JP2019050771A - 高機能分化誘導細胞の濃縮方法及び高機能分化誘導細胞集団 - Google Patents
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Abstract
Description
1.以下の工程を含む、CYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法:
1)多能性幹細胞のCYP遺伝子座に、薬剤耐性遺伝子を導入する工程;
2)前記薬剤耐性遺伝子を導入した細胞を、分化誘導処理する工程;
3)前記分化誘導処理して得た細胞を、薬剤耐性遺伝子に対応する薬剤存在下で培養する工程;
4)前記薬剤存在下で生存した細胞を収集する工程。
2.前記工程1)の多能性幹細胞のCYP遺伝子座に、薬剤耐性遺伝子を導入する工程が、当該薬剤耐性遺伝子とレポーター遺伝子と共に導入される工程である、前項1に記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法。
3.前記工程1)の多能性幹細胞のCYP遺伝子座に、薬剤耐性遺伝子を導入する工程が、CYP遺伝子座をターゲッティングするドナーベクターを用いて遺伝子導入する工程である、前項1又は2に記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法。
4.前記工程1)のCYP遺伝子座をターゲッティングするドナーベクターが、CYP遺伝子座と相同なホモロジーアームを有し、当該ドナーベクターのホモロジーアームの間に薬剤耐性遺伝子及びレポーター遺伝子が搭載されている、前項3に記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法。
5.前記工程2)の分化誘導方法が、多能性幹細胞から分化誘導肝細胞又は分化誘導小腸上皮細胞へ分化誘導する方法である、前項1〜4のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法。
6.CYP遺伝子座が、CYP3A4遺伝子座、CYP1A2遺伝子座、CYP2C19遺伝子座、CYP2D6遺伝子座、CYP2E1遺伝子座及びCYP2C9遺伝子座より選択される1つ又は複数の遺伝子座である、前項1〜5のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法。
7.多能性幹細胞由来分化誘導細胞中CYP強発現分化誘導細胞を30%以上含むことを特徴とするCYP強発現分化誘導細胞集団。
8.前項1〜6のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法により得られたCYP強発現分化誘導細胞集団。
9.CYP強発現分化誘導細胞が、CYP強発現分化誘導肝細胞又はCYP強発現分化誘導小腸上皮細胞である、前項7又は8に記載のCYP強発現分化誘導細胞集団。
10.CYP強発現分化誘導細胞集団が、ヒト初代培養肝細胞におけるCYP発現量と同等又はそれ以上のCYPを発現してなるCYP強発現分化誘導肝細胞を30%以上含むことを特徴とする、前項9に記載のCYP強発現分化誘導細胞集団。
11.CYP強発現分化誘導細胞集団が、ヒト小腸細胞におけるCYP発現量の1/10量又はそれ以上のCYPを発現してなるCYP強発現分化誘導小腸上皮細胞を30%以上含むことを特徴とする、前項9に記載のCYP強発現分化誘導細胞集団。
12.CYPが、CYP3A4、CYP1A2、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP2C9より選択される1つ又は複数のCYPである、前項7〜11のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞集団。
13.前項7〜12のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞集団の、薬物毒性評価又は薬物動態評価のための使用方法。
14.前項7〜12のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞集団を使用することを特徴とする、薬物毒性評価方法又は薬物動態評価方法。
15.前項7〜12のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞集団を有効成分として含む移植用組成物。
1)多能性幹細胞のCYP遺伝子座に、薬剤耐性遺伝子を導入する工程;
2)前記薬剤耐性遺伝子を導入した細胞を、分化誘導処理する工程;
3)前記分化誘導処理して得た細胞を、薬剤存在下で培養する工程;
4)前記薬剤存在下で生存した細胞を収集する工程。
(A)ヒトES/iPS細胞未分化維持培地としては、ReproStem(商品名)、iPSellon(商品名)、Essential 8(商品名)、TeSR-E8(商品名)StemFit(R)AK03N(商品名)、StemFit(R)AK02N(商品名)などの各種幹細胞維持培地を使用することができる。
(B)分化誘導用培地として、例えばRPMI1640培地(Sigma社)に1×Glutamax(Thermo fisher scientific社)、B27 Supplement(Thermo fisher scientific社)、ペニシリン/ストレプトマイシンを含む培地も使用することができる。内胚葉細胞を分化誘導する際に使用する培地は同等の機能を発揮しうるものであれば、上記に限定されない。
(C)肝幹前駆細胞から肝細胞への分化誘導にはHepatocyte Culture Medium(HCM、Lonza)を使用することができる。肝幹前駆細胞から肝細胞への分化誘導する際に使用する培地は同等の機能を発揮しうるものであれば、上記に限定されない。
(D)肝幹前駆細胞用培地としてDMEM/F12培地を用いることができる。DMEM/F12培地には、10%FBS、インスリン(10μg/ml)、トランスフェリン(5μg/ml)、亜セレン酸ナトリウム(20 nM)、ニコチンアミド(10 mM)、DEX(デキサメタゾン、10-7 M)、HEPES(20 mM)、NaHCO3(25 mM)、L-グルタミン(2 mM)、ペニシリン/ストレプトマイシンを添加して使用する。肝幹前駆細胞を培養する際に使用する培地は同等の機能を発揮しうるものであれば、上記に限定されない。
(E)内胚葉細胞から小腸上皮細胞への分化誘導にはdifferentiation DMEM-high Glucose培地、10% Knock Serum Replacement(Thermo fisher scientific社)、1 % Non Essential Amino Acid Solution(Thermo fisher scientific社)、ペニシリン/ストレプトマイシン、1×Glutamax(Thermo fisher scientific社)を含むDMEM-high Glucose培地(Wako社)を使用することができる。
本実施例で示す培養方法では、ヒトiPS細胞に対する培地が必要である。本参考例では、各種培養に使用可能な培養液の組成について説明する。
本実施例では、ヒトiPS細胞のCYP3A4遺伝子座に、薬剤耐性遺伝子としてNeoR遺伝子とレポーター遺伝子としてEGFP遺伝子が導入されたiPS細胞の構築について説明する。本実施例では、ヒトiPS 細胞株としてYOW-iPS(Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 111, 16772-7 [2014])を用いた。
sgRNA1; fwd: CACCtagaactctgaaatgaagat(配列番号1)
rev: AAACatcttcatttcagagttcta(配列番号2)
sgRNA2; fwd: CACCatggactgcataaataaccg(配列番号3)
rev: AAACcggttatttatgcagtccat(配列番号4)
CRISPR/Cas9ベクターとしてpX330 (Addgene, no 42230, http://www.addgene.org/42230/)を用いた。
GAGGGCAGAGGAAGTCTGCTAACATGCGGTGACGTCGAGGAGAATCCTGGACCT(配列番号5)
E2Aの配列は以下の通りである。
CAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAACCCTGGACCT(配列番号6)
atgggatcggccattgaacaagatggattgcacgcaggttctccggccgcttgggtggagaggctattcggctatgactgggcacaacagacaatcggctgctctgatgccgccgtgttccggctgtcagcgcaggggcgcccggttctttttgtcaagaccgacctgtccggtgccctgaatgaactgcaggacgaggcagcgcggctatcgtggctggccacgacgggcgttccttgcgcagctgtgctcgacgttgtcactgaagcgggaagggactggctgctattgggcgaagtgccggggcaggatctcctgtcatctcaccttgctcctgccgagaaagtatccatcatggctgatgcaatgcggcggctgcatacgcttgatccggctacctgcccattcgaccaccaagcgaaacatcgcatcgagcgagcacgtactcggatggaagccggtcttgtcgatcaggatgatctggacgaagagcatcaggggctcgcgccagccgaactgttcgccaggctcaaggcgcgcatgcccgacggcgatgatctcgtcgtgacccatggcgatgcctgcttgccgaatatcatggtggaaaatggccgcttttctggattcatcgactgtggccggctgggtgtggcggaccgctatcaggacatagcgttggctacccgtgatattgctgaagagcttggcggcgaatgggctgaccgcttcctcgtgctttacggtatcgccgctcccgattcgcagcgcatcgccttctatcgccttcttgacgagttcttc
atggtgagcaagggcgaggagctgttcaccggggtggtgcccatcctggtcgagctggacggcgacgtaaacggccacaagttcagcgtgtctggcgagggcgagggcgatgccacctacggcaagctgaccctgaagttcatctgcaccaccggcaagctgcccgtgccctggcccaccctcgtgaccaccctgacctacggcgtgcagtgcttcagccgctaccccgaccacatgaagcagcacgacttcttcaagtccgccatgcccgaaggctacgtccaggagcgcaccatcttcttcaaggacgacggcaactacaagacccgcgccgaggtgaagttcgagggcgacaccctggtgaaccgcatcgagctgaagggcatcgacttcaaggaggacggcaacatcctggggcacaagctggagtacaactacaacagccacaacgtctatatcatggccgacaagcagaagaacggcatcaaggcgaacttcaagatccgccacaacatcgaggacggcagcgtgcagctcgccgaccactaccagcagaacacccccatcggcgacggccccgtgctgctgcccgacaaccactacctgagcacccagtccgccctgagcaaagaccccaacgagaagcgcgatcacatggtcctgctggagttcgtgaccgccgccgggatcactctcggcatggacgagctgtacaagtaa
1)CYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞から分化誘導肝細胞への分化誘導
本実施例では、実施例1で作製したCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞から分化誘導肝細胞(hepatocyte-like cells)への分化誘導について説明する(図3参照)。
実施例1で作製したCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞について、実施例2の方法で分化誘導肝細胞へ分化誘導した過程におけるALB産生量を経時的にELISA法により計測した。Day 23(分化誘導23日目)にはほぼALB産生能はプラトーに達し、約7,000μg/ml/24hr/mg proteinとなった。一方、対照としてのヒト初代培養肝細胞(primary human hepatocyte:PHH)では4時間培養した場合に既に約10,000μg/ml/24hr/mg proteinが産生された(図4)。
実施例2の分化誘導方法により作製したCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導肝細胞のCYP3A4発現を確認した。分化誘導25日目におけるCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導肝細胞についてCYP3A4(赤色)の染色画像を確認した(図5A)。CYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞ではCYP3A4発現細胞はEGFP陽性となるため、CYP3A4陽性細胞とEGFP陽性細胞がmergeしていることが確認できた(図5B)。
実施例2の分化誘導方法により作製したCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導肝細胞のCYP3A4活性を経時的に解析した。CYP3A4活性はP450-GloTM CYP3A4 Assay Kits(Promega)を用い、CYP3A4の基質としてLuciferin-IPAを用いた。CYP3A4活性値はluminometer(Lumat LB 9507、Berthold)を用いて測定した。なお、得られたCYP3A4活性値は蛋白質量にて補正した。CYP3A4活性は48時間培養したヒト初代培養肝細胞(PHH 48hr)での活性を1としたときの相対値で示した。CYP3A4活性値は(Day 23)にはCYP3A4活性値はほぼプラトーに達した。分化誘導25日目におけるCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導肝細胞のCYP3A4の活性は約0.3であった(図6A)。
CYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞から分化誘導肝細胞への分化誘導過程におけるEGFP陽性の細胞の割合(EGFP陽性細胞率)をFACSで経時的に解析した。分化誘導22日目(Day 22)にはほぼプラトーに達し、約21-22%であった。したがって、CYP3A4を発現する細胞の割合は21-22%程度であることが示唆された(図6B)。分化誘導25日目のEGFP陽性細胞率は22.5%であった(図7)。これによりEGFP陽性細胞率はCYP3A4発現細胞の割合と同程度であることが示唆される。
本実施例では、上記1)の方法で作製した分化誘導22日目のCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導肝細胞を250μg/mlのG418(ネオマイシン:Neo)含有HCM培地(培地4)で3日間培養した。本実施例での培養開始時の細胞密度は1.25-4×105 cells/cm2であった。細胞を3日間培養後、Neo耐性能を有する細胞のみが生存し、Neo耐性遺伝子発現細胞が濃縮された。培養期間中、培地交換は毎日行った(図8)。
本実験例では、実施例2及び実施例3で作製したCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導肝細胞について、薬物代謝酵素の発現及び活性について確認した。
・実施例2で作製した分化誘導25日目のCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導肝細胞(Control HLC)
・実施例2で作製した分化誘導22日目のCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導肝細胞を実施例3の方法で3日間G418処理した細胞(Neo+HLC)
・分実施例2で作製した化誘導25日目のCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導肝細胞をセルソーターにかけ、EGFP陽性細胞をソートした細胞(EGFP+HLC)
・48時間培養したヒト初代培養肝細胞(PHH 48hr)
・4時間培養したヒト初代培養肝細胞(PHH 4hr)
図9Aには薬物代謝第一相酵素であるCYP1A2、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP2E1の相対的発現量を示し、図9Bには薬物代謝第二相酵素であるUGT1A1、UGT2B4、GSTA1、GSTA2、薬物トランスポーターであるMDR1、BCRP、BSEP、MRP2、肝関連核内受容体及び転写因子であるAhR、CAR、PXR、PPARα、HNF4α、HNF1α、c/EBPα並びに肝機能関連遺伝子であるALB、αATの相対的発現量を示した。
「Neo+HLC」及び「EGFP+HLC」の各々について、「Control HLC」に比べて高い遺伝子発現量を示した。さらに、「Neo+HLC」及び「EGFP+HLC」では多くの遺伝子について、「PHH 48hr」細胞よりも高い遺伝子発現を示すことが確認された。
(CYP3A4活性の測定)
各細胞についてCYP3A4活性を測定し、「PHH 48hr」での活性を1として相対的活性を確認した。
その結果、「Neo+HLC」では「Control HLC」よりも高いCYP3A4活性を示し、「PHH 48hr」と同等のCYP3A4活性を有することが確認された(図10)。
各細胞についてCYP3A4、CYP2D6、CYP1A2及びCYP2C19について各々活性を測定し、「PHH 48hr」での活性を1として相対的活性を確認した。
「Neo+HLC」、「EGFP+HLC」及び「PHH 48hr」について、CYP1A2、CYP2B6及びCYP3A4の各CYP誘導能を確認した。CYP1A2誘導能はオメプラゾール(omeprazole)、CYP2B6誘導能はフェノバルビタール(phenobarbital)、CYP3A4誘導能はリファンピシン(rifampicin)を用いて評価した。オメプラゾールはCYP1A2の、フェノバルビタールはCYP2B6の、リファンピシンはCYP3A4の基質である。各細胞を50μMのオメプラゾール(Wako) 500μMのフェノバルビタール(Wako)又は 20μMのリファンピシン(Wako)を含む培地4で培養したのち、CYP1A2、CYP2B6及びCYP3A4のmRNA量をReal-time RT-PCR法により調べた。Real-time RT-PCRはTaqMan Gene Expression Assays(Applied Biosystems)により評価した。各々について、「Neo+HLC」の方が「Control HLC」よりもやや高いCYP誘導能を有していることが確認された(図13)。
実験例3−aと同じ対象細胞について、EGFPの発現について確認した。
実験例1に示す「Control HLC」、「Neo+HLC」及び「EGFP+HLC」について、FACSによりEGFP陽性細胞率を解析した。その結果、EGFP陽性細胞率は各々21.7±3.4%、81.5±6.7%及び92.5±4.9%であった。これにより、G418を作用させることによりEGFP陽性細胞率は21.7%から81.5%にまで向上した。さらに、「EGFP+HLC」細胞のEGFP陽性細胞率は、ソート前の21.7%から92.5%にまで向上した(図14)。
実験例3−aと同じ対象細胞について、肝毒性を示すことが知られている薬物を用いた細胞毒性試験を実施した。
図15に示す各濃度のアセタミノフェン(acetaminophen)、アミオダロン(amiodarone)、ベンズブロマロン(benzbromarone)、デシプラミン(desipramine)、イソニアジド(isoniazid)、ネファゾドン(nefazodone)、トログリタゾン(troglitazone) 及びイミプラミン(imipramine)各々を、HCM培地(培地4)に加えた培養液を用いて、各細胞について細胞密度約1.25-2×105 cells/cm2の各細胞を37℃で1日間培養したときの細胞生存率を確認した。
実験例3−aと同じ対象細胞について、胆汁酸排泄能を確認した。胆汁酸排泄能は、CLF(cholyl-lysyl-fluorescein)又はd8-TCA(d8-taurocholate、Martex)を用いて測定し、各細胞におけるBEI(biliary excretion index)により評価した。
各細胞をHBSS緩衝液を用いて3回洗浄したのち、HBSS緩衝液又はCa2+(-)HBSS緩衝液を用いて10分間静置した。その後、各細胞を5μm CLF又は2.5μM d8-TCAを含むHBSS緩衝液を用いて10分間培養した。CLF又はd8-TCAの取り込み反応は、4℃のHBSS緩衝液に置換することによって停止させた。1% Triton X-100を用いて細胞を溶解したのちに、細胞溶液中に含まれるCLF量をマイクロプレートリーダー(Genios)を用いて測定した。細胞溶液中に含まれるd8-TCAを測定する場合はLC-MS/MSを用いた。LC解析は Acquity UPLC(Waters)を用いて実施し、MS/MS解析はQ-Premier XE(Waters)を用いて実施した。BEIは以下の計算式を用いて算出した:BEI = 100*(HBSS-HBSS(Ca2+(-))/HBSS%。その結果、いずれの薬物についても、「Neo+HLC」の方が「Control HLC」よりも高い胆汁酸排泄能を有していることが確認された(図16)。
本実施例では、実施例1で作製したCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞から分化誘導小腸上皮細胞(enterocyte-like cells)への分化誘導について説明する(図17参照)。
本実施例では、CYP3A4発現分化誘導小腸上皮細胞の濃縮について示す。実施例4で作製したCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導小腸上皮細胞を250μg/mlのG418含有「培地5」で3日間培養した。細胞を3日間培養後、Neo耐性能を有する細胞のみが生存し、Neo耐性遺伝子発現細胞が濃縮された。培養期間中、培地交換は毎日行った(図18)。培養開始時の細胞密度はおおよそ1-1.5×105 cells/cm2であった。
本実験例では、実施例5で作製したCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導小腸上皮細胞について、GFP陽性細胞率について確認した。
・実施例4で作製した分化誘導34日目のCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導小腸上皮細胞(Control HLC)
・実施例4で作製した分化誘導31日目のCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導小腸上皮細胞を実施例5の方法で3日間G418処理した細胞(Control ELC)
・実施例4で作製した分化誘導34日目のCYP3A4-NeoR-EGFP iPS細胞由来分化誘導小腸上皮細胞をセルソーターにかけ、EGFP陽性細胞をソートした細胞(EGFP+ELC)
・ヒト成人小腸細胞(Small Intestine)
Claims (15)
- 以下の工程を含む、CYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法:
1)多能性幹細胞のCYP遺伝子座に、薬剤耐性遺伝子を導入する工程;
2)前記薬剤耐性遺伝子を導入した細胞を、分化誘導処理する工程;
3)前記分化誘導処理して得た細胞を、薬剤耐性遺伝子に対応する薬剤存在下で培養する工程;
4)前記薬剤存在下で生存した細胞を収集する工程。 - 前記工程1)の多能性幹細胞のCYP遺伝子座に、薬剤耐性遺伝子を導入する工程が、当該薬剤耐性遺伝子とレポーター遺伝子と共に導入される工程である、請求項1に記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法。
- 前記工程1)の多能性幹細胞のCYP遺伝子座に、薬剤耐性遺伝子を導入する工程が、CYP遺伝子座をターゲッティングするドナーベクターを用いて遺伝子導入する工程である、請求項1又は2に記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法。
- 前記工程1)のCYP遺伝子座をターゲッティングするドナーベクターが、CYP遺伝子座と相同なホモロジーアームを有し、当該ドナーベクターのホモロジーアームの間に薬剤耐性遺伝子及びレポーター遺伝子が搭載されている、請求項3に記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法。
- 前記工程2)の分化誘導方法が、多能性幹細胞から分化誘導肝細胞又は分化誘導小腸上皮細胞へ分化誘導する方法である、請求項1〜4のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法。
- CYP遺伝子座が、CYP3A4遺伝子座、CYP1A2遺伝子座、CYP2C19遺伝子座、CYP2D6遺伝子座、CYP2E1遺伝子座及びCYP2C9遺伝子座より選択される1つ又は複数の遺伝子座である、請求項1〜5のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法。
- 多能性幹細胞由来分化誘導細胞中CYP強発現分化誘導細胞を30%以上含むことを特徴とするCYP強発現分化誘導細胞集団。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞の濃縮方法により得られたCYP強発現分化誘導細胞集団。
- CYP強発現分化誘導細胞が、CYP強発現分化誘導肝細胞又はCYP強発現分化誘導小腸上皮細胞である、請求項7又は8に記載のCYP強発現分化誘導細胞集団。
- CYP強発現分化誘導細胞集団が、ヒト初代培養肝細胞におけるCYP発現量と同等又はそれ以上のCYPを発現してなるCYP強発現分化誘導肝細胞を30%以上含むことを特徴とする、請求項9に記載のCYP強発現分化誘導細胞集団。
- CYP強発現分化誘導細胞集団が、ヒト小腸細胞におけるCYP発現量の1/10量又はそれ以上のCYPを発現してなるCYP強発現分化誘導小腸上皮細胞を30%以上含むことを特徴とする、請求項9に記載のCYP強発現分化誘導細胞集団。
- CYPが、CYP3A4、CYP1A2、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP2C9より選択される1つ又は複数のCYPである、請求項7〜11のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞集団。
- 請求項7〜12のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞集団の、薬物毒性評価又は薬物動態評価のための使用方法。
- 請求項7〜12のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞集団を使用することを特徴とする、薬物毒性評価方法又は薬物動態評価方法。
- 請求項7〜12のいずれかに記載のCYP強発現分化誘導細胞集団を有効成分として含む移植用組成物。
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