JP2018159700A - ミニチュア破壊靭性試験片、及びミニチュア破壊靭性試験片の製造方法 - Google Patents

ミニチュア破壊靭性試験片、及びミニチュア破壊靭性試験片の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】破壊靭性試験時に生じる延性亀裂成長を抑制し、有効な破壊靭性データを取得できるミニチュア破壊靭性試験片、及びミニチュア破壊靭性試験片の製造方法を提供する。【解決手段】原子炉圧力容器内に設置された監視試験カプセルに収容されて原子炉圧力容器の監視試験に用いられるシャルピー衝撃試験片を利用し、監視試験後のシャルピー衝撃試験片の残材から採取されたミニチュアCT試験片150であって、日本電気協会規程により規定されたミニチュア破壊靭性試験片の外形寸法に関する規格値よりも厚みRを大きく形成したことを特徴とする。【選択図】図7

Description

本発明は、原子炉圧力容器の監視試験に用いられる試験片を再利用して製造されるミニチュア破壊靭性試験片、及び、ミニチュア破壊靭性試験片の製造方法に関する。
原子炉圧力容器に用いられる低合金鋼は、供用期間中における中性子の照射により脆化する。原子炉圧力容器の内部には原子炉圧力容器と同じ鋼材(すなわち低合金鋼)の試験片(監視試験片)が収容された監視試験カプセルが設置される。監視試験カプセルは、プラントの新設時に原子炉圧力容器の内部に設置され、原子炉圧力容器から計画的に取り出される。原子炉圧力容器から取り出された試験片について材料試験が実施されることにより、中性子の照射による脆化の程度を確認し、原子炉圧力容器の健全性が評価される。
監視試験カプセルには、試験片として、破壊靭性試験片、引張試験片、及びシャルピー衝撃試験片等が収容される。原子炉圧力容器の内部に設置可能な監視試験カプセルの量には制限がある。そのため、原子炉圧力容器から取り出された試験片を効率的に使用する必要がある。
原子炉圧力容器鋼の破壊靭性の評価において、温度と破壊靭性との関係を示すマスターカーブを作成し、そのマスターカーブから破壊靭性を評価する手法が知られている。マスターカーブに基づく破壊靭性の評価精度を向上させるためには、多数の破壊靭性試験片を使用して、破壊靭性データを拡充させることが望ましい。しかし、プラントによっては、監視試験カプセルに収容されている破壊靭性試験片の数が少ない場合がある。特許文献1には、試験片から破壊靭性データを直接取得する試験方法が開示されている。
特開2014−197035号公報
ところで、シャルピー衝撃試験片は監視試験カプセルに比較的多く含まれている。このため、近年、シャルピー衝撃試験終了後の試験片の残材から微小な破壊靭性試験片(ミニチュア破壊靭性試験片;以降ミニチュアCT試験片とも称する)を製造して、試験片を有効活用する手法が提案されている。ミニチュアCT試験片は、シャルピー衝撃試験片の残材から可能な限り多数採取されることを考慮し、日本電気協会規程(JEAC4216-2015)において、該ミニチュアCT試験片の大きさが規定されている。
一方、現在規定されているミニチュアCT試験片は、通常の破壊靭性試験片と比較して外形寸法が全体的に小さくなっているので、結果的に板厚も薄く形成されている。このため、中性子照射により上部棚吸収エネルギー(USE: Upper Shelf Energy)が減少し、延性亀裂成長抵抗が低下したミニチュアCT試験片では、破壊靭性試験時に基準を上回る延性亀裂成長が生じる場合があり、有効な破壊靭性データが取得できないという問題が生じ得る。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、破壊靭性試験時に生じる延性亀裂成長を抑制し、有効な破壊靭性データを取得できるミニチュア破壊靭性試験片、及び、ミニチュア破壊靭性試験片の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、原子炉圧力容器内に設置された監視試験カプセルに収容されて原子炉圧力容器の評価試験に用いられる試験片を利用し、評価試験後の試験片の残材から採取されたミニチュア破壊靭性試験片であって、日本電気協会規程により規定されたミニチュア破壊靭性試験片の外形寸法に関する規格値よりも板厚を大きく形成したことを特徴とする。
また、板厚は、規格値の2倍の値であってもよい。また、規格値で定められた板厚は4mmである。また、試験片は、シャルピー衝撃試験片であることが好ましい。
また、本発明は、温度と破壊靭性との関係を示すマスターカーブに基づいて対象素材の破壊靭性の評価に用いられ、対象素材から採取されたミニチュア破壊靭性試験片であって、日本電気協会規程により規定されたミニチュア破壊靭性試験片の外形寸法に関する規格値よりも板厚を大きく形成したことを特徴とする。
また、本発明は、原子炉圧力容器内に設置された監視試験カプセルに収容されて原子炉圧力容器の監視試験に用いられる試験片を利用し、監視試験後の試験片の残材から微小な破壊靭性試験片を製造するミニチュア破壊靭性試験片の製造方法であって、試験片の材料特性に基づき、ミニチュア破壊靭性試験片の板厚を、日本電気協会規程により規定された第1の値とするか、第1の値よりも大きな値に設定された第2の値とするかを判定する判定工程を備えたことを特徴とする。
この構成において、試験片の材料特性に基づき、該試験片の負荷レベルに関する第1基準値と、延性亀裂成長に関する第2基準値とをそれぞれ算出する工程を備え、判定工程は、第1基準値と第2基準値とを比較し、第1基準値が第2基準値よりも大きい場合は、破壊靭性試験片の板厚を第2の値とし、第1基準値が第2基準値以下の場合は、破壊靭性試験片の板厚を第1の値としてもよい。
また、本発明は、温度と破壊靭性との関係を示すマスターカーブに基づいて、対象素材の破壊靭性の評価に用いられる微小な破壊靭性試験片を対象素材から製造するミニチュア破壊靭性試験片の製造方法であって、対象素材の材料特性に基づき、破壊靭性試験片の板厚を、日本電気協会規程により規定された第1の値とするか、第1の値よりも大きな値に設定された第2の値とするかを判定する判定工程を備えたことを特徴とする。
この構成において、対象素材の材料特性に基づき、該対象素材の負荷レベルに関する第1基準値と、延性亀裂成長に関する第2基準値とをそれぞれ算出する工程を備え、判定工程は、第1基準値と第2基準値とを比較し、第1基準値が第2基準値よりも大きい場合は、破壊靭性試験片の板厚を第2の値とし、第1基準値が第2基準値以下の場合は、破壊靭性試験片の板厚を第1の値としてもよい。
また、第2基準値の算出に用いられるJ値に関し、ミニチュア破壊靭性試験片におけるJ値と、このミニチュア破壊靭性試験片よりも外形寸法の大きな標準破壊靭性試験片におけるJ値との相関関係を事前に取得しておき、この相関関係に基づき、標準破壊靭性試験片におけるJ値からミニチュア破壊靭性試験片におけるJ値に換算し、換算されたミニチュア破壊靭性試験片におけるJ値を用いて第2基準値を算出してもよい。
本発明によれば、現在規定されている規格値よりもミニチュア破壊靭性試験片の板厚を大きく形成したことにより、破壊靭性試験時に、ミニチュア破壊靭性試験片に生じる延性亀裂成長を抑制し、有効な破壊靭性データを取得することができる。
図1は、本実施形態に係る監視試験カプセルが配置された原子炉圧力容器の一例を示す縦断面図である。 図2は、監視試験カプセルの一例を模式的に示す図である。 図3は、監視試験カプセルの一部を示す図である。 図4は、ミニチュアCT試験片を採取するシャルピー衝撃試験片の残材を模式的に示す図である。 図5は、現行のミニチュアCT試験片の一例を示す斜視図である。 図6は、原子炉圧力容器の破壊靭性の評価において使用されるマスターカーブの一例を示す図である。 図7は、本実施形態に係る新たなミニチュアCT試験片の一例を示す斜視図である。 図8は、シャルピー衝撃試験片の残材から新たなミニチュアCT試験片を採取する状態を模式的に示す図である。 図9は、ミニチュアCT試験片の厚みを変化させた際の延性亀裂成長限界の変化を示すグラフである。 図10は、ミニチュア破壊靭性試験片の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図11は、判定工程の手順の一例を示すフローチャートである。 図12は、標準CT試験片におけるJ値(Jmat)とミニチュアCT試験片におけるJ値(Jmat)との相関関係の一例を示すグラフである。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
図1は、本実施形態に係る監視試験カプセルが配置された原子炉圧力容器の一例を示す縦断面図である。原子炉圧力容器300は、例えば、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)を有する原子力発電プラントに設けられる。図1に示すように、原子炉圧力容器300は、燃料集合体301を格納する。原子炉圧力容器300は、低合金鋼によって形成されている。原子炉圧力容器300は、原子炉圧力容器本体300Aと、原子炉圧力容器蓋300Bとを含む。原子炉圧力容器蓋300Bが外されることにより、原子炉圧力容器本体300Aの内部に燃料集合体301を含む炉内構造物が挿入可能である。また、原子炉圧力容器300には、制御棒を駆動する制御棒駆動装置305が設けられる。
原子炉圧力容器本体300Aの内部に炉心槽302が配置される。炉心槽302に、複数の燃料集合体301を含む炉心304が配置される。炉心槽302は、円筒状であり、原子炉圧力容器本体300Aの内壁面との間に間隙が形成されるように配置される。
炉心槽302と原子炉圧力容器本体300Aとの間には、監視試験カプセル1を収容する収納容器303が配置される。収納容器303は、炉心槽302の周囲に間隔をあけて複数設けられる。収納容器303に収容される監視試験カプセル1は、炉心304よりも径方向外側に配置されると共に、原子炉圧力容器本体300Aよりも径方向内側に配置されることとなる。
次に、監視試験カプセル1について説明する。図2は、監視試験カプセルの一例を模式的に示す図であり、図3は、監視試験カプセルの一部を示す図であって、図2のA部分に相当する。この監視試験カプセル1は、内部に監視試験片(試験片)2を収容している。この監視試験片2は、原子炉圧力容器300と同じ鋼材(すなわち低合金鋼)で形成されており、原子炉圧力容器300の健全性(中性子照射による脆化の程度)を評価するための各種材料試験に用いられる。ここで、監視試験カプセル1は、原子炉圧力容器本体300Aよりも径方向内側に位置していることから、監視試験片2に炉心304から照射される中性子の照射量は、原子炉圧力容器本体300Aよりも大きくなる。このため、監視試験片2を用いて監視試験を行うことにより、原子炉圧力容器300の中性子照射脆化の程度の評価に関して先行監視を行うことが可能となっている。
監視試験カプセル1は、図2に示すように、保持部材3と、ステー部材4と、カプセル容器5と、先端部材6とを有する。保持部材3は、監視試験カプセル1の取り扱いにおいてマニピュレータ(不図示)により保持される部材である。ステー部材4は、監視試験カプセル1の長さを調整する部材である。カプセル容器5は、監視試験カプセル1の長手方向に複数配置される。カプセル容器5の内部に複数の監視試験片2が収容される。先端部材6は、収納容器303に対する監視試験カプセル1の挿入をガイドする。
図3に示すように、監視試験カプセル1には、監視試験を行うための監視試験片2として、破壊靭性試験片(標準破壊靭性試験片;以下、標準CT試験片とも称する)7、引張試験片8、及びシャルピー衝撃試験片9が収容されている。本実施形態では、監視試験カプセル1から取り出された破壊靭性試験片7、引張試験片8、及びシャルピー衝撃試験片9の各種の監視試験片2を用いて、破壊靭性試験、引張試験、及びシャルピー衝撃試験がそれぞれ実施される。なお、監視試験カプセル1に収容される監視試験片2は、破壊靭性試験片7、引張試験片8、及びシャルピー衝撃試験片9に限定されるものではない。
原子炉圧力容器300に用いられる低合金鋼の破壊靭性を評価する場合において、従来、温度と破壊靭性との関係を示すマスターカーブを作成し、そのマスターカーブから破壊靭性を評価することが行われている。この場合、マスターカーブに基づく破壊靭性の評価精度を向上させるためには、多数の破壊靭性試験片7を使用して、破壊靭性データを拡充させることが望ましい。
しかしながら、原子力発電プラントによっては、監視試験カプセル1に収容されている破壊靭性試験片7の数が少ない場合があり、十分な破壊靭性データを取得することができない問題があった。このため、監視試験カプセル1に比較的多く含まれている監視試験片2(例えば、シャルピー衝撃試験片9)を利用し、試験終了後のシャルピー衝撃試験片9の残材からミニチュアCT試験片(ミニチュア破壊靭性試験片)を製造することが行われている。
図4は、ミニチュアCT試験片を採取するシャルピー衝撃試験片の残材を模式的に示す図である。図5は、現行のミニチュアCT試験片の一例を示す斜視図である。シャルピー衝撃試験片9は、図4に示すように、実質的に直方体状の部材であり、長手方向の中央部に略V字状に形成されたノッチ部9Nを有する。このシャルピー衝撃試験片9に対してシャルピー衝撃試験が実施されることにより、ノッチ部9Nを境界として、シャルピー衝撃試験片9は、破断面9Sを有する2つの残材9D,9Dに分割される。
ミニチュアCT試験片50は、シャルピー衝撃試験片9の残材9D(供試材S)から製作(製造)される。以下の説明では、残材9Dを適宜、供試材Sと称する。シャルピー衝撃試験により、残材9Dのうち破断面9Sの近傍の一部分は塑性変形している。残材9Dのうち塑性変形した部分からミニチュアCT試験片50を採取すると、そのミニチュアCT試験片50を使った破壊靭性の評価精度が低下する可能性がある。このため、ミニチュアCT試験片50は、残材9Dのうち塑性変形している可能性が低い部分から製作される。シャルピー衝撃試験片9の外形寸法は規格にて規定されており、シャルピー衝撃試験片9の短手方向の幅D及び高さFは、それぞれ約10[mm]に形成され、破断する前のシャルピー衝撃試験片9の長手方向の長さ(不図示)は約55[mm]となっている。また、残材9Dのうち塑性変形している可能性が低く使用可能な部分の長手方向の長さGは、約24[mm]である。
本実施形態では、図4に示すように、供試材S(残材9D)からミニチュアCT試験片50が4つ製作される。具体的には、供試材S(残材9D)における短手方向に2つのミニチュアCT試験片50が製作され、長手方向に2つのミニチュアCT試験片50が製作される。この供試材Sは、例えば、ホットセルの内部でワイヤ放電加工が施されて4つのミニチュアCT試験片50が製作される。
ミニチュアCT試験片50は、図5に示すように、実質的に直方体の部材であり、直方体の側面50aに形成された凹部51と、この凹部51に繋がるように形成される溝部52と、この溝部52を挟んで形成される一対の孔部53,53とを備える。また、凹部51とは反対側の溝部52の終端には、予亀裂54が連なって形成されている。これら溝部52、孔部53、及び予亀裂54は、いずれもミニチュアCT試験片50の厚み方向に貫通して形成されている。ミニチュアCT試験片50の外形寸法は、本特許出願の出願時に適用されている日本電気協会規程(JEAC4216-2015)により規格化されている。この規程では、ミニチュアCT試験片50の幅P(シャルピー衝撃試験片9の高さFに相当)は約10[mm]であり、高さHは約10[mm]であり、厚みQは約4[mm]である。ミニチュアCT試験片50は、標準CT試験片(破壊靭性試験片)7よりも外形寸法が小さく形成されたものであり、特に、ミニチュアCT試験片50の厚みQは標準CT試験片7の厚み(例えば、約25.4[mm]:1インチ)の約1/6となっている。ミニチュアCT試験片50の外形寸法は、上記したように、シャルピー衝撃試験片9の残材9Dから製作されることを考慮して決定されている。
また、このミニチュアCT試験片50では、凹部51と反対側に位置する直方体の側面50bと孔部53の中心53aとの距離Wが約8[mm]とされ、孔部53の中心53aと予亀裂54の終端までの初期亀裂長さaは約4[mm]となっている。従って、ミニチュアCT試験片50におけるリガメント長さb(W−aに相当)も約4[mm]となる。
このように製作された複数のミニチュアCT試験片50を用いて、破壊靭性試験が実施される。その破壊靭性試験の複数の結果を使って、原子炉圧力容器300に用いられる低合金鋼の破壊靭性の評価が実施される。図6は、原子炉圧力容器300に用いられる低合金鋼の破壊靭性の評価において使用されるマスターカーブの一例を示す図である。図6に示すように、マスターカーブは、温度と破壊靭性との関係を示す。複数のミニチュアCT試験片50のそれぞれを使って実施された破壊靭性試験の試験結果から、マスターカーブが作成される。マスターカーブに基づく破壊靭性の評価精度を向上させるためには、多数の破壊靭性試験片を入手して、破壊靭性データを拡充させることが好ましい。本実施形態によれば、供試材Sである残材9Dから4つのミニチュアCT試験片50を製作可能であるため、数又は量が限定されている残材9Dから、破壊靭性試験に使用されるミニチュアCT試験片50を多数製作することができ、破壊靭性データを拡充することが可能となる。
ところで、破壊靭性試験に関して、日本電気協会規程(JEAC4216-2015)では、破壊に先行して生じた延性亀裂成長の長さが、0.05(W−a)[mm]或いは1[mm]のいずれか小さい方の制限値を超えた場合には、得られた破壊靭性データは無効とすると規定されている。すなわち、上記したミニチュアCT試験片50では、リガメント長さb(W−aに相当)が約4[mm]であるため、板厚内で0.2[mm]を超える延性亀裂成長が認められた場合は、破壊靭性データが無効となる。
一般に、監視試験片2(ミニチュアCT試験片50)に用いられる低合金鋼は、中性子照射により上部棚吸収エネルギー(USE)が低下する傾向にあり、延性亀裂成長が生じやすくなる。このため、上部棚吸収エネルギーが低下したミニチュアCT試験片50を、破壊靭性試験に用いると、延性亀裂成長が規定値を超える場合もあり、有効な破壊靭性データを確実に取得することが難しい。ミニチュアCT試験片50は、そもそも監視試験カプセル1に収容される破壊靭性試験片7の数が少ない問題を解決するために、監視試験カプセル1に比較的多く含まれているシャルピー衝撃試験片9の残材9Dから製作されるものである。このため、製作されたミニチュアCT試験片50を用いて有効な破壊靭性データを取得することが望まれる。
発明者が鋭意研究した結果、延性亀裂成長の大きさは、試験片の板厚(厚み)と関連することが判明した。具体的には、ミニチュアCT試験片50の板厚が小さいほど、板厚中央部の狭い範囲(拘束が大きい部分)で、延性亀裂成長が生じやすくなり、延性亀裂成長量の最大値が大きくなる傾向にある。特に、ミニチュアCT試験片50は、通常の破壊靭性試験片7と比べて板厚が小さいため、上部棚吸収エネルギー(USE)が低下した材料から製作されたミニチュアCT試験片50では、板厚中央部において延性亀裂成長が生じやすい傾向にある。このため、マスターカーブの有効な温度範囲(T0-50℃≦T≦T0+50℃,T0はマスターカーブ参照温度,Tは試験温度)で有効な破壊靭性データが得られないという問題が生じる。
発明者は、有効な破壊靭性データを確実に取得するために、現在の規格(日本電気協会規程(JEAC4216-2015))で定められた外形寸法の板厚(厚み)よりも厚いミニチュアCT試験片150を製作した。図7は、本実施形態に係る新たなミニチュアCT試験片の一例を示す斜視図である。図8は、シャルピー衝撃試験片の残材から新たなミニチュアCT試験片を採取する状態を模式的に示す図である。
新たなミニチュアCT試験片150は、図7に示すように、外形寸法の厚みRが上記したミニチュアCT試験片50(図5)よりも厚く形成されている。本実施形態では、ミニチュアCT試験片150の厚みRは、ミニチュアCT試験片50の厚みQの2倍(2Q)であり約8[mm]となっている。また、ミニチュアCT試験片150は、厚みR以外の外形寸法がミニチュアCT試験片50と同等に形成されている。ミニチュアCT試験片150の厚みRのみを、現行のミニチュアCT試験片50の厚みQよりも大きくすることにより、ミニチュアCT試験片150の板厚内で延性亀裂成長が生じやすい領域を厚み方向に広げることができる。これにより、ミニチュアCT試験片150の板厚内で生じる延性亀裂成長量の均一化を図ることができ、延性亀裂成長の最大値が規定された制限値を超えることを抑制することができる。
また、ミニチュアCT試験片150は、ミニチュアCT試験片50と同様に、直方体の側面50aに形成された凹部51と、この凹部51に繋がるように形成される溝部52と、この溝部52を挟んで形成される一対の孔部53,53とを備える。また、凹部51とは反対側の溝部52の終端には、予亀裂54が連なって形成されている。これらの形状や寸法に関しては、ミニチュアCT試験片50と同様であるため、ミニチュアCT試験片50と同一の符号を付して説明を省略する。
また、ミニチュアCT試験片150は、孔部53,53の間の溝部52に沿って形成されるサイドグルーブ55,55を備える。このサイドグルーブ55は、凹部51から直方体の反対側の側面50bまで延びている。一般的に、予亀裂54は試験片板厚中央付近で伸びやすく、表面付近で伸びにくい傾向があるため、予亀裂54の先端は湾曲した形状となる。現行のミニチュアCT試験片50よりも板厚が厚いミニチュアCT試験片150では、この傾向が顕著となり、板厚中央部と表面付近での予亀裂長さの差が大きくなるため、規格に規定された予亀裂長さの均一性に関する制限条件を満足しなくなる可能性がある。サイドグルーブ55は、予亀裂54が伸びにくい表面付近を機械加工等により除去することで、予亀裂長さの板厚内における差を小さくし、予亀裂54の先端形状の直線性を確保する効果がある。
ミニチュアCT試験片150の厚みRは、少なくともミニチュアCT試験片50の厚みQよりも大きく形成すればよいが、この厚みQの2倍に形成することが好ましい。上記した供試材S(残材9D)からミニチュアCT試験片150を採取する場合、厚みRが5mmを超えてしまうと、供試材Sの短手方向に1つしか採取できないため、残りの供試材Sが無駄になってしまう。これに対して、ミニチュアCT試験片150の厚みRを、ミニチュアCT試験片50の厚みQの2倍に形成する構成によれば、延性亀裂成長の抑制を実現できると共に、図8に示すように、供試材Sの短手方向に生じる材料の無駄を抑えて1つの供試材S(残材9D)から長手方向に2つのミニチュアCT試験片150を効率的に製作することができる。なお、シャルピー衝撃試験片9の残材9DからミニチュアCT試験片150を採取する場合、採取する利便性を考慮し、ミニチュアCT試験片150の厚みRの最大値は、10[mm]以下とすることが好ましい。
また、ミニチュアCT試験片150の厚みRが増加するほど、孔部53,53に挿入されて、該ミニチュアCT試験片150に荷重を負荷するためのピン(不図示)に作用する曲げ応力が大きくなる。このため、ミニチュアCT試験片150の厚みRを決定する際には、ピンの耐荷重を考慮することが望ましい。
図9は、ミニチュアCT試験片の厚みを変化させた際の延性亀裂成長限界の変化を示すグラフである。この図9において、符号L1は、現行のミニチュアCT試験片50の延性亀裂成長限界を示し、符号L2は、新しいミニチュアCT試験片150の延性亀裂成長限界を示す。上述のように、ミニチュアCT試験片150の厚みRのみを、現行のミニチュアCT試験片50の厚みQよりも大きくすることにより、ミニチュアCT試験片150の板厚内で延性亀裂成長が生じやすい領域を厚み方向に広げることができる。これにより、ミニチュアCT試験片150の板厚内で生じる延性亀裂成長量の均一化を図ることができ、延性亀裂成長量の最大値が規定された制限値を超えることを抑制することができる。従って、図9に示すように、ミニチュアCT試験片の延性亀裂成長限界をL1からL2に上昇させることができる。このため、マスターカーブの有効な温度範囲(T0-50℃≦T≦T0+50℃)において、有効な破壊靭性データを得ることができ、破壊靭性データを拡充することが可能となる。
このように、本実施形態によれば、現行の規格値よりもミニチュアCT試験片150の厚みRを大きく形成したことにより、破壊靭性試験時に、ミニチュアCT試験片150に生じる延性亀裂成長を抑制し、有効な破壊靭性データを取得することができる。また、本実施形態によれば、ミニチュアCT試験片150の厚みRを約8[mm]としたため、シャルピー衝撃試験片9の残材9Dの短手方向に生じる材料の無駄を抑えて、1つの残材9Dから長手方向に2つのミニチュアCT試験片150を効率的に製作することができる。
さて、上述のように、ミニチュアCT試験片150の厚みRを現行の規格値よりも大きく形成したことにより、延性亀裂成長の最大値が規定された制限値を超えることを抑制している。その反面、ミニチュアCT試験片150の厚みRを大きくすることにより、シャルピー衝撃試験片9の残材9Dから採取できるミニチュアCT試験片150の数は少なくなる。このため、残材9Dの有効活用の点からは、現行のミニチュアCT試験片50よりも不利となる。
一方、延性亀裂成長の問題が生じない場合には、極力、現行のミニチュアCT試験片50を用いて、残材9Dを有効活用することが好ましい。発明者は、ミニチュアCT試験片150の厚みRを一律に厚くするのではなく、シャルピー衝撃試験片9の残材9Dの材料特性から、現行のミニチュアCT試験片50と新たなミニチュアCT試験片150のいずれを製作するかを判定する手法を確立した。
次に、ミニチュア破壊靭性試験片の製造方法について説明する。本実施形態では、シャルピー衝撃試験片9の残材9DからミニチュアCT試験片を製造する方法について説明する。図10は、ミニチュア破壊靭性試験片の製造方法の一例を示すフローチャートであり、図11は、判定工程の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、原子炉圧力容器300から監視試験カプセル1を取り出し(ステップS1)、監視試験カプセル1からシャルピー衝撃試験片9を取り出して試験を行う(ステップS2)。そして、シャルピー衝撃試験片9の残材9D(供試材S)の材料特性に基づいて製作するミニチュアCT試験片の厚みを判定する(ステップS3;判定工程)。そして、供試材Sをワイヤ放電加工して、判定された厚みを有するミニチュアCT試験片を製作する(ステップS4)。
判定工程においては、まず残材9Dの材料特性として、残材9Dのヤング率E、ポアソン比ν、降伏強さσYS、上部棚吸収エネルギーUSEを計測する(ステップSa1)。これらの各値は、既存の様々な計測方法を用いて計測することができる。
次に、ミニチュアCT試験片のリガメント長さb、延性亀裂成長量の制限値Δaを設定する(ステップSa2)。本実施形態では、ミニチュアCT試験片のリガメント長さbは4[mm]、延性亀裂成長量の制限値Δaは0.2[mm]に設定される。
次に、計測した残材9Dの各種材料特性、及び、ミニチュアCT試験片のリガメント長さbに基づいて、ミニチュアCT試験片の負荷レベルに関する基準値KJc(limit)(第1基準値)を算出する(ステップSa3)。この基準値KJc(limit)は、以下の数式1によって算出される。
Figure 2018159700
また、計測した残材9Dの各種材料特性、及び、延性亀裂成長量の制限値Δaに基づいて、延性亀裂成長に関する基準値KJmat(第2基準値)を算出する(ステップSa4)。この基準値KJmatは、以下の数式2によって算出される。
Figure 2018159700
次に、算出された基準値KJc(limit)と基準値KJmatとの大きさを比較し、基準値KJc(limit)が基準値KJmatよりも大きいか否かを判別する(ステップSa5)。この判定において、基準値KJc(limit)が基準値KJmatよりも大きい場合(ステップSa5;Yes)には、ミニチュアCT試験片の変形よりも延性亀裂成長が生じやすく、延性亀裂成長に関する基準値KJmatが支配的となる可能性がある。このため、現在、日本電気協会規程で規定された厚みQ(4mm;第1の値)よりも大きな厚みR(8mm;第2の値)を有するミニチュアCT試験片150を製作するべきと判定する(ステップSa6)。
一方、基準値KJc(limit)が基準値KJmat以下の場合(ステップSa5;No)には、延性亀裂成長が生じにくいため、現行の厚みQ(4mm;第1の値)を有するミニチュアCT試験片50を製作するべきと判定する(ステップSa7)。
このように、本実施形態によれば、算出された基準値KJc(limit)と基準値KJmatとの大きさを比較することにより、現行のミニチュアCT試験片50と新たなミニチュアCT試験片150のいずれを製作するかを容易かつ正確に判定することができるため、残材9Dの有効活用を図り、破壊靭性データの拡充を実現することができる。
本実施形態では、延性亀裂成長に関する基準値KJmatは、一例として、日本電気協会規程(JEAC4216-2016)に記載された算出方法を用いた例を示しているが、材料特性からJ値(Jmat)と延性亀裂成長量の制限値Δaとの関係が推定可能な方法であれば、他の確立された方法を用いることもできる。
例えば、J値(Jmat)を算出する方法として、数式3に示すMatsuzawaらのJ−R曲線予測式、数式4に示すWallinらのJ−R曲線予測式、数式5に示すNUREG/CR-5729のJ−R曲線予測式を用いることもできる。これら数式3〜5で算出されたJ値(Jmat)を用いて、数式2に示す延性亀裂成長に関する基準値KJmatを求めても良い。
Figure 2018159700
Figure 2018159700
Figure 2018159700
次に、別の実施形態について説明する。上記した実施形態では、ミニチュアCT試験片の負荷レベルに関する基準値KJc(limit)(第1基準値)と、延性亀裂成長に関する基準値KJmat(第2基準値)とを比較することにより、残材9Dから現行のミニチュアCT試験片50と新たなミニチュアCT試験片150とのいずれを製作するかを判定している。この判定により、製作したミニチュアCT試験片50,150に対する破壊靭性試験時に、規定の制限値Δaを上回る延性亀裂成長が生じ、得られた破壊靭性データ(試験データ)が無効となることを防止している。この残材9Dは貴重であるため、いずれのミニチュアCT試験片50,150を製作するかの判定を正確に実施することが要望される。
上記した実施形態では、J値(Jmat:J積分)と延性亀裂成長量の制限値Δaとの一般的な関係式(数式2〜数式5)において、制限値Δaのみを、ミニチュアCT試験片50に対する延性亀裂成長量の制限値(0.2[mm])に設定している。そして算出されたJ値(Jmat)を用いて、延性亀裂成長に関する基準値KJmat(第2基準値)を算出している。
一方、J値(Jmat:J積分)と延性亀裂成長量の制限値Δaとの関係は、試験片寸法の影響を受けることが報告されている。例えば、SCK・CEN(ベルギー原子力研究センター)によれば、標準CT試験片7で得られたJ値(Jmat)に対して、ミニチュアCT試験片50で得られたJ値(Jmat)は、約1/2に減少すると報告されている。
ここで、上記した判定基準値のうち、ミニチュアCT試験片の負荷レベルに関する基準値KJc(limit)(第1基準値)では、リガメント長さbが試験片の寸法によって変化するため、試験片寸法による影響が含まれているものの、延性亀裂成長に関する基準値KJmat(第2基準値)には試験片寸法の影響が含まれていない。なお、数式5には、一部板厚の影響が含まれているが、板厚の適用範囲が0.39〜3.20[インチ]であり、ミニチュアCT試験片50の板厚4[mm](0.16[インチ])は適用範囲外である。出願人は、いずれのミニチュアCT試験片50,150を製作するか正確に判定するためには、試験片寸法に応じたJ値(Jmat:J積分)と延性亀裂成長量の制限値Δaとの関係式を採用する必要があるとの知見を得た。
このため、本実施形態では、延性亀裂成長に関する基準値KJmat(第2基準値)を、ミニチュアCT試験片の寸法(外形寸法)を考慮して算出する。具体的には、標準CT試験片7におけるJ値(Jmat)とミニチュアCT試験片50におけるJ値(Jmat)との相関関係を用いて、数式2〜5で算出された標準CT試験片7に相当するJ値(Jmat)を、ミニチュアCT試験片50におけるJ値(Jmat)に換算し、この換算したミニチュアCT試験片50におけるJ値(Jmat)を用いて、延性亀裂成長に関する基準値KJmat(第2基準値)を算出する。
図12は、標準CT試験片におけるJ値(Jmat)とミニチュアCT試験片におけるJ値(Jmat)との相関関係の一例を示すグラフである。本実施形態では、該相関関係として、SCK・CEN(ベルギー原子力研究センター)が発表しているデータを用いた。通常、標準CT試験片7のJ値(Jmat)に対するミニチュアCT試験片50のJ値(Jmat)の減少率は、材料や温度によって異なるので、対象の材料について標準CT試験片7とミニチュアCT試験片50の両方で試験を行って決定することが望ましい。しかし、原子炉圧力容器鋼の照射材のように非常に限られた材料の場合には、この関係を試験で決定することは難しい。このため、既知のデータを用いて簡易的に換算することで、寸法効果を考慮したミニチュアCT試験片50のJ値(Jmat)を算出することができる。なお、標準CT試験片におけるJ値(Jmat)とミニチュアCT試験片におけるJ値(Jmat)との相関関係は、上記したものに限るものではない。
図12に示すように、標準CT試験片におけるJ値(Jmat)とミニチュアCT試験片におけるJ値(Jmat)とは、下に凸のカーブを有する曲線で示される。ミニチュアCT試験片におけるJ値(Jmat)は、標準CT試験片におけるJ値(Jmat)と比較して減少しており、例えば、標準CT試験片におけるJ値(Jmat)が300[kJ/m]の時に、ミニチュアCT試験片におけるJ値(Jmat)は約210[kJ/m]を示し、標準CT試験片におけるJ値(Jmat)が600[kJ/m]の時には、ミニチュアCT試験片におけるJ値(Jmat)は約360[kJ/m]を示す。
本実施形態において、延性亀裂成長に関する基準値KJmat(第2基準値)を算出する(ステップSa4)際には、上記した数式2を用いて、標準CT試験片に相当するJ値(Jmat)を算出し、この算出した標準CT試験片におけるJ値(Jmat)を、図12の相関関係を用いて、ミニチュアCT試験片50におけるJ値(Jmat)に換算する。そして、この換算したミニチュアCT試験片50におけるJ値(Jmat)を用いて、延性亀裂成長に関する基準値KJmat(第2基準値)を算出する。これにより、試験片寸法を考慮した延性亀裂成長に関する基準値KJmat(第2基準値)を算出することができ、いずれのミニチュアCT試験片50,150を製作するか正確に判定することができる。
以上、本実施形態について説明したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本実施形態では、残材9D(供試材S)からミニチュアCT試験片50,150を加工する際に、ワイヤ放電加工を行う構成について説明したが、切削加工のような機械加工方法により加工されてもよい。
また、本実施形態では、供試材Sがシャルピー衝撃試験片9の残材9Dである構成としたが、供試材Sは、例えば破壊靭性試験片7や引張試験片8の残材でもよい。
また、本実施形態では、ミニチュアCT試験片50,150は、シャルピー衝撃試験片9の残材9D(供試材S)から製作される構成について説明したが、これに限るものではなく、上記したマスターカーブ法を用いて破壊靭性を評価するものであれば評価対象となる対象素材から製作してもよい。一般に、ミニチュアCT試験片50,150に用いられる低合金鋼等の対象素材は、中性子照射により上部棚吸収エネルギー(USE)が低下する傾向にあるが、この上部棚吸収エネルギーは、例えば、加熱環境下においても低下することが確認されている。このため、中性子照射された材料だけでなく、何らかの原因で上部棚吸収エネルギーの低下が見込まれる対象素材であれば、本願のミニチュアCT試験片50,150を製作して破壊靭性試験片を行うことができる。これにより、この種の対象素材においても、マスターカーブの有効な温度範囲(T0-50℃≦T≦T0+50℃)において、有効な破壊靭性データを得ることができ、破壊靭性データを拡充することが可能となる。
1 監視試験カプセル
2 監視試験片
7 破壊靭性試験片(標準破壊靭性試験片)
8 引張試験片
9 シャルピー衝撃試験片
9D 残材
9N ノッチ部
9S 破断面
50,150 ミニチュアCT試験片(ミニチュア破壊靭性試験片)
51 凹部
52 溝部
53 孔部
54 予亀裂
55 サイドグルーブ
300 原子炉圧力容器
303 収納容器
304 炉心
305 制御棒駆動装置
mat J値(第2基準値の算出に用いられるJ値)
Jc(limit) 負荷レベルに関する基準値(第1基準値)
Jmat 延性亀裂成長に関する基準値(第2基準値)
Δa 制限値
Q,R 厚み(板厚)

Claims (10)

  1. 原子炉圧力容器内に設置された監視試験カプセルに収容されて前記原子炉圧力容器の監視試験に用いられる試験片を利用し、前記監視試験後の前記試験片の残材から採取されたミニチュア破壊靭性試験片であって、
    日本電気協会規程により規定された前記ミニチュア破壊靭性試験片の外形寸法に関する規格値よりも板厚を大きく形成したことを特徴とするミニチュア破壊靭性試験片。
  2. 前記板厚は、前記規格値の2倍の値であることを特徴とする請求項1に記載のミニチュア破壊靭性試験片。
  3. 前記規格値で定められた前記板厚は4mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のミニチュア破壊靭性試験片。
  4. 前記試験片は、シャルピー衝撃試験片であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミニチュア破壊靭性試験片。
  5. 温度と破壊靭性との関係を示すマスターカーブに基づいて対象素材の破壊靭性の評価に用いられ、前記対象素材から採取されたミニチュア破壊靭性試験片であって、
    日本電気協会規程により規定された前記ミニチュア破壊靭性試験片の外形寸法に関する規格値よりも板厚を大きく形成したことを特徴とするミニチュア破壊靭性試験片。
  6. 原子炉圧力容器内に設置された監視試験カプセルに収容されて前記原子炉圧力容器の監視試験に用いられる試験片を利用し、前記監視試験後の前記試験片の残材から微小な破壊靭性試験片を製造するミニチュア破壊靭性試験片の製造方法であって、
    前記試験片の材料特性に基づき、前記破壊靭性試験片の板厚を、日本電気協会規程により規定された第1の値とするか、前記第1の値よりも大きな値に設定された第2の値とするかを判定する判定工程を備えたことを特徴とするミニチュア破壊靭性試験片の製造方法。
  7. 前記試験片の材料特性に基づき、該試験片の負荷レベルに関する第1基準値と、延性亀裂成長に関する第2基準値とをそれぞれ算出する工程を備え、
    前記判定工程は、前記第1基準値と前記第2基準値とを比較し、前記第1基準値が前記第2基準値よりも大きい場合は、前記ミニチュア破壊靭性試験片の板厚を前記第2の値とし、前記第1基準値が前記第2基準値以下の場合は、前記ミニチュア破壊靭性試験片の板厚を前記第1の値とすることを特徴とする請求項6に記載のミニチュア破壊靭性試験片の製造方法。
  8. 温度と破壊靭性との関係を示すマスターカーブに基づいて、対象素材の破壊靭性の評価に用いられる微小な破壊靭性試験片を前記対象素材から製造するミニチュア破壊靭性試験片の製造方法であって、
    前記対象素材の材料特性に基づき、前記破壊靭性試験片の板厚を、日本電気協会規程により規定された第1の値とするか、前記第1の値よりも大きな値に設定された第2の値とするかを判定する判定工程を備えたことを特徴とするミニチュア破壊靭性試験片の製造方法。
  9. 前記対象素材の材料特性に基づき、該対象素材の負荷レベルに関する第1基準値と、延性亀裂成長に関する第2基準値とをそれぞれ算出する工程を備え、
    前記判定工程は、前記第1基準値と前記第2基準値とを比較し、前記第1基準値が前記第2基準値よりも大きい場合は、前記ミニチュア破壊靭性試験片の板厚を前記第2の値とし、前記第1基準値が前記第2基準値以下の場合は、前記ミニチュア破壊靭性試験片の板厚を前記第1の値とすることを特徴とする請求項8に記載のミニチュア破壊靭性試験片の製造方法。
  10. 前記第2基準値の算出に用いられるJ値に関し、前記ミニチュア破壊靭性試験片におけるJ値と、このミニチュア破壊靭性試験片よりも外形寸法の大きな標準破壊靭性試験片におけるJ値との相関関係を事前に取得しておき、
    前記相関関係に基づき、前記標準破壊靭性試験片におけるJ値から前記ミニチュア破壊靭性試験片におけるJ値に換算し、換算されたミニチュア破壊靭性試験片のJ値を用いて前記第2基準値を算出することを特徴とする請求項7または9に記載のミニチュア破壊靭性試験片の製造方法。
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