JP2019008329A - レンズホルダ駆動装置およびカメラ付き携帯端末 - Google Patents

レンズホルダ駆動装置およびカメラ付き携帯端末 Download PDF

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智彦 大坂
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Abstract

【課題】省電力を達成しつつ、二次共振を抑止すること。【解決手段】レンズホルダと固定部とを連結する板バネは、レンズホルダに固定された内周側端部と、固定部に固定された外周側端部と、複数本の連結部と、を備える。複数本の連結部の各々は、少なくとも1つの屈曲部と、この屈曲部の両端にそれぞれ繋がる弾性腕部とを含む。外周側端部に、屈曲部に対向する対向部が形成されている。屈曲部と対向部との間に、少なくとも1つの伸縮性かつ可撓性のある樹脂を有する。【選択図】図11

Description

本発明はレンズホルダ駆動装置に関し、特に、レンズバレルを取り付けることが可能なレンズホルダ(可動部)を、レンズの光軸方向に移動可能なレンズホルダ駆動装置およびカメラ付き携帯端末に関する。
カメラ付き携帯端末には携帯型小型カメラが搭載されている。この携帯型小型カメラには、オートフォーカス(AF)用レンズホルダ駆動装置が用いられる。このようなAF用レンズホルダ駆動装置に使用される駆動機構(アクチュエータ)として、ボイス・コイル・モータ(VCM)を使用したVCM方式が知られている。VCM方式のAF用レンズホルダ駆動装置では、駆動機構(アクチュエータ)として、駆動コイルと、ヨークおよび永久磁石から構成される磁気回路とを備えている。VCM方式の駆動機構は、「ムービングコイル方式」の駆動機構と、「ムービングマグネット方式」の駆動機構とに大別される。
このようなVCM方式のAF用レンズホルダ駆動装置においては、レンズを含む柱状の可動部(レンズ+レンズホルダ)を、固定部に対して径方向に位置決めした状態で、光軸方向(中心軸方向)に変位可能に支持するバネ部材(弾性部材)が使用される。尚、可動部は移動体や可動体とも呼ばれ、固定部は固定部材、支持体、ハウジング、或いは固定体とも呼ばれる。上記駆動機構は、可動部(移動体)と固定部(固定部材;支持体)とに備えられる。
そのようなバネ部材(弾性部材)としては、一般的に、レンズアセンブリ(レンズバレル)を保持するレンズホルダ(柱状の可動部;移動体)の光軸方向両側に設けられる、一対の板バネが使用される。一対の板バネは、レンズホルダ(柱状の可動部;移動体)をその周囲に配置されたハウジング(筒状の固定部;固定部材;支持体)に対して径方向に位置決めした状態で、光軸方向に変位可能に支持する。一対の板バネのうち、一方は上側板バネと呼ばれ、他方は下側板バネと呼ばれる。
尚、上側板バネは、前側スプリング或いは前側バネ部材とも呼ばれ、下側板バネは、後側スプリング或いは後側バネ部材とも呼ばれる。
したがって、VCM方式のAF用レンズホルダ駆動装置では、板バネ(バネ部材)の復元力(付勢力)と駆動機構による推力(駆動力)とをバランスさせて、可動部(移動体)を光軸方向の所定位置(目標位置)に移動させる。このような構成のVCM方式のAF用レンズホルダ駆動装置では、可動部(移動体)を固定部(固定部材;ハウジング;支持体)に対して板バネ(バネ部材)によって支持しているため、可動部(移動体)を駆動した際、あるいは外部からの振動や衝撃等により、可動部(移動体)が不要に振動するという問題がある。
この問題を解決するための対策が、従来から種々提案されている。
例えば、特許文献1では、複数の切り欠き溝を設けてレンズホルダと固定部材との連結部を形成した板バネに、弾性を有する樹脂からなる緩衝部材を配置している。緩衝部材は、レンズホルダと板バネとの接続近傍、および、固定部材と板バネとの接続近傍に、配置されている。
また、特許文献2では、外側リングと内側リングとそれらを連結する弾性連結部とを有するスプリングに、ダンピング剤を塗布している。ダンピング剤は、弾性連結部の内側リング寄りの部位に塗布されている。
さらに、特許文献3では、移動体におけるレンズ光軸方向の前側端部と支持体とに接続する前側バネ部材であって、支持体側連結部と、移動体側連結部と、それらを接続するアーム部とを備えた前側バネ部材に、粘弾性を備えた緩衝材を設けている。緩衝材は、アーム部と移動体側連結部とにまたがる箇所のうち、アーム部において当該アーム部の移動体側連結部との接続部より当該アーム部の支持体側連結部との接続部分に近い部分と移動体側連結部とにまたがる箇所にのみ、設けられている。
さらにまた、特許文献4では、可動体と固定体とを繋ぐバネ部材に、固定体に対する可動体の光軸方向おける振動を吸収して可動体の振動時間を短縮させる粘弾性を有する緩衝材を備えている。緩衝材の設置個所には、緩衝材の設置範囲の目安となる凸部および/または凹部が形成されている。バネ部材は、可動体に固定される可動側固定部と、固定体に固定される固定側固定部と、それらを繋ぐ腕部とを備える。可動側固定部に繋がる腕部の一端を腕部の先端とし、固定側固定部に繋がる腕部の他端を腕部の基端とする。緩衝材は、可動側固定部と固定側固定部とにまたがる箇所、腕部の先端側を除いた部分と可動側固定部とにまたがる箇所、腕部の基端側を除いた部分と固定側固定部とにまたがる箇所、可動体と固定側固定部とにまたがる箇所、固定体と可動側固定部とにまたがる箇所、腕部の先端側を除いた部分と可動体とにまたがる箇所、腕部の基端側を除いた部分と固定体とにまたがる箇所、および、可動体と固定体とにまたがる箇所のうち、少なくともいずれかの箇所に設けられている。
また、合焦精度を向上させるために、フィードバック制御によりレンズの位置を制御することが行われている(例えば、特許文献5参照)。特許文献5に開示された撮像装置は、レンズと、レンズの位置を調整するための駆動素子と、レンズの位置を検出するための位置検出素子とを備える。撮像装置に搭載されるフォーカス制御回路は、位置検出素子の出力信号により特定されるレンズの位置と、外部から設定されるレンズの目標位置との差分をもとに、レンズの位置を目標位置に合わせるための駆動信号を生成し、駆動素子を制御するフィードバックイコライザを備えている。
特開2006−251111号公報 特開2009−271204号公報 特許第5489747号公報 特開2012−32607号公報 特開2011−22562号公報
ところで、VCM方式のAF用レンズホルダ駆動装置においては、板バネ(バネ部材)の復元力(付勢力)に抗して、駆動機構の推力(駆動力)によって、可動部を光軸方向に上下動させている。したがって、板バネ(バネ部材)の復元力(付勢力)が大きい場合、駆動機構の推力(駆動力)を大きくしなければならず、結果として、駆動コイルに大きな駆動電流を流さなければならない。
上述した特許文献1〜4では、以下に述べるような問題点がある。
特許文献1では、緩衝部材が、ホルダまたは固定部材と板バネとの接続箇所近傍に配設されている。その為、緩衝部材がない本来の板バネに比較して、当該緩衝部材付き板バネの光軸方向の復元力が大きくなってしまう。換言すれば、板バネの光軸方向のばね定数が変化してしまう。その結果、板バネの復元力に抗して、駆動コイルに大きな駆動電流を流さなければならない。
特許文献2では、ダンピング剤が、スプリングの弾性連結部の内側リング寄りの部位に塗布されている。その為、上記特許文献1と同様に、ダンピング剤がない本来のスプリングに比較して、当該ダンピング剤付きスプリングの復元力が大きくなってしまう。換言すれば、スプリングの光軸方向のばね定数が変化してしまう。その結果、スプリングの復元力に抗して、駆動コイルに大きな駆動電流を流さなければならない。
特許文献3では、粘弾性を備えた緩衝材が、前側バネ部材のアーム部と移動体側連結部とに跨って設けられている。その為、上記特許文献1および2と同様に、緩衝剤がない本来の前側バネ部材に比較して、当該緩衝材付き前側バネ部材の付勢力(復元力)が大きくなってしまう。換言すれば、前側バネ部材のレンズ光軸方向のばね定数が変化してしまう。その結果、前側バネ部材の復元力に抗して、駆動コイルに大きな駆動電流を流さなければならない。
特許文献4でも、粘弾性を備えた緩衝材が、バネ部材の2つの箇所に跨って設けられている。その為、上記特許文献1乃至3と同様に、緩衝剤がない本来のバネ部材に比較して、当該緩衝材付きバネ部材の付勢力(復元力)が大きくなってしまう。換言すれば、バネ部材のレンズ光軸方向のばね定数が変化してしまう。その結果、バネ部材の復元力に抗して、駆動コイルに大きな駆動電流を流さなければならない。
すなわち、特許文献1〜4に開示されたレンズホルダ駆動装置はいずれも、省電力を達成することができない。
そこで、省電力を達成するために、本発明者らは、板バネ(バネ部材)の復元力(付勢力)をできるだけ小さくすることを検討した。その解決策の1つとして、本発明者らは、板バネ(バネ部材)のアーム部の長さを長くすることに想到した。アーム部の長さを長くするために、本発明者らは、アーム部に180度折り返したUターン形状部分を設けた、新規な板バネを試作した。そして、実際に、旧い板バネの代わりに新規な板バネを使用した、レンズホルダ駆動装置を試作した。
そして、本発明者らは、この試作したレンズホルダ駆動装置の性能を試験した。その結果、本発明者らは、従来よりも小さい駆動電流(推力)で、可動部を光軸方向に上下動できることを確認した。
しかしながら、本発明者らは、そのような長いアーム部を持つ板バネを使用すると、次に述べるような新たな問題が発生することを確認した。
詳述すると、試作したレンズホルダ駆動装置の周波数応答特性(ボード線図)を測定(作成)するために、本発明者らは、周波数を変化させた所定振幅の振動を可動部に印加しつつ、レンズホルダ駆動装置に取り付けた位置検知素子で可動部の光軸方向の位置を検出した。その結果、本発明者らは、新規な板バネの固有周波数で、可動部が光軸方向に振動(共振)するばかりでなく、固有周波数の約5倍の周波数で、可動部が光軸の周りで回動しながら揺動(共振)することを確認した。なお、可動部が光軸の周りで回動するのは、板バネのアーム部の長さを長くしたことや移動部がアンバランスである(すなわち、移動部の重心がレンズの光軸からずれている)ことが原因であると考えられる。ここで、固有周波数での振動(共振)は一次共振(主共振)と呼ばれ、固有周波数の約5倍の周波数での揺動(共振)は二次共振(副共振)と呼ばれる。そのため、板バネのアーム部の長さを長くした場合、副共振を抑制することが望まれる。
特に、特許文献5に開示されているようなフィードバック制御を行おうとすると、副共振がフィードバック制御に悪影響を及ぼしてしまう。
したがって、本発明の目的は、省電力を達成しつつ、二次共振(副共振)を抑止することができる、レンズホルダ駆動装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、説明が進むにつれて明らかになるだろう。
本発明の第1の例示的な態様の要点に述べると、レンズホルダ駆動装置(10)は、レンズバレル(11)を取り付けることが可能なレンズホルダ(14)と、このレンズホルダ(14)の外周囲に配置された固定部(12,30)と、レンズホルダ(14)をレンズの光軸(O)方向へ駆動するための駆動機構(16,18,20)と、レンズホルダ(14)と固定部(12,30)とを連結する板バネ(22;24)と、を備える。板バネ(22;24)は、レンズホルダ(14)に固定された内周側端部(222;242)と、固定部(12,30)に固定された外周側端部(224;244)と、内周側端部と外周側端部との間を連結するために周方向に沿って設けられた複数本の連結部(226;246)と、を備える。複数本の連結部(226;246)の各々は、少なくとも1つの屈曲部と、この屈曲部の両端にそれぞれ繋がる弾性腕部とを含む。外周側端部(224;244)に、上記屈曲部に対向する対向部が形成されている。屈曲部と対向部との間に少なくとも1つの伸縮性かつ可撓性のある樹脂(45)を有する。
上記本発明によるレンズホルダ駆動装置(10)において、上記外周側端部(224;244)と上記対向部との間に、弾性変形可能な対向腕部が設けられており、上記対向部がこの対向腕部に連結されてよい。上記複数の伸縮性かつ可撓性のある樹脂(45)は、光軸(O)を中心とする周方向において等角度間隔に設けられていることが望ましい。上記樹脂(45)は弾性接着剤から成ることが好ましい。弾性接着剤(45)は、湿気硬化型弾性接着剤から成ることがより好ましい。湿気硬化型弾性接着剤は、例えば、シリコーン系接着剤、キシル基末端ポリマー系接着剤から選択されてよい。上記屈曲部と上記対向部の少なくとも一方には、屈曲部と対向部との間に位置する対向間隔に突出する少なくとも2つの突起(247)が間隔を空けて形成されており、上記樹脂(45)の少なくとも一部が2つの突起(247)間に位置していることが好ましい。
また、上記本発明によるレンズホルダ駆動装置(10)において、上記板バネは、上側板バネ(22)と下側板バネ(24)とから成り、上記固定部は、レンズホルダ(14)の下側に配置されたベース部材(12)を含んでよい。この場合、上記駆動機構は、上側板バネ(22)および下側板バネ(24)の他方の近傍側で、レンズホルダ(14)の周囲に固定される駆動コイル(16)と、ベース部材(12)上に立設して設けられた略四角筒状のヨーク(20)と、光軸(O)方向と直交する第1の方向(Y)で、ヨーク(20)の対向する一対の内壁面に、駆動コイル(16)と対向するように配置された駆動用マグネット(18)と、を備えてよい。レンズホルダ駆動装置(10)は、上側板バネ(22)および下側板バネ(24)の一方の近傍側で、レンズホルダ(14)の位置を検出する位置検出部(34)を更に備えてよい。位置検出部(34)は、光軸(O)方向および第1の方向(Y)と直交する第2の方向(X)で、レンズホルダ(14)の対応する外周面に取り付けられた、一対のセンサ用マグネット(342a、342b)の一方(342a)と、一方のセンサ用マグネット(342a)と対向して、ベース部材(12)に設けられた磁気検知素子(344)と、を含んでよい。
本発明の第2の例示的な態様によれば、上記レンズホルダ駆動装置(10)を搭載して成るカメラ付き携帯端末(80)が得られる。
尚、上記括弧内の参照符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、本発明は、これらに限定されないのは勿論である。
本発明では、省電力を達成しつつ、二次共振(副共振)を抑止することができる。
本発明の一実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置の外観斜視図である。 図1に図示したレンズホルダ駆動装置の分解斜視図である。 図1の線III−IIIについての縦断面図である。 図1の線IV−IVについての縦断面図である。 図1に示したレンズホルダ駆動装置に使用される上側板バネの形状を、ベース部材から見上げた状態で示す平面図である。 図1に示したレンズホルダ駆動装置に使用される下側板バネの形状を、ベース部材から見上げた状態で示す平面図である。 図5に示した上側板バネと図6に示した下側板バネとの間の関係を示す平面図である。 図1に示したレンズホルダ駆動装置に使用されるフレキシブルプリント基板(FPC)に形成された導体パターンを説明するための図で、(A)はレンズホルダ駆動装置の正面図であり、(B)はフレキシブルプリント基板(FPC)の導体パターンの7つの端子とそれらに接続される端子との間の関係を示す表である。 ベース部材から図1に示したレンズホルダ駆動装置の組立て体を見上げた状態を示す平面図であって、下側板バネに弾性接着剤を設ける(塗布する)前の状態を示す図である。 ベース部材から図1に示したレンズホルダ駆動装置の組立て体を見上げた状態を示す平面図であって、下側板バネに弾性接着剤を設けた(塗布した)後の状態を示す図である。 図9の一部を拡大して示す部分拡大図である。 図10の一部を拡大して示す部分拡大図である。 図1に示したレンズホルダ駆動装置の効果を説明するための図であって、(A)は弾性接着剤を塗布前のレンズホルダ駆動装置(対策前)の周波数応答特性を示すボード線図であり、(B)は弾性接着剤を塗布後の本実施形態に係るレンズホルダ駆動装置(対策後)の周波数応答特性を示すボード線図である。 図1に示したレンズホルダ駆動装置の効果を説明するための図であって、(A)乃至(C)は、それぞれ、弾性接着剤を塗布後の本実施形態に係る、3台のレンズホルダ駆動装置(No1、No2、No3)の周波数応答特性を示すボード線図である。 図1に示したレンズホルダ駆動装置を搭載したカメラ付き携帯端末を示す斜視図である。
図1乃至図4を参照して、本発明の一実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10について説明する。
図1はレンズホルダ駆動装置10の外観斜視図である。図2はレンズホルダ駆動装置10の分解斜視図である。図3は図1の線III−IIIについての縦断面図である。図4は図1の線IV−IVについての縦断面図である。
ここでは、図1乃至図4に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。図1乃至図4に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸方向は前後方向(奥行方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。そして、図1乃至図4に示す例においては、上下方向Zがレンズの光軸O方向である。尚、本実施の形態において、Y軸方向(左右方向)は第1の方向とも呼ばれ、X軸方向(前後方向)は第2の方向とも呼ばれる。
但し、実際の使用状況においては、光軸O方向、すなわち、Z軸方向が前後方向となる。換言すれば、Z軸の上方向が前方向となり、Z軸の下方向が後方向となる。
図示のレンズホルダ駆動装置10は、駆動機構(アクチュエータ)として、ボイス・コイル・モータ(VCM)を使用したVCM方式を採用した、レンズホルダ駆動装置である。VCM方式のレンズホルダ駆動装置は、後述するように、駆動機構(アクチュエータ)として、駆動コイルと、ヨークおよび永久磁石から構成される磁気回路とを備えている。図示のレンズホルダ駆動装置10は、VCM方式の駆動機構として、「ムービングコイル方式」の駆動機構を採用している。
図示のレンズホルダ駆動装置10は、オートフォーカス(AF)可能なカメラ付きの携帯電話機、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレット型パソコン、携帯型ゲーム機、Webカメラ、車載用カメラなどの携帯端末に備えられる。
図示のレンズホルダ駆動装置10は、レンズバレル11を保持するレンズホルダ14(後述する)を光軸O方向に移動させるためのものである。従って、光軸Oは駆動軸(中心軸)である。レンズホルダ駆動装置10は、Z軸方向(光軸O方向)の下側(後側)に配置されたベース部材(アクチュエータ・ベース)12を有する。
このベース部材(アクチュエータ・ベース)12の下部(後部)に、センサ基板(図示せず)が配置される。センサ基板は、撮像素子やクロック発生源などの電子部品を搭載する。レンズホルダ駆動装置10およびセンサ基板は、シールドケース(図示せず)で覆われる。シールドケースは、センサ基板から発生する電磁ノイズを遮蔽するためのものである。
レンズホルダ駆動装置10と、センサ基板と、撮像素子と、シールドケースとの組み合わせによって、カメラモジュールが構成される。
撮像素子は、レンズバレル11により結像された被写体像を撮像して電気信号に変換する。撮像素子は、例えば、CCD(charge coupled device)型イメージセンサ、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサ等により構成される。
レンズホルダ駆動装置10は、レンズバレル11を保持するための筒状部140を有するレンズホルダ14と、このレンズホルダ14に筒状部140の外周囲に位置するように固定されたリング状の駆動コイル16と、この駆動コイル16と対向する駆動用マグネット18を備えた略四角筒状のヨーク20と、レンズホルダ14の筒状部140の光軸O方向両側に設けられた一対の板バネ22、24とを備える。
レンズバレル11をレンズホルダ14に装着するには、レンズバレル11をレンズホルダ14内に収容し、接着剤などによって互いに接合する。
また、駆動用マグネット18とヨーク20との組み合わせによって、磁気回路が構成される。
一対の板バネ22、24は、レンズホルダ14を径方向に位置決めした状態で光軸O方向に変位可能に支持する。一対の板バネ22、24のうち、一方の板バネ22は上側板バネと呼ばれ、他方の板バネ24は下側板バネと呼ばれる。
また、前述したように、実際の使用状況においては、Z軸方向(光軸O方向)の上方向が前方向、Z軸方向(光軸O方向)の下方向が後方向となる。したがって、上側板バネ22は前側スプリングとも呼ばれ、下側板バネ24は後側スプリングとも呼ばれる。
上側板バネ(前側スプリング)22および下側板バネ(後側スプリング)24は、例えば、ステンレス鋼やベリリウム銅やニッケル銅などの金属製からなる。そして、上側板バネ(前側スプリング)22および下側板バネ(後側スプリング)24は、所定の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により製造される。尚、プレス加工よりもエッチング加工の方が好ましい。その理由は、エッチング加工では、板バネに残留応力が残らないからである。
また、板バネの材料としては、ベリリウム銅よりもステンレス鋼、特に、高硬度ステンレス鋼を用いることが好ましい。その理由は、ベリリウムの化合物は毒性が強いことが知られており、環境上の観点から、板バネの材料としてベリリウム銅以外の材料を使用すること(ベリリウムフリー)が望まれているからである。尚、高硬度ステンレス鋼としては、例えば、日本金属工業株式会社製のNTK S−4や、NTK 301(SUS301)を使用することができる。
図1に示されるように、ヨーク20は略四角筒状をしている。すなわち、ヨーク20は、実質的に四角筒形状の外筒部202と、この外筒部202の上端(前端)で外筒部202の内側へ突出する略四角形のリング状上端部204とを有する。また、ヨーク20は、リング上端部204の内側の四隅で光軸Oと平行に垂直下方へ延在する4本の内側垂直延在部206をも有する。
従って、駆動コイル16も、略四角筒状のヨーク20の形状に合わせた、略四角筒状をしている。より詳細には、駆動コイル16は、ヨーク20の4辺と平行に対向して配置された4つの長辺部162と、ヨーク40の四隅に対向する4つの短辺部164とから成る、八角筒状をしている。駆動コイル16は、ヨーク20の外筒部202と4本の内側垂直延在部206との間のスペースに収容されるように、上側板バネ22の近傍側で、レンズホルダ14の筒状部140の外壁に取り付けられている。
図3に示されるように、図示の駆動用マグネット18は、ヨーク20の外筒部202の左右方向Yで対向する2つの内壁面に、駆動コイル16と間隔を置いて対向するように配置された、2個の平板状駆動用マグネット片182から成る。換言すれば、各平板状駆動用マグネット片182は、その水平方向の両端がヨーク20の前後方向Xで対向する2辺の近くまで延在している。そして、駆動コイル16は、各平板状駆動用マグネット片182の水平方向の両端近傍付近まで近接して配置されている。
このような構造により、磁気回路の磁気効率の低下を抑えることができる。
各平板状駆動用マグネット片182は、径方向に着磁されており、内周側と外周側とが異なる極に着磁されている。図示の例においては、図3に示されるように、各平板状駆動用マグネット片182は、内周側がN極に着磁され、外周側がS極に着磁されている。
駆動コイル16と2個の平板状駆動用マグネット片182とヨーク20との組み合わせによって、「ムービングコイル方式」の駆動機構が構成される。
ヨーク20の外周部202は、前後方向Xで互いに対向する前側板部202Fおよび後側板部202Bと、左右方向Yで互いに対向する左側板部202Lおよび右側板部202Rとから構成される。前側板部202Fは、下方で開放した前側切り欠き部202aを持ち、後側板部202Bも、下方で開放した後側切り欠き部202bを持つ。前側板部202Fは、前側切り欠き部202aで下方へ突出した突起部207を持つ。
一方、ベース部材(アクチュエータ・ベース)12は、リング状のベース部120と、前後方向Xで対向してベース部120から上下方向Zの上方へ突出する一対の突出部122、123とを有する。ここでは、前側に設けられた突出部122は前側突出部と呼び、後側に設けられた突出部123を後側突出部と呼ぶことにする。
図示のレンズホルダ駆動装置10は、ベース部材(アクチュエータ・ベース)12とヨーク20との間に挟まれるように設けられたスペーサ30を更に備える。スペーサ30は、内部筐体とも呼ばれる。スペーサ(内部筐体)30は、実質的にヨーク20の内壁面に収容されるような形状をしている。詳述すると、スペーサ(内部筐体)30は、ヨーク20の外筒部202の内壁面の上方に設けられるリング状部302と、リング状部302の四隅から下方へ垂直に延在する垂直延在部304と、リング状部302の前後方向Xで対向する一対の辺から下方へ延在する一対のU字状板部305、306とを有する。ここでは、前側に設けられたU字状板部305を前側U字状板部と呼び、後側に設けられたU字状板部306を後側U字状板部と呼ぶことにする。
ベース部材(アクチュエータ・ベース)12とスペーサ(内部筐体)30との組み合わせによって、固定部(12,30)が構成される。
図4に示されるように、ヨーク20の前側切り欠き部202a近傍において、ベース部材12の前側突出部122とスペーサ(内部筐体)30の前側U字状板部305とが噛み合っている(係合している)。そして、ヨーク20の後側切り欠き部202b近傍において、ベース部材12の後側突出部123とスペーサ(内部筐体)30の後側U字状板部306とが噛み合っている(係合している)。
尚、ベース部材12の前側突出部122は、後述する位置検知素子であるホールセンサ344が挿入される矩形孔122aを持つ。また、レンズホルダ14の筒状部140は、Z軸(光軸O)を中心に前後方向Xで対向する外壁部の下方に、後述する一対のセンサ用マグネット342a、342bを収容する一対の収容部140aを有する。
図示のレンズホルダ駆動装置10は、レンズホルダ14の位置を検出する位置検出部34を更に備える。
図4に示されるように、位置検出部34は、下側板バネ24の近傍側に設けられている。詳述すると、位置検出部34は、レンズホルダ14の筒状部140の上記一対の収容部140aに収容された、一対のセンサ用マグネット342a、342bの内の一方(図示の例では、前側のセンサ用マグネット342a)と、一方のセンサ用マグネット342aと対向して、上記ベース部材12の矩形孔122aに挿入して設けられたホールセンサ344と、から成る。
各センサ用マグネット342は、光軸O方向に着磁されており、上面側と下面側とが異なる極に着磁されている。図示の例においては、図4に示されるように、各センサ用マグネット342は、上面がS極に着磁され、下面がN極に着磁されている。
本実施の形態では、センサ用マグネット342として、キュリー点が400℃以上の永久磁石を使用している。そのような永久磁石としては、例えば、サマリウムコバルト磁石や、フェライト磁石、アルニコ磁石を使用することができる。
尚、2個の平板状駆動用マグネット片182の極性と一対のセンサ用マグネット342の極性とは、図3及び図4に図示したものに限定されず、互いに反対の極性であってもよい。すなわち、各平板状駆動用マグネット片182は、内周側がS極に着磁され、外周側がN極に着磁されてよく、各センサ用マグネット342は、上面側がN極に着磁され、下面側がS極に着磁されてよい。
尚、図2および図4に示されるように、ホールセンサ344は、フレキシブルプリント基板(FPC)40上に搭載されている。図1および図4に示されるように、フレキシブルプリント基板(FPC)40は、ヨーク20の前側開口部202aで、ヨーク20の突起部207に差し込まれた状態で、ベース部材12の前側突出部122の外壁に取り付けられている。図1に示されるように、フレキシブルプリント基板(FPC)40には、左右方向Yの両端側に一対のすり鉢状のくぼみ401が施されている。
尚、一対のセンサ用マグネット342a、342bが、レンズホルダ14の筒状部140のZ軸(光軸O)を中心に前後方向Xで対向する外壁部の下方に構成された一対の収容部140aへそれぞれ収容されるのは、レンズホルダ14の移動時又は静止時のバランスを保つため、Z軸(光軸O)を中心に均等重量配置するため、かつ平板状駆動用マグネット片182との磁気的な干渉力(反発力)を均等にするためである。したがって、仮に一方のセンサ用マグネット342aと平板状駆動用マグネット片182との間に距離があり磁気干渉の影響がない場合には、ホールセンサ344と対向していない他方のセンサ用マグネット342bは、同様の重量で着磁されてない錘にて代替することができる。
上側板バネ(前側スプリング)22はレンズホルダ14における光軸O方向上側(前側)に配置され、下側板バネ(後側スプリング)24はレンズホルダ14における光軸O方向下側(後側)に配置される。
図5乃至図7を参照して、上側板バネ22と下側板バネ24の形状およびそれらの関係について説明する。
図5は、上側板バネ22をベース部材12から見上げた状態の形状を示す平面図である。図6は、下側板バネ24をベース部材12から見上げた状態の形状を示す平面図である。図7は、上側板バネ22と下側板バネ24との間の関係を示す平面図である。
最初に、図5を参照して、上側板バネ22の形状について説明する。
上側板バネ22は、レンズホルダ14の上端部に取り付けられる上側内周側端部222と、スペーサ30のリング状部302に取り付けられる上側外周側端部224とを有する。上側内周側端部222と上側外周側端部224との間には、周方向に沿って4本の上側アーム部226が設けられている。各上側アーム部226は、上側内周側端部222と上側外周側端部224とを繋いでいる。各上側アーム部226は、180度折り返したUターン形状部分226aを含む。
次に、図6を参照して、下側板バネ24の形状について説明する。
下側板バネ24は、レンズホルダ14の下端部に取り付けられる下側内周側端部242と、アクチュエータ・ベース(ベース部材)12に取り付けられる下側外周側端部244とを有する。下側内周側端部242と下側外周側端部244との間には、周方向に沿って4本の下側アーム部246が設けられている。各下側アーム部246は、下側内周側端部242と下側外周側端部244とを繋いでいる。各下側アーム部246は、180度折り返したUターン形状部分246aを含む。
次に、図7を参照して、上側板バネ22と下側板バネ24との間の関係について説明する。
図7から明らかなように、上側板バネ22の4本の上側アーム部226と下側板バネ24の4本の下側アーム部246とは、平面視、実質的に同一の形状をしている。
次に、駆動コイル16への給電方法について説明する。
図6に示されるように、下側板バネ24は、当該下側板バネ24を介して駆動コイル18への給電を可能とするために、互いに電気的に絶縁された第1及び第2のバネ片24−1及び24−2から構成されている。第1の板バネ片24−1と第2の板バネ片24−2とは、レンズの光軸Oを中心にして実質的に回転対称の形状をしている。
第1の板バネ片24−1は、下側外周側端部244から前方へ突出する第1の外部接続端子244−1を持つ。第2の板バネ片24−2も、下側外周側端部244から前方へ突出する第2の外部接続端子244−2を持つ。
一方、第1の板バネ片24−1は、下側内周側端部242から後方へ突出する第1の端子部242−1を持つ。第2の板バネ片24−2は、下側内周側端部242から前方へ突出する第2の端子部242−2を持つ。第1の端子部242−1は、駆動コイル18の第1の末端部(図示せず)とはんだで電気的に接続される。第2の端子部242−2は、駆動コイル16の第2の末端部(図示せず)とはんだで電気的に接続される。
図1に示されるように、下側板バネ24の第1および第2の外部接続端子244−1および244−2は、フレキシブルプリント基板(FPC)40の一対のすり鉢状のくぼみ401から外部へ突出して設けられる。
したがって、フレキシブルプリント基板(FPC)40は、下側板バネ24の第1の外部接続端子244−1、下側板バネ24の第1の板バネ片24−1および第1の端子部242−1を介して、駆動コイル16の第1の末端部に電気的に接続される。同様に、フレキシブルプリント基板(FPC)40は、下側板バネ24の第2の外部接続端子244−2、下側板バネ24の第2の板バネ片24−2および第2の端子部242−2を介して、駆動コイル16の第2の末端部に電気的に接続される。
このようにして、フレキシブルプリント基板(FPC)40から下側板バネ24を介して駆動コイル16への給電が行われる。
駆動コイル16に通電することで、駆動用マグネット18の磁界と駆動コイル16に流れる電流による磁界との相互作用によって、レンズホルダ14(レンズバレル11)に光軸O方向の駆動力を発生させ、この駆動力と一対の板バネ22、24の復元力(付勢力)とをバランスさせることによって、レンズホルダ14(レンズバレル11)の光軸O方向の位置を調整することが可能である。
図8を参照して、フレキシブルプリント基板(FPC)40に形成された端子部の導体パターンについて説明する。図8(A)はレンズホルダ駆動装置10の正面図であり、図8(B)はフレキシブルプリント基板(FPC)40の導体パターンの7つの端子とそれらに接続される端子との間の関係を示す表である。
図8(A)に示されるように、フレキシブルプリント基板(FPC)40は、導体パターンとして、右側から左側へ第1乃至第7の端子Pin1〜Pin7を持つ。
図8(B)に示されるように、第1の端子Pin1には、下側板バネ24の第1の外部接続端子244−1であるACT Terminal(+)が接続され、第2の端子Pin2には、ホールセンサ344の第1の出力端子Hall output(-)が接続され、第3の端子Pin3には、ホールセンサ344の第1の入力端子Hall input(+)が接続される。第4の端子Pin4には、接地端子GNDが接続される。第5の端子Pin5には、ホールセンサ344の第2の出力端子Hall output(+)が接続され、第6の端子Pin6には、ホール素子344の第1の入力端子Hall input(-)が接続され、第7の端子Pin7には、下側板バネ24の第2の外部接続端子244−2であるACT Terminal(-)が接続される。
次に、図9乃至図12を参照して、下側板バネ24の構成について更に詳細に説明する。
図9および図10は、ベース部材12からレンズホルダ駆動装置10の組立て体を見上げた状態を示す平面図であって、図9は下側板バネ24に後述する弾性接着剤45を設ける(塗布する)前の状態を示す図であり、図10は下側板バネ24に弾性接着剤45を設けた(塗布した)後の状態を示す図である。図11は、図9の一部を拡大して示す部分拡大図であり、図12は、図10の一部を拡大して示す部分拡大図である。
図10および図12から明らかなように、下側板バネ24は、4本の下側アーム部246のUターン形状部分246aに、弾性接着剤45を有する。各弾性接着剤45は、Uターン形状部分246aの互いに対向する箇所でまたがるように設けられている。4つの弾性接着剤45は、光軸Oを中心とする周方向において等角度間隔に設けられている。
尚、弾性接着剤45は、伸縮性かつ可撓性のある樹脂から成る。本例では、弾性接着剤45として、シリコーン系接着剤やキシル基末端ポリマー系接着剤から選択された湿気硬化型接着剤を使用している。
図9および図11から明らかなように、4本の下側アーム部246のUターン形状部分246aは、上記対向する箇所(すなわち、弾性接着剤45が塗布される箇所)に、弾性接着剤45がその表面張力によりまたがるのを容易にする、位置決め突起247を持つ。
このように、4本の下側アーム部246のUターン形状部分246aに弾性接着剤45を塗布することにより、本実施形態に係るレンズホルダ駆動装置10は、図12の矢印で示される方向の揺動である、二次共振(副共振)を抑えることが可能となる。また、弾性接着剤45は、4本の下側アーム部246のUターン形状部分246aに設けられているので、レンズホルダ14の本来のストロークを制限することはない。さらに、二次共振(副共振)を抑えることができるので、後述するフィードバック制御に悪影響を及ぼすのを防止することもできる。
次に、図13および図14を参照して、本実施形態に係るレンズホルダ駆動装置10の効果について説明する。
図13において、(A)は弾性接着剤45を塗布前のレンズホルダ駆動装置10(対策前)の周波数応答特性を示すボード線図であり、(B)は弾性接着剤45を塗布後の本実施形態に係るレンズホルダ駆動装置10(対策後)の周波数応答特性を示すボード線図である。また、図14において、(A)乃至(C)は、それぞれ、弾性接着剤45を塗布後の本実施形態に係る、3台のレンズホルダ駆動装置10(No1、No2、No3)の周波数応答特性を示すボード線図である。
図13(A)、(B)および図14(A)〜(C)の各々において、横軸は周波数FREQUENCY[Hz]を示し、左縦軸はゲインGAIN[dB]を示し、右縦軸は位相PHASE[deg]を示す。また、図13(A)、(B)および図14(A)〜(C)の各々において、実線はゲイン特性曲線を示し、破線は位相特性曲線を示す。
図13(A)から明らかなように、対策前では、約70Hzの周波数範囲で、主共振(一次共振)が発生し、300Hz〜350Hzの周波数範囲で、10〜15dBの副共振(二次共振)が発生している。
これに対して、図13(B)から分かるように、対策後では、約70Hzの周波数範囲で、主共振(一次共振)が発生するが、300Hz〜350Hzの周波数範囲で、0〜5dB程度の副共振(二次共振)しか発生しない。
したがって、本発明の実施形態に係るレンズホルダ駆動装置10(対策後)では、対策前と比較して、300Hz〜350Hzの周波数範囲の副共振(二次共振)を約10dB低減することができる。
また、図14(A)〜(C)から分かるように、3台(No1、No2、No3)とも、周波数330Hz近辺の二次共振(副共振)のQ値は、3dB以下であり、位相差も±10度以下に抑えられている。従って、大きな改善効果があることが分かる。
尚、弾性接着剤45は、洗浄液を介しても問題なくその機能を発揮することができる。したがって、従来通り、レンズホルダ駆動装置10を組み立て後に、レンズホルダ駆動装置10を洗浄することが可能となり、品質を維持することができる。
また、本例では、弾性接着剤45を塗布することにより、下側板バネ24に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けているが、それに限定されないのは勿論である。例えば、そのような伸縮性かつ可撓性のある樹脂である弾性シートを両面テープで下側板バネ24に貼ることにより、下側板バネ24に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けてもよい。或いは、下側板バネ24と伸縮性かつ可撓性のある樹脂とをアウトサート成形法により2色成形して、下側板バネ24に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けてもよい。その代わりに、フォトレジストをUV硬化して、下側板バネ24に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けてもよい。また、この伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設ける箇所は、下側板バネ24にのみ限定されるわけでなく、上側板バネ22若しくは両方の板バネ22、24においても有効である。
本実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10では、次に述べるように、フィードバック制御によりレンズホルダ14の光軸O方向の位置を制御している。
まず、駆動コイル16に駆動電流を流してレンズホルダ14を光軸O方向に移動させて、レンズホルダ14の光軸O方向の位置(検出位置)と、位置検出部34のホールセンサ344で検出された検出値とを計測する。これにより、駆動電流と、検出位置と、検出値との間の関係が分かる。駆動電流と検出位置とは、一対一に対応している。したがって、レンズホルダ14を所望の目標位置(光軸O方向の位置)へ移動させるために、その目標位置に対応する駆動電流を駆動コイル16へ供給すればよい。
検出値を検出位置に変換するのを可能にするために、検出値と検出位置との間の関係(一対一対応)をROM(read-only memory)に記憶する。したがって、ROMは、検出値を検出位置へ変換する変換部として働く。
フィードバック制御を実現する制御部(図示せず)は、撮像素子の画像信号と、ホールセンサ344で検出された検出値とに基づいて、レンズホルダ14を目標位置へ移動させるために必要な駆動電流を求めて、求めた駆動電流を駆動コイル16へ供給する。
制御部は、上記変換部(ROM)と、目標位置算出部と、比較部と、操作部とを含む。目標位置算出部は、撮像素子の画像信号から、レンズホルダ14の目標位置(合焦位置)を算出する。ここで、合焦位置とは、画像信号を処理して得られる撮像画像のコントラスト値が最良となるレンズホルダ14の位置である。比較部は、目標位置と検出位置とを比較して、制御偏差を出力する。操作部は、制御偏差がゼロとなるような操作量を、駆動電流として駆動コイル16へ供給する。
本実施の形態では、上述したように、二次共振(副共振)を抑えることができるので、フィードバック制御に悪影響を及ぼすことがない。但し、本発明は、フィードバック制御を行わない場合にも適用可能である。
図15は、レンズホルダ駆動装置10を搭載したカメラ付き携帯端末80を示す斜視図である。図示のカメラ付き携帯端末80は、スマートフォンから成る。カメラ付き携帯端末80の所定の位置にレンズホルダ駆動装置10が取り付けられている。このような構造により、使用者は、カメラ付き携帯端末80を用いて撮影することができる。
尚、本例では、カメラ付き携帯端末80としてスマートフォンの場合を例に挙げて示しているが、カメラ付き携帯端末は、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット型パソコン、携帯型ゲーム機、Webカメラ、車載用カメラであってもよい。
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
例えば、上述した実施形態では、上側板バネおよび下側板バネの複数本のアーム部の各々は、1つのUターン形状部分のみを含んでいるが、複数のUターン形状部分を含んでもよい。また、上述した実施形態では、位置検出部を下側板バネ近傍に設けているので、下側板バネの複数本の下側アーム部のUターン形状部分に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けているが、位置検出部が上側板バネ近傍に設けられている場合には、上側板バネの複数本の下側アーム部のUターン形状部分に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けてもよい。また、位置検出部の設ける位置に関係なく、下側板バネおよび上側板バネの両方の複数本のアーム部のUターン形状部分に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けてもよい。さらに、上述した実施形態では、各Uターン形状部分に1つの伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けているが、各Uターン形状部分に複数の伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けてもよい。
さらに、上述した実施形態では、上側板バネおよび下側板バネの各々が、内周側端部と外周側端部との間に4本のアーム部を備えているが、本発明は、一般的に、光軸を中心とした点対称に、周方向に沿って複数本のアーム部を備えた板バネに適用可能である。
さらにまた、本発明は、上述した実施形態に係る「ムービンコイル方式」のレンズホルダ駆動装置10に限定されず、「ムービングマグネット方式」のレンズホルダ駆動装置にも適用可能である。
10 レンズホルダ駆動装置
11 レンズバレル
12 ベース部材(アクチュエータ・ベース)
120 ベース部
122 前側突出部
122a 矩形孔
123 後側突出部
14 レンズホルダ
140 筒状部
140a 収容部
16 駆動コイル
162 長辺部
164 短辺部
18 駆動用マグネット
182 平板状駆動用マグネット片
20 ヨーク
202 外筒部
202a 前側切り欠き部
202b 後側切り欠き部
202F 前側板部
202B 後側板部
202L 左側板部
202R 右側板部
204 リング状上端部
206 内側垂直延在部
207 突起部
22 上側板バネ
222 上側内周側端部
224 上側外周側端部
226 上側アーム部
226a Uターン形状部分
24 下側板バネ
24−1 第1のバネ片
24−2 第2のバネ片
242 下側内周側端部
242−1 第1の端子部
242−2 第2の端子部
244 下側外周側端部
244−1 第1の外部接続端子
244−2 第2の外部接続端子
246 下側アーム部
246a Uターン形状部分
247 位置決め突起
30 スペーサ(内部筐体)
302 リング状部
304 垂直延在部
305 前側U字状板部
306 後側U字状板部
34 位置検出部
342a センサ用マグネット
342b センサ用マグネット
344 ホールセンサ(磁気検知素子)
40 フレキシブルプリント基板(FPC)
401 すり鉢状のくぼみ
45 弾性接着剤(伸縮性かつ可撓性のある樹脂)
80 カメラ付き携帯端末(スマートフォン)
O 光軸
X 前後方向(第2の方向)
Y 左右方向(第1の方向)
Z 上下方向

Claims (10)

  1. レンズバレルを取り付けることが可能なレンズホルダと、該レンズホルダの外周囲に配置された固定部と、前記レンズホルダをレンズの光軸方向へ駆動するための駆動機構と、前記レンズホルダと前記固定部とを連結する板バネと、を備えたレンズホルダ駆動装置であって、
    前記板バネは、前記レンズホルダに固定された内周側端部と、前記固定部に固定された外周側端部と、前記内周側端部と前記外周側端部との間を連結するために周方向に沿って設けられた複数本の連結部と、を備え、
    前記複数本の連結部の各々は、少なくとも1つの屈曲部と、該屈曲部の両端にそれぞれ繋がる弾性腕部とを含み、
    前記外周側端部に、前記屈曲部に対向する対向部が形成されており、
    前記屈曲部と前記対向部との間に少なくとも1つの伸縮性かつ可撓性のある樹脂を有する、
    ことを特徴とするレンズホルダ駆動装置。
  2. 前記外周側端部と前記対向部との間に、弾性変形可能な対向腕部が設けられており、前記対向部が前記対向腕部に連結されている、請求項1に記載のレンズホルダ駆動装置。
  3. 前記屈曲部と前記対向部の少なくとも一方には、前記屈曲部と前記対向部との間に位置する対向間隔に突出する少なくとも2つの突起が間隔を空けて形成されており、前記樹脂の少なくとも一部が2つの前記突起間に位置している請求項1または2に記載のレンズホルダ駆動装置。
  4. 前記複数の伸縮性かつ可撓性のある樹脂は、前記光軸を中心とする周方向において等角度間隔に設けられている、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のレンズホルダ駆動装置。
  5. 前記樹脂は弾性接着剤から成る、請求項4に記載のレンズホルダ駆動装置。
  6. 前記弾性接着剤は、湿気硬化型弾性接着剤から成る、請求項5に記載のレンズホルダ駆動装置。
  7. 前記湿気硬化型弾性接着剤は、シリコーン系接着剤、キシル基末端ポリマー系接着剤から選択される、請求項6に記載のレンズホルダ駆動装置。
  8. 前記板バネは、上側板バネと下側板バネとから成り、
    前記固定部は、前記レンズホルダの下側に配置されたベース部材を含み、
    前記駆動機構は、
    前記上側板バネおよび前記下側板バネの他方の近傍側で、前記レンズホルダの周囲に固定される駆動コイルと、
    前記ベース部材上に立設して設けられた略四角筒状のヨークと、
    前記光軸方向と直交する第1の方向で、前記ヨークの対向する一対の内壁面に、前記駆動コイルと対向するように配置された駆動用マグネットと、を備え、
    前記レンズホルダ駆動装置は、前記上側板バネおよび前記下側板バネの一方の近傍側で、前記レンズホルダの位置を検出する位置検出部を更に備える、
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレンズホルダ駆動装置。
  9. 前記位置検出部は、
    前記光軸方向および前記第1の方向と直交する第2の方向で、前記レンズホルダの対応する外周面に取り付けられた、一対のセンサ用マグネットの一方と、
    該一方のセンサ用マグネットと対向して、前記ベース部材に設けられた磁気検知素子と、
    を含む、請求項8に記載のレンズホルダ駆動装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1つに記載のレンズホルダ駆動装置を搭載して成るカメラ付き携帯端末。
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