JP2018513049A - 共硬化による複合材料の補剛パネルの製造方法 - Google Patents

Abstract

本発明は補剛パネル（７１、７３）の製造方法に関し、該製造方法は、各々が予備含浸された複合材料の複数のプライを含む第１および第２の湿潤な外皮（５１、５３）を形成するステップと、予備含浸された材料の複数のプライを含む複数対の湿潤なストリンガ（１７、１９）を形成するステップであって、各ストリンガ対を形成することが、ａ）両端のフランジ間に延びる中央ウェブを有するアセンブリ（１５）の形成、及び、ｂ）１対のストリンガが形成されるべく、正中面（Ｐ）に沿ったアセンブリの切断、を含むステップと、取外し可能な支持部材（４０）を用いて、ストリンガ対を第１の外皮の上に配置するステップと、互いに上下に配置された１対のパネルが得られるように、第２の外皮を反転させ、かつそれを各ストリンガの対の上に配置するステップと、各パネルの対に同じ硬化サイクルを施すステップとを含む。【選択図】図１４

Description

本発明は概して、長手方向補剛要素（ストリンガ）が設けられた荷重支持面の航空用パネルの製造方法に関する。

公知の補剛パネル製造方法によれば、ストリンガは外皮とは別個に製造される。予備含浸された（preimpregnated）材料の一連のプライ（または層、ply）は圧延され、次いで一連のストリップを得るために裁断される。各ストリップは加熱成形処理を受け、それはストリップに予め定められた形の断面をもたらす。このように成形された要素は、湿潤な（wet）補剛要素が得られるように、別の成形要素と一体に組み付けられる。こうして得られた補剛要素は、オートクレーブにおける硬化サイクルを受ける。

重合され、あるいは「予備硬化された」ストリンガは、次いで、湿潤な外皮と一体に組み付けられる。こうして得られたアセンブリは、オートクレーブにおける２回目の最終的な硬化サイクルを受ける。

（特に無し）

本発明の１つの目的は、補剛パネルの製造における経常費用を低減することである。

この目的に鑑みて、本発明は、以下のステップ、
‐ 第１および第２の湿潤な外皮を形成するステップであって、前記第１および第２の外皮が各々、予備含浸された複合材料の複数のプライを含んで成るステップ、
‐ 複数対の湿潤なストリンガを形成するステップであって、各ストリンガが予備含浸された複合材料の複数のプライを含み、各対の湿潤なストリンガを形成するステップが、
ａ） 両端のフランジ間に延びる中央ウェブを有するアセンブリを形成すること、および
ｂ） １対の湿潤なストリンガが形成されるように、アセンブリを正中面（median plane）に沿って切断すること、
を含んで成るステップ、
‐ 事前にストリンガの対が配置された取外し可能な支持部材を用いて、湿潤なストリンガの対を第１の湿潤な外皮上に配置するステップ、
‐ 互いに上下に配置されかつそれぞれの湿潤なストリンガを備えた１対の湿潤なパネルが得られるように、第２の湿潤な外皮を反転させ、それを支持部材付きのストリンガの対の上に配置するステップ、および、
‐ 互いに上下に配置されかつそれぞれの湿潤なストリンガを備えた湿潤なパネル対に、同じ硬化サイクルを受けさせるステップ、
を含む補剛パネルの製造方法に関する。

本発明はまた、以下のステップ、
‐ 第１および第２の湿潤な外皮を形成するステップであって、前記第１および第２の外皮が各々、予備含浸された複合材料の複数のプライを含んで成るステップ、
‐ 複数の湿潤なアセンブリを形成するステップであって、各アセンブリが予備含浸された複合材料の複数のプライを含みかつ両端のフランジ間に延びる中央ウェブを有して成るステップ、
‐ 事前に湿潤なアセンブリが配置された取外し可能な支持部材を用いて、湿潤なアセンブリを第１の湿潤な外皮上に配置するステップ、
‐ 湿潤なボックスアセンブリが得られるように、第２の湿潤な外皮を反転させ、それを支持部材付きの湿潤なアセンブリの上に配置するステップ、
‐ 湿潤なボックスアセンブリに硬化サイクルを受けさせるステップ、および、
‐ １対の補剛パネルが形成されるように、硬化したボックスアセンブリを長手正中面に沿って半分に切断するステップ、
を含む補剛パネルの製造方法にも関する。

上に示した２つの方法の相違は、切断部品が２つの鏡面対称な要素に分割される切断ステップの異なる順序配置に関連する。

どちらの方法も、ボックスアセンブリを形成する前に、２つの湿潤な外皮の各々を、プライのホットコンパクション（「デバルキング（debulking）」）のための作業にかけることが可能である。

公知の方法と比較して、本発明に係る方法では、１つではなく、２つのパネルを同時に製造することが可能である。その上、外皮およびストリンガを同時に重合させるために、オートクレーブではワンパスが実行されるだけである。実際、本発明に係る方法は、同一出願人名義の欧州特許第０５８２１６０号明細書および欧州特許第２１７６０５８号明細書に記載されたマルチスパー主翼ボックスの製造方法に係る補剛パネルの独創的な適応を構成するものである。

次に、本発明の複数の好適であるが非限定的な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。

それぞれの一連のストリンガを製造するために、予備含浸された材料のプライの積層配列によって各々形成された２つのシートの簡易平面図を示す。 各々が一連のストリップを形成するように切断された２つのシートを示す。 Ｃ形断面を持つ２つの要素を作製するために加工が施された、図２に係るストリップの２つを示す。 Ｃ形断面を持つ２つの要素を作製するために加工が施された、図２に係るストリップの２つを示す。 二重Ｔ形断面を持つアセンブリが作製されるように、反転されかつ別のＣ形要素の上に配置されたＣ形要素を示す。 二重Ｔ形断面を持つアセンブリが作製されるように、反転されかつ別のＣ形要素の上に配置されたＣ形要素を示す。 上マンドレルの取外しを示す。 １対の湿潤なストリンガが形成されるように二重Ｔ形アセンブリを切断する状態、およびこれらのストリンガ間にセパレータ要素を配置する状態を示す。 １対の湿潤なストリンガが形成されるように二重Ｔ形アセンブリを切断する状態、およびこれらのストリンガ間にセパレータ要素を配置する状態を示す。 支持部材上に１対の湿潤なストリンガを配置する状態を示す。 支持部材上に１対の湿潤なストリンガを配置する状態を示す。 湿潤な外皮を作製するために、予備含浸された材料のプライの積層配列によって形成されるシートの簡易平面図を示す。 支持部材付きのストリンガの対を第１の外皮上に配置する状態を示す。 １対の湿潤なパネルを製造するために、ストリンガの対の上に第２の外皮を配置する状態を示す。 湿潤なパネル付きモールドをオートクレーブ内に導入する状態を示す。 第２の硬化したパネルを第１の硬化したパネルに対して持ち上げ、かつ反転させる状態を示す。 第２の硬化したパネルを第１の硬化したパネルに対して持ち上げ、かつ反転させる状態を示す。 硬化したパネルのストリンガに沿ってカットエッジをトリミングする状態を示す。

本発明に係る方法は、補剛パネル、特に主翼または尾翼のパネル、例えば中央および外側主翼ボックスのパネル、または垂直安定板のパネルの製造用に意図されている。

補剛パネルは従来、外皮と、外皮に接合された複数の長手方向補剛要素、つまりストリンガとを含む。外皮およびストリンガは、以下に明記する方法を用いて、プリプレグの層を一体に接合することによって得られる。本発明の目的においては、用語「プリプレグ」とは、強化ファイバとこれらのファイバが浸漬された樹脂マトリクスとを含む半製品という従来通りの意味に理解される。ファイバは様々な構成に、例えば単方向層に、互いに異なる配向を有する２層に、または織布のように配置されてよい。プリプレグは一般的にストリップ（細長片）の形で作成され、ロール状に巻回される。

図１は、予備含浸された材料のプライの積層配列によって各々形成された２つのシート１１、１３を示す。これらの積層配列の各々は、従来の方法で、様々なプライを所望の配列に、一般的に隣接層のファイバを異なる配向にして、それぞれのモールド（図示せず）上に連続的に堆積させることによって得られる。

ストリンガを作成するために、各シート１１、１３は所望の寸法を持つストリップ１１ａ、１３ａに裁断される（図２）。

図３〜図１１は、ストリンガを作製するためのステップを示す。本発明の目的においては、ストリンガを得るためのプロセスのタイプも、ストリンガの特定の形状も重要ではない。しかし、重要なことは、上述したプロセスのステップの最後に得られるストリンガが湿潤であること、すなわち、それらを形成する予備含浸された材料の樹脂マトリクスが重合されていないこと、および長手正中面に沿って単一のボックスから分離することによって各パネルが得られることである。

図２および図３は、完全に平坦なプリプレグストリップ１１ａ、１３ａからＣ形断面を有する前駆要素１１ｂ、１３ｂが得られるプロセスのステップを示す。全体的に２０で表される成形工具は、その側面の１つに沿って平坦な剛性板２２上に配置される、全体的に矩形断面を持つ細長いマンドレル（または心棒、軸棒、mandrel）２１を含む。プリプレグストリップ１１ａ、１３ａは最初マンドレル２１上に配置され、それは、フランジ（すなわち端フィン）を折り曲げる作業中にパッカリングを生じることなくプリプレグ層の相対的摺動を可能にする温度値にシートを加熱する、赤外線ランプ（図示せず）を備えた熱成形装置内に導入される。ひとたび所望の温度に達すると、真空が適用される。ストリップ１１ａ、１３ａに装着され、板２２上で封止された空のバッグ（図示せず）は次いで、適用された真空の作用により下方に収縮して、ストリップ１１ａ、１３ａの「フィン」を下方に折り曲げさせ、マンドレル２１の形状を複製する。当初平坦であった各ストリップはこうして、熱成形プロセスによって端部フランジ１１ｃ、１１ｄ、１３ｃ、１３ｄを有し、Ｃ形断面を備える（図４）。

こうして得られた２つの前駆要素１１ｂ、１３ｂは次いで、図５〜図７に示すように、互いに上下に配置される。２つの前駆要素の一方、図における１３ｂは、それを支持する成形工具２１を反転させることによって反転され（図５）、この反転後の構成では、他方の前駆要素である１１ｂの上に配置され、結果的にそれぞれの中央ウェブ１１ｅ、１３ｅの間の接着が生じる（図６）。したがって、２つの前駆要素１１ｂ、１３ｂは、二重Ｔ形断面を有するアセンブリ（組立体）１５を形成する。最終的に、反転された上部前駆要素１３ｂに関連付けられる成形工具２１は取り外され、したがって頂部に露出した反転後の前駆要素１３ｂが残る。

図８は切断作業を示す。例えば超音波切削を実行するための種類の切削工具３０を用いて、各々がＴ形断面を有する１対の分離した湿潤なストリンガ１７、１９が形成されるように、二重Ｔ形アセンブリ１５は正中面Ｐに沿って長手方向に切断される。湿潤なストリンガ１７、１９が製造プロセスの後続ステップ中に偶発的に互いに接触するのを防止するために、セパレータ要素３１が、切削作業によって得られた湿潤なストリンガ１７、１９の間のスリット内部に挿入される（図９）。

残りの成形工具２０は次いで取り外され、１対の湿潤なストリンガ１７、１９（セパレータ要素３１付き）は、ストリンガの輪郭を複製するように成形された表面を有する支持部材４０上に配置される（図１０および図１１）。支持部材４０は、それらが支持する構成部品の未硬化の予備含浸された材料のための支持体として働く。

図１２は、予備含浸された材料のプライの積層配列によって形成されたシート５１を示す。この積層配列は従来の方法で、様々なプライをそれぞれのモールド（図示せず）上に、所望の配列で、一般的に隣接する層のファイバの配向が異なるように、連続的に堆積させることによって得られる。図１４以降に示される第２のシート５３は、同様の方法で形成される。２つのシート５１、５３のためのモールドは、シェル装置、例えば欧州特許第０５８２１６０号明細書に記載されたものと同様の装置の２つの半体６１、６３（図１５に示す）から構成されてよい。

シート５１、５３はそれぞれの補剛パネルの外皮を形成するように意図されている。したがって、以下ではそれらを「外皮」と呼ぶ。

図１３〜図１８は、補剛パネルを作製するためのステップを示す。

上述したプロセスステップに従って作製された湿潤なストリンガ１７、１９は、対応するモールド半体上に配置された第１の外皮５１上に組み付けられる（図１３）。特に、湿潤なストリンガの対は、図で１７により示される各対の底部ストリンガがその底部フランジ１１ｃ、１３ｃによって第１の外皮５１と接触状態に配置されるように配置され、かつ支持部材４０は、ストリンガ１７および１９のウェブならびに第１の外皮５１と接触しない上部ストリンガ１９のフランジ１１ｄ、１３ｄを支持するように、隣接対の湿潤なストリンガの間に配置される。

ひとたび上述した構成部品が第１のモールド半体上に配置されると、第２の外皮５３は、前記外皮が配置されている第２のモールド半体上で反転することによって反転され、各対の上部ストリンガ１９のフランジ１１ｄ、１３ｄと接触状態で湿潤なストリンガ１７、１９の対上に配置される（図１４）。互いに上下に鏡面対称的に配置された１対の湿潤なパネル７１、７３は、このようにして形成される。

上に示したステップに従って得られた湿潤なパネル７１、７３の対は、シェル装置６１、６３内部に挿置された後、外皮５１、５３およびストリンガ１７、１９のコンソリデーションおよび同時硬化（共硬化）を達成するように意図された硬化サイクルのためにオートクレーブ８０内に導入される（図１５）。

装置をオートクレーブから取り出した後、上部モールドは、第２のパネル７３の取外しおよび反転により、硬化したパネル７１、７３が互いに分離されるように、反転される（図１６および図１７）。

パネル７１、７３の各ストリンガ１７、１９のウェブに存在するカットエッジ（切断縁部）は、トリミング装置９０によるトリミングを受ける（図１８）。

こうして得られたパネルは、外周のフライス削り、非破壊検査、寸法検査、および様々な仕上げ作業のような、本質的に従来通りのさらなる機械加工ステップを受けてよい。

本発明に係る方法の代替的実施態様によれば、二重Ｔ形断面を有するアセンブリ１５を形成するために、Ｃ形前駆要素１１ｂ、１３ｂがそれらの中央ウェブに沿って一体に接合された後、アセンブリ１５の即時の長手方向切断は実行されない。この場合、二重Ｔ形アセンブリ１５は外皮５１および５３と一体に組み付けられ、図１０〜図１５に関連して記載したのと同様の方法で、それらと共硬化される。外皮５１、５３および二重Ｔ形アセンブリ１５によって形成された硬化ボックスアセンブリがオートクレーブから取り出された後、硬化ボックスアセンブリは、補剛パネルの対が形成されるように、アセンブリの長手正中面に沿って２つに切断される。

１１ シート
１１ａ ストリップ
１１ｂ 前駆要素
１１ｃ 端部フランジ
１１ｄ 端部フランジ
１１ｅ 中央ウェブ
１３ シート
１３ａ ストリップ
１３ｂ 前駆要素
１３ｃ 端部フランジ
１３ｄ 端部フランジ
１３ｅ 中央ウェブ
１５ アセンブリ
１７ ストリンガ
１９ ストリンガ
２０ 成形工具
２１ マンドレル（心棒、軸棒、mandrel）
２２ 板
３０ 切削工具
３１ セパレータ要素
４０ 支持部材
５１ シート（第１の外皮）
５３ シート（第２の外皮）
６１ 半体（シェル装置）
６３ 半体（シェル装置）
７１ パネル
７３ パネル
８０ オートクレーブ
９０ トリミング装置
Ｐ 正中面

Claims (4)

1. 補剛パネル（７１、７３）の製造方法であって、以下のステップ、即ち、
   第１および第２の湿潤な外皮（５１、５３）を形成するステップであって、前記第１および第２の外皮が各々、予備含浸された複合材料の複数のプライを含んで成る、ステップと、
   複数対の湿潤なストリンガ（１７、１９）を形成するステップであって、各ストリンガが予備含浸された複合材料の複数のプライを含み、各対の湿潤なストリンガを形成するステップが、
   ａ） 両端のフランジ（１１ｃ、１３ｃ；１１ｄ、１３ｄ）の間に延びる中央ウェブ（１１ｅ、１３ｅ）を有するアセンブリ（１５）を形成すること、および、
   ｂ） 対となる湿潤なストリンガ（１７、１９）が形成されるように、前記アセンブリ（１５）を正中面（Ｐ）に沿って切断すること、
   を含んで成るステップと、
   前記対をなすストリンガ（１７、１９）が予め配置された取外し可能な支持部材（４０）を用いて、前記対をなす湿潤なストリンガ（１７、１９）を前記第１の湿潤な外皮（５１）上に配置するステップと、
   互いに上下に配置され、かつ、それぞれの湿潤なストリンガ（１７、１９）を備えた１対の湿潤なパネル（７１、７３）が得られるように、前記第２の湿潤な外皮（５３）を反転させ、かつそれを前記支持部材（４０）付きの前記対をなすストリンガ（１７、１９）上に配置するステップと、
   互いに上下に配置され、かつ、それぞれの湿潤なストリンガ（１７、１９）を備えた前記対をなす湿潤なパネル（７１、７３）に同じ硬化サイクルを施すステップと、
   を含むことを特徴とする、補剛パネルの製造方法。
2. それぞれ対をなす湿潤なストリンガ（１７、１９）を形成することが、
   Ｃ形断面を有する１対の前駆要素（１１ｂ、１３ｂ）を形成すること、
   二重Ｔ形断面を有するアセンブリ（１５）が形成されるように、前記前駆要素（１１ｂ、１３ｂ）をそれらの中央ウェブ（１１ｅ、１３ｅ）で一体に接合すること、及び、
   前記アセンブリ（１５）を長手方向に切断して、各々がＴ形断面を有する１対の湿潤なストリンガ（１７、１９）を形成すること、
   を含むものである、請求項１に記載の補剛パネルの製造方法。
3. 補剛パネル（７１、７３）の製造方法であって、以下のステップ、即ち、
   第１および第２の湿潤な外皮（５１、５３）を形成するステップであって、前記第１および第２の外皮が各々、予備含浸された複合材料の複数のプライを含んで成る、ステップと、
   複数の湿潤なアセンブリ（１５）を形成するステップであって、各アセンブリが予備含浸された複合材料の複数のプライを含み、かつ両端のフランジ（１１ｃ、１３ｃ；１１ｄ、１３ｄ）の間に延びる中央ウェブ（１１ｅ、１３ｅ）を有して成る、ステップと、
   前記湿潤なアセンブリ（１５）が予め配置された取外し可能な支持部材（４０）を用いて、前記湿潤なアセンブリ（１５）を前記第１の湿潤な外皮（５１）の上に配置するステップと、
   湿潤なボックスアセンブリが得られるように、前記第２の湿潤な外皮（５３）を反転させ、かつそれを前記支持部材（４０）付きの前記湿潤なアセンブリ（１５）上に配置するステップと、
   前記湿潤なボックスアセンブリに硬化サイクルを施すステップと、
   １対の補剛パネルが形成されるように、前記硬化したボックスアセンブリを長手正中面（Ｐ）に沿って半分に切断するステップと、
   を含むことを特徴とする、補剛パネルの製造方法。
4. 前記各湿潤なアセンブリ（１５）を形成することが、
   Ｃ形断面を有する１対の前駆要素（１１ｂ、１３ｂ）を形成すること、および
   二重Ｔ形断面を有するアセンブリ（１５）が形成されるように、前記前駆要素（１１ｂ、１３ｂ）をそれらの中央ウェブ（１１ｅ、１３ｅ）で一体に接合すること、
   を含む、請求項３に記載の補剛パネルの製造方法。

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