JP2019000082A - 侵襲性歯周炎の遺伝子検査および治療剤 - Google Patents

侵襲性歯周炎の遺伝子検査および治療剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2019000082A
JP2019000082A JP2017120172A JP2017120172A JP2019000082A JP 2019000082 A JP2019000082 A JP 2019000082A JP 2017120172 A JP2017120172 A JP 2017120172A JP 2017120172 A JP2017120172 A JP 2017120172A JP 2019000082 A JP2019000082 A JP 2019000082A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nod2
periodontitis
mutation
invasive periodontitis
mutations
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017120172A
Other languages
English (en)
Inventor
田中 敏博
Toshihiro Tanaka
敏博 田中
雄一 和泉
Yuichi Izumi
雄一 和泉
毅顕 須藤
Takaaki Sudo
毅顕 須藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Tokyo Medical and Dental University NUC
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Tokyo Medical and Dental University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd, Tokyo Medical and Dental University NUC filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2017120172A priority Critical patent/JP2019000082A/ja
Publication of JP2019000082A publication Critical patent/JP2019000082A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

【課題】侵襲性歯周炎の遺伝子検査方法を提供すること。【解決手段】NOD2遺伝子中の変異を同定することにより、侵襲性歯周炎をin vitroで検査する。より具体的には、ヒトNOD2タンパク質中の110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異を調べることにより、侵襲性歯周炎の発症傾向を判定する。この知見に基づき、NOD2活性阻害剤を含有する侵襲性歯周炎の治療剤も提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、侵襲性歯周炎の検査方法に関する。より詳細には、遺伝子配列を調べることにより、侵襲性歯周炎の罹患の有無または発症傾向を判定する方法に関する。また、本発明は、そのような検査方法に用いる試薬組成物およびキットにも関する。さらに、本発明は、侵襲性歯周炎の治療または予防に用いるための組成物にも関する。
歯周炎は、歯の支持組織における慢性炎症性疾患であり、成人の歯の損失の主要な原因の一つとなっている。患者は、咀嚼効率の低下や見た目の問題に苦しむだけでなく、この病気により全身の健康にも影響が及び、生活の質にも低下がもたらされうる。歯周炎は、糖尿病、アテローム硬化性心血管疾患、妊娠成績の悪化、関節リウマチなど、多くの全身性疾患に関連していることが、数多くの研究で示されている。65歳以上の人口の60%以上が、様々な程度で、この疾患の影響を受けていると考えられており、歯周炎は公衆衛生上の世界的な大問題であるともみなされている。その病因には、細菌感染によって惹起される過剰な免疫応答が含まれ、それにより歯を機械的に支持する歯槽骨を含む歯周組織が最終的に破壊される。この過程はゆっくりと進行するため、患者は通常、早期には病気を認識せず、そして時に、後の段階で見られる不可逆的な骨破壊によって引き起こされる歯の損失が歯科医と患者の両者を悩ませることになる。
侵襲性歯周炎(AgP:MIM 170650)として知られる稀な重度の歯周炎は、歯周炎以外の病歴のない急速な歯槽骨破壊と家族集積性によって特徴付けられる(非特許文献1)。これまでの研究では、世界的に低いAgPの罹患率(<0.13%〜5.5%)が報告されており、ヨーロッパでは0.1〜0.13%、北米では0.13〜0.8%、南米では0.32〜5.5%、アジアでは0.13〜0.86%といった、ある程度の地域的な変動が見られている(非特許文献2)。AgPは家族集積性を頻繁に示すため、AgPの原因には遺伝的要因が主要な役割を果たすと考えられており、AgPの遺伝率は約30%と推定されている(非特許文献3)。以前の研究では、免疫関連遺伝子に焦点を当てた候補遺伝子アプローチを通して遺伝的寄与を評価することが試みられたが、原因遺伝子は同定されていない(非特許文献4〜7)。最近、複数の遺伝子がAgPの病因に寄与するという仮説に基づいたゲノムワイド関連研究(GWAS)が行われているが、AgPに遺伝的関連を示す有意な遺伝子座の重複は、これまで同定されていない(非特許文献8)。
Armitage GC. 1999. Development of a classification system for periodontal diseases and conditions. Ann Periodontol. 4(1):1-6. Susin C, Haas AN, Albandar JM. 2014. Epidemiology and demographics of aggressive periodontitis. Periodontol 2000. 65(1):27-45. Diehl SR, Wu T, Michalowicz BS, Brooks CN, Califano JV, Burmeister JA, Schenkein HA. 2005. Quantitative measures of aggressive periodontitis show substantial heritability and consistency with traditional diagnoses. J Periodontol. 76(2):279-288. Brett PM, Zygogianni P, Griffiths GS, Tomaz M, Parkar M, D'Aiuto F, Tonetti M. 2005. Functional gene polymorphisms in aggressive and chronic periodontitis. J Dent Res. 84(12):1149-1153. Kobayashi T, Nagata T, Murakami S, Takashiba S, Kurihara H, Izumi Y, Numabe Y, Watanabe H, Kataoka M, Nagai A et al. 2009. Genetic risk factors for periodontitis in a japanese population. J Dent Res. 88(12):1137-1141. Schaefer AS, Bochenek G, Manke T, Nothnagel M, Graetz C, Thien A, Jockel-Schneider Y, Harks I, Staufenbiel I, Wijmenga C et al. 2013. Validation of reported genetic risk factors for periodontitis in a large-scale replication study. J Clin Periodontol.7 40(6):563-572. Vieira AR, Albandar JM. 2014. Role of genetic factors in the pathogenesis of aggressive periodontitis. Periodontol 2000. 65(1):92-106. Schaefer AS, Richter GM, Nothnagel M, Manke T, Dommisch H, Jacobs G, Arlt A, Rosenstiel P, Noack B, Groessner-Schreiber B, et al. 2010. A genome-wide association study identifies glt6d1 as a susceptibility locus for periodontitis. Hum Mol Genet. 19(3):553-562.
本発明は、遺伝子配列の分析に基づく侵襲性歯周炎の検査方法を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、侵襲性歯周炎の検査に用いるキットを提供することも別の目的の一つとしている。
上記の目的のために、発明者らは日本人を祖先とする2つのAgP家系のWES(Whole Exome Sequencing)を行い、NOD2の変異を同定した。発明者らはまた、94例の遺伝的に無関係なAgP患者の包括的なターゲットエクソンシーケンシングを行い、この遺伝子中にさらに3つの変異を見出した。よって、ヒトNOD2タンパク質中に同定された110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異を調べることにより、侵襲性歯周炎の検査を行うことができる。
本発明はこのような知見に基づくものであり、以下の態様を包含する:
態様1
NOD2遺伝子中の少なくとも1つの変異を同定する工程を含む、侵襲性歯周炎のin vitro検査方法。
態様2
ヒトNOD2タンパク質(配列番号1)中の110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異を同定することを特徴とする、態様1記載の検査方法。
態様3
ヒトNOD2遺伝子塩基配列(配列番号2)中の328位、931位、1108位、1375位および/または2602位の塩基における変異を同定することを特徴とする、態様1記載の検査方法。
態様4
NOD2遺伝子中の少なくとも1つの変異を同定する工程を含む、侵襲性歯周炎のin vitro検査方法に用いるための少なくとも1つのプライマーまたはプローブを含むキット。
態様5
ヒトNOD2タンパク質中の110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異を同定することを特徴とする、態様4記載のキット。
態様6
ヒトNOD2遺伝子塩基配列中の328位、931位、1108位、1375位および/または2602位の塩基における変異を同定することを特徴とする、態様4記載のキット。
態様7
プライマーが、配列番号3〜106に記載の配列から選択される配列から成ることを特徴とする、態様4記載のキット。
態様8
NOD2遺伝子中の少なくとも1つの変異を同定する工程を含む、侵襲性歯周炎のin vitro検査方法に用いるための少なくとも1つのプライマーまたはプローブを含む組成物。
態様9
ヒトNOD2タンパク質中の110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異を同定することを特徴とする、態様8記載の組成物。
態様10
ヒトNOD2遺伝子塩基配列中の328位、931位、1108位、1375位および/または2602位の塩基における変異を同定することを特徴とする、態様8記載の組成物。
態様11
プライマーが、配列番号3〜106に記載の配列から選択される配列から成ることを特徴とする、態様8記載の組成物。
態様12
侵襲性歯周炎の予防または治療に有用な物質のスクリーニング方法であって、i)in vitroでNOD2タンパク質と試験物質とを接触させる工程、ii)NOD2タンパク質の活性を測定する工程、およびiii)該試験物質がNOD2タンパク質の活性を低下させるか否かを決定する工程を含む、方法。
態様13
NOD2活性の阻害剤を含有する、侵襲性歯周炎の治療または予防に用いるための組成物。
態様14
侵襲性歯周炎の治療用または予防用の医薬の製造における、NOD2活性の阻害剤の使用。
態様15
NOD2活性の阻害剤を対象に投与する工程を含む、侵襲性歯周炎の治療または予防のための方法。
態様16
GSK669、GSK717、SK400、アレーンクロム錯体、およびクルクミンから成る群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する、侵襲性歯周炎の治療または予防に用いるための組成物。
本願に開示の研究において調べられたAgPの表現型および家系を示した図である。上段aの左側上下2枚の写真は、III−2(家系1)の口腔内写真とX線写真であり、下顎前歯が支持歯周組織を失っていることが示されている。上段aの右側上下2枚の写真は、II−1およびII−2(家系2)の放射線写真であり、ほぼ全ての歯が歯周組織を失っていることが示されている。下段bの左側は、家系1のAgPに関する系図である。下段bの右側は、家系2のAgPに関する系図である。アスタリスクは、本研究の参加者を示している。白および黒の色はそれぞれ、罹患していない個体と、罹患した患者を表している。 NOD2遺伝子およびNOD2タンパク質の構造を示した図である。上段aはNOD2の遺伝子およびタンパク質の構造を示している。Ala110Thr変異はCARD1ドメインに位置する。Arg311Thr、His370TyrおよびArg459CysはNBDドメインに位置する。Ala868Thr変異はLRRドメインに位置する。略語の意味は次のとおり。CARD:カスパーゼ活性化動員ドメイン;NBD:ヌクレオチド結合ドメイン;LRR:ロイシンリッチリピートドメイン。下段bは10例のAgP症例と1例の遺伝的に影響を受けていない個体におけるNOD2変異部位のクロマトグラムを示している。 ヒトNOD2タンパク質のアミノ酸配列を示した図である。 ヒトNOD2遺伝子のCDS(コーディング配列)を示した図である。
上述のとおり、本発明者らは、侵襲性歯周炎の原因となるNOD2遺伝子中の変異を同定した。NOD2遺伝子中の変異を同定することにより、侵襲性歯周炎をin vitroで検査することが可能である。より具体的には、ヒトNOD2タンパク質中の110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異を調べることにより、侵襲性歯周炎の罹患の有無または発症傾向を判定する。また、この知見に基づき、NOD2活性阻害剤を含有する侵襲性歯周炎の治療剤も提供される。以下に、本発明を詳細に説明する。
NOD2遺伝子
NOD2(MIM:605956)は、パターン認識受容体(PRR)の一種であるヌクレオチド結合性多量体ドメイン受容体(NLR)のメンバーである。先天性免疫に関連するToll様受容体(TLR)もまたPRRに含まれる。NOD2は、マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞だけでなく、口腔上皮細胞や歯根膜細胞でも発現されている。NOD2の発現は、健康な歯周組織においては非常に弱いが、患者の歯周組織における炎症細胞浸潤部付近の単核細胞および線維芽細胞においては検出される。ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)による刺激を通した歯周炎の実験モデルにおいて、NOD2は歯周病の病原体を感知し、NFκBの活性化を促進することに加えて、骨吸収の進行に寄与する。
ヒトNOD2のアミノ酸配列(例えば、アイソフォーム1の場合、配列番号1)およびコーディング配列(例えば、アイソフォーム1の場合、配列番号2)は、公共データベースから取得することができる。
NOD2 [ Homo sapiens (human) ]
Gene ID:64127
mRNA:NM_022162.2(アイソフォーム1)
タンパク質:NP_071445.1(アイソフォーム1)
mRNA:NM_001293557.1(アイソフォーム2)
タンパク質:NP_001280486.1(アイソフォーム2)
ヒトNOD2のアイソフォーム2はアイソフォーム1に比べて一部が短くなっているのみで、それ以降の配列も変化はない。本開示において同定されている5カ所について、エクソーム解析とターゲットシークエンスの結果では、アイソフォーム2も同様にミスセンス変異と判定され、塩基およびアミノ酸の変化には違いがない。よって、本開示におけるサンガー法の結果はそのままアイソフォーム2にも適用できる。なお、アイソフォーム1の配列に基づくp.Ala110Thr(c.328G>A)、p.Arg311Trp(c.931C>T)、p.His370Tys(c.1108C>T)、p.Arg459Cys(c.1375C>T)、p.Ala868Thr(c.2602G>A)の変異はそれぞれ、アイソフォーム2の配列に基づくとp.Ala83Thr(c.247G>A)、p.Arg284Trp(c.850C>T)、p.His343Tys(c.1027C>T)、p.Arg432Cys(c.1294C>T)、p.Ala841Thr(c.2521G>A)と表記される。
NOD2タンパク質は、特定の微生物病原体に応答するセンサーとして、先天性免疫において本質的な役割を担う、細胞質型のパターン認識受容体(PRR)である。NOD2タンパク質は、カスパーゼ活性化動員ドメイン(CARD)、ヌクレオチド結合ドメイン(NBD)、およびロイシンリッチリピート(LRR)ドメインの3つのドメインを有する(図2a)。各ドメインは、タンパク質タンパク質間相互作用のメディエーターとして、あるいは、自己オリゴマー化もしくはリガンド認識のファシリテーターとして働く。LRRは、グラム陰性細菌の細胞壁を構成する、ペプチドグリカン(PGN)の最小構造であるムラミルジペプチド(MDP)を認識して、NBDが媒介するオリゴマー化によりNODタンパク質の構造変化を引き起こす。オリゴマー化後に生じるタンデム状のN末端CARDの相互作用は、NFκBおよびMAPKシグナル伝達経路の活性化を誘発する。NOD2は、クローン病、Blau症候群、および若年性サルコイドーシスを含む、いくつかの疾患の原因となる遺伝子の1つとして報告されている。クローン病患者の変異は主にLRRドメイン内に位置し、機能喪失型の表現型をもたらすが(Inohara N, Ogura Y, Fontalba A, Gutierrez O, Pons F, Crespo J, Fukase K, Inamura S, Kusumoto S, Hashimoto M et al. 2003. Host recognition of bacterial muramyl dipeptide mediated through nod2. Implications for Crohn's disease. J Biol Chem. 278(8):5509-5512.)、Blau症候群および若年性サルコイドーシスの変異はNBDドメイン内に位置し、機能獲得型の表現型を生じる(Chamaillard M, Zouali H, Thomas G, Hugot JP. 2001. Card15 mutations in Blau syndrome. Nat Genet. 29(1):19-20.; Kanazawa N, Okafuji I, Kambe N, Nishikomori R, Nakata-Hizume M, Nagai 1 S, Fuji A, Yuasa T, Manki A, Sakurai Y, et al. 2005. Early-onset sarcoidosis and card15 mutations with constitutive nuclear factor-kappab activation: Common genetic etiology with Blau syndrome. Blood. 105(3):1195-1197.)。本願に開示の変異のうち、Ala110Thr変異はCARD1ドメインに位置するが、他の3つの変異Arg311Thr、His370TyrおよびArg459Cysは、NBDドメインに位置し、残りのAla868Thr変異はLRRドメインに位置する(図2a)。特定の理論に縛られることを意図するものではないが、この遺伝子の変異がAgPを引き起こすNOD2タンパク質の機能にどのように影響するのかについて一つの仮説は、CARDドメインの変異がNFκBシグナル伝達経路を活性化して、IL1βのプロセシングと放出を増強し、それにより、広範な炎症誘発性遺伝子の活性化を介して、口腔内の炎症に寄与する、というものである。
NOD2遺伝子の分析による侵襲性歯周炎の検査方法
上述のとおり、本発明者らは、侵襲性歯周炎の原因となるNOD2遺伝子中の変異を同定した。NOD2遺伝子中の変異を同定することにより、侵襲性歯周炎の発症傾向をin vitroで検査することが可能である。より具体的には、ヒトNOD2タンパク質(配列番号1)中の110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異を調べることにより、侵襲性歯周炎の罹患の有無あるいはその発症傾向を判定する。さらにより具体的には、ヒトNOD2タンパク質におけるAla110Thr、Arg311Trp、His370Tyr、Arg459Cys、およびAla868Thrから成る群より選択される少なくとも1つの変異を同定する。
タンパク質中の変異の分析は、当業者に公知の任意の方法で行うことができる。分析方法の例としては、例えば、質量分析装置を用いる方法、エドマン分解を用いる方法、変異タンパク質を認識する抗体を用いる方法などが挙げられるが、これらに限定はされない。
NOD2遺伝子中の変異は、当業者に公知の任意の手法により、被検者のゲノムDNAまたはmRNA(コーディング配列)を用いて分析することができる。例えば、NOD2遺伝子領域のゲノムDNAまたはmRNAの塩基配列の全長またはその一部を決定し、変異の有無、特に、タンパク質中の110位、311位、370位、459位および/または868位に対応する塩基における変異の有無を調べる。NOD2のコーディング配列(配列番号2)を分析する場合、具体的には、c.328G>A、c.931C>T、c.1108C>T、c.1375C>T、およびc.2602G>Aから成る群より選択される少なくとも1つの変異を同定することができるが、タンパク質中のアミノ酸残基の110位、311位、370位、459位および/または868位に対応する塩基の変異であれば、これらに限定はされない。例えば、サンガーシーケンシングによりc.328G>A、c.931C>T、c.1108C>T、c.1375C>T、および/またはc.2602G>Aの変異を同定するために使用可能なプライマーを表1に示す。
ターゲットエクソンシーケンシングによりNOD2遺伝子の塩基配列を分析する際に使用可能なプライマーを表2および3に示す。
他の核酸配列中の変異を調べる方法としては、例えば、PCRやLAMP法などの遺伝子増幅手法を用いる方法、制限酵素を用いる方法、DNAマイクロアレイを用いる方法、プライマーのハイブリダイゼーションを用いる方法などが挙げられるが、これらに限定はされない。遺伝子の変異を検出する手法の例には、サザンブロット法、ノーザンブロット法、PCR−SSCP法、シーケンシング(塩基配列決定)、ダイレクトゲルアッセイ法、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブ(ASO)法、ARMS法が含まれる。
分析に用いる試料は、例えば、被検者の唾液、血液、皮膚組織、粘膜組織などに含まれる細胞もしくは核酸を利用することができるが、これらに限定はされない。好ましい被検者はヒトであるが、ヒト以外の哺乳動物であってもよい。
本発明の侵襲性歯周炎の検査方法の一つの態様は、NOD2遺伝子中の変異を同定する工程を含む、侵襲性歯周炎の検査方法に関する。本発明の検査方法では、変異の同定は体外またはin vitroで行うことができる。NOD2遺伝子中の変異は、例えば、ヒトNOD2タンパク質中の110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異でありうる。塩基配列中の変異としては、例えば、ヒトNOD2遺伝子塩基配列中の328位、931位、1108位、1375位および/または2602位の塩基における変異でありうる。
本発明の侵襲性歯周炎の検査方法の一つの態様は、(i)ヒト被検者のDNAまたはRNAを含む単離された試料を用意する工程、(ii)試料に含まれるDNAまたはRNAに基づき、NOD2遺伝子中の変異の有無を判定する工程を含み、NOD2遺伝子中に変異が存在することにより、被検者が侵襲性歯周炎を発症しているか、発症する可能性が高いことが示される、方法に関する。このような検査方法により、変異が同定された未発症の被検者に対しては、予防対策を早期に開始することができる。既に歯周炎を発症している患者に対しては、NOD2を標的とした治療を検討してもよい。
侵襲性歯周炎の検査に用いる試薬組成物およびキット
本発明の侵襲性歯周炎の検査方法の一つの態様は、NOD2遺伝子中の少なくとも1つの変異を同定する工程を含む、侵襲性歯周炎のin vitro検査方法に用いるための少なくとも1つのプライマーまたはプローブを含むキットに関する。このようなキットは、ヒトNOD2タンパク質中の110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異を同定するためのものであってもよく、あるいは、ヒトNOD2遺伝子塩基配列中の328位、931位、1108位、1375位および/または2602位の塩基における変異を同定するためのものであってもよい。より具体的には、プライマーは、配列番号3〜106に記載の配列から選択される配列から成るものとすることができるが、これらに限定はされない。当業者であれば、本願に開示の配列情報および公知の配列情報を利用して、適切なプライマーまたはプローブを設計することができる。プライマーまたはプローブの長さは、例えば、12〜30塩基長でありうる。プライマーまたはプローブは、例えば、配列番号2の塩基配列またはその相補配列にハイブリダイズするように設計することができる。プライマーまたはプローブは、例えば、配列番号2の塩基配列またはその相補配列の一部、好ましくは、連続する12〜30塩基の配列から成る核酸であってもよい。キットには、方法に用いる酵素、標識物質、基材、取扱い説明書等の他の要素が含まれていてもよい。
本発明の侵襲性歯周炎の検査方法の一つの態様は、NOD2遺伝子中の少なくとも1つの変異を同定する工程を含む、侵襲性歯周炎のin vitro検査方法に用いるための少なくとも1つのプライマーまたはプローブを含む組成物に関する。このような組成物は、ヒトNOD2タンパク質中の110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異を同定するためのものであってもよく、あるいは、ヒトNOD2遺伝子塩基配列中の328位、931位、1108位、1375位および/または2602位の塩基における変異を同定するためのものであってもよい。組成物中には、異なる複数のプライマーまたはプローブが含まれていてもよい。より具体的には、プライマーは、配列番号3〜106に記載の配列から選択される配列から成るものとすることができるが、これらに限定はされない。当業者であれば、本願に開示の配列情報および公知の配列情報を利用して、適切なプライマーまたはプローブを設計することができる。
侵襲性歯周炎の治療または予防に有用な物質のスクリーニング方法
本発明者らは、NOD2の変異が侵襲性歯周炎に寄与することを見出した。NOD2は、たとえばNFκBシグナル伝達経路を活性化して、口腔内の炎症に寄与すると考えられることから、NOD2の活性を阻害する物質をスクリーニングすることにより、侵襲性歯周炎に対する治療薬または予防薬として有用な物質を取得しうると理解される。
本発明の一つの態様は、侵襲性歯周炎の予防または治療に有用な物質のスクリーニング方法であって、i)in vitroでNOD2タンパク質と試験物質とを接触させる工程、ii)NOD2タンパク質の活性を測定する工程、およびiii)該試験物質がNOD2タンパク質の活性を低下させるか否かを決定する工程を含む、方法に関する。
このようなスクリーニング方法により同定された物質は、NOD2タンパク質を標的とした歯周炎の治療剤として有用となりうる。NOD2タンパク質の活性は、例えば、NFκBシグナル伝達経路の活性化を指標として測定することができる。あるいは、例えば、Rickard et al.に開示されているもののような、他のアッセイ系を使用してもよい(Rickard DJ, Sehon CA, Kasparcova V, Kallal LA, Zeng X, et al. (2013) Identification of Benzimidazole Diamides as Selective Inhibitors of the NucleotideBinding Oligomerization Domain 2 (NOD2) Signaling Pathway. PLoS ONE 8(8): e69619. doi:10.1371/journal.pone.0069619)。
侵襲性歯周炎に対する治療/予防薬
本発明の一つの態様は、NOD2活性の阻害剤を含有する、侵襲性歯周炎の治療または予防に用いるための組成物に関する。別の言い方をすれば、本発明の一つの態様は、侵襲性歯周炎の治療用または予防用の医薬の製造における、NOD2活性の阻害剤の使用に関する。さらに別の言い方をすれば、本発明の一つの態様は、NOD2活性の阻害剤を対象に投与する工程を含む、侵襲性歯周炎の治療方法または予防方法に関する。
NOD2活性の阻害剤としては、例えば、GSK669(Rickard DJ, Sehon CA, Kasparcova V, Kallal LA, Zeng X, et al. (2013) Identification of Benzimidazole Diamides as Selective Inhibitors of the NucleotideBinding Oligomerization Domain 2 (NOD2) Signaling Pathway. PLoS ONE 8(8): e69619. doi:10.1371/journal.pone.0069619)、GSK717、GSK400、およびそれらの類似体、アレーンクロム錯体(Bielig H, Velder J, Saiai A, Menning M, Meemboor S, et al. (2010) Anti-inflammatory arene-chromium complexes acting as specific inhibitors of NOD2 signaling. ChemMedChem 5: 2065-2071.)、クルクミン(Huang S, Zhao L, Kim K, Lee DS, Hwang DH (2008) Inhibition of Nod2 signaling and target gene expression by curcumin. Mol Pharmacol 74: 274-281.)を挙げることができるが、これらに限定はされない。阻害剤は、NOD2に対して選択的な阻害剤(GSK669、GSK717、GSK400など)でも、非選択的な阻害剤(クルクミンなど)であってもよい。副作用を考慮して、薬効の範囲を限定するためには、選択的な阻害剤を用いることが好ましい。NOD2活性の阻害剤は、抗体や、NOD2のタンパク質発現に影響を与える核酸(アンチセンス核酸、siRNAなど)であってもよい。
侵襲性歯周炎の治療または予防に用いるための組成物は、錠剤や注射剤などの医薬組成物でありうる。侵襲性歯周炎の治療または予防に用いるための組成物は、歯磨き粉や洗口液であってもよい。あるいは、侵襲性歯周炎の治療または予防に用いるための組成物は、ガムやジュースなどの食品組成物であってもよい。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
<材料および方法>
(参加者)
2013年4月から2015年3月まで、東京医科歯科大学の歯周病科に来院した99例のAgP患者が参加した。AgPの診断は1999 International Workshop for a Classification of Periodontal Disease and Conditionsの基準に基づいて行われた。包含および除外の基準は以下のとおりである:診断基準は、急速なアタッチメントロスと骨の破壊、歯周炎の存在を除き臨床的に健康であること、ならびに家族集積性であった。除外基準は、両顎において19歯未満であること、歯科矯正器具の使用、抗炎症薬の長期にわたる使用、または妊娠もしくは授乳していることであった。参加した患者の中にIBDマッピングとエクソーム解析に適した複数の患者を有する家系が2つ見つかった(図1b)。3世代家系である1つの家系では、罹患していない親類の1人もこの研究に参加することに同意した。東京医科歯科大学倫理委員会の承認(No.890)を得て、参加者全員に対して、採血やDNA分析などの研究参加に関するインフォームドコンセントを書面により行った。ゲノムDNAは、標準的なプロトコールによって末梢血白血球から抽出した。
(一塩基多型(SNP)マイクロアレイ遺伝子型解析およびIBDマッピング)
5例の罹患患者および1例の健康な個体を含む2つの家系(図1b)について、Human CoreExome BeadChip(Illumina)を用いた全ゲノムSNP遺伝子型解析を製造業者のプロトコールに従って行った。バリアントコーリング(variant calling)はGenomeStudio v1.0 Genotyping Module(Illumina)を用いて行った。サンプルについては0.98以上、SNPについては0.99以上のコールレートカットオフ閾値を適用し、過剰なヘテロ接合性を示すものは除外した。新たに開発されたノンパラメトリックな家系同一性(IBD)解析を行った(Okada Y, Diogo D, Greenberg JD, Mouassess F, Achkar WA, Fulton RS, Denny JC, Gupta N, Mirel D, Gabriel S et al. 2014. Integration of sequence data from a consanguineous family with genetic data from an outbred population identifies plb1 as a candidate rheumatoid arthritis risk gene. PLoS One. 9(2):e87645.)。簡単に説明すると、この方法では、罹患者のサンプルにおいてホモ接合性遺伝子型の一方または両方を失う領域性IBDを探索するために、スライディングウインドウアプローチを用いて全ゲノムSNP遺伝子型データを使用する。1Mbビンにわたるウインドウが、このビン内のすべてのSNP遺伝子型が1個以下のSNPを除き上記の規則に従った場合、IBDとして定義され、IBDウインドウが2Mbp長よりも続く場合にIBDストレッチが定義された。このノンパラメトリックなIBDマッピングのためのJava(登録商標)ソフトウェアはhttp://plaza.umin.ac.jp/~yokada/datasource/software.htmで公開されている。
(全エクソームシーケンシング)
全エクソームシーケンシング(WES)をSNPマイクロアレイ遺伝子型決定に含めたものと同じサンプルについて行った。エクソンキャプチャーは、Ion Ampliseq Exome RDY Kit(Thermo Fisher)を用いて製造者のプロトコールに従って行った。簡単に説明すると、まず、ゲノムDNA(gDNA)をQubit 2.0蛍光光度計(Thermo Fisher)によって定量した。100ngのgDNAを用いて、多重PCR増幅により、全てのエクソンを濃縮した。PCRサイクリングの完了後、固有のバーコードを各サンプルに適合させた。次にライブラリーを精製し、Ion Library Quantitation kit(Thermo Fisher)を用いてqPCRにより定量した。各ライブラリーを、エマルジョンPCRのためにOne Touch OT 2(Thermo Fisher)を用いて処理し、濃縮のためにOneTouch ES(Thermo Fisher)を用いて処理した。配列決定はIon PI Chip Kit v2を用いてIon Protonシーケンサー(Thermo Fisher)上で行った。hg19ヒト参照ゲノムとのアラインメントおよびバリアントコーリングは、Ion Torrent Suite Software v4.0(Thermo Fisher)によって処理した。病原性は、インシリコ予測ツール(PROVEAN、MutationTaster、SIFT、およびPolyPhen2)におけるバリアントによって予測した。
(機能アノテーションと変異のフィルタリング)
SnpEffとSnpSiftを用いて、機能アノテーションを行った。dbSNP(ビルド141)データベースのSNP IDをSnpSiftの“annotate”コマンドを使用してアノテートし、効果情報はSnpEffの“eff”コマンドを使用してアノテートした。フィルタリングパイプラインを表4に記す。
(サンガーシーケンシング)
候補変異は、サンガーシーケンシングにより確認を行った。プライマー配列は、NOD2およびOBSCNの候補変異を含む領域を増幅するように設計した。PCR産物を精製し、BigDye terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Thermo Fisher)およびABI 3130xl Genetic Analyzer(Applied Biosystems)によって配列を決定した。
(ターゲットシーケンシング)
Ion AmpliSeq Library Preparation Kit(Thermo Fisher)およびIonProton Systemを使用して、94例の遺伝的に無関係なAgP患者について、ターゲットシーケンシングを行った。プライマーは、NOD2の全12個のコーディングエクソンを標的とするように設計した。
<例1:2つのAgP家系のIBDマッピング>
診断時の平均年齢は32.7±5.6歳であった。症例は男性47例、女性52例であり、いずれも日本人であった。そのうち31例が喫煙者で、34例が非喫煙者であった。残りの34例については、喫煙状況に関する記録がなかった。2つの家系(家系1:AgP患者3名と無影響の親族1名;家系2:のAgPを発症した兄妹2名)について、原因変異を含むと予想される家系内のIBD(Identical-By-Descent)領域を同定するために、新たに開発されたノンパラメトリック連鎖解析を用いて、SNPをゲノムワイドに調査した。家系1の娘(III−2)は、28歳の時にAgPと診断された。彼女は局所的に、特に歯茎切歯および第一臼歯について歯槽骨を失っており、歯肉は腫れていた(図1a、左)。家系2の両患者のX線写真(図1a、右)は、複数の歯がその支持骨を65%以上失っていることを示し、そう長くはもたないと予想された。妹(II−2)と兄(II−1)はそれぞれ32歳と36歳であるが、両者の歯槽骨は病歴なしに、重度に失われていた(図1a、左)。連鎖解析を用いて、AgP患者間で共有される54.2Mbp(ヒトゲノムの1.52%)にわたる32のIBD領域を同定した。
<例2:エクソーム解析>
それから、同じ2つの家系について全エクソーム塩基配列解読を行い、原因変異を同定した。平均35,154,417リードをhg19ヒト参照ゲノムにマッピングした。標的比およびカバレッジの平均はそれぞれ93.36%および93.01%であった。Torrent Suite Software v4.0によって実施されたバリアントコーリング(variant calling)は、平均して48,733のコーディング変異を同定した。フィルタリング後、家系1においては96の変異、家系2においては321の変異がそれぞれ同定された。2つの家系間のフィルター後の変異を比較すると、16q12のNOD2(MIM:605956)と1q42のOBSCN(MIM:608616)の2つの遺伝子のみが共通して検出された。患者において、これらの遺伝子はそれぞれ、2つのミスセンス変異を含んでいた。これらの候補変異をサンガーシーケンシングによってダブルチェックしたところ、家系2の患者の1人においてはOBSCN変異が見つからず、この結果は誤りであることが示された。一方、NOD2ではc.328G>A(p.Ala110Thr)とc.931C>T(p.Arg311Trp)という2つの変異遺伝子型を確認できた(図2b)。これらのNOD2の変異は、ゲノムワイドなSNPのIBDマッピングによって見出されるIBD領域内にあったが、OBSCN候補変異はそうでなかった。2つの変異、c.328G>Aおよびc.931C>Tは既知の変異であり(rs571102620およびrs104895427)、公的データベースによれば、それらの対立遺伝子頻度はAgPの罹患率にも適合する:1000人ゲノムプロジェクト(1000 Genomes Project)では0.2%および0.09%、HGVDでは0.25%および0.7%、NHLBI ESPではデータなしおよび0.023%、ExACでは0.0074%および0.05%(表5)。
NOD2は細胞質性タンパク質であり、パターン認識受容体として先天性免疫において重要な役割を担い、核因子κB(NFκB)および分裂促進因子キナーゼ(MAPK)シグナル伝達カスケードを促進する。また、サンガーシーケンシングにより、家系内のすべてのAgP患者が、NOD2のいずれかの変異についてヘテロ接合性であることが確認された(図2b)。どちらの変異も、高度に保存された座位においてNOD2のアミノ酸配列を変化させており(Ala110ThrおよびArg311Trp)、Ala110Thr変異は、それぞれPolyPhen2.0およびSIFTによって「おそらく有害(PROBABLY DAMAGING)」および「有害(Damaging)」であると予測され、一方、Arg311Trp変異は、評価した予測ツールのすべてによって、タンパク質機能に有害に影響すると予測された(表6)。なお、SIFTスコアの閾値は、バイナリ分類(有害(Damaging)vs許容(Tolerated))について0.05に設定した。PolyPhen-2の出力は、おそらく有害(PROBABLY DAMAGING)、有害の可能性あり(POSSIBLY DAMAGING)、または良性(BENIGN)という予測であり、0.0(良性;BENIGN)から1.0(有害;DAMAGING)の範囲の数値を伴う。
<例3:ターゲットエクソンシーケンシング>
AgPの原因となるNOD2の他の変異の可能性を評価するため、Ion AmpliSeq Kit(Thermo Fisher)を用いて、94例の遺伝的に関係の無いAgP患者において、ターゲットエクソンシーケンシングを行った。94例のAgP患者のうち、この遺伝子に非同義変異を有する患者を5例(5.3%)同定した。その中から、3つの追加の変異(His370Tyr、Arg459Cys、Ala868Thr)が同定され、それらは、ヒトの遺伝子変異に関する最新の公的データベース(HGVD、NHLBI ESP、1000 Genomes Project、およびExAC)によると、アジア人集団においては存在しないか、または稀であるかのいずれかであった(マイナー対立遺伝子頻度(MAF)≦0.001)。また、Arg311Thr変異は2例の患者において同定され、これはサンガーシーケンシングによって確認された(図2b)。本研究では、NOD2に2つ以上の稀なミスセンス変異を持つ患者は同定されなかった。
本明細書には、本発明の好ましい態様を示してあるが、そのような態様が単に例示の目的で提供されていることは、当業者には明らかであり、当業者であれば、本発明から逸脱することなく、様々な変形、変更、置換を加えることが可能であろう。本明細書に記載されている発明の様々な代替的実施形態が、本発明を実施する際に使用されうることが理解されるべきである。また、本明細書中において参照している特許および特許出願書類を含む、全ての刊行物に記載の内容は、その引用によって、本明細書中に明記された内容と同様に取り込まれていると解釈すべきである。
本発明者らは、侵襲性歯周炎とNOD2遺伝子中の変異の関係を明らかにした。NOD2遺伝子中の変異を同定することにより、侵襲性歯周炎の有無、またはその発症傾向をin vitroで検査することができる。このような検査は、侵襲性歯周炎の確定診断に有用である。また、侵襲性歯周炎の遺伝的素因を発症前に検出できることから、予防や早期の治療が可能となる。

Claims (8)

  1. NOD2遺伝子中の少なくとも1つの変異を同定する工程を含む、侵襲性歯周炎のin vitro検査方法。
  2. ヒトNOD2タンパク質(配列番号1)中の110位、311位、370位、459位および/または868位のアミノ酸残基における変異を同定することを特徴とする、請求項1記載の検査方法。
  3. ヒトNOD2遺伝子塩基配列(配列番号2)中の328位、931位、1108位、1375位および/または2602位の塩基における変異を同定することを特徴とする、請求項1記載の検査方法。
  4. NOD2遺伝子中の少なくとも1つの変異を同定する工程を含む、侵襲性歯周炎のin vitro検査方法に用いるための少なくとも1つのプライマーまたはプローブを含むキット。
  5. NOD2遺伝子中の少なくとも1つの変異を同定する工程を含む、侵襲性歯周炎のin vitro検査方法に用いるための少なくとも1つのプライマーまたはプローブを含む組成物。
  6. 侵襲性歯周炎の予防または治療に有用な物質のスクリーニング方法であって、i)in vitroでNOD2タンパク質と試験物質とを接触させる工程、ii)NOD2タンパク質の活性を測定する工程、およびiii)該試験物質がNOD2タンパク質の活性を低下させるか否かを決定する工程を含む、方法。
  7. NOD2活性の阻害剤を含有する、侵襲性歯周炎の治療または予防に用いるための組成物。
  8. GSK669、GSK717、GSK400、アレーンクロム錯体、およびクルクミンから成る群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する、侵襲性歯周炎の治療または予防に用いるための組成物。

JP2017120172A 2017-06-20 2017-06-20 侵襲性歯周炎の遺伝子検査および治療剤 Pending JP2019000082A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017120172A JP2019000082A (ja) 2017-06-20 2017-06-20 侵襲性歯周炎の遺伝子検査および治療剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017120172A JP2019000082A (ja) 2017-06-20 2017-06-20 侵襲性歯周炎の遺伝子検査および治療剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019000082A true JP2019000082A (ja) 2019-01-10

Family

ID=65005140

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017120172A Pending JP2019000082A (ja) 2017-06-20 2017-06-20 侵襲性歯周炎の遺伝子検査および治療剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019000082A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020108524A (ja) * 2019-01-04 2020-07-16 株式会社ユニバーサルエンターテインメント 遊技機
JP2020108529A (ja) * 2019-01-04 2020-07-16 株式会社ユニバーサルエンターテインメント 遊技機
JP2020108511A (ja) * 2019-01-04 2020-07-16 株式会社ユニバーサルエンターテインメント 遊技機
JP2020108527A (ja) * 2019-01-04 2020-07-16 株式会社ユニバーサルエンターテインメント 遊技機

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020108524A (ja) * 2019-01-04 2020-07-16 株式会社ユニバーサルエンターテインメント 遊技機
JP2020108529A (ja) * 2019-01-04 2020-07-16 株式会社ユニバーサルエンターテインメント 遊技機
JP2020108511A (ja) * 2019-01-04 2020-07-16 株式会社ユニバーサルエンターテインメント 遊技機
JP2020108527A (ja) * 2019-01-04 2020-07-16 株式会社ユニバーサルエンターテインメント 遊技機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Andersson et al. Mutations in COL1A1 and COL1A2 and dental aberrations in children and adolescents with osteogenesis imperfecta–a retrospective cohort study
Kim et al. Mutations in RELT cause autosomal recessive amelogenesis imperfecta
Shimizu et al. Enamel formation genes influence enamel microhardness before and after cariogenic challenge
Yamaguchi et al. Exome resequencing combined with linkage analysis identifies novel PTH1R variants in primary failure of tooth eruption in Japanese
Antunes et al. Analysis of the association between polymorphisms in MMP2, MMP3, MMP9, MMP20, TIMP1, and TIMP2 genes with white spot lesions and early childhood caries
JP2019000082A (ja) 侵襲性歯周炎の遺伝子検査および治療剤
Roth et al. Expanding the spectrum of PTH1R mutations in patients with primary failure of tooth eruption
Casado et al. Different contribution of BRINP3 gene in chronic periodontitis and peri-implantitis: a cross-sectional study
Lexner et al. X‐linked hypohidrotic ectodermal dysplasia. Genetic and dental findings in 67 Danish patients from 19 families
Schulz et al. Genetic markers of tumour necrosis factor α in aggressive and chronic periodontitis
Swinnen et al. Investigating the etiology of multiple tooth agenesis in three sisters with severe oligodontia
Jelani et al. A novel homozygous PTH1R variant identified through whole-exome sequencing further expands the clinical spectrum of primary failure of tooth eruption in a consanguineous Saudi family
Bevilacqua et al. A genome‐wide association study identifies an association between variants in EFCAB 4B gene and periodontal disease in an Italian isolated population
Mostowska et al. Novel PAX 9 mutation associated with syndromic tooth agenesis
Zupin et al. NLRC5 polymorphism is associated with susceptibility to chronic periodontitis
Kim et al. Association between FGFR1OP2/wit3. 0 polymorphisms and residual ridge resorption of mandible in Korean population
Kajii et al. Whole-exome sequencing in a Japanese pedigree implicates a rare non-synonymous single-nucleotide variant in BEST3 as a candidate for mandibular prognathism
Roskamp et al. Types of external root resorption of replanted teeth: Analysis of the clinical aspects and of Interleukin-4 gene polymorphisms involvement
Hernández et al. ZNF718, HOXA4, and ZFP57 are differentially methylated in periodontitis in comparison with periodontal health: epigenome‐wide DNA methylation pilot study
Tomoyasu et al. External apical root resorption and the interleukin-1B gene polymorphism in the Japanese population
Daw et al. A novel PAX9 mutation causing oligodontia
Al AlSheikh et al. Two novel SNPs in genes involved in immune response and their association with mandibular residual ridge resorption
Arte et al. Craniofacial and dental features of Axenfeld‐Rieger syndrome patients with PITX2 mutations
WO2022191571A1 (ko) 치근외흡수와 관련된 단일염기다형성 및 그의 용도
Abu-Saleh Interleukin-1 composite polymorphism as a risk factor for chronic periodontitis: a review: scientific

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170630

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20180516