実施形態に係るシステムの構成例を説明する。このシステムは、図1に示す自走式ベンディングマシン10の他、図2に示すPC(パーソナルコンピュータ)160、設置式ベンディングマシン170、モバイル200、管理サーバ210を含んでいる。
自走式ベンディングマシン10は、自走式装置の一例であり、自走する自動販売機としての機能を持つことからこのように呼ぶ。自走式ベンディングマシン10は、例えば、オフィス内のフロア上を自走式ベンディングマシン10が自動走行する。自走式ベンディングマシン10はモータを動力として障害物を回避しながら自動的に走行する機能(移動手段)を備えている。具体的には、フロア上における特定の区間内のものから商品購入のリクエストがなされた場合、管理サーバ210の指示に従って、自走式ベンディングマシン10がそのリクエストを発したもの(ユーザ)のところへ自ら移動し、その移動先において商品を提供する。ユーザ自ら固定設置されたベンディングマシンまで移動する必要が無いので、自走式ベンディングマシンはユーザにとって非常に便利である。
実施形態にかかる自走式ベンディングマシン10は、商品販売に先立って、ユーザに対して商品選択を支援するための支援情報を提示する機能を有している。すなわち、ユーザごとにカスタマイズされた支援情報として、推奨商品メニューを提示する機能を備えている。これに関しては後述する。
図1には、自走式ベンディングマシン10の詳細構成が模式的に示されている。まず、自走式ベンディングマシン10が有する構成について一般的な説明を行い、その後、自走式ベンディングマシンが有するいくつかの特徴的な機能または構成について詳述する。
自走式ベンディングマシン10は、ハウジングとしての筐体12を備える。筐体12は例えばボックス状またはカート状の形態を有する。自走式ベンディングマシン10は、商品提供機構30、センサ解析部40、ユーザ判定部50、環境判定部60、会話処理部70、お勧め作成部90、判定テーブル100、移動処理部110、駆動機構120を有している。筐体12の下部には4つの車輪130が取り付けられている。
筐体12には、マイク14、温度センサ16、湿度センサ18、カメラ20などの各種センサが取り付けられている。また、ユーザインターフェイス(UI)22、スピーカ24、無線通信部26も取り付けられている。このほか、自動走行のために、複数のセンサが設けられている。複数のセンサには、物体センサ、距離センサ、接触センサなどが含まれる。それら複数のセンサにより、自走式ベンディングマシン10の移動中や停止中に周囲の状況が検知される。マイク14は、ユーザの音声や周囲の様々な音(環境音)を採取して、音声データ信号に変換する。温度センサ16と湿度センサ18は、それぞれ自走式ベンディングマシン10の周囲の温度と湿度を検出して、温度データ信号、湿度データ信号に変換する。図1の例では、筐体12に設けられた支柱にカメラ20及びユーザインターフェイス22が設けられている。カメラ20は、ユーザや周囲の人物・風景などを動画及び静止画の一方または両方の形で撮像して、画像データに変換する。ユーザインターフェイス22は、タッチパネル方式のディスプレイで構成されている。ディスプレイには各種の画像データが表示され、ディスプレイ上での表示に対応した操作としてユーザからの入力が受け付けられる。ユーザインターフェイス22は、支援情報を表示する手段として機能し、また、商品選択時の入力を行う手段として機能する。無線通信部26は、通信規格に従って無線通信を行うものであり、これによりLAN150やインターネット190に接続された各種の装置との通信が行われる。
商品提供機構30は、自走式ベンディングマシン10における提供手段の一例であり、搭載した商品である飲食物(これは提供手段が提供する物品の例である)をユーザにその場で提供できるように構成されている。商品提供機構30には、商品管理部32、課金処理部34、商品格納部36、取出口38が含まれている。商品管理部32は、搭載商品である各飲食物の名称、搭載数量、販売済数量、価格などのデータを管理している。課金処理部34は、ユーザから特定の飲食物が注文された場合に、価格に応じた課金処理を行う。ユーザは、電子マネーやクレジットカードによって支払いを行う。また、ユーザが予め法人契約した企業の社員である場合、あるいは、予め個人契約をした登録者である場合など、決済手続きが用意されている場合には、別途ユーザ認証を行った上で注文を受け付けることで、事後的に決済をする処理も行われる。紙幣・硬貨処理装置を導入して、現金による決済に対応するようにしてもよい。商品格納部36は、飲食物の格納庫であり、飲食物に応じた冷蔵や保温がなされている。取出口38は、ユーザへ飲食物を提供する部位である。なお、商品提供機構30は、これ以外の様々な構成をとることも可能であり、その場でコーヒーの抽出を行なう構成、あるいは、インスタント食品にお湯を提供する構成など、補助的調理機能を備えた構成を例示することができる。また、トレイ上の複数種類の飲料がユーザによって自由に取り出せる構成が採用されてもよい。いずれの構成を採用する場合においても、後に詳述するように、ユーザに紹介する支援情報の内容が当該ユーザのニーズに適合するように、参考情報が適時に適所で取得され、また、取得された参考情報に基づいてユーザにカスタマイズされた支援情報が生成される。
センサ解析部40は、上述した各種センサからデータを入力して解析処理を行うものである。センサ解析部40には、画像解析部42、音解析部44、温度・湿度解析部46が含まれている。画像解析部42には、カメラ20からの動画や静止画の画像データが入力され、機械学習などの設定されたアルゴリズムに従って画像データに、人・物・空間など解析対象が含まれるか評価し、その切り出しを行うなどの処理が行われる。処理された結果は、例えば、ユーザの判別についてはユーザ判定部50で利用され、ユーザの周囲の環境については環境判定部60で利用され、移動上の障害物検出などについては移動処理部110で利用される。音解析部44には、マイク14から音声データが入力され、ユーザの声や、周囲の環境音を検出し、その切り出しを行うなどの処理が行われる。処理された音声データは、例えば、ユーザ判定部50におけるユーザの判定や、環境判定部60における環境音の判定に利用される他、会話処理部70においてユーザとの会話での聞き取りにも利用される。温度・湿度解析部46には、温度センサ16及び湿度センサ18から温度データ及び湿度データが入力され、温度や湿度が取得される。取得された温度や湿度は、環境判定部60において環境の認識に利用される。なお、センサ解析部40は、自走式ベンディングマシン10に搭載されたセンサの数や種類に応じて、機能が拡張される。例えば、センサとして照度センサや加速度センサなどが搭載されている場合には、それらのセンサデータを解析して、室内や屋外の明るさ、装置の移動・振動などを算出し、環境判定部60などに出力することができる。
ユーザ判定部50は、ユーザの判定や、判定したユーザについての情報処理、保存などを行っている。ユーザ判定部50には、識別処理部52、ユーザ類型処理部54、ユーザDB(データベース)56が含まれている。識別処理部52は、機械学習などのアルゴリズムを利用して、カメラ20で撮像された人物が誰であるか、マイク14で拾った音は誰の声であるか、などの識別処理を行う。識別処理部52には、画像解析部42や音解析部44で前処理された画像データと音声データの一方または両方が入力され、ユーザDB56に格納されたユーザの情報と照合することで、人物を識別する。また、ユーザのネームプレートやIDカードなどの画像の文字を解析して人物を判定する処理や、会話処理部70でユーザの会話を解釈した結果を利用して人物を判定する処理も行われる。こうした結果として、自走式ベンディングマシン10が商品を提供しようとするユーザや周囲を通りかかった人物が、目的の人物か、以前対応したことのある人物か否か、対応したことがある人物である場合には誰か、といった情報を取得することが可能となる。
ユーザ類型処理部54は、画像データと音声データの一方または両方を用いて、ユーザの特徴を収集する。収集にあたっては、必要に応じて、会話処理部70でユーザの会話を解釈した結果も活用される。特徴の収集は、様々に可能であり、例えば、ユーザの顔の特徴、姿勢、動作、服装、付随した物品の状況などを挙げることができる。そして、こうした一または二以上の特徴に基づいて、ユーザをタイプに分類する。例えば、年齢(おとな、子供、お年寄りなど)、性別(男、女)などの生物学面での類型化が行われる。また、姿勢面での類型化(立っている、座っている、横になっている、リラックスした姿勢など)や、動作面の類型化(歩いている、止まっている、PCを操作している、スマホを操作している、文字を書いている、飲食をしているなど)、服装面での類型化(男性的な服装か、女性的な服装か、半袖か長袖か、フォーマルかカジュアルか、上着を着ているかなど)が行われる。またユーザに付随した物品に関しても、所持品の類型化(鞄を持っている、スマホを持っている、本を持っているなど)や、ユーザが使用している机の状況の類型化(物が多く置かれている、物があまり置かれていない、PCが置かれている、お弁当が置かれている、綺麗に整理されている、乱雑である)なども行われる。
ユーザDB56は、ユーザに関する履歴を記録するデータベースであり、各ユーザに関する情報が、当該情報を取得した日時情報や位置情報と関連づけて記録されている。具体的には、ユーザの顔画像や、声の特徴データなど、識別処理部52における顔認識や声認識で使用される情報が記録されている。また、ユーザ類型処理部54で類型化した結果の記録、ユーザによる商品の注文履歴なども記録されている。なお、ユーザとの会話の記録は、あとで述べるように会話処理部70の会話DB80に記録されているが、ユーザDB56と関連づけがなされており、ユーザDB56と一体的に管理されている。ユーザDB56には、さらに、ユーザに与えられるサービスポイントが記録されている。サービスポイントは、ユーザが、アンケートに回答するなど情報フィードバックをしてくれた場合や、一定金額以上の商品を購入してくれた場合などにユーザに付与される点数であり、点数に応じて商品の割引や、サービスの提供を受けられるようになっている。ユーザに関するこうした情報は、ユーザの個人情報を含んでおり、基本的には、第三者に提供を行うことができない情報である。しかし、ユーザが許諾をした情報については、ユーザが許諾した範囲の他のユーザに対して情報共有することが許される。そこで、このような情報共有の許諾に関するデータも、ユーザDB56に記録されている。
環境判定部60は、ユーザがいる周囲の環境についての判定や、環境についての情報処理、保存などを行っている。環境判定部60には、識別処理部62、環境類型処理部64、環境DB66が含まれている。識別処理部62は、画像データに含まれるものについての識別(例えば、人、物、文字、図形などとして識別する)や、識別したものをさらに詳細に識別する(例えば、職場の部署名や座席表の文字を解釈して職場名や従業者名を把握するなど、文字や図形の意味の解釈を行うことができる)。これにより、ユーザの周囲にいる人の人数、姿勢、動作、密集度、何を行っているか(机に向かっている、打ち合わせを行っている、食事をしているなど)、どのような職場エリアであるのかといったことが識別される。また、識別処理部62は、音声データに含まれるものについての識別(例えば、人の声、電話の呼び出し音、プリンタなどの機械音、背景音楽などとして解釈する)を行う。これにより、音声データに基づいて、周囲の喧噪あるいは静寂の度合い、何人くらいが話をしているのか、電話やプリンタが使われているかといったことが判定または推定される。
環境類型処理部64は、識別された画像データと音声データの一方または両方に基づいて、さらに必要に応じて温度・湿度解析部46で解析された温度や湿度などに基づいて、周囲の環境がどのような状態であるかのタイプ(類型)を判定する。例えば、周囲がどのような種類または分野の職場またはエリアであるかを類型化する。具体例としては、営業、企画、開発などの職種に関する類型化、喧噪的な静寂的かという静寂度に関する類型化、人が多いか少ないかという人数についての類型化、男性が多いか女性が多いかという性別度合いなどの類型化を挙げることができる。環境DB66には、類型化された環境についての情報が格納されている。すなわち、環境について類型化した情報などが、位置情報や日時情報と関連づけて記録されている。
会話処理部70は、ユーザとの会話を行うための機能を備えている。会話処理部70には、テキスト変換部72、会話解釈部74、作文部76、音声変換部78、会話DB80、会話記録DB82が含まれている。テキスト変換部72は、音解析部44で前処理された会話相手となるユーザの音声データをテキスト(文字列)に変換する。会話解釈部74は、テキストにされた会話文から相手の会話の意図を解釈する。作文部76は、解釈された意図に応じて、自走式ベンディングマシン10の応答を作文し、テキストを作成する。そして音声変換部78は、作文されたテキストを音声に変換し、スピーカ24に送信し、音声を出力させる。会話DB80は、会話解釈部74及び作文部76が参照する単語、構文などが含まれたデータベースである。また、会話記録DB82は、会話の履歴を記録するデータベースであり、ユーザとの過去の会話内容から抽出された特徴事項が、ユーザごとに、位置情報や時間情報などの関連情報とともに記録されている。会話記録DB82は、ユーザDB56と一体的に管理されており、これらを利用することで、時間をおいて、同じ相手に過去の会話内容を踏まえた会話を行うことや、ある相手と行った会話を異なる相手に行うことなどが可能となる。なお、会話の実施にあたっては、関連する画像や動画を、ユーザインターフェイス22に表示させるようにしてもよい。例えば、天気の話題で会話をしている場合に、天気予報を表示させる例が挙げられる。
会話処理部70では、会話の進行方針である会話モードを設定することができる。会話モードは、ユーザとの会話の条件を定める会話条件の一例であり、複数のモードを用意可能である。会話モードの例としては、短縮、促進など会話長さに関するモード、商品の提示を優先する会話、商品の提示を後回しにする会話など商品提示のタイミングに関するモード、仕事を話題にする会話、趣味を話題にする会話など話題に関するモード、大人向けの会話、子供向けの会話など対象年齢に関するモードなど、様々なものを挙げることができる。また、会話処理部70を複数言語に対応できるように設定した場合には、使用言語についてのモードも設定される。会話処理部70では、こうしたモードを一または二以上設定した上で会話を行うことができる。
モードの設定は、様々な観点から行われる。例えば、会話を開始する前におけるユーザの状況もしくは態度または周囲の状況を判定して、その判定に対応したモードを使用することができる。また、会話を開始した後におけるユーザの状況もしくは態度または周囲の環境を判定して、その判定に対応したモードを使用することも可能である。例えば、これから会話をしようとするユーザが、忙しそうにしている場合には、短縮のモード、あるいは、商品の提示を優先する会話のモードを設定し、ユーザの時間をあまりとらないように配慮する。また、これから会話をしようとするユーザがリラックスした状態である場合には、促進のモード、あるいは、商品の提示を後回しにする会話のモードを設定し、ユーザが雑談を楽しめるようにする。ユーザの職場が特定のものであると判定される場合には、その職場に関する話題を会話のモードとして設定することや、その職場の忙しさや雰囲気に応じてあらかじめ設定した長さの会話モードに設定することも可能である。また、標準的な言語(例えば日本語)で会話を開始したが、相手が他の言語(例えば英語)を用いていると認識された場合には、その言語のモードに設定される。モードは、会話を開始した後に、ユーザとの会話内容や、ユーザの態度、周囲の状況などに応じて、動的に切り換えることが可能である。会話のモードは、同時に複数設定することが可能(例えば、長い会話のモードと、趣味を話題にする会話のモード)であり、その一部または全部を動的に変更するようにしてもよい。
会話処理部70では、商品販売を補助するためのモードを設定することが可能である。具体的には、提示した商品のメニューについて、商品の魅力を語るセールストークを行うモードが挙げられる。また、提示した商品のメニューについて、適正度を質問し、それをユーザに回答してもらうフィードバックを実施するための会話モードを設定することが可能である。さらに、会話処理部70では、ユーザと過去に行った会話を、時間をおいて繰り返す会話モードを設定することができる。会話の繰り返しは、ユーザに親しみを感じさせる作用をもたらす狙いがある。また、会話処理部70では、ユーザが情報共有を許諾している場合に、そのユーザと行った会話と同様の会話を他のユーザに試すモードや、そのユーザについての話題を他のユーザとの会話に含めるモードなどを設定することが可能である。こうした情報共有の許諾については、会話の中でユーザに依頼し、その回答を通じて得るようにしてもよい。
なお、会話のモードについては、次に説明するお勧めメニューの作成と連動して設定することが可能である。これを実現するため、判定テーブル100が用意されている。
お勧め作成部90には、メニュー作成部92、連携マシン処理部94が含まれている。メニュー作成部92は、ユーザにお勧め商品をリストアップしたお勧めメニューを作成する。お勧めメニューは、支援情報の例であり、ユーザによる商品の選択を補助するために作成され、ユーザインターフェイス22に表示される。お勧めメニューの作成にあたっては、様々な情報を利用して、メニューをユーザ向けにカスタマイズすることが可能である。例えば、会話を開始する前におけるユーザの状況、あるいはユーザの周囲の環境を判定して、そのユーザ向けにカスタマイズしたお勧めメニューを作成することができる。また、会話を開始した後におけるユーザの状況や、そのユーザの周囲の環境を判定して、お勧めメニューを作成することができる。具体的には、ユーザの生物学面での類型結果に従う例や、職場の類型結果に従う例、ユーザとの会話の内容に応じてお勧めメニューを作成する例などが挙げられる。なお、お勧めメニューの作成は、会話モードと連動して設定することが可能であり、これを実現するため判定テーブル100が用意されている。
連携マシン処理部94は、お勧めメニューを拡張するための処理を行う。すなわち、自走式ベンディングマシン10の近くにある機器や施設などと連携して、自走式ベンディングマシン10単独では提供できない商品やサービスを提供することを目指して、必要な処理を行っている。連携マシンの例としては、設置式ベンディングマシン170を挙げることができる。この設置式ベンディングマシン170は、後で述べるように、自走式ベンディングマシン10とは異なる商品をそろえている。そこで、お勧めメニューにおけるサブメニューとして、設置式ベンディングマシン170が提供する商品を組み込んで提示するとともに、その設置位置を知らせることで、ユーザが商品を取得できる種類を増やすことができる。また、他の自走式ベンディングマシンが稼働している場合に、マシンを連携マシンとして設定し、お勧めメニューを生成することも可能である。この場合には、当該マシンが保持する商品(例えばお弁当)をユーザが選択した場合に、当該マシンに連絡をして、そのユーザに配達させる手続きが取られる。
判定テーブル100は、会話処理部70とお勧め作成部90が連動して、動作するために設定されたものである。ここで、図3を参照して判定テーブルにいて説明する。図3は、判定テーブルについて例示するものである。判定テーブルには、各種センサによってセンシングされた対象として、「職場エリア」「目線」「机の環境」「性別」「年齢」「会話」「温度」が記載されている。そして、この各々について類型化されたものが「条件」として記載されている。職場エリアについては、「営業」「企画」「開発」が設定されている。また、目線については「合わせる」「合わせない」、机の環境については「きれい」「汚い」、性別については「男性」「女性」、年齢については「子供」「おとな」「お年寄り」、会話については「寝不足」「趣味」「困りごと」「肌荒れ」「疲れ目」「疲れ」「野菜不足」「スポーツ後」、温度については「28度以上」「18度以下」がそれぞれ用意されている。
これらの類型化された条件に当てはまる場合には、それに応じて進行する会話のモードと、お勧めメニューに含める飲み、食べ物の候補が記載されている(「−」は該当なしを表している)。具体的には、営業については、会話モードは「促進」、お勧めの飲み物は「栄養ドリンク」、お勧めの食べ物は「甘いもの」が設定されている。また、企画については、会話モードは「促進」、飲み物は「コーヒー」「栄養ドリンク」、食べ物は「甘いもの」が設定され、開発については、会話モードは「短縮」、飲み物は「ミネラルウォーター」「お茶」、食べ物は「音がしないお菓子」が設定されている。同様に、目線を合わせるユーザには会話を促進し、目線を合わせないユーザには会話を短縮すること、机の環境が汚いユーザには「ぼろぼろ落ちるもの以外かつ手が汚れるもの以外」の食べ物をお勧めする。また、男性には、会話モードは「短縮」、飲み物は「コーヒー」、食べ物は「おつまみ系」、女性には、会話モードは「促進」、飲み物は「紅茶」、食べ物は「お菓子」が設定されている。子供に対しては、会話は「促進」、飲み物は「ジュース」、食べ物は「お菓子」、おとなに対しては、会話は「短縮」、お年寄りに対しては、会話は「促進」、飲み物は「お茶」、食べ物は「やわらかいもの」が設定されている。また、会話の結果、野菜不足が判明したユーザには、会話は「短縮」、飲み物は「コーヒー(ストロング)」、趣味について会話したユーザには「会話」は促進、困りごとについて会話したユーザには、会話は「促進」、肌荒れについて会話したユーザには、会話は「短縮」、飲み物は「野菜ジュース」、疲れ目について会話したユーザには、会話は「促進」、飲み物は「ブルーベリードリンク」、疲れについて会話したユーザには、会話は「短縮」、飲み物は「栄養ドリンク」、野菜不足について会話したユーザには、会話は「促進」、飲み物は「野菜ジュース」、会話でスポーツ後であると判明したユーザには、会話は「促進」、飲み物は「スポーツドリンク」、食べ物は「栄養補助食品」が設定されている。そして、温度が28度以上であった場合には「冷たいドリンク」、18度以下であった場合には「暖かいドリンク」が設定されている。
判定テーブル100では、複数の項目に該当する場合がある。この場合、会話モードが相互に矛盾する場合の調整や、飲み物や食べ物を提示する順位の調整が必要となる。例えば、開発の職場に類型されたユーザは、会話は短縮に設定されているが、そのユーザが女性に類型されるときは、会話が促進に設定される。こうした場合には、事前に類型に採用する優先順位をつけておいて(例えば、判定テーブルの上側に掲載された類型ほど優先順位を高く設定する)優先順位が高い類型を採用するようにすれば、性別よりも職場エリアが優先されることになる。この方式を採用した場合、飲み物のお勧めは、ミネラルウォーターやお茶が紅茶よりも優先順位が高くなり、食べ物のお勧めは音がしないお菓子が、単なるお菓子よりも優先順位が高くなる。また、過去に対応したことがあるユーザに対しては、判定テーブルよりも、過去の記録に基づく判断の優先順位を高めるなど、様々な調整が可能である。
移動処理部110は、自走式ベンディングマシン10の移動に関する処理を行っている。移動処理部110には、位置情報取得部112、経路探索部114、地図データ116が含まれている。位置情報取得部112は、自機の位置を判別するためのものである。例えば、屋外ではGPS(グローバルポジショニングシステム)を利用することで、屋内では電波受信における三角法の原理などを利用したり、室内に埋め込まれた位置情報に関する2次元バーコードやRFIDなどの読み込みを利用したりすることで、位置を認識することができる。経路探索部114は、目的とするエリアやユーザに向かうための経路を探索するものである。経路探索にあたっては、地図データ116を利用することが可能である。また、画像データや超音波などを利用して、障害物検出を行いながら経路を探索することも行われる。地図データ116は、行動エリアにおける地図である。一般的に取得できる地図が格納される他、建物配置、フロア内の設備備品配置、ユーザ座席などを記したユーザ側から提供された地図も格納可能である。
駆動機構120は、自走式ベンディングマシン10を駆動するための構成であり、駆動制御部122とモータ124などを含んでいる。駆動制御部122は加速、減速、速度、方向転換などを制御し、モータ124は駆動制御部122の制御の下で車輪130を駆動する。
なお、以上に説明した各構成を実現するにあたっては、情報処理装置及び各種ハードウエアが利用される。情報処理装置としては、例えば、中央処理装置(CPU)、記憶装置などを備えた汎用的な装置が用いられ、この情報処理装置上で起動するオペレーションシステム(OS)、アプリケーションプログラムなどのソフトウエアによって、具体的な機能が実現される。
次に、図2を参照して、自走式ベンディングマシン10以外のシステム構成について説明する。
LAN150は、自走式ベンディングマシン10が活動する付近に設置されたローカルエリアネットワークである。LAN150には、無線通信部152が設けられている。また、LAN150には、PC160が接続されるとともに、無線通信部152を介して自走式ベンディングマシン10と設置式ベンディングマシン170が接続されている。
PC160には、一般的な装備と機能に加え、スケジューラ162、ブラウザ164が設けられている。PCを利用するユーザは、スケジューラ162を自走式ベンディングマシン10に閲覧可能に設定することができる。これにより、自走式ベンディングマシン10は、ユーザの予定を確認して移動することが可能になる。例えば、会議の合間や会議の終了後、休憩時間などに注文を取りにいくようにしてもよい。また、ユーザは、ブラウザ164で特定のwebサイトにアクセスすることで、自走式ベンディングマシン10を呼ぶことができる。
設置式ベンディングマシン170は、自走式ベンディングマシン10が担当するエリア付近に設置された自動販売機である。設置式ベンディングマシン170には、商品管理部172、課金処理部174、商品格納部176、取出口178、無線通信部180が設けられている。商品管理部172は、設置式ベンディングマシン170に格納された商品の種類、在庫状況などを管理している。課金処理部174は商品の決済処理を行う。商品は商品格納部176に格納されており、商品は取出口178から取り出される。
LAN150は、インターネット190に接続されており、インターネット190には、モバイル200や管理サーバ210が接続されている。これによって、モバイル200、管理サーバ210は、LAN150に接続された自走式ベンディングマシン10、PC160、設置式ベンディングマシン170へのアクセスが可能となっている。
モバイル200は、携帯型の端末であり、PC160と同様にユーザが利用する装置である。モバイル200は、一般的な機能に加え、スケジューラ202、ブラウザ204が設けられており、ユーザはPC160に代えて、モバイル200から同様の操作を行うことができる。
管理サーバ210は、システムを管理するための装置である。管理サーバ210には、自走式マシン設定部212、連携マシン設定部214、注文記録部216が含まれている。自走式マシン設定部212は、自走式ベンディングマシン10に関する登録を行うものである。複数台を登録することが可能であり、登録にあたっては各マシンの担当エリアや搭載商品などの情報が設定される。連携マシン設定部214は、各自走式ベンディングマシン10が連携するマシンを設定するものである。連携マシンとしては、自機以外の自走式ベンディングマシン、サービスを提供する自走式マシン、設置式ベンディングマシン170を例示することができる。連携マシンは、自走式ベンディングマシン10と同じ商品を扱っているものでもよく、この場合は、注文するユーザが多いとき、注文量が多いとき、担当エリアが広いときなどに、分担をするのに役立つ。また、異なる商品やサービスを扱っているマシンと連携することも可能であり、この場合は、商品のバリエーションを増やすことが可能となる。また、必要に応じて、担当エリア付近の他の設備や装置との連携設定をすることも可能である。そのような機器としては、プリンタ、スキャナ、複写機、さらにはそれらを複合的に搭載した複合機などのユーザに対する各種サービスを提供する機器が挙げられる。また、トイレ、会議室、エレベータなどが通信可能に管理されている場合には、そのような設備と連携させることで、トイレの込み具合、会議室の利用状況、エレベータの稼働状況などを自走式ベンディングマシン10に随時送信するようにしてもよい。こうした連携により、自走式ベンディングマシン10は、エリア情報が集約されるHUB装置として活用する余地が生じる。
なお、管理サーバ210と自走式ベンディングマシン10とは、一部の機能の配分を変更したり、重複させたりすることが可能である。例えば、自走式ベンディングマシン10が保持するユーザDB56や会話記録DB82を、管理サーバ210にも設け、自走式ベンディングマシン10には、各時点での対象ユーザやその周囲にいる可能性が高いユーザの情報だけを送信し保持されるようにする態様が考えられる。また、複数の自走式ベンディングマシン10を活用してサービスを行う場合に、各マシンがもつユーザDB56や会話記録DB82の情報を、全てのマシンで共有する態様も考えられる。
続いて、自走式ベンディングマシン10の動作の概要について説明する。自走式ベンディングマシン10は、ターゲットとなるユーザ(これは対象者の例であり、対象ユーザと呼ぶことにする)を決定して、対象ユーザがいるエリア(これは目的地の例であり、目的エリアと呼ぶことにする)に移動する。対象ユーザの選定は、様々に行われる。例えば、PC160やモバイル200を操作するユーザから、ユーザ名、時刻、居場所を指定した上で呼び出しを受けて対象ユーザを決定する場合がある。また、別の作業を行っている過程や、別の目的で移動している途中に、通りかかったユーザから直接呼びかけられて、その場で直ちに商品提供を要望されることで対象ユーザを決定する場合や、呼びかけられた際に、ユーザ名、時刻、居場所を指定されたことで対象ユーザを決定する場合がある。さらには、ユーザからの要望を受けていない状況で、視認できた人(例えば通りかかった人など)を対象ユーザと定める場合がある。また、ユーザからの要望を受けていない状況で、かつ、ユーザを視認できない状況で、飛込営業をしようと適当なエリアに移動した結果、見つけた人を対象ユーザと決定する場合もある。自走式ベンディングマシン10は、必要に応じてスケジュール調整、優先順位調整、メール等によるユーザへの訪問予定時刻の連絡などを行って、複数のユーザへの対応を進める。なお、対象ユーザの居場所は、既に視認できている場合は明らかであるが、視認できていない場合には、例えば、ユーザから居場所の連絡を受けて把握したり、座席表などの所在を推定させる情報を利用して推定したりする。居場所の特定にあたっては、必要に応じて、地図データ116が参照される。
自走式ベンディングマシン10は、対象ユーザのいる目的エリアに移動する。目的エリアへの移動にあたっては、移動処理部110、駆動機構120、車輪130など(これらは移動手段の例である)が用いられ、自律的にルート設定が行われる。ここで、目的エリアとは、対象ユーザがいる1点のみを指すのではなく、対象ユーザに関連した周囲の情報を取得できると考えられる範囲をいう。目的エリアの範囲は、自走式ベンディングマシン10の現在地と対象ユーザがいる地点との相対的な関係で決まる。例えば、複数の建物がある場合において、建物を移動して対象ユーザのもとへ向かう場合には、移動先の建物は対象ユーザに関連した情報を取得できる可能性があるため、目的エリアということができる。また、複数階立ての建物においてフロアを移動する場合には、対象ユーザがいるフロアは対象ユーザに関連した情報を取得できる可能性があるため、目的エリアということができる。さらに、複数部屋や分画があるフロアにおいて対象ユーザがいる部屋や分画に移動する場合は、当該部屋や分画を目的エリアと言うことができる。そして、同じ部屋や分画内で移動して対象ユーザとの会話場所(自然な会話が可能な距離。会話は動きながら行うこともできるので一点とは限らない)に移動する場合は、会話場所を目的エリアということができる。自走式ベンディングマシン10は、次々と目的エリアを狭めながら最終的にユーザと会話が容易に行える距離に移動する。会話場所では、典型的にはその場に停止するが低速での移動をするなど停止しない態様も可能である。
自走式ベンディングマシン10は、目的エリアにおいて、移動中、停止中の一方または両方において、センサを使って周辺の様々な情報を取得する。センサは取得手段の一例である。また、ここで取得する情報は、対象ユーザとの会話前あるいは対象ユーザへの呼びかけ前に取得する対象ユーザの周囲に関する開始前参考情報の例である。マイク14による音声データ、温度センサ16による温度データ、湿度センサ18による湿度データ、カメラ20による画像データは、センサ解析部40に送られ、必要に応じてユーザ判定部50や環境判定部60での処理を行うことで、例えば、建物の名称や、建物、フロア、部屋における入居法人名や部署名を認識する。また、目的エリアにおける設備、備品や、目的エリアにいる人の人数、存在位置、性別、おおよその年齢、服装や、それらの人たちが何をしているかといった情報などを認識する。また、目的エリアにおける人の声、機械音、特定できない背景音などの、音量、発生位置などの情報を認識する。音声データは、画像データと照合することで、さらに、どの人が、どの位置で話をしているのかといった精度の高い情報となる。目的エリアにおける対象ユーザの周囲に関する情報の取得は、対象ユーザに近づくほど、対象ユーザとの関連性が高まると考えられる。よって、対象ユーザの候補を視認できた場合や、対象ユーザの候補の声を認識できた場合には、情報取得の頻度を高めるようにしてもよい。また、対象ユーザを確定的に認証できた場合には、さらに情報取得の頻度を高めるようにすることも可能である。さらに、対象ユーザの候補を視認できた場合や、対象ユーザの候補の声を認識できた場合に、情報取得を開始するようにしてもよい。また、対象ユーザとの会話場所に到着した後、または、会話場所で最初に停止した後に情報取得を開始してもよい。対象ユーザとの会話を開始した後、または、対象ユーザへの呼びかけを開始した後に情報取得を開始することも可能である。
また、自走式ベンディングマシン10は、目的エリアにおいて、対象ユーザを見つけた場合に、センサを利用し、さらに必要に応じてユーザ判定部50や環境判定部60での処理を行うことで、対象ユーザについての情報を取得する(ここで取得する情報は、対象ユーザとの会話前あるいは対象ユーザへの呼びかけ前に取得する対象ユーザに関する開始前参考情報の例である。)。例えば、対象ユーザが、過去に対応したユーザである場合には、ユーザDB56や会話記録DB82から、過去に収集した情報、注文履歴、会話履歴などを取得する。また、対象ユーザの顔の特徴、姿勢、動作、服装、付随した物品の状況などを取得する。取得した情報は、ユーザ類型処理部54において、類型化される。
自走式ベンディングマシン10は、対象ユーザとの会話を行う。会話を始めるにあたっては、対象ユーザから最初に声をかけてくれる場合もあるが、自走式ベンディングマシン10から対象ユーザに向かって「おはよう」「失礼します」「お邪魔します」「はじめまして」「Hi!」などの挨拶、「お客様」「〇〇さん」などの相手を示す語、あるいはこれらの両方など、相手に向けて話のきっかけを作る語を発声する(これらは呼びかけの例である)ことも多い。会話は、自走式ベンディングマシン10と対象ユーザとの間で、一往復の音声のやりとりがなされることで成立する。例えば、「〇〇さん、こんにちは」という自走式ベンディングマシン10の発声に対して、対象ユーザが「静かにしてくれ」とだけ返答したために以後沈黙が続いた場合は、貧弱な内容ではあるが、一往復の声のやりとりがあったことから、会話が成立したと言える。しかし、例えば、「お客様、お待たせしました」という自走式ベンディングマシン10の発声に対して、対象ユーザから返事が発せられない場合は、呼びかけは行われ、会話の開始が試みられたものの、一往復の声のやりとりはなく、会話はなされなかったと言える。
よって、会話が成立した場合において、会話の開始の時点とは、一方から他方に最初に呼びかけが始まった時点を指すものとする。この場合、会話の開始前とは呼びかけが開始される前を指し、会話の開始後とは呼びかけが開始された後を指すことになる。他方、会話が成立しない場合においては、会話は開始されないので、ずっと会話の開始前の状態が続いていると言える。複数回呼びかけがなされた結果、会話が成立した場合には、複数回の呼びかけが一連のものとみなせる程度に連続しているか否かに基づいて、会話の開始時点を判断するのが妥当である。
自走式ベンディングマシン10による会話は、会話処理部70を用いて行われる。会話にあたっては、会話開始前に取得した対象ユーザに関する情報または対象ユーザの周囲に関する情報が利用される。例えば、ユーザ類型処理部54においてユーザの年齢がおとなであると類型化された場合には、図3に示した判定テーブルを参照して「短縮」のモードで会話が行われる。
自走式ベンディングマシン10は、会話の開始後においても、上述したのと同様の方法で、ユーザに関する情報やユーザの周囲に関する情報を取得する(これは、開始後参考情報の例である。)。自走式ベンディングマシン10は、この情報に基づいて、会話のモードを変更する場合がある。例えば、上述の「短縮」のモードで会話が始められたが、対象ユーザが「目線」を「合わせる」という動作を行い、さらに、「最近困りごとがあってねぇ」というように「会話」において「困りごと」を話題にしていると認識したとする。これは、図3に示した判定テーブルによれば、いずれも会話を「促進」するモードとなっており、会話処理部70では、会話を促進し、会話時間を長くするような会話モードに切り換える。
自走式ベンディングマシン10では、お勧め作成部90(これは支援情報を生成する生成手段の例である)が対象ユーザに対するお勧めメニュー(これは支援情報の例である)を作成する。そして、生成したお勧めメニューはユーザインターフェイス22に表示される(これは、支援情報を紹介する紹介手段の例である)。また、会話処理部70は音声によってお勧めメニューの説明を行う(これも、支援情報を紹介する紹介手段の例である)。お勧めメニューの作成とその表示や説明は、会話を行う前に行うことも可能である。この場合、お勧めの精度を高めることを目指して、会話あるいは呼びかけを開始する前に取得した情報を参考にお勧めメニューが作成される。例えば、会話の開始前に室温が30度であると認識できた場合に、図3の判定テーブルに従って「冷たいドリンク」を提示することが考えられる。お勧めメニューの作成を会話開始前に行い、お勧めメニューの表示や説明を会話開始後に行うことも可能である。さらに、会話の開始または呼びかけの開始後にお勧めメニューを作成し、その表示や説明を行うようにしてもよい。この場合には、会話あるいは呼びかけを開始する前に取得した情報と、会話あるいは呼びかけを開始した後に取得した情報の一方または両方に基づいて、対象ユーザに対するお勧めメニューを作成することが可能となる。会話開始前に作成したお勧めメニューを会話開始後に変更するようにしてもよい。また、会話開始前に作成し会話開始前に表示などを行ったお勧めメニューを会話開始後に変更し、それにともなってユーザインターフェイス22の表示などを変更するようにしてもよい。
対象ユーザは、ユーザインターフェイス22を操作することで、お勧めメニューから、あるいは、お勧めメニューに含まれなかったメニュー(商品リスト)から、商品を選択する。この場合、商品提供機構30では、課金処理部34が課金処理を行うなどした上で、商品格納部36に格納された商品を取出口38に設置する。対象ユーザがこの商品を取り出すことで、商品購入が完了する。なお、課金処理は、対象ユーザが事前に登録されていて別ルートで決済を行うことが可能である場合には、その場での決済に代えて、対象ユーザが登録ユーザであることを認証し、当該対象ユーザへの課金を指示する処理が行われる。ユーザ認証を会話開始直後など商品購入時よりも前の段階に行った場合には、早い段階で対象ユーザの履歴情報を確定的に取得して、会話を進める際や、お勧めメニュー作成に利用することが可能となる。
自走式ベンディングマシン10は、対象ユーザの商品購入が完了した後または完了する前(最終的に商品が購入されたがその時点では購入されていない場合と、最終的に商品が購入されなかった場合を含む)に、ユーザインターフェイス22に、お勧めメニューの妥当性や満足度などを対象ユーザに問い合わせるアンケートを表示することが可能である。アンケート結果は、自走式ベンディングマシン10の機能動作を向上させるためのフィードバックデータとして活用される。対象ユーザがアンケートに答えてくれた場合には、当該対象ユーザにサービスポイントを付与することで、アンケートへの回答モチベーションを高めることになる。
自走式ベンディングマシン10は、対象ユーザから離れる前に、対象ユーザに対して、会話から得た情報や、購入した商品の情報、対象ユーザの名前などを、他のユーザに共有してよいか、共有してよいのはどの範囲までか、という事項について、問い合わせる。そして、対象ユーザが許諾した範囲で、他のユーザとの会話等でその情報を活用することになる。
自走式ベンディングマシン10は、この一連の処理について記録を行う。すなわち、対象ユーザについて、センサで自主的に取得した情報、会話で取得した情報、どの商品を購入したか、会話から得た情報の共有についての許諾情報、サービスポイントの情報などをユーザDB56や会話記録DBに記録する。また、対象ユーザの周囲の情報は、適宜、環境DB66に記録する。こうして記録された履歴情報は、次回以降に、当該対象ユーザへの商品販売や、他のユーザへの商品販売に活用される。
なお、前述の通り、自走式ベンディングマシン10では、管理サーバ210の設定に従って、設置式ベンディングマシン170の取扱商品をサブメニューに提示するなど、周囲の装置や設備と連携することが可能である。また、ユーザが操作するPC160やモバイル200からの指示や、それらのスケジューラ162、202の内容を分析して、ユーザを訪問するなどネットワークを活用した動作が可能である。
[実施例1]
続いて、図4を参照して、自走式ベンディングマシン10についての具体的な実施例を説明する。図4は、職場エリアの判定にかかる処理を説明するフローチャートである。
ここに示す例では、ユーザはある企業に勤務しており、当該企業が所有するビル内のオフィスで働いている。そして、自走式ベンディングマシン10を管理する会社は、ユーザが所属する企業から、自走式ベンディングマシン10をこのビル内で走行させる許可を得ているものとする。
ユーザは、自分のスマートフォン(すなわちモバイル200)にインストールしたアプリ(アプリケーションプログラム)を起動させて、自走式ベンディングマシン10の呼び出し要求(オーダー)を行うことが可能である。呼び出し要求にあたっては、ユーザを特定する氏名、ログインネームなどのID情報と、速やかに呼び出したいのか特定の時刻に呼び出したいのを示す希望時刻情報、呼び出し場所を指定する場所情報などが入力される。
入力された呼び出し要求は、アプリを通じて、管理サーバ210に伝えられる。管理サーバ210では、複数の自走式ベンディングマシン10を当該ビル周辺に配置しており、多くのユーザからの呼び出し要求に対してスケジュール調整を行って、担当する自走式ベンディングマシン10を決定している。担当する自走式ベンディングマシン10には、対象ユーザとなるユーザのID情報、希望時刻情報、場所情報が伝えられる。
自走式ベンディングマシン10では、移動処理部110の経路探索部114が、場所情報を地図データ116と照らし合わせた上で、経路を設定し目的エリアに移動する(S10)。自走式ベンディングマシン10は、対象ユーザとの会話場所に到着する前に、その都度目的エリアを設定して、ユーザの周囲の情報をマイク14やカメラ20などの各種センサを用いて取得し(S12)、センサ解析部40でその解析を行い、さらに環境判定部60で環境の判定を行う。図4の例では、職場エリアについての判定を行っている。すなわち、「会話の量・時間が多い?」について検討し(S14)、多い(Yes)であれば、「電話が多い?」について検討を行う(S16)。S16でも多い(Yes)である場合には、「営業エリアであると判定」する(S20)。他方、S14またはS16で少ない(No)である場合には、「人が密集している?」について検討を行う(S18)。その結果、密集している(Yes)である場合には、企画エリアであると判定し(S22)、密集していない(No)である場合には開発エリアであると判定する。
この判定結果は、ユーザとの会話場所において、ユーザと会話をする際に利用される。すなわち、自走式ベンディングマシン10は、図3に示した判定テーブルの職場エリアが営業か、企画か、開発かに応じて、会話のモードを促進とするか、短縮とするかを決定する。例えば、対象ユーザの環境が営業エリアであると判定された場合には、会話が促進するモードで対象ユーザへの会話を開始する。すなわち、ただちに商品メニューの提示を行って用件を済ませるのではなく、対象ユーザを雑談に引き込むことを目指して、例えば次のような会話を行う。
自走式ベンディングマシン10(自):「はじめまして、〇〇さん」
対象ユーザ(対):「あ、どうも」
自:「ここは活気がある職場ですね。」
対:「そうだねえ。」
自:(以下略)
そして、少なくともこの時点では、図3の判定テーブルに従って、職場の特徴にふさわしいと考えられる飲み物や食べ物をお勧めメニューとして設定しようとしている。具体的には、飲み物は「栄養ドリンク」であり、食べ物は「甘いもの」である。
他方、開発エリアであると判定された場合には、会話のモードは「短縮」であり、ただちに商品メニューを提示することを目指して、例えば次のような会話を行う。
自:「はじめまして、〇〇さん」
対:「あ、どうも」
自:「お呼びいただきありがとうございました。〇〇さんは、このような飲み物や食べ物はいかがですか」
対:(以下略)
この場合、図3の判定テーブルに従えば、「ミネラルウォーター」「お茶」「音がしないお菓子」がお勧めメニューとして設定され、ユーザインターフェイス22に表示される。
以上のように、移動先において、商品提供前に特定状況下にある対象ユーザについて参考情報を取得し、その情報に基づいてお勧めメニューの内容が適応的に設定される。これにより、当該お勧めメニューの内容を対象ユーザの希望に適合させること、あるいは、対象ユーザがおかれている特定状況に適合させる処理が行われる。よって、ユーザフレンドリーな利便性の高い自走式ベンディングマシンが実現することになる。
ここで説明した例では、職場エリアを周囲の人のセンシングによって判定した。しかし、例えば、部屋の入り口などに掲げられた案内板の読み取りによって判定することも可能であるし、過去にこのエリアを訪問したことがあればその際の履歴情報を利用してどのような職場か判定することも可能である。また、判定結果には推測が混じっているので、実際に対象ユーザから聞いた情報などに基づいて、随時、正しい情報へと修正していく処理が行われる。
また、ここで説明した例では、職場エリアの判定のみで会話やお勧めメニューを展開するものとした。しかし、先に述べた通り、対象ユーザの周囲に関しては、職場エリア以外のものを判定することが可能であるし、対象ユーザに関しても判定することが可能である。
なお、図4のフローチャートで例示したような目的エリアにおける各種の情報取得は、繰り返し行うことが可能である。情報の取得は、対象ユーザとの会話の開始直前まで行うようにしてもよいし、さらには、会話や呼びかけが開始された後までも行うことができる。繰り返し情報が取得された場合において、情報が互いに矛盾するときは、例えば、多数決で決定するようにしてもよいし、後で得られた情報(新しい情報)の信頼度高く判断するようにしてもよい。
[実施例2]
次に、図5を参照して、会話の長さを動的に変更する例について説明する。この例では、自走式ベンディングマシン10は、既に、対象ユーザとの会話場所まで移動している。そして、この時点までに取得したユーザに関する情報、ユーザの周囲の環境、過去の履歴情報などに基づいて、会話モードを決定しているか、特段、会話モードを設定していない(標準設定されたモードとも言える)状態にある。そして、この時点においても、ユーザとその周囲についてのセンシングを続けている。
自走式ベンディングマシン10は、対象ユーザに対して、まず挨拶を行う(S30)。具体的には、「おはようございます。〇〇さん」というように呼びかける例が挙げられる。このとき、自走式ベンディングマシンは、マイク14やカメラ20などのセンサを利用して、対象ユーザの反応をセンシングする。具体的には、目線が動いたか、どう動いたか、返答はあったか、どのような声の大きさで返答があったか、どのような内容の返答であったかといったことを認識する(S32)。図5に示した例では、このうち、「目線を合わせた?」について検討し(S34)、目線を合わせた場合(Yes。つまり、自走式ベンディングマシン10の方に視線を向けた場合)、長い会話をするモードを選択する(S38)。これに対し、目線を合わせない場合(No)には、返答の「声が大きいか?」が検討される(S36)。返答の声の大きさが所定の閾値よりも大きい場合(Yes)には、長い会話を進めるモード、言い換えれば会話を促進するモードが選択される(S38)。他方、返答がないまたは返答の声が所定の閾値よりも小さい場合(No)には、短い会話のモード、言い換えれば会話を短縮するモードを選択する(S40)。すなわち、この例では、対象ユーザが比較的良好な反応を示した場合には、長い会話モードを選択し、対象ユーザが比較的冷淡な反応を示した場合には短い会話モードを選択している。これは、長い会話を行った場合には、対象ユーザが自走式ベンディングマシン10に抱く親近感が増すことや、対象ユーザから多くの情報を引き出してお勧めメニューの精度を上げる点で有効であり、反応が良いユーザとは長く会話を行いたい一方で、反応が悪いユーザの時間を長く拘束するのは、むしろ感情を悪化させるという観点に基づいて、設定されている。なお、モードの選択は、別の観点から行うことも可能であり、ユーザの反応に対して別のモードを選択するようにしてもよい。
会話を開始した、あるいは、呼びかけを開始した後にセンシングしたユーザに関する情報は、ユーザの状態、感情、性格なども反映していると考えれば、会話モードの設定に代えて、お勧めメニューの生成に利用することも可能である。また、会話モードの設定と、お勧めメニューの生成の両方に使用することも可能である。図3の判定テーブルでは、会話によって「寝不足」「趣味」「困りごと」などが判明した場合に移行する会話のモードに加えて、お勧めの候補となる飲み物や食べ物を記載している。また、会話の開始後、あるいは、呼びかけを開始した後に得られた後にセンシングしたユーザの周囲に関する情報も、ユーザの周囲の状況を伝えるものであり、会話モードの設定と、お勧めメニューの生成の一方または両方に利用することができる。会話モードの設定とお勧めメニューの生成は、同じタイミングで行われてもよいし、異なるタイミングで行われてもよい。また、センシングの繰り返し結果に基づいて、何度も設定しなおすことが可能である。
[実施例3]
続いて、図6のフローチャートを用いて、自走式ベンディングマシン10が、過去の会話の履歴を活用する例について説明する。図6では、自走式ベンディングマシン10が、対象ユーザのところへ移動した後に、会話を開始(S60)している。この会話は、会話を促進するモードで行われており、商品紹介に先立って、商品とは直接は関連しない話題の話が行われている。図示した例では、趣味が何かを尋ねている(S62)。これに対して、対象ユーザが、「サッカー観戦ならよく行くよ」というように答えたとする。このとき、自走式ベンディングマシン10では、「サッカー」「サッカー観戦」といった特徴語を抽出し、この特徴後をキーワードとして、ユーザDB56や会話記録DB82において、他のユーザの履歴を検索する(S64)。
検索の結果、「他のユーザから同じ趣味が見つかった?」かが検討され(S66)、見つかった場合(Yes)には、そのユーザが「同じ職場のユーザ?」であるか検討される(S68)。そして同じ職場のユーザである場合(Yes)には、当該ユーザからこの話題について「共有許可を得ている?」かが検討される(S70)。許可を得ている場合(Yes)には、当該ユーザを話題に出す(S72)。例えば、「そう言えば、〇〇さんは、サッカーチームに入っているって言ってたよ。」という具合である。
他方、S66、S68、S70においてNoであった場合には、他の話題に移行する(S74)。具体的には、職場の状況に関することや、最近困っていることなどを尋ねる例が挙げられる。そして、同様に、対象ユーザが関心を持っている話題のキーワードが抽出され、「DBに共有話題がある?」かが検討され(S76)、Yesの場合には、そのユーザが「同じ職場のユーザ?」であるか(S78)、さらにそのユーザから「共有許可を得ているか」が検討される(S80)。いずれもYesである場合には、そのユーザが同じ話題に関心を持っていることを伝え(S82)、ユーザ同士のコミュニケーションを活性化するきっかけ、あるいは、自走式ベンディングマシン10に愛着を持ってもらうきっかけとする。他方、S76、S78、S80のいずれかがNoであった場合には、さらに他の話題へと移行する。
こうした会話を終える前に、自走式ベンディングマシン10は、対象ユーザに対して、今の会話を他のユーザと共有してよいか尋ねる。そして、許可を得た場合には、他のユーザとの会話の中で、当該対象ユーザの話題が出されることになる。
また、自走式ベンディングマシン10は、同じ対象ユーザと別の機会に会話をする場合に、過去の会話におけるキーワードを、再度話題にする機能をもつ。例えば、以前の会話で「トライアスロンに参加する」という話題が出され、それを履歴として残している場合、「この前話していたトライアスロンはどうでした?」というように、現在の状況を確認し、顔なじみ感を出すことを目指す。
ユーザの話題収集は、商品の販売時における会話以外でも行われる。例えば、移動中に複数のユーザが立ち話をしている場合、その立ち話に混ぜてもらって、会話の情報を収集することが可能である。また、共有可能な話題に関しては、興味のありそうな人にメール等で連絡をして、自走式ベンディングマシン10のことを思い出してもらい、リピート率を高めるきっかけとする。
以上では、自走式装置としての自走式ベンディングマシンの例について説明した。しかし、本発明はここで説明した例に限定されるものではない。
例えば、自走式ベンディングマシンは、飲み物食べ物などの商品を販売するのではなく、無償で物品を提供するものであってもよいし、物品を貸与するものであってもよい。また、提供するものは、飲食物に限られず、オフィスで必要とされる文房具などの他の物品であってもよい。いうなれば、各種の「自走式物品提供マシン」として構成することができる。さらには、ユーザに物品を提供するのではなく、サービスを提供する「自走式サービス提供マシン」とすることも可能である。サービスの例としては、複写、プリントアウトのような印刷関連サービスや、口述した内容に従って外部連絡や文書作成などの口述処理補助業務を行う口述処理補助業務サービスのようなものが挙げられる。もちろん、サービスの提供と物品の提供が同じ装置によって行われてもよい。いずれの場合であっても、これらのマシンは、ユーザが物品またはサービスを選択するのに先立って、参考情報を取得し、取得した参考情報に基づいてカスタマイズされた支援情報をユーザに提供する。
また、こうした自走式の各種マシンは、オフィス以外の様々な場所でも利用可能である。具体的には、店舗やイベント会場などにおいて来客者・来場者に店舗にかかる商品やサービスを提供する例が挙げられる。対象ユーザの候補となる人数が変わる場合、または、ユーザの属性(仕事か、余暇かなどの活動目的、ユーザを待たせることができる許容時間、ユーザの所属等の均一性や多様性など)が変わる場合は、ユーザやその周囲についての情報取得の態様を変更する(例えば、ユーザとその周囲の情報取得の一方または両方について、実施しないまたは頻度・タイミングなどを変更する)処理をするようにしてもよい。こうした変更は、管理者による設定によって行うようにしてもよいし、予め設定されたプログラムに基づいて自律的に実施されるようにしてもよい。
自走式の各種マシンの移動は、人手によらずに自律的にマシンの位置を変更するように行われればよく、車輪を用いた移動に限られない。例えば、例えば、ヒューマノイドや動物型ロボットのように2足歩行、4足歩行など、足を使って歩行するものであってもよいし、ドローンのようにプロペラなどを利用して空中を移動するもであってもよく、船のように水面を移動するようなものであってもよい。また、レールなどにガイドされたルートを移動するものであってもよい。もちろん、これらの2以上の移動機構を備えるものであってもよい。