JP2019000283A - モデル選択方法、モデル選択装置およびプログラム - Google Patents

モデル選択方法、モデル選択装置およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】運転前の心拍の拍動の間隔の計測のみで、個々に合った推定モデルを効率的に選択することが可能なモデル選択方法およびモデル選択装置を提供すること。【解決手段】所定数のユーザの平常時および活動時での身体特徴(RRI)と疲労度(CFF)とをそれぞれ取得し、前記取得された前記所定数のユーザの身体特徴が記憶された身体特徴テーブル(13b)と、前記取得された前記所定数のユーザの当該身体特徴の変化(ΔHRV)に伴う疲労度の変化(ΔCFF)に関する情報(β1,,,β10)が記憶された疲労度推定テーブル(13d)と、をそれぞれ作成し、前記作成された前記身体特徴テーブル(13b)の中から、推定対象ユーザの前記平常時での身体特徴(HRV)と近い身体特徴を有するユーザを選択し、前記選択された前記ユーザに基づき、前記作成された前記疲労度推定テーブル(13d)を利用して、前記推定対象ユーザの活動時での疲労度(ΔCFF)を推定する。【選択図】図6

Description

本発明は、個々に合った推定モデルを効率的に選択するためのモデル選択方法、モデル選択装置およびプログラムに関する。
心拍や脈拍、脳波やNIRS(Near-Infrared Spectroscopy)などの身体特徴から、運転中のドライバの状態を推定する技術は、事故防止の観点からニーズが高い。
運転中のドライバの状態を推定し、危険な状態になったときに、警告するようなシステムを実現しようとすると、運転前に推定モデルを選択しなければならない。
そこで、個人に合わせた推定モデルを、新規のユーザに対しても事前に選択して解析を開始する必要がある。
非特許文献[1]では、主観的な疲労度を心拍より推定している。同質一集団から得られた単一の推定モデルを各被験者に対して適用している。この場合、個人差を考慮できていないために、推定値が全体の影響を反映した平均的なものになりがちとなってしまう。そのため、個人ごとに推定モデルを準備する必要がある。
一方で、非特許文献[2]では、運転者の疲労状態を前記NIRSから推定している。個人差によるばらつきを考慮して、同一個人かつ同一走行の範囲で推定をしている。
しかしながら、個人差の影響を考慮するために、個人ごとの推定モデルを学習する場合、推定モデルを作成していない新規のユーザに対して対応することができないといった問題がある。
横山 清子、高橋 一誠、 "心拍変動時系列による自動車運転時の主観的疲労感推定の基礎的検討(高度交通システム(ITS))"、 電子情報通信学会論文誌. A、 基礎・境界、 vol. 96、 no. 11、 pp. 756-762、 Nov. 2013. 嵯峨 直樹、 村中 徳明、 and 花田 良子、 "NIRSを用いた自動車運転時における疲労の定量的評価(人体・動作の認識と理解、福祉と共生、国際会議報告)、" 電子情報通信学会技術研究報告. PRMU、 パターン認識・メディア理解、 vol. 113、 no. 402、 pp. 137-140、 2014.
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、運転前の心拍の拍動の間隔の計測のみで、個々に合った推定モデルを効率的に選択することが可能なモデル選択方法、モデル選択装置およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明に係るモデル選択方法は、所定数のユーザの平常時および活動時での身体特徴と疲労度とをそれぞれ取得し、前記取得された前記所定数のユーザの身体特徴が記憶された身体特徴テーブルと、前記取得された前記所定数のユーザの当該身体特徴の変化に伴う疲労度の変化に関する情報が記憶された疲労度推定テーブルと、をそれぞれ作成し、前記作成された前記身体特徴テーブルの中から、推定対象ユーザの前記平常時での身体特徴と近い身体特徴を有するユーザを選択し、前記選択された前記ユーザに基づき、前記作成された前記疲労度推定テーブルを利用して、前記推定対象ユーザの活動時での疲労度を推定する。
本発明に係るモデル選択装置は、所定数のユーザの平常時および活動時での身体特徴と疲労度とをそれぞれ取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記所定数のユーザの身体特徴が記憶された身体特徴テーブルと、前記取得手段により取得された前記所定数のユーザの当該身体特徴の変化に伴う疲労度の変化に関する情報が記憶された疲労度推定テーブルと、をそれぞれ作成する作成手段と、前記作成手段により作成された身体特徴テーブルの中から、推定対象ユーザの前記平常時での身体特徴と近い身体特徴を有するユーザを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された前記ユーザに基づき、前記作成手段によって作成された前記疲労度推定テーブルを利用して、前記推定対象ユーザの活動時での疲労度を推定する疲労度推定手段と、を備える。
本発明によれば、運転前の平常時における心拍の拍動の間隔の計測のみで、個々に合った推定モデルを効率的に選択することができる。
本発明の実施形態に係るモデル選択装置10の電子回路の構成を示すブロック図。 同図(a)は前記モデル選択装置10内に設けられる心拍変動特徴量保持テーブル13b、同図(b)は変化量保持テーブル13cおよび同図(c)は係数ベクトル保持テーブル13dに記憶される各値を示した図。 前記モデル選択装置10により、運転前の平常時の心拍間隔値RRIに基づいて心拍変動特徴量保持テーブル13bを作成するための作成手順を示す図。 前記モデル選択装置10により、運転前と運転中とにおいて計測された前記心拍間隔値RRI及びフリッカー値CFFに基づいて変化量保持テーブル13cを作成するための作成手順を示す図。 前記モデル選択装置10による係数ベクトル保持テーブル13dの作成手順を示す図。 前記モデル選択装置10による新規ユーザAの運転前の平常時における心拍間隔値RRIに基づいて、当該新規ユーザAに合った推定モデルの選択処理を示すフローチャートの図。
以下、本実施形態のモデル選択装置10、モデル選択方法およびプログラムについて図面を参照して説明する。
本発明の実施形態における前記モデル選択装置10では、身体特徴と疲労を表す指標(以下、疲労度と呼ぶ)との関係を表す推定モデルを作成することを目的とする「事前処理」と、新規ユーザ(以下、新規ユーザAと呼ぶ)の運転前の平常時における身体特徴から疲労度を推定することを目的とする「推定処理」と、の2処理が実行される。
前記「身体特徴」の指標として、心拍などの身体特徴を取得できるウェアラブル生体センサS(例えば、hitoe(登録商標)、以下、単に生体センサSと呼ぶ)を用いて得られる心拍の拍動の間隔値RRI(以下、心拍間隔値RRIと呼ぶ)を用いる。
前記「疲労度」の指標として、フリッカー検査器(図4参照)を用いて得られるフリッカー値(以下、フリッカー値CFFと呼ぶ)を用いる。
前記事前処理において、前記心拍間隔値RRIおよびフリッカー値CFFは、運転前の平常時および運転中のそれぞれにて計測され、そのうち運転前の平常時においては前記心拍間隔値RRIおよびフリッカー値CFFが同時に計測される。
なお、前記フリッカー値CFFとは、光が点滅する周波数を変化させたときに、点滅と点灯を識別できる境界の周波数の値であり、疲労するにつれ、この値が小さくなる。
図1は、本発明の実施形態に係るモデル選択装置10の電子回路の構成を示すブロック図である。
図示するように、モデル選択装置10は、コンピュータとして機能する制御部(CPU)11を備える。
このCPU11には、ROM12、RAM13、読取部14および通信部15が接続される。読取部14には外部接続されるROMカードなどの外部記憶媒体16が接続される。
前記CPU11は、ROM12内に記憶された事前処理プログラム12aおよび推定処理プログラム12bを、RAM13内に確保された作業メモリ13aを利用して実行することで、回路各部の動作を制御し、前記事前処理及び推定処理を行う。
ROM12には、前記事前処理プログラム12aおよび前記推定処理プログラム12bが記憶される。
RAM13には、前記作業メモリ13aに加えて、心拍変動特徴量保持テーブル13b(身体特徴テーブル)、変化量保持テーブル13cおよび係数ベクトル保持テーブル13d(疲労度推定テーブル)が確保される。
図2(a)〜(c)は、前記モデル選択装置10内に設けられる心拍変動特徴量保持テーブル13b、変化量保持テーブル13cおよび係数ベクトル保持テーブル13dに記憶される各値を示した図である。
図2(a)に示す心拍変動特徴量保持テーブル13bは、運転前の平常時におけるN人のユーザ(N:自然数)毎の心拍間隔値RRIを、後述する平均値MEAN等の複数統計処理によって算出した値(以下、特徴量HRVと呼ぶ)に変換し、その後、この特徴量HRVをベクトルとして数値を記憶する。ここで、ユーザ毎にユーザID(=1〜N)が割り当てられる。以下、単にユーザIDをIDと呼ぶこともある。
例えば、MEAN[1]、SD[1]、…、L[1]は、平常時におけるユーザ(ID=1)の心拍間隔値RRIが、平均値MEAN、標準偏差SD、変動係数CV、RMSSD(隣接する心拍間隔値RRIの差の二乗平均値の平方根で得られる値)、NN50(迷走神経緊張強度の指標)、pNN50(全体のうちのNN50の割合)、CVI(副交感神経機能指標)、CSI(交感神経機能指標)、T(ローレンツプロットの短軸)およびL(ローレンツプロットの長軸)などの統計処理により得られた前記特徴量HRVを、その後、ベクトル変換した数値である。
このように統計処理毎の特徴量HRVをベクトル変換したこれら数値は、後述するユーザ(ID=1〜N)の運転中に計測される心拍間隔値RRIに対する基準値(以下、基準ベクトルHRV_baseと呼ぶ)となる。
また、後述する運転中において計測された心拍間隔値RRIについても、前記複数の統計処理により前記特徴量HRVにそれぞれ変換され、その後、ベクトルに変換される。
図2(b)に示す変化量保持テーブル13cは、運転前後におけるフリッカー値CFFの変化率(ΔCFF)と、前記複数の統計処理がなされ、その後ベクトルに変換された運転前後における心拍間隔値RRIの変化率(ΔHRV_1、ΔHRV_2、…、ΔHRV_10)と、を記憶する。
ΔCFFiは、運転中であってi回目(ここでは、i=1、2とする)に計測されたユーザ毎のフリッカー値CFFの、運転前の平常時におけるフリッカー値CFF(以下、フリッカー基準値CFF_baseと呼ぶ)に対する変化率である。
ΔHRV_1、ΔHRV_2、…、ΔHRV_10は、心拍間隔値RRIがそれぞれ平均値MEAN、標準偏差SD、…、Lを用いて統計処理された運転前後の前記特徴量HRVのベクトルの変化率を示す。
ここでは、i=2回計測されているため、ユーザID毎に前記変化率が2度記憶される。
例えば、ID=1におけるΔCFF1は、i=1回目に計測されたフリッカー値CFFの、フリッカー基準値CFF_baseに対する変化率となる。
また、ΔHRV_1_1、ΔHRV_2_1、…、ΔHRV_10_1は、i=1回目に計測されたユーザID=1における心拍間隔値RRIの、前記基準ベクトルHRV_baseに対する変化率である。
図2(c)に示す係数ベクトル保持テーブル13dは、後述する運転中の新規ユーザAの疲労度を推定するために利用する推定モデルの図である。
図2(c)に示すIDは、前記心拍変動特徴量保持テーブル13bに記憶されたN人のユーザから、例えばm人(1≦m≦N、m:自然数、ここでは、例えばm=3人とする)を選択した際の、当該3人のユーザID(ID=1、2、3、ID=1、3、4、ID=…、ID=1、2、N)を記憶する。
β_MEAN、β_SD、…、β_Lは、前記選択した3人のユーザの前記変化率(ΔCFFi、ΔHRV)の分布からPLS回帰分析を用いて得られたΔCFFiと特徴量ΔHRVとの関係を示す係数ベクトルβである。
すなわち、前記係数ベクトルβは、運転によって変化した心拍間隔値RRIの各特徴量HRVの変化率(ΔHRV)に対する、疲労度の変化率(ΔCFFi)を示す指標である。
例えば、前記N人のユーザからm人を選択した際における、当該m人のユーザIDの組み合わせが記憶された縦軸の1行目に着目すると、ユーザID=1〜ID=3を選択した場合における、統計処理毎(MEAN、SD、…、L)の係数ベクトルβ(β_MEAN[1]、β_SD[1]、…、β_L[1])が記憶される。
以下、前記係数ベクトルβを用いた計算式(後述する式(5))では、便宜上β_MEAN[1]を係数ベクトルβ、β_SD[1]を係数ベクトルβ、β_CV[1]を係数ベクトルβ、β_RMSSD[1]を係数ベクトルβ、β_NN50[1]を係数ベクトルβ、β_pNN50[1]を係数ベクトルβ、β_CVI[1]を係数ベクトルβ、β_CSI[1]を係数ベクトルβ、β_T[1]を係数ベクトルβ、β_L[1]を係数ベクトルβ10、と表記する。なお、着目した1行目に限らず、他の行においても同様に前記係数ベクトルβ〜β10を用いる。
また、後述する新規ユーザAの運転中での推定される疲労度は、前記係数ベクトルβと運転前後での心拍間隔値RRIの特徴量の変化率(ΔHRV)とを用いることで、疲労度の変化率(ΔCFF)から得ることができる。
なお、前記各テーブル13b〜13dを生成するために必要なN人のユーザの前記フリッカー値CFFや心拍間隔値RRIは、例えば前記外部記憶媒体16を介して読取部14にて読み込まれてもよいし、また例えば、各ユーザ(ID=1〜N)が着用しているスマートフォン等に内蔵された生体センサにより取得し、クラウド上に配置したモデル選択装置10で収集してもよい。
このように構成されたモデル選択装置10は、前記CPU11が前記事前処理プログラム12aと前記推定処理プログラム12bとに記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウェアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下に述べる機能を実現する。
図3は、前記モデル選択装置10により、運転前である平常時での心拍間隔値RRIに基づいて心拍変動特徴量保持テーブル13bを作成するための作成手順を示す図である。この心拍変動特徴量保持テーブル13bは、前記CPU11によって事前処理プログラム12aを起動し、読取部14または通信部15を介して受信した心拍間隔値RRIを処理することで作成される。
図3に示すユーザ(ID=1〜N)のそれぞれが、着用した生体センサS〜Sの電源をオンとすることで、当該生体センサS〜Sによって計測された平常時での前記心拍間隔値RRIが出力される(ステップP1)。
その後、例えば前記読取部14または通信部15から読み込まれた前記心拍間隔値RRIは、前記CPU11により前記MEAN等の複数の統計処理が行われ、当該処理によって算出された統計処理毎の前記特徴量HRVが、下記式(1)に示すようにベクトル値に変換される(ステップP2)。
その後、前記式(1)に示すようにベクトルに変換された各統計処理に対応する各特徴量HRVが、ユーザIDと対応して心拍変動特徴量保持テーブル13bに記憶される。
図4は、前記モデル選択装置10により、運転前と、運転中と、において計測された前記心拍間隔値RRI及びフリッカー値CFFに基づいて変化量保持テーブル13cを作成するための作成手順を示す図である。
この変化量保持テーブル13cは、CPU11により事前処理プログラム12aを起動し、前記平常時および運転中の心拍間隔値RRIおよびフリッカー値CFFを処理することで作成される。
図4において、 図3に示す処理ステップと同一ステップ(ステップP1、P2)についてはその処理内容の説明を省略する。以下の処理では、ユーザ(ID=1)に着目した場合におけるステップP3〜P8の処理内容について説明する。
図4に示すように、ユーザ(ID=1)が着用する前記生体センサSによって運転中に前記心拍間隔値RRIがi回計測されると(ステップP3)、次いで前記CPU11により起動された事前処理プログラム12aにより、前記計測毎にMEAN等などの統計処理を用いて特徴量HRVが算出される(ステップP4)。
次に、前記ステップP2にて算出され、心拍変動特徴量保持テーブル13bに記憶された統計処理毎の前記基準ベクトルHRV_base(MEAN[1]、SD[1]、…、L[1])に対する、前記ステップP4にて算出された統計処理毎の特徴量HRVとの変化率(ΔHRV_1、ΔHRV_2、…、ΔHRV_10)が、下記式(2)により算出される(ステップP5)。
ここで、前記HRV_baseには、平常時に計測し統計処理毎に算出された10個の前記特徴量HRVがそれぞれ代入される。また、HRV_iには運転中においてi回目(例えば、i=1、2)に計測され、統計処理毎に算出された10個の特徴量HRVが代入される。
この前記式(2)を用いた演算をN人のユーザに対して行う。これにより、ユーザIDと対応して特徴量HRVの変化率(ΔHRV_1、ΔHRV_2、…、ΔHRV_10)が、変化量保持テーブル13c(図2(b)参照)に記憶される。
一方、前述の通り、生体センサSによる前記心拍間隔値RRIの計測(ステップP1)と同時に、フリッカー検査器によって運転前の平常時におけるフリッカー値CFFが計測されている(ステップP6)。
そこで、前記運転中においてもフリッカー検査器を用いてフリッカー値CFFをi回計測すると(ステップP7)、CPU11によってi回目の計測時でのフリッカー値CFFiの変化率(ΔCFFi)が前記フリッカー基準値CFF_baseを基準として、下記式(3)により算出される(ステップP8)。
ここで、式(3)中のCFF_iには運転中のi回目に計測されたフリッカー値CFFが代入される。
その後、前記式(3)を用いて算出されたフリッカー値CFFの変化率(ΔCFF_i)が、ユーザIDと対応して変化量保持テーブル13c(図2(b)参照)に記憶される。
図5は、前記モデル選択装置10による係数ベクトル保持テーブル13dの作成手順を示す図である。係数ベクトル保持テーブル13dは、図4の手順にて作成した変化量保持テーブル13cに基づき作成される。
図5に示すように、変化量保持テーブル13cからm人分のフリッカー値CFFの変化率(ΔCFF_i)及び前記統計処理毎の特徴量HRVの変化率(ΔHRV_1、ΔHRV_2、…、ΔHRV_10)が抽出される(ステップP9)。
ここで、前述したようにN人のユーザに対して運転中に行った心拍間隔値RRIとフリッカー値CFFとの計測はi(=2)回である。
このため、図4に示すように変化量保持テーブル13cには、N人×i(=2)回だけの心拍間隔値RRIとフリッカー値CFFとの変化率(ΔCFFi、ΔHRV_1、ΔHRV_2、…、ΔHRV_10)が記憶されている。従って、ステップP9における抽出処理では、同一のIDが重複しないようにする。
次いで、ステップP9にて抽出された前記m人の変化率(ΔCFFi、ΔHRV_1、ΔHRV_2、…、ΔHRV_10)の値の分布から偏最小2乗回帰分析(PLS:Partial Least Squares regression)によって得られた回帰式に基づき、フリッカー値CFFの変化率(ΔCFFi)と統計処理毎に対応する特徴量HRVの変化率(ΔHRV_1、ΔHRV_2、…、ΔHRV_10)との関係を表す係数ベクトルβ〜β10が算出される(ステップP10)。
前述の通り、前記算出された係数ベクトルβ〜β10は、運転によって変化した心拍間隔値RRIの特徴量HRVの変化率(ΔHRV)に対する疲労度の変化率(ΔCFF)を示す指標である。
このステップP10の動作をの数だけ繰り返し、順次算出された係数ベクトルβ〜β10が記憶されることで、個々の新規ユーザに合った推定モデルとなる前記係数ベクトル保持テーブル13dが作成される(図2(c)参照)。
以上、CPU11が事前処理プログラム12aを用いて図3〜図5に示すフローを実行することで、事前処理での前記心拍変動特徴量保持テーブル13b〜前記係数ベクトル保持テーブル13dが作成される。
以下の説明では、作成された前記心拍変動特徴量保持テーブル13b及び前記係数ベクトル保持テーブル13dを用いて、例えば新規ユーザAを含む個々の身体特徴に合った推定モデルを選択する処理を説明する。
図6は、前記モデル選択装置10による新規ユーザAの運転前の平常時における心拍間隔値RRIに基づいて、当該新規ユーザAに合った推定モデルの選択処理を示すフローチャートである。
まず、運転前の平常時に、新規ユーザAが着用する生体センサSの電源がオンとされ、当該生体センサSから計測された心拍間隔値RRIが出力される(ステップS1)。
その後、前記平常時の心拍間隔値RRIから、前記CPU11により起動された推定処理プログラム12bによる前記MEAN等の統計処理に基づいた前記特徴量HRV(HRV_1、HRV_2、…、HRV_10)が算出され、次いで前記式(1)によって推定時での基準ベクトル(例えば、MEAN[A]、SD[A]、…、L[A])に変換される(ステップS2)。
以下、前記ステップS2にて変換された前記推定時での基準ベクトルを、それぞれMEAN[A]_base、SD[A]_base、…、L[A]_baseとする。
次いで、ステップS2にて変換された新規ユーザAの基準ベクトル(MEAN[A]_base、SD[A]_base、…、L[A]_base)と、前記ステップP2にて計測され、前記心拍変動特徴量保持テーブル13bに記憶されたユーザ(ID=1〜N)の前記HRV_baseとの特徴量HRVの差(以下、特徴量HRV_Dと呼ぶ)が算出される。
ここで、心拍変動特徴量保持テーブル13bに記憶されたユーザを、例えばユーザB(ID:1≦B≦N)とすると、当該ユーザBと新規ユーザAとの差を示す特徴量HRV_DABは下記式(4)で表される。
前記式(4)の結果によって得られた値の中で最も小さい値と、それに近い値を有する、例えばk(k:自然数、1≦k≦N)個のユーザIDが当該心拍変動特徴量保持テーブル13bの中から選択される(ステップS3)。
すなわち、当該ステップS3における選択処理によって、新規ユーザAの平常時の推定時の基準ベクトルと近似するデータが、予め蓄積した心拍変動特徴量保持テーブル13bの中から選択されることとなる。
次いで、係数ベクトル保持テーブル13d(図2(c)参照)の中から、前記ステップS3にて選択されたk個のユーザIDを含む行の係数ベクトルβ(例えば、1行目であれば、β_MEAN[1]、β_MEAN[2]、…、β_MEAN[10])が選択される(ステップS4)。すなわち、ステップS4において、新規ユーザAに合った推定モデルが選択されることになる。
その後、前記新規ユーザAが着用している生体センサSから出力された運転中の心拍間隔値RRIが計測され(ステップS5)、当該心拍間隔値RRIから得られた前記統計処理毎の特徴量HRV(HRV_1、HRV_2、…、HRV_10)がベクトルに変換される(ステップS6)。
次いで、前記ステップS2にて算出された推定時の基準ベクトル(MEAN[A]_base、SD[A]_base、…、L[A]_base)に対する、前記ステップS6にて算出された特徴量HRV(HRV_1、HRV_2、…、HRV_10)との変化率(例えば、ΔHRV_1_A、ΔHRV_2_A、…、ΔHRV_10_Aとする)が算出される(ステップS7)。
このステップS7にて、算出された特徴量HRVの変化率(ΔHRV_1_A、ΔHRV_2_A、…、ΔHRV_10_A)に、前記ステップS4にて選択され、係数ベクトル保持テーブル13dから抽出された係数ベクトルβ(例えば、係数ベクトルβ〜係数ベクトルβ10)を下記式(5)に従って乗算することで、前記新規ユーザAの運転中における心拍間隔値RRIの変化率に相当する疲労度ΔCFFの推定値が取得される(ステップS8)。
ここで、βは定数である。
このように、運転中における新規ユーザAの前記心拍間隔値RRIが測定される度に前記処理ステップ(S5〜S8)が繰り返される。
したがって、前記構成のモデル選択装置10によれば、事前処理として、心拍変動特徴量保持テーブル13bと、変化量保持テーブル13cと、係数ベクトル保持テーブル13dと、を作成する。具体的には、平常時に計測した前記心拍間隔値RRIから算出される特徴量HRVの基準値(基準ベクトル)を記憶する心拍変動特徴量保持テーブル13bを作成する。この心拍変動特徴量保持テーブル13bに記憶された前記特徴量HRVの基準値(基準ベクトル)および平常時でのフリッカー値CFFに対する、運転中の心拍間隔値RRIから得られた特徴量HRVおよびフリッカー値CFFとの差に基づくフリッカー値CFF及び特徴量HRVの変化率(ΔCFF、ΔHRV)を記憶する変化量保持テーブル13cを作成する。当該変化量保持テーブル13cから選択されたm人のユーザのフリッカー値CFF及び特徴量HRVの変化率(ΔCFFi、ΔHRV_1、ΔHRV_2、…、ΔHRV_10)の分布からPLS回帰分析を用いて得られた前記ΔCFFiとΔ特徴量HRVとの関係を示す係数ベクトルβ(係数ベクトルβ〜係数ベクトルβ10)が記憶された係数ベクトル保持テーブル13dを作成する。
そして、推定処理では、新規ユーザAの運転中の疲労度を推定するため、運転前の平常時に計測された前記新規ユーザAの心拍間隔値RRIの基準ベクトル(MEAN[A]、SD[A]、…、L[A])と近似する基準ベクトルを有するk個のユーザIDを前記心拍変動特徴量保持テーブル13bから選択し、当該選択されたk個のユーザIDが含まれる係数ベクトル保持テーブル13dの行を選択する。そして、前記運転前の平常時に計測された前記新規ユーザAの基準ベクトルの、運転中の特徴量HRVに対する変化率(ΔHRV)と、前記係数ベクトル保持テーブル13dから選択された係数ベクトルβ(係数ベクトルβ〜係数ベクトルβ10)と、を乗算することで、当該新規ユーザAの運転中の疲労度(ΔCFF)を推定する。
このように、新規ユーザAにおける運転前の平常時での基準ベクトル(MEAN[A]、SD[A]、…、L[A])に近似する特徴量HRVを学習用のデータ、すなわち心拍変動特徴量保持テーブル13bから選択することで、個々の身体特徴に応じて推定モデルを得ることができる。
また、運転後に得られる十分な量のデータではなく、運転前の平常時における当該心拍間隔値RRIの計測のみで、前記ステップS4にて説明したように個人ごとに合った推定モデルを選択することが可能となる。
すなわち、推定モデルの選択を簡易化することができる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
また、上記実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウェア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウェア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウェア手段を構築し、このソフトウェア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
10…モデル選択装置、11…制御部(CPU)、12…ROM、
12a…事前処理プログラム、12b…推定処理プログラム、
13…RAM、13a…作業メモリ、13b…心拍変動特徴量保持テーブル、
13c…変化量保持テーブル、13d…係数ベクトル保持テーブル、14…読取部、
15…通信部、16…外部記憶媒体、S…生体センサ、A…新規ユーザ。

Claims (7)

  1. 所定数のユーザの平常時および活動時での身体特徴と疲労度とをそれぞれ取得し、
    前記取得された前記所定数のユーザの身体特徴が記憶された身体特徴テーブルと、前記取得された前記所定数のユーザの当該身体特徴の変化に伴う疲労度の変化に関する情報が記憶された疲労度推定テーブルと、をそれぞれ作成し、
    前記作成された前記身体特徴テーブルの中から、推定対象ユーザの前記平常時での身体特徴と近い身体特徴を有するユーザを選択し、
    前記選択された前記ユーザに基づき、前記作成された前記疲労度推定テーブルを利用して、前記推定対象ユーザの活動時での疲労度を推定する、
    モデル選択方法。
  2. 前記ユーザの選択は、
    前記推定対象ユーザの平常時での身体特徴と、作成された前記身体特徴テーブルに記憶された前記所定数のユーザの身体特徴と、の差を算出し、
    前記算出された身体特徴の差の値が小さいユーザを前記身体特徴テーブルの中から複数選択する、請求項1に記載のモデル選択方法。
  3. 前記疲労度の推定は、
    前記疲労度推定テーブルから、前記選択された複数ユーザに関する前記情報を取得し、
    前記取得された前記情報に、前記推定対象ユーザの活動前後での身体特徴の差を乗算することで当該推定対象ユーザの疲労度を推定する、請求項2に記載のモデル選択方法。
  4. 所定数のユーザの平常時および活動時での身体特徴と疲労度とをそれぞれ取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記所定数のユーザの身体特徴が記憶された身体特徴テーブルと、前記取得手段により取得された前記所定数のユーザの当該身体特徴の変化に伴う疲労度の変化に関する情報が記憶された疲労度推定テーブルと、をそれぞれ作成する作成手段と、
    前記作成手段により作成された身体特徴テーブルの中から、推定対象ユーザの前記平常時での身体特徴と近い身体特徴を有するユーザを選択する選択手段と、
    前記選択手段によって選択された前記ユーザに基づき、前記作成手段によって作成された前記疲労度推定テーブルを利用して、前記推定対象ユーザの活動時での疲労度を推定する疲労度推定手段と、
    を備えるモデル選択装置。
  5. 前記選択手段は、
    前記推定対象ユーザの平常時での身体特徴と、前記身体特徴テーブルに記憶された複数所定数のユーザの身体特徴と、の差を算出する身体特徴差算出手段を備え、
    前記身体特徴差算出手段によって算出された身体特徴の差の値が小さいユーザを前記身体特徴テーブルの中から複数選択する、請求項4に記載のモデル選択装置。
  6. 前記疲労度推定手段は、
    前記疲労度推定テーブルから、前記複数選択されたユーザに関する前記情報を取得する情報取得手段を備え、
    前記情報取得手段によって取得された前記情報に、前記推定対象ユーザの活動前後の身体特徴の差を乗算することで当該推定対象ユーザの疲労度を推定する請求項5に記載のモデル選択装置。
  7. コンピュータを、
    所定数のユーザの平常時および活動時での身体特徴と疲労度とをそれぞれ取得する取得手段、
    前記取得手段により取得された前記所定数のユーザの身体特徴が記憶された身体特徴テーブルと、前記取得手段により取得された前記所定数のユーザの当該身体特徴の変化に伴う疲労度の変化に関する情報が記憶された疲労度推定テーブルと、をそれぞれ作成する作成手段、
    前記作成手段により作成された身体特徴テーブルの中から、推定対象ユーザの前記平常時での身体特徴と近い身体特徴を有するユーザを選択する選択手段、
    前記選択手段によって選択された前記ユーザに基づき、前記作成手段によって作成された前記疲労度推定テーブルを利用して、前記推定対象ユーザの活動時での疲労度を推定する疲労度推定手段、
    として機能させるためのコンピュータ読取可能なプログラム。
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