JP2018132280A - ボイラ及びその運転方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、ガスタービン停止時にウォーミングヒータによってケーシングの内部を加熱し、伝熱管に結露が生じて錆が発生することを抑制することが開示されている。
特許文献2には、ボイラ停缶時に補助ボイラから低圧蒸発器の降水管へ保管用蒸気が供給され、低圧蒸発器の温度が硫酸結露による低温腐食を防止するのに必要な温度以上に保持されることが記載されている。
上記特許文献2に記載されたボイラは、補助ボイラから低圧蒸発器の降水管へ保管用蒸気を供給してボイラの内部温度を保持するので、補助ボイラを設置する必要がある。また、内部の流れが自然対流によるものだけであるために必要な温度へと効率的にボイラ内部を加熱できないという問題がある。
以上のように、各上記特許文献に記載されたボイラは、ボイラ長期停缶中の結露による腐食を効率的に抑制できるものとは言えない。
すなわち、本発明にかかるボイラは、運転中に高温のガスがボイラ内の本体部軸方向に沿った第1方向へ流通する際に、内部に被加熱媒体が流通し長手方向が前記第1方向と直交するよう配設された複数の伝熱管と、該伝熱管の外部を流れるように温風を供給する温風供給部と、前記伝熱管の外表面に結露が生じる温度よりも高い所定範囲内の温度の温風が供給されるように前記温風供給部を制御する制御部とを備える。
温風としては、伝熱管の外表面の温度は結露が生じる温度より低くならないように維持できる所定範囲内の温度へ加熱された空気が用いられる。温度が高い空気を供給することで、伝熱管表面付近での相対湿度を低くして結露を生じないようにすることが出来る。
ボイラとしては、例えば排熱回収ボイラ(HRSG)が挙げられる。
図1には、本発明の第1実施形態が示されている。
また、HRSG1の排ガス流れの上流側には、図示しない燃焼器で燃焼された燃焼ガスが導かれる図示しないガスタービンが設けられている。ガスタービンには、図示しない発電機が接続されている。
温風機3は、図示しない制御部によって制御されるファン及びヒータを備えている。ヒータとしては、例えば電気ヒータが用いられる。
温風機3へ温風を戻す戻し側ジャバラ管4bは、ミルにて乾燥に用いられたガスが戻されるミル乾燥用戻りダクト7のHRSG1付近に接続されている。ミル乾燥用戻りダクト7には、戻し側ジャバラ管4bとの接続位置よりもミル側に流路を開閉するためのダンパ7aが設けられている。ミル乾燥用戻りダクト7は、HRSG1の本体部20に対して接続されており、伝熱管群11よりも排ガス流れの下流側に接続されている。供給側ジャバラ管4aと戻し側ジャバラ管4bとの接続位置は、ミル乾燥用高温ダクト5とミル乾燥用戻りダクト7に限定されるものではなく、伝熱管群11に対して排ガス流れの上流側と下流側に各々接続されるものであればよい。
ガスタービンで仕事を終えた高温の排ガスが、排ガス入口ダクト21へ導かれる。排ガス入口ダクト21から流入した排ガスは本体部20の下方から流れ込み、脱硝装置14を通過した後に伝熱管群11を鉛直方向下方から上方に通過する。伝熱管群11を構成する各伝熱管の周囲を高温の排ガスが流れることにより、伝熱管の内部を流れる流体(水や蒸気など)が排ガスと熱交換して加熱される。こうして排ガスの保有する熱量が効率良く回収されて有効に利用される。
伝熱管群11を通過した排ガスは、上方へと向かい、排ガス出口ダクト22を通り煙突23から外部へと排出される。
硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)は、脱硝触媒の還元剤として排ガス中に噴霧されるアンモニア(NH3)のうち還元脱硝反応に使用されずに回収が出来なかったものと、排ガス中のSOxとの化学反応(NH3+H2SO4)によって発生する。硫酸水素アンモニウムは排ガス中の濃度にもよるが、約100℃〜250℃で析出が発生し易い。
そこで、本実施形態では、停缶時に以下のような運用を行う。
ガスタービン及びHRSG1等のプラントが停止すると、HRSG1の冷却が行われる(ステップS1)。
そして、温風供給部2の仮設が行われる(ステップS2)。具体的には、温風機3をジャバラ管4a,4bを用いて、ミル乾燥用高温ダクト5とミル乾燥用戻りダクト7との間に接続する。
次に、各ダンパ5a,6a,7a,23aを閉として、本体部20内と温風機3との間で温風を循環させる(ステップS3)。温風は、吹込管15から伝熱管群11へ向けて流される。
HRSG1内の各場所の点検やメンテナンスを行う時は一時的に温風循環を停止させる(ステップS4)。点検やメンテナンスが終了すると、プラントを起動する直前まで温風循環を再開する。
ステップS5にて温風機3やジャバラ管4a,4bの撤去を行う。
ステップS5にて温風供給部2の撤去が終了した後に、各ダンパ5a,6a,7a,23aを開として、ガスタービン及びHRSG1等のプラントを起動する(ステップS6)。
炉内温度T3で運転されていたHRSG1が時刻t1で停缶する。
その後、時刻t1からt2の期間では、モータ等によりガスタービンを空回り(GTスピン)させ、HRSG1に送風して温度T2まで冷却を促進する。
時刻t2からt3までの期間では、自然冷却を行い、例えば作業者がHRSG1内部で作業ができる環境となる室温程度の温度T0まで下げる。
そして、温度T0にての時刻t3から時刻t4までの間で、温風供給部2の仮設を行う(ステップS2)。その後、ステップS3及びステップS4のように時刻t4から温風機3のファンおよびヒータの制御を開始し、伝熱管群11周囲のHRSG1内温度は目標温度T1より低くならない温度が維持される。目標温度T1は、伝熱管群11の伝熱管の外表面に結露が生じる温度である。温風機3から供給される温風は、目標温度T1よりも高い所定範囲内(例えば、T1より数℃高い温度から10数℃高い温度までの範囲内)の温度に設定されている。ここで、上述の所定範囲は、温風機3から供給される温風をこの温度範囲の温風を供給することで、伝熱管の外表面の温度は結露が生じる温度より低くならないように維持が可能なような温度の範囲である。この温度の温風を供給することで、伝熱管表面付近での空気の相対湿度を低くして結露を生じないようにすることが出来る。
結露が生じる温度を把握することが難しい場合には、伝熱管群11の伝熱管の外表面に結露が生じない目安の温度として、例えばHRSG1内が相対湿度100%の時でも伝熱管表面付近で相対湿度が30%〜50%以下になり結露が観測されないような温度を設定して、この目安の温度を伝熱管の外表面に結露が生じる温度と見做しても良い。このとき、温風機3のファンおよびヒータは、断続的なオンオフ制御もしくは連続的な出力制御がされており、消費電力が可及的に少なくなるように制御される。
なお、温風機3から供給される温風温度の所定範囲は、下限値は伝熱管群11の伝熱管の外表面温度に分布があっても結露の発生をさせない温度であり、また上限値は外気温度の低下を見込んで、ヒータ電力の消費量を過剰にならないよう低減しつつ温風が循環する全領域で結露を発生させない温度として設定される。
温風供給部2によって伝熱管群11の伝熱管の外部を流れるように温風を供給し、伝熱管群11の伝熱管の外表面に結露が生じる温度よりも高い所定範囲内の温度となるように温風の温度を制御することにより、伝熱管の温度が低下して結露が生じることを回避することができ、ボイラ1の長期停缶中に結露を原因とする伝熱管の腐食や錆の発生を防止できる。
2 温風供給部
3 温風機
4a 供給側ジャバラ管
4b 戻り側ジャバラ管
5 ミル乾燥用高温ダクト
5a ダンパ
6 ミル乾燥用低温ダクト
6a ダンパ
7 ミル乾燥用戻りダクト
7a ダンパ
11 伝熱管群
12 多孔板(支持板)
13 支持ビーム
14 脱硝装置
15 吹込管
16 供給ヘッダ
17 分岐管
18 吊具
19 養生シート
20 本体部
21 排ガス入口ダクト
22 排ガス出口ダクト
23 煙突
23a 煙突用ダンパ
Claims (9)
- 運転中に高温のガスがボイラ内の本体部軸方向に沿った第1方向へ流通する際に、内部に被加熱媒体が流通し長手方向が前記第1方向と直交するよう配設された複数の伝熱管と、
該複数の伝熱管の外部を前記第1方向へ流れるように温風を供給する温風供給部と、
前記伝熱管の外表面に結露が生じる温度よりも高い所定範囲内の温度の温風が供給されるように前記温風供給部を制御する制御部と、
を備えたボイラ。 - 前記温風供給部は、ファンとヒータとを備え、
前記制御部は、前記ファン及び前記ヒータを制御する請求項1に記載のボイラ。 - 前記伝熱管が挿通され該伝熱管の長手方向と直交する面方向に広がった状態で該伝熱管を支持する支持板を、前記第1方向に延在して複数並列に備えている請求項1または2に記載のボイラ。
- 前記温風供給部が動作する際に前記伝熱管を含む空間へ温風を流入する第一ダクトと、
該第一ダクトに設けられ、前記空間を閉鎖するダンパと、
を備えている請求項1から3のいずれか一項に記載のボイラ。 - 前記温風供給部が動作する際に前記伝熱管を含む空間から前記伝熱管を通過した後の温風を排出する第二ダクトと、
該第二ダクトに設けられ、前記空間を閉鎖するダンパと、
を備えている請求項1から4のいずれか一項に記載のボイラ。 - 前記伝熱管の前記第1方向の上流側に脱硝装置が設けられ、
前記伝熱管と前記脱硝装置との間から温風を吹き込む吹込管を備えている請求項1から5のいずれか一項に記載のボイラ。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載のボイラと、
該ボイラにて生成された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、
該蒸気タービンによって駆動される発電機と、
を備えた発電設備。 - 内部に被加熱媒体が流通する伝熱管を備えたボイラの運転方法であって、
長期停缶中に、前記伝熱管の外表面に結露が生じる温度よりも高い所定範囲内の温度の温風を前記伝熱管の外部に供給するボイラの運転方法。 - 前記伝熱管の前記第1方向の上流側に設けられた脱硝装置の前記第1方向の下流側に養生シートを設置する請求項8に記載のボイラの運転方法。
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