JP2018104608A - コンクリート保護コーティング材 - Google Patents

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Abstract

【課題】スライムを形成するバクテリアを利用したコーティング材【解決手段】スライムを形成するバクテリアを吸着した吸着材及び結合材を含むコーティング材。スライムを形成するバクテリアは、好ましくは、ロードバクター・カプスラタス、ロードバクター・ブラスティカス、ロードバクター・スフェロイデス、ロドシュードモナス・パルストリス、ルブリヴィヴァックス・ゲラティノスス、紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌、バチルス・チューリンゲンシス、及びバチルス・サブチリスから選択される1種以上のバクテリアを吸着した吸着材。前記吸着材が、好ましくは、高吸収性樹脂、高多孔性樹脂、膨張蛭石、パーライト及び珪藻土から選択される1種以上の吸着材であり、前記結合材は、黄土基盤の結合材、α−半水石膏、高炉スラグ、フライアッシュ、普通ポートランドセメント及びマグネシア−リン酸塩結合材から選択される1種以上の結合材が望ましい、コーティング材。【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート保護コーティング材に関する。
汚水、糞尿、畜産廃水のような腐食性環境に露出したコンクリートは、各種の劣化現象および化学的侵食により、耐久寿命が20〜30年未満となるため、構造物の使用性および安全性の低下という問題を引き起こすことがある(キム・ジョンピル(2005))。このため、先進国では、コンクリートの耐久設計に関する基準及びコードを規定することで、体系的なシステムを構築し適用している(ACI318−11(2011)、ACI201.2R−08(2008)、BS EN 7543(2003))。米国のACI318−11(2011)基準の場合、コンクリートの耐久設計を構造設計の一部分として取り扱っており、ACI201.2R−08(2008)では、コンクリートが凍結融解、化学的な侵食、磨耗及びアルカリ骨材反応などによって影響を受ける場合に対する損傷機構、およびこれに応じて要求される対策を提示している。BS EN 7543(2003)では、構造物の耐久性を予測するために必要な指針、目標耐久年限、及び設計耐久年限などに対する概略的な過程を提示している。一方、国際標準化機構であるISO(2004)では、TCI71/SC7を中心に化学的侵食によるコンクリートの劣化に応じた補修および補強に関する研究を行っているが、現在までに制定された規格がないのが実情である。韓国の場合、建設交通部および韓国コンクリート学会の主管の下、2004年度に「コンクリート標準仕様書−耐久性編」を制定している。このように、コンクリートの耐久年を向上するための様々な政策的、および社会的要求事項とあいまって、建設産業では腐食環境に露出されたコンクリートにおいて、メンテナンスの側面からコーティング材料の適用が大きく増加すると期待している(キム・ソンス(2013))。
例えば、海水による塩害、および土壌中の硫酸などの化学的侵食のため、コンクリートコーティング材の使用が急増している。硫酸塩によるコンクリートの耐久性低下は、他の化学的侵食による要因に比べて大きいことが知られている(Al−Amoundi(2002))。そこで、耐透水性が高いエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、またはアクリル樹脂のような有機系コーティング材がコンクリートの腐食制御に一般に使用されている(チョン・ビョンシク(2004))。しかし、コンクリートとコーティング材との接着面に形成されたコーティング膜は、コンクリートの内部に存在する水分が外部に蒸発することを難しくするため、膜の脱落現象が起こってしまう。また、冬季の施行ではコーティング膜の境界面に形成された水分が凍るため、境界面で膨張圧が発生してしまう(キム・ソンス(2003))。このため、コンクリートの亀裂及び変形が発生することで、耐久年数の増加に対する効率性が著しく低下してしまう。また、有機系コーティング材は、環境汚染及び有害物質の多量の含有の懸念があるため、全世界的に使用原料及び製造工程を厳しく規定している。これによって、既に欧州などの先進国では重金属及び揮発性有機化合物(VOCs:Volatile Organic Compounds)を含まない環境に優しいコーティング材が開発され、商用化されている(Bazantら(1994))。一方、韓国の塗料(コーティング)業界では、60%以上が海外の技術に依存しているのが実情である(韓国科学技術情報研究院)。よって、技術的・環境的要求事項に対応し得、環境に優しい新たなコーティング材の開発に対する韓国独自の技術が必要である。また、韓国の建設産業におけるロウテク(Low−tech)イメージを捨てるためには、先端技術(Bio/Nano/Eco)を組み入れた新たな概念の建設材料への技術戦略が必要である。
最近では、コンクリート構造物の目標性能および耐久寿命を維持するために、微生物の炭酸カルシウム形成作用を利用したコンクリートの表面コーティング、亀裂補修、及び自己治癒コンクリートなどの新技術に関する研究が進められている(Achal(2009)、DeMuynck(2008)、キム・ファジュン(2010))。しかし、微生物を利用したコンクリートは源泉技術開発の段階にあり、イメージ分析(Image analysis)を介した定性的な評価が殆どである。また、微生物を利用したコンクリートの研究は、殆どバチルス系の微生物を利用した亀裂治療に重点が置かれており、コーティング材に対する研究はないのが実情である。特に、微生物によるスライム膜は、従来のコーティング材料の短所を解決しながらコンクリート構造体の腐食抵抗性の向上が期待されるものの、まだこれに対する検証研究は非常に不十分なのが実情である。そこで、以下では、微生物によるスライム膜の活用技術と、従来の先行技術との差をより明確に理解するために、従来の先行研究の内容をより詳細に説明する。
従来の大部分の研究では、微生物の生体鉱物形成作用(Biomineralization)を利用したコンクリートの亀裂治癒、耐久性の向上、及び自己治癒に関する研究、ならびに水質浄化が可能な微生物を適用した研究が中心に進められている。
微生物の生体鉱物形成作用を用いたコンクリートは、多くの研究者ら(Ramachandra(2001)、De Belie(1995)、Ghosh(1989)、Jonkers(2003)、キム・ファジュン(2011))によって研究されている。微生物が形成した鉱物の析出によるコンクリートの亀裂の治癒は、実証されており、これに基づいて耐久性を向上するためにモルタルに適用した多用な事例がある(Ramachandra(2001)、Ghosh(1989)、キム・ファジュン(2011))。水質浄化のために微生物を適用したコンクリートにおいては、水中または海洋に設置されるコンクリート製品及びブロックに生物膜(Biofilm)を形成し、微生物を吸着させる技術を利用した水質浄化が研究されている(アン・テウン(2009)、キム・ファジュン(2011))。しかし、殆どの研究は、基礎的な実験を介してその可能性が紹介されているのみである。また、正確な根拠の提示及び評価方法は研究者によって異なり、かつ微生物に関する要素技術が非常に重要であるものの、これに関する技術資料及び関連研究は非常に不十分である。また、本発明に関連するバクテリアの要素技術、およびこれを適用したコンクリートの関連研究及び韓国内外の技術は非常に不十分なのが実情である。よって、以下では、微生物の生体鉱物形成作用を用いたコンクリート、および水質浄化のための微生物コンクリートに関して説明することで、従来の研究で適用される微生物、および微生物を活用したコンクリートに関する研究動向及び問題点を把握することとする。
まず、生体鉱物形成作用を利用した微生物コンクリートに関する先行研究を調べると、大部分の研究では、表面に発生した亀裂の治癒、微生物モルタル及び自己治癒コンクリートの開発に関する研究が行われてきたが、コンクリートは強アルカリ性(pH12〜13)であるため、微生物の生存性に限界がある。これを克服するためには、強アルカリ性環境でも生存可能な微生物の分離及び培養技術が必要であると判断される。また、大部分の研究者らはイメージ分析、走査電子顕微鏡(SEM)、X線回折分析(XRD)及び力学的特性評価を用いて可能性を提示しているが、これらの研究を多様な環境下で露出されるコンクリートに適用するためには耐久性及び定量的な評価が必要である。
生体鉱物形成を利用した炭酸カルシウムの析出は、Boquetら(1973)によって初めて報告されている。Boquetは、実験室条件で微生物による炭酸カルシウムの沈殿の析出を誘導しており、Adolphe及びBilly(1974)は、凝灰岩および石灰岩から分離した微生物を利用して炭酸カルシウムの析出を実験しており、微生物によって形成された炭酸カルシウムは腐食に対して大きな抵抗を有すると報告している。このような生物生体鉱物の形成を利用した炭酸カルシウムの析出は、生物誘導鉱物の形成、および生物制御鉱物の形成の2つのメカニズムによって起こる。
生物誘導鉱物の形成過程では、微生物は鉱物粒子の生成および成長には関与しないが、周辺環境条件に変化を起こすことで炭酸カルシウムの形成を誘導する。よって、生物誘導鉱物の形成では、周辺環境条件に応じて形成される鉱物の形態および種類が異なる(Lowenstan and Weiner(1989))。Barissant(2003)は、微生物の細胞外壁において、高分子物質(EPS:Extra polymetic substances)が炭酸カルシウムの形成、および鉱物の構造の決定に大きな役割をすると報告している。Barissant(2003)は、高分子物質を形成する微生物の混入量が増加するほど、方解石(Calcite)だけでなく、ヴァテライト(vaterite)およびアラゴナイト(aragonite)などの多様な鉱物が析出すると報告している。生物制御鉱物の形成過程は、微生物によって独立的に支配される。微生物は鉱物の形成に必要な要素を調節して鉱物化形成に参与し、微生物の種類に応じて周辺環境条件とは独立して特定の鉱物および結晶構造を形成する。Bazylinski(2007)は、磁鉄石(Magnetite)を形成する鉄(III)還元微生物、海洋に生息する単細胞プランクトンの一種である円石藻、および珪酸化形態に形成された単細胞の珪藻類は、シリカ沈殿物を析出するが、これは生物制御を介した鉱物の形成に属すると報告している。
亀裂治癒の場合、Ramachandran(2001)は、生体鉱物の形成が可能なバクテリアであるスポルサルシナ・パステウリ(Sporsarcina pasteurii)の利用による亀裂治癒に対する可能性を評価している。Ramachandranは、亀裂が発生した表面にて方解石が生成されており、これを用いることによるバクテリアを活用した亀裂補修に対する可能性を提示している。しかし、好気性バクテリアの場合には成長条件として酸素が必要であり、強アルカリ性であるコンクリートでは活性度が低下すると報告している。
De Belie及びDe Muynck(2009)は、強アルカリ性であるコンクリートからバクテリアを保護するためにバチルス・スファエリクス(Bacillus spharicus)をシリカゾールに吸着して使用した。また、彼らは、バクテリアに最適な生存環境、および炭酸カルシウムの析出を調整するために、コンクリートにウレア及び塩化カルシウム溶液を混入した。実験の結果、該コンクリートは、エポキシ樹脂を使用して亀裂を治癒した実験体と類似した効果を示していた。
Muynck(2010)及びJonkers(2011)は、微生物の生体鉱物形成作用を用いたコンクリートの亀裂治癒に対するメカニズムを究明した。
亀裂を介して水分および空気が流入すると、耐性胞子として存在していた微生物が活性化し、細胞外壁が負電荷を帯びる。これにより、微生物は、細胞外壁の表面の周囲からCa2+を含む陽イオンを誘引し、自らの表面に炭酸カルシウムを析出することで、亀裂部位を治癒すると報告している。
キム・ファジュン(2010)は、スポロサルシナ・パステウリ、コンクリート構造物から分離したスポロサルシナ・ソリ(Sporosarcina soli)、バチルス・マシリエンシス(Bacillus massiliensis)、アースロバクター・クリスタロポイーテス(Arthrobacter crystallopoietes)、リシニバシラス・フシフォルミス(Lysinibacillus fusiformis)を使用してモルタルの亀裂の充填可能性を提示している。彼らはコンクリートの表面および亀裂部位に、ウレアを含むpH6.8の水溶液状態で、スポロサルシナ・パステウリを1日100μLずつ5回注入した。同一位置を20日間顕微鏡で観察したところ、実験の結果、バクテリアの生体鉱物形成作用を介した炭酸カルシウムの析出によって亀裂部が充填されており、亀裂の幅が小さいほど充填効果はより大きいことが示された。
微生物モルタルの場合、Ramachandran(2001)はポートランドセメントモルタルの圧縮強度を向上するために生体鉱物形成作用が可能なバクテリアを使用し、バクテリアの種類および培地混入による影響を評価している。炭酸カルシウムを析出するシュードモナス・エルゴノーザ(Psuedomonas aerugonosa)を混入した試験体では、圧縮強度の増進効果が示されなかったが、スポロサルシナ・パステウリを混入した試験体では、材齢28日において、バクテリアを混入していない試験体に比べ圧縮強度が約18%大きく示されていた。ただし、XRD分析の結果、バクテリアの炭酸カルシウム析出による影響は示されていなかった。彼らは、高いpH、および低い酸素量によってバクテリアの活性度及び生存が低下したと報告している。
Ghosh(2005)は、シュワネラ(Shewanella)バクテリアを混入したモルタルの圧縮強度および内部空隙の分布を評価した。シュワネラは細胞外壁にて鉄を還元するバクテリアの一種であって、従来の研究とは対照的に、生体鉱物形成作用を誘導していなかった。実験結果、材齢28日において、バクテリアを添加していない試験体に比べシュワネラを添加した試験体では、圧縮強度は約25%大きく示された。また、モルタル内部の空隙の分布は、シュワネラを添加した試験体では、空隙のサイズが小さくなる傾向を示した。これによって、彼らはバクテリアによってモルタルの内部に生成された磁鉄石が圧縮強度の向上に寄与していると報告している。
キム・ファジュン(2010)は、生体鉱物形成作用が可能な微生物の種類、および養成方法によるモルタルの圧縮強度を評価した。材齢28日において、バチルス・マシリエンシスを混入したモルタルは、一般のモルタルに比べて、圧縮強度が約8.9%大きく示されており、アースロバクター・クリスタロポイーテスを混入したモルタルは、圧縮強度が約40.3%大きく示されていた。彼らは、混入された微生物によって生成される鉱物構造及び形状が異なるため、モルタルの圧縮強度は影響を受ける可能性があると報告している。また、水中養成の場合、気中養成の試験体に比べて圧縮強度が大きく示されており、ウレア−塩化カルシウム(Urea−CaCl)培地で水中養成した試験体では、最も優秀な圧縮強度の発現が示されていた。
自己治癒コンクリートの場合、Jonkers及びSchlangen(2008)は、亀裂発生の前は強アルカリ性であるコンクリートの内部環境と、セメントの水和反応のような物理または化学的反応とに耐えられるバクテリアを選定するために、先行研究に基づいて、アルカリ状態で胞子を形成するバチルス(Bacillus)、バチルス・シュードファームス(Bacillus pseudofirmus)DSM8715、及びバチルス・コーニ(Bacillus cohnii)DSMを利用した。ここでは、大量のバクテリアの添加のため、モルタルの圧縮強度は約10%低く示されていた。また、微生物による鉱物の析出を評価するためにESEMを分析したところ、実験結果によれば、7日間養成した試験体は、バクテリアを混入していない試験体に比べて、炭酸カルシウムの析出が大きく示されていたが、28日以降には炭酸カルシウムの析出に対する特別な影響が示されなかった。
次に、自己浄化コンクリートに関する先行研究を調べると、水質浄化が可能な微生物を活用したコンクリートとは、水質汚染物質を浄化し得る微生物を同定及び分離し、これをコンクリートに適用した技術である。従来の研究では、内部に連続した空隙構造を有するポーラスコンクリートを利用して、魚貝類の生息環境を提供する環境低減型コンクリートが開発されている(キム・セウォン(2001))。しかし、従来の研究では機能的な側面に重点を置いているため、強アルカリ性であるコンクリートに適用された微生物の成長及び活性度に対する研究は非常に不十分であるのが実情である。特に、海洋及び河川構造物の場合には、流速による微生物の脱落現象が発生する恐れがあり、これを固定化する技術が非常に重要である。
キム・テフン(2011)は、有用微生物群である光合成細菌、酵母菌、乳酸菌、放線菌、糸状菌などを連続空隙が形成された多孔性コンクリートに適用し、微生物を混入していない試験体と比較して水質の浄化能力を評価した。実験の結果、浮遊物質の除去効率は80%で最も優秀な効果を示しており、これは多孔性コンクリートに吸着された微生物が生物膜を形成して有機物質を分解したためだと判断される(キム・セウォン(2001))。よって、彼らは、有機物の分解が卓越であり、多様な環境への適応性に優れると知られている有用微生物を活用して、水中または水辺に設置されるコンクリートブロック及び構造物にこれらの有用微生物を吸着して生物膜を形成することで、固定化された有用微生物によって汚染源である多量の有機物質を迅速に、かつ持続的に分解することができると報告している。
キム・ファジュン(2011)は、廃水分解能に優れる微生物を選定するために先行研究に基づいて微生物を選定している。また、固定化のために微生物を天然ゼオライトに吸着させて、セメントレンガを製作している。陽イオンで構成されたゼオライトの表面は、陰イオンで構成された微生物の細胞壁と静電気的に吸着する。実験の結果、浮遊物質除去効率(SS)は、納豆菌、および大邱のS環境事業所で分離同定した微生物が最も効果的であり、生物学的酸素要求量(BOD)はバクテリアを適用した全ての実験体で減少していた。また、総窒素(N)は、味噌菌を混入した試験体を除いては全て50.19%〜51.20%の除去効率を示した。彼らはゼオライト及びセメントレンガの内部および外部に窒酸化微生物による生物膜が形成されることによって、窒素の除去が起こると報告している。総リン(P)は、バクテリアを適用した実験体で全て除去効率が示されていた。
次に、スライムコンクリートに関する先行研究を調べると、Soleimaniら(2014)は、耐硫酸性を向上するために大腸菌(Escherichia coli)DH5αバクテリアスライムを利用し、特殊製作された装置を使用してモルタルの表面にスライムを形成した。これを観察するために、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)、および共焦点レーザ顕微鏡(Confocal Laser Scanning Microscopy:CLSM)を利用して、硫酸(pH5)に露出したモルタルの表面からのバクテリア及びスライムの挙動を評価した。実験の結果、スライムは73.5%生成されており、スライムの厚さは56.9μmと示されていた。
このように、従来の研究では、バクテリアを活用した環境に優しいコンクリートとして、目標性能と寿命とをたゆまず維持する自己治癒コンクリート及び水質浄化用コンクリートに関する研究が主に行われてきた。しかしながら、バクテリアの要素技術及びバクテリアスライムの形成に基づくコーティング材に関する韓国内外の特許及び類似研究は殆どないのが実情である。
本発明は、バクテリアおよびコンクリート技術を融合する基礎技術であって、スライム(グリコカリックス膜)バクテリアを活用したコーティング材を提示することで、これに基づいてコンクリート耐硫酸挙動に対するバクテリアのスライム基盤のコーティング材の影響を評価するものである。すなわち、本発明の目的は、スライムを形成することができる最適のバクテリアを選定し、スライムを生成するためのバクテリアの培養及び最適の倍地条件を提示し、スライムが形成されたバクテリアを固定化するための最適の吸着材を提示し、バクテリアスライム基盤のコーティング材の技術を確立するものである。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、スライムを形成するバクテリアを吸着した吸着材、及び結合材を含むコーティング材が提供される。
前記スライムを形成するバクテリアは、ロードバクター・カプスラタス、ロードバクター・ブラスティカス、ロードバクター・スフェロイデス、ロドシュードモナス・パルストリス、ルブリヴィヴァックス・ゲラティノスス、紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌、バチルス・チューリンゲンシス、及びバチルス・サブチリスからなる群から選択される1種以上であってもよい。
前記吸着材は高吸収性樹脂、高多孔性樹脂、膨張蛭石、パーライト及び珪藻土からなる群から選択される1種以上であってもよい。
前記結合材は、黄土基盤の結合材、α−半水石膏、高炉スラグ、フライアッシュ、普通ポートランドセメント及びマグネシア−リン酸塩結合材からなる群から選択される1種以上であってもよい。
前記マグネシア−リン酸塩結合材は、前記結合材の総質量に対して、リン酸塩の含量が10〜50質量%であってもよい。
前記リン酸塩はリン酸カルシウム(KHPO)、二リン酸カルシウム(Ca(HPO)、リン酸ナトリウム(NaHPO)、リン酸アンモニウム(NHPO)、リン酸二カリウム(KHPO)、リン酸カルシウム(CaHPO)、リン酸二ナトリウム(NaHPO)、及びリン酸二アンモニウム((NHHPO)からなる群から選択される1種以上であってもよい。
前記マグネシア−リン酸塩結合材は、前記マグネシア−リン酸塩100質量部に対して、遅延剤1〜10質量部を更に含んでもよい。
前記スライムを形成するバクテリアによって形成された二酸化珪素(SiO)が空隙を遮蔽する内部構造を有してもよい。
前記コーティング材は、コンクリート構造体の表面の化学的侵食を防止するために使用されてもよい。
前記コンクリート構造体は、下水管渠であってもよい。
前記化学的侵食は、硫酸によるものであってもよい。
前記コーティング材は、前記コンクリート構造体の表面に0.5〜10mmの厚さで塗布されてもよい。
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、スライムを形成するバクテリアを培養してスライムを形成するステップと、前記スライムを形成したバクテリアを固定するために、吸着材を用いて前記スライムを形成したバクテリアを吸着するステップと、前記バクテリアが吸着された吸着材を結合材と混合するステップと、を含むコーティング材の製造方法が提供される。
前記スライムを形成するバクテリアは、ロードバクター・カプスラタス、ロードバクター・ブラスティカス、ロードバクター・スフェロイデス、ロドシュードモナス・パルストリス、ルブリヴィヴァックス・ゲラティノスス、紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌、バチルス・チューリンゲンシス、及びバチルス・サブチリスからなる群から選択される1種以上であってもよい。
また、前記ロードバクター・カプスラタス、ロードバクター・ブラスティカス、ロードバクター・スフェロイデス、ロドシュードモナス・パルストリス、ルブリヴィヴァックス・ゲラティノスス、紅色硫黄細菌及び緑色硫黄細菌は、精製水1Lを基準に酵母抽出物0.1〜5g、ジソジウムサクシネートヘキサハイドレート1〜50g、無水エタノール0.1〜5mL、クエン酸鉄溶液0.1〜5mL、リン酸に二水素カリウム0.1〜5g、硫酸マグネシウム七水和物0.1〜5g、塩化ナトリウム0.1〜5g、塩化アンモニウム0.1〜5g、及び塩化カルシウム二水和物0.01〜0.5gを含む培地でpH5〜9の条件で培養されてもよい。
前記バチルス・チューリンゲンシス及びバチルス・サブチリスは、精製水1Lを基準に動物組織のペプシン消化物1〜10g、酵母抽出物0.5〜3g、塩化ナトリウム1〜10g及び牛肉抽出物0.5〜3gを含む培地でpH4〜10の条件で培養されてもよい。
前記培養に使用された炭素源はマルトース、デキストロース及びフルクトースからなる群から選択される1種以上であってもよい。
前記吸着材は高吸収性樹脂、高多孔性樹脂、膨張蛭石、パーライト及び珪藻土からなる群から選択される1種以上であってもよい。
前記吸着の際に使用される前記バクテリアの前記吸着材に対する混入量は、バクテリア培養液の総質量を基準にして、前記吸着材が前記高吸収性樹脂または高多孔性樹脂である場合、50〜200倍であり、前記吸着材が前記膨張蛭石、パーライトまたは珪藻土である場合、5〜20倍であってもよい。
前記吸着は、メッシュの大きさが100μm〜5mm、及び厚さが0.5〜50mmであるメッシュ状の吸着パッドに前記吸着材を投入した後、前記吸着パッドを前記バクテリアの培養液に浸漬するステップを含んで行われてもよい。
前記吸着パッドの素材は、鋼材であってもよい。
前記吸着材を利用した吸着は、前記メッシュ状の吸着パッドに前記吸着材を投入した後、前記吸着パッドを前記バクテリアの培養液の中に浮遊させて行われてもよい。
前記吸着パッドは、前記吸着パッドの下端に連結された平行錘によって浮遊し、
前記平行錘の重さは、下記数学式1によって決定されてもよい。
数学式1において、dは吸着パッドの浸漬深さ、Wは積載荷重、Wは固定荷重、L及びBは吸着パッドの長さ及び幅、γは培養液の単位容積の質量である。
前記バクテリアを吸着した吸着材及び前記結合材の混合において、前記結合材の使用量は、前記バクテリアを吸着した吸着材の質量の0.5〜3倍であってもよい。
本発明によると、コンクリートの耐化学性を考慮した最適なスライムを形成するバクテリア及び最適なスライムの形成条件を提供することができる。
また、従来のコンクリートの配合の際に、単純投入ではなくバクテリア自己栄養生存環境を形成するための最適な吸着方法を提供することができる。
また、バクテリア成長環境を考慮したpH8〜10水準の最適結合材の活用技術を提供することができる。
また、バクテリアの投入のための従来技術に比べて経済的であり、多量のバクテリアを容易に、かつ実質的に吸着させることを可能にする方法を提供することができる。
また、コンクリート下水管渠の化学的侵食に対するメカニズムと、スライムを形成するバクテリアの耐硫酸性メカニズムとを考慮した新たな概念を有し、コンクリートの耐化学性、および耐久性を向上するコーティング材に関する技術を提供することができる。
ロードバクター・カプスラタス、ロードバクター・ブラスティカス、ロードバクター・スフェロイデス、ロドシュードモナス・パルストリス、ルブリヴィヴァックス・ゲラティノススにおいて、細胞周辺にスライム(glycocalyx)膜を形成していることを示す写真である。 硫酸によるコンクリートの性能低下メカニズムを示す模式図である。 スライムを形成したバクテリア基盤のコーティング材のメカニズムを示す模式図及び内部の微細構造のSEM分析写真である。 本発明の実施例において、バクテリアの吸着のための吸着パッド(a)、および吸着パッドが浸漬された培養液筒(b)を例示的に示す模式図である。 本発明の実施例において、培養されたバクテリアの7日後の変化の様子を示す写真である。 本発明の実施例において、培養されたロードバクター・カプスラタスのスライム膜の形状及び構造の顕微鏡写真である。 本発明の実施例において、各培地のスライム膜を凍結乾燥して示す写真である。 本発明の実施例において、ロードバクター・カプスラタスのスライムの生成量を示すグラフである。 本発明の実施例において、ロードバクター・カプスラタスのスライムの構成比を示すグラフである。 本発明の実施例において、高吸収性樹脂の表面構造を示す写真である。 本発明の実施例において、高多孔性樹脂の表面構造を示す写真である。 本発明の実施例において、膨張蛭石の表面構造を示す写真である。 本発明の実施例において、パーライトの表面構造を示す写真である。 本発明の実施例において、ロードバクター・カプスラタスに対する吸着材別の表面組織の観察結果を示す写真である。 本発明の実施例において、ロードバクター・カプスラタスに対する吸着材別の表面組織の観察結果を示す写真である。 本発明の実施例において、黄土基盤の結合材のX線回折分析(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、硫酸5%溶液に浸漬されたコンクリートの硫酸浸透深さを測定する方法を説明する模式図及び写真である。 本発明の実験例1において、コーティング材のバクテリア混入有無及び培地の種類によるX線回折分析のパターンを示すグラフである。 本発明の実験例1において、コーティング材のバクテリア混入有無及び培地の種類によるX線回折分析のパターンを示すグラフである。 本発明の実験例1において、コーティング材のバクテリア混入有無及び培地の種類による内部の微細構造を示す写真である。 本発明の実験例1において、コーティング材のバクテリア混入有無及び培地の種類による内部の微細構造を示す写真である。 本発明の実験例1において、第1組の硫酸浸漬による浸漬日数別の試験体の外観の状態を示す写真である。 本発明の実験例1において、第1組の硫酸浸漬による浸漬日数別の試験体の外観の状態を示す写真である。 本発明の実験例1において、第1組の硫酸浸透の深さを観察した結果を示す写真である。 本発明の実験例1において、第1組のコンクリートの表面から採取した試料の反応生成物の主要回折ピークを分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第1組のコンクリートの表面から採取した試料の反応生成物の主要回折ピークを分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第1組のコンクリートの表面から採取した試料の組織構造及び化学的構成元素を分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第1組のコンクリートの表面から採取した試料の組織構造及び化学的構成元素を分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第1組のコンクリートの表面から採取した試料の組織構造及び化学的構成元素を分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第1組の硫酸浸漬日数別の質量の変化を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第1組の硫酸浸漬日数別の圧縮強度の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第1組の硫酸浸漬日数28日における試験体中央部の動弾性係数の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第1組の硫酸浸漬日数28日における試験体表面部の動弾性係数の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第2組の硫酸浸漬による浸漬日数別の試験体の外観の状態を示す写真である。 本発明の実験例1において、第2組の硫酸浸漬による浸漬日数別の試験体の外観の状態を示す写真である。 本発明の実験例1において、第2組の硫酸の浸透深さを観察した結果を示す写真である。 本発明の実験例1において、第2組のコンクリートの表面から採取した試料の反応生成物の主要回折ピークを分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第2組のコンクリートの表面から採取した試料の反応生成物の主要回折ピークを分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第2組のコンクリートの表面から採取した試料の組織構造及び化学的構成元素を分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第2組のコンクリートの表面から採取した試料の組織構造及び化学的構成元素を分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第2組の硫酸浸漬日数別の質量の変化を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第2組の硫酸浸漬による浸漬日数別の圧縮強度の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第2組の硫酸浸漬日数28日における試験体中央部の動弾性係数の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第2組の硫酸浸漬日数28日における試験体表面部の動弾性係数の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第3組の硫酸浸漬による浸漬日数別の試験体の外観の状態を示す写真である。 本発明の実験例1において、第3組の硫酸浸漬による浸漬日数別の試験体の外観の状態を示す写真である。 本発明の実験例1において、第3組の硫酸の浸透深さを観察した結果を示す写真である。 本発明の実験例1において、第3組のコンクリートの表面から採取した試料の反応生成物の主要回折ピークを分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第3組のコンクリートの表面から採取した試料の反応生成物の主要回折ピークを分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第3組のコンクリートの表面から採取した試料の組織構造及び化学的構成元素を分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第3組のコンクリートの表面から採取した試料の組織構造及び化学的構成元素を分析した結果を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第3組の硫酸浸漬日数別の質量の変化を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第3組の硫酸浸漬による浸漬日数別の圧縮強度の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第3組の硫酸浸漬日数28日における試験体中央部の動弾性係数の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、第3組の硫酸浸漬日数28日における試験体表面部の動弾性係数の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、従来技術との比較にて、硫酸浸漬による試験体の浸漬日数別の外観の状態を示す写真である。 本発明の実験例1において、従来技術との比較にて、硫酸浸漬日数別の質量の変化を示すグラフである。 本発明の実験例1において、従来技術との比較にて、硫酸浸漬による浸漬日数別の圧縮強度の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、従来技術との比較にて、硫酸浸漬日数28日における試験体中央部の動弾性係数の比を示すグラフである。 本発明の実験例1において、従来技術との比較にて、硫酸浸漬日数28日における試験体表面部の動弾性係数の比を示すグラフである。 本発明の実験例2において、硫酸浸漬による試験体の浸漬日数別の外観の状態を示すグラフである。 本発明の実験例2において、浸漬材齢による試験体の圧縮強度の変化を示すグラフである。 本発明の実験例2において、浸漬材齢による試験体の質量の変化を示すグラフである。 本発明の実験例2において、硫酸5%水溶液の浸漬28日以降におけるバクテリアの吸着性を評価するための微細構造の分析結果を示す写真である。 本発明の実験例3において、浸漬材齢による試験体の質量の変化を示すグラフである。 本発明の実験例3において、浸漬材齢による試験体の圧縮強度の変化を示すグラフである。 本発明の実験例4において、浸漬材齢7日後に採取されたコーティング材表面の試料を培地に再接種(継代培養)し、群落(コロニー)の形成を確認した結果を示す写真である。 本発明の実験例4において、マグネシア−リン酸塩複合体の造成による試験体の圧縮強度及びpHの測定結果を示すフグラフである。 本発明の実験例4において、リン酸塩の種類による圧縮強度及びpHの測定結果を示すグラフである。
以下、実施例を介して本発明を詳細に説明する。ただし、本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語および単語は、通常的または辞書的な意味に限定して理解されてはならない。これらの用語および単語は、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義するという原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味および概念で理解されるべきである。また、本明細書に記載された実施例の構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願時点においてこれらを代替可能な多様な均等物および変形例が存在し得ることを理解すべきである。
本発明は、コンクリート保護用素材の技術に関するものであり、より詳しくは、バクテリアスライム基盤のコンクリート保護コーティング材に関する。なお、本発明は、韓国国土交通部の建設技術研究事業の研究費支援によって行われた研究から導出されたものである。
本発明は、スライムを形成するバクテリアを吸着した吸着材及び結合材を含むコーティング材を開示する。また、前記コーティング材は、スライムを形成するバクテリアを培養してスライムを形成するステップと、前記スライムを形成したバクテリアを固定するために、吸着材を用いて前記スライムを形成したバクテリアを吸着するステップと、前記バクテリアが吸着された吸着材を結合材と混合するステップと、を含む製造方法によって製造される。
本発明で使用可能なバクテリアとしては、スライムを形成可能なバクテリアであれば特に限定されないが、例えば、ロードバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)、ロードバクター・ブラスティカス(Rhodobacter blasticus)、ロードバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、ルブリヴィヴァックス・ゲラティノスス(Rubrivivax gelatinosus)、紅色硫黄細菌(Purple sulfur bacteria)、緑色硫黄細菌(Green sulfur bacteria)、ロドシュードモナス・パルストリス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・チューリンゲンシス、及びバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)など(以上、国家指定研究所内の微生物拠点センターで保有)を使用することができる。ロードバクター・カプスラタスの場合、好気性及び嫌気性条件の両方で成長活動が可能である。例えば、チョン・チョンファ(2010)は、下水・廃水処理施設物の窒素およびリンを除去するためにロードバクター・カプスラタスを使用している。
図1では、ロードバクター・カプスラタス、ロードバクター・ブラスティカス、ロードバクター・スフェロイデス、ロドシュードモナス・パルストリス、及びルブリヴィヴァックス・ゲラティノススが、細胞周辺にスライム(glycoclayx)膜を形成していることを示している。
本発明によるコーティング材は、コンクリート構造体の表面の化学的侵食を防止するために使用されるが、以下では、一例として硫酸によるコンクリートの性能低下メカニズム、およびスライムバクテリア基板のコーティング材のメカニズムについて説明する。
図2は、硫酸によるコンクリートの性能低下メカニズムを示す模式図である。
図2を参照すると、硫酸環境に露出したコンクリートの腐食段階は大きく3段階に区分される。第1段階では、汚水・廃水に含まれた有機化合物のうち、硫酸イオン(SO 2−)が硫還元細菌(SRB:Sulfate Reducing Bacteria)によって硫化水素(HS)へ変換され、これが硫酸化細菌によって酸化されて硫酸(HSO)になる(下記反応式1を参照)。第2段階では、生成された硫酸と、セメント成分である水酸化カルシウム(Ca(OH))とが反応して二水石膏(CaSO・2HO)を生成する(下記反応式2を参照)。第3段階では、生成された二水石膏と、アルミン酸三カルシウム(C3A)とが反応してエトリンガイト(Ettringite)を生成する(下記反応式3を参照)。このようにしてセメント水和物と反応して生成されたエトリンガイト、および二水石膏(Gypsum)は、コンクリートの膨張及び軟化作用を起こすため、組織構造の破壊及び亀裂を発生させる。
[反応式1]
S+2O→HSO
[反応式2]
Ca(OH)+HSO→CaSO・2H
[反応式3]
CaSO+3CaOAl+26HO→CaOAl・3CaSO・32H
図3は、スライムを形成したバクテリア基盤のコーティング材のメカニズムを示す模式図及びコーティング材内部の微細構造のSEM分析写真である。
図3を参照すると、スライムを形成するバクテリア(Rhodobacter capsulatus)は、物質代謝を介して細胞の周辺にスライム(Glycoclayx)を形成し、これによってイオン交換の表面の体積が拡張し、微生物の集落(Colony)及び群集形態を示す。このようなバクテリアの特性は、周辺環境からカルシウムを含む多様なイオン(水中に溶解された珪素、マグネシウムなどの元素)を誘引する。コーティング材の内部に形成されたシリカ成分(SiO)、および少量の炭酸カルシウム(CaCO)は、無機物および有機物が結合されて合成された鉱物であって、純粋化学的概念の析出ではなく微生物の物質代謝作用が伴う生化学的概念の析出反応である(Kim(2009))。このように形成されたスライム膜によってコーティングの内部組織は緻密になり透水性が低くなるため、硫酸塩のような有害物質が外部から侵入することを防止する。更に、コーティング材の内部に硫酸塩が浸透した場合でも、コーティング材の内部に形成されたシリカ成分(SiO)などの有機・無機系鉱物は、微細な粒子となり内部空隙を充填し、かつ材齢が増加することでポゾラン反応によって内部組織が緻密となるため、耐久性能を増進するのに効果的である。よって、バクテリアの種特異性および培地(酵素)は鉱物決定の特徴を決定し、コーティング材の耐久性及び緻密性の向上に、バクテリアの種特異性および培地(酵素)効果を与えると判断される。
一方、前記バクテリアのうち紅色黄細菌及び緑色黄細菌の場合、硫化水素を電子供与体(electron donor)として使用することで、嫌気または通性嫌気の条件で硫化水素を分解することができるため更に有利に採用される。ロードバクター・カプスラタスの場合、ロードバクター・カプスラタスは、下水・廃水処理施設物の窒素およびリンを除去するために使用されるバクテリアであるため、これによってスライムバクテリア基盤のコーティング材に自己浄化機能をも付与することができる。
本発明では、前記バクテリアの最適培養環境を造成するために、特殊な培地造成に関して研究した結果に基づいて、バクテリアの特性に応じて接種培養の際に効率が良好となる最適な培地造成および培養条件を提示する。
詳しくは、前記ロードバクター・カプスラタス、ロードバクター・ブラスティカス、ロードバクター・スフェロイデス、ロドシュードモナス・パルストリス、ルブリヴィヴァックス・ゲラティノスス、紅色硫黄細菌及び緑色硫黄細菌は、精製水1Lを基準に酵母抽出物(Yeast extract)0.1〜5g、ジソジウムサクシネートヘキサハイドレート(Disodium succinate hexahydrate)1〜50g、無水エタノール(Absolute ethanol)0.1〜5mL、クエン酸鉄溶液(Ferric citrate solution)0.1〜5mL、リン酸二水素カリウム(KHPO)0.1〜5g、硫酸マグネシウム七水和物(MgSO・7HO)0.1〜5g、塩化ナトリウム(NaCl)0.1〜5g、塩化アンモニウム(NHCl)0.1〜5g、及び塩化カルシウム二水和物(CaCl・2HO)0.01〜0.5gを含む培地でpH5〜9の条件で培養されることが好ましく、酵母抽出物0.5〜2g、ジソジウムサクシネートヘキサハイドレート5〜20g、無水エタノール0.2〜1mL、クエン酸鉄溶液0.5〜2mL、リン酸二水素カリウム0.2〜1g、硫酸マグネシウム七水和物0.2〜1g、塩化ナトリウム0.2〜1g、塩化アンモニウム0.2〜1g、及び塩化カルシウム二水和物0.02〜0.1gを含む培地でpH6〜8の条件で培養されることがより好ましい。
また、前記バチルス・チューリンゲンシス及びバチルス・サブチリスは、精製水1Lを基準に動物組織のペプシン消化物(Peptic digest of animal tissue)1〜10g、酵母抽出物0.5〜3g、塩化ナトリウム(Sodium chloride)1〜10g及び牛肉抽出物(Beef extract)0.5〜3gを含む培地でpH4〜10の条件で培養されることが好ましく、動物組織のペプシン消化物3〜7g、酵母抽出物1〜2g、塩化ナトリウム3〜7g及び牛肉抽出物1〜2gを含む培地でpH6〜8の条件で培養されることがより好ましい。
この際、前記培養に使用される炭素源は、マルトース(Maltose)、デキストロース(Dextrose)及びフルクトース(Fuctose)が使用され、マルトース、デキストロース及びフルクトースは、培地質量に対して0.1〜1%の割合で使用されるが、バクテリアの成長速度及びスライムの精製量を考慮すると、好ましくはマルトースが0.2〜0.5%の割合で使用される。
本発明において、スライムを形成可能なバクテリアを吸着するための材料としては多孔性の陽イオン交換能力が優秀な素材が使用されるが、好ましくは高多孔性樹脂、膨張蛭石、パーライト、珪藻土などが使用される。
バクテリアをコンクリート製造環境に使用する場合、バクテリアを単純に使用すると、コンクリートの硬化後、水分がないため、バクテリアは成長が鈍化するか死滅してしまう。硬化したコンクリートの内部でもバクテリアが成長可能な環境を造成するために、本発明では無数な気孔による多孔質構造(有効水分率40体積%以上及び空隙率50%以上)を有し、優れた水分吸収力および保湿力を有する材料を使用してバクテリアを吸着して使用する。
本発明で提示された前記バクテリア吸着材料は、材料の表面に存在する交換性陽イオン(Mg2+、Ca2+など)によって有機物を吸着する性質があり、バクテリア及びバクテリア成長に必要な有機性栄養分(培地成分)を吸収する。また、pHが6〜9であり、バクテリアが成長するための最適な環境を製造するのに最も理想的な材料である。
前記吸着材を利用したバクテリアの吸着には浸漬工程が利用される。ここで、バクテリアの最適吸収効率のための浸漬条件について、前記吸着の際に使用される前記スライムを形成したバクテリアの前記吸着材に対する混入量は、バクテリア培養液の質量を基準にして、前記吸着材が前記高吸収性樹脂または高多孔性樹脂である場合、50〜200倍であることが好ましく、100〜150倍であることがより好ましく、前記吸着材が前記膨張蛭石、パーライトまたは珪藻土である場合、50〜20倍であることが好ましく、10〜15倍であることがより好ましい。また、バクテリア培養液に吸着材を浸漬してから湿度40〜80%及び温度5〜40℃の条件で1〜10日間保管することが好ましく、浸漬後湿度50〜70%及び10〜30%の条件で2〜5日間保管することがより好ましい。
一方、前記吸着材は比重が1.0未満であるため培養液に浸漬すると浮遊する。よって、本発明ではバクテリアの効果的な吸着方法を考慮し、図4にバクテリアを吸着するための吸着パッド(a)と吸着パッドが浸漬された培養液筒(b)を例示的に示した。
図4を参照すると、開閉型クリップ110を介して吸着材を投入及び排出する。複数の吸着パッド120を使用する際、連結用鋼棒130を利用して各吸着パッド120を連結し、吸着パッド120が一定間隔を維持しながら浮遊するように平衡錐140が最下端の吸着パッド120に連結される。なお、図4では、他の構成として、他のバクテリアによる汚染を防止するためのねじ式の開閉蓋150、ねじ式開口部160及び環状ピン170などを図示している。
膨張蛭石などの吸着材を入れるメッシュ状の吸着パッドは、アルミニウムなどの鋼材を利用して製作することが好ましい。メッシュのサイズは使用される吸着材の粒度サイズを考慮して決定され、好ましくは使用可能な吸着材及びバクテリアの種類を考慮して、メッシュサイズは100μm〜5mmであり、メッシュ状の吸着パッドの厚さは0.5〜50mmの範囲のものを使用してもよく、好ましくはメッシュのサイズは300μm〜3mmであり、メッシュ状の吸着パッドの厚さは1〜30mmの範囲のものを使用してもよく、より好ましくはメッシュのサイズは500μm〜1mmであり、メッシュ状の吸着パッドの厚さは2〜10mm範囲のものを使用してもよい。
メッシュ状の吸着パッドの長さ及び幅は培養液筒の直径によって変化する。メッシュ状の吸着パッドには吸着材の投入および排出を自由にするように開閉型クリップが形成され、固定のために環状ピンが設置される。メッシュ状の吸着パッドはアルミニウムなどの鋼棒を利用して互いに連結される。また、メッシュ状の吸着パッドの最下部層には浮遊を防止するための平衡錐が設置される。浸漬深さを設計するための平衡錐の重さは下記数学式1から決定される。
数学式1において、dは吸着パッドの浸漬深さ、Wは積載荷重、Wは固定荷重、L及びBは吸着パッドの長さ及び幅であり、γは培養液の単位容積の質量である。目標浸漬深さdを設定するための要素のうち、固定荷重Wは吸着パッドの体積及び比重に応じて設定されるため、平衡錐を用いて積載荷重Wを流動的に変化させることで目標浸漬深さを確保する。
このように、本発明における吸着材を利用したバクテリアの吸着は、メッシュ状の吸着パッド120に吸着材を投入して、吸着パッド120をバクテリアの培養液の中に浮遊させて行われるようにし、吸着パッド120に含まれた吸着材が培養液の水深の中間部で浮遊することで、バクテリア及び有機性栄養分(培地成分)を均一に吸着するようにする。
前記吸着材を利用してバクテリアを吸着した後、バクテリアが吸着された吸着材を結合材と混合することで最終コーティング材が製造される。
前記結合材としては、特にコンクリート下水管渠の化学的侵食に対するメカニズム、およびスライムを形成するバクテリアの耐硫酸性メカニズムを考慮すると、黄土基盤の結合材、α−半水石膏、高炉スラグ、フライアッシュ、普通ポートランドセメント及びマグネシア−リン酸塩結合材が使用されてもよく、好ましくは黄土基盤の結合材、α−半水石膏またはマグネシア−リン酸塩結合材が使用されてもよく、バクテリアの持続成長を更に考慮すると、最も好ましくはマグネシア−リン酸塩結合材が使用されてもよい。
前記マグネシア−リン酸塩結合材は、酸化マグネシウム(MgO)とリン酸塩(PO )との反応によってマグネシア−リン酸塩複合体が形成されて硬化される特性を示す。マグネシア−リン酸塩結合材のpH及び強度発現特性は、酸化マグネシウムとリン酸塩との配合割合に最も大きい影響を受ける。また、混和材多量置換セメント(セメント10〜20%)は長期的にpHの低減を期待することができ、所要圧縮強度(付着強度)の発現も可能である。よって、バクテリアの持続的成長のための適正pH(8〜10)を維持し、コンクリート構造体との所要付着強度を確保する結合体としては、マグネシア−リン酸塩複合体をコーティング材の主要結合材として利用することが好ましい。
一方、コーティング材の効率性および接着強度は、それぞれバクテリアの混入及び成長率と結合材の強度及び量によって決定されるため、バクテリアを含む吸着材および結合材、ならびに細骨材(必要時)の混合割合は、コーティング材の性能を決定する非常に重要な要素である。特に、結合材の凝結時間は下水管渠のコーティング施工で最も重要な性能のうちの一つであるためこれを考慮すべきである。よって、所要性能(フロー、圧縮強度及び耐硫酸性など)に対するコーティング材の構成要素の配合設計が非常に重要である。
ここで、前記バクテリアが吸着された吸着材および前記結合材の混合における結合材の使用量は、前記結合材が黄土基盤の結合材である場合、バクテリアが吸着された吸着材の質量の0.5〜3倍であることが好ましく、1〜1.5倍であることがより好ましく、前記結合材がα−半水石膏、高炉スラグ、フライアッシュ、普通ポートランドセメントまたはマグネシア−リン酸塩結合材である場合、バクテリアが吸着された吸着材の質量の0.5〜3倍であることが好ましく、1.5〜2.5倍であることがより好ましい。
バクテリアが吸着された吸着材および結合材を計量して配合容器に入れ、十分に混合して最終製造されるコーティング材は、化学的侵食に露出されるコンクリート構造体の表面に塗布されて化学的侵食を防止するために使用される。このとき、コーティング材の長時間性能の具現と共に、経済的な側面において、コーティング材の塗布厚さは0.5〜10mmにすることが好ましく、2〜4mmにすることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
(スライムバクテリア)
本実施例ではスライムを形成するバクテリアとして国家指定研究所内の微生物拠点センターで保有しているロードバクター・カプスラタス、ロドシュードモナス・パルストリス、バチルス・チューリンゲンシス、及びバチルス・サブチリスバクテリアを使用した。
ロードバクター・カプスラタス及びロドシュードモナス・パルストリスを培養するための基本培地を下記表1に示し、バチルス・チューリンゲンシス及びバチルス・サブチリスバクテリアを培養するための基本培地を下記表2に示した。
ロードバクター・カプスラタスの場合、前記培地を基本として、炭素源であるデキストロース(dextrose)、マルトース(maltose)、及びフルクトース(frutose)をそれぞれ培地の質量に対して0.3%ずつ入れ、pHを6.8に調節した。その後、0.1%(体積/体積)のロードバクター・カプスラタスをそれぞれの炭素源に接種し培養した。接種されたバクテリアは、嫌気条件下で照度2,000lux、30℃で7日間インキュベータを用いて培養された。図5は培養されたバクテリアの7日後の変化の様子を示しており、肉眼で培地色の変化を観察することで培養状態を確認した。
培養されたロードバクター・カプスラタスのスライム膜の形状及び構造を確認するために顕微鏡観察を行った。ロードバクター・カプスラタスのスライム膜と細胞とを区分するために、Maneval’s staining method方法を利用して染色した。図6に顕微鏡観察の結果を示すが、ロードバクター・カプスラタスの細胞(図6では表れないが、ピンク色に染色される部分)と、細胞を包んでいるスライム(glycocalyx)膜(図6では表れないが、白色の部分)とが観察される。
培地によるバクテリアの成長速度及びスライムの生成量を評価するために、以下のように実験を行った。培養されたロードバクター・カプスラタスを1,000ppmで30分間遠心分離して得られた上澄液と、エタノールとを1:1(体積/体積)で混合し、4℃で12時間沈殿させてスライム膜を分離した。
図7は、各培地によるスライム膜を凍結乾燥して示す写真であり、図8はロードバクター・カプスラタス及びスライムの生成量を示すグラフであり、図9はロードバクター・カプスラタスのスライムの構成比を示すグラフである。
実験結果、ロードバクター・カプスラタスは、図8に示したようにマルトースで0.89g/Lの最も速い成長速度を示した。また、マルトースで培養したロードバクター・カプスラタスのスライムは、約0.25g/Lで最も多い生成量を示した。特に、図9に示したように、マルトースで培養したロードバクター・カプスラタスが1つの細胞当たり最も多いスライムを生成していた。しかし、フルクトースで培養したロードバクター・カプスラタスは0.3g/Lで最も遅い成長速度を示した一方、1つの細胞当たりに生成したスライムは約21%で、デキストロースで培養したカプスラタスと類似した生成量を示した。
(スライムバクテリア基盤の吸着材)
スライムが形成されたバクテリアを固定し有機栄養分(培地)を吸着させるために、まず、吸着性能が優秀な吸着材別特性を評価した。本実施例で評価した吸着材は4つであり、T社の高吸収性樹脂(Hydrogel)、T社の高多孔性樹脂(Hydrogel)、S社の膨張蛭石、S社のパーライトを使用した。一般に、バクテリアは材料の表面組織、比表面積及び表面疎水性によって吸着に対する影響を受ける(pedersn(1990)、Kidda et al.(1992))。そこで、本実施例ではバクテリアを吸着する前にそれぞれの吸着材の表面構造および比表面積を評価した。表面構造は走査電子顕微鏡を利用して観察した。また、比表面積はBET(Brunauer、Emmett、Teller)を利用して評価した。
高吸収性樹脂は、カルボキシル基(COO)などのような親水性高分子を架橋することで形成された3次元網状構造物である(ファン・ジュンソク(2008))。高吸収性樹脂は、親水性のために自己質量の数百倍の水を吸収し膨張する性質を有する。一方で、これは架橋構造によって水に溶解しない性質を有する(パク・サンボム(1994))。高吸収性樹脂の表面構造は、図10に示したように、表面空隙は存在しないものの、内部は数百μm以上の空隙が蜂の巣状に存在している。これによって、高吸収性樹脂は内部拡散による吸収、吸着及び膨張することができるようになる(ファン・ジュンソク(2008))。高吸収性樹脂の比表面積は0.11m/gと測定された。
高多孔性樹脂は、高吸収性樹脂(Hydrogel)の粉砕によって表面に多様なサイズの空隙が存在し、毛細管現象による速い吸収、吸着及び膨潤が可能になる。特に、高多孔性樹脂は、図11に示したように、空隙が互いに連結された多孔性構造を示す。高多孔性樹脂の比表面積は3.54m/gと測定された。
次に、膨張蛭石は、図12に示したように、層と層との間が、くし層に形成されている表面構造を示す。これは、蛭石を900〜1,000℃に加熱すると膨張しながら層の間にある水分が蒸気に変えられるために形成された構造である(ソン・ジェホン(2009))。膨張蛭石の物理的特性および化学造成を下記表3に示した。
次に、パーライト(Perlite)は、原石を8〜12メッシュ以下に粉砕して1,000℃以上に加熱することで、パーライトに含まれた揮発油成分が変化しながら、軟化した粒子の内部から膨張して内部気孔が形成される。パーライトの表面構造は、図13に示したように、ガラス質の皮膜に包まれた形状を有する。パーライトの化学造成及び物理的特性をそれぞれ下記表4及び表5に示した。
それぞれの吸着材を培養することで、スライム基盤のバクテリアを固定した。
ロードバクター・カプスラタス、ロドシュードモナス・パルストリス、バチルス・チューリンゲンシス、及びバチルス・サブチリスに24時間浸漬し吸着した。詳しくは、図4を参照して、培養液筒に製造されたバクテリアの各培養液を入れ、定量された吸着材を吸着パッド(メッシュのサイズ700×700μm、パッドの厚さ5mm、5段連結)に投入した。培養液筒に浸漬及び浮遊(平衡錐の重さは前記数学式1によって決定した)させた後、蓋を閉めて湿度60%及び温度20%の環境で72時間保管した。次に、培養液筒から吸着パッドを取り出し、開閉型クリップを介してバクテリアが吸着された吸着材を回収した。
このとき、バクテリアが吸着された吸着材を製造する際の吸着パッドの平均浸漬深さdは、積載荷重W10kg(5kg平衡錐2つ)、固定荷重W10kg(2kg吸着パッド5つ)、吸着パッドのサイズ(L×B=0.3m×0.3m)、培養液の単位容積の質量γ1,000kg/mから約0.22mに決定した。
前記製造されたバクテリアが吸着された吸着材として、ロードバクター・カプスラタス、ロドシュードモナス・パルストリス、バチルス・チューリンゲンシス、及びバチルス・サブチリスを吸着した吸着材の吸着性能を評価するために、走査電子顕微鏡の分析結果を図3(膨張蛭石を使用)及び図4(高吸収性樹脂を使用、内部及び表面の構造形状を観察)を示した。図3では比較のために微生物を使用していない場合に対する結果も一緒に示した。図3及び図4に示したように、バクテリアの良好の吸着状態(円部分を参照)を示すことが分かる。
また、ロードバクター・カプスラタスに対してはバクテリアの吸着を評価するために吸着材別の表面組織を1,000〜10,000倍率の走査電子顕微鏡を用いて観察しており、その結果を図14a及び図14bに示した。実験結果、全ての吸着材ではスライムを形成したロードバクター・カプスラタスが吸着されたことが分かり、高多孔性樹脂ではロードバクター・カプスラタスが群集形態に観察された。また、これは膨張蛭石でも類似した形状を示した。
(バクテリアが吸着された材料基盤のコーティング材)
上述したように、スライムを形成するバクテリアのうちロードバクター・カプスラタスに対するスライムの生成量及び成長評価を介して、最適の培地条件として選定されたマルトースおよびデキストロースを用いて7日間培養し、培養されたロードバクター・カプスラタスを固定化するために表面組織及び比表面積が優秀な高多孔性樹脂を用いて24時間浸漬し吸着した。次に、ロードバクター・カプスラタスを吸着してスライムを形成した高多孔性樹脂と黄土基盤の結合材とを利用してコーティング材を製造した。
黄土基盤の結合材は、スライムバクテリア基盤のコーティング材を製造するために使用される結合材であり、C社の黄土基盤の結合材を使用した。使用された黄土基盤の結合材の化学的造成比(X線蛍光分析器:XRF)及びX線回折分析結果をそれぞれ下記表6及び図15に示した。使用された黄土基盤の結合材は850℃で焼成されており、化学的造成比およびX線回折を測定した結果、主要成分はSiOおよびC3A(Al)で構成されている。また、20℃以下、55℃以上では非定型の結晶相である非定型ピークを示した。比重および粉末度は、それぞれ2.8および3,200cm/gであった。
バクテリアが吸着された高多孔性樹脂、および黄土基盤結合材(黄土セメント)を計量して配合容器に入れ、3分間以上、十分に混合してからコーティング材を製造し、コンクリートに筆を用いて塗布する方法で以下の実験を行った。コーティング材が塗布されたコンクリートの厚さは12時間乾燥してからノギスを利用して測定しており、誤差範囲は±0.5mmであった。
実験例1(活用バクテリア:ロードバクター・カプスラタス)
スライムバクテリアコーティング材が塗布されたコンクリートの耐硫酸性を評価するために、コーティング材の配合実験を計3組に分類し、計18配合の実験を行った。コンクリートのコーティング材の配合について、各組での配合詳細を下記表7に示した。
各組の変数は、結合材の置換率、吸着材のバクテリアの混入量、およびコーティング材の厚さである。第1組は、結合材の置換率を主要変数としており、吸着材に対するバクテリアの混入量の100倍の質量との置換率は、1〜2の範囲に設定した。
第2組は、第1組の実験結果によって決定された結合材の置換率で固定しており、第2組の主要変数は、吸着材に対するバクテリアの混入量であり、範囲は質量比で50〜200倍である。第3組は、第1組及び第2組の実験結果に基づいて結合材の置換率および吸着材のバクテリア混入率を固定しており、第3組の主要変数は、コーティングの厚さであり、範囲は0.5〜3mmである。全ての組において、コーティング材を塗布していないコンクリート、およびバクテリアを混入していないコーティング材をそれぞれ比較分析した。従来技術との比較分析結果は後述する。
本実験例において、コーティング材を塗布するためのコンクリートの配合詳細を下記表8に示した。水−セメントの比は下水施設用の現場打設コンクリートの設計強度を考慮して、0.45にした。セメントは、韓国のS社の1種普通ポートランドセメントを使用した。細骨材および太骨材は、それぞれ最大直径が5mm以下の天然砂、および最大直径が25mmの破砕砂利を使用した。使用された天然砂および破砕砂利の密度は、それぞれ2.62及び2.6であり、造粒率はそれぞれ2.5及び6.3であった。配合の際に使用した骨材の水分状態は、表面乾燥の飽和状態が維持されるようにした。
コンクリートの配合には、300リットル容量の強制式ミクサーを使用した。配合方法を簡略に説明すると、まず300リットルの配合容器に太骨材および細骨材を投入して1分間乾燥練りを実施し、更に1分30秒間乾燥練りを実施した。最後に水を投入して約2分間配合した。全ての配合において、減水剤及び空気連行剤を添加していない。コンクリートの耐硫酸性を評価するために、Φ100×200の円形供試体モールドに打設した。打設された供試体を1日経過後脱型し、恒温恒湿状態で材齢28日まで養成を実施した。養成温度は20±2℃であり、湿度は60±2℃であった。
前記製造されたコーティング材と、コーティング材がコーティングされたコンクリートとの性能に対する評価方法は以下のようである。
[コーティング材の評価方法]
(1)水和生成物
コーティング材の水和生成物を評価するために、コンクリートのバクテリア混入有無に応じて材齢28日に試料を採取した。採取した試料に対してX線回折分析を測定するために1mm以下に粉砕した。X線回折分析は、X線が角度に応じて試料表面の結晶層によって散乱されることで回折相を得る分析装置である。これを利用して、各試料の水和反応生成物の主要回折ピークを分析した。
(2)内部の微細構造及び元素分析
採取された試料の内部の微細構造及び化学的構成元素を分析するために、走査電子顕微鏡及び元素分析器(EDS)を利用した。試料に電子線を放出し、5,000〜30,000の倍率で内部の微細構造を確認した。また、電子線を走査する際に放出されるX線エネルギーを利用して表面に含有された元素の種類および含量を走査した。
[コンクリート性能の評価方法]
コーティング材が塗布されたコンクリートの主要変数による硫酸抵抗性を評価するために、JIS K 8951基準に準じて化学試料溶液に浸漬した。化学試料溶液として硫酸を5%の濃度で蒸留水に溶解して製造したものを使用しており、製造された硫酸溶液の濃度が薄くなることを考慮して、14日に1回ずつ溶液を交換した。
(1)外観調査
硫酸5%溶液に浸漬されたコンクリートの浸漬日数別性能低下を評価するために、溶液に浸漬前、ならびに浸漬後1日、3日、7日及び28日の試験体に対して、肉眼で外観の変化を評価した。
(2)硫酸の浸透深さ
硫酸5%溶液に浸漬されたコンクリートの硫酸浸透深さを測定するために、図16に示したように、浸漬日数28日で切断して断面の浸漬深さを観察した。
(3)硫酸に浸漬されたコンクリートの表面構造及び反応生成物
硫酸5%溶液に浸漬されたコンクリートの表面構造及び反応生成物を評価するために、図16に示したように、浸漬日数28日で表面(0〜1cm)の試料を採取した。採取された試料の反応生成物を評価するために、X線回折分析装置を使用した。また、内部の微細構造及び表面に含有された元素の種類および含有量を評価するために、電子顕微鏡及び元素分析器を使用した。
(4)質量
質量を測定するために、浸漬日数1日、3日、7日及び28日において、硫酸5%溶液に浸漬されたモールドを取り出して使用した。溶液が除去されたモールドに対して布巾などで表面の水気を除去し、乾燥炉の中で105±5℃の温度で乾燥させ、1g単位の秤を使用して質量W(g)を測定した。また、コーティング材の質量を無視するために、下記数学式2のように、硫酸溶液に浸漬する前の質量対比にて浸漬日数別の質量比を示した。
数学式2において、Wは質量比(%)を、Wは浸漬日数別の供試体の質量(kg)を、Wは浸漬前の供試体の質量(kg)を示す。
(5)圧縮強度
圧縮強度を評価するために、KS(2013)によってΦ100×200モールドを使用して浸漬日数1日、3日、7日及び28日の間、溶液に浸漬されたモールドを取り出して使用した。溶液が除去されたモールドに対して布巾などで表面の水気を除去し、乾燥炉の中で105±5℃の温度で乾燥させた後、500kN容量の万能材料試験機を使用してコンクリートの圧縮強度を測定した。また、硫酸浸漬日数別の圧縮強度の低下を評価するために、硫酸5%溶液に浸漬前の圧縮強度を評価した。
(6)動弾性係数
動弾性係数を評価するために、KS(2013)によって1次共鳴振動数を介して動弾性係数を評価した。測定は、浸漬日数28日の間、溶液に浸漬されたモールドを取り出して使用した。測定装置で500〜10,000Hz容量の共鳴周波数測定機器(ERUDITE)を使用して測定した。測定部位は硫酸に侵食された試験体の中央部および表面部とし、劣化の程度を比較するために、中央部および表面部をそれぞれ3回ずつ測定して平均値で算出した。また、共鳴周波数試験による動弾性係数は数学式3及び数学式4によって算定した。
数学式3において、Eは動弾性係数(MPa)を、Wは供試体の質量(kg)を、Fは縦振動の1次共鳴振動数(Hz)を示し、数学式4において、Lは供試体の長さ(mm)を、Aは供試体の断面積(mm)を示す。
[コーティング材の評価結果]
(1)水和生成物
コーティング材のバクテリア混入有無、及び培地種類によるX線回折分析パターンを図17a及び図17bに示した。本評価対象であるバクテリアが混入されたコーティング材は、マルトース及びデキストロースでそれぞれ7日間培養されたバクテリアを使用し、高多孔性樹脂に対するバクテリアの混入量は100倍質量であり、24時間の間に浸漬および吸着し、吸着材−結合材の比は1:1.5として製造されたものである。一方、バクテリアが混入されていないコーティング材は、高多孔性樹脂を蒸留水に浸漬して吸収させたものである。高多孔性樹脂に対する蒸留水の量及び吸着材−結合材の比は、バクテリアが混入されたコーティング材と同一にした。
X線回折分析の結果、バクテリアが混入されていないコーティング材は、10℃付近で石膏の結晶相が確認された。形成された石膏は、コーティング材の軟化作用(Softening reaction)を誘発し、これは水和反応生成物である珪酸三カルシウム(C3S)と反応してエトリンガイトを形成する。よって、バクテリアが混入されていないコーティング材では、石膏およびエトリンガイトによって体積が増加し、それによって膨張及び亀裂が発生する可能性が高い。一方、バクテリアを混入したコーティング材では、多量のシリカ成分である珪酸塩鉱物(SiO、Quartz)が形成された。SiOは0.1〜1μmの粒度を有する微細な粒子であって、反応性が高くセメント粒子の空隙を充填する効果がある。これによって、後述するようにバクテリアを混入した試験体でより高い圧縮強度を示すが、これはコーティング材でSiOによって内部緻密度が向上されたためであると判断される(Shiand Day(2001))。また、Ghosh(2009)は、たんぱく質を細胞周辺に形成したシュワネラバクテリアを混入したモルタルからSiOが析出されており、これによって強度が増進されたと報告している。しかし、現在、ロードバクター・カプスラタスによって形成されたSiOに関してはまだ報告されていない。よって、バクテリアによって形成された外部物質であるスライム、たんぱく質、およびアミノ酸などによって新たな有機−無機鉱物(Organic−inorganic crystal)が形成されたと期待される。また、マルトース培地で培養したロードバクター・カプスラタスを混入したコーティング材では、炭酸カルシウム強度(CaCO Intensity)ピークの数が、バクテリアを混入していないコーティング材に比べ増加したが、デキストロース培地は大した影響を示していない。よって、バクテリアの種特異性および培地(酵素)は鉱物結晶を決定しており、コーティング材の耐久性の向上に培地(酵素)効果を与えることが期待される。
(2)内部の微細構造
コーティングのバクテリアの混入有無及び培地の種類による内部の微細構造を図18a及び図18bに示した。バクテリアを混入していないコーティング材の場合、多数の内部の微細空隙、石膏及びエトリンガイトが存在した。一方、バクテリアを混入したコーティング材では、内部の微細空隙が殆ど示されておらず、これは形成されたSiOによって緻密度が向上したためである(Shi and Day(2001))。また、コーティング材の内部でロードバクター・カプスラタスがコロニーを形成し、群集形態で現れている。
[コンクリート性能評価の結果(第1組)]
(1)外観の変化
第1組の主要変数は、バクテリア吸着材−結合材の比であり、硫酸浸漬による浸漬日数別の試験体の外観状態を図19a及び図19bに示した。無コーティング試験体(C)の外観変化では、浸漬日数が増加するほどペーストがなくなって鋼材が露出された。また、バクテリアを混入されていない試験体(G1−B1、G1−B1.5及びG1−B2.0)の浸漬日数別の外観変化では、吸着材−結合材の比が減少することでコーティング材の剥離がひどく現れており、吸着材−結合材の比が1.0の試験体では浸漬日数28日で試験体Cと類似した外観状態を示した。スライムバクテリア基盤の試験体の浸漬別の外観変化では、吸着材−結合材の比が1.0の試験体の浸漬日数が増加するほど、角部分でコーティング材の剥離が現れたが、吸着材−結合材の比が1.5及び2.0の試験体では浸漬日数による硫酸侵食に対する影響は微々であった。
(2)硫酸の浸透深さ
図20では、結合材の置換率による試験体の硫酸の浸透深さを観察するために浸漬日数28日でΦ100×200mmの供試体の断面を4等分し、断面を切断してイメージ分析を行った結果を示している。浸透深さは供試体の表面から白色の脱色現象が発生した地点までの距離とした。コーティング材を塗布していない試験体(C)の表面から約3.39mmが白色に脱色されていた。また、バクテリアを混入していない試験体(G1−B1.0、G1−B1.5及びG1−B2.0)の場合には結合材の置換率が減少することで白色の脱色現象がより大きく現れた。一方、バクテリアを混入した全ての試験体ではコーティング材の脱落現象とは関係なく、コンクリート表面からの白色の脱色現象が現れなかった。
(3)表面の微細構造及び反応生成物
X線回折分析を利用してコンクリート表面(0〜1cm)から採取した試料の反応生成物の主要回折ピークを分析した結果を図21a及び図21bに示し、走査電子顕微鏡及び元素分析器を使用して採取した試料の組織構造及び化学的構成元素の分析結果を図22aおよび図22cに示した。全ての試験体では主要反応生成物である石膏(Gypsum;CaSO・HO)、石英(Quartz;SiO)及び二酸化硫黄(SulfurOxide:SO)を示すピークが検出された。特に、コーティング材を塗布していない試験体(C)では、反応生成物である石膏及び二酸化硫黄の強度(Intensity)が強く形成されており、内部の微細構造でも多量の石膏及びエトリンガイトの形状が確認された。これによって、試験体Cは、他の試験体に比べて、低い圧縮強度を示していると判断される。また、バクテリアを混入していない試験体(G1−B1.0、G1−B1.5及びG1−B2.0)は、吸着材−結合材の比とは関係なく試験体Cと類似した傾向を示した。一方、バクテリアを混入した試験体は、吸着材−結合材の比が増加するほど試験体Cに比べ石英のピークの数および強度が強く検出された。内部の微細構造では、吸着材−結合材の比が増加するほど内部緻密度が向上しており、少量のエトリンガイトの形状が確認された。また、EDS分析結果、バクテリアを混入した試験体では、Si元素が高く示される傾向を示しており、培地成分のためMg、Na、Cl及びPなどが確認された。
(4)質量の変化
図23では、第1組の硫酸浸漬日数別の質量の変化を示した。コーティング材を塗布していない試験体(C)は、浸漬日数7日から28日の間に約6〜11%の質量減少を示した。また、バクテリアを混入していいない試験体(G1−B1.0、G1−B1.5及びG1−B2.0)は、浸漬日数3日で吸着材−結合材の比が減少するほど減少する傾向を示しており、浸漬日数28日では吸着材−結合材の比が1.5の試験体で約4%の最も大きい減少を示した。一方、マルトースで培養したバクテリアが混入された試験体では、浸漬日数3日で吸着材−結合材の比は、質量の変化に大した影響を示していなかった。しかし、浸漬日数28日では吸着材−結合材の比が1.0の試験体で約8%の最も急激な減少を示した。デキストロースで培養されたバクテリアを混入した試験体では、浸漬日数別の質量の変化において、吸着材−結合材の比の影響は微々であった。
(5)圧縮強度
図24では、第1組の硫酸浸漬による浸漬日数別の圧縮強度の比(fck/fck(0))を示した。ここで、fckは浸漬日数による試験体の圧縮強度であり、fck(0)は硫酸浸漬前の試験体の圧縮強度である。コーティング材を塗布していない試験体の圧縮強度の比は、浸漬日数28日で約18%の急激な強度低下を示した。一方、バクテリアを混入していない試験体(G1−B1.0、G1−B1.5及びG1−B2.0)の圧縮強度の比は、吸着材−結合材の比及び浸漬日数とは関係なく類似した傾向を示された。一方、テキストロース培地で培養したバクテリアを混入した試験体の圧縮強度の比は、浸漬日数が増加するほど吸着材−結合材の比とは関係なく増加するか類似した傾向を示した。一方、マルトース培地で培養したバクテリアを混入した試験体の圧縮強度の比は、浸漬日数及び吸着材−結合材の比とは関係なくコーティング材を塗布していない試験体に比べて約22〜35%高く示されており、バクテリアを混入していない試験体に比べて約3〜10%高く示された。これはバクテリアが形成したスライム(Glygocalyx)及びシリカ成分(SiO)によってコーティングの内部の緻密度が向上したためである。
(6)動弾性係数
硫酸浸漬日数28日における試験体中央部の動弾性係数比(Ed_c/Ed_c(0))及び表面部の動弾性係数比(Ed_s/Ed_s(0))をそれぞれ図25及び図26に示した。ここで、Ed_cは浸漬日数28日での中央部の動弾性係数、Ed_sは浸漬日数28日での表面部の動弾性係数、Ed_c(0)は硫酸に浸漬されていない試験体Cにおける中央部の動弾性係数、Ed_s(0)は硫酸に浸漬されていない試験体Cにおける表面部の動弾性係数である。コーティング材を塗布していない試験体(C)の中央部の動弾性係数の比は約33%であり、表面部の動弾性係数の比は約50%であり、最も急激な減少を示した。バクテリアを混入していない試験体(G1−B1.0、G1−B1.5及びG1−B2.0)の中央部の動弾性係数の比は、吸着材−結合材の比が減少するほど低く示されており、表面部の動弾性係数の比は吸着材−結合材の比とは関係なく約27〜31%低く示された。一方、バクテリアを混入した試験体の中央部の動弾性係数の比は、培地の種類とは関係なく吸着材−結合材の比が増加するほど高く示されており、表面部の動弾性係数の比はG1−M1.0の試験体を除いてはすべて高く示された。
[コンクリート性能評価の結果(第2組)]
(1)外観の変化
第2組の主要変数はバクテリア混入量であり、硫酸浸漬によるコンクリートの外観状態を図27a及び図27bに示した。バクテリアを混入していない試験体(G2−W50、G2−W100及びG2−W200)は、蒸留水の混入量とは関係なく浸漬日数28日で表面からコーティング材の剥離が発生し、コンクリートが露出した。一方、スライムバクテリア基盤の試験体は、吸着材に対するバクテリアの混入量の50質量倍を除いては浸漬日数7日まで大した影響を示しておらず、浸漬日数28日では培地の種類、および吸着材に対するバクテリアの混入量とは関係なく、表面から少しのコーティング材の剥離が発生した。
(2)硫酸の浸漬深さ
図28に、浸漬日数28日で吸着材に対するバクテリアの混入量に応じて、試験体の硫酸の浸透深さを観察するために、断面を切断してイメージ分析した結果を示した。バクテリアを混入していない全ての試験体(G2−W50、G2−W100及びG2−W200)では、コンクリートの表面が白色になる脱色現象が起こっており、吸着材に対する蒸留水の混入量が50倍のG2−W50試験体では約3.71mmと最も大きく起こっていた。一方、バクテリアが混入された試験体は吸着材に対するバクテリアの混入量の100質量倍以下では、コーティング膜の脱落および減少が起こっていたが、コンクリートの表面で白色の脱色現象は起こっていなかった。これは、バクテリアが形成した内部スライムの及びシリカ成分(SiO)によって内部緻密度が向上したためであると判断される。
(3)内部の微細構造及び反応生成物
図29及び図30では、それぞれ第2組の主要変数に応じた反応生成物の主要回折ピーク(XRD)、ならびに表面構造(SEM)および元素分析結果(EDS)を示した。分析の結果、バクテリアを混入していない試験体では、吸着材に対する蒸留水の混入量とは関係なく石膏及び二酸化硫黄の強度が強く検出された。内部の微細構造でも針状のエトリンガイト形状が確認されており、元素分析の結果、多量のS(硫黄)元素が測定された。このような反応生成物は、コンクリートの膨張及び軟化作用を起こし、組織構造の破壊及び亀裂を起こす。一方、バクテリアを混入した試験体は、吸着材に対するバクテリアの混入量が増加するほどSiOのピークの数および強度が増加する傾向を示しており、内部構造にて多量のスライム(Slime)膜が形成され、内部緻密度が向上したことが分かった。また、EDSの分析結果、第1組と同じくバクテリアを吸着材の質量対比で200倍混入したG2−M200、G2−D200の試験体では、SiOのためSi元素が高く現れる傾向を示しており、培地及びバクテリアのためMg、Na、Cl及びPなどが追加で確認された。
(4)質量の変化
図31には、吸着材に対するバクテリアの混入量に応じた浸漬日数別の質量の変化を示した。バクテリアを混入していない試験体(G2−W50、G2−W100及びG2−W200)の質量は、浸漬日数に応じて吸着材に対する蒸留水の混入量が増加するほど減少していた。一方、バクテリアを混入した試験体の浸漬日数3日での質量の変化では、培地の有無及びバクテリアの混入量に対する影響は微々であった。しかし、浸漬日数28日では吸着材の質量対比でバクテリアが50倍混入されたG2−M50、G2−D50の試験体は、バクテリアを混入した他の試験体に比べて最も多い質量減少を示した。
(5)圧縮強度
図32には、第2組の硫酸浸漬による圧縮強度の比(fck/fck(0))を示した。バクテリアを混入していない試験体(G2−W50、G2−W100及びG2−W200)の圧縮強度の比は、浸漬日数7日では吸着材に対する蒸留水の混入率とは関係なく約9〜11%の増加を示しており、浸漬日数28日では約12〜15%の増加を示した。浸漬日数3日において、バクテリアを混入した試験体の圧縮強度の比は、バクテリアの混入量及び培地の有無に対して、大きな影響を受けていなかった。しかし、バクテリアを混入した試験体の圧縮強度の比は、浸漬日数28日でコーティング材を塗布していない試験体に比べ約30%高く示された。また、吸着材に対するバクテリアの混入率が100%の試験体の圧縮強度の比は、吸着材の質量に対する蒸留水の混入量が100倍の試験体に比べ約4%高く示された。これは、バクテリアが形成したスライム(Glycocalyx)及びシリカ成分(SiO)によってコーティング材の内部緻密度が向上したためである。
(6)動弾性係数
図33及び図34には、それぞれ硫酸浸漬日数28日で、第2組の主要変数による各試験体の中央部の動弾性係数の比(Ed_c/Ed_c(0))、及び表面部の動弾性係数の比(Ed_s/Ed_s(0))を示した。中央部の動弾性係数の比は、全ての配合で約0.97〜1.08の類似した範囲の水準であった。一方、表面部の動弾性係数の比は、バクテリアを混入していない試験体(G2−W50、G2−W100及びG2−W200)で吸着材に対する蒸留水の混入量が増加するほど減少していた。これは水−結合材の増加のためコーティング材の強度が低下したためである。逆に、バクテリアを混入した試験体の中央部の動弾性係数の比は、培地の種類とは関係なく吸着材に対するバクテリアの混入量が増加するほど増加していた。また、バクテリアを混入した試験体の表面部の動弾性係数の比は、約1.00〜1.05の範囲で、浸漬前と類似した水準を示していた。
[コンクリート性能評価の結果(第3組)]
(1)外観の変化
硫酸浸漬による試験体の浸漬日数別の外観の変化を図35a及び図35bに示した。以前の実験を通して、浸漬日数1日は硫酸浸漬に対してコンクリートの外観は大した変化を示さなかったため測定していない。浸漬日数7日において、バクテリアを混入していない試験体(G3−C0.5、G3−C1.0及びG3−C3.0)の外観は、コーティングの厚さが0.5mmの試験体を除いて、コーティングの厚さに対して大した影響を示さなかった。また、バクテリアを混入した全ての試験体でも、コーティングの厚さ及び培地の種類に対する影響は微々であった。逆に、浸漬日数28日において、バクテリアを混入していない試験体(G3−C0.5、G3−C1.0及びG3−C3.0)の外観は、バクテリアを混入した試験体に比べてコーティング材の脱落現象が大きく示された。特に、コーティングの厚さが0.5mmのG3−C0.5の試験体は、コーティング材が剥離してコンクリートが露出した。一方、バクテリアを混入した試験体の外観は、コーティングの厚さが薄いほどコーティング材の剥離現象が大きく現れた。
(2)硫酸の浸透深さ
図36に、浸漬日数28日におけるコーティング厚さによる試験体の硫酸の浸透深さを観察するために断面を切断してイメージ分析した結果を示した。バクテリアを混入していない全ての試験体(G3−C0.5、G3−C1.0及びG3−C3.0)では、浸漬日数7〜28日でコーティング膜の脱落のために表面が露出していた。このため、コーティングの厚さが1.0mm以下の試験体の硫酸の浸透深さは、約2.99〜2.15mmでコーティングされていない試験体(C)と類似して測定された。一方、バクテリアを混入した試験体は、コーティング膜の脱落現象にもかかわらず、硫酸の浸透深さは測定されなかった。
(3)表面構造及び反応生成物
図37及び図38では、それぞれ第3組の主要変数による反応生成物の主要回折ピーク、ならびに表面構造および元素分析結果を示した。分析の結果、全ての試験体で主要な反応生成物である石膏(G)、石英(Q)、二酸化硫黄(S)及び炭酸カルシウムを示すピークが検出されていた。特に、バクテリアの混入有無に関係なくコーティング厚さ1mm以下では反応生成物である石膏及び二酸化硫黄の強度が強く検出されており、内部の微細構造でも多量の石膏及びエトリンガイトが確認された。また、EDS分析結果、石膏及びエトリンガイトを形成の際の消耗のため、カルシウムの回折ピークは比較的低く示された。一方、コーティングの厚さが3.0mmのバクテリアを混入した試験体は、培地の種類とは関係なくSiOの強度が増加する傾向を示した。これによって、他の試験体に比べて高い圧縮強度及び耐硫酸性の向上を示すと判断される。また、EDS分析結果、第1組及び第2組と同じくSi元素が高く示される傾向を示しており、培地及びバクテリアによってMg、Na、Cl及びPなどが追加で確認された。
(4)質量の変化
図39には、第3組の硫酸の浸漬日数別の質量の変化を示した。バクテリアを混入していない試験体(G3−C0.5、G3−C1.0及びG3−C3.0)は、浸漬日数3日でコーティング厚さとは関係なく大した変化を示さなかった。逆に、浸漬日数28日ではコーティング材の厚さが0.5mmの試験体で約8%の最も大きい質量減少を示した。一方、浸漬日数別のバクテリアを混入した試験体は、培地の種類及びコーティングの厚さとは関係なく、バクテリアを混入していない試験体に比べて、質量が約1〜2%高く示されるか、類似した傾向を示した。
(5)圧縮強度
図40には、第3組の硫酸浸漬による浸漬日数別の圧縮強度の比(fck/fck(0))を示した。バクテリアを混入していない試験体(G3−C0.5、G3−C1.0及びG3−C3.0)の圧縮強度の比は、コーティング厚さ0.5mmを除いては浸漬日数が増加するほど約8〜10%の増加を示した。マルトース培地で培養したバクテリアを混入した試験体の圧縮強度の比は、浸漬日数3日でコーティングの厚さが増加するほど増加する傾向を示しており、デキストロース培地でも類似した傾向を示した。また、浸漬日数28日での圧縮強度の比は、培地の種類に関係なくコーティング厚さが1.0mm以上の試験体で最も大きく示された。バクテリアを混入したG3−M3.0の試験体の圧縮強度の比は、浸漬日数28日でコーティング材を塗布していない試験体に比べて約36%高く示されており、バクテリアを混入していないG3−0.3の試験体に比べて約4〜6%高く示された。これは、コーティング材にて形成されたスライム膜、及び内部緻密度の向上によって硫酸の浸透が抑制され、圧縮強度が向上されたためであると判断される。
(6)動弾性係数
図41及び図42は、それぞれ硫酸浸漬日数28日におけるコーティングの厚さによる試験体中央部の動弾性係数の比(Ed_c/Ed_c(0))、及び表面部の動弾性係数の比(Ed_s/Ed_s(0))を示した。中央部の動弾性係数の比は、バクテリアの混入有無とは関係なく類似した傾向を示した。一方、コーティングの厚さが1.0mm以下の試験体での表面部の動弾性係数の比は、バクテリアの混入有無及び培地の種類とは関係なく類似した傾向を示した。しかし、コーティングの厚さが3mmの試験体における表面部の動弾性係数の比において、マルトースで培養したバクテリアを混入した試験体は、バクテリアを混入していない試験体に比べて約21%高い値を示した。また、デキストロースで培養されたバクテリアを混入したG3−D3.0の試験体に比べて、約8%高い値を示した。これは、バクテリアが生成したスライムの量、及び硫酸侵食による反応生成物による差であると判断される。
[従来技術との比較分析結果]
以下では、コンクリート内の硫酸挙動に対する従来のエポキシコーティング材と、本発明とを比較するために、計4配合を実験した結果を説明する。実験体名は、エポキシコーティング材を塗布したコンクリートは「Epoxy」、バクテリアを混入していないコーティング材を「Hwangtoh」、マルトース培地で培養されたバクテリアを混入したコーティング材を塗布したコンクリートを「Maltose」、デキストロース培地で培養されたバクテリアを混入したコーティング材を塗布したコンクリートを「Dextrose」と称した。エポキシコーティング材はS社の製品を使用しており、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤とを1:1で混合して塗布しており、主成分及び物理的特性は下記表9に示したとおりである。スライムバクテリア基盤のコーティング材は、上述した実験に基づいて下記表10に示したように選定しており、バクテリアの混入可否によるコーティング材の性能を評価するために全ての条件を同一にして追加配合を行った。全ての実験体は筆で同様に塗布された。また、コーティングの厚さを同じくするために、エポキシコーティング材は1回塗布した後、12時間乾燥してから2回塗布した。コーティングの厚さは1.0mm±0.05mmに固定した。コンクリートの耐硫酸性を評価するために、JIS K 8951基準に従って、硫酸5%溶液に浸漬されたコンクリートの浸漬日数別の外観の変化、質量の変化、圧縮強度及び動弾性係数を評価した。
(1)外観の変化
硫酸浸漬による試験体の浸漬日数別の外観の状態を図43に示した。コーティング材を塗布していない試験体(Control)の外観は、浸漬日数が増加するほどペーストがなくなり、骨材が露出した。浸漬日数7日において、エポキシコーティング材が塗布されたコンクリートの外観は、亀裂及び膨張現象が発生していた。一方、バクテリアを混入したコーティング材が塗布されたコンクリートは、大した変化を示さなかった。浸漬日数28日において、エポキシを塗布したコンクリートの外観は、コーティング材の脱落現象が起こっており、バクテリアを混入していないコーティング材を塗布したコンクリートも類似した傾向を示した。しかし、スライムバクテリア基盤のコーティング材を塗布したコンクリートの外観は、コーティング材の脱落現象が起こったものの、これは他の試験体に比べ小さく示された。
(2)質量の変化
図44には、硫酸浸漬日数別の質量の変化を示した。コーティング材を塗布していない試験体(Control)は、浸漬日数7日から28日の間に約6〜11%の質量減少を示した。また、エポキシコーティング材を塗布したコンクリート(Epoxy)は、浸漬日数28日で約5%の急激な質量減少を示した。一方、コーティング材を塗布していない試験体(Control)を除いた全ての試験体の浸漬日数別の質量は、浸漬日数28日で約5〜6%が減少し、類似した傾向を示した。
(3)圧縮強度
図45には、硫酸浸漬による浸漬日数別の圧縮強度の比(fck/fck(0))を示した。コーティング材を塗布していない試験体の圧縮強度の比は、浸漬日数28日で約22%の低下を示した。エポキシコーティング材を塗布した試験体の圧縮強度の比は、浸漬日数が増加するほど減少していた。一方、バクテリアを混入した試験体の圧縮強度の比は、浸漬日数が増加するほど増加しており、浸漬日数28日で圧縮強度の比は、バクテリアを混入していない試験体(Hawngtoh)に比べて約5〜6%高く示されており、エポキシコーティング材を塗布した試験体に比べて約26〜27%高く示された。これは、浸漬日数によるコーティング材の反応生成物、バクテリアが形成したスライム膜及びシリカ成分によって、内部緻密度が向上したためである。
(4)動弾性係数
図46及び図47には、それぞれ硫酸浸漬日数28日で試験体の中央分の動弾性係数の比(Ed_c/Ed_c(0))、及び表面部の動弾性係数の比(Ed_s/Ed_s(0))を示した。中央部の動弾性係数の比は、コーティング材を塗布していない試験体(Control)を除いた全ての試験体で約0.97〜1.06の範囲であり、類似して示された。一方、表面部の動弾性係数の比は、エポキシコーティング材を塗布した試験体がバクテリアを混入していない試験体(Hwangtoh)に比べて約6%高く示されたものの、バクテリアを混入した試験体に比べて約9%低く示された。
実験例2(活用バクテリア:ロドシュードモナス・パルストリス及びバチルス・チューリンゲンシス)
ロドシュードモナス・パルストリス及びバチルス・チューリンゲンシスに対して、バクテリアを混入したコーティング材を製造するために、結合材として比重が2.67g/cmのα−半水石膏(α−hermihydrate gypsum)及び比重が2.91g/cmの高炉スラグ(blast furnace slag;GGBS)を1:1の質量比で混合した結合材を用い、吸着材を浸漬した培養液と2.2:1(吸着材−結合材の比が2.2)の質量比で混合(吸着材としては、前記膨張蛭石を、バクテリア培養液:膨張蛭石の質量比=10:1で使用)したことを除いては、前記実験例1と同じ方法で実験を行った。実験結果は以下のようである。
(1)外観の変化
硫酸浸漬による試験体の浸漬日数別の外観の状態を図48に示した。全ての試験体は浸漬材齢1日及び3日ではっきりとした外観の変化を示さなかった。浸漬材齢7日以降、コンクリート試験体(OPC)及びバチルス・チューリンゲンシスを混入したコーティング材を使用した試験体は、外観の侵食が現れており、特にコンクリート試験体(OPC)の場合、材齢28日では目立つ外観の侵食を示した。ロドシュードモナス・パルストリスを混入したコーティング材を使用した試験体は目立つ外観の変化を示さなかった。
(2)圧縮強度
浸漬材齢による試験体の圧縮強度の変化を図49に示した。ロドシュードモナス・パルストリス及びバチルス・チューリンゲンシスを混入したコーティング材を使用した場合、浸漬材齢7日までで、それぞれ約45%及び25%の圧縮強度の増加を示しており、その後、浸漬材齢28日までで45%の圧縮強度の減少を示した。一方、コンクリート試験体(OPC)の場合、浸漬材齢7日で約5%、浸漬材齢28日で約10%の圧縮強度の減少を示した。
(3)質量の変化
浸漬材料による試験体の質量の変化を図50に示した。全ての試験体は浸漬材齢の増加につれて、質量の減少を示した。コンクリート試験体(OPC)の場合、浸漬材齢28日で約12%の質量減少を示しており、ロドシュードモナス・パルストリス及びバチルス・チューリンゲンシスを混入したコーティング材を使用した場合、材齢28日で約5%の質量の減少を示した。
(4)微細構造の分析(SEM)
硫酸5%水溶液への浸漬28日以降、バクテリアの吸着性を評価するために、微細構造の分析結果を図51に示した。これによれば、ロドシュードモナス・パルストリス及びバチルス・チューリンゲンシスを混入したコーティング材の粒子表面のバクテリア群集の形成を確認することができた。
実験例3(活用バクテリア:ロードバクター・カプスラタス、ロドシュードモナス・パルストリス、バチルス・チューリンゲンシス及びバチルス・サブチリス)
ロードバクター・カプスラタス、ロドシュードモナス・パルストリス、バチルス・チューリンゲンシス及びバチルス・サブチリスに対して、バクテリアを混入したコーティング材を製造するために、結合材として比重が3.15g/cmの普通ポートランドセメント(ordinary portland cement;OPC)及び比重が2.91g/cmの高炉スラグを1:1の質量比で混合した結合材を、吸着材が浸漬された培養液と2.2:1(吸着材−結合材の比が2.2)の質量比で混合(吸着材としては、前記膨張蛭石を、バクテリア培養液:膨張蛭石の質量比=10:1で使用)したことを除いては、前記実験例1と同じ方法で実験を行った。実験結果は以下のようである。
(1)質量の変化
浸漬材齢による試験体の質量変化を図52に示した。硫酸溶液の浸漬材齢7日での質量変化は、配合水として水及びバクテリア培地のみを使用した場合、約4%の質量減少を示しており、バクテリア接種の培養液を配合水として使用する場合、約3〜8%の質量減少を示した。
(2)圧縮強度
浸漬材齢による試験体の圧縮強度の変化を図53に示した。配合水として水及びバクテリア培地のみを使用した試験体は、浸漬材齢が増加するほど圧縮強度が減少したが、バクテリア接種の培養液を配合水として使用した試験体は、浸漬材齢が増加しても圧縮強度の減少は示されなかった。
実験例4(活用バクテリア:ロードバクター・カプスラタス、ロドシュードモナス・パルストリス、バチルス・チューリンゲンシス及びバチルス・サブチリス)
ロードバクター・カプスラタス、ロドシュードモナス・パルストリス、バチルス・チューリンゲンシス及びバチルス・サブチリスに対して、バクテリアを混入したコーティング材を製造するために、結合材として比重が2.67g/cmのα−半水石膏及び比重が2.91g/cmの高炉スラグを1:1の質量比で混合した結合材を、吸着材を浸漬した培養液と2.2:1(吸着材−結合材の比が2.2)の質量比で混合(吸着材としては、前記膨張蛭石を、バクテリア培養液:膨張蛭石の質量比=10:1で使用)したことを除いては、前記実験例1と同じ方法でコーティング材を製造した。また、製造したコーティング材を使用した試料を、硫酸腐食環境でのバクテリアの持続成長性を評価するために、JSTM C 7401に基づいて、硫酸5%溶液に浸漬した。浸漬材齢7日後、コーティング材表面の試料を採取し、これを培地に再接種(継代培養)して群落の形成を確認した。その結果を図54に示した。
図54を参照すると、ロドシュードモナス・パルストリス及びバチルス・チューリンゲンシスを混入したコーティング材の場合、バクテリア群落は確認されておらず、ロードバクター・カプスラタス及びバチルス・サブチリスを混入したコーティング材の場合、比較的多いバクテリアの群落形成を確認することができた。これによれば、硫酸腐食環境に露出されるスライムを形成するバクテリアの持続成長性の側面からは、ロードバクター・カプスラタス及びバチルス・サブチリスの方が有利であることが分かった。
実験例4(活用バクテリア:ロードバクター・カプスラタス、活用結合材:マグネシア−リン酸塩複合体)
前記結合材のうち、黄土基盤の結合材、α−半水石膏、高炉スラグ、フライアッシュ、普通ポートランドセメントを用いる場合、セメントの造成のための前記吸着材の使用にも関わらず、pHの上昇のためにバクテリアの成長持続性を完全に実現することは難しい。
一方、マグネシア−リン酸塩複合体の場合、pH7〜9の中性水準のpHを示し、初期反応速度が非常に速いため、打設後5〜15分以内に凝結が始まり、高い初期強度の発現率を備えることができる。また、マグネシア−リン酸塩複合体の接着強度は、一般セメントに比べ高い水準であり、セメントコンクリートを母材として使用する場合、高い接着強度のために接着界面ではなく母材から破壊される。また、補修界面の水分状態による付着強度の損失が少なく(一般に、補修界面は湿潤状態である)、養成温度に対する強度発現の影響が少ない。また、上水・下水道の補修工事は一般に冬季に行われ、内部温度は平均0〜5℃の水準であるが、一般のセメントコンクリートの場合、温度が低い環境での強度発現は著しく遅い。一方、マグネシア−リン酸塩複合体は強度発現が養成温度に大きく影響されないため、補修時期によって品質が低下する恐れがない。よって、本発明ではマグネシア−リン酸塩複合体が本発明による結合材として十分な役割をすると判断した。
本実験例では、ロードバクター・カプスラタスに対して、バクテリアが混入したコーティング材を製造するための結合材として、多様な造成(下記表11を参照)のマグネシア−リン酸塩複合体を、吸着材を浸漬した培養液と2:1(吸着材−結合材の比が2)の質量比で混合(吸着材としては、前記膨張蛭石を、バクテリア培養液:膨張蛭石の質量比=10:1で使用)したことを除いては、前記実験例1と同じ方法でコーティング材を製造し、実験例1と同じ方法で実験を行った。試験体の圧縮強度及びpHを測定した結果を図55に示した。
図55を参照すると、高い圧縮強度及び10未満のpH維持性能を実現するためには、マグネシア−リン酸塩複合体のリン酸塩の含量は20〜40質量%であることが好ましく、30〜40質量%であることがより好ましいことが分かる。このとき、マグネシア−リン酸塩複合体の速い初期反応速度を考慮して、遅延剤(ホウ酸:Borax)が前記マグネシア−リン酸塩複合体100質量部に対して、1〜10質量部の含量で添加されることが好ましく、3〜5質量部の水準で添加されることがより好ましいことが分かる。
一方、リン酸塩の種類による圧縮強度及びpHに対する影響を調べるために、下記表12に示した4種の一リン酸塩及び4種の二リン酸塩を使用して実験例1と同じ方法で実験を行い、試験体の圧縮強度及びpHを測定した結果を図56に示した。
図56を参照すると、おおよそ、二リン酸塩よりは一リン酸塩を使用した場合、優れた圧縮強度及びpHを示しており、一リン酸塩のうちでもリン酸ナトリウムまたはリン酸アンモニウム(NHPO)を使用することが最も好ましいことが分かる。
これまで説明した本発明の好ましい実施例は、技術的課題を解決するために開示されたものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば本発明の範囲内で多様な修正、変更、不可などが可能であって、このような修正・変更などは、以下の特許請求の範囲に属すると考えるべきである。
110 開閉型クリップ
120 吸着パッド
130 連結用鋼棒
140 平衡錐
150 開閉蓋
160 ねじ式開口部
170 環状ピン
210 コンクリート球体

Claims (24)

  1. スライムを形成するバクテリアを吸着した吸着材、及び結合材を含むコーティング材。
  2. 前記スライムを形成するバクテリアは、ロードバクター・カプスラタス、ロードバクター・ブラスティカス、ロードバクター・スフェロイデス、ロドシュードモナス・パルストリス、ルブリヴィヴァックス・ゲラティノスス、紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌、バチルス・チューリンゲンシス、及びバチルス・サブチリスからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング材。
  3. 前記吸着材は、高吸収性樹脂、高多孔性樹脂、膨張蛭石、パーライト及び珪藻土からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のコーティング材。
  4. 前記結合材は、黄土基盤の結合材、α−半水石膏、高炉スラグ、フライアッシュ、普通ポートランドセメント及びマグネシア−リン酸塩結合材からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーティング材。
  5. 前記マグネシア−リン酸塩結合材は、前記結合材の総質量に対して、リン酸塩の含量が10〜50質量%であることを特徴とする、請求項4に記載のコーティング材。
  6. 前記リン酸塩はリン酸カルシウム(KHPO)、二リン酸カルシウム(Ca(HPO)、リン酸ナトリウム(NaHPO)、リン酸アンモニウム(NHPO)、リン酸二カリウム(KHPO)、リン酸カルシウム(CaHPO)、リン酸二ナトリウム(NaHPO)、及びリン酸二アンモニウム((NHHPO)からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項5に記載のコーティング材。
  7. 前記マグネシア−リン酸塩結合材は、前記マグネシア−リン酸塩100質量部に対して、遅延剤1〜10質量部を更に含むことを特徴とする、請求項5または6に記載のコーティング材。
  8. 前記スライムを形成するバクテリアによって形成された二酸化珪素(SiO)が空隙を遮蔽する内部構造を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のコーティング材。
  9. コンクリート構造体の表面の化学的侵食を防止するために使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のコーティング材。
  10. 前記コンクリート構造体は、下水管渠であることを特徴とする、請求項9に記載のコーティング材。
  11. 前記化学的侵食は、硫酸によるものであることを特徴とする、請求項9または10に記載のコーティング材。
  12. 前記コンクリート構造体の表面に0.5〜10mmの厚さで塗布されることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載のコーティング材。
  13. スライムを形成するバクテリアを培養してスライムを形成するステップと、
    前記スライムを形成したバクテリアを固定するために、吸着材を用いて前記スライムを形成したバクテリアを吸着するステップと、
    前記バクテリアが吸着された吸着材を結合材と混合するステップと、
    を含むコーティング材の製造方法。
  14. 前記スライムを形成するバクテリアは、ロードバクター・カプスラタス、ロードバクター・ブラスティカス、ロードバクター・スフェロイデス、ロドシュードモナス・パルストリス、ルブリヴィヴァックス・ゲラティノスス、紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌、バチルス・チューリンゲンシス、及びバチルス・サブチリスからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項13に記載のコーティング材の製造方法。
  15. 前記ロードバクター・カプスラタス、ロードバクター・ブラスティカス、ロードバクター・スフェロイデス、ロドシュードモナス・パルストリス、ルブリヴィヴァックス・ゲラティノスス、紅色硫黄細菌及び緑色硫黄細菌は、精製水1Lを基準に酵母抽出物0.1〜5g、ジソジウムサクシネートヘキサハイドレート1〜50g、無水エタノール0.1〜5mL、クエン酸鉄溶液0.1〜5mL、リン酸に二水素カリウム0.1〜5g、硫酸マグネシウム七水和物0.1〜5g、塩化ナトリウム0.1〜5g、塩化アンモニウム0.1〜5g、及び塩化カルシウム二水和物0.01〜0.5gを含む培地でpH5〜9の条件で培養されることを特徴とする、請求項14に記載のコーティング材の製造方法。
  16. 前記バチルス・チューリンゲンシス及びバチルス・サブチリスは、精製水1Lを基準に動物組織のペプシン消化物1〜10g、酵母抽出物0.5〜3g、塩化ナトリウム1〜10g及び牛肉抽出物0.5〜3gを含む培地でpH4〜10の条件で培養されることを特徴とする、請求項14に記載のコーティング材の製造方法。
  17. 前記培養に使用された炭素源はマルトース、デキストロース及びフルクトースからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項13〜16のいずれか一項に記載のコーティング材の製造方法。
  18. 前記吸着材は高吸収性樹脂、高多孔性樹脂、膨張蛭石、パーライト及び珪藻土からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項13〜17のいずれか一項に記載のコーティング材の製造方法。
  19. 前記吸着の際に使用される前記バクテリアの前記吸着材に対する混入量は、バクテリア培養液の総質量を基準にして、前記吸着材が前記高吸収性樹脂または高多孔性樹脂である場合、50〜200倍であり、前記吸着材が前記膨張蛭石、パーライトまたは珪藻土である場合、5〜20倍であることを特徴とする、請求項18に記載のコーティング材の製造方法。
  20. 前記吸着は、メッシュの大きさが100μm〜5mm、及び厚さが0.5〜50mmであるメッシュ状の吸着パッドに前記吸着材を投入した後、前記吸着パッドを前記バクテリアの培養液に浸漬するステップを含んで行われることを特徴とする、請求項13〜19のいずれか一項に記載のコーティング材の製造方法。
  21. 前記吸着パッドの素材は、鋼材であることを特徴とする請求項20に記載のコーティング材の製造方法。
  22. 前記吸着材を利用した吸着は、前記メッシュ状の吸着パッドに前記吸着材を投入した後、前記吸着パッドを前記バクテリアの培養液の中に浮遊させて行われることを特徴とする請求項20に記載の方法。
  23. 前記吸着パッドは、前記吸着パッドの下端に連結された平行錘によって浮遊し、
    前記平行錘の重さは、下記数学式1によって決定されることを特徴とする、請求項20〜22のいずれか一項に記載のコーティング材の製造方法。
    数学式1において、dは吸着パッドの浸漬深さ、Wは積載荷重、Wは固定荷重、L及びBは吸着パッドの長さ及び幅、γは培養液の単位容積の質量である。
  24. 前記バクテリアを吸着した吸着材及び前記結合材の混合において、前記結合材の使用量は、前記バクテリアを吸着した吸着材の質量の0.5〜3倍であることを特徴とする、請求項13〜23のいずれか一項に記載のコーティング材の製造方法。
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