JP2018521655A - 組み換えタンパク質の産生プロファイルを修飾する方法 - Google Patents

組み換えタンパク質の産生プロファイルを修飾する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018521655A
JP2018521655A JP2018502100A JP2018502100A JP2018521655A JP 2018521655 A JP2018521655 A JP 2018521655A JP 2018502100 A JP2018502100 A JP 2018502100A JP 2018502100 A JP2018502100 A JP 2018502100A JP 2018521655 A JP2018521655 A JP 2018521655A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reactive
cell
triazine dye
culture
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018502100A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6749994B2 (ja
Inventor
ミュール アナイス
ミュール アナイス
ブリュールマン ダービド
ブリュールマン ダービド
ヨルダン マルティン
ヨルダン マルティン
ブローリ エルベ
ブローリ エルベ
ステトラー マチュー
ステトラー マチュー
Original Assignee
アレス トレーディング ソシエテ アノニム
アレス トレーディング ソシエテ アノニム
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アレス トレーディング ソシエテ アノニム, アレス トレーディング ソシエテ アノニム filed Critical アレス トレーディング ソシエテ アノニム
Publication of JP2018521655A publication Critical patent/JP2018521655A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6749994B2 publication Critical patent/JP6749994B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/0018Culture media for cell or tissue culture
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/67General methods for enhancing the expression
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/21Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin from primates, e.g. man
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/24Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin containing regions, domains or residues from different species, e.g. chimeric, humanized or veneered
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2501/00Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
    • C12N2501/999Small molecules not provided for elsewhere
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2511/00Cells for large scale production

Abstract

本発明は、細胞培養の分野にある。特に、本発明は、有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地中で組み換えタンパク質を発現する宿主細胞を培養する方法であって、それによって、前記トリアジン染料又はその他の誘導因子なしで培養した細胞に対して、前記タンパク質の産生が増強される方法に関する。

Description

本発明は、細胞培養の分野にある。特に、本発明は、有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地中で組み換えタンパク質を発現する宿主細胞を培養する方法であって、それによって、前記トリアジン染料又はその他の誘導因子なしで培養した細胞に対して、前記タンパク質の産生が増強される方法に関する。
潜在的生産性の最大限を得るための培養条件の最適化が、組み換えタンパク質生産の主な目的の1つである。生産性のわずかな増大であっても、経済的な観点から顕著なこともある。多くの商業関連のタンパク質が、宿主細胞で遺伝子組み換えにより生産される。これが、効率的且つ費用対効果がよい様式でこれらのタンパク質を生産する必要性に通じる。残念ながら、組み換えタンパク質生産の欠点の一つは、細胞培養が行われる条件が、通常、経時的な細胞生存率の低下の働き、効率と全体的な生産性の両方を低下させることである。
潅流培養、回分培養、及び流加培養は、組み換えタンパク質を生産するために動物細胞を培養するための基本的方法である。
頻繁に、特に流加及び潅流法において、細胞におけるタンパク質の産生を増強するために、誘導剤が培養液に添加される。これらの誘導因子は、細胞がより多くの所望の生成物を産生するように誘導する。斯かる作用物質の一つが酪酸ナトリウムである。しかしながら、細胞培養に酪酸ナトリウムを使用する欠点は、それが細胞生存率に顕著に影響することである。例えば、Kimら(2004)は、回分培養において、酪酸ナトリウムが組み換えCHO細胞でタンパク質の産生を増強できたが、生産工程の最後に(8日間の培養後)、細胞生存率が45%未満であったことを示した。潅流回分培養において同じ実験を繰り返して、著者らは、処置の6日間以内に、細胞生存率が15%程度まで低いことに気付いた。
誘導因子の使用はタンパク質の産生を増強し得るが、細胞生存率に関する欠点は考慮されなければならない。実際に、酪酸ナトリウムなどのよく知られる誘導因子の使用は、培養中の約5日後には非生産的になることもあり得るが、それに対して、典型的な生産期間は、流加モードで12〜15日間であり、さらに、潅流モードでは最長40〜45日間になることもある。
多くのタンパク質が、6日間を超える培養において培養される細胞によって遺伝子組み換えで産生されるので、増強された生産性と、より効率的な生産工程を可能にする一方で、長期間にわたり許容される細胞生存率を維持する方法に対する必要性が存在する。
そのため、生産期間にわたって、生存細胞密度を維持し、力価を増強し、及び/又は細胞生存率の実質的な減少を回避することによって、増強された遺伝子組み換えタンパク質生産性を与える培養条件と生産方法に対する必要性が依然として存在している。本発明は、組み換えタンパク質の産生増加のための方法及び組成物を提供することによって、この必要性に対処する。
一態様において、本発明は、組み換えタンパク質の産生を増加する方法であって、有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地中で、前記タンパク質を発現する宿主細胞を培養すること含む前記方法を提供する。
更なる態様において、本発明は、組み換えタンパク質の産生を増加する方法であって、有効量のトリアジン染料を含んでなる少なくとも1つの供給物(feed)を補充した細胞培養培地中で、前記タンパク質を発現する宿主細胞を培養すること含む前記方法を提供する。
別の態様において、本発明は、組み換えタンパク質を発現する宿主細胞を培養する方法であって、有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地中で前記宿主細胞を培養すること含む前記方法を提供する。
別の態様において、本発明は、有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地を含んでなる組成物を提供する。
更なる態様において、本発明は、組み換えタンパク質の産生増加のための、細胞培養培地におけるトリアジン染料の使用を提供する。
図1は、時間(14日目まで)に関連した生存細胞密度(Guava(登録商標)、図1A)及び生存率(Guava(登録商標)、図1B)、並びにマイクロプレートにおいて、様々な濃度のReactive Red 120を用いて培養した、抗体mAb1を発現する宿主細胞の14日目における力価(Octet(登録商標)、図1C)を示す。結果は、平均値±標準偏差として示されている。図1Aと1Bについて同じ凡例。 図1は、時間(14日目まで)に関連した生存細胞密度(Guava(登録商標)、図1A)及び生存率(Guava(登録商標)、図1B)、並びにマイクロプレートにおいて、様々な濃度のReactive Red 120を用いて培養した、抗体mAb1を発現する宿主細胞の14日目における力価(Octet(登録商標)、図1C)を示す。結果は、平均値±標準偏差として示されている。図1Aと1Bについて同じ凡例。 図2は、マイクロプレートにおいて、様々な濃度のReactive Red 120にて分泌された抗体mAb1の品質分析を示す。グリコシル化プロファイルは、CGE−LIFアッセイによって分析される。Gal=ガラクトシル化;Man=マンノシル化;Fuc=フコシル化;Sial=シアリル化;Ukn=不明。 図3は、時間(14日目まで)に関連した生存細胞の密度(Guava、図3A)及び生存率(Guava(登録商標)、図3B)、並びにマイクロプレートにおいて、様々な濃度のReactive Red 120を用いて培養した、抗体mAb1を発現する宿主細胞の14日目における力価(Octet(登録商標)、図1C)を示す。結果は、平均値±標準偏差として示される。図3Aと3Bについて同じ凡例。 図3は、時間(14日目まで)に関連した生存細胞の密度(Guava、図3A)及び生存率(Guava(登録商標)、図3B)、並びにマイクロプレートにおいて、様々な濃度のReactive Red 120を用いて培養した、抗体mAb1を発現する宿主細胞の14日目における力価(Octet(登録商標)、図1C)を示す。結果は、平均値±標準偏差として示される。図3Aと3Bについて同じ凡例。 図4は、Spin Tubesにおいて、様々な濃度のReactive Red 120を用いて培養した、抗体mAb1(左側)及び抗体mAb2(右側)を発現する宿主細胞の時間(14日目まで)に関連した生存細胞密度(ViCell(登録商標)、図4A及び4E)、生存率(ViCell(登録商標)、図4B及び4F)、力価(Biacore(登録商標)、図4C及び4G)、比生産性(図4D及び4H)を示す(平均値±標準偏差)。図4A〜4Dについて1つの凡例、そして、図4E〜4Hについて1つの凡例。 図4は、Spin Tubesにおいて、様々な濃度のReactive Red 120を用いて培養した、抗体mAb1(左側)及び抗体mAb2(右側)を発現する宿主細胞の時間(14日目まで)に関連した生存細胞密度(ViCell(登録商標)、図4A及び4E)、生存率(ViCell(登録商標)、図4B及び4F)、力価(Biacore(登録商標)、図4C及び4G)、比生産性(図4D及び4H)を示す(平均値±標準偏差)。図4A〜4Dについて1つの凡例、そして、図4E〜4Hについて1つの凡例。 図5は、宿主細胞が、Spinチューブ内で、様々な濃度のReactive Red 120にて培養されるときの、抗体mAb2のグリコシル化プロファイル(CGE−LIF、図5A)、並びに凝集物及び断片の割合(SE HPLC及びSDS毛管ゲル電気泳動法、図5B)を示す。結果は、平均値±標準偏差として示される。Gal=ガラクトシル化;Man=マンノシル化;Fuc=フコシル化;Sial=シアリル化;Ukn=不明。 図6は、マイクロプレートにおいて、様々な濃度のCibacron Blue 3GAを用いて培養した抗体mAb1を発現する宿主細胞の、時間(14日目まで)に関連した生存細胞密度(Guava(登録商標)、図6A)及び生存率(Guava(登録商標)、図6B)、並びに力価(Octet(登録商標)、図6C)を示す。結果は、平均値±標準偏差として示されている。図6A及び6Bについて同じ凡例。 図6は、マイクロプレートにおいて、様々な濃度のCibacron Blue 3GAを用いて培養した抗体mAb1を発現する宿主細胞の、時間(14日目まで)に関連した生存細胞密度(Guava(登録商標)、図6A)及び生存率(Guava(登録商標)、図6B)、並びに力価(Octet(登録商標)、図6C)を示す。結果は、平均値±標準偏差として示されている。図6A及び6Bについて同じ凡例。 図7は、マイクロプレートにおいて、様々な濃度のCibacron Blue 3GAにて分泌された抗体mAb1の品質分析を示す。グリコシル化プロファイルは、CGE−LIFアッセイによって分析される。 図8は、Spin Tubesにおいて、様々な濃度のCibacron Blue 3GAを用いて培養した、抗体mAb1(左側)及び抗体mAb2(右側)を発現する宿主細胞の時間(14日目まで)に関連した生存細胞密度(ViCell(登録商標)、図8A及び8E)、生存率(ViCell(登録商標)、図8B及び8F)、力価(Biacore(登録商標)、図8C及び8G)、比生産性(図8D及び8H)を示す(平均値±標準偏差)。図8A〜8Dについて1つの凡例、そして、図8E〜8Hについて1つの凡例。 図8は、Spin Tubesにおいて、様々な濃度のCibacron Blue 3GAを用いて培養した、抗体mAb1(左側)及び抗体mAb2(右側)を発現する宿主細胞の時間(14日目まで)に関連した生存細胞密度(ViCell(登録商標)、図8A及び8E)、生存率(ViCell(登録商標)、図8B及び8F)、力価(Biacore(登録商標)、図8C及び8G)、比生産性(図8D及び8H)を示す(平均値±標準偏差)。図8A〜8Dについて1つの凡例、そして、図8E〜8Hについて1つの凡例。 図9は、宿主細胞が、Spin Tubes内で、様々な濃度のCibacron Blue 3GAにて培養されるときの、抗体のmAb1及びmAb2のグリコシル化プロファイル(CGE−LIF、図9A及び9C)、並びに凝集物及び断片の割合(SE HPLC及びSDS毛管ゲル電気泳動法、図9B及び9D)を示す。結果は、平均値±標準偏差として示される。Gal=ガラクトシル化;Man=マンノシル化;Fuc=フコシル化;Sial=シアリル化;Ukn=不明。 図1〜9において:uM及びμMは共にマイクロモルを意味する。
本発明の詳細な説明
本明細書中で言及した出版物、特許出願、特許、及び他の参照文献の全ては、参照によりその全体を援用したものとする。本明細書中で論じられる出版物及び出願は、もっぱら本願の出願日以前に開示されている。本明細書において、本発明が、先願発明の効果により、斯かる出版物に先行する権利を与えられないことへの承認として解釈されるべきではない。加えて、材料、方法、及び実施例は、ただの実例であって、限定を意図するものではない。
矛盾する場合、定義を含んでいる本願明細書が支配するであろう。別段の記載がない限り、本明細書中に使用される学術用語及び科学用語の全ては、本明細書中の課題が属する技術分野の当業者に一般的に理解される意味と同じである。本明細書中に使用される場合、以下の定義は、本発明の理解を促進するために提供されている。
明細書及び請求項で使用される場合、本明細書中で例えば「A及び/又はB」などのフレーズで使用される「及び/又は」という用語は、「A及びB」、「A又はB」、「A」、及び「B」を含むことが意図される。
明細書及び請求項で使用される場合、用語「細胞培養」又は「培養物」は、インビトロ、すなわち、生物体又は組織の外側での細胞の成長及び繁殖を意味する。哺乳動物細胞のための好適な培養条件は、当該技術分野で知られており、例えば、Cell Culture Technology for Pharmaceutical and Cell-Based Therapies (2005)内に教示されている。哺乳動物細胞は、懸濁液中で培養されてもよいが、一方で、固形の基板に取り付けられてもよい。
用語「細胞培養培地」、「培養培地」、「培地」、及びあらゆるその複数形は、任意型の細胞が培養されるあらゆる培地を指す。「基本培地」は、細胞代謝に有用な必須成分の全てを含有する細胞培養培地を指す。これには、例えば、アミノ酸、脂質、炭素源、ビタミン及び無機質塩が挙げられる。DMEM(Dulbeccos Modified Eagles Medium)、RPMI(Roswell Park Memorial Institute Medium)又は培地F12(Ham’s F12培地)は、市販の基本培地の例である。或いは、前記基本培地は、「化学的に定義された培地」又は「化学的に定義された培養培地」とも呼ばれる、施設内で完全に開発された独自の培地であってもよく、そしてそれは、成分の全てが、化学式に関して記載されることができ、且つ、既知濃度で存在する。培養培地は、タンパク質不含及び/又は血清不含であってもよく、培養中の細胞の要求によって、例えばアミノ酸、塩、糖、ビタミン、ホルモン、増殖因子などの任意の(単数若しくは複数の)追加化合物を補ってもよい。
用語「供給培地」(及び複数のそれ)とは、消費された栄養素を補給するために培養中に添加物として使用される培地を指す。供給培地は、市販の供給培地であっても、又は独自の供給培地(本明細書中の選択し得る化学的に定義された供給培地)であってもよい。
用語「バイオリアクター」又は「培養系」とは、細胞が、好ましくは回分又は流加モードで培養できる、任意の系を指す。この用語には、これだけに限定されるものではないが、微小担体の有無にかかわらず、フラスコ、静置フラスコ、スピナーフラスコ、チューブ、振盪チューブ、振盪ボトル、ウェーブバッグ、バイオリアクター、繊維バイオリアクター、流動層バイオリアクター、及び撹拌槽バイオリアクターが挙げられる。或いは、用語「培養系」としてはまた、マイクロタイタプレート、毛細管又はマルチウェルプレートも挙げられる。任意のサイズのバイオリアクター、例えば、0.1ミリリットル(0.1mL、非常に小規模)〜20000リットル(20000L又は20KL、大規模)、例えば0.1mL、0.5mL、1mL、5mL、0.01L、0.1L、1L、2L、5L、10L、50L、100L、500L、1000L(又は1KL)、2000L(又は2KL)、5000L(又は5KL)、10000L(又は10KL)、15000L(又は15KL)或いは20000L(20KL)など、で使用される。
用語「流加培養」とは、細胞を増殖させる方法を指し、そしてそこでは、消費される栄養素を補給するために、ボーラス又は連続供給培地添加がある。この細胞培養技術には、培地処方、細胞株、及び他の細胞生育条件によって、10×106〜30×106細胞/mlより大きな程度の高細胞密度を得る可能性がある。二相培養条件は、様々な供給ストラテジー及び培地処方によって作り出され、そして、維持される。
或いは、潅流培養が使用できる。潅流培養とは、細胞培養が、新鮮な潅流供給培地を受け取り、それと同時に消費された培地を取り除くものである。潅流は、連続していても、段階的であっても、断続的であっても、或いはこれらのうちの任意のものの組み合わせであっても又は任意のもの全ての組み合わせであってもよい。潅流速度は、1日あたりの可動範囲より少ないことから可動範囲より多いことまであり得る。好ましくは、細胞が培養物中で保持されていて、取り除かれた消費培地には、細胞が実質的に含まないか又は培養物よりかなり少ない細胞しかない。潅流は、遠心分離、沈降、又は濾過を含めた多くの細胞保持技術によって達成され得る(例えば、Voisard et al., 2003を参照)。本発明の方法及び/又は細胞培養技術を使用するとき、通常、組み換えタンパク質は培地中に直接分泌される。前記タンパク質が培地中に分泌されると、斯かる発現系からの上清は、最初に、市販のタンパク質濃縮フイルターを使用して濃縮され得る。
本明細書中に使用される「細胞密度」は、所定の体積の培地中の細胞数を指す。「生存細胞密度」は、標準的な生死判別試験によって決定される、所定の体積の培地中の生存細胞数を指す。用語「より高い細胞密度」又は「より高い生存細胞密度」、及びその相当語句は、対照培養条件と比較して、細胞密度又は生存細胞密度が少なくとも15%増強されることを意味する。細胞密度は、対照培養条件と比較して、それが−15%〜15%の範囲内にある場合には、維持されていると見なされる。用語「より低い細胞密度」又は「より低い生存細胞密度」、及びその相当語句は、対照培養条件と比較して、細胞密度又は生存細胞密度が少なくとも15%減少することを意味する。
用語「生存率」又は「細胞生存率」は、培養物中の総生存細胞数と総細胞数の間の比を指す。生存率は、通例、培養開始と比較して、それが60%以上である限り許容される(しかしながら、許容される閾値は、それぞれの場合に応じて決定され得る)。生存率は、採取の時期を決定するために使用されることが多い。例えば、流加培養では、生存率が60%に落ちると又は培養14日後になると、培養物が採取され得る。
「力価」という表現は、溶液中の物質、ここでは、着目のタンパク質、の量又は濃度を指す。それは、検出可能な量の着目の分子を依然として含んでいる、溶液の希釈の回数を表す。それは、例えば、着目のタンパク質を含んでいるサンプルを、連続的に希釈し(1:2、1:4、1:8、1:16など)、次に、適当な検出法(クロマトグラフィー比色など)を使用して、着目のタンパク質の検出可能なレベルの存在について各希釈物をアッセイすることによって、日常的に算出される。力価はまた、実施例の項のように、例えばforteBIO Octet(登録商標)又はBiacore C(登録商標)などの手段によっても計測され得る。
用語「比生産性」は、1日あたり細胞毎に産生される物質、ここでは、着目のタンパク質、の量を指す。
用語「より高い力価」又は「より高い比生産性」、及びその相当語句は、対照培養条件と比較して、力価又は生産性が少なくとも10%増強されることを意味する。力価又は比生産性は、対照培養条件と比較して、それが−10%〜10%の範囲内にある場合には、維持されていると見なされる。用語「より低い力価」又は「より低い生産性」、及びその相当語句は、対照培養条件と比較して、力価又は生産性が少なくとも10%減少することを意味する。
用語「タンパク質」は、本明細書中で使用される場合、ペプチド及びポリペプチドを含み、2以上のアミノ酸残基を含んでなる化合物を指す。本発明によるタンパク質としては、これだけに限定されるものではないが、サイトカイン、増殖因子、ホルモン、融合タンパク質、抗体又はそのフラグメントが挙げられる。治療用タンパク質とは、治療法で使用され得るか又は治療法で使用されるタンパク質を指す。
用語「組み換えタンパク質」とは、遺伝子組み換え技術によって作り出されたタンパク質を意味する。遺伝子組み換え技術は、十分に当業者の知識の範疇にある(例えば、Sambrook et al., 1989及び改訂版を参照)。
明細書及び請求項で使用される場合、用語「抗体(antibody)」及びその複数形「抗体(antibodies)」としては、とりわけ、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及び抗原結合性フラグメント、例えばF(ab’)2や、Fabタンパク質分解フラグメントや、一本鎖可変領域フラグメント(scFvs)などが挙げられる。遺伝子操作された完全な抗体又はフラグメント、例えばキメラ抗体、scFv及びFabフラグメント、並びに合成抗原結合性ペプチド及びポリペプチドなども含まれる。
用語「ヒト化」免疫グロブリンとは、ヒトフレームワーク領域と、ヒト以外の(通常マウス又はラット)免疫グロブリンからの1若しくは複数のCDRを含んでなる免疫グロブリンを指す。CDRを提供するヒト以外の免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは「アクセプター」と呼ばれる(ヒトフレームワーク及び定常領域にヒト以外のCDRをつなぎ合わせることによるか、又はヒト定常領域にヒト以外の可変ドメイン全体を組み込む(キメラ化)ことによるヒト化)。定常領域が存在する必要はないが、それらが存在する場合には、それらがヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一でなければならない、すなわち、少なくとも約85〜90%、好ましくは約95%以上同一でなければならない。従って、エフェクター機能の調節が必要である場合には、もしかするとCDR及び重鎖定常領域のいくつかの残基を除いて、ヒト化免疫グロブリンの全ての部分が、天然ヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。抗体をヒト化することで、生物学的半減期は延長される可能性があり、そして、ヒトへの投与による不利な免疫反応の可能性が低減元される。
明細書及び請求項で使用される場合、用語「完全ヒト」免疫グロブリンとは、ヒトフレームワーク領域とヒトCDRの両方を含んでなる免疫グロブリンを指す。定常領域が存在する必要はないが、それらが存在する場合には、それらがヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一でなければならない、すなわち、少なくとも約85〜90%、好ましくは約95%以上同一でなければならない。従って、エフェクター機能又は薬物動態学的特性の調節が必要である場合には、もしかすると重鎖定常領域のいくつかの残基を除いて、ヒト化免疫グロブリンの全ての部分が、天然ヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。場合によっては、アミノ酸突然変異が、結合親和力を改善するために、及び/又は免疫原性を低減するために、及び/又は抗体の生物化学的/生物物理学的特性を改善するためにCDR、フレームワーク領域又は定常領域内に導入されてもよい。
用語「組み換え抗体」とは、遺伝子組み換え技術によって作り出された抗体を意味する。抗体の作出における組み換えDNA技術の関連性のため、当業者は、天然抗体に見られるアミノ酸配列に限定されることを必要としない;抗体は、所望の特徴を得るために再設計されてもよい。可能なバリエーションは、たくさんあり、たった1つ若しくはいくつかのアミノ酸の変化から、例えば可変ドメイン又は定常領域の、完全な再設計にまで及ぶ。定常領域での変更は、通例、例えば補体結合(例えば、補体依存性細胞傷害、CDC)や、Fc受容体との相互作用や、他のエフェクター機能(例えば、抗体依存性細胞障害、ADCC)、薬物動態学的特性(例えば、新生児Fcレセプター;FcRnへの結合)などの特徴を改善するか、低減するか、又は変更するために行われる。可変ドメインでの変更は、抗原結合特性を改善するために行われる。抗体に加え、免疫グロブリンが、例えば、一本鎖又はFv、Fab、及び(Fab’)2、並びに二重特異性抗体、直鎖抗体、多価又は多特異的ハイブリッド抗体を含めた他の様々な形態で存在し得る。
本明細書中に使用される場合、用語「抗体部分」とは、完全な若しくは完全長の鎖又は抗体、通常、結合又は可変領域のフラグメントを指す。前記部分又はフラグメントは、完全な鎖/抗体の少なくとも1つの活性を維持していなければならない、すなわち、それらは「機能的な部分」又は「機能的なフラグメント」である。少なくとも1つの活性を維持しなければならないなら、それらは標的結合特性を維持しているのが好ましい。抗体部分(又は抗体フラグメント)の例としては、これだけに限定されるものではないが、「単鎖Fv」、「一本鎖抗体」、「Fv」又は「scFv」が挙げられる。これらの用語は、重鎖と軽鎖の両方からの可変ドメインを、全て単一ペプチド鎖内に含んでなるが、定常領域を欠く、抗体フラグメントを指す。一般的に、一本鎖抗体は、それが抗原結合を可能にする所望の構造を形成するのを可能にするVHとVLドメイン間のポリペプチドリンカーを更に含んでなる。特定の実施形態において、一本鎖抗体はまた、二重特異性であっても、及び/又はヒト化されていてもよい。
「Fabフラグメント」は、1本の軽鎖、並びに1本の重鎖の可変及びCH1ドメインから成る。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とのジスルフィド結合を形成することができない。1本の軽鎖と1本の重鎖を含み、且つ、鎖間ジスルフィド結合が2本の重鎖間で形成できるように、CH1とCH2ドメイン間に、更に定常領域を含む「Fab′フラグメント」は、F(ab’)2分子と呼ばれる。「F(ab’)2」は、鎖間ジスルフィド結合が2本の重鎖間で形成されるように、CH1とCH2ドメインの間に定常領域の一部を含む2本の軽鎖と2本の重鎖を含む。いくつかの重要な用語を定義したので、現在、本発明の特定の実施形態に注目を集めることが可能である。
本発明により産生され得る既知の抗体の例としては、これだけに限定されるものではないが、アダリムマブ、アレムツズマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、カナキヌマブ、セルトリズマブ、ペゴル、セツキシマブ、デノスマブ、エクリズマブ、ゴリムマブ、インフリキシマブ、ナタリズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、ペルツズマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、シルツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、ウステキヌマブ又はベドリズマブ(vedolizomab)が挙げられる。
用語「対象」は、(これだけに限定されるものではないが)、例えばヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、又はラットなどの哺乳動物を含むことを意図する。より好ましくは、対象はヒトである。
用語「誘導剤」、「誘導因子」又は「生産能エンハンサー」は、細胞培養に加えられるとタンパク質の産生の増強を可能にする化合物を指す。例えば、E.コリ(E. coli)産生のための既知の誘導因子の1つが、IPTG(イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド)である;そして、CHO産生のための誘導因子は、特に酪酸ナトリウム、ドキシサイクリン又はデキサメサゾンである。
本発明は、組み換えタンパク質の産生を増加させ、それと同時に、生存細胞密度を維持し、その上、生産期間を通じた細胞生存率の実質的減少を回避する方法及び組成物を提供する。本発明は、組み換えタンパク質の産生促進をもたらすと同時に、生産期間を通じて、生存細胞密度を維持し、且つ、細胞生存率の実質的減少を回避する、タンパク質産生、例えば抗体又は抗原結合性フラグメントの生成など、のための細胞培養条件の最適化に基づいている。
発明者らは、トリアジン染料を含んでいるか又は補充した細胞培養条件下では、組み換えタンパク質の産生が増強でき(すなわち、力価及び/又は比生産性が増強され)、細胞密度が同様に増強されるか又は少なくとも維持され、そして、生産期間を通じて細胞生存率の実質的又は有意な減少が回避されることを、驚いたことに見出した。よって、細胞培養生産工程中に、産生される組み換えタンパク質の力価を増強することが望まれるとき、細胞培養には、例えばCibacron Blue 3GA、Reactive Red 120、Reactive Yellow 86、Reactive Green 19、Reactive Blue 4、Reactive Brown 10などのトリアジン染料が補充される。或いは、細胞培養培地は、既に前記トリアジン染料を含んでいてもよい。
一態様において、本発明は、組み換えタンパク質の産生を増加する方法であって、有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地中で前記タンパク質を発現する宿主細胞を培養することを含む前記方法を提供する。トリアジン染料は、Cibacron Blue 3GA、Reactive Red 120、Reactive Yellow 86、Reactive Green 19、Reactive Blue 4、Reactive Brown 10を含んでなる群から選択されるのが好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、トリアジン染料は、Cibacron Blue 3GA又はReactive Red 120である。更なる好ましい実施形態において、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
或いは、本発明は、組み換えタンパク質の産生を増加する方法であって、有効量のトリアジン染料を含んでなる少なくとも1つの供給物を補充した細胞培養培地中で前記タンパク質を発現する宿主細胞を培養することを含む前記方法を提供する。トリアジン染料は、Cibacron Blue 3GA、Reactive Red 120、Reactive Yellow 86、Reactive Green 19、Reactive Blue 4、Reactive Brown 10を含んでなる群から選択されるのが好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、トリアジン染料は、Cibacron Blue 3GA又はReactive Red 120である。更なる好ましい実施形態において、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
更なる態様において、本発明は、組み換えタンパク質を発現する宿主細胞を培養する方法であって、有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地中で前記宿主細胞を培養することを含む前記方法を提供する。トリアジン染料は、Cibacron Blue 3GA、Reactive Red 120、Reactive Yellow 86、Reactive Green 19、Reactive Blue 4、Reactive Brown 10を含んでなる群から選択されるのが好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、トリアジン染料は、Cibacron Blue 3GA又はReactive Red 120である。更なる好ましい実施形態において、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
別の態様において、本発明は、有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地を含んでなる組成物を提供する。トリアジン染料は、Cibacron Blue 3GA、Reactive Red 120、Reactive Yellow 86、Reactive Green 19、Reactive Blue 4、Reactive Brown 10を含んでなる群から選択されるのが好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、トリアジン染料は、Cibacron Blue 3GA又はReactive Red 120である。
更なる態様において、本発明は、組み換えタンパク質の産生を増強するための細胞培養培地におけるトリアジン染料使用を提供する。トリアジン染料は、Cibacron Blue 3GA、Reactive Red 120、Reactive Yellow 86、Reactive Green 19、Reactive Blue 4、Reactive Brown 10を含んでなる群から選択されるのが好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、トリアジン染料は、Cibacron Blue 3GA又はReactive Red 120である。
本発明全体との関連において、例えばCibacron Blue 3GA又はReactive Red 120などのトリアジン染料の有効量とは、トリアジン染料又はその他の誘導因子を用いずに培養した細胞と比較したときに、検出可能な量まで、宿主細胞の組み換えタンパク質の発現を増強し、もしかすると細胞密度も増強する、補充物として又は供給物として培養開始時に細胞培養培地中に存在するか又は細胞培養(若しくは細胞培養培地)に追加されるトリアジン染料の量である。例えばCibacron Blue 3GA又はReactive Red 120などのトリアジン染料は、ちょうど又は約0.01μM〜150μM、好ましくは0.1μM〜100μM、より好ましくは1μM〜90μMの濃度にて、補充物として又は供給物として、好ましくは培養開始時に細胞培養培地中に存在するか又は細胞培養(若しくは細胞培養培地)に追加される。いくつかの実施形態において、トリアジン染料の濃度は、ちょうど又は約0.4μM、0.5μM、0.9μM、1μM、5μM、8μM、10μM、15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、50μM、60μM、70μM、80μM、85μM、90μM(培養系の培地中のもとのトリアジン染料の濃度)である。例えば、しかし、制限方法によるのではなく、トリアジン染料の濃度を調節することによって、分泌された組み換えタンパク質の産生を調整(すなわち、増強)できる。
本発明全体との関連において、トリアジン染料が、補充物として又は供給物として、培養開始時に細胞培養培地中に存在するか又は細胞培養(若しくは細胞培養培地)に追加されるとき、トリアジン染料も又はその他の誘導因子も用いず培養された細胞に対して、細胞生存率は、実質的又は顕著に減少することなく、且つ、組み換えタンパク質の産生は増強される。
本明細書中に使用される場合、語句「細胞生存率は、実質的又は顕著に減少しない」とは、トリアジン染料も又はその他の誘導因子も用いず培養された細胞と比較して、細胞生存率が、対照培養物(すなわち、トリアジン染料も又はその他の誘導因子も用いず培養された細胞)と比較して、約15%超減少しないことを意味する。
本願発明の目的のために、細胞培養培地は、インビトロ細胞培養における動物細胞、例えば哺乳動物細胞など、の培養に好適な培地である。細胞培養培地処方は、当該技術分野で周知である。細胞培養培地には、培養中の細胞の要求によって、例えばアミノ酸や、塩や、糖や、ビタミンや、ホルモンや、増殖因子などの追加成分が補充される。好ましくは、細胞培養培地は、動物成分不含である;それらは、血清不含であっても及び/又はタンパク質不含であってもよい。
本発明の特定の実施形態において、細胞培養培地は、例えば培養開始時に、及び/又は流加培養又は連続様式において、トリアジン染料が補充される。トリアジン染料補充物の添加は、中間体力価に基づいて計測され得る。
本発明のある実施形態において、宿主細胞は、これだけに限定されるものではないが、HeLa、Cos、3T3、骨髄腫細胞株(例えば、NS0、SP2/0)、及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含めた哺乳類宿主細胞(本明細書中では、哺乳動物細胞とも呼ばれる)を含むのが好ましい。好ましい実施形態において、宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
本発明全体との関連において、組み換え細胞(好ましくは哺乳類細胞)は、例えばバイオリアクターなどの培養系で培養される。バイオリアクターは、培地中に生存細胞が接種される。前記培養培地は、既にトリアジン染料を含んでなるか、或いは培養物開始時に及び/又は培養物開始後にいつでも前記トリアジン染料を補充され得る。好ましくは、培養培地は、血清不含であっても及び/又はタンパク質不含であってもよい。生産用バイオリアクターに接種されると、組み換え細胞は、指数増殖相に入る。増殖相は、任意選択で前記トリアジン染料が補充された供給培地のボーラス供給物を用いた流加プロセスを使用して維持される。好ましくは、供給培地は、血清不含であっても及び/又はタンパク質不含であってもよい。補充のボーラス供給は、典型的には、細胞がバイオリアクターに接種された直後、細胞が細胞培養培地の供給を必要としていることが予期又は決定された時点で開始する。例えば、補充供給物は、培養の3日目若しくは4日目、又は培養の約3日目若しくは4日目、或いはそれより1日若しくは2日早く、又は1日若しくは2日遅く開始してもよい。培養物には、培養相中に1、2、3、又はそれ以上のボーラス供給物が与えられてもよい。これらのボーラス供給物のいずれも、任意選択でトリアジン染料を補充され得る。流加及び/又は連続様式において、トリアジン染料の補充又は供給は、培養開始時に行われてもよい。培養培地は、グルコースなどの糖を含んでなっても、又はグルコースなどの糖を補充されてもよい。流加及び/又は連続様式において、前記補充は、培養開始時に行われてもよい。
本発明による方法、組成物、及び使用は、多段階培養プロセスにおいて、組み換えタンパク質の生産を改善するのに使用され得る。複数の段階プロセスにおいて、細胞は、2以上の異なった相で培養される。例えば、細胞は、最初に1若しくは複数の増殖相で、細胞増殖及び生存率を改善する条件下で培養され、次に、(単数若しくは複数の)生産相に移され、タンパク質生産を改善する条件下で培養される。多段階培養プロセスにおいて、いくつかの条件:培地成分、pHのシフト、温度のシフトなど、を、あるステップ(又はある相)からもう一方に変更され得る。増殖相は、生産相より高い温度にて実施され得る。例えば、増殖相は、約35℃〜約38℃の第一の温度にて実施され、次に、温度は、生産相のための約29℃〜約37℃の第二の温度にシフトされる。細胞培養は、採取前に数日又は数週間さえ生産相で維持され得る。
本発明に使用される細胞株(「組み換え細胞」又は「宿主細胞」とも呼ばれる)は、商業的に又は科学的に着目のタンパク質を発現するように遺伝子を組み換えられる。着目のポリペプチドを発現するように細胞及び/又は細胞株の遺伝子を組み換える方法及びベクターは、当業者にとって周知である;例えば、様々な技術が、Ausubelら(1988及び改訂版)又はSambrookら(1989及び改訂版)に例示されている。本発明の方法は、着目の組み換えタンパク質を発現する細胞を培養するのに使用できる。通常、組み換えタンパク質は、それらが回収される培地中に分泌される。次に、回収されたタンパク質は、商業的供給業者から入手可能な既知のプロセス及び製品を使用して精製されるか又は部分的に精製される。次に、精製タンパク質は、医薬組成物として処方され得る。医薬組成物の好適な処方としては、Remington's Pharmaceutical Sciences, 1995に記載のものが挙げられる。
本発明全体との関連において、組み換えタンパク質は、例えばヒト抗体又はその抗原結合性部分、ヒト化抗体又はその抗原結合性部分、キメラ抗体又はその抗原結合性部分などの抗体又はその抗原結合フラグメント、組み換え融合タンパク質、増殖因子、ホルモン、又はサイトカインから成る群から選択される。
当業者は、本願明細書に記載される本発明は、具体的に記載されているもの以外の変形及び修飾が受け入れられることを理解するであろう。本発明は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく変形及び修飾したものをすべて包含する。本発明は、本願明細書を参照して又は本願明細書に示されているステップ、特徴、組成物及び化合物の全てを個々に又は集合的に、並びに任意に及びすべての組み合わせ又は2以上の上記ステップ又は特徴も包含する。それゆえ、本願明細書の開示は、説明され、且つ、限定されることのない全ての態様において、添付する請求項によって示される本発明の範囲、並びに同等の意味及び範囲内にある全ての変更は、本願明細書に包含されることを意図すると見なされるべきである。
上記記載は、以下の実施例を参照することにより完全に理解されるだろう。しかしながら、斯かる実施例は、本発明を実施する例となる方法であるが、本発明の範囲を限定することを意図しない。
材料と方法
I.細胞、細胞増殖、及び細胞成長
1)細胞
アッセイを、2種類のCHO細胞株を用いて実施した:
−CHO−S細胞は、IgG1 mAb1を発現、本明細書中では「Cells mAb1」又は「mAb1 cells」」。「mAb1」は、可溶性タンパク質に対する完全なヒトモノクローナル抗体である。等電点(pI)は、約8.20〜8.30である。
−CHO−K1細胞、IgG1 mAb2を発現、本明細書中では「Cells mAb2」又は「mAb2 cells」。「mAb2」は、細胞膜上に見られる受容体に対するヒト化モノクローナル抗体である。等電点(pI)は、約9.30である。
2)細胞増殖
細胞増殖を、チューブ内において細胞増殖に好適な培地中で実施した。流加培養におけるアッセイは、少なくとも1週間の増殖後に開始した。
3)接種
mAb2を発現する細胞を、1ミリリットル(mL)あたり0.2×106細胞にて接種し、mAb1を発現する細胞を、1mLあたり0.3×106細胞にて接種した。
4)流加培養
全てのアッセイを、流加培養において実施した。宿主細胞を、マイクロプレート(「深いウェルプレート」)又はSpin tubes(登録商標)のいずれかの流加培養系で培養し、そして、36.5℃、90%の相対湿度、5%のCO2にて及び320rpmにて振盪しながら、14日間インキュベートした。
II.解析方法
生存細胞密度及び生存率を、Guava easyCyte(登録商標)フローサイトメーター又はViCellで計測した。
抗体力価を、forteBIO Octet(登録商標)又はBiacore C(登録商標)で計測した。
グリコシル化プロファイルを、レーザー誘起蛍光(CGE−LIF)を用いた毛管ゲル電気泳動によって確立した。凝集物及び断片の調整を、Size Exclusion High Performance Liquid Chromatography(SE−HPLC)及びSDS−毛管ゲル電気泳動によってそれぞれ実施した。
結果と考察
実施例1−Reactive Red 120
Reactive Red 120の活性を、抗体mAb1を発現する宿主細胞に対してマイクロプレート内で、及び抗体mAb1又はmAb2を発現する宿主細胞に対してSpinチューブ内で試験した。
最初に、mAb1を発現する宿主細胞を、マイクロプレート内、約0.4μM〜約17μMのReactive Red 120の存在下で培養した。細胞密度、細胞生存率、及び力価を、培養中に計測した(図1A〜1C)。これらの濃度のときに、Reactive Red 120は、生存細胞密度及び力価を有意に増強したが、細胞生存率は(わずかに)低減した。特に、17.3μMにて、生存細胞密度は、7日目に1.5倍に増加し、そして、力価は14日目に1.3倍に増加した。生存率は、10日目まで対照のものと同様であり、産生プロセスの最後には、対照と比較して、わずかに減少していた。
Reactive Red 120は、試験した濃度にて、抗体mAb1のグリコシル化に対して全く影響を及ぼさなかったことについて触れるのもまた興味深い(図2)。例えば、分泌された組み換えタンパク質の品質を変更することなく、細胞増殖及び力価を増強するために、Reactive Red 120が培養プロセスの最後に培地に追加される場合、これは非常に有用な態様である。
約17μMの濃度にて、細胞密度及び力価は最大になったので、Reactive Red 120の毒性限度に達したように見えなかった。これは、Reactive Red 120の濃度増加がさらに良好な結果を得るのに使用できることを示唆している。
約83μM〜約833μMの範囲に及ぶ濃度におけるReactive Red 120を用いた、抗体mAb1を発現する宿主細胞に対するマイクロプレートでの更なるアッセイによると、生存細胞密度と細胞生存率の両方が有意に減少するが、力価は、対照細胞で得られたものより高いか又は同等を維持したことがわかった(図3A〜3C)。これらの濃度について、最大の力価は、83μMのReactive Red 120濃度にて得られ、そしてそれは、対照細胞を用いて得られたものより1.2倍高かった。83μMの濃度を超えると、Reactive Red 120は毒性となるので、力価は減少し、組み換えタンパク質の品質は影響を受けた。これは、Reactive Red 120の濃度が約83μMを超えてはいけないことを示唆している。
マイクロプレートにおける抗体mAb1を発現する宿主細胞を用いて得られた結果を確認し、更に、別の抗体(mAb2)を発現する他の宿主細胞を用いてこれらの結果の再現性を評価するために、Reactive Red 120を、約4.3及び/又は約8.5μMの濃度にてSpin Tubes内の培養培地に加えた。培養又は化合物に対して得られたアッセイ結果を、図4(mAb1については図4A〜4D、及びmAb2については4E〜4H)に示す。データでは、マイクロプレートにて抗体mAb1を発現する宿主細胞を用いて得られた先の結果を確認した。すなわち、対照と比較して、10日目以降、生存細胞密度は増大し(例えば5〜9日目を参照)、そして、細胞生存率はわずかしか影響を受けなかった。また、力価も、8.6μMの濃度のReactive Red 120にて1.2倍に増大した。同様の結果は、mAb2に関しても観察されている:Reactive Red 120は、抗体mAb2を発現する宿主細胞の力価及び比生産性を増大させた。対照と比較して、生存率は、培養の最後まで維持された。抗体mAb1及びmAb2のグリコシル化プロファイルは、変化しなかった(図5Aを参照、データはmAb2についてのみ示す)。興味深いことに、断片と凝集物のパーセンテージは、わずかに低下した(図5Bもまた参照、データはmAb2のみについて示す)。
実施例2−Cibacron Blue 3GA
Reactive Red 120と同様に、Cibacron Blue 3GAは、力価に対して興味深い影響を有した。マイクロプレートにおけるmAb1を発現する宿主細胞に対するアッセイに加えて、Cibacron Blue 3GAの有効性を、Spin Tubesにおいて、抗体mAb1又はmAb2を発現する宿主細胞に対して評価した。
抗体mAb1を発現する宿主細胞を、培養培地中、様々な濃度のCibacron Blue 3GA(0.4μM〜416.7μM)を用いてマイクロプレート内で培養した。細胞密度、細胞生存率、及び力価を、図6A〜6Cに示す。25μM〜41.7μMの範囲に及ぶ濃度によって、生存細胞密度及び力価が、有意に増大した。特に、分泌された組み換えタンパク質の量は、約8.3〜約41.7μMの濃度にて、対照と比較して1.5倍に達した。約83μMの濃度にて、力価は更に有意に増強されていた。しかしながら、Cibacron Blue 3GAが、約167μM又は薬417μMなどのより高い濃度で培地に加えられた場合、細胞生存率が低下し、且つ、力価に対する影響が観察された。分泌された組み換えタンパク質の品質に対する影響はなかった(グリコシル化プロファイルに対する大きな影響はなかった)。よって、Cibacron Blue 3GAは、分泌された組み換えタンパク質のグリコシル化プロファイルを著しく変更することなく、1.5倍に力価を増強し得る(図7を参照)。
Cibacron Blue 3GAの有効性もまた、Spinチューブにおいて、抗体mAb1又はmAb2を発現する宿主細胞に対して評価した。選択したCibacron Blue 3GA濃度は8.5μMであるが、その濃度が、マイクロプレートにおいて、抗体mAb1の力価の重要な増大を可能にするからである。得られた結果を、図8に示す(mAb1については図8A〜8D、及びmAb2については8E〜8H)。抗体mAb1を発現する宿主細胞に関して、生存細胞の最大密度は、6〜9日目に増大した。比生産性もまた、有意に増強された。これらの2つの要因の組み合わせは、培養最後の力価を1.25倍に増大させた。その一方、観察された結果は、対照と比較して、7日目に始まった生存率の低下を明らかにした。この低下は、まだ許容されることができる。Cibacron Blue 3GAもまた、抗体mAb2を発現する宿主細胞に対して同様の濃度にて試験した。mAb1を発現する宿主細胞について観察されたのと同様に、抗体mAb2の生産性が増大し、且つ、細胞培養の最後に、力価が1.2倍増したことを観察した。試験した抗体mAb1及びmAb2の品質は、Cibacron Blue 3GAの存在下で影響を受けなかった(図9A及び9Cを参照)。興味深いことに、断片と凝集物のパーセンテージは、わずかに低下した(図9B及び9Dを参照)。
全体的な結論:
結果として、Reactive Red 120やCibacron Blue 3GAなどのトリアジン染料は、タンパク質のグリコシル化プロファイルを変更することなく、又は細胞生存率に対して負の影響を及ぼすことなく、産生される組み換えタンパク質の量を増強するための非常に有望な化合物である。よって、トリアジン染料は、文献において酪酸ナトリウムで観察された細胞生存率に対する欠点のない誘導剤として使用され得る。
当業者は、実施例1及び2の結果から、彼が、産生に使用される細胞株がどんなものであっても、任意の抗体及び任意のタンパク質の産生プロファイルを調節するのにトリアジン染料を使用できることを理解するであろう。細胞培養培地に加えられるべきトリアジン染料の至適濃度は、それぞれの場合に応じて決定されるべきである。この決定は、本発明に関する教示に基づいて、いずれの発明的技能も伴わずに、おこなわれることができる。当業者はまた、彼が、特定の産生プロファイルを達成することを目的としない場合であっても、単に、細胞の生産性を増強するため、及びより効率的な生産工程を得るために、そして同時に、長期間にわたり、許容され得る細胞生存率を維持しながら、抗体などのタンパク質を生産するための任意の方法にトリアジン染料を使用できることも理解するであろう。
参照文献

Claims (12)

  1. 組み換えタンパク質の産生を増加する方法であって、有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地中で、前記タンパク質を発現する宿主細胞を培養すること含む前記方法。
  2. 組み換えタンパク質の産生を増加する方法であって、有効量のトリアジン染料を含んでなる少なくとも1つの供給物を補充した細胞培養培地中で、前記タンパク質を発現する宿主細胞を培養すること含む前記方法。
  3. 組み換えタンパク質を発現する宿主細胞を培養する方法であって、有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地中で、前記宿主細胞を培養すること含む前記方法。
  4. 前記トリアジン染料が、Cibacron Blue 3GA、Reactive Red 120、Reactive Yellow 86、Reactive Green 19、Reactive Blue 4、Reactive Brown 10を含んでなる群から選択される、請求項1又は3に記載の方法。
  5. 前記トリアジン染料が、Cibacron Blue 3GA又はReactive Red 120である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記宿主細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 有効量のトリアジン染料を含んでなるか又は有効量のトリアジン染料を補充した細胞培養培地を含んでなる組成物。
  8. 前記トリアジン染料が、Cibacron Blue 3GA、Reactive Red 120、Reactive Yellow 86、Reactive Green 19、Reactive Blue 4、Reactive Brown 10を含んでなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記組み換えタンパク質が、抗体又はその抗原結合フラグメント、例えばヒト抗体又はその抗原結合性部分、ヒト化抗体又はその抗原結合性部分、キメラ抗体又はその抗原結合性部分など、組み換え融合タンパク質、増殖因子、ホルモン、或いはサイトカインから成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法又は請求項7〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 組み換えタンパク質の産生を増強するための、細胞培養培地におけるトリアジン染料の使用。
  11. 細胞培養における誘導因子としてのトリアジン染料の使用。
  12. 前記トリアジン染料が、Cibacron Blue 3GA、Reactive Red 120、Reactive Yellow 86、Reactive Green 19、Reactive Blue 4、Reactive Brown 10を含んでなる群から選択される、請求項10又は11に記載の使用。
JP2018502100A 2015-07-17 2016-07-07 組み換えタンパク質の産生プロファイルを修飾する方法 Active JP6749994B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP15177224.1 2015-07-17
EP15177224 2015-07-17
PCT/EP2016/066147 WO2017012886A1 (en) 2015-07-17 2016-07-07 Methods for modulating production profiles of recombinant proteins

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018521655A true JP2018521655A (ja) 2018-08-09
JP6749994B2 JP6749994B2 (ja) 2020-09-02

Family

ID=53758022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018502100A Active JP6749994B2 (ja) 2015-07-17 2016-07-07 組み換えタンパク質の産生プロファイルを修飾する方法

Country Status (9)

Country Link
US (1) US10767160B2 (ja)
EP (1) EP3325610B1 (ja)
JP (1) JP6749994B2 (ja)
CN (1) CN107849525B (ja)
AU (1) AU2016294654B2 (ja)
CA (1) CA2991800C (ja)
ES (1) ES2800276T3 (ja)
IL (1) IL256707B (ja)
WO (1) WO2017012886A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017012883A1 (en) 2015-07-17 2017-01-26 Ares Trading S.A. Methods for modulating production profiles of recombinant proteins

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001059069A1 (en) * 2000-02-11 2001-08-16 Medi-Cult A/S Cell culture media
JP2007500721A (ja) * 2003-07-31 2007-01-18 エンダセア,インク. 抗原応答を生じさせる方法及び組成物
US20070077552A1 (en) * 2005-10-04 2007-04-05 Michael Hecht High throughput screen for inhibitors of polypeptide aggregation
JP2010511378A (ja) * 2006-12-06 2010-04-15 日本ケミカルリサーチ株式会社 ヒトエリスロポエチンの製造方法
JP2012519700A (ja) * 2009-03-05 2012-08-30 バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド 免疫グロブリンの精製
WO2014110440A1 (en) * 2013-01-10 2014-07-17 Biogen Idec Ma Inc. Methods for improved production and recovery of recombinant proteins from eukaryotic cell cultures
WO2014151901A1 (en) * 2013-03-14 2014-09-25 Abbvie Inc. Improvement of mammalian cell culture performance through surfactant supplementation of feed media

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1086229C (zh) * 1997-06-25 2002-06-12 中国科学院大连化学物理研究所 一种高效亲和膜色谱介质及其合成方法
WO2017012883A1 (en) 2015-07-17 2017-01-26 Ares Trading S.A. Methods for modulating production profiles of recombinant proteins
EP3371297A1 (en) 2015-11-02 2018-09-12 Ares Trading S.A. Methods for modulating production profiles of recombinant proteins in perfusion mode
WO2017081093A1 (en) 2015-11-11 2017-05-18 Ares Trading S.A. Methods for modulating production profiles of recombinant proteins

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001059069A1 (en) * 2000-02-11 2001-08-16 Medi-Cult A/S Cell culture media
JP2007500721A (ja) * 2003-07-31 2007-01-18 エンダセア,インク. 抗原応答を生じさせる方法及び組成物
US20070077552A1 (en) * 2005-10-04 2007-04-05 Michael Hecht High throughput screen for inhibitors of polypeptide aggregation
JP2010511378A (ja) * 2006-12-06 2010-04-15 日本ケミカルリサーチ株式会社 ヒトエリスロポエチンの製造方法
JP2012519700A (ja) * 2009-03-05 2012-08-30 バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド 免疫グロブリンの精製
WO2014110440A1 (en) * 2013-01-10 2014-07-17 Biogen Idec Ma Inc. Methods for improved production and recovery of recombinant proteins from eukaryotic cell cultures
WO2014151901A1 (en) * 2013-03-14 2014-09-25 Abbvie Inc. Improvement of mammalian cell culture performance through surfactant supplementation of feed media

Non-Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
F.M.WURM, NATURE BIOTECHNOLOGY, vol. 22, JPN6020012432, 2004, pages 1393 - 1398, ISSN: 0004309184 *
MILLER K J ET AL, NEUROPHARMACOLOGY, vol. 37(12), JPN6020012422, 1998, pages 1579 - 1586, ISSN: 0004309181 *
NOO SOO KIM ET AL: "Overexpression of bcl-2 inhibits sodium butyrate-induced apoptosis in Chinese hamster ovary cells re", BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING, vol. 71(3), JPN6020012428, 2000, pages 184 - 193, ISSN: 0004309182 *
P.HOSSLER ET AL, BIOTECHNOLOGY PROGRESS, vol. 29(4), JPN6020012430, 2013, pages 1023 - 1033, ISSN: 0004309183 *
SUGAI M ET AL, FEMS MICROBIOLOGY LETTERS, vol. 67, JPN6020012420, 1990, pages 175 - 178, ISSN: 0004245614 *

Also Published As

Publication number Publication date
CN107849525B (zh) 2022-05-17
CA2991800A1 (en) 2017-01-26
ES2800276T3 (es) 2020-12-29
JP6749994B2 (ja) 2020-09-02
IL256707B (en) 2022-05-01
US20180201897A1 (en) 2018-07-19
CN107849525A (zh) 2018-03-27
EP3325610A1 (en) 2018-05-30
AU2016294654A1 (en) 2018-02-22
CA2991800C (en) 2023-06-20
US10767160B2 (en) 2020-09-08
WO2017012886A1 (en) 2017-01-26
IL256707A (en) 2018-03-29
AU2016294654B2 (en) 2022-06-30
EP3325610B1 (en) 2020-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2021258023B2 (en) Methods for modulating protein galactosylation profiles of recombinant proteins using peracetyl galactose
US20180312802A1 (en) Methods for modulating production profiles of recombinant proteins in perfusion mode
JP6749994B2 (ja) 組み換えタンパク質の産生プロファイルを修飾する方法
JP6835815B2 (ja) 組み換えタンパク質の産生プロファイルを修飾する方法
EP3510141B1 (en) Methods for modulating production profiles of recombinant proteins
WO2016162514A1 (en) Methods for modulating protein glycosylation profiles of recombinant proteins

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190704

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200407

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200728

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200812

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6749994

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250