JP2018174729A - 反芻家畜の免疫賦活化用飼料組成物 - Google Patents

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【課題】牛、羊、山羊などの反芻家畜の免疫を、簡便且つ効果的に賦活化(免疫機能の活性化)することができるような栄養生理学的技術(経口投与又は給与成分、飼料組成物、飼養方法等)を提供する。【解決手段】有効成分としてビタミンK類、例えばビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、ビタミンK3(メナジオン)などを配合した飼料組成物等を反芻家畜に経口投与又は給与することで、反芻家畜の免疫賦活化を実現することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、反芻家畜の免疫賦活化用飼料組成物等に関する。詳細には、簡便且つ効果的に、反芻家畜の免疫機能活性化などをさせる飼料組成物、飼養方法等に関する。
牛、羊、山羊などのように乳、肉等が商品となる反芻家畜においては、飼育している個体の体調不良や病気等は、酪農農家や畜産農家にとって深刻且つ直接的な経営問題となる。しかし、生産性やコストなどを重視する点から、大規模・集約型の飼育環境を採用する場合も多くあり、このような飼育環境が原因による感染症等は予防が極めて困難である。
特に、日和見感染などは輸送ストレス、暑熱ストレス等の有害な要因によって免疫機能が低下することにより誘発されると考えられており、このような感染症に対しては、消費者の食の安全性に関する関心の高まりから抗菌剤の使用は難しく、また、物理的衛生対策では十分な効果が期待できない。したがって、反芻家畜自体の免疫機能を高める方策が着目されている。
なお、反芻家畜の免疫系はマウスやヒトなどと同様のシステムと考えられており、これまでに核酸関連物質、乳酸菌培養濾過上清、リグニン配糖体などが牛の免疫賦活化を行うという報告もある。しかし、上述のような背景技術において、当業界では、これら以外にも有効な飼料成分、飼料組成物、飼料添加剤等の開発が引き続き望まれている。
一方で、ビタミンK類は血液凝固因子や骨基質タンパク質の翻訳後修飾過程において必須の栄養成分とされており、例えば、天然にはビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メナキノン−4〜14)、合成品としてビタミンK3(メナジオン)、ビタミンK4(メナジオール二リン酸ナトリウム)、ビタミンK5(4−アミノ−2−メチル−1−ナフトール)等が存在する。このうち、ヒトでの使用が認められているのはビタミンK1、ビタミンK2、ビタミンK4である。
なお、ビタミンK3はヒトでの利用は禁止されているが、家畜用としての利用は許可され、哺乳子ウシ用の飼料添加物として代用乳への添加などがされている。また、反芻家畜の乳中の高度不飽和脂肪酸含量を高めるためにメナキノン−4を有効成分として用いるという報告もある(特許文献1)。しかし、ビタミンK類を反芻家畜の免疫賦活化のための有効成分として用いるという報告等は、現状では見当たらない。
逆に、マウスやヒトの免疫細胞では、ビタミンK3が酸化還元依存的な炎症反応及び免疫反応を抑制したこと(非特許文献1)や、ビタミンK3やビタミンK5が活性化T細胞における増殖応答を阻害し、アポトーシスを誘導することによってT細胞媒介性免疫を弱めること(非特許文献2)などの実験報告があり、いずれもビタミンK類の免疫機能抑制能が示唆されていると言える。
また、酢酸は、反芻家畜の第一胃(ルーメン)内細菌により産生される主な揮発性脂肪酸(VFA)であり、反芻動物においてはグルコースに匹敵するくらい重要なエネルギー源である。この酢酸については、反芻家畜の唾液分泌を亢進させるとともに、ルーメン粘膜の炭酸脱水酵素を活性化してルーメンからのVFAの吸収を促進することなどが報告されている。
しかし、酢酸や酢酸塩の反芻家畜への経口投与又は給与や反芻家畜ルーメン内の酢酸濃度上昇が免疫機能に与える影響についての記載や示唆がある文献等は、ビタミンK類と同様に今のところ見出せない。
特開2011−234679号公報
Free Radical Research Vol.45,975−985.(2011) Life Sciences Vol.99,61−68.(2014)
本発明は、牛、羊、山羊などの反芻家畜の免疫を簡便且つ効果的に賦活化することができるような栄養生理学的技術(経口投与又は給与成分、飼料組成物、飼養方法等)の提供を目的としてなされたものである。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、反芻家畜に有効成分としてビタミンK類、例えばビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、ビタミンK3(メナジオン)などを配合した飼料組成物等を反芻家畜に経口投与又は給与することで、簡便且つ効果的に反芻家畜の免疫賦活化ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)ビタミンK類を有効成分とする反芻家畜の免疫賦活化用(免疫機能活性化用)飼料組成物。
(2)ビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、好ましくはメナキノン−4及び/又はメナキノン−7、ビタミンK3(メナジオン)から選ばれる少なくとも1以上を有効成分とする、(1)に記載の飼料組成物。
(3)更に、酢酸及び/又は酢酸塩を有効成分として併用すること(ビタミンK類と酢酸及び/又は酢酸塩を有効成分とすること)を特徴とする、(1)又は(2)に記載の飼料組成物。
(4)反芻家畜が、牛、羊、山羊から選ばれる少なくともひとつである、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の飼料組成物。
(5)ビタミンK類を反芻家畜に経口投与又は給与することを特徴とする、反芻家畜の免疫賦活化(免疫機能活性化)方法。
(6)ビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、好ましくはメナキノン−4及び/又はメナキノン−7、ビタミンK3(メナジオン)から選ばれる少なくとも1以上を経口投与又は給与することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
(7)ビタミンK類を1日当たり10〜200mg/頭、好ましくは10〜100mg、更に好ましくは10〜50mg経口投与又は給与することを特徴とする、(5)又は(6)に記載の方法。
(8)更に、酢酸及び/又は酢酸塩を(好ましくはビタミンK類と同時に)経口投与又は給与することを特徴とする、(5)〜(7)のいずれか1つに記載の方法。
(9)酢酸及び/又は酢酸塩を1日当たり酢酸として30〜300g/頭、好ましくは60〜180g経口投与又は給与することを特徴とする、(8)に記載の方法。
(10)反芻家畜が、牛、羊、山羊から選ばれる少なくともひとつである、(5)〜(9)のいずれか1つに記載の方法。
本発明によれば、簡便且つ効果的に反芻家畜の免疫機能を活性化することができる。更に、付加的効果として、反芻家畜の乳や肉などの生産性向上、ならびに、酪農経営や畜産経営の安定化を図ることができる。
in vitro試験での、ホルスタイン種泌乳牛のリンパ球の幼若化反応に及ぼすビタミンK1(VK1)、メナキノン−4(MK4)、ビタミンK3(VK3)の添加効果を示したグラフである。なお、縦軸はリンパ球幼若化反応の指標であるS.I.値を、横軸はコントロール(ビタミンK類無添加)及びビタミンK類添加区の各濃度を表す。 in vitro試験での、ホルスタイン種育成牛雌のリンパ球の幼若化反応に及ぼすビタミンK1(VK1)、メナキノン−4(MK4)、ビタミンK3(VK3)の添加効果を示したグラフである。なお、縦軸はリンパ球幼若化反応の指標であるS.I.値を、横軸はコントロール(ビタミンK類無添加)及びビタミンK類添加区の各濃度を表す。 in vitro試験での、ホルスタイン種去勢雄牛のリンパ球の幼若化反応に及ぼすビタミンK1(VK1)、メナキノン−4(MK4)、ビタミンK3(VK3)の添加効果を示したグラフである。なお、縦軸はリンパ球幼若化反応の指標であるS.I.値を、横軸はコントロール(ビタミンK類無添加)及びビタミンK類添加区(濃度500μM)を表す。 in vivo試験での、ホルスタイン種育成牛雌及び去勢雄牛へのビタミンK3(VK3)給与時のリンパ球幼若化反応の変動を示したグラフである。なお、縦軸はリンパ球幼若化反応の指標であるS.I.値を、横軸はサンプル採取期間(数字の後ろにwが付くものは週数、数字の後ろに何も付かないものは日数、preは給与開始前、postは給与終了後を意味する)を表す。また、グラフ中のアルファベットは、異符号間で有意差があることを示す。 in vivo試験での、ホルスタイン種育成牛雌及び去勢雄牛へのビタミンK3(VK3)及び酢酸塩給与時のリンパ球幼若化反応の変動を示したグラフである。なお、縦軸はリンパ球幼若化反応の指標であるS.I.値を、横軸はサンプル採取期間(数字の後ろにwが付くものは週数、数字の後ろに何も付かないものは日数、preは給与開始前、postは給与終了後を意味する)を表す。また、グラフ中のアルファベットは、異符号間で有意差があることを示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、反芻家畜の免疫賦活化(免疫機能活性化)の有効成分として、ビタミンK類を使用する。ビタミンK類としては、天然ビタミンKとしてビタミンK1(フィロキノン)及びビタミンK2(メナキノン−4〜14)、合成ビタミンKとしてビタミンK3(メナジオン)、ビタミンK4(メナジオール二リン酸ナトリウム)、ビタミンK5(4−アミノ−2−メチル−1−ナフトール)が使用でき、また、ビタミンKに類似した化学構造を有する1,4−ナフトキノンや1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸(DHNA)なども使用できるが、特に、ビタミンK1、ビタミンK2(好ましくはメナキノン−4及び/又はメナキノン−7)、ビタミンK3から選ばれる1以上を使用するのが好適である。
これらビタミンK類については、純品乾燥物を使用するのが好適であるが、その粗精製物(ペースト化物、希釈物、乳化物、懸濁物など)も使用可能である。また、デンプンやデキストリン等の賦形剤を加えて顆粒化したり、タブレットや液剤にしたりして製剤化したものも使用可能である。さらには、ルーメンで分解されないように油脂等でコーティングしたものも使用可能である。
更に、ビタミンK類と併用する場合がある酢酸及び酢酸塩については、市販されている純品乾燥物などを使用することができ、酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウムなどが例示される。本発明では、これらのうち、特に、酢酸、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウムから選ばれる1以上を用いるのが非常に好適である。
そして、このビタミンK類を有効成分として、あるいは、これに酢酸及び/又は酢酸塩を併用して、そのまま飼料添加物、飼料、飼料組成物、その他の剤として使用することができる。また、常用される飼料成分を添加、混合して、飼料添加物、飼料、飼料組成物を提供することも可能である。このような飼料組成物等とする場合には、飼料原料に加えて、他の栄養成分(タンパク質、脂質、ミネラル(カリウム、ナトリウム、マグネシウム等)、ビタミンK類以外のビタミン(ビタミンA、ビタミンE等))などを併用できる。さらには、これらを有効成分とする動物医薬製剤を提供することもできる。この場合は、動物医薬製剤の常法にしたがって製剤化すればよく、他の生理機能を有する有効成分を併用することもできる。
なお、酢酸や酢酸塩を併用する代わりに、あるいはこれらと共に、反芻家畜第一胃(ルーメン)内の微生物を通じて該ルーメン内の酢酸濃度を上昇させる飼料添加剤等を用いても良い。すなわち、該ルーメン内における飼料の発酵又は消化を促進するような添加物、例えばプロピオン酸菌生菌などを併用することも可能である。
そして、動物医薬製剤の場合には、種々の形態で経口投与される。その投与形態としては例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与などをあげることができる。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの動物医薬剤等の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。なお、ビタミンK類等の有効成分純品乾燥物をそのまま製剤として用いることも可能である。
なお、このようにして製剤化したものは、動物医薬剤として使用できるだけでなく、この製剤自体を飼料添加物等として使用することも充分可能であって、それ自体を飼料組成物として直接家畜に給与することもできるし、これを飼料添加物として他の飼料原料等とともに添加、混合して飼料組成物とすることも可能である。
本発明の対象となる動物は、その乳、肉などが商品となる反芻家畜である。例えば、乳牛(特にホルスタイン種、ジャージー種など)、肉牛(和牛など)、羊、山羊などがより好適な対象動物として例示される。けれども、水牛、ラクダ、ヤクなどを対象としても構わない。
本発明の有効成分の反芻家畜への経口投与又は給与量としては、例えば乳牛であれば、ビタミンK類は1日・頭の経口投与又は給与で10〜200mg、好ましくは10〜100mg、更に好ましくは10〜50mgが好適であり、酢酸及び/又は酢酸塩は1日・頭の経口投与又は給与で0.5〜5.0mol(酢酸量で換算すると30〜300g)、好ましくは1.0〜3.0mol(酢酸量で換算すると60〜180g)が好適である。そして、この量の経口投与又は給与を1日当たり2回程度に分けて行うのが好ましい。有効成分の経口投与又は給与量が当該範囲より多い場合、安全性やその効果という点において特段の問題はないが、コスト面などから上記範囲内の方が好ましい。また、当該範囲より少ない場合には、本発明の効果が十分発揮されない恐れがあるため好ましくない。
なお、他の反芻家畜においても、その体重等を勘案して経口投与又は給与量を設定すれば良いが、乳牛も含め上記以外の経口投与又は給与量を完全に除外するものではない。
本発明は、ビタミンK類の有効性(反芻家畜の免疫賦活化)を、実験室レベルだけでなく、実際の生産現場における反芻家畜生体を用いて直接確認し、科学的立証がなされた極めて実用的なものであると言える。
なお、本発明において反芻家畜の「免疫賦活化」とは、反芻家畜の免疫機能を活性化あるいは活発化(例えば、反芻家畜リンパ球幼若化促進など)させることを意味する。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
(リンパ球の幼若化反応に及ぼすビタミンK類の添加効果確認試験)
ビタミンK類のリンパ球幼若化反応に及ぼす影響を確認するため、ウシのリンパ球細胞を用いたin vitro試験を行った。
ホルスタイン種泌乳牛8頭を用い、これらから血液各10mlを採血し、ここにFicoll−Paque PLUS(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製品)を入れて遠心分離後、上清を除去してリンパ球細胞層を得た。得られたリンパ球細胞層は、RPMI培地(RPMI1640培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製品)にペニシリンストレプトマイシン混合液(GIBCO株式会社製品)1%、非動化処理をしたウシ胎児血清5%、2−メルカプトエタノール5×10−5mol/Lを加えた培地)で懸濁し、リンパ球浮遊液を得た。このリンパ球浮遊液中のリンパ球数を計数し、1×10個/mlになるようRPMI培地で希釈して、リンパ球調整液を得た。そして、得られたリンパ球調整液100μlに、ビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン−4)、ビタミンK3(メナジオン)をそれぞれ終濃度1μM、10μM、100μM、500μMになるようRPMI培地でそれぞれを希釈したものを各4種用意し、これらをそれぞれ100μl添加して細胞を刺激した。その後、これらをCO5%インキュベーターで37℃の条件で72時間培養した。
そして、培養終了後にMTTアッセイ法によりそれぞれのリンパ球の幼若化を測定した。具体的には、Cell Counting Kit−8(株式会社同仁化学研究所製品)をRPMI培地で2倍希釈してCell Counting溶液を調製し、72時間培養した上記細胞にCell Counting溶液を20μl添加してCO5%インキュベーターで37℃の条件で1.5時間培養した。その後、測定波長450nmの吸光度を測定し、S.I.を(刺激細胞の吸光度/無刺激細胞の吸光度)の式で算出した。
この結果を図1に示した。リンパ球の幼若化の指標であるS.I.は、ビタミンK1、メナキノン−4、ビタミンK3のいずれによっても有意に上昇した。つまり、ビタミンK類の免疫賦活化能が示された。特に、メナキノン−4とビタミンK3はほぼ同等の値を示し、これらはビタミンK1より高い値であった。
また、ホルスタイン種育成牛雌及びホルスタイン種去勢雄牛のリンパ球細胞についても、ホルスタイン種泌乳牛と同様の試験を実施した。なお、ホルスタイン種育成牛雌についてはビタミンK1、メナキノン−4、ビタミンK3をそれぞれ終濃度100μM及び500μMとしたものを用い、ホルスタイン種去勢雄牛についてはビタミンK1、メナキノン−4、ビタミンK3をそれぞれ終濃度500μMとしたものを用いた。
この結果を図2(育成牛雌)、及び図3(去勢雄牛)に示した。S.I.は、ほとんどの条件で有意に上昇し、これもビタミンK類の免疫賦活化能が示された。特に、ビタミンK3の500μMの条件でより高い値であった。
(育成牛へのビタミンK3給与によるリンパ球幼若化反応確認試験)
ビタミンK3、又は、ビタミンK3及び酢酸塩を有効成分として実際に育成牛に給与した際に、リンパ球の幼若化が起こっているのかを検証するため、その給与試験(in vivo試験)を行い観察及び効果の確認を行った。
供試動物としてホルスタイン種育成牛雌2頭、ホルスタイン種去勢雄牛3頭(7ヶ月齢)を用いた。そして、1頭当たりの慣用飼料にビタミンK3を1%品5g/日(実量50mg/日)を添加して2週間給与する実験と、1頭当たりの慣用飼料にビタミンK3を実量50mg/日と酢酸ナトリウム136g/日を添加して2週間給与する実験をクロスオーバー法で行った。そして、給与前(Pre期)、給与1週間目、給与2週間目、給与終了後1日、給与終了後4日、給与終了後1週間でそれぞれ血液各10mlを採取した。
これらの血液について、実施例1と同様の方法でリンパ球調整液を調製し、リンパ球幼若化能をMTTアッセイで測定した。具体的には、コンカナバリンAを終濃度0.047μg/mlになるようRPMI培地で希釈し、上記リンパ球調整液100μlに対してこれを100μl添加して細胞を刺激し、CO5%インキュベーターで37℃の条件で72時間培養した。そして、培養終了後に実施例1と同様の方法でS.I.を求めた。
結果を図4(ビタミンK3給与)、及び図5(ビタミンK3及び酢酸給与)に示した。なお、リンパ球幼若化能は給与前後のコンカナバリンA刺激に対するS.I.を比較することにより行った。この結果、ビタミンK3給与1週間目までは大きな変化が見られなかったが、給与2週間目で有意にS.I.値が増加していた。ビタミンK3の給与は血液のメナキノン−4の濃度を高め、その結果、リンパ球の幼若化反応を刺激すると推定され、飼料へのビタミンK3の添加は、ウシの免疫賦活化に有効であることが明らかになった。
また、ビタミンK3と酢酸塩を給与した場合、給与2週間目までは幼若化の指標が上昇する傾向を示し、給与終了後3日目まで幼若化の指標が高かった。酢酸塩をビタミンK3と同時に給与すると、ビタミンK3単独給与と比較して、リンパ球の幼若化現象を持続させる効果があることが明らかとなった。
以上の結果から、有効成分としてビタミンK3の単独給与はウシの免疫機能を活性化し、有効成分としてビタミンK3及び酢酸塩の給与はウシの免疫機能活性化状態を持続させること(免疫賦活化持続能)が示された。
なお、本発明を要約すれば次のとおりである。
すなわち、本発明は、牛、羊、山羊などの反芻家畜の免疫を、簡便且つ効果的に賦活化(免疫機能の活性化)することができるような栄養生理学的技術(経口投与又は給与成分、飼料組成物、飼養方法等)を提供することを目的とする。
そして、有効成分としてビタミンK類、例えばビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、ビタミンK3(メナジオン)などを飼料組成物等に配合して反芻家畜に経口投与又は給与することで、反芻家畜の免疫賦活化を実現することができる。

Claims (10)

  1. ビタミンK類を有効成分とする反芻家畜の免疫賦活化用飼料組成物。
  2. ビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、ビタミンK3(メナジオン)から選ばれる少なくとも1以上を有効成分とする、請求項1に記載の飼料組成物。
  3. 更に、酢酸及び/又は酢酸塩を有効成分として併用することを特徴とする、請求項1又は2に記載の飼料組成物。
  4. 反芻家畜が、牛、羊、山羊から選ばれる少なくともひとつである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飼料組成物。
  5. ビタミンK類を反芻家畜に経口投与又は給与することを特徴とする、反芻家畜の免疫賦活化方法。
  6. ビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン)、ビタミンK3(メナジオン)から選ばれる少なくとも1以上を経口投与又は給与することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. ビタミンK類を1日当たり10〜200mg/頭経口投与又は給与することを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 更に、酢酸及び/又は酢酸塩を経口投与又は給与することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 酢酸及び/又は酢酸塩を1日当たり酢酸として30〜300g/頭経口投与又は給与することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 反芻家畜が、牛、羊、山羊から選ばれる少なくともひとつである、請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法。
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