JP2018131776A - ベイナイトレールのシェリング予防システム及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベイナイトレールのシェリングを予防するために行う削正箇所を短時間で容易に、かつ、正確に選定することができるようにする。【解決手段】白色層が形成されたベイナイトレールに発生する微小亀裂と通過トン数との関係を格納するシェリングデータベースと、シェリングの発生を予防するために削正の対象となるベイナイトレールの箇所を選定する削正箇所選定部とを備え、該削正箇所選定部は、前記シェリングデータベースから取得したデータに基づき、ベイナイトレールにおいてシェリングが未発生であって、かつ、シェリングの発生の可能性が高い箇所を前記削正の対象として選定する。【選択図】図1

Description

本開示は、ベイナイトレールのシェリング予防システム及び方法に関するものである。
従来、鉄道の線路では、車輪との転がり接触によってもたらされる接触熱により、レールの頭頂面に白色層と呼ばれる硬化層が形成されることがある。白色層は硬くて脆く、その周辺に微小亀裂が発生し、該微小亀裂がシェリングへ成長し、該シェリングは、レールの破断を引き起こす可能性があることが知られている。そこで、レールの削正を適切に行うことができるように、白色層の厚さを推定する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、近年では、ベイナイトレールが広く採用されている。該ベイナイトレールは、普通のレールよりも摩耗を促進させることによって、レールの頭頂面に形成される金属疲労層を自己除去し、もって疲労層起因シェリングの発生を抑制するために開発されたレールである。
中村、名村、松田、辻江、森、「レール白色層の組織分析およびその削正について」、鉄道技術連合シンポジウム講演論文集、第14巻、pp.73−76、2007年12月18日
しかしながら、前記従来の技術では、ベイナイトレールの白色層の厚さを推定することができず、一部のベイナイトレールにおいて、白色層起因と考えられるシェリングの発生が確認されているにも拘わらず、ベイナイトレールの削正を適切に行うことができなかった。ベイナイトレールは普通のレールよりも高価であるので、普通のレールと同様の基準で削正を行うと、ベイナイトレールを採用したことによる経済的効果が減少してしまう。
ここでは、前記従来の技術の問題点を解決して、ベイナイトレールのシェリングを予防するために行う削正箇所を短時間で容易に、かつ、正確に選定することができるベイナイトレールのシェリング予防システム及び方法を提供することを目的とする。
そのために、ベイナイトレールのシェリング予防システムにおいては、白色層が形成されたベイナイトレールに発生する微小亀裂と通過トン数との関係を格納するシェリングデータベースと、シェリングの発生を予防するために削正の対象となるベイナイトレールの箇所を選定する削正箇所選定部とを備え、該削正箇所選定部は、前記シェリングデータベースから取得したデータに基づき、ベイナイトレールにおいてシェリングが未発生であって、かつ、シェリングの発生の可能性が高い箇所を前記削正の対象として選定する。
他のベイナイトレールのシェリング予防システムにおいては、さらに、前記削正箇所選定部は、累積通過トン数が閾値以下であって前記累積通過トン数に年間通過トン数を加算した値が前記閾値を超える箇所を前記削正の対象として選定する。
更に他のベイナイトレールのシェリング予防システムにおいては、さらに、前記関係は、車輪・レール高速接触疲労試験装置を使用し、レーザ光を照射することによって頭頂面に白色層を形成したレール試験輪の転動疲労試験を行った後に計測された前記レール試験輪の切断面に発生した微小亀裂の深さと、前記転動疲労試験の試験時間とから取得された関係である。
更に他のベイナイトレールのシェリング予防システムにおいては、さらに、ベイナイトレールに白色層が形成される可能性が高い箇所に関するデータを格納する優先度データベースを更に備え、前記削正箇所選定部は、前記優先度データベースから取得したデータに基づき、前記削正の対象として選定した箇所に優先度を付与する。
ベイナイトレールのシェリング予防方法においては、白色層が形成されたベイナイトレールに発生する微小亀裂と通過トン数との関係を取得する工程と、前記関係に基づき、ベイナイトレールにおいてシェリングが未発生であって、かつ、シェリングの発生の可能性が高い箇所をシェリングの発生を予防するために削正の対象として選定する工程と、を含む。
他のベイナイトレールのシェリング予防方法においては、さらに、累積通過トン数が閾値以下であって前記累積通過トン数に年間通過トン数を加算した値が前記閾値を超える箇所を前記削正の対象として選定する。
更に他のベイナイトレールのシェリング予防方法においては、さらに、前記関係は、車輪・レール高速接触疲労試験装置を使用し、レーザ光を照射することによって頭頂面に白色層を形成したレール試験輪の転動疲労試験を行った後に計測された前記レール試験輪の切断面に発生した微小亀裂の深さと、前記転動疲労試験の試験時間とから取得された関係である。
更に他のベイナイトレールのシェリング予防方法においては、さらに、ベイナイトレールに白色層が形成される可能性が高い箇所に関するデータに基づき、前記削正の対象として選定した箇所に優先度を付与する工程を更に含む。
本開示によれば、ベイナイトレールのシェリングを予防するために行う削正箇所を短時間で容易に、かつ、正確に選定することができる。
本実施の形態における微小亀裂の発生及び進展に関する実験結果を示す概念図である。 本実施の形態におけるベイナイトレールのシェリング予防システムの機能構成を示すブロック図である。 本実施の形態におけるベイナイトレールの頭頂面の硬さの実測値の分布を示す図である。 本実施の形態におけるベイナイトレールの頭頂面の硬さ測定に使用された測定器の外観を示す写真である。 本実施の形態におけるベイナイトレールに形成された白色層の厚さと頭頂面の硬さとの対応関係を示す図である。 本実施の形態におけるベイナイトレールの頭頂面の硬さに基づいて推定された白色層の厚さの分布を示す図である。 本実施の形態における車輪・レール高速接触疲労試験装置を使用して行われた実験を示す写真である。 本実施の形態におけるシェリング予防システムの削正箇所を選定する動作を示すフローチャートである。
以下、本実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本実施の形態における微小亀裂の発生及び進展に関する実験結果を示す概念図、図2は本実施の形態におけるベイナイトレールのシェリング予防システムの機能構成を示すブロック図である。
図2において、10は、本実施の形態におけるシェリング予防システムであって、ベイナイトレールのシェリング予防方法を実行してベイナイトレールのシェリングを予防するために行う削正箇所を選定するために使用される一種のコンピュータシステムである。なお、前記シェリング予防システム10は、CPU、MPU等の演算装置、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶装置、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置、CRT、液晶ディスプレイ等の表示装置、通信インターフェイス等を備えるコンピュータ内に構築されたコンピュータシステムである。そして、前記コンピュータは、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、タブレットコンピュータ等であるが、記憶装置にインストールされたアプリケーションソフトウェア等のプログラムに従って動作するコンピュータであればいかなる種類のものであってもよく、また、単独のコンピュータであってもよいし、複数台のコンピュータをネットワークで通信可能に接続したコンピュータ群であってもよい。
前記シェリング予防システム10は、機能の観点から、中央ユニット11と、該中央ユニット11に通信可能に接続されたデータベースであるレール台帳データベース21、削正車運用スケジュールデータベース22、通過トン数データベース23及びシェリング台帳データベース24とを備える。なお、前記データベースの各々は、通常、各地の鉄道事業者が管理するデータセンタ等の場所であって、前記中央ユニット11が配設されている場所と異なる場所に配設されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、前記中央ユニット11が配設されている場所と同じ場所に配設されていてもよい。また、前記中央ユニット11は、削正箇所選定部12と、実験結果データベース13と、優先度データベース14とを含んでいる。
前記レール台帳データベース21は、路線番号、レール番号、左右、キロ程(起点)、キロ程(終点)、レール材質、製作年、敷設年月等の各地の各レール区間に敷設されたレールの各種データを含むデータベースである。
前記削正車運用スケジュールデータベース22は、各地の鉄道事業者が管理するレール削正車の運行乃至運用スケジュールに関するデータを含むデータベースである。
前記通過トン数データベース23は、各地の各レール区間を通過する全車両の総重量であって、機関車、貨車、客車、電車、貨物や旅客のすべての重量が合計された総重量である通過トン数に関するデータを含むデータベースである。図1に示されるように、ベイナイトレールにおいては、通過トン数が増加するにつれて、微小亀裂が発生し、かつ、進展するので、通過トン数に関するデータは、シェリングを予防するために重要である。
前記シェリング台帳データベース24は、例えば、軌道台帳等に記録されている各地の各レール区間において発生したシェリングに関するデータを含むデータベースであってシェリングデータベースのうちの1つである。
前記実験結果データベース13は、車輪・レール高速接触疲労試験装置を使用して行われた実験であって、白色層を形成したレール試験輪に微小亀裂を発生させる実験の結果を含むデータベースであってシェリングデータベースのうちの1つである。前記実験においては、白色層を付加したレール試験輪の転動疲労試験を行った後に、前記レール試験輪の切断面を顕微鏡で観察し、微小亀裂の深さが測定された。その結果、図1に示されるように、ベイナイトレールにおいては、通過トン数が増加するにつれて、微小亀裂が発生し、かつ、進展することが明らかになった。
前記優先度データベース14は、各地の各レール区間において削正箇所としての優先度が高い箇所に関するデータを含むデータベースである。例えば、駅構内、勾配区間等は、ベイナイトレールにも白色層が発生しやすく、そのため、白色層に起因するシェリングが発生しやすいと考えられるので、削正箇所として高い優先度が与えられる。
前記削正箇所選定部12は、前記データベースの各々から取得した各種のデータに基づいて、レール削正車による削正作業の対象となる箇所、すなわち、削正箇所を選定する。選定された削正箇所は、シェリング予防システム10が備える表示装置に表示されたり、シェリング予防システム10に接続された図示されないプリンタ等によって印刷されたりすることにより、出力される。
次に、前記構成のシェリング予防システム10の動作について説明する。まず、前記実験結果データベース13に含まれる実験の結果を得るためにレール試験輪に形成する白色層の厚さと頭頂面の硬さとの関係について説明する。
図3は本実施の形態におけるベイナイトレールの頭頂面の硬さの実測値の分布を示す図、図4は本実施の形態におけるベイナイトレールの頭頂面の硬さ測定に使用された測定器の外観を示す写真、図5は本実施の形態におけるベイナイトレールに形成された白色層の厚さと頭頂面の硬さとの対応関係を示す図、図6は本実施の形態におけるベイナイトレールの頭頂面の硬さに基づいて推定された白色層の厚さの分布を示す図である。
本実施の形態においては、主として白色層に起因するシェリングを予防するために必要なベイナイトレールの頭頂面に発生した白色層の厚さの推定を行うための準備として、まず、年間通過トン数が約2700万トンであって、貨物列車も走行する在来線のレール区間で現地調査が行われ、すべての調査箇所において、敷設されたベイナイトレールの頭頂面の硬さ測定が実施された。図3には、敷設されたベイナイトレールの頭頂面の硬さの測定結果が示されている。図3において、縦軸は測定件数を示し、横軸は硬さ〔HV0.3〕を示している。ここで、〔HV0.3〕は、試験力0.3〔kg〕、すなわち、押し込み荷重が3〔N〕で測定したビッカース硬さを意味する。ビッカース硬さの数値が大きいことは、加工硬化及び白色層の影響が大きいことを意味すると考えられる。ちなみに、新品のベイナイトレールの頭頂面の硬さは、275〔HV0.3〕である。
なお、ベイナイトレールの頭頂面の硬さは、UCI(Ultrasonic Contact Impedance:超音波接触インピーダンス)法硬さ測定器を使用して測定された。具体的には、前記UCI法硬さ測定器は、GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ社が販売する押し込み荷重が3〔N〕のポータブルタイプのビッカース硬さ計であって、図4に示されるようにして使用された。また、硬さの測定は、各測定箇所において、白色層の発生状況に応じて、5点程度で行われた。
図3に示されるように、測定された硬さは、300〜450〔HV0.3〕に多く分布している。また、少数ではあるが、700〔HV0.3〕以上の硬さも含まれ、全体として幅広く分布している。新品のベイナイトレールの頭頂面の硬さは、275〔HV0.3〕であるから、いずれの測定箇所においても、加工硬化及び白色層の発生によって、このような高い値が測定されたと考えられる。
次に、ベイナイトレールの頭頂面に任意の厚さの白色層を形成し、形成された白色層の厚さとベイナイトレールの頭頂面の硬さとの関係を導出する方法について説明する。
本実施の形態においては、ベイナイトレールの頭頂面に形成される白色層の厚さとベイナイトレールの頭頂面の硬さとの関係を導出するための準備として、ベイナイトレールの頭頂面にレーザ光を照射することによって、その頭頂面に種々の厚さの白色層を形成した。具体的には、ベイナイトレールから切り出した試験片に、YAGレーザ装置からのレーザ光を3〔m/min〕の速度で移動させて照射するとともに、光源であるレーザ装置の出力を何段階かに変化させて照射した。
レーザ光の照射によって形成される白色層の厚さは、光源であるレーザ装置の出力の変化に対応して、概ねリニアに変化する。したがって、レーザ装置の出力を変化させることによって、所望の厚さの白色層を形成することができる。
そして、ベイナイトレールの切断面における深さ方向に分布する各部の硬さ測定が実施された。具体的には、ベイナイトレールから切り出した試験片に、前述のようにしてレーザ光を照射することによって、その頭頂面に白色層を形成した後、当該試験片を切断し、切断面における白色層を含む各部の硬さを測定した。この場合、前記試験片に形成された白色層の厚さ(頭頂面からの深さ)は、160〔μm〕であった。
レーザ装置の出力を変化させることによって種々の厚さの白色層が形成されたベイナイトレールの頭頂面の硬さを測定した結果を、白色層の厚さに対応付けて整理することにより、図5に示されるようなベイナイトレールに形成された白色層の厚さと頭頂面の硬さとの対応関係を得ることができた。図5において、縦軸は硬さ〔HV0.3〕を示し、横軸は白色層の厚さ〔μm〕を示している。
図5に示されるように、白色層の厚さが10〔μm〕以下の範囲では、母材の影響を強く受け、頭頂面の硬さは、母材の硬さ(約300〔HV0.3〕)に近い値となっている。また、白色層の厚さが10〔μm〕を超え、40〔μm〕以下の範囲では、頭頂面の硬さは、白色層の厚さが増加するにつれて増加する。さらに、白色層の厚さが40〔μm〕を超えると、頭頂面の硬さは、白色層の厚さが増加してもほぼ一定であって、白色層の硬さ(約700〔HV0.3〕)に近い値である。
換言すると、図5において、頭頂面の硬さは、白色層の厚さが0〜10〔μm〕では、ほぼ一定であり、白色層の厚さが10〜40〔μm〕では、白色層の厚さの増加とともに増加し、白色層の厚さが40〔μm〕を超えると、ほぼ一定である、ように変化する曲線で表されている。更に換言すると、頭頂面の硬さは、白色層の厚さが第1の閾値(10〔μm〕)以下では第1の値(母材の硬さ(約300〔HV0.3〕)と同等)となり、白色層の厚さが第2の閾値(40〔μm〕)以上では第2の値(白色層の硬さ(約700〔HV0.3〕)と同等)となり、前記第1の閾値と第2の閾値との間では、白色層の厚さの増加とともに、前記第1の値から第2の値まで増加する。
そして、図5に示されるようなベイナイトレールに形成された白色層の厚さと頭頂面の硬さとの対応関係をハードディスク、メモリ等の記憶装置に記憶させてデータベース化しておくことが望ましい。そうすると、データベース化された白色層の厚さと頭頂面の硬さとの対応関係を参照することによって、ベイナイトレールの任意の箇所の頭頂面の硬さを測定することにより、当該箇所のベイナイトレールの頭頂面に発生した白色層の厚さを推定することが可能となる。さらに、図5に示されるようなベイナイトレールに形成された白色層の厚さと頭頂面の硬さとの対応関係を関数化しておくことがより望ましい。そうすると、当該関数を利用した演算を行うことによって、ベイナイトレールの任意の箇所の頭頂面の硬さの測定値に基づき、当該箇所のベイナイトレールの頭頂面に発生した白色層の厚さを、より容易に、かつ、正確に推定することが可能となる。
図6には、図5に示されるようなベイナイトレールに形成された白色層の厚さと頭頂面の硬さとの対応関係を参照することによって、図3に示されるベイナイトレールの頭頂面の硬さの測定値から推定された白色層の厚さの分布が示されている。図6において、縦軸は測定件数を示し、横軸は白色層の厚さ〔μm〕を示している。これにより、前述した在来線のレール区間で現地調査の調査箇所において発生した白色層の厚さは、10〜20〔μm〕に多く分布している、と推定することができる。
次に、前記実験結果データベース13に含まれる実験の概略について説明する。
図7は本実施の形態における車輪・レール高速接触疲労試験装置を使用して行われた実験を示す写真である。なお、図において、(a)は車輪・レール高速接触疲労試験装置を示す写真、(b)はレール試験輪の切断面の顕微鏡写真である。
本実施の形態においては、図7(a)に示されるような車輪・レール高速接触疲労試験装置が使用された。該車輪・レール高速接触疲労試験装置は、レールと同じ断面形状を持つ回転円盤(レール試験輪)に車輪を押圧して高速で回転させることによって、レールの疲労試験を実行する装置である。
まず、ベイナイトレールと同等の材質及び断面形状のレール試験輪を準備し、該レール試験輪の頭頂面にレーザ光を照射することによって、その頭頂面に白色層を形成した。続いて、前記車輪・レール高速接触疲労試験装置を使用して、所定の試験時間だけ転動疲労試験を行った後、前記レール試験輪を切断し、その切断面を顕微鏡で観察し、微小亀裂の有無を判断して、微小亀裂がある場合にはその深さを計測した。図7(b)には、レール試験輪の切断面の一例が示されている。試験時間は、通過トン数に対応するので、試験時間を変化させ、試験時間毎の微小亀裂の深さを計測することによって、図1に示されるような通過トン数と微小亀裂の深さとの関係を得ることができた。なお、図1において、微小亀裂の深さがゼロであることは、微小亀裂が発生していないことを意味する。そして、図1に示されるような通過トン数と微小亀裂の深さとの関係は、通過トン数データベース23に格納されて蓄積されている。
次に、ベイナイトレールのシェリングを予防するために行う削正箇所を、前記シェリング予防システム10が選定する動作について説明する。
図8は本実施の形態におけるシェリング予防システムの削正箇所を選定する動作を示すフローチャートである。
まず、シェリング予防システム10が動作を開始すると、ステップS1で、削正箇所選定部12はレール台帳データを取得する。具体的には、前記削正箇所選定部12は、レール台帳データベース21にアクセスし、該レール台帳データベース21に格納されている各地の各レール区間に敷設されたレールの各種データを取得する。
次に、ステップS2で、削正箇所選定部12は削正車運用スケジュールを取得する。具体的には、前記削正箇所選定部12は、削正車運用スケジュールデータベース22にアクセスし、該削正車運用スケジュールデータベース22に格納されている削正車の運用スケジュールに関するデータを取得する。該データは、ベイナイトレールのシェリングを予防するための削正作業を予定している期間において、削正車が削正作業を行う予定のレール区間、当該レール区間での削正作業の予定日等のデータである。
次に、ステップS3で、削正箇所選定部12は削正区間を抽出する。具体的には、前記削正箇所選定部12は、ステップS2で取得した削正車の運用スケジュールに関するデータを参照して、前記期間において、削正車によってベイナイトレールのシェリングを予防するための削正作業を行うことが可能なレール区間を、削正区間として抽出する。
次に、ステップS4で、削正箇所選定部12は累積通過トン数データを取得する。具体的には、前記削正箇所選定部12は、通過トン数データベース23にアクセスし、該通過トン数データベース23から、ステップS3で削正区間として抽出したレール区間についての累積通過トン数に関するデータを取得する。また、前記通過トン数データベース23から、年間通過トン数に関するデータも取得しておくことが望ましい。なお、累積通過トン数は、最後に削正作業が行われてから現時点までの通過トン数の累積値である。
次に、ステップS5で、削正箇所選定部12はシェリング台帳データを取得する。具体的には、前記削正箇所選定部12は、シェリング台帳データベース24にアクセスし、該シェリング台帳データベース24から、ステップS3で削正区間として抽出したレール区間においてシェリングが発生したレールについてのデータを取得する。
次に、ステップS6で、削正箇所選定部12は削正対象レールを抽出する。具体的には、前記削正箇所選定部12は、ステップS4で取得した累積通過トン数に関するデータを参照して、ステップS3で抽出した削正区間から、削正作業の対象となるレールを削正対象レールとして抽出する。削正対象レールを抽出する場合、累積通過トン数が閾値以下であるレールが削正対象レールとして抽出される。実験結果データベース13には、図1に示されるような通過トン数と微小亀裂の深さとの関係のデータが含まれているので、前記削正箇所選定部12は、前記実験結果データベース13にアクセスして取得した通過トン数と微小亀裂の深さとの関係に基づいて、シェリングが発生しない通過トン数の最大値を前記閾値として設定する。これにより、シェリングが発生したレールを削正対象レールから除外して、シェリングが発生する可能性のあるレールを削正対象レールとして抽出することができる。この場合、累積通過トン数に年間通過トン数を加算した値が閾値を超える箇所の優先度を高くすることが望ましい。これにより、シェリングが発生する可能性が高いレールを削正対象レールとして抽出することができる。なお、ステップS5で取得したシェリングが発生したレールについてのデータを参照することによって、シェリングの発生が確認されて記録されているレールを、削正対象レールから確実に除外することができる。
次に、ステップS7で、削正箇所選定部12は削正箇所の優先度を取得する。具体的には、前記削正箇所選定部12は、優先度データベース14にアクセスし、該優先度データベース14から、ステップS6で抽出した削正対象レールが含まれるレール区間における削正箇所としての優先度が高い箇所(例えば、駅構内、勾配区間等)に関するデータを取得する。
最後に、ステップS8で、削正箇所選定部12は削正箇所を選定し、処理を終了する。具体的には、前記削正箇所選定部12は、ステップS7で取得した削正箇所としての優先度が高い箇所に関するデータを参照して、ステップS6で抽出した削正対象レールにおいて削正作業の対象となる箇所を削正対象箇所として選定する。この場合、選定された削正対象箇所には、優先度が付与されることが望ましい。なお、選定された削正対象箇所は、シェリング予防システム10が備える表示装置に表示されたり、シェリング予防システム10に接続されたプリンタ等によって印刷されたりすることにより、必要に応じて、出力される。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 レール台帳データを取得する。
ステップS2 削正車運用スケジュールを取得する。
ステップS3 削正区間を抽出する。
ステップS4 累積通過トン数データを取得する。
ステップS5 シェリング台帳データを取得する。
ステップS6 削正対象レールを抽出する。
ステップS7 削正箇所の優先度を取得する。
ステップS8 削正箇所を選定し、処理を終了する。
このように、本実施の形態におけるベイナイトレールのシェリング予防方法は、白色層が形成されたベイナイトレールに発生する微小亀裂と通過トン数との関係を取得する工程と、取得した関係に基づき、ベイナイトレールにおいてシェリングが未発生であって、かつ、シェリングの発生の可能性が高い箇所をシェリングの発生を予防するために削正の対象として選定する工程と、を含んでいる。これにより、ベイナイトレールのシェリングを予防するために行う削正箇所を短時間で容易に、かつ、正確に選定することができる。
また、累積通過トン数が閾値以下であって累積通過トン数に年間通過トン数を加算した値が閾値を超える箇所を削正の対象として選定する。これにより、シェリングが発生した箇所を削正対象レールから除外して、シェリングが発生する可能性が高い箇所を削正の対象として選択することができる。
さらに、取得した関係は、車輪・レール高速接触疲労試験装置を使用し、レーザ光を照射することによって頭頂面に白色層を形成したレール試験輪の転動疲労試験を行った後に計測されたレール試験輪の切断面に発生した微小亀裂の深さと、転動疲労試験の試験時間とから取得された関係である。このように、白色層が形成されたベイナイトレールに発生する微小亀裂と通過トン数との関係は、転動疲労試験を行うことによって得られたものであり、正確なものである。
さらに、本実施の形態におけるベイナイトレールのシェリング予防方法は、ベイナイトレールに白色層が形成される可能性が高い箇所に関するデータに基づき、削正の対象として選定した箇所に優先度を付与する工程を更に含んでいる。したがって、実際の削正作業において、切削の対象を適切に判断することができる。
また、本実施の形態におけるベイナイトレールのシェリング予防システムであるシェリング予防システム10は、白色層が形成されたベイナイトレールに発生する微小亀裂と通過トン数との関係を格納するシェリングデータベースとしての実験結果データベース13と、シェリングの発生を予防するために削正の対象となるベイナイトレールの箇所を選定する削正箇所選定部12とを備え、削正箇所選定部12は、実験結果データベース13から取得したデータに基づき、ベイナイトレールにおいてシェリングが未発生であって、かつ、シェリングの発生の可能性が高い箇所を削正の対象として選定する。これにより、シェリング予防システム10は、ベイナイトレールのシェリングを予防するために行う削正箇所を短時間で容易に、かつ、正確に選定することができる。
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
本開示は、ベイナイトレールのシェリング予防システム及び方法に適用することができる。
10 シェリング予防システム
12 削正箇所選定部
13 実験結果データベース
14 優先度データベース

Claims (8)

  1. 白色層が形成されたベイナイトレールに発生する微小亀裂と通過トン数との関係を格納するシェリングデータベースと、
    シェリングの発生を予防するために削正の対象となるベイナイトレールの箇所を選定する削正箇所選定部とを備え、
    該削正箇所選定部は、前記シェリングデータベースから取得したデータに基づき、ベイナイトレールにおいてシェリングが未発生であって、かつ、シェリングの発生の可能性が高い箇所を前記削正の対象として選定することを特徴とするベイナイトレールのシェリング予防システム。
  2. 前記削正箇所選定部は、累積通過トン数が閾値以下であって前記累積通過トン数に年間通過トン数を加算した値が前記閾値を超える箇所を前記削正の対象として選定する請求項1に記載のベイナイトレールのシェリング予防システム。
  3. 前記関係は、車輪・レール高速接触疲労試験装置を使用し、レーザ光を照射することによって頭頂面に白色層を形成したレール試験輪の転動疲労試験を行った後に計測された前記レール試験輪の切断面に発生した微小亀裂の深さと、前記転動疲労試験の試験時間とから取得された関係である請求項1又は2に記載のベイナイトレールのシェリング予防システム。
  4. ベイナイトレールに白色層が形成される可能性が高い箇所に関するデータを格納する優先度データベースを更に備え、
    前記削正箇所選定部は、前記優先度データベースから取得したデータに基づき、前記削正の対象として選定した箇所に優先度を付与する請求項1〜3のいずれか1項に記載のベイナイトレールのシェリング予防システム。
  5. 白色層が形成されたベイナイトレールに発生する微小亀裂と通過トン数との関係を取得する工程と、
    前記関係に基づき、ベイナイトレールにおいてシェリングが未発生であって、かつ、シェリングの発生の可能性が高い箇所をシェリングの発生を予防するために削正の対象として選定する工程と、を含むことを特徴とするベイナイトレールのシェリング予防方法。
  6. 累積通過トン数が閾値以下であって前記累積通過トン数に年間通過トン数を加算した値が前記閾値を超える箇所を前記削正の対象として選定する請求項5に記載のベイナイトレールのシェリング予防方法。
  7. 前記関係は、車輪・レール高速接触疲労試験装置を使用し、レーザ光を照射することによって頭頂面に白色層を形成したレール試験輪の転動疲労試験を行った後に計測された前記レール試験輪の切断面に発生した微小亀裂の深さと、前記転動疲労試験の試験時間とから取得された関係である請求項5又は6に記載のベイナイトレールのシェリング予防方法。
  8. ベイナイトレールに白色層が形成される可能性が高い箇所に関するデータに基づき、前記削正の対象として選定した箇所に優先度を付与する工程を更に含む請求項5〜7のいずれか1項に記載のベイナイトレールのシェリング予防方法。
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