以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて図面に基づき説明する。なお、説明の便宜上、パチンコ遊技機に対して遊技者側を「前」または「表」と称し、パチンコ遊技機を挟んで遊技者とは反対側を「後」または「裏」と称す。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、矩形状の機枠(外枠)2の一側(図1中、左側)に前面枠(内枠)3を開閉可能な状態で軸着し、該前面枠3内には、発射装置(図示せず)により発射された遊技球が流下可能な遊技領域5が表面に区画形成された矩形状の遊技盤6(図2参照)を収納可能としている。また、前面枠3の表面のうち機枠2への軸着側(図1中、左側)には透明部材保持枠8を開閉可能に設け、該透明部材保持枠8に透視可能な透明部材9を保持し、透明部材9を通して遊技領域5をパチンコ遊技機1の前方から透視できるように構成している。さらに、透明部材保持枠8の上部の左右両側には、効果音を発する上スピーカ11を備え、透明部材保持枠8の下部には上皿ユニット13を備え、透明部材保持枠8の下方には下皿ユニット14を配置している。そして、透明部材保持枠8の一側縁(図1中、右側縁)には、パチンコ遊技機1の機種名やメーカー名を表記する等して装飾を施した保持枠突出部8aを前方へ突設し、隣の席から当該パチンコ遊技機1の遊技進行が覗き見られることを保持枠突出部8aにより抑制するように構成されている。また、下皿ユニット14の一側方(図1中、右側方)には、発射装置を操作するための発射操作ユニット(発射操作ハンドル)15を備え、下皿ユニット14の左右両側方には、効果音を発する下スピーカ16を備え、上皿ユニット13の前側には、遊技中に遊技者が操作するための遊技演出ボタン17を備えている。
遊技盤6は、図2および図3に示すように、遊技板19の表面に、装飾模様が印刷された装飾用のセルシート20を貼付し、該セルシート20の上から透光可能な複数のサイドケース21を枠状に連結した状態で止着して当該遊技盤6の基部となる遊技ベースユニット22を構成し、サイドケース(区画部材)21により遊技領域5を区画形成している。また、遊技領域5の上寄りには、中央部分が開口されたセンターケース23を配設し、該センターケース23の左右両側には、遊技球が通過可能なケース球流下路(右側に位置する第1ケース球流下路26,左側に位置する第2ケース球流下路27)を備えている。さらに、第1ケース球流下路26の前側には流下路カバー26a(図4参照)を装着し、第1ケース球流下路26の下流側には普図始動ゲート28を配設し、普図始動ゲート28に入賞(通過)した遊技球をゲートスイッチ29により検出可能としている。そして、遊技球の普図始動ゲート28への入賞(詳しくは、ゲートスイッチ29による遊技球の検出)を始動条件(普図始動条件)として普図変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、第1ケース球流下路26の下流部のうち普図始動ゲート28よりも上流側に位置する箇所の側方には大入賞口31を配設し、第1ケース球流下路26の上流部には一般入賞口32を配設している。なお、大入賞口31の構成については、後で詳細に説明する。
さらに、センターケース23の中央部分の下方には、遊技盤6の左右方向の中央部分に位置する第1始動入賞口36を備え、該第1始動入賞口36よりも第1ケース球流下路26側(図2中、右側)にずれた箇所には、普通電動役物(開閉部材)41aが備えられた第2始動入賞口41を配設し、第2ケース球流下路27側(図2中、左側)にずれた箇所には一般入賞口42を配設している。また、第1始動入賞口36には、当該第1始動入賞口36に入賞した遊技球を検出可能な第1始動口スイッチ46を備え、第2始動入賞口41には、当該第2始動入賞口41に入賞した遊技球を検出可能な第2始動口スイッチ47を備えている。そして、第1始動入賞口36への遊技球の入賞(詳しくは、第1始動口スイッチ46による遊技球の検出)を始動条件として特図1変動表示ゲームを実行可能とし、第2始動入賞口41への遊技球の入賞(詳しくは、第2始動口スイッチ47による遊技球の検出)を始動条件として特図2変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、特図1変動表示ゲームの実行中に遊技球が第1始動入賞口36へ入賞した場合には、この入賞に基づく新たな特図1変動表示ゲームの実行を特図1始動記憶として予め設定された上限数(本実施形態では2つ)まで記憶して保留する。また、特図2変動表示ゲームの実行中に遊技球が第2始動入賞口41へ入賞した場合には、この入賞に基づく新たな特図2変動表示ゲームの実行を特図2始動記憶として予め設定された上限数(本実施形態では2つ)まで記憶して保留する。
さらに、第1始動入賞口36の下方に位置する遊技領域5の下端には、入賞せずに流下してきた遊技球を回収するアウト口49を開設し、遊技領域5のうち、センターケース23や始動入賞口36,41等の遊技用部材の取付部分を除いた箇所には風車50や複数の障害釘(図示せず)を植設している。そして、サイドケース21の一側の下部(図2中、右下部)には一括表示装置51を備え、該一括表示装置51において普図変動表示ゲーム、特図変動表示ゲーム(特図1変動表示ゲーム,特図2変動表示ゲーム)、遊技状態の表示等を行うように構成されている。
また、遊技ベースユニット22の裏面側には、図3に示すように、中央部が透光性を有する制御ユニット(裏面構成体)54を装着し、該制御ユニット54の裏側には表示装置55を装着して制御ユニット54の中央部(透光部)およびセンターケース23の中央部から表示装置55の表示部55aを前方へ臨ませ、複数の識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲーム(特図1変動表示ゲームや特図2変動表示ゲームに対応する演出表示)を表示部55aで表示可能としている。そして、制御ユニット54の下部には入賞球流路56を備え、該入賞球流路56を始動入賞口36,41等の入賞装置の後部へ接続し、遊技領域5を流下して入賞装置に入賞した遊技球(入賞球)を入賞球流路56へ回収可能としている。さらに、制御ユニット54の裏側のうち表示装置55の下方には、遊技を統括的に制御する遊技制御装置(遊技制御手段)58を装着し、表示装置55の裏側には、遊技における演出動作を制御する演出制御装置(演出制御手段)59を装着している。
次に、センターケース23について説明する。
センターケース23は、図4に示すように、透光性を有する枠状のケースベース61を当該センターケース23の基部として備え、該ケースベース61の中央部分には、表示装置55を視認可能とするケース窓部62を開設している。また、ケースベース61の上辺部の前面には、センターケース23の前方へ向けて突出した庇状の鎧部63をセンターケース23の左右両側へ向けて下り傾斜した円弧状態で配置している。そして、該鎧部63とケース窓部62との間には、ハート形状を模した部材の昇降により装飾演出を実行可能なケース内昇降装飾装置64を配置し、該ケース内昇降装飾装置64の一側方(図4中、右側方)には、縦長なケース内装飾パネル(装飾部材)65を配置し、他側方(図4中、左側方)には、発光体を内蔵したケース内発光装飾パネル66を配置している。言い換えると、装飾ベースとして機能する遊技板19(遊技盤6)に、装飾部材であるケース内装飾パネル65をケースベース61(センターケース23)を介して装着している。
さらに、鎧部63の傾斜下端に左右両側のケース球流下路26,27の上流開口をそれぞれ臨ませ、ケース窓部62と各ケース球流下路26,27との間には、遊技球がケース球流下路26,27からケース窓部62への侵入を阻止する球侵入阻止壁68を前方へ向けてそれぞれ突設している。そして、第1ケース球流下路26を左右方向へ蛇行する状態に形成し、該第1ケース球流下路26の下流開口をセンターケース23の下方へ開放している。また、第2ケース球流下路27の中流部においては左右に分岐し、下流部においては両分岐路を合流させ、第2ケース球流下路27の下流開口をセンターケース23の側方へ開放している。
そして、図2に示すように、第2ケース球流下路27側に位置する球侵入阻止壁68には保留表示部70を備え、該保留表示部70内に特図1保留数表示部71、特図2保留数表示部72、特図1第4図柄表示部73、特図2第4図柄表示部74をそれぞれLED等の発光部材により構成して配設している。具体的には、保留表示部70の右上部に2つの特図2保留数表示部72を縦に並べて配設し、保留表示部70の中央部に2つの特図1保留数表示部71を縦に並べて配設し、保留表示部70の左下部においては、上側に特図1第4図柄表示部73を配設し、下側に特図2第4図柄表示部74を配設している。特図1保留数表示部71では特図1変動表示ゲームの実行保留数を発光数により表示し、特図2保留数表示部72では特図2変動表示ゲームの実行保留数を発光数により表示する。また、特図1第4図柄表示部73では、変動図柄の停止態様と合わせて特図1変動表示ゲームの結果を報知するための特図1第4図柄を発光により表示し、特図2第4図柄表示部74では、変動図柄の停止態様と合わせて特図2変動表示ゲームの結果を報知するための特図2第4図柄を発光により表示する。なお、保留表示部70の下部に配設された2つの発光部材を用いて、特図1変動表示ゲームの結果、あるいは特図2変動表示ゲームの結果を報知するための第4図柄を発光により表示するように構成してもよい。さらに、保留表示部70に保留表示や図柄を表示せず、その代わりに表示装置55の表示部55aに保留表示や図柄を表示してもよい。
また、ケースベース61の下辺部には、遊技球が横方向(前後方向および左右方向)へ転動可能なステージ部76を配置している。さらに、ステージ部76の左右方向の中央部には、遊技球をステージ部76上からステージ部76の前方および下方へ案内する案内溝77を備えている(図2参照)。また、ステージ部76の後方には、ステージ部76上の遊技球が後方の表示装置55側へ進入することを規制する透光性の進入規制壁78を立設し、ステージ部76の一側端(図2中、左側端)には、遊技球が流下可能な球導入路(ワープ流路)79を設けている。そして、球導入路79の入口を第2ケース球流下路27の下方へ開放し、球導入路79の出口をステージ部76へ向けて開放し、遊技球が第2ケース球流下路27から球導入路79を通ってステージ部76上へ到達できるように構成されている。さらに、ケースベース61のうちステージ部76を挟んで球導入路79とは反対側(図5中、右側)には、大入賞口31に流入した遊技球の流れを視認可能とする透明な流路窓部80を備えている。
第1ケース球流下路26の側方に設けられた大入賞口31は、図4に示すように、ケースベース61のうち普図始動ゲート28の上方からステージ部76側(図4中、左側)へずれた位置に開設された大入賞開口83と、遊技球が第1ケース球流下路26から大入賞開口83へ流下することを許容したり阻止したりする羽根状の大入賞開閉部材84と、該大入賞開閉部材84に開閉動作を行わせる大入賞口ソレノイド85と、大入賞開口83を通過した遊技球(入賞球)を検出可能なカウントスイッチ(大入賞口スイッチ)86とを備えて構成されている。さらに、遊技球の大入賞口31への入賞を阻止する閉状態においては、大入賞開閉部材84が縦向き姿勢となり(図2参照)、遊技球の大入賞口31への入賞を許容する開状態において、大入賞開閉部材84が下端部を回動中心として回動して上端部を第1ケース球流下路26側へ移動するように構成されている。
さらに、ケースベース61のうち第1ケース球流下路26の後方には縦長な球流路ユニット90を備え、該球流路ユニット90には、大入賞口31の一部である大入賞口ソレノイド85と、一般入賞口32に入賞した遊技球(入賞球)を回収する縦長な入賞球回収樋91を備え、該入賞球回収樋91の上流開口を一般入賞口32に連通し、入賞球回収樋91の下流開口を入賞球流路56の上部の一側(図3中、右側)へ連通している。
また、図4および図5に示すように、球流路ユニット90の下部には、大入賞口31に入賞した遊技球を流下させる大入賞球流下路94を備えている。そして、該大入賞球流下路94の上流部にはカウントスイッチ86を臨ませ、大入賞球流下路94の下流部には大入賞球流下検出スイッチ96を備えて遊技球(下流部まで流下してきた遊技球)を検出可能としている。さらに、大入賞球流下検出スイッチ96よりも上流側からV入賞流路97を分岐してV入賞検出スイッチ98を備え、V入賞流路97の入口をV入賞シャッター99により開閉可能とし、V入賞シャッター99を開いた状態では、大入賞球流下路94を流下する遊技球がV入賞流路97へ流入してV入賞検出スイッチ98により検出され、V入賞シャッター99を閉じた状態では、大入賞球流下路94を流下する遊技球がV入賞流路97へ流入せずにV入賞シャッター99上を通過し、大入賞球流下路94の下流部に到達して大入賞球流下検出スイッチ96により検出されるように構成されている。そして、大入賞球流下路94のうちカウントスイッチ86よりも下流側の部分を流路窓部80に臨ませ、V入賞シャッター99の開閉状態や遊技球が大入賞球流下路94を流下する様子(V入賞流路97へ流下するか否か)を、流路窓部80を通して遊技者側から視認できるように構成されている。
ケース内昇降装飾装置64は、図6から図10に示すように、前側のメインベース101aと後側のサブベース101bとを前後に重ねて構成された装置ベース101を備え、該装置ベース101の表側(遊技者側)には、可動部材である昇降装飾パネル102を縦長なスライドレール103を介して昇降可能な状態で装着している。また、装置ベース101の裏側には昇降モータ(駆動源)104を装着し、該昇降モータ104の出力軸と、昇降装飾パネル102に備えられた縦長なラックギア105とを複数の昇降駆動ギア106を介して接続し、昇降モータ104の出力(回動力)により昇降装飾パネル102がスライドレール103に沿って昇降するように構成されている。なお、複数の昇降駆動ギア106の噛合体の前方にはギアカバー107を配置している。また、図8(a)および図10(a)に示すように、昇降装飾パネル102の裏面にはパネル側係合突起108を装置ベース101よりも後方へ突設して装置ベース101の下縁部へ係合可能とし、該パネル側係合突起108と装置ベース101の裏面の上部との間にコイルばね等の付勢部材109を係止して、該付勢部材109の付勢力により昇降装飾パネル102が常時上方へ付勢されるように構成されている。さらに、装置ベース101の表側には昇降検出センサ110を備え、昇降装飾パネル102の裏側から突設された昇降検出片111(図10参照)を該昇降検出センサ110により検出可能としている。
昇降装飾パネル102は、図7に示すように、フロントケース115aとリアケース115bとを前後に合わせて構成されるパネルケース115内に、後側から発光基板117、導光パネル118、光拡散レンズ119の順に重ねて収納し、光拡散レンズを透光部材(透明樹脂等)で構成して透光可能としている。そして、発光基板117にはLED等の発光体117aを実装し、導光パネル118には発光体117aからの光を前方へ通す導光開口118aを開設し、光拡散レンズ119にはレンズカット処理等の光拡散処理を施して、導光開口118aを通過してきた光を拡散可能とし、光拡散レンズ119を前方のフロントケース115aに備えられた光出射窓部120に臨ませている。
このような構成を備えたケース内昇降装飾装置64においては、昇降モータ104を駆動すると昇降装飾パネル102が昇降し、パネル側係合突起108を装置ベース101の下縁部へ係合して昇降装飾パネル102が演出非実行位置(上昇位置)に配置される演出非実行状態(図6および図8参照)と、昇降駆動ギア106をラックギア105の上部に噛合して昇降装飾パネル102が演出実行位置(下降位置)に配置される演出非実行状態(図9および図10参照)とに変換する。そして、演出非実行状態においては、昇降装飾パネル102が表示部55aの上方に位置し(図2参照)、昇降検出センサ110が昇降装飾パネル102の昇降検出片111を検出して、昇降装飾パネル102が演出非実行位置に配置されていること(言い換えると、ケース内昇降装飾装置64が演出非実行状態に変換していること)を把握することができるように構成されている。また、演出実行状態においては、昇降装飾パネル102が表示装置55の表示部55aの上部の前方に重なって位置する(図11参照)。
さらに、遊技領域5においては、図12および図13に示すように、ケース内装飾パネル(装飾部材の一種)65、鎧部(装飾部材の一種)63、遊技盤6の基部である遊技板(装飾ベース)19に亘って一つの装飾意匠部を配置している。具体的に説明すると、鎧部63を透光部材(透明樹脂等)で構成して透光可能とし、ケース内装飾パネル65の表面、鎧部63の裏面、遊技板19の表面(詳しくは、遊技板19に貼付されるセルシート20)をそれぞれの前後位置が揃って横に並ぶ状態に設定している。また、ケース内装飾パネル65の表面には、ロケットの先端部の図を模したパネル側意匠構成部(装飾側意匠構成部の一種)123を備え、鎧部63の裏面には、ロケットの胴部の図を模した鎧側意匠構成部(装飾側意匠構成部の一種)124をパネル側意匠構成部123と隣り合う状態で備え、遊技板19上のセルシート20には、ロケットのエンジン部の図を模したベース側意匠構成部125を鎧側意匠構成部124と隣り合う状態で備えている。そして、パネル側意匠構成部123、鎧側意匠構成部124、ベース側意匠構成部125を横並びで組み合わせて、ロケットの図を模した一つの装飾意匠部126を構成している。さらに、ベース側意匠構成部125の一部(詳しくは、エンジンの噴射炎の図を模した部分)を透光可能なサイドケース21により被覆し、サイドケース21を通してベース側意匠構成部125の被覆箇所を視認可能としている。
このようにして複数の意匠構成部123,124,125の組み合わせにより一つの装飾意匠部126を構成しているので、パチンコ遊技機1内の限られたスペースにおいてインパクトのある装飾を施すことができ、遊技の興趣の向上を図ることができる。また、装飾意匠部126の一部が損傷した場合には、意匠構成部123,124,125のうち損傷したものだけを新品に交換すれば修復することができ、装飾意匠部126の修復作業の効率を向上させることができる。さらに、意匠構成部123,124,125のいずれかを新規のデザインに設定して交換すれば、装飾意匠部126のデザイン変更を製造メーカーでも遊技店でも容易に行うことができる。なお、交換前のデザインから交換後のデザインの変更を軽微な内容に設定すれば、装飾意匠部126のマイナーチェンジを行うことができる。このことから、過去に発売したパチンコ遊技機をマイナーチェンジして新発売する場合には、既存のパチンコ遊技機の装飾部材の一部(例えば、センターケース23)を再利用し、デザイン変更予定の意匠構成部が備えられた部材(例えば、セルシート20が貼付された遊技板19)のみを交換すれば、パチンコ遊技機の一部の模様替えを簡単に行うことができる。また、ベース側意匠構成部125の一部をサイドケース21を通して視認可能としたので、サイドケース21の配置に拘らず装飾意匠部126の配置の自由度を増すことができる。
次に、制御ユニット54について説明する。
制御ユニット54は、図3に示すように、遊技ベースユニット22の裏面に止着されるユニットケース130を前側が開放した状態で備え、該ユニットケース130の後部には矩形状の表示開口窓130aを前後方向へ貫通して開設し、ユニットケース130の後方に装着された表示装置55の表示部55aを表示開口窓130aに臨ませている。さらに、ユニットケース130の前側開放部には、遊技の進行に伴って装飾演出を実行可能な役物ユニットを複数(本実施形態では5つ)組み合わせて収納している。具体的に説明すると、図3および図14に示すように、ユニットケース130のうち表示開口窓130aの上縁部および右側縁部の前方に位置する箇所には倒L字状の上側役物リアユニット131を配置し、表示開口窓130aの左側縁部の前方に位置する箇所には縦長な装飾ブロック132を配置し、上側役物リアユニット131の上辺部の前側には横長な上側役物フロントユニット133を装着し、装飾ブロック132の前側には縦向き姿勢の側縁役物ユニット134を装着している。また、ユニットケース130のうち表示開口窓130aの下縁部の前方に位置する箇所には横長な下側役物リアユニット135を備え、該下側役物リアユニット135の前側には横長な下側役物フロントユニット(装飾ユニット)136を装着し、該下側役物フロントユニット136の下方に入賞球流路56を配置している。そして、下側役物フロントユニット136、上側役物フロントユニット133、側縁役物ユニット134をセンターケース23の後方においてケース窓部62の開口縁に沿って枠状に配置し、上側役物フロントユニット133の前方にはケース内発光装飾パネル66、ケース内装飾パネル65、ケース内昇降装飾装置64が位置し、下側役物フロントユニット136の下部の前方には進入規制壁78が位置するように構成されている。
上側役物リアユニット131は、可動部材を昇降して装飾演出を実行する可動演出ユニットであり、図15から図17に示すように、倒L字状の上側リアユニットベース141と、該上側リアユニットベース141に昇降可能な状態で接続された上側昇降役物(可動部材)142と、上側リアユニットベース141に装着された上側昇降モータ(駆動源)143と、該上側昇降モータ143と上側昇降役物142とを接続する上側昇降伝達機構(駆動伝達機構)144とを備えて構成されている。具体的には、上側リアユニットベース141の一側部(図17中、上辺部の左側部)に上側昇降役物142の側部(図17中、左側部)を縦長なスライドレール146を介して接続して上側昇降役物142を昇降可能としている。また、上側リアユニットベース141の他側部(図17中、右側辺部)の下側には上側昇降モータ143を装着し、上側リアユニットベース141の他側部の上側には上側昇降伝達機構144を備えて昇降伝達機構カバー147により前方から被覆し、上側昇降モータ143からの出力(駆動力)を上側昇降伝達機構144により上側昇降役物142へ伝達して上側昇降役物142を昇降可能としている。
上側昇降役物142は、図17に示すように、スライドレール146および上側昇降伝達機構144が接続される昇降役物ベース149と、該昇降役物ベース149の前側に回動可能な状態で装着された回動装飾部150と、昇降役物ベース149の後側に装着された回動モータ151(駆動源)とを備えて構成されている。また、昇降役物ベース149を前側のベースカバー149aと後側のベース本体149bとを重ねて構成し、ベースカバー149aとベース本体149bとの間にはLED(発光体)が実装された発光基板152を配置し、ベースカバー149aを透光可能としてLEDからの光がベースカバー149aを通して上側昇降役物142の前方へ照射されるように構成されている。さらに、回動装飾部150の回動軸と回動モータ151の出力軸とをウォームギア(ウォームとウォームホイールとの噛合体)153で接続し、回動モータ151の駆動力により回動装飾部150が回動するように構成されている(図20および図21参照)。なお、スライドレール146のうち昇降役物ベース149に止着される部分と、上側リアユニットベース141の上部との間にはコイルばね等の付勢部材154を係止して、該付勢部材154の付勢力により上側昇降役物142が常時上方へ付勢されるように構成されている。
上側昇降伝達機構144は、図17に示すように、倒L字状の上側昇降アーム161を備えて屈曲部を上側リアユニットベース141へ軸着し、該上側昇降アーム161の横向き腕部の先端部を上側昇降役物142の側部(図17中、右側部)へ係合し、上側昇降アーム161の縦向き下腕部にはアーム係合溝162を開設している。また、上側昇降モータ143の出力軸に昇降駆動ギア163を共回り状態で軸着し、該昇降駆動ギア163の上部には昇降伝達ギア164を介してアーム係合ギア165を噛合し、アーム係合ギア165のうち回転中心から外れた位置からアーム係合突起166を突設してアーム係合溝162へ係合している。さらに、アーム係合ギア165のうち回動中心周りでアーム係合突起166から位相がずれた箇所(詳しくは、180度位相がずれた箇所)には、伝達機構操作部として機能する操作突起167を突設し、昇降伝達機構カバー147のうちアーム係合ギア165の前方に位置する箇所には、アーム係合ギア165の回動方向に沿った短尺円弧状の伝達機構操作開口168を開設し、アーム係合突起166または操作突起167のいずれか一方を伝達機構操作開口168から上側役物リアユニット131の外方へ臨ませ得るように構成されている(図15(a)および図18(a)参照)。なお、上側昇降アーム161の屈曲部にはアーム検出片169を突設し、上側リアユニットベース141に設けられた上側昇降役物位置検出センサ170によりアーム検出片169を検出可能としている。
このような構成を備えた上側役物リアユニット131においては、上側昇降モータ143を駆動すると上側昇降アーム161が揺動して上側昇降役物142が昇降し、表示装置55の表示部55aよりも上方の演出非実行位置(上昇位置)に上側昇降役物142が配置される演出非実行状態(図15および図16参照)と、表示装置55の表示部55aの前方の演出実行位置(下降位置)に上側昇降役物142が配置される演出非実行状態(図18から図21参照)とに変換するように構成されている。そして、演出非実行状態において上側昇降役物位置検出センサ170がアーム検出片169を検出して、上側昇降役物142が上昇位置に配置されていることを把握することができるように構成されている。
また、演出非実行状態においては、図15(b)に示すように、アーム係合突起166とアーム係合ギア165の回動中心とを結ぶ直線L1と、アーム係合突起166と上側昇降アーム161の回動中心とを結ぶ直線L2とが略直交する。したがって、上側昇降役物142を外力(例えば、手で下げる力)により下降させようとすると、この外力が上側昇降役物142から上側昇降アーム161に伝達して上側昇降アーム161を回動させようとするが、アーム係合突起166がアーム係合ギア165の回動中心に向かって押圧されるため、アーム係合ギア165およびアーム係合突起166が動かず、上側昇降アーム161がロックされて回動しない。この結果、演出非実行状態における上側昇降伝達機構144は、上側昇降役物142に掛かる外力に抗して該外力による上側昇降役物142の下降を阻止する。
しかしながら、演出非実行状態の上側役物リアユニット131は、伝達機構操作開口168を介して上側昇降伝達機構144を操作すると、上側昇降役物142を手動で演出非実行位置から下降させることができるように構成されている。具体的に説明すると、演出非実行状態では、図15(a)に示すように、上側昇降伝達機構144の一部であるアーム係合突起166を伝達機構操作開口168から上側役物リアユニット131の外方へ臨ませている。この状態で伝達機構操作開口168に工具(例えばドライバー)を差し入れる等して、伝達機構操作開口168を介してアーム係合突起166を手動で操作する(詳しくは、押し下げる)ことでアーム係合ギア165を回動すると、伝達機構操作部として機能するアーム係合突起166がアーム係合溝162内を移動しながら上側昇降アーム161を回動操作して、上側昇降役物142が演出非実行位置から下降する。
一方、演出実行状態においても、図18(b)に示すように、アーム係合突起166とアーム係合ギア165の回動中心とを結ぶ直線L3と、アーム係合突起166と上側昇降アーム161の回動中心とを結ぶ直線L4とが略直交する。したがって、上側昇降役物142を外力(例えば、手で上げる力)により上昇させようとすると、この外力が上側昇降役物142から上側昇降アーム161に伝達して上側昇降アーム161を回動させようとするが、アーム係合突起166がアーム係合ギア165の回動中心に向かって押圧されるため、アーム係合ギア165およびアーム係合突起166が動かず、上側昇降アーム161がロックされて回動しない。この結果、演出実行状態における上側昇降伝達機構144は、上側昇降役物142に掛かる外力に抗して該外力による上側昇降役物142の上昇を阻止する。
しかしながら、演出実行状態の上側役物リアユニット131は、伝達機構操作開口168を介して上側昇降伝達機構144を操作すると、上側昇降役物142を手動で演出実行位置から上昇させることができるように構成されている。具体的に説明すると、演出実行状態では、図18(a)に示すように、上側昇降伝達機構144の一部である操作突起167を伝達機構操作開口168から上側役物リアユニット131の外方へ臨ませている。この状態で伝達機構操作開口168に工具(例えばドライバー)を差し入れる等して、伝達機構操作開口168を介して操作突起167を手動で操作する(詳しくは、押し下げる)ことでアーム係合ギア165を回動すると、アーム係合ギア165および操作突起167と共回りするアーム係合突起166がアーム係合溝162内を移動しながら上側昇降アーム161を回動操作して、上側昇降役物142が演出実行位置から上昇する。
このようにして伝達機構操作開口168を介してアーム係合突起166や操作突起167を操作すれば、上側昇降モータ143に通電しなくても上側昇降役物142を手動で動かすことができる。したがって、パチンコ遊技機の製造工程において、組み立て時に組立用工具等との干渉を避けようとしたり上側昇降役物142の動作を検査しようとしたりするときに上側昇降役物142を僅かに動かしたい場合には、上側昇降モータ143へ通電しなくても作業を進めることができる。これにより、上側昇降役物142に対する検査作業の効率の向上を図ることができる。また、遊技店での作業(メンテナンス等)においても簡単に検査を行うことができ、遊技店での作業効率の向上をも図ることができる。
次に、上側役物フロントユニット133について説明する。
上側役物フロントユニット133は、可動部材を回動して装飾演出を実行する可動演出ユニットであり、図22から図24に示すように、前側の上側フロントユニットカバー174aと後側の上側フロントユニットベース174bとを前後に重ねて構成された横長な上側フロントユニットケース174と、該上側フロントユニットケース174内に回動可能な状態で接続された上側回動役物(可動部材)175と、上側フロントユニットベース174bに装着された上側回動モータ(駆動源)176と、該上側回動モータ176と上側回動役物175とを接続する上側回動伝達機構(駆動伝達機構)177とを備えて構成されている。具体的には、上側フロントユニットケース174内の左右両側に上側回動役物175の上部を回動可能な状態で軸着し、上側フロントユニットベース174bのうち各上側回動役物175の上方には上側回動モータ176をそれぞれ装着し、上側フロントユニットベース174bのうち上側回動モータ176と上側回動役物175との間には上側回動伝達機構177をそれぞれ備え、上側回動モータ176からの出力(駆動力)を上側回動伝達機構177により上側回動役物175へ伝達して上側回動役物175を回動可能としている。
上側回動役物175は、図24に示すように、上側フロントユニットベース174bに上側が軸着される上側役物ベース181を備え、該上側役物ベース181の前面には、当該上側役物ベース181側から発光基板182、光拡散シート183、回動役物装飾パネル184の順に重ねて配置し、光拡散シート183および回動役物装飾パネル184を透光部材(透明樹脂等)で構成して透光可能としている。また、発光基板182にはLED等の発光体を実装し、光拡散シート183にはレンズカット処理等の光拡散処理を施して発光体からの光を拡散可能とし、回動役物装飾パネル184には、文字形状を模した装飾部を膨出させて装飾を施している。また、上側役物ベース181の上部のうち上側フロントユニットベース174bへの軸着箇所から外れた箇所には、上側回動伝達機構177が係合する役物係合溝185を開設し、役物係合溝185から外れた箇所には役物ガイド突起186を突設して、上側フロントユニットカバー174aに開設された円弧状(詳しくは、上側回動役物175の回動方向に沿って延在する円弧状)の役物ガイド溝187へ係合している。さらに、上側役物ベース181の上縁部には役物検出片188を突設し、上側フロントユニットベース174bに設けられた上側回動役物位置検出センサ189により役物検出片188を検出可能としている。
上側回動伝達機構177は、図23および図24に示すように、上側フロントユニットベース174bのうち上側回動役物175の軸着箇所よりも側方に円板状の上側回動プレート192を回動可能な状態で軸着している。また、上側回動プレート192の裏側にはプレート回動ギア193を共回り状態で備え、上側回動プレート192の外周部には、伝達機構操作部としても機能するプレート係合突起194を突設して役物係合溝185へ係合している。さらに、上側回動プレート192の一側方(図23中、右側方)に配置された上側回動モータ176の出力軸には回動駆動ギア195を共回り状態で軸着し、該回動駆動ギア195に回動伝達ギア196を介してプレート回動ギア193を噛合している。そして、上側回動プレート192の外周部のうちプレート係合突起194から外れた箇所には、凹凸形状を呈するプレート回動操作部197を備えている。なお、上側フロントユニットカバー174aのうち上側回動プレート192の前方に位置する箇所には、上側回動プレート192の回動方向に沿った短尺円弧状の伝達機構操作開口198を開設し、プレート係合突起194を伝達機構操作開口198から上側役物フロントユニット133の外方へ臨ませ得るように構成されている(図22(a)参照)。
このような構成を備えた上側役物フロントユニット133においては、上側回動モータ176を駆動すると上側回動役物175が回動し、上側フロントユニットケース174内の演出非実行位置(上昇位置)に上側回動役物175が横向き姿勢で配置される演出非実行状態(図22および図23参照)と、該演出非実行状態から上側回動役物175が下方へ回動して表示部55aの前方の演出実行位置(下降位置)に縦向き姿勢で配置される演出実行状態(図25から図27参照)とに変換するように構成されている。そして、演出非実行状態においては、上側回動役物位置検出センサ189が役物検出片188を検出して、上側回動役物175が演出非実行位置に配置されていることを把握することができるように構成されている。
また、演出非実行状態においては、図23に示すように、プレート係合突起194と上側回動プレート192の回動中心とを結ぶ直線L5と、プレート係合突起194と上側回動役物175の回動中心とを結ぶ直線L6とが略直交する。したがって、上側回動役物175を外力(例えば、手で下げる力)により下降(下方へ回動)させようとすると、プレート係合突起194が上側回動役物175により上側回動プレート192の回動中心に向かって押圧されるため、上側回動プレート192およびプレート係合突起194が動かず、上側回動役物175がロックされて回動しない。この結果、演出非実行状態における上側回動伝達機構177は、上側回動役物175に掛かる外力に抗して該外力による上側回動役物175の回動を阻止する。
しかしながら、演出非実行状態の上側役物フロントユニット133は、伝達機構操作開口198を介して上側回動伝達機構177を操作すると、上側回動役物175を手動で演出非実行位置から下降させることができるように構成されている。具体的に説明すると、演出非実行状態では、図22(a)に示すように、上側回動伝達機構177の一部であるプレート係合突起194を伝達機構操作開口198から上側役物フロントユニット133の外方へ臨ませている。この状態で伝達機構操作開口198に工具(例えばドライバー)を差し入れる等して、伝達機構操作開口198を介してプレート係合突起194を手動で操作する(詳しくは、上側役物フロントユニット133の側方へ向けて押す)ことで上側回動プレート192を回動すると、伝達機構操作部として機能するプレート係合突起194が役物係合溝185内を移動しながら上側回動役物175を回動操作して、上側回動役物175が演出非実行位置から下降する。
また、図23に示すように、演出非実行状態では、上側回動プレート192がプレート回動操作部197を上側フロントユニットベース174bと上側フロントユニットカバー174aとの間から下方へ臨ませるので、上側フロントユニットベース174bと上側フロントユニットカバー174aとの間に指や工具を差し入れてプレート回動操作部197を操作して上側回動プレート192を回動しても、上側回動役物175を手動で演出非実行位置から下降させることができる。
このようにして伝達機構操作開口198や上側フロントユニットベース174bと上側フロントユニットカバー174aとの隙間を介してプレート係合突起194やプレート回動操作部197を操作すれば、上側回動モータ176に通電しなくても上側回動役物175を手動で動かすことができる。したがって、パチンコ遊技機の製造工程において、組み立て時に組立用工具等との干渉を避けようとしたり上側回動役物175の動作を検査しようとしたりするときに上側回動役物175を僅かに動かしたい場合には、上側回動モータ176へ通電しなくても作業を進めることができる。これにより、上側回動役物175に対する検査作業の効率の向上を図ることができる。また、遊技店での作業(メンテナンス等)においても簡単に検査を行うことができ、遊技店での作業効率の向上をも図ることができる。
次に、側縁役物ユニット134について説明する。
側縁役物ユニット134は、下部が軸着された可動部材を回動して装飾演出を実行する可動演出ユニットであり、図28から図30に示すように、前側の側縁ユニットカバー201aと後側の側縁ユニットベース201bとを前後に重ねて構成された縦長な側縁ユニットケース201と、該側縁ユニットケース201に回動可能な状態で接続された縦長な側縁回動役物(可動部材)202と、側縁ユニットベース201bに装着された側縁回動モータ(駆動源)203と、該側縁回動モータ203と側縁回動役物202とを接続する側縁回動伝達アーム(駆動伝達機構)204とを備えて構成されている。具体的には、側縁ユニットカバー201a(側縁ユニットケース201)の前面の下側に側縁回動役物202の下部を回動可能な状態で軸着して前方から軸着カバー205を装着し、側縁ユニットベース201b(側縁ユニットケース201)の後面には側縁回動モータ203を装着し、側縁ユニットケース201内には側縁回動伝達アーム204を配置し、側縁回動モータ203からの出力(駆動力)を側縁回動伝達アーム204により側縁回動役物202へ伝達して側縁回動役物202を回動可能としている。
側縁回動役物202は、図29に示すように、側縁ユニットカバー201aに下側が軸着される側縁役物ベース211を備え、該側縁役物ベース211の前面には、当該側縁役物ベース211側から発光基板212、導光パネル213、光拡散シート214、側縁役物装飾パネル215の順に重ねて配置し、光拡散シート214および側縁役物装飾パネル215を透光部材(透明樹脂等)で構成して透光可能としている。また、発光基板212にはLED等の発光体を実装し、導光パネル213には発光体からの光を前方へ通す導光開口216を開設し、光拡散シート214にはレンズカット処理等の光拡散処理を施して、導光開口216を通過した光を拡散可能とし、側縁役物装飾パネル215には、ひょうたんの形状と文字の形状とを模した意匠装飾を施している。また、側縁役物ベース211の裏側のうち側縁ユニットカバー201aへの軸着箇所から上方へずれた位置には、側縁回動伝達アーム204が係合する役物係合溝217を開設し、役物係合溝217から上方へずれた位置には役物ガイド突起218を突設して、側縁ユニットカバー201aに開設された横向き円弧状(詳しくは、側縁回動役物202の回動方向に沿って延在する円弧状)の役物ガイド溝219へ係合している。さらに、側縁役物ベース211には役物検出片(図示せず)を突設し、側縁ユニットカバー201aに設けられた側縁回動役物位置検出センサ221により役物検出片を検出可能としている。
側縁回動伝達アーム204は、側縁回動モータ203の出力軸に共回り状態で軸着された部材であり、当該側縁回動伝達アーム204の延設端部にはアーム係合突起223を突設し、側縁ユニットカバー201aに開設された円弧状(詳しくは、側縁回動伝達アーム204の回動方向に沿って延在する円弧状)の係合突起貫通溝224を介してアーム係合突起223を側縁回動役物202の役物係合溝217へ係合している。また、側縁回動伝達アーム204のうち側縁回動モータ203の出力軸の軸着箇所を挟んでアーム係合突起223と反対側には伝達アーム操作部(伝達機構操作部)225を突設し、伝達アーム操作部225が係合突起貫通溝224を介して側縁役物ユニット134の前方に臨み得るように構成されている(図28(a)参照)。
このような構成を備えた側縁役物ユニット134においては、側縁回動モータ203を駆動すると側縁回動役物202が回動し、表示装置55の表示部55aの側方に外れた演出非実行位置(起立位置)に側縁回動役物202が起立姿勢で配置される演出非実行状態(図28参照)と、該演出非実行状態から側縁回動役物202が表示部55a側へ回動して傾斜姿勢となり、表示部55aの前方の演出実行位置(傾斜位置)に配置される演出実行状態(図30および図31参照)とに変換するように構成されている。そして、演出非実行状態において側縁回動役物位置検出センサ221が役物検出片を検出して、側縁回動役物202が起立位置に配置されていることを把握することができるように構成されている。
また、演出非実行状態においては、図28(b)に示すように、アーム係合突起223と側縁回動伝達アーム204の回動中心とを結ぶ直線L7と、アーム係合突起223と側縁回動役物202の回動中心とを結ぶ直線L8とが略直交する。したがって、側縁回動役物202を外力(例えば、手で引き出す力)により傾斜させようとすると、アーム係合突起223が側縁回動役物202により側縁回動伝達アーム204の回動中心に向かって押圧されるため、側縁回動伝達アーム204が動かず側縁回動役物202がロックされて回動しない。この結果、演出非実行状態における側縁回動伝達アーム204は、側縁回動役物202に掛かる外力に抗して該外力による側縁回動役物202の回動を阻止する。
しかしながら、演出非実行状態の側縁役物ユニット134は、伝達機構操作開口283として機能する係合突起貫通溝224を介して側縁回動伝達アーム204を操作すると、側縁回動役物202を手動で演出非実行位置から回動させることができるように構成されている。具体的に説明すると、演出非実行状態では、図28(a)に示すように、伝達アーム操作部225を係合突起貫通溝224から側縁役物ユニット134の外方へ臨ませている。この状態で係合突起貫通溝224に工具(例えばドライバー)を差し入れる等して、係合突起貫通溝224を介して伝達アーム操作部225を手動で操作する(詳しくは、下方へ向けて押す)ことで側縁回動伝達アーム204を回動すると、側縁回動伝達アーム204と共回りするアーム係合突起223が役物係合溝217内を移動しながら側縁回動役物202を回動操作して、側縁回動役物202が演出非実行位置から回動する。
このようにして係合突起貫通溝224を介して伝達アーム操作部225を操作すれば、側縁回動モータ203に通電しなくても側縁回動役物202を手動で動かすことができる。したがって、パチンコ遊技機の製造工程において、組み立て時に組立用工具等との干渉を避けようとしたり側縁回動役物202の動作を検査しようとしたりするときに側縁回動役物202を僅かに動かしたい場合には、側縁回動モータ203へ通電しなくても作業を進めることができる。これにより、側縁回動役物202に対する検査作業の効率の向上を図ることができる。また、遊技店での作業(メンテナンス等)においても簡単に検査を行うことができ、遊技店での作業効率の向上をも図ることができる。
次に、下側役物リアユニット135について説明する。
下側役物リアユニット135は、昇降可能な可動部材が備えられたユニットを左右に移動させて装飾演出を実行する可動演出ユニットであり、図32から図34に示すように、前側の下側リアユニットカバー231aと後側の下側リアユニットベース231bとを前後に重ねて構成された横長な下側リアユニットケース231と、該下側リアユニットケース231に左右方向へ移動可能な状態で接続された下側昇降役物ユニット232と、下側リアユニットケース231に装着された下側移動モータ233と、該下側移動モータ233と下側昇降役物ユニット232とを接続する下側移動伝達機構(駆動伝達機構)234とを備えて構成されている。具体的には、下側リアユニットベース231bの前側のうち、下側リアユニットカバー231aから外れた上部に横長なスライドレール235を装着し、該スライドレール235に下側昇降役物ユニット232を摺動可能な状態で係合している。また、下側リアユニットカバー231aの前側に下側移動モータ233を装着し、下側リアユニットケース231内には下側移動伝達機構234を配置し、下側移動モータ233からの出力(駆動力)を下側移動伝達機構234により下側昇降役物ユニット232へ伝達して下側昇降役物ユニット232を横方向へ移動可能としている。なお、下側リアユニットケース231には、遊技盤6の前方から不正部材として近づけられた磁石の磁力を検出可能な磁気センサ236と、下側昇降役物ユニット232へ通電する通電ケーブル237とを備えている。
下側移動伝達機構234は、下側移動モータ233の出力軸にスライド駆動ギア241を共回り状態で軸着し、該スライド駆動ギア241にユニット移動ギア242を2つの伝達ギア243を介して噛合し、ユニット移動ギア242を下側昇降役物ユニット232に設けられたユニットラックギア244に噛合している。また、下側リアユニットベース231bのうち伝達ギア243の後方に位置する箇所には伝達機構操作開口245を開設して伝達ギア243の一部を臨ませ(図33(a)参照)、伝達機構操作開口245からドライバー等の工具を差し入れて伝達ギア243を回転することにより、下側昇降役物ユニット232を手動で移動することができるように構成されている。
下側昇降役物ユニット232は、可動部材(演出部材)を昇降させて装飾演出を実行する可動演出ユニット(昇降演出ユニット)であり、図35および図36に示すように、前側の下側昇降ユニットカバー251aと後側の下側昇降ユニットベース251bとを前後に重ねて構成された下側昇降ユニットケース251と、該下側昇降ユニットケース251に昇降可能な状態で接続された下側可動役物(可動部材または演出部材)252と、下側昇降ユニットケース251に装着された下側昇降モータ(駆動源)253と、該下側昇降モータ253と下側可動役物252とを接続する下側昇降伝達機構(駆動伝達機構)254とを備えて構成されている。具体的には、下側昇降ユニットベース251bの前側のうち下側昇降ユニットカバー251aから外れた側部(図36中、左側部)に、下側可動役物252を昇降ガイド部255(詳しくは、縦長なスライドレールで構成される昇降ガイド部255)を介して装着し、下側昇降ユニットベース251bと下側昇降ユニットカバー251aとの間には下側昇降モータ253と下側昇降伝達機構254とを備え、下側昇降モータ253からの出力(駆動力)を下側昇降伝達機構254により下側可動役物252に伝達して下側可動役物252を昇降ガイド部255に沿って昇降するように構成されている。なお、下側昇降ユニットケース251には、通電ケーブル237を接続する中継基板256と、該中継基板256を被覆する基板カバー257とを備えている。
また、下側昇降ユニットベース251bの裏側には横長なスライド係合板258と、該スライド係合板258の下方に位置するスライドガイド突起259とを突設し、スライド係合板258をスライドレール235の下面へ係合し、スライドガイド突起259を下側昇降ユニットカバー251aに開設されたスライドガイド溝260へ係合している。さらに、該スライド係合板258の下面にはユニットラックギア244を備え、該ユニットラックギア244をユニット移動ギア242の上部へ噛合している(図33(b)参照)。なお、スライド係合板258の側端部(図34中、左端部)にはユニット位置検出片261を突設し、下側リアユニットケース231に設けられたユニット位置検出センサ262によりユニット位置検出片261を検出可能としている。
下側可動役物252は、昇降ガイド部255に止着される可動役物ベース265と、該可動役物ベース265の前側に配置される可動役物本体(演出部材)266とを備えて構成されている。そして、可動役物本体266の上部を人の形状を模した透光性の装飾パネル266aで構成してLED等の発光体を内蔵し、可動役物本体266の下部には横長な役物本体係合部266bを備え、該役物本体係合部266bの左右方向の中央部を可動役物ベース265の下部へ回動可能な状態で軸着している。また、役物本体係合部266bのうち表示部55aの左右方向の中央寄りに位置する側部(図36中、右側部)には本体当接突起267を後方へ向けて突設し、可動役物ベース265に開設された縦向き円弧状のベース貫通孔268へ通して下側昇降ユニットベース251bへ臨ませている。さらに、役物本体係合部266bのうち可動役物ベース265への軸着箇所を挟んで本体当接突起267とは反対の側部(図36中、左側部)にはコイルバネ等の役物付勢部材269の上端を係合し、該役物付勢部材269の下端を可動役物ベース265の下部へ係合して、役物付勢部材269の付勢力により可動役物本体266が役物付勢部材269側を下げる回動方向(遊技盤6の前方から見て反時計方向)へ付勢されるように構成されている。なお、役物付勢部材269は、図35に示す状態では自然長になるため付勢力を発生しないが、後述の図39に示す状態では伸長して付勢力を発生する。
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また、可動役物ベース265には役物昇降位置検出片272を突設し、下側昇降ユニットベース251bの上側に備えられた役物変換前位置検出センサ273や、下側昇降ユニットベース251bの下側に備えられた役物下降位置検出センサ274により役物昇降位置検出片272を検出可能としている。さらに、下側昇降ユニットベース251bのうち本体当接突起267の上方に臨ませた箇所には、本体当接突起267が当接可能な姿勢変換部材275を備えている。
下側昇降伝達機構254は、倒L字状の下側昇降アーム278を備え、該下側昇降アーム278のうち横向き長辺部の先端部(図35(a)中、右端部)を下側昇降ユニットベース251bへ回動可能な状態で軸着し、横向き長辺部の基端側(図35(a)中、左側)にはアーム係合溝279を開設し、下側昇降アーム278のうち縦向き短辺部の下端を可動役物ベース265の側部(図35(a)中、右側部)へ係合している。また、下側昇降ユニットベース251bのうち下側昇降アーム278の後方にはアーム係合ギア280を備え、該アーム係合ギア280の前面からアーム係合突起281を突設してアーム係合溝279へ係合し、下側昇降モータ253の出力軸には昇降駆動ギア282を共回り状態で軸着してアーム係合ギア280へ噛合している。なお、下側昇降ユニットカバー251aのうちアーム係合溝279の前方に位置する箇所には、アーム係合ギア280の回転方向に沿った短尺円弧状の伝達機構操作開口283を開設し、アーム係合突起281を伝達機構操作開口283から下側昇降役物ユニット232の外方へ臨ませ得るように構成されている(図32および図37参照)。
このような構成を備えた下側役物リアユニット135においては、下側移動モータ233を駆動すると下側可動役物252および昇降ガイド部255を含む下側昇降役物ユニット232が左右方向に移動し、下側役物リアユニット135の一側(図32中、左側)に設定されたスライド待機位置(初期位置)に下側昇降役物ユニット232が配置されるスライド待機状態(図32参照)と、下側役物リアユニット135の左右方向の中央部に設定されたスライド実行位置に下側昇降役物ユニット232が配置されるスライド実行状態(図37参照)とに変換するように構成されている。そして、スライド待機状態においてユニット位置検出センサ262がユニット位置検出片261を検出して、下側昇降役物ユニット232がスライド待機位置に配置されていることを把握することができるように構成されている(図33(b)参照)。なお、スライド待機状態では、下側昇降役物ユニット232が表示部55aの側部(図32中、左側部)の下方に位置し、スライド実行状態では、下側昇降役物ユニット232が表示部55aの左右方向の中央部分の下方に位置する。
さらに、下側昇降役物ユニット232においては、下側昇降モータ253を駆動すると下側昇降アーム278が回動して下側可動役物252が昇降し、下側昇降ユニットベース251bの前方に設定された下降位置に下側可動役物252が配置される下降状態(図32,図35,図37参照)と、下側昇降ユニットベース251bの上方に設定された上昇位置に下側可動役物252が配置される上昇状態(図39,図40,図41参照)とに変換するように構成されている。そして、下降状態においては、役物下降位置検出センサ274が役物昇降位置検出片272を検出して(図35参照)、下側可動役物252が下降位置に配置されていることを把握することができ、上昇状態となる直前においては、役物変換前位置検出センサ273が役物昇降位置検出片272を検出し(図38参照)、下側可動役物252が上昇位置よりも下方の姿勢変換前位置に配置されていること(姿勢変換前状態)を把握することができ、上昇状態においては、役物変換前位置検出センサ273が役物昇降位置検出片272の検出状態から解除されて(図39参照)、下側可動役物252が上昇位置に配置されていることを把握することができるように構成されている。なお、下降状態では、下側可動役物252が表示部55aの下方に位置して下側役物フロントユニット136の後方に隠れ、上昇状態および姿勢変換前状態では、下側可動役物252が表示部55aの下部の前方に位置する(図41参照)。
また、下側昇降役物ユニット232は、下降位置における可動役物本体(演出部材)266を第1姿勢(起立姿勢)に設定し、上昇位置における可動役物本体266を第1姿勢とは異なる第2姿勢(傾斜姿勢)に設定する。具体的に説明すると、下降状態の下側昇降役物ユニット232においては、図35に示すように、役物付勢部材269の付勢力に起因して本体当接突起267がベース貫通孔268の上縁に当接し、人の形状を模した装飾パネル266aが起立して可動役物本体266が第1姿勢に設定される。このような設定の下降状態から上昇状態へ変換するには、下側昇降モータ253の駆動により下側昇降アーム278を上方へ回動して下側可動役物252を下降位置から上昇位置へ上昇させる。このとき、可動役物本体266が役物付勢部材269の付勢力により第1姿勢を維持する。そして、下側可動役物252が上昇位置に到達する直前(姿勢変換前状態)には、本体当接突起267が下側昇降ユニットベース251bの姿勢変換部材275の下縁に当接する(図38参照)。
引き続き下側可動役物252(可動役物ベース265)が上昇すると、姿勢変換部材275と当接している本体当接突起267が上昇を規制され、この規制により役物本体係合部266bが役物付勢部材269の付勢力に抗して軸着部を中心に回動し、第1姿勢の可動役物本体266が上部(人の頭の形状を模した部分)を本体当接突起267側(図39中、右側)へ傾けて、第1姿勢とは異なる第2姿勢(傾斜姿勢)に変換する。このように可動役物本体266を第2姿勢に設定した状態で、下側可動役物252(可動役物ベース265および可動役物本体266)が上昇位置に到達する。さらに、下側昇降モータ253の駆動により下側昇降アーム278を下方へ回動して下側可動役物252を上昇位置から下降させると、本体当接突起267と姿勢変換部材275との当接が解除され、役物付勢部材269の付勢力により第2姿勢の可動役物本体266が第1姿勢に戻る。
このようにして下側役物リアユニット135においては下側昇降役物ユニット232を左右方向へ移動可能とし、下側昇降役物ユニット232が下降位置の可動役物本体266を第1姿勢に設定し、上昇位置の可動役物本体266を姿勢変換部材275への当接により傾けて第2姿勢に変換するので、第1姿勢から第2姿勢への変換のために下側昇降モータ253とは別個に駆動源を備える必要がない。したがって、複雑な演出動作を実行可能な可動役物本体266を備えていても、駆動源の増加により駆動源からの放熱量が増大したり駆動源の配線が複雑に絡んで引っ掛かり易くなったりする不都合、ひいては、放熱の影響を受けて駆動源が損傷したり、作業員が配線を誤って引っ掛けて切断してしまったりする不都合がない。さらに、パチンコ遊技機の重量が増加して運搬し難くなったりする不都合がない。また、下側可動役物252を上昇位置に配置して可動役物本体266を第2姿勢に維持し、この状態で下側昇降役物ユニット232を左右方向へ移動すれば、可動役物本体266の動きを遊技者に見せて楽しませることができる。
なお、図41に示すように、下側役物リアユニット135をスライド実行状態に設定して下側可動役物252を上昇位置に配置した状態では、側縁回動役物202を演出実行位置へ回動しても下側可動役物252に干渉することはないが、下側役物リアユニット135をスライド待機状態に設定して下側可動役物252を上昇位置に配置した状態では、演出実行位置の側縁回動役物202と下側可動役物252とが干渉する虞があるため、演出制御装置59が側縁役物ユニット134と下側役物リアユニット135との動作タイミングを制御して、側縁回動役物202と下側可動役物252との干渉を避けるように構成されている。
また、下降状態の下側昇降役物ユニット232においては、図35(a)に示すように、アーム係合突起281と下側昇降アーム278の回動中心とを結ぶ直線L9と、アーム係合突起281とアーム係合ギア280の回動中心とを結ぶ直線L10とが略直交する。したがって、下側可動役物252を外力(例えば、手で上げる力)により上昇させようとすると、アーム係合突起281が下側昇降アーム278によりアーム係合ギア280の回動中心に向かって押圧されるため、アーム係合突起281およびアーム係合ギア280が動かず、下側可動役物252がロックされて上昇しない。この結果、下降状態における下側昇降伝達機構254は、下側可動役物252に掛かる外力に抗して該外力による下側可動役物252の上昇を阻止する。
しかしながら、下降状態の下側昇降役物ユニット232は、伝達機構操作開口283を介して下側昇降伝達機構254を操作すると、下側可動役物252を手動で下降位置から上昇させることができるように構成されている。具体的に説明すると、下降状態では、図32に示すように、下側昇降伝達機構254の一部であるアーム係合突起281を伝達機構操作開口283から下側昇降役物ユニット232の外方へ臨ませている。この状態で伝達機構操作開口283に工具(例えばドライバー)を差し入れる等して、伝達機構操作開口283を介してアーム係合突起281を手動で操作する(詳しくは、下側可動役物252側へ向けて押す)ことでアーム係合ギア280を回動すると、伝達機構操作部として機能するアーム係合突起281がアーム係合溝279内を移動しながら下側昇降アーム278を回動操作して、下側可動役物252が下降位置から上昇する。
このようにして伝達機構操作開口283を介してアーム係合突起281を操作すれば、下側昇降モータ253に通電しなくても下側可動役物252を手動で動かすことができる。したがって、パチンコ遊技機の製造工程において、組み立て時に組立用工具等との干渉を避けようとしたり下側可動役物252の動作を検査しようとしたりするときに下側可動役物252を僅かに動かしたい場合には、下側昇降モータ253へ通電しなくても作業を進めることができる。これにより、下側可動役物252に対する検査作業の効率の向上を図ることができる。また、遊技店での作業(メンテナンス等)においても簡単に検査を行うことができ、遊技店での作業効率の向上をも図ることができる。
次に、下側役物フロントユニット(装飾ユニット)136について説明する。
下側役物フロントユニット136は、図42および図43に示すように、前側の下側フロントユニットカバー286aと後側の下側フロントユニットベース286bとを前後に重ねて横長な下側フロントユニットケース286を構成して備え、該下側フロントユニットケース286内に後側から発光基板287、装飾導光部288、光拡散シート289(副装飾構成部)、透光装飾パネル290(主装飾構成部)の順に重ねて収納し、光拡散シート289および透光装飾パネル290を透光部材(透明樹脂等)で構成して透光可能としている。また、発光基板287にはLED等の発光体(光源)を実装して前方の透光装飾パネル290側へ向けて光を出射可能とし、装飾導光部288には、発光体からの光を前方へ通す導光開口291を複数開設している。詳しくは、装飾導光部288の上側には矩形状の導光開口291(上側導光開口291a)を横に並べて複数開設し、装飾導光部288の下側には円形状の導光開口291(下側導光開口291b)を開設している。そして、隣り合う上側導光開口291a同士の間には平板状の導光干渉抑制部292を前方へ向けて延設し、下側導光開口291bの開口縁(言い換えると、上下に隣り合う上側導光開口291aと下側導光開口291bとの間)には、円環状の導光干渉抑制部293を前方へ向けて延設し、各導光開口291を通る光が導光開口291よりも広がって放射されること、ひいては各導光開口291を通る光が互いに干渉することを導光干渉抑制部292,293により抑制することができるように構成されている。
光拡散シート289は、図43および図44(b)に示すように、上側に位置する横向き矩形状の上側拡散シート289aと、下側に位置する円形状の下側拡散シート289bとを上下に並べて備え、上側拡散シート289aが上側導光開口291aを被覆するとともに、下側拡散シート289bが下側導光開口291bを被覆するように構成されている。また、レンズカット処理等の光拡散処理を施して、各導光開口291を通過してきた光を拡散可能としている。また、透光装飾パネル290は、図42および図44(a)に示すように、各導光開口291の前方に位置する箇所に装飾意匠本体296をそれぞれ備え、下側フロントユニットカバー286aに開設されたカバー開口297から装飾意匠本体296を前方へ露出している。具体的には、各上側導光開口291aの前方に位置する箇所には、アルファベットの形状を模した装飾意匠本体296を前方へ膨出した状態でそれぞれ備え、下側導光開口291bの前方に位置する箇所には、数字の形状を模した装飾意匠本体296を備えている。
そして、下側役物フロントユニット136は、カバー開口297および透光装飾パネル290を通して視認可能な光拡散シート289に、装飾意匠本体296を装飾する意匠飾り部298を備えている。詳しくは、図42および図44に示すように、光拡散シート289のうち装飾意匠本体296の後方に位置する箇所に、各装飾意匠本体296の縁に沿って描画される縁取り態様の意匠飾り部298を印刷する等して備えている。このような構成を備えた下側役物フロントユニット136を前方から見ると、透光装飾パネル290の装飾意匠本体296と光拡散シート289の意匠飾り部298とを合わさった状態で視認することができる。したがって、簡単な構成で美観が優れた装飾を実現することができる。また、装飾導光部288に導光干渉抑制部292,293を備えたので、各導光開口291を通過する光同士の所謂クロストーク(導光開口291を通過する光が他の導光開口291の前方にも広がって到達してしまう不都合)を抑制することができ、各導光開口291の前方に位置する装飾構成(装飾意匠本体296と意匠飾り部298)を光によって浮き上がらせる演出を鮮明に行うことができる。
なお、上記クロストークを抑制するための構成は、導光干渉抑制部292,293のような仕切り壁であることに限定されない。要は光の干渉を抑制することが可能であれば、どのような構成であってもよい。例えば、導光開口291の内周縁に亘って金属めっきや塗装等の表面処理を施して遮光可能とし、この遮光作用によって導光開口291内の光の拡散、ひいては上記クロストークを抑制するように構成してもよい。また、導光開口291の位置や導光干渉抑制部292,293の位置は、対応する装飾意匠本体296を基準にして設定してもよいし、意匠飾り部298を基準にして設定してもよい。さらに、透光装飾パネル290の裏面側は、光拡散シート289を重ねるので平らにしておくことが好ましい。また、光拡散シート289は、意匠飾り部298を印刷によって備えてもよいし、あるいは光拡散シート289自体に凹凸(例えば、透光装飾パネル290側へ向けた膨出)を施して備えてもよい。
次に、パチンコ遊技機1の遊技進行等の制御を行う遊技制御装置58を中心とする制御系統について説明する。
遊技制御装置58は、図45に示すように、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための制御プログラム等を記憶しているROM、および遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAM、入力部(入力インターフェース)、出力部(出力インターフェース)等から構成されている。そして、各種検出装置(磁気センサ236、電波センサ301、第1始動口スイッチ46、第2始動口スイッチ47、ゲートスイッチ29、各一般入賞口32,42への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ303、V入賞検出スイッチ98、カウントスイッチ86、前面枠開放検出スイッチ304、透明部材保持枠開放検出スイッチ305、電源装置306等)からの検出信号を受けて、遊技状態の切り替え(通常遊技状態と、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特定遊技状態(大当り状態、電サポ状態等)との切り替え)、遊技者に対する報知、停電対応処理等、種々の処理を行う。さらに、演出制御装置59を介してケース内昇降装飾装置64、各役物ユニット(上側役物リアユニット131,上側役物フロントユニット133,側縁役物ユニット134,下側役物リアユニット135,下側役物フロントユニット136)の動作を制御する制御手段として機能したり、あるいは、払出制御装置310、大入賞口ソレノイド85、普通電動役物41aを開閉駆動するための普電ソレノイド311、一括表示装置51、外部情報端子312等に指令信号を送信したりして、遊技を統括的に制御する。
演出制御装置59は、図46に示すように、演出制御を司るCPU(1stCPU59a,2ndCPU59b)、演出制御を実行するための制御プログラムを格納したPROM、画像データ等を格納した画像ROM、映像表示のための画像処理を行うVDP、入力インターフェース、出力インターフェース等から構成されている。そして、パチンコ遊技機1における遊技の進行に伴って発生する信号、具体的には、遊技制御装置58からの制御信号、遊技演出ボタン17に設けられた演出ボタンスイッチ317からの信号、各役物ユニット131,133,134,135,136等に設けられたセンサからの信号等に基づいて、各役物ユニット131,133,134,135,136等の演出動作を制御する。詳しくは、表示装置55の表示部55aの表示、上スピーカ11や下スピーカ16からの効果音出力、遊技盤6に設けられた盤装飾装置320(下側役物フロントユニット136の発光基板287等)の発光や透明部材保持枠8に設けられたLED等の枠装飾装置321の発光、遊技盤6に設けられた盤演出装置322(各役物ユニット131,133,134,135のモータ等)や透明部材保持枠8に設けられた演出部材(図示せず)を駆動するモータ等の枠演出装置323の駆動を制御する。
次に、パチンコ遊技機1の作用、特に、表示装置55における飾り特図変動表示ゲームに伴う上側役物リアユニット131、上側役物フロントユニット133、側縁役物ユニット134、下側役物リアユニット135の演出動作について説明する。
遊技領域5を流下する遊技球が第1始動入賞口36や第2始動入賞口41へ入賞したことに基づいて特図変動表示ゲーム(特図1変動表示ゲーム,特図2変動表示ゲーム)が実行され、表示装置55の表示部55aの中央部分においては、横に並んだ3つの変動図柄(識別情報)を変動表示して飾り特図変動表示ゲームが実行され、表示部55aの一側には、前述の3つの変動図柄を縮小した縮小図柄が縦に並んで同時に変動表示される(図47参照)。そして、飾り特図変動表示ゲームに連動して上側役物フロントユニット133が図柄と絡む演出動作を実行し、上側役物リアユニット131、側縁役物ユニット134、下側役物リアユニット135が始動記憶に関する表示と絡む演出動作を実行する。
まず、上側役物フロントユニット133の演出動作について説明すると、図47(a)に示すように、飾り特図変動表示ゲームの実行中(図柄変動中)に上側役物フロントユニット133が左右両側の上側回動役物175を同時に演出実行位置へ下降させ、左右の上側回動役物175により囲まれた空間部から中央の変動図柄を前方へ臨ませる。言い換えると、左右の上側回動役物175により変動図柄視認領域330を区画形成し、該変動図柄視認領域330から図柄を前方へ臨ませる。このようにして変動図柄の表示と上側回動役物175の演出動作とを連動させて装飾演出を実行すれば、遊技者の遊技の興趣を惹起することができる。
なお、変動図柄視認領域330には、変動図柄の代わりに、図47(b)および(c)に示すように、実行中の特図変動表示ゲームの結果が遊技者に有利な結果となる旨を期待させる表示として、変動図柄とは別個の表示(動物を模したキャラクターの頭の表示や「当」文字の表示等)を臨ませてもよい。また、実行が保留されている始動記憶(待機中の始動記憶)に対応する特図変動表示ゲームについて、この特図変動表示ゲームの結果を事前に予告する表示(詳しくは、特図変動表示ゲームの結果が大当り(特別態様)になる可能性があること、または大当りになることを事前に予告する演出表示)を表示部55aに表示して変動図柄視認領域330から前方へ臨ませてもよい。
さらに、上側回動役物175を片側ずつ回動して変動図柄視認領域330を区画形成してもよい。例えば、図48に示すように、飾り特図変動表示ゲームにおいてリーチ状態(図48(a)参照)となった後、左側の上側回動役物175を先に回動して演出実行位置へ下降させ(図48(b)参照)、引き続き右側の上側回動役物175を回動して演出実行位置へ下降させて、左右両側の上側回動役物175で変動図柄視認領域330を区画形成し、該変動図柄視認領域330から特定の図柄(例えば「連」の文字で表現された擬似連図柄)を臨ませてもよい。また、図48(b)に示すように、一方の上側回動役物175を先に回動した後には、変動図柄のスクロール方向を上下方向から左右方向(言い換えると、先に下降させた上側回動役物175の回動方向に沿った方向)へ変化させてもよい。このようにして変動図柄視認領域330の区画形成動作を複雑にすれば、遊技の興趣の向上を一層高めることができる。
次に、上側役物リアユニット131、側縁役物ユニット134、下側役物リアユニット135の演出動作について、図49から図51に基づいて説明する。なお、この説明においては、図49(a)に示すように、2つの始動記憶が保留されている状態で前回の飾り特図変動表示ゲームがハズレになって終了した時点から演出動作を開始するものとする。また、2つの始動記憶のうち先に消化される始動記憶(詳しくは、対応する飾り特図変動表示ゲームが先に実行される始動記憶)の表示(円形で示す記憶表示)を表示部55aの下部の中央に位置する矩形状の消化記憶表示領域335内に表示し、後に消化される始動記憶の表示(円形で示す記憶表示)を、消化記憶表示領域335の側方(図49(a)中、下側可動役物252側となる左側方)に設定された待機保留表示領域336に表示しているものとする。
前回の飾り特図変動表示ゲームが終了して、次に消化される始動記憶の表示が消化記憶表示領域335内に表示されると、図49(a)に示すように、下側役物リアユニット135の下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇させ、可動役物本体266が第1姿勢から第2姿勢に変換する直前の姿勢変換前位置で上昇を停止して、第1姿勢の可動役物本体266を表示部55aの前方のうち待機保留表示領域336から側方(図49(a)中、左側方)へずれた位置に配置する。そして、消化記憶表示領域335内の始動記憶に対応して新たな飾り特図変動表示ゲームが実行されると、図49(b)に示すように、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置(初期位置)から移動して、可動役物本体266を待機保留表示領域336の前方に重ねて配置する。さらに、表示部55aのうち可動役物本体266の側方に臨む箇所には、「チャンス」の台詞を吹き出し枠で囲んで表示した装飾画像A1を表示し、可動役物本体266が遊技者に対して報知を行っているかのような演出を実行する。
このとき、第1始動入賞口36または第2始動入賞口41に遊技球が入賞して新たに始動記憶が追加保留されると、下側昇降役物ユニット232が消化記憶表示領域335に対して演出動作を実行し、この演出動作に伴って表示装置55が演出表示を実行する。具体的には、図49(c)に示すように、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇位置まで上昇させ、可動役物本体266を第1姿勢から第2姿勢へ変換して消化記憶表示領域335側へ傾ける。さらに、表示装置55においては、消化記憶表示領域335の周辺部分に装飾画像A2を表示して消化記憶表示領域335を装飾する。その後、図49(d)に示すように、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇位置から姿勢変換前位置まで一旦下降させて第2姿勢から第1姿勢へ戻し、表示装置55が装飾画像A2を消去するとともに消化記憶表示領域335内の記憶表示の表示態様を変更(円形から星形で示す表示態様へ変更)して、消化記憶表示領域335内の記憶表示に対応する特図変動表示ゲームの結果(言い換えると、現在実行中の特図変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲームの結果)が大当りになる可能性がある旨を予告する。すなわち、特図変動表示ゲームの結果を先読みして予告する演出(先読み演出)を実行する。さらに、図49(e)に示すように、下側役物リアユニット135が下側可動役物252を姿勢変換前位置に配置した状態で下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置へ戻す。
引き続き進行中の飾り特図変動表示ゲームにおいて、左右の変動図柄が揃ってリーチ状態(図49(f)参照)になると、下側役物リアユニット135が再び下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置(初期位置)から移動して、可動役物本体266を待機保留表示領域336の前方に重ねて配置する。さらに、図49(g)に示すように、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇位置まで上昇させ、可動役物本体266を第1姿勢1から第2姿勢へ変換して消化記憶表示領域335側へ傾け、表示装置55が消化記憶表示領域335の周辺部分および待機保留表示領域336の周辺部分に装飾画像A3を表示して消化記憶表示領域335および待機保留表示領域336を装飾する。その後、図49(h)に示すように、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇位置から姿勢変換前位置まで一旦下降させて第2姿勢から第1姿勢へ戻し、表示装置55が装飾画像A3を消去するとともに消化記憶表示領域335内の記憶表示の表示態様を変更(星形から動物を模したキャラクターの頭の表示態様へ変更)して、消化記憶表示領域335内の記憶表示に対応する特図変動表示ゲームについて、結果が大当りとなる可能性が表示態様の変更前よりも高まった旨を予告する。すなわち、特図変動表示ゲームの結果を先読みして予告する演出(先読み演出)を実行する。また、表示部55aのうち消化記憶表示領域335の上方であって可動役物本体266の側方の箇所に、「激熱」の台詞を吹き出し枠で囲んで表示した装飾画像A4を表示し、可動役物本体266または消化記憶表示領域335内の記憶表示が遊技者に対して報知を行っているかのような演出を実行する。なお、消化記憶表示領域335内の記憶表示の表示態様の変更とともに、待機保留表示領域336内の記憶表示においても表示態様の変更(円形から星形で示す表示態様へ変更(図50(a)参照))を実行(先読み演出を実行)するが、この変更の様子を可動役物本体266の側方から臨ませて遊技者に見せてもよい。
このようにして記憶表示に対する予告演出(先読み演出)の実行が終了すると、表示装置55が操作促進演出を表示して遊技者に遊技演出ボタン17の操作を促す。具体的に説明すると、図50(a)および(b)に示すように、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置に戻し、さらには下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を下降位置まで下降させて表示装置55の前方から外す。また、図50(b)から(f)に示すように、表示装置55が表示部55aの中央にボタンの押し下げ動作と戻り動作とを繰り返す動画M1を表示する。このとき、円板状のボタンの模式図のうち外周面を描画する箇所を、遊技演出ボタン17の操作有効時間の残りを示す表示器として利用し、時間の経過に従って塗りつぶし部の横幅を次第に短くする。
操作促進演出が実行され、遊技演出ボタン17が遊技者によって押し下げ操作されると、図50(g)に示すように、上側役物リアユニット131が上側昇降役物142を演出実行位置(下降位置)へ下降させて表示装置55の前方に配置し、回動装飾部150を回動する。このとき、表示装置55が縮小図柄を上側昇降役物142の後方から外れた場所に表示する。そして、上側役物リアユニット131が上側昇降役物142を演出非実行位置(上昇位置)へ戻して表示装置55の前方から外すと、表示装置55が表示部55aの中央部分に変動図柄を大当り態様の停止状態(図50(h)参照)、またはハズレ態様の停止状態で表示し、遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する。
特図変動表示ゲームの結果が大当り(特別結果態様)であった場合には、表示装置55が表示部55aの中央部分に「大当り」の文字を表示し、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を姿勢変換前位置まで上昇させて第1姿勢を維持し、この状態で、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド実行位置まで移動して下側可動役物252を表示部55aの下部のうち左右方向の中央部分の前方に配置する(図51(a)および(b)参照)。さらに、遊技制御装置58が遊技者に所謂右打ちを促進する特定遊技状態に設定し、この設定に対応して演出制御装置59が表示装置55の表示を切り替える。詳しくは、表示装置55が「大当り」の文字を消去して、「右打ち」の文字と右向き矢印とを組み合わせた右打ち指示表示RDに変更(操作促進演出を表示)し、表示部55aの右上隅部には、「右打ち」の文字と右向き矢印との組み合わせの縮小表示を行って(図51(c)参照)、遊技者に所謂右打ち(遊技球をセンターケース23の上方を通過させて第1ケース球流下路26へ流下させるように発射操作を行うこと)で発射操作ハンドル15を操作する旨を促し、ひいては遊技球の大入賞口31への入賞を促す。また、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を姿勢変換前位置と上昇位置との間で繰り返し昇降して装飾演出を実行し、可動役物本体266を第1姿勢と第2姿勢とに繰り返し変換する(図51(d)参照)。このようにして、演出制御装置(演出制御手段)59が表示装置55における表示演出と可動役物本体266による装飾演出とを制御することにより、可動役物本体266(下側可動役物252)が操作促進演出の表示態様に対応して装飾演出を実行するので、遊技者の意欲を削がずに発射操作ハンドル15の操作を促すこと、さらには発射操作ハンドル15の操作の促進効果を向上させることができる。
そして、遊技制御装置58が大当り状態における動作処理(複数回のラウンドの進行に伴う大入賞口31の開閉処理)を実行すると、大入賞口ソレノイド85が駆動して大入賞開閉部材84が各ラウンド中に開閉動作する。なお、第1ラウンドの開始時においては、図51(e)に示すように、表示装置55が選曲操作ガイダンス(選択可能な曲A,Bの表示、十字ボタンによる選曲操作、遊技演出ボタン17による選曲決定等)を表示する。このとき、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド実行位置に維持し、この状態で下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を下降位置まで下降させて表示装置55の中央部分の下方に配置する。また、第2ラウンド以降(例えば、図51(f)〜(h)に示す第4ラウンド)においては、表示装置55が表示部55aの中央部分に「Vを狙え」の文字と右向き矢印との組み合わせを表示し、遊技球の大入賞口31への入賞、さらには遊技球が大入賞球流下路94を通ってV入賞流路97へ流入すること(V入賞すること)を狙うように遊技者を促す演出画像(V入賞促進画像)を表示する。なお、表示装置55がV入賞促進画像を表示中のときには、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を姿勢変換前位置と上昇位置との間で繰り返し昇降して、可動役物本体266を第1姿勢と第2姿勢とに繰り返し変換する。そして、ラウンド中に遊技球がV入賞すると、表示装置55が「V」「獲得」の文字を表示し、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を下降位置まで下降するとともに、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置まで戻す(図51(h)参照)。
次に、遊技制御装置58のメイン処理について説明する。なお、遊技制御装置58における制御処理は、電源投入時処理およびループ処理を含むメインルーチンであるメイン処理(図52および図53参照)と、メイン処理中のループ処理に対する割込みルーチンとして、所定時間周期(例えば4ms)で行われるタイマ割込み処理(図54参照)とからなる。
メイン処理は、パチンコ遊技機1の電源が投入されることで開始される。このメイン処理においては、図52に示すように、まず、割込みを禁止する処理(ステップS1)を行ってから、割込みが発生したときに実行するジャンプ先のベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理(ステップS2)、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定するスタックポインタ設定処理(ステップS3)、遊技制御装置58の入力ポートの状態を読み込む処理(ステップS4)、割込み処理のモードを設定する割込みモード設定処理(ステップS5)を行う。
次に、電源投入ディレイタイマの設定(ステップS6)、および停電監視信号のチェック回数の設定(ステップS7)を行い、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(ステップS8)。停電監視信号がオンである場合には、ステップS7で設定したチェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続しているか否かを判定する(ステップS8)。そして、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続している場合、すなわち、停電が発生していると判定された場合には待機し、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続していない場合には、ステップS8に戻って停電監視信号の判定を再び実行する。また、ステップS8において停電監視信号がオンではない場合、すなわち、停電が発生していないと判定された場合には、電源投入ディレイタイマを−1更新し(ステップS10)、電源投入ディレイタイマが0になったか否かを判定し(ステップS11)、0でない場合にはステップS7に戻る。そして、ステップS11において電源投入ディレイタイマが0である場合には、読出し書込み可能なRAMのアクセスを許可し(ステップS12)、出力部の全ポートをオフ(出力が無い状態)に設定し(ステップS13)、シリアルポートを設定する処理を行う(ステップS14)。
また、電源装置306に設けられた初期化スイッチがONになっているか否かを判定し(ステップS15)、初期化スイッチがONでないと判定された場合には、RAM内の停電検査領域1の値が正常な停電検査領域チェックデータ1であるかをチェックし(ステップS16)、停電検査領域1の値が正常であれば、RAM内の停電検査領域2の値が正常な停電検査領域チェックデータ2であるかをチェックし(ステップS17)、停電検査領域2の値が正常であれば、RAMに記憶されているデータが正常なものであるか否かを判定するために、チェックサムが正常であるか否か調べる。具体的には、RAM内の領域のチェックサムを算出し(ステップS18)、算出されたチェックサムと、停電があった際にRAMに記憶されていたチェックサムとが一致するか否かを判定する(ステップS19)。そして、チェックサムが正常であると判定された場合、すなわちRAMに記憶されているデータが正常であると判定された場合には、初期化すべき領域に停電復旧時の初期値をセーブし(ステップS20)、RAM内の遊技状態を記憶する領域を調べて遊技状態が高確率状態(詳しくは、特図変動表示ゲームの結果態様が大当りとなる確率が通常の遊技進行時よりも高く設定された状態)であるか否かを判定し(ステップS21)、高確率状態であると判定された場合には、高確率報知フラグ領域にオン情報をセーブし(ステップS22)、一括表示装置51に設けられる高確率報知LEDを点灯させるオンデータをセグメント領域に設定する(ステップS23)。そして、ステップS21において高確率状態ではないと判定された場合、またはステップS23において高確率報知LEDを点灯させる準備を行った場合には、特図ゲーム処理を合理的に実行するために用意されている処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置59へ送信する(ステップS24)。
一方、ステップS15にて初期化スイッチがオンであると判定された場合、またはステップS16,S17にて停電検査領域の値が異常であると判定された場合、またはステップS19にてチェックサムが異常であると判断された場合には、アクセス禁止領域より前の全作業領域のクリア(ステップS25)、およびアクセス禁止領域より後の全スタック領域のクリア(ステップS26)を実行し、初期化すべき領域に電源投入時の初期値をセーブする(ステップS27)。さらに、点灯確認実行フラグ領域に実行フラグをセーブし(ステップS28)、電源投入時のコマンドを演出制御装置59へ送信する(ステップS29)。
そして、ステップS24にて停電復旧時のコマンドを演出制御装置59に送信した後、またはステップS29にて電源投入時のコマンドを演出制御装置59に送信した後には、タイマ割込み信号および乱数更新トリガ信号を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動し(ステップS30)、乱数生成回路を起動設定する(ステップS31)。さらに、電源投入時の乱数生成回路内のソフト乱数レジスタの値を抽出して各種初期値乱数(特図変動表示ゲームにおける大当り図柄を決定する乱数の初期値、または普図変動表示ゲームにおける当たり図柄を決定する乱数の初期値)としてRAMにセーブし(ステップS32)、ステップS1で禁止された割込みを許可し(ステップS33)、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理を行う(ステップS34)。
ステップS34にて初期値乱数更新処理を実行したならば、停電が発生したか否かを判定するために、電源装置306から入力されている停電監視信号をポート及びデータバスを介して読み込んでチェックする回数を設定し(ステップS35)、停電監視信号がONであるか否かを判定する(ステップS36)。停電監視信号がオンではない場合、すなわち、停電が発生していないと判定された場合にはステップS34に戻り、上記初期値乱数更新処理(ステップS34)、停電監視信号のチェック回数の設定(ステップS35)、停電監視信号の判定(ステップS36)を繰り返し行う。一方、停電監視信号がオンである場合には、ステップS35で設定したチェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続しているか否かを判定する(ステップS37)。そして、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続していない場合には、ステップS36に戻って停電監視信号の判定を再び実行し、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続している場合、すなわち、停電が発生していると判定された場合は、一旦割込みを禁止する処理(ステップS38)、全出力ポートにオフデータを出力する処理(ステップS39)を行う。さらに、各停電検査領域に停電検査領域チェックデータをセーブする処理(ステップS40,S41)、電源遮断時におけるRAMのチェックサムを算出する処理(ステップS42)を行った後、チェックサムをセーブし(ステップS43)、RAMへのアクセスを禁止する処理(ステップS44)を行ってから、パチンコ遊技機1の電源が遮断されるまで待機する。
タイマ割込み処理は、図54に示すように、まず、所定のレジスタに保持されている値をRAMに移してレジスタ退避の処理を行い(ステップS51)、各種検出装置(磁気センサ236、電波センサ301、第1始動口スイッチ46、第2始動口スイッチ47、ゲートスイッチ29等)からの入力を取込む入力処理(ステップS52)、各種処理でセットされた出力データに基づいてソレノイド(大入賞口ソレノイド85、普電ソレノイド311)等のアクチュエータを駆動制御する出力処理(ステップS53)を行う。
次に、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを払出制御装置310に出力する払出コマンド送信処理(ステップS54)、乱数更新処理1(ステップS55)、乱数更新処理2(ステップS56)を行う。その後、第1始動口スイッチ46、第2始動口スイッチ47、入賞口スイッチ303等の遊技球検出用センサから正常な信号の入力があるか否かの監視や、前面枠3や透明部材保持枠8が開放されていないか等のエラーの監視を行う入賞口スイッチ/エラー監視処理(ステップS57)を行う。また、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理(ステップS59)、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理(ステップS60)を行う。
各変動表示ゲームの処理を実行したならば、一括表示装置51における各変動表示ゲームの表示内容や遊技に関する各種情報の表示内容を編集するセグメントLED編集処理(ステップS61)、磁気センサ236からの検出信号をチェックして異常がないか判定する磁気不正監視処理(ステップS62)、電波センサ301からの検出信号をチェックして異常がないか判定する電波不正監視処理(ステップS63)、外部の各種装置に出力する信号を出力バッファにセットする外部情報編集処理(ステップS64)を行う。そして、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言し(ステップS65)、ステップS51で退避したレジスタのデータを復帰し(ステップS66)、割込みを許可(ステップS67)してタイマ割込み処理を終了する。
次に、タイマ割込み処理における特図ゲーム処理(ステップS58)の詳細について、図55に基づいて説明する。
特図ゲーム処理では、第1始動口スイッチ46と第2始動口スイッチ47との入力の監視と、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図の表示の設定を行う。具体的に説明すると、図55に示すように、まず、第1始動口スイッチ46および第2始動口スイッチ47の入賞を監視する始動口スイッチ監視処理(ステップS71)を行う。この始動口スイッチ監視処理では、第1始動入賞口36、第2始動入賞口41に遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数など)の抽出を行い、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。
次に、カウントスイッチ86やV入賞検出スイッチ98等の信号を監視してカウントする大入賞口スイッチ監視処理(ステップS72)を行う。続いて、特図ゲーム処理タイマが0でなければ更新(−1)し(ステップS73)、当該ゲーム処理タイマが0であるか否かをチェックして(ステップS74)、特図ゲーム処理タイマがタイムアップした(ステップS74;Yes)と判定すると、特図ゲーム処理番号に対応する処理に分岐させるために参照する特図ゲームシーケンス分岐テーブルをレジスタに設定する処理(ステップS75)を行って、当該テーブルを用いて特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得する処理(ステップS76)を行う。
そして、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させる処理(ステップS77)を行った後、ゲーム処理番号に応じてゲーム分岐処理(ステップS77)を行う。ステップS78にて、ゲーム処理番号が「0」の場合は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定や、特図変動中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図普段処理(ステップS79)を行う。また、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「1」の場合は、特図の停止表示時間の設定や、特図表示中処理へ移行するために必要な情報の設定等を行う特図変動中処理(ステップS80)を行う。さらに、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「2」の場合は、特図変動表示ゲームの結果が大当りであれば、大当りに応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当りの大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間の設定や、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図表示中処理(ステップS81)を行う。
また、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「3」の場合は、大入賞口31の開放時間の設定や開放回数の更新、大入賞口開放中処理へ移行するために必要な情報の設定等を行うファンファーレ/インターバル中処理(ステップS82)を行う。また、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「4」の場合は、大当りラウンドが最終ラウンドでなければインターバルコマンドを設定する一方で最終ラウンドであれば大当り終了画面のコマンドを設定する処理や、大入賞口残存球処理へ移行するために必要な情報の設定等を行う大入賞口開放中処理(ステップS83)を行う。
また、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「5」の場合は、大当りラウンドが最終ラウンドであれば大入賞口31内にある残存球が排出されるための時間を設定する処理や、大当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行う大入賞口残存球処理(ステップS84)を行う。また、ステップS78にて、ゲーム処理番号が「6」の場合は、特図普段処理(ステップS79)へ移行するために必要な情報の設定等を行う大当り終了処理(ステップS85)を行う。
上記ステップS79〜S85を実行すると、一括表示装置51内の特図1表示器の変動を制御するための変動パターンテーブルを準備した後(ステップS86)、特図1表示器に係る図柄変動制御処理(ステップS87)を行う。その後、一括表示装置51内の特図2表示器の変動を制御するための変動パターンテーブルを準備した後(ステップS88)、特図2表示器に係る図柄変動制御処理(ステップS89)を行い、特図ゲーム処理を終了する。一方、ステップS74にて、特図ゲーム処理タイマがタイムアップしていない(ステップS74;No)と判定した場合は、ステップS86へ移行して、それ以降の処理を行う。
次に、特図ゲーム処理における特図普段処理(ステップS79)の詳細について、図56に基づいて説明する。
特図普段処理では、まず、特図2始動記憶の数が0であるか否かをチェックする(ステップS91)。そして、次のステップS92で特図2始動記憶数が0であるか否かの判定を行い、特図2始動記憶数が0である(Yes)と判定すると、ステップS93へ進む。ステップS93では、次のステップS94で特図1始動記憶数が0であるか否かの判定を行い、特図1始動記憶数が0である(ステップS94;Yes)と判定すると、既に客待ちデモが開始されているか否かをチェックして(ステップS95)、客待ちデモを開始していない、即ち、開始済みでない(ステップS96;No)と判定すると、客待ちデモフラグを客待ちデモ中に設定する処理(ステップS97)を行う。
続いて、客待ちデモコマンドを準備して(ステップS98)、コマンド設定処理(ステップS99)を行い、ステップS100に移行する。一方、ステップS95にて、既に客待ちデモが開始されている(ステップS96;Yes)と判定すると、既に客待ちデモフラグは客待ちデモ中に設定(ステップS97)され、客待ちデモコマンドも準備(ステップS98)され、コマンド設定処理(ステップS99)も実行されているため、これらの処理を行わずにステップS100に移行する。ステップS100では、特図普段処理に移行するためのテーブルを準備する処理、具体的には、当該テーブルに、特図普段処理に係る処理番号「0」、大入賞口不正監視期間を規定するフラグ(大入賞口不正監視情報)等を設定する処理を行って、特図普段処理を終了する。
一方、ステップS92にて、特図2始動記憶数が0でない(ステップS92;No)と判定すると、ステップS101へ移行して特図2変動表示ゲームの変動を開始させる特図2変動開始処理(ステップS101)を行う。そして、特図変動中処理に移行するためのテーブル(特図2用)を準備する処理(ステップS102)、具体的には、当該テーブルに、特図変動中処理に係る処理番号「1」、客待ちデモの終了に係る情報、特図2表示器における特図2変動表示ゲームの制御用の情報(例えば、一括表示装置51内の特図2表示器の変動中に係るフラグ、特図2表示器の点滅の周期のタイマの初期値など)等を設定する処理を行って、特図普段処理を終了する。また、ステップS94にて、特図1始動記憶数が0でない(ステップS94;No)と判定すると、ステップS103へ移行して特図1変動表示ゲームの変動を開始させる特図1変動開始処理を行う。その後、特図変動中処理に移行するためのテーブル(特図1用)を準備する処理(ステップS104)を行って、特図普段処理を終了する。
次に、演出制御装置59にて行われる制御について説明する。前述したように演出制御装置59は、1stCPU(主制御用マイコン)59aと、当該1stCPU59aの制御下で映像制御を行う2ndCPU(映像制御用マイコン)59bとを備えている。そして、1stCPU59aによる制御処理は、主に、図57に示す1stメイン処理と、図58に示す割込み処理とからなり、割り込み処理を所定周期(例えば、2ミリ秒の周期)で行う。
まず、1stメイン処理について説明する。この1stメイン処理においては、図57に示すように、始めにプログラム開始時の処理を行う。このプログラム開始時の処理では、まず、割込みを禁止し(ステップS111)、CPUの初期化やRAMの初期値設定、乱数の初期化等を行う各種初期化処理を行う(ステップS112)。そして、各種割込みのタイマを起動して(ステップS113)、割込みを許可する(ステップS114)。
この1stメイン処理においては、次にメインループ処理としてループの処理を行う。このループの処理では、まず、WDT(watch dog timer)をクリアし(ステップS115)、遊技演出ボタン17の操作に基づく入力信号(立ち上がりエッジ)から入力情報を作成する演出ボタン入力処理(ステップS116)を行う。次いで、遊技制御コマンド解析処理(ステップS117)を行う。この遊技制御コマンド解析処理では、遊技制御装置58から送信される遊技に関するコマンドを正しく受信したか否かを判定し、正しく受信していた場合にはコマンドを確定して、後述するシーン制御処理のためのコマンドの区分けをする処理を行う。
次いで、盤装飾装置320、枠装飾装置321、盤演出装置322、枠演出装置323等のテストを行うためのテストモードに関する処理であるテストモード処理(ステップS118)を行う。このテストモード処理によりテストモードとなった場合は、以降の遊技に関する処理は行わない。ただし、テストモードにおいて表示装置55での表示やスピーカ11,16からの音声の出力、装飾装置320,321のLEDの発光、演出装置322,323の動作等を行う場合は、これらを制御するための処理(後述のステップS122〜S124)において制御を行う。なお、テストモードはパチンコ遊技機1の電源遮断で終了するようになっている。
次いで、遊技の演出の制御に関する1stシーン制御処理(ステップS119)、パチンコ遊技機1における異常の発生を監視する遊技機エラー監視処理(ステップS120)、2ndCPU59bに出力するコマンドを編集する演出コマンド編集処理(ステップS121)を行う。次いで、スピーカ11,16からの音声の出力に関する制御を行うサウンド制御処理(ステップS122)、盤装飾装置320、枠装飾装置321のLEDの制御を行う装飾制御処理(ステップS123)、盤演出装置322、枠演出装置323のモータやソレノイドの制御を行うモータ/SOL制御処理(ステップS124)を行う。次いで、飾り特図変動表示ゲームの変動態様の詳細を決定する乱数を更新する乱数更新処理(ステップS125)を行い、WDTをクリアする処理(ステップS115)に戻る。
次に、割込み処理について説明する。この割込み処理においては、図58に示すように、まず、プログラムで管理するソフトタイマを更新するタイマ更新処理(ステップS131)を行う。次いで、演出制御装置59に入力される信号を処理する入力処理(ステップS132)、演出制御装置59から出力する信号を処理する出力処理(ステップS133)を行う。次いで、遊技制御装置58から演出制御装置59へ送信される遊技に関するコマンドを受信するメインコマンド受信処理(ステップS134)を行って、割込み処理を終了する。
演出制御装置59の2ndCPU59bは、図59に示す2ndメイン処理を行う。この2ndメイン処理においては、図59に示すように、はじめにプログラム開始時の処理を行う。このプログラム開始時の処理として、まず、CPUを初期化するCPU初期化処理(ステップS141)を行い、RAMを0クリアして(ステップS142)、RAMの初期値を設定する(ステップS143)。次いで、VDPを初期化するVDP初期化処理(ステップS144)を行い、各種割込みを許可する(ステップS145)。次いで、各種制御処理の初期化処理(ステップS146)を行い、画面描画を許可する(ステップS147)。
次に、メインループ処理としてループの処理を行う。具体的に説明すると、まず、システム周期待ちフラグをクリアし(ステップS148)、システム周期待ちフラグが1であるか否かの判定を行う(ステップS149)。システム周期とは、画像データを一時的に格納する二つのバッファを切り替える周期であって、切り替えが可能な状態となるとシステム周期フラグが「1」となる。このシステム周期待ちフラグが1となるまでは、システム周期待ちフラグが1であるか否かの判定(ステップS149)を繰り返し、システム周期待ちフラグが1となると(ステップS149;Yes)、WDT(watch dog timer)をクリアする(ステップS150)。
次いで、受信コマンドチェック処理(ステップS151)を行う。この受信コマンドチェック処理では、1stCPU59aから送信されるコマンドを正しく受信したか否かを判定し、正しく受信していた場合にはコマンドを確定して、2ndシーン制御処理のためのコマンドの区分けをする処理を行う。次いで、受信したコマンドに基づき、表示内容を決定する2ndシーン制御処理(ステップS152)を行う。
次いで、背景の設定を行う背景処理(ステップS153)を行う。この背景処理では、遊技状態(確率状態や客待ち状態の有無)や、遊技モード、演出モード、リーチシーン等に応じた背景を表示する処理を行う。次いで、飾り特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動に関する表示制御処理である変動表示処理(ステップS154)を行う。その後、特図1保留数表示器71および特図2保留数表示器72の表示に連動して表示装置55に表示される記憶表示の設定を行う保留表示処理(ステップS155)を行う。この保留表示処理では、始動記憶領域(消化始動記憶領域、待機始動記憶領域)に記憶された事前演出情報に基づき、記憶表示の表示態様を変化させる事前演出(先読み演出、変動中演出)の表示に関する処理も行う。
次いで、客待ちデモの表示に関する客待ちデモ処理(ステップS156)を行う。この客待ちデモ処理では、キャラクターや映像等を表示する客待ち画面の設定に関する処理や、客待ち画面に表示する告知表示の設定に関する処理等を行う。次いで、ROMのデータをRAMに設定されたバッファに転送し、実際に表示をさせる処理を行う表示システム処理(ステップS157)を行って、システム周期待ちフラグをクリアする処理(ステップS148)に戻る。
次に、前述の1stメイン処理における1stシーン制御処理(ステップS119)の詳細について説明する。図60に示すように、1stシーン制御処理において、演出制御装置59の1stCPU59aは、まず、テストモード中であるか否かを判定する(ステップS161)。ステップS161で、テストモード中であると判定した場合(ステップS161;Yes)には、1stシーン制御処理を終了する。一方、ステップS161で、テストモード中でないと判定した場合(ステップS161;No)には、シーン変更コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS162)。このシーン変更コマンドは、遊技制御装置58から演出制御装置59に送信される遊技に関する各種のコマンド(電源投入コマンド、停電復旧コマンド、客待ちデモコマンド、変動パターンコマンド、図柄停止コマンド、大当りファンファーレコマンド、大入賞口開放n回目コマンド、インターバルコマンド等)である。
ステップS162で、シーン変更コマンドを受信したと判定した場合(ステップS162;Yes)には、更新する遊技状態(現在の遊技状態)を取得し(ステップS163)、受信したシーン変更コマンドが取得した現在の遊技状態に対して有効なものであるか否か、すなわち、有効なコマンドであるか否かを判定する(ステップS164)。ステップS164で、有効なコマンドであると判定した場合(ステップS164;Yes)には、受信コマンドをセーブし(ステップS165)、演出リクエストフラグをセットして(ステップS166)、受信したコマンドのコマンド識別子による分岐処理(ステップS167)を行う。
一方、ステップS162でシーン変更コマンドを受信していないと判定した場合(ステップS162;No)や、ステップS164で有効なコマンドでないと判定した場合(ステップS164;No)には、受信したコマンドのコマンド識別子による分岐処理(ステップS167)を行う。この場合、直近の有効であったコマンドの識別子による分岐を行う。
コマンド識別子による分岐処理(ステップS167)では、受信したコマンドに基づき実行する処理を選択する。電源投入コマンドを受信した場合には、電源投入時に必要な処理を行う電源投入処理(ステップS168)を行う。また、停電復旧コマンドを受信した場合には、停電復旧時に必要な処理を行う停電復旧(客待ち以外)処理(ステップS169)を行う。また、客待ちデモコマンドを受信した場合には、客待ちデモの表示に関する処理等を行う客待ち処理(ステップS170)を行う。
また、変動パターンコマンドを受信した場合には、飾り特図変動表示ゲームの実行に関する処理等を行う変動中処理(ステップS171)を行う。この変動中処理では、飾り特図変動表示ゲームを行うために必要な情報の設定を行う。この飾り特図変動表示ゲームを行うために必要な情報の設定では、例えば、遊技制御装置58から送信された変動パターンコマンドに含まれる情報(大当りか否か、変動パターン情報など)に基づき演出(変動パターンや変動時間など)の設定を行う。
また、図柄停止コマンドを受信した場合には、飾り特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動表示を停止して結果態様を表示する処理である図柄停止処理(ステップS172)を行う。この図柄停止処理では、飾り特図変動表示ゲームにおける結果の停止表示時間などの設定を行う。また、ファンファーレコマンドを受信した場合には、大当り状態の開始に関する処理である大当りファンファーレ処理(ステップS173)を行う。また、大入開放n回目コマンドを受信した場合には、ラウンド遊技に関する処理であるラウンド中処理(ステップS174)を行う。また、インターバルコマンドを受信した場合には、ラウンド間のインターバルに関する処理であるインターバル処理(ステップS175)を行う。また、エンディングコマンドを受信した場合には、大当り状態の終了に関する処理であるエンディング処理(ステップS176)を行う。
コマンド識別子による分岐処理(ステップS167)により選択された前述の各処理を行った後、即座に映像に反映されないコマンドに基づく処理を行う。この処理として、まず、始動記憶の増減に関する情報を含む保留数コマンド(特図1保留数コマンド、特図2保留数コマンド)に基づく処理を行う保留数コマンド受信処理(ステップS177)を行い、特図変動表示ゲームの停止図柄に関する情報を含む飾り特図コマンドに基づく処理を行う飾り特図コマンド受信処理(ステップS178)を行う。
次いで、始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果等を当該特図変動表示ゲームの実行前に事前に判定する先読み処理の結果を含む事前判定コマンド(図柄情報コマンド、変動パターン乱数コマンド)に基づく処理を行う事前判定コマンド受信処理(ステップS179)を行う。次いで、確率状態に関する情報を含む確率情報コマンドに基づき、対応する値を内部設定するとともに背景コマンドを2ndCPU59bに送信する処理を行う確率情報コマンド受信処理(ステップS180)を行って、1stシーン制御処理を終了する。
次に、事前判定コマンド受信処理(ステップS179)について説明する。
事前判定コマンド受信処理においては、図61に示すように、まず事前判定コマンドを受信しているか否かを判定し(ステップS191)、受信していれば、非電サポ中(電サポ状態(普通電動役物41aの開放時間が通常よりも長く設定された普電サポート状態)以外の遊技状態)であるか否かを判定する(ステップS192)。非電サポ中である場合には、受信している事前判定コマンドが特図1変動表示ゲームのものであるか否かを判定し(ステップS193)、非電サポ中ではない(すなわち電サポ状態である)場合には、受信している事前判定コマンドが特図2変動表示ゲームのものであるか否かを判定する(ステップS194)。ステップS193において事前判定コマンドが特図1変動表示ゲームのものであるとき、あるいはステップS194において事前判定コマンドが特図2変動表示ゲームのものであるときには、保留演出設定処理(ステップS195)および連続予告設定処理(ステップS196)を実行して事前判定コマンド受信処理を終了する。なお、ステップS196における連続予告設定処理では、関連性のある特殊演出を複数回の飾り特図変動表示ゲームの実行に跨って行う演出(連続表示演出)や、特殊な背景表示を複数回の飾り特図変動表示ゲームの実行に跨って行う演出(モード演出)を選択的に設定する。また、ステップS191において事前判定コマンドを受信していない場合、ステップS193において事前判定コマンドが特図1変動表示ゲームのものではない場合、ステップS194において事前判定コマンドが特図1変動表示ゲームのものではない場合には、直ちに事前判定コマンド受信処理を終了する。
なお、上記事前判定コマンド受信処理においては、非電サポ中では特図1変動表示ゲームの記憶表示のみに対して先読み演出(保留演出設定処理(ステップS195)および連続予告設定処理(ステップS196))を実行し、電サポ中では特図2変動表示ゲームの記憶表示のみに対して先読み演出を実行するが、本発明はこれに限定されない。例えば、特図1変動表示ゲームの始動記憶および特図2変動表示ゲームの始動記憶を入賞順(記憶した順)に消化(ゲーム実行)する場合には、いずれの始動記憶に対応する記憶表示に対して先読み演出を実行してもよい。
ステップS195の保留演出設定処理においては、図62に示すように、まず事前判定結果(事前判定コマンドの内容)が大当りか否かを判定し(ステップS201)、大当りであれば、予め設定された保留変化予告決定テーブル1(大当り用のテーブル)に基づき保留変化予告の内容(記憶表示の表示態様)を決定し(ステップS202)、大当りでなければ、予め設定された保留変化予告決定テーブル2(ハズレ用のテーブル)に基づき保留変化予告の内容(記憶表示の表示態様)を決定する(ステップS203)。
ステップS202およびステップS203の終了後、保留変化予告を実行するか否かを判定し(ステップS204)、実行する場合は、保留表示態様(予告演出実行時の記憶表示の表示態様)に対応する保留変化タイミング決定テーブルを選択してセットし(ステップS205)、記憶されている始動記憶の数(保留数)に基づき保留変化タイミング(パターン)を決定する(ステップS206)。そして、記憶表示の変化を始動入賞後に行うか否かを判定し(ステップS207)、始動入賞後に行う場合には、変化後の記憶表示が特殊系であるか否かを判定する(ステップS208)。
ステップS204において保留変化予告を実行しない場合、およびステップS207において始動入賞後に記憶表示の変化を行わないと判定された場合には、予め設定された待機保留演出決定テーブル1に基づいて待機保留表示領域336内の表示態様(待機保留演出)を決定する(ステップS209)。また、ステップS208において変化後の記憶表示が特殊系ではない(すなわち通常系である)と判定された場合には、予め設定された待機保留演出決定テーブル2に基づいて待機保留表示領域336内の表示態様(待機保留演出)を決定し(ステップS210)、特殊系であると判定された場合には、予め設定された待機保留演出決定テーブル3に基づいて待機保留表示領域336内の表示態様(待機保留演出)を決定する(ステップS211)。
ステップS209またはステップS210またはステップS211の終了後、遊技状態を大当り状態とするか否かを判定し(ステップS212)、大当り状態の場合には、待機保留表示領域336内の表示態様の変更(待機保留演出)を実行するか否かを判定し(ステップS213)、実行しない場合には消化記憶表示領域335内の表示態様の変更(消化記憶演出の実行)を高確率で決定する(ステップS214)。また、ステップS212において大当り状態としない場合、またはステップS213において待機保留演出を実行する場合には、消化記憶表示領域335内の表示態様の変更(消化記憶演出の実行)を低確率で決定する(ステップS215)。ステップS214またはステップS215の終了後、消化記憶表示領域335内の表示態様の変更(消化記憶演出の実行)を実行するか否かを判定し(ステップS216)、実行する場合には、事前判定結果に基づき記憶表示の表示態様を決定する(ステップS217)。そして、ステップS216において消化記憶演出を実行しないと判定した場合、またはステップS217の実行後には、決定された各種保留演出の情報を演出制御装置59内の保留記憶領域にセットし(ステップS218)、保留演出設定処理を終了する。
ところで、上記実施形態では、装飾意匠部126を3つの意匠構成部123,124,125の組み合わせにより構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図63および図64に示すセンターケース23の変形例では、2つの意匠構成部により1つの装飾意匠部を構成している。具体的に説明すると、この変形例において装飾ベースとして機能するケースベース61のうち、第1ケース球流下路26側に位置する球侵入阻止壁68を透光部材(透明樹脂等)で構成して透光可能とし、該球侵入阻止壁68の裏面とケース内装飾パネル65の表面とをそれぞれの前後位置が揃って横に並ぶ状態に設定している。また、ケース内装飾パネル65の表面には、ロケットの先端部の図を模したパネル側意匠構成部(装飾側意匠構成部)341を備え、第1ケース球流下路26が備えられた球侵入阻止壁68の裏面には、ロケットのエンジン部の図を模した流下路側意匠構成部(ベース側意匠構成部)342をパネル側意匠構成部341と隣り合う状態で備えている。そして、パネル側意匠構成部341と流下路側意匠構成部342とを横並びで組み合わせて、ロケットの図を模した一つの装飾意匠部343を構成している。なお、図63に示すように、パネル側意匠構成部341と流下路側意匠構成部342との間を離しているが、この離間部の前方には球侵入阻止壁68の側縁部が重なるため、遊技者からはパネル側意匠構成部341と流下路側意匠構成部342とが繋がっているかのように見える。このようにして2つの意匠構成部341,342により1つの装飾意匠部343を構成すれば、パチンコ遊技機1内の限られたスペースにおいてインパクトのある装飾を施すことができる。また、意匠構成部341,342のいずれかを新規のデザインに設定して交換すれば、装飾意匠部343のマイナーチェンジを簡単に行うことができる。
さらに、上記実施形態では、装飾意匠部126,343を1つの物体(ロケット)を模した図に設定したが、本発明はこれに限定されない。要は、複数の意匠構成部で構成される装飾意匠部であればどのような態様に設定してもよい。例えば、図65および図66に示す変形例では、2つのキャラクターと1つの物体とが描画された装飾意匠部を遊技盤に備えている。具体的には、一方のキャラクターの描画体をパネル側意匠構成部351としてケース内装飾パネル65の表面に備え、物体の描画体を鎧側意匠構成部352として鎧部63の裏面に備え、他方のキャラクターの描画体をベース側意匠構成部353として遊技板19上のセルシート20に備えている。そして、パネル側意匠構成部351と鎧側意匠構成部352とベース側意匠構成部353とを隣り合う横並びで組み合わせて装飾意匠部354を構成し、該装飾意匠部354において2つのキャラクターが物体の受け渡しを行う様子を描画している。
そして、この装飾意匠部354をマイナーチェンジする一例としては、図67および図68に示すように、パネル側意匠構成部351および鎧側意匠構成部352を変更せずに採用する一方、ベース側意匠構成部353のみを変更して別個のベース側意匠構成部353′を新たに採用することが挙げられる。ベース側意匠構成部353′には、物体の受け取りを拒否するキャラクターを描画しており、パネル側意匠構成部351と鎧側意匠構成部352とベース側意匠構成部353′とを隣り合う横並びで組み合わせて装飾意匠部354′を構成すると、該装飾意匠部354′においては一方のキャラクターからの物体の受け渡しを他方のキャラクターが拒否する様子が描画される。このようにして装飾意匠部のマイナーチェンジを簡単に行うことができる。また、パチンコ遊技機1内の限られたスペースにおいてインパクトのある装飾を施すことができる。
なお、ベース側意匠構成部353,353′の大きさを図65および図67における例示よりも大きく設定して、ベース側意匠構成部353,353′の大半を透明なサイドケース21で被覆してもよい。また、上記実施形態および変形例では、装飾意匠部が配置される箇所としてセンターケース23および遊技板19のセルシート20を例示したが、本発明はこれに限定されない。要は、装飾部材に備えられた装飾側意匠構成部と、装飾ベースに備えられたベース側意匠構成部を組み合わせて、一つの装飾意匠部を構成する仕組みであれば、パチンコ遊技機1のどのような箇所に本発明の装飾意匠部の構成を適用してもよい。例えば、大入賞口や始動入賞口等の入賞具に適用してもよい。また、色彩のみの変更(例えば、図13(c)における噴射炎の色のみの変更)を施して新たな意匠構成部を準備し、この新たな意匠構成部と既存の意匠構成部とを交換して装飾意匠部のマイナーチェンジを施してもよい。さらに、意匠構成部を備える手段は、シールによる貼付でもよいし、プリンターにより配置箇所へ直接印刷してもよい。
ところで、上記実施形態における下側役物フロントユニット136においては、光拡散シート289に縁取り態様の意匠飾り部298を備えて各装飾意匠本体296を装飾したが、本発明はこれに限定されない。要は、主装飾構成部の装飾意匠本体を、副装飾構成部の意匠飾り部により装飾することができれば、どのような態様の意匠飾り部を設定してもよい。例えば、図69に示すように、光拡散シート289に影装飾態様の意匠飾り部298′(図69(b)参照)を備え、影を付ける装飾を各装飾意匠本体296に施してもよい。
また、本発明における主装飾構成部の装飾意匠本体と副装飾構成部の意匠飾り部との組み合わせは、下側役物フロントユニット136に適用することに限定されない。例えば、上側役物フロントユニット133の上側回動役物175において、回動役物装飾パネル184の文字形状の装飾部を本発明の装飾意匠本体とし、光拡散シート183を本発明の副装飾構成部として意匠飾り部を備え、回動役物装飾パネル184の装飾意匠本体に光拡散シート183の意匠飾り部を重ねて装飾を施してもよい。あるいは、側縁役物ユニット134の側縁回動役物202において、側縁役物装飾パネル215の文字形状の装飾部を本発明の装飾意匠本体とし、光拡散シート214を本発明の副装飾構成部として意匠飾り部を備え、側縁役物装飾パネル215の装飾意匠本体に光拡散シート214の意匠飾り部を重ねて装飾を施してもよい。
ところで、上記実施形態では、図49および図50(a)に示すように、下側可動役物252が消化記憶表示領域335に対して進退する演出動作を行う場合には、下側可動役物252が消化記憶表示領域335に近づく動作の軌跡(往路)と、下側可動役物252が消化記憶表示領域335から離れる動作の軌跡(復路)とを同じにした(言い換えると、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を姿勢変換前位置に維持した状態で下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232を左右方向に移動した)が、本発明はこれに限定されない。すなわち、下側可動役物252の往路と復路とを互いに異なる軌跡に設定してもよい。
例えば、図70に示す変形例では、まず、図70(a)に示すように、下側役物リアユニット135の下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇させ、可動役物本体266が第1姿勢から第2姿勢に変換する直前の姿勢変換前位置で上昇を停止して、第1姿勢の可動役物本体266を表示部55aの前方のうち消化記憶表示領域335から側方(図70(a)中、左側方)へずれた位置に配置する。そして、図70(b)に示すように、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置(初期位置)から移動して可動役物本体266を消化記憶表示領域335に近づけ、可動役物本体266が消化記憶表示領域335の横に並ぶと、図70(c)に示すように、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇位置まで上昇させ、可動役物本体266を第1姿勢から第2姿勢へ変換して消化記憶表示領域335側へ傾け、表示装置55が消化記憶表示領域335の周辺部分に装飾画像A5を表示して消化記憶表示領域335を装飾する(図70(c)参照)。その後、図70(d)に示すように、表示装置55が装飾画像A5を消去するとともに消化記憶表示領域335内の記憶表示の表示態様を変更(白円形から黒円形で示す表示態様へ変更)して、消化記憶表示領域335内の記憶表示に対応する特図変動表示ゲームの結果(言い換えると、現在実行中の特図変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲームの結果)が大当りになる可能性がある旨を予告する。さらに、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇位置から姿勢変換前位置よりも下方の位置まで下降させて、下側可動役物252の上部のみを表示部55aの前方に重ねる状態に設定し、この状態を維持しながら下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置まで戻し(図70(e)参照)、スライド待機位置にて下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を下降位置まで下降させる(図70(f)参照)。このようにして下側可動役物252の往路と復路とを異ならせれば、下側可動役物252のデザインが消化記憶表示領域335側に顔を向けたキャラクターや、消化記憶表示領域335側を前にして進む動体(車やロケット等)である場合に、消化記憶表示領域335に対して後退りして復路を移動するように遊技者から見えてしまうことを抑制することができ、遊技の興趣を損ない難い。
また、上記実施形態では、下側可動役物252が消化記憶表示領域335に対して演出動作(進退動作や姿勢変換動作)を行うように設定したが、本発明はこれに限定されない。下側可動役物252が演出対象とする表示装置55の表示内容はどのようなものであってもよい。以下、図71から図76に変形例を示す。
図71に示す変形例では、下側可動役物252が待機保留表示領域336に対して演出動作を行う。具体的に説明すると、始動記憶の表示が待機保留表示領域336内に表示されると、図71(a)に示すように、下側役物リアユニット135の下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇させ、可動役物本体266が第1姿勢から第2姿勢に変換する直前の姿勢変換前位置で上昇を停止して、第1姿勢の可動役物本体266を表示部55aの前方のうち待機保留表示領域336から側方(図71(a)中、左側方)へずれた位置に配置する。そして、図71(b)および(c)に示すように、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置(初期位置)から移動して、可動役物本体266を待機保留表示領域336の側方に並べて配置する。さらに、図71(d)に示すように、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇位置まで上昇させ、可動役物本体266を第1姿勢から第2姿勢へ変換して待機保留表示領域336側へ傾ける。さらに、表示装置55においては、待機保留表示領域336の周辺部分に装飾画像A6を表示して待機保留表示領域336を装飾する。
その後、図71(e)に示すように、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇位置から姿勢変換前位置まで一旦下降して第2姿勢から第1姿勢へ戻し、表示装置55が装飾画像A6を消去するとともに待機保留表示領域336内の記憶表示の表示態様を変更(円形から星形で示す表示態様へ変更)して、待機保留表示領域336内の記憶表示に対応する特図変動表示ゲームの結果(言い換えると、今後実行予定の特図変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲームの結果)が大当りになる可能性がある旨を予告する。すなわち、特図変動表示ゲームの結果を先読みして予告する演出(先読み演出)を実行する。さらに、図71(f)および(g)に示すように、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を下降位置まで下降させ、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置へ戻す。なお、図71(g)においては、待機保留表示領域336内の記憶表示(図71(e)において星形の表示態様に変更された記憶表示)に対応する特図変動表示ゲームが開始しているので、待機保留表示領域336内の記憶表示が消去され、その代わりに消化記憶表示領域335内に記憶表示が表示し直されている。このとき、記憶表示の表示態様を変更(星形から動物を模したキャラクターの頭の表示態様へ変更)しているが、この表示態様の変更に伴って下側可動役物252の演出動作を実行してもよいし、実行しなくてもよい。
図72に示す変形例では、演出制御装置59の制御に基づき、遊技演出ボタン(遊技操作部)17の操作を促進するための操作促進演出に対して下側可動役物252が演出動作を行う。具体的に説明すると、飾り特図変動表示ゲームのリーチ状態において、表示装置55の表示部55aの下部のうち左右方向の中央部分に、ボタンの押し下げ動作の画像(第1促進画像)と戻り動作(第1促進画像とは異なる態様の第2促進画像)とを繰り返す動画M2を操作促進演出として表示し、ボタンの押し下げ動作が表示されているときには、図72(a)および(c)に示すように、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252(詳しくは、ボタン模式図BDの側方に配置した下側可動役物252)を姿勢変換前位置から上昇位置へ上昇させて可動役物本体266を第1姿勢から第2姿勢へ変換し、表示装置55がボタン模式図BDの周辺に装飾画像A7を表示する。一方、ボタンの戻り動作が表示されているときには、図72(b)および(d)に示すように、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252(詳しくは、ボタン模式図の側方に配置した下側可動役物252)を上昇位置から姿勢変換前位置へ下降させて可動役物本体266を第2姿勢から第1姿勢へ変換し、表示装置55が装飾画像A7を消去する。このようにして、演出制御装置(演出制御手段)59が表示装置55における表示演出と可動役物本体266による装飾演出とを制御することにより、可動役物本体266が第1促進画像の実行に応じて第1姿勢から第2姿勢への変換(第1装飾演出)を実行し、第2促進画像の実行に応じて第2姿勢から第1姿勢への変換(第1装飾演出とは異なる態様の第2装飾演出)を実行するので、遊技者の意欲を削がずに遊技演出ボタン17の操作を促すこと、さらには遊技演出ボタン17の操作の促進効果を向上させることができる。
なお、図72に示す表示装置55においては、ボタン模式図BDが表示されて遊技演出ボタン17の操作が有効になる前に、ボタン模式図BDが完成する過程の動画を表示してもよい。具体的には、図72(e)および(f)に示すように、完成予定のボタン模式図BDと略同一形状で全体がぼやけている円形状の完成前画像PDを表示部55aの四隅にそれぞれ表示し、各完成前画像PDが表示部55aの中央部分のボタン模式図BDが表示される表示予定位置に向かって移動して重なるとボタン模式図BDが完成する旨の動画を表示し、この後で上記動画M2(図72(a)から(d))参照)を表示してもよい。また、移動中の各完成前画像PDの態様は、ボタンの押し下げを表現する態様(図72(a)参照)、ボタンの戻り状態を表現する態様(図72(b)参照)でもよいし、あるいは、この移動中の完成前画像PDにおいてのみ表現される特別な態様であってもよい。例えば、完成されたボタン模式図BDにおいて表示されない色や完成されたボタン模式図BDと異なる形状で表現される態様、可動役物本体266と同様の人の形状を模したキャラクターが完成前画像PDとともに移動する態様、移動中であることを強調する強調表示(移動方向を示す方向表示、完成されたボタン模式図BDではないことを強調するエフェクト等)が完成前画像PDとともに移動する態様等であってもよい。
さらに、ボタン模式図BDが完成する過程の動画を表示している最中は、可動役物本体266が所定動作(図72(a)に示す位置まで横移動したり、図70(d)に示すように、遊技者から視認できるか否かの境目の昇降位置で表示部55aの左右方向の中央側へ向けて横移動したりする動作等)を実行する。そして、ボタン模式図BDが完成すると、図72(f)に示すように、可動役物本体266が上昇や横移動を経てボタン模式図BDの側方に位置する。
また、ボタン模式図BDが完成する過程の動画を表示している最中に遊技者が遊技演出ボタン17を押し下げ操作した場合には、移動中の完成前画像PDを、ボタンの戻り状態を表現する態様に設定してもよいし、あるいは、移完成前画像PDが重なってボタン模式図BDが完成した時点でボタンの戻り状態を表現してもよい。
そして、円板状の完成前画像PDのうち外周面を描画する箇所を遊技者による遊技演出ボタン17の操作の有効期間に関する表示を行う表示器として機能させてもよい。例えば、遊技演出ボタン17の操作の有効期間の開始前では、外周面を塗りつぶし無しで表現して有効期間の開始準備が整っていない旨を表現してもよいし、あるいは、外周面を塗りつぶし状態で表示して、有効期間の開始準備は整っているが有効期間の減少がまだ始まっていないことを表現してもよい。そして、各完成前画像PDが重なってボタン模式図BDが完成した後に塗りつぶし部の横幅が次第に短くなって有効期間の減少が始まったことを表現してもよい。また、各完成前画像PDの移動中に外周面の塗りつぶし部が次第に広がるように表現して、ボタン模式図BDが完成する過程において遊技演出ボタン17の操作の有効期間がチャージされているかのように見せてもよい。さらに、各完成前画像PDの外周面の表示の変化よって表示される内容は、遊技演出ボタン17の操作の有効期間に関する表示に限らず、他の時間経過の表示であってもよい。例えば、完成前画像PDの表示開始からボタン模式図BDの完成(各完成前画像PDの重合完了)までの時間経過(または完成までの残り時間)を表示してもよい。ボタン模式図BDの完成までの時間経過を表示すれば、遊技演出ボタン17の操作の有効期間の開始前の演出表示として完成前画像PD(詳しくは、ボタン模式図BDとは異なる態様の表示)を有効に活用することができる。これにより、遊技の興趣を向上させることができ、しかも、遊技者が有効期間の開始タイミングを容易に把握することができる。そして、遊技演出ボタン17の操作の有効期間に関する表示や、他の時間経過の表示を実行するときの表示態様として、有効期間中(時間経過中)における表示態様と、有効期間開始時(時間経過開始時)における表示態様とを異ならせれば、遊技者が有効期間中(時間経過中)であるか否かを容易に認識することができ、遊技者の操作意欲や遊技の興趣を向上させることができる。
このようにして、完成前画像PDの表示を絡めて演出を実行すれば、完成されるボタン模式図BDに対して遊技者に注視させることができ、遊技者の操作手段の操作意欲を向上させることができる。また、完成前画像PDを用いた演出を様々な態様で実行すれば、遊技の興趣の向上を図ることができる。
図73に示す変形例では、遊技球の打ち方を指示するための演出表示に対して下側可動役物252が演出動作を行う。具体的に説明すると、まず、電サポ状態の遊技進行時に消化中の特図変動表示ゲームの実行が終了し、次回の特図変動表示ゲームおよび飾り特図変動表示ゲームの終了後に電サポ状態が解除されるように設定されているものとする(図73(a)および(b)参照)。このとき、表示装置55が右打ち指示表示RD(「右打ち」の文字と右向き矢印との組み合わせの表示)を行って、遊技者に所謂右打ちで発射操作ハンドル15を操作する旨を促す。また、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置に維持し、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を姿勢変換前位置に配置して可動役物本体266を第1姿勢に維持する。この状態で、次回の特図変動表示ゲームおよび飾り特図変動表示ゲームが実行されると、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置から移動して下側可動役物252を右打ち指示表示RDの横に並べる(図73(c)および(d)参照)。そして、実行中の特図変動表示ゲームおよび飾り特図変動表示ゲームが終了(図73(d)ではハズレ態様で終了)するとともに電サポ状態が解除されると、表示装置55が電サポ状態における遊技成績(「4連荘」,「4500pt」等)を表示する(図73(e)参照)。
この状態を維持したまま遊技者が遊技を進行し、第1始動入賞口36または第2始動入賞口41に遊技球が入賞すると、図73(f)に示すように、表示装置55が消化記憶表示領域335内に記憶表示を表示するとともに飾り特図変動表示ゲームを実行する。さらに、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を姿勢変換前位置から上昇位置へ上昇させて可動役物本体266を第1姿勢から第2姿勢に変換し、表示装置55が右打ち指示表示RDを消去し、代わりに左打ち指示表示LD(「左打ち」の文字と左向き矢印との組み合わせの表示)と装飾画像A8とを表示して、遊技者に所謂左打ち(遊技球を第2ケース球流下路27へ流下させ、さらには球導入路79、ステージ部76を経て第1始動入賞口36へ入賞させるように発射操作を行うこと)で発射操作ハンドル15を操作する旨を促す。その後、表示装置55が装飾画像A8を消去し(図73(g)参照)、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇位置と姿勢変換前位置との間で上昇および下降を交互に繰り返して可動役物本体266を第1姿勢と第2姿勢とに繰り返し変換する(図73(g)および(h)参照)。そして、実行中の特図変動表示ゲームが終了すると、表示装置55が飾り特図変動表示ゲームの実行を終了(図73(i)ではハズレ態様で終了)するともに左打ち指示表示LDを消去し、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を下降位置まで下降させ、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置へ戻す(図73(i)参照)。
このようにして、遊技制御装置58が通常遊技状態と特定遊技状態(遊技者に右打ちや左打ちを促す特定遊技状態)との切り替え制御を実行し、この切り替えに対応して演出制御装置59が表示装置55に操作促進演出(右打ちの指示や左打ちの指示)を表示するので、遊技の興趣を高めることができる。なお、遊技制御装置58が切り替える特定遊技状態は、通常遊技状態よりも遊技者に有利な状態であれば、どのような設定の遊技状態であってもよい。また、演出制御装置59は、遊技の進行過程における所定タイミング(右打ちのタイミング、左打ちのタイミング、V入賞を獲得し得る状態(大入賞口31の開放時にV入賞シャッター99が開いて遊技球がV入賞流路97へ流入可能となった状態)になって遊技者にV入賞を狙わせる操作を促すタイミング)を報知可能であり、このタイミングの報知に対応させて制御を実行して、表示装置55に操作促進演出(右打ち指示表示RDや左打ち指示表示LD)を表示させるので、遊技の興趣を一層向上させることができる。なお、演出制御装置59が報知可能な所定タイミングは、遊技の進行過程に係る内容であれば、どのように設定してもよい。例えば、遊技者に大当り状態の開始を報知するタイミングでもよいし、遊技者に所定の入賞を狙わせる旨を報知するタイミングでもよい。
また、図73(e)に示す表示装置55の表示内容から図73(f)に示す表示装置55の表示内容への変化においては、表示装置55が電サポ状態における遊技成績(「4連荘」,「4500pt」等)の表示の終了よりも先に、右打ち指示表示RDを終了してもよい。このようにすれば、遊技状態が切り替わったことを明確に表現することができる。あるいは、表示装置55が電サポ状態における遊技成績の表示の終了よりも先に、右打ち指示表示RDから左打ち指示表示LDへの切り替え表示を実行してもよい。このようにして球打ち方向の指示の変更を直ちに行えば、電サポ状態の終了を明確に報知することができる。この結果、遊技者が無駄に遊技球を右打ちしてしまうこと(詳しくは、電サポ状態の終了により普通電動役物41aが開き難くなったにも拘わらず、遊技者が遊技球を右打ちして第2始動入賞口41への入賞を狙おうとすること)を抑えることができ、遊技の興趣が損なわれ難くすることができる。さらに、遊技者に左打ちを促す遊技状態(通常遊技状態)では、左打ち指示表示LDを敢えて表示しなくてもよい。言い換えると、右打ち指示表示RDが消去されたことによって遊技者に左打ちを促すように示唆してもよい。
なお、図74(a)および(b)に示すように、表示装置55が右打ち指示表示RDや左打ち指示表示LDを表示する場合には、下側可動役物252や各指示表示から離れた箇所(図74においては表示部55aの右上隅部)に、球打ちの方向を指示する矢印を各指示表示とは別個に表示すれば、下側可動役物252の演出動作の影響や、表示装置55の中央側にて表示される演出画像(例えば、先読み予告演出、遊技演出ボタン17の促進画像又は背景画像及び背景画像の切り替わり等)の影響で遊技者が右打ち指示表示RDや左打ち指示表示LDの内容を把握し難かったとしても、遊技者に球打ちの方向を滞りなく示すことができて好適である。
なお、表示部55aの隅に表示される矢印(球打ち方向を指示する表示)は、遊技状態が切り替わるタイミングだけでなく、特定期間中(大当り状態の開始時や、遊技者にV入賞を狙わせるとき等)に表示してもよいし、大当り状態や電サポ状態等の特定遊技状態において常時表示してもよい。また、通常遊技状態においても、表示部55aにおける背景表示を変更するときや、表示装置55において複数の先読み予告演出(例えば、保留変化演出(記憶表示の変化の演出)とセリフ予告演出とキャラクタ画像とが表示される予告演出等)が重複して表示される場合には、左打ちを指示する矢印を表示部55aの隅に常時表示して遊技者が把握し易いようにしてもよい。
図75に示す変形例では、表示装置55が記憶表示の動画M3(詳しくは、記憶表示を待機保留表示領域336から消化記憶表示領域335へ移動する動画)を実行し、下側可動役物252がこの動画M3に対して演出動作を行う。具体的に説明すると、前回の特図変動表示ゲームが終了して次回の特図変動表ゲームが開始するまでの間に、表示装置55が記憶表示の動画M3を実行して、保留されていた待機保留表示領域336内の記憶表示(次回開始予定の特図変動表ゲームに対応する記憶表示)を消化記憶表示領域335へ放物線に沿って移動する(図75(a)参照)。また、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を姿勢変換前位置に配置して可動役物本体266を第1姿勢とし、この状態で下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置から移動して下側可動役物252を移動中の記憶表示に近づける。
そして、第1姿勢の可動役物本体266の側端部(突出部)が記憶表示の側縁まで近づくと、表示装置55が移動中の記憶表示の周辺部分に装飾画像A9を表示し、さらには移動中の記憶表示の表示態様を変更(白円形から黒円形で示す表示態様へ変更)して、移動中の記憶表示に対応する特図変動表示ゲームの結果(言い換えると、次回実行予定の特図変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲームの結果)が大当りになる可能性がある旨を予告する(図75(b)参照)。すなわち、特図変動表示ゲームの結果を先読みして予告する演出(先読み演出)を実行する。その後、表示装置55が表示態様変更後の記憶表示を消化記憶表示領域335内で停止する(図75(c)参照)。なお、図75の変形例では、放物線上に沿って移動する記憶表示と、可動役物本体266の側端部とが触れて記憶表示の表示態様が変更されたかのように見せるために、可動役物本体266を傾斜させずに第1姿勢のままにして側端部が記憶表示の下方にずれることを避けている。さらに、移動中の記憶表示における表示態様の変更や、移動中の記憶表示の周辺への装飾画像A9の表示を、記憶表示の移動が開始したタイミングで実行すれば、制御コマンドのトラブル(通信関連の遅延等)や軽微な動作不良(物理的なトラブル)によって可動役物本体266の動作が遅延した場合であっても、違和感なく演出を遊技者に見せることができ、遊技の興趣を維持することができる。
図76に示す変形例では、遊技者に遊技演出ボタン17の操作を促す操作促進演出を図柄揃えゲームの形式(スロットマシンのように、3つの変動図柄をボタン操作により停止するゲームの形式)で実行し、下側可動役物252がこの操作促進演出に対して演出動作を行う。具体的に説明すると、図76(a)に示すように、表示装置55が操作促進演出を表示して表示部55aに横並び状態の3つの図枠Fと、各図枠F内で変動する図柄を表示し、各図枠Fの下方には、ボタンを模した円形描画体Bを網掛けの塗りつぶし態様でそれぞれ表示する。また、下側役物リアユニット135が下側昇降役物ユニット232をスライド待機位置に維持し、この状態で下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を姿勢変換前位置まで上昇させて、第1姿勢の可動役物本体266を表示部55aの前方のうち左端の円形描画体Bの側方(図76(a)中、左側方)へずれた位置に配置する。そして、遊技者が遊技演出ボタン17を押圧操作すると、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を姿勢変換前位置から上昇位置へ上昇させて可動役物本体266を第2姿勢へ変換し、可動役物本体266の側端部が円形描画体Bに触れて操作したかのような動きを表現し、表示装置55が左端の円形描画体Bの周辺に装飾画像A10を表示する(図76(b)参照)。その後、下側昇降役物ユニット232が下側可動役物252を上昇位置から姿勢変換前位置へ下降させて可動役物本体266を第1姿勢へ戻し、表示装置55が装飾画像を消去するとともに、左端の円形描画体B(言い換えると、可動役物本体266が近づいて演出動作を行った円形描画体B)の塗りつぶし態様を変更(白色塗りつぶし態様に変更)し、左端の円形描画体Bの上方に位置する図枠Fに停止図柄(「7」等の図柄)を表示する(図76(c)参照)。このような演出を残りの円形描画体Bに対してもそれぞれ実行して(図76(d)参照)、遊技者の遊技演出ボタン17の押圧操作に応じて図枠F内に停止図柄を表示する。
なお、操作促進演出において複数の図枠F内に表示される図柄は、「7」等の数字であることに限らず、どのような図柄であってもよい。例えば、図77に示すように、遊技に対する期待度の報知(「チャンス」等)、待機保留表示領域336内や消化記憶表示領域335内の記憶表示が変化する旨の予告報知(「保留変化」等)、変動表示ゲームの擬似表示が連続で実行される旨の予告報知(「擬似連×2」等)、普通電動役物や大入賞口の開放パターンが変化する旨の予告報知(「長開放!」等)の記載を表示して遊技者に遊技進行の内容を報知してもよい。
ところで、上記した下側可動役物252の演出動作の実行時には、表示装置55が移動中の下側可動役物252に対する演出表示を実行してもよい。例えば、図78に示すように、下側可動役物252が表示部55aの前方に重なって移動している時に、表示部55aのうち下側可動役物252の後方に位置する箇所に、下側可動役物252を模した図の画像(残像画像C)を下側可動役物252に重ねて表示したり、下側可動役物252が通り過ぎた後に表示したりしてもよい。また、残像画像Cを下側可動役物252と同じサイズや下側可動役物252よりも一回り小さいサイズに設定してもよい。表示装置55が残像画像Cを表示すれば、下側役物リアユニット135が故障して下側可動役物252が移動できなくなったときでも、下側可動役物252が動いているかのような演出を実行することができて好適である。さらに、下側可動役物252が他の演出部材の動作を契機にして演出動作を変化させてもよい。例えば、図79に示すように、側縁役物ユニット134が演出実行状態に変換して側縁回動役物202が演出実行位置に回動したことを契機にして、下側可動役物252の発光態様などの演出態様が変化するように構成してもよい。
ところで、上記パチンコ遊技機においては、遊技進行に関する設定(大当り状態の発生確率等)を複数段階で変更可能とする設定変更手段を備えてもよい。そして、この設定変更手段により設定を変更すると、この変更に対応して、役物(下側可動役物252や側縁回動役物202等)の発光色や動作等の演出態様が予め設定された所定の確率で変更し得るように構成してもよい。言い換えると、遊技進行に関する設定を役物の演出態様によって示唆するように構成してもよい。例えば、先読み予告演出(保留変化(記憶表示変更)演出)の際に役物(可動役物本体266のように傾斜動作可能な役物)が傾斜動作を実行する場合には、遊技進行に関する設定に応じて上記傾斜動作の設定が異なり得るようにしてもよい。具体的には、遊技進行に関する設定において大当り状態の発生確率等が高く遊技者に有利な設定である場合には、役物の動作速度や動作頻度を増大させることにより、遊技者が先読み予告演出に注目し易いように構成してもよいし、あるいは、役物の動作速度や動作頻度を減少させることにより、役物の稀な演出を遊技者に見せて遊技への期待感を惹起させ易いように構成してもよい。このようにして、遊技進行に関する設定が役物の動作態様により示唆されるように構成すれば、遊技者が役物の動作を観察して遊技進行に関する設定がどのようになっているかを推測しながら遊技を楽しむことができる。
さらに、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らずどのような遊技機でもよい。例えば、封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機、スロットマシン等の遊技機であってもよい。
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。