JP2018515416A - Bp、b12p2およびそれらの混合物の、特にナノ粉末としての製造のためのメカノケミカル方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応を含む、リン化ホウ素、より詳細には、BPおよび/またはB12P2の調製方法に関する。特に、本発明の方法は、BPについて反応(1)に従って、およびB12P2について反応(2)に従って、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)での還元によって、95%を超える純度を有するBPまたはB12P2のいずれかの選択的調製を可能とする:BPO4+ 4 EA -> BP + 4 EA(O) (1)2BPO4+ 5 (EA)B2+ 3 EA -> B12P2+ 8 EA(O) (2)。本発明はさらに、リン化ホウ素粉末、特にナノメートルまたはマイクロメートルの大きさのBPまたはB12P2粉末に関する。【選択図】なし
Description
本発明は、リン化ホウ素(BPおよび/またはB12P2)の安全、便利、迅速かつ低コストの製造方法に関する。
リン化ホウ素(BPおよびB12P2)は、優れた熱安定性(空気中1400Kまで)、優れた化学的安定性および高硬度のために望ましく、有望な研磨材としての使用に適切であり、広範囲の工学用途に利用され得る。BPおよびB12P2の広範な使用に対する主な制限は、比較的簡単で経済的なそれらの製造方法を欠くことである。
多結晶リン化ホウ素粉末は、伝統的に、数気圧のリンおよび加熱(少なくとも1400K)下、数時間の長時間、密閉したシリカ管中での元素ホウ素およびリンの直接反応によって合成された。また、BP粉末は、金属ナトリウムを還元剤として用いて、三臭化ホウ素-三塩化リンのソルボサーマル共還元によって調製されている。リン化ホウ素単結晶はまた、金属溶液からの結晶化によって、または硫黄との化学気相輸送反応によって成長させている。これらの方法の主な不利点は:有毒および侵襲性の試薬の使用、かなり複雑な技術的実施、高い労働集約度および時間消費である。
近年、以下の反応に従ったリン化ホウ素の自己伝搬高温合成が開発されている(BPについてMukhanov et al., Journal of Superhard Materials 2013, 35, 6, 415-417、B12P2についてMukhanov et al., Journal of Superhard Materials 2014, 36, 1, 18-22を参照):
BPO4 + 4Mg → BP + 4MgO (1)
2BPO4 + 5MgB2 + 3Mg → B12P2+ 8MgO (2)
BPO4 + 4Mg → BP + 4MgO (1)
2BPO4 + 5MgB2 + 3Mg → B12P2+ 8MgO (2)
これらの方法は、広く利用可能なホウ素含有試薬(リン酸ホウ素BPO4は第3のホウ素含有物質であり(ホウ酸ナトリウムNa2B4O7およびホウ酸H3BO3の後)、市販入手可能である(CAS番号:13308-51-5)から出発して、BPおよびB12P2への簡単で便利で低コストのアクセスを提供する。
しかし、この自己伝搬高温合成は、非常に高い開始温度(約1000K)を必要とする。注意すべきは、混合した試薬が例えばEP 2886515に記載のように加熱前にペレットまたはインゴットに圧縮し得たとしても、化学反応は実際には加熱の間にのみ起こる。圧縮によってシステムに提供される機械エネルギーは、反応を開始するのに不十分である。これらの文献では、圧縮は異なる試薬間の良好な接触を確保する唯一の方法である。実際、自己伝搬高温合成では、高温(典型的には1000K)での加熱は、化学反応を開始するための必須の特徴であり、特に空気中の酸素による部分酸化による副反応が付随し、所望の生成物の比較的低い収率(BPについて約35%の収率、B12P2について50-75%)を生じる。さらに、この方法は、得られるリン化ホウ素粉末の粒径の制御を可能としない。
確かに、60nm未満の粒径を有するリン化ホウ素粉末が特に興味深い。なぜなら、このような粉末は、焼結後、超硬材料としてダイヤモンドと競合し得る材料をもたらすと想定されるからである。
従って、リン化ホウ素の調製のための簡単で便利で低コストで調節可能な方法、特に方法のパラメーターに依存して、そのようにして得られるリン化ホウ素粉末の制御された大きさを有するBPおよび/またはB12P2粉末の製造を可能とする方法の要求がある。
本発明は、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応の使用により、先行技術の欠点を克服する。
当該分野および本発明において、機械化学は、機械エネルギーの直接吸収によって誘起される化学反応として理解される(特にCompenidum of chemical terminology Gold Book, 24.02.2014の第2.3.3.版, 903頁を参照)。より詳細には、機械化学は、機械エネルギーの効果によって製造される全ての状態の凝集体における物質の化学的および物理化学的変換に関係する化学の一分野である(G. Heinicke, Tribochemistry, Akademie-Verlag, Berlin, 1986を参照)。
機械化学反応と熱化学反応とは異なることが強調されるべきである。確かに、いくつかの反応、特に固相における試薬を含むいくつかの化学反応は、熱化学現象によって可能であるが、機械化学によって可能ではなく、逆もまた同様である。さらに、メカノケミカル反応に関与するプロセスは、まだ完全に理解されておらず、従ってメカノケミカル反応の結果を予測することは困難である(特にFernandez-Bertran Pure Appl. Chem. 1999, 71, 4, 581-586, Takacs Acta Physica Polonica A 2012, 121, 3, 711-714およびNonopka et al. Physical Review Letters 2008, 100, 115503を参照)。
しかし、本発明者らは、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応により、リン化ホウ素、より詳細には、BPおよび/またはB12P2を得ることが可能であることを示した。このような方法は、十分な機械エネルギーがシステムに供給されるならば、いかなる外部熱的加熱もなしで室温で実施され得るので、特に単純である。結果として、本発明の方法は、空気中の酸素による望まない(特に土類金属の)部分酸化などの副反応を回避し、それゆえ高収率(例えば約75%)をもたらし、低エネルギープロセスとして考えられ得る。
それゆえ、本発明による方法は、リン化ホウ素、より詳細には、BPおよび/またはB12P2を、容易に入手可能で安価で安全な出発原料を非常に迅速な方法で用いる単純かつ経済的な方法で与え、それによって先行技術の欠点を克服する。さらに、本発明の方法は、反応条件の適切な選択によって、粉末として得られるリン化ホウ素の粒径の制御を可能とする。
第1の局面では、本発明は、従って、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応を含む、リン化ホウ素、より詳細にはBPおよび/またはB12P2の製造方法に関する。
別の局面では、本発明はまた、特に200nmまたは100nm未満、好ましくは60nmまたは50nm未満の粒径を有する粉末としての、リン化ホウ素、より詳細にはBPおよび/またはB12P2に関する。
定義
本明細書中で使用されるように、「本質的にからなる」または「から本質的になる」は、該当する物質が少なくとも99重量%、好ましくは99.5重量%、さらにより好ましくは99.8重量%の列挙した成分を含有し、残りの部分が不純物であることを意味する。例えば、「本発明のリン化ホウ素、特に本発明のリン化ホウ素粉末は、本質的にBPおよび/またはB12P2からなる」は、本発明のリン化ホウ素が少なくとも99重量%、好ましくは99.5重量%、さらにより好ましくは99.8重量%のBPおよび/またはB12P2を含有することを意味する。
本明細書中で使用されるように、「本質的にからなる」または「から本質的になる」は、該当する物質が少なくとも99重量%、好ましくは99.5重量%、さらにより好ましくは99.8重量%の列挙した成分を含有し、残りの部分が不純物であることを意味する。例えば、「本発明のリン化ホウ素、特に本発明のリン化ホウ素粉末は、本質的にBPおよび/またはB12P2からなる」は、本発明のリン化ホウ素が少なくとも99重量%、好ましくは99.5重量%、さらにより好ましくは99.8重量%のBPおよび/またはB12P2を含有することを意味する。
本明細書中で使用されるように、「リン化ホウ素」は、BP(リン化ホウ素)、B12P2(亜リン化ホウ素(boron subphosphide))またはそれらの混合物をいう。
本発明では、特に指示しない限り、数字の範囲を参照する場合、示された下限値および上限値は範囲に含まれる。例えば、特に指示しない限り、距離dが5nmと50nmとの間である場合、dは特に5nmおよび50nmであり得る。
本発明では、固体の純度は、エネルギー分散型X-線(EDX)微量分析によって測定される。定量的EDX微量分析は、特に得られた固体の化学量論にアクセスするために使用される。
本発明では、製造した粉末の粒径は、好ましくは、Williamson-Hall法(Williamson et al. Acta Metall., 1953, vol. 1, pp. 22-31を参照)を用いてX-線回折線の幅から計算される。
本明細書中で使用されるように、「アルカリ土類金属」は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)およびラジウム(Ra)から選ばれる、好ましくはベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)から選ばれる周期律表の第2族金属である。
本明細書中で使用されるように、アルカリは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)またはフランシウム(Fr)などの周期律表の第I族元素であり、好ましくはリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)である。
本明細書中で使用されるように、「高エネルギーミル」は、典型的には50-100g(g=9.8m/s2)の重力加速度によって高機械エネルギーを提供することができる回転装置(ミル)として理解される。高エネルギーミルにおけるエネルギー密度は、従来の粉砕機械におけるエネルギー密度よりも100〜1000高い。
例えば、高エネルギーボールミルは、ボールの数および重量、ボールおよびミルの構成、ミルの回転速度などのパラメーターの適切な選択によって500rpmまたはそれよりも高い回転速度を提供する。
ハンマーを有するローターミルFritschなどの他の装置が使用され得る(Pulverisette 14, Pulverisette 16)。
本明細書中で使用されるように、「rpm」は「1分当たりの回転」を表す。
リン化ホウ素の調製方法
本発明は、第1に、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応を含む、リン化ホウ素、より詳細にはBPおよび/またはB12P2の調製方法に関する。
本発明は、第1に、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応を含む、リン化ホウ素、より詳細にはBPおよび/またはB12P2の調製方法に関する。
より詳細には、本発明は、リン化ホウ素の調製方法に関し、当該方法は、少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)の粉末と混合したリン酸ホウ素(BPO4)の粉末の機械装置によるメカノケミカル反応を含み、該機械装置は、リン酸ホウ素(BPO4)の粉末と少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)の粉末との間のメカノケミカル反応を開始し実施することを可能とする機械エネルギーを提供し、リン化ホウ素を得、該リン化ホウ素はBPおよび/またはB12P2である。
有利な実施態様では、本発明の方法は、密閉装置(または反応槽)中で実施される。
十分な機械エネルギーがシステムに供給されると、本発明の方法(より詳細には、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応)は、いかなる外部熱的加熱もなしで実施され得る。このような実施態様では、システムの温度は、試薬の初期温度、システムの残りの部分との必要に応じた熱交換、および純粋に機械的摩擦による加熱によってのみ決定される。好ましくは、本発明の方法(より詳細には、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応)は、いかなる外部熱的加熱もなしで実施され、出発試薬の初期温度は、有利には密閉装置(または反応槽)中、室温である。この実施態様では、密閉装置の内部の温度は、好ましくは80℃未満、例えば50℃と75℃との間に保持される。このような温度は、自己伝搬高温合成の開始を可能にしないことに注目すべきである。
理論に拘束されることを望まないが、この新規の方法では、温度は重要ではない。反応に必要なエネルギーは、もはやSHS法のように熱エネルギーによって供給されず、機械エネルギー(機械エネルギー散逸、大きな塑性変形、過剰の弾性変形エネルギーなど)によって供給される。これにより、反応が低温(<75℃)で起こり、高温に関連する酸化を回避し、従って、SHS法と比較して格別に高収率を得ることが可能となる。
従って、好適な実施態様では、メカノケミカル反応の温度は300℃未満である。
本発明の方法(より詳細には、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応)は、空気下または不活性雰囲気下(例えば、アルゴンまたは窒素雰囲気下)で実施し得る。しかし、本発明の方法は高温を含まないので、望まない副反応、例えば、特に空気中の酸素による望まない(特に、土類金属の)部分酸化は本方法の全体収率を有意に変化させない。従って、本発明の方法(より詳細には、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応)は、好ましくは空気下で実施される。
メカノケミカルエネルギー源:反応装置
本発明の方法では、メカノケミカル反応は、有利には、リン酸ホウ素(BPO4)の粉末と少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)の粉末との間の機械的応力によって実施される。
本発明の方法では、メカノケミカル反応は、有利には、リン酸ホウ素(BPO4)の粉末と少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)の粉末との間の機械的応力によって実施される。
言い換えれば、機械エネルギーは、典型的にはせん断、伸縮および細砕によって提供される。従って、メカノケミカル反応は、好ましくは、少なくともせん断応力、摩擦応力および/または細砕応力をリン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する混合物に付与することによって実施される。好ましくは、リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属および必要に応じた他の試薬を含有する混合物は、粉末混合物である。
言い換えれば、本発明のメカノケミカル反応は、機械エネルギーの直接吸収によって誘導される化学還元として定義され得る。
本発明の方法は、例えば、並進または回転による機械エネルギーを提供する装置において実施される。特に、本発明の方法は、並進または回転装置において実施される。装置の内部の温度は、好ましくは80℃未満、例えば50℃と75℃との間に保持される。
回転装置または並進装置の速度は、変化しても一定であってもよい。回転装置または並進装置の速度が経時で変化する場合、変化は連続的であってもそうでなくてもよい。
好適な実施態様では、本発明の方法は回転装置において実施される。好適な回転装置は、遊星ミル、シェイカーミル、振動ミルまたは摩砕ミルなどのミルであり、有利には遊星ミルである。有利には、本発明の方法において使用されるミルは高エネルギーミルである。
この実施態様では、本発明の方法は、リン化ホウ素を粉末として生産する。好ましくは、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応は、該ミルにおいて、100nm未満かそれに等しい粒径、好ましくは60nm未満かそれに等しい粒径またはより好ましくは50nm未満かそれに等しい粒径を有するリン化ホウ素粉末を得ることを可能にする回転速度で実施される。
反応は、典型的には、リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、および必要に応じてホウ化アルカリ土類金属および/または化学的不活性希釈剤を混合することによって実施される。有利には、リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属および必要に応じてホウ化アルカリ土類金属および/または化学的不活性希釈剤は、一緒に混合され、粉砕される。粉砕条件は、メカノケミカル反応が起こるのに十分なエネルギーを提供するよう、当業者によって選ばれる。好適な実施態様では、機械装置は回転装置であり、回転装置の回転速度は50rpmと1100rpmとの間である。特に、ミルの場合、回転速度および/または粉砕工程の時間は、メカノケミカル反応が起こり、完了するのに十分なエネルギーを提供するよう選ばれる。
試薬(リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、および必要に応じて(EA)B2および/または化学的不活性希釈剤)が粉砕される間の時間は、特に該試薬の量に依存する。その時間は、例えば、得られた粉末を分析し、反応が完了したかどうかを決定することによって、当業者によって容易に決定され得る。ミルの場合、粉砕工程の時間は、特にミルの回転速度によっても決定される。有利には、粉砕工程は、30秒と15分との間、好ましくは1分と10分との間、例えば1分、5分または7分の時間で実施される。
有利には、本発明の方法は、リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属および必要に応じて(EA)B2および/または化学的不活性希釈剤を予備粉砕し、好ましくは1μmと200μmとの間の粒径を有する微粉末として試薬の均一混合物を得る工程を包含する。
試薬(リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、および必要に応じてホウ化アルカリ土類金属および/または化学的不活性希釈剤)が予備粉砕される間の時間は、特に該試薬の量に依存する。その時間は、例えば、典型的には10nmと500μmとの間である試薬の粉末の粒径を測定することによって、当業者によって容易に決定され得る。ミルの場合、予備-粉砕工程の時間は、特にミルの回転速度によって決定される。有利には、予備-粉砕工程は、30秒と15分との間、好ましくは1分と10分との間、例えば5分または7分の時間で実施される。
本方法が予備-粉砕工程を包含する実施態様では、ミルの回転速度は従って好ましくは予備-粉砕工程の間および粉砕工程の間で異なる。有利には、ミルの回転速度は、好ましくは予備-粉砕工程の間よりも粉砕工程の間がより大きい。例えば、予備-粉砕工程の間のミルの回転速度は100rpmであり、一方、粉砕工程の間は700rpmである。
反応が完了すると、リン化ホウ素(BPおよび/またはB12P2)は、当該分野で公知の方法によって、典型的には水性塩酸、硝酸、硫酸または王水(濃硝酸および塩酸、最適には体積比1:3、および水の混合物)などの酸性水溶液で洗浄することによって、他の物質から単離される。
好ましくは、反応の完了後に得られる混合物は、破砕され、酸性水溶液を用いて、好ましくは高温、例えば、該溶液の沸点で洗浄される。有利には、洗浄された粉末は、次いで水ですすがれ、そして乾燥される。
特定の実施態様:ボールミル粉砕
特定の実施態様では、本発明の方法は、リン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する粉末混合物のボールミル粉砕工程を包含する。
特定の実施態様では、本発明の方法は、リン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する粉末混合物のボールミル粉砕工程を包含する。
この実施態様では、ミルは、有利には高エネルギー遊星ミルのような高エネルギーミルである。ミルの内部の温度は、好ましくは80℃未満、例えば、50℃と75℃との間に保持される。
ボールミルは、瑪瑙(SiO2)、窒化ケイ素、焼成コランダム、ジルコニア(特に、Y2O3で安定化された正方晶ZrO2)、クロム鉱、Cr-Ni鋼、炭化タングステン、またはポリアミドのような異なる物質において利用可能である。好ましくは、ボールは金属ボール、より好ましくは炭化金属ボール、例えば炭化タングステンボール、または金属酸化物ボール、例えばジルコニアボールである。ボールはまた、BPおよび/またはB12P2においてであり得る。
有利には、ボール対粉末重量比は、100:1〜20:1の間である。好ましくは、ボールの直径は、0.5mmと20mmとの間、好ましくは5mmと15mmとの間、例えば10mmである。
特定の実施態様では、本発明の方法は:
(a)粉末として提供された、リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、必要に応じてホウ化アルカリ土類金属、および必要に応じて化学的不活性希釈剤を混合し、混合粉末を得る工程、
(b)該混合粉末を、少なくとも1種のボールを用いて、試薬を細砕することを可能とするボールミルの第1回転速度、例えば50rpmと200rpmとの間で予備粉砕し、特に1μmと200μmとの間の粒径を有する予備粉砕された粉末を得る工程、
(c)少なくとも1種のボールを用いて、反応が生じることを可能とするボールミルの第2回転速度、該第2回転速度は該第1回転速度よりも上回っている、例えば400rpmと1100rpmとの間、好ましくは700rpmで、反応を完了させるのに十分な時間粉砕し、リン化ホウ素を含有する粉砕した粉末を得る工程、
(d)該粉砕した粉末からリン化ホウ素を回収する工程、
を包含する。
(a)粉末として提供された、リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、必要に応じてホウ化アルカリ土類金属、および必要に応じて化学的不活性希釈剤を混合し、混合粉末を得る工程、
(b)該混合粉末を、少なくとも1種のボールを用いて、試薬を細砕することを可能とするボールミルの第1回転速度、例えば50rpmと200rpmとの間で予備粉砕し、特に1μmと200μmとの間の粒径を有する予備粉砕された粉末を得る工程、
(c)少なくとも1種のボールを用いて、反応が生じることを可能とするボールミルの第2回転速度、該第2回転速度は該第1回転速度よりも上回っている、例えば400rpmと1100rpmとの間、好ましくは700rpmで、反応を完了させるのに十分な時間粉砕し、リン化ホウ素を含有する粉砕した粉末を得る工程、
(d)該粉砕した粉末からリン化ホウ素を回収する工程、
を包含する。
この実施態様では、「第1回転速度」は予備-粉砕工程の間のボールミルの回転速度に対応し、「第2回転速度」は粉砕工程の間のボールミルの回転速度に対応する。
工程(a)では、試薬(リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、および必要に応じてホウ化アルカリ土類金属および/または化学的不活性希釈剤)は、好ましくは粉末として提供される。
試薬(リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、および必要に応じてホウ化アルカリ土類金属および/または化学的不活性希釈剤)が予備-粉砕される(工程b)間の時間は、特に該試薬の量、ミルの回転速度およびボール対粉末重量比に依存する。
試薬(リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、および必要に応じてホウ化アルカリ土類金属および/または化学的不活性希釈剤)が粉砕される(工程c)間の時間はまた、特に該試薬の量、ミルの回転速度およびボール対粉末重量比に依存する。
例えば、100:1〜20:1の間のボール対粉末重量比について、予備-粉砕工程(b)の回転速度は、50rpmと200rpmとの間、例えば100rpmであり、予備-粉砕工程(b)は好ましくは、この速度で30秒と15分との間、より好ましくは1分と10分との間、有利には5分未満、例えば1分の時間実施される。
予備-粉砕工程(b)の条件は、有利には試薬を含有する粉末の1μmと200μmとの間の粒径を達成するよう選ばれる。
例えば、100:1〜20:1の間のボール対粉末重量比について、粉砕工程(c)の回転速度は、400rpmと1100rpmとの間、好ましくは500rpmと800rpmとの間、典型的には700rpmであり、粉砕(c)は、好ましくは、この速度で30秒と20分との間、より好ましくは1分と15分との間、有利には10分未満、例えば1分、5分、7分の時間実施される。
典型的には、工程(d)は:
(d1)工程(c)の粉砕した粉末を破砕し、破砕した粉末を得ること、
(d2)工程(d1)の破砕した粉末を酸性水性媒体中で処理し、処理した粉末を得ること、
(d3)工程(d2)の処理した粉末を水で洗浄し、洗浄した粉末を得ること、および
(d4)工程(d3)の洗浄した粉末を乾燥すること、
を包含する。
(d1)工程(c)の粉砕した粉末を破砕し、破砕した粉末を得ること、
(d2)工程(d1)の破砕した粉末を酸性水性媒体中で処理し、処理した粉末を得ること、
(d3)工程(d2)の処理した粉末を水で洗浄し、洗浄した粉末を得ること、および
(d4)工程(d3)の洗浄した粉末を乾燥すること、
を包含する。
酸性水性媒体の例は、水性塩酸、硝酸、硫酸または王水(濃硝酸および塩酸、最適には体積比1:3、および水の混合物)である。
アルカリ土類金属
「アルカリ土類金属」は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)およびラジウム(Ra)から選ばれる周期律表の第2族金属である。少なくとも1種のアルカリ土類金属は、有利にはカルシウムおよび/またはマグネシウムであり、最も好ましくはマグネシウムである。
「アルカリ土類金属」は、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)およびラジウム(Ra)から選ばれる周期律表の第2族金属である。少なくとも1種のアルカリ土類金属は、有利にはカルシウムおよび/またはマグネシウムであり、最も好ましくはマグネシウムである。
本発明の文脈では、表現「少なくとも1種のアルカリ土類金属」は、1種のアルカリ土類金属または2種以上のアルカリ土類金属の混合物を意味すると意図される。有利には、還元は、カルシウム、マグネシウムまたはマグネシウムおよびカルシウムの混合物を用いて実施される。
第1の実施態様では、本発明の方法は、BPの調製のために用いられる。この実施態様では、本方法は、反応(1)に従ったリン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)での還元を含む:
BPO4 + 4 EA -> BP + 4 EA(O) (1)。
BPO4 + 4 EA -> BP + 4 EA(O) (1)。
この実施態様では、BPは、好ましくは95%を超える純度、より好ましくは97%を超える純度で得られる。
この第1の実施態様では、リン酸ホウ素対少なくとも1種のアルカリ土類金属のモル比は、約1:4である。典型的には、1:3.5と1:4.5との間、有利には1:3.8と1:4.2との間からなる。有利には、リン酸ホウ素に対してわずかに過剰の少なくとも1種のアルカリ土類金属が用いられる;リン酸ホウ素対少なくとも1種のアルカリ土類金属のモル比は、従って、有利には1:4.0と1:4.1との間からなり、より好ましくは1:4.1である。
例示によって、2種のアルカリ土類金属EA1およびEA2が用いられる場合、「1:4のリン酸ホウ素対少なくとも1種のアルカリ土類金属のモル比」は、1モルのリン酸ホウ素対4モルの(EA1 + EA2)に相当する。
第2の実施態様では、本発明の方法は、B12P2の調製のために用いられる。この実施態様では、本方法は、反応(2)に従ったリン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)での還元を含む:
2BPO4 + 5 (EA)B2 + 3 EA -> B12P2 + 8 EA(O) (2)。
2BPO4 + 5 (EA)B2 + 3 EA -> B12P2 + 8 EA(O) (2)。
この第2の実施態様では、リン酸ホウ素(BPO4)/ホウ化アルカリ土類金属((EA)B2)/アルカリ土類金属(EA)のモル比は、約2/5/3である。典型的には、2/4.8/2.8と2/5.2/3.2との間、好ましくは2/5/3と2/5.1/3.1との間からなる。
例示によって、2種のアルカリ土類金属EA1およびEA2が用いられる場合、「リン酸ホウ素(BPO4)/ホウ化アルカリ土類金属((EA)B2)/アルカリ土類金属(EA)のモル比2/5/3」は、2モルのリン酸ホウ素/5モルの((EA1)B2) + (EA2)B2))/3モルの(EA1 + EA2)に相当する。
第3の実施態様では、本発明の方法は、BPおよびB12P2の混合物の調製に用いられる。混合物は、特に、粉末の全重量に対して5wt%と95wt%との間(95wt%は除く)、好ましくは10wt%と90wt%との間のBPを含有し、一方、5wt%と95wt%との間、好ましくは10wt%と90wt%との間のB12P2を含む。粉末中のBPおよびB12P2のそれぞれの量は、特に本発明の方法を実施する前に装置に導入されるBPO4、EAおよび(EA)B2の初期量の適切な選択によって設定される。注意すべきは、反応(1)および(2)の両方とも、本発明の方法のこの第3の実施態様の間に起こる。
化学的不活性希釈剤
本発明の特定の実施態様では、システムに提供されるエネルギーを、リン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する混合物に化学的不活性希釈剤をさらに添加することによって低下させる。
本発明の特定の実施態様では、システムに提供されるエネルギーを、リン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する混合物に化学的不活性希釈剤をさらに添加することによって低下させる。
本明細書中で使用されるように、「化学的不活性希釈剤」は、反応物および/または生成物(リン化ホウ素)と化学的に反応しない化合物である。特に、化学的不活性希釈剤は、例えば当該分野で周知の処理方法(例えば、粉末を水性媒体中で煮沸する)を用いてリン化ホウ素から容易に分離可能であるべきである。
好ましくは、化学的不活性希釈剤は、塩化アルカリまたは塩化土類金属、特にLiCl、KCl、MgCl2およびCaCl2、好ましくは塩化カリウム(KCl)または塩化ナトリウム(NaCl)である。有利には、塩化ナトリウムが化学的不活性希釈剤として用いられる。
従って、この特定の実施態様では、リン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する混合物は、化学的不活性希釈剤、好ましくは塩化ナトリウムをさらに含有する。
化学的不活性希釈剤の量は、有利には反応物(すなわち、リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属および必要に応じて(EA)B2)および化学的不活性希釈剤の混合物の全重量の40重量%と60重量%との間、より好ましくは約50重量%からなる。
化学的不活性希釈剤の使用は、特に高純度、例えば、95%を超えるまたは97%を超える純度を有するBPを求める場合、特に好ましい。この場合、化学的不活性希釈剤のタイプおよび量は、B12P2の望まない生成を引き起こす過剰のエネルギーを吸収するよう選ばれる。
本発明の方法により得られるリン化ホウ素
本発明の方法は、リン化ホウ素、より詳細には、BPおよび/またはB12P2を、好ましくは粉末の形態で生じる。有利には、そのようにして得られるリン化ホウ素は、本質的にBPおよび/またはB12P2からなる
本発明の方法は、リン化ホウ素、より詳細には、BPおよび/またはB12P2を、好ましくは粉末の形態で生じる。有利には、そのようにして得られるリン化ホウ素は、本質的にBPおよび/またはB12P2からなる
本発明の方法により得られるリン化ホウ素の粒径は、特にシステムに、とりわけ並進または回転運動によって提供される機械エネルギーの適切な選択によって設定され得る。本発明の方法が並進装置において実施される場合、本発明の方法によって得られるリン化ホウ素の粒径は、特に粉砕工程(その間にメカノケミカル反応が起こる工程)の加速の適切な選択によって設定され得る。本発明の方法がボールミル工程を包含する場合、本発明の方法によって得られるリン化ホウ素の粒径は、特に特に粉砕工程(その間にメカノケミカル反応が起こる工程)の回転速度の適切な選択によって設定され得る。
さらに、BPの場合、化学的不活性希釈剤の量の増加は得られるリン化ホウ素粉末の平均粒径を減少させることも観察された。
メカノケミカル反応によって得られるリン化ホウ素の粒径は、従ってとりわけ:メカノケミカル反応の時間、メカノケミカル反応を実施するために使用される装置の速度、加速および/または回転速度、およびリン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する混合物に必要に応じて添加される化学的不活性希釈剤の量の関数である。より詳細には、メカノケミカル反応の時間(好ましくは、30秒と20分との間である)、およびリン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する混合物に必要に応じて添加される化学的不活性希釈剤の量の関数である。
従って、第1の実施態様では、本発明の方法によって得られるリン化ホウ素粉末は、ナノメートルのサイズであり、換言すると、リン化ホウ素粉末は200nmまたは100nm未満またはそれに等しい粒径、好ましくは60nm未満またはそれに等しい粒径、より好ましくは50nm未満またはそれに等しい粒径(50nmは好ましくは除外される)を有する。例えば、本発明の方法によって得られるリン化ホウ素粉末は、2nmと60nmとの間の粒径、有利には15nmと45nmとの間の粒径、よりさらに有利には30nmと40nmとの間の粒径を有する。
有利には、この実施態様では、化学的不活性希釈剤の量は、リン化ホウ素(好ましくはBP)を200nmまたは100nm未満またはそれに等しい粒径、好ましくは60nm未満またはそれに等しい粒径、より好ましくは50nm未満またはそれに等しい粒径(50nmは好ましくは除外される)を有する粉末として得るよう選ばれる。例えば、本発明の方法によって得られるリン化ホウ素粉末は、10nmと90nmとの間または2nmと60nmとの間、有利には15nmと45nmとの間、よりさらに有利には30nmと40nmとの間の粒径を有する。
特に、この実施態様では、本発明の方法は、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応が起こる工程(または特定の実施態様における粉砕工程)の間に、加速(特に本方法が並進装置において実施される場合)および/または回転速度(本方法が回転装置において実施される場合)を有する装置において実施され、該加速および/または回転速度は、200nmまたは100nm未満またはそれに等しい粒径、好ましくは60nm未満またはそれに等しい粒径、より好ましくは50nm未満またはそれに等しい粒径(50nmは好ましくは除外される)を有する粉末としてリン化ホウ素を得るよう選ばれる。例えば、本発明の方法によって得られるリン化ホウ素粉末は、2nmと60nmとの間、有利には15nmと45nmとの間、よりさらに有利には30nmと40nmとの間の粒径を有する。本発明の方法が回転装置において実施される場合、粉砕工程(c)の回転速度は、従って典型的には400rpmと1100rpmとの間、好ましくは500rpmと800rpmとの間、典型的には700rpmである。
有利には、この実施態様では、粉砕工程(またはその間にリン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応が起こる工程)は、200nmまたは100nm未満またはそれに等しい粒径、好ましくは60nm未満またはそれに等しい粒径、より好ましくは50nm未満またはそれに等しい粒径(50nmは好ましくは除外される)を有する粉末としてリン化ホウ素を得るのに十分な時間実施される。例えば、本発明の方法によって得られるリン化ホウ素粉末は、2nmと60nmとの間、有利には15nmと45nmとの間、よりさらに有利には30nmと40nmとの間の粒径を有する。本発明の方法が回転装置において実施される場合、粉砕(c)は、従って好ましくは、30秒と20分との間、より好ましくは1分と15分との間、有利には10分未満、例えば1分、5分、7分の時間、好ましくは400rpmと1100rpmとの間、好ましくは500rpmと800rpmとの間、典型的には700rpmの速度で実施される。
特に、本発明の方法によって得られるリン化ホウ素粉末は、60nm(除外)と200nm(包含)との間、例えば60nm(除外)と80nm(包含)との間の粒径を有し得る。
この第1の実施態様では、ナノメートルのサイズのBP粉末が得られ得、換言すれば、リン化ホウ素粉末は、200nmまたは100nm未満またはそれに等しい粒径、好ましくは60nm未満またはそれに等しい粒径、より好ましくは50nm未満またはそれに等しい粒径(50nmは好ましくは除外される)を有する。例えば、本発明のリン化ホウ素粉末は、2nmと60nmとの間、有利には15nmと45nmとの間の粒径を有する。この実施態様では、BP粉末の純度は、95%より大きく、好ましくは97%より大きい。粉末の残りの部分は、本質的にB12P2からなる。
ナノメートルのサイズのB12P2粉末もまた得られ得、換言すれば、リン化ホウ素粉末は、200nmまたは100nm未満またはそれに等しい粒径、好ましくは60nm未満またはそれに等しい粒径、より好ましくは50nm未満またはそれに等しい粒径(50nmは好ましくは除外される)を有する。例えば、本発明のリン化ホウ素粉末は、2nmと60nmとの間、有利には10nmと50nmとの間、さらに有利には15nmと45nmとの間、よりさらに有利には30nmと40nmとの間の粒径を有する。この実施態様では、B12P2粉末の純度は、95%より大きく、好ましくは97%より大きい。粉末の残りの部分は、本質的にBPからなる。
第2の実施態様では、本発明の方法によって得られるリン化ホウ素粉末は、200nmより大きい粒径、例えば200nm(除外)と200μmとの間、特に300nmと2μmとの間の粒径を有する。従って、この第2の実施態様によれば、マイクロメートルのサイズのリン化ホウ素粉末が得られ得る。
有利な実施態様
第1の特に有利な実施態様では、本発明の方法は、BPを95%以上の純度、好ましくは97%以上の純度で調製することを可能にする。この第1の実施態様では、本方法は、反応(1)に従ってリン酸ホウ素(BPO4)を少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)で還元するためのボールミル粉砕工程を包含する:
BPO4 + 4 EA -> BP + 4 EA(O) (1)。
第1の特に有利な実施態様では、本発明の方法は、BPを95%以上の純度、好ましくは97%以上の純度で調製することを可能にする。この第1の実施態様では、本方法は、反応(1)に従ってリン酸ホウ素(BPO4)を少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)で還元するためのボールミル粉砕工程を包含する:
BPO4 + 4 EA -> BP + 4 EA(O) (1)。
少なくとも1種のアルカリ土類金属は、有利にはカルシウムおよび/またはマグネシウムであり、最も好ましくはマグネシウムである。
この第1の実施態様では、リン酸ホウ素対少なくとも1種のアルカリ土類金属のモル比は、約1:4である。典型的には、1:3.5と1:4.5との間、有利には1:3.8と1:4.2との間からなる。有利には、リン酸ホウ素に対してわずかに過剰の少なくとも1種のアルカリ土類金属が用いられる;リン酸ホウ素対少なくとも1種のアルカリ土類金属のモル比は、従って有利には、1:4.0と1:4.1との間からなり、より好ましくは1:4.1である。
好ましくは、リン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する混合物は、化学的不活性希釈剤、好ましくは塩化ナトリウムをさらに含有する。化学的不活性希釈剤の量は、有利には、反応物(すなわち、リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属および必要に応じて(EA)B2)および化学的不活性希釈剤)の混合物の総重量の40重量%と60重量%との間、より好ましくは約50重量%からなる。
好ましくは、ボールは金属ボールであり、より好ましくは炭化金属ボール、例えば炭化タングステンボールである。有利には、ボール対粉末重量比は、100:1〜20:1の間である。好ましくは、ボールの直径は、0.5mmと20mmとの間、好ましくは5mmと15mmとの間、例えば10mmである。
有利には、この第1の実施態様では、本発明の方法は:
(a)(好ましくは粉末として提供された)リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、および必要に応じて化学的不活性希釈剤を混合し、混合粉末を得る工程、
(b)少なくとも1種のボールを用いて、試薬の細砕を可能とするがメカノケミカル反応を開始するには十分ではない第1回転速度、例えば50rpmと200rpmとの間、好ましくは75rpmと150rpmとの間、特に100rpmの速度で予備-粉砕し、特に1μmと200μmとの間の粒径を有する予備-粉砕した粉末を得る工程、
(c)少なくとも1種のボールを用いて、反応が起こるのを可能する第2回転速度、該第2回転速度は該第1回転速度よりも上回っている、例えば400rpmと1100rpmとの間、特に700rpmの速度で、反応が完了するのに十分な時間粉砕し、粉砕した粉末を得る工程、
(d)該粉砕した粉末からリン化ホウ素を回収する工程、
を包含する。
(a)(好ましくは粉末として提供された)リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、および必要に応じて化学的不活性希釈剤を混合し、混合粉末を得る工程、
(b)少なくとも1種のボールを用いて、試薬の細砕を可能とするがメカノケミカル反応を開始するには十分ではない第1回転速度、例えば50rpmと200rpmとの間、好ましくは75rpmと150rpmとの間、特に100rpmの速度で予備-粉砕し、特に1μmと200μmとの間の粒径を有する予備-粉砕した粉末を得る工程、
(c)少なくとも1種のボールを用いて、反応が起こるのを可能する第2回転速度、該第2回転速度は該第1回転速度よりも上回っている、例えば400rpmと1100rpmとの間、特に700rpmの速度で、反応が完了するのに十分な時間粉砕し、粉砕した粉末を得る工程、
(d)該粉砕した粉末からリン化ホウ素を回収する工程、
を包含する。
試薬(リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、および必要に応じて化学的不活性希釈剤)が予備-粉砕される(工程b)間の時間は、反応物粉末の目標とする粒径に依存し、特に該試薬の量、ミルの回転速度、およびボール対粉末重量比に応じて設定され得る。試薬(リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、および必要に応じて化学的不活性希釈剤)が粉砕される(工程c)間の時間もまた、特に該試薬の量、ミルの回転速度、およびボール対粉末重量比に依存する。
好ましくは、工程(d)は:
(d1)工程(c)の粉砕した粉末を破砕し、破砕した粉末を得ること、
(d2)工程(d1)の破砕した粉末を酸性水性媒体(例えば、上記で定義した水性媒体)中で処理し、処理した粉末を得ること、
(d3)工程(d2)の処理した粉末を水で洗浄し、洗浄した粉末を得ること、および
(d4)工程(d3)の洗浄した粉末を乾燥すること
を包含する。
(d1)工程(c)の粉砕した粉末を破砕し、破砕した粉末を得ること、
(d2)工程(d1)の破砕した粉末を酸性水性媒体(例えば、上記で定義した水性媒体)中で処理し、処理した粉末を得ること、
(d3)工程(d2)の処理した粉末を水で洗浄し、洗浄した粉末を得ること、および
(d4)工程(d3)の洗浄した粉末を乾燥すること
を包含する。
この第1の実施態様では、本方法(より詳細には、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応)は、好ましくはいかなる外部熱的加熱もなしで実施される。ミル内部の温度は、好ましくは80℃未満、例えば50℃と75℃との間で保持される。
さらに、この第1の実施態様では、本方法(特に、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)とのメカノケミカル反応)は、空気下で実施される。
第2の特に有利な実施態様では、本発明の方法は、B12P2を95%以上の純度、好ましくは97%以上の純度で調製することを可能とする。この第2の実施態様では、本方法は、反応(2)に従ってリン酸ホウ素(BPO4)を少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)で還元するためのボールミル工程を包含する:
2BPO4 + 5 (EA)B2 + 3 EA -> B12P2 + 8 EA(O) (2)。
2BPO4 + 5 (EA)B2 + 3 EA -> B12P2 + 8 EA(O) (2)。
少なくとも1種のアルカリ土類金属は、有利にはカルシウムおよび/またはマグネシウムであり、最も好ましくはマグネシウムである。
この第2の実施態様では、リン酸ホウ素(BPO4)/ホウ化アルカリ土類金属((EA)B2)/アルカリ土類金属(EA)のモル比は、約2/5/3である。典型的には、2/4.8/2.8と2/5.2/3.2との間、好ましくは2/5/3と2/5.1/3.1との間からなる。
この第2の実施態様では、反応混合物は、有利にはいかなる化学的不活性希釈剤も欠いている。
好ましくは、ボールは金属ボールであり、より好ましくは炭化タングステンボールなどの炭化金属ボールである。有利には、ボール対粉末重量比は、100:1〜20:1の間である。好ましくは、ボールの直径は、0.5mmと20mmとの間、好ましくは5mmと15mmとの間、例えば10mmである。
ボールは、特にBPおよび/またはB12P2においてであり得る。
有利には、この第2の実施態様では、本発明の方法は:
(a)リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、およびホウ化アルカリ土類金属(好ましくは粉末として提供される)を混合し、粉末を得る工程、
(b)少なくとも1種のボールを用いて、試薬の細砕を可能とするがメカノケミカル反応を開始するには十分ではない速度、例えば50rpmと200rpmとの間、好ましくは75rpmと150rpmとの間、特に100rpmの第1回転速度で予備-粉砕し、特に1μmと200μmとの間の粒径を有する予備-粉砕した粉末を得る工程、
(c)少なくとも1種のボールを用いて、反応が起こるのを可能とする速度、例えば400rpmと1100rpmとの間、特に700rpmの第2回転速度、該第2回転速度は該第1回転速度よりも上回っている、で反応が完了するのに十分な時間粉砕し、粉砕した粉末を得る工程、
(d)該粉砕した粉末からリン化ホウ素を回収する工程
を包含する。
(a)リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、およびホウ化アルカリ土類金属(好ましくは粉末として提供される)を混合し、粉末を得る工程、
(b)少なくとも1種のボールを用いて、試薬の細砕を可能とするがメカノケミカル反応を開始するには十分ではない速度、例えば50rpmと200rpmとの間、好ましくは75rpmと150rpmとの間、特に100rpmの第1回転速度で予備-粉砕し、特に1μmと200μmとの間の粒径を有する予備-粉砕した粉末を得る工程、
(c)少なくとも1種のボールを用いて、反応が起こるのを可能とする速度、例えば400rpmと1100rpmとの間、特に700rpmの第2回転速度、該第2回転速度は該第1回転速度よりも上回っている、で反応が完了するのに十分な時間粉砕し、粉砕した粉末を得る工程、
(d)該粉砕した粉末からリン化ホウ素を回収する工程
を包含する。
試薬(リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、ホウ化アルカリ土類金属、および必要に応じて化学的不活性希釈剤)が予備-粉砕される(工程b)間の時間は、反応物粉末の目標とする粒径に依存し、特に該試薬の量、ミルの回転速度、およびボール対粉末重量比に応じて設定され得る。試薬(リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、ホウ化アルカリ土類金属、および必要に応じて化学的不活性希釈剤)が粉砕される(工程c)間の時間もまた、特に該試薬の量、ミルの回転速度、およびボール対粉末重量比に依存する。
好ましくは、工程(d)は:
(d1)工程(c)の粉砕した粉末を破砕し、破砕した粉末を得ること、
(d2)工程(d1)の破砕した粉末を酸性水性媒体(例えば、上記で定義した酸性水性媒体)中で処理し、処理した粉末を得ること、
(d3)工程(d2)の処理した粉末を水で洗浄し、洗浄した粉末を得ること、および
(d4)工程(d3)の洗浄した粉末を乾燥すること
を包含する。
(d1)工程(c)の粉砕した粉末を破砕し、破砕した粉末を得ること、
(d2)工程(d1)の破砕した粉末を酸性水性媒体(例えば、上記で定義した酸性水性媒体)中で処理し、処理した粉末を得ること、
(d3)工程(d2)の処理した粉末を水で洗浄し、洗浄した粉末を得ること、および
(d4)工程(d3)の洗浄した粉末を乾燥すること
を包含する。
この第2の実施態様では、本方法(より詳細には、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)およびホウ化アルカリ土類金属とのメカノケミカル反応)は、好ましくはいかなる外部熱的加熱もなしで実施される。ミル内部の温度は、好ましくは80℃未満、例えば50℃と75℃との間で保持される。
この第2の実施態様では、本方法(特に、リン酸ホウ素(BPO4)の少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)およびホウ化アルカリ土類金属とのメカノケミカル反応)は、空気下で実施される。
リン化ホウ素粉末
本発明はさらに、特に本発明の方法により得ることができる、リン化ホウ素、より詳細には、BPおよび/またはB12P2に関する。
本発明はさらに、特に本発明の方法により得ることができる、リン化ホウ素、より詳細には、BPおよび/またはB12P2に関する。
本発明のリン化ホウ素は、好ましくは粉末の形態である。
有利には、本発明のリン化ホウ素、特に本発明のリン化ホウ素粉末は、本質的にBPおよび/またはB12P2からなる。
第1の実施態様では、本発明のリン化ホウ素粉末は、ナノメートルのサイズであり、換言すれば、リン化ホウ素粉末は、200nmまたは100nm未満またはそれに等しい粒径、好ましくは60nm未満またはそれに等しい粒径、より好ましくは50nm未満またはそれに等しい粒径を有する。例えば、本発明のリン化ホウ素粉末は、10nmと90nmとの間、または2nmと60nmとの間、有利には15nmと45nmとの間、より有利には30nmと40nmとの間の粒径を有する。
特に、本発明のリン化ホウ素粉末は、60nm(除外)と200nm(包含)との間、例えば60nm(除外)と80nm(包含)との間の粒径を有し得る。
この第1の実施態様では、本発明は特に、ナノメートルのサイズのBP粉末に関し、換言すれば、リン化ホウ素粉末は、200nmまたは100nm未満またはそれに等しい粒径、好ましくは60nm未満またはそれに等しい粒径、より好ましくは50nm未満またはそれに等しい粒径(50nmは、好ましくは除外される)を有する。例えば、本発明のリン化ホウ素粉末は、2nmと60nmとの間、有利には15nmと45nmとの間、より有利には30nmと40nmとの間の粒径を有する。この実施態様では、BP粉末の純度は、95%よりも大きく、好ましくは97%よりも大きい。粉末の残りの部分は、本質的にB12P2からなる。
この第1の実施態様では、本発明はまた、ナノメートルのサイズのB12P2に関し、換言すれば、200nmまたは100nm未満またはそれに等しい粒径、好ましくは60nm未満またはそれに等しい粒径、より好ましくは50nm未満またはそれに等しい粒径(50nmは、好ましくは除外される)を有する。例えば、本発明のリン化ホウ素粉末は、2nmと60nmとの間、有利には10nmと60nmとの間、より有利には15nmと45nmとの間、さらにより有利には30nmと40nmとの間の粒径を有する。この実施態様では、B12P2粉末の純度は、95%よりも大きく、好ましくは97%よりも大きい。粉末の残りの部分は、本質的にBPからなる。
第2の実施態様では、本発明のリン化ホウ素粉末は、200nmより大きい、例えば200nm(除外)と200μmとの間、特に300nmと2μmとの間の粒径を有する。従って、この第2の実施態様によれば、本発明は、マイクロメートルのサイズのリン化ホウ素粉末に関し得る
以下の実施例は、本発明の特定の実施態様を説明することを目的とし、従って、いかようにも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
化学物質
リン酸ホウ素(BPO4)は、Handbuch der Praparativen Anorganischen Chemie (von G. Brauer, Ed.) vol. 2, pp. 811, Stuttgart: Ferdinand Enke Verlag, 1975に記載の手順に従って製造した:
リン酸ホウ素(BPO4)は、Handbuch der Praparativen Anorganischen Chemie (von G. Brauer, Ed.) vol. 2, pp. 811, Stuttgart: Ferdinand Enke Verlag, 1975に記載の手順に従って製造した:
アルミナるつぼ中、520Kでのホウ酸(Alfa Aesar、99.8%)のオルトリン酸(Alfa Aesar、85% aq. sol.)との反応、続いてマッフル炉中、770Kでの得られた生成物のアニーリングにより、200μm未満の粒径を有する粉末としてBPO4を収率98-99%で得た。
マグネシウム金属(Alfa Aesar, 99.8%; -325メッシュ)および二ホウ化マグネシウム(Alfa Aesar、99%、-100メッシュ)を出発原料として用いた。
プロトコル
式(1’)または(2’)に従って、化学量論量のBPO4(200μm未満の粒径を有する粉末)、MgおよびMgB2を瑪瑙乳鉢中で十分に混合した:
BPO4 + 4 Mg -> BP + 4 MgO (1’)
2BPO4 + 5MgB2 + 3Mg → B12P2 + 8MgO (2’)。
式(1’)または(2’)に従って、化学量論量のBPO4(200μm未満の粒径を有する粉末)、MgおよびMgB2を瑪瑙乳鉢中で十分に混合した:
BPO4 + 4 Mg -> BP + 4 MgO (1’)
2BPO4 + 5MgB2 + 3Mg → B12P2 + 8MgO (2’)。
従って、BPの製造を求める場合、BPO4/Mgのモル比は1:4である。B12P2の製造を求める場合、BPO4/MgB2/Mgのモル比は2/5/3である。
メカノケミカル合成は、市販の高エネルギー遊星ボールミル(Fritsch, Pulverisette 7)において実施した。粉砕容器は、80mlの容量を有する硬化鋼バイアルであり、10mmの直径を有する25個の炭化タングステンボール(総重量198g)を用いた。ボール対粉末重量比は100:1〜20:1で変化させた。注意すべきは、ボール対粉末比は、本方法の結果に対して、特に得られた粉末の収率、粒径および純度に関して、有意な影響を有しなかった。
ロード/アンロード操作および粉砕は、空気中で実施した。典型的には、出発原料の原料混合物は、100rpmの回転速度で1分間予備-粉砕し、次いで回転速度を1分、2分、5分または7分で700rpmまで上げた(表1および2を参照)。高速(700rpm)下での粉砕は、1〜5分間継続的に行った。粉砕後、得られた粉末を取り出し、続いて希塩酸(Alfa Aesar、10%水溶液)で処理し、脱イオン水で数回洗浄し、そして空気中、323Kで乾燥した。いくつかの実験では、塩化ナトリウム(Prolabo、99.5%、-100μm)を化学的不活性希釈剤として用いた(表1および2を参照)。
特徴付け
粉砕の間の圧力および温度のその場監視を、圧力および温度センサーならびにトランスミッタに基づくガス-温度測定システムをバイアルの蓋に組み込み、ミルの外部のレシーバーがコンピューターにデータを送信することによって達成した。
粉砕の間の圧力および温度のその場監視を、圧力および温度センサーならびにトランスミッタに基づくガス-温度測定システムをバイアルの蓋に組み込み、ミルの外部のレシーバーがコンピューターにデータを送信することによって達成した。
洗浄したサンプルを、X-線粉末回折(Equinox 1000、CuKα1 λ=1.540598ÅおよびCoKα1照射 λ=1.789007Åを有するInel粉末回折計)によって研究した。製造した粉末の粒径を、Williamson-Hall法(Williamson et al. Acta Metall., 1953, vol. 1, pp. 22-31を参照)を用いて、X-線回折線の幅から計算した。
ラマンスペクトルを、632.8nm He-Neレーザー(ビームの大きさ〜10μm)によって励起し、Horiba Jobin Yvon HR800顕微ラマン分光計上で記録した。
リン化ホウ素粉末の粒径および微細構造形態を、Leo Supra 40および50VP機器での走査電子顕微鏡法(SEM)により、およびLeo 912AB Omegaでの透過電子顕微鏡法(TEM)により試験した。
サンプルの化学組成および純度を、エネルギー分散X-線(EDX)微量分析(Princeton Gamma-Techエネルギー分散分光計を有するLeica S440電子顕微鏡およびOxford Instruments INCA Energy+微量分析システムを有するLEO Supra 50VP電子顕微鏡において実施した)によって明らかにした。定量的EDX微量分析によれば、リン化ホウ素のサンプルはいかなる検出可能な不定比性も示さなかった。
比表面積(SSA)を、ブルナウアー-エメット-テラー(BET)法(Brunauer, Emmett, and Teller, J. Am. Chem. Soc., 1938, vol. 60, pp. 309-319を参照)を用いて、Coulter SA 3100上で、窒素吸着によって測定した。
粒径分布(いくつかのサンプルについて)を、Fritsch Analysette 22 NanoTec plus上で行った静的光散乱(SLS)実験から計算した。
結果
得られた結果を、以下の表1(BPについて)および2(B12P2について)にまとめる。
得られた結果を、以下の表1(BPについて)および2(B12P2について)にまとめる。
1:結晶の大きさは、得られた粉末の粒径に相当する。最初の数字は、測定粒径に相当し、一方、括弧内の数字は、不確実性を示す。不確実性は、括弧に入れた値の前の数字の最小有効数字に適用される。
1:結晶の大きさは、得られた粉末の粒径に相当する。最初の数字は、測定粒径に相当し、一方、括弧内の数字は、不確実性を示す。不確実性は、括弧に入れた値の前の数字の最小有効数字に適用される。
議論
図1a(BPの製造)および1b(B12P2の製造)は、粉砕工程について対応する保持時間(表1および2を参照)で回転速度を700rpmに設定した後、反応槽におけるガス圧および積算温度の典型的な変化を示す。反応槽における温度のわずかな増加は、高感度ガス圧センサーの相当するシグナルを与えた。最初の数秒において、温度および圧力は安定している。約4(図1a)-9(図1b)barの鋭い圧力ピークが観察され、これは粉末混合物における発熱反応の開始を反映している。インキュベーション期間、すなわちこのピークまでの高速下での粉砕時間は、式(1’)に従う反応の場合、化学的不活性希釈剤のいかなる添加もなし(すなわち、純粋なBPO4およびMg、図1a)で6-20秒である。このインキュベーション時間は、化学的不活性希釈剤(塩化ナトリウム)の添加により160-220秒まで増加する。インキュベーション時間はまた、B12P2(図1bを参照)の製造の場合に増加する。圧力ピークは、初期BPO4における水(0.4重量%未満)の存在に起因し得る。あるいは、圧力ピークは、実験混合物における副反応の結果としての少量のガス状生成物(おそらく元素リン)の形成に相当し得る。この第2の仮説は、アンロード後に同定されたわずかなリン臭を説明するので、より正確であると思われる。
図1a(BPの製造)および1b(B12P2の製造)は、粉砕工程について対応する保持時間(表1および2を参照)で回転速度を700rpmに設定した後、反応槽におけるガス圧および積算温度の典型的な変化を示す。反応槽における温度のわずかな増加は、高感度ガス圧センサーの相当するシグナルを与えた。最初の数秒において、温度および圧力は安定している。約4(図1a)-9(図1b)barの鋭い圧力ピークが観察され、これは粉末混合物における発熱反応の開始を反映している。インキュベーション期間、すなわちこのピークまでの高速下での粉砕時間は、式(1’)に従う反応の場合、化学的不活性希釈剤のいかなる添加もなし(すなわち、純粋なBPO4およびMg、図1a)で6-20秒である。このインキュベーション時間は、化学的不活性希釈剤(塩化ナトリウム)の添加により160-220秒まで増加する。インキュベーション時間はまた、B12P2(図1bを参照)の製造の場合に増加する。圧力ピークは、初期BPO4における水(0.4重量%未満)の存在に起因し得る。あるいは、圧力ピークは、実験混合物における副反応の結果としての少量のガス状生成物(おそらく元素リン)の形成に相当し得る。この第2の仮説は、アンロード後に同定されたわずかなリン臭を説明するので、より正確であると思われる。
図1aにおいて分かり得るように、積算温度は、306K〜323Kの粉砕の間に増加した。グラフ上に2つのセクションが明確に視認できる。第1のセクションでは、傾斜は0.50K/secであり、第2のセクションでは、傾斜は0.27K/secである。注意すべきは、MgなしでBPO4をロードしたコントロール実験では、温度は約0.02K/secの速度でゆっくりと増加し、これは、内部摩擦および衝撃現象によって説明され得る。温度曲線は、すべての試験について同様の傾向を示す。
図1bにおいて分かり得るように、BPO4、Mg、MgB2、(B12P2にロード)の混合物の粉砕の間の積算温度(306Kから約350Kまで増加した)に関して、同様の結果が観察された。
反応(1’)に従って得られた生成物(洗浄後)は、10%までの亜リン化ホウ素、B12P2を含有する固体リン化ホウ素であることが分かった。より詳細には、本発明、特に本実施例に従って製造したBP粉末は、次の不純物を含み得る:(i)副反応の生成物(主としてB12P2、3重量%未満)、(ii)元素非晶質ホウ素およびリン、しかしこれらは水性硝酸での処理により除去され得る、および(iii)ミル装置(粉砕ボールおよびバイアル)からのごく少量の不純物。
機械エネルギー移動によって生じる過剰のギブスエネルギーを低減するため、化学的不活性希釈剤である塩化ナトリウムを試薬に添加した。確かに、NaClを反応混合物に添加することにより、最終生成物においてB12P2回折線の強度の低下が観察された。特に、NaCl含有量33重量%では、a=4.545(2)Åの格子定数、これは文献値(4.543(1)Å(Xiam et al. J. Appl. Phys., 1993. vol. 74, pp. 1660-1662))に近い、でほぼ単相(>97%)のリン化ホウ素の形成が観察される(図2a)。得られた最終粉末は、100-200nmの平均粒径を示した(図3aおよび4a)。洗浄した反応(1’)の生成物のラマンスペクトル(図5a)は、2つの特徴を示す:〜818cm-1での強い非対称線および〜804cm-1での弱い幅広い線、これらはBPの特性帯である。いくつかのBPサンプルでは、〜476cm-1での弱い鋭い線(B12P2の最強帯)もまた観察された。
反応(2’)に従って得られた生成物(洗浄後)は、3重量%までのリン化ホウ素BPを含有する、ほぼ単相菱面体晶B12P2としての固体亜リン化ホウ素(B12P2)(>97%、図2b)であることが分かった。注意すべきは、最適化されていない条件下では、得られた固体亜リン化ホウ素(B12P2)は、20重量%までのリン化ホウ素BPを含有する。より詳細には、本発明、特に本実施例に従って製造したB12P2粉末は:(i)副反応の生成物(主としてBP、3重量%未満)、(ii)元素非晶質ホウ素、しかしこれは水性硝酸での処理により除去され得る、(iii)痕跡量のホウ化マグネシウムおよび(iv)ミル装置(粉砕ボールおよびバイアル)からのごく少量の不純物を含み得る。
a=5.992(4)Å、c=11.861(8)ÅのB12P2格子定数が見い出され、これらは文献値(a=5.986(6)Å、c=11.848(9)Å(Slack et al. J. Phys. Chem. Solids, 2014, vol. 75, pp. 1054-1074))とよく一致する。得られた最終粉末は、100-200nmの平均粒径を示した(図3bおよび4b)。洗浄した反応(2’)の生成物のラマンスペクトル(図5b)は、B12P2について予想されるすべてのピーク、特にB12P2の最強帯に相当する〜476cm-1での強い非対称線を示す。
リン化ホウ素の合計収率は、反応(1’)および(2’)に従って、約75%である。高含有量の化学的不活性希釈剤(NaCl)を用いた反応において観察された低収率は、化学的不活性希釈剤(NaCl)の含有量が高い場合、反応が遅くなり、従って上記実施例の反応条件において反応が完了しなかったことを示す。
結論
要するに、単相リン化ホウ素BPおよびB12P2粉末は、メカノケミカル方法、すなわち高エネルギーボールミル粉砕によって、金属マグネシウムによる(BP)、または金属マグネシウムおよび二ホウ化マグネシウムによる(B12P2)、リン酸ホウ素の還元によって製造される。
要するに、単相リン化ホウ素BPおよびB12P2粉末は、メカノケミカル方法、すなわち高エネルギーボールミル粉砕によって、金属マグネシウムによる(BP)、または金属マグネシウムおよび二ホウ化マグネシウムによる(B12P2)、リン酸ホウ素の還元によって製造される。
示したように、本発明の方法は、BPおよび/またはB12P2の大規模製造のための容易な実施、高効率、低コスト、および良好な全体像によって特徴付けられる。
Claims (17)
- リン化ホウ素の調製方法であって、当該方法が少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)の粉末と混合したリン酸ホウ素(BPO4)の粉末の機械装置によるメカノケミカル反応を含み、該機械装置が、リン酸ホウ素(BPO4)の粉末と少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)の粉末との間のメカノケミカル反応を開始し実施することを可能とする機械エネルギーを提供し、リン化ホウ素を得、該リン化ホウ素がBPおよび/またはB12P2である、方法。
- メカノケミカル反応が、リン酸ホウ素(BPO4)の粉末と少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)の粉末との間の機械的応力によって実施される、請求項1の方法。
- 反応の温度が80℃未満である、請求項1または2の方法。
- メカノケミカル反応がいかなる外部熱的加熱もなしで実施される、請求項1〜3の方法。
- メカノケミカル反応によって得られるリン化ホウ素の粒径が:
-30秒と20分との間のメカノケミカル反応の時間、および
-リン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する混合物に必要に応じて添加される化学的不活性希釈剤の量
の関数である、請求項1〜4の方法。 - 機械装置が回転装置であり、該回転装置の回転速度が50rpmと1100rpmとの間である、請求項1〜5の方法。
- メカノケミカル反応がミル中で実施される、請求項1〜6の方法。
- メカノケミカル反応が、リン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する粉末混合物のボールミル粉砕工程を包含する、請求項7の方法。
- メカノケミカル反応が空気中で実施される、請求項1〜8のいずれかの方法。
- メカノケミカル反応によって得られるリン化ホウ素の粒径が200nm以下、好ましくは60nmである、請求項1〜9のいずれかの方法。
- リン化ホウ素がBPであり、当該方法が、メカノケミカル反応(1):
BPO4 + 4 EA -> BP + 4 EA(O) (1)
に従った少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)でのリン酸ホウ素(BPO4)の還元を含む、請求項1〜10のいずれかの方法。 - リン化ホウ素がB12P2であり、当該方法が、メカノケミカル反応(2):
2BPO4 + 5 (EA)B2 + 3 EA -> B12P2 + 8 EA(O) (2)
に従った少なくとも1種のアルカリ土類金属(EA)でのリン酸ホウ素(BPO4)の還元を含む、請求項1〜10のいずれかの方法。 - 少なくとも1種のアルカリ土類金属がマグネシウムおよび/またはカルシウムであり、有利にはマグネシウムである、請求項1〜12のいずれかの方法。
- リン酸ホウ素および少なくとも1種のアルカリ土類金属を含有する混合物が、化学的不活性希釈剤、好ましくは塩化ナトリウムをさらに含有する、請求項1〜13のいずれかの方法。
- (a)粉末として提供された、リン酸ホウ素、少なくとも1種のアルカリ土類金属、必要に応じてホウ化アルカリ土類金属、および必要に応じて化学的不活性希釈剤を混合し、混合粉末を得ること、
(b)該混合粉末を、少なくとも1種のボールを用いて、試薬を細砕することを可能とする50rpmと200rpmとの間のボールミルの第1回転速度で予備-粉砕すること、
(c)該予備-粉砕した粉末を、少なくとも1種のボールを用いて、反応が生じることを可能とする400rpmと1100rpmとの間のボールミルの第2回転速度、該第2回転速度は該第1回転速度よりも上回っている、で粉砕し、リン化ホウ素を含有する粉砕した粉末を得ること、
(d)該粉砕した粉末からリン化ホウ素を回収すること、
を包含する、請求項8〜14のいずれかの方法。 - 請求項1〜15のいずれかの方法によって得られた、10nmと90nmとの間の粒径を有するBPまたはB12P2のリン化ホウ素粉末。
- 10nmと50nmとの間の粒径を有する、請求項16のB12P2を含むリン化ホウ素粉末。
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