JP2018077172A - 金属鉱床の探鉱方法、資源開発方法、採鉱方法、二次硫化銅の産出方法、資源産出方法、鉱山開発方法およびボーリング方法 - Google Patents

金属鉱床の探鉱方法、資源開発方法、採鉱方法、二次硫化銅の産出方法、資源産出方法、鉱山開発方法およびボーリング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属鉱床を容易に且つ高い精度で推定することのできる金属鉱床の探鉱方法ならびに、それを用いる資源開発方法、採鉱方法、二次硫化銅の産出方法、資源産出方法、鉱山開発方法およびボーリング方法を提供する。
【解決手段】この発明の金属鉱床の探鉱方法は、対象地点で深さ方向に試料を採取すること、前記試料の成分分析を行い、前記対象地点の深さ方向の各位置における変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物の濃度および二次硫化銅の濃度をそれぞれ測定すること、ならびに、前記対象地点の深さ方向の各位置における、前記変質鉱物の合計濃度に対する前記カオリン鉱物の濃度の割合で表されるカオリン鉱物の変質強度と前記二次硫化銅の濃度との関係より、金属鉱床の存在を推測することを含む。
【選択図】なし

Description

この発明は、所定の金属元素が濃集してなる金属鉱床の探鉱方法ならびに、それを用いる資源開発方法、採鉱方法、二次硫化銅の産出方法、資源産出方法、鉱山開発方法およびボーリング方法に関するものであり、特には、主として地下に存在する金属鉱床を、容易に且つ高い精度で推定することのできる技術を提案するものである。
たとえば銅ないし亜鉛等の非鉄金属資源の消費量が増大する傾向にある近年では、資源を安定して供給する必要性から、資源ポテンシャルが高いがまだ十分に探鉱されていない南米その他の地域にて、長い歴史を経て金属元素が濃集して形成された金属鉱床を新たに発見し、これから採鉱することが希求されている。
このような資源探鉱及び開発は、探鉱から採鉱、資源生産の開始に至るまで、多大な費用及び時間を要するものであり、その初期段階となる金属鉱床の探鉱では、そのような投資に見合う程度の濃度で金属元素が濃集した金属鉱床を、高い精度で、しかも容易に発見することが望ましい。
しかるに、一般に金属鉱床の大部分は地下に存在し、特に、地表面から浅い位置にある金属鉱床はこれまでに既に探鉱されており、今後新たに発見・開発される金属鉱床は潜頭化・深部化が進むことが予想されるので、新しい金属鉱床の探鉱は次第に難しいものになってきている。
ここで従来は、地下に金属鉱床が存在し得ると考えられる地帯の地表面を目視等にて観察する地表調査や採取試料の化学分析を行い、そのなかから経験等に基いて見当を付けた場所でボーリングを実施して、地中の所定の深さの範囲を構成する物質の成分を分析することにより、金属鉱床の探鉱を行っていた。この場合、経験則や技能によるところも大きく、見当が外れると多数回にわたってボーリング、成分分析等を実施することになり、費用が嵩むとともに多くの時間を要するという問題がある。
このような状況の下、たとえば非特許文献1、2に記載されているような、人工衛星や航空機等により遠隔から対象を測定するリモートセンシング技術や、光学的手法に基き鉱物等の物質の組成等を推定するスペクトル解析技術の進歩に伴い、上述した探鉱分野においても、かかる技術が用いられるに至っている。
なお非特許文献1では、地球や惑星の表面物質をリモートセンシングにより推定する際等に用いる技術として、主に輝石やカンラン石等の珪酸塩鉱物の化学組成と吸収帯との関係、及び、様々な鉱物の混合物の粒子サイズや混合率と反射スペクトルとの関係について考察されている。
非特許文献2では、いわゆる等粒子モデル(Isograin Model)で、鉱物の混合物の反射スペクトルにおける粒子サイズ及び形状を考慮した解析手法について検討されている。
廣井、「可視・近赤外リモートセンシングによる造岩鉱物の定量的分析―珪酸塩鉱物を例として―」、鉱物学雑誌、日本鉱物科学会、1999年8月、第28巻、第3号、p.109-116 Hiroi,T. and Pieters,C.M.(1992), "Effects of grain size and shape in modeling reflectance spectra of mineral mixtures", Proceeding of Lunar and Planetary Science, 22, 313−325
ところで、金属鉱床を探鉱するに当っては、長い年月を経て金属鉱床が形成される鉱化プロセスを正確に把握し、鉱徴現象に基いて探査を行うことで、探鉱精度の向上および発見容易性の向上につながると考えられるが、上述した非特許文献1、2に記載された技術を含む従来の技術では、このような鉱化プロセス等に基く探鉱方法について十分に検討されているとは言い難い。
したがって、近年はリモートセンシングやスペクトル解析等の技術が用いられつつあるとはいえ、金属鉱床を探鉱することは依然として、非常に多くの時間及び費用を要するものであった。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、その目的とするところは、金属鉱床を容易に且つ高い精度で推定することのできる金属鉱床の探鉱方法ならびに、それを用いる資源開発方法、採鉱方法、二次硫化銅の産出方法、資源産出方法、鉱山開発方法およびボーリング方法を提供することにある。
発明者は、金属鉱床が形成されるまでの鉱化プロセスについて鋭意検討した結果、深さ方向の所定の複数の物質の濃度分布に着目し、それらの物質の濃度分布の関係をもとに探鉱を行うことにより、金属鉱床を高い精度で容易に発見できることを見出した。
このことをより詳細に述べると、たとえば斑岩銅鉱床等の金属鉱床の鉱化プロセスには、地下の深い位置で、初生硫化銅等の初生鉱化帯が形成されるとともに、その周囲に変質鉱物を含む変質帯が形成される初生鉱化作用と、初生鉱化作用の後、数百万〜数千万年の年月の経過に伴い、これが隆起や侵食により地表に向けて接近し、次いで、降雨等による酸化環境の下、初生硫化銅が溶脱されるとともに移動して、地下水面下で高品位の二次硫化銅の二次富化帯が形成される二次富化作用との二つの過程がある。二次富化作用により形成される二次富化帯は、地表面の侵食及び地下水位の低下により徐々に下方に移動して成長し、銅等の金属元素が濃集した金属鉱床となる。
発明者は、かかる鉱化プロセスを考慮した上で、金属鉱床の近傍の地質を調査したところ、良好な二次富化帯が形成された地帯では、変質鉱物の一つであるカオリン鉱物の深さ方向の濃度分布の、変質鉱物全体の同様の濃度分布に占める割合が、二次硫化銅の同様の濃度分布と類似した分布傾向になることが解かった。
ここで、変質鉱物の合計濃度に対するカオリン鉱物の濃度の割合で表されるカオリン鉱物の変質強度は、二次富化作用に伴う変質の強さを表し、また二次硫化銅の濃度は、溶脱とともに下方に向けて移動した銅の量を表すと考えられる。したがって、深さ方向でカオリンの変質強度と二次硫化銅の濃度との間に相関がある地点では、二次富化作用で二次富化帯全体に多くの銅及び酸が供給された結果として、二次富化作用が強く働いた可能性が高いと推測される。
このように、深さ方向の各位置における、変質鉱物の合計濃度に対するカオリン鉱物の濃度の割合で表されるカオリン鉱物の変質強度と、二次硫化銅の濃度との関係から、二次富化作用を受けた過程を類推することが可能であり、この関係を用いることにより、金属鉱床の探鉱を効果的に行うことができると考えた。但し、この発明は、上述したような理論に限定されるものではない。
上述した知見に基き、この発明の金属鉱床の探鉱方法は、対象地点で深さ方向に試料を採取すること、前記試料の成分分析を行い、前記対象地点の深さ方向の各位置における変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物の濃度および二次硫化銅の濃度をそれぞれ測定すること、ならびに、前記対象地点の深さ方向の各位置における、前記変質鉱物の合計濃度に対する前記カオリン鉱物の濃度の割合で表されるカオリン鉱物の変質強度と前記二次硫化銅の濃度との関係より、金属鉱床の存在を推測することを含むものである。
この発明の金属鉱床の探鉱方法は、深さ方向の各位置における前記カオリン鉱物の変質強度と前記二次硫化銅の濃度との関係より、対象地点を、深さ方向の浅部及び深部のそれぞれにおけるカオリン鉱物の変質強度及び二次硫化銅の濃度の大小を基準とした深浅部濃度分類の複数種類の分類タイプのいずれかに区分し、前記深浅部濃度分類による当該区分に基き、金属鉱床の存在を推測することを含むことが好ましい。
この場合において、前記深浅部濃度分類は、横軸もしくは縦軸のいずれか一方の軸をカオリン鉱物の変質強度とし、他方の軸を二次硫化銅の濃度としたグラフで表すことができる。
深浅部濃度分類は、少なくとも、対象地点の深さ方向の浅部及び深部のそれぞれにおけるカオリン鉱物の変質強度及び二次硫化銅の濃度の大小の違いによる複数種類の分類タイプを含むことが好ましい。
この発明の金属鉱床の探鉱方法は、対象領域内の複数の対象地点で、試料を採取すること、深さ方向の各位置における変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物の濃度および二次硫化銅の濃度を測定すること、ならびに、深さ方向の各位置におけるカオリン鉱物の変質強度と二次硫化銅の濃度との関係を得ることを含み、前記深浅部濃度分類による各対象地点の区分より、対象領域における深浅部濃度分類の各分類タイプについての平面分布を得ることをさらに含むことが好適である。
また、この発明の金属鉱床の探鉱方法では、前記試料の成分分析で、試料の反射スペクトルを観測して深さ方向の各位置における変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物の濃度および二次硫化銅の濃度を測定する反射スペクトル解析を行うことが好ましい。
前記反射スペクトル解析では、350nm〜2500nmの波長領域内の反射スペクトルを用いることが好ましい。また、前記反射スペクトル解析では、1900nm〜2500nmの波長領域内の反射スペクトルを用いることが好ましい。また、前記反射スペクトル解析では、900nm〜2500nmの波長領域内の反射スペクトルを用いることが好ましい。また、前記反射スペクトル解析では、350nm〜600nm及び1600nm〜2500nmの波長領域内の反射スペクトルを用いることが好ましい。そしてまた、前記反射スペクトル解析では、500nm〜600nm及び900nm〜1100nmの波長領域内の反射スペクトルを用いることが好ましい。
前記二次硫化銅は、酸化銅鉱物および輝銅鉱からなる群から選択される一種以上を含むものとすることができる。
前記カオリン鉱物は、カオリナイト、ハロイサイトおよびディッカイトからなる群から選択される一種以上を含むものとすることができる。
前記変質鉱物は、少なくともカオリン鉱物を含み、さらに、絹雲母、緑泥石、緑簾石、ミョウバン石および鉄ミョウバン石からなる群から選択される一種以上を含むものとすることができる。
この発明の資源開発方法は、上記のいずれかの金属鉱床の探鉱方法を含むものである。
この発明の採鉱方法は、上記のいずれかの金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した前記対象地点を含む地域において採鉱を行うものである。
この発明の二次硫化銅の産出方法は、上記のいずれかの金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した前記対象地点を含む地域において二次硫化銅を産出するものである。
この発明の資源産出方法は、上記のいずれかの金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した前記対象地点を含む地域において資源を産出するものである。
この発明の鉱山開発方法は、上記のいずれかの金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した前記対象地点を含む地域において鉱山を開発するものである。
この発明のボーリング方法は、上記のいずれかの金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した前記対象地点を含む地域においてボーリングを行うものである。
このボーリング方法では、前記対象地点における前記カオリン鉱物の変質強度と前記二次硫化銅の濃度との関係に基き、前記地域でのボーリングの密度を決定することが好ましい。
また、このボーリング方法では、前記ボーリングによる掘進の間に、該ボーリングの孔壁を構成する物質の反射スペクトルを測定し、当該反射スペクトルの測定結果に基き、そのボーリング地点の掘進長を決定することが好ましい。
この発明によれば、対象地点の深さ方向の各位置におけるカオリン鉱物の変質強度と前記二次硫化銅の濃度を測定し、それらの関係に基いて金属鉱床の存在を推測することにより、金属鉱床の発見可能性が大きく高まるので、金属鉱床を容易に且つ高い精度で推定することができる。
所定の物質の反射スペクトル特性を示すグラフである。 金属鉱床の鉱化プロセスを示す、地下の深さ方向に沿う概略断面図である。 深浅部濃度分類の各分類タイプA〜Dのそれぞれについて、深さ方向のカオリン鉱物の変質強度分布と二次硫化銅の濃度分布の関係を示すグラフである。 実施例のカセロネス銅鉱山における二次富化帯中のCuS積算量を示すマップである。 実施例のカセロネス銅鉱山における溶脱、酸化二次富化帯、硫化二次富化帯および初生帯の、地下の深さ方向に沿う断面図である。 実施例のカセロネス銅鉱山における所定のボーリング地点での各物質の深さ方向の濃度分布を示すグラフである。 実施例のカセロネス鉱床の試錐コアのセリサイト、カオリンおよび鉄ミョウバン石についてXRD結果と、反射スペクトルから推定した濃度とを比較した結果を示すグラフである。 実施例のカセロネス銅鉱山における所定のボーリング地点での各物質の深さ方向の濃度分布を示すグラフである。 実施例のカセロネス銅鉱山における所定のボーリング地点でのカオリン鉱物の変質強度と二次硫化銅の濃度との関係を示すグラフである。 実施例のカセロネス銅鉱山における深浅部濃度分類の分類タイプA〜Dについての平面分布を示すマップである。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態に係る金属鉱床の探鉱法方法は、対象地点で深さ方向に試料を採取すること、前記試料の成分分析を行い、前記対象地点の深さ方向の各位置における変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物の濃度および二次硫化銅の濃度をそれぞれ測定すること、ならびに、前記対象地点の深さ方向の各位置における、前記変質鉱物の合計濃度に対する前記カオリン鉱物の濃度の割合で表されるカオリン鉱物の変質強度と前記二次硫化銅の濃度との関係より、金属鉱床の存在を推測することを含む。
(金属鉱床)
この発明は、たとえば、様々な金属鉱床の探鉱に用いることができるが、後述する鉱化プロセスに基く理論から解かるように、特に、マグマによる高温の地下水が周囲の岩石と反応し、地下水中に溶存していた金属元素が沈殿して形成される熱水鉱床、そのなかでも斑岩銅鉱床の探鉱に適用することが好適である。その他、IOCG型鉱床(酸化鉄型銅金鉱床)やスカルン鉱床、浅熱水型鉱床等も、変質とCu鉱化作用を伴うものであるから有効に適用することができる。
(試料の採取)
この発明の一の実施形態では、一または複数の対象地点で、たとえば地表から所定の深さ位置まで深さ方向に試料を採取する。試料を採取する深さ方向の距離は、探鉱を行う鉱床によっても異なるが、露天掘りの場合は通常、地表から400m〜600m離れた深さ位置までとすることができる。一般には地表直下に溶脱帯があるので、地表から300m〜400m程度離れた深さ位置までが、精査ボーリングの掘進長となる。この程度の深さの試料を採取すれば、二次富化帯の存在を有効に推定するに必要な深さ領域をカバーできる。但し、坑内掘りの場合はさらに深い位置まで採掘できる場合があるので、上記の範囲に限定されるものではない。
試料の採取は、対象地点で、一般には試錐(ボーリング)を実施して、地表から所定の深さ位置までの物質を円筒状に取り込んだボーリングコアまたは、掘削した岩粉および岩片を採取することによって行うことができる。
(試料の成分分析)
試料を採取した後は、その試料の成分分析を行い、対象地点の深さ方向の各位置における、少なくとも、変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物の濃度及び二次硫化銅の濃度、さらに必要に応じてその他の鉱物の濃度をそれぞれ測定する。
ここで、成分分析は、X線回折法(XRD)により行うことも可能であるが、容易に分析を行うとの観点からは、試料の反射スペクトルを観測する反射スペクトル解析により行うことが好適である。反射スペクトル解析は、X線回折法等を用いた分析に比して、低コストかつ短時間で行うことができるからである。
この反射スペクトル解析での反射スペクトルの測定には、たとえばスペクトロメーター(分光器)等の携行型反射スペクトル測定機を用いることができる。
反射スペクトル解析の手法の一例を述べると、はじめに、スペクトロメーターにより測定すること等により、350nm〜2500nmの波長領域内で、深さ方向に試料中の所定の物質の濃度の反射スペクトルを観測する。
次いで、反射スペクトルの当該観測値を規格化(単位ベクトル化)して、観測反射スペクトルを取得する。観測反射スペクトルの規格化は、より詳細には、各観測値を、同じ条件下での所定の基準観測値又は、観測値の各値の二乗和の合計の平方根で除すること等により行うことができる。この規格化を行う理由は次のとおりである。観測値は、センサへの入射光量(絶対値)である。つまり、衛星データでは、日向、日陰、太陽高度、大気の透明度等が変化することから、同じ物質であっても観測されるセンサへの入射光量は異なる。測定器の場合も同様に、光源の経年劣化や対象物との距離等によって入射光量は異なる。このような入射光量では物質の推定が困難であるから、上述したような規格化を行う。
その後、こうして得られた観測反射スペクトルを、所定の種々の変質鉱物、カオリン鉱物、二次硫化銅の反射スペクトルと比較する。所定の変質鉱物、カオリン鉱物、二次硫化銅の反射スペクトルは、既知であるか、又は別途測定することにより得ることができる。この比較による類似度に従い、変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物、二次硫化銅の濃度のそれぞれの分布を推定することができる。なお変質鉱物の合計濃度は、後述するような変質鉱物に含まれるカオリン鉱物や絹雲母、緑泥石等の各濃度を推定し、それらを合計として求めることができる。
類似度を計測するには、たとえば、Spectral Angle Mapper(SAM)法や、相互相関法等を用いることができる。SAM法は、バンド数に相当するn次元のベクトルとして表現し、これと最小角をなす変質鉱物等の物質を解として出力するものであり、また相互相関法は、反射スペクトル間の相関係数から評価する方法で、この場合も最も高い相関係数となる変質鉱物等の物質を解とするものであり、これらの方法は当該技術分野において既に知られている。
あるいは、単一の鉱物ではなく、複数種類の鉱物が混合した変質鉱物等の混合反射スペクトルと比較することも可能であり、このような混合物の反射スペクトルからその構成鉱物比を精度よく求めるモデルとしては、先述した等粒子モデル等がある。
あるいは、変質鉱物等の濃度分布は、連続する三点のデータの変化を表すラプラシアンで評価することができる。
連続する三点のデータの変化の形態としては、(1)隣接する二点の傾きが変化しない場合(三点が水平、右上がり、右下がりのいずれの傾きであっても直線的な変化をする場合)、(2)隣接する二点の傾きが大きくなる場合(最初の二点の傾きより後の二点の傾きが大きい場合)、(3)隣接する二点の傾きが小さくなる場合(最初の二点の傾きより後の二点の傾きが小さい場合)がある。ここで、三点の連続する各データをそれぞれA、B、Cとし、ラプラシアン=(2×B)/(A+C)と定義すると、上記の(1)の場合、中間点のBはAとCを結んだ直線上にあり、ラプラシアン=1.0となり、また上記の(2)の場合、中間点のBはAとCを結んだ直線より下にあり、ラプラシアン<1.0となり、また上記の(3)の場合、中間点のBはAとCを結んだ直線より上にあり、ラプラシアン>1.0となる。仮に、Bの反射が強い物質が、上記の(1)に加わると、上記の(3)に変化することが予想される。このようなBに反射ピークをもつ物質の有無を検出するため、ラプラシアンで評価することができる。このラプラシアンを用いる方法は、上記の等粒子モデルを用いる方法に比して簡便に実施することができる点で有効である。
ここで、変質鉱物等の物質は、その種類に応じて異なる反射スペクトル特性を有する。その具体例として、図1(a)に、植物、胆礬、珪孔雀石、ブロシャン銅鉱及びアタカマ石のそれぞれの反射スペクトル特性を示す。たとえば、図1(a)より、概して可視域と短波長赤外域で、これらの鉱物は、植物とは異なる反射スペクトル特性を示すことが解かる。また図1(b)に、石英、セリサイト、カオリナイト、モンモリロナイトのそれぞれの反射スペクトル特性を示す。図1(b)から、OH基を持つ鉱物は波長領域1300〜2500μmに特有の反射スペクトル吸収を有することが解かる。
このような各物質の反射スペクトル特性に従って、適切な波長領域を設定することができる。
胆礬や珪孔雀石、ブロシャン銅鉱、アタカマ石等の濃度分布を推定する場合、精度よく推定する場合、波長領域は、350nm〜600nm、特に400nm〜600nm、また1600nm〜2500nm、特に1900nm〜2500nmに設定することが好ましい。カオリン、セリサイト、明礬石については、2000nm〜2500nmの波長領域が特に有効である。
あるいは、針鉄鉱や赤鉄鉱等の濃度分布を推定する場合、それらの鉱物の反射スペクトル特性に特徴がある500nm〜600nm及び900nm〜1100nmの波長領域に設定することが好ましい。なお、スペクトロメーターでは、1300nm〜1600nmに設定することが可能である。
上述した反射スペクトルの観測値は、特定の波長のみを観測して得られるマルチスペクトルデータとすることもできるが、たとえば400nm〜2500nm等の可視〜短波長赤外域までの波長領域を連続して測定することで得られる連続スペクトルデータとすることが、精度向上の観点から好ましい。連続スペクトルデータは、所定の携行型反射スペクトル測定機で測定すること等により得ることができる。具体的には、たとえば、ARCoptix株式会社製のARCspectro Rocket、ASD株式会社製のFieldspec等がある。
(深さ方向の濃度分布)
この発明の一の実施形態では、上述したように対象地点で深さ方向に試料を採取し、採取したその試料の成分分析を行うことにより、対象地点の深さ方向の各位置における、少なくとも、変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物の濃度および二次硫化銅の濃度をそれぞれ測定する。このように各物質の深さ方向の濃度分布を測定する理由は次のとおりである。
班岩銅鉱床を含む熱水鉱床等の金属鉱床は、初生鉱化作用と二次富化作用の二つの鉱化プロセスを経て形成される。
初生鉱化作用では、図2(a)に示すように、成層火山1等の地下で、マグマの上昇に伴い地中深部から放出された熱水2の影響により、地下数kmほどの比較的深い箇所に、初生硫化銅等を含む初生鉱化帯3が形成される。このとき、熱水と岩石が反応することにより、初生鉱化帯の周囲に、黒雲母、絹雲母および緑泥石等の変質鉱物を含む変質帯4が生成される。
その後、数百万〜数千万年という長い年月の経過に伴い、図2(b)に示すように、隆起や侵食が生じて初生鉱化帯3が地表側に接近し、その地表付近の溶脱帯5にて降雨RF等による黄鉄鉱の分解により形成された酸により初生硫化銅が溶脱されて、地下水面GL下に二次硫化銅等が析出してなる二次富化帯6が形成される二次富化作用が起こる。この二次富化帯6は、全体として地表の侵食や地下水位の低下により下方に移動し、また溶脱帯5で溶脱された銅等が溶脱帯5から下方に移動するに従って成長する。二次富化帯6が形成された後も、その周囲ないし近傍には、初生鉱化作用で生成された変質鉱物を含む変質帯4が存在する。また、溶脱帯5では溶脱に伴い形成された変質鉱物(セリサイト鉱物、やカオリン、鉄ミョウバン石等)も併せて存在する。
このような鉱化プロセスを考慮して、二次富化帯6が形成された付近でボーリングを行い、深さ方向の各種物質の濃度分布を測定したところ、二次富化帯6が存在する地帯では、変質鉱物の合計濃度に対するカオリン鉱物の濃度の割合で表されるカオリン鉱物の変質強度と二次硫化銅の濃度との間に強い相関があることが解かった。
ここで、カオリン鉱物の変質強度は、二次富化作用が生じた範囲を示唆するものであってその変質の強さを意味し、また二次硫化銅の濃度は、溶脱とともに下方に向けて移動した銅の量を意味する。
そして、それらの間に上記のような強い相関がある地帯では、初生鉱化作用で変質帯4が生成した後、二次富化作用で二次富化帯全体にわたって溶脱時に銅及び酸が十分に供給されたことにより、強い二次富化作用が働いて二次富化帯6が発達していることを示唆しているといえる。
さらなる検討の結果、深さ方向の成分分析を行った各対象地点は、深さ方向の深部と浅部に分けて考えた場合、浅部及び深部のそれぞれにおけるカオリン鉱物の変質強度と二次硫化銅の濃度との関係より、概して複数種類の分類タイプ、特に、図3(a)〜(d)に示すような四つの特徴的な分類タイプA〜Dに区分できることが解かった。但し、対象地点を含む地域の地質等の条件に応じて、分類タイプの数は、二種類〜九種類の範囲内とすることができ、なかでも二種類〜五種類の範囲内とすることが好ましく、さらには二種類〜四種類の範囲内とすることがより一層好ましい。ここでは、図3(a)〜(d)の四種類の分類タイプに区分けする場合を例として、以下に詳細に説明する。
図3(a)〜(d)は、横軸をカオリン鉱物の変質強度(T_Kao/T_Clay)とし、他方の軸を二次硫化銅の濃度(CuS S)としたグラフであり、深さ方向の浅部SP及び深部DPのそれぞれにおけるカオリン鉱物の変質強度及び二次硫化銅の濃度の大小を基準とした深浅部濃度分類で区分した四つの分類タイプA〜Dを示す。ここで、SPは二次富化帯6の浅部を表し、DPは二次富化帯6の深部を表す。なお、T_Kao/T_Clayを上述した反射スペクトル解析で求める場合は、900nm〜2500nmの波長領域内の反射スペクトルを用いることが好ましい。
図3(a)に示す分類タイプAは、溶脱帯5からの銅と酸の供給が多量であったことにより、浅部SPほど変質強度が高く、また二次硫化銅の濃度も高いことを表している。この分類タイプAに区分される地点が多く密集した地帯の地下を探鉱することが効果的である。
図3(b)に示す分類タイプBは、二次富化帯6の浅部SPでは酸と銅が供給された点では分類タイプAに類似するが、その量が不十分であったことにより、二次富化帯6の深部DPでは二次硫化銅の濃度が低くなったことを表している。
図3(c)に示す分類タイプCは、二次富化帯6の浅部SPでは酸の供給があったが銅の供給が少なかったことにより、初生硫化銅が二次硫化銅に交代していることを表す。
図3(d)に示す分類タイプDは、上方側からの酸及び銅の供給が少なく、カオリン変質がやや発達するのみで、二次硫化銅は初生硫化銅の一部を置換した程度であったことを表す。
なお、ここでいう深さ方向の浅部SP及び深部DPに関し、たとえば、深さ方向で、二次富化帯6の厚み(深さ方向の長さ)の中央位置を境界とし、中央位置よりも浅い側に存在する二次富化帯6の上部を浅部SP、中央位置より深い側に存在する二次富化帯6の下部を深部DPと定義することができる。このように浅部SPと深部DPを定義することにより、たとえば所定の鉱床では二次富化帯6の厚みは最大350m程度であることから数値化が可能になり、また範囲から外れることはない。
あるいは、可能であれば、カオリン鉱物の含有量と二次硫化銅の挙動により、二次富化帯6を浅部SPと深部DPに区分することもできる。
所定の対象領域で複数の対象地点について、試料の採取、深さ方向の各物質の濃度の測定を行った場合、それにより得られた複数の対象地点のそれぞれの深さ方向のカオリン鉱物の変質強度分布と二次硫化銅の濃度分布との関係より、各対象地点を、上記の深浅部濃度分類の分類タイプA〜Dのいずれかに分類することができる。このように深浅部濃度分類の各分類タイプA〜Dに分類した各対象地点を、地図上にプロットすることで、対象領域における各分類タイプA〜Dについて平面分布を得ることができる。この平面分布をもとに金属鉱床の探鉱を行うと、金属鉱床をより一層容易に且つ高精度で発見することが可能になる。
上述した変質鉱物は、少なくともカオリン鉱物を含むものであって、さらに、絹雲母、緑泥石、緑簾石、ミョウバン石および鉄ミョウバン石からなる群から選択される一種以上を含むものとすることができる。なかでも、初生鉱化作用を表すセリサイト、二次富化作用で形成されるカオリン鉱物および鉄ミョウバン石が、鉱床探鉱に特に有効である。
カオリン鉱物は、カオリナイト、ハロイサイトおよびディッカイトからなる群から選択される一種以上を含むものとすることができる。
二次硫化銅は、酸化銅鉱物および輝銅鉱からなる群から選択される一種以上を含むものとすることができる。
(資源開発)
以上に述べたようにして、金属鉱床を探鉱した後は、その探鉱結果に基いて資源開発を行うことができる。より具体的には、所定の対象領域で、上記の金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した対象地点を含む地域にて、ボーリング、採鉱を行い、二次硫化銅等の資源を産出し、鉱山を開発することができる。なおこのボーリングとは、地中に円筒等の筒状の穴を掘削し、その際にコア等の深さ方向の試料を採取することが可能な作業であり、試錐と称されることもある。ボーリングは、地質調査や地下資源の採取等において広く用いられており、この発明では、公知ないし周知のボーリング手法を含む様々なボーリング手法を採用することができる。
金属鉱床の探鉱方法で金属鉱床の存在を推測した対象地点を含む地域でボーリングを行う場合、先述したような対象地点における前記カオリン鉱物の変質強度と前記二次硫化銅の濃度との関係に基いて、その地域でのボーリングの密度、つまり平面視でどの程度密集した複数の地点でボーリングを行うかについて決定することが好適である。より具体的には、先述した分類タイプC及び分類タイプDに分類された対象地点では、それより外側の鉱床分布の可能性は低いと推察される。それ故に、その外側の地点での確認のためのボーリングは必要であっても、ボーリング密度は低くてもよいと判断できる。
またこの場合、ボーリングによる掘進の間に、ボーリングの周囲の孔壁を構成する物質の反射スペクトルを測定することにより、当該反射スペクトルの測定結果から、その地点をどの程度の深さまでボーリングするかについての掘進長を決定することができる。
たとえば、所定の深さ位置で、先述したカオリン鉱物の変質強度(T_Kao/T_Clay)を反射スペクトルから算出し、そのT_Kao/T_Clayがまだ高ければ、さらに深い位置まで掘進する必要があると考えられる。この一方で、T_Kao/T_Clayが十分に低くなると、二次富化帯を通り抜けた深さ位置までボーリングが行われたと考えられ、これ以上掘進しても良好な部分は出てこないと判断することができる。
また探鉱初期段階では、尾根部では溶脱区間が数百mある可能性がある。このような場所でもT_Kao/T_Clayが高ければ良好な2次富化帯がより深部に分布する可能性があり、掘進長を伸ばす必要があると判断することができる。
次に、チリ共和国のカセロネス銅鉱山を対象として、この発明を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
(鉱床の概要)
カセロネス銅鉱山の初生鉱化作用は、ディサイト斑岩を関係火成岩としたCu−Mo斑岩型鉱化作用である。地表付近に酸化二次富化帯及び硫化二次富化帯を伴い、垂直方向の明瞭な銅鉱物の累帯が認められる。鉱床の平面的な広がりは、図4に示すように約1.5km(NE−SW)×2km(NW−SE)の規模を有し、高品位部はNE−SW方向に伸びる尾根部(主尾根部)とこの主尾根部から南東方向に伸びる尾根部(支尾根部)に、CuSが分布している。垂直方向の鉱物累帯は、図5に示すように酸化二次富化帯(OX)、硫化二次富化帯(SS)及び初生鉱帯(SP)に分類される。二次富化帯の上部には厚みの変化に富む(0−150m)溶脱帯(LX)が位置する。硫化二次富化帯(SS)は尾根部からNW−SE断面には地表面とほぼ調和的に発達するが、NE−SW断面では概ね水平に近い形態を示す。硫化二次富化帯(SS)中の輝銅鉱は、黄鉄鉱及び黄銅鉱を置換して産することが多い。
(鉱物同定)
ボーリングによりカセロネス銅鉱山全体をカバーする21孔で採取した各試料について、反射スペクトルを計測し、鉱物同定を行った。二次富化帯が発達する高品位部を捉えた所定の地点の試錐分析結果を、図6に示す。図6は、各物質の深さ方向の濃度分布である。図6中、CuS(二次硫化銅)は硫酸・青酸可溶銅品位であって酸化銅鉱物及び輝銅鉱にほぼ対応するものであり、またCuINS(初生硫化銅)は黄銅鉱に対応するものである。
図6より、CuSの濃度は浅部(SS_U)から深部(SS_L)に向けて漸減しているが、CuINSの濃度は深部(SS_L)で増加している。変質鉱物の合計濃度は浅部(SS_U)から深部(SS_L)に向けて漸減している。セリサイトの濃度は浅部(SS_U)から深部(SS_L)まで大きく変動していない。カオリン系鉱物の濃度は浅部(SS_U)で高く深部(SS_L)に向かうほど低下している。
なお図7に、カセロネス鉱床の試錐コアのセリサイト、カオリンおよび鉄ミョウバン石についてXRD結果と、上記のような反射スペクトルから推定した濃度とを比較した結果を示す。図7のグラフは、横軸をXRD結果とし、縦軸を反射スペクトルによる濃度推定結果としたものである。いずれの鉱物についても決定係数が0.8に近い値が得られており、反射スペクトルは、変質強度の指標として用いるに十分な推定精度があることが解かる。
(深さ方向の濃度分布)
図8に、所定の地点におけるカオリン系鉱物の変質強度(T_Kao/T_Clay)及び二次硫化銅の濃度(CuS_S)の深さ方向の分布を示す。ここで、T_Kaoはカオリナイト、ハロイサイト等の合計含有量を表し、T_Clayはカオリナイトやセリサイト等の合計含有量を表す。図8より、T_Kao/T_ClayはCuS_Sと類似した変動を示し、これは、二次富化作用が強く生じた浅部ではより多くのCuSが形成されていることを意味する。このようにT_Kao/T_Clayは二次富化作用が生じた範囲とその強度の指標とすることが可能であり、T_Kao/T_Clay=0.1程度を境界として、CuSを含む二次富化帯とCuINSを多く含み始める初生鉱化帯とに区分することができる。
図9は、所定の地点におけるT_Kao/T_Clay>0.1となる二次富化帯についてT_Kao/T_ClayとCuSの濃度との関係を示す。図9中、「△」のプロットは二次富化帯浅部における異なる深さ位置での各測定値を、「○」のプロットは二次富化帯深部における異なる深さ位置での各測定値である。図9から解かるように、T_Kao/T_ClayとCuSの相関は強く、このことは、二次富化帯浅部では、すでに削剥された上方の溶脱帯から銅と酸の供給が多く、深部に向かうほど減少していることを表している。T_Kao/T_ClayとCuSの濃度との関係は、ボーリング地点によって異なり、この関係により、各地点は、先述したように図3に示す四つの分類タイプのいずれかに区分することができる。
各分類タイプA〜Dにおける初生硫化銅及び二次硫化銅の量、二次富化帯の形成プロセスをまとめると、表1に示すとおりである。表1中、「×」、「△」、「○」、「◎」は、この順序で「×」から「◎」に向かうに従って硫化銅の量が多いことを表す。
さらに、ボーリング地点ごとに二次富化作用を四つの分類タイプA〜D(分類タイプI〜IV)のいずれかに分類し、これを地図上にプロットした平面分布を図10に示す。図10に示すところから、分類タイプの平面分布はほぼ同心円状になり、黄鉄鉱等が少ない周辺部では二次富化作用が弱く、主尾根や支尾根沿いで二次富化作用が強く働いたことが解かる。
このようにカセロネス鉱山では、現在の尾根地形に対応する地域で良好な二次富化作用による鉱床が形成されていることが解かった。
1 成層火山
2 熱水
3 初生鉱化帯
4 変質帯
5 溶脱帯
6 二次富化帯
RF 降雨
GL 地下水面
SP 二次富化帯の浅部
DP 二次富化帯の深部

Claims (22)

  1. 対象地点で深さ方向に試料を採取すること、
    前記試料の成分分析を行い、前記対象地点の深さ方向の各位置における変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物の濃度および二次硫化銅の濃度をそれぞれ測定すること、ならびに、
    前記対象地点の深さ方向の各位置における、前記変質鉱物の合計濃度に対する前記カオリン鉱物の濃度の割合で表されるカオリン鉱物の変質強度と前記二次硫化銅の濃度との関係より、金属鉱床の存在を推測すること
    を含む、金属鉱床の探鉱方法。
  2. 深さ方向の各位置における前記カオリン鉱物の変質強度と前記二次硫化銅の濃度との関係より、対象地点を、深さ方向の浅部及び深部のそれぞれにおけるカオリン鉱物の変質強度及び二次硫化銅の濃度の大小を基準とした深浅部濃度分類の複数種類の分類タイプのいずれかに区分し、前記深浅部濃度分類による当該区分に基き、金属鉱床の存在を推測することを含む、請求項1に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  3. 前記深浅部濃度分類が、横軸もしくは縦軸のいずれか一方の軸をカオリン鉱物の変質強度とし、他方の軸を二次硫化銅の濃度としたグラフで表される、請求項2に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  4. 深浅部濃度分類が、少なくとも、対象地点の深さ方向の浅部及び深部のそれぞれにおけるカオリン鉱物の変質強度及び二次硫化銅の濃度の大小の違いによる複数種類の分類タイプを含む、請求項2または3に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  5. 対象領域内の複数の対象地点で、試料を採取すること、深さ方向の各位置における変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物の濃度および二次硫化銅の濃度を測定すること、ならびに、深さ方向の各位置におけるカオリン鉱物の変質強度と二次硫化銅の濃度との関係を得ることを含み、
    前記深浅部濃度分類による各対象地点の区分より、対象領域における深浅部濃度分類の各分類タイプについての平面分布を得ることをさらに含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  6. 前記試料の成分分析で、試料の反射スペクトルを観測して深さ方向の各位置における変質鉱物の合計濃度、カオリン鉱物の濃度および二次硫化銅の濃度を測定する反射スペクトル解析を行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  7. 前記反射スペクトル解析で、350nm〜2500nmの波長領域内の反射スペクトルを用いる、請求項6に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  8. 前記反射スペクトル解析で、1900nm〜2500nmの波長領域内の反射スペクトルを用いる、請求項6に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  9. 前記反射スペクトル解析で、900nm〜2500nmの波長領域内の反射スペクトルを用いる、請求項6に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  10. 前記反射スペクトル解析で、350nm〜600nm及び1600nm〜2500nmの波長領域内の反射スペクトルを用いる、請求項6に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  11. 前記反射スペクトル解析で、500nm〜600nm及び900nm〜1100nmの波長領域内の反射スペクトルを用いる、請求項6に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  12. 前記二次硫化銅が、酸化銅鉱物および輝銅鉱からなる群から選択される一種以上を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  13. 前記カオリン鉱物が、カオリナイト、ハロイサイトおよびディッカイトからなる群から選択される一種以上を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  14. 前記変質鉱物が、少なくともカオリン鉱物を含み、さらに、絹雲母、緑泥石、緑簾石、ミョウバン石および鉄ミョウバン石からなる群から選択される一種以上を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法を含む資源開発方法。
  16. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した前記対象地点を含む地域において採鉱を行う採鉱方法。
  17. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した前記対象地点を含む地域において二次硫化銅を産出する、二次硫化銅の産出方法。
  18. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した前記対象地点を含む地域において資源を産出する資源産出方法。
  19. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した前記対象地点を含む地域において鉱山を開発する鉱山開発方法。
  20. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の金属鉱床の探鉱方法により金属鉱床の存在を推測した前記対象地点を含む地域においてボーリングを行うボーリング方法。
  21. 前記対象地点における前記カオリン鉱物の変質強度と前記二次硫化銅の濃度との関係に基き、前記地域でのボーリングの密度を決定する、請求項20に記載のボーリング方法。
  22. 前記ボーリングによる掘進の間に、該ボーリングの孔壁を構成する物質の反射スペクトルを測定し、当該反射スペクトルの測定結果に基き、そのボーリング地点の掘進長を決定する、請求項20または21に記載のボーリング方法。
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