JP2018177603A - 熱分解開始温度の低いガス発生組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱分解開始温度の低いガス発生組成物の提供。【解決手段】ポリエーテル樹脂に、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合したガス発生組成物。前記ポリエーテル樹脂がポリオキシメチレンであるガス発生組成物。前記酸素原子を含まない無機ハロゲン化物が塩化アンモニウムであるガス発生組成物。ハロゲン化物でない酸化物をさらに配合したガス発生組成物。前記ハロゲン化物でない酸化物が酸化マンガン(IV)であるガス発生組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、熱分解開始温度の低いガス発生組成物、より詳しくは、ポリエーテル樹脂に、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合した熱分解開始温度の低いガス発生組成物に関する。
物質が分解することでガスを発生させるガス発生剤(組成物)がある。ガス発生剤は、火薬を用いるものが多いが、火薬を用いると火薬に関する法律を遵守しなくてはならなくなるため、その取扱が制限される。それゆえ、火薬ではない樹脂などを用いるガス発生剤が開発されている。かかるガス発生剤として、より低い温度で熱分解を開始するものが求められている。
以下の特許文献1には、金属酸化物からなる酸化剤と、粉状金属からなる還元剤と、プラスチック粉(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオキシメチレン(POM、ポリアセタールともいう)など)からなる気体発生剤とからなり、該酸化剤と該還元剤とからなる熱源の反応熱により該気体発生剤を燃焼させる破砕用組成物が開示されているが、かかる破砕用組成物の熱分解開始温度について一切記載されていない。
以下の特許文献2には、(a)ポリアクリル系高分子化合物、ポリアセタール、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、及びセルロース系高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の高分子化合物からなる燃料、(b)硝酸アンモニウム、及び相安定化硝酸アンモニウムからなる群から選ばれる酸化剤、並びに(c)金属硝酸塩、金属亜硝酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩等の酸素酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の燃焼促進剤を含有するガス発生剤組成物が開示されているが、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物については一切記載されていない。また、特許文献2の実施例には、ポリアセタール/硝酸アンモニウム/過塩素酸カリウム等の組成が示されているが、熱分解開始温度については一切記載されていない。
以下の特許文献3には、平均粒子径300〜500μmのプラスチック粉体(ポリカーボネート、ポリアセタール)が、有機質バインダー(塩化ビニル)に結合された平均粒子径5〜40μmの酸化第二銅及び平均粒子径20〜60μmのアルミニウムにより被覆された非火薬ガス発生組成物が開示されている。特許文献3には、熱分解開始温度の低下に関して、熱分解開始温度の低いプラスチック粉体(ポリマー)を選定することが記載されているにすぎない。
以下の特許文献4には、過酸化カルシウム、アルミニウム粉末、及びポリオキシメチレン粉を配合した打ち上げ花火用揚げ薬組成物が開示されているが、熱分解開始温度の低下については一切記載されていない。
前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、熱分解開始温度の低いガス発生組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、ポリエーテル樹脂に、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合することで、熱分解開始温度の低いガス発生組成物を提供することができることを、予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]ポリエーテル樹脂に、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合したガス発生組成物。
[2]前記ポリエーテル樹脂は、ポリオキシメチレンである、前記[1]に記載のガス発生組成物。
[3]前記酸素原子を含まない無機ハロゲン化物は、ハロゲン化アンモニウムである、前記[1]又は[2]に記載のガス発生組成物。
[4]前記ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウムである、前記[3]に記載のガス発生組成物。
[5]ハロゲン化物でない酸化物をさらに配合した、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のガス発生組成物。
[6]前記ハロゲン化物でない酸化物は、酸化マンガン(IV)である、前記[5]に記載のガス発生組成物。
[1]ポリエーテル樹脂に、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合したガス発生組成物。
[2]前記ポリエーテル樹脂は、ポリオキシメチレンである、前記[1]に記載のガス発生組成物。
[3]前記酸素原子を含まない無機ハロゲン化物は、ハロゲン化アンモニウムである、前記[1]又は[2]に記載のガス発生組成物。
[4]前記ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウムである、前記[3]に記載のガス発生組成物。
[5]ハロゲン化物でない酸化物をさらに配合した、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のガス発生組成物。
[6]前記ハロゲン化物でない酸化物は、酸化マンガン(IV)である、前記[5]に記載のガス発生組成物。
本発明に係るガス発生組成物は、主成分である燃料樹脂の熱分解開始温度よりも低い熱分解開始温度を有するため、低い熱分解開始温度においてガスを発生することが要求される様々な用途に利用可能である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のガス発生組成物は、ポリエーテル樹脂に、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合したガス発生組成物であり、該ポリエーテル樹脂は、好ましくはポリオキシメチレン(ポリアセタール)である。
本実施形態のガス発生組成物は、ポリエーテル樹脂に、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合したガス発生組成物であり、該ポリエーテル樹脂は、好ましくはポリオキシメチレン(ポリアセタール)である。
本実施形態の熱分解開始温度の低いガス発生組成物は、比較的低い温度において、ガス発生を必要とするいかなる用途においても使用可能である。例えば、ポリオキシメチレンに、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合することで、ポリオキシメチレン自体の熱分解開始温度よりも、ガス発生組成物の熱分解開始温度は低下する。
酸素原子を含む無機ハロゲン化物として、塩素酸塩、過塩素酸塩などがあるが、危険物となり、また、配合によっては火薬類となるため、取り扱いに注意が必要となる。例えば、過塩素酸アンモニウムなどを含む場合、火薬や危険物となるため、本実施形態のガス発生組成物では、こうしたものを取り除く組成としている。特に、本実施形態のガス発生組成物では、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物に限定している。酸素原子を含まない無機ハロゲン化物としては、金属塩やアンモニウム塩が挙げられ、中でも、ハロゲン化アンモニウムが好ましい。ハロゲン化アンモニウムとしては、塩化アンモニウムやヨウ化アンモニウムなどが挙げられ、ハロゲン化アンモニウムは、ガス化した際に、アンモニウムガスが発生し、ガス量に貢献できるため好ましい。このうち、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物としては、熱分解開始温度が比較的安定しているため、塩化アンモニウムが特に好ましい。
本実施形態のガス発生組成物は、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物に加え、さらに酸化物を配合してもよい。かかる酸化物としては、酸化マンガン(IV)が好ましい。酸化マンガン(IV)をさらに配合することで、熱分解がより促進される。
本実施形態のガス発生組成物は、熱分解開始温度が低く、熱分解反応は主に吸熱反応なので、ガス化を開始させるためには、これに熱を与える必要がある。熱を与える手段としては、特に制限はないが、例えば、ニッケル線、ニクロム線などの電熱線に電流を流して赤熱させ熱分解させる方法、テルミットなどの反応熱により熱分解させる方法、火炎などによる熱媒体を用いる方法、熱粒子をガス発生組成物に接触させる方法などが挙げられる。
以下、ポリエーテル樹脂の配合量をA、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物の配合量をB、そしてハロゲン化物でない酸化物の量をCとして、それらの配合割合について説明する。
ポリエーテル樹脂に、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を加えると熱分解開始温度が低くなることが確認されているため、その配合割合は特に制限されないが、ガス発生物の主なガス発生源がポリエーテル樹脂であるため、半分以上含むことが好ましい。このためB/(A+B)の値は好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下である。酸素原子を含まない無機ハロゲン化物が少量含有されていれば、その熱分解開始温度の低下効果は確認されているので、B/(A+B)の下限は特にないが、0.01以上であると好ましい。他方、ハロゲン化物でない酸化物は、燃焼を促進するため、どのような配合で混ぜても構わないが、C/(A+B)の値が0.01〜0.3以下が好ましく、より好ましくは0.1以下である。
ポリエーテル樹脂に、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を加えると熱分解開始温度が低くなることが確認されているため、その配合割合は特に制限されないが、ガス発生物の主なガス発生源がポリエーテル樹脂であるため、半分以上含むことが好ましい。このためB/(A+B)の値は好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下である。酸素原子を含まない無機ハロゲン化物が少量含有されていれば、その熱分解開始温度の低下効果は確認されているので、B/(A+B)の下限は特にないが、0.01以上であると好ましい。他方、ハロゲン化物でない酸化物は、燃焼を促進するため、どのような配合で混ぜても構わないが、C/(A+B)の値が0.01〜0.3以下が好ましく、より好ましくは0.1以下である。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、これらの例は、本発明を限定するものではない。
[実施例1]
ポリオキシメチレン粉(ホモポリマー)99mgに、塩化アンモニウム1mgを加え、少量のエタノールをかけ、乳鉢で10分間混合した。その後、真空乾燥機で40℃、2時間乾燥し、混合物としてガス発生組成物を得た。
得られた混合物について、SII Nano Technology社製TG/DTA7200装置を用い、約2mgのサンプル量で昇温速度10℃/min、空気環境で30℃から400℃まで加熱し、温度と重量減少を測定した。その後得られたチャートから重量減少の開始点(分解開始温度)を測定した。結果を以下の表1に示す。
ポリオキシメチレン粉(ホモポリマー)99mgに、塩化アンモニウム1mgを加え、少量のエタノールをかけ、乳鉢で10分間混合した。その後、真空乾燥機で40℃、2時間乾燥し、混合物としてガス発生組成物を得た。
得られた混合物について、SII Nano Technology社製TG/DTA7200装置を用い、約2mgのサンプル量で昇温速度10℃/min、空気環境で30℃から400℃まで加熱し、温度と重量減少を測定した。その後得られたチャートから重量減少の開始点(分解開始温度)を測定した。結果を以下の表1に示す。
[実施例2]
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様に、ガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様に、ガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
[実施例3]
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
[実施例4]
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
[実施例5]
ポリオキシメチレン粉(ホモポリマー)99mgに、ヨウ化アンモニウム1mgを加え、少量のエタノールをかけ、乳鉢で10分間混合した。その後、真空乾燥機で40℃、2時間乾燥し、混合物としてガス発生組成物を得、実施例1と同様に分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
ポリオキシメチレン粉(ホモポリマー)99mgに、ヨウ化アンモニウム1mgを加え、少量のエタノールをかけ、乳鉢で10分間混合した。その後、真空乾燥機で40℃、2時間乾燥し、混合物としてガス発生組成物を得、実施例1と同様に分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
[実施例6]
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例5と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例5と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
[実施例7]
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例5と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例5と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
[実施例8]
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例5と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例5と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
[実施例9]
ポリオキシメチレン粉(ホモポリマー)90mgに、塩化アンモニウム10mg、及び酸化マンガン(IV)5mgを加え、少量のエタノールをかけ、乳鉢で10分間混合した。その後、真空乾燥機で40℃、2時間乾燥し、混合物としてガス発生組成物を得、実施例1と同様に分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
ポリオキシメチレン粉(ホモポリマー)90mgに、塩化アンモニウム10mg、及び酸化マンガン(IV)5mgを加え、少量のエタノールをかけ、乳鉢で10分間混合した。その後、真空乾燥機で40℃、2時間乾燥し、混合物としてガス発生組成物を得、実施例1と同様に分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
[実施例10]
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例9と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
配合割合を以下の表1のとおり変更した以外は、実施例9と同様にガス発生組成物を得、分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
[比較例1]
ポリオキシメチレン粉100mg(ホモポリマー)に少量のエタノールをかけ、乳鉢で10分間混合した。その後、真空乾燥機で40℃、2時間乾燥し、混合物を得、実施例1と同様に分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
ポリオキシメチレン粉100mg(ホモポリマー)に少量のエタノールをかけ、乳鉢で10分間混合した。その後、真空乾燥機で40℃、2時間乾燥し、混合物を得、実施例1と同様に分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。
[比較例2]
ポリオキシメチレン粉70mg(ホモポリマー)に、2クロム酸アンモニウム30mgを加え、に少量のエタノールをかけ、乳鉢で10分間混合した。その後、真空乾燥機で40℃、2時間乾燥し、混合物を得、実施例1と同様に分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。尚、2クロム酸アンモニウムは、消防法上、危険物第一類 重クロム酸塩類 危険等級IIIに分類される。
ポリオキシメチレン粉70mg(ホモポリマー)に、2クロム酸アンモニウム30mgを加え、に少量のエタノールをかけ、乳鉢で10分間混合した。その後、真空乾燥機で40℃、2時間乾燥し、混合物を得、実施例1と同様に分解開始温度を測定した。結果を以下の表1に示す。尚、2クロム酸アンモニウムは、消防法上、危険物第一類 重クロム酸塩類 危険等級IIIに分類される。
比較例1のポリオキシメチレンの熱分解開始温度は253℃、比較例2のハロゲンを含まないアンモニウム塩である2クロム酸アンモニウムを配合した混合物の熱分解開始温度は223℃であった。
他方、ポリオキシメチレンに、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物である塩化アンモニウムを配合した実施例1の熱分解開始温度は224℃、実施例2では178℃、実施例3では177℃、実施例4では181℃といずれも、ポリオキシメチレン単独である比較例1に比べて、いずれも低くなっていることがわかる。
ポリオキシメチレンにヨウ化アンモニウムを配合した実施例5では、熱分解開始温度が151℃、実施例6では143℃、実施例7では136℃、実施例8では66℃といずれも、ポリオキシメチレン単独である比較例1に比べて、低くなっている。
ポリオキシメチレンに、塩化アンモニウム、さらに酸化マンガン(IV)を配合した実施例9では、分解開始温度が179℃、実施例10では181℃といずれも、ポリオキシメチレン単独である比較例1に比べて、低くなっている。
以上により、ポリオキシメチレンに酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合することでポリオキシメチレン単独に比べて、熱分解開始温度が低くなることを確認した。
実施例4と、ハロゲンを含まないアンモニウム塩である2クロム酸アンモニウムを配合した混合物である比較例2との対比から、ハロゲンを含むアンモニウム塩である塩化アンモニウムを配合すると、ハロゲンの存在に因り熱分解開始温度がより低くなること確認した。
他方、ポリオキシメチレンに、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物である塩化アンモニウムを配合した実施例1の熱分解開始温度は224℃、実施例2では178℃、実施例3では177℃、実施例4では181℃といずれも、ポリオキシメチレン単独である比較例1に比べて、いずれも低くなっていることがわかる。
ポリオキシメチレンにヨウ化アンモニウムを配合した実施例5では、熱分解開始温度が151℃、実施例6では143℃、実施例7では136℃、実施例8では66℃といずれも、ポリオキシメチレン単独である比較例1に比べて、低くなっている。
ポリオキシメチレンに、塩化アンモニウム、さらに酸化マンガン(IV)を配合した実施例9では、分解開始温度が179℃、実施例10では181℃といずれも、ポリオキシメチレン単独である比較例1に比べて、低くなっている。
以上により、ポリオキシメチレンに酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合することでポリオキシメチレン単独に比べて、熱分解開始温度が低くなることを確認した。
実施例4と、ハロゲンを含まないアンモニウム塩である2クロム酸アンモニウムを配合した混合物である比較例2との対比から、ハロゲンを含むアンモニウム塩である塩化アンモニウムを配合すると、ハロゲンの存在に因り熱分解開始温度がより低くなること確認した。
[実施例11:ガス発生試験]
直径約0.1mmのニッケル線に数mgのサンプルを載せ、2A、5Vの電気印加を与え、ニッケル線を赤熱させた。この熱によりサンプルの分解状況を確認した。実施例3のサンプルでは、ニッケル線が赤熱により分解しガス化した(ニッケル線の抵抗値は0.7Ω)。ポリオキシメチレン粉に塩化アンモニウム、酸化マンガン(IV)を配合した実施例9(抵抗値0.6Ω)、実施例10(抵抗値0.7Ω)のサンプルでも、ニッケル線の赤熱によりサンプルが分解しガス化した。酸化マンガン(IV)を加えた実施例9、実施例10のサンプルの方が、実施例3のサンプルよりも分解が促進されたため、ガス化のためには、酸化マンガン(IV)を配合することが好ましいことを確認した。
直径約0.1mmのニッケル線に数mgのサンプルを載せ、2A、5Vの電気印加を与え、ニッケル線を赤熱させた。この熱によりサンプルの分解状況を確認した。実施例3のサンプルでは、ニッケル線が赤熱により分解しガス化した(ニッケル線の抵抗値は0.7Ω)。ポリオキシメチレン粉に塩化アンモニウム、酸化マンガン(IV)を配合した実施例9(抵抗値0.6Ω)、実施例10(抵抗値0.7Ω)のサンプルでも、ニッケル線の赤熱によりサンプルが分解しガス化した。酸化マンガン(IV)を加えた実施例9、実施例10のサンプルの方が、実施例3のサンプルよりも分解が促進されたため、ガス化のためには、酸化マンガン(IV)を配合することが好ましいことを確認した。
本発明に係るガス発生組成物は、主成分である燃料樹脂の熱分解開始温度よりも低い熱分解開始温度を有するため、低い熱分解開始温度においてガスを発生することが要求される様々な用途に利用可能である。
Claims (6)
- ポリエーテル樹脂に、酸素原子を含まない無機ハロゲン化物を配合したガス発生組成物。
- 前記ポリエーテル樹脂は、ポリオキシメチレンである、請求項1に記載のガス発生組成物。
- 前記酸素原子を含まない無機ハロゲン化物は、ハロゲン化アンモニウムである、請求項1又は2に記載のガス発生組成物。
- 前記ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウムである、請求項3に記載のガス発生組成物。
- ハロゲン化物でない酸化物をさらに配合した、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス発生組成物。
- 前記ハロゲン化物でない酸化物は、酸化マンガン(IV)である、請求項5に記載のガス発生組成物。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210302 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20210914 |