JP2018140144A - 低温沸騰型嫌気性飲食物保温保存装置 - Google Patents

低温沸騰型嫌気性飲食物保温保存装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 空気中の酸素等との接触により風味、鮮度の劣化するコーヒー、茶に対して、反復飲用時の保温保存に対しては従来有効な手段は存在しない。他の嫌気性食品に対しては真空パックなどの方策が存在するが、減圧度に限度があるので効果も限定的である。【解決手段】 液状飲用物を減圧状態に置き、内包する水の飽和水蒸気圧以下にすることにより該飲用物を沸騰させ、発生する水蒸気で容器内の空気を駆逐し、該飲用物と空気との接触をほぼ完全に遮断し、気密性を保持して適温で保温保存する装置を構成する。該飲用物の間欠的な使用に対応してはその都度操作を繰り返せばよい。他の嫌気性食品に対しても、容器内に小量の水を同封し、同様の操作で減圧沸騰させ該食品を空気から遮断する。湿潤環境下に保持可能な食品であれば、気密容器内で保温保存し、運搬も可能になる。【選択図】図4

Description

本発明は、水もしくは水溶液を伴う飲食物の保温及び保存に関する。該飲食物は構成物質中の成分として水分子を含有するだけではなく、液相としての水もしくは水溶液を内包するものとする。適用の典型としては、コーヒー、紅茶、日本茶、中国茶、ココア、スープ、味噌汁等の嗜好品類もしくは液状副食類であるが、水もしくは水溶液に浸されるか十分な湿潤環境下の野菜、果物、魚介類などの生鮮食品や調理済み加工食品も対象となる。
飲食物の保存に関して、これを妨げる最も大きな要因の1つとして空気中の酸素による劣化が挙げられる。近年はこれに対処する方法として食品を密封容器、密封袋に入れ減圧、封入して保存する真空パックなどの方法が普及しており、家庭用及び業務用の種々の真空パック器が考案、市販されている。この真空パックによる保存効果は既に認められ周知のものであるが、市販されている家庭用機器の標準的な真空達成度は0.3atm(気圧)、外国製のものでも最大0.1atm程度であり、酸素成分が残留するので効果には限界がある。業務用にはより高い真空度に保たれる機器も存在し、更に真空状態を持続させて食品の含有水成分を飛ばして乾燥させたものはフリーズドライ製法として知られている。
一方、コーヒー、紅茶、緑茶などの嗜好飲料を供する習慣は日常生活に広く浸透しているが、該飲料を豆や茶葉などから抽出した後は、早々に飲用してしまわないと酸化により急速に味が劣化することが知られている。保温用のウォーマーなども市販されているが、抽出中の保温に用いるのが一般的で、長時間の保存には向かないことを各機器の仕様書に明記してあるものも多い。近年は飲み残しがないようにカップ1杯分程度の豆や茶葉を単位として抽出する機械も市販されている。
しかしながら、この種の嗜好飲料については、ポットやサーバーを傍らに気の向いたときに一口、二口飲むというライフスタイルをとる人が多く、比較的長時間風味をそのままに保存可能な状態で一定量を保ち、飲用を間欠的に繰り返す使用法が望まれるが、既存の機器でこの機能を十分に果たす保温保存容器や装置は存在しない。
缶、ビン入りのコーヒー飲料などでは不活性ガスである窒素を封入し酸素との接触を絶っているものがあり長期の保存を可能にしているが、開封後は一気に飲用してしまわないと風味が落ちる。一部のワインや液状調味料では可撓性のある容器に内容物を満たす状態で封栓し、使用に伴い内容物が減少した分だけ容器を変形させて容積を減少せしめ、常時容器が内容物のみで占められるようにして空気中酸素の容器内への進入を防いでいるものもある。ただし可撓性のある容器で保持できる飲食物や温度域は大きく限定される。
発明の解決しようとする課題
本発明は空気中の酸素との接触により風味、鮮度の劣化する嫌気性飲食物に対して、酸素の断絶をより強固なものとして、該飲食物の適温での保存を持続させる。更に操作の機能性を高めて反復可能なものとし、該飲食物の一部の使用、消費による内容量の変化に対応して、手早くかつ簡便に再度保温及び保存状態に戻すことを可能にする。
課題を解決するための手段
本発明は食品保存の王道である瓶詰め、缶詰の原理を転用する。該原理はフランスで革命期からナポレオン帝政期の時期に発明された画期的なもので、現在に至ってもなお広く用いられている。水もしくは水溶液を伴う食品を煮沸して、容器内の空気をすべて発生する水蒸気で追い出した後密封する。食品は空気に触れることなく何年間も保存可能である。
本発明はこの原理と同様、水もしくは水溶液を伴う飲食物を沸騰させ水蒸気を発生させることにより容器内の空気を駆逐し、飲食物の空気との接触を排除する。現在普及している真空パック器の単純に空気を抜き食品を減圧する方法よりも、より高い酸素との断絶状態が得られる。しかしながら、大気圧下の100℃の煮沸温度で飲食物を処理するわけではなく、減圧して水もしくは水溶液を沸騰させる。すなわち真空パック器と同様に容器内を減圧するが、併存する水もしくは水溶液を沸騰状態におくまで減圧する。100℃より低い温度域で保存対象飲食物を水蒸気雰囲気下に置き保温、保存することを特徴とする。
図1に本発明に係る最も基本的な装置の構成を示す。コーヒー、紅茶、日本茶、中国茶、ココア、スープ、味噌汁等の温かい状態で飲用することを常態とする飲用物の保温、保存を図るものである。カレー、シチュー、汁粉、牛乳、豆乳などの粘性の高い液状飲食物も沸騰させることのできる水分が存在すれば本装置の作用対象となる。飲用物は本装置の一部たる保存容器11内に置かれ、該容器は保存容器受台5の上に設置されている。保存容器11には逆止弁16と復圧弁30が設けられている。本発明に係る減圧保温保存装置1には真空ポンプ2及び保温用のヒーター10、更にこれらを制御する電気系制御部6が設けられている。
内容物たる保存対象飲食物13は液状飲用物を想定しているが、該飲用物を入れた状態で保存容器11を減圧保温保存装置1に設置、両者が外気に対する気密性を保持して連通すると、真空ポンプ2がモーター3により駆動されて抜気口9を通して保存容器11内の気体を抜気する。容器内の飲用物の飽和水蒸気圧以下になると飲用物の沸騰が開始され、発生した水蒸気により保存容器内から空気等の水蒸気以外の気体が除去される。保存容器内の空間がすべて水蒸気で満たされた頃合いで真空ポンプが停止し、内容物は制御された保温ヒーター10による保温保存状態に入る。該ヒーターは沸騰中の飲用物の気化に伴う温度降下を補い適温に戻す役割も担う。逆止弁16の働きにより真空ポンプが停止しても外気が保存容器内に混入することはない。
内容物を使用に供するときは、保存容器11を保存容器受台5より外し、復圧弁30を作動させて該容器内に空気を入れて内部の圧力と外気圧を等しくさせ、該容器を傾けて注ぎ口17より内容物をコップ等に注ぎだす。図1では注ぎ口17の注ぎ口上蓋18が上蓋回転軸19により蝶番のように開閉し、注ぎ出す時には内容物の圧により開き、内部が減圧されている保温保存時には内部より吸引されて閉じる構成が示されているが、手動で開閉する構造も可能である。市販のポットのように保存容器全体を据え置き式にしポンプで内容物を外部に押し出す設計も可能である。この際保存容器を真空2重壁のデュワー瓶とすることもできるが、この場合は外部からの加熱が不可能なので真空2重壁の内壁側にヒーターを設けるなどの措置を必要とする。
必要な量の内容物を供出した後、保存容器11が保存容器受台5に戻され、抜気口9と逆止弁16の設けられた箇所が気密性を保持した状態で結合、連通されると、再び真空ポンプの稼動が開始され、上述の動作が繰り返される。
図1では、保存容器11は減圧保温保存装置1から着脱可能な状態にあるが、接合部に弾力性のある素材を用いるなどして、容器を台より着脱可能にしている設計は周知のもので、市販のコーヒーメーカーなどに多く見られる。上述の逆止弁と復圧弁に代えて、逆止弁の位置に、真空ポンプ停止時や開始時に外気に対する気密性を保持したまま適宜手動で開閉できる弁があれば、逆止弁及び復圧弁と同一の機能を有する。
本装置の構成は真空ポンプ、保存容器、制御弁などすべて周知の部位の集合よりなるが、水もしくは水溶液を伴う保存対象飲食物を沸騰させ水蒸気雰囲気下に置き保温保存するという用途に資することを特徴とする。
保存容器11内の保存対象飲食物13を飲用物に代えて生鮮食品もしくは湿潤環境下を好む加工食品とし、同時に少量の水を入れたものにして同様の作用をすると、該食品の保存法として機能させることができる。すなわち併存する水を低圧で沸騰させて容器内の空気を追い出し、該食品を水蒸気雰囲気下に置き、酸素と断絶する。減圧の進行に伴い、食品の組織内の細胞などに含有される水分よりも、液相として容器内に並存する水が先に沸騰するので、食品の組織が含有水分の沸騰により破壊されることがない。保存容器11に逆止弁がついていると、減圧沸騰後に減圧保存保温装置1より外し、容器の気密性を保持した状態で、別の、使用や保存に適切な場所、温度環境下に移動させることもできる。
発明の効果
単に真空ポンプで減圧するだけでなく、水蒸気の発生により空気を排除することにより、内容物たる保存対象飲食物と酸素との断絶をより高い精度で達成することが可能となる。該飲食物を一度のみ保存状態に置くのではなく、間欠的に内容物の使用と再度保存状態に置くことを容易に繰り返すことができる。窒素等の不活性ガスで保存容器内の空気と置換することによっても同様の効果をうるが、これには窒素ガス等のガスボンベを具備しなければならず、装置が大掛かりになりコストがかさむことに加え、ボンベ交換などのメンテナンスに手数を要するが、本発明の装置は簡便、小型化の設計が可能である。
しかしながら、各種飲食物が空気や酸素との接触により味や鮮度を劣化させる度合いは飲食物の種類により異なり、また飲食する側の人の味覚についても個人差が存在するので、効果は相対的なものにとどまる。
発明を実施するための最良の状態
嗜好飲料の抽出、飲用の適正温度については、抽出は緑茶の玉露では50から60℃、煎茶では70から80℃、ほうじ茶、番茶、中国茶、紅茶では100℃の沸騰点を僅かに下回る程度、コーヒーで90℃程度といわれているが、保存温度は一般に抽出温度と同程度もしくはそれより低く飲用温度に準ずる。保存温度は移し変える際の容器による温度低下があるので、飲用温度よりやや高めが好ましい。コーヒーは喫茶店などでは約80℃で提供されているといわれている。
保存容器11の保温は保温ヒーター10及び電気系制御部6によって制御される。該保存容器からは、内容物の使用に伴いその都度減圧沸騰の操作により水蒸気が放出されるので、飲用物の濃度が高まる可能性があるが、一度の減圧により喪失する水分は、保存容器の内容積が1000ml(ミリリットル)で、内容物が半分程度保持されている場合、保存容器内部空間14の容積に対応させると、保持温度70℃、0.3atmで0.1g(グラム)程度であり、影響は無視できる程度である。ただし供出の頻度が多く煮詰まる可能性がある場合には途中で熱湯を補う等の対応が可能である。
後述の生鮮食品の保存に関しては、更に低い温度での沸騰が必要となり、真空ポンプにより高い性能が要求される。また減圧沸騰時の保持温度とその後の飲食物を保存、保管するときの温度が異なる場合もある。
図1に示す液状飲用物を保存対象とする基本構成に係る装置の場合も、アイスコーヒー、果物や野菜のジュース、それらの細粒も混入させたスムージィのような低温で沸騰、保温保存を要するものについては同様に高い真空ポンプの性能を要する。
図1に示す、保存容器11を伴い減圧装置及び加熱装置を具備した減圧保温保存装置1が本発明の基本形となるものである。本発明の要となる真空ポンプ2については、市販の真空パック器等に用いられているものが準用できる。一般的なロータリー真空ポンプは水蒸気がポンプの潤滑油と混じり性能に支障をきたす恐れがあるので、原則としてノンオイルの真空ポンプが望ましい。容量の大きなものとしては水封式などがあるが、簡便なものとしてはダイヤフラム式のものが知られている。国内で市販されている高性能の真空パック器では0.3気圧程度まで減圧可能である。外国製のものでは最高0.1気圧まで可能な真空パック器が存在する。本明細書では、圧力はゲージ圧ではなく絶対圧で表示し、単位にはatm(気圧)もしくはhPa(ヘクトパスカル)を用いる。
0.3気圧に相当する飽和水蒸気圧の湯の温度は約70℃である。コーヒー、茶では溶融物の存在により純水の場合より多少沸点が上昇するが温度域に大きな差異をもたらすほどではない。本出願人は市販の幾つかの真空パック器に用いられている真空ポンプについて、65℃から70℃で湯を沸騰させ、空気及び水蒸気を排気する能力があることを確認している。
内容物を一時取り出した後、再度保存状態に入るには真空ポンプによる抜気を要するが、十分な抜気を果たすまで多少の時間を要する。真空タンクを具備した真空ポンプを用いれば、保存容器内空間14を該真空タンクに導通することにより瞬時に抜気を果たすことができる。その後真空ポンプを駆動させて次の使用時までに該真空タンク内の空気及び水蒸気を排出させておけばよい。一部の真空ポンプでは駆動時の音が耳障りなものも存在する。機械的駆動部分を有さず下記文献1に記載されるような熱だけで駆動する真空ポンプも存在する。本明細書では、本発明の作用を達成することができる周知の真空ポンプが存在することを示すにとどまり、真空ポンプの種類、大きさを特定するものではない。
特許第1513106号
内容物の一部取り出しの後、再び減圧、沸騰させて保存状態にするが、真空ポンプ2の駆動は保存容器内と連通する圧力センサー4、もしくは保存容器内の空気が排除されるのに必要な沸騰状態を一定時間保持するタイマーによって制御される。簡易な圧力センサーとしてはブルドン管及びこの情報を電気信号に変換するひずみゲージが知られている。簡易なタイマー回路としては下記文献2に記載されるようなタイマーIC「NE555」を用いたものがある。保存容器11の保温保存状態が長時間に及ぶと遺漏による該容器内への空気の混入の恐れがあるが、一定時間の間隔で自動的に真空ポンプを駆動させるような制御もありうる。公称0.3気圧の市販の真空パック器では真空度がこの値を超えるとポンプが停止するように設定されているが、内容物の保存温度が60℃程度もしくはより低い温度では更に減圧するまでポンプを駆動させる必要がある。真空ポンプの駆動は手動で行ってもよく、制御機構の具備は本発明に係る装置の必須要件ではない。
特許第2740896号
図1の基本構造について更に詳述する。該装置の保存容器11は外気に対して減圧状態を保持する逆止弁16及び内容物供給時の外気までの復圧に供する復圧弁30を必要とする。これらには市販の真空パック器に付随する保存容器をはじめ各種の機器に用いられている種々の周知のものが存在するが、逆止弁の一例を図2に、復圧弁の一例を図3に示す。図2は円形の部位を側面からみた断面図を示し、開閉弁体24は図の上部に向けて開くように設計されている。逆止弁16を介して保存容器内部から該容器外部に向かう方向のみに気体の流れが生じ、逆向きには生じない。装置本体たる減圧保温保存装置1の真空ポンプ2と連通した排気口9が保存容器11に結合し、矢印方向に抜気が進行しているときは下図のように開き、排気口9が保存容器より外され保温保存状態にあるときには大気の外圧により上部より押されて上図のように閉じた状態となり、減圧されている保存容器内部の気密状態を保持する。
図3の復圧ボタン31は閉じ蓋32を介して復圧流入口34に対峙、結合しており、減圧を解除するときは下図に示すようにこれを矢印方向に指等で押し下げ、復圧流入口34を開く。保存容器が減圧状態にあるときにはボタン押上げバネ35及び該容器内部と外圧との圧力差により復圧ボタン31が押し上げられて復圧流入口34が閉じ、上図の状態となり保存容器内の気密が保たれる。
逆止弁と復圧弁のそれぞれの機能が一体となった部位が市販の真空パック器の保存容器に具備されている事例も存在する。本明細書において、逆止弁と復圧弁はそれぞれの機能を示すものであり特定の形状、大きさに限定されるものではない。
比較的高温で保持され、内容物の使用が繰り返されるため、保存容器11は剛直性を有する必要がある。該容器の主要な外形を構成する容器壁の部分には耐熱ガラス、陶器、金属、プラスチック等が素材として利用可能である。内部が減圧されるため外圧に耐える強度が要求される。コーヒー、紅茶の抽出器やサーバー等に利用される素材が準用できる。ガラス製のものが外観はよいが強度的な面からは金属性のものが安全性は高い。保存温度は100℃に至らず高々80℃程度なのでプラスチック素材の中にも利用可能なものが存在する。保存容器上蓋20、保存容器取っ手12などにも市販のサーバー等の素材が準用できる。
本発明に係る装置の基本構成は、減圧保温保存装置1と保存容器11を主要部分とするが、両者を一体として構成するものと、保存容器11を減圧保温保存装置1から分離可能にするものの2つの型式がある。後者の場合、分離後も保存容器11が気密性を保持したまま保存状態に置く、もしくは運搬、移動させることを可能にするには、該容器に逆止弁が、更に該容器を破壊することなく内容物を取り出すためには、該容器に復圧弁が具備されている必要がある。
図4にコーヒーメーカーなどで周知の滴下方式のコーヒー抽出装置を図1に示す本発明の基本形に組み込んだ例を示す。下部に給湯装置逆止弁42を伴った湯槽41には加熱ヒーター43が組み込まれており、加熱された熱湯が間欠的に導湯管44を経て上昇し、給湯口47よりコーン50内のコーヒー粉51に滴下される。抽出されたコーヒーは保存容器11に滴下されて溜まる。図では真空に引くための抜気導通アーム8が結合された状態を示しているが、該アームの根元部の抜気アーム根元15を回転式にして抽出時には保存容器11上部より外すことができるような設計にすれば、抽出されたコーヒーが保存容器内部に滴下される。コーン50内に茶葉を置けば、緑茶、紅茶、中国茶等にも準用できる。
図4の構成では、保存容器11に図1の構成で示す逆止弁16が具備されておらず、代わりに抜気導通アーム8に抜気制御弁48が設けられており、減圧沸騰後の保温保存時にはこれを閉じることによって保存容器11内の減圧気密性が保たれる設計になっている。抜気制御弁48は電磁弁または手動であるが、保存容器内部から抜気する方向にのみ気体の流通を許す逆止弁でもよい。この設計では内容物の使用時には復圧弁30を開いてから保存容器11を保存容器受台5より外す。飲用物の抽出後、減圧を開始する前に、保存容器上蓋20を図1の基本形のように逆止弁16を具備したものに手動で交換すると、保存容器11の気密性を保持したまま該容器を持ち運ぶことができる。
図5に水もしくは水溶液と併存させた生鮮食品等の保温保存装置の構成を示す。図1の構成と基本的には異なる点はないが、装置全体のスケールはより拡大されて、保存容器11は片手で持ち運ぶようなものではないことが想定され、保存容器取っ手12が省かれている。単独の機器ではなく冷蔵庫等の別の保温もしくは保冷装置内に組み込むような構成もありうる。
野菜、果物の保存に関しては、酸素以外にエチレンの発生が保存対象食品の劣化につながることが指摘されている。これに対して従来は真空パック等の方策が採られているが、本発明は水蒸気の発生により不要気体の排除をより効果的に推進する。ただし、水もしくは湿気の高い状態に食品を置くことになるので、乾燥状態での保存が望ましいものには適さない。水に浸された状態で保存される食品には効果がある。わらび、ぜんまいなどの山菜類は水浸状態で市販されている。蓮根などの野菜も酸素に触れると劣化することが知られている。保存対象となる食品に加えて少量の水55を保存容器11に同封し、水を減圧沸騰気化させることにより潤湿状態に置き保存する。上述の水浸状態で市販対象となるような食品に関しては水浸状態と同様の環境を創出、水量の軽減による軽量化が図られ、保存容器11が取り外し可能な場合には運搬のコスト軽減に寄与する。
魚介類は、放置すると空気中の酸素が食品の油成分に作用し、急速に味覚、鮮度を低下させることが料理関係者の間で知られているが、一方でDHCなどの栄養素も減少する。冷凍による細胞の破壊を避けて0℃に近い氷冷状態で保存されることが多い。本方法により酸素の排除が可能であるが、0℃近傍では平衡水蒸気圧が低く、併存する水もしくは水溶液を簡易な真空ポンプで沸騰させることは困難であるので、生鮮状態にある常温で沸騰させて空気を排除し、保存容器を他の状態に移して氷冷状態に保ち保存するのが効果的である。消費者家庭での保存に加えて、保存容器11内に併存する水55がほぼなくなる程度に抜気すると、重量が軽減できて産地から消費地までの輸送コストの軽減に寄与する。
常温もしくは0℃近傍で水を沸騰させるには真空ポンプに高性能を要する。常温20℃での水の平衡蒸気圧は約23hPa、0℃では約6hPaである。ロータリー式ポンプであれば容易に達成できる値であるが、潤滑油への水蒸気混入の問題がある。多少装置が大振りになるが、ロータリー式のものでも水がポンプ内に混入しない器具を伴った業務用真空パック器なども市販されている。フリーズドライなどに利用される真空ポンプシステムでは間にコールドトラップを設け排気中の水蒸気を該トラップで除去している。
真空ポンプによる減圧沸騰時と保存状態に置く温度が異なる場合には、減圧保温保存装置1の保温装置は沸騰中の食品内容物の温度が気化熱により著しく降温するのを防ぐ機能を有する。制御されたヒーターもしくは周囲との十分な熱交換を図った設計がこの機能を担う。保存容器11が取り外し可能で、運搬前の処理として装置を利用する場合、図1及び図4に記載した装置のように繰り返し内容物を使用するわけではないので、保存容器11は保存期間達成後に破壊して内容物を取り出すような使用法も可能である。
100℃で煮沸する瓶詰めや缶詰と異なり、雑菌の排除までは至らず長期の保存には限度がある。数日か長くても数週間程度の保存を想定している。
生鮮食品以外に、白米を含む弁当、おにぎりのような加工品であっても湿潤環境に置くことが好ましい飲食物は本装置の保存対象となる。
図6に食堂などで利用される大型の業務用減圧保温保存装置の例を示す。図1や図4の構成に類するコーヒー、茶等の液状飲用物の保温保存に係る装置である。十分大型の装置では真空ポンプとしてより強力な水封式ポンプが利用でき、高い減圧や早い抜気の達成が可能となる。減圧装置60が機器内部に組み込まれていなくても、外部に設置された減圧システムの配管と結合可能な構成もありうる。装置に真空ポンプなどの減圧機器本体が設置されていなくても、減圧機能があれば、減圧装置を具備しているとみなせる。
飲料物抽出器67で製造されたコーヒー等の飲用物は押出し加圧装置68もしくは機械的落下によりにより保温装置を具備した保存槽61に移されここで滞留される。コーヒー、茶の大型器における抽出方法については周知の方法が多数ありここでは詳述しない。別の装置で製造された飲用物を大容量の容器に移して手動で運搬し保存槽61に注ぎ入れてもよい。保存槽61が図1及び図4の保存容器11に相当する。内容物たる飲用物は該下部の注ぎ口弁62の操作により必要に応じて排出され、飲用カップ70に受け取られて飲用に供される。排出時は保存槽61上部の復圧制御弁64を開き、落下により排出される。排出後は図1の容器と同じく復圧制御弁64を閉じ、抜気制御弁48を開放して減圧装置60と連通させ保存槽61内を減圧、沸騰させて空気を排除し、保存状態に置く。多人数で使用する食堂等に設置した場合操作の頻度が高くなることが予想させるので、適宜水蒸気発生装置66と連通する水蒸気制御弁65を開放して水蒸気を保存槽61内に供給、沸騰による飲用物の濃度の上昇を防ぐ。風味、味覚に影響に与えない純水を適宜供給してもよい。復圧制御弁64の開放による飲用物の落下に代えて、水蒸気圧の制御による飲用物の押し出しによりカップ70に飲用物を排出する構成も可能である。
嫌気性飲食物のより性能の高い保温保存方法を提示することにより、家庭生活における利便性を高める装置を提供すると共に、業務用の多量消費に寄与する装置も提示、更に生鮮食料の保存に関して輸送手段に関する利便性、コスト軽減の経済性に寄与する。
本発明に係る減圧保温保存装置の基本構成を表す縦断面図。 本発明に係る減圧保温保存装置の一部位である逆止弁の一実施例を示す縦断面図。 本発明に係る減圧保温保存装置の一部位である復圧弁の一実施例を示す縦断面図。 本発明に係る一実施例で液状飲用物の抽出装置を組み込んだ場合の減圧保温保存装置の縦断面図。 本発明に係る一実施例で生鮮食品を保存対象飲食物とする場合の装置の基本構成を示す縦断面図。 本発明に係る一実施例で業務用大型の減圧保温保存装置の構成を示す図。
1‥‥‥減圧保温保存装置。2‥‥‥真空ポンプ。3‥‥‥真空ポンプ駆動モーター。4‥‥‥圧力センサー。5‥‥‥保存容器受台。6‥‥‥電気系制御部。7‥‥‥抜気導通管。8‥‥‥抜気導通アーム。9‥‥‥抜気口。10‥‥‥保温ヒーター。11‥‥保存容器。12‥‥保存容器取っ手。13‥‥保存対象飲食物。14‥‥保存容器内部空間。15‥‥抜気アーム付け根。16‥‥逆止弁。17‥‥注ぎ口。18‥‥注ぎ口上蓋。19‥‥上蓋回転軸。20‥‥保存容器上蓋。21‥‥抜気口管璧。22‥‥抜気方向。23‥‥Oリング。24‥‥開閉弁体。25‥‥保存容器排気口。26‥‥開閉弁座。30‥‥復圧弁。31‥‥復圧ボタン。32‥‥閉じ蓋。33‥‥シール材。34‥‥復圧流入口。35‥‥ボタン押上げバネ。36‥‥ボタン復圧時作動方向。40‥‥抽出用給湯装置。41‥‥湯槽。42‥‥給湯装置逆止弁。43‥‥加熱ヒーター。44‥‥導湯管。45‥‥保持アーム付け根。46‥‥保持アーム。47‥‥給湯口。48‥‥抜気制御弁。50‥‥コーン。51‥‥コーヒー粉もしくは茶葉。52‥‥濾紙もしくはフィルター。55‥‥水。56‥‥保存容器上蓋シール材。57‥‥保存対象食品。60‥‥減圧及び電気系制御装置。61‥‥保存槽。62‥‥注ぎ口弁。63‥‥保存対象飲用物。64‥‥復圧制御弁。65‥‥水蒸気制御弁。66‥‥水蒸気発生装置。67‥‥飲用物抽出器。68‥‥押出し加圧装置。69‥‥飲用物導通管。70‥‥飲用カップ。

Claims (4)

  1. 液相としての水もしくは水溶液を内包する保存対象飲食物を100℃より低温かつ減圧下で内部に保持することのできる保存容器を伴い、該容器の内部に連通し空気及び水蒸気を排気して該容器の内容物を沸騰せしめるに足る性能を有する真空装置、及び該容器を適温で保温可能な加熱装置を具備し、該内容物を沸騰させ水蒸気雰囲気下において作用させることを特徴とする保温保存装置。
  2. 「請求項1」に係る装置に他機能を有する装置を組み込むか、もしくは他機能を有する装置に「請求項1」に係る装置を組み込んで一体としたる装置。
  3. 液相としての水もしくは水溶液を内包する保存対象飲食物を100℃より低温かつ減圧下で内部に保持することのできる保存容器を、該容器の内部に連通し空気及び水蒸気を排気して該容器の内容物を沸騰せしめるに足る性能を有する真空装置、及び該容器を適温で保温可能な加熱装置を具備した装置より、減圧気密状態を維持したまま分離可能な「請求項1」に係る保温保存装置。
  4. 減圧気密状態を維持したまま分離可能な、液相としての水もしくは水溶液を内包する保存対象飲食物を100℃より低温かつ減圧下で内部に保持することのできる保存容器の内部に連通し、該容器より空気及び水蒸気を排気して該容器の内容物を沸騰せしめるに足る性能を有する真空装置、及び少なくとも減圧沸騰時に該容器を適温で保温するに足る装置を具備し、該内容物を沸騰させ水蒸気雰囲気下において作用させることを特徴とする減圧保温装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020048700A (ja) * 2018-09-25 2020-04-02 株式会社Tree Field 飲料製造装置及び飲料製造方法

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