JP2018103077A - 環境浄化装置 - Google Patents

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永治 藤田
春夫 夏山
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春夫 夏山
俊樹 長谷川
Toshiki Hasegawa
俊樹 長谷川
公一 田村
Koichi Tamura
公一 田村
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Abstract

【課題】湖や、池、沼等の閉水域の水質や、当該閉水域の周囲の土壌を、比較的短時間で浄化することが可能な環境浄化装置を提供する。【解決手段】環境浄化装置100Aは、ファン30を水面W1に沿って水平方向に回転させ、遠心方向に水を押し出すことによって、水底から水面W1に向けて水を導き、閉水域に循環流を発生させる水循環装置10Aを備えている。水循環装置10Aは、水中に配置されたファン30と、ファン30を回転させる回転駆動部40と、水面W1に浮遊し、回転駆動部40を収容するハウジング20とを備え、回転駆動部40によりファン30を回転することによって浄化活性剤B1を水中に拡散させるように構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、環境浄化装置に関する。
従来、湖や、池、沼等の閉水域の水質を浄化する環境浄化装置として、例えば特許文献1に記載された技術が知られている。この特許文献1に記載の技術では、ファン(水掻き羽根)を水面に沿って水平方向に回転させ、遠心方向に水を押し出して、汲み上げ作用により水底から水面に向けて水を導くことによって、湖や、池等に循環流を形成するようにしている。そして、これにより、水中の溶存酸素量を増加させて、湖や、池等の水質の浄化を図るようにしている。
特許3360075号公報
上述した特許文献1に記載の技術では、湖や、池等の自浄作用によって、わずかなエネルギーにより水質の浄化が可能となっている。しかしながら、特許文献1に記載の技術による水質浄化のみを用いた場合、湖や、池等の水質が浄化されるまでには、比較的長時間を要するといった問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、湖や、池、沼等の閉水域の水質や、当該閉水域の周囲の土壌を、比較的短時間で浄化することが可能な環境浄化装置を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、ファンを水面に沿って水平方向に回転させ、遠心方向に水を押し出すことによって、水底から水面に向けて水を導き、閉水域に循環流を発生させる水循環装置を備えた環境浄化装置であって、前記水循環装置は、水中に配置された前記ファンと、前記ファンを回転させる回転駆動部と、水面に浮遊し、前記回転駆動部を収容するハウジングとを備え、前記回転駆動部により前記ファンを回転することによって浄化活性剤を水中に拡散させるように構成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、水面に沿う流れ→水面から水底に向かう流れ→水底に沿う流れ→水底から水面に向かう流れ、という循環流が閉水域に形成される。このような循環流により、水面に沿って流れる水が、空気中の酸素を取り込み、順次、水中へ送られることによって、水中の溶存酸素量が増加する。そして、水中の溶存酸素量の増加により、水中の植物プランクトンや動物プランクトン等の微生物が活性化し、微生物によって、水中の富栄養化の要因となる有機物が分解される。また、植物プランクトン等の増殖に伴って、光合成による水中の溶存酸素量がさらに増加し、有機物の分解が促進される。これにより、水循環装置が設置された閉水域の水質が浄化される。
また、浄化活性剤が水中に散布されると、水循環装置によって形成された循環流によって、浄化活性剤を効率よく閉水域の略全域に拡散させることができ、閉水域の略全域の浄化を促進することができる。これにより、水循環装置による水質浄化と、浄化活性剤による水質浄化との相乗効果によって、閉水域の水質浄化作用を促進することができる。したがって、水循環装置による水質浄化のみの場合に比べて、閉水域の水質を比較的短時間で浄化することが可能になる。
上記構成の環境浄化装置において、前記ファンの上下位置が調整可能になっていることが好ましい。
上記構成によれば、浮遊部材の浮力が経年変化してもファンの上下位置を調整することで、ファンと水面からの距離が一定に保つことができるので、水流を効率よく一定に保つことができる。
上記構成の環境浄化装置において、前記ファンの下方には、スクリューが設けられており、前記スクリューは、前記ファンと一体的に回転可能に設けられていることが好ましい。この場合、前記水底の深さが変化しても、前記スクリューの水底からの距離が、一定に保つことが可能になっていることが好ましい。
上記構成によれば、スクリューの回転によって、水面から水底に向かう水の流れが増大されるので、水循環装置の汲み上げ作用を向上させることができ、水循環装置による循環流の形成を促進することができる。また、スクリューの水底からの距離を一定にすることで、スクリューを有光層(水面の1%以上の太陽光が届く領域)と無光層(水面の1%未満の太陽光しか届かない領域)との境界付近に配置することによって、無光層の水を有光層へ効果的に送り込むことができる。
上記構成の環境浄化装置において、前記ファンの下方には、前記浄化活性剤が供給される供給棚が設けられていることが好ましい。この場合、前記浄化活性剤が、水及び有害物質の透過性を有する浄化材等包含材に封入されていることが好ましい。なお、浄化材等包含材は、浄化剤等を封入するための包含材(封入材)であって、浄化材等は、浄化活性剤や分解菌等を含む意味である。
上記構成によれば、浄化活性剤が浄化材等包含材に封入されているので、浄化活性剤が直ちに水中に拡散されることがなく、浄化材等包含材の溶解後に浄化活性剤を水中に拡散させることができる。これにより、浄化材等包含材の膜厚等に応じて浄化材等包含材の溶解速度を調整することによって、水中への浄化活性剤の拡散時期を調整することができる。
上記構成の環境浄化装置において、前記ファンの下方には、第2の供給棚が設けられており、前記第2の供給棚には、土壌浄化剤が供給されることが好ましい。なお、土壌浄化剤としては、例えば鉄粉、水酸化鉄等を用いることが可能である。
上記構成によれば、浄化活性剤が閉水域の周囲の土壌に拡散されると、浄化活性剤によって土壌中のバクテリアの増殖が促進される。バクテリアによって、土壌中に含まれたVOC(揮発性有機化合物)や、シアン化合物、油分等が分解される。また、土壌浄化剤が閉水域の周囲の土壌に拡散されると、土壌中に含まれたVOCや、重金属等が、酸化還元反応により無害な物質に分解される。これにより、浄化活性剤及び土壌浄化剤が拡散された閉水域の周囲の土壌を浄化することができる。
上記構成の環境浄化装置において、前記ハウジングの上面には、発電用のソーラーパネルが設置されており、前記ソーラーパネルによって発電された電力が、前記回転駆動部に供給可能になっていることが好ましい。
上記構成によれば、特別な駆動装置を必要とせずに、自然のエネルギーによってファンを回転させ、閉水域に循環流を形成することが可能になる。
本発明の環境浄化装置によれば、水循環装置による水質浄化と、浄化活性剤による水質浄化との相乗効果によって、閉水域の水質浄化作用を促進することができる。したがって、水循環装置による水質浄化のみの場合に比べて、閉水域の水質を比較的短時間で浄化することが可能になる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る環境浄化装置の概略構成を示す図である。 図2は、図1の環境浄化装置に備えられる水循環装置を示す平面図である。 図3は、図2の水循環装置に備えられる浮遊部材の一例を示す平面図である。 図4は、浮遊部材の他の例を示す平面図である。 図5は、図2の水循環装置に備えられる供給棚を示す平面図である。 図6は、図5の供給棚に供給される浄化材等包含材を示す概略図である。 図7は、本発明の第2実施形態に係る環境浄化装置の概略構成を示す図である。
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る環境浄化装置100Aの概略構成について、図1〜図6を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る環境浄化装置100Aの概略構成を示す図である。図2は、図1の環境浄化装置100Aに備えられる水循環装置10Aを示す平面図である。図3は、図2の水循環装置10Aに備えられる浮遊部材24の一例を示す平面図である。図4は、浮遊部材24の他の例を示す平面図である。図5は、図2の水循環装置10Aに備えられる供給棚50を示す平面図であって、図1のX1−X1線断面を示している。図6は、図5の供給棚50に供給される浄化材等包含材60を示す概略図であって、浄化活性剤B1が浄化材等包含材60に封入された状態を示している。
図1〜図6に示すように、本発明の第1実施形態に係る環境浄化装置100Aは、ファン30を水面W1に沿って水平方向に回転させ、遠心方向に水を押し出すことによって、水底から水面W1に向けて水を導き、閉水域に循環流を発生させる水循環装置10Aを備え、この水循環装置10Aにより閉水域の水中に浄化活性剤(浄化促進剤)B1を拡散させて、閉水域の水質を浄化するものである。本実施形態において、閉水域としては、例えば湖(ダム湖も含む)や、池、沼等が挙げられるが、閉水域は、水循環装置10Aによって循環流を形成することが可能なものであれば特に限定されない。閉水域は、例えば、海や河川に設けられた養殖用の生簀等であってもよい。
環境浄化装置100Aに備えられる水循環装置10Aは、水中に配置されたファン(水掻き羽根)30と、ファン30を回転させる回転駆動部40と、水面W1に浮遊し、回転駆動部40を収容するハウジング20とを備えている。そして、水循環装置10Aは、回転駆動部40によりファン30を回転することによって浄化活性剤B1を水中に拡散させる構成になっている。
ハウジング20は、水循環装置10Aを水面W1に浮遊させるための浮力を発生させるとともに、回転駆動部40の電動モータ41を外部から保護するために設けられる。ハウジング20は、筒状に形成され、電動モータ41の外周囲を囲う側壁部21と、側壁部21の上方を覆う天井板22と、側壁部21の下方に設ける底壁部23と、底壁部23に連結される複数の浮遊部材(フロート部材)24とを備えている。側壁部21と、天井板22と、底壁部23とによって、回転駆動部40の電動モータ41を収容する収容空間が形成されている。
天井板22の上面には、発電用のソーラーパネル22aが設置されている。天井板22は、側面視で斜めに傾いて配置されており、南側の部分が北側の部分よりも低い位置に設けられている。ソーラーパネル22aによって、太陽光のエネルギーが電気的エネルギーに変換される。ソーラーパネル22aは、複雑な駆動回路を有せず、ソーラーパネル22aによって発電された直流電力が、直接電動モータ41に供給可能になっている。
底壁部23は、例えば発泡スチロール等の樹脂によって形成されている。底壁部23の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔23aが形成されている。この貫通孔23aには、回転駆動部40の駆動軸(出力軸)42が挿通されている。貫通孔23aの内周壁と、回転駆動部40の駆動軸42との間には、所定の隙間が確保されており、両者は非接触とされている。
底壁部23には、複数の浮遊部材24が、連結棒24bを介して連結されている。本実施形態では、3つの浮遊部材24が設けられており、浮遊部材24は、底壁部23の外周側に円周方向に等間隔で配置されている。浮遊部材24は、例えば発泡スチロール等の樹脂によって形成されている。具体的には、図2、図3に示すように、浮遊部材24は、2つの浮遊体24aが連結棒24bによって一体的に連結された構成になっている。底壁部23及び浮遊部材24の浮力によって、電動モータ41を収容したハウジング20を水面W1に浮遊させることが可能になっている。
各浮遊部材24の下部には、ロープ25の一端が連結されており、ロープ25の他端は水底に設置されたアンカー26に連結されている。ロープ25は、ほとんど弛みのない状態で、浮遊部材24とアンカー26との間に設けられているため、ハウジング20の移動や回転が規制され、閉水域の所定位置にハウジング20が配置されるようになっている。浮遊部材24の数や、各浮遊部材24に設ける浮遊体24aの数を調整することによって、経年変化した浮遊部材24の浮力を調整することが可能になっている。電動モータ41を収容したハウジング20を水面W1に浮遊させることが可能であれば、浮遊部材24の数や、各浮遊部材24に設ける浮遊体24aの数は、特に限定されない。例えば、図4に示すように、浮遊部材24に3つの浮遊体24aを設けることによって、経年変化で浮力が劣化しても浮遊体を増やすことで、浮力を元に戻すことができる。なお、ハウジング20の転覆を防ぐ観点からは、浮遊部材24の数は3つ以上であることが好ましい。
ファン30は、回転駆動部40の駆動軸42と一体的に回転可能に設けられている。ファン30の中心軸部31が、回転駆動部40の駆動軸42に、例えば溶接等の手段によって固着されている。ファン30は、板状に形成された複数の羽根部材32を備えており、羽根部材32は、駆動軸42を中心に放射状に配置されている。本実施形態では、3つの羽根部材32が設けられており、羽根部材32は、駆動軸42の外周側に円周方向に等間隔で配置されている。羽根部材32は、アーム部材33を介して、中心軸部31に連結されている。アーム部材33は、略水平方向に延びている。ファン30の直径D1は、水循環装置10Aを設置する閉水域の大きさに応じて、適宜設定することが可能である。
各羽根部材32は、側面視で略矩形に形成されている。羽根部材32の上端32aは、水面W1の近傍に位置している。具体的には、羽根部材32の上端32aは、水面W1よりも低い水中に設けられており、羽根部材32の上端32aと水面W1との間に、所定の隙間C1が設けられている。また、羽根部材32はアーム部材33に対して傾斜して取り付けてもよく、水の抵抗を少なくして効率よく水流を確保することができる。なお、羽根部材32の数は、特に限定されず、2つ、あるいは、4つ以上であってもよい。さらに、羽根部材32の形状や大きさについても、特に限定されるものではない。羽根部材32の数や、形状、大きさは、水循環装置10Aを設置する閉水域の大きさや、深さに応じて、適宜設定することが可能である。
回転駆動部40は、電動モータ41を備えている。電動モータ41は、減速機付きの直流モータとして構成されている。電動モータ41は、ハウジング20の底壁部23に装着されている。電動モータ41と、ハウジング20の底壁部23との間には、スペーサ27が介在されている。電動モータ41の出力軸には、回転駆動部40の駆動軸42が接続されている。駆動軸42は、ハウジング20の底壁部23に設けられた貫通孔23aに挿通されており、ハウジング20の下面から下方に向けて突出されている。駆動軸42は、鉛直下方に向けて延びている。スペーサ27の厚さや、スペーサ27の枚数や厚みを調整することによって、羽根部材32の上端32aと水面W1との間の隙間(羽根部材32の水面W1からの距離)C1を最適な状態に調整することが可能になっている。
駆動軸42の下端部42aは、図1、図5に示すように、角筒状に形成されている。駆動軸42の下端部42aの内部には、角筒状の内軸43が挿入されている。内軸43は、駆動軸42に対し、上下方向に移動可能に設けられている。内軸43の下端部43aには、スクリュー44が設けられている。スクリュー44は、駆動軸42と一体的に回転可能に設けられている。スクリュー44の回転によって、水底から水面W1に向けて水が送られるようになっている。また、内軸43の下端には、軸受け45を介してロープ25の一端が連結されており、ロープ25の他端は水底に設置されたアンカー26に連結されている。内軸43の上下方向の位置を調整することによって、スクリュー44の水底からの距離L1を一定に保つことが可能になっている。この場合、閉水域における有光層(水面W1の1%以上の太陽光が届く領域)と無光層(水面W1の1%未満の太陽光しか届かない領域)との境界付近に、スクリュー44が位置するように、上記の距離L1を調整することが好ましい。
駆動軸42の下端部42aには、供給棚50が設けられている。供給棚50には、粉末状の浄化活性剤B1が封入された浄化材等包含材60が供給(投入)されるようになっている。供給棚50の底部に設けられた支持部材51によって、供給棚50が駆動軸42の下端部42aに一体的に連結されている。供給棚50は、例えば、図5に示すように、半円状の2つの容器52が連結金具53によって連結された構成になっている。容器52は、例えば樹脂製の繊維等によってメッシュ状に形成されており、供給された浄化材等包含材60が容器52の網目から抜け落ちないようになっている。また、浄化材等包含材60の溶解後、浄化材等包含材60の内部に封入された浄化活性剤B1が容器52の網目を通過して水中に散布されるようになっている。なお、供給棚50の上方を蓋部材によって覆う構成としてもよい。
浄化材等包含材60は、例えばゼラチン等の水溶性の材質によって形成されている。浄化材等包含材60の内部には、図6に示すように、粉末状の浄化活性剤B1が封入されている。浄化材等包含材60が水中に浸されると、所定時間の経過後、浄化材等包含材60が溶解し、浄化材等包含材60の内部に封入された浄化活性剤B1が水中に散布される。
浄化活性剤B1は、多孔質の礫状物を粉末化して結合材を煉合せた固化物である。本実施形態では、浄化活性剤B1は、火山砕屑物を主成分として含む構成になっている。より具体的には、浄化活性剤B1は、火山礫に炭素を混合した構成になっている。例えば、多孔質火山礫に炭素を混合したものに対し加熱処理を行って、加熱処理により形成された焼成物を粉砕することによって、粉末状の浄化活性剤B1を製造することが可能である。
浄化活性剤B1は、酸化ケイ素(SiO2)を、例えば、40〜60重量%含む。酸化ケイ素(SiO2)以外の成分として、酸化アルミニウム(Al23)及び炭素(C)が含まれている。酸化アルミニウム(Al23)は、例えば、10〜20重量%含まれており、炭素(C)は、例えば、10〜20重量%含まれている。また、上記以外の成分として、例えば酸化カルシウム(CaO)等が含まれている。
上述のような浄化活性剤B1が水中に散布されると、水中の植物プランクトンの増殖が促進される。これに伴って、水中の動物プランクトンが増加し、さらには、小型の魚類や、大型の魚類が増加する。このような水中での食物連鎖が、浄化活性剤B1によって促進される。そして、植物プランクトンや動物プランクトン等の微生物によって、水中の富栄養化の要因となる有機物が分解される。このようにして、浄化活性剤B1が散布された閉水域の水質が浄化される。
上述のように構成された水循環装置10Aでは、ソーラーパネル22aによって発電された電力が回転駆動部40の電動モータ41に供給されることにより、電動モータ41が駆動すると、駆動軸42が回転し、これに伴って、ファン30及びスクリュー44が回転する。図2では、ファン30がA1方向に所定角度だけ回転した状態を2点鎖線で示している。ファン30の回転数(駆動軸42の回転数)は、例えば1rpm〜10rpmに設定されている。なお、本実施形態では、水循環装置10Aにバッテリ等の充電設備は設けられておらず、ソーラーパネル22aで発電が行われたときのみ、電動モータ41が駆動されるようになっている。
ファン30が水面W1に沿って水平方向に回転すると、ファン30の周囲の水面W1付近の水が羽根部材32によって遠心方向(水平方向)に押し出される。そして、羽根部材32により押し出された水を補うように、汲み上げ作用によって水底から水面W1に向けて水が導かれる(上昇する)。このようにして、水面W1に沿う流れ→水面W1から水底に向かう流れ→水底に沿う流れ→水底から水面W1に向かう流れ、という循環流が閉水域に形成される。このような循環流により、水面W1に沿って流れる水が、空気中の酸素を取り込み、順次、水中へ送られることによって、水中の溶存酸素量が増加する。そして、水中の溶存酸素量の増加により、水中の植物プランクトンや動物プランクトン等の微生物が活性化し、微生物によって、水中の富栄養化の要因となる有機物が分解される。また、植物プランクトン等の増殖に伴って、光合成による水中の溶存酸素量がさらに増加し、有機物の分解が促進される。このようにして、水循環装置10Aが設置された閉水域の水質が浄化される。
本実施形態の環境浄化装置100Aでは、水循環装置10Aによる水質浄化だけでなく、上述したような浄化活性剤B1による水質浄化も行われるようになっている。すなわち、浄化材等包含材60の溶解により浄化活性剤B1が水中に散布されると、水循環装置10Aによって形成された循環流によって、浄化活性剤B1を効率よく閉水域の略全域に拡散させることができ、閉水域の略全域の浄化を促進することができる。このように、本実施形態では、水循環装置10Aによる水質浄化と、浄化活性剤B1による水質浄化との相乗効果によって、閉水域の水質浄化作用を促進することができる。したがって、水循環装置10Aによる水質浄化のみを用いた場合(浄化活性剤B1を用いない場合)に比べて、閉水域の水質を比較的短時間で浄化することが可能になり、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(生物化学的酸素要求量)、SS(懸濁物質量)等を比較的速やかに低減させることが可能になる。
また、本実施形態では、スクリュー44の回転によって、水面W1から水底に向かう水の流れが増大されるので、水循環装置10Aの汲み上げ作用を向上させることができ、水循環装置10Aによって、循環流を閉水域に迅速に形成することができる。また、スクリュー44の水底からの距離L1が調整可能になっているので、スクリュー44を有光層と無光層との境界付近に配置することによって、無光層の水を有光層へ効果的に送り込むことができる。
また、本実施形態では、浮遊部材24の経年劣化で浮力が低下しても、浮遊体24aの個数、スペーサ27の厚みや枚数を調整することで、羽根部材32の水面W1からの距離(羽根部材32の上端32aと水面W1との間の隙間C1)を最適な状態に保つことができる。
また、本実施形態では、浄化活性剤B1が浄化材等包含材60に封入されているので、浄化活性剤B1が直ちに水中に拡散されることがなく、浄化材等包含材60の溶解後に浄化活性剤B1を水中に拡散させることができる。これにより、浄化材等包含材60の膜厚等に応じて浄化材等包含材60の溶解速度を調整することによって、水中への浄化活性剤B1の拡散時期を調整することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る環境浄化装置100Bの概略構成について、図7を参照して説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る環境浄化装置100Bの概略構成を示す図である。
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係る環境浄化装置100Bは、ファン30を水面W2に沿って水平方向に回転させ、遠心方向に水を押し出すことによって、水底から水面W2に向けて水を導き、閉水域に循環流を発生させる水循環装置10Bを備え、この水循環装置10Bにより閉水域の水中に浄化活性剤等を拡散させて、当該閉水域の周囲の土壌を浄化するものである。本実施形態において、閉水域としては、例えば地面に形成された井戸等が挙げられるが、閉水域は、水循環装置10Bによって循環流を形成することが可能なものであれば特に限定されない。
なお、上述した第1実施形態の環境浄化装置100A(図1〜図6参照)と共通の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。また、共通の構成によって生じる作用効果も第1実施形態の環境浄化装置100Aと同様であり、説明を省略する。以下では、本実施形態にかかる環境浄化装置100Bについて、上述した第1実施形態の環境浄化装置100Aとは異なる点について主に説明する。
図7に示すように、環境浄化装置100Bは、地面に形成された井戸11に設置されている。例えば略円管状のコンクリート製の隔壁(管壁)12によって、井戸11内の空間と、地中(土中)とが仕切られている。隔壁12の内部の空間には、井戸11の下方の地下水層S1から湧き上がった水が貯溜可能になっており、井戸11の水面W2が、隔壁12の上端近傍に位置している。隔壁12には、多数の開口部12aが形成されており、これらの開口部12aから井戸11の周囲の土壌S2へ井戸11内の水が排出されるようになっている。井戸11の上方の開口は、蓋体13によって覆われている。井戸11の水底には、多数の石14や砂利等が敷かれている。
蓋体13は、コンクリート製や鋳鉄製であり、中央部には開口部13aが設けられている。蓋体13外径は、隔壁12の外形と略同じ大きさになっており、蓋体13が井戸11に落下しないようにされている。
環境浄化装置100Bに備えられる水循環装置10Bは、上記第1実施形態の水循環装置10A(図1参照)と略同様の構成になっており、井戸11の水中に配置されたファン(水掻き羽根)30と、ファン30を回転させる回転駆動部40と、井戸11の水面W2に浮遊し、回転駆動部40を収容するハウジング20とを備えている。そして、水循環装置10Bは、回転駆動部40によりファン30を回転することによって浄化活性剤等を井戸11の水中に拡散させる構成になっている。
ハウジング20、ファン30、及び回転駆動部40は、上記第1実施形態と略同様の構成になっているが、若干の構成が異なっている。すなわち、本実施形態では、ハウジング20に設けられた側壁部21の上部及び天井板22が、蓋体13の開口部13aから突出されている。また、ハウジング20の浮遊部材24の上部にロープ25の一端が連結され、ロープ25の他端が蓋体13の下面に連結されており、これにより、井戸11の所定位置にハウジング20が配置されるようになっている。
また、本実施形態では、回転駆動部40の駆動軸42の下端部42aに、複数(図7では、2つ)の供給棚50,50aが設けられている。第1の供給棚50には、上記実施形態と同様に、粉末状の浄化活性剤B1が封入された浄化材等包含材60が供給(投入)される。一方、第2の供給棚50aには、土壌浄化剤B2が供給(投入)されるようになっている。土壌浄化剤B2は、浄化材等包含材には封入されておらず、第2の供給棚50aに直接、供給されるようになっている。土壌浄化剤B2は、例えば鉄粉、水酸化鉄(Fe(OH)3)等のような還元剤を含む構成になっている。
本実施形態の環境浄化装置100Bでは、上記第1実施形態と同様に、水循環装置10Bによって井戸11に循環流が形成され、この循環流により第2の供給棚50aに配置された土壌浄化剤B2が、井戸11内に拡散される。また、第1の供給棚50に配置された浄化活性剤B1が、浄化材等包含材60の溶解後、井戸11内に拡散される。そして、井戸11内に拡散された浄化活性剤B1及び土壌浄化剤B2は、隔壁12に設けられた多数の開口部12aから排出される水とともに、井戸11の周囲の土壌S2に拡散(排出)される。
浄化活性剤B1が土壌S2中に拡散されると、浄化活性剤B1によって土壌S2中のバクテリアの増殖が促進される。バクテリアによって、土壌S2中に含まれたVOC(揮発性有機化合物)や、シアン化合物、油分等が分解される。また、土壌浄化剤B2としての鉄粉や、水酸化鉄が土壌S2中に拡散されると、土壌S2中に含まれたVOCや、重金属等が、酸化還元反応により無害な物質に分解される。これにより、浄化活性剤B1及び土壌浄化剤B2が拡散された井戸11の周囲の土壌S2を浄化することができる。このような浄化活性剤B1、土壌浄化剤B2を用いることによって、例えばガソリンスタンドの跡地の土壌に浸み込んだガソリン、オイル等を分解して、ガソリンスタンドの跡地の土壌を効果的に浄化することができる。
なお、3つ以上の供給棚を環境浄化装置100Bに設ける構成としてもよい。3つの供給棚を環境浄化装置100Bに設ける場合、例えば、第1の供給棚に浄化活性剤B1を供給し、第2の供給棚に土壌浄化剤B2としての鉄粉を供給し、第3の供給棚に土壌浄化剤B2としての水酸化鉄を供給することが可能である。
今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
上述した浄化活性剤B1は一例であって、微生物活性作用のある成分を主成分として含む構成であれば上記以外の浄化活性剤を用いてもよい。また、上述した土壌浄化剤B2は一例であって、還元剤を含む構成であれば上記以外の土壌浄化剤を用いてもよい。浄化活性剤B1を粉末状以外の形態(例えば、粒子状や固形物の状態)で供給してもよい。浄化活性剤B1を粉末状以外の形態で供給する場合、浄化活性剤B1を浄化材等包含材60に封入せずに供給することも可能である。
上記第1、第2実施形態において、浄化活性剤B1等を定期的に供給する手段を設ける構成としてもよい。あるいは、作業者が浄化活性剤B1等を定期的に供給棚に供給するようにしてもよい。
上記第1実施形態の環境浄化装置100Aに複数の供給棚を設ける構成としてもよい。また、上記第2実施形態の環境浄化装置100Bに1つの供給棚のみを設ける構成としてもよい。上記第1、第2実施形態において、供給棚以外の手段によって、浄化活性剤B1等を供給する構成としてもよい。例えば、ネット状の袋等を用いて、浄化活性剤B1等を供給することも可能である。
本発明は、湖や、池、沼等の閉水域の水質や、当該閉水域の周囲の土壌を浄化する環境浄化装置に利用することが可能である。
100A、100B 環境浄化装置
10A、10B 水循環装置
20 ハウジング
22a ソーラーパネル
30 ファン
32 羽根部材
40 回転駆動部
41 電動モータ
42 駆動軸
44 スクリュー
50 供給棚
60 浄化材等包含材
B1 浄化活性剤
B2 土壌浄化剤
W1、W2 水面

Claims (8)

  1. ファンを水面に沿って水平方向に回転させ、遠心方向に水を押し出すことによって、水底から水面に向けて水を導き、閉水域に循環流を発生させる水循環装置を備えた環境浄化装置であって、
    前記水循環装置は、水中に配置された前記ファンと、前記ファンを回転させる回転駆動部と、水面に浮遊し、前記回転駆動部を収容するハウジングとを備え、前記回転駆動部により前記ファンを回転することによって浄化活性剤を水中に拡散させるように構成されていることを特徴とする環境浄化装置。
  2. 請求項1に記載の環境浄化装置において、
    前記ファンの水面からの距離が、変更可能になっていることを特徴とする環境浄化装置。
  3. 請求項1または2に記載の環境浄化装置において、
    前記ファンの下方には、スクリューが設けられており、
    前記スクリューは、前記ファンと一体的に回転可能に設けられていることを特徴とする環境浄化装置。
  4. 請求項3に記載の環境浄化装置において、
    前記水底の深さが変化しても、前記スクリューの水底からの距離が、一定に保つことが可能になっていることを特徴とする環境浄化装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の環境浄化装置において、
    前記ファンの下方には、前記浄化活性剤が供給される供給棚が設けられていることを特徴とする環境浄化装置。
  6. 請求項5に記載の環境浄化装置において、
    前記浄化活性剤が、多孔質の礫状物を粉末化して結合材を煉合せた固化物を水及び有害物質の透過性を有する浄化材等包含材に封入されていることを特徴とする環境浄化装置。
  7. 請求項5または6に記載の環境浄化装置において、
    前記ファンの下方には、第2の供給棚が設けられており、
    前記第2の供給棚には、土壌浄化剤が供給されることを特徴とする環境浄化装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の環境浄化装置において、
    前記ハウジングの上面には、発電用のソーラーパネルが設置されており、
    前記ソーラーパネルによって発電された電力が、前記回転駆動部に供給可能になっていることを特徴とする環境浄化装置。
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