JP2018123616A - ダウンホールモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動機構をコンパクトに構成するとともに、高トルクに対応できるダウンホールモータを提供する。【解決手段】ダウンホールモータ1は、ハウジング10と、ハウジング10内に回転自在に支承された第一シャフト20と、第一シャフト20の先端側に延設されたインナロータ部22と、ハウジング10内に回転自在に支承され且つインナロータ部22に外挿された第二シャフト30と、第二シャフト30の内周面に設けられてインナロータ部22との間に画成されたキャビティKに作動流体Mが導入されることにより第一シャフト20および第二シャフト30相互を所定比率で回転させる流体モータを構成するアウタロータ部32と、第二シャフト30の先端にハウジング10の端部から張り出すように延設されて外周面に掘削ビット90が装着されるビット装着部33とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ダウンホールモータに関する。
油層探鉱産業や深海の鉱物資源採鉱において、地面にドリルで穴を開けるための掘削ビットを駆動するために、ダウンホールモータが用いられている。この種のダウンホールモータでは、一軸偏心ねじポンプの作動原理の逆作動により掘削ビットを回転駆動する駆動方式が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1記載の技術は、図2に示すダウンホールモータ100のように、流体モータ部130と、流体モータ部130の下部に設けられた動力伝達部180と、動力伝達部180の下部に設けられた駆動軸支持部160とを有する。
流体モータ部130には、円筒状のハウジング131内に、螺旋状の内周面を有するステータ120が固定されるとともに、そのステータ120内に、螺旋状の外周面を有するロータ110が回転自在に支持され、ロータ110とステータ120との間に複数のキャビティKが画成される。また、ハウジング131の上部には、作動流体Mを導入する作動流体導入管200が接続される。
駆動軸支持部160には、円筒状のハウジング170内に、スラスト荷重およびラジアル荷重を受ける軸受150を介して駆動軸140が回転自在に支持されている。駆動軸140の先端は、ビット装着部140sとされている。ビット装着部140sは、ハウジング170の下方に張り出しており、ビット装着部140sの外周面には、掘削ビット190を接続可能な雄ねじが形成されている。
また、駆動軸140の上部には、動力伝達部180のハウジング181内に連通する連通口141が形成され、連通口141は、駆動軸140の軸方向に沿って形成された連通路142を介して掘削ビット190の先端に形成された吐出口191に連通している。そして、ロータ110の下端と駆動軸140の上端とは、動力伝達部180のハウジング181内にそれぞれ張り出しており、ロータ110の下端と駆動軸140の上端相互は、ユニバーサルジョイント185を介してハウジング181内で回転駆動力を伝達可能に接続されている。
このような構成により、このダウンホールモータ100によれば、作動流体導入管200から流体モータ部130のキャビティKに高圧の作動流体Mを導入することで、流体モータ部130は、一軸偏心ねじポンプの作動原理の逆作動により、ロータ110に回転力を与えることができる。そして、流体モータ部130は、ロータ110の下端を出力軸とし、ロータ110の回転をユニバーサルジョイント185を介して駆動軸140に伝達する。
これにより、このダウンホールモータ100によれば、駆動軸140先端に装着された掘削ビット190によって地面に穴を開けることができる。なお、流体モータ部130を経た作動流体Mは、ハウジング181内を通り、連通口141、連通路142を順に介して吐出口191から排出される。
米国特許第3989114号明細書
しかし、特許文献1記載の技術のような、従来のダウンホールモータ100では、ロータ110の回転力を、動力伝達部180のユニバーサルジョイント185を介して駆動軸140に伝達するので、ユニバーサルジョイント185の介在により、駆動機構の全長が長くなるという問題がある。
また、掘削ビット190を駆動するためには、トルクを伝達する各部材が、高トルクに対応する必要があるところ、従来のダウンホールモータ100では、その構造上、ユニバーサルジョイント185を構成する上下の継手部182、184および連結ロッド183の強度は、ロータ110や駆動軸140の強度に比較して劣るものである。そのため、掘削ビット190への伝達トルクは、ユニバーサルジョイント185の強度に依存するという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、駆動機構をコンパクトに構成するとともに、高トルクに対応し得るダウンホールモータを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るダウンホールモータは、作動流体が導入されるハウジングと、前記ハウジング内に自身基端が回転自在に支承された第一シャフトと、前記第一シャフトの先端側に軸方向に沿って延設されて雄ねじ状の外周面を有するインナロータ部と、前記インナロータ部に外挿され且つ前記ハウジング内に回転自在に支承された第二シャフトと、前記第二シャフトの内周面に雌ねじ状に設けられて前記インナロータ部との協働によって画成されたキャビティに前記作動流体が導入されることにより前記第一シャフトおよび前記第二シャフト相互を所定比率で回転させる流体モータを構成するアウタロータ部と、前記第二シャフトの先端に前記ハウジングの端部から張り出すように延設されて自身外周面に掘削ビットが装着されるビット装着部と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係るダウンホールモータによれば、ハウジングに対してインナロータ部の回転軸とアウタロータ部の回転軸とをそれぞれ回転自在に支承し、第一シャフト側のインナロータ部と、第二シャフト側のアウタロータ部とによって流体モータを構成しており、ハウジングに作動流体を注入して、インナロータ部とアウタロータ部とで画成されるキャビティに作動流体を流し込むことにより、インナロータ部とアウタロータ部とを所定比率で回転させて、第二シャフトのビット装着部に装着した掘削ビットを駆動して地面に穴を開けることができる。
そして、本発明の一態様に係るダウンホールモータによれば、流体モータに作動流体が導入されると、インナロータ部とアウタロータ部とを所定比率で回転させ、第二シャフト先端の掘削ビットを直接駆動できるため、高圧流体で作り出されたロータの回転力を、ユニバーサルジョイントを介してシャフトに伝達していた従来のダウンホールモータのような、ユニバーサルジョイントが不要となる。したがって、駆動機構の全長を短くしてコンパクトに駆動機構を構成できる。
また、本発明の一態様に係るダウンホールモータによれば、ユニバーサルジョイントが不要なので、その強度に依存するという問題も解消される。さらに、インナロータ部とアウタロータ部とを所定比率で回転させることができるため、インナロータの回転よりも減速されたアウタロータの回転力を掘削ビットに直接伝達可能となる。そのため、インナロータのトルクよりも大きな回転トルクを掘削ビットに効率良く伝達できる。よって、上述したような従来のダウンホールモータに比べて、より高トルクに対応できる。
また、本発明の一態様に係るダウンホールモータによれば、掘削ビットに加わる負荷を、インナロータの外径よりも大きなアウタロータの外径を支承する大きな軸受で受けることができる。そのため、駆動機構の全長をコンパクトに構成し且つ高トルクに対応しつつも、より信頼性の高いダウンホールモータを構成できる。
ここで、本発明の一態様に係るダウンホールモータにおいて、前記ハウジングは、自身上部の開口部から前記作動流体が前記第一シャフトの基端側に導入されるように構成され、前記第一シャフトは、自身基端側から導入された前記作動流体を、自身先端側から前記キャビティ側に吐出可能な連通穴を有することは好ましい。このような構成であれば、第一シャフトに形成された連通穴を介してキャビティ側に作動流体を供給できるので、駆動機構をコンパクトに構成する上で好適である。
上述したように、本発明によれば、駆動機構をコンパクトに構成するとともに、高トルクに対応できる。
本発明の一態様に係るダウンホールモータの一実施形態の模式的説明図であり、同図は、軸線を含む縦断面図であって、掘削ビットを装着した状態を示している。 従来のダウンホールモータの一例を模式的に示す縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
図1に示すように、本実施形態のダウンホールモータ1は、長尺な中空円筒状のハウジング10を備える。ダウンホールモータ1は、使用時には、ハウジング10の軸線を上下方向として配備される。ハウジング10は、内部が軸方向に沿って貫通しており、上端部および下端部にそれぞれ開口を有している。ハウジング10の上部開口は、作動流体Mを導入する導入口13になっている。なお、本実施形態では、作動流体Mとして高圧水が導入される。
本実施形態のハウジング10は、中空円筒状の上部ハウジング11と、上部ハウジング11の下端に同軸に装着された中空円筒状の下部ハウジング12とを有する。上部ハウジング11の下端には、インロー凸部11tと、円環状のフランジ11fとが設けられている。下部ハウジング12の上端には、インロー凹部12dと、円環状のフランジ12fとが設けられている。インロー凸部11tとインロー凹部12dとは、インロー嵌合され、その状態で、フランジ11f、12f相互が複数のボルト80によって連結されている。そして、上部ハウジング11には、第一シャフト20が回転自在に支持され、下部ハウジング12には、第二シャフト30が回転自在に支持されている。
上部ハウジング11は、軸方向での下部の位置に、第一シャフト支持部51が設けられている。第一シャフト支持部51は、複数の軸受51jと、複数の軸受51jを上下の軸方向から自身の鍔部で挟持するようにそれぞれ装着される第一のブシュ41および第二のブシュ42と、第一のブシュ41の内周面と第一シャフト20の基端部21の外周面との間に介装された第一のシール61と、第二のブシュ42の内周面と第一シャフト20の基端部21の外周面との間に介装された第二のシール62と、下部開口に装着される円環状の支軸部キャップ82と、を有して構成されている。
第一シャフト支持部51は、上記フランジ11f、12f相互を連結時に、上部ハウジング11内の凹の段部に装着された複数の軸受51jおよびその両側の二つのブシュ41、42が、上部ハウジング11の下部開口部に装着された支軸部キャップ82によって軸方向に挟圧されることにより、装着状態が保持される。
その装着状態において、第一シャフト支持部51は、上部ハウジング11の軸線に対して所定の偏心距離Eだけ偏心した位置に第一シャフト20の基端部21を支持するように複数の軸受51jが軸線方向に沿って配置され、複数の軸受51jを介して第一シャフト20の基端部21を回転自在に支持する。第一シャフト支持部51の複数の軸受51jの両側は、第一のシール61および第二のシール62により、第一シャフト20の基端部21の外周面と上部ハウジング11の内周面との間がシールされる。
下部ハウジング12には、軸方向の上下に離隔して、二つの第二シャフト支持部52、53が設けられている。上部側を支持する第二シャフト支持部52は、複数の軸受52jと、複数の軸受52jを軸方向の上方から自身鍔部で挟持するように装着される第三のブシュ43と、第三のブシュ44の内周面と第二シャフト30の外周面との間に介装された第三のシール63と、を有して構成されている。
また、下部側を支持する第二シャフト支持部53は、複数の軸受53jと、複数の軸受53jを軸方向の下方から自身鍔部で挟持するように装着される第四のブシュ44と、第四のブシュ44の内周面と第二シャフト30の外周面との間に介装された第四のシール64と、円環状のフロントキャップ81と、を有して構成されている。
そして、第二シャフト30の外周面には、軸方向の中央部に、凸の段部31mが形成されており、上下の軸受52j、53jの凸の段部31m側の側面が、凸の段部31mの側面に当接するように装着されるとともに、下部ハウジング12の下部開口部に装着されたフロントキャップ81の装着によって軸方向に挟圧されることにより、装着状態が保持される。なお、フロントキャップ81は、図示しない複数の埋め込みボルトにより下方から固定される。
その装着状態において、上下の第二シャフト支持部52、53は、下部ハウジング12の軸線に対して同軸となる位置に第二シャフト30の外周面を支持するように、複数の軸受52j、53jが軸線方向に沿って配置され、複数の軸受52j、53jを介して第二シャフト30の外周面を回転自在に支持する。
また、第二シャフト支持部52、53の複数の軸受52j、53jの上下の側は、第三のシール63および第四のシール64により、第二シャフト30の外周面と下部ハウジング12の内周面との間がシールされる。なお、本実施形態では、各シャフト20、30を支持する複数の軸受51j、52j、53jに、スラスト荷重およびラジアル荷重を受ける深溝玉軸受を使用しているが、これに限定されず、種々の軸受を用いることができる。
ここで、本実施形態のダウンホールモータ1は、上述した下部ハウジング12内に、流体モータを構成する駆動機構部70が設けられている。
詳しくは、第一シャフト20は、上記基端部21と、基端部21の先端側に形成されたインナロータ部22とを一体に有して構成されている。基端部21の上面には、テーパ状の作動流体導入口23が開口するとともに、作動流体導入口23に連通して、基端部21の軸方向に沿って作動流体導入路25が形成されている。作動流体導入路25は、基端部21とインナロータ部22との境となる位置まで延設されている。
そして、基端部21とインナロータ部22との境となる位置には、複数の作動流体導出口24が、作動流体導入路25の先端部と下部ハウジング12の内部とを連通するように斜めに形成されている。つまり、第一シャフト20には、導入口13側から順に連通形成された、作動流体導入口23、作動流体導入路25および作動流体導出口24によって、自身基端側の導入口13から導入された作動流体Mを自身先端側の作動流体導出口24から吐出可能な連通穴が設けられている。
そして、インナロータ部22は、第一シャフト20の基端部21の先端から軸方向に沿って同軸に下方に向けて垂下された状態で延設され、その延設された部分に、雄ねじ状の外周面を有している。一方、第二シャフト30は、金属製で中空円筒状をなす外筒31と、外筒31内に配置されたゴム製のアウタロータ部32とを一体に有して構成され、アウタロータ部32は、雌ねじ状の内周面を有している。
本実施形態の駆動機構部70は、内周面に(N+1)条雌ねじを有するアウタロータ部32と、外周面にN条雄ねじを有するインナロータ部22とを備えている。そして、アウタロータ部32の回転軸線CL2に対し、インナロータ部22の回転軸線CL1は、相互の軸心が所定の偏心距離Eだけ離れた平行な2軸となるように配置されており、インナロータ部22とともにアウタロータ部32が、N/(N+1)の回転角度で連れ回り駆動可能に構成されている。但し、Nは1以上の自然数である。
本実施形態の例では、駆動機構部70は、インナロータ部22の螺旋部22rが、左巻き2条雄ねじになっており、アウタロータ部32の螺旋部32rの形状が、120度間隔の頂点を有する横断面が3角リング形状の左巻き3条雌ねじになっている。そしてインナロータ部22外周面の螺旋部22rがアウタロータ部32の螺旋部32rに内装され、相互の隙間には、駆動に応じて独立した密閉空間とされるキャビティKが軸方向の複数個所に画成されている。
上記構成より、アウタロータ部32の螺旋部32r内にインナロータ部22の螺旋部22rが差し込まれると、相互の隙間には、駆動に応じて独立した密閉空間とされるキャビティKが、軸方向の複数個所に画成される。
そして、第二シャフト30の先端に、掘削ビット90が装着される。本実施形態では、第二シャフト30の外筒部31の先端は、フロントキャップ81よりも下部ハウジング12の下方に張り出してビット装着部33とされている。ビット装着部33の外周面には、掘削ビット90を接続可能な雄ねじが形成され、掘削ビット90は、自身基端部が第二シャフト42先端のビット装着部33に接続される。なお、掘削ビット90の下面には、作動流体Mを吐出する吐出口91が、中央部から放射状に複数に分岐して開口しており、複数のキャビティKを経た作動流体Mを吐出口91から吐出可能になっている。
これにより、このダウンホールモータ1は、インナロータ部22とアウタロータ部32とが、インナロータ部22の回転軸線CL1とアウタロータ部32の回転軸線CL2とを並列に且つ所定の偏心距離Eだけ離してそれぞれ回転自在に支承され、インナロータ部22と一体の第一シャフト22内部の連通穴を介して駆動機構部70の上部の位置31uに作動流体Mを導入し、インナロータ部22とアウタロータ部32とで画成されるキャビティKに高圧の作動流体Mを流し込むことにより、インナロータ部22とアウタロータ部32とを所定比率で回転させ、アウタロータ部32と一体の第二シャフト30を駆動軸として回転駆動し、その外筒部31を延設してなるビット装着部33に装着された掘削ビット90を回転して地面を掘削可能になっている。
次に、本実施形態のダウンホールモータ1の動作および作用効果について説明する。
ダウンホールモータ1は、作業時には、ハウジング10の駆動機構部70を下方とし掘削ビット90を地面に対向する姿勢で配備する。ハウジング10上部の導入口13には、作動流体Mを導入可能に、不図示の作動流体導入管を介して作動流体M(この例では高圧水)を供給するポンプを備える作動流体導入部が接続され、導入口13から高圧の作動流体Mが供給される。
高圧の作動流体Mは、第一シャフト20の導入口13から作動流体導入路25を介して作動流体導出口24から導出されて駆動機構部70の上部の位置31uに供給され、さらに、インナロータ部22とアウタロータ部32との対向空間に画成された複数のキャビティKに順次に導入される。これにより、駆動機構部70は、キャビティKに作用する作動流体Mの導入圧により、インナロータ部22とアウタロータ部32とが所定比率で連れ回りを開始する。
つまり、駆動機構部70において、作動流体Mの導入圧が第二シャフト30の回転駆動力に変換される。駆動機構部70で第二シャフト30が回転駆動すると、第二シャフト30の先端に設けられた掘削ビット90が共に回転し、地面を掘削することができる。なお、導入口13から導入された作動流体Mは、駆動機構部70の下部の位置31sを経て掘削ビット90先端の吐出口91から装置外に吐出される。
このように、本実施形態のダウンホールモータ1によれば、従来のダウンホールモータのような、高圧の作動流体で作り出されたロータの回転力を、ユニバーサルジョイントを介してシャフトに伝達していた構成と比べて、ユニバーサルジョイントが不要なので、駆動機構部70の全長を短くしてコンパクトに構成できる。
また、本実施形態のダウンホールモータ1によれば、ユニバーサルジョイントが不要なので、ユニバーサルジョイントやその連結用ロッドも不要なことから、これらの強度に依存するという問題も解消される。また、インナロータ部22の回転よりも減速されたアウタロータ部32の回転力を掘削ビット90に直接伝達できるため、第一シャフト20のトルクよりも大きな回転トルクを、第二シャフト30の先端に設けられた掘削ビット90に効率良く伝達可能なので、より高トルクに対応できる。
さらに、本実施形態のダウンホールモータ1によれば、インナロータ部22の外径よりも大きなアウタロータ部32の外筒部31を支承する大きな軸受52j、53jを有する第二シャフト支持部52、53によって、掘削ビット90に加わる負荷を受けることができる。そのため、駆動機構部70の全長をコンパクトに構成しつつも、より信頼性の高いダウンホールモータを提供できる。
以上説明したように、本実施形態のダウンホールモータ1によれば、ユニバーサルジョイントを用いた従来のダウンホールモータに比べて、駆動機構部70をコンパクトに構成するとともに、高トルクに対応できる。なお、本発明に係るダウンホールモータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、第一シャフト20は、自身基端側から導入された作動流体Mを、自身先端側からキャビティK側に吐出可能な連通穴を有する例を示したが、第一シャフト20の構成や作動流体Mの導入路の構成は、これに限定されない。
つまり、作動流体Mは、駆動機構部70の上部(符号31uの箇所)に供給できれば、インナロータ部22とともにアウタロータ部32を所定比率で連れ回り駆動可能である。よって、例えば上部ハウジング11を二重管構造とし、その二重管構造の部分を作動流体Mの導入路として用い、駆動機構部70の上部(符号31uの箇所)に作動流体Mを供給してもよい。
また、例えば上記実施形態では、流体モータによる駆動機構部70の一例として、内周面に3条雌ねじを有するアウタロータ部32と、外周面に2条雄ねじを有するインナロータ部22とを備え、インナロータ部22とともにアウタロータ部32が、所定比率として、2/3の回転角度で連れ回り駆動可能な例に説明したが、これに限定されない。
つまり、本発明に係るダウンホールモータは、インナロータ部とともにアウタロータ部が連れ回り駆動可能な流体モータによる駆動機構部であれば、内周面に(N+1)条雌ねじを有するアウタロータ部と、外周面にN条雄ねじを有するインナロータ部とを備え、インナロータ部とともにアウタロータ部がN/(N+1)の回転角度で連れ回り駆動可能な構造(但し、Nは、1以上の自然数である。)を採用できる。
具体的には、駆動機構部70の構成を、例えば、Nを1としたとき、ハウジング10と、ハウジング10内に回転可能に支持されるとともに内周面に2条雌ねじを有するアウタロータ部32と、アウタロータ部32内に挿入されるとともに回転可能に支持されて外周面に1条雄ねじを有するインナロータ部22とを備え、インナロータ部22とともにアウタロータ部32が1/2の回転角度で連れ回り駆動する構成としてもよい。
1 ダウンホールモータ
10 ハウジング
11 上部ハウジング
11f フランジ
12 下部ハウジング
12f フランジ
13 導入口
20 第一シャフト
21 基端部
22 インナロータ部
23 作動流体導入口(連通穴)
24 作動流体導出口(連通穴)
25 作動流体導入路(連通穴)
30 第二シャフト
31 外筒部
32 アウタロータ部
33 ビット装着部
41 第一のブシュ
42 第二のブシュ
43 第三のブシュ
44 第四のブシュ
51 第一シャフト支持部
52 第二シャフト支持部
53 第二シャフト支持部
61 第一のシール
62 第二のシール
63 第三のシール
64 第四のシール
70 駆動機構部
80 ボルト
81 フロントキャップ
82 支軸部キャップ
90 掘削ビット
91 吐出口
CL1 第一シャフトの回転軸線
CL2 第二シャフトの回転軸線
E 偏心距離
K キャビティ
M 作動流体

Claims (2)

  1. 作動流体が導入されるハウジングと、
    前記ハウジング内に自身基端が回転自在に支承された第一シャフトと、
    前記第一シャフトの先端側に軸方向に沿って延設されて雄ねじ状の外周面を有するインナロータ部と、
    前記インナロータ部に外挿され且つ前記ハウジング内に回転自在に支承された第二シャフトと、
    前記第二シャフトの内周面に雌ねじ状に設けられて前記インナロータ部との協働によって画成されたキャビティに前記作動流体が導入されることにより前記第一シャフトおよび前記第二シャフト相互を所定比率で回転させる流体モータを構成するアウタロータ部と、
    前記第二シャフトの先端に前記ハウジングの端部から張り出すように延設されて自身外周面に掘削ビットが装着されるビット装着部と、
    を備えることを特徴とするダウンホールモータ。
  2. 前記ハウジングは、自身上部の開口部から前記作動流体が前記第一シャフトの基端側に導入されるように構成され、
    前記第一シャフトは、自身基端側から導入された前記作動流体を、自身先端側から前記キャビティ側に吐出可能な連通穴を有する請求項1に記載のダウンホールモータ。
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