以下の記述は、当業者が本発明を使用できるようにして、本発明人によって検討された本発明を実行する最良の態様を明記するために、本発明の全ての章と一緒に提供する。しかし、本発明の包括的な原理は、特に、複雑なM次元のデータ測定値、具体的には、天体画像を処理するためのコンピュータ実装方法およびシステムを提供するために定義されているので、様々な修正が、当業者に明らかなままであるように適合される。
1.用語の紹介
用語「相互加算(coaddition)」、「相互に加算すること(coadding)」またはその類似は、本明細書では、入力グリッドからの、画像、またはM次元の測定値がサンプリングされて、共通の出力グリッドに追加されるプロセスを指す。
用語「整合フィルタ(match filter)」または「整合フィルタ処理(match filtering)」は、本明細書では、既知の信号、またはテンプレートを、未知の信号と相互に関連付けて、未知の信号内でテンプレートの存在を検出することを指す。これは、未知の信号をテンプレートの共役反転バージョンで畳み込み/コンボリュートすること(コンボリューション)に等しい。
用語「畳み込み(convolution)」、「畳み込む」、「畳み込むこと」またはその類似は、本明細書では、2つの関数fおよびgに対する数学演算を指し、通常、元の関数の1つの修正バージョンとして見られる第3の関数を生じ、2つの関数の間で重なり合う領域を、元の関数の1つが変換される量の関数として与える。
用語「光源(source)」は、本明細書では、観測されている任意の物体、および、天体撮像の用途では、発光しているか、または光を反射している物体を指す。
用語「フラックス(flux)」は、本明細書では、測定されている任意の物理的特性、および、天体撮像の用途では、空間内での物理的特性のフロー、例えば、光を指す。
用語「点像分布関数(PSF)」は、本明細書では、撮像システムの点光源または点物体に対する応答を指す。PSFに対するもっと一般的な用語は、系のインパルス応答であり、PSFは、焦点を合わせた光学系のインパルス応答である。
用語「インパルス応答」は、本明細書では、短い入力信号で提示される場合、動的系(dynamic system)の出力を指す。もっと一般的には、インパルス応答は、何らかの外的変化に応答した、任意の動的系の反応を指す。
用語「周波数応答」は、本明細書では、刺激に応答して、系または装置の出力スペクトルの定量的測定を指し、系の動態を特徴づけるために使用される。それは、入力と比較した、出力の振幅および位相の周波数の関数としての測定である。
用語「不良画素(複数可)」は、それらの値が、それらに作用している本当の光の兆候をほとんど、または全く示していない画素を指す。不良画素は、永久的な製造欠陥または、検出器における突然の/異常な電気的現象のいずれかによって引き起こされ得る。
用語「反射ゴースト」は、本明細書では、実際の場面には存在していない、カメラまたは他の光学機器の焦点面における特徴もしくは形状、または所望の画像上に重ね合わせられる焦点の合っていない重複画像を指す。ゴースト画像、またはゴースト反射は、レンズまたは窓の表面からの反射によって生じる。各ガラス表面は、入射光を2つの部分:表面を通過する透過部分、およびはね返る反射部分、に分ける。反射光が、別のガラス表面または鏡からの反射によって再度はね返される場合、それは、焦点面に進んでゴースト画像を形成し得る。ゴースト画像は、焦点の合っていないぼやけまたは汚れ、はっきりした円またはカメラの絞りもしくは他の開口の形状をした多角形、または場面内の物体の偽像として出現し得る。
2.好ましい実施形態
いくつかの実施形態によれば、本発明は、1以上の新規物体および/または1以上の既知の物体のトランジェントを、複雑で不変の背景DMにおいて、検出するための物理的特性の少なくとも2つのM次元データ測定値(DM)を処理するための新規の方法およびシステムを提供する。
図1は、1以上の新規物体および/または1以上の既知の物体のトランジェントを、複雑で不変の背景DMにおいて、検出するための物理的特性の少なくとも2つのM次元データ測定値(DM)を処理するための方法(100)に対する本発明の実施形態を概念的に示し、本方法は:
物理的特性の少なくとも2つのM次元データ測定値(DM)を収集すること(110)、
新規DMを基準DMの逆インパルス応答によって畳み込むことにより畳み込まれた新規DMを生成すること(120)、
基準DMを新規DMの逆インパルス応答によって畳み込むことにより畳み込まれた基準DMを生成すること(130)、
畳み込まれた基準DMを畳み込まれた新規DMから、またはその逆に、減算することによってM次元の物体指標(OI)を生成すること(140)、および
スコアの各々が特定のM次元位置における物体の存在に対するプローブである、M次元のデータスコア(DS)をM次元のOIから生成すること(150)、を含む。
いくつかの実施形態では、DSを生成する方法(100)は、OI内の物理的特性の空間または時間周波数を正規化すること(151)をさらに含み、周波数の各々は、それ自身の雑音の標準偏差(STD)によって正規化され、それにより、正規化OIの解成分は、等分散の物理的特性雑音を有しており、さらに、物理的特性雑音は、解成分間で無相関である。
いくつかの実施形態では、DSを生成する方法(100)は、OIまたは正規化OIの各周波数を、周波数の雑音分散で割ったその共役周波数応答によって乗じること(152)をさらに含み、それによりDSの各周波数は、その雑音分散に等しい周波数応答を有する。
いくつかの実施形態では、本方法(100)は、物理的特性を正規化OIおよび/またはDSにおいて測定すること(160)をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本方法(100)は、少なくとも1つの新規物体および/または少なくとも1つの既知の物体に対するトランジェントを、正規化OIおよび/またはDSにおいて検出すること(170)をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、検出することは、物理的特性に対する正および/または負の所定の閾値に応答する。
いくつかの実施形態では、本方法(100)は、複数の整合フィルタ処理した元の基準DMを累積することにより基準DMを生成すること(180)、および/または複数の整合フィルタ処理した元の新規DMを累積することにより新規DMを生成することをさらに含み、フィルタ処理することは、それらのインパルス応答の各々に対応する。いくつかの実施形態によれば、累積することは、結合すること、相互に加算すること、および重ね合わせること:から成る群から選択された少なくとも1つをさらに含む。
図2は、1以上の新規物体および/または1以上の既知の物体のトランジェントを、複雑で不変の背景DM内で検出するために物理的特性の少なくとも2つのM次元データ測定値(DM)を処理するための、少なくとも1つのプロセッサ(230)および少なくとも1つのメモリ要素(240)を備えた、システム(200)に対する本発明の実施形態を概念的に示しており、本システムは、
少なくとも2つのM次元DM(215)を収集するように構成された入力インタフェース(210)、
メモリ内に格納された、フィルタ処理モジュール(231)であって、
新規DM(215N)を基準DM(215R)の逆インパルス応答によって畳み込むことにより畳み込まれた新規DMを生成し、
基準DM(215R)を新規DM(215N)の逆インパルス応答によって畳み込むことにより畳み込まれた基準DMを生成するように構成された、フィルタ処理モジュール(231)、
畳み込まれた基準DMを畳み込まれた新規DMから、またはその逆に、減算することによってM次元の物体指標(OI)を生成するように構成された、メモリ内に格納された、減算モジュール(232)、および
OI内の物理的特性の空間または時間周波数を正規化することにより、M次元の正規化OIを生成するように構成された、メモリ内に格納された、処理モジュール(233)であって、周波数の各々は、それ自身の雑音の標準偏差(STD)によって正規化される、処理モジュール(233)を備え、
それにより、正規化OIの解成分は、等分散の物理的特性雑音を有し、さらに、物理的特性雑音は、解成分間で無相関である。
いくつかの実施形態では、処理モジュール(233)は、OI内の物理的特性の空間または時間周波数を正規化することにより、M次元の正規化OIを生成するようにさらに構成され、周波数の各々は、それ自身の雑音の標準偏差(STD)によって正規化され、それにより、正規化OIの解成分は、等分散の物理的特性雑音を有し、さらに、物理的特性雑音は、解成分間で無相関である。
いくつかの実施形態では、処理モジュール(233)は、OIまたは正規化OIの各周波数を、周波数の雑音分散で割ったその共役周波数応答によって乗じるようにさらに構成され、それによりDSの各周波数は、その雑音分散に等しい周波数応答を有する。
いくつかの実施形態では、本システム(200)は、物理的特性を正規化OIまたはDSにおいて測定するように構成された、メモリ内に格納された、測定モジュール(234)をさらに備える。
いくつかの実施形態では、本システム(200)は、少なくとも1つの新規物体および/または少なくとも1つの既知の物体に対するトランジェントを、正規化OIまたはDSにおいて検出するように構成された、メモリ内に格納された、検出モジュール(235)をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、検出することは、物理的特性に対する正および/または負の所定の閾値に応答する。
いくつかの実施形態では、本システム(200)は、複数の整合フィルタ処理した元の基準DMを累積することにより基準DMを生成し、かつ/または複数の整合フィルタ処理した元の新規DMを累積することにより新規DMを生成するように構成された、メモリ内に格納された、累積モジュール(236)をさらに備え、整合フィルタ処理は、それらのインパルス応答の各々に対応する。いくつかの実施形態によれば、累積することは、結合すること、相互に加算すること、および重ね合わせること:から成る群から選択された少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態では、本システム(200)は、DM(215、215R、215N)、それらのOI、それらの正規化OIおよび/またはそれらのDSの少なくともいずれかを表示するために構成された、ディスプレイ装置(290)をさらに備える。
いくつかの実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つのプロセッサおよび少なくとも1つのメモリ要素を使用して、少なくとも2つのM次元データ測定値(DM)を処理するための新規の処理方法をさらに提供し、本方法は、
第2のDMのインパルス応答に対して、第1のDMを整合フィルタ処理することによりフィルタ処理した第1のDMを生成すること、
第1のDMのインパルス応答に対して、第2のDMを整合フィルタ処理することによりフィルタ処理した第2のDMを生成すること、
フィルタ処理した第2のDMをフィルタ処理した第1のDMから、またはその逆に、減算することによりM次元の第3のDMを生成すること、および
第3のDM内の物理的特性の空間または時間周波数を正規化することにより、M次元の正規化DMを生成することであって、周波数の各々は、それ自身の雑音の標準偏差(STD)によって正規化される、M次元の正規化DMを生成すること、を含み、
それにより、正規化DMの解成分が、等分散の物理的特性雑音を有し、さらに、物理的特性雑音は、解成分間で無相関である。
いくつかの実施形態では、処理方法は、M次元のデータスコア(DS)を生成することをさらに含み、スコアの各々は特定のM次元位置における物体の存在に対するプローブであり、DSは、正規化DMの各周波数を、周波数の雑音分散で割ったその共役周波数応答によって乗じることによって生成され、それによりDSの各周波数が、その雑音分散に等しい周波数応答を有する。
いくつかの実施形態では、DMの全部が同じ測定分野である。いくつかの実施形態によれば、DMの各々は、単一のタイムスタンプで取得される。
いくつかの実施形態では、Mは正の整数である。
いくつかの実施形態では、物理的特性はフラックスであり、DMは画像であり、解成分は画素である。
いくつかの実施形態では、物理的特性は電圧であり、DMは無線信号である。
いくつかの実施形態では、物理的特性は不透明度であり、DMは断層撮影測定である。
以下の第3〜第13節では、本発明の詳細な実施形態および例を開示し、それらは主に、画像処理、とりわけ、天体画像の処理に関連し、例えば、限定されない例として、天文学的な検出および/または宇宙ごみもしくは地球近傍小惑星の追跡などがある。しかし、本発明は、様々なデータ処理用途に適用され得、以下を含むがそれらに限定されない。
断層撮影撮像、任意の種類の透過波の使用を通じて、セクションまたはセクショニングによる撮像を指す。従って、提供する方法の応用は、放射線医学、考古学、生物学、大気科学、地球物理学、海洋学、プラズマ物理学、材質科学、天体物理学、量子情報、および他の科学で使用され得る。ほとんどの場合、断層撮影再構成と呼ばれる数学的手続きに基づく。
医学的応用には、限定されない例として、新しい腫瘍の発見、および/またはそれらの進行の追跡のような、医学的所見のための探索およびこれらの医学的所見の変化における経過観察を含み得る。
新規に提供する方法に対する他の応用には、ジオ撮像(Geo−Imaging)、地球撮像、およびリモートセンシングも含み、例えば、航空機もしくは衛星のいずれかからの地球表面撮像;様々な検出装置を使用した気候、海洋もしくは地上測定;または海洋を他の水域と区別する空間特性−その塩濃度もしくは塩分濃度、からの測定を含むがそれらに限定されない。
他の応用には、データが:マイクロホン、ジオホン(geophone)、ハイドロホン(hydrophone)など:から受信できる、非白色雑音を被る、時系列の分析を含み得る。
3.統計的導出
以前の画像減算法に関連する多数の問題を所与として、トランジェント検出問題を、ここで確固とした統計的な根拠に基づいて取り上げる。第3.1節で、画像減算統計量の導出を概説して、定式化する。完全導出は冗長であると仮定して、第9節とは別に詳述する(画像減算統計量の完全導出)。第3.2節では、画像減算を目的として、基準画像を構築するための最良の方法は、[Zackay & Ofek,2015a,arXiv:1512.06872およびZackay & Ofek,2015b,arXiv:1512.06879]の画像相互加算アルゴリズムを使用することであることを示す。第3.1節の導出では、画像は、背景雑音優位である(すなわち、物体は光源雑音を有し得、それは、背景雑音よりも低い)と仮定する。これは、強い光源の近くの雑音の過小評価を引き起こす。第3.3節では、光源雑音および、レジストレーション雑音(registration noise)などの、他の誤差に対処する、画像減算式に対する単純な補正を提示する。第3.4節では、天体観測シフト、雑音および色屈折誤差の正確な取扱いを提示する。第3.5節では、新規および基準画像のフラックスゼロ点を等しくするための推奨方法を概説する。第3.6節では、減算画像における最適なPSF測光のためのアルゴリズムを提供し、第3.7節では、宇宙線、「不良」画素および反射ゴースト識別に対するこの方法の使用方法を記述する。
3.1.画像減算を使用したトランジェント源検出
画像は背景雑音優位であり、雑音はガウス分布で独立している(実際には、CCDにおける電荷斥力および電荷拡散に起因して画素はわずかに相互に関連し得る)と仮定して、第1の原理から、トランジェント源検出のための最適方法が導出される。
RおよびNを、それぞれ、背景を減算した基準画像および背景を減算した新規画像とする。Tで示すのは、背景を減算した真の不変の空の画像である。PrおよびPnで示すのは、それぞれ、基準画像および新規画像の点像分布関数(PSF)である。PrおよびPnは、単位合計(unit sum)を有するように正規化される。Pn、Pr、ならびに新規画像(Fn)および基準画像(Fr)のフラックスベースのゼロ点は既知であると仮定し:Zackay & Ofek(2015a、2015b)に従い、この係数は、大気透明度、望遠鏡および検出器伝送ならびに積分時間の積を表す。FnおよびFrを見つけるための方法は、第3.5節で提示し、PSF測定値は第7.2節で開示する。
基準画像に対する式は:
式中、εrは、画像Rの相加性雑音成分である。
新規画像内に新しい光源はないと明言する帰無仮説、H0を考えると、それは:
と書くことができる。
新規画像において位置qにフラックスαの新規点光源があると明言する対立仮説、H1(q,α)を考えると、それは
と書くことができ、式中、δ(q)は、位置qで1、およびそれ以外はゼロの2次元画像を示す。優位の雑音源は、背景雑音であり、εrおよびεnの両方は、画素の全対は無相関であること−すなわち、x1≠x2である画素x1、x2の全対は:
ならびに、全画素は空間的に一様な分散を有することを満たすと仮定し;折り畳みは局所演算であるので、この仮定は、緩和できる(Zackay & Ofek 2015a):
両方の仮説は単純である(単純仮説には未知のパラメータがない;仮説検定をαおよびqの各値に別々に適用することにより;第9節で追加の説明)ので、2つの単純仮説のどちらかを選ぶための最も強力な統計量は尤度比検定(バイナリ仮説検定の力は、対立仮説が真である場合に、検定が帰無仮説を正しく拒絶する確率である)であると明言する、ネイマン・ピアソンの補助定理[Neyman & Pearson 1933 Philosophical Transactions of the Royal Society of London A:Mathematical,Physical and Engineering Sciences]が使用できる:
式中、Pは確率を示す。
重要な点は、Tに関して事前情報または仮定がない。従って、確率P(N,R|H0)およびP(N,R|H1(q,α))は、直接計算できない。しかし、それらの比率は、条件付き確率の法則を使用して、式を導出することにより計算できる:
次に、H0およびH1は、基準に対して同じ尤度を予測するという事実が使用でき、分子および分母で最後の乗法項が相殺できる。第9節で詳述する、何らかの代数の後、光源検出のための最適な統計量を見つけることができる:
式中、「オーバーライン」記号は、複素共役演算を示す。「ハット」記号の上に「オーバーライン」記号を置くことによって、フーリエ変換演算の後の複素共役演算を指す。この統計量(またはスコア画像)は、単に2つの仮説間の対数尤度比検定である。このスコアは、αの全ての値に対して同時に計算されるが、スコア画像内の各画素は異なるq位置を指す。式12は、整合フィルタ画像であり、さらなるフィルタ処理は必要としないことに留意することは重要である。トランジェントを見つけるために行うべきことは、Sにおいて極大(極小)を識別することだけである。シグマの単位での極大値の有意性は、画像Sの標準偏差で割ったその値によって与えられる。
式12は、整合フィルタ画像であるので、その画素は相互に関連し、トランジェント検出および測光(第3.6節)以外の、任意の仮説検定または測定は、画素間の共分散の知識を必要とする。かかる仮説検定の例は、画像減算による宇宙線の識別、または変光星雲(variable nebulosity)(例えば、光エコー)の探索である。全ての目的に対して画像減算法を最適で使い易くするために、その画素雑音が無相関の画像が識別されるはずであり、この画像とそれ自身のPSFの相互相関は式12を返す。第9節で、かかる画像は:
として識別される。
単位合計を持つように正規化された、この画像のPSFは:
によって与えられ、式中、FDは、減算画像のフラックスベースのゼロ点であり、それは、
によって与えられる。
この差分画像DおよびそのPSFを使用することにより、DのPDとの相互相関が:
を返すことが検証でき、式中、逆方向矢印記号は、反転座標、すなわち、
を示す。代替として、フーリエ空間では:
背景優位の騒音制限では、Dは適正画像であり、従って、本明細書では「適正減算画像」と呼ぶことに留意することは重要である。Zackay & Ofek(2015b)では適正画像は、その雑音が独立していて、一様に分布している(i.i.d)画像であると定義される(畳み込みは局所演算なので、実際には、雑音レベルは、PSFサイズの2倍のスケールで、局所的にのみ同一の必要があり;明るい星の近くではDは適正でない)。これは、Dは、画素間の共分散を必要とすることなく、任意の仮説検定または測定に対して使用できることを意味する。さらに、第13節では、DおよびPDは、実際には、任意の仮説検定または測定に対して十分統計量である(統計上、同じサンプルから計算できる他のどの統計量もパラメータの値に関して追加情報を提供しない場合、統計量は、統計モデルおよびその関連した未知のパラメータに関して十分である)。
式13およびそのPSF(式14)は、その元の形状が、望遠鏡および大気PSFで畳み込まれた物体の検出のために十分である。しかし、粒子ヒット事象は、このPSFを共有しない。第13節では、PSFは、NまたはRにおいてδ関数の差分画像Dで導出される。Nにおけるδ関数の差分画像DでのPSFは:
他方、Rにおけるδ関数の差分画像DでのPSFは:
これらのPSFも、第13節で見ることができる、対応するゼロ点、
を伴う。デルタ関数(例えば、「不良」画素)と似ている事象を探したい場合、これらの式は有用である。
および
は、多くの場合、デルタ関数によって概算できることに留意すべきである。要約すると、基準または新規画像のいずれかでトランジェント源を見つけるために、D(式13)が計算でき、そのPSF(式14)と相互相関できる。代替として、統計量S(式12)を直接計算できる。
3.2.基準画像の構築
典型的には、基準画像は複数の画像を相互に加算することによって構築される。以下で、減算のために基準画像を生成する最良の方法は、Zackay & Ofek(2015b)に記載された方法を使用することを示す。
複数の基準画像の場合、式5は、j番目の基準画像に対するモデルで置き換えるべきである:
ここで、Fjは、j番目の基準画像のフラックスベースのゼロ点であり、Pjは、j番目の基準画像のPSFであり、εjは、j番目の基準画像の雑音である。前述と同様、帰無仮説、H0を仮定すると、Nに対するモデルは、式6によって与えられ、他方、第1の仮説、H1が真である場合、Nは、式7によって与えられる。
前節におけるように、2つの単純仮説が検定される。従って、最適な検定統計量は、尤度比検定である[Neyman & Pearson]
前述と同様、条件付き確率の法則、ならびにH0およびH1は、全ての基準に対して同じ尤度を予測するという事実を使用することができる。完全導出は第10節で提示され、何らかの代数の後、最適な基準画像が:
によって与えられる。基準画像のPSF(単位合計を持つように正規化された)は:
によって与えられ、式中、Frは、基準のフラックスベースのゼロ点である:
これは、Zackay & Ofek(2015b)で導出された、最適な相互加算方法と似ている。
Rが、個々の基準からの全ての情報を取っておく理由は、Rにおける各周波数の計算で、ランダム変数が加算されて、それらの(共役)期待値によってスケーリングされ、分散で割られるからである。この演算は、ランダム変数の最大S/N加算として識別できる(Zackay & Ofek、2015aのAppendix Aにおけるように;およびZackay & Ofek 2015bは、このいわゆる「適正相互加算」法の十分性の分析および証拠を示す)。
3.3.光源雑音、天文測定雑音および色屈折雑音に対する単純な準最適補正
式12は、光源雑音を無視し、従って、雑音レベルが明るい星の近くで過小評価される。この結果は、強い光源は可能性のあるトランジェントまたは変光星としてフラグを立てられ得ることであり得る。さらに、この式は、天文測定雑音、天文測定シンチレーション雑音、色屈折雑音、フラックスシンチレーション雑音のような、追加の重要な雑音源、および位置依存性フラットフィールド誤差を無視する。
この問題に対する単純な補正は、準最適ではあるが、Sを、追加雑音の局所的な推定分散を考慮に入れる補正係数で割ることである。この補正係数の導出は、第11節で示す。この画像空間では、補正されたSに対する式は
ここで、分母内の項には、
および
係数に含まれていない、分散に対する任意の位置依存性寄与を含み得る。
この例では、2つの特定の寄与が、光源雑音および天文測定雑音からリストされる。分母内の最初の2つの項は、それぞれ、新規および基準画像内の光源雑音からの分散であり、他方、次の2つの項は、天文測定雑音に起因した分散である。色屈折のような他の雑音源は、同様の方法で追加できる。
ここで、V(SN)は、Nを含むSの部分の分散で:
によって与えられ、V(SR)は、Rを含むSの部分の分散で:
によって与えられ、krのフーリエ変換は:
によって与えられ、他方、knのフーリエ変換は:
によって与えられる。
εnおよびεrの分散は、単に分散画像である。単一の画像に対して、分散マップV(εn)は、読み出し雑音の二乗を加算した、単に各画素(背景を含む)内の電子数である。しかし、複数画像の場合には、V(SR)を構築するための正しい方法は、各基準画像に対して、kr、V(εr)、およびV(SR)を計算し、個々のV(SR)値全部を合計することである(第10節におけるように)。しかし、多くの場合、妥当な近似は、適正に相互に加算された画像からkrを計算して、基準がそれから構築された全ての画像(すなわち、背景を含む各画素内の電子数)の単純な加算(電子の単位)を、総読み出し雑音の2乗を加算して使用して、V(εr)を計算することである。
次に、天文測定分散項が:
によって与えられ、式中、σxおよびσyは、それぞれ、xおよびy軸における天文測定レジストレーション雑音であり、他方、
および
は、それぞれ、xおよびy方向におけるSNの勾配である。ここでSNのフーリエ変換は:
によって与えられる。
同様の方法で:
ここで、SRのフーリエ変換は:
によって与えられる。これらの項の起源は、天文測定雑音が個々のPSFにおいてシフトすることを引き起こす。これらのシフトによって誘発された雑音は、隣接した画素間の差(すなわち、勾配)に比例する。
実際には、天文測定レジストレーション雑音は、レジストレーション適合プロセスの二乗平均平方根(RMS)である。この項は、レジストレーション誤差および天文測定シンチレーション雑音の両方を含む。いくつかの場合、レジストレーションの品質は、位置依存性である。この場合、スカラーσxおよびσyを位置依存性雑音の行列で置き換えることが可能である。第3.4節で、天文測定雑音成分のもっと正確な取扱いを提供する。
3.4.天文測定雑音およびフラックス変動の正確な取扱い
天文測定誤差およびシフトは、画像減算に関する主要な問題である。例えば、104の電子および2画素の半値全幅(FWHM)をもつ強い光源に対して、ポアソン雑音によって誘発される天文測定誤差は、約数十ミリ画素(milli−pixel)であり得る。これは、地球の擾乱大気によって誘発される典型的な天文測定シンチレーション雑音に相当する(第7.5節におけるような)。従って、高品質レジストレーションの場合でさえ、全ての明るい星は、天文測定シンチレーション雑音に起因した、減算残差を有し得ることが予期できる。
幸いにも、示した方法の閉形式および数値安定性に起因して、減算残差の形状は、星が基準画像に出現する時と新規画像に出現する時との間での天文測定シフトおよびフラックス差を所与として、完全に予測可能である。従って、それは、各星に対する天文測定シフトおよびフラックス変動を測定するために使用できる。
十分にサンプリングされた画像に対して(十分にサンプリングされた画像により、PSF幅が少なくとも2つの画素によってサンプリングされ;これは、カメラによるPSFのナイキストサンプリングと呼ぶことができる)、この提案されたメカニズムは正確であり、非常に密集した場において天文測定シフトおよび変動を測定できるようにする。ここで詳細を概略で提供する。動きおよび輝度変化検出カーネルは:
ここでαnは、Nにおける光源のフラックスであり、αrは、Rにおけるそのフラックスであり、
は、フーリエ空間におけるシフト演算子(部分画素シフトを含む)である。この演算子は、シフトΔxおよびΔyの関数である。式34を使用すると、Sで検出された残差を、第3.3節におけるよりもさらに注意深く取り扱うことができる。具体的には、ここで仮説検定を実行して、例えば、H0:変化は、安定していて変化しない光源と一致する;またはH1:星が動いたか、またはそのフラックスが変化した、のどちらかに決めることができる。この方式は、Sにおいて著しいピークが識別される(例えば、上述の3σ)、Dの任意の部分に適用できる。誤検出を排除するためにこれを使用することは別として、ここでこれを使用して、新しい種類の信号を検出および測定することができる。例えば、背景において複雑で時間一定の構造の存在下でさえ、動いている物体を盲目的に探索するためにそれを使用できる。
3.5.局所的ゼロ点、背景フラックスおよび天文測定シフトの整合
本ソリューションでは、今までのところ、フラックスベースのゼロ点(FnおよびFr)、背景レベル(BnおよびBr)、および相対天文測定シフト(ΔxおよびΔy)は既知であると仮定した。式13の入念な分析で、実際には、それは、フラックスゼロ点比:
背景差、
および平行移動(Δx,Δy)だけに対処することが示される。
式35および式36をD(式13)に代入して、シフト演算子を導入することにより、β、γ、Δx、およびΔyを見つけるために最小限にする必要のある所望の式を得ることができる。これは、局所的に(画像の小さな部分で)、または大域的に、のいずれかで行うことができる。簡潔にするため、また第3.4節におけるように、ここでは平行移動を無視し、以下で、これをどのように組み込むことができるかを示す。
βおよびγを見つけるために、
の2つの部分を比較すべきである:
および
FnおよびFrは、βと置き換えられることに留意されたい。必要なのは、フーリエ変換
および
を逆にして、βおよびγ´(および任意選択でΔxおよびΔy)について次の非線形方程式を解くことである:
式中
本ソリューションは、画像領域で実行すべきであることに留意されたい。小さい平行移動を解決するために、
およびγ´をシフト演算子で乗じる。画像が減算された背景であり、正しく位置合わせされたと確信する場合、γ=0、Δx=0、Δy=0が設定でき、βの値だけを求めるために同じ式を使用できる。
式39は、βにおいて非線形である。従って、繰返し解法が必要とされる。例えば、第1の繰返しでβ=1を設定して、βの新しい値を求め、それを次の繰返しで使用して、収束まで、βの新しい値を探す(通常、βは2〜3の繰返しで収束することが分かった)。さらに、式39を解くために、ロバスト適合法(robust fitting method)を使用する必要があることに注意することが重要である。理由は、画像内に不良画素、粒子ヒット、天文測定雑音、および飽和画素があり得るからである。βの適合前に、画像のエッジ画素を除去することも推奨される。
3.6.差分画像におけるPSF測光
この節では、差分画像において光源のPSF測光を測定するための統計量を示す(PSF測光は光源をPSFと効率的に適合することを指す)。この測定統計量は、バイアスがかけられておらず、全ての推定量の中で最大S/Nを有しており、それは、入力画像の線形結合である。加えて、この測定統計量は、点光源トランジェントのフラックスに対する最大尤度推定値でもある。しかし、この統計量は、背景優位の騒音制限に対してのみ最適である。この統計量の完全導出は、第12節で示す。
位置qにおける光源のPSF測光に対する最良線形推定量は:
ここで、FSは、Sのフラックス正規化である:
式中、fは空間周波数を示す。
この推定量の標準偏差は:
式中、V(SN)およびV(SR)は、式26〜式27で定義される。式41は、画像内の全てのトランジェントのPSFフラックスを同時に測定するために使用できることに留意されたい。
3.7.宇宙線、「不良」画素およびゴースト指標
画像減算統計量Dは、宇宙線および「不良」画素を識別するために使用できる。適正画像減算を使用することの、他の画像差分技法に対する主要な優位性は、その画素雑音が無相関なことであり、通常、それは、光源の形状を大雑把に維持し、それは、δ関数に似ている。これは、ほとんどの場合、修正なしで、エッジ検出アルゴリズム(例えば、van−Dokkum 2001,PASP,113,1420)をDに直接、適用することにより、粒子ヒットを識別できることを意味する。
代替アプローチは、粒子ヒットおよび「不良」画素の形状に対してラフモデル(rough model)を使用すること、ならびに複合仮説検定を実行することである。位置qにおける物体がフラックスαをもつ点光源トランジェント(HPS仮説)である場合、Dの観測する対数尤度は:
によって与えられるが、他方、位置qにおける物体が、フラックスαおよびNにおける形状Pcrをもつ宇宙線(Hcr仮説)である場合、Dの対数尤度は:
ここでxは、対象の光源を含む画素の部分集合(例えば、光源の周囲のPSFの2倍の幅をもつ領域)である。式44と式45との間の差(ある振幅でトランジェントを見る確率およびこのフラックスを持つ宇宙線を見る確率などの、適切な事前確率を使用)は、検出されたトランジェントが宇宙線か、または天体トランジェントかを決定するために(適切な閾値を設定した後に)示すことができる統計量である。この場合、光源のフラックス、および宇宙線の強度および形状はモデルの自由パラメータである。従って、これは、複合仮説検定の典型的な例である。
同じアプローチは、内部反射ゴーストを識別するために使用できる。この場合、形状Pcrは、反射ゴーストの形状で置き換えられる。例えば、恒星のPSFよりも広い、拡張カーネル(例えば、最上層フィルタ(top hat filter))。
4.新規画像減算法の特性
ここで、減算問題に対する最適なソリューションで、直観的理解を求めて、特性を分析して、他の方法と比較する。
4.1.最適性
画像減算およびトランジェント検出式が、Neyman & Pearsonの補助定理を使用して導出された。これは、仮定が正しい場合はいつでも、方法が最適であることを確実にする。仮定:画像は登録されていて、相関関係のないガウス分布背景雑音が優位であり、PSF、背景、分散およびフラックスベースのゼロ点は既知である。
4.2.時間一定画像Tのキャンセル
完全に登録された画像に対して、最適な適正差分画像(D)およびトランジェント検出画像(S)の両方では、時間一定画像からの減算残差が行われない。これは、時間一定画像Tが代数的にゼロになるためである。
これは、Alard & LuptonおよびBramich 2008によって提案された減算法における事例ではない。これらの方法では、画像雑音を拡大することと、Tの時間一定残差を最小限にすることとの間でのトレードオフのための最適条件が調査された。
4.3.数値安定性
式12、式13および式14を検査することにより、分母がゼロに近づく場合、分子はさらに急速にゼロに近づくことは明らかである。従って、画像減算法は、新規および基準画像に関するPSFの全ての組合せに対して数値的に安定している。
Alard & LuptonおよびBramich 2008の方法は、逆畳み込みを有効に実行するので、一般的な事例では、数値的に不安定であることに留意すべきである。確かに、基準画像のPSFが、全ての軸において、新規画像のPSFよりも狭い場合、Alard & Lupton方法群は安定している。
しかし、この場合でさえ、これらの方法で見つかったソリューションは準最適(すなわち、トランジェントのS/Nを最大限にしない)である。さらに、式12、式13および式14は、たとえ使用したPSFがそれらの真値に比較して大きな誤差(位数の単位でさえ)を有するとしても、数値的に安定している。従って、フーリエ面における分割のためにPSFの測定において特別な精度は要求されない。第6節でさらに示す。
4.4.局所性
SおよびDを計算する場合、実行される演算は、小さいカーネルでのRおよびNの畳み込みだけである。従って、SおよびDは全ての小さい画像パッチに対して独立して(PSFサイズの数倍まで)計算できる。これは、減算に対して使用されるPSFが、画像全体で滑らかに変化できるようにする。加えて、「不良」画素、粒子ヒットまたは飽和星などの局所アーチファクトは、それらの近接のみに影響し得る。
4.5.適正画像減算Dは白色雑音を有する
に対する式(式13)では、背景雑音優位制限において、分子の分散は、分母の二乗に等しく、すなわち:
それは、
の空間周波数の全ては、同じ分散を有することを意味する。さらに、画像は白色雑音を有すると推測されるので、それらのフーリエ変換は白色雑音である。これは、
の空間周波数は、
の線形結合として、無相関の雑音を有することを意味する。合わせて、両方の特定は、
は白色雑音を有することを意味し、それは、Dも白色雑音を有することを意味する。言い換えれば、Zackay & Ofek 2015bにおけるように、差分画像は適正画像である。この特性は、画像減算のための他の全ての方法によって侵害される。
明るい星の近くでは、光源雑音分散が優位で、適正減算画像Dは、相関雑音を示すことに留意すべきである。シミュレーションでは、光源分散が、背景分散よりも少なくとも1桁高い場合、相関雑音は、かかる光源の近くで目で検出可能であることが示唆される。しかし、前述したとおり、この方法を使用すると、光源雑音は分散補正で制御可能である。
4.6.DおよびPDは画像間の差に関する任意の測定または決定のために十分である
第13節では、DおよびPDは、画像間の差に関する任意の測定または仮説検定のために十分統計量を構成することを証明する。この証明に対する重要な要因は、画像間の差に対する任意の生成モデルのための任意の尤度計算は、これらの量だけを使用することにより計算できること、およびフィッシャー・ネイマンの分解定理[Fisher 1922"On the Mathematical Foundations of Theoretical Statistics Fisher Phil.Trans.R.Soc.Lond.A 1922,222,309−368,DOI:10.1098/rsta.1922.0009.Pub.1 Jan.;Neyman,J.(1935)"Sur un teorema concernente le cosidette statistiche sufficienti".Giorn.Ist.Ital.Att.,6:320−334.]の使用である。画像減算問題に関して無数の十分統計量があることに留意されたい。ここで、適正減算画像Dは、その有用な特定に起因して、(例えば、Sよりも)望ましい。
十分性特性は、重要な実際の結果を有する。それは、背景雑音優位制限において、DおよびPDは、画像間の差に関連した任意のさらなる測定または仮説検定のために必要な全ての情報を含むことを意味する。他の応用のための他のタイプの差分画像は必要ない。実際の適用の例には、検出器上での粒子ヒットの識別および除去(第3.7節);適正運動、天文測定シフト(第3.4節)および小惑星索(asteroid streak)の最適な探索を含む。
4.7.新規画像と基準画像との間の対称性
画像減算の問題は、基準画像と新規画像の交換に対して対称である(トランジェントのフラックスの否定まで)。従って、最適な画像減算統計量(DまたはS)は、RとNの交換に対して対称である(マイナス記号まで)。この特性は、Phillips & Davis、Alard & Lupton、およびBramich 2008によって提案されたソリューションによって侵害される。
4.8.無雑音基準画像の制限
σr→0の制限において、式12は:
となる。項
は、Phillips & Davis、Alard & LuptonおよびBramich 2008の方法によって解かれる畳み込みカーネルとして識別できる。従って、この制限において、SはAlard & Lupton方法群に収束し、その後に、画像の各々を新規画像のPSFでフィルタ処理することが続く。
この単純な分析により、Alard & Lupton方法群は、その後に正しい整合フィルタ処理が続く場合、現在のソリューションSの特例であることが示される。その上、式48は、σr→0の制限において、正しい整合フィルタ(だけ)に対する規定を提供する。
基準画像Rにおける雑音を正確に計算することの重要性を強調するために、いくつかの数字が式に代入される。非常の良好な基準画像に対して、σr〜0.1σn(約100の画像の相互加算から成る基準画像を表す)。
比
は、
よりもはるかに大きくなり得るので(例えば、PnがPrよりも高空間周波数において狭い場合、この比は容易に106に達し得る)、σrは、無視できるほど十分に小さいことは決してない。これは、Alard & Luptonソリューション群は、
の場合に限り、正しい統計量に定性的に近いことを意味する。それ以外の場合は、これらのソリューションは、逆畳み込みアーチファクトを生じ得るか、または時間一定画像Tをキャンセルすることができないかのいずれかである。
4.9.差分画像のPSF
適正減算画像のPSF、PDは、PnとPrの結合である。図3A〜図3Iは、対称ガウス分布(図3A〜図3C)、非対称ガウス分布(図3D〜図3F)、およびスペックル(図3G〜図3I)画像の3つの事例に対するPn、Prおよび対応するPDを示す。3つの事例に対して、Pn(左欄)、Pr(中欄)、および対応するPD(右欄)。第1行(図3A〜図3C)は、それぞれ、新規および基準に対して、2および3pixのシグマ幅をもつ対称ガウス分布PSFの事例に対するものである。第2行(図3D〜図3F)は、それぞれ、新規および基準に対して、2×4pixおよび4×2pixのシグマ幅をもつ非対称ガウス分布PSFの事例に対するものである。第3行(図3G〜図3I)では、PnおよびPrは、シミュレートしたスペックル画像である([Ofek 2014 Astrophysics Source Code Library、ascl:1407.005]におけるようなツールを使用)。スペックルシミュレーションでは、Dtel/r0=20に設定され、Dtelは望遠鏡の直径で、r0はフリード長である。
4.10.PSFの知識
提供する方法のいくつかによれば、画像のPSFは既知のはずであり、他方、Alard & Lupton方法群では、PSFを測定することなく畳み込みカーネル
の値を求める。
(わずかに変更された)Dに対する式を
を用いて書いて、PSFの相対知識を組み込むことができるようにする。
この場合、Dratioは次のPSFを有する:
DおよびPDのこれらのわずかに変更された定義を検査すると、依然として
が得られ、従って、元の定義(式13)と等価である。トランジェント検出を実行するために、
の推定は依然として必要であり(従って、事実上PnおよびPrのそれ)、
を推定する際に必要な精度は、PSF比の推定において必要な精度ほど厳しくないことに留意することは重要である。実際には、
の2次元ガウス分布としての一般形式のおおまかな推定でさえ、ごくわずかな感度損失となり得るにすぎない。従って、個々のPSFは画像から推定できないが、それらの比が推定できる場合(例えば、拡張されただけか、または視野内に複雑な光源が存在する場合)、画像を最適に減算して、トランジェントを最大感度で検出することは依然として可能である。従って、PSFの知識に対する現在の要件は、回避できるので、欠点と見なされるべきでない。
を解くうえでの問題は、天文測定シンチレーション雑音が、新規および基準画像内で光源の相対位置をシャッフルして、
に対する解を広くするようにバイアスし、従って低精度になることである。この影響は、Tのキャンセル品質を低下させ得、従って、Tと検出可能なトランジェントとの間で達成可能な対比を低減し得る。天文測定雑音は局所的にコヒーレントであるので、この影響は、PrおよびPnを別々に推定する際に回避されて、第3.4節に示すアプローチを可能にする。
4.11.レジストレーションおよび色屈折誤差
画像減算は、差分プロセスの前に行われる多くのステップを頼りにする。前処理ステップによって取り込まれた雑音は、最終的な減算画像に伝搬され得る。かかる問題の例には:レジストレーション誤差、色屈折定誤差、および小規模フラットフィールド誤差を含む。
ここで、かかる雑音に対する2つのタイプの取扱い/ソリューションを提供する:
(1)これらの追加の雑音源をSの分散画像に導入し、それを使用してScorrを計算する(例えば、第6.1節)ことは簡単である。この補正は準最適であるが、誤差を前処理することは弾力的(resilient)である。
(2)問題の正確な取扱いは、差分画像Dにおいて検出された各アーチファクトに対して、任意の天文測定シフトおよびフラックス変更を適合することである(第3.4節)。たとえこれが計算コストが高くても、この種のソリューションは天文学では良く見られる(例えば、DAOPHOT,Stetson 1987 PASP,99,191;DOPHOT,Schechter et al.1993,PASP,105,1342)。
4.12.自由パラメータ
いくつかの実施形態では、本方法は、ユーザーが設定する必要がある自由パラメータを有していない。Alard & Lupton、Bramich 2008、およびYuan & Akerlofの方法は、ユーザーが定義する必要があって、最終結果に影響を与え得る内部自由度を有する。例えば、Bramich 2008法は、カーネルサイズに影響を受け得、他方、Alard & Lupton法は、畳み込みカーネルを表すために選択する基底関数に依存する(例えば、Becker[Becker,Homrighausen,Connolly,et al.2012,,425,1341]およびBramich et al.2015[Bramich,Horne,Alsubai,et al.2015,arXiv:1512.04655])。
4.13.計算の複雑性
計算の複雑性に関して、減算法のいくつかの実施形態は、画像減算法における大部分の時間を要する演算がFFT演算(または代替として小さいカーネルでの畳み込み)であるので、高速である。Alard & LuptonおよびBramich 2008による逆転アルゴリズムは、本質的に、多数の式および数十〜数百の未知数を使用して、線形最小二乗問題を解いているので、検定により、現在のアルゴリズムは、それらよりも少なくとも1桁速いことが示される。
5.アルゴリズムの要約
いくつかの実施形態では、残差天文測定シフト、不均質な透明度および背景を最小限にするために、小さい画像パッチについて減算を実行することが推奨される。加えて、それは、位置依存性PSFの使用を可能にする。画像パッチは、畳み込みプロセスのエッジ効果を回避するために、各次元において、少なくとも2つのPSF長によって、重なり合う。
ここで、提案するアルゴリズムの段階的な概略を示す:
入力引数:
N−背景を減算した新規画像(Rに登録される)。
R−背景を減算した基準画像。
Nb−背景を電子単位で含む、新規画像。
Rb−背景を電子単位で含む、基準画像。
Pn−単位合計を持つように正規化された新規画像のPSF。
Pr−単位合計を持つように正規化された基準画像のPSF。
σn−新規画像の背景のSTD。
σr−基準画像の背景のSTD。
rn−新規画像の電子単位での読取り雑音。
rr−基準画像の電子単位での読取り雑音。
σx−X軸における天文測定レジストレーション解のRMS(画素単位)、スカラーまたは行列のいずれか。
σy−Y軸における天文測定レジストレーション解のRMS(画素単位)、スカラーまたは行列のいずれか。
出力:
D−適正差分画像。
PD−適正差分画像のPSF。
Pcorr−光源雑音および天文測定雑音に対して補正された整合フィルタ差分画像。
に出現する場合の、Nにおけるデルタ関数のPSF。
に出現する場合の、Rにおけるデルタ関数のPSF。
アルゴリズム:
1.任意選択として、Zackay & Ofek 2015b適正相互加算法を使用して、基準画像(R;式22)、そのPSF(Pr;式23)およびフラックス(Fr;式24)を構築する。
2.βの最良適合値を求めて、任意選択としてγ、Δx、およびΔy(式37および式38を使用する必要がある)を求めて、式39を解く;この式はβにおいて非線形であるので、繰返しを使用する;;第1の繰返しでβ=1を設定し、βの値を更新して、収束まで継続する;ロバスト適合を使用する(ロバスト適合は外れ値に対してあまり影響を受けず;ロバストフィッター(robust fitter)の一例はMATLAB内のrobustfit.m関数である);代替として、他の方法(例えば、相対測光)を使用してβを見つける。
3.該当する場合、γを計算(式40)してγをNから引く。
4.該当する場合、PnをΔxおよびΔyだけシフトする。
5.Fr=1およびFn=βを設定する。
6.
を計算する(式13)。
7.
を計算する(式14)。
8.
を計算する。
9.
を計算する(式18および式130)。
10.
を計算する(式19および式134)。
11.krを計算する(式28)。
12.knを計算する(式29)。
13.
を設定して、V(SN)を計算する(式26)。
14.
を設定して、V(SR)を計算する(式27);Rが複数の画像から成る場合、個々の基準画像の
を合計する方が良い(第11節および式101)。
15.Vast(SN)を計算する(式30および式31)。
16.Vast(SR)を計算する(式32および式33)。
17.Scorrを計算する(式25);サニティーチェックとして、Scorrの(ロバスト)STDは≒1のはずである。
18. Scorrにおける極大を探す−ピーク値は、シグマの単位でのトランジェントの有意性に対応する。
19.ステップ15および16の代替として、移動点源に対して、PS(式34)を使用して、Scorrにおいて(天文測定寄与なしで)実質的に有意な光源に対応するD内の全ての位置を探して、それらのフラックスおよび天文測定変動を測定し、それらを減算する。
20.所望の誤警報確率から決定された、何らかの閾値よりも有意に大きい、残っている光源を選択する。
21.式41、式42、および式43を使用して、トランジェント候補のフラックスを計算する。
本明細書では、全てのフーリエ変換は循環性であり、任意の統計的計算は、画像の境界から十分に離れた(すなわち、典型的にはPSF幅の数倍)位置に関してのみ考慮されるべきであることに留意されたい。
6.検定1および2
任意の画像差分アルゴリズムの検定においていくつかの重要な課題がある。画像減算は一般に、多くの要因によって影響を受ける。従って、外部問題(例えば、不完全なレジストレーション)と減算自体に関連した問題(例えば、数値安定性)を区別することは望ましい。従って、シミュレーションおよび実データの両方が、画像差分アルゴリズムを検定するために使用される。
新規のアルゴリズムを既存の方法と比べることには価値がある。しかし、他の方法は光源検出に対して整合フィルタを指定しないので、かかる比較には問題がある。さらに、これらの方法のいくつかは基底関数およびカーネルのサイズに依存する。加えて、線形方程式の系(例えば、SVD)を解くためのいくつかの方法があり、これらは最終結果に影響を与え得る。従って、ここで、他の方法との比較を制限する。
第6.1節は、シミュレートしたデータに基づいた検定を示し、第6.2節では実画像について説明する。
6.1.シミュレーション
本アルゴリズムの重要な特徴は、その数値安定性である。これを検定する最良の方法は、入力が完全に制御されるので、シミュレーションにおいてである。
300の電子の背景レベルで、ポアソン雑音のある、512×512画素サイズの画像をシミュレートした。各画像では、0〜105の電子間の均一な分布から取得したフラックスおよびポアソン雑音を統合した、100個の星をシミュレートした。加えて、9個のトランジェント源を、表1にリストした位置およびフラックスの新規画像に追加した。シミュレートした画像の第1の組では、画像内の光源のPSFは、それぞれ、基準画像および新規画像に対して、2および3画素のシグマ幅の対称ガウス分布である。
図4A〜図4Fは、それぞれ、基準画像および新規画像に対して、2および3画素のシグマ幅の対称ガウス分布PSFをもつシミュレートした画像の減算を概念的に示す。上の行(左から右へ):新規画像(図4A)、基準画像(図4B)、適正減算画像D(図4C);下の行(左から右へ):5−σを上回る整合フィルタ処理画像(S)閾値(図4D)、新規−基準のAlard & Lupton減算(図4E)、および基準―新規のAlard & Lupton減算(図4F)。シミュレートしたトランジェント源の位置が、閾値整合フィルタ処理画像内で、赤い丸で印を付けられる。全ての画像は、反転したグレースケールマップで示される。Alard & Lupton減算は、ISISソフトウェアAlard & Luptonに基づく。この図面は、画像減算法は対称であるが、Alard & Luptonアルゴリズムは対称ではないことを示す。この場合、1つの方向ではうまく機能するが、減算アーチファクトが他の方向ではっきりと見える(逆畳み込みに起因したリンギング)。さらに、5−σを上回る整合フィルタ画像の閾値処理によって、シミュレートしたトランジェントだけが明らかになる。
図5A〜図5Fでは、図4A〜図4Fにおけるのと同じパラメータを用いて、新規画像では2×4pixおよび基準画像では4×2pixのシグマ幅の非対称ガウス分布PSFで、画像をシミュレートする。図5A〜図5Fの特徴は、これらの画像を別にすれば、図4A〜図4Fに似ている。再度、Alard & Lupton方法群の非対称が見られる。さらに、この事例では、逆畳み込みに起因したリンギングがN−RおよびR−N減算の両方で見られる。
本新規の方法の最も重要で実際に役立つ特徴は、他のタイプの雑音(例えば、光源雑音、天文測定雑音、色屈折雑音)を検出プロセスに組み込む能力である。これを示すために、第1のシミュレーション(図4A〜図4F)を繰り返すが、今回は、0.3pixの標準偏差で、正規分布した天文測定雑音がある。
図6A〜図6Fは、0.3pix(RMS)の天文測定雑音ならびに、それぞれ、基準画像および新規画像に対する、2および3画素のシグマ幅の対称ガウス分布PSFをもつシミュレートした画像の減算を概念的に示す。上の行(左から右へ):新規画像(図6A)、基準画像(図6B)、適正減算画像D(図6C);下の行(左から右へ):5−σを上回って閾値処理した、整合フィルタ処理画像(S)(図6D)、5−σを上回って閾値処理した、光源雑音補正および天文測定雑音補正した整合フィルタ処理画像(Scorr)(図6E)、および新規―基準のAlard & Lupton減算(図6F)。シミュレートしたトランジェント源の位置が、閾値処理した整合フィルタ処理画像内で、赤い丸で印を付けられる。この場合、減算は、多数の正負の残差を含むが、Scorr画像は、この天文測定雑音にうまく対処して、シミュレートしたトランジェントだけが検出される。
6.2.実データでの検定
本新規の方法を、Palomar Transient Fctory[PTF117;Law et al.2009;Rau et al.2009]データリリース2から利用可能な撮像データについてさらに検定した。画像処理は[Laher et al.2014,PASP,126,674]で記述され、測光較正は[Ofek et al.,2012,PASP,124,62]で説明される。
表1に、本アルゴリズムを検定した様々な画像をリストする。レジストレーション、背景減算およびPSF推定を実行した。
図7A〜図7Fは、検定1(表2)に対する、画像減算結果を概念的に示す。上の行(左から右へ):新規画像(図7A)、基準画像(図7B)、適正減算画像D(図7C);下の行(左から右へ):5−σでフィルタ処理した、整合フィルタ補正済み差分画像(Scorr)(図7D)、新規―基準のAlard & Lupton ISIS減算(図7E)、および基準―新規のISIS減算(R−N)(図7F)。
全ての画像は、反転したグレースケールマップで提示される。赤い線(新規パネル内)は図8に提示するプロファイルカットの位置を示す。Scorr>5マップでは、CR1〜CR5は、現在のアルゴリズムで検知された宇宙線の位置を示し、他方、画像の右部分の2つの明るい残差は、飽和星に起因する。左上の残差は、5.7−σの有意性を有し、2つの明るい星の間の界面にある。この特定の残差を生じるメカニズムは、第7.7節で説明する。
図7A〜図7Fは、Alard & Lupton減算はRとNの交換に対して対称ではなく、他方、本方法は対称であることをさらに示す。具体的には、Alard & LuptonのR−N画像は、強力で、高振幅の、相関雑音を有する。
一見したところ、Alard & LuptonのR−N画像は、外見上良好に見える。しかし、綿密に検査すると、この画像は大きな振幅で減算残差を有することに気付き得る。例えば、図8は、適正減算画像DおよびAlard & Lupton減算(N−R)において、図7Aにおけるような赤い線の位置での、プロファイルカットを示す。
画像は、画像の標準偏差が単一(1)になるように、正規化される。これは、明るい星の存在下で、現在示している減算画像における変動は少量であるが、他方、Alard & Lupton減算における残差は大きいことを示す。D画像はフィルタ処理されないが、他方、Alard & Lupton減算は一部フィルタ処理されることに留意されたい。従って、Dの雑音特性は、Alard & Lupton減算と比較して、このプロットから示されるよりも、もっと良い。それに応じて、図8は、現在提示するアルゴリズムは、星の存在下で、非常にうまく機能するが、Alard & Lupton減算は非常に大きな変動を有することをはっきりと示す。Alard & Lupton減算画像は、一部フィルタ処理されるという事実が目で見られる(すなわち、より円滑な雑音)ことに留意されたい。
図9A〜図9Fは、検定2の画像(表2)に対する、画像減算結果を概念的に示し;明るい銀河M51およびSN2011dhを含む、検定2の画像(表2)を別にすれば、図7A〜図7Fと同じである。Scorr>5において検出された光源は、SN2011dh、粒子ヒットおよび「不良」画素である。
これらの画像は、明るい銀河M51、およびSN2011dh(Arcavi2011)を含む。Dでは、画像のずれに起因した、残差がはっきりと見られることに留意されたい。しかし、Scorrが光源雑音および天文測定雑音(約0.2"rms)を考慮に入れるので、これらの残差は、Scorrが提示されると消える。さらに、天文測定残差は、Alard & Lupton減算では、これらの画像は一部フィルタ処理され、従ってより円滑であるというだけの理由で、あまりはっきりしないことに留意されたい。5−σ閾値を上回るScorr画像内で検出されたトランジェント候補は:SN2011dh、宇宙線および「不良」画素である。トランジェントを検出する前に、Sを補正する重要性に関する印象を与えるために、SおよびScorrを図10Aおよび図10Bに示す。SおよびScorrは、相関雑音を含み、人間の目を欺き得ることに留意されたい。
図10Aおよび図10Bは、スコアマップS(図10A)および図9A〜に示す減算に対応する補正スコアマップScorr(図10B)を概念的に示す。(改善された可能性がある)実質的なレジストレーション誤差にもかかわらず、補正された画像は誤警報を含まないことに留意されたい。Sにおいて、画像アーチファクトと実光源を区別することは非常に困難であるが、他方、Dでは、ほとんど自明であることにも留意されたい。SおよびScorrは、相関雑音のある画像であることに留意されたい。SおよびScorr内で光源を検出することは、極大を探して、それらの値を読み取ることによって行われるべきである。(局所的)標準偏差で割った極大値は、シグマ単位での検出有意性に(または、もっと形式的には、正規分布の生存時間関数による誤警報確率に)対応する。画像グレースケールは、画像の−7と+7の標準偏差の間であり、SN2011dh(図9A〜図9F)を除いて、全ての有意な残差は宇宙線および不良画素に起因する。
7.実施詳細
背景を減算した画像、それらの分散、PSFおよびフラックスベースのゼロ点比を所与として、開示する画像減算法を、閉形式の式を使用して示す。従って、本方法の実施態様は、単純で厳密であり、特別な注意を必要としない。しかし、画像減算の任意の他の方法と同様に、この技法は、画像減算の前に行われるステップ(例えば、レジストレーション、フラックス整合)に影響を受ける。
7.1.背景および分散推定
実際の広角天体画像における背景および分散は、視野全体わたって定数として扱うことができない。従って、それらを局所的に推定して補間することが提案される。背景および分散を推定するために、推定量が星または銀河によってバイアスされないことを確実にする必要がある。Zackay & Ofek(2015a、2015b)に従い、ガウス分布を小さい領域内の画像画素のヒストグラムに合わせて(現在のところ、256×256arcsec2ブロックを使用)、適合プロセスから高い値(例えば、画素値の上位10%)の画素を拒絶することが提案される。大きな銀河または複雑な背景を含む領域では、特別な取扱いを必要とし得る。
7.2.PSF推定および空間変動
式12および式13は、実際のPSFと比較して、PSFでの摂動に対しておおまかに線形であることに留意されたい。とりわけPSF測定に影響し得るやっかいな問題は、ピクセル化、補間およびグリッドの再サンプリングである。さらに、PSFは、おそらく空間的に一定でなく、電荷自己斥力(charge self repulsion)に起因した強度と共に変化もし得る。これは、具体的には、brighter−fatter効果(例えば、Walter[\bibitem[Walter(2015)]{2015JInst,.10C5015W}Walter,C.〜W\2015,.Journal of Instrumentation,10,C05015])をもたらし得る。
いくつかの場合には、PSFは視野にわたって変化し得る。最も単純なアプローチは、画像を、PSFがおおよそ一定である、もっと小さい画像に分割することである。これらの部分画像は、PSFサイズの4倍くらいに小さくできる。畳み込み演算は局所的であるので、空間的に変動するPSFを任意の減算法(例えば、Alard 2000,A&AS,144,363)に組み込むことは簡単である。
7.3.補間
レジストレーションステップでは、画像の1つを新しい座標グリッドに補間することを必要とする。PSFがナイキストサンプリングされる(帯域制限された)場合、補間プロセスに起因して情報を失うことなく、Whittaker−Shannon補間公式(「シンク(sinc)」補間と呼ばれることもある)を使用できる。
しかし、PSFがアンダーサンプリングされる場合、補間は、画素内の光源の位置(画素位相)に依存するPSF形状における変動をもたらし得る。かかる影響は、任意の減算法に深刻な問題を引き起こし得る。この問題に対処する1つの単純な方法は、画素位相依存PSF変動によって誘発される余分な雑音を考慮に入れる雑音項をScorr(式25)の分母に追加することである。
7.4.レジストレーション
レジストレーションは、任意の画像差分技法にとって重要なステップである。新規画像と基準画像との間に残ったレジストレーション不完全残差は、非適正な減算、減算アーチファクト、および最終的に誤検出となり得る。第3.3節および第3.4節で、レジストレーション誤差、色屈折および天文測定シンチレーションをどのように扱うことができるかを説明する。しかし、依然として、減算の前にレジストレーション誤差を最小限にすることが望ましい。
多くの場合、アフィン変換は、2つの画像間でマッピングするには十分でない。主な理由には:微分大気差、光の差分収差、および高次光学的歪みを含む。
通常、画像が同じ系および同じ空上のポインティングで撮られる場合、光学的歪みは、2つの画像への影響がほとんど同一であるので、重要な役割を果たすことはない。
微分大気差の振幅は、8″deg−1まで達し得る。図11は、微分大気差の振幅を、高度の関数として、arcsec/degの単位で、Ofek(2014)内のコードおよびFilippenko et al.[\bibitem[Filippenko(1982)]{1982PASP...94..715F}Filippenko,A.〜V.\1982,\pasp,94,715]で提供される式を使用して、5000Åの波長、15□℃の温度、760mmHgの圧力および8mmHgの水蒸気分圧に対して、計算した。大気差の方向は良く知られているので、大気によって生じる歪みに対処するための最良の方法は、大気差の振幅をその既知の方向(すなわち、視差角)に合わせるアフィン変換項を追加することである。
残念ながら、ほとんどの天文測定およびレジストレーションパッケージは、この形式の歪みをサポートしておらず、代わりに、大気差補正を高次多項式に吸収する。さらに、現在のWCSヘッダキーワードは、この種の変換をサポートしていない。
大気差歪みは、小さい角度スケールでさえ検出可能であることに留意されたい。例えば、この影響は、20degの高度で0.1″arcmin−1に達し得る。任意の事例で、任意の高次歪みを最小限にするために、画像を小さい部分(約10×10arcmin)に分割することが推奨される。
光の(地動に起因した)差分収差の典型的な振幅は、約0.2″deg−1のオーダーである。これは、いくつかの場合には、無視できるほど十分に小さい。しかし、収差の影響は完全に予測可能であるので、それを変換に組み込むことは簡単である。知る限り、普及している画像レジストレーション(および天文測定)パッケージは光の収差を無視する。
7.5.天文測定シンチレーション
地上撮像の天文測定レジストレーションは、典型的には、地球大気によって誘発される天文測定シンチレーションによって制限される。天文測定シンチレーションの振幅に対して推定される規模のオーダーは:
式中、FWHMはPSF FWHMであり、tintは積分時間であり、tscintは、天文測定シンチレーションのチップ/チルト項の相関時間スケールである。例えば、FWHM=2″、tint=60s、およびtscint=0.03sと仮定すると、σscint〜40masを得る。これは、明るい星のポアソン雑音によって誘発される天文測定雑音よりも1桁大きい可能性がある。実際のところ、この雑音は、角度スケールによって決まる(例えば、Shao et al.1992,A&A,262,353)。
この種の天文測定雑音は、取り除くのが困難であり、従って、明るい星は、減算プロセスにおいて幾分の残った残差を有し得る。しかし、第3.3節および第3.4節で、この問題を解決するための2つの方法を示す。
7.6.色屈折
大気差は、色依存性であり、従って、異なるスペクトルを持つ光源は、同じ気団で異なる大気差を被り得る。図12は、異なる帯域において、O5V星とM5Vとの間、およびA0V星とM5V星との間での、色屈折の相対振幅を、高度の関数として示す。実線は、色屈折における差(高度方向)をarcsec単位で、O5V星とM5Vとの間での、高度の関数として表す。様々な色は、異なるフィルタに対応する(凡例)。破線は、A0V星とM5V星との間の差を別にすれば、同じものを示す。計算は、大気減光(Kitt Peakにおける)を含み、恒星スペクトルPickles[\bibitem[Pickles(1998)]{1998PASP..110..863P}Pickles,A.〜J.\1998,\pasp,110,863]を使用する。大気条件は図11と同じである。
3つのソリューションが提案される:
(1)いくつかの気団範囲に対して基準画像を構築する。色屈折は子午線の周辺で対称であり、かかる基準画像は、子午線の東と西で実施される観測に対して別々に構築する必要がある;
(2)この影響によって誘発される分散を計算し、それを追加の項としてScorr(式25)の分母に導入する;
(3)Dにおける各残差に対する天文測定シフトを、第3.4節に示す方式を使用して、適合させる。
最後の選択肢が好ましいアプローチである。
7.7.追加の雑音源
画像減算に影響を及ぼし得る追加の雑音源があり得る。稀な問題の例は、シミュレーションにおいて遭遇し、実際の画像は、連星が無相関の天文測定雑音を有する場合(実際には、これはレジストレーション誤差および天文測定シンチレーション雑音源の両方ほど稀で、ポアソン雑音ではなく、短い角度スケールで相関する);これは、勾配画像の計算(例えば、式30〜式32;および図7A〜図7F)に影響し得る。原理上は、かかる問題は、Scorrにおいて占められ得るが、これらの問題を識別する必要がある。従って、この方法の成功実施では、実データに関する大規模な検定を必要とする。
8.結論
現在良く知られている画像減算法には、非最適性、いくつかの場合における数値的不安定性を含め、いくつかの重要な制限があり、方法のいくつかは、計算するのに時間がかかる、行列反転を使用する。最も重要なことに、これらの方法は、トランジェント候補の有意性の計算に対して閉形式の式を提供しない。その上、いくつかの場合には、いくつかの方法の数値的不安定性に起因して、トランジェント候補の有意性を、数値的にさえ、計算するのが不可能なことである。これは、いずれの自動トランジェント検出および分類の土台も壊して、将来の調査にとって相当な障害となり得る。
前述の問題の全てを潜在的に解決する、閉形式のトランジェント検出および画像減算統計量が提供され、以下の特徴を有する:
1.トランジェント検出統計量は、背景優位の雑音制限において数学的に最適であると証明される;
2.両方の統計量は、入力画像の任意の対に対して数値的に安定している;
3.正確に登録されて、十分にサンプリングされた画像に対して、これらの統計量は、減算残差または逆畳み込みアーチファクトを残さない;
4.トランジェント検出統計量をレジストレーション誤差、色屈折誤差、およびモデルが構築できる任意の雑音に対して、弾力的であるように補正することが可能である;
5.新しく見つかったトランジェントに対して信頼できる検出有意性を割り当てることができる;
6.適正減算画像は、背景優位雑音制限では白色雑音を有する。これは、さらに複雑な測定値および可視化に対してそれを魅力的にする;
7.適正減算統計量は、差分画像に関するさらなる統計的検定のために十分統計量である。特に、粒子ヒットおよび他の画像アーチファクトと実際のトランジェントを区別できる;
8.両方の統計量は、新規画像と基準画像の交換に対して対称である;
9.両方の統計は計算するのが速い−普及している方法よりも計算するのが少なくとも1桁速い;
10.両方の統計は閉形式で与えられ、それらは実装が簡単である;
11.適正減算統計量は、任意の密集した領域でさえ、新規画像と基準画像との間の小さい天文測定変化を探すことができる;
12.同じ統計量は、背景雑音が優位な制限において、フラックス測定に対しても最適である;
13.基準画像を準備するための最適な方法は、Zackay & Ofek 2015bで提示される適正画像相互加算統計であることが示される。
前述から、提示する/示す画像差分アルゴリズムは、天体画像減算の課題のほとんどを解決できることが結論付けられる。
9.画像減算統計の完全導出
RおよびNを、それぞれ、背景を減算した基準画像および背景を減算した新規画像とする。背景を減算した真の一定な空画像をTで示す。基準画像および新規画像の点像分布関数(PSF)をそれぞれ、PrPrおよびPnで示す。PrおよびPnは、単位合計を持つように正規化される。
基準画像に対する式を書くと:
式中、εrは、画像Rの付加的な雑音成分である。新規画像内に新しい光源はないと明言する帰無仮説、H0を考えると、次のように書くことができる:
フラックスαをもつ位置qにおける新規点光源があると明言する対立仮説、H1(q,α)を考えると、次のように書くことができ:
式中、δ(q)は、位置qで1、およびそれ以外はゼロにおける2次元画像を示す。画像は背景を減算して、優位の雑音源は背景雑音であると仮定すると、εrおよびεnの両方は、画素の全対は無相関であること−すなわち、x1≠x2である画素x1、x2の全対は:
ならびに、全画素は空間的に一様な分散を有すること(実際には、この仮定は緩めることができる):
を満たす。
両方の仮説は単純であるので、2つの単純仮説のどちらかを選ぶための最も強力な統計量は尤度比検定であると明言する、ネイマン・ピアソンの補助定理が使用でき:
式中、Pは確率を示す。重要な点は、Tに関して事前情報または仮定がないことである。従って、確率P(N,R|H0)およびP(N,R|H1(q,α))は、直接計算できない。しかし、それらの比は、条件付き確率の法則を使用して、式を導出することにより計算できる:
H0およびH1(q,α)の両方は、Rに対して同じ確率モデルを明言する(かつ、従って、Rを観測するために同じ尤度を割り当てることができる)という事実を使用して、さらに単純化できる:
P(N|R,H0)NおよびRのフーリエ変換の統計的挙動を計算するために、両方の仮説が検定されると仮定すると、画像は背景雑音が優位であると推測される。白色雑音のフーリエ変換はそれ自体白色雑音であるという事実を使用すると、R、N両方のフーリエ変換の余分の雑音特性は、両方の仮説が既知であることを所与として:
式中、^アクセント記号はフーリエ変換を表し、
および
の両方は、複雑な白色ガウス分布雑音である(白色雑音のある画像のフーリエ変換における雑音は、明らかな対称性
を除いて白色であり、式中、オーバーラインは複素共役を示す。この対称性は、入力画像は本物であるという事実に起因する)。
が測定されるという事実を使用して、Tに対するモデルを取得するためにその確率モデルを逆にできる:
に対するモデルは、計算されず、代入ステップとしてのみ使用できることに留意されたい。このステップは、
の場合、有効である。実際のところ、これは、
に対するモデルが絶対零度を含んでいないことを確実にするか、または小さい数(すなわち、コンピュータ精度)を式13の分母に加算することによるかのいずれかで、検証できる。
に対してこの式を使用すると、RおよびH0を所与として、Nに対する確率モデルを書くことができる:
Tに対するこのモデルを所与とし、雑音はガウス分布であると仮定すると、N(これは、2の倍数まで
である)を観測するための確率を計算できる:
分散の線形性およびスカラー乗算特性を使用して単純化すると、次の式が得られる:
同様に、H1を所与とすると、
仮説H1は自由パラメータαを有しているので、ネイマン・ピアソンの補助定理を直接使用できない。検定の最適性証明を維持するために、αに関して一様に最も強力な、検定が構築される。これを行うための手順は:あらゆるαに対するH1(q,α)に関して、データS(q)のスカラー十分統計量を識別する。次いで、この統計量は、Karlin−Rubinの定理[Karlin & Rubin Ann.Math.Statist.27(1956),no.2,272−299]に対する要件を満たすこと、任意のα1>α0に対して、かつS(q)=xの任意の値に対して、尤度比
はxの非減少関数であることを示す。その結果、検定の誤検出率を決定する何らかの閾値ηに対する検定S(q)>ηは、任意のαに対してH0とH1(q,α)との間の決定問題に対して一様に最も強力であることが保証される。統計量S(q)を構築するために、
を使用し(式中、
は実数演算子)、|a|2および|b|2項は、αおよびデータの両方に依存していないので、それらを除去して、式68の括弧が消費される(これは、十分統計量を構築するためにフィッシャー・ネイマンの分解定理基準によって可能にされ、それを第13節で完全な形式で示す)。
αは残りの式にスカラー乗数としてのみ入ることが分かると、十分統計量S(q)を識別できる:
式70に関する表現は、Karlin−Rubinの定理に対する単調性要件を満たし、従って、S(q)は、任意のαに対するH1(q,α)の検定に関して一様に最も強力であり、従って、位置qにおいてトランジェントを検出するための最適トランジェント検出統計量である。
同じスコアを直観的な量の観点から表現するために、「適正減算」画像は次のように定義される:
トランジェント検出のためのPSF:
および正規化:
および
に代入することによって導出できることに留意されたい。
背景雑音優位制限では、Dは白色雑音を有する(第4.5節)。スコアS(q)は、
によって表現できる。
これを実空間で畳み込み定理を使用して表現すると、次が得られる:
DおよびPDの両方が実数だけを含むことが分かると、実演算子を除去できる。デルタ関数での畳み込みは、シフト演算子だけであり、従って、S(q)に対する表現は、さらに:
にまで単純化できる。
そのフーリエ変換に対する式は、その結果:
によって表現される。
これは、最適トランジェント検出統計量の最終形式である。この式に対する代替形式は、次のように書くことができる:
10.基準画像の構築
統計的フレームワークを基準のセットが与えられる状況まで拡大すると、基準の全てを所与として、最適トランジェント検出統計量が探求される。合計J個の画像からの各基準画像は、次によって与えられる:
ある新規画像Nが測定されて、以下のどちらが真であるかを決定すべきである、H0:
またはH1(q):
前の第9節におけるように、2つの単純仮説が検定される。従って、最適な検定統計量は、尤度比検定である[Neyman & Pearson]
前述と同様、条件付き確率の法則、ならびにH0およびH1は、全ての基準に対して同じ尤度を予測するという事実を使用することができる:
条件付き確率を計算するために、Tを含んでいないNに対する確率モデルが必要である。これは、Tに対する最良の統計モデルを得るために全ての基準を使用することによって達成され得る。
前節におけるように、これは、フーリエ面内の画像に対して仮説を明言することにより、さらに容易に定式化できる:
第9節に続いて、これを、正しい差分画像および正しいトランジェント検出統計量まで長期間にわたって継続して進展させることができる。気付いた主要な観測は、基準画像内の全ての情報を
に対する統計モデルに流し込むことができるということである。Zackay & Ofek 2015aの付録からの結果を使用すると、S/Nを最大限にする選択は、情報源の全ての
への重み付け加算である:
ここで、雑音寄与は、全ての基準画像から
によって示される。
その分散を計算すると:
が得られ、式中、次のように定義される:
これらの選択および式63のテンプレートを所与として、基準画像の相互加算のための式は、次であることが分かる:
ここで、
である。R、PrおよびTは、式52を満たすので、統計モデルの要件に適合する単一の基準画像を得る。興味深いことに、式92は、Zackay & Ofek(2015b:相互加算のシリーズ内のpaperII)に提示されている適正相互加算画像と全く同じである。
式92を
に代入すると:
が得られる。
光源検出統計量を明示的な形式で書くと:
が得られる。
最適なソリューションは、基準のセットを所与として、最適トランジェント検出のための閉じた式となる。Rの代わりに使用できる他の選択があることに留意されたい。しかし、その無相関の雑音に起因して、適正相互加算画像が好まれる(Zackay & Ofek2015b)。最後に、Nも複数の画像で構成できる。この場合、減算に対する最適なソリューションは、NおよびRの両方を、それらの対応するセット内の全ての画像を適正相互加算して、最適トランジェント検出を実行することである。
11.明るい物体の光源雑音に対する補正
雑音分布は位置、および真の画像自体とは無関係であるという仮定は、言うまでもなく、真ではない。具体的には、明るい星の近くの優位の雑音源は、明らかに位置依存性である、光源自体のポアソン変動である。従って、強い光源の近くで、分散は過小評価され、雑音内のランダムな変動は、これらの位置でのトランジェント誤検出を引き起こし得る。空の無視できるほどの部分だけがかかるように挙動するので、強い光源から離れた位置で統計量Sを変更することは望まれない。
従って、推奨されるのは、次である:式94の2つの部分を別々に計算する:
および
次に、逆フーリエ変換を適用して、画像領域に達する:
次いで、トランジェント源の存在に対する補正スコアを計算する:
式中、V(SN)および
は、SNおよび
の分散マップである。本質的に、これらは、RjおよびNに関して行われる全ての演算に従い、対応する補正を、それぞれ、
およびV(SN)に適用することによって分析的に計算できる。
ゼロ期待雑音源εに対して、
という事実を使用すると、V(SN)および
に対して、閉じた式のソリューションが導出され:
式中、knおよびkjは、それぞれ、式95および式96で定義される。畳み込みカーネルの二乗は、画像領域内で起こることに留意されたい。
明るい星の存在下で、雑音は相関し、個々の
を格納するか、または合計する必要がある。適正相互加算画像とその有効krを使用すると、全ての情報は回復することができない。しかし、Rとkrを使用すると、このプロセスに対する近似値として役立つ。
提案する補正(式98)は、強い光源から離れたスコア画像を(検出統計量を標準偏差の単位に移動する以外)変更しない。この理由は、分散マップは強い光源から離れた場所では、空間的に均一なためである。この補正は強い光源の近くでは準最適であるが、少なくとも既知の統計的特性をもつスコアであり、誤検出を防ぐため、および何らかの感度を保持するために使用できることに留意されたい。
分散によってSを補正するこの方法は、モデルを構築できる、任意の追加の雑音源まで拡張できる。例えば、第3.3節に、天文測定誤差に起因した分散を示す。
12.トランジェント点光源の最適なPSF測光
一般に、統計学コミュニティでは、最良の測定をどのように導出するかについての合意はない。従って、この節では、バイアスされておらず、最大S/Nを有して、入力画像の線形関数である、測定統計量が探索される。結果として生じる統計量は、何らかの係数によって正規化された単にS(式12)である。この分析は、トランジェント検出統計量が最適化される、別の形式も示し−それは、時間一定画像TをキャンセルするRおよびNから構成される最大S/N線形統計量である。付随するコメントとして、αに関して、式68を最大化することにより最大尤度推定量を計算する場合、同じ解が生じることに留意されたい。
再度、統計モデル:
を明言することにより開始し、式中、αは、位置qにおける新規光源のフラックスであり、δ(q)は、その値が1である位置q以外のどこでも0をもつ画像である。背景雑音が最も重要な雑音源であると仮定して、作業を継続すると、これは:
を可能にして、探索された統計量が、その最も一般的な線形形式で書かれ:
式中、knおよびkrは、いくつかのカーネルであり、
を必要とする。
Cをフーリエ空間で書くと:
を得、式中εcは、両方の画像内の全ての雑音源を吸収する。
ここで、周知の結果(Appendix B Zackay & Ofek 2015a)パラメータθの最大S/N測定を使用すると、統計量のセットXjを所与とし、これにより:
(式中、μjはスケーリング係数であり、εjは分散V[εj]=σjを有する)は、
である。
この場合、
である。これを
に適用すると、αに対する最大S/N統計量:
を得、
および
を代入し、単純化すると(比率でのknのキャンセル、および
の使用に注意):
を得る。
最後に、
に対する式の分子が、以前に定義したトランジェント検出画像S(式79)内のq番目の位置であることに気付くことにより、全てのトランジェント源に対する全てのフラックスを同時に計算できる。つまり:
これは、検出および測定の両方に対して同じ統計量が計算できることを意味する。従って、Sからフラックス測定を得るために、必要なのは、それをFs−式114の分母で正規化することだけである:
検出に対するのと同じプロセスを用いて、位置qにおけるフラックス測定Sの標準偏差が、SNおよびSRの検査によって推定できる。Fの標準偏差は次によって計算できることが分かる:
基準画像が
よりも多くの基準画像から構築される場合。
式116は、フェイント(faint)(すなわち、背景優位雑音の領域内)および明るいトランジェント(光源優位雑音の領域)の両方に対して有効であることに留意されたい。さらに、各画素はPSFの適切な値によって重み付けされるので、式114は、PSF測光と同等であることに留意されたい。
13.D、PD、FDは、画像間の差に関する任意の統計的測定または決定に対して十分である
D、PD、FDが十分な統計量であることを示すために、フィッシャー・ネイマンの分解定理を使用できる。この定理は:確率密度関数がPθ(X)である場合、Tは、非負関数gおよびhが
であることが分かる場合、およびその場合に限り、パラメータθに対して十分であることを明言する。
この場合、パラメータθをもつ、画像間の差に対する任意の生成モデルAn(θ)について、データ(RおよびN)を観測する確率は:
に因数分解する。これは、Dは十分な統計量であることを証明できる。
十分な統計量の意味は深い−Dに関して実行される任意の測定または決定は、あたかもそれが全てのデータを使用して実行されたかのような、同じ数値を返すことができることを意味することに留意されたい。かかる測定または決定の例は:任意の形状計測、または粒子ヒットの識別である。
Dは、PD、
と共に、時間一定画像Tに関わらず、An(θ)に対する生成モデルの任意のインスタンスに対する任意の尤度キャンセルに対して(フィッシャー・ネイマン基準から許容されるように、何らかの乗法的、モデルに依存しない因子まで)、合わせて十分であることが示される。Dが:
に対して十分である、統計モデルAn(θ,q)を明言し、式中、An(θ)は、位置qにある、新規画像内で行われた変化であり、Tは、時間一定(未知)画像である。これは、PSFによって畳み込まれなかった信号(例えば、「不良」画素、小さい天文測定シフト)を処理できるようにするので、An(θ)は、画像のPSFで畳み込まれないことに留意されたい。しかし、かかるPSFはAn(θ)に含めることができる。
条件付き確率の法則を使用すると、確率は:
Rの確率はモデルパラメータθと無関係である(Nに対するモデルにのみ影響を及ぼす)ので、
を計算するだけで十分である。前節におけるのと同様、Rの知識をTに対する統計モデルに投影できる:
それを使用してAn(θ)を所与としてNを観測する確率を計算する:
絶対値を開くと、3つの項の総和を得る。第1の項、
は、An(θ)に依存しておらず、従って、除去できる(フィッシャー・ネイマンh内に吸収できる)。第2の項は:
である。最後の式で、適正減算画像D
とNにおけるデルタ関数に対するPSF(AnのPSF):
との間で、ゼロ点で:
整合フィルタ演算を識別できる。
最後に、式125の第3の項は、DおよびそのPSFのセットおよびゼロ点だけを使用して計算できることが示される。
対称的に、Rにおける全ての統計的変化は、Dおよび
を使用して同じ方法で計算できる。
ゼロ点で
真の画像(例えば、超新星、変光星または太陽系小天体)と同じPSF(および透明度)を経験する、NまたはRのいずれかにおける変化は、有効なPSF PD、およびゼロ点FDを持つことができる。
この分析は、減算結果Dは、データに関して実行する必要のある、任意の、まだ指定されていないものさえ、測定または仮説検定に対して最適な統計量であることを意味する。
他の様々な修正は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に容易に明らかであり得ることが理解される。その結果、本明細書に添付するクレームの範囲は、本明細書に記載する記述に限定されることを意図するのではなく、むしろ、クレームは、本発明が関連する当業者によるのと同等に扱われ得る全ての特徴を含め、本発明に存在する特許性のある新規性の全ての特徴を包含すると解釈されることを意図する。