JP2018515365A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、複合材料部品を成形するためのツール、装置、および方法に関する。
複合材料は、複数の材質の特定の組合せを必要とする部品に、徐々に使用されつつある。特に、炭素繊維強化ポリマー(Carbon Fibre Reinforced Polymer:CFRP)のような複合材料は、一般的に、その高い剛性およびその軽量さから、航空機の部品や他の工業部品に使用されている。
ガスタービンのケースの環状フランジや翼の桁の側方のような、フランジを備える部品を製造することが、しばしば望まれている。複合材料からこのような部品が製造された場合、フランジの構造は、工学的問題を引き起こす。例えば、フランジ状の型に、特に、型の本体部分とフランジの間のアクセスが困難であろう曲がり領域に、複合材料をレイアップ(layup)することは、おそらく難しい。
一体フランジを備える複合材料部品を製造するための一つの知られている方法は、英国特許2486231号に開示されている。英国特許2486231号は、第1部分、および周方向に離間する移動可能な複数の区域を備える移動可能な第2部分を有する、複合材料のプリフォーム用の型を開示している。単一指向性の複合テープの複数の層を型にレイアップした後、型およびプリフォームは、加圧滅菌器内で加熱され、移動可能な第2の部分は、プリフォームの一部を変形させてフランジを成形するために駆動させる。
しかしながら、英国特許2486231号の周方向に離間する複数の区域は、個々に移動可能であり、位置ずれする可能性があり、結果として品質の低いフランジとなる。
したがって、複合材料部品を製造するための改良されたツールを提供することが望まれている。
本発明の第1の観点によれば、湾曲体および一体フランジを備える複合材料部品をプリフォームから成形するためのツールが提供される。前記ツールは、レイアップ表面を備える湾曲体部分と、レイアップ形態および成形形態を備える成形アセンブリと、を有する。前記成形アセンブリは、それぞれがレイアップ表面および第1フランジ成形表面を備えるとともに、放射方向外方に前記レイアップ形態から前記成形形態に移動可能であり、周方向に互いに離間する複数の成形要素と、それぞれが第2フランジ成形表面を備えるとともに、前記成形形態において実質的に連続的なフランジ成形表面を成形するように、前記複数の成形要素間の周方向の複数の隙間に入り込むように配置される複数のフィラー要素と、を有する。使用時に、プリフォームは、前記湾曲体部分および前記成形要素の前記レイアップ表面に配置され、前記成形形態への移動は、前記一体フランジを成形するように、前記連続的なフランジ成形表面と対抗する成形表面との間でプリフォームを変形させる。
前記レイアップ形態において、複数の前記成形要素の前記レイアップ表面は、互いにおよび前記体部分の前記レイアップ表面に対して、実質的に連続的であってもよい。前記ツールの前記体部分は、プリフォームにおいて前記複合材料部品の前記湾曲体に対応する第1領域を受容するためのものでもよい。前記成形アセンブリは、前記湾曲体部分に隣り合っていてもよい。
複数の前記成形要素の前記レイアップ表面は、前記成形形態において、前記体部分の前記レイアップ表面から放射方向に離間していてもよい。前記成形要素のそれぞれの前記レイアップ表面は、前記成形要素の放射方向の外表面であってもよく、前記成形要素のそれぞれの前記第1フランジ成形表面は、前記レイアップ表面のそれぞれから放射方向内方に伸びていてもよい。前記フィラー要素のそれぞれは、実質的に連続的な外側成形表面を形成するために、前記成形形態における複数の前記成形要素の放射方向外方のレイアップ表面の間に形成された隙間に伸びるように配置された放射方向外方のフィラー表面を有していてもよい。前記フィラー要素は、前記成形アセンブリが前記レイアップ形態にある場合、放射方向において複数の前記成形要素の中に隠れていてもよい。
前記第1および第2フランジ成形表面は、少なくとも部分的に放射方向に伸びていてもよい。前記第1および第2フランジ成形表面は、実質的に放射方向に伸びていてもよい(すなわち、実質的に前記ツールの軸に垂直であってもよい)。
前記成形要素および前記フィラー要素は、前記ツールの軸の周りに交互に配置されていてもよい。隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれは、前記成形形態において互いに関連する前記要素を軸方向に整列するように、互いに係合するように配置される補完的な機構を有していてもよい。
よって、要素のそれぞれは、前記成形アセンブリが前記成形形態にある場合、前記第1および第2のフランジ成形表面が互いに実質的に連続的となるのを確実にするために、前記成形形態において隣り合う要素に係合する。隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、前記成形形態において、公差0.25mm以内で、前記第1および第2成形表面が軸方向に整列するように配置されている。
代わりに、隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、前記成形形態において、公差0.5mm以内で、または公差0.2mm以内で、または公差0.1mm以内で、前記第1および第2成形表面が軸方向に整列するように配置されていてもよい。
隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、前記成形要素および前記フィラー要素のぞれぞれの側面上に設けられていてもよい。前記側面は、放射方向の範囲および軸方向の範囲の両方を有してもよい。
隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、前記ペアの第1要素上に形成されるとともに、前記ペアの第2要素の対応する部分に係合するように配置され、第1軸方向に沿う第1要素に対する第2要素の軸方向の移動を規制する少なくとも1つの肩部(shoulder)を有していてもよい。隣り合う前記成形要素およびフィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、2つの反対の軸方向に沿う記第1要素に対する前記第2要素の軸方向の移動を規制するように配置された少なくとも2つの肩部を有していてもよい。隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、雄型および雌型の連結機構を有していてもよい。前記要素の前記ペアの第1要素は雌型の溝を有し、前記要素の前記ペアの第2要素は、前記雌型の溝に受容可能に配置された雄型の突起を有していてもよい。前記溝および前記突起は、放射方向に伸びていてもよい。
前記雌型の機構の材料構成は、前記雄型の機構の材料構成と異なっていてもよい。すなわち、前記雌型および雄型の機構は、異なる材料によって構成されていてもよい。前記雌型および雄型の機構の構成材料は、前記ペアを形成する前記成形要素およびフィラー要素のそれぞれの残りの部分の構成材料と異なっていてもよい。すなわち、前記雌型および雄型の機構は、前記成形要素および前記フィラー要素のそれぞれの残りの部分と異なる材料によって構成されていてもよい。例えば、前記雌型および雄型の機構のうちの一つまたは両方が、各要素の残りの部分と異なる硬度特性、摩擦特性、曲げ特性、熱伝導特性、および/または、熱膨張特性を備える材料によって構成してもよい。
前記要素のそれぞれは、前記要素の第1側面に設けられるとともに、第1の隣り合う要素の対応する雌型の機構に係合するための雄型の機構と、前記要素の反対側の第2側面に設けられるとともに、第2の隣り合う要素の対応する雄型の機構に係合するための雌型の機構と、を有していてもよい。
前記成形要素の補完的な機構は、前記レイアップ形態において前記成形要素が軸方向に整列するように、前記成形要素の補完的な機構が互いに係合するように構成してもよい。
前記ツールは、さらに、前記成形アセンブリを前記レイアップ形態から前記成形形態に移動させるための駆動手段を有していてもよい。前記駆動手段は、複数の駆動ユニットを有し、駆動ユニットのそれぞれは、少なくとも一つの前記成形要素を移動させるように配置されている。前記駆動ユニットのそれぞれは、そのまたは各成形要素、および隣り合うフィラー要素を、前記レイアップ形態に対応するそれぞれの後退位置から、前記成形形態に対応する伸展位置に移動させるように構成している。前記駆動ユニットのそれぞれは、前記成形要素がそのそれぞれの成形位置に到達した後に、前記フィラー要素のそれぞれが、そのそれぞれの成形位置に到達するように構成している。空動き連結部(lost motion connection)が、前記駆動ユニットのそれぞれと前記成形要素のそれぞれの間に設けられている。前記空動き連結部は、前記駆動ユニットから離れるように前記成形要素を付勢する弾性手段を有してもよい。
前記駆動ユニットのそれぞれは、ガイドブロックを有してもよい。前記成形要素のそれぞれは、ガイドロッドまたはガイドレールによって前記ガイドブロックに対する移動がガイドされてもよい。前記弾性手段は、前記ガイドブロックと前記成形要素の間で作動するスプリングを有してもよい。前記ガイドブロックは、前記フィラー要素が前記ガイドブロックに対して相対的に移動しないように、前記フィラー要素に固定して締め付けられてもよい。
前記ツールは、環状のまたは半環状の部品を成形するためのものであってもよい。前記ツールは、ガスタービンのエンジンのケースを成形するためのものであってもよい。
本発明の第2の観点によれば、湾曲体および一体湾曲フランジを有する複合材料部品を成形するための装置が提供される。前記装置は、本発明の第1の観点に係るツールと、前記ツールに受容される前記プリフォームを覆って前記ツールに対して取り外し可能に取り付け可能な対抗する支持体と、を有している。前記対抗する支持体は、使用時にプリフォームの領域が前記成形アセンブリと前記対抗する支持体の間で変形して前記部品の前記フランジを成形するように、前記成形アセンブリの前記フランジ成形表面に対向するように配置された対抗する成形表面を有している。
本発明の第3の観点によれば、湾曲体および一体湾曲フランジを有する複合材料部品をプリフォームから成形する方法が提供される。前記方法は、第2の観点の発明に係る前記レイアップ形態における前記装置の前記湾曲体部分および前記成形要素の前記レイアップ表面上にプリフォームを供給する工程と、複数の成形要素が前記成形形態における複数の前記成形要素の間の隙間に入り込み、実質的に連続的なフランジ成形表面を成形するように、前記レイアップ形態から前記成形形態に前記成形アセンブリを移動させる工程と、を有する。それによって、前記一体フランジを成形するように、前記連続的な成形表面と前記対抗する成形表面の間でプリフォームの領域が変形される。前記方法は、前記プリフォームを前記ツール上でレイアップする工程を有していてもよい。
本発明は、添付した図面を参照して、例によって説明される。
図1は、前方側および機尾側のフランジ16、18を備える環状のケース14に支持されている外側ナセル12を有するガスタービンエンジン10を示す。ケース14は、エンジン10の軸20を中心としており、複数のファンブレードを有するファン22を収容する。前方側および機尾側の環状ケース箱24、26は、ナセル12の前方側および後方側部分を支持する。
図2に示すように、ケース14は、略円筒状の湾曲した本体28を有し、本体の湾曲に対して放射方向外方に伸びている前方側および機尾側のフランジ16、18が設けられている。
ケース14は、炭素繊維強化ポリマー(Carbon Fibre Reinforced Polymer:CFRP)のような複合材料部品によって構成している。特に、ケース14は、予め含浸される(プリプレグされる)とともに、レイアップ工程および硬化工程において型に適用される単一指向性の複合材料テープの複数の層(ply)を有している。
図3〜図5は、複合材料ケース14を製造するための装置100の断面図を示す。
装置100は、工場の床のような水平面に載置されるように構成された略環状ツール102を有している。そのため、その中心軸(不図示)は垂直に伸びているが、他の実施形態ではどの方向で支持されていてもよい。ツール102は、複数の成形要素106およびフィラー要素(不図示)と体部分104とを備える成形アセンブリ105を支持するための環状支持構造103を有している。
体部分104は、周方向に伸びる複数の湾曲体パネル108を有しており、複数の湾曲体パネル108は、全体で複合材料プリフォーム200の円筒状のレイアップ表面110を規定する。本実施形態では、湾曲体パネル108は6枚あり、それぞれが、60度の角度範囲を有している。体部分104には、湾曲体パネル108の放射方向内方の表面に取り付けられるとともに湾曲体パネル108およびその近くの体部分104の外側レイアップ表面110上に配置されたプリフォーム200を加熱する複数のヒーターマット116を備える体ヒーター114が、設けられている。この例では、体パネル108は、熱伝導性の金属、特にステンレス鋼やアルミニウムによって構成している。
成形アセンブリ105は、駆動機器(不図示)によって、体部分104上において、支持構造103に取り付けられており、支持構造103および体部分104に対して放射方向に、後退位置またはレイアップ位置(例えば図3)と伸展位置または成形位置(例えば図5)の間において移動可能な複数の成形要素106を有している。成形要素106は、ツール102の周りにおいて周方向に配置されている。
各成形要素106は、周方向に伸びる放射方向外方のレイアップ表面120を有している。外方のレイアップ表面120は、成形アセンブリ105がレイアップ形態(すなわち、成形要素がレイアップ位置にある形態)において、隣り合う体部分104のレイアップ表面110に対して、実質的に接触し(contiguous)、かつ、連続するように構成している。レイアップ形態では、複数の成形要素106の複数のレイアップ表面120は、ツール102の軸の周りにおいて、互いに実質的に連続である。
成形形態では、複数の成形要素の複数のレイアップ表面120は、隣り合う体部分104のレイアップ表面110から放射方向に離間しており、複数の成形要素の間には、周方向に伸びる隙間がある。
成形要素106は、各要素120のレイアップ表面120が、成形位置におけるレイアップ表面120の放射方向の位置に応じた曲率半径を有するように構成している。したがって、レイアップ表面120は、成形位置にある場合、真の周方向に伸びており、後退位置またはレイアップ位置にある場合、略周方向(または実質的に周方向)に伸びている。
この例では、各成形要素106は、半環状ブロックの形または扇形であり、放射方向外方のレイアップ表面120を規定し、放射方向に伸びている4つの側面を有している。4つの側面は、下方および上方の側面122、124と、角度方向に離間した2つの側面(不図示)と、である。下方の側面122は、下記に詳述するように、成形工程の間、第1フランジ成形表面として機能する。本実施形態では、各フランジ成形主要部分106は、角度範囲12度を有し、そのため、ツール102は、30個の分離したフランジ成形主要部分を有している。
各フランジ成形主要部分106は、空洞126を有しており、空洞126には、フランジ成形主要部分106を加熱するためのフランジヒーター123が配置されている。各フランジ成形主要部分106は、熱伝導性の金属、特にステンレス鋼やアルミニウムによって構成している。フランジヒーター123および体ヒーター114は、下記に詳述するように、フランジ成形工程および硬化工程を制御するための制御部(不図示)に接続されている。
図6〜9に示すように、成形アセンブリ105は、付加的に、複数のフィラー要素107を有していてもよい。複数のフィラー要素107は、半環状ブロックの形であり、成形アセンブリ105のレイアップ形態および成形形態のそれぞれに応じて、放射方向内方の後退位置またはレイアップ位置から、放射方向外方の伸展位置または成形位置に、移動するように構成している。ブロックは、放射方向外方のフィラー表面150、環状に離間した側面152、154、および、下方および上方の側面156、158を有している。下方の側面156は、下記に詳述するように、成形工程の間、第2フランジ成形表面を形成する。
レイアップ形態(図6および図7)では、フィラー要素107は、成形要素106のレイアップ表面の放射方向内方に配置されており、それによって、フィラー要素は、放射方向外方の位置から隠れる。複数の成形要素106は、テーパ状の角度方向に離間する側面160、162を有する。側面160、162は、成形アセンブリのレイアップ形態では、それらの間でフィラー要素107を受容するため収容部を規定する。
成形形態(図8および図9)では、複数のフィラー要素107は、フィラー要素107の第2フランジ成形表面156が成形要素106の第1フランジ成形表面122に実質的に連続的となるように、複数の成形要素106の間の周方向に伸びている複数の隙間に入り込むように伸びている。さらに、成形形態では、放射方向外方のフィラー表面150は、複数の成形要素106の複数のレイアップ表面120の隙間において周方向に伸びている隙間に入り込むように伸びている。そのため、レイアップ表面120およびフィラー表面150は、実質的に連続な周方向に伸びる面を形成する。
図7および図9に示すように、各フィラー要素107は、その第1側面152上に、隣り合う成形要素106の第2側面160に形成された雌型の溝166に係合するように構成した雄型の突起164を有している。同様に、各フィラー要素107は、その第2側面154上に反対側の隣り合う成形要素106の第1側面162に形成された対応する雄型の突起170に係合するように構成した雌型の溝168を有している。
雄型の突起164、170および対応する雌型の溝166、168は、各側面152、162、160、154の放射方向範囲に沿って伸びている。
本実施形態では、雄型の突起164、179は、黄銅によって構成しており、雌型の溝166、168は、各成形要素106およびフィラー要素107に受容される黄銅の挿入物によって規定される。成形要素106およびフィラー要素107は、熱伝導性のアルミニウム合金によって構成している。本実施形態では、複数の黄銅突起および複数の溝は、アルミニウム合金よりも硬く、そのため、複数の黄銅突起および複数の溝は、アルミニウム合金よりも、使用時に被る連結係合に耐えることができる。
成形要素106およびフィラー要素107は、これらをそれぞれのレイアップ位置と伸展位置との間で移動させるための駆動機器(不図示)に接続されている。
図3〜図5を見返すと、ツール102は、成形アセンブリ105上に配置されるとともに、レイアップ形態の成形要素106のレイアップ表面120と接触し、かつ、連続するように配置される放射方向外方のレイアップ表面130を備える略円筒状の連続部分128を有している。連続部分128は、支持構造103上に支持されており、複数の連続パネル131を有している。
体部分104のレイアップ表面110、120、130、成形要素106、および、ツール102の連続部分128は、全体として、円筒状のプリフォーム200をレイアップするための略円筒状の連続的なレイアップ表面132を規定する。
ツール102は、ツール102の周方向範囲において連続部分128の上を角度方向に離間するとともに、フランジ支持構造136に連結するための複数の取付部134をさらに有する。フランジ支持構造136は、ツールのレイアップ表面132上に配置されるプリフォーム200の周りに伸びるように構成した環状枠の形状であり、ツール102およ
びフランジ支持構造136のそれぞれの取付部134、135を連携させることによって、ツール102に取外し可能に取り付け可能である。例えば、取付部134、135は、ボルトによって連結されてもよい。
びフランジ支持構造136のそれぞれの取付部134、135を連携させることによって、ツール102に取外し可能に取り付け可能である。例えば、取付部134、135は、ボルトによって連結されてもよい。
フランジ支持構造136は、成形したフランジの形状を制御するために、フランジ成形工程の間、ツール102のフランジ要素106およびフィラー要素107のフランジ成形表面122、156のそれぞれに対抗するように配列された対抗するフランジ支持部137を有している。
特に、対抗するフランジ支持部137は、ツールのレイアップ表面に配置されているプリフォーム200に隣接するように配置しており、部品が成形工程で成形されるのに伴い、部品のフランジ領域を形成するための環状の対抗する成形表面140を規定する。対抗する成形表面140は、実質的に放射方向(図3〜図5では、水平方向)を向き、成形アセンブリ105のフランジ成形表面122、156の水平面に対して、所望のフランジ厚みに対応する距離の分、軸方向下方に配置される。対抗するフランジ成形表面140は、部品のフランジ領域と本体領域の遷移領域の交わる曲がり領域または遷移領域を形成するための、放射方向内方の曲がり部分または遷移部分を有している。本実施形態では、遷移部分は、比較的小さい曲率を有しており、そのため、連続的な曲げ部が、複合材料部品の本体部およびフランジの間にある。特に、本実施形態では、フランジ成形部分は、約65mmの放射方向範囲を備えるフランジを成形するように配置されており、フランジの曲率半径は約10mmである。
フランジ支持構造136は、一体取付部および加熱要素をさらに有している。それらによって、対抗するフランジ支持部137は、成形および硬化のために取り付けられ、加熱される。
図10は、成形アセンブリ用の駆動機器138を示す。駆動機器138は、複数の駆動ユニットを有している。各駆動ユニットは、隣り合う成形要素106およびフィラー要素107のペアのそれぞれ用の回転モータ190を有し、リニアガイドロッド192を、放射方向からわずかにオフセットするガイド方向に沿って駆動するように配置されている(他の実施形態では、ガイド方向は、実質的に放射方向でもよい)。ガイドロッド192は、フィラー要素107に固着したガイドブロック194に連結されており、圧縮バネ196によって成形要素106に連結されている。ガイドブロックは、支持構造103に固着しているガイドレール(不図示)に沿って移動するように拘束されている。駆動ユニットは、要素106、107のそれぞれの放射方向の動きを止めるための放射方向の止め具(不図示)も含む。駆動ユニットは、成形要素106およびフィラー要素107を、それぞれのレイアップ位置からそれぞれの成形位置まで徐々に移動させるように構成している。特に、圧縮バネ196は、ガイドブロック194と成形要素106の間に空動き連結部を提供する。そのため、使用時に、成形要素106が、それぞれの成形位置に到達し、フィラー要素107が、隣り合う成形要素106の間の成形位置に実質的に伸ばされる。
図11は、装置100の完全な環の6分の1に対応する一部を示し、特に、体部分104、5つの成形要素106、連続部分128、を含むツール102の配置を、フランジ支持構造136および駆動機器138の図示の5つのフランジ成形部分106に対応する一部とともに示す。
装置100を使用して複合材料部品を成形する方法を、例によって、図3〜図11を参照して、説明する。
装置100は、床のような支持表面上に載置されている。そのため、装置100の中心軸は、垂直方向に伸びている。装置100は、仮にフランジ支持構造136が取付けられていた場合、取り外すことによって、レイアップ工程のために準備される。さらに、駆動機器138(図10)は、成形アセンブリ105がレイアップ形態に戻るように制御される。複数の成形要素106は、周方向に互いに隣り合っており、各成形要素106の雄型の突起170は、隣り合う成形要素の対応する雌型の溝166に係合する。それによって、レイアップ形態において、複数の成形要素106を軸方向に整列する。
成形アセンブリがレイアップ形態(図3、6、7)にある場合、体部分104、成形アセンブリ105(成形要素106)、および連続部分128の放射方向外方の表面によって、ツール102上に連続的なレイアップ表面132が規定される。このレイアップ表面132は、放射方向外方の位置からアクセス可能である。
本実施形態では、剥離層(不図示)は、レイアップ工程の開始前に、レイアップ表面132の上に被せられる。
複合材料を予め含浸した単一指向性のテープが自動テープ敷設機(Automatic Tape Laying:ATL)によって、連続層状または複数の層状に、連続したレイアップ表面132を覆うように適用されるレイアップ工程が行われる。そのため、実質的に円筒状の複合材料プリフォーム200が、ツール102上に形成される。本実施形態では、複数のテープは、ツールの軸に垂直な平面に対して±60度および90度(すなわち垂直)の方向の組合せで適用され、かつ、体部分104および成形要素106のレイアップ表面110、120を覆うように伸びている。他の方法の例では、レイアップ工程は、手動で行われてもよいし、または、自動繊維配置機(Automatic Fibre Placement:AFP)や自動テープ巻き機のような他の方法を使用することで行われてもよい。
複合材料は、ツールの体部分104上に伸びている体領域206およびフランジ成形要素のレイアップ表面120上に伸びているフランジ領域208を有するプリフォームを供給するため、ツールに適用される。他の方法の例では、フランジ領域208は、付加的に、ツールの連続部分128のレイアップ表面130上に部分的に伸びていてもよく、および/または、フランジ領域208から伸びるプリフォームの連続的な領域があってもよく、連続的な領域は、成形または硬化の後、切除されてもよい。
この例では、複合材料は、1000mmの軸方向長さおよび65mmのフランジ半径を備えるガスタービンのケース用のプリフォーム200を供給するため、ツールに適用される。複合材料は、体領域206が、体部分104上で1000mmの軸方向範囲を有し、かつ、フランジ領域が成形アセンブリ上で少なくとも65mmの軸方向範囲を有するように、ツールに適用される。
レイアップ工程の完了後、粘着性の複数のテープ202は、環状のループ状にプリフォーム200の上方および下方の体部分104および連続部分128のそれぞれに適用され、真空バッグ204は、プリフォーム200を覆うように配置され、ツール102に対して複数のテープ202でシールされる。
複数の真空チューブ(不図示)は、真空バッグを通り抜けてツール102と真空バッグ204の間に囲まれた空間に向かって伸びており、真空ポンプのような真空源は、プリフォーム200によって占められた空間に部分真空(partial vacuum)を形成するために、複数の真空チューブに適用される。この例では、周囲の雰囲気からの不均衡な圧力が、真空バッグを介してプリフォーム200上に適用されるように、部分真空が形成される。
成形工程は、制御部が加熱機器(すなわち体ヒーター114およびフランジヒーター123)に、プリフォーム200を成形閾値温度まで加熱させることによって開始される。成形閾値温度は、例えば、80℃である。
プリフォーム200が成形閾値温度に到達した時、制御部は、駆動機器138に、複数の成形要素106および複数のフィラー要素を放射方向外方にレイアップ形態から成形形態(図3〜5および図6〜9)に移動させる。複数の成形要素106が、放射方向外方に移動するのに伴って、周方向の複数の隙間が、複数の成形要素106の間に形成され、複数のフィラー要素107は、これらの隙間に入り込むように伸びる。
フィラー部分107の雄型の突起164は、成形要素106の雌型の溝160に係合し、成形要素106の雄型の突起170は、フィラー要素107の対応する雌型の溝168に係合する。そのため、成形アセンブリ105が成形形態に移動するのに伴って、複数の成形要素106および複数のフィラー要素107が、軸方向に整列する。
フランジ成形部分106が放射方向外方に移動するのに伴って、プリフォームのフランジ領域208は、レイアップ表面120上をスライドし、第1フランジ成形表面122(すなわちフランジ成形部分106の背面)および第2フランジ成形表面156(すなわちフィラー部分107の背面)上に配置される。第1フランジ成形表面122および第2フランジ成形表面156は、ともに、実質的に連続的なフランジ成形表面を形成する。フランジ成形部分106の移動は、フランジ領域208をフランジ成形表面122、156と対抗する支持要素137のフランジ対向面140の周囲および間において塑性変形させる。そのため、部品の放射状フランジが成形される。
成形工程の間、プリフォームの体領域206は、ツール100の体部分104に対向する位置に実質的に留まり、対抗する支持要素137によって位置が保たれる。成形アセンブリ105は、成形工程の間にプリフォームに皺を形成することなく複合材料プリフォーム200の複数の層が互いに相対的に移動することを確実にするため、成形工程の間に、約120mm/時のようにゆっくりと移動するように構成されている。
フランジ成形工程が完了した後(図5、8、9)、制御部は、硬化工程を開始し、加熱機器に、成形されたフランジ領域および遷移領域を含むプリフォーム200を、少なくとも硬化閾値温度まで加熱させる。硬化閾値温度は、本実施形態では、135℃である。制御部は、不均衡な圧力が真空バッグを介してプリフォームに適用されるように、真空源をさらに制御する。
6時間の硬化期間の後、制御部は、ヒーターの電源をOFFにし、硬化したケース14を、ツール102上で冷却することができる。フランジ支持構造136は、ツール102から取り除かれ、真空バッグおよび関連する設備が、硬化した部品から取り除かれる。フランジアセンブリ105は、レイアップ形態に戻り、硬化したケース14は、ツールから取り除かれる。
次に、ケース14は、プリフォームにおいてフランジの所望の寸法を超えて伸びている全ての連続的な部分を取除くために、トリムされる。
本発明は、複数の成形要素の間に周方向に複数の隙間が形成されるという固有の問題にも関わらず、成形工程の間に成形要素を放射方向外方に移動させることによって、湾曲したフランジ状の部品をプリフォームから成形する。成形アセンブリのフィラー要素は、実質的に連続的なフランジ成形表面が提供されるように、複数の隙間のそれぞれに入り込むように構成されている。さらに、成形要素およびフィラー要素の補完的な機構は、フランジが、実質的に平面的な(すなわち放射方向に伸びる)所望の形状となるように、フランジ成形表面の軸方向の整列を改善する。そうしない場合は、特に、成形アセンブリの駆動機器の軸方向にある程度のがた(play)がある場合があり、がたがフランジ成形表面の軸方向の整列に影響を与える場合がある。例えば、複数のフィラー要素(ガイドブロックに当接している)とガイドレールの間の軸方向にがたがある場合があり、および/または、ガイドブロックと成形要素の間に、軸方向にがたがある場合があり、これらは、圧縮スプリングによって連結される。また、雄型および雌型の連結する突起および溝のような複数の要素の補完的な機構は、成形工程および成形形態の間、複数の成形要素を軸方向に整列させるのに役にたつ。
実質的に連続という表現は、2以上の表面によって規定される面の形状に段の変化がないことを意味することを意図としている。
Claims (15)
- 湾曲体および一体フランジを有する複合材料部品を、プリフォームから成形するためのツールであって、
レイアップ表面を備える湾曲体部分と、
レイアップ形態および成形形態を備える成形アセンブリと、を有し、
前記成形アセンブリは、
それぞれがレイアップ表面および第1フランジ成形表面を備えるとともに、放射方向外方に前記レイアップ形態から前記成形形態に移動可能であって、前記成形形態において周方向に互いに離間する複数の成形要素と、
それぞれが第2フランジ成形表面を備えるとともに、前記成形形態において実質的に連続的なフランジ成形表面を形成するように、複数の前記成形要素の間の周方向の隙間に入り込むように配置される複数のフィラー要素と、を有し、
隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれは、前記成形形態において、軸方向に互いに関連する前記要素を軸方向に整列させるために、互いに係合するように配置される補完的な機構を有し、
使用時に、プリフォームは、前記湾曲体部分および前記成形要素の前記レイアップ表面に載置され、前記成形形態への移動によって、前記プリフォームが前記連続的なフランジ成形表面および対抗する成形表面の間で変形される、ツール。 - 前記第1フランジ成形表面および前記第2フランジ成形表面は、少なくとも部分的に放射方向に伸びている、請求項1に記載のツール。
- 前記成形要素および前記フィラー要素は、ツールの軸の周囲に交互に配置される、請求項1または請求項2に記載のツール。
- 隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、前記成形形態において、0.25mmの公差内で、前記第1成形表面および前記第2成形表面が軸方向に整列するように配置される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のツール。
- 隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、前記成形要素および前記フィラー要素のそれぞれの側面に設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のツール。
- 隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、前記ペアの第1要素に形成されるとともに前記ペアの第2要素の対応する部分に係合するように配置され、第1の軸方向に沿う前記第1要素に対する前記第2要素の軸方向の移動を規制する少なくとも一つの肩部を有する、および付加的に、
隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、2つの反対の軸方向に沿う前記第1要素に対する前記第2要素の軸方向の移動を規制するように配置された少なくとも2つの前記肩部を有する、請求項1〜5に記載のツール。 - 隣り合う前記成形要素および前記フィラー要素のペアのそれぞれの前記補完的な機構は、雄型および雌型の連結機構を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のツール。
- 前記要素の前記ペアの第1要素は、雌型の溝を有し、前記ペアの第2要素は、前記雌型の溝に受容されるように配置される雄型の突起を有する、請求項7に記載のツール。
- 前記雄型の機構の構成材料は、前記雌型の機構の構成材料と異なる、または
前記雄型および雌型の機構の構成材料は、前記ペアを形成する前記成形および前記フィラー要素のそれぞれの残りの部分の構成材料と異なる、請求項7または請求項8に記載のツール。 - 前記要素のそれぞれは、前記要素の第1側面に設けられるとともに、第1の隣り合う要素の対応する雌型の機構に係合するための雄型の機構と、反対側の第2側面に設けられるとともに、前記要素の第2の隣り合う要素の対応する雄型の機構に係合する雌型の機構と、を有する、請求項7〜9のいずれか一項に記載のツール。
- 複数の前記成形要素の前記補完的な機構は、前記レイアップ形態において、前記成形要素の前記補完的な機構が前記成形要素が軸方向に整列されるように、互いに係合するように構成されている、請求項7〜10のいずれか一項に記載のツール。
- 前記成形アセンブリを前記レイアップ形態から前記成形形態に移動させるための駆動手段をさらに有し、前記駆動手段は、複数の駆動ユニットを備え、前記駆動ユニットのそれぞれは、少なくとも一つの前記成形要素を移動させるように配置されており、
前記駆動ユニットのそれぞれは、そのまたは各成形要素、および隣り合うフィラー要素を、前記レイアップ形態に対応するそれぞれの後退位置から前記成形形態に対応するそれぞれの伸展位置に、移動させるように構成されており、
前記駆動ユニットのそれぞれは、前記成形要素がそれぞれの成形位置に到達した後に、前記フィラー要素のそれぞれがそれぞれの成形位置に到達するように構成されており、
空動き連結部が、前記駆動ユニットと前記成形要素の間に設けられている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のツール。 - 環状または半環状の部品を成形するためのツールである、および/または、
ガスタービンエンジン用のケースを成形するためのツールである、請求項1〜12のいずれか一項に記載のツール。 - 湾曲体および一体湾曲フランジを有する複合材料部品を成形するための装置であって、
請求項1〜13のいずれか一項に記載のツールと、
前記ツールに受容された前記プリフォームを覆うように前記ツール上に取り外し可能に取り付け可能な対抗する支持体と、を有し、
前記対抗する支持体は、使用時に前記プリフォームの領域が前記成形アセンブリと前記対抗する支持体の間で変形して前記部品の前記フランジを成形するように、前記成形アセンブリの前記フランジ成形表面の反対側に配置された対抗する成形表面を備える、装置。 - 湾曲体および一体湾曲フランジを有する複合材料部品をプリフォームから成形する方法であって、
請求項14に記載の前記レイアップ形態にある装置の前記湾曲体部分および前記成形要素の前記レイアップ表面上にプリフォームを供給する工程と、
複数の前記成形要素が前記成形形態の複数の前記成形要素の複数の隙間に入り込み、実質的に連続的なフランジ成形表面を形成するように、前記成形アセンブリを前記レイアップ形態から前記成形形態に移動させる工程と、を有し、
それによって、前記プリフォームの領域は、前記一体フランジを成形するように、前記連続的な成形表面と前記対抗する成形表面の間で変形する、方法。
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