JP2018048032A - 石英ガラス部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】石英ガラス母材の切削加工及び研磨加工なしに効率良く高精度の石英ガラス部品を製造する。
【解決手段】粒子径分布の制御されたシリカ粒子と光硬化性化合物からなる造形液を基板50上に噴霧ノズル11から噴霧しレーザ照射で硬化させシリカ粒子を塗工膜として積層させる。噴霧ノズル11を基板50に対して往復させる際、噴霧ノズル11の開閉をプログラム制御し設計図に基づく数値制御でシリカ粒子と光硬化性化合物からなる1次プリフォームを3次元成形する。1次プリフォーム中の有機化合物を1次焼成で酸化して除去した後、雰囲気を制御して2次焼成して気泡を無くし、石英ガラス部品を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学部品等として用いられる石英ガラス部品の製造方法に関する。
光ファイバーのような高純度の石英ガラス部品の成型方法として、気相、又は液相で形成された二酸化ケイ素(以下「シリカ」という)の粒子からなるプリフォームを高真空下溶融して空孔を無くして成型する方法が広く知られている。シリカ粒子からなるプリフォームの製造方法としては、例えば、気相反応で発生する高温のシリカ粒子を堆積させる気相法や、液体中の化学反応、例えばゾル−ゲル法で析出するシリカ粒子をポリビニルアルコールのような有機化合物からなる接着剤を用いて賦形した後、乾燥し、1次焼成により有機成分を燃焼除去しつつシリカ微粒子を融着させた後、2次焼成により空孔部分を無くす方法が用いられている。ここで、シリカ微粒子とは、粒子を内接する球の直径として1ナノメートルから100マイクロメートルのサイズのシリカ粒子であると定義する。
球状シリカの製造方法として、例えば、特許文献1には、アルコキシシラン、アルカリ調整水および有機溶媒を、連続的に予備反応槽内に注加し混合して、アルコキシシランの加水分解物であるケイ酸を含む液とする予備処理工程と、上記加水分解物を含む液を、アルカリ性有機分散媒に球状シリカのシードを分散させた反応液が収容された主反応槽内に連続的に供給して、上記加水分解物の脱水縮合反応により生成した微細なシリカを上記シードの表面に付着させて粒子を成長させ大径化する主反応工程とを含む製造方法が開示されている。
特許文献2には、界面活性剤を含むオゾン破壊係数が0. 5以下の非極性有機ハロゲン化物溶媒中で、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を乳化させ、次いでゲル化剤によりゲル化させることを特徴とする、球形度が良好で粒子径のそろった球状シリカの製造方法が開示されている。
特許文献3には、ケイ酸アルカリの酸による中和過程で特定のエーテル化度及び重合度を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)を凝集成長剤として、ケイ酸アルカリ中のシリカに対してSiO2 基準で1乃至100重量%を添加することで直接、真球度の高い球状非晶質シリカを高収率で析出させる球状非晶質シリカの製造方法が開示されている。
また、特許文献4には、シリカ微粒子を含有する光硬化性ポリマー組成物として、平均粒子径が1〜30μmの球状であり、粒度分布の幾何標準偏差σが1.5以下であり、なおかつシラノール基を6μmol/g以上2mmol/g以下有する球状シリカを含むことを特徴とする光硬化性ポリマー組成物が開示されている。この光硬化性ポリマー組成物は、例えば、80W/cmの高圧水銀灯を15cmの高さから1分間照射して硬化させることができると記載されている。なお、高圧水銀灯は404.7, 435.8, 546.1, 577.0, 579.1 nmの輝線スペクトルからなる緑がかった青白色(5,700 K)の光源で、253.7, 365.0 nmの紫外放射を伴う。
特許文献5には、平均粒径が0.5〜5.0μmのシリカ微粒子、および、公知のアクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等のモノマーやオリゴマーに光重合開始剤を配合した紫外線硬化樹脂からなる分散液が開示されている。この紫外線硬化性分散液は高圧水銀ランプにて80W/cmの光を照射して硬化させることが記載されている。
特許文献6には、紫外線硬化樹脂にメタセロン化合物と過酸化物を混和した光硬化性流動物質に、紫外線より波長の長い600〜700nmの波長の光をレーザ照射することでレーザ照射方向に硬化・半硬化させる。レーザ照射の位置を変えることでレーザ照射方向に厚みをもった三次元の硬化物を造形できる。その後、紫外線領域の波長の光を水銀ランプから照射することで硬化を更に進行させる光造型法が開示されている。
非特許文献1には、粒子径分布が整った、平均粒子径22、40,70,100、200,300,400,550,650nmの多孔質シリカ粒子の合成例が記載されている。
特許3330984号公報 特許3440486号公報 特許3444670号公報 特開2002−38028号公報 特許3916174号公報 特許2085606号公報
Toshiyuki Yokoi,Journal of the Japan Petroleum Institute,55巻1号、第13〜26頁(2012年)
第1の課題として、石英ガラスを素材とする部品を製造する場合、石英ガラスの板材から切り出した母材を切削加工ないし研磨加工し、更に、必要に応じて精密に平面に研磨した面を石英ガラスの融点直下の温度まで昇温して融着させる、いわゆる「オプティカルコンタクト」の技法が用いられるが、
(1)母材切り出しの際に無駄な端材が発生する
(2)切削・研磨ともに石英ガラスの高度が極めて高いため、工程時間が非常に長くなるだけでなく、莫大なエネルギーが必要になる
(3)微細研磨加工の際、石英ガラスの内部に残留応力が発生し、加工中に破損することがある
等の課題がある。
また、第2の課題として、
(4)従来のプリフォーム成型法では複雑かつ精密な形状を欠落部分なしに実現することが困難である
(5)工程上、欠落部分を補正することが極めて困難なため、従来のプリフォーム成型法では、単純な形状への成型に限られる
(6)サブミクロンオーダーの精度でプリフォームを形成することがむずかしい、
(7)仮に複雑な形状へ成型する場合は、不良品発生率が極めて高くなる
等の課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、サブミクロンオーダーの精度で非球面レンズや3次元マイクロ流路素子等の精密な形状の石英ガラス製品の成型方法を提供することを目的とする。
本発明は、レーザビーム等の光線を用いる3次元成形方法をシリカ粒子からなるプリフォーム成型に適用し、サブミクロンオーダーの精度で石英ガラス製品を製造するものである。
すなわち、本発明は、光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液である造形液を液滴として噴霧する造形液噴霧ノズルと光硬化性化合物の光反応を起こす光線の光源とを搭載した造形液噴霧・硬化ユニットを基板に対して往復させ、噴霧ノズルを開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら基板上に光硬化した塗工膜を積層して石英ガラス成型品の1次プリフォームを3次元造形する造形液噴霧・硬化工程と、1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して2次プリフォームにする1次焼成工程と、2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、2次プリフォーム中の気泡を除去する2次焼成工程とを備える石英ガラス部品の製造方法である。
本発明の1つの実施形態では、造形液噴霧・硬化工程において、造形液の噴霧を中断し、基板を反転し、未硬化の造形液を洗浄液の噴射又は高圧ガスの噴射で除去する。
本発明の他の実施形態では、造形液噴霧・硬化工程において、水平に置いた基板に対して基板の下方に配置した造形液噴霧ノズルから上方に造形液を噴霧して基板に塗工し、造形液の噴霧を中断して別のノズルから洗浄液又は圧縮ガス噴射して未硬化の造形液を除去する。
本発明のさらに他の実施形態では、造形液噴霧・硬化工程において、燃焼によって消滅する素材からなる立体造形補助構造体を塗膜積層体の中に包埋させる。
また、本発明は、光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液である造形液を液滴として噴霧する造形液噴霧ノズルと光硬化性化合物の光反応を起こす光線の光源とを搭載した造形液噴霧・硬化ユニットを基板に対して往復させ、噴霧ノズルを開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら基板上に光硬化した塗工膜を積層して基板上に片平面片非球面レンズの1次プリフォームを3次元造形する造形液噴霧・硬化工程と、1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して2次プリフォームにする1次焼成工程と、2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を除去して石英ガラス製片平面片非球面レンズにする2次焼成工程とを備える石英ガラス部品の製造方法である。
また、本発明は、窪みを有する基板に片平面片非球面レンズ1次プリフォームを置き、その片平面上に、光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液である造形液を液滴として噴霧する造形液噴霧ノズルと光硬化性化合物の光反応を起こす光線の光源とを搭載した造形液噴霧・硬化ユニットを基板に対して往復させ、噴霧ノズルを開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら光硬化した塗工膜を積層して第2の非球面を形成し、両面非球面レンズの1次プリフォームを3次元造形する工程と、1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して2次プリフォームにする1次焼成工程と、2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を除去して石英ガラス製両非球面レンズにする2次焼成工程とを備える石英ガラス部品の製造方法である。
本発明の1つの実施形態では、両面非球面レンズの1次プリフォームを、その周辺部において複数のコイルスプリングを用いて空中に保持しつつ、1次焼成工程及び2次焼成工程を行う。
また、本発明は、第1の基板上に設けられた上面に溝を有する平面型の1次プリフォームと、第2の基板上に設けられた貫通垂直孔を有する平面型の1次プリフォームとを重ね合わせて、3次元流路を有するマイクロ流路素子の1次プリフォームを作成する工程と、1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して2次プリフォームにする1次焼成工程と、2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を除去する2次焼成工程とを備える石英ガラス部品の製造方法である。
また、本発明は、光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液である造形液を液滴として噴霧する造形液噴霧ノズルと光硬化性化合物の光反応を起こす光線の光源とを搭載した造形液噴霧・硬化ユニットを基板に対して往復させ、噴霧ノズルを開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら基板上に光硬化した塗工膜を積層して基板上に第1の片平面片非球面レンズの1次プリフォーム及び第2の片平面片非球面レンズの1次プリフォームを3次元造形する造形液噴霧・硬化工程と、前記第1及び第2の片平面片非球面レンズの1次プリフォームを基板から剥がし、各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整して貼り合わせる工程と、前記工程で得られた両面非球面レンズの1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して2次プリフォームにする1次焼成工程と、2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を除去して石英ガラス製両面片非球面レンズにする2次焼成工程とを備える石英ガラス部品の製造方法である。
また、本発明は、光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液である造形液を液滴として噴霧する造形液噴霧ノズルと光硬化性化合物の光反応を起こす光線の光源とを搭載した造形液噴霧・硬化ユニットを基板に対して往復させ、噴霧ノズルを開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら基板上に光硬化した塗工膜を積層して基板上に第1の片平面片非球面レンズの1次プリフォーム及び第2の片平面片非球面レンズの1次プリフォームを3次元造形する造形液噴霧・硬化工程と、前記第1及び第2の片平面片非球面レンズの1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して前記第1及び第2の片平面片非球面レンズの2次プリフォームにする1次焼成工程と、前記第1及び第2の片平面片非球面レンズの2次プリフォームを基板から剥がし、各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整して接着剤で貼り合わせる工程と、前記工程で得られた両面非球面レンズの2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、接着剤を酸化燃焼させて除去する接着剤焼成除去工程と、2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を除去して石英ガラス製両面片非球面レンズにする2次焼成工程とを備える石英ガラス部品の製造方法である。
本発明において、光硬化性化合物は、光重合性のモノマー及びオリゴマーを含み、光硬化性化合物の光反応を起こす光線は紫外線とし得る。
また、本発明において、基板の材質を金属モリブデンとし得る。
さらに、本発明において、2次焼成工程をヘリウム気体中で行い得る。
本発明によれば、従来の方法では困難であった精密形状の石英ガラス部品を母材切り出しの無駄無く、かつ、工程時間の長い切削・研磨工程無しに、歩留まり良く製造することが可能である。
第1実施形態に例示した1次プリフォームの3次元成形法の初期段階を示す概念図である。(a)及び(b)は造形液噴霧・硬化ユニットの移動の往路と復路を表す。 第2実施形態に例示した1次プリフォームの3次元成形法における基板反転・洗浄工程を示す概念図である。 第3実施形態に例示した1次プリフォームの3次元成形法における燃焼によって消滅する素材からなる立体造形補助構造体を塗膜積層体の中に包埋させた状態を示す概念図である。 第4実施形態に例示した、基板上に成形された片平面片非球面レンズの1次プリフォームを表す概念図である。 第5実施形態に例示した片平面片非球面レンズ1次プリフォームの片平面上に第2の非球面を形成する方法を示す概念図である。(a)窪みを有する基板に片平面片非球面レンズ1次プリフォームを置き、(b)片平面上に第2の非球面を形成し、(c)両面非球面レンズの1次プリフォームを得る。 第6実施形態に例示した両面非球面レンズの1次プリフォームの周辺部分を複数のコイルスプリングで空中に保持し、加熱焼成を行う方法を示す概念図である。(a)は側面図、(b)は平面図である。 第7実施形態に例示した、第1の基板上に設けられた、上面に溝を有する平面型の1次プリフォームと第2の基板上に設けられた、貫通垂直孔を有する平面型の1次プリフォームとを重ね合わせて、3次元流路を有するマイクロ流路素子の1次プリフォームを作成する方法を示す概念図である。(a)は2つの積層体を重ね合わせる直前の側面図。(b)はマイクロ流路素子1次プリフォームの平面図である。 第8実施形態に例示した、水平に置いた基板に対して基板の下方に配置した造形液噴霧ノズルから上方に造形液を噴霧して基板に塗工し、造形液の噴霧を中断して別のノズルから洗浄液又は圧縮ガスを噴霧して未硬化の造形液を除去する方法を例示した概念図である。 第9実施形態に例示した、2枚の片平面片非球面レンズの1次プリフォーム又の各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整して貼り合わせてから1次焼成を行う方法を例示した概念図である。 第10実施形態に例示した、2枚の片平面片非球面レンズの2次プリフォームの各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整して接着剤で貼り合わせてから更に2次焼成を行う方法を例示した概念図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態、特に使用する材料、装置、及び工程について説明する。
なお、本実施形態において、シリカ微粒子を光硬化性化合物のような有機化合物を接着成分として3次元成形した後、揮発性液体を除去したものを1次プリフォーム、1次プリフォーム中の有機化合物をシリカ微粒子の溶融開始温度よりも低い温度で加熱焼成によって除去したものを2次プリフォームという。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に例示した1次プリフォームの3次元成形法の初期段階である造形液噴霧・硬化工程を示す概念図である。図1(a)及び(b)は造形液噴霧・硬化ユニットの移動の往路と復路を表す。
本実施形態の装置は、基板50に対向配置された造形液噴霧・硬化ユニット100を備えており、造形液噴霧・硬化ユニット100には、造形液噴霧ノズル11と、光ビームレンズヘッド211,221が搭載される。造形液噴霧・硬化ユニット100は、図示しないコンピュータによって駆動制御される。コンピュータは、CPU、メモリ、入出力インターフェイス及び通信インターフェイスを備え、プログラムメモリに記憶された処理プログラムを読み出し、これを実行することで造形液噴霧・硬化ユニット100を駆動制御する。コンピュータは、造形液噴霧・硬化ユニット100を駆動するアクチュエータに対して駆動信号を出力することで基板50に対して所定方向に駆動制御するとともに、造形液噴霧ノズル11のアクチュエータに対して駆動信号を出力してその動作を制御し、光ビームレンズヘッド211,221に対して駆動信号を出力してその動作を制御する。
本実施形態における工程は、3つに大別される。
第1の工程は、光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液を液滴1として噴霧する造形液噴霧ノズル11及び前記光硬化性化合物の光反応を起こす光線21,22を照射する光ビームレンズヘッド211,221を搭載した造形液噴霧・硬化ユニット100を基板50に対して方向111及び121に往復させて、プログラミングに従い噴霧ノズル11を開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら基板上に積層し石英ガラス成型品の1次プリフォームを3次元造形する、造形液噴霧・硬化工程である。
第2の工程は、1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去し、シリカ微粒子のみからなる2次プリフォームにする1次焼成工程である。
第3の工程は、2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を無くして石英ガラス成型品を得る2次焼成工程である。
造形液噴霧・硬化工程においては、粒子径分布の制御されたシリカ粒子と光硬化性化合物からなる造形液を基板上に噴霧ノズルから噴霧しレーザ照射で硬化させシリカ粒子を塗工膜として積層させる。噴霧ノズルを基板に対して往復させる際、噴霧ノズルの開閉をコンピュータで制御し、3DCAD等で作成された設計図データに基づく数値制御でシリカ粒子と光硬化性化合物からなる1次プリフォームを3次元成形する。
[シリカ微粒子]
公知の方法として、例えば、非特許文献1に記載の方法に従って、粒子径分布が整った、例えば、平均粒子径20、40,90,100、200,300,400,500,600,800nmの多孔質シリカ粒子を合成する。これらを単一粒子径として、あるいは、2種類以上を混合して使用することができる。
シリカ微粒子の粒子径分布が整っているほど、1次及び2次焼成の際のプリフォームの体積収縮が均一に進行し、結果的に、設計形状に比較した「歪み」の少ない、石英ガラス部品を製造することが可能になる。
ここで「粒子径分布が整ったシリカ微粒子」とは、例えば走査型電子顕微鏡で観察し画像解析したシリカ粒子の1次粒子を球で近似した場合における、視野内の粒子の直径が±10%以内に分布していることを言う。粒子径の分布が小さい程、焼成時の体積収縮が均一に進行し、粒子径の分布が±10%を超える場合、体積収縮の均一性が担保されず、場所によって大きく収縮したり、収縮が小さくなったりする。結果的に、例えば非球面レンズの結像特性に歪みが生じたり、マイクロ流路セルとして光学分析に用いる場合の光路長にばらつきが生じたりする。
[造形液]
「造形液」は、本実施形態で用いられる、光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液であり、インクジェット方式の印刷機用インクに類似している。ただし、印刷用インクの場合、用途上、顔料粒子の含有量が低くかつ印刷濃度が高い物が好まれる。一方、造形液の場合、多層を積層して3次元成形することから、造形液の液滴1におけるシリカ微粒子の濃度は高いほど好ましく、かつ、造形液噴霧ノズル11から突出する液滴1のon−off制御が立体造形のプラグラミングに的確に対応してコンスタントに実施できることが望ましい。造形液の液体部分とシリカ微粒子の比重差で沈降が起こり、造形液の組成にムラが出ないようにするため、造形液送液チューブの手前に造形液撹拌チャンバー(図示せず)を設けても良い。
好適に調製された分散液中において、シリカ微粒子は合成時の1次粒子径のまま、あるいは、1次粒子が適度なサイズに緩やかに凝集した状態で存在している。このような造形液を噴霧塗工し、直ちに光硬化させることで、制御された1次粒径の寸法精度を反映した、高い精度の3次元造形が可能になる。これに対して、固体のシリカ粒子の表面を接着剤として作用する樹脂成分で覆った、固体粒子で3次元造形を行う場合、固体粒子のサイズの制御は容易でなく、かつ、最密に接着固定することも難しいため、湿式の造形液を用いるような高精度の3次元造形は不可能である。
更に、レーザで固体粒子を接着固定する場合、レーザの集光点の手前に余剰の粒子が存在しているとレーザが散乱され、正しい光制御ができなくなる、という欠点がある。湿式の造形液を用いる場合、精密に制御されて形成された塗工膜に対してレーザを照射するため、極めて精密な光制御による3次元加工が実現できる。
造形液のシリカ微粒子以外の組成、諸物性、造形液噴霧ノズルの孔径等の諸元は例示であり、これらに限定されない。公知のインクジェットインク及び噴霧ノズルに関する具体例を援用し得る。一例として、これらの諸元を以下に掲げる。
シリカ微粒子の1次粒子のサイズは1ナノメートルから100マイクロメートルであり、1次粒子が凝集してその外径が10ナノメートルから100マイクロメートルの凝集体として存在していても良い。例えば、シリカ微粒子の平均サイズが直径250ナノメートルの球に内接し、これを含む造形液を噴射する噴霧ノズルの孔径は500ナノメートルであり、噴霧ノズルがノズル中心間2μm間隔で5千個並んだものを往復させ、幅10mmのサイズの立体造形を行う。このヘッドから幅10mmの範囲に造形液を噴霧し、光硬化性化合物を硬化させ1往復で厚さ2μmの造形液硬化膜を形成した場合、ヘッド1千回の往復で厚さ全高2mmまでの高さの3次元造形物を作成できる。
シリカ造形液の組成は、例えば、有機化合物を用いる公知の親油性表面処理がされたシリカ微粒子20〜40部、光硬化性化合物として光重合性のモノマー及びオリゴマー60〜80部、公知の粘度調整剤及びレベリング材などの添加剤5〜10部である。光重合性のモノマーとしてはスチレン、メタクリル酸エステル類、マレイン酸エステル、などを好適に用いることができる。なお、シリカ造形液に用いられるシリカ微粒子以外の成分は、空気中で酸化したとき、水、二酸化炭素として除去できるものである必要がある、又、アッシュとしてシリカが生成するものの、シリコーンオイルを上記の添加剤として使用しても良い。
シリカ造形液の粘度はインクジェットインクとして好適とされている値であれば特に制限されない。例えば、室温において30〜100mPa・sであればよい。
光硬化性化合物の硬化速度を高めるため、造形液及び3次元造形の領域の温度を赤外線ランプ照射で高めても良い。昇温の上限は光重合性モノマー及びオリゴマーの沸点未満である。
[造形液噴霧ヘッドの制御]
3次元造形の設計図に応じ、複数の噴霧ノズルの開閉を造形液噴霧・硬化ユニット100の移動に合わせ、コンピュータ制御するものとする。3次元造形の速度及び精度を同時に向上させるため、例えば、造形液の噴霧領域が幅10mm、長さ10mmの場合、実際に噴霧が行われる領域の前後にユニット100の移動速度が所定の速度に達するための助走領域を5mm程度設けても良い。この助走領域を含む20mmの距離におけるユニット100の移動平均速度を2m/秒とすると、ユニット100の1往復に要する時間は20ミリ秒、ヘッド1千往復で2mmの厚さの立体造形を行うのに要する時間は20秒である。
なお、上記の計算例の場合、塗工膜は2千層、重ねられている。通常の樹脂溶液でこのような多層塗工は、溶剤の浸食による下層の樹脂の再溶解を防げないため不可能である。このような多層積層膜は新たに噴霧塗工された光硬化性化合物をレーザ照射で瞬時に硬化させることで実現可能となる。この場合、塗膜の硬化による体積収縮を防ぐための公知の手法の適用も可能である。例えば、光硬化性化合物のモノマー中に、適度な重合度のオリゴマーを混合したり、モノマー成分として嵩高い立体構造の置換基を導入する手法が可能である。又、噴霧ヘッドからの突出と塗膜のレベリングを妨げない範囲で、造形液中のシリカ微粒子の含有量をできるだけ高くすることも、光硬化の際の体積収縮を小さくする上で有効である。
[光硬化反応の光源と波長]
前述のような光重合性モノマー成分を用いる場合、光硬化に必要な光の波長は紫外線である。例えば波長210nm、あるいは365nmの紫外線が好適に用いられる。現在、種々の方式の紫外線レーザ光源であって、使用するモノマーに最適な波長のものを幅広く選定することが可能である。従来では使用できるハイパワーレーザの波長が可視光線ないし赤外線であったため、紫外線硬化化合物に光増感剤を添加する必要があった。ハイパワーレーザの場合、大型となる紫外線レーザ光源の本体を造形液噴霧・硬化ユニット100に搭載するよりも、透過波長を紫外線に調整した石英ガラス製光ファイバー212,222の先端に小型軽量のコリメートレンズとレーザラインジェネレータレンズを接続した照射光学系からなる光ビームレンズヘッド211,221をユニット100に搭載することが好ましい。
ここで注目すべきは、紫外線照射用のコリメートレンズ及びレーザラインジェネレータレンズの紫外線透過特性である。広く用いられる光学ガラス製レンズは紫外線領域を吸収するため、ハイパワーの紫外線を使用する際は、現在、極めて高価であるが、石英ガラス製のレンズを用いることが好ましい。なお、本実施形態で製造した場合、レンズのコストは大幅に削減される。又、レーザラインジェネレータレンズは「パウエルレンズ」とも呼ばれ、円柱の1端をくさび形非球面に加工したものであり、コリメートされたレーザの丸ビームの断面形状を線形(極端につぶれた楕円形に近似される)に変換するものである。
紫外線レーザ光源の光をシングルモードの光ファイバーを経由して石英ガラス製コリメートレンズ及びレーザーラインジェネレートレンズで集光した場合、造形液噴霧ノズルを並べて塗工される10mm幅の塗工膜に対して幅10mm以上、短辺10μm以内の領域についてハイパワー紫外線レーザを集光照射可能である。
[立体造形〜焼成工程の基板]
1次プリフォーム中の有機化合物を燃焼させて除去する1次焼成及び得られた2次プリフォームを1千度以上まで昇温してシリカ微粒子を融着させ気泡を無くす2次焼成の各工程において、基板50,51,60は以下の要件を満足する必要がある。
(1)シリカと化学反応しないこと
(2)シリカが基板に接着しないこと
多くのセラミックは、シリカと高温時に親和性を呈し、複合酸化物へ化学変化することもあるため、使用不能である。例えば、アルミナの単結晶であるサファイアもシリカと融着する。
融点が1700℃以上の金属を各種試験したところ、モリブデン(融点2600℃以上)がシリカと親和性を呈さず、2次焼成以降も簡単に基板からシリカ成形物を取り外すことができることを見いだした。モリブデンは金属箔にも金属細線にも加工が容易であることから、本実施形態の基板材料として極めて有用である。
[1〜2次焼成]
1次焼成工程では3次元造形で得られた1次プリフォームを空気中で400〜500℃以上、シリカ微粒子の溶融温度以下に加熱し、1次プリフォーム中に存在する有機化合物を酸化、除去する。加熱が急速であると発生ガスの熱膨張で1次プリフォームが破損する可能性がある。上記温度範囲よりも低い温度域では有機化合物の燃焼に時間を要する。又、有機化合物の燃焼除去が不十分な状態でシリカ微粒子が溶融すると、未燃焼の炭素を内包した気泡が発生するおそれがある。一例として、1時間で100℃ずつ昇温し、400〜500℃でガスの発生がなくなるまで焼成を続け、続けて、2次焼成工程に入る。ここで1次焼成に用いる電気炉は通常の非密閉型で良いが、2次焼成を確実に実施するには、真空減圧の後、雰囲気ガスをヘリウムに置換できる、密閉型のものを好適に用いることができる。2次焼成に必要な温度は使用するシリカ微粒子の粒子径に依存する。粒子の粒度分布も考慮する必要があるため、概ね1000〜1600℃である。焼成による体積減少が止まり、気泡の残留が確認できない状態を2次焼成工程の終点とする。
[1次プリフォームの成形]
1次プリフォームはシリカ微粒子が弱く凝集した状態にあり、もろい。この点を考慮し、1次プリフォーム段階での成形・補正を加えることもできる。例えば、2種類の平面型1次プリフォームを重ねて2次焼成し、マイクロ流路素子を製造する場合など、重ね合わせる2面を研磨し、精度を高めることもできる。ただし、加工の効率向上を重視する場合は、3次元成形自体の精度を高め、研磨工程を無くすことが好ましい。
〔第2実施形態〕
図2は、第2実施形態に例示した1次プリフォームの3次元成形法における基板反転・洗浄工程を示す概念図である。
基板上に凸レンズ、凹レンズ、プリズム、多角錐台等、「等高線の積層」で構成される形状の3次元造形の場合には、造形液の洗浄工程は無用である。しかし、板状の成形物に垂直孔を設けたり、板の表面に溝を形成する場合、ある回数、積層を行った後、未硬化の造形液を、基板を反転して洗浄液で洗い流し、洗浄液を揮発除去する工程が必要である。又、造形液噴霧・硬化ユニット100の構造として、造形液の要所にのみ、光硬化性化合物を硬化させる光線21,22を照射するための工夫が必要である。
具体的には、通常の光源ランプの代わりに、強力なレーザを微細ビームとして照射する構造が必要である。こうすると、加工中に「孔」や「溝」に余剰な造形液が残留・蓄積され、正しい造形の妨げとなる。そこで、造形液噴霧・硬化ユニット100が、例えば10往復する毎に、造形液の噴霧を中断し、基板を反転し、ノズルから洗浄液を噴射して洗浄する。洗浄液としては揮発性の高い有機溶剤であって光硬化性化合物のモノマー及びオリゴマーを溶解しやすいものが好適に用いられる。造形液噴霧・硬化ユニット100及び基板周辺の雰囲気は有機溶剤及び光硬化性化合物のモノマー及びオリゴマーの防災/安全衛生上の雰囲気制御に加え、高揮発性溶剤の気化に際しての結露の防止、すなわち、湿度制御が必要となる。
洗浄液として有機溶剤を用いる代わりに、圧縮ガス噴霧ノズル及び吸引ヘッド814から圧縮ガス噴流813を噴射し、未硬化の造形液を微細な液滴として吹き飛ばす方法を用いても良い。この場合、未硬化の造形液の微細液滴を圧縮ガス噴霧ノズル及び吸引ヘッド814の吸引口から吸い込み、周辺を汚染しないようにすることが好ましい。吸引された未硬化造形液はサイクロン式捕集器(図示せず)及び活性炭フィルター等を用いて回収する。
圧縮ガスの噴射のみでは3次元成形物の表面に付着した未硬化造形液を完全には除去できないため、必要最小限の頻度で有機溶剤による洗浄方法を併用することが望ましい。
3次元造形を止めての未硬化造形液除去作業は、生産性効率化の観点からは好ましくないが、後述するような立体造形補助構造体を用いる場合よりも高い加工精度が要求される場合には望ましい方法である。
〔第3実施形態〕
図3は、第3実施形態に例示した1次プリフォームの3次元成形法における燃焼によって消滅する素材からなる立体造形補助構造体を塗膜積層体の中に包埋させた状態を示す概念図である。
造形液を噴霧ヘッドから液滴として噴霧し、造形液を塗工膜として積層する工法には「庇状構造を作成できない」という大きな制約がある。具体的には、平面構造体に斜めの孔を穿つ構造、先細りの孔、2本以上の細管が交差する構造は積層構造で構築することが困難である。この場合、1次プリフォームの3次元成形法における燃焼によって消滅する素材からなる立体造形補助構造体を塗膜積層体の中に包埋させる方法が望ましい。
この方法を用いる場合、重要なのは1次プリフォーム形成時のシリカ造形物の体積縮小を吸収できるような、シリカ造形物の体積収縮に同期した「立体造形補助構造体自体の収縮」である。これには、400〜500℃まで徐々に体積収縮する発泡体にゆっくり燃焼する微粒子(例えば多孔質の活性炭)を高濃度で分散した高分子化合物からなる高融点発泡性組成物が好適に用いられる。なお、高融点高分子化合物はポリイミドやポリアミドのように窒素を含有するものが多いが、焼成工程で窒素ガスないし窒素酸化物として最終的に気化すれば特に問題ない。なお、1次焼成時、立体造形補助構造体の燃焼ガスがシリカ造形物の外部に放出されるよう、立体造形補助構造体の構造が燃焼ガス放出孔に相当する部分を有するよう留意する。
〔第4実施形態〕
図4は、第4実施形態に例示した、基板上に成形された片平面片非球面レンズの1次プリフォームを表す概念図である。
基板50の材質は金属モリブデンであり、その大きさは、例えば、厚さ1mm、縦横ともに15mmである。この基板50を用いて、例えば、直径10mm、厚さ3mmの片平面片非球面レンズの1次プリフォーム30を1枚、製造することができる。この場合、3次元造形と焼成工程を経て製造される片平面片非球面レンズの片面の平面の精度は基板50の表面の平面精度に依存するため、又、製造される片平面片非球面レンズの1次プリフォーム30全体の精度を設計値の公差内に納めるため、基板50の固定装置(図示せず)と図1に示すような造形液噴霧・硬化ユニット100の駆動時の位置関係を精密に設定する必要がある。すなわち、造形液噴霧・硬化ユニット100内部に固定される造形液噴霧ノズルの噴霧方向と基板50の成す角度は90度であり、その公差は、例えば0.2度以内とする。又、基板50と造形液噴霧・硬化ユニット100の距離が一定に保たれるよう、造形液塗工膜の積層厚さに応じて、正確に制御されるものとする。
造形液噴霧・硬化ユニット100の3次元の動作方向を、基板50の1辺に平行な方向をX軸、基板50から垂直の方向をZ軸、基板50のX軸に垂直な他辺に平行な方向をY軸と定義すると、X,Y,Z軸の各方向とも、造形液噴霧・硬化ユニット100の移動位置に関わらず、例えば公差1μmで制御される。
造形液噴霧・硬化ユニット100の3次元の動作及び、前記動作に同期した造形液の液滴1の噴霧のon−offの制御は制御装置(図示せず)の自動制御プログラミングによって行われる。造形物が図4に示すような片平型非球面レンズ30の場合、その設計図は造形液の積層に対応する「等高線」に変換され、この等高線の外側では前記Y軸方向に多数並んだ噴霧ノズル11はoffであり、この等高線の内側ではonになるよう制御される。片平面片非球面レンズの1次プリフォーム30の外面は本来、なめらかな曲面であるが、前記等高線でデジタル化された「階段」として造形された後、造形液が光照射によって硬化する前の液体である期間に流動により曲面に近づいていく。従って、本来の曲面に近づけるには、造形液の1層当たりの厚さを1μmよりも薄くし、噴霧ヘッド1往復で例えば0.5μmとすれば良い。この場合、造形液の噴霧領域が幅10mm、長さ10mmの範囲で造形が行われ、実際に噴霧が行われる領域の前後のユニット100助走領域を5mmとし、この助走領域を含む20mmの距離におけるユニット100の移動平均速度を2m/秒とすると、ユニット100の1往復に要する時間は20ミリ秒、ヘッド1千往復で全高3mmの厚さの立体造形を行うのに要する時間は120秒である。制御プログラミングを高度化し、助走領域は前記のまま前記等高線の範囲内のみに造形液の噴霧を行うようにすることで、この時間を短縮することもできる。
基板50上に3次元造形された片平面片非球面レンズの1次プリフォーム30は、第1実施形態の場合と同様に焼成され、石英ガラス製片平面片非球面レンズが完成する。
以上のように、片平面片非球面レンズの1次プリフォーム30の外面の、設計図に基づく曲面からの乖離は、造形液が光照射によって硬化する前の液体である期間に流動により解消されるため、前記乖離の値を公差内に納めるためには、前述のように造形液の1層当たりの厚さを薄くすることの他、造形液液滴の流動状態を制御する必要がある。この流動の様子は造形液中のシリカ微粒子の平均粒子径と粒度分布、シリカ微粒子の分散濃度、造形液の液体成分の粘度、レベリング剤の効果、及び、造形液全体のチキソトロピーによって支配される複雑な現象であるため、当初、試行錯誤によって最適値に近づける必要がある。造形の生産速度を高めるためには、造形液の流動特性を改良して、前記公差を満足しつつ塗工1往復当たりの膜厚を厚くし、製造時間を短縮する。
〔第5実施形態〕
図5は、第5実施形態に例示した片平面片非球面レンズ1次プリフォームの片平面上に第2の非球面を形成する方法を示す概念図である。(a)窪みを有する基板60に片平面片非球面レンズ1次プリフォームを置き、(b)片平面上に第2の非球面を形成し、(c)両面非球面レンズの1次プリフォーム33を得る。
これを1次焼成についで、2次焼成し、両面非球面レンズを製造する。この焼成中に1次プリフォームの下面は、窪みを有する基板60の固定された曲面上で収縮していく。このとき、焼成中のプリフォームは全体が高粘度の液体に準じた挙動をとるため、下面の非球面の形状によっては、焼成中に設計した曲面からの乖離が公差を超える可能性がある。この場合については、以下の第6実施形態の方法の適用が好ましい。
〔第6実施形態〕
図6は、第6実施形態に例示した両面非球面レンズの1次プリフォーム33の周辺部分を複数のコイルスプリング41〜46で空中に保持し、加熱焼成を行う方法を示す概念図である。(a)は側面図、(b)は平面図である。
コイルスプリングの素材は金属モリブデンが用いられる。両面非球面レンズの1次プリフォーム33の荷重が特定のコイルスプリングの金属細線に集中すると、2次焼成工程において焼成中に石英ガラス表面に金属細線が食い込むおそれがある。これを避けるには、コイルスプリングの数を6個以上とし、1次プリフォーム33と金属細線が「点」でなく「線」で接するよう、形状を微調整する。なお、両面非球面レンズの使用条件において、光が透過する位置が特定できれば、それを避ける位置で金属細線と焼成中のプリフォームが接触するようにすることが好ましい。
〔第7実施形態〕
図7は、第7実施形態に例示した、第1の基板上に設けられた上面に溝を有する平面型の1次プリフォーム1901と、別途、第2の基板上に設けられた、貫通垂直孔を有する平面型の1次プリフォーム1902とを重ね合わせて、3次元流路を有するマイクロ流路素子の1次プリフォームを作成する方法を示す概念図である。(a)は2つの平面型1次プリフォームを重ね合わせる直前の側面図、(b)はマイクロ流路素子1次プリフォームの平面図である。
平面型1次プリフォーム1901と1902は、各々、第2実施形態の「基板反転・洗浄工程」を経て、好適に製造される。
平面型1次プリフォーム1901と1902の重ね合わせの接触面が正しく平面として造形されている場合、接触面を研磨する必要はない。仮に、垂直孔や溝に周辺に造形液の洗浄ムラによるバリが発生した場合など、要所を研磨すれば良い。
平面型1次プリフォーム1901と1902は単に重ねて、1次焼成すれば、一体化する。これを2次焼成することで、図7(b)と相似形の3次元流路を内蔵した石英ガラス製マイクロ流路素子が製造される。
以下では、焼成工程後のマイクロ流路部分について焼成前の符号を示すが、例えば流路3003は紫外線分光分析装置や紫外線励起蛍光分析装置の光学系内に設置され、垂直孔3000及び3001にはo−リングゴムでシールされたフッ素樹脂チューブが接続され、生体検査の試料液体が注入・排出される。
図7の1次プリフォームの寸法例として、プリフォーム1902の厚さ0.5mm、縦横10mm角、垂直孔の内径1.2mm、又、プリフォーム1901の厚さ1mm、縦横10mm角、マイクロ流路3002,3003の深さ0.5mm、同3003の直線部分の長さ5mmと仮定し、3次元造形に要する時間を試算すると、ユニット100の1往復で厚さ2μmの塗工膜を形成し、造形液の噴霧領域が幅10mm、長さ10mmの範囲で造形が行われ、実際に噴霧が行われる領域の前後のユニット100助走領域を5mmとし、この助走領域を含む20mmの距離におけるユニット100の移動平均速度を2m/秒とすると、ユニット100の1往復に要する時間は20ミリ秒、ヘッド1千往復で全高0.5mmあるいは1mmの厚さの立体造形を行うのに要する時間は各々5秒、10秒である。これに基板反転洗浄工程を要所について1工程1分で2回行った2分を加えると、プリフォーム1901と1902の1組を造形するのに必要な時間は、基板取り付け、取り外し時間を除くと全行程で4分15秒、基板取り付け、取り外し時間を考慮しても5分以内である。1日24時間連続運転で288個製造可能である。更に工程時間短縮については垂直孔又は溝だけの単純な構造であるため、基板反転・洗浄工程は最後に1回だけ行うことも可能であると期待される。
1次及び2次焼成工程は工程時間は長いが、数百個から数千個を1バッチで処理可能であるため、1個当たりに換算した平均時間は数分以内であると見積もられる。
〔第8実施形態〕
図8は、第8実施形態に例示した、水平に置いた基板50に対して基板の下方に配置した造形液噴霧ノズル81から上方に造形液を噴霧して基板に塗工し、造形液の噴霧を中断して別のノズル14又は814から洗浄液13又は圧縮ガス813を噴射して未硬化の造形液を除去する方法を例示した概念図である。
この実施形態は3次元造形1次プリフォーム中に垂直孔2001や溝2002を設ける場合に有効である。
第2実施形態と比較して、基板50を反転する機構と反転に要する工程時間を短縮することができる。第8実施形態の不利な点として、未反応の造形液が除去前に造形液噴霧・硬化ユニット100の上に液滴として落ちてユニット100の重要部分である光ビームレンズヘッドの光透過面を汚染するおそれがある。これを避けるためには、未硬化の造形液が大きな液滴となる前、具体的には、造形液噴霧・硬化ユニット100の1往復毎に、有機溶剤の乾燥が不要な、圧縮ガス噴流による未硬化造形液除去を毎回実施すれば良い。このとき、圧縮ガス噴霧ノズル及び吸引ヘッド814の可動領域について、3次元造形のプログラミングに従い、最小面積で済むように自動制御することで、工程時間の短縮が可能になる。
〔第9実施形態〕
図9は、第9実施形態に例示した、2枚の片平面片非球面レンズの1次プリフォーム又の各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整して貼り合わせてから1次焼成を行う方法を例示した概念図である。
基板52及び53上にそれぞれ第1及び第2の片平面片非球面レンズの1次プリフォーム30,34を第4実施形態に記載の方法で3次元造形する。ここで基板52及び53は同一であっても良く、基板上の異なる位置に2種類の1次プリフォームを同一の工程で製造しても良い。
造形液塗布及び硬化工程の後、1次焼成前の1次プリフォーム30,34を基板52及び53から剥がし、各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整して貼り合わせる。ここで、1次焼成前の1次プリフォームを基板から剥がしやすくするため、基板表面に剥離剤の膜を設けることが推奨される。剥離剤としては例えば、ポリパーフルオロエチレン重合体などを用いることができる。
2種類の1次焼成前の1次プリフォームを基板52及び53から剥がし、各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整するには、プリフォームが不透明であるため、光学的な手法は用い難い。そこで、レンズの非球面側の周辺部に、位置合わせのための突起または窪み(図示せず)を3次造形の際、作り込む方法が推奨される。あるいは、非球面レンズの周辺部分を、例えば正六角柱の形状にサブミクロンの精度で3次元造形するとレンズ中心軸の位置合わせは容易に実施可能となる。
2種類の1次焼成前の1次プリフォームの貼り合わせには、必要に応じて、有機化合物からなる接着剤37を用いても良い。
貼り合わされた両面非球面レンズの1次プリフォームを、例えば、第6実施形態に記載のコイルスプリング41〜46で空中に保持し、2次焼成を行い、両面非球面レンズ39を製造する。
〔第10実施形態〕
図10は、第10実施形態に例示した、2枚の片平面片非球面レンズの2次プリフォームの各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整して接着剤で貼り合わせてから更に2次焼成を行う方法を例示した概念図である。
基板52及び53上にそれぞれ第1及び第2の片平面片非球面レンズの1次プリフォーム30,34を第4実施形態に記載の方法で3次元造形、次いで1次焼成し、2次プリフォーム35,36とする。ここで基板52及び53は同一であっても良く、基板上の異なる位置に2種類の2次プリフォームを同一の工程で製造しても良い。
1次焼成工程の後、2次プリフォーム35,36を基板52及び53から剥がし、各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整して貼り合わせる。ここで、基板に金属モリブデンを用いれば、プリフォームは焼成中に自然に剥離する。
2種類の2次プリフォーム35,36の各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整するには、プリフォームが不透明であるため、光学的な手法は用い難い。そこで、レンズの非球面側の周辺部に、位置合わせのための突起または窪み(図示せず)を3次造形の際、作り込む方法が推奨される。あるいは、非球面レンズの周辺部分を、例えば正六角柱の形状にサブミクロンの精度で3次元造形するとレンズ中心軸の位置合わせは容易に実施可能となる。
2種類の2次プリフォームの貼り合わせには、有機化合物からなる接着剤38を用いる。接着剤としては、空気中の水分又は酸素の触媒作用で硬化開始する、例えばエポキシ接着剤を好適に使用することができる。
貼り合わされた両面非球面レンズの2次プリフォームを、例えば、第6実施形態に記載のコイルスプリング41〜46で空中に保持し、接着剤の有機化合物を酸化除去し、更に2次焼成を行い、両面非球面レンズ39を製造する。
1 ノズルから噴霧された造形液の液滴、
11,81 造形液噴霧ノズル、
12 造形液送液チューブ、
13 ノズルから噴射された洗浄液、
14 洗浄液噴射ノズル、
15 洗浄液送液チューブ、
21,22 光硬化化合物硬化光線、
30,34 片平面片非球面レンズの1次プリフォーム、
31 片平面片非球面レンズ1次プリフォーム用鋳型、
32 片平面片非球面レンズの1次プリフォーム、
33 両面非球面レンズの1次プリフォーム、
35,36 片平面片非球面レンズの2次プリフォーム、
37,38 接着剤、
39 両面非球面レンズの2次プリフォーム、
40 1次プリフォーム支持コイル固定金具、
41〜46 1次プリフォーム支持コイル、
50,51,52,53 基板、
60 窪みを有する基板、
100 造形液噴霧・硬化ユニット、
111,121,131 造形液噴霧・硬化ユニットの移動方向、
201,202 基板10の回転方向、
203,204 洗浄液噴射ノズルの移動方向、
211,221 光ビームレンズヘッド、
212,222 光ファイバー、
813 圧縮ガス噴流、
814 圧縮ガス噴霧ノズル及び吸引ヘッド、
815 圧縮ガスチューブ及び吸引チューブ、
1101,1201,1301 硬化前の造形液塗工膜、
1111,1211、1311〜1611、1711 造形液が硬化した塗工膜、
1900,1901,1902 平面型1次プリフォーム、
2000,2001 垂直孔、
2002 溝、
2004,2005,3000,3001 マイクロ流路に接続する垂直孔、
2006 マイクロ流路に接続する斜め孔、
2007 多層塗膜を貫通した斜め孔、
2008 造形液噴霧側に向けて細くなる孔、
3000,3001 マイクロ流路に繋がる垂直孔(焼成前)、
3002,3003 マイクロ流路(焼成前)、
3300 マイクロ流路素子の1次プリフォーム。

Claims (13)

  1. 光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液である造形液を液滴として噴霧する造形液噴霧ノズルと光硬化性化合物の光反応を起こす光線の光源とを搭載した造形液噴霧・硬化ユニットを基板に対して往復させ、噴霧ノズルを開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら基板上に光硬化した塗工膜を積層して石英ガラス成型品の1次プリフォームを3次元造形する造形液噴霧・硬化工程と、
    1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して2次プリフォームにする1次焼成工程と、
    2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、2次プリフォーム中の気泡を除去する2次焼成工程と、
    を備える石英ガラス部品の製造方法。
  2. 造形液噴霧・硬化工程において、造形液の噴霧を中断し、基板を反転し、未硬化の造形液を洗浄液の噴射又は高圧ガスの噴射で除去する請求項1に記載の石英ガラス部品の製造方法。
  3. 造形液噴霧・硬化工程において、水平に置いた基板に対して基板の下方に配置した造形液噴霧ノズルから上方に造形液を噴霧して基板に塗工し、造形液の噴霧を中断して別のノズルから洗浄液又は圧縮ガス噴射して未硬化の造形液を除去する請求項1に記載の石英ガラス部品の製造方法。
  4. 造形液噴霧・硬化工程において、燃焼によって消滅する素材からなる立体造形補助構造体を塗膜積層体の中に包埋させる、請求項1に記載の石英ガラス部品の製造方法。
  5. 光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液である造形液を液滴として噴霧する造形液噴霧ノズルと光硬化性化合物の光反応を起こす光線の光源とを搭載した造形液噴霧・硬化ユニットを基板に対して往復させ、噴霧ノズルを開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら基板上に光硬化した塗工膜を積層して基板上に片平面片非球面レンズの1次プリフォームを3次元造形する造形液噴霧・硬化工程と、
    1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して2次プリフォームにする1次焼成工程と、
    2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を除去して石英ガラス製片平面片非球面レンズにする2次焼成工程と、
    を備える石英ガラス部品の製造方法。
  6. 窪みを有する基板に片平面片非球面レンズ1次プリフォームを置き、その片平面上に、光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液である造形液を液滴として噴霧する造形液噴霧ノズルと光硬化性化合物の光反応を起こす光線の光源とを搭載した造形液噴霧・硬化ユニットを基板に対して往復させ、噴霧ノズルを開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら光硬化した塗工膜を積層して第2の非球面を形成し、両面非球面レンズの1次プリフォームを3次元造形する工程と、
    1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して2次プリフォームにする1次焼成工程と、
    2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を除去して石英ガラス製両非球面レンズにする2次焼成工程と、
    を備える石英ガラス部品の製造方法。
  7. 両面非球面レンズの1次プリフォームを、その周辺部において複数のコイルスプリングを用いて空中に保持しつつ、1次焼成工程及び2次焼成工程を行う、請求項6に記載の石英ガラス部品の製造方法。
  8. 第1の基板上に設けられた上面に溝を有する平面型の第1の1次プリフォームと、第2の基板上に設けられた貫通垂直孔を有する平面型の第2の1次プリフォームとを重ね合わせて、3次元流路を有するマイクロ流路素子の1次プリフォームを作成する工程と、
    1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して2次プリフォームにする1次焼成工程と、
    2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を除去する2次焼成工程と、
    を備える石英ガラス部品の製造方法。
  9. 光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液である造形液を液滴として噴霧する造形液噴霧ノズルと光硬化性化合物の光反応を起こす光線の光源とを搭載した造形液噴霧・硬化ユニットを基板に対して往復させ、噴霧ノズルを開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら基板上に光硬化した塗工膜を積層して基板上に第1の片平面片非球面レンズの1次プリフォーム及び第2の片平面片非球面レンズの1次プリフォームを3次元造形する造形液噴霧・硬化工程と、
    前記第1及び第2の片平面片非球面レンズの1次プリフォームを基板から剥がし、各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整して貼り合わせる工程と、
    前記工程で得られた両面非球面レンズの1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して2次プリフォームにする1次焼成工程と、
    2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を除去して石英ガラス製両面片非球面レンズにする2次焼成工程と、
    を備える石英ガラス部品の製造方法。
  10. 光硬化性化合物を含むシリカ微粒子の分散液である造形液を液滴として噴霧する造形液噴霧ノズルと光硬化性化合物の光反応を起こす光線の光源とを搭載した造形液噴霧・硬化ユニットを基板に対して往復させ、噴霧ノズルを開閉して造形液を塗工し、1層毎に塗工膜を光硬化させながら基板上に光硬化した塗工膜を積層して基板上に第1の片平面片非球面レンズの1次プリフォーム及び第2の片平面片非球面レンズの1次プリフォームを3次元造形する造形液噴霧・硬化工程と、
    前記第1及び第2の片平面片非球面レンズの1次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、1次プリフォーム中の有機化合物を酸化燃焼させて除去して前記第1及び第2の片平面片非球面レンズの2次プリフォームにする1次焼成工程と、
    前記第1及び第2の片平面片非球面レンズの2次プリフォームを基板から剥がし、各々の片平面を、互いのレンズの中心軸が重なるように位置を調整して接着剤で貼り合わせる工程と、
    前記工程で得られた両面非球面レンズの2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、接着剤を酸化燃焼させて除去する接着剤焼成除去工程と、
    2次プリフォームをシリカ微粒子の溶融温度以下で加熱し、プリフォーム中の気泡を除去して石英ガラス製両面片非球面レンズにする2次焼成工程と、
    を備える石英ガラス部品の製造方法。
  11. 光硬化性化合物は、光重合性のモノマー及びオリゴマーを含み、光硬化性化合物の光反応を起こす光線は、紫外線である請求項1乃至請求項7、請求項9、請求項10のいずれかに記載の石英ガラス部品の製造方法。
  12. 基板の材質が金属モリブデンである請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の石英ガラス部品の製造方法。
  13. 2次焼成工程をヘリウム気体中で行う請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の石英ガラス部品の製造方法。
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