JP2019039675A - 人体模型線量測定用部材、その製造方法及び人体模型線量測定具 - Google Patents

人体模型線量測定用部材、その製造方法及び人体模型線量測定具 Download PDF

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Abstract

【課題】密度制御や成形が容易で、光フェーディングの影響を受けず、繰り返し利用可能で、製造上性能を一定にすることが容易な人体模型線量測定用部材、その製造方法及び人体模型線量測定具を提供すること。【解決手段】Al2O3を主成分とする熱蛍光材料からなる人体模型線量測定用部材であって、上記熱蛍光材料の嵩密度を特定の式にしたがって人体の構成部位のうち所望の構成部位の電子密度と所定の関係を有する電子密度となるように嵩密度を調整してなることを特徴とする人体模型線量測定用部材、及び上記熱蛍光材料の構成成分を圧縮して熱蛍光材料の前駆体を製造する際の圧縮度を調整することにより、上記熱蛍光材料の嵩密度を所望の嵩密度とする、嵩密度調整工程を具備することを特徴とする人体模型線量測定用部材の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、人体模型線量測定用部材及びその製造方法に関する。
電離箱や半導体検出器などの電気回路等を必要とする検出器では、測定システム上、各臓器に等価な人体模型することは不可能であるため、人体模型ファントムそのものが線量計として機能するような新しいシステムを構築できる線量計は、ガラス線量計、光刺激ルミネセンス線量計、輝尽性蛍光体を利用した線量計、ゲル線量計、熱蛍光線量計である。
ガラス線量計は、ラジオフォトルミネセンスという現象を利用しているが、この現象を示す有効な組成は、銀活性リン酸塩ガラスのみである。この銀活性リン酸塩ガラスは、密度制御や成形も困難を伴うという問題がある。
また、光刺激蛍光線量計や輝尽性蛍光体を利用した線量計も同様に有効な組成は、AlにCを添加したものやBaFBrにEuを添加した蛍光体などである。しかし、これらの蛍光体は、光フェーディングの影響を大きく受けるため、人体模型ファントム線量計としては、利用が難しいという問題がある。
ゲル線量計は、組織等価物質で構成されており、添加物を制御することで各臓器に等価な線量計を作成可能であるが、繰り返し利用することができず、また、廃棄物も多量に出ること、合成時に雰囲気をコントロールする必要があり、性能を一定にすることが困難で、コストも高いという問題がある。特に、測定に大型のMRIや光CT装置などの高額な装置も必要となるので、手軽に利用することができないという問題もある。
要するに、従来提案されている人体模型型のファントムに利用できる成分は、いずれも密度制御や成形も困難を伴う、光フェーディングの影響を大きく受ける、繰り返し利用することができず、廃棄物も多量に出ること、性能を一定にすることが困難で、コストも高く、手軽に利用することができないため、これらの問題を解消した人体模型線量測定に関する技術の開発が要望されているのが現状である。
したがって、本発明の目的は、密度制御や成形が容易で、光フェーディングの影響を受けず、繰り返し利用可能で、製造上性能を一定にすることが容易な人体模型線量測定用部材、その製造方法及び人体模型線量測定具を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解消するために鋭意検討した結果、熱蛍光特性を示すアルミナがその密度によって実効原子番号とは異なる挙動を示すことを知見し、更に検討を重ねた結果所定条件で嵩密度を制御することで、人体の部位ごとに等価とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の各発明を提供するものである。
1.Alを主成分とする熱蛍光材料からなる人体模型線量測定用部材であって、
上記熱蛍光材料の嵩密度を下記式(1)にしたがって人体の構成部位のうち所望の構成部位の電子密度と所定の関係を有する電子密度となるように嵩密度を調整してなることを特徴とする人体模型線量測定用部材。

2.上記熱蛍光材料は、Crを熱蛍光材料全体中 1 重量%以下の配合割合で含有することを特徴とする1記載の人体模型線量測定用部材。
3.Alを主成分とする熱蛍光材料からなる人体模型線量測定用部材の製造方法であって、上記熱蛍光材料の構成成分を圧縮して熱蛍光材料の前駆体を製造する際の圧縮度を調整することにより、上記熱蛍光材料の嵩密度を所望の嵩密度とする、嵩密度調整工程を具備することを特徴とする人体模型線量測定用部材の製造方法。
4.人体模型と、該人体模型の所定部位に配設された線量測定用部材とを具備し、
上記線量測定用部材が、配設される人体模型の相当する人体の構成部位の電子密度と所定の関係を有する電子密度となるように嵩密度を調整してなる、1又は2記載の人体模型線量測定用部材である、人体模型線量測定具。
本発明の人体模型線量測定用部材は、密度制御や成形が容易で、光フェーディングの影響を受けず、繰り返し利用可能で、製造上性能を一定にすることが容易なものである。また、レアメタルなどを用いることなく安価な材料により構成できるという利点もある。
また、本発明の人体模型線量測定用部材の製造方法によれば、上記の本発明の人体模型線量測定用部材を性能上安定して、簡易且つ簡便に得ることができる。
また、本発明の人体模型線量測定具は、人体等価の模型線量計として種々放射線測量分野において有用である。
図1(a)は本発明の人体模型線量測定具の1実施形態を示す斜視図であり、(b)はその一部拡大図である。 図2は本発明の人体模型線量測定具を用いた線量測定の1形態を示す概要説明図である。 図3は嵩密度50%の本発明の人体模型線量測定用部材の熱蛍光測定結果を示す写真(図面代用写真)である。 図4は嵩密度90%の本発明の人体模型線量測定用部材の熱蛍光測定結果を示す写真(図面代用写真)である。 図5は嵩密度80%の本発明の人体模型線量測定用部材の熱蛍光測定結果を示す写真(図面代用写真)である。 図6は嵩密度70%の本発明の人体模型線量測定用部材の熱蛍光測定結果を示す写真(図面代用写真)である。 図7は嵩密度60%の本発明の人体模型線量測定用部材の熱蛍光測定結果を示す写真(図面代用写真)である。 図8は嵩密度と熱蛍光特性との関係を示すグラフである。 図9(a)はスラブ状人体模型の1例を示す写真(図面代用写真)であり、(b)はその熱蛍光分布を示す写真(図面代用写真)である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の人体模型線量測定用部材は、Alを主成分とする熱蛍光材料(以下、「TLD」又は「アルミナTLD」という場合もある」からなる人体模型線量測定用部材であって、上記熱蛍光材料の嵩密度(以下、「Bulk Density」と称する場合もある)を後述する式にしたがって人体の構成部位のうち所望の構成部位の相対電子密度に準じた量に調整してなることを特徴とする。
以下、詳述する。
<熱蛍光材料>
(主成分)
上記熱蛍光材料は、その 主成分としてAlを有する。Alの結晶構造などは特に制限されない。
(副成分)
本発明においては、上記主成分に本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々副成分を加えることができる。特に発光成分を用いるのが好ましく、本発明においては、Cr、Ti、Mn、をはじめとする希土類元素や遷移金属元素等を好ましく用いることができる。
(量比)
上記発光成分を用いる場合、その使用量は、熱蛍光材料全体中 1 重量%以下の配合割合で含有するのが好ましく、0.02〜0.1重量%の配合量で含有するのがさらに好ましい。特にこの量比関係は発光成分としてCrを用いる場合に好ましい範囲である。また、上記発光成分は分散されて配合されているのが好ましい。
なお、上記副成分として、上記発光材料に加えて、SiO2やMgOなどの該発光成分以外の成分も用いる場合であっても上記主成分は熱蛍光材料全体中80重量%以上の配合量で含有するのが好ましい。
(形態)
上記熱蛍光材料の形状は特に制限されず、種々形状とすることができるが、基本的に板状であるのが好ましい。また、板状であればその平面形状は特に制限されないが、用いられる人体部位、例えば肝臓に変えて用いる場合には肝臓の断面形状を平面形状として有するのが、使用態様から好ましい。
また、板状体とする場合の厚みは、0.5 〜 5mmとするのが、好ましい。
(嵩密度)
本発明における上記熱蛍光材料は、その嵩密度が、下記式にしたがって人体の構成部位のうち所望の構成部位の電子密度と所定の関係を有する電子密度を有するように調整されている。要するに、下記式から明らかなように、熱蛍光材料の目的とする所望の人体の構成部位の電子密度に対する相対電子密度が下記式を満たすように嵩密度を調整することにより、当該所望の人体の構成部位の相対阻止能と同等の阻止能を有することとなり、人体等価な線量計部材として用いることが可能となる。要するに、下記式が後述する相対電子密度と等価となるように、εを調整してなるものが本発明の人体模型線量測定用部材である。なお、「等価」であるとは、相対電子密度の値が人体の構成部位の相対電子密度と全く同じであることを必須とするものではなく、±0.1以内であれば通常等価と言える。
(上記式を見出した知見について)
このような式によって嵩密度を調整するのが、人体模型線量測定用部材において好適であることは、以下のようにして見出したものである。
すなわち、放射線治療などで用いられる0.1MeV以上の光子と物質の相互作用ではコンプトン散乱が支配的となる。コンプトン散乱の反応断面積は電子密度に依存することから、これらの光子に対して電子密度が等価である物質は相互作用、付与線量などが等価であると見なすことができる。水に対する電子密度の比を相対電子密度(Relative Electron Density)ρe/ρe,wとすると以下のように示される。
様々な人体構成物質の組成はICRU44(ICRU44 Appendix Body Tissue Composition)に示されており、ρe/ρe,w=0.26〜2.5程度であり、肺のような低密度物質を除くとρe/ρe,w=0.9〜2.5程度である。
アルミナ(Al2O3)を主成分とするTLD(以降アルミナTLD)の相対電子密度ρe,TLD/ρe,wは以下の式で近似される。
上式より、アルミナTLDの相対電子密度に物質密度に比例することが分かる。嵩密度を調整しない際のアルミナTLDの密度をρTLD,0=3.70g/cmとするとρe,TLD/ρe,w=3.27となり人体組成物質の相対電子密度より大きい。
嵩密度の調整比をε(≦1)とすると嵩密度を調整したアルミナTLDの相対電子密度は以下で示される。
よって上記式によれば、嵩密度25〜75%のアルミナTLDが相対電子密度を0.9〜2.5程度に調整することができ、光子に対して人体等価な物質として機能することがわかり、上記式にしたがって嵩密度を調整することで人体の部位(内臓の各器官、骨等)に応じた線量測定用の部材となりえることがわかる。
一方、荷電粒子と物質の相互作用は阻止能と呼ばれる単位距離あたりの損失エネルギー量で定義される。粒子線治療などで利用されるエネルギー領域の阻止能はBethe-Blochの式で良く表される。ある物質の阻止能と水の阻止能との比を相対阻止能S/Sとすると以下の式で表すことができる。
様々な人体構成物質の組成はICRU44に示されており、S/S=0.26〜1.8程度であり、肺のような低密度物質を除くとS/Sw=0.9〜1.8程度である。
アルミナ(Al2O3)を主成分とするTLD(以下、「アルミナTLD」という場合もある)の相対阻止能 STLD/Sは以下の式で近似される。
ここで
である。上式を計算すると以下のようになる。
この式より、アルミナTLDの相対阻止能が物質密度に比例することが分かる(すなわち数9に示す値は後述の表1における相対阻止能に対応する)。嵩密度を調整しない際のアルミナTLDの密度をρTLD,0=3.70g/cmとするとSTLD/Sw=3.06となり人体組成物質の相対電子密度より大きい。
対して、嵩密度の調整比をε(≦1)とすると嵩密度を調整したアルミナTLDの相対電子密度は以下で示される。
この式より嵩密度の調整により相対阻止能を調整することができることも明らかである。これにより、嵩密度30〜60%のアルミナTLDは相対阻止能を0.9〜1.8程度に調整することができ、荷電粒子に対して人体等価な物質として機能する線量測定用部材となり得ることがわかる。
表1にアルミナTLDと人体構成物質の相対電子密度、相対阻止能の例を示す。
(製造方法)
本発明の人体模型線量測定用部材は、上記熱蛍光材料の嵩密度を、構成成分を混合し圧縮する過程で圧縮率を調整するか、構成成分にバインダーをその種類や添加量を調整して添加することにより、調整する嵩密度調整工程を行うことにより得ることができる。
以下、圧縮率を調整する方法について詳述する。
上記嵩密度調整工程は、上記熱蛍光材料の原材料であるアルミナ粉体及びクロム粉体等の他の成分を混合し、圧縮する際の圧縮率を変更することで実施することができる。また、嵩密度の調整は、用いるアルミナ粉体及びクロム粉体の平均粒子径を調整することでも可能である。
具体的には、通常アルミナ系のセラミックの構成成分としてアルミナ粉体及びクロム粉体を用い、圧縮率を適宜調整することで嵩密度を調整できる。この際圧縮率を低くすれば嵩密度の低い熱蛍光材料が得られ、高くすれば嵩密度の高い熱蛍光材料が得られる。
ここで「圧縮率」は、単に容器に粉体を投入した状態(初期状態)の体積を100%としたときに、容器の1方向から加圧して容器内部の粉体の集合体を圧縮した場合の体積を初期状態の体積を比較し、その減少率をもって圧縮率とした。
また、圧縮方法などは通常のセラミック材の製造方法と同様であり、また、この工程の他の工程は通常のセラミック材料と同様に行うことができる。
(使用方法・作用効果)
本発明の人体模型線量測定用部材は、上述のように嵩密度が調整された熱蛍光材料を用いるので、通常の熱蛍光材料からなる線量計と同様に、所望の測定箇所に人体模型線量測定用部材を設置し、所定の計測時間被ばくさせた後、回収し、特開2014−28913号公報〔0029〕〜〔0031〕等に記載の装置等を用いて、同公報〔0032〕〜〔0039〕等に記載の検出方法により、熱蛍光を検出し、検出した熱蛍光を検量線と対比する等して線量の測定を行うことにより用いることができる。
本発明の人体模型線量測定用部材によれば、人体の各構成部位に等価な材料とすることができるので、人体ファントムに線量計を多数配置させて測定する場合のように、空間分解能が十分でなく、また設置した線量計自身の散乱や吸収によって放射線場が乱れるため、本来の人体内部の線量分布とは異なってしまうなどの問題点が生じない。
また、通常のガラス線量計、光刺激ルミネセンス線量計、輝尽性蛍光体を利用した線量計、ゲル線量計、従来の熱蛍光線量計等のように、密度制御や成形が容易で、光フェーディングの影響をあまり受けず、繰り返し利用可能であり、廃棄物も少量であり、性能を一定にすることが容易である。また、材料として高価な材料を用いていないので、低コストに得ることが可能なものであり、手軽に用いることが可能である。
また、本発明の人体模型線量測定具に用いることもできる。
すなわち、図1(a)及び(b)に示すように、人体模型10と、人体模型10の所定部位に配設された線量測定用部材20とを具備する人体模型線量測定具1において、上記線量測定用部材20として上述の本発明の人体模型線量測定用部材を用いる。この際、線量測定用部材20は、そのすべてを本発明の人体模型線量測定用部材により構成することができ、図1(b)に示すように、骨に相当する部位、脂肪に相当する部位、軟組織に相当する部位に分けて、それぞれの部位に等価である本発明の人体模型線量測定用部材(図中では単に「部材」と表す)を用いて構成することができる。
そして、本発明の人体模型線量測定具1を用いて線量の測定を行うには、図2に示すようにまず本発明の人体模型線量測定具1に所定の放射線照射を行う。次いでこの人体模型線量測定具から本発明の人体模型線量測定用部材20を取り出し、ヒーターにて加熱しながら波長弁別型CCDカメラなどを用いて熱蛍光を測定する。そして各波長ごとの光量分 布を算出することで測定を行うことができる。本実施形態の人体模型線量測定用部材のように、部材内で対応する人体の部位に応じって嵩密度のみが異なるように設定されている場合は、それぞれ嵩密度が異なるので、その異なる部位ごとに線量応答曲線から線量分布を求めることができる。発光成分が異なる場合は、波長ごとに線量応答曲線を作成し、線量分布を求めることができる。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
〔実施例〕
下記表に示す組成で、嵩密度を50%、密度1.85g/cm(人体の下顎骨相当の相対電子密度及び相対阻止能を得られる部材を想定)として板状の部材を作成した。素子を作成する過程において、板状化、密度制御について検討すると共に、得られた部材について熱蛍光特性、潮解性について検討した。その結果を表2に示す。
各項目は以下のように判定した。
板状化;
通常のセラミックと同様に板状に成形したときに、以下の基準で目視により判定した。
◎:ゆがみがなくフラットな板状である。
○:若干のゆがみはあるが略フラットである。
△:少しゆがみがみられる。
×:ゆがみが多い。
密度制御;
上記嵩密度に密度を制御した場合に所望の嵩密度に密度制御できたかを以下の基準で判定した。
◎:所望の嵩密度で密度制御できた
○:ほぼ所望の嵩密度に密度制御できた
△:多少の所望の嵩密度からはずれてしまった。
×:密度制御できなかった。
熱蛍光特性;
熱蛍光を測定した結果を以下の基準で判定した。
◎:高解像度で熱蛍光が検出できた。
○:熱蛍光が検出できた。
△:熱蛍光の検出がほぼできた
×:熱蛍光の検出があまりできなかった。
潮解性;
水に浸漬したときの状態を見て以下の基準で判定した。
◎:24時間浸漬した結果潮解は見られなかった。
○:24時間浸漬した結果若干の潮解が見られた。
△:24時間浸漬した結果潮解が見られた。
×:10時間の浸漬で潮解が見られた。
表2に示す結果から明らかなように、Al23にCrを添加してなる本発明の人体模型線量測定用部材がすべての項目について優れていることが明らかである。
また、得られたアルミナTLDの相対阻止能は、表1に示すとおりであり、人体の下顎の骨に相当するものであった。
このアルミナTLDを4枚重ねて、6MVのX線を2Gy照射し、熱蛍光特性を測定したところ、最上層のアルミナTLDも最下層のアルミナTLDもほぼ同じ人体シミュレーションの結果と同じ熱蛍光特性を示した。このことから人体模型用の線量計部材として有用であることがわかる。
また、嵩密度を90%、80%、70%、60%として、Al23にCrを添加してなる本発明の人体模型線量測定用部材を作製した。得られたアルミナTLDについて同様に4枚重ねて、2Gy照射し、熱蛍光特性を測定したところ、最上層のアルミナTLDも最下 層のアルミナTLDもほぼ同じ人体シミュレーションの結果と同じ熱蛍光特性を示した。
これらの結果を図3〜7に示す。
なお、ここでは嵩密度50%までの例しか挙げていないがより嵩密度の低いもの、例えば表1に示す嵩密度40〜10%のものも作成可能である。
また、これらの嵩密度が異なるアルミナTLDに対する相対熱蛍光強度を常法にしたがい測定した。その結果を図8に示す。図8から明らかなように、Bulk Densityの低下に伴い相対熱蛍光強度も減少する。しかし、線量測定に対してはいずれのBulk Densityでも十分な強度を示した。
また、嵩密度50%のアルミンTLDを用いて図9(a)に示すスラブ状人体模型(人体の骨盤部の断面)を作製した。そして上述の条件で2Gy照射し熱蛍光を測定した。熱蛍光画像を図9(b)に示す。人体の骨盤部の断面の熱蛍光画像に近似するものが得られていることがわかる。これにより、嵩密度の異なる人体模型線量測定用部材を作成し、各部材についてそれぞれ線量応答曲線を作成すれば、線量分布に変換できることがわかる。


Claims (4)

  1. Alを主成分とする熱蛍光材料からなる人体模型線量測定用部材であって、
    上記熱蛍光材料の嵩密度を下記式(1)にしたがって人体の構成部位のうち所望の構成部位の電子密度と所定の関係を有する電子密度となるように嵩密度を調整してなることを特徴とする人体模型線量測定用部材。

  2. 上記熱蛍光材料は、Crを熱蛍光材料全体中 1 重量%以下の配合割合で含有することを特徴とする請求項1記載の人体模型線量測定用部材。
  3. Alを主成分とする熱蛍光材料からなる人体模型線量測定用部材の製造方法であって、
    上記熱蛍光材料の構成成分を圧縮して熱蛍光材料の前駆体を製造する際の圧縮度を調整することにより、上記熱蛍光材料の嵩密度を所望の嵩密度とする、嵩密度調整工程を具備することを特徴とする人体模型線量測定用部材の製造方法。
  4. 人体模型と、該人体模型の所定部位に配設された線量測定用部材とを具備し、
    上記線量測定用部材が、配設される人体模型の相当する人体の構成部位の電子密度と所定の関係を有する電子密度となるように嵩密度を調整してなる、請求項1又は2記載の人体模型線量測定用部材である、
    人体模型線量測定具。


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