典型的なセルラ無線システムにおいて、移動局及び/又はユーザ装置ユニット(UE)としても知られるエンドユーザ無線端末は、無線アクセスネットワーク(RAN)を介して1つ以上のコアネットワークと通信する。無線アクセスネットワーク(RAN)は複数のセルエリアに分割される地理的エリアを範囲に含み、各セルエリアは例えば無線基地局(RBS)である基地局によりサービスを提供される。いくつかのネットワークにおいて、無線基地局を例えば「NodeB」又は「eNodeB」と呼ぶ場合もある。セルは、基地局の場所に存在する無線基地局装置により無線カバレッジを提供される地理的領域である。各セルは局所無線エリア内で識別子により識別され、これはセルにおいてブロードキャストされる。基地局は、無線周波数上で動作するエアインタフェースを介して、基地局の範囲内に存在するユーザ装置ユニット(UE)と通信する。
いくつかの無線アクセスネットワークにおいて、複数の基地局が例えば地上通信線又はマイクロ波リンクにより無線ネットワーク制御装置(RNC)又は基地局制御装置(BSC)に接続されてもよい。無線ネットワーク制御装置は、それに接続された複数の基地局の種々のアクティビティを監視及び調整する。無線ネットワーク制御装置は、典型的には1つ以上のコアネットワークに接続される。
ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)は、グローバルシステム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM(登録商標))から発展した第3世代移動体通信システムである。UTRANは、UEとUTRANの規格ではNodeBと呼ぶ基地局との間の通信に広帯域符号分割多元接続(W−CDMA)を使用する無線アクセスネットワークである。
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)として知られるフォーラムにおいて、通信サプライヤは第3世代ネットワーク一般に対する規格であり特にUTRANに対する規格を提案及び合意し、無線データレート及び無線容量を向上させる技術を検討している。3GPPは、UTRAN及びGSM(登録商標)に基づく無線アクセスネットワーク技術の更なる発展に着手している。発展型ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)の仕様に対する複数のリリースが発行されており、規格は発展し続けている。発展型ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)は、ロング・ターム・エボリューション(LTE)及びサービス・アーキテクチャ・エボリューション(SAE)を含む。
ロング・ターム・エボリューション(LTE)は3GPP無線アクセス技術の変形であり、無線基地局ノードは無線ネットワーク制御装置(RNC)ノードに接続されるのでなく、アクセスゲートウェイ(AGW)を介してコアネットワークに接続される。一般にLTEシステムにおいて、無線ネットワーク制御装置(RNC)ノードの機能は、LTEの仕様ではeNodeBと呼ばれる無線基地局ノードとAGWとに分散される。その結果、LTEシステムの無線アクセスネットワーク(RAN)は、無線ネットワーク制御装置(RNC)ノードに直属しない無線基地局ノードを含むアーキテクチャを有し、これは「フラット」アーキテクチャと呼ばれる場合もある。
例えばLTE等のセルラシステムにおけるUE等の無線端末であるノードからの送信及び受信は、周波数領域、時間領域又はそれらの組み合わせにおいて多重化可能である。周波数分割複信(FDD)システムでは、図1の左側に示すように、ダウンリンク送信及びアップリンク送信は十分に分離した異なる周波数帯域において行われる。時分割複信(TDD)では、図1の右側に示すように、ダウンリンク送信及びアップリンク送信は重なり合わない異なる時間スロットにおいて行われる。従って、TDDは対になっていない周波数スペクトルにおいて動作できるが、FDDは対になっている周波数スペクトルを必要とする。
通常、通信システムにおける送信信号は何らかの形態のフレーム構造に編成される。例えばLTEは、図2に示すように、サイズの等しい長さ1ミリ秒の10個のサブフレーム0〜9を無線フレーム毎に使用する。
図2の上部に示すFDD動作の場合、アップリンク送信のためのキャリア周波数(fUL)及びダウンリンク送信のためのキャリア周波数(fDL)の2つのキャリア周波数が存在する。少なくともセルラ通信システムにおける無線端末に関して、FDDは全二重又は半二重のいずれであってもよい。全二重の場合、端末は送信及び受信を同時に行えるが、半二重動作において(図1を参照)、端末は送信及び受信を同時に行うことができない(しかし、基地局は送信及び受信を同時に行うことができ、すなわち1つの端末から受信するのと同時に別の端末へ送信できる)。LTEにおいて、半二重無線端末は、特定のサブフレームにおいてアップリンクで送信するように明示的に指示された場合以外、ダウンリンクにおいてモニタリング/受信する。
TDD動作(図2の下部に示す)の場合、単一のキャリア周波数FUL/DLのみが存在し、アップリンク送信及びダウンリンク送信はセル単位でも時間分離される。同一のキャリア周波数がアップリンク送信及びダウンリンク送信に使用されるため、基地局及び移動端末の双方が送信と受信とを切り替える必要がある。TDDシステムの重要な側面は、アップリンク送信とダウンリンク送信との間の干渉を回避するために、ダウンリンク送信及びアップリンク送信のいずれも行われない十分に長いガード時間を提供することである。LTEの場合、特殊サブフレーム(サブフレーム1、及び場合によってはサブフレーム6)がこのガード時間を提供する。TDDの特殊サブフレームは、ダウンリンク部分(DwPTS)、ガード期間(GP)及びアップリンク部分(UpPTS)の3つの部分に分割される。残りのサブフレームは、アップリンク送信又はダウンリンク送信のいずれかに割り当てられる。
時分割複信(TDD)では、アップリンク送信及びダウンリンク送信に割り当てられるリソース量の非対称性を、異なる複数のダウンリンク/アップリンク構成によって異ならせることができる。LTEでは、図3に示すように7個の異なる構成が存在する。各構成は、10ミリ秒の各無線フレームにおけるダウンリンクサブフレーム及びアップリンクサブフレームの割合が異なる。例えば図3の最上部に示す構成0は、表記「DL:UL 2:3」で示すように、5ミリ秒の各ハーフフレームに2個のダウンリンクサブフレーム及び3個のアップリンクサブフレームを有する。構成0、1及び2は、無線フレームの5ミリ秒の各ハーフフレームにおいて同一の配置を有するが、残りの構成はそのような配置を有さない。例えば構成5は、表記「DL:UL 9:1」で示すように、1個のアップリンクサブフレームのみと9個のダウンリンクサブフレームとを有する。複数の構成はアップリンク/ダウンリンクの様々な割合を提供するため、システムは予想されるトラフィック負荷に最適な構成を選択できる。
異なるセル間のダウンリンク送信とアップリンク送信との間の重大な干渉を回避するために、隣接するセルは同一のダウンリンク/アップリンク構成を有する必要がある。同一の構成を有さない場合、図4に示すように、1つのセルにおける基地局2(BS2)へのアップリンク送信が隣接セルにおける基地局1(BS1)からのダウンリンク送信と干渉する場合がある(また、1つのセルにおける基地局1(BS1)へのアップリンク送信が隣接セルにおける基地局2(BS2)からのダウンリンク送信と干渉する場合もある)。図4では、図中で移動局1(MS2)として識別される右側のセル内のUEのアップリンク送信は左側のセル内のUE(MS1)によるダウンリンク受信と干渉している。その結果、ダウンリンク/アップリンクの非対称性はセル間で変動しない。ダウンリンク/アップリンク非対称構成は、システム情報の一部としてシグナリングされ、長期間固定される。
LTEにおいて、ダウンリンクは直交周波数分割多重化(OFDM)に基づくが、アップリンクはシングルキャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)としても知られる離散フーリエ変換拡散(DFT拡散)OFDMに基づく。詳細は、www.3gpp.orgで入手できる3GPPドキュメント「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical channels and modulation」, 3GPP TS 36.211, V11.3.0において見つけられるだろう。送信時間間隔(TTI)は1ミリ秒のサブフレームに等しく、サブフレームはダウンリンクでは14個のOFDMシンボル区間で構成され、アップリンクでは14個のSC−FDMAシンボル区間で構成され、通常の長さのサイクリックプレフィックスを与えられる。これらのシンボル区間において送信されるOFDMシンボル及びSC−FDMAシンボルの部分は、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)及び物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)と呼ばれる物理チャネルにおいてユーザデータを搬送するために使用される。将来の無線通信システムでは、ユーザデータの遅延を低減するために、サブフレームの長さが大幅に低減される可能性がある。更に、将来の無線システムでは、ダウンリンク及びアップリンクの双方がOFDMに基づく可能性がある。
現在の無線システムの発展及び将来の無線通信システムの発達にとって重要な優先事項は、特にスモールセルの場合に当てはまるビットレートの高速化及び遅延の短縮である。ビットレートの高速化は、例えば広帯域スペクトルリソースを利用できる高いキャリア周波数を使用することにより達成可能である。また、TDD(時分割複信)への関心が高まっている。動的TDDシステム、すなわちTDD構成が1つのフレームと次のフレームとの間で必ずしも静的でないシステムを用いる場合、ダウンリンク(eNodeBからUEへ)に使用される区間の数とアップリンク(UEからeNodeBへ)に使用される区間の数との関係を適応的に変更することにより、ダウンリンクビットレート又はアップリンクビットレートを瞬時に増加できる。スモールセル内では伝搬遅延が小さいため、ダウンリンクからアップリンクに切り替える際に短いガード期間を使用できる。従って、ダウンリンク送信とアップリンク送信との間の干渉を最小限に維持し、且つ、制御シグナリングを最小限に維持しながら、動的TDDシステムにおいてダウンリンクとアップリンクとを切り替えるための改良技術が必要とされる。
以下の説明において、限定するためではなく説明するために、本発明の特定の実施形態の特定の詳細を記載する。他の実施形態がそれらの特定の詳細を用いずに使用されてもよいことが当業者には理解されるだろう。更に、いくつかの例において、不必要な詳細により説明を不明瞭にしないために、既知の方法、ノード、インタフェース、回路及び装置の詳細な説明を省く。説明される機能は1つのノード又は複数のノードにおいて実現されてもよいことが当業者には理解されるだろう。説明される機能のいくつか又は全ては、専用化した機能を実行するために相互接続されたアナログ及び/又は離散論理ゲート、ASIC、PLA等のハードウェア回路を使用して実現されてもよい。同様に、機能のいくつか又は全ては、1つ以上のデジタルマイクロプロセッサ又は汎用コンピュータと連携してソフトウェアプログラム及びデータを使用して実現されてもよい。エアインタフェースを使用して通信するノードを説明する場合、それらのノードは適切な無線通信回路を更に有することが理解されるだろう。更に、本発明は、本明細書中で説明する技術をプロセッサに実行させる適切なコンピュータ命令セットを含む固体メモリ、磁気ディスク又は光ディスク等の非一時的な実施形態を含む何らかの形態のコンピュータ読み取り可能メモリ内で完全に実現されることが更に考えられる。
本発明のハードウェアでの実現例は、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、縮小命令セットプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むがそれらに限定されないハードウェア(例えば、デジタル又はアナログ)回路、並びにそのような機能を実行できるステートマシン(適切である場合)を含んでもよいが、それらに限定されない。
コンピュータの実現例に関して、コンピュータは、一般に、1つ以上のプロセッサ又は1つ以上のコントローラを備えると理解され、用語「コンピュータ」、「プロセッサ」及び「コントローラ」は交換可能に使用されてもよい。コンピュータ、プロセッサ又はコントローラにより提供される場合、機能は、単一の専用コンピュータ、プロセッサ又はコントローラにより提供されてもよく、単一の共有コンピュータ、プロセッサ又はコントローラにより提供されてもよく、いくつかが共有又は分散されてもよい複数の個別のコンピュータ、プロセッサ又はコントローラにより提供されてもよい。更に、用語「プロセッサ」又は「コントローラ」は、上述のハードウェアの例のように、そのような機能を実行できる、及び/又はソフトウェアを実行できる他のハードウェアを更に示す。
次に図面を参照すると、図5は、移動端末100に無線通信サービスを提供するための移動体通信ネットワークの一例を示す。3GPP用語で「ユーザ装置」又は「UE」と呼ぶ3つの移動端末100が図5に示される。移動端末100は、例えば携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、マシン型通信/マシンツーマシン(MTC/M2M)装置又は無線通信機能を有する他の装置を含んでもよい。尚、本明細書中で使用する場合、用語「移動端末」は移動体通信ネットワークにおいて動作する端末を示し、端末自体が携帯型又は移動可能型であること必ずしも意味しない。従って、本明細書中で使用される場合、当該用語は用語「無線装置」と置き換え可能であると理解されるべきであり、特定のマシンツーマシンアプリケーション等の、固定された構成に設置された端末、ポータブル装置、自動車に設置された装置等を示してもよい。
移動体通信ネットワークは、複数の地理的セルエリア又はセクタ12を含む。各地理的セルエリア又はセクタ12は、正式には発展型ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(E−UTRAN)として知られているLTE無線アクセスネットワークとの関連ではeNodeBと呼ばれる基地局20によってサービスを提供される。1つの基地局20は、複数の地理的セルエリア又はセクタ12においてサービスを提供してもよい。移動端末100は、1つ以上のダウンリンク(DL)チャネルで基地局20から信号を受信し、1つ以上のアップリンク(UL)チャネルで基地局20へ信号を送信する。
LTEネットワークにおいて、基地局20は、eNodeBであり、X2インタフェース(不図示)を介して1つ以上の他のeNodeBに接続されてもよい。eNodeBは、S1−MMEインタフェースを介してMME130に更に接続され、サービングゲートウェイ(不図示)等の1つ以上の他のネットワークノードに接続されてもよい。
例示するために、本発明の複数の実施形態をEUTRANシステムにおいて説明する。しかし、本発明の複数の実施形態は他の無線通信システムに更に一般に適用可能であってもよいことが当業者には理解されるだろう。
上述したように、TDD(時分割複信)システムでは同一の周波数がダウンリンク及びアップリンクの双方に使用される。その場合、全二重動作が可能でないと仮定すると、UE及びeNodeBの双方が送信と受信とを切り替える必要がある。図6は、ダウンリンクとアップリンクとの間のタイミングを示しており、同図は、UE及びeNodeBの双方におけるサブフレーム送信時間及びサブフレーム受信時間を時間に対して示し、これはOFDM(又はSC−FDMA)シンボルインデックスを単位として測定可能である。UEがeNodeBのカバレッジエリア内で移動すると変化しうる伝搬遅延に起因して、eNodeBにより送信されたダウンリンクサブフレームは遅延してUEで受信される。UEの受信機における高速フーリエ変換(FFT)ウィンドウは、サブフレームのデータ部分がFFTウィンドウ内に完全に含まれながら、当該サブフレームのサイクリックプレフィックス(CP)部分がFFTウィンドウのエッジと重なりうるように、受信したサブフレームと位置合わせされる。UEにより送信されるアップリンクサブフレームは、UEの受信モードから送信モードへの切り替え時間の完了後にのみ送信可能であり、伝搬遅延してeNodeBにおいて受信される。UEの送信のタイミングは、複数のUEからの連続するアップリンクサブフレームのデータ搬送部分が、互いに重なり合わず、且つ、eNodeBの受信機のFFTウィンドウ内に含まれるように、eNodeBによって制御される。この場合も、サイクリックプレフィックス(CP)を含むサブフレームの部分はeNodeBのFFTウィンドウのエッジと重なってもよい。
LTEリリース11では、アップリンクサブフレーム及びダウンリンクサブフレームの固定割り当てが使用され、これはwww.3gpp.orgで入手できる「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical channels and modulation」, 3GPP TS 36.211, V11.3.0において定義されている。いくつかの予め定義された割り当てが、図7に示すように指定される。同図では、アップリンク‐ダウンリンク構成0〜6が各々の5ミリ秒又は10ミリ秒の周期とともに示されている。図7に示す表において、各サブフレーム番号0〜9は、ダウンリンクサブフレームに対応する「D」サブフレーム、アップリンクサブフレームに対応する「U」サブフレーム及び特殊サブフレームに対応する「S」サブフレームのいずれかとして示されている。特殊サブフレームは、連続するダウンリンクサブフレームとアップリンクサブフレームとの間に挿入される。特殊サブフレームの詳細を図8に示す。特殊サブフレームは、ダウンリンク用のOFDMシンボル及びアップリンク用のSC−FDMAシンボルの双方と、それらの間のガード期間とを含む。このガード期間は、図6に示すようにアップリンクシンボルがeNodeBのFFTウィンドウ内で受信されるように、タイミングアドバンスを用いて送信するためにUEによって使用される。ガード期間は、eNodeB及びUEの送受信回路がダウンリンクモードからアップリンクモードに切り替わるための時間を更に提供する。
動的TDDシステムにおいて、ダウンリンクサブフレームの数とアップリンクサブフレームの数との間の関係は、図7に示す準静的な構成に従って固定されず、現在必要とされるものに依存して柔軟に構成可能である。例えばUEは、所与のサブフレームにおいて送信するように明示的に指示されない限り、全てのサブフレームをダウンリンクサブフレームとして扱ってもよい。動的TDDに対するこのアプローチは、2011年6月23日に公開され、且つ、その全体の内容が本明細書で援用される、「Flexible Subframes」という表題が付された米国特許出願公開第2011/0149813号明細書で説明されている。柔軟なサブフレームが使用される場合、eNodeBは、UEが受信をスケジューリングされる時間及び方法(すなわち、ダウンリンク割り当て)及びアップリンクで送信する時間及び方法(すなわち、アップリンクグラント)を示す制御信号を、UEに送出する。LTEにおいて、この制御シグナリングは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)又は拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)のいずれかによって搬送可能である。ダウンリンク割り当ては、ユーザデータが送信されるのと同一のサブフレームで送信される一方で、アップリンクグラントは、UEがアップリンクで送信するようにスケジューリングされる数サブフレーム前に送信される。
アップリンクとダウンリンクとの間の関係を固定した場合、無線リソースを柔軟に使用できなくなる。しかし、動的TDDを用いると、ダウンリンクサブフレーム及びアップリンクサブフレームとしてそれぞれ使用されるサブフレームを全てのUEが認識する必要がある場合には制御シグナリング量が大幅に増加する可能性がある。更に、動的TDDでは、UEの回路がダウンリンクモードからアップリンクモードに切り替わるようにするために、連続するダウンリンクサブフレームとアップリンクサブフレームとの間にガード期間が必要である。
ガード期間は、ダウンリンクにおける1つ又は複数のOFDMシンボルを省くことによって作成可能である。冗長符号化を使用するシステムにおいて、受信側UEは、それらの省かれたOFDMシンボルを「パンクチャリングされた」シンボルとして扱うことができ、通常は当該シンボルによって搬送されるデータを通常の復号化技術を使用して再構成できる。あるいは、受信側UEは、サブフレームの残りの部分におけるデータを復号化し、データを搬送しないシンボル区間を回避できる。いずれの場合も、ダウンリンクにおける1つ又は複数のOFDMシンボルを省くことによよってガード期間が作成される場合、eNodeBは、サブフレームの最後のOFDMシンボルが省かれることを示す制御信号を全てのUEに送出する必要がある。従って、このアプローチによると、シグナリングがダウンリンクグラントに含められ、当該シグナリングは、eNodeBが通常のサブフレームよりも1つ又は複数のOFDM(又はSC−FDMA)シンボル短いサブフレームを送信していること、及び、当該サブフレームの送信が、通常のサブフレームの場合よりも1つ又は複数のOFDM(又はSC−FDMA)シンボル区間早くどこで終了することを示す。尚、このインジケーションは、当該サブフレームに対してスケジューリングされる全てのUEにシグナリングされる必要があり、それ故に、大きなシグナリングオーバーヘッドが必要になりうる。
代替案は、最後のOFDMシンボルのうちの1つ又は複数が省かれているかをUEがブラインドで検出できることである。しかし、UEが互いに十分に分離されていない場合にそれらの最後のダウンリンクOFDMシンボルの期間に別のUEがアップリンクで送信すると、干渉が発生する。この干渉の結果、OFDMシンボルが省かれているかの検出の信頼性が低下し、性能が低下する。
別のアプローチは、UEがアップリンクサブフレーム送信の先頭から1つ以上のシンボルを省くことによってガード期間を作成することである。このアプローチによると、基地局は、通常のサブフレームよりも1つ又は複数のOFDM(又はSC−FDMA)シンボル短いサブフレームをUEが送信する必要があること、及び、当該サブフレームの送信が、通常のサブフレームよりも1つ又は複数のOFDM(又はSC−FDMA)シンボル区間遅くどこで開始するかを示すシグナリングを、ULグラントに含める。
図9は、後者のアプローチによるサブフレームのタイミングを示しており、同図では、一連のサブフレームは柔軟にスケジューリングされ、1つのサブフレームはアップリンク(UL)で使用するためにスケジューリングされ、2つの他のサブフレームはダウンリンク(DL)で使用するためにスケジューリングされ、残りのサブフレームはスケジューリングされていない。アップリンクグラントはサブフレームn(図9ではn=5)においてダウンリンクで送信され、UEがサブフレームn+g(図9ではg=5)においてアップリンクで送信する必要があることを示す。eNodeBがサブフレームn+g−1(サブフレーム9)においてダウンリンクで送信する場合、UEは、短いガード期間を作成するために、アップリンクサブフレームn+g(図9ではサブフレーム10)の送信の先頭から1つ又は複数のOFDM(又はSC−FDMA)シンボルを省く必要がある。従って、「サブフレーム短縮メッセージ」がアップリンクグラントに含められ、当該メッセージは、UEがアップリンクサブフレーム送信の先頭から1つ以上のシンボルを省く必要があることをUEに対して知らせる。図9の底部に示すように、アップリンクサブフレームは、0〜13の番号を付けられた14個のシンボル区間を含むサブフレーム区間にわたる。これらのシンボル区間の各々は、通常はOFDM(又はSC−FDMA)シンボルを搬送する。しかし、OFDMシンボルはサブフレーム区間の先頭の1つ以上のシンボル区間から省略可能である。図9に示す例において、サブフレーム区間の先頭の2つのOFDMシンボルを省くことによってガード期間が作成されている。
尚、図10に示すようにサブフレームn+g−1(サブフレーム9)がeNodeBからのダウンリンク送信を含まない場合、あるいは図11に示すようにサブフレームn+g+1が別のUEからのアップリンクサブフレームである場合には、UEは、サブフレームn+gにおいてアップリンクサブフレームの先頭から1つ以上のシンボルを省く必要がない。このように、図10は、スケジューリングされたアップリンクサブフレームに先行するサブフレーム区間に対してダウンリンクサブフレームがスケジューリングされていない点を除いて図9と同様であり、これは、UEがアップリンクサブフレームの先頭からシンボルを省くことによってガード期間を作成する必要がないことを意味する。図11も、ダウンリンクサブフレームの直後に2つのUEの各々に対して1つずつの2つの連続するアップリンクサブフレームがスケジューリングされている点を除いて図9と同様である。UE2に対してスケジューリングされるアップリンクサブフレームは、ダウンリンクサブフレームではなく、UE1に対してスケジューリングされるアップリンクサブフレームに後続するため、UE2は第2のアップリンクサブフレームにおいてガード期間を作成する必要がない。従って、図11の底部に示すように、2つのアップリンクサブフレームのうちの第1のサブフレームのみが、サブフレーム区間の先頭のシンボルを省くことによって作成されたガード期間を含む。これらの例(すなわち、図10及び図11に示すシナリオ)もアップリンクグラントによって制御され、すなわちサブフレーム短縮メッセージを完全に省くこと又は所与のアップリンクサブフレームは短縮が不要であることを示すサブフレーム短縮メッセージを含めることによって制御される。尚、eNodeBがサブフレームnにおいてアップリンクグラントを送出する場合、サブフレームn+g−1がダウンリンク送信に使用されるか確かでない場合がある。一般に、サブフレームn+g−1がダウンリンク送信に使用されないことをeNodeBが認識している場合には、計画されたメッセージングの実現例に依存して、eNodeBはメッセージが不要であることを示すサブフレーム短縮メッセージを送出するか又はアップリンクグラントからサブフレーム短縮メッセージを省く必要がある。サブフレームn+g−1においてダウンリンク送信が行われるか否かをeNodeBが認識していない場合には、eNodeBはサブフレームn+g−1においてダウンリンク送信が行われると仮定して適切なサブフレーム短縮メッセージを送出する必要がある。
いくつかの実施形態において、アップリンクグラント内のサブフレーム短縮メッセージは、アップリンク送信の最初のOFDM(又はSC−FDMA)シンボルを省くか否かをシグナリングする単一ビットのみを含む。これらの実施形態において、UEは、サブフレーム短縮メッセージが受信された場合に所定の数のシンボルを省くように、ハードプログラミングにより事前に構成されるか、又は例えばRCCシグナリングにより準静的に事前に構成されてもよい。省かれるOFDM(又はSC−FDMA)シンボルの数をサブフレーム短縮メッセージが明示的に示す、更に柔軟な形式も使用可能である。このアプローチを用いると、ラウンドトリップタイムが短い場合は1つのOFDM(又はSC−FDMA)シンボルのみを省く必要があり、ラウンドトリップタイムの長いUEは複数のOFDMシンボルを省く必要がある場合がある。いくつかの実施形態において、eNodeBはセルサイズに基づいて常に同一のインジケーションを使用するように構成されてもよい。他の実施形態では、個々のUEのラウンドトリップタイムに対してサブフレーム短縮メッセージを適合させられるように、各UEのラウンドトリップタイムがeNodeBにおいて推定され、且つ、継続的にトラッキングされる。
例えば2ビットがサブフレーム短縮メッセージに使用されると仮定する。本例において、ビットシーケンス「00」は、アップリンクOFDM(又はSC−FDMA)シンボルを省く必要がないことをシグナリングするために使用されてもよい。シーケンス「01」は、1つのOFDM(又はSC−FDMA)シンボルを省く必要があることを示すために使用でき、シーケンス「10」は、2つのOFDM(又はSC−FDMA)シンボルを省く必要があることを示し、シーケンス「11」は、3つのOFDM(又はSC−FDMA)シンボルが省かれることを示す。あるいは、サブフレーム短縮メッセージの(複数の)ビットによって示される、パンクチャリングされるOFDMシンボルの数は、上位レイヤにより準静的に構成可能である。
アップリンクグラントは複数のサブフレームに対するグラントを含むことができることが理解されるだろう。それらのアップリンクサブフレームが連続する場合、サブフレームの短縮に関するシグナリングは、同時にスケジューリングされたサブフレームのうちの最初のサブフレームに対してのみ必要である。これを図12に示す。図12は、アップリンクグラントが、ダウンリンクサブフレームに続く4つの連続するアップリンクサブフレームに対してUEをスケジューリングするシナリオを示す。図12の底部に示すように、最初のアップリンクサブフレームのみが、サブフレームの先頭から1つ以上のシンボルを省くことによって作成されたガード期間を含んでいる。
また、動的TDDシステムは、ダウンリンクに対して固定され、それ故にアップリンクに使用されないいくつかのサブフレームを用いて構成されてもよい。それらのサブフレームは、例えば連続同期、初期同期及び呼セットアップ用に使用される同期及びブロードキャスト制御メッセージのために必要な場合がある。それらの固定ダウンリンクサブフレームのうちの1つ以上は、UEのマルチサブフレームアップリンクグラント内に存在してもよい。この場合、UEは、固定ダウンリンクサブフレームの間には送信できないが、その後に送信を継続できる。UEは、自身のアップリンクグラントに従って残りの全サブフレームの送信を継続してもよいし、あるいは、アップリンク送信全体が事実上、アップリンクグラントによって指示された数より1つ少ないサブフレームを含むように、グラント内のサブフレームのうちの1つが固定ダウンリンクサブフレームによって「パンクチャリング」されると見なしてもよい。いずれの場合も、UEは、図13に示すように当該固定ダウンリンクサブフレームの後の最初のサブフレームの1つ又は複数のOFDM(又はSC−FDMA)シンボルを省く必要がある。図13では、固定ダウンリンクサブフレームは「D」で示されている。前出の図面と同様に、アップリンクグラントは、サブフレームn(図13ではn=5)においてダウンリンクで送信され、UEがサブフレームn+g(図13ではg=5)から開始してアップリンクで送信する必要があることを示している。この場合、マルチサブフレームグラントは、サブフレーム12における固定ダウンリンクサブフレームと重なっており、これは当該ダウンリンクサブフレームの後に送信されるアップリンクサブフレームが短縮される必要のあることを示す。しかし、UEは当該固定ダウンリンクサブフレームを既に認識しているため、このサブフレームを短縮する必要性はUEにシグナリングされる必要がない。サブフレームの柔軟な短縮が使用される場合、省かれるOFDM(又はSC−FDMA)シンボルのデフォルトの数が使用されてもよい。あるいは、特定のUEに対するアップリンクグラント内の最後に受信したサブフレーム短縮メッセージに従うサブフレーム短縮が使用されてもよい。いずれの場合も、UEは、図13の底部に示すように、固定ダウンリンクサブフレームに続く最初のアップリンクサブフレームの先頭にガード期間を作成する。
eNodeBは、UEに対する信号対干渉雑音比(SINR)を増加させるために、ダウンリンク及びアップリンクのいずれか又は双方においてビームフォーミングを使用してもよい。このビームフォーミングはベースバンドにおいて行うことができ、その場合、異なるビームフォーマ間の変更はサンプル単位で行うことができる。しかし、マイクロ波又はRF位相調整器を用いて実現されるアナログビームフォーミング等の他のタイプのビームフォーミング技術の場合、このビームフォーミングの変更を適用するために構成要素に対してガードが必要な場合がある。また、ガード期間はキャリブレーション位相の間にアップリンクでの送信を休止するために使用可能である。これらの場合、eNodeBは、この目的のために、所与のアップリンクサブフレーム内の最初のOFDM(又はSC−FDMA)シンボルのうちの1つ又は複数を省くようにUEに命令してもよい。
図14Aは、サブフレームのリソースブロック(サブフレーム区間において12個の連続するOFDMサブキャリアで構成される時間‐周波数リソース)の一例を示す。同図では、複数のサブキャリアが垂直に示されており、サブフレーム区間が水平に伸びている。図示される例において、サブフレームは14個のOFDMシンボルで構成され、復調用参照信号(DM−RS)、チャネル状態情報参照シンボル(CSI−RS)及びセル固有参照信号(CRS)を含む複数の参照信号を含む。これらの信号の更なる詳細は、www.3gpp.orgで入手できる3GPPドキュメント「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical channels and modulation」, 3GPP TS 36.211, V11.3.0を参照されたい。同様のマッピングは将来の無線規格で使用できる。
図14Bは、別のマッピングの一例を示しており、同図では、サブフレームの全てのOFDMシンボルを受信する前のチャネル推定の開始を容易にするために、参照シンボルのマッピングが変更されている。しかし、サブフレームの最初のOFDMシンボルを省く場合に、参照シンボルは省かれるべきでない。それらのサブフレームにおいて、1つ又は複数のOFDMシンボルが省かれる場合には、例えば図14Cに示すような参照シンボル及びユーザデータ変調シンボルの別のマッピングが考えられる。
上述した実施形態のいずれかにおいて、アップリンクサブフレームは、サブフレームの最初の1つ又は2つのシンボルを単に送信しないことによって短縮されてもよい。eNodeBとUEとの間の距離が遠い環境、すなわち長いラウンドトリップタイムが予測される環境に対してシステムが設計される場合には、より多くのシンボルを省くことも考えられる。しかし、LTEリリース11では、チャネル符号化は、最初のシンボルが省かれた場合にユーザデータの一部を復号化できない場合があるように設計されている。更に詳細には、www.3gpp.orgで入手できる「Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Multiplexing and channel coding」, 3GPP TS 36.212, V11.3.0において指定されるように、ユーザデータは、複数のコードブロックにセグメント化される。そのような各コードブロックは、個別にターボ符号化及びインターリーブされ、その後、符号語は連結され、変調され、且つ、OFDM(又はSC−FDMA)シンボルにマッピングされる。当該マッピングにおいて、図15Aに示すように、連結された変調シンボルのシーケンスは、最初に周波数において(すなわち複数のサブキャリアにわたって)サブフレームにマッピングされ、その後、時間においてマッピングされる。図15A及び図15Bはそれぞれ、サブフレーム区間において12個の連続するOFDMサブキャリアで構成されるリソースブロックの一例を示す。同図では、複数のサブキャリアが垂直に示されており、サブフレーム区間が水平に伸びている。図示される例において、サブフレームは14個のOFDMシンボルで構成され、復調参照信号(DM−RS)を含む複数の参照信号を含む。明確にするために、他の参照シンボルは省かれている。図15Aにおいて、変調シンボルのシーケンスは、矢印で示すように最初に垂直に(すなわち周波数にわたって)マッピングされ、その後、水平に(すなわち時間にわたって)マッピングされる。このマッピングの結果、1つ又は複数のOFDM(又はSC−FDMA)シンボル全体をパンクチャリングする場合には1つ又は複数の符号語が完全にパンクチャリングされる。この問題に対する1つの解決策は、連結された変調シンボルのシーケンスをOFDMシンボル及びSC−FDMAシンボルにマッピングする方法を変更することである。図15Bは1つの方法を示しており、同図では、水平の矢印によって示されるように、マッピングは最初に時間において行われる。しかし、最初に時間においてマッピングすることの1つの欠点は、周波数ダイバーシティが減少することである。これは、時間におけるマッピングと周波数におけるマッピングとを交互に行う場合に緩和できる。
上記では、短縮されたサブフレームを送受信する種々の技術についてLTEシステムとの関連で説明してきた。しかし、これらの技術は無線ノード間のTDD無線リンクに更に一般に適用可能であり、LTEシステムにおいて見られるUEと基地局との関係を有する無線ノードに依存しないことが理解されるべきである。従って、図16は、定義されたサブフレーム区間に発生し、且つ、所定の長さ(例えば、所定の数のシンボル区間)を有する送信サブフレームでデータを送信するように構成される第1の無線ノードにおける実現に適した方法を示す。この方法がLTEコンテキストで実現される場合、第1の無線ノードはeNodeBと通信しているUEであってもよい。
ブロック1610に示すように、図示される方法は、短縮されたサブフレームが送信される場合に、アップリンクサブフレームから省かれる所定の数のシンボルを指定する構成情報を、第2の無線ノードから受信することから開始してもよい。図16では、この動作は破線の枠で図示されており、これは、この動作が全ての実施形態又は図示される方法の全ての例で存在するわけでないことを示している。
ブロック1620に示すように、図示される方法は、送信サブフレームが所定の長さと比べて短縮されることを判定することを含む。いくつかの実施形態又はいくつかの例において、これは、サブフレーム短縮情報を含むグラントメッセージを受信することによって行われてもよい。しかし、他の実施形態又は他の例において、第1の無線ノードは、スケジューリングされたブロードキャストサブフレームが、送信サブフレームに先行し、且つ、それと重なる受信サブフレームにおいて受信されることを判定することによって、送信サブフレームが短縮されることを判定してもよい。
ブロック1630に示すように、図示される方法は、送信サブフレームの送信を短縮することを更に含む。これは、送信サブフレームについてのサブフレーム区間の先頭部分の間に送信せずに当該サブフレーム区間の残りの部分の間に送信することによって行われる。いくつかの実施形態において、サブフレームの所定の継続時間は所定の数のシンボル区間であり、その場合、サブフレームの送信を短縮することは、送信サブフレームの先頭の1つ以上のシンボル区間の間に送信しないことを含む。尚、本明細書中で用語が使用されるように、サブフレーム区間は特定の数(例えば14個)のシンボル区間で構成され、各シンボル区間は通常は送信されたシンボルを搬送する。サブフレームが短縮される場合、サブフレーム区間のうちの1つ以上は送信シンボルを搬送しない。
上述のように、第1の送信サブフレームが短縮されることを判定することは、送信サブフレームが短縮されることを示すサブフレーム短縮情報を含むグラントメッセージを第2の無線ノードから受信することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、サブフレーム短縮情報は、送信サブフレームの先頭から所定の数のシンボルを省くことによって送信サブフレームが短縮されることを示す単一ビットで構成される。上記の実施形態のうちのいくつかにおいて、第1の無線ノードは、ブロック1610に示すように、グラントメッセージを受信する前に、所定の数を指定する構成情報を第2の無線ノードから受信する。他の実施形態において、第2の無線ノードから受信されるサブフレーム短縮メッセージは、送信サブフレームの先頭で省かれるシンボルの数を指定する。
図17は、図16に対応する無線ノードからのリンクの他端で実現される方法を示す。従って、図17に示す方法は、定義されたサブフレーム区間に発生し、且つ、所定の長さ(例えば、所定の数のシンボル区間)を有する受信サブフレームでデータを受信するように構成される無線ノードにおける実現に適している。LTEコンテキストの場合、このノードはeNodeBであってもよい。
ブロック1710に示すように、図示される方法は、短縮されたサブフレームが送信される場合に、アップリンクサブフレームから省かれる所定の数のシンボルを指定する構成情報を、第2の無線ノードへ送信することから開始してもよい。図17では、この動作は破線の枠で図示されており、これは、この動作が全ての実施形態又は図示される方法の全ての例で存在するわけでないことを示している。
ブロック1720に示すように、図示される方法は、第1のサブフレーム区間の間に第2の無線ノードによって送信されるサブフレームが短縮されることを示すサブフレーム短縮情報を含むグラントメッセージを、第2の無線ノードへ送信することに続く。LTEコンテキストの場合、この第2の無線ノードは例えばUEである。ブロック1730に示すように、本方法は、第1のサブフレーム区間の間に第2の無線ノードから第1の短縮されたサブフレームを受信することに続く。この場合、第1の短縮されたサブフレームは、所定の長さと比べて短縮されている。
いくつかの実施形態において、第2の無線ノードに送出されたサブフレーム短縮情報は、第1のサブフレーム区間の間に送信されるサブフレームの先頭で省かれるシンボルの数を指定する。他の実施形態において、サブフレーム短縮情報は、第1のサブフレーム区間の間に送信されるサブフレームが、送信サブフレームの先頭から所定の数のシンボルを省くことによって短縮されることを示す単一ビットで構成される。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、無線ノードは、グラントメッセージを送信する前に、第1のサブフレーム区間の間に送信されるサブフレームの先頭から省かれるシンボルの数を指定する構成情報を、第2の無線ノードへ送信する。
いくつかの実施形態において、無線ノードは、第1のサブフレーム区間の先頭の1つ以上の省かれたシンボルを、パンクチャリングされたデータとして扱うことによって、第1の短縮サブフレームからデータを復号化する。他の実施形態において、無線ノードは、第1のサブフレーム区間の先頭の省かれたシンボル区間を無視するデマッピングパターンに従って第1のアップリンクサブフレームからのデータシンボルをデマッピングし、且つ、デマッピングされたデータシンボルを復号化することによって、第1の短縮サブフレームから復号化データを取り出す。
いくつかの実施形態において、無線ノードは、更に、スケジューリングされたブロードキャストサブフレームを第2のサブフレーム区間の間に送信し、第2のサブフレーム区間の直後の第3のサブフレーム区間の間に第2の短縮されたサブフレームを受信してもよい。これをブロック1740及び1750に示しており、これらのブロックは、これらの動作が全ての実施形態又は図示される実施形態の全ての例で行われなくてもよいという意味で「オプション」であることを示すために破線の枠で示されている。
上述し且つ図16及び図17に一般に示した方法のうちの複数は、移動端末において提供される無線回路及び電子データ処理回路を使用して実現されてもよい。図18は、本例では移動端末として実現される、本発明の複数の実施形態に係る無線ノード1800の一例の特徴を示す。LTEシステムにおいて動作するように構成されたUEであってもよい移動端末1800は、1つ以上の基地局と通信する送受信機1820と、送受信機1820によって送受信された信号を処理する処理回路1810とを備える。送受信機1820は、1つ以上の送信アンテナ1828と結合された送信機1825と、1つ以上の受信アンテナ1833と結合された受信機1830とを含む。同一のアンテナ1828及び1833が送信及び受信の双方に使用されてもよい。受信機1830及び送信機1825は、典型的にはLTE用の3GPP規格等の特定の通信規格に従う既知の無線処理及び信号処理構成要素と無線処理及び信号処理技術とを使用する。そのような回路の設計及び実現に関連する種々の詳細及び技術上のトレードオフは既知であり、本発明を十分に理解するのに不要であるため、更なる詳細を本明細書中に示さない。
処理回路1810は、データ記憶装置1855及びプログラム記憶装置1860を構成する1つ以上のメモリ素子1850に結合された1つ以上のプロセッサ1840を備える。いくつかの実施形態において、図18でCPU1840と識別されるプロセッサ1840は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はデジタル信号プロセッサであってもよい。更に一般に、処理回路1810は、プロセッサ/ファームウェアの組み合わせ、専用デジタルハードウェア又はそれらの組み合わせを含んでもよい。メモリ1850は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ、キャッシュメモリ、フラッシュメモリ素子、光記憶装置等の1つ又は複数の種類のメモリを備えてもよい。この場合も、移動装置に対するベースバンド処理回路の設計に関連する種々の詳細及び技術上のトレードオフは既知であり、本発明を完全に理解するのに不要であるため、更なる詳細を本明細書中に示さない。
処理回路1810の典型的な機能は、送信信号の変調及び符号化、並びに受信信号の復調及び復号化を含む。複数の実施形態において、処理回路1810は、例えばプログラムストレージメモリ1860に格納された適切なプログラムコードを使用して、短縮されたサブフレームを送信する、説明した技術のうちの1つを実行するように構成される。
従って、本発明の種々の実施形態において、処理回路は、上記で詳細に説明した技術のうちの1つ以上を実行するように構成される。同様に、他の実施形態は、1つ以上のそのような処理回路を含む移動端末(例えば、LTE UE)を含む。いくつかの例において、これらの処理回路は、1つ以上の適切なメモリデバイスに格納された適切なプログラムコードを用いて、本明細書中で説明する技術のうちの1つ以上を実現するように構成される。当然ながら、それらの技術のステップの全てが必ずしも単一のマイクロプロセッサ又は単一のモジュールにおいて実行されないことが理解されるだろう。
図18の移動端末1800は、無線通信ネットワークにおいて動作するように構成され、且つ、各々がアナログ及び/又はデジタルハードウェアを使用して実現されてもよい複数の機能モジュール、あるいは適切なソフトウェア及び/又はファームウェア、又はそれらの組み合わせを用いて構成された処理回路を備える無線装置の一例としても理解されてもよい。例えばいくつかの実施形態において、移動端末は、定義されたサブフレーム区間に発生し、且つ、所定の数のシンボル区間を有する送信サブフレームでデータを送信する送信機回路を含む送受信機回路と、所定の数のシンボルと比べて送信サブフレームが短縮されることを判定する判定回路と、当該判定回路に応じて、送信サブフレームについてのサブフレーム区間の先頭の1つ以上のシンボル時間の間に送信せずに当該サブフレーム区間の残りの部分の間に送信することによって送信サブフレームの送信を短縮するサブフレーム短縮回路と、を備える。図16に示す方法に関連して上述した複数の変形は、ここで説明する移動端末の実現例に同様に適用可能であることが理解されるだろう。
図19は、本例では上述した技術のうちの1つ以上を実現する方法を実現できる基地局として実現される無線ノード1900の一例の概略図である。本発明を実現する方法を実行するように基地局を制御するためのコンピュータプログラムは、1つ又は複数のメモリデバイスを備えるプログラムストレージ1930に格納される。本技術を実現する方法を実行する間に使用されるデータは、1つ以上のメモリデバイスを同様に備えるデータストレージ1920に格納される。本技術を実現する方法を実行する間、プログラムステップがプログラムストレージ1930から取り出され、中央処理装置(CPU)1910によって実行され、CPU1910は必要に応じてデータストレージ1920からデータを検索する。本発明を実現する方法を実行した結果得られる出力情報は、データストレージ1930に格納でき、あるいは必要に応じてRNC等の他のノードへデータを送信する送信機を備えてもよい入出力(I/O)インタフェース1940に送出できる。同様に、入出力(I/O)インタフェース1940は、例えばCPU1910による使用のために他のノードからデータを受信する受信機を備えてもよい。CPU1910、データストレージ1920及びプログラムストレージ1930は、共に処理回路1960を構成する。基地局1900は、1つ以上の移動端末と通信するように既知の設計及び技術に従って適合された受信機回路1952及び送信機回路1955を含む無線通信回路1950を更に備える。
本発明の複数の実施形態によると、一般には基地局装置1900であり更に詳細には無線通信回路1950が、定義されたサブフレーム区間に発生し、且つ、所定の数のシンボル区間を有する受信サブフレームでデータを受信するように構成される。処理回路1960は、第2の無線ノードによって第1のサブフレーム区間の間に送信されるサブフレームが短縮されることを示すサブフレーム短縮情報を含むグラントメッセージを、送信機回路1955を介して第2の無線ノードへ送信するよう、無線通信回路1950内の受信機回路1952及び送信機回路1955を制御するように構成される。処理回路1960は、第1のサブフレーム区間の間に受信機回路1952を介して第2の無線ノードから第1の短縮されたサブフレームを受信するように更に構成される。この場合、第1の短縮されたサブフレームは、所定の数のシンボル区間と比べて、1つ以上のシンボル区間、短縮される。
従って、本発明の種々の実施形態において、処理回路は、上記で詳細に説明した技術のうちの1つ以上を実行するように構成される。同様に、他の実施形態は、1つ以上のそのような処理回路を含む基地局を含む。いくつかの例において、それらの処理回路は、1つ以上の適切なメモリデバイスに格納された適切なプログラムコードを用いて、本明細書中で説明する技術のうちの1つ以上を実現するように構成される。当然ながら、それらの技術のステップの全てが必ずしも単一のマイクロプロセッサ又は単一のモジュールにおいて実行されないことが理解されるだろう。
図19の基地局1900は、無線通信ネットワークにおいて動作するように構成され、且つ、各々がアナログ及び/又はデジタルハードウェアを使用して実現されてもよい複数の機能モジュール、あるいは適切なソフトウェア及び/又はファームウェア、又はそれらの組み合わせを用いて構成された処理回路を備える無線装置の一例としても理解されてもよい。例えばいくつかの実施形態において、基地局は、送信機回路と、定義されたサブフレーム区間に発生し、且つ、所定の数のシンボル区間を有する送信サブフレームでデータを受信する受信機回路と、第2の無線ノードによって第1のサブフレーム区間の間に送信されるサブフレームが短縮されることを示すサブフレーム短縮情報を含むグラントメッセージを、送信機回路を介して第2の無線ノードへ送信するグラント送信回路と、を含む無線通信回路を備える。これらの実施形態におけるサブフレーム処理回路は、第1のサブフレーム区間の間に受信機回路を介して第2の無線ノードから第1の短縮されたサブフレームを受信するように更に構成される。この場合、第1の短縮されたサブフレームは、所定の数のシンボル区間と比べて、1つ以上のシンボル区間、短縮される。図17に示す方法に関連して上述した複数の変形は、ここで説明する基地局の実現例に同様に適用可能であることが理解されるだろう。
上述したように、UEが送信及び受信を同時に行えない場合、TDDシステムにおいてガード期間が常に含まれる必要がある。ダウンリンク信号でパンクチャリングを用いる場合、全てのUEに明示的にシグナリングするか又はUEにおいて検出することによって、全てのUEが当該ガード期間を認識する必要がある。本明細書中で詳述したように、アップリンク送信のみをパンクチャリングすることによって、アップリンクで送信するUEのみが、ダウンリンクからアップリンクへのこの切り替えを認識する必要がある。アップリンクグラントに含まれる制御メッセージは、それにより生じる更なる制御シグナリングオーバーヘッドが非常に少なく、パンクチャリングされるサブフレーム以外のサブフレームでUEが受信できる。従って、開示される技術によれば、ダウンリンクからアップリンクへの切り替えを検出する必要がなく、且つ、シグナリング負荷が少ないロバストなシステムが得られる。
特定の実施形態の添付の図面を参照して、本発明の複数の実施形態の例を上記に詳細に説明した。構成要素又は技術の全ての考えられる組み合わせを説明することは当然不可能であるため、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が上述した実施形態に対して行われてもよいことが当業者には理解されるだろう。例えば上記の実施形態は3GPPネットワークの一部を参照して説明したが、本発明の一実施形態は同様の機能構成要素を有する3GPPネットワークの後継等の同様のネットワークに同様に適用可能であることが容易に理解されるだろう。従って、特に、上記の説明、添付の図面及び添付の特許請求の範囲において現在又は今後使用される用語「3GPP」及び関連する用語は適宜解釈されるべきである。
特に、開示された発明の変更及び他の実施形態は、上述の説明及び関連する図面において提示された教示の利益を有する当業者により着想されるだろう。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるべきではなく、且つ、変更及び他の実施形態は本開示の範囲に含まれることを意図することが理解されるべきである。特定の用語が本明細書中で採用されるが、それらは包括的であり、且つ、説明するために使用されるにすぎず、限定する目的では使用されない。