JP2018134038A - Pd−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者選択のためのバイオマーカー - Google Patents

Pd−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者選択のためのバイオマーカー Download PDF

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隆雄 吉田
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俊也 追崎
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正博 初道
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Abstract

【課題】 本発明の課題のひとつは、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーを提供することである。【解決手段】 本発明の一実施形態において、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーとして、HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を提供する。また、本発明の一実施形態において、HLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子を有することに基づいて、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択する方法を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、一実施形態において、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーに関する。
PD−1(Programmed cell death 1)は、活性化したリンパ球および骨髄細胞に発現するCD28ファミリーに属する受容体であり、免疫チェックポイント分子の一つである。PD−1は、抗原提示細胞等に発現するPD−1リガンド(PD−L1およびPD−L2)と結合し、リンパ球の抑制性シグナルを伝達してリンパ球の活性化状態を負に調節する。また、PD−1リガンドは、抗原提示細胞以外にも複数の腫瘍組織に発現しており、癌細胞がPD−1/PD−1リガンド経路をT細胞からの攻撃を回避するための機構の一つとして利用していることが知られている。近年癌治療剤として上記PD−1/PD−1リガンド経路を阻害する薬剤(PD−1経路阻害薬)の開発が注目されており、更にその治療効果に関わるバイオマーカーの探索が世界中で行われている。
癌治療において、抗PD−1抗体が有効性を示す患者を選択するバイオマーカーとして腫瘍中PD−L1発現が報告されているが、有効性には腫瘍中PD−L1の発現が必須の条件ではないことも知られている(非特許文献1)。したがって、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためには、その他の、また複数のバイオマーカーが求められている。
HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)は、遺伝子の第6染色体短腕部に存在する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の産物である。赤血球を除くほぼ全ての細胞と体液に分布し、自己と非自己の識別に関与する重要な免疫機構として働いている。HLAは、A座、C座、B座、DR座、DQ座、DP座など多くの抗原の組み合わせで構成される。
インターナショナル・イミュノロジー(International Immunology)19巻、10号、1223―1234ページ、2007年
本発明の課題のひとつは、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーを提供することである。
本発明の一実施形態は、
[1] PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーとしてのHLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子の使用、
[2] PD−1経路阻害薬が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体または抗PD−L2抗体である、[1]に記載の使用、
[3] HLA−B*07対立遺伝子がHLA−B*07:02である、[1]または[2]に記載の使用、
[4] HLA−DRB1*01対立遺伝子がHLA−DRB1*01:01である、[1]から[3]いずれかに記載の使用、
[5] 癌が悪性黒色腫である、[1]から[4]いずれかに記載の使用、
[6] 患者から採取した生体試料を用いてHLA遺伝子型の判定を行い、HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有することに基づいて、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択する方法、
[7] PD−1経路阻害薬が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体または抗PD−L2抗体である、[6]に記載の方法、
[8] HLA−B*07対立遺伝子がHLA−B*07:02である、[6]または[7]に記載の方法、
[9] HLA−DRB1*01対立遺伝子がHLA−DRB1*01:01である、[6]から[8]いずれかに記載の方法、
[10] 癌が悪性黒色腫である、[6]から[9]いずれかに記載の方法、
[11] HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有すると判定された癌患者を対象とした、PD−1経路阻害薬を含む癌治療剤、
[12] PD−1経路阻害薬が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体または抗PD−L2抗体である、[11]に記載の癌治療剤、
[13] HLA−B*07対立遺伝子がHLA−B*07:02である、[11]または[12]に記載の癌治療剤、
[14] HLA−DRB1*01対立遺伝子がHLA−DRB1*01:01である、[11]から[13]いずれかに記載の癌治療剤、
[15] 癌が悪性黒色腫である、[11]から[14]いずれか一項に記載の癌治療剤、
[16] PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するための、HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子の検出キット、
[17] PD−1経路阻害薬が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体または抗PD−L2抗体である、[16]に記載のキット、
[18] HLA−B*07対立遺伝子がHLA−B*07:02である、[16]または[17]に記載のキット、
[19] HLA−DRB1*01対立遺伝子がHLA−DRB1*01:01である、[16]から[18]いずれかに記載のキット、
[20] 癌が悪性黒色腫である、[16]から[19]いずれかに記載のキット、
[21] HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を含む、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効な患者を選択するためのバイオマーカー、
[22] PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーである、HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子、
[23] HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有すると判定された癌患者に治療上の有効量のPD−1経路阻害薬を投与することを特徴とする、癌を治療する方法、
[24] HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有する患者を選択し、当該癌患者に治療上の有効量のPD−1経路阻害薬を投与することを特徴とする、癌を治療する方法、
[25] HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有すると判定された癌患者にPD−1経路阻害薬を投与することを特徴とする、PD−1経路阻害薬を含む癌治療剤、
[26] HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有すると判定された癌患者を治療するためのPD−1経路阻害薬、および
[27] PD−1経路阻害薬の治療方法を選択するためのバイオマーカーとしてのHLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子の使用等である。
本発明は、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者選択のためのバイオマーカーとしてHLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を提供する。HLA遺伝子型は被験者の血液サンプルから測定することも可能なため、HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子は非侵襲的なバイオマーカーになりうる。
図1は、ONO−4538−02試験におけるHLA−B*07:02、HLA−DRB1*01:01アレル保持と腫瘍径和の最大変化率の関連性を示す。 図2は、ONO−4538−02試験におけるHLA−B*07:02、HLA−DRB1*01:01アレル保持者と非保持者の全生存率の比較結果を示す。図中(B)において、at risk数は、各時点まで生存し、かつ打切りにならずに到達した症例数を、HLA陽性はHLA−B*07:02およびHLA−DRB1*01:01陽性を、HLA陰性はHLA−B*07:02およびHLA−DRB1*01:01陰性を各々表わす。 図3は、ONO−4538−08試験におけるHLA−B*07:02、HLA−DRB1*01:01アレル保持と腫瘍径和の最大変化率の関連性を示す。 図4は、ONO−4538−08試験におけるHLA−B*07:02、HLA−DRB1*01:01アレル保持者と非保持者の全生存率の比較結果を示す。図中(B)において、at risk数は、各時点まで生存し、かつ打切りにならずに到達した症例数を、HLA陽性はHLA−B*07:02およびHLA−DRB1*01:01陽性を、HLA陰性はHLA−B*07:02およびHLA−DRB1*01:01陰性を各々表わす。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書においてPD−1経路阻害薬は、PD−1/PD−1リガンド経路を阻害する薬剤である。PD−1経路阻害薬としてはPD−1/PD−1リガンド経路を阻害する薬剤であれば特に限定されないが、例えば、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗PD−L2抗体(例えば、rHIgM12B7)、PD−1阻害薬(例えば、AUNP−12)、PD−L1融合タンパク質、PD−L2融合タンパク質(例えば、AMP−224)である。
PD−1経路阻害薬の一実施形態は、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗PD−L2抗体であり、好ましくは抗PD−1抗体である。
抗体は機能的な抗体断片であってもよく、そのような抗体断片としてはFab、Fab′、F(ab′)、Fv、scFv、dsFv等が挙げられる。
抗PD−1抗体の一実施形態は、例えば、ニボルマブ(オプジーボ(登録商標))、REGN−2810、ペンブロリズマブ(キイトルーダ(登録商標))、PDR−001、BGB−A317、AMP−514(MEDI0680)、BCD−100、IBI−308、JS−001、PF−06801591、TSR−042である。上記の抗体の重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体も抗PD−1抗体の一実施形態であり、例えば、ニボルマブの重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体、ペンブロリズマブの重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体が挙げられる。抗PD−1抗体の一実施形態は、ニボルマブの重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体であり、好ましくは、ニボルマブ(オプジーボ(登録商標))である。
抗PD−L1抗体の一実施形態としては、例えば、Atezolizumab(RG7446、MPDL3280A)、Avelumab(PF−06834635、MSB0010718C)、Durvalumab(MEDI4736)、BMS−936559、CA−170、LY−3300054、FAZ053である。上記の抗体の重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDRs)または可変領域(VR)を含む抗体も抗PD−L1抗体の一実施形態である。
HLA(ヒト白血球抗原)は、遺伝子の第6染色体短腕部に存在する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の産物である。
HLA−B*07対立遺伝子(アレル(allele))は、HLA−B*07対立遺伝子群における対立遺伝子である。HLA−B*07対立遺伝子群は、HLA−B7血清学的抗原をコードする又は高い配列相同性を共有する種々の対立遺伝子からなるHLA−B*07遺伝子座の対立遺伝子群を指す。
HLA−B*07対立遺伝子は、特に限定されないが、例えば、HLA−B*07:02、HLA−B*07:03、HLA−B*07:04等IPD−IMGT/HLAデータベースに登録されているものが挙げられる。また、それらの配列も、同データベース(http://www.ebi.ac.uk/ipd/imgt/hla/allele.html)を介して入手できる。好ましい一実施形態は、HLA−B*07:02である。当然ながら、*の後4桁の表示で示される対立遺伝子には、4桁以上で表されるものも含まれる。例えば、HLA−B*07:02:01(アクセッション番号:HLA00132)もHLA−B*07:02の一実施形態である。
HLA−DRB1*01対立遺伝子は、HLA−DRB1*01対立遺伝子群における対立遺伝子である。HLA−DRB1*01対立遺伝子群は、HLA−DRB1血清学的抗原をコードする又は高い配列相同性を共有する種々の対立遺伝子からなるHLA−DRB1*01遺伝子座の対立遺伝子群を指す。
HLA−DRB1*01対立遺伝子は、特に限定されないが、例えば、DRB1*01:01、DRB1*01:02等IPD−IMGT/HLAデータベースに登録されているものが挙げられる。また、それらの配列も、同データベース(http://www.ebi.ac.uk/ipd/imgt/hla/allele.html)を介して入手できる。好ましい一実施形態は、HLA−DRB1*01:01である。当然ながら、*の後4桁の表示で示される対立遺伝子には、4桁以上で表されるものも含まれる。例えば、HLA−DRB1*01:01:01(アクセッション番号:HLA00664)もHLA−DRB1*01:01の一実施形態である。
本発明は、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者選択のためのバイオマーカーとしてHLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子を提供する。一実施形態において、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーはHLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子である。一実施形態において、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子である。一実施形態において、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーはHLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子およびHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子である。
PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーである、HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子としては、核酸産物(例えば、DNA、RNA、cDNA等)及びポリペプチド産物(例えば、発現タンパク質)等が挙げられる。
本発明において癌は、すべての悪性腫瘍を意味する。本発明において癌は、例えば、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病)、悪性リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、成人T細胞白血病、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫))、中枢神経系原発悪性リンパ腫、精巣原発リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖症候群、頭頸部癌、鼻咽頭癌、食道癌、胃食道接合部癌、食道腺癌、胃癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、小腸癌、肛門癌(例えば、肛門管癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、胆嚢癌、胆管癌、胆道癌、膵臓癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(例えば、扁平上皮非小細胞肺癌、非扁平上皮非小細胞肺癌)、小細胞肺癌)、乳癌、卵巣癌(例えば、漿液性卵巣癌、卵巣明細胞腺癌)、卵管癌、子宮癌(例えば、子宮頚癌、子宮体癌、子宮内膜癌)、膣癌、外陰部癌、陰茎癌、腎癌(例えば、腎細胞癌、淡明細胞型腎細胞癌)、副腎癌、尿路上皮癌(例えば、膀胱癌、上部尿路癌、尿管癌、腎盂癌および尿道癌)、前立腺癌、精巣腫瘍(例えば、胚細胞腫瘍)、骨・軟部肉腫(例えば、ユーイング肉腫、小児横紋筋肉腫および子宮体部平滑筋肉腫)、皮膚癌(例えば、ブドウ膜悪性黒色腫、悪性黒色腫(例えば、皮膚、口腔粘膜上皮または眼窩内などにおける悪性黒色腫)、メルケル細胞癌)、神経膠腫(例えば、神経膠芽腫、神経膠肉腫)、脳腫瘍(例えば、膠芽腫)、脊椎腫瘍、カポジ肉腫、扁平上皮癌、胸膜中皮腫、原発性腹膜癌、内分泌系癌、小児癌および原発不明癌である。本発明の癌の好ましい一実施形態は、悪性黒色腫である。
本発明において、治療は、無増悪生存期間(PFS)延長、全生存期間(OS)の延長、無病生存(DFS)の延長、無進行期間(TTP)の延長、無イベント生存(EFS)の延長、無再発生存(RFS)の延長、腫瘍サイズの低下、腫瘍の成長の抑制(遅延または停止)、腫瘍の転移の抑制(遅延または停止)、再発の抑制(防止または遅延)、および癌と関連する一つ又は複数の症状の緩和のうち少なくとも1つを生じさせることを意味する。
本発明において、癌治療に有効性を示す患者は、一実施形態において、無増悪生存期間(PFS)延長、全生存期間(OS)の延長、無病生存(DFS)の延長、無進行期間(TTP)の延長、無イベント生存(EFS)の延長、無再発生存(RFS)の延長、腫瘍サイズの低下、腫瘍の成長の抑制(遅延または停止)、腫瘍の転移の抑制(遅延または停止)、再発の抑制(防止または遅延)、および癌と関連する一つ又は複数の症状の緩和のうち少なくとも1つが見込まれる患者である。
また、本発明の一実施形態は、PD−1経路阻害薬の使用方法を選択するためのバイオマーカーとしてのHLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子の使用である。PD−1経路阻害薬の使用方法としては、例えばPD−1経路阻害薬単剤での使用、PD−1経路阻害薬どうしの併用およびその他の抗癌剤との併用等が挙げられる。その他の抗癌剤としては、例えば、アルキル化薬、白金製剤、代謝阻害薬(例えば、葉酸代謝阻害薬、ピリジン代謝阻害薬、プリン代謝阻害薬、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害薬、ヌクレオチドアナログ)、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管重合阻害薬、微小管脱重合阻害薬、抗腫瘍性抗生物質、サイトカイン製剤、抗ホルモン薬、分子標的薬および腫瘍免疫治療薬等が挙げられる。また本発明において、併用は、同じまたは異なる剤形における2種以上の化合物の同時投与、あるいは2種以上の化合物の別々の投与(例えば、逐次的投与)を含む。
ここで、アルキル化薬としては、例えば、ダカルバジン、ニムスチン、テモゾロミド、フォテムスチン、シクロホスファミドおよびイホスファミドなどが挙げられる。白金製剤としては、例えば、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンなどが挙げられる。葉酸代謝阻害薬としては、例えば、ペメトレキセド、ロイコボリンおよびメトトレキサートなどが挙げられる。ピリジン代謝阻害薬としては、例えば、TS−1(登録商標)、5−フルオロウラシル、UFT、カルモフール、ドキシフルリジンおよびカペシタビンなどが挙げられる。ヌクレオチドアナログとしては、例えば、ゲムシタビンなどが挙げられる。トポイソメラーゼ阻害薬としては、例えば、イリノテカンおよびエトポシドなどが挙げられる。微小管重合阻害薬としては、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビンなどが挙げられる。微小管脱重合阻害薬としては、例えば、ドセタキセルおよびパクリタキセルなどが挙げられる。抗腫瘍性抗生物質としては、例えば、ブレオマイシン、マイトマイシンCおよびエピルビシンなどが挙げられる。サイトカイン製剤としては、例えば、IFN−α2a、IFN−α2b、ペグIFN−α2b、天然型IFN−βおよびインターロイキン−2などが挙げられる。抗ホルモン薬としては、例えば、タモキシフェン、フルベストラント、ゴセレリン、リュープロレリン、アナストロゾール、レトロゾールおよびエキセメスタンなどが挙げられる。分子標的薬としては、例えば、イマチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、クリゾチニブ、テムシロリムス、エベロリムス、アキシチニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、セツキシマブ、リツキシマブ、イブルチニブ、オファツムマブおよびパニツムマブなどが挙げられる。
本明細書において「腫瘍免疫治療」とは、がんに対する免疫反応を増強すること、すなわち、がん免疫増強によって、がんの増殖を抑制、がんを縮小ないし消滅させる治療法であり、「腫瘍免疫治療薬」とは、その免疫反応を増強する作用を有する薬剤を意味する。それらの治療薬としては、例えば、抗CTLA−4抗体(例えば、Ipilimumab(YERVOY(登録商標)およびTremelimumab)、抗LAG−3抗体(例えば、BMS−986016、LAG525、REGN−3767、IMP321)、抗Tim3抗体(例えば、TSR022、MBG453)、抗KIR抗体(例えば、Lirilumab)、抗CSF−1R抗体(例えば、cabiralizumab(FPA008)、LY3022855)、抗BTLA抗体、抗TIGIT抗体(例えば、BMS−986207)、CSF−1R阻害薬(例えば、Pexidartinib、BLZ945)、抗VISTA抗体、抗CD137抗体(例えば、Urelumab、Utomilumab)、抗OX40抗体(例えば、MOXR0916、PF−04518600、MEDI0562、GSK3174998、MEDI6469)、抗HVEM抗体、抗CD27抗体(例えば、Varlilumab)、抗CD30抗体(例えば、ダラツムマブ)、抗GITR抗体(例えば、BMS9−86156、GWM323、MK−4166、TRX−518)、抗CD28抗体、抗CD73抗体(例えば、MEDI9447、BMS−986179)、抗CXCR4抗体(例えば、Ulocuplumab)、CXCR4阻害薬(例えば、X4P−001、LY2510924)、IDO阻害薬(例えば、Epacadostat、GDC0919、indoximod、BMS986205、PF−06840003)、抗CCR4抗体(例えば、Mogamulizumab)、抗CD4抗体(例えば、MTRX−1011A、TRX−1、Ibalizumab、huB−F5、Zanolimumab、4162W94、Clenoliximab、Keliximab、AD−519、PRO−542、Cedelizumab、TNX−355、Dacetuzumab、Tregalizumab、Priliximab、MDX−CD4、CAMPATH−9、IT1208)、抗CD40抗体(例えば、CP−870893、RO7009789)、TLRアゴニスト、IL15スーパーアゴニスト(例えば、ALT−803)、ICOSアゴニスト抗体(例えば、JTX−2011−101)、A2A阻害薬(例えば、CPI−444、PBF−509)、CD122−biased アゴニスト(例えば、NKTR−214)、リコンビナントIL−21(例えば、BMS−982470)、抗ホスファチジルセリン抗体(例えば、bavituximab)、リコンビナントGM−CSF(例えば、サルグラモスチム)、IAP阻害薬(例えば、LCL161)およびSTINGアゴニスト(例えば、MIW815)などが挙げられる。なお、本明細書における腫瘍免疫治療薬は、本発明に係るPD−1経路阻害薬を含まない。
HLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子の有無によって、PD−1経路阻害薬の使用方法としてPD−1経路阻害薬単剤での使用、PD−1経路阻害薬どうしの併用またはPD−1経路阻害薬とその他の癌治療との併用等が選択されうる。
本発明の一実施形態において、HLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子を上記記載のバイオマーカーとして使用する際、その他のバイオマーカー(例えば、PD−L1)と組み合わせて使用してもよい。
本発明は、HLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子を有することに基づいて、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択する方法を提供する。一実施形態において、癌患者がHLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子を有することに基づいて、PD−1経路阻害薬が有効な癌患者を選択する。一実施形態において、癌患者がHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子を有することに基づいて、PD−1経路阻害薬が有効な癌患者を選択する。一実施形態において、癌患者がHLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子およびHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子を有することに基づいて、PD−1経路阻害薬が有効な癌患者を選択する。
患者がHLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有するかどうかは、患者から採取した生体試料を当技術分野において公知な方法でHLA対立遺伝子を同定すること(HLA型同定)で判定可能である。
生体試料は、患者からの試料であれば特に限定されないが、例えば血液、血液由来産物(バフィーコート、血清及び血漿)、リンパ、尿、涙液、唾液、毛球細胞、脳脊髄液、頬スワブ、糞便、滑液、滑膜細胞、痰又は組織試料を含む。好ましい一実施形態は血液または血液由来産物である。
HLA型同定は当技術分野で公知である。HLA型同定のそのような方法は、例えば、配列特異的オリゴヌクレオチド(SSO)ハイブリダイゼーション、配列特異的プライマー(SSP)型同定法、配列に基づく型同定法(SBT)を含むがこれらに限定されない。
また、患者がHLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有するかどうかは、HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子のポリペプチド産物を分析することによっても判断することができる。HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子のポリペプチド産物(血清学的抗原等)の検出は、免疫細胞化学染色、ELISA、フローサイトメトリー、ウエスタンブロット、分光光度法、HPLC及び質量分析を含むが、これらに限定されない当技術分野で公知の方法を用いて実施することができる。
また、患者がHLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有するかどうかの判定には、上記方法を複数組み合わせて使用してもよい。
本発明は、HLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子を有すると判定された癌患者に対して、治療上の有効量のPD−1経路阻害薬を投与することを特徴とする、癌治療方法を提供する。一実施形態は、HLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子を有すると判定された癌患者に対して、治療上の有効量のPD−1経路阻害薬を投与することを特徴とする癌治療方法である。一実施形態は、HLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子を有すると判定された癌患者に対して、治療上の有効量のPD−1経路阻害薬を投与することを特徴とする癌治療方法である。一実施形態は、HLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子およびHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子を有すると判定された癌患者に対して、治療上の有効量のPD−1経路阻害薬を投与することを特徴とする癌治療方法である。
PD−1経路阻害薬の治療上の有効量は、患者の体重、年齢、性別、症状などの種々の条件に応じて適宜決定することができる。
本発明は、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するための、HLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子の検出キットを提供する。一実施形態は、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するための、HLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子の検出キットである。一実施形態は、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するための、HLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子の検出キットである。一実施形態は、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するための、HLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子およびHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子の検出キットである。例えば、キットは、生体試料中のHLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子の核酸産物及び/又はそれらの対立遺伝子のポリペプチド産物の存在を検出する能力のあるプローブ(例えば、オリゴヌクレオチド、抗体、標識化合物又は他の物質)を含み得る。また、それらの対立遺伝子の等価遺伝子マーカーの存在(又は非存在)を検出する能力のあるプローブも含み得る。キットで検出されたHLA−B*07(好ましくは、HLA−B*07:02)対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01(好ましくはHLA−DRB1*01:01)対立遺伝子の存在は、患者がPD−1経路阻害薬による治療に有効性を示す(より高い効果を示す)可能性が高いことを示す。
また、本発明のキットには、必要により上記以外の物が含まれていてもよい。そのような物としては、例えば、ポジティブコントロールやネガティブコントロール、本発明のキットを使用した上記遺伝子の検出方法を記載し、患者がPD−1経路阻害薬によるに有効性を示す可能性の判定(予測)を行うことに関する指示書などが挙げられる。
本キットは、患者がPD−1経路阻害薬による治療を受ける前、治療中、または中断中のいずれの時期に使用されてもよい。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
試験例
ニボルマブ投与の第二相臨床試験「悪性黒色腫に対する多施設共同非盲検非対照試験(治験実施計画書番号:ONO−4538−02)」において、以下の手順で血液を採取し、各症例のHLA型を同定した。
35症例について、2mL用のEDTA採血管に2mLの血液を採取し、充分に転倒混和した後、全血のまま冷蔵保存した。
全血試料は治験実施施設より株式会社LSIメディエンスに送付し、LSIメディエンスにてPCR−SBT法によるHLA遺伝子型判定を行い、各症例のHLA−A、HLA−B、HLA−DR型を決定した。
各症例について、治験開始前に胸部、腹部、骨盤におけるCT/MRI撮影を行い、長径10mm以上の病変から各症例5つまでの標的病変を定めた。治験開始後42日毎にCT/MRI撮影により標的病変の腫瘍径の和を求め、開始前の腫瘍径の和からの変化率を求めた。開始後の撮影時のうち、腫瘍径和が最も小さくなった時の変化率(負値が腫瘍縮小を示す)を腫瘍径和の最大変化率と定めた。
治験に組入れられた35例のうち、HLA型の情報を入手した34例を対象としてHLA型の探索を行った。なお、34例のうち、治験開始後に1回以上の腫瘍径和の評価を実施できた症例は33例であったため、腫瘍縮小に関連するHLA型の探索はこの33例を対象として実施した。
その結果、1本以上のHLA−B*07:02アレルを保持する5症例について、全例が腫瘍縮小を示した。33症例を腫瘍径和が最も縮小した症例から順に並べると、同アレルを有する症例は図1に示すように1位、2位、3位、7位、10位となり、ウィルコクソン順位和検定の結果、同アレルはp=0.0019で腫瘍縮小と関連することが判明した。また、1本以上のHLA−DRB1*01:01アレルを保持する症例も、上記の5症例と一致することから、HLA−DRB1*01:01アレルを保持する症例についても、腫瘍縮小及び有効性について上記と同様の有意差を示した。さらに、HLA−B*07:02及びHLA−DRB1*01:01アレルを保持する5症例と、その他の29症例の生存曲線を比較した結果、図2、表1の通り、上記アレルを保持する症例の方において生存期間が長い傾向を示した。
続いて行われたニボルマブ投与の第二相臨床試験「進行期悪性黒色腫に対する多施設共同非盲検非対照試験(治験実施計画書番号:ONO−4538−08)」においても、同様の手順にて血液を採取し、HLA遺伝子型判定及び有効性判定を行った。
その結果、同試験においては2症例が1本以上のHLA−B*07:02を保持していた。また、HLA−DRB1*01:01についても、同じ2症例が保持していた。23症例を腫瘍径和が最も縮小した症例から順に並べると、上記アレルを有する症例は、図3に示す通り1位、2位となり、ウィルコクソン順位和検定の結果、p=0.0219の有意差を示した。また、生存曲線についても、図4、表2に示す通り、HLA−B*07:02及びHLA−DRB1*01:01を保持する2例は初回投与後600日以上経過時点で生存しており、差のある傾向を示した。
Figure 2018134038
Figure 2018134038
本発明は、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーとして有用である。

Claims (20)

  1. PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するためのバイオマーカーとしてのHLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子の使用。
  2. PD−1経路阻害薬が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体または抗PD−L2抗体である、請求項1に記載の使用。
  3. HLA−B*07対立遺伝子がHLA−B*07:02である、請求項1または請求項2に記載の使用。
  4. HLA−DRB1*01対立遺伝子がHLA−DRB1*01:01である、請求項1から請求項3いずれか一項に記載の使用。
  5. 癌が悪性黒色腫である、請求項1から請求項4いずれか一項に記載の使用。
  6. 患者から採取した生体試料を用いてHLA遺伝子型の判定を行い、HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有することに基づいて、PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択する方法。
  7. PD−1経路阻害薬が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体または抗PD−L2抗体である、請求項6に記載の方法。
  8. HLA−B*07対立遺伝子がHLA−B*07:02である、請求項6または請求項7に記載の方法。
  9. HLA−DRB1*01対立遺伝子がHLA−DRB1*01:01である、請求項6から請求項8いずれか一項に記載の方法。
  10. 癌が悪性黒色腫である、請求項6から請求項9いずれか一項に記載の方法。
  11. HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子を有すると判定された癌患者を対象とした、PD−1経路阻害薬を含む癌治療剤。
  12. PD−1経路阻害薬が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体または抗PD−L2抗体である、請求項11に記載の癌治療剤。
  13. HLA−B*07対立遺伝子がHLA−B*07:02である、請求項11または請求項12に記載の癌治療剤。
  14. HLA−DRB1*01対立遺伝子がHLA−DRB1*01:01である、請求項11から請求項13いずれか一項に記載の癌治療剤。
  15. 癌が悪性黒色腫である、請求項11から請求項14いずれか一項に記載の癌治療剤。
  16. PD−1経路阻害薬による癌治療に有効性を示す患者を選択するための、HLA−B*07対立遺伝子および/またはHLA−DRB1*01対立遺伝子の検出キット。
  17. PD−1経路阻害薬が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体または抗PD−L2抗体である、請求項16に記載のキット。
  18. HLA−B*07対立遺伝子がHLA−B*07:02である、請求項16または請求項17に記載のキット。
  19. HLA−DRB1*01対立遺伝子がHLA−DRB1*01:01である、請求項16から請求項18いずれか一項に記載のキット。
  20. 癌が悪性黒色腫である、請求項16から請求項19いずれか一項に記載のキット。
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