JP2018105046A - 土壌侵食地域推定方法および土壌侵食地域推定装置 - Google Patents

土壌侵食地域推定方法および土壌侵食地域推定装置 Download PDF

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Masatoshi Takenochi
正寿 竹野内
小森谷 均
Hitoshi Komoriya
均 小森谷
尾崎 光男
Mitsuo Ozaki
光男 尾崎
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Abstract

【課題】動物由来の影響を加味した土壌侵食リスクを推定できる土壌侵食地域推定方法および土壌侵食地域推定装置を提供する。
【解決手段】土壌侵食地域推定方法は、植物の林床植生データを含む植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、所定の大きさのエリアごとに林床植生の回復の度合いを示す植生回復度を予測する。土壌侵食地域推定方法は、植生データと、地形データと、気象データと、植物を利用する動物の生態を示す生態データとに基づいて、エリアごとに動物の生息分布を予測する。土壌侵食地域推定方法は、植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、エリアごとに土壌の表層崩壊が発生するリスクを示す表層崩壊リスクを予測する。土壌侵食地域推定方法は、予測した植生回復度と、生息分布と、表層崩壊リスクとに基づいて、エリアごとに土壌侵食リスクを判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、土壌侵食地域推定方法および土壌侵食地域推定装置に関する。
近年、山地等の森林地域においてシカ等が急増し、分布域が拡大している。シカは、森林の林床植物をエサとして摂取するが、頭数が増加したため林床植物を過剰に摂取する状況となっている。このため、森林の土壌表面を覆う植物が少なくなり、降雨の際に雨が直接地面を叩き、土壌の侵食が激しくなることが知られている。土壌の侵食を推定する手法としては、例えば、米国農務省土地保全局が農地の侵食資料をもとに開発したUSLE(Universal Soil Loss Equation)や、森林への適用が検討されているEUROSEM(European Soil Erosion Model)が挙げられる。
また、所定領域についての日射量の評価に静止衛星画像を用いる際に、3次元地図モデルと撮像日時データにより特定される太陽位置とに基づいて日影領域を演算し、日射量評価要素に対して演算した日影領域を用いて補正することが提案されている。また、大雨による斜面崩壊や洪水等を予測するために、土壌雨量指数を測定して区画ごとの土壌雨量指数のデータを単位時間ごとに蓄積し、区画ごとの水災害の危険度を単位時間ごとに算出し、指定された区画の危険度を時系列で表示することが提案されている。
特開2010−217107号公報 特開2011−075386号公報
しかしながら、USLEは、山地森林に対する広範囲な適用は難しく、EUROSEMは、林床植物の作用や効果が組み込まれていない。このため、これらの手法を用いて、広範囲の山地森林における動物由来の林床植物の状態を考慮した土壌侵食リスクを推定することは困難である。
一つの側面では、動物由来の影響を加味した土壌侵食リスクを推定できる土壌侵食地域推定方法および土壌侵食地域推定装置を提供することにある。
一つの態様では、土壌侵食地域推定方法は、植物の林床植生データを含む植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、所定の大きさのエリアごとに林床植生の回復の度合いを示す植生回復度を予測する処理をコンピュータが実行する。土壌侵食地域推定方法は、前記植生データと、前記地形データと、前記気象データと、前記植物を利用する動物の生態を示す生態データとに基づいて、前記エリアごとに前記動物の生息分布を予測する処理をコンピュータが実行する。土壌侵食地域推定方法は、前記植生データと、前記地形データと、前記気象データとに基づいて、前記エリアごとに土壌の表層崩壊が発生するリスクを示す表層崩壊リスクを予測する処理をコンピュータが実行する。土壌侵食地域推定方法は、予測した前記植生回復度と、前記生息分布と、前記表層崩壊リスクとに基づいて、前記エリアごとに土壌侵食リスクを判定する処理をコンピュータが実行する。
動物由来の影響を加味した土壌侵食リスクを推定できる。
図1は、実施例の推定装置の構成の一例を示すブロック図である。 図2は、植生DBの一例を示す図である。 図3は、気象DBの一例を示す図である。 図4は、生態DBの一例を示す図である。 図5は、植生回復予測表記憶部の一例を示す図である。 図6は、リスクレベル記憶部の一例を示す図である。 図7は、常緑樹分布の一例を示す図である。 図8は、日射量分布の一例を示す図である。 図9は、植生回復度と林齢との関係の一例を示す図である。 図10は、植生回復予測図の一例を示す図である。 図11は、生息適性図の一例を示す図である。 図12は、生息予測図の一例を示す図である。 図13は、土壌保持力が大である植生分布の一例を示す図である。 図14は、傾斜角度25度以上の地形分布の一例を示す図である。 図15は、表層崩壊予測図の一例を示す図である。 図16は、土壌侵食リスク図の一例を示す図である。 図17は、実施例の推定処理の一例を示すフローチャートである。 図18は、生態データセット補完処理の一例を示すフローチャートである。 図19は、植生回復度予測処理の一例を示すフローチャートである。 図20は、動物生息予測処理の一例を示すフローチャートである。 図21は、表層崩壊予測処理の一例を示すフローチャートである。 図22は、推定プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
以下、図面に基づいて、本願の開示する土壌侵食地域推定方法および土壌侵食地域推定装置の実施例を詳細に説明する。なお、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下の実施例は、矛盾しない範囲で適宜組みあわせてもよい。
図1は、実施例の推定装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す推定装置100は、指定された地域における植生データ等の各種データに基づいて、当該地域の所定のエリアごとに土壌侵食リスクを判定し、土壌侵食地域を推定する情報処理装置の一例である。すなわち、推定装置100は、土壌侵食地域推定装置の一例である。推定装置100は、例えば、据置型や可搬型のパーソナルコンピュータを用いることができる。また、推定装置100は、可搬型の端末としては、上記の可搬型のパーソナルコンピュータの他にも、例えば、タブレット端末を採用することもできる。
推定装置100は、植物の林床植生データを含む植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、所定の大きさのエリアごとに林床植生の回復の度合いを示す植生回復度を予測する。推定装置100は、植生データと、地形データと、気象データと、植物を利用する動物の生態を示す生態データとに基づいて、エリアごとに動物の生息分布を予測する。推定装置100は、植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、エリアごとに土壌の表層崩壊が発生するリスクを示す表層崩壊リスクを予測する。推定装置100は、予測した植生回復度と、生息分布と、表層崩壊リスクとに基づいて、エリアごとに土壌侵食リスクを判定する。これにより、推定装置100は、動物由来の影響を加味した土壌侵食リスクを推定できる。
次に、推定装置100の構成について説明する。図1に示すように、推定装置100は、通信部110と、表示部111と、操作部112と、入出力部113と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、推定装置100は、図1に示す機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば各種の入力デバイスや音声出力デバイス等の機能部を有することとしてもかまわない。
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部110は、図示しないネットワークを介して他の情報処理装置と有線または無線で接続され、他の情報処理装置との間で情報の通信を司る通信インタフェースである。通信部110は、他の情報処理装置から植生データ、地形データ、気象データおよび生態データ等を受信する。通信部110は、受信した植生データ、地形データ、気象データおよび生態データ等を制御部130に出力する。
表示部111は、各種情報を表示するための表示デバイスである。表示部111は、例えば、表示デバイスとして液晶ディスプレイ等によって実現される。表示部111は、制御部130から入力された表示画面等の各種画面を表示する。
操作部112は、推定装置100のユーザから各種操作を受け付ける入力デバイスである。操作部112は、例えば、入力デバイスとして、キーボードやマウス等によって実現される。操作部112は、ユーザによって入力された操作を操作情報として制御部130に出力する。なお、操作部112は、入力デバイスとして、タッチパネル等によって実現されるようにしてもよく、表示部111の表示デバイスと、操作部112の入力デバイスとは、一体化されるようにしてもよい。
入出力部113は、例えば、メモリカードR/W(Reader/Writer)である。入出力部113は、通信部110で受信する植生データ、地形データ、気象データおよび生態データ等の代わりに、メモリカードに記憶された植生データ、地形データ、気象データおよび生態データ等を読み出して制御部130に出力するようにしてもよい。また、入出力部113は、例えば、制御部130から出力された土壌侵食リスクデータおよび土壌侵食リスク図をメモリカードに記憶する。なお、メモリカードとしては、例えばSDメモリカード等を用いることができる。
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、植生データベース121と、地形データベース122と、気象データベース123と、生態データベース124と、植生回復予測表記憶部125と、リスクレベル記憶部126とを有する。なお、以下の説明では、データベースをDBと表す場合がある。また、記憶部120は、制御部130での処理に用いる情報を記憶する。
植生DB121は、例えば山地の森林地域にどのような植物が生育しているのかを示す植生データを記憶する。図2は、植生DBの一例を示す図である。図2に示すように、植生DB121は、「格子点ID(Identifier)」、「東経」、「北緯」、「森林計画区」、「土地利用」、「標高」、「斜面方位」、「斜面傾斜」、「林齢」、「優占樹種(相観)1」、「優占樹種(相観)2」といった項目を有する。また、植生DB121は、「下層植生出現種数」、「低木層植被率」、「草本層植被率」といった項目を有する。植生DB121は、例えば、林野庁の調査データ等のオープンデータを用いることができる。また、植生DB121は、より詳細な地域固有のデータを用いてもよい。植生DB121は、例えば、格子点ごとに1レコードとして記憶する。
「格子点ID」は、例えば森林生態系多様性基礎調査で用いられる調査地を識別する識別子である。「東経」および「北緯」は、それぞれ経度および緯度を示す情報である。「森林計画区」は、森林法に基づく区域の情報である。「土地利用」は、当該格子点における土地利用を示す情報である。「標高」は、当該格子点における標高を示す情報であり、単位はmである。「斜面方位」は、当該格子点における斜面の方位を示す情報である。「斜面傾斜」は、当該格子点における斜面の傾斜を示す情報であり、単位は度である。「林齢」は、当該格子点における森林の年齢を示す情報である。「優占樹種(相観)1」および「優占樹種(相観)2」は、当該格子点内に出現する樹種の胸高断面積の合計が30%以上を占める樹種、つまり植物群落を外から見たときの特徴となる樹種を示す情報である。「下層植生出現種数」は、当該格子点における森林での低木および草本類で構成される植物集団について、出現する植物種の数を示す情報である。「低木層植被率」は、植物群落の低木層の植物が当該格子点内の標本とする面積のどれだけを覆っているかを示す情報であり単位は%である。「草本層植被率」は、植物群落の草本層の植物が当該格子点内の標本とする面積のどれだけを覆っているかを示す情報であり、単位は%である。
図1の説明に戻って、地形DB122は、例えば、標高等の情報を含む数値地図である地形データを記憶する。地形DB122は、例えば、国土地理院の数値地図(国土基本情報)等のオープンデータを用いることができる。また、地形DB122は、数値地図の標高に基づいて求めた傾斜角度および傾斜方位を地形データの一部として記憶するようにしてもよい。
気象DB123は、土壌侵食リスクを判定する地域の気象データを記憶する。図3は、気象DBの一例を示す図である。図3に示すように、気象DB123は、「年月日」、「平均気温」、「最高気温」、「最低気温」、「降水量の合計」、「日照時間」、「最深積雪」、「降雪量合計」といった項目を有する。気象DB123は、例えば、各気象台の気象データ等のオープンデータを用いることができる。気象DB123は、例えば、日ごとに1レコードとして記憶する。
「年月日」は、気象データの年月日を示す情報である。「平均気温」は、その日の平均気温を示す情報であり、単位は℃である。「最高気温」および「最低気温」は、それぞれ、その日の最高気温および最低気温を示す情報であり、単位は℃である。「降水量の合計」は、その日の降水量の合計を示す情報であり単位はmmである。「日照時間」は、その日の日照時間の合計を示す情報である。「最深積雪」は、その日の積雪深を示す情報であり、単位はcmである。「降雪量合計」は、その日に降った雪の量の合計を示す情報であり、単位はcmである。
図1の説明に戻って、生態DB124は、例えば、地域ごとの動物の生態を示す生態データを記憶する。図4は、生態DBの一例を示す図である。図4に示すように、生態DB124は、「動物種」、「食性」、「体重」、「生息密度」、「生息面積」といった項目を有する。生態DB124は、例えば、動物種ごとに1レコードとして記憶する。
「動物種」は、当該地域に生息する動物の種類を示す情報である。「食性」は、当該動物の肉食、草食、雑食等の食性を示す情報である。「体重」は、当該地域に生息する動物種の想定体重を示す情報であり、単位はkgである。「生息密度」は、1kmあたりの当該動物種の生息密度を示す情報である。「生息面積」は、当該動物種の一頭あたりの生息に要求される要求生息面積を示す情報であり、単位は、km/頭およびha/頭である。なお、生息面積は、動物種の体重および生息密度に基づいて算出し、算出した生息面積を記憶するようにしてもよい。
図1の説明に戻って、植生回復予測表記憶部125は、植生回復予測に用いるパラメータと回復程度との対応を示す植生回復予測表を記憶する。図5は、植生回復予測表記憶部の一例を示す図である。図5に示すように、植生回復予測表記憶部125は、縦軸に伐採種における植生回復度の項目として「落葉樹」、「常緑樹」といった項目を有し、横軸に伐採・植樹後の経過年数(林齢)を「10」年から5年ごとに「50」年までの項目を有する。植生回復予測表は、数値が「1」に近い場合には植生が回復しやすいことを示す。また、植生回復予測表は、数値が「0.5」前後の場合には植生回復度が中程度であることを示す。また、植生回復予測表は、数値が「0」に近い場合には植生が回復しづらいことを示す。すなわち、植生回復予測表は、高木種の種別と、伐採および植樹後の経過年数とに応じた係数を表すことになる。
図1の説明に戻って、リスクレベル記憶部126は、土壌の表層崩壊が発生するリスクレベルを記憶する。図6は、リスクレベル記憶部の一例を示す図である。図6に示すように、リスクレベル記憶部126は、縦軸に所定の大きさのエリアにおける土壌保持力を有する樹木の面積率の項目として、「×(1%以下)」、「△(25%未満)」、「○(50%未満)」、「◎(50%以上)」といった項目を有する。また、リスクレベル記憶部126は、所定の大きさのエリアにおける横軸に傾斜角度25度以上の面積率の項目として、「×(50%以上)」、「△(50%未満)」、「○(25%未満)」、「◎(1%以下)」といった項目を有する。なお、所定の大きさのエリアは、例えば、地域を1km四方のメッシュに区切った場合におけるメッシュの1つとすることができる。すなわち、この例では、所定の大きさのエリアは1kmである。また、以下の説明では、所定の大きさのエリアを、単にエリアと表現して説明する場合がある。リスクレベル記憶部126は、リスクレベルを「なし(−)」から「III」までの4段階とする。
図1の説明に戻って、制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されるようにしてもよい。
制御部130は、受付部131と、第1予測部132と、第2予測部133と、第3予測部134と、判定部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図1に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130は、通信部110を介して、予め図示しない他の情報処理装置から植生データ、地形データ、気象データおよび生態データ等を取得して、植生DB121、地形DB122、気象DB123および生態DB124に、それぞれ記憶する。
受付部131は、操作部112を介して、推定装置100のユーザから推定用データの入力を受け付ける。受付部131は、例えば、ユーザから地域、動物種、季節といった情報の入力を推定用データとして受け付ける。受付部131は、生態DB124を参照し、受け付けた推定用データに含まれる動物種の生態データセットがあるか否かを判定する。受付部131は、動物種の生態データセットがない場合には、生態データセット補完処理を実行する。
受付部131は、動物種の生態データセットがある場合には、ユーザに対して既存データを使用するか否かを問い合わせる。受付部131は、既存データを使用しない場合には、生態データセット補完処理を実行する。受付部131は、既存データを使用する場合には、生態データセットが複数あるか否かを判定する。受付部131は、生態データセットが複数ある場合には、使用する生態データセットの指定をユーザに問い合せて、ユーザに指定された生態データセットを、使用する生態データセットに設定する。受付部131は、生態データセットが複数ない場合には、1つの既存データの生態データセットを、使用する生態データセットに設定する。受付部131は、使用する生態データセットを設定すると、第1予測部132、第2予測部133および第3予測部134に対して、設定した生態データセットの情報を出力する。
ここで、生態データセット補完処理について説明する。受付部131は、生態データセットを生成するか否かの指示をユーザから受け付ける。受付部131は、生態データセットを生成する場合には、ユーザから生態データの入力を受け付ける。受付部131は、受け付けた生態データに基づいて生成した生態データセットを生態DB124に記憶し、生態データセット補完処理を終了する。
受付部131は、生態データセットを生成しない場合には、代替種の生態データセットを使用するか否かの指示をユーザから受け付ける。受付部131は、代替種の生態データセットを使用する場合には、ユーザから代替種の入力を受け付けて、生態データセット補完処理を終了する。受付部131は、代替種の生態データセットを使用しない場合には、推定不可であるとして、生態データセット補完処理、および、土壌侵食リスクの推定処理自体を終了する。
次に、第1予測部132における植生回復度予測処理について説明する。第1予測部132は、受付部131から設定した生態データセットの情報が入力されると、生態データセットの情報の地域や季節に応じたデータを各DBから取得して処理を行う。まず、第1予測部132は、地形DB122を参照し、地形データに基づいて、日射量データを算出する。
ここで、日射量データの算出について説明する。第1予測部132は、日射量(全天日射量、Globaltot)として、すべての太陽軌道図セクターと天空図セクターのそれぞれの直達日射量(Dirtot)と散乱日射量(Diftot)の合計値(Globaltot=Dirtot+Diftot)を算出する。
[直達日射量(Dirtot)の算出]
指定の場所の総直達日射量(Dirtot)は、下記の式(1)に示すように、すべての太陽軌道図セクターの直達日射量(Dirθ,α)の合計値となる。また、天頂角(θ)と方位角(α)で指定された重心を持つ太陽軌道図セクターの直達日射量(Dirθ,α)は、下記の式(2)を用いて算出する。
Dirtot =ΣDirθ,α ・・・(1)
Dirθ,α=SConst×βm(θ)×SunDurθ,α
×SunGapθ,α×cos(AngInθ,α)・・・(2)
ここで、SConstは、地球と太陽間の平均距離における大気圏外の太陽エネルギー束、つまり太陽定数である。使用する太陽定数は、1367W/mであり、この値は、世界放射センター(WRC:World Radiation Center)の太陽定数と一致する。βは、最短距離(天頂角の方向)での大気圏の透過率(波長全体での平均値)である。m(θ)は、天頂角の光路長に対する比率として計測される相対光路長であり、太陽天頂角と標高(海抜)によって求めることができる。太陽天頂角が80度未満の場合には、下記の式(3)を用いて算出する。SunDurθ,αは、天空セクターが表す時間である。SunDurθ,αは、大部分のセクターでは、日間隔(1ヶ月など)に時間間隔(30分など)を乗算した値と等しくなる。SunDurθ,αは、部分的なセクター(地平線近く)では、球面幾何学を用いて算出する。SunGapθ,αは、太陽軌道図セクターのギャップ比率である。AngInθ,αは、天空セクターの重心とサーフェスに垂直な軸との間の入射角であり、下記の式(4)を用いて算出する。
m(θ)=EXP(-0.000118×Elev−1.638×10-9×Elev
/ cos(θ) ・・・(3)
ここで、θは、太陽天頂角である。Elevは、標高(単位:メートル)である。
AngInθ,α=acos(Cos(θ)×Cos(Gz)+Sin(θ)
×Sin(Gz)×Cos(α−Ga)) ・・・(4)
ここで、天空セクターの重心とサーフェスに垂直な軸との間の入射角であるAngInθ,αでは、サーフェスの傾斜方向の影響は、入射角の余弦を乗算することにより考慮される。Gzは、サーフェスの天頂角である。なお、80度を超える天頂角では、屈折が重要となる。Gaは、サーフェスの方位角である。
[散乱日射量(Diftot)の算出]
重心における散乱日射量(Dif)は、天空セクターごとに下記の式(5)を用いて算出する。すなわち、重心における散乱日射量(Dif)は、時間で積分し、さらにギャップ比率と入射角で補正する。
Difθ,α=Rglb×Pdif×Dur×SkyGapθ,α
×Weightθ,α×cos(AngInθ,α) ・・・(5)
ここで、Rglbは、全天標準日射量である。Pdifは、全天標準日射量のうち散乱する比率である。Pdifは、通常、非常に晴れた状況で約0.2、非常に曇った状況で0.7になる。Durは、解析の時間間隔である。SkyGapθ,αは、天空セクターのギャップ比率(全天可視領域の割合)である。Weightθ,αは、指定した天空セクターを起点とする散乱日射の、すべてのセクターに対する比率である。AngInθ,αは、天空セクターの重心と入射面との間の入射角である。
全天標準日射量(Rglb)は、各セクター(不可視のセクターを含む)からの直達日射量を合計してから、入射角を補正せずに、直達日射量の割合(1−Pdif)を補正することで、下記の式(6)に示すように算出する。
Rglb=(SConstΣ(βm(θ)))/(1−Pdif) ・・・(6)
Weightθ,αは、均質な天空の散乱モデルでは、下記の式(7)を用いて算出する。
Weightθ,α=(cosθ−cosθ)/Divazi ・・・(7)
ここで、θおよびθは、天空セクターの境界の天頂角である。Divaziは、天空図の方位角方向の分割数である。また、Weightθ,αは、標準的な曇り空のモデルでは、下記の式(8)を用いて算出する。
Weightθ,α=(2cosθ+cos2θ−2cosθ−cos2θ
/4×Divazi ・・・(8)
場所の総散乱日射量(Diftot)は、全天空図セクターからの散乱日射量(Dif)の合計値として、下記の式(9)を用いて算出する。
Diftot=ΣDifθ,α ・・・(9)
第1予測部132は、日射量データを算出すると、植生DB121を参照して、ユーザから受け付けた推定用データの地域における林床植生データがあるか否かを判定する。第1予測部132は、林床植生データがある場合には、植生DB121から当該地域の林床植生データを取得する。また、第1予測部132は、気象DB123から当該地域の気温データを取得する。第1予測部132は、林床植生データ、日射量データおよび気温データに基づいて、エリアごとの植生回復度を予測し、植生回復予測図を生成する。第1予測部132は、生成した植生回復予測図を判定部135に出力し、植生回復度予測処理を終了する。
第1予測部132は、林床植生データがない場合には、林床植生データを予測するか否かの指示をユーザから受け付ける。第1予測部132は、林床植生データを予測する場合には、植生DB121の当該地域の植生データを参照し、高木種の優占種が常緑樹と落葉樹のどちらであるかに基づいて、常緑樹分布データを生成する。すなわち、第1予測部132は、例えば、植生DB121の項目「優占樹種(相観)1」および「優占樹種(相観)2」の樹種が、常緑樹か落葉樹のどちらであるかに基づいて、常緑樹分布データを生成する。
第1予測部132は、植生回復予測表記憶部125を参照し、常緑樹分布データ、日射量データおよび植生回復予測表に基づいて、林床植生データを予測する。林床植生データは、高木種の優占種が常緑樹であるか落葉樹であるかの情報と日射量との関係が、ほぼ直線関係にあることが知られている(斉藤昌宏(1989)スギ人工林における林内日射量と林床植生量の関係.日本林學會誌71(7):276−280.など)。このため、林床植生の量は、日射量が十分であれば、落葉樹>常緑樹との関係が成り立つ。なお、落葉樹の一例としては、アカシデ・イヌシデ群落、アカメガシワ−カラスザンショウ群落、イヌブナ群落、クリ−コナラ群集、ダケカンバ群落などが挙げられる。また、常緑樹の一例としては、アカマツ群落、ウラジロモミ群落、コカンスゲ−ツガ群集、シキミ−モミ群集、シラビソ−オオシラビソ群集、アラカシ、シラカシなどが挙げられる。
第1予測部132は、林床植生データを予測した場合は、予測した林床植生データと、算出した日射量データと、気象DB123から取得した気温データとに基づいて、エリアごとの植生回復度を予測し、植生回復予測図を生成する。第1予測部132は、生成した植生回復予測図を判定部135に出力し、植生回復度予測処理を終了する。
第1予測部132は、林床植生データを予測しない場合には、植生DB121から取得した植生データと、算出した日射量データと、気象DB123から取得した気温データとに基づいて、エリアごとの植生回復度を予測し、植生回復予測図を生成する。第1予測部132は、生成した植生回復予測図を判定部135に出力し、植生回復度予測処理を終了する。
ここで、図7から図10を用いて常緑樹分布、日射量分布、植生回復度および植生回復予測図について説明する。図7は、常緑樹分布の一例を示す図である。図7に示す分布図20は、ある地域における常緑樹の分布を示す図である。分布図20は、例えば、植生データに基づいて常緑樹分布データを求め、高木種の優占種が常緑樹である部分と、落葉樹である部分とを塗り分けて表現したものである。
図8は、日射量分布の一例を示す図である。図8に示す分布図21は、ある地域における日射量の分布を示す図である。分布図21は、例えば、算出した日射量データに基づいて生成される。分布図21では、日射量が少ないエリアを枠21aおよび21bで示している。
図9は、植生回復度と林齢との関係の一例を示す図である。図9に示すグラフ22は、植生回復度(林床被覆率)と林齢との関係を示すグラフである。グラフ22に示すように、常緑樹と落葉樹とでは、林齢によって植生回復度が大きく異なる部分があることがわかる。例えば、林齢40年から60年の間では、常緑樹の植生回復度が0.2前後であるのに対し、落葉樹の植生回復度は0.8程度である。すなわち、ある地域において、高木種の優占種が落葉樹であれば、林齢に依らずに林床植生が回復しやすいが、優占種が常緑樹であれば、林齢50年前後が最も植生回復度が低く林床植生が回復しにくいことがわかる。
図10は、植生回復予測図の一例を示す図である。図10に示す植生回復予測図23は、ある地域における所定の大きさのエリアごとの植生回復度を表す図である。植生回復予測図23は、例えば、10km四方の地域に対して、1km四方のエリアごとの植生回復度を予測したものである。植生回復予測図23では、植生回復度を、例えば、0.2未満、0.2以上0.4未満、0.4以上0.6未満、0.6以上0.8未満、0.8以上1.0未満の5段階に分けて表現している。
図1の説明に戻る。続いて、第2予測部133における動物生息予測処理について説明する。第2予測部133は、受付部131から設定した生態データセットの情報が入力されると、生態データセットの情報の地域や季節に応じたデータを各DBから取得して処理を行う。第2予測部133は、植生DB121および生態DB124を参照し、植生データと、生態データセットの情報に対応する生態データとに基づいて、適性植生エリアを抽出する。なお、適性植生エリアは、植生データに基づく植物資源分布の一例である。また、第2予測部133は、地形DB122および生態DB124を参照し、地形データと、生態データセットの情報に対応する生態データとに基づいて、適性地形エリアを抽出する。さらに、第2予測部133は、気象DB123および生態DB124を参照し、気象データと、生態データセットの情報に対応する生態データとに基づいて、適性気象エリアを抽出する。
第2予測部133は、抽出した適性植生エリア、適性地形エリアおよび適性気象エリアに基づいて、対象の動物種の生息に適した地域を分類する生息適性図を生成する。すなわち、第2予測部133は、植生データ、地形データ、気象データおよび生態データに基づいて、生息適性図を生成する。
図11は、生息適性図の一例を示す図である。図11に示すように、生息適性図24は、ある地域における、ある動物、例えばシカの生息に適した生息地、生息に適さない非生息地、および、生息に適していないが移動に利用できる通路の3つに区分される。
第2予測部133は、通路で連結した生息地を抽出して動物の生息地の面積を算出する。すなわち、第2予測部133は、生息適性図に基づいて、動物の生息地の面積を算出する。また、第2予測部133は、生息密度Dと体重Wの関係式に基づいて、動物一頭あたりの生息に要求される要求生息面積を算出する。ここで、当該関係式は、例えば、哺乳動物の体重と生息に必要な餌場(広葉樹林、草地)の間の関係式(R.H.Peters,J.V.Raelson(1984). Relations between Individual Size and Mammalian Population Density, The American Naturalist,Vol.124,No.4)を用いることができる。
例えば、シカの場合には、当該関係式を用いると、生息密度D=214W−0.61となり、シカの想定体重を60kgとすると、要求生息面積は、5.7×10/頭となる。第2予測部133は、エリアごとに動物の生息地の面積を要求生息面積で除算することで、エリアごとに動物の生息可能数を算出する。すなわち、第2予測部133は、動物の生息地の面積および要求生息面積に基づいて、エリアごとに動物の生息可能数を算出する。第2予測部133は、算出したエリアごとの動物の生息可能数に基づいて、生息予測図を生成する。第2予測部133は、生成した生息予測図を判定部135に出力して、動物生息予測処理を終了する。
図12は、生息予測図の一例を示す図である。図12に示すように、生息予測図25は、ある地域における10km四方の地域に対して、ある動物、例えばシカの生息可能数を1km四方のエリアごとに予測したものである。生息予測図25は、予測頭数を、例えば、5頭/km未満、10頭/km未満、10頭/km以上の3段階に分けて表現している。
図1の説明に戻る。次に、第3予測部134における表層崩壊予測処理について説明する。第3予測部134は、受付部131から設定した生態データセットの情報が入力されると、生態データセットの情報の地域や季節に応じたデータを各DBから取得して処理を行う。第3予測部134は、植生DB121を参照し、植生データに基づいて、土壌保持力が大である植生分布データを生成する。また、第3予測部134は、地形DB122を参照し、例えば、地形データの標高に基づいて、傾斜角度を示す傾斜度データを生成する。さらに、第3予測部134は、気象DB123から降水量データを取得する。
ここで、表層崩壊について説明する。表層崩壊、つまり斜面土壌崩壊は、土層中のある連続面を境にしてその上の土塊が一体となって滑り落ちる現象である。表層崩壊の発生条件は、この面に働く摩擦力と粘着力とが滑りに抵抗する力で、これが滑りを起こす力よりも小さくなると土塊が滑り出す。摩擦力は、上から押さえつける力に比例し、滑りを起こす力は斜面の傾き(sinθ)および土塊の重さに比例する。土塊を斜面傾斜の方向へ動かそうとする力は、その土塊の重量が大きいほど、また、斜面傾斜が急なほど大きくなる。さらに、崩壊を起こそうとする力は、雨水が地中に浸透するとその水の重さ分だけ土塊の重量が増して大きくなる。なお、降雨による崩壊の場合には、斜面の傾斜角が25度よりも小さいとほとんど崩れないことから、傾斜角度25度以上を基準値として設定する。
表層崩壊は、土壌保持力を有する樹木が存在すると、発生しにくくなる。この様な要因としては、例えば、植生が持つ根系による土壌の緊縛効果、根系による杭効果、樹幹による侵食防止効果等がある。このため、表層崩壊予測処理では、植生データに基づいて、土壌保持力を有する樹木の存在率を求める。土壌保持力が高い樹種としては、針葉樹では、スギ、アカマツ、クロマツ、モミが挙げられる。また、広葉樹では、アカシデ、ケヤキ、カシワ、クヌギ、カツラ、ミズナラ、コナラ、オニグルミが挙げられる。反対に、土壌保持力の低い樹木としては、針葉樹では、ヒノキ、ヒバ、サワラ、カラマツ、ツガ、コメツガ、エゾマツ、トウヒが挙げられる。また、広葉樹では、ミズキ、ニセアカシア、ブナ、ヤマハンノキ、カバ、ノグルミ、ムクノキ、エンジュが挙げられる。
表層崩壊は、地表面の降水流出により発生するが、ある程度の降水量に達しないと地表流は発生しないため、降水量150mm以上を基準値として設定する。
第3予測部134は、リスクレベル記憶部126を参照し、植生分布データ、傾斜度データおよび降水量データに基づいて、エリアごとの表層崩壊リスクを算出する。すなわち、第3予測部134は、植生分布データに基づいて、各エリアを、土壌保持力を有する樹木の面積率が1%以下(×)、25%未満(△)、50%未満(○)、50%以上(◎)の4段階に分類する。また、第3予測部134は、傾斜度データに基づいて、各エリアを傾斜角度25度以上の面積率が1%以下(◎)、25%未満(○)、50%未満(△)、50%以上(×)の4段階に分類する。第3予測部134は、土壌保持力を有する樹木の面積率と、傾斜角度25度以上の面積率との組み合わせにより、エリアごとの表層崩壊リスクを求める。表層崩壊リスクは、「なし」から「III」までの4段階で求められる。また、降水量データは、例えば、季節ごとの表層崩壊リスクを求める場合に用いることができる。第3予測部134は、例えば、梅雨の終わりや夏から秋にかけての台風シーズンでは、表層崩壊リスクが「I」、「II」のエリアを、それぞれ「II」、「III」に引き上げるといった処理を行うようにしてもよい。
第3予測部134は、エリアごとに表層崩壊リスクを算出すると、算出したエリアごとの表層崩壊リスクに基づいて、表層崩壊予測図を生成する。第3予測部134は、生成した表層崩壊予測図を判定部135に出力して表層崩壊予測処理を終了する。
ここで、図13から図15を用いて、土壌保持力が大である植生分布、傾斜角度25度以上の地形分布および表層崩壊予測図について説明する。図13は、土壌保持力が大である植生分布の一例を示す図である。図13に示すように、分布図26は、植生データに基づく土壌保持力が高い樹種の分布を示すものである。分布図26では、ハッチング部分が、土壌保持力が高い樹種の分布を示す。
図14は、傾斜角度25度以上の地形分布の一例を示す図である。図14に示すように、分布図27は、地形データに基づく傾斜角度25度以上の地形の分布を示すものである。分布図27では、ハッチング部分が、傾斜角度25度以上の地形の分布を示す。
図15は、表層崩壊予測図の一例を示す図である。図15に示すように、表層崩壊予測図28は、エリアごとに表層崩壊リスクの4段階の評価を表したものである。表層崩壊予測図28では、表層崩壊リスクが「III」のエリアが最も表層崩壊リスクが高く、表層崩壊リスクが空欄であるエリアが最も表層崩壊リスクが低い。
図1の説明に戻る。判定部135には、第1予測部132から植生回復予測図が入力され、第2予測部133から生息予測図が入力される。また、判定部135には、第3予測部134から表層崩壊予測図が入力される。判定部135は、入力された予測結果、つまり植生回復予測図、生息予測図および表層崩壊予測図に基づいて、エリアごとの土壌侵食リスクを判定する。土壌侵食リスクは、例えば、リスクが高い順に「警戒」、「注意」、「懸念」、「なし」で表すことができる。
判定部135は、例えば動物種がシカの場合、土壌侵食リスクの各判定基準は次の通りとする。「警戒」の判定基準は、シカの予測頭数が15頭以上、植生回復度が0.4以下、表層崩壊リスクが「III」であるエリアとする。「注意」の判定基準は、シカの予測頭数が10頭以上、植生回復度が0.4以下、表層崩壊リスクが「II」以上のうち、2つに該当するエリアとする。「懸念」の判定基準は、シカの予測頭数が10頭以上、植生回復度が0.5以下、表層崩壊リスクが「I」以上のうち、いずれか1つに該当するエリアとする。「なし」の判定基準は、シカの予測頭数が10頭以上、植生回復度が0.5以下、表層崩壊リスクが「I〜III」のいずれにも該当しないエリアとする。
なお、土壌侵食リスクの判定は、動物種の判定基準を越えたエリアのみ行うようにしてもよい。判定部135は、例えば、シカの予測頭数が10頭/km以上となるエリアに対して、植生回復度および表層崩壊リスクの判定を行う。
判定部135は、各エリアについて、土壌侵食リスクの判定を行うと、判定結果に基づいて、土壌侵食リスク図を生成する。判定部135は、生成した土壌侵食リスク図を表示部111に表示させるとともに、入出力部113に出力して、例えば、SDメモリカードに記憶させる。
ここで、土壌侵食リスク図について説明する。図16は、土壌侵食リスク図の一例を示す図である。図16に示す土壌侵食リスク図29は、エリアごとに土壌侵食リスクを表示したものである。土壌侵食リスク図29の例では、シカの予測頭数が10頭/km以上となるエリアのうち、植生回復度が「0.7〜0.8」、表層崩壊リスクが「I」であり、「懸念」と判定される懸念エリア30が6箇所存在する。また、土壌侵食リスク図29の例では、シカの予測頭数が10頭/km以上となるエリアのうち、植生回復度が「0.6」、表層崩壊リスクが「III」であり、「注意」と判定される注意エリア31が1箇所存在する。なお、土壌侵食リスク図29の例では、動物種の判定基準を越えていないエリアは、土壌侵食リスクが「なし」と判定され、地図の画像が表示されている。
次に、実施例の推定装置100の動作について説明する。図17は、実施例の推定処理の一例を示すフローチャートである。
受付部131は、ユーザから推定用データの入力を受け付ける(ステップS1)。受付部131は、生態DB124を参照し、受け付けた推定用データに含まれる動物種の生態データセットがあるか否かを判定する(ステップS2)。受付部131は、動物種の生態データセットがない場合には(ステップS2:否定)、生態データセット補完処理を実行する(ステップS4)。
受付部131は、動物種の生態データセットがある場合には(ステップS2:肯定)、ユーザに対して既存データを使用するか否かを問い合わせる(ステップS3)。受付部131は、既存データを使用しない場合には(ステップS3:否定)、生態データセット補完処理を実行する(ステップS4)。
ここで、図18を用いて生態データセット補完処理について説明する。図18は、生態データセット補完処理の一例を示すフローチャートである。
受付部131は、生態データセットを生成するか否かの指示をユーザから受け付ける(ステップS41)。受付部131は、生態データセットを生成する場合には(ステップS41:肯定)、ユーザから生態データの入力を受け付ける(ステップS42)。受付部131は、受け付けた生態データに基づいて生成した生態データセットを生態DB124に記憶し(ステップS43)、元の処理に戻る。
受付部131は、生態データセットを生成しない場合には(ステップS41:否定)、代替種の生態データセットを使用するか否かの指示をユーザから受け付ける(ステップS44)。受付部131は、代替種の生態データセットを使用する場合には(ステップS44:肯定)、ユーザから代替種の入力を受け付けて(ステップS45)、元の処理に戻る。受付部131は、代替種の生態データセットを使用しない場合には(ステップS44:否定)、推定不可であるとして、生態データセット補完処理、および、土壌侵食リスクの推定処理自体を終了する。これにより、受付部131は、生態データセットを補完することができる。
図17のステップS3の説明に戻る。受付部131は、既存データを使用する場合には(ステップS3:肯定)、生態データセットが複数あるか否かを判定する(ステップS5)。受付部131は、生態データセットが複数ある場合には(ステップS5:肯定)、使用する生態データセットの指定をユーザに問い合せて、ユーザに指定された生態データセットを、使用する生態データセットに設定する(ステップS6)。受付部131は、生態データセットが複数ない場合には(ステップS5:否定)、1つの既存データの生態データセットを、使用する生態データセットに設定する。受付部131は、使用する生態データセットを設定すると、第1予測部132、第2予測部133および第3予測部134に対して、設定した生態データセットの情報を出力する。
第1予測部132は、受付部131から設定した生態データセットの情報が入力されると、植生回復度予測処理を実行する(ステップS7)。
ここで、図19を用いて植生回復度予測処理について説明する。図19は、植生回復度予測処理の一例を示すフローチャートである。
第1予測部132は、地形DB122を参照し、地形データに基づいて、日射量データを算出する(ステップS71)。第1予測部132は、日射量データを算出すると、植生DB121を参照して、推定用データの地域における林床植生データがあるか否かを判定する(ステップS72)。第1予測部132は、林床植生データがある場合には(ステップS72:肯定)、植生DB121から当該地域の林床植生データを取得して、ステップS75に進む。
第1予測部132は、林床植生データがない場合には(ステップS72:否定)、林床植生データを予測するか否かの指示をユーザから受け付ける(ステップS73)。第1予測部132は、林床植生データを予測する場合には(ステップS73:肯定)、植生DB121の当該地域の植生データを参照し、高木種の優占種が常緑樹と落葉樹のどちらであるかに基づいて、常緑樹分布データを生成する。第1予測部132は、植生回復予測表記憶部125を参照し、常緑樹分布データ、日射量データおよび植生回復予測表に基づいて、林床植生データを予測する(ステップS74)。
第1予測部132は、林床植生データがある場合(ステップS72:肯定)、または林床植生データを予測した場合(ステップS74)には、林床植生データ、日射量データおよび気温データに基づいて、エリアごとの植生回復度を予測する。第1予測部132は、予測したエリアごとの植生回復度に基づいて、植生回復予測図を生成する(ステップS75)。第1予測部132は、生成した植生回復予測図を判定部135に出力し、元の処理に戻る。
第1予測部132は、林床植生データを予測しない場合には(ステップS73:否定)、植生データ、日射量データおよび気温データに基づいて、エリアごとの植生回復度を予測し、植生回復予測図を生成する(ステップS76)。第1予測部132は、生成した植生回復予測図を判定部135に出力し、元の処理に戻る。これにより、第1予測部132は、植生回復予測図を生成することができる。
図17の説明に戻る。第2予測部133は、受付部131から設定した生態データセットの情報が入力されると、動物生息予測処理を実行する(ステップS8)。
ここで、図20を用いて動物生息予測処理について説明する。図20は、動物生息予測処理の一例を示すフローチャートである。
第2予測部133は、植生データ、地形データ、気象データおよび生態データに基づいて、生息適性図を生成する(ステップS81)。第2予測部133は、生息適性図に基づいて、動物の生息地の面積を算出する(ステップS82)。また、第2予測部133は、動物一頭あたりの生息に要求される要求生息面積を算出する。第2予測部133は、動物の生息地の面積および要求生息面積に基づいて、エリアごとに動物の生息可能数を算出する(ステップS83)。第2予測部133は、算出したエリアごとの動物の生息可能数に基づいて、生息予測図を生成する(ステップS84)。第2予測部133は、生成した生息予測図を判定部135に出力して、元の処理に戻る。これにより、第2予測部133は、動物の生息予測図を生成できる。
図17の説明に戻る。第3予測部134は、受付部131から設定した生態データセットの情報が入力されると、表層崩壊予測処理を実行する(ステップS9)。
ここで、図21を用いて表層崩壊予測処理について説明する。図21は、表層崩壊予測処理の一例を示すフローチャートである。
第3予測部134は、植生DB121を参照し、植生データに基づいて、土壌保持力が大である植生分布データを生成する(ステップS91)。また、第3予測部134は、地形DB122を参照し、地形データに基づいて、傾斜度データを生成する(ステップS92)。さらに、第3予測部134は、気象DB123から降水量データを取得する。
第3予測部134は、リスクレベル記憶部126を参照し、植生分布データ、傾斜度データおよび降水量データに基づいて、エリアごとの表層崩壊リスクを算出する(ステップS93)。第3予測部134は、算出したエリアごとの表層崩壊リスクに基づいて、表層崩壊予測図を生成する(ステップS94)。第3予測部134は、生成した表層崩壊予測図を判定部135に出力し、元の処理に戻る。これにより、第3予測部134は、表層崩壊予測図を生成できる。
図17の説明に戻る。判定部135には、第1予測部132、第2予測部133および第3予測部134から、それぞれ予測結果、つまり、植生回復予測図、生息予測図および表層崩壊予測図が入力される。判定部135は、入力された各予測結果に基づいて、エリアごとの土壌侵食リスクを判定する(ステップS10)。
判定部135は、各エリアについて、土壌侵食リスクの判定を行うと、判定結果に基づいて、土壌侵食リスク図を生成する(ステップS11)。判定部135は、生成した土壌侵食リスク図を表示部111に表示させる(ステップS12)。これにより、推定装置100は、動物由来の影響を加味した土壌侵食リスクを推定できる。また、推定装置100は、1×10の様な広範囲における土壌侵食リスクを推定できる。
このように、推定装置100は、植物の林床植生データを含む植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、所定の大きさのエリアごとに林床植生の回復の度合いを示す植生回復度を予測する。また、推定装置100は、植生データと、地形データと、気象データと、植物を利用する動物の生態を示す生態データとに基づいて、エリアごとに動物の生息分布を予測する。また、推定装置100は、植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、エリアごとに土壌の表層崩壊が発生するリスクを示す表層崩壊リスクを予測する。また、推定装置100は、予測した植生回復度と、生息分布と、表層崩壊リスクとに基づいて、エリアごとに土壌侵食リスクを判定する。その結果、推定装置100は、動物由来の影響を加味した土壌侵食リスクを推定できる。
また、推定装置100は、林床植生データと、地形データに基づく日射量データと、気象データとに基づいて、植生回復度を予測する。その結果、推定装置100は、植生回復度を予測できる。
また、推定装置100は、日射量データを、地形データに含まれる標高、ならびに、標高に基づいて求めた傾斜角度および傾斜方位に基づいて算出する。その結果、推定装置100は、日射量データを算出できる。
また、推定装置100は、林床植生データがないエリアに対して、植生データに基づく常緑樹分布データ、日射量データ、ならびに、高木種の種別と、伐採および植樹後の経過年数とに応じた係数を用いて、林床植生データを予測する。その結果、推定装置100は、林床植生データがないエリアに対しても植生回復度を予測できる。
また、推定装置100は、生態データに含まれる動物の体重および生息密度に基づいて、一頭当たりの生息に要求される要求生息面積を算出する。また、推定装置100は、植生データに基づく植物資源分布と、動物の生態とに基づいて、動物の生息地の面積を算出する。また、推定装置100は、生息地の面積と要求生息面積とに基づいて、エリアごとに動物の生息可能数を予測する。その結果、推定装置100は、エリアごとに動物の生息可能数を予測できる。
また、推定装置100は、地形データに基づく傾斜角度と、植生データに基づく土壌保持力とに基づいて、表層崩壊リスクを予測する。その結果、推定装置100は、傾斜角度と樹種とに応じた表層崩壊リスクを予測できる。
なお、上記実施例では、植生データとしてオープンデータを用いたが、これに限定されない。例えば、衛星画像や航空写真等の画像を解析し、針葉樹と広葉樹、あるいは、落葉樹と常緑樹等を分類することで、植生データとして用いてもよい。
また、上記実施例では、動物の一例としてシカの場合を説明したが、これに限定されない。例えば、カモシカ、ウシ、ヤギ等の各種の草食性の動物や、イノシシ、タヌキ、キツネ等の各種の雑食性や肉食性の動物の生態データを用いてもよい。
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、第1予測部132と第2予測部133と第3予測部134とを統合してもよい。また、図示した各処理は、上記の順番に限定されるものでなく、処理内容を矛盾させない範囲において、同時に実施してもよく、順序を入れ替えて実施してもよい。
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行されるプログラム上、またはワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することで実現できる。そこで、以下では、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図22は、推定プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
図22に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、データ入力を受け付ける入力装置202と、モニタ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る媒体読取装置204と、各種装置と接続するためのインタフェース装置205と、他の情報処理装置等と有線または無線により接続するための通信装置206とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM207と、ハードディスク装置208とを有する。また、各装置201〜208は、バス209に接続される。
ハードディスク装置208には、図1に示した受付部131、第1予測部132、第2予測部133、第3予測部134および判定部135の各処理部と同様の機能を有する推定プログラムが記憶される。また、ハードディスク装置208には、植生DB121、地形DB122、気象DB123、生態DB124、植生回復予測表記憶部125、リスクレベル記憶部126、および、推定プログラムを実現するための各種データが記憶される。入力装置202は、例えば、コンピュータ200のユーザから操作情報等の各種情報の入力を受け付ける。モニタ203は、例えば、コンピュータ200のユーザに対して表示画面等の各種画面を表示する。インタフェース装置205は、例えば印刷装置等が接続される。通信装置206は、例えば、図1に示した通信部110と同様の機能を有し図示しないネットワークと接続され、図示しない他の情報処理装置と各種情報をやりとりする。
CPU201は、ハードディスク装置208に記憶された各プログラムを読み出して、RAM207に展開して実行することで、各種の処理を行う。また、これらのプログラムは、コンピュータ200を図1に示した受付部131、第1予測部132、第2予測部133、第3予測部134および判定部135として機能させることができる。
なお、上記の推定プログラムは、必ずしもハードディスク装置208に記憶されている必要はない。例えば、コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラムを、コンピュータ200が読み出して実行するようにしてもよい。コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体は、例えば、CD−ROMやDVDディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN等に接続された装置にこの推定プログラムを記憶させておき、コンピュータ200がこれらから推定プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
以上、本実施例を含む実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)植物の林床植生データを含む植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、所定の大きさのエリアごとに林床植生の回復の度合いを示す植生回復度を予測し、
前記植生データと、前記地形データと、前記気象データと、前記植物を利用する動物の生態を示す生態データとに基づいて、前記エリアごとに前記動物の生息分布を予測し、
前記植生データと、前記地形データと、前記気象データとに基づいて、前記エリアごとに土壌の表層崩壊が発生するリスクを示す表層崩壊リスクを予測し、
予測した前記植生回復度と、前記生息分布と、前記表層崩壊リスクとに基づいて、前記エリアごとに土壌侵食リスクを判定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする土壌侵食地域推定方法。
(付記2)前記植生回復度を予測する処理は、前記林床植生データと、前記地形データに基づく日射量データと、前記気象データとに基づいて、前記植生回復度を予測する、
ことを特徴とする付記1に記載の土壌侵食地域推定方法。
(付記3)前記植生回復度を予測する処理は、前記日射量データを、前記地形データに含まれる標高、ならびに、前記標高に基づいて求めた傾斜角度および傾斜方位に基づいて算出する、
ことを特徴とする付記2に記載の土壌侵食地域推定方法。
(付記4)前記植生回復度を予測する処理は、前記林床植生データがない前記エリアに対して、前記植生データに基づく常緑樹分布データ、前記日射量データ、ならびに、高木種の種別と、伐採および植樹後の経過年数とに応じた係数を用いて、前記林床植生データを予測する、
ことを特徴とする付記2または3に記載の土壌侵食地域推定方法。
(付記5)前記動物の生息分布を予測する処理は、前記生態データに含まれる前記動物の体重および生息密度に基づいて、一頭当たりの生息に要求される要求生息面積を算出し、前記植生データに基づく植物資源分布と、前記動物の生態とに基づいて、前記動物の生息地の面積を算出し、前記生息地の面積と前記要求生息面積とに基づいて、前記エリアごとに前記動物の生息可能数を予測する、
ことを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の土壌侵食地域推定方法。
(付記6)前記表層崩壊リスクを予測する処理は、前記地形データに基づく傾斜角度と、前記植生データに基づく土壌保持力とに基づいて、前記表層崩壊リスクを予測する、
ことを特徴とする付記1〜5のいずれか1つに記載の土壌侵食地域推定方法。
(付記7)植物の林床植生データを含む植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、所定の大きさのエリアごとに林床植生の回復の度合いを示す植生回復度を予測する第1予測部と、
前記植生データと、前記地形データと、前記気象データと、前記植物を利用する動物の生態を示す生態データとに基づいて、前記エリアごとに前記動物の生息分布を予測する第2予測部と、
前記植生データと、前記地形データと、前記気象データとに基づいて、前記エリアごとに土壌の表層崩壊が発生するリスクを示す表層崩壊リスクを予測する第3予測部と、
予測した前記植生回復度と、前記生息分布と、前記表層崩壊リスクとに基づいて、前記エリアごとに土壌侵食リスクを判定する判定部と、
を有することを特徴とする土壌侵食地域推定装置。
(付記8)前記第1予測部は、前記林床植生データと、前記地形データに基づく日射量データと、前記気象データとに基づいて、前記植生回復度を予測する、
ことを特徴とする付記7に記載の土壌侵食地域推定装置。
(付記9)前記第1予測部は、前記日射量データを、前記地形データに含まれる標高、ならびに、前記標高に基づいて求めた傾斜角度および傾斜方位に基づいて算出する、
ことを特徴とする付記8に記載の土壌侵食地域推定装置。
(付記10)前記第1予測部は、前記林床植生データがない前記エリアに対して、前記植生データに基づく常緑樹分布データ、前記日射量データ、ならびに、高木種の種別と、伐採および植樹後の経過年数とに応じた係数を用いて、前記林床植生データを予測する、
ことを特徴とする付記8または9に記載の土壌侵食地域推定装置。
(付記11)前記第2予測部は、前記生態データに含まれる前記動物の体重および生息密度に基づいて、一頭当たりの生息に要求される要求生息面積を算出し、前記植生データに基づく植物資源分布と、前記動物の生態とに基づいて、前記動物の生息地の面積を算出し、前記生息地の面積と前記要求生息面積とに基づいて、前記エリアごとに前記動物の生息可能数を予測する、
ことを特徴とする付記7〜10のいずれか1つに記載の土壌侵食地域推定装置。
(付記12)前記第3予測部は、前記地形データに基づく傾斜角度と、前記植生データに基づく土壌保持力とに基づいて、前記表層崩壊リスクを予測する、
ことを特徴とする付記7〜11のいずれか1つに記載の土壌侵食地域推定装置。
100 推定装置
110 通信部
111 表示部
112 操作部
113 入出力部
120 記憶部
121 植生DB
122 地形DB
123 気象DB
124 生態DB
125 植生回復予測表記憶部
126 リスクレベル記憶部
130 制御部
131 受付部
132 第1予測部
133 第2予測部
134 第3予測部
135 判定部

Claims (7)

  1. 植物の林床植生データを含む植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、所定の大きさのエリアごとに林床植生の回復の度合いを示す植生回復度を予測し、
    前記植生データと、前記地形データと、前記気象データと、前記植物を利用する動物の生態を示す生態データとに基づいて、前記エリアごとに前記動物の生息分布を予測し、
    前記植生データと、前記地形データと、前記気象データとに基づいて、前記エリアごとに土壌の表層崩壊が発生するリスクを示す表層崩壊リスクを予測し、
    予測した前記植生回復度と、前記生息分布と、前記表層崩壊リスクとに基づいて、前記エリアごとに土壌侵食リスクを判定する、
    処理をコンピュータが実行することを特徴とする土壌侵食地域推定方法。
  2. 前記植生回復度を予測する処理は、前記林床植生データと、前記地形データに基づく日射量データと、前記気象データとに基づいて、前記植生回復度を予測する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の土壌侵食地域推定方法。
  3. 前記植生回復度を予測する処理は、前記日射量データを、前記地形データに含まれる標高、ならびに、前記標高に基づいて求めた傾斜角度および傾斜方位に基づいて算出する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の土壌侵食地域推定方法。
  4. 前記植生回復度を予測する処理は、前記林床植生データがない前記エリアに対して、前記植生データに基づく常緑樹分布データ、前記日射量データ、ならびに、高木種の種別と、伐採および植樹後の経過年数とに応じた係数を用いて、前記林床植生データを予測する、
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の土壌侵食地域推定方法。
  5. 前記動物の生息分布を予測する処理は、前記生態データに含まれる前記動物の体重および生息密度に基づいて、一頭当たりの生息に要求される要求生息面積を算出し、前記植生データに基づく植物資源分布と、前記動物の生態とに基づいて、前記動物の生息地の面積を算出し、前記生息地の面積と前記要求生息面積とに基づいて、前記エリアごとに前記動物の生息可能数を予測する、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の土壌侵食地域推定方法。
  6. 前記表層崩壊リスクを予測する処理は、前記地形データに基づく傾斜角度と、前記植生データに基づく土壌保持力とに基づいて、前記表層崩壊リスクを予測する、
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の土壌侵食地域推定方法。
  7. 植物の林床植生データを含む植生データと、地形データと、気象データとに基づいて、所定の大きさのエリアごとに林床植生の回復の度合いを示す植生回復度を予測する第1予測部と、
    前記植生データと、前記地形データと、前記気象データと、前記植物を利用する動物の生態を示す生態データとに基づいて、前記エリアごとに前記動物の生息分布を予測する第2予測部と、
    前記植生データと、前記地形データと、前記気象データとに基づいて、前記エリアごとに土壌の表層崩壊が発生するリスクを示す表層崩壊リスクを予測する第3予測部と、
    予測した前記植生回復度と、前記生息分布と、前記表層崩壊リスクとに基づいて、前記エリアごとに土壌侵食リスクを判定する判定部と、
    を有することを特徴とする土壌侵食地域推定装置。
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