JP2018174770A - 前処理済みの植物性バイオマスから発酵処理物を製造するための方法 - Google Patents

前処理済みの植物性バイオマスから発酵処理物を製造するための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 セルロースおよびキシリトールの両方を効率的に製造し得る、前処理済みの植物性バイオマスから発酵処理物を製造するための方法を提供すること。【解決手段】 本発明は、前処理済みの植物性バイオマスから、発酵処理物を製造するための方法であって、同一系内において、該前処理済みの植物性バイオマスをキシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼで処理するとともに、キシロースリダクターゼ活性を有しかつキシロースイソメラーゼ活性およびキシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有しない微生物で発酵する工程を包含し、該発酵処理物が発酵処理生成物を含有し、そして該発酵処理生成物がセルロースおよびキシリトールである、方法を提供する。【選択図】 なし

Description

本発明は、前処理済みの植物性バイオマスから発酵処理物を製造するための方法に関し、より詳細には当該植物性バイオマスから、セルロースおよびキシリトールを効率良く生産することができる、発酵処理物の製造方法に関する。
セルロースおよびキシリトールはいずれも、近年、様々な工業製品を構成するための材料として使用されており、それらの製造方法についても多くの提案がなされている。
(セルロースに関して)
例えば、セルロースについて、高等植物由来のセルロースの希酸加水分解によるレベルオフ重合度挙動を利用することにより、工業的に製造することが知られている。そして、木材セルロースを希酸で分解した後に粉砕処理して得られるアビセルや、リンターを希酸で加水分解して得たセルロース粉末は、実験用カラム充填剤、濾過助剤、食品添加物、錠剤などとして利用されている。
例えば、特許文献1は、パルプおよびリンターなどの天然セルロースから、カッティング式ミルまたは気流式ミルを用いて天然セルロースの品質を損なわず、粉体流動性に優れた粉末状セルロースが提供される旨を記載している。
一般に、このような粉末状セルロースを得る方法としては、化学的処理による方法および機械的処理による方法が知られている。
化学的処理による方法としては、セルロース原料に硫酸または塩酸等の鉱酸を作用させて加水分解反応を行い、粉末状セルロースを得る方法(酸加水分解法)が公知である。より具体的な例としては、120℃〜160℃で20分間〜45分間かけて希酸(特に1%硫酸)で酸加水分解し、粉末状セルロースを得る方法(特許文献2);2.5規定塩酸で約15分間酸加水分解し、粉末状セルロースを得る方法(特許文献3);各種濃度の塩酸水溶液で高温処理し、粉末状セルロースを得る方法(特許文献4);等が挙げられる。こうした酸加水分解法で得られる粉末状セルロースは、嵩密度が大きく、コンパクトで粉体流動性に優れ、また、酸濃度を適宜コントロールする事により、粉末状セルロースの嵩密度を容易に調節することができる等の利点を有する。
化学的処理によるその他の方法として、前加水分解クラフト法で処理したパルプを原料として用いる方法(特許文献5)、およびパルプを酸加水分解に先立ってオゾン酸化を行う方法(特許文献6)も知られている。
しかし、当該酸加水分解法は、セルロースと酸とが接触することにより、低重合度のオリゴマーまたはグルコースを生じ、酸加水分解後に回収される酸不溶解残渣の量(すなわち、粉末状セルロースの収率)が低下する;酸によるセルロースの解重合が起きて、得られる粉末状セルロースの平均重合度が小さくなる;生じた低重合度のオリゴマーまたはグルコースは、廃棄のために別途、活性汚泥処理が必要になる;等の技術課題を含むことが指摘されている。
さらに、酸加水分解法を用いて粉末状セルロースを製造する場合、通常、多数の煩雑な工程(すなわち、原料パルプスラリー調製工程、酸加水分解反応工程、中和工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程、および粉砕工程)が必要である。また、当該製造においては、酸加水分解反応工程で使用される塩酸等の鉱酸や、中和工程で使用される水酸化ナトリウム等のアルカリ剤の調達に要するコスト、ならびに乾燥工程に必要なエネルギーコストが大きいという経済的課題も内在する。
化学的処理によるさらに別の方法として、酵素処理を用いる方法が提案されている。例えば、特許文献7および8には、セルラーゼを用いて結晶セルロースを生産する方法が開示されている。ただ、これらの方法は、セルロース自体を分解するセロビオハイドロラーゼ(CBH)活性やエンドグルカナーゼ(EG)活性を利用したものに過ぎず、未だ充分な生産性を達成し得るものとは言い難い。
これに対し、機械的処理による方法としては、公知の分級および/または粉砕技術が利用されている。機械的処理による方法は、原料のロスが殆どなく、高収率であること、酸またはアルカリ等の薬品を特に必要としない点で、薬品によるセルロースの解重合や薬品コストなどの懸念も生じないという利点がある。
しかし、機械的処理による方法では、嵩密度の調節が困難であり、場合によっては機械的処理によってセルロース繊維が毛羽立ち、嵩密度が悪化する(すなわち、嵩高くなる)、粉体流動性が劣る等の問題が指摘されている。さらに、機械的処理による方法では、セルロースが有する靭性のために、微細化が非常に困難である点も指摘されている。
機械的処理による方法の改変例として、ボールミルでセルロースおよび/またはエーテル基を有するその誘導体を細粉砕する方法(特許文献9)や、前処理としてボールミルまたはペレット圧縮成型機において硬化または脆化を行い、それをジェットミルまたはピンディスクミルまたは衝撃ミルで粉砕して、セルロースエーテルまたはセルロースから微粉を製造する方法(特許文献10)が提案されている。
しかし、これらの方法ではボールミルのような媒体ミルを使用するため、媒体成分の混入が懸念される;ボールミルで処理することによって天然セルロースが有するセルロースI型結晶構造が崩れ、アモルファスな構造へと変化してしまう;等のさらなる技術的課題が指摘されている。
(キシリトールに関して)
一方、キシリトールは、天然に存在するキシロースに由来する糖アルコールであり、スクロースと同程度の甘味を呈するが、スクロースと比較して代謝されにくい。このため、キシリトールは、臨床的に、例えば糖尿病および肝疾患患者において、従来のスクロースに代わる低カロリーの甘味料として用いられている。
キシリトールはまた、虫歯の原因となりにくいという特徴を有する。このような特徴により、例えば、チューインガム、ソフトドリンク、アイスクリームなどの食品分野での使用が増大している。特に、近年、キシリトールが食品添加物として認可されたことにより、食品分野での使用(例えば、低カロリー食品)がより一層期待される。
キシリトールについては、すでにいくつかの製造方法が提案されている。
例えば、特許文献11は、従来の化学反応を用いて炭素源からキシロースおよびキシリトールを生成する方法を記載している。当該方法によれば、油を搾った後のアブラヤシ果実の搾りかす、果実を分離した後のアブラヤシ房、およびアブラヤシの幹から選ばれる一種または二種以上からなる原料が、硫酸または塩酸の存在下で酸濃度0.1〜0.5重量%、温度60〜100℃で0.5〜3時間加熱処理される。
また、特許文献12は、従来の化学反応を用いて炭素源からキシリトールを生成する方法を記載している。当該方法によれば、アラビノキシラン含有材料が加水分解され、そして得られた加水分解物からキシロースおよびアラビノースが分離される。その後、キシロースはキシリトールに還元され、そして該キシリトールが回収される。
特許文献13は、従来の菌類を用いて炭素源からキシリトールを生成する方法を記載している。当該方法によれば、キシリトール生産能を有する微生物を、キシロースの存在下において、微好気性条件下(0.1〜1ppmの溶存酸素濃度)で培養することによって、キシロースからキシリトールが生産される。この際、溶存酸素濃度はファジー制御される。
さらに、非特許文献1では、リゾプス属およびムコール属のカビを用いてエタノールを生産することが記載されており、当該カビを用いてキシロースからエタノールならびにキシリトールを生産することについても紹介されている。非特許文献2では、ペニシリウム・クラストサム(Penicillium crustosum)等の種々の糸状菌を用いてキシロースからキシリトールが生産され得ることが記載されている。非特許文献3では、ペトロミセス・アルベルテンシス(Petromyces albertensis)等の菌類を用いてキシロースからキシリトールが生産され得ることが記載されている。
キシリトールはまた、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)に依存するキシロースリダクターゼの作用を利用して、キシロースから当該酵素を用いて直接製造することもできる。
キシロースを資化できる一部の微生物では、キシロースは、キシロースイソメラーゼにより、またはキシロースリダクターゼとキシリトールデヒドロゲナーゼとによる2段階の反応により、キシルロースに変換され、これがペントースリン酸経路においてエネルギー源として利用される。
一方で、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)は、キシルロースの発酵特性を有するが、キシロースイソメラーゼ、キシロースリダクターゼおよびキシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有していないため、キシロースはエネルギー源として利用されない。このため、サッカロマイセス・セレビシエにキシロースリダクターゼのみを導入しかつ発現すると、キシロースからキシリトールが生産される(非特許文献4)。
現在実用化されている化学変換によるキシリトールの製造では、ヘミセルロースなどを糖化して得たキシロースまたはその酸化物を、接触水添を行う前に高度に精製することが必要とされる。さらに接触水添においては、高価な触媒および高温高圧のための複雑な工程を必要とする。
これらを解決するためにバイオマスに含まれるキシランを含むヘミセルロースを糖化し、それと同時または糖化後にキシリトールを発酵生成する方法も提案されている。酵素を用いてヘミセルロースからキシロースを得るためにはキシラナーゼ、キシロシダーゼが必要であり、生成したキシロースからキシリトールを生成するためにはキシロースリダクターゼが必要である。非特許文献4では、キシロースリダクターゼを発現しかつキシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼを表層提示するように作製した形質転換サッカロマイセス・セレビシエを用いて、ヘミセルロースを多く含む水熱処理稲わらの可溶性画分からキシリトールを生産したことが報告されている。
ここで、キシリトールを発酵により生成する方法には、以下のような課題が存在する。
5炭糖を利用する能力を有する微生物の多くは、キシロースをキシロースイソメラーゼで異性化することにより、あるいはキシリトールをキシリトールデヒドロゲナーゼで脱水素することにより、キシルロースを生成し、これをペントースリン酸経路に利用する。このため、当該微生物で生成したキシロースおよびキシリトールはキシルロースに変換され、結果として効率良くキシリトールを生成することができない。また、キシロースからのキシリトール生成にはキシロースリダクターゼが必須である。
しかし、キシロースリダクターゼによる還元にはNADPHによる還元力が必要とされる。例えば、サッカロマイセス・セレビシエはキシルロースの発酵特性を有するが、キシロースリダクターゼ活性およびキシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有していない。このため、サッカロマイセス・セレビシエにキシロースリダクターゼのみを導入しかつ発現すると、キシロースからキシリトールが生産されるとも考えられる。しかし、このような方法では、細胞内でのNADPHのバランスが崩れるため、必ずしも効率的なキシリトールの生産を行うことができない。
また、例えば、上記改変を行ったサッカロマイセス・セレビシエのキシロースイソメラーゼを強化することによって、不足するNADPHを補うことが考えられる。しかし、この方法ではキシリトール生成の基質となるキシロースがキシリトール以外の化合物に変換されるため、実質的にキシリトールの生産性の向上には不適である。
上記のように、セルロースおよびキシリトールはいずれも、様々な工業製品を構成するための材料として有用であるものの、その工業的生産においてはいくつもの技術的課題が散見される。このため、これらは充分かつ効率的な製造技術が確立されているとは言い難い。
特許第4581320号公報 米国特許第3954727号明細書 米国特許第3141875号明細書 特開昭53−127553号公報 特開2014−009276号公報 特開2005−029627号公報 米国特許第5346589号明細書 米国特許第4427778号明細書 特開昭51−083655号公報 特開昭57−092001号公報 特開平10−192000号公報 特開2000−157300号公報 特開平11−192095号公報
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本発明は、上記課題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、セルロースおよびキシリトールの両方を効率的に製造し得る、前処理済みの植物性バイオマスから発酵処理物を製造するための方法を提供することにある。
本発明は、前処理済みの植物性バイオマスから発酵処理物を製造するための方法であって、
同一系内において、該前処理済みの植物性バイオマスをキシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼで処理するとともに、キシロースリダクターゼ活性を有しかつキシロースイソメラーゼ活性およびキシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有しない微生物で発酵する工程
を包含し、
該発酵処理物が発酵処理生成物を含有し、そして
該発酵処理生成物がセルロースおよびキシリトールである、方法である。
1つの実施形態では、上記前処理済みの植物性バイオマスは、固形分重量を基準として10重量%以上のヘミセルロースを含有する。
1つの実施形態では、上記前処理済みの植物性バイオマスは、クラフト法またはサルファイト法により処理された植物性バイオマスである。
1つの実施形態では、上記前処理済みの植物性バイオマスは、広葉樹漂白クラフトパルプ、広葉樹漂白サルファイトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白サルファイトパルプ、広葉樹無漂白クラフトパルプ、広葉樹無漂白サルファイトパルプ、針葉樹無漂白クラフトパルプ、および針葉樹無漂白サルファイトパルプからなる群から選択される少なくとも1種の前処理済みのパルプである。
1つの実施形態では、上記微生物は、上記キシロースリダクターゼ活性を有しかつ上記キシロースイソメラーゼ活性および上記キシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有しないように遺伝子改変された、サッカロマイセス・セレビシエ、クルイベロマイセス・マルキサナス(NBRC1777)、またはレンチネラス・コクリータスである。
1つの実施形態では、上記微生物は、上記キシラナーゼ、上記キシロシダーゼおよび上記β−グルコシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素を生産するように遺伝子改変されている。
1つの実施形態では、上記キシリトールは、上記発酵処理物中に、該発酵処理物の液体分に含まれる糖類および糖アルコール類の合計重量に基づいて30重量%から95重量%の割合で含有されている。
1つの実施形態では、上記セルロースは、上記発酵処理物中に、該発酵処理物の固形分の重量に基づいて60重量%から99重量%の割合で含有されている。
1つの実施形態では、本発明の方法は、さらに、上記発酵工程の後に、上記系から上記微生物を回収する工程;および該回収した微生物を該発酵工程と同様の次の発酵工程に使用する工程;を包含する。
1つの実施形態では、上記微生物の回収は、上記発酵処理物から液体分を除いて得られる内容物を100メッシュ〜300メッシュの濾過膜を通じてさらに濾別することにより行われる。
本発明はまた、植物性バイオマス由来の発酵処理物であって、
発酵処理生成物を含有し、
該発酵処理生成物がセルロースおよびキシリトールであり、
該キシリトールの含有量が、該発酵処理物の液体分に含まれる糖類および糖アルコール類の合計重量に基づいて30重量%から95重量%であり、そして
該セルロースの含有量が、該発酵処理物の固形分の重量に基づいて60重量%から99重量%である、発酵処理物である。
本発明によれば、一連の操作を通じて、例えば、単一の前処理済みの植物性バイオマスから、セルロースおよびキシリトールを含む発酵処理物を効率良く製造することができる。さらに、得られた発酵処理物は、特別な分離手段を用いることなく、簡便にセルロースおよびキシリトールに分離することが可能である。
(a)アーミング酵母を添加した場合および(b)キシリトール生産酵母を添加した場合の20mL液状混合物のクラフトパルプからのキシリトール生産量を示すグラフである。 アーミング酵母を添加した1L液状混合物のクラフトパルプからのキシリトール生産量を示すグラフである。
以下、本発明について詳述する。
まず、本明細書中に用いられる用語について定義する。
本明細書中に用いられる用語「同一系内」とは、同一の反応物(出発物質である前処理済みの植物性バイオマス)を由来とする反応系を意味し、1つの反応領域(例えば、反応槽)に含まれたままの状態、ならびに1つの反応領域所定の処理または操作を施した後に異なる反応領域に移したまたは分離した状態のいずれをも包含して言う。
本明細書中に用いられる用語「発酵処理物(fermentation and treatment products)」とは、同一系内において一連の操作(処理と培養による発酵との両方を伴う操作)によって生成した生成物;同一系内に存在する当該生成を通じて生じた残渣;同一系内における当該生成物および/または残渣の分解、変性または改質により生じた分解物、変性物および改質物;ならびに同一系内に存在する未反応物;を合わせた化合物の集合体(組成物)を指して言う。
本明細書中に用いられる用語「発酵処理」とは、同一系内における、微生物の培養を通じて行われる発酵の過程(本明細書中、「発酵過程」ともいう)と、同一系内における、前処理済みの植物性バイオマスの糖化のために行われる処理の過程(本明細書中、「処理過程」または「糖化処理過程」ともいう)とを包含して言い、そして必要に応じて、同一系内における、当該微生物による発酵の後に行われる後処理の操作を包含する。本明細書中で「糖化」とは、多糖(例えば、ヘミセルロース)およびオリゴ糖(例えば、セロオリゴ糖)をより低分子(より少ない糖数)のオリゴ糖または単糖に分解することをいう。さらに、本明細書中に用いられる用語「発酵処理生成物」とは、上記発酵処理を通じて生じる化合物を表し、例えば同一系内での発酵過程により生じる「発酵生成物」および糖化処理過程によって生じた化合物のいずれをも包含する。
本発明においては、前処理済みの植物性バイオマスから発酵処理物が製造される。具体的には、同一系内において、前処理済みの植物性バイオマスをキシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼで処理するとともに、キシロースリダクターゼ活性を有しかつキシロースイソメラーゼ活性およびキシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有しない微生物が培養される。
(前処理済みの植物性バイオマス)
本発明に用いられる前処理済みの植物性バイオマスは、植物体を由来とするバイオマスである。植物体の例としては、広葉樹、針葉樹などの木本、およびイネ科、マメ科などの草本が挙げられる。本発明において、前処理済みの植物性バイオマスは、上記植物体のバイオマスに任意の化学的および/または物理的処理を施したものであり、主成分としてバイオマス由来のセルロースおよびヘミセルロースを含有する。本発明の1つの実施形態では、前処理済みの植物性のバイオマスはクラフト法またはサルファイト法により処理された植物性バイオマスである。さらに、前処理済みの植物性バイオマスは適度に脱リグニン化されたものであることが好ましい。
本発明に用いられる前処理済みの植物性バイオマスのより具体的な例としては、パルプ、当該パルプを含む懸濁体または溶液、ならびに当該パルプと植物性バイオマスとの混合物が挙げられる。例えば、蒸解釜によって得られるクラフトパルプの製造過程と対比すると、このような前処理済みの植物性バイオマスは、(1)チップサイロのようなクラフトパルプ製造のための設備に導入され、圧縮や篩分けなどの任意の処理を受けた直後のチップのもの;(2)当該チップから、流送、パルプシート、モールド、ブリケットなどの任意の形状に加工されたパルプ;(3)上記(1)および(2)の過程で廃棄物として排出される全てのもの;のいずれをも包含する。より具体的には、前処理済みの植物性バイオマスには、篩分けにより生じたチップダスト;蒸解前に水熱反応の結果生じた前加水分解液;黒液;未蒸解粕;漂白白水;マシン白水;なども包含される。
本発明に用いられる前処理済みの植物性バイオマスは、固形分重量を基準として、好ましくは10重量%以上、より好ましくは12重量%以上25重量%以下のヘミセルロースを含有する。前処理済みの植物性バイオマスに含まれるヘミセルロースの含有量が10重量%を下回ると、得られる発酵処理物中に充分なキシリトールが含まれないおそれがある。
前処理済みの植物性バイオマスとしては、必ずしも限定されないが、例えば、酸素漂白された、または無漂白のクラフトパルプまたはサルファイトパルプ(すなわち、広葉樹または針葉樹クラフトパルプまたはサルファイトパルプ)が挙げられ、より具体的には、広葉樹漂白クラフトパルプ、広葉樹漂白サルファイトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白サルファイトパルプ、広葉樹無漂白クラフトパルプ、広葉樹無漂白サルファイトパルプ、針葉樹無漂白クラフトパルプ、および針葉樹無漂白サルファイトパルプ、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。脱リグニンが達成される程度とそれに要する前処理のための経済的負担との間のバランスをとることを考慮して、本発明においては、前処理済みの植物性バイオマスは、固形分重量を基準として10重量%以上のヘミセルロースを含有する酸素漂白クラフトパルプ(OKP)であることが好ましい。
(酵素)
本発明の1つの実施形態では、上記前処理済みのバイオマスが、キシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼで処理される。これにより、同一系内における、「処理過程」(または「糖化処理過程」)が進行し得る。
キシラナーゼは、キシランを加水分解切断する酵素であり、そのため、植物の細胞壁の主要成分の1つであるヘミセルロースを分解する。例えば、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)由来キシラナーゼII(XYN)が挙げられる。
キシロシダーゼは、キシランの非還元末端から連続的にキシロースに加水分解する酵素である。例えば、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来β−キシロシダーゼ(XYL)が挙げられる。
β−グルコシダーゼは、セロビオースまたはセロオリゴ糖を加水分解する酵素である。β−グルコシダーゼは、アグリコンまたは糖鎖とβ−D−グルコースとのβ1,4−グリコシド結合を切断し得、セロビオースまたはセロオリゴ糖を加水分解してグルコースを生成し得る。例えば、アスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus)由来β−グルコシダーゼ1(BGL)が挙げられる。
本発明においては、キシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼは、これらの活性を有する限り、単一の酵素製剤として用いられてもよく、あるいは合計としてこれらの活性を有するように、複数の酵素製剤を組み合わせて用いてもよい。あるいは、当該酵素製剤に代えて、または当該酵素製剤に加えて、これらの少なくとも1つの酵素を発現するように遺伝子改変された微生物(後述)が用いられてもよい。
上記において酵素製剤が用いられる場合、当該酵素製剤は、上記酵素活性を有する成分以外に、安定剤(例えば、糖)、酵素活性向上剤(例えば、界面活性剤)などの他の成分が含まれていてもよい。酵素製剤は、固体または液体、あるいはそれらの組み合わせのいずれの形態であってもよい。さらに酵素製剤に含まれるタンパク質の純度および濃度は特に限定されない。このような酵素製剤は市販されており、例えば、キシラナーゼでは、スクラーゼX、スクラーゼA(三菱化学フーズ株式会社)、およびスミチームX(新日本化学工業株式会社)が挙げられる。本発明においては、キシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼがそれぞれ同一の系内で作用するように、酵素製剤は、適宜組み合わせて用いられ得る。
上記酵素製剤を用いる場合、その使用量は特に限定されない。上記前処理済みの植物性バイオマスの種類および量などに応じて、酵素製剤の適切な量が当業者によって選択され得る。
なお、本発明では、上記前処理済みの植物性バイオマスに含まれるヘミセルロースの分解を促進する目的で、同一系内において他の酵素製剤としてヘミセルラーゼが添加されてもよい。ヘミセルラーゼとして利用可能な市販の酵素製剤としては、例えば、ヘミセルラーゼ「アマノ」90(天野エンザイム株式会社製)、ペクチナーゼG−アマノ(天野エンザイム株式会社製)等が挙げられる。同一系内にヘミセルラーゼが添加される場合、当該ヘミセルラーゼの使用量は特に限定されない。上記前処理済みの植物性バイオマスの種類および量などに応じて、酵素製剤の適切な量が当業者によって選択され得る。
さらに、キシラナーゼ、キシロシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ヘミセルラーゼ以外の酵素を含有する、さらに別の酵素製剤も、本発明の発酵処理物の製造を阻害しない範囲で系内に添加されてもよい。当該さらに別の酵素製剤の例としては、セルラーゼオノズカ、セルラーゼY−NC(ヤクルト薬品工業株式会社)、CellicCTec2、CellicHTec2(ノボザイムズジャパン株式会社)、スクラーゼC(三菱化学フーズ株式会社)、ぺクチナーゼXP−534−NEO、セルレースナガセ(ナガセケムテックス株式会社)、エンチロンCM−40L(洛東化成工業株式会社)、メイセラーゼ、アクレモニウムセルラーゼ(MeijiSeikaファルマ株式会社)が挙げられる。
(微生物)
本発明の1つの実施形態では、上記同一系内で、キシロースリダクターゼ活性を有しかつキシロースイソメラーゼ活性およびキシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有しない微生物が培養される。これにより、同一系内における「発酵過程」が進行し得る。
本発明に用いられる微生物は、上記前処理済みのバイオマスが、キシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼにより処理された状態で、発酵を通じてキシリトールを生産し得る。当該微生物は、このようなキシリトールの生産能力を有する限り、遺伝子改変がなされたもの、または当該改変がなされていないもののいずれであってもよい。
「キシロースリダクターゼ活性を有しかつキシロースイソメラーゼ活性およびキシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有しない微生物」とは、キシロースイソメラーゼ活性またはキシリトールデヒドロゲナーゼ活性のいずれか、あるいは両方ともが全く存在しないことを必ずしも要しない。微生物において、キシロースリダクターゼが、キシロースからキシルロースの生成に関わるキシロースイソメラーゼより優先してキシロースに作用し、かつ、キシリトールからキシルロースの生成に関わるキシリトールデヒドロゲナーゼよりも高い活性を有し、キシリトールの蓄積が生じるのであればよく、この限りで、微生物は、キシロースイソメラーゼまたはキシリトールデヒドロゲナーゼを低い活性で有していてもよい。微生物は、キシロースリダクターゼの活性を付与もしくは増強し、かつ/あるいはキシロースイソメラーゼ活性および/またはキシリトールデヒドロゲナーゼ活性を低下させるかもしくは喪失するように、遺伝子改変されていてもよい。
より具体的には、本発明に用いられる微生物は、発酵工程において、キシロースリダクターゼが、キシロースイソメラーゼがキシロースを異性化するよりも速い反応速度でキシロースを還元し、かつキシリトールデヒドロゲナーゼがキシリトールを脱水素するよりも速い反応速度で細胞外にキシリトールを排出するように、細胞内の酵素バランスが保たれていることが好ましい。
本発明に用いられる微生物は、好ましくは、キシロースの還元を細胞内で行うために充分なキシロースの取込み能力を有する。
本発明に用いられる微生物は、好ましくはグルコース代謝系を有する。微生物が当該グルコース代謝系を備えることによって、微生物内でNADPHが効率よく供給され、キシロースをより効率よく還元し得る。
NADPHを効率よく供給するグルコース代謝系にグルコースを供給するために、本発明における同一の系内にβ−グルコシダーゼが供給されていることが好ましい。同一の系内へのβ−グルコシダーゼの供給は、微生物が分泌してもよいし、微生物が細胞表層に提示してもよいし、かつ/または上述のように酵素製剤として微生物外部から供給されてもよい。
本発明においては、5炭糖(例えばキシロース)を利用する微生物が用いられる。好ましくは、5炭糖(例えばキシロース)および6炭糖(例えばグルコース)を取り込んでの両方を利用可能な微生物が好ましい。
本発明に用いられる微生物自体または遺伝子改変の宿主微生物として、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ、クルイベロマイセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)、クルイベロマイセス・ラクティス(K.lactis)、クルイベロマイセス・マルキシアヌス(K.marxianus)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、ピキア・パストリス(P.pastoris)、パチソレン・タンノフィルス(Pachysolen tannophilus)、カンジダ・グラビラータ(Candida Glabrata)、カンジダ・マグノリア(Candida magnolia)、カンジダ・ペリキュローサ(C.Pelliculose)、カンジダ・ボイジニ(C.boidinii)、カンジダ・トロピカリス(C.tropicalis)等の酵母またはこれらの遺伝子組換え体、ザイモモナズ・モビリス(Zymomonas mobilis)、サイモバクター・パルメ(Zymobacter palmae)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、クロストリジウム・ルジュングダーリ(C.ljungdahlii)等の細菌またはこれらの遺伝子組換え体など、レンチネラス・コクリータス(Lentinellus cochleatus)等のキノコ類を用いることができる。
本発明においては、キシリトール生産能を有する種々の細菌(例えば、大腸菌、バチルス(Bacillus)属の微生物、およびシュードモナス(Pseudomonas)属の微生物)もまた使用され得る。
本発明において用いられる微生物は、種々の生物細胞寄託機関(例えば、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)等)、供給会社等から入手し得る。あるいは、本発明において用いられる微生物は、自然界から当業者に周知の手順(例えば、集積培養法)を用いて容易に単離され得る。
(酵素を発現し得るように遺伝子改変された微生物)
本発明において用いられる微生物は、キシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼの少なくとも1つの酵素を発現するように遺伝子改変された微生物であってもよい。
上記酵素をコードするDNA(遺伝子)は、その酵素を有するまたは産生する微生物から抽出したDNA、各種cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーに由来する核酸を鋳型として、既知の配列情報に基づいて設計したプライマーを用いてPCRによってDNA断片として取得し得る。上記酵素をコードするDNAは、既知の配列情報に基づいて設計したプローブを用いて、上記ライブラリー由来の核酸に対してハイブリダイゼーションを行うことによっても、核酸断片として取得し得る。また、上記酵素をコードするDNAを含む既存のベクターから、核酸断片(プロモーター、ターミネーター等をさらに含む発現カセットの形態であってもよい)として切り出して利用することもできる。上記酵素を微生物が分泌する場合、発現カセットは、プロモーター、酵素をコードするDNAおよびターミネーターに加え、分泌シグナルをさらに含む。上記酵素を微生物が細胞表層提示する場合、発現カセットは、分泌発現カセットの成分に加えて、アンカードメインをさらに含み得る。発現カセットを含むベクターの構築、酵素をコードするDNAまたはベクターを用いた形質転換等は、当業者が通常用いる方法によって実施され得る。
キシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼの各酵素をコードするDNAの取得およびこれら酵素を細胞表層提示するサッカロマイセス・セレビシエの調製の一例は、下記調製例1に示される通りである。
(発酵条件)
発酵工程において、微生物の使用量および発酵の条件(例えば、温度、pH、時間等)に特に制限はなく、これらは、例えば、前処理済みの植物性バイオマスの量、用いる微生物の種類等に応じて、適宜決定することができる。
微生物による発酵は、当該微生物に一般的に適用される発酵条件を適宜選択して用いることができる。例えば、発酵のための培養のために、静置培養、振とう培養または通気攪拌培養等を用いることができる。通気条件は、嫌気条件下、微好気条件下、および好気条件などから適宜選択することができる。発酵温度は、微生物の種類に依存するが、例えば25℃〜40℃、好ましくは28℃〜35℃である。発酵時間は、必要に応じて任意の時間が設定され得、例えば、6時間〜120時間、または12時間〜96時間、または24時間〜50時間などの範囲内の発酵時間に設定することができる。pH調整のため、無機あるいは有機酸、アルカリ溶液などを系内に添加してもよい。系内の培地には、前処理済みの植物性バイオマスに加えて、微生物培養のために通常添加され得る成分を必要に応じてさらに含めてもよい。前処理済みの植物性バイオマスは、事前に処理(例えば、糖化処理)後、発酵に供してもよい。
本発明の方法においては、好ましくは、糖化処理工程と並行して発酵工程が進行する。
(発酵処理物、ならびに当該発酵処理物からのセルロースおよびキシリトールの分離精製)
上記本発明の方法によって、前処理済みの植物バイオマスから、特定の発酵処理生成物を含有する発酵処理物が製造される。本発明の発酵処理物に含有される発酵処理生成物は、(例えば、糖化処理過程によって生じ得る)セルロースおよび(例えば、発酵過程によって生じ得る)キシリトールである。
本発明の発酵処理物において、キシリトールは、発酵処理物中に、該発酵処理物の液体分に含まれる糖類および糖アルコール類の合計重量に基づいて、好ましくは30重量%〜95重量%、より好ましくは50重量%〜95重量%の割合で含有されている。
あるいは、本発明の発酵処理物において、セルロースは、発酵処理物中に、該発酵処理物の固形分の重量に基づいて、好ましくは60重量%〜99重量%、より好ましくは70重量%〜99重量%の割合で含有されている。
微生物による発酵の終了後、上記発酵処理物から、セルロースおよびキシリトールがそれぞれ分離して回収され得る。例えば、発酵終了後に液状混合物を回収することで発酵処理物を得、次いで固液分離(例えば、遠心分離)して上清と沈殿物とに分離する。上清中にキシリトールが含有され、かつ沈殿物中にセルロースが含有され得る。その後、沈殿物および上清から、セルロースおよびキシリトールがそれぞれ当業者に周知の手段を用いて回収される。さらに、回収されたセルロースおよびキシリトールは、必要に応じてさらに精製処理が施され得る。
(微生物の回収と再利用)
本発明では、微生物による発酵の終了後、固液分離(例えば、遠心分離)し、得られた沈殿物(すなわち、発酵処理物から液体分を除いて得られる内容物)内に存在する微生物を別途回収することができる。例えば、微生物の回収は、発酵処理物から液体分を除いて得られる内容物を、濾過膜を通じて濾別することにより行われ得る。この内容物には、微生物菌体とセルロースとが含まれ得る。濾過膜の目開は、微生物菌体が通過するがセルロースは通過しない大きさであればよく、好ましくは50メッシュ〜500メッシュ、より好ましくは100メッシュ〜300メッシュである。
このようにして回収した微生物は、本願発明のための別の発酵工程のための微生物として再利用することができる。回収した微生物の再利用は、当業者に周知の方法を用いて一旦保管し、その後再利用してもよく、あるいは本願発明のための別の発酵工程のために直ちに再利用されてもよい。
本発明において、回収した微生物が再利用される場合、本発明の発酵工程には、当該回収した微生物のみを使用してもよく、あるいは当該回収した微生物と新たな準備した微生物とを混合して使用してもよい。使用する微生物のうち当該回収した微生物が占める割合は、特に限定されず、例えば、発酵工程に使用する微生物重量を基準として、好ましくは5重量%〜100重量%である。
このように、本発明によれば、単独生産が比較的困難とされていたキシリトールおよびセルロースを、同一系の植物性バイオマスから並列的に効率良く生産することができる。ここで、「並列的」とは、キシリトールおよびセルロースが同一系内で、同時に生産されることのみを意味するのではなく、同一系内の一連の過程を経て順次生産することをも意味する。さらに、本発明によれば、キシリトールおよびセルロースの各生産性を向上するためでなく、当該2種の有用物質を生産することが可能になる点で、使用する植物性バイオマス自体の有用性をさらに高めることも可能となる。
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(調製例1:アーミング酵母およびキシリトール生産酵母の調製)
キシリトール生産酵母を、サッカロマイセス・セレビシエYPH499株(非特許文献5)のゲノムにピキア・スティピティス由来キシロースリダクターゼ(XR)をコードする遺伝子を組み込むことによって生成した(「YPH499−PIU−XR株」:以下、単に「キシリトール生産酵母」ともいう)。
キシロースリダクターゼを発現しかつキシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼを表層提示するアーミング酵母を、アスペルギルス・アクレアタス由来β−グルコシダーゼ1(BGL)、アスペルギルス・オリゼ由来β−キシロシダーゼA(XYL)およびトリコデルマ・リーセイ由来エンドキシラナーゼ(XYN)を細胞表層提示するようにYPH499−PIU−XR株を形質転換することによって生成した(「YPH499−XBXX−SSS株」:以下、単に「アーミング酵母」ともいう)。
YPH499−PIU−XR株を非特許文献4に記載のようにして調製した。以下にその手順を示す。
XR発現用組み込みプラスミドを以下のように構築した。TDH3プロモーター領域に対応するDNA断片を、TDH3p−Fプライマー(配列番号1)およびTDH3−Rプライマー(配列番号2)を用いてPCRによってサッカロマイセス・セレビシエBY4741ゲノムDNAから増幅した。同様に、XRおよびTDH3ターミネーター領域に対応するDNA断片を、XR−Fプライマー(配列番号3)およびTDH3t−Rプライマー(配列番号4)を用いてPCRによってpδUxyll(非特許文献6)から増幅した。これらの断片を、In-Fusion HD Cloning Kit(Clontech, Mountain View, CA, USA)を用いることによって、NotI線状化pRS406ベクターにクローニングし、プラスミドpIU−GPXRを得た。
BGLの細胞表層提示のために、プラスミドpIBG−TA(非特許文献7)を用いた。
XYL細胞表層提示用組み込みプラスミドを、プラスミドpIEG−SSS(非特許文献8)を改変することにより構築した。pIEG−SSSからEGコード配列を取り出すために、pIEG−Fプライマー(配列番号5)およびpIEG−Rプライマー(配列番号6)を用いた逆PCRを行った。同様に、XYLをコードするDNA断片を、XylA−Fプライマー(配列番号7)およびXylA−Rプライマー(配列番号8)を用いてPCRによってプラスミドpILYS2−XylA−SS(非特許文献4)から増幅した。これらの断片をIn-Fusion法によって連結し、生じたプラスミドをpIBX−SSSと称した。続いて、pIBX−SSSからSED1プロモーター、SED1分泌シグナル配列、XylA、SED1アンカードメイン、およびSAG1ターミネーター領域に対応するDNA断片を、BXSSS−Fプライマー(配列番号9)およびBXSSS−Rプライマー(配列番号10)を用いてPCRによって増幅した。同じようにして、LYS2のコード配列を含むベクター断片を、LYS2−Fプライマー(配列番号11)およびLYS2−Rプライマー(配列番号12)を用いた逆PCRによってプラスミドpILYS2−XylA−SS(非特許文献4)から増幅した。これらの断片をIn-Fusion HD Cloning Kitを用いることによって連結し、生じたプラスミドをpIK−BX−SSSと称した。
XYN細胞表層提示用組み込みプラスミドを、プラスミドpIEG−SSS(非特許文献8)を改変することにより構築した。pIEG−SSSからEGコード配列を取り出すために、pIEG−F2プライマー(配列番号13)およびpIEG−R2プライマー(配列番号14)を用いた逆PCRを行った。同様に、XYNをコードするDNA断片を、XynII−Fプライマー(配列番号15)およびXynII−Rプライマー(配列番号16)を用いてPCRによってプラスミドpδW−GPAGXynII(非特許文献9)から増幅した。これらの断片をIn-Fusion法によって連結し、生じたプラスミドをpIEX−SSSと称した。続いて、pIBX−SSSからSED1プロモーター、SED1分泌シグナル配列、XynII、SED1アンカードメイン、およびSAG1ターミネーター領域に対応するDNA断片を、EXSSS−Fプライマー(配列番号17)およびEXSSS−Rプライマー(配列番号18)を用いてPCRによって増幅した。同じようにして、TRP1のコード配列を含むベクター断片を、TRP1−Fプライマー(配列番号19)およびTRP1−Rプライマー(配列番号20)を用いた逆PCRによってプラスミドpδW−GPAGXynII(非特許文献9)から増幅した。これらの断片をIn-Fusion HD Cloning Kitを用いることによって連結し、生じたプラスミドをpδW−EX−SSSと称した。
プラスミドpIU−GPXR、pIBG−TAおよびpIK−BX−SSSを、URA3、HIS3、およびLYS2のそれぞれの選択マーカー内を切断するよう、BsmI、NdeIおよびBbvCIのそれぞれの制限部位を用いることによって線状化した。これらの線状化したプラスミドについては、酢酸リチウム法によってサッカロマイセス・セレビシエYPH499に形質転換し、相同組換えにより染色体DNAの各相同領域への組み込みを生じさせた。
プラスミドpδW−EX−SSSについては、既報(非特許文献10)のマルチコピー組み込み法によって、サッカロマイセス・セレビシエYPH499に形質転換した。
キシリトール生産酵母を、プラスミドpIU−GPXRをサッカロマイセス・セレビシエYPH499株に形質転換することにより得た(YPH499−PIU−XR株)。
アーミング酵母は、プラスミドpIU−GPXR、pIBG−TA、pIK−BX−SSS、およびpδW−EX−SSSをサッカロマイセス・セレビシエYPH499に形質転換することにより得た(YPH499−XBXX−SSS株)。
(実施例1)
アーミング酵母またはキシリトール生産酵母の菌体を1×YPD培地5mLに移植し、30℃、180rpmにて18時間培養し(前培養)、次いで1×YPD培地500mLに移植し(初発OD600=0.05)、30℃、180rpmにて培養した(本培養)。本培養開始からの72時間で培養液をそれぞれ回収し、1,000g、5分間の遠心分離にて菌体と培地とを分離し、菌体を回収した。
容量16mLにて以下を混合して液状混合物(反応系)を作製し、この液状混合物を50℃、200rpmにて撹拌下24時間放置した:
広葉樹由来の漂白済みクラフトパルプ(LBKP) 50g乾燥重量/L(20mL液状混合物を基準とした濃度);
ペクチナーゼG−アマノ(天野エンザイム株式会社製:以下「酵素剤」ともいう)
0.05、0.02または0g/g乾燥パルプ;および
クエン酸バッファー 50mM(pH5.0)。
次いで、この液状混合物に1×YPを添加し、そして回収したアーミング酵母またはキシリトール生産酵母を100g湿潤細胞/Lにて添加して総容量20mLとし、この20mL液状混合物を35℃、40rpmにて96時間置いた。酵母を添加してから24時間、48時間および96時間後に、液状混合物中のキシリトール濃度(g/L)量をHPLC(島津製作所製: Bio-Rad 125-0131ガードカートリッジ(Bio-Rad社製)、Aminex HPX-87Hカラム(Bio-Rad社製)、およびRID-10A検出器(島津製作所製)を備え付けた)にて測定した。さらに、非特許文献11に記載の方法に従って原料クラフトパルプのヘミセルロースをキシロース量として求め、このキシロース量に対する96時間後のキシリトール量の割合を計算し、収率を求めた。
図1は、(a)アーミング酵母を添加した場合および(b)キシリトール生産酵母を添加した場合の20mL液状混合物のクラフトパルプからのキシリトール生産量を示すグラフである。横軸は時間(時間)であり、縦軸はキシリトール濃度(g/L)である。図中の記号は以下を表す:黒丸 酵素剤添加量0.05g/g乾燥パルプ;黒四角 酵素剤添加量0.02g/g乾燥パルプ;および黒三角 酵素剤添加なし(0g/g乾燥パルプ)。
(a)アーミング酵母添加系では、酵素剤添加量が0.05g/g乾燥パルプの場合、48時間後には4g/Lを超えるキシリトールが発酵により生産された。クラフトパルプに含まれるヘミセルロースに対する収率は44%であった。0.02g/g乾燥パルプで収率は32%であり、酵素剤添加なし(0g/g乾燥パルプ)でも収率は9%であった。(b)キシリトール生産酵母添加系では、最終収率の場合、酵素剤添加量が0.05g/g乾燥パルプの場合であっても、8%の収率であった。このように、アーミング酵母を用いることにより、クラフトパルプからのキシリトールの収率が大幅に向上した。
(実施例2)
アーミング酵母の菌体を1×YPD培地30mLに移植し、30℃、180rpmにて18時間培養し(前培養)、次いで1×YPD培地3Lに移植し(初発OD600=0.05)、30℃、180rpmにて培養した(本培養)。本培養開始からの72時間で培養液を回収し、1,000g、5分間の遠心分離にて菌体と培地とを分離し、菌体を回収した。
発酵装置(エイブル株式会社製:容積2.8L;アンカー型撹拌翼)の容器内に容量800mLにて以下を入れて混合して液状混合物を作製し、この液状混合物を50℃で200rpmにて撹拌下3時間放置した:
広葉樹由来の酸素漂白済みクラフトパルプ(LOKP) 50g乾燥重量/L(1L液状混合物を基準とした濃度);
ペクチナーゼG−アマノ 0.1g/g乾燥パルプ;および
クエン酸バッファー 50mM(pH5.0)。
次いで、この液状混合物に1×YPを添加し、そして回収したアーミング酵母を25g湿潤細胞/Lにて添加して総容量1Lとし、この1L液状混合物を35℃、200rpmにて96時間置いた。酵母を添加してから24時間、48時間、72時間および96時間後に、実施例1と同様にして、液状混合物中のキシリトール濃度(g/L)量を測定し、収率を求めた。
図2は、アーミング酵母を添加した1L液状混合物のクラフトパルプからのキシリトール生産量を示すグラフである。横軸は時間(時間)であり、縦軸はキシリトール濃度(g/L)である。
本実施例においては、酵素剤添加量が0.1g/g乾燥パルプでかつアーミング酵母を用いたが、最終的には(96時間後の終了時)、3.3g/Lのキシリトールが発酵により生産され、収率は41%であった。
また、終了時に液状混合物全体を容器から取り出し、10,000gで5分間遠心分離し、液体分と固形分とを分離した。さらに、この固形分を200メッシュの濾過膜に供し、4倍量の蒸留水で3回洗浄して、酵母菌体を濾液として固形分から分離して回収した。酵母菌体除去後の洗浄された固形分を凍結乾燥し、乾燥重量を測定した。
よって、もとの1L液状混合物から、終了時には700mLの液体分と36.8gの乾燥固形分とが得られた。
この乾燥固形分および原料クラフトパルプ(LOKP)のセルロースおよびヘミセルロース含有率を非特許文献11に記載の方法に従って測定した。原料クラフトパルプ(LOKP)ではセルロース59.2重量%、ヘミセルロース15.8重量%であったのに対し、乾燥固形分ではセルロース73.1重量%、ヘミセルロース7.7重量%であった。
したがって、本実施例では、クラフトパルプに含まれるヘミセルロースの一部をキシリトールに変換し、かつセルロース純度の高まった固形分が得られた。
本発明によれば、植物性バイオマスからセルロースを製造しつつ、キシリトールも製造することができる。本発明により、植物性バイオマス(例えば、パルプ)からのバイオプロダクションに有用である。

Claims (11)

  1. 前処理済みの植物性バイオマスから発酵処理物を製造するための方法であって、
    同一系内において、該前処理済みの植物性バイオマスをキシラナーゼ、キシロシダーゼおよびβ−グルコシダーゼで処理するとともに、キシロースリダクターゼ活性を有しかつキシロースイソメラーゼ活性およびキシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有しない微生物で発酵する工程
    を包含し、
    該発酵処理物が発酵処理生成物を含有し、そして
    該発酵処理生成物がセルロースおよびキシリトールである、方法。
  2. 前記前処理済みの植物性バイオマスが、固形分重量を基準として10重量%以上のヘミセルロースを含有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記前処理済みの植物性バイオマスが、クラフト法またはサルファイト法により処理された植物性バイオマスである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記前処理済みの植物性バイオマスが、広葉樹漂白クラフトパルプ、広葉樹漂白サルファイトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白サルファイトパルプ、広葉樹無漂白クラフトパルプ、広葉樹無漂白サルファイトパルプ、針葉樹無漂白クラフトパルプ、および針葉樹無漂白サルファイトパルプからなる群から選択される少なくとも1種の前処理済みのパルプである、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記微生物が、前記キシロースリダクターゼ活性を有しかつ前記キシロースイソメラーゼ活性および前記キシリトールデヒドロゲナーゼ活性を有しないように遺伝子改変された、サッカロマイセス・セレビシエ、クルイベロマイセス・マルキシアヌス(NBRC1777)、またはレンチネラス・コクリータスである、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記微生物が、前記キシラナーゼ、前記キシロシダーゼおよび前記β−グルコシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素を発現するように遺伝子改変されている、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記キシリトールが、前記発酵処理物中に、該発酵処理物の液体分に含まれる糖類および糖アルコール類の合計重量に基づいて30重量%から95重量%の割合で含有されている、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記セルロースが、前記発酵処理物中に、該発酵処理物の固形分の重量に基づいて60重量%から99重量%の割合で含有されている、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. さらに、前記発酵工程の後に、前記系から前記微生物を回収する工程;および該回収した微生物を該発酵工程と同様の次の発酵工程に使用する工程;を包含する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記微生物の回収が、前記発酵処理物から液体分を除いて得られる内容物を100メッシュ〜300メッシュの濾過膜を通じてさらに濾別することにより行われる、請求項9に記載の方法。
  11. 植物性バイオマス由来の発酵処理物であって、
    発酵処理生成物を含有し、
    該発酵処理生成物がセルロースおよびキシリトールであり、
    該キシリトールの含有量が、該発酵処理物の液体分に含まれる糖類および糖アルコール類の合計重量に基づいて30重量%から95重量%であり、そして
    該セルロースの含有量が、該発酵処理物の固形分の重量に基づいて60重量%から99重量%である、発酵処理物。
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