JP2018178374A - 炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体、炭化水素分離用組成物、炭化水素含有地層の処理方法、炭化水素の回収方法、及び水圧破砕法におけるフラクチャリング流体としての使用 - Google Patents

炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体、炭化水素分離用組成物、炭化水素含有地層の処理方法、炭化水素の回収方法、及び水圧破砕法におけるフラクチャリング流体としての使用 Download PDF

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Abstract

【課題】添加剤として界面活性剤を用いることなく、環境に対する負荷が低減されるとともに、使用後の処理が容易である炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体及び炭化水素分離用組成物を提供する。
【解決手段】乳化性の水を含有する炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体及び炭化水素分離用組成物である。乳化性の水は、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体、炭化水素分離用組成物、炭化水素含有地層の処理方法、炭化水素の回収方法、及び水圧破砕法におけるフラクチャリング流体としての使用に関する。
近年、シェールオイル、シェールガス、オイルサンドなどの非在来型エネルギー資源が注目されている。従来の油田やガス田では、流体が動きやすい地層に坑井を掘り、原油や天然ガスと外部との圧力差を利用して、原油や天然ガスが生産されてきた。非在来型エネルギー資源は、流体が動きやすい地層以外の場所において、割れ目を人工的に形成することや、熱を加えること、油分を含む砂を採掘することなど、従来とは異なる方法で採掘、生産される原油や天然ガス資源である。
原油や天然ガスの採掘に用いられる水圧破砕法の技術発展により、技術的に困難であった炭化水素含有地層から天然ガスや原油等の炭化水素を回収する方法、例えば、シェール層(頁岩層)からシェールオイルやシェールガスを回収する方法が開発され、水圧破砕法の利用が拡大している。水圧破砕法による炭化水素含有地層からの炭化水素の回収は、炭化水素含有地層にフラクチャー(割れ目)を形成し、当該フラクチャーを介して炭化水素を回収することで行われる。炭化水素含有地層にフラクチャーを形成する際には、炭化水素含有地層まで掘削された坑井(ガス井や油井)に、フラクチャーを支持する砂などのプロパントや、界面活性剤などの添加剤を含む水であるフラクチャリング流体が高圧で注入される(非特許文献1)。
オイルサンド(油砂、タールサンド)とは、砂、粘土、水と油の混合物であって、石油を含んだ油層が地殻変動で地表近くに移動し、揮発や水などの影響により揮発性の軽質分を失ったものである。オイルサンドは、カナダのアルバータ州及びベネズエラのオリノコ地域に分布していることが知られている。オイルサンドには、ビチューメン(bitumen、超重質油、歴青)と呼ばれるアスファルトに近い重質油分(炭化水素)が10%程度含まれている。
オイルサンドの採掘技術には、露天掘りと油層内回収法(in−situ法)がある。
露天掘りで採掘されたオイルサンドからビチューメンを分離するために、熱水・加熱蒸気を加えて攪拌することでビチューメンを分離する熱水分離法や、溶剤抽出法、直接コーキング法などが行われている。
露天掘りでは採掘が困難な深度に存在するオイルサンドを採掘する際には、油層内回収法が用いられる。油層内回収法では、オイルサンド層内にある常温では流動性がない高粘度の油に対し高温のスチームを圧入することで加熱して油の粘度を下げ、当該スチームが凝集した高温水と油とを回収する。
伊原賢、「石炭やシェールから天然ガスをどうやって取り出すの?」、石油・天然ガスレビュー、Vol.46、No.4、pp.59〜66、2012年 請川孝治ら、「オイルサンドおよびオイルシェール」、燃料協会誌、Vol.66、No.7、pp.589〜593、1987年
従来、水圧破砕法で用いられてきたフラクチャリング流体は、添加物として界面活性剤を含むため、環境に対する負荷が生じるとともに、回収された炭化水素を含有するフラクチャリング流体から炭化水素を分離する際に、加熱により界面活性剤を分解する等の処理が必要であった。
また、オイルサンドからビチューメンなどの炭化水素を分離・回収する際には、熱水やスチームを利用するため、水を加熱する必要であり、エネルギーを多く消費するため、コストや環境へ負荷が生じてしまうことがあった。さらに、ビチューメンの回収率を上げるために、界面活性剤や溶剤などの添加剤を用いる場合もあるが、環境へ負荷が生じるとともに、添加剤を取り除く等の処理が必要であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、添加剤として界面活性剤を用いることなく、環境に対する負荷が低減されるとともに、使用後の処理が容易である炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体、炭化水素分離用組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、添加剤として界面活性剤を用いることなく、環境に対する負荷が低減されるとともに、使用後の処理が容易である炭化水素含有地層の処理方法及び炭化水素の回収方法を提供することにある。
前記課題は、本発明の炭化水素回収用組成物によれば、乳化性の水を含有し、前記乳化性の水は、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有すること、により解決される。
このように、乳化性の水を含有する炭化水素含有地層処理用組成物は、添加剤として界面活性剤を用いていないため、環境に対する負荷が低減されるとともに、使用後の処理が容易である。
前記課題は、本発明のフラクチャリング流体によれば、乳化性の水を含有し、前記乳化性の水は、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有し、水圧破砕法に用いられること、により解決される。
このように、乳化性の水を含有するフラクチャリング流体は、添加剤として界面活性剤を用いていないため、環境に対する負荷が低減されるとともに、使用後の処理が容易である。
前記課題は、本発明の炭化水素分離用組成物によれば、乳化性の水を含有し、前記乳化性の水は、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有し、オイルサンドから炭化水素を分離するために用いられること、により解決される。
このように、乳化性の水を含有する炭化水素分離用組成物は、オイルサンドから炭化水素を分離できるとともに、添加剤として界面活性剤を用いていないため、環境に対する負荷が低減されるとともに、使用後の処理が容易である。
前記課題は、本発明の炭化水素含有地層の処理方法によれば、原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する加工水生成工程と、前記乳化性の水を含有する炭化水素含有地層処理用組成物を調製する炭化水素含有地層処理用組成物調製工程と、前記炭化水素含有地層処理用組成物を炭化水素含有地層に注入する注入工程と、を行うこと、により解決される。
このように、乳化性の水を含有する炭化水素含有地層処理用組成物を用いた炭化水素含有地層の処理方法によれば、添加剤として界面活性剤を用いていないため、環境に対する負荷が低減されるとともに、使用後の処理が容易である。
このとき、前記加工水生成工程では、前記原水から、前記Mgイオン、Caイオン及びFeイオンのうち前記原水に含有されるイオンを、イオン交換により除去した後、前記原水を、トルマリンが充填されたトルマリン収納器及び黒曜石が充填された黒曜石収納器のうち少なくとも一方に、30分以上通過させて前記乳化性の水を生成するようにしてもよい。
このとき、前記加工水生成工程では、前記乳化性の水中のNaイオン濃度を、前記原水中のNaイオン濃度よりも増加させると好適である。
このとき、前記加工水生成工程では、水温26℃で測定される前記乳化性の水の表面張力が、50mN/m以上になるように調整すると好適である。
このように構成しているため、乳化性の水の乳化力を高めることができる。
前記課題は、本発明の炭化水素の回収方法によれば、原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する加工水生成工程と、前記乳化性の水を含有する炭化水素回収用組成物を調製する炭化水素回収用組成物調製工程と、前記炭化水素回収用組成物を炭化水素含有地層に注入する注入工程と、前記炭化水素含有地層内から炭化水素を回収する回収工程と、を行うこと、により解決される。
このように、乳化性の水を含有する炭化水素回収用組成物を用いた炭化水素の回収方法によれば、添加剤として界面活性剤を用いておらず、環境に対する負荷が低減されるとともに、使用後の処理が容易である。
前記課題は、本発明のフラクチャリング流体としての使用によれば、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水を水圧破砕法におけるフラクチャリング流体として使用すること、により解決される。
このように、乳化性の水をフラクチャリング流体として使用することで、添加剤として界面活性剤を用いる必要がないため、環境に対する負荷が低減されるとともに、使用後の処理が容易である。
前記課題は、本発明の炭化水素の回収方法によれば、原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する加工水生成工程と、前記乳化性の水をオイルサンドに接触させてオイルサンドから炭化水素を分離する分離工程と、前記乳化性の水と前記炭化水素の混合物から前記炭化水素を回収する回収工程と、を行うこと、により解決される。
このように、乳化性の水をオイルサンドからの炭化水素に使用することで、添加剤として界面活性剤を用いる必要がないため、環境に対する負荷が低減されるとともに、使用後の処理が容易である。また、露天掘りで採掘されたオイルサンドから炭化水素を分離する場合、乳化性の水を加熱して熱水やスチームとする必要がなく、エネルギーの消費を低減することができる。
本発明によれば、乳化性の水を用いているため、界面活性剤を用いる必要がなく、界面活性剤無添加の環境に優しい炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体、炭化水素分離用組成物を達成できる。従って、回収された炭化水素を含有する炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体、炭化水素分離用組成物を、乳化性の水と炭化水素とに分離することが可能であり、炭化水素の回収が容易であるとともに、分離後の乳化性の水を再利用することができる。
炭化水素含有地層から炭化水素を回収するための坑井を示す概略説明図である。 水圧破砕におけるフラクチャリング流体の動きを説明する概略図である。 本発明の一実施形態に係る加工水処理器の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る炭化水素含有地層の処理方法及び炭化水素回収方法のフロー図である。 実施例1の加工水と、蒸留水、及び超純水にA重油を添加して撹拌したサンプルにおけるエマルジョン粒子の平均径及び標準偏差を示すグラフである。 実施例2〜9の加工水と、超純水の表面張力の測定結果である。 実施例10,11の加工水、超純水、原水、原水に界面活性剤を添加した界面活性剤添加水道水の表面張力の測定結果である。 実施例1の加工水と、超純水、陰イオン交換樹脂を通過させたイオン交換水、蒸留水のそれぞれに、A重油を添加及び撹拌得られたエマルジョンのゼータ電位の測定結果である。 実施例1の加工水、加工水の原水のイオンクロマトグラフ法の測定結果である。 実施例1の加工水と、実施例2の加工水と、実施例5の加工水と、対比例2の加工水と、対比例3の水道水の、pH、溶存酸素量、Naイオン濃度、酸化還元電位の測定結果である。 試験12で分析をした試料1(試験例10においてC重油を添加する前の元砂)の写真である。 試験12で分析をした試料2(試験例10において川砂にC重油を添加して撹拌したもの)の写真である。 試験12で分析をした試料3(試験例11において回収した加工水処理後の砂)の写真である。 試料1(左)、試料2(中央)、試料3(右)を並べて撮影した写真である。
本明細書において、乳化性の水(加工水)とは、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する水のことをいう。
以下、本発明の一実施形態に係る炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体、炭化水素分離用組成物、炭化水素含有地層の処理方法、炭化水素の回収方法、及び水圧破砕法におけるフラクチャリング流体としての使用について、図面を参照しながら説明する。
<炭化水素含有地層からの炭化水素の採掘>
図1は、炭化水素含有地層から炭化水素を回収するための採掘サイト1を示す概略説明図である。
ガス井又は油井である坑井10は、地上の掘削やぐら11から炭化水素含有地層20に向かって地中に延出する垂直部分10aと、炭化水素含有地層20において垂直部分10aの底部から屈曲し、略水平方向に延出する水平部分10bを含む。水平部分10bには、後述するフラクチャリング流体30を炭化水素含有地層20に注入するための孔が設けられている。坑井10の坑口から高圧で注入されたフラクチャリング流体30は、垂直部分10aを経由し、水平部分10bの孔から坑井近傍領域の炭化水素含有地層20に注入される。
炭化水素含有地層20の例としては、砂や泥などの砕屑物が堆積した珪砕屑性地層、炭酸塩地層等が挙げられる。珪砕屑性地層の例としては、頁岩(シェール)、礫岩、珪藻岩、砂、砂岩等を含む地層が挙げられ、炭酸塩地層の例としては、石灰岩、苦灰岩等を含む地層が挙げられる。
運搬車12によって採掘サイト1に運ばれたフラクチャリング流体30が、ポンプ車13上のポンプにより坑井10に圧入される。図1及び図2に示すように、炭化水素含有地層20にフラクチャリング流体30が高圧で注入されることによって、炭化水素含有地層20にフラクチャー(割れ目)21が形成されるとともに、フラクチャリング流体30に含まれるプロパント31によってフラクチャー21が支持される。そして、シェール層などの炭化水素含有地層20から、炭化水素がフラクチャー21を通って坑井10へと流入し、坑井10から産出される炭化水素の流体圧、又は水圧破砕法におけるフローバック水の水圧により、坑井10から炭化水素(ガス井の場合は天然ガス、油井の場合は原油)が排出される。
坑井10から回収されたフラクチャリング流体は、地表のピット14にためられ、水処理プラントへ運搬車15によって搬送されるが、これに限定されるものではない。本発明の実施形態に係るフラクチャリング流体は、添加剤としての界面活性剤を含んでいないため、採掘サイト1における坑井10の近傍に、不図示の簡易的な水処理装置を設置し、該水処理装置を用いて水をある程度浄化して、再利用することが可能である。
また、回収された天然ガスや原油は、貯蔵タンク16に貯蔵され、パイプラインで市場へと輸送される。
<炭化水素含有地層処理用組成物、炭化水素回収用組成物及びフラクチャリング流体>
本実施形態に係る炭化水素含有地層処理用組成物(炭化水素含有地層処理剤)は、炭化水素含有地層の処理に用いられる処理液であり、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水を含有する。
本実施形態に係る炭化水素含有地層処理用組成物は、炭化水素含有地層から炭化水素を回収するための炭化水素回収用組成物(炭化水素回収剤)として用いることが可能である。ここで、炭化水素含有地層からの炭化水素の回収とは、炭化水素の採掘、炭化水素の分離、炭化水素の除去、炭化水素の溶出などを含む。
本実施形態に係る炭化水素含有地層処理用組成物は、水圧破砕法におけるフラクチャリング流体として用いてもよい。
本実施形態に係る炭化水素含有地層処理用組成物、炭化水素回収用組成物及びフラクチャリング流体には、公知の添加剤を添加することができる。
フラクチャリング流体として用いる場合、本発明の炭化水素含有地層処理用組成物は、フラクチャーを支持するためのプロパント(天然砂、人工砂(セラミックス等)、樹脂コーティング砂等)、フラクチャリング流体用添加剤(酸、殺菌剤、ブレーカー、防食剤、架橋剤、潤滑剤、ゲル化剤、イオン調整剤、電解質、酸素捕集剤、pH調整剤、スケールインヒビター)を添加剤として含むが、添加剤としての界面活性剤を含まない界面活性剤無添加であることを特徴とするものである。
本発明の炭化水素含有地層処理用組成物、炭化水素回収用組成物及びフラクチャリング流体は、乳化性の水、添加剤等をインラインスタティックミキサ、再循環式ポンプ等の公知の装置を用いて混合することによって調製できる。
<オイルサンドからの炭化水素の回収>
オイルサンド(油砂、タールサンド)は、砂、粘土、水と油の混合物であって、石油を含んだ油層が地殻変動で地表近くに移動し、揮発や水などの影響により揮発性の軽質分を失ったものである。オイルサンドは、炭化水素としてアスファルトに近い重質油分であるビチューメン(bitumen)を含んでいる。オイルサンドからのビチューメン(炭化水素)の回収は、露天掘りによる方法や、油層内回収法(in−situ法)によって行われる。
オイルサンド層が地表に露出している場合や、地表から比較的浅い領域に存在している場合には、オイルサンドを露天掘りによって採掘される。露天掘りで採掘されたオイルサンドからビチューメンを分離する際には、オイルサンドに熱水やスチームを加えて攪拌することでビチューメンを分離する熱水分離法や、溶剤抽出法、直接コーキング法などが行われる。
露天掘りでは採掘が困難な深度に存在するオイルサンドからビチューメンを採取する場合には、油層内回収法を用いる。油層内回収法では、オイルサンド層内にある常温では流動性がない高粘度の油に対し高温のスチームを圧入することで加熱して油の粘度を下げ、当該スチームが凝集した高温水と油とを回収する。油層内回収法として利用されている代表的な方法は、水蒸気攻法、SAGD法、CSS法などがある。
水蒸気攻法は、水蒸気(スチーム)を圧入井に圧入し、ビチューメンを水蒸気で加熱して重質油の粘度を低下させることで、ビチューメンを水平に移動させて隣接する生産井からビチューメンを生産する方法である。
SAGD(Steam Assisted Gravity Drainage、スチーム補助重力排油)法では、深さの異なる並行した2本の水平井をオイルサンド層に掘削し、一方の井戸からスチーム(高温蒸気)を連続的に導入し、他方の井戸から油を連続的に生産する回収方法である。2本の水平井のうち、上位水平井(圧入井)より圧入されたスチームが、貯留層内でスチームチャンバー(水蒸気チャンバー)を形成し、スチームチャンバーとビチューメンの境界付近において、スチームは隣接するビチューメンに蒸発潜熱を与えて凝縮する。この凝縮水と加熱されて粘性が低下し、流動性を得たビチューメンは周辺のスチームよりも比重が大きいため、貯留層内を流下し、下位水平井(生産井)を通じて、ビチューメンと温水との混合流体として生産される。加熱されたビチューメンを流下した後には、オイルサンド層内に空隙が形成され、当該空隙にスチームを連続的に圧入することが可能になり、低粘性化したビチューメン回収が継続される。
CSS(Cyclic Steam Stimulation)法では、以下の(1)〜(3)の工程を1サイクルとして、当該サイクルを複数サイクル繰り返すことで、継続してビチューメンの回収を行う。(1)オイルサンド層に掘削した井戸にスチームを圧入する。(2)スチームの圧入を止め、その後井戸を閉じ、しばらく放置することで、スチームの熱がビチューメンに伝わってビチューメンが流動化するのを待つ。(3)井戸を開き、流動性を持ったビチューメンを、スチーム圧入に使用した井戸を通してポンプで汲み上げる。
CSS法では、圧入されたスチームが、オイルサンド層の中に割れ目をつくり広がっていき、ビチューメンを温めている。
<オイルサンドから炭化水素を分離するための炭化水素分離用組成物>
本実施形態に係る炭化水素分離用組成物(炭化水素分離剤)は、オイルサンドからビチューメンなどの炭化水素を分離する際に用いることが可能であり、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水を含有する。
具体的には、本実施形態に係る炭化水素分離用組成物は、露天掘りで採掘されたオイルサンドからビチューメンを分離する際に、炭化水素分離液(炭化水素分離剤)、炭化水素回収液(炭化水素回収剤)、炭化水素溶出液(炭化水素溶出剤)、オイルサンド洗浄液(オイルサンド洗浄剤)などとして用いることができる。また、本実施形態に係る炭化水素分離用組成物は、油層内回収法、例えば、水蒸気攻法、SAGD法、CSS法において圧入されるスチームとして用いることができる。
本実施形態に係る炭化水素分離用組成物には、公知の添加剤を添加することができるが、添加剤としての界面活性剤を含まない界面活性剤無添加であることを特徴とするものである。また、添加物を添加することなく、乳化性の水のみを本実施形態に係る炭化水素分離用組成物(炭化水素分離剤)として用いることも可能である。
<加工水処理器Aによる加工水の製造>
本実施形態で用いられる加工水は、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水である。
本実施形態では、乳化性の水として、図3で示す加工水処理器Aで生成した加工水を用いると好適である。
加工水処理器Aは、図3に示すように、第1の軟水生成器110と第2の軟水生成器112とイオン生成器114と黒曜石収納器116とが、連絡管118a,118b,118cを介して、順に直列に連結された軟水製造装置100と、軟水製造装置100の下流に接続された表面張力向上器140と、からなる。
軟水製造装置100は、原水から軟水を製造する装置である。
軟水とは、硬度が100mg/l未満の水をいう。硬度とは、水に含まれるCa濃度及びMg濃度で表される指標であり、硬度=Ca濃度(mg/l)×2.5+Mg濃度(mg/l)×4.1で算出される。
本実施形態では、硬度が100mg/l未満の水であって、Caイオン,Mgイオン,Feイオンが除去された水を用いると好適である。
第1の軟水生成器110には、例えば水道のような圧力のある原水が水供給管120から連絡管122を介して内部に導入される。
但し、原水として、湧き水、井戸水、雨水、川の水を、公知の水浄化用の濾過フィルタ,殺菌装置等により浄化,消毒処理を施したものや、清浄な湧き水、井戸水を用い、不図示のポンプで水供給管120、連絡管122を介して第1の軟水生成器110に導入してもよい。
水供給管120と連絡管122との間には、蛇口のような入口用開閉弁124が備えられ、連絡管122の途中には逆止弁126が備えられる。黒曜石収納器116の出口側には吐出管128aが取り付けられ、吐出管128aの先端または途中に出口用開閉弁130aが備えられる。
第1の軟水生成器110と第2の軟水生成器112の内部には、粒状のイオン交換樹脂132が充填されている。なお、2つの軟水生成器110,112を1つにまとめて、1つの軟水生成器にすることも可能である。
イオン交換樹脂132は、原水に含まれているCa2+やMg2+やFe2+等の金属イオンを除去して、原水を軟水にするためのものであり、特に原水の硬度をゼロに近い程度に低くするためのものである。イオン交換樹脂132としては、例えば、スチレン・ジビニルベンゼンの球状の共重合体を均一にスルホン化した強酸性カチオン交換樹脂(RzSONa)を用いる。
RzSONaを用いた場合のイオン交換樹脂132によるイオン交換反応は、次の通りである。
2RzSONa + Ca2+ → (RzSOCa + 2Na
2RzSONa + Mg2+ → (RzSOMg + 2Na
2RzSONa + Fe2+ → (RzSOFe + 2Na
即ち、イオン交換樹脂132を通すことによって、原水に含まれているCa2+やMg2+やFe2+等が除去され、Naが発生する。
一方、原水は、イオン交換樹脂132を通ることによって、以下のように、水酸化イオン(OH)とヒドロニウムイオン(H)が発生する。
O → H + OH
O + H → H
このように、原水が硬水であった場合に、イオン交換樹脂132を通過することによって、原水からCa2+やMg2+やFe2+等の金属イオンが除去されて軟水となる。また、原水の中にNaとOHとヒドロニウムイオン(H)とが発生する。しかし、水道水に含まれている塩素はイオン化しないでそのまま通過する。
イオン生成器114は、不図示のカートリッジに、平均粒径5〜15μmのトルマリン粉末又はトルマリン粉末を他のセラミック材料と混合して焼成したペレット状のトルマリンペレットを充填し、複数個同じ配置で上下に連続して直列に連結したものである。なお、トルマリン粉末又は粒状のトルマリンに、金属板を混合したものを、カートリッジに充填してもよい。
トルマリンは、プラスの電極とマイナスの電極とを有し、このプラスの電極とマイナスの電極によって、水に4〜14ミクロンの波長の電磁波を持たせ、かつ水のクラスターを切断してヒドロニウムイオン(H)を発生させる。4〜14ミクロンの波長の電磁波が持つエネルギーは、約0.004watt/cmである。
イオン交換樹脂132を通過させて水を硬度がゼロに近い軟水にして、その軟水の中でトルマリン同士をこすり合わせる。硬度がゼロに近い軟水では、トルマリンのマイナスの電極にMgイオンやCaイオンが付着するのを防ぐことができ、トルマリンのプラスとマイナスの電極としての働きを低下させることを防ぐことができる。
金属板としては、アルミニウム、ステンレス、銀の少なくとも1種類の金属を用いる。この金属としては、水中で錆を発生させたり水に溶けたりしない金属が望ましい。アルミニウムは殺菌作用や抗菌作用と共に漂白作用を有しており、ステンレスは殺菌作用や抗菌作用と共に洗浄向上作用を有しており、銀は殺菌作用や抗菌作用を有している。
トルマリンと金属板との重量比は、10:1〜1:10が望ましい。その範囲を超えると、一方の素材が多くなりすぎ、両方の素材の効果を同時に発揮することができない。
イオン生成器114の各カートリッジにおいては、底面の多数の穴を通過した水が、下から上に向けてトルマリン粉末又はトルマリンペレットに噴射するように設定されている。ここで、水道水は高い水圧を有するので、その水圧を有する水がカートリッジ内のトルマリン粉末又はトルマリンペレットに勢いよく衝突し、その水の勢いでトルマリン粉末又はトルマリンペレットがカートリッジ内で攪拌されるように、穴の大きさ並びに個数を設定する。水をトルマリンに噴射してトルマリンを攪拌するのは、その攪拌によってトルマリンと水とに摩擦を生じさせ、トルマリンからプラスとマイナスの電極が水に溶け出して水のクラスターを切断し、ヒドロニウムイオン(H)を大量に発生させるためである。
トルマリン同士がこすり合うことでプラスの電極とマイナスの電極が生成し、その電極に水が接触することで、水中のマイナスイオンが増加する。なお、水のクラスターを切断し、ヒドロニウムイオン(H)を大量に発生させたい場合には、カートリッジ内にトルマリンのみを充填しても良い。
トルマリンは、プラス電極とマイナス電極とを有するため、トルマリンが水で攪拌されると、水は水素イオンと水酸化イオンに解離する。
O → H + OH
更に、水素イオンと水とによって、界面活性作用を有するヒドロニウムイオン(H)が発生する。イオン生成器114におけるヒドロニウムイオンの発生量は、イオン交換樹脂132によって発生する量よりはるかに多い。
O + H → H
発生したヒドロニウムイオンの一部は、水と結びついてヒドロキシルイオン(H )と水素イオンになる。
+ HO → H + 2H
イオン交換樹脂132を通過した水を、イオン生成器114を通過させることによって、ヒドロニウムイオン(H)とヒドロキシルイオン(H )とHとOHとが発生する。なお、イオン交換樹脂132を通過した塩素、イオン交換樹脂132で発生したNaは、そのままイオン生成器114を通過する。
イオン生成器114を通過した水を、次に、粒径5mm〜50mm程度の黒曜石を収納する黒曜石収納器116の内部を通過させる。黒曜石は、産地を問わない。
この黒曜石収納器116に、イオン生成器114を通過した水を通過させると、水にe(マイナス電子)が加えられる。この結果、水道水に含まれている塩素はマイナス電子によって、塩素イオンとなる。
Cl + 2e → 2Cl
このClと前記Naとはイオンとして安定した状態になる。安定した状態とは、イオン状態が長期間保たれることを意味する。また、ヒドロキシルイオンもイオンとして安定した状態になる。水が黒曜石を通過することによって、イオン生成器114を通過した水と比べて、ヒドロニウムイオンが更に発生し、かつヒドロキシルイオンも水素イオンも更に発生する。
O + H → H
+ HO → H + 2H
水が黒曜石を通過することによって、その他に、以下の反応も発生する。
OH + H → H
2H + 2e → 2H
更に、水が黒曜石収納器116を通過すると、黒曜石のマイナス電子によって、水の酸化還元電位が+340mVから−20〜−240mVになる。更に、黒曜石を通過した水は、溶存酸素や活性水素を大量に含む。
本実施形態の軟水製造装置100は、第1の軟水生成器110、第2の軟水生成器112、イオン生成器114、黒曜石収納器116を備えているが、これに限定されるものではなく、原水からCaイオン,Mgイオン,Feイオンを除去する装置であればよい。
また、水を、イオン生成器114、黒曜石収納器116に通過させる順序を逆にして、黒曜石収納器116に通過した後の水をイオン生成器114に通過させてもよい。
軟水製造装置100の下流には、軟水製造装置100の吐出管128aの出口用開閉弁130a連絡管118dが連結されることにより、表面張力向上器140が連結されている。
表面張力向上器140は、軟水製造装置100で原水から生成された軟水を、トルマリン粉末又はトルマリンペレット及び/又は黒曜石収納器116を通過させることにより、軟水の表面張力を向上させると共に、軟水中の原子状水素の量を増加させる装置である。
本実施形態の表面張力向上器140は、図3に示すように、黒曜石収納器116を直列に連結されてなるが、これに限定されるものでなく、複数のイオン生成器114を直列に連結して構成してもよいし、イオン生成器114と黒曜石収納器116を直列に連結して構成してもよい。
表面張力向上器140を構成するイオン生成器114及び/又は黒曜石収納器116の構成は、軟水製造装置100に含まれるものと同様である。
もっとも下流の黒曜石収納器116の出口側には吐出管128bが取り付けられ、吐出管12bの先端または途中に出口用開閉弁130bが備えられており、表面張力向上器140で生成された加工水を不図示の加工水タンクに供給するための導入管が連結される。
原水が、軟水製造装置100を通過した後、表面張力向上器140を通過したものが加工水である。
加工水には、Naと、Clと、Hと、OHと、Hと、ヒドロニウムイオン(H)と、ヒドロキシルイオン(H )と、活性水素(原子状水素)と、溶存酸素とを多く含む。
但し、原水が、軟水製造装置100を通過した軟水であって、表面張力向上器140を通過していないものを、加工水として用いてもよい。
軟水製造装置100を通過後に表面張力向上器140を通過した加工水は、軟水製造装置100を通過したが表面張力向上器140を通過していないものよりも、高エネルギーな活性の原子状水素の量が多くなり、エネルギーが高い。つまり、燃焼させたときにより多くのエネルギーを発生する。
軟水製造装置100を通過後に表面張力向上器140を通過した加工水に多く含まれるヒドロキシルイオン(H )は、燃焼時において、イオン中に含まれる2つのOがOとなり、3つのHが活性な原子状水素となり、これがHガスとなって燃焼する。
軟水製造装置100で原水(水道水)が軟水化された後、表面張力向上器140を用いて、トルマリン及び黒曜石の少なくとも一方を通過させる処理を、30分以上数時間繰り返して行うことによって得た本実施形態の加工水は、Mgイオン、Caイオン、Feイオンの量が、イオンクロマトグラフ法の検出下限値以下であり、Naイオン濃度が、原水の3倍以上、好ましくは、3.5倍以上に高められている。
また、表面張力は、原水(水道水)よりも高く、超純水と同等の水準まで高められている。
このように、本実施形態の加工水処理器Aで処理された加工水は、Mgイオン、Caイオン、Feイオンを含有せず、Naイオン濃度が高いため、油と加工水を混合して撹拌すると、Naイオンと油に含まれるトリグリセライドが加水分解して脂肪酸を遊離し、Naイオンと化合して、界面活性剤である脂肪酸ナトリウムを生成する。従って、本実施形態の加工水は、乳化剤を用いることなく、炭化水素と混合して撹拌することにより、エマルジョン化(乳化)可能である。
本実施形態の加工水は、乳化剤を含まず、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水であるため、本実施形態の炭化水素含有地層処理用組成物、炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体、及び炭化水素分離用組成物は、添加剤としての乳化剤を必要としない。従って、炭化水素含有地層処理用組成物、炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体、及び炭化水素分離用組成物を用いて、炭化水素の採掘、回収、分離を行う場合、使用後の炭化水素含有地層処理用組成物、炭化水素回収用組成物、フラクチャリング流体、及び炭化水素分離用組成物を、加工水と炭化水素とに分離することが可能であり、炭化水素の回収が容易であるとともに、分離後の加工水を再利用することができる。
<炭化水素含有地層の処理方法>
本発明の実施形態に係る炭化水素含有地層の処理方法は、本発明の実施形態に係る炭化水素含有地層処理用組成物を、炭化水素含有地層に注入する工程を行う。
本発明の実施形態に係る炭化水素含有地層の処理方法は、地中の地層に対して実施することに限定されず、地中の地層から採取された地層の一部に対して実施することも可能である。
本発明の実施形態に係る炭化水素含有地層の処理方法は、図4に示すように、原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する加工水生成工程と、前記乳化性の水を含有する炭化水素含有地層処理用組成物を調製する炭化水素含有地層処理用組成物調製工程と、前記炭化水素含有地層処理用組成物を炭化水素含有地層に注入する注入工程と、を行うことを特徴とする。
以下、各工程について図4を参照して詳細に説明する。
(加工水生成工程)
加工水生成工程では、原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する(ステップS1)。但し、炭化水素含有地層の処理方法には、加工水生成工程を含めなくてもよく、予め調製された加工水を用いてもよい。
加工水生成工程では、図3の加工水処理器Aに、水道のような圧力のある原水を供給する。
第1の軟水生成器110と第2の軟水生成器112の強酸性カチオン交換樹脂等からなるイオン交換樹脂132を通過させて、原水に含まれているCa2+やMg2+やFe2+等の金属イオンを除去して、原水を軟水にすると共に、原水の中にNaとOHとヒドロニウムイオン(H)とを発生させる。
次いで、第1の軟水生成器110と第2の軟水生成器112を通過した水を、イオン生成器114に供給し、平均粒径5〜15μmのトルマリン粉末又はトルマリン粉末を他のセラミック材料と混合して焼成したトルマリンペレット中を通過させる。これにより、水に4〜14ミクロンの波長の電磁波を持たせ、かつ水のクラスターを切断してヒドロニウムイオン(H)とヒドロキシルイオン(H )とHとOHとを発生させる。
水を、粒径5mm〜50mm程度の黒曜石を収納する黒曜石収納器116の内部を通過させる。水が黒曜石を通過することによって、イオン生成器114を通過した水と比べて、ヒドロニウムイオンが更に発生し、かつヒドロキシルイオンも水素イオンも更に発生する。以上の処理で、軟水が生成される。
その後、軟水を、イオン生成器114及び黒曜石収納器116の少なくとも一方を、通過させて、加工水を生成する。つまり、イオン生成器114のみ、又は黒曜石収納器116のみ、又はイオン生成器114及び黒曜石収納器116の双方の循環時間は、30分以上とする。
(炭化水素含有地層処理用組成物調製工程)
炭化水素含有地層処理用組成物調製工程では、加工水生成工程で生成した前記乳化性の水を含有する炭化水素含有地層処理用組成物を調製する(ステップS2)。
イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水と、公知の添加剤とを、インラインスタティックミキサ、再循環式ポンプ等の公知の装置を用いて混合することによって乳化性の水を含有する炭化水素含有地層処理用組成物を調製する。
ここで、炭化水素含有地層処理用組成物調製工程では、添加剤として界面活性剤を添加しない、つまり界面活性剤無添加の炭化水素含有地層処理用組成物を調製することが好ましい。
(注入工程)
注入工程では、炭化水素含有地層処理用組成物調製工程で調製した前記炭化水素含有地層処理用組成物を炭化水素含有地層に注入する(ステップS3)。
炭化水素含有地層処理用組成物が注入される炭化水素含有地層としては、シェール層(頁岩層)、オイルサンド層などが例として挙げられる。
注入工程において、炭化水素含有地層処理用組成物が、水圧破砕法によって炭化水素含有地層に割れ目を形成する際に炭化水素含有地層内に注入される。
また、注入工程において、炭化水素含有地層処理用組成物が、水圧破砕法によって炭化水素含有地層に割れ目を形成した後に炭化水素含有地層内に注入されてもよい。
<炭化水素の回収方法>
本発明の実施形態に係る炭化水素の回収方法は、前述の炭化水素含有地層の処理方法を実施した後に、炭化水素含有地層内から炭化水素を回収する回収工程を行う方法である。
具体的には、本発明の実施形態に係る炭化水素の回収方法は、原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する加工水生成工程と、前記乳化性の水を含有する炭化水素回収用組成物を調製する炭化水素回収用組成物調製工程と、前記炭化水素回収用組成物を炭化水素含有地層に注入する注入工程と、前記炭化水素含有地層内から炭化水素を回収する回収工程と、を行うことを特徴とする。
加工水生成工程(ステップS1)、炭化水素含有地層処理用組成物調製工程(炭化水素回収用組成物調製工程、ステップS2)、注入工程(ステップS3)については、前述の炭化水素含有地層の処理方法と同じであるため説明を省略し、炭化水素を回収する回収工程(ステップS4)について説明する。
(回収工程)
回収工程では、炭化水素含有地層処理用組成物(炭化水素回収用組成物、炭化水素分離用組成物)を炭化水素含有地層に注入する注入工程を行った後に、前記炭化水素含有地層内から炭化水素を回収する(ステップS4)。
本発明の炭化水素含有地層の処理方法を実施した後には、炭化水素が炭化水素含有層から坑井を通って得られる。炭化水素の回収は、公知の方法によって行われる。
回収される炭化水素の例としては、ガス状炭化水素(天然ガス等)および液状炭化水素(石油、ビチューメン等)が挙げられ、具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等が挙げられる。
炭化水素含有地層処理用組成物(炭化水素回収用組成物、炭化水素分離用組成物)は、加工水生成工程で生成した乳化性の水を含有しており、回収される炭化水素は、乳化性の水と混ざり合って乳化した状態で回収される。このように乳化性の水と混ざり合った状態で回収された炭化水素は、CaイオンやMgイオンを含む水、例えば水道水を用いることによって、乳化性の水から分離することが可能である。従って、本発明の実施形態に係る炭化水素の回収方法においては、回収工程に引き続いて、CaイオンやMgイオンを含む水を、回収された炭化水素に添加することで、炭化水素を水から分離する分離工程を行うことも可能である。
<水圧破砕法におけるフラクチャリング流体としての使用>
イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水は、水圧破砕法におけるフラクチャリング流体として使用することができる。
具体的には、前記乳化性の水に、フラクチャーを支持するためのプロパント(天然砂、人工砂(セラミックス等)、樹脂コーティング砂等)、フラクチャリング流体用添加剤(酸、殺菌剤、ブレーカー、防食剤、架橋剤、潤滑剤、ゲル化剤、イオン調整剤、電解質、酸素捕集剤、pH調整剤、スケールインヒビター)等の添加剤を添加して、インラインスタティックミキサ、再循環式ポンプ等の公知の装置を用いて混合フラクチャリング流体として用いることができる。
ここで、フラクチャリング流体は添加剤としての界面活性剤を含むものではない、つまり界面活性剤無添加であることが好ましい。
<オイルサンドからの炭化水素の回収方法>
本発明の実施形態に係るオイルサンドからの炭化水素の回収方法は、本発明の実施形態に係る乳化性の水をオイルサンドに接触させてオイルサンドから炭化水素を分離する分離工程を行う。
具体的には、本発明の実施形態に係るオイルサンドからの炭化水素の回収方法は、原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する加工水生成工程と、前記乳化性の水をオイルサンドに接触させてオイルサンドから炭化水素を分離する分離工程と、前記乳化性の水と前記炭化水素の混合物から前記炭化水素を回収する回収工程と、を行うことを特徴とする。
(加工水生成工程)
加工水生成工程では、原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する(ステップS1)。但し、炭化水素含有地層の処理方法には、加工水生成工程を含めなくてもよく、予め調製された加工水を用いてもよい。
加工水生成工程では、図3の加工水処理器Aに、水道のような圧力のある原水を供給する。
第1の軟水生成器110と第2の軟水生成器112の強酸性カチオン交換樹脂等からなるイオン交換樹脂132を通過させて、原水に含まれているCa2+やMg2+やFe2+等の金属イオンを除去して、原水を軟水にすると共に、原水の中にNaとOHとヒドロニウムイオン(H)とを発生させる。
次いで、第1の軟水生成器110と第2の軟水生成器112を通過した水を、イオン生成器114に供給し、平均粒径5〜15μmのトルマリン粉末又はトルマリン粉末を他のセラミック材料と混合して焼成したトルマリンペレット中を通過させる。これにより、水に4〜14ミクロンの波長の電磁波を持たせ、かつ水のクラスターを切断してヒドロニウムイオン(H)とヒドロキシルイオン(H )とHとOHとを発生させる。
水を、粒径5mm〜50mm程度の黒曜石を収納する黒曜石収納器116の内部を通過させる。水が黒曜石を通過することによって、イオン生成器114を通過した水と比べて、ヒドロニウムイオンが更に発生し、かつヒドロキシルイオンも水素イオンも更に発生する。以上の処理で、軟水が生成される。
その後、軟水を、イオン生成器114及び黒曜石収納器116の少なくとも一方を、通過させて、加工水を生成する。つまり、イオン生成器114のみ、又は黒曜石収納器116のみ、又はイオン生成器114及び黒曜石収納器116の双方の循環時間は、30分以上とする。
(分離工程)
分離工程では、加工水生成工程で生成した乳化性の水を、オイルサンドに接触させてオイルサンドから炭化水素を分離する。
ここで、乳化性の水を接触させるオイルサンドは、油層内回収法(in−situ法)を採用した場合には地中のオイルサンドであり、露天掘りでオイルサンドを採取した場合には、採取されたオイルサンドである。乳化性の水を、露天掘りで採掘されたオイルサンドに接触させる場合には、乳化性の水を熱水やスチームとする必要はないが、炭化水素の回収効率を上げるために、乳化性の水を熱水やスチームとすることも可能である。分離される炭化水素の例としては、ビチューメンなどが挙げられる。
分離工程において、露天掘りで採掘されたオイルサンドに乳化性の水を接触させる場合には、オイルサンドと乳化性の水を容器内で混合し、ミキサー等の撹拌機を用いて撹拌する。このとき、撹拌機のプロペラ(撹拌翼、羽根、インペラ)に、綿、ウール、麻などの材料を巻きつけることが好ましい。このような構成とすることで、オイルサンドの砂に付着している炭化水素の分離(砂からの炭化水素の離脱)が促進される。
(回収工程)
回収工程では、前記分離工程で生じた乳化性の水と炭化水素の混合物から炭化水素を回収する。炭化水素の回収は、公知の方法によって行われる。
回収される炭化水素の例としては、石油、ビチューメン等の液状炭化水素が挙げられる。
分離工程で生じた乳化性の水と炭化水素の混合物は、乳化性の水と炭化水素が混ざり合って乳化した状態である。このように乳化性の水と混ざり合った状態の炭化水素は、加温した乳化性の水、例えば40〜80℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは55〜65℃に加温した乳化性の水を用いることによって、乳化性の水から分離することが可能である。具体的には、回収工程において、40〜80℃に加温した乳化性の水に対して、分離工程で生じた乳化性の水と炭化水素の混合物を添加することで、炭化水素が水から回収される。
<変形例>
上述の実施形態では、運搬車12によって採掘サイト1に運ばれたフラクチャリング流体を、ポンプ車上のポンプにより坑井に圧入する例を示したが、採掘サイト1に、図3に示す加工水処理器Aを設置して加工水を生成させて、採掘サイトにおいてフラクチャリング流体を調製することも可能である。
上述の実施形態では、炭化水素含有地層の処理方法に関して、図4に示すように、原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する加工水生成工程(ステップS1)と、前記乳化性の水を含有する炭化水素含有地層処理用組成物を調製する炭化水素含有地層処理用組成物調製工程(ステップS2)と、前記炭化水素含有地層処理用組成物を炭化水素含有地層に注入する注入工程(ステップS3)と、を行う例を示したが、予め生成した加工水を用いる場合、加工水生成工程を省略することも可能である。同様に、予め調製した炭化水素含有地層処理用組成物を用いる場合、加工水生成工程及び炭化水素含有地層処理用組成物調製工程を省略することも可能である。
さらに、上述の炭化水素の回収方法に関しても、予め生成した加工水を用いる場合、加工水生成工程を省略することが可能である。また、予め調製した炭化水素回収用組成物を用いる場合、加工水生成工程及び炭化水素回収用組成物調製工程を省略することも可能である。
また、上述のオイルサンドからの炭化水素の回収方法に関しても、予め生成した加工水を用いる場合、加工水生成工程を省略することが可能である。
以下、本発明を、実施例に基づき更に具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
<試験例1〜7 加工水の特性分析>
試験例1〜7では、本発明で用いられる加工水の特性分析を行った。
(試験例1 加工水の乳化安定性)
図3の軟水製造装置100に、水道水を供給して通過させた後、イオン生成器114及び黒曜石収納器116を、それぞれ、30分ずつ通過させて、実施例1の加工水を得た。
実施例1の加工水と、水道水、蒸留水、及び超純水を、それぞれ、ビーカーに入れ、2.7重量%、3重量%、5重量%のA重油をそれぞれ添加し、スターラーで撹拌して、それぞれのエマルジョンを調製した。調整直後、3時間後、1日後、3日後に、それぞれのサンプルの乳化状態を観察した。
その結果、調整直後においては、3重量%のサンプルでは、加工水のみにおいて、水相と分離した油相が観察されず、蒸留水、超純水において、水相と分離した油相が観察された。
5重量%のサンプルでは、加工水、蒸留水、超純水のすべてで、水相と分離した油相が観察されたが、油相の厚みは、蒸留水>超純水>加工水の順であった。
2.7重量%の加工水、水道水、超純水の調整後3時間後、1日後、3日後のサンプルでは、乳化による白濁が、超純水>加工水>水道水の順で濃く観察され、超純水>加工水>水道水の順で、乳化後の安定度が高いことが分かった。
また、実施例1の加工水と、蒸留水、及び超純水に3重量%のA重油を添加して撹拌したサンプルにおいて、調整後30分後、40分後、60分後に、粒子径測定装置を用いてエマルジョン粒子の粒径を測定した。粒子の平均径及び標準偏差を、図5に示す。
図5の結果より、調整後1時間経過の時点では、加工水と、蒸留水、及び超純水との間で、エマルジョン粒子径のばらつきには、殆ど差がなかった。エマルジョン粒子の平均径は、加工水よりも蒸留水、超純水の方が若干小さいが、殆ど差がなかった。
(試験例2 異なる条件で処理した加工水の表面張力)
図3の軟水製造装置100に、水道水を供給して通過させた後、イオン生成器114を30分、1時間、3時間循環させた実施例2〜4の加工水と、図3の軟水製造装置100に、水道水を供給し、軟水製造装置100を通過させた後、黒曜石収納器116を、30分、1時間、3時間、4時間、5時間循環させた実施例5〜9の加工水を得た。
実施例2〜9の加工水と、超純水について、測定時の試料温度26.0℃の表面張力を測定した。
結果を、図6に示す。図6の結果より、イオン生成器114を30分、1時間、3時間循環させた実施例2〜4の加工水、黒曜石収納器116を、30分、1時間、4時間循環させた実施5、6、8の加工水の表面張力は、超純水と同水準にあった。
(試験例3 異なる条件で処理した加工水の表面張力)
図3の軟水製造装置100に、水道水を供給して通過させた後、黒曜石収納器116を、5時間通過させた実施例10の加工水を得た。
また、図3の軟水製造装置100に、水道水を供給し、軟水製造装置100を通過させた後、イオン生成器114、黒曜石収納器116をそれぞれ通過させた実施例11の加工水を得た。
実施例10,11の加工水と、超純水、実施例10,11の調整に用いた原水(水道水)、この原水(水道水)に、界面活性剤を添加した界面活性剤添加水道水について、測定時の試料温度26.0℃の表面張力を、測定した。
結果を、図7に示す。図7の結果より、実施例10,11の加工水の表面張力は、原水よりも高く、超純水よりも低い値を示した。界面活性剤添加水道水は、他のサンプルよりも大幅に低い表面張力値を示し、10,11の加工水の表面張力は、界面活性剤添加水道水よりも大幅に高い、超純水、原水と同じレベルの値であった。
図6,7の結果より、実施例2〜11の加工水は、超純水に近い表面張力値を示し、極めて清浄な水であることが示された。
(試験例4 エマルジョンのゼータ電位)
試験例1で調整した実施例1の加工水と、超純水、陰イオン交換樹脂を通過させたイオン交換水、蒸留水のそれぞれに、A重油を添加して撹拌して各サンプルのエマルジョンを得た。これらのエマルジョンのゼータ電位を、ゼータ電位測定装置を用いて測定した。
測定結果を、図8に示す。
図8の結果より、加工水のゼータ電位は、絶対値で33mVであり、他と対比して大きな差はなかったが、他のサンプルの粒子表面電荷が正であったのに対して、粒子表面電荷が負になっていた。このことより、加工水には、マイナスイオンが存在することが分かった。
(試験例5 イオンクロマトグラフ)
試験例1で調整した実施例1の加工水と、この加工水の原水(水道水)を、イオンクロマトグラフィを用いて、アニオン分析用イオンクロマトグラフ法、カチオン分析用イオンクロマトグラフ法を行った。
測定結果を、図9に示す。図9の各グラフの上段は、加工水の測定結果、下段は、原水の測定結果を示している。
図9の測定結果より、実施例1の加工水では、原水(水道水)と対比すると、Mgイオン、Caイオンが除去され、Naイオンが4倍に増加していた。
(試験例6 加工水の界面活性測定試験)
図3の軟水製造装置100に、水道水を供給して通過させた後、イオン生成器114及び黒曜石収納器116を、順次5分ずつ通過させた対比例1、イオン生成器114及び黒曜石収納器116を、順次15分ずつ通過させた実施例12の加工水を得た。
準備した各試料水と水道水(原水)に、2重量%のサラダオイル(オレイン酸のトリグリセリド)を添加し、1分間震盪撹拌した後、5分間経過させてから、フーリエ変換型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製 JNM−EX−400型FT−NMR)を用いて、測定温度22℃、測定周波数400MHzにおいて、H−NMRスペクトルを測定し、各試料水に溶け込んだサラダ油の量を算出した。濃度の基準物質として、1mMolのTSP−d(トリメチルシリルプロピオン酸)を加えた。
実施例12の加工水は、測定値が、127.0であり、水に溶け込んだサラダ油の量は、20.06mMolで、水道水に対比すると、2.5倍の量のサラダ油を溶かした。それに対し、対比例1の加工水は、測定値が、74.9であり、水に溶け込んだサラダ油の量は、11.83mMolで、水道水に対比すると、1.5倍の量のサラダ油を溶かした。
(試験例7 溶存酸素量等の測定試験)
図3の軟水製造装置100に、水道水(日本国上田市営水道)を供給して通過させた後、イオン生成器114及び黒曜石収納器116を、それぞれ、30分ずつ循環させた実施例1の加工水と、図3の軟水製造装置100に、水道水(上田市営水道)を供給して通過させた後、イオン生成器114を30分循環させた実施例2の加工水と、図3の軟水製造装置100に、水道水(上田市営水道)を供給し、軟水製造装置100を通過させた後、黒曜石収納器116を30分循環させた実施例5の加工水と、図3の軟水製造装置100に、水道水(上田市営水道)を供給して通過させた対比例2の加工水と、実施例1,2,5及び対比例2の加工水の原水である対比例3の水道水(上田市営水道)について、上水試験方法(2011年版)により、pH,溶存酸素量,Naイオン濃度,酸化還元電位を測定した。
結果を、図10に示す。
純水の飽和溶存酸素量は、1気圧、13℃の条件下では、10.2mg/L、1気圧、14℃の条件下では、9.98mg/L、1気圧、23℃の条件下では、8.38mg/L、1気圧、24℃の条件下では、8.25mg/Lである。
従って、対比例2,3では、溶存酸素量が、純水の飽和溶存酸素量より若干低い値を示した。それに対し、実施例1,2,5では、いずれも、溶存酸素量が、純水の飽和溶存酸素量より高い値を示しており、本発明の加工水が、純水の飽和溶存酸素量よりも多い酸素が溶解していることが分かった。
(試験例1〜7の考察)
本発明の実施例に適用された加工水は、蒸留水、超純水よりも乳化し易く、ゼータ電位でマイナスの符号を示していた。また、Mgイオン、Caイオンを有さず、Naイオンが増加していた。
これらの結果より、油の成分と結合するMgイオン、Caイオンが存在しないため、加工水と油との混合時には、Naイオンと油に含まれるトリグリセライドが加水分解して脂肪酸を遊離し、Naイオンと化合して、界面活性剤である脂肪酸ナトリウムを生成することが分かった。
また、本発明の実施例に適用された加工水は、超純水に近い表面張力を有しており、高い表面張力を持ちながら、別途界面活性剤を無添加の状態で、油と混合されたときに、界面活性剤を自ら合成して、油と乳化する能力を持つという、特殊な性質を有することが分かった。
更に、本発明の実施例に適用された加工水は、純水の飽和溶存酸素量よりも多い量の酸素が溶解していることが分かった。
(試験例8 加工水を用いた炭化水素含有地層からの炭化水素回収試験)
試験例8では、本発明の実施形態に係る加工水を用いて、炭化水素回収試験を行った。
具体的には、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水を用いて、アスファルト層を通過させた場合に流出する流出液の状態を検討した。
ここで、アスファルトは、原油に含まれる炭化水素類の一種であり、アスファルト層を炭化水素含有地層のモデルとした。
(試験方法)
試験は、以下の手順で行った。
容器(直径48cm、高さ60cm、容積108L)に、アスファルト(東亜道路工業株式会社製、固まるアスファルト、コールドパーミックス)を140kg充填し、高さ50cmとなるように押し固め、2日間静置した。
容器の上部から、固化したアスファルトの上面へと常温(室温8℃)で、加工水を合計10.8L注ぎ込み、容器の底部に設けたコックから流出する流出液を回収した。
(結果)
流出液は黒色を呈しており、時間が経過するにつれて黒色が濃くなっていった。この流出液は、加工水と炭化水素が乳化して混ざり合った状態となったものであった。従って、アスファルト層に加工水を流すだけで、アスファルト層に含まれる炭化水素成分が加工水と乳化して混ざり合った状態で流出することがわかった。
一方、水道水などの通常の水や、雨がアスファルト層を流れただけでは、このように炭化水素成分が乳化することはない。
以上より、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水は、高い乳化作用(界面活性作用)を有しているため、この乳化性の水を用いて、炭化水素を回収できることがわかった。
乳化性の水(加工水)は、界面活性剤など添加剤を含有していないため、乳化性の水を用いて炭化水素含有地層から炭化水素を回収した場合、環境汚染の発生を抑制することが可能となる。
(試験例9 炭化水素と加工水の分離試験)
試験例9では、試験例8で得られた、炭化水素及び加工水を含有する流出液から、炭化水素と加工水とを分離する試験を行った。
具体的には、試験例8で得られた流出液を用いて、炭化水素と加工水との分離を検討した。
(試験方法)
試験は、以下の手順で行った。
分離容器(直径24cm、高さ30cm、容積13.6L)に、試験例8で得られた流出液を3.75L投入した。次に、分離容器内の流出液に、常温(室温8℃)で、水道水を合計3.75L注ぎ込み静置した。容器内の流出液及び水道水の水面の高さは、26cmであった。
軟水指示薬を用いて、分離に用いた水道水にはMgイオンやCaイオンが含有されていることを確認した。
(結果)
分離容器内の流出液に、水道水を注ぎ込むと、直ちに炭化水素と水の分離が生じた。分離容器の上方には、分離された液体状態の炭化水素が浮いて出てきた。
水道水を注ぎ込んだ直後は、全体が黒色を呈していたが、静置して時間が経過するにつれて、分離容器の下方の液体が徐々に透明になるとともに、上方の液体表面には、どろどろとした炭化水素が漂っていた。
静置後3分後で分離容器底部から13cmが透明になった。
炭化水素と加工水の混合物は、例えば、CaイオンやMgイオンを含む水道水などの水を用いることで、炭化水素と水とを互いに分離することができる。
乳化性の水(加工水)は、界面活性剤を含有していないため、加熱により界面活性剤を分解する等の処理を行うことなく、炭化水素と水とを分離することが可能である。従って、炭化水素の回収が容易であるとともに、分離後の加工水を再利用することができる。
(試験例10 加工水を用いたオイルサンドからの炭化水素分離試験)
試験例10では、本発明の実施形態に係る加工水を用いて、オイルサンドからの炭化水素分離試験を行った。
具体的には、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水を用いて、オイルサンドからの炭化水素の分離を検討した。
(試験方法)
試験は、以下の手順で行った。
撹拌容器(直径47cm、高さ69cm、容積119L)に、川砂を70kg充填し、C重油を20質量%添加し、ミキサー(製品名:ALTAX DRIVE)で撹拌してオイルサンドのモデルを作製した。
撹拌容器の上部から、オイルサンドへと常温(室温12℃)で、加工水を合計47L注ぎ込み、ミキサーで60分間(1000rpm)撹拌した。撹拌後に静置をし、数分後(撹拌直後)、及び2日後に上澄を採取した。ミキサーのプロペラには、麻を巻き付けたものを用いた。
(結果)
上澄は黒色を呈し、粘度が高いドロドロとしており、静置する時間が経過するにつれて量が多くなっていった。この上澄は、加工水と炭化水素が乳化して混ざり合った状態となったものと砂を含んでいた。従って、オイルサンドを加工水に接触させるだけで、オイルサンドに含まれる炭化水素成分が加工水と乳化して混ざり合った状態で分離することがわかった。また、容器の底部の残渣は、砂が大半であり、炭化水素の付着量が減っていることがわかった。
一方、水道水などの通常の水をオイルサンドに接触させただけでは、このように炭化水素成分が乳化することはない。
以上より、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水は、高い乳化作用(界面活性作用)を有しているため、この乳化性の水を用いて、オイルサンドから炭化水素を分離できることがわかった。
乳化性の水(加工水)は、界面活性剤など添加剤を含有していないため、乳化性の水を用いてオイルサンドから炭化水素を回収した場合、環境汚染の発生を抑制することが可能となる。また、露天掘りで採掘されたオイルサンドから炭化水素を分離する場合、乳化性の水を熱水やスチームとする必要がなく、エネルギーの消費を低減することができる。
(試験例11 炭化水素の回収試験)
試験例11では、試験例10で得られた、炭化水素及び加工水を含有する上澄から、炭化水素と加工水とを分離する試験を行った。
具体的には、試験例10で得られた上澄を用いて、加工水からの炭化水素の回収を検討した。
(試験方法)
試験は、以下の手順で行った。
回収容器(直径45cm、高さ55.5cm、容積87L)に、10.8Lの加工水を入れ、58℃に加温した。試験例10で得られた上澄を10kg投入して、ミキサー(ALTAX DRIVE)で60分間撹拌した。
(結果)
回収容器内の加温した加工水に、上澄を注ぎ込むと、直ちに炭化水素が水及び砂から分離した。回収容器の上方には、液体状態の炭化水素が浮いて出てきており、砂が回収容器の下方に沈んでいった。時間が経過すると、容器の上方に炭化水素が集まり、容器の下方に砂が集まっており、分離が進んでいることがわかった。分離終了後には、上方の炭化水素と下方の砂が完全に分離しており、下方の砂は油分の付着が認められず、さらさらとした状態であった。
炭化水素と加工水の混合物は、例えば、40〜80℃に加温した乳化性の水を用いることで、炭化水素と水とを互いに分離することができる。
乳化性の水は、界面活性剤を含有していないため、加熱により界面活性剤を分解する等の処理を行うことなく、炭化水素と水とを分離することが可能である。従って、炭化水素の回収が容易であるとともに、分離後の加工水を再利用することができる。
(試験例12 加工水処理によるオイルサンドからの炭化水素の分離評価)
加工水によるオイルサンドからの炭化水素の分離を評価するために、第三者機関(株式会社信濃公害研究所)にて分析を行った。
分析した試料は以下のとおりである。
・試料1:図11に写真を示す川砂(試験例10においてC重油を添加する前の元砂)
・試料2:図12に写真を示すオイルサンド(試験例10において川砂にC重油を添加して撹拌したもの)
・試料3:図13に写真を示す加工水で炭化水素を分離した後の砂(試験例11において回収した加工水処理後の砂)
図14は、試料1(図14左)、試料2(図14中央)、試料3(図14右)を並べて撮影した写真である。
(試験方法)
試料1,2,3について、油分(炭化水素)の計量をソックスレー抽出法により行った。
試料2について、水素炎イオン化検出器(FID)付のガスクロマトグラフ装置を用いて、ヘッドスペース−GC法にて2-プロパノール(IPA)の定量を行った。
(結果)
・試料1:計量された油分は0.1%湿重量未満であり、C重油を添加する前の砂からは油分は検出されないことがわかった。
・試料2:オイルサンドのモデルとしたC重油を添加した砂からは11%湿重量の油分が検出された。また、ヘッドスペース−GC法により検出されたIPAは1mg/kg(湿重量)未満であり、試料2には界面活性剤(乳化剤)等の添加剤が含まれていないことがわかった。
・試料3:加工水で炭化水素(油分)を分離した後の砂について、計量された油分は0.1%湿重量未満であり、炭化水素を添加する前の砂(試料1)と同様に油分は検出されないことがわかった。
以上の結果から、試験に用いた加工水及び試料には界面活性剤等の添加剤が含まれていないこと、及び加工水で処理した後には砂から炭化水素(油分)が分離されることが確認された。
本発明の炭化水素含有地層処理用組成物、フラクチャリング流体、炭化水素分離用組成物、炭化水素含有地層の処理方法、炭化水素の回収方法、及び水圧破砕法におけるフラクチャリング流体としての使用は、炭化水素含有地層から炭化水素を回収する方法、例えば、シェール層から原油や天然ガスを回収する際や、オイルサンドからビチューメンを回収する際に利用することが可能である。
1 採掘サイト
10 坑井
10a 垂直部分
10b 水平部分
11 掘削やぐら
12 運搬車
13 ポンプ車
14 ピット
15 運搬車
16 貯蔵タンク
20 炭化水素含有地層
21 フラクチャー(割れ目)
30 フラクチャリング流体
31 プロパント
A 加工水処理器(加工水生成装置)
100 軟水製造装置
110 第1の軟水生成器
112 第2の軟水生成器
114 イオン生成器
116 黒曜石収納器
118a,118b,118c 連絡管
120 水供給管
122 連絡管
124 入口用開閉弁
126 逆止弁
128 吐出管
130 出口用開閉弁
132 イオン交換樹脂
140 表面張力向上器

Claims (10)

  1. 乳化性の水を含有し、
    前記乳化性の水は、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有することを特徴とする地層中の炭化水素回収用組成物。
  2. 乳化性の水を含有し、
    前記乳化性の水は、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有し、
    水圧破砕法に用いられることを特徴とするフラクチャリング流体。
  3. 乳化性の水を含有し、
    前記乳化性の水は、イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有し、
    オイルサンドから炭化水素を分離するために用いられることを特徴とする炭化水素分離用組成物。
  4. 原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する加工水生成工程と、
    前記乳化性の水を含有する炭化水素含有地層処理用組成物を調製する炭化水素含有地層処理用組成物調製工程と、
    前記炭化水素含有地層処理用組成物を炭化水素含有地層に注入する注入工程と、
    を行うことを特徴とする炭化水素含有地層の処理方法。
  5. 前記加工水生成工程では、前記原水から、前記Mgイオン、Caイオン及びFeイオンのうち前記原水に含有されるイオンを、イオン交換により除去した後、前記原水を、トルマリンが充填されたトルマリン収納器及び黒曜石が充填された黒曜石収納器のうち少なくとも一方に、30分以上通過させて前記乳化性の水を生成することを特徴とする請求項4に記載の炭化水素含有地層の処理方法。
  6. 前記加工水生成工程では、前記乳化性の水のNaイオン濃度を、前記原水中のNaイオン濃度よりも増加させることを特徴とする請求項4又は5に記載の炭化水素含有地層の処理方法。
  7. 前記加工水生成工程では、水温26℃で測定される前記乳化性の水の表面張力が、50mN/m以上になるように調整することを特徴とする請求項4乃至6いずれか一項に記載の炭化水素含有地層の処理方法。
  8. 原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する加工水生成工程と、
    前記乳化性の水を含有する炭化水素回収用組成物を調製する炭化水素回収用組成物調製工程と、
    前記炭化水素回収用組成物を炭化水素含有地層に注入する注入工程と、
    前記炭化水素含有地層内から炭化水素を回収する回収工程と、
    を行うことを特徴とすることを特徴とする炭化水素の回収方法。
  9. イオンクロマトグラフ法により、Naイオンが検出されると共にMgイオン及びCaイオンが検出されず、26℃における表面張力が、50mN/m以上であり、油性液体と混合して撹拌したときに乳化する性質を有する乳化性の水の水圧破砕法におけるフラクチャリング流体としての使用。
  10. 原水から、Caイオン、Mgイオン、Feイオンのうち、前記原水に含まれているものを除去し、Naイオンを残留させ又は添加すると共に、前記原水の表面張力を向上させて乳化性の水を生成する加工水生成工程と、
    前記乳化性の水をオイルサンドに接触させてオイルサンドから炭化水素を分離する分離工程と、
    前記乳化性の水と前記炭化水素の混合物から前記炭化水素を回収する回収工程と、
    を行うことを特徴とすることを特徴とする炭化水素の回収方法。
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