JP2018511894A - コンテキスト認識型ケアフローエンジン、プラットフォーム、装置、システム、方法及びコンピュータ可読媒体 - Google Patents

Abstract

本発明は、最適な患者ケアを提供するという目的で患者に向けられるインプロセスプロトコルのためのコンテキスト又はコンテキスト認識をケアフローに提供するシステムに関する。コンテキスト認識は、患者の内部情報又は外部情報とすることができる情報に基づき、このような情報は、医療情報及び非医療情報の両方を含む。【選択図】 図３

Description

〔優先権〕
本出願は、２０１５年４月１６日に出願された、先願である米国仮特許出願第６２／１４８，４６８号の利益を主張する。

本発明は、一般に患者中心型及び／又はコンテキスト認識型のケアフローエンジン、プラットフォーム、装置、システム、方法、コンピュータ可読媒体及び／又は協調環境に関する。

患者ケアを改善して臨床転帰を追跡することは世界的な優先事項である。このような患者ケア及び臨床転帰の改善及び追跡方法として、いわゆる「根拠に基づく」医療（例えば、個々の患者のケアに関する決定を下す際に、良心的かつ明確に最新最良の医学知見を用いること）が広く推進されてきた。しかしながら、現在の医療制度では、最良の患者ケアに関する科学的知見が臨床診療法及び臨床ガイドラインに系統的に又は迅速に適用されていないことがある。最良の診療に関する有力な科学的根拠及び高度な専門家の総意が存在し得るこのような臨床診療法及び臨床ガイドラインに結果としてばらつきがあるということは、現在の普及努力が多くの医師及び患者に届いておらず、このような臨床診療法及び臨床ガイドラインの迅速な採用を推進するツール及び動機が不十分であることを示す。

臨床ガイドライン及び臨床診療法は、患者ケアマネジメントにとって最良の診療を規定する目的で、医療チームの活動を包括的に記述する。適切な臨床診療法及び臨床ガイドラインの支援に関して医療作業の行動的側面に重点を置くことを「ケアフロー」と呼ぶことができる。ケアフローシステム及び方法は、臨床分野におけるワークフローコンセプトを実装する。このようなケアフローは、異なる動作主体（すなわち、医師、技術者、患者など）が実行できる複数のタスクを協調的に実行することを伴う。これらのタスクは、各アプリケーションが開発されているいずれかの医療コンテキスト、又は他のケア固有のパラメータのために特別に作成された手動的なもの又は自動的なものとすることができる。

ＰＣＴ／ＣＡ２０１２／００１０６６

ケアプロバイダの医療チームの活動は、利用可能な最良の診療の医療知識に基づいて適切に設計されたプロセス内で協調すべきである。これには、医療組織内でケアプロセスの管理を再考することが必要になり得る。現在のワークフロー技術は、このような協調システムを構築するための最も便利なソリューションを提供しているように思える。しかしながら、その現在の弱点のいくつかは、実際の医療業務における活用を可能にするソリューションを発見するために依然として懸命な研究努力を必要とする。

医療提供者は、最適なケアを提供するために、（ａ）患者の症状及び医療コンテキストに関する総合的な情報、（ｂ）周到な結論を下すためにこの情報を吟味する時間、及び（ｃ）臨床管理上の決断を下すための、標準化された根拠に基づくプロトコルについての深い知識を必要とする。しかしながら、実際には、医療提供者及びユーザ（開業医、技術者、患者など）は、（ａ）部分的な情報（履歴が利用できない場合には直接的に収集された情報、或いは患者の履歴が複数の統合されていない電子記録システムに散在している可能性がある場合には部分的な情報）にしかアクセスできず、（ｂ）次の患者に移行するための時間的制約下にあり、（ｃ）最新のプロトコルに不慣れであり、及び／又は複数の医療機能、施設及び時間に及ぶものについては言うまでもなく、単一の臨床的エンカウンタについて手引きするしばしば複雑なプロトコルさえ順守できていないことがある。

これらの全ての問題点は、ケアが病院外に出て分散施設に向かい、最新の記録（例えば、電子記録）、臨床決定サポートツール及び同僚に接する機会がさらに少なくなるにつれてますます顕著になる。極端な田舎の又は発展途上中の国における低リソース設定の限界は、これらの課題をさらに悪化させる。

さらに、プロトコルは、インプロセス指針を与えるコンテキスト固有の情報によって補完された時にさらにいっそう効果的になる。患者ケア相互作用中には、様々なソースから得られるこのようなコンテキスト固有の情報（例えば、家族及び個人の履歴、旅行履歴、以前の病歴など）が重要となり得る。適切な時点に患者ケアを強化できる形でこの情報を提供することが重要となり得る。

この結果、１又は２以上の患者中心の及び／又はコンテキスト認識型のケアフローエンジン、プラットフォーム、装置、システム、方法、コンピュータ可読媒体及び／又は協調環境に対するニーズが存在し、又はこれらを提供することが望ましいと考えられる。

本発明の目的は、先行技術に関連する１又は２以上の不利点及び／又は欠点を除去又は軽減し、１又は２以上のニーズ及び／又は利点を満たし又はこれらに備え、及び／又は本発明の１又は２以上の目的を達成することとすることができ、これらの目的のうちの１つ又は２つ以上は、本発明の教示及び／又は開示に照らして当業者が容易に理解でき、及び／又は当業者に容易に提案できることが好ましい。

本開示は、医療サービスを協調させる方法、コンピュータ可読媒体及びシステムを提供する。具体的には、本発明の実施形態は、インプロセス患者ケアマネジメントのためのコンテキスト認識システムであって、（ａ）ネットワークと通信し、患者の共有患者記録と、患者の症状を治療するための少なくとも１つの患者ケアフローとを記憶するように構成された第１のデータベースと、（ｂ）ネットワークと通信し、ネットワークから共有患者記録と少なくとも１つの患者ケアフローとを受け取って、臨床ケアフローを作成するために共有患者記録のコンテキストにおいてケアフローを分析するように構成されたケアフローエンジンと、（ｃ）ネットワークと通信し、ケアフローエンジンから臨床ケアフローを受け取って、患者の治療時間中又は治療時間前に患者と同じ場所に存在する医療提供者に臨床ケアフローを通信するように構成された通知エンジンと、（ｄ）ネットワークと通信し、医療提供者のための医療提供者インターフェイスを介して臨床ケアフローを医療提供者に表示して、臨床ケアフローを用いて患者の症状の治療を誘導するように構成されたネットワーク対応装置と、を含むシステムに関する。

本発明の別の実施形態では、インプロセス患者ケア中にコンテキスト認識を提供する方法であって、（ａ）患者の電子記録と、患者の症状を治療するための少なくとも１つの患者ケアフローを、ネットワークと通信する第１のデータベースに記憶するステップと、（ｂ）患者の電子記録と少なくとも１つの患者ケアフローとを、ネットワークと通信するケアフローエンジンにネットワークを介して送信し、ケアフローエンジンが、患者の電子記録のコンテキストにおいてケアフローを分析して臨床ケアフローを作成するステップと、（ｃ）臨床ケアフローを、ネットワークと通信する通知エンジンにネットワークを介して送信し、通知エンジンが、臨床ケアフローを、患者の治療時間中又は治療時間前に、患者とのインプロセスにある医療提供者のネットワーク対応装置に送信するステップと、（ｄ）患者の症状の治療を誘導する医療提供者のネットワーク対応装置の医療提供者インターフェイスを介して、臨床ケアフローを医療提供者に表示するステップと、を含む方法を提供する。

本発明のさらに別の実施形態では、インプロセス患者ケア中にコンテキスト認識を提供するための実行可能命令を符号化された非一時的コンピュータ可読媒体であって、実行可能命令が、（ａ）患者の電子記録と、患者の症状を治療するための少なくとも１つの患者ケアフローを、ネットワークと通信する第１のデータベースに記憶するためのコードと、（ｂ）患者の電子記録と少なくとも１つの患者ケアフローとを、ネットワークと通信するケアフローエンジンにネットワークを介して送信し、ケアフローエンジンが、患者の電子記録のコンテキストにおいてケアフローを分析して臨床ケアフローを作成するためのコードと、（ｃ）臨床ケアフローを、ネットワークと通信する通知エンジンにネットワークを介して送信し、通知エンジンが、臨床ケアフローを、患者の治療時間中又は治療時間前に、患者とのインプロセスにある医療提供者のネットワーク対応装置に送信するためのコードと、（ｄ）患者の症状の治療を誘導する医療提供者のネットワーク対応装置の医療提供者インターフェイスを介して、臨床ケアフローを医療提供者に表示するためのコードと、を含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。

本発明の好ましい実施形態では、上述したシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、患者ケアフローが治療ワークフローをさらに含む。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、共有患者記録が電子健康記録をさらに含む。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、電子健康記録が電子医療記録をさらに含む。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、共有患者記録が、患者固有の医療情報及び非医療情報をさらに含む。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、患者固有の医療情報及び非医療情報が、患者とのエンカウンタを有する医療提供者、内部患者因子及び外部患者因子から成る群から選択される。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、内部患者因子が患者の医療履歴を含む。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、外部患者因子が、地理情報、ソーシャルメディア情報、非医療個人情報を含む。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステムにおいて、治療ワークフローが、臨床診療プロトコル又はガイドラインを含む。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、ケアフローエンジンが、患者ケアフロー及び共有患者記録を評価して、患者の症状の治療における次の治療ワークフローを決定する。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、ケアフローエンジンが、患者ケアフロー及び共有患者記録を評価して、患者ケアフローからの逸脱が生じたかどうかを判断する。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、ケアフローエンジンが、専用データベース、伝染病データベース、医療記録データベース、ＵＮ及び主要／国際医療機関データベース、医療及び救急インフラデータベース、教育及び経済データベース、ニュースデータベース、人口統計データベース、通信及び軍事インフラデータベース、並びに気象、旅行、地形データベースから成る群から選択される第２のデータベースからデータを受け取るように構成される。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、通知エンジンが、臨床ケアフローを匿名化し、匿名化された臨床ケアフローを、患者ケアフローの責任を負う行政機関又は非行政機関に通信するように構成される。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、医療提供者が、一次診療医、診療看護師、クリニック、病院、医師助手、セラピスト、専門医、保険業者、医療保険支払人、薬剤師、責任ある医療組織（ＡＣＯ）、及びホスピス提供者から成る群から選択される。

本発明のさらに好ましい実施形態では、上述のシステム、方法又はコンピュータ可読媒体において、第１のデータベース、第２のデータベース、ケアフローエンジン、通知エンジン及びネットワーク対応装置が、電子メール、ショートメッセージサービス（ＳＭＳ）、セキュアモバイルメッセージング、ウェブフック、システムダッシュボード、相互作用型音声応答のうちの少なくとも１つを使用してセキュアに通信するように構成される。

本発明の現在のところ好ましい実施形態を一例として示すことができる以下の図面からは、本発明によるシステム、装置及び方法の特徴と考えられる新規の特徴を、その構造、機構、使用及び動作方法、並びにそのさらなる目的及び利点に関してさらに理解することができる。しかしながら、図面は例示及び説明を目的とするものにすぎず、本発明の範囲を定義するものではないと明確に理解される。

本発明の実施形態の概略図である。 本発明の別の実施形態の概略図である。 本発明のさらに別の実施形態の概略図である。 本発明のさらに別の実施形態のフローチャートである。 本発明のさらに別の実施形態の概略図である。

以下の説明、並びに本明細書で説明する実施形態は、本発明の原理の特定の実施形態の１又は複数の例を示すものとして提供することができる。これらの例は、説明目的で提供するものであり、これらの原理及び本発明を限定するためのものではない。説明では、明細書及び図面全体を通じて、同じ要素に同じそれぞれの参照数字を付す。図面は必ずしも縮尺通りでなく、場合によっては本発明のいくつかの実施形態及び特徴をより明確に示すために比率を誇張していることもある。

本明細書では、本開示をその様々な態様によるシステムアーキテクチャ、方法のブロック図及びフローチャート図、及びコンピュータプログラム製品に関して説明することができる。ブロック図及びフローチャート図の各機能ブロック、並びにブロック図及びフローチャート図における機能ブロックの組み合わせは、それぞれコンピュータプログラム命令によって実装できると理解することができる。

これらのコンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置にロードして機械を生産することにより、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行される命令が、フローチャートの１又は複数のブロック内に指定される機能を実装する手段を生み出すようにすることができる。また、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置に特定の形で機能するように指示することができるこれらのコンピュータプログラム命令をコンピュータ可読メモリに記憶することにより、コンピュータ可読メモリに記憶された命令が、フローチャートの１又は複数のブロック内に指定される機能を実装する命令手段を含む製造の物品を生み出すようにすることもできる。また、これらのコンピュータプログラム命令をコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置上にロードし、これらのコンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で一連の動作ステップが行われるようにしてコンピュータ実装処理を生成することにより、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行される命令が、フローチャートの１又は複数のブロック内に指定される機能を実装するステップをもたらすようにすることもできる。

従って、ブロック図及びフロー図の機能ブロックは、指定された機能を実行する手段の組み合わせ、指定された機能を実行するステップの組み合わせ、及び指定された機能を実行するプログラム命令手段をサポートする。ブロック図及びフローチャート図の各機能ブロック、並びにブロック図及びフローチャート図の機能ブロックの組み合わせは、指示された機能又はステップを実行する専用ハードウェアベースのコンピュータシステム、或いは専用ハードウェアとコンピュータ命令との適切な組み合わせによって実装できると理解することもできる。

以下、本開示を様々な実施形態で実装する例示的なシステムの観点から本開示を説明することができる。この説明は便宜的なものにすぎず、本開示の用途を限定するものではない。当業者には、本開示を別の実施形態で実装する方法が明らかであると考えられる。

本開示では、いくつかの用語及び略語を使用することができる。以下、このような用語及び略語の詳細な定義及び説明を行う。

当業者であれば、本明細書で使用する「含む・備える（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」という用語は、言及する特徴、整数、ステップ又はコンポーネントが特許請求の範囲に示すものとして存在することを意味するものであるが、１又は２以上の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネント又はこれらの群の存在又は追加を排除するものではないと一般に理解することができる。

当業者であれば、本明細書で使用する「医療提供者（ｈｅａｌｔｈｃａｒｅ ｐｒｏｖｉｄｅｒ）」という用語は、一群の医療従事者（「ＨＣＷ」）、並びに、以下に限定するわけではないが、一次診療医、診療看護師、クリニック、病院、医師助手、セラピスト、専門医、医療技術者、保険業者、医療保険支払人、薬剤師、責任ある医療組織（ＡＣＯ）、ホスピス提供者などを含む患者ケア、エンカウンタ及び医療事象に直接的又は間接的に関与する他者を意味するものであると一般に理解することができる。

また、本発明は、プロセス、方法、装置、システム、デバイス、方法、又はコンピュータ可読記憶媒体などのコンピュータ可読媒体、或いはネットワーク（例えば、光又は電子通信リンク）を介してプログラム命令が送信されるコンピュータネットワークとしての実装を含む数多くの方法で実装することもできると理解されたい。本明細書では、これらの実装、又は本発明が取り得る他のいずれかの形態をプロセスと呼ぶことができる。一般に、開示するプロセスのステップ順は、本発明の範囲内で変更することができる。

本発明の好ましい実施形態は、本明細書で説明する原理に基づく実装の選択に応じて数多くの構成で実装することができる。様々な特定の態様を開示するが、これらは例示的な実施形態であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。本開示の１つの態様は、患者ケアのコンテキストにおけるコンテキスト認識及び相互運用のためのデータ駆動方法、コンピュータプログラム製品、装置及びシステムのためのものである。本明細書では、実施形態に実装されるコンポーネント及び機能について、当業者に周知の規格及びプロトコルを参照しながら説明するが、本開示及び本発明の実施形態は、いずれの特定の規格又はプロトコルにも限定されるものではない。インターネット及び他の形のコンピュータネットワーク送信（例えば、ＴＣＰ／ＩＰ、ＵＤＰ／ＩＰ、ＨＴＭＬ及びＨＴＴＰ）を含む非モバイルコンピューティング及びモバイルコンピューティングのための各規格は、最先端技術の例を表す。このような規格は、基本的に同じ機能を有するさらに高速又は効率的な同等物に定期的に取って代わられる。従って、同じ機能を有する代替規格及びプロトコルは同等物と見なされる。

当業者であれば一般に理解するように、インターネットは、通信リンクを介して相互接続された膨大な数のコンピュータ及びコンピュータネットワークを含む世界的なコンピュータネットワークである。当業者であれば、本発明の電子通信ネットワークは、以下に限定するわけではないが、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ピアツーピア通信、イントラネット又はインターネットのうちの１つ又は２つ以上を含むことができると理解することができる。相互接続されたコンピュータは、以下に限定するわけではないが、電子メール、Ｇｏｐｈｅｒ、ウェブサービス、アプリケーションプログラミングインターフェイス（ＡＰＩ）、ファイル転送プロトコル（ＦＴＰ）を含む様々なサービスを使用して情報を交換する。このネットワークでは、サーバコンピュータシステム（ウェブサーバ）が、グラフィカルな情報ウェブページをリモートクライアントコンピュータシステムに送信することができる。この時、リモートクライアントコンピュータシステムは、自機のウェブブラウザを介してウェブページを表示することができる。「ワールドワイドウェブ」（「ＷＷＷ」）の各ウェブページ（又はリンク）は、ユニフォームリソースロケータ（ＵＲＬ）によって一意的に識別することができる。特定のウェブページを見るには、クライアントコンピュータシステムが、そのウェブページのＵＲＬを要求（例えば、ハイパーテキスト転送プロトコル（「ＨＴＴＰ」）要求）の形で指定する。この要求は、ウェブページをサポートするウェブサーバに転送される。ウェブサーバは、要求を受け取ると、クライアントコンピュータシステムにウェブページを送信する。クライアントコンピュータシステムは、ウェブページを受け取ると、通常はブラウザを使用してウェブページを表示する。ウェブブラウザ又はブラウザは、ウェブページの要求、ウェブページの表示及びウェブベースアプリケーションの使用を引き起こす特殊用途向けのアプリケーションプログラムである。市販のブラウザとしては、とりわけＭｉｃｒｏｓｏｆｔ Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｅｘｐｌｏｒｅｒ及びＦｉｒｅｆｏｘ、Ｇｏｏｇｌｅ Ｃｈｒｏｍｅが挙げられる。本発明の実施形態では、あらゆるブラウザが適していると理解することができる。

当業者であれば、「モノのインターネット（ＩｏＴ）」又は「ＩｏＴ装置」についての言及は、ネットワーク化又は相互接続された物を意味するが、日常的な物、より技術的な目的を有する物（すなわち、医療装置）及び装置に限定されるものではないと一般に理解するであろう。ＩｏＴは、このような全ての接続装置を相互接続することを目的とするセンサの自己構成型無線ネットワークと呼ばれている。この概念は、当時マサチューセッツ工科大学（ＭＩＴ）に本拠地を置いていた、１９９９年に設立された元のＡｕｔｏ−ＩＤセンタに起因することができる。

通常、ウェブページは、ＨＴＭＬを用いて定義される。ＨＴＭＬは、どのようにウェブページを表示するかを定義する標準的な一連のタグを提供する。プロバイダがブラウザにウェブページを表示するように指示すると、ブラウザは、ウェブページを定義するＨＴＭＬ文書をクライアントコンピュータシステムに転送する要求をサーバコンピュータシステムに送信する。要求したＨＴＭＬ文書がクライアントコンピュータシステムによって受け取られると、ブラウザは、ＨＴＭＬ文書に定義される通りにウェブページを表示する。ＨＴＭＬ文書は、テキスト、グラフィクス、コントロール及びその他の機能の表示を制御する様々なタグを含む。ＨＴＭＬ文書は、そのサーバコンピュータシステム又は他のサーバコンピュータシステム上で利用できる他のウェブページのＵＲＬを含むこともできる。

当業者であれば、ウェブベースアプリケーションとは、装置のメモリ内に存在するのではなく、ＨＴＴＰを用いたネットワーク接続を介してアクセスされるあらゆるプログラムを意味するものであると一般に理解することができる。ウェブベースアプリケーションは、多くの場合ウェブブラウザ又はウェブポータル内で実行される。ウェブベースアプリケーションは、プログラムのごく一部がユーザのデスクトップにダウンロードされるが、処理はインターネットを介して外部サーバ上で行われる、クライアントベースとすることもできる。ウェブベースアプリケーションは、スマートフォン又はタブレットなどのインターネット対応装置にインストールされた専用プログラムとすることもできる。当業者であれば、ウェブサイトはウェブポータルとして機能することもできると理解することができる。ウェブポータルは、一群のウェブサイト又はウェブベースアプリケーションを介してユーザに様々なサービスを提供するウェブサイトとすることができる。ポータルは、ほとんどの場合、様々なソースから同様の形で情報を寄せ集める１つの特別に設計されたサイト又はアプリケーションである。通常、各情報ソースは、ページ上に情報を表示するための専用エリア（ポートレット）を獲得し、どれを表示するかはユーザが構成できることが多い。通常、ポータルは、ユーザがシステムに情報を入力する機会を与える。ポータルの変形例としては、「ダッシュボード」が挙げられる。コンテンツが「同様の形」で表示される度合いは、対象のユーザ、対象とする目的、及びコンテンツの多様性に依存することができる。設計は、コンテンツの提示、選択された実装フレームワーク及び／又はコードライブラリを構成してカスタマイズする特定の「メタファ」に重きが置かれることが非常に多い。また、組織におけるユーザの役割は、どのコンテンツをポータルに追加し、又はポータル構成から削除できるかを決定することができる。

当業者であれば、「エンジン」という用語は、大きなソフトウェアのコア基盤として機能するコンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムの一部を意味するものであると一般に理解するであろう。「エンジン」という用語は、開発者がライブラリ、ＳＤＫ又はオブジェクトに言及する際に使用して、カプセル化された機能ブロックを意味することができる。本明細書で使用する「モジュール」又は「コンポーネント」という用語も、コンピュータシステム上で実行されるソフトウェアエンジン、オブジェクト又はルーチンを意味することができる。本明細書で説明する異なるコンポーネント、モジュール、エンジン及びサービスは、コンピュータシステム上で実行されるオブジェクト又はプロセスとして実装することができる。

当業者であれば、「病状（ｍｅｄｉｃａｌ ｃｏｎｄｉｔｉｏｎ）」又は「症状（ｃｏｎｄｉｔｉｏｎ）」とは、（例えば、疾病、病気又は怪我、いずれかの生理的、心理的又は精神的状態又は疾患（例えば、整形外科的、視覚的、発話的又は聴覚的機能障害、脳性麻痺、てんかん、筋ジストロフィー、多発性硬化、癌、冠動脈疾患、糖尿病、情緒障害又は心的障害、特定の学習障害、感染症、薬物中毒、アルコール依存症、妊娠など）を含む、医療提供者による入力、治療又は検査を必要とする状態を意味するものであると一般に理解するであろう。

当業者であれば、以下の明細書における「ケアフロー」という用語は、患者ケアマネジメントのための最良の診療を実施してさらに定義し洗練させる目的で、臨床ガイドライン、臨床診療、患者情報（例えば、患者「コンテキスト」）などを包括的に適用して実施する際の医療チームのメンバ（又はチームの個々のメンバ）の活動面及び行動面を意味するものであると理解することができる。当業者であれば、「ワークフロー」という用語は、ケアフローに関して又はケアフロー中に行うことができる特定の活動を意味するものであるとさらに理解することができる。「ワークフロー」の例としては、特定のケアフローシステム及び方法にとって必要な、望ましい又は好ましいと考えられる特定の医療検査、処置、質問などを挙げることができる。ワークフローは、医療従事者が好ましくは順番に行わなければならない一連の又は一組のステップとすることもできる。これらのステップは、単純な質問を尋ねること、基本バイタルをチェックすること、或いは医用装置又は検査装置を用いて診断検査を行うこととすることができる。ケアフローシステム及び方法は、臨床分野における１又は２以上のワークフローを実装する。このようなケアフローシステム及び方法は、異なる動作主体（すなわち、医師、技術者、患者など）が実行できる複数のタスク（例えば、ワークフロー）を協調的に実行することを伴う。これらのタスクは、各アプリケーションが開発されているいずれかの医療コンテキスト、又は他のケア固有のパラメータのために特別に作成された手動的なもの又は自動的なものとすることができる。好ましい実施形態では、ワークフロープロトコルが病状に依存し、一連の質問から、限定又は制限するわけではないが最大３０もの活動に及ぶことができ、ケアフロープロトコルは、患者の寿命及び／又は症状の存続期間を通じて１又は２以上のワークフローを提供することができる。患者は、その寿命にわたって複数のケアフローを受けることができる。本発明によれば、（単複の）ケアフロー及び／又は（単複の）ワークフローは動的なものであり、特定の入力に応じて時間と共に変化できるものであると一般に理解することができる。１人の患者が、ウィルス感染（例えば、ＨＩＶ）、心臓病及び糖尿病のケアフローを同時に又は順次に有することもできる。また、この患者は、特定の地理的位置に旅行した可能性もある。このように、各ケアフローのためのワークフローは、患者にとって最良の医学的転帰を達成できるように互いに相互作用し、従って互いに認識し合っている必要があると理解されるであろう。

本発明の好ましい態様は、最適な患者ケアを提供することを目的とする大きな情報コンテキストにおいて、患者に関する（例えば、ワークフロー又はケアフロー中の、又はこれらに隣接する）インプロセスプロトコルのためのコンテキスト又はコンテキスト認識を提供するケアフローエンジンに関することができる。情報コンテキストは、患者の内部又は外部のものとすることができる情報に基づくことができ、このような情報は、医療情報及び非医療情報を含むことができる。当業者であれば、これらの外部因子及び内部因子は、医療関連情報及び非医療関連情報の両方とすることができると一般に理解するであろう。地理情報、「ソーシャルメディア」情報（ＴＷＩＴＴＥＲ（商標）、ＦＡＣＥＢＯＯＫ（商標）など）、非医療的個人情報（すなわち、カレンダー情報、旅行情報など）、及び同様のものを用いて、本発明によるコンテキスト認識を発展させることができる。先行技術のケアフロー及び／又はワークフローシステムはコンテキスト認識型でなく、患者によって提供された情報、又は完全なものとは言い難い患者の医療記録に依存する。コンテキスト認識の態様は、ワークフローを修正するケアフローの能力及びこの逆を好ましくはインプロセスで提供する。例えば、患者がのどの痛みを示す場合、医療提供者（医療従事者）は、先行技術の方法を使用して単純に抗生物質を処方することができる。しかしながら、医療提供者は、この患者が以前に３回ウォークインクリニックを訪れたことがあって、提案したものと同じ治療を受けたことがあるという事実を知っていれば（又は本発明によって認識すれば）、別の治療プロトコル（例えば、異なる投薬、患者を専門医に向かわせることなど）を進めると判断することができる。本発明の態様は、適切な時点で、すなわちポイントオブケア（「ＰｏＣ」）の時点、その前又はその最中に、医療提供者に関する情報（例えば、医療事象及び／又は臨床的に関連する情報）を取得するものである。このタイミングは、一般に「インプロセス」（例えば、ワークフロー／ケアフロープロセス中）として知られており、又は「インプロセス」と呼ぶことができる。

本発明の別の態様は、ケアフロー及び／又はワークフローの作成及び修正を推進する能力である。本発明の態様は、ケアフロー／ワークフロープロトコルに関する適切な意思決定者（例えば、保健省（「ＭＯＨ」）、その他の行政機関、非行政機関など）に、既存のプロトコルをどのように進めたいか、或いはこれらのプロトコルを改正、修正、削除又は変更すべきかどうかを、より大きな情報提供源に基づいて適切な時点で決定する能力を提供する。本発明のケアフローエンジンは、プロトコルを規定せず、本発明の実施形態では、関連情報を配信して、カスタマイズ可能なケアフロー及びワークフロープロトコルと、より効率的かつ適切な関連情報の使用方法とを提供することができる。ＭＯＨ又は他のいずれかの意思決定者に送られる本発明からの通知は、これらの意思決定者が効率的なワークフロー又はケアフローを定め、これを医療提供者に提供して、より効果的な患者の治療のために意思決定プロセスを変更するのに役立つことができる。情報と、情報を広めるツールとをエンドユーザ（例えば、限定ではないが医療従事者を含む医療提供者）に提供して（単複の）ケアフロー及び／又は（単複の）ワークフローを実施する。本発明の実施形態は、ＭＯＨ、又はワークフロー／ケアフローに対して責任を負う他の適切なエンティティが、患者にとって最良の転帰をもたらすようにケアフロー及び／又はワークフローを改正又は修正することを可能にする。

当業者であれば、「モバイル装置」又は「ポータブル装置」という用語は、例えばインターネットなどのコンピュータネットワークにアクセスするために使用できるあらゆるポータブル電子装置を意味するものであると一般に理解することができる。通常、ポータブル電子装置は、ディスプレイ画面と、少なくとも１つの入力／出力装置と、プロセッサと、メモリと、電源モジュールと、触知性のマンマシンインターフェイスと、個人又はメンバが日常的に持ち運ぶポータブル電子装置に共通する他のコンポーネントとを含む。本発明との使用に適したポータブル装置の例としては、以下に限定するわけではないが、スマートフォン、携帯電話機、無線データ／電子メール装置、タブレット、ＰＤＡ及びＭＰ３プレーヤ、検査装置などが挙げられる。

当業者であれば、「ネットワーク対応装置」又は「インターネット対応装置」という用語は、例えば限定するわけではないがＩｏＴ装置を含むインターネットなどのコンピュータネットワークに接続してアクセスできる装置を意味するものであると一般に理解することができる。ネットワーク対応装置は、例えばウェブブラウザを含む周知の方法を通じてコンピュータネットワークにアクセスすることができる。インターネット対応装置の例としては、以下に限定するわけではないが、（スマートフォン、タブレット、ＰＤＡなどを含む）モバイル装置、ゲーム機、及びスマートＴＶが挙げられる。当業者であれば、本発明の実施形態は、ネットワーク対応装置（例えば、携帯電話機）上で使用されるアプリケーションを含むように拡張することができると理解することができる。好ましい実施形態では、適切なソフトウェアのネットワーク対応装置バージョンが、ブラウザバージョンと同様のルックアンドフィールを有することができるが、装置に合わせて最適化することもできる。医用装置又検査装置などの他の「スマート」装置（例えば、インターネットなどのコンピュータネットワークに接続してアクセスできる装置）は、以下に限定するわけではないが、スマート血圧モニタ、スマートグルコメータ、ＩｏＴ装置などを含むと理解することができる。

さらに、当業者であれば、「医療事象」（「ＭＥ」）という用語は、治療を必要とし得る１つ又は一連の医学的発現に言及するものであると一般に理解することができる。好ましい実施形態では、医療事象が、例えば診断検査からの結果、提案される治療、治療に対する患者の反応（例えば、臨床転帰）などの１又は２以上のワークフローの結果を意味する。

さらに、当業者であれば、「ダウンロード処理（ｄｏｗｎｌｏａｄｉｎｇ）」という用語は、リモートシステム（例えば、クライアント）からローカルシステム（例えば、モバイル装置）への１又は複数のデータの受診、又はこのような１又は複数のデータの転送の開始を意味するものであると一般に理解することができる。ダウンロード元となり得るリモートシステム又はクライアントの例としては、以下に限定するわけではないが、ウェブサーバ、ＦＴＰサーバ、電子メールサーバ又はその他の同様のシステムが挙げられる。ダウンロード（ｄｏｗｎｌｏａｄ）は、ダウンロード処理のために提供できる又はダウンロードされたいずれかのファイル、或いはこのようなファイルを受け取るプロセス、のいずれかを意味することができる。当業者であれば、この逆の動作を理解することもでき、すなわちローカルシステム（例えば、モバイル装置）からリモートシステム（例えば、データベース）へのデータの送信は、「アップロード処理（ｕｐｌｏａｄｉｎｇ）」と呼ぶことができる。本発明に従って使用されるデータ及び／又は情報は、データタイプに応じて、及び／又は各データタイプに固有の及び／又は割り当てられた重要性レベルに応じて、常時、１時間毎、１日毎、１週間毎、１月毎、１年毎などに更新することができる。データの一部は、衛星ネットワーク、或いはその他の有線又は無線ネットワークによってインターネットからダウンロードできることが好ましい。

本発明の要素は、当業で周知のコンピュータシステムを用いて実装することができる。一般的に言えば、コンピュータは、中央処理装置と、システムメモリと、システムメモリを含む様々なシステムコンポーネントを中央処理装置に結合するシステムバスとを含む。システムバスは、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺バス、及び様々なバスアーキテクチャのうちのいずれかを使用するローカルバスを含む複数のタイプのバス構造のうちのいずれかとすることができる。システムメモリの構造は、当業者に周知であると考えられ、リードオンリメモリ（「ＲＯＭ」）に記憶された基本入力／出力システム（「ＢＩＯＳ」）と、ランダムアクセスメモリ（「ＲＡＭ」）に記憶されたオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム及びプログラムデータなどの１又は２以上のプログラムモジュールとを含むことができる。コンピュータは、データの読み取り及び書き込みを行うための様々なインターフェイスユニット及びドライブを含むこともできる。システムのユーザは、様々な入力装置を使用してコンピュータと相互作用することができ、これらの入力装置は、全て当業者に周知である。

当業者であれば、本明細書で言及する装置接続は例示目的にすぎず、あらゆる数の可能な構成及び周辺装置の選択をコンピュータシステムに結合することができると理解するであろう。

コンピュータは、サーバ、ルータ、ネットワークパーソナルコンピュータ、ピア装置又はその他の共通ネットワークノード、無線電話機又は無線携帯情報端末などの１又は２以上のリモートコンピュータ又はその他の装置への論理接続を使用してネットワーク環境内で動作することができる。本発明のコンピュータは、システムバスをローカルエリアネットワーク（「ＬＡＮ」）に結合するネットワークインターフェイスを含むことができる。ネットワーク環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク及び家庭内コンピュータシステムにおいて一般的である。コンピュータ又はモバイル装置は、インターネットなどのワイドエリアネットワーク（「ＷＡＮ」）にアクセスすることもできる。

本明細書において検討する接続のタイプは例示的なものであり、例えばモバイル装置及びネットワークを含むコンピュータ間の通信リンクの設定方法は、本発明に従って他のものを使用することもできると理解することができる。ＴＣＰ／ＩＰ、フレームリレー、イーサネット、ＦＴＰ、ＨＴＴＰなどの様々な周知のプロトコルのいずれかの存在を想定することもでき、コンピュータは、ユーザがウェブベースのサーバとの間でデータの検索及び送信を行えるようにクライアントーサーバ構成で動作することができる。さらに、様々な従来のウェブブラウザのいずれかを使用して、ウェブベースアプリケーションに関連するデータの表示及び操作を行うこともできる。

ネットワーク対応装置（すなわち、モバイル装置）の動作は、様々な異なるプログラムモジュール、エンジンなどによって制御することができる。プログラムモジュールの例には、特定のタスクを実行する、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、アルゴリズム、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などがある。本発明は、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースの又はプログラム可能な消費者電子機器、ネットワークＰＣＳ、パーソナルコンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む他のコンピュータシステム構成を用いて実施することもできると理解することができる。さらに、本発明は、通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理装置によってタスクが行われる分散コンピュータ環境で実施することもできる。分散コンピュータ環境では、プログラムモジュールをローカルメモリ記憶装置及びリモートメモリ記憶装置の両方に配置することができる。

本発明の実施形態は、コンピュータシステムを通じてデータを処理するソフトウェアプログラムによって実装することができる。当業者であれば、コンピュータシステムは、パーソナルコンピュータ、モバイル装置、ノートブックコンピュータ、サーバコンピュータ、メインフレーム、ネットワークコンピュータ（例えば、ルータ）及びワークステーションなどとすることができると理解することができる。１つの実施形態では、コンピュータシステムが、バスに結合されたプロセッサと、バスに結合されたメモリストレージとを含む。メモリストレージは、揮発性又は不揮発性（すなわち、一時的又は非一時的）とすることができ、取り外し可能記憶媒体を含むことができる。当業者であれば理解できるように、コンピュータは、ディスプレイ、データ入力及び出力への備えなどを含むこともできる。

以下の詳細な説明の一部については、コンピュータメモリ上で実行できるデータビットに関する手順、ステップ、論理ブロック、処理、及びその他の象徴的な動作表現の観点から示す。これらの説明及び表現は、データ処理技術の当業者が自らの研究内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。ここでは、及び一般的には、手順、コンピュータが実行するステップ、論理ブロック、処理などは、望ましい結果をもたらす首尾一貫した一連の動作であると考えられる。これらの動作は、物理量の物理的操作を必要とする。必ずしもそうではないが、通常、これらの量は、コンピュータシステムにおける記憶、転送、合成、比較及び別様な操作が可能な電気信号又は磁気信号の形をとる。主に共通使用という理由で、時にはこれらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語及び番号などと呼ぶことが便利であることが分かっている。

ユーザインターフェイスを構築する際には、画面の上部にタスクバーを配置してユーザインターフェイスを提供することが好ましいと一般に理解することができる。このユーザインターフェイスには、好ましくはボタンとしてタスク名のテキスト表現が提示され、ボタンの表示スペースが制限されている場合には、必要に応じてタスク名を短縮できることが好ましい。このタスク名を有する標示付きボタンは、ユーザ／ビューアがタスクバーから適切な名前を含むボタンを選択することによって各タスクのアクティビティ、ビューなどに直ちに切り換えられるようにする一種のハイパーリンクとして機能することが好ましい。換言すれば、ユーザ又はビューアは、標示付きハイパーリンクを選択することにより、タスクボタンが表す機能にアプリケーションによってリダイレクトされる。現在表示されている作業単位ビューに関連するタスクエントリは、異なるグラフィック表現で（例えば、異なる色、フォント又は強調表示などを用いて）表示できることが好ましい。好ましい実施形態では、各タスクのタスクバーエントリ内に選択可能な「Ｘ」を有し、ユーザが「Ｘ」をクリックすると、その関連するタスクを終了してその作業単位のビューを削除できる標示を提供することができる。ユーザインターフェイスは、ウェブベース、アプリケーションベース、又はこれらの組み合わせとすることができる。

本発明の好ましい態様によれば、当業者は、「アプリケーション」又は「アプリケーションソフトウェア」という用語はエンドユーザ向けに設計された１つ又は一群のプログラムを意味するものであると一般に理解するであろう。通常は、限定ではないが（例えば、ベーシックレベルでコンピュータと相互作用する）低水準プログラムのシステムソフトウェアも存在するが、アプリケーションソフトウェアは、システムソフトウェアの上位に存在し、限定するわけではないが、データベースプログラム、ワードプロセッサ、スプレッドシートなどを含むことができる。アプリケーションソフトウェアは、システムソフトウェアと共にグループ化することも、或いは単独で公開することもできる。アプリケーションソフトウェアは、単純に「アプリケーション」と呼ぶことができる。

しかしながら、これらの及び同様の用語は、全て適当な物理量に関連付けられるべきものであり、またこれらの量に与えられた便利な表記に過ぎないことに留意されたい。以下の説明から明らかなように、特に別途述べていない限り、説明全体を通じて「受け取る（ｒｅｃｅｉｖｉｎｇ）」、「作成する（ｃｒｅａｔｉｎｇ）」、「提供する（ｐｒｏｖｉｄｉｎｇ）」又は「通信する（ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｎｇ）」などの用語を利用した説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理（例えば、電子）量として表されるデータを操作して、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ、又はその他のこのような情報ストレージ、送信装置又は表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに移行させるコンピュータシステム、又は埋め込みシステムを含む同様の電子コンピュータ装置の動作及び処理を意味するものであると理解されたい。本明細書で使用する、（単複の）ケアフロー、（単複の）ワークフロー、臨床ガイドラインなどの「実行（ｅｘｅｃｕｔｉｏｎ）」、「処理（ｐｒｉｃｅｓｓｉｎｇ）」又は「解釈（ｉｎｔｅｒｐｒｅｔａｔｉｏｎ）」などについての言及は、ガイドラインに含まれるロジックを経由することを意味することができる。このことは、他の方法の中でもとりわけ、ケアフロー、ワークフロー、臨床ガイドラインなどを表す１又は２以上のコンピュータプログラムをプロセッサ上で実行することによって達成することができる。

本発明によれば、１又は２以上の患者中心の及び／又はコンテキスト認識型のケアフローエンジン、プラットフォーム、装置、システム、方法、コンピュータ可読媒体及び／又は協調環境を開示することができる。

本発明は、１又は２以上の協調環境に関連して使用して、これらの協調環境に関連して高い機能性及び／又は有利な実用性をもたらすように企図される。しかしながら、本発明はこのように限定されるわけではない。

本発明の現在のところ好ましい実施形態を一例として開示する添付の開示からは、本発明による、エンジン、プラットフォーム、装置、システム、方法、コンピュータ可読媒体の特徴と考えられるいくつかの新規の特徴、及び／又は協調環境との併用が新規であるエンジン、プラットフォーム、装置、システム、方法、コンピュータ可読媒体のいくつかの特徴を、これらの機構、使用及び／又は動作方法に関して本発明のさらなる目的及び／又は利点と共により良く理解することができる。しかしながら、添付の開示は、例示及び／又は説明を目的とするものにすぎず、本発明の範囲を定義するものではないと明確に理解される。

当然ながら、当業者であれば、本明細書の教示及び開示に照らして、（例えば、１又は２以上のステップ、アルゴリズム、プロセス、特徴、構造、部品、コンポーネント、モジュール、ユーティリティなどの置換、或いはステップ、アルゴリズム、プロセス、特徴、構造、部品、コンポーネント、モジュール、ユーティリティなどの別の関係及び／又は構成を伴う）本発明の別の設計及び／又は実施形態も可能であると理解することができる。

本発明による、ステップ、アルゴリズム、プロセス、特徴、構造、部品、コンポーネント、モジュール、ユーティリティ、関係、構成などは、具体的に互いに関連付けて言及していないものもあるが、これらは互いに関連付けて使用することも、及び／又は使用されるように適合させることもできる。

当業者には容易に明らかなように、開示するステップ、アルゴリズム、プロセス、特徴、構造、部品、コンポーネント、モジュール、ユーティリティ、関係及び構成などのうちの１つ又は２つ以上は、開示する発明の本質、核心及び趣旨から逸脱することなく、単独で、及び／又は他の開示するステップ、アルゴリズム、プロセス、特徴、構造、部品、コンポーネント、モジュール、ユーティリティ、関係及び構成などのうちの１つ又は２つ以上の実装に言及、関連又は類似することなく、本発明において及び／又は本発明によって様々な並べ替え及び組み合わせで実装することができる。

本発明の実施形態は、病院から分散的な低リソース施設にまで及ぶあらゆる設定においてコンテキスト認識を用いたインプロセス（例えば、患者ケアの過程中の）臨床決定支援を医療従事者に提供するシステム、方法及びコンピュータ可読媒体に関する。好ましい実施形態では、本発明の好ましい態様が、（ａ）共有健康記録システムと組み合わさって患者コンテキスト情報を利用可能にする「データストア」（例えば、データベース）、（ｂ）医療提供者が臨床診療プロトコル又はガイドライン（ケアフロー及び／又はワークフロー）をメモリに記憶する必要がないように、デジタル符号化されたこのような臨床診療プロトコル又はガイドラインにアクセスする手段、（ｃ）医療提供者に指針を与える（単複の）臨床ケアフロー及び／又は（単複の）ワークフローを作成又は策定するために、患者情報を（単複の）ケアフロー及び／又は（単複の）ワークフローのコンテキストで分析するケアフローエンジン、（ｄ）医療提供者が患者と同じ場所に存在している間に上述の内容を医療提供者に伝える通知エンジン、（ｅ）医療提供者が、好ましくはグラフィックユーザインターフェイス（「ＧＵＩ」）を介して本発明の好ましい実施形態と相互作用するための電子装置（例えば、携帯電話機、タブレット、コンピュータなど）及びユーザインターフェイス、のうちの１つ又は２つ以上を含むことができる。

本発明の実施形態は、適切な時点で医療提供者に文脈的にインプロセスで関連情報を提示して上質な医療供給を支援する。好ましい実施形態では、１又は２以上のデータストアが、患者の内部又は外部のものとすることができる医療情報及び非医療情報を含むことができる、関連する患者データを含む。「ケアフローエンジン」は、（ａ）患者固有の（単複の）ケアフロー及び関連する患者データを評価し、（ｂ）実施しなければならない次の論理的エンカウンタ及びワークフローを決定し、（ｃ）（例えば、限定するわけではないが、医療提供者によるワークフローの不履行、又は患者によるエンカウンタの不履行などの）患者固有のケアフローからの逸脱が生じたかどうかを判断し、（ｄ）例えば、限定するわけではないが、医療提供者及びケアフロー／ワークフロー意思決定者（例えば、ＭＯＨ）などの関連する利害関係者に必要に応じてインプロセス通知を提供するという理由で、コンテキスト認識型とすることができる。このようなコンテキスト認識は、「データ交換」、「相互運用性」及び「標準」に関連して他のソフトウェアプロバイダソリューションと連動し、又はこのようなソリューションを伴って、改善された医療の供給を可能にする。先行技術システムにおけるこれらの欠如は、医療が病院外に出て分散施設（例えば、極端な田舎の又は発展途上中の国）に向かい、最新の記録（例えば、電子記録）、臨床決定サポートツール及び同僚に接する機会がさらに少なくなるにつれてますます顕著になる。

本発明の好ましい実施形態は、別個の技術と情報データベースとシステムとの接続を可能にし、患者中心型でコンテキスト認識型のケアフローエンジンを追加し、医療機能にわたって稼働し、複数のデータシステムをサポートし、サービスの不履行を補完し、データアクセスを制御し、及び／又は単一のポータルを介して実用的な情報を提供するシステム及び方法の構築に関する。

さらに、プロトコルは、インプロセス（例えば、ワークフロー及びケアフロー）の指針を提供するコンテキスト固有の情報によって補完されるとさらにいっそう有効になる。様々なソースからのこのようなコンテキスト固有の情報（例えば、家族及び個人の履歴、旅行履歴、以前の病歴など）は、患者のケア相互作用中に利益をもたらす。この情報を患者ケアも強化できる形で適切な時点で提供することが、本発明の１つの態様である。

図１に、本発明の好ましいコンポーネントを示す。データストア１００、ケアフローエンジン１２０、通知及びアラートエンジン１３０、並びに様々なネットワーク装置１４０が提供される。さらなる好ましい実施形態では、データ交換サービス１５０、相互運用性サービス１６０及び関係マッピングエンジン１７０が提供される。これらの各コンポーネントについては、以下でさらに詳細に説明する。

図２に示すように、必ずというわけではないが、医療提供者が伝染病の大流行に対処している時に利用できる「接触者追跡」ケアフローのためのケアフロー及び関連するワークフローについて概説する。図２に示すように、接触者追跡プロトコルに関与する適切な接触者追跡ケアフロー２００は構造化され、複雑なシナリオの定義を可能にする反復及び条件をサポートする。ケアフローは、「最初の接触」エンカウンタ２１０ａ、日々の経過観察エンカウンタ２１０ｂ又は施設訪問エンカウンタ２１０ｃなどの、エンカウンタ２１０と呼ぶことができる１又は２以上のワークフローグループを含む。エンカウンタは、必ずというわけではないが、医療提供者と患者との間の一種の相互作用とすることができる。図２に示すように、医療提供者が実行する一連のステップを含むことができる１又は２以上のワークフロー２２０も提供される。これらのステップは、単純な質問を尋ねること、基本バイタルをチェックすること、又はＩＶＤ装置を使用して診断検査を行うことを含むことができる。各ワークフローはエンカウンタから派生し、１つのエンカウンタから単一の又は複数のワークフローが生じることができる。例えば、エンカウンタ２１０ａは、単一のワークフロー２２０Ａを引き起こし、エンカウンタ２１０ｃは、２つのワークフロー２２０ｂ及び２２０ｃを引き起こす。図２に示すように、１又は２以上のワークフロー２２０の結果を反映する１又は２以上の医療事象２３０も提供される。換言すれば、医療事象は、計画されたワークフローの結果と見なすことができ、例えば医療事象２３０ａは、ワークフロー２２０ａの結果である。図２から分かるように、各ケアフロー２００は、複数の考えられる患者エンカウンタ（２１０ａ、２１０ｂ、２１０ｃ）を有し、各患者エンカウンタは、１又は２以上のワークフロー（２２０ａ、２２０ｂ、２２０ｃ）によって対処される。

ワークフロー内には、従うことができる特定の基準（例えば、臨床ガイドライン、プロトコルなど）が存在する。先行技術のシステムでは、各ワークフローが、他の既存のワークフロー又はケアフローに基づく入力を伴わずに実施される。例えば、ある患者がのどの痛みを示している場合、この患者は、ＨＩＶ陽性の可能性もあり、従って一定期間にわたって患者を追跡できるＨＩＶケアフローに登録することができる。このＨＩＶケアフローは、一定期間にわたってそうすることによって従うべきいくつかのステップ又は基準を有することができる。ワークフローレベル（図２の２２０を参照）では、患者が、例えば風邪、インフルエンザ、感染症などのさらに大きなケアフローに関連することも又は関連しないこともある何か（すなわち、ＨＩＶ）であるとの評価を受けた場合、本発明の実施形態は、このような必要なコンテキスト認識を引き込むことができる。換言すれば、現在のところ取り込まれていないワークフロー／ケアフローに関連し得る特定の患者の外部因子又は内部因子（例えば、マラリア又はジカ熱ウィルスの急増、血圧の上昇）が存在する可能性がある。

本発明の好ましい実施形態では、システムが、１又は２以上のケアフローを、これらが適切なプロトコル通りに予想された時点と共に、予想される将来的な医療事象を有するものとして記憶することができる。

図３に、本発明の好ましい実施形態の概要を示す。患者に関連する医療情報及び非医療情報を有する複数のデータストア３６０に接続された本発明のシステム３５０を提供する。患者３００が救急車３０１によって医療提供者３０２（例えば、病院）を訪れる場合、医療従事者３０３は、患者３００のケア又は治療を指示するために実施すべき（予め割り当てられた、又は未だ割り当てられていない）何らかのタイプのケアフロー及び／又はワークフロープロトコルに目を向ける。病院３０２への途中で、他の医療従事者（例えば、救急医療隊員）が患者情報（すなわち、これまでの外傷、アレルギーなど）を取得することができる（図示せず）。救急医療隊員は、バイタルをチェックしてモバイル装置に入力し、モバイル装置が、本発明のケアフローエンジンにこれらの情報を自動的にプッシュすることもできる。医療従事者は、病院３０２への到着時に、モバイル装置３０４を介して患者情報にアクセスしておくこともできる。

患者の検査中に、医療従事者３０３に患者固有のアラート３０５（すなわち、ジカ熱の発生が確認された地域に患者が最近旅行したこと、及びジカ熱と一致する症状をバイタルが示したこと）を提供することもできる。図３の３０６において、患者３００を退院させ、健康状態、投薬、必要な経過観察に関する情報を記録し、全てのデータをシステム３５０に送信することができる。患者３００は、投薬計画に従い、スマート医療装置（すなわち、接続されたＢＰモニタ）などで測定を行う。

図３に示すように、家庭医３０８及び／又はクリニック３１０は、タブレット３０９を使用して遠隔的に患者の経過を追跡することができる。家庭医３０８には、関連する患者固有の情報も示される。家庭医は、治療を遠隔的に調整し、患者と連絡を取ることもできる。患者３００が、自身の治療の経過観察又は重要部分を怠った場合には、システム３５０を介して患者３００、クリニック３１０及び／又は家庭医３０８にエラーを通知することができる。

これまでのところ、これらのケアフロープロトコル又はワークフロープロトコルの実行中にコンテキスト認識は存在せず、従って患者は最適以下のケアしか受けられない恐れがある。本発明の実施形態は、ケアフロープロトコル及び／又ワークフロープロトコルの実行中にコンテキスト認識を行って最適な患者ケアを提供できるようにする。（ケアフロー又はワークフローと呼ばれる）ワークフロープロトコル又はケアフロープロトコルの途中でコンテキスト依存情報（例えば、医療情報又は非医療情報）を引き込み、患者治療のためのさらに関連性の高い情報を医療提供者又はＭＯＨに与える。好ましい実施形態では、この情報を医療提供者に直接提供することも、又は通知エンジンを通じて通知を介してＭＯＨに提供することもできる。

本発明の好ましい実施形態のさらなる例として、特定のウィルス（例えば、デング熱）が流行している地理的位置に最近旅行した患者が、医療提供者に発熱を示したとする。換言すれば、この患者は、（ウィルスが流行していない）母国の管轄に戻ってから、デング熱に関連する症状が現れている。母国の管轄内では、通常はこのような希な病気のチェックを行わないので、医師又は医療提供者は、デング熱の調査又は検査を行わなければならないことを知らない可能性があり、及び／又は患者がいずれかの感染エリアに旅行したことに気付かない可能性がある。このような流行が見られる特定の地理的エリアへの旅行に関するデータを組み込んだケアフロー／ワークフローを使用すると、患者の症状を正しく診断して正しい治療を進めることが容易になる。このような関連情報をケアフロー及び／又はワークフローに引き込むことにより、臨床的に関連する情報が医療提供者の注意を引くことができ、この情報は、医療提供者が何を行うべきかを指示するものではなく、関連する情報を関連する時点で単純に提供する（例えば、コンテキスト認識を提供する）ものである。換言すれば、本発明の実施形態は、ケアフロー、ワークフローなどの「正しい」時点で「正しい」情報を引き込む。この情報は電子医療記録内で提供することができるが、関連する時点（例えば、通常は治療の時点、その前又は最中、すなわち「インプロセス」）で医療提供者の注意を引くことができる。

以下でさらに詳細に説明するように、このコンテキスト認識は、適切なワークフロー及び／又はケアフローの修正又は変更を行うべきかどうかをＭＯＨが検討するように提案することができるので、ＭＯＨに関連することもできる。

ケアフローエンジンは、臨床診療ガイドライン又はワークフローを適切なエンティティ（例えば、保健省又はＭＯＨ）による指示通りに実行する。ケアフローの構成及び／又はその更新を受け取り、これらをケアフローエンジンに取り込んでケアフローを修正することが可能であり、又は望ましいと考えられる。この構成は、ＭＯＨ又は他の適切な機関の代わりに受け取ることもできる。本発明のケアフローエンジンは、ケアフロー及び／又はワークフローの実行中に、データベースに記憶されている患者情報（例えば、ＳＨＲなどの電子記録）を要求する。データベースは、所望のＳＨＲを全体的に又は部分的に取り出し、所望の情報をケアフローエンジンに送信することによってこれらの要求に応答する。ワークフローは、何らかの時点で、ＭＯＨが推薦する治療コースを患者に提供又は提案する行動を取るように指示又は提案することができる。臨床診療ガイドラインの推薦に従う１又は２以上の行動を実行する要求は、医療従事者のモバイル装置、他の「スマート」装置及び／又はＩｏＴ装置を介して医療従事者に自動的に提供することができる。本発明のシステムを使用すると、本明細書で提供するワークフロー及び推薦を、さらなる介入を伴わずに自動的に臨床転帰に翻訳することができる。

本発明のケアフローエンジンは、ケアフロー、ワークフロー及び／又は臨床診療ガイドラインを実行して、ケアフロー、ワークフロー及び／又はガイドラインの実行に応じた行動を実行する。ケアフローエンジンは、適切なケアフロー、ワークフロー、臨床診療ガイドラインなどの実施又は処理中に、適切なケアフロー、ワークフロー、臨床診療ガイドラインなどによって求められる様々なタイプのデータを取得することができる。例えば、ケアフローエンジンは、適切なアクティビティを処理するために、様々なタイプの患者データを必要とすることができる。ケアフローエンジンは、この情報を収集するために、必要に応じて様々なデータベース又はデータストアと相互作用することができる（例えば、図５を参照）。ケアフローエンジンは、ガイドライン内の処理ステップを実行するために、ローカルに記憶された患者固有のデータ、或いは時間間隔データ又はその他のデータなどの非患者固有のデータを取得することもできる。本発明の好ましい態様は、本発明のシステムに多様なデータを引き込むものである。通常、これまでのシステムは、患者に関する臨床データ及び人口統計データしか組み込んでいない。本発明の実施形態では、通常は医療制度に含まれない臨床データ、医療事象、人口統計データ及びその他のデータベース情報を組み合わせることができる。このようなその他のデータベース情報は、単純なＥＭＲ又は患者に関する全体的な情報の一部では提供されないこともある。

本発明の態様では、提供されたデータに「スコア付け」し、又は提供されたデータが、例えばＰＣＴ出願ＰＣＴ／ＣＡ２０１２／００１０６６号に示されるようなデータ品質制御の形態を有することができ、この文献の内容は引用により本明細書に組み入れられる。

好ましい実施形態では、図２に示すように、本発明によるケアフローの高水準モデル、及びこれが医療事象にどのように関連するかが示される。ケアフローは、複雑なシナリオの定義を可能にする構造化された条件付きとすることができる。「複雑なシナリオ」は、内部ソース及び外部ソースからの大きな異種データセット（例えば、臨床的人口統計）を含むプロトコル及びガイドラインである（例えば、ケアフローは、単純な単一の分岐処理ステップではない）と理解することができる。ケアフローを通じた患者の検討は、患者の過去にどのような医療事象が起きたことがあるか、又は起きると予想されるかに依存することができる。図２に示すように、ケアフローは、１つ又は一群のワークフローで構成され、当業者であれば、これによってトリガされる各ワークフローは「エンカウンタ」（２１０）と呼ばれると理解するであろう。通常、エンカウンタは、患者と医療制度の何らかの側面との間の一種の相互作用である。ワークフローは、医療従事者が行わなければならない一連のステップ（例えば、単純な質問を尋ねること、基本バイタルをチェックすること、又は特定の医療装置又は検査装置を使用して診断検査を行うこと）である。アプリケーションは、特定のワークフローを実施するのに必要なステップを促すことができる。ワークフローの１又は２以上の部分、又はワークフロー全体を可能にする異なるアプリケーションは、異なる技術提供者によって開発される。

データソース及び医療技術が急増している場合、本発明の好ましい実施形態は、いくつかの状況において（ａ）データ交換サービス、（ｂ）相互接続サービス、及び（ｃ）関係、位置及び旅行マッピングエンジンでさらに補完できるシステムを提供する（図１を参照）。

図４に、ケアフローの一般的動作の説明を示す。４０１において、ケアフローエンジンは、患者３００（図３を参照）が既存の（単複の）ケアフローに登録されているかどうかを検索することができる。ケアフローエンジンは、患者３００がケアフローに登録されていることを確認すると、予想される医療事象を実際に起きた医療事象と比較することができる（４０２を参照）。予想される医療事象と見つかった医療事象との間に不一致が存在しない場合、ケアフローエンジンは、患者が登録されている可能性がある全てのケアフローのプロセスを繰り返すことができる（図４の４０５を参照）。一方で、１又は２以上の不一致が存在する場合、通知コンポーネント１３０の構成通りに通知又はアラートを送信することができる。

現在患者３００を登録できる他のケアフローが存在しない可能性がある場合（４０６）、本発明のケアフローエンジンは、患者３００の共有健康情報をチェックし、この共有健康情報を、（例えば、ＭＯＨによって）外部的に設定されたものとして適用可能な、及び／又は医療データ及び非医療データに基づく予め定められた医療規則４０７と比較することができる。４０８に示すように、４０７に設定される医療規則の「トリガ」、「フラグ」又は「一致」が存在する場合、さらなる通知を送信することができる４０９。トリガが存在しない場合、又は全てのトリガが処理された時点で、ケアフローエンジンは、患者の履歴を他のケアフロー登録基準に照らしてチェックして他の一致基準４１０が存在するかどうかを判断し、存在する場合には、患者を他の（単複の）ケアフローに登録して（４１２）適切な通知を送信することができる（４１３）。

図５に、本発明による通知又はアラートを提供するための好ましい実施形態を示す。図５には、好ましくは、限定するわけではないが、スマート装置、統合された携帯電話機と再使用可能検査装置、統合された携帯電話機と消耗可能検査装置、及び専用検査装置を含む様々な装置と共に使用されるシステムを示すことができる。本発明の実施形態は、デスクトップコンピュータ、携帯電話機、ラップトップコンピュータ、モバイル通信装置（例えば、スマートフォン）、携帯情報端末、専用検査装置及びインターネット端末を含む複数の他の装置と共に使用することもできると理解することができる。考えられる装置は、とりわけナビゲーション装置、デジタルオーディオプレーヤ、カメラ、ゲーム装置、テレビ及びラジオも含むことが好ましい。これらの好ましい装置は、１又は２以上のネットワークと無線（及び／又は有線）通信できることが好ましい。

図５から分かるように、本発明の実施形態が通知又はアラートを提供するための異なる機構を提供することができる。これらは、例えば、以下に限定するわけではないが、あらゆるタイプの利害関係者（例えば、限定するわけではないが、医療提供者、ＭＯＨ、患者などを含む、システムと相互作用するあらゆる人物）に送信できる、携帯電話機３０７などのモバイル対応装置へのＳＭＳ（５０１）、医療責任者３０３を含む、このような装置を有するあらゆるタイプの利害関係者に送信できる、タブレット３０４などのインターネット対応装置への電子メール（５０２）、及び、例えば医療責任者３０３を含むあらゆる利害関係者がワークステーション５０４上で閲覧できるウェブポータル上のダッシュボード（５０５）を含むことができるいずれかのインターネット接続装置上で使用されているシステム又はアプリケーションのシステムダッシュボード（５０３）を含む。通知ダッシュボードは、モバイル装置（図示せず）上に存在することもできる。通知及びアラートは、図５に示すようなインプロセスビジュアルアップデートを用いて提供することができる（５０６を参照）。これらのワークフロー内のプロセスにおいて提供される関連情報、アラート及び／又はデータは、医療従事者３０３’によってタブレット３０４上でインプロセスで実施される。必要に応じて、ウェブフック５０８を使用して他の外部システム５０７にアラートを送信して、これらの外部システムにリアルタイム更新を提供することもできる。

データストア
本発明の好ましい実施形態は、システムの動作に必要な全ての必要データを記憶するために使用できるデータストレージ（例えば、図３のデータストア３６０）を有することができるシステムを提供する。当業者であれば、「データストア」とは、データベースのようなリポジトリ（データベース管理システム（ＤＢＭＳ）によって管理できる一連のバイト）のみならず、単純なファイル、電子メールなどの単純なストアタイプも含む、一群のデータを一時的又は恒久的に記憶して管理するリポジトリを意味するものであると理解することができる。本発明によるデータストアは、地理的に同一場所に配置された、又は分散された１又は２以上のデータベースとすることができる。記憶されているデータは、データ自体に適用できるあらゆるフォーマットとすることができるが、データ品質もカプセル化するフォーマットとすることもできる。

図３に示すように、様々なデータストア又はデータベースは、本発明のシステムと相互作用することができ、限定するわけではないが、専用データベース、伝染病データベース、医療記録データベース、ＵＮ及び主要／国際健康管理機関データベース、健康管理及び救急インフラデータベース、教育及び経済データベース、ニュースデータベース、人口統計データベース、通信及び軍事インフラデータベース、及び気象、旅行、地形データベースを含むことが好ましい。

臨床及び健康管理データベースは、とりわけ、例えば医療事象に関連しても又はしなくてもよい、（ａ）遠隔データ転送システム及び／又は全地球測位機能又は位置特定機能を備えた診断装置からの検査結果、（ｂ）ＵＮデータベース及び主要健康管理国際機関からの情報、及び／又は（ｃ）シナリオ及び知識データ、のうちの１つ又は２つ以上などの診断及び医療データ（臨床情報）を含むことが好ましい。

社会学的データベースは、とりわけ、例えば（ａ）ローカルデータベース及び／又は国際人口統計データベースからの人口情報、（ｂ）エリア内の及び／又は国際データベースからの政治及び／又は組織システム、（ｃ）エリア内の及び／又は国際データベースからの教育及び／又は経済システム、及び／又は（ｄ）インターネット又は他の場所から取り出されたニュース及び／又は新聞からの情報、のうちの１つ又は２つ以上などの社会学的データ（人間情報）を含むことが好ましい。

インフラデータベースは、とりわけ、例えば（ａ）医療インフラに関する情報、（ｂ）通信インフラに関する情報、及び／又は（ｃ）救急及び／又は軍事インフラに関する情報、のうちの１つ又は２つ以上などのインフラデータ又は情報を含むことが好ましく、これらは全て、地方及び／又は国際データベースから取り出されることが好ましい。

地球物理学データベースは、とりわけ、例えば（ａ）ローカルデータベースからの気象及び／又は気候情報、及び／又は（ｂ）地方及び／又は国際データベースからの地形情報、のうちの１つ又は２つ以上などの地球物理学データ又は情報を含むことが好ましい。

共有健康記録システム
本発明の好ましい実施形態は、医療事象又はＭＥ、並びに関連する医療データ及び非医療データを含む患者の医療履歴及び非医療履歴で構成できる共有健康記録（「ＳＨＲ」）を有することができるシステムを提供する。好ましい実施形態では、ＳＨＲをデータストア内に提供することができる。当業者であれば、好ましくは電子形態である患者の医療履歴及び非医療履歴又は記録は、患者に関する関連する医療情報と非医療情報との融合を含むことができると理解することができる。当業者であれば、患者の医療履歴及び非医療履歴、並びに関連する医療データ及び非医療データは、紙ベースの個人医療記録の電子版又はデジタル版とすることができる電子医療記録（「ＥＭＲ」）内に提供することができると理解することができる。当業者であれば、ＥＭＲは、１つの場所（例えば、単一の医療提供者のオフィス）で収集された標準的な医療データ及び臨床データを含むと理解することができる。当業者であれば、電子健康記録（「ＥＨＲ」）は、単一の場所で収集されたデータに留まらず、さらに包括的な患者履歴を含むことができると理解することができる。例えば、ＥＨＲは、患者のケアに関わる全ての提供者からの情報を含んでこれらを共有するように設計される。ＥＨＲデータは、許可された提供者及び複数の医療機関のスタッフが作成、管理及び閲覧を行うことができる。当業者であれば、本出願におけるＥＭＲ及びＥＨＲという用語は同義的に使用することができると理解することができる。さらに、好ましい実施形態では、ＳＨＲがＥＨＲ又はＥＭＲよりも多くの情報を含むと理解することができる。好ましい実施形態では、限定するわけではないが、ＳＨＲに含めることができる情報の例が、（ａ）患者による（単複の）施設訪問、（ｂ）患者の血圧測定値、（ｃ）マラリアと診断された患者、（ｄ）定期的な経過観察を行った患者、（ｅ）患者が特定の薬を投与されていること、（ｆ）患者の最近の旅行履歴、及び／又は（ｇ）治療後の患者の転帰、に関する情報を含む。

本発明の好ましい実施形態は、全ての適切な患者医療情報及び非医療情報を取得してデータストアに記憶できる共有健康記録システムを含むことができる。医療情報及び／又は非医療情報は、以下に限定するわけではないが、（ａ）存在する（例えば、スミス医師が経過観察検査を行った）場合、事象に関わった健康管理又は医療従事者、（ｂ）存在する（例えば、セントマイケル病院で経過観察検査が行われた）場合、事象が発生した施設、（ｃ）存在する（例えば、マラリア診断のために経過観察がその年の早めにスケジュールされた）場合、事象が行われた条件、（ｄ）存在する（例えば、経過観察を基本健康サービスのための地域福祉計画の一部とすることができる）場合、事象が行われた医療サービス、を含む関連する全ての関連データと共に記憶することができる。これにより、システムは、必要に応じて情報を複数の次元にわたって分析することができる。この例としては、システム内の特定の健康管理レベルにわたる特定の条件に関連する全ての健康事象についての問い合わせを挙げることができる。

ワークフローのための設定プロトコル
当業者であれば、医療プロトコル又はワークフローとは、特定の医療分野における診断、管理及び治療に関する決定及び基準の指針となる医療ガイドライン、臨床ガイドライン、臨床プロトコル又は臨床診療ガイドラインを意味するものであると理解することができる。通常、このような医療プロトコルは、それぞれの地域又は国の適切な政府機関（例えば、適切な保健省（「ＭＯＨ」）又は非政府機関（例えば、カナダ医師会、世界保健機構など）によって設定される。これらの医療プロトコルは、地域毎に異なることができ、或いは世界保健機構などの一般的な公共の健康機関が支援する広く受け入れられているプロトコルに基づくことができる。通常、これらのプロトコルは、良質のケアを提供するために実行しなければならない一連の手順又は活動である。

好ましい実施形態では、本発明のシステムが、これらのプロトコル及びその手順、活動及び結果を、予想される患者の医療事象と見なすことができる。これらは、未だ発生しておらず、将来的に、場合によっては特定の時点で発生すると予想されることを除き、実際の患者の医療事象と何ら変わりはない。システムは、保健省の職員などの専門家が予め定められたプロトコルに参入して管理するための手段を提供することができる。医療プトロコルの定義は、保健省の専門家の目的とすることができるので、システムがこれを支援しないこともある。システムは、これらのプロトコルを本発明のシステムが理解できる言語に構成する手段を提供することができる。さらに、システムは、これらのプロトコルの管理を可能にして、保健省によるプロトコルの管理を制御機構が支援できるようにする。好ましい実施形態では、これらの構成プロトコルをケアフローに含めることができる。

医療事象及びケアフローの定義
本発明の好ましい実施形態は、医療事象、ケアフロー、ワークフローなどの構造化モデルを定義する。図２に、本発明の実施形態の高水準モデル、及びこのモデルが医療事象にどのように関係するかを示す。図２に示すように、患者エンカウンタによって定義される１つの又は一群のワークフローをケアフローが含む好ましい実施形態を提供することができる。

ケアフローエンジン
システムのケアフローエンジンコンポーネントは、実際の患者の医療事象をモニタして、これを実際の及び／又は予想される患者の医療事象と比較する役割を担うことができる。共有健康記録コンポーネントは、実際のものであるか、それとも予想されるものであるかに関わらず全ての患者医療事象を記憶する。ケアフローの定義は、予想される将来的な医療事象を定める。

ケアフローエンジンは、コンテキスト認識型とすることができ、（ａ）実際の及び予想される患者の医療事象を評価すること、（ｂ）次の論理的医療事象及びその事象のタイミングを特定すること、（ｃ）実際の事象又は（共有医療記録から）失われた事象と（ケアフローから）予想される事象の間に偏差が存在するかどうかを判断すること、（ｄ）現在の相互作用、又は現在の相互作用の特定の部分に関連する過去の患者記録が存在するかどうかを判断すること（通知エンジンの節におけるインプロセスアラートを参照）、（ｅ）病気の危険因子が存在するかどうかを判断して、患者をさらなるケアフローに自動的に登録すること（このような因子は、システムが健康上のリスクを暗示している可能性のある他の患者に現在の患者をリンクした時に識別される。例えば、結核などの感染性の強い病気が現在陽性であることをシステムが認識している患者との同居によるリンク、深刻な遺伝病を有していることが分かっている別の患者、場合によっては兄弟との家族的なリンク。他のリンクは、場所−時間的な関連性、便名及び乗客名簿を用いて設定することができる）、及び／又は（ｆ）システム設定に基づいて適切な利害関係者に通知すること（通知エンジンの節を参照）、を積極的に行うことができる。

通知及び／又はアラートエンジン
システムの通知及び／又はアラートエンジンコンポーネントは、構成通りに通知を配信する役割を担うことができる。通知エンジンは、以下に限定するわけではないが、プロトコル実行中のインプロセス、電子メール、ＳＭＳ、ウェブフック及びシステムダッシュボード、並びに現在知られている又は後で開発される他の方法を含む数多くの手段を介して配信を支援することができる。

通知エンジンは、以下に基づいて通知を可能にするように構成することができる。（ａ）見逃された医療事象、予期しない追加の医療事象、不適切な医療事象のタイミング又は誤った医療事象の順序付けを含む、ケアフローに関するいずれかのアラート。例えば、ある患者がＨＩＶ治療の経過観察のために来院すべきであったにも関わらず来院しなかった場合、システムは、ＳＭＳを介して患者及び医療従事者にアラートを通知することができる。（ｂ）全ての診断検査結果の通知などの、ケアフローに限定されない特定の事象タイプに関するアラート。例えば、研究室長は、新たな陽性の診断検査を実行できる時には必ず電子メールを送信するようにシステムを構成することができる。（ｃ）患者の病気診断及び適切なプロトコルへの登録などの、ケアフローにおける患者の登録に関するアラート。例えば、患者がエボラと診断されてエボラのケアフローに登録された時には、疾病監視を行う国内登録所に電子メールを送信することができる。（ｄ）医療供給中の医療従事者にさらなるコンテキスト情報を提供するための、プロトコル実行中におけるインプロセスでのアラート。例えば、患者が異なるクリニックに高血圧歴を有している場合、通知エンジンは、血圧測定を行う瞬間にプロトコルエンジン（及び、これによって医療従事者）にこの情報を認識させる。これにより、医療従事者は、評価中に集約情報を検討することができる。（ｅ）医療事象が履行されなかった旨の医療従事者又は患者へのアラート。例えば、履行されなかった妊婦管理の予約にフラグ付けし、医療従事者に電子メールを送信し、リマインダ、電話番号及び可能な予約時間を含むＳＭＳを患者に送信することができる。（ｆ）照会中に患者が見失われた旨の医療従事者へのアラート。例えば、クリニックから病院の専門科予約を照会された患者が来院しない場合、システムは、予約の不履行、及び特定の病状の治療におけるその意味合いに関して医療従事者及び患者の両方に通知することができる。

データ交換及び相互接続性コンポーネント
システムの説明から、システムの全体的な有用性及び価値は、医療事象を含む全ての必要な患者情報を取得するその能力に起因することが明らかである。従って、データソース及び医療技術が急増している可能性のある環境でシステムが実装される状況では、２つの追加コンポーネントでシステムを補完すべきである。

データ交換コンポーネントは、数多くの第三機関データプラットフォームを用いてデータの自動インポート／エクスポートを支援する一連のサービスで構成することができる。データの問い合わせ及び転送が新しいものでない場合、データ交換コンポーネントは、患者識別サービスの使用を通じて患者の特異性を設定する手段を提供することができる。この患者識別サービスは、異なるシステムにわたる患者のリポジトリ及びその全ての関連するアイデンティティとして機能することができる。システムの患者アイデンティティと第三機関データプラットフォームからの患者のアイデンティティとの間の関係が一致したら、自動的にデータを問い合わせて患者の共有健康記録に追加することができる。

相互接続コンポーネントは、患者の共有健康記録の追加及び問い合わせを直接行う能力を第三機関の技術システムに提供する一連のサービスで構成することができる。これにより、第三機関の技術システムは、本システムの共有健康記録及び患者識別能力を活用しながら患者の共有健康記録に追加を行って、この共有健康記録が患者の医療事象の完全な履歴を有することを保証できるようになる。本発明の実施形態では、一例として、第三機関システムによる患者の以前の血圧結果及び患者の家族の高血圧に関する履歴についての問い合わせを可能にするＡＰＩが挙げられる。この結果、この第三機関システムは、ＡＰＩを使用して高血圧／ＢＰ測定に関する独自の読み取り値を提出することができる。ＡＰＩは、第三機関システムがこれらの人口統計（すなわち、ファーストネーム、ラストネーム、仕事及び前回の施設訪問）を用いて患者の検索を実行できるようにする。この検索では、第三機関システムが、患者履歴及び（予約の不履行などの）患者固有のアラートをさらに検索することができる。基本的には、以下に限定するわけではないが、（ａ）患者人口統計データの取得、（ｂ）人口統計データを用いた患者検索、（ｃ）患者の過去の医療事象（ＥＨＲ）の取得、（ｄ）未解決の患者アラートの取得、（ｅ）患者の非医療事象履歴（旅行など）の取得、（ｆ）患者の予想される将来的な医療事象の取得、（ｇ）他のシステムコンポーネント、医療提供者又は他のユーザが使用するシステムへのアラート提供（例えば、第三機関システムが、たまたま新たな感染症をモニタするシステムである場合、このシステムは、ケアフローシステムにアラートを提供することにより、患者が最近接触していた施設の全ての医療責任者に疾病伝播を制御するように通知することができる）を含む、本特許提出における全ての請求項をサポートするサービスＡＰＩが存在することができる。

関係、場所及び旅行マッピングコンポーネント
患者の人口統計データ収集の一部として、家系図、配偶者の詳細、同僚関係及びその他の様々な関係モデルを可能にする患者間関係マップを設定することができる。この情報の大部分は、患者の定期的な来院中に収集することができるが、例えば接触者追跡の形の感染症対応中などの他のタイプの患者エンカウンタ中にも収集される。例えば、過去の訪問場所、乗った飛行機を含む旅行情報及びソーシャルメディア更新の地理位置情報（すなわち、マレーシアからのツイッター更新）などの、収集してマッピングできる他の関連情報を考慮することもできる。この情報の全てに常にタイムスタンプを行って、（ａ）家族ネットワークマップ（すなわち、父−子、夫−妻など）、（ｂ）関係ネットワークマップ（すなわち、同僚、友達など）、（ｃ）接触位置マップ（すなわち、バーでＪｏｈｎと会ったこと、公園でＣｉｎｄｙと会ったこと）、（ｄ）位置履歴（すなわち、昨日の午後２時にトロントのダウンタウンに居たこと、先週ケニアに居たこと）、及び／又は（ｅ）旅行詳細（すなわち、２０１５年７月２２日にＡＣ２２３３便でトロントからケープタウンに移動したこと）、のうちの１つ又は２つ以上を相関させることができるネットワークマップの作成を可能にすることができる。

この種の情報は、システムが位置履歴を既知のホットスポットに相関付けて、プロトコル実行中のインプロセスで医療従事者に通知できるようにすることにより、ジカ熱及びエボラなどの疾患の追跡に役立つことができる。例えば、ジカ熱ウィルスは、日中の都会の屋内設定で蚊に噛まれることによって蔓延する可能性があり、エボラは、身体的接触を通じて蔓延する可能性があることなどの病気固有の因子をプロトコル内で同調させて追跡に使用することができる。これらの例は、いずれもインプロセスで患者に尋ねるべき特定の質問を浮き彫りにすることができる。また、例えば体温及び血圧測定値を測りながら旅行履歴を浮き彫りにすることによって、症状にさらなるコンテキストを追加することもできる。

本明細書で開示した発明の説明は、医療の文脈で行ったが、本発明自体は、履歴情報、プロトコル及び予想転帰に基づく対象（上記の患者）との相互作用を通じてユーザを導くシステムとすることもできる。本発明は、以下に限定するわけではないが、国内通関手続地でのエンカウンタ、捜査当局者とのエンカウンタ、ベンダ又はウェイターと得意客との間の小売エンカウンタ、食品検査業界、及び生物学的脅威用途を含む他の部門における相互作用に適用することもできる。

本発明のシステム内には、情報の共有、情報の構成、管理及び修正を可能にする一般サブシステムが存在する。装置間における情報交換を可能にする既存のシステムも存在する。

上述の説明は例示目的で示したものであり、包括的であることや、或いは開示した正確な形に本発明を限定することを意図したものではない。上記の教示に照らして他の修正、変形及び変更が可能であり、当業者に明らかであり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明による他の実施形態の設計及び製造において使用することができる。本発明の範囲は、本明細書によってではなく、本出願及び／又は本出願から発行されるあらゆる特許の一部を成す特許請求の範囲によってのみ限定されるように意図することができる。

３００ 患者
３０１ 救急車
３０２ 病院
３０３ 医療従事者
３０４ タブレット
３０５ アラート
３０６ 家庭
３０７ 電話
３０８ 家庭医
３０９ タブレット
３１０ クリニック
３５０ システム
３６０ データストア

Claims (45)

1. インプロセス患者ケアマネジメントのためのコンテキスト認識システムであって、
   （ａ）ネットワークと通信し、患者の共有患者記録と、前記患者の症状を治療するための少なくとも１つの患者ケアフローとを記憶するように構成された第１のデータベースと、
   （ｂ）前記ネットワークと通信し、該ネットワークから前記共有患者記録と前記少なくとも１つの患者ケアフローとを受け取って、臨床ケアフローを作成するために前記共有患者記録のコンテキストにおいて前記ケアフローを分析するように構成されたケアフローエンジンと、
   （ｃ）前記ネットワークと通信し、前記ケアフローエンジンから前記臨床ケアフローを受け取って、前記患者の治療時間中又は治療時間前に前記患者と同じ場所に存在する医療提供者に前記臨床ケアフローを通信するように構成された通知エンジンと、
   （ｄ）前記ネットワークと通信し、前記医療提供者のための医療提供者インターフェイスを介して前記臨床ケアフローを前記医療提供者に表示して、前記臨床ケアフローを用いて前記患者の前記症状の前記治療を誘導するように構成されたネットワーク対応装置と、
   を備えることを特徴とするシステム。
2. 前記患者ケアフローは、治療ワークフローをさらに含む、
   請求項１に記載のシステム。
3. 前記共有患者記録は、電子健康記録を含む、
   請求項２に記載のシステム。
4. 前記電子健康記録は、電子医療記録をさらに含む、
   請求項３に記載のシステム。
5. 前記共有患者記録は、患者固有の医療情報及び非医療情報をさらに含む、
   請求項２に記載のシステム。
6. 前記患者固有の医療情報及び非医療情報は、前記患者とのエンカウンタを有する医療提供者、内部患者因子及び外部患者因子から成る群から選択される、
   請求項５に記載のシステム。
7. 前記内部患者因子は、前記患者の医療履歴を含む、
   請求項６に記載のシステム。
8. 前記外部患者因子は、地理情報、ソーシャルメディア情報、非医療個人情報を含む、
   請求項７に記載のシステム。
9. 前記治療ワークフローは、臨床診療プロトコル又はガイドラインを含む、
   請求項２に記載のシステム。
10. 前記ケアフローエンジンは、前記患者ケアフロー及び前記共有患者記録を評価して、前記患者の前記症状の前記治療における次の治療ワークフローを決定する、
    請求項９に記載のシステム。
11. 前記ケアフローエンジンは、前記患者ケアフロー及び前記共有患者記録を評価して、前記患者ケアフローからの逸脱が生じたかどうかを判断する、
    請求項１０に記載のシステム。
12. 前記ケアフローエンジンは、専用データベース、伝染病データベース、医療記録データベース、ＵＮ及び主要／国際医療機関データベース、医療及び救急インフラデータベース、教育及び経済データベース、ニュースデータベース、人口統計データベース、通信及び軍事インフラデータベース、並びに気象、旅行、地形データベースから成る群から選択される第２のデータベースからデータを受け取るように構成される、
    請求項１１に記載のシステム。
13. 前記通知エンジンは、前記臨床ケアフローを匿名化し、該匿名化された臨床ケアフローを、前記患者ケアフローの責任を負う行政機関又は非行政機関に通信するように構成される、
    請求項１１に記載のシステム。
14. 前記医療提供者は、一次診療医、診療看護師、クリニック、病院、医師助手、セラピスト、専門医、保険業者、医療保険支払人、薬剤師、責任ある医療組織、及びホスピス提供者から成る群から選択される、
    請求項１３に記載のシステム。
15. 前記第１のデータベース、前記第２のデータベース、前記ケアフローエンジン、前記通知エンジン及び前記ネットワーク対応装置は、電子メール、ショートメッセージサービス（ＳＭＳ）、セキュアモバイルメッセージング、ウェブフック、システムダッシュボード、相互作用型音声応答のうちの少なくとも１つを使用してセキュアに通信するように構成される、
    請求項１４に記載のシステム。
16. インプロセス患者ケア中にコンテキスト認識を提供する方法であって、
    （ａ）患者の電子記録と、前記患者の症状を治療するための少なくとも１つの患者ケアフローを、ネットワークと通信する第１のデータベースに記憶するステップと、
    （ｂ）前記患者の電子記録と前記少なくとも１つの患者ケアフローとを、前記ネットワークと通信するケアフローエンジンに前記ネットワークを介して送信し、前記ケアフローエンジンが、前記患者の電子記録のコンテキストにおいて前記ケアフローを分析して臨床ケアフローを作成するステップと、
    （ｃ）前記臨床ケアフローを、前記ネットワークと通信する通知エンジンに前記ネットワークを介して送信し、前記通知エンジンが、前記臨床ケアフローを、前記患者の治療時間中又は治療時間前に、前記患者とのインプロセスにある医療提供者のネットワーク対応装置に送信するステップと、
    （ｄ）前記患者の前記症状の前記治療を誘導する前記医療提供者の前記ネットワーク対応装置の医療提供者インターフェイスを介して、前記臨床ケアフローを前記医療提供者に表示するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
17. 前記患者ケアフローは、治療ワークフローをさらに含む、
    請求項１６に記載の方法。
18. 前記患者の電子記録は、電子健康記録を含む、
    請求項１７に記載の方法。
19. 前記電子健康記録は、電子医療記録をさらに含む、
    請求項１８に記載の方法。
20. 前記電子健康記録は、患者固有の医療情報及び非医療情報をさらに含む、
    請求項１７に記載の方法。
21. 前記患者固有の医療情報及び非医療情報は、前記患者とのエンカウンタを有する医療提供者、内部患者因子及び外部患者因子から成る群から選択される、
    請求項２０に記載の方法。
22. 前記内部患者因子は、前記患者の医療履歴を含む、
    請求項２１に記載の方法。
23. 前記外部患者因子は、地理情報、ソーシャルメディア情報、非医療個人情報を含む、
    請求項２１に記載の方法。
24. 前記治療ワークフローは、臨床診療プロトコル又はガイドラインを含む、
    請求項１７に記載の方法。
25. 前記ケアフローエンジンは、前記患者ケアフロー及び前記共有患者記録を評価して、前記患者の前記症状の前記治療における次の治療ワークフローを決定する、
    請求項２４に記載の方法。
26. 前記ケアフローエンジンは、前記患者ケアフロー及び前記電子記録を評価して、前記患者ケアフローからの逸脱が生じたかどうかを判断する、
    請求項２５に記載の方法。
27. 前記ケアフローエンジンは、専用データベース、伝染病データベース、医療記録データベース、ＵＮ及び主要／国際医療機関データベース、医療及び救急インフラデータベース、教育及び経済データベース、ニュースデータベース、人口統計データベース、通信及び軍事インフラデータベース、並びに気象、旅行、地形データベースから成る群から選択される第２のデータベースからデータを受け取るように構成される、
    請求項２５に記載の方法。
28. 前記通知エンジンは、前記臨床ケアフローを匿名化し、該匿名化された臨床ケアフローを、前記患者ケアフローの責任を負う行政機関又は非行政機関に通信するように構成される、
    請求項２５に記載の方法。
29. 前記医療提供者は、一次診療医、診療看護師、クリニック、病院、医師助手、セラピスト、専門医、保険業者、医療保険支払人、薬剤師、責任ある医療組織、及びホスピス提供者から成る群から選択される、
    請求項２８に記載の方法。
30. 前記第１のデータベース、前記第２のデータベース、前記ケアフローエンジン、前記通知エンジン及び前記ネットワーク対応装置は、電子メール、ショートメッセージサービス（ＳＭＳ）、セキュアモバイルメッセージング、ウェブフック、システムダッシュボード、相互作用型音声応答のうちの少なくとも１つを使用してセキュアに通信するように構成される、
    請求項２９に記載の方法。
31. インプロセス患者ケア中にコンテキスト認識を提供するための実行可能命令を符号化された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記実行可能命令は、
    （ａ）患者の電子記録と、前記患者の症状を治療するための少なくとも１つの患者ケアフローを、ネットワークと通信する第１のデータベースに記憶するためのコードと、
    （ｂ）前記患者の電子記録と前記少なくとも１つの患者ケアフローとを、前記ネットワークと通信するケアフローエンジンに前記ネットワークを介して送信し、前記ケアフローエンジンが、前記患者の電子記録のコンテキストにおいて前記ケアフローを分析して臨床ケアフローを作成するためのコードと、
    （ｃ）前記臨床ケアフローを、前記ネットワークと通信する通知エンジンに前記ネットワークを介して送信し、前記通知エンジンが、前記臨床ケアフローを、前記患者の治療時間中又は治療時間前に、前記患者とのインプロセスにある医療提供者のネットワーク対応装置に送信するためのコードと、
    （ｄ）前記患者の前記症状の前記治療を誘導する前記医療提供者の前記ネットワーク対応装置の医療提供者インターフェイスを介して、前記臨床ケアフローを前記医療提供者に表示するためのコードと、
    を含むことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
32. 前記患者ケアフローは、治療ワークフローをさらに含む、
    請求項３１に記載のコンピュータ可読媒体。
33. 前記患者の電子記録は、電子健康記録を含む、
    請求項３２に記載のコンピュータ可読媒体。
34. 前記電子健康記録は、電子医療記録をさらに含む、
    請求項３３に記載のコンピュータ可読媒体。
35. 前記電子健康記録は、患者固有の医療情報及び非医療情報をさらに含む、
    請求項３２に記載のコンピュータ可読媒体。
36. 前記患者固有の医療情報及び非医療情報は、前記患者とのエンカウンタを有する医療提供者、内部患者因子及び外部患者因子から成る群から選択される、
    請求項３５に記載のコンピュータ可読媒体。
37. 前記内部患者因子は、前記患者の医療履歴を含む、
    請求項３６に記載のコンピュータ可読媒体。
38. 前記外部患者因子は、地理情報、ソーシャルメディア情報、非医療個人情報を含む、
    請求項３６に記載のコンピュータ可読媒体。
39. 前記治療ワークフローは、臨床診療プロトコル又はガイドラインを含む、
    請求項３２に記載のコンピュータ可読媒体。
40. 前記ケアフローエンジンは、前記患者ケアフロー及び前記共有患者記録を評価して、前記患者の前記症状の前記治療における次の治療ワークフローを決定する、
    請求項３９に記載のコンピュータ可読媒体。
41. 前記ケアフローエンジンは、前記患者ケアフロー及び前記電子記録を評価して、前記患者ケアフローからの逸脱が生じたかどうかを判断する、
    請求項４０に記載の方法。
42. 前記ケアフローエンジンは、専用データベース、伝染病データベース、医療記録データベース、ＵＮ及び主要／国際医療機関データベース、医療及び救急インフラデータベース、教育及び経済データベース、ニュースデータベース、人口統計データベース、通信及び軍事インフラデータベース、並びに気象、旅行、地形データベースから成る群から選択される第２のデータベースからデータを受け取るように構成される、
    請求項４０に記載のコンピュータ可読媒体。
43. 前記通知エンジンは、前記臨床ケアフローを匿名化し、該匿名化された臨床ケアフローを、前記患者ケアフローの責任を負う行政機関又は非行政機関に通信するように構成される、
    請求項４０に記載のコンピュータ可読媒体。
44. 前記医療提供者は、一次診療医、診療看護師、クリニック、病院、医師助手、セラピスト、専門医、保険業者、医療保険支払人、薬剤師、責任ある医療組織、及びホスピス提供者から成る群から選択される、
    請求項４３に記載のコンピュータ可読媒体。
45. 前記第１のデータベース、前記第２のデータベース、前記ケアフローエンジン、前記通知エンジン及び前記ネットワーク対応装置は、電子メール、ショートメッセージサービス（ＳＭＳ）、セキュアモバイルメッセージング、ウェブフック、システムダッシュボード、相互作用型音声応答のうちの少なくとも１つを使用してセキュアに通信するように構成される、
    請求項４４に記載のコンピュータ可読媒体。

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