JP2018179775A - 薄膜磁気センサモジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】xy平面上を移動する検査対象物を検知することが可能であり、かつ、外来磁気ノイズをキャンセルすることが可能な薄膜磁気センサモジュールを提供すること。【解決手段】薄膜磁気センサモジュール10は、感磁方向がy軸方向となるように、xy平面上に配置された第1GMR素子20と、感磁方向がy軸方向となるように、xy平面上に配置された第2GMR素子30と、第1GMR素子20及び第2GMR素子30にバイアス磁場を印加するための磁石40とを備えている。第1GMR素子20と第2GMR素子30とは電気的に直列に接続されており、第1GMR素子20は座標(y1、x1)上に位置し、第2GMR素子30は座標(y2、x2)上(但し、y1≠y2)に位置する。磁石40aは、第1GMR素子20及び第2GMR素子30に大きさ及び向きの等しいy軸方向のバイアス磁界を作用させることが可能な平面形状を持つ。【選択図】図1
Description
本発明は、薄膜磁気センサモジュールに関し、さらに詳しくは、xy平面上を移動する検査対象物を検知することが可能であり、かつ、外来磁気ノイズをキャンセルすることが可能な薄膜磁気センサモジュールに関する。
磁気センサは、電磁気力(例えば、電流、電圧、電力、磁場、磁束など。)、力学量(例えば、位置、速度、加速度、変位、距離、張力、圧力、トルク、温度、湿度など。)、生化学量等の被検出量を、磁場を介して電圧に変換する電子デバイスである。磁気センサは、磁場の検出方法に応じて、ホールセンサ、異方的磁気抵抗(AMR: Anisotropic Magneto-Resistivity)センサ、巨大磁気抵抗(GMR: Giant Magneto Resistance)センサ等に分類される。
これらの中でもGMRセンサは、
(1)AMRセンサに比べて電気比抵抗の変化率の最大値(すなわち、MR比=△ρ/ρ0(△ρ=ρH−ρ0:ρHは、外部磁場Hにおける電気比抵抗、ρ0は、外部磁場ゼロにおける電気比抵抗))が極めて大きい、
(2)ホールセンサに比べて抵抗値の温度変化が小さい、
(3)GMR効果を有する材料が薄膜材料であるために、マイクロ化に適している、
等の利点がある。そのため、GMRセンサは、コンピュータ、電力、自動車、家電、携帯機器等に用いられる高感度マイクロ磁気センサとしての応用が期待されている。
(1)AMRセンサに比べて電気比抵抗の変化率の最大値(すなわち、MR比=△ρ/ρ0(△ρ=ρH−ρ0:ρHは、外部磁場Hにおける電気比抵抗、ρ0は、外部磁場ゼロにおける電気比抵抗))が極めて大きい、
(2)ホールセンサに比べて抵抗値の温度変化が小さい、
(3)GMR効果を有する材料が薄膜材料であるために、マイクロ化に適している、
等の利点がある。そのため、GMRセンサは、コンピュータ、電力、自動車、家電、携帯機器等に用いられる高感度マイクロ磁気センサとしての応用が期待されている。
GMR効果を示す材料としては、強磁性層(例えば、パーマロイ等)と非磁性層(例えば、Cu、Ag、Au等)の多層膜、あるいは、反強磁性層、強磁性層(固定層)、非磁性層及び強磁性層(自由層)の4層構造を備えた多層膜(いわゆる、「スピンバルブ」)からなる金属人工格子、強磁性金属(例えば、パーマロイ等)からなるnmサイズの微粒子と、非磁性金属(例えば、Cu、Ag、Au等)からなる粒界相とを備えた金属−金属系ナノグラニュラー材料、スピン依存トンネル効果によってMR(Magneto-Resistivity)効果が生ずるトンネル接合膜、nmサイズの強磁性金属合金微粒子と、非磁性・絶縁性材料からなる粒界相とを備えた金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料等が知られている。
これらの内、スピンバルブに代表される多層膜は、一般に、低磁場における感度が高いという特徴がある。しかしながら、多層膜は、種々の材料からなる薄膜を高精度で積層する必要があるために、安定性や歩留まりが悪く、製作コストを抑えるには限界がある。そのため、この種の多層膜は、専ら付加価値の大きなデバイス(例えば、ハードディスク用の磁気ヘッド)にのみ用いられ、単価の安いAMRセンサやホールセンサとの価格競争を強いられる磁気センサに応用するのは困難であると考えられている。また、多層膜間の拡散が生じやすく、GMR効果が消失しやすいため、耐熱性が悪いという大きな欠点がある。
一方、ナノグラニュラー材料は、一般に、作製が容易で、再現性も良い。そのため、これを磁気センサに応用すれば、磁気センサを低コスト化することができる。特に、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、
(1)その組成を最適化すれば、室温において10%を越える高いMR比を示す、
(2)電気比抵抗ρが桁違いに高いので、磁気センサの超小型化と低消費電力化が同時に実現可能である、
(3)耐熱性の悪い反強磁性膜を含むスピンバルブ膜と異なり、高温環境下でも使用可能である、
等の利点がある。しかしながら、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、低磁場における磁場感度が非常に小さいという問題がある。そのため、このような場合には、GMR膜の両端に軟磁性材料からなるヨークを配置し、GMR膜の磁場感度を上げることが行われる。
(1)その組成を最適化すれば、室温において10%を越える高いMR比を示す、
(2)電気比抵抗ρが桁違いに高いので、磁気センサの超小型化と低消費電力化が同時に実現可能である、
(3)耐熱性の悪い反強磁性膜を含むスピンバルブ膜と異なり、高温環境下でも使用可能である、
等の利点がある。しかしながら、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、低磁場における磁場感度が非常に小さいという問題がある。そのため、このような場合には、GMR膜の両端に軟磁性材料からなるヨークを配置し、GMR膜の磁場感度を上げることが行われる。
紙幣識別や物体の位置検出、傷探傷などに磁気センサを利用する場合において、対象物は磁性体であるが、自ら磁力を発しない時には、磁気センサ側に磁石やコイルなどの磁力を発する機構を付加し、磁気センサにバイアス磁場を付与することが行われている。このような磁気センサに検査対象物が近づくと、検査対象物に含まれる磁性体によって磁石が発する磁力線の向きが変わり、この磁力線の向きの変化を磁気センサの出力の変化として検出することができる。そのため、バイアス磁場を付与する手段を備えた磁気センサに関し、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、巨大磁気抵抗薄膜の両端に、軟磁性薄膜と硬磁性薄膜の多層膜を配置した磁界センサが開示されている。
同文献には、電気抵抗変化が磁界の方向に依存しない磁気センサに対して、硬磁性薄膜によって生じた磁界をバイアス磁界として印加すると、外部磁界の大きさ及び極性を同時に検出することができる点が記載されている。
同文献には、電気抵抗変化が磁界の方向に依存しない磁気センサに対して、硬磁性薄膜によって生じた磁界をバイアス磁界として印加すると、外部磁界の大きさ及び極性を同時に検出することができる点が記載されている。
また、特許文献2には、
(a)X軸方向に沿って2列の磁石列を配置し、2列の磁石列の中心線上に異方性磁気抵抗素子を配置し、
(b)異方性磁気抵抗効果素子と、不感磁素子である固定抵抗とを直列に接続してハーフブリッジ回路を構成した
磁気検出装置が開示されている。
同文献には、異方性磁気抵抗素子を1つしか含まないため、組立誤差や磁石の磁力のばらつき等があった場合でも、出力電圧Voutの値が変化するのみで、検知波形には影響がない点が記載されている。
(a)X軸方向に沿って2列の磁石列を配置し、2列の磁石列の中心線上に異方性磁気抵抗素子を配置し、
(b)異方性磁気抵抗効果素子と、不感磁素子である固定抵抗とを直列に接続してハーフブリッジ回路を構成した
磁気検出装置が開示されている。
同文献には、異方性磁気抵抗素子を1つしか含まないため、組立誤差や磁石の磁力のばらつき等があった場合でも、出力電圧Voutの値が変化するのみで、検知波形には影響がない点が記載されている。
磁気センサは、測定対象物を駆動するメカ部に内蔵されることが多く、駆動用モータなどによる磁場の変動(外来磁場)がノイズとして検出されることがしばしば問題となる。これを防ぐために、軟磁性材料からなる磁気シールドでセンサ部をカバーすることも考えられる。しかし、測定対象物を検出する必要があるために、完全に磁気シールドでノイズを防ぐことは原理上不可能である。
また、鉛直方向に感磁方向を持つ複数の磁気センサ素子を幾何学的に異なる位置に配置して、複数の素子間の出力電圧の差を出力信号として出力させる方法も知られている。この場合、測定対象物は、各素子に時間差をもって作用するので出力信号が得られる一方、ノイズ磁場は各素子に一様に印加されるのでノイズは検知されない。しかしながら、磁気センサが水平方向に感磁方向を持つ場合、複数の磁気センサを幾何学的に異なる位置に配置すると、磁場の水平方向成分が異なるためにセンサの動作点が変わってしまう。そのため、一様なノイズ磁場に対して各素子が異なる出力を出すため、ノイズがキャンセルされないという課題があった。
本発明が解決しようとする課題は、xy平面上を移動する検査対象物を検知することが可能であり、かつ、外来磁気ノイズをキャンセルすることが可能な薄膜磁気センサモジュールを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る薄膜磁気センサモジュールは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記薄膜磁気センサモジュールは、
感磁方向がy軸方向となるように、xy平面上に配置された第1GMR素子と、
感磁方向がy軸方向となるように、前記xy平面上に配置された第2GMR素子と、
前記第1GMR素子及び前記第2GMR素子にバイアス磁場を印加するための磁石と
を備えている。
(2)前記第1GMR素子と前記第2GMR素子とは電気的に直列に接続されており、
前記第1GMR素子の前記xy平面上の座標を(y1、x1)、前記第2GMR素子の前記xy平面上の座標を(y2、x2)とした時に、y1≠y2の関係が成り立つ。
(3)前記磁石は、z軸方向に磁化された単一の磁石からなり、前記第1GMR素子及び前記第2GMR素子が配置された前記xy平面の下又は上に配置されている。
(4)前記磁石は、次の式(a)及び式(b)の関係が成り立つ。
0.95≦By(y1、x1)/By(y2、x2)≦1.05 ・・・(a)
0.95≦Bz(y1、x1)/Bz(y2、x2)≦1.05 ・・・(b)
但し、
By(y1、x1)は、座標(y1、x1)における磁束密度のy軸方向成分、
By(y2、x2)は、座標(y2、x2)における磁束密度のy軸方向成分、
Bz(y1、x1)は、座標(y1、x1)における磁束密度のz軸方向成分、
Bz(y2、x2)は、座標(y2、x2)における磁束密度のz軸方向成分。
(1)前記薄膜磁気センサモジュールは、
感磁方向がy軸方向となるように、xy平面上に配置された第1GMR素子と、
感磁方向がy軸方向となるように、前記xy平面上に配置された第2GMR素子と、
前記第1GMR素子及び前記第2GMR素子にバイアス磁場を印加するための磁石と
を備えている。
(2)前記第1GMR素子と前記第2GMR素子とは電気的に直列に接続されており、
前記第1GMR素子の前記xy平面上の座標を(y1、x1)、前記第2GMR素子の前記xy平面上の座標を(y2、x2)とした時に、y1≠y2の関係が成り立つ。
(3)前記磁石は、z軸方向に磁化された単一の磁石からなり、前記第1GMR素子及び前記第2GMR素子が配置された前記xy平面の下又は上に配置されている。
(4)前記磁石は、次の式(a)及び式(b)の関係が成り立つ。
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0.95≦Bz(y1、x1)/Bz(y2、x2)≦1.05 ・・・(b)
但し、
By(y1、x1)は、座標(y1、x1)における磁束密度のy軸方向成分、
By(y2、x2)は、座標(y2、x2)における磁束密度のy軸方向成分、
Bz(y1、x1)は、座標(y1、x1)における磁束密度のz軸方向成分、
Bz(y2、x2)は、座標(y2、x2)における磁束密度のz軸方向成分。
水平方向に感磁方向を持つ第1GMR素子と第2GMR素子を電気的に直列に接続し、かつ、これらをxy平面上に配置する場合において、第1GMR素子及び第2GMR素子にバイアス磁場を印加するための磁石の平面形状を最適化すると、
(a)第1GMR素子及び第2GMR素子に作用するy軸方向の磁束密度Byの大きさ及び向きが同一となり(式(a))、かつ、
(b)第1GMR素子及び第2GMR素子に作用するz軸方向の磁束密度Bzの大きさが同一となる(式(b))。
このような薄膜磁気センサモジュールを用いると、水平方向に移動する検査対象物を検知することが可能となり、しかも外来磁気ノイズをキャンセルすることができる。
(a)第1GMR素子及び第2GMR素子に作用するy軸方向の磁束密度Byの大きさ及び向きが同一となり(式(a))、かつ、
(b)第1GMR素子及び第2GMR素子に作用するz軸方向の磁束密度Bzの大きさが同一となる(式(b))。
このような薄膜磁気センサモジュールを用いると、水平方向に移動する検査対象物を検知することが可能となり、しかも外来磁気ノイズをキャンセルすることができる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 薄膜磁気センサモジュール]
図1に、本発明に係る薄膜磁気センサモジュールの平面図(図1(A))、及び正面図(図1(B))を示す。図1において、薄膜磁気センサモジュール10は、
感磁方向がy軸方向となるように、xy平面上に配置された第1GMR素子20と、
感磁方向がy軸方向となるように、xy平面上に配置された第2GMR素子30と、
第1GMR素子20及び第2GMR素子30にバイアス磁場を印加するための磁石40aと
を備えている。
[1. 薄膜磁気センサモジュール]
図1に、本発明に係る薄膜磁気センサモジュールの平面図(図1(A))、及び正面図(図1(B))を示す。図1において、薄膜磁気センサモジュール10は、
感磁方向がy軸方向となるように、xy平面上に配置された第1GMR素子20と、
感磁方向がy軸方向となるように、xy平面上に配置された第2GMR素子30と、
第1GMR素子20及び第2GMR素子30にバイアス磁場を印加するための磁石40aと
を備えている。
[1.1. 第1GMR素子]
第1GMR素子20は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(A)22と、GMR膜(A)22の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(A)24、26とを備えている。第1GMR素子20の表面は、通常、保護膜(図示せず)により覆われている。第1GMR素子20の一端には電源(Vcc)を接続するための端子が接合され、他端は第2GMR素子30に接続されている。さらに、第1GMR素子20と第2GMR素子30の間には、出力(Vout)を取り出すための端子が接合されている。すなわち、第1GMR素子20と第2GMR素子30とは、電気的に直列に接続されている。
第1GMR素子20は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(A)22と、GMR膜(A)22の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(A)24、26とを備えている。第1GMR素子20の表面は、通常、保護膜(図示せず)により覆われている。第1GMR素子20の一端には電源(Vcc)を接続するための端子が接合され、他端は第2GMR素子30に接続されている。さらに、第1GMR素子20と第2GMR素子30の間には、出力(Vout)を取り出すための端子が接合されている。すなわち、第1GMR素子20と第2GMR素子30とは、電気的に直列に接続されている。
[1.1.1. GMR膜(A)]
GMR膜(A)22は、外部磁場の変化を電気抵抗Rの変化として感じ、結果的に電圧の変化として検出するためのものであり、巨大磁気抵抗(GMR)効果を有する材料からなる。外部磁場の変化を高い感度で検出するためには、GMR膜(A)22のMR比の絶対値は、大きいほど良い。GMR膜(A)22のMR比の絶対値は、具体的には、5%以上が好ましく、さらに好ましくは、10%以上である。
GMR膜(A)22は、外部磁場の変化を電気抵抗Rの変化として感じ、結果的に電圧の変化として検出するためのものであり、巨大磁気抵抗(GMR)効果を有する材料からなる。外部磁場の変化を高い感度で検出するためには、GMR膜(A)22のMR比の絶対値は、大きいほど良い。GMR膜(A)22のMR比の絶対値は、具体的には、5%以上が好ましく、さらに好ましくは、10%以上である。
また、GMR膜(A)22は、薄膜ヨーク(A)24、26と直接、電気的に接続されるので、GMR膜(A)22には、薄膜ヨーク(A)24、26より高い電気比抵抗ρを有するものが用いられる。一般に、GMR膜(A)22の電気比抵抗ρが小さすぎると、センサ全体の電気抵抗に対する配線などの抵抗の比率が相対的に大きくなり、その結果としてMR比が低下するので好ましくない。一方、GMR膜(A)22の電気比抵抗ρが高すぎる場合には、ノイズが増加し、外部磁場の変化を電圧変化として検出するのが困難となる。
GMR膜(A)22の電気比抵抗ρは、具体的には、103μΩcm以上1012μΩcm以下が好ましく、さらに好ましくは、104μΩcm以上1011μΩcm以下である。
GMR膜(A)22の電気比抵抗ρは、具体的には、103μΩcm以上1012μΩcm以下が好ましく、さらに好ましくは、104μΩcm以上1011μΩcm以下である。
このような条件を満たす材料には、種々の材料があるが、中でも上述した金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料が特に好適である。金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、高いMR比と高い電気比抵抗ρを有するだけでなく、僅かな組成変動によってMR比が大きく変動することがないので、安定した磁気特性を有する薄膜を、再現性良く、かつ低コストで作製することができるという利点がある。
GMR膜(A)22として用いられる金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料としては、具体的には、
(1)Co−Y2O3系ナノグラニュラー合金、Co−Al2O3系ナノグラニュラー合金、Co−Sm2O3系ナノグラニュラー合金、Co−Dy2O3系ナノグラニュラー合金、FeCo−Y2O3系ナノグラニュラー合金等の酸化物系ナノグラニュラー合金、
(2)Fe−MgF2、FeCo−MgF2、Fe−CaF2、FeCo−AlF3等のフッ化物系ナノグラニュラー合金、
などがある。
(1)Co−Y2O3系ナノグラニュラー合金、Co−Al2O3系ナノグラニュラー合金、Co−Sm2O3系ナノグラニュラー合金、Co−Dy2O3系ナノグラニュラー合金、FeCo−Y2O3系ナノグラニュラー合金等の酸化物系ナノグラニュラー合金、
(2)Fe−MgF2、FeCo−MgF2、Fe−CaF2、FeCo−AlF3等のフッ化物系ナノグラニュラー合金、
などがある。
[1.1.2. 薄膜ヨーク(A)]
薄膜ヨーク(A)24、26は、ギャップを介して対向しており、GMR膜(A)22は、ギャップ内又はその近傍において、薄膜ヨーク(A)24、26と電気的に接続される。
ここで、「ギャップ近傍」とは、薄膜ヨーク(A)24、26先端に発生する増幅された大きな磁場の影響を受ける領域をいう。薄膜ヨーク(A)24、26間に発生する磁場は、ギャップ内が最も大きくなるので、GMR膜(A)22は、ギャップ内に形成するのが最も好ましいが、GMR膜(A)22に作用する磁場が実用上十分な大きさであるときは、その全部又は一部がギャップ外(例えば、薄膜ヨーク(A)24、26の上面側又は下面側)にあっても良いことを意味する。
薄膜ヨーク(A)24、26は、ギャップを介して対向しており、GMR膜(A)22は、ギャップ内又はその近傍において、薄膜ヨーク(A)24、26と電気的に接続される。
ここで、「ギャップ近傍」とは、薄膜ヨーク(A)24、26先端に発生する増幅された大きな磁場の影響を受ける領域をいう。薄膜ヨーク(A)24、26間に発生する磁場は、ギャップ内が最も大きくなるので、GMR膜(A)22は、ギャップ内に形成するのが最も好ましいが、GMR膜(A)22に作用する磁場が実用上十分な大きさであるときは、その全部又は一部がギャップ外(例えば、薄膜ヨーク(A)24、26の上面側又は下面側)にあっても良いことを意味する。
薄膜ヨーク(A)24、26は、GMR膜(A)22の磁場感度を高めるためのものであり、軟磁性材料からなる。弱磁場に対する高い磁場感度を得るためには、薄膜ヨーク(A)24、26には、透磁率μ及び/又は飽和磁化Msの高い材料を用いるのが好ましい。また、薄膜ヨーク(A)24、26の材料は、使用する外部磁場の範囲で磁気飽和のないものが好ましい。一方、軟磁性材料の透磁率μは、高いほど好ましく、例えば、5000以上が好ましい。
このような条件を満たす軟磁性材料としては、具体的には、
(a)40〜90%Ni−Fe合金、Fe74Si9Al17、Fe12Ni82Nb6、Fe75.6Si13.2B8.5Nb1.9Cu0.8、Fe83Hf6C11、Fe85Zr10B5合金、Fe93Si3N4合金、Fe71B11N18合金、
(b)40〜90%Ni−Fe合金/SiO2多層膜、
(c)Fe71.3Nd9.6O19.1ナノグラニュラー合金、Co70Al10O20ナノグラニュラー合金、Co65Fe5Al10O20ナノグラニュラー合金、
(d)Co35Fe35Mg10F20ナノグラニュラー合金、
(e)Co88Nb6Zr6アモルファス合金、(Co94Fe6)70Si15B15アモルファス合金、
などがある。
(a)40〜90%Ni−Fe合金、Fe74Si9Al17、Fe12Ni82Nb6、Fe75.6Si13.2B8.5Nb1.9Cu0.8、Fe83Hf6C11、Fe85Zr10B5合金、Fe93Si3N4合金、Fe71B11N18合金、
(b)40〜90%Ni−Fe合金/SiO2多層膜、
(c)Fe71.3Nd9.6O19.1ナノグラニュラー合金、Co70Al10O20ナノグラニュラー合金、Co65Fe5Al10O20ナノグラニュラー合金、
(d)Co35Fe35Mg10F20ナノグラニュラー合金、
(e)Co88Nb6Zr6アモルファス合金、(Co94Fe6)70Si15B15アモルファス合金、
などがある。
[1.2. 第2GMR素子]
第2GMR素子30は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(B)32と、GMR膜(B)32の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(B)34、36とを備えている。第2GMR素子30の表面は、通常、保護膜(図示せず)により覆われている。さらに、第2GMR素子30の一端は、第1GMR素子20に接合され、他端は、接地(GND)のための端子に接続されている。
第2GMR素子30は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(B)32と、GMR膜(B)32の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(B)34、36とを備えている。第2GMR素子30の表面は、通常、保護膜(図示せず)により覆われている。さらに、第2GMR素子30の一端は、第1GMR素子20に接合され、他端は、接地(GND)のための端子に接続されている。
[1.2.1. GMR膜(B)]
GMR膜(B)32の材料は、第1GMR素子20のGMR膜(A)22と異なる材料でも良いが、同一材料の方がより好ましい。GMR膜(B)32及びGMR膜(A)22に同一材料を用いると、1工程で双方のGMR膜を同時に形成することができるので、製造コストを低減することができる。また、同一材料の場合は温度による抵抗変化量が同じになるので、中点電位(Vout)が温度により変化しないという利点がある。
GMR膜(B)32の材料に関するその他の点は、GMR膜(A)22と同様であるので、説明を省略する。
GMR膜(B)32の材料は、第1GMR素子20のGMR膜(A)22と異なる材料でも良いが、同一材料の方がより好ましい。GMR膜(B)32及びGMR膜(A)22に同一材料を用いると、1工程で双方のGMR膜を同時に形成することができるので、製造コストを低減することができる。また、同一材料の場合は温度による抵抗変化量が同じになるので、中点電位(Vout)が温度により変化しないという利点がある。
GMR膜(B)32の材料に関するその他の点は、GMR膜(A)22と同様であるので、説明を省略する。
[1.2.2. 薄膜ヨーク(B)]
薄膜ヨーク(B)34、36の材料は、第1GMR素子20の薄膜ヨーク(A)24、26と異なる材料でも良く、あるいは、同一材料でも良い。薄膜ヨーク(B)34、36及び薄膜ヨーク(A)24、26に同一材料を用いると、1工程で双方の薄膜ヨークを同時に形成することができるので、製造コストを低減することができる。
薄膜ヨーク(B)34、36の材料に関するその他の点は、薄膜ヨーク(A)24、26と同様であるので、説明を省略する。
薄膜ヨーク(B)34、36の材料は、第1GMR素子20の薄膜ヨーク(A)24、26と異なる材料でも良く、あるいは、同一材料でも良い。薄膜ヨーク(B)34、36及び薄膜ヨーク(A)24、26に同一材料を用いると、1工程で双方の薄膜ヨークを同時に形成することができるので、製造コストを低減することができる。
薄膜ヨーク(B)34、36の材料に関するその他の点は、薄膜ヨーク(A)24、26と同様であるので、説明を省略する。
[1.2.3. 磁場感度]
本発明に係る薄膜磁気センサモジュール10は、検査対象物がy軸方向を移動する時に、第1GMR素子20及び第2GMR素子30の双方が、所定の時間間隔をおいて磁束の変化を検出する。そのため、第1GMR素子20と第2GMR素子30の磁場感度は、同一であるのが好ましい。
本発明に係る薄膜磁気センサモジュール10は、検査対象物がy軸方向を移動する時に、第1GMR素子20及び第2GMR素子30の双方が、所定の時間間隔をおいて磁束の変化を検出する。そのため、第1GMR素子20と第2GMR素子30の磁場感度は、同一であるのが好ましい。
[1.3. GMR素子の配置]
本発明に係る薄膜磁気センサモジュール10は、第1GMR素子20のxy平面上の座標を(y1、x1)、第2GMR素子30のxy平面上の座標を(y2、x2)とした時に、y1≠y2の関係が成り立つ。すなわち、第1GMR素子20と第2GMR素子30とは、y軸方向の位置が異なっている。これは、検査対象物がy軸方向に移動する時に、第1GMR素子20及び第2GMR素子30の双方が、所定の時間間隔をおいて磁束の変化を検出できるようにするためである。
ここで、「GMR素子の座標」とは、GMR素子の基準点の位置をいう。図1に示す例において、第1GMR素子20及び第2GMR素子30は、それぞれ、GMR膜(A)22及びGMR膜(B)32の中心を基準点としている。
本発明に係る薄膜磁気センサモジュール10は、第1GMR素子20のxy平面上の座標を(y1、x1)、第2GMR素子30のxy平面上の座標を(y2、x2)とした時に、y1≠y2の関係が成り立つ。すなわち、第1GMR素子20と第2GMR素子30とは、y軸方向の位置が異なっている。これは、検査対象物がy軸方向に移動する時に、第1GMR素子20及び第2GMR素子30の双方が、所定の時間間隔をおいて磁束の変化を検出できるようにするためである。
ここで、「GMR素子の座標」とは、GMR素子の基準点の位置をいう。図1に示す例において、第1GMR素子20及び第2GMR素子30は、それぞれ、GMR膜(A)22及びGMR膜(B)32の中心を基準点としている。
第1GMR素子20のx軸方向の位置(x1)及び第2GMR素子30のx軸方向の位置(x2)は、特に限定されない。すなわち、x1及びx2は、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。一般に、後述するバイアス磁場の条件を満たし、かつ、x1=x2の関係を満たす位置に第1GMR素子20及び第2GMR素子30を配置することは、物理的に困難となる場合が多い。このような場合には、x1≠x2となるように第1GMR素子30及び第2GMR素子30を配置すれば良い。
[1.4. 磁石]
[1.4.1. 磁石の配置]
磁石40aは、z軸方向に磁化された単一の磁石からなる。また、磁石40aは、第1GMR素子20及び第2GMR素子30が配置されたxy平面の下又は上に配置されている。図1に示す例において、磁石40aは、第1GMR素子20及び第2GMR素子30の設置面の下に配置されている。
[1.4.1. 磁石の配置]
磁石40aは、z軸方向に磁化された単一の磁石からなる。また、磁石40aは、第1GMR素子20及び第2GMR素子30が配置されたxy平面の下又は上に配置されている。図1に示す例において、磁石40aは、第1GMR素子20及び第2GMR素子30の設置面の下に配置されている。
[1.4.2. 磁束密度比]
本発明において、磁石40aは、次の式(a)及び式(b)の関係が成り立つ。
0.95≦By(y1、x1)/By(y2、x2)≦1.05 ・・・(a)
0.95≦Bz(y1、x1)/Bz(y2、x2)≦1.05 ・・・(b)
但し、
By(y1、x1)は、座標(y1、x1)における磁束密度のy軸方向成分、
By(y2、x2)は、座標(y2、x2)における磁束密度のy軸方向成分、
Bz(y1、x1)は、座標(y1、x1)における磁束密度のz軸方向成分、
Bz(y2、x2)は、座標(y2、x2)における磁束密度のz軸方向成分。
本発明において、磁石40aは、次の式(a)及び式(b)の関係が成り立つ。
0.95≦By(y1、x1)/By(y2、x2)≦1.05 ・・・(a)
0.95≦Bz(y1、x1)/Bz(y2、x2)≦1.05 ・・・(b)
但し、
By(y1、x1)は、座標(y1、x1)における磁束密度のy軸方向成分、
By(y2、x2)は、座標(y2、x2)における磁束密度のy軸方向成分、
Bz(y1、x1)は、座標(y1、x1)における磁束密度のz軸方向成分、
Bz(y2、x2)は、座標(y2、x2)における磁束密度のz軸方向成分。
式(a)中、By(y1、x1)/By(y2、x2)比(以下、単に「By比」ともいう)は、第2GMR素子30に作用する磁束密度のy軸方向成分に対する第1GMR素子20のそれの比を表す。すなわち、式(a)が成り立つことは、第1GMR素子20に作用する磁束密度のy軸方向成分の大きさ及び向きが第2GMR素子30に作用するそれとほぼ同一であることを表す。
By比が小さすぎる場合、及び大きすぎる場合のいずれも、外来磁気ノイズを十分にキャンセルできない。従って、By比は、0.95以上1.05以下である必要がある。By比は、好ましくは、0.98以上1.02以下、さらに好ましくは、0.99以上1.01以下である。
式(b)中、Bz(y1、x1)/Bz(y2、x2)比(以下、単に「Bz比」ともいう)は、第2GMR素子30に作用する磁束密度のz軸方向成分に対する第1GMR素子20のそれの比を表す。すなわち、式(b)が成り立つことは、第1GMR素子20に作用する磁束密度のz軸方向成分の大きさ及び向きが第2GMR素子30に作用するそれとほぼ同一であることを表す。
磁性体を含む検査対象物がy軸方向に移動すると、磁石40aから放出される磁力線の向きが変化する。本発明に係る薄膜磁気センサモジュール10は、この磁力線の向きの変化を第1GMR素子20及び第2GMR素子30で検出する。Bz比が小さすぎる場合、及び大きすぎる場合のいずれも、検査対象物が第1GMR素子20の上を通過した時と第2GMR素子30の上を通過した時とで、出力(Vout)が大きく変化し、検査対象物の検出精度が低下する。従って、Bz比は、0.95以上1.05以下である必要がある。Bz比は、好ましくは、0.98以上1.02以下、さらに好ましくは、0.99以上1.01以下である。
[1.4.3. 磁石の平面形状]
磁石40aがz軸方向に磁化されている場合、磁石40aの上面から流出した磁力線は、弧を描いて裏面に流入する。そのため、磁石40aのどの位置に第1GMR素子20を配置するかによって、第1GMR素子20に作用するバイアス磁場の大きさが異なる。この点は、第2GMR素子30も同様である。
磁石40aがz軸方向に磁化されている場合、磁石40aの上面から流出した磁力線は、弧を描いて裏面に流入する。そのため、磁石40aのどの位置に第1GMR素子20を配置するかによって、第1GMR素子20に作用するバイアス磁場の大きさが異なる。この点は、第2GMR素子30も同様である。
磁石40aの平面形状が対称性の高い形状である場合、磁石40aから放出される磁力線の形状も対称性が高くなる。そのため、通常、上述した式(a)及び式(b)の関係を同時に満たす1組の座標は存在しない。
しかし、磁石40aの平面形状が対称性の低い形状である場合、上述した式(a)及び式(b)を満たす少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。このような座標上に、それぞれ、第1GMR素子20及び第2GMR素子30を配置すると、
(a)第1GMR素子20及び第2GMR素子30に作用するバイアス磁場のy軸方向成分の大きさ及び向きを同一にし、かつ、
(b)第1GMR素子20及び第2GMR素子30に作用するバイアス磁場のz軸方向成分の大きさを同一にすることができる。
しかし、磁石40aの平面形状が対称性の低い形状である場合、上述した式(a)及び式(b)を満たす少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。このような座標上に、それぞれ、第1GMR素子20及び第2GMR素子30を配置すると、
(a)第1GMR素子20及び第2GMR素子30に作用するバイアス磁場のy軸方向成分の大きさ及び向きを同一にし、かつ、
(b)第1GMR素子20及び第2GMR素子30に作用するバイアス磁場のz軸方向成分の大きさを同一にすることができる。
このようなバイアス磁場を発生させるためには、磁石40aは、平面形状がx軸及びy軸に対して非線対称な形状を持つものが好ましい。x軸及びy軸に対して非線対称な平面形状としては、例えば、
(a)菱形(又は、平行四辺形)、
(b)菱形(又は、平行四辺形)の鋭角の角部を切除した形状、
(c)2つの内角が直角である台形、
(d)1/4円、
(e)2つの長方形をy軸方向にずらして結合させた形状
などがある。磁石40aは、少なくともその平面形状の一部に、このような非線対称な平面形状を含んでいれば良い。
(a)菱形(又は、平行四辺形)、
(b)菱形(又は、平行四辺形)の鋭角の角部を切除した形状、
(c)2つの内角が直角である台形、
(d)1/4円、
(e)2つの長方形をy軸方向にずらして結合させた形状
などがある。磁石40aは、少なくともその平面形状の一部に、このような非線対称な平面形状を含んでいれば良い。
[2. 作用]
水平方向に感磁方向を持つ第1GMR素子と第2GMR素子を電気的に直列に接続し、かつ、これらをxy平面上に配置する場合において、第1GMR素子及び第2GMR素子にバイアス磁場を印加するための磁石の形状を最適化すると、
(a)第1GMR素子及び第2GMR素子に作用するy軸方向の磁束密度Byの大きさ及び向きが同一となり(式(a))、かつ、
(b)第1GMR素子及び第2GMR素子に作用するz軸方向の磁束密度Bzの大きさが同一となる(式(b))。
このような薄膜磁気センサモジュールを用いると、水平方向に移動する検査対象物を検知することが可能となり、しかも外来磁気ノイズをキャンセルすることができる。
水平方向に感磁方向を持つ第1GMR素子と第2GMR素子を電気的に直列に接続し、かつ、これらをxy平面上に配置する場合において、第1GMR素子及び第2GMR素子にバイアス磁場を印加するための磁石の形状を最適化すると、
(a)第1GMR素子及び第2GMR素子に作用するy軸方向の磁束密度Byの大きさ及び向きが同一となり(式(a))、かつ、
(b)第1GMR素子及び第2GMR素子に作用するz軸方向の磁束密度Bzの大きさが同一となる(式(b))。
このような薄膜磁気センサモジュールを用いると、水平方向に移動する検査対象物を検知することが可能となり、しかも外来磁気ノイズをキャンセルすることができる。
図2(A)に、2つのGMR素子(R1、R2)に逆向きのy軸方向のバイアス磁場が印加された薄膜磁気センサモジュールの模式図を示す。図2(B)に、各GMR素子(R1、R2)に作用する磁場(H)と出力(Vout)との関係を示す。
図2(A)に示すように、z軸方向に磁化された磁石の上に2つのGMR素子(R1、R2)をy1≠y2となるように配置する場合において、磁石の平面形状が対称性の高い形状である時は、各GMR素子には、それぞれ、逆向きのy方向のバイアス磁場が作用する。この時、R1、R2に作用するバイアス磁場は、逆向きであるが大きさは同じであるため、外来磁場がない時は、R1とR2の出力は、ほぼ等しくなる。そのため、R1、R2を直列に接続し、中点電位を出力させると、中点電位は、電源電圧(Vcc)の約1/2となる。
図2(A)に示すように、z軸方向に磁化された磁石の上に2つのGMR素子(R1、R2)をy1≠y2となるように配置する場合において、磁石の平面形状が対称性の高い形状である時は、各GMR素子には、それぞれ、逆向きのy方向のバイアス磁場が作用する。この時、R1、R2に作用するバイアス磁場は、逆向きであるが大きさは同じであるため、外来磁場がない時は、R1とR2の出力は、ほぼ等しくなる。そのため、R1、R2を直列に接続し、中点電位を出力させると、中点電位は、電源電圧(Vcc)の約1/2となる。
しかし、逆向きのバイアス磁場が印加されているGMR素子(R1、R2)に対して、同相の外来磁場(図2に示す例では、右向きの外来磁場)が作用した時には、図2(B)に示すように、各GMR素子(R1、R2)は、それぞれ、逆向きの反応をする。そのため、R1、R2を直列に接続し、中点電位を出力させると、中点電位は、Vcc/2よりも増加又は減少する。すなわち、図2(A)に示す薄膜磁気センサモジュールでは、外来磁場をキャンセルすることができず、ノイズが大きくなる。
図3(A)に、2つのGMR素子(R1、R2)に同じ向きのy軸方向のバイアス磁場が印加された薄膜磁気センサモジュールの模式図を示す。図3(B)は、各GMR素子(R1、R2)に作用する磁場(H)と出力(Vout)との関係を示す。
図3(A)に示すように、z軸方向に磁化された磁石の上に2つのGMR素子(R1、R2)を配置する場合において、磁石の平面形状が対称性の低い形状である時には、各GMR素子(R1、R2)の配置を最適化することにより、各GMR素子(R1、R2)に、それぞれ、同じ向き及び大きさのy軸方向のバイアス磁場を作用させることができる。
図3(A)に示すように、z軸方向に磁化された磁石の上に2つのGMR素子(R1、R2)を配置する場合において、磁石の平面形状が対称性の低い形状である時には、各GMR素子(R1、R2)の配置を最適化することにより、各GMR素子(R1、R2)に、それぞれ、同じ向き及び大きさのy軸方向のバイアス磁場を作用させることができる。
このような薄膜磁気センサに対して、同相の外来磁場が作用した時には、図3(B)に示すように、各GMR素子(R1、R2)は、それぞれ、同じ向きの反応をする。そのため、R1、R2を直列に接続し、中点電位を出力させると、中点電位は約Vcc/2のままとなり、ほとんど変動しない。すなわち、図3(A)に示す薄膜磁気センサモジュールを用いると、外来磁場をキャンセルすることができ、ノイズが小さくなる。
一方、検査対象物がy軸方向に沿って移動する時には、所定の時間間隔をおいて、R1及びR2の抵抗値がそれぞれ独立に変化する。そのため、検査対象物の通過を検出することができる。
一方、検査対象物がy軸方向に沿って移動する時には、所定の時間間隔をおいて、R1及びR2の抵抗値がそれぞれ独立に変化する。そのため、検査対象物の通過を検出することができる。
(実施例1)
[1. 試験方法]
図4に、磁場解析に用いた磁石40a(実施例1)の平面図(図4(A))、及び斜視図(図4(B))を示す。実施例1において、磁石40aの平面形状は、平行四辺形とした。磁石40aの厚さは1mmとし、磁石表面(z=0)から1.1mmの位置にあるxy平面をセンサ設置面とした。また、第1GMR素子は、x座標が−xとなるライン上に配置するものとし、第2GMR素子は、x座標が+xとなるライン上に配置するものとした。このような条件下において、センサ設置面上の磁束密度の向き及び大きさをシミュレーションにより求めた。
[1. 試験方法]
図4に、磁場解析に用いた磁石40a(実施例1)の平面図(図4(A))、及び斜視図(図4(B))を示す。実施例1において、磁石40aの平面形状は、平行四辺形とした。磁石40aの厚さは1mmとし、磁石表面(z=0)から1.1mmの位置にあるxy平面をセンサ設置面とした。また、第1GMR素子は、x座標が−xとなるライン上に配置するものとし、第2GMR素子は、x座標が+xとなるライン上に配置するものとした。このような条件下において、センサ設置面上の磁束密度の向き及び大きさをシミュレーションにより求めた。
[2. 結果]
図5(A)に、図4に示す磁石40aのy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。図5(B)に、図4に示す磁石のy座標とz軸方向の磁束密度Bzとの関係を示す。なお、図5は、z=1.1mm、x=±0.5mmのシミュレーション結果である。図5より、以下のことがわかる。
(a)y=4〜8mmの範囲内にある場合、磁束密度のz軸方向成分Bzは、x座標及びy座標によらずほぼ等しくなる。
(b)y=4〜8mmの範囲内にある場合、磁束密度のy軸方向成分Byの向き及び大きさがほぼ等しくなる少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。
図5(A)に、図4に示す磁石40aのy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。図5(B)に、図4に示す磁石のy座標とz軸方向の磁束密度Bzとの関係を示す。なお、図5は、z=1.1mm、x=±0.5mmのシミュレーション結果である。図5より、以下のことがわかる。
(a)y=4〜8mmの範囲内にある場合、磁束密度のz軸方向成分Bzは、x座標及びy座標によらずほぼ等しくなる。
(b)y=4〜8mmの範囲内にある場合、磁束密度のy軸方向成分Byの向き及び大きさがほぼ等しくなる少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。
図6(A)に、センサ設置面の平面図を示す。図6(B)に、図6(A)に示すセンサ設置面のy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。なお、図6は、z=1.1mm、x=±1.0mmのシミュレーション結果である。
図6(B)に示すように、z=1.1mm、x=−1.0mmのライン上において、例えば、By=−10[Oe]となるのは、y=5.5mmの位置である。一方、z=1.1mm、x=+1.0mmのライン上において、By=−10[Oe]となるのは、y=6.2mmの位置である。
図6(B)に示すように、z=1.1mm、x=−1.0mmのライン上において、例えば、By=−10[Oe]となるのは、y=5.5mmの位置である。一方、z=1.1mm、x=+1.0mmのライン上において、By=−10[Oe]となるのは、y=6.2mmの位置である。
従って、図6(A)に示すように、座標(y1、x1、z1)=(5.5mm、−1.0mm、1.1mm)の位置に第1GMR素子を配置し、座標(y2、x2、z2)=(6.2mm、+1.0mm、1.1mm)の位置に第2GMR素子を配置すれば、第1GMR素子及び第2GMR素子に、それぞれ、大きさ及び向きがほぼ等しいy軸方向のバイアス磁場、並びに、大きさがほぼ等しいz軸方向のバイアス磁場を作用させることができる。
さらに、このように配置された第1GMR素子及び第2GMR素子をブリッジ接続すれば、外来磁場ノイズの影響の少ない薄膜磁気センサモジュールを実現できる。
さらに、このように配置された第1GMR素子及び第2GMR素子をブリッジ接続すれば、外来磁場ノイズの影響の少ない薄膜磁気センサモジュールを実現できる。
(実施例2)
[1. 試験方法]
図7に、磁場解析に用いた磁石40b(実施例2)の平面図を示す。実施例2において、磁石40bの平面形状は、平行四辺形の鋭角の角部を切除した形状とした。以下、実施例1と同様にして、センサ設置面上の磁束密度の向き及び大きさをシミュレーションにより求めた。
[1. 試験方法]
図7に、磁場解析に用いた磁石40b(実施例2)の平面図を示す。実施例2において、磁石40bの平面形状は、平行四辺形の鋭角の角部を切除した形状とした。以下、実施例1と同様にして、センサ設置面上の磁束密度の向き及び大きさをシミュレーションにより求めた。
[2. 結果]
図8(A)に、図7に示す磁石40bのy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。図8(B)に、図7に示す磁石40bのy座標とz軸方向の磁束密度Bzとの関係を示す。なお、図8は、z=1.1mm、x=±1.0mmのシミュレーション結果である。図8より、以下のことが分かる。
(a)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のz軸方向成分Bzは、x座標及びy座標によらずほぼ等しくなる。
(b)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のy軸方向成分Byの向き及び大きさがほぼ等しくなる少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。
図8(A)に、図7に示す磁石40bのy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。図8(B)に、図7に示す磁石40bのy座標とz軸方向の磁束密度Bzとの関係を示す。なお、図8は、z=1.1mm、x=±1.0mmのシミュレーション結果である。図8より、以下のことが分かる。
(a)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のz軸方向成分Bzは、x座標及びy座標によらずほぼ等しくなる。
(b)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のy軸方向成分Byの向き及び大きさがほぼ等しくなる少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。
(実施例3)
[1. 試験方法]
図9に、磁場解析に用いた磁石40c(実施例3)の平面図を示す。実施例3において、磁石40cの平面形状は、2つの内角が直角である台形とした。以下、実施例1と同様にして、センサ設置面上の磁束密度の向き及び大きさをシミュレーションにより求めた。
[1. 試験方法]
図9に、磁場解析に用いた磁石40c(実施例3)の平面図を示す。実施例3において、磁石40cの平面形状は、2つの内角が直角である台形とした。以下、実施例1と同様にして、センサ設置面上の磁束密度の向き及び大きさをシミュレーションにより求めた。
[2. 結果]
図10(A)に、図9に示す磁石40cのy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。図10(B)に、図9に示す磁石40cのy座標とz軸方向の磁束密度Bzとの関係を示す。なお、図10は、z=1.1mm、x=±1.0mmのシミュレーション結果である。図10より、以下のことが分かる。
(a)y=5〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のz軸方向成分Bzは、x座標及びy座標によらずほぼ等しくなる。
(b)y=5〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のy軸方向成分Byの向き及び大きさがほぼ等しくなる少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。
図10(A)に、図9に示す磁石40cのy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。図10(B)に、図9に示す磁石40cのy座標とz軸方向の磁束密度Bzとの関係を示す。なお、図10は、z=1.1mm、x=±1.0mmのシミュレーション結果である。図10より、以下のことが分かる。
(a)y=5〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のz軸方向成分Bzは、x座標及びy座標によらずほぼ等しくなる。
(b)y=5〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のy軸方向成分Byの向き及び大きさがほぼ等しくなる少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。
(実施例4)
[1. 試験方法]
図11に、磁場解析に用いた磁石40d(実施例4)の平面図を示す。実施例4において、磁石40dの平面形状は、1/4円と長方形とを組み合わせた形状とした。以下、実施例1と同様にして、センサ設置面上の磁束密度の向き及び大きさをシミュレーションにより求めた。
[1. 試験方法]
図11に、磁場解析に用いた磁石40d(実施例4)の平面図を示す。実施例4において、磁石40dの平面形状は、1/4円と長方形とを組み合わせた形状とした。以下、実施例1と同様にして、センサ設置面上の磁束密度の向き及び大きさをシミュレーションにより求めた。
[2. 結果]
図12(A)に、図11に示す磁石40dのy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。図12(B)に、図11に示す磁石40dのy座標とz軸方向の磁束密度Bzとの関係を示す。なお、図10は、z=1.1mm、x=±1.0mmのシミュレーション結果である。図12より、以下のことが分かる。
(a)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のz軸方向成分Bzは、x座標及びy座標によらずほぼ等しくなる。
(b)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のy軸方向成分Byの向き及び大きさほぼ等しくなる少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。
図12(A)に、図11に示す磁石40dのy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。図12(B)に、図11に示す磁石40dのy座標とz軸方向の磁束密度Bzとの関係を示す。なお、図10は、z=1.1mm、x=±1.0mmのシミュレーション結果である。図12より、以下のことが分かる。
(a)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のz軸方向成分Bzは、x座標及びy座標によらずほぼ等しくなる。
(b)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のy軸方向成分Byの向き及び大きさほぼ等しくなる少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。
(実施例5)
[1. 試験方法]
図13に、磁場解析に用いた磁石40e(実施例5)の平面図を示す。実施例5において、磁石40eの平面形状は、2つの長方形をy軸方向にずらして結合させた形状とした。以下、実施例1と同様にして、センサ設置面上の磁束密度の向き及び大きさをシミュレーションにより求めた。
[1. 試験方法]
図13に、磁場解析に用いた磁石40e(実施例5)の平面図を示す。実施例5において、磁石40eの平面形状は、2つの長方形をy軸方向にずらして結合させた形状とした。以下、実施例1と同様にして、センサ設置面上の磁束密度の向き及び大きさをシミュレーションにより求めた。
[2. 結果]
図14(A)に、図13に示す磁石40eのy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。図14(B)に、図11に示す磁石40eのy座標とz軸方向の磁束密度Bzとの関係を示す。なお、図14は、z=1.1mm、x=±1.0mmのシミュレーション結果である。図14より、以下のことが分かる。
(a)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のz軸方向成分Bzは、x座標及びy座標によらずほぼ等しくなる。
(b)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のy軸方向成分Byの向き及び大きさほぼ等しくなる少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。
図14(A)に、図13に示す磁石40eのy座標とy軸方向の磁束密度Byとの関係を示す。図14(B)に、図11に示す磁石40eのy座標とz軸方向の磁束密度Bzとの関係を示す。なお、図14は、z=1.1mm、x=±1.0mmのシミュレーション結果である。図14より、以下のことが分かる。
(a)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のz軸方向成分Bzは、x座標及びy座標によらずほぼ等しくなる。
(b)y=4〜7mmの範囲内にある場合、磁束密度のy軸方向成分Byの向き及び大きさほぼ等しくなる少なくとも1組の座標(y1、x1)及び(y2、x2)が存在する。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る薄膜磁気センサは、紙葉類処理装置、自動車の車軸、ロータリーエンコーダ、産業用歯車等の回転情報の検出、油圧式シリンダ/空気式シリンダのストロークポジション、工作機械のスライド等の位置・速度情報の検出、工業用溶接ロボットのアーク電流等の電流情報の検出、地磁気方位コンパスなどに用いることができる。
10 薄膜磁気センサモジュール
20 第1GMR素子
22 GMR膜(A)
24、26 薄膜ヨーク(A)
30 第2GMR素子
32 GMR膜(B)
34、36 薄膜ヨーク(B)
40a〜40e 磁石
20 第1GMR素子
22 GMR膜(A)
24、26 薄膜ヨーク(A)
30 第2GMR素子
32 GMR膜(B)
34、36 薄膜ヨーク(B)
40a〜40e 磁石
Claims (4)
- 以下の構成を備えた薄膜磁気センサモジュール。
(1)前記薄膜磁気センサモジュールは、
感磁方向がy軸方向となるように、xy平面上に配置された第1GMR素子と、
感磁方向がy軸方向となるように、前記xy平面上に配置された第2GMR素子と、
前記第1GMR素子及び前記第2GMR素子にバイアス磁場を印加するための磁石と
を備えている。
(2)前記第1GMR素子と前記第2GMR素子とは電気的に直列に接続されており、
前記第1GMR素子の前記xy平面上の座標を(y1、x1)、前記第2GMR素子の前記xy平面上の座標を(y2、x2)とした時に、y1≠y2の関係が成り立つ。
(3)前記磁石は、z軸方向に磁化された単一の磁石からなり、前記第1GMR素子及び前記第2GMR素子が配置された前記xy平面の下又は上に配置されている。
(4)前記磁石は、次の式(a)及び式(b)の関係が成り立つ。
0.95≦By(y1、x1)/By(y2、x2)≦1.05 ・・・(a)
0.95≦Bz(y1、x1)/Bz(y2、x2)≦1.05 ・・・(b)
但し、
By(y1、x1)は、座標(y1、x1)における磁束密度のy軸方向成分、
By(y2、x2)は、座標(y2、x2)における磁束密度のy軸方向成分、
Bz(y1、x1)は、座標(y1、x1)における磁束密度のz軸方向成分、
Bz(y2、x2)は、座標(y2、x2)における磁束密度のz軸方向成分。 - 以下の構成をさらに備えた請求項1に記載の薄膜磁気センサモジュール。
(5)前記第1GMR素子は、
巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(A)と、
前記GMR膜(A)の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(A)と
を備えている。
(6)前記第2GMR素子は、
巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(B)と、
前記GMR膜(B)の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(B)と
を備えている。 - 前記磁石は、平面形状がx軸及びy軸に対して非線対称な形状を持つ請求項1又は2に記載の薄膜磁気センサモジュール。
- 前記磁石は、少なくとも、その平面形状の一部に、
(a)菱形(又は、平行四辺形)、
(b)菱形(又は、平行四辺形)の鋭角の角部を切除した形状、
(c)2つの内角が直角である台形、
(d)1/4円、又は
(e)2つの長方形をy軸方向にずらして結合させた形状
を含む請求項1から3までのいずれか1項に記載の薄膜磁気センサモジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017080114A JP2018179775A (ja) | 2017-04-13 | 2017-04-13 | 薄膜磁気センサモジュール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017080114A JP2018179775A (ja) | 2017-04-13 | 2017-04-13 | 薄膜磁気センサモジュール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018179775A true JP2018179775A (ja) | 2018-11-15 |
Family
ID=64276062
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017080114A Pending JP2018179775A (ja) | 2017-04-13 | 2017-04-13 | 薄膜磁気センサモジュール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018179775A (ja) |
-
2017
- 2017-04-13 JP JP2017080114A patent/JP2018179775A/ja active Pending
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