JP2018104482A - 構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】剛性及び軽量性に優れ、且つ、機能性を付与した構造体を提供すること。【解決手段】本発明に係わる構造体は、繊維(A)、繊維(A)よりも引張弾性率の低い繊維(B)、及び樹脂(C)を含む多孔質構造体であって、繊維(A)及び繊維(B)が、樹脂(C)により結合することで空隙を形成しており、密度が0.01〜1.00g/cm3の範囲内にある。【選択図】なし
Description
本発明は、引張弾性率の異なる2種類の繊維と樹脂と空隙からなる構造体に関する。
近年、自動車や航空機といった輸送機器用途、スポーツ用品や義肢装具といった一般産業用途では、剛性や軽量性の向上に対する市場要求が年々高まっている。このような要求に応えるべく、比強度・比剛性に優れる繊維強化複合材料が、各種産業用途に幅広く利用されている。また、繊維強化複合材料は、適用する構造の用途・場所に対応して生じる荷重に対して、繊維配向方向、繊維含有率、積層構成などを設計することができることも利点である。しかしながら、前記繊維強化複合材料は、一般的に強化繊維とマトリックス樹脂から構成され、空隙は含まないことが好ましいため、密度の低下には限界がある。
一方、繊維と樹脂と空隙を含む多孔質構造体の開発も進められている(特許文献1、2)。例えば、特許文献1では、繊維と樹脂を含み、発泡剤によって空隙を形成した構造体が開示されている。空隙を含むため低密度となるものの、発泡剤を用いて空隙を形成するためには繊維が障害となるため、繊維長を短くするか、もしくは柔軟な繊維を選択する必要がある。そのため、得られる構造体の強度や弾性率といった力学特性が低く、構造部材への適用は困難であった。また、特許文献2には、長繊維を含む熱可塑性樹脂組成物を金型キャビティに射出して充填した後、キャビティを拡張して、繊維の交絡による膨張力により空隙を形成した構造体の製造方法が開示されている。しかしながら、前記方法では、膨張力を得るために高い弾性率、且つ、充填時に生じるせん断力による繊維破断を抑制するため高い強度を両立する繊維に限定される。
さらに、特許文献3では、短繊維と熱可塑性樹脂からなるシート状基材を加熱膨張させて空隙を含む構造体を製造する方法が開示されている。弾性率が高い繊維を適用しているため、軽量性及び剛性に優れた構造体となるものの、ハンドリング時に高弾性繊維により皮膚刺激性(痛み、かゆみ)が生じる課題があった。そのため、例えば、輸送機器の内装材といった人体が直接接触する部材の用途では機能性に劣るため、用途拡大が困難であった。
上記課題に対し、2種類以上の繊維を併用することで、軽量性及び剛性に加え、付加価値として機能性を付与させた構造体の開発が検討されつつある(特許文献4、5)。特許文献4では、無機繊維と有機繊維と熱可塑性樹脂と空隙からなる構造体が開示されている。有機繊維を配合することで、低皮膚刺激性、且つ、剛性に優れる構造体となる効果がうたわれている。しかしながら、一般的に有機繊維の弾性率は低いため、屈曲し易く、剛性を担保する繊維の補強効果が薄れる問題がある。さらに、前記屈曲した有機繊維は、構造体の製造工程において無機繊維に干渉し、剛性を発現する三次元ネットワーク形成を阻害する可能性がある。一方、特許文献5では、ピッチ系炭素繊維フィラーと炭素繊維とバインダー成分と空隙からなる構造体が開示されている。熱伝導率に優れるピッチ系炭素繊維をフィラーとして添加し、三次元ネットワークを形成することで、伝熱特性かつ剛性に優れる構造体となる効果がうたわれている。しかしながら、空隙を形成するために樹脂を含浸させた前駆体を1500℃以上で焼結する工程を要するため、製造コストがかかるばかりか、得られる構造体は靱性が低いため、非常に脆いものとなってしまう。また、微細なピッチ系炭素繊維フィラーは、炭素繊維の交絡点およびその近傍のバインダー成分に干渉するため、炭素繊維と空隙が形成するネットワークにムラが生じる可能性がある。
以上の背景から、構造部材の力学特性の向上のためには、高剛性を維持しつつ、軽量化された構造体、さらには大幅な軽量化のために単一材としても使用できる構造体が求められる。加えて、2種類の繊維をブレンドすることにより構造体へ機能性を付与する場合には、繊維の混合比、構造体の構成要素である繊維、樹脂および空隙の体積分率のみならず、繊維の力学特性の観点から構造体を開発する必要がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、剛性及び軽量性に優れ、且つ、機能性を付与した構造体を提供することにある。
本発明に係わる構造体は、繊維(A)、繊維(A)よりも引張弾性率の低い繊維(B)、及び樹脂(C)を含む多孔質構造体であって、繊維(A)及び繊維(B)が、樹脂(C)により結合することで空隙を形成しており、密度が0.01〜1.00g/cm3の範囲内にあることを特徴とする。
本発明に係わる構造体は、上記発明において、繊維(A)及び繊維(B)が、以下の式(1)を満たすことを特徴とする
0.05≦Eb/Ea<1.00 ・・・式(1)
Ea:繊維(A)の引張弾性率(GPa)
Eb:繊維(B)の引張弾性率(GPa)。
0.05≦Eb/Ea<1.00 ・・・式(1)
Ea:繊維(A)の引張弾性率(GPa)
Eb:繊維(B)の引張弾性率(GPa)。
本発明に係わる構造体は、上記発明において、繊維(A)及び繊維(B)が、以下の式(2)を満たすことを特徴とする
0.05≦εb/εa≦50.00 ・・・(2)
εa:繊維(A)の引張破断伸度(%)
εb:繊維(B)の引張破断伸度(%)。
0.05≦εb/εa≦50.00 ・・・(2)
εa:繊維(A)の引張破断伸度(%)
εb:繊維(B)の引張破断伸度(%)。
本発明に係わる構造体は、上記発明において、繊維(A)及び繊維(B)の平均繊維長が1〜15mmであって、繊維(A)及び繊維(B)が以下の式(3)を満たすことを特徴とする
0.1≦Lb/La≦1.0 ・・・(3)
La:繊維(A)の平均繊維長(mm)
Lb:繊維(B)の平均繊維長(mm)。
0.1≦Lb/La≦1.0 ・・・(3)
La:繊維(A)の平均繊維長(mm)
Lb:繊維(B)の平均繊維長(mm)。
本発明に係わる構造体は、上記発明において、繊維(A)が、異形断面を有する繊維であることを特徴とする。
本発明に係わる構造体は、上記発明において、構造体中の繊維100質量%中に、前記繊維(A)を5〜50質量%含むことを特徴とする。
本発明に係わる構造体は、上記発明において、繊維(A)は、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維、及びセラミックス繊維からなる群より選ばれる1種であり、前記繊維(B)は、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維、及びセラミックス繊維の群からなる群より選ばれる1種であり、さらに前記繊維(A)とは異なることを特徴とする。
本発明に係わる構造体は、上記発明において、繊維(A)がピッチ系炭素繊維であり、前記繊維(B)がPAN系炭素繊維であることを特徴とする。
本発明に係わる構造体は、上記発明において、繊維(A)が金属繊維であり、前記繊維(B)がアラミド繊維であることを特徴とする。
本発明に係わる構造体によれば、軽量性及び剛性に優れ、且つ、機能性を有する構造体を提供できる。
以下、本発明に係わる構造体について説明する。
図1は、本発明に係わる構造体の断面図の一例を示す図である。図1に示すように、本発明に係わる構造体1は、繊維2、樹脂3及び空隙4により構成される。なお、繊維2は引張弾性率が異なる2種類の繊維から構成され、引張弾性率の高い繊維が繊維(A)、引張弾性率の低い繊維が繊維(B)である。
ここで、本発明に係わる構造体1の密度は0.01g/cm3以上1.00g/cm3以下の範囲である。なお、密度の測定方法としては、一定の体積となるよう切り出した構造体1の質量W(g)および体積V(cm3)を測定し、質量Wを体積Vで除すことにより求める方法が例示できる。構造体1を切り出す形状は、体積Vを測定する観点から、立方体や直方体が好ましい。
本発明における繊維2は、繊維(A)および繊維(B)の2種類の繊維を含む。前記2種類の繊維としては、アラミド、PBO、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリエチレン等の有機繊維、PAN系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維、ガラス繊維、アルミニウム、黄銅、ステンレス等の金属繊維、シリコンカーバイト、シリコンナイトライド等のセラミックス繊維を例示できる。また、これらの繊維に表面処理が施されているものであってもよい。表面処理としては、導電体として金属の被着処理の他に、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、結束剤による処理、添加剤の付着処理等を例示できる。異なる種類の繊維を選択した場合には、構造体1に効率よく機能性を付与できるため好ましい。機能性としては、ガラス繊維であれば断熱性、アラミド繊維などの有機繊維であれば衝撃吸収性や低皮膚刺激性、ピッチ系炭素繊維であれば熱伝導性(放熱性)や電気伝導性が、例示できる。中でも、引張弾性率の高い繊維(A)で剛性を担保し、繊維(B)に機能性を付与する、設計方針が好ましい。なお、構造体1に機能性を付与でき、且つ、引張弾性率が異なってさえいれば、同一種類の繊維であっても構わない。
好ましくは、繊維(A)及び繊維(B)が、以下の式(1)を満たすよう、繊維2を選択するのがよい。
0.05≦Eb/Ea<1.00 ・・・式(1)
Ea:繊維(A)の引張弾性率(GPa)
Eb:繊維(B)の引張弾性率(GPa)。
Ea:繊維(A)の引張弾性率(GPa)
Eb:繊維(B)の引張弾性率(GPa)。
ここで、引張弾性率とは、繊維(A)及び繊維(B)の評価規格が同一であれば特に限定は無いが、樹脂含浸ストランド引張試験(JIS R7608(2007))や単繊維の引張試験(JIS R7606(2000))により測定される引張弾性率を適用することが例示できる。引張弾性率比(Eb/Ea)が0.05よりも小さい場合、繊維(B)が、繊維(A)が形成する空隙4に屈曲して充填され易くなるため、構造体1の軽量化効果が低くなる恐れがある。2種類の繊維の引張弾性率比をかかる範囲とすることで、構造体1中で繊維2の屈曲が抑制され、繊維2の補強効果を効率よく利用できるため、好ましい。すなわち、繊維2と空隙4の配置のムラを抑制でき、均質な力学特性及び機能性を有する構造体1を得ることができる。
さらに好ましくは、繊維(A)及び繊維(B)が、以下の式(2)を満たすよう、繊維2を選択するのがよい。
0.05≦εb/εa≦50.00 ・・・(2)
εa:繊維(A)の引張破断伸度(%)
εb:繊維(B)の引張破断伸度(%)。
εa:繊維(A)の引張破断伸度(%)
εb:繊維(B)の引張破断伸度(%)。
ここで、引張破断伸度とは、繊維(A)及び繊維(B)の評価規格が同一であれば特に限定は無いが、樹脂含浸ストランド引張試験(JIS R7608(2007))や単繊維の引張試験(JIS R7606(2000))により測定される引張破断伸度を適用することが例示できる。引張破断伸度比(εb/εa)が0.05よりも小さい場合、繊維(B)の破断が局所的に生じ易くなり、繰り返し変形下における構造体1の健全性(剛性)が低下する恐れがある。一方で、引張破断伸度比が50.00よりも大きい場合、繊維(A)の破断が繊維(B)に比べて生じ易く、繊維(A)の破断箇所近傍に引張弾性率が低い繊維(B)が入り込んで、空隙4を埋めるため、繰り返し変形下では構造体1の密度が局所的に高くなり、均一性が損なわれる恐れがある。2種類の繊維2の引張破断伸度比をかかる範囲とすることで、構造体1の局所的な構造変化が抑制され、疲労特性が向上するため、好ましい。すなわち、繰り返し変形下においても繊維2と空隙4の配置関係を維持でき、力学特性及び機能性の劣化が少ない構造体1を得ることができる。
さらに好ましくは、繊維(A)及び繊維(B)の平均繊維長が1〜15mmであって、繊維(A)及び繊維(B)が以下の式(3)を満たすことが好ましい。
0.1≦Lb/La≦1.0 ・・・(3)
La:繊維(A)の平均繊維長(mm)
Lb:繊維(B)の平均繊維長(mm)。
La:繊維(A)の平均繊維長(mm)
Lb:繊維(B)の平均繊維長(mm)。
平均繊維長及び平均繊維長比(Lb/La)をかかる範囲とすることで、繊維2で補強された構造を効率よく形成できるため、好ましい。繊維2の平均繊維長が1mm未満である場合、空隙4を効率よく形成できないため、同一質量でありながら所望する厚さの構造体1を得ることが困難となる恐れがある。一方、繊維2の平均繊維長が15mmより長い場合には、強化繊維2が、自重により屈曲しやすくなり、力学特性の発現を阻害する要因となる恐れがある。また、前記平均繊維長比が1.0よりも大きい場合、繊維(A)が形成する空隙4に繊維(B)が屈曲して入り込み易くなり、空隙4の形成効率が低下する恐れがある。一方、平均繊維長比が0.1よりも小さい場合、成形中の樹脂流動に沿って繊維(B)が流動したり配向したりし易くなるため、繊維(A)が形成する空隙4に繊維(B)が充填されて、構造体1の密度が高くなる恐れがある。
ここで、平均繊維長の測定方法としては、構造体1の樹脂成分を焼失や溶出等の方法により取り除き、残った繊維から種類毎に無作為に400本を選択し、その長さを10μm単位まで測定し、それらの平均長さとして算出する方法が例示できる。
さらに好ましくは、繊維(A)が、異形断面であるのがよい。繊維(A)の断面をかかる形状とすることで、繊維2の起毛力に起因したスプリングバック力が向上するため、繊維2の補強と空隙4の形成を効率よく行うことができる。ここで、異形断面とは、単糸断面が円形ではないものを指す。繊維の単糸が異形断面である場合、同一断面積の円形断面の単糸と比較して、長軸方向を厚さ方向とした断面2次モーメントが大きくなる。そのため、曲げ剛性が高くなり、屈曲に対する抵抗が向上するため、空隙4を効率よく形成することができる。異形断面としては、多角形、星形などが例示できる。
さらに好ましくは、構造体中の繊維100質量%中に、前記繊維(A)を5〜50質量%含むのがよい。繊維(A)が5質量%未満である場合は、構造体としての軽量性と剛性を担保することが困難となる恐れがある。一方、50質量%より大きい場合は、機能性の発現効果が薄くなる恐れがある。かかる範囲とすることで、構造体1の力学特性と機能性を両立することができる。
さらに好ましくは、引張弾性率の観点から、2種類の繊維のうち引張弾性率の高い繊維(A)は、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維、及びセラミックス繊維からなる群より選ばれる1種であり、繊維(B)はPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維、及びセラミックス繊維の群からなる群より選ばれる1種であり、さらに前記繊維(A)とは異なる繊維であることがよい。前記繊維種を組み合わせることにより、構造体1の補強効果に加え、機能性を付与することができる。
2種類の繊維の組み合わせの好ましい1形態として、(A)がピッチ系炭素繊維であり、前記繊維(B)がPAN系炭素繊維であるのがよい。弾性率が高いピッチ系炭素繊維と強度が高いPAN系炭素繊維の両者の効果を有する、力学特性に優れた軽量構造体を得ることができる。加えて、ピッチ系炭素繊維の優れた熱伝導性及び電気伝導性を構造体1に付与することができ、輸送機器構造部材、IT筐体への用途に好適な構造体となる。
また、2種類の繊維の組み合わせの好ましい1形態として、(A)が金属繊維であり、前記繊維(B)がアラミド繊維であるのがよい。軽量性、剛性に優れた構造体に耐衝撃性を付与することができるため、輸送機器の緩衝材に好適な構造体となる。さらには、アラミド繊維と金属繊維は、炭素繊維やガラス繊維と比較して、皮膚刺激性が低いため、人体が接触する可能性がある輸送機器内装材に好適である。
さらに、繊維2は、不連続であり、構造体1中において略モノフィラメント状、且つ、ランダムに分散していることが好ましい。繊維2をかかる態様とすることで、繊維2によって形成された空隙4が緻密化し、構造体1中における繊維2の繊維束端における弱部が極小化できるため、優れた補強効率及び信頼性に加えて、等方性も付与される。ここで、略モノフィラメントとは、強化繊維単糸が500本未満の細繊度ストランドにて存在することを指す。さらに好ましくは、モノフィラメント状に分散していることである。
さらに、繊維2を構成する繊維(A)及び繊維(B)は、構造体1中にランダムに分散していることが、とりわけ好ましい。ここで、ランダムに分散しているとは、構造体1における任意に選択した繊維2の二次元配向角の算術平均値が30°以上、60°以下の範囲内にあることをいう。かかる二次元配向角とは、繊維の単繊維とこの単繊維と交差する単繊維とで形成される角度のことであり、交差する単繊維同士が形成する角度のうち、0°以上、90°以下の範囲内にある鋭角側の角度と定義する。
繊維2が略モノフィラメント状、且つ、ランダムに分散していることで、上述した略モノフィラメント状に分散した繊維2により与えられる性能を最大限まで高めることができる。また、構造体1において力学特性に等方性を付与でき、且つ、均一に機能性を付与することができる。
さらに、繊維2は樹脂3に被覆されていることが好ましい。樹脂3に被覆された繊維2の被覆状態は、少なくとも構造体1を構成する繊維2の単繊維同士の交差する点が被覆されていれば、構造体1の形状安定性や、厚み制御の容易さ及び自由度の観点から十分であるが、さらに好ましい態様とすれば、樹脂3は、繊維2の周囲に、1μm以上15μm以下の範囲内の厚みで被覆された状態であることが好ましい。この状態は、繊維2の表面が露出していない、言い換えれば、繊維2が樹脂3により電線状の皮膜を形成していることを意味する。このことにより、構造体1は、さらに、形状安定性を有すると共に、力学特性の発現を十分なものとする。また、樹脂3に被覆された繊維2の被覆状態は、その繊維2の全てにおいて被覆されている必要はなく、本発明に係る構造体1の形状安定性や、曲げ弾性率、曲げ強度を損なわない範囲内であればよい。
本発明における、樹脂3は特に限定されないが、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂、及びエラストマーを用いることが出来る。また、本発明においては、少なくとも2種類以上の樹脂をブレンドして使用してもよく、その場合、樹脂3を構成する成分のうち最も多く含有されている成分を樹脂の名称とする。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、「ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン等のポリオレフィン、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等のポリアリーレンスルフィド、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、液晶ポリマー(LCP)」等の結晶性樹脂、「スチレン系樹脂の他、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート(PAR)」等の非晶性樹脂や、これらの共重合体及び変性体等を例示できる。中でも、得られる構造体の軽量性の観点からはポリオレフィンが好ましく、強度の観点からはポリアミドが好ましく、表面外観の観点からポリカーボネートのような非晶性樹脂が好ましく、耐熱性の観点からポリアリーレンスルフィドが好ましく、連続使用温度の観点からポリエーテルエーテルケトンが好ましく、さらに耐薬品性の観点からフッ素系樹脂が好ましく用いられる。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性ポリイミド、これらの共重合体、変性体、及びこれらの少なくとも2種類をブレンドした樹脂を例示できる。
前記エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリイソプレン系、フッ素系樹脂、及びアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー、天然ゴムや合成ゴムを例示できる。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、本発明に係わる構造体は、エラストマー又はゴム成分等の耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を含有してもよい。充填剤や添加剤の例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、検証核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、又は、カップリング剤を例示できる。
本発明における、樹脂3の体積含有率は、2.5体積%以上、85.0体積%以下の範囲内であることが好ましい。樹脂3の体積含有率が2.5体積%未満である場合、構造体1中の繊維2を結着し、繊維2の補強効果が薄くなり、構造体の力学特性、とりわけ曲げ特性が満足できなくなるので好ましくない。一方、樹脂3の体積含有率が85.0体積%より大きい場合には、樹脂量が多すぎることから、空隙構造をとることが困難となるので好ましくない。
本発明における空隙4とは、樹脂3により被覆された繊維2が柱状の支持体となり、それが重なり合い、又は、交差することにより形成された空間のことを指す。例えば繊維2に樹脂3が予め含浸された構造体前駆体を加熱して構造体を得る場合、加熱に伴う樹脂3の溶融ないしは軟化により、繊維2が起毛することで空隙4が形成される。これは、構造体前駆体において、加圧により圧縮状態とされていた内部の繊維2が、その弾性率に由来する起毛力によって起毛する性質に基づく。また、構造体1中における空隙4の含有率は、10体積%以上、99体積%以下の範囲内にあることが好ましい。空隙4の含有率が10体積%未満である場合、構造体1の密度が高くなるため軽量性の効果が小さくなる恐れがある。一方、空隙4の含有率が99体積%より大きい場合には、言い換えれば、繊維2の周囲に被覆された樹脂3の厚みが薄くなるため、構造体1中における繊維2による補強効果が薄れ、力学特性が低下する恐れがある。上記の観点から、さらに好ましくは、空隙4の含有率の上限値は97体積%であることが好ましい。なお、本発明において、体積含有率は構造体1を構成する樹脂3と繊維2と空隙4のそれぞれの体積含有率の合計を100体積%とする。
本発明における、繊維2は不織布状の形態をとることが、繊維2への樹脂3の含浸の容易さの観点から好ましい。さらに、繊維2が、不織布状の形態を有していることにより、不織布自体のハンドリング性の容易さに加え、一般的に樹脂3に高粘度とされる熱可塑性樹脂を選択した場合においても含浸を容易なものとできるため好ましい。ここで、不織布状の形態とは、繊維2のストランド及び/又はモノフィラメントが規則性なく免状に分散した形態を指し、チョップドストランドマット、コンティニュアスストランドマット、抄紙マット、カーディングマット、エアレイドマット等を例示できる(以下、これらをまとめて繊維マットと称す)。
構造体1を構成する繊維マットの製造方法としては、例えば繊維2を予めストランド及び/又は略モノフィラメント状に分散して繊維マットを製造する方法がある。該繊維マットの製造方法としては、繊維2を混合したものを空気流にて分散シートかするエアレイド法や、該混合物を機械的に櫛削りながら形状を整えシート化するカーティング法等の乾式プロセス、該混合物を水中にて攪拌して抄紙するラドライト法による湿式プロセスを公知技術として挙げることが出来る。繊維2をよりモノフィラメント状に近づける手段としては、乾式プロセスにおいては、開繊バーを設ける方法やさらに開繊バーを振動させる方法、さらにカードの目をファインにする方法や、カードの回転速度を調整する方法等を例示できる。湿式プロセスにおいては、繊維(A)及び繊維(B)の攪拌条件を調整する方法、分散液の繊維濃度を希薄化する方法、分散液の年度を調整する方法、分散液を移送させる際に渦流を抑制する方法等を例示できる。特に、繊維マットは湿式プロセスで製造することが好ましく、投入繊維の濃度を増やしたり、分散液の流速(流量)とメッシュコンベアの速度を調整したりすることで繊維マットの繊維(A)及び繊維(B)の割合を容易に調整できる。例えば、分散液の流速に対してメッシュコンベアの速度を遅くすることで、得られる繊維マット中の繊維の配向が引き取り方向に向き難くなり、嵩高い繊維マットを製造可能である。繊維マットは、繊維(A)及び繊維(B)が粉末形状や繊維形状のマトリックス樹脂成分と混合されていたり、樹脂成分で目止めされていたり、してもよい。
さらに、繊維マットには予め樹脂3を含浸させておき、構造体前駆体(プリプレグ)としておくこともできる。該構造体前駆体を製造する方法としては、繊維マットに樹脂3を溶融ないし軟化する温度以上に加熱された状態で圧力を付与し、繊維マットに含浸させる方法を用いることが、製造の容易さの観点から好ましい。具体的には、繊維マットの厚み方法の両面に樹脂3を配置した積層物を溶融含浸させる方法が好ましく例示できる。
上記各方法を実現するための設備としては、圧縮成形機やダブルベルトプレスを好適に用いることが出来る。バッチ式の場合は前者であり、加熱用と冷却用の2機以上を並列した間欠式プレスシステムとすることで生産性の向上が図れる。連続式の場合は後者であり、連続的な加工を容易に行うことができるため連続生産性に優れる。
本発明に係わる構造体1を製造する際には、少なくとも以下の工程[1]及び[2]により製造される方法を採用することが、製造の容易さの観点から好ましい。
工程[1]:樹脂3が溶融ないし軟化する温度以上に加熱された状態で圧力を付与し、樹脂3を繊維マットに含浸せしめて構造体前駆体を作製する工程。
工程[2]:構造体前駆体を加熱された状態で厚み調整をすることにより膨張させる工程。
工程[1]:樹脂3が溶融ないし軟化する温度以上に加熱された状態で圧力を付与し、樹脂3を繊維マットに含浸せしめて構造体前駆体を作製する工程。
工程[2]:構造体前駆体を加熱された状態で厚み調整をすることにより膨張させる工程。
工程[2]は工程[1]にて得られた構造体前駆体を加熱された状態で厚み調整をすることにより膨張させる行程である。このとき加熱される温度は構造体1を構成する樹脂3が熱可塑性樹脂である場合、溶融ないし軟化せしめるために十分な熱量を与えることが、製造される構造体1の厚み制御及び製造速度の観点から好ましく、具体的には、溶融温度に対し10℃以上高く、且つ、熱可塑性樹脂が熱分解温度以下の温度を付与することが好ましい。また、樹脂3として熱硬化性樹脂を用いる場合、架橋構造を形成して硬化する前の熱硬化性樹脂原料を溶融ないし軟化せしめるために十分な熱量を与えることが、製造される構造体1の厚み制御及び製造速度の観点から好ましい。
厚み制御を行う方法としては、加熱される構造体前駆体を目的の厚みに制御できるのであれば方法は限定されないが、金属板等を用いて厚みを拘束する方法、構造体前駆体に付与する圧力により厚み制御する方法等が製造の簡便さの観点から好ましい方法として例示できる。上記方法を実現するための設備としては、圧縮成形機やダブルベルトプレスを好適に用いることができる。バッチ式は前者であり、加熱用と冷却用の2機以上を並列した間欠式プレスシステムとすることで生産性の向上が図ることができる。連続式の場合は後者であり、連続的な加工を容易に行うことができるため連続生産性に優れる。
繊維マットが不織布状の形態をとらない例としては、繊維(A)及び繊維(B)が混合され、且つ、一方向に配列されてなるシート基材、織物基材、及びノンクリンプ基材等がある。これらの形態は、繊維(A)及び繊維(B)が規則的に密に配置されているため、繊維マット中の空隙部が少なく、樹脂3が十分なアンカリング構造を形成しないため、それをコア形成層とすると接合能力が低下する。また、樹脂3が一般的に高粘度である熱可塑性樹脂の場合、含浸が極めて困難となり、未含浸部を形成したり、含浸手段や樹脂種の選択肢を大きく制限したりする。
構造体1は、例えば、「パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、PDA(電子手帳等の携帯情報端末)、ビデオカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品等の筐体、トレイ、シャーシ、内装部材、またはそのケース」等の電気、電子機器部品、「各種メンバ、各種フレーム、各種ヒンジ、各種アーム、各種車軸、各種車輪用軸受、各種ビーム」、「フード、ルーフ、ドア、フェンダ、トランクリッド、サイドパネル、リアエンドパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種メンバ、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、各種レール、各種ヒンジ等の、外板、又は、ボディー部品」、「バンパー、バンパービーム、モール、アンダーカバー、エンジンカバー、整流板、スポイラー、カウルルーバー、エアロパーツ等の外装部品」、「インストルメントパネル、シートフレーム、ドアトリム、ピラートリム、ハンドル、各種モジュール等の内装部品」、又は、「モーター部品、CNGタンク、ガソリンタンク」等の自動車、二輪車用構造部品、「バッテリートレイ、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、プロテクター、ランプリフレクター、ランプハウジング、ノイズシールド、スペアタイヤカバー」等の自動車、二輪車用部品、「遮音壁、防音壁などの壁内部材」等の建材、「ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブ、シート」等の航空機用部品が挙げられる。力学特性の観点からは、自動車内外装、電気・電子機器筐体、自転車、スポーツ用品用構造材、航空機内装材、輸送用箱体、建材に好適に用いられる。なかでも、とりわけ複数の部品から構成されるモジュール部材に好適である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(1)構造体の密度ρ
構造体から試験片を切り出し、JIS K7222(2005)を参考にして構造体の見かけ密度を測定した。試験片の寸法は縦100mm、横100mmとした。試験片の縦、横、厚みをマイクロメーターで測定し、得られた値より試験片の体積Vを算出した。また、切り出した試験片の質量Mを電子天秤で測定した。得られた質量M及び体積Vを次式に代入することにより構造体の密度ρを算出した。
ρ[g/cm3]=103×M[g]/V[mm3]
(2)構造体における強化繊維の体積含有率Vf
構造体の質量Wsを測定した後、構造体を空気中500℃で30分間加熱して樹脂成分を焼き飛ばし、残った強化繊維の質量Wfを測定し、次式により算出した。
Vf(体積%)=(Wf/ρf)/{Wf/ρf+(Ws−Wf)/ρr}×100
ρf:強化繊維の密度(g/cm3)
ρr:樹脂の密度(g/cm3)
(3)構造体の空隙の体積含有率
構造体から縦10mm、横10mmに試験片を切り出し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテクノロジーズ製 S−4800型)により観察し、構造体の表面から、等間隔に10箇所を1000倍の倍率で撮影した。それぞれの画像について、画像内の空隙の面積Aaを求めた。さらに、空隙の面積Aaを画像全体の面積で除算することにより空隙率を算出した。構造体の空隙の体積含有率は、5枚の試験片でそれぞれ10箇所ずつ撮影した合計50箇所の空隙率から算術平均により求めた。なお、構造体において、表面から厚み方向の中点位置までの空隙率と残りの部分の空隙率とが異なる場合を判断するために、前記等間隔に撮影した10箇所において、各々の空隙の体積含有率を算出し、空隙の体積含有率が0体積%以上、10体積%未満の範囲内にあるものと、空隙の体積含有率が10体積%以上、99体積%以下のものとに分別して求めた。
[炭素繊維1]
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、及び表面酸化処理を行い、総単糸数12,000本の連続炭素繊維を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。なお、引張弾性率および引張破断伸度は、JIS R7608(2007)を参考に、次の手順に従って求めた。測定する連続炭素繊維ストランドは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(100質量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3質量部)/アセトン(4質量部)を含浸させ、125℃の温度で30分硬化させて作製した。樹脂含浸ストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値から引張弾性率及び引張破断伸度とした。
単繊維径:7μm
密度:1.8g/cm3
引張弾性率:220GPa
引張破断伸度:2%
[炭素繊維2]
総単糸数12,000本の連続したピッチ系炭素繊維ストランドの特性は次に示す通りであった。
単繊維径:11μm
密度:2.1g/cm3
引張弾性率:640GPa
引張破断伸度:0.4%
[ガラス繊維]
E−Glass製の連続したガラス繊維ストランドの特性は次に示す通りであった。
単糸繊維径:13μm
密度:2.6g/m3
引張弾性率:72GPa
引張破断伸度:3%
[アラミド繊維]
パラ系アラミド繊維ストランドの特性は次に示す通りであった。
単繊維径:12μm
密度:1.44g/cm3
引張弾性率:54.7GPa
引張破断伸度:4.4%
[金属繊維]
SUS304製の連続した金属繊維ストランドの特性は次に示す通りであった。
単繊維径:12μm
密度:7.93g/cm3
引張弾性率:190GPa
引張破断伸度:5%
[PP樹脂]
未変性ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製“プライムポリプロ”(登録商標)J105G)80質量%と、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製“アドマー”QB510)20質量%とからなる目付100g/m2の樹脂シートを作製した。得られた樹脂シートの特性は次に示す通りであった。
密度:0.92g/cm3
融点:165℃
分解開始温度:298℃
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂として、“jER(登録商標)”828(三菱化学(株)製)を30質量部、“jER(登録商標)”1001を35質量部、“jER(登録商標)”154を35質量部、ニーダー中に投入し、混練しながら150℃まで昇温し、150℃において1時間混練することで透明な粘調液を得た。粘調液を60℃まで混練しながら降温させた後、硬化剤としてDYCY7(三菱化学(株)製)を3.7質量部、硬化促進剤としてDCMU99(保土谷化学工業(株)製)を3質量部、粒子として“マツモトマイクロスフェアー(登録商標)”M(松本油脂製薬(株)製)を3質量部配合し、60℃において30分間混練することにより、熱硬化性樹脂組成物を調整した。これからナイフコーターを用いて目付132g/m2の樹脂フィルムを作製した。得られた樹脂フィルムの特性は次に示す通りであった。
密度:1.2g/cm3
分解開始温度:250℃
[繊維マット1]
炭素繊維1を長さ6mmに、炭素繊維2を長さ5mmにそれぞれカットし、チョップド炭素繊維1及びチョップド炭素繊維2を得た。チョップド炭素繊維1が50質量%となるようにチョップド炭素繊維2と予備混合した後、開綿機に投入して当初の太さの繊維束がほとんど存在しない、綿状の強化繊維集合体を得た。この繊維集合体を直径600mmのシリンダーロールを有するカーディング装置に投入し、シート状のウエブを形成した。このときのシリンダーロールの回転数は320rpm、ドッファーの速度は13m/分であった。このウエブを重ねて繊維マット1を得た。得られた繊維マット1の特性を表1に示す。
[繊維マット2]
炭素繊維1を長さ5mmに、アラミド繊維を長さ3mmにそれぞれカットした、チョップド炭素繊維1及びチョップドアラミド繊維を、チョップド炭素繊維1が30質量%となるようにアラミド繊維と予備混合した以外は、繊維マット1と同様に繊維マット2を得た。得られた繊維マット2の特性を表1に示す。
[繊維マット3]
金属繊維を長さ10mmに、アラミド繊維を長さ8mmにそれぞれカットした、チョップド金属繊維及びチョップドアラミド繊維を、チョップド金属繊維が7質量%となるようにアラミド繊維と予備混合した以外は、繊維マット1と同様に繊維マット3を得た。得られた繊維マット3の特性を表1に示す。
[繊維マット4]
カートリッジカッターで炭素繊維1を6mmに、ガラス繊維を4mmにそれぞれカットし、チョップド炭素繊維1及びチョップドガラス繊維を得た。水と界面活性剤(ナカライテクス(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名))とからなる濃度0.1質量%の分散液を作製し、この分散液にチョップド炭素繊維1が40質量%となるようにチョップドガラス繊維と予備混合した繊維混合物とを、繊維マットの製造装置を用いて、繊維マットを製造した。前記製造装置は、分散槽としての容器下部に開口コックを有する直径1000mmの円筒形状の容器、分散槽と抄紙槽とを接続する直線状の輸送部(傾斜角30°)を備えている。分散槽の上面の開口部には撹拌機が付属し、開口部からチョップド炭素繊維及び分散液(分散媒体)を投入可能である。抄紙槽が、底部に幅500mmの抄紙面を有するメッシュコンベアを備える槽である点、及び繊維基材(抄紙基材)を運搬可能なコンベアをメッシュコンベアに接続している。抄紙は分散液中の繊維混合物濃度を0.05質量%として行った。抄紙した繊維基材は200℃の乾燥炉で30分間乾燥し、繊維マット4を得た。得られた目付は50g/m2であった。得られた繊維マット4の特性を表1に示す。
[繊維マット5]
炭素繊維2を長さ9mmにカットした、チョップド炭素繊維2を単体で使用する以外は、繊維マット1と同様に繊維マット5を得た。得られた繊維マット5の特性を表1に示す。
[繊維マット6]
アラミドを長さ12mmにカットした、チョップドアラミド繊維を単体で使用する以外は、繊維マット1と同様に繊維マット5を得た。得られた繊維マット5の特性を表1に示す。(実施例1)
繊維マットとして繊維マット1、樹脂シートとしてPP樹脂を、[樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート]の順番に配置した積層物を作製した。次いで、以下の工程(I)〜(V)を経ることにより構造体を得た。得られた構造体では、断面観察から繊維を柱状の支持体とした空隙が確認された。得られた構造体の特性を表2に示す。
(I)積層物を230℃に予熱したプレス成形用金型キャビティ内に配置して金型を閉じる。
(II)次いで、120秒間保持した後、3MPaの圧力を付与してさらに60秒間保持する。
(III)工程(II)の後、金型キャビティを開放し、その末端に金属スペーサーを挿入し、構造体を得る際の厚みが3.4mmとなるように調整する。
(IV)その後、再度、金型キャビティを締結し、圧力を保持した状態でキャビティ温度を50℃まで冷却する。
(V)金型を開いて構造体を取り出す。
(実施例2)
繊維マットとして繊維マット2、樹脂シートとしてPP樹脂を使用して積層物を作製した以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。得られた構造体の特性を表2に示す。また、得られた構造体を素手で触った時に痛みが殆ど無かった。
(実施例3)
繊維マットとして繊維マット3、樹脂シートとしてPP樹脂を、[樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート]の順番に配置した積層物を作製した以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。得られた構造体の特性を表2に示す。また、得られた構造体を素手で触った時に痛みが殆ど無かった。
(実施例4)
繊維マットとして繊維マット4、樹脂シートとしてPP樹脂を使用して積層物を作成し、工程(III)における金属スペーサーの厚みを3.4mmから4.5mmに代えた以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。得られた構造体の特性を表2に示す。
(実施例5)
樹脂シートをPP樹脂からエポキシ樹脂に代えて、実施例1と同様に積層物を得た。次いで、以下の工程(I)〜(V)を経ることにより構造体を得た。得られた構造体では、断面観察から繊維を柱状の支持体とした空隙が確認された。得られた構造体の特性を表2に示す。
(I)積層物を150℃に予熱したプレス成形用金型キャビティ内に配置して金型を閉じる。
(II)次いで、3MPaの圧力を付与してさらに20秒間保持する。
(III)工程(II)の後、金型キャビティを開放し、その末端に金属スペーサーを挿入し、構造体を得る際の厚みが3.4mmとなるように調整する。
(IV)その後、再度、金型キャビティを締結し、圧力を保持し、キャビティ温度150℃で90分間保持した後、30℃まで冷却する。
(V)金型を開いて構造体を取り出す。
(比較例1)
繊維マットとして繊維マット5、樹脂シートとしてPP樹脂を使用して積層物を作製した以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。得られた構造体の厚さは、設定したキャビティ厚みよりも薄かった。また、得られた構造体を電気炉にて加熱し、樹脂を焼失させた後、平均繊維長を測定した結果、繊維長が0.5mm〜4.2mmの範囲でばらついた値をとることを確認した。得られた構造体の特性を表2に示す。
(比較例2)
繊維マットとして繊維マット6、樹脂シートとしてPP樹脂を使用して積層物を作製した以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。得られた構造体の厚さは、設定したキャビティ厚みよりも薄かった。また、断面観察から、空隙を含まず、繊維が屈曲した状態で充填されていることを確認した。得られた構造体の特性を表2に示す。
(1)構造体の密度ρ
構造体から試験片を切り出し、JIS K7222(2005)を参考にして構造体の見かけ密度を測定した。試験片の寸法は縦100mm、横100mmとした。試験片の縦、横、厚みをマイクロメーターで測定し、得られた値より試験片の体積Vを算出した。また、切り出した試験片の質量Mを電子天秤で測定した。得られた質量M及び体積Vを次式に代入することにより構造体の密度ρを算出した。
ρ[g/cm3]=103×M[g]/V[mm3]
(2)構造体における強化繊維の体積含有率Vf
構造体の質量Wsを測定した後、構造体を空気中500℃で30分間加熱して樹脂成分を焼き飛ばし、残った強化繊維の質量Wfを測定し、次式により算出した。
Vf(体積%)=(Wf/ρf)/{Wf/ρf+(Ws−Wf)/ρr}×100
ρf:強化繊維の密度(g/cm3)
ρr:樹脂の密度(g/cm3)
(3)構造体の空隙の体積含有率
構造体から縦10mm、横10mmに試験片を切り出し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテクノロジーズ製 S−4800型)により観察し、構造体の表面から、等間隔に10箇所を1000倍の倍率で撮影した。それぞれの画像について、画像内の空隙の面積Aaを求めた。さらに、空隙の面積Aaを画像全体の面積で除算することにより空隙率を算出した。構造体の空隙の体積含有率は、5枚の試験片でそれぞれ10箇所ずつ撮影した合計50箇所の空隙率から算術平均により求めた。なお、構造体において、表面から厚み方向の中点位置までの空隙率と残りの部分の空隙率とが異なる場合を判断するために、前記等間隔に撮影した10箇所において、各々の空隙の体積含有率を算出し、空隙の体積含有率が0体積%以上、10体積%未満の範囲内にあるものと、空隙の体積含有率が10体積%以上、99体積%以下のものとに分別して求めた。
[炭素繊維1]
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、及び表面酸化処理を行い、総単糸数12,000本の連続炭素繊維を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。なお、引張弾性率および引張破断伸度は、JIS R7608(2007)を参考に、次の手順に従って求めた。測定する連続炭素繊維ストランドは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(100質量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3質量部)/アセトン(4質量部)を含浸させ、125℃の温度で30分硬化させて作製した。樹脂含浸ストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値から引張弾性率及び引張破断伸度とした。
単繊維径:7μm
密度:1.8g/cm3
引張弾性率:220GPa
引張破断伸度:2%
[炭素繊維2]
総単糸数12,000本の連続したピッチ系炭素繊維ストランドの特性は次に示す通りであった。
単繊維径:11μm
密度:2.1g/cm3
引張弾性率:640GPa
引張破断伸度:0.4%
[ガラス繊維]
E−Glass製の連続したガラス繊維ストランドの特性は次に示す通りであった。
単糸繊維径:13μm
密度:2.6g/m3
引張弾性率:72GPa
引張破断伸度:3%
[アラミド繊維]
パラ系アラミド繊維ストランドの特性は次に示す通りであった。
単繊維径:12μm
密度:1.44g/cm3
引張弾性率:54.7GPa
引張破断伸度:4.4%
[金属繊維]
SUS304製の連続した金属繊維ストランドの特性は次に示す通りであった。
単繊維径:12μm
密度:7.93g/cm3
引張弾性率:190GPa
引張破断伸度:5%
[PP樹脂]
未変性ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製“プライムポリプロ”(登録商標)J105G)80質量%と、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製“アドマー”QB510)20質量%とからなる目付100g/m2の樹脂シートを作製した。得られた樹脂シートの特性は次に示す通りであった。
密度:0.92g/cm3
融点:165℃
分解開始温度:298℃
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂として、“jER(登録商標)”828(三菱化学(株)製)を30質量部、“jER(登録商標)”1001を35質量部、“jER(登録商標)”154を35質量部、ニーダー中に投入し、混練しながら150℃まで昇温し、150℃において1時間混練することで透明な粘調液を得た。粘調液を60℃まで混練しながら降温させた後、硬化剤としてDYCY7(三菱化学(株)製)を3.7質量部、硬化促進剤としてDCMU99(保土谷化学工業(株)製)を3質量部、粒子として“マツモトマイクロスフェアー(登録商標)”M(松本油脂製薬(株)製)を3質量部配合し、60℃において30分間混練することにより、熱硬化性樹脂組成物を調整した。これからナイフコーターを用いて目付132g/m2の樹脂フィルムを作製した。得られた樹脂フィルムの特性は次に示す通りであった。
密度:1.2g/cm3
分解開始温度:250℃
[繊維マット1]
炭素繊維1を長さ6mmに、炭素繊維2を長さ5mmにそれぞれカットし、チョップド炭素繊維1及びチョップド炭素繊維2を得た。チョップド炭素繊維1が50質量%となるようにチョップド炭素繊維2と予備混合した後、開綿機に投入して当初の太さの繊維束がほとんど存在しない、綿状の強化繊維集合体を得た。この繊維集合体を直径600mmのシリンダーロールを有するカーディング装置に投入し、シート状のウエブを形成した。このときのシリンダーロールの回転数は320rpm、ドッファーの速度は13m/分であった。このウエブを重ねて繊維マット1を得た。得られた繊維マット1の特性を表1に示す。
[繊維マット2]
炭素繊維1を長さ5mmに、アラミド繊維を長さ3mmにそれぞれカットした、チョップド炭素繊維1及びチョップドアラミド繊維を、チョップド炭素繊維1が30質量%となるようにアラミド繊維と予備混合した以外は、繊維マット1と同様に繊維マット2を得た。得られた繊維マット2の特性を表1に示す。
[繊維マット3]
金属繊維を長さ10mmに、アラミド繊維を長さ8mmにそれぞれカットした、チョップド金属繊維及びチョップドアラミド繊維を、チョップド金属繊維が7質量%となるようにアラミド繊維と予備混合した以外は、繊維マット1と同様に繊維マット3を得た。得られた繊維マット3の特性を表1に示す。
[繊維マット4]
カートリッジカッターで炭素繊維1を6mmに、ガラス繊維を4mmにそれぞれカットし、チョップド炭素繊維1及びチョップドガラス繊維を得た。水と界面活性剤(ナカライテクス(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名))とからなる濃度0.1質量%の分散液を作製し、この分散液にチョップド炭素繊維1が40質量%となるようにチョップドガラス繊維と予備混合した繊維混合物とを、繊維マットの製造装置を用いて、繊維マットを製造した。前記製造装置は、分散槽としての容器下部に開口コックを有する直径1000mmの円筒形状の容器、分散槽と抄紙槽とを接続する直線状の輸送部(傾斜角30°)を備えている。分散槽の上面の開口部には撹拌機が付属し、開口部からチョップド炭素繊維及び分散液(分散媒体)を投入可能である。抄紙槽が、底部に幅500mmの抄紙面を有するメッシュコンベアを備える槽である点、及び繊維基材(抄紙基材)を運搬可能なコンベアをメッシュコンベアに接続している。抄紙は分散液中の繊維混合物濃度を0.05質量%として行った。抄紙した繊維基材は200℃の乾燥炉で30分間乾燥し、繊維マット4を得た。得られた目付は50g/m2であった。得られた繊維マット4の特性を表1に示す。
[繊維マット5]
炭素繊維2を長さ9mmにカットした、チョップド炭素繊維2を単体で使用する以外は、繊維マット1と同様に繊維マット5を得た。得られた繊維マット5の特性を表1に示す。
[繊維マット6]
アラミドを長さ12mmにカットした、チョップドアラミド繊維を単体で使用する以外は、繊維マット1と同様に繊維マット5を得た。得られた繊維マット5の特性を表1に示す。(実施例1)
繊維マットとして繊維マット1、樹脂シートとしてPP樹脂を、[樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート]の順番に配置した積層物を作製した。次いで、以下の工程(I)〜(V)を経ることにより構造体を得た。得られた構造体では、断面観察から繊維を柱状の支持体とした空隙が確認された。得られた構造体の特性を表2に示す。
(I)積層物を230℃に予熱したプレス成形用金型キャビティ内に配置して金型を閉じる。
(II)次いで、120秒間保持した後、3MPaの圧力を付与してさらに60秒間保持する。
(III)工程(II)の後、金型キャビティを開放し、その末端に金属スペーサーを挿入し、構造体を得る際の厚みが3.4mmとなるように調整する。
(IV)その後、再度、金型キャビティを締結し、圧力を保持した状態でキャビティ温度を50℃まで冷却する。
(V)金型を開いて構造体を取り出す。
(実施例2)
繊維マットとして繊維マット2、樹脂シートとしてPP樹脂を使用して積層物を作製した以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。得られた構造体の特性を表2に示す。また、得られた構造体を素手で触った時に痛みが殆ど無かった。
(実施例3)
繊維マットとして繊維マット3、樹脂シートとしてPP樹脂を、[樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート/繊維マット/樹脂シート]の順番に配置した積層物を作製した以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。得られた構造体の特性を表2に示す。また、得られた構造体を素手で触った時に痛みが殆ど無かった。
(実施例4)
繊維マットとして繊維マット4、樹脂シートとしてPP樹脂を使用して積層物を作成し、工程(III)における金属スペーサーの厚みを3.4mmから4.5mmに代えた以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。得られた構造体の特性を表2に示す。
(実施例5)
樹脂シートをPP樹脂からエポキシ樹脂に代えて、実施例1と同様に積層物を得た。次いで、以下の工程(I)〜(V)を経ることにより構造体を得た。得られた構造体では、断面観察から繊維を柱状の支持体とした空隙が確認された。得られた構造体の特性を表2に示す。
(I)積層物を150℃に予熱したプレス成形用金型キャビティ内に配置して金型を閉じる。
(II)次いで、3MPaの圧力を付与してさらに20秒間保持する。
(III)工程(II)の後、金型キャビティを開放し、その末端に金属スペーサーを挿入し、構造体を得る際の厚みが3.4mmとなるように調整する。
(IV)その後、再度、金型キャビティを締結し、圧力を保持し、キャビティ温度150℃で90分間保持した後、30℃まで冷却する。
(V)金型を開いて構造体を取り出す。
(比較例1)
繊維マットとして繊維マット5、樹脂シートとしてPP樹脂を使用して積層物を作製した以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。得られた構造体の厚さは、設定したキャビティ厚みよりも薄かった。また、得られた構造体を電気炉にて加熱し、樹脂を焼失させた後、平均繊維長を測定した結果、繊維長が0.5mm〜4.2mmの範囲でばらついた値をとることを確認した。得られた構造体の特性を表2に示す。
(比較例2)
繊維マットとして繊維マット6、樹脂シートとしてPP樹脂を使用して積層物を作製した以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。得られた構造体の厚さは、設定したキャビティ厚みよりも薄かった。また、断面観察から、空隙を含まず、繊維が屈曲した状態で充填されていることを確認した。得られた構造体の特性を表2に示す。
本発明によれば、軽量性及び剛性に優れ、且つ、機能性を付与した構造体を提供することが出来る。
1 構造体
2 繊維
3 樹脂
4 空隙
5 繊維(A)
6 繊維(B)
2 繊維
3 樹脂
4 空隙
5 繊維(A)
6 繊維(B)
Claims (9)
- 繊維(A)、繊維(A)よりも引張弾性率の低い繊維(B)、及び樹脂(C)を含む多孔質構造体であって、
繊維(A)及び繊維(B)が、樹脂(C)により結合することで空隙を形成しており、
密度が0.01〜1.00g/cm3の範囲内にある構造体。 - 前記繊維(A)及び繊維(B)が、以下の式(1)を満たす、請求項1に記載の構造体。
0.05≦Eb/Ea<1.00 ・・・式(1)
Ea:繊維(A)の引張弾性率(GPa)
Eb:繊維(B)の引張弾性率(GPa) - 前記繊維(A)及び繊維(B)が、以下の式(2)を満たす、請求項1または2に記載の構造体。
0.05≦εb/εa≦50.00 ・・・式(2)
εa:繊維(A)の引張破断伸度(%)
εb:繊維(B)の引張破断伸度(%) - 前記繊維(A)及び繊維(B)の平均繊維長が1〜15mmであって、繊維(A)及び繊維(B)が以下の式(3)を満たす、請求項1〜4のいずれかに記載の構造体。
0.1≦Lb/La≦1.0 ・・・式(3)
La:繊維(A)の平均繊維長(mm)
Lb:繊維(B)の平均繊維長(mm) - 前記繊維(A)が、異形断面を有する繊維である、請求項1〜4のいずれかに記載の構造体。
- 前記構造体中の繊維100質量%中に、前記繊維(A)を5〜50質量%含む、請求項1〜5のいずれかに記載の構造体。
- 前記繊維(A)は、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維、及びセラミックス繊維からなる群より選ばれる1種であり、
前記繊維(B)は、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維、及びセラミックス繊維の群からなる群より選ばれる1種であり、さらに前記繊維(A)とは異なる、請求項1〜6のいずれかに記載の構造体。 - 前記繊維(A)がピッチ系炭素繊維であり、前記繊維(B)がPAN系炭素繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載の構造体。
- 前記繊維(A)が金属繊維であり、前記繊維(B)がアラミド繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載の構造体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016248752A JP2018104482A (ja) | 2016-12-22 | 2016-12-22 | 構造体 |
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JP2016248752A JP2018104482A (ja) | 2016-12-22 | 2016-12-22 | 構造体 |
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JP2018104482A true JP2018104482A (ja) | 2018-07-05 |
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JP2016248752A Pending JP2018104482A (ja) | 2016-12-22 | 2016-12-22 | 構造体 |
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JP (1) | JP2018104482A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023053834A1 (ja) * | 2021-09-29 | 2023-04-06 | 東レ株式会社 | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料、複合構造体、耐衝撃部材および制震部材 |
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2016
- 2016-12-22 JP JP2016248752A patent/JP2018104482A/ja active Pending
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WO2023053834A1 (ja) * | 2021-09-29 | 2023-04-06 | 東レ株式会社 | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料、複合構造体、耐衝撃部材および制震部材 |
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