本開示の種々の実施形態は、組織成長を刺激する生体活性因子および/または生体適合性材料に関する。理解され得るだろうが、これらの生体活性因子は、細胞を含有する生理溶液から誘導されてもよい。生理溶液は、体内に天然で溶液として存在していてもよく、細胞を抽出したときに組織から誘導されてもよい。細胞を含有する任意の組織、例えば、中胚葉、内胚葉、外胚葉の組織は、生理液の供給源であってもよい。これらの組織の例としては、骨髄、血液、脂肪、皮膚、筋肉、血管系、軟骨、靭帯、腱、筋膜、心膜、神経、毛髪が挙げられる。また、これらの組織としては、膵臓、心臓、腎臓、肝臓、腸、胃、骨のような臓器を挙げることもできる。本開示によって記載される処理の前に、細胞を濃縮してもよい。
本開示の一実施形態は、細胞骨組織から作られる骨誘導性インプラント、および骨誘導性インプラントを製造する方法に関する。細胞骨組織から作られるインプラントは、インプラント挿入領域またはその周辺で固定および/または新しい骨の成長を促進するために、骨誘導性材料および/または骨伝導性材料を含んでいてもよい。したがって、一実施形態によれば、海綿骨、皮質海綿骨および/または皮質骨の一部、またはこれらの任意の組み合わせをドナーから集めてもよい。一実施形態では、集める材料は、可能な限り、集めたサンプル内に多くの骨髄が保持されているような様式で集めることができる。
集めたサンプルを、溶解条件および/または溶解剤にさらし、細胞の溶解を促進し、成長因子および栄養物を含むサンプルを放出させることができる。言いかえると、集めたサンプルを、溶解剤にさらし、集めたサンプル内の細胞を溶解させることができる。細胞の構成要素が溶解したら、成長因子および/または生体活性材料(例えば、サイトカインおよび栄養物)を放出し、成長、分化、修復を刺激する。これらの成長剤は、TGF−βファミリー(骨形成タンパク質を含む)のメンバー、インターロイキン、インターフェロン、リンホカイン、ケモカイン、血小板由来成長因子、VEGF、組織の成長、修復または再生を促進する他の刺激剤を含む、タンパク質、ホルモンまたは糖タンパク質のようなサイトカインであってもよい。
他の実施形態では、他の組織由来の細胞を溶解し、集めたサンプルと結合可能な成長剤を放出させ、さらに、インプラントとして処理することができる。溶解条件は、本質的に、熱分解、マイクロフルイディクス、超音波、電気ショック、粉砕、ビーズビーティング、均質化、加圧型細胞破壊装置、衝突、過剰なせん断、圧力、真空力、およびこれらの組み合わせのような機械的な条件であってもよい。過剰なせん断は、小さな開口部を通す攻撃的なピペット操作、大きな重力を生じる過剰な毎分の回転数での遠心分離によって誘発されてもよい。また、温度、圧力または流れの迅速な変化を利用し、細胞の構成要素を溶解してもよい。溶解条件は、熱分解技術を含んでいてもよく、この技術は、細胞壁を破壊するために凍結、凍結−解凍サイクル、加熱を含んでいてもよい。また、溶解条件は、マイクロフルイディクス技術を含んでいてもよく、この技術は、細胞溶解または円鋸歯形成の浸透圧衝撃技術を含んでいてもよい。
また、溶解条件は、超音波技術の実施を含んでいてもよく、限定されないが、超音波処理、音響穿孔、音響化学、音ルミネセンス、音波キャビテーションが挙げられる。また、溶解条件は、例えば、電気穿孔、高電圧および/または電流源を加えることのような電気ショック技術を含んでいてもよい。溶解条件は、さらに、細胞膜を破壊するために物理的に細胞を衝突させるか、または研磨し、その中に含まれる刺激剤を放出する粉砕またはビートビーティング技術を含んでいてもよい。
また、溶解は、集めたサンプルの細胞を溶解剤にさらすことによって行うことができ、pH不均衡、洗剤、酵素、ウイルス、溶媒、界面活性剤、溶血素にさらすこと、およびこれらの組み合わせに起因する溶解を含む刺激性成長剤の放出を促進することができる。pH不均衡による、化学物質によって誘発される細胞の溶解は、細胞壁を破壊し、可溶性成長剤を放出させるために、集めたサンプルの細胞を溶解剤にさらすことを含んでいてもよい。ある実施形態では、溶解剤は、1種以上の酸および/または塩基を含んでいてもよい。
溶解剤にさらした後、集めたサンプルを、バッファまたは他の溶液にさらし、成長因子と溶解剤の混合物のpHを実質的に中和してもよい。ある実施形態では、特定の成長因子または生体活性剤の溶解度を保持するために、pHが酸性(例えば、pHが7より下)または塩基性(例えば、pHが7より上)であることが望ましい場合がある。例えば、骨形成タンパク質(特定的には、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、BMP−9、BMP−14、および他の骨形成タンパク質1〜30)は、中性pHまたは塩基性pHよりも、7より低い酸pHで溶解度が高い。
他の実施形態では、溶解剤は、揮発性の酸または塩基(例えば、酢酸またはアンモニア)および細胞材料を含んでいてもよく、溶解剤にさらした後、エバポレーション、真空乾燥、凍結乾燥、フリーズドライ、昇華、沈殿、および理解され得るような類似のプロセスといった乾燥技術によって中和されてもよく、部分的に中和されてもよい。さらに他の実施形態では、溶解剤は、細胞壁を破壊し、細胞の周囲にあり得る脂質障壁を取り除くことができる洗剤を含んでいてもよい。また、酵素、ウイルス、溶媒、界面活性剤、溶血素が、外側の細胞膜を貫くか、または取り除き、その中に含まれる生体活性成長剤を放出させるのに役立ち得る。
これらの溶解剤の使用および/または集めたサンプルを溶解条件にさらした後、上述のように中和してもよく、および/または、別の第2のプロセスを行い、望ましくない残余物を取り除いてもよい。溶解プロセスによって放出される成長剤、栄養物などを、合成足場、生体足場、自家移植、同種移植、異種移植の組織のような担体に加えてもよい。さらに他の実施形態では、担体として作用する集めたサンプルを溶解条件および/または溶解剤にさらしてもよく、溶解プロセスによって放出された成長因子が、サンプルの少なくとも一部分に結合してもよい。言いかえると、細胞材料の溶解によって放出された成長剤を、自家移植用途ですぐに使用してもよい。他の実施形態では、放出した成長剤を、同種使用のために貯蔵しておいてもよい。貯蔵技術としては、生体活性を保存するための凍結または凍結乾燥が挙げられる。成長因子および栄養物を、選択した担体の上で凍結または凍結乾燥し、刺激剤を担体に完全に結合させ、これを外科医がすぐに使用することができる。また、凍結乾燥によって、室温での貯蔵寿命を長くすることができ、少ない容積に濃縮する機会が得られる。
本開示の別の実施形態は、細胞を含有する生理溶液から特定の成長因子と栄養物のセットを得ることに関する。この実施形態では、上述のように細胞を溶解し、溶解物溶液を、限定されないが、クロマトグラフィー樹脂、セラミック、石化組織、脱灰組織、軟組織および電荷をもつ他の材料を含む、帯電した表面をもつ材料にさらす。帯電した表面は、特定の刺激性成長剤および分子を引き付け、これらを溶解物溶液から取り除く。次いで、残った成長剤を使用し、望ましい組織種を再生または修復することができる。従来の実施形態と同様に、貯蔵寿命をのばすために、成長剤溶液をさらに濃縮し、凍結または凍結乾燥させてもよい。
本開示の別の実施形態は、他の細胞構成要素を保持しつつ、特定の細胞構成要素を選択的にすすぎ、溶解し、または取り除くことを含む。選択的に溶解または取り除くことは、上述の方法によって物理的に行うことができる。理解され得るように、特定の細胞は、種々の溶解機構に耐性がある場合がある。非限定的な例として、間充織幹細胞(MSC)は、抵抗性細胞壁および効果のない細胞容積のため、細胞溶解および浸透圧溶解に耐性がある。したがって、選択的な溶解を行うために、浸透圧溶解を使用し、血液または骨髄から赤血球細胞および白血球細胞を溶解することができる。非耐性細胞が溶解したとき、得られた溶液は、MSCの集合を豊富に含む。次いで、この溶液を、遠心分離、蛍光活性化細胞分類(FACS)、濾過、磁気ビーズによる選別および除去、および/または重力沈降によってさらに濃縮してもよい。同種異系移植、FACS、磁気ビーズによる選別および除去は、インプラント患者から免疫応答を引き起こす任意の残った細胞を取り除くのに有用な場合がある。移植したら、細胞は、ホモログとして機能してもよく、望ましい表現型に分化してもよい。
本開示の別の実施形態は、上の2つの実施形態の組み合わせを含む。生理溶液は、選択的な溶解によって質を高めてもよく、さらに、遠心分離、FACS、磁気ビーズによる選別および除去、および/または重力沈降によってさらに濃縮してもよい。細胞から望ましい表現型への分化の誘発を助けるために、質を高めた生理溶液を、上に記載した方法で溶解した生理溶液に加える。次いで、これらの細胞を、組織を再生し、修復する望ましい様式で機能させることができる。
別の実施形態では、海綿骨を弱い溶解剤(例えば、1M未満の酢酸)にさらし、存在する細胞集合体を部分的にのみ溶解させてもよい。この実施形態では、部分的な溶解によって成長因子が放出し、成長因子が骨に結合し、一方、他の細胞(例えば、間充織幹細胞および前駆細胞)は、生存能力をもったままで骨に結合してもよい。
別の実施形態では、海綿骨を弱い溶解剤(例えば、水)にさらし、次いで、すでに述べた機械的な溶解条件(例えば、熱分解、高圧/低圧、音波処理、遠心分離など)にさらしてもよい。細胞が溶解したら、骨、細胞断片、破片を、成長因子を含有する溶液から取り除く。次いで、この溶液に酸または別のプロトンドナー液を加えることによって正に帯電させてもよい。次いで、溶液中の成長因子を、記載した技術を用いてさらに濃縮し、凍結または凍結乾燥して可溶性粉末にしてもよい。手術中、インプラントに加える前に、液を用いて可溶性粉末を再構築してもよく、または、移植前にインプラントに乾燥粉末形態で加えてもよい。
別の実施形態では、骨誘導成長因子を、細胞を含有する生理液から作成することができる。これらの細胞をすでに記載したように溶解し、細胞と同じ組織ドナーからの同種移植骨に乗せてもよい。凍結乾燥または凍結の前に、刺激性成長剤を骨に乗せてもよい。刺激性成長剤をもっと完全に結合させるために、刺激性成長剤を乗せる前に、骨を石灰化または脱灰してもよい。また、刺激性成長剤とともに乗せる前、または乗せた後に、骨を細片化してもよく、それにより、流動可能な組成物で使用することができる。
別の実施形態では、細胞を含有する生理液(例えば、滑液)を、生きたドナー、死んだドナーから、または同系細胞から集めてもよい。成長因子を溶解するために、記載した機械的または化学的溶解条件に液をさらしてもよい。成長因子が細胞から放出されたら、固体材料(例えば、細胞断片、破片または血小板)を、濾過、遠心分離または重力沈降のような記載のプロセスによって取り除いてもよい。固体材料が取り除かれたら、酸または別のプロトンドナー液を加えることによって、溶液を正に帯電させてもよい。次いで、溶液中の成長因子を、記載した技術を用いてさらに濃縮し、凍結または凍結乾燥して可溶性粉末にしてもよい。手術中、インプラントに加える前に、液を用いて可溶性粉末を再構築してもよく、または、移植前にインプラントに乾燥粉末形態で加えてもよい。または、軟骨または脊椎円板を修復または再生するのと同様の様式で、滑液を含む軟骨または滑液を含まない軟骨を調製することができる。それに加え、他の組織(例えば、筋肉、脂肪、神経、真皮、心組織、脈管組織、髄核組織、線維輪組織、または他の固体組織)を、組織を修復または再生させるのに使用されるこの様式で調製することができる。
刺激性成長剤は、種々の細胞溶液から誘導することができる。これらの溶液は、培養した細胞および/または未培養細胞を含んでいてもよく、自家移植、同種移植または異種移植由来であってもよい。細胞が同種移植または異種移植に由来する場合、刺激性成長剤が患者の免疫応答を引き起こさないように、すでに記載した方法によって少なくとも部分的な溶解または免疫細胞の除去を行うことができる。または、免疫応答を減らすか、またはなくすために、使用前に免疫応答剤(例えば、CD45+細胞および他の白血球)を取り除いてもよい。本開示にすでに記載したように選択的に溶解させることによって、これらの免疫応答剤を取り除いてもよい。
本開示の種々の実施形態は、骨刺激剤(例えば、生体活性のある成長因子)と異なる種類の細胞とを組み合わせ、組織の成長、細胞の付着、細胞増殖、創傷治癒の向上を刺激し得る抗微生物性多糖足場を与える組成物および/または方法に関する。キトサンは、海産甲殻類の殻や、細菌および真菌の細胞壁に見出される多糖である。キトサンは、組織の成長を助けることができる、毒性のない生体適合性材料である。生体適合性、抗菌活性、処理中の多様性、細胞および成長因子に結合する能力をあわせもつため、キトサンは、組織の成長を助ける卓越した生体材料である。限定されないが、骨の空隙の充填剤、筋足場の欠陥、非構造性の骨の欠陥、構造性の骨の欠陥、椎間腔、横突間腔、インプラントコーティング、止血剤、傷の被覆、骨腫瘍学、感染部位の治療のような用途で使用するために、材料をカスタマイズしてもよい。足場は、ミネラルも含んでいてもよい。
一実施形態では、生体適合性形状記憶骨伝導性および/または骨誘導抗微生物性の圧縮性インプラント足場を組織工学に使用してもよい。例えば、本開示は、キトサン溶液と、毒性のないミネラル混合物とを含む整形外科用構造を提供し、これにより、圧縮性固体多孔性基材が得られる。
足場は、約5%〜約80%、約10%〜約70%、および/または約15%〜約60%の範囲の重量%のキトサンを含んでいてもよい。ある実施形態では、キトサンの濃度は、約5%より大きく、約30%より大きく、またはそれ以上である。他の実施形態では、キトサンの濃度は、約10%未満、または約2.5%未満である。
本開示の種々の実施によれば、キトサンの分子量は、約1kDa〜約750kDal、約10kDal〜約650kDa、および/または約50kDa〜約550kDaの範囲であってもよい。
使用するキトサンは、脱アセチル化したキトサンであってもよい。ある実施によれば、脱アセチル化度は、限定されないが、約50%〜約99%の範囲であってもよい。一般的に、脱アセチル化率/度が低いほど、移植したときに分解が速く起こる。また、特定の張力および圧縮特性を持つように、脱アセチル化率を調整してもよい。脱アセチル化が低いほど、足場の引っ張り強度が低い。
種々の実施によれば、キトサンの脱アセチル化率は、より迅速な分解プロフィールを与え、また、多孔度に影響を及ぼす低密度をもつように、約50%〜約66.6%の範囲であってもよい。他の実施では、キトサンの脱アセチル化率は、中程度の分解プロフィールを与え、多孔度に影響を及ぼす中程度の密度をもつように、約66.6%〜約83.2%の中程度の範囲であってもよい。さらに他の実施によれば、キトサンの脱アセチル化率は、長い分解プロフィールを与え、また、多孔度に影響を及ぼす大きな密度をもつように、約83.2%〜約99%の中程度の範囲であってもよい。
タンパク質および細胞への結合を高めるために、キトサン材料をさらなるタンパク質またはアミノ酸と合わせてもよい。タンパク質、酵素、構造的なタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質またはリガンド結合タンパク質、またはアミノ酸の例としては、限定されないが、コラーゲン、グルタミン酸、リジンが挙げられる。キトサンは、医療用グレードであってもよく、または、重金属、内毒素、他のあり得る毒性残余物または混入物質のような毒性混入物質を低い濃度で含む等価な品質であってもよい。
本開示の種々の実施形態によれば、低pH液(例えば、酸)に溶解することによってキトサン溶液を調製することができる。低pH液としては、限定されないが、酢酸、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、グリコール酸、カルボン酸またはアミノ酸が挙げられる。使用する酸の量は、約0.1%〜約50%、および/または約0.1%〜約25%であってもよい。ある実施形態では、pHは、わずかに酸性から中性、または部分的に中性の範囲であってもよい。中和は、塩基基質を用いることによって得ることができる。例えば、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニア、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(lithium diisoprpylmadie)、リチウムジエチルアミド、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(lithium bis(trimethylsily)amide)が挙げられる。また、中和は、リジン、ヒスチジン、メチルリジン、アルギニン、アルギニノコハク酸、L−アルギニン L−ピログルタメート、オルニチンを含む塩基性アミノ酸を用いることによって得てもよい。エバポレーション、真空乾燥、凍結真空乾燥、凍結乾燥、昇華、沈殿、および理解され得るような類似のプロセスのような中和を達成する異なる技術を用いてもよい。得られた溶液から、キトサンと、少なくとも部分的に水から構成される液体媒体とを含む懸濁物またはゲルが得られる。また、懸濁物またはゲルは、組織および/またはミネラル粒子も含んでいてもよい。組織は、同種移植片、自家移植片または異種移植片を含んでいてもよい。
次いで、得られたキトサン/ミネラル懸濁物を、射出成型、真空成型、射出圧縮成型、回転成型、エレクトロスピニング、3D印刷、キャスト成型、相分離のような技術によって望ましい形態(例えば、多孔性固体または半固体)になるように成型してもよい。形状は、整形外科用の形状(例えば、ダボ(dowel)、管、ピン、ネジ、プレート、楔形、細長い片、帯、フック、クランプ、ワッシャ、ワイヤ、繊維、輪、シート、球、立方体)であってもよい。
本開示の別の局面によれば、キトサン足場は、約1μm〜約5mmのマトリックス多孔度を有していてもよい。また、マトリックス足場は、その内部多孔度と比較して、異なる表面多孔度を有していてもよい。表面多孔度は、約1μm〜約1mmの範囲であってもよく、一方、内部多孔度は、約10μm〜約5mmの範囲であってもよい。全体的な孔径は、キトサンの濃度に依存する場合があり、濃度が低いと大きな孔径が得られ、濃度が高いと、小さな孔径が得られるだろう。また、孔径は、調製中に使用するプロセスまたは目的の移植部位に依存して、垂直、長手方向、水平方向、またはこれらの組み合わせ方向に整列するように設計されてもよい。孔および経路の大きさおよび方向は、速度制御した凍結、指向性凍結によって設計され、制御されてもよい。凍結速度、凍結温度、凍結する特定の領域のような変数を変え、温度勾配の関数によって、孔/経路の大きさおよび方向を調節することができる。インプラントを、1分〜20分ごとに−0.1℃〜−15℃の傾斜低下速度で凍結することができ、均一な結晶が生成する。凍結乾燥した後、結晶が蒸発し、インプラント内に孔が残る。例えば、10分ごとに−10℃のゆっくりとした傾斜低下速度だと、大きな孔径が得られ、1分ごとに−10℃のすばやい傾斜速度だと、小さな孔径が得られるだろう。傾斜低下速度を15分ごとに−5℃までさらに下げることによって、孔の代わりに経路を作ることができる。孔および/または経路の指向性は、凍結乾燥中の凍結源をインプラントの特定の領域に適用することによって設計することができる。例えば、凍結源をインプラントの特定の領域(例えば、特定の表面)に適用すると、孔または経路の方向は、凍結源に対して垂直になるだろう。適用する凍結源を組み合わせると、複数の方向をもつ孔構造または経路構造を得ることができる。任意の特定の領域に凍結源を置かない場合、孔または経路の方向を異方性にすることができる。
本開示の別の局面によれば、インプラントは、液体を用いて水和すると、形状記憶性であってもよい。脱水または水和した海綿物を、元々の大きさの約10倍まで円周方向、一方向、または複数の方向に圧縮してもよいが、水和すると元の形状に戻る。この足場を、例えば、限定されないが、管、ピン、立方体、細長い片、シートのような種々の形状に圧縮してもよい。足場の外側方向に向かって、または足場の外側から内部方向に向かって圧縮してもよい。
ある実施形態では、生体適合性インプラントは、ミネラル、例えば、カルシウム塩(例えば、リン酸カルシウム)、シリケート、カーボネート、サルフェート、ハロゲン化物、オキシドスルフィドホスフェート、金属または半金属(金、銀、銅を含む)、アロイ、および/またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。本実施形態の一局面によれば、リン酸カルシウムは、ヒドロキシアパタイト(HA)、シリケートヒドロキシアパタイト(HA)、トリリン酸カルシウム(TCP)、純粋な/置換されたβ−トリリン酸カルシウム(β−TCP)、α−トリリン酸カルシウム(α−TCP)、オクタカルシウムホスフェート(OCP)、テトラカルシウムホスフェート(TTCP)、無水ジカルシウムホスフェート(DCPD)、および/またはこれらの組み合わせから選択されてもよい。ミネラルの粒径は、約1nm〜約1mmの範囲の粉末であってもよい。また、ミネラルの含有量は、約50μm〜約5mmまでの範囲の粒径の顆粒で加えてもよい。インプラントは、圧縮耐性および細胞/タンパク質への結合を増すために、100μmよりも大きな顆粒を含んでいてもよい。カルシウム塩の濃度は、約10%より大きくてもよく、約30%より大きくてもよく、または約40%より大きくてもよい。
この足場は、約5%〜約75%の範囲、約8%〜約72%の範囲、および/または約10%〜約70%の範囲でミネラルを含んでいてもよい。本実施形態のさらに別の局面によれば、この足場は、石灰化された骨、脱灰された骨、または約5%〜約75%、約8%〜約72%、および/または約10%〜約70%の範囲が部分的に脱灰された骨で構成されていてもよい。
本開示のさらに別の局面によれば、インプラントは、抗微生物性および/または抗菌性を有し、この性質は、キトサンの量、配合物中で使用するpHレベルによって変わる。キトサンの濃度は、pHとともに、限定されないが、黄色ブドウ球菌(MRSA)、大便レンサ球菌(VRE)、アシネトバクター・バウマニ、大腸菌、肺炎桿菌、化膿レンサ球菌、表皮ブドウ球菌、豚コレラ菌、緑膿菌、大便レンサ球菌、セラチア・マルセッセンス、ステノトロホモナス・マルトフィリア、ストレプトコッカス・ミュータンス、クロストリジウム・ディフィシル、肺炎レンサ球菌、赤痢菌群、エンテロバクター・アエロゲネス、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、サイトロバクター・フレンディ、エンテロバクター・クロアカエ、モラクセラ・カタラーリス、ミクロコッカスルテウス、コレラ菌といった有機体に対する抗微生物活性を与えることができる。また、この材料は、pHを上げた後、剛性が高まる。ある実施形態では、キトサン溶液は、約5mg/mL〜約200mg/mLの範囲であってもよい。pH値は、8未満、および/または7未満であってもよい。
種々の実施形態によれば、足場の張力、ねじり、せん断、圧縮特性は、例えば、脱水熱架橋、化学的な架橋、物理的な架橋、または光による架橋のような方法を用いて架橋することによって高めることができる。脱水熱架橋は、負圧を使用するか、または使用せずに足場を高温にさらすことを含んでいてもよい。化学的な架橋は、亜硝酸、マロンジアルデヒド、ソラレン、アルデヒド、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、アセタールアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒドおよび/またはトルアルデヒドを用いた処理を含んでいてもよい。光による架橋は、紫外線、プラズマまたは他のエネルギー源を含んでいてもよいエネルギー源および/または光源を使用してもよい。
一実施形態では、生体適合性形状記憶骨伝導性および/または骨誘導抗微生物性の圧縮性インプラント足場を組織工学に使用してもよい。キトサン溶液と骨混合物とを含む整形外科用構造によって、圧縮性の固体多孔性基材が得られる。骨は、同種移植骨、異種移植骨、自家移植骨、またはこれらの組み合わせから選択されてもよい。骨は、微細または粗く粉砕した粉末または多孔性顆粒であってもよい。例えば、顆粒は、圧縮耐性または細胞/タンパク質への結合を増すために、約100μmより大きくてもよい。粉末は、用途に依存して、足場全体で均一または不均一に組み込まれていてもよい。また、骨は、石灰化、脱灰、部分的に脱灰、可溶化、またはゲル化していてもよい。
代替的な実施形態では、生体適合性形状記憶骨伝導性および/または骨誘導抗微生物性のインプラント足場を組織工学に使用してもよい。キトサン溶液とミネラル/骨混合物を含む整形外科用構造によって、圧縮耐性があり、実質的に固体であり、多孔性でもある基材が得られる。この足場は、圧縮耐性を助けるために、大きな粒径のミネラルおよび骨(約100μmより大きい)を含んでいてもよい。
他の実施形態では、生体適合性形状記憶骨伝導性および/または骨誘導抗微生物性のインプラント足場を組織工学に使用してもよい。キトサン溶液とミネラル/骨混合物を含む整形外科用構造によって、耐荷重性インプラントが得られる。例えば、耐荷重性または圧縮耐性は、架橋、密度を上げること、および/または大きな粒径によって高めてもよい。
ある実施によれば、この足場は、脱灰または部分的に脱灰された骨とキトサンとから構成されていてもよい。キトサンは、約0.1%〜約20%および/または約0.5%〜約15%の範囲であってもよい。第2の実施によれば、この足場は、カルシウム塩とキトサンとから構成されていてもよい。キトサンは、約0.1%〜約20%および/または約0.5%〜約15%の範囲であってもよい。
種々の実施形態では、生体適合性形状記憶骨伝導性および/または骨誘導抗微生物性のインプラント足場を組織工学に使用してもよい。キトサン溶液を含む整形外科用構造は、成長因子、成長因子刺激剤、ビタミン、および/または生体活性分子を含む1種以上の基質を含む。また、カルシウム塩(例えば、リン酸カルシウム)および/または組織(例えば、骨)が骨刺激剤として含まれていてもよい。
成長因子を足場に結合してもよい。成長因子としては、限定されないが、骨形成タンパク質(BMP)、形質転換成長因子β(TGF−β)、成長分化因子(GDF)、軟骨由来形成タンパク質(CDMP)、インターロイキン、インターフェロン、リンホカイン、ケモカイン、血小板由来成長因子(PDGF)、VEGF、β−線維芽細胞成長因子(β−FGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、組織の成長、修復または再生を促進する他の刺激剤が挙げられる。骨形成タンパク質は、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15、BMP−16から選択されてもよい。また、骨形成タンパク質は、組み換えヒト骨形成タンパク質であってもよい。また、成長因子は、血管新生成長因子または細胞分裂成長因子であってもよい。
別の実施形態では、生体適合性形状記憶骨伝導性および/または骨誘導抗微生物性のインプラント足場を組織工学に使用してもよい。キトサン溶液とミネラル/骨混合物を含む整形外科用構造は、播種した細胞を含む。細胞は、間充織幹細胞(MSC)、脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞、線維芽細胞、骨芽細胞、前骨芽細胞、骨前駆細胞、およびこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
種々の実施形態では、生体適合性形状記憶骨伝導性および/または骨誘導抗微生物性の可鍛性インプラント足場を組織工学に使用してもよい。キトサン溶液およびミネラル/骨混合物を含む整形外科用構造は、パテ状の稠度を有する。この材料を異なる状況に合うように成型してもよい。用途に基づいて、異なる粘度および接着特性を有するように、配合パラメーターを調節してもよい。
代替的な実施形態では、生体適合性形状記憶骨伝導性および/または骨誘導抗微生物性の流動可能なインプラント足場を組織工学に使用してもよい。キトサン溶液およびミネラル/骨混合物を含む整形外科用構造は、流動可能な稠度を有する。この材料を異なる状況に合うように調整してもよい。ペースト、注入可能なゲルおよびスプレーのような用途で、低い粘度特性を有するように粘度パラメーターを処方してもよい。適用の効力を補助するために、体内にペーストおよびゲルを望ましい形状で塗布してもよい。粘度の低い配合物(例えば、パテ)または非常に粘度が高い注入可能/流動可能な液を、骨の空隙、生体不活性インプラント、カニューレを挿入したネジ、ネジ周囲、または他の整形外科用途のような場所に塗布してもよい。
種々の他の実施形態では、生体適合性形状記憶骨伝導性および/または骨誘導抗微生物性のコーティングインプラント足場を組織工学に使用してもよい。キトサン溶液、ミネラルおよび/または骨混合物を含む整形外科用構造は、コーティング目的のときは低粘度の稠度を有する。限定されないが、ピーク(peek)、ステンレス鋼、チタン、ラデル(radel)、シリコーン構造のような生体不活性材料にコーティングを塗布してもよい。例えば、限定されないが、カゴ、ネジ、ネジ頭、ピン、ロッド、ワイヤ、ダボ、コネクタ、股関節ステム、寛骨臼カップ、プレートのような生体不活性インプラントにコーティングを塗布してもよい(例えば、噴霧してもよい)。また、生体活性インプラント、例えば、限定されないが、ミネラル、自家移植片、同種移植片、異種移植片、脱灰された骨、部分的に脱灰された骨、石灰化された骨、コラーゲンにコーティングを塗布してもよい(例えば、噴霧してもよい)。
本開示の多くの局面は、以下の図面を参照してよりよく理解することができる。図面中の構成要素は、必ずしも縮尺どおりではなく、本開示の原理を明確に示すとき、強調して配置される。さらに、図中、同様の参照番号は、複数枚の図で対応する部分を示す。
本明細書に記載のシステムおよび方法を、患者への刺激性成長剤の移植が望ましい外科環境で使用してもよい。本開示は、刺激性成長剤、特に、細胞または細胞組織を含有する生理液から誘導されたものを製造する方法およびシステムを記載しているが、この方法およびシステムを、骨、軟骨、筋肉、腱、靭帯、血管系、脂肪、線維輪、髄核、皮膚、毛髪、血液、リンパ節、筋膜、神経、心臓、膵臓、肝臓、眼、歯、消化系、呼吸器、生殖、他の軟組織用途の再生または修復に関するもの、例えば、再生医薬および組織工学を含む広範囲の医学用途に適用することができることが理解される。
ここで図1を参照し、本開示の一実施形態の方法を示す。図1に示す実施形態には、骨用途に適しているであろうインプラントが示されている。図1の実施形態では、ボックス102において、死体、生きたドナーから海綿骨を回収するか、または患者から同系細胞で集めた。集めた海綿骨を、理解し得るように、望ましい形状および構造になるように粉砕するか、または切断してもよい。集める操作中および切断操作中に、細胞材料、骨髄および/または血液がある程度、この骨の内部に保持されるように注意を払わなければならない。従来技術のインプラントにおいて、集めた骨サンプルから、骨の中の骨髄および/または血液を系統立てて除去および/または洗浄してもよい。本開示の一実施形態では、海綿骨は、例えば、腸骨稜、椎体、骨顆などの皮質骨部分を含んでいてもよい。したがって、ある実施形態では、特定の用途の需要に依存して、海綿骨は、さらなる処理の前に取り除かれる皮質部分を含んでいてもよい。
次いで、ボックス104において、海綿骨を酢酸にさらし、酢酸は、上述の溶解剤として作用する。一実施形態では、酢酸の濃度は、1%よりも高く、モル濃度は、0.2M〜17Mの範囲である。酢酸溶解剤を使用し、海綿骨の多孔性骨構造内および骨表面に残っている細胞を溶解させる。細胞を溶解すると、細胞材料内に含まれる成長因子および生体活性材料が放出され、可溶化する。また、酢酸溶解剤によって、可溶化した生体活性物質を骨に結合させることもできる。酢酸溶解剤にさらし、成長因子および/または生体活性材料が骨に結合した後、ボックス106において、骨を洗浄剤によってさらにすすぎ、洗浄してもよい。すすぎは、過剰量の酢酸、細胞断片、脂質および/または破片を取り除くために行うことができる。さらに、ボックス108において、集めた骨のpHを実質的に中和してもよい。ある実施形態では、集めた骨のpHを、ボックス106の洗浄剤およびすすぎ工程によって中和することができる。他の実施形態では、pH中和は必要ではないこともある。集めた骨のさらなるpH中和は、ボックス110において、エバポレーション、真空乾燥または凍結真空乾燥によって脱水し、残渣に対する酢酸溶解剤を減らし、インプラントのpHをもっと中性にすることによって行われてもよい。
すすぎ溶液は、水、食塩水(NaCl、PBSなど)、過酸化物、アルコール(イソプロピル、エタノールなど)、結晶質、滅菌液(抗菌薬、例えば、ゲンタマイシン、バンコマイシン、バシトラシン、ポリミキシン、アンホテリシン、アンピシリン、アミカシン、テイコプラニンなど)、保存液(DMEM、DMSO、マンニトール、ショ糖、グルコースなど)、貯蔵剤、および/または同種移植の処理に使用する他の液であってもよい。得られた生成物から、生体活性が増加した海綿骨インプラントが得られる。ある実施形態では、生物活性が増加した粉砕した粒子状フィラーインプラントおよび構造的な海綿骨インプラントが作られてもよい。
ここで図2を参照し、本開示の代替的な実施形態を示す。示されているフロー図は、集めた海綿骨から得られた生体活性物質および成長因子が皮質骨材料に結合しているような、集めた皮質骨から作られたインプラントを作成する方法を示す。示されている実施形態では、ボックス202において、死体、生きたドナーから皮質骨を集めるか、および/または患者から同系細胞で集める。ボックス204において、同じドナーから海綿骨も集める。特定の望ましい用途に依存して、集めた皮質骨を、望ましい形状および構造になるように粉砕するか、または切断してもよい。皮質骨を洗浄し、脱灰し(例えば、塩酸洗浄液を用い、および/またはクエン酸を用いて処理)、ミネラル内容物を取り除いてもよい。また、集めた海綿骨を、望ましい用途に依存して、特定の形状または構造になるように粉砕または切断してもよい。集める操作中および切断操作中に、海綿骨内に骨髄および血液がかなりの量保持されるように注意を払わなければならないだろう。海綿骨は、例えば、腸骨稜、椎体、骨顆などの皮質骨部分を含んでいてもよい。
したがって、ある実施形態では、インプラントの用途に依存して、海綿骨は、さらなる処理の前に取り除かれる皮質部分を含んでいてもよい。次いで、ボックス206において、海綿骨を、溶解剤である塩酸(例えば、0.1M〜16M)にさらし、多孔性骨構造内および骨表面に残っている細胞を溶解させる。細胞を溶解すると、細胞材料内に含まれる成長因子および生体活性材料が放出され、および/または可溶化する。上で図1について開示した実施形態とは対照的に、塩酸を、可溶化した成長因子および生体活性物質が海綿骨に結合するのを防ぐ溶解剤として使用することができるが、これらの物質は、塩酸および溶解混合物中に存在する。ボックス208において、溶解混合物中の可溶化した成長因子および生体活性物質を、同じドナーから集めた皮質骨に加える。
塩酸混合物中の成長因子および生体活性物質は、石灰化および/または脱灰された皮質骨に容易に結合する(例えば、1分〜50時間の結合時間)。結合し、過剰量の塩酸、細胞断片、脂質および/または破片を取り除いた後、ボックス210において、皮質骨をさらにすすぎ、洗浄してもよい。すすぎ溶液は、水、食塩水、過酸化物、アルコール、結晶質、滅菌液、保存液、貯蔵剤、または同種移植の処理に使用する他の液であってもよい。次いで、ボックス212において、皮質骨にpH中和を実施し、pH中和は、ボックス214において、ある実施形態で上に示したように脱水によって達成することができる。また、pH中和は、理解され得るように、他の化学薬剤または物理的プロセスによって行うこともできる。したがって、生物活性が増加した粉砕した粒子状フィラーインプラントおよび構造的な皮質骨インプラントをこの様式で作成してもよい。
ここで図3を参照し、本開示の代替的な実施形態を示す。ボックス302において、死体、生きたドナーから皮質骨および海綿骨を集め、および/または回収するか、または患者から同系細胞で集める。特定のインプラント用途に必要な場合、海綿骨および/または皮質骨を、望ましい形状および構造になるように粉砕するか、または切断してもよい。集める操作中および切断操作中に、この骨の内部に細胞材料、骨髄、および/または血液がかなりの量保持されるように注意を払わなければならないだろう。図3の実施形態では、ボックス304において、集めた海綿骨および集めた皮質骨を粉砕し、次いで、混合して実質的に均質な混合物を作成する。皮質骨は、所望な場合、海綿骨と混合する前に、上に示したような塩酸洗浄技術を用いて脱灰されてもよい。
成長因子が混合物全体にもっと均一に分散することができるように、海綿骨および皮質骨の混合物を、別の液(例えば、水)と混合することによってさらに均質化してもよい。次いで、ボックス306において、骨を含有する溶液を、溶解剤である酢酸(例えば、0.1M〜17M濃度)にさらし、多孔性骨構造内および骨表面に残っている細胞を溶解させる。細胞を溶解すると、細胞材料内に含まれる成長因子および生体活性材料が放出され、可溶化する。また、酢酸によって、可溶化した生体活性物質を皮質骨および海綿骨の混合物に結合させることもできる。さらに、酸洗浄は、骨をさらに脱灰し、その弾性を下げ、および/またはもっと海綿状にするために望ましい場合がある。酢酸、塩酸、クエン酸、リン酸などを含む任意の種類の酸を使用し、骨をさらに脱灰してもよい。
結合させ、過剰量の酸、細胞断片、脂質および/または破片を取り除いた後、ボックス308において、骨をさらにすすぎ、洗浄してもよい。ある実施形態では、ボックス310および312において、骨を、エバポレーション、真空乾燥または凍結真空乾燥によって脱水し、任意の残った酢酸を取り除き、皮質骨と海綿骨の混合物のpHを中和してもよい。すすぎ溶液としては、水、食塩水、過酸化物、アルコール、結晶質、滅菌液、保存液、貯蔵剤、または同種移植の処理に使用する他の液を挙げることができる。したがって、生物活性が増加した粉砕した粒子状フィラーインプラントおよび構造的な皮質海綿骨インプラントをこの様式で作成してもよい。
ここで図4を参照し、本開示の代替的な実施形態を示す。ボックス402において、死体、生きたドナーから海綿骨を回収するか、または患者から同系細胞で集める。特定のインプラント用途に必要な場合、集めた海綿骨を、望ましい形状および構造になるように粉砕するか、または切断してもよい。集める操作中および切断操作中に、この骨の内部に細胞材料、骨髄、および/または血液がかなりの量保持されるように注意を払わなければならないだろう。海綿骨は、腸骨稜、椎体、骨顆などに皮質骨部分を含んでいてもよい。したがって、海綿骨の皮質部分を海綿骨から取り除いてもよい。次いで、ボックス404において、海綿骨を、溶解剤である酢酸(例えば、0.1M〜17M濃度)にさらし、多孔性骨構造内および骨表面に残っている細胞を溶解させる。細胞を溶解すると、細胞材料内に含まれる成長因子および生体活性材料が放出され、可溶化する。また、酢酸によって、可溶化した生体活性物質を骨に結合させることもできる。ボックス408において、任意の酸(限定されないが、酢酸、塩酸、クエン酸、リン酸など)を用いた少なくとも1つの脱灰洗浄液を用い、海綿骨をさらに脱灰し、骨の機械特性を変え、ミネラル内容物を取り除いてもよい。
脱灰洗浄の間に、ボックス410において、骨の可とう性および圧縮性が所与の用途に受け入れられるレベルであるかどうかを決めるために、圧縮試験を実施してもよい。所望の用途にとって骨が硬すぎる場合、さらなる脱灰洗浄を実施してもよい。望ましい可とう性が得られたら、結合させ、過剰量の酸、細胞断片、脂質または破片を取り除いた後に、ボックス411において、骨をさらにすすぎ、洗浄してもよい。ある実施形態では、ボックス412および414において、骨を、エバポレーション、真空乾燥または凍結真空乾燥によって脱水し、任意の残った酢酸を取り除き、インプラントのpHをもっと中性にしてもよい。pH中和を、脱水以外の化学薬剤または物理的なプロセスによって行ってもよいことが理解されるはずである。すすぎ溶液は、水、食塩水、過酸化物、アルコール、結晶質、滅菌液、保存液、貯蔵剤、または同種移植の処理に使用する他の液であってもよい。したがって、生物活性が増加した粉砕した粒子状フィラーインプラント、および構造的であるが、可とう性/圧縮性の海綿骨インプラントをこの様式で作成してもよい。
ここで図5を参照し、本開示の代替的な実施形態を示す。ボックス502において、死体、生きたドナーから皮質骨を集めるか、または患者から同系細胞で集める。インプラントの用途に依存して、皮質骨を、望ましい形状および構造になるように粉砕するか、または切断してもよい。したがって、ボックス504において、海綿骨も、皮質骨と同じドナーから集める。インプラントの用途に依存して、海綿骨を、望ましい形状および構造になるように粉砕するか、または切断してもよい。集める操作中および切断操作中に、海綿骨の内部に細胞材料、骨髄、および/または血液がかなりの量保持されるように注意を払わなければならないだろう。海綿骨は、腸骨稜、椎体、骨顆などに皮質骨部分を含んでいてもよい。したがって、さらなる処理の前に、皮質部分を海綿骨から取り除いてもよい。ボックス506において、海綿骨を溶解剤(例えば、限定されないが、塩酸)にさらし、多孔性骨構造内および骨表面に残っている細胞を溶解させる。
ボックス510およびボックス512において、集めた皮質骨を洗浄し、脱灰し、ミネラル内容物(限定されないが、カルシウム塩を含む)を取り除いてもよい。この脱灰プロセスは、酸に浸すこと、および/または骨の孔に酸を繰り返し真空灌流させることを含んでいてもよい。
非限定的な例として、真空による周期的な脱灰方法を利用すると、1〜59分までの必要な脱灰時間が短くなる場合がある。真空による周期的な脱灰サイクルによって、表面だけではなく、インプラント全体からカルシウムミネラルを実質的に均一に除去しやすくすることができる。皮質骨を酸に浸すことによって脱灰工程を行うと、カルシウムミネラルの均一ではない除去が起こることがある。均一ではないカルシウムミネラルの除去によって、インプラントの異なる部分にわたって、さまざまなカルシウム濃度の勾配が生じてしまうことがある。
真空による周期的な脱灰を利用すると、酸にサンプルを浸すことと比べて均質なカルシウム濃度を得ることができ、その結果、靱性および弾性が良好で強いインプラントを得ることができる。さらに、このプロセスを用い、患者の外科的移植部位でみられる天然の機械特性と良好に適合するように骨の弾性を減らすことができる。このことは、骨粗しょう症患者、骨減少症患者、または骨密度または骨ミネラル密度が低い患者では利点となり得る。また、この均質な弾性低下は、移植部位の皮膚を剥離した手術部位では利点である。均一なカルシウムミネラル除去によって、脊椎固定の沈下速度も減らすことができる。また、真空による周期的な脱灰を用いると、皮質骨内に良好に成長因子が保持されることがわかるだろう。
ボックス514において、皮質骨の弾性度が許容範囲であると決定されたら、この弾性が低下した皮質骨および皮質海綿骨を、結合した成長因子および/または生体活性材料を用いて製造することもできる。集めた海綿骨の細胞を溶解させ、細胞材料に含まれる成長因子および生体活性材料を放出させ、可溶化する。また、塩酸は、可溶化した生体活性物質および成長因子が海綿骨に結合するのも抑える。ボックス515において、塩酸中に可溶化した成長因子および生体活性物質を、同じドナーから集めた皮質骨に加える。成長因子および生体活性物質は、石灰化または脱灰された皮質骨に容易に結合する。
ボックス516において、結合させ、過剰量の塩酸、細胞断片、脂質および/または破片などを取り除いた後、骨を洗浄剤によってさらにすすぎ、洗浄してもよい。すすぎ溶液は、水、食塩水、過酸化物、アルコール、結晶質、滅菌液、保存液、貯蔵剤、または同種移植の処理に使用する他の液であってもよい。さらに、インプラントをさらに脱灰する場合、生体活性物質および/または成長因子を結合する前、または結合した後に、インプラントを可とう性にしてもよい。したがって、生物活性が増加し、弾性が低下した構造的な骨インプラントをこの様式で作成してもよい。
ここで図6を参照し、本開示の代替的な実施形態を示す。ボックス602において、死体、生きたドナーから骨髄を集めるか、または患者から同系細胞で集める。死体のドナーを使用する場合、任意の骨切除を実施する前に骨髄を集めることによって、多くの容積の骨髄が得られるだろう。ある実施形態では、骨髄を集めるための真空ラインに接続したカニューレ挿入したドリルを用いると、死体のドナーからの骨髄の収量も増える。カニューレ挿入したドリルの先端が、海綿骨内を破壊し、真空によって、骨髄をカニューレから収集チャンバへと引っ張り出す。
生きたドナーから生命維持装置をはずす前に骨髄を集めることは、骨髄を取り出すにつれて、生理学的循環によって生じる血流が、さらなる吸引のための領域にさらなる骨髄材料を流すため、骨髄収集技術として使用することができる。骨髄を集めた後、ボックス604において、特定の細胞種(例えば、間充織幹細胞、骨芽細胞、骨細胞または他の前駆細胞)を、濾過、遠心分離、磁気ビーズへの結合、蛍光活性化細胞分類(FACS)、および/または細胞濃度を上げ、細胞種をフラクションに分け、または、溶液から特定の細胞種をなくすことが理解され得るような他の細胞分類または濃縮技術によって濃縮してもよい。望ましい細胞集合が得られたら、すでに記載した溶解技術を実施してもよい(例えば、ボックス606において、酢酸にさらす)。
酢酸を細胞に加えたら、所与の時間溶解させ、成長因子および他の生体活性物質が可溶化する。溶液を遠心分離または濾過し、任意の細胞断片または細胞破片をなくしてもよい。溶液に対し、第2の濾過工程を実施し、他の固体沈殿(例えば、析出したヘモグロビン)を除去してもよい。この溶液に対し、第3の濾過工程を実施し、溶液中の成長因子および他の生体活性物質を濃縮してもよい。次いで、この溶液をすでに述べた方法(例えば、凍結真空乾燥)によって脱水する。ボックス610において、この溶液の量を減らして水溶性粉末にし、ボックス612において、真空下、貯蔵寿命を長くするために密封してもよい。また、貯蔵寿命をのばすために、この溶液を凍結させてもよい。この粉末は、多くの生体活性分子および/または成長因子(限定されないが、BMP−2、VEGF、aFGF、FGF−6、TGF−B1、および理解され得る他のものを含む)を豊富に含んでいてもよい。
ここで図7を参照し、本開示の代替的な実施形態を示す。示されている実施形態において、ボックス702で、死体、生きたドナーから海綿骨を回収するか、または患者から同系細胞で集める。特定のインプラント用途に必要な場合、集めた海綿骨を、望ましい形状および構造になるように粉砕するか、または切断してもよい。集める操作中および切断操作中に、この骨の内部に骨髄および血液がかなりの量保持されるように注意を払わなければならないだろう。海綿骨は、腸骨稜、椎体、骨顆などに皮質骨部分を含んでいてもよい。したがって、海綿骨は、さらなる処理の前に取り除かれる皮質部分を含んでいてもよい。次いで、ボックス704において、集めた海綿骨を溶解剤(例えば、水)にさらし、海綿骨に含まれる細胞を溶解させる。特定の抗凝血剤(例えば、ヘパリン)を溶解剤として用いる場合、細胞を溶解することによって放出した成長因子は、溶液に可溶化するだろう。抗凝血剤を使用しない場合、または異なる抗凝血剤(例えば、クエン酸ナトリウム)を使用する場合、細胞が溶解し、成長因子を放出するが、これらは完全には液中に可溶化しないだろう。
この場合、次いで、ボックス706において、液から骨を取り除き、ボックス708において、この液に可溶化剤(例えば、酸)を加え、成長因子および他の生体活性物質を可溶化させる。成長因子および他の生体活性物質が可溶化したら、ボックス710において、液を中和および/または凍結真空乾燥してもよい。酢酸を可溶化剤として使用する場合、凍結真空乾燥中にかなりの量の酢酸が蒸発すると思われるため、中和は不必要であろう。または、他の溶解剤および可溶化剤を使用し、細胞を溶解し、成長因子を可溶化させ、成長因子および生体活性材料が、細胞が集められた海綿骨に結合するのを防ぐことができる。
ここで図8を参照し、本開示の代替的な実施形態を示す。示されている実施形態において、ボックス802で、死体、生きたドナーから海綿骨を回収するか、または患者から同系細胞で集める。特定のインプラント用途に必要な場合、海綿骨を、望ましい形状および構造になるように粉砕するか、または切断してもよい。集める操作中および切断操作中に、この骨の内部に骨髄および血液がかなりの量保持されるように注意を払わなければならないだろう。海綿骨は、腸骨稜、椎体、骨顆などに皮質骨部分を含んでいてもよい。したがって、集めた海綿骨の皮質部分を取り除いてもよい。ボックス804において、集めた海綿骨を水にさらし、赤血球細胞、白血球細胞などの望ましくない細胞種を選択的に溶解させる。ある実施形態では、骨と水との比率は、水1部に対し骨1部〜水200部に対し骨1部の範囲を使用することができる。骨に接続していない任意の残った生存細胞をこの様式で洗い流してもよい。さらに、弱い溶解剤(例えば、1M未満の酢酸)を用いると、可溶化した成長因子が骨に結合するが、骨に接続した生存前駆細胞はまだ残ったままであろう。
望ましい細胞(例えば、間充織幹細胞、骨髄間質細胞、前駆細胞など)は、多孔性骨構造内および骨表面で生存したままである。すでに記載した他の機械的な溶解技術(例えば、音波処理、撹拌によって誘発されるせん断、熱分解など)を水浴と組み合わせて使用し、細胞材料の溶解を促進してもよい。溶解時間(例えば、1分〜50時間)が経過した後、ボックス806において、食塩水を加え、溶液の浸透圧を生理学的レベル(例えば、約0.9%の塩)に戻す。溶液を等張状態に戻した後、ボックス808において、液体をデカンテーションすると、骨が残る。デカンテーション工程において、有効なすすぎによって、海綿骨に接続していない望ましくない細胞を除去しやすくなり、これを廃棄する。
ボックス810において、抗生物質を骨に塗布し、バイオバーデンレベルを下げる。または、ある実施形態では、溶解工程の前に、集めた海綿骨に抗生物質を投与してもよい。使用可能ないくつかの抗生物質としては、ゲンタマイシン、バンコマイシン、アンホテリシン、すでに述べた他の抗生物質または理解されるであろう他の抗生物質、または同種移植組織のバイオバーデンを減らすために使用可能な種々の抗生物質が挙げられる。バイオバーデンを減らした後、ボックス812において、骨を、貯蔵液または保存液(例えば、DMEM、DMSO、ショ糖、マンニトール、グルコースなど)にさらしてもよい。次いで、足場の欠陥を修復するために手術温度で使用するのに解凍するまでは、骨を凍結させておく。ある実施形態では、骨を−40度以下の温度で凍結させてもよい。
ここで図9を参照し、本開示の代替的な実施形態を示す。示されている実施形態において、上に記載した実施形態で、図6および/または7を(非限定的な例として)参照しつつ得られた成長因子および生体活性物質を、脱水の前に生分解性ポリマーまたは再吸収性ポリマーに加えてもよい。したがって、ボックス902で集めた骨髄に、上述のように図6を参照しつつ、ボックス904で少なくとも1つの濾過プロセスを実施してもよい。これも上述のように、ボックス906において、集めた骨髄を、溶解剤にさらしてもよい。
この実施形態において、成長因子および生体活性物質をすでに記載したように集め、一般的な溶媒(例えば、酸)を用いてポリマーに加える。生分解性ポリマーは、タンパク質または多糖、例えば、コラーゲン、ヒアルロナン、キトサン、ゼラチンなど、および2種以上のポリマーの組み合わせであってもよい。成長因子および生体活性物質をポリマーに加えた後、ボックス910において、混合して実質的に均質な溶液を得る。次いで、実質的に均質な溶液から、任意の泡または不純物を除去してもよい。他の材料(例えば、限定されないが、リン酸カルシウム、脱灰された骨、ヒドロキシアパタイト、ヘパリン、硫酸コンドロイチンなど)が、成長因子に接続し、生成物によって分解し、および/または機械的に強化するためにインプラントに埋め込まれることが望ましい場合、これらを混合物に加えてもよい。
ボックス912において、ある実施形態では、−200℃〜0℃の範囲であってもよい温度で混合物を凍結させ、混合物中に含まれる水を核形成させて氷にし、ポリマー/生体活性物質混合物を多孔性構造に凝結させる。混合物を、球状、円筒形、長方形、シート形態、管形態などの任意の形状で凍結させてもよい。インプラントは、この形状を保持する傾向があり、このポリマーの形状記憶特性は、in vivoで膨張するための空間を与える。もっと大きな孔を作るには、温度を上げればよく、小さな孔を作るには、温度を下げればよい。孔は、孔の望ましい方向に対して実質的に垂直に低温源を配置することによって方向性を持たせることができる。混合物を所望の温度および所望の孔方向で凍結させたら、ボックス914において、インプラントを、インプラントに含まれる水が実質的になくなるまで凍結真空乾燥および/または脱水する。酢酸または別の揮発性基質を溶媒として用いる場合、この溶媒も、凍結真空乾燥によって実質的になくなるだろう。
凍結真空乾燥サイクルを完了した後、ボックス915において、溶解剤として使用する溶媒に依存して、エタノール、塩水、塩基またはバッファを用いて足場を実質的に中和してもよい。酢酸溶媒の場合、ボックス916において、凍結真空乾燥させたインプラントをエタノールですすいだ後、塩水または他の洗浄剤ですすいでもよい。塩水で洗浄した後、インプラントを、水を用いて塩を含まなくなるまですすぎ、真空乾燥または凍結真空乾燥し、貯蔵寿命を高めてもよい。ボックス918において、脱水したインプラントを真空下でパッケージングするか、または、真空密封されたバイアルで密封してもよい。また、凍結し、凍結真空乾燥させる前、または中和し、凍結真空乾燥させた後に、インプラントを圧縮し、液にさらされると膨張する小型化された足場を作成する。液にさらされると、このようなインプラントは、実質的にほぼ元通りの足場の大きさまで膨張する。中和した足場を圧縮し、凍結させることなく乾燥することによって、遅延型の膨張を達成してもよい。
ここで図10を参照し、本開示の代替的な実施形態を示す。示されている実施形態において、上に記載した実施形態で、図6および/または7を(非限定的な例として)参照しつつ得られた成長因子および生体活性物質を生分解性ポリマーまたは再吸収性ポリマーに加え、流動可能な液および/またはゲルを得てもよい。この実施形態では、成長因子および生体活性物質をすでに記載したように集め、一般的な溶媒(例えば、酸)を用いてポリマーに加える。したがって、ボックス1002で集めた骨髄に、上述のように図6を参照しつつ、ボックス1004で少なくとも1つの濾過プロセスを実施してもよい。これも上述のように、ボックス1006において、集めた骨髄を、溶解剤にさらしてもよい。
生分解性ポリマーは、タンパク質または多糖、例えば、コラーゲン、ヒアルロナン、キトサン、ゼラチンなど、および2種以上のポリマーの組み合わせであってもよい。成長因子および生体活性物質をポリマーに加えた後、ボックス1010において、混合して実質的に均質な溶液を得る。次いで、任意の泡または不純物を除去してもよい。他の材料(例えば、限定されないが、リン酸カルシウム、脱灰された骨、ヒドロキシアパタイト、ヘパリン、硫酸コンドロイチンなど)が、成長因子に接続し、生成物によって分解し、および/または機械的に強化するためにインプラントに埋め込まれることが望ましい場合、これらを混合物に加えてもよい。
体にとって十分に耐性が高い溶解剤を選択することができる。例えば、成長因子および生体活性物質をキトサンおよび酢酸溶液(0.01M〜17M)に加えてもよい。また、脱灰された骨をこの溶液に加えてもよい。この溶液を混合し、気泡は、真空または遠心分離を加えることによって除去することができる。ボックス1012において、ゲルをシリンジに封入してもよく、凍結および/または周囲温度で保存してもよい。体内に注入および/または移植したら、ゲルは組織に結合する。生理液は、ゲルを緩衝化してpHを中和し、系中でゲルが固化してもよい。ゲルが固化したら、望ましい治療用インプラントが目的の手術部位にとどまり、移動は最低限である。
ここで図11を参照し、本開示の代替的な実施形態を示す。図10を参照しつつ記載する上の実施形態に記載されるように得られたゲルを、真空乾燥、溶媒エバポレーションなどの技術を用いて脱水し、ゲルの容積を減らし、半剛性膜および/またはペレットにしてもよい。したがって、ボックス1102で集めた骨髄に対し、上述のように図6を参照しつつ、ボックス1104で少なくとも1つの濾過プロセスを実施してもよい。これも上述のように、ボックス1106において、集めた骨髄を、溶解剤にさらしてもよい。
ボックス1112において、上述のようにゲルを脱水する。ペレットを、ボックス1114において、望ましいインプラント用途に依存して、望ましい粒子サイズになるようにさらに粉砕するか、または切断してもよい。流体にさらし、手術部位に移植したら、ペレットおよび/または粉砕したペレットから得られた粉末は、組織にも結合可能な粘着性パテを形成する。この結合特性によって、移植された場合に、パテが手術部位の所定の位置に実質的にとどまる。このパテを生体活性のある手術用接着剤として使用することができる。また、このようなパテの適用は、外科手術で使用する自家移植材料(例えば、脊椎固定手技で使用する自家移植骨)とともに使用するとき、自家移植片が粘着性の塊の中に保持され、移動が最低限であることが有利であると考えられるため、有利であろう。
ここで図12を参照し、低pHキトサン/ミネラルパテの一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス1202において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1204において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させる。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1206において、粉末形態または顆粒形態のミネラルを加え、ボックス1208において、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス1210において、パテを濡れた状態または凍った状態で封入する。
ここで図13を参照し、中性から部分的に中性のキトサン/ミネラルパテの一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス1302において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1304において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させる。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1306において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)を加え、撹拌して塩基溶液を均質化することによって、懸濁物を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス1308において、粉末形態または顆粒形態のミネラルを加え、ボックス1310において、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス1312において、パテを濡れた状態または凍った状態で封入する。
ここで図14を参照し、低pHキトサン/骨パテの一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス1402において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1404において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させる。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。ボックス1406において、粉末形態または顆粒形態の骨を加え、ボックス1408において、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス1410において、パテを濡れた状態または凍った状態で封入する。
ここで図15を参照し、中性から部分的に中性のキトサン/骨パテの一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス1502において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1504において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させる。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1506において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)を加え、撹拌して塩基溶液を均質化することによって、懸濁物を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス1508において、粉末形態または顆粒形態の骨(例えば、同種移植骨)を加え、ボックス1510において、撹拌し、均質混合物を得る。ボックス1512において、パテを濡れた状態または凍った状態で封入する。
ここで図16を参照し、低pHキトサン/脱灰された骨パテの一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス1602において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1604において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させる。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1606において、粉末形態または顆粒形態の脱灰された骨または部分的に脱灰された骨を加え、ボックス1608において、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス1610において、パテを濡れた状態または凍った状態で封入する。
ここで図17を参照し、中性から部分的に中性のキトサン/脱灰された骨パテの一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス1702において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1604において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させる。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1606において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)を加え、撹拌して塩基溶液を均質化することによって、懸濁物を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス1708において、粉末形態または顆粒形態の脱灰された骨または部分的に脱灰された骨(例えば、同種移植骨)を加え、ボックス1710において、撹拌して均質な混合物にする。次いで、ボックス1712において、パテを濡れた状態または凍った状態で封入する。
ここで図18を参照し、中性から部分的に中性のキトサン/ミネラル足場となる海綿状物の一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス1802において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。ボックス1804において、粉末形態または顆粒形態のミネラルを加え、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス1806において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させ、ボックス1808において撹拌する。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1810において、懸濁物を1つ以上の望ましい形状に合うような型に入れる。次いで、ボックス1812において、懸濁物を凍結乾燥させる。型を冷凍庫に入れ、懸濁物を凍結させて結晶を生成させる。凍結した懸濁物を凍結真空乾燥し、生成した足場を型から抜き取る。次いで、ボックス1814において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)に浸すことによって、足場を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス1816において、滅菌水またはPBS中の任意の残った塩基溶液で足場をすすぎ、ボックス1818において、凍結乾燥させ、このとき、足場は凍結し、これを凍結真空乾燥する。ボックス1820において、足場を望ましい形状に圧縮し、ボックス1822において、封入し、滅菌する。
ここで図19を参照し、中性から部分的に中性のキトサン/ミネラル足場海綿状物の別の実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス1902において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。ボックス1904において、粉末形態または顆粒形態のミネラルを加え、撹拌し、均質混合物にする。次いで、ボックス1906において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させ、ボックス1908において撹拌する。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス1910において、懸濁物を1つ以上の望ましい形状に合うような型に入れる。次いで、ボックス1912において、懸濁物を凍結乾燥させる。型を冷凍庫に入れ、懸濁物を凍結させて結晶を生成させる。凍結した懸濁物を凍結真空乾燥し、生成した足場を型から抜き取る。次いで、ボックス1914において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)に浸すことによって、足場を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス1916において、滅菌水またはPBS中の任意の残った塩基溶液で足場をすすぎ、ボックス1918において、凍結乾燥させ、このとき、足場は凍結し、これを凍結真空乾燥する。次いで、ボックス1920において、浸すか、または真空灌流によって、足場にタンパク質を結合させる。
ここで図20を参照し、播種した細胞を含む、中性から部分的に中性のキトサン/ミネラル足場海綿状物の一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス2002において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。ボックス2004において、粉末形態または顆粒形態のミネラルを加え、撹拌し、均質混合物にする。次いで、ボックス2006において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁物にし、ボックス2008において撹拌する。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス2010において、懸濁物を1つ以上の望ましい形状に合うような型に入れる。次いで、ボックス2012において、懸濁物を凍結乾燥させる。型を冷凍庫に入れ、懸濁物を凍結させて結晶を生成させる。凍結した懸濁物を凍結真空乾燥し、生成した足場を型から抜き取る。次いで、ボックス2014において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)に浸すことによって、足場を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス2016において、滅菌水またはPBS中の任意の残った塩基溶液で足場をすすぎ、ボックス2018において、凍結乾燥させ、このとき、足場は凍結し、これを凍結真空乾燥する。次いで、ボックス2020において、水和、浸漬、または真空灌流によって、播種した細胞を足場に結合する。
ここで図21を参照し、中性から部分的に中性のキトサン/骨足場海綿状物の一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス2102において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いでボックス2104において、粉末形態または顆粒形態の骨を加え、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス2106において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させ、ボックス2108において撹拌する。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス2110において、懸濁物を1つ以上の望ましい形状に合うような型に入れる。次いで、ボックス2112において、懸濁物を凍結乾燥させる。型を冷凍庫に入れ、懸濁物を凍結させて結晶を生成させる。凍結した懸濁物を凍結真空乾燥し、生成した足場を型から抜き取る。次いで、ボックス2114において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)に浸すことによって、足場を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス2116において、滅菌水またはPBS中の任意の残った塩基溶液で足場をすすぎ、ボックス2118において、凍結乾燥させ、このとき、足場は凍結し、これを凍結真空乾燥する。ボックス2120において、望ましい形状になるように足場を圧縮し、ボックス2122において封入し、滅菌する。
ここで図22を参照し、中性から部分的に中性のキトサン/骨足場海綿状物の別の実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス2202において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いでボックス2204において、粉末形態または顆粒形態の骨を加え、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス2206において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させ、ボックス2208において撹拌する。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス2210において、懸濁物を1つ以上の望ましい形状に合うような型に入れる。次いで、ボックス2212において、懸濁物を凍結乾燥させる。型を冷凍庫に入れ、懸濁物を凍結させて結晶を生成させる。凍結した懸濁物を凍結真空乾燥し、生成した足場を型から抜き取る。次いで、ボックス2214において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)に浸すことによって、足場を中和または部分的に中和する。ボックス2216において、滅菌水またはPBS中の任意の残った塩基溶液で足場をすすぎ、ボックス2218において、凍結乾燥させ、このとき、足場は凍結し、凍結真空乾燥する。次いで、ボックス2220において、浸漬、または真空灌流によって、タンパク質を足場に結合する。
ここで図23を参照し、播種した細胞を含む、中性から部分的に中性のキトサン/骨足場海綿状物の一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス2302において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いでボックス2304において、粉末形態または顆粒形態の骨を加え、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス2306において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させ、ボックス2308において撹拌する。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス2310において、懸濁物を1つ以上の望ましい形状に合うような型に入れる。次いで、ボックス2312において、懸濁物を凍結乾燥させる。型を冷凍庫に入れ、懸濁物を凍結させて結晶を生成させる。凍結した懸濁物を凍結真空乾燥し、生成した足場を型から抜き取る。次いで、ボックス2314において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)に浸すことによって、足場を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス2316において、滅菌水またはPBS中の任意の残った塩基溶液で足場をすすぎ、ボックス2318において、凍結乾燥させ、このとき、足場は凍結し、これを凍結真空乾燥する。次いで、ボックス2320において、水和、浸漬、または真空灌流によって、播種した細胞を足場に結合する。
ここで図24を参照し、中性から部分的に中性のキトサン/脱灰された骨足場海綿状物の一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス2402において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス2404において、粉末形態または顆粒形態の脱灰された骨または部分的に脱灰された骨を加え、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス2406において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させ、ボックス2408において撹拌する。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス2410において、懸濁物を1つ以上の望ましい形状に合うような型に入れる。次いで、ボックス2412において、懸濁物を凍結乾燥させる。型を冷凍庫に入れ、懸濁物を凍結させて結晶を生成させる。凍結した懸濁物を凍結真空乾燥し、生成した足場を型から抜き取る。次いで、ボックス2414において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)に浸すことによって、足場を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス2416において、滅菌水またはPBS中の任意の残った塩基溶液で足場をすすぎ、ボックス2418において、凍結乾燥させ、このとき、足場は凍結し、これを凍結真空乾燥する。ボックス2420において、足場を望ましい形状になるように圧縮し、ボックス2422において、滅菌する。
ここで図25を参照し、中性から部分的に中性のキトサン/脱灰された骨足場海綿状物の別の実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス2502において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス2504において、粉末形態または顆粒形態の脱灰された骨または部分的に脱灰された骨を加え、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス2506において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させ、ボックス2508において撹拌する。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス2510において、懸濁物を1つ以上の望ましい形状に合うような型に入れる。次いで、ボックス2512において、懸濁物を凍結乾燥させる。型を冷凍庫に入れ、懸濁物を凍結させて結晶を生成させる。凍結した懸濁物を凍結真空乾燥し、生成した足場を型から抜き取る。次いで、ボックス2514において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)に浸すことによって、足場を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス2516において、滅菌水またはPBS中の任意の残った塩基溶液で足場をすすぎ、ボックス2518において、凍結乾燥させ、このとき、足場は凍結し、これを凍結真空乾燥する。次いで、ボックス2520において、浸漬または真空灌流によって、タンパク質を足場に結合させる。
ここで図26を参照し、播種した細胞を含む中性から部分的に中性のキトサン/脱灰された骨足場海綿状物の一実施形態を製造する方法を示すフロー図が示される。ボックス2602において、キトサン溶液が作られる。キトサン溶液は、約1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス2604において、粉末形態または顆粒形態の脱灰された骨または部分的に脱灰された骨を加え、撹拌し、均質混合物を得る。次いで、ボックス2606において、酸(例えば、酢酸)を加え、溶液を懸濁させ、ボックス2608において撹拌する。酸は、約0.1%〜約25%の範囲であってもよい。次いで、ボックス2610において、懸濁物を1つ以上の望ましい形状に合うような型に入れる。次いで、ボックス2612において、懸濁物を凍結乾燥させる。型を冷凍庫に入れ、懸濁物を凍結させて結晶を生成させる。凍結した懸濁物を凍結真空乾燥し、生成した足場を型から抜き取る。次いで、ボックス2614において、塩基溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウム)に浸すことによって、足場を中和または部分的に中和する。次いで、ボックス2616において、滅菌水またはPBS中の任意の残った塩基溶液で足場をすすぎ、ボックス2618において、凍結乾燥させ、このとき、足場は凍結し、これを凍結真空乾燥する。次いで、ボックス2620において、水和、浸漬または真空灌流によって、播種した細胞を足場に結合させる。細胞が結合したら、足場を冷凍保存し、凍結しつつ封入してもよい。
さらなる説明のために、以下の非限定的な例を与える。
足場となる海綿状物の配合物−質量%(部/100部)
第1の非限定的な例において、83.6%の水中、6%のトリリン酸カルシウム(TCP)と、分子量が300kDaより大きい6%のキトサン溶液(>75%脱アセチル化)とを混合した溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、4.4%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、懸濁物を型に入れ、15分ごとに5℃の傾斜による制御された速度で−80℃の温度まで凍結させた。懸濁物が固体に変わったら、乾燥が終了するまで、型を凍結真空乾燥させた。次いで、2モル濃度のNaOH溶液を用い、足場を水和した。次いで、足場を中性pHになるまで滅菌水ですすいだ。次いで、制御された速度で足場を凍結させ、乾燥するまで凍結乾燥させた。
第2の非限定的な例において、85.6%の水中、6%のTCPと、分子量が300kDaより大きい4%のキトサン溶液(>75%脱アセチル化)とを混合した溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、4.5%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、懸濁物を型に入れ、15分ごとに5℃の傾斜による制御された速度で−80℃の温度まで凍結させた。懸濁物が固体に変わったら、乾燥が終了するまで、型を凍結真空乾燥させた。次いで、2モル濃度のNaOH溶液を用い、足場を水和した。次いで、足場を中性pHになるまで滅菌水ですすいだ。次いで、制御された速度で足場を凍結させ、乾燥するまで凍結乾燥させた。
第3の非限定的な例において、86.45%の水中、6%部のTCPと、分子量が300kDaより大きい3%のキトサン溶液(>75%脱アセチル化)とを混合した溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、4.55%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、懸濁物を型に入れ、15分ごとに5℃の傾斜による制御された速度で−80℃の温度まで凍結させた。懸濁物が固体に変わったら、乾燥が終了するまで、型を凍結真空乾燥させた。次いで、2モル濃度のNaOH溶液を用い、足場を水和した。次いで、足場を中性pHになるまで滅菌水ですすいだ。次いで、制御された速度で足場を凍結させ、乾燥するまで凍結乾燥させた。
第4の非限定的な例において、87.4%の水中、6%のTCPと、分子量が300kDaより大きい2%のキトサン溶液(>75%脱アセチル化)とを混合した溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、4.6%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、懸濁物を型に入れ、15分ごとに5℃の傾斜による制御された速度で−80℃の温度まで凍結させた。懸濁物が固体に変わったら、乾燥が終了するまで、型を凍結真空乾燥させた。次いで、2モル濃度のNaOH溶液を用い、足場を水和した。次いで、足場を中性pHになるまで滅菌水ですすいだ。次いで、制御された速度で足場を凍結させ、乾燥するまで凍結乾燥させた。
タンパク質を用いた海綿状配合物−質量%(部/100部)
非限定的な例において、86.45%の水中、6%部のTCPと、分子量が300kDaより大きい3%のキトサン溶液(>75%脱アセチル化)とを混合した溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、4.55%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、懸濁物を型に入れ、15分ごとに5℃の傾斜による制御された速度で−80℃の温度まで凍結させた。懸濁物が固体に変わったら、乾燥が終了するまで、型を凍結真空乾燥させた。次いで、2モル濃度のNaOH溶液を用い、足場を水和した。次いで、足場を中性pHになるまで滅菌水ですすいだ。次いで、制御された速度で足場を凍結させ、乾燥するまで凍結乾燥させた。次いで、足場をタンパク質溶液で完全に飽和させた。
細胞を用いた海綿状配合物−質量%(部/100部)
非限定的な例において、86.45%の水中、6%部のTCPと、分子量が300kDaより大きい3%のキトサン溶液(>75%脱アセチル化)とを混合した溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、4.55%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、懸濁物を型に入れ、15分ごとに5℃の傾斜による制御された速度で−80℃の温度まで凍結させた。懸濁物が固体に変わったら、乾燥が終了するまで、型を凍結真空乾燥させた。次いで、2モル濃度のNaOH溶液を用い、足場を水和した。次いで、足場を中性pHになるまで滅菌水ですすいだ。次いで、制御された速度で足場を凍結させ、乾燥するまで凍結乾燥させた。次いで、足場を、生きた細胞を含む生理液で完全に飽和させた。
酸性パテ配合物−質量%(部/100部)
第1の非限定的な例において、45%の水中、分子量が300kDaより大きいキトサン溶液(>75%脱アセチル化)の1%溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、1%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、この懸濁物に53%のTCPを加え、均質な混合物が得られるまで撹拌した。
第2の非限定的な例において、44%の水中、分子量が300kDaより大きいキトサン溶液(>75%脱アセチル化)の1%溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、2%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、この懸濁物に53%のTCPを加え、均質な混合物が得られるまで撹拌した。
第3の非限定的な例において、43%の水中、分子量が300kDaより大きいキトサン溶液(>75%脱アセチル化)の1%溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、3%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、この懸濁物に53%のTCPを加え、均質な混合物が得られるまで撹拌した。
中性パテ配合物−質量%(部/100部)
非限定的な例において、45%の水中、分子量が300kDaより大きいキトサン溶液(>75%脱アセチル化)の1%溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、1%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、この懸濁物を3%の2モル濃度NaOH溶液で中和し、撹拌した。次いで、懸濁物に53%のTCPを加え、パテ状の稠度になるまで撹拌した。
タンパク質を用いたパテ配合物−質量%(部/100部)
非限定的な例において、45%の水中、分子量が300kDaより大きいキトサン溶液(>75%脱アセチル化)の1%溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、1%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、この懸濁物を3%の2モル濃度NaOH溶液で中和し、撹拌した。次いで、懸濁物に53%のTCPを加え、パテ状の稠度になるまで撹拌した。次いで、パテをタンパク質溶液で完全に飽和させた。
細胞を用いたパテ配合物−質量%(部/100部)
非限定的な例において、45%の水中、分子量が300kDaより大きいキトサン溶液(>75%脱アセチル化)の1%溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、1%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、この懸濁物を3%の2モル濃度NaOH溶液で中和し、撹拌した。次いで、懸濁物に53%のTCPを加え、パテ状の稠度になるまで撹拌した。次いで、生きた細胞を含む生理液でパテを完全に飽和させた。
顆粒状粉末配合物−質量%(部/100部)
非限定的な例において、45%の水中、分子量が300kDaより大きいキトサン溶液(>75%脱アセチル化)の2%溶液を最初に作成した。次いで、この溶液を、2%の酢酸と混合し、溶液を懸濁させた。次いで、懸濁物に51%のTCPを加え、パテ状の稠度になるまで撹拌した。パテを凍結真空乾燥し、粉砕して粉末にした。この粉末を、手術中に自家移植骨または生理液と混合し、ゲルまたはパテを作成した。顆粒状粉末は、後の再構築のために粉末状態で維持されていてもよい。
キトサン/TCP足場は、約20〜約80μmの多孔度を示した。図27は、材料の容積、空隙の容積、ROI、これらの容積を含め、足場の材料密度が41.13%および20.42%の材料特性の例を与えている。
次に、図28を参照し、足場の例示的な実施形態による、円周方向の膨張のグラフが示されている。この実施形態では、水和状態の寸法を、圧縮した状態の足場の寸法と比較し、30mg/mlのキトサンと60mg/mLのTCPとを含む配合物に基づいて、合計膨張率を計算した。
次に図29を参照し、足場の例示的な実施形態による、一軸膨張のグラフが示されている。この実施形態では、水和状態の寸法を、圧縮した状態の足場の寸法と比較した。トリリン酸カルシウム濃度40、60、80、100、120mg/mlにそれぞれ対応し、キトサン濃度が20、30、40、50、60mg/mlである異なる配合物について、合計膨張率を計算した。
比率、濃度、量、他の数値データは、本明細書で、ある範囲形式で表現されてもよいことを注記しておく。このような範囲形式は、簡便かつ簡略化のために使用されており、したがって、その範囲の境界値として明示されている数値範囲だけを含むのではなく、各数値範囲および副次的な範囲が明示されているかのように、その範囲に含まれるすべての個々の数値範囲または包含される副次的な範囲も含むように柔軟な様式で解釈すべきであるということが理解されるべきである。説明すると、「約0.1%〜約5%」の濃度範囲は、明示されている約0.1重量%〜約5重量%の濃度だけではなく、個々の濃度(例えば、1%、2%、3%、4%)、示されている範囲内の副次的な範囲(例えば、0.5%、1.1%、2.2%、3.3%、4.4%)も含むと解釈すべきである。一実施形態では、用語「約」は、その数値の有意桁数にしたがって従来のように丸めることを含んでいてもよい。それに加え、句「約『x〜y』」は、「約『x』〜約『y』」を含む。
含まれている図面に示されているフローチャートは、種々の工程を実施する特定の順番を示しているが、実施順序が示されているのとは異なっていてもよいことが理解される。例えば、2個以上のブロックの実施順序は、示されている順番に対して適宜変更されてもよい。また、連続して示されている2個以上のブロックを、同時に、または部分的に同時に実施してもよい。本開示の上述の実施形態が、本開示の原理を明確に理解するために記載されている単なる実施可能な例であることを強調すべきである。上述の実施形態に対し、本開示の精神および原理を実質的に逸脱することなく、多くの変更および改変がなされてもよい。このようなすべての改変および変更は、本開示の範囲内にあり、以下の特許請求の範囲によって保護される本発明に含まれることが意図される。