JP2018517751A - クエン酸フェンタニルの即時投与可能な溶液 - Google Patents
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Abstract
本発明は、フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者を治療する方法に関し、該方法は、唯一の活性成分としてのフェンタニルまたはその塩、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、即時投与可能な溶液を準備すること(該溶液は3.5〜7.5の範囲のpHを有する)、および非経口的に該溶液を患者へ投与すること、を含んでなる。
Description
本開示は、フェンタニルまたはその塩の即時投与可能な溶液を提供することによって、フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者を治療する方法に関する。
フェンタニルまたはその薬剤的に許容可能な塩とは、オピオイド受容体作動薬である。フェンタニルの好ましい薬剤的に許容可能な塩は、クエン酸フェンタニルである。クエン酸フェンタニルの化学名は、N−(1−フェニルエチル)−4−ピペリジル)−プロピオンアニリドシトレート(1:1)であり、次の構造式を有する。
フェンタニルの承認済み製品は、錠剤、トローチ剤(経口)、経皮貼布、および注射剤を包含する。現在市販されているフェンタニルの注射製剤の多くは塩化ナトリウムを含有し、これらの製品は、点滴静注を対象とした場合、投与する前に通常生理食塩溶液といった好適な希釈剤を用いて希釈する必要がある。フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とし、さらにナトリウムイオンの血漿中濃度増加(高血圧、高ナトリウム血症など)、心臓病(先天性心疾患など)、腎不全、重病、および同様のものによって増悪する1つ以上の状態に苦しむ患者にとって、製剤成分または希釈剤成分のいずれかとしてのナトリウムイオンの投与を避けることは重要である。現在利用可能な選択肢はナトリウムイオンを含有する製剤を使用する可能性を伴うので、ナトリウムイオンが偶発的にこれらの患者へ投与され得る機会は常に残存する。適切な看護または注意が行われずにそうした患者がナトリウムイオンを含有する製剤を偶発的に投与されてしまう場合、患者の状態は増悪し、生死に関わる可能性がある。ナトリウム含有製剤が、ナトリウムイオンの血漿中濃度増加によって増悪した1つ以上の状態に苦しむ患者に対して偶発的に投与された報告はいくつか存在する。したがって、フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とし、さらにナトリウムイオンの血漿中濃度増加によって増悪する1つ以上の状態に苦しむ患者へ、ナトリウム含有製剤を偶発的に注射すること防止または回避する、フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者の治療方法に対する必要は依然として残っている。
本開示は、フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者を治療する方法を提供し、以下:
a.唯一の活性成分としてのフェンタニルまたはその塩、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、即時投与可能な溶液を準備すること(該溶液は3.5〜7.5の範囲のpHを有する)、
b.非経口的に該溶液を患者へ投与すること、
を含んでなる。
a.唯一の活性成分としてのフェンタニルまたはその塩、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、即時投与可能な溶液を準備すること(該溶液は3.5〜7.5の範囲のpHを有する)、
b.非経口的に該溶液を患者へ投与すること、
を含んでなる。
本開示はまた、唯一の活性成分としてのフェンタニルまたはその塩、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、滅菌された即時投与可能な溶液を提供する(該溶液は3.5〜7.5の範囲のpHを有する)。
別の態様において、本開示は、唯一の活性成分としてのフェンタニルまたはその塩、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、滅菌された即時投与可能な溶液を提供する。該溶液は、非経口的に溶液を患者へ投与することによる、フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者の治療に使用するため、3.5〜7.5の範囲のpHを有する。
本開示に基づく溶液は、直接的な非経口投与に好適である。すなわち、「即時投与可能」とは、溶液が調製され、注入容器へ製造中に充填されており、この溶液は滅菌され、非経口投与が投与に先立ついかなるステップまたは取り扱いもしくは操作を必要とせず、そして非経口的に直接患者へ投与することができることを意味する。本開示の溶液は予備混合されるかまたは投与の準備がなされており、再構成および/または希釈もしくは混合のいかなる介在ステップをも必要とせずに直接投与することができる。
用語「から本質的になる(consisting essentially of)」は、本開示の方法にて使用される溶液の性質を示し、水酸化ナトリウムおよび/または緩衝液成分(例えば、必要であればpHを調節するのに好適な量で使用することができるリン酸水素ナトリウム)以外の賦形剤を含有するナトリウムイオンを包含しない、即時投与可能な溶液を意味することを目的とする。用語「から本質的になる」は、粘膜付着性の構成成分(ペクチン、またはアルギン酸もしくはキトサン、および同様のものなど);または界面活性剤もしくは乳化剤(ツイーン、ポリソルベート、ポロクサマー、および同様のものなど)を包含しない、即時投与可能な溶液を意味することを目的とする。用語「から本質的になる」はさらに、水混和性有機溶媒(エタノール、プロピレングリコール、および同様のものなど)を包含しない、即時投与可能な溶液を意味することを目的とする。したがって、一実施形態において本開示は、水酸化ナトリウムおよび/または緩衝液成分(例えば、必要であればpHを調節するのに好適な量で使用することができるリン酸水素ナトリウム)以外のナトリウムの投与を包含しない方法に属する。
本開示に基づく即時投与可能な溶液は、ペクチンまたはキトサンを包含しない。一以上の実施形態において、本開示に基づく即時投与可能な溶液は、ツイーン、ポリソルベート、ポロクサマーといった界面活性剤を包含しない。一以上の実施形態において、本開示に基づく即時投与可能な溶液は、エタノール、プロピレングリコールなどの有機溶媒を包含しない。
本明細書にて使用される不純物Aは、分解不純物であって、N−フェニル−N−[cis,trans−1−オキシド−1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]プロパンアミドである。不純物Aの化学構造は以下の通りである。
本明細書にて使用される不純物Bは、N−フェニル−N−(ピペリジン−4−イル)プロパンアミドであって、次の構造によって構造的に表される。
本明細書にて使用される不純物Cは、N−フェニル−n−[1−(2−フェニルエチル)−4−ピペリジニル]アセトアニリドである潜在的な合成不純物(synthetic impurity)であって、次の構造によって構造的に表される。
本明細書にて使用される不純物Dは、N−フェニル−1−(2−フェニルエチル)−4−ピペリジンアミンであって、次の構造によって構造的に表される。
本開示は、フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者を治療する方法を提供し、該方法は、(a)唯一の活性成分としてのフェンタニルまたはその塩、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、即時投与可能な溶液を準備すること(該溶液は3.5〜7.5の範囲のpHを有する)、および(b)非経口的に該溶液を患者へ投与すること、を含んでなる。
本開示の方法は、フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とするが、ナトリウムイオンの血漿中濃度増加によって増悪する状態にもまた苦しむ患者へ、ナトリウム含有製剤を偶発的に注射することを防止または回避することにおいて利点を提供する。ナトリウム含有製剤の偶発的注射は、医師または個々のホスピタルケアによる事故または誤り結果を包含するいくつかの例において、ナトリウムイオン摂取を禁忌とされている患者に対して発生し得る。禁忌は、例えば、高血圧もしくは高ナトリウム血症に苦しむ患者、高ナトリウム血症に苦しむ内科・外科病院(medical surgical hospital)の患者、または先天性心疾患、腎不全、重病、および同様のものに苦しむ患者に存在してもよい。そのような偶発的投与は無知または無意識の結果として発生し得る。現在市販されているフェンタニルの注射可能な輸液製品は、塩化ナトリウムを含有しており、点滴静注を目的とする場合のこれらの製品は投与前に希釈を必要とするため、即時投与可能ではない。それゆえ、通常生理食塩希釈剤(normal saline diluent)のように多量のナトリウムイオンを含有する製剤を、上述のような患者へ偶発的に投与する可能性は常に残存する。特に、大量の溶液が術後疼痛管理などの全身麻酔といった効能に求められる場合において、製品そのものが塩化ナトリウムを含有するか、または塩化ナトリウム含有希釈剤を必要とするならば、超大量の塩化ナトリウムを投与する可能性が存在する。この偶発的な投与は、致命的結果を有し得る患者の状態の増悪を導く可能性がある。水酸化ナトリウムおよび/または緩衝液成分(例えば、必要であれば、pHを調節するのに充分な量で使用することができるリン酸水素ナトリウム)以外のナトリウムを欠いており、投与に先立ったいかなる希釈剤の使用も必要としない、本開示の即時投与可能な溶液はそのような誤りまたは事故を回避するが、そうでなければ、特に外科手術または同様のものを受けている患者といった救命医療または重態の期間の投与に関する重大な関心となり得る。本発明の方法はそのような投与を回避する。本開示はフェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者の治療方法を提供し、この方法はまた、患者へのナトリウム含有製剤を偶発的に注射することを防止または回避する。本開示に基づく治療方法は、フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者(例えば、患者疼痛に苦しむ患者外科的手技を受けている患者)の治療に対し、全身麻酔の補助として、局所麻酔の補助として、全身麻酔として、または前投薬として、好適である。外科的手技を受けている患者に対して、即時投与可能な溶液は、外科的手技の前、外科的手技の間、および外科的手技の後に投与することができる。
本発明の即時投与可能な溶液は、直接的な非経口投与に好適である。非経口投与経路は、これらに限定されないが、点滴静注または注射、筋肉内、動脈内、皮下、および同様のものを好適に包含する。
一実施形態において、即時投与可能な溶液は、水酸化ナトリウムおよび/または緩衝液成分(例えば、必要であればpHを調節するのに好適な量で使用することができるリン酸水素ナトリウム)以外のナトリウムまたはナトリウムイオンを含有しないか、またはこれらが皆無である。
一実施形態において、溶液はペクチンを含有しない。一実施形態において、溶液はキトサンを含有しない。一実施形態において、溶液は、ポロクサマー、およびツイーンまたはポリソルベートのようなその他の界面活性剤を含有しない。一実施形態において、溶液は塩化ベンザルコニウムを含有しない。一実施形態において、溶液は、エタノールおよびプロピレングリコールを含有しない。
一実施形態において、溶液はさらなる希釈剤を含有しない。一実施形態において、本方法は希釈ステップを必要としない。
本明細書にて使用されるフェンタニルまたはその塩は、フェンタニルの薬剤的に許容可能な塩を包含する。本開示に基づくフェンタニルの好適な薬剤的に許容可能な塩の例は、例えば、これらに限定されないが、クエン酸塩、塩酸塩、塩素イオン、硫酸塩、酒石酸塩、またはその他同様の塩形態を包含する。ある特定の実施形態において、フェンタニルを本開示の即時投与可能な溶液における遊離塩基として使用してもよい。好ましい実施形態において、フェンタニルの薬剤的に許容可能な塩はクエン酸フェンタニルである。
本開示に基づくフェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者と治療する方法は、フェンタニルまたはその塩の即時投与可能な溶液を含んでなり、該溶液は、唯一の活性成分としてフェンタニルまたはその塩を、約0.001mg/ml〜約0.1mg/mlの範囲(約0.005、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.055、0.06、0.065、0.07、0.075、0.08、0.085、0.09、または0.095mg/ml、好ましくは約0.005mg/ml〜0.075mg/ml、より好ましくは約0.01mg/ml〜約0.05mg/mlなど)の範囲で含有する。好適には、本開示にて使用されるフェンタニルまたはその塩の量は、フェンタニル基と等しい量として表される。一実施形態において、即時投与可能な溶液は、約0.001mg/ml〜約0.1mg/mlのクエン酸フェンタニルを含有する。一つの好ましい実施形態において、即時投与可能な溶液は、0.01mg/mlのクエン酸フェンタニルを含有する。別の好ましい実施形態において、即時投与可能な溶液は、0.05mg/mlのクエン酸フェンタニルを含有する。
一実施形態によれば、即時投与可能な溶液は、約1ml〜1000mlといった少量〜大量のにわたる範囲の量(約10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、または900mlなど)で提供することができる。溶液が少量で提供された場合、バイアル、注射器、アンプル、自動注入装置、予め充填した注射器、および同様の包装システムといった容器に充填することができる。典型的に、いくつかの実施形態において、容積は1ml〜50mlの範囲(約5、10、15、20、25、30、35、40、または45ml、好ましくは2ml〜30mlなど)にわたる。しかしながら、フェンタニルまたはその塩の濃度を調節することによって、異なる量で本発明の即時投与可能な溶液を提供することが可能である。
あるいは、溶液が大量に提供された場合、輸液バッグ、ビン、パウチ、大量に予め充填した注射器、およびそのような同様の包装システムといった容器に充填することができる。典型的に、いくつかの実施形態において、容積は、50ml〜1000mlの範囲、好ましくは50ml〜500mlの範囲(60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、または450ml)にわたる。好ましい実施形態は、100ml〜300mlの範囲で容器に充填された溶液の量を包含する。一つの好ましい実施形態において、量は100mlである。別の好ましい実施形態において、量は250mlである。しかしながら、フェンタニルまたはその塩の濃度を調節することによって、異なる量で本開示の即時投与可能な溶液を提供することが可能である。例えば、一つの特異的な実施形態において、フェンタニルまたはその塩の量は0.005mg/ml〜0.075mg/mlの範囲にわたり、大量である場合50.0ml〜500mlの範囲で提供される。
本開示によれば、本開示の方法にて使用される即時投与可能な溶液は、非経口投与に好適な容器に収容される。本開示に基づき使用した容器は、輸液バッグ、点滴ボトル、フレキシブルパウチ、予め充填した注射器、および同様のものであってもよい。いくつかの実施形態において、容器は、注射器、バイアル、またはアンプルであってもよい。容器は大きさまたは容積が可変性であってもよい。
溶液を保持するために使用した容器は、ガラスまたは高分子物質でできていてもよい。障壁/ポリマーでコーティングされているガラスを使用することもできる。一つの好ましい実施形態において、容器は環状オレフィンのポリマーを含んでなる物質でできている。
環状オレフィンのポリマーは、シクロオオレフィン(cyclooolefin)ホモポリマー(COP)もしくはシクロオレフィンコポリマー(COC)またはそれらの混合物であってもよい。シクロオレフィンホモポリマー(シクロオレフィンポリマー、またはCOP)は、1種類のシクロオレフィンモノマーを含んでなるホモポリマーである。シクロオレフィン(環状オレフィン)は、シクロアルケン(シクロプロペン、シクロペンテン、シクロブテン、シクロヘキセンなど)、ビシクロアルケン(ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなど)、トリシクロアルケン、テトラシクロアルケン(テトラシクロドデセン)、および同様のものといった単不飽和または多価不飽和の単環式または多環式環構造である。環構造は一置換または多置換されていてもよい。シクロオレフィンコポリマー(COC)はシクロオレフィンおよびコモノマーを含んでなり、シクロオレフィンは1つ以上のコモノマーで共重合されている。好適なコモノマーは、エチレン、プロピレン、ブタン、ヘキセンといった、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子の非置換または置換オレフィンである。これらのオレフィンはいずれも個々に使用してもよく、または2つ以上の種類のオレフィンを組み合わせて使用してもよい。本開示の一以上の実施形態において、容器は1つ以上の層を含んでなってもよく、少なくとも容器内壁の一部、すなわち内層は、シクロオレフィンのポリマーを含んでなる。容器はさらに、シクロオレフィンのポリマーの別の層であり得るか、または別のポリマーの層(例えば、ポリエチレンポリマー、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンなど)であり得る層を外側に有していてもよい。一実施形態において、容器は、容器の内部表面を形成する第1のポリマーを包含する第1部分、および容器外部表面を形成する第2のポリマーを包含する第2部分を含んでなっていてもよい。第1のポリマー層および第2のポリマー層は、それら自体が互いに直接結合可能であってもよく、または第1および第2のポリマーと結合することのできる第3のポリマーを通じて結合可能であってもよく、そして第1および第2の部分を互いに固定して堅固にすることもできる。いくつかの実施形態において、第1および第2のポリマー層、または第1、第2、および第3のポリマー層は、共押出されるかまたは鋳造される。いくつかの実施形態において、第1および第2部分は結合可能でなくともよく、これらの一方が屈曲性で、もう一方が剛性であってもよい。フェンタニルまたはその塩の溶液と接触して残存する容器の内部表面/層を形成するポリマーは、好ましくはシクロオレフィン基である。一つの好ましい実施形態において、容器は輸液バッグであり、容器内壁の少なくとも一部は、シクロオレフィンホモポリマーまたはシクロオレフィンコポリマーから選択される環状オレフィンのポリマーでできている。
本開示の一つの好ましい実施形態によれば、容器は間接包装で包まれていてもよい。間接包装は、パウチ、または上包材料もしくは厚紙といった第2の容器を含んでなっていてもよい。間接包装は、注入容器を包むアルミニウムパウチなどの好適なパウチを含んでなっていてもよい。上包パウチは酸素吸収物質の層を有し得るか、または代替的に、間接包装は注入容器と上包材料/パウチとの間に設置することができる脱酸素剤を含んでなっていてもよい。一つの好ましい実施形態において、間接包装はアルミニウムパウチおよび脱酸素剤の両方を含んでなる。
好ましくは、注入容器中におけるフェンタニルまたはその塩の濃度および溶液の量は、あらゆる希釈または再構成の介在ステップを伴わずに所望の用量を患者へ送達するために、溶液の直接注入を可能にするような量である。即時投与可能な溶液の適応は、溶液が投与前にさらなる希釈を必要とするフェンタニルの既存製品に対する優位性を提供する。本開示は、一実施形態において、低用量、中用量、および高用量のフェンタニルを希釈ステップなしに注射することができるように、異なる量のフェンタニルまたはその塩の溶液を有する容器を伴うキットを提供する。一実施形態において、本開示は、第1のセットからの1つ以上の容器、および必要であれば第2のセットまたはさらに第3のセットからの1つ以上の追加容器が体重および承認された適応に基づき算出された所望の用量のフェンタニルを直接投与するような、同一または異なる濃度のフェンタニルまたはその塩の溶液で充填された、一式の大容量の容器を有する複数の容器を伴うキット、およびさらなる小容量の追加容器のセットを提供する。本発明の一実施形態によれば、即時投与可能な溶液は大小の容器を含んでなる複数の容器中に存在し、フェンタニルまたはその塩の濃度は大きな容器よりも小さな容器中で高く、そして所望の用量は複数の容器から同時にまたは順番に投与される。次の表は、ある特定の適応に使用してもよい薬用量の例を提供する。
さらに、注入速度は、0.7mcg/kg/時〜10mcg/kg/時の範囲(0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、または9.5mcg/kg/時など)の範囲で変動し得る。体重70kgの患者に対して、24時間、すなわち1日で要求される薬剤の量は、それぞれ1176mcg〜16800mcgの範囲で変動し得る。
一実施形態において、本開示に基づく117.6ml〜1680mlの10mcg/ml溶液は、必要とされる用量を満たす。別の実施形態において、本開示に基づく23.52ml〜336mlの50mcg/ml溶液は、必要とされる用量を満たす。同一または異なる濃度を有する異なる量の溶液で充填された輸液バッグは、容認可能な変化を伴う所望の用量の投与と組み合わせることができる。例えば、5mcg/kg/時で薬剤を投与するためには、8400mcgの薬剤が24時間で必要とされる。これは、100mlバッグの50mcg/ml薬液(=5000mcg)と、250mlの10mcg/ml薬液(=2500mcg)と、100mlの10mcg/ml薬液(=1000mcg)を用いて好適に投与することができる。
別の態様によれば、本開示はまた、唯一の活性成分としてのフェンタニルまたはその塩、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、滅菌された即時投与可能な溶液を提供する(該溶液は3.5〜7.5の範囲のpHを有する)。
さらに別の態様によれば、本開示は、唯一の活性成分としてのフェンタニルまたはその塩、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、滅菌された即時投与可能な溶液を提供する(該溶液は薬物として使用するために3.5〜7.5の範囲のpHを有する)。
一実施形態において、本開示は、唯一の活性成分としてのフェンタニルまたはその塩、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、滅菌された即時投与可能な溶液を提供する。該溶液は、非経口的に溶液を患者へ投与することによる、フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者の治療に使用するため、3.5〜7.5の範囲のpHを有する。
一実施形態において、本開示は、鎮痛剤として使用するための滅菌されたフェンタニルまたはその塩の即時投与可能な溶液を提供する。
本開示の方法に基づくフェンタニルまたはその塩の即時投与可能な溶液は、糖または糖アルコールを包含する。本開示の方法に基づく溶液にて使用される糖は、ブドウ糖、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、および同様のもの、ならびにそれらの混合物から選択される。本開示の方法に基づく溶液にて使用される糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、キシリトール、および同様のもの、ならびにそれらの混合物から選択される。好ましくは、一実施形態において、フェンタニルまたはその塩の即時投与可能な溶液は、ブドウ糖またはグルコースといった糖を包含する。ブドウ糖またはグルコースは、約40mg/ml〜約80mg/ml(約45、50、55、60、65、70、または75mg/ml、好ましくは約50mg/ml〜約75mg/mlの範囲の量など)の範囲の量の溶液中に存在し得る。一つの好ましい実施形態において、ブドウ糖は、50mg/mlの量の溶液中に存在する。別の実施形態において、フェンタニルまたはその塩の即時投与可能な溶液は、マンニトールまたはソルビトールといった糖アルコールを包含する。一実施形態において、マンニトールは、約45mg/ml〜約70mg/ml(約50、55、60、または65mg/ml、好ましくは約50mg/mlなど)の範囲の量の溶液中に存在し得る。糖または糖アルコールは、低浸透圧(iso-osmolar)であり、化学的に安定している溶液を提供する。溶液の重量モル浸透圧濃度は、約250〜375mOsm/kg(約260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、または370mOsm/kg、好ましくは250〜320mOsm/kgの範囲など)の範囲にわたる。本開示に基づく糖または糖アルコールは、水酸化ナトリウムおよび/または緩衝液成分(例えば、必要であればpHを調節するのに好適な量で使用することができるリン酸水素ナトリウム)以外のナトリウムの投与を包含しない。
本開示の方法にて使用される、フェンタニルまたはその塩の即時投与可能な溶液のpHは、約3.5〜7.5の範囲(約4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、または7.0、好ましくは3.5〜6.0の間、最も好ましくは3.5〜5.5の間など)にわたる。一実施形態において、溶液のpHはいかなるpH調節剤の使用も伴わずにこの範囲内で達成され、維持される。その他の実施形態において、好適なpH調節剤および/または緩衝液成分を、必要であれば、所望の範囲のpHを調節するために使用してもよい。使用してもよいpH調節剤は、必要であれば、塩化水素、クエン酸、酢酸、酒石酸、トロメタミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および同様のもの、ならびにこれらの混合物から選択される。好ましい実施形態において、即時投与可能な溶液はpH調節剤または緩衝剤を含有しない。
一つの好ましい実施形態において、本開示は、唯一の活性成分としてのクエン酸フェンタニル、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、滅菌された即時投与可能な溶液を提供する。溶液は3.5〜7.5の範囲のpHを有し、クエン酸フェンタニルは0.005〜0.1mg/mlの範囲の濃度を有する。
一実施形態において、本開示は、唯一の活性成分としてのクエン酸フェンタニル、糖(ブドウ糖、グルコース、またはフルクトースから選択される)、および注射用蒸留水から本質的になる、滅菌された即時投与可能な溶液を提供する。溶液は3.5〜7.5の範囲のpHを有し、クエン酸フェンタニルは0.005〜0.1mg/mlの範囲の濃度を有する。
一実施形態において、本開示は、唯一の活性成分としてのクエン酸フェンタニル、ブドウ糖、および注射用蒸留水から本質的になる、滅菌された即時投与可能な溶液を提供する。溶液は3.5〜5.5の範囲のpHを有し、クエン酸フェンタニルは0.005〜0.075mg/mlの範囲の濃度を有する。
一実施形態において、本開示は、唯一の活性成分としてのクエン酸フェンタニル、糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールから選択)、および注射用蒸留水から本質的になる、滅菌された即時投与可能な溶液を提供する。溶液は3.5〜7.5の範囲のpHを有し、クエン酸フェンタニルは0.005〜0.1mg/mlの範囲の濃度を有する。
一つの好ましい実施形態において、クエン酸フェンタニル、ブドウ糖、水から本質的になる即時投与可能な溶液(3.5〜5.5の範囲のpHを有する)が見出され、ブドウ糖/等張化剤を欠く溶液、またはその他の等張化剤(塩化ナトリウムなど)を含有する溶液と比較して、より良い安定性を示した。
本開示の方法にて使用されるフェンタニルまたはその塩の即時投与可能な溶液は、室温で少なくとも12ヶ月間保存した場合、物理的および化学的に安定している。溶液は、室温にて少なくとも12ヶ月の有効期間の間保存した際、薬剤のアッセイが指定限界(90〜110%)内のままであって、関連する化合物または不純物の含量は指定限界以内(すなわち、不純物A、B、C、およびDが0.5重量%以上の量では存在しない)であり、最高値の未知の不純物は0.2重量%以下であり、そして総不純物量は0.5重量%以下であるという点において、化学的に安定している。好ましい実施形態において、室温にて18ヶ月まで、好ましくは24ヶ月まで保存した際は、アッセイ値は指定限界内のままである。
本開示の方法にて使用される即時投与可能な溶液は、滅菌されている。用語「滅菌」または「滅菌された」とは、本開示において使用される場合、無菌性の状態まで導かれ、その後微生物汚染にさらされていない溶液、すなわち、容器中に存在する溶液の無菌性が損なわれていないことを意味する。溶液は米国薬局方(USP、United States Pharmacopoeia)といった標準的な薬局方の無菌性要件を実施している。滅菌は、ろ過滅菌法、放射性滅菌法、または高圧蒸気殺菌法といった好適な技術によって達成することができる。一つの好ましい実施形態において、本開示の即時投与可能な溶液は、膜ろ過に供した後、好適な容器中に充填し、高圧蒸気殺菌法によって最終滅菌される。一実施形態において、1つ以上の容器に存在する即時投与可能な溶液は、高圧蒸気滅菌法によって最終的に滅菌される。一実施形態において、1つ以上の容器に存在する即時投与可能な溶液は高圧蒸気殺菌法によって滅菌されている。高圧蒸気殺菌法は、好ましくは121℃で15分間実施される。一以上の実施形態において、高圧蒸気殺菌法は、約110℃〜125℃の範囲の温度で約5分間〜60分間の範囲の期間にわたり実施することができる。注入容器内に収容した本開示の即時投与可能な溶液は、高圧蒸気殺菌法の極限状態に耐え、高圧蒸気殺菌法に供した後保存した場合であっても物理的および化学的に安定なままであることが観測された。
本開示の一態様に基づき、本発明によるフェンタニルの即時投与可能な溶液の製造プロセスが提供され、プロセスは以下のステップ:
(a)水中におけるフェンタニルまたはその塩および糖または糖アルコールの溶液の調製;
(b)3.5〜7.5の範囲での溶液のpH調節;
(c)ステップ(b)の溶液のろ過;
(d)溶液の注入容器内への無菌的な充填;ならびに、
(e)ステップ(d)の溶液の滅菌、
を含んでなる。
(a)水中におけるフェンタニルまたはその塩および糖または糖アルコールの溶液の調製;
(b)3.5〜7.5の範囲での溶液のpH調節;
(c)ステップ(b)の溶液のろ過;
(d)溶液の注入容器内への無菌的な充填;ならびに、
(e)ステップ(d)の溶液の滅菌、
を含んでなる。
特異的な実施形態において、プロセスは、窒素を注射用蒸留水中にパージして、1ppm未満の溶存酸素レベルを達成し、ブドウ糖を注射用蒸留水へ加え、続いてフェンタニルまたはその塩を上述の溶液へ加え、そして溶液のpHを調べるステップを伴う。pHが3.5〜7.5の範囲を超えている場合、好適なpH調節剤を加えて、pHを所望の範囲まで調節してもよい。さらなるステップは、ろ過膜を用いる上述の溶液のろ過、および溶液の注入容器(輸液バッグなど)内への無菌的な充填、続く121℃で15分間の高圧滅菌器内における充填した容器の最終滅菌を包含する。プロセスはらに、脱酸素剤をしながらアルミニウムパウチで充填した注入容器を包むことも包含する。
本明細書において、「含んでなる(comprising)」は「包含する(including)」として解釈される。
ある特定の要素を含んでなる本発明の態様はまた、関連する要素の代替的な実施形態「からなる(consisting)」または「から本質的になる(consisting essentially)」まで伸展するように意図される。
技術的に適切である場合、本発明の実施形態は組み合わせてもよい。
実施形態は、ある特定の特徴/要素を含んでなるものとして本明細書に記載される。本開示はまた、該特徴/要素からなる、または該特徴/要素から本質的になる別々の実施形態まで伸展する。
特許および明細書といった専門的参考文献は、参照により本明細書へ組み込まれる。
本明細書へ特異的および明示的に参照されるあらゆる実施形態は、単独で、または1つ以上のさらなる実施形態と組み合わせてのいずれかで、ディスクレーマーの基準を形成することができる。
以下、本開示の実施形態を、実施例によってより特異的に記述する。実施例は本開示の範囲を限定するものとして理解すべきではなく、これは単に本開示の特異的な実施形態の解説として使用されるものである。
実施例1および実施例2
本開示の特異的な実施形態に基づくクエン酸フェンタニルの即時投与可能な溶液を、以下の表1に示す。
本開示の特異的な実施形態に基づくクエン酸フェンタニルの即時投与可能な溶液を、以下の表1に示す。
注射用蒸留水を窒素でパージして、1ppm未満の溶存酸素レベルを達成した。ブドウ糖を注射用蒸留水へ加え、溶解した。窒素によるパージを続行した。その後、クエン酸フェンタニルを上記の溶液へ加えた。溶液のpHを調べ、必要であれば好適なpH調節剤を加えることによって、pH3.5〜5.5の範囲で維持した。溶液を、0.2ミクロンのろ過膜を通じてろ過し、シクロオレフィンポリマーでできた注入容器(バッグ)内へ充填した。その後、充填した注入容器を、加圧滅菌器内にて121℃で15分間にわたり最終滅菌した。注入容器を脱酸素剤と共にアルミニウムパウチでオーバーラップした。これを安定性試験に供し、アッセイ値、ならびに既知および最高値の未知の不純物および総不純物量を、定期的に測定した。総不純物量(不純物A、B、C、および不純物Dを包含する既知の不純物、ならびにあらゆる個々の未知不純物)を、HPLCまたは高速液体クロマトグラフィー法によって分析した。移動相は、リン酸二水素カリウム(約3.2のpHを有する緩衝剤)、アセトニトリル、およびメタノールの混合物であった;クロマトグラフィーカラムは、Inertsil ODS 3V(250×4.6)mm 5μカラムであり、クロマトグラムはUV分光法を用いて記録した。薬剤のアッセイをまた、HPLCまたは高速液体クロマトグラフィー法によって分析した。移動相は、酢酸アンモニウム緩衝剤(約3.2のpHを有する)、メタノール、アセトニトリル、および氷酢酸の混合物であった;クロマトグラフィーカラムは、Inertsil ODS 3V(250×4.6)mm 5μカラムであり、クロマトグラムはUV分光法によって紫外分光光度計を用いて記録した。
溶液の透過百分率を、UV(紫外線)分光法によって、UV分光光度計を用いて650nmの波長で測定した。650nmでの1cm層の試料の透過率は、水ブランクに対して好適なUV分光光度計を用いて測定した。溶液のpHを、25℃±2℃で較正したpHメーターによって測定した。溶液を浸透圧計によって測定した。
25℃および40℃における実施例1の溶液の保存の際の、種々の時点で安定性試験の結果を、以下の表2に示す。
25℃および40℃における実施例2の溶液の保存の際の、種々の時点で安定性試験の結果を、以下の表3に示す。
上記の表2および表3から見て取ることができるように、本開示のクエン酸フェンタニルの即時投与可能な溶液は、充填し、加圧滅菌器し、そして注入容器内に保存した場合、室温(25℃;相対湿度40%)で少なくとも12ヶ月保存した際に、物理的および化学的に安定したままであった。クエン酸フェンタニルのアッセイにおける低下、および不純物レベルにおける実質増加は一切起こらず、値は所望の指定限界内のままであった。フェンタニルのアッセイが保存中ほとんど変化しなかったままであったこと(値は95%〜105%の範囲内で維持されている)が観測された。総不純物量はフェンタニルの0.1重量%未満のままであった;最高値の未知の不純物は0.1重量%未満のままであり、その他の既知の不純物(不純物A、B、C、D)は、検出されなかったか、または0.1重量%を下回ったままのいずれかであった。さらに、沈殿もしくは結晶化または変色が保存中に発生せず、溶液の透過百分率の値は、室温で長時間保存した際に、90%以上、好ましくは95%以上のままであった点において、溶液は物理的に安定したままであったことが観測された。驚くべきことに、溶液はまた加速安定性試験条件(40℃、相対湿度25%、6ヶ月間)において保存した際に、化学的にも安定したままであった。これは24ヶ月間の室温有効期間安定性と相関する。本開示に基づくクエン酸フェンタニルの即時投与可能な溶液はしたがって、24ヶ月にわたる長期間の安定性および室温有効期間安定性を示す。
Claims (10)
- フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする患者を治療する方法であって、以下:
a.唯一の活性成分としてのフェンタニルまたはその塩、糖または糖アルコール、および注射用蒸留水から本質的になる、即時投与可能な溶液を準備すること(前記溶液は3.5〜7.5の範囲のpHを有する)、
b.非経口的に前記溶液を前記患者へ投与すること、
を含んでなる、方法。 - 前記糖が、ブドウ糖(dextrose)、グルコース(dextrose)、フルクトース、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記糖アルコールが、マンニトールもしくはソルビトール、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液が1つ以上の容器中に存在し、フェンタニルまたはその塩が0.001mg/ml〜0.1mg/mlの範囲の量で存在する、請求項1に記載の方法。
- フェンタニルまたはその塩が0.005mg/ml〜0.075mg/mlの範囲の量で存在し、容器中の前記溶液の量が50ml〜500mlである、請求項4に記載の方法。
- フェンタニルまたはその塩を用いる治療法を必要とする前記患者が、外科的手技を受けている患者である、請求項5に記載の方法。
- 前記容器が環状オレフィンのポリマーを含んでなる、請求項4に記載の方法。
- 前記溶液が高圧蒸気殺菌法によって滅菌されている、請求項4に記載の方法。
- 前記方法が、前記溶液のpHを調節するのに充分な量で存在する、水酸化ナトリウム以外のナトリウムおよび/または緩衝液成分の前記投与を包含しない、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液が大小の容器を含んでなる複数の容器中に存在し、フェンタニルまたはその塩の濃度が大きな容器よりも小さな容器中で高く、前記投与が複数の容器から同時にまたは順番に起こる、請求項1に記載の方法。
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