JP2018148516A - 時間予測動きベクトル候補生成装置、符号化装置、復号装置、及びプログラム - Google Patents

時間予測動きベクトル候補生成装置、符号化装置、復号装置、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】適切な時間予測動きベクトル候補を生成する。
【解決手段】符号化対象ブロックと異なる時間位置にあるフレームに存在する当該符号化対象と同位置同サイズのColブロックを基準とし、そのColブロックが持つ動きベクトルの方向に存在するブロックを参照ブロックとし、前記参照ブロックが持つベクトルを候補ベクトルとして取得し、Colフレームと前記参照ブロックが持つ動きベクトルが参照するフレームの参照画像間距離に基づいて、前記候補ベクトルをスケーリングしたものを時間予測動きベクトル候補とすることを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、時間予測動きベクトル候補生成装置、符号化装置、復号装置、及びプログラムに関し、特に、動画像の符号化の際に、動きベクトルの予測に用いる時間予測動きベクトル候補を生成する生成装置と、その生成装置を含む符号化装置、復号装置、及びプログラムに関する。
近年、MPEG(Moving Picture Experts Group)とITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)のVCEG(Video Coding Experts Group)が共同で作成した映像符号化方法である、MPEG-H HEVC(High Efficiency Video Coding)/ITU−T H.265方式(以下、「HEVC方式」という。)が、動画像圧縮率の高い符号化方法として注目されている。
HEVC方式等の映像符号化方式では、動き補償に用いる動きベクトルを符号化する際に、動きベクトルの予測を行う。例えば、動きベクトルの予測は、空間予測動きベクトル候補及び時間予測動きベクトル候補をあらかじめ定められた優先順に並べ、その中の1つを指すインデックス、及び、インデックスの指し示す動きベクトル候補との差分ベクトルを用いて実現される。
一般的な動きベクトルの予測について、図11に基づいて説明する。まず、符号化対象ブロック100の空間予測動きベクトル候補は、符号化対象フレーム内の符号化対象ブロック100に隣接したブロックから求める。符号化対象ブロック100の左下側に隣接するブロック(A0,A1)から候補ベクトルmvAを導出し、上側に隣接するブロック(B0,B1,B2)から候補ベクトルmvBを導出する。
時間予測動きベクトル候補は、符号化対象ブロック100と異なる時間位置にあるフレーム(Collocated Picture、以下、「ColPic」又は「Colフレーム」ということがある。)の特定のブロックを、動きベクトルを参照(取得)するための参照ブロック(以下、「Mvブロック」ということがある。)として利用し、得られた動きベクトルに基づいて求める。時間予測動きベクトル候補を求める際に、参照ブロックから取得した動きベクトルを、以下「候補ベクトル」と呼ぶこととする。具体的には、ColPicに存在する当該符号化対象ブロックと同位置同サイズのブロック(以下、「Colブロック」ということがある。)200を基準にし、ColPic上でColブロック200の右下に隣接するブロック(H)300の動きベクトルが利用できる場合は当該ブロック(H)300を参照ブロックとして選択し、ブロック(H)が利用できない場合は、ColPic上でColブロック200内のセンター右下ブロック(C3)を参照ブロックとし、これらのブロックから候補ベクトルmvColを導出する。なお、時間予測動きベクトル候補については、参照ブロックが持つ動きベクトル(候補ベクトル)の向きと大きさを、符号化対象フレームと、ColPicと、参照ブロックの動きベクトルが参照するフレームとの画像位置関係(参照画像間距離)に基づいて符号の調整及び拡大・縮小(すなわち、スケーリング)を行う必要がある。よって、ColPicと、参照ブロックが持つ動きベクトルが参照するフレームの参照画像間距離に基づいて、候補ベクトルをスケーリングしたものが、時間予測動きベクトル候補となる。なお、スケーリングはゼロ以外の実数の乗算で行うため、候補ベクトルがゼロベクトルでない場合は、時間予測動きベクトル候補もゼロベクトルにはならない。同様に、候補ベクトルがゼロベクトルの場合は、時間予測動きベクトル候補もゼロベクトルとなる。
大久保 榮(監修)、鈴木 輝彦、他、「H.265/HEVC教科書」、株式会社インプレスジャパン発行、2013年10月21日、p.136−140
静止した背景の前を物体が移動している例を用いて、従来技術の課題を説明する。図12は、従来の候補ベクトル(及び、その候補ベクトルをスケーリングして得られる時間予測動きベクトル候補)を求める方法の概略を説明するための図であり、符号化対象フレームとそれに含まれる符号化対象ブロック101〜105、Colフレーム(ColPic)とそれに含まれるColブロック201〜205、Mvブロック301〜305等の関係を、1次元で模式的に示している。図12には、符号化対象ブロック101〜105に対して物体が移動している様子が示されており、Colフレームの物体(映像)401が、符号化対象フレームでは物体(映像)402に移動している。矢印403は物体の動きベクトルを示し、矢印の方向は動きベクトルの方向である。
なお、本明細書で示す動きベクトルは、映像符号化で一般的に用いられている符号化対象フレームを基準とした動きベクトルである。たとえば図12の例では、Colフレーム中の物体401が、符号化対象フレームでは物体402と位置が変化しており、すなわち、物体は右方向に移動している。このとき、符号化対象フレーム中の物体402の動きベクトル403の向きは、左方向となる。
従来手法では、図11で説明したように、Colブロックの右下に隣接するブロックが動きベクトル(候補ベクトル)を取得するための参照ブロック(Mvブロック)として選択される。模式図は1次元で示しているため、Colブロックの右側に隣接するブロックがMvブロックとなる。すなわち、図12において、符号化対象ブロック101〜105のそれぞれに対応するColブロック201〜205の右側のブロックが、それぞれのMvブロック301〜305である。
ここで、符号化対象ブロック101,102に注目すると、符号化対象ブロック101,102のMvブロックはそれぞれ301,302となる。Colフレームにおいて、Mvブロック301,302は移動する物体中に位置している。そのため、符号化対象ブロック101,102は静止した背景の領域にもかかわらず、それらの候補ベクトルはMvブロック301,302が有する移動物体401の動きベクトル403となり、したがって、スケーリングして得られる時間予測動きベクトル候補もゼロベクトルにはならない。符号化対象ブロック101,102は静止した背景に含まれており、動きベクトルの予測はゼロベクトルが適切であるが、従来手法では、このようにゼロベクトルでない時間予測動きベクトル候補が得られるため適切ではない。
また、符号化対象ブロック104に注目すると、符号化対象ブロック104のMvブロックは304となる。符号化対象ブロック104は移動する物体402に含まれているにもかかわらず、候補ベクトルはMvブロック304が有する背景の動きベクトル(ゼロベクトル)となり、符号化対象ブロック104の動きベクトルの予測として適切ではないものが選択される。
このように、従来の候補ベクトルを生成する方法は、動きの異なる境界付近のブロックでは、不適切な動きベクトルが候補ベクトルとして選択される場合があり、候補ベクトルをスケーリングして得られる時間予測動きベクトル候補が不適切となる場合があった。
したがって、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、不適切な候補ベクトルの生成率を従来よりも減少させ、より適切な時間予測動きベクトル候補(を得るための候補ベクトル)を生成する生成装置、符号化装置、復号装置、及びプログラム提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る時間予測動きベクトル候補生成装置は、符号化対象ブロックと異なる時間位置にあるColフレームに存在する前記符号化対象と同位置同サイズのColブロックを基準とし、前記Colブロックが持つ動きベクトルの方向に存在するブロックを、参照ブロックとして決定する参照ブロック決定部と、前記参照ブロックが持つ動きベクトルを候補ベクトルとして取得し、前記Colフレームと前記参照ブロックが持つ動きベクトルが参照するフレームの参照画像間距離に基づいて、前記候補ベクトルをスケーリングし、時間予測動きベクトル候補を生成する、スケーリング処理部と、を備えたことを特徴とする。
また、前記時間予測動きベクトル候補生成装置は、前記参照ブロックが前記Colブロックと隣接することが望ましい。
また、前記時間予測動きベクトル候補生成装置は、前記Colブロックから前記Colブロックが持つ動きベクトルの大きさだけ離れた画素を含むブロックを前記参照ブロックとすることが望ましい。
また、前記時間予測動きベクトル候補生成装置は、前記Colブロックの動きベクトルが無い又はゼロベクトルの場合、若しくは、前記Colブロックの動きベクトルの方向に位置するブロックが、存在しない又は動きベクトルを持たない場合は、前記Colブロックを参照ブロックとすることが望ましい。
上記課題を解決するために本発明に係る符号化装置は、前記時間予測動きベクトル候補生成装置を含む動き推定部を備えたことを特徴とする。
また、上記課題を解決するために本発明に係る復号装置は、前記時間予測動きベクトル候補生成装置を含む動き復号部を備えたことを特徴とする。
また、上記課題を解決するために本発明に係るプログラムは、コンピュータを、前記時間予測動きベクトル候補生成装置として機能させることを特徴とする。
本発明における時間予測動きベクトル候補生成装置、符号化装置、復号装置、及びプログラムによれば、不適切な候補ベクトルの生成率を従来よりも減少させ、より適切な時間予測動きベクトル候補を生成することができる。
本発明における候補ベクトル及び時間予測動きベクトル候補を求める方法の概略を説明する図である。 本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置を用いた符号化装置の例を示すブロック図である。 本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置のブロック図である。 本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置を用いた復号装置の例を示すブロック図である。 実施例1の参照ブロックの配置を示す図である。 実施例2の参照ブロックの配置を示す図である。 実施例3の参照ブロックの配置を示す図である。 実施例4の参照ブロックの配置を示す図である。 実施例5の参照ブロックの配置を示す図である。 実施例6の参照ブロックの配置を示す図である。 一般的な動きベクトルの予測について説明する図である。 従来の候補ベクトル及び時間予測動きベクトル候補を求める方法の概略を説明する図である。
(本発明の原理)
本発明により、適切な候補ベクトル(及びその候補ベクトルをスケーリングして得られる適切な時間予測動きベクトル候補)が得られる原理を、図1を用いて説明する。
図1は、本発明における候補ベクトル及び時間予測動きベクトル候補を求める方法の概略を説明するための図であり、符号化対象フレームとそれに含まれる符号化対象ブロック101〜105、Colフレーム(ColPic)とそれに含まれるColブロック201〜205、参照ブロック(Mvブロック)301〜305等の関係を、1次元で模式的に示している。図1は、図12と同様に、静止した背景の前を物体が移動している様子を示している。
本発明では、Colブロックを起点とし、Colブロックが持つ動きベクトルの方向に位置するブロックを参照ブロック(Mvブロック)として決定する。ただし、Colブロックの動きベクトルが無い、又はゼロベクトルの場合や、動きベクトルの方向に位置するブロックが存在しない又は動きベクトルを持たない場合は、Colブロックを参照ブロック(Mvブロック)とする。図1の模式図上では、例えば、符号化対象ブロック101については、対応するColブロック201が背景領域に位置しておりゼロベクトルを持つため、Mvブロック301はColブロック自身(すなわち201)となる。したがって、符号化対象ブロック101の候補ベクトルはColブロック201が持つゼロベクトルとなり、この候補ベクトルをスケーリングすることで適切な時間予測動きベクトル候補が得られる。
また、背景領域に位置する符号化対象ブロック102については、Colブロック202が持つ動きベクトルの方向に存在するブロック302がMvブロックとなる。Mvブロック302(これは、Mvブロック301と同じブロックである)が持つ動きベクトル、すなわちゼロベクトルが符号化対象ブロック102の候補ベクトルとなり、この候補ベクトルをスケーリングすることで適切な時間予測動きベクトル候補が得られる。
さらに、移動物体中に位置する符号化対象ブロック103,104は、対応するColブロック203,204が持つ動きベクトル403の方向に位置するブロック303,304がそれぞれMvブロックとなり、Mvブロック303,304が持つ動きベクトル、すなわち移動する物体の動きベクトル403が候補ベクトルとして得られるから、この場合も候補ベクトルをスケーリングすることで適切な時間予測動きベクトル候補が得られる。
このように、符号化対象ブロックがアンカバード領域(前景となっている物体が移動することにより現れてくる背景となっていた領域)及びその近傍に存在する場合、従来の手法では不適切な動きベクトルが候補ベクトル(及びその候補ベクトルをスケーリングして得られる時間予測動きベクトル候補)として得られることがあったが、本発明では適切な動きベクトルを候補ベクトル(及びその候補ベクトルをスケーリングして得られる時間予測動きベクトル候補)として得ることが可能であり、従来よりも不適切な候補ベクトル及び不適切な時間予測動きベクトル候補の生成率を減少させることができる。
なお、符号化対象ブロック105については、移動する物体中のブロックであるが、従来手法、本発明ともに背景のゼロベクトルが候補ベクトル(及びその候補ベクトルをスケーリングして得られる時間予測動きベクトル候補)として得られる。このようにブロック105のようなカバード領域(前景となっている物体が移動することにより背景が隠される領域)については従来性能と同等であるから、格別の問題にはならない。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態)
図2は、本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置を用いた、符号化装置の例を示すブロック図である。なお、図2では、本発明の説明で不要なフレーム内予測部などは省略しているが、周知の処理を適宜加えることができる。
符号化装置10は、動画像フレームを入力して、符号化されたビット列(ビットストリーム)を出力する。符号化装置10は、加算器(又は減算器)11、DCT(Discrete Cosine Transform:離散コサイン変換)部12、量子化部13、エントロピー符号化部14、逆量子化部15、逆DCT部16、加算器17、フレームメモリ18、動き推定部19、動き補償部21を備えている。このうち、逆量子化部15、逆DCT部16、加算器17、フレームメモリ18、動き推定部19、及び動き補償部21が、動画像の局部復号器として機能する。また、動き推定部19の内部には、本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置20がある。
加算器11は、符号化装置10に入力される動画像フレームがプラス(+)入力され、動き補償部21から入力される予測画像がマイナス(−)入力され、入力動画像フレームから予測画像の減算処理を行い、両画像の差分画像をDCT部12に出力する。なお、この加算器11は、減算器として設計することもできる。
DCT部12は、加算器11から入力された差分画像に対して、離散コサイン変換による変換処理を行い、その変換係数を量子化部13に出力する。なお、離散コサイン変換は変換処理の代表的方法であるが、他の変換方法(離散サイン変換(DST)や、カルーネン・レーベ変換(KLT)など)を行っても良い。
量子化部13は、DCT部12から出力された変換係数の量子化処理を行い、その結果(以下、DCT係数と呼ぶ)をエントロピー符号化部14及び局部復号器に出力する。
エントロピー符号化部14は、量子化部13から入力されたDCT係数(すなわち、画像の符号化データ)とともに、後述する動き推定部19から入力される動きベクトル等、画像の復号に必要なデータをエントロピー符号化(シンボル毎の出現確率に基づき異なる長さの符号語長を用いる符号化)をして、ビット列を作成し、その後、伝送路等への出力を行う。
逆量子化部15は、量子化部13から入力されたDCT係数を逆量子化して、画像復号のための変換係数を生成し、これを逆DCT部16へ出力する。
逆DCT部16は、逆量子化部15から入力された変換係数を基に、離散コサイン逆変換(DCT部で行われた処理と反対の逆変換処理)を行い、画像を生成する。その結果を加算器17に出力する。
加算器17は、逆DCT部16で逆変換されたデータ、すなわち、差分画像の復号処理されたデータと、後述の動き補償部21で処理された予測画像のデータとを加算し、その合成画像データをフレームメモリ18に出力する。
フレームメモリ18は、加算器17で生成された合成画像データを局所復号画像として蓄積する。なお、このブロック図においては、局所復号器内に通常設けられるループフィルタ等は省略しているが、周知の処理を適宜加えることができる。フレームメモリ18に蓄積された局所復号画像は、順次、動き推定部19及び動き補償部21に出力される。
動き推定部19は、入力された動画像フレーム(符号化対象フレーム)と、フレームメモリ18からの局所復号画像が入力され、画像の動きを推定し、推定された動きに関する情報を、動きベクトルとして出力する。動き推定部19は、その内部に後述する時間予測動きベクトル候補生成装置20を備えており、当該時間予測動きベクトル候補生成装置20から生成される時間予測動きベクトル候補と、図示しない空間予測動きベクトル候補生成装置から生成される空間予測動きベクトル候補とを基に、適切な動きベクトルを導出する。なお、時間予測動きベクトル候補の決定には処理済みの動きベクトルを参照するため、動き推定部19は、過去の動きベクトルを蓄えるメモリ(図示せず)を備えている。
なお、動きベクトルは、動き補償部21に出力されるとともに、送信先における復号に必要なデータであることから、例えば、時間又は空間予測動きベクトル候補のインデックスと差分ベクトルといった形(図2中では、これらのインデックスや差分ベクトルなどを動きベクトルとして総称)でエントロピー符号化部14にも出力され、DCT符号等とともにエントロピー符号化されて、ビット列として出力される。
動き補償部21は、フレームメモリ18からの局所復号画像(前フレームの復号画像)と、動き推定部19から入力された画像の動きベクトル情報に基づいて、動き補償(予測)処理を行い、符号化対象フレームの予測画像を生成して、加算器(又は減算器)11及び加算器17に出力する。つまり、逆量子化部15、逆DCT部16、加算器17、フレームメモリ18、及び動き推定部19とともに、動画像の局所復号器を構成する。
以上のように、本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置20を含む符号化装置10が構成され、符号化処理が行われる。
図3は、本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置20のブロック図である。時間予測動きベクトル候補生成装置20は、参照ブロック(Mvブロック)決定部31とスケーリング処理部32とからなり、この参照ブロック(Mvブロック)決定部31の動作が従来のものと異なっている。
時間予測動きベクトル候補生成装置20には、動画像フレーム(符号化対象フレーム、Colフレーム、さらにColフレームの参照フレーム等、処理に必要な一連の画像フレーム)が入力され、少なくとも、符号化対象フレームとColフレームが参照ブロック決定部31に入力される。
参照ブロック決定部31は、図1の原理で説明したとおり、符号化対象ブロックと異なる時間位置にあるフレーム(Colフレーム)に存在する当該符号化対象と同位置同サイズのColブロックを基準とし、Colブロックが持つ動きベクトルの方向に位置するブロックを、動きベクトルを参照(取得)するための参照ブロック(Mvブロック)として決定する。Colブロックに動きベクトルが無い、又はColブロックの動きベクトルゼロベクトルの場合、或いは、Colブロックの動きベクトルの方向に位置するブロックが、存在しない又は動きベクトルを持たない場合は、Colブロックを参照ブロックとすることが望ましい。なお、Colブロックを参照ブロックとする場合に、Colブロック全体を参照ブロックとして設定しても良いし、図11で説明したように、Colブロック内のセンター右下ブロック(C3)を参照ブロックとして設定しても良い。
スケーリング処理部32は、参照ブロック(Mvブロック)が持つ動きベクトルを候補ベクトルとして取得し、Colフレームと、参照ブロックが持つ動きベクトルが参照するフレームの参照画像間距離に基づいて、候補ベクトルをスケーリングし、時間予測動きベクトル候補を生成する。このスケーリング処理は、従来のHEVC方式等で行われる処理と、基本的に同等である。
このように、参照ブロックの決定と、参照ブロックが持つ動きベクトル(候補ベクトル)のスケーリング処理の結果、時間予測動きベクトル候補が生成される。
次に、本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置を復号装置で利用する場合について説明する。図4は、本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置20を用いた復号装置40の例を示すブロック図である。
復号装置40は、符号化された動画像のビット列(ビットストリーム)を入力して、復号動画像フレームを出力する。復号装置40は、エントロピー復号部41、逆量子化部42、逆DCT部43、加算器44、フレームメモリ45、動き復号部46、動き補償部47を備えている。そして、動き復号部46の内部には、本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置20がある。
エントロピー復号部41は、復号装置40に入力されるビットストリーム(符号化された動画像のビット列)を、エントロピー復号する。復号処理によって得られた画像データとしてのDCT係数を逆量子化部42に出力し、復号処理によって得られた動きベクトル(時間又は空間予測動きベクトル候補のインデックスと差分ベクトル等)を動き復号部46に出力する。
逆量子化部42は、エントロピー復号部41から入力されたDCT係数を逆量子化して、画像復号のための変換係数を生成し、これを逆DCT部43へ出力する。
逆DCT部43は、逆量子化部42から入力された変換係数を基に、離散コサイン逆変換(ただし、離散コサイン逆変換に限られず、符号化装置のDCT部で行われた処理と反対の逆変換処理)を行い、画像を生成する。その結果を加算器44に出力する。
加算器44は、逆DCT部43の逆変換処理で生成された画像(差分画像)データと、後述の動き補償部47で処理された予測画像のデータとを加算し、その合成画像データをフレームメモリ45に出力する。
フレームメモリ45は、加算器44で生成された合成画像データを蓄積するとともに、その合成画像を、復号動画像フレームとして出力する。なお、当該復号動画像フレームは、動き補償部47で利用する復号画像となり、また、復号装置40の出力となる。
動き復号部46は、符号化装置から送られたビット列をエントロピー復号部41で復号した動きベクトル(例えば、時間又は空間予測動きベクトル候補のインデックスと差分ベクトル)が入力される。動き復号部46内に、図3で説明した時間予測動きベクトル候補生成装置20を備えることにより、内部で時間予測動きベクトル候補を生成することができ、インデックスに基づいて時間又は空間予測動きベクトル候補を選択し、さらに差分ベクトル等を用いることにより、画像の各復号領域の動きベクトルを適切に生成することができる。生成された動きベクトルは、動き補償部47に出力される。なお、時間予測動きベクトル候補の決定には処理済みの動きベクトルを参照するため、動き復号部46は、過去の動きベクトルを蓄えるメモリ(図示せず)を備えている。
動き補償部47は、フレームメモリ45からの復号画像(前フレームの復号画像)と、動き復号部46から入力された画像の動きベクトル情報に基づいて、動き補償(予測)処理を行い、予測画像を生成して、加算器44に出力する。
以上のように、本発明の時間予測動きベクトル候補生成装置20を含む復号装置40が構成され、動画像の復号処理が行われる。
図5は、Colブロックが持つ動きベクトルに基づいて、参照ブロック(Mvブロック)を決定する場合の、実施例1の参照ブロックの配置を示す図である。
Colブロックが図5に示す中央のブロック200のとき、Colブロック200が持つ動きベクトル(v,v)の符号(+/0/−)により、次の表1によりMvブロックの位置を選択する。なお、表中に指定するMvブロックが使用できない場合(画面外、未符号化、動きベクトルを有していない場合等)は、Colブロック200をMvブロックとする。
Figure 2018148516
参照ブロック(Mvブロック)501〜508の位置は、図5に示すとおりであり、次のように定義される。
Mvブロック501は、Colブロック200の左上に隣接するブロック。
Mvブロック502は、Colブロック200の左に隣接し、Colブロックと下端を同じにするブロック。(Colブロック200の左に隣接し、その最下端の符号化最小単位を含むブロック。以下の説明においても、端部を同じにするは同趣旨。)
Mvブロック503は、Colブロック200の左下に隣接するブロック。
Mvブロック504は、Colブロック200の上に隣接し、Colブロックと右端を同じにするブロック。
Mvブロック505は、Colブロック200の下に隣接し、Colブロックと右端を同じにするブロック。
Mvブロック506は、Colブロック200の右上に隣接するブロック。
Mvブロック507は、Colブロック200の右に隣接し、Colブロックと下端を同じにするブロック。
Mvブロック508は、Colブロック200の右下に隣接するブロック。
なお、図5においては、参照するMvブロックのサイズが同じ大きさに記載されているが、各Mvブロックは、その位置(例えば、Mvブロック501であれば、Colブロック200の左上)にある符号化済みのブロックを意味するのであって、ブロックサイズは任意の大きさ(既に設定済みの大きさ)となる。他の実施例でも同様である。
図6は、Colブロックが持つ動きベクトルに基づいて、参照ブロック(Mvブロック)を決定する場合の、実施例2の参照ブロックの配置を示す図である。
Colブロックが図6に示す中央のブロック200のとき、Colブロック200が持つ動きベクトル(v,v)の符号(+/0/−)により、次の表2によりMvブロックの位置を選択する。なお、表中に指定するMvブロックが使用できない場合(画面外、未符号化、動きベクトルを有していない場合等)は、Colブロック200をMvブロックとする。
Figure 2018148516
参照ブロック(Mvブロック)601〜608の位置は、図6に示すとおりであり、次のように定義される。
Mvブロック601は、Colブロック200の左上に隣接するブロック。
Mvブロック602は、Colブロック200の左に隣接し、Colブロックの上下方向の中央に位置するブロック。(なお、Colブロックの辺の中央がブロックの境界になるときは、境界の上下のブロックのどちらか一方をMvブロックとして選択するよう、事前に設定しておけば良い。以下の中央の取り扱いも同様。)
Mvブロック603は、Colブロック200の左下に隣接するブロック。
Mvブロック604は、Colブロック200の上に隣接し、Colブロックの左右方向の中央に位置するブロック。
Mvブロック605は、Colブロック200の下に隣接し、Colブロックの左右方向の中央に位置するブロック。
Mvブロック606は、Colブロック200の右上に隣接するブロック。
Mvブロック607は、Colブロック200の右に隣接し、Colブロックの上下方向の中央に位置するブロック。
Mvブロック608は、Colブロック200の右下に隣接するブロック。
図7は、Colブロックが持つ動きベクトルに基づいて、参照ブロック(Mvブロック)を決定する場合の、実施例3の参照ブロックの配置を示す図である。
Colブロックが図7に示す中央のブロック200のとき、Colブロック200が持つ動きベクトル(v,v)の符号(+/0/−)により、次の表3によりMvブロックの位置を選択する。なお、表中に指定するMvブロックが使用できない場合(画面外、未符号化、動きベクトルを有していない場合等)は、Colブロック200をMvブロックとする。
Figure 2018148516
参照ブロック(Mvブロック)701〜708の位置は、図7に示すとおりであり、次のように定義される。
Mvブロック701は、Colブロック200の左上に隣接するブロック。
Mvブロック702は、Colブロック200の左に隣接し、Colブロックと上端を同じにするブロック。(Colブロック200の左に隣接し、その最上端の符号化最小単位を含むブロック。以下の説明においても、端部を同じにするは同趣旨。)
Mvブロック703は、Colブロック200の左下に隣接するブロック。
Mvブロック704は、Colブロック200の上に隣接し、Colブロックと左端を同じにするブロック。
Mvブロック705は、Colブロック200の下に隣接し、Colブロックと左端を同じにするブロック。
Mvブロック706は、Colブロック200の右上に隣接するブロック。
Mvブロック707は、Colブロック200の右に隣接し、Colブロックと上端を同じにするブロック。
Mvブロック708は、Colブロック200の右下に隣接するブロック。
図8は、Colブロックが持つ動きベクトルに基づいて、参照ブロック(Mvブロック)を決定する場合の、実施例4の参照ブロックの配置を示す図である。
Colブロック200の左上の点が持つ動きベクトルが指し示す点(動きベクトルの方向に動きベクトルの大きさだけ離れた画素)を包含するブロック801をMvブロックとする。なお、ベクトルが指し示す点を包含するブロックが、Mvブロックとして使用できない場合(画面外、未符号化、動きベクトルを有していない場合等)は、Colブロック200をMvブロックとする。
図9は、Colブロックが持つ動きベクトルに基づいて、参照ブロック(Mvブロック)を決定する場合の、実施例5の参照ブロックの配置を示す図である。
Colブロック200の中心点が持つ動きベクトルが指し示す点を包含するブロック802をMvブロックとする。なお、ベクトルが指し示す点を包含するブロックが、Mvブロックとして使用できない場合(画面外、未符号化、動きベクトルを有していない場合等)は、Colブロック200をMvブロックとする。
図10は、Colブロックが持つ動きベクトルに基づいて、参照ブロック(Mvブロック)を決定する場合の、実施例6の参照ブロックの配置を示す図である。
Colブロック200の右下の点が持つ動きベクトルが指し示す点を包含するブロック803をMvブロック803とする。なお、ベクトルが指し示す点を包含するブロックが、Mvブロックとして使用できない場合(画面外、未符号化、動きベクトルを有していない場合等)は、Colブロック200をMvブロックとする。
実施例4〜6については、Colブロック200の動きベクトルの大きさだけ離れたブロックを参照ブロックとするため、符号化対象ブロックがアンカバード領域である場合、移動物体が早い動きをしていたとしても、運動ベクトルに応じて移動物体の存在しない離れた領域のブロックを参照ブロックとして抽出することとなり、正しい時間予測動きベクトル候補が得られる可能性が高まる。
なお、上述した時間予測動きベクトル候補生成装置として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、時間予測動きベクトル候補生成装置の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータの中央演算処理装置(CPU)によってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
10 符号化装置
11 加算器
12 DCT部
13 量子化部
14 エントロピー符号化部
15 逆量子化部
16 逆DCT部
17 加算器
18 フレームメモリ
19 動き推定部
20 時間予測動きベクトル候補生成装置
21 動き補償部
31 参照ブロック決定部
32 スケーリング処理部
40 復号装置
41 エントロピー復号部
42 逆量子化部
43 逆DCT部
44 加算器
45 フレームメモリ
46 動き復号部
47 動き補償部
100〜105 符号化対象ブロック
200〜205 Colブロック
300〜305 参照ブロック
401,402 物体
403 動きベクトル
501〜508 参照ブロック
601〜608 参照ブロック
701〜708 参照ブロック
801〜803 参照ブロック

Claims (7)

  1. 符号化対象ブロックと異なる時間位置にあるColフレームに存在する前記符号化対象と同位置同サイズのColブロックを基準とし、前記Colブロックが持つ動きベクトルの方向に存在するブロックを、参照ブロックとして決定する参照ブロック決定部と、
    前記参照ブロックが持つ動きベクトルを候補ベクトルとして取得し、前記Colフレームと前記参照ブロックが持つ動きベクトルが参照するフレームの参照画像間距離に基づいて、前記候補ベクトルをスケーリングし、時間予測動きベクトル候補を生成する、スケーリング処理部と、
    を備えた、時間予測動きベクトル候補生成装置。
  2. 前記参照ブロックが前記Colブロックと隣接することを特徴とする、請求項1に記載の時間予測動きベクトル候補生成装置。
  3. 前記Colブロックから前記Colブロックが持つ動きベクトルの大きさだけ離れた画素を含むブロックを前記参照ブロックとすることを特徴とする、請求項1に記載の時間予測動きベクトル候補生成装置。
  4. 前記Colブロックの動きベクトルが無い又はゼロベクトルの場合、若しくは、前記Colブロックの動きベクトルの方向に位置するブロックが、存在しない又は動きベクトルを持たない場合は、前記Colブロックを参照ブロックとする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の時間予測動きベクトル候補生成装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の時間予測動きベクトル候補生成装置を含む動き推定部を備えた、符号化装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の時間予測動きベクトル候補生成装置を含む動き復号部を備えた、復号装置。
  7. コンピュータを、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の時間予測動きベクトル候補生成装置として機能させるためのプログラム。
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