JP2018042758A - 香気伝達方法及び香気伝達装置 - Google Patents

香気伝達方法及び香気伝達装置 Download PDF

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Abstract

【課題】空気砲を備えて構成される簡単な装置を用いて、被伝達者が違和感なくかつ嗅ぎやすい形で、感知可能な香りを被伝達者に伝達する香気伝達方法を提供する。【解決手段】香気を含む渦輪を空気砲から射出することにより香気を被伝達者に伝達する香気伝達方法を提案する。この香気伝達方法では、空気砲1の射出口51から被伝達者までの距離を1m以上、3m以下とし、微小液滴を含ませて視認可能にした渦輪を、口径4cm以上、15cm以下の射出口51から秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で被伝達者に向けて射出する。【選択図】図2

Description

本発明は、空気砲を利用した香気伝達方法及び香気伝達装置に関する。
香料を含ませた渦輪を空気砲から射出し、対象者に香りを届ける技術が知られている。本技術は、離れた場所から対象者のいる場所に向けて、意図した香りを意図した量だけ、所定のタイミングで提示できるという利点がある。一方、飛行する渦輪に乗せて香りを運ぶため、香料は狭い領域(渦輪)に局在し、対象者が香りを嗅ぎにくいという課題がある。渦輪が対象者の鼻周辺にあたらないと、対象者は香りを感じられない。
これに対して、特許文献1には、対象者の鼻の位置を計測する装置と空気砲とを組み合わせ、対象者の鼻めがけて香りを提示する方法が開示されている。また特許文献2には、二つの渦輪を対象者の前で衝突させ、香りを拡散させて対象者に芳香成分を供給する装置が開示されている。
特開2004−81851号公報 特開2010−22577号公報
しかしながら、上記先行技術文献に係る方法では、香りの嗅ぎやすさが改善された一方で、鼻位置を計測する装置や2台の空気砲を必要とし、装置の複雑化を招く要因となっていた。また、渦輪が運べる香料の量が少量である、あるいは飛行の途中で渦輪から香料が脱落するなどして、対象者が感知する香りが弱くなるという問題が依然として存在した。また、渦輪が大きく広がって、対象者が渦輪中のごく一部の香料しか吸引できず、感知する香りが弱くなることがあった。さらに、渦輪の飛行速度が速すぎると風圧による違和感を対象者が覚える、逆に遅すぎると渦輪が途中で崩壊して対象者まで届かないなどの不便さがあった。
本発明者らは鋭意検討の結果、香気を含む渦輪を視認可能にしたうえで、空気砲の構造、渦輪の飛行速度及び空気砲と対象者との位置関係等を最適な数値範囲に設定することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、空気砲を備えて構成される簡単な装置を用いて、香りを感じる対象者である被伝達者が違和感なくかつ嗅ぎやすい形で、感知可能な香りを被伝達者に伝達する香気伝達方法及び香気伝達装置に関する。
上記課題を解決するため、本発明の香気伝達方法は、香気を含む渦輪を空気砲から射出することにより前記香気を被伝達者に伝達する香気伝達方法であって、前記空気砲の射出口から前記被伝達者までの距離を1m以上、3m以下とし、微小液滴を含ませて視認可能にした渦輪を、口径4cm以上、15cm以下の前記射出口から秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で前記被伝達者に向けて射出することを特徴とする。
また、本発明の香気伝達装置は、香気を含む渦輪を空気砲から射出することにより前記香気を被伝達者に伝達する香気伝達装置であって、渦輪に香気を付与する香気発生装置と、前記渦輪に微小液滴を含ませ視認可能にする微小液滴発生装置と、前記渦輪を射出するための射出口と、前記射出口から前記渦輪を射出するための加圧装置と、被伝達者の位置を定める位置決め部と、を備え、前記射出口の口径が4cm以上、15cm以下であり、前記加圧装置は秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で渦輪を前記射出口から射出し、前記射出口から1m以上、3m以下の距離に前記位置決め部を設けたことを特徴とする。
上記した本発明によれば、空気砲を利用して、被伝達者が違和感なくかつ嗅ぎやすい形で、かつ感知可能な香りを被伝達者に伝達する香気伝達方法及び装置を提供することができる。
本発明の背景の定義を説明するための図である。 本発明の第1実施形態の香気伝達方法及び装置を説明するための模式図である。 図2に示した香気伝達装置に使用される空気砲の斜視図である。 本発明の第1実施形態の視野の定義を説明するための図である。
本発明の香気伝達方法について、以下詳細に説明する。
本発明は、香気を含み、更に微小液滴を含ませて視認可能とした渦輪を空気砲から射出することにより香気を被伝達者に伝達する方法である。そして、空気砲の射出口から被伝達者までの距離を1m以上、3m以下とし、微小液滴を含ませて視認可能にした渦輪を、口径4cm以上、15cm以下の射出口から秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で被伝達者に向けて射出する。
(香気)
香気は香料または溶媒に溶かした香料が気化または微粒子化したものである。香気には必要に応じて水を気化または微粒子化した湿気を含ませることもできる。微粒子化した場合の微粒子の直径は、重力による沈降を防ぐ観点から、20μm以下であることが好ましい。
香料としては、公知の香料を特に制限なく用いることができ、たとえば、ペパーミントオイル等の天然物から抽出した天然香料、リモネン等の合成香料、二種以上の公知香料を適宜の割合で混合して得られる香料、メントール等のような常温では固体で昇華性のある香料などがあげられる。また溶媒としてはエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、クエン酸トリエチル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテルなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。扱い易さの点からエタノールが好適に用いられる。
(微小液滴)
微小液滴は、香気とともに渦輪に含まれて、渦輪を視認可能にするものである。微小液滴は可視光を散乱するため、渦輪は白濁して視認可能になる。このための微小液滴の直径は1μm以上、20μm以下が好ましい。直径が1μmよりも小さいと微小液滴1個あたりの可視光の散乱能が低下し、視認性が低下する。直径が20μmよりも大きいと重力により沈降しやすくなる。また、単位体積あたりに充填できる微小液滴の数が減り、可視光の散乱量が低下して視認性が低下する。
微小液滴の原料となる液体としては、たとえばプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールなどのグリコール類、グリセリンなどの有機溶媒あるいはこれらを複数種混合した溶媒を使うことができる。これらに水を添加してもよい。臭気が少なく、扱い易さの点からプロピレングリコールが好適に用いられる。
本発明においては、香気を、香料または溶媒に溶かした香料の微粒子と湿気とを含んで構成し、当該香気を、プロピレングリコールを主成分とする微小液滴とともに渦輪に含ませることが特に好ましい。主成分とは最も重量比率の多い成分を意味する。気化した香料を香気に用いるよりも微粒子化した香料を用いる方が、渦輪中に高濃度で香料を含ませることができ、しかも気化した香料がプロピレングリコールを主成分とする微小液滴に吸収されて、希釈されるのを抑制することできる。また湿気も水の微粒子を含んで構成するのが好ましい。気化した水を湿気に用いるよりも微粒子化した水を用いる方が、気化した水がプロピレングリコールを主成分とする微小液滴に吸収されて、希釈されるのを抑制することできる。以上の結果、被伝達者の香り感知が容易になる。
(渦輪の射出口の口径)
本発明において、渦輪を射出口から射出する。射出口は、渦輪を空気砲から外部に射出する開口であり、略円形をなしている。射出口の口径(直径)は4cm以上、15cm以下である。開口が完全な円形でない場合は、開口の内接円の直径を射出口の口径と定義する。
口径(直径)が4cm以上であることにより、渦輪で運べる気体量(香気の量)を担保でき、被伝達者の香り感知を容易とすることができる。そして、上記の理由から、射出口の口径(直径)は、好ましくは5cm以上であり、より好ましくは7cm以上である。また、射出口の口径(直径)は15cm以下である。口径(直径)が15cm以下であることにより、射出口から射出される渦輪が人の顔よりも大きくなるのを防ぎ、その結果、香気が広範囲に広がって薄まることがなく、また被伝達者に吸引されずに散逸する香気が減り、被伝達者への香気の伝達効率を高めることができる。そして、上記の理由から、射出口の口径(直径)は、好ましくは14cm以下であり、より好ましくは12cm以下である。
(射出口から被伝達者までの距離)
射出口から被伝達者までの距離は、1m以上、3m以下である。上記距離が1m以上であることにより被伝達者が渦輪を視認し鼻を近づけるまでの時間的余裕が担保される。そして、上記の理由により、距離は1.5m以上が好ましく、1.6m以上がより好ましい。
また、上記距離が3m以下であることにより、渦輪が被伝達者に到達するまでに香気が脱落することが低減でき、被伝達者の香り感知強度を高めることができる。また、渦輪が周囲の気流に流されて途中で曲がる、あるいは被伝達者まで到達しないという問題を防ぐことができる。
ここで、射出口から被伝達者までの距離とは、射出口の開口中心から被伝達者の鼻までの距離をいう。
(飛行速度)
渦輪は、秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で射出口から射出される。渦輪が飛行する速度は空気抵抗のため徐々に遅くなるので、本発明では「飛行速度」を、渦輪が射出口から1m先の地点まで飛行する際の平均速度と定義する。具体的には、気体(渦輪の先頭)が射出口から出て、射出口から1m先の地点に到達するまでの時間をt秒とすると、飛行速度は1/t[m/秒]で計算される。
渦輪の飛行速度が秒速1m以上であることによって、渦輪が空気抵抗の影響により被伝達者に到達する前に崩れて香気が消散するのを防ぐことができる。そして、上記の理由により、渦輪の飛行速度は秒速1.1m以上が好ましく、秒速1.2m以上がより好ましい。
また、秒速2.5m以下であることによって、渦輪が被伝達者の顔や鼻に衝突する衝撃を低減でき、被伝達者が渦輪から受ける風圧の違和感を防ぐことができる。また香気が瞬時に被伝達者を通過してしまうことを防ぎ、香気が被伝達者の周囲に漂うため、被伝達者の香り感知を容易にできる。そして、上記の理由により、渦輪の飛行速度は秒速2.2m以下が好ましく、秒速2.0m以下がより好ましい。射出する気体の体積をこれ以上に増やしても、渦輪の飛行中に渦輪から脱落する香気の量が増え、被伝達者への香気の伝達効率が低下する。また、香気が広範囲に広がって被伝達者に吸引されずに散逸する香気が増え、被伝達者への香気の伝達効率が低下する。
(射出方向)
被伝達者に向けて渦輪を射出するとき、被伝達者の鼻付近あるいは顎から胸あたりを狙って渦輪を射出すると、被伝達者は香りを嗅ぎやすい。
(射出量)
射出する気体の体積は、渦輪で運ぶ香気量を担保し、被伝達者の香り感知を容易とする観点から、350cm以上とすることが好ましく、600cm以上とすることがさらに好ましい。また、射出する気体の体積は、香気の伝達効率の低下を防ぐ観点から、2500cm以下とすることが好ましく、1500cm以下とすることがさらに好ましい。射出する気体の体積が過剰になると、渦輪の飛行中に渦輪から脱落する香気の量が増え、被伝達者への香気の伝達効率が低下する。また、香気が広範囲に広がって被伝達者に吸引されずに散逸する香気が増え、被伝達者への香気の伝達効率が低下する。
(背景色)
本発明の方法においては、被伝達者から空気砲の射出口を見た場合の射出口の背景の色をHSV色空間において明度40%以下または彩度60%以上の濃色としても良い。
濃色にはたとえば黒色、茶色、紺色、青色、緑色、橙色、赤色などの色が含まれる。また、「被伝達者から空気砲の射出口を見た場合の射出口の背景」は以下のように定義する。
図1は空気砲1とその背後にある物体(壁など)2を描いた上面図である。図1に示すように、射出口51の中心点Aを通り、射出口51を含む面と垂直な線上の一点をOとする。点Oは渦輪が射出される側にあり、点Aとの距離を2mとする。点Oは射出口51に正対する被伝達者の位置を代表する点である。さらに射出口51と同一面内に、点Aを中心とした直径30cmの円BB'を描く。そして点Oから空気砲1の射出口51を臨んだとき、円BB'内に見える像を射出口51の背景と定義する。図1では背景を太実線で描いてある。背景には空気砲1自身も含まれ、特に射出口51の開口内部の領域も背景に含める。図1ではさらに空気砲1を構成する壁53の前面も背景の一部になっている。射出口の背景の色を濃色とするとき、当該背景を円BB'に投影した面において、50%以上の面積が濃色になっていればよい。すなわち円BB'のうち0.5×π(30/2)[cm]≒353.4[cm]以上の面積が濃色であればよい。ただし円BB'の中に、後述の映像表示装置の画面が含まれる場合は、円BB'から当該画面を除いた部分の面積のうちの50%以上を濃色にするものとする。このように背景の色を濃色とすることによって白濁した渦輪を被伝達者が視認しやすくなる。
(座位姿勢)
本発明の方法において、被伝達者はソファーなどの椅子に座った座位姿勢であることが好ましい。指定した椅子に被伝達者を座らせることによって、空気砲の射出口から被伝達者までの距離を1m以上3m以下に定められるとともに、身長によらず、顔の位置がほぼ一定に定まり、空気砲1から渦輪を射出する向きを一定に保つことができる。また被伝達者が椅子に座ることによって、楽な姿勢で映像を視聴できるという利点もある。
(映像表示装置)
本発明の香気伝達方法において、被伝達者が視聴できる映像表示装置を設け、空気砲を映像表示装置の周辺に配置する。映像表示装置としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、スクリーンなどが例示されるが、写真、コンピューターグラフィック、ポスター、絵画、スケッチなどのような静止画を表示した面状部材でもよい。映像表示装置の周辺とは映像表示装置の外縁から1m以内の範囲を指し、空気砲1の射出口51の開口中心を当該範囲内に配置する。
(非白色光の照射)
本発明の方法においては、渦輪が射出口から被伝達者まで飛行している途中で、渦輪に非白色光をあて、渦輪の視認性を向上させてもよい。非白色光を使用することにより渦輪が着色され、視覚的な美しさも付与される。非白色光とは白色光でない可視光のことであり、赤色、橙色、黄色、黄緑色、緑色、青色、紫色などの色味のついた光を意味する。光源としては、これらの色を呈する発光ダイオードやレーザーダイオードが例示される。あるいは白色光源からでた白色光をこれらの色の色フィルターで着色した光を用いてもよい。白色光とは可視光線のすべての波長の光が混ざっていて、色合いをもたない光のことである。その光源としては国際照明委員会CIEが定めたA光源、C光源、D65光源などがあげられる。
射出口から被伝達者まで飛行する渦輪に、非白色光を継続的にあててもよいし、断続的あるいは一時的にあててもよい。同時に複数の色の光をあてる、あるいは時間的に色を変えてもよい。複数の色の光を使用する場合には、当該光の中に白色光が含まれていてもよい。光をあてる方向に特に制限はない。光源を床面に置いて渦輪の下方から光をあてる方法や、椅子の後方(被伝達者が椅子に座って空気砲と正対したときの背面側)に光源を置いて飛行してくる渦輪の正面から光をあてる方法などが例示される。
本発明の方法においては、渦輪の飛行が周囲の気流によって妨げられるのを防ぐ目的で風よけ板を設けることもできる。
また、渦輪が射出口から被伝達者まで飛行する経路上において、気流を0.3m/秒以下とすることが好ましい。また、渦輪の視認性を向上させるため、周囲の光(蛍光灯などによる照明光)を弱める遮光板を用いてもよい。
さらに、空気砲から放出されたが渦輪に乗らなかった香気や微小液滴を吸引するために、吸煙装置や空気清浄装置を設けてもよい。当該装置は、空気を吸引し、そこに含まれる香気や微小液滴を活性炭フィルター等で除去することにより空気を清浄にする。これにより空気砲周辺の残香が低減するため、被伝達者は渦輪の香りを感知しやすくなる。
吸煙装置または空気清浄装置の空気の吸引口は空気砲の射出口と略同一面内で、吸引口の外周と射出口の外周の最短距離が3cm以上、15cm以下になるように配置することが好ましい。ここで言う略同一面内とは面間距離が±5cm以内であることを意味する。吸引口の面と射出口の面が5cmよりも離れると、吸煙装置または空気清浄装置による香気と微小液滴の吸引が不十分になる。また外周間の最短距離が3cmよりも短いと、吸引した空気が渦輪の形成を乱す。15cmよりも長いと香気と微小液滴の吸引が不十分になる。
次に、本発明の香気伝達装置について、以下詳細に説明する。
本発明の香気伝達装置は、渦輪に香気を付与する香気発生装置と、渦輪に微小液滴を含ませ視認可能にする微小液滴発生装置と、渦輪を射出するための射出口と、射出口から渦輪を射出するための加圧装置と、被伝達者の位置を定める位置決め部を備える。
(香気発生装置)
香気発生装置は、前述の香気を生成する。香気の生成には公知の方法を用いることができ、たとえば加熱による揮散、超音波振動による霧化、送風による放散などを利用することができる。常温で固体の昇華性の香料については、送風による放散を利用し香気を生成できる。
(微小液滴発生装置)
微小液滴発生装置は、前述の微小液滴を生成する。微小液滴の生成には公知の方法を用いることができ、たとえば加熱による揮散、超音波振動による霧化などがあげられる。
(射出口)
渦輪を射出するための好ましい射出口の口径(直径)は前述のとおりである。
(加圧装置)
加圧装置は、前述した所定の飛行速度で渦輪を射出口から射出する。渦輪の飛行速度は、加圧装置の加圧速度によって調整できる。加圧速度を速くすると渦輪の飛行速度は速くなり、加圧速度を遅くすると渦輪の飛行速度は遅くなる。
(位置決め部)
本発明においては、被伝達者の位置を定める位置決め部を設ける。位置決め部としては、被伝達者の位置を定めるものであれば何でも良く、例えば、床面に置かれた椅子、床面に描かれた図形や記号、床上に設置したシートに描かれた図形や記号、床面を照らすスポットライト、柵及び天井から吊り下げられたパネル等であってもよい。被伝達者は位置決め部として設けられた椅子に座った状態、あるいは位置決め部が定める床面に立った状態で、飛行してくる渦輪の香りを嗅ぐことができる。
射出口から位置決め部までの距離は、1m以上3m以下である。距離が1m以上であることにより被伝達者が渦輪を視認し鼻を近づけるまでの時間的余裕が担保される。そして、上記理由により、距離は1.5m以上が好ましく、1.6m以上がより好ましい。
また、距離が3m以下であることにより、渦輪が被伝達者に到達するまでに香気が脱落するのを低減でき、被伝達者の香り感知強度を高めることができる。また、渦輪が周囲の気流に流されて途中で曲がる、あるいは被伝達者まで到達しないという問題を防ぐことができる。
ここで、射出口から位置決め部までの距離は、射出口の開口中心から位置決め部の中心までの水平距離として定義する。なお位置決め部の中心とは位置決め部が定める被伝達者の位置の中心点をいう。たとえば、位置決め部が椅子の場合は椅子の座面の中心を表し、位置決め部が円や×等の回転対称の図形や記号で描かれているときは回転対称の中心を、矢印で表示されている場合は矢印の先端を表す。
以下、本発明の好ましい第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、上述した、(香気)、(微小液滴)、(渦輪の射出口の口径)、(射出口から被伝達者までの距離)、(飛行速度)、(射出方向)、(射出量)、(背景色)、(座位姿勢)、(映像表示装置)、(非白色光の照射)等に関する説明は第1実施形態にもほぼそのまま適用され、重複する説明は適宜省略する。
<第1実施形態>
図2は、本発明の第1実施形態の香気伝達装置120の全体構成を示した模式図である。香気伝達装置120は、図3に示す空気砲1を備え、空気砲1は筐体121の中に設置されている。空気砲1の射出口51から射出された渦輪Rは筐体121の開口122を通り、被伝達者(図示せず)まで飛行する。被伝達者は椅子126に座り、映像表示装置124に映された映像を見ながら、空気砲1から射出された渦輪Rの香りを嗅ぐ。
空気砲1には公知の装置と同様なものを使用することができ、図3に示すように気体充填槽S、射出口51、加圧装置9、香気発生装置71、微小液滴発生装置75、駆動装置100を含んで構成される。
気体充填槽Sは、香気と微小液滴を含んだ空気を保持する。香気は香料と必要に応じて水分を含んで構成される。気体充填槽Sに保持された気体の全部または一部が射出口51から矢印Dの方向に射出されて渦輪Rを形成し、被伝達者まで伝搬する。
射出口51は気体充填槽Sの壁53より射出方向の前方に突出する筒状部の先端に開口形成されている。射出口51には気体を射出する期間にのみ開くシャッタ811を設けてもよい。射出口51をシャッタ811でふさぐことによって、気体充填槽内Sの香気が射出口51から外部に漏れるのを低減することができる。
加圧装置9は気体充填槽内Sの気体を加圧し、気体を射出口51から外部へ射出する。図3の場合、加圧装置9は駆動装置100によって電気的に駆動されて、弾性膜7を着脱可能な接合部61、63を通して牽引、解放する。すなわち、加圧装置9は弾性膜7に固定された接合部61と加圧装置9に固定された接合部63とが接合した状態で弾性膜7を牽引し、弾性膜7を延伸する。その後、接合部61と接合部63との接合を解き、弾性膜7を解放すると、弾性膜7は弾性的復元力によって収縮し、気体が加圧される。加圧装置9としては、これに限らず公知のものを特に制限なく用いることができ、たとえば電磁式やピストン式等のエアーポンプを用いる方法、スプリングの弾性的復元力を利用する方法などがあげられる。
第1実施形態においては、渦輪Rが秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で伝搬するように加圧装置9の加圧速度を調整し、気体(渦輪)を射出する。
香気発生装置71は駆動装置100によって電気的に駆動されて、香気を生成し、香気を気体充填槽S内に充填する。香気は香料または溶媒に溶かした香料が気化または微粒子化したものである。香気には必要に応じて水を気化または微粒子化した湿気を含ませることもできる。
香気発生装置71は香料または溶媒に溶かした香料から香気を生成する。香料または溶媒に溶かした香料は香気発生装置71内の貯蔵容器(図示せず)に貯蔵されている。香気の生成には公知の方法を用いることができ、たとえば加熱による揮散、超音波振動による霧化、送風による放散などを利用することができる。常温で固体の昇華性の香料については、固体の状態で香気発生装置71内の貯蔵容器に貯蔵し、送風による放散を利用し香気を生成できる。生成された香気は配管77を通して気体充填槽S内に送られる。
香気発生装置71は湿気発生装置73を備えていてもよい。湿気発生装置73は湿気を生成し、湿気を気体充填槽S内に充填する。湿気は水が気化または微粒子化したものである。水は湿気発生装置73内の水用貯蔵容器(図示せず)に貯蔵されている。水には抗菌剤を添加してもよい。抗菌剤としては臭気が少なく、扱い易さの点からエタノールが好適に用いられる。
湿気の生成には公知の方法を用いることができ、たとえば加熱による揮散、超音波振動による霧化などがあげられる。生成された湿気は配管78を通して気体充填槽S内に送られる。このようにして生成された湿気を香気に含ませることよって香りの質を変えることができる。特に、香りの質を天然物の匂いに近い自然な感じの香りに変えるという観点からは、気体充填槽S内の相対湿度を70%以上にすることが好ましい。
微小液滴発生装置75は駆動装置100によって電気的に駆動され、渦輪Rを視認可能にするための微小液滴を生成し、微小液滴を気体充填槽S内に充填する。第1実施形態においては、微小液滴を香気とともに渦輪Rに含ませ、渦輪Rを視認可能にする。微小液滴は可視光を散乱するため、渦輪は白濁し視認可能になる。微小液滴の原料となる液体は微小液滴発生装置75内の液滴用貯蔵容器(図示せず)に貯蔵されている。微小液滴の生成には公知の方法を用いることができ、たとえば加熱による揮散、超音波振動による霧化などがあげられる。生成された微小液滴は配管79を通して気体充填槽S内に送られる。
駆動装置100は加圧装置9、香気発生装置71、湿気発生装置73、微小液滴発生装置75に接続され、各装置を電気的に制御、駆動し、上記動作を行わせる。射出口51にシャッタ811が設けられている場合は、駆動装置100はシャッタ811も駆動し、開閉動作を行わせる。駆動装置100には、香気発生装置71、湿気発生装置73及び微小液滴発生装置75を駆動して香気及び微小液滴を気体充填槽Sに充填する充填開始スイッチ(図3には図示せず)と、加圧装置9とシャッタ811を駆動して空気砲1から渦輪Rを射出させる発射スイッチ(図3には図示せず)が備わっている。
香気伝達装置120の操作者は充填開始スイッチを押して気体充填槽S内に香気及び微小液滴を充填させた後、発射スイッチを押して香気と微小液滴を含む渦輪Rを空気砲1から射出する。図2に示すように、第1実施形態では、駆動装置100と電気的に接続された充填開始スイッチ、発射スイッチなどのスイッチ群127が筐体121の前面121aに配置されている。香気伝達装置120の操作者はスイッチ群127に配置された各スイッチを手で押して操作することができる。あるいは各スイッチと連動したリモコンを用意し、スイッチ群127から離れた場所でスイッチをリモコン操作してもよい。スイッチをリモコン操作できる場合、被伝達者自身がリモコン操作してもよい。
充填開始スイッチと発射スイッチは外部からの入力信号によって連動して動作するようにしてもよい。たとえば、駆動装置100が外部からの入力信号を受けて、タイマをスタートさせ、一定の待機時間後に充填開始スイッチを動作させ、さらに一定の待機時間後に発射スイッチを動作させる。たとえば映像を開始するための開始信号を入力信号に用い、上記二つの待機時間を適切に定めれば、映像の内容と渦輪(香気)を被伝達者に伝達するタイミングを調整することができる。発射スイッチは、適当な待機時間を空けて複数回動作させてもよい。あるいは、被伝達者が椅子126に座ったことをセンサで検知し、この検知信号を入力信号に用いてもよい。このようにすれば、被伝達者が椅子126に座ると自動で渦輪(香気)Rが射出され、香気伝達装置120の操作者によるスイッチ操作が不要になる。
第1実施形態では、上述したように香気と微小液滴を含む渦輪Rを、空気砲1の射出口51から秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で被伝達者に向けて射出する。被伝達者は飛行してくる渦輪Rを視認し、渦輪Rに鼻を近づけて香りを嗅ぐ。あるいは渦輪Rを顎や胸にあて拡散する香りを嗅ぐ。射出口51から被伝達者までの距離は1m以上、3m以下である。第1実施形態においては、射出口51から被伝達者までの距離を1m以上、3m以下とすることが容易になるように、射出口51から1m以上、3m以下の距離に被伝達者の位置を決める位置決め部が設けられている。すなわち、位置決め部として被伝達者の座る椅子126を設け、被伝達者の位置を決めている。射出口51の開口中心から椅子126の座面の中心までの水平距離を1m以上、3m以下に設定する。これにより射出口51の開口中心から被伝達者の鼻までの距離も1m以上、3m以下程度とすることができる。被伝達者は射出口51に正対して椅子126に座った座位姿勢となり、渦輪Rは座位姿勢の被伝達者の鼻付近を狙って空気砲1から射出される。
第1実施形態において、被伝達者から射出口51を見た場合の射出口51の背景の色を濃色とする。背景は、筐体121の前面(被伝達者に対向する面)121aの一部、映像表示装置124の画面の一部、床面125の一部、筐体121に設けられた開口122を通して見える空気砲1の表面(射出口51の開口内部の領域も含める)の一部などから構成される。そして筐体121の前面121a及び空気砲1の表面をHSV色空間における明度40%以下または彩度60%以上の濃色とすることにより、被伝達者から射出口51を見た場合の射出口51の背景の色を濃色としている。
本実施形態では映像表示装置124を設け、映像表示装置124に映される映像と音声を被伝達者が視聴しながら、渦輪Rによって運ばれる香りを嗅げるようにしてもよい。DVDや投影機などの映像再生装置(図示せず)で再生された映像と音声が映像表示装置124に出力される。
空気砲1は映像表示装置124の周辺に配置され、空気砲1から被伝達者に向けて渦輪Rを射出する。第1実施形態では、空気砲1を映像表示装置124の下に配置している。ここで、映像表示装置124の周辺とは映像表示装置124の外縁から1m以内の範囲を指し、空気砲1の射出口51の開口中心を当該範囲内に配置する。このとき、空気砲1は、被伝達者が映像表示装置124の画面124aを見る視野に含まれず、かつ渦輪Rの飛行経路上に映像表示装置124が含まれない位置に配置されることが好ましい。ここで視野とは、図4に示すように、被伝達者3の両目の中心点を頂点とし、映像表示装置124の画面124aを底面にもつ立体として定義する。空気砲1と映像表示装置124をこのような配置とすることにより、被伝達者は映像表示装置124に映される映像と音声を視聴しながら、飛行してくる渦輪Rを視認して、渦輪Rの香りを嗅ぐことができる。なお音声は無音とすることもできる。
映像表示装置124には映像開始スイッチが設けられ、映像開始スイッチが押されると映像表示装置124に一連の映像と音声が流される。映像が終了すると、映像表示装置124は待機状態になる。あるいは映像表示装置124に映像終了スイッチを設け、映像終了スイッチが押されるまで映像を繰り返し流すようにしてもよい。香気伝達装置120の操作者は映像開始スイッチと、駆動装置の充填開始スイッチ及び発射スイッチを操作して、被伝達者に映像と、渦輪によって運ばれる香気を届ける。駆動装置100の説明の際に記載したように、操作者が映像開始スイッチを押したとき、当該スイッチから送られる映像の開始信号を駆動装置100で受け、充填開始スイッチと発射スイッチを連動して動作するようにすれば、映像の内容にタイミングを合わせて空気砲1から渦輪Rを1回又は複数回射出し、被伝達者に香気を届けることができる。この場合、被伝達者自身が映像開始スイッチを押せるようにしてもよい。
第1実施形態では、映像開始スイッチ及び映像終了スイッチは、充填開始スイッチ及び発射スイッチとともにスイッチ群127として筐体121の前面121aに配置されている。これらのスイッチをリモコンで操作できるようにしてもよい。
第1実施形態において、被伝達者はソファーなどの椅子126に座った座位姿勢であることが好ましい。指定した椅子126に被伝達者を座らせることによって、空気砲1の射出口51から被伝達者までの距離を1m以上、3m以下に定められるとともに、身長によらず、顔の位置がほぼ一定に定まり、空気砲1から渦輪Rを射出する向きを一定に保つことができる。子供のように背の低い被伝達者の場合は、椅子126から立ち上がって床面125に直立することで大人の顔の位置をめがけて飛んでくる渦輪Rに鼻を近づけて香りを嗅ぐことができる。空気砲1を映像表示装置124の下に配置し、渦輪Rを空気砲1から斜め上方に射出するようにすれば、空気砲1に近づくにつれ渦輪Rの飛行位置が低くなるので、特に背の低い子供は椅子126から立ち上がり空気砲1の方に歩いて近づくことによって渦輪Rに鼻を近づけ香りを嗅ぎやすくなる。また被伝達者が椅子126に座ることによって、楽な姿勢で映像を視聴できるという利点もある。
第1実施形態において、渦輪Rが射出口51から被伝達者まで飛行している途中で、渦輪Rに非白色光をあて、渦輪Rの視認性を向上させてもよい。射出口51から被伝達者まで飛行する渦輪Rに、非白色光を継続的にあててもよいし、断続的あるいは一時的にあててもよい。光をあてる方向に特に制限はない。光源を床面125に置いて渦輪Rの下方から光をあてる方法や、椅子126の後方(被伝達者が椅子126に座って空気砲1と正対したときの背面側)に光源を置いて渦輪Rの正面から光をあてる方法などが例示される。
(第1参考例)
次に、以上説明した第1実施形態の第1参考例を説明する。
第1参考例では、被伝達者が座る椅子の正面に液晶ディスプレイを設置し、液晶ディスプレイよりも下方に空気砲を設置した。椅子は、被伝達者が椅子の中央に座ったとき空気砲の射出口と被伝達者との距離が2mになる位置に設置されている。空気砲は、椅子の中央に座った被伝達者(成人)の略顔の位置に渦輪を射出できるように、斜め上方に射出方向が固定されている。空気砲は、渦輪が1.5m/秒の飛行速度で飛行するような加圧速度で、800cmの気体を口径(直径)が10cmの射出口から射出する。空気砲は、射出口を除いて彩度約90%の茶色(明度約50%、色相0°)の筐体で覆われ、射出口には明度約10%の黒色(彩度約10%、色相0°)のシャッタが設けられている。この結果、被伝達者から射出口を見た場合の射出口の背景の色は濃色になっている。
被伝達者は、椅子の中央に座り、液晶ディスプレイのリモコンに設けられた映像開始スイッチを押し、映像をスタートさせる。液晶ディスプレイには商品を紹介する動画が音声とともに流れ、被伝達者は椅子に座った状態で映像を視聴する。
空気砲の駆動装置は、映像開始スイッチ(リモコン)から送られた信号を受信し、タイマをスタートさせ、一定の待機時間後に気体充填槽に、プロピレングリコールを主成分とする平均粒子径(直径)約10μmの微小液滴及び、湿気を含む香気の充填を開始する。湿気を含む香気は、商品と同じ香りになるように調整されている。さらに、駆動装置は、一定の待機時間後に加圧装置を駆動し、渦輪を射出する。
射出された渦輪はプロピレングリコールを主成分とする微小液滴を含んでいるため、可視光を散乱して白濁し、視認可能になっている。このため、渦輪の被伝達者は、商品の映像を視聴しながら自分に向かって飛んで来る渦輪を視認し、渦輪に鼻を近づけて渦輪の香りを嗅ぐことができる。
このような実施例によれば、渦輪の被伝達者は商品の映像(視覚情報)と香り(香気情報)を同時に認識し、商品に関する強い印象を受けることになる。特に、渦輪が視認可能になっているため、渦輪を鼻で追いかける楽しさと、近づいてくる渦輪から感じられる香りへの期待感があって、被伝達者は楽しく商品の香気情報を受け取ることができる。このようなエンタテイメント性は特に若者の被伝達者に対して効果的である。
(実施例・比較例)
表1、表2及び表3は、第1実施形態の図3に示した空気砲と類似の構造をもつ空気砲を用いて、感じる香りの強度と香りの感知難易度(嗅ぎやすさ)を複数の条件下で評価した実験結果を示すものである。表1から表3のいずれにおいても、複数の条件で行った実験の各々をAからRの表記で特定している。
表1から表3では、香りの強度を以下の基準で表している。
◎ 強い香りを感じる
○ 香りを感じる
△ 弱い香りを感じる
× 香りを感じない
また、香りの感知難易度を以下の基準で表している。
○ 香りを嗅ぎやすい
△ 香りを嗅ぐことができる
× 香りを嗅ぎ難い
香り強度が×の判定であったものついては、香りの感知難易度の評価ができないため記号−を記入した。
表1は、射出口と被伝達者との距離をパラメータとし、射出口の口径を10cm、渦輪の飛行速度を1.5m/秒、射出される気体の体積を800ccに固定した実験の結果を示す表である。また、使用香料はフルーティ系の香料であり、湿気(超音波振動で微粒子化した水)とプロピレングリコールを主成分とする微小液滴を添加した。
表1によれば、射出口と被伝達者との距離が近づくほど香りの強度は強くなる一方で、実験Aのように射出口と被伝達者との距離が近すぎると飛んでくる渦輪に鼻をあてる時間的余裕がないため香りの感知難易度が低下する。射出口と被伝達者との距離が1mから3mの実験B、実験C及び実験Dの条件において、被伝達者が香料の香りを比較的簡易に感知できることがわかった。
Figure 2018042758
表2は、渦輪の飛行速度をパラメータとし、射出口と被伝達者との距離を2m、射出口の口径を10cm、射出される気体の体積を800ccに固定した実験の結果を示す表である。また、使用香料はフルーティ系の香料であり、湿気(超音波振動で微粒子化した水)とプロピレングリコールを主成分とする微小液滴を添加した。
表2によれば、渦輪の飛行速度が遅すぎる実験Gでは、飛行の途中で渦輪が崩れ、香りの強度が低下する。一方、渦輪の飛行速度が速すぎる実験K,実験Lでは香りを感じられる時間が短くなり、香りの感知難易度が低下する。渦輪の飛行速度が1m/秒から2.5m/秒の実験H、実験I及び実験Jの条件において、被伝達者が香料の香りを比較的簡易に感知できることがわかった。
Figure 2018042758
表3は、射出口の口径をパラメータとし、渦輪の飛行速度を1.5m/秒、射出口と被伝達者との距離を2m、射出される気体の体積を800ccに固定した実験の結果を示す表である。また、使用香料はフルーティ系の香料であり、湿気(超音波振動で微粒子化した水)とプロピレングリコールを主成分とする微小液滴を添加した。
表3によれば、射出口の口径が小さすぎる実験M、実験Nでは渦輪が運べる香気の量が少なく、香りの強度が低下する。一方、射出口の口径が大きすぎる実験Rでは香気が広がり香りの感知難易度が低下する。射出口の口径が4cmから15cmの実験O、実験P及び実験Qの条件において、被伝達者が香料の香りを比較的簡易に感知できることがわかった。
Figure 2018042758
上記実施形態および実施例は以下の技術思想を包含するものである。
<1> 香気を含む渦輪を空気砲から射出することにより前記香気を被伝達者に伝達する香気伝達方法であって、
前記空気砲の射出口から前記被伝達者までの距離を1m以上、3m以下とし、微小液滴を含ませて視認可能にした渦輪を、口径4cm以上、15cm以下の前記射出口から秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で前記被伝達者に向けて射出することを特徴とする香気伝達方法。
<2> 前記被伝達者から前記空気砲の前記射出口を見た場合の前記射出口の背景の色を明度40%以下または彩度60%以上の濃色とする、<1>の香気伝達方法。
<3> 前記被伝達者が視聴できる映像表示装置を設け、前記空気砲を前記映像表示装置の周辺に配置する、<1>または<2>に記載の香気伝達方法。
<4> 前記被伝達者が座位姿勢をとる、<1>から<3>のいずれか1つに記載の香気伝達方法。
<5> 前記香気が香料を含む微粒子と湿気とから構成され、前記微小液滴がプロピレングリコールを主成分とする微小液滴である、<1>から<4>のいずれか1つに記載の香気伝達方法。
<6> 香気を含む渦輪を空気砲から射出することにより前記香気を被伝達者に伝達する香気伝達装置であって、
渦輪に香気を付与する香気発生装置と、前記渦輪に微小液滴を含ませ視認可能にする微小液滴発生装置と、前記渦輪を射出するための射出口と、前記射出口から前記渦輪を射出するための加圧装置と、被伝達者の位置を定める位置決め部と、を備え、
前記射出口の口径が4cm以上、15cm以下であり、前記加圧装置は秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で渦輪を前記射出口から射出し、前記射出口から1m以上、3m以下の距離に前記位置決め部を設けたことを特徴とする香気伝達装置。
<7> 前記香気が香料を含む微粒子と湿気とから構成され、前記微小液滴がプロピレングリコールを主成分とする微小液滴である、<6>に記載の香気伝達装置。
1・・・空気砲
7・・・弾性膜
9・・・加圧装置
51・・・射出口
53・・・壁
61,63・・・接合部
71・・・香気発生装置
73・・・湿気発生装置
75・・・微小液滴発生装置
77・・・配管
78・・・配管
79・・・配管
100・・・駆動装置
120・・・香気伝達装置
121・・・筐体
121a・・・前面
122・・・開口
124・・・映像表示装置
124a・・・画面
125・・・床面
126・・・椅子
127・・・スイッチ群
811・・・シャッタ

Claims (7)

  1. 香気を含む渦輪を空気砲から射出することにより前記香気を被伝達者に伝達する香気伝達方法であって、
    前記空気砲の射出口から前記被伝達者までの距離を1m以上、3m以下とし、微小液滴を含ませて視認可能にした渦輪を、口径4cm以上、15cm以下の前記射出口から秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で前記被伝達者に向けて射出することを特徴とする香気伝達方法。
  2. 前記被伝達者から前記空気砲の前記射出口を見た場合の前記射出口の背景の色を明度40%以下または彩度60%以上の濃色とする、請求項1に記載の香気伝達方法。
  3. 前記被伝達者が視聴できる映像表示装置を設け、前記空気砲を前記映像表示装置の周辺に配置する、請求項1または2に記載の香気伝達方法。
  4. 前記被伝達者が座位姿勢をとる、請求項1から3のいずれか1項に記載の香気伝達方法。
  5. 前記香気が香料を含む微粒子と湿気とから構成され、前記微小液滴がプロピレングリコールを主成分とする微小液滴である、請求項1から4のいずれか1項に記載の香気伝達方法。
  6. 香気を含む渦輪を空気砲から射出することにより前記香気を被伝達者に伝達する香気伝達装置であって、
    渦輪に香気を付与する香気発生装置と、前記渦輪に微小液滴を含ませ視認可能にする微小液滴発生装置と、前記渦輪を射出するための射出口と、前記射出口から前記渦輪を射出するための加圧装置と、被伝達者の位置を定める位置決め部と、を備え、
    前記射出口の口径が4cm以上、15cm以下であり、前記加圧装置は秒速1m以上、秒速2.5m以下の飛行速度で渦輪を前記射出口から射出し、前記射出口から1m以上、3m以下の距離に前記位置決め部を設けたことを特徴とする香気伝達装置。
  7. 前記香気が香料を含む微粒子と湿気とから構成され、前記微小液滴がプロピレングリコールを主成分とする微小液滴である、請求項6に記載の香気伝達装置。
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