(第1の実施形態)
以下、パチンコ遊技機に具体化した第1の実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10には、遊技盤YBが備えられている。遊技盤YBの盤面には、正面視ほぼ円形状の遊技領域YBaが画成されている。遊技領域YBaには、パチンコ遊技機10の前面に配設された発射ハンドルHDを遊技者が操作することによって打ち出された遊技球が流下案内されるようになっている。また、遊技領域YBaのほぼ中央には、画像表示部GHを有する演出表示装置11が設けられている。演出表示装置11の画像表示部GHは、例えば液晶ディスプレイ型の表示部である。演出表示装置11では、飾り図柄(演出図柄)を用いた図柄変動ゲームなど、画像を用いた各種演出が表示される。また、パチンコ遊技機10には、発光演出を行う装飾ランプLaが設けられている。装飾ランプLaは、パチンコ遊技機10を構成する枠(例えば前枠)や遊技盤YBに配置されている。また、パチンコ遊技機10には、効果音や楽曲などの各種の音を出力し、音声演出を行うスピーカ(音出力部)Spが設けられている。
図1及び図2に示すように、遊技盤YBの遊技領域YBaには、遊技球が入球可能な複数の入賞口(入球口)が配設されている。入賞口には、第1始動口12と、第2始動口13と、大入賞口14と、普通入賞口15a,15bと、を含む。
第1始動口12は、図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第1始動口12は、演出表示装置11の下方に位置しており、常時、遊技球を入球させることができるように開口されている。第1始動口12には入球した遊技球を遊技盤YBの裏側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には第1始動口12に入球した遊技球を検知するセンサ(図3に示す始動センサSE1)が配設されている。
第2始動口13は、図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において第2始動口13は、第1始動口12の下方に位置している。第2始動口13は、所定条件の成立時(普通図柄の当選時)に開閉羽根(普通電動役物)16が開動作を行うことによって遊技球を入球させることができる、若しくは入球し易いように開放される。一方、第2始動口13は、開閉羽根16が閉動作を行うことによって遊技球を入球させることができない、若しくは入球し難いように閉鎖される。開閉羽根16は、アクチュエータAC1(図3に示す)から動力を受けて動作する。アクチュエータAC1としては、ソレノイドでもよいし、モータでもよい。また、第2始動口13には入球した遊技球を遊技盤YBの裏側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には第2始動口13に入球した遊技球を検知するセンサ(図3に示す始動センサSE2)が配設されている。
大入賞口14は、賞球の払出条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において大入賞口14は、遊技領域YBaの右方の領域に位置している。この実施形態のパチンコ遊技機10は、遊技領域YBaを大入賞口14に向けて流下案内された遊技球を大入賞口14へ誘導する誘導状態と前記遊技球を大入賞口14へ誘導しない非誘導状態とを取り得る誘導部材17を備えている。このため、大入賞口14は、誘導部材17が誘導状態を取り得ている場合に遊技球の入球が許容されている状態となり、誘導部材17が非誘導状態を取り得ている場合に遊技球の入球が許容されていない状態となる。誘導部材17は、アクチュエータAC2(図3に示す)から動力を受けて動作する。アクチュエータAC2としては、ソレノイドでもよいし、モータでもよい。また、大入賞口14には入球した遊技球を遊技盤YBの裏側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には大入賞口14に入球した遊技球を検知するセンサ(図3に示すカウントセンサCS)が配設されている。
大当り遊技は、大入賞口14への遊技球の入球を許容するラウンド遊技が予め定めた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。1回のラウンド遊技では、誘導部材17が所定の動作態様で動作する。1回のラウンド遊技は、ラウンド遊技中における入球個数、又はラウンド遊技の経過時間によってラウンド遊技の終了条件が満たされることによって終了する。この実施形態において、ラウンド遊技の終了条件が満たされる入球個数は「8球」であり、ラウンド遊技の終了条件が満たされるラウンド遊技の経過時間は「25秒」である。
なお、大当り遊技が生起される場合、最初のラウンド遊技が開始する前にオープニング時間が設定され、そのオープニング時間中には大当り遊技の開始を示すオープニング演出が行われる。また、大当り遊技が生起される場合、最終のラウンド遊技が終了するとエンディング時間が設定され、そのエンディング時間中には大当り遊技の終了を示すエンディング演出が行われる。
普通入賞口15a,15bは、賞球の払出条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入賞口である。この実施形態において普通入賞口15a,15bは、遊技領域YBaの左方の領域と右方の領域のそれぞれに位置している。また、普通入賞口15a,15bは、常時、遊技球を入球させることができるように開口されている。
左方の普通入賞口15aは、主に第1始動口12を狙って発射された遊技球が入球可能な位置にあり、大入賞口14を狙って発射された遊技球は入球不能な位置にある。この実施形態において左方の領域には、複数の普通入賞口15aが設けられている。そして、左方の各普通入賞口15aには入球した遊技球を遊技盤YBの裏側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には各普通入賞口15aに入球した遊技球を検知するセンサ(図3に示す普通センサHS1)が配設されている。左方の普通入賞口15aに連設された球通路は、各普通入賞口15aに入球した遊技球を受け入れる複数の分岐通路と、各分岐通路を案内された遊技球を受け入れる集合通路によって構成されており、当該集合通路に単一の普通センサHS1が配設されている。
右方の普通入賞口15bは、主に大入賞口14を狙って発射された遊技球が入球可能な位置にあり、第1始動口12を狙って発射された遊技球は入球不能な位置にある。この実施形態において右方の領域には、単数の普通入賞口15bが設けられている。そして、右方の普通入賞口15bには入球した遊技球を遊技盤YBの裏側に導く図示しない球通路が連設されており、その球通路には普通入賞口15bに入球した遊技球を検知するセンサ(図3に示す普通センサHS2)が配設されている。
この実施形態において上記した第1始動口12、第2始動口13、大入賞口14及び普通入賞口15a,15bは、何れの入賞口も遊技球の入球によって賞球の払出条件が成立する入賞口である。この実施形態では、第1始動口12の賞球数を[4球]に、第2始動口13の賞球数を[1球]に、大入賞口14の賞球数を[15球]に、普通入賞口15a,15bの賞球数を[5球]に定めている。第1始動口12、第2始動口13、大入賞口14及び普通入賞口15a,15bは、遊技球の入球によって賞球払出しの対象となる入球装置であり、パチンコ遊技機10には入球装置が複数備えられている。なお、大入賞口14は、大当り遊技中に遊技球の入球が許容されている特別入球装置であり、普通入賞口15a,15bは常時、遊技球の入球が許容されているとともに遊技球の入球によって賞球の払出条件のみが成立する普通入球装置である。そして、普通入賞口15bは、大入賞口14を狙って発射された遊技球が入球可能な位置に配置されている。
また、遊技領域YBaには、作動ゲート18が配設されている。この実施形態において作動ゲート18は、遊技領域YBaの右方の領域であって、大入賞口14の上方に位置している。作動ゲート18には、常時、遊技球を入球させることができるように開放されたゲート口18aが開口されている。ゲート口18aには、入球し、通過する遊技球を検知するセンサ(図3に示すゲートセンサGS)が配設されている。作動ゲート18のゲート口18aは、普通図柄を用いた普通図柄変動ゲームの始動条件を成立させるに際して遊技球を入球させる入球口である。第2始動口13の開閉羽根16は、作動ゲート18へ遊技球が入球することによって行われる普通図柄の当り抽選に当選し、普通図柄の当り図柄が普通図柄変動ゲームで導出された後、閉状態から開状態へ動作する。
この実施形態において、遊技者は、発射ハンドルHDの発射強度の強弱を調整することで、左方の領域及び右方の領域に遊技球を打ち分け、第1始動口12、第2始動口13、大入賞口14、普通入賞口15a,15b又は作動ゲート18へ遊技球を入球させることが可能となる。具体的には、発射強度を強めに調整して遊技球を発射させた場合(所謂、右打ち)、遊技球は、右方の領域に流下案内され易く、第2始動口13、大入賞口14、右方の普通入賞口15b、又は作動ゲート18へ入球する可能性がある。なお、右打ちは、遊技球を右方の領域へ到達させるために勢いよく発射させる必要があることから、発射強度を最大強度若しくは最大強度よりも若干弱い強度で調整して行う。
一方、発射強度を弱めに調整して遊技球を発射させた場合(所謂、左打ち)、遊技球は、左方の領域に流下案内され易く、第1始動口12、第2始動口13又は左方の普通入賞口15aへ入球する可能性がある。また、左打ちは、右打ちのときほど遊技球を勢いよく発射させる必要がないので、発射させた遊技球が右方の領域へ到達しない程度の強度に調整して行う。なお、この実施形態では、右打ちを行った場合、第1始動口12や左方の普通入賞口15aに遊技球が入球し得ないよう、遊技釘などの遊技構成部材によって遊技球の流路が形成されている。なお、遊技構成部材は、右打ちを行ったときには第1始動口12や左方の普通入賞口15aへの入球を規制するように配置されていてもよいし、左打ちを行ったときに比べて第1始動口12や左方の普通入賞口15aへ入球し難い(入球する確率を極めて低くする)ように配置されていてもよい。
この実施形態において「左方の領域」とは、遊技盤YBを正面視したときに遊技領域YBaを左右に二等分する中心線Cよりも左側に位置する領域である。また、この実施形態において「右方の領域」とは、遊技盤YBを正面視したときに前記中心線Cよりも右側に位置する領域である。パチンコ遊技機10において発射ハンドルHDの操作によって発射された遊技球は、遊技盤YBを正面視したときの左側に位置する打出通路19で案内され、その打出通路19の最下流に位置する逆戻り防止弁20を通過して遊技領域YBaに到達される。このため、「左方の領域」とは打出通路19寄りの領域でもあり、その逆に「右方の領域」とは打出通路19から離れた領域でもある。そして、左方の領域を流下案内される遊技球は、遊技領域YBaに位置する演出表示装置11の左側をとおり、遊技領域YBaの最下方に位置するアウト口21へ向かう。また、右方の領域を流下案内される遊技球は、遊技領域YBaに位置する演出表示装置11の右側をとおり、前記アウト口21へ向かう。
また、遊技盤YBには、図3に示す、特別図柄表示装置23a,23b、保留表示装置24a,24b、普通図柄表示装置25が配設されている。これらの表示装置は、パチンコ遊技機を正面視した場合に遊技者が視認可能な遊技盤YBの部位に位置している。例えば、これらの表示装置は、遊技盤YBの遊技領域に配設されている飾り部材や、遊技盤YBのコーナー飾り部材などに配設されている。
特別図柄表示装置23a,23bは、特別図柄を用いた図柄変動ゲームを行い、当該図柄変動ゲームにおいて大当り抽選の抽選結果に応じた特別図柄が導出される。そして、第1始動口12に遊技球が入球し、検知された場合は、その入球を契機に第1特別図柄を用いた図柄変動ゲームの始動条件が成立する。一方、第2始動口13に遊技球が入球し、検知された場合は、その入球を契機に第2特別図柄を用いた図柄変動ゲームの始動条件が成立する。第1特別図柄と第2特別図柄では、始動条件の成立を契機に大当り抽選が行われるが、その大当り抽選に当選する確率は同一確率である。その一方で、第1特別図柄と第2特別図柄では、大当り抽選に当選した場合に決定される大当りの種類や同一種類の大当りの決定割合を異ならせている。これにより、第1特別図柄と第2特別図柄では、大当り抽選に当選した際の有利度(例えば、賞球の多少、入球率向上状態の付与期間など)を異ならせている。
また、始動条件が成立した場合には、大当り抽選の抽選結果を導出するために特別図柄表示装置23a,23bで特別図柄の図柄変動ゲームが行われるとともに、当該図柄変動ゲームで導出される特別図柄に応じた結果を導出する図柄変動ゲームが演出表示装置11においても飾り図柄を用いて行われる。
この実施形態において特別図柄表示装置23a,23bは、発光体を備えた表示装置である。特別図柄の図変動ゲームでは、表示装置を構成する発光体を任意に組み合わせたものが特別図柄として導出される。特別図柄には、大当り抽選に当選した場合に導出される大当り図柄と大当り抽選に当選しなかった場合に導出されるはずれ図柄とを含む。一方、飾り図柄を用いた図柄変動ゲームでは、複数列の飾り図柄の組み合わせが導出される。飾り図柄は、例えばアラビア数字を模した意匠で構成されている。そして、全列の飾り図柄が同一の飾り図柄となる組み合わせを大当り抽選に当選したことを特定可能な大当りの組み合わせとし、全列の飾り図柄が同一の飾り図柄とならない組み合わせを大当り抽選に当選しなかったことを特定可能なはずれの組み合わせとしている。
飾り図柄の図柄変動ゲームで導出される結果は、特別図柄の図柄変動ゲームで導出される結果に対応する。このため、特別図柄の図柄変動ゲームでは大当り抽選の抽選結果を特別図柄で導出させる一方で、飾り図柄の図柄変動ゲームにおいても大当り抽選の抽選結果を特定可能な情報が飾り図柄で導出される。
保留表示装置24a,24bは、実行が保留されている特別図柄の図柄変動ゲームの数(始動保留数)を表示する。普通図柄表示装置25は普通図柄を用いた普通図柄変動ゲームを行い、当該普通図柄変動ゲームにおいて普通図柄の当り抽選の抽選結果に応じた普通図柄が導出される。
また、図1に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技球を貯留する球皿(貯留皿)として上皿26と下皿27とを備えている。上皿26は、主に発射ハンドルHDの操作によって遊技領域YBaに発射される遊技球であって、機内に取り込まれる遊技球を貯留する貯留皿である。また、下皿27は、主にパチンコ遊技機10から払出される遊技球であって、上皿26から溢れ出た遊技球を貯留する貯留皿である。
上皿26の上面には、貸し球を貸し受ける場合などに遊技者によって操作される球貸操作部(図示しない)や、遊技者や遊技場の管理者が操作可能な操作ボタンBT1,BT2(図3に示す)が設けられている。この実施形態の操作ボタンBT1は、演出図柄の図柄変動ゲームに付加して行われるボタン演出などにおいて操作が許容される押しボタンである。また、この実施形態の操作ボタンBT2は、例えばパチンコ遊技機10が備えるスピーカSpからの音量を調整するなど、各種設定を行う際に操作が許容される十字ボタンである。
また、パチンコ遊技機10は、始動センサSE1,SE2、カウントセンサCS、ゲートセンサGS、及び普通センサHS1,HS2に加え、その他のセンサSE(図3に示す)を備えている。その他のセンサSEには、磁気を検知する磁気センサ、電波を検知する電波センサ(誘導磁界検知センサ)、下皿27が満杯状態であることを検知する満杯センサ(満杯スイッチ)、前枠の開放を検知する開放センサを含む。磁気センサ及び電波センサは、遊技盤YBに配設されており、第1始動口12、第2始動口13、大入賞口14の近傍に配置されている。満杯センサは、後述する球払出装置33(図3に示す)から払出された遊技球を下皿27へ案内する下皿案内通路に配設されている。開放センサは、前枠又は中枠に配設されている。前枠は、遊技盤YBの前面に位置する枠体であり、中枠は遊技盤YBや各種制御基板などの遊技機構成部材を搭載した枠体である。
また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、確率変動機能を備えている。確率変動機能は、大当り遊技終了後に大当りの当選確率を低確率(通常確率)から高確率に変動させる確率変動状態を付与することができる機能である。確率変動状態は、例えば、次回、大当り抽選に当選するまで付与される。確率変動状態は、大当り抽選の当選確率が低確率である非確率変動状態に比して、大当り抽選に当選し易く、遊技者にとって有利な遊技状態である。
また、この実施形態のパチンコ遊技機10は、入球率向上機能を備えている。入球率向上機能は、第2始動口13への単位時間当たりの遊技球の入球率が向上される入球率向上状態を付与することができる機能である。入球率向上状態は、所謂「電サポ状態」、「高ベース状態」である。なお、以下の説明では、入球率向上状態が付与されていない状態を「非入球率向上状態」と示す場合がある。非入球率向上状態は、所謂「非電サポ状態」、「低ベース状態」である。
入球率向上状態は、例えば次に示す4つの制御のうち任意に選択された1の制御を実行すること、又は複数の制御を組み合わせて実行すること、により実現できる。第1の制御は、普通図柄変動ゲームの変動時間を、非入球率向上状態のときよりも短くする普通図柄の変動時間短縮制御である。第2の制御は、普通図柄の当り抽選に当選する確率(普通当り確率)を、非入球率向上状態のときよりも高確率に変動させる普通図柄の確率変動制御である。第3の制御は、普通図柄の当り抽選に当選したことに基づく開閉羽根16の合計開放時間を、非入球率向上状態のときよりも長くする開放時間延長制御である。なお、開放時間延長制御としては、普通図柄の当り抽選に当選したことに基づく開閉羽根16の開放回数を、非入球率向上状態のときよりも多くする制御、及び普通図柄の当り抽選に当選したことに基づく開閉羽根16の1回の開放時間を非入球率向上状態のときよりも長くする制御のうち、少なくとも一方の制御を実行するとよい。第4の制御は、特別図柄変動ゲームの変動時間(例えば平均の変動時間)を、非入球率向上状態のときよりも短くなり易くする特別図柄の変動時間短縮制御である。特別図柄の変動時間短縮制御を実行する場合、入球率向上状態は、所謂「変動時間短縮状態」となる。
入球率向上状態は、例えば、次回、大当り抽選に当選するまで、又は、入球率向上状態が付与されてから規定上限回数(例えば100回)の特別図柄の図柄変動ゲームが実行されるまで、若しくは規定上限回数に到達する前に大当り抽選に当選するまで付与される。なお、第1特別図柄と第2特別図柄とを用いるパチンコ遊技機10の場合、規定上限回数は第1特別図柄の図柄変動ゲームと第2特別図柄の図柄変動ゲームとの合算回数である。
また、パチンコ遊技機10には、図3に示す、主制御手段としての主制御基板30、副制御手段としての副制御基板31、払出制御基板32、電源基板34を含む各種基板が搭載されている。
主制御基板30は、制御動作を所定の手順で実行することができる主制御用CPU30aと、主制御用CPU30aの制御プログラムなどを格納する主制御用ROM30bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM30cと、を有する。また、主制御基板30は、乱数生成回路30dを有する。
主制御用CPU30aは、各種センサSE1,SE2,CS,GS,HS1,HS2,SEの検知信号を受信するようになっている。また、主制御用CPU30aは、各種表示装置(特別図柄表示装置23a,23b、保留表示装置24a,24b、普通図柄表示装置25など)の表示内容を制御するとともに、アクチュエータAC1,AC2の動作を制御する。
主制御用ROM30bに格納されている情報には、遊技に関する処理を実行するためのメイン制御プログラム、特別図柄の変動パターン(メイン変動パターン)を特定する情報や、各種の判定値などがある。特別図柄の変動パターンは、特別図柄が変動を開始してから特別図柄が確定停止表示される迄の間の変動時間(演出時間)を特定可能である。メイン変動パターンは、大当り変動用の変動パターンと、はずれ変動用の変動パターンとに分類可能である。大当り変動は、大当り抽選に当選した場合に行われる演出であって、特別図柄の図柄変動ゲームにおいては最終的に大当り図柄が導出される。はずれ変動は、大当り抽選に当選しなかった場合に行われる演出であって、特別図柄の図柄変動ゲームにおいては最終的にはずれ図柄が導出される。なお、はずれ変動には、飾り図柄の図柄変動ゲームにおいてリーチ演出が行われてはずれとなる変動と、飾り図柄の図柄変動ゲームにおいてリーチ演出が行われずにはずれとなる変動と、がある。また、各種の判定値には、大当り抽選に用いる大当り判定値、普通当り抽選に用いる普通当り判定値などを含む。また、主制御用RAM30cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグ、始動保留数など)が記憶される。
主制御用CPU30aは、各種のソフトウェア乱数の値を所定の制御周期(割込み周期)毎に更新し、主制御用RAM30cに記憶させる乱数更新処理(ソフトウェア乱数生成処理)を実行する。ソフトウェア乱数には、特別図柄の大当り図柄を決定するときに用いる大当り図柄乱数、特別図柄の変動パターンを振り分けるときに用いる変動パターン振分乱数などを含む。乱数生成回路30dは、マイクロプロセッサに搭載された図示しないクロック回路から供給される内部システムクロック(例えば10MHz)の1周期毎に値を1更新することにより、ハードウェア乱数を生成する。ハードウェア乱数は、特別図柄の大当り抽選に用いる大当り乱数や、普通図柄の当り抽選に用いる普通当り乱数となる。
図3に示すように、副制御基板31は、主制御基板30から一方向で情報(制御信号など)が送信されるように主制御基板30と電気的に接続されている。電気的に接続されているとは、情報(制御信号)を伝達可能に所定の信号線(例えば複数本の信号線)を通じて接続されている(有線接続)ことである。副制御基板31は、制御動作を所定の手順で実行することができる制御手段としての副制御用CPU31aと、副制御用CPU31aの制御プログラムを格納する副制御用ROM31bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる副制御用RAM31cと、を有する。
副制御基板31の副制御用CPU31aは、主制御基板30から送信される制御情報(制御コマンド)をもとに当該制御情報に応じた制御を行う。例えば、主制御用CPU30aは、特別図柄の図柄変動ゲームを開始させる場合、特別図柄表示装置23a,23bの表示内容の制御に加えて、変動の開始(ゲームの開始)を指示する制御情報を副制御用CPU31aに送信する。当該制御情報を受けた副制御用CPU31aは、演出表示装置11において飾り図柄の図柄変動ゲームを行わせるように表示内容を制御する。また、副制御用CPU31aは、パチンコ遊技機10の枠や遊技盤YBに設けられた各種の装飾ランプLaの点灯/非点灯の制御や、スピーカSpの音声出力の制御を行う。これらの装飾ランプLaやスピーカSpによる演出は、飾り図柄の図柄変動ゲームに合わせて行われたり、待機状態時などに行われたりする。また、副制御用CPU31aは、操作ボタンBT1,BT2の操作信号を受信するようになっている。操作ボタンBT1,BT2は、副制御基板31と電気的に接続されている。電気的に接続されているとは、情報(制御信号)伝達可能に所定の信号線を通じて接続されている(有線接続)ことである。
また、図3に示すように、パチンコ遊技機10には、払出制御基板32が搭載されている。払出制御基板32は、主制御基板30に接続されている。主制御基板30と払出制御基板32は、双方向に情報(制御信号)が送信されるように電気的に接続されている。払出制御基板32は、主制御基板30から送信される賞球の払出しを指示する払出情報をもとに球払出装置33を駆動させ、所定個数の賞球を払出す。
主制御基板30から払出制御基板32に送信される払出情報としての払出指定コマンド(払出信号)は、賞球払出しの対象となる入賞口へ入球したことにより、その入賞口に対応する賞球数を特定可能に構成されている。例えば、第1始動口12へ入球した場合の払出指定コマンドは賞球数として[4球]を特定可能に構成されている。なお、例えば、主制御基板30において払出すべき賞球数を合算した賞球総数を管理している場合、払出指定コマンドは1球の賞球の払出しを指示するような構成とし、必要な回数分(賞球総数が零になるまで)、1球の賞球の払出しを指示する払出指定コマンドを払出制御基板32に送信するようにしてもよい。払出指定コマンドは、2バイトのデータから構成されており、1バイト目のデータと2バイト目のデータの一方が賞球の払出しを指示していることを示すデータであり、他方が賞球数を示すデータである。
図3に示すように、電源基板34は、電源回路34aと、電源断監視回路34bと、リセット信号回路34cと、を有する。
電源回路34aは、遊技場の主電源から供給される電源電圧を所定の電源電圧(V1(例えば、DC30V))に変換するとともに、その変換後の電源電圧を主制御基板30や副制御基板31などの各制御基板へ供給すべき電源電圧(V2)にさらに変換する。各制御基板(主制御基板30や副制御基板31など)には、電源回路34aを通じて動作に必要な電源電圧(V2)が供給されている。
電源断監視回路34bは、パチンコ遊技機10への電力供給に異常があるかを監視する。具体的に言えば、電源断監視回路34bは、電源回路34aから供給される電源電圧(V1)が所定電圧(V0(例えば、DC20V))に降下したかを監視する。電源断監視回路34bは、電源電圧(V1)が所定電圧(V0)に降下した場合、電源断信号を送信する。電源断信号は、バックアップ処理を実行する制御基板(例えば、主制御基板30)やリセット信号回路34cで受信される。所定電圧(V0)は、パチンコ遊技機10を動作させるために最低限必要な電圧に設定されている。なお、電源電圧(V1)が所定電圧(V0)に降下する場合には、例えば遊技場の主電源を遮断した場合、パチンコ遊技機10が備える電源スイッチをOFFに操作した場合、停電などの外的要因によってパチンコ遊技機10への電力供給が停止した場合などがある。
リセット信号回路34cは、リセット信号を生成する。リセット信号は、主制御基板30や副制御基板31などのマイクロコンピュータを搭載し、電気部品を制御する基板に送信される。リセット信号は、第1状態(例えばハイレベル)と第2状態(例えばローレベル)の2値の状態を取り得る信号とされている。そして、リセット信号が送信される制御基板(マイクロコンピュータ)は、例えば第1状態のリセット信号を受信している間は動作停止の状態(動作が規制されている状態)となり、リセット信号が第1状態から第2状態へ遷移することで動作可能な状態になる。換言すれば、リセット信号回路34cからは、リセット信号が第1状態である期間において動作を規制させる規制信号(若しくは動作を停止させる停止信号)が送信されていることになり、リセット信号が第2状態である期間において動作を許容する許容信号が送信されていることになる。
図3に示すように、電源基板34は、バックアップ用電源34dを有する。バックアップ用電源34dは、例えば電気二重層コンデンサである。この実施形態のパチンコ遊技機10においてバックアップ用電源34dの電力は、パチンコ遊技機10への電力供給が停止された場合に、主制御基板30の主制御用RAM30cに供給される。これにより、主制御用RAM30cは、パチンコ遊技機10への電力供給が停止された場合でも遊技制御に関する情報を所定期間保持することができる。なお、遊技に関する情報には、特別図柄の図柄変動ゲームに関する情報、大当り遊技に関する情報、遊技状態に関する情報、賞球の払出しに関する情報、エラーに関する情報を含む。特別図柄の図柄変動ゲームに関する情報としては、例えば大当り抽選の抽選結果を特定可能な情報、特別図柄の変動パターンを特定可能な情報、特別図柄の図柄変動ゲームで導出される特別図柄を特定可能な情報などである。大当り遊技に関する情報としては、大当り遊技の進行状況を特定可能な情報などである。遊技状態に関する情報としては、確率変動状態であるかを特定可能な情報や入球率向上状態であるかを特定可能な情報などである。賞球の払出しに関する情報としては、未払い出しの賞球個数を特定可能な情報などである。エラーに関する情報としては、エラーと判断する際に用いる計数値や計数時間を特定可能な情報である。また、情報を保持する所定期間は、バックアップ用電源34dとしてのコンデンサが放電され、そのバックアップ用電源34dが電力供給不能になるまでの期間である。
また、電源基板34は、RAMクリアスイッチ回路34eを有し、そのRAMクリアスイッチ回路34eにはRAMクリアスイッチ34fが接続されている。RAMクリアスイッチ34fは、主制御基板30の主制御用RAM30cの記憶内容をクリアすることを指示する場合に操作されるスイッチである。そして、RAMクリアスイッチ34fが操作された状態でパチンコ遊技機10に電力供給がなされると、RAMクリアスイッチ回路34eからは初期化信号が送信される。パチンコ遊技機10への電力供給は、パチンコ遊技機10が備える電源スイッチをONに操作することによって行われる。この実施形態において初期化信号は、主制御基板30の主制御用CPU30aに送信される。なお、RAMクリアスイッチ34fは、機内部や機裏側など、遊技者が操作不能な位置に配置されている。
以下、パチンコ遊技機10への電力供給が行われ、主制御基板30の主制御用CPU30aが、遊技を制御するために行う処理(通常処理)について説明する。
最初に、各種センサSE1,SE2,CS,GS,HS1,HS2からの遊技球の検知信号の受信に関する処理(受信処理(入力処理))について説明する。
主制御用CPU30aは、第1始動口12への入球によって始動センサSE1からの検知信号を受信している場合、第1特別図柄の始動保留数が上限数(この実施形態では4)未満であるかを判定する。そして、主制御用CPU30aは、第1特別図柄の始動保留数が上限数未満である場合、始動保留数を1加算して書き換えるとともに、加算後の始動保留数を表示させるように保留表示装置24aを制御する。
また、主制御用CPU30aは、第2始動口13への入球によって始動センサSE2からの検知信号を受信している場合、第2特別図柄の始動保留数が上限数(この実施形態では4)未満であるかを判定する。そして、主制御用CPU30aは、第2特別図柄の始動保留数が上限数未満である場合、始動保留数を1加算して書き換えるとともに、加算後の始動保留数を表示させるように保留表示装置24bを制御する。
なお、主制御用CPU30aは、始動保留数が上限数に達している場合、始動保留数を加算しない。一方、主制御用CPU30aは、始動保留数を加算した場合、加算後の始動保留数を特定可能な情報(保留指定コマンドなど)を副制御基板31に送信する。始動保留数を特定可能な情報を受信した副制御用CPU31aは、演出表示装置11に当該情報から特定可能な始動保留数を示す画像を表示させる。
また、主制御用CPU30aは、始動保留数の上限数未満で遊技球が入球した場合、その入球を契機に各種乱数の値を取得するとともに、該取得した各種乱数の値を特定可能な乱数情報を、主制御用RAM30cに記憶させる。乱数情報は、乱数の値によって構成されていても良いし、乱数の値を当該値を特定可能な他の情報に変換した情報によって構成されていても良い。また、主制御用CPU30aは、乱数情報を記憶させる場合、その乱数の値の取得契機となった遊技球の入球順序(情報の記憶順序)と、先に入球した遊技球の入球順序(情報の記憶順序)とが特定可能なように主制御用RAM30cに記憶させる。なお、主制御用CPU30aは、乱数の値を取得する場合、大当り乱数の値を乱数生成回路30dから取得し、大当り図柄乱数の値や変動パターン振分乱数の値を主制御用RAM30cから取得する。
また、主制御用CPU30aは、始動センサSE1,SE2、普通センサHS1,HS2及びカウントセンサCSからの検知信号を受信した場合の処理において、所定個数の賞球を払出すための賞球処理を行う。賞球処理には、払出制御基板32に送信する払出指定コマンド(払出信号)を生成して、送信する処理と、副制御基板31に送信する賞球情報としての賞球指定コマンド(賞球指定信号)を生成して、送信する処理と、を含む。また、主制御用CPU30aは、ゲートセンサGSからの検知信号を受信した場合の処理において、普通図柄を用いた普通図柄変動ゲームの保留を記憶する処理や普通当り抽選などに用いる各種乱数を取得する処理を行う。
次に、大当り抽選の抽選結果を導出させる特別図柄の図柄変動ゲームの実行に関する処理(特図変動処理)について説明する。
特図変動処理において主制御用CPU30aは、特別図柄の図柄変動ゲームの開始条件が成立したかを判定する。この判定において主制御用CPU30aは、特別図柄の図柄変動ゲームの実行中ではなく、且つ大当り遊技中ではない場合に開始条件が成立したと判定する一方で、特別図柄の図柄変動ゲームの実行中、又は大当り遊技中である場合に開始条件が成立していないと判定する。そして、主制御用CPU30aは、開始条件が成立していない場合、特図変動処理を終了する。
主制御用CPU30aは、前述した開始条件が成立している場合、第2特別図柄の始動保留数を読み出し、その読み出した始動保留数が零よりも大きいかを判定する。そして、第2特別図柄の始動保留数が0よりも大きい場合、主制御用CPU30aは、第2特別図柄の図柄変動ゲームを開始させるように所定の処理を行う。一方、主制御用CPU30aは、第2特別図柄の始動保留数が零の場合、第1特別図柄の始動保留数を読み出し、その読み出した始動保留数が零よりも大きいかを判定する。そして、第1特別図柄の始動保留数が0よりも大きい場合、主制御用CPU30aは、第1特別図柄の図柄変動ゲームを開始させるように所定の処理を行う。この実施形態のパチンコ遊技機10は、第1特別図柄の図柄変動ゲームと第2特別図柄の図柄変動ゲームとを同時に実行させず、第2特別図柄の図柄変動ゲームを優先的に実行させる仕様である。
なお、第1特別図柄の始動保留数と第2特別図柄の始動保留数の何れもが零の場合、主制御用CPU30aは、デモンストレーション演出を実行させるための処理を行う。デモンストレーション演出は、パチンコ遊技機10が待機状態であることを例えば演出表示装置11などの装置を利用して報知し、客寄せ効果を得るための演出である。
第2特別図柄の図柄変動ゲームを開始させる場合、主制御用CPU30aは、第2特別図柄の始動保留数を1減算して書き換えるとともに、減算後の始動保留数を表示させるように保留表示装置24bを制御する。また、主制御用CPU30aは、始動保留数を減算した場合、減算後の始動保留数を特定可能な情報(保留指定コマンドなど)を副制御基板31に送信する。
次に、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている乱数情報のうち、最先に記憶された乱数情報を取得する。そして、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される大当り乱数の値と大当り判定値とを比較し、大当り抽選を行う。
大当り抽選において主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cから取得した大当り乱数の値が大当り判定値と一致するかを判定する。そして、大当り乱数の値と大当り判定値とが一致した場合には、大当り抽選に当選する。大当り抽選に当選した場合、主制御用CPU30aは、大当り処理を行う。具体的に言えば、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される大当り図柄乱数の値に基づき、特別図柄の大当り図柄を決定する。この決定した大当り図柄が、特別図柄の図柄変動ゲームにて導出される確定停止図柄となる。また、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、大当りに当選した場合に選択可能な大当り変動用の変動パターンの中から変動パターンを決定する。
この実施形態のパチンコ遊技機10では、大当り抽選に当選した場合に遊技者に与えられる利益が異なる複数種類の大当りを搭載している。具体的に例示すれば、15R確変大当りと、15R非確変大当りと、を搭載している。15R確変大当りは、大当り抽選に当選した場合に付与される大当り遊技を構成するラウンド遊技の回数が「15回」に設定されているとともに、大当り遊技終了後に次回の大当り抽選に当選するまで確率変動状態と入球率向上状態を付与する大当りである。15R非確変大当りは、大当り遊技を構成するラウンド遊技の回数が「15回」に設定されているとともに、大当り遊技終了後に確率変動状態は付与しないが、「100回」の入球率向上状態を付与する大当りである。
大当り遊技は、遊技者が特典(パチンコ遊技機の場合は賞球)を得られる特別遊技状態である。獲得可能な賞球個数の多少は、1回のラウンド遊技に規定する大入賞口14の開放時間を同一時間とすればラウンド回数の多少によって差を生じさせることができる。また、獲得可能な賞球個数の多少は、大当りの種類に応じて1回のラウンド遊技に規定する大入賞口14の開放時間に長短を設定すれば、ラウンド回数が同一回数であるか、異なる回数であるかに関わらず、差を生じさせることができる。そして、大当りの種類は、特別図柄の大当り図柄に対応付けられている。このため、この実施形態において大当り図柄を決定することは、大当りの種類を決定することに相当する。
主制御用CPU30aは、大当り抽選に当選しなかった場合、はずれ処理を行う。はずれ処理において主制御用CPU30aは、特別図柄のはずれ図柄を決定する。この決定したはずれ図柄が、特別図柄の図柄変動ゲームにて導出される確定停止図柄となる。また、主制御用CPU30aは、取得した乱数情報から特定される変動パターン振分乱数の値に基づき、はずれ変動用の変動パターンを決定する。はずれ変動用の変動パターンを決定する場合、主制御用CPU30aは、リーチありの変動パターン又はリーチなしの変動パターンの何れかを決定する。
なお、主制御用CPU30aは、第1特別図柄の図柄変動ゲームを開始させる場合、前述した第2特別図柄の制御と同様の制御を第1特別図柄を対象にして行う。つまり、主制御用CPU30aは、第1特別図柄の始動保留数の減算、大当り抽選、大当り抽選の結果に基づく大当り処理又ははずれ処理を行う。
また、主制御用CPU30aは、特別図柄の図柄変動ゲームの実行に関する処理として、前述した処理の結果をもとに、副制御基板31の副制御用CPU31aに遊技演出の制御を指示する制御情報(制御コマンド)を生成する処理を行う。当該処理で生成された各種の制御情報は、主制御用CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副制御用CPU31aに送信される。
主制御用CPU30aは、特別図柄の図柄変動ゲームを開始させる場合、制御情報として図柄変動ゲームを開始させることを特定可能な変動開始コマンド(変動開始情報)を生成する。変動開始コマンドには、前述した大当り処理又ははずれ処理において決定したメイン変動パターンを特定可能な情報も含む。また、主制御用CPU30aは、特別図柄の図柄変動ゲームを開始させる場合、制御情報として特別図柄を特定可能な特図コマンド(特図情報)を生成する。特別図柄の大当り図柄は大当りの種類と対応していることから、特図情報によって大当りの種類が特定可能である。このため、特図コマンドは、当否を特定可能な情報でもあり、また大当りの種類を特定可能な情報でもある。
また、主制御用CPU30aは、特別図柄の図柄変動ゲームを開始させてからの経過時間が所定の変動時間(メイン変動パターンに定められている時間)に達した場合、制御情報として特別図柄の図柄変動ゲームを終了させることを特定可能な変動停止コマンド(変動終了情報)を生成する。なお、主制御用CPU30aは、特別図柄の図柄変動ゲームを開始させる場合、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動を開始させるように特別図柄表示装置23a又は特別図柄表示装置23bの表示内容を制御するとともに、変動時間の計測を開始する。そして、主制御用CPU30aは、決定したメイン変動パターンに定められている変動時間の経過時に、決定している特別図柄を導出させるように特別図柄表示装置23a又は特別図柄表示装置23bの表示内容を制御する。
次に、大当り抽選に当選したことによって行われる大当り遊技の進行に関する処理について説明する。
この実施形態の大当り遊技は、大当り遊技の開始に伴うオープニングと、大入賞口14を開放させるラウンド遊技と、大当り遊技の終了に伴うエンディングと、から構成されている。つまり、大当り遊技は、オープニング→ラウンド遊技→エンディングというように段階的に進行する。なお、大入賞口14を開放させるとは大入賞口14への入球を許容することであり、この実施形態の場合には誘導部材17を誘導状態とすることである。また、大入賞口14を閉鎖させるとは大入賞口14への入球を許容しないようにすることであり、この実施形態の場合には誘導部材17を非誘導状態とすることである。そして、主制御用CPU30aは、大当り遊技の進行に関する処理として、副制御基板31の副制御用CPU31aに遊技演出の制御を指示する制御情報(制御コマンド)を生成する処理と、大入賞口14を開放及び閉鎖させる処理を行う。前記処理で生成された各種の制御情報は、主制御用CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副制御用CPU31aに送信される。
主制御用CPU30aは、オープニングを開始させる場合、制御情報としてオープニングコマンドを生成する。オープニングコマンドは、オープニングの開始時に副制御用CPU31aに送信される。また、主制御用CPU30aは、1回のラウンド遊技を開始させる場合、制御情報として開放コマンドを生成するとともに、終了条件の成立によって1回のラウンド遊技を終了させる場合、制御情報として閉鎖コマンドを生成する。開放コマンドは、ラウンド遊技の開始時に副制御用CPU31aに送信されるとともに、閉鎖コマンドは、ラウンド遊技の終了時に副制御用CPU31aに送信される。また、主制御用CPU30aは、1回のラウンド遊技において大入賞口14を開放させる場合、アクチュエータAC2を第1状態(ソレノイドの場合は例えば励磁の状態)に制御し、大入賞口14を閉鎖させる場合、アクチュエータAC2を第2状態(ソレノイドの場合は例えば非励磁の状態)に制御する。この実施形態において1回のラウンド遊技の終了条件は、予め定めた入球上限個数(例えば9球)の入球があったこと、若しくは大入賞口14の開放時間が予め定めた上限時間に達したこと、の何れかが成立したことである。また、主制御用CPU30aは、最後のラウンド遊技の終了後、エンディングを開始させる場合、制御情報としてエンディングコマンドを生成する。エンディングコマンドは、エンディングの開始時に副制御用CPU31aに送信される。
次に、遊技状態に関する処理について説明する。
この処理において主制御用CPU30aは、制御情報として遊技状態を特定可能な制御情報を生成する。前記処理で生成された各種の制御情報は、主制御用CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副制御用CPU31aに送信される。
主制御用CPU30aは、遊技状態を非確率変動状態で、かつ非入球率向上状態とする場合、その遊技状態を特定可能な状態1指定コマンド(遊技状態情報)を生成する。また、主制御用CPU30aは、遊技状態を確率変動状態で、かつ入球率向上状態とする場合、その遊技状態を特定可能な状態2指定コマンド(遊技状態情報)を生成する。また、主制御用CPU30aは、遊技状態を非確率変動状態で、かつ入球率向上状態とする場合、その遊技状態を特定可能な状態3指定コマンド(遊技状態情報)を生成する。また、主制御用CPU30aは、入球率向上状態の付与期間をゲーム回数で管理する場合、実行された特別図柄の図柄変動ゲームの回数をカウントし、入球率向上状態の終了条件を成立させる回数に達したときに入球率向上状態の終了を特定可能な終了コマンド(遊技状態情報)を生成する。
生成された遊技状態情報は、例えば電源投入時(復電時)や遊技状態の変遷時などに、副制御用CPU31aに送信される。例えば、大当り遊技終了後の遊技状態を確率変動状態で、かつ入球率向上状態とする場合、大当り遊技の終了に伴って状態2指定コマンドが副制御用CPU31aに送信される。なお、遊技状態情報は、例示した制御情報に限らず、副制御用CPU31aに認識させる必要のある遊技状態毎に設定されている。
また、主制御用CPU30aは、前述した処理の他にも以下に説明する処理を行う。例えば、主制御用CPU30aは、保留されている特別図柄の図柄変動ゲームが存在せずにデモンストレーション演出の実行条件が成立した場合、制御情報として待機状態になることを特定可能なデモコマンド(待機状態情報)を生成する。このデモコマンドは、主制御用CPU30aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副制御用CPU31aに送信される。また、主制御用CPU30aは、普通図柄に関する処理やエラーに関する処理なども行う。普通図柄に関する処理では、ゲートセンサGSからの検知信号を受信する処理、普通図柄変動ゲームを開始させる処理などを行う。また、エラーに関する処理では、パチンコ遊技機10で生じた各種のエラーを検知することによって報知を行わせるなどの処理を行う。
以下、パチンコ遊技機10への電力供給が行われ、副制御基板31の副制御用CPU31aが、前述した遊技演出に関する制御情報を受信したことによって行う処理(通常処理)について説明する。
最初に、飾り図柄の図柄変動ゲームに関する処理を説明する。
副制御用CPU31aは、変動開始コマンドを受信すると、当該コマンドから特定可能なメイン変動パターンの種類をもとに、演出表示装置11の表示内容を制御するためのサブ変動パターンを決定する。サブ変動パターンは、飾り図柄の図柄変動ゲームの演出内容を特定可能である。
また、副制御用CPU31aは、特図コマンドを受信すると、特図コマンドにより指定された特別図柄に基づき、飾り図柄の図柄変動ゲームで導出させる飾り図柄の組み合わせを決定する。副制御用CPU31aは、特別図柄の大当り図柄が指定された場合には、飾り図柄による大当りの組み合わせを決定する。また、副制御用CPU31aは、特別図柄のはずれ図柄が指定された場合には、変動開始コマンドから特定されるメイン変動パターンに基づき、飾り図柄によるはずれの組み合わせを決定する。具体的に言えば、副制御用CPU31aは、リーチありのはずれ変動用のメイン変動パターンが特定されるときには、リーチ形成図柄を含むはずれの組み合わせを決定する。また、副制御用CPU31aは、リーチなしのはずれ変動用のメイン変動パターンが特定されるときには、リーチ形成図柄を含まないはずれの組み合わせを決定する。
また、副制御用CPU31aは、サブ変動パターンや飾り図柄の組み合わせの決定とともに、飾り図柄の図柄変動ゲームに伴わせて行わせる予告演出などの種類も決定する。そして、変動開始コマンドが入力された副制御用CPU31aは、上記の決定事項にしたがった演出内容で飾り図柄の図柄変動ゲームが表示されるように演出表示装置11の表示内容を制御する。そして、副制御用CPU31aは、メイン変動パターンから特定される変動時間の経過により、飾り図柄の図柄変動ゲームを終了させ、飾り図柄の組み合わせを導出させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。具体的に言えば、副制御用CPU31aは、変動停止コマンドが入力されることによって飾り図柄の図柄変動ゲームを終了させる。
次に、大当り遊技に関する処理を説明する。
副制御用CPU31aは、オープニングコマンドを受信すると、オープニング演出を行わせるように演出表示装置11の表示内容を制御する。このとき、副制御用CPU31aは、オープニングコマンドから特定される大当りの種類に応じたオープニング演出を選択し、行わせる。また、副制御用CPU31aは、開放コマンドが入力されると、ラウンド遊技に伴う演出を行わせるように演出表示装置11の表示内容を制御する。一方で、副制御用CPU31aは、閉鎖コマンドが入力されると、ラウンド遊技に伴う演出(ラウンド演出)を終了させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。また、副制御用CPU31aは、エンディングコマンドが入力されると、エンディング演出を行わせるように演出表示装置11の表示内容を制御する。このとき、副制御用CPU31aは、エンディングコマンドから特定される大当りの種類に応じたエンディング演出を選択し、行わせる。
この実施形態において、オープニングコマンド、開放コマンド、閉鎖コマンド、エンディングコマンドは、副制御用CPU31aが大当り遊技中の演出を演出表示装置11に表示させる処理を行うための制御コマンドである。そして、大当り遊技中の演出は、所定の制御コマンドが入力されることによって行われる遊技演出である。
次に、遊技状態に関する処理を説明する。
副制御用CPU31aは、状態1指定コマンドなどの状態指定コマンドを受信すると、当該コマンドから特定される遊技状態に応じた画像を表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。遊技状態に応じた画像は、例えば飾り図柄の背面に表示される背景画像である。また、遊技状態毎に飾り図柄の図柄変動ゲームで用いる飾り図柄の意匠を変更する場合、その飾り図柄の画像は遊技状態に応じた画像である。
次に、デモンストレーション演出に関する処理を説明する。
副制御用CPU31aは、デモコマンドを受信すると、デモンストレーション演出を行わせるように演出表示装置11の表示内容を制御する。デモンストレーション演出は、予め定めた演出時間が終了するまでを1回として行われる。そして、デモンストレーション演出中に終了条件が成立せずに、演出時間が終了した場合は、繰り返しデモンストレーション演出を実行させる。デモンストレーション演出の終了条件は、第1始動口12や第2始動口13へ入球し、特別図柄の図柄変動ゲームが開始されることである。
次に、図4にしたがって主制御基板30及び副制御基板31が起動する流れと、その起動時における演出表示装置11の画面表示について説明する。
パチンコ遊技機10への電力供給が行われると、主制御用CPU30a(主制御基板30)と副制御用CPU31a(副制御基板31)のそれぞれは、起動を開始するとともにそれぞれに初期設定を行った後、遊技を制御できる状態である通常処理へ移行する。このとき、この実施形態のパチンコ遊技機10では、主制御用CPU30aと副制御用CPU31aの起動タイミングが相違している。具体的に言えば、主制御用CPU30aは、副制御用CPU31aよりも所定時間T、遅延して起動する。
このような主制御用CPU30aの起動を遅延させる処理は、電力供給を開始させたときにリセット信号回路34cから送信されるリセット信号の受信時間(この実施形態では第1状態としている時間)を延長させることによって行われる。つまり、電力供給を開始したとき、主制御用CPU30aと副制御用CPU31aのそれぞれは第1状態のリセット信号を受信するが、副制御用CPU31aが受信するリセット信号を先に第2状態へ遷移させ、その後所定時間Tの経過に伴って主制御用CPU30aが受信するリセット信号を第2状態へ遷移させる。このように副制御用CPU31aを先に起動させておくことで、起動を開始した主制御用CPU30aの処理によって送信される制御情報を、副制御用CPU31aが確実に受け取ることができるようになる。なお、上記説明並びに図4に示す「電力供給」には、主電源をONにした場合(通常の電源投入)に限らず、復電によって電力供給が再開される場合も含む。
先に起動を開始した副制御用CPU31aは、主制御用CPU30aの処理によって送信される制御情報の受信待ちの状態となる。この制御情報の受信待ちの状態において副制御用CPU31aは、演出表示装置11の表示内容を復帰画面G1に制御する。復帰画面G1は、例えば、図4に示すように「画面表示復帰中_しばらくお待ち下さい」という画面である。その後、主制御用CPU30aが起動すると、その初期設定において制御情報が生成される。このときに生成される制御情報は、主制御用RAM30cの記憶内容を初期化して制御を開始させる場合と、主制御用RAM30cの記憶内容を初期化せずに当該記憶内容に基づいて制御を復帰させる場合とで、相違する。
主制御用RAM30cの初期化は、RAMクリアスイッチ34fを操作しながら電力供給を行うことによって指示される。一方、主制御用RAM30cを初期化しないこと(記憶内容にしたがって復帰すること)は、RAMクリアスイッチ34fを操作せずに電力供給を行うことによって指示される。主制御用CPU30aは、初期化の指示を受けた場合、主制御用RAM30cに記憶されている遊技制御に関する情報(記憶内容)を初期化し、主制御用RAM30cの記憶領域に初期値を設定する。例えば、遊技状態として確率変動状態である時に電力供給が停止された場合は、主制御用RAM30cに確率変動状態であることを特定可能な情報が保持されているが、その情報を初期化し、遊技状態として通常状態であることを特定可能な情報(初期値)を設定する。
一方、主制御用CPU30aは、初期化の指示を受けていない場合、主制御用RAM30cの記憶内容が正常であるかを確認する。そして、主制御用CPU30aは、異常であるときには前述同様に初期化を行って初期値を設定するとともに、正常であるときには主制御用RAM30cに記憶されている遊技制御に関する情報(記憶内容)に基づいて復帰させる処理を行う。主制御用RAM30cの記憶内容が正常であるか、異常であるかの確認は、例えばバックアップフラグの状態確認とチェックサムの一致確認によって行われる。
パチンコ遊技機10への電力供給が停止された場合(電源電圧V1が所定電圧V0に降下した場合)、主制御用CPU30aは、電源断監視回路34bから送信される電源断信号を受信し、主制御用RAM30cの記憶内容をバックアップするためのバックアップ処理を実行する。バックアップ処理では、電源遮断時における主制御用RAM30cのチェックサムが算出されて主制御用RAM30cに記憶されるとともに、正常にバックアップ処理が行われた場合にはその旨を特定可能なバックアップフラグが設定される。このため、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに設定されているバックアップフラグの状態を確認することで、主制御用RAM30cの記憶内容が正常であるかを判断することができる。また、主制御用CPU30aは、初期設定において電力供給時における主制御用RAM30cのチェックサムを新たに算出し、その算出値と主制御用RAM30cに記憶されている電源遮断時のチェックサムとが一致するかを確認することで、主制御用RAM30cの記憶内容が正常であるかを判断することができる。そして、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの記憶内容が異常であると判断した場合、前述同様に主制御用RAM30cを初期化し、初期値を設定する。一方、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの記憶内容が正常であると判断した場合、主制御用RAM30cを初期化せずに、主制御用RAM30cに記憶されている遊技制御に関する情報に基づいて復帰させる。
主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cを初期化して制御を開始させる場合、制御情報として初期化したことを特定可能な電源投入コマンド(初期化情報)を生成し、その電源投入コマンドを副制御用CPU31aに送信する。副制御用CPU31aは、電源投入コマンドを受信した場合、図4に示すように、演出表示装置11の表示内容を復帰画面G1から復帰画面G2に制御する。復帰画面G2は、例えば、図4に示すように、[123]という飾り図柄の組み合わせ(初期図柄組み合わせ)を表示させる。
一方、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cを初期化せずに制御を開始させる場合、制御情報として初期化せずに主制御用RAM30cの記憶内容に基づいて復帰することを特定可能な復電コマンド(復電情報)を生成し、その復電コマンドを副制御用CPU31aに送信する。主制御用RAM30cを初期化せずに制御を開始させることが、電力供給が停止した場合でも保持されている遊技制御に関する情報に基づいて復帰させることに相当する。副制御用CPU31aは、復電コマンドを受信した場合、図4に示すように、演出表示装置11の表示内容を復帰画面G1から、電力供給が停止されたときの状態に応じた復帰画面G3に制御する。復帰画面G3は、例えば図柄変動ゲームの待機時(大当り遊技中を除く)に復帰する場合、例えば[456]という飾り図柄の組み合わせを表示させる。
以下、この実施形態のパチンコ遊技機10におけるエラー報知に関する処理を説明する。
エラー報知の対象となるエラーには、RAMクリア、主基板エラー、磁気エラー、誘導磁界検知エラー、特別電動役物不正入賞エラー、普通電動役物不正入賞エラー、扉開放、満杯エラーなどがある。これらのエラーは一例であり、パチンコ遊技機10は、仕様(スペック)に応じて様々なエラーを検知する機能を搭載している。RAMクリアは、主制御基板30に搭載した主制御用RAM30cの記憶内容が初期化される状態である。なお、RAMクリアには、RAMクリアスイッチ34fを操作することで行う正規な処理もあれば、例えば何らかの制御的な不具合の発生によって主制御用CPU30aがリセットされることで行われる場合や、外部からリセット信号を送信して意図的に主制御用CPU30aがリセットされることで行われる場合(不正行為)など非正規な処理もある。このため、RAMクリアは、前述したように非正規な処理で行われる場合もあることから、エラーの一種として位置付けることができる。
主基板エラーは、ハードウェア乱数の更新に異常が生じた状態である。磁気エラーは、不正対策の一環としてパチンコ遊技機10に配設された磁気センサによって所定の強さ以上の磁気が検知された状態である。誘導磁界検知エラーは、不正対策の一環としてパチンコ遊技機10に配設された電波センサ(誘導磁界検知センサ)によって特定の周波数帯の電波が検知された状態である。特別電動役物不正入賞エラーは、大当り遊技が生起されていないとき(特別電動役物装置の未作動時)に、大入賞口14への入球が検知された状態である。普通電動役物不正入賞エラーは、普通電動役物装置の未作動時に第2始動口13への入球が検知された状態である。扉開放は、パチンコ遊技機10の前枠が開放された状態である。満杯エラーは、貯留皿(下皿27)が満杯の状態である。
図5は、前述したエラーのうち、一部のエラーの発生条件を示している。エラーの発生条件とは、主制御用CPU30aによってエラーが発生したと判断される条件である。図5には、エラーとして、RAMクリア、主基板エラー、磁気エラー、誘導磁界検知エラー、特別電動役物不正入賞エラー、満杯エラーを例示している。
RAMクリアの発生条件は、正規な処理であればRAMクリア操作(RAMクリアスイッチ34fを操作しながら電源投入する)が行われることである。主基板エラーの発生条件は、乱数更新(ハードウェア乱数の更新)の異常である。磁気エラーの発生条件は、磁気センサによって磁気が検知されること、より詳しくは主制御基板30(主制御用CPU30a)が磁気センサの検知信号をAx時間(例えば200ms)連続で検知していることである。誘導磁界検知エラーの発生条件は、電波センサによって電波が検知されること、より詳しくは主制御基板30(主制御用CPU30a)が電波センサの検知信号を合計Bx回(例えば3回)検知していることである。特別電動役物不正入賞エラーの発生条件は特別電動役物装置の未作動時に大入賞口14への入球が検知されること、より詳しくは未作動時にカウントセンサCSをCx個(例えば2個)通過したことである。満杯エラーの発生条件は、下皿27が満杯の状態であること、より詳しくは主制御基板30(主制御用CPU30a)が満杯センサの検知信号(オン信号)を検知していることである。
エラーが生じた場合、主制御用CPU30aは、エラー報知を指示するエラー報知コマンド(エラー報知信号)を副制御基板31に送信する。この実施形態において主制御用CPU30aは、前述したエラーの発生条件が満たされる毎にエラー報知コマンドを送信する。例えば、主制御用CPU30aは、特別電動役物不正入賞エラーについてCx個の通過を検知する毎にエラー報知コマンドを送信する。エラー報知コマンドは、エラーの種別毎に設定されている。例えば、主基板エラーコマンド[E3H01H]、磁気エラーコマンド[E3H02H]、誘導磁界検知エラーコマンド[E3H03H]、満杯エラーコマンド[E3H04H]というようにエラーの種別毎に設定されており、エラー報知コマンドは2バイトのデータから構成されている。主制御基板30(主制御用CPU30a)は、エラーの発生条件が満たされる毎に副制御基板31(副制御用CPU31a)にエラー報知を指示する処理を実行する。
一方で、エラー報知信号を受信した副制御基板31の副制御用CPU31aは、エラー報知信号を受信したことを契機として、所望の報知形態でエラー報知を実行させる。報知形態には、演出表示装置11の画像表示による報知、装飾ランプLaの発光による報知、スピーカSpからの音声出力による報知がある。エラー報知を行う演出表示装置11、装飾ランプLa、スピーカSpなどの手段が報知手段として機能する。
そして、この実施形態のパチンコ遊技機10は、副制御基板31によるエラー報知の条件、及びエラー報知の態様を変更可能に構成されている。エラー報知の条件を変更するとは、エラーが発生したときに副制御基板31がエラー報知を実行させる契機(タイミング)を変更することである。
以下、この実施形態におけるエラー報知の条件及びエラー報知の態様を変更する処理について図4及び図5にしたがって説明する。
エラー報知の条件及び態様の変更は、パチンコ遊技機10の起動操作時に許容されている。具体的に言えば、図4に示すように、副制御基板31の初期設定の終了後、所定時間TAの間に所定の操作手段を所定の操作形態で操作することにより、副制御基板31はエラー報知の条件及び態様の変更を受付け可能な状態になる。このとき、副制御用CPU31aは、演出表示装置11の表示内容を復帰画面G1から復帰画面G4に制御する。この実施形態において所定の操作手段は操作ボタンBT1であり、所定の操作形態は例えば所定回数(5回)連打することである。なお、所定の操作手段を所定の操作形態で操作した場合は復帰画面G4の表示によってエラー報知の条件及び態様の変更が可能であることは報知されるが、何れのエラー報知の条件や態様が変更可能であるかを具体的に報知するようにしてもよい。この場合の報知は、演出表示装置11としてもよいし、演出表示装置11に加えて又は代えて音声出力によって行ってもよい。
エラー報知の条件及び態様の変更は、復帰画面G4が表示され、その状態で最終の変更のための操作から所定時間が経過するまでの間、受け付け可能とされる。エラー設定は、所定時間の経過時点での設定が有効とされ、副制御用RAM31cに記憶される。エラー設定の操作は、操作ボタンBT2によって行うことができる。この実施形態において操作ボタンBT2は、エラー報知の条件を所定の操作によって指示する指示手段として機能するとともに、エラー報知の態様を所定の操作によって指示する指示手段として機能する。そして、副制御基板31(副制御用CPU31a)は、操作ボタンBT2からの指示をもとにエラー報知の条件を変更する処理を実行するとともに、操作ボタンBT2からの指示をもとにエラー報知の態様を変更する処理を実行する。
この実施形態では、図5に例示したエラーのうち、磁気エラー、誘導磁界検知エラー、特別電動役物不正入賞エラーについては時間又は数(回数、個数)を変更することによってエラー報知の条件を変更可能であり、エラー報知の態様は変更不能である。また、図5に例示したエラーのうち、満杯エラーについてはエラー報知を音で行う場合の音声を変更することによってエラー報知の態様を変更可能であり、エラー報知の条件は変更不能である。一方、図5に例示したエラーのうち、RAMクリア、主基板エラーについてエラー報知の条件及び態様の何れも変更不能である。このようにエラーとしては複数種類あるが、エラー報知の条件やエラー報知の態様を変更可能としたエラーとエラー報知の条件やエラー報知の態様を変更不能としたエラーがある。特に、エラー報知の条件及びエラー報知の態様の何れも変更不能としたエラーは、エラーの中でも重要度の高いエラーである。
磁気エラーについては、エラー報知の条件として時間[A1]、[A2]、[A3]の何れかを設定することができる。時間[A1]は例えば200msであり、時間[A2]は例えば400msであり、時間[A3]は例えば600msである。設定可能な時間[A1]〜[A3]は、磁気エラーの発生条件として設定されている時間[Ax]の倍数(1〜3倍)の時間である。
誘導磁界検知エラーについては、エラー報知の条件として回数[B1]、[B2]、[B3]の何れかを設定することができる。回数[B1]は例えば3回であり、回数[B2]は例えば6回であり、回数[B3]は例えば9回である。設定可能な回数[B1]〜[B3]は、誘導磁界検知エラーの発生条件として設定されている回数[Bx]の倍数(1〜3倍)の回数である。
特別電動役物不正入賞エラーについては、エラー報知条件として個数[C1]、[C2]、[C3]の何れかを設定することができる。個数[C1]は例えば2個であり、個数[C2]は例えば4個であり、個数[C3]は例えば6個である。設定可能な個数[C1]〜[C3]は、特別電動役物不正入賞エラーの発生条件として設定されている個数[Cx]の倍数(1〜3倍)の個数である。
満杯エラーについては、エラー報知の態様として音声[D1]、[D2]、[D3]の何れかを設定することができる。音声[D1]は例えば成人男性の声であり、音声[D2]は例えば成人女性の声であり、音声[D3]は子供の声である。
以下、図6(a),(b)にしたがって、この実施形態のパチンコ遊技機10の作用、特に主制御基板30からの指示を受信した副制御基板31によってエラー報知が実行される態様を説明する。図6(a),(b)は、エラーのうち、磁気エラーに関するエラー報知が実行される態様を例示している。また、図6(a),(b)において、主制御基板の欄はエラー報知コマンドを送信するタイミングを示し、副制御基板の欄はエラー報知のタイミングを示す。
図6(a)に示すように、主制御基板30の主制御用CPU30aは、磁気センサの検知信号を[Ax]時間連続で検知していることによって磁気エラーが発生したと判断する。そして、主制御用CPU30aは、磁気エラーが発生したと判断した時点で磁気エラーコマンドを生成し、副制御基板31の副制御用CPU31aに送信する。
一方、図6(b)に示すように、副制御用CPU31aは、エラー報知の条件として時間[A1]が設定されている場合、1回目のエラー報知コマンド(図中に[1]と示す)を受信した時点でエラー報知を実行させる。また、副制御用CPU31aは、エラー報知の条件として時間[A2]が設定されている場合、1回目のエラー報知コマンドを受信した時点ではエラー報知を実行させず、2回目のエラー報知コマンド(図中に[2]と示す)を受信した時点でエラー報知を実行させる。また、副制御用CPU31aは、エラー報知の条件として時間[A3]が設定されている場合、1回目及び2回目の各エラー報知コマンドを受信した時点ではエラー報知を実行させず、3回目のエラー報知コマンド(図中に[3]と示す)を受信した時点でエラー報知を実行させる。
この実施形態のパチンコ遊技機10では、副制御基板31側において前述したようにエラー報知の条件を変更可能に構成したことで、エラーが発生したときに主制御基板30が副制御基板31にエラー報知を指示する契機自体は変更されないが、実際にエラー報知が実行される時期が変更される。つまり、前述の磁気エラーの例示では、主制御基板30が磁気エラーが発生したと判断してエラー報知コマンドを送信するタイミングは同じであるが、副制御基板31が何れのエラー報知コマンドを契機としてエラー報知を実行させるかが異なる。これにより、エラー報知の条件の変更によってエラー報知が実行される時期も異なることになる。
具体的に言えば、図6(b)に示すように、時間[A2]のときには時間[A1]との差分時間[Tx]、遅れてエラー報知が実行されることになる。また、図6(b)に示すように、時間[A3]のときには時間[A1]との差分時間[Ty(Tx×2)]、遅れてエラー報知が実行されることになる。なお、この実施形態の上記制御は、副制御基板31によるエラー報知の実行時期を異ならせているが、例えば時間[A2]のときに2回目のエラー報知コマンドが送信されない場合(つまり、磁気センサを検知していない)、エラー報知は実行されない。なお、図6(a),(b)で例示した磁気エラーについては、エラー報知の時期は異なるが、エラー報知の態様は同じである。
また、満杯エラーの場合、副制御用CPU31aは、エラー報知コマンドを受信すると直ちにエラー報知を実行させる、このとき、副制御用CPU31aは、設定されているエラー報知の態様にしたがってエラー報知を実行させる。具体的に言えば、副制御用CPU31aは、音声[D1]が設定されている場合、音声[D1]でエラー報知を実行させるとともに、音声[D2]が設定されている場合、音声[D2]でエラー報知を実行させる。また、副制御用CPU31aは、音声[D3]が設定されている場合、音声[D3]でエラー報知を実行させる。
したがって、この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)エラー報知の条件や態様を変更可能としたことにより、エラーの報知機能を充実させることができる。つまり、従来、エラー報知の条件や態様を固定化していたものを、パチンコ遊技機10の仕様や遊技場の管理状態などに応じて任意に変更することができる。これにより、報知機能の利便性を向上させ、パチンコ遊技機10の価値を高めることができる。
(2)また、エラー報知の条件として、時間や数を変更することができるので、エラー報知のタイミングを早めたり、遅らせたりすることができる。したがって、パチンコ遊技機10の仕様や遊技場の管理状態などに応じて柔軟に対応可能な報知機能を提供することができる。
(3)複数種類のエラーを備える場合において、エラー報知の条件や態様を変更可能としたエラーとエラー報知の条件や態様を変更不能としたエラーを設定することで、エラーの種別に応じた条件設定を行うことができる。例えば、重要度の高いエラーについては変更不能とすることで、報知機能の有能性を損なわせることなく、従前と同様にエラー報知を行わせることができる。
(4)副制御基板31側でエラー報知の条件や態様を変更可能とすることで、主制御基板30がエラー報知を指示する契機自体を変更する必要がない。このため、主制御基板30の制御プログラムを複雑化することなく、主制御基板30に負担を強いることがない。つまり、主制御基板30側のデータ容量などを考慮することなく、副制御基板31側の制御プログラムの構築により、エラーの報知機能を充実させることができる。
(5)また、エラー報知の態様を変更可能とすれば、同じエラーの報知であっても、例えば1日単位や1週間単位で報知形態を変更することで、エラー報知でありながらパチンコ遊技機10に変化を与えることができ、価値の高い遊技機を提供することができる。特に、満杯エラーは、大当り遊技中に比較的多く発生する現象であり、かつ遊技者に重度の不利益を与えるエラーとは言えない。このため、満杯エラーの報知の形態を変更することは、図柄変動ゲームで行われる予告演出などと同様に演出効果を遊技者に与えることができる。
(第2の実施形態)
以下、パチンコ遊技機に具体化した第2の実施形態を図7にしたがって説明する。
なお、以下に説明する実施形態において既に説明した実施形態と同様の構成及び制御内容については、同一符号を付すなどしてその重複する説明を省略又は簡略する。
図7に示すように、この実施形態のパチンコ遊技機10では、エラー報知の条件の設定において設定内容が第1の実施形態とは異なる。なお、第2の実施形態におけるエラー報知の条件の設定は、第1の実施形態と同様に行うことができる。
この実施形態で設定可能な設定内容は、エラー報知の有無、すなわちエラー報知の実行可否である。図7には、図5と同様に磁気エラー、誘導磁界検知エラー、特別電動役物不正入賞エラーの設定内容を例示している。
この実施形態によれば、例えば磁気エラーについてエラー報知の条件としてエラー報知の実行可を設定している場合、エラーの発生条件が満たされることによって主制御基板30はエラー報知コマンドを送信し、そのエラー報知コマンドを受信した副制御基板31はエラー報知を実行させる。一方、この実施形態によれば、例えば磁気エラーについてエラー報知の条件としてエラー報知の実行否を設定している場合、エラーの発生条件が満たされることによって主制御基板30はエラー報知コマンドを送信するが、エラー報知コマンドを受信した副制御基板31はエラー報知を実行させない。
したがって、この実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1),(3)〜(5)と同様の効果に加え、以下に示す効果を得ることができる。なお、上記(1),(3),(4)は「エラー報知の条件」を「エラー報知の実行可否」と読み替えることで第2の実施形態の効果となり得る。
(6)エラー報知の実行可否を変更可能としたことにより、エラーの報知機能を充実させることができる。特に、パチンコ遊技機10の仕様などに起因してエラーとしての重要度は低いが、頻繁に起こり得るエラーなどが存在する場合に、そのエラーに対するエラー報知の実行を禁止することができる。これにより、エラー報知が頻発して遊技者に煩わしさを与えてしまうなどの事態を抑制できる。また、遊技場の管理状態などに沿わないエラーが設定されている場合があれば、そのエラーに対するエラー報知の実行を禁止することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・エラー報知の態様の変更として、エラー報知を音で行う場合の音量を変更することでもよいし、エラー報知を画像表示で行う場合の表示パターンを変更することでもよいし、エラー報知を発光で行う場合の発光パターンを変更することでもよい。また、エラーによってエラー報知の態様が異なることから、エラー報知の態様として上記した複数の態様を備え、これらの態様を変更可能としてもよい。
・エラー報知の態様の変更を可能としたエラーには、エラー報知の態様を遊技者が選択できるエラーを設けてもよい。例えば、実施形態で例示した満杯エラーの態様を、遊技者が選択できるようにしてもよい。この選択は、例えば操作ボタンBT2などを操作して行う。そして、エラー報知の態様の変更を可能とする時期は、例えばデモンストレーション演出中など、遊技が待機しているときとしてもよい。
・エラー報知の態様の変更として、エラー報知を音で行う場合の音量を変更できる場合、エラー報知の音量の最低値がエラー報知の音以外の音量(例えば通常の演出に用いる音量)の最低値よりも大きくなる範囲で変更を許容することが好ましい。つまり、エラー報知は、例えば音量を変更可能としても、エラーの発生を知らせる目的においては目立つ又は聞き取れるようにしておくことが好ましい。なお、エラー報知の音量は、その最低値が、エラー報知の音以外の音量の最低値以下となるように変更が許容されていてもよい。
・副制御基板31によるエラー報知の制御内容を次のように変更してもよい。つまり、主制御基板30は、図5で説明したエラーの発生条件にしたがってエラー報知コマンドを送信する。一方、副制御基板31は、エラー報知コマンドを受信してからの時間経過を契機としてエラー報知を実行させる。そして、エラー報知の条件の変更として、経過時間を設定できるようにする。例えば、経過時間として「0秒」、「3秒」などを設定できる場合、「0秒」であればエラー報知コマンドを受信したら直ちにエラー報知を実行させ、「3秒」であればエラー報知コマンドの受信後、「3秒」の経過時にエラー報知を実行させる。
・主制御基板30は、エラーを検知するセンサの検知信号を受信した場合、例えば時間によって発生条件を満たすエラーであれば発生条件を満たす時間よりも短い間隔で信号を副制御基板31に送信する。そして、副制御基板31は、その信号もとに時間を計数し、エラー報知の条件にしたがってエラー報知を実行させる。例えば、磁気エラーでは、時間[Ax]よりも短い間隔で信号が送信され、計数した時間がエラー報知の条件として設定した時間に達したことを契機にエラー報知を実行させる。この別例によれば、磁気エラーの発生条件である時間[Ax]を200msとし、信号を100ms単位で送信すれば、エラー報知の条件として設定可能な値を時間[Ax]よりも短い、100msなどとすることもできる。この別例によれば、エラー報知の条件を細かく設定することができる。
・主制御基板30は、エラーを検知するセンサの検知信号を受信した場合、例えば回数や個数などの数によって発生条件を満たすエラーであれば発生条件を満たす数よりも少ない数(回数や個数)で信号を副制御基板31に送信する。そして、副制御基板31は、その信号もとに計数し、エラー報知の条件にしたがってエラー報知を実行させる。例えば、誘導磁界検知エラーでは、回数[Bx]よりも少ない回数で信号が送信され、計数した回数がエラー報知の条件として設定した回数に達したことを契機にエラー報知を実行させる。この別例によれば、誘導磁界検知エラーの発生条件である回数[Bx]を3回とし、信号を1回単位で送信すれば、エラー報知の条件として設定可能な値を回数[Bx]よりも少ない、1回や2回などとすることもできる。上記した説明は、個数を発生条件とする特別電動役物不正入賞エラーでも同じである。この別例によれば、エラー報知の条件を細かく設定することができる。
・エラーを検知するセンサの検知信号を、主制御基板30を経由して副制御基板31へ直接送信するようにしてもよい。この別例によれば、副制御基板31でエラー報知の条件を任意に設定することができる。つまり、副制御基板31でエラーの発生条件を満たしたかを判断することができるので、エラー報知の条件を変更すればその条件にしたがってエラー報知を実行させることができる。
・主制御基板30が大入賞口14への入球毎に1球の入球があったことを特定可能な制御信号(入球コマンド)を副制御基板31に送信している場合、副制御用CPU31aは大当り遊技中でないときの入球コマンドの受信回数から特別電動役物不正入賞エラーのエラー報知を制御してもよい。
・エラー報知の条件や態様を変更するための操作手段(指示手段)は、パチンコ遊技機10の本体内部に設置されていてもよい。パチンコ遊技機10は、施錠装置(図示しない)によって施錠されており、施錠装置を解除しなければ本体内部にアクセスできないように構成されている。施錠装置を解錠するための鍵は、遊技場の管理者などによって管理されており、遊技者は操作手段を操作することはできない。なお、操作手段を設置する本体内部は、施錠装置を解除し、パチンコ遊技機10を構成する枠体(前枠や中枠)を開閉させることによって操作可能な位置であり、例えば前枠を開放させた時にアクセス可能な遊技盤YBの盤面や、中枠を開放させた時にアクセス可能な機裏側などである。
・RAMクリアのときにはエラー報知の条件や態様を初期値に戻してもよい。この場合、RAMクリアによって起動した状態は、保持されている遊技制御に関する情報をクリアし、かつエラー報知の条件や態様を初期設定条件に戻す状態になる。
・エラー報知の条件や態様を変更可能とするエラーは、図5及び図7に例示したエラーに限らず、任意に設定することができる。つまり、何れのエラーの条件を変更可能とするかは、エラーの重要度、遊技機の仕様、遊技場の管理状態など、様々な事情によって任意に設定することができる。
・例えば、実施形態のパチンコ遊技機10は、右打ちを許容するパチンコ遊技機である。この種のパチンコ遊技機10は、非入球率向上状態であれば左打ちによって遊技を行い、入球率向上状態であれば右打ちによって遊技を行う。そして、非入球率向上状態のときに作動ゲート18へ遊技球を入球した場合には左打ちを促すエラー報知を行う場合がある。このため、左打ちを促すエラー報知を行うための条件(エラー報知の条件)を、作動ゲート18への入球個数を選択できるようにすることで変更可能としてもよい。
・また、払出制御基板32(払出制御用CPU)によって検知される払出しに関するエラーについてエラー報知の条件を変更可能としてもよい。払出しに関するエラーには、球払出装置33の球切れに関するエラー、球払出装置33自体の故障などによるエラー、球払出装置33の球詰まりに関するエラーなどがある。
・エラー報知の条件を変更可能とするエラーは、エラーの発生条件を時間で管理するものと数(個数や回数)で管理するものうち、何れか一方のエラーを対象としてもよいし、両方のエラーを対象としてもよい。
・エラー報知の条件を変更する形態として設定可能な値(固定値)を選択肢として提示する形態の場合、選択肢の数は任意に変更可能であり、エラーによって選択肢の数が異なっていてもよい。
・第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせてもよい。つまり、第1の実施形態のエラー報知の条件を変更可能なエラーと、第2の実施形態のエラーの実行可否を変更可能なエラーと、を共存させてもよい。また、第1の実施形態において例えば磁気エラーについてエラー報知の条件の変更に加えて実行可否の変更を行えるようにしてもよい。つまり、1つのエラーについて実行可否を設定でき、実行可であればさらにエラー報知の条件を設定できるようにしてもよい。また、パチンコ遊技機10においてエラー設定は、エラー報知の実行可否のみを設定できるようにしてもよい。
・エラー報知を行う報知手段は、例えば演出表示装置11のみというように単一の手段としてもよいし、演出表示装置11とスピーカSpというように複数の手段としてもよい。
・また、エラー報知を行う報知手段は、例えば演出表示装置11のように演出用の装置と兼用していてもよいし、エラー報知を行う専用の装置としてもよい。
・エラー報知を行った場合、そのエラー報知の解除条件は、電源供給を停止させること(電源断)としてもよいし、所定の時間が経過することとしてもよいし、エラーが解消することとしてもよい。これらの解除条件は、エラーの種類によって任意に設定することができる。
・満杯センサ、開放センサなどエラーを検出するためのセンサの検知信号は、主制御基板30に直接入力されるように信号線で接続されていてもよいし、例えば払出制御基板32などを経由して主制御基板30へ入力されるようにしてもよい。
・パチンコ遊技機10は、バックアップ機能を搭載していてもよい。バックアップ機能は、主制御用RAM30cの記憶情報のみをバックアップする構成としてもよいし、主制御用RAM30cの記憶情報と副制御用RAM31cの記憶情報とをバックアップする構成としてもよい。
・また、主制御基板30と副制御基板31の双方がバックアップ機能を備えているパチンコ遊技機に具体化する場合でも、主制御用CPU30aは、電力供給が開始された際に、電源投入コマンドと復電コマンドの何れかを副制御用CPU31aへ送信する。そして、副制御用CPU31aは、実施形態と同様に、受信した制御情報に基づいて復帰時の制御を行ってもよい。また、主制御基板30と副制御基板31の双方がバックアップ機能を備えている場合、副制御用CPU31aは副制御用RAM31cに記憶されている遊技制御に関する情報をもとに復電時の制御を行ってもよい。また、副制御用CPU31aは、エラー報知の条件や態様を維持してもよい。つまり、RAMクリアされるまで、又は条件や態様の設定変更が行われるまで、副制御用RAM31cに記憶されている設定でエラー報知を制御してもよい。
・副制御基板31をサブ統括制御基板とし、副制御基板31とは別に演出表示装置11を専門に制御する表示制御基板、装飾ランプLaを専門に制御する発光制御基板、スピーカSpを専門に制御する音声制御基板を設けてもよい。このようなサブ統括制御基板とその他の演出を制御する基板を含めて副制御基板としてもよい。
・また、単一の基板に主制御基板30の主制御用CPU30aと副制御基板31の副制御用CPU31aとを搭載してもよい。また、上記の別例において、表示制御基板、発光制御基板、及び音声制御基板を任意に組み合わせて単数の基板、若しくは複数の基板としてもよい。
・飾り図柄の図柄変動ゲームを制御する制御コマンドとして変動停止コマンドを備えないパチンコ遊技機に具体化してもよい。変動停止コマンドを備えない場合、例えば、副制御用CPU31aは、変動時間をもとに飾り図柄の図柄変動ゲームを終了させる。
・実施形態のパチンコ遊技機10を、特別図柄のみを用いるパチンコ遊技機に具体化してもよい。また、実施形態のパチンコ遊技機10を、複数の大入賞口を有するパチンコ遊技機、単一の始動口を有し、単一の特別図柄を用いるパチンコ遊技機、若しくは複数の始動口を有し、単一の特別図柄を用いるパチンコ遊技機に具体化してもよい。
・実施形態のパチンコ遊技機10を、左打ちのみによって第1始動口12、第2始動口13、大入賞口14、普通入賞口15a,15bへ遊技球を狙わせるパチンコ遊技機に具体化してもよい。
・実施形態のパチンコ遊技機10を、遊技球が特定領域を通過することを契機に大当り遊技を付与する遊技機(所謂1種2種混合機)に具体化してもよい。
・確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機10として、次回の当りに当選するまで確率変動状態を付与する仕様や、転落抽選に当選するまで確率変動状態を付与する仕様(転落機)、あるいは予め定めた回数分の図柄変動ゲームが終了するまで確率変動状態を付与する仕様(ST機)がある。また、確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機には、遊技球が特定領域を通過することを契機に確率変動状態を付与する仕様(V確変機)がある。実施形態のパチンコ遊技機10は、これらの何れの仕様のパチンコ遊技機に具体化してもよい。また、パチンコ遊技機10は、上記した転落機とV確変機を混合させた仕様のパチンコ遊技機であってもよい。
・前述したV確変機は、単数の大入賞口を備えて特定のラウンド遊技を生じさせる仕様がある。また、V確変機は、特定のラウンド遊技で開放される大入賞口(V入賞口)と特定のラウンド遊技以外のラウンド遊技で開放される大入賞口からなる複数の大入賞口を備えて特定のラウンド遊技を生じさせる仕様(第3実施形態の構成)とがある。各実施形態は、何れの仕様のV確変機に具体化してもよい。
・パチンコ遊技機10として、「羽根もの」、「ヒコーキタイプ」とも言われる第2種に分類されるパチンコ遊技機に具体化してもよい。この種のパチンコ遊技機では、始動口への遊技球の入球を契機に入球装置の開閉羽根(開閉部材)が開き、入球装置へ入球した遊技球が特別入賞口へ入球することによって大当り遊技が生起される。
・遊技機を、回胴式遊技機に具体化してもよい。回胴式遊技機には、遊技媒体としてメダルを用いるスロットマシンや、遊技媒体として遊技球を用いるスロットマシンを含む。