアミン類であることを含むものである。
本発明に係る疲労度の評価装置の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、窒素化合物捕集手段を皮膚表面から離隔させた状態で内包するインジケータと、前記インジケータを保持するインジケータ取付部と、前記インジケータ取付部に端部が係合される対被験者装着用のバンドと、前記インジケータ取付部に設けられるとともに前記窒素化合物捕集手段の呈色した色と目視で比較可能な疲労度評価用の色見本シールとでなることである。
前記インジケータは、インジケータ取付部に取付手段で着脱自在に取り付けられることである。
本発明の疲労度の評価方法とその装置によれば、ヒトまたは家畜等の被験者の疲労度が、皮膚から放散される窒素化合物の量を被験者に装着した疲労度の評価装置で、被験者に携帯させた状態で直ちに測定・評価することができる。
被験者に常時携帯した状態で、その場で直接的に、リアルタイムで簡便に疲労度を評価することができる。それによって、日常の疲労の程度を把握でき、ワーク・ライフ・バランスの取れた働き方を自己管理することができる。またそれにより、ストレスから引き起こされる数々の疾患の予防に応用できる。
測定対象の揮発性の窒素化合物の量を、呈色させて可視化して測定することができる。それにより、目視で確認できるので疲労度の評価が容易になり、被験者各自がその場で迅速に評価できる。
また、被験者の身体の一部に装着して、その場で疲労度を評価できるようにすれば、手間が掛かることなく、だれでも簡便かつ迅速に疲労度の客観的評価ができ、例えばストレスチェックなどへの利用の可能性など、優れた効果と汎用性がある。
本発明に係る疲労度の評価装置1の分解斜視図である。 同本発明の疲労度の評価装置1における、インジケータ2の縦断面図(A)、該インジケータ2の分解構成斜視図(B)である。 被験者である、例えばヒトの皮膚から皮膚アンモニアを採集する原理を説明する説明図である。 被験者の一例であるヒトの皮膚から採集できるガスの放散経路にかかる由来を説明する説明図である。 可視化した色によるインジケータの変色順とストレス度合いの目安を示す説明図(A)と、放散レベルの一例を示す説明図(B)である。 教員の春休み期間中と学期期間中とにおける、皮膚アンモニア放散フラックスの測定値を示す図(A)、現場作業者とデスクワーカーとの業務時間中における、皮膚アンモニア放散フラックスの測定値を示す図(B)である。 皮膚アンモニア放散フラックスと皮膚ガスインジケータの使用前後の色差の関係を示す図である。 医療現場での救急搬送があった場合の、皮膚アンモニア放散フラックスの量と、HF値、LF/HF比の値とを、時間軸に沿って変化する特性曲線を示す図である。 医療現場での救急搬送があった場合の、モノメチルアミンの検出強渡が、時間軸に沿って変化する特性曲線を示す図である。 医療現場での救急搬送があった場合の、ジメチルアミンの検出強渡が、時間軸に沿って変化する特性曲線を示す図である。 医療現場での救急搬送があった場合の、トリメチルアミンの検出強渡が、時間軸に沿って変化する特性曲線を示す図である。 本発明に係る疲労度の評価装置1の、インジケータ2がインジケータ取付部2hに対して、容易に着脱自在であること示す構造断面図である。
本発明に係る疲労度の評価装置1は、図1に示すように、一例としてヒトの手首に装着して、ヒトの皮膚から放散される揮発性の窒素化合物である、アンモニアの量、若しくはアミン類(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン)の量を測定して、疲労、ストレス、緊張の程度を疲労度として評価するものである。なお、疲労度を評価する対象の被験者は、労働者、デスクワーカー(専門職を含む)、介護士、看護師、管理者などであって、主にヒトである。しかしながら、ヒトに限らず、ヒト以外の家畜等を被験者としても良い。更に、被験者は、健康なものに限らず、病弱なもの、病気にかかっているものなどを含むものである。
本発明に係る疲労度の評価装置1は、図1または図2に示すように、揮発性の窒素化合物の一つであるアンモニアを例にして、疲労度を評価するものである。当該疲労度の評価装置1の構成は、アンモニア等の窒素化合物捕集手段(検知剤ともいう)2bを、アンモニアを放散する皮膚表面から離隔させた状態で内包する有底、且つ、透明なインジケータ2と、前記インジケータ2を保持するインジケータ取付部2hと、該インジケータ取付部2hに端部3aが係合される被験者用、一例として図示の場合は対ヒト装着用のバンド3と、前記インジケータ取付部2hに貼着して設けられるとともに前記窒素化合物捕集手段2bの変色した色と目視で比較可能な疲労度評価用の色見本シール4とでなる。
疲労度の評価装置1の各構成物について説明する。前記インジケータ2は、図2(A),(B)に示すように、一例としてヒトの手首(足首、首、胴でもよい)に装着しやすいような大きさあって、例えば、直径24mm、厚さが9mmで、窒素化合物捕集手段2bと皮膚との間に閉鎖系の空間ができるように、一端側が開口している有底筒状の透明な有底容器本体2aで形成されている。
また、一例としてヒトの手首に装着するので、前記インジケータ2の材質は、軽量で透明な合成樹脂製(一例としてPET等)である。透明にしているのは、窒素化合物捕集手段2bの変色した色を直接視認するためである。なお、窒素化合物捕集手段2bの全体を透明にしない場合には、視認できるようにインジケータ2の一部に開口部を設けて、更に前記開口部に透明板で蓋して、窒素化合物捕集手段2bに周囲の空気が影響しないように施すことでも良い。前記インジケータ取付部2hも、軽量の合成樹脂製である。
前記インジケータ2およびインジケータ取付部2hの材質を合成樹脂製としたが、それ以外に木製であっても良いが、例えばヒトの皮膚に触れるものであるため、皮膚への刺激性や感作性の少ない材料が好ましい。例えば、金属アレルギー等を考慮して金属製のインジケータ2を避けるのが好ましい。
前記インジケータ2の内部には、図2(A)に示すように、底部(図では上側)にアンモニアなどの窒素化合物捕集手段2bが収納され、次に、段差を設けて前記窒素化合物捕集手段2bを保持するための幅太いリング状で薄肉であって合成樹脂製若しくは金属製のストッパー2cが当該段差部に圧入して載置され、該ストッパー2cに重ねて、皮膚表面から放散される水分を除去するための除去剤2dが載置され、皮膚ガスが分子拡散する拡散部2eを有して、通気孔2fを有する蓋部材2gが開口部に熱溶着手段(超音波加熱装置)によって固着されて閉蓋され、前記インジケータ2が構成されている。
前記窒素化合物捕集手段2bが、皮膚ガスと色変化を伴う反応性のある、非揮発性化合物または指示薬を担持して乾燥させた担体である。該担体が、セルロース製ろ紙、石英繊維製ろ紙、ガラス繊維製ろ紙、アクリレート系繊維製ろ紙、不織布、合成皮革、紙のシート状材料のうちのいずれか一つ若しくは複数から選ばれるものである。または、前記担体が、シリカゲルおよび珪藻土を含まない、モレキュラーシーブの多孔質吸着剤を担持した前記シート状材料から選ばれる一種若しくは複数種である。
この窒素化合物捕集手段2bの具体的な例として、セルロース製ろ紙に、酸(リン酸、ホウ酸等)と、pH指示薬(フェノールブルー、チモールブルー、アリザリンレッドなど)とを、グリセリンを接着剤として染みこませてから乾燥させたものである。例えば、アンモニアのような塩基性ガスが到達すると、酸塩基反応で塩基性ガスを固定し、窒素化合物捕集手段2b自体のpHが変化し、指示薬の色を変化させる。
前記除去剤2dは、不織布にシリカゲルなど吸湿性のある粉体を担持させて作られるシートが用いられる。具体的には、アンモニアなど塩基性ガスを測りたいとき、酢酸などの酸性ガスが共存する場合、pH変化に影響を及ぼし、前記アンモニアの量を正しく判定できない。そこで、例えば、ポリプロピレン繊維で作った不織布にシリカゲルなどを挟んだシートを円形に抜き、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなど塩基性の物質を染みこませて乾燥させたフィルターを除去剤として、酸性ガスをトラップして該酸性ガスが窒素化合物捕集手段2bまで拡散することを阻止するものである。
前記インジケータ取付部2hにおける、インジケータ2の着脱自在な取付構造は、例えば、図9に示すように、螺着構造、弾性部材の爪部によるロック構造、そのほか、図示していないが、補完関係にある一方の係合部を他方の溝部に挿入して、前記係合部を略90度回転させてロックする構造など、公知のロック手段などで構成される。また、前記バンド3は、合成樹脂製で、そのバンド同士の端部締結構造は、凹凸による枢着構造、爪係止構造など既知の締結手段である。
このような、受動的捕集器具である疲労度の評価装置1は、皮膚ガスの分子拡散の原理を利用した小型デバイスであり、図3に示すように、インジケータ2の開口部を皮膚表面にあてがうようにして載せ、インジケータ取付部2hとバンド3とでインジケータ2を、被験者の手首や足首に、首や胴部に等、適宜位置に固定して、使用するものである。
前記疲労度の評価装置1によって、前記皮膚ガスのうち皮膚から放散される揮発性の窒素化合物としてアンモニアが捕集される。このアンモニア(NH、NH )を本願では、皮膚アンモニアと称する。皮膚ガスの放散経路は、図4に示すように、(1)血液由来、(2)皮膚由来、(3)表面反応由来がある。前記(1)血液由来は、血中の成分が揮発して直接皮膚から放散する経路である。生体内で生成し、血流によって運ばれる揮発性成分が、この経路で放散される。
前記(2)皮膚由来は、皮膚腺(汗腺や脂腺)を通じて放散する経路であり、放散量は発汗や皮脂の分泌に伴って増加する。前記(3)表面反応由来は、汗や皮脂の成分が常在菌や過酸化物の作用によって揮発性化合物に変化し、皮膚表面から放散される経路である。かかる3つの経路において、皮膚アンモニアは、前記(1)血液由来と(2)前記皮膚腺由来(汗腺)とに関与する。
前記皮膚アンモニアの測定には、一定面積の皮膚から単位時間あたりに放散されるガスの量を意味する放散フラックス(E)が測定される。この放散フラックスの測定式は、
E=W/(S・t) 単位:(ng cm−2−1
ここで、E:放散フラックス、W:捕集量(ng)、S:捕集部の面積(cm)、t:捕集時間(h)である。
前記窒素化合物捕集手段2bは、皮膚から放散されるアンモニア等の窒素化合物に対して呈色反応するものであって、使用前の色は一例として黄色である。アンモニアガス等の捕集量が増加するにしたがって、前記黄色からうすい橙色、桃色、濃い紫色と、段階的に色が変化する。捕集量に対する変色感度は、試薬の調剤条件によって調整する。
使用前の前記黄色からのうすい橙色の段階では、色差(二つの物体の色がどれくらい違うかを表す色の差をいう)が、ΔEab=10〜12、桃色の段階ではΔEab=17〜19、濃い紫色ではΔEab=25〜27となる。ここで、色差は、国際照明委員会で定義する(CIELAB)表色系の、L(明度)、a(赤〜緑の度合い)、b(黄〜青の度合い)を測定して、
ΔEab=√((ΔL+(Δa+(Δb) として得られる。参考までに、塗料業界における色差と目視間隔の関係では、
ΔEab=0.2〜0.4 では、一般人が色違いを識別できる限界、
ΔEab=1.5〜3.0 では離せば違いに気づかない,同色の範囲、
ΔEab=3.0〜 では色違いと言える範囲、
ΔEab=12.0〜 では別系統色となる範囲、とされている。
前記色見本シール4は、図5(A)に示すように、測定スタートではうすい黄色であり、ストレスや緊張、疲労が蓄積されるに従って、ピンク色、そして濃い紫色と段階的に変化させて示している。この色見本シール4は、図1に示すように、円弧形状に形成されていて、インジケータ取付部2hの表面に接着剤などで、見やすいように貼着される。被験者は、自分自身の平均的な窒素化合物の放散量を、図5(B)に示すように、1日1回、同程度の測定時間で、数日間測定して、把握しておくことが好ましい。前記放散量は、被験者によって疲労度に個体差があるからである。
以上のように構成される疲労度の評価装置1を使用して、疲労度の評価方法について説明する。前記疲労度の評価することにおいて、被験者の肉体的または心的な疲労度を、ヒト皮膚から放散されるアンモニアの量を測定して、そのアンモニア量によって変色する窒素化合物捕集手段2bの可視化された色と、色見本シール4とを比較して評価する。そして、測定されたアンモニア量が多ければ、疲労度が高いと評価することである。これは、アンモニア量と、疲労度との間に一定の相関関係があることが、図6(A),(B)〜図8−Aに示されている。アミン量との相関関係は、図8−B〜図8−Dに示されている。
図6(A)は、公立中学校に勤務する教員(20〜50歳代)に疲労度の評価装置1を装着して、労働時間中の皮膚アンモニア量を測定したものである。業務開始時から終業までの捕集時間で、図中の左側に示す春休み中の4日間と、図中の右側に示す学期中の4日間にそれぞれ実験を行った。明らかに、学期期間中に皮膚アンモニアの放散量が多くなっている。学期期間中には生徒が登校し授業、生徒指導、部活指導などが加わり、教員にとって心身への負担が大きくなっていることが判る。
図6(B)は、製造業の企業における従業員(20〜30歳代)に、疲労度の評価装置1を装着して、労働時間中の皮膚アンモニア量を測定したものである。業務内容に応じて現場作業者(上段)とデスクワーカー(下段)に分けて示している。デスクワーカーにおいては、アンモニア放散フラックス量が300を超えない範囲で推移するが、デスワーカー2のように、午後の時間帯で会議のプレゼンテーションを実施したことで顕著なアンモニア放散フラックス量の増加が見られる。緊張・ストレスの度合いが高まったものと思われる。一方、現場労働者では、始業時に低くて、業務開始直後に増加し、アンモニア放散フラックス量が1200を超えている。1日の業務の間に、短時間で大きく変動している。
図7は、皮膚アンモニア放散フラックスと皮膚ガス用のインジケータ2の使用前後における色差との関係を示すものである。図示する様に、標本相関係数r=0.78(有意水準p<0.01)なので、かなり強い相関がある。よって、色差を累積したアンモニア放散量の指標として捉えることができるのである。
図8−Aは、救命救急医師の夜勤勤務における、皮膚アンモニア放散フラックス、HF(副交感神経指標)、LF/HF(交感神経指標)を、時刻順に測定値を記録したものである。急患の予告が入った午前2時38分から急に皮膚アンモニア放散フラックスの量が急増し、実際に患者が病院に到達した午前3時53分以降は、落ち着いたのか低減している。そして、前記皮膚アンモニア放散フラックス量が増加したり減少したりする毎に、LF/HF値が変動している。
図8−Aにおける前記LF/HF値、HF値に関しては、心拍変動から自律神経のバランスを評価する方法において、心拍変動の時系列データから得られる呼吸変動に対応する高周波変動成分(HF)と、血圧変動に対応する低周波成分(LF)とが利用されている。副交感神経が優位になるとHF成分が現れ、副交感神経の活性度とされる。LF成分は交感神経が優位でも副交感神経が優位でも現れるため、LF/HFの値がストレス指標(交感神経の活性度)として捉えられる。いずれの指標も、被験者ごとに時系列データを解析し、値が突出した箇所において、ストレス状態、あるいはリラックス状態だったと評価される。よって、通常、変動の少ない一定値で推移するものが、ストレスや緊張等が高まると、変動することが判る。
図8−Bは、同様に急患者を受け入れる場合に、救命救急医師の夜勤勤務における、窒素化合物であるアミン類の一つとしてモノメチルアミンの放散を量を時刻に沿って計測したものである。図8−Cは、同じく窒素化合物であるアミン類の一つとしてジメチルアミンを検出し、図8−Dは、同じくトリメチルアミンを検出したものである。なお、いずれも定量化していないので検出強度としている。
前記窒素化合物としてのモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンのいずれの成分も、前記皮膚アンモニアの挙動と類似している。この実験では、交通事故の一報が入った段階の前半で検出強度が高く、時間の経過と共に右に行くほど検出強度が低くなっている。
このようにして、被験者は、手首などに装着した疲労度の評価装置1によって、業務終了後に、若しくはアスリートの運動後に、自分で疲労度をその場で簡単に確認することができる。そして、インジケータ取付部2hに着脱自在なインジケータ2を、必要に応じて適宜に交換し、迅速、且つ、何度でも揮発性窒素化合物である皮膚アンモニア、アミン類の放散量をその場で測定することができる。また、他の実施例として、前記アンモニア量の測定は、短時間で測定できる電気化学センサを用いて測定することもできる。
以上のようにして、本発明に係る疲労度の評価装置1を使用して、被験者自身に携帯して、且つ、何時でもその場で簡単に疲労度を測定することができるのである。
本発明に係る疲労度の評価方法とその装置によれば、疲労度を簡便かつ容易に評価できて、いつでもリアルタイムに結果を得ることができるので、ヒトや家畜等に広く適用することができる。
1 疲労度の評価装置、
2 インジケータ(透明容器)、 2a 有底容器本体、
2b 窒素化合物捕集手段(検知剤)、 2c ストッパー、
2d 除去剤、 2e 拡散部、
2f 通気孔、 2g 蓋部材、
2h インジケータ取付部、
3 バンド、 3a 端部、
4 色見本シール、 4a 、
5 手首。

Claims (8)

  1. 被験者の肉体的または心的な疲労度を、前記被験者の皮膚から放散される揮発性の窒素化合物を前記皮膚表面から離隔させた窒素化合物捕集手段で捕集し、その捕集した窒素化合物の量で疲労度を評価すること、
    を特徴とする疲労度の評価方法。
  2. 窒素化合物の量が多ければ、疲労度が高いと評価すること、
    を特徴とする請求項1に記載の疲労度の評価方法。
  3. 窒素化合物の量の測定は、窒素化合物に対して呈色反応する窒素化合物捕集手段によって、呈色して可視化された色の変化を介して測定すること、
    を特徴とする請求項1または2に記載の疲労度の評価方法。
  4. 窒素化合物捕集手段は、被験者の身体に装着したインジケータ取付部に対して、迅速なインジケータの交換が可能にすべく、着脱自在に取り付けられるインジケータに内包されていること、
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の疲労度の評価方法。
  5. 窒素化合物の量の測定は、窒素化合物捕集手段を皮膚から離隔して内包するインジケータを保持するインジケータ取付部に、被験者の身体装着用のバンドを取り付けて当該窒素化合物の測定を行い、
    疲労度の評価は、前記窒素化合物捕集手段の呈色した色と、該呈色した色と目視で比較できるように前記インジケータ取付部に設けた疲労度評価用の色見本シールの色とを比較して評価すること、
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の疲労度の評価方法。
  6. 揮発性の窒素化合物は、被験者の皮膚から放散される皮膚アンモニアまたはアミン類であること、
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の疲労度の評価方法。
  7. 窒素化合物捕集手段を皮膚表面から離隔させた状態で内包するインジケータと、
    前記インジケータを保持するインジケータ取付部と、
    前記インジケータ取付部に端部が係合される対被験者装着用のバンドと、
    前記インジケータ取付部に設けられるとともに前記窒素化合物捕集手段の呈色した色と目視で比較可能な疲労度評価用の色見本シールとでなること、
    を特徴とする疲労度の評価装置。
  8. インジケータは、インジケータ取付部に取付手段で着脱自在に取り付けられること、
    を特徴とする請求項7に記載の疲労度の評価装置。
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