[1.パチンコ機の全体構造]
本発明の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図1乃至図10を参照して本実施形態のパチンコ機1の全体構成について説明する。図1は本発明の一実施形態であるパチンコ機の正面図である。図2はパチンコ機の右側面図であり、図3はパチンコ機の左側面図であり、図4はパチンコ機の背面図である。図5はパチンコ機を右前から見た斜視図であり、図6はパチンコ機を左前から見た斜視図であり、図7はパチンコ機を後ろから見た斜視図である。図8は本体枠から扉枠を開放させるとともに、外枠から本体枠を開放させた状態で前から見たパチンコ機の斜視図である。図9はパチンコ機を扉枠、遊技盤、本体枠、及び外枠に分解して前から見た分解斜視図であり、図10はパチンコ機を扉枠、遊技盤、本体枠、及び外枠に分解して後ろから見た分解斜視図である。
本実施形態のパチンコ機1は、遊技ホールの島設備(図示しない)に設置される枠状の外枠2と、外枠2の前面を開閉可能に閉鎖する扉枠3と、扉枠3を開閉可能に支持しているとともに外枠2に開閉可能に取付けられている本体枠4と、本体枠4に前側から着脱可能に取付けられるとともに扉枠3を通して遊技者側から視認可能とされ遊技者によって遊技球が打込まれる遊技領域5aを有した遊技盤5と、を備えている。
パチンコ機1の外枠2は、図9及び図10等に示すように、上下に離間しており左右に延びている上枠部材10及び下枠部材20と、上枠部材10及び下枠部材20の両端同士を連結しており上下に延びている左枠部材30及び右枠部材40と、を備えている。上枠部材10、下枠部材20、左枠部材30、及び右枠部材40は、前後の幅が同じ幅に形成されている。上枠部材10及び下枠部材20の左右の長さに対して、左枠部材30及び右枠部材40の上下の長さが、長く形成されている。
外枠2は、左枠部材30及び右枠部材40の下端同士を連結し下枠部材20の前側に取付けられる幕板部材50と、上枠部材10の正面視左端部側に取付けられている外枠側上ヒンジ部材60と、幕板部材50の正面視左端側上部と左枠部材30とに取付けられている外枠側下ヒンジ部材70と、を備えている。外枠2の外枠側上ヒンジ部材60と外枠側下ヒンジ部材70とによって、本体枠4及び扉枠3が開閉可能に取付けられている。
パチンコ機1の扉枠3は、正面視の外形が上下に延びた四角形で前後に貫通している貫通口111を有した枠状の扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の貫通口111よりも下側で前面右下隅に取付けられており遊技球を遊技盤5の遊技領域5a内へ打込むために遊技者が操作可能なハンドルユニット300と、扉枠ベースユニット100の貫通口111よりも下側で前面下部に取付けられている皿ユニット320と、皿ユニット320の中央に取付けられており遊技領域5a内に遊技球が打込まれることで変化する遊技状態に応じて遊技者に参加型の演出を提示することが可能な演出装飾回転体ユニット530と、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも左側の前面左部に取付けられている扉枠左サイドユニット540と、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも右側の前面右部に取付けられている扉枠右サイドユニット550と、扉枠左サイドユニット540及び扉枠右サイドユニット550の上側で扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも上側の前面上部に取付けられている扉枠トップユニット570と、を備えている。
パチンコ機1の本体枠4は、一部が外枠2の枠内に挿入可能とされるとともに遊技盤5の外周を支持可能とされた枠状の本体枠ベース600と、本体枠ベース600の正面視左側の上下両端に取付けられ外枠2の外枠側上ヒンジ部材60及び外枠側下ヒンジ部材70に夫々回転可能に取付けられるとともに扉枠3の扉枠側上ヒンジ部材140及び扉枠側下ヒンジ部材150が夫々回転可能に取付けられる本体枠側上ヒンジ部材620及び本体枠側下ヒンジ部材640と、本体枠ベース600の正面視左側面に取付けられる補強フレーム660と、本体枠ベース600の前面下部に取付けられており遊技盤5の遊技領域5a内に遊技球を打込むための球発射装置680と、本体枠ベース600の正面視右側面に取付けられており外枠2と本体枠4、及び扉枠3と本体枠4の間を施錠する施錠ユニット700と、本体枠ベース600の正面視上辺及び左辺に沿って後側に取付けられており遊技者側へ遊技球を払出す逆L字状の払出ユニット800と、本体枠ベース600の後面下部に取付けられている基板ユニット900と、本体枠ベース600の後側に開閉可能に取付けられ本体枠ベース600に取付けられた遊技盤5の後側を覆う裏カバー980と、を備えている。
本体枠4の払出ユニット800は、本体枠ベース600の後側に取付けられる逆L字状の払出ユニットベース801と、払出ユニットベース801の上部に取付けられており上方へ開放された左右に延びた箱状で図示しない島設備から供給される遊技球を貯留する球タンク802と、球タンク802の下側で払出ユニットベース801に取付けられており球タンク802内の遊技球を正面視左方向へ誘導する左右に延びたタンクレール803と、払出ユニットベース801における正面視左側上部の後面に取付けられタンクレール803からの遊技球を蛇行状に下方へ誘導する球誘導ユニット820と、球誘導ユニット820の下側で払出ユニットベース801から着脱可能に取付けられており球誘導ユニット820により誘導された遊技球を払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板951からの指示に基づいて一つずつ払出す払出装置830と、払出ユニットベース801の後面に取付けられ払出装置830によって払出された遊技球を下方へ誘導するとともに皿ユニット320における上皿321での遊技球の貯留状態に応じて遊技球を通常放出口850d又は満タン放出口850eの何れかから放出させる上部満タン球経路ユニット850と、払出ユニットベース801の下端に取付けられ上部満タン球経路ユニット850の通常放出口850dから放出された遊技球を前方へ誘導して前端から扉枠3の貫通球通路273へ誘導する通常誘導路861及び満タン放出口850eから放出された遊技球を前方へ誘導して前端から扉枠3の満タン球受口274へ誘導する満タン誘導路862を有した下部満タン球経路ユニット860と、を備えている。
本体枠4の基板ユニット900は、本体枠ベース600の後側に取付けられる基板ユニットベース910と、基板ユニットベース910の正面視左側で本体枠ベース600に設けられた左右一対の下部スピーカ921(下部左スピーカ921L及び下部右スピーカ921R)を有するスピーカユニット920と、基板ユニットベース910の後側で正面視右側に取付けられ内部に電源基板が収容されている電源基板ボックス930と、スピーカユニット920の後側に取付けられており内部にインターフェイス制御基板が収容されているインターフェイス制御基板ボックス940と、電源基板ボックス930及びインターフェイス制御基板ボックス940に跨って取付けられており内部に遊技球の払出しを制御する払出制御基板951が収容された払出制御基板ボックス950と、を備えている。
パチンコ機1の遊技盤5は、図9及び図10等に示すように、遊技球が打込まれる遊技領域5aの外周を区画し球発射装置680から発射された遊技球を遊技領域5aの上部に案内する外レール1001及び内レール1002を有した前構成部材1000と、前構成部材1000の後側に取付けられるとともに遊技領域5aの後端を区画する平板状の遊技パネル1100と、を備えている。
本実施形態のパチンコ機1は、上皿321に遊技球を貯留した状態で、遊技者がハンドル302を回転操作すると、球発射装置680によってハンドル302の回転角度に応じた強さで遊技球が遊技盤5の遊技領域5a内へ打込まれる。遊技領域5a内に打込まれた遊技球が、入賞口に受入れられると、受入れられた入賞口に応じて、所定数の遊技球が払出装置830によって上皿321に払出される。この遊技球の払出しによって遊技者の興趣を高めることができるため、上皿321内の遊技球を遊技領域5a内へ打込ませることができ、遊技者に遊技を楽しませることができる。
[2.外枠の全体構成]
パチンコ機1の外枠2について、図11乃至図16を参照して説明する。図11はパチンコ機における外枠の正面図であり、図12は外枠の右側面図である。図13は外枠を前から見た斜視図であり、図14は外枠を後ろから見た斜視図である。図15は、外枠を分解して前から見た分解斜視図である。図16(a)は外枠における外枠側上ヒンジ部材の部位を、左枠部材を省略して下側から見た斜視図であり、(b)は(a)を分解して示す分解斜視図である。外枠2は、遊技ホール等のパチンコ機1が設置される島設備(図示は省略)に取付けられるものである。
外枠2は、図示するように、上下に離間しており左右に延びている上枠部材10及び下枠部材20と、上枠部材10及び下枠部材20の両端同士を連結しており上下に延びている左枠部材30及び右枠部材40と、を備えている。上枠部材10、下枠部材20、左枠部材30、及び右枠部材40は、前後の幅が同じ幅に形成されている。上枠部材10及び下枠部材20の左右の長さに対して、左枠部材30及び右枠部材40の上下の長さが、長く形成されている。外枠2は、上枠部材10及び下枠部材20の左右両端面と、左枠部材30及び右枠部材40の左右方向の外側を向いた側面とが、同一面となるように組立てられている。
外枠2は、上枠部材10の正面視左端部側に取付けられている外枠側上ヒンジ部材60と、外枠側上ヒンジ部材60の下面に取付けられているロック部材66と、幕板部材50の正面視左端側上部と左枠部材30とに取付けられている外枠側下ヒンジ部材70と、を備えている。外枠2の外枠側上ヒンジ部材60と外枠側下ヒンジ部材70とによって、本体枠4及び扉枠3を開閉可能に取付けることができる。
外枠2は、左枠部材30及び右枠部材40の下端同士を連結し下枠部材20の前側に取付けられる幕板部材50と、幕板部材50の後側に取付けられているとともに両端が左枠部材30及び右枠部材40に夫々取付けられる幕板補強部材80と、幕板部材50の上面における左右中央から左寄りの位置に取付けられている平板状の左滑り部材81と、幕板部材50の上面における右端付近の位置に取付けられている平板状の右滑り部材82と、を備えている。幕板補強部材80は、中実の部材(例えば、木材、合板、等)によって形成されており、下枠部材20、左枠部材30、及び右枠部材40に、取付けられている。
更に、外枠2は、上枠部材10と左枠部材30、上枠部材10と右枠部材40、下枠部材20と左枠部材30、及び下枠部材20と右枠部材40を、夫々連結している連結部材85を備えている。外枠2は、右枠部材40の内側(左側面側)に取付けられており後述する施錠ユニット700の外枠用鉤703が係止される上鉤掛部材90及び下鉤掛部材91を、備えている。
[2−1.上枠部材]
外枠2の上枠部材10は、所定厚さの無垢(中実)の材料(例えば、木材、合板、等)によって形成されている。この上枠部材10は、左右両端における前後方向の中央に、上下に貫通しており左右方向中央側へ窪んだ係合切欠部11を備えている。この係合切欠部11内には、連結部材85の後述する左上連結部材85A及び右上連結部材85Bの上横固定部87が取付けられる。上枠部材10は、正面視左側端部の上面と前面に、一般面よりも窪んだ取付段部12を備えている。この取付段部12には、外枠側上ヒンジ部材60が取付けられる。
[2−2.下枠部材]
外枠2の下枠部材20は、所定厚さの無垢(中実)の材料(例えば、木材、合板、等)によって形成されている。この下枠部材20は、左右の長さ及び上下の厚さが、上枠部材10の左右の長さ及び上下の厚さと同じ寸法に形成されているとともに、前後の幅が、上枠部材10の前後の幅よりも長く形成されている。下枠部材20は、左右両端における前後方向の中央よりも後側寄りの位置に、上下に貫通しており左右方向中央側へ窪んだ係合切欠部21を備えている。この係合切欠部21内には、連結部材85の後述する左下連結部材85C及び右下連結部材85Dの下横固定部88が取付けられる。
下枠部材20は、左右両端の前面から後方へ窪んだ前端切欠部22を備えている。下枠部材20において、前端切欠部22の後端から下枠部材20の後面までの前後方向の幅が、上枠部材10の前後方向の幅と同じ寸法に形成されている。この下枠部材20は、外枠2に組立てた状態で、左右の前端切欠部22同士の間の部位が、幕板部材50内に挿入される。
[2−3.左枠部材及び右枠部材]
外枠2の左枠部材30及び右枠部材40は、一定の断面形状で上下に延びており、アルミ合金等の金属の押出形材によって形成されている。左枠部材30及び右枠部材40は、平面視において互いに対称の形状に形成されている。左枠部材30及び右枠部材40は、外枠2として組立てた時に、左右方向の外側となる側面において、前後方向中央に対して後寄りの位置から後端付近までの間に、内側へ窪んだ凹部31,41と、凹部31,41の反対側の側面から膨出しており内部が空洞に形成されている突出部32,42と、を備えている。この左枠部材30及び右枠部材40は、突出部32,42によって、強度・剛性が高められている。突出部32,42内には、連結部材85の後述する左上連結部材85A及び右上連結部材85Bの後側の下横固定部88が挿入されて取付けられる。
左枠部材30及び右枠部材40は、表面に上下に延びた複数の溝が形成されている。この複数の溝によって、パチンコ機1を遊技ホール等の島設備に設置したり運搬したりする等の際に、作業者の指掛りとなってパチンコ機1を持ち易くすることができるとともに、パチンコ機1の外観の意匠性を高めることとができる。
[2−4.幕板部材]
外枠2の幕板部材50は、後側が開放された箱状に形成されている。幕板部材50は、上面における正面視左端付近に後方へ平板状に延出している後方延出部51と、後方延出部51の左端から遊技球が通過可能な大きさでU字状に切欠かれており上下に貫通している左排出孔52と、後方延出部51における左排出孔52の右側において遊技球が通過可能な大きさで上下に貫通している右排出孔53と、後方延出部51の後端を含む幕板部材50の上面の後端から上方へ平板状に延出している立壁部54と、立壁部54の上端付近から前方へ膨出しており前面が上方へ向かうに従って後方へ向かうように傾斜している返し部55と、を備えている。
幕板部材50は、後方延出部51の前側の上面と、後方延出部51の上面とに、外枠側下ヒンジ部材70が載置されるように、外枠側下ヒンジ部材70の後述する水平部71が取付けられる。幕板部材50の左排出孔52は、外枠2に組立てた状態で外枠側下ヒンジ部材70の後述する排出孔74と一致する位置に形成されている。右排出孔53は、外枠2に組立てた状態で外枠側下ヒンジ部材70よりも右側となる位置に形成されている。右排出孔53は、左排出孔52よりも大きく形成されている。
幕板部材50は、後方延出部51よりも右側の上面が、前端側が低くなるように傾斜している。幕板部材50は、上面における後方延出部51よりも右側の部位に左滑り部材81を取付けるための左取付部56と、上面における右端付近に右滑り部材82を取付けるための右取付部57と、を備えている。幕板部材50は、上面に、左滑り部材81及び右滑り部材82を介して本体枠4の下面が載置される。
この幕板部材50は、図示するように、前面に浅いレリーフ状の装飾が形成されている。幕板部材50は、図示は省略するが、箱状の内部が複数のリブによって格子状に仕切られており、強度・剛性が高められている。幕板部材50は、幕板補強部材80の前側半分を、内部に収容可能に形成されている。
[2−5.外枠側上ヒンジ部材]
外枠2の外枠側上ヒンジ部材60は、図示するように、水平に延びた平板状で外形が四角形の上固定部61と、上固定部61の前端から前方へ延出している平板状の前方延出部62と、前方延出部62の右端から前方へ向かうに従って前方延出部62の左右中央へ延びており上下に貫通している軸受溝63と、上固定部61の平面視左辺から下方へ延びている平板状の横固定部64と、前方延出部62の左端から前端を周って軸受溝63が開口している部位までの端辺から下方へ延びており横固定部64と連続している平板状の垂下部65と、を備えている(図16(b)等を参照)。
外枠側上ヒンジ部材60は、外枠2が組立てられた状態で、上固定部61が、上枠部材10の取付段部12の上面に載置されており、図示しないビスによって固定されている。前方延出部62は、上枠部材10の前端よりも前方へ延出している。横固定部64は、左枠部材30の外側側面の凹部31内に上側から挿入された状態で、ビスによって左枠部材30に固定されている。
この外枠側上ヒンジ部材60は、軸受溝63内に本体枠側上ヒンジ部材620の本体枠上ヒンジピン622を挿入させることで、外枠側下ヒンジ部材70と協働して本体枠4を開閉可能に支持することができる。この外枠側上ヒンジ部材60は、金属板をプレス成型により屈曲させて形成されている。
[2−6.ロック部材]
外枠2のロック部材66は、図16に示すように、左右が所定幅で前後に延びている帯板状のロック本体66aと、ロック本体66aの後端から右方へ突出している操作部66bと、ロック本体66aの後端から左方へ延びた後に斜め左前方へ延びている弾性変形可能な棒状の弾性部66cと、ロック本体66aの後端付近で上下に貫通している取付孔66dと、を備えている。このロック部材66は、合成樹脂によって形成されている。ロック部材66は、取付ビス67によって、外枠側上ヒンジ部材60における前方延出部62の下面に回動可能に取付けられる。
このロック部材66は、取付孔66dを通して、ロック本体66aの後端が、外枠側上ヒンジ部材60の前方延出部62における軸受溝63よりも後側の位置に取付けられる。ロック部材66を外枠側上ヒンジ部材60に取付けた状態では、ロック本体66aが、平面視で軸受溝63を遮ることができるとともに、前端付近の右側面が、外枠側上ヒンジ部材60の垂下部65における軸受溝63の開口まで延びている部位と当接可能となるように前方へ延びている(図18を参照)。
ロック本体66aの後端から左方へ延びている弾性部66cの先端は、外枠側上ヒンジ部材60における垂下部65の内周面に当接している。このロック部材66は、弾性部66cの付勢力によって取付孔66dを中心に、前端が左方へ回動する方向に付勢されている。したがって、通常の状態では、ロック部材66のロック本体66aの前端付近の右側面が、垂下部65に当接している(図18を参照)。この状態では、軸受溝63におけるロック本体66aよりも前側の部位に、本体枠側上ヒンジ部材620の後述する本体枠上ヒンジピン622を収容可能な空間が形成される。
このロック部材66は、操作部66bを操作することで、弾性部66cの付勢力に抗してロック本体66aを回動させることができる。操作部66bの操作によって、ロック本体66aを、その前端が左方へ移動する方向へ回動させることで、平面視において軸受溝63からロック本体66aを後退させることができ、軸受溝63が全通している状態とすることができる。これにより、軸受溝63内に本体枠上ヒンジピン622を挿入したり、軸受溝63内から本体枠上ヒンジピン622を外したりすることができる。
[2−7.外枠側下ヒンジ部材]
外枠2の外枠側下ヒンジ部材70は、図示するように、水平に延びている平板状の水平部71と、水平部71の左辺において前後方向中央よりも後側の部位から上方へ立上っている平板状の立上り部72と、水平部71の前端付近から上方へ突出している外枠下ヒンジピン73と、水平部71を上下に貫通しており遊技球が一つのみ通過可能な大きさの排出孔74と、を備えている。この外枠側下ヒンジ部材70は、金属板をプレス成型により屈曲させて形成されている。
外枠側下ヒンジ部材70の水平部71は、平面視において、左辺を底辺とした台形に形成されている。外枠下ヒンジピン73は、円柱状で、上下方向中央よりも上部が、上端が窄まった円錐台状に形成されている。この外枠下ヒンジピン73は、水平部71の前端付近における左寄りの位置に取付けられている。排出孔74は、水平部71において、立上り部72の前後方向中央の部位と接し、水平部71の左辺から右方へ逆U字状に延びるように形成されている。この排出孔74は、幕板部材50の左排出孔52と、略同じ大きさに形成されている。
外枠側下ヒンジ部材70は、外枠2が組立てられた状態では、水平部71が、幕板部材50の左端付近の上面と後方延出部51上に載置されており、水平部71が、幕板部材50の上面を貫通する図示しないビスによって幕板補強部材80に固定されている。外枠2が組立てられた状態では、立上り部72が、左枠部材30の内側側面における突出部32よりも前側の部位に、図示しないビスによって取付けられている。この外枠側下ヒンジ部材70は、外枠下ヒンジピン73を、本体枠4の本体枠側下ヒンジ部材640における本体枠用下ヒンジ孔(図示は省略)に挿通させることで、外枠側上ヒンジ部材60と協働して本体枠4を開閉可能に取付けることができる。
外枠2が組立てられた状態では、排出孔74が、幕板部材50の左排出孔52と一致している。これにより、水平部71上の遊技球を、排出孔74及び左排出孔52を通して、幕板部材50の後側へ落下(排出)させることができる。詳述すると、外枠2に対して本体枠4を閉じる時に、外枠2と本体枠4との間に落下した遊技球が、本体枠4が閉じられるのに従って、外枠2と本体枠4との間が徐々に狭くなることから、間隔が広い後方側へ転動とすることとなり、排出孔74から排出させることができる。この際に、排出孔74が、パチンコ機1に組立てた状態で、外枠2に対して本体枠4を閉じた時に、本体枠4の後端と略同じとなる位置に形成されているため、外枠2と本体枠4との間に落下した遊技球を、排出孔74から排出させることで本体枠4よりも後側へ転動するのを阻止し易くすることができ、外枠側下ヒンジ部材70の部位に遊技球が留まり難くすることができる。
[2−8.連結部材]
外枠2の連結部材85は、上枠部材10と左枠部材30とを連結する左上連結部材85Aと、上枠部材10と右枠部材40とを連結する右上連結部材85Bと、下枠部材20と左枠部材30とを連結する左下連結部材85Cと、下枠部材20と右枠部材40とを連結する右下連結部材85Dと、がある。
連結部材85は、水平に延びた平板状の水平固定部86と、水平固定部86の左右側辺の何れか一方から上方へ延出している平板状の上横固定部87と、水平固定部86における上横固定部87が延出している部位と同じ側から下方へ延出している平板状の下横固定部88と、を備えている。この連結部材85は、平板状の金属板を屈曲させて形成されている。
左上連結部材85A及び右上連結部材85Bでは、水平固定部86の前後方向の中央から上横固定部87が上方へ延出しているとともに、上横固定部87の前後両側から下横固定部88が下方へ延出している。つまり、左上連結部材85A及び右上連結部材85Bでは、下横固定部88が前後に離間して二つ備えられている。左上連結部材85A及び右上連結部材85Bの水平固定部86は、上枠部材10の下面に当接した状態で上枠部材10に固定される。左上連結部材85A及び右上連結部材85Bの上横固定部87は、上枠部材10の係合切欠部21内に挿入されて、上枠部材10の左右方向の端部に固定される。左上連結部材85A及び右上連結部材85Bの前側の下横固定部88は、左枠部材30及び右枠部材40の突出部32,42よりも前側の内側側面に夫々固定される。更に、左上連結部材85A及び右上連結部材85Bの後側の下横固定部88は、左枠部材30及び右枠部材40の突出部32,42内に挿入されて外側側面から捩じ込まれるビスにより左枠部材30及び右枠部材40に夫々固定される。
左下連結部材85C及び右下連結部材85Dでは、上横固定部87の後端が、水平固定部86の後端よりも後方へ突出しているとともに、上横固定部87の水平固定部86よりも後方へ突出している部位の下端から下横固定部88が水平固定部86よりも下方へ延出している。左下連結部材85C及び右下連結部材85Dでは、上横固定部87の後端から水平固定部86と同じ側へ突出している屈曲部89を更に備えている。左下連結部材85C及び右下連結部材85Dの水平固定部86は、下枠部材20の上面に当接した状態で固定される。左下連結部材85C及び右下連結部材85Dの上横固定部87は、左枠部材30及び右枠部材40の突出部32,42よりも前側の内側側面に夫々固定される。更に、左下連結部材85C及び右下連結部材85Dの下横固定部88は、下枠部材20の係合切欠部21内に挿入されて下枠部材20の左右方向の端部面に夫々固定される。
[2−9.外枠側上ヒンジ部材のロック機構]
次に、本実施形態のパチンコ機1の外枠2において、外枠側上ヒンジ部材60におけるロック部材66による本体枠4の本体枠側上ヒンジ部材620に対するロック機構について、図17及び図18を参照して説明する。図17(a)は外枠の外枠側上ヒンジ部材に対して本体枠の本体枠側上ヒンジ部材が取外されている状態を拡大して示す斜視図であり、(b)は外側上ヒンジ部材に本体側上ヒンジ部材が取付けられている状態を拡大して示す斜視図である。図18は、外枠におけるロック部材の作用を示す説明図である。
外枠2におけるロック部材66は、外枠側上ヒンジ部材60の前方延出部62に取付けた状態(通常の状態)では、弾性部66cの先端が垂下部65の内周面と当接しており、ロック本体66aが「く」の字状に屈曲した軸受溝63の一部を閉塞するとともに、ロック本体66aの先端部分が、軸受溝63の最深部分を閉塞した状態とはならず、軸受溝63の最深部分に本体枠4の本体枠側上ヒンジ部材620の本体枠上ヒンジピン622を挿入可能な空間が形成された状態となっている。
本実施形態における外枠側上ヒンジ部材60とロック部材66とを用いた本体枠上ヒンジピン622の支持機構は、本体枠上ヒンジピン622が軸受溝63の最深部分に挿入されてロック本体66aの前端の右側面が、右側の垂下部65と接近している状態(この状態ではロック本体66aの前端の右側面と右側の垂下部65との間に僅かな隙間があり当接した状態となっていない)である通常の軸支状態においては、屈曲している軸受溝63の最深部分に位置する本体枠上ヒンジピン622とロック本体66aの前端面との夫々の中心が斜め方向にずれて対向した状態となっている。
この通常の軸支状態においては、重量のある本体枠4を軸支している本体枠上ヒンジピン622が軸受溝63の前端部分に当接した状態となっているので、本体枠上ヒンジピン622からロック本体66aの前端面への負荷がほとんどかかっていない。つまり、ロック部材66の弾性部66cに対し負荷がかかっていない状態となっている。なお、ロック本体66aの前端面が円弧状に形成されているため、ロック部材66を回動させるために操作部66bを回転操作した時に、ロック部材66がスムーズに回動する。図示では、ロック本体66aの前端面の円弧中心が、取付孔66dの中心(ロック部材66の回転中心)とされている。
従って、本体枠上ヒンジピン622がく字状に形成された軸受溝63の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって、ロック本体66aの円弧状の前端面に当接したとき、その作用力Fを、本体枠上ヒンジピン622と円弧状の前端面との当接部分に作用する分力F1(ロック本体66aの前端面の円弧の法線方向)と、本体枠上ヒンジピン622と軸受溝63の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けたときに、分力F1の方向が取付孔66d(取付ビス67)の中心(ロック部材66の回転中心)を向くため、ロック部材66のロック本体66aの前端が、右側の垂下部65から離れる方向に回転させるモーメントが働かず、本体枠上ヒンジピン622がロック部材66のロック本体66aの前端部と軸受溝63の一側内面との間に挟持された状態が保持される。
このため、通常の軸支状態、或は、本体枠上ヒンジピン622の作用力がロック部材66にかかった状態でも、ロック部材66の弾性部66cに常時負荷がかからず、合成樹脂で一体形成される弾性部66cのクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って本体枠上ヒンジピン622の軸受溝63からの脱落を防止することができる。なお、仮に無理な力がかかってロック部材66のロック本体66aの前端部が右方へ移動する方向へ回転させられても、ロック本体66aの前端右側面が垂下部65に当接してそれ以上回転しないので、ロック部材66が前方延出部62の外側にはみ出ないようになっている。
なお、ロック本体66aの前端面の形状は円弧状でなくても、上記した分力F1の作用により回転モーメントが生じない位置又はロック部材66をその前端部が前方延出部62の外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材66の回転中心(取付ビス67により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材66の弾性部66cに対しても負荷がかかることはないし、ロック部材66が回転してもロック本体66aの前端の右側面が垂下部65に当接するだけであるため、ロック部材66が前方延出部62の外側にはみ出ることもない。
外枠側上ヒンジ部材60の軸受溝63に、本体枠側上ヒンジ部材620の本体枠上ヒンジピン622を支持させる場合は、軸受溝63の開放されている側から軸受溝63内に本体枠上ヒンジピン622を挿入する。軸受溝63内に本体枠上ヒンジピン622を挿入すると、ロック部材66のロック本体66aの右側面に本体枠上ヒンジピン622が当接し、弾性部66cの付勢力に抗してロック本体66aの前端が左方へ移動するようにロック部材66が取付ビス67を中心に回動する。これにより、軸受溝63を閉鎖していたロック本体66aが後退して軸受溝63が開放され、軸受溝63の最深部(前端)へ本体枠上ヒンジピン622を移動させることができるようになる。
軸受溝63の最深部に本体枠上ヒンジピン622を移動させると、本体枠上ヒンジピン622とロック部材66のロック本体66aとの当接が解除され、弾性部66cの付勢力によってロック本体66aの前端が右方へ移動するようにロック部材66が回動し、ロック部材66が通常の状態に復帰する。これにより、本体枠上ヒンジピン622が、軸受溝63内におけるロック本体66aの前端よりも前側の空間に収容された状態となり、本体枠上ヒンジピン622が、軸受溝63の最深部において回動可能な状態で保持(ロック)された状態となる。
軸受溝63内から本体枠上ヒンジピン622を取外す場合は、ロック部材66の操作部66bを操作して、ロック本体66aの前端が左方へ移動するようにロック部材66を回動させ、弾性部66cの付勢力に抗して軸受溝63からロック本体66aを後退させる。これにより、軸受溝63の最深部と開口部とが連通した状態となり、軸受溝63から本体枠上ヒンジピン622を取外すことができる。
[2−10.外枠側下ヒンジ部材の部位における防犯機構と球噛み防止機構]
本実施形態のパチンコ機1における外枠2の外枠側下ヒンジ部材70の部位における防犯機構と外枠2と本体枠4との間に遊技球が挟まれるのを防止するための球噛み防止機構について説明する。
外枠2は、組立てた状態では、幕板部材50の上面における正面視左端部に外枠側下ヒンジ部材70が取付けられている。外枠側下ヒンジ部材70の水平部71は、幕板部材50の上面の左端付近と後方延出部51の上面とに載置された状態で取付けられている。この幕板部材50には、上面の後端から上方へ立上っている立壁部54を備えている。これにより、外枠側下ヒンジ部材70と本体枠側下ヒンジ部材640との間の隙間を通して、本体枠4(パチンコ機1)の後側へピアノ線等の不正な工具を侵入させようとしても、不正な工具の先端が幕板部材50の上面の後端から上方へ延出している立壁部54に当接するため、不正な工具がこれ以上後側へ挿入されるのを阻止することができ、外枠側下ヒンジ部材70の部位を介して不正行為が行われるのを防止することができる。
立壁部54の上端に、前方へ延出している返し部55を備えているため、立壁部54に当接した不正な工具が上方へ曲がった場合、返し部55によって不正な工具の先端を更に前方へ折返させることができるため、本体枠4の後側に不正な工具が侵入させられるのを阻止することができ、外枠側下ヒンジ部材70の部位を介して不正行為が行われるのを確実に阻止することができる。
ところで、幕板部材50の上面の後端に上方へ延出している立壁部54を備えるようにした場合、外枠2に対して本体枠4を開いている状態で、遊技球が外枠側下ヒンジ部材70(水平部71)上に落下した場合、水平部71上の遊技球が、立壁部54の存在によって水平部71の後端から後方へ排出されないため、外枠2と本体枠4との間に挟まれてしまう虞がある。これに対して、本実施形態では、外枠側下ヒンジ部材70の水平部71と、幕板部材50の後方延出部51とに、遊技球が通過可能な排出孔74、左排出孔52、及び右排出孔53を備えているため、外枠側下ヒンジ部材70の水平部71上の遊技球を、排出孔74等から下方へ排出することができ、外枠2と本体枠4との間に遊技球が挟まれるのを低減させることができる。
従って、外枠2と本体枠4との間に遊技球が挟まれることで、外枠側下ヒンジ部材70の周りが破損したり、本体枠4が正常な状態で閉まらずに外枠2と本体枠4との間に隙間ができてしまい、その隙間を使って不正行為が行われてしまったりするのを防止することができる。
[3.扉枠の全体構成]
パチンコ機1の扉枠3について、図19乃至図30を参照して説明する。図19はパチンコ機における扉枠の正面図であり、図20は扉枠の右側面図であり、図21は扉枠の左側面図であり、図22は扉枠の背面図である。図23は扉枠を右前から見た斜視図であり、図24は扉枠を左前から見た斜視図であり、図25は扉枠を後ろから見た斜視図である。図26は図19におけるA−A線で切断した断面図であり、図27は図19におけるB−B線で切断した断面図であり、図28は図19におけるC−C線で切断した断面図である。図29は扉枠を主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図30は扉枠を主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。
扉枠3は、図29及び図30等に示すように、正面視の外形が上下に延びた四角形で枠状の扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面右下隅に取付けられているハンドルユニット300と、扉枠ベースユニット100の前面下部に取付けられている皿ユニット320と、皿ユニット320の中央に取付けられている演出装飾回転体ユニット530と、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100の前面左部に取付けられている扉枠左サイドユニット540と、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100の前面右部に取付けられている扉枠右サイドユニット550と、扉枠左サイドユニット540及び扉枠右サイドユニット550の上側で扉枠ベースユニット100の前面上部に取付けられている扉枠トップユニット570と、を備えている。
扉枠3の扉枠ベースユニット100は、詳細は後述するが、正面視の外形が上下に延びた長方形(四角形)で前後に貫通している貫通口111を有した板状の扉枠ベース110と、扉枠ベース110の後側に取付けられている枠状の補強ユニット130と、補強ユニット130の正面視左端側の上下両端に取付けられており本体枠4に対してヒンジ回転可能に取付けられる扉枠側上ヒンジ部材140及び扉枠側下ヒンジ部材150と、扉枠ベース110の後面に取付けられ貫通口111を閉鎖するガラスユニット190と、ガラスユニット190の後面下部を覆う防犯カバー200と、扉枠ベース110の後面に扉枠ベース110を貫通して前方に突出するように取付けられ開閉可能とされている扉枠3と本体枠4、及び本体枠4と外枠2との間を施錠するための開閉シリンダユニット210と、扉枠ベース110の後面下部に取付けられ遊技球を球発射装置680に送るための球送りユニット250と、扉枠ベース110の後面下部に取付けられ球発射装置680により発射されて遊技領域5a内に到達しなかった遊技球を受けて下皿322へ排出させるファールカバーユニット270と、を備えている。
扉枠3のハンドルユニット300は、詳細は後述するが、回転可能なハンドル302を遊技者が回転操作することで、上皿321内に貯留されている遊技球を、ハンドル302の回転角度に応じた強さで遊技盤5の遊技領域5a内に打込むことができるものである。
扉枠3の皿ユニット320は、詳細は後述するが、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース110の前面において貫通口111の下側の部位に取付けられ、前面が前方へ膨出しているとともに、左右方向中央の前端に演出装飾回転体ユニット530が取付けられる。皿ユニット320は、遊技領域5a内に打込むための遊技球を貯留する上皿321と、上皿321の下側に配置されており上皿321やファールカバーユニット270から供給される遊技球を貯留可能な下皿322と、上皿321に貯留されている遊技球を下皿322へ抜くための上皿球抜きボタン327と、球貸機に投入した現金やプリペイドカードの残金の範囲内で遊技者に遊技球を貸し出すための球貸ボタン328と、球貸機から貸出された遊技球の分を差し引いた現金やプリペイドカードを返却させるための返却ボタン329と、球貸機に投入した現金やプリペイドカードの残数等を表示する球貸返却表示部330と、演出提示時に遊技者の操作が受付可能とされている演出選択左ボタン331及び演出選択右ボタン332と、下皿322内の遊技球を皿ユニット320の下方へ排出するための下皿球抜きボタン333と、を備えている。
扉枠3の演出装飾回転体ユニット530は、皿ユニット320の正面視左右方向中央の前部に取付けられるものであり、遊技者が押圧操作することができるとともに、遊技者に対して演出画像を提示することができるものである。この演出装飾回転体ユニット530は、詳細は後述するが、遊技者が操作可能な大型の操作ボタン410と、操作ボタン410内に遊技者側から視認可能に配置され演出画像を表示可能な扉枠側演出表示装置460と、を備えている。
扉枠3の扉枠左サイドユニット540は、詳細な内容は後述するが、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも左側の前面左部に取付けられ、貫通口111(遊技領域5a)の左外側を装飾するものである。扉枠左サイドユニット540は、発光装飾可能な左ユニット装飾レンズ部材(図示は省略)を備えている。
扉枠3の扉枠右サイドユニット550は、詳細な内容は後述するが、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも右側の前面右部に取付けられ、貫通口111(遊技領域5a)の右外側を装飾するものである。この扉枠右サイドユニット550は、扉枠左サイドユニット540よりも前方へ大きく突出しており、左右両面側に備えられている右ユニット左装飾部材554及び右ユニット右装飾部材557と、前端に備えられている右ユニット装飾レンズ部材561と、を備えている。扉枠右サイドユニット550は、右ユニット左装飾部材554、右ユニット右装飾部材557、及び右ユニット装飾レンズ部材561を発光装飾させることができる。
扉枠3の扉枠トップユニット570は、扉枠左サイドユニット540及び扉枠右サイドユニット550の上側で扉枠ベースユニット100の扉枠ベース110の前面における貫通口111の上側に取付けられ、扉枠3の上部を装飾するものである。扉枠トップユニット570は、詳細な内容は後述するが、左右に設けられた一対の上部スピーカ573(上部左スピーカ573L及び上部右スピーカ573R)と、前面中央で前方へ突出しているトップ中装飾部材576と、トップ中装飾部材576の左右両側を装飾しているトップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580と、を備えている。扉枠トップユニット570は、トップ中装飾部材576、トップ左装飾レンズ部材579、及びトップ右装飾レンズ部材580を発光装飾させることができる。
[3−1.扉枠ベースユニットの全体構成]
扉枠3の扉枠ベースユニット100について、図31乃至図33を参照して詳細に説明する。図31(a)は扉枠における扉枠ベースユニットを前から見た斜視図であり、(b)は扉枠ベースユニットを後ろから見た斜視図である。図32は扉枠ベースユニットを主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図33は扉枠ベースユニットを主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。
扉枠ベースユニット100は、正面視左辺側が本体枠4の前面を閉鎖するように本体枠4に対して開閉可能(ヒンジ回転可能)に取付けられるものである。扉枠ベースユニット100は、前面下隅にハンドルユニット300が、貫通口111の下側前面に演出装飾回転体ユニット530が取付けられる皿ユニット320が、貫通口111の左外側前面に扉枠左サイドユニット540が、貫通口111の右外側前面に扉枠右サイドユニット550が、貫通口111の上外側前面に扉枠トップユニット570が、夫々取付けられるものである。
扉枠ベースユニット100は、図32及び図33に等に示すように、正面視の外形が上下に延びた長方形で前後に貫通している貫通口111を有した板状の扉枠ベース110と、扉枠ベース110の後側に取付けられている枠状の補強ユニット130と、補強ユニット130の正面視左端側の上下両端に取付けられており扉枠ベース110から前方へ突出して本体枠4の本体枠側上ヒンジ部材620及び本体枠側下ヒンジ部材640に回転可能に取付けられる扉枠側上ヒンジ部材140及び扉枠側下ヒンジ部材150と、扉枠ベース110の前面で貫通口111の正面視左側に取付けられており前面に複数のLEDが実装されている扉枠左サイド装飾基板160と、扉枠ベース110の後側に回動可能に取付けられておりガラスユニット190を着脱可能に取付けるためのガラスユニット取付部材170と、を備えている。
扉枠ベースユニット100は、扉枠ベース110の前面で正面視右下隅に取付けられておりハンドルユニット300を取付けるための筒状のハンドル取付部材180と、扉枠ベース110の後面に取付けられ貫通口111を閉鎖するガラスユニット190と、ガラスユニット190の後面下部を覆う防犯カバー200と、扉枠ベース110の後面に扉枠ベース110を貫通して前方に突出するように取付けられる開閉シリンダユニット210と、扉枠ベース110の後面下部に取付けられる球送りユニット250と、扉枠ベース110の後面下部に取付けられるファールカバーユニット270と、を備えている。
更に、扉枠ベースユニット100は、図示は省略するが、扉枠3に備えられている各種の装飾基板、球送ソレノイド255、ハンドル回転検知センサ307、ハンドルタッチセンサ310、単発ボタン操作センサ312、球貸ボタン328、返却ボタン329、球貸返却表示部330、演出選択左ボタン331、演出選択右ボタン332、振動モータ424(熱源)、押圧検知センサ440、扉枠側演出表示装置460(液晶表示装置461)、一対の上部スピーカ573等と、本体枠4における基板ユニット900の扉枠用中継基板911との接続を中継するための扉本体中継基板を備えている。
[3−1a.扉枠ベース]
扉枠3における扉枠ベースユニット100の扉枠ベース110について、主に図31乃至図33を参照して詳細に説明する。扉枠ベース110は、正面視の外形が上下に延びた四角形(長方形)に形成されている。扉枠ベース110は、前後に貫通しており、正面視における内周形状が上下に延びた略四角形に形成された貫通口111を備えている。貫通口111は、内周を形成している上辺及び左右両辺が、扉枠ベース110の外周辺に夫々接近しており、内周を形成している下辺が、扉枠ベース110の下端から上下方向の約1/3の高さに位置している。したがって、扉枠ベース110は、前後に貫通している貫通口111により全体が枠状に形成されている。この扉枠ベース110は、合成樹脂により一体成形されている。
扉枠ベース110は、前面における正面視右下隅に形成されており左端側が右端側よりも前方へやや突出するように傾斜しているハンドル取付座面112と、ハンドル取付座面112と貫通口111との間で正面視右端付近に後面から前方へ向かって窪み、開閉シリンダユニット210のシリンダ取付板金213が取付けられるシリンダ取付部113と、シリンダ取付部113において前後に貫通しており開閉シリンダユニット210のシリンダ錠211が挿通されるシリンダ挿通孔114と、シリンダ挿通孔114及びハンドル取付座面112の正面視左側で前後に貫通しており球送りユニット250の進入口251a及び球抜口251bを前方に臨ませるための球送り開口115と、を備えている。
扉枠ベース110は、扉枠ベース110の左右方向中央より左寄りで且つハンドル取付座面112と略同じ高さで前後に貫通しておりファールカバーユニット270の球放出口276を前方に臨ませる下皿用通過口116と、扉枠ベース110の正面視左端付近で貫通口111の下辺に隣接するように前後に貫通しておりファールカバーユニット270の貫通球通路273を前方に臨ませる上皿用通過口117と、貫通口111の内周に沿って後面から前方へ向かって窪み、ガラスユニット190のガラス枠191が挿入されるガラスユニット取付部118と、扉枠ベース110の左右両上隅において前後に貫通しており扉枠トップユニット570の上部スピーカ573の後端が挿通されるスピーカ挿通口119と、を備えている。
[3−1b.補強ユニット]
扉枠ベースユニット100の補強ユニット130について、図31及び図33等を参照して詳細に説明する。補強ユニット130は、扉枠ベース110の後側に取付けられることで扉枠ベース110を補強して、扉枠ベース110(扉枠3)の強度剛性を高めている。補強ユニット130は、扉枠ベース110の後面における上辺に沿って取付けられる左右に延びた上補強板金131と、扉枠ベース110の後面における貫通口111の下側に取付けられる左右に延びた中補強板金132と、扉枠ベース110の後面における正面視左辺に沿って取付けられる上下に延びた左補強板金133と、扉枠ベース110の後面における正面視右辺に沿って取付けられる上下に延びた右補強板金134と、右補強板金134の後面に取付けられており施錠ユニット700の扉枠用鉤702が係止される施錠係止部135と、を備えている。
補強ユニット130は、上補強板金131の左右両端が左補強板金133及び右補強板金134の夫々の上端にビスによって連結固定されており、中補強板金132の左端が左補強板金133にビスによって連結固定されている。中補強板金132の右端は、後述する開閉シリンダユニット210のシリンダ取付板金213を介して右補強板金134に連結固定されている。したがって、補強ユニット130は、上補強板金131、中補強板金132、左補強板金133、及び右補強板金134等によって、枠状に形成されている。
補強ユニット130の上補強板金131、中補強板金132、左補強板金133、右補強板金134、及び施錠係止部135は、夫々金属板を適宜屈曲させて形成されている。中補強板金132は、扉枠ベース110の上皿用通過口117と対応する位置に、前後に貫通した切欠部132aが形成されている。
補強ユニット130は、詳細な図示は省略するが、各上補強板金131、中補強板金132、左補強板金133、及び右補強板金134において、夫々前後方向に屈曲された部位を有しており、その部位によって、強度剛性が高められているとともに、外部からのピアノ線やマイナスドライバー等の不正な工具の侵入を防止している。
[3−1c.扉枠側上ヒンジ部材]
扉枠ベースユニット100の扉枠側上ヒンジ部材140について、主に図31乃至図33等を参照して詳細に説明する。扉枠側上ヒンジ部材140は、扉枠ベース110に取付けられ上下に離間している一対の突出片141aを有した扉枠上ヒンジ軸ブラケット141と、扉枠上ヒンジ軸ブラケット141の一対の突出片141aを貫通しており、上端が本体枠側上ヒンジ部材620の扉枠用上ヒンジ孔623に挿入される円柱状の扉枠上ヒンジピン142と、扉枠上ヒンジピン142における一対の突出片141aの間の位置に取付けられている円盤状の鍔部材143と、鍔部材143と一対の突出片141aのうちの下側の突出片141aとの間に介装されているとともに扉枠上ヒンジピン142が挿通されており、扉枠上ヒンジピン142を上方へ付勢しているロックバネ144と、を備えている。
扉枠上ヒンジ軸ブラケット141は、図示は省略するが一対の突出片141aの後端同士を連結している平板状の取付片を有しており、側面視の形状が前方へ開放されたコ字状に形成されている。扉枠上ヒンジ軸ブラケット141は、一対の突出片141a同士を連結している取付片が、ビスによって扉枠ベース110の後面に取付けられている。
扉枠上ヒンジピン142は、上側の突出片141aよりも上方に突出している部位(上端)が、本体枠側上ヒンジ部材620の扉枠用上ヒンジ孔623に対して回転可能に挿入される。扉枠上ヒンジピン142は、図示は省略するが、下側の突出片141aよりも下方に突出している部位が水平方向に屈曲している。この屈曲している部位が下側の突出片141aの下面に当接することで、扉枠上ヒンジピン142の上方への移動を規制している。
鍔部材143は、Eリングとされており、扉枠上ヒンジピン142の外周に形成されている溝内に挿入保持されている。ロックバネ144は、扉枠上ヒンジピン142を挿通可能なコイルスプリングとされており、上端が鍔部材143に当接しているとともに、下端が下側の突出片141aに当接している。このロックバネ144は、鍔部材143と下側の突出片141aとの間に、圧縮された状態で介装されており、鍔部材143を介して扉枠上ヒンジピン142を上方へ付勢している。
扉枠側上ヒンジ部材140は、扉枠上ヒンジピン142がロックバネ144により上方へ付勢された状態となっており、扉枠上ヒンジピン142における下端の水平に屈曲している部位が下側の突出片141aの下面に当接することで、これ以上の上方への移動が規制されている。この状態では、扉枠上ヒンジピン142の上端が、上側の突出片141aの上面よりも所定量上方に突出している。
扉枠側上ヒンジ部材140は、扉枠上ヒンジピン142における下端の水平に屈曲している部位を作業者が持って、ロックバネ144の付勢力に抗してその部位を下方へ引っ張ると、扉枠上ヒンジピン142を全体的に下方へ移動させることができ、扉枠上ヒンジピン142の上端を、上側の突出片141aの上面よりも下方へ没入させることができる。したがって、扉枠側上ヒンジ部材140は、扉枠上ヒンジピン142の上端を、本体枠側上ヒンジ部材620の扉枠用上ヒンジ孔623に対して下方から挿入させたり、下方へ抜いたりすることができる。これにより、扉枠側上ヒンジ部材140の扉枠上ヒンジピン142の上端を、本体枠側上ヒンジ部材620の扉枠用上ヒンジ孔623に挿入させることで、扉枠3の正面視上部左端を、本体枠4に対してヒンジ回転可能に支持させることができる。
扉枠側上ヒンジ部材140は、扉枠上ヒンジピン142における扉枠上ヒンジ軸ブラケット141の一対の突出片141aにより支持されている部位が、後述する扉枠側下ヒンジ部材150の扉枠下ヒンジピン152と同軸上に支持されている。これにより、扉枠側上ヒンジ部材140と扉枠側下ヒンジ部材150とによって、扉枠3を本体枠4に対して良好な状態でヒンジ回転させることができる。
[3−1d.扉枠側下ヒンジ部材]
扉枠ベースユニット100の扉枠側下ヒンジ部材150について、主に図31及び図32等を参照して詳細に説明する。扉枠側下ヒンジ部材150は、扉枠ベース110に取付けられ前方に延出している平板状の延出片151aを有している扉枠下ヒンジ軸ブラケット151と、扉枠下ヒンジ軸ブラケットにおける延出片151aの前端部付近から下方に突出している円柱状の扉枠下ヒンジピン152(図21及び図22を参照)と、を備えている。
扉枠下ヒンジ軸ブラケット151は、水平に延びた平板状の延出片151aの後端から上方に延出した平板状の取付片(図示は省略)を有しており、側面視の全体形状が略L字状に形成されている。この扉枠下ヒンジ軸ブラケット151は、図示しない取付片がビスによって扉枠ベース110の後面に取付けられている。
扉枠下ヒンジピン152は、下端部が、下方へ向かうほど窄まる円錐台状に形成されている。この扉枠下ヒンジピン152は、後述する本体枠4における本体枠側下ヒンジ部材640の扉枠用ヒンジ孔644に、上方から回転可能に挿入される。扉枠下ヒンジピン152は、扉枠側上ヒンジ部材140の扉枠上ヒンジピン142と同軸上に配置されている。
この扉枠側下ヒンジ部材150は、扉枠下ヒンジピン152が本体枠側下ヒンジ部材640の扉枠用ヒンジ孔644に挿入されることで、扉枠3を本体枠4に対してヒンジ回転可能に支持することができる。
[3−1e.扉枠左サイド装飾基板]
扉枠ベースユニット100の扉枠左サイド装飾基板160について、主に図31及び図32等を参照して詳細に説明する。扉枠左サイド装飾基板160は、扉枠ベース110の前面において、貫通口111の正面視左側に取付けられている。扉枠左サイド装飾基板160は、扉枠ベース110における正面視左側のスピーカ挿通口119よりも下側の位置の高さから貫通口111の上下方向の中央付近の高さまで上下に延びている扉枠左サイド上装飾基板161と、扉枠左サイド上装飾基板161の下側の位置の高さから上皿用通過口117の下端と略同じ高さまで上下に延びている扉枠左サイド下装飾基板162と、を備えている。
扉枠左サイド装飾基板160の扉枠左サイド上装飾基板161及び扉枠左サイド下装飾基板162は、夫々前面に、前方へ光を照射可能な複数のLED161a,162aを備えている。これらLED161a,162aは、フルカラーLEDとされている。
扉枠左サイド装飾基板160は、扉枠3を組立てた状態で、後述する扉枠左サイドユニット540の後方に位置しており、前面に備えられた(実装された)複数のLED161a,162aを適宜発光させることで、扉枠左サイドユニット540の左ユニット装飾レンズ部材を発光装飾させることができる。
[3−1f.ガラスユニット取付部材]
扉枠ベースユニット100のガラスユニット取付部材170について、主に図31(b)等を参照して詳細に説明する。ガラスユニット取付部材170は、扉枠ベース110の後側に回動可能に取付けられておりガラスユニット190を着脱可能に取付けるためのものである。ガラスユニット取付部材170は、扉枠ベース110の後側で前後に延びた軸線周りに対して回転可能に取付けられる円盤状の基部171と、基部171から回転軸線に対して直角方向へ棒状に突出している突出部172と、を有している。
ガラスユニット取付部材170は、扉枠ベース110の後面における一対のスピーカ挿通口119の下側で、ガラスユニット取付部118よりも外側の部位に、夫々回転可能に取付けられている。
ガラスユニット取付部材170は、突出部172が基部171から上方へ突出するように回転させた状態とすることで、背面視において扉枠ベース110のガラスユニット取付部118よりも突出部172が外側に位置した状態となり、扉枠ベース110のガラスユニット取付部118に対してガラスユニット190を挿入したり、ガラスユニット取付部118からガラスユニット190を取外したりすることができる。
ガラスユニット取付部材170は、ガラスユニット190を扉枠ベース110のガラスユニット取付部118に挿入させた状態で、突出部172が基部171から下方へ突出するように回転させると、突出部172がガラスユニット190の取付片191aの後側と当接し、ガラスユニット190上部の後方への移動を規制した状態となり、ガラスユニット190を扉枠ベース110に取付けることができる。
ガラスユニット取付部材170は、扉枠ベース110に回転可能に取付けられる円盤状の基部171から突出部172が突出しているため、ガラスユニット取付部材170の重心位置が突出部172内に位置している。このことから、ガラスユニット取付部材170が自由に回転できる状態では、突出部172が基部171から下方へ突出した状態で安定することとなる。ガラスユニット取付部材170では、突出部172が基部171から下方へ突出している回転位置の時に、突出部172によりガラスユニット190の後方への移動を規制させるようにしているため、ガラスユニット取付部材170に振動等が作用しても、突出部172が基部171から上方へ突出するように全体が回転することはなく、ガラスユニット190の後方への移動の規制が自然に解除されることはない。
なお、扉枠ベース110からガラスユニット190を取外す場合は、ガラスユニット取付部材170を、突出部172が基部171から上方へ突出するように回転させて、突出部172をガラスユニット190の取付片191aよりも外側へ移動させることで、ガラスユニット190の上部側を後方へ移動させることができるようになり、扉枠ベース110からガラスユニット190を取外すことができる。
[3−1g.ハンドル取付部材]
扉枠ベースユニット100のハンドル取付部材180について、主に図31乃至図33等を参照して詳細に説明する。ハンドル取付部材180は、扉枠ベース110の前面にハンドルユニット300を取付けるためのものである。ハンドル取付部材180は、図32及び図33等に示すように、前後方向へ延びた円筒状の筒部181と、筒部181の後端から筒部181の軸に対して直角方向外方へ延びた円環状のフランジ部182と、筒部181内に突出しているとともに筒部181の軸方向全長に亘って延びており筒部181の周方向に対して不等間隔に配置された複数(本例では三つ)の突条183と、筒部181の外周面とフランジ部182の前面とを繋ぎ、筒部181の周方向に対して複数配置された補強リブ184と、を備えている。
ハンドル取付部材180は、フランジ部182の後面を、扉枠ベース110におけるハンドル取付座面112の前面に当接させた状態で、ビスによってハンドル取付座面112に取付けられる。
筒部181は、内径がハンドルユニット300におけるハンドルベース301の基部301aの外径よりも若干大きく形成されている。三つの突条183は、一つが筒部181内の上側に備えられており、残り二つが筒部181内の下側に備えられている。これら三つの突条183は、ハンドルベース301における三つの溝部301cと対応する位置に形成されている。したがって、ハンドル取付部材180は、三つの突条183と、ハンドルベース301の三つの溝部301cとを一致させた状態でのみ、筒部181内にハンドルベース301の基部301aを挿入させることができ、扉枠ベース110に対してハンドルベース301(ハンドルユニット300)の回転位置を規制することができる。
なお、ハンドル取付部材180は、フランジ部182の後面に対して、筒部181の軸線が垂直に延びていることから、扉枠ベース110の傾斜したハンドル取付座面112に取付けることで、筒部181の軸線が右前方へ延びるように傾いた状態となり、ハンドルユニット300を同様に傾いた状態で扉枠ベース110に取付けることができる。
[3−1h.ガラスユニット]
扉枠ベースユニット100のガラスユニット190について、主に図31乃至図33等を参照して詳細に説明する。ガラスユニット190は、扉枠ベース110の貫通口111を、前方から後方が視認できるように閉鎖するものである。ガラスユニット190は、扉枠ベース110の貫通口111の内周形状よりも大きくガラスユニット取付部118に取付可能な枠状のガラス枠191と、ガラス枠191の枠内を閉鎖し外周がガラス枠191に取付けられている透明な二つのガラス板192と、を備えている。二つのガラス板192は、ガラス枠191の前端側と後端側とに夫々取付けられており、互いの間に空間が形成されるように前後に離間している(図26等を参照)。
ガラス枠191は、正面視左右上隅よりも下側の位置から外方へ平板状に延出している一対の取付片191aと、下端から下方へ突出しているとともに下辺に沿って延びている帯板状の係止片191bと、を有している。ガラス枠191の取付片191aは、ガラスユニット取付部材170の突出部172と当接可能とされている。係止片191bは、扉枠ベース110と補強ユニット130の中補強板金132との間の空間内に挿入可能とされている(図26を参照)。
このガラスユニット190は、扉枠ベース110の後側から、ガラス枠191の係止片191bを、扉枠ベース110と補強ユニット130の中補強板金132との間の隙間に上方から挿入した上で、ガラス枠191の前端を扉枠ベース110のガラスユニット取付部118の後面に当接させ、ガラスユニット取付部材170を回転させてガラスユニット取付部材170の突出部172をガラス枠191の取付片191aの後面と当接させることで、扉枠ベース110に取付けられる。
ガラスユニット190を扉枠ベース110から取外す場合は、上記と逆の手順により、取外すことができる。これにより、ガラスユニット190は、扉枠ベース110に対して着脱可能となっている。
[3−1i.防犯カバー]
扉枠ベースユニット100の防犯カバー200について、主に図31乃至図33等を参照して詳細に説明する。防犯カバー200は、ガラスユニット190の後面下部を覆うように扉枠ベース110の後側に取付けられ、透明な合成樹脂により形成されている。防犯カバー200は、外周が所定形状に形成された平板状の本体部201と、本体部201の外周縁に沿って後方へ短く突出した平板状の後方突片202と、左右に離間して配置され本体部201よりも前方に突出し、扉枠ベース110の後側に係止可能とされている一対の係止片203と、を備えている。
防犯カバー200の本体部201は、扉枠ベース110に取付けた状態で下端がガラスユニット190の下端よりも下方へ突出するように形成されている。本体部201は、上端が、パチンコ機1に組立てた状態で、遊技盤5における遊技領域5aの下端に沿った形状に形成されている。詳述すると、本体部201の上端は、後述する前構成部材1000の内レール1002の一部、アウト誘導部1003、右下レール1004の一部、及び右レール1005に沿った形状に形成されており、パチンコ機1に組立てた状態で遊技領域5a内に突出しないように形成されている。
後方突片202は、本体部201の外周縁の略全周に亘って形成されている。したがって、防犯カバー200は、本体部201と後方突片202とによって、後方へ開放された浅い箱状に形成されており、強度・剛性が高くなっている。後方突片202は、図33に示すように、本体部201の外周縁とは異なる本体部201の後面の一部からも後方に突出している。この本体部201の後面の一部から後方に突出している後方突片202は、パチンコ機1に組立てた状態で遊技盤5の前構成部材1000における外レール1001の一部と沿うように形成されている。
なお、後方突片202は、パチンコ機1に組立てた状態で、遊技盤5における外レール1001と内レール1002との間に位置する部位には形成されていない。これにより、外レール1001と内レール1002との間を通る遊技球(球発射装置680により発射された遊技球)が、防犯カバー200の後方突片202に当接することはなく、遊技領域5a内への遊技球の打込みを阻害することはない。
一対の係止片203は、扉枠ベース110の後側に弾性係止される。これにより、防犯カバー200は、扉枠ベース110に対して容易に着脱することができる。
防犯カバー200は、パチンコ機1に組立てた状態で、本体部201の前面がガラスユニット190の後面(ガラス枠191の後端)と当接し、本体部201の下辺から後方へ突出している部位を除いた後方突片202が、後述する前構成部材1000の防犯凹部1008内に挿入された状態となる。防犯カバー200は、本体部201の下辺から後方に突出している後方突片202が、前構成部材1000の下面と接するように前構成部材1000の前面よりも後方へ突出している状態となる。これにより、防犯カバー200と遊技盤5(前構成部材1000)との間が、防犯カバー200の後方突片202と前構成部材1000の防犯凹部1008とによって複雑に屈曲した状態となるため、遊技盤5の前面下方より防犯カバー200と前構成部材1000との間を通してピアノ線等の不正な工具を遊技領域5a内に侵入させようとしても、後方突片202や防犯凹部1008に阻まれることとなり、遊技領域5a内への不正な工具の侵入を阻止することができる。
[3−1j.開閉シリンダユニット]
扉枠ベースユニット100の開閉シリンダユニット210について、主に図31乃至図33等を参照して説明する。開閉シリンダユニット210は、正面視において扉枠ベース110の右端付近で貫通口111とハンドル取付座面112との間の位置のシリンダ取付部113に後側から取付けられ、後述する施錠ユニット700と協働して、扉枠3と本体枠4との開閉、及び、外枠2と本体枠4との開閉に使用されるものである。
開閉シリンダユニット210は、前面に鍵穴211aを有し前後に延びた円筒状のシリンダ錠211と、シリンダ錠211の後端に取付けられており鍵穴211aに挿入された鍵の回転操作を施錠ユニット700の鍵シリンダ710に伝達させる回転伝達部材212と、シリンダ錠211を扉枠ベース110(補強ユニット130)に取付けるシリンダ取付板金213と、を備えている。
シリンダ錠211は、対応する鍵(図示は省略)を鍵穴211aに差し込むことで、鍵を回転させることができるものであり、対応する鍵であれば、正面視において時計回り及び反時計回りの何れの方向へも所定角度回転させることができる。
回転伝達部材212は、後方が開放された円筒状(詳しくは、後方へ向かうに従って直径が大きくなる円錐筒状)に形成されており、中心軸を挟んで対向した位置に後端から前方へ向かって切欠かれた一対の切欠部212aを有している。この回転伝達部材212は、本体枠4における施錠ユニット700の鍵シリンダ710が後方から挿入されるように形成されており、施錠ユニット700の鍵シリンダ710の突起が一対の切欠部212a内に挿入されることで、回転伝達部材212(シリンダ錠211の鍵穴211aに挿入された鍵)の回転を、施錠ユニット700の鍵シリンダ710に伝達させて鍵シリンダ710を回転させることができる。
シリンダ取付板金213は、一枚の金属板を屈曲させて形成されており、平面視の形状が前方へ突出している凸形状に形成されている。詳述すると、シリンダ取付板金213は、正面視において上下に延びた長方形で平板状の前板部213aと、前板部213aの左右両辺から後方へ平板状に延出している一対の側板部213bと、一対の側板部213bの夫々の後辺から互いに遠ざかる方向へ平板状に延出している一対の取付板部213cと、を備えている。シリンダ取付板金213の前板部213aは、上下方向略中央の位置で後方からシリンダ錠211が貫通し、前板部213aの後面にシリンダ錠211の後端が取付けられる。シリンダ取付板金213の一対の取付板部213cは、正面視左側の取付板部213cが補強ユニット130の中補強板金132の右端部に取付けられ、正面視右側の取付板部213cが補強ユニット130の右補強板金134に取付けられる。これにより、シリンダ取付板金213によって、補強ユニット130の中補強板金132と右補強板金134とが連結される。
開閉シリンダユニット210は、扉枠ベースユニット100に組立てた状態では、シリンダ取付板金213の前板部213aから前方に突出しているシリンダ錠211の前端が、扉枠ベース110の後側からシリンダ挿通孔114に挿通されて扉枠ベース110の前方へ突出しているとともに、シリンダ取付板金213の前板部213a及び一対の側板部213bが後方へ開放されている箱状のシリンダ取付部113内に収容されている。
[3−1k.球送りユニット]
扉枠ベースユニット100の球送りユニット250について、主に図34及び図35を参照して詳細に説明する。図34(a)は扉枠ベースユニットの球送りユニットを前から見た斜視図であり、(b)は球送りユニットを後ろから見た斜視図である。図35(a)は球送りユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(b)は球送りユニットの後ケースと不正防止部材を外して後から見た分解斜視図である。球送りユニット250は、皿ユニット320の上皿321から供給される遊技球を一つずつ球発射装置680へ供給することができるとともに、上皿321内に貯留された遊技球を、上皿球抜きボタン327の操作によって下皿へ抜くことができるものである。
球送りユニット250は、皿ユニット320の上皿321に貯留された遊技球が、皿ユニットベース323の上皿球送り口323d及び扉枠ベース110の球送り開口115を通して供給され前後方向に貫通した進入口251a、及び進入口251aの下側に開口する球抜口251bを有し後方が開放された箱状の前カバー251と、前カバー251の後端を閉鎖するとともに前方が開放された箱状で、前後方向に貫通している前カバー251の進入口251aから進入した遊技球を球発射装置680へ供給するための打球供給口252aを有した後カバー252と、後カバー252及び前カバー251の間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支され前カバー251の後側で進入口251aと球抜口251bとの間を仕切る仕切部253aを有した球抜き部材253と、球抜き部材253の仕切部253a上の遊技球を一つずつ後カバー252の打球供給口252aへ送り、前カバー251と後カバー252との間で上下方向へ延びた軸周りに回動可能に支持された球送り部材254と、球送り部材254を回動させる球送ソレノイド255と、を備えている。
この球送りユニット250は、図示するように、正面視で、球送り部材254が進入口251aの右側に配置されており、球送り部材254の左側に球抜き部材253が、球送り部材254の右側に球送ソレノイド255が夫々配置されている。
球送りユニット250の前カバー251は、正面視で球抜口251bの左側に、球抜き部材253の回転中心に対して同心円状に形成された円弧状のスリット251cを備えており、このスリット251cから後述する球抜き部材253の作動棹253cが前方へ延びだすようになっている。前カバー251は、進入口251aの上縁から上側が上方へ延びだしており、扉枠3を組立てた際に、皿ユニットベース323の球送り誘導路323e及び球抜き誘導路323fの上流端側の後方へ開放されている部位を後側から閉鎖するように形成されている。
球抜き部材253は、進入口251aよりも下側で進入口251aと球抜口251bとの間を仕切り上面が球送り部材254の方向へ向かって低くなる仕切部253aと、仕切部253aの球送り部材254とは反対側の端部から下方へ延出するとともに上下方向の中間付近から球抜口251bの下側中央へ向かってく字状に屈曲し下端が前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持される回動棹部253bと、回動棹部253bの上端から前方へ向かって突出する棒状の作動棹253cと、作動棹253cよりも下側で回動棹部253bの側面から仕切部253aとは反対側へ突出した錘部253dと、を備えている。球抜き部材253の作動棹253cは、前カバー251に形成された円弧状のスリット251cを通して前方へ突出するように形成されている(図34(a)を参照)。作動棹253cは、扉枠ベース110の球送り開口115を介して皿ユニット320の上皿球抜きボタン327の押圧操作によって動作する作動伝達部327aの上端と当接する。
球送り部材254は、進入口251a及び球抜き部材253の仕切部253aの方を向き上下方向へ延びた回転軸芯を中心とした平面視が扇状の遮断部254aと、遮断部254aの後端から回転軸芯側へ円弧状に窪んだ球保持部254bと、球保持部254bの後端から下方へ延出する棒状の棹部254cと、を備えている。球送り部材254における遮断部254aと球保持部254bは、夫々回転軸芯を中心とした約180゜の角度範囲内に隣接して形成されている。球送り部材254の球保持部254bは、一つの遊技球を保持可能な大きさとされている。球送り部材254は、球送ソレノイド255の駆動によって回転軸芯と偏芯した位置に配置された棹部254cが左右方向へ移動させられることで、回転軸芯周りに回動する。
この球送り部材254は、遮断部254aが仕切部253aの方向を向くと同時に球保持部254bが打球供給口252aと連通した方向を向いた供給位置と、球保持部254bが仕切部253aの方向へ向いた保持位置との間で回動する。球送り部材254が供給位置の時には、球保持部254bに保持された遊技球が、打球供給口252aから球発射装置680へ供給されるとともに、進入口251aから仕切部253a上に進入した遊技球が、遮断部254aによって球保持部254b(打球供給口252a)側への移動が遮断されて仕切部253a上に留まった状態となる。一方、球送り部材254が保持位置へ回動すると、球保持部254bが仕切部253aの方向を向くとともに、球保持部254bの棹部254c側の端部が打球供給口252aを閉鎖した状態となり、仕切部253a上の遊技球が一つだけ球保持部254b内に保持される。
球送りユニット250は、球送ソレノイド255の駆動(通電)によって先端が上下方向へ揺動する球送り作動桿256と、球送り作動桿256における上下方向へ揺動する先端の動きによって前後方向へ延びた軸周りに回動するとともに、球送り部材254を上下方向へ延びた軸周りに回動させる球送りクランク257と、を備えている。球送りクランク257は、球送り作動桿256の上下動する先端と係合可能とされ左右方向へ延びた係合部257aと、係合部257aの球送り作動桿256と係合する側とは反対側に配置され前カバー251と後カバー252との間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支される軸部257bと、軸部257bから上方へ延出しており、球送り部材254における回動中心に対して偏芯した位置から下方へ突出する棒状の棹部254c(図35(b)を参照)と係合する伝達部257cと、を備えている。
この球送りユニット250は、球送り作動桿256及び球送りクランク257によって、上下方向へ進退する球送ソレノイド255の駆動により揺動する球送り作動桿256の動きを伝達させて球送り部材254を回動させることができる。なお、球送ソレノイド255の非駆動時(通常時)では、球送り作動桿256が球送ソレノイド255の下端から離れて先端が下方へ位置した状態となり、この状態では球送り部材254が供給位置に位置した状態となる。球送ソレノイド255の駆動時では、球送り作動桿256が球送ソレノイド255の下端に吸引されて先端が上方へ位置した状態となり、球送り部材254が保持位置へ回動する。つまり、球送ソレノイド255が駆動される(ONの状態)と、球送り部材254が遊技球を一つ受入れ、球送ソレノイド255の駆動が解除される(OFFの状態)と、球送り部材254が受入れた遊技球を球発射装置680側へ送る(供給する)ことができる。この球送りユニット250における球送ソレノイド255の駆動は、払出制御基板951の発射制御部(図示は省略)により発射ソレノイド682の駆動制御と同期して制御される。
球送りユニット250における回動可能に軸支された球抜き部材253は、錘部253dによって正面視反時計周りの方向へ回転するようなモーメントがかかるようになっているが、前方へ突出した作動棹253cが皿ユニット320の上皿球抜きボタン327の押圧操作によって動作する作動伝達部327aの上端と当接することで、その回動が規制されるため、通常時では、球抜き部材253の仕切部253aが進入口251aと球抜口251bとの間を仕切っており、球抜口251b側へ遊技球が侵入することはない。
遊技者が、皿ユニット320の上皿球抜きボタン327を下方へ押圧操作すると、上皿球抜きスライダ327bが作動伝達部327aとともに下方へスライドして、作動伝達部327aの下方への移動に伴って作動棹253cも相対的に下方へ移動することとなる。作動伝達部327aとともに作動棹253cが下方へ移動すると、球抜き部材253が正面視反時計周りの方向へ回動し、仕切部253aによる進入口251aと球抜口251bとの間の仕切りが解除される。これにより、進入口251aから進入した遊技球が、球抜口251bから皿ユニット320の球抜き誘導路323fへと排出され、下皿球供給口323cを介して下皿322へ排出(供給)させることができる。
なお、球抜き部材253の作動棹253cが当接する作動伝達部327aが形成されている上皿球抜きスライダ327bは、上皿球抜きバネ327cによって上方へ付勢されているので、仕切部253a上に遊技球が勢い良く供給されても、その衝撃を、作動棹253cを介して上皿球抜きバネ327cによって吸収させることができ、球抜き部材253等が破損するのを防止することができるとともに、遊技球が仕切部253aで跳ね返るのを防止することができる。
球送りユニット250は、後カバー252における打球供給口252aの背面視で右上に前方へ窪んだ矩形状の取付凹部252b(図35(b)等を参照)が形成されているとともに、その取付凹部252b内に不正防止部材260が取付けられている。球送りユニット250の不正防止部材260は、工具鋼やステンレス等の硬質の金属板により形成されており、後カバー252の取付凹部252b内に対して後側から脱着可能に取付けられている。
不正防止部材260は、正面視の外形が左右に延びた長方形状に形成されており、右辺から左方へ所定距離の間において、上下方向略中央で上下に分離している上片部261及び下片部262と、上片部261及び下片部262の互いに対向している辺の先端側(正面視右端側)でC面取り状に夫々形成されている傾斜部263と、を備えている。不正防止部材260の上片部261は、不正防止部材260の一般面に対して、正面視右端が後方へ突出するように屈曲させられている。下片部262は、不正防止部材260の一般面と同一面上に延びている。これにより、平面視において、上片部261と下片部262とによって、右方に向かうに従って広がるV字状の溝を形成している。
不正防止部材260は、後カバー252の取付凹部252bに取付けられることで、上片部261と下片部262とで形成されるV字状の溝が、打球供給口252a内と連通した状態となる。
この不正防止部材260によれば、紐を取付けた不正な遊技球を、上皿321から球送りユニット250を介して球発射装置680により遊技領域5a内に打込み、不正な遊技球に取付けられた紐を操作して、不正な遊技球を第一始動口2002等に出し入れさせるような不正行為が行われる際に、球発射装置680により発射(打球)された不正な遊技球の勢いによって、不正な遊技球に取付けられた紐を、上片部261と下片部262との間に挿入させた上で、上片部261と下片部262とによって形成されたV字状の狭くなった部位により切断させることができ、紐を取付けた不正な遊技球を用いた不正行為が行われるのを防止することができる。
[3−1l.ファールカバーユニット]
扉枠ベースユニット100のファールカバーユニット270について、図36乃至図38を参照して詳細に説明する。図36(a)は扉枠ベースユニットのファールカバーユニットを前から見た斜視図であり、(b)はファールカバーユニットを後ろから見た斜視図である。図37(a)はファールカバーユニットを蓋部材を外して前から見た分解斜視図であり、(b)はファールカバーユニットを蓋部材を外して後ろから見た分解斜視図である。更に、図38は、蓋部材を外した状態のファールカバーユニットの正面図である。
ファールカバーユニット270は、図示するように、扉枠ベース110の後側に取付けられ前側が開放された浅い箱状のユニット本体271と、ユニット本体271の前面に取付けられている平板状の蓋部材272と、を備えている。ファールカバーユニット270は、正面視左上隅において前後に貫通しており本体枠4の下部満タン球経路ユニット860の通常誘導路861と皿ユニット320の上皿球供給口323aとを連通させる貫通球通路273と、貫通球通路273の正面視右下側で後方へ向かって開口しており本体枠4の下部満タン球経路ユニット860の満タン誘導路862と連通可能な満タン球受口274と、を備えている。
ファールカバーユニット270は、満タン球受口274の正面視右側で上方へ向かって開口しており本体枠4の球発射装置680により発射されにも関わらず遊技領域5a内へ到達しなかった遊技球(ファール球)を受けるファール球受口275と、正面視右下隅付近で前方へ向かって開口しており満タン球受口274及びファール球受口275に受入れられた遊技球を前方へ放出するとともに皿ユニット320の下皿球供給口323cと連通する球放出口276と、を備えている。
更に、ファールカバーユニット270は、ユニット本体271及び蓋部材272によって、満タン球受口274及びファール球受口275と球放出口276との間に形成されており所定量の遊技球を貯留可能な広さを有している貯留通路277と、貯留通路277の内壁の一部を構成しており下端が回動可能にユニット本体271に取付けられている平板状の可動片278と、可動片278の貯留通路277から遠ざかる方向への回動を検知する満タン検知センサ279と、可動片278を貯留通路277の中心側へ付勢しているバネ280と、を備えている。
このファールカバーユニット270は、皿ユニット320の下皿322内が遊技球で一杯になって、球放出口276から遊技球が下皿322側へ放出されなくなると、貯留通路277内にある程度の数の遊技球を貯留することができる。貯留通路277内にある程度の数の遊技球が貯留されると、遊技球の重さによって可動片278の上端がバネ280の付勢力に抗して貯留通路277から遠ざかる方向へ移動するように可動片278が回動し、その回動が満タン検知センサ279によって検知される。これにより、下皿322が遊技球で満タンになっていると判断することができるため、満タン検知センサ279により満タンが検知されると、これ以上の遊技球の払出しを停止させるとともに、その旨を遊技者や遊技ホールの係員等に報知して、下皿322の満タンを解消させるように促すことができる。
ファールカバーユニット270は、ユニット本体271の後側で貫通球通路273の下側に取付けられており、本体枠4の後述する払出ユニット800における下部満タン球経路ユニット860の誘導路開閉扉863の作動突部863eが当接可能な扉開閉当接部281を備えている(図131を参照)。扉開閉当接部281は、後面が下方へ向かうに従って前方へ移動するように傾斜している。この扉開閉当接部281は、本体枠4に対して扉枠3を閉じると、誘導路開閉扉863の作動突部863eが当接するように形成されている。この扉開閉当接部281に誘導路開閉扉863の作動突部863eが当接することで、誘導路開閉扉863が回動して通常誘導路861及び満タン誘導路862の下流端(前側開口)を開放させることができる。
[3−2.ハンドルユニット]
扉枠3のハンドルユニット300について、主に図39及び図40を参照して詳細に説明する。図39(a)は扉枠におけるハンドルユニットの正面図であり、(b)はハンドルユニットを前から見た斜視図であり、(b)はハンドルユニットを後ろから見た斜視図である。図40(a)はハンドルユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(b)はハンドルユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。ハンドルユニット300は、扉枠ベースユニット100のハンドル取付部材180に取付けられ、遊技者が操作することで、上皿321内の遊技球を遊技盤5の遊技領域5a内に打込むことができるものである。
ハンドルユニット300は、扉枠ベースユニット100におけるハンドル取付部材180の筒部181に取付けられるハンドルベース301と、ハンドルベース301の前端に回転可能に取付けられるハンドル302と、ハンドル302の前端側を覆うようにハンドルベース301に取付けられるハンドルカバー303と、を備えている。
ハンドルユニット300は、ハンドル302の後側でハンドルベース301の前面に取付けられるインナーベース304と、前端にハンドル302が取付けられるとともにインナーベース304とハンドルベース301とによって回転可能に取付けられ外周に駆動ギア部305aを有している軸部材305と、軸部材305の駆動ギア部305aと噛合している伝達ギア306と、伝達ギア306と一体回転する検知軸307aを有しハンドルベース301とインナーベースとの間に挟持されているハンドル回転検知センサ307と、を備えている。
更に、ハンドルユニット300は、一端側がハンドルベース301に取付けられるとともに他端側がハンドル302に取付けられハンドル302を初期回転位置(正面視で反時計周りの方向への回転端)へ復帰させるように付勢しているハンドル復帰バネ308と、一端側がインナーベース304に取付けられるとともに他端側が伝達ギア306に取付けられ伝達ギア306を介してハンドル回転検知センサ307の検知軸307aを正面視で時計回りの方向へ付勢している補助バネ309と、インナーベース304の後方でハンドルベース301に取付けられているハンドルタッチセンサ310と、先端側がハンドルベース301の前端外周面の正面視おける左側から外方に突出しているとともに基端側がインナーベース304の後方でハンドルベース301に前後に延びた軸周りに回転可能に取付けられている単発ボタン311と、単発ボタン311の押圧操作を検知しハンドルベース301に取付けられている単発ボタン操作センサ312と、を備えている。
ハンドルユニット300のハンドルベース301は、前後に延びた円筒状の基部301aと、基部301aの前端から半径方向へ突出している円盤状の前端部301bと、円筒状の基部301aの外周面から窪んでいるとともに軸方向に延びており周方向へ不等間隔で三つ形成されている溝部301cと、を備えている。ハンドルベース301の基部301aは、外径がハンドル取付部材180の筒部181の内径よりも若干小さく形成されている。三つの溝部301cは、ハンドル取付部材180における筒部181の三つの突条183と対応した位置に形成されている。したがって、三つの溝部301cを三つの突条183と一致させた状態で、基部301aをハンドル取付部材180の筒部181内に挿入させることができるとともに、三つの溝部301c内に夫々突条183が挿入されることで、ハンドルベース301がハンドル取付部材180に対して相対回転不能な状態となる。
ハンドル302は、外周面から周方向に離れて外方へ突出している四つの第一突起302a、第二突起302b、第三突起302c、及び第四突起302dと、回転軸(軸部材305)を中心として円弧状に延びているとともに前後方向に貫通している二つのスリット302eと、スリット302eよりも回転中心に対して内側の位置から後方に突出しておりハンドル復帰バネ308の他端側が係止される係止突部302fと、を備えている。
四つの第一突起302a、第二突起302b、第三突起302c、及び第四突起302dは、正面視において時計回りの方向に順番に備えられている。詳述すると、第一突起302aは、ハンドル302の一般外周面から最も突出した部位の正面視時計回りの方向の側面が、外側へ膨らむように膨出しており、反対側である反都決周りの方向の側面が、内側へ湾曲するように凹んでいる(抉れている)。第二突起302bは、ハンドル302の一般外周面から最も突出した部位が、第一突起302aの最も突出した部位から時計回りの方向へ約85度の回転角度で離れており、第一突起302aよりはやや低く突出している。この第二突起302bは、最も突出した部位の正面視時計回りの方向の側面が、外側へ膨らむように膨出しており、反対側である反都決周りの方向の側面が、内側へ湾曲するように凹んでおり、第一突起302aと相似した形状に形成されている。
第三突起302cは、ハンドル302の一般外周面から最も突出した部位が、第二突起302bの最も突出した部位から時計回りの方向へ約70度の回転角度で離れており、第一突起302aの約半分の高さで突出している。この第三突起302cは、両側の側面が略直線状に傾斜しており、時計回りの方向の側面が反対側である反時計回りの方向の側面よりもなだらかに傾斜している。第四突起302dは、ハンドル302の一般外周面から最も突出した部位が、第三突起302cの最も突出した部位から時計回りの方向へ約55度の回転角度で離れており、第一突起302aよりもやや高く突出している。この第四突起302dは、両側の側面が略直線状に傾斜しており、略二等辺三角形に形成されている。
ハンドルカバー303は、前面の中心が丸く前方へ膨出しており、後方へ突出している三つの取付ボス303aを備えている。三つの取付ボス303aは、ハンドル302のスリット302eを前方から貫通してハンドルベース301の前面に取付けられる。ハンドルカバー303の取付ボス303aが、ハンドル302のスリット302eを貫通していることから、取付ボス303aがスリット302eの周方向端部に当接することとなり、ハンドル302の回転角度を規制している。本例では、ハンドル302を、約120度の回転角度の範囲内で回転させることができる。
このハンドルユニット300は、扉枠ベース110のハンドル取付座面112に対して、ハンドル取付部材180を介して取付けられる。この扉枠ベース110のハンドル取付座面112は、平面視において、右端側が左端側よりも後方に位置するように傾斜しており、外側(開放側)を向いているため、ハンドル取付部材180を介して取付けられるハンドルユニット300も平面視で外側に傾斜(換言すると、パチンコ機1の前面に直交する線に対してその先端部がパチンコ機1の外側に向かうように傾斜している。)して扉枠3に取付固定される。これにより、遊技者がハンドルユニット300のハンドル302が握り易く、違和感がなく回転操作を行わせることができる。
ハンドルユニット300のハンドル回転検知センサ307は、可変抵抗器とされており、ハンドル302を回転させると、軸部材305及び伝達ギア306を介してハンドル回転検知センサ307の検知軸307aが回転する。この検知軸307aの回転角度に応じてハンドル回転検知センサ307の内部抵抗が変化し、ハンドル回転検知センサ307の内部抵抗に応じて後述する球発射装置680における発射ソレノイド682の駆動力が変化して、ハンドル302の回転角度に応じた強さで遊技球が遊技領域5a内へ打込まれる。
ハンドル302やハンドルカバー303の外周表面は、導電性のメッキが施されており、遊技者がハンドル302等に接触することでハンドルタッチセンサ310が接触を検出する。ハンドルタッチセンサ310が遊技者の接触を検出している時に、ハンドル302を回動させると、ハンドル回転検知センサ307の検知が受付けられ、ハンドル302の回転角度に応じた強さで発射ソレノイド682の駆動が制御されて、遊技球を打込むことができる。つまり、遊技者がハンドル302に触れずに、何らかの方法でハンドル302を回転させて遊技球を遊技領域5a内に打込もうとしても、発射ソレノイド682は駆動されず、遊技球を打込むことができないようになっている。これにより、遊技者が本来とは異なる方法でハンドル302を回転させて遊技が行われるのを防止することができ、パチンコ機1を設置する遊技ホールに係る負荷(負担)を軽減させることができる。
ハンドルユニット300は、遊技者がハンドル302を回転操作中に、単発ボタン311を押圧すると、単発ボタン操作センサ312が単発ボタン311の操作を検知し、払出制御基板951の発射制御部(図示は省略)によって発射ソレノイド682の回転駆動が停止させられる。これにより、ハンドル302の回転操作を戻さなくても、遊技球の発射を一時的に停止させることができるとともに、単発ボタン311の押圧操作を解除することで、単発ボタン311を操作する前の打込み強さで再び遊技球を遊技領域5a内に打込むことができる。
更に、ハンドルユニット300は、ハンドル302に、四つの第一突起302a、第二突起302b、第三突起302c、及び第四突起302dを備えており、ハンドル302を正面視時計回りの方向へ最も回転させて、遊技球を最も強く遊技領域5a内に打込むようにした(所謂、「右打ち」した)時に、第四突起302dが、ハンドル302を回転させていない時の第一突起302aの位置と、略同じ位置となるため、第四突起302dを第一突起302aとしてハンドル302を持ち替えることで、遊技者が楽な状態で「右打ち」の位置でハンドル302を維持させることができ、遊技者の疲労感を軽減させて遊技に対する興趣の低下を抑制させることができる。
[3−3.皿ユニットの全体構成]
扉枠3における皿ユニット320について、主に図41乃至図45を参照して詳細に説明する。図41(a)は扉枠の皿ユニットを右前から見た斜視図であり、(b)は皿ユニットを左前から見た斜視図である。図42(a)は皿ユニットを右上後ろから見た斜視図であり、(b)は皿ユニットを左下後から見た斜視図である。図43は皿ユニットを主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図44は皿ユニットを主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。図45は、図28の断面図において下皿カバーを外した状態で下皿の部位を拡大して示す説明図である。皿ユニット320は、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース110の前面において貫通口111の下側の部位に取付けられ、前面が前方へ膨出している。皿ユニット320の前面には、後述する演出装飾回転体ユニット530が取付けられる。
皿ユニット320は、遊技領域5a内に打込むための遊技球を貯留する上皿321と、上皿321の下側に配置されており上皿321やファールカバーユニット270から供給される遊技球を貯留可能な下皿322と、を備えている。
皿ユニット320は、扉枠ベースユニット100の扉枠ベース110に取付けられる平板状の皿ユニットベース323と、皿ユニットベース323の前面上部に取付けられるとともに左右中央より左側が前方へ大きく膨出しており上皿321を形成している上皿本体324と、皿ユニットベース323の前面下部で左右中央よりも左側に取付けられるとともに前方へ大きく膨出しており下皿322を形成している下皿本体325と、上皿本体324及び下皿本体325の前側を覆うように皿ユニットベース323の前面に取付けられている皿ユニットカバー326と、を備えている。
皿ユニット320は、皿ユニットカバー326の上面における上皿321の正面視右方で上方から押圧操作可能に取付けられている上皿球抜きボタン327と、上皿球抜きボタン327の正面視右方で皿ユニットカバー326の上面に取付けられている球貸ボタン328と、球貸ボタン328の正面視右方で皿ユニットカバー326の上面に取付けられている返却ボタン329と、球貸ボタン328及び返却ボタン329の後方で皿ユニットカバー326の上面に取付けられている球貸返却表示部330と、上皿321の前方で皿ユニットカバー326の前面における皿前上装飾部326bに取付けられている演出選択左ボタン331及び演出選択右ボタン332と、下皿322の前方で皿ユニットカバー326の前面から前方に突出しており前方から押圧操作可能に取付けられている下皿球抜きボタン333と、を備えている。
[3−3a.上皿]
皿ユニット320の上皿321について、主に図41及び図44等を参照して詳細に説明する。皿ユニット320の上皿321は、皿ユニットベース323と上皿本体324とによって形成されており、正面視左右の中央より左側の方が大きく前方へ膨出し、上方へ開放された容器状に形成されている。上皿321(上皿本体324)は、扉枠3の左右方向の幅に対して左端から右方へ約1/3の部位が最も前方に膨出している。上皿321は、最も膨出した部位から正面視右方へ向かうに従って、前端が後方へ後退しており、前後方向の奥行が遊技球の外径よりも若干大きい誘導通路部321aが形成されている。上皿321は、誘導通路部321aを含む底面の全体が、右端側が低くなるように傾斜しており、誘導通路部321aの正面視右端側が、皿ユニットカバー326の上面(上皿球抜きボタン327)の下方へ潜り込んでいる(図44を参照)。
上皿321は、皿ユニットベース323に組立てた状態で、その底面が、皿ユニットベース323の上皿球供給口323aよりも下側の位置から上皿球送り口323dの上端に対して遊技球の外径よりも若干下側の位置へ向かって低くなるように傾斜している。これにより、上皿球供給口323aから前方へ放出された遊技球が、上皿321内に受けられて貯留させることができるとともに、受けられた遊技球を誘導通路部321aの右端側から上皿球送り口323dへ供給させることができる。
上皿321は、上述したように、前後方向の奥行が狭くなる誘導通路部321aにおいて、その底面が下方へ向かって低くなるように形成されている。つまり、上皿321の一部が、後述する演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)が取付けられる皿ユニットカバー326の取付空間326j内へ、上方から突出している。したがって、上皿321において、遊技球の貯留量を十分に確保することができる。なお、上皿321(上皿本体324)は、皿ユニットカバー326の取付空間326j内へ、演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)と接触しないように突出している。
なお、誘導通路部321aには、パチンコ機1において電気的に接地(アース)されている金属製のアース金具321bが備えられており、遊技球が接触(転動)することで、遊技球に帯電した静電気を除去させることができる。
[3−3b.下皿]
皿ユニット320の下皿322について、主に図41乃至図45等を参照して詳細に説明する。下皿322は、上皿321の下方で、正面視おいて皿ユニット320(扉枠3)の左右方向中央よりも左側に配置されている。下皿322は、遊技球を貯留可能な容器状に形成されており、底壁部325aに上下に貫通し遊技球を排出可能とされた下皿球抜き孔322aと、皿ユニットカバー326に取付けられた演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)との接触を回避させるための逃し部322bと、を備えている。下皿322の逃し部322bは、右前隅が、後方へ向かって円弧状に窪むように形成されている。
下皿322は、上方及び後方が開放されている下皿本体325と、下皿本体325の左端側から上方を覆っている皿ユニットカバー326の下皿カバー部326kと、下皿本体325の開放されている後方を閉鎖している皿ユニットベース323と、下皿本体325における演出操作ユニット取付部326a内に突出している部位の上側を覆う下皿カバー340とによって、形成されており、皿ユニットカバー326の下皿開口部326dから外方に臨んでいる。下皿322は、図28及び図45に示すように、平面視の外周形状が、左右に延びた四角形と、その四角形の前辺を底辺とし底辺よりも短い上辺が前方側に配置された台形と、を組合せたような形状に形成されており、台形の斜めに延びた左右の辺が後方へ凹むように湾曲している。この下皿322は、平面視において、前方から後方へ向かうに従って、左右方向の幅が大きくなるように形成されている。
下皿本体325は、図43及び図44等に示すように、上方及び後方が開放された容器状に形成されている。下皿本体325は、平板状の底壁部325aと、底壁部325aの後端辺を除いた外周端から上方へ延出している本体立壁部325bと、底壁部325aを遊技球が通過可能な大きさで上下に貫通している下皿球抜き孔322aと、を備えている。底壁部325aの外周形状は、左右に延びた四角形と、その四角形の前辺を底辺とし底辺よりも短い上辺が前方側に配置され斜めに延びた左右の辺が後方へ凹むように湾曲した台形と、を組合せたような形状に形成されている。底壁部325a(の上面)は、下皿球抜き孔322aへ向かって低くなるように傾斜している。本体立壁部325bは、底壁部325aから上方へ、遊技球の直径の2倍〜5倍の高さで立上っている。下皿球抜き孔322aは、下皿本体325(底壁部325a)の左右方向中央よりも右寄りの位置に形成されている。下皿本体325では、底壁部325a及び本体立壁部325bにおける正面視右前隅の湾曲している部位が、逃し部322bに相当している。
下皿カバー340は、下皿本体325の上方のおよそ右半部を覆うように形成されている。下皿カバー340は、図43及び図44等に示すように、下皿本体325の本体立壁部325bの上端から上方へ立上っているカバー立壁部340aと、カバー立壁部340aの上端から略水平に延びている天井部340bと、を備えている。カバー立壁部340aは、下皿本体325の本体立壁部325bにおける前辺側の一部から右辺の後端までの部位から立上っている。下皿カバー340は、皿ユニット320に組立てた状態で、カバー立壁部340a及び天井部340bの後端が、皿ユニットベース323の前面に当接している。カバー立壁部340aの前端(前辺における左端側)が、皿ユニットカバー326の下皿開口部326dの右端辺と当接している。更に、天井部340bの左端が、皿ユニットカバー326の下皿カバー部326kの右端に当接している。この下皿カバー340では、カバー立壁部340aにおける湾曲面状の部位と、その後側においてカバー立壁部340aと天井部340bとの間で斜めに延びている部位とが、逃し部322bに相当している。
下皿322は、前端側の左右に短く延びている部位の正面視左端付近から右側が、皿ユニットカバー326(演出装飾回転体ユニット530)によって覆われており、正面視において半分以上が演出装飾回転体ユニット530の後方に位置している。つまり、下皿322は、右半分が、演出装飾回転体ユニット530の後方へ回り込むように形成されている。したがって、下皿322は、図45に示すように、後述する皿ユニットカバー326の下皿開口部326dの後方に位置する下皿第一領域A1(図45においてクロスハッチの領域)と、下皿開口部326dよりも右側(演出装飾回転体ユニット530、皿ユニットカバー326における演出操作ユニット取付部326a、及び下皿カバー340の前端側)の後方に位置する下皿第二領域A2(図45において網掛けの領域)と、を有している。換言すると、下皿322は、遊技球を貯留可能な貯留領域(平面視における貯留面積に相当し、下皿第一領域A1と下皿第二領域A2とを合せた領域)の半分以上が、演出装飾回転体ユニット530の後方に位置している。なお、図45において点線ハッチの領域は、皿ユニットカバー326における取付空間326jの残りの空間(領域)である。
下皿322は、後壁を形成している皿ユニットベース323の下皿球供給口323cが、後壁の正面視左右方向中央よりも右側に開口している。更に詳述すると、下皿322の下皿球供給口323cは、演出装飾回転体ユニット530、皿ユニットカバー326における演出操作ユニット取付部326a(下皿開口部326dの右外側)、下皿カバー340の前端側、等の後方となる下皿第二領域A2に配置されている。これにより、扉枠3を正面から見た時に、下皿球供給口323cが下皿開口部326dを通して遊技者側から見えないようになっている(図19等を参照)。したがって、下皿322は、前方に膨出している皿ユニット320(皿ユニットカバー326)の左側面の下皿開口部326dから演出装飾回転体ユニット530の後方へ向かって抉れるように形成されており、正面から見える範囲よりも遊技球の貯留容積が大きく形成されている。換言すると、下皿322は、下皿第一領域A1よりも下皿第二領域A2の方が大きく形成されている。これにより、外側(遊技者側)から下皿322を見た時に、見た目以上に下皿322内に多くの遊技球を貯留させることができる。
下皿322は、下皿本体325の左右方向の右側半分(下皿第二領域A2)が、図41(a)に示すように、皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a(取付空間326j)内に突出しており、下皿本体325における演出操作ユニット取付部326a内に突出している部位の上側を、下皿カバー340が覆っている。この下皿カバー340により、下皿開口部326dから下皿322内に遊技者が手指を挿入した時に、その指先が演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)の後側に触れるのを阻止することができる。
下皿322は、下皿第二領域A2内である下皿球供給口323cの真正面に、上下に貫通している下皿球抜き孔322aを備えている。下皿322の底面は、下皿球抜き孔322aへ向かって低くなるように傾斜している。下皿322の下皿球抜き孔322aは、下皿球抜きボタン333の押圧操作によって動作する蓋部材334によって開閉可能に閉鎖されている。下皿322は、通常の状態では、下皿球抜き孔322aが蓋部材334によって閉鎖されており、下皿322内に遊技球を貯留させることができる。下皿球抜きボタン333を押圧操作して蓋部材334を開動作させると、下皿322内の遊技球を、下皿球抜き孔322aから皿ユニット320の下方へ排出させることができる。
下皿322の下皿球抜き孔322aは、下皿322の後壁を形成している皿ユニットベース323の下皿球供給口323cの前方(真正面)に配置されている。したがって、扉枠3に組立てた状態では、下皿球抜き孔322aが、皿ユニットカバー326の下皿開口部326dよりも右側で演出装飾回転体ユニット530におけるフレームユニット415の後方に位置しているため、遊技者(正面)側からは見えないようになっている。
この下皿322は、上述したように、外周形状が、左右に延びた四角形の前側に、前方側が窄まった台形を組合せた形状に形成されているとともに、底面が、下皿球抜き孔322aへ向かって低くなるように傾斜している。したがって、蓋部材334が開いて下皿球抜き孔322aが開放されている状態で、下皿球供給口323cから下皿322内へ供給された遊技球は、下皿球供給口323cの真正面に開口している下皿球抜き孔322aから即座に下方へ排出される。この下皿球抜き孔322aの左端は、下皿球供給口323cの左端よりも若干左方に位置していることから、下皿球抜き孔322aが開放されている状態では、下皿球供給口323cから下皿322へ供給された遊技球が、下皿322内における下皿球抜き孔322aよりも左側の領域へ直接流通することはなく、下皿球抜き孔322aから排出されることとなる。
一方、下皿球抜き孔322aの右端は、下皿球供給口323cの右端よりも左方に位置していることから、下皿球供給口323cの右端付近から下皿322へ供給された遊技球が、本体立壁部325bにおける下皿322の右側の立壁を形成している部位に当接することとなる。この下皿322の右側の立壁は、下皿球抜き孔322aの方向を向くように前後方向に対して斜めに湾曲しているため、下皿球供給口323cから供給された遊技球が、この傾斜している部位に当接すると、下皿球抜き孔322aの方向へ反射することとなり、下皿球抜き孔322aよりも左側の領域へ行くことなく、下皿球抜き孔322aから排出される(図45を参照)。
このように本実施形態の下皿322は、下皿球供給口323cから供給された遊技球を、下皿球抜き孔322aへ誘導するように形成しているため、下皿球抜き孔322aが開放されている状態では、下皿球供給口323cから供給された遊技球を、下皿322における下皿球抜き孔322aの左側の領域へ侵入させることなく、直ちに下皿球抜き孔322aから下方(ドル箱)へ排出させることができる。これにより、下皿球抜き孔322aを開いたままの状態とすると、遊技者側からは下皿322上を流通している遊技球が見えないため、上皿321や払出装置830から払出された遊技球等が、直接ドル箱へ排出されているように錯覚させることができ、遊技球が下皿322を通る煩わしさを感じさせ難くすることで、遊技者を遊技(遊技球の打込操作や演出画像等)に専念させて興趣の低下を抑制させることができる。
本実施形態の下皿322は、下皿本体325の本体立壁部325bと、本体立壁部325bの上端から上方へ延出した下皿カバー340,340Aとを備えているため、下皿322内に供給され遊技球が、下皿322内で跳ねて飛び上がっても、下皿322内から取付空間326j側へ遊技球が侵入するのを防止することができ、下皿322内の遊技球が演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)の後側に接触するのを阻止することができる。したがって、下皿322内に供給された遊技球や下皿322に貯留されている遊技球が、演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)の後側に当接したり押圧したりするのを防止することができ、遊技球によって演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)の後側が破損するのを防止することができる。
更に、下皿322において、下皿球供給口323cの前方に下皿球抜き孔322aを備えていることから、下皿球抜き孔322aが開いている状態では、下皿球供給口323cから放出された遊技球をそのまま下皿球抜き孔322aに進入させて下方(ドル箱)へ排出させることができるため、遊技球を下皿本体325の本体立壁部325bの前端側に到達し難くすることができる。下皿322の前端付近の下皿本体325の底壁部325aが、前方へ向かうほど高くなっているため、下皿本体325の本体立壁部325bの前端側へ向かう遊技球が、傾斜した底面を登ることとなり、遊技球の移動速度を減衰させることができる。したがって、下皿球供給口323cから下皿322内に放出された遊技球が、下皿カバー340,340Aや本体立壁部325bに当接した時の衝撃を小さくすることができ、それらを破損し難くすることができる。
なお、本実施形態では、上皿球抜きボタン327に対して、下皿球抜き孔322aを閉鎖している蓋部材334を連動させるようにしてもよい。これにより、上皿球抜きボタン327を操作すると、蓋部材334も可動して下皿球抜き孔322aが開くため、上皿321から下皿322へ排出された遊技球が、更に下皿球抜き孔322aから下方のドル箱へ排出されることとなる。つまり、上皿321から遊技球を抜くために上皿球抜きボタン327を操作すると、下皿球抜きボタン333を操作していないにも関わらず、上皿321の遊技球がドル箱に排出されるため、遊技者に対して上皿321の遊技球が直接ドル箱に排出されているように強く錯覚させることができ、上述した作用効果をより一層発揮させることができる。なお、上皿321及び下皿322の球抜きの同時開放は、モータやソレノイド等の駆動源の駆動による同時開放であってもよいし、機械的なリンク機構による同時開放であってもよい。
本実施形態では、下皿322を構成している下皿本体325と下皿カバー340とが分解可能な別体のものを示したが、下皿本体325と下皿カバー340とが分解不能な一体のものとしてもよい。下皿カバー340のカバー立壁部340aが、下皿本体325の本体立壁部325bの上端から立上った例を示したが、下皿本体325の底壁部325aから下皿カバー340のカバー立壁部340aが立上っていてもよい。下皿カバー340の天井部340bが、カバー立壁部340aの上端から略水平に延びた例を示したが、下皿カバー340の天井部340bが、下皿本体325の本体立壁部325bの上端から略水平に延びるようにしてもよい。
更に、本実施形態では、下皿322の演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)との接触を回避させるための逃し部322bを備えた例を示したが、逃し部322bを備えていない下皿322としてもよい。
本実施形態では、下皿322(下皿本体325や下皿カバー340等)として、貫通した孔の無い一様な面状のものを示したが、遊技球が通過不能な複数の貫通した孔を有するものであってもよい。具体的には、下皿322の底壁部325a、本体立壁部325b、カバー立壁部340a、天井部340b等の少なくとも一部を、遊技球が通過不能な隙間を有した、柵状に形成したものや網状に形成したものとしてもよい。なお、皿ユニットカバー326(取付空間326j)内に、LED等の発光体を配置し、下皿322の柵状や網状の隙間を通して下皿322内を照らす(発光装飾させる)ようにしてもよい。
なお、本実施形態では、夫々別体に形成された下皿本体325、下皿カバー340、皿ユニットベース323、及び皿ユニットカバー326(下皿カバー部326k)によって、下皿322を形成したものを示したが、それら四つの部材が適宜の組合せで一体とされて下皿322を形成するようにしてもよい。具体的には、下皿カバー340と下皿本体325とが一体とされたもの、下皿カバー340と皿ユニットカバー326とが一体とされたもの、下皿本体325と皿ユニットカバー326とが一体とされたもの、下皿カバー340と皿ユニットベース323とが一体とされたもの、下皿本体325と皿ユニットベース323とが一体とされたもの、皿ユニットベース323と皿ユニットカバー326とが一体とされたもの、下皿本体325と下皿カバー340と皿ユニットベース323とが一体とされたもの、下皿本体325と下皿カバー340と皿ユニットカバー326とが一体とされたもの、下皿カバー340と皿ユニットベース323と皿ユニットカバー326とが一体とされたもの、下皿本体325と皿ユニットベース323と皿ユニットカバー326とが一体とされたもの、下皿本体325と下皿カバー340と皿ユニットベース323と皿ユニットカバー326とが一体とされたもの、等としてもよい。
[3−3b−1.下皿の球誘導部]
皿ユニット320の下皿322において、下皿球供給口323cから下皿球抜き孔322aへ遊技球を誘導する球誘導部322c等を備えた実施形態について、図46を参照して詳細に説明する。図46(a)は下皿に球誘導部を備えた例を概略で示す説明図であり、(b)は下皿に(a)とは異なる球誘導部を備えた例を概略で示す説明図であり、(c)は更に異なる球誘導部を備えた例を概略で示す説明図である。図46では、上記と同じ構成については、同一の符号を付してある。
図46(a)の下皿322の例は、下皿322の底面における下皿球供給口323cと下皿球抜き孔322aとの間の部位に、下皿球抜き孔322aの直径と略同じ距離で左右に離間して配置された一対の球誘導部322cを備えている。一対の球誘導部322cは、下皿322の底面から突出した状態で前後に延びたレール状(突条)に形成されている。下皿322は、底面が下皿球抜き孔322aへ向かって低くなるように傾斜している。したがって、下皿球供給口323cから下皿322内へ供給された遊技球は、球誘導部322cを乗り越えることなく、一対の球誘導部322cにより下皿球抜き孔322aへ誘導され、下皿球抜き孔322aから下方(ドル箱)へ排出される。
この例の下皿322は、上記と同様に、皿ユニットカバー326の下皿開口部326dよりも右側の後方(下皿第二領域A2)に、下皿球供給口323cと下皿球抜き孔322aとが前後方向へ直線状に並んで配置されている。したがって、下皿球供給口323c及び下皿球抜き孔322aは、演出装飾回転体ユニット530、皿ユニットカバー326における演出操作ユニット取付部326a、及び下皿カバー340の前端側等の被覆壁の後方に位置しており、正面からは見えないようになっている。
このように、本例の下皿322は、一対の球誘導部322cを備えているため、下皿球抜き孔322aが開放されている状態では、下皿球供給口323cから供給された遊技球を、下皿322における下皿球抜き孔322aの左側の領域へ侵入させることなく、直ちに下皿球抜き孔322aから下方(ドル箱)へ排出させることができる。遊技者側からは下皿322上を流通している遊技球が見えないため、上皿321や払出装置830から払出された遊技球等が、直接ドル箱へ排出されているように錯覚させることができ、遊技球が下皿322を通る煩わしさを感じさせ難くすることで、遊技者を遊技(遊技球の打込操作や演出画像等)に専念させて興趣の低下を抑制させることができる。
この図46(a)の例では、球誘導部322cとして、レール状のものを示したが、これに限らず、下皿球抜き孔322aへ向かって延びた溝のように、遊技球を下皿球抜き孔322aへ誘導できるものであれば良い。
次に、図46(b)の下皿322の例は、下皿322における下皿球抜き孔322aの右側の壁部を、下皿球供給口323cから右斜め前方へ放出された遊技球が、下皿球抜き孔322aの方向へ反射するような形状に形成しているとともに、遊技球が当接する部位に緩衝部322dを備えるようにしたものである。この緩衝部322dは、ゴムや発泡体等で形成されている。
本例の下皿322も上記と同様に、下皿球供給口323cの真正面に下皿球抜き孔322aが配置されているとともに、下皿322の底面が下皿球抜き孔322aへ向かって低くなるように傾斜している。したがって。下皿球供給口323cから真直ぐに前方へ放出された遊技球は、そのまま下皿球抜き孔322aから下方(ドル箱)へ排出される。一方、下皿球供給口323cから右前方へ放出された遊技球は、緩衝部322dで下皿球抜き孔322aの方向へ反射して、下皿球抜き孔322aから下方(ドル箱)へ排出される。この際に、遊技球が緩衝部322dに当接して反射するため、反射時の衝突音が低減される。
更に、この例の下皿322も上記と同様に、皿ユニットカバー326の下皿開口部326dよりも右側の後方(下皿第二領域A2である演出装飾回転体ユニット530、皿ユニットカバー326における演出操作ユニット取付部326a、及び下皿カバー340の前端側等の被覆壁の後方)に配置されており、正面からは見えないようになっている。
このように、本例の下皿322は、遊技球を反射させる壁部に緩衝部322dを備えているため、下皿球供給口323cから遊技球が真直ぐに前方へ放出されなかった場合でも、緩衝部322dにより音もなく下皿球抜き孔322aの方向へ反射させて下方(ドル箱)へ排出させることができる。したがって、上皿321や払出装置830から払出された遊技球等がドル箱へ排出される際に、下皿322から遊技球の衝突音が聞こえないため、恰も直接ドル箱へ排出されているように錯覚させることができ、遊技球が下皿322を通る煩わしさを感じさせ難くすることで、遊技者を遊技(遊技球の打込操作や演出画像等)に専念させて興趣の低下を抑制させることができる。
続いて、図46(c)の下皿322の例は、下皿322の底面(底壁部325a)における下皿球抜き孔322aを間にして下皿球供給口323cとは反対側の部位から上方へ突出し、下皿球抜き孔322aを飛び越えた遊技球を下皿球抜き孔322a側へ反射させる返し部322eを備えたものである。なお、返し部322eは、下皿322を形成している素材と同じ素材を用いてもよいし、ゴムや発泡体等の反射時の衝突音を緩和させる緩衝材を用いてもよい。返し部322eは、下皿322の側壁を構成していないものとしてもよいし、下皿322の側壁(本体立壁部325b)の一部を構成するものとしてもよい。
この下皿322では、下皿球供給口323c、下皿球抜き孔322a、及び返し部322eが、後方から前方へ向かって順番に直線上に配置されているとともに、皿ユニットカバー326の下皿開口部326dよりも右側の後方(下皿第二領域A2である演出装飾回転体ユニット530、皿ユニットカバー326における演出操作ユニット取付部326a、及び下皿カバー340の前端側等の被覆壁の後方)に配置されており、正面からは見えないようになっている。この下皿322では、下皿球供給口323cから下皿球抜き孔322aへ流通する遊技球が、万が一、下皿球抜き孔322aを飛び越えても、返し部322eにより下皿球抜き孔322a側へ反射させて、下皿球抜き孔322aから下方(ドル箱)へ排出させることができる。したがって、上記と同様の作用効果を奏することができる。
なお、本実施形態では、下皿322に対して、上記の球誘導部322cと緩衝部322dとを、適宜に組合せてもよい。これにより、上記と同様の作用効果を奏することができる。
[3−3b−2.下皿の別の実施形態]
皿ユニット320の下皿322の別の実施形態について、図47を参照して説明する。図47(a)は分割可能とした下皿を概略で示す説明図であり、(b)は演出操作ユニットの後方の空間の大きさに応じて下皿の貯留領域を拡張した状態を概略で示す説明図であり、(c)は(b)の下皿を概略の斜視図で示す説明図である。図47に示す下皿322は、下皿本体325が下皿第二領域A2内に配置された分割線PLを境に分割可能とされているものである。なお、図47において点線ハッチで示す領域は、取付空間326jの残りの空間を示している。
まず、図47(a)に示す下皿本体325(下皿322)は、下皿第一領域A1及び下皿第二領域A2の一部を構成し下皿球抜き孔322aを有している本体部325Aと、本体部325Aの右側に取付けられており下皿第二領域A2の残りの領域を構成している第一増設部325Bとを備えている。第一増設部325Bは、本体部325Aよりも更に、演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)が収容されている取付空間326jの残りの空間(演出装飾回転体ユニット530や第二演出装飾回転体ユニット530Aの後方の空間)内へ突出している。この第一増設部325Bは、図示するように、前方から後方へ向かうに従って、左右方向の幅が大きくなるように形成されている。第一増設部325Bは、右前隅に、第二演出装飾回転体ユニット530Aとの接触を回避させるための逃し部322bが形成されている。
次に、図47(b)及び図47(c)の例は、演出装飾回転体ユニット530の後端が、下皿322の前端よりも後方へ突出しておらず、図47(a)の例よりも、演出装飾回転体ユニット530の後方の空間(取付空間326jの残りの空間)が広くなっている。この下皿本体325(下皿322)は、下皿第一領域A1及び下皿第二領域A2の一部を構成し下皿球抜き孔322aを有している本体部325Aと、本体部325Aの右側に取付けられているとともに下皿第二領域A2の残りの領域を構成しており第一増設部325Bよりも大きい第二増設部325cとを備えている。この第二増設部325cは、図示するように、前端から後端までの左右方向の幅が一定に形成されており、第一増設部325Bよりも遊技球の貯留領域が大きく形成されている。この下皿322は、第二増設部325cの形状と対応した形状の下皿カバー340が取付けられている(図47(c)を参照)。
図47に示した例では、本体部325Aに第一増設部325Bや第二増設部325cを取付けることで、夫々の遊技球の貯留領域同士が連続(連通)した状態となり、遊技球の貯留領域が拡大する。本体部325Aと、第一増設部325Bや第二増設部325cとの境が、分割線PLとなっている。下皿本体325における第一増設部325B及び第二増設部325cは、演出装飾回転体ユニット530や第二演出装飾回転体ユニット530Aの後面との間に、所定の隙間(取付空間326jと連通している空間)が生じるように形成されている。
このように、上記の例では、下皿本体325(下皿322)を分割可能な構成とするとともに、分割された部材の少なくとも一方を交換可能としていることから、下皿322内における遊技球の貯留領域を、必要に応じて、大きくしたり、小さくしたりすることができる。下皿本体325(下皿322)を分割可能な構成としているため、皿ユニットカバー326に取付けられる演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)の後方(取付空間326j内)への突出量に応じた大きさの増設部(第一増設部325B又は第二増設部325c)を取付けることができる。
なお、上記の実施形態では、演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)の後方となる下皿第二領域A2内に分割線PLを配置したものを示したが、分割線PLを、下皿第一領域A1と下皿第二領域A2との境界線上に配置してもよいし、下皿第一領域A1内に配置してもよい。
上記の実施形態では、下皿本体325(下皿322)における本体部325Aに、下皿球抜き孔322aを備えたものを示したが、第一増設部325Bや第二増設部325cに下皿球抜き孔322aを備えるようにしてもよい。
上記の実施形態では、下皿本体325の本体部325Aの右側に、第一増設部325Bや第二増設部325cを取付けたものを示したが、本体部325Aの右側に、遊技球の貯留領域を有しない、平板状の閉鎖部材を取付けるようにしてもよい。
更に、上記の実施形態では、下皿322における下皿本体325について説明したが、下皿カバー340についても、下皿本体325と同様に分割可能としたり、第一増設部325Bや第二増設部325cの大きさに合せた形状としたりしてもよい。
[3−3c.皿ユニットベース]
皿ユニット320の皿ユニットベース323について、主に図41乃至図44等を参照して詳細に説明する。皿ユニットベース323は、扉枠ベースユニット100の扉枠ベース110の前面における貫通口111の下側に取付けられ、扉枠ベース110の全幅に亘って左右に延びた平板状(後方が開放された浅い箱状)に形成されている。
皿ユニットベース323は、正面視左上隅付近で前後に貫通しているとともに後方へ筒状に延びている上皿球供給口323aと、上皿球供給口323aの下側で前後に貫通しているとともに上下に延びている複数の長穴からなるスピーカスリット323bと、正面視左右中央から左寄りの下部において前後に貫通しているとともに後方へ筒状に延びている下皿球供給口323cと、下皿球供給口323cの正面視右上側で前後に貫通しているとともに上下に延びており上部が上皿本体324の右端に位置する上皿球送り口323dと、を備えている。
皿ユニットベース323は、上皿球送り口323dを通って皿ユニットベース323の後側に送られた遊技球を球送りユニット250の進入口251aへ誘導する球送り誘導路323eと、球送り誘導路323eの下側から垂下した後に下皿球供給口323cの筒状の正面視右側面へ向かって低くなるように略L字状に延びており球送りユニット250の球抜口251bから放出された遊技球を下皿球供給口323cへ誘導する球抜き誘導路323fと、球送り誘導路323eの正面視左方で且つ球送り誘導路323eの下端と球抜き誘導路323fの上端との間の高さの位置で前後に貫通しており球送りユニット250の作動棹253cと当接し上皿球抜きボタン327により動作する作動伝達部327aが後方へ臨むように突出する開口部323gと、を備えている。球抜き誘導路323fは、下流端が下皿球供給口323cにおける筒状の部位内に開口している。
更に、皿ユニットベース323は、正面視右下隅で前後に貫通しており扉枠ベースユニット100のハンドル取付部材180の筒部181が挿通されるハンドル挿通口323hと、正面視右隅付近で前後に貫通しており開閉シリンダユニット210のシリンダ錠211が挿通されるシリンダ挿通口323iと、を備えている。
皿ユニットベース323の上皿球供給口323aは、扉枠3に組立てた状態で、前端が上皿321の後壁に開口し、筒状の後端が扉枠ベース110の上皿用通過口117を前側から貫通してファールカバーユニット270の貫通球通路273の前端と接続している。これにより、払出ユニット800から払出された遊技球が、上皿球供給口323aを通って上皿321内に供給(払出)される。
下皿球供給口323cは、扉枠3に組立てた状態で、前端が下皿322の後壁に開口し、筒状の後端が扉枠ベース110の下皿用通過口116を前側から貫通してファールカバーユニット270の球放出口276の前端と接続している。これにより、ファールカバーユニット270の貯留通路277内を流通する遊技球が、下皿球供給口323cを通って下皿322内に供給される。この下皿球供給口323cは、演出装飾回転体ユニット530、皿ユニットカバー326における演出操作ユニット取付部326a(下皿開口部326dの右外側)、下皿カバー340の前端側、等の後方に配置されており、扉枠3を正面から見た時に、下皿開口部326dを通して遊技者側から見えないようになっている。
[3−3d.皿ユニットカバー]
皿ユニット320の皿ユニットカバー326について、主に図41乃至図44等を参照して詳細に説明する。皿ユニットカバー326は、上皿本体324及び下皿本体325の前側を覆うように皿ユニットベース323の前面に取付けられる。皿ユニットカバー326は、左右方向中央が前方へ膨出しており左右方向中央に前方へ大きく開口し演出装飾回転体ユニット530が取付けられる演出操作ユニット取付部326aと、演出操作ユニット取付部326aの左右両側における上皿321と略同じ高さに形成されている皿前上装飾部326bと、左右の皿前上装飾部326bの夫々の下側に形成されている皿前下装飾部326cと、を備えている。
演出操作ユニット取付部326aは、左右方向が皿ユニット320の左右方向の全幅に対して約1/3の大きさに形成されているとともに、上下方向が皿ユニット320の上下方向の高さと略同じ高さに形成されている。演出操作ユニット取付部326aは、前端が上方へ向かうに従って後方へ移動するように傾斜している。詳しくは、演出操作ユニット取付部326aの前端は、垂直線に対して27度の角度で傾斜している。
皿前上装飾部326bは、前面が、皿ユニットカバー326の左右方向中央側から左右両端側へ向かうに従って後方へ移動しており、皿ユニットカバー326の左右方向中央側の端部と左右両端側の端部とを結んだ平面に対して、中間部が前方へやや膨出した湾曲面状に形成されている。皿前上装飾部326bは、下端が、皿ユニットカバー326の左右方向中央側から左右両端側へ向かうに従って上方へ移動するように傾斜しており、皿ユニットカバー326の左右方向中央側(演出操作ユニット取付部326a側)から左右両端側へ向かって上下方向が窄まるように形成されている。皿ユニットカバー326は、正面視左側の皿前上装飾部326bに、演出選択左ボタン331及び演出選択右ボタン332が取付けられている。
皿前下装飾部326cは、前面が、皿ユニットカバー326の左右方向中央側から左右両端側へ向かうに従って後方へ移動しており、皿ユニットカバー326の左右方向中央側の端部と左右両端側の端部とを結んだ平面に対して、中間部が後方へ窪むような湾曲面状に形成されている。
正面視左側の皿前下装飾部326cには、前後に貫通している下皿開口部326dが形成されており、下皿開口部326dから下皿322が前方に臨んでいる。正面視左側の皿前下装飾部326cでは、下皿開口部326dの下側前面から下皿球抜きボタン333が前方へ突出している。正面視左側の皿前下装飾部326cにおける下皿開口部326dの左側には、パンチングメタルからなる下スピーカ口326eが形成されている。下スピーカ口326eは、皿ユニット320に組立てた状態で、皿ユニットベース323のスピーカスリット323bの前方に位置している。
正面視右側の皿前下装飾部326cには、正面視右下隅で前後に貫通しており扉枠ベースユニット100のハンドル取付部材180の筒部181が挿通されるハンドル挿通口326fと、正面視右隅付近におけるハンドル挿通口326fの上側で前後に貫通しており開閉シリンダユニット210のシリンダ錠211が挿通されるシリンダ挿通口326gと、が形成されている。
皿ユニットカバー326は、正面視右側の皿前上装飾部326bの上端から皿ユニットベース323の前端まで延びた板状の天板部326hを有しており、天板部326hにより上皿321の右側上方を覆っている。この天板部326hに、上皿球抜きボタン327、球貸ボタン328、返却ボタン329、及び球貸返却表示部330が取付けられている。
皿ユニットカバー326は、皿前下装飾部326cの下端から皿ユニットベース323の前面まで延びている平板状の底板部326iを備えている。この底板部326iにより皿ユニット320の下側が閉鎖されている。なお、底板部326iは、下皿322の下方に位置する部位が下方から上方へ凹むように段状に形成されており、その部位に後述する下皿球抜きベース335が取付けられている。底板部326iには、下皿322の下皿球抜き孔322aと対応した位置に、上下に貫通した孔が形成されている。
皿ユニットカバー326は、演出操作ユニット取付部326aの部位で前方へ開口しており演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)の後側が挿入(収容)される取付空間326jを備えている。皿ユニットカバー326は、下皿開口部326dの左辺及び上辺から後方へ平板状に延出しており、下皿322を覆っている下皿カバー部326kを備えている(図44を参照)。下皿カバー部326kは、左端に、下皿本体325における本体立壁部325bの左辺の上端が当接しているとともに、右端に、下皿カバー340における天井部340bの左端が当接する。
[3−3e.上皿球抜きボタン]
皿ユニット320の上皿球抜きボタン327について、主に図41乃至図44等を参照して詳細に説明する。上皿球抜きボタン327は、上皿321の正面視右側で、皿ユニットカバー326の天板部326hに取付けられており、押圧操作することで、上皿321内の遊技球を下皿322へ抜くことができるものである。上皿球抜きボタン327は、詳細な図示は省略するが、皿ユニットカバー326の天板部326hの下側に取付けられている球抜きボタンホルダによって、天板部326hの下方で後端側が左右に延びた軸周りに回転可能に取付けられている。上皿球抜きボタン327は、その前端下面に、上下に延びている球抜きレバーの上端が当接している。この球抜きレバーは、上皿球抜きボタン327の下方で皿ユニットベース323の前面に取付けられている球抜きベースによって上下方向へスライド可能に取付けられている。
上皿球抜きボタン327の前端下面に上端が当接している球抜きレバーは、皿ユニットベース323によって上下にスライド可能に取付けられている上皿球抜きスライダ327bの上部に上側から当接している。この上皿球抜きスライダ327bは、後面から後方に突出している作動伝達部327aを備えており、扉枠3を組立てた状態で、この作動伝達部327aが、皿ユニットベース323における開口部323gから臨むように後方に突出するとともに、球送りユニット250における球抜き部材253の作動棹253cに下方から当接する。なお、上皿球抜きスライダ327bは、上皿球抜きバネ327cにより上方へ付勢されており、この上皿球抜きバネ327cの付勢力により、上皿球抜きスライダ327b及び球抜きレバーを介して上皿球抜きボタン327が上昇端に位置している。
従って、上皿球抜きボタン327を、上皿球抜きバネ327cの付勢力に抗して下方へ押圧すると、上皿球抜きスライダ327bの作動伝達部327aが下方へ移動し、作動伝達部327aの上端側に当接している球抜き部材253の作動棹253cも相対的に下方へ移動することとなるため、球抜き部材253が正面視反時計周りの方向へ回動し、仕切部253aによる進入口251aと球抜口251bとの間の仕切りが解除され、それらが互いに連通した状態となる。これにより、上皿321内の遊技球が、球送りユニット250の球抜口251bから皿ユニット320の球抜き誘導路323fへと排出され、下皿球供給口323cを介して下皿322へ排出(供給)させることができる。
なお、上皿球抜きボタン327を操作すると、下皿球抜き孔322aを閉鎖している蓋部材334が連動して可動するようにしてもよい。これにより、上皿球抜きボタン327を操作すると、蓋部材334も可動して下皿球抜き孔322aが開くため、上皿321から下皿322へ排出された遊技球が、更に下皿球抜き孔322aから下方のドル箱へ排出されることとなる。つまり、上皿321から遊技球を抜くために上皿球抜きボタン327を操作すると、下皿球抜きボタン333を操作していないにも関わらず、上皿321の遊技球がドル箱に排出されるため、遊技者に対して上皿321の遊技球が直接ドル箱に排出されているように強く錯覚させることができ、遊技球が下皿322を通る煩わしさを感じさせ難くすることで、遊技者を遊技(遊技球の打込操作や演出画像等)に専念させて興趣の低下を抑制させることができる。なお、上皿321及び下皿322の球抜きの同時開放は、モータやソレノイド等の駆動源の駆動による同時開放であってもよいし、機械的なリンク機構による同時開放であってもよい。
[3−3f.球貸ボタン、返却ボタン、及び球貸返却表示部]
皿ユニット320の球貸ボタン328、返却ボタン329、及び球貸返却表示部330について、主に図41を参照して詳細に説明する。球貸ボタン328、返却ボタン329、及び球貸返却表示部330は、図示するように、皿ユニットカバー326の天板部326hにおける上皿球抜きボタン327の正面視右側で、円形状の装飾内に取付けられている。
球貸ボタン328は、パチンコ機1に隣接して設けられた球貸機(図示は省略)に対して現金やプリペイドカードを投入した上で、押圧操作することで、所定数の遊技球を皿ユニット320の上皿321内へ貸出す(払出す)ものである。返却ボタン329は、球貸機に投入された現金やプリペイドカードを投入した状態で押圧操作すると、貸出された遊技球の分を差し引いた上で、現金やプリペイドカードを返却するものである。
球貸返却表示部330は、図示は省略するが、透明な表面の下側に三桁の7セグメントLEDが配置されており、球貸機に投入した現金やプリペイドカードの残数、或は、球貸機が故障した時のエラーコード等、を表示するものである。
[3−3g.演出選択左ボタン及び演出選択右ボタン]
皿ユニット320の演出選択左ボタン331及び演出選択右ボタン332について、主に図41等を参照して詳細に説明する。演出選択左ボタン331及び演出選択右ボタン332は、図示するように、皿ユニットカバー326における正面視左側の皿前上装飾部326bにおける演出操作ユニット取付部326aに近い右端付近に取付けられている。演出選択左ボタン331は、一つの頂点を左方へ向けた三角形状に形成されている。演出選択右ボタン332は、演出選択左ボタン331の右方で一つの頂点を右方へ向けた三角形状に形成されている。
演出選択左ボタン331及び演出選択右ボタン332は、正面視において遊技領域5a内に配置された遊技盤側演出表示装置1600や演出装飾回転体ユニット530の扉枠側演出表示装置460等において、遊技者に対して選択を促す演出画像が表示されると、押圧操作が受付可能となり、所定時間内に演出選択左ボタン331や演出選択右ボタン332を操作して所望の選択肢を選択するためのものである。
[3−3h.下皿球抜きボタン]
皿ユニット320の下皿球抜きボタン333について、主に図41乃至図44等を参照して詳細に説明する。下皿球抜きボタン333は、下皿322の前方となる皿ユニットカバー326における下皿開口部326dの下側で、正面視左側の皿前下装飾部326cの前面下端から前方に突出している。この下皿球抜きボタン333は、押圧操作することで、下皿322の下皿球抜き孔322aを閉鎖している蓋部材334を回動させることができ、蓋部材334が回動することで下皿球抜き孔322aが開放されて、下皿322内に貯留されている遊技球を、皿ユニット320の下方へ排出させることができる。
下皿球抜きボタン333は、下皿本体325の下側で皿ユニットカバー326の底板部326iに取付けられている下皿球抜きベース335(図42(b)を参照)によって前後方向へスライド可能に取付けられている。下皿球抜きボタン333は、下皿322の下皿球抜き孔322aに対して左方に配置されている(図28等を参照)。
下皿球抜きベース335には、皿ユニットカバー326の底板部326iにおいて、下皿322の下方の位置で下方から上方へ凹むように段状に形成されている部位に収容されているように、底板部326iに取付けられている。下皿球抜きベース335は、下皿322の下皿球抜き孔322aの直下となる位置に、下皿球抜き孔322aと同じ大きさで上下に貫通している排出口335aが形成されている。蓋部材334は、詳細な図示は省略するが、下皿本体325と下皿球抜きベース335との間に配置されている。これにより、下皿322の下皿球抜き孔322aを閉鎖している蓋部材334を開くと、下皿球抜きベース335の排出口335aも開くこととなり、下皿球抜き孔322aと排出口335aとが互いに連通した状態となる。
蓋部材334は、図示は省略するが、平面視において、下皿球抜きボタン333よりも左方の位置を中心として回動可能に下皿球抜きベース335に取付けられている。下皿球抜きボタン333には、蓋部材334における下皿球抜き孔322aを閉鎖する部位と、下皿球抜きベース335により回動可能に取付けられる部位との間の部位が連結されている。これにより、下皿球抜きボタン333を前後方向へ移動させると、蓋部材334が上下に延びた軸周りに回動し、下皿球抜き孔322a(排出口335a)を開閉させることができる。
下皿球抜きベース335には、図示は省略するが、下皿球抜きボタン333を後方へ押圧して移動させた時に、下皿球抜きボタン333を保持する保持装置と、下皿球抜きボタン333を前方へ付勢している下皿球抜きバネと、が取付けられている。下皿球抜きボタン333が前方に突出して下皿球抜き孔322aを蓋部材334により閉鎖している状態で、下皿球抜きボタン333を押圧して後方へ移動させると、蓋部材334が回動して下皿球抜き孔322aが開くとともに、下皿球抜きボタン333が保持装置に保持されて、後方へ移動したままの状態となる。この状態で、下皿球抜きボタン333の押圧を放しても、下皿球抜きボタン333が前方へ移動することはなく、下皿球抜き孔322aが開いたままの状態で維持され、下皿322内の遊技球を下皿球抜き孔322a及び排出口335aを通して皿ユニット320の下方へ排出させることができる。
下皿球抜きボタン333が保持装置に保持されて下皿球抜き孔322aが開いている状態で、下皿球抜きボタン333を後方へ押圧すると、保持装置による保持が解除される。この状態で、下皿球抜きボタン333の押圧を放すと、下皿球抜きボタン333が下皿球抜きバネの付勢力により前方へ移動し、突出した状態に復帰するとともに、蓋部材334が回動して下皿球抜き孔322a(排出口335a)が閉鎖された状態となる。これにより、下皿322内に遊技球を貯留させることができる。
なお、下皿球抜きボタン333の押圧操作とは別に、上皿球抜きボタン327の押圧操作によっても、下皿球抜き孔322a(排出口335a)を閉鎖している蓋部材334が可動して下皿球抜き孔322aが開くようにしてもよい。これにより、上皿321に貯留された遊技球を皿ユニット320の下方に配置されたドル箱に排出させたい時に、上皿球抜きボタン327を操作するだけで、下皿322を介してドル箱に排出させることができ、球抜きに係る手間を簡素化することができる。なお、上皿321及び下皿322の球抜きの同時開放は、モータやソレノイド等の駆動源の駆動による同時開放であってもよいし、機械的なリンク機構による同時開放であってもよい。
[3−4.演出操作ユニットの全体構成]
扉枠3における演出装飾回転体ユニット530の全体構成について、主に図48乃至図55等を参照して詳細に説明する。図48(a)は扉枠における演出操作ユニットの正面図であり、(b)は演出操作ユニットの右側面図である。図49(a)は演出操作ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は演出操作ユニットを後ろから見た斜視図である。図50は、演出操作ユニットを操作ボタンの中心軸の延びている方向から見た説明図である。図51は図48(a)におけるD−D線で切断した断面図であり、図52は図48(b)におけるE−E線で切断した断面図である。図53(a)は図48(b)におけるF−F線で切断した断面図であり、(b)は(a)におけるA部の拡大図である。図54は演出操作ユニットを主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図55は演出操作ユニットを主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。演出装飾回転体ユニット530は、皿ユニット320の正面視左右方向中央の前部に取付けられるものであり、遊技者が押圧操作することができるとともに、遊技者に対して演出画像を提示することができるものである。
演出装飾回転体ユニット530は、外形が円形で外周縁を除いた中央側が透明に形成されており遊技者が押圧操作可能な操作ボタン410と、操作ボタン410の外周を囲み皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられる枠状のフレームユニット415と、操作ボタン410よりも後方に配置されており操作ボタン410の外周縁及びフレームユニット415を発光装飾させることが可能な装飾基板ユニット420と、フレームユニット415の後側に取付けられており操作ボタン410及び装飾基板ユニット420が前面に取付けられているベースユニット430と、操作ボタン410を通して遊技者側から視認可能にベースユニット430に取付けられており演出画像を表示可能な扉枠側演出表示装置460と、を備えている。
[3−4a.操作ボタン]
演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410について、主に図53乃至図56等を参照して詳細に説明する。図56(a)は操作ボタンを分解して前から見た分解斜視図であり、(b)は操作ボタンを分解して後ろから見た分解斜視図である。操作ボタン410は、外形が皿ユニット320の上下方向の高さよりも若干小さい直径の円形に形成されており、外周縁を除いた中央側が透明に形成されている。操作ボタン410は、外周が円形で中央側が前方へ膨出するように湾曲面状(球面の一部の形状)に形成されている透明なボタンレンズ411と、ボタンレンズ411の外周縁の前側に取付けられている円環状のボタンフレーム412と、ボタンフレーム412の後側にボタンレンズ411の外周縁を挟持するように取付けられている円筒状のボタンベース413と、を備えている。ボタンフレーム412及びボタンベース413は、光を通し難い部材によって形成されている。
ボタンレンズ411は、全体が略一定の厚さに形成されている。ボタンレンズ411は、表面側が凹凸の無い滑らかな湾曲面状に形成されている。ボタンレンズ411は、ボタンフレーム412の内周側となる位置に裏面から断面W字状に窪んだ状態で中央側(内側)へ所定長さで延びているとともに周方向に列設されている第一ボタン装飾部411aと、第一ボタン装飾部411aよりも外周側の位置に裏面から断面円弧状に窪んだ状態で中央側へ向かう軸線上に延びているとともに周方向に所定角度範囲内で列設されている複数(六つ)の第二ボタン装飾部411bと、を備えている。
ボタンレンズ411の第一ボタン装飾部411aは、図示するように、操作ボタン410に組立てた状態では、ボタンフレーム412の内周から中央側へ延びており、左右両側の一群が、上下両側の一群よりも中央側へ長く延びている。
ボタンレンズ411の複数の第二ボタン装飾部411bは、夫々が同一の円周上において円弧状に延びており、左右両側に夫々三つずつ形成されている。これらの第二ボタン装飾部411bは、ボタンフレーム412のフレーム開口部412aから臨むように形成されているとともに、前面側がボタンフレーム412の前面と略同一面上となるように前方へ突出している。
ボタンレンズ411は、第一ボタン装飾部411a及び第二ボタン装飾部411bの部位において、裏面に形成されている断面W字状や断面円弧状の凹凸により、光が屈折するレンズ効果が発揮されるため、後側が明瞭に見えないようになっている。
ボタンフレーム412は、円環状に形成されており、前後方向に貫通し周方向へ所定長さで円弧状に延びた複数(六つ)のフレーム開口部412aを備えている。六つのフレーム開口部412aは、左右両側に夫々三つずつ備えられており、ボタンレンズ411の六つの第二ボタン装飾部411bと対応している。このボタンフレーム412は、表面に金属光沢を有したメッキ層を備えている。
ボタンベース413は、前後方向に短く延びた略円筒状の本体部413aと、本体部413aの前端から外方へ突出している円環状のフランジ部413bと、フランジ部413bの後側から本体部413aの外周に沿って後方へ円柱状に突出しており周方向に略等間隔で複数(四つ)配置されているガイドボス部413cと、フランジ部413bの後側から本体部413aの外周に沿って後方へ帯板状に突出しており周方向に複数(三つ)配置されている検知片413dと、本体部413aよりも外側でフランジ部413bを前後に貫通しているとともに外周に沿って所定長さで延びており周方向に複数(六つ)形成されているベース開口部413eと、本体部413aの前端から前方へ筒状に延出しており前端側がボタンレンズ411の内面に沿うように内側(中央側)へ窄まっている内側延出部413fと、を備えている。
ボタンベース413における内側延出部413fの外周面と、フランジ部413bの前面とにボタンレンズ411の外周縁及びボタンフレーム412が取付けられる。四つのガイドボス部413cは、本体部413aの周方向に対して、上下左右の四隅に相当する部位に夫々配置されている。これら四つのガイドボス部413cは、ベースユニット430におけるユニットベース431の保持孔431b内に夫々摺動可能に挿入される。三つの検知片413dは、本体部413aの周方向に対して、上側に二つ、下側に一つ、配されるように、周方向へ略等間隔に配置されている。これら三つの検知片413dは、操作ボタン410が押圧されると、ベースユニット430の押圧検知センサ440により検知される。
六つのベース開口部413eは、左右両側に夫々三つずつ備えられており、ボタンレンズ411の第二ボタン装飾部411b及びボタンフレーム412のフレーム開口部412aと対応している。ボタンベース413におけるベース開口部413eの部位では、本体部413a及び内側延出部413fの一部が、外周側から内側へ窪んでいる。内側延出部413fは、内側へ窄まっている前端の内径が、ボタンフレーム412の内径と略一致している。
この操作ボタン410は、前面が前方へ湾曲面状(略球面の一部の形状)に膨出しているとともに、透明に形成されており、後側に配置されている扉枠側演出表示装置460の表示画面を前方から視認することができる。操作ボタン410は、四つのガイドボス部413cがベースユニット430におけるユニットベース431の保持孔431bに摺動可能に挿入されているとともに、ユニットベース431の保持孔に431bに挿入されている操作ボタンバネ438により前方へ付勢されている。操作ボタン410は、ベースユニット430の操作ボタンバネ438の付勢力により、外周縁の前面側がフレームユニット415に当接することで、前方へのこれ以上の移動が規制されており、操作ボタンバネ438の付勢力に抗して押圧操作することで、後端がベースユニット430の前面に当接するまで後方へ移動する。操作ボタン410は、押圧操作して後方へ移動させると、三つの検知片413dの少なくとも一つがベースユニット430の押圧検知センサ440に検知される。この押圧検知センサ440による検知片413dの検知によって、操作ボタン410が操作されたこととなる。
操作ボタン410は、演出装飾回転体ユニット530を組立てた状態で、透明なボタンレンズ411におけるボタンフレーム412の内周端から中央側へ延びるように全周に亘って形成されている第一ボタン装飾部411aによって、ボタンベース413の内周面と、ベースユニット430の操作ボタン内装飾部材432との間の隙間を、遊技者側から見え難くすることができる。
更に、操作ボタン410は、円筒状のボタンベース413の前端開口を、ボタンレンズ411とボタンフレーム412とで閉鎖しており、ボタンレンズ411の外周縁に取付けられているボタンフレーム412により、操作ボタン410の外径に対して、後方が視認可能な透明な部分が、外周から内側へ窄まったように形成されている。このボタンフレーム412の存在によっても、ボタンベース413の内周面と、ベースユニット430の操作ボタン内装飾部材432との間の隙間を、遊技者側から見え難くしている。
操作ボタン410は、演出装飾回転体ユニット530に組立てた状態では、筒状のボタンベース413(本体部413a)の後端が、装飾基板ユニット420の内周側を通して装飾基板ユニット420の前面よりも後方へ突出した状態となる。これにより、装飾基板ユニット420の操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423に夫々実装されている第一LED422a,423a及び第二LED422b,423bから前方へ照射された光が、ボタンベース413の外側から内側へ漏れるのを防止することができるとともに、ベースユニット430の操作ボタン左内装飾基板433、操作ボタン右内装飾基板434、操作ボタン上内装飾基板435、及び操作ボタン下内装飾基板436に実装されたLEDから前方へ照射された光がボタンベース413の内側から外側へ漏れるのを防止することができる。したがって、装飾基板ユニット420の第一LED422a,423a及び第二LED422b,423bやベースユニット430の操作ボタン左内装飾基板433、操作ボタン右内装飾基板434、操作ボタン上内装飾基板435、及び操作ボタン下内装飾基板436に実装されたLEDが、発光装飾対象としている部位以外が発光装飾されてしまうのを防止することができ、見栄え良く発光装飾を行うことができる。
[3−4b.フレームユニット]
演出装飾回転体ユニット530のフレームユニット415について、主に図53乃至図55等を参照して詳細に説明する。フレームユニット415は、操作ボタン410の前方側から外周を囲むように、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに前側から取付けられ、操作ボタン410の外側を装飾している。フレームユニット415は、外形が演出操作ユニット取付部326aの前端側に合せた形状に形成されている。
フレームユニット415は、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられ円形の中央開口部416aを有する枠状のフレーム本体416と、中央開口部416aの左右両側でフレーム本体416に後側から取付けられる透光性を有した一対のフレームサイドレンズ417と、中央開口部416aの上側でフレーム本体416に前側から取付けられる透光性を有したフレームトップレンズ418と、を備えている。
フレーム本体416は、操作ボタン410の外径よりも小径で前後に貫通している円形の中央開口部416aと、中央開口部416aよりも左右両外側で前後に貫通しているとともに中央開口部416aの周縁に沿って円弧状に延びており周方向に列設されている複数(六つ)の外周開口部416bと、中央開口部416aの上側前面において所定幅で切欠かれている切欠部416cと、を備えている。中央開口部416aは、操作ボタン410におけるボタンフレーム412のフレーム開口部412aの外周側の直径と略同じ大きさに形成されている。これにより、フレーム開口部412aの外周後側に操作ボタン410におけるボタンベース413のフランジ部413bの前端側が当接できる。
六つの外周開口部416bは、中央開口部416aの左右両外側に、夫々三つずつ備えられており、後側からフレームサイドレンズ417によって閉鎖されている。切欠部416cは、前後方向にも貫通しており、前側からフレームトップレンズ418が嵌込まれている。
フレーム本体416は、中央開口部416aの周縁よりも若干外側の位置から後方へ延出している略筒状の内側筒部416dを備えている。内側筒部416dは、中央開口部416aと外周開口部416bとの間の位置から後方へ延出しており、切欠部416cと対応している部位が切欠かれている。内側筒部416dは、演出装飾回転体ユニット530を組立てた状態では、装飾基板ユニット420の操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423における夫々の第一LED422a,423aと第二LED422b,423bとの間に位置しており、第一LED422a,423aと第二LED422b,423bとの間を仕切っている(図52を参照)。
更に、フレーム本体416は、外周の左右両側上部において夫々外方へ延出しており、皿ユニット320の皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられる一対の取付部416eを備えている。フレーム本体416(演出装飾回転体ユニット530)は、一対の取付部416eと切欠部416cの左右両側の部位が、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられる。
フレーム本体416は、中央開口部416aを間にして切欠部416c側(フレームトップレンズ418が取付けられる側)とは反対側で切欠部416cと同じ幅の部位を除いて、表面の略全体に金属光沢を有したメッキ層が形成されている。
フレームサイドレンズ417は、フレーム本体416の左右に夫々三つずつ形成されている外周開口部416bを後側から閉鎖している。フレームサイドレンズ417は、前面側が凹凸の無い滑らかな面に形成されており、後面側に中央開口部416aの周縁に沿った複数の凹凸が形成されている(図53及び図63を参照)。これら複数の凹凸によって光が屈折することで、フレームサイドレンズ417の後側が見えないようになっている。
フレームトップレンズ418は、フレーム本体416の切欠部416cに前側から嵌込まれるように、外形が略四角形に形成されている。フレームトップレンズ418は、前面側が滑らかに形成されている。フレームトップレンズ418は、後面側に中央開口部416aの周縁に沿ってジグザグ状に延びた複数の凹凸が中央開口部416aの半径方向に複数列設されている(図51及び図63を参照)。これら複数の凹凸によって光が屈折することで、フレームトップレンズ418の後側が見えないようになっている。
フレームユニット415は、演出装飾回転体ユニット530を組立てた状態で、一対のフレームサイドレンズ417が装飾基板ユニット420の操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423における夫々の第二LED422b,423bの前方に位置するとともに、フレームトップレンズ418がベースユニット430のフレームトップレンズ装飾基板437の前方に位置し、それらに実装されている第二LED422b,423b等によって夫々が発光装飾可能となっている。
[3−4c.装飾基板ユニット]
演出装飾回転体ユニット530の装飾基板ユニット420について、主に図53乃至図57等を参照して詳細に説明する。図57は、演出操作ユニットの装飾基板ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。装飾基板ユニット420は、フレームユニット415の下方でベースユニット430の前面に取付けられ、操作ボタン410の第二ボタン装飾部411b及びフレームユニット415のフレームサイドレンズ417を発光装飾させることができるとともに、演出装飾回転体ユニット530に振動を付与させることができるものである。
装飾基板ユニット420は、上方側が開放されたC字状の基板ベース421と、基板ベース421における左右両側の前面に夫々取付けられている操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423と、基板ベース421の前面下部に取付けられている振動モータ424(熱源)と、この振動モータ424の前側を覆うように基板ベース421の前面に取付けられているモータカバー425と、を備えている。
基板ベース421は、内周側が操作ボタン410のボタンベース413における筒状の本体部413aの外径よりも若干大きく形成されているとともに、外周側がボタンベース413におけるフランジ部413bの外径よりも大きく且つフレームユニット415の外径よりも小さく形成されている。
操作ボタン左外装飾基板422は、基板ベース421の前面に沿って円弧状に延びている。操作ボタン左外装飾基板422は、前面側に、基板ベース421の内周に沿って実装された複数の第一LED422aと、複数の第一LED422aよりも半径方向外側で基板ベース421の内周に沿って実装された複数の第二LED422bと、を備えている。操作ボタン右外装飾基板423は、基板ベース421の前面に沿って円弧状に延びている。操作ボタン右外装飾基板423は、前面側に、基板ベース421の内周に沿って実装された複数の第一LED423aと、複数の第一LED423aよりも半径方向外側で基板ベース421の内周に沿って実装された複数の第二LED423bと、を備えている。これら操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423は、前後両面が白色とされている。
振動モータ424は、回転軸に偏芯した錘424aが取付けられており、この錘424aを回転させることで振動を発生させることができる。
装飾基板ユニット420は、演出装飾回転体ユニット530に組立てた状態では、基板ベース421の内側に、操作ボタン410におけるボタンベース413の筒状の本体部413a後端側が挿入されている。装飾基板ユニット420は、操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423における夫々の第一LED422a,423aが操作ボタン410の第二ボタン装飾部411bの後方に位置し、夫々の第二LED422b,423bがフレームユニット415のフレームサイドレンズ417の後方に位置している。演出装飾回転体ユニット530に組立てた状態では、操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423の夫々の第一LED422a,423aと、夫々の第二LED422b,423bとの間に、フレームユニット415の内側筒部416dが位置している(図52を参照)。
従って、装飾基板ユニット420は、操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423における夫々の第一LED422a,423aからの光によって操作ボタン410の第二ボタン装飾部411bのみを発光装飾させることができるとともに、夫々の第二LED422b,423bからの光によってフレームユニット415のフレームサイドレンズ417のみを発光装飾させることができる。
装飾基板ユニット420は、振動モータ424の錘424aを回転させることで、振動を発生させて、演出装飾回転体ユニット530全体を振動させることができる。
[3−4d.ベースユニット]
演出装飾回転体ユニット530のベースユニット430について、主に図58乃至図60等を参照して詳細に説明する。図58(a)は演出操作ユニットのベースユニットを前から見た斜視図であり、(b)は演出操作ユニットのベースユニットを後ろから見た斜視図である。図59は、演出操作ユニットのベースユニットを分解して前から見た分解斜視図である。図60は、演出操作ユニットのベースユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。演出装飾回転体ユニット530のベースユニット430は、操作ボタン410を前後方向へ進退可能に取付けているとともに、フレームユニット415の後側に取付けられるものである。
ベースユニット430は、フレームユニット415の後側に取付けられ中央部において上下に延びた略四角形に貫通している貫通孔431a、及び貫通孔431aの外側で前方に開放された止り孔からなる四つの保持孔431bを有する環状のユニットベース431と、ユニットベース431の前面で貫通孔431aを覆うように取付けられており前後に短く筒状延びた透光性を有する操作ボタン内装飾部材432と、操作ボタン内装飾部材432の後方でユニットベース431の前面における貫通孔431aの左右両側に夫々取付けられている操作ボタン左内装飾基板433及び操作ボタン右内装飾基板434と、操作ボタン内装飾部材432の後方でユニットベース431の前面における貫通孔431aの上下両側に取付けられている操作ボタン上内装飾基板435及び操作ボタン下内装飾基板436と、ユニットベース431の前面上部に取付けられているフレームトップレンズ装飾基板437と、を備えている。
ベースユニット430は、ユニットベース431の四つの保持孔431b内に夫々挿入されている四つの操作ボタンバネ438と、ユニットベース431の前面に取付けられている三つのセンサホルダ439と、各センサホルダ439に夫々取付けられており操作ボタン410の押圧操作を検知する三つの押圧検知センサ440と、ユニットベース431の後側に取付けられている演出操作ユニット中継基板441と、演出操作ユニット中継基板441の後側を覆うようにユニットベース431の後側に取付けられている中継基板カバー442と、を備えている。
ユニットベース431は、外形が略円形状で、フレームユニット415の外形よりも若干小さく形成されている。ユニットベース431は、中央において前後に貫通しており、上下に延びた略四角形の貫通孔431aが形成されている。この貫通孔431aは、操作ボタン410のボタンベース413における筒状の本体部413a内に収まる大きさで、扉枠側演出表示装置460の表示画面が挿通可能な大きさに形成されている。このユニットベース431の後側に扉枠側演出表示装置460が取付けられる。
ユニットベース431の四つの保持孔431bは、貫通孔431aの外側の上下左右の四隅で、操作ボタン410におけるボタンベース413の四つのガイドボス部413cと対応する位置に形成されている。これら保持孔431bは、内径がガイドボス部413cの外径よりも若干大きく形成されており、ガイドボス部413cを摺動可能に挿入させることができる。
更に詳述すると、四つの保持孔431bのうちの左上側の保持孔431bは、ユニットベース431の中心(操作ボタン410の中心)を通る上下に延びた中心線から、ユニットベース431の中心に対して反時計周りの方向へ約30度回転した位置に形成されている。四つの保持孔431bのうちの右上側の保持孔431bは、ユニットベース431の中心(操作ボタン410の中心)を通る上下に延びた中心線から、ユニットベース431の中心に対して時計周りの方向へ約47度回転した位置に形成されている。一方、四つの保持孔431bのうちの下側に配置されている二つの保持孔431bは、上側の二つの保持孔431bに対してユニットベース431の中心の反対側の位置に夫々形成されている。
ユニットベース431は、前面上部において、操作ボタン上内装飾基板435が取付けられる部位と、フレームトップレンズ装飾基板437が取付けられる部位との間から平板状に前方へ突出している遮光壁部431cを備えている。この遮光壁部431cにより、フレームトップレンズ装飾基板437のみによってフレームトップレンズ418を発光装飾させることができる。
操作ボタン内装飾部材432は、前後方向へ短く延びた略円筒状の周壁部432aと、周壁部432aの前端側を閉鎖しており中央が前方へ突出するように湾曲面状に形成されている前板部432bと、前板部432bを前後に貫通しており上下延びた四角形状の開口部432cと、周壁部432aの後端から外方へ延出しているフランジ部432dと、フランジ部432dから後方へ突出しておりユニットベース431に取付けられる複数の取付ボス432eと、を備えている。
操作ボタン内装飾部材432の周壁部432aは、外径が操作ボタン410におけるボタンフレーム412の内径と略同じ大きさに形成されている。前板部432bを貫通している開口部432cは、扉枠側演出表示装置460の表示画面と略同じ大きさに形成されている。
操作ボタン内装飾部材432は、周壁部432aの外周面と、前板部432bの前面が、凹凸のない滑らかな面に形成されている。
操作ボタン内装飾部材432は、周壁部432aの内周面に形成されており、円弧状に窪んでいるとともに前後方向へ延びており、周方向に複数備えられた第一ボタン内装飾部432fと、前板部432bの後面に形成されており、円弧状に膨出し、前板部432bの中央を中心とするような変八角形状に延びているとともに、前板部432bの中央を中心として同心円状に複数備えられている第二ボタン内装飾部432g(図63を参照)と、を備えている。第二ボタン内装飾部432gは、開口部432cの四つの内周辺と平行に延びている部位を有するように形成されている。
操作ボタン内装飾部材432は、透明な部材によって形成されている。操作ボタン内装飾部材432は、周壁部432aの第一ボタン内装飾部432fと、前板部432bの第二ボタン内装飾部432gとによるレンズ効果により、後方が明瞭に視認できないようになっている。
操作ボタン左内装飾基板433、操作ボタン右内装飾基板434、操作ボタン上内装飾基板435、及び操作ボタン下内装飾基板436は、夫々前面側に複数のLEDが実装されており、それらLEDを発光させることで操作ボタン内装飾部材432を発光装飾させることができる。この操作ボタン内装飾部材432を発光装飾させることで、操作ボタン410内や扉枠側演出表示装置460の外側を発光装飾させることができる。
フレームトップレンズ装飾基板437は、前面に複数のLEDが実装されており、それらLEDを発光させることで、フレームユニット415におけるフレームトップレンズ418を発光装飾させることができる。
操作ボタン左内装飾基板433、操作ボタン右内装飾基板434、操作ボタン上内装飾基板435、操作ボタン下内装飾基板436、及びフレームトップレンズ装飾基板437に実装されているLEDは、夫々フルカラーLEDとされている。操作ボタン左内装飾基板433、操作ボタン右内装飾基板434、操作ボタン上内装飾基板435、操作ボタン下内装飾基板436、及びフレームトップレンズ装飾基板437は、前面が白色とされている。
操作ボタンバネ438は、コイルバネとされており、ユニットベース431における四つの保持孔431b内に前方から挿入されている。操作ボタンバネ438は、演出装飾回転体ユニット530に組立てた状態では、後端が保持孔431bの底面に当接しており、前端が操作ボタン410におけるボタンベース413の本体部413aから後方へ突出しているガイドボス部413cの後端に当接している。これら操作ボタンバネ438により、操作ボタン410を前方へ付勢している。
三つの押圧検知センサ440は、操作ボタン410におけるボタンベース413の三つの検知片413dと対応している位置に配置されている。詳述すると、三つの押圧検知センサ440は、ユニットベース431の前面において、一つが左上の保持孔431bの左下側に、もう一つが右上の保持孔431bの右下側に、残りの一つが左下の保持孔431bの右下側に夫々センサホルダ439を介して取付けられている。三つの押圧検知センサ440は、ユニットベース431の中央を中心として周方向へ略等間隔に取付けられている。これら三つの押圧検知センサ440は、操作ボタン410の三つの検知片413dを検知することができる。
演出操作ユニット中継基板441は、ユニットベース431の後側において、背面視で貫通孔431aの左側(正面視右側)に取付けられている。演出操作ユニット中継基板441は、操作ボタン左外装飾基板422、操作ボタン右外装飾基板423、振動モータ424、操作ボタン左内装飾基板433、操作ボタン右内装飾基板434、操作ボタン上内装飾基板435、操作ボタン下内装飾基板436、フレームトップレンズ装飾基板437、押圧検知センサ440、及び扉枠側演出表示装置460と、扉枠ベースユニット100の扉本体中継基板(図示は省略)との接続を中継するためのものである。
中継基板カバー442は、演出操作ユニット中継基板441の後側を覆う部位の下端から正面視左方に延びており、ユニットベース431の後面下部に取付けられる脚部442aを備えている。中継基板カバー442の脚部442aは、扉枠3に組立てた状態では、下面が略水平に延びているとともに、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の底面を形成している底板部326iとの間で僅かな隙間を形成している(図26を参照)。これにより、操作ボタン410やフレームユニット415を強く下方へ押圧したり叩いたりした時に、脚部442aの下面が皿ユニットカバー326の底板部326iの上面に当接するまでの間では、フレームユニット415の取付部416eや皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a等が下方へ撓むことで衝撃を吸収することができる。脚部442aの下面が底板部326iの上面に当接した後では、演出装飾回転体ユニット530の下方へ移動が規制され、フレームユニット415の取付部416eや皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a等に無理な力が作用するのを回避させて、それらの破損を防止することができる。
[3−4e.扉枠側演出表示装置]
演出装飾回転体ユニット530の扉枠側演出表示装置460について、主に図54及び図55等を参照して詳細に説明する。扉枠側演出表示装置460は、表示画面がベースユニット430における操作ボタン内装飾部材432の開口部432cから前方へ臨むようにユニットベース431の後側に取付けられており、操作ボタン410の透明な中央部分を通して前方側(遊技者側)から表示画面を視認することができるとともに、表示画面に演出画像を表示させることができるものである。
扉枠側演出表示装置460は、前面に四角形の表示画面を有した液晶表示装置461と、液晶表示装置461の後側に取付けられているとともに、ベースユニット430のユニットベース431の後側に取付けられる有底角筒状の取付ブラケット462と、を備えている。液晶表示装置461は、縦横の比が、16:9で、対角線の長さが、約4.3inchの市販のカラー液晶ディスプレイである。取付ブラケット462は、外周が液晶表示装置461の外周と同じ形状に形成されており、有底筒状の底部が液晶表示装置461の後面と当接するように取付けられている。
扉枠側演出表示装置460は、演出装飾回転体ユニット530に組立てた状態では、液晶表示装置461がユニットベース431の貫通孔431aを後側から貫通して、操作ボタン内装飾部材432の周壁部432a内に突出している(図51を参照)。液晶表示装置461の前面(表示画面)は、操作ボタン内装飾部材432の周壁部432aの前端付近に位置しており、前板部432bを貫通している開口部432cから前方に臨んでいる。
扉枠側演出表示装置460は、液晶表示装置461において周辺制御基板1510からの制御信号に基づいた所定の演出画像を表示することができる。
[3−4f.演出操作ユニットの作用効果]
演出装飾回転体ユニット530の作用効果について、主に図61乃至図63等を参照して詳細に説明する。図61は、図51の演出操作ユニットの断面図において操作ボタンを押圧した状態を示す説明図である。図62(a)は演出操作ユニットを操作ボタンの中心軸の延びている方向から見た図において操作ボタンの一部を切欠いて操作ボタンの第一ボタン装飾部やボタンフレーム等によって隠そうとしている部位を示す説明図であり、(b)は演出操作ユニットの断面図において操作ボタンの第一ボタン装飾部やボタンフレーム等によって隠そうとしている部位を示す説明図である。図63(a)は演出操作ユニットの外観を前から見た斜視図で示す説明図であり、(b)は演出操作ユニットの外観を操作ボタンの中心軸の延びている方向から見た説明図である。
本実施形態の演出装飾回転体ユニット530は、遊技盤5の遊技領域5a内に遊技球が打込まれることで変化する遊技状態に応じて演出画像を遊技者に見せることができるとともに、遊技者に操作ボタン410の操作をさせて遊技者に提示した演出に遊技者を参加させて楽しませることができるものである。
演出装飾回転体ユニット530は、全高が、扉枠3の扉枠ベースユニット100における扉枠ベース110の貫通口111の下側の部位の高さと略同じ高さに形成されている。演出装飾回転体ユニット530は、全幅が、扉枠3の全幅の1/3よりも若干大きく形成されている。演出装飾回転体ユニット530は、正面視において、遊技領域5a(扉枠ベース110の貫通口111)の下側で左右方向の中央に配置されている。
演出装飾回転体ユニット530は、フレームユニット415のフレーム本体416の上部が、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられている。演出装飾回転体ユニット530は、皿ユニット320に取付けた状態で、底面となる中継基板カバー442の脚部442aの下面が、皿ユニット320の皿ユニットカバー326における底板部326iの上面との間に、隙間が形成されている。つまり、演出装飾回転体ユニット530は、皿ユニット320に対して上部のみが取付けられており、吊下げられた状態に取付けられている。
演出装飾回転体ユニット530は、フレームユニット415の前面(フレーム本体416の中央開口部416aの前端内周により形成される面)が、演出操作ユニット取付部326aの前端開口の傾斜面と平行になるように取付けられている。これにより、演出装飾回転体ユニット530は、湾曲面状(略球面の一部の形状)に前方へ膨出している透明な操作ボタン410の中心軸線CLが、垂直線に対して63度の角度で、前方へ向かうに従って上方へ移動するように傾斜している。これにより、本パチンコ機1を用いて遊技を行うために本パチンコ機1の前で遊技者が着座すると、遊技者の頭部が皿ユニット320(演出装飾回転体ユニット530)の上方に配置されている遊技盤5における遊技領域5aの中央の前方に位置するため、操作ボタン410の中心軸線CLが、遊技者の頭部付近を通ることとなる。したがって、遊技者が遊技領域5aから演出装飾回転体ユニット530(操作ボタン410)に視線を落すと、操作ボタン410がその正面視(中心軸線CLと平行な方向からの投影視)に可及的に近い状態で見えることとなり、操作ボタン410や操作ボタン410内の扉枠側演出表示装置460等を良好な状態で視認することができる。
演出装飾回転体ユニット530は、操作ボタン410の四つのガイドボス部413cがベースユニット430の四つの保持孔431bに夫々摺動可能に挿入されているとともに、操作ボタンバネ438により前方へ付勢されている。演出装飾回転体ユニット530は、通常の状態(操作ボタン410を押圧操作していない状態)では、操作ボタンバネ438の付勢力によって、操作ボタン410のボタンベース413のフランジ部413bの前端が、フレームユニット415のフレーム本体416の後面における中央開口部416a付近の部位に当接している。
演出装飾回転体ユニット530は、通常の状態では、操作ボタン410におけるボタンフレーム412の内周付近から中央側(中心軸線CL側)が、フレームユニット415におけるフレーム本体416の中央開口部416aから前方へ突出している。換言すると、操作ボタン410における湾曲面状(略球面の一部の形状)に前方へ膨出している透明なボタンレンズ411において、ボタンフレーム412の内周(内側)から前方へ突出している部位が、フレームユニット415のフレーム本体416の中央開口部416aから前方へ突出している(図51等を参照)。
因みに、本実施形態では、フレームユニット415におけるフレーム本体416の中央開口部416aの直径が約15cmとされており、操作ボタン410の中心軸線CL方向に対してボタンレンズ411(の前端)がフレームユニット415の前面から約4cm前方へ突出している。
通常の状態において、遊技者が演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410を押圧操作すると、操作ボタン410は操作ボタンバネ438の付勢力に抗して中心軸線CLに沿って後方へ移動する。操作ボタン410の後端がベースユニット430のユニットベース431の前面に当接すると、後方への移動が規制されて操作ボタン410の後方への移動が停止する。遊技者が操作ボタン410を押圧操作する時には、湾曲面状(略球面の一部の形状)に前方へ膨出しているボタンレンズ411を押圧する。
この操作ボタン410は、従来のパチンコ機に備えられている演出用の操作ボタンと比較して、外径が非常に大きく形成されているため、ボタンレンズ411の中央部分から離れた周縁付近が押圧される可能性が高い。詳述すると、従来のパチンコ機における演出用の操作ボタンは、その中心軸線が垂直線と略平行に延びるように取付けられているのに対して、本実施形態の演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410は、中心軸線CLが垂直線に対して傾いて取付けられているため、遊技者が従来のパチンコ機と同様に上方から操作ボタン410を押圧すると、図61において白抜きの矢印で示すように、操作ボタン410の中心軸線CLから離れた部位を押圧することとなる。
ところで、従来のパチンコ機における演出用の操作ボタンは、遊技者が押圧操作する面が平坦な面に形成されていることから、押圧操作する部位を平坦な面としたまま操作ボタンを大きくした場合、操作ボタンの中央から外れた部位を押圧すると、その押圧された部位が先に後退するように押圧操作する面が傾いてしまい、操作ボタンが真直ぐに後退することができなくなって、操作ボタンを押圧操作することができなくなる虞がある。
これに対して、本実施形態の演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410は、遊技者が押圧操作する部位(ボタンレンズ411)が、前方へ膨出した湾曲面状(略球面の一部の形状)としているため、操作ボタン410の中央から離れた位置を押圧操作した場合、その力が操作ボタン410の全体に分散されて操作ボタン410が傾き難くなり、操作ボタン410が真直ぐに後方へ移動することができる。したがって、操作ボタン410の前面側のどの位置を押圧操作しても、操作ボタン410が傾くことなくスムーズに後退することができるため、押圧操作を確実に検知させることができ、操作ボタン410を押圧操作する演出を十分に楽しませることができる。
演出装飾回転体ユニット530は、装飾基板ユニット420における基板ベース421の前面下部に振動モータ424が取付けられている上で、上述したように、演出装飾回転体ユニット530が吊下げられるように上部のみが皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられているため、振動モータ424により錘424aを回転させて振動を発生させると、取付けられている部位から最も離れた部位で振動が発生することから、演出装飾回転体ユニット530全体を大きく(強く)振動させることができ、演出装飾回転体ユニット530に触れている遊技者に対して振動を伝達させることができる。振動モータ424を、比較的遊技者が押圧操作し易い位置(図61において白抜きの矢印の位置)の直下に配置しているため、操作ボタン410を押圧操作している遊技者に対して強い振動を伝達させることができ、遊技者を驚かせて演出を楽しませることができる。
更に、演出装飾回転体ユニット530は、吊下げられたような状態で皿ユニットカバー326に取付けられているとともに、下面を形成している中継基板カバー442の脚部442aの下面と皿ユニットカバー326の底板部326iの上面との間に隙間が形成されているため、操作ボタン410を強く下方へ押圧したり叩いたりした時に、脚部442aの下面が底板部326iの上面に当接するまでの間、フレームユニット415の取付部416eや皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a等が下方へ撓むことで衝撃を吸収することができる。脚部442aの下面が底板部326iの上面に当接した後では、演出装飾回転体ユニット530の下方への移動を規制し、フレームユニット415の取付部416eや皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a等に無理な力が作用するのを回避させることができ、演出装飾回転体ユニット530等の破損を防止することができる。したがって、演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410を押圧操作する演出を遊技者に提示した時等に、強い力で操作ボタン410が押圧操作されたり叩かれたりしても、操作ボタン410や演出装飾回転体ユニット530等が破損することはないため、破損による遊技の中断を回避させることができ、遊技者の興趣の低下を抑制させることができるとともに、破損し難くすることで遊技ホール側の負担の増加を抑制させることができる。
なお、上述したように、遊技者が押圧操作する操作ボタン410のボタンレンズ411を、前方へ突出している湾曲面状(略球面の一部の形状)に形成しているため、平板状とした場合と比較して強度・剛性が高くなっているとともに、強く叩かれても、その衝撃をボタンレンズ411全体へ分散させることができ、破損し難くなっている。
演出装飾回転体ユニット530は、図63に示すように、ボタンレンズ411、フレームサイドレンズ417、フレームトップレンズ418、及び操作ボタン内装飾部材432が、透明な部材で構成されているため、それらの裏面側に形成されている第一ボタン装飾部411a、第二ボタン装飾部411b、第一ボタン内装飾部432f、及び第二ボタン内装飾部432g等の凹凸による装飾が、前方側(遊技者側)から視認することができる。それら凹凸の装飾が形成されている部位では、板厚が変化していることら光が複雑に屈折するため、凹凸の装飾が形成されている部位を通しては後側が視認し難くなっている。
演出装飾回転体ユニット530は、操作ボタン410のボタンレンズ411におけるボタンフレーム412の内周から中央側へ延びている第一ボタン装飾部411aを備えているため、この第一ボタン装飾部411aの凹凸の装飾によりボタンレンズ411の内側となる部位の外周縁の部位において後方を見え辛くすることができる。第一ボタン装飾部411aが形成されている部位の後方(中心軸線CL方向の後方)には、操作ボタン410のボタンベース413の本体部413aの内周面と操作ボタン内装飾部材432の周壁部432aの外周面との間の隙間が位置しているが、その隙間の前方に位置する第一ボタン装飾部411aによって前方側(遊技者側)から、操作ボタン内装飾部材432の外周の隙間を見え難くすることができる。これにより、押圧操作可能な操作ボタン410内に、位置が固定されている操作ボタン内装飾部材432を備えても、操作ボタン410の見栄えの悪化を防止することができ、操作ボタン410を見た遊技者が不快感を抱くのを防止することができるとともに、透明な操作ボタン410内に操作ボタン内装飾部材432を問題なく配置することができ、操作ボタン410の見栄えを良くすることができる。
詳述すると、演出装飾回転体ユニット530は、操作ボタン410におけるボタンレンズ411の第一ボタン装飾部411a、第二ボタン装飾部411b、及びボタンフレーム412によって、ベースユニット430の操作ボタン内装飾部材432の外周よりも外側で後方側(奥側)にあるユニットベース431や装飾基板ユニット420等が、透明なボタンレンズ411を通して遊技者側から見えないように形成されている。具体的には、図62において、一点鎖線で囲んだクロスハッチの部位が、遊技者側から見えないようにしている。このように、操作ボタン410に第一ボタン装飾部411a、第二ボタン装飾部411b、及びボタンフレーム412等を備えているため、操作ボタン内装飾部材432の外側や奥側を見え難くして隠すことができ、操作ボタン410、ひいては、演出装飾回転体ユニット530全体の見栄えを良くすることができる。
演出装飾回転体ユニット530は、操作ボタン410におけるボタンレンズ411の第一ボタン装飾部411aが、操作ボタン410の中心軸線CLへ向かうように延びているとともに周方向に列設されているのに対して、操作ボタン410の内側後方に配置されている操作ボタン内装飾部材432の前板部432bに形成されている第二ボタン内装飾部432gが中心軸線CLを中心とした変八角形状に延びているとともに同心円状に列設されているため、図63に示すように、第一ボタン装飾部411aの凹凸線と第二ボタン内装飾部432gの凹凸線とが交差することとなり、幾何学的な装飾を遊技者に見せることができる。
演出装飾回転体ユニット530は、第一ボタン装飾部411aと第二ボタン内装飾部432gとが、前後方向(中心軸線CLの延びている方向)に離れているため、第一ボタン装飾部411aと第二ボタン内装飾部432gとによって奥行のある立体的な感じの幾何学模様を遊技者に見せることができ、操作ボタン410内を含む装飾を楽しませることができる。
更に、演出装飾回転体ユニット530では、第一ボタン装飾部411aと第二ボタン内装飾部432gとが前後方向に離れているため、遊技者の目の位置が移動すると、第一ボタン装飾部411aの凹凸線と、第二ボタン内装飾部432gの凹凸線との重なり具合が変化するため、動きのある装飾を遊技者に見せることができ、遊技者を楽しませることができる。
このように、演出装飾回転体ユニット530は、操作ボタン410の第一ボタン装飾部411aと操作ボタン内装飾部材432の第二ボタン内装飾部432gとによって、動きがあり立体感のある装飾を遊技者に見せることができるため、遊技者の関心を強く引付けることができ、訴求力の高いパチンコ機1とすることができる。
演出装飾回転体ユニット530は、操作ボタン410内(ボタンフレーム412の内側)で、操作ボタン内装飾部材432の後方には、操作ボタン左内装飾基板433、操作ボタン右内装飾基板434、操作ボタン上内装飾基板435、及び操作ボタン下内装飾基板436が配置されており、それらの前面に実装されている複数のLEDを発光させることで、操作ボタン410内の操作ボタン内装飾部材432を発光装飾させることができる。つまり、操作ボタン左内装飾基板433、操作ボタン右内装飾基板434、操作ボタン上内装飾基板435、及び操作ボタン下内装飾基板436によって、操作ボタン410内を発光装飾させることができる。これら操作ボタン左内装飾基板433、操作ボタン右内装飾基板434、操作ボタン上内装飾基板435、及び操作ボタン下内装飾基板436の前面に実装されているLEDは、図52に示すように、中心軸線CLの延びている方向から見て、操作ボタン410のボタンベース413における筒状の本体部413aの内側に配置されているため、それらからの光が本体部413aの外側に漏れることはなく、操作ボタン410内のみを良好に発光装飾させることができる。
演出装飾回転体ユニット530は、操作ボタン410の外周付近に位置するボタンフレーム412のフレーム開口部412aから臨む第二ボタン装飾部411bの後方に、装飾基板ユニット420における操作ボタン左外装飾基板422の第一LED422a及び操作ボタン右外装飾基板423の第一LED423aが配置されており、それら第一LED422a,423aを発光させることで、操作ボタン410の六つの第二ボタン装飾部411bを発光装飾させることができる。操作ボタン左外装飾基板422の第一LED422a及び操作ボタン右外装飾基板423の第一LED423aは、図52に示すように、操作ボタン410のボタンベース413における筒状の本体部413aと、フレームユニット415のフレーム本体416における筒状の内側筒部416dとの間に位置しており、第一LED422a,423aからの光が本体部413aの内側や内側筒部416dの外側へ漏れることはなく、操作ボタン410の第二ボタン装飾部411bのみを良好に発光装飾させることができる。
更に、演出装飾回転体ユニット530は、フレームユニット415におけるフレーム本体416の六つの外周開口部416bから臨むフレームサイドレンズ417の後方に、操作ボタン左外装飾基板422の第二LED422b及び操作ボタン右外装飾基板423の第二LED423bが配置されており、それら第二LED422b,423bを発光させることでフレームサイドレンズ417を発光装飾させることができる。操作ボタン左外装飾基板422の第二LED422b及び操作ボタン右外装飾基板423の第二LED423bは、フレームユニット415のフレーム本体416における筒状の内側筒部416dとフレーム本体416の外周との間に位置しており、第二LED422b,423bからの光が内側筒部416dの内側やフレーム本体416の外側へ漏れることはなく、フレームユニット415のフレームサイドレンズ417のみを良好に発光装飾させることができる。
演出装飾回転体ユニット530は、フレームユニット415のフレームトップレンズ418の後方に、ベースユニット430におけるフレームトップレンズ装飾基板437が配置されており、フレームトップレンズ装飾基板437の前面に実装されている複数のLEDを発光させることで、フレームトップレンズ418を発光装飾させることができる。ベースユニット430におけるユニットベース431のフレームトップレンズ装飾基板437が取付けられている部位の下側からは、フレームトップレンズ418の下端後方付近まで平板状の遮光壁部431cが前方へ突出しており、フレームトップレンズ装飾基板437のLEDからの光が操作ボタン410やフレームサイドレンズ417側へ漏れることはなく、フレームユニット415のフレームトップレンズ418のみを良好に発光装飾させることができる。
[3−4g.演出操作ユニットの第二実施形態の全体構成]
次に、上記の演出装飾回転体ユニット530の第二実施形態である第二演出装飾回転体ユニット530Aについて、主に図64乃至図71等を参照して詳細に説明する。図64(a)は図48乃至図63の演出操作ユニットとは実施形態の異なる第二演出操作ユニットの正面図であり、(b)は第二演出操作ユニットの右側面図である。図65(a)は第二演出操作ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は第二演出操作ユニットを後ろから見た斜視図である。図66は、第二演出操作ユニットを操作ボタンの中心軸の延びている方向から見た説明図である。図67は、図64(a)におけるG−G線で切断した断面図である。図68は、図64(b)におけるH−H線で切断した断面図である。図69(a)は図64(b)におけるI−I線で切断した断面図であり、(b)は(a)におけるA部の拡大図である。図70は第二演出操作ユニットを主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図71は第二演出操作ユニットを主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、上記の演出装飾回転体ユニット530に替えて皿ユニット320の演出操作ユニット取付部326aに取付けることができるものである。この第二演出装飾回転体ユニット530Aは、演出装飾回転体ユニット530と同様に、遊技者が押圧操作することができるとともに、遊技者に対して演出画像を提示することができるものである。以下では、第二演出装飾回転体ユニット530Aにおいて、演出装飾回転体ユニット530と同一の構成部材については、同一の符号を付して説明する。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、外形が円形で外周縁を除いた中央側が透明に形成されており遊技者が押圧操作可能な操作ボタン410と、操作ボタン410の外周を囲み皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられる枠状のフレームユニット415と、操作ボタン410よりも後方に配置されており操作ボタン410の外周縁及びフレームユニット415を発光装飾させることが可能な装飾基板ユニット420と、フレームユニット415の後側に取付けられており操作ボタン410及び装飾基板ユニット420が前面に取付けられている第二ベースユニット450と、操作ボタン410を通して遊技者側から視認可能に第二ベースユニット450に取付けられており演出画像を表示可能な扉枠側第二演出表示装置460Aと、扉枠側第二演出表示装置460Aの下面に取付けられている緩衝ユニット510と、を備えている。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、扉枠側第二演出表示装置460Aの正面視右側面に取付けられている第二演出操作ユニット中継基板515と、第二演出操作ユニット中継基板515の表面を覆うように扉枠側第二演出表示装置460Aの正面視右側面に取付けられている中継基板カバー516と、を備えている。第二演出操作ユニット中継基板515及び中継基板カバー516は、扉枠側第二演出表示装置460Aにおけるプロジェクタ取付部材505の正面視右側面に取付けられている。
第二演出操作ユニット中継基板515は、操作ボタン左外装飾基板422、操作ボタン右外装飾基板423、振動モータ424、押圧検知センサ454、フレームトップレンズ装飾基板482、切替駆動モータ492(熱源)、プロジェクタ500、及び回転検知センサ507と、扉枠ベースユニット100の扉本体中継基板との接続を中継するためのものである。
[3−4g−1.操作ボタン]
第二演出装飾回転体ユニット530Aの操作ボタン410について、主に図69乃至図72等を参照して詳細に説明する。図72(a)は第二演出操作ユニットの操作ボタンを分解して前から見た分解斜視図であり、(b)は第二演出操作ユニットの操作ボタンを分解して後ろから見た分解斜視図である。第二演出装飾回転体ユニット530Aの操作ボタン410は、外形が皿ユニット320の上下方向の高さよりも若干小さい直径の円形に形成されており、外周縁を除いた中央側が透明に形成されている。この操作ボタン410は、外周が円形で中央側が前方へ膨出するように湾曲面状(略球面の一部の形状)に形成されている透明なボタンレンズ411と、ボタンレンズ411の外周縁の前側に取付けられている円環状のボタンフレーム412と、ボタンフレーム412の後側にボタンレンズ411の外周縁を挟持するように取付けられている円筒状のボタンベース413と、を備えており、演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410と略同一の構成である。
具体的な相違点は、第二演出装飾回転体ユニット530Aの操作ボタン410と、演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410とでは、ボタンレンズ411の第一ボタン装飾部411aの模様と、ボタンベース413のガイドボス部413cの形状が異なっている。
詳述すると、図示するように、第二演出装飾回転体ユニット530Aにおける操作ボタン410の第一ボタン装飾部411aは、ボタンフレーム412の内周と接する部位に、ボタンレンズ411の中央側へ一つの頂点を向けた三角形と、中央とは反対側へ一つの頂点を向けた三角形とが、周方向へ交互に全周に亘って複数列設されたトラス状の模様と、トラス状の模様におけるボタンレンズ411の中央側を向いている底辺と、その底辺の両端からボタンレンズ411の中央側へ延びた辺と、その辺の先端から底辺の中央へ延びている斜辺とで構成された直角三角形状の模様と、直角三角形状の模様の斜辺と、トラス状の模様の三角形の底辺の中央からボタンレンズ411の中央側へ直角三角形状の模様よりも長く延びた辺と、その辺の先端から直角三角形状の模様の斜辺の先端へ延びた辺とで構成された変二等辺三角形状の模様と、で形成されている。
つまり、この第一ボタン装飾部411aは、複数の三角形の組合せによって構成されている。なお、図示は省略するが、第一ボタン装飾部411aを構成している各三角形は、夫々の面が異なる方向を向いており、多面体状に形成されている。これにより、ボタンレンズ411の表面側が滑らかな湾曲面状に形成されているのに対して、裏面側が第一ボタン装飾部411aの部位において多面体状に形成されているため、第一ボタン装飾部411aの部位では、ボタンレンズ411の板厚が複雑に変化しており、この部位を通る光が乱屈折することとなる。したがって、第一ボタン装飾部411aの部位では、複数の三角形が組合わされた幾何学模様を遊技者に見せることができると同時に、乱屈折により後側の部材を見え難くすることができる。
第二演出装飾回転体ユニット530Aのボタンベース413におけるガイドボス部413cは、後方が開放されている円筒状に形成されている。このガイドボス部413cは、第二ベースユニット450の保持孔451d内に挿入されるとともに、筒状の内部に第二ベースユニット450におけるユニットベース451の保持孔451d内に保持されているボタンシャフト452が摺動可能に挿入される。本例では、操作ボタン410が、ガイドボス部413c内に後方から挿入される第二ベースユニット450のボタンシャフト452によって前後方向へ進退可能に取付けられる。
[3−4g−2.フレームユニット]
第二演出装飾回転体ユニット530Aのフレームユニット415について、主に図69乃至図71等を参照して説明する。フレームユニット415は、操作ボタン410の前方側から外周を囲むように、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに前側から取付けられ、操作ボタン410の外側を装飾している。フレームユニット415は、外形が演出操作ユニット取付部326aの前端側に合せた形状に形成されている。
第二演出装飾回転体ユニット530Aのフレームユニット415は、演出装飾回転体ユニット530のフレームユニット415と同一の構成であり、同一の符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
[3−4g−3.装飾基板ユニット]
第二演出装飾回転体ユニット530Aの装飾基板ユニット420について、主に図57、図69乃至図71等を参照して説明する。装飾基板ユニット420は、フレームユニット415の下方で第二ベースユニット450の前面に取付けられ、操作ボタン410の第二ボタン装飾部411b及びフレームユニット415のフレームサイドレンズ417を発光装飾させることができるとともに、第二演出装飾回転体ユニット530Aに振動を付与させることができるものである。
装飾基板ユニット420は、上方側が開放されたC字状の基板ベース421と、基板ベース421における左右両側の前面に夫々取付けられている操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423と、基板ベース421の前面下部に取付けられている振動モータ424と、この振動モータ424の前側を覆うように基板ベース421の前面に取付けられているモータカバー425と、を備えている。
第二演出装飾回転体ユニット530Aの装飾基板ユニット420は、演出装飾回転体ユニット530の装飾基板ユニット420と同一の構成であり、同一の符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
[3−4g−4.第二ベースユニット]
第二演出装飾回転体ユニット530Aの第二ベースユニット450について、主に図73等を参照して詳細に説明する。図73は、第二演出操作ユニットの第二ベースユニットを前から見た斜視図である。第二演出装飾回転体ユニット530Aの第二ベースユニット450は、操作ボタン410を前後方向へ進退可能に取付けているとともに、扉枠側第二演出表示装置460Aが取付けられ、フレームユニット415の後側に取付けられるものである。
第二ベースユニット450は、フレームユニット415の後側に取付けられるユニットベース451と、ユニットベース451の前面から突出しており操作ボタン410のボタンベース413における円筒状の四つのガイドボス部413c内に後方から摺動可能に夫々挿入される円柱状の四つのボタンシャフト452と、四つのボタンシャフト452の夫々が挿通され操作ボタン410のガイドボス部413cの後端を前方へ付勢している操作ボタンバネ(図示は省略)と、ユニットベース451の前面に取付けられており、操作ボタン410におけるボタンベース413の三つの検知片413dを夫々検知する三つの押圧検知センサ454と、を備えている。
第二ベースユニット450のユニットベース451は、円環状の本体部451aと、本体部451aの内周縁から後方へ半球状に突出しているカバー部451bと、本体部451aの前面に対して垂直方向から見た時に上下に延びた略四角形でカバー部451bを前後に貫通している貫通口451cと、本体部451aの前面から後方へ止り孔状に窪んでいる四つの保持孔451dと、本体部451aの上部において前面から後方へ向かって半円状(U字状)に窪んでいる上軸受部451eと、本体部451aの下部において前面から後方へ向かって上軸受部451eと同軸上で半円状(U字状)に窪んでいる下軸受部451fと、本体部451aの上部前面で上軸受部451eの左右両側に形成されておりスクリーンユニット470の回動を規制する一対の回動規制部451gと、を備えている。
ユニットベース451の円環状の本体部451aは、内周と外周とが、C字状に形成されている装飾基板ユニット420の基板ベース421と略同じ大きさに形成されている。この本体部451aの前面に装飾基板ユニット420が取付けられる。カバー部451bは、上軸受部451e及び下軸受部451fにより回転可能に取付けられる扉枠側第二演出表示装置460Aのスクリーンユニット470が回転した時に接触せずに収容可能な大きさに形成されている。貫通口451cは、扉枠側第二演出表示装置460Aのプロジェクタ500が後方から通過可能な大きさに形成されている。
ユニットベース451の四つの保持孔451dは、本体部451aの前面の上下左右の四隅で、操作ボタン410におけるボタンベース413の四つのガイドボス部413cと対応する位置に形成されている。これら保持孔451dは、内径がガイドボス部413cの外径よりも大きく形成されており、ガイドボス部413cを挿入させることができる。これら四つの保持孔451d内には、その中心軸と同軸上にボタンシャフト452が取付けられている。保持孔451dに取付けられたボタンシャフト452の前端は、本体部451aの前面よりも前方へ突出している。保持孔451dに取付けられたボタンシャフト452が操作ボタン410の筒状のガイドボス部413c内に挿入されることで、ガイドボス部413cを介して操作ボタン410を前後方向へ摺動可能に取付けることができる。
四つの保持孔451dのうちの左上側の保持孔451dは、ユニットベース451の中心(操作ボタン410の中心)を通る上下に延びた中心線から、ユニットベース451の中心に対して反時計周りの方向へ約30度回転した位置に形成されている。四つの保持孔451dのうちの右上側の保持孔451dは、ユニットベース451の中心(操作ボタン410の中心)を通る上下に延びた中心線から、ユニットベース451の中心に対して時計周りの方向へ約47度回転した位置に形成されている。一方、四つの保持孔451dのうちの下側に配置されている二つの保持孔451dは、上側の二つの保持孔451dに対してユニットベース451の中心の反対側の位置に夫々形成されている。
四つの保持孔451d内には、図示しない操作ボタンバネが夫々挿入されており、これら操作ボタンバネの前端がガイドボス部413cの後端に当接することで、ガイドボス部413cを介して操作ボタン410を前方へ付勢している。
ユニットベース451の上軸受部451e及び下軸受部451fは、前方が開放されて後方へ延びたU字状に形成されている。上軸受部451e及び下軸受部451fは、半円弧状に延びている部位の中心が同軸上に位置している。上軸受部451e及び下軸受部451fは、前方から扉枠側第二演出表示装置460Aの上軸部材473及び下軸部材474が挿入されたうえで、前側から上部軸受部材480及び下部軸受部材485が本体部451aの前面に取付けられることで、扉枠側第二演出表示装置460Aのスクリーンユニット470を回転可能に支持することができる。
ユニットベース451の一対の回動規制部451gは、夫々の前面が、その延長線(面)が、U字状に後方へ窪んでいる上軸受部451eにおける半円形状の部位の中心軸を通るように形成されており、中心軸を中心として所定角度周方向へ離反している。これら一対の回動規制部451gは、第二演出装飾回転体ユニット530Aに組立てた状態で、スクリーンユニット470における作動ギア部材475のストッパ475bが当接することで、スクリーンユニット470の回動範囲を規制している。本実施形態では、一対の回動規制部451gによりスクリーンユニット470の回動範囲を、90度の角度範囲に規制している。
なお、図示は省略するが、一対の回動規制部451g内には、夫々磁石が埋設されており、ストッパ475bに取付けられている鉄板と磁着することで、回動規制部451gに当接しているストッパ475bを回動規制部451gから離れ難くしている。したがって、回動規制部451g内の磁石と、ストッパ475bの鉄板とによって、スクリーンユニット470において、メインスクリーン471を前方へ向けた第一位置の状態、或いは、サブスクリーン472を前方へ向けた第二位置の状態、の何れかにスクリーンユニット470を保持することができ、操作ボタン410の押圧操作や振動モータ424等による振動によって、スクリーンユニット470が回動しようとする動きを抑制して扉枠側第二演出表示装置460Aによる演出画像を良好な状態で楽しませることができる。
三つの押圧検知センサ454は、ユニットベース451の本体部451aの前面において、操作ボタン410におけるボタンベース413の三つの検知片413dと対応している位置に取付けられている。詳述すると、三つの押圧検知センサ454は、ユニットベース451の本体部451aの前面において、一つが左上の保持孔451dの左下側に、もう一つが右上の保持孔451dの右下側に、残りの一つが左下の保持孔451dの右下側に夫々取付けられている。三つの押圧検知センサ454は、ユニットベース451の中央を中心として周方向へ略等間隔に取付けられている。これら三つの押圧検知センサ454は、操作ボタン410の三つの検知片413dを検知することができる。
[3−4g−5.扉枠側第二演出表示装置]
第二演出装飾回転体ユニット530Aの扉枠側第二演出表示装置460Aについて、主に図70及び図71等を参照視して詳細に説明する。扉枠側第二演出表示装置460Aは、第二ベースユニット450に取付けられており操作ボタン410の透明な部位を通して遊技者に演出画像を見せることができるものである。扉枠側第二演出表示装置460Aは、第二ベースユニット450の上軸受部451e及び下軸受部451fにより上下に延びた軸線周りを回動可能に取付けられているスクリーンユニット470と、第二ベースユニット450の前面上部に取付けられておりスクリーンユニット470の上部側を第二ベースユニット450と協働して回転可能に取付けている上部軸受部材480と、第二ベースユニット450の前面下部に取付けられておりスクリーンユニット470の下部側を第二ベースユニット450と協働して回転可能に取付けている下部軸受部材485と、を備えている。
扉枠側第二演出表示装置460Aは、スクリーンユニット470を回転駆動させ第二ベースユニット450の上部に取付けられている回動駆動ユニット490と、第二ベースユニット450のカバー部451b内に配置され後方からスクリーンユニット470に演出画像を投影表示可能なプロジェクタ500と、プロジェクタ500が取付けられているとともに第二ベースユニット450のカバー部451bを後側から覆うようにユニットベース451の後面取付けられており前方が開放されている箱状のプロジェクタ取付部材505と、第二ベースユニット450の上部における回動駆動ユニット490の正面視左側でスクリーンユニット470の作動ギア部材475を上方から覆うように取付けられている上部カバー506と、上部カバー506に取付けられておりスクリーンユニット470の回動位置(回転位置)を検知する二つの回転検知センサ507と、を備えている。
[3−4g−5a.スクリーンユニット]
扉枠側第二演出表示装置460Aのスクリーンユニット470について、主に図70及び図71等を参照して詳細に説明する。扉枠側第二演出表示装置460Aのスクリーンユニット470は、第二ベースユニット450に上下に延びた軸周りに対して回転可能に取付けられており、プロジェクタ500から演出画像が投射されることで、その演出画像を遊技者から視認可能に表示(投影表示)することができるものである。
スクリーンユニット470は、半円筒状に形成されており乳白色で透光性を有しているメインスクリーン471と、メインスクリーン471の軸方向一端側を外周の一部としている円盤状で中央部が軸方向外方へ膨出するように湾曲しており乳白色で透光性を有しているサブスクリーン472と、メインスクリーン471の両端部の軸方向中央から軸直角方向外方へ夫々円柱状に突出している上軸部材473及び下軸部材474と、上軸部材473の先端に取付けられており外周の略半周に亘ってギア歯475aが形成されている作動ギア部材475と、サブスクリーン472を貫通する透明で所定のキャラクタ(ドクロ)を模したレリーフ状に形成されているサブスクリーン装飾部材476(図74及び図75等を参照)と、サブスクリーン472の裏面側に取付けられておりサブスクリーン472と対向する面に複数のLED477aが実装されているサブスクリーン装飾基板477(図75等を参照)と、メインスクリーン471のサブスクリーン472とは反対側の端部からメインスクリーン471の中心軸へ向かって短く延びている半円弧状の周縁装飾部材478と、を備えている。
スクリーンユニット470の半円筒状のメインスクリーン471は、半径が第二ベースユニット450のユニットベース451における円環状の本体部451aの内径よりも小さい大きさに形成されている。メインスクリーン471は、軸方向の長さが、半円筒状の半径の約4/3倍の大きさに形成されている。メインスクリーン471は、軸方向の両端が、サブスクリーン472の周縁装飾部472aと周縁装飾部材478とによって、縁取られるように装飾されている。
サブスクリーン472は、その中心軸が延びている方向から見た時に、外形が半円筒状のメインスクリーン471の半径と一致している円形状に形成されている(図74(b)を参照)。サブスクリーン472は、外周から中心側へ所定幅で円環状に形成されており四角錘状の凹凸が周方向に複数列設されている周縁装飾部472aと、周縁装飾部472aの内側を閉鎖している湾曲面状のスクリーン一般部472bと、を備えている。サブスクリーン472の周縁装飾部472aは、内周側がメインスクリーン471から遠ざかる方向へ突出するように全体が円錐台状に形成されている。スクリーン一般部472bは、メインスクリーン471から遠ざかる方向へ、半円筒状のメインスクリーン471の半径よりも大きい半径の球面状に膨出している。サブスクリーン472のスクリーン一般部472bには、貫通した穴が形成されており、その穴を閉鎖するようにサブスクリーン装飾部材476が取付けられている。
上軸部材473及び下軸部材474は、夫々第二ベースユニット450におけるユニットベース451の上軸受部451e及び下軸受部451f内に夫々前方から挿入されて回転可能に取付けられる。
作動ギア部材475は、回動駆動ユニット490の第二伝達ギア495と噛合し略半周に亘って形成されているギア歯475aと、ギア歯475aの周方向端部の一方から外方へ突出しているストッパ475bと、ギア歯475aの周方向端部のストッパ475bとは反対側から外方へ平板状に突出している検知片475cと、を備えている。作動ギア部材475のストッパ475bは、第二演出装飾回転体ユニット530Aに組立てた状態で、上軸部材473の軸芯を中心として円弧状に窪んでいる上部軸受部材480の凹部481a内に位置しており、凹部481a内の両端部に位置している第二ベースユニット450におけるユニットベース451の一対の回動規制部451gに当接することでスクリーンユニット470の回動範囲が規制される。
なお、詳細な図示は省略するが、ストッパ475bにおける回動規制部451gと当接する部位には、鉄板が取付けられており、この鉄板が回動規制部451gに埋設されている磁石と磁着できる。
このスクリーンユニット470は、メインスクリーン471を前方へ向けた第一位置と、サブスクリーン472を前方へ向けた第二位置との間で回動することができる。検知片475cは、上部カバー506に取付けられている回転検知センサ507により検知される。
サブスクリーン装飾部材476は、サブスクリーン472におけるスクリーン一般部472bに取付けられている。サブスクリーン装飾部材476は、透明な部材によりドクロを模したレリーフ状に形成されており、その板厚が複雑に変化していることから、透過する光が複雑に乱屈折し、後方が視認し難くなっている。なお、詳細な図示は省略するが、サブスクリーン装飾部材476は、ドクロを模したレリーフ内に「PUSH」の文字が形成されている。
サブスクリーン装飾基板477は、サブスクリーン472の裏面側に、サブスクリーン472との間に隙間が形成されるように取付けられており、前面側(サブスクリーン472を向いている側)に複数のLED477aが実装されている。サブスクリーン装飾基板477は、外形がサブスクリーン装飾部材476よりも小さく形成されており、表面が白色とされている。このサブスクリーン装飾基板477のLED477aを発光させることで、サブスクリーン装飾部材476及びサブスクリーン472を発光装飾させることができる。詳述すると、サブスクリーン装飾基板477は、LED477aを発光させることで、ドクロの「目」の部分と「PUSH」の文字の部分とを、強く発光装飾させることができる。
サブスクリーン装飾基板477は、サブスクリーン472に対して比較的接近させて配置しているとともに、サブスクリーン472との間に光を拡散させる部材を備えていないことから、LED477aを発光させると、LED477aの点光源を遊技者が認識することができる。更に、サブスクリーン装飾基板477は、プロジェクタ500からの光を遮ることができる。したがって、プロジェクタ500によって、サブスクリーン472にサブスクリーン装飾基板477の影を投影させることができる。
周縁装飾部材478は、サブスクリーン472の周縁装飾部472aの一部と同じ形状に形成されており、周縁装飾部472aと同様に四角錘状の凹凸が円弧の周方向に複数列設されている。
上述したように、スクリーンユニット470は、メインスクリーン471とサブスクリーン472のように、互いに異なる二つのスクリーンを備えている。メインスクリーン471は、プロジェクタ500から演出画像が半円筒状の全面に亘って投影され、プロジェクタ500からの投影により遊技者に注目される演出画像の表示を目的としている。一方、サブスクリーン472は、プロジェクタ500からの演出画像が、裏側中央のサブスクリーン装飾基板477の存在により、中央のサブスクリーン装飾部材476の周囲を形成している狭い範囲(メインスクリーン471よりも狭い範囲)に投影され、サブスクリーン装飾部材476の周囲を華やかに彩る演出画像の表示を目的としているとともに、LED477aを用いたサブスクリーン装飾部材476の発光装飾による遊技者への操作ボタン410の押圧操作の促しを目的としている。
[3−4g−5b.上部軸受部材及び下部軸受部材]
扉枠側第二演出表示装置460Aの上部軸受部材480及び下部軸受部材485について、主に図70及び図71を参照して詳細に説明する。上部軸受部材480及び下部軸受部材485は、第二ベースユニット450のユニットベース451における前方へ開放されている上軸受部451e及び下軸受部451fの前側を閉鎖するように、ユニットベース451の本体部451aの前面に取付けられるものである。上部軸受部材480及び下部軸受部材485は、ユニットベース451の上軸受部451e及び下軸受部451fに、スクリーンユニット470の上軸部材473及び下軸部材474を夫々前方から挿入させた状態で、ユニットベース451の前面に取付けることで、上軸部材473及び下軸部材474を第二ベースユニット450に対して回転可能に取付けることができる。
上部軸受部材480は、第二ベースユニット450のユニットベース451の本体部451aの上部に、前方側が開放されている上軸受部451eの前方側を閉鎖するように取付けられる軸受部材481と、軸受部材481の上部前面に取付けられるフレームトップレンズ装飾基板482と、を備えている。軸受部材481は、左右方向中央が最も深くなるように、後面から前方へ向かって円弧状に窪んでいる凹部481aを有している。上部軸受部材480における軸受部材481の凹部481aは、第二演出装飾回転体ユニット530Aに組立てた状態で、スクリーンユニット470の上軸部材473の軸芯を中心とした円弧状に窪んでおり、内部にスクリーンユニット470における作動ギア部材475のストッパ475bが挿入配置されているとともに、凹部481aの円弧の両端にユニットベース451の一対の回動規制部451gが位置している。この円弧状に窪んだ凹部481aにより、作動ギア部材475のストッパ475bが、一対の回動規制部451gの間で良好に回動することができる。
上部軸受部材480のフレームトップレンズ装飾基板482は、表面側に複数のLEDが実装されており、第二演出装飾回転体ユニット530Aに組立てた状態で、フレームユニット415のフレームトップレンズ418の後方に位置している。これにより、フレームトップレンズ装飾基板482のLEDを発光させることで、フレームトップレンズ418を発光装飾させることができる。
下部軸受部材485は、略平板状に形成されており、第二ベースユニット450のユニットベース451における本体部451aの前面に、下軸受部451fの前方を閉鎖するように取付けられる。スクリーンユニット470の下軸部材474を、第二ベースユニット450におけるユニットベース451の下軸受部451fに挿入させた状態で、下部軸受部材485をユニットベース451の前面に取付けることで、下軸部材474を回転可能に取付けることができる。
[3−4g−5c.回動駆動ユニット]
扉枠側第二演出表示装置460Aの回動駆動ユニット490について、主に図70及び図71を参照して詳細に説明する。回動駆動ユニット490は第二ベースユニット450のユニットベース451の上面に取付けられ、スクリーンユニット470を回動駆動させることができるものである。回動駆動ユニット490は、ユニットベース451の上面に取付けられ内部が中空のユニットケース491と、ユニットケース491の下面に取付けられており回転軸がユニットケース491内に突出している切替駆動モータ492と、切替駆動モータの回転軸に固定されている平歯車状の駆動ギア(図示は省略)と、駆動ギアと噛合しておりユニットケース491内に回転可能に取付けられている平歯車状の第一伝達ギア(図示は省略)と、第一伝達ギアと噛合しているとともにスクリーンユニット470における作動ギア部材475のギア歯475aと噛合可能とされておりユニットケース491内に回転可能に取付けられている平歯車状の第二伝達ギア495と、を備えている。
回動駆動ユニット490は、第二演出装飾回転体ユニット530Aに組立てた状態で、第二伝達ギア495が、スクリーンユニット470における作動ギア部材475のギア歯475aと噛合している。回動駆動ユニット490は、切替駆動モータ492を回転駆動させることで、駆動ギア、第一伝達ギア、第二伝達ギア495、及びギア歯475aを介してスクリーンユニット470を前後に延びた軸周りに回動させることができる。
[3−4g−5d.プロジェクタ]
扉枠側第二演出表示装置460Aのプロジェクタ500について、主に図70及び図71等を参照して詳細に説明する。プロジェクタ500は、第二ベースユニット450におけるユニットベース451の半球状のカバー部451b内に配置されており、プロジェクタ取付部材505を介してユニットベース451の後側に取付けられている。プロジェクタ500は、スクリーンユニット470のメインスクリーン471又はサブスクリーン472へ向かって演出画像を照射することで、メインスクリーン471又はサブスクリーン472に演出画像を投影表示させることができる。
プロジェクタ500は、プロジェクタ取付部材505に取付けられる立方体状のプロジェクタ本体501と、プロジェクタ本体501から円柱状に前方へ突出しており前端から演出画像を前方へ照射するレンズ部502と、を備えている。
このプロジェクタ500は、プロジェクタ本体501の後部がプロジェクタ取付部材505に取付けられ、レンズ部502及びプロジェクタ本体501が、ユニットベース451の貫通口451cを後側から通って、カバー部451b内に配置されるように取付けられる。
プロジェクタ500は、スクリーンユニット470のメインスクリーン471やサブスクリーン472の略前面に亘って演出画像を投影させることができ、演出画像として、静止画や動画を投影表示させることができる。このプロジェクタ500は、市販の液晶型プロジェクタとされており、自動焦点機能を有している。
[3−4g−5e.プロジェクタ取付部材]
扉枠側第二演出表示装置460Aのプロジェクタ取付部材505について、主に図70及び図71等を参照して詳細に説明する。プロジェクタ取付部材505は、前方が開放された箱状に形成されており、内部にプロジェクタ500が取付けられるとともに、第二ベースユニット450のユニットベース451の後側に取付けられるものである。このプロジェクタ取付部材505は、第二ベースユニット450のユニットベース451の後側に取付けられることで、ユニットベース451のカバー部451b及びプロジェクタ500の後側を覆うことができる。
プロジェクタ取付部材505は、底壁が水平方向に延びているとともに、後壁が垂直方向に延びており、プロジェクタ500を、操作ボタン410の傾きと一致するように傾斜させた状態で取付けることができる。プロジェクタ取付部材505の後壁には、前後に貫通している複数のスリット505aが形成されており、プロジェクタ500から放出される熱を、スリット505aを通して外部へ排出させることができる。
プロジェクタ取付部材505の正面視右側面には、第二演出操作ユニット中継基板515及び中継基板カバー516が取付けられる。
[3−4g−5f.上部カバー及び回転検知センサ]
扉枠側第二演出表示装置460Aの上部カバー506及び回転検知センサ507について、主に図70及び図71等を参照して詳細に説明する。上部カバー506は、スクリーンユニット470の作動ギア部材475の上方を覆うように、第二ベースユニット450におけるユニットベース451の本体部451aの上面に取付けられている。回転検知センサ507は、スクリーンユニット470の回転位置を検知するためのものであり、上部カバー506の下面に、互いに離間している状態で二つ取付けられている。
二つの回転検知センサ507は、詳細な図示は省略するが、スクリーンユニット470の回転軸を中心にして周方向へ互いに90度の回転角度離れた位置に取付けられており、スクリーンユニット470における作動ギア部材475の検知片475cを検知することができる。具体的には、二つの回転検知センサ507は、スクリーンユニット470のメインスクリーン471が前方を向いている第一位置の時の検知片475cと、サブスクリーン472が前方を向いている第二位置の時の検知片475cと、を夫々検知することができる。これら二つの回転検知センサ507による検知片475cの検知信号に基づいて、回動駆動ユニット490の切替駆動モータ492の回転駆動が制御されている。
[3−4g−6.緩衝ユニット]
第二演出装飾回転体ユニット530Aの緩衝ユニット510について、主に図70及び図71等を参照して詳細に説明する。緩衝ユニット510は、扉枠側第二演出表示装置460Aの下面に取付けられており、上方から第二演出装飾回転体ユニット530Aが叩かれたりした時の衝撃を緩和させて、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の底板部326iに伝達させるものである。
緩衝ユニット510は、上面が扉枠側第二演出表示装置460Aにおけるプロジェクタ取付部材505の下面に接触している弾性変形可能な平板状の緩衝部材511と、緩衝部材511の下面に当接しておりプロジェクタ取付部材505の下面に対して相対的に接近可能に取付けられている緩衝ベース512と、を備えている。
緩衝ユニット510の緩衝ベース512は、緩衝部材511の下面と当接する平板状の本体部512aと、本体部512aの正面視左右両端辺から下方へ突出しているとともに前後方向に延びている脚片部512bと、を備えている。緩衝ベース512の脚片部512bは、扉枠3に組立てた状態で、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の底板部326iの上面に接触している。
この緩衝ユニット510は、操作ボタン410やフレームユニット415を強く下方へ押圧したり叩いたりした時に、ベースユニット430に取付けられているプロジェクタ取付部材505が、緩衝ユニット510における緩衝部材511を圧縮するように下方へ移動する。この緩衝部材511が圧縮されることで衝撃が吸収される。プロジェクタ取付部材505が更に下方へ移動した場合、プロジェクタ取付部材505の下面が緩衝ベース512の本体部512aの上面側に当接する。この本体部512aは、左右の脚片部512bによって、皿ユニットカバー326の底板部326iの上面との間に隙間が形成されているため、本体部512aの上面側に当接しているプロジェクタ取付部材505が更に下方へ移動すると、平板状の本体部512aが撓むこととなり、本体部512aの撓みによっても衝撃を吸収することができる。更に、プロジェクタ取付部材505が下方へ移動した場合、下方へ撓んでいる本体部512aの下面が、皿ユニットカバー326の底板部326iの上面に当接し、本体部512aのこれ以上の撓みが規制され、衝撃が皿ユニットカバー326に伝達されることとなる。このように、操作ボタン410やフレームユニット415を上方から強く叩かれた時に、その衝撃を多段階で吸収させることができ、フレームユニット415の取付部416eや皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a等に無理な力が作用するのを回避させて、それらの破損を防止することができる。
[3−4g−7.第二演出操作ユニットの作用効果]
第二演出装飾回転体ユニット530Aの作用効果について、主に図74乃至図77等を参照して詳細に説明する。図74(a)はスクリーンユニットのメインスクリーンを前方へ向けた状態で操作ボタンの中心軸が延びている方向から第二演出操作ユニットを見た説明図であり、(b)はスクリーンユニットのサブスクリーンを前方へ向けた状態で操作ボタンの中心軸が延びている方向から第二演出操作ユニットを見た説明図である。図75(a)は図74(a)におけるJ−J線で切断した断面図であり、(b)は図74(b)におけるK−K線で切断した断面図である。図76(a)はメインスクリーンを前方へ向けた状態で第二演出操作ユニットを操作ボタンの中心軸の延びている方向から見た図において操作ボタンの第一ボタン装飾部やボタンフレーム等によって隠そうとしている部位を示す説明図であり、(b)は(a)の状態の第二演出操作ユニットの断面図において操作ボタンの第一ボタン装飾部やボタンフレーム等によって隠そうとしている部位を示す説明図である。図77(a)はサブスクリーンを前方へ向けた状態で第二演出操作ユニットを操作ボタンの中心軸の延びている方向から見た図において操作ボタンの第一ボタン装飾部やボタンフレーム等によって隠そうとしている部位を示す説明図であり、(b)は(a)の状態の第二演出操作ユニットの断面図において操作ボタンの第一ボタン装飾部やボタンフレーム等によって隠そうとしている部位を示す説明図である。
本実施形態の第二演出装飾回転体ユニット530Aは、遊技盤5の遊技領域5a内に遊技球が打込まれることで変化する遊技状態に応じて、操作ボタン410内の装飾を変化させたり、操作ボタン410内に演出画像を表示させたりして遊技者を楽しませることができるとともに、遊技者に操作ボタン410の操作をさせて、遊技者に提示した演出に遊技者を参加させることができるものである。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、全高が、扉枠3の扉枠ベースユニット100における扉枠ベース110の貫通口111の下側の部位の高さと略同じ高さに形成されている。第二演出装飾回転体ユニット530Aは、全幅が、扉枠3の全幅の1/3よりも若干大きく形成されている。第二演出装飾回転体ユニット530Aは、正面視において、遊技領域5a(扉枠ベース110の貫通口111)の下側で左右方向の中央に配置されている。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、フレームユニット415のフレーム本体416の上部が、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられている。第二演出装飾回転体ユニット530Aは、皿ユニット320に取付けた状態で、緩衝ユニット510の緩衝ベース512の脚片部512bの下端と、皿ユニット320の皿ユニットカバー326における底板部326iの上面との間に、隙間が形成されている。つまり、第二演出装飾回転体ユニット530Aは、皿ユニット320に対して上部のみが取付けられており、吊下げられた状態に取付けられている。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、フレームユニット415の前面(フレーム本体416の中央開口部416aの前端内周により形成される面)が、演出操作ユニット取付部326aの前端開口の傾斜面と平行になるように取付けられている。これにより、第二演出装飾回転体ユニット530Aは、湾曲面状(略球面の一部の形状)に前方へ膨出している透明な操作ボタン410の中心軸線CL(図67を参照)が、垂直線に対して63度の角度で、前方へ向かうに従って上方へ移動するように傾斜している。これにより、本パチンコ機1を用いて遊技を行うために本パチンコ機1の前で遊技者が着座すると、遊技者の頭部が皿ユニット320(第二演出装飾回転体ユニット530A)の上方に配置されている遊技盤5における遊技領域5aの中央の前方に位置するため、操作ボタン410の中心軸線CLが、遊技者の頭部付近を通ることとなる。したがって、遊技者が遊技領域5aから第二演出装飾回転体ユニット530A(操作ボタン410)に視線を落すと、操作ボタン410がその正面視(中心軸線CLと平行な方向からの投影視)に可及的に近い状態で見えることとなり、操作ボタン410や操作ボタン410内の扉枠側第二演出表示装置460A等を良好な状態で視認することができる。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、操作ボタン410の四つの筒状のガイドボス部413cに、第二ベースユニット450におけるユニットベース451の四つの保持孔451d内に保持されているボタンシャフト452が夫々摺動可能に挿入されているとともに、図示しない操作ボタンバネにより前方へ付勢されている。第二演出装飾回転体ユニット530Aは、通常の状態(操作ボタン410を押圧操作していない状態)では、操作ボタンバネの付勢力によって、操作ボタン410のボタンベース413のフランジ部413bの前端が、フレームユニット415のフレーム本体416の後面における中央開口部416a付近の部位に当接している。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、通常の状態では、操作ボタン410におけるボタンフレーム412の内周付近から中央側(中心軸線CL側)が、フレームユニット415におけるフレーム本体416の中央開口部416aから前方へ突出している。換言すると、操作ボタン410における湾曲面状(略球面の一部の形状)に前方へ膨出している透明なボタンレンズ411において、ボタンフレーム412の内周(内側)から前方へ突出している部位が、フレームユニット415のフレーム本体416の中央開口部416aから前方へ突出している(図67等を参照)。
因みに、本実施形態では、フレームユニット415におけるフレーム本体416の中央開口部416aの直径が約15cmとされており、操作ボタン410の中心軸線CL方向に対してボタンレンズ411(の前端)がフレームユニット415の前面から約4cm前方へ突出している。
通常の状態において、遊技者が第二演出装飾回転体ユニット530Aの操作ボタン410を押圧操作すると、操作ボタン410は操作ボタンバネの付勢力に抗して中心軸線CLに沿って後方へ移動する。操作ボタン410の後端が第二ベースユニット450のユニットベース451における本体部451aの前面に当接すると、後方への移動が規制されて操作ボタン410の後方への移動が停止する。遊技者が操作ボタン410を押圧操作する時には、湾曲面状(略球面の一部の形状)に前方へ膨出しているボタンレンズ411を押圧する。
この操作ボタン410は、従来のパチンコ機に備えられている演出用の操作ボタンと比較して、外径が非常に大きく形成されているため、ボタンレンズ411の中央部分から離れた周縁付近が押圧される可能性が高い。詳述すると、従来のパチンコ機における演出用の操作ボタンは、その中心軸線が垂直線と略平行に延びるように取付けられているのに対して、本実施形態の第二演出装飾回転体ユニット530Aの操作ボタン410は、中心軸線CLが垂直線に対して傾いて取付けられているため、遊技者が従来のパチンコ機と同様に上方から操作ボタン410を押圧すると、操作ボタン410の中心軸線CLから離れた部位を押圧することとなる(図61を参照)。
ところで、従来のパチンコ機における演出用の操作ボタンは、遊技者が押圧操作する面が平坦な面に形成されていることから、押圧操作する部位を平坦な面としたまま操作ボタンを大きくした場合、操作ボタンの中央から外れた部位を押圧すると、その押圧された部位が先に後退するように押圧操作する面が傾いてしまい、操作ボタンが真直ぐに後退することができなくなって、操作ボタンを押圧操作することができなくなる虞がある。
これに対して、本実施形態の第二演出装飾回転体ユニット530Aの操作ボタン410は、遊技者が押圧操作する部位(ボタンレンズ411)が、前方へ膨出した湾曲面状(略球面の一部の形状)としているため、操作ボタン410の中央から離れた位置を押圧操作した場合、その力が操作ボタン410の全体に分散されて操作ボタン410が傾き難くなり、操作ボタン410が真直ぐに後方へ移動することができる。したがって、操作ボタン410の前面側のどの位置を押圧操作しても、操作ボタン410が傾くことなくスムーズに後退することができるため、押圧操作を確実に検知させることができ、操作ボタン410を押圧操作する演出を十分に楽しませることができる。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、装飾基板ユニット420における基板ベース421の前面下部に振動モータ424が取付けられている上で、上述したように、第二演出装飾回転体ユニット530Aが吊下げられるように上部のみが皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられているため、振動モータ424により錘424aを回転させて振動を発生させると、取付けられている部位から最も離れた部位で振動が発生することから、第二演出装飾回転体ユニット530A全体を大きく(強く)振動させることができ、第二演出装飾回転体ユニット530Aに触れている遊技者に対して振動を伝達させることができる。振動モータ424を、比較的遊技者が押圧操作し易い位置(操作ボタン410の上部付近)の直下に配置しているため、操作ボタン410を押圧操作している遊技者に対して強い振動を伝達させることができ、遊技者を驚かせて演出を楽しませることができる。
更に、第二演出装飾回転体ユニット530Aは、吊下げられたような状態で皿ユニットカバー326に取付けられているとともに、扉枠側第二演出表示装置460Aのプロジェクタ取付部材505と皿ユニットカバー326の底板部326iの上面との間に、緩衝ユニット510を配置している。この緩衝ユニット510は、弾性変形可能な緩衝部材511を備えているとともに、緩衝部材511が上面に当接している本体部512aと皿ユニットカバー326の底板部326iとの間に隙間を形成しているため、操作ボタン410やフレームユニット415を強く下方へ押圧したり叩いたりした時に、その衝撃を緩衝部材511の弾性変形(圧縮)や、緩衝ベース512の本体部512aの撓み等によって多段階に吸収することができ、フレームユニット415の取付部416eや皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a等に無理な力が作用するのを回避させることができ、第二演出装飾回転体ユニット530A等の破損を防止することができる。したがって、第二演出装飾回転体ユニット530Aの操作ボタン410を押圧操作する演出を遊技者に提示した時等に、強い力で操作ボタン410やフレームユニット415が押圧操作されたり叩かれたりしても、操作ボタン410や第二演出装飾回転体ユニット530A等が破損することはないため、破損による遊技の中断を回避させることができ、遊技者の興趣の低下を抑制させることができるとともに、破損し難くすることで遊技ホール側の負担の増加を抑制させることができる。
なお、遊技者が押圧操作する操作ボタン410のボタンレンズ411を、前方へ突出している湾曲面状(略球面の一部の形状)に形成しているため、平板状とした場合と比較して強度・剛性が高くなっているとともに、強く叩かれても、その衝撃をボタンレンズ411全体へ分散させることができ、破損し難くなっている。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、ボタンレンズ411、フレームサイドレンズ417、及びフレームトップレンズ418が、透明な部材で構成されているため、それらの裏面側に形成されている第一ボタン装飾部411a、及び第二ボタン装飾部411b等の凹凸による装飾が、前方側(遊技者側)から視認することができる(図63を参照)。それら凹凸の装飾が形成されている部位では、板厚が変化していることら光が複雑に屈折するため、凹凸の装飾が形成されている部位を通しては後側が視認し難くなっている。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、操作ボタン410のボタンレンズ411におけるボタンフレーム412の内周から中央側へ延びている第一ボタン装飾部411aを備えているため、この第一ボタン装飾部411aの複数の三角形を組合せた凹凸の装飾によりボタンレンズ411の内側となる部位の外周縁の部位において後方を見え辛くすることができる。第一ボタン装飾部411aが形成されている部位の後方(中心軸線CL方向の後方)には、操作ボタン410のボタンベース413の本体部413aの内周面と、扉枠側第二演出表示装置460Aのスクリーンユニット470の外周との間の隙間が位置しているが、その隙間の前方に位置する第一ボタン装飾部411aによって前方側(遊技者側)から、スクリーンユニット470の外側や後側の部材を見え難くすることができる。これにより、押圧操作可能な操作ボタン410内に、扉枠側第二演出表示装置460Aを備えても、操作ボタン410の見栄えの悪化を防止することができ、操作ボタン410を見た遊技者が不快感を抱くのを防止することができるとともに、透明な操作ボタン410内に扉枠側第二演出表示装置460Aを問題なく配置することができ、操作ボタン410の見栄えを良くすることができる。
詳述すると、第二演出装飾回転体ユニット530Aは、操作ボタン410におけるボタンレンズ411の第一ボタン装飾部411a、第二ボタン装飾部411b、及びボタンフレーム412によって、扉枠側第二演出表示装置460Aにおけるメインスクリーン471やサブスクリーン472等の外周よりも外側で後方側(奥側)にある第二ベースユニット450、上軸部材473及び下軸部材474等が、透明なボタンレンズ411を通して遊技者側から見えないように形成されている。具体的には、スクリーンユニット470のメインスクリーン471を前方へ向けた第一位置の状態では、メインスクリーン471の上下外側、サブスクリーン472の周縁装飾部472aの左外側、及び周縁装飾部材478の右外側の部位(図76において、一点鎖線で囲んだクロスハッチの部位)が、遊技者側から見えないようにしている。
一方、スクリーンユニット470のサブスクリーン472を前方へ向けた第二位置の状態では、サブスクリーン472の円環状の周縁装飾部472aの外側の部位(図76において、一点鎖線で囲んだクロスハッチの部位)が、遊技者側から見えないようにしている。このように、操作ボタン410に第一ボタン装飾部411a、第二ボタン装飾部411b、及びボタンフレーム412等を備えているため、メインスクリーン471やサブスクリーン472の外側や奥側を見え難くして隠すことができ、操作ボタン410、ひいては、第二演出装飾回転体ユニット530A全体の見栄えを良くすることができる。
メインスクリーン471が前方を向いている第一位置の状態では、ボタンレンズ411の第一ボタン装飾部411a、第二ボタン装飾部411b、及びボタンフレーム412等によって、サブスクリーン472のスクリーン一般部472b及びサブスクリーン装飾部材476や、上軸部材473及び下軸部材474が、見え難くなっている(図76を参照)。これにより、遊技者が、サブスクリーン472の存在や、メインスクリーン471が回転可能であること等に、気付き難くなるため、スクリーンユニット470を回転させてメインスクリーン471からサブスクリーン472に切替えると、操作ボタン410内において遊技者の予想を超えた動きが行われることで遊技者に強いインパクトを与えることができ、遊技者を楽しませて興趣の低下を抑制させることができる。
更に、サブスクリーン472が前方を向いている第二位置の状態では、ボタンレンズ411の第一ボタン装飾部411a、第二ボタン装飾部411b、及びボタンフレーム412等によって、上軸部材473及び下軸部材474が見え難くなっている(図77を参照)。これにより、遊技者が、サブスクリーン472(サブスクリーン装飾部材476)が回転可能であることに気付き難くなるため、サブスクリーン472(スクリーンユニット470)を回転させた時のインパクトを高めることができ、遊技者を楽しませることができる。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、操作ボタン410における後側に配置されている扉枠側第二演出表示装置460Aを視認することができるボタンレンズ411において、ボタンフレーム412の内周から中心側へ所定幅の範囲内に、複数の三角形状の面を組合せた多面体状の第一ボタン装飾部411aを備えているとともに、操作ボタン410の内側後方に配置されている扉枠側第二演出表示装置460Aに、複数の四角錘を列設したサブスクリーン472の周縁装飾部472aや、周縁装飾部材478を備えている。これにより、前側に配置された三角形からなる装飾(第一ボタン装飾部411a)と後側に配置された四角形からなる装飾(周縁装飾部472a及び周縁装飾部材478)とが、交差するように重なって見えることとなり、複雑な幾何学模様を遊技者に見せることができ、見栄えを良くして遊技者の興趣の低下を抑制させることができる。
上述したように、三角形を主体とした第一ボタン装飾部411aと、四角形を主体とした周縁装飾部472a及び周縁装飾部材478とが、前後方向に離れているため、遊技者の目の位置が移動すると、それらの重なり具合が変化するため、重なって見える幾何学模様が変化して動きのある装飾を遊技者に見せることができるとともに、奥行きのある立体的な感じの装飾を遊技者に見せることができ、遊技者を楽しませることができる。
更に、操作ボタン410の内側後方に配置されている扉枠側第二演出表示装置460Aでは、切替駆動モータ492の駆動によりスクリーンユニット470を回動させてメインスクリーン471を前方へ向けたり、サブスクリーン472を前方へ向けたりすることができ、複数の四角形からなる装飾を変化させることができる。詳述すると、メインスクリーン471を前方へ向けた状態では、図74(a)に示すように、周縁装飾部472a及び周縁装飾部材478が左右に離間して上下に延びている状態となり、上下に列設された複数の四角錘からなる装飾が、ボタンレンズ411における第一ボタン装飾部411aの円環状に列設された複数の三角形からなる装飾を縦断しているような幾何学模様の装飾を遊技者に見せることができる。一方、サブスクリーン472を前方へ向けた状態では、図74(b)に示すように、周縁装飾部472aが円環状の延びている状態となり、環状に列設された複数の四角錘からなる装飾が、ボタンレンズ411における第一ボタン装飾部411aの円環状に列設された複数の三角形からなる装飾と重なった幾何学模様の装飾を遊技者に見せることができる。したがって、スクリーンユニット470を回動させることで、操作ボタン410の装飾(物理的な装飾)を変化させることができるため、装飾の変化によって遊技者の関心を操作ボタン410に引付けたり、装飾の変化によって遊技者にチャンスの到来等を示唆させたりすることができ、遊技者を楽しませて興趣の低下を抑制させることができる。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、操作ボタン410内に備えられている扉枠側第二演出表示装置460Aに、切替可能な形態の異なるスクリーン(メインスクリーン471及びサブスクリーン472)を有したスクリーンユニット470と、スクリーンユニット470に演出画像を投影表示させるプロジェクタ500と、を備えているため、液晶表示装置による演出画像の表示とは全く異なる演出画像を表示させることができ、遊技者に強いインパクトを与えて楽しませることができる。詳述すると、スクリーンユニット470は、半円筒状のメインスクリーン471と、円盤状で中央にレリーフ状のサブスクリーン装飾部材476を有するサブスクリーン472とが、上軸部材473及び下軸部材474の中心軸を中心として90度の回転角度周方向へ離間して備えられている。
扉枠側第二演出表示装置460Aにおいて、スクリーンユニット470のメインスクリーン471を前方へ向けた第一位置の状態では、半円筒状の中心軸が左右方向へ延びるように位置しており、正面から見ると上下に延びた四角形(長方形)に見える(図74(a)を参照)。このメインスクリーン471の後方に配置されているプロジェクタ500から演出画像を前方へ照射すると、その演出画像がメインスクリーン471の後面に投影され(図75(a)を参照)、透光性を有する乳白色のメインスクリーン471を通して、前方側から投影された演出画像を視認することができる。このメインスクリーン471は、表面が滑らかな半円筒状に形成されていることから、演出画像が表示画面も半円筒状に湾曲している。これにより、一般的な液晶表示装置の表示画面が平面であるのに対して、メインスクリーン471の表示画面が半円筒状に湾曲しているため、遊技者に対して一見して従来の表示画面とは異なるものであることを認識させることができ、遊技者を驚かせることができるとともに、遊技者をメインスクリーン471に注目させることができ、メインスクリーン471に投影表示される演出画像を楽しませることができる。
一方、スクリーンユニット470のサブスクリーン472を前方へ向けた第二位置の状態では、円盤状の中心軸が操作ボタン410の中心軸と略一致しており、正面から見ると円形の操作ボタン410の中央にドクロを模したサブスクリーン装飾部材476が位置した状態に見える(図74(b)を参照)。この状態で後方に配置されているプロジェクタ500から前方へ演出画像を照射すると、その演出画像がサブスクリーン472の後面に投影される。ところで、サブスクリーン472の後側には平板状で不透光性のサブスクリーン装飾基板477が取付けられているため、このサブスクリーン装飾基板477の部位ではプロジェクタ500から照射された演出画像(光)が遮られることとなり、サブスクリーン472の後面の中央部分には、サブスクリーン装飾基板477の影が投影されることとなる(図75(b)を参照)。したがって、サブスクリーン472では、サブスクリーン装飾基板477の影が投影される中央部分を除いた外周の部分に、プロジェクタ500からの演出画像が投影表示される。この際に、サブスクリーン装飾基板477の前面に実装されているLED477aを発光させると、その光によってサブスクリーン472の中央部分を発光装飾させることができ、サブスクリーン472の中央に備えられているサブスクリーン装飾部材476を発光装飾させることができる。サブスクリーン装飾基板477のLED477aを発光させることで、プロジェクタ500からの光によりサブスクリーン472の後面に投影されるサブスクリーン装飾基板477の影を見え難くすることができ、サブスクリーン472の前面側全体を明るく発光装飾させることができる。
この扉枠側第二演出表示装置460Aは、スクリーンユニット470のサブスクリーン472を前方へ向けた状態で、サブスクリーン装飾基板477のLED477aを発光させるとともに、プロジェクタ500から前方へ演出画像(動画)を照射させると、サブスクリーン472におけるサブスクリーン装飾基板477の影が投影されていない部位、つまり、ドクロを模した装飾からなるサブスクリーン装飾部材476の外側の部位に、演出画像が表示され、演出画像の内側となるサブスクリーン装飾部材476がサブスクリーン装飾基板477のLED477aによって発光装飾される。この状態では、固定されたサブスクリーン装飾部材476の発光装飾の外側が、演出画像(動画)によって装飾されることとなり、これまでのパチンコ機における装飾部材の発光装飾とは全く異なった装飾演出を遊技者に見せることができ、遊技者に強いインパクトを与えることができるとともに、サブスクリーン472に対して遊技者を強く注目させることができる。この状態では、演出画像の内側において、LED477aの光が、演出画像の明るさよりも明るく(高輝度で)輝くため、従来の液晶表示装置では成し得ない部分的に高輝度な演出画像を表示させることができ、遊技者の関心を強く引付けることができるとともに、遊技者をより楽しませられる演出画像を表示させることができる。
扉枠側第二演出表示装置460Aでは、プロジェクタ500から前方へ演出画像を照射させた状態で、前方へ向いているスクリーンを適宜方向へ回転させて、メインスクリーン471からサブスクリーン472に変更したり、サブスクリーン472からメインスクリーン471に変更したりすると、メインスクリーン471及びサブスクリーン472が回転している途中では、メインスクリーン471及びサブスクリーン472におけるプロジェクタ500の投影範囲に位置している部位に、演出画像が投影表示される。つまり、演出画像が、メインスクリーン471とサブスクリーン472とに跨るように表示される。したがって、メインスクリーン471からサブスクリーン472にゆっくり変更させると、プロジェクタ500から投影されている演出画像上に、周縁装飾部472aやサブスクリーン装飾部材476が回転移動してくるような不思議な視覚演出を遊技者に見せることができ、遊技者を楽しませることができる。
このように、第二演出装飾回転体ユニット530Aは、操作ボタン410の第一ボタン装飾部411aと扉枠側第二演出表示装置460Aにおけるスクリーンユニット470の装飾(周縁装飾部472a及び周縁装飾部材478)とによって、動きがあり立体感のある装飾を遊技者に見せることができるため、遊技者の関心を強く引付けることができ、訴求力の高いパチンコ機1とすることができる。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、操作ボタン410内(ボタンフレーム412の内側)の後方には、前面にLED477aが実装されているサブスクリーン装飾基板477や前方へ演出画像等の光を照射可能なプロジェクタ500を有する扉枠側第二演出表示装置460Aを備えており、扉枠側第二演出表示装置460Aによって操作ボタン410内を良好に発光装飾させることができる。
第二演出装飾回転体ユニット530A、操作ボタン410の外周付近に位置するボタンフレーム412のフレーム開口部412aから臨む第二ボタン装飾部411bの後方に、装飾基板ユニット420における操作ボタン左外装飾基板422の第一LED422a及び操作ボタン右外装飾基板423の第一LED423aが配置されており、それら第一LED422a,423aを発光させることで、操作ボタン410の六つの第二ボタン装飾部411bを発光装飾させることができる。操作ボタン左外装飾基板422の第一LED422a及び操作ボタン右外装飾基板423の第一LED423aは、図68に示すように、操作ボタン410のボタンベース413における筒状の本体部413aと、フレームユニット415のフレーム本体416における筒状の内側筒部416dとの間に位置しており、第一LED422a,423aからの光が本体部413aの内側や内側筒部416dの外側へ漏れることはなく、操作ボタン410の第二ボタン装飾部411bのみを良好に発光装飾させることができる。
更に、第二演出装飾回転体ユニット530Aは、フレームユニット415におけるフレーム本体416の六つの外周開口部416bから臨むフレームサイドレンズ417の後方に、操作ボタン左外装飾基板422の第二LED422b及び操作ボタン右外装飾基板423の第二LED423bが配置されており、それら第二LED422b,423bを発光させることでフレームサイドレンズ417を発光装飾させることができる。操作ボタン左外装飾基板422の第二LED422b及び操作ボタン右外装飾基板423の第二LED423bは、フレームユニット415のフレーム本体416における筒状の内側筒部416dとフレーム本体416の外周との間に位置しており、第二LED422b,423bからの光が内側筒部416dの内側やフレーム本体416の外側へ漏れることはなく、フレームユニット415のフレームサイドレンズ417のみを良好に発光装飾させることができる。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、フレームユニット415のフレームトップレンズ418の後方に、扉枠側第二演出表示装置460Aにおける上部軸受部材480のフレームトップレンズ装飾基板482が配置されており、フレームトップレンズ装飾基板482の前面に実装されている複数のLEDを発光させることで、フレームトップレンズ418を良好に発光装飾させることができる。
第二演出装飾回転体ユニット530Aは、操作ボタン410の内側後方に配置されている扉枠側第二演出表示装置460Aのスクリーンユニット470を回動させることで、互いに形態の異なる表示画面を有したメインスクリーン471又はサブスクリーン472に切替えて演出画像を表示させることができ、表示画面の形状が変化する(切替わる)と言う従来のパチンコ機で有りえない演出を遊技者に提示することができ、遊技者に強いインパクトを与えて楽しませることができる。
[3−4h.演出操作ユニットの第三実施形態の全体構成]
次に、上記の演出装飾回転体ユニット530の第三実施形態である第三演出装飾回転体ユニット530Bについて、主に図78乃至図85等を参照して詳細に説明する。図78(a)は図48乃至図77の演出操作ユニット及び第二演出操作ユニットとは実施形態の異なる第三演出操作ユニットの正面図であり、(b)は第三演出操作ユニットの右側面図である。図79は、第三演出操作ユニットの背面図である。図80(a)は第三演出操作ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は第三演出操作ユニットを後ろから見た斜視図である。図81は、第三演出操作ユニットを操作ボタンの中心軸の延びている方向から見た説明図である。図82は、図79(a)におけるL−L線で切断した断面図である。図83は、図78(b)におけるM−M線で切断した断面図である。図84は第三演出操作ユニットを主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図85は第三演出操作ユニットを主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、上記の演出装飾回転体ユニット530や第二演出装飾回転体ユニット530Aに替えて皿ユニット320の演出操作ユニット取付部326aに取付けることができるものである。この第三演出装飾回転体ユニット530Bは、演出装飾回転体ユニット530と同様に、遊技者が押圧操作することができるものである。以下では、第三演出装飾回転体ユニット530Bにおいて、演出装飾回転体ユニット530と同一の構成部材については、同一の符号を付して説明する。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、外形が円形で外周縁を除いた中央側が透明に形成されており遊技者が押圧操作可能な操作ボタン410と、操作ボタン410の外周を囲み皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられる枠状のフレームユニット415と、操作ボタン410よりも後方に配置されており操作ボタン410の外周縁及びフレームユニット415を発光装飾させることが可能な装飾基板ユニット420と、フレームユニット415の後側に取付けられており操作ボタン410及び装飾基板ユニット420が前面に取付けられている第三ベースユニット520と、操作ボタン410を通して遊技者側から視認可能に第三ベースユニット520に取付けられている装飾回転体ユニット530と、を備えている。
[3−4h−1.操作ボタン]
第三演出装飾回転体ユニット530Bの操作ボタン410について、主に図84及び図85等を参照して詳細に説明する。第三演出装飾回転体ユニット530Bの操作ボタン410は、外形が皿ユニット320の上下方向の高さよりも若干小さい直径の円形に形成されており、外周縁を除いた中央側が透明に形成されている。この操作ボタン410は、外周が円形で中央側が前方へ膨出するように湾曲面状(略球面の一部の形状)に形成されている透明なボタンレンズ411と、ボタンレンズ411の外周縁の前側に取付けられている円環状のボタンフレーム412と、ボタンフレーム412の後側にボタンレンズ411の外周縁を挟持するように取付けられている円筒状のボタンベース413と、を備えている。
第三演出装飾回転体ユニット530Bの操作ボタン410は、演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410と同一の構成であり、同一の符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
[3−4h−2.フレームユニット]
第三演出装飾回転体ユニット530Bのフレームユニット415について、主に図84及び図85等を参照して説明する。フレームユニット415は、操作ボタン410の前方側から外周を囲むように、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに前側から取付けられ、操作ボタン410の外側を装飾している。フレームユニット415は、外形が演出操作ユニット取付部326aの前端側に合せた形状に形成されている。
フレームユニット415は、円形の中央開口部416a、中央開口部416aの周縁に沿って列設されている複数の外周開口部416b、及び中央開口部416aの上側前面において所定幅で切欠かれている切欠部416cを有し、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられる枠状のフレーム本体416と、外周開口部416bを閉鎖するようにフレーム本体416に後側から取付けられる透光性を有した一対のフレームサイドレンズ417と、切欠部416cを閉鎖するようにフレーム本体416に前側から取付けられる透光性を有したフレームトップレンズ418と、を備えている。
第三演出装飾回転体ユニット530Bのフレームユニット415は、演出装飾回転体ユニット530のフレームユニット415と同一の構成であり、同一の符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
[3−4h−3.装飾基板ユニット]
第三演出装飾回転体ユニット530Bの装飾基板ユニット420について、主に図84及び図85等を参照して説明する。装飾基板ユニット420は、フレームユニット415の下方で第三ベースユニット520の前面に取付けられ、操作ボタン410の第二ボタン装飾部411b及びフレームユニット415のフレームサイドレンズ417を発光装飾させることができるとともに、第三演出装飾回転体ユニット530Bに振動を付与させることができるものである。
装飾基板ユニット420は、上方側が開放されたC字状の基板ベース421と、基板ベース421における左右両側の前面に夫々取付けられている操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423と、基板ベース421の前面下部に取付けられている振動モータ424と、振動モータ424の前側を覆うように基板ベース421の前面に取付けられているモータカバー425と、を備えている。
操作ボタン左外装飾基板422及び操作ボタン右外装飾基板423は、操作ボタン410の第二ボタン装飾部411bのみを発光装飾させることができる第一LED422a及び第一LED423aと、フレームユニット415のフレームサイドレンズ417のみを発光装飾させることができる第二LED422b及び第二LED423bと、を備えている。
第三演出装飾回転体ユニット530Bの装飾基板ユニット420は、演出装飾回転体ユニット530の装飾基板ユニット420と同一の構成であり、同一の符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
[3−4h−4.第三ベースユニット]
第三演出装飾回転体ユニット530Bの第三ベースユニット520について、主に図86等を参照して詳細に説明する。図86は、第三演出操作ユニットの第三ベースユニットを前から見た斜視図である。第三演出装飾回転体ユニット530Bの第三ベースユニット520は、操作ボタン410を前後方向へ進退可能に取付けているとともに、装飾回転体ユニット530が取付けられ、フレームユニット415の後側に取付けられるものである。
第三ベースユニット520は、フレームユニット415の後側に取付けられ中央部において半球状に後方へ窪んでいる収容壁部521a、及び収容壁部521aの外側で前方に開放された止り孔からなる四つの保持孔521bを有する環状のユニットベース521と、ユニットベース521の前面上部に取付けられているフレームトップレンズ装飾基板522と、ユニットベース521の四つの保持孔521b内に夫々挿入されている四つの操作ボタンバネ523と、ユニットベース521の前面に取付けられている三つのセンサホルダ524と、各センサホルダ524に夫々取付けられており操作ボタン410の押圧操作を検知する三つの押圧検知センサ525と、ユニットベース521の後側に取付けられている第三演出操作ユニット中継基板526と、第三演出操作ユニット中継基板526の後側を覆うようにユニットベース521の後側に取付けられている中継基板カバー527と、を備えている。
第三ベースユニット520は、ユニットベース521の左側面に取付けられている演出操作ユニット第一駆動モータ528(熱源)と、この演出操作ユニット第一駆動モータ528の回転軸に取付けられている平歯車状の第一駆動ギア(図示は省略)と、第一駆動ギアと噛合しておりユニットベース521に回転可能に取付けられている平歯車状の第一伝達ギア529と、を備えている。第一伝達ギア529は、後述する装飾回転体ユニット530の回転体ギア531aと噛合する。
ユニットベース521は、外形が略円形状で、フレームユニット415の外形よりも若干小さく形成されている。ユニットベース521は、収容壁部521a及び保持孔521bの他に、前面上部において、フレームトップレンズ装飾基板437が取付けられる部位の下側から平板状に前方へ突出している遮光壁部521cと、収容壁部521aを貫通している複数の換気口521dと、収容壁部521aの左外側且つ上下方向の略中央から前方へ突出している左突出部521eと、左突出部521eと対向するように収容壁部521aの右外側且つ上下方向の略中央から前方へ突出している右突出部521fと、左突出部521eから右方へ円柱状に延びている左軸部521gと、左軸部521gの延長軸線(第一軸線CL1)に対して同軸上で右突出部521fを貫通している右軸受部521hと、を備えている。
ユニットベース521の後方へ半球状に窪んだ収容壁部521aは、その窪んだ前面側に、装飾回転体ユニット530の後側の略半分が接触しない状態で収容できるように形成されている。
ユニットベース521の四つの保持孔521bは、収容壁部521aの外側の上下左右の四隅で、操作ボタン410におけるボタンベース413の四つのガイドボス部413cと対応する位置に形成されている。これら保持孔521bは、内径がガイドボス部413cの外径よりも若干大きく形成されており、ガイドボス部413cを摺動可能に挿入させることができる。
更に詳述すると、四つの保持孔521bのうちの左上側の保持孔521bは、ユニットベース521の中心(操作ボタン410の中心)を通る上下に延びた中心線から、ユニットベース521の中心に対して反時計周りの方向へ約30度回転した位置に形成されている。四つの保持孔521bのうちの右上側の保持孔521bは、ユニットベース521の中心(操作ボタン410の中心)を通る上下に延びた中心線から、ユニットベース521の中心に対して時計周りの方向へ約47度回転した位置に形成されている。一方、四つの保持孔521bのうちの下側に配置されている二つの保持孔521bは、上側の二つの保持孔521bに対してユニットベース521の中心の反対側の位置に夫々形成されている。
ユニットベース521の遮光壁部521cは、フレームトップレンズ装飾基板522からの光が下方へ漏れるのを阻止することができ、フレームトップレンズ418を、フレームトップレンズ装飾基板522よってのみ発光装飾できるようにするためのものである。
ユニットベース521の左軸部521gは、水平に延びた左端が左突出部521eに固定されており、そこから右側が、装飾回転体ユニット530の回転体側左軸受部531bに回転可能に挿入されるものである。ユニットベース521の右軸受部521hは、内部に装飾回転体ユニット530の円筒状の回転体側右軸部531cが、回転可能に挿入される。左軸部521g及び右軸受部521hは、水平方向に延びた第一軸線CL1(図83を参照)に対して、同軸上に配置されている。ユニットベース521の左軸部521g及び右軸受部521hによって、装飾回転体ユニット530を、水平方向に延びた第一軸線CL1周りに回転可能に取付けることができる。
フレームトップレンズ装飾基板522は、前面に複数のLEDが実装されており、それらLEDを発光させることで、フレームユニット415におけるフレームトップレンズ418を発光装飾させることができる。フレームトップレンズ装飾基板522は、前面が白色とされているとともに、実装されているLEDが、フルカラーLEDとされている。
操作ボタンバネ523は、コイルバネとされており、ユニットベース521における四つの保持孔521b内に前方から挿入されている。操作ボタンバネ523は、第三演出装飾回転体ユニット530Bに組立てた状態では、後端が保持孔521bの底面に当接しており、前端が操作ボタン410におけるボタンベース413の本体部413aから後方へ突出しているガイドボス部413cの後端に当接している。これら操作ボタンバネ523により、操作ボタン410を前方へ付勢している。
三つの押圧検知センサ525は、操作ボタン410におけるボタンベース413の三つの検知片413dと対応している位置に配置されている。詳述すると、三つの押圧検知センサ525は、ユニットベース521の前面において、一つが左上の保持孔521bの左下側に、もう一つが右上の保持孔521bの右下側に、残りの一つが左下の保持孔521bの右下側に夫々センサホルダ524を介して取付けられている。三つの押圧検知センサ525は、ユニットベース521の中央を中心として周方向へ略等間隔に取付けられている。これら三つの押圧検知センサ525は、操作ボタン410の三つの検知片413dを検知することができる。
第三演出操作ユニット中継基板526は、ユニットベース521の後側において、装飾回転体ユニット530の外部であって背面視で収容壁部521aの左外側(正面視右側)に取付けられている。第三演出操作ユニット中継基板526は、操作ボタン左外装飾基板422、操作ボタン右外装飾基板423、振動モータ424、フレームトップレンズ装飾基板522、押圧検知センサ525、演出操作ユニット第一駆動モータ528、装飾回転体ユニット530の演出操作ユニット第二駆動モータ534(熱源)、第一装飾面部装飾基板535、及び第二装飾面部装飾基板536と、扉枠ベースユニット100の扉本体中継基板(図示は省略)との接続を中継するためのものである。
中継基板カバー527は、第三演出操作ユニット中継基板526の後側を覆う部位の下端から正面視左方に延びており、ユニットベース521の後面下部に取付けられる脚部527aを備えている。中継基板カバー527の脚部527aは、扉枠3に組立てた状態では、下面が略水平に延びているとともに、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の底面を形成している底板部326iとの間で僅かな隙間を形成している(図26を参照)。これにより、操作ボタン410やフレームユニット415を強く下方へ押圧したり叩いたりした時に、脚部527aの下面が皿ユニットカバー326の底板部326iの上面に当接するまでの間では、フレームユニット415の取付部416eや皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a等が下方へ撓むことで衝撃を吸収することができる。脚部527aの下面が底板部326iの上面に当接した後では、第三演出装飾回転体ユニット530Bの下方へ移動が規制され、フレームユニット415の取付部416eや皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a等に無理な力が作用するのを回避させて、それらの破損を防止することができる。
演出操作ユニット第一駆動モータ528は、ユニットベース521の左側面に取付けられており、第一駆動ギア(図示は省略)及びこの第一伝達ギア529を介して、ユニットベース521の左軸部521g及び右軸受部521hによって回転可能に取付けられている装飾回転体ユニット530を、水平方向に延びた第一軸線CL1周りに回転させることができる。
[3−4h−5.装飾回転体ユニット]
第三演出装飾回転体ユニット530Bの装飾回転体ユニット530について、主に図82乃至図85、及び図87を参照して詳細に説明する。図87(a)は第三演出操作ユニットの装飾回転体ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は第三演出操作ユニットの装飾回転体ユニットを後ろから見た斜視図である。装飾回転体ユニット530は、第三ベースユニット520に取付けられており、操作ボタン410の透明な部位を通して遊技者に可動演出を見せることができるものである。装飾回転体ユニット530は、図示するように、全体的に外面形状が略球形状に形成されている。
装飾回転体ユニット530(装飾可動体)は、第三ベースユニット520のユニットベース521に回転可能に取付けられており、円盤状に形成されている回転体ベースユニット531と、円盤状の回転体ベースユニット531における一方の面の外側で回転可能に取付けられている第一装飾面部532と、回転体ベースユニット531における第一装飾面部532とは反対側の面の外側で回転可能に取付けられており、第一装飾面部532とは装飾の異なる第二装飾面部533と、回転体ベースユニット531内に取付けられており、第一装飾面部532及び第二装飾面部533を回転させるための演出操作ユニット第二駆動モータ534(図83を参照)と、を備えている。
装飾回転体ユニット530は、図82及び図83に示すように、回転体ベースユニット531の一方の面に取付けられており第一装飾面部532へ向かって光を照射可能な複数のLED(発光体、熱源)が実装されている第一装飾面部装飾基板535と、回転体ベースユニット531の第一装飾面部装飾基板535とは反対側の面に取付けられており第二装飾面部533に向かって光を照射可能な複数のLED(発光体)が実装されている第二装飾面部装飾基板536と、を備えている。これら第一装飾面部装飾基板535及び第二装飾面部装飾基板536には、実装しているLEDのドライバ回路自体が搭載されておらず、実装しているLEDは、装飾回転体ユニット530の外部に設けられたドライバ回路によって通電が制御されている。このようにドライバ回路が外部に設けられていると、このドライバ回路がLEDの発熱の影響を受けにくくすることができる。
回転体ベースユニット531は、所定の厚さを有した円盤状で、内部が中空に形成されている。回転体ベースユニット531は、外周面の所定位置に取付けられており第三ベースユニット520の第一伝達ギア529と噛合する平歯車状の回転体ギア531aと、回転体ギア531aの中心を貫通しており左軸部521gが相対回転可能に挿入される回転体側左軸受部531bと、回転体ギア531aとは反対側の外周面から円筒状に突出しており右軸受部521h内に相対回転可能に挿入される回転体側右軸部531cと、回転体側右軸部531cの基端側において外方へ突出しているストッパ531dと、を備えている。
回転体ギア531a、回転体側左軸受部531b、及び回転体側右軸部531cは、回転体ベースユニット531における円盤状の中心を通る第二軸線CL2に直交し、外周面の軸方向中央を通る第一軸線CL1に対して、同軸上に配置されている。ストッパ531dは、第三ベースユニット520におけるユニットベース521の前面に当接するように形成されている。このストッパ531dは、第三ベースユニット520に対する装飾回転体ユニット530の水平方向に延びた第一軸線CL1周りの回転範囲を所定の角度範囲(ここでは、180度)に規制している。
回転体ベースユニット531は、円盤状の中心を通る第二軸線CL2と同心上で円筒状に延びている軸受筒部531eと、外周面を装飾している複数の周面装飾部531fと、を備えている。軸受筒部531eは、第一装飾面部532から突出している軸部材532dが内部に挿入されるものであり、両端に取付けられるブッシュにより軸部材532dを回転可能に取付けることができる。周面装飾部531fは、回転体ベースユニット531の外周面を貫通しており、回転体ベースユニット531の外周面を装飾して見栄えを良くすることができる。この周面装飾部531fは、図87(b)にも示すように回転体ベースユニット531内の熱を外部へ放出させることができるものの、回転体ベースユニット531が内蔵するLEDの発熱量を考慮した場合には、このLEDを用いた華やかな演出を実現させようとすることに伴い、さらなる冷却制御の実施が望まれている。
第一装飾面部532は、全体が略半球状に形成されている。第一装飾面部532は、膨出した表面の中心に備えられている所定の文字からなるロゴ装飾部532aと、ロゴ装飾部532aを中心にして放射状に形成されている透光性を有した第一主装飾部532bと、第一主装飾部532bの外周を埋めるように形成されており外周端が第一装飾面部532の円形の外周端を形成している不透光性の第一副装飾部532cと、裏面から中心に沿って円柱状に突出している軸部材532dと、を備えている。
ロゴ装飾部532a及び第一主装飾部532bは、第一装飾面部装飾基板535に実装されているLEDからの光により、発光装飾させられる。軸部材532dは、軸受筒部531eにブッシュを介して回転可能に挿入されるものでる。この軸部材532dは、装飾回転体ユニット530に組立てた状態で、回転体ベースユニット531の軸受筒部531eを貫通して反対側へ延び出す長さに形成されており、中心軸が第一軸線CL1と直交する第二軸線CL2と一致した状態となる。
この第一装飾面部532は、軸部材532dが、回転体ベースユニット531の軸受筒部531eに取付けられることで、全体が、第二軸線CL2周りに回転することができる。
一方、第二装飾面部533は、第一装飾面部532の軸部材532dの先端に取付けられる回転装飾部533aと、回転装飾部533aと回転体ベースユニット531との間に配置されるとともに、回転体ベースユニット531に取付けられる固定装飾部533bと、を備えている。回転装飾部533aは、軸部材532dに取付けられていることから、軸部材532dを介して第一装飾面部532と一緒に回転することができ、第二軸線CL2周りに回転することができる。一方、固定装飾部533bは、回転体ベースユニット531に取付けられていることから、軸部材532dを介して第一装飾面部532と一緒に回転することはなく、第二軸線周りに回転しない。
回転装飾部533aは、周方向に複数のフィン(羽根)を備えた装飾形状に形成されており、同心円状に周方向へ延びた複数の装飾を有している。この回転装飾部533aは、回転することで風を発生させることができる。固定装飾部533bは、放射状にのびた複数の線を有した装飾が形成されている。回転装飾部533a及び固定装飾部533bは、部分的に透光性を有しており、第二装飾面部装飾基板536に実装されているLEDからの光により、発光装飾させられる。
演出操作ユニット第二駆動モータ534は、図83に示すように、回転体ベースユニット531内において、回転軸が後方へ突出するように取付けられている。演出操作ユニット第二駆動モータ534の回転軸には、平歯車状の第二駆動ギア534aが取付けられている。第二駆動ギア534aは、軸部材532dの途中に固定されている平歯車状の装飾面部ギア534bと噛合している。したがって、演出操作ユニット第二駆動モータ534により、第二駆動ギア534a、装飾面部ギア534b、及び軸部材532dを介して、第一装飾面部532と第二装飾面部533(回転装飾部533a)とを一緒に回転させることができる。
第一装飾面部装飾基板535及び第二装飾面部装飾基板536は、前面が白色とされているとともに、実装されているLEDがフルカラーで発色するように構成されている。
本実施形態の装飾回転体ユニット530は、第二軸線CL2を中心として、互いに装飾の異なる第一装飾面部532と第二装飾面部533とが、周方向に列設されている。具体的には、第一装飾面部532と第二装飾面部533は、周方向へ180度離間して備えられている。
[3−4h−6.第三演出操作ユニットの作用効果
次に、第三演出装飾回転体ユニット530Bの作用効果について、主に図78、図81、及び図88等を参照して詳細に説明する。図88(a)は装飾回転体ユニットの第二装飾面部を前方へ向けた状態で示す第三演出操作ユニットの正面図であり、(b)は(a)を操作ボタンの中心軸が延びている方向から見た説明図である。図89(a)は第三演出操作ユニットにおいて第一装飾面部を前方へ向けた状態で第一装飾面部の回転を示す説明図であり、(b)は第三演出操作ユニットにおいて第二装飾面部を前方へ向けた状態で第二装飾面部の回転を示す説明図である。
本実施形態の第三演出装飾回転体ユニット530Bは、遊技盤5の遊技領域5a内に遊技球が打込まれることで変化する遊技状態に応じて演出画像を遊技者に見せることができるとともに、遊技者に操作ボタン410の操作をさせて遊技者に提示した遊技者参加型演出に遊技者を参加させて楽しませることができるものである。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、図201及び図202等に示すように、全高が、扉枠3の扉枠ベースユニット100における扉枠ベース110の貫通口111の下側の部位の高さと略同じ高さに形成されている。第三演出装飾回転体ユニット530Bは、全幅が、扉枠3の全幅の1/3よりも若干大きく形成されている。第三演出装飾回転体ユニット530Bは、正面視において、遊技領域5a(扉枠ベース110の貫通口111)の下側で左右方向の中央に配置されている。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、フレームユニット415のフレーム本体416の上部が、皿ユニット320における皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられている。第三演出装飾回転体ユニット530Bは、皿ユニット320に取付けた状態で、底面となる中継基板カバー527の脚部527aの下面が、皿ユニット320の皿ユニットカバー326における底板部326iの上面との間に、隙間が形成されている。つまり、第三演出装飾回転体ユニット530Bは、皿ユニット320に対して上部のみが取付けられており、吊下げられた状態に取付けられている。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、フレームユニット415の前面(フレーム本体416の中央開口部416aの前端内周により形成される面)が、演出操作ユニット取付部326aの前端開口の傾斜面と平行になるように取付けられている。これにより、第三演出装飾回転体ユニット530Bは、湾曲面状(略球面の一部の形状)に前方へ膨出している透明な操作ボタン410の中心軸線CL(図82を参照)が、垂直線に対して63度の角度で、前方へ向かうに従って上方へ移動するように傾斜している。これにより、本パチンコ機1を用いて遊技を行うために本パチンコ機1の前で遊技者が着座すると、遊技者の頭部が皿ユニット320(第三演出装飾回転体ユニット530B)の上方に配置されている遊技盤5における遊技領域5aの中央の前方に位置するため、操作ボタン410の中心軸線CLが、遊技者の頭部付近を通ることとなる。したがって、遊技者が遊技領域5aから第三演出装飾回転体ユニット530B(操作ボタン410)に視線を落すと、操作ボタン410がその正面視(中心軸線CLと平行な方向からの投影視)に可及的に近い状態で見えることとなり、操作ボタン410や操作ボタン410内の装飾回転体ユニット530等を良好な状態で視認することができる。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、操作ボタン410の四つのガイドボス部413cが第三ベースユニット520の四つの保持孔521bに夫々摺動可能に挿入されているとともに、操作ボタンバネ523により前方へ付勢されている。第三演出装飾回転体ユニット530Bは、通常の状態(操作ボタン410を押圧操作していない状態)では、操作ボタンバネ523の付勢力によって、演出装飾回転体ユニット530及び第二演出装飾回転体ユニット530Aと同様に、操作ボタン410のボタンベース413のフランジ部413bの前端が、フレームユニット415のフレーム本体416の後面における中央開口部416a付近の部位に当接している。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、通常の状態では、操作ボタン410におけるボタンフレーム412の内周付近から中央側(中心軸線CL側)が、フレームユニット415におけるフレーム本体416の中央開口部416aから前方へ突出している。換言すると、操作ボタン410における湾曲面状(略球面の一部の形状)に前方へ膨出している透明なボタンレンズ411において、ボタンフレーム412の内周(内側)から前方へ突出している部位が、フレームユニット415のフレーム本体416の中央開口部416aから前方へ突出している(図82等を参照)。
因みに、本実施形態では、フレームユニット415におけるフレーム本体416の中央開口部416aの直径が約15cmとされており、操作ボタン410の中心軸線CL方向に対してボタンレンズ411(の前端)がフレームユニット415の前面から約4cm前方へ突出している。
通常の状態において、遊技者が第三演出装飾回転体ユニット530Bの操作ボタン410を押圧操作すると、操作ボタン410は操作ボタンバネ523の付勢力に抗して中心軸線CLに沿って後方へ移動する。操作ボタン410の後端が第三ベースユニット520のユニットベース521の前面に当接すると、後方への移動が規制されて操作ボタン410の後方への移動が停止する。遊技者が操作ボタン410を押圧操作する時には、湾曲面状(略球面の一部の形状)に前方へ膨出しているボタンレンズ411を押圧する。
この操作ボタン410は、従来のパチンコ機に備えられている演出用の操作ボタンと比較して、外径が非常に大きく形成されているため、ボタンレンズ411の中央部分から離れた周縁付近が押圧される可能性が高い。詳述すると、従来のパチンコ機における演出用の操作ボタンは、その中心軸線が垂直線と略平行に延びるように取付けられているのに対して、本実施形態の第三演出装飾回転体ユニット530Bの操作ボタン410は、演出装飾回転体ユニット530及び第二演出装飾回転体ユニット530Aと同様に、中心軸線CLが垂直線に対して傾いて取付けられているため、遊技者が従来のパチンコ機と同様に上方から操作ボタン410を押圧すると、図61において白抜きの矢印で示すように、操作ボタン410の中心軸線CLから離れた部位を押圧することとなる。
ところで、従来のパチンコ機における演出用の操作ボタンは、遊技者が押圧操作する面が平坦な面に形成されていることから、押圧操作する部位を平坦な面としたまま操作ボタンを大きくした場合、操作ボタンの中央から外れた部位を押圧すると、その押圧された部位が先に後退するように押圧操作する面が傾いてしまい、操作ボタンが真直ぐに後退することができなくなって、操作ボタンを押圧操作することができなくなる虞がある。
これに対して、本実施形態の第三演出装飾回転体ユニット530Bの操作ボタン410は、遊技者が押圧操作する部位(ボタンレンズ411)が、前方へ膨出した湾曲面状(略球面の一部の形状)としているため、操作ボタン410の中央から離れた位置を押圧操作した場合、その力が操作ボタン410の全体に分散されて操作ボタン410が傾き難くなり、操作ボタン410が真直ぐに後方へ移動することができる。したがって、操作ボタン410の前面側のどの位置を押圧操作しても、操作ボタン410が傾くことなくスムーズに後退することができるため、押圧操作を確実に検知させることができ、操作ボタン410を押圧操作する演出を十分に楽しませることができる。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、装飾基板ユニット420における基板ベース421の前面下部に振動モータ424が取付けられている上で、上述したように、第三演出装飾回転体ユニット530Bが吊下げられるように上部のみが皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326aに取付けられているため、振動モータ424により錘424aを回転させて振動を発生させると、取付けられている部位から最も離れた部位で振動が発生することから、第三演出装飾回転体ユニット530B全体を大きく(強く)振動させることができ、第三演出装飾回転体ユニット530Bに触れている遊技者に対して振動を伝達させることができる。振動モータ424を、比較的遊技者が押圧操作し易い位置の直下に配置しているため、操作ボタン410を押圧操作している遊技者に対して強い振動を伝達させることができ、遊技者を驚かせて演出を楽しませることができる。
更に、第三演出装飾回転体ユニット530Bは、吊下げられたような状態で皿ユニットカバー326に取付けられているとともに、下面を形成している中継基板カバー527の脚部527aの下面と皿ユニットカバー326の底板部326iの上面との間に隙間が形成されているため、操作ボタン410を強く下方へ押圧したり叩いたりした時に、脚部527aの下面が底板部326iの上面に当接するまでの間、フレームユニット415の取付部416eや皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a等が下方へ撓むことで衝撃を吸収することができる。脚部527aの下面が底板部326iの上面に当接した後では、第三演出装飾回転体ユニット530Bの下方への移動を規制し、フレームユニット415の取付部416eや皿ユニットカバー326の演出操作ユニット取付部326a等に無理な力が作用するのを回避させることができ、第三演出装飾回転体ユニット530B等の破損を防止することができる。したがって、第三演出装飾回転体ユニット530Bの操作ボタン410を押圧操作する演出を遊技者に提示した時等に、強い力で操作ボタン410が押圧操作されたり叩かれたりしても、操作ボタン410や第三演出装飾回転体ユニット530B等が破損することはないため、破損による遊技の中断を回避させることができ、遊技者の興趣の低下を抑制させることができるとともに、破損し難くすることで遊技ホール側の負担の増加を抑制させることができる。
上述したように、遊技者が押圧操作する操作ボタン410のボタンレンズ411を、前方へ突出している湾曲面状(略球面の一部の形状)に形成しているため、平板状とした場合と比較して強度・剛性が高くなっているとともに、強く叩かれても、その衝撃をボタンレンズ411全体へ分散させることができ、破損し難くなっている。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、操作ボタン410のボタンレンズ411におけるボタンフレーム412の内周から中央側へ延びている第一ボタン装飾部411aを備えているため、この第一ボタン装飾部411aの凹凸の装飾によりボタンレンズ411の内側となる部位の外周縁の部位において後方を見え辛くすることができる。第一ボタン装飾部411aが形成されている部位の後方(中心軸線CL方向の後方)には、操作ボタン410のボタンベース413の本体部413aの内周面と装飾回転体ユニット530の外周面との間の隙間が位置しているが、その隙間の前方に位置する第一ボタン装飾部411aによって前方側(遊技者側)から、装飾回転体ユニット530の外周の隙間を見え難くすることができる。これにより、押圧操作可能な操作ボタン410内に、回転する装飾回転体ユニット530を備えても、操作ボタン410の見栄えの悪化を防止することができ、操作ボタン410を見た遊技者が不快感を抱くのを防止することができるとともに、透明な操作ボタン410内に装飾回転体ユニット530を問題なく配置することができ、操作ボタン410及び装飾回転体ユニット530、ひいてはパチンコ機1全体の見栄えを良くすることができる。
更に、第三演出装飾回転体ユニット530Bは、操作ボタン410内(ボタンフレーム412の内側)に配置されている装飾回転体ユニット530に、第一装飾面部装飾基板535及び第二装飾面部装飾基板536が備えられており、それらに実装されている複数のLEDを発光させることで、操作ボタン410内において第一装飾面部532及び第二装飾面部533を発光装飾させることができる。第一装飾面部532及び第二装飾面部533が発光装飾させることで、操作ボタン410内を発光装飾させることができる。この際に、操作ボタン410のボタンベース413には、装飾回転体ユニット530の外周を囲う筒状の本体部413aを備えているため、装飾回転体ユニット530からの光が本体部413aの外側に漏れることはなく、操作ボタン410内のみを良好に発光装飾させることができる。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、操作ボタン410の外周付近に位置するボタンフレーム412のフレーム開口部412aから臨む第二ボタン装飾部411bの後方に、装飾基板ユニット420における操作ボタン左外装飾基板422の第一LED422a及び操作ボタン右外装飾基板423の第一LED423aが配置されており、それら第一LED422a,423aを発光させることで、操作ボタン410の六つの第二ボタン装飾部411bを発光装飾させることができる。操作ボタン左外装飾基板422の第一LED422a及び操作ボタン右外装飾基板423の第一LED423aは、操作ボタン410のボタンベース413における筒状の本体部413aと、フレームユニット415のフレーム本体416における筒状の内側筒部416dとの間に位置しており(図52及び図83等を参照)、第一LED422a,423aからの光が本体部413aの内側(装飾回転体ユニット530側)や内側筒部416dの外側へ漏れることはなく、操作ボタン410の第二ボタン装飾部411bのみを良好に発光装飾させることができる。
更に、第三演出装飾回転体ユニット530Bは、フレームユニット415におけるフレーム本体416の六つの外周開口部416bから臨むフレームサイドレンズ417の後方に、操作ボタン左外装飾基板422の第二LED422b及び操作ボタン右外装飾基板423の第二LED423bが配置されており、それら第二LED422b,423bを発光させることでフレームサイドレンズ417を発光装飾させることができる。操作ボタン左外装飾基板422の第二LED422b及び操作ボタン右外装飾基板423の第二LED423bは、フレームユニット415のフレーム本体416における筒状の内側筒部416dとフレーム本体416の外周との間に位置しており、第二LED422b,423bからの光が内側筒部416dの内側やフレーム本体416の外側へ漏れることはなく、フレームユニット415のフレームサイドレンズ417のみを良好に発光装飾させることができる。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、フレームユニット415のフレームトップレンズ418の後方に、第三ベースユニット520におけるフレームトップレンズ装飾基板522が配置されており、フレームトップレンズ装飾基板522の前面に実装されている複数のLEDを発光させることで、フレームトップレンズ418を発光装飾させることができる。第三ベースユニット520におけるユニットベース521のフレームトップレンズ装飾基板522が取付けられている部位の下側からは、フレームトップレンズ418の下端後方付近まで平板状の遮光壁部521cが前方へ突出しており、フレームトップレンズ装飾基板522のLEDからの光が操作ボタン410やフレームサイドレンズ417側へ漏れることはなく、フレームユニット415のフレームトップレンズ418のみを良好に発光装飾させることができる。
本実施形態の第三演出装飾回転体ユニット530Bは、操作ボタン410の透明なボタンレンズ411を通して後側に配置されている装飾回転体ユニット530を、前方から視認することができる。この第三演出装飾回転体ユニット530Bは、通常の状態では、図78及び図80等に示すように、装飾回転体ユニット530の第一装飾面部532を前方へ向けた状態としている。この状態では、第一装飾面部532の軸部材532d(第二軸線CL2)の中心軸が、操作ボタン410の中心軸線CLと略一致している(図82を参照)。通常の状態では、第一装飾面部532における第二軸線CL2周りの回転位置が、方向性を有したロゴ装飾部532aが、正しい方向を向いた状態で回転静止させられている。
通常の状態では、装飾回転体ユニット530における回転体ベースユニット531のストッパ531dが、第三ベースユニット520におけるユニットベース521の右軸受部521hよりも上側の前面に当接している。つまり、通常の状態では、ストッパ531dにより装飾回転体ユニット530が、水平に延びている第一軸線CL1に対して、上部が後方へ移動する方向への回転が規制されている。
この通常の状態で、第三ベースユニット520における演出操作ユニット第一駆動モータ528により第一駆動ギア(図示は省略)及び第一伝達ギア529を介して、装飾回転体ユニット530の回転体ギア531aを、右側面視において反時計回りの方向へ回転させると、装飾回転体ユニット530が、その上部が前方へ移動するように第一軸線CL1周りに回転することとなる。通常の状態から、装飾回転体ユニット530が、第一軸線CL1周りに180度回転すると、ストッパ531dがユニットベース521の右軸受部521hよりも下側の前面に当接し、これ以上の回転が規制されるとともに、演出操作ユニット第一駆動モータ528による回転駆動が停止する。
なお、図示は省略するが、第三ベースユニット520には、装飾回転体ユニット530の回転位置を検知する回転検知センサを備えており、回転検知センサによる検知に基づいて、装飾回転体ユニット530の回転位置が制御されている。
装飾回転体ユニット530を、通常の状態から第一軸線CL1周りに180度回転させると、図88に示すように、第二装飾面部533が前方を向いた状態となる。したがって、操作ボタン410における透明なボタンレンズ411を通して、第二装飾面部533が良好に視認できる状態となっている。この状態では、第二装飾面部533の第二軸線CL2が、操作ボタン410の中心軸線CLと略一致している。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、装飾回転体ユニット530において演出操作ユニット第二駆動モータ534により、第二駆動ギア534a及び装飾面部ギア534bを介して、第二軸線CL2と同軸上に延びた軸部材532dを回転させると、軸部材532dの両端に取付けられている第一装飾面部532及び第二装飾面部533を同時に回転させることができる(図89を参照)。換言すると、演出操作ユニット第二駆動モータ534により、第一装飾面部532及び第二装飾面部533を、水平に延びた第一軸線CL1に対して直交している第二軸線CL2周りに回転させることができる。
なお、図示は省略するが、装飾回転体ユニット530は、第一装飾面部532及び第二装飾面部533の回転位置を検知する回転検知センサを備えており、その回転検知センサの検知により、第一装飾面部532及び第二装飾面部533を任意の回転位置で停止させることができる。したがって、第一装飾面部532のよう、方向性を有したロゴ装飾部532aを備えていても、その方向性に合わせた位置で回転停止させることができるため、第一装飾面部532の装飾が損なわれることはなく、装飾性を確実に発揮させることができる。
第三演出装飾回転体ユニット530Bは、装飾回転体ユニット530に備えられている第一装飾面部装飾基板535及び第二装飾面部装飾基板536により、第一装飾面部532及び第二装飾面部533を、夫々発光装飾させることができる。第一装飾面部装飾基板535及び第二装飾面部装飾基板536による第一装飾面部532及び第二装飾面部533の発光装飾は、装飾回転体ユニット530が水平に延びた第一軸線CL1周りに回転している時や、第一装飾面部532及び第二装飾面部533が第一軸線CL1に対して直交している第二軸線CL2周りに回転している時でも行うことができる。
第二装飾面部533は、回転する回転装飾部533aと、回転しない固定装飾部533bとを備えているため、回転装飾部533aを回転させている時に、第二装飾面部装飾基板536に実装されている複数のLEDを発光させると、固定装飾部533bを透して前方へ照射された光の一部が、回転している回転装飾部533aの不透光性の部位や着色されている部位等によって周期的に遮られることとなり、チカチカした瞬くような発光装飾を遊技者に見せることができ、遊技者の関心を強く引付けさせることができる。
[3−4h−7.第三演出操作ユニットにおける可動演出]
次に、第三演出装飾回転体ユニット530Bにおける可動演出について、主に図90及び図91を参照して詳細に説明する。図90は、第三演出操作ユニットにおいて、装飾回転体ユニットを回転させる可動演出の動きを示す説明図である。図91は、第三演出操作ユニットにおいて、第一装飾面部及び第二装飾面部を回転させた状態で装飾回転体ユニットを回転させる可動演出の動きを示す説明図である。まず、図90等を参照して、演出操作ユニット第一駆動モータ528のみを用いた装飾回転体ユニット530の可動演出について説明する。通常の状態では、図90(a)等に示すように、ロゴ装飾部532aを有した第一装飾面部532が前方へ向けられている。
水平に延びた第一軸線CL1周りのみに回転させる可動演出の一例として、通常の状態(図90(a)の状態)から、演出操作ユニット第一駆動モータ528により、第一駆動ギア(図示は省略)第一伝達ギア529、及び回転体ギア531aを介して、装飾回転体ユニット530を右側面視において反時計回りの方向へ、途中で停止させることなく一気に180度回転させて、第一装飾面部532の反対側に配置されている第二装飾面部533が前方を向いた状態とする(図90(d)を参照)。これにより、第一装飾面部532が下方へ移動するように回転しつつ、第二装飾面部533が上方から移動して出現するような可動演出を遊技者に見せることができる。したがって、第一装飾面部532が、装飾の異なる第二装飾面部533に突然切替わったような印象を遊技者に与えることができ、遊技者を驚かせることができるとともに、装飾が変化することで遊技者に対して何か良いことがあるのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせて興趣の低下を抑制させることができる。
上記とは異なる可動演出として、通常の状態から、装飾回転体ユニット530が、右側面視において反時計回りの方向へ0度〜60度の角度範囲内で往復するように、演出操作ユニット第一駆動モータ528を複数回に亘って正転・逆転させる。これにより、第一装飾面部532が下方を向くように回転した時には、第一装飾面部532の上側に複数の周面装飾部531fを間にして第二装飾面部533の一部が僅かに見えることとなるため(図90(b)を参照)、装飾回転体ユニット530が往復回動することで見え隠れする第二装飾面部533に対して、遊技者の関心を強く引付けさせることができ、第二装飾面部533が前方を向くか否かによってチャンスの到来に対する遊技者の期待感を高めさせることができる。その後、装飾回転体ユニット530を基の状態(図90(a)の状態)に戻すことで、遊技者に対してチャンスが到来しないことを示唆させることができる。一方、装飾回転体ユニット530を更に回転させて第二装飾面部533を前方へ向けた状態(図90(d)の状態)とすることで、チャンスが到来することを示唆させることができ、遊技者を楽しませて興趣の低下を抑制させることができる。
上記とは異なる可動演出として、通常の状態から、装飾回転体ユニット530を、右側面視において反時計回りの方向へ90度回転させて、回転体ベースユニット531の外周面を前方へ向けた状態とする(図90(c)を参照)。これにより、前方を向いている回転体ベースユニット531の外周面を間にして、下側に第一装飾面部532が下方を向いた状態で、上側に第二装飾面部533が上方を向いた状態で、夫々位置しており、第一装飾面部532及び第二装飾面部533の装飾が不明瞭になるため、相対的に、回転体ベースユニット531の外周面に備えられている複数の周面装飾部531fの装飾を明瞭に見せることができ、周面装飾部531fの装飾を楽しませることができる。装飾回転体ユニット530が、複数の周面装飾部531fを前方へ向けた中間位置で回転停止することで、遊技者に対して遊技状況の変化を予感させることができ、遊技者の遊技に対する期待感を高めさせることができる。その後、装飾回転体ユニット530を所定の方向へ回転させて、第一装飾面部532を基のように前方へ向けた状態、或いは、第二装飾面部533を前方へ向けた状態、とすることで、上記と同様の作用効果を奏することができる。
更に、装飾回転体ユニット530を、通常の状態から、右側面視において反時計回りの方向へ90度回転させた状態(図90(c)を参照)で、その回転角度を中心にして所定角度範囲で往復するように、演出操作ユニット第一駆動モータ528を複数回に亘って正転・逆転させる。これにより、回転体ベースユニット531(複数の周面装飾部531f)を挟んで、第一装飾面部532側が多く見えたり、第二装飾面部533側が多く見えたり、するため、遊技者に対して、第一装飾面部532が前方を向くか第二装飾面部533が前方を向くかでワクワク・ドキドキさせることができ、遊技者を楽しませて興趣の低下を抑制させることができる。その後、装飾回転体ユニット530を所定の方向へ回転させて、第一装飾面部532を前方へ向けた状態、或いは、第二装飾面部533を前方へ向けた状態、とすることで、上記と同様の作用効果を奏することができる。
上記とは異なる可動演出として、通常の状態から、装飾回転体ユニット530を180度回転させて、第二装飾面部533を前方へ向けた状態(図90(d)を参照)とし、この状態を基準として、上記とは逆の動作をする可動演出を行うこともでき、上記と同様の作用効果を奏することができる。この場合、前方を向いている第二装飾面部533が、上方へ移動するように回転して第一装飾面部532が下方から出現することとなるため、遊技者に対して上昇機運を感じさせることができ、遊技に対する期待感を高めさせることができるとともに、第二装飾面部533の上方への回転により、遊技者の視線を第三演出装飾回転体ユニット530Bよりも上側にある遊技領域5a内に向けさせることができ、遊技領域5a内での遊技や演出等を楽しませて興趣の低下を抑制させることができる。
なお、上記の可動演出を実行する際に、第一装飾面部装飾基板535及び第二装飾面部装飾基板536に夫々実装されている複数のLEDを適宜発光させて、第一装飾面部532や第二装飾面部533を適宜発光装飾させた状態とする。これにより、操作ボタン410の透明なボタンレンズ411を通して見える第一装飾面部532や第二装飾面部533がより見え易くなるため、遊技者に対してそれらの装飾の違いを明確に認識させることができ、装飾の違いによるプレミアム感を十分に発揮させることができるとともに、それらの装飾を楽しませることができ、遊技者の遊技に対する興趣の低下を抑制させることができる。第一装飾面部532や第二装飾面部533を発光装飾させることで、遊技者の関心を操作ボタン410へ向けさせることができるため、操作ボタン410を押圧操作させる遊技者参加型演出の実行時に、遊技者に対して操作ボタン410の押圧操作を促すことができ、遊技者参加型演出に遊技者を参加させて楽しませることができる。
続いて、図91等を参照して、演出操作ユニット第一駆動モータ528及び演出操作ユニット第二駆動モータ534を用いた装飾回転体ユニット530の可動演出について説明する。最初の状態では、図91(a)に示すように、ロゴ装飾部532aを有した第一装飾面部532が前方へ向けられているとともに、第一装飾面部532が、演出操作ユニット第二駆動モータ534によって、操作ボタン410の中心軸線CLと一致するように延びている第二軸線CL2周り(ここでは、時計回りの方向)に回転させられている。この状態では、第一装飾面部532が第二軸線CL2周りに回転していることから、方向性を有したロゴ装飾部532aのロゴが遊技者側から認識し辛くなっている。
演出操作ユニット第二駆動モータ534により第一装飾面部532及び第二装飾面部533を回転させた状態で行われる可動演出の一例として、第一装飾面部532(第二装飾面部533)を第二軸線CL2周りに回転させたまま、演出操作ユニット第一駆動モータ528により、装飾回転体ユニット530を、右側面視において反時計回りの方向へ、途中で停止させることなく一気に180度回転させて、第一装飾面部532の反対側で回転している第二装飾面部533を、前方へ向けた状態とする(図91(d)を参照)。これにより、時計回りに回転していた第一装飾面部532が、突然、装飾の異なる第二装飾面部533に切替わるとともに、第二装飾面部533(回転装飾部533a)が第一装飾面部532とは反対方向の反時計回りの方向に回転しているため、遊技者に対して強いインパクトを与えることができ、遊技者の関心を強く引付けさせることができるとともに、遊技者に対して何か良いことがあるのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせて興趣の低下を抑制させることができる。
上記とは異なる可動演出として、演出操作ユニット第二駆動モータ534により第一装飾面部532及び第二装飾面部533を第二軸線CL2周りに回転させたままの状態で、装飾回転体ユニット530が、右側面視において反時計回りの方向へ0度〜60度の角度範囲内で往復するように、演出操作ユニット第一駆動モータ528を複数回に亘って正転・逆転させる。これにより、第二軸線CL2周りに回転している第一装飾面部532が下方を向くように第一軸線CL1周りに回転した時には、第一装飾面部532の上側において第二軸線CL2周りには回転していない複数の周面装飾部531fが見えるとともに、複数の周面装飾部531fの上側には、第二軸線CL2周りに回転している第二装飾面部533の一部が僅かに見えることとなる(図91(b)を参照)。したがって、装飾回転体ユニット530が、第一軸線CL1周りに往復回動することで、見え隠れする第二装飾面部533に対して、遊技者の関心を強く引付けさせることができ、第二装飾面部533が前方を向くか否かによってチャンスの到来に対する遊技者の期待感を高めさせることができる。その後、装飾回転体ユニット530を第一軸線CL1周りに対して所定の方向へ回転させて、第一装飾面部532を前方へ向けた状態(図91(a)の状態)、或いは、第二装飾面部533を前方へ向けた状態(図91(b)の状態)とし、遊技者が所望した状態となれば、チャンスの到来を確信させることができ、遊技者を楽しませて興趣の低下を抑制させることができる。なお、第二軸線CL2周りに回転している第一装飾面部532を前方へ向けた後に、第一装飾面部532のロゴ装飾部532aが正しい向きとなるように回転を停止させてもよい。これにより、遊技者に対して、第一装飾面部532のロゴ装飾部532aを、明確に認識させることができるため、チャンスの到来を示唆させることができ、遊技者の遊技に対する期待感を高めさせて興趣の低下を抑制させることができる。
上記とは異なる可動演出として、演出操作ユニット第二駆動モータ534により第一装飾面部532及び第二装飾面部533を第二軸線CL2周りに回転させたままの状態から、装飾回転体ユニット530を、第一軸線CL1周りに対し右側面視において反時計回りの方向へ90度回転させて、回転体ベースユニット531の外周面を前方へ向けた状態とする(図91(c)を参照)。これにより、前方を向いている回転体ベースユニット531の外周面を間にして、下側に第一装飾面部532が下方を向いた状態で、上側に第二装飾面部533が上方を向いた状態で、夫々位置しているとともに、それらが同じ方向へ移動するように動いている状態となることから、第一装飾面部532及び第二装飾面部533の装飾を不明瞭な状態とすることができるため、それらの間に挟まれている静止した回転体ベースユニット531の外周面の複数の周面装飾部531fを明瞭に見せることができる。したがって、操作ボタン410内において、静止している周面装飾部531fを目立たせることができ、遊技者の関心を周面装飾部531fに強く引付けさせて、その装飾を楽しませることができる。その後、装飾回転体ユニット530を所定の方向へ回転させて、第一装飾面部532を基のように前方へ向けた状態、或いは、第二装飾面部533を前方へ向けた状態、とすることで、上記と同様の作用効果を奏することができる。
更に、第一装飾面部532及び第二装飾面部533を第二軸線CL2周りに回転させたまま、装飾回転体ユニット530を第一軸線CL1周りに回転させて回転体ベースユニット531の外周面を前方へ向けた状態(図91(c)を参照)で、その状態を中心に第一軸線CL周りに対して所定角度範囲で往復するように、演出操作ユニット第一駆動モータ528を複数回に亘って正転・逆転させる。これにより、回転体ベースユニット531(複数の周面装飾部531f)を挟んで、夫々が第二軸線CL2周りに回転している第一装飾面部532側が多く見えたり第二装飾面部533側が多く見えたりするため、遊技者に対して、第一装飾面部532が前方を向くか第二装飾面部533が前方を向くかでワクワク・ドキドキさせることができ、遊技者を楽しませて興趣の低下を抑制させることができる。その後、装飾回転体ユニット530を第一軸線CL1周りに対して所定の方向へ回転させて、第一装飾面部532を前方へ向けた状態(図91(a)の状態)、或いは、第二装飾面部533を前方へ向けた状態(図91(b)の状態)とすることで、上記と同様の作用効果を奏することができる。
上記とは異なる可動演出として、通常の状態から、第一装飾面部532及び第二装飾面部533を第二軸線CL2周りに回転させた後に、装飾回転体ユニット530を第一軸線CL周りに180度回転させて、回転している第二装飾面部533を前方へ向けた状態、或いは、通常の状態から、装飾回転体ユニット530を第一軸線CL周りに180度回転させて、第二装飾面部533を前方へ向けた後に、第一装飾面部532及び第二装飾面部533を第二軸線CL2周りに回転させた状態とし、この状態(図91(d)を参照)を基準として、上記とは逆の動作をする可動演出を行うこともでき、上記と同様の作用効果を奏することができる。この場合、前方を向いている回転中の第二装飾面部533が、上方へ移動するように第一軸線CL1周りに回転して、第二装飾面部533とは第二軸線CL2周りに対して逆方向に回転している第一装飾面部532が下方から出現することとなるため、遊技者に対して上昇機運を感じさせることができ、遊技に対する期待感を高めさせることができるとともに、第二軸線CL2周りに回転している第二装飾面部533の上方への移動により、遊技者の視線を第三演出装飾回転体ユニット530Bよりも上側にある遊技領域5a内に向けさせることができ、遊技領域5a内での遊技や演出等を楽しませて興趣の低下を抑制させることができる。
なお、上記の可動演出を実行する際に、演出操作ユニット第二駆動モータ534による第一装飾面部532及び第二装飾面部533の第二軸線CL2周りの回転を、途中で逆回転させるようにしてもよいし、所定の角度範囲内で往復回動させるようにしてもよい。演出操作ユニット第一駆動モータ528による装飾回転体ユニット530の第一軸線CL1周りの回転速度と、演出操作ユニット第二駆動モータ534による第一装飾面部532及び第二装飾面部533の第二軸線CL2周りの回転速度と、同じ回転速度としてもよいし、異なる回転速度としてもよい。これらを適宜組合せることで、第三演出装飾回転体ユニット530Bによる可動演出のパターンをより多くすることができ、可動演出の豊富なバリエーションにより遊技者を飽きさせ難くして興趣の低下を抑制させることができる。
上記の可動演出を実行する際に、第一装飾面部装飾基板535及び第二装飾面部装飾基板536に夫々実装されている複数のLEDを適宜発光させて、第二軸線CL2周りに回転している第一装飾面部532及び第二装飾面部533を適宜発光装飾させた状態とする。これにより、第二軸線CL2周りに回転している第一装飾面部532を前方へ向けた状態では、操作ボタン410の透明なボタンレンズ411全体を、一様な光により発光装飾させることができる。一方、第二軸線CL2周りに回転している第二装飾面部533を前方へ向けた状態では、回転装飾部533aによる周期的な光の遮断により、透明なボタンレンズ411を、チカチカした瞬くような光によって発光装飾させることができる。このように、操作ボタン410のボタンレンズ411を、多彩に発光装飾させることができるため、遊技者の関心を操作ボタン410へ向けさせることができ、操作ボタン410を押圧操作させる遊技者参加型演出の実行時に、遊技者に対して操作ボタン410の押圧操作を促すことが可能となり、遊技者参加型演出に遊技者を参加させて楽しませることができる。
[3−4h−8.第三演出操作ユニットの排熱作用]
次に、第三演出装飾回転体ユニット530Bの排熱作用について、主に図92等を参照して詳細に説明する。図92は、第三演出操作ユニットにおいて、第二装飾面部の回転による空気の流れを示す説明図である。本実施形態の第三演出装飾回転体ユニット530Bでは、操作ボタン410の後側に配置されている装飾回転体ユニット530が、操作ボタン410と第三ベースユニット520のユニットベース521(収容壁部521a)とによって、前後が閉鎖されたボタン内空間ASに配置されている(図92を参照)。このボタン内空間ASの後部を形成し、装飾回転体ユニット530の後側を覆っている収容壁部521aには、前後に貫通している複数の換気口521dが形成されている。したがって、ボタン内空間ASは、複数の換気口521dを通して、第三演出装飾回転体ユニット530Bが取付けられている皿ユニットカバー326の取付空間326j内と連通している。なお、図示は省略するが、取付空間326jは、底板部326iや下皿カバー340に形成されている排気口を通してパチンコ機1の外部と連通している。
第三演出装飾回転体ユニット530Bでは、装飾回転体ユニット530において、回転体ベースユニット531の軸受筒部531eに、第二軸線CLと同軸上で回転可能に取付けられている一つの軸部材532dの両端に、互いに装飾の異なる第一装飾面部532と第二装飾面部533が夫々取付けられており、第一装飾面部532と第二装飾面部533とが一緒に回転できる。第一装飾面部532と第二装飾面部533とを回転させる演出操作ユニット第二駆動モータ534は、中空の回転体ベースユニット531内に取付けられている。回転体ベースユニット531の外周面には、貫通した孔状の装飾からなる複数の周面装飾部531fが形成されており、それら周面装飾部531fを通して、回転体ベースユニット531の内側と外側とが互いに連通している。
装飾回転体ユニット530において、第二軸線CL周りに回転可能に取付けられている第一装飾面部532及び第二装飾面部533のうち、第二装飾面部533では、第二軸線CL周りに回転する回転装飾部533aが、回転させた時に風を発生させることが可能な形状に形成されている。
上記のような構成の第三演出装飾回転体ユニット530Bにおいて、装飾回転体ユニット530の第一装飾面部532を前方へ向けた状態で、第一装飾面部532及び第二装飾面部533を、演出操作ユニット第二駆動モータ534により第二軸線CL周りに対して所定方向へ回転させると、第二装飾面部533における回転装飾部533aの回転により発生した風が、後方を覆っている収容壁部521aの複数の換気口521dを通して、収容壁部521aよりも後側へ抜けることとなる(図92(a)を参照)。この風の流れにより、装飾回転体ユニット530が収容されているボタン内空間ASの空気を、強制的に外部に排出させて換気させることができる。ボタン内空間ASと回転体ベースユニット531の内部とは、複数の周面装飾部531fを通して互いに連通しているため、演出操作ユニット第二駆動モータ534から放出された熱を、複数の周面装飾部531f、ボタン内空間AS、及び換気口521dを通して、第三演出装飾回転体ユニット530Bの後方(皿ユニット320の取付空間326j内)へ排出させることができる。これにより、装飾回転体ユニット530内や操作ボタン410内の温度が異常に上昇するのを抑制することができ、熱による不具合の発生を防止することができる。
本実施形態の第三演出装飾回転体ユニット530Bは、装飾回転体ユニット530の第二装飾面部533を前方へ向けた状態で、第一装飾面部532及び第二装飾面部533を、演出操作ユニット第二駆動モータ534により第二軸線CL周りに対して所定方向へ回転させると、第二装飾面部533における回転装飾部533aの回転により発生した風が、操作ボタン410の内面に沿うように後方へ誘導され、装飾回転体ユニット530の後方を覆っている収容壁部521aの複数の換気口521dを通して、収容壁部521aよりも後側へ抜けることとなる(図92(b)を参照)。この風の流れにより、装飾回転体ユニット530が収容されているボタン内空間ASの空気を、強制的に外部に排出させて換気させることができるため、回転体ベースユニット531内に取付けられている演出操作ユニット第二駆動モータ534から放出された熱を、複数の周面装飾部531f、ボタン内空間AS、及び換気口521dを通して、第三演出装飾回転体ユニット530Bの後方(皿ユニット320の取付空間326j内)へ排出させることができる。これにより、装飾回転体ユニット530内や操作ボタン410内の温度が異常に上昇するのを抑制することができ、熱による不具合の発生を防止することができる。
なお、ユニットベース521における収容壁部521aの複数の換気口521dを通して取付空間326j内に排出された排熱は、底板部326iや下皿カバー340に形成されている図示しない排気口を通してパチンコ機1の外部に排出される。
[3−5.扉枠左サイドユニット]
扉枠3の扉枠左サイドユニット540について、主に図97乃至図100を参照して詳細に説明する。図97(a)は扉枠における扉枠左サイドユニットの正面図であり、(b)は扉枠左サイドユニットを前から見た斜視図であり、(c)は扉枠左サイドユニットを後ろから見た斜視図である。図98は扉枠左サイドユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図99は扉枠左サイドユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図100は図97(a)におけるN−N線で切断した断面図である。扉枠左サイドユニット540は、皿ユニット320の上側で扉枠左サイド上装飾基板161及び扉枠左サイド下装飾基板162(扉枠左サイド装飾基板160)の前側を覆うように扉枠ベースユニット100における貫通口111よりも左側の前面左部に取付けられるものである。扉枠左サイドユニット540は、扉枠ベース110の貫通口111の正面視左側を装飾するためのものである。
扉枠左サイドユニット540は、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース110の前面で貫通口111の正面視左側に取付けられる上下に延びた帯板状の左ユニットベース541と、左ユニットベース541の前面に取付けられている透明な帯板状の左ユニット拡散レンズ部材542と、左ユニット拡散レンズ部材542の前方に配置されており前端部に多面体状の装飾を有している透光性を有する左ユニット装飾レンズ部材(図示は省略)と、左ユニット装飾レンズ部材の前側から左ユニットベース541の前面上部に取付けられており前方へ筒枠状に突出しているとともに上下に延びている左ユニット上装飾ベース544と、左ユニット装飾レンズ部材の前側から左ユニットベース541の前面下部に取付けられており左ユニット上装飾ベース544よりも短く前方へ枠状に突出している左ユニット下装飾ベース545と、左ユニット上装飾ベース544及び左ユニット下装飾ベース545の前側から左ユニット装飾レンズ部材の前端側を覆うように左ユニットベース541の前側に取付けられている透明な左ユニット装飾カバー546と、左ユニット装飾カバー546の前側に取付けられている複数の飾り部材547と、を備えている。
扉枠左サイドユニット540の左ユニットベース541は、後側が開放された浅い箱状に形成されており、前面に前後に貫通している複数の開口部541aを有している。複数の開口部541aは、図示するように、円形状の穴と、上下に延びた四角形状の穴とがある。左ユニットベース541は、扉枠左サイド装飾基板160(扉枠左サイド上装飾基板161及び扉枠左サイド下装飾基板162)の前面に実装されているLED161a,162aが、複数の開口部541aから前方へ臨むように、扉枠ベース110の前面左側に取付けられる。左ユニットベース541の各開口部541aは、扉枠3に組立てた時に、扉枠左サイド装飾基板160の各LED161a,162aが上下方向の略中央に位置するように夫々形成されている。この左ユニットベース541は、不透光性の部材によって形成されている。
左ユニット拡散レンズ部材542は、透明な部材によって形成されており、上拡散レンズ部材542Aと下拡散レンズ部材542Bとに上下に分割されている。左ユニット拡散レンズ部材542は、左ユニットベース541における円形状の開口部541aと対応している正面視円形の円形レンズ部542aと、四角形状の開口部541aと対応している正面視四角形の角形レンズ部542bと、を備えている。扉枠左サイドユニット540は、扉枠3に組立てた状態で、円形レンズ部542a及び角形レンズ部542bの中央の直後に、扉枠左サイド装飾基板160の夫々のLED161a,162aが位置するように形成されている。
左ユニット拡散レンズ部材542の円形レンズ部542aは、前面及び後面が滑らかな凸レンズ状に形成されている。この円形レンズ部542aによって、後方に配置されているLED161a,162aからの光を、点状のまま前方へ照射させることができる。この円形レンズ部542aから前方へ照射された光によって、左ユニット装飾レンズ部材の円形装飾部を発光装飾させることができる。
左ユニット拡散レンズ部材542の角形レンズ部542bは、前面中央において円錐状に後方へ窪んだ中央拡散反射部542cと、前面における中央拡散反射部542cの外側に形成されている前面拡散レンズ部542dと、後面中央(中央拡散反射部542cの直後)において湾曲面状に後方へ膨出している入力レンズ部542eと、後面における入力レンズ部542eの外側で全体的に入力レンズ部542eから遠ざかるに従って前方へ移動するように傾斜している前方反射部542fと、を備えている。
角形レンズ部542bの前面拡散レンズ部542dは、中央拡散反射部542cを中心にした放射状に延びている線により周方向へ分割されている同心円弧状の複数の溝により形成されている。更に詳述すると、前面拡散レンズ部542dは、半径方向に沿って切断した時の断面形状に、溝の部分が後方へ円弧状に窪んでおり、溝と溝の間の山の部分が前方へ円弧状に膨出しており、前面が滑らかな波状に形成されている。前面拡散レンズ部542dは、周方向へ分割している放射状に延びた線を境に、溝の部分と山の部分とが周方向へ交互に位置するように形成されている。
角形レンズ部542bの前方反射部542fは、入力レンズ部542eを中心にした放射状に延びている線により周方向へ分割されている同心円弧状の複数の溝により形成されている。これら複数の溝は、後方から前方へ向かってV字状に窪んでおり、最深部が円弧状に形成されている。前方反射部542fは、半径方向に沿って切断した時の断面形状が、溝と溝との間の山の部分が後方へ尖った三角形状に形成されており、鋸状に形成されている。前方反射部542fは、中心から遠ざかるに従って溝及び山の部分が前方へ移動するように形成されている。前方反射部542fは、周方向へ分割している放射状に延びた線を境に、溝の部分と山の部分とが周方向へ交互に位置するように形成されている。この周方向へ分割している放射状に延びた線は、前面拡散レンズ部542dにおける放射状に延びた分割線と一致している。
この角形レンズ部542bは、扉枠3に組立てた状態で、入力レンズ部542eの直後に、扉枠左サイド装飾基板160の対応しているLED161a,162aが位置している。
角形レンズ部542bは、LED161a,162aから前方へ照射された光が、入力レンズ部542eから角形レンズ部542b内に入力される。この入力レンズ部542eは、後方へ湾曲面状(凸レンズ状)に膨出していることから、LED161a,162aから前方へ広がる光を、前方へ平行に進むように屈折させて、入力された光の略すべてを円錐状の中央拡散反射部542cへ導くことができる。中央拡散反射部542cへ導かれた光は、中央拡散反射部542cの傾斜している円錐面により、前後に延びた軸線に対して直角方向(扉枠左サイド装飾基板160の前面と平行な方向)へ拡散するように反射させられ、角形レンズ部542b内をその前面に沿って中央側から外側へ向かって進むこととなる。中央拡散反射部542cで反射した光は、角形レンズ部542bの前後方向の厚さ全体に亘って、中央側から外側(中央拡散反射部542cの中心線から遠ざかる方向)へ進む。
角形レンズ部542b内を扉枠左サイド装飾基板160の前面と略平行に中央側から外側へ向かって反射した光が、鋸状の前方反射部542fに到達すると、前方反射部542fの面により前方側へ反射する。この際に、前方反射部542fは、後面が中央拡散反射部542cから遠ざかるに従って前方へ移動するように傾斜していることから、角形レンズ部542bの前後方向の厚が、中央から遠ざかるに従って薄くなっている(図100を参照)。これにより、中央拡散反射部542cにおいて角形レンズ部542bの前後方向の厚さ全体に亘って外側へ向かって反射している光を、中心側から外側へ向かうに従って、前方反射部542fにより順次前方へ反射させることができる。
前方反射部542fにより前方へ向かって反射させられた光は、前面拡散レンズ部542dを通って角形レンズ部542bから前方へ照射される。この際に、前面拡散レンズ部542dは、断面が波状に形成されているため、前方反射部542fで前方へ向かって反射させられた光を様々な方向へ拡散させることができ、角形レンズ部542bの前面から略均一に光を前方(左ユニット装飾レンズ部材の後面)へ照射させることができる。
この角形レンズ部542bは、前面拡散レンズ部542d及び前方反射部542fでは、同心円状の複数の溝を放射状に延びた複数の線で分割した上で、分割線を境に同心円弧状の複数の溝を半径方向へずらして、同心円弧状の溝を周方向において交互に配置するようにしているため、角形レンズ部542bの前面から前方へ照射される光が、同心円状の縞模様の濃淡を有した光となるのを回避させることができ、より濃淡の均一な光を前方へ照射させることができる。これにより、左ユニット装飾レンズ部材における角形レンズ部542bの前方の多面装飾部を略均一に発光装飾させることができる。
図示しない左ユニット装飾レンズ部材は、左ユニット装飾カバー546の前面に沿うように形成されている。左ユニット装飾レンズ部材は、左ユニット拡散レンズ部材542の円形レンズ部542aの前方の位置する部位に形成されている円形装飾部と、左ユニット拡散レンズ部材542の角形レンズ部542bの前方に位置する部位に形成されている多面装飾部と、を備えている。円形装飾部は、前面が窪み前後に短く延びた円柱状の部位の外周に三角形のリブを周方向に複数備えた形状に形成されている。多面装飾部は、上下に延びた直方体の前面に四角錘状の部位が上下方向に複数列設されているとともに、直方体の部位の左右両側に複数の三角形からなる多面体が上下方向に複数列設したような形状に形成されている。円形装飾部及び多面装飾部は、扉枠右サイドユニット550における右ユニット装飾レンズ部材561の円形装飾部561a及び多面装飾部561bと、同じ形状に形成されている。
左ユニット装飾レンズ部材は、透明な左ユニット装飾カバー546を通して前方側(遊技者側)から視認することができる。左ユニット装飾レンズ部材は、円形装飾部が左ユニット拡散レンズ部材542の円形レンズ部542aから前方へ照射された光により、多面装飾部が左ユニット拡散レンズ部材542の角形レンズ部542bから前方へ照射された光により、夫々発光装飾させられる。
左ユニット上装飾ベース544は、正面視の形状が上下に延びた四角形で、前後に延びた角筒状に形成されている。左ユニット上装飾ベース544は、外周における下面を構成する部位が、前端側から後端側へ向かうに従って下方へ突出するように傾斜しており、その部位の下部が前後に貫通している。この左ユニット上装飾ベース544は、不透光性の部材によって形成されている。
左ユニット下装飾ベース545は、正面視の形状が、上方へ開放されているコ字状に形成されている。左ユニット下装飾ベース545は、前端における上下方向略中央から上側が、上方へ向かうに従って後方へ移動するように後端まで傾斜している。この左ユニット下装飾ベース545は、不透光性の部材によって形成されている。
左ユニット装飾カバー546は、扉枠左サイドユニット540の全高に亘って上下に延びている。左ユニット装飾カバー546は、上下方向の中間部が後方へ凹むように屈曲しており、左ユニット上装飾ベース544の前端に沿うように下部が後方へ折れ曲がっているく字状の部位と、左ユニット下装飾ベース545の前端に沿うように上部が後方へ折れ曲がっているく字状の部位と、上側のく字状の部位の下端と下側のく字状の部位の上端とを結んでいる直線状の部位と、で構成されている。
左ユニット装飾カバー546は、上下両端が左ユニット上装飾ベース544の前面と、左ユニット下装飾ベース545の前面とに夫々取付けられる。この左ユニット装飾カバー546は、透明な部材によって形成されており、後側に配置されている左ユニット装飾レンズ部材を前方側から視認することができる。
飾り部材547は、上下に短く延びており、上下方向へ所定間隔で左ユニット装飾カバー546の前面に取付けられている。飾り部材547は、不透光性の部材によって形成されている。
[3−6.扉枠右サイドユニット]
扉枠3の扉枠右サイドユニット550について、主に図101乃至図105等を参照して詳細に説明する。図101(a)は扉枠における扉枠右サイドユニットの正面図であり、(b)は扉枠右サイドユニットを前から見た斜視図であり、(c)は扉枠右サイドユニットを後ろから見た斜視図である。図102は扉枠右サイドユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図103は扉枠右サイドユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図104は、図101(a)におけるO−O線で切断した断面図である。図105(a)は図101(a)におけるP−P線で切断した断面図であり、(b)は図101(a)におけるQ−Q線で切断した断面図である。扉枠右サイドユニット550は、皿ユニット320の上側で扉枠ベースユニット100の扉枠ベース110の前面における貫通口111の右側に取付けられるものである。
扉枠右サイドユニット550は、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース110の前面で貫通口111の正面視右側に取付けられる上下に延びた箱状の右ユニットベース551と、右ユニットベース551の前面に取付けられている扉枠右サイド装飾基板552と、扉枠右サイド装飾基板552の前側で右ユニットベース551の前面における正面視中央より左側に取付けられており上下方向及び前後方向に延びている透明平板状の右ユニット左拡散レンズ部材553と、右ユニット左拡散レンズ部材553の左側面に取付けられており装飾が施されているシート状の右ユニット左装飾部材554と、右ユニット左装飾部材554の左側を覆うように右ユニット左拡散レンズ部材553に取付けられている透明平板状の右ユニット左カバー555と、を備えている。
扉枠右サイドユニット550は、扉枠右サイド装飾基板552の前側且つ右ユニット左拡散レンズ部材553の正面視右側で右ユニットベース551の前面における正面視中央より右側と右ユニット左拡散レンズ部材553とに取付けられており上下方向及び前後方向に延びている透明平板状の右ユニット右拡散レンズ部材556と、右ユニット右拡散レンズ部材556の右側面に取付けられており装飾が施されているシート状の右ユニット右装飾部材557と、右ユニット右装飾部材557の右側を覆うように右ユニット右拡散レンズ部材556に取付けられている透明平板状の右ユニット右カバーと558、を備えている。
更に、扉枠右サイドユニット550は、右ユニット左拡散レンズ部材553と右ユニット右拡散レンズ部材556との間に配置されており前方及び右方が開放された上下方向及び前後方向に延びた浅い箱状で不透光性の右ユニット左遮光部材559と、右ユニット右拡散レンズ部材556の左側で右ユニット左遮光部材559の開放されている右側を閉鎖するように取付けられている不透光性で平板状の右ユニット右遮光部材560と、を備えている。
扉枠右サイドユニット550は、右ユニット左拡散レンズ部材553及び右ユニット右拡散レンズ部材556の前端に取付けられており前端部に多面体状の装飾を有している透光性を有する右ユニット装飾レンズ部材561と、右ユニット装飾レンズ部材561の左右両側と右ユニット左拡散レンズ部材553及び右ユニット右拡散レンズ部材556の前端側を覆うように右ユニットベース551の前面に取付けられている前後に貫通した枠状の右ユニット装飾ベース562と、右ユニット装飾ベース562の前端開口を閉鎖するように右ユニット装飾ベース562の前側に取付けられている透明な右ユニットカバー563と、右ユニットカバー563の前側に取付けられている複数の飾り部材564と、を備えている。なお、図示は省略するが、扉枠右サイドユニット550は、右ユニットベース551を上下に貫通するように取付けられ、扉枠ベースユニット100の扉本体中継基板と、扉枠トップユニット570の扉枠トップユニット中継基板589とを接続するための接続ケーブルを備えている。
扉枠右サイドユニット550の右ユニットベース551は、正面視の形状が上下に長く延びた四角形で、前後に短く角筒状に延びており、前後方向の中央付近が閉鎖された箱状に形成されている。この右ユニットベース551は、不透光性の部材によって形成されている。
扉枠右サイド装飾基板552は、上下に延びた帯板状に形成されている。扉枠右サイド装飾基板552は、前面における左右方向中央より左側に実装されている複数の左LED552cと、前面における左右方向中央より右側に実装されている右LED552dと、前面における左右方向中央に実装されている複数の中LED552eと、を備えている。扉枠右サイド装飾基板552の左LED552cは、右ユニット左拡散レンズ部材553を介して右ユニット左装飾部材554を発光装飾させためのものである。右LED552dは、右ユニット右拡散レンズ部材556を介して右ユニット右装飾部材557を発光装飾させるためのものである。中LED552eは、右ユニット装飾レンズ部材561を発光装飾させるためのものである。
扉枠右サイド装飾基板552は、前後両面が白色に形成されている。扉枠右サイド装飾基板552は、上側の扉枠右サイド上装飾基板552Aと、下側の扉枠右サイド下装飾基板552Bとに上下に分割されている。図示は省略するが、扉枠右サイド下装飾基板552Bは、扉枠ベースユニット100の扉本体中継基板に接続されており、扉枠右サイド上装飾基板552Aは、扉枠右サイド下装飾基板552Bに接続されている。
右ユニット左拡散レンズ部材553は、上下方向及び前後方向に延びた平板状の本体部553aと、本体部553aの後辺から正面視右方へ短く平板状に突出している後壁部553bと、後壁部553bの正面視右端側から左方へ四角形状に切欠かれており上下方向に所定間隔で複数形成されている切欠部553cと、本体部553aの正面視左面側において右ユニット左装飾部材554を収容可能に浅く窪んでいる収容凹部553dと、本体部553aの後端面から後方へ突出しており上下方向に複数備えられている入力レンズ部553eと、本体部553aの正面視右面側において各入力レンズ部553eが上下方向の中央となるように上下方向に複数配置されている側面反射部553fと、を備えている。
右ユニット左拡散レンズ部材553の本体部553aは、側面視の形状が、上下に延びた四角形の前端側の上隅がC面取り状に斜めに切欠かれているとともに、下辺が前方へ向かうに従って上方へ移動するように傾斜している形状に形成されている。本体部553aは、図105に示すように、後端側から前方へ向かうに従って、正面視右方へ移動するように全体が、扉枠右サイド装飾基板552の前面の垂直線に対して僅かに傾斜している。本体部553aの前端は、扉枠3に組立てた状態で、扉枠左サイドユニット540の前端よりも大きく前方へ突出している。
後壁部553bは、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態で、その右端が、右ユニットベース551の左右方向略中央まで延びている。この後壁部553bの右端には、右ユニット右拡散レンズ部材556の後壁部556bの左端が当接する。
複数の切欠部553cは、上下方向へ所定間隔で複数形成されており、一部が扉枠右サイド装飾基板552の中LED552eと対応している。扉枠右サイドユニット550に組立てた状態では、複数の切欠部553cから扉枠右サイド装飾基板552の中LED552eが前方に臨んでおり、複数の中LED552eによって右ユニット装飾レンズ部材561を良好に発光装飾させることができる。
収容凹部553dは、底面が平坦面に形成されており、外周の形状が右ユニット左装飾部材554の外形形状に略一致している。これにより、右ユニット左装飾部材554を収容することができる。
複数の入力レンズ部553eは、本体部553aの後端面から上下方向へ所定間隔で後方へ突出している。具体的には、右ユニット左拡散レンズ部材553を上下方向へ6等分した時の夫々の上下方向略中央に形成されている。入力レンズ部553eは、詳細な図示は省略するが、上下に延びた四角形が後方へ突出した直方体の部位と、その直方体の部位の後面から球面状に湾曲するように前方へ向かって窪んでいる部位と、を有している。これら入力レンズ部553eは、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態で、扉枠右サイド装飾基板552の左LED552cの直前に夫々位置している。これにより、左LED552cからの光を、本体部553a内で広く拡散されるように入力させることができる。
側面反射部553fは、上下方向に複数(六つ)備えられている。各側面反射部553fは、入力レンズ部553eを中心にした放射状に延びている線により周方向へ分割されている同心円弧状の複数の溝により形成されている。これら同心円弧状の複数の溝は、夫々の溝において、入力レンズ部553eに近い側の面が本体部553aの面に対して傾斜しているとともに、入力レンズ部553eから遠い側の面が本体部553aの面に対して垂直に延びており、最深部が円弧状に形成されている。側面反射部553fは、入力レンズ部553eを中心とした半径方向に切断した時に断面形状が、溝と溝との間の山の部分が中心側へ向くような尖った三角形状に形成されており、全体が鋸状に形成されている。側面反射部553fは、複数の同心円弧状の溝を周方向に分割している放射状の線を境に、溝の部分と山の部分とが周方向へ交互に配置されるように形成されている。
この右ユニット左拡散レンズ部材553は、扉枠右サイド装飾基板552の左LED552cから前方へ照射された光が、入力レンズ部553eの後面から右ユニット左拡散レンズ部材553の本体部553a内へと入射される。この入力レンズ部553eの後端は、前方へ向かって湾曲状に窪んでいることから、その湾曲面により左LED552cからの光が広がるように屈折し、本体部553a内において、各入力レンズ部553eを中心として前方へ向かって放射状に拡散することとなる。
本体部553aは、全体が前方へ向かうに従って正面視右方へ移動するように、扉枠右サイド装飾基板552の前面から垂直に延びている線に対して僅かに傾斜しているため、扉枠右サイド装飾基板552の前面に実装されている左LED552cから照射されて入力レンズ部553eから本体部553a内に入射された光が、本体部553a内の平坦な左面に当ることとなる。しかしながら、左LED552cからの直接光は、本体部553aの左面に対する入射角度の関係で、本体部553aの左面から外部へ放射されることはなく、左面の内面で側面反射部553f側へ反射することとなる。
入力レンズ部553eから本体部553a内に前方へ向かって入射された光は、鋸状の側面反射部553fに当ることで正面視左方へ反射し、本体部553aの左面から外方へ照射されることとなる。なお、本体部553aの右面(側面反射部553f)からも外方(正面視右方)へ光が照射されるが、本体部553aの右側に配置されている右ユニット左遮光部材559が白色の部材とされているため、右ユニット左遮光部材559の左面が明るく照らされることとなり、右ユニット左遮光部材559で反射した間接光が本体部553aを通って左方側へ照射されることとなる。したがって、本体部553aの左面からは、本体部553a内において側面反射部553fにより左方へ反射された光と、側面反射部553fから右方へ照射されて右ユニット左遮光部材559の左面で左方へ反射して本体部553aを通過した光とが、左方へ照射されるため、本体部553aの左側に取付けられている右ユニット左装飾部材554を良好な明るさで発光装飾させることができる。
側面反射部553fでは、同心円状の複数の溝を放射状に延びた複数の線で分割した上で、分割線を境に同心円弧状の複数の溝を半径方向へずらして、同心円弧状の溝を周方向において交互に配置するようにしているため、本体部553aの左面から外方(左方)へ照射される光が、同心円状の縞模様の濃淡を有した光となるのを回避させることができ、より濃淡の均一な光を左方へ照射させることができる。これにより、本体部553aの左面の収容凹部553dに収容されている右ユニット左装飾部材554を、略均一に発光装飾させることができる。
なお、右ユニット左拡散レンズ部材553は、透明な部材により形成されているため、本体部553aの正面視左側(収容凹部553dが形成されている側)から、反対側に形成されている側面反射部553fの複数の同心円弧状の溝と放射状に延びている線とからなる模様を視認することができる。したがって、右ユニット左装飾部材554において、透明な部分を形成した場合、その透明な部分を通して右ユニット左拡散レンズ部材553の側面反射部553fの模様が視認できることとなり、右ユニット左装飾部材554における透明な部分を側面反射部553fによって装飾することができる。
右ユニット左装飾部材554は、薄いシート状に形成されており、パチンコ機1のメーカーロゴや、遊技盤5において遊技者に提示する演出のコンセプトに沿ったロゴ、等の装飾が、透光性を有するように施されている。右ユニット左カバー555は、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態で、右ユニット左装飾部材554の外面を保護している。
右ユニット右拡散レンズ部材556は、右ユニット左拡散レンズ部材553とは略左右対称に形成されており、同じような構成を備えている。詳述すると、右ユニット右拡散レンズ部材556は、上下方向及び前後方向に延びた平板状の本体部556aと、本体部556aの後辺から正面視左方へ短く平板状に突出している後壁部556bと、後壁部556bの正面視左端側から右方へ四角形状に切欠かれており上下方向に所定間隔で複数形成されている切欠部556cと、本体部556aの正面視右面側において右ユニット右装飾部材557を収容可能に浅く窪んでいる収容凹部556dと、本体部556aの後端面から後方へ突出しており上下方向に複数備えられている入力レンズ部556eと、本体部556aの正面視左面側において各入力レンズ部556eが上下方向の中央となるように上下方向に複数配置されている側面反射部556fと、を備えている。
右ユニット右拡散レンズ部材556の本体部556aは、側面視の形状が、上下に延びた四角形の前端側の上隅がC面取り状に斜めに切欠かれているとともに、下辺が前方へ向かうに従って上方へ移動するように傾斜している形状に形成されており、右ユニット左拡散レンズ部材553の本体部553aと外形が略同じ形状に形成されている。本体部556aは、図105に示すように、後端側から前方へ向かうに従って、正面視左方へ移動するように全体が、扉枠右サイド装飾基板552の前面の垂直線に対して僅かに傾斜している。本体部556aの前端は、扉枠3に組立てた状態で、扉枠左サイドユニット540の前端よりも大きく前方へ突出している。
後壁部556bは、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態で、その左端が、右ユニットベース551の左右方向略中央まで延びている。この後壁部556bの左端には、右ユニット左拡散レンズ部材553の後壁部553bの右端が当接する。
複数の切欠部556cは、上下方向へ所定間隔で複数形成されており、一部が扉枠右サイド装飾基板552の中LED552eと対応している。これら複数の切欠部556cは、右ユニット左拡散レンズ部材553の複数の切欠部553cと対応した位置に形成されている。したがって、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態では、右ユニット左拡散レンズ部材553の切欠部553cと、右ユニット右拡散レンズ部材556の切欠部556cとで、前後に貫通している四角い開口部が形成され、その開口部から扉枠右サイド装飾基板552の中LED552eが前方に臨み、複数の中LED552eによって右ユニット装飾レンズ部材561を良好に発光装飾させることができる。
収容凹部556dは、底面が平坦面に形成されており、外周の形状が右ユニット右装飾部材557の外形形状に略一致している。これにより、右ユニット右装飾部材557を収容することができる。
複数の入力レンズ部556eは、本体部556aの後端面から上下方向へ所定間隔で後方へ突出している。具体的には、右ユニット右拡散レンズ部材556を上下方向へ6等分した時の夫々の上下方向略中央に形成されている。入力レンズ部556eは、詳細な図示は省略するが、上下に延びた四角形が後方へ突出した直方体の部位と、その直方体の部位の後面から球面状に湾曲するように前方へ向かって窪んでいる部位と、を有している。これら入力レンズ部556eは、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態で、扉枠右サイド装飾基板552の右LED552dの直前に夫々位置している。これにより、右LED552dからの光を、本体部556a内で広く拡散されるように入力させることができる。
側面反射部556fは、上下方向に複数(六つ)備えられている。各側面反射部556fは、入力レンズ部556eを中心にした放射状に延びている線により周方向へ分割されている同心円弧状の複数の溝により形成されている。これら同心円弧状の複数の溝は、夫々の溝において、入力レンズ部556eに近い側の面が本体部556aの面に対して傾斜しているとともに、入力レンズ部556eから遠い側の面が本体部556aの面に対して垂直に延びており、最深部が円弧状に形成されている。側面反射部556fは、入力レンズ部556eを中心とした半径方向に切断した時に断面形状が、溝と溝との間の山の部分が中心側へ向くような尖った三角形状に形成されており、全体が鋸状に形成されている。側面反射部556fは、複数の同心円弧状の溝を周方向に分割している放射状の線を境に、溝の部分と山の部分とが周方向へ交互に配置されるように形成されている。
この右ユニット右拡散レンズ部材556は、扉枠右サイド装飾基板552の右LED552dから前方へ照射された光が、入力レンズ部556eの後面から右ユニット右拡散レンズ部材556の本体部556a内へと入射される。この入力レンズ部556eの後端は、前方へ向かって湾曲状に窪んでいることから、その湾曲面により右LED552dからの光が広がるように屈折し、本体部556a内において、各入力レンズ部556eを中心として前方へ向かって放射状に拡散することとなる。
本体部556aは、全体が前方へ向かうに従って正面視左方へ移動するように、扉枠右サイド装飾基板552の前面から垂直に延びている線に対して僅かに傾斜しているため、扉枠右サイド装飾基板552の前面に実装されている右LED552dから照射されて入力レンズ部556eから本体部556a内に入射された光が、本体部556a内の平坦な右面に当ることとなる。しかしながら、右LED552dからの直接光は、本体部556aの右面に対する入射角度の関係で、本体部556aの左面から外部へ放射されることはなく、右面の内面で側面反射部556f側へ反射することとなる。
入力レンズ部556eから本体部556a内に前方へ向かって入射された光は、鋸状の側面反射部556fに当ることで正面視右方へ反射し、本体部556aの右面から外方へ照射されることとなる。なお、本体部556aの右面(側面反射部556f)からも外方(正面視左方)へ光が照射されるが、本体部556aの左側に配置されている右ユニット右遮光部材560が白色の部材とされているため、右ユニット右遮光部材560の右面が明るく照らされることとなり、右ユニット右遮光部材560で反射した間接光が本体部556aを通って右方側へ照射されることとなる。したがって、本体部556aの右面からは、本体部556a内において側面反射部556fにより右方へ反射された光と、側面反射部556fから左方へ照射されて右ユニット右遮光部材560の右面で右方へ反射して本体部556aを通過した光とが、右方へ照射されるため、本体部556aの右側に取付けられている右ユニット右装飾部材557を良好な明るさで発光装飾させることができる。
側面反射部556fでは、同心円状の複数の溝を放射状に延びた複数の線で分割した上で、分割線を境に同心円弧状の複数の溝を半径方向へずらして、同心円弧状の溝を周方向において交互に配置するようにしているため、本体部556aの右面から外方(右方)へ照射される光が、同心円状の縞模様の濃淡を有した光となるのを回避させることができ、より濃淡の均一な光を右方へ照射させることができる。これにより、本体部556aの右面の収容凹部556dに収容されている右ユニット右装飾部材557を、略均一に発光装飾させることができる。
なお、右ユニット右拡散レンズ部材556は、透明な部材により形成されているため、本体部556aの正面視右側(収容凹部556dが形成されている側)から、反対側に形成されている側面反射部556fの複数の同心円弧状の溝と放射状に延びている線とからなる模様を視認することができる。したがって、右ユニット右装飾部材557において、透明な部分を形成した場合、その透明な部分を通して右ユニット右拡散レンズ部材556の側面反射部556fの模様が視認できることとなり、右ユニット右装飾部材557における透明な部分を側面反射部556fによって装飾することができる。
右ユニット右装飾部材557は、薄いシート状に形成されており、パチンコ機1のメーカーロゴや、遊技盤5において遊技者に提示する演出のコンセプトに沿ったロゴ、等の装飾が、透光性を有するように施されている。右ユニット右カバー558は、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態で、右ユニット右装飾部材557の外面を保護している。右ユニット右装飾部材557及び右ユニット右カバー558は、右ユニット左装飾部材554及び右ユニット左カバー555とは、略左右対称に形成されている。右ユニット左装飾部材554と右ユニット右装飾部材557とに施される装飾は、同じ装飾であってもよいし、異なる装飾であってもよい。
右ユニット左遮光部材559は、側面視の形状が右ユニット左拡散レンズ部材553及び右ユニット右拡散レンズ部材556の側面視の形状と、略同じ形状に形成されている。右ユニット左遮光部材559は、前方及び右方が開放された浅い箱状に形成されている。右ユニット左遮光部材559は、上下方向及び前後方向に延びた平板状の本体部559aと、本体部559aの後辺から正面視右方へ短く平板状に突出している後壁部559bと、後壁部559bの正面視右端側から左方へ四角形状に切欠かれており上下方向に所定間隔で複数形成されている切欠部559cと、本体部559aの右面から右方へ延出しているとともに後壁部559bから本体部559aの前端まで延びている平板状の複数の補強部559dと、を備えている。
右ユニット左遮光部材559の本体部559aは、側面視の形状が、上下に延びた四角形の前端側の上隅がC面取り状に斜めに切欠かれているとともに、下辺が前方へ向かうに従って上方へ移動するように傾斜している形状に形成されており、右ユニット左拡散レンズ部材553及び右ユニット右拡散レンズ部材556の本体部553a,556aと外形が略同じ形状に形成されている。
後壁部559bは、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態で、その左端が、右ユニットベース551の左右方向略中央よりも右側へ延出している。この後壁部559bの右端には、右ユニット右遮光部材560の左面が当接する。
複数の切欠部559cは、上下方向へ所定間隔で複数形成されており、一部が扉枠右サイド装飾基板552の中LED552eと対応している。これら複数の切欠部559cは、右ユニット左拡散レンズ部材553及び右ユニット右拡散レンズ部材556の複数の切欠部553c,556cと対応した位置に形成されている。したがって、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態では、複数の切欠部559cから扉枠右サイド装飾基板552の中LED552eが前方に臨み、複数の中LED552eによって右ユニット装飾レンズ部材561を良好に発光装飾させることができる。
複数の補強部559dは、左右の幅と略同じ高さで上下方向に離間している一対の補強部559dを一組として、上下方向へ所定距離離間して三組備えられている。各組の補強部559dは、右ユニットカバー563に取付けられる飾り部材564の後方となる位置に夫々形成されている。これら複数の補強部559dによって、扉枠右サイドユニット550の全体の強度・剛性を高めている。
右ユニット右遮光部材560は、側面視の形状が、上下に延びた四角形の前端側の上隅がC面取り状に斜めに切欠かれているとともに、下辺が前方へ向かうに従って上方へ移動するように傾斜している形状に形成されており、右ユニット左遮光部材559における本体部559aと略同じ形状に形成されている。右ユニット右遮光部材560は、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態で、浅い箱状に形成されている右ユニット左遮光部材559の右方へ開放されている右側開口を閉鎖している。
右ユニット左遮光部材559及び右ユニット右遮光部材560は、白色の部材によって夫々形成されている。右ユニット左遮光部材559及び右ユニット右遮光部材560は、図105に示すように、扉枠右サイドユニット550に組立てた状態で、夫々の本体部559a及び右ユニット右遮光部材560が、右ユニット左拡散レンズ部材553及び右ユニット右拡散レンズ部材556の本体部553a,556aと近接するように配置されている。これにより、右ユニット左遮光部材559の本体部559a及び右ユニット右遮光部材560同士が左右方向に離間しており、左右方向に所定幅で上下方向及び前後方向に延びた空間を形成している。この右ユニット左遮光部材559の本体部559a及び右ユニット右遮光部材560同士の間に形成された空間を通して、扉枠右サイド装飾基板552の中LED552eから前方へ放射された光が、右ユニット装飾レンズ部材561の後側に照射される。
右ユニット左遮光部材559及び右ユニット右遮光部材560は、不透光性の部材によって形成されており、扉枠右サイド装飾基板552における左LED552c、中LED552e、右LED552dから夫々前方へ照射される光が、互いに干渉するのを防止しており、右ユニット左装飾部材554、右ユニット右装飾部材557、及び右ユニット装飾レンズ部材561を、夫々対応している左LED552c、右LED552d、及び中LED552eによってのみ発光装飾させることができる。
更に、右ユニット左遮光部材559及び右ユニット右遮光部材560は、三組の補強部559dによって内部空間が上下方向へ四つに分割されているため、分割された夫々の空間の後側に配置されている扉枠右サイド装飾基板552の中LED552eによって、各空間同士の間で光が干渉しないようにすることができ、右ユニット装飾レンズ部材561の各空間の前方に位置している部位を、夫々独立して発光装飾させることができる。つまり、扉枠右サイドユニット550の前端側において、上下方向へ複数(四つ)の領域に分割して夫々を独立して発光装飾させることができる。
右ユニット装飾レンズ部材561は、右ユニット左拡散レンズ部材553及び右ユニット右拡散レンズ部材556の前端形状に沿った形状に形成されている。右ユニット装飾レンズ部材561は、正面視において円形状に形成されている円形装飾部561aと、上下に延びており複数の多面体が形成されている多面装飾部561bと、を備えている。円形装飾部561aは、前面が窪み前後に短く延びた円柱状の部位の外周に三角形のリブを周方向に複数備えた形状に形成されている。多面装飾部561bは、上下に延びた直方体の前面に四角錘状の部位が上下方向に複数列設されているとともに、直方体の部位の左右両側に複数の三角形からなる多面体が上下方向に複数列設したような形状に形成されている。
詳述すると、右ユニット装飾レンズ部材561は、複数の円形装飾部561a及び多面装飾部561bが、右ユニット左遮光部材559における三組の補強部559dによって四つに分割されている夫々の空間の前方に位置する部位において、上から三つの部位では、上下方向の中央に配置された円形装飾部561aの上下両側に一つずつ多面装飾部561bが配置され、最も下側の部位では、多面装飾部561bのみが配置されるように形成されている。
右ユニット装飾レンズ部材561は、右ユニット左拡散レンズ部材553及び右ユニット右拡散レンズ部材556の前端に取付けられている。右ユニット装飾レンズ部材561は、透明な右ユニットカバー563を通して前方側(遊技者側)から視認することができる。この右ユニット装飾レンズ部材561は、後方に配置されている扉枠右サイド装飾基板552の中LED552eによって、発光装飾させられる。
右ユニット装飾ベース562は、前後方向に貫通している筒枠状に形成されている。右ユニット装飾ベース562は、右ユニット左拡散レンズ部材553及び右ユニット右拡散レンズ部材556の前端及び上端の形状に沿った形状に形成されている。右ユニット装飾ベース562は、右ユニット左拡散レンズ部材553及び右ユニット右拡散レンズ部材556における前端付近の左右両外側と、右ユニット装飾レンズ部材561の左右両側を被覆可能に形成されている。扉枠右サイドユニット550に組立てた状態で、右ユニット装飾ベース562の前端よりも、右ユニット装飾レンズ部材561の前端が、僅かに前方へ突出している。この右ユニット装飾ベース562は、不透光性の部材によって形成されている。
右ユニットカバー563は、右ユニット装飾ベース562の前端開口を閉鎖可能に形成されている。この右ユニットカバー563は、透明な部材によって形成されており、後側に配置されている右ユニット装飾レンズ部材561を前方側から視認することができる。
飾り部材564は、上下に短く延びており、上下方向へ所定間隔で右ユニットカバー563の前面に取付けられている。飾り部材564は、不透光性の部材によって形成されている。三つの飾り部材564は、右ユニットカバー563(右ユニット装飾レンズ部材561)を上下方向へ四つに分割している。
扉枠右サイドユニット550は、扉枠3に組立てた状態で、扉枠左サイドユニット540よりも前方へ大きく板状に突出しており、皿ユニット320の上皿321前端よりも若干前方へ突出している。扉枠右サイドユニット550は、突出した左右両面側に備えられている右ユニット左装飾部材554及び右ユニット右装飾部材557と、前端に備えられている右ユニット装飾レンズ部材561と、を夫々独立して発光装飾させることができる。
扉枠右サイドユニット550は、板状で前方へ大きく突出していることから、本パチンコ機1を遊技ホールの島設備に設置すると、扉枠右サイドユニット550が右側に隣接しているパチンコ機との間で仕切りのような作用効果を発揮することができる。これにより、本パチンコ機1で遊技する遊技者に対して、個室で遊技しているように錯覚させることができ、周りの他の遊技者に気兼ねすることなくリラックスした雰囲気で遊技を行わせることができる。
扉枠右サイドユニット550は、前方へ大きく突出していることから、パチンコ機1が並んだ状態で設置される遊技ホールでは、本パチンコ機1の前方に位置していなくても、島設備に沿った横方向からでも視認することができ、多数のパチンコ機が列設されている遊技ホール内において本パチンコ機1を目立たせることができる。したがって、扉枠右サイドユニット550の左右両面側の右ユニット左装飾部材554や右ユニット右装飾部材557を発光装飾させると、本パチンコ機1の前方近辺に位置していなくても、遠くから本パチンコ機1の存在を知らせることができ、遊技者に対する訴求力の高いパチンコ機1とすることができる。
更に、扉枠右サイドユニット550において、本パチンコ機1で球詰りやエラー等の不具合が発生した時に、左右両面側の右ユニット左装飾部材554や右ユニット右装飾部材557、及び右ユニット装飾レンズ部材561等を特有な態様で発光装飾させるようにすることで、遊技ホールの係員に対して、不具合の発生を直ちに知らせて認識させることができ、不具合に対して素早い対応ができるようになることから、遊技者の遊技の中断を早期に解決させることができ、遊技者が苛立ちを覚えて遊技に対する興趣の低下を抑制させることができる。
[3−7.扉枠トップユニット]
扉枠3の扉枠トップユニット570について、主に図106乃至図109等を参照して詳細に説明する。図106(a)は扉枠における扉枠トップユニットの正面図であり、(b)は扉枠トップユニットを前から見た斜視図であり、(c)は扉枠トップユニットを後ろから見た斜視図である。図107は扉枠トップユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図108は扉枠トップユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図109は、図106におけるR−R線で切断した断面図である。扉枠トップユニット570は、扉枠左サイドユニット540及び扉枠右サイドユニット550の上側で扉枠ベースユニット100の扉枠ベース110の前面における貫通口111の上側に取付けられるものである。
扉枠トップユニット570は、扉枠ベースユニット100の扉枠ベース110の前面における貫通口111の上側で左右方向の中央に取付けられる中央ベース571と、中央ベース571の左右両側に取付けられているとともに扉枠ベース110の前面に取付けられる一対のサイドベース572と、一対のサイドベース572の前面に夫々取付けられている一対の上部スピーカ573と、左右に延びているとともに左右方向中央が前方へ突出しており後方が開放されている箱状で一対の上部スピーカ573の前方位置で前後に夫々貫通している一対の開口部574a、及び一対の開口部574aよりも左右方向中央寄りの位置から中央付近まで夫々延びているとともに前後方向に夫々貫通しており上下に離間している複数(左右夫々三つ)のスリット574bを有しており中央ベース571及び一対のサイドベース572の前側に取付けられているユニット本体574と、一対の上部スピーカ573の前側に夫々配置されており一対の開口部574aを閉鎖するようにユニット本体574の後側に取付けられているパンチングメタルからなるスピーカカバー575と、を備えている。
扉枠トップユニット570は、ユニット本体574の左右方向中央の前面に取付けられており透光性を有しているトップ中装飾部材576と、トップ中装飾部材576の後側に取付けられており前面に複数のLEDが実装されている扉枠トップ中装飾基板577と、ユニット本体574の前面に夫々取付けられており複数のスリット574bを夫々閉鎖しているとともにトップ中装飾部材576の左右両端付近から開口部574aを跨いでユニット本体574の左右両端付近まで夫々延びている透明平板状の複数(左右夫々三つ)の導光部材578と、ユニット本体574の前面におけるトップ中装飾部材576の左右両側に夫々取付けられており複数(三つ)の導光部材578の前面を夫々覆っているトップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580と、トップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580の夫々の前方側からユニット本体574の前面に夫々取付けられておりトップ中装飾部材576の左右両側から開口部574aの中央側端部付近まで夫々延びているトップ中左装飾部材581及びトップ中右装飾部材582と、を備えている。
更に、扉枠トップユニット570は、ユニット本体574における左右両側面の内側に夫々取付けられており複数(三つ)の導光部材578における左右方向外側端部と対面する部位にLEDが夫々実装されている扉枠トップ左装飾基板583及び扉枠トップ右装飾基板584と、ユニット本体574の後側における左右方向中央の左右両側に夫々形成されている複数(三つの)スリット574bが貫通している部位に夫々取付けられている一対の基板ベース585と、一対の基板ベース585の前面に夫々取付けられておりユニット本体574のスリット574bの後方となる位置に複数のLED586a,587aが実装されている扉枠トップ中左装飾基板586及び扉枠トップ中右装飾基板587と、扉枠トップ中左装飾基板586及び扉枠トップ中右装飾基板587の前側でユニット本体574の後側に夫々取付けられている一対の遮光部材588と、を備えている。
扉枠トップユニット570は、ユニット本体574内で中央ベース571の前面に取付けられている扉枠トップユニット中継基板589と、扉枠トップユニット中継基板589の前面を覆うように中央ベース571に取付けられている中継基板カバー590と、ユニット本体574の上開口部574cを閉鎖するようにユニット本体574に取付けられている上カバー591と、ユニット本体574の下開口部574dを閉鎖するようにユニット本体574に取付けられている下カバー592と、を備えている。
扉枠トップユニット570の中央ベース571は、正面視の形状が左右に延びた四角形に形成されている。中央ベース571は、後方へ開放された箱状に形成されており、前面に複数の凹凸を備えている。一対のサイドベース572は、中央ベース571の左右両端に夫々取付けられる。一対の上部スピーカ573は、各サイドベース572の前面に夫々取付けられる。一対の上部スピーカ573は、扉枠トップユニット570に組立てた状態で、夫々の前面が、扉枠トップユニット570の左右方向中央に近い側が後方へ移動するように斜めに取付けられている。一対の上部スピーカ573は、広い周波数帯域で音を出力可能なフルレンジのコーン型スピーカである。
ユニット本体574は、正面視の形状が、左右に延びた四角形の左右両端付近の下部が下方へ膨出したような形状に形成されている。換言すると、ユニット本体574は、正面視の形状が、左右に延びた四角形を、下端辺側から上方へ窄まった台形で切欠いたような形状に形成されている。ユニット本体574は、平面視の形状が、左右に延びた四角形と、その四角形の前端辺側における左右方向中央を中心にして全幅(左右方向の長さ)の約1/2の部位を底辺とする前方へ突出した台形と、その台形の前端辺を長辺として前方へ短く突出した四角形と、を組合せた形状に形成されている。したがって、ユニット本体574は、前面における左右方向中央で前方へ突出した部位の両側が、ユニット本体574の左右方向の端部と、前方へ突出した部位の前端の左右方向端部とを結んだ線よりも後方に位置している(窪んでいる)。
ユニット本体574は、前面における左右方向両端から前方へ突出している部位よりも外側の位置までの部位に、夫々前後に貫通している開口部574aが形成されている。ユニット本体574は、前面における前方へ台形に突出している部位の斜めに延びている部位に、上下方向に所定の高さで左右に延びているとともに前後方向に貫通している複数のスリット574bが形成されている。複数のスリット574bは、ユニット本体574の前面における前方へ斜めに延びている部位の前端付近から、開口部574a付近まで左右に延びている。複数のスリット574bは、ユニット本体574の左右方向中央の両側に、夫々三つずつ上下に離間して形成されている。
ユニット本体574は、上面における左右方向中央に後端から前方へ向かって四角く切欠かれた上開口部574cと、下面における左右方向に後端から前方へ向かって切欠かれた下開口部574dと、を備えている。ユニット本体574の上開口部574cは、上カバー591によって閉鎖される。下開口部574dは、下カバー592によって閉鎖される。
ユニット本体574は、左右両端に上下に延びたトップ左装飾部574e及びトップ右装飾部574fを備えている。トップ左装飾部574eは、その前面が、開口部574aの形成されている部位の前面と、前後方向が略同じ位置に形成されている。トップ右装飾部574fは、その前面が、開口部574aの形成されている部位の前面よりも前方へ位置するように形成されている。このユニット本体574は、不透光性の部材によって形成されている。
トップ中装飾部材576は、ユニット本体574の前面における左右方向中央において前方へ突出している部位の前端に取付けられる。トップ中装飾部材576は、正面視の形状が、略正方形の下辺の左右方向中央部が下方へ位置するように折れ曲がった変五角形と、変五角形の左右の辺の上端から左右方向外側へ延出した辺の先端と辺五角形の左右の辺の下端とを結んだ略直角三角形と、を組合せたような形状に形成されている。トップ中装飾部材576は、前面の変五角形の部位が、下方へ向かうに従って後方へ移動するように傾斜している。このトップ中装飾部材576は、全体が立体的な形状に形成されており、透光性を有している。
扉枠トップ中装飾基板577は、前面が、トップ中装飾部材576の変五角形の部位の前面と沿うように、下方へ向かうに従って後方へ移動するように傾斜した状態でトップ中装飾部材576の後側に取付けられる。扉枠トップ中装飾基板577は、前面に複数のLEDが実装されており、それらLEDを発光させることで、トップ中装飾部材576を発光装飾させることができる。
導光部材578は、透明な部材によって形成されている。導光部材578は、ユニット本体574の前面における前方へ突出した部位の前端よりも左右両外側の形状に沿った形状に形成されている。ユニット本体574の左右方向両端部に近い側を端部側、中央に近い側を中央側として説明すると、導光部材578は、端部側から中央側へ向かって左右に真っすぐに延びた直部578aと、直部578aの中央側の端部側から中央側へ向かうに従って前方へ移動するように半径の大きい円弧状に延びた円弧部578bと、で構成されている。導光部材578は、直部578aでは前後方向の奥行きが上下方向の高さよりも小さく形成されており、円弧部578bでは前後方向の奥行きが上下方向の高さよりも大きく形成されている。導光部材578は、直部578aでは上下方向の高さが一定に形成されており、円弧部578bでは上下方向の高さが中央側へ向かうに従って小さくなるように形成されている。導光部材578は、扉枠トップユニット570に組立てた状態で、直部578aがユニット本体574の開口部574aの直前に位置し、円弧部578bがユニット本体574のスリット574bを前方から閉鎖している。
導光部材578は、直部578aの後面に形成されている鋸状の凹凸からなる拡散反射部578cと、円弧部578bの後面側に形成されている複数の凹凸からなる拡散入力部578dと、を備えている。
導光部材578は、扉枠トップユニット570に組立てた状態で、左右方向両外側の端部が、扉枠トップ左装飾基板583又は扉枠トップ右装飾基板584のLED583a,584aと対面しているとともに、拡散入力部578dが扉枠トップ中左装飾基板586又は扉枠トップ中右装飾基板587のLED586a,587aと対面している。この導光部材578は、左右方向両外側の端部から、扉枠トップ左装飾基板583又は扉枠トップ右装飾基板584のLED583a,584aからの光が入射されると、その光が直部578a内を中央側へ進むとともに、直部578aの後面に形成されている拡散反射部578cにより端部側から順次前方へ反射され、直部578aの前面全体から光が前方へ照射される。導光部材578の前方にはトップ左装飾レンズ部材579又はトップ右装飾レンズ部材580が配置されており、それらのうちの直部578aの前方となる部位が発光装飾させられる。
導光部材578は、円弧部578bの後面に形成されている拡散入力部578dから、扉枠トップ中左装飾基板586又は扉枠トップ中右装飾基板587のLED586a,587aからの光が入射されると、その光が拡散入力部578dの凹凸により円弧部578b内へ広く拡散され、円弧部578bの前面全体から光が前方へ照射される。これにより、トップ左装飾レンズ部材579又はトップ右装飾レンズ部材580における円弧部578bの前方に位置している部位を発光装飾させることができる。
このように、導光部材578は、扉枠トップ左装飾基板583及び扉枠トップ中左装飾基板586のLED583a,586a、又は、扉枠トップ右装飾基板584及び扉枠トップ中右装飾基板587のLED584a,587a、からの光を導いて、前方に配置されているトップ左装飾レンズ部材579又はトップ右装飾レンズ部材580の全体を良好(均一)な状態で発光装飾させることができる。
トップ左装飾レンズ部材579は、ユニット本体574の前面における左右方向中央より左側に配置される三つの導光部材578の前方を覆うように、ユニット本体574の前面に取付けられる。トップ左装飾レンズ部材579は、三つの導光部材578を夫々独立して前方から収容する三つの装飾レンズ部579aを有している。トップ左装飾レンズ部材579の装飾レンズ部579aは、導光部材578に倣った形状に形成されており、導光部材578の前面及び上下両面を被覆している。各装飾レンズ部579aの前面には、前方へ突出した四角錘台の凹凸が左右に列設されている。
トップ左装飾レンズ部材579は、扉枠トップユニット570におけるトップ中装飾部材576の左端から、ユニット本体574のトップ左装飾部574eの右端まで延びている。つまり、トップ左装飾レンズ部材579は、扉枠トップユニット570におけるトップ中装飾部材576よりも左側の略全体を装飾している。このトップ左装飾レンズ部材579は、三つの導光部材578を介して扉枠トップ左装飾基板583及び扉枠トップ中左装飾基板586のLED583a,586aによって発光装飾させられる。
トップ右装飾レンズ部材580は、ユニット本体574の前面における左右方向中央より右側に配置される三つの導光部材578の前方を覆うように、ユニット本体574の前面に取付けられる。トップ右装飾レンズ部材580は、三つの導光部材578を夫々独立して前方から収容する三つの装飾レンズ部580aを有している。トップ右装飾レンズ部材580の装飾レンズ部580aは、導光部材578に倣った形状に形成されており、導光部材578の前面及び上下両面を被覆している。各装飾レンズ部580aの前面には、前方へ突出した四角錘台の凹凸が左右に列設されている。
トップ右装飾レンズ部材580は、扉枠トップユニット570におけるトップ中装飾部材576の右端から、ユニット本体574のトップ右装飾部574fの左端まで延びている。つまり、トップ右装飾レンズ部材580は、扉枠トップユニット570におけるトップ中装飾部材576よりも右側の略全体を装飾している。このトップ右装飾レンズ部材580は、三つの導光部材578を介して扉枠トップ右装飾基板584及び扉枠トップ中右装飾基板587のLED584a,587aによって発光装飾させられる。
トップ中左装飾部材581は、ユニット本体574の前面における左側の開口部574aとトップ中装飾部材576との間で、トップ左装飾レンズ部材579の前方からユニット本体574の前面に取付けられる。トップ中左装飾部材581は、扉枠トップユニット570に組立てた状態で、トップ左装飾レンズ部材579の三つの装飾レンズ部579aの間を埋めるように取付けられており、前面の中央寄りがトップ左装飾レンズ部材579の前面よりも前方に突出している。このトップ中左装飾部材581は、不透光性の部材によって形成されている。
トップ中右装飾部材582は、ユニット本体574の前面における右側の開口部574aとトップ中装飾部材576との間で、トップ右装飾レンズ部材580の前方からユニット本体574の前面に取付けられる。トップ中右装飾部材582は、扉枠トップユニット570に組立てた状態で、トップ右装飾レンズ部材580の三つの装飾レンズ部580aの間を埋めるように取付けられており、前面の中央寄りがトップ右装飾レンズ部材580の前面よりも前方に突出している。このトップ中右装飾部材582は、不透光性の部材によって形成されている。
扉枠トップ左装飾基板583は、ユニット本体574内における左側面(トップ左装飾部574e)の内側に、LED583aが実装されている面を右方へ向けて取付けられている。扉枠トップ左装飾基板583は、ユニット本体574の左右方向中央より左側の前面に取付けられている三つの導光部材578の左端面と対向する位置にLED583aが実装されている。三つのLED583aは、夫々独立して発光させることができる。扉枠トップ左装飾基板583のLED583aにより、三つの導光部材578の直部578aを介して、トップ左装飾レンズ部材579におけるユニット本体574の左側の開口部574aの前方に位置している部位を発光装飾させることができる。
扉枠トップ右装飾基板584は、ユニット本体574内における右側面(トップ右装飾部574f)の内側に、LED584aが実装されている面を左方へ向けて取付けられている。扉枠トップ右装飾基板584は、ユニット本体574の左右方向中央より右側の前面に取付けられている三つの導光部材578の右端面と対向する位置にLED584aが実装されている。三つのLED584aは、夫々独立して発光させることができる。扉枠トップ右装飾基板584のLED584aにより、三つの導光部材578の直部578aを介して、トップ右装飾レンズ部材580におけるユニット本体574の右側の開口部574aの前方に位置している部位を発光装飾させることができる。
一対の基板ベース585は、ユニット本体574内における複数のスリット574bが形成されている部位の後側に取付けられるものである。一対の基板ベース585は、互いが略左右対称に形成されている。基板ベース585は、上下及び前後に延びた辺を有する側面視略正方形の側壁と、側壁の後辺から直角に左右方向外方へ延びた正面視四角形の後壁と、側壁の上辺の前端から側壁の上辺途中までを結んだ線を斜辺として側壁と後壁の上辺同士を結んでいる略直角三角形の上壁と、上壁とは反対側で側壁と後壁の下辺同士を結んでいる略直角三角形の下壁と、を備え、上下の斜辺同士の間が開放された三角柱状の箱状に形成されている。基板ベース585は、開放されている部位が、ユニット本体574によって閉鎖されるようにユニット本体574に取付けられる。この基板ベース585は、開放されている部位が閉鎖されるように、扉枠トップ中左装飾基板586又は扉枠トップ中右装飾基板587が取付けられる。
扉枠トップ中左装飾基板586は、ユニット本体574における左右中央より左側の後側に取付けられる基板ベース585において、箱状の開放されている部位を前方から閉鎖するように、基板ベース585に取付けられる。扉枠トップ中左装飾基板586は、基板ベース585の前面に取付けられることで、前面が、ユニット本体574の左右方向中央側へ向かうに従って前方へ移動するように、左右に延びた面に対して傾斜した状態となる。これにより、扉枠トップ中左装飾基板586は、扉枠トップユニット570に組立てた状態で、その前面が、ユニット本体574の左右方向中央より左側の三つのスリット574bが形成されている部位の面と略平行な状態となる。
扉枠トップ中左装飾基板586は、ユニット本体574の三つのスリット574bと対応している位置に、複数のLED586aが実装されている。これにより、扉枠トップ中左装飾基板586は、扉枠トップユニット570に組立てた状態で、ユニット本体574の中央より左側の三つのスリット574bから、複数のLED586aが前方に臨んだ状態となる。扉枠トップ中左装飾基板586は、複数のLED586aを発光させることで、導光部材578の円弧部578bを介して、トップ左装飾レンズ部材579のトップ中装飾部材576に近い部位を発光装飾させることができる。
扉枠トップ中右装飾基板587は、ユニット本体574における左右中央より右側の後側に取付けられる基板ベース585において、箱状の開放されている部位を前方から閉鎖するように、基板ベース585に取付けられる。扉枠トップ中右装飾基板587は、基板ベース585の前面に取付けられることで、前面が、ユニット本体574の左右方向中央側へ向かうに従って前方へ移動するように、左右に延びた面に対して傾斜した状態となる。これにより、扉枠トップ中右装飾基板587は、扉枠トップユニット570に組立てた状態で、その前面が、ユニット本体574の左右方向中央より右側の三つのスリット574bが形成されている部位の面と略平行な状態となる。
扉枠トップ中右装飾基板587は、ユニット本体574の三つのスリット574bと対応している位置に、複数のLED587aが実装されている。これにより、扉枠トップ中右装飾基板587は、扉枠トップユニット570に組立てた状態で、ユニット本体574の中央より右側の三つのスリット574bから、複数のLED587aが前方に臨んだ状態となる。扉枠トップ中右装飾基板587は、複数のLED587aを発光させることで、導光部材578の円弧部578bを介して、トップ右装飾レンズ部材580のトップ中装飾部材576に近い部位を発光装飾させることができる。
一対の遮光部材588は、扉枠トップ中左装飾基板586及び扉枠トップ中右装飾基板587とユニット本体574との間の位置で、ユニット本体574の前面後側に取付けられるものである。一対の遮光部材588は、不透光性の部材によって、互いが略左右対称に形成されている。遮光部材588は、ユニット本体574における三つのスリット574bと対応して列設されている扉枠トップ中左装飾基板586及び扉枠トップ中右装飾基板587の複数のLED586a,587aの上下の間を仕切っている。この遮光部材588により、各導光部材578の直後に位置しているLED586a,587aによってのみ、その導光部材578により光を前方へ誘導させることができ、トップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580の夫々の装飾レンズ部579a,580aを夫々独立させた状態で良好に発光装飾させることができる。
扉枠トップユニット中継基板589は、中央ベース571の前面に取付けられている。扉枠トップユニット中継基板589は、一対の上部スピーカ573、扉枠トップ中装飾基板577、扉枠トップ左装飾基板583、扉枠トップ右装飾基板584、扉枠トップ中左装飾基板586、及び扉枠トップ中右装飾基板587と、扉枠ベースユニット100の扉本体中継基板との接続を中継している。扉枠トップユニット中継基板589は、扉枠右サイドユニット550に備えられている図示しない接続ケーブルを介して、扉本体中継基板と接続されている。この扉枠トップユニット中継基板589は、前側が中継基板カバー590によって覆われている。
この扉枠トップユニット570は、左右方向中央において前方へ突出したトップ中装飾部材576を備えているとともに、トップ中装飾部材576の左右両側の前面が後方へ抉れているように湾曲しているため、トップ中装飾部材576のみが前方へ大きく突出しているように遊技者を錯覚させることができ、遊技者の関心を本パチンコ機1に対して強く引付けさせることができる。
扉枠トップユニット570は、中央に配置されているトップ中装飾部材576の左右両側を装飾しているトップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580を、トップ中装飾部材576の左右両側から、ユニット本体574の左右両端に形成されているトップ左装飾部574e及びトップ右装飾部574fまで延びるように形成している。これにより、扉枠トップユニット570によって、扉枠3の前面上部を全体的に装飾することができる。
この際に、扉枠トップユニット570では、トップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580が配置されている左右方向両端付近の夫々の後方に、パンチングメタルからなるスピーカカバー575により前面が保護された上部スピーカ573を備え、トップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580の上下に離間している三つの装飾レンズ部579a,580aの間からスピーカカバー575が前方へ臨むようにしているため、左右の上部スピーカ573から出力されるサウンドを、良好な状態で遊技者に聴かせることができ、良質なステレオサウンドを楽しませることができる。
扉枠トップユニット570は、トップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580の後側に備えられた複数の導光部材578により、扉枠トップ左装飾基板583、扉枠トップ右装飾基板584、扉枠トップ中左装飾基板586、及び扉枠トップ中右装飾基板587からの光を、トップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580に導くことができ、トップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580の前面全体を良好に発光装飾させることができる。したがって、扉枠トップユニット570は、左右の上部スピーカ573の前方を含む扉枠3の上部の前面全体を発光装飾させることができる。
[3−8.扉枠の作用効果]
扉枠3の作用効果について説明する。本実施形態のパチンコ機1における扉枠3は、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース110の前後に貫通している貫通口111を、従来のパチンコ機よりは上下及び左右方向へ大きくしており、貫通口111の拡大に合せて、皿ユニット320及び扉枠トップユニット570の上下方向の高さを小さくしているとともに、扉枠左サイドユニット540及び扉枠右サイドユニット550の左右方向の幅を小さくしている。これにより、貫通口111(ガラスユニット190)を通して、本体枠4に取付けられた遊技盤5(遊技領域5a)の前面を、可及的に広く遊技者(前方)から見えるようにすることができ、遊技領域5aの広い遊技盤5に対応している。
扉枠3は、貫通口111の下側において、前方へ膨出している皿ユニット320の左右方向中央に大きな半球面状の操作ボタン410を有した演出装飾回転体ユニット530(第二演出装飾回転体ユニット530A)を備え、演出装飾回転体ユニット530の左右両側における下半分(上皿321よりも下側の部分)の前面(皿前下装飾部326cの前面)を、後方へ抉れるように窪んだ形状(皿ユニット320の左右両端の前端と、演出装飾回転体ユニット530の左右両端の前端とを結んだ直線よりも、演出装飾回転体ユニット530の左右両側の前面が後方へ位置するように凹状に湾曲した形状)に形成されている。これにより、皿ユニット320の左右方向中央の前面に取付けられている演出装飾回転体ユニット530が前方へ大きく突出しているように見えるため、遊技者に対して演出装飾回転体ユニット530を目立たせて強調して見せることができ、演出装飾回転体ユニット530に強く注目させることができる。
扉枠3は、貫通口111よりも下側の皿ユニット320の前面に配置されている演出装飾回転体ユニット530を、大きな半球面状の透明な操作ボタン410が、斜め上前方を向くように傾けた状態で取付けているため、本パチンコ機1の前で遊技者が着座すると、操作ボタン410が遊技者の頭部(顔)を向いた状態となり、遊技者が視線を落として演出装飾回転体ユニット530を見ると、操作ボタン410が略正面に近い状態で見えることとなり、大きくて丸い操作ボタン410を強烈に視認させることができ、操作ボタン410を用いた演出に対して期待感を高めさせることができるとともに、透明な操作ボタン410内に配置されている扉枠側演出表示装置460に表示される演出画像を良好な状態で視認させることができ、演出画像を十分に楽しませることができる。
扉枠3は、皿ユニット320の全高と略同じ直径の大きくて前方へ丸く膨出した操作ボタン410を備えているため、操作ボタン410を操作する際に、短い距離の手の移動で操作ボタン410の何れかの部位に触れることができ、操作ボタン410の「早押し」を比較的容易に行うことができる。大径で前方へ丸く膨出した操作ボタン410を、傾けた状態で取付けているため、従来のパチンコ機の操作ボタンのように上から押圧操作することができるだけでなく、左方や右方、或いは、前方からでも良好に操作することができ、操作性の良い操作ボタン410によって操作ボタン410を用いた演出をより楽しませることができる。
扉枠3は、皿ユニット320によって演出装飾回転体ユニット530を、吊り下げたような状態で取付けているとともに、演出装飾回転体ユニット530の下部に振動を発生させる振動モータ424を備えているため、遊技状態に応じて振動モータ424を回転させて振動を発生させると、操作ボタン410の上部に触れている遊技者の手に対して、強い振動を伝達させることができ、遊技者を驚かせて操作ボタン410を用いた演出をより一層楽しませることができる。
更に、扉枠3は、皿ユニット320の前面中央に、皿ユニット320の全高に亘る大きな操作ボタン410(演出装飾回転体ユニット530)を備えていることから、従来のパチンコ機と比較して上皿321の下にある下皿322が目立ち難くなるため、従来のパチンコ機を見慣れた遊技者に対して、明らかに異なっていると認識させ易くすることができ、遊技者の関心を強く引付けられる訴求力の高いパチンコ機1とすることができる。
扉枠3は、皿ユニット320の前面における演出装飾回転体ユニット530の左側に開口している下皿開口部326dに対して、下皿322を、演出装飾回転体ユニット530の後側へ回り込むように形成しているため、下皿開口部326dの大きさに対して、下皿322の容積を大きくすることができ、下皿322での遊技球の貯留数を十分に確保することができる。下皿322の後部が演出装飾回転体ユニット530の後側へ回り込んでいることから、遊技者が下皿322内に左手を入れたり、下皿開口部326dに左手の指を掛けたりした時に、指先が下皿322の後の壁に触れ難くなるため、遊技者に対して違和感を与え難くすることができ、遊技に対する興趣の低下を抑制させることができるとともに、下皿開口部326dの大きさに比べて下皿322の容積が大きいことを触覚でも認識させることができる。
更に、扉枠3は、上皿321からの遊技球が下皿322に放出される下皿球供給口323cと下皿322の遊技球を皿ユニット320の下方のドル箱等に抜くための下皿球抜き孔322aとを、前後に直線状に配置するとともに、正面視において下皿開口部326dの右外側(演出装飾回転体ユニット530のフレームユニット415の左端よりも右側)に配置している。つまり、下皿球供給口323c及び下皿球抜き孔322aを、演出装飾回転体ユニット530、皿ユニットカバー326における演出操作ユニット取付部326a(下皿開口部326dの右外側)、下皿カバー340の前端側、等の後方に配置しているため、遊技者側から下皿球供給口323cや下皿球抜き孔322aが見えず、皿ユニット320(パチンコ機1)の外観をスッキリさせることができ、パチンコ機1の見栄えを良くすることができる。
扉枠3は、下皿322において、下皿球供給口323cの前方(真正面)の下方に下皿球抜き孔322aを配置しているため、下皿球抜き孔322aを開いた状態とすると、上皿321等から下皿322へ放出された遊技球が、下皿322に入ると直ぐに下皿球抜き孔322aから下方のドル箱等へ排出されることとなる。この際に、遊技者側からは、下皿球供給口323cや下皿球抜き孔322aが見えないため、上皿321等から下皿322を通ってドル箱へ排出される遊技球の流れも見ることができない。これにより、遊技者に対して上皿321の遊技球や上皿321が満タンな状態で払出装置830から払出された遊技球等が、直接ドル箱へ排出されているように錯覚させることができるため、遊技球が下皿322を通る煩わしさを感じさせ難くすることができ、遊技者を遊技(遊技球の打込操作や演出画像等)に専念させて興趣の低下を抑制させることができる。
扉枠3は、下皿322において、下皿球供給口323cの前方左寄りの位置に下皿球抜き孔322aを配置するとともに、下皿球抜き孔322aよりも右側の下皿322の立上った壁部を下皿球抜き孔322aの方向を向くように斜めに湾曲させているため、下皿球供給口323cから下皿322へ供給された遊技球を、直接的に下皿球抜き孔322aへ誘導したり、右側の壁部に反射させて間接的に下皿球抜き孔322aへ誘導したりすることができる。これにより、下皿球抜き孔322aが開いたままの状態では、下皿球供給口323cから下皿322に供給された遊技球が、下皿322における下皿球抜き孔322aよりも左側の領域(下皿第一領域A1)へ侵入することなく、下皿球抜き孔322aから下方へ排出させることができるため、下皿322内を流通する遊技球を遊技者に見せることなく下皿322の下方(ドル箱)へ遊技球を排出させることができ、上述と同様の作用効果を奏することができる。
扉枠3は、下皿322が前方へ臨む皿ユニットカバー326の下皿開口部326dを、演出操作ユニット取付部326a(演出装飾回転体ユニット530)と下スピーカ口326eとの間に備えているため、遊技者が下皿開口部326dに手を掛けたり、下皿322に手を入れたりしても、下スピーカ口326eの前方が遊技者の手によって遮られることはないため、本体枠4の基板ユニット900における下部スピーカ921からのサウンドを、良好に前方へ出力させることができ、本パチンコ機1によるサウンドを楽しませることができる。遊技者が下皿322に手を入れたり近付けたりすると、下スピーカ口326eから前方へ出力される下部スピーカ921による重低音による振動を、遊技者に触覚的に感じさせることができ、遊技者を楽しませて興趣の低下を抑制させることができる。
扉枠3は、貫通口111の右側から板状で前方へ大きく突出している扉枠右サイドユニット550を備えていることから、本パチンコ機1を遊技ホールの島設備に設置すると、扉枠右サイドユニット550が右側に隣接しているパチンコ機との間で仕切りのような作用効果を発揮することができるため、本パチンコ機1で遊技する遊技者に対して、個室で遊技しているような感じに錯覚させることができ、周りの他の遊技者に気兼ねすることなくリラックスした雰囲気で遊技を行わせることができる。
更に、扉枠3は、板状で前方へ大きく突出している扉枠右サイドユニット550の前端や左右両面を、発光装飾させることができるため、パチンコ機1が並んだ状態で設置される遊技ホール内において、本パチンコ機1の前方に位置していなくても、島設備に沿った横方向から等の遠くからでも本パチンコ機1の存在を知らせることができ、遊技者に対する訴求力の高いパチンコ機1とすることができる。
扉枠3は、貫通口111の上側の扉枠トップユニット570において、左右方向中央で前方へ突出しているトップ中装飾部材576を備えるとともに、トップ中装飾部材576の左右両側の前面を、後方へ抉れるように窪んだ形状(扉枠トップユニット570の左右両端の前端と、トップ中装飾部材576の左右両端の前端とを結んだ直線よりも、扉枠トップユニット570におけるトップ中装飾部材576の左右両側の前面が後方へ位置するように凹状に湾曲した形状)に形成されている。これにより、扉枠トップユニット570のトップ中装飾部材576のみが前方へ大きく突出しているように見えるため、遊技者に対してトップ中装飾部材576を目立たせて強調して見せることができ、トップ中装飾部材576に強く注目させることができる。
ところで、従来のパチンコ機における扉枠の上部には、左右に離間した一対の上部スピーカが備えられており二つの上部スピーカが目立っていた。これに対して、本実施形態の扉枠3は、貫通口111の上側に取付けられている扉枠トップユニット570において、左右両端にパンチングメタルからなるスピーカカバー575により前面が保護された一対の上部スピーカ573を備えた上で、中央のトップ中装飾部材576の左右両側からスピーカカバー575の前を通って左右方向両端まで延びたトップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580を備え、トップ左装飾レンズ部材579及びトップ右装飾レンズ部材580の前面全体を、発光装飾できるようにしている。これにより、扉枠3の前面上部を全体的に装飾することができるため、扉枠3の上部において、一対の上部スピーカ573が目立たなくなり、従来のパチンコ機とは明らかに異なる装飾が施されていることを一見して遊技者に認識させることができ、遊技者に対する訴求力の高いパチンコ機1とすることができるとともに、一対の上部スピーカ573により良質なステレオサウンドを遊技者に楽しませることができる。
このように本実施形態の扉枠3は、貫通口111より下側と上側において、皿ユニット320に取付けられている演出装飾回転体ユニット530と、扉枠トップユニット570のトップ中装飾部材576とが、夫々左右方向の中央で前方へ大きく突出しているため、左右方向中央を通る仮想線が目立つような上下において統一感のある装飾を遊技者に見せることができるとともに、洗練された感じの装飾により他のパチンコ機よりも目立たせることができ、訴求力の高いパチンコ機1とすることができる。
扉枠3は、左右方向の中央において上下に配置されている扉枠トップユニット570のトップ中装飾部材576と演出装飾回転体ユニット530とを、前方へ突出させているため、トップ中装飾部材576及び演出装飾回転体ユニット530を発光装飾させると、扉枠3の前面の左右方向中央で上下に延びたような発光ラインを遊技者に見せることができ、遊技者の視線を左右方向中央に配置された演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410等に誘導させることができる。
[4.本体枠の全体構成]
本実施形態のパチンコ機1における本体枠4について、図110乃至図113を参照して説明する。図110は本体枠を前から見た斜視図であり、図111は本体枠を後ろから見た斜視図である。図112は本体枠を主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図113は本体枠を主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。本実施形態の本体枠4は、図示するように、前方が開放された箱状に形成されており、内部に遊技盤5が着脱可能に収容されている。この本体枠4は、正面左辺側前端の上下において、遊技ホールの島設備に取付けられる枠状の外枠2に開閉可能に取付けられるとともに、開放された前面側が閉鎖されるように扉枠3が開閉可能に取付けられるものである。
本実施形態の本体枠4は、一部が外枠2の枠内に挿入可能とされるとともに遊技盤5の外周を支持可能とされた枠状の本体枠ベース600と、本体枠ベース600の正面視左側の上下両端に取付けられ外枠2の外枠側上ヒンジ部材60及び外枠側下ヒンジ部材70に夫々回転可能に取付けられるとともに扉枠3の扉枠側上ヒンジ部材140及び扉枠側下ヒンジ部材150が夫々回転可能に取付けられる本体枠側上ヒンジ部材620及び本体枠側下ヒンジ部材640と、本体枠ベース600の正面視左側面に取付けられる補強フレーム660と、を備えている。
本体枠4は、本体枠ベース600の前面下部に取付けられており遊技盤5の遊技領域5a内に遊技球を打込むための球発射装置680と、本体枠ベース600の正面視右側面に取付けられており外枠2と本体枠4、及び扉枠3と本体枠4の間を施錠する施錠ユニット700と、本体枠ベース600の正面視上辺及び左辺に沿って後側に取付けられており遊技者側へ遊技球を払出す逆L字状の払出ユニット800と、本体枠ベース600の後面下部に取付けられている基板ユニット900と、本体枠ベース600の後側に開閉可能に取付けられ本体枠ベース600に取付けられた遊技盤5の後側を覆う裏カバー980と、を備えている。
[4−1.本体枠ベース]
本実施形態における本体枠4の本体枠ベース600は、図110乃至図113に示すように、正面視の形状が上下に延びた長方形に形成されている。この本体枠ベース600は、上端よりやや下側の位置から全高の約3/4の高さの範囲で前後に貫通しており遊技盤5が前側から挿入される遊技盤挿入口601と、遊技盤挿入口601の下辺を形成しており遊技盤5が載置される遊技盤載置部602と、遊技盤載置部602の左右方向中央から上方へ突出しており遊技盤5の下端の左右及び後方への移動を規制する遊技盤規制部603と、を備えている。
本体枠ベース600は、遊技盤載置部602の正面視右下側に形成されている球発射装置680を取付けるための発射装置取付部604と、発射装置取付部604の正面視右側で前後に貫通しており施錠ユニット700の鍵シリンダ710が挿通されるシリンダ挿通口605と、遊技盤載置部602の正面視左右中央から左寄り下側で前後に貫通しており基板ユニット900の扉枠用中継基板911を前方へ臨ませる接続用開口部606と、遊技盤載置部602の正面視左下側で前後に貫通しており基板ユニット900におけるスピーカユニット920を前方へ臨ませる円形状のスピーカ用開口部607と、を備えている。
更に、本体枠ベース600は、遊技盤挿入口601の正面視右辺から後方へ板状に延出しており、右側面に施錠ユニット700が取付けられるとともに、後端に裏カバー980が回動可能に取付けられる後方延出部608を備えている。本体枠4の本体枠ベース600は、後面における正面視左端の上下両端部付近に形成されており、本体枠側上ヒンジ部材620及び本体枠側下ヒンジ部材640を取付けるための上ヒンジ取付部609及び下ヒンジ取付部610を備えている。
本体枠ベース600は、接続用開口部606を開閉可能に閉鎖する開口カバー615と、遊技盤載置部602の正面視左右中央より左側でやや下側の位置に回動可能に取付けられ、遊技盤挿入口601に挿通された遊技盤5の前方への移動を規制可能な遊技盤ロック部材616と、を備えている。
[4−2.本体枠側上ヒンジ部材及び本体枠側下ヒンジ部材]
本実施形態における本体枠4の本体枠側上ヒンジ部材620と本体枠側下ヒンジ部材640について、図110乃至図113を参照して説明する。この本体枠側上ヒンジ部材620及び本体枠側下ヒンジ部材640は、本体枠ベース600の上ヒンジ取付部609及び下ヒンジ取付部610に取付けられるものである。
本体枠側上ヒンジ部材620は、水平に延びた平板状の板材の後部が下方へL字状に折り曲げられている上ヒンジ本体621と、上ヒンジ本体621の前端から上方へ円柱状に突出しており外枠側上ヒンジ部材60に軸支される本体枠上ヒンジピン622と、本体枠上ヒンジピン622の正面視左側で上ヒンジ本体621を貫通しており扉枠側上ヒンジ部材140を軸支するための扉枠用上ヒンジ孔623と、を備えている。本体枠側上ヒンジ部材620は、上ヒンジ本体621における下方へ折り曲げられた部位が、本体枠ベース600の上ヒンジ取付部609に取付けられる。
本体枠側下ヒンジ部材640は、水平に延びた平板状の板材の後部が上方へL字状に折り曲げられている下ヒンジ第一本体641と、下ヒンジ第一本体641の前端で上下に貫通しており外枠2の外枠側下ヒンジ部材70に軸支される外枠用下ヒンジ孔(図示は省略)と、下ヒンジ第一本体641の上側に配置されており水平に延びた平板状の板材の後部が上方へL字状に折り曲げられている下ヒンジ第二本体643と、下ヒンジ第二本体643の前端で上下に貫通しており扉枠3の扉枠側下ヒンジ部材150を軸支するための扉枠用ヒンジ孔644と、下ヒンジ第二本体643の水平に延びている部位における扉枠用ヒンジ孔644よりも後側で左端から上方へ延出しており扉枠3の回動範囲を規制するための規制片645と、を備えている。
下ヒンジ第二本体643は、水平に延びた部位が、下ヒンジ第一本体641の水平に延びた部位の上側に一定の間隔を開けた状態で、上方へ折り曲げられた部位が下ヒンジ第一本体641の上方へ折り曲げられた部位の前面に当接している。この本体枠側下ヒンジ部材640は、下ヒンジ第一本体641及び下ヒンジ第二本体643の上方へ折り曲げられた部位が、本体枠ベース600の下ヒンジ取付部610に取付けられる。
[4−3.補強フレーム]
本実施形態における本体枠4の補強フレーム660について、図110乃至図113を参照して説明する。補強フレーム660は、本体枠ベース600の左側面に取付けられるものである。この補強フレーム660は、平面視の断面形状が、右側が開放されたコ字状に形成されており、一定の断面形状で上下に延びている。補強フレーム660には、前端から右方へ延びている部位の後側に、本体枠ベース600の遊技盤挿入口601に挿入された遊技盤5が前方及び上下に移動するのを規制する左位置決め部材661が、上下に離間して一組取付けられている。
この補強フレーム660によって本体枠ベース600のヒンジ側(正面視左側)を補強することができるとともに、外枠2と本体枠4の間を通した左側からの本体枠4内(遊技盤5)への不正な工具の差し込みを防止することができる。
[4−4.球発射装置]
本実施形態における本体枠4の球発射装置680について、図110、図112及び図113を参照して説明する。球発射装置680は、皿ユニット320の上皿321に貯留されている遊技球を、本体枠4に取付けられた遊技盤5の遊技領域5a内に打込むための装置である。この球発射装置680は、扉枠3の前面右下隅のハンドルユニット300のハンドル302の回動角度に応じて、遊技球の打込強さが変化する。
球発射装置680は、本体枠ベース600の発射装置取付部604に取付けられる平板状の発射ベース681と、発射ベース681の正面視右部の後面に取付けられており回動軸が発射ベース681を貫通して前方へ延出しているロータリーソレノイドからなる発射ソレノイド682と、発射ソレノイド682の回転軸に基端が取付けられている打球槌683と、打球槌683の先端付近から左斜め上方へ延出するように発射ベース681の前面に取付けられており遊技球が転動可能な発射レール684と、を備えている。
この球発射装置680は、扉枠3の球送りユニット250から遊技球が発射レール684の上面右端に供給されるようになっており、発射レール684の上面右端に遊技球が供給されている状態で、ハンドル302を回転操作すると、その回転操作角度に応じた強さで発射ソレノイド682が駆動して、打球槌683により遊技球を打球する。打球槌683により打たれた遊技球は、発射レール684を通って遊技盤5の外レール1001及び内レール1002に案内されて遊技領域5a内に打込まれる。
なお、遊技球の打込強さ等の関係で、打球した遊技球が遊技領域5a内に到達しなかった場合は、発射レール684と遊技盤5(外レール1001及び内レール1002)との間から、下方のファールカバーユニット270のファール球受口275へ落下し、ファールカバーユニット270内を通って下皿322に排出される。
[4−5.施錠ユニット]
本実施形態における本体枠4の施錠ユニット700について、図110乃至図113を参照して説明する。本実施形態の施錠ユニット700は、本体枠4の本体枠ベース600に取付けられ、本体枠4と扉枠3、本体枠4と外枠2、との間を施錠することができる。施錠ユニット700は、本体枠ベース600の後方延出部608の右側面に取付けられ上下に延びているユニットベース701と、ユニットベース701から前方へ突出しており扉枠3と係止可能な複数の扉枠用鉤702と、ユニットベース701から後方へ突出しており外枠2と係止可能な複数の外枠用鉤703と、ユニットベース701の下部にから前方に円柱状に突出しているとともに、前端部から軸直角方向へ突起が突出しており、扉枠3の開閉シリンダユニット210の回転伝達部材212と係合することでシリンダ錠211の回転が伝達され、鍵の回動方向に応じて扉枠用鉤702又は外枠用鉤703の何れかの係止を開錠させる鍵シリンダ710と、を備えている。
[4−6.払出ユニット]
本実施形態における本体枠4の払出ユニット800について、図114乃至図132を参照して説明する。図114は払出ユニットを前から見た斜視図であり、図115は払出ユニットを後ろから見た斜視図である。図116は払出ユニットを主な構成毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図117は払出ユニットを主な構成毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。図118(a)は払出ユニットの球誘導ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は球誘導ユニットを後ろから見た斜視図である。更に、図119は、球誘導ユニットの分解斜視図である。図120(a)は払出ユニットの払出装置を前から見た斜視図であり、(b)は払出装置を後ろから見た斜視図である。図121は払出装置を分解して前から見た分解斜視図であり、図122は払出装置を分解して後ろから見た分解斜視図である。更に、図123(a)は払出装置の正面図であり、(b)は(a)におけるS−S線で切断した断面図である。図124(a)は払出装置において球抜き可動片により球抜き通路を閉鎖した状態を示す説明図であり、(b)は球抜き可動片により球抜き通路を開放した状態を示す説明図である。
図125(a)は払出ユニットにおける上部満タン球経路ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は上部満タン球経路ユニットを後ろから見た斜視図である。図126(a)は上部満タン球経路ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(b)は上部満タン球経路ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。更に、図127(a)は払出ユニットにおける下部満タン球経路ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は下部満タン球経路ユニットを後ろから見た斜視図である。図128は下部満タン球経路ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図129は下部満タン球経路ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。更に、図130(a)は下部満タン球経路ユニットにおいて誘導路開閉扉が閉じている状態を示す説明図であり、(b)は誘導路開閉扉が開いている状態を示す説明図である。図131は、扉枠のファールカバーユニットと下部満タン球経路ユニットとの関係を示す説明図である。図132は、払出ユニットにおける遊技球の流れを示す説明図である。
本実施形態の払出ユニット800は、図114及び図115等に示すように、本体枠ベース600の後側に取付けられる逆L字状の払出ユニットベース801と、払出ユニットベース801の上部に取付けられており上方へ開放された左右に延びた箱状で図示しない遊技ホールの島設備から供給される遊技球を貯留する球タンク802と、球タンク802の下側で払出ユニットベース801に取付けられており球タンク802内の遊技球を正面視左方向へ誘導する左右に延びたタンクレール803と、を備えている。タンクレール803内では、遊技球を左方へ誘導させながら、上方から揺動可能に垂下している球均し部材804(図132を参照)によって、前後二列に整列させる。
払出ユニット800は、払出ユニットベース801における正面視左側上部の後面に取付けられタンクレール803からの遊技球を蛇行状に下方へ誘導する球誘導ユニット820と、球誘導ユニット820の下側で払出ユニットベース801から着脱可能に取付けられており球誘導ユニット820により誘導された遊技球を払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板951からの指示に基づいて一つずつ払出す払出装置830と、を備えている。タンクレール803から払出装置830までは、遊技球が二列で流通し、払出装置830からは、遊技球が一つずつ払出される。
更に、払出ユニット800は、払出ユニットベース801の後面に取付けられ払出装置830によって払出された遊技球を下方へ誘導するとともに皿ユニット320における上皿321での遊技球の貯留状態に応じて遊技球を通常放出口850d又は満タン放出口850eの何れかから放出させる上部満タン球経路ユニット850と、払出ユニットベース801の下端に取付けられ上部満タン球経路ユニット850の通常放出口850dから放出された遊技球を前方へ誘導して前端から扉枠3の貫通球通路273へ誘導する通常誘導路861、満タン放出口850eから放出された遊技球を前方へ誘導して前端から扉枠3の満タン球受口274へ誘導する満タン誘導路862、及び通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口を本体枠4に対する扉枠3の開閉に応じて開閉する誘導路開閉扉863、を有した下部満タン球経路ユニット860と、を備えている。
[4−6a.球誘導ユニット]
本実施形態における払出ユニット800の球誘導ユニット820について、図118及び図119を参照して説明する。球誘導ユニット820は、上下に延びており後側が開放された箱状の前ケース821と、前ケース821の後側に取付けられており前側が開放された箱状の後ケース822と、前ケース821と後ケース822との間に取付けられており前ケース821と後ケース822と間を仕切る平板状の仕切板823と、仕切板823を貫通して前後両端が前ケース821及び後ケース822に取付けられている棒状の軸部材824と、軸部材824によって回動可能に取付けられており前ケース821内及び後ケース822内に夫々配置されている一対の可動片部材前825及び可動片部材後826と、前ケース821内に取付けられており一対の可動片部材前825及び可動片部材後826の回動位置を検知可能な球切れ検知センサ827と、を備えている。
前ケース821は、右側面の上部において遊技球が通過可能に開口している球誘導入口821aと、底面の左右方向中央よりも右寄りの位置で遊技球が通過可能に開口している球誘導出口821bと、球誘導入口821aと球誘導出口821bとを連通しており遊技球が流通可能な誘導通路821cと、を備えている。誘導通路821cは、球誘導入口821aから左端付近まで水平に対して小さい角度で低くなるように斜めに延びている導入部821dと、導入部821dから前ケース821の左辺に沿って高さの中央付近まで下方へ真っ直ぐ延びている検知部821eと、検知部821eから前ケース821の左右の幅で蛇行状に延びている蛇行部821fと、で構成されている。前ケース821は、誘導通路821cにおける検知部821eの正面視右側の壁に切欠部821gを備えている。
後ケース822は、右側面の上部において遊技球が通過可能に開口している球誘導入口822aと、底面の左右方向中央よりも右寄りの位置で遊技球が通過可能に開口している球誘導出口822bと、球誘導入口822aと球誘導出口822bとを連通しており遊技球が流通可能な誘導通路822cと、を備えている。誘導通路822cは、球誘導入口822aから左端付近まで水平に対して小さい角度で低くなるように斜めに延びている導入部822dと、導入部822dから後ケース822の左辺に沿って高さの中央付近まで下方へ真っ直ぐ延びている検知部822eと、検知部822eから後ケース822の左右の幅で蛇行状に延びている蛇行部822fと、で構成されている。後ケース822は、誘導通路822cにおける検知部822eの正面視右側の壁に切欠部822gを備えている。
この後ケース822は、前ケース821に対して左右に略対称に形成されており、球誘導ユニット820に組立てた状態で、誘導通路821cと誘導通路822cとが前後に一致するように形成されている。
軸部材824は、前ケース821及び後ケース822における切欠部821g,822gの上端の下側且つ誘導通路821c,822cの外側の位置に前後の端部が取付けられている。
可動片部材前825は、上下に延びた平板状の可動片825aと、可動片825aの右側の面の上端で前後に貫通しており軸部材824が挿通される軸孔825bと、可動片825aの上端から可動片825aの右面に対して直角に右方向へ延びている延出部825cと、延出部825cと可動片825aとを連結しており軸孔825bを中心に扇状に延びている連結部825dと、延出部825cの上部及び連結部825dの外周の中央付近から外方へ夫々突出しており前後に貫通している貫通孔を有した錘取付部825eと、延出部825cの右側先端から外方へ平板状に延出しており球切れ検知センサ827により検知可能な検知片825fと、連結部825dの外周における可動片825aに近い位置から外方へ平板状に延出しているストッパ片825gと、を備えている。
この可動片部材前825は、軸孔825bに軸部材824を通すと、その自重によって、連結部825dの外周から突出している錘取付部825eが、軸孔825bの直下に位置するように回動し、可動片825aが軸孔825bの部位から斜め下方へ延出した状態となる。したがって、球誘導ユニット820を組立てた状態では、連結部825dが前ケース821の切欠部821gに挿通されて、可動片825aの下端が誘導通路821c内に突出した状態となるとともに、ストッパ片825gが誘導通路821c(検知部821e)の外壁に当接した状態となる。このストッパ片825gが誘導通路821cの外壁に当接することで、可動片825aの下端が、誘導通路821c内へ突出する方向(正面視左方向)へこれ以上回動するのが規制される。可動片部材前825は、可動片825aの下端を、誘導通路821cの壁に接近させる方向(正面視右方向)へ回動させると、可動片825aの左側の面が、誘導通路821cの内面と一致する。この状態では、可動片部材前825の検知片825fは、球切れ検知センサ827に対して非検知の状態となる。つまり、誘導通路821c内に遊技球がある時は、球切れ検知センサ827が非検知となる。
可動片部材後826は、上下に延びた平板状の可動片826aと、可動片826aの右側の面の上端で前後に貫通しており軸部材824が挿通される軸孔826bと、可動片826aの上端から可動片826aの右面に対して直角に右方向へ延びている延出部826cと、延出部826cと可動片826aとを連結しており軸孔826bを中心に扇状に延びている連結部826dと、延出部826cの上部及び連結部826dの外周の中央付近から外方へ夫々突出しており前後に貫通している貫通孔を有した錘取付部826eと、延出部826cの右側先端から外方へ平板状に延出しており球切れ検知センサ827により検知可能な検知片826fと、連結部826dの外周における可動片826aに近い位置から外方へ平板状に延出しているストッパ片826gと、を備えている。
この可動片部材後826は、軸孔826bに軸部材824を通すと、その自重によって、連結部826dの外周から突出している錘取付部826eが、軸孔826bの直下に位置するように回動し、可動片826aが軸孔826bの部位から斜め下方へ延出した状態となる。したがって、球誘導ユニット820を組立てた状態では、連結部826dが後ケース822の切欠部822gに挿通されて、可動片826aの下端が誘導通路822c内に突出した状態となるとともに、ストッパ片826gが誘導通路822c(検知部822e)の外壁に当接した状態となる。このストッパ片826gが誘導通路822cの外壁に当接することで、可動片826aの下端が、誘導通路822c内へ突出する方向(正面視左方向)へこれ以上回動するのが規制される。可動片部材後826は、可動片826aの下端を、誘導通路822cの壁に接近させる方向(正面視右方向)へ回動させると、可動片826aの左側の面が、誘導通路822cの内面と一致する。この状態では、可動片部材後826の検知片826fは、球切れ検知センサ827に対して非検知の状態となる。つまり、誘導通路822c内に遊技球がある時は、球切れ検知センサ827が非検知となる。
本実施形態の球誘導ユニット820は、タンクレール803によって複数の遊技球が前後に夫々一列で並ばされた状態で供給され、複数の遊技球が一列に並んだ状態で、前ケース821及び後ケース822によって、前後に二列の状態で下方の払出装置830へ誘導することができる(図132を参照)。この際に、前ケース821と後ケース822とは仕切板823によって仕切られているため、夫々の誘導通路821c,822cを流通する遊技球が、互いに干渉し合うことはなく、良好に流通することができる。
球誘導ユニット820の誘導通路821c,822c内を遊技球が流通すると、遊技球が可動片部材前825及び可動片部材後826の可動片825a,826aに当接し、可動片825a,826aが誘導通路821c,822cの壁面と一致する方向へ可動片部材前825及び可動片部材後826が回動する。これにより、可動片部材前825及び可動片部材後826の検知片825f,826fが球切れ検知センサ827に対して非検知の状態となり、誘導通路821c,822c内に遊技球があることが判る。
球誘導ユニット820の下流側の払出装置830により遊技球の払出し等が行われると、誘導通路821c,822c内の遊技球が下流へ流れることとなる。誘導通路821c,822c内を遊技球が流れると、導入部821d,822dを流れる遊技球の勢いが強くなり、導入部821d,822dを流れた遊技球が、検知部821e,822eの上部で可動片825a,826a側へ跳ね返り、可動片825a,826aに当接することとなる。この遊技球の当接により、可動片825a,826aが振動することとなるため、その振動により可動片825a,826aと誘導通路821c,822cの切欠部821g,822gとの間に挟まれたり侵入したりした埃やゴミ等を除去することができ、自重等によって可動片825a,826aが良好に回動できるようになる。
球誘導ユニット820は、各誘導通路821c,822c内を流通する遊技球を夫々別々の可動片部材前825及び可動片部材後826によって検知するようにしているとともに、可動片部材前825及び可動片部材後826の夫々の検知片825f,826fを一つの球切れ検知センサ827で検知するようにしているため、何れかの誘導通路821c,822c内の遊技球がなくなると、可動片部材前825又は可動片部材後826の可動片825a,826aが誘導通路821c,822c内へ突出するように回動し、遊技球のなくなった側の検知片825f,826fが球切れ検知センサ827で検知される。したがって、遊技球の球切れを早期に検知することができるため、速やかに遊技球を補充させることができ、遊技が中断する時間を可及的に短くすることで、遊技者の興趣の低下を抑制することができる。
更に、可動片部材前825及び可動片部材後826の錘取付部825e,826eに、錘として金属ビスを捩じ込んで取付けることで、可動片部材前825及び可動片部材後826と錘の重量とによって、可動片825a,826aの下端側を、誘導通路821c,822c内に突出する方向へ回動させ易くすることができる。可動片825a,826aの上端を誘導通路821c,822cの外側で回動可能に取付けて、下端側が誘導通路821c,822c内に突出するようにしているため、誘導通路821c,822c内の埃やゴミ等が、可動片825a,826aの上端や下端に付着することがない。したがって、可動片825a,826aが誘導通路821c,822cの壁側に回動しても、可動片825a,826aの下端と壁との間に埃やゴミ等が噛み込むことはないため、自重等によって良好に回動することができ、可動片825a,826aが回動しなくなるような不具合の発生を抑制することができる。
このように本実施形態の球誘導ユニット820は、自重によって下端側が遊技球の流通する誘導通路821c,822c内へ突出する可動片部材前825及び可動片部材後826の可動片825a,826aにおいて、遊技球と当接する面の反対側の錘取付部825e,826eに金属ビスからなる錘を取付けることで、可動片部材前825及び可動片部材後826の自重と錘の重量とによって、可動片825a,826aの下端側を誘導通路821c,822c内に回動(突出)させ易くすることができる。可動片825a,826aの上端を誘導通路821c,822cの外側で回動可能に取付けて、下端側が誘導通路821c,822c内に突出するようにしているため、誘導通路821c,822c内の埃やゴミ等が、可動片825a,826aの上端や下端に付着することがない。したがって、可動片825a,826aが誘導通路821c,822cの壁側に回動しても、可動片825a,826aの下端と壁との間に埃やゴミ等が噛み込むことはないため、自重等によって良好に回動することができ、可動片825a,826a(可動片部材前825及び可動片部材後826)が回動しなくなるような不具合の発生を抑制することができる。
錘としての金属ビスを、貫通孔とされた錘取付部825e,826eに捩じ込んで取付けるため、可動片部材前825及び可動片部材後826が頻繁に回動しても、錘が可動片部材前825及び可動片部材後826(錘取付部825e,826e)から外れることがなく、長期に亘って可動片部材前825及び可動片部材後826を良好な状態に維持することができる。錘取付部825e,826eに金属ビスを捩じ込むだけで、可動片部材前825及び可動片部材後826に錘を容易に取付けることができるため、錘の取付けの手間を簡略化することができ、パチンコ機1の組立てに係るコストを低減させることができる。
更に、誘導通路821c,822c内において可動片825a,826aが内部に突出する部位よりも上流側に、可動片825a,826aへ向かって遊技球を誘導させる導入部821d,822dを備えていることから、誘導通路821c,822c内を遊技球が流れることで、遊技球が可動片825a,826aに当接するため、遊技球の当接によって可動片825a,826aを振動させることができる。したがって、可動片825a,826aの振動により、可動片825a,826aと誘導通路821c,822cの壁との間に挟まれたり侵入したりした埃やゴミ等を除去することができ、自重等によって可動片部材前825及び可動片部材後826が良好に回動するようにできる。
従って、可動片部材前825及び可動片部材後826を良好に回動させることができるため、誘導通路821c,822c内の遊技球の状態(有無)を確実に検知させることができ、遊技球の誤検知等による不具合の発生を抑制させることができる。払出装置830へ供給される遊技球が誘導通路821c,822c内からなくなっても、可動片825a,826aを介して確実に誘導通路821c,822c内の有無を検知することができるため、速やかに遊技球を補充させることができ、遊技が中断する時間を可及的に短くすることで、遊技者の興趣の低下を抑制することができる。
[4−6b.払出装置]
本実施形態における払出ユニット800の払出装置830について、図120乃至図124を参照して説明する。払出装置830は、後側が開放されている箱状で、上面における左右方向中央に遊技球が通過可能に開口している払出入口831a、底面における正面視左端付近で遊技球が通過可能に開口している払出出口831b、底面における正面視右端付近で遊技球が通過可能に開口している球抜き出口831c、払出入口831aと払出出口831bとを連通しており遊技球が流通可能な払出通路831d、及び払出通路831dの途中から分岐して球抜き出口831cと連通しており遊技球が流通可能な球抜き通路831e、を有している前箱831と、前箱831の後側に取付けられており前側が開放されている箱状で、上面における左右方向中央に遊技球が通過可能に開口している払出入口832a、底面における正面視左端付近で遊技球が通過可能に開口している払出出口832b、底面における正面視右端付近で遊技球が通過可能に開口している球抜き出口832c、払出入口832aと払出出口832bとを連通しており遊技球が流通可能な払出通路832d、及び払出通路832dの途中から分岐して球抜き出口832cと連通しており遊技球が流通可能な球抜き通路832e、を有している後箱832、を備えている。
払出装置830は、前箱831の前側に取付けられており後側が開放されている浅い箱状の前カバー833と、前箱831内に取付けられており回転軸が前箱831を貫通して前カバー833内に延出している払出モータ834と、払出モータ834の回転軸に取付けられている駆動ギア835と、駆動ギア835と噛合しており前箱831と前カバー833とで回転可能に取付けられている平歯車状の中間ギア836と、中間ギア836と噛合している従動ギア837と、従動ギア837が回転可能に貫通しており前端が前カバー833に取付けられているとともに後端が前箱831を貫通して後箱832に取付けられている軸部材838と、軸部材838を貫通して回転可能に取付けられているとともに前箱831及び後箱832の払出通路831d,832d内に配置されており従動ギア837と一体回転する払出羽根834と、前箱831と後箱832との間に取付けられており払出羽根834の回転を検知する羽根回転検知センサ840と、を備えている。
更に、払出装置830は、前箱831と後箱832の間に取付けられており前箱831の払出通路831dと後箱832の払出通路832dとを仕切る平板状の仕切板841と、前箱831と後箱832との間に取付けられており払出羽根834の回転により払出されて払出出口831b,832bから放出される遊技球を検知する払出検知センサ842と、払出通路831d,832dと球抜き通路831e,832eとが分岐している部位で前箱831と後箱832とによって回動可能に取付けられており球抜き通路831e,832eを閉鎖可能な球抜き可動片843と、前箱831及び後箱832の正面視右側面上部で上下にスライド可能に取付けられており球抜き可動片843を回動可能又は回動不能とする球抜きレバー844と、を備えている。
前箱831の払出通路831dは、払出入口831aから球抜き出口831cへ向かうように正面視右下へ斜めに延び、前箱831の全高に対して上面から約1/3の高さのところで下方へ垂直に延びるように折れ曲がり、全高の中央付近で左方へ略水平に延びるように曲がった後に、前箱831の左右の幅に対して左端から約1/3のところで再び下方へ垂直に延びるように折れ曲がっており、前箱831の全高に対して底面から約1/4の高さのところで払出出口831bの直上へ位置するようにクランク状に折れ曲がって払出出口831bへ垂直に延びている。払出通路831d内のクランク状に折れ曲がっている部位に払出羽根834が配置される。
一方、球抜き通路831eは、払出通路831dにおいて払出入口831aから右下へ斜めに延びている部位を更に延長する形態で、前箱831の全高に対して上面から約1/3の高さから中央付近の高さまでの間で分岐している。
前箱831は、払出通路831d内の払出出口831bへ向かって垂直に延びている部位において下方へ向かうに従って後方へ突出している誘導棚831fと、正面視右側面の上部に形成されており球抜きレバー844を上下にスライド可能に取付けるためのレバー取付部831gと、を備えている。
後箱832の払出通路832dは、払出入口832aから球抜き出口832cへ向かうように正面視右下へ斜めに延び、後箱832の全高に対して上面から約1/3の高さのところで下方へ垂直に延びるように折れ曲がり、全高の中央付近で左方へ略水平に延びるように曲がった後に、後箱832の左右の幅に対して左端から約1/3のところで再び下方へ垂直に延びるように折れ曲がっており、後箱832の全高に対して底面から約1/4の高さのところで払出出口832bの直上へ位置するようにクランク状に折れ曲がって払出出口832bへ垂直に延びている。払出通路832d内のクランク状に折れ曲がっている部位に払出羽根834が配置される。
一方、球抜き通路832eは、払出通路832dにおいて払出入口832aから右下へ斜めに延びている部位を更に延長する形態で、後箱832の全高に対して上面から約1/3の高さから中央付近の高さまでの間で分岐している。
後箱832は、払出通路832d内の払出出口832bへ向かって垂直に延びている部位において下方へ向かうに従って前方へ突出している誘導棚832fと、正面視右側面の上部に形成されており球抜きレバー844を上下にスライド可能に取付けるためのレバー取付部832gと、を備えている。
前箱831及び後箱832の払出通路831d,832dと球抜き通路831e,832eは、同じ形状に形成されている。払出通路831d,832dは、払出羽根834が配置されている部位の上流までが仕切板841によって仕切られている。誘導棚831f,832fと払出出口831b,832bとの間に、払出検知センサ842が取付けられている。つまり、前箱831の払出通路831dを流通した遊技球と、後箱832の払出通路832dを流通した遊技球とは、夫々の誘導棚831f,832fによって前箱831と後箱832との前後の境界付近に寄せられて、一つの払出検知センサ842により検知される。
従動ギア837は、中間ギア836と噛合する平歯車状のギア部837aと、ギア部837aの後面から周方向へ60度の角度の間隔で放射状に突出しており羽根回転検知センサ840によって検知可能な複数の検知片837bと、ギア部837aの中心から後方へ円筒状に突出しているとともに後端の周面に凹凸が形成されており払出羽根834と連結可能な連結部837cと、を備えている。
払出羽根834は、前後に円筒状に延びており軸部材838が挿通されるベース筒部834aと、ベース筒部834aの前端から周方向に一定間隔でベース筒部834aの軸直角方向へ突出している複数(三つ)の前羽根834bと、ベース筒部834aの後端から前羽根834bとは互い違いとなるように周方向に一定間隔でベース筒部834aの軸直角方向へ突出している複数(三つ)の後羽根834cと、ベース筒部834aの前端から前方へ筒状に突出しているとともに前端の周面に従動ギア837の連結部837cと連結可能な凹凸が形成されている被連結部834dと、を備えている。
払出羽根834の前羽根834b及び後羽根834cは、周方向へ120度の角度の間隔で夫々三つずつ備えられており、互い違いとなるように、前羽根834bに対して後羽根834cが、周方向へ60度の角度でオフセットして外方へ延出している。本実施形態の払出羽根834は、三つの前羽根834b(後羽根834c)同士の間が中心側へ窪んだ円弧によって結ばれており、その円弧の直径が遊技球の直径と同じか若干大きい。これにより、前羽根834b(後羽根834c)同士の間には、遊技球が一つのみ収容することが可能な球収容部834eが形成されている。
三つの前羽根834b及び後羽根834cは、ベース筒部834aの軸を中心としたそれらの外周の直径D1が、遊技球の外径の1〜1.4倍に形成されている。前羽根834b(後羽根834c)同士の間の円弧の部位(球収容部834e)におけるベース筒部834aの軸に最も接近した部位までの、ベース筒部834aの軸を中心とした直径D2は、遊技球の外径の約0.3〜0.4倍に形成されている。つまり、前羽根834b及び後羽根834cの外周から球収容部834eの最も凹んだ部位までの深さ[(直径D1−直径D2)/2]が、遊技球の外径の0.1〜0.4倍とされている。
従って、前羽根834b(後羽根834c)同士の間の円弧の部位(球収容部834e)により、遊技球の外周の約3/10(1/4〜1/3の間)を保持することができる。換言すると、遊技球の外径の約1/5(1/7〜1/4)の深さを収容することができる。これにより、払出通路831d,832d内の遊技球を、速やかに前羽根834b(後羽根834c)同士の間(球収容部834e)に収容することができる。
本実施形態の払出羽根834は、払出装置830を組立てた状態で、前羽根834bが前箱831の払出通路831d内に、後羽根834cが後箱832の払出通路832d内に位置し、夫々の払出通路831d,832d内の遊技球を、夫々払出すことができる。払出羽根834は、払出通路831d,832dにおいて、前箱831及び後箱832の全高の中央よりも下側でクランク状に折れ曲がっている部位に配置されている。詳しくは、払出通路831d,832dにおいて、前箱831及び後箱832の全高の中央付近から下方へ垂直に延びている部位の直下に、払出羽根834の回転中心が位置している。払出通路831d,832dのクランク状に折れ曲がっている部位では、払出羽根834から遠い側の壁(内壁)が、払出羽根834の回転中心を中心とし、前羽根834b及び後羽根834cの外周から遊技球の外径よりも小さい距離Sだけ離れた円弧状に形成されている。なお、本実施形態では、距離Sが、遊技球の外径の0.7〜0.9倍とされている。換言すると、球収容部834eの最も凹んだ部位から払出通路831d,832dの円弧状に形成されている部位までの距離が、遊技球の外径の1.03〜1.1倍とされている。
これにより、払出装置830は、払出羽根834上に流下してきた遊技球が、前羽根834b及び後羽根834cの外周に当接すると、払出通路831d,832dのクランク状に折れ曲がっている部位を通ることができず、払出出口831b,832bから下方へ放出されることはない。一方、遊技球が、球収容部834eに収容されていると、払出羽根834の回転とともに移動し、払出通路831d,832dのクランク状に折れ曲がっている部位を通ることができ、払出出口831b,832bから下方へ放出される。
払出装置830では、前羽根834b及び後羽根834cの直径D1を、遊技球の外径の約1.2〜1.4倍とするとともに、球収容部834eにより遊技球の外径の1/7〜1/4の深さを収容するようにしているため、払出羽根834の外径を可及的に小さくしつつ、遊技球の収容にかかる時間を短くすることができる。これにより、払出羽根834を速く回転させても、球収容部834eに遊技球を収容させて、払出出口831b,832b側へ送ることができる。したがって、従来よりも単位時間当りの遊技球の払出数を多くすることができ、遊技球の払出しにかかる時間を短縮することができる。
球抜き可動片843は、上下及び前後に板状に延びており下部が折れ曲がって正面視く字状に形成されている本体部843aと、本体部843aの上端で前後に筒状に延びており両端が夫々前箱831及び後箱832に回動可能に取付けられる軸筒部843bと、本体部843aのく字状に折れ曲がっている外側面の上部から突出している突出部843cと、本体部843aのく字状に折れ曲がっている下部において前後に貫通している貫通孔からなる錘取付部843d(図124を参照)と、を備えている。
球抜き可動片843は、払出装置830を組立てた状態では、本体部843aの下部が正面視斜め左下へ延びるような向きで、上端の軸筒部843bが、前箱831及び後箱832の払出通路831d,832dにおいて、払出入口831a,832aから正面視右下へ斜めに延びている部位で、且つ、下方へ折れ曲がる部位よりもやや上側の正面視右側の壁の外側の位置で、回動可能に取付けられている。
本実施形態の払出装置830は、通常の状態では、球抜きレバー844を下方へスライドさせた状態としており、球抜きレバー844の下部が球抜き可動片843の突出部843cに正面視右側から当接している。これにより、球抜き可動片843は、正面視反時計回りへの回動が規制されている(図124(a)を参照)。
この通常の状態では、球抜き可動片843のく字状に折れ曲がっている本体部843aにおいて、曲がっている部位よりも上側が垂直に延びているとともに、曲がっている部位の下側が正面視斜め左下へ延びている。本体部843aの下端は、払出通路831d,832dと球抜き通路831e,832eとが分岐している部位の近傍に位置している。したがって、球抜き可動片843(本体部843a)によって、球抜き通路831e,832eを閉鎖しているとともに、本体部843aの左側を向いた面が、払出通路831d,832dの一部の壁を形成している。
本実施形態の球抜き可動片843は、通常の状態において、球抜き可動片843の重心が、軸筒部843bの中心を通る垂直線の正面視左側に位置するように形成されており、自重によって正面視反時計回りに回転させようとする力が作用しているが、球抜きレバー844によって反時計回りへの回動が規制されているため、通常の状態が維持される。
通常の状態から、球抜きレバー844を上方へスライドさせると、球抜きレバー844の下部が、球抜き可動片843の突出部843cから離れ、球抜き可動片843の正面視反時計回りへの回動の規制が解除される。したがって、球抜き可動片843は、重心が軸筒部843bの直下へ位置するように、自重によって反時計回りへ回動することとなる。なお、球抜き可動片843は、本体部843aの下部の右側側面が、前箱831及び後箱832の右側面を形成している部材の左面に当接するまで、反時計回りに回動することができる(図124(b)を参照)。これにより、球抜き通路831e,832eが開放された状態となり、払出入口831a,832aから進入した遊技球が、払出通路831d,832dの途中で、球抜き可動片843の本体部843aに当接して球抜き可動片843を正面視反時計回りへ回動させて球抜き通路831e,832eを開放し、開放された球抜き通路831e,832eを流通して球抜き出口831c,832cから下方へ放出されることとなる。
本実施形態では、球抜き可動片843に錘取付部843dを備えているため、この錘取付部843dに金属ビスからなる錘を捩じ込んで取付けることで、球抜きレバー844を上方へスライドさせて、正面視反時計回りへの回動の規制を解除した時に、球抜き可動片843の自重と錘の重量とによって、球抜き可動片843の下端を球抜き通路831e,832e内へ突出する方向へ(正面視反時計回りに)回動させ易くすることができる。
球抜きレバー844を下方へスライドさせて球抜き通路831e,832eを閉鎖している通常の状態において、払出入口831a,832aから進入した遊技球が、球抜き可動片843の本体部843aに当接するようにしているため、遊技球の当接によって球抜き可動片843を振動させることができる。したがって、球抜き可動片843の下端と球抜き通路831e,832eの内面との間に挟まれたり侵入したりした埃やゴミ等を、球抜き可動片843の振動によって除去することができ、埃やゴミ等を噛み込んで球抜き可動片843が回動できなくなるのを防止することができる。
錘としての金属ビスを、貫通孔とされた錘取付部843dに捩じ込んで取付けることができるため、球抜き可動片843が頻繁に回動しても、錘が球抜き可動片843(錘取付部843d)から外れることがなく、長期に亘って球抜き可動片843を良好な状態に維持することができる。錘取付部843dに金属ビスを捩じ込むだけで、球抜き可動片843に錘を容易に取付けることができるため、錘の取付けの手間を簡略化することができ、パチンコ機1の組立てに係るコストを低減させることができる。
ところで、球抜き可動片843によって球抜き通路831e,832eを長期に亘って閉鎖していると、球抜き可動片843の回転軸に微細な埃が付着したり回転軸が錆びたりして、球抜き可動片843が回動し辛くなることがある。これに対して、本実施形態では、払出入口831a,832aから進入した遊技球が、球抜き可動片843の本体部843aに当接するようにしているため、球抜き可動片843により球抜き通路831e,832eを閉鎖している状態から、閉鎖を解除する球抜きレバー844を上方へスライドさせてロックを外した時に、遊技球が球抜き可動片843に当接することで、その当接の衝撃によって球抜き可動片843を回動させることができ、球抜き通路831e,832eを確実に開放させることができる。
従って、球抜きレバー844を操作して球抜き通路831e,832eを開放させる際に、球抜き可動片843が良好に回動することができるため、遊技球の抜取り作業を確実に行うことができ、メンテナンス等の際の作業性を良くすることができる。
[4−6c.上部満タン球経路ユニット]
本実施形態における払出ユニット800の上部満タン球経路ユニット850について、図125及び図126を参照して詳細に説明する。上部満タン球経路ユニット850は、払出ユニットベース801において、払出装置830の下側の位置に取付けられるものである。この上部満タン球経路ユニット850は、払出ユニットベース801に取付けられ後側が開放された箱状の上部満タンベース851と、上部満タンベース851の後側に取付けられており前側が開放された箱状の上部満タンカバー852と、上部満タンカバー852の後側に回転可能に取付けられており払出装置830を上方へ押圧可能な払出装置押圧部材853と、を備えている。
上部満タン球経路ユニット850は、上面における正面視左右中央から左側の部位で遊技球が通過可能に上方へ開口している上部払出球受口850aと、上面における正面視左右中央から右側の部位で遊技球が通過可能に上方へ開口している上部球抜き入口850bと、上部満タンベース851と上部満タンカバー852との間に形成されており上部払出球受口850aに受けられた遊技球が流通する所定広さの上部球貯留通路850cと、上部球貯留通路850cの下端における上部払出球受口850aの直下の部位で下方へ開口している通常放出口850dと、上部球貯留通路850cの下端における通常放出口850dを除いた部位で下方へ開口している満タン放出口850eと、通常放出口850dと満タン放出口850eとの間から上方へ突出しており上部球貯留通路850c内の下部を左右に仕切っている仕切片850fと、を備えている。
上部満タン球経路ユニット850は、上部球抜き入口850bから進入した遊技球を下方へ誘導する上部球抜き通路850gと、上部球抜き通路850gの下端で下方へ向かって開口している上部球抜き出口850hと、を備えている。この上部満タン球経路ユニット850は、正面視で左側から、通常放出口850d、満タン放出口850e、上部球抜き出口850hが順に並んで下方へ開口している。上部満タン球経路ユニット850は、上部満タンベース851の右端に裏カバー980を取付けるための裏カバー取付部854を備えている。
この上部満タン球経路ユニット850は、払出ユニット800に組立てた状態で、上部払出球受口850aが、払出装置830の払出出口831b,832bの直下に位置しているとともに、上部球抜き入口850bが、払出装置830の球抜き出口831c,832cの直下に位置している。上部満タン球経路ユニット850は、払出ユニット800に組立てた状態で、通常放出口850d、満タン放出口850e、及び上部球抜き出口850hは、下部満タン球経路ユニット860の通常誘導路861、満タン誘導路862、及び下部球抜き誘導路865の夫々後端開口の直上に夫々開口している(図132を参照)。
上部満タン球経路ユニット850は、払出装置830によって払出されて払出出口831b,832bから下方へ放出された遊技球が、上部払出球受口850aから上部球貯留通路850c内へ進入する。上部球貯留通路850cの下端の通常放出口850dが閉鎖されていない状態では、上部払出球受口850aから上部球貯留通路850c内へ進入した遊技球が、上部払出球受口850aの直下に開口している通常放出口850dから放出される。
扉枠3の上皿321内が遊技球で満たされて遊技球を貯留させることができなくなり、更に、下部満タン球経路ユニット860の通常誘導路861内が遊技球で満たされると、通常放出口850dが閉鎖された状態となる。この状態で上部球貯留通路850c内に遊技球が進入すると、通常放出口850dの上側に貯留される。通常放出口850dの上側に貯留されている遊技球の量が、仕切片850fよりも高くなると、新たに上部球貯留通路850c内に進入してきた遊技球は、仕切片850fを乗り越えて満タン放出口850eから下方へ放出されることとなり、下部満タン球経路ユニット860の満タン誘導路862を通って下皿322に送られることとなる。
このように、上部満タン球経路ユニット850は、払出装置830から払出された遊技球を、扉枠3における上皿321での遊技球の貯留量に応じて、自動的に上皿321から下皿322へ振分けることができる。
[4−6d.下部満タン球経路ユニット]
本実施形態における払出ユニット800の下部満タン球経路ユニット860について、図127乃至図131を参照して詳細に説明する。下部満タン球経路ユニット860は、払出ユニットベース801における上部満タン球経路ユニット850の下側に取付けられるものである。下部満タン球経路ユニット860は、上部満タン球経路ユニット850の通常放出口850dから放出された遊技球を前方へ誘導して前端から扉枠3の貫通球通路273へ誘導する通常誘導路861と、上部満タン球経路ユニット850の満タン放出口850eから放出された遊技球を前方へ誘導して前端から扉枠3の満タン球受口274へ誘導する満タン誘導路862と、通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口を本体枠4に対する扉枠3の開閉に応じて開閉する誘導路開閉扉863と、誘導路開閉扉863を通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口を閉鎖する方向へ付勢している閉鎖バネ864と、を備えている。
下部満タン球経路ユニット860は、上部満タン球経路ユニット850の上部球抜き出口850hから放出された遊技球を前方へ誘導し前後方向の中央右端から基板ユニット900の基板ユニットベース910上へ放出する下部球抜き誘導路865を、備えている。
下部満タン球経路ユニット860は、通常誘導路861、満タン誘導路862、及び下部球抜き誘導路865が、正面視において、左側から順に右側へ並んでいる。これら通常誘導路861、満タン誘導路862、及び下部球抜き誘導路865は、後端が上方へ向かって開口している。通常誘導路861、及び満タン誘導路862は、左右に遊技球が複数並ぶ幅で、前端側が低くなるように本体枠4の前端付近まで前方へ延びている。更に、満タン誘導路862は、通常誘導路861よりも低い位置で前方へ延びている。これら通常誘導路861、満タン誘導路862、及び下部球抜き誘導路865は、図示するように、上下に分割可能な上ケース866及び下ケース867によって形成されている。
誘導路開閉扉863は、下ケース867の前端における通常誘導路861と満タン誘導路862との間の部位に、回動可能に取付けられており、閉鎖バネ864によって正面視時計回りの方向へ付勢されている。更に詳述すると、下部満タン球経路ユニット860の前端において、正面視で通常誘導路861の前端開口の右側に開口している満タン誘導路862は、通常誘導路861に対して一つの遊技球の高さ分低い位置に配置されている。誘導路開閉扉863は、通常誘導路861の下側で、且つ、満タン誘導路862の左側の位置で、前後に延びた軸周りに対して回動可能に取付けられている。
誘導路開閉扉863は、回転可能に取付けられる円盤状の基部863aと、基部863aから斜め左上側に平板状に延びており通常誘導路861の前端開口を閉鎖可能な第一扉板部863bと、基部863aから右側に平板状に延びており満タン誘導路862の前端開口を閉鎖可能な第二扉板部863cと、基部863aから斜め左下側に平板状に延びている延出部863dと、延出部863dの先端部前面から前方へ突出しており扉枠3におけるファールカバーユニット270の扉開閉当接部281と当接可能な作動突部863eと、を備えている。
ここで、通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口を閉鎖するとは、開口を密閉する必要はなく、遊技球が通過不能となれば良いことである。作動突部863eは、正面視の形状が、基部863aを中心とした短い円弧状に形成されており、前端面が、反時計回りの方向の端部側へ近付くに従って前方へ突出するように傾斜している。
誘導路開閉扉863は、閉鎖バネ864によって正面視時計回りの方向へ付勢されており、第二扉板部863cが、下ケース867の前端における満タン誘導路862の前端開口の下側から前方へ突出しているボス部867aに当接することで、時計回りの方向への回動が規制される。
本実施形態の下部満タン球経路ユニット860は、パチンコ機1を組立てた状態で、前端が、扉枠3のファールカバーユニット270における貫通球通路273、満タン球受口274、及び扉開閉当接部281と対向する位置に取付けられている(図131を参照)。誘導路開閉扉863は、本体枠4に対して扉枠3が開いている状態では、作動突部863eに何も当接していないため、誘導路開閉扉863は閉鎖バネ864の付勢力によって、正面視時計回りの方向へ回動させられ、第二扉板部863cが下ケース867のボス部867aに当接した状態で停止する。この状態では、第一扉板部863bと第二扉板部863cが、通常誘導路861と満タン誘導路862の前端開口の前面に位置しており、前端開口を閉鎖している(図130(a)を参照)。したがって、この状態では、通常誘導路861及び満タン誘導路862内の遊技球が、前端開口から前方へ移動することができず、扉枠3を開けても、通常誘導路861や満タン誘導路862から遊技球がこぼれることはない。
本体枠4に対して扉枠3を閉じると、誘導路開閉扉863の作動突部863eの前端面に、扉枠3におけるファールカバーユニット270の扉開閉当接部281が当接し、作動突部863eの前端面の傾斜によって、閉鎖バネ864の付勢力に抗して誘導路開閉扉863を正面視反時計回りの方向へ回動させようとする力が作用する。これにより、通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口を閉鎖していた第一扉板部863bと第二扉板部863cが、前端開口から離れる方向へ回動し、通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口が開放された状態となる(図130(b)を参照)。この状態では、図示するように、第一扉板部863bが通常誘導路861の前端開口の下側に、第二扉板部863cが満タン誘導路862の前端開口の上側に位置している。
この通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口を開放させた状態では、本体枠4に対して扉枠3が完全に閉じられた状態となっているとともに、通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口の前側に、扉枠3におけるファールカバーユニット270の貫通球通路273及び満タン球受口274が位置しており、通常誘導路861及び満タン誘導路862側から、貫通球通路273及び満タン球受口274側へ遊技球を受渡すことができる。
このように、通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口を上下方向に異ならせるとともに、誘導路開閉扉863を回動させることで通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口を開閉させるようにしているため、誘導路開閉扉863の動作範囲を可及的に狭くすることができ、通常誘導路861及び満タン誘導路862の開閉機構を小型化することができる。したがって、相対的に他の部材のためのスペースを広くすることができ、パチンコ機1の内部空間をより有効活用することができる。
本実施形態の払出ユニット800は、扉枠3の上皿321が遊技球で一杯になり、上皿321へ遊技球を放出することができなくなった状態で、払出装置830から更に多くの遊技球が払出されると、下部満タン球経路ユニット860の通常誘導路861内が遊技球で一杯になるまで遊技球を貯留することができる。通常誘導路861が遊技球で一杯になった状態で払出装置830から更に遊技球が払出されると、上部満タン球経路ユニット850の上部球貯留通路850c内において、遊技球が通常放出口850dよりも上側に留って仕切片850fを超えると、満タン放出口850e側へ流通するようになり、満タン放出口850eから、下部満タン球経路ユニット860の満タン誘導路862、ファールカバーユニット270を通って下皿322へ遊技球の払出しが自動的に切換えられる。その後、払出装置830から更に遊技球が払出されて、上皿321に加えて下皿322も遊技球で一杯になって下皿322へ遊技球を供給することができなくなると、ファールカバーユニット270の貯留通路277内に遊技球が貯留される。貯留通路277内に遊技球が貯留されることで可動片278が回動して満タン検知センサ279により検知されると、上皿321及び下皿322が遊技球で満タンであることが報知されるとともに、満タン検知センサ279による可動片278の検知が解除されるまで払出装置830による遊技球の払出しが一時的に停止される。
なお、満タン検知センサ279による可動片278の検知に対する払出装置830による遊技球の払出しの停止を、例えば、ファールカバーユニット270の貯留通路277内に可動片278が検知されるまで遊技球が貯留されている状態で、その上流側の貯留通路277、下部満タン球経路ユニット860の満タン誘導路862、及び上部満タン球経路ユニット850の上部球貯留通路850c内を満たすことが可能な数の遊技球が払出されると、払出装置830による遊技球の払出しを停止させるようにしてもよい。これにより、従来のパチンコ機よりも多くの遊技球を貯留することができるため、大当り遊技中等の多くの遊技球が払出される遊技状態において、遊技球の払出しによって上皿321や下皿322が遊技球で一杯になることに対して気に掛ける必要を低減させることができ、遊技者を大当り遊技に専念させて楽しませることができる。
[4−7.基板ユニット]
本実施形態における本体枠4の基板ユニット900について、図110乃至図113を参照して説明する。本体枠4の基板ユニット900は、本体枠ベース600の後側に取付けられる基板ユニットベース910と、基板ユニットベース910の正面視左側で本体枠ベース600の後側に取付けられ内部に低音用の下部スピーカ921を有したスピーカユニット920と、基板ユニットベース910の後側で正面視右側に取付けられ内部に電源基板が収容されている電源基板ボックス930と、スピーカユニット920の後側に取付けられており内部にインターフェイス制御基板が収容されているインターフェイス制御基板ボックス940と、電源基板ボックス930及びインターフェイス制御基板ボックス940に跨って取付けられており内部に遊技球の払出しを制御する払出制御基板951が収容された払出制御基板ボックス950と、を備えている。
基板ユニット900は、基板ユニットベース910の前面で、本体枠ベース600の接続用開口部606から前方へ臨むように取付けられている扉枠用中継基板911を備えている。この扉枠用中継基板911は、払出制御基板951、主制御基板1310、及び周辺制御基板1510と、扉枠3の扉枠ベースユニット100に取付けられている扉本体中継基板との接続を中継するためのものである。払出制御基板ボックス950内に収容された払出制御基板951によって、払出装置830が制御されている。
[5.遊技盤の全体構成]
次に、パチンコ機1の遊技盤5の全体構成について、主に図133乃至図142を参照して詳細に説明する。図133は、遊技パネルのパネル板を不透明な状態とした遊技盤の正面図である。図134は図133の状態の遊技盤を右前から見た斜視図であり、図135は図133の状態の遊技盤を左前から見た斜視図であり、図136は遊技盤を後ろから見た斜視図である。図137は図133におけるT−T線で切断した断面図であり、図138は図133におけるU−U線で切断した断面図である。更に、図139は、遊技盤における表ユニットを遊技領域内の前後方向の略中央で切断した正面図である。図140は、遊技パネルのパネル板を透明な状態とした遊技盤の正面図である。図141は遊技盤を主な構成毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図142は遊技盤を主な構成毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。
遊技盤5は、遊技者がハンドルユニット300のハンドル302を操作することで遊技球が打込まれる遊技領域5aを有している。遊技盤5は、遊技領域5aの外周を区画し外形が正面視略四角形状とされた前構成部材1000と、前構成部材1000の後側に取付けられており遊技領域5aの後端を区画する板状の遊技パネル1100と、遊技パネル1100の後側下部に取付けられている基板ホルダ1200と、基板ホルダ1200の後面に取付けられており遊技球を遊技領域5a内へ打込むことで行われる遊技内容を制御する主制御基板1310を有している主制御ユニット1300と、を備えている。遊技パネル1100の前面において遊技領域5a内となる部位には、遊技球と当接する複数の障害釘が所定のゲージ配列で植設されている(図示は省略)。
遊技盤5は、主制御基板1310からの制御信号に基づいて遊技状況を表示し前構成部材1000の左下隅に遊技者側へ視認可能に取付けられている機能表示ユニット1400と、遊技パネル1100の後側に取付けられている周辺制御ユニット1500と、正面視において遊技領域5aの中央に配置されており所定の演出画像を表示可能な遊技盤側演出表示装置1600と、遊技パネル1100の前面に取付けられる表ユニット2000と、遊技パネル1100の後面に取付けられる裏ユニット3000と、を更に備えている。裏ユニット3000の後面に遊技盤側演出表示装置1600が取付けられているとともに、遊技盤側演出表示装置1600の後面に周辺制御ユニット1500が取付けられている。
遊技パネル1100は、外周が枠状の前構成部材1000の内周よりもやや大きく形成されているとともに透明な平板状のパネル板1110と、パネル板1110の外周を保持しており前構成部材1000の後側に取付けられるとともに後面に裏ユニット3000が取付けられる枠状のパネルホルダ1120と、を備えている。
表ユニット2000は、遊技領域5a内に打込まれた遊技球を受入可能に常時開口している複数の一般入賞口2001と、複数の一般入賞口2001とは遊技領域5a内の異なる位置で遊技球を受入可能に常時開口している第一始動口2002と、遊技領域5a内の所定位置に取付けられており遊技球の通過を検知するゲート部2003と、遊技球がゲート部2003を通過することにより抽選される普通抽選結果に応じて遊技球の受入れが可能となる第二始動口2004と、第一始動口2002への遊技球の受入れにより抽選される第一特別抽選結果に応じて遊技球の受入れが可能となる第一大入賞口2005と、第二始動口2004への遊技球の受入れにより抽選される第二特別抽選結果に応じて遊技球の受入れが可能となる第二大入賞口2006と、を備えている。
表ユニット2000は、遊技領域5a内の左右方向中央でアウト口1126の直上に取付けられており第一始動口2002を有している始動口ユニット2100と、始動口ユニット2100の正面視左方で内レール1002に沿うように取付けられており複数(ここでは三つ)の一般入賞口2001を有しているサイドユニット2200と、サイドユニット2200の正面視左端上方に取付けられているサイドスロープ2300と、遊技領域5a内の正面視右下隅となる始動口ユニット2100の正面視右方に取付けられており一つの一般入賞口2001、ゲート部2003、第二始動口2004、第一大入賞口2005、及び第二大入賞口2006を有しているアタッカユニット2400と、始動口ユニット2100及びサイドユニット2200よりも上方で、遊技領域5a内の正面視略中央やや上寄りに取付けられている枠状のセンター役物2500と、を備えている。
裏ユニット3000は、パネルホルダ1120の後面に取付けられ前方が開放されている箱状で後壁に四角い開口部3010aを有している裏箱3010と、裏箱3010の後面に取付けられており遊技盤側演出表示装置1600を着脱可能に取付けるためのロック機構3020と、裏箱3010の後面で開口部3010aの下側に取付けられている演出駆動基板3031と、裏箱3010の後面で演出駆動基板3031の背面視右側に取付けられているパネル中継基板3032と、裏箱3010の後面でパネル中継基板3032の背面視右側に取付けられている左下中継基板3033と、裏箱3010の後面で演出駆動基板3031の背面視左側に取付けられている右下中継基板3034と、を備えている。
更に、裏ユニット3000は、裏箱3010の前端で正面視左辺側と下辺側とにかけて取付けられている裏前飾りユニット3100と、裏箱3010内において開口部3010aを囲むように取付けられている裏中可動演出ユニット3200と、裏箱3010内において開口部3010aの左右両側に夫々取付けられている裏左可動演出ユニット3300及び裏右可動演出ユニット3400と、裏箱3010内において開口部3010aの上側に取付けられている裏上可動演出ユニット3500と、裏箱3010内において開口部3010aの下側に取付けられている裏下可動演出ユニット3700と、を備えている。
[5−1.前構成部材]
次に、前構成部材1000について、主に図143を参照して説明する。図143(a)は遊技盤における前構成部材と遊技パネルとを前から見た斜視図であり、(b)は(a)を後ろから見た斜視図である。前構成部材1000は、正面視の外形が略正方形とされ、内形が略円形状に前後方向へ貫通しており、内形の内周によって遊技領域5aの外周を区画している。この前構成部材1000は、正面視で左右方向中央から左寄りの下端から時計回りの周方向へ沿って円弧状に延び正面視左右方向中央上端を通り過ぎて右斜め上部まで延びた外レール1001と、外レール1001に略沿って前構成部材1000の内側に配置され正面視左右方向中央下部から正面視左斜め上部まで円弧状に延びた内レール1002と、内レール1002の下端の正面視右側で遊技領域5aの最も低くなった位置に形成されており後方へ向かって低くなるように傾斜しているアウト誘導部1003と、を備えている。
前構成部材1000は、アウト誘導部1003の正面視右端から前構成部材1000の右辺付近まで右端側が僅かに高くなるように直線状に傾斜している右下レール1004と、右下レール1004の右端から前構成部材1000の右辺に沿って外レール1001の上端の下側まで延びており上部が前構成部材1000の内側へ湾曲している右レール1005と、右レール1005の上端と外レール1001の上端とを繋いでおり外レール1001に沿って転動して来た遊技球が当接する衝止部1006と、を備えている。
前構成部材1000は、内レール1002の上端に回動可能に軸支され、外レール1001との間を閉鎖するように内レール1002の上端から上方へ延出した閉鎖位置と正面視時計回りの方向へ回動して外レール1001との間を開放した開放位置との間でのみ回動可能とされるとともに閉鎖位置側へ復帰するように図示しないバネによって付勢された逆流防止部材1007を、備えている。
更に、前構成部材1000は、外レール1001及び内レール1002における下端から略垂直に延びた付近の部位の外側、アウト誘導部1003及び右下レール1004の下側、及び右レール1005の外側、の夫々の部位において、前端から後方へ窪んだ防犯凹部1008を備えている。この防犯凹部1008は、遊技盤5を本体枠4に取付けて、本体枠4に対して扉枠3を閉じた状態とすると、扉枠3における防犯カバー200の後方へ突出した後方突片202が挿入された状態となる。これにより、防犯カバー200と遊技盤5(前構成部材1000)との間が、防犯カバー200の後方突片202と前構成部材1000の防犯凹部1008とによって複雑に屈曲した状態となるため、遊技盤5の前面下方より防犯カバー200と前構成部材1000との間を通してピアノ線等の不正な工具を遊技領域5a内に侵入させようとしても、後方突片202や防犯凹部1008に阻まれることとなり、遊技領域5a内への不正な工具の侵入を阻止することができる。
前構成部材1000は、図示は省略するが、内レール1002の後端から後方へ突出している複数の位置決め突起を備えている。これら位置決め突起は、遊技パネル1100におけるパネル板1110に形成されている内レール固定孔に挿入させることで、内レール1002をパネル板1110の前面に位置決め固定することができる。
更に、前構成部材1000は、図示は省略するが、後面から後方へ突出している複数の取付ボスを備えている。複数の取付ボスは、遊技パネル1100におけるパネルホルダ1120の取付孔(図示は省略)に挿入されることで、パネルホルダ1120(遊技パネル1100)との間を位置決めすることができる。
前構成部材1000は、正面視左下隅において下端から上方へ切欠かれている切欠部1011を備えている。この切欠部1011は、遊技パネル1100におけるパネルホルダ1120の切欠部1127と一致しており、遊技盤5を本体枠4に取付けた時に、これら切欠部1011,1127を貫通して下部満タン球経路ユニット860の通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口が前方へ臨むようになっている。
[5−2.遊技パネル]
次に、遊技パネル1100について、主に図143を参照して説明する。遊技パネル1100は、外周が枠状の前構成部材1000の内周よりもやや大きく形成されているとともに透明な合成樹脂で形成されている平板状のパネル板1110と、パネル板1110の外周を保持しており前構成部材1000の後側に取付けられるとともに後面に裏ユニット3000が取付けられる枠状のパネルホルダ1120と、を備えている。
遊技パネル1100のパネル板1110は、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の合成樹脂板や、ガラスや金属等の無機質板により形成されている。このパネル板1110の板厚は、パネルホルダ1120よりも薄く、障害釘を前面に植設したり表ユニット2000を取付けたりしても十分に保持可能な必要最低限の厚さ(8〜10mm)とされている。なお、本例では、透明な合成樹脂板によってパネル板1110が形成されている。
パネル板1110は、遊技領域5a内において最も低い位置となる部位に下端から上方へ窪んだアウト凹部1111が形成されている。パネル板1110には、前後に貫通しており表ユニット2000を取付けるための開口部1112が複数形成されている。
パネル板1110は、図示は省略するが、外周近傍に配置され前後方向に貫通する丸孔からなる複数の嵌合孔と、左下部の外周近傍に配置され前後方向に貫通し上下方向に延びる長孔と、を備えている。これら嵌合孔及び長孔は、遊技領域5aよりも外側に配置されており、パネルホルダ1120との位置決めを行うものである。パネル板1110は、上辺の両端と下辺の両端に、前側が窪んだ段状の係合段部が夫々備えられている。これら係合段部は、パネル板1110の板厚の略半分まで切欠いた形態とされるとともに、嵌合孔及び長孔と同様に、遊技領域5aよりも外側に配置されており、パネル板1110をパネルホルダ1120へ係合固定するためのものである。
パネル板1110は、図示は省略するが、所定位置に内レール固定孔が複数備えられている。この内レール固定孔に内レール1002の後側から突出する位置決め突起(図示は省略)を嵌合固定させることで、内レール1002を所定の位置に固定することができる。
遊技パネル1100のパネルホルダ1120は、パネル板1110を包含する大きさで外形が略四角形状とされ、パネル板1110よりも厚く(本例では、約20mm)形成されている。パネルホルダ1120は、合成樹脂(例えば、熱可塑性合成樹脂)により形成されている。このパネルホルダ1120は、パネル板1110を着脱可能に保持し前面側から後方側に向かって凹んだ保持段部(図示は省略)と、保持段部の内側において略遊技領域5aと同等の大きさで前後方向に貫通する貫通口1122と、を備えている。
パネルホルダ1120の保持段部は、前面からの深さがパネル板1110の厚さと略同じ深さとされており、保持段部内に保持されたパネル板1110の前面が、パネルホルダ1120の前面と略同一面となる。保持段部は、その前側内周面が、パネル板1110の外周面に対して所定量のクリアランスが形成される大きさに形成されている。このクリアランスにより、温度変化や経時変化により相対的にパネル板1110が伸縮しても、その伸縮を吸収できる。
パネルホルダ1120は、図示は省略するが、保持段部に保持されるパネル板1110に形成されている嵌合孔及び長孔と対応する位置に配置され、保持段部の前面から前方に向かって延びており、パネル板1110の嵌合孔及び長孔に嵌合及び挿通可能な複数の突出ピンを備えている。これらの突出ピンをパネル板1110の嵌合孔及び長孔に嵌合及び挿通することで、パネルホルダ1120とパネル板1110とを互いに位置決めすることができる。
更に、パネルホルダ1120は、図示は省略するが、パネル板1110の係合段部と対応する位置に、係合段部と係合する係合爪及び係合片を備えている。詳述すると、係合爪は、パネルホルダ1120の保持段部の上部に配置されており、パネル板1110における上側の係合段部と対応し、保持段部の前面から前方に向かって突出し、係合段部と弾性係合する。この係合爪は、先端がパネルホルダ1120の前面から突出しない大きさとされている。
パネルホルダ1120の係合片は、パネルホルダ1120の保持段部の下部に配置され、パネル板1110における下側の係合段部と対応している。この係合片は、保持段部の前面との間にパネル板1110の係合段部が挿入可能な大きさの隙間を形成した状態で、パネルホルダの前面に沿って上側(中心側)に向かって所定量延びている。これら係合爪及び係合片にパネル板1110の係合段部を係合させることで、パネル板1110がパネルホルダ1120に対して着脱可能に保持される。
パネルホルダ1120は、遊技領域5a内において最も低い位置となる部位に前後に貫通しているアウト口1126を備えている。パネルホルダ1120は、アウト口1126の後面下側が、アウト口1126と同じ幅で下端まで前方へ窪んでいる。
更に、パネルホルダ1120は、正面視左下隅において下端から上方へ切欠かれている切欠部1127を備えている。この切欠部1127は、前構成部材1000の切欠部1011と一致しており、遊技盤5を本体枠4に取付けた時に、これら切欠部1011,1127を貫通して下部満タン球経路ユニット860の通常誘導路861及び満タン誘導路862の前端開口が前方へ臨むようになっている。
パネルホルダ1120は、図示は省略するが、前構成部材1000における複数の取付ボス(図示は省略)と対応している位置に、前後に貫通した複数の取付孔を備えている。これら複数の取付孔に、前構成部材1000の取付ボスを挿入することで、パネルホルダ1120を前構成部材1000の後側に取付けることができるとともに、前構成部材1000との間でパネルホルダ1120(遊技パネル1100)を位置決めすることができる。
パネルホルダ1120は、切欠部1127の上側で前後方向に貫通している四角い挿通孔1129を備えている。この挿通孔1129は、機能表示ユニット1400の後端が挿通される。
遊技パネル1100は、前構成部材1000の後側に取付けた状態では、前構成部材1000のアウト誘導部1003の後側にパネルホルダ1120のアウト口1126が開口した状態となる。これにより、遊技領域5aの下端へ流下した遊技球が、アウト誘導部1003によって後側のアウト口1126へ誘導され、アウト口1126を通って遊技パネル1100の後側へ排出される。
[5−3.基板ホルダ]
次に、基板ホルダ1200について、主に図141及び図142を参照して説明する。基板ホルダ1200は、上方及び前方が開放された横長の箱状に形成されており、底面が左右方向中央へ向かって低くなるように傾斜している。この基板ホルダ1200は、遊技盤5に組立てた状態で、遊技パネル1100の後側に取付けられている裏ユニット3000の下部を下側から覆うことができる。これにより、アウト口1126を通って遊技パネル1100の後側へ排出された遊技球、及び、表ユニット2000及び裏ユニット3000から下方へ排出された遊技球、をすべて受けることができ、底面に形成された排出部1201から下方へ排出させることができる。
[5−4.主制御基板ユニット]
次に、主制御ユニット1300について、主に図141及び図142を参照して説明する。主制御ユニット1300は、基板ホルダ1200の後面に着脱可能に取付けられている。この主制御ユニット1300は、遊技内容及び遊技球の払出し等を制御する主制御基板1310(図137を参照)と、主制御基板1310を収容しており基板ホルダ1200に取付けられる主制御基板ボックス1320と、を備えている。
主制御基板ボックス1320は、複数の封印機構を備えており、一つの封印機構を用いて主制御基板ボックス1320を閉じると、次に、主制御基板ボックス1320を開けるためにはその封印機構を破壊する必要があり、主制御基板ボックス1320の開閉の痕跡を残すことができる。したがって、開閉の痕跡を見ることで、主制御基板ボックス1320の不正な開閉を発見することができ、主制御基板1310への不正行為に対する抑止力が高められている。
主制御ユニット1300の主制御基板1310は、払出制御基板951及び周辺制御基板1510と接続されている。主制御基板1310は、パネル中継基板3032を介して、機能表示ユニット1400、ゲートセンサ2401、第二大入賞口センサ2402、第一受入口センサ2434、第二受入口センサ2435、第二始動口センサ3113、第一大入賞口センサ2403、始動口ソレノイド2105、第一アタッカソレノイド2108A、第二アタッカソレノイド2108B、振分ソレノイド(図示は省略)、一般入賞口センサ3111、第一始動口センサ3112、磁気センサ2404、振動センサ2405と接続されている。
[5−5.機能表示ユニット]
次に、機能表示ユニット1400について、主に図133等を参照して説明する。機能表示ユニット1400は、図示するように、遊技領域5aの外側で前構成部材1000の左下隅に取付けられている。機能表示ユニット1400は、遊技盤5を取り付けてパチンコ機1を組立てた状態で、扉枠3の貫通口111を通して前方(遊技者側)から視認することができる(図200を参照)。この機能表示ユニット1400は、主制御基板1310からの制御信号に基づき複数のLEDを用いて、遊技状態(遊技状況)や、普通抽選結果や特別抽選結果等を表示するものである。
機能表示ユニット1400は、図示するように、遊技状態を表示する一つのLEDからなる状態表示器1401と、ゲート部2003に対する遊技球の通過により抽選される普通抽選結果を表示する四つのLEDからなる普通図柄表示器1402と、ゲート部2003に対する遊技球の通過に係る保留数を表示する二つのLEDからなる普通保留表示器1408と、第一始動口2002への遊技球の受入れにより抽選された第一特別抽選結果を表示する八つのLEDからなる第一特別図柄表示器1403と、第一始動口2002への遊技球の受入れに係る保留数を表示する二つのLEDからなる第一特別保留数表示器1404と、第二始動口2004への遊技球の受入れにより抽選された第二特別抽選結果を表示する八つのLEDからなる第二特別図柄表示器1405と、第二始動口2004への遊技球の受入れに係る保留数を表示する二つのLEDからなる第二特別保留数表示器1406と、第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果が「大当り」等の時に、第一大入賞口2005の開閉パターンの繰返し回数(ラウンド数)を表示する三つのLEDからなるラウンド表示器1407と、を主に備えている。
この機能表示ユニット1400では、備えられているLEDを、適宜、点灯、消灯、及び、点滅、等させることにより、保留数や図柄等を表示することができる。
[5−6.周辺制御ユニット]
次に、周辺制御ユニット1500について、主に図136及び図142等を参照して説明する。周辺制御ユニット1500は、裏ユニット3000の裏箱3010の後面に取付けられる遊技盤側演出表示装置1600の後側に取付けられている。周辺制御ユニット1500は、主制御基板1310からの制御信号に基いて遊技者に提示する演出を制御する周辺制御基板1510(図137を参照)と、周辺制御基板1510を収容している周辺制御基板ボックス1520と、を備えている。周辺制御基板1510は、図示は省略するが、発光演出、サウンド演出、及び可動演出、等を制御するための周辺制御部と、演出画像を制御するための演出表示制御部と、を備えている。
周辺制御ユニット1500の周辺制御基板1510は、主制御基板1310、演出装飾回転体ユニット530、扉枠3側の各種装飾基板、遊技盤側演出表示装置1600、演出駆動基板3031、等と接続されている。
[5−7.遊技盤側演出表示装置]
次に、遊技盤側演出表示装置1600について、主に図141及び図142を参照して説明する。遊技盤側演出表示装置1600は、正面視において遊技領域5aの中央に配置されており、遊技パネル1100の後側に、裏ユニット3000の裏箱3010を介して取付けられている。詳述すると、遊技盤側演出表示装置1600は、裏箱3010の後壁の略中央の後面に対して、着脱可能に取付けられている。この遊技盤側演出表示装置1600は、遊技盤5を組立てた状態で、枠状のセンター役物2500の枠内を通して、前側(遊技者側)から視認することができる。遊技盤側演出表示装置1600は、白色LEDをバックライトとしたフルカラーの液晶表示装置である。遊技盤側演出表示装置1600は、周辺制御基板1510に接続されており、所定の静止画像や動画を表示することができる。
遊技盤側演出表示装置1600は、正面視左側面から外方へ突出している二つの左固定片1601と、正面視右側面から外方へ突出している右固定片1602と、を備えている。この遊技盤側演出表示装置1600は、液晶画面を前方へ向けた状態で、後述する裏箱3010の枠状の液晶取付部3010b内の正面視左内周面に開口している二つの固定溝3010cに、裏箱3010の斜め後方から二つの左固定片1601を挿入した上で、右固定片1602側を前方へ移動させて、右固定片1602をロック機構3020の開口部内に挿入し、ロック機構3020を下方へスライドさせることにより、裏箱3010に取付けられる。
[5−8.表ユニットの全体構成]
次に、表ユニット2000の全体構成について、主に図141及び図142を参照して説明する。遊技盤5の表ユニット2000は、遊技パネル1100のパネル板1110に、前方から取付けられており、前端がパネル板1110の前面よりも前方へ突出しているとともに、後端が開口部1112を貫通してパネル板1110の後面よりも後方へ突出している。
本実施形態の表ユニット2000は、遊技領域5a内に打込まれた遊技球を受入可能としており常時開口している複数の一般入賞口2001と、複数の一般入賞口2001とは遊技領域5a内の異なる位置で遊技球を受入可能に常時開口している第一始動口2002と、遊技領域5a内の所定位置に取付けられており遊技球の通過を検知するゲート部2003と、遊技球がゲート部2003を通過することにより抽選される普通抽選結果に応じて遊技球の受入れが可能となる第二始動口2004と、第一始動口2002又は第二始動口2004への遊技球の受入れにより抽選される第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果に応じて何れかにおいて遊技球の受入れが可能となる第一大入賞口2005及び第二大入賞口2006と、を備えている。
複数(ここでは四つ)の一般入賞口2001は、遊技領域5a内の下部に配置されおり、左右方向中央に対して左側に三つ、右側に一つ夫々配置されている。第一始動口2002は、遊技領域5a内の左右方向中央でアウト口1126の直上に配置されている。ゲート部2003は、遊技領域5a内における正面視右端付近で上下方向中央の下寄りに配置されている。第二始動口2004は、ゲート部2003の直下に配置されている。第一大入賞口2005は、左右方向中央より右側の一般入賞口2001の右方で当該一般入賞口2001と第一始動口2002との間の高さに配置されている。第二大入賞口2006は、第二始動口2004と第一大入賞口2005との間に配置されている。
表ユニット2000は、第一大入賞口2005と第二大入賞口2006との間に、遊技球を遊技領域5a内から排出するサブアウト口2007を備えている。
更に、表ユニット2000は、遊技領域5a内の左右方向中央でアウト口1126の直上に取付けられており第一始動口2002を有している始動口ユニット2100と、始動口ユニット2100の正面視左方で内レール1002に沿うように取付けられており三つの一般入賞口2001を有しているサイドユニット2200と、サイドユニット2200の正面視左端上方に取付けられているサイドスロープ2300と、始動口ユニット2100の正面視右方に取付けられており一つの一般入賞口2001、ゲート部2003、第二始動口2004、第一大入賞口2005、及び第二大入賞口2006を有しているアタッカユニット2400と、遊技領域5a内の略中央に取付けられている枠状のセンター役物2500と、を備えている。
[5−8a.始動口ユニット]
次に、表ユニット2000の始動口ユニット2100について、主に図144を参照して説明する。図144(a)は遊技盤の表ユニットにおける始動口ユニット、サイドユニット、サイドスロープ、及びアタッカユニットを前から見た斜視図であり、(b)は(a)を後ろから見た斜視図である。始動口ユニット2100は、遊技領域5a内において、左右方向中央の下端部付近でアウト口1126の直上に配置されており、パネル板1110に前方から取付けられている。この始動口ユニット2100は、最上部において、第一始動口2002が、遊技球を一度に一つのみ受入可能な大きさで上方に向かって常時開口している。
始動口ユニット2100は、第一始動口2002が形成されており遊技パネル1100のパネル板1110に前方から取付けられる透光性を有したユニット本体2101と、ユニット本体2101の後側に取付けられており前面に複数のLEDが実装されている始動口装飾基板2102(図139を参照)と、を備えている。この始動口ユニット2100は、始動口装飾基板2102のLEDを発光させることで、第一始動口2002の下側を発光装飾させることができる。
始動口ユニット2100は、パネル板1110に取付けることで、第一始動口2002がパネル板1110の前面よりも前方に突出した上で、上方へ開放された状態となり、第一始動口2002が後述するセンター役物2500のステージ2530におけるチャンス出口2536の直下に位置している。したがって、ステージ2530のチャンス出口2536から下方へ遊技球が放出されると、極めて高い確率で第一始動口2002に受入れられる。この始動口ユニット2100は、第一始動口2002に受入れられた遊技球を、パネル板1110の後方へ誘導し、後述する裏ユニット3000における裏前飾りユニット3100の中央受渡口3135に受け渡すことができる。
[5−8b.サイドユニット]
次に、表ユニット2000のサイドユニット2200について、主に図144を参照して詳細に説明する。サイドユニット2200は、遊技領域5a内において、始動口ユニット2100の左方で内レール1002に沿うように円弧状に延びており、パネル板1110に前方から取付けられている。サイドユニット2200は、上方へ向かって常時開口している三つの一般入賞口2001を有している。
サイドユニット2200は、三つの一般入賞口2001が左右に列設された状態で備えられているとともに、三つの一般入賞口2001が正面視左方へ向かうほど高くなるように備えられている。
サイドユニット2200は、パネル板1110に取付けることで、三つの一般入賞口2001が、パネル板1110の前面よりも前方へ突出した状態となるとともに、第一始動口2002よりも下方で、且つ、始動口ユニット2100とサイドスロープ2300との間に配置された状態となる。サイドユニット2200は、各一般入賞口2001に受入れられた遊技球を、パネル板1110の後方へ誘導し、後述する裏ユニット3000の裏前飾りユニット3100における球誘導ユニット3150の受渡口3151に受け渡すことができる。
[5−8c.サイドスロープ]
次に、表ユニット2000のサイドスロープ2300について、主に図144を参照して詳細に説明する。サイドスロープ2300は、遊技領域5a内において、サイドユニット2200の正面視左上方で上下方向中央からやや下寄りに前方からパネル板1110に取付けられる。サイドスロープ2300は、前方に突出しているとともに正面視右端側が低くなるように左右に延びている棚部2301を備えている。
サイドスロープ2300は、パネル板1110の前面に取付けた状態で、棚部2301の左端が内レール1002に接近しているとともに、棚部2301の右端がサイドユニット2200の最も左側の一般入賞口2001よりも左方に位置している。サイドスロープ2300は、パネル板1110に取付けた状態で、棚部2301が、始動口ユニット2100の第一始動口2002よりも上方に位置している。これにより、サイドスロープ2300は、内レール1002に沿って流下してきた遊技球を、棚部2301により右方(遊技領域5aの左右方向中央)へ誘導させることができ、始動口ユニット2100の第一始動口2002、及びサイドユニット2200の三つの一般入賞口2001の何れかに遊技球が受入れられる可能性がある。
[5−8d.アタッカユニット]
次に、表ユニット2000のアタッカユニット2400について、主に図144及び図145を参照して詳細に説明する。図145は、表ユニットにおけるアタッカユニットを遊技領域内の前後方向の略中央で切断して正面から示した説明図である。アタッカユニット2400は、遊技領域5a内において、正面視右下隅となる始動口ユニット2100の正面視右方に配置されており、パネル板1110の前面に前方から取付けられている。このアタッカユニット2400は、四つの一般入賞口2001のうちの一つの一般入賞口2001、ゲート部2003、第二始動口2004、第一大入賞口2005、第二大入賞口2006、及びサブアウト口2007を備えている。
アタッカユニット2400は、図145等に示すように、正面視における外形形状が、右端がやや上方に位置するように傾斜した底辺と、底辺の右端から略垂直に立ち上がった右辺と、右辺の上端と底辺の左端とを結ぶように斜めに延びた斜辺と、を有するような略三角形に形成されている。このアタッカユニット2400は、右上隅に遊技球が上下に流通(通過)するゲート部2003が配置されているとともに、ゲート部2003の直下に前方へ開口可能な第二始動口2004が配置されている。アタッカユニット2400は、第二始動口2004の左下に上方へ開口可能な第二大入賞口2006が配置されているとともに、第二大入賞口2006の左下に左方へ常時開口しているサブアウト口2007が配置されている。更に、アタッカユニット2400は、サブアウト口2007のやや下側の左方に上方へ開口可能な第一大入賞口2005が配置されている共に、第一大入賞口2005の左下に上方へ常時開口している一般入賞口2001が配置されている。
アタッカユニット2400は、ゲート部2003を通過する遊技球を検知するゲートセンサ2401と、第二始動口2004に受入れられた遊技球を検知する第二始動口センサ3113と、第一大入賞口2005に受入れられた遊技球を検知する第一大入賞口センサ2403と、第二大入賞口2006に受入れられた遊技球を検知する第二大入賞口センサ2402と、を備えている。
アタッカユニット2400は、ゲート部2003の遊技球の通過により抽選される普通抽選結果に応じて第二始動口2004を開閉する第二始動口扉2411と、第一始動口2002又は第二始動口2004への遊技球の受入れにより抽選される第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果に応じて第一大入賞口2005を開閉する第一大入賞口扉2412と、第一始動口2002又は第二始動口2004への遊技球の受入れにより抽選される第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果に応じて第二大入賞口2006を開閉する第二大入賞口扉2413と、を備えている。
アタッカユニット2400は、正面視において右上隅で上下に延びており遊技球が流通可能なゲート通路2420と、ゲート通路2420の左側で上下に延びており遊技球が流通可能な左サイド通路2421と、ゲート通路2420の右側で上下に延びており遊技球が流通可能な右サイド通路2422と、ゲート通路2420、左サイド通路2421、及び右サイド通路2422の下方で右サイド通路2422の下方から左端側が低くなるように左サイド通路2421よりも左方へ延びており遊技球が流通可能なアタッカ通路2423と、アタッカ通路2423の左側の下方で左端側が低くなるように左方へ延びており遊技球を誘導可能なアタッカ棚部2424と、を備えている。
ゲート通路2420は、上部付近にゲート部2003が配置されているとともに、下部に第二始動口2004が配置されている。このゲート通路2420は、ゲート部2003と第二始動口2004との間において、左サイド通路2421及び右サイド通路2422と夫々連通するように左右両壁が貫通している。ゲート通路2420は、遊技球の外径よりも若干広い幅で上下に延びている。
アタッカ通路2423は、左サイド通路2421よりも左方における底壁に、第二大入賞口2006が開口している。このアタッカ通路2423は、第二大入賞口2006を開閉可能に閉鎖する第二大入賞口扉2413が、底壁の一部を形成している。アタッカ通路2423は、最も低くなっている左端側が、下方へ向かって開口している。第二大入賞口2006は、遊技球の外径の約1.5倍の幅で開口している。
アタッカ棚部2424は、第一大入賞口2005が開口しており、第一大入賞口2005を開閉可能に閉鎖している第一大入賞口扉2412が一部を形成している。第一大入賞口2005は、遊技球の外径の約3倍の幅で開口している。アタッカ棚部2424の右端において、サブアウト口2007が開口している。アタッカ棚部2424の左端よりも左下において、一つの一般入賞口2001が開口している。
第二始動口扉2411は、前方へ開口している第二始動口2004を、前方から閉鎖可能としており、第二始動口2004の下端付近において、下辺が左右に延びた軸周りに回転可能に取付けられている。この第二始動口扉2411は、上辺が前方へ移動するように回転(回動)することで、第二始動口2004を開放するとともに、ゲート通路2420を閉鎖し、ゲート通路2420内を流下してきた遊技球を、第二始動口2004側へ誘導して、第二始動口2004へ受入れさせることができる。第二始動口扉2411は、図示しない始動口ソレノイドの駆動によって回動するように形成されており、始動口ソレノイドがOFF(非通電時)の時は第二始動口2004を閉鎖し、始動口ソレノイドがON(通電時)の時は第二始動口2004を開放させる。
第一大入賞口扉2412は、前後に延びているとともに、左端が低くなるように左右に延びている板状に形成されており、前後に進退することで上方へ開口している第一大入賞口2005を閉鎖可能としている。第一大入賞口扉2412は、前進することで第一大入賞口2005を閉鎖するとともに、アタッカ棚部2424の一部を形成し、アタッカ棚部2424上に流下してきた遊技球を、左方へ誘導してアタッカ棚部2424の左端から下方へ放出する。第一大入賞口扉2412は、後退することで第一大入賞口2005を開放し、アタッカ通路2423等を介してアタッカ棚部2424上に流下してきた遊技球を、第一大入賞口2005に受入れさせることができる。この第一大入賞口扉2412は、図示しない第一アタッカソレノイドの駆動によって進退するように形成されており、第一アタッカソレノイドがOFF(非通電時)の時は第一大入賞口2005を閉鎖し、第一アタッカソレノイドがON(通電時)の時は第一大入賞口2005を開放させる。
第二大入賞口扉2413は、前後に延びているとともに、左端が低くなるように左右に延びている板状に形成されており、前後に進退することで上方へ開口している第二大入賞口2006を閉鎖可能としている。第二大入賞口扉2413は、前進することで第二大入賞口2006を閉鎖するとともに、アタッカ通路2423の底壁の一部を形成し、ゲート通路2420、左サイド通路2421、及び右サイド通路2422の何れかを通過した遊技球を、左方へ誘導して、アタッカ通路2423の左端から下方へ放出する。第二大入賞口扉2413は、後退することで第二大入賞口2006を開放し、アタッカ通路2423に進入してきた遊技球を、高い確率で第二大入賞口2006に受入れさせることができる。この第二大入賞口扉2413は、図示しない第二アタッカソレノイドの駆動によって進退するように形成されており、第二アタッカソレノイドがOFF(非通電時)の時は第二大入賞口2006を閉鎖し、第二アタッカソレノイドがON(通電時)の時は第二大入賞口2006を開放させる。
アタッカユニット2400は、第二大入賞口2006に受入れられた遊技球が流通可能な内部通路2430と、内部通路2430の底部に開口している第一受入口2431及び第二受入口2432と、内部通路2430において遊技球を第一受入口2431又は第二受入口2432の何れかに振り分ける振分片2433と、第一受入口2431に受入れられた遊技球を検知する第一受入口センサ2434と、第二受入口2432に受入れられた遊技球を検知する第二受入口センサ2435と、を備えている。
内部通路2430は、第二大入賞口センサ2402の下流側に形成されている。第一受入口2431は、第二大入賞口センサ2402における遊技球が通過する部位の直下に配置されており、第二受入口2432は、第一受入口2431の正面視右側に配置されている。振分片2433は、内部通路2430内における第一受入口2431と第二受入口2432との間に配置されており、下辺が前後に延びた軸周りに回転可能に取付けられている。振分片2433は、垂直に立上って第二大入賞口2006と第一受入口2431とを連通させた状態と、上辺が正面視左方へ移動して内部通路2430の左側の側壁に当接(或いは、接近)して第二大入賞口2006と第二受入口2432とを連通させた状態との間で回転するように取付けられている。この振分片2433は、図示しない振分ソレノイドの駆動によって回転するように形成されており、振分ソレノイドがOFF(非通電時)の時は第一受入口2431へ遊技球を振り分け、振分ソレノイドがON(通電時)の時は第二受入口2432へ遊技球を振り分ける。
このアタッカユニット2400は、パネル板1110の前面に取付けた状態で、ゲート通路2420が、後述するセンター役物2500における右案内通路2540の下流側の開口部の直下に位置しているとともに、ゲート部2003がセンター役物2500のステージ2530よりも上方に位置している。第一大入賞口2005と一般入賞口2001とが、始動口ユニット2100の第一始動口2002よりも下方に位置している。
続いて、アタッカユニット2400における遊技球の流れについて説明する。遊技盤5に組立てた状態で、アタッカユニット2400のゲート部2003が、センター役物2500のステージ2530よりも上方に位置していることから、ステージ2530から遊技球が放出されてもゲート部2003を通過することはない。したがって、センター役物2500の右側を流下した遊技球のみゲート部2003を通過する可能がある。ゲート部2003が配置されているゲート通路2420の上端開口は、センター役物2500における右案内通路2540の下流側の開口の直下で上方へ向けて開口していることから、センター役物2500の右側を流下した遊技球は、高い確率でゲート通路2420に進入し、ゲート部2003を通過することとなる。
ゲート部2003を通過した遊技球は、その直下の第二始動口2004を閉鎖している第二始動口扉2411の前方を通って、ゲート通路2420からアタッカ通路2423へ放出される。この際に、第二始動口扉2411が前方へ回動して開位置の状態となっていると、ゲート部2003を通過した遊技球が第二始動口扉2411の裏面に当接して第二始動口2004側へ誘導され、第二始動口2004に受入れられることとなる。第二始動口扉2411は、ゲート部2003を遊技球が通過する(ゲートセンサ2401より遊技球が検知される)ことで抽選される普通抽選結果に応じて(普通抽選結果が「普通当り」の時に)駆動させられるため、普通抽選結果の抽選時間や第二始動口扉2411の開閉タイミング等を適宜設定することで、「普通当り」を抽選した遊技球そのものを第二始動口2004へ受入れさせることができる。
第二始動口2004に受入れられた遊技球は、第二始動口センサ3113により検知された後、遊技パネル1100の後側において下方(基板ホルダ1200上)へ排出される。
なお、ゲート通路2420では、ゲート部2003と第二始動口2004との間の部位の左右両側が、左サイド通路2421や右サイド通路2422と連通していることから、ゲート部2003を通過した遊技球が、稀に連通している部位を通って左サイド通路2421や右サイド通路2422側へ進入することがある。つまり、ゲート部2003を通過した遊技球は、第二始動口扉2411の前方を必ずしも通過するとは限らない。
センター役物2500の右側を流下した遊技球が、ゲート通路2420に進入しなかった場合は、ゲート通路2420の左右両側に配置された左サイド通路2421又は右サイド通路2422の何れかに進入し、左サイド通路2421又は右サイド通路2422を通ってアタッカ通路2423へ放出される。
ゲート通路2420、左サイド通路2421、及び右サイド通路2422の何れかからアタッカ通路2423に放出された遊技球は、アタッカ通路2423の傾斜に沿って左方へ誘導され、アタッカ通路2423の左端から下方へ放出される。この際に、第二大入賞口2006を閉鎖している第二大入賞口扉2413が後退して第二大入賞口2006が開いていると、アタッカ通路2423内に放出された遊技球が、高い確率で第二大入賞口2006に受入れられる。第二大入賞口2006に受入れられた遊技球は、第二大入賞口センサ2402に検知された後、内部通路2430に送られ、振分片2433によって第一受入口2431又は第二受入口2432の何れかに振り分けられる。
第一受入口2431又は第二受入口2432に受入れられた遊技球は、第一受入口センサ2434又は第二受入口センサ2435により検知された上で、遊技パネル1100の後側において下方(基板ホルダ1200上)へ排出される。
なお、第二大入賞口2006は、左右の幅が遊技球の外径の約1.5倍とされていることから、第二大入賞口扉2413が後退して第二大入賞口2006が開いていても、アタッカ通路2423を流通している遊技球の速度や挙動等によっては、遊技球が第二大入賞口2006を飛び越えてしまい、第二大入賞口2006に受入れられないことがある。
アタッカ通路2423から放出された遊技球は、アタッカ棚部2424上に流下し、アタッカ棚部2424に誘導されて、アタッカ棚部2424の左端から下方へ放出される。この際に、第一大入賞口扉2412が後退して第一大入賞口2005が開いていると、アタッカ通路2423から放出された遊技球が、第一大入賞口2005に受入れられることとなる。したがって、第一大入賞口2005が開いている時に、センター役物2500の右側を流通するように遊技球を遊技領域5a内に打込むと、高い確率で第一大入賞口2005に遊技球を受入させることができる。
第一大入賞口2005に受入れられた遊技球は、図示しない第一大入賞口センサ2403に検知された後、遊技パネル1100の後側において下方(基板ホルダ1200上)へ排出される。
アタッカ棚部2424から下方へ放出された遊技球は、下方に配置されている一つの一般入賞口2001に受入れられる可能性がある。アタッカユニット2400の一般入賞口2001に受入れられた遊技球は、パネル板1110の後側へ誘導された後に、裏ユニット3000における裏前飾りユニット3100の右受渡口3136に受け渡される。一方、一般入賞口2001に受入れられなかった遊技球は、遊技領域5a下端のアウト口1126を通り、遊技パネル1100の後側において下方(基板ホルダ1200上)へ排出される。
[5−8e.センター役物]
次に、表ユニット2000のセンター役物2500について、主に図146を参照して詳細に説明する。図146(a)は表ユニットにおけるセンター役物を前から見た斜視図であり、(b)はセンター役物を後ろから見た斜視図である。センター役物2500は、遊技領域5a内において、始動口ユニット2100、及びサイドユニット2200よりも上方で、正面視略中央やや上寄りに配置されており、遊技パネル1100のパネル板1110の前面に取付けられている。センター役物2500は、枠状に形成されており、枠内を通して遊技パネル1100の後方に配置された遊技盤側演出表示装置1600や裏ユニット3000に備えられている演出ユニット等を前方から視認することができる。
枠状のセンター役物2500は、下辺を除いた全周が、遊技パネル1100のパネル板1110の前面よりも前方へ突出しており、遊技領域5a内に打込まれた遊技球が、枠内に侵入できないようになっている。
センター役物2500は、正面視左側の外周面に、遊技領域5a内の遊技球が進入可能に開口しているワープ入口2520と、ワープ入口2520に進入した遊技球を放出可能とされ枠内に開口しているワープ出口2522と、ワープ出口2522から放出された遊技球を左右方向に転動させた後に遊技領域5a内へ放出可能なステージ2530と、を備えている(図139等を参照)。
センター役物2500のステージ2530は、左右方向の中央側が窪んだ湾曲状で、始動口ユニット2100の第一始動口2002の直上と対応した位置、つまり、センター役物2500を遊技パネル1100(パネル板1110)に取付けた状態で左右方向の略中央の位置が、その左右両側よりも若干高くなるような波状に形成されている。このステージ2530は、波状に形成されている中央両側の最も低くなっている部位から、遊技球を遊技領域5a内へ放出させることができる。
センター役物2500は、ステージ2530における中央の若干高くなっている部位の最も高い位置において前方へ向かって開口しており遊技球が進入可能なチャンス入口2535と、チャンス入口2535に進入した遊技球をステージ2530よりも下方で遊技領域5a内へ放出するチャンス出口2536と、を備えている。チャンス出口2536は、センター役物2500を遊技盤5に組立てた状態で、始動口ユニット2100の第一始動口2002の直上に位置している。これにより、遊技球がチャンス出口2536から放出されると、極めて高い確率で第一始動口2002に受入れられる。
センター役物2500は、正面視右側の外周面に沿って流下してきた遊技球を、やや左方へ誘導した後に下方へ放出する右案内通路2540を備えている。この右案内通路2540は、センター役物2500を遊技盤5に組立てた状態で、右案内通路2540における下流端が、アタッカユニット2400におけるゲート通路2420(ゲート部2003)の直上に位置するように形成されている。
このセンター役物2500は、遊技盤5に組立てた状態で、右側の外周面が、前構成部材1000における右レール1005から遊技球の外径よりも若干大きく離れるように形成されている。したがって、遊技球がセンター役物2500の右側を流通すると、センター役物2500の右側の外周面に沿って流通することとなり、センター役物2500の右側を流通する遊技球はすべて右案内通路2540に進入して案内される。これにより、遊技球がセンター役物2500の右側を流通するように遊技領域5a内に打込む(所謂、右打ちする)と、極めて高い確率でゲート部2003に対して遊技球を通過させることができる。
[5−9.裏ユニットの全体構成]
次に、遊技盤5における裏ユニット3000の全体構成について、主に図147乃至図150を参照して詳細に説明する。図147は遊技盤の裏ユニットを前から見た斜視図であり、図148は裏ユニットを後ろから見た斜視図である。図149は裏ユニットを主な構成部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図150は裏ユニットを主な構成部材毎に分解して後から見た分解斜視図である。裏ユニット3000は、遊技パネル1100におけるパネルホルダ1120の後面に取付けられている。裏ユニット3000の後側に遊技盤側演出表示装置1600及び周辺制御ユニット1500が取付けられている。
裏ユニット3000は、パネルホルダ1120の後面に取付けられ前方が開放されている箱状で後壁に四角い開口部3010aを有している裏箱3010と、裏箱3010の後面に取付けられており遊技盤側演出表示装置1600を着脱可能に取付けるためのロック機構3020と、裏箱3010の後面で開口部3010aの下側に取付けられている演出駆動基板3031と、裏箱3010の後面で演出駆動基板3031の背面視右側に取付けられているパネル中継基板3032と、裏箱3010の後面でパネル中継基板3032の背面視右側に取付けられている左下中継基板3033と、裏箱3010の後面で演出駆動基板3031の背面視左側に取付けられている右下中継基板3034と、を備えている。
演出駆動基板3031は、周辺制御基板1510からの制御信号に基づいて、裏前飾りユニット3100、裏中可動演出ユニット3200、裏左可動演出ユニット3300、裏右可動演出ユニット3400、裏上可動演出ユニット3500、及び裏下可動演出ユニット3700、に備えられている装飾基板や駆動モータ等を制御している。パネル中継基板3032は、主制御基板1310と、機能表示ユニット1400、ゲートセンサ2401、第一大入賞口センサ2403、第二大入賞口センサ2402、第一受入口センサ2434、第二受入口センサ2435、第二始動口センサ3113、始動口ソレノイド2105、第一アタッカソレノイド2108A、第二アタッカソレノイド2108B、振分ソレノイド(図示は省略)、一般入賞口センサ3111、第一始動口センサ3112、及び磁気センサ2404、及び振動センサ2405との接続を中継している。
左下中継基板3033は、演出駆動基板3031と、裏左可動演出ユニット3300との接続を中継している。右下中継基板3034は、演出駆動基板3031と、裏前飾りユニット3100、裏中可動演出ユニット3200、裏右可動演出ユニット3400、裏上可動演出ユニット3500、及び裏下可動演出ユニット3700との接続を中継している。
裏ユニット3000は、演出駆動基板3031、パネル中継基板3032、左下中継基板3033、及び右下中継基板3034の夫々の後側を夫々覆うように裏箱3010の後面に取付けられている演出駆動基板カバー3035、パネル中継基板カバー3036、左下中継基板カバー3037、及び右下中継基板カバー3038を備えている。
裏ユニット3000は、裏箱3010の前端で正面視左辺側と下辺側とにかけて取付けられている裏前飾りユニット3100と、裏箱3010内において開口部3010aを囲むように取付けられている裏中可動演出ユニット3200と、裏箱3010内において開口部3010aの左右両側に夫々取付けられている裏左可動演出ユニット3300及び裏右可動演出ユニット3400と、裏箱3010内において開口部3010aの上側に取付けられている裏上可動演出ユニット3500と、裏箱3010内において開口部3010aの下側に取付けられている裏下可動演出ユニット3700と、を備えている。
[5−9a.裏箱]
次に、裏ユニット3000の裏箱3010について、主に図147乃至図150を参照して詳細に説明する。裏ユニット3000の裏箱3010は、前方が開放されている箱状で後壁に四角く貫通している開口部3010aと、開口部3010aの周縁から間隔を開けて後方へ突出している平板枠状の液晶取付部3010bと、液晶取付部3010bにおける背面視右辺において枠内の内側から外方へ向かって窪んでおり遊技盤側演出表示装置1600の左固定片1601が挿入される二つの固定溝3010cと、液晶取付部3010bの背面視左辺の上下方向中央において後端から裏箱3010の後壁まで切欠かれロック機構3020が取付けられる切欠部3010dと、を備えている。
裏箱3010の開口部3010aは、遊技盤側演出表示装置1600の表示画面と略同じ大きさに形成されている。液晶取付部3010bは、枠内に遊技盤側演出表示装置1600を嵌め込むことが可能な大きさに形成されている。裏箱3010は、後面における切欠部3010dの背面視左側にロック機構3020が上下にスライド可能に取付けられる。
裏箱3010は、前端から外方へ延出している平板状の固定片部3010eを備えている。この固定片部3010eは、前面が遊技パネル1100のパネルホルダ1120の後面に当接した状態で、パネルホルダ1120に取付けられる。裏箱3010は、各可動演出ユニット等を取付けるためのボスや取付孔等が適宜位置に形成されている。
[5−9b.裏前飾りユニット]
次に、裏ユニット3000の裏前飾りユニット3100について、主に図147乃至図151を参照して詳細に説明する。図151(a)は裏ユニットにおける裏前飾りユニットの正面図であり、(b)は(a)におけるV−V線で切断して拡大した拡大断面図である。裏前飾りユニット3100は、裏箱3010における前端の正面視左辺側から下辺側にかかるように取付けられている。
裏前飾りユニット3100は、裏箱3010の前端における左辺側と下辺側とに沿うようにL字型(三日月型)に形成されており裏箱3010の前端に取付けられる透明なユニットベース3110と、表ユニット2000の一般入賞口2001に受入れられた遊技球を検知する一般入賞口センサ3111と、表ユニット2000の第一始動口2002に受入れられた遊技球を検知する第一始動口センサ3112と、遊技領域5a内に外部から作用させられた不正な磁気を検知可能な磁気センサ2404と、振動センサ2405とを備えている。
裏前飾りユニット3100は、裏箱3010の左辺に沿うよう上下に延びておりユニットベース3110の前面に取付けられている裏前左飾りユニット3120と、裏前左飾りユニット3120の下端から裏箱3010の辺に沿うように左右に延びておりユニットベース3110の前面に取付けられている裏前下飾りユニット3130と、裏前下飾りユニット3130の正面視左側の下部に配置されておりユニットベース3110の前面に取付けられている球誘導ユニット3150と、を備えている。
裏前飾りユニット3100の裏前左飾りユニット3120は、図示するように、「ドドドド」の文字の装飾を有した透光性を有する平板状の裏前左飾り装飾体3121と、裏前左飾り装飾体3121の後側に取付けられている透明で平板状の裏前左導光レンズ3122と、裏前左導光レンズ3122の左側面に向かって光を照射可能な複数のLED3123aが実装された裏前左装飾基板3123と、を備えている(図151(b)を参照)。
裏前左導光レンズ3122は、裏前左飾り装飾体3121における「ド」の字の装飾の後方となる後面に、円錐状に形成された複数の反射部3122aを有している。裏前左導光レンズ3122の左側面から内部に入射された光は、複数の反射部3122aによって前方へ反射させられ、裏前左導光レンズ3122の前方に配置された裏前左飾り装飾体3121を面状に発光装飾させることができる。
裏前飾りユニット3100の裏前下飾りユニット3130は、遊技領域5aの左右方向中央と対応するように配置されており前面に所定の立体的な装飾が形成されている裏前下中央レンズ3131と、裏前下中央レンズ3131の左右両側に夫々配置されており前面に所定の立体的な装飾が形成されている裏前下左レンズ3132及び裏前下右レンズ3133と、裏前下中央レンズ3131、裏前下左レンズ3132、及び裏前下右レンズ3133の後側に配置されており前面に複数のLEDが実装されている裏前下装飾基板3134と、を備えている。裏前下装飾基板のLEDを適宜発光させることで、裏前下中央レンズ3131、裏前下左レンズ3132、及び裏前下右レンズ3133を、夫々独立させた状態で発光装飾させることができる。
裏前下飾りユニット3130は、裏前下中央レンズ3131の上部中央において前方へ向かって開口しており始動口ユニット2100の第一始動口2002に受入れられて後方へ誘導された遊技球が進入可能な中央受渡口3135と、裏前下中央レンズ3131の下部の右外側において前方へ向かって開口しておりアタッカユニット2400の一般入賞口2001に受入れられて後方へ誘導された遊技球が進入可能な左受渡口3137と、を備えている。中央受渡口3135に進入した遊技球は、第一始動口センサ3112に検知された後に、下方(基板ホルダ1200上)へ排出される。右受渡口3136に進入した遊技球は、一般入賞口センサ3111に検知された後に、下方(基板ホルダ1200上)へ排出される。
裏前飾りユニット3100の球誘導ユニット3150は、裏前下飾りユニット3130における裏前下左レンズ3132の下方に配置されるようにユニットベース3110に取付けられている。球誘導ユニット3150は、全体が箱状に形成されており、サイドユニット2200における三つの一般入賞口2001と対応した位置で前方へ向かって開口しており遊技球が進入可能な三つの受渡口3151と、受渡口3151から内部に進入した遊技球を下方(基板ホルダ1200上)へ排出する排出口(図示は省略)と、を備えている。受渡口3151から内部に進入した遊技球は、一般入賞口センサ3111に検知された後に、排出口から下方へ排出される。
[5−9c.裏中可動演出ユニット]
次に、裏ユニット3000における裏中可動演出ユニット3200について、主に図149及び図150を参照して詳細に説明する。裏中可動演出ユニット3200は、裏箱3010内の後壁に、開口部3010aを囲むように取付けられる。裏中可動演出ユニット3200は、正面視において左側に配置され裏箱3010の開口部3010aの高さよりも高く上下に延びており所定の装飾を有している裏中左装飾体3210と、正面視において右側に配置され裏箱3010の開口部3010aの高さよりも高く上下に延びており所定の装飾を有している裏中右装飾体3220と、裏箱3010内の後壁における開口部3010aの上下両外側に取付けられ裏中左装飾体3210及び裏中右装飾体3220を左右方向へ移動させる裏中駆動ユニット3250と、を備えている。
裏中左装飾体3210は、前面にレリーフ状の装飾が形成された透光性を有する平板状の裏中左装飾レンズ3211と、裏中左装飾レンズ3211の後側に配置されており前面に複数のLEDが実装されている裏中左装飾基板(図示は省略)と、裏中左装飾基板の後面を覆うように裏中左装飾レンズ3211の後側に取付けられている平板状の裏中左装飾体ベース3212と、を備えている。裏中左装飾体ベース3212は、図示は省略するが、下端に、左右へ延びているとともにギア歯が上方へ向けて形成されているラックギアを備えている。この裏中左装飾体3210は、裏中左装飾基板のLEDを発光させることで、裏中左装飾レンズ3211を発光装飾させることができる。
裏中右装飾体3220は、前面にレリーフ状の装飾が形成された透光性を有する平板状の裏中右装飾レンズ3221と、裏中右装飾レンズ3221の後側に配置されており前面に複数のLEDが実装されている裏中右装飾基板(図示は省略)と、裏中右装飾基板の後面を覆うように裏中右装飾レンズ3221の後側に取付けられている平板状の裏中右装飾体ベース3222と、を備えている。裏中右装飾体ベース3222は、図示は省略するが、下端に、左右へ延びているとともにギア歯が下方へ向けて形成されているラックギアを備えている。この裏中右装飾体3220は、裏中右装飾基板のLEDを発光させることで、裏中右装飾レンズ3221を発光装飾させることができる。
裏中左装飾体3210及び裏中右装飾体3220の裏中左装飾レンズ3211及び裏中右装飾レンズ3221は、互いが左右対称の形状に形成されており、上下方向の略中央において、遊技盤5の左右方向中央に近い側が抉れたような形状に形成されている。
裏中駆動ユニット3250は、裏箱3010内における開口部3010aの上側に取付けられ裏中左装飾体3210及び裏中右装飾体3220の上端を左右方向へスライド可能に支持する上レール3251と、裏中左装飾体3210及び裏中右装飾体3220の下端を左右方向へスライド可能に支持する平板状のユニットベース3252と、ユニットベース3252の後側に取付けられており裏箱3010内における開口部3010aの下側に取付けられる平板状の取付ベース3253と、取付ベース3253とユニットベース3252の間に回転軸が突出するようにユニットベース3252の前面に取付けられている裏中駆動モータ3254と、裏中駆動モータ3254の回転が伝達されるとともに取付ベース3253の前面において回転可能に取付けられており上下から挟まれるように裏中左装飾体3210のラックギアと裏中右装飾体3220のラックギアとが噛合しているピニオンギア(図示は省略)と、を備えている。
裏中可動演出ユニット3200は、通常の状態では、左右の裏中左装飾体3210及び裏中右装飾体3220が、互いに最も離反した退避位置の状態となっている。この状態では、裏中左装飾体3210及び裏中右装飾体3220が、センター役物2500の枠内を通して僅かに見えるようになっている(図133等を参照)。通常の状態から裏中駆動モータ3254の駆動によりピニオンギアを正面視反時計回りの方向へ回転させると、ピニオンギアに噛合している裏中左装飾体3210のラックギアと裏中右装飾体3220のラックギアとにより、裏中左装飾体3210が右方へ移動するとともに裏中右装飾体3220が左方へ移動することとなる。
これにより、互いに離反していた裏中左装飾体3210と裏中右装飾体3220とが互いに接近するように移動し、互いに当接する直前で移動が停止する。この状態では、裏中左装飾体3210と裏中右装飾体3220とが、遊技盤側演出表示装置1600の前面側の略中央(出現位置)に位置した状態となり、裏中左装飾体3210と裏中右装飾体3220との装飾が合体して、一つの大きな装飾(桜の花弁を模した装飾)を形成した状態となる(図189を参照)。
[5−9d.裏左可動演出ユニット]
次に、裏ユニット3000の裏左可動演出ユニット3300について、主に図149及び図150を参照して詳細に説明する。裏左可動演出ユニット3300は、裏箱3010内における開口部3010aの正面視左外側に取付けられている。裏左可動演出ユニット3300は、裏箱3010内の開口部3010aを間にして、裏右可動演出ユニット3400に対して略左右対称に形成されている。
裏左可動演出ユニット3300は、三角柱状に形成されている裏左装飾体3310と、裏左装飾体3310を上下に延びた軸線周りに回転させる裏左回転駆動ユニット3330と、裏箱3010内に取付けられ裏左回転駆動ユニット3330の上端側を左右方向へ移動させる裏左移動駆動ユニット3350と、裏箱3010内に取付けられ裏左回転駆動ユニット3330の下端側を左右方向へ移動可能に案内している裏左下案内レール3370と、裏左移動駆動ユニット3350の前側に取付けられており所定の装飾を有している裏左上装飾体3390と、を備えている。
裏左装飾体3310は、上下に延びた三角柱状に形成されており、裏箱3010における開口部3010aの上下の高さよりも短く延びている。裏左装飾体3310は、仁王像のレリーフが形成されている第一装飾面3311と、所定の文字の装飾が形成されている第二装飾面3312と、第二装飾面3312とは異なる文字の装飾が形成されている第三装飾面3313と、を備えている。裏左装飾体3310は、透光性を有するように形成されている。裏左装飾体3310は、図示は省略するが、下端に円筒状の軸部を備えている。
裏左回転駆動ユニット3330は、裏左移動駆動ユニット3350により左右方向へ移動可能に取付けられる上下延びた移動ベース3331と、前方へ突出するように移動ベース3331の下部に取付けられており裏左装飾体3310の下端を回転可能に支持している下回転ベース3332と、裏左装飾体3310の上側へ突出するように移動ベース3331の上部に取付けられている上回転ベース(図示は省略)と、上回転ベースに回転軸が下方へ突出するように取付けられており、上回転ベースを貫通した回転軸が裏左装飾体3310の上端に取付けられている図示しない裏左回転駆動モータ(熱源)と、この裏左回転駆動モータの外周を覆うように移動ベース3331に取付けられているモータカバー3333と、裏左装飾体3310の内部に配置されているとともに下端が下回転ベース3332に取付けられており前面に複数のLEDが実装されている裏左装飾基板3334(図138を参照)と、を備えている。
移動ベース3331は、図示は省略するが、上端に左右へ延びたラックギアを備えている。下回転ベース3332は、裏左装飾体3310の円筒状の軸部の外周面に対して回転可能に支持している。この下回転ベース3332は、図示は省略するが、下面から下方へ突出し、裏左下案内レール3370に案内される突起を有している。
裏左装飾基板3334は、円筒状の軸部内を通して裏左装飾体3310の内部に配置されている。この裏左装飾基板3334は、図示は省略するが、上端側が裏左装飾体3310の上端の下側において、相対的に回転可能に支持されている。これにより、裏左回転駆動モータの駆動によって裏左装飾体3310のみが回転するように形成されている。裏左装飾基板3334のLEDは常に前方を向いており、裏左装飾体3310における裏左装飾基板3334の前方に位置した部位(つまり、前方を向いている装飾面)のみを発光装飾させることができる。
裏左移動駆動ユニット3350は、裏箱3010内である後壁の前面における開口部3010aより上側の左上隅に取付けられるユニットベース3351と、ユニットベース3351を貫通して回転軸が後方へ突出するようにユニットベース3351の前面に取付けられている裏左移動駆動モータ3352(熱源)と、裏左移動駆動モータ3352の回転軸に取付けられている駆動ギア3353と、駆動ギア3353と噛合しているとともに裏左回転駆動ユニット3330のラックギアと噛合しておりユニットベース3351に回転可能に取付けられているピニオンギア(図示は省略)と、ユニットベース3351の前面下部に取付けられており裏左回転駆動ユニット3330の移動ベース3331を左右方向へ移動可能に取付けているスライドレール(図示は省略)と、を備えている。
裏左移動駆動ユニット3350は、裏左移動駆動モータ3352により駆動ギア3353を介してピニオンギアを正面視において反時計回りの方向へ回転させると、ピニオンギアに噛合しているラックギアにより裏左回転駆動ユニット3330(裏左装飾体3310)を右方へ移動させることができる。
裏左下案内レール3370は、裏箱3010の後壁の前面における開口部3010aの下側で左端付近に取付けられる。裏左下案内レール3370は、左右に延びており、上面が開口した箱状に形成されている。この裏左下案内レール3370は、上面の開口に、裏左回転駆動ユニット3330の下回転ベース3332の下面から突出している突起を挿入することで、その突起を左右方向へ摺動可能に案内することができる。
裏左上装飾体3390は、所定の装飾が形成された透光性を有する裏左上装飾レンズ3391と、裏左上装飾レンズ3391の後側に取付けられており裏左移動駆動ユニット3350のユニットベース3351の前面に取付けられる装飾体ベース3392と、装飾体ベース3392と裏左上装飾レンズ3391との間に取付けられており前面に複数のLEDが実装された裏左上装飾基板(図示は省略)と、を備えている。この裏左上装飾体3390は、裏左上装飾基板のLEDを発光させることで、裏左上装飾レンズ3391を発光装飾させることができる。
この裏左可動演出ユニット3300は、通常の状態では、裏左移動駆動ユニット3350により裏左回転駆動ユニット3330(裏左装飾体3310)が、最も左側へ移動した位置(退避位置)の状態となっている。この通常の状態では、裏左装飾体3310が、裏前飾りユニット3100における裏前左飾りユニット3120の後方に位置しており、裏前左飾りユニット3120に遮られて前方から殆ど視認することができない(図133等を参照)。
この通常の状態において、裏左移動駆動ユニット3350の裏左移動駆動モータ3352を駆動させることで、裏左回転駆動ユニット3330を介して裏左装飾体3310を右方へ移動させることができ、裏左移動駆動ユニット3350のスライドレールの右端位置(出現位置)に到達すると、移動が停止する。この出現位置の状態では、裏左回転駆動ユニット3330を介して裏左装飾体3310が、裏前飾りユニット3100における裏前左飾りユニット3120よりも右側に位置しているとともに、遊技盤側演出表示装置1600の前面における左端付近に位置しており、センター役物2500の枠内を通して視認可能な状態となっている(図190乃至図192を参照)。
裏左可動演出ユニット3300は、裏左回転駆動ユニット3330の裏左回転駆動モータ(熱源)により裏左装飾体3310をグルグルと回転させたり、裏左装飾体3310の第一装飾面3311、第二装飾面3312、及び第三装飾面3313の何れかが前方を向くように回転停止させたり、することができる。裏左装飾体3310は、退避位置、及び出現位置、の何れの位置においても回転させることができる。
[5−9e.裏右可動演出ユニット]
次に、裏ユニット3000の裏右可動演出ユニット3400について、主に図149及び図150を参照して詳細に説明する。裏右可動演出ユニット3400は、裏箱3010内における開口部3010aの正面視右外側に取付けられている。裏右可動演出ユニット3400は、裏箱3010内の開口部3010aを間にして、裏左可動演出ユニット3300に対して略左右対称に形成されている。
裏右可動演出ユニット3400は、三角柱状に形成されている裏右装飾体3410と、裏右装飾体3410を上下に延びた軸線周りに回転させる裏右回転駆動ユニット3430と、裏箱3010内に取付けられ裏右回転駆動ユニット3430の上端側を左右方向へ移動させる裏右移動駆動ユニット3450と、裏箱3010内に取付けられ裏右回転駆動ユニット3430の下端側を左右方向へ移動可能に案内している裏右下案内レール3470と、裏右移動駆動ユニット3450の前側に取付けられており所定の装飾を有している裏右上装飾体3490と、を備えている。
裏右装飾体3410は、上下に延びた三角柱状に形成されており、裏箱3010における開口部3010aの上下の高さよりも短く延びている。裏右装飾体3410は、仁王像のレリーフが形成されている第一装飾面3411と、所定の文字の装飾が形成されている第二装飾面3412と、第二装飾面3412とは異なる文字の装飾が形成されている第三装飾面3413と、を備えている。裏右装飾体3410は、透光性を有するように形成されている。裏右装飾体3410は、図示は省略するが、下端に円筒状の軸部を備えている。
裏右回転駆動ユニット3430は、裏右移動駆動ユニット3450により左右方向へ移動可能に取付けられる上下延びた移動ベース3431と、前方へ突出するように移動ベース3431の下部に取付けられており裏右装飾体3410の下端を回転可能に支持している下回転ベース3432と、裏右装飾体3410の上側へ突出するように移動ベース3431の上部に取付けられている上回転ベース(図示は省略)と、上回転ベースに回転軸が下方へ突出するように取付けられており、上回転ベースを貫通した回転軸が裏右装飾体3410の上端に取付けられている図示しない裏右回転駆動モータ(熱源)と、裏右回転駆動モータの外周を覆うように移動ベース3431に取付けられているモータカバー3433と、裏右装飾体3410の内部に配置されているとともに下端が下回転ベース3432に取付けられており前面に複数のLEDが実装されている裏右装飾基板3434(図138を参照)と、を備えている。
移動ベース3431は、図示は省略するが、上端に左右へ延びたラックギアを備えている。下回転ベース3432は、裏右装飾体3410の円筒状の軸部の外周面に対して回転可能に支持している。この下回転ベース3432は、図示は省略するが、下面から下方へ突出し、裏右下案内レール3470に案内される突起を有している。
裏右装飾基板3434は、円筒状の軸部内を通して裏右装飾体3410の内部に配置されている。この裏右装飾基板3434は、図示は省略するが、上端側が裏右装飾体3410の上端の下側において、相対的に回転可能に支持されている。これにより、裏右回転駆動モータの駆動によって裏右装飾体3410のみが回転するように形成されている。裏右装飾基板3434のLEDは常に前方を向いており、裏右装飾体3410における裏右装飾基板3434の前方に位置した部位(つまり、前方を向いている装飾面)のみを発光装飾させることができる。
裏右移動駆動ユニット3450は、裏箱3010内である後壁の前面における開口部3010aより上側の右上隅に取付けられるユニットベース3451と、ユニットベース3451を貫通して回転軸が後方へ突出するようにユニットベース3451の前面に取付けられている裏右移動駆動モータ3452と、裏右移動駆動モータ3452の回転軸に取付けられている駆動ギア3453と、駆動ギア3453と噛合しているとともに裏右回転駆動ユニット3430のラックギアと噛合しておりユニットベース3451に回転可能に取付けられているピニオンギア(図示は省略)と、ユニットベース3451の前面下部に取付けられており裏右回転駆動ユニット3430の移動ベース3431を左右方向へ移動可能に取付けているスライドレール(図示は省略)と、を備えている。
裏右移動駆動ユニット3450は、裏右移動駆動モータ3452により駆動ギア3453を介してピニオンギアを正面視において時計回りの方向へ回転させると、ピニオンギアに噛合しているラックギアにより裏右回転駆動ユニット3430(裏右装飾体3410)を左方へ移動させることができる。
裏右下案内レール3470は、裏箱3010の後壁の前面における開口部3010aの下側で右端付近に取付けられる。裏右下案内レール3470は、左右に延びており、上面が開口した箱状に形成されている。この裏右下案内レール3470は、上面の開口に、裏右回転駆動ユニット3430の下回転ベース3432の下面から突出している突起を挿入することで、その突起を左右方向へ摺動可能に案内することができる。
裏右上装飾体3490は、所定の装飾が形成された透光性を有する裏右上装飾レンズ3491と、裏右上装飾レンズ3491の後側に取付けられており裏右移動駆動ユニット3450のユニットベース3451の前面に取付けられる装飾体ベース3492と、装飾体ベース3492と裏右上装飾レンズ3491との間に取付けられており前面に複数のLEDが実装された裏右上装飾基板(図示は省略)と、を備えている。この裏右上装飾体3490は、裏右上装飾基板のLEDを発光させることで、裏右上装飾レンズ3491を発光装飾させることができる。
この裏右可動演出ユニット3400は、通常の状態では、裏右移動駆動ユニット3450により裏右回転駆動ユニット3430(裏右装飾体3410)が、最も右側へ移動した位置(退避位置)の状態となっている。この通常の状態では、裏右装飾体3410が、センター役物2500における右辺側の後方に位置しており、一部を、センター役物2500の枠内を通して視認することができる(図133等を参照)。
この通常の状態において、裏右移動駆動ユニット3450の裏右移動駆動モータ3452を駆動させることで、裏右回転駆動ユニット3430を介して裏右装飾体3410を右方へ移動させることができ、裏右移動駆動ユニット3450のスライドレールの左端位置(出現位置)に到達すると、移動が停止する。この出現位置の状態では、裏右回転駆動ユニット3430を介して裏右装飾体3410が、センター役物2500における右辺側よりも左側に位置しているとともに、遊技盤側演出表示装置1600の前面における右端付近に位置しており、センター役物2500の枠内を通して全体が視認可能な状態となっている(図190乃至図192を参照)。
裏右可動演出ユニット3400は、裏右回転駆動ユニット3430の裏右回転駆動モータにより裏右装飾体3410をグルグルと回転させたり、裏右装飾体3410の第一装飾面3411、第二装飾面3412、及び第三装飾面3413の何れかが前方を向くように回転停止させたり、することができる。裏右装飾体3410は、退避位置、及び出現位置、の何れの位置においても回転させることができる。
[5−9f.裏上可動演出ユニットの全体構成]
次に、裏ユニット3000における裏上可動演出ユニット3500の全体構成について、主に図152乃至図177を参照して詳細に説明する。図152(a)は裏ユニットにおける裏上可動演出ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は裏上可動演出ユニットを後ろから見た斜視図である。図153は裏上可動演出ニットを主に構成ユニット毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図154は裏上可動演出ユニットを主な構成ユニット毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。裏上可動演出ユニット3500は、裏箱3010内において、後壁の前面で開口部3010aの上側に取付けられる。
裏上可動演出ユニット3500は、所定の文字の装飾を有した裏上第一装飾体ユニット3510と、裏上第一装飾体ユニット3510とは異なる文字の装飾を有した裏上第二装飾体ユニット3530と、裏上第一装飾体ユニット3510及び裏上第二装飾体ユニット3530とは異なる文字の装飾を有した裏上第三装飾体ユニット3550と、長手方向の中央において裏上第一装飾体ユニット3510が前後に延びた軸線周りに対して相対的に回転可能に取付けられるとともに、長手方向の両端付近において裏上第二装飾体ユニット3530及び裏上第三装飾体ユニット3550が夫々前後に延びた軸線周りに対して相対的に回転可能に取付けられている裏上回転ベースユニット3570と、裏上回転ベースユニット3570を貫通して裏上第一装飾体ユニット3510を回転不能に取付けているとともに、裏上第一装飾体ユニット3510と裏上回転ベースユニット3570とを昇降させ、裏箱3010内に取付けられる裏上昇降ユニット3600と、を備えている。
[5−9f−1.裏上第一装飾体ユニット]
次に、裏上可動演出ユニット3500における裏上第一装飾体ユニット3510について、主に図155乃至図158を参照して詳細に説明する。図155(a)は裏上可動演出ユニットにおける裏上第一装飾体ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は裏上第一装飾体ユニットを後ろから見斜視図である。図156は裏上第一装飾体ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図157は裏上第一装飾体ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図158(a)は裏上第一装飾体ユニットが閉位置の時の駆動系を正面から示す説明図であり、(b)は裏上第一装飾体ユニットが開位置の時の駆動系を正面から示す説明図である。裏上可動演出ユニット3500の裏上第一装飾体ユニット3510は、後端が、裏上昇降ユニット3600における可動側ユニット3610の前面に回転不能に取付けられている。
裏上第一装飾体ユニット3510は、一対一組で所定の文字となるような装飾が形成されており透光性を有する第一左可動装飾レンズ3511及び第一右可動装飾レンズ3512と、第一左可動装飾レンズ3511及び第一右可動装飾レンズ3512の後側に配置されており所定の装飾が形成された透光性を有する第一固定装飾レンズ3513と、第一固定装飾レンズ3513の後側に配置されており前面に複数のLEDが実装されている裏上第一装飾基板3514と、裏上第一装飾基板3514の後面を覆うように第一固定装飾レンズ3513の後側に取付けられている平板状の第一装飾体ベース3515と、を備えている。なお、第一固定装飾レンズ3513には、稲妻を模したような装飾が形成されている。
裏上第一装飾体ユニット3510は、第一装飾体ベース3515の後側の下部において左右方向へ延びているとともに左端が第一装飾体ベース3515の左外側で第一左可動装飾レンズ3511の後側に取付けられており、上辺に左右に延びたラックギア3516a、及びラックギア3516aの下側で前後に貫通し左右に延びているスリット3516bを有する第一下アーム3516と、第一下アーム3516のスリット3516bを通して第一装飾体ベース3515の後側に取付けられており第一装飾体ベース3515と協働して第一下アーム3516を左右方向へスライド可能に取付けている下アーム押え3517と、を備えている。
裏上第一装飾体ユニット3510は、第一装飾体ベース3515の後側の上部において左右方向へ延びているとともに右端が第一装飾体ベース3515の右外側で第一右可動装飾レンズ3512の後側に取付けられており、下辺に左右に延びたラックギア3518a、及びラックギア3518aの上側で前後に貫通し左右に延びているスリット3518bを有する第一上アーム3518と、第一上アーム3518のスリット3518bを通して第一装飾体ベース3515の後側に取付けられており第一装飾体ベース3515と協働して第一上アーム3518を左右方向へスライド可能に取付けている上アーム押え3519と、を備えている。
更に、裏上第一装飾体ユニット3510は、第一下アーム3516のラックギア3516aと第一上アーム3518のラックギア3518aとに夫々噛合する大径の伝達ギア部3520a、及び伝達ギア部3520aの後面に一体的に形成されている小径の駆動ギア部3520bを有し、第一装飾体ベース3515の後側に回転可能に取付けられている第一開閉ギア部材3520を、備えている。
裏上第一装飾体ユニット3510は、第一装飾体ベース3515の後側における第一開閉ギア部材3520の正面視左側において平板状で上下方向へ延びており、右辺に第一開閉ギア部材3520の駆動ギア部3520bと噛合する上下に延びた駆動ラックギア3521a、後面の下部から後方へ円柱状に突出している受ボス3521b、及び左辺付近において前後に貫通し上下に延びているスリット3521cを有する第一開閉アーム3521と、第一開閉アーム3521のスリット3521cを通して第一装飾体ベース3515の後側に取付けられており第一装飾体ベース3515と協働して第一開閉アーム3521を上下方向へスライド可能に取付けている開閉アーム押え3522と、を備えている。
更に、裏上第一装飾体ユニット3510は、左端が第一装飾体ベース3515の後側に取付けられているとともに右端が第一上アーム3518に取付けられており第一上アーム3518を正面視左方へ移動するように付勢している第一開閉バネ3523と、第一開閉ギア部材3520の後側を覆うように第一装飾体ベース3515の後側に取付けられている第一取付ベース3524と、第一取付ベース3524の後側に取付けられており、右側の外周面に開口している水平ロック孔3525a、前後方向が水平ロック孔3525aと同じ位置に形成されており下側の外周面に開口している垂直ロック孔3525b、及び垂直ロック孔3525bよりも後側において円筒状に後方へ突出している取付軸部3525cを有し、取付軸部3525cの後端が裏上昇降ユニット3600における可動側ユニット3610の前面に取付けられる第一取付軸部材3525と、を備えている。
続いて、裏上第一装飾体ユニット3510の動きについて詳述する。裏上第一装飾体ユニット3510は、左右の第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とが、互いに接近して当接した閉位置と、互いに離反した開位置との間で左右方向へスライドするように形成されている。
裏上第一装飾体ユニット3510は、第一左可動装飾レンズ3511が取付けられている第一下アーム3516の上方に、第一右可動装飾レンズ3512が取付けられている第一上アーム3518が配置されており、夫々が左右方向へスライド可能に取付けられている。第一下アーム3516では、左右に延びたラックギア3516aが上方へ向けて備えられているとともに、第一上アーム3518では、左右に延びたラックギア3518aが下方へ向けて備えられており、第一下アーム3516のラックギア3516aと第一上アーム3518のラックギア3518aとが互いに対向している。第一下アーム3516と第一上アーム3518との間において、第一開閉ギア部材3520の伝達ギア部3520aが、第一下アーム3516のラックギア3516aと第一上アーム3518のラックギア3518aとに夫々噛合している。これにより、第一開閉ギア部材3520(伝達ギア部3520a)を回転させると、第一下アーム3516と第一上アーム3518とを互いに左右方向の異なる方向へスライドさせることができる。
従って、第一開閉ギア部材3520を正面視において反時計回りの方向へ回転させると、第一下アーム3516及び第一上アーム3518を介して、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とを互いに接近する方向(閉位置の方向)へスライドさせることができ、第一開閉ギア部材3520を正面視時計回りの方向へ回転させると、第一下アーム3516及び第一上アーム3518を介して、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とを互いに離反する方向(開位置の方向)へスライドさせることができる。
裏上第一装飾体ユニット3510では、第一開閉ギア部材3520に、伝達ギア部3520aと一体回転する駆動ギア部3520bを有しているとともに、駆動ギア部3520bと噛合する上下に延びた駆動ラックギア3521aを有した第一開閉アーム3521を備えている。この第一開閉アーム3521は、上下方向へスライド可能に取付けられていることから、第一開閉ギア部材3520が回転すると、上下方向へスライドすることとなる。第一開閉アーム3521は、第一開閉ギア部材3520の正面視左側に配置されていることから、第一開閉ギア部材3520を正面視反時計回りの方向へ回転させると下方へスライドし、第一開閉ギア部材3520を正面視時計周りの方向へ回転させると上方へスライドする。
換言すると、第一開閉アーム3521を下方へスライドさせると、第一開閉ギア部材3520が正面視反時計回りの方向へ回転して、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とを互いに接近する方向(閉位置の方向)へスライドさせることができる。一方、第一開閉アーム3521を上方へスライドさせると、第一開閉ギア部材3520が正面視時計回りの方向へ回転して、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とを互いに離反する方向(開位置の方向)へスライドさせることができる。
この裏上第一装飾体ユニット3510は、第一上アーム3518が左方へ移動するように付勢している第一開閉バネ3523を有しているため、第一開閉アーム3521に力が作用していない時(通常の状態の時)には、第一開閉バネ3523の付勢力により、第一上アーム3518が左方へスライドさせられ、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とが互いに当接した閉位置の状態となる。この閉位置の状態では、第一開閉ギア部材3520の伝達ギア部3520aが、第一下アーム3516におけるラックギア3516aの左端付近と噛合しているとともに、第一上アーム3518におけるラックギア3518aの右端付近と噛合している。この状態では、第一開閉ギア部材3520の駆動ギア部3520bが、第一開閉アーム3521における駆動ラックギア3521aの上端付近と噛合している(図158(a)を参照)。
この閉位置の状態から、第一開閉バネ3523の付勢力に抗するように第一開閉アーム3521を上方へスライドさせると、第一開閉ギア部材3520が正面視時計回りの方向へ回転し、第一下アーム3516及び第一上アーム3518を介して、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とが互いに離反する方向へスライドする。第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とが開位置に到達すると、スライドが停止する(図158(b)を参照)。この開位置でのスライドの停止は、第一下アーム3516のスリット3516b、第一上アーム3518のスリット3518b、及び第一開閉アーム3521のスリット3521c、の少なくとも一つにおいて長孔の端部に、下アーム押え3517、上アーム押え3519、及び開閉アーム押え3522、が当接することでスライドが規制される。
従って、裏上第一装飾体ユニット3510は、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とが閉位置の時には、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とが第一固定装飾レンズ3513の前方に位置し、第一固定装飾レンズ3513が前方から殆ど見えない状態となるとともに、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とにより所定の文字の装飾が見える状態となる。一方、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とが開位置の時には、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とが離反してそれらの間から第一固定装飾レンズ3513の装飾が見える状態となる。
裏上第一装飾体ユニット3510は、裏上第一装飾基板3514のLEDを適宜発光させることで、第一左可動装飾レンズ3511、第一右可動装飾レンズ3512、及び第一固定装飾レンズ3513を、適宜発光装飾させることができる。具体的には、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とが閉位置の時に、裏上第一装飾基板3514のLEDを発光させると、第一固定装飾レンズ3513を介して第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512と発光装飾させることができる。一方、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512とが開位置の時に、裏上第一装飾基板3514のLEDを発光させると、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512との間から臨む第一固定装飾レンズ3513のみを発光装飾させることができる。
[5−9f−2.裏上第二装飾体ユニット]
次に、裏上可動演出ユニット3500における裏上第二装飾体ユニット3530について、主に図159乃至図162を参照して詳細に説明する。図159(a)は裏上可動演出ユニットにおける裏上第二装飾体ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は裏上第二装飾体ユニットを後ろから見斜視図である。図160は裏上第二装飾体ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図161は裏上第二装飾体ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図162(a)は裏上第二装飾体ユニットが閉位置の時の駆動系を正面から示す説明図であり、(b)は裏上第二装飾体ユニットが開位置の時の駆動系を正面から示す説明図である。裏上可動演出ユニット3500の裏上第二装飾体ユニット3530は、後端が、裏上回転ベースユニット3570の長手方向の一方の端部付近(水平位置の時の右端部付近)に、前後方向へ延びた軸周りに回転可能に取付けられている。
裏上第二装飾体ユニット3530は、一対一組で所定の文字となるような装飾が形成されており透光性を有する第二左可動装飾レンズ3531及び第二右可動装飾レンズ3532と、第二左可動装飾レンズ3531及び第二右可動装飾レンズ3532の後側に配置されており所定の装飾が形成された透光性を有する第二固定装飾レンズ3533と、第二固定装飾レンズ3533の後側に配置されており前面に複数のLEDが実装されている裏上第二装飾基板3534と、裏上第二装飾基板3534の後面を覆うように第二固定装飾レンズ3533の後側に取付けられている平板状の第二装飾体ベース3535と、を備えている。なお、第二固定装飾レンズ3533には、稲妻を模したような装飾が形成されている。
裏上第二装飾体ユニット3530は、第二装飾体ベース3535の後側の下部において左右方向へ延びているとともに左端が第二装飾体ベース3535の左外側で第二左可動装飾レンズ3531の後側に取付けられており、上辺に左右に延びたラックギア3536a、及びラックギア3536aの下側で前後に貫通し左右に延びているスリット3536bを有する第二下アーム3536と、第二下アーム3536のスリット3536bを通して第二装飾体ベース3535の後側に取付けられており第二装飾体ベース3535と協働して第二下アーム3536を左右方向へスライド可能に取付けている下アーム押え3537と、を備えている。
裏上第二装飾体ユニット3530は、第二装飾体ベース3535の後側の上部において左右方向へ延びているとともに右端が第二装飾体ベース3535の右外側で第二右可動装飾レンズ3532の後側に取付けられており、下辺に左右に延びたラックギア3538a、及びラックギア3538aの上側で前後に貫通し左右に延びているスリット3538bを有する第二上アーム3538と、第二上アーム3538のスリット3538bを通して第二装飾体ベース3535の後側に取付けられており第二装飾体ベース3535と協働して第二上アーム3538を左右方向へスライド可能に取付けている上アーム押え3539と、を備えている。
更に、裏上第二装飾体ユニット3530は、第二下アーム3536のラックギア3536aと第二上アーム3538のラックギア3538aとに夫々噛合する大径の伝達ギア部3540a、及び伝達ギア部3540aの後面に一体的に形成されている小径の駆動ギア部3540bを有し、第二装飾体ベース3535の後側に回転可能に取付けられている第二開閉ギア部材3540を、備えている。
裏上第二装飾体ユニット3530は、第二装飾体ベース3535の後側における第二開閉ギア部材3540の正面視左側において平板状で上下方向へ延びており、右辺に第二開閉ギア部材3540の駆動ギア部3540bと噛合する上下に延びた駆動ラックギア3541a、後面の上端部付近から後方へ円柱状に突出している受ボス3541b、及び左辺付近において前後に貫通し上下に延びているスリット3541cを有する第二開閉アーム3541と、第二開閉アーム3541のスリット3541cを通して第二装飾体ベース3535の後側に取付けられており第二装飾体ベース3535と協働して第二開閉アーム3541を上下方向へスライド可能に取付けている開閉アーム押え3542と、を備えている。
更に、裏上第二装飾体ユニット3530は、左端が第二下アーム3536に取付けられているとともに右端が第二装飾体ベース3535の後側に取付けられており第二下アーム3536を正面視右方へ移動するように付勢している第二開閉バネ3543と、第二開閉ギア部材3540の後側を覆うように第二装飾体ベース3535の後側に取付けられている第二取付ベース3544と、を備えている。第二取付ベース3544は、後述する裏上回転ベースユニット3570の第二用駆動リンクギア部材3573に取付けられている。
続いて、裏上第二装飾体ユニット3530の動きについて詳述する。裏上第二装飾体ユニット3530は、左右の第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とが、互いに接近して当接した閉位置と、互いに離反した開位置との間で左右方向へスライドするように形成されている。
裏上第二装飾体ユニット3530は、第二左可動装飾レンズ3531が取付けられている第二下アーム3536の上方に、第二右可動装飾レンズ3532が取付けられている第二上アーム3538が配置されており、夫々が左右方向へスライド可能に取付けられている。第二下アーム3536では、左右に延びたラックギア3536aが上方へ向けて備えられているとともに、第二上アーム3538では、左右に延びたラックギア3538aが下方へ向けて備えられており、第二下アーム3536のラックギア3536aと第二上アーム3538のラックギア3538aとが互いに対向している。第二下アーム3536と第二上アーム3538との間において、第二開閉ギア部材3540の伝達ギア部3540aが、第二下アーム3536のラックギア3536aと第二上アーム3538のラックギア3538aとに夫々噛合している。これにより、第二開閉ギア部材3540(伝達ギア部3540a)を回転させると、第二下アーム3536と第二上アーム3538とを互いに左右方向の異なる方向へスライドさせることができる。
従って、第二開閉ギア部材3540を正面視において反時計回りの方向へ回転させると、第二下アーム3536及び第二上アーム3538を介して、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とを互いに接近する方向(閉位置の方向)へスライドさせることができ、第二開閉ギア部材3540を正面視時計回りの方向へ回転させると、第二下アーム3536及び第二上アーム3538を介して、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とを互いに離反する方向(開位置の方向)へスライドさせることができる。
裏上第二装飾体ユニット3530では、第二開閉ギア部材3540に、伝達ギア部3540aと一体回転する駆動ギア部3540bを有しているとともに、駆動ギア部3540bと噛合する上下に延びた駆動ラックギア3541aを有した第二開閉アーム3541を備えている。この第二開閉アーム3541は、上下方向へスライド可能に取付けられていることから、第二開閉ギア部材3540が回転すると、上下方向へスライドすることとなる。第二開閉アーム3541は、第二開閉ギア部材3540の正面視左側に配置されていることから、第二開閉ギア部材3540を正面視反時計回りの方向へ回転させると下方へスライドし、第二開閉ギア部材3540を正面視時計周りの方向へ回転させると上方へスライドする。
換言すると、第二開閉アーム3541を下方へスライドさせると、第二開閉ギア部材3540が正面視反時計回りの方向へ回転して、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とを互いに接近する方向(閉位置の方向)へスライドさせることができる。一方、第二開閉アーム3541を上方へスライドさせると、第二開閉ギア部材3540が正面視時計回りの方向へ回転して、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とを互いに離反する方向(開位置の方向)へスライドさせることができる。
この裏上第二装飾体ユニット3530は、第二下アーム3536が右方へ移動するように付勢している第二開閉バネ3543を有しているため、第二開閉アーム3541に力が作用していない時(通常の状態の時)には、第二開閉バネ3543の付勢力により、第二下アーム3536が右方へスライドさせられ、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とが互いに当接した閉位置の状態となる。この閉位置の状態では、第二開閉ギア部材3540の伝達ギア部3540aが、第二下アーム3536におけるラックギア3536aの左端付近と噛合しているとともに、第二上アーム3538におけるラックギア3538aの右端付近と噛合している。この状態では、第二開閉ギア部材3540の駆動ギア部3540bが、第二開閉アーム3541における駆動ラックギア3541aの上端付近と噛合している(図162(a)を参照)。
この閉位置の状態から、第二開閉バネ3543の付勢力に抗するように第二開閉アーム3541を上方へスライドさせると、第二開閉ギア部材3540が正面視時計回りの方向へ回転し、第二下アーム3536及び第二上アーム3538を介して、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とが互いに離反する方向へスライドする。第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とが開位置に到達すると、スライドが停止する(図162(b)を参照)。この開位置でのスライドの停止は、第二下アーム3536のスリット3536b、第二上アーム3538のスリット3538b、及び第二開閉アーム3541のスリット3541c、の少なくとも一つにおいて長孔の端部に、下アーム押え3537、上アーム押え3539、及び開閉アーム押え3542、が当接することでスライドが規制される。
従って、裏上第二装飾体ユニット3530は、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とが閉位置の時には、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とが第二固定装飾レンズ3533の前方に位置し、第二固定装飾レンズ3533が前方から殆ど見えない状態となるとともに、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とにより所定の文字の装飾が見える状態となる。一方、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とが開位置の時には、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とが離反してそれらの間から第二固定装飾レンズ3533の装飾が見える状態となる。
裏上第二装飾体ユニット3530は、裏上第二装飾基板3534のLEDを適宜発光させることで、第二左可動装飾レンズ3531、第二右可動装飾レンズ3532、及び第二固定装飾レンズ3533を、適宜発光装飾させることができる。具体的には、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とが閉位置の時に、裏上第二装飾基板3534のLEDを発光させると、第二固定装飾レンズ3533を介して第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532と発光装飾させることができる。一方、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532とが開位置の時に、裏上第二装飾基板3534のLEDを発光させると、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532との間から臨む第二固定装飾レンズ3533のみを発光装飾させることができる。
[5−9f−3.裏上第三装飾体ユニット]
次に、裏上可動演出ユニット3500における裏上第三装飾体ユニット3550について、主に図163乃至図166を参照して詳細に説明する。図163(a)は裏上可動演出ユニットにおける裏上第三装飾体ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は裏上第三装飾体ユニットを後ろから見斜視図である。図164は裏上第三装飾体ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図165は裏上第三装飾体ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図166(a)は裏上第三装飾体ユニットが閉位置の時の駆動系を正面から示す説明図であり、(b)は裏上第三装飾体ユニットが開位置の時の駆動系を正面から示す説明図である。裏上可動演出ユニット3500の裏上第三装飾体ユニット3550は、後端が、裏上回転ベースユニット3570の長手方向の裏上第二装飾体ユニット3530とは反対側の端部付近(水平位置の時の左端部付近)に、前後方向へ延びた軸周りに回転可能に取付けられている。
裏上第三装飾体ユニット3550は、一対一組で所定の文字となるような装飾が形成されており透光性を有する第三左可動装飾レンズ3551及び第三右可動装飾レンズ3552と、第三左可動装飾レンズ3551及び第三右可動装飾レンズ3552の後側に配置されており所定の装飾が形成された透光性を有する第三固定装飾レンズ3553と、第三固定装飾レンズ3553の後側に配置されており前面に複数のLEDが実装されている裏上第三装飾基板3554と、裏上第三装飾基板3554の後面を覆うように第三固定装飾レンズ3553の後側に取付けられている平板状の第三装飾体ベース3555と、を備えている。なお、第三固定装飾レンズ3553には、稲妻を模したような装飾が形成されている。
裏上第三装飾体ユニット3550は、第三装飾体ベース3555の後側の下部において左右方向へ延びているとともに左端が第三装飾体ベース3555の左外側で第三左可動装飾レンズ3551の後側に取付けられており、上辺に左右に延びたラックギア3556a、及びラックギア3556aの下側で前後に貫通し左右に延びているスリット3556bを有する第三下アーム3556と、第三下アーム3556のスリット3556bを通して第三装飾体ベース3555の後側に取付けられており第三装飾体ベース3555と協働して第三下アーム3556を左右方向へスライド可能に取付けている下アーム押え3557と、を備えている。
裏上第三装飾体ユニット3550は、第三装飾体ベース3555の後側の上部において左右方向へ延びているとともに右端が第三装飾体ベース3555の右外側で第三右可動装飾レンズ3552の後側に取付けられており、下辺に左右に延びたラックギア3558a、及びラックギア3558aの上側で前後に貫通し左右に延びているスリット3558bを有する第三上アーム3558と、第三上アーム3558のスリット3558bを通して第三装飾体ベース3555の後側に取付けられており第三装飾体ベース3555と協働して第三上アーム3558を左右方向へスライド可能に取付けている上アーム押え3559と、を備えている。
更に、裏上第三装飾体ユニット3550は、第三下アーム3556のラックギア3556aと第三上アーム3558のラックギア3558aとに夫々噛合する大径の伝達ギア部3560a、及び伝達ギア部3560aの後面に一体的に形成されている小径の駆動ギア部3560bを有し、第三装飾体ベース3555の後側に回転可能に取付けられている第三開閉ギア部材3560を、備えている。
裏上第三装飾体ユニット3550は、第三装飾体ベース3555の後側における第三開閉ギア部材3560の正面視左側において平板状で上下方向へ延びており、右辺に第三開閉ギア部材3560の駆動ギア部3560bと噛合する上下に延びた駆動ラックギア3561a、及び左辺付近において前後に貫通し上下に延びているスリット3561cを有する第三開閉アーム3561と、第三開閉アーム3561のスリット3561cを通して第三装飾体ベース3555の後側に取付けられており第三装飾体ベース3555と協働して第三開閉アーム3561を上下方向へスライド可能に取付けている開閉アーム押え3562と、を備えている。
更に、裏上第三装飾体ユニット3550は、左端が第三下アーム3556に取付けられているとともに右端が第三装飾体ベース3555の後側に取付けられており第三下アーム3556を正面視右方へ移動するように付勢している第三開閉バネ3563と、第三開閉ギア部材3560の後側を覆うように第三装飾体ベース3555の後側に取付けられている第三取付ベース3564と、を備えている。第三取付ベース3564は、後述する裏上回転ベースユニット3570の第三用駆動リンクギア部材3578に取付けられている。
続いて、裏上第三装飾体ユニット3550の動きについて詳述する。裏上第三装飾体ユニット3550は、左右の第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とが、互いに接近して当接した閉位置と、互いに離反した開位置との間で左右方向へスライドするように形成されている。
裏上第三装飾体ユニット3550は、第三左可動装飾レンズ3551が取付けられている第三下アーム3556の上方に、第三右可動装飾レンズ3552が取付けられている第三上アーム3558が配置されており、夫々が左右方向へスライド可能に取付けられている。第三下アーム3556では、左右に延びたラックギア3556aが上方へ向けて備えられているとともに、第三上アーム3558では、左右に延びたラックギア3558aが下方へ向けて備えられており、第三下アーム3556のラックギア3556aと第三上アーム3558のラックギア3558aとが互いに対向している。第三下アーム3556と第三上アーム3558との間において、第三開閉ギア部材3560の伝達ギア部3560aが、第三下アーム3556のラックギア3556aと第三上アーム3558のラックギア3558aとに夫々噛合している。これにより、第三開閉ギア部材3560(伝達ギア部3560a)を回転させると、第三下アーム3556と第三上アーム3558とを互いに左右方向の異なる方向へスライドさせることができる。
従って、第三開閉ギア部材3560を正面視において反時計回りの方向へ回転させると、第三下アーム3556及び第三上アーム3558を介して、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とを互いに接近する方向(閉位置の方向)へスライドさせることができ、第三開閉ギア部材3560を正面視時計回りの方向へ回転させると、第三下アーム3556及び第三上アーム3558を介して、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とを互いに離反する方向(開位置の方向)へスライドさせることができる。
裏上第三装飾体ユニット3550では、第三開閉ギア部材3560に、伝達ギア部3560aと一体回転する駆動ギア部3560bを有しているとともに、駆動ギア部3560bと噛合する上下に延びた駆動ラックギア3561aを有した第三開閉アーム3561を備えている。この第三開閉アーム3561は、上下方向へスライド可能に取付けられていることから、第三開閉ギア部材3560が回転すると、上下方向へスライドすることとなる。第三開閉アーム3561は、第三開閉ギア部材3560の正面視左側に配置されていることから、第三開閉ギア部材3560を正面視反時計回りの方向へ回転させると下方へスライドし、第三開閉ギア部材3560を正面視時計周りの方向へ回転させると上方へスライドする。
換言すると、第三開閉アーム3561を下方へスライドさせると、第三開閉ギア部材3560が正面視反時計回りの方向へ回転して、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とを互いに接近する方向(閉位置の方向)へスライドさせることができる。一方、第三開閉アーム3561を上方へスライドさせると、第三開閉ギア部材3560が正面視時計回りの方向へ回転して、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とを互いに離反する方向(開位置の方向)へスライドさせることができる。
この裏上第三装飾体ユニット3550は、第三下アーム3556が右方へ移動するように付勢している第三開閉バネ3563を有しているため、第三開閉アーム3561に力が作用していない時(通常の状態の時)には、第三開閉バネ3563の付勢力により、第三下アーム3556が右方へスライドさせられ、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とが互いに当接した閉位置の状態となる。この閉位置の状態では、第三開閉ギア部材3560の伝達ギア部3560aが、第三下アーム3556におけるラックギア3556aの左端付近と噛合しているとともに、第三上アーム3558におけるラックギア3558aの右端付近と噛合している。この状態では、第三開閉ギア部材3560の駆動ギア部3560bが、第三開閉アーム3561における駆動ラックギア3561aの上端付近と噛合している(図166(a)を参照)。
この閉位置の状態から、第三開閉バネ3563の付勢力に抗するように第三開閉アーム3561を上方へスライドさせると、第三開閉ギア部材3560が正面視時計回りの方向へ回転し、第三下アーム3556及び第三上アーム3558を介して、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とが互いに離反する方向へスライドする。第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とが開位置に到達すると、スライドが停止する(図166(b)を参照)。この開位置でのスライドの停止は、第三下アーム3556のスリット3556b、第三上アーム3558のスリット3558b、及び第三開閉アーム3561のスリット3561c、の少なくとも一つにおいて長孔の端部に、下アーム押え3557、上アーム押え3559、及び開閉アーム押え3562、が当接することでスライドが規制される。
従って、裏上第三装飾体ユニット3550は、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とが閉位置の時には、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とが第三固定装飾レンズ3553の前方に位置し、第三固定装飾レンズ3553が前方から殆ど見えない状態となるとともに、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とにより所定の文字の装飾が見える状態となる。一方、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とが開位置の時には、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とが離反してそれらの間から第三固定装飾レンズ3553の装飾が見える状態となる。
裏上第三装飾体ユニット3550は、裏上第三装飾基板3554のLEDを適宜発光させることで、第三左可動装飾レンズ3551、第三右可動装飾レンズ3552、及び第三固定装飾レンズ3553を、適宜発光装飾させることができる。具体的には、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とが閉位置の時に、裏上第三装飾基板3554のLEDを発光させると、第三固定装飾レンズ3553を介して第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552と発光装飾させることができる。一方、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552とが開位置の時に、裏上第三装飾基板3554のLEDを発光させると、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552との間から臨む第三固定装飾レンズ3553のみを発光装飾させることができる。
[5−9f−4.裏上回転ベースユニット]
次に、裏上可動演出ユニット3500の裏上回転ベースユニット3570について、主に図167乃至図171を参照して詳細に説明する。図167(a)は裏上可動演出ユニットにおける裏上回転ベースユニットを前から見た斜視図であり、(b)は裏上回転ベースユニットを後ろから見た斜視図である。図168は裏上回転ベースユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図169は裏上回転ベースユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図170は、裏上回転ベースユニットにおけるギア構成を正面から示す説明図である。図171(a)は裏上回転ベースユニットにおける作用レバーが作用位置の状態を正面から示す説明図であり、(b)は作用レバーが非作用位置の状態を正面から示す説明図である。
裏上可動演出ユニット3500の裏上回転ベースユニット3570は、裏上昇降ユニットにおける可動側ユニットの前面に、前後に延びた軸周りに回転可能に取付けられているとともに、長手方向の両端に裏上第二装飾体ユニット3530及び裏上第三装飾体ユニット3550を、夫々前後に延びた軸周りに対して相対的に回転可能に取付けている。
裏上回転ベースユニット3570は、前後方向へ延びた軸線に直交する面に対して平行に延びており、長手方向中央に前後に貫通している第一孔3571a、長手方向の両端付近において夫々前後に貫通している第二孔3571b及び第三孔3571c、及び第一孔3571aの外周から後方へ円筒状に突出しており裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610に回転可能に取付けられる取付筒部3571dを有している裏上回転ベースを備えている。第一孔3571a(取付筒部3571dの内径)は、裏上第一装飾体ユニット3510における第一取付軸部材3525の取付軸部3525cが通過可能な大きさに形成されている。第二孔3571b及び第三孔3571cは、第一孔3571aよりも若干小さく形成されているとともに、互いに同じ大きさに形成されている。第二孔3571b及び第三孔3571cは、裏上回転ベース3571を水平に延びた状態とした時(水平位置の時)に、正面視において、右端付近と左端付近とに夫々形成されている。なお、以下では、裏上回転ベース3571が水平に延びている状態で説明する。
裏上回転ベースユニット3570は、裏上回転ベース3571の後側に取付けられており第一孔3571aの中心と同心上で半円弧状に延びた回転ベース被駆動ギア3572を備えている。回転ベース被駆動ギア3572は、中心軸を前後に延ばした状態の円環に対して、上半分の形態に形成されており、外周面にギア歯が形成されている。回転ベース被駆動ギア3572は、取付筒部3571dの上側の外周面との間で、隙間が形成されるように取付けられている。この回転ベース被駆動ギア3572は、後述する裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610における回転ベース駆動ギア3614と噛合する。
裏上回転ベースユニット3570は、裏上回転ベース3571の第二孔3571bに対して前方から回転可能に挿入される円環状の軸部3573a、及び軸部3573aの前端から同心円状で扇形に形成された第二用リンクギア部3573bを有しており、前面に裏上第二装飾体ユニット3530の第二取付ベース3544の後面が取付けられる第二用駆動リンクギア部材3573と、裏上回転ベース3571の後側から第二用駆動リンクギア部材3573の後側に取付けられており第二孔3571bよりも大径の押え部材3574と、を備えている。第二用駆動リンクギア部材3573は、第二用リンクギア部3573bが、第二孔3571bよりも大径に形成されている。第二用リンクギア部3573bは、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610における可動側ベース3611の中央リンクギア3611bと、同径で同じピッチに形成されている。この第二用駆動リンクギア部材3573は、第二孔3571bに挿入した軸部3573aの後側に、押え部材3574が取付けられることで、第二孔3571bに対して前後への移動が規制された状態で回転可能に取付けられる。
更に、裏上回転ベースユニット3570は、第二孔3571bの正面視左側で裏上回転ベース3571の後側に回転可能に取付けられており第二用駆動リンクギア部材3573の第二用リンクギア部3573bと噛合している平歯車状の第二用第一リンクギア3575と、第二用第一リンクギア3575の正面視左側で裏上回転ベース3571の後側に回転可能に取付けられており第二用第一リンクギア3575と噛合している平歯車状の第二用第二リンクギア3576と、第二用第二リンクギア3576の正面視左側で裏上回転ベース3571の後側に回転可能に取付けられており第二用第二リンクギア3576と噛合している平歯車状の第二用第三リンクギア3577と、を備えている。
第二用駆動リンクギア部材3573の第二用リンクギア部3573bと、第二用第一リンクギア3575とは、裏上回転ベース3571に形成されている開口部を通して互いに噛合している。第二用第三リンクギア3577は、左端側が裏上回転ベース3571における取付筒部3571dの右側の外周面に接近している。この第二用第三リンクギア3577は、後述する裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610における可動側ベース3611の中央リンクギア3611bと噛合する。
裏上回転ベースユニット3570は、裏上回転ベース3571の第三孔3571cに対して前方から回転可能に挿入される円環状の軸部3578a、及び軸部3578aの前端から同心円状で扇形に形成された第三用リンクギア部3578bを有しており、前面に裏上第三装飾体ユニット3550の第三取付ベース3564の後面が取付けられる第三用駆動リンクギア部材3578と、裏上回転ベース3571の後側から第三用駆動リンクギア部材3578の後側に取付けられており第三孔3571cよりも大径の押え部材3579と、を備えている。第三用駆動リンクギア部材3578は、第三用リンクギア部3578bが、第三孔3571cよりも大径に形成されている。第三用リンクギア部3578bは、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610における可動側ベース3611の中央リンクギア3611bと、同径で同じピッチに形成されている。この第三用駆動リンクギア部材3578は、第三孔3571cに挿入した軸部3578aの後側に、押え部材3579が取付けられることで、第三孔3571cに対して前後への移動が規制された状態で回転可能に取付けられる。
更に、裏上回転ベースユニット3570は、第三孔3571cの正面視右側で裏上回転ベース3571の前側に回転可能に取付けられており第三用駆動リンクギア部材3578の第三用リンクギア部3578bと噛合している平歯車状の第三用第一リンクギア3580と、第三用第一リンクギア3580の正面視右側で裏上回転ベース3571の後側に回転可能に取付けられており第三用第一リンクギア3580と噛合している平歯車状の第三用第二リンクギア3581と、第三用第二リンクギア3581の正面視右側で裏上回転ベース3571の後側に回転可能に取付けられており第三用第二リンクギア3581と噛合している平歯車状の第三用第三リンクギア3582と、を備えている。
第三用第一リンクギア3580と、第三用第二リンクギア3581とは、裏上回転ベース3571に形成されている開口部を通して互いに噛合している。第三用第三リンクギア3582は、右端側が裏上回転ベース3571における取付筒部3571dの左側の外周面に接近している。この第三用第三リンクギア3582は、後述する裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610における可動側ベース3611の中央リンクギア3611bと噛合する。
裏上回転ベースユニット3570は、裏上回転ベース3571における第一孔3571aと第二孔3571bとの間の下部の後側に取付けられており回転軸が裏上回転ベース3571を貫通して前方へ突出している作用レバー駆動モータ3583(熱源)と、作用レバー駆動モータ3583の回転軸に取付けられている平歯車状の作用レバー駆動ギア3584と、作用レバー駆動ギア3584と噛合しており裏上回転ベース3571の前面に回転可能に取付けられている平歯車状の作用レバーピニオンギア3585と、作用レバーピニオンギア3585に対して上方から噛合しており左右に延びている作用レバーラックギア3586aを有し裏上回転ベース3571の前面に左右方向へスライド可能に取付けられている作用レバー3586と、作用レバー3586の前方への移動を規制しており裏上回転ベース3571の前面に取付けられている作用レバー押え3587と、裏上回転ベース3571の前面に取付けられており作用レバー3586の左右方向への移動を検知する作用レバー移動検知センサ3588と、を備えている。
作用レバー3586は、下辺に作用レバーラックギア3586aが形成されている横長四角形の本体部3586bと、本体部3586bの上辺と接続されているとともに本体部3586bよりも左方へ帯板状に延びており裏上回転ベース3571の前面上部に左右方向へスライド可能に取付けられるスライド取付部3586cと、本体部3586bの左辺から左方へ突出しており裏上第一装飾体ユニット3510における第一取付軸部材3525の水平ロック孔3525a及び垂直ロック孔3525bに挿入可能なロック片3586dと、本体部3586bから下方へ延びている第一延出部3586eと、第一延出部3586eの下端からロック片3586dよりも左方へ突出している第一用作用部3586fと、本体部3586bの上辺の右端付近と接続されており右方へ延びている第二右延出部3586gと、第二右延出部3586gの右端から第一用作用部3586fよりも若干高い位置まで下方へ延びている第二下延出部3586hと、第二下延出部3586hの左辺の下端付近から左方に延びている第二用作用部3586iと、スライド取付部3586cの左端から第一延出部3586eの下端と略同じ高さまで下方へ延びている第三延出部3586jと、第三延出部3586jの左辺の下端付近から左方に延びている第三用作用部3586kと、を備えている(図171を参照)。
裏上回転ベースユニット3570は、作用レバー駆動ギア3584及び作用レバーピニオンギア3585の前面を覆うように裏上回転ベース3571の前面に取付けられている前ギアカバー3589と、裏上回転ベース3571の前面で第一孔3571aの下側に取付けられており裏上回転ベースユニット3570の回転位置を検知する裏上回転ベースユニット回転検知センサ3590と、裏上回転ベースユニット回転検知センサ3590の前側を覆うように裏上回転ベース3571の前面に取付けられている裏上回転ベース中継基板3591と、裏上回転ベース中継基板3591の前面を覆うように裏上回転ベース3571の前面に取付けられている基板カバー3592と、を備えている。
裏上回転ベースユニット回転検知センサ3590は、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610における可動側ベース3611の回転検知片3611dを検知することで、裏上回転ベースユニット3570の回転位置を検知するものである。裏上回転ベース中継基板3591は、裏上昇降ユニット3600における可動側ユニット3610の裏上回転駆動モータ3612(熱源)と、裏上第二装飾基板3534、裏上第三装飾基板3554、作用レバー駆動モータ3583、作用レバー移動検知センサ3588、及び裏上回転ベースユニット回転検知センサ3590との接続を中継している。
更に、裏上回転ベースユニット3570は、第二用第一リンクギア3575、第二用第二リンクギア3576、及び第二用第三リンクギア3577の後側を覆うように裏上回転ベース3571の後側に取付けられている後右ギアカバー3593と、第三用第二リンクギア3581、及び第三用第三リンクギア3582の後側を覆うように裏上回転ベース3571の後側に取付けられている後左ギアカバー3594と、作用レバー駆動モータ3583の下側を覆うように裏上回転ベース3571の後側に取付けられているモータカバー3595と、を備えている。
続いて、裏上回転ベースユニット3570の動きについて説明する。この裏上回転ベースユニット3570は、裏上回転ベース3571の後方へ突出している取付筒部3571dが、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610における可動側ベース3611の軸筒部3611a内に挿入されることで、可動側ユニット3610の前面において前後に延びた軸周りに回転するように取付けられる。なお、裏上回転ベースユニット3570は、取付筒部3571dを前方から貫通して可動側ユニットの前面に取付けられる裏上第一装飾体ユニット3510の第一取付軸部材3525によって前方への移動が規制される。裏上回転ベースユニット3570は、裏上回転ベース3571の第二孔3571bに回転可能に取付けられている第二用駆動リンクギア部材3573の前面に、裏上第二装飾体ユニット3530における第二取付ベース3544の後面を取付けることで、裏上第二装飾体ユニット3530を裏上回転ベース3571に対して相対的に回転可能に取付けることができる。更に、裏上回転ベースユニット3570は、裏上回転ベース3571の第三孔3571cに回転可能に取付けられている第三用駆動リンクギア部材3578の前面に、裏上第三装飾体ユニット3550における第三取付ベース3564の後面を取付けることで、裏上第三装飾体ユニット3550を裏上回転ベース3571に対して相対的に回転可能に取付けることができる。
この裏上回転ベースユニット3570は、裏上昇降ユニット3600における可動側ユニット3610の前面に取付けた状態で、回転ベース被駆動ギア3572が、可動側ユニット3610の回転ベース駆動ギア3614と噛合しているとともに、第二用第三リンクギア3577及び第三用第三リンクギア3582が、可動側ユニット3610の可動側ベース3611における中央リンクギア3611bと噛合している(図182を参照)。可動側ユニット3610の裏上回転駆動モータ3612の駆動により回転ベース駆動ギア3614を回転させると、回転ベース被駆動ギア3572を介して、裏上回転ベースユニット3570が、第一孔3571a(取付筒部3571d)の軸芯を中心として前後に延びた軸周りに回転する。裏上回転ベースユニット3570は、長手方向(第一孔3571a、第二孔3571b、及び第三孔3571cが並んでいる方向)が水平に延びている水平位置と、垂直に延びている垂直位置との間で、90度回転することができる。水平位置の状態では、第一孔3571aの右方に第二孔3571bが位置し、垂直位置の状態では、第一孔3571aの下方に第二孔3571bが位置している。この水平位置の時に、裏上回転ベースユニット回転検知センサ3590が、裏上昇降ユニット3600における可動側ユニット3610の回転検知片3611dを検知している。
裏上回転ベースユニット3570は、第一孔3571aを中心に水平位置と垂直位置との間で回転すると、第二用第三リンクギア3577及び第三用第三リンクギア3582が、可動側ユニット3610の中央リンクギア3611bの周りを公転するように移動する。この際に、第二用第三リンクギア3577及び第三用第三リンクギア3582は、中央リンクギア3611bと噛合しているため、中央リンクギア3611bの周りを公転すると、第二用第三リンクギア3577及び第三用第三リンクギア3582が夫々自転し、夫々が裏上回転ベース3571に対して相対的に回転することとなる。
第二用第三リンクギア3577及び第三用第三リンクギア3582が回転すると、それらの回転が、第二用第三リンクギア3577からは、第二用第二リンクギア3576、及び第二用第一リンクギア3575を介して第二用リンクギア部3573bに伝達され、第二用駆動リンクギア部材3573が第二用第三リンクギア3577とは反対方向へ回転し、第三用第三リンクギア3582からは、第三用第二リンクギア3581、及び第三用第一リンクギア3580を介して第三用リンクギア部3578bに伝達され、第三用駆動リンクギア部材3578が第三用第三リンクギア3582とは反対方向へ回転する。
この際に、第二用リンクギア部3573b及び第三用リンクギア部3578bは、可動側ユニット3610の中央リンクギア3611bと同じ径であるため、裏上回転ベース3571と中央リンクギア3611bとの回転角度と、裏上回転ベース3571と第二用リンクギア部3573b及び第三用リンクギア部3578bとの回転角度とが同じとなる。この可動側ユニット3610の中央リンクギア3611bは、回転不能に取付けられていることから、裏上回転ベース3571が回転すると、第二用リンクギア部3573b及び第三用リンクギア部3578bが、前後に延びた軸周りに対して回転することなく、中央リンクギア3611bの周りを公転することとなる。つまり、裏上回転ベースユニット3570は、裏上第二装飾体ユニット3530と裏上第三装飾体ユニット3550とを、その上下方向の向きを一定に保った状態で、第一孔3571a(可動側ユニット3610の中央リンクギア3611b)を中心に公転させることができる。
裏上回転ベースユニット3570は、作用レバー駆動モータ3583により作用レバーピニオンギア3585を正面視反時計回りの方向へ回転させると、作用レバーラックギア3586aを介して作用レバー3586を左方へ移動させることができ、作用レバーピニオンギア3585を正面視時計回りの方向へ回転させると、作用レバーラックギア3586aを介して作用レバー3586を右方へ移動させることができる。
詳述すると、作用レバー3586は、裏上回転ベースユニット3570に組立てた状態で、本体部3586bが、正面視において裏上回転ベース3571における第一孔3571aの右側に位置している。作用レバー3586のスライド取付部3586cは、第一孔3571aの上外側を跨ぐように第三孔3571c付近まで左方へ延びている。第一用作用部3586fは、第一孔3571aよりも下側に位置している。第二右延出部3586gは、第二孔3571bよりも上側で第二孔3571b付近まで延びている。第二下延出部3586hは、下端が第二孔3571bよりも下側に位置するように延びている。第二用作用部3586iは、第二孔3571bの下部付近の高さに位置している。第三延出部3586jは、第三孔3571cよりも下側に下端が延びている。したがって、第三用作用部3586kは、第三孔3571cよりも下側に位置している。
この作用レバー3586は、図171(a)に示すように、最も左方へ移動させた状態(作用位置の状態)では、正面視において本体部3586bの左辺から左方へ突出しているロック片3586dが、第一孔3571a内へ突出した状態となっている。この状態では、第一用作用部3586fの左端が第一孔3571aの中心よりもやや左方に位置している。第二用作用部3586iの左端は、第二孔3571bよりも左方に位置している。更に、第三用作用部3586kの左端は、第三孔3571cの右端付近に位置している。この状態では、作用レバー3586の第三延出部3586jの下端が、作用レバー移動検知センサ3588により検知されている。
一方、作用レバー3586を、最も右方へ移動させた状態(非作用位置の状態)では、ロック片3586d及び第一用作用部3586fが、第一孔3571aよりも右方に位置している。第二用作用部3586iの左端は、第二孔3571bの中心に対して若干左寄りに位置している。更に、第三用作用部3586kの左端は、第三孔3571cよりも右方に位置している。この状態では、作用レバー3586の第三延出部3586jの下端が、作用レバー移動検知センサ3588から離れており、非検知の状態となっている。
作用レバー3586は、詳細は後述するが、作用位置へ移動させて、ロック片3586dを、裏上第一装飾体ユニット3510の第一取付軸部材3525における水平ロック孔3525a又は垂直ロック孔3525bに挿入させることで、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610に対する裏上回転ベースユニット3570の回転を規制(ロック)することができる。したがって、作用レバー3586を非作用位置へ移動させると、ロック片3586dが、水平ロック孔3525a又は垂直ロック孔3525bから抜けた状態となり、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610に対して裏上回転ベースユニット3570を回転させることができるようになる。
作用レバー3586は、第一用作用部3586f、第二用作用部3586i、及び第三用作用部3586kの夫々の左端が、裏上第一装飾体ユニット3510の第一開閉アーム3521、裏上第二装飾体ユニット3530の第二開閉アーム3541、及び裏上第三装飾体ユニット3550の第三開閉アーム3561と、当接可能とされている。したがって、裏上回転ベースユニット3570を回転させて垂直に延びた状態に位置させた時に、作用レバー3586を作用位置へ移動させると、第一開閉アーム3521、第二開閉アーム3541、及び第三開閉アーム3561を、上方へスライドさせることができる。
[5−9f−5.裏上昇降ユニット]
次に、裏上可動演出ユニット3500の裏上昇降ユニット3600について、主に図172乃至図177を参照して詳細に説明する。図172(a)は裏上可動演出ユニットにおける裏上昇降ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は裏上昇降ユニットを後ろから見た斜視図である。図173(a)は裏上昇降ユニットを可動側ユニットと固定側ユニットとに分解して前から見た分解斜視図であり、(b)は裏上昇降ユニットを可動側ユニットと固定側ユニットとに分解して後ろから見た分解斜視図である。図174(a)は裏上昇降ユニットの可動側ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(b)は可動側ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図175は裏上昇降ユニットの固定側ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図176は裏上昇降ユニットの固定側ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図177(a)は裏上昇降ユニットの可動側ユニットが上昇位置の時の駆動系を正面から示す説明図であり、(b)は裏上昇降ユニットの可動側ユニットが下降位置の時の駆動系を正面から示す説明図である。
裏上昇降ユニット3600は、裏箱3010の後壁の前面における開口部3010aの上側で、裏左可動演出ユニット3300と裏右可動演出ユニット3400との間に取付けられる。裏上昇降ユニット3600は、前面に裏上第一装飾体ユニット3510及び裏上回転ベースユニット3570が取付けられる可動側ユニット3610と、可動側ユニット3610を昇降させ裏箱3010内に取付けられる固定側ユニット3650と、を備えている。
まず、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610は、図174に示すように、正面視において左右に延びた略四角形の可動側ベース3611と、可動側ベース3611の前面における右上隅に取付けられており回転軸が可動側ベース3611を貫通して後方へ突出している裏上回転駆動モータ3612と、裏上回転駆動モータ3612の回転軸に取付けられている回転駆動ギア3613と、回転駆動ギア3613と噛合しているとともに裏上回転ベースユニット3570の回転ベース被駆動ギア3572と噛合し、可動側ベース3611の前面に回転可能に取付けられている回転ベース駆動ギア3614と、を備えている。
可動側ユニット3610は、裏上回転駆動モータ3612を覆うように可動側ベース3611の前面に取付けられているモータカバー3615と、可動側ベース3611の後側に取付けられている平板状のベースカバー3616と、ベースカバー3616の前面に取付けられている可動側中継基板3617と、を備えている。
可動側ユニット3610の可動側ベース3611は、前面における左右方向中央の下部から前方へ円筒状に突出している軸筒部3611aと、軸筒部3611aの外周面の前端に形成されており裏上回転ベースユニット3570の第二用第三リンクギア3577及び第三用第三リンクギア3582と噛合する中央リンクギア3611bと、上部における左右方向中央から左寄りの位置で前後に貫通しているとともに左右に延びている長孔状の昇降スリット3611cと、前面における軸筒部3611aの下側に取付けられており裏上回転ベースユニット3570の裏上回転ベースユニット回転検知センサ3590により検知される回転検知片3611d(図177を参照)と、を備えている。
可動側ベース3611の軸筒部3611aは、内径が、裏上回転ベースユニット3570における裏上回転ベース3571の取付筒部3571dの外径よりも若干大径に形成されており取付筒部3571dを回転可能に挿入させることができる。中央リンクギア3611bは、裏上回転ベースユニット3570における第二用駆動リンクギア部材3573の第二用リンクギア部3573b及び第三用駆動リンクギア部材3578の第三用リンクギア部3578bと、同径で同じピッチに形成されている。
可動側中継基板3617は、固定側ユニット3650の裏上中継基板3659と、裏上第一装飾体ユニット3510の裏上第一装飾基板3514、裏上回転ベースユニット3570の裏上回転ベース中継基板3591、及び裏上回転駆動モータ3612との接続を中継している。ベースカバー3616は、後面における左右両端に固定側ユニット3650の昇降スライドレール3656が取付けられる。ベースカバー3616の後側には、固定側ユニット3650の昇降バネ3657の下端が取付けられる。
裏上昇降ユニット3600の固定側ユニット3650は、図175及び図176等に示すように、裏箱3010内に取付けられ正面視において左右に延びた略四角形の固定側ベース3651と、固定側ベース3651の前面中央で前後に延びた軸周りに回転可能に取付けられている平歯車状の昇降ギア部3652a、昇降ギア部3652aの前面における外周付近から前方へ円柱状に突出しており可動側ユニット3610における可動側ベース3611の昇降スリット3611c内に摺動可能に挿入される昇降駆動ピン3652b、及び昇降ギア部3652aから外方へ扇状の延出している検知片3652cを有した昇降用回転体3652と、昇降用回転体3652の昇降ギア部3652aと噛合する昇降駆動ギア3653と、昇降駆動ギア3653が回転軸に取付けられており固定側ベース3651の後面に取付けられている裏上昇降駆動モータ3654(熱源)と、を備えている。
固定側ユニット3650は、固定側ベース3651の前面に取付けられており昇降用回転体3652の検知片3652cを検知する昇降検知センサ3655と、固定側ベース3651の前面における左右両側付近に取付けられるとともに前面に可動側ユニット3610のベースカバー3616が取付けられ、上下に伸縮可能な一対の昇降スライドレール3656と、一対の昇降スライドレール3656よりも外側で固定側ベース3651の前面の下部における左右両端側に上端側が取付けられるとともに、下端側が可動側ユニット3610の可動側ベース3611に取付けられ可動側ベース3611が上方へ移動するように付勢している一対の昇降バネ3657と、を備えている。
更に、固定側ユニット3650は、前後に貫通しているとともに半円弧状に延びており昇降用回転体3652の昇降駆動ピン3652bが通過可能な挿通スリット3658aを有しており、一対の昇降スライドレール3656の間において昇降用回転体3652の前面を覆うように固定側ベース3651の前面に取付けられている固定側前カバー3658と、固定側ベース3651の後面に取付けられており、可動側ユニット3610の可動側中継基板3617、裏上昇降駆動モータ3654(熱源)、及び昇降検知センサ3655と、右下中継基板3034とを接続している裏上中継基板3659と、裏上中継基板3659の後側を覆うように固定側ベース3651の後側に取付けられている基板カバー3660と、を備えている。
続いて、裏上昇降ユニット3600の動作について説明する。裏上昇降ユニット3600は、可動側ユニット3610における可動側ベース3611の軸筒部3611a内に、裏上回転ベースユニット3570における裏上回転ベース3571の取付筒部3571dが回転可能に挿入されるとともに、裏上回転ベース3571の取付筒部3571dを通して可動側ベース3611の前面に裏上第一装飾体ユニット3510の第一取付軸部材3525の後端が取付けられる。これにより、可動側ユニット3610は、裏上回転ベースユニット3570を、前方へ移動不能な状態で、軸筒部3611a(第一孔3571a)を中心とした前後に延びた軸周りに回転可能に取付けることができる。
可動側ユニット3610の可動側ベース3611に裏上回転ベースユニット3570を取付けた状態では、回転ベース駆動ギア3614が裏上回転ベースユニット3570の回転ベース被駆動ギア3572と噛合している状態となる。したがって、裏上回転駆動モータ3612の駆動により回転駆動ギア3613を介して回転ベース駆動ギア3614を回転させると、裏上回転ベースユニット3570を、軸筒部3611a(第一孔3571a)を中心に回転させることができる。この可動側ユニット3610は、裏上回転ベースユニット3570を、水平に延びた水平位置の状態と、垂直に延びた垂直位置の状態との間で、90度回転させることができる。なお、可動側ユニット3610における可動側ベース3611の回転検知片3611dは、裏上回転ベースユニット3570が水平位置の時に、裏上回転ベースユニット3570の裏上回転ベースユニット回転検知センサ3590により検知される。
裏上昇降ユニット3600は、組立てた状態では、固定側ユニット3650の一対の昇降スライドレール3656によって可動側ユニット3610が固定側ユニット3650に対して上下方向へのみ移動可能(昇降可能)となっている。可動側ユニット3610は、可動側ベース3611の昇降スリット3611c内に固定側ユニット3650における昇降用回転体3652の昇降駆動ピン3652bが左右方向へ摺動可能に挿入されている。したがって、可動側ユニット3610は、昇降用回転体3652における昇降駆動ピン3652bの高さ位置によって、上下方向の位置が規制されている。可動側ユニット3610は、一対の昇降バネ3657によって、上方へ移動するように付勢されている。
この裏上昇降ユニット3600は、通常の状態では、図177(a)に示すように、昇降用回転体3652の回転により公転する昇降駆動ピン3652bが、昇降用回転体3652の回転中心の直上に対してやや右寄りに位置しており、昇降駆動ピン3652bにより可動側ユニット3610が最も上側に位置した上昇位置の状態となっている。この状態では、昇降用回転体3652の検知片3652cが、昇降検知センサ3655に検知されている。この状態では、昇降駆動ピン3652bが、可動側ユニット3610における可動側ベース3611の左右に延びた昇降スリット3611c内の右端に当接している。
従って、可動側ユニット3610側の重量が昇降駆動ピン3652bに作用することで、昇降駆動ピン3652bを介して昇降用回転体3652が正面視時計回りの方向へ回転しようとしても、昇降駆動ピン3652bが昇降スリット3611cの右端に当接しているため、昇降用回転体3652がこれ以上正面視時計回りの方向へ回転することができず、可動側ユニット3610の下方への移動が阻止された状態となっている。つまり、可動側ユニット3610が、上昇位置でロックされた状態となっている。これにより、可動側ユニット3610側からの重量(荷重)が、昇降用回転体3652の昇降ギア部3652a、及び昇降駆動ギア3653を介して、裏上昇降駆動モータ3654に作用することはなく、裏上昇降駆動モータ3654に負荷がかからないようになっている。
この上昇位置の状態から、裏上昇降駆動モータ3654により昇降用回転体3652を正面視反時計回りの方向へ回転させると、昇降用回転体3652の昇降駆動ピン3652bが、左方へ移動しつつ下方へ移動するように公転することとなり、昇降駆動ピン3652bが昇降スリット3611c内を左方へ摺動しつつ、昇降スリット3611cを介して可動側ユニット3610が、一対の昇降バネ3657の付勢力に抗して下方へ移動することとなる。昇降用回転体3652が、反時計回りに回転することで公転する昇降駆動ピン3652bが、昇降用回転体3652の回転中心と同じ高さを越えて下方へ公転すると、昇降駆動ピン3652bの左右方向の移動の向きが変わって、右方へ移動しつつ下方へ移動することとなり、昇降スリット3611c内を右方へ摺動することとなる。
昇降駆動ピン3652bが、昇降用回転体3652の中心の直下に位置すると、昇降用回転体3652の回転が停止すると同時に、可動側ユニット3610の下方への移動が停止し、可動側ユニット3610が最も下降した下降位置の状態となる(図177(b)を参照)。なお、可動側ユニット3610を下降位置から上昇位置へ移動させる場合は、裏上昇降駆動モータ3654を上記とは逆方向へ駆動して昇降用回転体3652を正面視時計回りの方向へ回転させることで、上昇位置へ復帰させることができる。この際に、可動側ユニット3610の上方への移動が、一対の昇降バネ3657の付勢力によってアシストされ、裏上昇降駆動モータ3654にかかる負荷が軽減されている。
このように、裏上昇降ユニット3600は、可動側ユニット3610を介して、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、裏上第三装飾体ユニット3550、及び裏上回転ベースユニット3570を、上昇位置と下降位置との間で上下に移動(昇降)させることができる。
[5−9f−6.裏上可動演出ユニットの動作]
次に、裏上可動演出ユニット3500の動作について、主に図178乃至図183を参照して詳細に説明する。図178は裏上可動演出ユニットにおいて裏上昇降ユニットの可動側ユニットが上昇位置の時の昇降用の駆動系を示す説明図であり、図179は裏上可動演出ユニットにおいて裏上昇降ユニットの可動側ユニットが下降位置の時の昇降用の駆動系を示す説明図である。図180は裏上可動演出ユニットにおいて可動側ユニットが下降位置で裏上回転ベースユニットが水平位置の時に、作用レバーが作用位置の状態を示す説明図であり、図181は裏上可動演出ユニットにおいて可動側ユニットが下降位置で裏上回転ベースユニットが水平位置の時に、作用レバーが非作用位置の状態を示す説明図である。図182は裏上可動演出ユニットにおいて可動側ユニットが下降位置で裏上回転ベースユニットが水平位置の時の裏上回転ベースユニットの駆動系を示す説明図であり、図183は裏上可動演出ユニットにおいて可動側ユニットが下降位置で裏上回転ベースユニットが水平位置から時計回りに45度回転した時の裏上回転ベースユニットの駆動系を示す説明図であり、図184は裏上可動演出ユニットにおいて可動側ユニットが下降位置で裏上回転ベースユニットが垂直位置の時の裏上回転ベースユニットの駆動系を示す説明図である。
図185は裏上可動演出ユニットにおいて可動側ユニットが下降位置で裏上回転ベースユニットが垂直位置の時に、作用レバーが非作用位置の状態を示す説明図であり、図186は裏上可動演出ユニットにおいて可動側ユニットが下降位置で裏上回転ベースユニットが垂直位置の時に、作用レバーが作用位置で回転を規制している状態を示す説明図であり、図183は裏上可動演出ユニットにおいて可動側ユニットが下降位置で裏上回転ベースユニットが垂直位置の時に、作用レバーが作用位置で裏上第一装飾体ユニット、裏上第二装飾体ユニット、及び裏上第三装飾体ユニットに作用を及ぼしている状態を示す説明図である。
裏上可動演出ユニット3500は、通常の状態では、図178等に示すように、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610が最も上昇した上昇位置の状態となっているとともに、裏上回転ベースユニット3570が水平に延びた水平位置の状態となっている。この状態では、裏上第一装飾体ユニット3510を中央にして、裏上第二装飾体ユニット3530と裏上第三装飾体ユニット3550とが左右両側に並んでいる。裏上第一装飾体ユニット3510の第一左可動装飾レンズ3511及び第一右可動装飾レンズ3512、裏上第二装飾体ユニット3530の第二左可動装飾レンズ3531及び第二右可動装飾レンズ3532、及び、裏上第三装飾体ユニット3550の第三左可動装飾レンズ3551及び第三右可動装飾レンズ3552は、夫々第一開閉バネ3523、第二開閉バネ3543、及び第三開閉バネ3563の付勢力により、夫々互いに当接した閉位置の状態となっている。
この通常の状態では、図178に示すように、裏上昇降ユニット3600における固定側ユニット3650の公転する昇降駆動ピン3652bが、昇降用回転体3652の回転中心の直上に対してやや右寄りに位置して、可動側ベース3611の左右に延びた昇降スリット3611c内の右端に当接している。これにより、可動側ユニット3610の昇降スリット3611cを介して、昇降駆動ピン3652bに、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、裏上第三装飾体ユニット3550、裏上回転ベースユニット3570、及び可動側ユニット3610の重量(荷重)が作用しても、昇降駆動ピン3652bが、これ以上正面視時計回りの方向へ公転することができず、可動側ユニット3610の下方への移動が規制され、上昇位置でロックされた状態となっている。
従って、通常の状態では、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、裏上第三装飾体ユニット3550、裏上回転ベースユニット3570、及び可動側ユニット3610、の荷重が、裏上昇降駆動モータ3654に作用することはなく、裏上昇降駆動モータ3654に負荷がかからないようになっている。通常の状態では、昇降駆動ピン3652bを公転させる昇降用回転体3652の検知片3652cが、昇降検知センサ3655に検知されている。
この通常の状態から、裏上昇降駆動モータ3654を駆動して昇降用回転体3652の昇降駆動ピン3652bを、正面視反時計回りの方向へ公転させると、昇降駆動ピン3652bが昇降スリット3611c内を摺動しつつ下降することとなり、昇降駆動ピン3652bの下降に伴って可動側ユニット3610が下方へ移動し、昇降駆動ピン3652bが、最も下降した位置に到達すると、昇降駆動ピン3652bの公転が停止して、可動側ユニット3610が下降位置に位置することとなる(図179を参照)。
裏上可動演出ユニット3500は、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610を下降位置に移動させることで、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、裏上第三装飾体ユニット3550、及び裏上回転ベースユニット3570を、遊技盤側演出表示装置1600の前面側の上部に位置させることができる(図193を参照)。
裏上可動演出ユニット3500は、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610を、上昇位置と下降位置との間で移動させる時には、裏上回転ベースユニット3570の作用レバー3586を作用位置に移動させている。作用レバー3586は、作用レバー駆動モータ3583の駆動により左方の作用位置に移動している状態では、図180に示すように、作用レバー3586のロック片3586dが、裏上第一装飾体ユニット3510における第一取付軸部材3525の水平ロック孔3525aに挿入された状態となっている。これにより、作用レバー3586が、第一取付軸部材3525の周りに回転することができなくなるため、作用レバー3586が取付けられている裏上回転ベースユニット3570が、第一取付軸部材3525(可動側ユニット3610の軸筒部3611a)に対して回転がロックされた状態となる。つまり、裏上回転ベースユニット3570が、水平位置で回転がロックされた状態となる。
なお、作用レバー3586のロック片3586dは、先端がテーパー状に形成されているため、裏上回転ベースユニット3570が水平位置に対して多少ずれていても、第一取付軸部材3525の水平ロック孔3525aに挿入させることで、裏上回転ベースユニット3570を水平位置に移動させて、回転をロックさせることができる。
この作用レバー3586においては、図示は省略するが、作用レバー3586の第二右延出部3586gが、裏上第二装飾体ユニット3530における第二開閉アーム3541の受ボス3541bに上方から当接しているとともに、作用レバー3586の第三延出部3586j(スライド取付部3586cの左端)が、裏上第三装飾体ユニット3550における第三上アーム3558の所定位置に右方から当接している。これにより、作用レバー3586によって、裏上第二装飾体ユニット3530における裏上回転ベース3571の第二孔3571bを中心とした軸線周りへの回転と、裏上第三装飾体ユニット3550における裏上回転ベース3571の第三孔3571cを中心とした軸線周りへの回転とを、阻止している。したがって、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610を上下方向へ移動(昇降)させることで、裏上第二装飾体ユニット3530、裏上第三装飾体ユニット3550、及び裏上回転ベースユニット3570に振動が作用しても、作用位置に位置した作用レバー3586の作用により、裏上第二装飾体ユニット3530、裏上第三装飾体ユニット3550、及び裏上回転ベースユニット3570が揺れないようになっている。
裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610を介して、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、裏上第三装飾体ユニット3550、及び裏上回転ベースユニット3570を、下降位置に位置させた状態で、作用レバー駆動モータ3583により作用レバー駆動ギア3584を介して作用レバーピニオンギア3585を正面視時計回りの方向へ回転させると、作用レバーピニオンギア3585に噛合している作用レバーラックギア3586aにより水平状態の作用レバー3586が右方の非作用位置へ移動し、第一取付軸部材3525の水平ロック孔3525aからロック片3586dが抜けた状態となる(図181を参照)。これにより、裏上回転ベースユニット3570が、第一取付軸部材3525の取付軸部3525c(裏上回転ベース3571の第一孔3571a、可動側ベース3611の軸筒部3611a)を中心として回転することができるようになる。
裏上可動演出ユニット3500の裏上回転ベースユニット3570では、図182に示すように、回転ベース被駆動ギア3572が、可動側ユニット3610における回転ベース駆動ギア3614と噛合しているとともに、第二用第三リンクギア3577及び第三用第三リンクギア3582が、可動側ユニット3610の可動側ベース3611における中央リンクギア3611bと噛合している。
裏上回転ベースユニット3570を水平位置とするとともに、作用レバー3586を非作用位置とした状態で、可動側ユニット3610の裏上回転駆動モータ3612を駆動して回転ベース駆動ギア3614を正面視反時計周りの方向へ回転させると、回転ベース駆動ギア3614と噛合している回転ベース被駆動ギア3572を介して、裏上回転ベースユニット3570が、中央リンクギア3611b(第一孔3571a、取付筒部3571d)の軸芯を中心として正面視時計回りの方向へ回転することとなる(図183を参照)。この際に、裏上第一装飾体ユニット3510は、裏上回転ベースユニット3570の回転中心である第一孔3571aを貫通して可動側ユニット3610の前面に取付けられているため、裏上回転ベースユニット3570と一緒に回転することはない。
裏上可動演出ユニット3500は、裏上回転ベースユニット3570が、中央リンクギア3611bを中心にして回転すると、中央リンクギア3611bと噛合している第二用第三リンクギア3577及び第三用第三リンクギア3582が、中央リンクギア3611bの周りを公転しながら自転することとなり、裏上回転ベース3571に対して時計回りの方向へ夫々回転することとなる。これら第二用第三リンクギア3577及び第三用第三リンクギア3582が回転すると、それらの回転が、第二用リンクギア部3573b及び第三用リンクギア部3578bに伝達され、第二用駆動リンクギア部材3573及び第三用駆動リンクギア部材3578が、裏上回転ベース3571に対して反時計回りの方向へ夫々回転することとなる。つまり、裏上回転ベースユニット3570を正面視時計回りの方向へ回転させると、裏上回転ベース3571の長手方向両端の第二孔3571b及び第三孔3571cに夫々回転可能に取付けられている第二用駆動リンクギア部材3573及び第三用駆動リンクギア部材3578が、第一孔3571aを中心に時計回りの方向へ公転するとともに、第二用駆動リンクギア部材3573及び第三用駆動リンクギア部材3578が、裏上回転ベース3571の第二孔3571b及び第三孔3571cにおいて夫々反時計回りの方向へ回転(自転)する。
第二用駆動リンクギア部材3573の第二用リンクギア部3573b及び第三用駆動リンクギア部材3578の第三用リンクギア部3578bは、可動側ユニット3610の中央リンクギア3611bと同じ径であるため、裏上回転ベース3571と中央リンクギア3611bとの回転角度と、裏上回転ベース3571と第二用リンクギア部3573b及び第三用リンクギア部3578bとの回転角度とが同じとなる。裏上回転ベース3571を、中央リンクギア3611bを中心にして回転させると、第二用駆動リンクギア部材3573及び第三用駆動リンクギア部材3578が、その回転向きを一定に保ったまま中央リンクギア3611bの周りを公転する(図183及び図184を参照)。第二用駆動リンクギア部材3573及び第三用駆動リンクギア部材3578の前面には、裏上第二装飾体ユニット3530及び裏上第三装飾体ユニット3550が夫々取付けられていることから、裏上回転ベース3571を回転させると、裏上第二装飾体ユニット3530及び裏上第三装飾体ユニット3550が、その上下の向きを一定に保った状態で、裏上第一装飾体ユニット3510の周りを公転することとなる。
この裏上可動演出ユニット3500は、裏上回転ベースユニット3570が水平位置の時に、裏上第一装飾体ユニット3510の右側に裏上第二装飾体ユニット3530が配置されているとともに、裏上第一装飾体ユニット3510の左側に裏上第三装飾体ユニット3550が配置されているため、裏上回転ベースユニット3570を正面視時計回りの方向へ回転させて垂直位置の状態とすると、裏上第二装飾体ユニット3530及び裏上第三装飾体ユニット3550が、その上下の向きをそのままにして、裏上第一装飾体ユニット3510の下側と上側とに夫々配置された状態となる(図184を参照)。したがって、裏上回転ベースユニット3570が垂直位置の時には、裏上第三装飾体ユニット3550、裏上第一装飾体ユニット3510、及び裏上第二装飾体ユニット3530の順に上から並んだ状態となる。この状態では、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、及び裏上第三装飾体ユニット3550が、夫々閉位置の状態で、遊技領域5aの左右方向中央で、センター役物2500の枠内の略全高に亘って縦断するように位置している(図195を参照)。
この裏上回転ベースユニット3570を、水平位置から垂直位置へ回転させた状態では、図185に示すように、非作用位置に位置している裏上回転ベースユニット3570の作用レバー3586が、ロック片3586dを上方へ向けた状態となっている。この状態で、作用レバー駆動モータ3583の駆動により作用レバーピニオンギア3585を正面視反時計回りの方向へ回転させて、作用レバー3586を上方へ移動させて非作用位置から作用位置へ移動させると、作用レバー3586のロック片3586dが、第一取付軸部材3525の垂直ロック孔3525bに挿入された状態となる(図186を参照)。これにより、裏上回転ベースユニット3570が、垂直位置で回転がロックされた状態となる。
裏上可動演出ユニット3500は、裏上回転ベースユニット3570が垂直位置の状態で、作用レバー3586を非作用位置から作用位置へ移動させると、作用レバー3586の上方への移動に伴って、作用レバー3586の第一用作用部3586f、第二用作用部3586i、及び第三用作用部3586k、の夫々の先端(上端)が、裏上第一装飾体ユニット3510における第一開閉アーム3521の受ボス3521b、裏上第二装飾体ユニット3530における第二開閉アーム3541の受ボス3541b、及び裏上第三装飾体ユニット3550における第三開閉アーム3561の下端、に夫々下方から当接して、第一開閉アーム3521、第二開閉アーム3541、及び第三開閉アーム3561、を上方へ移動させる。
第一開閉アーム3521、第二開閉アーム3541、及び第三開閉アーム3561が、夫々上方へ移動すると、夫々閉位置の状態となっていた裏上第一装飾体ユニット3510の第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512、裏上第二装飾体ユニット3530の第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532、及び裏上第三装飾体ユニット3550の第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552、が夫々互いに離反するように左右方向外方へ移動して開位置の状態となる(図183を参照)。
これにより、裏上第三装飾体ユニット3550における第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552との間から臨んだ第三固定装飾レンズ3553、裏上第一装飾体ユニット3510における第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512との間から臨んだ第一固定装飾レンズ3513、及び裏上第二装飾体ユニット3530における第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532との間から臨んだ第二固定装飾レンズ3533が、上から下へ順に一直線に並んだ状態となる。この状態では、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、及び裏上第三装飾体ユニット3550が、夫々開位置の状態で、遊技領域5aの左右方向中央で、センター役物2500の枠内の略全高に亘って縦断するように位置しており、第一固定装飾レンズ3513、第二固定装飾レンズ3533、及び第三固定装飾レンズ3553が、裏前飾りユニット3100における裏前下中央レンズ3131と連続するように略同じ幅で上下に並んでいる(図196を参照)。
なお、裏上可動演出ユニット3500を、通常の状態に戻すには、上記と逆の動作をさせることで、通常の状態に復帰させることができる。
裏上可動演出ユニット3500は、裏上第一装飾体ユニット3510の第一左可動装飾レンズ3511及び第一右可動装飾レンズ3512、裏上第二装飾体ユニット3530の第二左可動装飾レンズ3531及び第二右可動装飾レンズ3532、及び、裏上第三装飾体ユニット3550の第三左可動装飾レンズ3551及び第三右可動装飾レンズ3552、が夫々互いに当接した閉位置の状態では、夫々が異なる文字の装飾を見せることができ、左から右へ裏上第三装飾体ユニット3550、裏上第一装飾体ユニット3510、及び裏上第二装飾体ユニット3530が、並んだ状態では、三つの文字が、パチンコ機1のコンセプトに沿った所定のロゴを横書きとした状態となり、遊技者に対して本パチンコ機1のコンセプトを認識させることができる。なお、裏上回転ベースユニット3570を垂直位置とすることで上から下へ裏上第三装飾体ユニット3550、裏上第一装飾体ユニット3510、及び裏上第二装飾体ユニット3530が並ぶと、パチンコ機1のコンセプトに沿ったロゴが縦書きの状態となり、この状態でも遊技者に対してロゴを認識させることができる。
このように、裏上可動演出ユニット3500によれば、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、及び裏上第三装飾体ユニット3550に対する裏上回転ベースユニット3570の相対的な回転位置(水平位置又は垂直位置)によって、作用位置と非作用位置との間で移動する作用レバー3586により、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、及び裏上第三装飾体ユニット3550に回転ロック(第一作用)と開位置への移動(第二作用)の別の作用を及ぼして異なる演出を遊技者に見せることができ、多彩な演出により遊技者を飽き難くさせることができるとともに、遊技者を楽しませることができ、遊技者の遊技に対する興趣の低下を抑制させることができる。
[5−9g.裏下可動演出ユニット]
次に、裏ユニット3000の裏下可動演出ユニット3700について、主に図188等を参照して詳細に説明する。図188(a)は裏ユニットの裏下可動演出ユニットの正面図であり、(b)は裏下可動演出ユニットの背面図であり、(c)は裏下可動演出ユニットにおいて裏下可動装飾体ユニットを上昇させた状態で示す背面図である。裏下可動演出ユニット3700は、裏箱3010内における後壁の前面の左右方向中央で開口部3010aの下側に取付けられている。裏下可動演出ユニット3700は、所定の立体的な装飾を有している裏下可動装飾体ユニット3710と、裏箱3010内に取付けられており裏下可動装飾体ユニット3710を上下に移動させる裏下駆動ユニット3750と、を備えている。
裏下可動装飾体ユニット3710は、左右に延びた屋根の下に複数の門を左右に列設した立体的な装飾が形成されており各門の部位が前後に貫通している裏下装飾体本体3711と、裏下装飾体本体3711における各門の部位に対して二つ一組で前方へ観音開き状に開閉するように取付けられている複数の裏下扉部材3712と、裏下扉部材3712よりも後方で裏下装飾体本体3711の後側に取付けられており左右に延びている裏下装飾体ベース3713と、裏下装飾体ベース3713の前面下部において左右方向へスライド可能に取付けられており二つ一組の複数の裏下扉部材3712における正面視左側の裏下扉部材3712をヒンジ回転させる下開閉スライダ3714と、裏下装飾体ベース3713の前面上部において左右方向へスライド可能に取付けられており二つ一組の複数の裏下扉部材3712における正面視右側の裏下扉部材3712をヒンジ回転させる上開閉スライダ3715と、を備えている。
裏下可動装飾体ユニット3710は、裏下装飾体ベース3713の後側に回転可能に取付けられており下開閉スライダ3714及び上開閉スライダ3715を左右方向の互いに異なる方向へスライドさせる開閉用回転体3716と、開閉用回転体3716の上端に一端側が取付けられているとともに裏下装飾体ベース3713に他端側が取付けられており下開閉スライダ3714及び上開閉スライダ3715を介して各裏下扉部材3712が閉じる方向へヒンジ回転するように開閉用回転体3716を付勢している扉閉鎖バネ3717と、を備えている。扉閉鎖バネ3717は、開閉用回転体3716が、背面視において反時計回りの方向へ回転するように付勢している。
更に、裏下可動装飾体ユニット3710は、裏下装飾体本体3711の後側に取付けられている裏下装飾レンズ3718(図198を参照)と、裏下装飾レンズ3718の後側に配置されており前面に複数のLEDが実装されている裏下装飾基板3719と、裏下装飾体ベース3713の後側に取付けられており裏下装飾基板3719と裏下中継基板3757とを接続する配線ケーブル3701を誘導可能な上配線カバー3720と、を備えている。配線ケーブル3701は、フレキシブルフラットケーブルとされている。上配線カバー3720は、裏下装飾体ベース3713に取付けることで、配線ケーブル3701を収容可能な下方に開口した空間を形成する。上配線カバー3720は、背面視において、右端側に、配線ケーブル3701を誘導するための湾曲した上誘導部3720aを有している。
裏下駆動ユニット3750は、裏箱3010の後壁の前面における左右方向中央で開口部3010aの下側に取付けられ、正面視左上隅に前後に貫通し左右に延びているとともに右端から上方へ短く延びているリンクスリット3751aを有している裏下駆動ベース3751と、裏下駆動ベース3751の前面において上下に移動可能に取付けられているとともに上部に裏下装飾体ユニット3710が取付けられている裏下昇降ベース3752と、裏下駆動ベース3751の前面における左右両端付近に夫々回転可能に取付けられており裏下昇降ベース3752を上下に移動させる一対の昇降アーム3753と、裏下駆動ベース3751の後側に取付けられている裏下駆動モータ3754と、裏下駆動モータ3754の回転を伝達して一対の昇降アーム3753を互いに異なる方向へ回転させる複数の伝達ギア3755と、を備えている。
裏下駆動ユニット3750は、下端側が裏下駆動ベース3751のリンクスリット3751a内に摺動可能に取付けられているとともに上端側が裏下装飾体ユニット3710の開閉用回転体3716に回転可能に取付けられている棒状のリンクアーム3756を備えている。リンクアーム3756の上端は、開閉用回転体3716における回転中心よりも背面視右側の部位に回転可能に取付けられている。これにより、リンクアーム3756を下方へ引っ張ると、扉閉鎖バネ3717の付勢力に抗して開閉用回転体3716が背面視時計周りの方向へ回転する。
更に、裏下駆動ユニット3750は、裏下駆動ベース3751の後側に取付けられており裏下装飾基板3719及び裏下駆動モータ3754と右下中継基板3034との接続を中継している裏下中継基板3757と、裏下駆動ベース3751の後側における裏下中継基板3757の上方に取付けられており裏下中継基板3757と裏下装飾基板3719とを接続している配線ケーブル3701を誘導可能な下配線カバー3758と、を備えている。下配線カバー3758は、裏下駆動ベース3751に取付けることで、配線ケーブル3701を収容可能な上方に開口した空間を形成する。下配線カバー3758は、背面視において、右端側に、配線ケーブル3701を誘導するための湾曲した下誘導部3758aを有している。
続いて、裏下可動演出ユニット3700の動作について説明する。裏下可動演出ユニット3700は、通常の状態では、裏下可動装飾体ユニット3710が、最も下降した状態となっている(図188(a)及び(b)を参照)。この状態では、扉閉鎖バネ3717の付勢力により、開閉用回転体3716、下開閉スライダ3714及び上開閉スライダ3715により、複数の裏下扉部材3712が閉状態となっており、裏下装飾体本体3711の複数の門の扉(裏下扉部材3712)が閉じられた状態となっている。この状態では、枠状のセンター役物2500における下辺を形成している部位の上端よりも下側に位置しており、正面からは殆ど見ることができない(図133等を参照)。
この通常の状態において、裏下駆動モータ3754を駆動して一対の昇降アーム3753を、夫々を向いた側が上方へ移動するように回転させると、裏下昇降ベース3752が上方へ移動し、裏下昇降ベース3752に取付けられている裏下可動装飾体ユニット3710が上昇する。
この際に、リンクアーム3756は、上端側が裏下可動装飾体ユニット3710における開閉用回転体3716に上端が取付けられているため、裏下可動装飾体ユニット3710とともに上昇することとなり、下端側が裏下駆動ベース3751におけるリンクスリット3751a内を上方(背面視左方)へ向かって摺動することとなる。
裏下可動装飾体ユニット3710が上昇することで、リンクアーム3756の下端側がリンクスリット3751aの上端に到達すると、リンクアーム3756がこれ以上上方へ移動することができなくなる。裏下可動演出ユニット3700は、この位置(第一上昇位置)で、裏下可動装飾体ユニット3710の上下方向の移動を一旦停止させることができる。この状態では、裏下装飾体本体3711の複数の門の部位が、センター役物2500における下辺(ステージ2530)よりも上側に位置した状態となり、センター役物2500の枠内を通して、扉が閉じた状態の複数の門を視認することができる(図197を参照)。
この第一昇降位置の状態で、裏下可動装飾体ユニット3710が更に上昇すると、リンクアーム3756がリンクスリット3751aにより裏下可動装飾体ユニット3710に対して相対的に下方へ引っ張られる状態となり、リンクアーム3756の上端側に取付けられている開閉用回転体3716が、扉閉鎖バネ3717の付勢力に抗して背面視時計回りの方向へ回転することとなる(図188(c)を参照)。この開閉用回転体3716が背面視時計回りの方向へ回転すると、下開閉スライダ3714及び上開閉スライダ3715が複数の裏下扉部材3712を開かせる方向へスライドし、裏下装飾体本体3711における複数の門の扉(裏下扉部材3712)が開いた状態となって上昇が停止する。裏下扉部材3712が開いた位置(第二上昇位置)の状態では、裏下装飾体本体3711の複数の門を通して後側に配置された裏下装飾レンズ3718が視認できるようになる(図198を参照)。この状態で、裏下装飾基板3719のLEDを発光させることで、開いた門を発光装飾させることができる。
この裏下可動演出ユニット3700は、裏下可動装飾体ユニット3710の裏下装飾基板3719と、裏下駆動ユニット3750の裏下中継基板3757とを接続している配線ケーブル3701が、上配線カバー3720と下配線カバー3758とによって支持されている。上配線カバー3720は、上辺と背面視右辺との間が湾曲し右辺の下端が下方へ延出している上誘導部3720aを有している。下配線カバー3758は、下辺と背面視右辺との間が湾曲し右辺の上端が上方へ延出している下誘導部3758aを有している。
裏下装飾基板3719と裏下中継基板3757とを接続している配線ケーブル3701は、裏下可動装飾体ユニット3710側では上配線カバー3720の上辺における背面視左端において背面視右方へ延びるように取付けられており、裏下駆動ユニット3750側では下配線カバーの下辺における背面視左端において背面視右方へ延びるように取付けられている。これにより、裏下可動装飾体ユニット3710が最も下降した通常位置の状態では、配線ケーブル3701は、上誘導部3720a及び下誘導部3758aに沿うように湾曲して延びており、極端に折れ曲がることなく裏下装飾基板3719と裏下中継基板3757とを良好に接続している(図188(b)を参照)。
一方、裏下可動装飾体ユニット3710が上昇した状態では、図188(c)に示すように、配線ケーブル3701は、上配線カバー3720の上辺及び背面視右辺(上誘導部3720a)、及び下配線カバー3758の下辺及び背面視右辺(下誘導部3758a)、から夫々離れた状態で裏下装飾基板3719と裏下中継基板3757とを接続している。裏下可動装飾体ユニット3710が上昇した状態から下降する際に、上誘導部3720a及び下誘導部3758aに夫々誘導されることで、折れ曲がることなくスムーズに湾曲し、上配線カバー3720及び下配線カバー3758に収容されることとなる。したがって、裏下可動演出ユニット3700は、裏下可動装飾体ユニット3710と裏下駆動ユニット3750とを接続している配線ケーブル3701を、裏下可動装飾体ユニット3710の昇降を繰返しても、極端に折れ曲がるのを阻止することができ、配線ケーブル3701の断線を防止することができる。
[5−10.遊技盤における演出]
次に、遊技盤5における主な可動演出について、主に図189乃至図198を参照して詳細に説明する。図189は、裏ユニットにおける裏中可動演出ユニットの裏中左装飾体及び裏中右装飾体を中央側の出現位置へ移動させた状態で示す遊技盤の正面図である。図190は裏ユニットにおける裏左可動演出ユニット及び裏右可動演出ユニットの裏左装飾体及び裏右装飾体を中央寄りの出現位置へ移動させた上で、夫々の第一装飾面を前方へ向けた状態で示す遊技盤の正面図であり、図191は図190の状態から左可動演出ユニット及び裏右可動演出ユニットの裏左装飾体及び裏右装飾体を回転させて夫々の第二装飾面を前方へ向けた状態で示す遊技盤の正面図であり、図192は図190の状態から左可動演出ユニット及び裏右可動演出ユニットの裏左装飾体及び裏右装飾体を回転させて夫々の第三装飾面を前方へ向けた状態で示す遊技盤の正面図である。
図193は裏ユニットにおける裏上可動演出ユニットにおいて裏上第一装飾体ユニットの第一左可動装飾レンズ及び第一右可動装飾レンズ、裏上第二装飾体ユニットの第二左可動装飾レンズ及び第二右可動装飾レンズ、及び裏上第三装飾体ユニットの第三左可動装飾レンズ及び第三右可動装飾レンズ、を夫々閉位置の状態とした上で、裏上第一装飾体ユニット、裏上第二装飾体ユニット、及び裏上第三装飾体ユニットが水平に並ぶように裏上回転ベースユニットを水平位置の状態としたまま下降位置へ移動させた状態で示す遊技盤の正面図であり、図194は図193の状態から裏上回転ベースユニットを正面視時計回りの方向へ45度回転させて裏上第一装飾体ユニット、裏上第二装飾体ユニット、及び裏上第三装飾体ユニットが斜めに並んだ状態で示す遊技盤の正面図であり、図195は図194の状態から裏上回転ベースユニットを正面視時計回りの方向へ更に45度回転させて垂直位置の状態として裏上第一装飾体ユニット、裏上第二装飾体ユニット、及び裏上第三装飾体ユニットが垂直に並んだ状態で示す遊技盤の正面図であり、図196は図195の状態から裏上第一装飾体ユニットの第一左可動装飾レンズ及び第一右可動装飾レンズ、裏上第二装飾体ユニットの第二左可動装飾レンズ及び第二右可動装飾レンズ、及び裏上第三装飾体ユニットの第三左可動装飾レンズ及び第三右可動装飾レンズ、を夫々開位置の状態として夫々の第一固定装飾レンズ、第二固定装飾レンズ、及び第三固定装飾レンズを視認可能とした状態で示す遊技盤の正面図である。
図197は裏ユニットにおける裏下可動演出ユニットの裏下可動装飾体ユニットを第一上昇位置へ移動させた状態で示す遊技盤の正面図であり、図198は図197の状態から裏下可動装飾体ユニットを更に上昇させて第二上昇位置へ移動させた状態で示す遊技盤の正面図である。
遊技盤5は、通常の状態では、図133及び図140等に示すように、センター役物2500の枠内を通して裏ユニット3000の後側に取付けられている遊技盤側演出表示装置1600の表示画面を、遊技者側(前方)から良好に視認することができる。裏中可動演出ユニット3200では、左右の裏中左装飾体3210及び裏中右装飾体3220が、退避位置の裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410の後方となる互いに最も離反した退避位置の状態となっており、センター役物2500の枠内を通して裏中左装飾体3210及び裏中右装飾体3220の一部が僅かに見えている。裏左可動演出ユニット3300では、裏左装飾体3310が、最も左側へ移動した退避位置の状態となっており、裏前飾りユニット3100における裏前左飾りユニット3120の後方に位置して前方から殆ど見えない。裏右可動演出ユニット3400では、裏右装飾体3410が、最も右側へ移動した退避位置の状態となっており、センター役物2500における右辺側において一部がセンター役物2500の枠内を通して見えている。
通常の状態において、裏上可動演出ユニット3500では、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610が最も上昇した上昇位置の状態となっているとともに、裏上回転ベースユニット3570が水平に延びた水平位置の状態となっている。裏上第一装飾体ユニット3510を中央にして、裏上第二装飾体ユニット3530が右側に、裏上第三装飾体ユニット3550が左側に並んでいる。裏上第一装飾体ユニット3510の第一左可動装飾レンズ3511及び第一右可動装飾レンズ3512、裏上第二装飾体ユニット3530の第二左可動装飾レンズ3531及び第二右可動装飾レンズ3532、及び、裏上第三装飾体ユニット3550の第三左可動装飾レンズ3551及び第三右可動装飾レンズ3552は、夫々第一開閉バネ3523、第二開閉バネ3543、及び第三開閉バネ3563の付勢力によって夫々互いに当接した閉位置の状態となっており、夫々において所定の文字の装飾を形成している。裏上可動演出ユニット3500は、左から右へ裏上第三装飾体ユニット3550、裏上第一装飾体ユニット3510、及び裏上第二装飾体ユニット3530が、並んだ状態となることで、三つの文字によりパチンコ機1のコンセプトに沿った所定のロゴを横書きで見せることができ、遊技盤側演出表示装置1600の上部よりも上側でセンター役物2500の枠内の上部において、所定のロゴが遊技者側(前方)から見えている。
遊技盤5は、第一始動口2002や第二始動口2004に遊技球が受入れられることで抽選される第一特別抽選結果や第二特別抽選結果に応じて、裏ユニット3000の裏前飾りユニット3100、裏中可動演出ユニット3200、裏左可動演出ユニット3300、裏右可動演出ユニット3400、裏上可動演出ユニット3500、及び裏下可動演出ユニット3700が、所定の演出(可動演出や発光演出)を行う。
具体的には、例えば、裏ユニット3000の裏中可動演出ユニット3200を用いた演出として、裏中駆動モータ3254の駆動により、互いに左右へ離反している裏中左装飾体3210と裏中右装飾体3220とを、互いに接近するように移動させて、略中央の出現位置に移動させる(図189を参照)。これにより、裏中左装飾体3210と裏中右装飾体3220とが、遊技盤側演出表示装置1600の前面側の略中央に位置した状態となり、裏中左装飾体3210と裏中右装飾体3220との装飾が合体した状態となる。この出現位置の状態では、裏中左装飾体3210と裏中右装飾体3220とが、遊技盤側演出表示装置1600に表示されている演出画像を遮ることとなり、遊技者の関心を強く引付けさせることができるとともに、合体することで一つの大きな装飾(桜の花弁を模した装飾)を形成するため、遊技者に対して何か良いことがあるのではないかと思わせて遊技に対する期待感を高めさせることができる。
裏ユニット3000の裏左可動演出ユニット3300及び裏右可動演出ユニット3400を用いた演出として、例えば、裏左移動駆動ユニット3350及び裏右移動駆動ユニット3450の裏左移動駆動モータ3352及び裏右移動駆動モータ3452を駆動することで、裏左回転駆動ユニット3330及び裏右回転駆動ユニット3430を介して裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410を左右方向の中央側の出現位置に移動させる。これにより、裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410が、枠状のセンター役物2500において、左辺側及び右辺側に接近した中央寄りの位置の状態となる。換言すると、センター役物2500の枠内において、遊技盤側演出表示装置1600の前面における左右両端付近に位置している(図190乃至図192を参照)。
これにより、裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410が見えるようになることで、遊技者を驚かせることができ、遊技者の関心を裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410に引付けさせることができる。この際に、裏左装飾基板3334及び裏右装飾基板3434のLEDを発光させることで、裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410を発光装飾させることができ、遊技者の関心を更に引付けさせることができる。この状態では、裏左装飾体3310と裏右装飾体3410との間から遊技盤側演出表示装置1600の表示画面が見えるため、演出画像とコラボレートした演出も楽しませることができる。
裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410を出現位置に移動させた状態で、裏左回転駆動ユニット3330及び裏右回転駆動ユニット3430の図示しない裏左回転駆動モータ(熱源)及び裏右回転駆動モータ(熱源)により、裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410を上下に延びた軸線周りにグルグルと回転させることで、遊技者を楽しませることができる。回転させている裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410を停止させる際に、裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410の第一装飾面3311,3411が前方を向くように停止させたり(図190を参照)、第二装飾面3312,3412が前方を向くように停止させたり(図191を参照)、第三装飾面3313,3413が前方を向くように停止させたり(図192を参照)することができる。裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410の回転を停止させる向きによって装飾が変わるため、遊技者に変化する装飾を楽しませることができるとともに、所望の装飾で裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410が停止するか否かでハラハラ・ドキドキさせることができ、遊技者の興趣を高めさせることができる。
なお、裏左可動演出ユニット3300及び裏右可動演出ユニット3400は、夫々独立して可動させることができるため、何れか一方のみを可動させるようにしてもよいし、裏左装飾体3310及び裏右装飾体3410の回転を停止させた時に、前方を向いている装飾面が異なっているようにしてもよい。これにより、より多彩な演出を遊技者に提示することができ、遊技者を飽きさせ難くすることができる。
裏ユニット3000の裏上可動演出ユニット3500を用いた演出として、例えば、通常の位置の状態において、裏上回転ベースユニット3570を水平位置とするとともに、作用レバー3586を作用位置とした状態で、裏上昇降駆動モータ3654により昇降駆動ピン3652bを、正面視反時計回りの方向へ公転させると、昇降駆動ピン3652bの公転に伴って可動側ユニット3610が下方へ移動し、可動側ユニット3610に取付けられている裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、及び裏上第三装飾体ユニット3550が下降する。昇降駆動ピン3652bが、最も下降した位置に到達して公転が停止すると、可動側ユニット3610を介して裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、及び裏上第三装飾体ユニット3550が、左右(水平)に並んで下降位置に位置することとなる(図193を参照)。
この状態では、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、及び裏上第三装飾体ユニット3550が、センター役物2500の枠内における上下方向中央から上寄りに位置し、遊技盤側演出表示装置1600の前面の上半分を覆ったような状態となる。これにより、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、及び裏上第三装飾体ユニット3550の三つで形成される所定のロゴが、遊技盤側演出表示装置1600に表示されている演出画像の一部を遮るように中央側へ下降するため、遊技者に対して何か良いことがあるのではないかと思わせることができ、遊技者の遊技に対する期待感を高めさせることができる。
図193の状態で、作用レバー駆動モータ3583により作用レバーピニオンギア3585を正面視時計回りの方向へ回転させて作用レバー3586を作用位置からが右方の非作用位置へ移動させると、第一取付軸部材3525の水平ロック孔3525aに挿入されていたロック片3586dが、水平ロック孔3525aから抜けた状態となり、裏上回転ベースユニット3570の回転ロックが解除された状態となる。
作用レバー3586による裏上回転ベースユニット3570の回転ロックを解除した状態で、可動側ユニット3610の裏上回転駆動モータ3612により回転ベース駆動ギア3614を正面視反時計周りの方向へ回転させると、回転ベース駆動ギア3614と噛合している回転ベース被駆動ギア3572を介して、裏上回転ベースユニット3570が、中央リンクギア3611bを中心として正面視時計回りの方向へ回転することとなる。この際に、裏上第一装飾体ユニット3510は、裏上回転ベースユニット3570の回転中心である第一孔3571aを貫通して可動側ユニット3610の前面に取付けられているため、裏上回転ベースユニット3570と一緒に回転することはない。
裏上回転ベースユニット3570が、中央リンクギア3611bを中心にして回転すると、中央リンクギア3611bと噛合している第二用第三リンクギア3577及び第三用第三リンクギア3582が、中央リンクギア3611bの周りを公転しながら自転し、それらの回転が第二用駆動リンクギア部材3573及び第三用駆動リンクギア部材3578に伝達され、第二用駆動リンクギア部材3573及び第三用駆動リンクギア部材3578が、裏上回転ベース3571に対して反時計回りの方向へ夫々回転する。したがって、裏上回転ベース3571を回転させると、裏上第二装飾体ユニット3530及び裏上第三装飾体ユニット3550が、その上下の向きを一定に保ったままの状態で、裏上第一装飾体ユニット3510の周りを公転する(図194及び図195を参照)。
この裏上回転ベースユニット3570の回転により、裏上第二装飾体ユニット3530及び裏上第三装飾体ユニット3550が、裏上第一装飾体ユニット3510の周りを公転する際に、裏上第二装飾体ユニット3530及び裏上第三装飾体ユニット3550の上下の向きが保たれていることから、三つの装飾の文字による所定のロゴを遊技者に対して十分に認識させることができるため、横書きのロゴが縦書きのロゴに変化する動きを楽しませることができる。
裏上回転ベースユニット3570が、水平位置から正面視時計回りの方向へ90度回転すると、垂直位置に到達しその回転が停止する。この状態では、上から下へ順に、裏上第三装飾体ユニット3550、裏上第一装飾体ユニット3510、及び裏上第二装飾体ユニット3530が並んだ状態となる(図195を参照)。これにより、裏上第一装飾体ユニット3510、裏上第二装飾体ユニット3530、及び裏上第三装飾体ユニット3550によって形成されるロゴが、センター役物2500の枠内の中央において、その枠内の略全高に亘って縦断するように見えるため、遊技者に強いインパクトを与えることができ、遊技者の興趣を高めさせることができる。
裏上回転ベースユニット3570を、垂直位置へ回転させて、裏上第三装飾体ユニット3550、裏上第一装飾体ユニット3510、及び裏上第二装飾体ユニット3530を、上下に並べた状態で、作用レバー駆動モータ3583により作用レバーピニオンギア3585を正面視反時計回りの方向へ回転させて、非作用位置の作用レバー3586を上方へ移動させて作用位置へ移動させると、作用レバー3586のロック片3586dが、第一取付軸部材3525の垂直ロック孔3525bに挿入されることとなり、裏上回転ベースユニット3570が、垂直位置で回転ロックされた状態となる。
この作用レバー3586が、非作用位置から作用位置へ移動(上昇)する時に、作用レバー3586の第一用作用部3586f、第二用作用部3586i、及び第三用作用部3586k、の夫々の先端(上端)が、裏上第一装飾体ユニット3510における第一開閉アーム3521の受ボス3521b、裏上第二装飾体ユニット3530における第二開閉アーム3541の受ボス3541b、及び裏上第三装飾体ユニット3550における第三開閉アーム3561の下端、に夫々下方から当接し、第一開閉アーム3521、第二開閉アーム3541、及び第三開閉アーム3561、を夫々上方へ移動させる。したがって、閉位置の状態となっていた裏上第一装飾体ユニット3510の第一左可動装飾レンズ3511及び第一右可動装飾レンズ3512、裏上第二装飾体ユニット3530の第二左可動装飾レンズ3531及び第二右可動装飾レンズ3532、及び、裏上第三装飾体ユニット3550の第三左可動装飾レンズ3551及び第三右可動装飾レンズ3552、が夫々互いに離反するように左右方向外方へ移動して開位置の状態となる(図196を参照)。
これにより、遊技領域5a内の左右中央を縦断するように、第三左可動装飾レンズ3551と第三右可動装飾レンズ3552との間から臨んだ第三固定装飾レンズ3553と、第一左可動装飾レンズ3511と第一右可動装飾レンズ3512との間から臨んだ第一固定装飾レンズ3513と、第二左可動装飾レンズ3531と第二右可動装飾レンズ3532との間から臨んだ第二固定装飾レンズ3533と、裏前飾りユニット3100の裏前下中央レンズ3131とが、上から下に一直線に並んだ状態となり、遊技者に対して強いインパクトを与えることができ、遊技者の関心を強く引付けさせることができる。
この状態で、裏上第三装飾基板3554、裏上第一装飾基板3514、裏上第二装飾基板3534、及び裏前下装飾基板3134、に実装されているLEDを適宜発光させて、第三固定装飾レンズ3553、第一固定装飾レンズ3513、第二固定装飾レンズ3533、及び裏前下中央レンズ3131を、順次発光装飾させることで、遊技者の視線を、上方や下方に誘導させることができ、遊技者を楽しませることができる。なお、第三固定装飾レンズ3553、第一固定装飾レンズ3513、第二固定装飾レンズ3533、及び裏前下中央レンズ3131は、演出装飾回転体ユニット530における扉枠側演出表示装置460と略同じ幅に形成されているため、第三固定装飾レンズ3553、第一固定装飾レンズ3513、第二固定装飾レンズ3533、裏前下中央レンズ3131、及び扉枠側演出表示装置460により、パチンコ機1の左右方向中央を縦断するような発光演出を遊技者に見せることができる(図200を参照)。
裏ユニット3000の裏下可動演出ユニット3700を用いた演出として、例えば、通常の状態から、裏下駆動モータ3754により裏下可動装飾体ユニット3710を第一昇降位置へ移動させると、裏下装飾体本体3711がセンター役物2500におけるステージ2530の上側に位置した状態となり、センター役物2500の枠内を通して見えることとなる。これにより、裏下装飾体本体3711が見えるようになることで、遊技者の関心を強く引付けさせることができる(図197を参照)。この第一昇降位置の状態では、裏下装飾体本体3711の複数の門が、複数の裏下扉部材3712によって閉じられている。
裏下可動装飾体ユニット3710が、第一昇降位置から第二昇降位置へ僅かに上昇すると、複数の裏下扉部材3712がヒンジ回転して裏下装飾体本体3711の複数の門が開いた状態となる(図198を参照)。この門(裏下扉部材3712)が開く動作をすることで、遊技者に対して何か良いことがあるのではないかと思わせることができ、遊技に対する期待感を高めさせることができる。この状態で、裏下装飾基板3719のLEDを発光させて開いた門を発光装飾させると、遊技者に対してチャンスの到来を確信させることができ、遊技者の興趣をより高めさせることができる。
このように本実施形態の遊技盤5では、裏前飾りユニット3100、裏中可動演出ユニット3200、裏左可動演出ユニット3300、裏右可動演出ユニット3400、裏上可動演出ユニット3500、及び裏下可動演出ユニット3700、等を適宜用いて、発光演出、可動演出、表示演出、等を行うことが可能であり、各種の演出によって遊技者を楽しませることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
[5−11.遊技盤における異なる実施形態]
次に、遊技盤5における上記とは異なる実施形態について、図199を参照して詳細に説明する。図199は、遊技盤の別の実施形態として、裏ユニットの裏上可動演出ユニットに、センター役物のステージや裏前飾りユニットの裏前下中央レンズを発光装飾させるためのLEDを備えた例を示す説明図である。図199の実施形態は、裏上可動演出ユニット3500における裏上第二装飾体ユニット3530の裏上第二装飾基板3534に、下方へ光を照射可能な複数の下部LED3534aを備えるようにしたものである。
これにより、裏上回転ベースユニット3570を垂直位置に回転させることで、裏上第二装飾体ユニット3530の下端が、センター役物2500のステージ2530の中央(チャンス入口2535付近)や、裏前飾りユニット3100の裏前下中央レンズ3131の上端と、接近した状態となり、この状態で下部LED3534aを発光させることで、ステージ2530の中央や、裏前下中央レンズ3131の上部を発光装飾させることができる。したがって、後方にLEDを備えた装飾基板を配置することができない部位でも、外側(ここでは上側)から光を供給して発光装飾させることができ、遊技者の関心を強く引付けることが可能な発光演出を行うことができる。
[5−12.扉枠と遊技盤とによる演出]
次に、扉枠3と遊技盤5とを用いた演出について、主に図200乃至図202を参照して説明する。図200は、遊技盤の裏ユニットにおける裏上可動演出ユニットにおいて、裏上回転ベースユニットを垂直位置の状態とするとともに、裏上第一装飾体ユニットの第一左可動装飾レンズ及び第一右可動装飾レンズ、裏上第二装飾体ユニットの第二左可動装飾レンズ及び第二右可動装飾レンズ、及び裏上第三装飾体ユニットの第三左可動装飾レンズ及び第三右可動装飾レンズ、を夫々開位置の状態として夫々の第一固定装飾レンズ、第二固定装飾レンズ、及び第三固定装飾レンズを視認可能とした状態で示すパチンコ機の正面図である。図201は、皿ユニット320に演出装飾回転体ユニット530に替えて第三演出装飾回転体ユニット530Bを取付け、装飾回転体ユニットの第一装飾面部を前方に向けた状態とするとともに、遊技盤を通常の状態で示すパチンコ機の正面図である。図202は、図201において、装飾回転体ユニットの第二装飾面部を前方へ向けた状態とした上で、遊技盤の裏ユニットにおける裏上可動演出ユニットにおいて、裏上回転ベースユニットを垂直位置の状態とするとともに、裏上第一装飾体ユニットの第一左可動装飾レンズ及び第一右可動装飾レンズ、裏上第二装飾体ユニットの第二左可動装飾レンズ及び第二右可動装飾レンズ、及び裏上第三装飾体ユニットの第三左可動装飾レンズ及び第三右可動装飾レンズ、を夫々開位置の状態として夫々の第一固定装飾レンズ、第二固定装飾レンズ、及び第三固定装飾レンズを視認可能とした状態で示すパチンコ機の正面図である。
まず、扉枠3の皿ユニット320に、扉枠側演出表示装置460を備えた演出装飾回転体ユニット530を取付けたパチンコ機1による演出について説明する。扉枠3と遊技盤5とによる演出として、例えば、扉枠3における演出装飾回転体ユニット530と、遊技盤5における裏ユニット3000の裏上可動演出ユニット3500と、を用いた演出がある。具体的には、遊技盤5の裏ユニット3000における裏上可動演出ユニット3500において、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610を下降位置に移動させた状態で、裏上回転ベースユニット3570を垂直位置の状態に回転し、作用レバー3586を非作用位置から作用位置へ移動させて、裏上第一装飾体ユニットの第一左可動装飾レンズ及び第一右可動装飾レンズ、裏上第二装飾体ユニットの第二左可動装飾レンズ及び第二右可動装飾レンズ、及び裏上第三装飾体ユニットの第三左可動装飾レンズ及び第三右可動装飾レンズ、を夫々開位置の状態とする。
この状態では、図200に示すように、パチンコ機1の左右方向中央において、略同じ幅に形成された、第三固定装飾レンズ3553、第一固定装飾レンズ3513、第二固定装飾レンズ3533、裏前下中央レンズ3131、及び扉枠側演出表示装置460が、上から下へ並んだ状態となり、遊技者を驚かせて強いインパクトを与えることができる。この状態で、裏上第三装飾基板3554、裏上第一装飾基板3514、裏上第二装飾基板3534、及び裏前下装飾基板3134により、第三固定装飾レンズ3553、第一固定装飾レンズ3513、第二固定装飾レンズ3533、及び裏前下中央レンズ3131を、上から順次発光装飾させることで、遊技者の視線を、扉枠3における演出装飾回転体ユニット530の扉枠側演出表示装置460へ誘導させることができ、扉枠側演出表示装置460に表示された演出画像を楽しませることができるとともに、演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410を操作させて、遊技者参加型演出を確実に楽しませることができる。
なお、上記の実施形態に対して、皿ユニット320に、上記の演出装飾回転体ユニット530に替えて、扉枠側第二演出表示装置460Aを備えた第二演出装飾回転体ユニット530Aを取付け、扉枠側第二演出表示装置460Aにおけるスクリーンユニット470のメインスクリーン471を前方に向けた状態で、上記と同様の演出を行うようにしてもよい。これによっても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
続いて、扉枠3の皿ユニット320に、装飾回転体ユニット530を備えた第三演出装飾回転体ユニット530Bを取付けたパチンコ機1による演出について説明する。このパチンコ機1では、図201に示すように、通常の状態では、扉枠3の皿ユニット320に取付けられている第三演出装飾回転体ユニット530Bにおいて、操作ボタン410の透明なボタンレンズ411を通して後側(内部)に配置されている装飾回転体ユニット530の第一装飾面部532が、遊技者側(前方)から見えるようになっている。水平に延びた第一軸線CL1に直交している第二軸線CL2周りに回転可能な第一装飾面部532は、中央の方向性を有したロゴ装飾部532aが正しい向きとなっている。
第三演出装飾回転体ユニット530B(皿ユニット320)の上方では、扉枠3の貫通口111を通して見える遊技盤5の遊技領域5a内において、センター役物2500の枠内を通して裏ユニット3000の後側に取付けられている遊技盤側演出表示装置1600の表示画面を、遊技者側(前方)から良好に視認することができる。裏ユニット3000の裏中可動演出ユニット3200では、左右の裏中左装飾体3210及び裏中右装飾体3220が、互いに最も離反した退避位置の状態となっており、センター役物2500の枠内を通して一部が僅かに見えている。裏左可動演出ユニット3300の裏左装飾体3310は、裏前飾りユニット3100の裏前左飾りユニット3120の後方となる退避位置の状態となっており、前方から殆ど見えない。裏右可動演出ユニット3400の裏右装飾体3410は、退避位置の状態となっており、センター役物2500の右辺側において一部が枠内を通して見えている。
裏上可動演出ユニット3500では、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610が上昇位置の状態となっているとともに、裏上回転ベースユニット3570が水平位置の状態となっており、裏上第一装飾体ユニット3510を中央にして、裏上第二装飾体ユニット3530が右側に、裏上第三装飾体ユニット3550が左側に並んでいる。裏上第一装飾体ユニット3510の第一左可動装飾レンズ3511及び第一右可動装飾レンズ3512、裏上第二装飾体ユニット3530の第二左可動装飾レンズ3531及び第二右可動装飾レンズ3532、及び、裏上第三装飾体ユニット3550の第三左可動装飾レンズ3551及び第三右可動装飾レンズ3552は、夫々互いに当接した閉位置の状態となっており、夫々において所定の文字の装飾(図示は省略)を形成している。したがって、センター役物2500の枠内の上部において、三つの文字が左右に並んでいる所定のロゴが、遊技者側(前方)から見えている。
図201の状態から、例えば、裏上可動演出ユニット3500において、裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610を下降位置に移動させた状態で、裏上回転ベースユニット3570を垂直位置の状態に回転し、作用レバー3586を非作用位置から作用位置へ移動させて、裏上第一装飾体ユニットの第一左可動装飾レンズ及び第一右可動装飾レンズ、裏上第二装飾体ユニットの第二左可動装飾レンズ及び第二右可動装飾レンズ、及び裏上第三装飾体ユニットの第三左可動装飾レンズ及び第三右可動装飾レンズ、を夫々開位置の状態とする。
この状態では、パチンコ機1の左右方向中央において、略同じ幅に形成された、第三固定装飾レンズ3553、第一固定装飾レンズ3513、第二固定装飾レンズ3533、及び裏前下中央レンズ3131が、上から下へ並んだ状態となり、遊技者を驚かせて強いインパクトを与えることができる。この状態で、裏上第三装飾基板3554、裏上第一装飾基板3514、裏上第二装飾基板3534、及び裏前下装飾基板3134により、第三固定装飾レンズ3553、第一固定装飾レンズ3513、第二固定装飾レンズ3533、及び裏前下中央レンズ3131を、上から順次発光装飾させることで、遊技者の視線を、扉枠3における第三演出装飾回転体ユニット530Bへ誘導させることができる。上からの発光装飾が、第三演出装飾回転体ユニット530Bに到達すると、操作ボタン410内の装飾回転体ユニット530を、第一装飾面部装飾基板535及び第二装飾面部装飾基板536によって発光装飾させるとともに、演出操作ユニット第一駆動モータ528により、第一装飾面部532が前方を向いている装飾回転体ユニット530を水平に延びている第一軸線CL1周りに180度回転させて、第二装飾面部533を前方へ向けた状態とする(図202を参照)。これにより、遊技領域5a内から下方の第三演出装飾回転体ユニット530Bに誘導された遊技者の視線の先で、操作ボタン410の透明なボタンレンズ411を通して見える第一装飾面部532が、異なる装飾の第二装飾面部533に変化するため、遊技者に対してチャンスの到来を示唆させることができ、遊技に対する期待感を高めさせることができるとともに、第三演出装飾回転体ユニット530Bの操作ボタン410の操作を促すことができ、操作ボタン410の操作により遊技者参加型演出を楽しませて興趣の低下を抑制させることができる。
この第三演出装飾回転体ユニット530Bの装飾回転体ユニット530による演出は、上述したように、遊技領域5a内での上方から第三演出装飾回転体ユニット530Bへの発光装飾の到達を契機にして行うことが望ましく、連続した演出を遊技者に楽しませることができる。なお、装飾回転体ユニット530による演出は、上記の[3−4h−7.第三演出操作ユニットにおける可動演出]に記載したような演出を実行すれば良い。
上記とは異なる演出として、例えば、図201の状態から、第三演出装飾回転体ユニット530Bの装飾回転体ユニット530を、水平に延びた第一軸線CL1周りに180度回転させて、第二装飾面部533を前方へ向けた状態とする。この状態で、第一装飾面部装飾基板535及び第二装飾面部装飾基板536により第一装飾面部532及び第二装飾面部533を発光装飾させ、遊技者の関心を遊技領域5a下方の第三演出装飾回転体ユニット530Bに引付けさせる。その後、前方を向いていた第二装飾面部533が上方へ移動するように、装飾回転体ユニット530を第一軸線CL周りに回転させ、第二装飾面部533の反対側の第一装飾面部532を、下方から上方へ向かって出現するように移動させる。この第二装飾面部533と第一装飾面部532との切替えにより、遊技者の視線を第三演出装飾回転体ユニット530Bの上方(遊技領域5a内)へ誘導させることができる。
続いて、裏上可動演出ユニット3500における裏上昇降ユニット3600の可動側ユニット3610を下降位置に移動させた状態で、裏上回転ベースユニット3570を垂直位置の状態に回転し、作用レバー3586を非作用位置から作用位置へ移動させて、裏上第一装飾体ユニットの第一左可動装飾レンズ及び第一右可動装飾レンズ、裏上第二装飾体ユニットの第二左可動装飾レンズ及び第二右可動装飾レンズ、及び裏上第三装飾体ユニットの第三左可動装飾レンズ及び第三右可動装飾レンズ、を夫々開位置へ移動させ、第三固定装飾レンズ3553、第一固定装飾レンズ3513、第二固定装飾レンズ3533、及び裏前下中央レンズ3131が、上下に並んだ状態とする。それらを下から順に発光装飾させることで、第三演出装飾回転体ユニット530Bから始まった演出が、第三演出装飾回転体ユニット530Bよりも上方へ移動したように見せることができるため、上昇機運を感じさせることが可能な演出を遊技者に見せることができ、遊技者の気分を高揚させて遊技に対する興趣の低下を抑制させることができる。この第三演出装飾回転体ユニット530Bから始まる演出は、遊技者参加型演出の実行時において、所定のタイミングで遊技者が操作ボタン410を押圧操作したことを契機に開始されるものとしてもよい。
このように、様々な演出を遊技者に見せることができ、多彩な演出により遊技者を飽きさせ難くすることができるとともに、遊技者を楽しませることができ、遊技者の遊技に対する興趣の低下を抑制させることができる。
[6.遊技内容]
次に、本実施形態のパチンコ機1による遊技内容について、図139等を参照して説明する。本実施形態のパチンコ機1は、扉枠3の前面右下隅に配置されたハンドルユニット300のハンドル302を遊技者が回転操作することで、皿ユニット320の上皿321に貯留された遊技球が、遊技盤5における外レール1001と内レール1002との間を通って遊技領域5a内の上部へと打ち込まれて、遊技球による遊技が開始される。遊技領域5a内の上部へ打ち込まれた遊技球は、その打込強さによってセンター役物2500の左側、或いは、右側の何れかを流下する。なお、遊技球の打込み強さは、ハンドル302の回転量によって調整することができ、時計回りの方向へ回転させるほど強く打込むことができ、連続で一分間に最大100個の遊技球、つまり、0.6秒間隔で遊技球を打込むことができる。
遊技領域5a内には、適宜位置に所定のゲージ配列で複数の障害釘(図示は省略)が遊技パネル1100(パネル板1110)の前面に植設されており、遊技球が障害釘に当接することで、遊技球の流下速度が抑制されるとともに、遊技球に様々な動きが付与されて、その動きを楽しませられるようになっている。遊技領域5a内には、障害釘の他に、遊技球の当接により回転する風車(図示は省略)が適宜位置に備えられている。
センター役物2500の上部へ打込まれた遊技球は、センター役物2500の外周面のうち、最も高くなった部位よりも正面視左側へ進入すると、図示しない複数の障害釘に当接しながら、センター役物2500よりも左側の領域を流下することとなる。センター役物2500の左側の領域を流下する遊技球が、センター役物2500の外周面に開口しているワープ入口2520に進入すると、ワープ出口2522からステージ2530に供給される。
ステージ2530に供給された遊技球は、ステージ2530上を転動して左右に行ったり来たりして前方へ放出される。ステージ2530の中央のチャンス入口2535に遊技球が進入してチャンス出口2536から遊技領域5a内に放出されと、チャンス出口2536が第一始動口2002の直上に位置していることから、高い確率で第一始動口2002に受入れられる。この第一始動口2002に遊技球が受入れられると、主制御基板1310及び払出制御基板951を介して払出装置830から所定数(例えば、3個)の遊技球が、上皿321に払出される。
ステージ2530を転動している遊技球が、中央以外から遊技領域5a内に放出されと、始動口ユニット2100へ向かって流下する。センター役物2500のステージ2530から遊技領域5a内に放出された遊技球は、始動口ユニット2100の第一始動口2002、サイドユニット2200やアタッカユニット2400の一般入賞口2001、及びアタッカユニット2400における開状態の第一大入賞口2005等、に受入れられる可能性がある。
ところで、センター役物2500の左側へ流下した遊技球が、ワープ入口2520に進入しなかった場合、サイドスロープ2300の棚部2301により左右方向中央側へ寄せられ、サイドユニット2200の一般入賞口2001や、始動口ユニット2100の第一始動口2002等、に受入れられる可能性がある。一般入賞口2001に遊技球が受入れられると、主制御基板1310及び払出制御基板951を介して払出装置830から所定数(例えば、10個)の遊技球が、上皿321に払出される。
一方、遊技領域5a内においてセンター役物2500の上部に打込まれた遊技球が、センター役物2500の外周面の最も高くなった部位よりも右側に進入する(所謂、右打ちする)と、センター役物2500の右案内通路2540からアタッカユニット2400の上部へ放出される。右案内通路2540の下流端の直下には、アタッカユニット2400におけるゲート部2003と第二始動口2004とが備えられたゲート通路2420が配置されており、高い確率で遊技球がゲート通路2420へ進入する。
右打した遊技球が、ゲート通路2420に進入してゲート部2003を通過すると、主制御基板1310において普通抽選が行われ、抽選された普通抽選結果が「普通当り」の場合、第二始動口2004を閉鎖している第二始動口扉2411が所定時間(例えば、0.3〜10秒)の間、開状態となり、第二始動口2004への遊技球の受入れが可能となる。第二始動口2004に遊技球が受入れられると、主制御基板1310及び払出制御基板951を介して払出装置830から所定数(例えば、4個)の遊技球が、上皿321に払出される。
本実施形態では、ゲート部2003を遊技球が通過することで行われる普通抽選において、普通抽選を開始してから普通抽選結果を示唆するまでにある程度の時間を設定している(例えば、0.01〜60秒、普通変動時間とも称す)。この普通抽選結果の示唆は、遊技盤5の機能表示ユニット1400に表示される。第二始動口2004では、普通変動時間の経過後に開状態となる。この普通変動時間が短いほど、ゲート部2003において「普通当り」を抽選した遊技球が、第二始動口2004に受入れられるようになる。
なお、遊技球がゲート部2003を通過してから普通抽選結果が示唆されるまでの間に、遊技球がゲート部2003を通過すると、普通抽選結果の示唆を開始することができないため、普通抽選結果の示唆の開始を、先の普通抽選結果の示唆が終了するまで保留するようにしている。普通抽選結果の保留数は、4つまでを上限とし、それ以上については、ゲート部2003を遊技球が通過しても、保留せずに破棄している。これにより、保留が貯まることで遊技ホール側の負担の増加を抑制している。
本実施形態のパチンコ機1は、第一始動口2002及び第二始動口2004に遊技球が受入れられると、主制御基板1310において、遊技者に有利な有利遊技状態(例えば、「大当り」、「中当り」、「小当り」、「確率変動当り」、「時間短縮当り」、等)を発生させる特別抽選結果の抽選が行われる。抽選された特別抽選結果を、所定時間(例えば、0.1〜360秒、特別変動時間とも称す)かけて遊技者に示唆する。なお、第一始動口2002及び第二始動口2004に遊技球が受入れられることで抽選される特別抽選結果には、「ハズレ」、「小当り」、「2R大当り」、「5R大当り」、「15R大当り」、「確変(確率変更)当り」、「時短(時間短縮)当り」、「確変時短当り」、「確変時短無し当り」、「第二大当り(例えば、役物当り)」、等がある。
第一始動口2002及び第二始動口2004への遊技球の受入れにより抽選された特別抽選結果(第一特別抽選結果及び第二特別抽選結果)が、有利遊技状態を発生させる特別抽選結果の場合、特別変動時間の経過後に、第一大入賞口2005が所定の開閉パターンで遊技球の受入れが可能な状態となる。第一大入賞口2005が開状態の時に、第一大入賞口2005に遊技球が受入れられると、主制御基板1310及び払出基板によって払出装置830から所定数(例えば、10個、又は、13個)の遊技球が、上皿321に払出される。したがって、第一大入賞口2005が遊技球を受入可能としている時に、第一大入賞口2005に遊技球を受入れさせることで、多くの遊技球を払出させることができ、遊技者を楽しませることができる。
特別抽選結果が「小当り」の場合、第一大入賞口2005が、所定短時間(例えば、0.2秒〜0.6秒の間)の間、遊技球を受入可能な開状態となってから閉鎖する開閉パターンを複数回(例えば、2回)繰返す。一方、特別抽選結果が「大当り」の場合、第一大入賞口2005が、遊技球を受入可能な開状態となった後に、所定時間(例えば、約30秒)経過、或いは、第一大入賞口2005への所定個数(例えば、10個)の遊技球の受入れ、の何れかの条件が充足すると、遊技球を受入不能な閉状態とする開閉パターン(一回の開閉パターンを1ラウンドと称す)を、所定回数(所定ラウンド数)繰返す。例えば、「2R大当り」であれば2ラウンド、「5R大当り」であれば5ラウンド、「15R大当り」であれば15ラウンド、夫々繰返して、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる。
なお、「大当り」では、大当り遊技の終了後に、「大当り」等の特別抽選結果が抽選される確率を変更(「確変当り」)したり、特別抽選結果を示唆する演出画像の表示時間を変更(「時短当り」)したりする「当り」がある。
特別抽選結果が「第二大当り(例えば、役物当り)」の場合、第二大入賞口2006が、所定短時間(例えば、0.2秒〜3.0秒の間)の経過、或いは、所定数(例えば、一つのみ)の遊技球の受入れ、の何れかの条件が充足するまで、開状態となる。この第二大入賞口2006が開状態の時に、遊技球が第二大入賞口2006に受入れられると、所定数(例えば、3個)の遊技球が払出される。第二大入賞口2006に受入れられた遊技球が、振分片2433によって第一受入口2431に振り分けられると、「5R大当り」として第一大入賞口2005が開閉し、振分片2433によって第二受入口2432に振り分けられると、「15R大当り」として第一大入賞口2005が開閉する。
本実施形態では、第一始動口2002及び第二始動口2004への遊技球の受入れにより特別抽選の開始から抽選された特別抽選結果が示唆されるまでの間に、第一始動口2002及び第二始動口2004に遊技球が受入れられると、特別抽選結果の示唆を開始することができないため、先に抽選された特別抽選結果の示唆が完了するまで、特別抽選結果の示唆の開始が保留される。この保留される特別抽選結果の保留数は、第一始動口2002及び第二始動口2004に対して、夫々4つまでを上限とし、それ以上については、第一始動口2002及び第二始動口2004に遊技球が受入れられても特別抽選結果を保留せずに、破棄している。これにより、保留が貯まることで遊技ホール側の負担の増加を抑制している。
この特別抽選結果の示唆は、機能表示ユニット1400と遊技盤側演出表示装置1600とで行われる。機能表示ユニット1400では、主制御基板1310によって直接制御されて特別抽選結果の示唆が行われる。機能表示ユニット1400での特別抽選結果の示唆は、複数のLEDを、点灯・消灯を繰返して所定時間点滅させ、その後に、点灯しているLEDの組合せによって特別抽選結果を示唆する。
一方、遊技盤側演出表示装置1600では、主制御基板1310からの制御信号に基いて、周辺制御基板1510によって間接的に制御され演出画像として特別抽選結果の示唆が行われる。遊技盤側演出表示装置1600での特別抽選結果を示唆する演出画像は、複数の図柄からなる図柄列を、左右方向へ三つ並べて表示した状態で、各図柄列を変動させ、変動表示されている図柄列を順次停止表示させ、停止表示される三つの図柄列の図柄が、特別抽選結果と対応した組合せとなるように夫々の図柄列が停止表示される。特別抽選結果が「ハズレ」以外の場合は、三つの図柄列が停止して各図柄が停止表示された後に、特別抽選結果を示唆する確定画像が遊技盤側演出表示装置1600に表示されて、抽選された特別抽選結果に応じた有利遊技状態(例えば、小当り遊技、大当り遊技、等)が発生する。
なお、機能表示ユニット1400での特別抽選結果を示唆する時間(LEDの点滅時間(変動時間))と、遊技盤側演出表示装置1600での特別抽選結果を示唆する時間(図柄列が変動して確定画像が表示されるまでの時間)とは、異なっており、機能表示ユニット1400の方が長い時間に設定されている。
周辺制御基板1510では、遊技盤側演出表示装置1600による特別抽選結果を示唆するための演出画像の表示の他に、抽選された特別抽選結果に応じて、扉枠3における演出装飾回転体ユニット530の操作ボタン410や扉枠側演出表示装置460、裏ユニット3000の裏前飾りユニット3100、裏中可動演出ユニット3200、裏左可動演出ユニット3300、裏右可動演出ユニット3400、裏上可動演出ユニット3500、及び裏下可動演出ユニット3700、等を適宜用いて、発光演出、可動演出、表示演出、等を行うことが可能であり、各種の演出によっても遊技者を楽しませることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
[7.主制御基板、払出制御基板及び周辺制御基板]
次に、パチンコ遊技機1の各種制御を行う制御基板について、図203〜図205を参照しつつ説明する。図203は、主制御基板1310、払出制御基板951及び周辺制御基板1510のブロック図である。図204は、図203に示す払出制御基板951などの構成例を示すブロック図である。図205は、図203に示す周辺制御基板1510及びそれに接続されている基板などの構成例を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1は、図203に示すように、主として、主制御基板1310、払出制御基板951及び周辺制御基板1510を備えており、各種制御が分担されている。まず、主制御基板1310について説明し、続いて払出制御基板951、電源基板、最後に周辺制御基板1510について説明する。
[7−1.主制御基板]
主制御基板1310は、主制御MPU1310aと、主制御MPU1310aと、各種検出スイッチからの検出信号が入力される主制御入力回路1310bと、各種信号を外部の基板等へ出力するための主制御出力回路1310cと、各種ソレノイドを駆動するための主制御ソレノイド駆動回路1310dと、あらかじめ定めた電圧の停電又は瞬間的な停電状態(以下「瞬停」という)の兆候を監視する停電監視回路1310eと、を備えている。
主制御MPU1350aは、遊技動作を制御する主制御プログラムなどの各種制御プログラム及び各種コマンドを記憶するROM並びに一時的にデータを記憶するRAM等を内蔵するマイクロプロセッサである。主制御プログラムは、電源投入時から所定時間が経過した後に実行され、電源投入時に実行される電源投入時処理を制御する。
主制御MPU1310aには、その内蔵されているRAM(上記「主制御内蔵RAM」に相当)及びROM(以下、「主制御内蔵ROM」という)の他にも、その動作を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。主制御内蔵RAMは、その記憶領域の一部として、後述する始動記憶情報記憶領域に記憶される始動記憶情報ごとの大当り判定用乱数記憶領域、特別図柄用乱数記憶領域、リーチ判定用乱数記憶領域、変動パターン用乱数1,2記憶領域、及び変動タイプ用乱数記憶領域、並びに後述する始動記憶情報記憶領域及び送信情報記憶領域を有する。
このうち始動記憶情報記憶領域は、第一特別図柄用の第一始動記憶情報記憶領域及び第二特別図柄用の第二始動記憶情報記憶領域を含んでいる。その他にも主制御内蔵RAMは、後述する大当りフラグの値を格納可能な大当りフラグ領域も含んでいる。大当りフラグは、後述するように、ハズレ(00H)であるか或いは大当り(01H)であるかのみならず、小当り(02H)であるかも表している。
従って、主制御MPU1310aは、小当りフラグの値を格納可能な小当りフラグ領域にアクセスすることなく、大当りフラグ領域という1つの記憶領域にアクセスすれば、大当りであるか或いはハズレであるかだけでなく、小当りであるかについても同時に把握することができる。
主制御MPU1310aは、不揮発性のRAMが内蔵されている。この不揮発性のRAMには、主制御MPU1310aを製造したメーカによって個体を識別するためのユニークな(世界で唯一の)符号が付された固有のIDコードがあらかじめ記憶されている。この一度付されたIDコードは、不揮発性のRAMに記憶されるため、外部装置を用いても書き換えることができない。主制御MPU1310aは、不揮発性のRAMからIDコードを取り出して参照することができる。
主制御入力回路1310bは、その各種入力端子に各種検出スイッチからの検出信号がそれぞれ入力された情報を強制的にリセットするためのリセット端子が設けられず、リセット機能を有していない。このため、主制御入力回路1310bは、後述する主制御システムリセットからのシステムリセット信号が入力されない回路として構成されている。つまり、主制御入力回路1310bは、その各種入力端子に入力されている各種検出スイッチからの検出信号に基づく情報が後述する主制御システムリセットによりリセットされないことによって、その情報に基づく各種信号がその各種出力端子から出力される回路として構成されている。
主制御出力回路1310cは、エミッタ端子がグランド(GND)と接地されたオープンコレクタ出力タイプとして構成されている。この主制御出力回路1310cは、その各種入力端子に各種信号を外部の基板等へ出力するための各種信号が入力された情報を強制的にリセットするためのリセット端子が設けられるリセット機能を有するリセット機能付き主制御出力回路1310caと、このリセット端子が設けられておらずリセット機能を有しないリセット機能なし主制御出力回路1310cbと、を備える。
リセット機能付き主制御出力回路1310caは、後述する主制御システムリセットからのシステムリセット信号が入力される回路として構成されている。つまり、リセット機能付き主制御出力回路1310caは、その各種入力端子に入力されている各種信号を外部の基板等へ出力するための情報が後述する主制御システムリセットによりリセットされることによって、その情報に基づく信号がその各種出力端子から全く出力されない回路として構成されている。
これに対して、リセット機能なし主制御出力回路1310cbは、後述する主制御システムリセットからのシステムリセット信号が入力されない回路として構成されている。つまり、リセット機能なし主制御出力回路1310cbは、その各種入力端子に入力されている各種信号を外部の基板等へ出力するための情報が後述する主制御システムリセットによりリセットされないことによって、その情報に基づく信号がその各種出力端子から出力される回路として構成されている。
第一始動口センサ3112は第一始動口2002に入球した遊技球を検出する一方、第二始動口センサ3113は第二始動口2004に入球した遊技球を検出する。一般入賞口センサ3111は一般入賞口2001に入球した遊技球を検出する。これら第一始動口センサ3112、第二始動口センサ3113及び一般入賞口センサ3111からの検出信号並びに停電監視回路1310eからの信号は、それぞれ、主制御入力回路1310bを介して主制御MPU1310aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
ゲートセンサ2401は、ゲート部2350を通過した遊技球を検出する。一般入賞口センサ3111は、一般入賞口2201に入球した遊技球を検出する。第一大入賞口センサ2403は、第一大入賞口2005に遊技球が受け入れられたことを検知すると検出信号を出力する。第二大入賞口センサ2402は、第二大入賞口2006に遊技球が受け入れられたことを検知すると検出信号を出力する。磁気センサ2404は磁石を用いた不正行為を検出する。振動センサ2405は、外力(いわゆるドツキ行為など)によって生じるパチンコ機1の振動を検出する。
既述の振分検知センサ2580、ゲートセンサ2401、一般入賞口センサ3111、第一大入賞口センサ2403、第二大入賞口センサ2402、磁気センサ2404、及び振動センサ2405からの検出信号は、それぞれ、遊技盤5に取り付けられたパネル中継基板4161及び主制御入力回路1310bを介して主制御MPU1310aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
主制御MPU1310aは、これらの各スイッチからの検出信号に基づいて、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路1310caに駆動信号を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路1310caから主制御ソレノイド駆動回路1310dに制御信号を出力する。この主制御MPU1310aは、主制御ソレノイド駆動回路1310dからパネル中継基板4161を介して始動口ソレノイド2105、アタッカソレノイド2108A、アタッカソレノイド2108B及び振分駆動モータ2558にそれぞれ駆動信号を出力する。
主制御MPU1310aは、それらの各スイッチからの検出信号に基づいて、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路1310caに駆動信号を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路1310caからパネル中継基板4161、そして機能表示基板1191を介して第一特別図柄表示器1403、第二特別図柄表示器1405、第一特別図柄記憶表示器1184、第二特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、及びラウンド表示器1190に駆動信号を出力する。
主制御MPU1310aは、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路1310caに遊技に関する各種情報(遊技情報)を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路1310caから払出制御基板951に各種情報(遊技情報)を出力する。この主制御MPU1310aは、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路1310caに信号(停電クリア信号)を出力することにより、リセット機能付き主制御出力回路1310caから停電監視回路1310eに信号(停電クリア信号)を出力したりする。
なお、本実施形態おいて、第一始動口センサ3112、第二始動口センサ3113、ゲートセンサ2401、第一大入賞口センサ2403及び第二大入賞口センサ2402に、例えば非接触タイプの電磁式の近接スイッチを用いているのに対して、一般入賞口センサ3111,3011に、例えば接触タイプのON/OFF動作式のメカニカルスイッチを用いている。
これは、遊技球が第一始動口2002や第二始動口2004に頻繁に入球したり、ゲート部2350を頻繁に通過するため、第一始動口センサ3112、第二始動口センサ3113、及びゲートセンサ2401による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、第一始動口センサ3112、第二始動口センサ3113、及びゲートセンサ2401には、寿命の長い近接スイッチを用いている。
遊技者にとって有利となる大当り遊技状態が発生すると、第一大入賞口2005又は第二大入賞口2006が開放されて遊技球が頻繁に入球するため、第一又は第二大入賞口センサ2402、2403による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、大入賞口センサ2402、2403にも、寿命の長い近接スイッチを用いている。これに対して、遊技球が頻繁に入球しない一般入賞口2001,2201には、一般入賞口センサ3111,3011による検出も頻繁に発生しない。このため、一般入賞口センサ3111,3011には、近接スイッチより寿命が短いメカニカルスイッチを用いている。
主制御MPU1310aは、その所定のシリアル出力ポートの出力端子からリセット機能なし主制御出力回路1310cbに払い出しに関する各種コマンドをシリアルデータとして送信することにより、リセット機能なし主制御出力回路1310cbから払出制御基板951に各種コマンドをシリアルデータとして送信する。払出制御基板951は、主制御基板1310からの各種コマンドをシリアルデータとして正常受信完了すると、その旨を伝える信号(払主ACK信号)を主制御基板1310に出力する。この信号(払主ACK信号)は、主制御入力回路1310bを介して主制御MPU1310aの所定の入力ポートの入力端子に入力される。
主制御MPU1310aは、払出制御基板951からのパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドをシリアルデータとして主制御入力回路1310bで受信することにより、主制御入力回路1310bからその所定のシリアル入力ポートの入力端子で各種コマンドをシリアルデータとして受信する。この主制御MPU1310aは、払出制御基板951からの各種コマンドをシリアルデータとして正常受信完了すると、その旨を伝える信号(主払ACK信号)を、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き主制御出力回路1310caに出力し、リセット機能付き主制御出力回路1310caから払出制御基板951に信号(主払ACK信号)を出力する。
主制御MPU1310aは、その所定のシリアル出力ポートの出力端子からリセット機能なし主制御出力回路1310cbに遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ遊技機1の状態に関する各種コマンドをシリアルデータとして送信することにより、リセット機能なし主制御出力回路1310cbから周辺制御基板1510に各種コマンドをシリアルデータとして送信する。
ここで、周辺制御基板1510へ各種コマンドをシリアルデータとして送信する主周シリアル送信ポートについて簡単に説明する。主制御MPU1310aは、主制御CPUコア1310aaを中心として構成されており、上述した主制御内蔵RAMの他にも、主制御各種シリアルI/Oポートの1つである主周シリアル送信ポート1310ae等がバス1310ahを介して接続されている。主周シリアル送信ポート1310aeは、周辺制御基板1510へ各種コマンドを主周シリアルデータとして送信し、送信シフトレジスタ1310aea、送信バッファレジスタ1310aeb、シリアル管理部1310aec等を主として構成されている。
主制御CPUコア1310aaは、コマンドを送信バッファレジスタ1310aebにセットして送信開始信号をシリアル管理部1310aecに出力すると、このシリアル管理部1310aecが送信バッファレジスタ1310aebにセットされたコマンドを送信バッファレジスタ1310aebから送信シフトレジスタ1310aeaに転送して主周シリアルデータとして周辺制御基板1510に送信開始する。
送信バッファレジスタ1310aebは例えば32バイトの記憶容量を有する。主制御CPUコア1310aaは、送信バッファレジスタ1310aebに複数のコマンドをセットした後にシリアル管理部1310aecに送信開始信号を出力することによって、複数のコマンドを連続的に周辺制御基板1510に送信している。
なお、主制御基板1310に各種電圧を供給する電源基板は、電源遮断時にでも所定時間に亘って主制御基板1310に電力を供給するためのバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」という)BC0を備えている。このキャパシタBC0により主制御MPU1310aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を主制御内蔵RAMに記憶する。
電源投入時からあらかじめ定めた期間内に後述する払出制御基板951の操作スイッチ952が操作されると、この操作スイッチ952からの操作信号(RAMクリア信号)が、払出制御基板951から出力されて主制御入力回路1310bを介して主制御MPU1310aの所定の入力ポートの入力端子に入力される。この主制御内蔵RAMに記憶される各種情報は、この入力を契機として、主制御MPU1310aによって主制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)される。
[7−2.払出制御基板]
次に、遊技球の払い出し等を制御する払出制御基板951について、図204を参照して説明する。図204は、払出制御基板951の電気的な構成例を示すブロック図である。
払出制御基板951は、各種機能を兼用する操作スイッチ952、及び、パチンコ遊技機1の状態を表示するエラーLED表示器953の他にも、図204に示すように払い出しに関する各種制御を行う払出制御部954を備えている。ここでは、払出制御部954及び払出制御基板951へ供給される各種電源、払出モータ駆動回路954d、払出モータ834の励磁方式、払出モータ834への駆動電圧の切替回路、電源投入時と電源断時とにおける払出モータ834への駆動電圧、そして払出モータ834への駆動電圧の切替タイミングについて説明する。
[7−2−1.払出制御部]
払出制御部954は、払い出しに関する各種制御を行う。払出制御部954は、各種制御プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである払出制御MPU954aと、払い出しに関する各種検出スイッチからの検出信号が入力される払出制御入力回路954bと、各種信号を外部の基板等へ出力するための払出制御出力回路954cと、払出装置830の払出モータ834に駆動信号を出力するための払出モータ駆動回路954dと、パチンコ遊技機1に隣接して遊技ホールのパチンコ島設備に設置されるCRユニット(図示せず)との各種信号をやり取りするためのCRユニット入出力回路954eと、を備えている。
払出制御MPU954aには、その内蔵しているRAM(以下、「払出制御内蔵RAM」という)や、その内蔵しているROM(以下、「払出制御内蔵ROM」という)の他にも、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。
払出制御入力回路954bは、その各種入力端子に各種検出スイッチからの検出信号がそれぞれ入力された情報を強制的にリセットするためのリセット端子が設けられず、リセット機能を有していない。このため、払出制御入力回路954bは、図示しないリセット信号を出力する専用ICである払出制御システムリセットIC(以下、「払出制御システムリセットIC」という)からのシステムリセット信号が入力されない回路として構成されている。つまり、払出制御入力回路954bは、その各種入力端子に入力されている各種検出スイッチからの検出信号に基づく情報が払出制御システムリセットICによりリセットされないことによって、その情報に基づく各種信号がその各種出力端子から出力される回路として構成されている。
払出制御出力回路954cは、エミッタ端子がグランド(GND)と接地されたオープンコレクタ出力タイプとして構成されている。この払出制御出力回路954cは、その各種入力端子に各種信号を外部の基板等へ出力するための各種信号が入力された情報を強制的にリセットするためのリセット端子が設けられるリセット機能を有するリセット機能付き払出制御出力回路954caと、リセット端子が設けられていないリセット機能を有しないリセット機能なし払出制御出力回路954cbと、を備える。
リセット機能付き払出制御出力回路954caは、払出制御システムリセットICからのシステムリセット信号が入力される回路である。つまり、リセット機能付き払出制御出力回路954caは、その各種入力端子に入力されている各種信号を外部の基板等へ出力するための情報が後述する払出制御システムリセットによりリセットされることによって、その情報に基づく信号がその各種出力端子から全く出力されない回路として構成されている。
これに対して、リセット機能なし払出制御出力回路954cbは、払出制御システムリセットICからのシステムリセット信号が入力されない回路として構成されている。つまり、リセット機能なし払出制御出力回路954cbは、その各種入力端子に入力されている各種信号を外部の基板等へ出力するための情報が払出制御システムリセットICによりリセットされないことによって、その情報に基づく信号がその各種出力端子から出力される回路として構成されている。
球切れ検知センサ(球切れスイッチ)827は、球誘導ユニットに形成されている2条の球誘導通路内に遊技球の有無を検出する。計数スイッチ838は、払出装置830の賞球通路内を流下する遊技球を検出する。球切れ検知センサ827及び計数スイッチ838からの検出信号は、それぞれ、払出制御入力回路954bを介して払出制御MPU954aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
羽根回転検知スイッチ(回転角スイッチ)840は、前箱831と後箱832との間に取付けられており払出羽根834の回転を検知するものであり、この羽根回転検知スイッチ846からの検出信号は、まず払出装置830の賞球ケース内基板847、そして払出制御入力回路954bを介して払出制御MPU954aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
本体枠4に対する扉枠3の開放を検出する扉枠開放スイッチ618からの検出信号と、外枠2に対する本体枠4の開放を検出する図示しない本体枠開放スイッチ619からの検出信号とは、払出制御入力回路954bを介して払出制御MPU954aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
扉枠3の満タン球受口へ誘導する下部満タン球経路ユニットに形成されている満タン誘導路内が遊技球で満タン(下皿322が遊技球で満タン)であるか否かを検出する満タン検知センサ279からの検出信号は、払出制御入力回路954bを介して払出制御MPU954aの所定の入力ポートの入力端子に入力されている。
払出制御MPU954aは、遊技盤5の主制御基板ボックスに収容されている主制御基板1310からの払い出しに関する各種コマンドを、払出制御入力回路954bを介して、そのシリアル入力ポートの入力端子で受信する。
払出制御MPU954aは、主制御基板からの各種コマンドをシリアルデータとして正常受信完了すると、その旨を伝える信号(払主ACK信号)を、その所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き払出制御出力回路954caに出力することにより、リセット機能付き払出制御出力回路954caから主制御基板に信号(払主ACK信号)を出力する。
払出制御MPU954aは、そのシリアル出力ポートの出力端子から、パチンコ遊技機1の状態を示すための各種コマンドをシリアルデータとしてリセット機能なし払出制御出力回路954cbに送信することにより、リセット機能なし払出制御出力回路954cbから主制御基板に各種コマンドをシリアルデータとして送信する。
主制御基板1310は、払出制御基板951からの各種コマンドをシリアルデータとして正常受信完了すると、その旨を伝える信号(主払ACK信号)を払出制御基板951に出力する。この信号(主払ACK信号)は、払出制御入力回路954bを介して払出制御MPU954aの所定の入力ポートの入力端子に入力される。
払出制御MPU954aは、その所定の出力ポートの出力端子から、払出装置830の払出モータ834を駆動するための駆動信号をリセット機能付き払出制御出力回路954caに出力することにより、リセット機能付き払出制御出力回路954caから駆動信号を払出モータ駆動回路954dに出力し、払出モータ駆動回路954dから駆動信号を払出モータ834に出力する一方、その所定の出力ポートの出力端子から、パチンコ遊技機1の状態をエラーLED表示器953に表示するための駆動信号をリセット機能付き払出制御出力回路954caに出力することにより、リセット機能付き払出制御出力回路954caから駆動信号をエラーLED表示器953に出力する。
エラーLED表示器953は、セグメント表示器であり、英数字や図形等を表示してパチンコ遊技機1の状態を表示している。エラーLED表示器953が表示して報知する内容としては、次のようなものがある。
例えば、図形「−」が表示されているときには「正常」である旨を報知している。数字「0」が表示されているときには「接続異常」である旨(具体的には、主制御基板と払出制御基板951との基板間において電気的な接続に異常が生じている旨)を報知している。
例えば、数字「1」が表示されているときには「球切れ」である旨(具体的には、球切れ検知センサ827からの検出信号に基づいて球誘導ユニット820に形成されている2条の球誘導通路内に遊技球がない旨)を報知している。例えば、数字「2」が表示されているときには「球がみ」である旨(具体的には、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号に基づいて、払出装置830の屈曲通路831b,832bと球送出空間,832kと連通する入り口においてスプロケットと遊技球とがその入り口近傍でかみ合ってスプロケットが回転困難となっている旨)を報知している。
例えば、数字「3」が表示されているときには「計数スイッチエラー」である旨(具体的には、計数スイッチ838からの検出信号に基づいて計数スイッチ838に不具合が生じている旨)を報知している。例えば、数字「5」が表示されているときには「リトライエラー」である旨(具体的には、払い出し動作のリトライ回数があらかじめ設定された上限値に達した旨)を報知している。
例えば、数字「6」が表示されているときには「満タン」である旨(具体的には、図示しない満タンスイッチからの検出信号に基づいて扉枠3の満タン球受口274へ誘導する下部満タン球経路ユニット860に形成されている満タン誘導路内が遊技球で満タンである旨)を報知している。例えば、数字「7」が表示されているときには「CR未接続」である旨(払出制御基板951からパチンコ遊技機1に隣接して遊技ホールのパチンコ島設備に設置される図示しないCRユニットまでに亘るいずれかにおいて電気的な接続が切断されている旨)を報知している。例えば、数字「9」が表示されているときには「ストック中」である旨(具体的には、まだ払い出していない遊技球の球数があらかじめ定めた球数に達している旨)を報知している。
払出制御MPU954aは、その所定の出力ポートの出力端子から、実際に払い出した遊技球の球数等をリセット機能付き払出制御出力回路954caに出力することにより、リセット機能付き払出制御出力回路954caから抵抗(図示せず)を介して遊技ホールに設置されるホールコンピュータと電気的に接続されている外部端子板784に、実際に払い出した遊技球の球数等を出力する。
払出制御基板951は、主制御基板からの遊技に関する各種情報(遊技情報)を図示しない抵抗を介して遊技ホールに設置されるホールコンピュータと電気的に接続されている外部端子板784に出力している。この外部端子板784には、例えば赤外LEDとフォトICとを内蔵する複数のフォトカプラ(図示せず)が設けられている。
この外部端子板784は、これらの複数のフォトカプラを介して、遊技ホールに設置されたホールコンピュータに遊技球の球数等及び各種情報(遊技情報)をそれぞれ伝えるようになっている。外部端子板784とホールコンピュータとは、複数のフォトカプラにより電気的に絶縁された状態となっており、パチンコ遊技機1の外部端子板を経由してホールコンピュータへ異常な電圧が印加されてホールコンピュータが誤動作したり故障しないように構成されている。
これら外部端子板784とホールコンピュータとは、ホールコンピュータからパチンコ遊技機1の外部端子板を経由して主制御基板1310や払出制御基板951に異常な電圧が印加されることにより誤動作したり故障しないように構成されている。ホールコンピュータは、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数等やパチンコ遊技機1の遊技情報を把握することにより遊技者の遊技を監視している。
貸球操作ユニット(皿ユニット320)の球貸ボタン328からの遊技球の球貸要求信号、及び返却ボタン329からのプリペイドカードの返却要求信号は、パチンコ遊技機1に隣接して遊技ホールのパチンコ島設備に設置される図示しないCRユニットに入力される。
CRユニットは、球貸要求信号に従って貸し出す遊技球の球数を指定した信号を、払出制御基板951にシリアル方式で送信し、この信号がCRユニット入出力回路954eを介して払出制御MPU954aの所定の入力ポートの入力端子に入力される。CRユニットは、貸し出した遊技球の球数に応じて挿入されたプリペイドカードの残度を更新するとともに、その残度を貸球操作ユニットの表示部に表示するための信号を出力し、この信号が表示部に入力される。表示部の近傍に配置される図示しないCRユニットランプは、CRユニットからの供給電圧が供給されることにより発光する。
なお、払出制御基板951や主制御基板1310等に各種電圧を供給する電源基板931は、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板951と主制御基板1310とに電力を供給するためのバックアップ電源としての図示しないキャパシタをそれぞれ備えている。この払出制御基板951用のキャパシタにより払出制御MPU954aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を払出制御内蔵RAMに記憶する。
主制御基板用のキャパシタにより主制御基板1310に実装されるマイクロプロセッサ(以下、「主制御MPU」という)は、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を主制御MPUに内蔵されるRAM(以下、「主制御内蔵RAM」という)に記憶することができる。払出制御内蔵RAMに記憶される各種情報は、電源投入時からあらかじめ定めた期間内に操作スイッチ952が操作されると、その操作信号が払出制御入力回路954bを介して、払出制御MPU954aの所定の入力ポートの入力端子に入力され、払出制御MPU954aは払出制御内蔵RAMに記憶された情報を完全に消去するためのRAMクリア信号として判断し、これを契機として、払出制御MPU954aによって払出制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)される。
この操作信号(RAMクリア信号)は、リセット機能なし払出制御出力回路954cbに出力され、リセット機能なし払出制御出力回路954cbから主制御基板に出力される。電源投入時からあらかじめ定めた期間内に操作スイッチ952が操作されることによってこれに対応した操作信号が払出制御基板951を介して主出制御MPUの所定の入力ポートの入力端子に入力されると、主制御MPUは、主制御内蔵RAMに記憶された情報を完全に消去するためのRAMクリア信号として判断し、これを契機として、主制御MPUによって主制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)される。
[7−2−2.払出制御基板へ供給される各種電源]
次に、払出制御基板951へ供給される各種電源について説明する。各種基板のグランド(GND)や各種端子板のグランド(GND)は、電源基板931のグランド(GND)と電気的に接続されており、同一グランド(GND)となっている。
電源基板931は、同期整流回路931a、力率改善回路931b、平滑化回路931c及び電源作成回路931dを備えている。パチンコ島設備から供給されている主電源電圧は、例えばAC24Vであり、同期整流回路931aに供給されている。この同期整流回路931aは、パチンコ島設備から供給される電力を整流して力率改善回路931bに供給している。この力率改善回路931bは、整流された電力の力率を改善して直流+37V(DC+37V、以下、「+37V」という)を作成して平滑化回路931cに供給している。この平滑化回路931cは、供給される+37Vのリップルを除去するとともに+37Vを平滑化させて電源作成回路931dに供給している。
電源作成回路931dは、平滑化回路931cから供給される+37Vから直流+5V(DC+5V、以下、「+5V」という)、直流+12V(DC+12V、以下、「+12V」という)、及び直流+24V(DC+24V、以下、「+24V」という)をそれぞれ作成している。
電源基板931の電源作成回路931dで作成された+5V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧は、払出制御基板951に供給され、これら3種類の電圧のうち、+12V及び+24Vという2種類の電圧は、払出制御基板951を介して遊技盤5に設けられた主制御基板に供給されている。さらに、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+5V、+12V、及び+24Vという3種類の電圧は、遊技盤5に設けられた周辺制御基板1510、扉枠3側に設けられた各種基板等にそれぞれ供給されている。
払出制御基板951に供給される+5Vは、まず払出制御フィルタ回路に供給され、ノイズが除去されている。ノイズが除去された+5Vは、払出制御基板951に設けられた図示しないダイオードを介して、電源基板931に設けられた図示しない払出制御基板951用のキャパシタに供給される他に、払出制御MPU954a、払出モータ駆動回路954d等にも供給されている。払出制御基板951に供給される+12Vは、払出制御入力回路954bに供給される他に、払出モータ駆動回路954d等にも供給されるとともに、払出制御基板951を介して、遊技盤5に設けられた主制御基板に供給されている。
遊技盤5に設けられた主制御基板は、図示しない+5V作成回路を備えており、この+5V作成回路では、払出制御基板951を介して供給される+12から+5Vの電源を作成して図示しない主制御フィルタ回路に供給する。この主制御フィルタ回路では、+5V作成回路で作成した+5Vからノイズを除去している。ノイズが除去された+5Vは、主制御基板に設けられた図示しないダイオードを介して、電源基板931に設けられた図示しない主制御基板用のキャパシタに供給される他に、主制御MPU等に供給されている。
このように本実施形態では、払出制御基板951と、遊技盤5に設けられた主制御基板と、においては、それぞれ+5Vという電源が供給されているものの、払出制御基板951では、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+5Vが払出制御フィルタ回路を介して払出制御MPU954aや払出モータ駆動回路954d等に供給されているのに対して、遊技盤5に設けられた主制御基板では、図示しない+5V作成回路において、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+12Vから+5Vという電源を作成し、遊技盤5に設けられた主制御基板において作成した+5Vが主制御フィルタ回路を介して主制御MPUに供給されるという電源システムとなっている。
[7−2−3.払出モータ駆動回路]
次に、払出装置830の払出モータ834に駆動信号を出力するための払出モータ駆動回路954dについて説明する。払出モータ駆動回路954dは、電圧切替回路954da、ドライブICPIC60を主として構成されている。電圧切替回路954daの電源入力端子1,2は、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+12Vの直流電源が供給される+12V電源ラインと、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+5Vの直流電源が払出制御フィルタ回路を介して供給される+5V電源ラインと、がそれぞれ電気的に接続され、+12Vと+5Vとがそれぞれ印加されている。電圧切替回路954daの接地端子は、グランド(GND)と接地されている。
電圧切替回路954daの電源切替入力端子は、電圧切替信号が入力される。この電圧切替信号は、払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き払出制御出力回路954caに出力され、リセット機能付き払出制御出力回路954caから電圧切替回路954daの電源切替入力端子に出力される。
電圧切替回路954daの電源出力端子は、ツェナーダイオードPZD60を介して、ドライブICPIC60のカソード端子である3番端子及び10番端子とそれぞれ電気的に接続されているとともに、払出モータ834の電源端子と電気的に接続され、電圧切替回路954daの電圧切替入端子に入力される電圧切替信号に基づいて、+12V又は+5Vを、モータ駆動電圧として、ツェナーダイオードPZD60を介して、ドライブICPIC60のカソード端子である3番端子及び10番端子にそれぞれ供給するとともに、払出モータ834に供給する。なお、+12Vをモータ駆動電圧として払出モータ834に供給する場合と、+5Vをモータ駆動電圧として払出モータ834に供給する場合と、を切り替える制御を行う点についての詳細な説明を後述する。
ドライブICPIC60は、4つのダーリントンパワートランジスタを備えており、本実施形態では、ドライブICPIC60のエミッタ端子である6番端子及び7番端子は、それぞれグランド(GND)と接地され、ドライブICPIC60のベース端子である1番端子、5番端子、8番端子、そして12番端子は、払出モータ駆動信号が抵抗PR60〜PR63を介してそれぞれ入力される。
ドライブICPIC60のコレクタ端子である2番端子、4番端子、9番端子、11番端子は、それぞれ、ドライブICPIC60のベース端子である1番端子、5番端子、8番端子、12番端子と対応している。ドライブICPIC60のベース端子である1番端子、5番端子、8番端子、12番端子に払出モータ駆動信号が抵抗PR60〜PR63を介してそれぞれ入力されると、それぞれ、励磁信号である駆動パルスを払出モータ834と対応する各相(/B相、B相、A相、/A相)に出力する。
この払出モータ駆動信号は、払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子からリセット機能付き払出制御出力回路954caに出力されており、リセット機能付き払出制御出力回路954caから抵抗PR60〜PR63を介してドライブICPIC60のベース端子である1番端子、5番端子、8番端子、12番端子にそれぞれ出力される。これらの駆動パルスは、払出モータ834の各相(/B相、B相、A相、/A相)に流す励磁電流のスイッチングにより行われ、払出モータ834を回転させる。
なお、このスイッチングにより各相(/B相、B相、A相、/A相)の駆動パルス(励磁信号)を遮断したときには逆起電力が発生する。この逆起電力がドライブICPIC60の耐圧を超えると、ドライブICPIC60が破損するため、保護として、ドライブICPIC60のカソード端子である3番端子及び10番端子の前段に上述したツェナーダイオードPZD60を電気的に接続する回路構成を採用した。
[7−2−4.払出モータの励磁方式]
次に、払出装置830の払出モータ834の励磁方式について説明する。本実施形態では、上述したように、払出モータ834として、遊技盤5の各種可動体を作動させるために設けられる小型のステッピングモータと同一のものを用いている。
このような払出モータ834においては、小型のステッピングモータのコイルを1相ずつ励磁する1相励磁方式による制御を行うと、発生するトルクが極めて小さくなる。そこで、本実施形態においては、払出モータ834に駆動トルクと静止トルクとを発生させる際に、払出モータ834のコイルを2相ずつ励磁する2相励磁方式による制御を採用している。この2相励磁方式では、払出モータ834のコイルを2相ずつ励磁するため、払出モータ834のコイルを1相ずつ励磁する1相励磁方式と比べると、約2倍のトルクを得ることができる。このように本実施形態においては、払出モータ834の制御を2相励磁方式により行うことによって、駆動トルクと静止トルクとを大きくすることに寄与することができる。
[7−2−5.払出モータへの駆動電圧の切替回路]
次に、払出装置830の払出モータ834のモータ駆動電圧の切替回路について説明する。本実施形態では、上述したように、払出モータ834として、遊技盤5の各種可動体を作動させるために設けられる小型のステッピングモータと同一のものを用いている。このような払出モータ834では、無励磁状態において、つまり払出モータ834の各相に電圧が全く印加されていない状態においては、極めて小さいトルクで出力軸を回転させることができる。
上述したように払出モータ834の出力軸には、賞球モータギアが固着されており、出力軸に固着される賞球モータギアが回転することにより、この回転が賞球中間ギア841、そして検出円盤842の賞球スプロケットギア844を介してスプロケットを回転するように伝達される。つまり、払出モータ834が無励磁状態においては、払出モータ834の各相に電圧が印加されず電流が流れない状態となると、極めて小さいトルクで出力軸を回転させることができる状態となる。
このため、例えば、賞球表箱に形成されている屈曲通路831bを通る複数の遊技球の自重がスプロケットの凹部に付加されることにより、この付加がスプロケットを回転させる方向へ働いてトルクを発生させ、このトルクによって払出モータ834の出力軸が回転する。これを防止するために、払出モータ834の出力軸を回転させていない状態においても、払出モータ834の静止トルクを得るために、払出モータ834の各相に電圧を印加して電流を流しておく。
払出モータ834の静止トルクを得る場合には、あらかじめ定めた相(例えば、B相とA相)に対して、常にモータ駆動電圧を印加して電流を流した状態を維持する必要がある。払出モータ834の出力軸を回転させていないにもかかわらず、換言すると、遊技者に賞球として遊技球を払い出す動作を行っていない状態であるにもかかわらず、払出モータ834の出力軸を回転させているときと同様に電力を消費することとなる。
[7−2−6.電源投入時と電源断時とにおける払出モータへの駆動電圧]
次に、電源投入時と電源断時とにおける払出モータ834への駆動電圧について説明する。払出制御基板951の払出制御MPU954aは、上述したように、払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する制御を行う一方、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に供給する制御を行うようになっている。
払出制御MPU954aは、パチンコ遊技機1の電源投入時に払出制御プログラムである電源投入時処理を行う。なお、本実施の形態では、このような電源投入時の概念には、例えば、パチンコ遊技機1に電源を投入する場合の他に、パチンコ遊技機1への電源が停電により遮断された後に電力が回復したり、パチンコ遊技機1への電源が瞬間的に発生した停電により遮断された後に電力が回復したりする復電も含んでいる。
この電源投入時処理が開始されると、払出制御MPU954aは、まずモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に供給するために、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路954daに出力し、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを発生させる制御を行う。
これは、パチンコ遊技機1の電源投入時において、モータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に強制的に供給せずに、モータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する状態においては、払出モータ834により消費される電力が極めて大きくなるためである。
つまり、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+12Vの直流電源が供給される遊技盤5に設けられた主制御基板では、この+12Vから主制御MPUの作動制御電圧となる電圧+5Vを+5V作成回路で発生しているため、パチンコ遊技機1の電源投入時において、モータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する状態においては、払出モータ834により消費される電力が極めて大きくなることで+12Vの電圧レベルが上昇することが困難となる。これに伴い、遊技盤5に設けられた主制御基板では、この+12Vから主制御MPUの作動制御電圧となる+5Vを+5V作成回路で作成することが困難となって主制御MPUが動作開始することができなくなることを防止することができる。
パチンコ遊技機1の電源投入時においては、電圧が不安定となっている場合があるため、モータ駆動電圧として低い電圧が設定されている+5Vを払出モータ834に供給することにより、電源投入時において仮に+5Vが不安定となっても、払出モータ834に印加できる最大許容電圧を超えることがないように構成されている。つまり、電源投入時による不安定な電源による払出モータ834の故障を防止することができる。
続いて、払出制御MPU954aは、ドライブICPIC60への初期設定処理を行う。このドライブICPIC60への初期設定処理では、ドライブICPIC60の初期値を設定する。この初期値としては、払出モータ834の静止トルクを得るために、あらかじめ定めた相(例えば、B相とA相)に対して、モータ駆動電圧を印加するための払出モータ駆動信号を出力する情報を払出制御MPU954aに内蔵される出力ポートの内部レジスタにセットする。
続いて、払出制御MPU954aは、電源投入後に電源が安定状態となるまであらかじめ定めた時間が経過するまで待機するというウェイトタイマ処理を行った後に、スプロケットの定位置設定処理を行う。このスプロケットの定位置設定処理では、スプロケットが上述した定位置に位置しているか否かを判定する。
具体的には、払出制御MPU954aは、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号に基づいて、検出切欠を検出していない状態であるときには、スプロケットが上述した定位置に位置している状態にないと判定し、モータ駆動電圧として+5Vから+12Vへ切り替えるために、電圧切替信号の論理(例えば、LOWからHI)を設定して電圧切替回路954daに出力する。
払出制御MPU954aは、払出モータ834の出力軸を回転させるために払出モータ駆動信号を出力する情報を払出制御MPU954aに内蔵される出力ポートの内部レジスタにセットする。この出力ポートから出力される払出モータ駆動信号に従って払出モータ834の出力軸が回転する。
払出制御MPU954aは、検出切欠842bを検出すると、払出モータ834の出力軸をあらかじめ定めた回転角度だけ回転させた後に、払出モータ834の出力軸を停止させるために払出モータ駆動信号を出力する情報を払出制御MPU954aに内蔵される出力ポートの内部レジスタにセットする。この出力ポートから出力される払出モータ駆動信号に従って払出モータ834の出力軸が停止する。
払出制御MPU954aは、モータ駆動電圧として+12Vから+5Vへ切り替えるために、電圧切替信号の論理(例えば、HIからLOW)を設定して電圧切替回路954daに出力することにより、スプロケットを定位置で待機する状態を維持する。
払出制御MPU954aは、2msごとに払出制御メイン処理(遊技盤5に設けられた主制御基板からのコマンドを受信して解析する処理、遊技球の払い出しに関する主要動作を設定する処理、エラーLED表示器953への表示データを作成する処理など)を繰り返し行う。
なお、払出制御MPU954aは、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号に基づいて、検出切欠842bを検出している状態であるときには、スプロケットが上述した定位置に位置している状態にあると判定し、このスプロケットの定位置設定処理をそのまま終了して、2msごとに払出制御メイン処理を繰り返し行う。
パチンコ遊技機1の電源断時において、払出制御MPU954aは、2msごとに繰り返し行われる払出制御メイン処理から払出制御電源断時処理へ移行する。なお、本実施の形態において「電源断時」の概念には、パチンコ遊技機1への電源を遮断する場合の他に、停電や瞬停により電源が遮断される場合も含まれている。上記払出制御電源断時処理では、払い出しに関する各種情報をバックアップ情報として払出制御内蔵RAMに格納するとともに、モータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に強制的に供給するために、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路954daに出力し、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを発生させる制御を行う。
+5Vの電圧は、上述したように、電圧切替回路954daの他に、払出制御MPU954aにも供給されているため、パチンコ遊技機1の電源断時において、払出モータ834という駆動系と、払出制御MPU954aという制御系と、が同時にダウンするという仕組みとしている。
これは、パチンコ遊技機1の電源断時において、モータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に強制的に供給せずに、モータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する状態においては、払出モータ834により消費される電力が極めて大きくなるためである。
つまり、電源基板931の電源作成回路931dで作成された+12Vの直流電源が供給される遊技盤5に設けられた主制御基板1310では、この+12Vから主制御MPUの作動制御電圧となる+5Vを+5V作成回路で作成しているため、パチンコ遊技機1の電源断時において、モータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する状態においては、払出モータ834により消費される電力が極めて大きくなることで+12Vの電圧レベルが急激に低下する。
これに伴い、主制御MPUが主制御プログラムが、主制御電源断時処理を行って主制御内蔵RAMに遊技に関する各種情報を格納完了する前に、作動制御電圧レベルも急激に低下して主制御MPUが動作不能となることを防止することができるという仕組みとなっている。
このように本実施形態では、パチンコ遊技機1の電源断時において、払出制御基板951の払出制御MPU954aがモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834へ強制的に供給するために電圧切替回路954daへ電圧切替信号の論理(例えば、LOW)を出力することにより、払出制御基板951の払出制御MPU954aという制御系と、払出モータ834という駆動系と、に対して、パチンコ遊技機1の電源断時において同一の+5Vが供給されることにより(つまり、払出制御基板951の払出制御MPU954aという制御系に対しては、作動制御電圧である+5Vが供給されるとともに、払出モータ834という駆動系に対してはモータ駆動電圧として+5Vが供給されることにより)、払出制御基板951の払出制御MPU954aという制御系が作動停止する時期と、払出モータ834という駆動系が作動停止する時期と、を一致させることができる。これにより、払出制御基板951の払出制御MPU954aが払出モータ834の出力軸の回転位置を把握した状態でパチンコ遊技機1の電源が遮断された状態とすることができる。
つまり、パチンコ遊技機1への電源が遮断される直前まで、払出モータ834を払出制御基板951の払出制御MPU954aの制御下とすることができるのである。したがって、パチンコ遊技機1の電源断時による影響を受けて払出モータ834の出力軸が回転することを防止することに寄与することができる。
[7−2−7.払出モータへの駆動電圧の切替タイミング]
次に、払出装置830の払出モータ834のモータ駆動電圧の切替タイミングについて説明する。払出制御基板951の払出制御MPU954aは、上述したように、払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する制御を行う一方、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に供給する制御を行うようになっている。
払出モータ834の出力軸が回転すると、上述したように、出力軸に固着される賞球モータギアが回転することにより、この回転が賞球中間ギア841、そして検出円盤842の賞球スプロケットギア844を介してスプロケットを回転するように伝達される。
スプロケットの外周部には、上述したように、賞球表箱に形成されている球送出空間において、遊技球が嵌り合う3つの凹部が120度ごとに等分されて形成されるとともに、賞球裏箱832に形成されている球送出空間において、遊技球が嵌り合う3つの凹部837bが120度ごとに等分されて形成され、賞球表箱に形成されている球送出空間に配置されるスプロケットの3つの凹部と、賞球裏箱832に形成されている球送出空間に配置されるスプロケットの3つの凹部837bと、は相互に60度ずつズレて配置されている。スプロケットが1回転するごとに、それぞれ3つの凹部,837bで受け入れた遊技球を最大で6球の遊技球を下流側へ送り出すことができる。
賞球表箱に形成されている球送出空間に配置されるスプロケットの3つの凹部で受け入れた遊技球は、賞球通路831cへ送り出されて、上述したように、計数スイッチ838により検出される。賞球裏箱832に形成されている球送出空間に配置されるスプロケットの3つの凹部837bで受け入れた遊技球は、賞球通路832cへ送り出されて、上述したように、計数スイッチ838により検出される。
払出制御MPU954aは、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する制御を行うことにより払出モータ834の出力軸を回転駆動してスプロケットを回転させて遊技球を払い出している場合であって、払出モータ834の出力軸を停止させるときには、払出モータ834の出力軸を回転駆動してスプロケットの凹部、837bにおいて受け入れた遊技球を賞球通路831c,832cへ最後に送り出す。その後、払出制御MPU954aは、この最後に送り出した遊技球が賞球通路831c,832cを通って計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間(あらかじめ設定された時間であって、例えば、数百ミリ秒に設定されている。)が経過するまで払出モータ834の出力軸を回転駆動し続ける。
払出制御MPU954aは、この時間が経過すると、払出モータ834の出力軸の回転駆動を停止して払出モータ834の出力軸を停止させ、これを契機として、電圧切替信号の論理を切り替えるために(例えば、HIからLOWへ切り替えるために)、この電圧切替信号の論理(例えば、LOW)を設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vの電圧を払出モータ834に供給する制御を行うことにより、払出モータ834に静止トルクを発生させて払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持している。
具体的には、例えば、遊技者がハンドルレバー504を回転操作すると、球発射装置680によってハンドルレバー504の回転角度に応じた強さで遊技球が遊技盤5の遊技領域5a内へ打込まれる。遊技領域5a内に打込まれた遊技球が、図示しない入賞口に受入れられると、受入れられた入賞口に応じて、所定数の遊技球が払出装置830によって上皿201に払出される。
入賞口として始動入賞口に遊技球が受入れられると、賞球として遊技球を3球だけ払出装置830によって上皿201に払出すためのコマンド(賞球コマンド)が遊技盤5に設けられた遊技の進行を制御する図示しない主制御基板から払出制御基板951へ送信される。
払出制御基板951の払出制御MPU954aは、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する制御を行うことにより払出モータ834の出力軸を回転駆動してスプロケットを回転させて、1球目の遊技球、2球目の遊技球、そして最後に3球目の遊技球を1球ずつスプロケットの凹部,837bにおいて受け入れた遊技球を賞球通路831c,832cへ送り出す。その後、払出制御MPU954aは、この最後に送り出した3番目の遊技球が賞球通路831c,832cを通って計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間(あらかじめ設定された時間であって、例えば、数百ミリ秒に設定されている。)が経過するまで払出モータ834の出力軸を回転駆動し続ける。
払出制御MPU954aは、この時間が経過すると、払出モータ834の出力軸の回転駆動を停止して払出モータ834の出力軸を停止させ、これを契機として、電圧切替信号の論理を切り替えるために(例えば、HIからLOWへ切り替えるために)、この電圧切替信号の論理(例えば、LOW)を設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に供給する制御を行う。これにより、払出モータ834に静止トルクを発生させて払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持している。
払出制御基板951の払出制御MPU954aは、上述したように、スプロケットの回転位置を定位置に停止させる場合には、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号に基づいて、検出切欠842bを検出すると、払出モータ834の出力軸をあらかじめ定めた回転角度だけ回転させた後に、駆動停止した状態を維持することによりスプロケットを定位置で待機する状態を維持する。
つまり、払出制御MPU954aは、スプロケットの回転位置を定位置に停止させる場合には、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号に基づいて、検出切欠842bを検出すると、払出モータ834の出力軸をあらかじめ定めた回転角度だけ回転させているが、この「あらかじめ定めた回転角度」とは、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する制御を行うことにより払出モータ834の出力軸を回転駆動してスプロケットを回転させて遊技球を払い出している場合であって、払出モータ834の出力軸を停止させる際に、払出モータ834の出力軸を回転駆動してスプロケットの凹部,837bにおいて受け入れた遊技球を賞球通路831c,832cへ最後に送り出す。その後、払出制御MPU954aは、この最後に送り出した遊技球が賞球通路831c,832cを通って計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間(あらかじめ設定された時間であって、例えば、数百ミリ秒に設定されている。)が経過するまで払出モータ834の出力軸を回転駆動し続け、この時間が経過すると、払出モータ834の出力軸の回転駆動を停止して払出モータ834の出力軸を停止させる。
払出制御基板951は、+5Vの停止用電圧が作動制御電圧として供給されることで作動することができる。払出制御基板951は、払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には+12Vの駆動用電圧を払出モータ834へ供給するために電圧切替回路954daへ制御信号である電圧切替信号を出力する。一方、払出制御基板951は、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には+5Vの停止用電圧を払出モータ834へ供給するために電圧切替回路954daへ制御信号である電圧切替信号を出力する。払出制御基板951は、電源断時において、+5Vの停止用電圧を払出モータ834へ強制的に供給するために、電圧切替回路954daに制御信号を出力する。
具体的には、払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、払出制御基板951の払出制御MPU954aが電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する制御を行う。
一方、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、払出制御基板951の払出制御MPU954aが電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に供給する制御を行うようになっている。
払出制御基板951の払出制御MPU954aは、電源断時(パチンコ遊技機1への電源を遮断する場合の他に、停電や瞬停により電源が遮断される場合も含む。)において、モータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に強制的に供給するために、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路954daに出力し、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを発生させる制御を行う構成となっている。
このように、電圧切替回路954daに入力される制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)に基づいて、+12Vの駆動用電圧を払出モータ834へ供給することによって払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得ることができるとともに、+5Vの停止用電圧を払出モータ834へ供給することによって払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得ることができる。
払出制御基板951は、払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には+12Vの駆動用電圧を出力する一方、払出モータ834へ供給するために電圧切替回路954daへ制御信号である電圧切替信号を出力する。併せて、払出制御基板951は、払出モータ834のコイルを2相ずつ励磁する2相励磁方式による制御を行う。一方、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には+5Vの停止用電圧を払出モータ834へ供給するために、電圧切替回路954daへの制御信号である電圧切替信号が出力されるとともに、払出制御基板951は、払出モータ834のコイルを2相ずつ励磁する2相励磁方式により制御を行うようになっている。
具体的には、払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合、払出制御MPU954aは、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する制御を行う。併せて、払出制御MPU954aは、払出モータ834のコイルを2相ずつ励磁する2相励磁方式による制御を行う。
一方、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合、払出制御MPU954aは、電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に供給する制御を行うとともに、払出モータ834のコイルを2相ずつ励磁する2相励磁方式による制御を行うようになっている。
このように、電圧切替回路954daに入力される制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)に基づいて、駆動用電圧として+12Vを払出モータ834へ供給することによって払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得ることができるとともに、+5Vの停止用電圧を払出モータ834へ供給することによって払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得ることができる。
+12Vの駆動用電圧を払出モータ834へ供給することによって払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合や、+5Vの停止用電圧を払出モータ834へ供給することによって払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合においても、払出モータ834のコイルを2相ずつ励磁するという2相励磁方式により払出モータ834の制御を行うことにより、例えば、払出モータ834のコイルを1相ずつ励磁するという1相励磁方式と比べると、払出モータ834が発生させるトルクを大きくすることができるため、駆動トルクと静止トルクとを大きくすることができる。
これにより、2相励磁方式により払出モータ834の制御を行うことにより駆動トルクを大きくすることに寄与することができるため、例えば、賞球表箱に形成されている屈曲通路を通る複数の遊技球の自重がスプロケットに形成されている凹部に付勢されることにより、この負荷が、スプロケットが払出モータ834の出力軸によって回転駆動される回転方向と反対となる回転方向へ働いても、これにより発生するトルクに払出モータ834の駆動トルクが勝る。このため、払出モータの出力軸の回転をスプロケットへ伝達させてスプロケットをスムーズに回転させることができる。
2相励磁方式により払出モータ834の制御を行うことにより静止トルクを大きくすることに寄与することができるため、例えば、賞球表箱に形成されている屈曲通路を通る複数の遊技球の自重がスプロケットに形成されている凹部に付勢されることにより、この負荷がスプロケットを回転させる方向へ働いても、これにより発生するトルクに払出モータ834の静止トルクが勝る。このため、払出モータの出力軸を停止させた状態を維持することができ、スプロケットを停止させた状態を維持することができる。
したがって、払出モータ834として小型のステッピングモータを採用することができる。払出モータ834として遊技盤5に設けられた可動体を作動させる小型のステッピングモータと同一種類のものを採用することにより遊技機のコストを抑えることに寄与することもできる。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技球を払い出す払出モータ834の出力軸の回転による払出制御を行う払出制御基板ボックス950に収容された払出制御基板951を備えている。このパチンコ遊技機1では、さらに、計数スイッチ838と、払出モータ駆動回路954dにおける電圧切替回路954daと、を備えている。
計数スイッチ838は、払出モータ834の出力軸が回転されて払い出された遊技球を検出することができるものである。電圧切替回路954daは、払出モータ834の出力軸を回転駆動するための+12Vの駆動用電圧と、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための電圧であって駆動用電圧と比べて電圧が低い+5Vの停止用電圧と、を相互に切り替えることができるものである。
払出制御基板951は、払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には+12Vの駆動用電圧を払出モータ834へ供給するために電圧切替回路954daへ制御信号である電圧切替信号を出力する一方、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には+5Vの停止用電圧を払出モータ834へ供給するために電圧切替回路954daへ制御信号である電圧切替信号を出力する。
具体的には、払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、払出制御MPU954aが電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する制御を行う一方、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、払出制御MPU954aが電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に供給する制御を行うようになっている。
払出制御基板951は、電圧切替回路954daへ制御信号を出力して+12Vの駆動用電圧を払出モータ834へ供給して払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出している場合であって、払出モータ834の出力軸を停止させるときには、払出モータ834の出力軸を回転駆動して最後に払い出した遊技球が計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間が経過するまで払出モータ834の出力軸を回転駆動し続け、この時間が経過すると、これを契機として、電圧切替回路954daへ制御信号を出力して+12Vの駆動用電圧から+5Vの停止用電圧へ切り替えて払出モータ834へ供給する。
具体的には、払出制御MPU954aは、電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路954daに出力することで+12Vのモータ駆動電圧を払出モータ834に供給することにより払出モータ834の出力軸を回転駆動してスプロケットを回転させて遊技球を払い出している場合であって払出モータ834の出力軸を停止させるときには、払出モータ834の出力軸を回転駆動してスプロケットの凹部において受け入れた遊技球を賞球通路831c,832cへ最後に送り出す。その後、払出制御MPU954aは、この最後に送り出した遊技球が賞球通路831c,832cを通って計数スイッチ838により検出されるまでに要する既定の時間が経過するまで払出モータ834の出力軸を回転駆動し続け、この時間が経過すると、払出モータ834の出力軸の回転駆動を停止して払出モータ834の出力軸を停止させる。
払出制御MPU954aは、これを契機として、電圧切替信号の論理を切り替えるために(例えば、HIからLOWへ切り替えるために)、この電圧切替信号の論理(例えば、LOW)を設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に供給する制御を行うことにより、払出モータ834に静止トルクを発生させて払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持している。
このように払出制御MPU954aは、電圧切替回路954daに入力される制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)に基づいて、+12Vの駆動用電圧を払出モータ834へ供給することによって払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得ることができるとともに、+5Vの停止用電圧を払出モータ834へ供給することによって払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得ることができる。
電圧切替回路954daへ制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)を出力して+12Vの駆動用電圧を払出モータ834へ供給して払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出している場合であって、払出モータ834の出力軸を停止させるときには、払出モータ834の出力軸を回転駆動して最後に払い出した遊技球が計数スイッチ838により検出されるまでに要する時間が経過するまで払出モータ834の出力軸を回転駆動し続け、この時間が経過すると、これを契機として、電圧切替回路954daへ制御信号(具体的には、電圧切替信号の論理)を出力して駆動用電圧として+12Vから+5Vの停止用電圧へ切り替えて払出モータ834へ供給する。
払出制御基板951は、払出制御基板ボックス950に収容されている。払出制御基板951は、払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には+12Vの駆動用電圧を払出モータ834へ供給するために電圧切替回路954daへ制御信号である電圧切替信号を出力する一方、払出制御基板951は、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には+5Vの停止用電圧を払出モータ834へ供給するために電圧切替回路954daへ制御信号である電圧切替信号を出力する。
具体的には、払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得る場合には、払出制御MPU954aが電圧切替信号の論理(例えば、HI)に設定して電圧切替回路954daに出力することでモータ駆動電圧として+12Vを払出モータ834に供給する制御を行う一方、払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得る場合には、払出制御MPU954aが電圧切替信号の論理(例えば、LOW)に設定して電圧切替回路に出力することでモータ駆動電圧として+5Vを払出モータ834に供給する制御を行うようになっている。
このように本実施形態によれば、電圧切替回路に入力される制御信号に基づいて、駆動用電圧として+12Vを払出モータ834へ供給することによって払出モータ834の出力軸を回転駆動して遊技球を払い出すための駆動トルクを得ることができるとともに、+5Vの停止用電圧を払出モータ834へ供給することによって払出モータ834の出力軸を停止させた状態を維持するための静止トルクを得ることができる。払出モータ834として遊技盤5に設けられた可動体を作動させる小型のモータと同一種類のものを採用することにより遊技機のコストを抑えることに寄与することもできる。
払出モータ834は、その出力軸の回転が賞球として遊技者に遊技球を払い出すスプロケットに伝達されるようになっており、払出制御基板951により制御される。スプロケットを回転停止させる制御が払出制御基板により行われている状態においては、スプロケットで受け止めた遊技球に後続の遊技球が連なることにより遊技球の自重による負荷がスプロケットに付与された状態が維持されることとなる。
払出装置830は、少なくとも、払出モータ834及びスプロケットを備えている。払出モータ834は、電気的駆動源であり、スプロケットは、払出モータ834の出力軸の回転が伝達されて回転することができるものである。
スプロケットの外周部には、前方に形成されている球通路としての一対の屈曲通路壁によって球通路を構成する屈曲通路を通る遊技球を1球受け入れることができる前凹部が一定個数設けられるとともに、後方に形成されている球通路としての一対の屈曲通路壁によって球通路を構成する屈曲通路を通る遊技球を1球受け入れることができる後凹部が一定個数設けられている。
具体的には、賞球表箱に形成されている球送出空間には、スプロケットが回転自在に配置されている。スプロケットの外周部には、球送出空間において、遊技球が嵌り合う3つの凹部が120度ごとに等分されて形成されている。賞球表箱の後面を覆う賞球裏箱にも球送出空間が形成され、この球送出空間においても、スプロケットが回転自在に配置されている。スプロケットの外周部には、球送出空間において、遊技球が嵌り合う3つの凹部が120度ごとに等分されて形成されている。つまり、賞球表箱に形成されている球送出空間に配置されるスプロケットの3つの凹部は、賞球表箱の後面を覆う賞球裏箱832に形成されている球送出空間に配置されるスプロケットの3つの凹部よりも前側に配置されている。
払出モータ834が払出制御基板951により停止制御された状態においては、スプロケットと前凹部との境界部分である稜線上で、前方に形成されている球通路としての一対の屈曲通路壁によって球通路を構成する屈曲通路を通る遊技球を受け止める状態とすることによってその遊技球の自重がスプロケットに一の回転方向へ付勢される。併せて、スプロケットの外周部と後凹部との境界部分である稜線上で、後方に形成されている球通路としての一対の屈曲通路壁によって球通路を構成する屈曲通路を通る遊技球を受け止める状態とすることによってその遊技球の自重がスプロケットに一の回転方向と反対方向となる他の回転方向へ付勢される。
具体的には、スプロケットが定位置で停止した状態においては、賞球表箱に形成されている球送出空間において、スプロケットの外周部と凹部との境界部分である稜線上で賞球表箱に形成されている屈曲通路を通る遊技球を受け止める状態となるとともに、賞球裏箱に形成されている球送出空間において、スプロケットの外周部と凹部との境界部分である稜線上で賞球裏箱に形成されている屈曲通路を通る遊技球を受け止める状態となるように払出制御基板951により制御されている。
これにより、スプロケットの外周部と凹部との境界部分である稜線上で賞球表箱に形成されている屈曲通路を通る遊技球を受け止める状態とするとともに、賞球裏箱に形成されている球送出空間において、スプロケットの外周部と凹部との境界部分である稜線上で賞球裏箱に形成されている屈曲通路を通る遊技球を受け止める状態とすることにより、スプロケットが定位置に維持されている状態では、賞球表箱に形成されている屈曲通路を通る遊技球の自重がスプロケットの外周部と凹部との境界部分である稜線上に対してスプロケットを、払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向へ負荷を付与することができる状態となる。これに対して、賞球裏箱832に形成されている屈曲通路を通る遊技球の自重がスプロケットの外周部と凹部との境界部分である稜線上に対してスプロケットを、払出装置830を正面側から見て、反時計回りに回転させる方向へ負荷を付与することができる状態となる。
このように、払出モータ834が払出制御基板951により停止制御された状態においては、スプロケットの外周部と前凹部としての凹部との境界部分である稜線上で前方に形成されている球通路としての一対の屈曲通路壁によって球通路を構成する屈曲通路を通る遊技球を受け止める状態とすることによってその遊技球の自重がスプロケットに一の回転方向(払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向)へ付勢される。併せて、スプロケットの外周部と後凹部としての凹部の境界部分である稜線上で後方に形成されている球通路としての一対の屈曲通路壁によって球通路を構成する屈曲通路を通る遊技球を受け止める状態とすることによって、その遊技球の自重がスプロケットに一の回転方向(払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向)と反対方向となる他の回転方向(払出装置830を正面側から見て、反時計回りに回転させる方向)へ付勢される。
これにより、スプロケットは、遊技球の自重によって、一の回転方向(払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向)へ付勢されるとともに、一の回転方向(払出装置830を正面側から見て、時計回りに回転させる方向)と反対方向となる他の回転方向(払出装置830を正面側から見て、反時計回りに回転させる方向)へ付勢されることにより、互いの回転方向への回転がそれぞれ打ち消し合うことができる。
このため、大型のモータが有する静止トルクと比べて極めて小さい静止トルクを有する小型のモータを払出モータ834として採用しても、払出制御基板951により払出モータ834が停止制御された状態において、スプロケットを停止した状態を維持することができる。したがって、払出モータ834として小型のモータを採用することができる。払出モータ834として、遊技盤5に設けられた可動体を作動させる小型のモータと同一種類のものを採用することによりパチンコ遊技機1のコストを抑えることに寄与することもできる。
なお、上述した実施形態では、払出モータ駆動回路に設けられた電圧切替回路とドライブICPICとを払出制御MPU954aが制御することにより、例えば小型のステッピングモータである払出モータ834の駆動トルクや静止トルクを発生させる制御を行っていたが、このような回路及び制御は、遊技盤5の各種可動体を作動させるために設けられる小型のステッピングモータに対しても適用することができる。
[7−3.周辺制御基板]
周辺制御基板1510は、周辺制御部1530、液晶及び音制御部1540及び音量調整ボリューム1510aを備えている。周辺制御部1530は、主制御基板1310からの各種コマンドに基づいて演出制御を行う。
液晶及び音制御部1540はVDP1540aを備える。VDP1540aは、遊技盤側演出表示装置1600及び枠側第二演出表示装置460Aの描画制御を行う一方、一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921から再生されるBGMや効果音等の音制御を行う。
音量調整ボリューム1510aは、回転操作可能なつまみ部を備え、このつまみ部の回転操作に応じて、一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921から出力されるBGMや効果音等の音量を調節する(以下「ホール側音量調整機能」という)。なお、周辺制御部1530と液晶及び音制御部1540とは図示のように別体であってもよいし、一体であってもよい。この場合、周辺制御基板1510の周辺制御MPU1530aが行っていた処理は、液晶及び音制御部1540のVDP1540aが代行したり、その逆とすることもできる。
周辺制御基板1510では、音量調整ボリューム1510aがつまみ部の回転操作によって操作されると、周辺制御MPU1530aが、これに伴って出力された検出信号の履歴情報として音量調整ボリューム1510aの操作履歴情報を作成し、上記周辺制御RAM1530cの操作ユニット情報取得記憶領域に、ホール側音量調整機能に関連付けてセットするようにしてもよい。
すなわち、上記作成された各操作履歴情報は、上記周辺制御RAM1530cの操作ユニット情報取得記憶領域においてホール側音量調整機能に紐付けて、各機能が作動中において音量調整ボリューム1510aが操作されたか否かが書き込まれる。周辺制御MPU1530aは、この操作ユニット情報取得記憶領域にセットされた各種履歴情報に基づいて、例えばホール側音量調整機能が作動中に音量調整ボリューム1510aが操作されたか否か(例えば音量調整操作があったか否か)について事後的に把握することができる。
上述のように周辺制御基板1510が音量調整ボリューム1510aを備えていると、ホール店員が意図的に基板ボリューム0〜6に設定した音量となるように図示しないアンプへの通電を制御してスピーカの出力態様を所望の態様に変えることができる。
その一方、周辺制御基板1510には、遊技者側音量調整機能が搭載されている。この遊技者側音量調整機能としては、まず、遊技者によって操作可能な操作部(例えば操作ボタン410)の操作信号を受け取った周辺制御基板1510の周辺制御MPU1530aが、当該操作内容に応じてスピーカのボリュームを変更し、このスピーカの音量を当該変更後のボリュームに設定する機能を例示することができる。
さらに、遊技者側表示光量調整機能としては、遊技者によって操作可能な操作ボタン410の操作信号を受け取った周辺制御基板1510の周辺制御MPU1530aが、当該操作内容に応じて遊技盤側演出表示装置1600(或いは扉枠側演出表示装置460)の光量を変更し、この遊技盤側演出表示装置1600(或いは扉枠側演出表示装置460)の光量を当該変更後の光量とすることを挙げることができる。
その他にも、遊技者側発光体光量調整機能としては、遊技者によって操作可能な操作ボタン410の操作信号を受け取った周辺制御基板1510の周辺制御MPU1530aが、当該操作内容に応じてLED群(或いはランプ群)の光量を変更し、この遊技盤側演出表示装置1600(或いは扉枠側演出表示装置460)の光量を当該変更後の光量とする。
以上のような遊技者側音量調整機能、遊技者側表示光量調整機能又は遊技者側発光体光量調整機能によれば、遊技者は意図して設定した所望の環境下において遊技を継続することができるようになる。
[7−3−1.周辺制御部]
周辺制御部1530は、周辺制御MPU1530a、周辺制御ROM1530b、周辺制御RAM1530c、周辺制御SRAM1530d、及び、周辺制御外部ウォッチドックタイマ1530eを備えている。周辺制御MPU1530aは、マイクロプロセッサの一種である。周辺制御ROM1530bは、電源投入時に実行される電源投入時処理を制御するとともに電源投入時から所定時間が経過した後に実行されるとともに演出動作を制御するサブ制御プログラムなどの各種制御プログラム、各種データ、各種制御データ及び各種スケジューラーデータを記憶する。
周辺制御RAM1530cは、後述する液晶及び音制御部1540のVDP1540aからのVブランク信号が入力されるごとに実行される周辺制御部定常処理をまたいで継承される各種情報(例えば、遊技盤側演出表示装置1600に描画する画面を規定するスケジューラーデータや各種LED等の発光態様を規定するスケジューラーデータなどを管理するための情報など)を記憶する。
周辺制御SRAM1530dは、日をまたいで継続される各種情報(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴を管理するための情報や特別な演出フラグの管理するための情報など)を記憶する。周辺制御外部ウォッチドックタイマ1530eは、周辺制御MPU1530aが正常に動作しているか否かを監視する(以下、「周辺制御外部WDT1530e」という)。
周辺制御RAM1530cは、瞬停が発生して電力がすぐ復帰する程度の時間しか記憶された内容を保持することができず、電力が長時間遮断された状態(長時間の電断が発生した場合)ではその内容を失うのに対して、周辺制御SRAM1530dは、電源基板に設けられた図示しない大容量の電解コンデンサ(以下、「SRAM用電解コンデンサ」という)によりバックアップ電源が供給されることにより、記憶された内容を50時間程度に亘って保持することができる。
電源基板にSRAM用電解コンデンサが設けられることにより、遊技盤5をパチンコ遊技機1から取り外した場合には、周辺制御SRAM1530dにバックアップ電源が供給されなくなるため、周辺制御SRAM1530dは、記憶された内容を保持することができなくなってその内容を失う。
周辺制御外部WDT1530eは、周辺制御MPU1530aのシステムが暴走していないかどうかを監視するためのタイマであり、このタイマがタイムアップすると、ハードウェア的にリセットをかけるようになっている。つまり、周辺制御MPU1530aは、一定期間内(タイマがタイマップするまで)に周辺制御外部WDT1530eのタイマをクリアするクリア信号を周辺制御外部WDT1530eに出力しないときには、リセットがかかることとなる。周辺制御MPU1530aは、一定期間内にクリア信号を周辺制御外部WDT1530eに出力するときには、周辺制御外部WDT1530eのタイマカウントを再スタートさせることができるため、リセットがかからないように構成されている。
周辺制御MPU1530aは、パラレルI/Oポート、シリアルI/Oポート等を複数内蔵しており、主制御基板1310からの各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、遊技盤5の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データをランプ駆動基板用シリアルI/Oポートから図示しない周辺制御出力回路を介してランプ駆動基板に送信する。
周辺制御MPU1530aは、遊技盤5に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データをモータ駆動基板用シリアルI/Oポートから周辺制御出力回路を介してモータ駆動基板に送信する。
周辺制御MPU1530aは、扉枠3の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データを枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートから周辺制御出力回路などに送信したりする。なお、本実施形態では、枠側の装飾関連の駆動制御を行う基板を総称して「枠装飾駆動アンプ基板」と呼んでいる。
主制御基板1310からの各種コマンドは、図示しない周辺制御入力回路を介して、周辺制御MPU1530aの主制御基板用シリアルI/Oポートに入力されている。装飾回転体ユニット530に設けられた、第一装飾面部532及び第二装飾面部533の姿勢態様を検出するための回転検出スイッチからの検出信号、及び操作ボタン410の操作を検出するための押圧検出スイッチからの検出信号は、扉枠用中継基板911や扉枠左サイド装飾基板160(熱源としての枠装飾駆動アンプ基板)に設けた扉側シリアル送信回路(図示せず)でシリアル化され、このシリアル化された操作ユニット検出データが扉側シリアル送信回路から、周辺扉中継端子板882、枠周辺中継端子板868、そして周辺制御入力回路を介して、周辺制御MPU1530aの操作ユニット検出用シリアルI/Oポートに入力されている。
遊技盤5に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を検出するための各種検出スイッチ(例えば、フォトセンサなど)からの検出信号は、モータ駆動基板4180に設けた図示しない遊技盤側シリアル送信回路でシリアル化され、このシリアル化された可動体検出データが遊技盤側シリアル送信回路から周辺制御入力回路を介して、周辺制御MPU1530aのモータ駆動基板用シリアルI/Oポートに入力されている。周辺制御MPU1530aは、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの入出力を切り替えることにより周辺制御基板1510とモータ駆動基板4180との基板間における各種データのやり取りを行うようになっている。
なお、周辺制御MPU1530aは、ウォッチドックタイマを内蔵(以下、「周辺制御内蔵WDT」という)しており、周辺制御内蔵WDTと周辺制御外部WDT1530eとを併用して自身のシステムが暴走しているか否かを診断している。
[7−3−1a.周辺制御MPU]
次に、マイクロコンピュータである周辺制御MPU1530aについて説明する。周辺制御MPU1530aは、図205に示すように、周辺制御MPUコア1530aaを中心として、周辺制御内蔵RAM1530ab、周辺制御DMA(Direct Memory Accessの略)コントローラ1530ac、周辺制御バスコントローラ1530ad、周辺制御各種シリアルI/Oポート1530ae、周辺制御内蔵WDT1530af、周辺制御各種パラレルI/Oポート1530ag、及び周辺制御アナログ/デジタルコンバータ(以下、周辺制御A/Dコンバータと記載する)1530ak等を備える。
周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御内蔵RAM1530ab、周辺制御DMAコントローラ1530acに対して、内部バス1530ahを介して、各種データを読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート1530ae、周辺制御内蔵WDT1530af、周辺制御各種パラレルI/Oポート1530ag、及び周辺制御A/Dコンバータ1530akに対して、内部バス1530ah、周辺制御バスコントローラ1530ad、そして周辺バス1530aiを介して、各種データを読み書きする。
周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御ROM1530bに対して、内部バス1530ah、周辺制御バスコントローラ1530ad、及び外部バス1530hを介して各種データを読み込む一方、周辺制御RAM1530c、及び周辺制御SRAM1530dに対して、内部バス1530ah、周辺制御バスコントローラ1530ad、及び外部バス1530hを介して、各種データを読み書きする。
周辺制御DMAコントローラ1530acは、周辺制御内蔵RAM1530ab、周辺制御ROM1530b、周辺制御RAM1530c、及び周辺制御SRAM1530d等の記憶装置と、周辺制御各種シリアルI/Oポート1530ae、周辺制御内蔵WDT1530af、周辺制御各種パラレルI/Oポート1530ag、及び周辺制御A/Dコンバータ1530ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御MPUコア1530aaを介すことなく、独立してデータ転送を行う専用のコントローラであり、DMA0〜DMA3という4つのチャンネルを有している。
具体的には、周辺制御DMAコントローラ1530acは、周辺制御MPU1530aに内蔵される周辺制御内蔵RAM1530abの記憶装置と、周辺制御MPU1530aに内蔵される、周辺制御各種シリアルI/Oポート1530ae、周辺制御内蔵WDT1530af、周辺制御各種パラレルI/Oポート1530ag、及び周辺制御A/Dコンバータ1530ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御MPUコア1530aaを介すことなく、独立してデータ転送を行うために、周辺制御内蔵RAM1530abの記憶装置に対して、内部バス1530ahを介して、読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート1530ae、周辺制御内蔵WDT1530af、周辺制御各種パラレルI/Oポート1530ag、及び周辺制御A/Dコンバータ1530ak等の入出力装置に対して、周辺制御バスコントローラ1530ad及び周辺バス1530aiを介して、読み書きする。
周辺制御DMAコントローラ1530acは、周辺制御ROM1530b、周辺制御RAM1530c、及び周辺制御SRAM1530d等の記憶装置と、周辺制御MPU1530aに内蔵される、周辺制御各種シリアルI/Oポート1530ae、周辺制御内蔵WDT1530af、周辺制御各種パラレルI/Oポート1530ag、及び周辺制御A/Dコンバータ1530ak等の入出力装置と、の装置間において、周辺制御MPUコア1530aaを介すことなく、独立してデータ転送を行うために、周辺制御ROM1530b、周辺制御RAM1530c、及び周辺制御SRAM1530d等の記憶装置に対して、周辺制御バスコントローラ1530ad及び外部バス1530hを介して、読み書きする一方、周辺制御各種シリアルI/Oポート1530ae、周辺制御内蔵WDT1530af、周辺制御各種パラレルI/Oポート1530ag、及び周辺制御A/Dコンバータ1530ak等の入出力装置に対して、周辺制御バスコントローラ1530ad及び周辺バス1530aiを介して、読み書きする。
周辺制御バスコントローラ1530adは、内部バス1530ah、周辺バス1530ai、及び外部バス1530hをコントロールして周辺制御MPUコア1530aaの中央処理装置と、周辺制御内蔵RAM1530ab、周辺制御ROM1530b、周辺制御RAM1530c、及び周辺制御SRAM1530d等の記憶装置と、周辺制御各種シリアルI/Oポート1530ae、周辺制御内蔵WDT1530af、周辺制御各種パラレルI/Oポート1530ag、及び周辺制御A/Dコンバータ1530ak等の入出力装置と、の各種装置間において、各種データのやり取りを行う専用のコントローラである。
周辺制御各種シリアルI/Oポート1530aeは、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポート、モータ駆動基板用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート、主制御基板用シリアルI/Oポート、及び操作ユニット情報取得用シリアルI/Oポートを有している。
周辺制御内蔵ウォッチドックタイマ(周辺制御内蔵WDT)1530afは、周辺制御MPU1530aのシステムが暴走していないかを監視するためのタイマであり、このタイマがタイマップすると、ハードウェア的にリセットをかけるようになっている。つまり、周辺制御MPUコア1530aaは、ウォッチドックタイマをスタートさせた場合には、一定期間内(タイマがタイマップするまで)にそのタイマをクリアするクリア信号を周辺制御内蔵WDT1530afに出力しないときには、リセットがかかることとなる。周辺制御MPUコア1530aaは、ウォッチドックタイマをスタートさせて一定期間内にクリア信号を周辺制御内蔵WDT1530afに出力するときには、タイマカウントを再スタートさせることができるため、リセットがかからない。
周辺制御各種パラレルI/Oポート1530agは、遊技盤側モータ駆動ラッチ信号、扉側モータ駆動発光ラッチ信号等の各種ラッチ信号を出力する他に、周辺制御外部WDT1530eにクリア信号を出力する。周辺制御各種パラレルI/Oポート1530agは、遊技盤5に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を検出するための各種検出スイッチからの検出信号をモータ駆動基板4180に設けた図示しない遊技盤側シリアル送信回路でシリアル化して、このシリアル化された可動体検出データを遊技盤側シリアル送信回路から周辺制御MPU1530aのモータ駆動基板用シリアルI/Oポートで受信するための可動体情報取得ラッチ信号を出力したり、扉枠3における上部装飾ユニットの上部装飾基板に実装されたLEDの点灯信号を出力する。
このLEDは、高輝度の白色LEDであり、大当り遊技状態の発生が確定している旨を伝えるための確定告知ランプとなっている。本実施形態では、LEDと周辺制御各種パラレルI/Oポート1530agとが電気的に直接接続された構成を採用してLEDと周辺制御各種パラレルI/Oポート1530agとの経路を短くすることにより、LEDの点灯制御についてノイズ対策を講ずることができる。なお、LEDの点灯制御については、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理において実行されるようになっており、このLEDを除く他のLED等は、後述する周辺制御部定常処理において実行される。
周辺制御A/Dコンバータ1530akは、音量調整ボリューム1510aと電気的に接続されており、音量調整ボリューム1510aのつまみ部が回転操作されることにより抵抗値が可変する。周辺制御A/Dコンバータ1530akは、このつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧をアナログ値からデジタル値に変換し、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。本実施形態では、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理している。
このような基板ボリュームの設定に応じて、本実施形態では、例えばホール側における音量調整機能(以下「ホール側音量調整機能」という)として、基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。
周辺制御基板1510では、液晶及び音制御部1540のVDP1540aが基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように本体枠4のスピーカユニット920に収容されているスピーカ及び扉枠3のスピーカにBGMや効果音を出力させる。このように、つまみ部の回転操作に基づく音量調整により、本体枠4のスピーカユニット920に収容されているスピーカ及び扉枠3に設けたスピーカからBGMや効果音などの音を出力する構成となっている。
なお、本実施形態では、BGMや効果音の他に、パチンコ遊技機1に関する不具合の発生や不正行為をホールの店員等に報知するための報知音や、遊技演出に関する内容等を告知するための告知音が上記一対の上部スピーカ573及び一対の下部スピーカ921から出力されるように構成されているが、報知音や告知音は、つまみ部の回転操作に基づく音量調整に全く依存されずに再生される仕組みとなっている。消音から最大音量までの音量は、演出制御プログラムが液晶及び音制御部1540(後述するVDP1540a)を制御することにより、調整される。
この演出制御プログラムにより調整される音量は、上述した7段階に分けられた基板ボリュームと異なり、消音から最大音量までを滑らかに変化させることができる。これにより、例えば、ホールの店員等が音量調整ボリューム1510aのつまみ部を回転操作して音量を小さく設定した場合であっても、一対の上部スピーカ573及び一対の下部スピーカ921から再生されるBGMや効果音等の演出音が小さくなるものの、パチンコ遊技機1に不具合が発生しているときや遊技者が不正行為を行っているときには大音量(本実施形態では、最大音量)に設定した報知音を出力することができる。したがって、演出音の音量を小さくしても、ホールの店員等が不具合の発生や遊技者の不正行為を原因として出力される報知音を気付き難くなることを防止することができる。
[7−3−1b.周辺制御ROM]
周辺制御ROM1530bは、周辺制御部1530、液晶及び音制御部1540、RTC制御部1565等を制御する各種制御プログラム、各種データ、各種制御データ、各種スケジューラーデータ、及びあらかじめ定められた個体情報(以下「規定の個体情報」という)をあらかじめ記憶している(演出制御記憶部)。
各種スケジューラーデータには、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460に描画する画面を表示させるための画面生成用スケジューラーデータ、各種LEDの発光態様を制御するための発光態様生成用スケジューラーデータ、BGMや効果音、報知音等を再生するための音生成用スケジューラーデータ、及びモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動態様を制御するための電気的駆動源スケジューラーデータ等がある。
画面生成用スケジューラーデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460に描画する画面の順序が規定されている。発光態様生成用スケジューラーデータは、各種LEDの発光態様を規定する発光データが時系列に配列されて構成されている。
音生成用スケジューラーデータは、音指令データが時系列に配列されて構成されており、BGMや効果音等の音を再生する順番が規定されている。この音指令データには、VDP1540aの内蔵音源における複数のチャンネルのうちどのチャンネルにBGMや効果音等の音データを組み込むのかを指示するためのチャンネル番号と、が規定されている。ここで、本実施形態においては、音源がVDP1540aに内蔵されている形態を例示しているが、これに限られず、音源がVDP1540aに対して外付けされている形態であってもよいことは云うまでもない。
電気的駆動源スケジューラーデータは、モータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データが時系列に配列されて構成されており、モータやソレノイド等の電気的駆動源の動作が規定されている。
なお、周辺制御ROM1530bに記憶されている各種制御プログラムは、周辺制御ROM1530bから直接読み出されて実行されるものもあれば、後述する周辺制御RAM1530cの各種制御プログラムコピーエリアに電源投入時等においてコピーされたものが読み出されて実行されるものもある。また周辺制御ROM1530bに記憶されている、各種データ、各種制御データ及び各種スケジューラーデータも、周辺制御ROM1530bから直接読み出されるものもあれば、後述する周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアに電源投入時等においてコピーされたものが読み出されるものもある。
周辺制御ROM1530bには、RTC制御部1565を制御する各種制御プログラムの1つとして、遊技盤側演出表示装置1600の使用時間に応じて遊技盤側演出表示装置1600の輝度を補正するための輝度補正プログラムが含まれている。
この輝度補正プログラムは、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、遊技盤側演出表示装置1600の経年変化にともなう輝度低下を補正し、後述するRTC制御部1565に内蔵されているとともに停電時にも電力バックアップを受けている内蔵RAMから遊技盤側演出表示装置1600を最初に電源投入した日時、現在の日時、輝度設定情報等を取得して、この取得した輝度設定情報を補正情報に基づいて補正する。
この補正情報は、周辺制御ROM1530bにあらかじめ記憶されている。輝度設定情報は、後述するように、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている遊技盤側演出表示装置1600のバックライトであるLEDの輝度と、を含む。
例えば、遊技盤側演出表示装置1600を最初に電源投入した日時と現在の日時とから、遊技盤側演出表示装置1600を最初に電源投入した日時からすでに6月を経過している場合には、周辺制御ROM1530bから対応する補正情報(例えば、5%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側演出表示装置1600のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である5%だけさらに上乗せした80%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側演出表示装置1600のバックライトの輝度を調節して点灯する。
一方、遊技盤側演出表示装置1600を最初に電源投入した日時からすでに12月を経過している場合には、周辺制御ROM1530bから対応する補正情報(例えば、10%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側演出表示装置1600のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である10%だけさらに上乗せした85%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側演出表示装置1600のバックライトの輝度を調節して点灯する。
[7−3−1c.周辺制御RAM]
周辺制御RAM1530cは、図205に示すように、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっているものを専用に記憶するバックアップ管理対象ワークエリアと、このバックアップ管理対象ワークエリアに記憶されている各種情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアと、周辺制御ROM1530bに記憶されている各種制御プログラムがコピーされたものを専用に記憶する各種制御プログラムコピーエリアと、周辺制御ROM1530bに記憶されている、各種データ、各種制御データ、及び各種スケジューラーデータ等がコピーされたものを専用に記憶する各種制御データコピーエリアと、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっていないものを専用に記憶するバックアップ非管理対象ワークエリアと、が設けられている。
なお、パチンコ遊技機1の電源投入時(瞬停や停電による復電時も含む。)には、バックアップ非管理対象ワークエリアに対して値0が強制的に書き込まれてゼロクリアされる一方、バックアップ管理対象ワークエリア、バックアップ第1エリア、及びバックアップ第2エリアについては、パチンコ遊技機1の電源によって電力の供給が開始された際(電源投入時)に主制御基板1310(電源投入コマンド出力手段)によって出力される電源投入コマンド(図207を参照)がRAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、電源投入時からあらかじめ定めた期間内に操作スイッチ952が操作された時における演出の開始を指示したりするものである)ときにはゼロクリアされる。
バックアップ管理対象ワークエリアは、後述する液晶及び音制御部1540のVDP1540aからのVブランク信号が入力されるごとに実行される周辺制御部定常処理において更新される各種情報である演出情報(1fr)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(1fr)と、後述する1msタイマ割り込みが発生するごとに実行される周辺制御部1msタイマ割り込み処理において更新される各種情報である演出情報(1ms)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(1ms)と、を備える。
ここで、Bank0(1fr)及びBank0(1ms)の名称について簡単に説明すると、「Bank」とは、各種情報を記憶するための記憶領域の大きさを表す最小管理単位であり、「Bank」に続く0は、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報を記憶するための通常使用する記憶領域であることを意味している。つまり「Bank0」とは、通常使用する記憶領域の大きさを最小管理単位としているという意味である。
後述するバックアップ第1エリアからバックアップ第2エリアに亘るエリアに設けられる、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」とは、「Bank0」と同一の記憶領域の大きさを有していることを意味している。「(1fr)」は、後述するように、VDP1540aが1画面分(1フレーム分)の描画データを遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460に出力すると、周辺制御MPU1530aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号を周辺制御MPU1530aに出力するため、Vブランク信号が入力されるごとに、換言すると、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるところから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」にそれぞれ付記されている(演出情報(1fr)や後述する演出バックアップ情報(1fr)についても、同一の意味で用いる)。「(1ms)」は、後述するように、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるところから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4]にそれぞれ付記されている(演出情報(1ms)や後述する演出バックアップ情報(1ms)についても、同一の意味で用いる)。
Bank0(1fr)には、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域、受信コマンド記憶領域、RTC情報取得記憶領域、及びスケジューラーデータ記憶領域等が設けられている。ランプ駆動基板側送信データ記憶領域は、遊技盤5の各装飾基板に設けた複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATがセットされる記憶領域であり、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域は、扉枠3の各装飾基板に設けた複数のLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATがセットされる記憶領域であり、受信コマンド記憶領域は、主制御基板1310から送信される各種コマンドを受信してその受信した各種コマンドがセットされる記憶領域であり、RTC情報取得記憶領域は、RTC制御部1565(後述するRTC1565aのRTC内蔵RAM)から取得した各種情報がセットされる記憶領域であり、スケジューラーデータ記憶領域は、主制御基板1310(の主制御MPU1310a)から受信したコマンドに基づいて、この受信したコマンドと対応する各種スケジューラーデータがセットされる記憶領域である。スケジューラーデータ記憶領域には、周辺制御ROM1530bから各種制御データコピーエリアにコピーされた各種スケジューラーデータが読み出されてセットされるものもあれば、周辺制御ROM1530bから各種スケジューラーデータが直接読み出されてセットされるものもある。
Bank0(1ms)には、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域、モータ駆動基板側送信データ記憶領域、可動体情報取得記憶領域、操作ユニット情報取得記憶領域、及び履歴情報記憶領域等が設けられている。
枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域は、扉枠3に設けたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための枠扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされる記憶領域であり、モータ駆動基板側送信データ記憶領域は、遊技盤5に設けた各種可動体を作動させるモータやソレノイド等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされる記憶領域である。
一方、可動体情報取得記憶領域は、遊技盤5に設けた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて遊技盤5に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を取得した各種情報がセットされる記憶領域であり、操作ユニット情報取得記憶領域は、装飾回転体ユニット530に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて装飾回転体ユニット530の第一装飾面部532及び第二装飾面部533の回転(回転方向)及び操作ボタン410の操作等を取得した各種情報(例えば、装飾回転体ユニット530に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて作成する操作ボタン410の操作履歴情報など。)がセットされる記憶領域である。
なお、Bank0(1fr)のランプ駆動基板側送信データ記憶領域及び枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域と、Bank0(1ms)の枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域及びモータ駆動基板側送信データ記憶領域とは、第1領域及び第2領域という2つの領域にそれぞれ分割されている。
ある周期で周辺制御部定常処理が実行されると、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域は、その第1領域に、遊技盤側発光データSL−DATがセットされ、次の周期で周辺制御部定常処理が実行されると、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域の第2領域に遊技盤側発光データSL−DATがセットされるようになっており、周辺制御部定常処理が実行されるごとに、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域の第1領域、第2領域に遊技盤側発光データSL−DATが交互にセットされる。例えば今回の周期の周辺制御部定常処理においてランプ駆動基板側送信データ記憶領域の第2領域に遊技盤側発光データSL−DATがセットされるときには、前回の周期の周辺制御部定常処理が実行された際に、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域の第1領域にセットした遊技盤側発光データSL−DATに基づいて処理を進行する。
ある周期で周辺制御部定常処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域は、その第1領域に、扉側発光データSTL−DATがセットされ、次の周期で周辺制御部定常処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域の第2領域に扉側発光データSTL−DATがセットされる。
すなわち、周辺制御部定常処理が実行されるごとに、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域の第1領域、第2領域に扉側発光データSTL−DATが交互にセットされる。例えば、今回の周期の周辺制御部定常処理において枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域の第2領域に扉側発光データSTL−DATがセットされるときには、前回の周期の周辺制御部定常処理が実行された際に、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域の第1領域にセットした扉側発光データSTL−DATに基づいて処理を進行する。
後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域は、その第1領域に、枠扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされ、次の周期の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域の第2領域に枠扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされるようになっており、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域の第1領域、第2領域に枠扉側モータ駆動データSTM−DATが交互にセットされる。
例えば、今回の周期の周辺制御部1msタイマ割り込み処理において枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域の第2領域に枠扉側モータ駆動データSTM−DATがセットされるときには、前回の周期の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された際に、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域の第1領域にセットした枠扉側モータ駆動データSTM−DATに基づいて処理を進行する。
上記周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、モータ駆動基板側送信データ記憶領域は、その第1領域に、遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされ、次の周期の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されると、モータ駆動基板側送信データ記憶領域の第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされるようになっており、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、モータ駆動基板側送信データ記憶領域の第1領域、第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATが交互にセットされる。
周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行され、例えば、今回の周期の周辺制御部1msタイマ割り込み処理においてモータ駆動基板側送信データ記憶領域の第2領域に遊技盤側モータ駆動データSM−DATがセットされるときには、前回の周期の周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された際に、モータ駆動基板側送信データ記憶領域の第1領域にセットした遊技盤側モータ駆動データSM−DATに基づいて処理を進行する。
次に、バックアップ管理対象ワークエリアに記憶されている各種情報である演出情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアについて説明する。
バックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアは、2つのバンクを1ペアとする2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容である演出情報(1fr)は、演出バックアップ情報(1fr)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアに周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される内容である演出情報(1ms)は、演出バックアップ情報(1ms)として、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアに周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされる。1ページの整合性は、そのページを構成する2つのバンクの内容が一致しているか否かにより行う。
具体的には、バックアップ第1エリアは、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)を1ペアとし、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)を1ペアとする、計2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される記憶は、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)に周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)の内容が一致しているか否かにより行うとともに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)の内容が一致しているか否かにより行う。
バックアップ第2エリアは、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)を1ペアとし、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)を1ペアとする、計2ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される記憶は、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)に周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)の内容が一致しているか否かにより行うとともに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)の内容が一致しているか否かにより行う。
このように本実施形態では、バックアップ第1エリアは、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)を1ペアとし、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)を1ペアとする、計2ペアを1ページとして管理するためのエリアであり、バックアップ第2エリアは、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)を1ペアとし、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)を1ペアとする、計2ペアを1ページとして管理するためのエリアである。各ページの先頭と終端とには、つまりバックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアの先頭と終端とには、それぞれ異なるIDコートが記憶される。
本実施形態では、通常使用する記憶領域であるBank0(1fr)に記憶される内容である演出情報(1fr)は、演出バックアップ情報(1fr)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアに周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされるとともに、通常使用する記憶領域であるBank0(1ms)に記憶される内容である演出情報(1ms)は、演出バックアップ情報(1ms)として、1msタイマ割り込みが発生するごとに周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアに周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされるが、これらの周辺制御DMAコントローラ1530acによる高速コピーを実行するプログラムは共通化されている。つまり本実施形態では、演出情報(1fr)、演出情報(1ms)を、共通の管理手法(共通のプログラムの実行)で情報を管理している。
[7−3−1d.周辺制御SRAM]
周辺制御SRAM1530dは、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報のうち、バックアップ対象となっているものを専用に記憶するバックアップ管理対象ワークエリア1530daと、このバックアップ管理対象ワークエリア1530daに記憶されている各種情報がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアと、が設けられている。
なお、周辺制御SRAM1530dに記憶された内容は、パチンコ遊技機1の電源投入時(既述のように瞬停や停電による復電時も含む。)に主制御基板1310からの電源投入コマンドがRAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものであるときにおいても、ゼロクリアされない。この点については、上述した周辺制御RAM1530cのバックアップ管理対象ワークエリア、バックアップ第1エリア、及びバックアップ第2エリアがゼロクリアされる点と、全く異なる。
バックアップ管理対象ワークエリア1530daは、日を跨いで継続される各種情報である演出情報(SRAM)(例えば、大当り遊技状態が発生した履歴を管理するための情報や特別な演出フラグの管理するための情報など)をバックアップ対象として専用に記憶するBank0(SRAM)を備える。ここで、Bank0(SRAM)の名称について簡単に説明すると、「Bank」とは、上述したように、各種情報を記憶するための記憶領域の大きさを表す最小管理単位であり、「Bank」に続く0は、各種制御プログラムが実行されることにより更新される各種情報を記憶するための通常使用する記憶領域であることを意味している。つまり「Bank0」とは、通常使用する記憶領域の大きさを最小管理単位としているという意味である。
後述するバックアップ第1エリアからバックアップ第2エリアに亘るエリアに設けられる、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」とは、「Bank0」と同一の記憶領域の大きさを有していることを意味している。「(SRAM)」は、周辺制御SRAM1530dに記憶されている各種情報がバックアップ対象となっていることから、「Bank0」、「Bank1」、「Bank2」、「Bank3」、及び「Bank4」にそれぞれ付記されている(演出情報(SRAM)や後述する演出バックアップ情報(SRAM)についても、同一の意味で用いる)。
次に、バックアップ管理対象ワークエリア1530daに記憶されている各種情報である演出情報(SRAM)がコピーされたものを専用に記憶するバックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアについて説明する。バックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアは、2つのバンクを1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理されている。
通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容である演出情報(SRAM)は、演出バックアップ情報(SRAM)として、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアに周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされる。1ページの整合性は、そのページを構成する2つのバンクの内容が一致しているか否かにより行う。
具体的には、バックアップ第1エリアは、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)を1ペアとする、この1ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)の内容が一致しているか否かにより行う。
バックアップ第2エリアは、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)を1ペアとする、この1ペアが1ページとして管理されている。通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に記憶される内容は、1フレーム(1frame)ごとに周辺制御部定常処理が実行されるごとに、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ1530acにより高速にコピーされ、このページの整合性は、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)の内容が一致しているか否かにより行う。
このように本実施形態では、バックアップ第1エリアは、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)を1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理するためのエリアであり、バックアップ第2エリアは、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)を1ペアとする、この1ペアを1ページとして管理するためのエリアである。各ページの先頭と終端とには、つまりバックアップ第1エリア及びバックアップ第2エリアの先頭と終端とには、それぞれ異なるIDコートが記憶される。
[7−3−2.液晶及び音制御部]
液晶及び音制御部1540は、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460の描画制御と一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921から再生されるBGMや効果音等の音制御とを行う。
液晶及び音制御部1540は、BGMや効果音等の音制御を行うための音源が内蔵(以下、「内蔵音源」ともいう)されるとともに遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460の描画制御を行うVDP(Video Display Processorの略)1540aと、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域及び扉枠側演出表示装置460の表示領域に表示される表示内容としての各種キャラクタデータ(やスプライト番号が付されたスプライトデータ)を記憶したりBGMや効果音等の各種音データを記憶する液晶及び音ROM1540bと、シリアル化されたBGMや効果音等をオーディオデータとして扉枠用中継基板911や扉枠左サイド装飾基板160(熱源としての枠装飾駆動アンプ基板)に向かって送信するオーディオデータ送信IC1540cと、を備えている。
さらに、この液晶及び音ROM1540bには、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域及び扉枠側演出表示装置460の表示領域に表示サイズを変更させて共通画像を各々表示させるのに用いられるサイズ変換画像データがあらかじめ記憶されている。
周辺制御部1530では、周辺制御MPU1530aが、主制御基板1310からのコマンドと対応する画面生成用スケジューラーデータを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットする。
この周辺制御MPU1530aは、このスケジューラーデータ記憶領域にセットされた画面生成用スケジューラーデータの先頭の画面データを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出してVDP1540aに出力した後に、後述するVブランク信号が入力されたことを契機として、スケジューラーデータ記憶領域にセットされた画面生成用スケジューラーデータに従って先頭の画面データに続く次の画面データを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出してVDP1540aに出力する。
このように周辺制御MPU1530aは、スケジューラーデータ記憶領域にセットされた画面生成用スケジューラーデータに従って、この画面生成用スケジューラーデータに時系列に配列された画面データを、Vブランク信号が入力されるごとに、先頭の画面データから1つずつVDP1540aに出力する。
周辺制御MPU1530aは、主制御基板1310からのコマンドと対応する音生成用スケジューラーデータの先頭の音指令データを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530cにセットする。周辺制御MPU1530aは、このスケジューラーデータ記憶領域にセットされた音生成用スケジューラーデータの先頭の音指令データを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出してVDP1540aに出力する。
その後、周辺制御MPU1530aは、Vブランク信号が入力されたことを契機として、スケジューラーデータ記憶領域にセットされた音生成用スケジューラーデータに従って先頭の音指令データに続く次の音指令データを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出してVDP1540aに出力する。
このように周辺制御MPU1530aは、Vブランク信号が入力されるごとに、スケジューラーデータ記憶領域にセットされた音生成用スケジューラーデータに従って必要な音指令データをVDP1540aに出力する。
[7−3−2a.VDP]
VDP1540a(描画制御手段)は、上述した内蔵音源の他にも、データを一時的に記憶可能な内蔵RAMを備えている。このような内蔵RAMの一部として、VDP1540aは、スプライトデータなどの素材画像データを一時的に記憶可能であって繰り返し多数の素材画像データが上書きされる素材画像RAMを備えている。
さらにVDP1540aは、周辺制御MPU1530aから画面生成用スケジューラーデータに含まれる画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいて、液晶及び音ROM1540bからキャラクタデータ及び扉枠側キャラクタデータをそれぞれ抽出してスプライトデータを作成して遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460に表示するために各々生成された1画面分(1フレーム分)の描画データを記憶するともに、さらに映像加工用に1画面分(1フレーム分)の描画データを記憶するためのVRAMも内蔵している(以下、「内蔵VRAM」と記載する)。
VDP1540aは、内蔵VRAM(のフレームバファ)上に生成した描画データのうち、遊技盤側演出表示装置1600に対する画像データをチャンネルCH1から遊技盤側演出表示装置1600に出力するとともに、扉枠側演出表示装置460に対する画像データをチャンネルCH2から扉枠側演出表示装置460に出力することで、遊技盤側演出表示装置1600と扉枠側演出表示装置460との同期化を図っている。
このように周辺制御MPU1530aが遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460に表示する1画面分(1フレーム分)の画面データをVDP1540aに出力すると、VDP1540aは、この入力された画面データに基づいて液晶及び音ROM1540bからキャラクタデータを抽出してスプライトデータを作成して遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM上で生成する。VDP1540aは、この生成した描画データうち、遊技盤側演出表示装置1600に対する画像データをチャンネルCH1から遊技盤側演出表示装置1600に出力するとともに、扉枠側演出表示装置460に対する画像データをチャンネルCH2から扉枠側演出表示装置460に出力する。
つまり、「1画面分(1フレーム分)の画面データ」とは、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460に表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM上で生成するためのデータのことである。
VDP1540aは、1画面分(1フレーム分)の描画データを、チャンネルCH1から遊技盤側演出表示装置1600に出力するとともに、扉枠側演出表示装置460に対する画像データをチャンネルCH2から扉枠側演出表示装置460に出力すると、周辺制御MPU1530aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号を周辺制御MPU1530aに出力する。
本実施形態では、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460のフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が出力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。
周辺制御MPU1530aは、このVブランク信号が入力されたことを契機として、後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理を実行する。ここで、Vブランク信号が出力される間隔は、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460の液晶サイズによって多少変化する。周辺制御MPU1530aとVDP1540aとが実装された周辺制御基板1510の製造ロットにおいてもVブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合がある。
なお、VDP1540aは、フレームバッファ方式が採用されている。この「フレームバッファ方式」とは、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460の画面に描画する1画面分(1フレーム分)の描画データをフレームバッファ(内蔵VRAM)に保持し、このフレームバッファに保持した1画面分(1フレーム分)の描画データを、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460に出力する方式である。本実施形態では、いわゆるダブルバッファ方式を採用している。
VDP1540aは、主制御基板1310からのコマンドに基づいて周辺制御MPU1530aから後述する自動チャンネル方式による音制御によって再生チャンネル含む、各音指令データが入力されると、液晶及び音ROM1540bの音指令データを抽出して内蔵音源を制御することにより、BGMや効果音等の演出音の音データを周辺制御MPU1530aから指定されたチャンネルに組み込む。併せてVDP1540aは、周辺制御MPU1530aから後述する自動チャンネル方式で指定された再生チャンネルを用いて、オーディオデータ送信IC1540cを制御することによって一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921からBGMや効果音などの音を再生する。なお、音指令データには、音データが組み込まれるチャンネルの音量を調節するためのサブボリューム値も含まれている。
VDP1540aの内蔵音源における複数のチャンネルには、演出音の音データやその音量を調節するためのサブボリューム値の他にも、報知音の音データに関する音量の規定値(最大音量値)を設定するためのサブボリューム値が組み込まれている。演出音に関しては、音量調整ボリューム1510aのつまみ部の回転操作に応じて調節された基板ボリューム0〜6のいずれかの値がサブボリューム値として設定される。一方、報知音に関しては、音量調整ボリューム1510aのつまみ部の回転操作に基づく音量調整に関わりなく最大音量がサブボリューム値として設定される。音指令データには、各再生チャンネルに割り当てられた各音の音量を調節するためのマスターボリューム値も含まれている。
上述した演出音が一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921から再生されている状態において報知音が再生されるときには、演出音が報知音で上書きされて報知音のみが一対の上部スピーカ573及び一対の下部スピーカ921から再生されるようになる。
[7−3−2b.液晶及び音ROM]
液晶及び音ROM1540bには、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域に描画するのに用いるキャラクタデータがあらかじめ記憶されている。この液晶及び音ROM1540bには効果音や報知音の各音データがあらかじめ記憶されている。なお、本実施形態では、各音の種類として、主にBGM(音楽)、効果音及び報知音に分類して説明している。
本実施形態では、各音の種類として、例えば、遊技の状態を問わず再生要求が発生する可能性のある報知音1〜3、大当りが確定したことを告げる大当り確定音のような告知音を挙げている。またその他にも、各音の種類としては、特別図柄の変動前半に再生される通常BGM、特別図柄の変動後半に再生されるリーチBGM、及び、大当り中に再生される大当りBGMを挙げることができる。
さらに本実施形態では、各音のうち効果音として、遊技の状態を問わず再生要求が発生する保留入賞音、ボタンを押下操作した際に再生要求が発生するボタン押下音、左図柄停止時に再生される左図柄停止音、右図柄停止時に再生される右図柄停止音、中図柄停止時に再生される中図柄停止音、全画面予告が発生する際に再生される全面画予告効果音、役物予告が発生する際に再生される役物予告効果音、前半予告Aが発生する際に再生される前半予告A効果音、前半予告Bが発生する際に再生される前半予告B効果音、前半予告Cが発生する際に再生される前半予告C効果音、後半予告Aが発生する際に再生される後半予告A効果音、後半予告Bが発生する際に再生される後半予告B効果音、及び、後半予告Cが発生する際に再生される後半予告C効果音を例示している。
[7−3−2c.オーディオデータ送信IC]
オーディオデータ送信IC1540cは、VDP1540aから再生チャンネルを経てオーディオデータが入力されると、右側オーディオデータをプラス信号、マイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして枠装飾駆動アンプ基板としての扉枠用中継基板911(及び、必要あれば扉枠左サイド装飾基板160)に送信する。
このようにVDP1540aからのシリアル化したオーディオデータが入力されると、オーディオデータ送信IC1540cは、併せて、左側オーディオデータをプラス信号、マイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして扉枠用中継基板911及び扉枠左サイド装飾基板160(枠装飾駆動アンプ基板)に向けて送信する。これにより、VDP1540aは、オーディオデータ送信IC1540cを介して一対の上部スピーカ573及び一対の下部スピーカ921から、2つの再生チャンネルを用いる場合にはBGM、効果音及び報知音をステレオで再生することができる一方、1つの再生チャンネルを用いる場合にはBGM、効果音及び報知音をモノラルで再生することができる。なお、本実施形態では、これら一対の上部スピーカ573及び一対の下部スピーカ921が4つのスピーカによって構成されていることを例示しているが、スピーカの数はこれに限られないことは云うまでもない。
[7−3−3.RTC制御部]
RTC制御部1565は、図205に示すようにRTC1565aを中心として構成されており、例えば年月日が特定可能なカレンダー情報と時分秒が特定可能な時刻情報とを保持している。
このRTC1565aには、カレンダー情報と時刻情報とが保持されるRAM1565aaが内蔵されている(以下、「RTC内蔵RAM」ともいう)。RTC1565aは、駆動用電源及びRTC内蔵RAMのバックアップ用電源(第2の電源)として電池1565b(本実施形態では、一例としていわゆるボタン電池を採用している。)から電力が供給される。
つまりRTC1565aは、周辺制御基板1510からの電力が全く供給されずに、周辺制御基板1510と独立して電池1565bから電力が供給されている。これにより、RTC1565aは、電力を供給する主電源からの電力が遮断されても、電池1565bからの電力供給により、カレンダー情報や時刻情報を更新保持する。
なお、電池1565bは、主電源とは別に、後述する停電予告信号の受け取りを契機として電力を供給する一方、主電源による電力の供給が開始されたことを契機として電力の供給を停止する形態であっても良く、このような電源形態である場合、RTC1565aは、主電源又は電池1565bから電力が供給される。
周辺制御部1530の周辺制御MPU1530aは、RTC1565aのRTC内蔵RAMからカレンダー情報や時刻情報を取得して上述した周辺制御RAM1530cのRTC情報取得記憶領域にセットし、この取得したカレンダー情報や時刻情報に基づく演出を遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460で繰り広げることができる。
このような演出としては、例えば、12月25日であればクリスマスツリーやトナカイが登場する画面が遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460で繰り広げられたり、大晦日であれば新年を迎えるためのカウントダウンを実行する画面が遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460で繰り広げられたりする等を挙げることができる。カレンダー情報や時刻情報は、工場出荷時に設定される。
なお、RTC制御部1565のRTC内蔵RAMには、詳細は後述するが、周辺制御基板1510が停電監視回路1310eから停電予告として出力された停電検出信号を受け取った時点から周辺制御基板1510が主制御基板1310から出力された電源投入コマンドを受け取った時点(第2の時点)までの時間、すなわち、停電時間に関する情報が記憶される。
その一方、RTC内蔵RAMには、カレンダー情報や時刻情報の他に、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合にはLEDの輝度設定情報が記憶保持されている。周辺制御MPU1530aは、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、RTC内蔵RAMから輝度設定情報を取得してバックライトの輝度調整をPWM制御により行う。
輝度設定情報は、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460のバックライトであるLEDの輝度と、が含まれている。
RTC内蔵RAMには、カレンダー情報、時刻情報や輝度設定情報の他に、カレンダー情報、時刻情報、及び輝度設定情報をRTC内蔵RAMに最初に記憶した年月日及び時分秒の情報として入力日時情報も記憶されている。
周辺制御MPU1530aは、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460のバックライトが冷陰極管タイプのものが装着されている場合には、バックライトのON/OFFの切り替え制御もしくはONのみとする。
RTC内蔵RAMに記憶される、カレンダー情報、時刻情報、輝度設定情報、及び入力日時情報等の各種情報は、遊技機メーカの製造ラインにおいて設定される。製造ラインにおいては、例えば遊技盤側演出表示装置1600の表示テスト等の各種テストを行うため、遊技盤側演出表示装置1600を最初に電源投入した日時として入力日時情報が製造ラインで入力された年月日及び時分秒である製造日時に設定される。
このように、RTC内蔵RAMには、カレンダー情報や時刻情報の他に、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合における輝度設定情報、及び入力日時情報等、パチンコ遊技機1の機種情報(例えば、低確率や高確率における大当り遊技状態が発生する確率など)とは独立して維持が必要な情報を記憶保持する。
RTC内蔵RAMに記憶保持される輝度設定情報等は、例えば遊技盤側演出表示装置1600のバックライトの輝度に関するものである。パチンコ遊技機1の電源投入後、所定時間内において、装飾回転体ユニット530の操作ボタン410を操作すると、設定モードを行うための画面が遊技盤側演出表示装置1600などに表示される他に、客待ち状態となって遊技盤側演出表示装置1600などによるデモンストレーションが行われている期間内において、操作ボタン410が操作されると、設定モードを行うための画面が遊技盤側演出表示装置1600などに表示される。
この設定モードの画面に従って装飾回転体ユニット530の操作ボタン410を操作することでカレンダー情報、時刻情報を再設定したり、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトの輝度を所望の輝度に調節したりすることができる。この調節された遊技盤側演出表示装置1600のバックライトの所望の輝度は、輝度設定情報に記憶されるLEDの輝度としてそれぞれ上書き(更新記憶)される。
なお、設定モードでは、周辺制御MPU1530aは、上述した輝度補正プログラムを実行することにより、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトがLEDタイプのものが装着されている場合には、遊技盤側演出表示装置1600の経年変化にともなう輝度低下を補正する。
周辺制御MPU1530aは、RTC制御部1565のRTC内蔵RAMから、入力日時情報を取得して遊技盤側演出表示装置1600を最初に電源投入した日時を特定し、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して現在の日時を特定し、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトであるLEDの輝度が100%〜70%までに亘る範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と現在設定されている遊技盤側演出表示装置1600のバックライトであるLEDの輝度とを有する輝度設定情報を取得する。この取得した輝度設定情報を周辺制御ROM1530bにあらかじめ記憶されている補正情報に基づいて補正する。
例えば、遊技盤側演出表示装置1600を最初に電源投入した日時と現在の日時とから、遊技盤側演出表示装置1600を最初に電源投入した日時からすでに6月を経過している場合には、周辺制御ROM1530bから対応する補正情報(例えば、5%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側演出表示装置1600のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である5%だけさらに上乗せした80%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側演出表示装置1600のバックライトの輝度を調節して点灯する。
一方、遊技盤側演出表示装置1600を最初に電源投入した日時からすでに12月を経過している場合には、周辺制御ROM1530bから対応する補正情報(例えば、10%)を取得するとともに、輝度設定情報に含まれるLEDの輝度が75%で遊技盤側演出表示装置1600のバックライトを点灯するときには、この75%に対して取得した補正情報である10%だけさらに上乗せした85%の輝度となるように、輝度設定情報に含まれる輝度調節情報に基づいて遊技盤側演出表示装置1600のバックライトの輝度を調節して点灯する。
なお、RTC制御部1565のRTC内蔵RAMから、直接、年月日を特定するカレンダー情報と時分秒を特定する時刻情報とを取得して現在の日時を特定してもいいし、後述する周辺制御電源投入時及びリセット処理におけるステップS1002の現在時刻情報取得処理において周辺制御RAM1530cのRTC情報取得記憶領域における、カレンダー情報記憶部にセットされて周辺制御基板1510のシステムにより更新される現在のカレンダー情報と、時刻情報記憶部にセットされて周辺制御基板1510のシステムにより更新される現在の時刻情報と、を取得して現在の日時を特定してもいい。
[7−3−4.音量調整ボリューム]
既に説明したように音量調整ボリューム1510aは、つまみ部を回転操作することにより、一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921から再生されるBGM、効果音及び報知音の音量を各々調節することができる。上述したように音量調整ボリューム1510aは、そのつまみ部が回転操作されることにより抵抗値が可変する。これに電気的に接続されている周辺制御A/Dコンバータ1530akは、そのつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、アナログ値からデジタル値に変換して、例えば、値0〜値1023までの1024段階の値に変換する。
本実施形態では、この1024段階の値を7つに分割して、上述したように基板ボリューム0〜6として音量値を管理している。基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6にまで音量が大きくなるようにそれぞれ設定される。液晶及び音制御部1540(VDP1540a)は、基板ボリューム0〜6のいずれかの音調値に設定されるように、一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921からBGM、効果音及び報知音を各々再生する構成となっている。
[8.主制御基板の送受信に関する各種コマンド]
次に、主制御基板1310から払出制御基板951へ送信される各種コマンドと、主制御基板1310から周辺制御基板1510へ送信される各種コマンドについて、図206〜図209を参照して説明する。
図206は、主制御基板1310から払出制御基板951へ送信される各種コマンドの一例を示すテーブルであり、図207は、主制御基板1310から周辺制御基板1510へ送信される各種コマンドの一例を示すテーブルである。図208は、図207の主制御基板1310から周辺制御基板1510へ送信される各種コマンドのつづきを示すテーブルであり、図209は、主制御基板1310が受信する払出制御基板951からの各種コマンドの一例を示すテーブルである。
まず、主制御基板1310から払出制御基板951へ送信される払い出しに関するコマンドである賞球コマンドについて説明し、続いて主制御基板1310から周辺制御基板1510へ送信される各種コマンドについて説明し、最後に主制御基板1310が受信する払出制御基板951からの各種コマンドについて説明する。
[8−1.主制御基板から払出制御基板へ送信される各種コマンド]
主制御基板1310の主制御MPU1310aは、一般入賞口センサ3111、第一始動口センサ3112、第二始動口センサ3113、及び大入賞口センサ2402、2403等の各種センサ(スイッチ)からの検出信号が入力されると、これらの検出信号に基づいて、あらかじめ定めた球数の遊技球を賞球として払い出すための賞球コマンドを払出制御基板951へ送信する。
この賞球コマンドは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドである。本実施形態では、パチンコ遊技機1とCRユニット6とが電気的に接続されている場合には(いわゆる「CR機」に相当)、主制御基板1310から払出制御基板951に送信する賞球コマンドには、コマンド10H〜コマンド1EH(「H」は16進数を表す。)が用意されている。なお、CRユニット6は、パチンコ遊技機1と通信することにより、パチンコ遊技機1(払出装置830)の払出モータ834を駆動して上皿321や下皿322に貸球として遊技球を払い出す装置である。上述したコマンド10Hでは賞球1個が指定され、コマンド11Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド1EHでは賞球15個が指定される。この指定された賞球数だけ、払出制御基板951は、払出モータ834を駆動して遊技球の払出制御を行う。
一方、パチンコ遊技機1と球貸し機とが遊技場(ホール)に隣接して設置されており、パチンコ遊技機1と球貸し機が電気的に接続されている場合には(このようなパチンコ遊技機を「一般機」という。)、図206(b)に示すように、主制御基板1310から払出制御基板951に送信する賞球コマンドには、コマンド20H〜コマンド2EHが用意されている。なお、球貸機は、遊技球を貯留皿である、上皿321や下皿322に貸球として直接払い出す装置である。
上述したコマンド20Hでは賞球1個が指定され、コマンド21Hでは賞球2個が指定され、・・・、コマンド2EHでは賞球15個が指定されている。この指定された賞球数だけ、払出制御基板951は、払出モータ834を駆動して遊技球を払い出す制御を行う。
なお、CR機及び一般機の共通のコマンドとして、図206(c)に示すように、コマンド30Hが用意されており、このコマンド30Hではセルフチェックが指定されている。
送信側は、コマンド送信後所定期間に亘って受信側からコマンドの受け取り確認として出力するACK信号が入力されない場合、コマンド30Hを送信してACK信号が入力されるか否かをチェックすることにより接続状態を確認する。本実施形態におけるCR機の場合では、払出制御基板951がCRユニット6との接続状態を確認する。
[8−2.主制御基板から周辺制御基板へ送信される各種コマンド]
次に、主制御基板1310から周辺制御基板1510へ送信される各種コマンドについて説明する。主制御基板1310の主制御MPU1310aは、遊技の進行に基づいて周辺制御基板1510に各種コマンドを送信する。
各種コマンドは、図207及び図208に示すように、特図1同調演出関連、特図2同調演出関連、大当り関連、電源投入、普図同調演出関連、普通電役演出関連、報知表示、状態表示、テスト関連、及びその他に区分されている。
これらの各種コマンドは、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、図207及び図208に示すように、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するとともにコマンドの種類を示すステータス(STTS値)と、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するとともに演出のバリエーションを示すモード(MODE値)と、を備える。
これらステータス(STTS値)及びモード(MODE値)には、主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域に確保された複数の送信情報記憶領域(以下「RWM」ともいう)の値が使用される。つまり、各コマンド8ビットのうち、例えば上位3ビットは第一送信情報記憶領域(RWM1)の値を用いる一方、下位5ビットは第二送信情報記憶領域(RWM2)の値を用いている。このようにすると、周辺制御基板1510では、周辺制御MPU1530aが、主制御基板1310から送信されるコマンドを受信すると、このコマンドをビット単位で分解してステータスやモードを把握できるようになる。
[8−2−1.特図1同調演出関連]
特図1同調演出関連は、第一始動口センサ3112からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図207に示すように、機能表示基板1191の第一特別図柄表示器1403に関する、特図1同調演出開始、特別図柄1指定、特図1同調演出終了、及び変動時状態指定という名称のコマンドを備える。これらの各種コマンドには、ステータスとして「A*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によってあらかじめ定められたものである)。
特図1同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで特図同調演出開始を指示するためのコマンドであり、特別図柄1指定コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定するためのコマンドである。特図1同調演出終了コマンドは、特図1同調演出終了を指示するためのコマンドであり、変動時状態指定コマンドは、確率及び時短状態の少なくとも一方への移行を指示するためのコマンドである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとしては、特図1同調演出開始コマンドは、特別図柄1変動開始時に送信され、特別図柄1指定コマンドは、特図1同調演出開始の直後に送信され、特図1同調演出終了コマンドは、特別図柄1変動時間経過時(特別図柄1確定時)に送信され、変動時状態指定コマンドは、特図当落情報指定の直後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には後述する主制御側タイマ割り込み処理における周辺制御基板コマンド送信処理(ステップS92)で送信される(コマンド送信手段)。
[8−2−2.特図2同調演出関連]
特図2同調演出関連は第二始動口センサ3113からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図207に示すように、機能表示基板1191の第二特別図柄表示器1405に関する、特図2同調演出開始、特別図柄2指定、及び特図2同調演出終了という名称のコマンドを備える。これらの各種コマンドには、ステータスとして「B*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によってあらかじめ定められたものである)。
特図2同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで特図同調演出開始を指示し、特別図柄2指定コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定し、特図2同調演出終了は、特図2同調演出終了を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、特図2同調演出開始コマンドは、特別図柄2変動開始時に送信され、特別図柄2指定コマンドは、特図2同調演出開始の直後に送信され、特図2同調演出終了コマンドは、特別図柄2変動時間経過時(特別図柄2確定時)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−3.大当り関連]
大当り関連という区分には、図207に示すように、大当りオープニング、大入賞口1開放N回目表示、大入賞口1閉鎖表示、大入賞口1カウント表示、大当りエンディング、大当り図柄表示、小当りオープニング、小当り開放表示、小当りカウント表示、及び小当りエンディングという名称のコマンドを備える。これらの各種コマンドには、ステータスとして「C*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によってあらかじめ定められたものである)。
大当りオープニングコマンドは、大当りオープニング開始を指示し、大入賞口1開放N回目表示コマンドは、1〜16ラウンド目の大入賞口1開放中開始(、アタッカユニット2100の大入賞口2005,2006のN回目のラウンドの開放中又は開放開始)を指示し、大入賞口1閉鎖表示コマンドは、ラウンド間の大入賞口1閉鎖中開始(アタッカユニット2100の大入賞口2005,2006のラウンド間の閉鎖中又は閉鎖開始)を指示し、大入賞口1カウント表示コマンドは、カウント0〜10個をカウントした旨(大入賞口センサ2402、2403によって検出された、大入賞口2005,2006に入球した遊技球の球数)を伝えるものであり、大当りエンディングコマンドは、大当りエンディング開始を指示し、大当り図柄表示コマンドは、大当り図柄情報表示を指示するものである。
小当りオープニングコマンドは、小当りオープニング開始を指示し、小当り開放表示コマンドは、小当り開放中開始(小当り時における、アタッカユニットの大入賞口2005,2006の開放中又は開放開始)を指示し、小当りカウント表示コマンドは、小当り中大入賞口入賞演出(小当り中における、大入賞口2103に入球した遊技球が大入賞口センサ2402、2403によって検出された場合における演出)を指示し、小当りエンディングコマンドは、小当りエンディング開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、大当りオープニングコマンドは、大当りオープニング開始時に送信され、大入賞口1開放N回目表示コマンドは、1〜16ラウンド目の大入賞口1開放時(アタッカユニットの大入賞口2005,2006のN回目のラウンドの開放時)に送信され、大入賞口1閉鎖表示コマンドは、大入賞口1閉鎖時(アタッカユニットの大入賞口2005,2006の閉鎖開始時)に送信され、大入賞口1カウント表示コマンドは、大入賞口1開放時及び大入賞口1へのカウント変化時(アタッカユニットの大入賞口2005,2006の開放時、及び大入賞口2005,2006に入球した遊技球が大入賞口センサ2403,2402によって検出された時)に送信され、大当りエンディングコマンドは、大当りエンディング開始時に送信され、大当り図柄表示コマンドは、大入賞口開放時(アタッカユニットの大入賞口2005,2006の開放時)に送信される。
小当りオープニングコマンドは、小当りオープニング開始時に送信され、小当り開放表示コマンドは、小当り開放時(小当り時における、アタッカユニットの大入賞口2005,2006の開放時)に送信され、小当りカウント表示コマンドは、小当り中大入賞口入賞時(小当り中における、大入賞口2005,2006に入球した遊技球が大入賞口センサ2402、2403によって検出された時)に送信され、小当りエンディングコマンドは、小当りエンディング開始時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−4.電源投入]
電源投入という区分には、図207に示すように、電源投入という名称の各種コマンドを備える。この電源投入コマンドには、ステータスとして「D*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によってあらかじめ定められたものである)。
電源投入コマンドは、RAMクリア演出開始及びそれぞれの状態演出開始を指示するものである(例えば、電源投入時に払出制御基板951の操作スイッチ952が操作された時における演出の開始を指示したりするものである)。
電源投入コマンドの送信タイミングとして、主制御基板電源投入時RAMクリア及びRAMクリア以外の時に送信される。具体的には、パチンコ遊技機1の電源投入時、停電又は瞬停から復帰するときであって、払出制御基板951の操作スイッチ952が操作されたときに、後述する主制御側電源投入時処理が実行されて主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で電源投入コマンドが送信される。
[8−2−5.普図同調演出関連]
普図同調演出関連は、ゲートセンサ2401からの検出信号に基づくものであり、その区分には、図207に示すように、機能表示基板1191の普通図柄表示器1189に関する、普図同調演出開始、普図柄指定、普図同調演出終了、及び変動時状態指定という名称のコマンドを備える。これらの各種コマンドには、ステータスとして「E*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によってあらかじめ定められたものである)。
普図同調演出開始コマンドは、モードで指定された演出パターンで普図同調演出開始を指示し、普図柄指定コマンドは、はずれ、特定大当り、非特定大当りを指定し、普図同調演出終了コマンドは、普図同調演出終了を指示し、変動時状態指定コマンドは、確率及び時短状態を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、普図同調演出開始コマンドは、普通図柄1変動開始時に送信され、普図柄指定コマンドは、普図同調演出開始の直後に送信され、普図同調演出終了コマンドは、普通図柄変動時間経過時(普通図柄確定時)に送信され、変動時状態指定コマンドは、普図当落情報指定の直後に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−6.普通電役演出関連]
普通電役演出関連は、始動口ソレノイド2105の駆動により開閉される一対の可動片2105に関するものであり、その区分には、図207に示すように、普図当りオープニング、普電開放表示、及び普図当りエンディングという名称のコマンドを備える。
これらの各種コマンドには、ステータスとして「F*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によってあらかじめ定められたものである)。
普図当りオープニングコマンドは、普図当りオープニング開始を指示するものであり、普電開放表示コマンドは、普電開放中開始(一対の可動片2105が始動口ソレノイド2105の駆動により左右方向へ拡開した状態、又は拡開する時)を指示するものであり、普図当りエンディングコマンドは、普図当りエンディング開始を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、普図当りオープニングコマンドは、普図当りオープニング開始時に送信され、普電開放表示コマンドは、普電開放時(一対の可動片2105が始動口ソレノイド2105の駆動により左右方向へ拡開する時)に送信され、普図当りエンディングコマンドは、普図当りエンディング開始時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−7.報知表示]
報知表示の区分には、図208に示すように、入賞異常表示、接続異常表示、断線・短絡異常表示、磁気検出スイッチ異常表示、扉開放、及び扉閉鎖という名称のコマンドを備える。これらの各種コマンドには、ステータスとして「6*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によってあらかじめ定められたものである)。ただし、図208では、報知表示として用意されているコマンドのうちの一部を示すものであり、例えば、振動センサ2405に異常検出が生じた場合におけるコマンドや、可動片2105が開放状態になっていないときに第二始動口2004へ遊技球が受け入れられたときの始動入賞異常検出が生じた場合におけるコマンドなど、他の各種コマンドについては説明を割愛している。
入賞異常表示コマンドは、大当り中(条件装置作動中)以外に大入賞口2103口に入球した時(大当り中でもないのに、アタッカユニット2100の大入賞口2005,2006に遊技球が入球してその遊技球を大入賞口センサ2402、2403が検出した時)に、入賞異常報知の開始を指示するものである。接続異常表示コマンドは、例えば、主制御基板1310と払出制御基板951との基板間に亘る経路において電気的な接続異常がある場合に接続異常報知の開始を指示するものであり、断線・短絡異常表示コマンドは、例えば、主制御基板1310と、第一始動口センサ3112、第二始動口センサ3113、大入賞口センサ2402,2403等のいずれかとの電気的な接続の断線・短絡が生じた場合に断線・短絡異常表示の開始を指示するものであり、磁気検出スイッチ異常表示コマンドは、磁気センサ2404に異常が生じた場合に磁気検出スイッチ異常報知の開始を指示するものである。
扉枠開放コマンドは、払出制御基板951を介して入力される扉枠開放スイッチ618からの検出信号(開放信号)に基づいて、扉枠3が本体枠4に対して開放された状態である場合、扉開放報知を指示するものであり、扉枠閉鎖コマンドは、その扉枠開放スイッチ618からの検出信号に基づいて、扉枠3が本体枠4に対して閉鎖された状態である場合に扉開放報知終了を指示するものである。一方、本体枠開放コマンドは、払出制御基板951を介して入力される本体枠開放スイッチ619からの検出信号(開放信号)に基づいて、本体枠4が外枠2に対して開放された状態である場合、本体枠開放報知を指示するものであり、本体枠閉鎖コマンドは、その本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠4が外枠2に対して閉鎖された状態である場合に本体枠開放報知終了を指示するものである。
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、入賞異常表示コマンドは、大当り中(条件装置作動中)以外に大入賞口に入賞した時に送信され、接続異常表示コマンドは、主制御基板1310から払出制御基板951へのコマンド送信時に払出制御基板951からのACK返信(ACK信号)がなかった時に送信され、断線・短絡異常表示コマンドは、第一始動口センサ3112、第二始動口センサ3113、大入賞口センサ2402、2403等のうち、いずれが断線又は短絡状態となった時に送信され、磁気検出スイッチ異常表示コマンドは、磁気センサ2404の異常を検知した時に送信される。
一方、扉枠開放コマンドは、扉開放を検知した時(扉枠開放スイッチ618からの検出信号に基づいて、扉枠3が本体枠4に対して開放された状態である場合)に送信され、扉枠閉鎖コマンドは、扉閉鎖を検知した時(扉枠開放スイッチ618からの検出信号に基づいて、扉枠3が本体枠4に対して閉鎖された状態である場合)に送信される。
本体枠開放コマンドは、本体枠開放を検知した時(本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠4が外枠2に対して開放された状態である場合)に送信される一方、本体枠閉鎖コマンドは、本体枠閉鎖を検知した時(本体枠開放スイッチ619からの検出信号に基づいて、本体枠4が外枠2に対して閉鎖された状態である場合)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−8.状態表示]
状態表示の区分には、図208に示すように、枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド及び枠状態2コマンドという名称のコマンドを備える。これらの各種コマンドには、ステータスとして「7*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によってあらかじめ定められたものである)。
枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド及び枠状態2コマンドは、それぞれ、払出制御基板951から送信された1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、これらの詳細な説明は、後述する。なお、主制御基板1310の主制御MPU1310aは、払出制御基板951からの枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドを受信すると、図208に示すように、「7*H」をステータスとして設定するとともに、その受信したコマンドをそのままモードとして設定する。つまり、主制御MPU1310aは、払出制御基板951からの枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドを受信すると、これら受信したコマンドに付加情報である「7*H」を付加することにより、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドに整形する。
整形された、枠状態1コマンドは、電源復旧時、枠状態の変化時、及びエラー解除ナビ時に送信され、エラー解除ナビコマンドは、エラー解除ナビ時に送信され、枠状態2コマンドは、電源復旧時、及び枠状態の変化時に送信される。なお、これら整形された、枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−2−9.テスト関連]
テスト関連の区分には、図208に示すように、テストという名称の各種コマンドを備える。このテストコマンドには、ステータスとして「8*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によってあらかじめ定められたものである)。
テストコマンドは、主制御基板1310から周辺制御基板1510に対して送信されるコマンドであって周辺制御基板1510の各種検査を指示するものである。このようなテストコマンドとしては、例えば、周辺制御部1530、液晶及び音制御部1540、扉枠用中継基板911、及び扉枠左サイド装飾基板160等の各種基板の検査を行うコマンドを挙げることができる。
この主制御基板1310では、ハードウェア側の都合によりテストコマンド用のポートをその都度逐一割り当てるためハードウェア側で管理しにくい態様の代わりに、ソフトウェア側で管理しやすくするために、テストコマンド用のポートとして、ソフトウェアのタイマで管理できるものについては複数のポートのうちの所定のポートに割り付ける一方、フラグで管理できるものについては特定のポートに割り付けるようにしている。
テストコマンドの送信タイミングとして、主制御基板電源投入時RAMクリア及びRAMクリア以外の時に送信される。具体的には、パチンコ遊技機1の電源投入時、停電又は瞬停から復帰するときであって、払出制御基板951の操作スイッチ952が操作されたときに、後述する主制御側電源投入時処理が実行されて主制御側タイマ割り込み処理における周辺制御基板コマンド送信処理でテストコマンドが送信される。
[8−2−10.その他]
その他の区分には、図208に示すように、始動口入賞、変動短縮作動終了指定、高確率終了指定、特別図柄1記憶、特別図柄2記憶、普通図柄記憶、特別図柄1記憶先読み演出、及び特別図柄2記憶先読み演出という名称のコマンドが含まれている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「9*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によってあらかじめ定められたものである)。
始動口入賞コマンドは、始動口入賞演出開始を指示するものであって、第一始動口センサ3112からの検出信号に基づいて第一始動口2002に遊技球が入球した場合における演出の開始と、第二始動口センサ3113からの検出信号に基づいて第二始動口2004に遊技球が入球した場合における演出の開始と、をそれぞれ指示するものである。変動短縮作動終了指定コマンドは、変動短縮作動状態から変動短縮非作動状態への状態移行を指示するものである。高確率終了指定コマンドは、高確率状態(後述する確率変動状態に相当)から低確率状態(後述する通常遊技状態などに相当)への状態移行を指示するものである。特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1保留0〜4個(第一始動口2002に遊技球が入球して機能表示基板1191の第一特別図柄表示器1403で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものである。特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2保留0〜4個(第二始動口2004に遊技球が入球して機能表示基板1191の第二特別図柄表示器1405で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものである。普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1保留0〜4個(ゲート部2350を遊技球が通過して機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものである。
特別図柄1記憶先読み演出コマンド(先行判定指示コマンド)は、特別図柄1保留が機能表示基板1191の第一特別図柄表示器1403で特別図柄の変動表示に使用される前に先読みしてその特別図柄1保留に基づく第一特別図柄表示器1403による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものである。
特別図柄2記憶先読み演出コマンド(先行判定指示コマンド)は、特別図柄2保留が機能表示基板1191の第二特別図柄表示器1405で特別図柄の変動表示に使用される前に先読みしてその特別図柄2保留に基づく第二特別図柄表示器1405による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものである。なお、本実施形態では、これら特別図柄1記憶先読み演出コマンド及び特別図柄2記憶先読み演出コマンドを総称して「記憶先読み演出コマンド」とも呼んでいる。
始動口入賞コマンドは、第一始動口2002への遊技球の入球に伴って第一始動口センサ3112から検出信号が検出された時或いは第二始動口2004への遊技球の入球に伴って第二始動口センサ3113から検出信号が検出された時に(以下「始動口入賞」ともいう)、本体枠4に設けたスピーカユニット920のスピーカ及び扉枠3のスピーカから主に音声でその旨を報知するために送信される。
変動短縮作動終了指定コマンドは、規定回数の変動短縮を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信される。高確率終了指定コマンドは、「高確率N回」の場合の高確率回数を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信される。特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1作動保留球数変化時(第一始動口2002に遊技球が入球して機能表示基板1191の第一特別図柄表示器1403で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに第一始動口2002に遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から第一特別図柄表示器1403で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信される。
特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2作動保留球数変化時(第二始動口2004に遊技球が入球して機能表示基板1191の第二特別図柄表示器1405で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに第二始動口2004に遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から第二特別図柄表示器1405で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信される。
普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1作動保留球数変化時(ゲート部2350を遊技球が通過して機能表示基板1191の普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらにゲート部2350を遊技球が通過して保留数が増加した時や、その保留数から普通図柄表示器1189で普通図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信される。
特別図柄1記憶先読み演出コマンドは、特別図柄1作動保留球数増加時(第一始動口2002に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信される。特別図柄2記憶先読み演出コマンドは、特別図柄2作動保留球数増加時(第二始動口2004に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
[8−3.主制御基板が受信する払出制御基板からの各種コマンド]
次に、主制御基板1310が受信する払出制御基板951からの各種コマンドについて説明する。払出制御基板951からの各種コマンドは、図209に示すように、枠状態1、エラー解除ナビ及び枠状態2という名称のコマンドの区分に分けられている。各種コマンドは、例えば、枠状態1、エラー解除ナビ、枠状態2の順で優先順位が設定されているものとする。
枠状態1コマンドとしては、「球切れ」、「満タン」、「50個以上のストック中」、「接続異常」及び「CR未接続」が用意されている。球切れではビット0(B0、「B」はビットを表す。)に値1がセットされ、満タンではビット1(B1)に値1がセットされる。50個以上のストック中ではビット2(B2)に値1がセットされ、接続異常ではビット3(B3)に値1がセットされ、CR未接続ではビット4(B4)に値1がセットされる。枠状態1コマンドのビット5(B5)〜ビット7(B7)には、B5に値1、B6に値0、B7に値0がセットされている。
エラー解除ナビコマンドには、「球がみ」、「計数スイッチエラー」及び「リトライエラー」が用意されている。球がみではビット2(B2)に値1がセットされ、計数スイッチエラーではビット3(B3)に値1がセットされ、リトライエラーではビット4(B4)に値1がセットされる。ここで、「計数スイッチエラー」とは、計数スイッチ838の不具合が生じているか否かをしている。「リトライエラー」とは、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球の払い出しが繰り返し行われたことをしている。エラー解除ナビコマンドのビット(B0)、ビット(B1)、及びビット5(B5)〜ビット7(B7)には、B0に値0、B1に値0、B5に値0、B6に値1、B7に値0がセットされている。
枠状態2コマンドには、例えば「球抜き中」が用意されている。球抜き中ではビット0(B0)に値1がセットされる。枠状態2コマンドのビット1(B1)〜ビット7(B7)には、B1に値0、B2に値0、B3に値0、B4に値0、B5に値1、B6に値1、B7に値0がセットされている。
これらの各種コマンドの送信タイミングは次のようになっている。枠状態1コマンドは、電源復旧時、枠状態の変化時、及びエラー解除ナビ時に送信される。エラー解除ナビコマンドは、エラー解除ナビ時に送信される。枠状態2コマンドは、電源復旧時及び枠状態の変化時に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には、後述する払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS558のコマンド送信処理で送信される。
[9.主制御基板の各種制御処理]
次に、パチンコ遊技機1の遊技の進行に応じて、主制御基板1310が行う各種制御処理について、図210〜図212を参照して説明する。図210は主制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートである。図211は図210の主制御側電源投入時処理のつづきを示すフローチャートである。図212は主制御側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。まず、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、続いて初期値更新型のカウンタの動き、主制御側電源投入時処理、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。
[9−1.各種乱数]
遊技制御に用いられる各種乱数として、主に、大当り遊技状態又は小当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いるための大当り判定用乱数と、この大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数と、大当り遊技状態を発生させないときにリーチ(リーチはずれ)を発生させるか否かの決定に用いるためのリーチ判定用乱数と、第一特別図柄表示器1403及び第二特別図柄表示器1405で変動表示される特別図柄の変動パターンの決定に用いるための変動パターン用乱数と、大当り遊技状態を発生させるときに第一特別図柄表示器1403及び第二特別図柄表示器1405で導出表示される大当り図柄の決定に用いられる大当り図柄用乱数と、この大当り図柄用乱数の初期値の決定に用いられる大当り図柄用初期値決定用乱数と、が用意されている。なお、上述した大当り図柄用乱数は、小当り遊技状態を発生させるときに第一特別図柄表示器1403及び第二特別図柄表示器1405で導出表示される小当り図柄の決定に用いられる小当り図柄用乱数としても利用される。
一方、上述した大当り図柄用初期値決定用乱数は、この小当り図柄用乱数の初期値の決定に用いるための小当り図柄用初期値決定用乱数としても利用される。またこれらの乱数に加えて、一対の可動片2105を開閉動作させるか否かの決定に用いるための普通図柄当り判定用乱数と、この普通図柄当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための普通図柄当り判定用初期値決定用乱数と、普通図柄表示器1189で変動表示される普通図柄の変動パターンの決定に用いるための普通図柄変動パターン用乱数等が用意されている。
例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、チップに内蔵されたハードウェアにより構成されており、最小値から最大値までに亘るあらかじめ定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内で更新し、この最小値から最大値までに亘る範囲を、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。このカウンタは、大当り判定用初期値決定用乱数から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値(値0)から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。
大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、大当り判定用初期値決定用乱数が更新される。このようなカウンタの更新方法を「初期値更新型のカウンタ」という。
大当り判定用初期値決定用乱数は、大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行して得られる。一方、上述した普通図柄当り判定用乱数及び普通図柄当り判定用初期値決定用乱数も、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一の方法により更新される。
なお、本実施形態では、大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップされ終ると、上述したように、大当り判定用初期値決定用乱数は初期値抽選処理を実行することにより更新される。しかしながら、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合には、大当り判定用初期値決定用乱数は、主制御MPU1310aがその内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行し、この導出した固定値がセットされる仕組みとなっている。
なお、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合とは、払出制御基板951の操作スイッチ952が電源投入時に操作された場合、又は、後述する主制御側電源投入時処理において主制御MPU1310aの主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出して得たチェックサムの値(サム値)が主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致していない場合などを挙げることができる。
上述した大当り判定用初期値決定用乱数は、初期値導出処理の実行によりIDコードに基づいて導出された同一の固定値が常に上書き更新される。このように、大当り判定用初期値決定用乱数にセットされる値はIDコードを利用して導出されており、次のような2段階のセキュリティー対策が講じられることよって解析されることが防止される。
まず、第1のセキュリティー対策としては、主制御MPU1310aを製造したメーカによって主制御MPU1310aに内蔵する不揮発性のRAMにIDコードを記憶させるとIDコードが外部装置を用いても書き換えられないようにすることである。一方、第2のセキュリティー対策としては、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合に初期値導出処理を実行することによってIDコードに基づいて同一の固定値を導出することである。
ここで、主制御MPU1310aに内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出し、この取り出したIDコードを大当り判定用初期値決定用乱数として用いる利点について説明する。
例えば、賞球として払い出される遊技球を不正に獲得しようとする者が何らかの方法で遊技盤5を入手して分解し、主制御MPU1310aに内蔵する不揮発性のRAMにあらかじめ記憶されているIDコードを不正に取得し、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と大当り判定値とが一致するタイミングを把握することができたとしても、そのIDコードは、個体を識別するためのユニークな符号が付されたものであるため、他の遊技盤に設けられた主制御MPUに内蔵する不揮発性のRAMにあらかじめ記憶されているIDコードと全く異なるものである。
つまり、他の遊技盤においては、大当り判定用乱数を更新するカウンタの値と大当り判定値とが一致するタイミングも、入手した遊技盤5のものと全く異なる。換言すると、入手した遊技盤5を分解して解析して得たIDコードは、他の遊技盤、つまり他のパチンコ遊技機において、全く役に立たないものであるため、分解して解析した得た所定間隔ごとに瞬停を発生させ、その所定間隔ごとに、第一始動口2002や第二始動口2004に遊技球を入球させるという始動入賞を狙っても、大当り遊技状態を発生させることができない。
[9−2.初期値更新型のカウンタの動き]
主制御内蔵RAMの全領域をクリアする場合(RAMクリア時)、主制御MPU1310aは、その内蔵する不揮発性のRAMからIDコードを取り出した後、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を実行する。初期値更新型のカウンタにはこの導出した固定値がセットされる。
初期値更新型のカウンタは、1サイクル目として、この固定値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から固定値に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、大当り判定用初期値決定用乱数として大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされる。
初期値更新型のカウンタは、2サイクル目として、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から抽選で得た値に向かってカウントアップする。大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、再び、初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされ、初期値更新型のカウンタは、3サイクル目として、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップすることとなる。
本実施形態では、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値32668〜値32767が設定されており、通常時判定テーブルから読み出されるのに対して、高確率では値31768〜値32767が設定されており、確変時判定テーブルから読み出される。
大当り判定用乱数を更新するカウンタは、本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767までに亘るあらかじめ定めた固定数値範囲を更新する。換言すると、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)は、低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている。
ここで本実施形態では、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)として、低確率では値10〜値209が設定され、高確率では値10〜値339が設定されている場合を例示する。
つまり、低確率では、大当りとなる乱数値(大当り判定用乱数)の数が200個としており、高確率では、大当りとなる乱数値(大当り判定用乱数)の数が330個としている。ここで、本実施形態では、カウントして更新する複数の乱数同士が同期しないようにするため、乱数値の取得時期が異なる場合を除いて、同時に取得する他の乱数値の数を当該200個以外、例えば素数個としている。
すなわち、本実施形態では、大当り判定用乱数とは乱数値の取得時期が異なれば(例えば、後述するゲート2575に遊技球が通過したことを契機に取得される大当り遊技態様決定用乱数の値)、大当りとなる乱数値の数が素数でないようにすることができる。なお、本実施形態では、上述した小当りとなるのは、例えば、低確率での大当り図柄の個数(200個)を4で割った個数分(50個)の大当り判定用乱数としている。
そのような大当り判定値の範囲が設定されている場合について検討してみると、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最小値側に寄った範囲に設定されることとなる。
このような場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値10となる時期までに亘る期間と、この値10の次の値11から最大値(値32767)までに亘る期間と、を比べると、前者の期間の方が後者の期間と比べて上述した初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて低い。換言すると、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最後の値(低確率では値209、高確率では値339)までに亘る範囲と、この最後の値の次の値(低確率では値210、高確率では値340)から最大値(値32767)となるまでに亘る範囲と、を比べると、前者の範囲の方が後者の範囲と比べて初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて低い。
そうすると、例えば、何らかの方法によって初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングを不正に取得して第一始動口2002や第二始動口2004に向かって電波を照射することにより遊技球が第一始動口2002や第二始動口2004に入球したかのように装う不正行為が行われると、初期値更新型のカウンタの値が大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)うち、いずれかの値となる確率が高いといえる。
これに対して、本実施形態のように、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値となる手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)となる時期までに亘る期間と、最初の値(低確率では値32668、高確率では値31768)から最大値(値32767)までに亘る期間と、を比べると、前者の期間の方が後者の期間と比べて上述した初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて高い。
換言すると、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値の手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)までに亘る範囲と、最初の値(低確率では値32668、高確率では値31768)から最大値(値32767)までに亘る範囲と、を比べると、前者の範囲の方が後者の範囲と比べて初期値抽選処理によって抽選される確率が極めて高い。
そうすると、初期値更新型のカウンタは、値0から大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値の手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)までに亘る範囲のうち、いずれかの値が初期値抽選処理により抽選された値となって上述した大当り判定用初期値決定用乱数にセットされることとなるため、この抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップし、続いて最小値から抽選で得た値に向かってカウントアップすることとなる。
大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲をカウンタがカウントアップし終えると、再び、初期値抽選処理を実行し、この抽選で得た値がセットされ、初期値更新型のカウンタは、抽選で得た値から最大値に向かってカウントアップすることとなる。
つまり、本実施形態のように、大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)が低確率と高確率とのうち、どちらにおいても、最小値と最大値との中間値(値16384)から最大値側に寄った範囲に設定されている場合には、初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングから大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)のうち最初の値となる手前の値(低確率では値32667、高確率では値31767)となる時期までに亘る期間が不規則となり、ランダム性に富んだものとなっている。
これにより、例えば、何らかの方法によって初期値更新型のカウンタの値が値0となるタイミングを不正に取得して第一始動口2002や第二始動口2004に向かって電波を照射することにより遊技球が第一始動口2002や第二始動口2004に入球したかのように装う不正行為が行われたとしても、初期値更新型のカウンタの値が大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)うち、いずれかの値となる確率が低いといえる。
なお、初期値更新型のカウンタは、最小値から最大値までの範囲を繰り返し更新される。初期値から大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)から2サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T0となる。
時間T0から3サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T1となり、時間T0に比べて時間T1の方が短くなる。
時間T1から4サイクル目においてカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となるまでに要する時間は時間T2となり、時間T1に比べて時間T2の方が短くなる。
このように、初期値更新型のカウンタでは、更新されるカウンタが大当り判定値の範囲(大当り判定範囲)の最小値(最初の値)となる時間に対してゆらぎを持たせることによって(周期性を排除した状態にすることによって)遊技者に察知されないようになっている。
[9−3.主制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、上述した主制御プログラムが、主制御基板1310の主制御MPU1310aによる制御の下、図210及び図211に示すように、主制御側電源投入時処理を行う。
この主制御側電源投入時処理が開始されると、主制御プログラムは、主制御MPU1310aの制御の下、スタックポインタの設定を行う(ステップS10)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示すものであり、スタックが積まれるごとにスタックポインタが進む。
ステップS10では、主制御プログラムが、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS10に続いて、主制御プログラムは、停電監視回路1310eに停電クリア信号の出力を開始する(ステップS11)。この停電監視回路1310eは、電圧比較回路であるコンパレータMIC21と、DタイプフリップフロップMIC22と、を備える。
電圧比較回路であるコンパレータMIC21は、+24Vとリファレンス電圧との電圧を比較したり、+12Vとリファレンス電圧との電圧を比較したりすることで、その比較結果を出力する。この比較結果は、停電又は瞬停が発生していない場合ではその論理値がHIとなってDタイプフリップフロップMIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される一方、停電又は瞬停が発生した場合ではその論理値がLOWとなってDタイプフリップフロップMIC22のプリセット端子であるPR端子に入力される。
ステップS11では、このDタイプフリップフロップMIC22のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を開始する。この停電クリア信号は、主制御MPU1310aの所定の出力ポートの出力端子からその論理をLOWとして、リセット機能付き主制御出力回路1310caを介して、DタイプフリップフロップICのクリア端子であるCLR端子に入力される。
これにより、主制御MPU1310aは、DタイプフリップフロップMIC22のラッチ状態を解除することができ、ラッチ状態をセットするまでの間、DタイプフリップフロップMIC22のプリセット端子であるPR端子に入力された論理を反転して出力端子である1Q端子から出力する状態とすることができ、その1Q端子からの信号を監視することができる。
ステップS12に続いて、主制御プログラムは、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS12)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS14)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、停電監視回路1310eから停電予告として停電予告信号が入力される。
電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると、停電監視回路1310eから停電予告信号が入力される。そこで、ステップS12のウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。
ステップS14の判定でその停電予告信号が入力されているか否かの判定を行っている。この判定では、停電予告信号として、上述したDタイプフリップフロップMIC22の出力端子である1Q端子から出力されている信号に基づいて行う。
ステップS14で電源投入後に電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待っても停電予告信号の入力がなかったときには、主制御プログラムは、DタイプフリップフロップMIC22のクリア端子であるCLR端子に停電クリア信号の出力を停止する(ステップS15)。
ここでは、停電クリア信号は、主制御MPU1310aの所定の出力ポートの出力端子からその論理をHIとして、リセット機能付き主制御出力回路1310caを介して、DタイプフリップフロップICのクリア端子であるCLR端子に入力される。これにより、主制御MPU1310aは、DタイプフリップフロップMIC22をラッチ状態にセットすることができる。DタイプフリップフロップMIC22は、そのプリセット端子であるPR端子に論理値がLOWとなって入力された状態をラッチすると、出力端子である1Q端子から停電予告信号を出力する。
ステップS15に続いて、主制御プログラムは、電源投入時から所定時間に亘って主制御内蔵RAM(遊技記憶部)の初期化を行うRAMクリア処理を実行可能な状態とする(遊技側電源投入時操作制御手段)。具体的には、主制御プログラムは、まず、払出制御基板951の操作スイッチ952が操作されているか否かを判定する(ステップS16)。
この判定では、主制御プログラムが、払出制御基板951の操作スイッチ952が操作されたことに伴う操作信号(検出信号)に基づくエラー解除ナビコマンド(第1のエラー解除コマンド)が主制御MPU1310aに入力されているか否かにより行う。
主制御プログラムは、その操作信号の論理値に基づいて、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がHIであるときにはRAMクリアを行うことを指示するものではないと判断して操作スイッチ952が操作されていないと判定する一方、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がLOWであるときにはRAMクリアを行うことを指示するものであると判断して操作スイッチ952が操作されていると判定する。
ステップS16において、主制御プログラムは、上記操作スイッチ952が操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットする(ステップS18)。一方、主制御プログラムは、ステップS16で操作スイッチ952が操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS20)。
すなわち、主制御プログラムは、電源投入時から所定時間に亘って、主制御MPU1310aに内蔵されたRAM(以下、「主制御内蔵RAM」ともいう)の初期化を行うRAMクリア処理を実行可能な状態とする(遊技制御側電源投入時操作制御手段)。
上述したRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU1310aの主制御内蔵RAM(遊技記憶部)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。なお、ステップS18及びステップS20でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGの値は、主制御MPU1310aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS18又はステップS20に続いて、主制御プログラムは、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS22)。このウェイトタイマ処理2では、周辺制御基板1510の液晶及び音制御部1540による遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460Aの描画制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。
ステップS22に続いて、主制御プログラムは、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS24)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS24でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS26)。このチェックサムは、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS26に続いて、主制御プログラムは、算出したチェックサムの値(サム値)が後述する主制御側電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値(サム値)と一致しているか否かを判定する(ステップS28)。一致しているときには、この主制御プログラムは、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS30)。
このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値等の遊技バックアップ情報を後述する主制御側電源断時処理において主制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、主制御側電源断時処理を正常に終了したとき値1、主制御側電源断時処理を正常に終了していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS30でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了したときには、主制御プログラムは、復電時として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS32)。
この設定は、バックアップフラグBK−FLGに値0をセットするほか、主制御MPU1310aに内蔵されたROM(以下、「主制御内蔵ROM」ともいう)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットする。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態の他に、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態、高周波が照射されたことを検出してリセットし、その後に復帰した状態も含める。
ステップS32に続いて、主制御プログラムは、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS34)。この電源投入時コマンド作成処理では、遊技バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを主制御内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。
一方、ステップS24でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、或いはステップS28でチェックサムの値(サム値)が一致していないときには、又はステップS30でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御プログラムは、主制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS36)。
すなわち、主制御プログラムは、上述した操作スイッチ952の操作に伴う検出信号の入力を契機として遊技制御側RAMクリア処理を実行している(払出制御側電源投入時操作制御手段)。具体的には、主制御プログラムは、値0を主制御内蔵RAMに書き込むことよって行う。なお、その代わりに、主制御プログラムは、初期値として主制御内蔵ROMから所定値を読み出して、セットしてもよい。
主制御MPU1310aは、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がRAMクリアを指示するもので遊技情報を消去するとき、サム値が一致していないとき、又は主制御側電源断時処理を正常に終了していないときには、主制御MPU1310aの不揮発性のRAMにあらかじめ記憶された固有のIDコードを取り出し、この取り出したIDコードに基づいて大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から常に同一の固定値を導出する初期値導出処理を行い、この固定値を、上述した大当り判定用乱数の初期値の決定に用いるための大当り判定用初期値決定用乱数にセットする。
ステップS36に続いて、主制御プログラムは、初期設定として主制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS38)。この設定は、主制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を主制御内蔵RAMの作業領域にセットされることにより実施される。
ステップS38に続いて、主制御プログラムは、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS40)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、主制御内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を報知するための電源投入に区分される電源投入コマンドを作成するとともに、周辺制御基板1510の各種検査を行うためのテスト関連に区分されるテストコマンドを作成して、送信情報として主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域にそれぞれ記憶する。
ステップS34又はステップS40に続いて、主制御プログラムは、割り込み初期設定を行う(ステップS42)。この設定は、後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。
ステップS42に続いて、主制御プログラムは、割り込み許可設定を行う(ステップS44)。この設定によりステップS42で設定した割り込み周期、つまり4msごとに主制御側タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS44に続いて、主制御プログラムは、電源投入時から所定時間を経過すると、つまり、主制御側メイン処理が開始されると、操作スイッチ952(操作スイッチ)の操作に伴うエラー解除ナビコマンドの受け取りを契機とした遊技制御側RAMクリア処理の実行を規制することとなる(通常時操作制御手段)。
次に主制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS46)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値B、値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS46に続いて、主制御プログラムは、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS48)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号が停電監視回路1310eから入力される。ステップS48の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS48で停電予告信号の入力がないときには、主制御プログラムは非当落乱数更新処理を行う(ステップS50)。この非当落乱数更新処理では、上述した、リーチ判定用乱数、変動パターン用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。
ステップS50に続いて、再びステップS46に戻り、主制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS48で停電予告信号の入力があるか否かを判定し、この停電予告信号の入力がなければ、ステップS50で非当落乱数更新処理を行い、ステップS46〜ステップS50を繰り返し行う。なお、このステップS46〜ステップS50の処理を「主制御側メイン処理」という。
一方、ステップS48で停電予告信号の入力があったときには、主制御プログラムは、割り込み禁止設定を行う(ステップS52)。この設定により後述する主制御側タイマ割り込み処理が行われなくなり、主制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。
ステップS52に続いて、主制御プログラムは、停電クリア信号を出力開始する(ステップS53)。ここでは、ステップS11において停電クリア信号を出力開始した処理と同一の処理を行う。これにより、主制御プログラムは、主制御MPU1310aの制御の下、DタイプフリップフロップMIC22のラッチ状態を解除することができる。
ステップS53に続いて、主制御プログラムは、始動口ソレノイド2105、アタッカソレノイド2108A,2108B、第一特別図柄表示器1403、第二特別図柄表示器1405、第一特別図柄記憶表示器1184、第二特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、ラウンド表示器1190等に出力している駆動信号を停止する(ステップS54)。
ステップS54に続いて、主制御プログラムは、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS56)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値(サム値)及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、主制御内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS56に続いて、主制御プログラムは、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする(ステップS58)。これにより、遊技バックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS58に続いて、主制御プログラムは、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS60)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS60に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、主制御MPU1310aにリセットがかかり、その後主制御MPU1310aは、この主制御側電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS52〜ステップS60の処理及び無限ループを「主制御側電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(主制御MPU1310a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により主制御側電源投入時処理を行う。
なお、ステップS28では主制御内蔵RAMに記憶されている遊技バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS30では主制御側電源断時処理が正常に終了された否かを検査している。このように、主制御内蔵RAMに記憶されている遊技バックアップ情報を2重にチェックすることにより遊技バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[9−4.主制御側タイマ割り込み処理]
次に、主制御側タイマ割り込み処理について説明する。この主制御側タイマ割り込み処理は、主制御側電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板1310では、主制御プログラムが、主制御MPU1310aの制御の下、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS70)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)のステップS46においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS70に続いて、主制御プログラムは、割り込みフラグのクリアを行う(ステップS72)。この割り込みフラグがクリアされることにより割り込み周期が初期化され、次の割り込み周期がその初期値から計時される。
ステップS72に続いて、主制御プログラムは、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、主制御MPU1310aの各種入力ポートの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として主制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。
具体的には、この主制御プログラムは、例えば、一般入賞口2001,2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口センサ3111,3011からの各々の検出信号、大入賞口2005,2006に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ2403,2402からの検出信号、第一始動口2002に入球した遊技球を検出する第一始動口センサ3112からの検出信号、第二始動口2004に入球した遊技球を検出する第二始動口センサ3113からの検出信号、ゲート部2350を通過した遊技球を検出するゲートセンサ2352からの検出信号、磁石を用いた不正行為を検出する磁気センサ2404からの検出信号、その他の割愛したセンサからの検出信号や後述する賞球制御処理で送信した賞球コマンドを払出制御基板951が正常に受信した旨を伝える払出制御基板951からの払主ACK信号、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
第一始動口2002に入球した遊技球を検出する第一始動口センサ3112からの検出信号、第二始動口2004に入球した遊技球を検出する第二始動口センサ3113からの検出信号をそれぞれ読み取ると、これと対応するその他に区分される始動口入賞コマンドを送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
つまり、第一始動口センサ3112からの検出信号があると、これと対応する始動口入賞コマンドが送信情報として送信情報記憶領域に記憶されるし、第二始動口センサ3113からの検出信号があると、これと対応する始動口入賞コマンドが送信情報として送信情報記憶領域に記憶される。
なお、本実施形態では、一般入賞口2001,2201に入球した遊技球を検出する一般入賞口センサ3111,3011からの検出信号、大入賞口2005,2006に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ2403,2402からの検出信号、第一始動口2002に入球した遊技球を検出する第一始動口センサ3112からの検出信号、第二始動口2004に入球した遊技球を検出する第二始動口センサ3113からの検出信号、及びゲート部2350を通過した遊技球を検出するゲートセンサ2352からの検出信号は、このスイッチ入力処理が開始されると、まず1回目としてそれぞれ読み取られ、所定時間(例えば、10μs)経過した後、2回目としてそれぞれ再び読み取られる。
この2回目に読み取られた結果と、1回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを判定する。同結果でないものについては、さらに、3回目として再び読み取られ、この3回目に読み取られた結果と、2回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを再び判定する。同結果でないものについては、さらに、4回目として再び読み取られ、この4回目に読み取られた結果と、3回目に読み取られた結果と、を比較する。この比較結果のうち、同結果となっているものがあるか否かを再び判定する。同結果とならいものについては、遊技球の入球がないものとして扱う。
このように、スイッチ入力処理では、主制御プログラムが、一般入賞口センサ3111,3011、大入賞口センサ2402、2403、第一始動口センサ3112、第二始動口センサ3113、及びゲートセンサ2352からの検出信号を、1回目〜3回目に亘って比較する2度読み取りと、2回目〜4回目に亘って比較する2度読み込みと、による計2回の2度読み取りを行うことによって、チャタリングやノイズ等の影響による誤検出を回避することができるため、一般入賞口センサ3111,3011、大入賞口センサ2402、2403、第一始動口センサ3112、第二始動口センサ3113、及びゲートセンサ2352からの検出信号の信頼性を高めることができる。
ステップS74に続いて、主制御プログラムは、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動パターン(特別図柄変動パターン)に従って第一特別図柄表示器1403が点灯する変動時間(第一特別変動時間、特別変動時間)及び第二特別図柄表示器1405が点灯する変動時間(第二特別変動時間、特別変動時間)、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される変動パターン(普通図柄変動パターン)に従って普通図柄表示器1189が点灯する変動時間(普通変動時間)の他に、主制御基板1310(主制御MPU1310a)が送信した各種コマンドを払出制御基板951が正常に受信した旨を伝える払主ACK信号が入力されているか否かを判定する際にその判定条件として設定されているACK信号入力判定時間等の時間管理を行う。
具体的には、変動パターン又は普通図柄変動パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、このタイマ減算処理を行うごとに変動時間を4msずつ減算し、その減算結果が値0になることで特別図柄変動パターン又は普通図柄変動パターンの変動時間を正確に計測している。
本実施形態では、ACK信号入力判定時間が100msに設定されている。このタイマ減算処理を行うごとにACK信号入力判定時間が4msずつ減算し、その減算結果が値0になることでACK信号入力判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種時間及びACK信号入力判定時間は、時間管理情報として主制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS76に続いて、主制御プログラムは、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS50の非当落乱数更新処理で更新される、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。
これらの大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数は、主制御側メイン処理及びこの主制御側タイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。これに対して、大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、及び小当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。
例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、上述したように、初期値更新型のカウンタであり、最小値から最大値までに亘るあらかじめ定めた固定数値範囲(本実施形態では、最小値として値0〜最大値として値32767)内において更新され、この最小値から最大値までに亘る範囲を、この主制御側タイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ加算されることでカウントアップする。大当り判定用初期値決定用乱数から最大値(値32767)に向かってカウントアップし、続いて最小値(値0)から大当り判定用初期値決定用乱数に向かってカウントアップする。
大当り判定用乱数の最小値から最大値までに亘る範囲を、大当り判定用乱数を更新するカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される。大当り判定用初期値決定用乱数は、大当り判定用乱数を更新するカウンタの固定数値範囲から一の値を抽選する初期値抽選処理を実行して得ることができる。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
本実施形態では、大当り判定用初期値決定用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数を、主制御側電源投入時処理(主制御側メイン処理)におけるステップS50の非当落乱数更新処理、及び本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS78の当落乱数更新処理でそれぞれ更新している。
なお、割り込みタイマが発生するごとに本ルーチンの処理時間にムラが生じて次の割り込みタイマが発生するまでの残り時間内において主制御側メイン処理を繰り返し実行することによりステップS50の非当落乱数更新処理の実行回数がランダムとなる場合には、大当り判定用初期値決定用乱数、大当り図柄用初期値決定用乱数、及び小当り図柄用初期値決定用乱数をステップS50の非当落乱数更新処理においてのみ更新する仕組みとしてもよい。
ステップS78に続いて、主制御プログラムは賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、主制御プログラムが、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出すための賞球コマンドを作成したり、主制御基板1310と払出制御基板951との基板間の接続状態を確認するためのセルフチェックコマンドを作成したりする。この主制御プログラムは、作成した賞球コマンドやセルフチェックコマンドを主払シリアルデータとして払出制御基板951に送信する。
さらに賞球制御処理では、主制御プログラムが、そのプログラムコードの一部である賞球制御プログラムコードを実行し、例えば、大入賞口2103への遊技球の受け入れに伴って大入賞口センサ2402、2403から出力された検出信号に基づく検出情報が、大入賞口2005,2006の数分に亘って1ビットずつ連続させて定義されている各々対応する定義ビット領域に書き込まれたことを契機として、例えば賞球として15球を払い出すべき旨の賞球指示として賞球コマンドを作成し、払出制御基板951(払出制御手段)に送信する。
なお、例えば第一大入賞口2005及び第二大入賞口2006という2個の大入賞口が設けられている場合には、主制御プログラムは、上述した定義ビット領域として、主制御RAM内にあらかじめ用意された複数の定義ビット領域のうちから、大入賞口2005,2006用の2個分の各定義ビットを使用する。以下、順に「第一ビット領域」および「第二ビット領域」という。一方、例えば大入賞口の数が1個である遊技盤の場合には、1つの定義ビット領域が使用されることになる。
これら使用される定義ビット領域は、例えば1ビットであり、互いに隣り合う領域とされている。大入賞口2103に遊技球が受け入れられると、大入賞口センサ2402、2403から出力された検出信号に基づく検出情報として、例えば、「1」が例えば4ビット目である第一定義ビット領域に書き込まれる。その後、主制御プログラムは、遊技球が受け入れられたことを識別した大入賞口に対応する定義ビット領域を、例えば「0」を書き込んで初期化し、次の遊技球の受け入れに設けられた。
ここで、主制御プログラムは、どの定義ビット領域の状態を確認するかについても決定する。例えば主制御プログラムは、大入賞口2103の大入賞口センサ2402、2403に対応する定義ビット領域を仮に4ビット目とした場合、主制御プログラムは、4ビット目の定義ビット領域の情報を取得する。
さらに主制御プログラムは、このように取得した検出情報について、後述する大入賞口2005,2006の賞球有効範囲に応じてマスク処理を実行して、賞球コマンドを作成して送信情報記憶領域に書き込んで払出制御基板951に対して出力しないようにすべきか否かを決定する。
この賞球コマンドが送信されるべきでないと決定した場合、主制御プログラムは、上述した大入賞口センサ2402、2403からの検出信号に基づく検出情報が書き込まれる各定義ビット領域に対してマスク処理として、例えば強制的にビットをOFF(「0」)に設定し、賞球コマンドを送信情報記憶領域に書き込まないようにしてもよい。
この賞球制御処理では、主制御プログラムが、第一特別遊技状態において、第一大入賞口2005或いは第二大入賞口2006に遊技球が1球受け入れられたことを示す第一大入賞口センサ2402或いは第二大入賞口2403からの検出信号に対応する検出情報が、これらいずれかの大入賞口に対応する上記定義ビット領域に書き込まれたことを契機として、例えば賞球として15球を払い出すべき旨の賞球指示として賞球コマンドを作成し、上述した送信情報記憶領域に書き込む。
併せて、主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域に、所定の音を出力させる指令としての入賞音コマンドを書き込み、その後周辺制御基板1510に送信させて周辺制御MPU1530aに、スピーカに、例えば「ポコン」という音を出力させる。
その一方、主制御プログラムは、第一特別遊技状態において、第一大入賞口2005或いは第二大入賞口2006に遊技球が1球受け入れられたことを示す第一大入賞口センサ2403或いは第二大入賞口センサ2402からの検出信号に基づく検出情報が、これらいずれかの大入賞口に対応する上記定義ビット領域に書き込まれていないと、例えば賞球として15球を払い出すべき旨の賞球指示として賞球コマンドを作成しない。
この場合も、主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域に、所定の音を出力させる指令としての入賞音コマンドを書き込むが、賞球コマンドが払出制御基板951(払出制御手段)に送信されて遊技球の払い出し動作が実行されないようにする。その後、主制御プログラムは、これらいずれかの大入賞口に対応する上記定義ビット領域を初期化して、第一大入賞口センサ2403或いは第二大入賞口センサ2403からの検出信号に基づく検出情報をクリアすることにより遊技球の払い出しが許容される状態とする。
この際、主制御プログラムは、大入賞口2103への遊技球の受け入れに応じて払い出しうる規定払い出し数以上分の遊技球の払い出しがなされると、入賞過多異常コマンド(図36において図示を省略する)を上記送信情報記憶領域に書き込んで、その後コマンド送信処理(ステップSS92)において周辺制御基板1510に送信する。すると、周辺制御MPU1530aがスピーカに所定の報知を行わせる。
このようにすると、実質的に不正な遊技球の払い出しがなされないようになるため、遊技場(遊技ホール)が被る損害を最小限に抑制することができる。
一方、主制御プログラムは、その代わりに、大入賞口2005,2006への遊技球の受け入れが検出された場合、即座に、入賞過多異常コマンドを上記送信情報記憶領域に書き込んで、周辺制御MPU1530aの制御に、スピーカに報知させるようにしてもよい。
その後、主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域から賞球コマンドを読み出して、払出制御基板951(払出制御手段)に送信する。
上述のようにすると、第一大入賞口2005或いは第二大入賞口2006について遊技球が受け入れられた際に、各々に対応している第一大入賞口センサ2403或いは第二大入賞口センサ2403が機能しているか否かを聴覚により確認することができる。
一方、この主制御プログラムは、この賞球コマンドを払出制御基板951が正常に受信完了した旨を伝える払主ACK信号が所定時間内に入力されない場合、主制御基板1310と払出制御基板951との基板間の接続状態を確認するセルフチェックコマンドを作成し、払出制御基板951に送信する。
ステップS80に続いて、主制御プログラムは、枠コマンド受信処理を行う(ステップS82)。払出制御基板951では、払出制御プログラムが、状態表示に区分される1バイト(8ビット)の各種コマンド(例えば、枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド)を送信する。一方、後述するように払出制御プログラムは、払出動作にエラーが発生した場合にエラー発生コマンドを出力したり、操作スイッチ952の検出信号に基づいてエラー解除ナビコマンドを出力する。
上述した枠コマンド受信処理では、主制御プログラムが、この各種コマンドを払主シリアルデータとして正常に受信すると、その旨を払出制御基板951に伝える情報を、出力情報として主制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。主制御プログラムは、その正常に払主シリアルデータとして受信したコマンドを2バイト(16ビット)のコマンドに整形し(状態表示に区分される各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド、及び枠状態2コマンド))、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。なお、ここでいう枠状態1コマンドは第1のエラー発生コマンドに相当するとともに、エラー解除ナビコマンドは第1のエラー解除コマンドに相当する。
ステップS82に続いて、主制御プログラムは、不正行為検出処理を行う(ステップS84)。この不正行為検出処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、大当り遊技状態でない場合に大入賞口センサ2402、2403によって大入賞口2103に遊技球が入球していると検知されたとき等には、主制御プログラムは、異常状態として報知表示に区分される入賞異常表示コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、主制御プログラムは、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムが、上述した大当り判定用乱数をカウンタにより+1ずつ更新しており、第一始動口2002或いは第二始動口2004への遊技球の受け入れ、すなわち、始動入賞を契機として(始動条件の成立)、この始動条件が成立した始動記憶情報ごとに、上述したカウンタの値を取り出して大当り用乱数値とし、この大当り用乱数値が主制御内蔵ROMにあらかじめ記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定する(抽選手段)。以下、この判定処理を「特別抽選」とも表現する。
主制御プログラムは、この抽選結果に基づいて大当り遊技状態を発生させるか否かを判断し、大当り用乱数値がこの大当り判定値と一致している(あらかじめ定められた当選条件が成立している)場合には通常遊技状態から大当り遊技状態に移行させる。この大当り遊技状態は、後述する特別遊技状態、第一特別遊技状態、第二特別遊技状態に相当し、これらを総称した遊技状態を示すものとする。
なお、主制御プログラムは、大当り遊技態様を決定する際、後述する大当り遊技態様決定処理(図107参照)においてセットされる大当り遊技の態様を定義するためのデータとして、例えばラウンド数、開放時間、開放時間、及び遊技球の入賞制限数カウント数を表す定義データ(テーブル)を、大入賞口の数に応じてオフセットさせたアドレスで指定される主制御内蔵RAMの一部の記憶領域である定義データ領域(図示せず)から読み出している。
上述した特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムは、大当り用乱数値が主制御内蔵ROMにあらかじめ記憶されている確変当り判定値と一致するか否かを判定する(本実施形態ではこれを「特別抽選」とも呼んでいる)。
この主制御プログラムは、この抽選結果に基づいて確率変動状態に移行させるか否かを判断し、大当り用乱数値がこの確変当り判定値に一致している(確変移行条件が成立している)場合にはその後確率変動状態に移行させる一方、大当り用乱数値がこの確変当り判定値に一致していない(確変以降条件が成立していない)場合には当該確変以外の遊技状態に移行させる(当選確率制御手段)。ここで、「確率変動状態」とは、上述した特別抽選の当選確率が通常遊技状態(低確率状態)に比べて相対的に高く設定された状態(高確率状態)をいう。
さらに、この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムは、第一特別抽選或いは第二特別抽選の抽選結果に応じて、各特別抽選の結果決定された変動パターンに対応した特別変動時間(変動時間)及び各特別抽選の当否情報を含む変動パターンコマンドを送信情報として送信情報記憶領域に記憶させる。
この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムは、上述した第一特別抽選の抽選結果に応じて特図1同調演出関連の各種コマンドを作成する一方、上述した第二特別抽選の抽選結果に応じて特図2同調演出関連の各種コマンドを作成する。以上のように主制御プログラムは、作成した様々なコマンドを送信情報として送信情報記憶領域に記憶させる。
併せて、主制御プログラムは、始動入賞を契機として取得された各種乱数値に基づいて先行判定テーブル(図示せず)を参照して始動保留表示態様を決定し、この始動入賞後変動表示させていた特別図柄の停止図柄を開示する前に、特別抽選の抽選結果を事前に暗示させる処理(以下「先行判定処理」という)を実行させるために用いられるコマンド(以下、一例として「保留球数変化コマンド」を挙げる)を作成し、この先行判定処理を実行させるべき場合、送信情報として送信情報記憶領域に記憶させる。
この際、主制御プログラムは、特別抽選の乱数値そのものの代わりに、後述するように大当り遊技の種別を示唆している情報として特別図柄の停止図柄に関する情報を、この保留球数変化コマンドに含めるようにしている。この先行判定処理の詳細については後述する。
次に主制御プログラムは、特別図柄の種別に応じて、始動入賞時に決定した変動パターンに従って、第一特別図柄表示器1403を点灯させるよう点灯信号の出力を設定したり、第二特別図柄表示器1405を点灯させるよう点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
主制御プログラムは、例えば大当り遊技状態に移行させる場合には、大当り関連に区分される各種コマンド(大当りオープニングコマンド、大入賞口1開放N回目表示コマンド、大入賞口1閉鎖表示コマンド、大入賞口1カウント表示コマンド、大当りエンディングコマンド、及び大当り図柄表示コマンド)を作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶したり、開閉部材を開閉動作させるようアタッカソレノイド2108A或いはアタッカソレノイド2108Bへの駆動信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。
主制御プログラムは、大入賞口2005,2006が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回であるときには、ラウンド表示器1190の2ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう2ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。主制御プログラムは、ラウンドが6回であるときには、ラウンド表示器1190の6ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう6ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。主制御プログラムは、ラウンドが12回であるときには、ラウンド表示器1190の12ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう12ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。主制御プログラムは、ラウンドが16回であるときにはラウンド表示器1190の16ラウンド表示ランプ(図示せず)を点灯させるよう16ラウンド表示ランプへの点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。
主制御プログラムは、確率変動状態への移行の有無を所定の色で点灯させるよう遊技状態表示器1183への点灯信号の出力を設定して出力情報として出力情報記憶領域に記憶する。
さらに、この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムが、上述のように当選条件が成立している場合には通常遊技状態から大当り遊技状態に移行させる一方、さらに移行条件の一例としての確変移行条件が成立している場合には特定遊技状態の一例としての確変遊技状態にも移行させる(遊技状態制御手段)。
ここで、主制御プログラムは、実質的に大当り遊技状態での遊技球の払い出しをほぼ行うことなく、特定遊技状態の一例としての確変遊技状態に移行させるようにしてもよい。なお、この特定遊技状態としては、移行条件の他の一例としての時短作動条件が成立して時短機能が作動している状態であってもよいし、上述した確変遊技状態と併せて同時に両方の遊技状態であってもよい。
ステップS86に続いて、主制御プログラムは、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、主制御プログラムが、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいてゲート入賞処理を行う。
このゲート入賞処理では、主制御プログラムが、入力情報からゲートセンサ2352からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かを判定する。主制御プログラムは、この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていた場合、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出してゲート情報として主制御内蔵RAMのゲート情報記憶領域に記憶する。
このゲート情報記憶領域には、第0区画〜第3区画(4つの区画)が設けられており、第0区画、第1区画、第2区画、そして第3区画の順にゲート情報が格納される。例えばゲート情報がゲート情報記憶の第0区画〜第2区画に格納されている場合、ゲートセンサ2352からの検出信号が入力端子に入力されていたときにはゲート情報をゲート情報記憶の第3区画に格納する。
ゲート情報はゲート情報記憶の第0区画に格納されているものが主制御内蔵RAMの作業領域にセットされる。このゲート情報がセットされると、ゲート情報記憶の第1区画のゲート情報がゲート情報記憶の第0区画に、ゲート情報記憶の第2区画のゲート情報がゲート情報記憶の第1区画に、ゲート情報記憶の第3区画のゲート情報がゲート情報記憶の第2区画に、それぞれシフトされてゲート情報記憶の第3区画が空き領域となる。例えば、ゲート情報記憶の第1区画〜第2区画にゲート情報が記憶されている場合には、ゲート情報記憶の第1区画のゲート情報がゲート情報記憶の第0区画に、ゲート情報記憶の第2区画のゲート情報がゲート情報記憶の第1区画にそれぞれシフトされてゲート情報記憶の第2区画及びゲート情報記憶の第3区画が空き領域となる。
ここで、ゲート情報記憶の第1区画〜第3区画にゲート情報が格納されていると、格納されたゲート情報の総数を保留球として普通図柄記憶表示器1188を点灯させるよう、上述したゲート情報に基づいて普通図柄記憶表示器1188の点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
このようなゲート入賞処理に続いて、主制御プログラムは、主制御内蔵RAMの作業領域にセットされたゲート情報を読み出し、この読み出したゲート情報から普通図柄当り判定用乱数の値を取り出して主制御内蔵ROMにあらかじめ記憶されている普通図柄当り判定値と一致するか否かを判定する(「普通抽選」という)。主制御プログラムは、この判定結果(普通抽選による抽選結果)に応じて一対の可動片2105を開閉動作させるか否かを決定する。
主制御プログラムは、この決定により開閉動作をさせる場合、一対の可動片2105が開放状態となることで第二始動口2004へ遊技球が受け入れ可能となる遊技状態となって遊技者にとって有利な遊技状態に移行させる。さらに主制御プログラムは、上述した普通図柄変動パターン用乱数の値に基づいて、上述した決定と対応する普通図柄の変動パターンを決定し、普図同調演出関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として上記送信情報記憶領域に記憶するとともに、その決定した普通図柄の変動パターンに従って普通図柄表示器1189を点灯させるよう普通図柄表示器1189への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上記出力情報記憶領域に記憶する。
主制御プログラムは、その取り出した普通図柄当り判定用乱数の値が主制御内蔵ROMにあらかじめ記憶されている普通図柄当り判定値と一致しているときには、普通電役演出関連の各種コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶するとともに、一対の可動片2105を開閉動作させるよう始動口ソレノイド2105への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
一方、主制御プログラムは、その取り出した普通図柄当り判定用乱数の値が主制御内蔵ROMにあらかじめ記憶されている普通図柄当り判定値と一致していないときには、上述した普通図柄変動パターン用乱数に基づいて普通図柄変動パターンを決定する。主制御プログラムは、普図同調演出関連に区分される各種コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する一方、その決定した普通図柄変動パターンに従って普通図柄表示器1189を点灯させるよう普通図柄表示器1189への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、主制御プログラムはポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、この主制御プログラムが主制御MPU1310aの各種出力ポートの出力端子から、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて各種信号を出力する。
この主制御プログラムは、例えば、出力情報に基づいて主制御MPU1310aの所定の出力ポートの出力端子から、払出制御基板951からの各種コマンドを正常に受信完了したときには主払ACK信号を払出制御基板951に出力したり、大当り遊技状態であるときには大入賞口2103の開閉部材の開閉動作を行うアタッカソレノイド2108A,2108Bに駆動信号を出力したり、一対の可動片2106の開閉動作を行う始動口ソレノイド2105に駆動信号を出力したりする他に、2ラウンド大当り情報出力信号、6ラウンド大当り情報出力信号、12ラウンド大当り情報出力信号、16ラウンド大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力情報、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する各種情報(遊技情報)信号を払出制御基板951に出力したりする。
ステップS90に続いて、主制御プログラムは、周辺制御基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。この周辺制御基板コマンド送信処理では、この主制御プログラムが、上述した送信情報記憶領域からコマンドやデータなどの送信情報を読み出してこの送信情報を主周シリアルデータとして周辺制御基板1510に送信する(コマンド送信手段)。
この送信情報には、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理で作成した特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド(例えば、大入賞口2103に入球した遊技球を検出した際に大入賞口センサ2402、2403からの検出信号に基づく大入賞口カウントコマンドに相当する大入賞口1カウント表示コマンド)、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、報知表示に区分される各種コマンド(扉枠開放コマンド、扉枠閉鎖コマンド、本体枠開放コマンド、本体枠閉鎖コマンドなど)、状態表示に区分される各種コマンド(枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド及び枠状態2コマンド)、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドが記憶されている。主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されている。
具体的には、主周シリアルデータは、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、ステータス及びモードを数値とみなしてその合計を算出したサム値と、から構成されており、このサム値は、送信時に作成されている。
この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板951から枠状態1コマンドを受信した場合、周辺制御基板1510に対して枠状態1コマンドを送信する。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板951から受け取った枠状態1コマンドを周辺制御基板1510に転送している。
またその一方、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板951からエラー解除ナビコマンドを受信した場合、周辺制御基板1510に対してエラー解除ナビコマンドを送信する。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板951から受け取ったエラー解除ナビコマンドを周辺制御基板1510に転送している。
さらに周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板951から本体枠開放コマンドを受信した場合、周辺制御基板1510に対して本体枠開放コマンドを送信する。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板951から受け取った本体枠開放コマンドを本体枠開放コマンドとして周辺制御基板1510に転送している。
一方、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板951から本体枠閉鎖コマンドを受信した場合、周辺制御基板1510に対して本体枠閉鎖コマンドを送信する。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板951から受け取った本体枠閉鎖コマンドを周辺制御基板1510に転送している。
この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板951から扉枠開放コマンドを受信した場合、周辺制御基板1510に対して扉枠開放コマンドを送信する。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板951から受け取った扉枠閉鎖コマンドを周辺制御基板1510に転送している。
一方、この周辺制御基板コマンド送信処理では、主制御プログラムが、RXA端子の受信ポートによって払出制御基板951から扉閉鎖コマンドを受信した場合、周辺制御基板1510に対して扉閉鎖コマンドを送信する。この場合、主制御プログラムは、払出制御基板951から受け取った扉閉鎖コマンドを周辺制御基板1510に転送している。
ステップS92に続いて、主制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。ステップS94でウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS70においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値B、値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS94に続いて、主制御プログラムは、レジスタの切替(復帰)を行い(ステップS96)、このルーチンを終了する。ここで、本ルーチンである主制御側タイマ割り込み処理が開始されると、主制御MPU1310aは、ハード的に汎用レジスタの内容をスタックに格納して退避させる。これにより、主制御側メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS96では、スタックに積んで退避した内容を読み出し、もとのレジスタに書き込む。主制御MPU1310aは、ステップS96による復帰の後に割り込み許可の設定を行う。
[10.払出制御基板の各種制御処理]
次に、払出制御基板951が行う各種制御処理について、図213〜図229を参照して説明する。図213は払出制御部電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図214は図213の払出制御部電源投入時処理のつづきを示すフローチャートである。図215は図214に続いて払出制御部電源投入時処理のつづきを示すフローチャートである。図216は払出制御部タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。図217は回転角スイッチ履歴作成処理の一例を示すフローチャートであり、図218はスプロケット定位置判定スキップ処理の一例を示すフローチャートである。図219は球がみ判定処理の一例を示すフローチャートであり、図220は賞球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートである。図221は貸球用賞球ストック数加算処理の一例を示すフローチャートであり、図222はストック監視処理の一例を示すフローチャートである。図223は払出球がみ動作判定設定処理の一例を示すフローチャートであり、図224は払出設定処理の一例を示すフローチャートであり、図225は球がみ動作設定処理の一例を示すフローチャートである。図226はリトライ動作監視処理の一例を示すフローチャートであり、図227は不整合カウンタリセット判定処理の一例を示すフローチャートである。図228はエラー解除操作判定処理の一例を示すフローチャートであり、図229は球貸しによる払出動作時の信号処理(ア)、CRユニットからの入力信号確認処理(イ)を示すタイミングチャートである。
まず、払出制御部電源投入時処理について説明し、続いて払出制御部タイマ割り込み処理、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球がみ動作判定設定処理、払出設定処理、球がみ動作設定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除操作判定処理について説明する。
ところで、球抜きスイッチ操作判定処理、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球がみ動作判定設定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除操作判定処理は、後述する払出制御部電源投入時処理におけるステップS562の主要動作設定処理の一処理として行われる。なお、回転角スイッチ履歴作成処理、スプロケット定位置判定スキップ処理、球がみ判定処理、リトライ動作監視処理、不整合カウンタリセット判定処理、エラー解除操作判定処理、賞球用賞球ストック数加算処理、貸球用賞球ストック数加算処理、ストック監視処理、払出球がみ動作判定設定処理の順番で優先順位が設定されている。
[10−1.払出制御部電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図213〜図215に示すように、払出制御部電源投入時処理を行う。
この払出制御部電源投入時処理が開始されると、払出制御プログラムは、払出制御MPU954aは、割り込みモードの設定を行う(ステップS500)。この割り込みモードは、払出制御MPU954aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述する払出制御部タイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、この払出制御部タイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理を行う。
ステップS500に続いて、払出制御プログラムは、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS502)。このI/Oの入出力設定では、払出制御MPU954aの各種入力ポート及び各種出力ポートの設定等を行う。
ステップS502に続いて、払出制御プログラムは、ウェイトタイマ処理1を行い(ステップS506)、停電予告信号が入力されているか否かを判定する(ステップS508)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧より小さくなると、主制御基板1310の停電監視回路1310eから停電予告として停電予告信号(払出停電予告信号)が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では同様に電圧が停電予告電圧より小さくなると主制御基板1310の停電監視回路1310eから停電予告信号(払出停電予告信号)が入力される。
ウェイトタイマ処理1は、電源投入後、電圧が停電予告電圧より大きくなって安定するまで待つための処理であり(ステップS506)、本実施形態では、待ち時間(ウェイトタイマ)として、例えば200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS508の判定では、払出制御プログラムが、主制御基板1310の停電監視回路1310eからの停電予告信号(払出停電予告信号)に基づいて行う。
ステップS508に続いて、払出制御プログラムは、操作スイッチ952が操作されているか否かを判定する(ステップS512)。この判定は、操作スイッチ952からの操作信号の論理値に基づいて、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がHIであるときにはRAMクリアを行うことを指示するものではないと判断して操作スイッチ952が操作されていないと判定する一方、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がLOWであるときにはRAMクリアを行うことを指示するものであると判断して操作スイッチ952が操作されていると判定する。
ステップS512で操作スイッチ952が操作されているときには、払出制御プログラムは、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値1をセットする(ステップS514)。
すなわち、払出制御プログラムは、電源投入時から所定時間に亘って、払出制御MPU954aに内蔵されたRAM(以下、「払出制御内蔵RAM」ともいう)の初期化を行うRAMクリア処理を実行可能な状態とする(払出制御側電源投入時操作制御手段)。
一方、ステップS512で操作スイッチ952が操作されていないときには、払出制御プログラムは、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGに値0をセットする(ステップS516)。この払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU954aの払出制御内蔵RAM(払出記憶部)に記憶されている、例えば、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報等)の払い出しに関する払出情報を消去するか否かを示すフラグであり、払出情報を消去するとき値1、払出情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定される。
なお、ステップS514及びステップS516でセットされた払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出制御MPU954aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS514又はステップS516に続いて、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS518)。この設定により払出制御内蔵RAMへのアクセスができ、例えば払出情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができるようになる。
ステップS518に続いて、払出制御プログラムは、スタックポインタの設定を行う(ステップS520)。このスタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示すものである。払出制御プログラムは、スタックが積まれるごとにスタックポインタを次に進める。
ステップS520では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS520に続いて、払出制御プログラムは、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS522)。上述したように、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGは、払出情報を消去するときには値1に設定される一方、払出情報を消去しないときには値0に設定される。
ステップS522で払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0であるとき、つまり払出情報を消去しないときには、払出制御プログラムは、チェックサムの算出を行う(ステップS524)。このチェックサムは、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS524に続いて、払出制御プログラムは、算出したチェックサムの値が後述する払出制御部電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS526)。一致しているときには、払出制御プログラムは、払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS528)。
この払出バックアップフラグHBK−FLGは、払出情報、チェックサムの値等の払出バックアップ情報を後述の払出制御部電源断時処理において払出制御内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグである。払出バックアップフラグHBK−FLGは、払出制御部電源断時処理を正常に終了したときには値1に設定される一方、払出制御部電源断時処理を正常に終了していないときには値0に設定される。
ステップS528で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1であるとき、つまり払出制御部電源断時処理を正常に終了したときには、払出制御プログラムは、復電時として払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS530)。
この設定では、払出バックアップフラグHBK−FLGに値0がセットされる他に、払出制御MPU954aに内蔵されたROM(以下、「払出制御内蔵ROM」ともいう)から復電時情報が読み出され、この復電時情報が払出制御内蔵RAMの作業領域にセットされる。
これにより、払出制御内蔵RAMに記憶されている上述した払出バックアップ情報である、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報、時間管理情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタリセット判定時間等)の払い出しに関する払出情報に基づいて各種処理に使用する情報が設定される。なお、「復電」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態の他にも、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含む。
一方、ステップS522において払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値0でない(値1である)とき(つまり払出情報を消去するとき)、ステップS526においてチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS528で払出バックアップフラグHBK−FLGが値1でない(値0である)とき(つまり払出制御部電源断時処理を正常に終了していないとき)には、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMの全領域をクリアする(ステップS532)。
すなわち、払出制御プログラムは、操作スイッチ952の操作信号の検出を契機として払出制御側RAMクリア処理を実行する(払出制御側電源投入時操作制御手段)。これにより、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報がクリアされる。
ステップS532に続いて、払出制御プログラムは、初期設定として払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS534)。この設定は、払出制御内蔵ROMから初期情報を読み出してこの初期情報を払出制御内蔵RAMの作業領域にセットする。
ステップS530又はステップS534に続いて、払出制御プログラムは、割り込み初期設定を行う(ステップS536)。この設定は、後述する払出制御部タイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では、2msに設定されている。
ステップS536に続いて、払出制御プログラムは、割り込み許可設定を行う(ステップS538)。この設定によりステップS536で設定した割り込み周期、つまり2msごとに払出制御部タイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS538に続いて、払出制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Aをセットする(ステップS539)。このウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに、値A、値B、値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS539に続いて、払出制御プログラムは、停電予告信号(払出停電予告信号)が入力されているか否かを判定する(ステップS540)。上述したように、パチンコ遊技機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号(払出停電予告信号)が主制御基板1310の停電監視回路1310eから入力される。ステップS540の判定は、この停電予告信号に基づいて行う。
ステップS540においては停電予告信号の入力がないときには、払出制御プログラムは、2ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS542)。この2ms経過フラグHT−FLGは、後述する、2msごとに処理される払出制御部タイマ割り込み処理で2msを計時するフラグであり、2ms経過したときには値1に設定される一方、2ms経過していないときには値0に設定される。
ステップS542においては2ms経過フラグHT−FLGが値0であるとき、つまり2ms経過していないときには、ステップS540に戻り、払出制御プログラムは、停電予告信号(払出停電予告信号)が入力されているか否かを判定する。
一方、ステップS542においては2ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり2ms経過したときには、払出制御プログラムは、2ms経過フラグHT−FLGに値0をセットする(ステップS544)。
ステップS544に続いて、払出制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Bをセットする(ステップS546)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLには、ステップS539においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS546に続いて、払出制御プログラムは、ポート出力処理を行う(ステップS548)。このポート出力処理では、払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域から各種情報を読み出してこの各種情報に基づいて各種信号を払出制御MPU954aの各種出力ポートの出力端子から出力する。
出力情報記憶領域には、例えば、主制御基板1310からの払い出しに関する各種コマンド(賞球コマンドやセルフチェックコマンド)を正常に受信した旨を伝える払主ACK情報、払出モータ834への駆動制御を行う駆動情報、払出モータ834が実際に遊技球を払い出した球数の賞球数情報、エラーLED表示器953に表示するLED表示情報等の各種情報が記憶されている。
払出制御プログラムは、この出力情報に基づいて払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から、主制御基板1310からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信したときには払主ACK信号を主制御基板1310に出力したり、払出モータ834に駆動信号を出力したり、払出モータ834が実際に遊技球を払い出した球数を賞球数情報信号として外部端子板784に出力したり(本実施形態では、払出モータ834が実際に10個の遊技球を払い出すごとに外部端子板784に賞球数情報信号を出力している。)、エラーLED表示器953に表示信号を出力したりする。
ステップS548に続いて、払出制御プログラムは、ポート入力処理を行う(ステップS550)。このポート入力処理では、払出制御MPU954aの各種入力ポートの入力端子に入力されている各種信号を読み取り、入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。
例えば、操作スイッチ952の操作信号、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号、計数スイッチ838からの検出信号、満タンスイッチからの検出信号、CRユニット6からのBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号、後述するコマンド送信処理で送信した各種コマンドを主制御基板1310が正常に受信した旨を伝える主制御基板1310からの主払ACK信号等、をそれぞれ読み取り、入力情報として入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS550に続いて、払出制御プログラムは、タイマ更新処理を行う(ステップS552)。このタイマ更新処理では、払出制御プログラムが、払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体による球がみ状態が生じているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球がみ判定時間、払出回転体の定位置判定を行わない際に設定されているスキップ判定時間、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留されている遊技球を排出する際に設定されている球抜き判定時間、ファールカバーユニットの収容空間が貯留された遊技球で満タンであるか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている満タン判定時間、球切れ検知センサ827からの検出信号により払出装置830の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定を行う際にその判定条件として設定されている球切れ判定時間等の時間管理を行う。その他にも、このタイマ更新処理では、払出制御プログラムが、払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ838で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを監視するための不整合カウンタINCCをリセットするか否かの判定を行う際に、その判定条件と設定されている不整合カウンタリセット判定時間の時間管理を行う。
例えば、球がみ判定時間が5005msに設定されているときには、タイマ割り込み周期が2msに設定されている。このため、払出制御プログラムは、このタイマ更新処理を行うごとに球がみ判定時間を2msずつ減算し、その減算結果が値0になることで球がみ判定時間を正確に計っている。
本実施形態では、スキップ判定時間が22.75ms、球抜き判定時間が60060ms、満タン判定時間が504ms、球切れ判定時間が119ms、不整合カウンタリセット判定時間が7000s(約2時間)にそれぞれ設定されており、払出制御プログラムが、このタイマ更新処理を行うごとに球抜き判定時間、満タン判定時間、球切れ判定時間及び不整合カウンタリセット判定時間を2msずつ減算する。この払出制御プログラムは、その減算結果が値0になることで球抜き判定時間、満タン判定時間、球切れ判定時間及び不整合カウンタリセット判定時間を正確に計っている。なお、これらの各種判定時間は、時間管理情報として払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶される。
ステップS552に続いて、払出制御プログラムは、CR通信処理を行う(ステップS554)。このCR通信処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて、CRユニット6からの各種信号(BRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号)が入力されているか否かを判定する。CRユニット6からの各種信号に基づいて、払出制御MPU954aは、CRユニット6と各種信号のやり取りを行う。
ステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において、上述したように、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報である、各種フラグ、各種情報記憶領域に記憶されている各種情報等(例えば、賞球情報記憶領域に記憶されている、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等や、CR通信情報記憶領域に記憶されている、PRDY信号の論理の状態が設定されているPRDY信号出力設定情報等)の払い出しに関する払出情報に基づいて各種処理に使用する情報が設定される。
この処理によって、例えば、瞬停又は停電しても、復電時における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値を、払出バックアップ情報として記憶した、瞬停又は停電する直前における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値に復元することができる。
これにより、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御によって、払出装置830による遊技球の払出動作を実行している際に、瞬停又は停電して払出動作を続行することができなくなっても、復電時に、その払出動作を続行することができるようになるため、過不足なく遊技球を上皿321や下皿322に払い出すことができる。
換言すれば、払出制御MPU954aは、CR通信処理において、CRユニット6と各種信号のやり取りを行いながら、遊技球を上皿321や下皿322に払い出している際に、瞬停又は停電してCRユニット6と各種信号のやり取りが遮断され、遊技球の払い出しを続行することができなくなっても、復電時における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値が、払出バックアップ情報として記憶された、瞬停又は停電する直前における、賞球ストック数PBS、実球計数PB、駆動指令数DRV、不整合カウンタINCC等の値に復元する。これによって、瞬停又は停電する直前におけるパチンコ遊技機1(払出制御MPU954a)とCRユニット6との間における各種信号のやり取りを、復電時から継続することができるとともに、遊技球の払い出しを引き続き行うことができる。
このように、パチンコ遊技機1(払出制御MPU954a)とCRユニット6とによる各種信号のやり取りは、瞬停又は停止しても、復電時に、瞬停又は停止する直前の状態に復元されるようになっている。これにより、瞬停又は停止による影響によってパチンコ遊技機1(払出制御MPU954a)とCRユニット6とによる各種信号が変化しないように構成されている。したがって、パチンコ遊技機1(払出制御MPU954a)とCRユニット6との間における各種信号のやり取りの信頼性を高めることができる。
CR通信情報記憶領域に記憶される各種情報は、上述したように払出バックアップ情報に含まれている。CR通信処理では、払出制御プログラムが、復電時に、ステップS530の払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理において設定されたものであって払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出す。このCR通信処理では、払出制御プログラムが、この読み出したPRDY信号出力設定情報が、例えば貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号の論理値の状態に設定されている場合、そのPRDY信号を払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子からCRユニット6へ出力する。
払出制御プログラムは、主要動作設定処理の一処理として行われる、例えばリトライ動作監視処理において、払出バックアップ情報に含まれているものであって払出制御内蔵RAMに記憶されている賞球情報記憶領域の不整合カウンタINCCの値に基づいて、この不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいか否かを判定する。払出制御プログラムは、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないときには、リトライ動作が異常動作していると判断して、つまり払出装置830による遊技球の払出動作が異常状態であると判断して、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値1をセットする。
払出制御プログラムは、払出球がみ動作判定設定処理において、CRユニット6へのエラー状態の出力の設定として、例えばCRユニット6と通信中でないときには貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号の論理値の状態(LOW)をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。
これにより、CR通信処理では、復電時から次のタイマ割り込みで、このPRDY信号の論理値の状態を、CR通信情報記憶領域から読み出してそのPRDY信号を払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子からCRユニット6へ出力する。
このように、例えば、瞬停する直前において、払出装置830による遊技球の払出動作が異常状態であった場合には、復電時に、その状態が復元されるため、復電してから極めて早い段階で、貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるPRDY信号を払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子からCRユニット6へ出力することができる。併せて、CRユニット6に払出装置830による遊技球の払出動作が異常状態である旨を伝えることができる。これにより、復電時から極めて早い段階で、CRユニット6からの無駄な貸球要求信号であるBRDYが出力されるのを防止することができる。
CR通信処理では、ステップS550のポート入力処理で、払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域からCR接続信号を読み出してこのCR接続信号に基づいて、その論理値がHIであるとき、つまりパチンコ遊技機1が電源投入されているときであって、払出制御基板951とCRユニット6とが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して電気的に接続されている場合には、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理の状態をHIとして払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子からCRユニット6へ出力する。
その一方、その論理値がLOWであるとき、つまりパチンコ遊技機1が電源投入されているときであって、払出制御基板951とCRユニット6とが遊技球等貸出装置接続端子板869を介して電気的に接続されていないときには、払出制御プログラムが、貸球を払い出すための払出動作が不可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理の状態をLOWとして払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子からCRユニット6へ出力する。
なお、1回の払出動作を開始した旨又は終了した旨を伝えるEXS信号の論理の状態は、EXS信号出力設定情報として払出制御内蔵RAMのCR通信情報記憶領域に記憶され、払出制御基板951とCRユニット6とが電気的に接続されているか否かを伝えるCR接続信号は、CR接続情報として状態情報記憶領域に記憶される。
ステップS554に続いて、満タン及び球切れチェック処理を行う(ステップS556)。この満タン及び球切れチェック処理では、払出制御プログラムが、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、この入力情報に基づいて、満タンスイッチからの検出信号により上述したファールカバーユニット270の収容空間が貯留された遊技球で満タンとなっているか否かを判定したり、球切れ検知センサ827からの検出信号により上述した払出装置830の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かを判定する。
例えば、ファールカバーユニット270の収容空間が貯留された遊技球で満タンとなっているか否かの判定は、タイマ割り込み周期2msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチからの検出信号がON、前回(2ms前)の満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチからの検出信号がOFFとなったとき、つまり満タンスイッチからの検出信号がOFFからONに遷移したときには、払出制御プログラムが、ステップS552のタイマ更新処理で上述した満タン判定時間(504ms)の計時を開始する。
タイマ更新処理で満タン判定時間が値0となったとき、つまり満タン判定時間となったときには、払出制御プログラムが、この満タン及び球切れチェック処理で満タンスイッチからの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、満タンスイッチからの検出信号がONであるときには、払出制御プログラムが、ファールカバーユニット270の収容空間が貯留された遊技球で満タンであるとしてその旨を伝える満タン情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。
一方、満タンスイッチからの検出信号がOFFであるときには、払出制御プログラムが、ファールカバーユニット270の収容空間が貯留された遊技球で満タンでないとしてその旨を伝える満タン情報を状態情報記憶領域に記憶する。
払出装置830の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上となっているか否かの判定も、タイマ割り込み周期2msを利用して、今回の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がON、前回(2ms前)の満タン及び球切れチェック処理で球切れスイッチからの検出信号がOFFとなったとき、つまり球切れ検知センサ827からの検出信号がOFFからONに遷移したときには、ステップS552のタイマ更新処理で上述した球切れ判定時間(119ms)の計時を開始する。
タイマ更新処理で球切れ判定時間が値0となったとき、つまり球切れ判定時間となったときには、払出制御プログラムが、この満タン及び球切れチェック処理で球切れ検知センサ827からの検出信号がONであるか否かを判定する。この判定では、球切れ検知センサ827からの検出信号がONであるときには、払出装置830の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上であるとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する一方、球切れ検知センサ827からの検出信号がOFFであるときには、払出装置830の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないとしてその旨を伝える球切れ情報を状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS556に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS558)。このコマンド受信処理では、払出制御プログラムが、主制御基板1310からの払い出しに関する各種コマンド、例えば賞球コマンドやセルフチェックコマンドを受信する。
この各種コマンドを正常に受信したときには、その旨を伝える払主ACK情報を上述した出力情報記憶領域に記憶する。一方、各種コマンドを正常に受信できなかったときには、主制御基板1310と払出制御基板951との基板間の接続に異常が生じている(各種コマンド信号に異常が生じている)旨を伝える接続異常情報を上述した状態情報記憶領域に記憶する。
ステップS558に続いて、払出制御プログラムは、コマンド解析処理を行う(ステップS560)。このコマンド解析処理では、ステップS558で受信したコマンドの解析を行い、その解析したコマンドを受信コマンド情報として払出制御内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶する。
ステップS560に続いて、払出制御プログラムは、主要動作設定処理を行う(ステップS562)。この主要動作設定処理では、賞球、貸球、球抜き及び球がみ等の動作設定を行ったり、リトライ動作の判定を行ったり、未払い出しの球数(賞球ストック数)を監視したりする。
ステップS562に続いて、払出制御プログラムは、LED表示データ作成処理を行う(ステップS564)。このLED表示データ作成処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、払出制御基板951のエラーLED表示器953に表示する表示データを作成してLED表示情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
例えば、状態情報記憶領域から上述した球切れ情報を読み出し、この球切れ情報に基づいて、払出装置830の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないときには、対応する表示データ(本実施形態では、表示値1(数字「1」))を作成してLED表示情報を出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS564に続いて、払出制御プログラムは、コマンド送信処理を行う(ステップS566)。このコマンド送信処理では、上述した状態情報記憶領域から各種情報を読み出し、この各種情報に基づいて状態表示に区分される各種コマンド(扉枠開放コマンド、扉枠閉鎖コマンド、本体枠開放コマンド、本体枠閉鎖コマンド、枠状態1コマンド、エラー解除ナビコマンド及び枠状態2コマンド)を作成して主制御基板1310に送信する。
例えば、状態情報記憶領域から球切れ情報を読み出すと、この球切れ情報に基づいて、払出装置830の供給通路に取り込まれた遊技球の球数が所定数以上でないときには、枠状態1コマンドを作成して主制御基板1310に送信したりする。
このコマンド送信処理においては、この払出制御プログラムは、例えば遊技球の払出動作に関するエラーが発生したなどの枠状態の変化があると、この払出動作に関して発生したエラーの発生部位に関する情報(以下「エラー発生位置情報」という)を含めた枠状態1コマンド(第1のエラー解除コマンド)を生成している(エラー発生コマンド生成手段)。
一方、このコマンド送信処理では、払出制御プログラムが、払出RAMクリア報知フラグHRCL−FLGが値1であると、すなわち、操作スイッチ952の操作に応じた操作信号が検出されていると、上述したエラー解除ナビコマンド(第1のエラー解除コマンド)を出力する(コマンド送出手段)。
この払出制御プログラムは、本体枠開放スイッチ619からの本体枠開放検出信号が入力されると、本体枠開放コマンドを送信する。一方、払出制御プログラムは、本体枠開放スイッチ619からの本体枠閉鎖検出信号が入力されると、本体枠閉鎖コマンドを送信する。
この払出制御プログラムは、扉枠開放スイッチ618からの扉枠開放検出信号が入力されると、扉枠開放コマンドを送信する。一方、この払出制御プログラムは、扉枠開放スイッチ618からの扉枠閉鎖検出信号が入力されると、扉枠閉鎖コマンドを送信する。
払出制御プログラムは、上述したコマンド送信処理(ステップS566)において、上述した状態情報記憶領域からエラー内容を含むエラー情報を読み出し、他のパチンコ遊技機と自らを識別するための台番号情報及び当該エラー情報に基づくエラー情報信号を外部端子板784を経由してホールコンピュータ(図示せず)に出力する。
なお、ホールコンピュータは、このエラー情報信号を受け取ると、ホール店員が所持する無線装置に、上記台番号情報及びエラー情報を提供し、このホール店員が、この台番号情報に基づいて特定される台番号のパチンコ遊技機において、エラー情報に含まれるエラー内容が発生していることを把握することができる。
ステップS566に続いて、払出制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Cをセットする(ステップS568)。ステップS568においてウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Cがセットされることにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLには、ステップS546においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLには、値A、値B、値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリア設定される。
ステップS568に続いて、再びステップS539に戻り、払出制御プログラムは、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Aをセットし、ステップS540で停電予告信号(払出停電予告信号)が入力されているか否かを判定する。払出制御プログラムは、この停電予告信号(払出停電予告信号)の入力がなければ、ステップS542で2ms経過フラグHT−FLGが値1であるか否かを判定し、この2ms経過フラグHT−FLGが値1であるとき、つまり2ms経過したときには、ステップS544で2ms経過フラグHT−FLGに値0をセットし、ステップS546でウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Bをセットする。
払出制御プログラムは、ステップS548でポート出力処理を行い、ステップS550でポート入力処理を行う。払出制御プログラムは、ステップS552でタイマ更新処理を行い、ステップS554でCR通信処理を行い、ステップS556で満タン及び球切れチェック処理を行う。払出制御プログラムは、ステップS558でコマンド受信処理を行い、ステップS560でコマンド解析処理を行い、ステップS562で主要動作設定処理を行い、ステップS564でLED表示データ作成処理を行う。
払出制御プログラムは、ステップS566でコマンド送信処理を行い、ステップS568でウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値Cをセットし、ステップS539〜ステップS568を繰り返し行う。なお、このステップS539〜ステップS568の処理を「払出制御部メイン処理」という。
主制御基板1310による遊技の進行に応じて払出制御部メイン処理の処理内容が異なってくる。このため、払出制御MPU954aの処理に要する時間が変動することとなる。払出制御MPU954aは、ステップS548のポート出力処理において、主制御基板1310からの払い出しに関する各種コマンドを正常に受信した旨を伝える払主ACK信号を、優先して主制御基板1310に出力している。これにより、払出制御MPU954aは、変動する他の処理を十分に行えるよう、その処理時間を確保している。
一方、ステップS540で停電予告信号(払出停電予告信号)の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS570)。この設定により後述する払出制御部タイマ割り込み処理が行われなくなり、払出制御内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、上述した払出情報の書き換えを保護している。
ステップS570に続いて、払出制御プログラムは、払出モータ834への駆動信号の出力を停止する(ステップS574)。これにより、遊技球の払い出しを停止する。
ステップS574に続いて、払出制御プログラムは、ウォッチドックタイマのクリア設定を行う(ステップS60)。このクリア設定は、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。
ステップS576に続いて、払出制御プログラムは、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS578)。このチェックサムは、ステップS524で算出したチェックサムの値及び払出バックアップフラグHBK−FLGの値の記憶領域を除く、払出制御内蔵RAMの作業領域の払出情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS578に続いて、払出制御プログラムは、払出バックアップフラグHBK−FLGに値1をセットする(ステップS580)。これにより、払出バックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS580に続いて、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS582)。この設定により払出制御内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が保護される。
ステップS582に続いて、払出制御プログラムは、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタHWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリア設定されなくなる。このため、払出制御MPU954aにリセットがかかり、その後、払出制御MPU954aがこの払出制御部電源投入時処理を再び実行する。なお、ステップS570〜ステップS582の処理及び無限ループを「払出制御部電源断時処理」という。
パチンコ遊技機1(払出制御MPU954a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により払出制御部電源投入時処理を行う。
なお、ステップS526では、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS528では払出制御部電源断時処理が正常に終了されたか否かを検査している。このように、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報を2重にチェックすることにより払出バックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[10−2.払出制御部タイマ割り込み処理]
次に、払出制御部タイマ割り込み処理について説明する。この払出制御部タイマ割り込み処理は、払出制御部電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、2ms)ごとに繰り返し行われる。
払出制御部タイマ割り込み処理が開始されると、払出制御基板951の払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS590)。ここでは、上述した払出制御部メイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタを払出制御部タイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御部メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS590に続いて、払出制御プログラムは、2ms経過フラグHT−FLGに値1をセットする(ステップS592)。この2ms経過フラグHT−FLGは、この払出制御部タイマ割り込み処理が行われるごとに、つまり2msごとに2msを計時するフラグであり、2ms経過したとき値1、2ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS592に続いて、払出制御プログラムは、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS594)。この復帰は、払出制御部タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタから汎用記憶素子(汎用レジスタ)に切り替える。この汎用レジスタを払出制御部メイン処理で使用することにより補助レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、払出制御部タイマ割り込み処理で使用していた補助レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS594に続いて、払出制御プログラムは、割り込み許可の設定を行い(ステップS596)、このルーチンを終了する。
[10−3.回転角スイッチ履歴作成処理]
次に、回転角スイッチ履歴作成処理について説明する。この回転角スイッチ履歴作成処理では、回転検知スイッチ840からの検出信号の履歴を作成する。
回転角スイッチ履歴作成処理が開始されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図217に示すように、払出制御内蔵RAMから回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS610)。
この回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTは、1バイト(8ビット:最上位ビットB7、B6、B5、B4、B3、B2、B1、最下位ビットB0、「B」はビットを表す。)の記憶容量を有しており、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号の履歴を回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTとして払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域に記憶されている。ステップS610では、この回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出している。
ステップS610に続いて、払出制御プログラムは、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS612)。この判定は、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理において羽根回転検知スイッチ840からの検出信号に基づいて行われる。具体的には、その検出信号は、入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。
ステップS612では、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して羽根回転検知スイッチ840からの検出信号があるか否かの判定を行う。入力情報に羽根回転検知スイッチ840からの検出信号があるときには、払出制御プログラムは、払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体の回転位置を把握する検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であると判定する。一方、入力情報に羽根回転検知スイッチ840からの検出信号がないときには、払出制御プログラムは、検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態と判定する。
ステップS612で検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であるときには、払出制御プログラムは、回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理を行う(ステップS614)。この回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、ステップS610で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS614に続いて、払出制御プログラムは、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの最下位ビットB0に値1をセットし(ステップS616)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS612において検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるときには、回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理が実行される(ステップS618)。この回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理では、払出制御プログラムが、ステップS614の回転角スイッチ検出履歴情報のシフト処理と同一の処理を行い、ステップS610において読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを、最上位ビットB7←B6、B6←B5、B5←B4、B4←B3、B3←B2、B2←B1、B1←最下位ビットB0という具合に、最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトする。
ステップS618に続いて、払出制御プログラムは、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの最下位ビットB0に値0をセットし(ステップS620)、このルーチンを終了する。
このように、この回転角スイッチ履歴作成処理が行われるごとに、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを最下位ビットB0から最上位ビットB7に向かって1ビットずつシフトした後、検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態又は検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態に応じて、最下位ビットB0に値1又は値0がセットされる。このため、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号の履歴が作成されるようになる。
[10−4.スプロケット定位置判定スキップ処理]
次に、スプロケット定位置判定スキップ処理について説明する。このスプロケット定位置判定スキップ処理は、払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体が定位置にあるか否かの判定を、所定の条件が成立しているときにスキップする。なお、払出回転体の定位置判定は、払出装置830による遊技球の払い出しが終了した際に行われるようにもなっている。これにより、球がみが発生していない状態で払出モータ834の回転軸の回転を確実に開始することができる。
スプロケット定位置判定スキップ処理が開始されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図218に示すように、定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS630)。
この定位置判定スキップフラグSKP−FLGは、払出回転体の定位置判定を行うか否かを示すフラグであり、払出回転体の定位置判定を行わないとき(スキップするとき)値1、払出回転体の定位置判定を行うとき(スキップしないとき)値0にそれぞれ設定される。
ステップS630において定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0であるとき(スキップしないとき)、つまり払出回転体の定位置判定を行うときには、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出し(ステップS632)、定位置判定値と一致しているか否かを判定する(ステップS634)。
この定位置判定値は払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS634の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ここで、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0が値1となる場合は、4回のタイマ割り込み周期で続けて、上述した、検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態であることを意味している。
この4回のタイマ割り込み周期の発生では、払出モータ834が4ステップ回転している。払出モータ834の回転は、第1ギア、第2ギア、第3ギアを介して回転検出盤の払出回転体の回転となる。これらの第1ギア、第2ギア、第3ギアには遊び(バックラッシュ)があるため、払出回転体が時計方向又は反時計方向に回転することとなるものの、このバックラッシュによる払出回転体の回転は、払出モータ834の約2ステップの回転に相当する程度となるように設計されている。
このため、本実施形態では、払出制御プログラムが、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号の履歴、回転角スイッチ履歴作成処理で回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを作成し、この作成した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0、つまり最新の4回のタイマ割り込み周期の発生による羽根回転検知スイッチ840からの検出信号に基づいて払出回転体の定位置判定を行っている。
これにより、4回のタイマ割り込み周期では、払出モータ834が4ステップ回転しているため、バックラッシュによる払出回転体の回転より多く回転しており、バックラッシュによる払出回転体の回転を吸収することができる。したがって、バックラッシュによる払出回転体の定位置の誤検出を防ぐことができるため、払出回転体の回転位置を払出モータ834の回転位置で正しく管理することができる。なお、本実施形態では、4回のタイマ割り込み周期は8ms(=2ms×4回)であり、バックラッシュ吸収時間として設定されている。
ステップS634で、ステップS632で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、払出制御プログラムが、定位置判定スキップフラグSKP−FLGに値1をセットする(ステップS636)。これにより、払出回転体の定位置判定を行わない(スキップする)ように設定することができる。なお、払出制御プログラムは、ステップS636における払出回転体の回転位置を払出回転体の定位置に設定する。
ステップS636に続いて、払出制御プログラムは、スキップ判定時間を有効に設定し(ステップS638)、このルーチンを終了する。ここで、検出スリットは、払出回転体の凹部と同じ数の3個であり、回転検出盤の外周において等分(120度ごと)となるように形成されている。払出モータ834の回転は、上述したように、第1ギア、第2ギア、第3ギアを介して回転検出盤の払出回転体の回転となる。本実施形態では、回転検出盤(払出回転体)の各検出スリット間(120度)の回転は、払出モータ834の18ステップの回転に相当するように構成されている。
払出制御プログラムは、払出制御MPU954aの制御の下、払出回転体の回転位置を払出モータ834のステップ数に基づいて管理している。具体的には、(1)検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移し出す過渡状態(「エッジ検出状態」という。)と、(2)検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を遮断状態から非遮断状態に遷移した状態(「定位置確定状態」という。)と、(3)検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態(「定位置判定スキップ状態」)と、の3つの状態で管理している。
各状態は次のような回転に相当している。すなわち、(1)のエッジ検出状態では払出モータ834の1ステップの回転に相当し、(2)の定位置確定状態では払出モータ834の4ステップの回転に相当し、(3)の定位置判定スキップ状態では払出モータ834の13ステップの回転に相当する。このように計18ステップの回転で回転検出盤の各検出スリット間(120度)の回転位置、つまり払出回転体の回転位置が管理されている。
(3)の定位置判定スキップ状態では、検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態であるため、スキップ判定時間は、払出モータ834の13ステップ回転する時間が設定されている。上述したように、タイマ割り込み周期が2msに設定されているので、スキップ判定時間が26ms(=2ms×13ステップ)となる。
ステップS638においてスキップ判定時間が有効になることによって、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理においてスキップ判定時間の減算が行われる。なお、払出制御プログラムは、スキップ判定時間を減算し、その減算結果が値0になると、定位置判定スキップフラグSKP−FLGに初期値0をセットする。
一方、ステップS630において定位置判定スキップフラグSKP−FLGが値0でない(値1である)とき(スキップするとき)、つまり払出回転体の定位置判定を行わないときには、又は、ステップS634において、ステップS632で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していない場合、払出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する。なお、ステップS636でセットされた定位置判定スキップフラグSKP−FLGは、払出制御MPU954aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
パチンコ島設備から供給された遊技球は、賞球タンク720及びタンクレール731に貯留され、払出装置830の供給通路に取り込まれ、払出装置830に導かれる。一般的に遊技球は、互いにこすれ合って摩擦により帯電すると、静電放電してノイズを発生する。
このため、払出装置830はノイズの影響を受けやすり環境下にある。払出装置830の回転角スイッチ基板753には、羽根回転検知スイッチ840が設けられており、この羽根回転検知スイッチ840からの検出信号は遊技球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。払出制御基板951と、払出装置830内の賞球ケース内基板754と、の基板間を接続する配線(ハーネス)も遊技球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。
そこで、本実施形態では、ノイズの影響による誤検出を抑制するために、上述した(3)の定位置判定スキップ状態、つまり検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態では、払出回転体の定位置判定を行わないようにしている。これにより、払出回転体の定位置判定の精度を高めている。なお、払出回転体の定位置を検出するために必要な周期や期間は、あらかじめ計算によって求めることができるため、スキップ判定時間を簡単に設定及び調整するこができる。
[10−5.球がみ判定処理]
次に、球がみ判定処理について説明する。この球がみ判定処理は、払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体による球がみ状態が生じているか否かを判定する。
球がみ判定処理が開始されると、払出制御プログラムは、払出制御MPU954aの制御によって、図219に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS640)。
ステップS640に続いて、払出制御プログラムは、上述した羽根回転検知スイッチ840からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS642)。この判定では、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かが判定される。
この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されている。本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS642の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS642において、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、払出制御プログラムは、検出スリットが羽根回転検知スイッチ840の光軸を非遮断状態から遮断状態に遷移した状態、つまり払出回転体が回転している状態であり、球がみ状態が生じていないとして、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップS642において、ステップS640で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、払出制御プログラムは、球がみ中フラグPBE−FLGに値1をセットする(ステップS644)。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出回転体による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ834が球がみ動作を行っているときには値1に設定される一方、球がみ動作を行っていないときには値0に設定される。
ステップS644に続いて、払出制御プログラムは、球がみ判定時間を有効に設定し(ステップS646)、このルーチンを終了する。この球がみ判定時間が有効になることによって、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で球がみ判定時間の減算が行われる。
[10−6.各種賞球ストック数加算処理]
次に、各種賞球ストック数加算処理について説明する。この各種賞球ストック数加算処理は、賞球用賞球ストック数加算処理及び貸球用賞球ストック数加算処理を含んでいる。この賞球用賞球ストック数加算処理は、主制御基板1310からの後述する賞球コマンドに基づいて払い出す球数を加算する処理であり、貸球用賞球ストック数加算処理はCRユニット6からの貸球要求信号に基づいて払い出す球数を加算する処理である。まず、賞球用賞球ストック数加算処理について説明し、続いて貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。
なお、本実施形態では、賞球用賞球ストック数加算処理が優先的に行われるように設定されている。この賞球用賞球ストック数加算処理において加算された賞球ストック数に応じた遊技球が払出装置830で払い出された後、貸球用賞球ストック数加算処理を行うように設定されている。
[10−6−1.賞球用賞球ストック数加算処理]
賞球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図220に示すように、賞球コマンドがあるか否かを判定する(ステップS650)。
この判定は、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS560のコマンド解析処理で解析したコマンドに基づいて行う。具体的には、その解析したコマンドは受信コマンド情報として払出制御内蔵RAMの受信コマンド情報記憶領域に記憶されている。ステップS650では、払出制御プログラムが、この受信コマンド情報記憶領域から受信コマンド情報を読み出して賞球コマンドであるか否かの判定を行う。
払出制御プログラムは、ステップS650において受信コマンド情報が賞球コマンドでないときには、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS650において受信コマンド情報が賞球コマンドであるときには、この賞球コマンドに対応する賞球数PBVを、賞球数情報テーブルから読み出す(ステップS652)。この賞球数情報テーブルは、その詳細な説明を後述するが、賞球コマンドと賞球数PBVとを対応付けて払出内蔵ROMにあらかじめ記憶されている情報テーブルである。
ステップS652に続いて、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMから賞球ストック数PBSを読み出す(ステップS654)。この賞球ストック数PBSは、払出装置830で遊技球を未だ払い出していない数、つまり未払い出しの球数を表しており、本実施形態では、2バイト(16ビット)の記憶容量を有している。
これにより、賞球ストック数PBSは、値0〜値32767個までの未払い出しの球数を記憶することができる。なお、賞球ストック数PBSは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS652では、この賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出している。
払出制御プログラムは、ステップS654で読み出した賞球ストック数PBSにステップS652で読み出した賞球数PBVを加算し(ステップS656)、このルーチンを終了する。なお、ステップS656で加算した後、ステップS650で読み出した賞球コマンドを受信コマンド情報記憶領域から消去する。
[10−6−2.貸球用賞球ストック数加算処理]
次に、貸球用賞球ストック数加算処理について説明する。この貸球用賞球ストック数加算処理が開始されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図221に示すように、貸球要求信号があるか否かを判定する(ステップS660)。
この判定は、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理でCRユニット6からの貸球要求信号に基づいて行われる。具体的には、その貸球要求信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS660では、払出制御プログラムは、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して貸球要求信号があるか否かの判定を行う。
払出制御プログラムは、ステップS660で貸球要求信号がないときには、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS660で貸球要求信号があるときには、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出す(ステップS662)。払出制御プログラムは、この賞球ストック数PBSに貸球数RBVを加算し(ステップS664)、このルーチンを終了する。
貸球数RBVは固定値であり、払出内蔵ROMにあらかじめ記憶されている。本実施形態では、貸球数RBVとして値25が設定されている。なお、ステップS664で加算したあと、払出制御プログラムは、ステップS660で読み出した貸球要求信号を入力情報記憶領域から消去する。
本実施形態では、賞球を優先している(賞球と貸球とを区別して管理している)ため、貸球要求信号があるときであっても、貸球要求信号を保持し、賞球の払い出しの完了をもって貸球の払い出しを行う。したがって、本実施形態では、賞球ストック数PBSが値0になってから貸球の払い出しを行うようになっている。
[10−7.ストック監視処理]
次に、ストック監視処理について説明する。このストック監視処理は、遊技者が遊技中に、ファールカバーユニットの収容空間が貯留された遊技球で満タンにした状態(ストックした状態)で遊技を続けていないか監視する処理である。
ストック監視処理が開始されると、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図222に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS670)、読み出した賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH以上であるか否かを判定する(ステップS672)。注意的しきい値THは、固定値であり、払出内蔵ROMにあらかじめ記憶されている。本実施形態では、注意的しきい値THとして値50が設定されている。
ステップS672で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH以上であるときには、払出制御プログラムは、注意フラグCA−FLGに値1をセットし(ステップS674)、このルーチンを終了する。この注意フラグCA−FLGは、遊技者がファールカバーユニットの収容空間に遊技球のストックを開始し、遊技球の未払い出し数(上述した賞球ストック数)が注意的しきい値TH以上に達している旨を示すフラグであり、注意的しきい値TH以上に達しているとき値1、注意的しきい値TH以上に達していないとき値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS672で賞球ストック数PBSが注意的しきい値TH未満であるときには、払出制御プログラムは、注意フラグCA−FLGに値0をセットし(ステップS676)、このルーチンを終了する。
遊技状態が大当りとなり、遊技者がリラックスして遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460Aで繰り広げられる演出に見入ったりしていると、遊技者は、うっかりして1ラウンドの間、賞球として払い出された遊技球を下皿322から、下皿球抜きボタン354の操作におって抜き忘れることがある。この状態で遊技を続けると、下皿322が遊技球で満タンとなり、そしてファールカバーユニットの収容空間に遊技球が溜まり始める。
ファールカバーユニットの収容空間が遊技球で満タンになると、上述したように、賞球ストック数PBSの値が増加して注意的しきい値TH以上となり、注意演出として扉枠3に設けた各種装飾基板の複数のLEDが点滅する。この点滅によって、例えばホールの店員に対して遊技者の遊技を注意する旨を伝えることができる。これにより、ホールの店員は遊技者に下皿322から遊技球を抜く旨を伝えることができ、遊技者は下皿322(ファールカバーユニットの収容空間)に遊技球を満タンにした状態で遊技を継続することを防止することができる。
なお、本実施形態では、注意的しきい値THは、1バイト(8ビット)で表せる上限値255の約5分の1に相当する値50に設定されている。これにより、ホールの店員に対してできるだけ早い段階で遊技者の遊技に注意を促す旨を伝えることができる。
[10−8.払出球がみ動作判定設定処理]
次に、払出球がみ動作判定設定処理について説明する。この払出球がみ動作判定設定処理は、払出モータ834で遊技球を、上皿や下皿に払い出すか、球がみ動作を行うか、又は、このような払い出しや排出等を行わないかのいずれかに設定する処理である。
払出球がみ動作判定設定処理が開始されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS680)。
ステップS680に続いて、払出制御プログラムは、羽根回転検知スイッチ840からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS682)。この判定は、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されている。本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS682の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS682で、払出制御プログラムは、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS684)。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、後述するリトライ動作が異常動作しているか否かを示すフラグであり、リトライ動作が異常動作しているとき値1、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)とき値0にそれぞれ設定される。
ステップS682で、ステップS680で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、又は、ステップS684で、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1でない(値0である)とき、つまりリトライ動作が異常動作していないときには、払出制御プログラムは、球がみ中フラグPBE−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS686)。
この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ834が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS686で球がみ中フラグPEB−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり球がみ動作を行っていないときには、払出制御プログラムは、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS688)、読み出した賞球ストック数PBSが値0より大きいか否かを判定する(ステップS690)。この判定では、払出モータ834による遊技球の払い出しにおいて未払い出しの球数があるか否かが判定されている。
ステップS690で賞球ストック数PBSが値0より大きいとき、つまり未払い出しの球数があるときには、払出制御プログラムは、ファールカバーユニットの収容空間が貯留された遊技球で満タンであるか否かを判定する(ステップS692)。この判定では、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS556の満タン及び球切れチェック処理で記憶された満タン情報に基づいて行われる。具体的には、満タン情報は、上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されている。
ステップS692では、この状態情報記憶領域から満タン情報を読み出してファールカバーユニットの収容空間が貯留された遊技球で満タンであるか否かを判定する。
ステップS692でファールカバーユニットの収容空間が貯留された遊技球で満タンでないときには、払出制御プログラムが後述する払出設定処理を行い(ステップS694)、このルーチンを終了する。この払出設定処理では、上皿321や下皿322に遊技球を払い出す払出動作を行う。
一方、ステップS692でファールカバーユニットの収容空間が貯留された遊技球で満タンであるときには、払出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する。本実施形態のパチンコ遊技機1では、ファールカバーユニットの収容空間が貯留された遊技球で満タンになると、払出モータ834を強制停止する。この払出モータ834が強制停止中に賞球が発生すると、払出モータ834による未払い出しの球数が増え、賞球用賞球ストック数加算処理によって賞球ストック数PBSが加算されて増加することとなる。
一方、ステップS690で賞球ストック数PBSが値0より大きくない(値0である)とき、つまり未払い出しの球数がないときには、払出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する。これにより、遊技球の払い出しを行わない。
一方、ステップS686で球がみ中フラグPBE−FLGが値1、つまり球がみ動作を行っているときには、払出制御プログラムが、後述する球がみ動作設定処理を行い(ステップS700)、このルーチンを終了する。この球がみ動作設定処理では、払出装置830の払出回転体による球がみ状態を解消する球がみ動作を行う。
一方、ステップS684で、リトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、払出制御プログラムは、払出モータ834への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS702)。この設定では、払出モータ834に駆動信号を停止する駆動情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS702に続いて、払出制御プログラムは、CRユニット6へのエラー状態の出力を設定し(ステップS704)、このルーチンを終了する。ステップS704では、現在、球貸しができない状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理値がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)にはPRDY信号の論理をLOW、つまり立ち下げた状態を保持し、PRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。
これにより、払出制御プログラムは、図215に示される払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるCR通信処理(ステップS554)において、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出し、この読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理値がLOWであるPRDY信号を、払出制御部954の払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理値がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)にはEXS信号の論理の状態を維持し、払出制御プログラムが、EXS信号の論理の状態をEXS信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。
これにより、払出制御プログラムは、図215の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理において、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からEXS信号出力設定情報を読み出し、この読み出したEXS信号出力設定情報、つまり論理値が維持されたEXS信号を、払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
なお、「EXS信号の論理の状態を維持」とは、EXS信号の論理値がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理値がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
[10−8−1.払出設定処理]
次に、払出設定処理について説明する。この払出設定処理では、払出モータ834を駆動して遊技球を払い出す設定を行う処理である。
払出設定処理が開始されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図224に示すように、払出制御内蔵RAMから駆動指令数DRVを読み出す(ステップS710)。この駆動指令数DRVは、払出モータ834で払い出す遊技球の球数を指令するものであり、賞球ストック数PBSと同値である。なお、駆動指令数DRVは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS710では、この賞球情報記憶領域から駆動指令数DRVを読み出している。
ステップS710に続いて、払出制御プログラムは、駆動指令数DRVが値0であるか否かを判定する(ステップS712)。この判定は、払出モータ834で払い出す遊技球の球数が残っているか否かを駆動指令数DRVに基づいて判定される。
ステップS712において駆動指令数DRVが値0であるとき、つまり払出モータ834で払い出す遊技球の球数がゼロ個であるときには、払出制御プログラムが、払出モータ834への駆動信号の出力停止(停止)を設定する(ステップS714)。この設定では、払出モータ834に駆動信号を停止する駆動情報が設定されて、上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶される。
ステップS714に続いて、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域から賞球ストック数PBSを読み出し(ステップS716)、実球計数PBを読み出す(ステップS718)。この実球計数PBは、払出モータ834が実際に払い出した遊技球の球数をカウントしたものである。このカウントは、その詳細な説明は後述するが、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で計数スイッチ838からの検出信号に基づいて行う。なお、実球計数PBは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS718では、この賞球情報記憶領域から実球計数PBを読み出している。
ステップS718に続いて、払出制御プログラムは、ステップS716で読み出した賞球ストック数PBSからステップS718で読み出した実球計数PBを引いた値を、賞球ストック数PBS及び駆動指令数DRVにセットし(ステップS720)、実球計数PBに値0をセットし(ステップS722)、このルーチンを終了する。なお、駆動指令数DRV及び実球計数PBが値0であるときには、ステップS722では、ステップS716で読み出した賞球ストック数PBSの値がそのまま駆動指令数DRVにセットされる。
一方、ステップS712で駆動指令数DRVが値0でないとき、つまり払出モータ834で払い出す遊技球の球数があるときには、払出制御プログラムは、払出モータ834への駆動信号の出力を設定する。(ステップS724)。この設定では、払出モータ834に駆動信号を停止する駆動情報が設定されて払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶される。
ステップS724に続いて、払出制御プログラムは、駆動指令数DRVから値1だけ差し引き(デクリメントし、ステップS726)、計数スイッチ838からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS728)。この判定は、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理において計数スイッチ838からの検出信号に基づいて行われる。
具体的には、その検出信号は入力情報として払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS728では、払出制御プログラムが、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ838からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS728で計数スイッチ838からの検出信号があるときには、払出制御プログラムが、実球計数PBに値1だけ足し(インクリメントし、ステップS730)、このルーチンを終了する。ステップS730において実球計数PBをインクリメントすることで実球計数PBをカウントアップすることとなる。
一方、ステップS728において計数スイッチ838からの検出信号がないときには、払出制御プログラムが、そのままこのルーチンを終了する。このように、払出制御プログラムは、払出制御MPU954aの制御の下、ステップS726で駆動指令数DRVをデクリメントする場合であって、ステップS728の判定で計数スイッチ838からの検出信号がないとき、つまり実球計数PBにインクリメントしない場合には、払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に遊技球が受け止められていなかったために遊技球を1球が払い出すことができなかったと判断する。
そこで、払出制御プログラムは、その払い出されるはずの1球をもう一度払い出すために、上述したステップS720で、賞球ストック数PBSから実球計数PBを引いた値を駆動指令数DRVにセットする。
これにより、ステップS728の判定で計数スイッチ838からの検出信号がないとき、つまり実球計数PBにインクリメントしないときには、その払い出されるはずの1球である値1を賞球ストック数PBSに含めることができ、換言すれば、その払い出されるはずの1球である値1を賞球ストック数PBSにまるめ込むことができるため、その払い出されるはずの1球を再び払い出すリトライ動作を行うことができる。このリトライ動作を行うことによって、遊技者への遊技球の未払い出しが生ずるおそれを極めて小さくすることができ、遊技球の未払い出しによる遊技者の不利益を防止することができる。
[10−8−2.球がみ動作設定処理]
次に、球がみ動作設定処理について説明する。この球がみ動作設定処理では、払出装置830の払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体による球がみ状態を解消する設定を行う処理である。
球がみ動作設定処理が開始されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図225に示すように、球がみ判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS750)。この判定は、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で減算された球がみ判定時間に基づいて行われる。具体的には、その球がみ判定時間は、時間管理情報として上述した払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS750では、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して球がみ判定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS750で球がみ判定時間が経過していないときには、払出制御プログラムは、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS752)。
ステップS752に続いて、払出制御プログラムは、上述した羽根回転検知スイッチ840からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS754)。この判定は、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かが判定される。
この定位置判定値は、上述したように、払出内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」であり、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS754の判定では、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS754で、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、払出制御プログラムは、球がみ動作を行うよう払出モータ834への駆動信号の出力を設定し(ステップS756)、このルーチンを終了する。この設定では、払出モータ834に駆動信号を出力する駆動情報が設定されて上述した払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶される。
一方、ステップS754で、ステップS752で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、払出制御プログラムは、払出モータ834への駆動信号の停止を設定する(ステップS758)。この設定では、払出モータ834に駆動信号を停止する駆動情報が設定されて払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶される。
ステップS758に続いて、払出制御プログラムは、球がみ動作の終了として球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS760)、このルーチンを終了する。この球がみ中フラグPBE−FLGは、払出回転体による球がみ状態が生じているか否かを示すフラグであり、払出モータ834が球がみ動作を行っているとき値1、球がみ動作を行っていないとき(球がみ動作の終了)値0にそれぞれ設定される。
一方、ステップS750で球がみ判定時間が経過したときには、払出制御プログラムは、払出モータ834への駆動信号の停止を設定する(ステップS762)。この設定では、払出モータ834に駆動信号を停止する駆動情報を設定して払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS762に続いて、払出制御プログラムは、CRユニット6へのエラー状態の出力を設定する(ステップS764)。ここでは、現在、球貸しができない状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、払出制御MPU954aは、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理値がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)にはPRDY信号の論理をLOW、つまり立ち下げた状態を保持し、PRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。
これにより、払出制御プログラムは、図215に示される払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理のCR通信処理(ステップS554)において、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出し、この読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理値がLOWであるPRDY信号を、払出制御部954の払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理値がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)にはEXS信号の論理の状態を維持し、払出制御プログラムが、EXS信号の論理の状態をEXS信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。これにより、図215に示される払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるCR通信処理(ステップS554)において、払出制御プログラムが、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からEXS信号出力設定情報を読み出してこの読み出したEXS信号出力設定情報、つまり論理値が維持されたEXS信号を、払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
なお、「EXS信号の論理の状態を維持」とは、上述したように、EXS信号の論理値がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持する一方、EXS信号の論理値がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
ステップS764に続いて、払出制御プログラムは、球がみ動作の終了として球がみ中フラグPBE−FLGに値0をセットし(ステップS766)、このルーチンを終了する。
[10−9.リトライ動作監視処理]
次に、リトライ動作監視処理について説明する。このリトライ動作監視処理では、払い出されるはずの遊技球を再び払い出すリトライ動作が正常に行われているか否かを監視する処理である。
リトライ動作監視処理が開始されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図226に示すように、上述した払出制御内蔵RAMの回転角スイッチ履歴情報記憶領域から回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTを読み出す(ステップS770)。
ステップS770に続いて、払出制御プログラムは、上述した羽根回転検知スイッチ840からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS772)。この判定は、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTが定位置判定値と一致しているか否かを判定する。この定位置判定値は払出制御内蔵ROMに記憶されており、本実施形態では、「00001111B(「B」はビットを表す。)」である。この定位置判定値は、上位4ビットのB7〜B4が値0、下位4ビットのB3〜B0が値1となっている。ステップS772の判定では、払出制御プログラムが、回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているか否かの判定を行う。
ステップS772において、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致しているときには、払出制御プログラムは、不整合カウンタINCCに値1だけ加算する(インクリメントする、ステップS774)。
不整合カウンタINCCは、払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ838で検出された球数と、の差を算出するためのカウンタである。この不整合カウンタINCCは、通常、払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ838で検出された球数と、が一致しているため、値0となる。
払出制御プログラムは、払出設置処理において、リトライ動作を行うため、このリトライ動作によって、払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ838で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを不整合カウンタINCCで監視して判断している。
なお、不整合カウンタINCCは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている。ステップS774では、払出制御プログラムは、この賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCをインクリメントしている。
ステップS774に続いて、又はステップS772で、ステップS770で読み出した回転角スイッチ検出履歴情報RSW−HISTの下位4ビットB3〜B0と定位置判定値の下位4ビットB3〜B0とが一致していないときには、払出制御プログラムは、計数スイッチ838からの検出信号があるか否かを判定する(ステップS776)。
この判定は、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で計数スイッチ838からの検出信号に基づいて行う。具体的には、その検出信号は、上述したように、入力情報として上述した払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS776では、払出制御プログラムが、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して計数スイッチ838からの検出信号があるか否かの判定を行う。
ステップS776で計数スイッチ838からの検出信号があるときには、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCから値1だけ引く(デクリメントし、ステップS778)。
ステップS778に続いて、又はステップS776で計数スイッチ838からの検出信号がないときには、払出制御プログラムは、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいか否かの判定する(ステップS780)。
パチンコ遊技機1では、リトライ動作によるつじつまの合わない遊技球が1球払い出される確率が数百万分の1程度であることが実験によって得られており、本実施形態では、不整合しきい値INCTHとして値5が設定されている。
図215に示される払出制御部電源投入時処理における払出制御内蔵RAMの作業領域を設定する処理(ステップS530)において、上述したように、復電時に、払出制御内蔵RAMに記憶されている払出バックアップ情報である、賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに基づいて、このリトライ動作監視処理に使用する情報が設定される。
この処理によって、例えば、瞬停又は停電しても、復電時における不整合カウンタINCC等の値を、払出バックアップ情報として記憶した、瞬停又は停電する直前における不整合カウンタINCC等の値に復元することができる。これにより、ステップS780の判定では、瞬停又は停電する直前まで行っていた、払出装置830による遊技球の払出動作(リトライ動作)の監視を、復電時から継続することができる。
このため、例えば、瞬停又は停電する直前において、ステップS780の判定で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいときには、リトライ動作が正常動作していると判断し、つまり払出装置830による遊技球の払出動作が正常状態であると判断し、復電時においても、ステップS780の判定で払出装置830による遊技球の払出動作が正常状態であると判断することができる。
一方、ステップS780の判定で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないときには、リトライ動作が異常動作していると判断し、つまり払出装置830による遊技球の払出動作が異常状態であると判断し、復電時においても、ステップS780の判定で払出装置830による遊技球の払出動作が異常状態であると判断することができる。
ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さいときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、払出制御プログラムは、「リトライエラー」である旨を報知するために、払出制御基板951に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器953に数字「5」を表示するリトライエラー情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する(ステップS782)。
一方、「賞球ストック中」である旨を報知する場合には、払出制御プログラムは、エラーLED表示器953に数字「9」を表示する賞球ストック中情報を設定して上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する(ステップS782)。
ステップS782に続いて、払出制御プログラムは、払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに値0(初期値0)をセットする(ステップS784)。
このステップS784では、不整合カウンタINCCは、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、この内的要因が発生したことを契機として初期化される。
なお、不整合カウンタINCCは、電源投入時において操作スイッチ952がRAMクリアするために操作されると、この外的要因が発生したことを契機として初期化される。操作スイッチ952が電源投入時に操作されると、上述したように、その操作に対応した操作信号がRAMクリア信号として主制御基板1310の主制御MPU1310aに入力される。
上述した主制御プログラムは、主制御MPU1310aの制御の下、上述したように、主制御内蔵RAMに記憶されている各種情報をすべて消去し、RAMクリア報知コマンドを周辺制御基板1510に出力する。これにより、周辺制御基板1510は、本体枠4に設けたスピーカユニット920のスピーカ及び扉枠3のスピーカからRAMクリア報知音を出力する。
ステップS784に続いて、払出制御プログラムが、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値1をセットし(ステップS786)、このルーチンを終了する。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、リトライ動作が異常動作しているか否かを示すフラグであり、リトライ動作が異常動作しているときには値1に設定される一方、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)ときには値0に設定される。
なお、払出制御プログラムは、払出制御MPU954aの制御の下、ステップS782で払出制御内蔵RAMの出力情報記憶領域にセット(記憶)したリトライエラー情報(或いは賞球ストック中情報)を、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理においてリトライエラーの状態コマンドを作成して主制御基板1310に送信する。
払出制御プログラムは、同処理におけるステップS564のLED表示データ作成処理でエラーLED表示器953に表示する表示データを作成してLED表示情報として出力情報記憶領域に記憶する。これにより、同処理におけるステップS548のポート出力処理で出力情報記憶領域に記憶されたLED表示情報に基づいてエラーLED表示器953に駆動信号が出力され、このエラーLED表示器953に数字「5」が表示される。
主制御基板1310では、主制御プログラムが、主制御側タイマ割り込み処理における周辺制御基板コマンド送信処理(ステップS92)において周辺制御基板1510にコマンドを送信する。この周辺制御基板1510は、扉枠3に設けた各種装飾基板の複数のLEDを所定の色(本実施形態では、赤色)で発光させるための点灯信号を出力する扉枠側点灯点滅コマンドを扉枠用中継基板911や扉枠左サイド装飾基板160に出力し、対応する複数のLEDを各々所定の色で発光させる。
この複数のLEDの発光に気付いたホールの店員等は、上述したように、本体枠4を外枠2に対して開放することで払出制御基板951に実装されたエラーLED表示器953に数字「5」が表示されることを目視することによって例えば「リトライエラー」が発生していることを確認することができる。
これにより、ホールの店員等は、その発生原因を調べるために、計数スイッチ838の不具合や、計数スイッチ838からの払出制御基板951まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等の確認作業を、複数のLEDの発光とエラーLED表示器953の表示内容とが報知されない場合と比べると、極めて早く行うことができる。
計数スイッチ838を意図的に非作動状態とすることによって、払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球を検出困難として上述したリトライ動作を強制的に発生させることによって、このリトライ動作によって払い出される遊技球を不正に獲得する不正行為が行われたとしても、上述した不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となると、扉枠3に設けた各種装飾基板の複数のLEDが発光するため、ホールの店員等がこの発行態様に気付いてパチンコ遊技機1の状態を確認するため駆け付けることとなる。
そうすると、不正行為を行う遊技者は、その行為が発見されないように中断せざるを得なくなり、不正行為による不正な遊技球を継続して獲得することができない。不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHと一致しても、不正行為を行う遊技者が獲得できる遊技球の球数は不整合しきい値INCTHと同一となるため、つまり5球であるため、計数スイッチ838を意図的に非作動状態とする行為によるホールの損害を極めて小さく抑えることができる。
さらに、不整合カウンタINCCは、上述したように、ステップS780で不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTHより小さくないとき、つまり不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上となったという内的要因が発生したことを契機として初期化される。
これにより、不整合カウンタINCCは、例えば、エラー解除するために操作スイッチ952を操作したという外的要因が発生したことを契機として初期化されないようになっている。したがって、操作スイッチ952等を不正に改造して、その操作信号が払出制御MPU954aに入力されるようにしても、このような不正行為によって、不整合カウンタINCCが強制的に初期化されることがない。
[10−10.不整合カウンタリセット判定処理]
次に、不整合カウンタリセット処理について説明する。この不整合カウンタリセット処理では、払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ838で検出された球数と、の差を算出する不整合カウンタINCCを、リセットするか否かを判定する処理である。
不整合カウンタリセット判定処理が開始されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図227に示すように、不整合カウンタリセット判定時間が経過したか否かを判定する(ステップS790)。
この判定は、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるタイマ更新処理(ステップS552)で更新された不整合カウンタリセット判定時間に基づいて行われる。具体的には、その不整合カウンタリセット判定時間は、時間管理情報として上述した払出制御内蔵RAMの時間管理情報記憶領域に記憶されている。ステップS790では、払出制御プログラムが、この時間管理情報記憶領域から時間管理情報を読み出して不整合カウンタリセット判定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS790で不整合カウンタリセット判定時間が経過していないときには、払出制御プログラムが、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS790で不整合カウンタリセット判定時間が経過したときには、払出制御プログラムが不整合カウンタリセット判定時間の初期化を行う(ステップS792)。この初期化によって、不整合カウンタリセット判定時間に初期値である7000s(約2時間)がセットされる。
ステップS792に続いて、払出制御プログラムは、上述した払出制御内蔵RAMの賞球情報記憶領域に記憶されている不整合カウンタINCCに値0(初期値0)をセットし(ステップS794)、このルーチンを終了する。
不整合カウンタINCCは、上述したように、払出モータ834の回転軸の回転が伝達される払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ838で検出された球数と、の差を算出するためのカウンタであり、通常、払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、計数スイッチ838で検出された球数と、が一致しているため、値0となる。
払出制御プログラムは、払出制御MPU954aの制御によって、払出設置処理において、リトライ動作を行うため、このリトライ動作によって、払出回転体の凹部に受け止められて払い出された遊技球の球数と、実際に計数スイッチ838で検出された球数と、の不一致によるつじつまの合わない遊技球の払い出しを、繰り返し行っているか否かを不整合カウンタINCCで監視して判断している。
ここで、パチンコ遊技機1は、上述したように、遊技盤5、及び、遊技盤5が装着される本体枠4等の枠体を備え、遊技盤5を交換(新台入替)することにより遊技仕様を変更できるように構成されている。このため、払出装置830を制御する払出制御基板951、払出装置830の駆動電源や払出制御基板951の制御電源を生成する電源基板は、共通の機能として枠体側に装備されている。
払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、上述したように、不整合カウンタINCCを監視することによって、リトライ動作を繰り返し行っているか否かの異常動作を判定することができるように構成されている。払出制御部電源投入時処理における払出制御部電源断時処理では、電源遮断時に遮断直前の不整合カウンタINCCを記憶する一方、払出制御部電源投入時処理におけるステップS530の処理(RAM作業領域の復電時設定)では、電源投入時にその記憶した不整合カウンタINCCから再び処理を開始する。
[10−11.エラー解除操作判定処理]
次に、エラー解除操作判定処理について説明する。このエラー解除操作判定処理では、操作スイッチ952が操作されているか否かを判定する。
エラー解除操作判定処理が開始されると、払出制御基板951における払出制御部954では、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの制御の下、図228に示すように、操作スイッチ952がエラー解除するために操作されているか否かを判定する(ステップS800)。
この判定は、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS550のポート入力処理で操作スイッチ952からの操作信号に基づいて行われる。具体的には、その操作信号は入力情報として上述した払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶されている。ステップS800では、払出制御プログラムが、この入力情報記憶領域から入力情報を読み出して、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がHIであるときにはエラー解除を行うことを指示するものではないと判断して操作スイッチ952が操作されていないと判定する一方、操作スイッチ952からの操作信号の論理値がLOWであるときにはエラー解除を行うことを指示するものであると判断して操作スイッチ952が操作されていると判定する。
ステップS800で操作スイッチ952が操作されていないときには、払出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する一方、ステップS800で操作スイッチ952が操作されているときには、払出制御プログラムは、エラーフラグ状態確認処理を行う(ステップS802)。
このエラーフラグ状態判定処理では、払出装置830に関する各種エラー情報に対応するエラーフラグの状態を確認する。例えば、リトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGの状態を確認する。このリトライエラーフラグRTERR−FLGは、上述したように、リトライ動作が異常動作しているときには値1に設定される一方、リトライ動作が異常動作していないとき(リトライ動作が正常動作している)ときには値0に設定される。このため、払出制御プログラムは、払出制御MPU954aの制御の下、リトライエラーフラグRTERR−FLGの値が値0であるか、又は、値1であるかについて確認している。
ステップS802に続いて、状態情報設定処理を行う(ステップS804)。この状態情報設定処理では、払出制御プログラムが、ステップS802で確認したエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態がエラーが生じている旨を表している場合には、そのエラーフラグに対応する状態情報を、上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する。
これにより、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理において、払出制御プログラムが、上記状態情報記憶領域から各種情報(状態情報)を読み出し、この読み出した状態情報に基づいて状態コマンドを作成して主制御基板1310に送信することとなる。
例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、払出制御プログラムが、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライエラー情報を、払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域にセット(記憶)する。すすと、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS566のコマンド送信処理において、払出制御プログラムが、リトライエラーの状態コマンドを作成して主制御基板1310に送信することとなる。
なお、リトライエラー情報を受信した主制御基板1310は、主制御プログラムが、主制御側タイマ割り込み処理におけるステップS92の周辺制御基板コマンド送信処理において周辺制御基板1510に送信し、周辺制御基板1510では、サブ制御プログラムが、リトライ動作にエラーが生じている旨を伝えるリトライ動作エラー報知処理を行う。
このリトライ動作エラー報知処理では、「賞球ユニットを確認してください。」、そして「払出制御基板のハーネスを確認してください。」のリトライ動作のエラー報知アナウンスを、例えば2回繰り返し本体枠4に設けたスピーカユニット920のスピーカ及び扉枠3のスピーカから再生されることによって、ホールの店員等に報知する。
このリトライ動作のエラー報知アナウンスを聞いたホールの店員等は、計数スイッチ838の不具合や、計数スイッチ838からの払出制御基板951まで亘る各種ハーネスの断線、各種コネクタの接触不良等を、一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921からリトライ動作のエラー報知アナウンスが流れない場合と比べると、極めて早く確認することができる。またリトライ動作エラー報知処理では、扉枠3に設けた各種装飾基板の複数のLEDを所定の色(本実施形態では、赤色)で発光させている。
ステップS804に続いて、解除設定処理を行う(ステップS806)。この解除設定処理では、払出制御プログラムが、ステップS802において確認した各種エラー情報に対応するエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態がエラーが生じている旨を表している場合には、そのエラーフラグに対応するエラーがすでに払出制御基板951に実装されているセグメント表示器であるエラーLED表示器953によって表示されている内容を強制的に停止したり、球貸しができる状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、上述したPRDY信号の論理をHI、つまり立ち上げた状態を保持し、払出制御部954の払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、払出制御プログラムが、すでにエラーLED表示器953によって表示されている「リトライエラー」である旨を報知する数字「5」を強制的に停止するために、上述した払出制御内蔵RAMの状態情報記憶領域に記憶されているリトライエラー情報を、「正常」である旨を報知する図形「−」が表示される情報に強制的に上書きする。
球貸しができる状態となっている旨をCRユニット6に伝えるために、PRDY信号の論理をHI、つまり立ち上がった状態を保持し、払出制御プログラムが、払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
ステップS806に続いて、払出制御プログラムがエラーフラグ初期化処理を行い(ステップS808)、このルーチンを終了する。このエラーフラグ初期化処理では、払出制御プログラムが、ステップS802において確認した各種エラー情報に対応するエラーフラグに基づいて、エラーフラグの状態が、エラーが生じている旨をしている場合には、そのエラーフラグを初期化する。
例えば、上述したリトライ動作が異常動作しているか否かを示すリトライエラーフラグRTERR−FLGが値1であるとき、つまりリトライ動作が異常動作しているときには、リトライエラーフラグRTERR−FLGに値0をセットして初期化する。このとき、上述した、PRDY信号の論理をHI、つまり立ち上がった状態を保持し、このPRDY信号の論理の状態をPRDY信号出力設定情報に設定してCR通信情報記憶領域に記憶する。
これにより、図215に示す払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるCR通信処理(ステップS554)において、払出制御内蔵RAMに記憶されているCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出してこの読み出したPRDY信号出力設定情報、つまり論理値がLOWであるPRDY信号を、払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に出力する。
このように、リトライエラーフラグRTERR−FLGは、リトライ動作監視処理におけるステップS780の判定で、不整合カウンタINCCの値が不整合しきい値INCTH以上であるときには、払出制御プログラムが、この内的要因が発生したことを契機として同処理のステップS786においてリトライエラーフラグRTERR−FLGに値1をセットする一方、操作スイッチ952が操作されると、これを契機として、つまりこの外的要因が発生したことを契機としてリトライエラーフラグRTERR−FLGに値0をセットして初期化する。
なお、リトライエラーフラグRTERR−FLGは、電源投入時において操作スイッチ952がRAMクリアするために操作されると、これを契機として、つまり操作スイッチ952がエラーを解除するためにRAMクリアするために操作スイッチ952が操作された場合と同様に、この外的要因が発生したことを契機として初期化される。
以上のようにパチンコ遊技機1は、本来、払出動作に関して発生したエラーを解除するために使用されるはずであった操作スイッチ952(操作スイッチ)を、電源投入時から主制御側メイン処理が実行されるまでの所定時間に亘って、その代わりに、主制御内蔵RAM(遊技記憶部)及び払出制御内蔵RAM(払出記憶部)の初期化を開始させるためのRAMクリア機能を発揮させるための操作部として機能させている。
またこのパチンコ遊技機1は、当該所定時間の経過後に、この操作スイッチ952を、遊技球の払出動作に関して発生したエラーを解除するための操作部として機能させている。ここで、ホール店員が仮にパチンコ遊技機の操作に慣れていない者であっても、遊技機の背面における操作スイッチ952の位置さえ覚えていれば、この操作スイッチ952を操作したタイミングに応じて、それが電源投入時から所定時間を経過していれば、遊技球の払出動作に関して発生したエラーを解除する機能を発揮させる一方、操作スイッチ952を操作したタイミングに応じて、それが電源投入時から所定時間内であれば、記憶部を初期化する機能を発揮させることができる。
従って、ホール店員は、このような遊技機においてエラーが発生した場合でも、エラー対応時におけるスイッチ操作の効率化が図られてスイッチ操作に迷うことなく適切に対処することができるため、遊技が中断された遊技者が遊技意欲を損なう前に遊技を再開させることができる。
[10−12.CRユニットとの各種信号のやり取り]
次に、図215の払出制御部電源投入時処理の払出制御部メイン処理におけるステップS554のCR通信処理についてタイミングチャートを用いて説明する。このCR通信処理では、払出制御基板951とCRユニット6との各種信号のやり取りを行う。
まず、球貸しによる払出動作時の信号処理について説明し、続けてCRユニット6からの入力信号確認処理について説明する。ここでは、金額として200円分の遊技球の球数(本実施形態では、50球であり、金額として100円分の25球の払出動作を2回行っている。)を貸球数として、上皿321や下皿322に払い出す場合について説明する。
なお、CRユニット6からのBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号は、払出制御内蔵RAMの入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの読み出した入力情報に記憶されているものである。CR通信処理では、払出制御プログラムが、割り込みタイマ周期である2msごとに、入力情報からBRQ信号、BRDY信号及びCR接続信号の論理の状態を確認している。
[10−12−1.球貸しによる払出動作時の信号処理]
払出制御プログラムは、払出制御MPU954aの制御の下、払出制御内蔵RAMのCR通信情報記憶領域からPRDY信号出力設定情報を読み出す。この読み出したPRDY信号出力設定情報が、貸球を払い出すための払出動作が可能状である旨を伝えるPRDY信号の論理の状態に設定されている場合には、払出制御プログラムが、図229(d)に示すように、貸球を払い出すための払出動作が可能である旨を伝えるために、PRDY信号の論理をHIとして、つまり立ち上げて保持して払出制御部954の払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH0)。
この状態で、例えば遊技者によって貸球ユニット360の貸球ボタン361が押圧操作されると、球貸センサ365bのスイッチが入る(ONする)ようになっており、この球貸操作信号がTDSとして度数表示板365から遊技球等貸出装置接続端子板869を介してCRユニット6に入力される。
このTDSが入力されたCRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数を貸球数として上皿321や下皿322に払い出すため、貸球要求信号であるBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板951(払出制御MPU954a)に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH1)。このBRDYは、BRDY信号として払出制御MPU954aの所定の入力ポートの入力端子に入力される。
このBRDY信号が入力された払出制御MPU954aの制御によって、払出制御プログラムが、図229(b)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HA(本実施形態では、20ミリ秒(ms)〜58msに設定されている。)が経過するまでに、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、1回の払出動作で所定の貸球数(例えば25球)を払い出すための1回の払出動作開始要求信号であるBRQが立ち上がるか否かを監視する。
CRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数のうち、まず100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿321や下皿322に払い出すため、図229(b)に示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HAが経過するまでに、BRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH2)。このBRQは、BRQ信号として払出制御MPU954aの所定の入力ポートの入力端子に入力される。
払出制御MPU954aは、図229(c)個wmに示すように、タイミングH1から貸出要望監視時間HAが経過するまでにBRQ信号が立ち上がると、タイミングH2からBRQ要望了解ACK監視時間HB(本実施形態では、20ms±1msに設定されている。)が経過するまでに、1回の払出動作を開始した旨を伝えるために、EXS信号の論理をHIとして、つまり立ち上げた状態を保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH3)。
このEXSが入力されたCRユニット6は、図229(b)に示すように、タイミングH3から貸出指示監視時間HC(本実施形態では、20ms〜58msに設定されている。)が経過するまでに、タイミングH2から立ち上げて保持したBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板951に出力し、その信号を立ち下げて保持する(タイミングH4)。
払出制御MPU954aは、図229(c)に示すように、タイミングH4から払出監視時間HD(本実施形態では、球払出時間に設定されている。)が経過するまでに、1回の払出動作を行って所定の貸球数だけ、つまり100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿321や下皿322に払い出す。そして払出監視時間HDが経過すると、タイミングH3から立ち上げて保持したEXS信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH5)。
CRユニット6は、金額として200円分の遊技球の球数のうち、残り100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿321や下皿322に払い出すため、図229(b)に示すように、タイミングH5から次要求確認タイミングHE(本実施形態では、最大268msに設定されている。)が経過するまでに、BRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板951(払出制御MPU954a)に出力し、その信号を立ち上げて保持する(タイミングH6)。
払出制御MPU954aは、上述した方法を用いて同様に、残り100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿321や下皿322に払い出すと、図229(c)に示すように、立ち上げて保持したEXS信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH7)。
CRユニット6は、タイミングH7からCRユニット貸出完了監視時間HF(本実施形態では、最大268msに設定されている。)が経過するまでに、図229(a)に示すように、タイミングH1から立ち上げて保持したBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板951(払出制御MPU954a)に出力し、その信号を立ち下げて保持する(タイミングH8)。
上述した、貸出要望監視時間HA、BRQ要望了解ACK監視時間HB、貸出指示監視時間HC、払出監視時間HD、次要求確認タイミングHE、CRユニット貸出完了監視時間HFは、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で計時されている。
なお、払出制御プログラムは、球切れ、球がみ、計数スイッチエラー、リトライエラー、満タン等が生じている場合、CRユニット6と通信中でないとき(CRユニット6からのBRDYの論理値がLOW、つまり立ち下がって保持されているとき)には、タイミングH1から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとする。つまり、払出制御プログラムは、立ち下げた状態に保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングH9)。
一方、CRユニット6と通信中であるとき(CRユニット6からのBRDYの論理値がHI、つまり立ち上がって保持されているとき)には、払出制御プログラムが、EXS信号の論理の状態を維持し、払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力する。払出制御プログラムは、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する。「EXS信号の論理の状態を維持」とは、EXS信号の論理値がLOWである(EXS信号が立ち下がって保持されている)ときにはその論理LOWを維持し、EXS信号の論理値がHIである(EXS信号が立ち上がっている保持されている)ときにはその論理HIを維持することである。
このように、CRユニット6は、払出制御プログラム(払出制御MPU954a)と各種信号のやり取りを行う。このCRユニット6は、金額200円分の遊技球の球数として、金額100円分の25球の払出動作を2回行うことによって、貸球数が50球となる遊技球を上皿321や下皿322に払い出す。
なお、CRユニット6の正面側に設けられている、図示しない設定部をホールの店員等が操作して、例えば、金額100円分の遊技球の球数を貸球数として上皿321や下皿322に払い出すように設定した場合には、払出制御MPU954aが金額100円分の25球の払出動作を1回行い、金額として500円分の遊技球の球数を貸球数として上皿321や下皿322に払い出すように設定した場合には、払出制御プログラムが、金額100円分の25球の払出動作を5回行う一方、金額1000円分の遊技球の球数を貸球数として上皿321や下皿322に払い出すように、設定した場合、金額100円分の25球の払出動作を10回行うこととなる。
[10−12−2.CRユニットからの入力信号確認処理]
払出制御プログラムは、貸出要望監視時間HAが経過しても、CRユニット6が、BRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板951に出力し、その信号を立ち上げていない場合や、上述した貸出指示監視時間HCが経過しても、CRユニット6がBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板951に出力する。CRユニット6は、その信号を立ち下げていない場合や、上述した次要求確認タイミングHEが経過しても、CRユニット6がBRQを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板951に出力する。CRユニット6は、その信号を立ち上げていない場合や、上述したCRユニット貸出完了監視時間HFが経過しても、CRユニット6がBRDYを、CRユニット6から遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、払出制御基板951に出力する。CRユニット6は、その信号を立ち下げていない場合には、上述した、PRDY及びEXSを用いて、BRQ及びBRDYが正常であるか否かの確認を行う。
具体的には、払出制御プログラムは、BRQ及びBRDYが正常でないと判断すると(タイミングJ0)、このタイミングJ0から所定期間JA(本実施形態では、200ms±1msに設定されている。)の経過後に、PRDY信号の論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態を保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力し、EXS信号の論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態を保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、EXSとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ1)。
続いて、払出制御プログラムは、タイミングJ1から所定期間JB(本実施形態では、200ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ1から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ2)。
続いて、払出制御プログラムは、タイミングJ2から所定期間JC(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ2から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ3)。
続いて、払出制御プログラムは、タイミングJ3から所定期間JD(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ3から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ4)。
続いて、払出制御プログラムは、タイミングJ4から所定期間JE(本実施形態では、100ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ4から立ち上げて保持したPRDY信号を、その論理をLOWとして、つまり立ち下げた状態に保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ5)。
続いて、払出制御プログラムは、タイミングJ5から所定期間JF(本実施形態では、10000ms±1msに設定されている。)の経過後に、タイミングJ5から立ち下げて保持したPRDY信号を、その論理をHIとして、つまり立ち上げた状態に保持して払出制御MPU954aの所定の出力ポートの出力端子から出力し、PRDYとして、遊技球等貸出装置接続端子板869を介して、CRユニット6に出力する(タイミングJ6)。
上述した、所定期間JA〜所定期間JFは、払出制御部電源投入時処理(払出制御部メイン処理)におけるステップS552のタイマ更新処理で計時されている。
[11.周辺制御基板の各種制御処理]
次に、主制御基板1310から各種コマンドを受信する周辺制御基板1510の各種処理について、図230〜図234を参照して説明する。図230は周辺制御部電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図231は周辺制御部Vブランク割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図232は周辺制御部1msタイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図233は周辺制御部コマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図234は周辺制御部停電予告信号割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
周辺制御基板1510は、周辺制御部1530と液晶及び音制御部1540とから構成されており、ここでは、周辺制御部1530の各種制御処理について説明する。まず、周辺制御部電源投入時処理について説明し、続いて周辺制御部Vブランク割り込み処理、周辺制御部1msタイマ割り込み処理、周辺制御部コマンド受信割り込み処理、周辺制御部停電予告信号割り込み処理について説明する。なお、本実施形態では、割り込み処理の優先順位として、周辺制御部停電予告信号割り込み処理が最も高く設定され、続いて周辺制御部1msタイマ割り込み処理、周辺制御部コマンド受信割り込み処理、そして周辺制御部Vブランク割り込み処理という順番に設定されている。
また、周辺制御基板1510では、主制御基板1310から大当り判定の結果などの遊技情報を取得してこれを参照することで、複数の装飾図柄変動パターンのいずれかを出現可能としている。また、周辺制御基板1510では、該取得した遊技情報に基づいて演出表示装置1600にて装飾図柄の変動パターンを出現させるほか、期待度に関わる演出表示(背景や保留画像)の変化を行ったり、可動部材を動作させたりする制御を実行する。装飾図柄変動パターンでは、特別図柄の変動時間分だけ装飾図柄が変動表示されるとともに、変動表示された結果として特別な図柄組み合わせが現れると大当りに当選したことが示唆されるようになる。
[11−1.周辺制御部の各種制御処理]
[11−1−1.周辺制御部電源投入時処理]
まず、周辺制御部電源投入時処理について、図230を参照して説明する。パチンコ遊技機1に電源が投入されると、周辺制御部1530の周辺制御MPU1530aは、図230に示すように、周辺制御部電源投入時処理を行う。この周辺制御部電源投入時処理が開始されると、演出制御プログラムが周辺制御MPU1530aの制御の下、初期設定処理を行う(ステップS1000)。この初期設定処理では、演出制御プログラムが、周辺制御MPU1530a自身を初期化する処理と、ホットスタート/コールドスタートの判定処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等を行う。周辺制御MPU1530aは、まず自身を初期化する処理を行うが、この周辺制御MPU1530aを初期化する処理にかかる時間は、マイクロ秒(μs)オーダーであり、極めて短い時間で周辺制御MPU1530aを初期化することができる。これにより、周辺制御MPU1530aは、割り込み許可が設定された状態となることによって、例えば、後述する周辺制御部コマンド受信割り込み処理において、主制御基板1310から出力される、遊技演出の制御に関するコマンドやパチンコ遊技機1の状態に関するコマンド等の各種コマンドを受信することができる状態となる。また、当該周辺制御MPU1530a自身を初期化する処理においては、周辺制御MPU1530aが、音源内蔵VDP1540aにその内蔵VRAMの記憶領域に、例えば「0」を書き込ませることによってその内蔵VRAMを初期化する。
ホットスタート/コールドスタートの判定処理では、周辺制御RAM1530cついては、そのバックアップ第1エリアにおける、Bank1(1fr)及びBank2(1fr)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1fr)を比較するとともに、Bank1(1ms)及びBank2(1ms)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1ms)を比較し、そのバックアップ第2エリアにおける、Bank3(1fr)及びBank4(1fr)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1fr)を比較するとともに、Bank3(1ms)及びBank4(1ms)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(1ms)を比較し、この比較した内容が一致しているときには周辺制御RAM1530cの通常使用する記憶領域である、Bank0(1fr)に対してBank1(1fr)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(1fr)と、Bank0(1ms)に対してBank1(1ms)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(1ms)と、をそれぞれコピーバックしてホットスタートとする一方、比較した内容が一致していないとき(つまり、不一致であるとき)には周辺制御RAM1530cの通常使用する記憶領域である、Bank0(1fr)及びBank0(1ms)に対してそれぞれ値0を強制的に書き込んでコールドスタートとする。
またホットスタート/コールドスタートの判定処理では、周辺制御SRAM1530dについても、そのバックアップ第1エリアにおける、Bank1(SRAM)及びBank2(SRAM)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(SRAM)を比較するとともに、そのバックアップ第2エリアにおける、Bank3(SRAM)及びBank4(SRAM)にバックアップされている内容である演出バックアップ情報(SRAM)を比較する。この比較した内容が一致しているときには周辺制御SRAM1530d(図20参照)の通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に対してBank0(SRAM)に記憶されている内容である演出バックアップ情報(SRAM)をコピーバックしてホットスタートとする一方、比較した内容が一致していないとき(つまり、不一致であるとき)には周辺制御SRAM1530dの通常使用する記憶領域であるBank0(SRAM)に対して値0を強制的に書き込んでコールドスタートとする。このようなホットスタート又はコールドスタートに続いて、周辺制御RAM1530c(図20参照)のバックアップ非管理対象ワークエリアに対して値0を強制的に書き込んでゼロクリアする。そして周辺制御MPU1530aは、この初期化設定処理を行った後に、周辺制御内蔵WDT1530afと、周辺制御外部WDT1530e(図19参照)と、にクリア信号を出力して周辺制御MPU1530aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1000に続いて、演出制御プログラムは現在時刻情報取得処理を行う(ステップS1002)。この現在時刻情報取得処理では、演出制御プログラムがRTC制御部1565のRTC15654aのRTC内蔵RAMから、年月日を特定するカレンダー情報を取得する一方、時分秒を特定する時刻情報を取得する。さらに演出制御プログラムは、周辺制御RAM1530cのRTC情報取得記憶領域に、現在のカレンダー情報としてカレンダー情報記憶部にセットするとともに、現在の時刻情報として時刻情報記憶部にセットする。
上述のように周辺制御MPU1530aがRTC1565aのRTC内蔵RAMからカレンダー情報及び時刻情報を取得するのは電源投入時とされている。周辺制御MPU1530aは、上述した現在時刻情報取得処理を行った後に、周辺制御内蔵WDT1530afと周辺制御外部WDT1530eとにクリア信号を出力することによって,周辺制御MPU1530aにリセットがかからないようにしている。
現在時刻情報取得処理では、遊技盤側演出表示装置1600の輝度設定処理も行う。この遊技盤側演出表示装置1600の輝度設定処理では、周辺制御MPU1530aがRTC制御部1565のRTC内蔵RAMから輝度設定情報を取得して、この取得した輝度設定情報に含まれるLEDの輝度となるように、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトの輝度を調節して点灯する処理を行う。
輝度設定情報は、上述したように、遊技盤側演出表示装置1600のバックライトの輝度が100%〜70%の範囲を5%刻みで調節するための輝度調節情報と、現在設定されている遊技盤側演出表示装置1600のバックライトの輝度と、を含んでいる。
ステップS1002に続いて、演出制御プログラムは、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットする(ステップS1006)。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、後述する周辺制御部定常処理を実行するか否かを決定するためのフラグであり、周辺制御部定常処理を実行するとき値1、周辺制御部定常処理を実行しないとき値0にそれぞれ設定される。
Vブランク信号検出フラグVB−FLGは、周辺制御MPU1530aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号がVDP1540aから入力されたことを契機として実行される後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理において値1がセットされる。
このステップS1006では、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットすることによりVブランク信号検出フラグVB−FLGを一度初期化している。また周辺制御MPU1530aは、このVブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットした後に、周辺制御内蔵WDT1530afと周辺制御外部WDT1530eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU1530aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1006に続いて、演出制御プログラムは、Vブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS1008)。このVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1でない(値0である)ときには、再びステップS1008に戻ってVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを繰り返し判定する。
このような判定を繰り返すことにより、周辺制御部定常処理を実行するまで待機する状態となる。また周辺制御MPU1530aは、このVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるか否かを判定した後に、周辺制御内蔵WDT1530afと周辺制御外部WDT1530eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU1530aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるとき、つまり周辺制御部定常処理を実行するときには、まず定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットする(ステップS1009)。この定常処理中フラグSP−FLGは、周辺制御部定常処理を実行中であるとき値1、周辺制御部定常処理を実行完了したとき値0にそれぞれセットされる。
ステップS1009に続いて、演出制御プログラムは1ms割り込みタイマ起動処理を行う(ステップS1010)。この1ms割り込みタイマ起動処理では、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理を実行するための1ms割り込みタイマを起動するとともに、この1ms割り込みタイマが起動して周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数をカウントするための1msタイマ割り込み実行回数STNに値1をセットして1msタイマ割り込み実行回数STNの初期化も行う。この1msタイマ割り込み実行回数STNは周辺制御部1msタイマ割り込み処理で更新される。
ステップS1010に続いて、演出制御プログラムは、ランプデータ出力処理を行う(ステップS1012)。このランプデータ出力処理では、演出制御プログラムがランプ駆動基板4170へのDMAシリアル連続送信を行う。ここでは、周辺制御MPU1530aの周辺制御DMAコントローラ1530acを利用してランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。このランプ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、周辺制御RAM1530cのランプ駆動基板側送信データ記憶領域に、遊技盤5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号、又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATが後述するランプデータ作成処理で作成されてセットされた状態となっている。
周辺制御MPU1530aの周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域の先頭アドレスに格納された遊技盤側発光データSL−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス1530h、周辺制御バスコントローラ1530ad、そして周辺バス1530aiを介して、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。
これにより、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側発光クロック信号SL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ1530acは、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生したことを契機として、周辺制御MPUコア1530aaがバスを使用していない場合、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域に格納された残りの遊技盤側発光データSL−DATを1バイトずつ、外部バス1530h、周辺制御バスコントローラ1530ad、そして周辺バス1530aiを介して、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側発光クロック信号SL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、ランプ駆動基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
またランプデータ出力処理では、演出制御プログラムが、扉枠用中継基板911や扉枠左サイド装飾基板160へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでも、周辺制御MPU1530aの周辺制御DMAコントローラ1530acを利用して枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート連続送信を行う。
この枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、周辺制御RAM1530cの枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域に、扉枠3に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATが後述するランプデータ作成処理で作成されてセットされた状態となっている。
周辺制御MPU1530aの周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求に枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信を指定し、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域の先頭アドレスに格納された扉側発光データSTL−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス1530h、周辺制御バスコントローラ1530ad、そして周辺バス1530aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。
これにより、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側発光クロック信号STL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ1530acは、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として(本実施形態では、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに書き込まれた1バイトのデータが送信シフトレジスタに転送され、その送信バッファレジスタに1バイトのデータがなくなって空となったことを契機としている。)、周辺制御MPUコア1530aaがバスを使用していない場合、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域に格納された残りの扉側発光データSTL−DATを1バイトずつ、外部バス1530h、周辺制御バスコントローラ1530ad、そして周辺バス1530aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側発光クロック信号STL−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、枠装飾駆動アンプ基板LED用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
ステップS1012に続いて、演出制御プログラムは、操作ユニット監視処理を行う(ステップS1014)。この操作ユニット監視処理では、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理における操作ユニット情報取得処理において、第三装飾回転体ユニット530Bに設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて第一装飾面部532及び第二装飾面部533の姿勢態様及び操作ボタン410の操作等を取得した各種情報(例えば、装飾回転体ユニット530に設けられた各種検出スイッチからの検出信号に基づいて作成する第一装飾面部532及び第二装飾面部533の姿勢態様並びに操作ボタン410の操作履歴情報など。)がセットされる周辺制御RAM1530cの操作ユニット情報取得記憶領域に基づいて、上記姿勢態様や操作ボタン410の操作有無を監視し、上記姿勢態様や操作ボタン410の操作の状態を遊技演出に反映するか否かを適宜決定する。
ステップS1014に続いて、演出制御プログラムは、表示データ出力処理を行う(ステップS1016)。この表示データ出力処理では、後述する表示データ作成処理でVDP1540aの内蔵VRAM上に生成した1画面分(1フレーム分)の描画データをVDP1540aがチャンネルCH1,2から遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460Aに出力する。
これにより、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460Aにさまざまな画面が描画される。なお、表示データ出力処理では、VDP1540aの描画能力を超える描画を行った場合には、生成した1画面分(1フレーム分)の描画データを遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460Aに出力することをキャンセルする。
これにより、処理時間の遅れを防止することができるが、いわゆるコマ落ちが発生することとなるものの、ステップS1012のランプデータ出力処理による、遊技盤5に設けた各種装飾基板の複数のLED、及び扉枠3に設けた各種装飾基板の複数のLEDによる演出と、後述する音データ出力処理による、一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921から各種演出に合わせたBGMや効果音等による演出と、の同期を優先することができる仕組みとなっている。
ステップS1016に続いて、演出制御プログラムは、音データ出力処理を行う(ステップS1018)。この音データ出力処理では、演出制御プログラムが、後述する音データ作成処理でVDP1540aに設定されたBGM及び効果音等の音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC1540cに出力したり、BGM及び効果音の他に報知音や告知音の音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC1540cに出力したりする。
このオーディオデータ送信IC1540cは、VDP1540aからのシリアル化したオーディオデータが入力されると、右側オーディオデータを、プラス信号及びマイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして扉枠用中継基板911(及び必要に応じて扉枠左サイド装飾基板160)に向かって送信するとともに、左側オーディオデータを、プラス信号及びマイナス信号とする差分方式のシリアルデータとして扉枠用中継基板911や扉枠左サイド装飾基板160に向かって送信する。これにより、一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921から各種演出に合わせたBGMや効果音等がステレオ再生されたりする他に報知音や告知音もステレオ再生されたりする。
ステップS1018に続いて、演出制御プログラムはスケジューラ更新処理を行う(ステップS1020)。このスケジューラ更新処理では、演出制御プログラムが周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域にセットされた各種スケジューラーデータを更新する。
例えば、スケジューラ更新処理では、スケジューラーデータ記憶領域にセットされた画面生成用スケジューラーデータを構成する時系列に配列された画面データのうち、先頭の画面データから何番目の画面データをVDP1540aに出力するのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジューラーデータ記憶領域にセットされた発光態様生成用スケジューラーデータを構成する時系列に配列された発光データのうち、先頭の発光データから何番目の発光データを各種LEDの発光態様とするのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジューラーデータ記憶領域にセットされた音生成用スケジューラーデータを構成する時系列に配列された、BGMや効果音等の音データ、報知音や告知音の音データを指示する音指令データのうち、先頭の音指令データから何番目の音指令データをVDP1540aに出力するのかを指示するために、ポインタを更新する。
またスケジューラ更新処理では、スケジューラーデータ記憶領域にセットされた電気的駆動源スケジューラーデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、先頭の駆動データから何番目の駆動データを出力対象とするのかを指示するために、ポインタを更新する。電気的駆動源スケジューラーデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データは、後述する、1msタイマ割り込みが発生するごとに繰り返し実行される周辺制御部1msタイマ割り込み処理におけるモータ及びソレノイド駆動処理で更新される。
この1msタイマ割り込みが発生するごとに繰り返し実行されるモータ及びソレノイド駆動処理では、ポインタが指示する駆動データに従ってモータやソレノイド等の電気的駆動源を駆動するとともに、時系列に規定された次の駆動データにポインタを更新し、自身の処理を実行するごとに、ポインタを更新する。
つまり、モータ及びソレノイド駆動処理において更新したポインタの指示する駆動データは、スケジューラ更新処理において強制的に更新される仕組みとなっているため、仮に、モータ及びソレノイド駆動処理においてポインタが何らかの原因で本来指示するはずの駆動データから他の駆動データを指示することとなっても、スケジューラ更新処理において強制的に本来指示するはずの駆動データに指示するように強制的に更新される。
ステップS1020に続いて、演出制御プログラムは、受信コマンド解析処理を行う(ステップS1022)。この受信コマンド解析処理では、演出制御プログラムが、主制御基板1310から送信された各種コマンドを、後述する周辺制御部コマンド受信割り込み処理(コマンド受信手段)において受信した各種コマンドの解析を行う(コマンド解析手段)。
すなわち、演出制御プログラムは、この周辺制御部コマンド受信割り込み処理で受信されたコマンドが、例えば、始動口入賞演出の開始を指示するための始動口入賞コマンド、普通図柄の保留数(0〜4個)を識別するための普通図柄記憶コマンド、図柄同調演出の開始を指示するための図柄同調演出開始コマンド、始動保留数が変化すると出力される図柄記憶コマンド、大入賞口2103に遊技球が受け入れられる度に出力された大入賞口1カウント表示コマンド(大入賞口カウントコマンド)、又は、図36に示される満タンという内容を示す枠状態1コマンド(第2のエラー発生コマンド、満タンエラー発生コマンド)であるか否かを解析し(コマンド解析手段)、現在、どの遊技状態であるかを認識する。
この演出制御プログラムは、電源投入時から所定時間が経過した後、この周辺制御部コマンド受信割り込み処理によって受信されたコマンドが本体枠開放コマンド、本体枠閉鎖コマンド、扉枠開放コマンド又は扉枠閉鎖コマンドであるか否かを解析する。
主制御基板1310からの各種コマンドは、周辺制御部コマンド受信割り込み処理で受信されて周辺制御RAM1530cの受信コマンド記憶領域に記憶されるようになっており、受信コマンド解析処理では、演出制御プログラムが、受信コマンド記憶領域に記憶された各種コマンドの解析を行う。
各種コマンドには、特図1同調演出関連に区分される各種コマンド、特図2同調演出関連に区分される各種コマンド、大当り関連に区分される各種コマンド、電源投入に区分される各種コマンド、普図同調演出関連に区分される各種コマンド、普通電役演出関連に区分される各種コマンド、報知表示に区分される各種コマンド、上述した扉枠開放コマンド、扉枠閉鎖コマンド、本体枠開放コマンド及び本体枠閉鎖コマンド並びにエラー解除ナビコマンド及び枠状態1コマンドなどの状態表示に区分される各種コマンド、テスト関連に区分される各種コマンド及びその他に区分される各種コマンドがある。
ステップS1022に続いて、演出制御プログラムが警告処理を行う(ステップS1024)。この警告処理では、さらに、演出制御プログラムが、上述のようにステップS1022の受信コマンド解析処理で解析したコマンドに、報知表示に区分される各種コマンドが含まれているときには、各種異常報知を実行するための異常表示態様に設定されている、画面生成用スケジューラーデータ、発光態様生成用スケジューラーデータ、音生成用スケジューラーデータ、及び電気的駆動源スケジューラーデータ等を、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットする。
なお、警告処理では、複数の異常が同時に発生した場合には、あらかじめ登録した優先度の高い順から異常報知から行われ、その異常が解決して残っている他の異常報知に自動的に遷移する。これにより、一の異常が発生した後であってその異常を解決する前に他の異常が発生して一の異常が発生しているという情報を失うことなく、複数の異常を同時に監視することができる。
またさらに、この警告処理では、電源投入時から所定時間が経過した後に、演出制御プログラムが、既述の受信コマンド解析処理(ステップS1022)において解析したコマンドが、状態表示に区分される各種コマンド、例えばエラー解除ナビコマンド(第2のエラー解除コマンド)である場合、演出動作に伴う通常の演出態様とは異なる態様で液晶及び音制御部1540を制御することにより、例えば、遊技盤側演出表示装置1600(演出装置)、扉枠側演出表示装置460(演出装置)、ランプ(演出装置)を用いて視覚的に外部に警告したり、一対のサイドスピーカ(演出装置)を用いて聴覚的に外部に警告する(エラー報知手段)。
このようにすると、悪意のある遊技者が、遊技状態であるにも拘わらず払出制御基板951の操作スイッチ952を操作することにより主制御基板1310にエラー解除ナビコマンドを入力しようと試行した際に、パチンコ遊技機1が外部に警告を行う構成となっているため、遊技の進行に影響を及ぼしかねない主制御基板1310に対する不正行為が抑止されるようになる。
次に、上述したステップS1024に続いて、演出制御プログラムはメイン賞球数情報取得処理を行い(ステップS1025)、次にRCT取得情報更新処理を行う(ステップS1026)。
このRTC取得情報更新処理では、演出制御プログラムが、ステップS1002の現在時刻情報取得処理で取得して周辺制御RAM1530cのRTC情報取得記憶領域にセットした、カレンダー情報記憶部に記憶されたカレンダー情報と時刻情報記憶部に記憶された時刻情報とを更新する。
このRCT取得情報更新処理により、時刻情報記憶部に記憶される時刻情報である時分秒が更新され、この更新される時刻情報に基づいてカレンダー情報記憶部に記憶されるカレンダー情報である年月日が更新される。
ステップS1026に続いて、演出制御プログラムはランプデータ作成処理を行う(ステップS1028)。このランプデータ作成処理では、この演出制御プログラムが、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されて、発光態様生成用スケジューラーデータを構成する時系列に配列された発光データのうち、そのポインタが指示する発光データに基づいて、遊技盤5に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号、又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データSL−DATを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して作成するとともに、周辺制御RAM1530cのランプ駆動基板側送信データ記憶領域にセットするとともに、扉枠3に設けた各種装飾基板の複数のLEDへの点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データSTL−DATを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して作成して、周辺制御RAM1530cの枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域にセットする。
ステップS1028に続いて、演出制御プログラムは表示データ作成処理を行う(ステップS1030)。この表示データ作成処理では、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されることにより、演出制御プログラムが、周辺制御MPU1530aに、上記画面生成用スケジューラーデータを構成するデータであって時系列に配列された画面データのうち当該ポインタが示す画面データを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出してVDP1540aに出力する。
このVDP1540aは、周辺制御MPU1530aから画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいて液晶及び音ROM1540bから少なくとも1つのキャラクタデータを抽出するとともに当該抽出した少なくとも1つのキャラクタデータからスプライトデータを作成し、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460Aに表示する1画面分(1フレーム分)の描画データを内蔵VRAM(フレームバッファに相当)上に生成する。
ステップS1030に続いて、演出制御プログラムは音データ作成処理を行う(ステップS1032)。この音データ作成処理では、演出制御プログラムが、ステップS1020のスケジューラ更新処理においてポインタが更新されて、音生成用スケジューラーデータを構成する時系列に配列された音指令データのうち、そのポインタが指示する音指令データを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出してVDP1540aに出力する。
VDP1540aは、周辺制御MPU1530aから音指令データが入力されると、液晶及び音ROM1540bに記憶されているBGMや効果音等の音データを抽出して内蔵音源を制御することにより、音指令データに基づいて、後述する自動チャンネル方式による音制御に従って使用する再生チャンネルを決定した後、この決定した再生チャンネルで再生する。
なお、音データ作成処理では、この音データ作成処理を行うごとに(つまり、周辺制御部定常処理を行うごとに)、周辺制御A/Dコンバータ1530akによって、音量調整ボリューム1510aのつまみ部の回転位置における抵抗値により分圧された電圧を、値0〜値1023までの1024段階の値に変換している。
本実施形態では、1024段階の値を7つに分割して基板ボリューム0〜6として管理しており、基板ボリューム0では消音、基板ボリューム6では最大音量に設定されており、基板ボリューム0から基板ボリューム6に向かって音量が大きくなるようにそれぞれ設定されている。
基板ボリューム0〜6に設定された音量となるように液晶及び音制御部1540のVDP1540aを制御して、上述したステップS1018の音データ出力処理で音データをシリアル化したオーディオデータとしてオーディオデータ送信IC1540cに出力することにより、一対の上部スピーカ573や一対の下部スピーカ921からBGMや効果音が再生されるようになっている。
報知音や告知音は、つまみ部の回転操作に基づく音量調整に全く依存されずに再生される仕組みとなっており、消音から最大音量までの音量をプログラムにより液晶及び音制御部1540のVDP1540aを制御して調整することができる。
図232に示すステップS1032に続いて、演出制御プログラムはバックアップ処理を行う(ステップS1034)。このバックアップ処理では、演出制御プログラムが、周辺制御RAM1530cに記憶されている内容を、バックアップ第1エリアと、バックアップ第2エリアと、にそれぞれコピーしてバックアップするとともに、周辺制御SRAM1530dに記憶されている内容を、バックアップ第1エリアと、バックアップ第2エリアと、にそれぞれコピーしてバックアップする。
具体的には、バックアップ処理では、周辺制御RAM1530cについて、バックアップ管理対象ワークエリアにおける、1フレーム(1frame)ごとに、つまり周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(1fr)に含まれる、ランプ駆動基板側送信データ記憶領域、枠装飾駆動アンプ基板側LED用送信データ記憶領域、受信コマンド記憶領域、RTC情報取得記憶領域、及びスケジューラーデータ記憶領域に記憶されている内容である演出情報(1fr)を、演出バックアップ情報(1fr)として、バックアップ第1エリアのBank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ1530acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリアのBank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ1530acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ1530acによるBank0(1fr)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明する。周辺制御MPU1530aの周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリアのBank1(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリアのBank1(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
さらに周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリアのBank2(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリアのBank2(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリアのBank3(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリアのBank3(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
さらに周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1fr)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリアのBank4(1fr)へのコピーを指定し、Bank0(1fr)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリアのBank4(1fr)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
またバックアップ処理では、周辺制御SRAM1530dについて、バックアップ管理対象ワークエリア1530daにおける、1フレーム(1frame)ごとに、つまり周辺制御部定常処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(SRAM)に記憶されている内容である演出情報(SRAM)を、演出バックアップ情報(SRAM)として、バックアップ第1エリアのBank1(SRAM)及びBank2(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ1530acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリアのBank3(SRAM)及びBank4(SRAM)に周辺制御DMAコントローラ1530acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ1530acによるBank0(SRAM)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明すると、周辺制御MPU1530aの周辺制御MPUコア1530aaが周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリアのBank1(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリアのBank1(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーし、そして周辺制御MPUコア1530aaが周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリアのBank2(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリアのBank2(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリアのBank3(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリアのBank3(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
さらに周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(SRAM)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリアのBank4(SRAM)へのコピーを指定し、Bank0(SRAM)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(SRAM)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリアのBank4(SRAM)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
ステップS1034に続いて、WDTクリア処理を行う(ステップS1036)。このWDTクリア処理では、周辺制御内蔵WDT1530afと、周辺制御外部WDT1530eと、にクリア信号を出力して周辺制御MPU1530aにリセットがかからないようにしている。
ステップS1036に続いて、演出制御プログラムが、周辺制御部定常処理の実行完了として定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットし(ステップS1038)、再びステップS1006に戻り、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値0をセットして初期化し、後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理においてVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1がセットされるまで、ステップS1008の判定を繰り返し行う。
つまりステップS1008では、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値1がセットされるまで待機し、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であると判定されると、ステップS1009〜ステップS1038の処理を行い、再びステップS1006に戻る。このように、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であると判定されると、ステップS1009〜ステップS1038の処理を行うようになっている。ステップS1009〜ステップS1038の処理を「周辺制御部定常処理」という。
この周辺制御部定常処理は、演出制御プログラムが、まずステップS1009で周辺制御部定常処理を実行中であるとして定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットすることから開始し、ステップS1010で1ms割り込みタイマ起動処理を行い、ステップS1012、ステップS1014、・・・、そしてステップS1036の各処理を行って最後にステップS1038において周辺制御部定常処理の実行完了として定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットすると、完了することとなる。
周辺制御部定常処理は、ステップS1008でVブランク信号検出フラグVB−FLGが値1であるときに実行される。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、上述したように、周辺制御MPU1530aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号がVDP1540aから入力されたことを契機として実行される後述する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理において値1がセットされる。
本実施形態では、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460Aのフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として、上述したように、概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が入力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。つまり、周辺制御部定常処理は、約33.3msごとに繰り返し実行される。
[11−1−2.周辺制御部Vブランク信号割り込み処理]
次に、周辺制御部1530の周辺制御MPU1530aからの画面データを受け入れることができる状態である旨を伝えるVブランク信号が液晶及び音制御部1540のVDP1540aから入力されたことを契機として実行する周辺制御部Vブランク信号割り込み処理について説明する。
この周辺制御部Vブランク信号割り込み処理が開始されると、周辺制御部1530の周辺制御MPU1530aは、定常処理中フラグSP−FLGが値0であるかを判定する(ステップS1045)。この定常処理中フラグSP−FLGは、上述したように、周辺制御電源投入時及びリセット処理におけるステップS1009〜ステップS1038の周辺制御部定常処理を実行中であるとき値1、周辺制御部定常処理を実行完了したとき値0にそれぞれセットされる。
ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり周辺制御部定常処理を実行中であるときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるとき、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したときには、Vブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットし(ステップS1050)、このルーチンを終了する。このVブランク信号検出フラグVB−FLGは、上述したように、周辺制御部定常処理を実行するか否かを決定するためのフラグであり、周辺制御部定常処理を実行するとき値1、周辺制御部定常処理を実行しないとき値0にそれぞれ設定される。
本実施形態では、ステップS1045で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるか否か、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したか否かを判定し、周辺制御部定常処理を実行完了したときにはステップS1050でVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットする。これは、周辺制御部定常処理を実行中であるときに、Vブランク信号が入力されてVブランク信号検出フラグVB−FLGに値1をセットすると、周辺制御電源投入時及びリセット処理におけるステップS1008の判定で周辺制御部定常処理を実行するものとして、現在実行中の周辺制御部定常処理を途中で強制的にキャンセルして周辺制御部定常処理を最初から実行開始することを防止する目的とし、次のようにしているためである。
すなわち、周辺制御電源投入時及びリセット処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1009で定常処理中フラグSP−FLGに値1をセットすることにより、周辺制御部定常処理を実行中である旨を周辺制御部Vブランク信号割り込み処理に伝える一方、周辺制御電源投入時及びリセット処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1038で定常処理中フラグSP−FLGに値0をセットすることで周辺制御部定常処理を実行完了した旨を周辺制御部Vブランク信号割り込み処理に伝えることにより、この周辺制御部Vブランク信号割り込み処理におけるステップS1045の判定で定常処理中フラグSP−FLGが値0であるか否か、つまり周辺制御部定常処理を実行完了したか否かを判定している。換言すると、Vブランク信号が入力されて次のVブランク信号が入力されるまでに周辺制御部定常処理を実行完了することができず、いわゆる処理落ちした場合の処置である。
これにより、今回の周期の周辺制御部定常処理においては、約33.3msという時間でその処理を完了できず処理落ちした場合には、周辺制御電源投入時及びリセット処理におけるステップS1008の判定で次回のVブランク信号が入力されるまで待機する状態となる。
つまり、処理落ちした今回の周期の周辺制御部定常処理を実行するための時間が約66.6msとなる。通常、周辺制御電源投入時及びリセット処理(周辺制御部定常処理)におけるステップS1010で1ms割り込みタイマの起動により1ms割り込みタイマが発生するごとに繰り返し実行する、後述する周辺制御部1msタイマ割り込み処理は1回の周辺制御部定常処理に対して32回だけ実行されるものの、上述した処理落ちした今回の周期の周辺制御部定常処理が存在する場合には、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が64回ではなく、32回だけ実行される。
つまり、周辺制御部定常処理が処理落ちした場合であっても、周辺制御部定常処理による演出の進行状態とタイマ割り込み制御である周辺制御部1msタイマ割り込み処理による演出の進行状態との整合性が崩れないようになっている。したがって、周辺制御部定常処理が処理落ちした場合であっても演出の進行状態を確実に整合させることができる。
[11−1−3.周辺制御部1msタイマ割り込み処理]
次に、周辺制御電源投入時及びリセット処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010において1ms割り込みタイマが発生する度に繰り返し実行される、周辺制御部1msタイマ割り込み処理について説明する。この周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されると、周辺制御部1530では、演出制御プログラムが周辺制御MPU1530aの制御の下、1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さいか否かを判定する(ステップS1100)。
この1msタイマ割り込み実行回数STNは、上述したように、周辺制御電源投入時及びリセット処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010の1ms割り込みタイマ起動処理で1ms割り込みタイマが起動して本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数をカウントするカウンタである。
本実施形態では、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460Aのフレーム周波数(1秒間あたりの画面更新回数)として、上述したように、概ね秒間30fpsに設定しているため、Vブランク信号が入力される間隔は、約33.3ms(=1000ms÷30fps)となっている。
つまり、周辺制御部定常処理は、約33.3msごとに繰り返し実行されるため、周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを起動した後、次の周期の周辺制御部定常処理が実行されるまでに、周辺制御部1msタイマ割り込み処理が32回だけ実行される。
具体的には、周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマが起動されると、まず1回目の1msタイマ割り込みが発生し、2回目、・・・、そして32回目の1msタイマ割り込みが順次発生することとなる。
ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さくないとき、つまり33回目の1msタイマ割り込みが発生してこの周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されたときには、演出制御プログラムは、そのままこのルーチンを終了する。
33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、本実施形態では、割り込み処理の優先順位として、周辺制御部1msタイマ割り込み処理の方が周辺制御部Vブランク割り込み処理と比べて高く設定されているものの、この33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルする。
換言すると、本実施形態では、Vブランク信号が周辺制御基板1510のシステム全体を支配する信号であるため、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、周辺制御部Vブランク割り込み処理を実行するために33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始が強制的にキャンセルされる。
Vブランク信号の発生により周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを再び起動した後、新たに1回目の1msタイマ割り込みの発生による周辺制御部1msタイマ割り込み処理を開始する。
一方、ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが33回より小さいときには、1msタイマ割り込み実行回数STNに値1だけ足す(インクリメントする、ステップS1102)。この1msタイマ割り込み実行回数STNに値1が足されることにより、周辺制御電源投入時及びリセット処理の周辺制御部定常処理におけるステップS1010の1ms割り込みタイマ起動処理で1ms割り込みタイマが起動して本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行された回数が1回分だけ増えることとなる。
ステップS1102に続いて、演出制御プログラムはモータ及びソレノイド駆動処理を行う(ステップS1104)。このモータ及びソレノイド駆動処理では、周辺制御MPU1530aの外部の周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域にセットされた電気的駆動源スケジューラーデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに従って、演出制御プログラムが、モータやソレノイド等の電気的駆動源を駆動するとともに、時系列に規定された次の駆動データにポインタを更新し、このモータ及びソレノイド駆動処理を実行するごとに、ポインタを更新する。
具体的には、モータ及びソレノイド駆動処理では、演出制御プログラムが扉枠用中継基板911や扉枠左サイド装飾基板160へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでは、演出制御プログラムは、周辺制御MPU1530aの周辺制御DMAコントローラ1530acを利用して枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート連続送信を行う。
この枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、まず周辺制御MPU1530aの外部の周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域にセットされた電気的駆動源スケジューラーデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに基づいてモータへの駆動信号を出力するための枠扉側モータ駆動データSTM−DATを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して作成するとともに、周辺制御RAM1530cにおける枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域にセットする。
周辺制御MPU1530aの周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求に枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信を指定し、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域の先頭アドレスに格納された枠扉側モータ駆動データSTM−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス1530h、周辺制御バスコントローラ1530ad、そして周辺バス1530aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。
これにより、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側モータ駆動クロック信号STM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ1530acは、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生するごとに、これを契機として、周辺制御MPUコア1530aaがバスを使用していない場合、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域に格納された残りの枠扉側モータ駆動データSTM−DATを1バイトずつ、外部バス1530h、周辺制御バスコントローラ1530ad、そして周辺バス1530aiを介して、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込むことで、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、扉側モータ駆動クロック信号STM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、枠装飾駆動アンプ基板モータ用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
またモータ及びソレノイド駆動処理では、モータ駆動基板4180へのDMAシリアル連続送信処理を行う。ここでも、周辺制御MPU1530aの周辺制御DMAコントローラ1530acを利用してモータ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信を行う。このモータ駆動基板用シリアルI/Oポート連続送信が開始されるときには、まず、周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域にセットされた電気的駆動源スケジューラーデータを構成する時系列に配列されたモータやソレノイド等の電気的駆動源の駆動データのうち、ポインタが指示する駆動データに基づいて、遊技盤5に設けられる各種可動体を可動させるためのモータやソレノイドへの駆動信号を出力するための遊技盤側モータ駆動データSM−DATを、周辺制御部1530の周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して作成するとともに、周辺制御RAM1530cのモータ駆動基板側送信データ記憶領域にセットする。
周辺制御MPU1530aの周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にモータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信を指定し、モータ駆動基板側送信データ記憶領域の先頭アドレスに格納された遊技盤側モータ駆動データSM−DATのうちの最初の1バイトを、外部バス1530h、周辺制御バスコントローラ1530ad、そして周辺バス1530aiを介して、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。
これにより、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側モータ駆動クロック信号SM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始する。
周辺制御DMAコントローラ1530acは、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信割り込み要求が発生したことを契機として、周辺制御MPUコア1530aaがバスを使用していない場合、モータ駆動基板側送信データ記憶領域に格納された残りの遊技盤側モータ駆動データSM−DATを1バイトずつ、外部バス1530h、周辺制御バスコントローラ1530ad、そして周辺バス1530aiを介して、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートの送信バッファレジスタに転送して書き込む。
これにより、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートは、この書き込まれた送信バッファレジスタのデータを送信シフトレジスタに転送し、遊技盤側モータ駆動クロック信号SM−CLKと同期して送信シフトレジスタの1バイトのデータを、1ビットずつ送信開始し、モータ駆動基板用シリアルI/Oポートによる連続送信を行っている。
以上のようなステップS1104に続けて、演出制御プログラムが周辺制御MPU1530aの制御の下、可動体情報取得処理を行う(ステップS1106)。この可動体情報取得処理では、遊技盤5に設けた各種検出スイッチからの検出信号が入力されているか否かを判定することにより各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報を作成し、周辺制御RAM1530cの可動体情報取得記憶領域にセットする。この可動体情報取得記憶領域にセットされる各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報から遊技盤5に設けた各種可動体の原位置や可動位置等を取得することができる。
以上のようなステップS1106に続けて、演出制御プログラムが周辺制御MPU1530aの制御の下、操作ユニット情報取得処理を行う(ステップS1108)。この操作ユニット情報取得処理では、装飾回転体ユニット530に設けられた各種検出スイッチからの検出信号が入力されているか否かを判定することにより各種検出スイッチからの検出信号の履歴情報(例えば操作ボタン410の操作履歴情報、第一装飾面部532及び第二装飾面部533の姿勢態様に関する姿勢履歴情報)を作成し、周辺制御RAM1530cの操作ユニット情報取得記憶領域にセットする。
演出制御プログラムは、この操作ユニット情報取得記憶領域にセットされる各種履歴情報に基づいて、第一装飾面部532及び第二装飾面部533の姿勢態様(回転方向など)や操作ボタン410の操作有無を取得することができる。
さらに、この操作ユニット情報取得処理(ステップS1108)では、上述したように演出制御プログラムが、既述の遊技者側音量調整機能、遊技者側表示調整機能及び遊技者側光量調整機能のいずれかの調整機能が作動中である場合において操作ボタン410が操作されると、これに伴って出力された検出信号の履歴情報として操作ボタン410の操作履歴情報を作成し、上記周辺制御RAM1530cの操作ユニット情報取得記憶領域に、遊技者側音量調整機能、遊技者側表示調整機能及び遊技者側光量調整機能ごとに独立してセットしている。
すなわち、上記作成された各操作履歴情報は、上記周辺制御RAM1530cの操作ユニット情報取得記憶領域において遊技者側音量調整機能、遊技者側表示調整機能及び遊技者側光量調整機能ごとに分けて、各機能が作動中において操作ボタン410が操作されたか否かが書き込まれている。
演出制御プログラムは、この操作ユニット情報取得記憶領域にセットされた各種履歴情報に基づいて、例えば遊技者側音量調整機能が作動中に操作ボタン410が操作されたか否か(例えば音量調整操作があったか否か)について把握することができる。
続けて、演出制御プログラムは、描画状態取得処理(S1110)及びメイン賞球数情報出力処理(S1112)を行い、続いてバックアップ処理を行い(ステップS1114)、このルーチンを終了する。このバックアップ処理では、周辺制御RAM1530cに記憶されている内容を、バックアップ第1エリアと、バックアップ第2エリアと、にそれぞれコピーしてバックアップするとともに、周辺制御SRAM1530dに記憶されている内容を、バックアップ第1エリアと、バックアップ第2エリアと、にそれぞれコピーしてバックアップする。
具体的には、バックアップ処理では、周辺制御RAM1530cについて、バックアップ管理対象ワークエリアにおける、1ms割り込みタイマが発生するごとに、つまり本ルーチンである周辺制御部1msタイマ割り込み処理が実行されるごとに、バックアップ対象となっているBank0(1ms)に含まれる、枠装飾駆動アンプ基板側モータ用送信データ記憶領域、モータ駆動基板側送信データ記憶領域、可動体情報取得記憶領域、及び操作ユニット情報取得記憶領域に記憶されている内容である演出情報(1ms)を、演出バックアップ情報(1ms)として、バックアップ第1エリアのBank1(1ms)及びBank2(1ms)に周辺制御DMAコントローラ1530acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリアのBank3(1ms)及びBank4(1ms)に周辺制御DMAコントローラ1530acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ1530acによるBank0(1ms)に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明する。周辺制御MPU1530aの周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリアのBank1(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリアのBank1(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
さらに周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第1エリアのBank2(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリアのBank2(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて、周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリアのBank3(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリアのBank3(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
さらに周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1ms)に記憶されている内容を、バックアップ第2エリアのBank4(1ms)へのコピーを指定し、Bank0(1ms)の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1ms)の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリアのBank4(1ms)の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
このように、周辺制御部1msタイマ割り込み処理では、1msという期間内において、演出の進行として上述したステップS1104〜ステップS1108の演出に関する各種処理を実行している。
これに対して、周辺制御電源投入時及びリセット処理における周辺制御部定常処理では、約33.3msという期間内において、演出の進行として上述したステップS1012〜ステップS1032の演出に関する各種処理を実行している。周辺制御部1msタイマ割り込み処理では、ステップS1100で1msタイマ割り込み実行回数STNが値33より小さくないとき、つまり33回目の1msタイマ割り込みが発生してこの周辺制御部1msタイマ割り込み処理が開始されたときには、そのままこのルーチンを終了するため、仮に、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合でも、この33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルし、Vブランク信号の発生により周辺制御部定常処理におけるステップS1010で1ms割り込みタイマを再び起動した後、新たに1回目の1msタイマ割り込みの発生による周辺制御部1msタイマ割り込み処理を開始する。
つまり、周辺制御部定常処理による演出の進行状態とタイマ割り込み制御である周辺制御部1msタイマ割り込み処理による演出の進行状態との整合性が崩れないようになっている。したがって、演出の進行状態を確実に整合させることができる。
上述したように、Vブランク信号が出力される間隔は、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460Aの液晶サイズによって多少変化するし、周辺制御MPU1530aとVDP1540aとが実装された周辺制御基板1510の製造ロットにおいてもVブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合もある。
本実施形態では、Vブランク信号が周辺制御基板1510のシステム全体を支配する信号であるため、33回目の1msタイマ割り込みの発生が次回のVブランク信号の発生よりたまたま先行した場合には、周辺制御部Vブランク割り込み処理を実行するために33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始が強制的にキャンセルさせられている。
つまり本実施形態では、Vブランク信号が出力される間隔が多少変化する場合であっても、33回目の1msタイマ割り込みによる周辺制御部1msタイマ割り込み処理の開始を強制的にキャンセルすることによって、このVブランク信号が出力される間隔が多少変化することによる時間ズレを吸収することができる。
[11−1−4.周辺制御部コマンド受信割り込み処理]
次に、主制御基板1310からの各種コマンドを受信する周辺制御部コマンド受信割り込み処理について説明する。周辺制御部1530の周辺制御MPU1530aは、主制御基板1310からの各種コマンドがシリアルデータとして送信開始されると、これを契機として主周シリアルデータを周辺制御MPU1530aに内蔵する主制御基板用シリアルI/Oポートで1バイト(8ビット)の情報を受信バッファに取り込み、この取り込みが完了すると、これを契機として割り込みが発生し、周辺制御部コマンド受信割り込み処理を行う。
主周シリアルデータは、1パケットが3バイトに構成されており、1バイト目としてステータスが割り振られ、2バイト目としてモードが割り振られ、3バイト目としてステータスとモードとを数値とみなしてその合計を算出したサム値が割り振られている。
周辺制御部コマンド受信割り込み処理が開始されると、周辺制御部1530の周辺制御MPU1530aは、1バイト受信期間タイマがタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS1200)。この1バイト受信期間タイマは、主制御基板1310から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を設定するものである。
ステップS1200で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまり主制御基板1310から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間内であるときには、周辺制御MPU1530aの内蔵する主制御基板用シリアルI/Oポートの受信バッファから受信した1バイトの情報を取り込み(ステップS1202)、受信カウンタSRXCに値1を加える(インクリメントする、ステップS1204)。
この受信カウンタSRXCは、受信バッファから取り出した回数を示すカウンタであり、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスを受信バッファから取り出すと値1、主周シリアルデータの2バイト目であるモードを受信バッファから取り出すと値2、主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出すと値3となる。なお、受信カウンタSRXCは、電源投入時等に初期値0がセットされる。
ステップS1204に続いて、受信カウンタSRXCが値3であるか否か、つまり主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信バッファから取り出したか否かを判定する(ステップS1206)。この判定では、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したか否かを判定している。
ステップS1206で受信カウンタSRXCが値3でないとき、つまり主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、まだ主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出していないときには、1バイト受信期間タイマのセットを行い(ステップS1208)、このルーチンを終了する。ステップS1208で1バイト受信期間タイマがセットされることで、主周シリアルデータの2バイト目であるモード又は主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を受信し得る期間が設定される。
一方、ステップS1206で受信カウンタSRXCが値3であるとき、つまり主周シリアルデータの1バイト目であるステータスに続いて、主周シリアルデータの2バイト目であるモード、そして主周シリアルデータの3バイト目であるサム値を、順に受信バッファから取り出したときには、受信カウンタSRXCに初期値0をセットし(ステップS1210)、サム値を算出する(ステップS1212)。この算出は、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した、主周シリアルデータの1バイト目であるステータスと、主周シリアルデータの2バイト目であるモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出する。
ステップS1212に続いて、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致しているか否かを判定する(ステップS1214)。ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値は、主制御基板1310からの主周シリアルデータのうち、主周シリアルデータの3バイト目として割り振られたサム値であるため、ステップS1212で算出したサム値と一致しているはずである。
ところで、パチンコ遊技機1は、パチンコ島設備から遊技球が供給されている。遊技球は互いにこすれ合って帯電すると静電放電してノイズを発生するため、パチンコ遊技機1はノイズの影響を受け易い環境下にある。そこで、周辺制御部1530側において、受信した主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードと、を数値とみなしてその合計(サム値)を算出し、この算出したサム値が、主制御基板1310からの主周シリアルデータのうち、主周シリアルデータの3バイト目として割り振られたサム値と一致しているか否かを判定している。これにより、周辺制御MPU1530aは、主制御基板1310と周辺制御基板1510との基板間において、主周シリアルデータがノイズの影響を受けて正規と異なる主周シリアルデータに変化したか否かを判定することができる。
ステップS1214で、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致しているときには、受信した、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードとを、周辺制御RAM1530cの受信コマンド記憶領域に記憶し(ステップS1216)、このルーチンを終了する。
この受信コマンド記憶領域は、リングバッファとして用いており、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードとは、受信コマンド記憶領域の周辺制御部受信リングバッファに記憶される。この「周辺制御部受信リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。
なお、周辺制御MPU1530aは、ステップS1216で周辺制御部受信リングバッファに記憶する際に、受信した、主周シリアルデータの1バイト目として割り振られたステータスと、主周シリアルデータの2バイト目として割り振られたモードと、を対応付けて記憶しており、3バイト目として割り振られたサム値を破棄する。
一方、ステップS1200で1バイト受信期間タイマがタイムアウトしていないとき、つまり主制御基板1310から送信される主周シリアルデータのうち、1バイト(8ビット)の情報を受信し得る期間を超えているときには、又はステップS1214で、ステップS1202で受信バッファからすでに取り出した主周シリアルデータの3バイト目であるサム値と、ステップS1212で算出したサム値と、が一致していないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[11−1−5.周辺制御部停電予告信号割り込み処理]
次に周辺制御部停電予告信号割り込み処理について説明する。この周辺制御部停電予告信号割り込み処理は、主制御基板1310の停電監視回路1310eからの停電予告信号(周辺停電予告信号)が主制御基板1310から入力されたことを契機として実行される。
この周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されると、周辺制御部1530の周辺制御MPU1530aは、まず2マイクロ秒タイマを起動し(ステップS1300)、停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されているか否かを判定する(ステップS1302)。この判定で停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されていないときには、そのままこのルーチンを終了する。
一方、ステップS1302で停電予告信号が入力されているときには、2マイクロ秒経過したか否かを判定する(ステップS1304)。この判定では、ステップS1300で起動したタイマが2マイクロ秒経過した否かを判定している。
ステップS1304で2マクロ秒経過していないときには、ステップS1302に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定し、停電予告信号が入力されていないときにはそのままこのルーチンを終了する一方、停電予告信号が入力されているときには、再びステップS1304で2マイクロ秒経過したか否かを判定する。つまりステップS1304の判定では、本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されて2マイクロ秒間、停電予告信号が入力され続けているか否かを判定している。
ステップS1304で本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が開始されて2マイクロ秒間、停電予告信号が入力され続けているときには、節電処理を行う(ステップS1306)。この節電処理では、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460Aのバックライトの消灯、遊技盤5に設けられるモータやソレノイドへの励磁OFF、各種LEDの消灯等を順次実行することによりパチンコ遊技機1のシステム全体の消費電力を抑えることによって、パチンコ遊技機1の電力が遮断されても周辺制御MPU1530aが動作可能な時間である20ミリ秒の期間だけ安定動作を確保している。
ステップS1306に続いて、コマンド受信待機処理を行う(ステップS1308)。このコマンド受信待機処理では、主制御基板1310が送信中の各種コマンドがある場合を想定して、送信中のコマンドを周辺制御MPU1530aが受信することができるように、少なくとも、17ミリ秒の期間だけ待機する。コマンドを受信すると、上述した、周辺制御部コマンド受信割り込み処理が開始されて、周辺制御RAM1530cの受信コマンド記憶領域(周辺制御部受信リングバッファ)に受信したコマンドが記憶される。
ステップS1308に続いて、コマンドのバックアップ処理を行う(ステップS1310)。このコマンドのバックアップ処理では、バックアップ管理対象ワークエリアにおけるBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域に記憶されている内容を、バックアップ第1エリアのBank1(1fr)及びBank2(1fr)に周辺制御DMAコントローラ1530acが高速にコピーし、そしてバックアップ第2エリアのBank3(1fr)及びBank4(1fr)に周辺制御DMAコントローラ1530acが高速にコピーする。
この周辺制御DMAコントローラ1530acによるBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域に記憶されている内容の高速コピーについて簡単に説明する。周辺制御MPU1530aの周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域に記憶されている内容を、バックアップ第1エリアのBank1(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリアのBank1(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
さらに周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域に記憶されている内容を、バックアップ第1エリアのBank2(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第1エリアのBank2(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
続いて、周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域に記憶されている内容を、バックアップ第2エリアのBank3(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリアのBank3(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
さらに周辺制御MPUコア1530aaは、周辺制御DMAコントローラ1530acの要求にBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域に記憶されている内容を、バックアップ第2エリアのBank4(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域へのコピーを指定し、Bank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスに格納された内容からBank0(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の終端アドレスに格納された内容までを、所定バイト(例えば、1バイト)ずつ連続してバックアップ第2エリアのBank4(1fr)に含まれる受信コマンド記憶領域の先頭アドレスから順番にすべてコピーする。
ステップS1310に続いて、停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されているか否かを判定する(ステップS1312)。この判定で停電予告信号が入力されているときには、WDTクリア処理を行う(ステップS1314)。このWDTクリア処理では、周辺制御MPU1530aは、周辺制御内蔵WDT1530afと周辺制御外部WDT1530eとにクリア信号を出力して周辺制御MPU1530aにリセットがかからないようにする。
一方、ステップS1312で停電予告信号が入力されていないとき、又はステップS1314に続いて、再びステップS1312に戻り、停電予告信号が入力されているか否かを判定する。つまり、停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されているか否かを無限に判定し続けることとなる。このように無限に判定し続けることにより、ステップS1312で停電予告信号(周辺停電予告信号)が入力されていないときには、周辺制御MPU1530aは、周辺制御内蔵WDT1530afと周辺制御外部WDT1530eとにクリア信号を出力することができなくなり、周辺制御MPU1530aにリセットがかかる一方、ステップS1312で停電予告信号が入力されているときには、ステップS1314でWDTクリア処理を行い、周辺制御MPU1530aにリセットがかからない。なお、周辺制御MPU1530aにリセットがかかると、上述した内蔵VRAMの記憶領域に一例として「0」を書き込んで初期化するとともに、周辺制御電源投入時及びリセット処理が再び最初から開始されることとなる。
このように、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号(周辺停電予告信号)の入力が継続する場合には、ステップS1314でWDTクリア処理が実行されることによって停電状態になる直前で周辺制御MPU1530aにリセットがかからないようになっている。
これに対して、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号の入力が継続されず解除された場合には、WDTクリア処理が実行されないため、周辺制御内蔵WDT1530afと周辺制御外部WDT1530eとにクリア信号を出力が中断される。これにより、ノイズなどで本ルーチンである周辺制御部停電予告信号割り込み処理が誤って開始され、そのノイズが2マイクロ秒の期間を超えて発生することでステップS1302の判定を通過したとしても、ステップS1312による判定で無限ループにおいて停電予告信号(周辺停電予告信号)の入力が継続されず解除された場合には、ステップS1314のWDTクリア処理が実行されないことにより周辺制御MPU1530aにリセットがかかるようになっているため、そのようなノイズに対して自動的にリセット復帰することで対応することができる。
[12.自動チャンネル方式による音制御]
ところで、既に説明済みの音データ作成処理(図232のステップS1032)において、その一部である自動チャンネル音制御に関する説明について後述することになっていた。そこで、次に、本実施形態による自動チャンネル音制御について説明する。まずは、その背景について簡単に説明する。
一般的なパチンコ機においては、遊技の進行に応じて各シーンにおいてスピーカから様々な音を出力することにより遊技者の興味を引く演出を実現しようとしている。例えば、遊技者の期待を向上させるはずのリーチであっても、その種類に応じて多彩な音が出力されるものもあればそうでないものも存在している。このような一般的なパチンコ機では、そのような各リーチを含め、各シーンにおいて出力されるべき各音に対して各チャンネルがあらかじめ割り当てられており、このような各音は対応する既定の各チャンネルを用いて再生される(特許第5627044号公報参照)。しかしながら、一般的なパチンコ機においては、仮に空きチャンネルがあったとしても、チャンネルの割り当て上、再生しようとした音が当該空きチャンネルに割り当てられ得ない場合があり、当該再生しようとした音が再生できず多彩な音演出を実現し難いという問題点があった。
そこで、本実施形態では、空きチャンネルを有効に活用して多彩な音演出を実現し遊技者の興趣を高めることを目的とし、周辺制御基板1510の周辺制御MPU1530aが、一対の上部スピーカ573(音出力手段)及び一対の下部スピーカ921(音出力手段)から出力されるべき各音に対して動的に各チャンネルを割り当てて管理する一方、当該出力予定である音の組み合わせの数が各チャンネルの最大チャンネル数(本実施形態では16チャンネルを例示する)を超える場合、所定の優先順位に従って最大チャンネル数の範囲内において上記出力予定である音の組み合わせに対して動的に各チャンネルを割り当てるようにしている(チャンネル制御手段)。さらに周辺制御MPU1530aは、上記所定の優先順位に従って最大チャンネル数の範囲内において動的に割り当てられた各チャンネルを介して上記出力予定である音の組み合わせを同時に再生している(音出力制御手段)。以下、具体的に説明する。
[12−1.固定チャンネル方式による音制御]
図235(A)及び図235(B)は、それぞれ、本実施形態に対する比較対象としての固定チャンネル方式による音制御の一例を示している。図235(A)は、音の再生チャンネルの一例を示している。この固定チャンネル方式による音制御では、後述する本実施形態による自動チャンネル方式による音制御と同様に、例えば、再生チャンネル00〜再生チャンネル15の全16チャンネルを用いる。なお、図示の「再生ch」は、再生チャンネルを省略したものである。
一方、図235(B)は、各音に対する再生チャンネルの割り当ての一例を示している。この固定チャンネル方式による音制御では、図示のように、使用する各再生チャンネルに各音があらかじめ割り当てられている。ここで、基本的な音再生ルールについて触れると、1つの音は、ステレオで出力する場合には2チャンネルが必要になる一方、モノラルで出力する場合には1チャンネルが必要となる。
図示の「報知音1」〜「ボタン押下音」は、再生を開始した音は再生終了までいかなることがあっても途中で消音してはならないものとする。チャンネル割り当て方法としては、再生チャンネルと音と一対で専用に割り当て、音の上書きが起こらないようにする。一方、図示の「通常BGM」〜「保留入賞音」は、再生を開始した音は再生中に別な音で上書きされて消音しても問題ない。チャンネル割り当て方法としては、できるだけ、再生タイミングが被らないように同一チャンネルに割り当てるようにしている。
固定チャンネル方式による音制御では、出力中の同じチャンネルに新しい音を出力すると、出力中の音は消音され新しい音が出力される。上書きされると支障がある音に関しては、独立したチャンネルを割り当てるか、又は、再生タイミングが重ならない音を同じチャンネルに割り当てるようにしている。
図236は、固定チャンネル方式による音制御を実現するための音定義テーブルの一例を示している。この音定義テーブルにおいては、音の区分及び音名称ごとに、再生チャンネル番号、左右パン初期値、上下パン初期値、ボリューム初期値、音番号、再生タイプ設定及び出力タイプ設定の定義を管理している。再生チャンネル番号については上述しているため、説明を省略する。
左右パン初期値は、上部左スピーカ573L及び下部左スピーカ921Lと上部右スピーカ573R及び下部右スピーカ921Rとの組み合わせでなる左右のスピーカによる音の音像定位初期位置を表している。音の再生中に左右パンの設定値を動的に変化させることにより左及び右スピーカから個別に出力される音量に差が生まれ、左右スピーカ間の任意の空間に音像を定位させることが出来る。例えば「0x00」と設定されると、左スピーカ(上部左スピーカ573L及び下部左スピーカ921L)のみから出力されることを示し、例えば「0x80」と設定されると、上部左スピーカ573L及び下部左スピーカ921Lと上部右スピーカ573R及び下部右スピーカ921Rとの組み合わせでなる左及び右スピーカから個別に出力される音量差は0となり左右スピーカの中央に音像が定位することとなる。例えば「0xFF]と設定されると右スピーカ(上部右スピーカ573R及び下部右スピーカ921R)のみから出力されることを示している。
上下パン初期値は、例えば一対の上部スピーカ573(上部左スピーカ573L及び上部右スピーカ573R)及び一対の下部スピーカ921(下部左スピーカ921L及び下部右スピーカ921R)などの上下のスピーカによる音の音像定位初期位置を表している。音の再生中に上下パンの設定値を動的に変化させることによりそれら上及び下スピーカから個別に出力される音量に差が生まれ、上下スピーカ間の任意の空間に音像を定位させることが出来る。例えば「0x00」と設定されると一対の上部スピーカ573のみから出力されることを示し、例えば「0x80」と設定されると、これらの組み合わせでなる上及び下スピーカから個別に出力される音量差は0となり上下スピーカの中央に音像が定位することとなる。例えば「0xFF]と設定されると一対の下部スピーカ921のみから出力されることを示している。
ボリューム初期値は、再生開始時の音量設定を表しており、例えば「0x00」から「0xFF」の設定範囲で定めることができる。音番号は、上述した各音を区別するための識別子である。再生タイプ設定は、対象とする音を繰り返し再生するループ再生(図示の「LOOP」に相当)であるか、或いは、対象とする音を1回再生する1SHOT再生(図示の「1SHOT」に相当)であるかを表している。出力タイプ設定は、対象とする音をモノラルで再生するか、或いは、ステレオで再生するかを表している。
図237は、遊技状態、再生音及び再生チャンネルとの関係を示している。横軸である時間軸は遊技状態を示し、遊技状態としては順に、例えば「変動前半」、「変動後半」、「左図柄停止」、「右図柄停止」、「中図柄停止」及び「大当り中」を挙げることができる。一方、縦軸は(再生)優先順位を表し、下から上に向けて(再生)優先順位が高くなることを表している。
図238(A)は、演出タイムチャートの一例を示し、図238(B)は、チャンネル再生タイムチャートの一例を示し、図238(C)は、各音を再生しようとした際に再生できないという問題点の一例を示している。これら図238(A)〜図238(C)は、互いに横軸が共通の時間軸となっている。
図238(A)では、横軸である時間軸に沿って遊技状態として順に「変動前半」、「変動後半」、「左図柄停止」、「右図柄停止」、「中図柄停止」及び「大当り中」となるように遊技が制御されることを挙げることができる。
図238(A)に示す「変動前半」において、例えば、図238(C)の問題点1に示すように新たな音として「前半予告A」の再生時間中に始動口入賞(図示の「保留入賞」に相当)があると、図235(B)で示されるように、「保留入賞音」が「前半予告A」と同じ再生チャンネル14、15にあらかじめ割り当てられているため、「前半予告A」の再生音が、保留入賞音で上書きされて「前半予告A」音の出力が停止してしまうことなる(固定チャンネルによる音制御の場合)。
図238(A)に示す「変動後半」において、例えば、図238(C)の問題点2に示すように新たな音として「全画面予告」の再生時間中に始動口入賞(図示の「保留入賞」に相当)があると、図235(B)で示されるように、「保留入賞音」が「全画面予告」と同じ再生チャンネル14,15にあらかじめ割り当てられているため、「全画面予告」の再生音が、保留入賞音で上書きされて「全画面予告」音の出力が停止してしまうことになる(固定チャンネルによる音制御の場合)。
[12−2.自動チャンネル方式による音制御]
次に本実施形態による自動チャンネル方式による音制御の一例について説明する。図239(A)及び図239(B)は、それぞれ、本実施形態としての自動チャンネル方式による音制御の一例を示している。
図239(A)は、音の再生チャンネルの一例を示しており、上述した固定チャンネルによる音制御とは、再生チャンネルの属性としてのチャンネル区分が自動チャンネル(図示の「AUTOch」に相当)となっている点が異なっている。ここでチャンネル区分が自動チャンネルであるとは、各音に対する各再生チャンネルが固定されておらず可変であり、後述する規則に沿って自動的に割り当てられるように制御することを示している(上述した「自動チャンネル方式による音制御」に相当)。
本実施形態による自動チャンネル方式による音制御では、既述の固定チャンネル方式による音制御と同様に、例えば、再生チャンネル00〜再生チャンネル15の全16チャンネルを用いる。なお、図示の「再生ch」は、再生チャンネルを省略したものである。
一方、図239(B)は、各音に対する再生チャンネルの割り当ての一例を示している。この自動チャンネル方式による音制御では、図示のように、各音に個別に優先順位が割り当てられている。ここで、基本的な音再生ルールについて触れると、上述したように、1つの音は、ステレオで出力する場合には2チャンネルが必要になる一方、モノラルで出力する場合には1チャンネルが必要となる。
図示の「報知音1」〜「ボタン押下音」は、再生を開始した音は再生終了までいかなることがあっても途中で消音してはならない。一方、図示の「通常BGM」〜「保留入賞音」は、再生を開始した音は再生中に別な音で上書きされて消音しても問題ない。
自動チャンネル方式による音制御では、個々の再生チャンネルを、AUTOグループチャンネル(以下「AUTOグループ」と省略する)として定義している。AUTOグループは複数定義できる一方、複数の再生チャンネルをAUTOグループ内に定義することができる。各AUTOグループは、AUTOグループ用の音を再生するために用いられる。AUTOグループに音を割り当てる場合、各AUTOグループにおいて特定のAUTOグループを指定するための識別子と優先順位(プライオリティ)を指定することができる。新規な音を再生する際にAUTOグループに定義されている音であれば、指定されたAUTOグループ内に空きチャンネル(未使用チャンネル)が存在すれば、即時再生される。
上記の場合において空きチャンネルが存在しない場合は、演出制御プログラムが、新規に再生しようとする音の優先順位に基づいて、AUTOグループ内おいて現在再生中のすべてのチャンネルを検索する。演出制御プログラムは、再生中の音自身より優先順位が低いか又は同一であるチャンネルが存在すればそのAUTOチャンネルの使用を終了し、新規の音の再生を行う。一方、演出制御プログラムは、AUTOグループ内に、再生中の音自身よりも優先順位が低いか或いは同一でない空きチャンネルが存在しない場合には、当該新規な音の再生を行わない。
図240は、自動チャンネル方式による音制御を実現するための音定義テーブルの一例を示している。この自動チャンネル方式における音定義テーブルにおいては、音の区分及び音名称ごとに、既に説明済みの固定チャンネルによる音制御のような再生チャンネル番号、左右パン初期値、上下パン初期値、ボリューム初期値、音番号、再生タイプ設定及び出力タイプ設定の代わりに、AUTOグループを指定するための識別子と優先順位(「再生優先順位」ともいう)、左右パン初期値、上下パン初期値、ボリューム初期値、音番号、シークポイント、再生タイプ設定及び出力タイプ設定の定義を管理している。
まず、各特定のAUTOグループを指定するための識別子は、各音が複数存在するAUTOグループのうちどのAUTOグループで再生されるかを表す。また優先順位は、各音が同時に再生される際に、どちらの音が優先して再生されるべきであるかを示す指標である。この優先順位は、数値が大きいほど優先して再生されるべき音である一方、数値が小さいほど優先されずに再生されるべき音であることを表している。本実施形態では、優先して再生されるべき音の種類の順序として、例えば、優先順位が「25」である報知音(「報知音1」、「報知音2」及び「報知音3」)、優先順位が「20」である効果音(「大当り確定音」及び「ボタン押下音」)、優先順位が「15」であるBGM(「通常BGM」など)、優先順位が「10」である効果音(「全画面予告効果音」など)、優先順位が「05」である効果音(「前半予告効果音」〜「後半予告効果音」)、優先順位が「01」である保留入賞音としている。これにより、空きチャンネルが存在しない状態において、例えば、報知音を再生しようとした場合、あらかじめ定められた再生チャンネルを用いて再生する必要がなく、優先順位がより低い方の音(例えば保留入賞音)を再生中のチャンネルを用いて、報知音が優先して再生されることになる。
既に説明したように左右パン初期値は、上部左スピーカ573L及び下部左スピーカ921Lと上部右スピーカ573R及び下部右スピーカ921Rとの組み合わせでなる左右のスピーカによる音の音像定位初期位置を表している。音の再生中に左右パンの設定値を動的に変化させることにより左及び右スピーカから個別に出力される音量に差が生まれ、左右スピーカ間の任意の空間に音像を定位させることが出来る。この左右パン初期値は、パン情報として管理されている。例えば「0x00」と設定されると左スピーカ(上部左スピーカ573L及び下部左スピーカ921L)のみから出力されることを示し、例えば「0x80」と設定されると、上部左スピーカ573L及び下部左スピーカ921Lと上部右スピーカ573R及び下部右スピーカ921Rとの組み合わせでなる左及び右スピーカから個別に出力される音量差は0となり左右スピーカの中央に音像が定位することとなる。例えば「0xFF]と設定されると右スピーカ(上部右スピーカ573R及び下部右スピーカ921R)のみから出力されることを示している。
また既に説明済みのように上下パン初期値は、例えば一対の上部スピーカ573(上部左スピーカ573L及び上部右スピーカ573R)及び一対の下部スピーカ921(下部左スピーカ921L及び下部右スピーカ921R)などの上下のスピーカによる音の音像定位初期位置を表している。音の再生中に左右パンの設定値を動的に変化させることによりそれら上及び下スピーカから個別に出力される音量に差が生まれ、上下スピーカ間の任意の空間に音像を定位させることが出来る。この上下パン初期値は、パン情報として管理されている。例えば「0x00」と設定されると一対の上部スピーカ573のみから出力されることを示し、例えば「0x80」と設定されると、これらの組み合わせでなる上及び下スピーカから個別に出力される音量差は0となり上下スピーカの中央に音像が定位することとなる。例えば「0xFF]と設定されると一対の下部スピーカ921のみから出力されることを示している。
同様にボリューム初期値は、再生開始時の音量設定を表しており、例えば「0x00」から「0xFF」の設定範囲で定めることができ、加えて3バイト目に「1」(0xFFであれば0x1FF)を設定することで、遊技機に備えられている一つ又は複数の音量調整装置を操作したことによる、音量変更の影響は受けず、必ず初期値で設定された音量で再生されることを表している。音番号は、上述した各音を区別するための識別子である。
シークポイントは、各音に対応する音データにおいて同一フレーズ内の再生開始位置番号を表している。本実施形態では、このシークポイントとして、例えば「右上スピーカ確認音」〜「前半予告A効果音」にそれぞれ「0」が設定されている一方、「後半予告A効果音」及び「後半予告B効果音」にそれぞれ[1」が設定されている。このようなシークポイントにより音源内に登録できる、音の最大数を超えた場合に登録できる最大数を超えて音の登録を行うことができる。
再生タイプ設定は、対象とする音を繰り返し再生するループ再生(図示の「LOOP」に相当)であるか、或いは、対象とする音を1回再生する1SHOT再生(図示の「1SHOT」に相当)であるかを表している。出力タイプ設定は、対象とする音をモノラルで再生するか、或いは、ステレオで再生するかを表している。
図241は、遊技状態、再生音及び優先順位との関係を示している。横軸である時間軸は遊技状態を示し、遊技状態としては順に、例えば「変動前半」、「変動後半」、「左図柄停止」、「右図柄停止」、「中図柄停止」及び「大当り中」を挙げることができる。一方、縦軸は(再生)優先順位を表し、下から上に向けて(再生)優先順位が高くなることを表している。
図242(A)は、演出タイムチャートの一例を示し、図242(B)は、AUTOチャンネル再生タイムチャートの一例を示している。これら図242(A)及び図242(B)は、それぞれ横軸が共通の時間軸となっている。図242(A)では、横軸である時間軸に沿って遊技状態として順に、「変動前半」、「変動後半」、「左図柄停止」、「右図柄停止」、「中図柄停止」及び「大当り中」となるように遊技が制御されることを挙げることができる。
図242(A)に示す「変動前半」においては、図242(B)に示すように、その一部として、例えば再生チャンネル00〜01において「通常BGM再生」の音が終始再生されている(範囲Aに相当)。ここで、始動口入賞(図示の「保留入賞」に相当)があったために新たな音として保留入賞音を再生しようとすると、その開始タイミングにおいて再生チャンネル12〜13が空きチャンネルとして存在しており、この保留入賞音を再生チャンネル12〜13を用いて再生することができるため、再生中の音がいずれも保留入賞音(図示の「保留音再生」に相当)によって上書きされることなく、その他すべての種類の音の出力が継続する。
図242(A)に示す「変動後半」においては、図242(B)に示すように、その一部として、例えば再生チャンネル00〜01において「リーチBGM再生」の音が終始再生されている(範囲Bに相当)。ここで、例えば始動入賞(図示の「保留入賞」に相当)があったために新たな音として保留入賞音を再生しようとすると、その開始タイミングにおいて再生チャンネル02〜03が空きチャンネルとして存在しており、再生中の音がいずれも保留入賞音(図示の「保留音再生」に相当)によって上書きされることなく、その他すべての種類の音の出力が継続する。
図242(A)に示す「変動後半」においては、その後さらに、例えば報知(図示の「報知2発生」に相当)が発生したために新たな音として優先順位が「25」と最も高い報知音(図示の「報知2」に相当)を再生しようとすると、空きチャンネルの検索の結果、図242(B)に示すように、その開始タイミングにおいて空きチャンネルが存在しないことが判明する。そこで、当該開始タイミングにおいて再生中の音のうち最も優先順位の低い音を検索し、優先順位が「01」と最も低い保留入賞音を再生しているチャンネルとして再生チャンネル04〜05を見つけ出す。これらの再生チャンネル04〜05においては、上述のように保留入賞音が再生されているが、次に再生しようとする報知音(図示の「報知音2」に相当)の優先順位(25)がその保留入賞音の優先順位(01)よりも高いため、これら再生チャンネル04〜05において再生中の保留入賞音が当該報知音で上書きされる。
図243は、周辺制御RAMに設けられたAUTOグループチャンネル制御用ワーク領域に格納されている自動チャンネル制御用ワーク情報の一例を示す。この自動チャンネル制御用ワーク情報は、ワーク名称として、チャンネルごとに、設定予約フラグ、要求音番号、再生中音番号、自動割り付けグループ、自動割り付け時の優先度、登録からの経過時間、音量制御用ワーク及びパン制御用ワークを含み、これらに対応する各情報を有する。
設定予約フラグは、「0」以外の値であれば設定予約がなされていることを示している。要求音番号は、「−1」が停止、「−1」以外であれば、再生すべき音を識別するための識別子としての音データインデックス番号を表している。再生中音番号は、「−1」が停止、「−1」以外であれば、再生中の音を識別するための識別子としての音データインデックス番号を表している。
自動割り付けグループは、「0」であるとチャンネルが固定的に割り付けられる一方、「1〜」であるとチャンネルが自動的に割り付けられるようになっている(後述する「自動チャンネル方式による音制御」に相当)。ここで、自動割り付けグループは、例えば「1」であればAUTOグループ1であることを示し、「2」であればAUTOグループ2を示している。一方、自動割り付け時の優先度は、後述の自動チャンネル方式による音制御を行う場合における優先度を表している。
登録からの経過時間は、所望の再生音の登録時を「0」として、その登録時からの経過時間を表している。なお、当該登録からの経過時間は、上記自動割り付け時の優先度が同一である音が複数再生中である状況において新たな音を再生しようとした場合に、当該複数の再生中の音のうちどの音を上書きして消去すべきであるかを判定するのに使用される。例えば、より長時間に亘って再生していた音を割り出して、この音を当該新たな音で上書きして消去するようにしている。
音量制御用ワークは、再生する音の音量値(ボリューム値)が格納されている。パン制御用ワークは、上述した左右パン及び上下パンの設定値を含むパン情報を格納している。
図244は、自動チャンネル方式においてAUTOグループを一つだけ定義した場合の音制御を行うに際における空きチャンネルの検索処理の一例を示している。なお、図244においてもチャンネルを「ch」と省略している。
演出制御プログラムは、新規な音の再生要求があると(ステップS1100)、当該新規な音に関する自動割り付けグループを確認し(ステップS1102)、この自動割り付けグループが「0」である場合には固定割付であると判定し、指定されたチャンネルで新規な音の再生を開始する。
一方、演出制御プログラムは、この自動割り付けグループが「0」以外である場合には自動割り付けであると判定し、当該新規な音がモノラルチャンネルに対応しているかどうかが判定される(ステップS1106)。
演出制御プログラムは、新規の音がモノラルである場合、空いている(モノラル)チャンネル(1チャンネル)が存在するか否かを判定し(ステップS1108)、存在している場合には当該空き(モノラル)チャンネルで上記新規の音の再生を開始する一方(ステップS1109)、存在していない場合には再生中の(モノラル)チャンネル内で当該新規の音の優先順位と同一或いはそれより低い再生音のチャンネルが存在するか否かを判定する(ステップS1110)。
演出制御プログラムは、そのような再生中の(モノラル)チャンネル内で当該新規の音の優先順位と同一或いはそれより低い再生音のチャンネルが存在しない場合には処理を終了する一方、存在する場合には該当するチャンネルが複数存在しているか否かを判定する(ステップS1112)。
演出制御プログラムは、当該該当するチャンネルが複数存在している場合には、既述の登録からの経過時間に基づいて当該該当するチャンネルの中で、登録からの再生時間が最も長い音を再生中の(モノラル)チャンネルで上記新規の音の再生を開始する(ステップS1114)。一方、演出制御プログラムは、当該該当するチャンネルが複数存在せず1つである場合、所望の条件を満たす(モノラル)チャンネルで上記新規の音の再生を開始する(ステップS1116)。
その一方、既述のステップS1106において、演出制御プログラムが、上記新規の音がモノラルでないと判定した場合、空いている(ステレオ)チャンネル(2チャンネル)が存在しているか否かを判定する(ステップS1120)。演出制御プログラムは、空きチャンネルが存在していると判定した場合、所望の条件を満たす(ステレオ)チャンネルを選択し上記新規な音の再生を開始する(ステップS1122)。
一方、演出制御プログラムは、空きチャンネルが存在しないと判定した場合、再生中の音の(ステレオ)チャンネル内に新規の音の優先順位と同一或いは低いものが存在するか否かを判定し(ステップS1124)、存在しない場合には処理を終了するため、再生しようとした新規の音による再生中の音の上書きは実施しない。一方、演出制御プログラムは、存在する場合には、該当するチャンネルが複数存在するか否かを判定する(ステップS1126)。
演出制御プログラムは、該当するチャンネルが複数存在しない場合には所望の条件を満たす(ステレオ)チャンネルで上記新規な音の出力を開始する一方、該当するチャンネルが複数存在する場合には、既述の登録からの経過時間に基づいて、該当するチャンネルの中で登録からの再生時間が最も長い(ステレオ)チャンネルで上記新規な音の再生を開始する(ステップS1130)。
以上のように演出制御プログラムは、新規な音を再生するために空きチャンネルを検索する。このような空きチャンネルの検索処理をより視覚的に分かり易く説明する。
図245(A)及び図245(B)〜図248(A)及び図248(B)は、それぞれ、空きチャンネル検索処理の具体的な内容の一例を示している。演出制御プログラムは、図245(A)に示すように、優先順位が15である通常BGMの再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル00〜01が空いているため、これら再生チャンネル00〜01を用いてステレオで通常BGMの再生を開始する。
演出制御プログラムは、図245(B)に示すように、優先順位が05である前半予告_Aの効果音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル02〜03に空きが存在するため、これら再生チャンネル02〜03を用いてステレオで前半予告_Aの効果音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図246(A)に示すように、優先順位が20であるホタン押下音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル04〜05に空きが存在するため、これら再生チャンネル04〜05を用いてステレオでボタン押下音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図246(B)に示すように、優先順位が05である前半予告_Bの効果音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル06〜07に空きが存在するため、これら再生チャンネル06〜07を用いてステレオで前半予告_Bの効果音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図247(A)に示すように、優先順位が20である大当り確定音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル08〜09に空きが存在するため、これら再生チャンネル08〜09を用いてステレオで大当り確定音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図247(B)に示すように、優先順位が05である前半予告_Cの効果音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル10〜11に空きが存在するため、これら再生チャンネル10〜11を用いてステレオで前半予告_Cの効果音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図248(A)に示すように、優先順位が01である保留入賞音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル12〜13に空きが存在するため、これら再生チャンネル12〜13を用いてステレオで保留入賞音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図248(B)に示すように、優先順位が25である報知音3の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル14〜15に空きが存在するため、これら再生チャンネル14〜15を用いてステレオで報知音3の再生を開始する。
図249(A)及び図249(B)〜図252(A)及び図252(B)は、それぞれ、空きチャンネル検索処理の具体的な内容の一例を示している。演出制御プログラムは、図249(A)に示すように、優先順位が15であるリーチBGMの再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル00〜01が空いているため、これら再生チャンネル00〜01を用いてステレオでリーチBGMの再生を開始する。
演出制御プログラムは、図249(B)に示すように、優先順位が25である報知音1の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル02〜03に空きが存在するため、これら再生チャンネル02〜03を用いてステレオで報知音1の再生を開始する。
以上のような処理を繰り返した後、次に演出制御プログラムは、図250(A)に示すように、優先順位が10である全画面予告音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル10〜11に空きが存在するため、これら再生チャンネル10〜11を用いてステレオで全画面予告音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図250(B)に示すように、優先順位が25である報知音1の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、図250(A)に示すように再生チャンネル02〜03(図示の「非再生(空き)」に相当)に空きが存在するため、これら再生チャンネル02〜03を用いてステレオで報知音1の効果音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図251(A)に示すように、優先順位が25である報知音3の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル04〜05(図示の「非再生(空き)」に相当)に空きが存在するため、これら再生チャンネル04〜05を用いてステレオで報知音3の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図251(B)に示すように、優先順位が10である役物予告音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル12〜13に空きが存在するため、これら再生チャンネル12〜13を用いてステレオで役物予告音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図252(A)に示すように、優先順位が01である保留入賞音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル14〜15(図示の「非再生(空き)」に相当)に空きが存在していたため、これら再生チャンネル14〜15を用いてステレオで保留入賞音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図252(B)に示すように、優先順位が25である報知音2の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行うが、空きチャンネルが存在しないため、再生中の音に対応する各チャンネル内で優先順位が最も低い「保留入賞音」を再生している再生チャンネル14〜15の使用を停止し、この再生チャンネル14〜15を用いてステレオで所望の音である報知音2の再生を開始する。
このようにすると、上記出力予定の各音があらかじめ特定のチャンネルに固定的に割り付けられておらず音の優先順位に応じて優先順位の低い再生チャンネルを検索し、より優先順位の高い上記出力予定の各音が検索で見つかった再生チャンネルで再生されることとなる。したがって、本実施形態によれば、既述のように空きチャンネルを有効に活用することができるばかりでなく、当該空きチャンネルを含めた各チャンネルを用いて上記出力予定の各音を可能な限り多く再生できるようになるため、多彩な音演出を実現し遊技者の興趣を高めることができる。
図253(A)及び図253(B)〜図254(A)及び図254(B)は、それぞれ、空きチャンネル検索処理の具体的な内容の一例を示している。演出制御プログラムは、図253(A)に示すように、優先順位が15である左図柄停止音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル00〜01が空いているため、これら再生チャンネル00〜01を用いてステレオで左図柄停止音の再生を開始する。
演出制御プログラムは、図253(B)に示すように、優先順位が15である右図柄停止音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル00〜01に空きが存在するため、これら再生チャンネル00〜01を用いてステレオで右図柄停止音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図254(A)に示すように、優先順位が15である中図柄停止音の再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル00〜01に空きが存在するため、これら再生チャンネル00〜01を用いてステレオで中図柄停止音の再生を開始する。
次に演出制御プログラムは、図254(B)に示すように、優先順位が15である大当りBGMの再生要求が発生したことを契機として、空きチャンネルの検索を行い、再生チャンネル00〜01に空きが存在するため、これら再生チャンネル00〜01を用いてステレオで大当りBGMの再生を開始する。
なお、演出制御プログラムは、ある再生チャンネルを用いて優先順位に従った音の差し替え再生が発生した場合、その再生の完了後に、その再生チャンネルにおいて差し替え前に再生していた従前の音を復帰させるようにしてもよいことは云うまでもない。
[12−3.音制御のバリエーション]
以上の実施形態においては、最大チャンネル数分のすべての再生チャンネルを用いて自動チャンネル方式による音制御を行うことを一例として説明してきたが、これに限られず、上述した固定チャンネルによる音制御との組み合わせなどによって次のように音制御を行うようにしてもよい。
図255(A)〜図255(F)は、それぞれ、既述の2種類の各チャンネル方式又はこれらの組み合わせによる音制御におけるチャンネル割り当てのバリエーション例を示す図である。
図255(A)は、上述した実施形態との比較例としてこれまでに説明した最大チャンネル数分(16チャンネル)固定チャンネル方式による音制御におけるチャンネル割り当て例を示し、図255(B)は、これまでに説明した本発明の実施形態に相当し、最大チャンネル数分自動チャンネル方式によって音制御を行う場合のチャンネル割り当て例を示している。これら2つのチャンネル割り当てによる音制御については説明済みであるため、詳細な説明は省略する。
図255(C)は、複数の自動チャンネルグループを用いつつ最大チャンネル数分の再生チャンネルについてチャンネル割り当てを行い自動チャンネル方式による音制御を行う実施形態を示している(図示の「PTN2」に相当)。図255(D)は、1つの自動チャンネルグループを用いつつ最大チャンネル数分の再生チャンネルについてチャンネル割り当てを行うとともに一部の再生チャンネルについて既述の固定チャンネル方式による音制御を行う実施形態を示している(図示の「PTN3」に相当)。
図255(E)は、複数の自動チャンネルグループを用いつつ最大チャンネル数分の再生チャンネルについてチャンネル割り当てを行うとともに一部の再生チャンネルについて既述の固定チャンネル方式による音制御を行う実施形態を示している(図示の「PTN4」に相当)。なお、図255(E)に示したチャンネル方式の具体例については、図262以降の図面を参照しながら詳細に後述する。
図255(F)は、1つの自動チャンネルグループを用いつつ最大チャンネル数分の再生チャンネルについてチャンネル割り当てを行い自動チャンネル方式による音制御を行うとともに一部の再生チャンネルについて既述の固定チャンネル方式による音制御を行うが、上述の例とは各再生チャンネル数が可変となるようにチャンネル数が確保される点が異なっている。なお、図255(F)に示したチャンネル方式の具体例については、図268以降の図面を参照しながら詳細に後述する。
本実施形態に示したように、すべてのチャンネルを1グループとする自動チャンネル方式を採用することによって、あらかじめ指定された基準に基づいて空きチャンネルの割り当て又は出力中のチャンネルの入れ替えを行うため、音の優先順位を決定するだけで音の出力が可能となる。したがって、チャンネルを指定して音を出力するといった従来の制御方式とは異なり、チャンネルの管理が不要となるため、音出力に関する制御を簡素化することが可能となり、開発効率を向上させることが可能となる。
また、自動チャンネル方式を採用することによって、チャンネル数を最小限にすることが可能となり、例えば、チャンネル数の少ない廉価版の音源ICを採用することが可能となり、遊技機の製造コストを削減することができる。
[13.遊技制御処理]
図256は、図212に示す特別図柄及び特別電動役物制御処理の一例を示すフローチャートである。図257は、図256に示す第一・第二始動口入賞処理を示すフローチャートである。図258は、図256に示す変動開始処理を示すフローチャートである。図259は、図256に示す変動パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図260は、図256に示す変動中処理の一例を示すフローチャートである。なお、主制御プログラムは、例えば4ms毎にタイマ割込処理を実行している。
[13−1.特別図柄及び特別電動役物制御処理]
特別図柄及び特別電動役物制御処理では、主制御プログラムが、最初に第一・第二始動口入賞処理を実行する(ステップS6110)。この第一・第二始動口入賞処理では、主制御プログラムが、第一始動口センサ3112によって遊技球が検知されて第一始動口2002に遊技球が受け入れられたか否かを判断したり、或いは、第二始動口センサ3113によって遊技球が検知されて第二始動口2004に遊技球が受け入れられたか否かを判断する。
次に主制御プログラムは、まず、処理フラグが0であるか否かを判断し(ステップS6120)、この処理フラグが0である場合には変動開始処理を実行する(ステップS6130)。なお、処理フラグが0とは、例えば、既述の始動記憶情報記憶領域に記憶済のある始動記憶情報について開始条件が成立したことを示している。この変動開始処理では、主制御プログラムが、大当りの当落にかかる抽選として所定の当選条件が成立しているか否かの結果などに基づいて特別図柄の変動表示を開始するための設定などを行い、その後、この処理フラグを1に更新する。
一方、上記ステップS6120において処理フラグが0でない場合、主制御プログラムが、処理フラグが1であるか否かを判断する(ステップS6140)。この処理フラグが1である場合、主制御プログラムは、変動パターン設定処理を実行する(ステップS6150)。この変動パターン設定処理では、大当り判定の結果や現在の遊技状態などに基づいて第一特別図柄表示器又は第二特別図柄表示器に表示される特別図柄(識別図柄)の変動パターンや停止図柄(大当り図柄やハズレ図柄など)を決定・設定した後、処理フラグを「2」に更新する。なお、この変動パターンは、第一特別図柄表示器1403又は第二特別図柄表示器1405のいずれかにおいて特別図柄(識別図柄)の変動表示を開始してから停止表示するまでの変動時間などを表している。
一方、ステップS6140において処理フラグが1でない場合、主制御プログラムは、処理フラグが2であるか否かを判断する(ステップS6170)。この処理フラグが2である場合、次のような変動中処理を実行する(ステップS6180)。この変動中処理では、主制御プログラムが、上記変動パターン設定処理(ステップS6150)にて設定済の変動時間をタイマにより監視し、タイムアウトしたことを契機として、第一特別図柄表示器1403又は第二特別図柄表示器1405を用いた特別図柄の変動表示を停止させる。
その後、主制御プログラムが、上述した変動開始処理(ステップS6130)において大当り抽選において大当り遊技の当選条件が成立しており当選していると判断した場合、処理フラグを3に更新する。主制御プログラムが、上述した変動開始処理(ステップS6130)において大当り抽選において小当り遊技の当選条件が成立しており当選していると判断した場合、処理フラグを5に更新する。一方、主制御プログラムが、大当り抽選においていずれの当選条件も成立しておらず当選していないと判断した場合、処理フラグを0に更新する。この場合、主制御プログラムは、次のタイマ割込処理において変動開始処理(ステップS6130)から再び実行する。
一方、ステップS6170において処理フラグが2でない場合、主制御プログラムが、処理フラグが3であるか否かを判断する(ステップS6190)。処理フラグが3である場合、主制御プログラムが大当り遊技準備処理を実行する(ステップS6200)。
この大当り遊技準備処理では、主制御プログラムが、大当り遊技を実行するための条件の一つである条件装置を作動させて、大当り遊技の態様を決定する処理を行うとともに、この決定された大当り遊技の態様(例えばラウンド数)をセットし、役物連続作動装置を作動させて、処理フラグを4に更新する。
一方、ステップS6190において処理フラグが3でない場合、主制御プログラムが、処理フラグが4であるか否かを判断する(S6210)。処理フラグが4である場合、次のような大当り遊技処理を実行する(ステップS6220)。この大当り遊技処理では、主制御プログラムが、大当り遊技態様決定処理(ステップS6607)においてセットされた大当り遊技の態様としてのラウンド数、開放回数、開放時間及び遊技球の入賞制限個数に基づいて一方の開閉部材或いは他方の開閉部材の開閉動作を制御し、その後、処理フラグを0に更新する。
ここで、主制御プログラムは、セットした大当り遊技として、少なくとも第一特別遊技及び第二特別遊技のいずれか一方の特別遊技を制御し、第一特別遊技においては一方の開閉部材の開閉動作を実行するとともに他方の開閉部材の開放動作を規制する一方、第二特別遊技においては他方の開閉部材の開閉動作を実行するとともに一方の開閉部材の開閉動作を規制している。
一方、ステップS6210において処理フラグが4でない場合、主制御プログラムが、処理フラグが5であるか否かを判断する(S6230)。処理フラグが5である場合、次のような小当たり成立時処理を実行する(S6240)。この小当たり成立時処理では、主制御プログラムが、小当たりの遊技態様として一方の開閉部材又は他方の開閉部材の開閉動作を制御するために開放回数及び開放時間をセットする。
その後、主制御プログラムは、当該セットされた開放回数及び開放時間に基づいて、小当たりの遊技態様として、例えばごく短時間のみ一方の開閉部材又は他方の開閉部材を1回開放状態とした後に閉鎖状態とするように制御し、その後、処理フラグを0に更新する。この場合、次のタイマ割込処理では、変動開始処理(ステップS6130)から再びやり直すこととなる。この小当たり遊技とは、大当り遊技のように条件装置の作動を伴う遊技ではないものの、例えば大当り遊技の一種であって一方の開閉部材又は他方の開閉部材を、ごく短時間のみ開放状態とする遊技(いわゆる短開放大当り遊技)と極めて類似した態様の遊技をいう。
なお、変動パターンとしては、複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、特別図柄の図柄変動が開始してから終了するまでの時間を決定付けるものであるほか、周辺制御基板1510に対してその情報が送信されることで、演出表示装置1600において現れる演出パターンの種類を決定しうるものである。本実施形態において、複数種類の変動パターンは、大当り変動用変動パターン、はずれリーチ変動用変動パターン、及びはずれ変動用変動パターンに分類できる。大当り変動は、大当り判定の結果が大当りであるときに行われる変動であり、演出表示装置1600では、リーチ演出を経て、装飾図柄の変動表示が最終的に大当り図柄を確定停止表示させるように展開される演出が実行される。はずれリーチ変動は、大当り判定の結果がハズレであり、且つリーチ乱数に基づくリーチ判定にてリーチを行う旨判断されたときに行われる変動であり、演出表示装置1600では、リーチ演出を経て、装飾図柄の変動表示が最終的にはずれ図柄を確定停止表示させるように展開される演出が実行される。はずれ変動は、大当り判定の結果がハズレであり、且つリーチ乱数に基づくリーチ判定にてリーチを行う旨判断されなかったときに行われる変動であり、演出表示装置1600では、リーチ演出を経ないで、装飾図柄の変動表示が最終的にはずれ図柄を確定停止表示させるように展開される演出が実行される。また、変動パターンは、第1特別図柄側と第2特別図柄側とのいずれの変動パターンであるかを特定可能なように規定されている。
すなわち、周辺制御基板1510では、主制御基板1310から大当り判定の結果などの遊技情報を取得してこれを参照することで、こうした装飾図柄の変動パターンを出現可能としている。また、周辺制御基板1510では、該取得した遊技情報に基づいて演出表示装置1600にて装飾図柄の変動パターンを出現させるほか、期待度に関わる演出表示(背景や保留画像)を変化させる処理を行ったり、該演出表示(装飾図柄の変動パターンや、予告演出、可動体演出、ボタン操作演出など)の進展に合わせた各演出音を所定チャンネルに割り当てて再生させたり、可動部材を動作させたりする制御を実行する。
上述のように本実施形態では、主制御プログラムが、図256に示す特別図柄及び特別電動役物制御処理において処理フラグが5とされるか否かで小当たり成立時処理S6240を実行するか否かを選択しうるようになっている。すなわち、主制御プログラムは、処理フラグを0〜5の範囲とすると、小当たり遊技を含めた遊技性とすることができる一方、処理フラグを0〜4の範囲とすると、小当たり遊技を含めない遊技性とすることができる。
このように当該特別図柄及び特別電動役物制御処理には、小当たり成立時処理S6240のように処理フラグの値に応じて実行されうる小当たり遊技のためのプログラムコードが含められているため、未使用のプログラムコードではないものとされている。
すなわち、主制御プログラムは、小当たり成立時処理S6240を実行しない場合であっても、その代わりに、並列的に設けられた別の分岐処理を実行することになる。このようなプログラム構成とすると、小当たり遊技を含むか否かの遊技性が異なる機種間でも、プログラムコードを共通化することができ、例えば小当たり遊技を含むか否かに応じて、異なる機種間においてプログラムコードを各々開発する必要性がなくなる。
以上のように主制御プログラムは、既述の処理フラグの状態に応じて、ステップS6130、ステップS6150、ステップS6180、ステップS6200、ステップS6220、ステップS6240の処理のいずれかを選択的に実行し、その後、この特別図柄及び特別電動役物制御処理を終了する。
[13−2.第一・第二始動口入賞処理]
図257は、図256に示す第一・第二始動口入賞処理(ステップS6110)の一例を示すフローチャートである。第一・第二始動口入賞処理(ステップS6110)は、第一始動口2002や第二始動口2004に遊技球が受け入れられた否かについての判断にかかる処理、及び、当該受け入れがあった旨が判断されたことを条件に、該当する特別図柄(第一特別図柄若しくは第二特別図柄)の保留状態の更新にかかる処理を含んでいる。
[13−3.第二始動口への遊技球の入球]
まず主制御プログラムは、第二始動口センサ3113から検出信号が出力されたか否かを判断し(ステップS6201)、第二始動口センサ3113から検出信号が出力されたと判断した場合、第二始動口2004に遊技球が受け入れられた(以下、「始動入賞」ともいう)と判断し(第二特別図柄の始動条件が成立)、次のようなステップS6202を実行する。このステップS6202では、主制御プログラムが、この始動入賞を契機として、第二特別図柄抽選用の各種乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数など)を取得する。
なお、この主制御プログラムは、始動入賞を契機として大当り判定用乱数などとともに併せて、大当り遊技態様決定用乱数値(例えばラウンド数決定用乱数値)を取得する代わりに、つまり、大入賞口2103の開放態様について決定しないうちにまず特別図柄の変動パターン及び停止図柄を決定し、遊技を進行させている。詳細は後述するが、この主制御プログラムは、所定の変動時間後に特別図柄の停止図柄を表示させた後、遊技球がゲート2575(左ゲート2575L,右ゲート2575R)を通過したことが検出されたことを契機として大当り遊技態様決定用乱数値を取得する。
併せて、主制御プログラムは、主制御基板1310(主制御MPU1310a)のRAMに設けられている第二保留数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かについての判断を行う。この結果、第二保留数カウンタが4未満であれば、主制御プログラムが、後述する第二始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を順次実行する。
まず、第二始動保留記憶処理では、主制御プログラムが、第二始動口2004に遊技球が受け入れられたことを契機として取得された始動記憶情報(大当り判定用乱数値、大当り図柄用乱数値など)を、特別図柄の種類や保留順に対応付けしつつ所定の記憶領域(RAM)として、例えば主制御RAMの一部である第二始動記憶情報記憶領域に記憶させる(ステップS6203)。
すなわち、主制御プログラムは、第二特別図柄に関し、始動条件が成立しているものの未だ開始条件が成立していないことを示す少なくとも1つの始動記憶情報を、特別図柄の種類ごとに始動条件が成立した順序を特定しうる態様で所定数まで主制御RAMの第二始動記憶情報記憶領域(始動記憶情報記憶手段、第二始動記憶情報記憶手段)に記憶させている。したがって、主制御プログラムは、新たに遊技球が第二始動口2004に受け入れられた際、すなわち、始動条件が成立した際(始動入賞時)に第二始動記憶情報が1つも第二始動記憶情報記憶領域に記憶されていない場合、即座に開始条件が成立したものとし、当該第二特別図柄の変動表示を開始可能な状態とする。
この際併せて、主制御プログラムは、第二始動口2004に遊技球が受け入れられたことを示す始動口入賞コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでセットし、既述のコマンド送信処理において当該始動口入賞コマンドを周辺制御基板1510に送信する。
さらに主制御プログラムは、上述した第二始動記憶情報記憶領域に新たな第二始動記憶情報が記憶されたこと(すなわち、第二特別図柄の第二始動記憶情報の数が増加したこと)を契機として、次のような先行判定条件が成立したか否かを判定する(先行条件判定抽選手段)。
この先行判定条件としては、上述した大当り判定用乱数記憶領域、特別図柄用乱数記憶領域、リーチ判定用乱数記憶領域、変動パターン用乱数1記憶領域及び変動タイプ用乱数記憶領域いずれか又はいずれかの組み合わせに格納済の乱数値を読み出し、当該読み出した乱数値が、既述の主制御ROMに記憶済の第二特別図柄用先読み判定値と一致していることを例示することができる(以下、「先行判定抽選」という)。
主制御プログラムは、当該読み出した乱数値がこの第二特別図柄用先読み判定値と一致する場合には上記先行判定条件が成立したものと判定する一方、当該読み出した乱数値がこの第二特別図柄用先読み判定値と一致しない場合には上記先行判定条件が成立しないものと判定する。主制御プログラムは、この先行判定条件が成立していない場合には後述する先行判定用コマンド送信処理を実行しない一方、この先行判定条件が成立した場合には次のような先行判定用コマンド送信処理を実行する。
この先行判定用コマンド送信処理では、主制御プログラムが、第二特別図柄について先行判定演出を開始すべきことを指示する特別図柄2記憶先読み演出コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでセットし、既述のコマンド送信処理において当該特別図柄2記憶先読み演出コマンドを周辺制御基板1510に送信する(コマンド送信手段)。この際、主制御プログラムは、この特別図柄2記憶先読み演出コマンドに次のような先読み情報を含めている。
具体的には、この特別図柄2記憶先読み演出コマンドは、例えば、特別図柄2種別先読みコマンド、特別図柄2変動パターン先読みコマンド、特別図柄2変動タイプ先読みコマンド、及び特別図柄2変動振り分けテーブル情報先読みコマンド、又はこれらいずれか、或いはそれらいずれかの組み合わせを総称するコマンドであり、後述する先読み情報を含んでいる。この先読み情報は、第二特別図柄の図柄種別、変動パターン番号、変動タイプ番号に関する情報、及び変動振り分けテーブル情報を含んでいる。
この特別図柄2種別先読みコマンドは、第二特別図柄の図柄種別に関する情報を含んでいる。ここでいう図柄種別とは、例えば、大当りであることを示す停止図柄としての大当り図柄、小当りであることを示す停止図柄としての小当り図柄、ハズレであることを示す停止図柄としてのハズレ図柄の何れかであるかを示す情報である。この特別図柄2変動パターン先読みコマンドは、第二特別図柄の変動パターン番号に関する情報を含んでいる。この特別図柄2変動タイプ先読みコマンドは、第二特別図柄の変動タイプ番号に関する情報を含んでいる。この特別図柄2変動振り分けテーブル情報先読みコマンドは、第二特別図柄の変動振り分けテーブル情報を含んでいる。
以上のようにすると、周辺制御基板1510では、上述した特別図柄2記憶先読み演出コマンドを受信した演出制御プログラムが、後述するように、この特別図柄2記憶先読み演出コマンドを利用して後述の先行判定演出を実行することができる。
本実施形態では、主制御プログラムが、遊技状態を確率変動状態から他の遊技状態(例えば通常遊技状態)に移行させた後(当選確率制御手段)、この移行時点から所定の期間(以下「先行判定抑制範囲」という)に亘って、上述した先行判定条件が成立した旨の通知を抑制している(先行判定抑制手段)。
つまり、主制御プログラムは、このように遊技状態が確率変動状態から通常遊技状態に移行させてから当該先行判定抑制範囲に亘って、主制御RAMの送信情報記憶領域に特別図柄2記憶先読み演出コマンド(先行判定指示コマンド)を書き込むことを規制する。これにより、既述のコマンド送信処理において当該特別図柄2記憶先読み演出コマンドが周辺制御基板1510に送信されることを抑制している。
一方、保留履歴更新処理では、主制御プログラムが、主制御RAMに設けられている第二保留数カウンタのカウンタ値に1を加算する(ステップS6204)。さらに、この保留履歴更新処理では、主制御プログラムが、第二特別図柄記憶表示器1187に、第一或いは第二始動記憶情報記憶領域に記憶された上記少なくとも1つの始動記憶情報に対応する開始条件が成立するまでの間に亘って上記少なくとも1つの第一或いは第二始動記憶情報を特定しうる態様で、第一特別図柄記憶表示器1184或いは第二特別図柄記憶表示器1187に保留表示態様(例えば点灯、点滅或いは消灯)を導出させ、その後、第一或いは第二始動記憶情報記憶手段によって記憶されている上記少なくとも1つの第一或いは第二始動記憶情報のうち優先すべき始動記憶情報に対応する開始条件が成立したことを契機として、当該優先すべき始動記憶情報に対応する保留表示態様の導出を停止するとともに第一或いは第二始動記憶情報記憶領域から当該優先すべき始動記憶情報を消去する(保留消化制御手段)。
[13−4.第一始動口への遊技球の入球]
一方、上記ステップS6201において第二始動口センサ3113から検出信号が出力されていない場合、又は、上記ステップS202の処理において第二保留数カウンタの値が上限値となる4である場合、主制御プログラムは、第一始動口センサ3112から検出信号が出力されたか否かについて判定する(ステップS6205)。
第一始動口センサ3112から検出信号が出力された場合、主制御プログラムが、第一始動口2002に遊技球が受け入れられた(以下、「始動入賞」ともいう)と判断し(第一特別図柄の始動条件が成立)、次のようなステップS6206を実行する。このステップS6206では、主制御プログラムが、この始動入賞を契機として、第一特別図柄抽選用の各種乱数値(大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数など)を取得し、上述した始動記憶情報記憶領域のうち第一始動記憶情報記憶領域に記憶済の第一始動記憶情報(上記各種乱数値に相当)の数(以下「第一保留数カウンタ」ともいう)の値が上限値となる4未満であるか否かについての判断を行う。この結果、この第一保留数カウンタが4未満である場合、主制御プログラムが、次のような第一始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を順次実行する。
この第一始動保留記憶処理では、主制御プログラムが、第一始動口2002に遊技球が受け入れられたことによって取得した始動記憶情報(大当り判定用乱数値、大当り図柄用乱数値など)を、特別図柄の種類や保留順に対応付けしつつ所定の記憶領域(RAM)として、例えば主制御RAMの一部である第一始動記憶情報記憶領域に記憶する(ステップS6207)。
すなわち、主制御プログラムは、第一特別図柄に関し、始動条件が成立しているものの未だ開始条件が成立していないことを示す少なくとも1つの始動記憶情報を、特別図柄ごとに始動条件が成立した順序を特定しうる態様で所定数まで第一始動記憶情報記憶領域(始動記憶情報記憶手段、第一始動記憶情報記憶手段)に記憶させている。したがって、主制御プログラムは、新たに遊技球が第一始動口2002に受け入れられた際、すなわち、始動条件が成立した際(始動入賞時)に第一始動記憶情報が1つも第一始動記憶情報記憶領域に記憶されていない場合、即座に開始条件が成立したものとし、当該第一特別図柄の変動表示を開始させる。
この際併せて、主制御プログラムは、第一始動口2002に遊技球が受け入れられたことを示す始動口入賞コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでセットし、既述のコマンド送信処理において始動口入賞コマンドを周辺制御基板1510に送信するようにしている。このようにすると、周辺制御基板1510では、始動口入賞コマンドを利用して後述する先行判定演出を実行することができる。
さらに主制御プログラムは、上述した第一始動記憶情報記憶領域に新たな第一始動記憶情報が記憶されたこと(すなわち、第一特別図柄の第一始動記憶情報の数が増加したこと)を契機として、次のような先行判定条件が成立したか否かを判定する。この先行判定条件としては、例えば、上述した大当り判定用乱数記憶領域、特別図柄用乱数記憶領域、リーチ判定用乱数記憶領域、変動パターン用乱数1記憶領域及び変動タイプ用乱数記憶領域のいずれか又はいずれかの組み合わせに記憶済の乱数値を読み出し、当該読み出した乱数値が、既述の主制御ROMに記憶済の第一特別図柄用先読み判定値と一致していることを挙げることができる(以下「先行判定抽選」という)。
ところで、上述した先行判定処理としては、主制御プログラムが、上述のようないずれかのあらかじめ定められた乱数値に基づいて決定された遊技情報に基づいて先行判定抽選を実行し、その抽選結果を、先行判定指示コマンド(特別図柄1記憶先読み演出コマンド及び特別図柄2記憶先読み演出コマンドのいずれか)として周辺制御基板1510に送信できるように構成されている(先読み第1段階判定)。
主制御プログラムは、当該読み出した乱数値がこの第一特別図柄用先読み判定値と一致する場合には上記先行判定条件が成立したものと判定する一方、当該読み出した乱数値がこの第一特別図柄用先読み判定値と一致しない場合には上記先行判定条件が成立しないものと判定する。この主制御プログラムは、この先行判定条件が成立していない場合には後述する先行判定用コマンド送信処理を実行しない一方、この先行判定条件が成立した場合には次のような先行判定用コマンド送信処理を実行する。
この先行判定用コマンド送信処理では、主制御プログラムが、第一特別図柄について先行判定演出を開始すべきことを指示する特別図柄1記憶先読み演出コマンドを送信情報記憶領域に書き込んでセットし、既述のコマンド送信処理において当該特別図柄1記憶先読み演出コマンドを周辺制御基板1510に送信する(コマンド送信手段)。この際、主制御プログラムは、この特別図柄1記憶先読み演出コマンドに次のような先読み情報を含めている。
具体的には、この特別図柄1記憶先読み演出コマンドは、例えば、特別図柄1種別先読みコマンド、特別図柄1変動パターン先読みコマンド、特別図柄1変動タイプ先読みコマンド、及び特別図柄1変動振り分けテーブル情報先読みコマンド、又はこれらいずれか、或いはそれらいずれかの組み合わせを総称するコマンドであり、後述する先読み情報を含んでいる。この先読み情報は、第一特別図柄の図柄種別、変動パターン番号、変動タイプ番号、及び変動振り分けテーブル情報を有する。
この特別図柄1種別先読みコマンドは、第一特別図柄の図柄種別に関する情報を含んでいる。ここでいう図柄種別とは、例えば、大当りであることを示す停止図柄としての大当り図柄、小当りであることを示す停止図柄としての小当り図柄、ハズレであることを示す停止図柄としてのハズレ図柄の何れかであるかを示す情報である。この特別図柄1変動パターン先読みコマンドは、第一特別図柄の変動パターン番号に関する情報を含んでいる。この特別図柄1変動タイプ先読みコマンドは、第一特別図柄の変動タイプ番号に関する情報を含んでいる。この特別図柄1変動振り分けテーブル情報先読みコマンドは、第一特別図柄の変動振り分けテーブル情報を含んでいる。
以上のようにすると、周辺制御基板1510では、上述した特別図柄1記憶先読み演出コマンドを受信した演出制御プログラムが、後述するように、この特別図柄1記憶先読み演出コマンドを利用して後述する先行判定演出を実行することができる。
なお、この周辺制御基板1510においては、周辺制御MPU1530aが、特別図柄1記憶先読み演出コマンドにもとづいて、先読み表示演出を実行するか否かを、特別図柄1記憶先読み演出コマンドが示す、大当りの期待割合に応じて実行の可否を判定している。先読み演出は複数の変動に跨って連続的に演出であるが、この先読み演出を行うか否かは、始動口入賞時に送信された特別図柄1記憶先読み演出コマンドにもとづいて判定され、そのタイミングで、複数ある連続的に行う演出の表示態様からいずれの表示態様とするかを決定すると同時に、複数回の変動に跨って変化する表示態様についても決定される(シナリオを事前に決定する)。
表示態様としては、先行判定処理の結果にもとづいて直ちに、演出を開始するものと、先行判定処理の結果にもとづいて、当該変動中の場合には、演出を実行を待機させ、次の変動の開始をもって連続演出を開始するものとを例示することができる。さらに、そのような連続演出を開始するものと判定した場合であっても、その表示態様としては、連続演出を開始する前の状態となんら変化しない態様も含んでいる(例えば、通常の表示態様、通常の表示態様、赤色の特定表示態様、金色の特別表示態様)。
そのような連続演出は、段階的に変化するものの、前の表示態様に対して次に表示される表示態様との大当りへの期待度は同一としてもよいし、上昇させた表示態様であってもよい。さらに言えば、大当り期待度が低下した表示態様が実行されるものであってもよい。その場合、段階的に期待度が上昇するような表示態様よりも大当りの期待度が実は高くなっているようにしてもよい(つまり、「法則崩れ」に相当)。連続予告の最終形態としては、特別図柄1記憶先読み演出コマンドによって表される情報が遊技者が判別可能な態様、例えば大当り確定、確変確定(確率変動状態への移行確定)、出玉あり確定等の態様であってもよい。
一方、保留履歴更新処理では、主制御プログラムが、RAM(始動記憶情報記憶領域に相当)に設けられている第一保留数カウンタのカウンタ値に1を加算する(ステップS6208)。さらに、この保留履歴更新処理では、主制御プログラムが、第一特別図柄記憶表示器1184に、始動記憶情報記憶領域に記憶された上記少なくとも1つの始動記憶情報に対応する開始条件が成立するまでの間に亘って上記少なくとも1つの始動記憶情報を特定しうる態様で保留表示態様(例えば点灯、点滅或いは消灯)を導出させ、その後、始動記憶情報記憶領域によって記憶されている上記少なくとも1つの始動記憶情報のうち優先すべき始動記憶情報に対応する開始条件が成立したことを契機として、当該優先すべき始動記憶情報に対応する保留表示態様の導出を停止するとともに始動記憶情報記憶領域から当該優先すべき始動記憶情報を消去する(保留消化制御手段)。
一方、主制御プログラムは、上記ステップS6205において第一始動口2002へ遊技球が受け入れられていない場合、又は、上記ステップS6206の処理において第一保留数カウンタのカウンタ値が上限値となる4に達している場合には、当該第一・第二始動口入賞処理を終了する。
[13−5.変動開始処理]
図258は、図256に示す変動開始処理の一例を示すフローチャートである。
この変動開始処理(ステップS6130)では、主制御プログラムが、まず、第一特別図柄及び第二特別図柄の2つの保留数カウンタの値がいずれも0であるか否かを判断する(ステップS6301)。ここで、第一特別図柄の保留数カウンタの値は、上述した始動記憶情報記憶領域のうち第一始動記憶情報記憶領域に記憶されている第一始動記憶情報(乱数値)の数を示しており、第二特別図柄の保留数カウンタの値は、上述した始動記憶情報記憶領域のうち第二始動記憶情報記憶領域に記憶されている第二始動記憶情報(乱数値)の数を示している。
上述したステップS301において主制御プログラムが、第一特別図柄及び第二特別図柄の保留数カウンタの値がいずれも0であると判定すると、第一特別図柄及び第二特別図柄の始動条件がいずれも成立していないと判断し、この変動開始処理を終了して上記特別図柄及び特別電動役物制御処理を終了した後、上述したように4msごとにタイマ割込処理を実行する。なお、変動開始処理については、先行判定処理と同じ処理とすることで、判定結果として変動開始時と先行判定時とで同一の結果が得られることにより、その結果を先読み演出コマンドとしてもよい。
一方、ステップS6301において主制御プログラムが、第一特別図柄及び第二特別図柄の保留数カウンタの値がいずれも0でないと判定すると、第一特別図柄及び第二特別図柄の少なくとも一方について始動条件が成立しているものの開始条件が成立していないものとし、いわゆる始動保留状態であると判断する。次に主制御プログラムは、第二特別図柄の保留数カウンタの値が0であるか否か、つまり、第二始動記憶情報の数が0個であるか否かを判定する(ステップS6302)。
ステップS6302において第二始動記憶情報の数が0個でないと判定すると、主制御プログラムは、第二始動記憶情報(第二特別図柄乱数値)を取得した後(ステップS6303)、上述した第二始動記憶情報記憶領域において記憶されている所定個数の第二始動記憶情報をそれぞれシフトさせて記憶する(ステップS6304)。
具体的には、主制御プログラムが、当該第二始動記憶情報記憶領域を複数に分けたn番目(nは2以上の自然数)の記憶領域に記憶されている第二始動記憶情報(乱数値)をn−1番目の記憶領域にシフトして記憶させる。これにより、少なくとも記憶領域には空きが生じるようになり、当該空きが生じた記憶領域に第二特別図柄の新たな始動記憶情報を記憶可能となる。
併せて、主制御プログラムは、特別図柄変動フラグに「1」をセットし(ステップS6305)、第二特別図柄の保留数カウンタの値、つまり、第二始動記憶情報の数を1減算する(ステップS6306)。併せて、主制御プログラムは、第二特別図柄記憶表示器1187の点灯態様を、当該減算後の第二始動記憶情報の数(第二特別図柄の保留数)を表すように駆動制御する。なお、こうして1にセットされた特別図柄変動フラグについては、当該変動開始処理が終了して以降、例えば、処理フラグが0に更新されるときに併せてリセットされる。
一方、ステップS6302において第二始動記憶情報の数が0個であると判定すると、主制御プログラムは、第一始動記憶情報(第一特別図柄乱数値)を取得した後(ステップS6307)、上述した第一始動記憶情報記憶領域において記憶されている所定個数の第一始動記憶情報をそれぞれシフトさせて記憶する(ステップS6308)。
具体的には、第一始動記憶情報記憶領域及び第二始動記憶情報記憶領域にはそれぞれ4つの記憶領域(第1区画〜第4区画)が設けられている。なお、これらの各記憶領域には、それぞれ、大当り判定用乱数値が記憶される大当り判定用乱数記憶領域、大当り図柄用乱数値が記憶される大当り図柄用乱数記憶領域、リーチ判定用乱数値が記憶されるリーチ判定用乱数記憶領域、並びに、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動表示パターン乱数値が各々記憶される変動パターン用乱数1,2記憶領域などが設けられている。
主制御プログラムが、当該第一始動記憶情報記憶領域を複数に分けたn番目(nは2以上の自然数)の記憶領域に記憶されている第二始動記憶情報(乱数値)をn−1番目の記憶領域にシフトして記憶させる。これにより、少なくとも記憶領域には空きが生じるようになり、当該空きが生じた記憶領域に第一特別図柄の新たな始動記憶情報を記憶可能となる。
併せて、主制御プログラムは、特別図柄変動フラグに「2」をセットし(ステップS6309)、第一特別図柄の保留数カウンタの値、つまり、第二始動記憶情報の数を「1」減算する(ステップS6310)。併せて、主制御プログラムは、第一特別図柄記憶表示器1184の点灯態様を、当該減算後の第一始動記憶情報の数(第一特別図柄の保留数)を表すように駆動制御する。なお、こうして「2」にセットされた特別図柄変動フラグは、当該変動開始処理が終了して以降、例えば、処理フラグが「0」に更新されるときにリセットされる。
以上のようにすると、変動開始時の判定については、先読みと同一の判定処理を行うにも拘わらず、先読みで判定した情報については、すべて若しくは一部の情報を使用することなく、再度同一の処理を繰り替えし実行することで、先読み判定時と同一の結果を得られるようにすることが可能となる。なお、始動入賞時と変動開始時とにおいては同じ処理を実行して遊技情報を決定しても、先読みのコマンド(特別図柄記憶先読み演出コマンド)と変動開始時のコマンドとは、その情報同士が互いに識別可能とするために、同一のコマンド値とならないようにしている。
次に主制御プログラムは、大当りフラグの内容を確認し、確率変動機能が作動中であるか否か、つまり、遊技状態が確率変動状態であるか否かを判別する(ステップS6312)。遊技状態が確率変動状態でない場合、主制御プログラムは、大当りとなる確率が低く設定された確率変動機能非作動時大当り判定テーブルを選択する(ステップS6313)。一方、遊技状態が確率変動状態である場合、主制御プログラムは、大当りとなる確率が高く設定された確率変動機能作動時判定テーブルを選択する(ステップS6314)。
次に主制御プログラムは、当該選択したテーブルに基づき、ステップS6303又はステップS6307において取得された第一特別図柄乱数値又は第二特別図柄乱数値(以下「大当り判定用乱数値」ともいう)が大当り値(大当りに相当する乱数値)に一致するか否かを判定する(ステップS6315)。
すなわち、主制御プログラムは、始動条件の成立後、あらかじめ定められた当選条件が成立しているか否かを判定している(抽選手段)。大当り値に一致する場合、主制御プログラムは、大当り判定用乱数値に基づいて大当りの種別、すなわち、確率変動機能及び時短機能の少なくとも一方を作動させる種別(遊技状態に関する状態種別)の大当りであるかについての判断を行う(ステップS6316)。次に主制御プログラムは、決定された大当りの種別に応じた大当りフラグをONと設定する(ステップS6317)。
一方、ステップS6315において取得した大当り判定用乱数値が大当り値に一致しない場合、主制御プログラムは、後述するステップS6318を実行する。最後に主制御プログラムは、処理フラグを1に更新する(ステップS6318)。
[13−6.変動パターン設定処理]
図259は、変動パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、主制御プログラムは、いずれの大当りフラグがONであるか否かを判定する(ステップS6401)。いずれかの大当りフラグがONであると判定された場合、主制御プログラムは、大当り変動パターンテーブル設定処理を実行する(ステップS6402)。
この大当り変動パターンテーブル設定処理では、大当りとするための変動パターンテーブル(当選時変動パターンテーブルとしての大当り変動パターンテーブル)を設定し、当選条件が成立している場合には大当りとするための変動パターン(当選時変動パターン)を決定する(変動パターン設定手段)。
一方、ステップS6401において大当りフラグがONでないと判定された場合、主制御プログラムは、リーチ抽選手段として機能し、主制御内蔵RAMの始動記憶情報記憶領域に記憶済であって始動条件が成立した始動記憶情報について、所定の当選条件が成立しているかもしれない旨、すなわち、特別抽選に当選しているかもしれない旨を暗示する演出(リーチ演出)を実行させる条件としてのリーチ条件又はこのリーチ条件のうち特定のリーチ条件が成立しているか否かを判定する(ステップS6403)。
なお、ここでいうリーチ条件は、当選条件が成立している可能性が相対的に低く特別抽選に当選していることへの期待を遊技者に相対的に弱く抱かせ易い通常態様のリーチ演出の一例としてのノーマルリーチ、及び、当選条件が成立している可能性が相対的に高く特別抽選に当選していることへの期待を遊技者に相対的に強く抱かせ易い特定態様のリーチ演出の一例としてのスーパーリーチのいずれかが実行されるための条件である。一方、上述した特定のリーチ条件は、このスーパーリーチが実行されるための条件である。以下、このような判定を「リーチ抽選」ともいう。
ところで、主制御プログラムは、このようなリーチ抽選の当選確率、すなわち、リーチ条件が成立する確率(以下、「リーチ抽選の当選確率」という)が、主制御内蔵RAMの始動記憶情報記憶領域に記憶済の始動記憶情報の数に応じて段階的に変更するように制御している。具体的には、主制御プログラムは、リーチ抽選の当選確率を記憶済の始動記憶情報の数(いわゆる保留数)に応じて、例えば0個である場合には1/15、1個である場合には1/14、2個である場合には1/13、3個である場合には1/10、4個である場合には1/10となるように制御している。
さらに主制御プログラムは、既述のリーチ抽選の結果を含むリーチ抽選結果コマンドを既述の主制御内蔵RAMの送信情報記憶領域に書き込み、既述のコマンド送信処理において送信させる(乱数範囲情報制御手段)。つまり、主制御プログラムは、周辺制御基板1510に対して、上述した判定用リーチ乱数値自体を送信する代わりに、主制御内蔵RAMの始動記憶情報記憶領域に記憶済の各始動記憶情報に対応しているとともにリーチ抽選の結果に関するリーチ抽選結果コマンドを送信する。
なお、このリーチ抽選結果コマンドは、第一特別図柄に関する始動記憶情報に対応する第一特別図柄リーチ抽選結果コマンド、及び、第二特別図柄に関する始動記憶情報に対応する第二特別図柄リーチ抽選結果コマンドを総称するコマンド名である。
上述したリーチ条件が成立していると判定した場合、すなわち、リーチ演出を実行すると判定した場合、主制御プログラムは、リーチハズレ変動パターンテーブル設定処理を実行する(ステップS6404)。このリーチハズレ変動パターンテーブル設定処理では、主制御プログラムが、リーチ演出を実行してハズレとするための変動パターンテーブル(リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する。
この際、主制御プログラムは、時短機能が作動しているか否かを判定する。主制御プログラムは、上述のように当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動していると判定した場合(時短時)、上述したリーチ演出を実行してハズレとするための変動パターン(時短非当選変動パターン)を含む変動パターンテーブル(時短非当選変動パターンテーブルとしての時短時リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する(変動パターン設定手段)。
その一方、主制御プログラムは、上述したように当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動していないと判定した場合(非時短時)、上述したリーチ演出を実行してハズレとするための変動パターン(非時短非当選変動パターン)を含む変動パターンテーブル(非時短非当選変動パターンテーブルとしての非時短時リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する(変動パターン設定手段)。以下の説明では、時短時リーチハズレ変動パターンテーブル及び非時短時リーチハズレ変動パターンテーブルを総称して「リーチハズレ変動パターンテーブル」とも表現する。
本実施形態では、主制御プログラムは、特別図柄の変動パターン上、抽選の抽選結果として「大当り」、「小当り」及び「ハズレ」だけでなく、さらに、この「ハズレ」が、時短機能が作動していない状態での「ハズレ」としての「非時短時ハズレ」であるか、及び、時短機能が作動している状態での「時短時ハズレ」であるかも分けて制御することになる。
一方、ステップS6403においてリーチ条件が成立していないと判定した場合、すなわち、リーチ演出を実行しないと判定した場合、主制御プログラムは、非リーチハズレ変動パターンテーブル設定処理を実行する(ステップS6405)。この非リーチハズレ変動パターンテーブル設定処理では、主制御プログラムが、リーチ演出を実行せずにハズレとする変動パターンテーブル(非リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する。非リーチハズレ変動パターンテーブルは、複数の遊技状態に応じてそれぞれ対応付けて複数種類用意されており、例えば通常遊技状態においては、保留数が所定値以上であるときに短縮変動が行われ易いテーブルとなっている。
このようにリーチ条件が成立していないと判定された際も、同様に主制御プログラムは、時短機能が作動しているか否かを判定し、上記同様に、時短機能が作動しているか否かに応じて設定すべき変動パターンテーブルを変更するようにしてもよい。つまり、主制御プログラムは、上述のように当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動していると判定した場合(時短時)、上述したリーチ演出を実行せずにハズレとするための変動パターン(時短非当選変動パターン)を含む変動パターンテーブル(時短非当選変動パターンテーブルとしての時短時非リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する(変動パターン設定手段)。その一方、主制御プログラムは、上述したように当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動していないと判定した場合(非時短時)、上述したリーチ演出を実行せずにハズレとするための変動パターン(非時短非当選変動パターン)を含む変動パターンテーブル(非時短非当選変動パターンテーブルとしての非時短時非リーチハズレ変動パターンテーブル)を設定する(変動パターン設定手段)。
主制御プログラム(変動パターン設定手段)は、上述のように設定されたテーブルに基づいて特別図柄の変動パターンを決定し(ステップS6410)、こうして決定された特別図柄の変動パターンのパターンコマンド及び当選情報コマンドを、上記送信情報記憶領域に書き込んでセットする(ステップS6411)。以下、これらパターンコマンド及び当選情報コマンドを総称して「変動パターンコマンド」ともいう。この変動パターンのパターンコマンドは、特別図柄の変動時間に関する情報を含んでおり、当選情報コマンドは、大当りに関する当落結果を含んでいる。
またさらに主制御プログラムは、上述のように設定された変動パターンテーブルに基づいて決定された特別図柄の変動パターンに応じた変動時間の値をタイマにセットする(ステップS6412)。すなわち、主制御プログラムは、上述のように設定された変動パターンテーブルが大当り変動パターンテーブルである場合、この大当り変動パターンテーブルに基づいて決定された特別図柄の変動パターンに応じて、大当り用変動時間をタイマに設定する。一方、主制御プログラムは、上述のように設定された変動パターンテーブルが小当たり変動パターンテーブルである場合、この小当たり変動パターンテーブルに基づいて決定された特別図柄の変動パターンに応じて、小当たり用変動時間をタイマに設定する。
主制御プログラムは、上述のように設定された変動パターンテーブルが時短時リーチハズレ変動パターンテーブルである場合、この時短時リーチハズレ変動パターンテーブルに基づいて決定された特別図柄の変動パターンに応じて、時短時リーチ用変動時間をタイマに設定する。一方、主制御プログラムは、上述のように設定された変動パターンテーブルが非時短時リーチハズレ変動パターンテーブルである場合、この非時短時リーチハズレ変動パターンテーブルに基づいて決定された特別図柄の変動パターンに応じて、非時短時リーチ用変動時間をタイマに設定する。このように特別抽選の抽選結果が「ハズレ」である場合でも、時短機能が作動しているか否かに応じて特別図柄の変動時間が異なるようにしている。
ここで、主制御プログラムは、このような特別図柄の変動時間として、基本変動時間と加算変動時間とをそれぞれ2バイトのデータで管理しており、これらの時間の合計値である最大変動時間を262.144s(65536×4ms)×2=524.288sとし、それらの時間をそれぞれ1バイトで管理していた従前よりも2倍の長さの特別図柄の変動時間を実現させている。
上述のように決定された特別図柄の変動パターンに応じた変動時間の値をタイマにセットすると、次に、主制御プログラムは、特図250ED作動フラグをONに設定する(ステップS6413)。この特図250ED作動フラグがONにセットされると、主制御プログラムは、開始条件の成立を契機として、上述したステップS6305又はステップS6309において設定された特別図柄変動フラグの値に基づいて特定される第一特別図柄表示器1403(可変表示手段)及び第二特別図柄表示器1405(可変表示手段)の少なくとも一方に、決定された変動パターンに従って、複数のLEDの点灯パターンでなる変動表示を開始させる(図柄変動制御手段)。最後に主制御プログラムは、処理フラグを2に更新し(ステップS6414)、以上のような変動パターン設定処理を終了する。
このように変動パターン設定処理において設定されると、主制御プログラムは、4msごとに実行されるタイマ割り込み処理に含まれるコマンド送信処理において、送信情報記憶領域に書き込み済のパターンコマンド及び当選情報コマンドを読み出して周辺制御基板1510に対して送信する。
[13−7.変動中処理]
図260は、図256に示す変動中処理の一例を示すフローチャートである。
主制御プログラムは、まず、既述のステップS6412(図259参照)においてタイマにセットされた変動時間がタイムアップしたか否かを判定し(ステップS6501)、タイマにセットされた変動時間がタイムアップしていなければ変動中処理を終了する。
一方、タイマにセットされた変動時間がタイムアップしていれば、主制御プログラムは、既述のステップS413においてONにセットした特図250ED作動フラグをOFFにセットする(ステップS6502)。すると、主制御プログラムは、既述のステップS6305又はステップS6309において設定された特別図柄変動フラグに応じて、第一特別図柄表示器1403(可変表示手段)及び第二特別図柄表示器1405(可変表示手段)の少なくとも一方を用いて、7セグメントLEDの点灯、消灯或いは点滅態様の変動パターンでなる変動表示(特別図柄の変動)を停止させ、既述の成立した成立条件に応じて、当該停止態様でなる停止図柄を表示させる(図柄変動制御手段)。すなわち、主制御プログラムは、始動条件の成立後開始条件が成立したことを契機として特別図柄の変動表示を開始させ、その後変動パターンに応じた変動時間が経過したことを契機として、当選条件の判定結果に応じた停止図柄を表示させる(図柄変動制御手段)。
次に主制御プログラムは、上述した送信情報記憶領域に確定停止コマンドを書き込んでセットする(ステップS6503)。この確定停止コマンドは、特別図柄の変動が終了し、所定の停止図柄が確定したことを表すコマンドである。主制御プログラムは、4msごとに実行されるタイマ割り込み処理に含まれるコマンド送信処理において送信情報記憶領域から当該確定停止コマンドを読み出して周辺制御基板1510に送信する。これにより、周辺制御基板1510は、変動表示されていた特別図柄の停止図柄が確定したことを認識することができる。
次に主制御プログラムは、大当りフラグがONであるか否かを判定する(ステップS6504)。大当りフラグがONであると判定された場合、主制御プログラムは、処理フラグを3に更新し(ステップS6505)、当該変動中処理を終了する。
ところで、一般的な遊技機では、遊技球が始動口に受け入れられて始動条件が成立すると、それ以前に始動条件が成立済の始動記憶情報(以下、保留球ともいう)が存在しない場合には特別図柄の変動表示を開始し、所定の変動時間が経過したことを契機として停止図柄を表示させる。
併せて、このような一般的な遊技機においては、始動条件の成立後、その後特別抽選を実行し、この特別抽選において当選している場合には通常遊技状態から特別遊技状態に移行する(既述の第1の参考文献参照)。このように遊技状態が移行した場合、例えば、遊技状態の移行前に記憶済の保留球に関連させていた遊技内容が、遊技状態の移行後に実行されることになる場合があり、一見すると、遊技者に違和感を与えてしまうおそれがありそうにも思える。
そこで本実施形態では、上述したように処理フラグを3に更新した際(つまり、例えば遊技状態を移行させたことを契機として)、併せて主制御プログラムが、次に移行することが確定している遊技状態を表すコマンド(以下「移行先コマンド」という)を上記送信情報記憶領域に書き込んだ後に、その後、この主制御プログラムは、コマンド送信処理(S92)においてこの移行先コマンドを周辺制御基板1510に送信する。
後述するように主制御プログラムは、当選条件が成立していないと遊技状態を通常遊技状態のままとしているが、当選条件が成立している場合には通常遊技状態から当該成立した当選条件に応じた有利な遊技状態に移行させたり、その後、通常遊技状態に戻すように移行させている(遊技状態制御手段)。
従って、主制御プログラムは、遊技状態を移行させたことを契機として、所定の遊技状態に移行させたことを表す移行先コマンドを周辺制御基板1510に送信している(移行後遊技状態通知手段)。一方、周辺制御基板1510では、主制御基板1310から受信した移行先コマンドに基づいて、当該移行された遊技状態を考慮し、当該移行前後の遊技状態の違いによって遊技者に違和感を与えにくい態様の演出動作を制御する。
通常、周辺制御基板1510では、周辺制御MPU1530aが、通常、所定の演出条件が成立すると、主制御基板1310から特段の規制を受けずに演出動作を実行させている。
遊技者に違和感を与えにくい態様とするための第1の例としては、周辺制御MPU1530aが、主制御基板1310から移行先コマンドを受信すると、この移行先コマンドに基づいて遊技状態が移行したことを確実に把握できるため、これを契機として主制御基板1310側の制御により、例えば、既述の先行判定演出やリーチ演出などの演出動作の実行を規制するようにしている。これにより、上記移行前後の遊技状態の違いによって演出動作が遊技者に違和感を与えにくくすることができる。
一方、遊技者に違和感を与えにくい態様とするための第2の例としては、周辺制御基板1510では、周辺制御MPU1530aが、主制御基板1310から受信した移行先コマンドに基づいて、例えば、開始条件が成立した始動記憶情報について始動条件が成立した第1の時点における遊技状態が開始条件が成立した第2の時点における遊技状態とは異なる場合、当該移行された遊技状態を考慮して演出動作を制御するようにしてもよい。
このようにすると、後に移行先コマンドを受け取った周辺制御基板1510では、遊技状態が移行された場合、周辺制御MPU1530aが、遊技状態が移行されたことを即座に把握できるようになるため、移行する遊技状態に連動させた遊技内容が遊技者にとって違和感を生じさせないように演出動作を制御することができるようになる。
なお、周辺制御MPU1530aは、主制御基板1310から移行先コマンドを受信し、例えば、次の遊技状態が確変及び時短状態であると判定した場合、格納済みの先の始動記憶情報に関して所定の当選条件が成立しているものの確率変動機能を作動させる当選種でない場合(いわゆる通常大当りである場合)、当該先の始動記憶情報に続いて格納された次以降の始動記憶情報について、上記先行判定演出を実行しないように規制するようにしてもよい。
ところで、処理フラグが3である状態は、大当りに当選したことが表すように特別図柄の変動表示が停止された処理段階にあることを示している。なお、フローチャートに図示していないが、ステップS6505の処理フラグを3に更新する処理とともに、後述する大当り遊技準備処理における遊技状態を識別するための状況識別フラグに初期値として0がセットされる。
主制御プログラムは、上述のように変動表示されていた特別図柄に応じた第一特別図柄表示器1403(可変表示手段)又は第二特別図柄表示器1405(可変表示手段)を用いて、成立した当選条件に応じた停止図柄を表示させことになる(停止図柄制御手段)。
一方、ステップS6504において大当りフラグがONでないと判定された場合、主制御プログラムは処理フラグを0に更新し(ステップS6508)、当該変動中処理を終了する。この場合、主制御プログラムは、遊技状態の移行を伴わないため、上記送信情報記憶領域への移行先コマンドの書き込みを規制する。なお、この処理フラグが0であるのは、大当りに当選していないことが示されるように特別図柄が変動停止された処理段階にあることを示している。
[13−8.大当り準備処理]
既に説明したように大当り遊技準備処理では、主制御プログラムが、大当り遊技を実行するための条件の一つである条件装置を作動させて、大当り遊技の態様を決定する処理を行うとともに、この決定された大当り遊技の態様(例えばラウンド数)をセットし、役物連続作動装置を作動させる。そして演出制御プログラムは、処理フラグを4に更新するとともに、状況識別フラグを0にセットして初期値に戻し、大当り遊技準備処理を終了する。
[13−9.大当り遊技処理]
次に、処理フラグが「4」のときに実行される大当り遊技処理(ステップS6220)について説明する。図261は、大当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。
上述した大当り遊技処理では、主制御プログラムは、まず、大入賞口2103が開放中か否かを判断する(ステップS6801)。大入賞口2103が開放中である場合、主制御プログラムは、大入賞口2103の開放時間(開放した後の経過時間)が上記ステップS6803にて設定された開閉動作制限時間に達したか否かを判断する(ステップS6802)。この開閉動作制限時間が経過した旨判断された場合、主制御プログラムは、開閉部材を閉動作させることにより大入賞口2103を閉鎖する(ステップS6804)。
ただし、上記ステップS6802において上記設定された開閉動作制限時間が未だ経過していない旨判断された場合であっても、主制御プログラムは、大入賞口2103が開放された後に同大入賞口2103に入球した遊技球の個数が上記ステップS6803にて設定された上限数(例えば9個)以上になっている場合、上記ステップS6804の処理に移行して大入賞口2103を閉鎖状態とさせる。一方、ステップS6802において上記設定された開閉動作制限時間が未だ経過しておらず、ステップS6803において大入賞口2103に受け入れられた遊技球の数も上限数に未だ達していない場合、主制御プログラムは、大入賞口2103を開放状態にて維持したままで、大当り遊技処理を終了する。
一方、上記ステップS6801において大入賞口2103が開放中でない旨判断された場合、主制御プログラムは、開閉部材による大入賞口2105,2106の開放回数(ラウンド遊技の回数)が上記ステップS6803にて設定された最大ラウンド数に到達しているか否かを判別する(ステップS805)。最大ラウンド数に到達していない場合、主制御プログラムは、上述したように成立した当選条件に応じて開閉部材を作動し、各々対応する大入賞口2103を開放し(ステップS6806)、大当り遊技処理を終了する。
一方、主制御プログラムは、上記ステップS6805においてラウンド遊技が既に最大ラウンド数分だけ行われたことが判定された場合、役物連続作動装置の作動を停止することによって、当選条件が成立したことを条件として実行される開閉部材の開閉動作(大当り遊技)の実行を規制する状態に移行させる。
すなわち、この場合、主制御プログラムは、ステップS6807〜ステップS6812を実行することにより、例えばステップS6317(図258参照)にて大当りフラグとは別に主制御基板1310(主制御MPU1310a)のRAMにて記憶されている当該大当り遊技の実行の契機とされた大当りの当選種に基づいて、大当り遊技後の遊技状態を設定してから当該大当り遊技処理を終了させる。
上記ステップS6805においてラウンド遊技が既に最大ラウンド数分だけ行われた旨が判断されたときは、主制御プログラムは、まず、大当りフラグと大当り遊技中フラグとをそれぞれOFF状態に設定し(ステップS6807)、当該大当り遊技の実行契機とされた大当りの当選種を判別する(ステップS6808)。
ここで、ステップS6808では、主制御プログラムが、確率変動機能を作動させる当選種(大当り図柄が例えば0、1、3、5、6、7、9)であるか否かを判断する。つまり、この主制御プログラムは、通常遊技状態よりも当選条件が成立する確率が相対的に高い遊技状態(確率変動状態)とすべきか否かを判定するための確変移行条件が成立しているか否かを判断する(当選確率制御手段)。
主制御プログラムは、この確変移行条件が成立している場合には確率変動状態とするとともに、次に移行することが確定している遊技状態を表すコマンドとして移行先コマンドを上記送信情報記憶領域に書き込む。一方、主制御プログラムは、この確変移行条件が成立していない場合には確率変動状態以外の遊技状態に移行させるとともに(当選確率制御手段)、次に移行することが確定している遊技状態を表すコマンドとして移行先コマンドを上記送信情報記憶領域に書き込む。その後主制御プログラムは、コマンド送信処理(S92)において上記送信情報記憶領域に書き込まれたコマンドを周辺制御基板1510に送信する。
すなわち、主制御プログラムは、上記ステップS6808において確率変動機能を作動させる当選種ではないと判定した場合には確率変動機能及び時短機能のいずれも作動させることなく、条件装置の作動を停止させる(ステップS6811)。
一方、主制御プログラムは、上記ステップS6808において確率変動機能を作動させる当選種(いわゆる確変大当り)であると判定したときには、主制御プログラムは、確率変動機能を作動させる(ステップS6809)。すなわち、主制御プログラムは、通常遊技状態よりも上記当選条件が成立する確率が相対的に高い確率変動状態とすべきか否かを判定するための確変移行条件が成立しているか否かを判断し、上記確変移行条件が成立している場合には当選条件が成立する確率を通常遊技状態よりも相対的に高く設定した確率変動状態に移行させるとともに、特別図柄が所定の変動表示回数に亘って変動表示される間この確率変動状態を継続させる一方、上記確変移行条件が成立していない場合には確率変動状態以外の遊技状態に移行させている(当選確率制御手段)。
次に主制御プログラムは、時短機能を作動させた後(ステップS6810)、条件装置の作動を停止させる(ステップS6811)。時短機能を作動させると、主制御プログラムは、当該作動開始からあらかじめ定められた特別図柄の変動回数に至るまで、変動時間が短縮された変動パターン群を含む各時短時変動パターンテーブルを選択するとともに当該各時短時変動パターンテーブルの中から決定された変動パターンの長さに対応させて、特別図柄の変動時間の値を規定の変動時間の値よりも短くタイマにセットする(時短機能制御手段)。
この主制御プログラムは、次に移行することが確定している遊技状態を表すコマンドとして移行先コマンドを上記送信情報記憶領域に書き込んだ後、コマンド送信処理(S92)において周辺制御基板1510に送信するようにしてもよい。
併せて、主制御プログラムは、当該あらかじめ定められた特別図柄の変動回数に至るまで、所定の開閉パターンに従って、第二始動口2004の近傍に配置されている一対の可動片2105の開閉動作を繰り返し、一対の可動片2105の近傍を流下する遊技球が第二始動口2004に受け入れられ易い状態とする。最後に主制御プログラムは、処理フラグを0にセットし(ステップS6812)、大当り遊技処理を終了する。
以上のように主制御プログラムは、ステップ805においてあらかじめ定めたラウンド数に達するまでの間、大入賞口2103を、大当りの当選種に応じた開放態様によって繰り返し開閉させて、大入賞口2103が開放状態の際に大入賞口2103に受け入れられた遊技球の数に応じた賞球動作の指示を行う。
ここで、一般的な遊技機においては、遊技領域に発射された遊技球が、遊技領域に設けられた多数の釘間を流下し、それらの一部が始動口或いは一般始動口に入球する一方、残りの遊技球が、遊技領域最下に形成された排出口(いわゆるアウト口)から遊技領域外に排出されるが、このような遊技機においては、一見すると、遊技領域内に設けられた役物や釘の配列次第で遊技球の循環が本来あるべき好適な状態とはなりにくいことも考えられる。
しかしながら本実施形態では、上述したように、次のような処理によってこれを解消している。まず、主制御プログラムは、上記当選条件が成立している場合、上記決定された第一特別図柄表示器1403(可変表示手段)及び第二特別図柄表示器1405(可変表示手段)の少なくとも一方を用いて、上述のように決定された変動パターン(当選時変動パターン)に従って特別図柄の変動表示を制御した後、この当選時変動パターンに応じた当選時変動時間が経過したことを契機に当選条件に応じた停止図柄を表示させる(図柄変動制御手段)。
次に主制御プログラムは、当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動している場合、上記決定された第一特別図柄表示器1403(可変表示手段)及び第二特別図柄表示器1405(可変表示手段)の少なくとも一方を用いて、上記決定された時短非当選時変動パターンに従って特別図柄の変動表示を制御した後、この時短非当選変動パターンに応じた変動時間(時短非当選時変動時間)が経過したことを契機に特別抽選の抽選結果に応じた停止図柄を表示させる(図柄変動制御手段)。
次に主制御プログラムは、当選条件が成立しておらず、かつ、時短機能が作動していない場合、上記決定された第一特別図柄表示器1403(可変表示手段)及び第二特別図柄表示器1405(可変表示手段)の少なくとも一方を用いて、当該決定された非時短非当選時変動パターンに従って特別図柄の変動表示を制御した後、この非時短非当選変動パターンに応じた変動時間(非時短非当選時変動時間)が経過したことを契機に特別図柄の抽選結果に応じた停止図柄を表示させる。
[14.先行判定処理]
上述した演出制御プログラムは、既述の受信コマンド解析処理において主制御基板1310から受け取って周辺制御部受信リングバッファに記憶済のコマンドを解析し(コマンド受信手段)、当該コマンドが特別図柄1記憶コマンド又は特別図柄2記憶コマンドであると、このコマンドの受信を契機として、特別図柄1記憶コマンド又は特別図柄2記憶コマンドに対応する新たな始動記憶情報について特別抽選の抽選結果を暗示する始動保留表示態様を遊技盤側演出表示装置1600(表示手段)に導出させる(始動保留制御手段)。
すなわち、この演出制御プログラムは、受信したコマンドが特別図柄記憶先読み演出コマンド(特別図柄1記憶先読み演出コマンド又は特別図柄2記憶先読み演出コマンド)であると、当該特別図柄記憶先読み演出コマンドに含まれる先読み情報(例えば特別図柄の停止図柄に関する情報を例示する)に基づいて、例えば、大当り遊技の種別を示唆する情報を取得し、当該情報に基づいて、当該特別図柄1記憶先読み演出コマンド又は特別図柄2記憶先読み演出コマンドに対応する当該新たな始動記憶情報に対応する特別抽選の抽選結果を暗示する始動保留表示態様を遊技盤側演出表示装置1600に導出させ、その後、当該新たな始動記憶情報に対応する変動時間が経過すると、当該始動保留表示態様の導出を終了する(始動保留制御手段)。
具体的には、特別図柄1記憶先読み演出コマンド又は特別図柄2記憶先読み演出コマンドを受け取った場合、演出制御プログラムは、上記始動保留表示態様(例えば大当りへの期待を抱きにくい保留表示態様として「通常保留表示態様」を例示する)を上記導出の最初から或いは途中から特別始動保留表示態様(例えば大当りへの期待を遊技者に非常に抱かせ易い保留表示態様として「激アツ保留表示態様」を例示する)に差し替えて遊技盤側演出表示装置1600に導出させる先行判定制御を実行する(先行判定制御手段)。
[15.自動チャンネル方式による音制御の別形態]
続いて、前述した音制御方式の別形態の詳細について説明する。前述した音制御方式では、自動チャンネル方式として各チャンネルに対する音の割り当てを動的に変化させることによって、空きチャンネルを有効に活用して多くの音を再生できるようにしていたが、遊技の演出が多様化している近年の遊技機では、数百、数千種類の音を選択して出力するため、音源の管理が複雑化してしまうおそれがある。
また、複数の音を重ねて出力することによって、重複して予告演出を実行したり、少ない音源で多様な音演出を可能としたりする。そこで、図255(C)に示したように、音を複数のグループに分割し、グループごとに複数の音と再生チャンネルとの割り当てを動的に行うことによって、確実に重複して音を出力することができる。また、音を種類ごとに分割することによって管理が容易になる利点も有する。
さらに、音には、報知音のように演出音よりも優先して出力すべき音やBGMのように継続して出力される音がある。これらの音では、動的にチャンネルを割り当てるよりも出力するチャンネルを固定したほうが都合がよい。そこで、図255(D)に示したように、優先して出力される音や常時出力される音については固定チャンネル方式で出力し、始動入賞や変動表示の結果に応じて変化する音については自動チャンネル方式で出力する。
以上のように構成することによって、自動チャンネル方式によって空きチャンネルを有効に活用するとともに、固定チャンネル方式によって不要なチャンネル切替制御が発生することを防ぐことができる。また、BGM、演出音、報知音などの音の種類によって分類することが可能となるため、演出データの管理が容易になる。
図255(E)に示した音制御方式は、図255(C)及び図255(D)に示した音制御方式を組み合わせたものであり、各方式の利点を有している。以下、図255(E)に示した音制御方式について具体的に説明する。
[15−1.固定チャンネル方式と複数の自動チャンネル方式とが混在する音制御]
本実施形態では、前述した例と異なり、音源制御におけるチャンネル数は32チャンネル(ch)とし、固定チャンネル方式で音を再生するチャンネルと、自動チャンネル方式で音を再生するチャンネルとが含まれている。また、自動チャンネル方式で音を再生するチャンネルは、2つのグループに分けられている。以下、図262を参照しながら具体的に説明する。
[15−1−1.再生チャンネルの構成]
図262は、本実施形態における音源制御における再生チャンネルの構成表の一例を示す図である。前述のように、本実施形態の音源制御では、32個のチャンネルを使用し、各チャンネルにはユニークな識別子(チャンネル番号)が割り当てられている。
チャンネルの構成表は、チャンネル番号に対し、自動割付を行うか否かを示す「自動割付け」、各チャンネルの属するグループを示す「区分」、各チャンネルの「使用目的」が含まれる。なお、図262に示す構成表には、補足として「備考」が追加されている。
本実施形態の各チャンネルの構成は、図262に示すように、チャンネル番号0から7までが固定チャンネル方式、8から19までが自動チャンネル方式、20から23までが固定チャンネル方式、24から29までが自動チャンネル方式、30及び31が固定チャンネル方式となっている。
また、チャンネル番号8から19までの自動チャンネル方式のチャンネルが「AUTOグループ1」、チャンネル番号24から29までの自動チャンネル方式のチャンネルが「AUTOグループ2」となっている。
本実施形態における遊技機では、ステレオで音を出力可能としており、ステレオ出力の場合には1ペア(2個)のチャンネルを使用する。一方、モノラル出力場合には1個のチャンネルを使用する。
チャンネル番号0のチャンネル(以下、「チャンネル0」とし、各チャンネルを「チャンネル」+「チャンネル番号」で表現する)は、システム用に使用されるチャンネルである。例えば、特定の機種によらずに、メーカー共通で使用される音を出力するためのチャンネルである。具体的には、遊技機起動時にメーカーのロゴを表示するとともに出力される音などである。また、チャンネル1はステレオで音が出力される場合にチャンネル0とペアになるチャンネルである。
チャンネル2は、遊技中又は客待ち状態でBGMを出力するために使用されるチャンネルである。チャンネル3は、ステレオでBGMが出力される場合にチャンネル2とペアになるチャンネルである。同様に、チャンネル4及びチャンネル6は、BGMを出力するために使用されるチャンネルであり、チャンネル5及びチャンネル7は、ステレオでBGMが出力される場合にチャンネル4及びチャンネル6とペアになるチャンネルである。
また、本実施形態では、単にステレオ出力をしているだけでなく、複数の音を同時に出力することでBGMの音質を向上させている。そのため、BGMを出力するために複数(ペア)のチャンネルを使用可能となっており、BGM1からBGM3を同時に出力することが可能となっている。さらに、後述するように、チャンネル20(及びチャンネル21)でもBGMを出力することが可能となっているため、最大8チャンネル(4ペア)を使用してBGMを4本同時に出力することが可能となっている。
遊技機が正常に稼動している間、BGMは継続して出力されており、所定の音源が繰り返し再生される。そのため、BGMを再生するためのチャンネルは継続して占有されており、動的にチャンネルを割り当てるよりもあらかじめチャンネルを固定しておいたほうが効率的になる。そこで、本実施形態の遊技機における音源制御では、BGMを再生するためのチャンネルを固定チャンネル方式とし、BGMのみを出力するようにしている。これにより、空きチャンネルが発生させてしまうことを防ぎながら、自動チャンネル方式のみで音を再生するよりも制御を簡素化することができる。
チャンネル8から19は、予告演出の実行時に出力される音を再生するためのチャンネルである。予告演出では、変動表示の結果や期待度、遊技の進行状況などに応じて抽選によって選択された音が都度出力される。このように、所定の条件に基づいて都度出力される音については、自動チャンネル方式を適用することによってチャンネルを有効に使用することができる。
本実施形態では、前述した例と異なり、自動チャンネル方式を適用するチャンネルをグループ化する。予告演出時の音を出力するチャンネルのグループは、AUTOグループ1となっている。
予告演出の実行時に音を出力する場合、周辺制御MPU1530aは、まず、AUTOグループ1に割り当てられたチャンネルのうち、空きチャンネルをサーチする。なお、ステレオの場合には2チャンネル分の空きチャンネルをサーチし、原則的に連続するチャンネルを出力用のチャンネルとして設定する。このとき、空きチャンネルが存在すれば、当該空きチャンネルから指定された音を出力するように設定する。一方、空きチャンネルが存在しない場合には、所定の条件に基づいて、使用中のチャンネルを開放して新たに音を出力したり、指定された音の出力を中止したりする。なお、チャンネル選択の詳細な手順については図263を参照しながら後述する。
チャンネル20及び21は、固定チャンネル方式が適用されるチャンネルである。チャンネル21は、チャンネル20とステレオ出力時にペアとなるチャンネルである。チャンネル20及び21は、BGM出力又は演出音を出力するためのチャンネルである。4つの音を重ねてBGMを出力する場合や特定の演出音を出力する場合に使用される。特定の演出音は、例えば、自動チャンネル方式で出力される予告演出以外の演出で出力される音である。
チャンネル22及び23は、チャンネル20及び21と同様に、固定チャンネル方式が適用されるチャンネルである。チャンネル23は、チャンネル22とステレオ出力時にペアとなるチャンネルである。チャンネル22及び23は、保留音が出力されるチャンネルである。チャンネル22及び23で出力される保留音は、例えば、始動入賞時に抽選結果によらずに出力される音であったり、大当り確定時など優先して出力する音であったりする。なお、始動入賞時の抽選結果に基づく音などは、後述するように、チャンネル24から29から出力される。
チャンネル24から29は、自動チャンネル方式が適用されるチャンネルである。チャンネル24から29は、始動入賞時に抽選結果に応じた期待度などに基づいて出力される音や変動開始時に保留表示が変化する場合に出力される音が再生される。チャンネル22及び23を固定チャンネル方式で出力することによって、チャンネル24から29に空きチャンネルがない場合であっても大当り確定時の音を確実に出力することが可能となり、遊技者の注意を引くことができる。
チャンネル30及び31は、固定チャンネル方式が適用されるチャンネルである。チャンネル30及び31は、システム用に使用されるチャンネルである。チャンネル30は、ボリューム変更時の変更音や遊技媒体の払い出し時の報知音が出力される。また、チャンネル31は、遊技機に異常が発生した場合に報知音が出力される。このように、遊技機の操作に関わる報知音や異常発生時の報知音が確実に外部に伝達されるように、あらかじめ出力先が確保された固定チャンネル方式が適用されている。
以上のように、本実施形態では、BGMのように定常的に出力が継続される場合や異常報知音のように確実に出力する必要がある場合には固定チャンネル方式のチャンネルが割り当てられる。これに対し、遊技状態などに応じて臨機応変に出力される音については自動チャンネル方式を適用することによって、空きチャンネルが生じていながら音が出力されなくなることを防止し、有限数であるチャンネルを有効に活用することができる。
[15−1−2.空きチャンネル検索処理]
続いて、本実施形態の音源制御の空きチャンネルを検索する手順について説明する。図263は、本実施形態の音を出力する制御を実行する場合における空きチャンネル検索処理の手順の一例を示すフローチャートである。図244ではAUTOグループが1つの場合について説明したが、図263では複数のAUTOグループを有する点で相違する。なお、共通する処理については説明を省略する。
図263に示す空きチャンネル検索処理では、ステップS1108及びステップS1120の処理において、新規音が自動チャンネル方式の場合に、同じグループのチャンネルに空きチャンネルが存在するか否かを判定する。すなわち、異なるグループのチャンネルが空いていても同じチャンネルのグループに空きがなければ、ステップS1108及びステップS1120の結果は「No」となる。
さらに、図263に示す空きチャンネル検索処理では、空きチャンネルがない場合に所定の条件に基づいて選択されたチャンネルから出力されている音の再生を中止し、新規音を当該チャンネルから出力する(ステップS1118、ステップS1132)。以下、図264を参照しながら音の再生を中止するチャンネルの選択条件について説明する。なお、音の出力が中止された演出は画像表示や役物の動作については中止せずに継続して実行される。
図264は、本実施形態において新規音の出力時にチャンネルが空いていなかった場合に、音の出力を入れ替える(音の再生を中止する、開放する)チャンネルを選択する条件の一例を示す図である。具体的な選択条件としては、再生中の音と新規音について属性を比較し、より重要度の高い音を優先する。属性とは、後述するように、再生時間、出力がステレオであるかモノラルであるか、ボリュームの大きさ、再生中の音の変化量などを含み、さらに、チャンネル選択時点における音の再生時間、再生残り時間なども含む。以下、各条件について具体的に説明する。
条件1は、再生開始からの再生時間(経過時間)に基づいてチャンネルを選択する。例えば、図244のステップS1114及びS1130に示したように、再生時間の長いチャンネルを選択する。このように再生が開始されてからの経過時間が長いチャンネルを選択することによって十分に実行された演出音の出力を終了し、新たな演出が実行されたことを遊技者が認識しやすくなる。
条件2は、演出全体の再生時間に基づいてチャンネルを選択する。例えば、再生時間の長い演出ほど期待度の高い演出となり得るため、再生時間の短い演出を選択する。一方、再生時間の長い演出を中止することによって、以降実行される演出に与える影響を最小限にするようにしてもよい。この場合、再生開始からの再生時間によらずにあらかじめ設定されている総再生時間に基づいて判定する。
条件1及び条件2は再生時間に関する条件であったが、これ以外にも、例えば、残り演出時間の短い(又は長い)演出の音出力を中止してもよい。また、演出全体の時間に対して再生開始からの経過時間、すなわち、演出の進行比率に応じてチャンネルを選択するようにしてもよい。このように条件を設定することによって、演出の初期段階又は最終段階で音の出力を中止することができる。
条件3は、再生中の音のボリュームの大きさに基づいてチャンネルを選択する。例えば、ボリュームの大きい音が出力される演出のほうが重要度の高い演出となり得るため、出力されている音のボリュームが小さいチャンネルを優先して選択する。反対に、出力されている音のボリュームが大きいチャンネルを優先して選択し、新たに演出が実行されることを遊技者に認識させるようにしてもよい。
条件4は、再生中の音のボリュームの変化に基づいてチャンネルを選択する。例えば、フェードイン又はフェードアウトされる音が出力される演出のほうが重要度の高い演出となり得るものとし、ボリュームの変化量の少ないチャンネルを優先して選択する。反対に、ボリュームの変化の多いチャンネルを優先して選択し、音制御の負荷を低減するようにしてもよい。
条件5は、動的な音像定位位置の変化(パンポット)に基づいてチャンネルを選択する。例えば、ステレオスピーカーの左右の音の出力を変化させることによってより立体的な音響効果をもたらすような演出のほうが重要度の高い演出となり得るものとして、動的な音像定位位置の変化の少ないチャンネルを優先して選択する。一方、動的な音像定位位置の変化の多いチャンネルを優先して選択し、音制御の負荷を低減するようにしてもよい。
条件6は、音番号(インデックス)に基づいてチャンネルを選択する。例えば、音番号の大きい(小さい)番号を選択する。このとき、音番号に優先順位を対応付けるようにしてもよい。
条件7は、音がモノラルであるかステレオであるかによってチャンネルを選択する。例えば、音質のよいステレオ音で出力される演出のほうが期待度が高いものとして、モノラル音を出力するチャンネルを選択する。一方、モノラル音は1チャンネルのみ使用するため、モノラル音を出力するチャンネルを開放しても空きチャンネルの数が足りない場合には、空きチャンネルを増やすためにステレオ音を出力するチャンネルを選択するようにしてもよい。
条件8は、ボリュームの調整が許可されているか否かによってチャンネルを選択する。例えば、ボリューム調整を行えないように設定された演出ほど重要度が高いものとしてもよいし、ボリューム調整を行えるように設定された演出ほど重要度の高いものとしてもよい。
以上示した条件のほかにも、例えば、同じ優先順位の場合には、チャンネルを入れ替えずに新たな音の再生要求を破棄するようにしてもよい。また、すべての音に対してユニークな優先順位を割り当てることで、同じ優先順位とならないように演出データを設定するようにしてもよい。
図264に示す表には、例として1から8までの条件を示したが、これらの条件は単独で適用してもよいし、複数の条件を組み合わせて適用するようにしてもよい。例えば、各条件に閾値を設定し、より多くの条件を満たすチャンネルを選択してもよいし、各条件に優先順位を設定し、順次条件を適用するようにしてもよい。
[15−1−3.ボリューム制御]
続いて、新たに出力する音に割り当てられた優先順位に基づいて、チャンネルを割り当てる制御を行う例について説明する。ここでは、変動前半に3種類の予告(前半予告A〜C)が実行される例について説明する。図265は、本実施形態の音制御を説明するための演出例を示すタイミングチャートであり、(A)は効果音が再生されるタイミング、(B)は各効果音が出力されるチャンネルを示している。図266は、本実施形態の演出例における効果音の優先順位の一例を示す図である。
図265に示す演出例では、変動表示が開始されてから所定時間が経過すると、前半予告_Aが発生する。このとき、表示画面上に演出ボタンの操作指示が表示され、遊技者が演出ボタンを操作すると、前半予告_Bが発生する。さらに、前半予告_A及び前半予告_Bが実行中に前半予告Cが発生する。
また、図266に示すように、前半予告_Aの優先順位が03、前半予告_Bの優先順位が05、前半予告_Cの優先順位が20となっている。さらに、前半予告_B及び前半予告_Cにはボリューム抑制フラグが設定されているため、同じグループ内で優先順位の低い予告演出が重複して実行される場合には、抑制ボリューム値に基づいて音量が低減される。
各予告の内容について説明すると、前半予告_Aは、例えば、キャラクタが登場する演出であり、表示画面にキャラクタが登場するとともに、効果音がチャンネル08及び09からステレオで出力される。
前半予告_Bは、演出ボタンの操作によって実行される演出であり、ボタン操作時にボタン押下音が再生されるとともに(チャンネル18,19)、前半予告_Bが開始され、チャンネル10及び11からステレオで効果音が出力される。
前半予告_Cは、効果音の出力とともに(チャンネル12,13)、所定時間、画面表示が中止され、前半予告_Cよりも優先順位の低い音、具体的には他の予告演出及びBGMが一時的に消音される(ブラックアウト演出)。その後、演出画面が表示されると、前半予告_C以外の効果音の出力が再開される。
ここで、図267を参照しながら各予告演出の効果音のボリューム変化についてさらに詳細に説明する。図267は、本実施形態の前半変動における効果音のボリューム変化の一例を示すタイミングチャートであり、(A)は演出効果音の出力タイミング、(B)は各演出効果音のボリューム変化を示す。また、横軸は時間軸、(B)の縦軸はボリューム(音量)を示す。
前述のように、本実施形態では、時刻t0から変動表示が開始され、時刻t1になると、前半予告_Aが開始される。このとき、前半予告_Aの演出効果音のあらかじめ設定されたボリュームV_Aで出力される。
その後、演出ボタンの操作指示が演出画面上に表示され、演出ボタンの押下によって前半予告_Bが実行される(時刻t2)。このとき、演出ボタンのボタン押下音がボリュームV_Tで再生されるとともに前半予告_Bの演出効果音がボリュームV_Bで出力される。また、前半予告_Bの優先順位は前半予告_Aの優先順位よりも高いため、前半予告_Aの効果音のボリュームを50%に抑制する。
なお、後で実行された予告演出の優先順位が実行中の予告演出の優先順位よりも低い又は同じ場合にはボリュームを下げなくてもよいし、同時に出力されている効果音が少ない場合にもボリュームを下げなくてもよい。また、特定の予告演出の組み合わせの場合のみボリュームを下げるようにしてもよい。
さらに、時刻t3で前半予告Cが実行されると、時刻t5までの間、画面が暗転し、前半予告_C以外の効果音が消音される。このとき、前半予告_Cの効果音は、ボリュームV_Cで出力される。
また、時刻t3から消音された前半予告_A及び前半予告_Bの演出効果音は、時刻t5で出力が再開される。ボタン押下音は、本来であれば、時刻t4まで出力されるがt5>t4であるため、時刻t3で再生が終了する。
その後、前半予告_A及び前半予告_Bは、あらかじめ設定された終了時刻まで演出が継続される(時刻t6,t7)。さらに、時刻t8において前半予告_Cが終了し、変動前半が終了する。
なお、演出効果音が消音されている期間は、ボリュームを0にした状態で演出効果音の出力を継続するようにしてもよいし、演出効果音の出力を停止するようにしてもよい。ボリュームを0にする場合、チャンネルごとのボリューム(サブボリューム)を0に設定してもよいし、演出効果音全体のボリュームを制御するメインボリュームを0に設定し、前半予告_Cの効果音の出力をメインボリュームによる制御の影響を受けないようにバイパスして出力するようにしてもよい。また、前半予告_Cによって他の効果音の出力が抑制されている状態であっても、より優先順位の高い効果音、警告音、報知音については出力される。
以上のように、新たな音を出力して再生中の音のボリュームを下げる場合、ボリューム抑制フラグなどによって指定された音のボリュームを下げるのではなく、すべてのチャンネルで再生中の音のボリュームを下げるようにしてもよいし、チャンネル方式(固定チャンネル方式、自動チャンネル方式)が同じチャンネルで再生中の音のボリュームを下げるようにしてもよい。また、同じグループ(AUTOグループ)内のチャンネルで再生中の音のボリュームを下げるようにしてもよい。
[15−1−4.効果]
以上のように構成することによって、本実施形態では、優先順位の高い音を優先して出力することができる。優先順位の高い音は、例えば、報知音や警告音など遊技者や遊技場の従業員に確実に伝達するための音であったり、変動表示の結果が大当りとなる期待度が高く、遊技者の期待感を高めるための効果音であったり、演出効果が高く遊技の興趣を向上させることが可能な効果音であったりする。
さらに、本実施形態では、音源制御で使用する各チャンネルを複数のグループに分類することによって、演出効果音に関する演出データの管理を容易にすることが可能となる。これにより、系統的なテストの実施などによるバグ発生の抑止など開発効率の向上を図ることができる。また、安定した遊技を可能とすることにより、遊技の興趣を向上させることができる。
特に、本実施形態では、自動チャンネル方式のチャンネルが複数のグループに分類されている。具体的には、予告演出の効果音を出力するグループ(AUTOグループ1)と、保留関連の効果音を出力するグループ(AUTOグループ2)である。予告演出の効果音は、チャンネル数と比較して膨大な数となっており、また、重複して同時に複数の演出効果音が再生可能となっている。特に、変動前半時には、当該変動の予告とともに保留中の変動の先読み予告が実行されるなどして割り当てられたチャンネル数を超える演出効果音の出力が要求されることがありうる。このような場合に、AUTOグループ1に割り当てられたチャンネル内で、優先順位の低い演出効果音を優先順位の高い演出効果音を入れ替えながら出力することによって、遊技の興趣を最大限高めることができる。
さらに、変動表示の保留表示の変化及びこれにともなって演出効果音を出力することによって期待度を報知する演出は、遊技者の期待感を大きく高めることができ、確実に実行されることが望ましい。本実施形態では、このような保留表示(保留音)に関する演出効果音をAUTOグループ2に属するチャンネルから出力することによって、変動表示に係る予告演出とは独立して、より確実に再生することができる。また、変動表示おける予告演出の場合と異なり、AUTOグループ2に割り当てられたチャンネル数と比較して、同時に出力される演出効果音の数が大きく超えることはないため、演出効果音の出力が中止される可能性が少なくなっている。また、中止された場合であっても、優先順位の低い演出効果音の出力が中止されるだけである。したがって、遊技者の期待感を高める効果の高い演出を確実に実行することにより、遊技の興趣を高めることが可能となる。
また、本実施形態では、自動チャンネル方式が適用されたチャンネルと固定チャンネル方式が適用されたチャンネルとが混在している。前述したように、自動チャンネル方式では、空きチャンネルをサーチすることによって有限数のチャンネルを有効に活用するとともに、優先順位を設定することによって演出効果や重要度の高い音を優先して出力することを可能としている。一方、固定チャンネル方式は、BGMのように継続して音を出力する場合や遊技機の故障や不正行為などの報知するために優先して音を出力する場合に適用される。このように、音の特性や用途に応じて適したチャンネル方式を適用することによって、各チャンネルを有効に利用し、さらに、音の出力状況に合わせた適切な制御を行うことができる。例えば、BGMを出力する制御では、遊技状態に関わらず、あらかじめ割り当てられたチャンネルに音を出力すればよく、また、警報音を出力する制御では、空きチャンネルをサーチすることなく、指定されたチャンネルに直接音を出力すればよい。一方、自動チャンネル方式では、前述したように、空きチャンネルを最大限に活用し、また、演出効果の高い音を優先して出力することができる。
さらに、本実施形態では、演出効果音(チャンネル)ごとのボリュームを制御することによって、優先順位の高い演出を強調して実行することができる。また、実行中の演出についても中断することなくボリュームを下げながら継続させることができる。このとき、優先順位の高い演出が終了した後も先に実行された優先順位の低い演出が継続中であれば、ボリュームを元の音量に戻すことも可能である。また、実施例に記載したように、他の演出を停止させ、特定の演出を単独で実行することによって、当該特定の演出の演出効果を際立たせることができる。このようにして、本実施形態では、演出のバリエーションを増加させ、遊技の興趣を向上させることができる。
[15−2.固定チャンネル方式と自動チャンネル方式とが混在する音制御の変形例]
以上説明した音制御方式では、自動チャンネル方式が設定されているチャンネル数と固定チャンネル方式が設定されているチャンネル数があらかじめ設定された数となっていたが、本変形例では、自動チャンネル方式が設定されているチャンネル数と固定チャンネル方式が設定されているチャンネル数が可変となっている変形例について説明する。
[15−2−1.演出例]
チャンネル数を可変にした場合に、例えば、一時的に同種類の音を割り当て可能なチャンネル数よりも多く出力したい場合があげられる。例えば、複数のシーンを含む演出を実行可能な遊技機の場合において、画面を複数に分割し(例えば、9分割)、分割された各画面で異なるシーンを表示する。そのとき、各シーンに対応するBGMを出力することが考えられる。図268は、本実施形態の変形例における演出の画面構成例を示す図である。図268に示す演出例はリーチ発生後の後半変動における予告演出となっている。
本変形例では、表示画面を9分割し、各画面に異なるシーンの表示する演出(マルチ画面演出)を実行する。そして、いずれか一つのシーンが選択され、選択されたシーンに対応する演出が実行される。このとき、各シーンのBGM(9種類)が同時に出力される。なお、シーンの選択は抽選によるものであってもよいし、遊技者が選択するものであってもよい。
本変形例の遊技機は、前述した実施例と同様に、音源制御において32個のチャンネルを使用する。また、デフォルトのチャンネルの割り当ては、図262に示した配置と同様である。したがって、最大同時に4種類(8チャンネル)のBGMを出力することが可能となっている。しかしながら、本変形例におけるマルチ画面演出では、同時に9種類のBGMを出力する必要がある。そこで、本変形例では、BGMを出力するためのチャンネルを再割り当てし、チャンネルの配置を再編成する。
[15−2−2.チャンネル配置]
図269は、本実施形態の変形例における音源制御における再生チャンネルの構成表の一例を示す図であり、(A)はデフォルトの構成、(B)はマルチ画面演出実行時の構成を示す。図269(A)のデフォルトの構成は、前述したように、図262に示した配置と同様である。
本変形例では、マルチ画面演出が開始されると、図269(A)に示したチャンネルの配置を図269(B)に示した配置に変更する。具体的には、BGMを出力するための固定チャンネル方式のチャンネルを追加し(チャンネル8〜17)、AUTOグループ1に割り当てられた自動チャンネル方式が採用されたチャンネルの数を削減している。これは、マルチ画面演出の実行中にさらに異なる予告演出を実行しても遊技者に認識されにくいためである。
マルチ画面演出開始後、すべてのシーンが表示されている間は各シーンに対応するBGMがすべて再生される。このとき、すべてのBGMを通常のボリュームで出力すると、音量が大きくなりすぎるため、音量を通常よりも小さくした状態で出力する。そして、シーンが選択されると、選択されたシーンに基づく予告演出(後半予告)が実行され、選択されたシーンのBGMのボリュームを通常の音量に設定し、これ以外のBGMの再生を終了する。また、遊技者がシーンを選択する場合には、例えば、遊技機に備えられた操作部によって分割された画面を選択し、シーンを決定するまでの間、選択されているシーンのBGMを他のシーンのBGMよりもボリュームを大きくするようにしたり、他のシーンのBGMのボリュームを小さくするようにしてもよい。
[15−2−3.ボリューム制御]
図270は、本実施形態の変形例の変動後半における効果音のボリューム変化の一例を示すタイミングチャートであり、(A)は演出効果音の出力タイミング、(B)は各演出効果音のボリューム変化を示す。
図270に示す演出例では、マルチ画面演出の実行が決定したタイミングで(例えば、変動開始時)、チャンネル配置がデフォルト状態(図269(A))からマルチ画面演出用の配置(図269(B))に変更される。前半変動終了後(時刻t11)、リーチが発生し、後半変動が開始される。後半変動の開始後、マルチ画面演出が開始される(時刻t12)。このとき、図268に示したように、表示画面が分割され、分割された表示領域に異なるシーンが表示されるとともに、各シーンに対応するBGMが出力される。
マルチ画面演出が開始されると、そして、マルチ画面演出用の配置(図269(B))に変更後の各チャンネルの使用目的に対応するBGMを出力する。このとき、通常のボリュームV_1よりも小さいボリュームV_2で出力する。
その後、演出を継続するシーンが選択されると(時刻t13)、選択されたシーンに対応するBGMのボリュームを通常のボリュームV_1に設定し、他のBGMの出力を停止する。図270に示す演出例では、シーン5が選択され、BGM_0−5の音量を通常のボリュームV_1に設定する。このとき、シーン5に対応する表示領域が表示画面全体に表示され、さらに、シーン5に対応する後半予告_5が実行される。
なお、マルチ画面演出の終了後、BGM_0−5を出力するチャンネルをチャンネル10,11からチャンネル2,3に変更し、チャンネルの配置をデフォルトに戻してもよい。本変形例のように、チャンネル10,11からのBGMの出力を継続する場合には、次の変動の開始時にチャンネルをデフォルトの配置に戻すようにしてもよい。
また、チャンネル配置の変更は、必要になったタイミングで変更するようにしてもよい。例えば、本変形例では、マルチ画面演出の実行を開始する直前にチャンネルの配置を変更してもよいし、後半変動の開始時に変更するようにしてもよい。
さらに、演出内容に応じてチャンネルの配置を変更するのではなく、遊技状態(例えば、大当り状態、時短状態、背景変化などの演出モード)が変化した場合に変更してもよい。
[15−2−4.効果]
以上のように構成することによって、固定チャンネル方式による音制御を行う固定チャンネル(図255(F)の「可変固定ch」に相当)の数と、自動チャンネル方式による音制御を行う自動チャンネル(図255(F)の「可変AUTOch」に相当)の数とが、再生しようとする音の種類や数に応じて柔軟に変化させることができる。これにより、状況に応じてより多くの報知音、BGM或いは効果音を再生可能な状態とすることができるようになり、例えば遊技されていない状況においてはより多くの種類の報知音を出力するようにしたり、再生可能な報知音の数を抑制して演出上再生すべきBGMや効果音の数を増やすなどの柔軟な対応が可能となる。
[16.他のチャンネルで出力中の音に対する制御]
以上説明した実施形態では、チャンネルをグループ化し、出力する音を各グループに対応付けることによって管理する例について説明した。また、同じグループで同時に割り当て可能な音の数を超えてしまう場合に所定条件に基づいて発音中の音の出力を中止して新たな音を出力したり、新たな音の出力を中止したりし、同じグループに属する出力中の音に対する制御について説明した。ここでは、新たにチャンネルに音を割り当てて出力する場合に、他のチャンネルで出力中の音に対して音量を変更するなどの制御を行う場合について説明する。
特別図柄の変動開始後、リーチが発生前の状態において(前半変動中)、所定の効果音の出力とともに、再生中のBGMや他の演出による音の出力を所定時間規制(消音)する。このような制御を行う代表的な演出としては、効果音の出力を規制するとともに、画面を暗転させるブラックアウト演出がある。ブラックアウト演出では、効果音の出力を規制してから所定時間経過後、画面の暗転を解除し、BGMや他の演出による音の出力を再開することによって、新たに出力される音(当該音の出力を含む演出)を際立たせて遊技者の注意を引き、当該変動に対する遊技者の期待感を増大させることができる。
本実施形態では、効果音が出力されているチャンネルの割り当てを解除して新たに音を割り当てるのではなく、空きチャンネルに新たな音を割り当てて出力する場合について説明する。この場合、BGMなどの出力を規制前の状態に復帰するために、チャンネルに音を再割り当てするなどの処理について考慮せずにボリューム(音量)を戻せばよい。以下、具体的な実施形態について説明する。
[16−1.異なるグループの音が出力中の場合の制御]
本実施形態では、チャンネルをグループ化し、グループごとに優先順位を設定する。そして、優先順位の低いグループに属するチャンネルで音が出力されている場合に、新たに優先順位の高いグループに属するチャンネルで音を出力する場合について説明する。
[16−1−1.チャンネルグループ別ボリューム制御テーブル]
図271は、本実施形態におけるグループごとのボリューム(音量)制御の優先順位を示すチャンネルグループ別ボリューム制御テーブルの一例を示す図である。本実施形態では、各チャンネルを、固定チャンネル(固定ch)1、固定チャンネル(固定ch)2、自動チャンネルグループ(AUTOグループ)1、自動チャンネルグループ(AUTOグループ)2、自動チャンネルグループ(AUTOグループ)3の5つのグループに分割している。
各グループには、グループボリューム優先順位、抑制ボリューム値が設定されている。グループボリューム優先順位は、グループ間の優先順位を示しており、数値が小さいほど優先順位が高くなっている。本実施形態では、1以上の数値が設定され、「1」が最も優先順位が高くなっている。
抑制ボリューム値は、優先順位の低いグループに属するチャンネルで音が再生されている場合に、再生中の他の音のボリュームを変化させる態様を示す数値である。具体的には、「−1」が設定されている場合には、再生中の他の音を変化させずにそのまま音の再生を継続する。「0」が設定されている場合には、再生中の他の音を消音させるように制御する。「0」以外の数値が設定されている場合、例えば、「50」が設定されている場合には、再生中の他の音のボリュームを50%に抑制する。すなわち、1から100までの数値が設定されている場合には、単位を%としてボリュームを変化させる。なお、100以上の数値を設定して通常よりもボリュームを大きくするように制御してもよい。
さらに、図271を参照して各設定値について説明すると、本実施形態においても前述した実施形態と同様に、固定チャンネル方式と自動チャンネル方式のチャンネルが混在している。固定チャンネルでは、報知音やBGMなどを優先して出力されたり、常時出力されたりする音が割り当てられる。自動チャンネルでは、演出の種類や重要度などに応じてグループ化された演出効果音が割り当てられる。
固定ch1では、グループボリューム優先順位が最も高い「1」に設定されている。また、抑制ボリューム値に「0」が設定されているため、固定ch1で音が再生される場合には、再生中の他の音はすべて消音される。固定ch1で再生される音は、参考再生音として示しているように遊技者や遊技場の従業員など外部に報知するための報知音であり、具体的には、磁気異常を検出したことや遊技機に障害が発生したことを報知するために報知させる警報音であったり、球詰まりなどの報知音であったりする。すなわち、固定ch1から音が出力される場合には、不正行為や故障の発生などを要因とするため、演出効果音などの出力を中止し、報知音のみを出力するようにしている。また、優先順位が最も高い固定ch1から報知音が出力されている間は、相対的に優先順位の低い他の音の出力は規制される。
固定ch2では、図271ではグループボリューム優先順位が最も低い「4」に設定されている。また、抑制ボリューム値に「−1」が設定されているため、固定ch2で音の再生が開始されても再生中の他の音には影響を与えないようになっている。固定ch2で再生される音は主に遊技におけるBGMであり、通常の遊技ではBGMが出力されている状態で特別図柄の変動表示の実行などに対応して遊技者の注意を引く演出効果音などが出力される。
AUTOグループ1では、グループボリューム優先順位が「2」に設定されている。また、抑制ボリューム値に「0」が設定されているため、AUTOグループ1で音が再生される場合には、固定ch1から出力される報知音以外の再生中の音はすべて消音される。すなわち、AUTOグループ1で出力される音は演出において最優先で出力され、他の音を消音させて単独で出力されるものである。
AUTOグループ1で出力される具体的な音としては、参考再生音に示すように、大当り確定音、ブラックアウト効果音、V入賞音などである。大当り確定音は、始動入賞時などの所定のタイミングで変動表示の結果が大当りとなることを報知する音であり、遊技者にとって期待感が最大限に向上する演出効果音となる。V入賞音は、Vゾーンに遊技球が入賞し、例えば、高確率状態に移行することが確定したことを報知する音であり、大当り確定音と同様に、遊技者の期待感を大幅に向上させることができる。
ブラックアウト効果音は、前述したブラックアウト演出の実行時に他の演出効果音の出力を抑制し、無音の状態で出力される効果音である。このとき、演出画面の表示についても暗転させる。このとき、ブラックアウト効果音の出力とともに画面に閃光を発する演出などを実行してもよい。大当り確定音やV入賞音は、これらの音の出力を遊技者が聞き逃さないようにするために他の音の出力を抑制するため、音の出力後短時間で抑制されている音の出力が再開される。一方、ブラックアウト効果音では、当該ブラックアウト効果音を出力した後も所定時間、他の演出による効果音が出力されていない状態とすることで、ブラックアウト演出に遊技者の注意を集中させる。また、ブラックアウト演出の実行後、ブラックアウト演出に連動した演出を当該変動で実行するようにしてもよく、例えば、前半変動でブラックアウト演出を実行し、後半変動で対応する演出を実行するようにしてもよい。
AUTOグループ2では、グループボリューム優先順位が「3」に設定されている。また、抑制ボリューム値に「50」が設定されているため、AUTOグループ2で音が再生される場合には、優先度が「4」以下のグループの再生中の音はすべて半減(50%の出力に抑制)される。例えば、固定ch2から出力されるBGMは前述のようにグループボリューム優先順位が「4」であるからボリュームが半減され、AUTOグループ2の音は通常の音量で出力される。これにより、BGMを完全に消音せずに遊技の流れを継続しながら遊技者の注意を引く演出を実行することができる。AUTOグループ2で出力される具体的な音としては、例えば、前半予告効果音や後半予告効果音などである。
AUTOグループ3では、グループボリューム優先順位が「2」に設定されている。また、AUTOグループ2の場合と同様に、抑制ボリューム値に「50」が設定されているため、AUTOグループ3で音が再生される場合には、優先度が「3」以下のグループの再生中の音はすべて半減される。例えば、AUTOグループ2から予告効果音が出力されている場合には、当該予告効果音の音量が半減される。このとき、固定ch2から出力されるBGMの音量が既に半減されている場合には、音量を変更せずに継続してもよいし、さらに音量を半減(当初の音量の4分の1)してもよい。
AUTOグループ3で出力される具体的な音としては、例えば、始動入賞時の保留入賞音、保留表示が変化したことを示す保留変化音、演出ボタンを押下したことを報知するボタン押下音などである。本実施形態では、グループボリューム優先順位が同じ場合には、通常のボリュームでそのまま音を出力する。そのため、AUTOグループ2のブラックアウト演出が実行されて、BGMなどの出力が規制されている状態であっても、AUTOグループ3に属する音は出力される。例えば、遊技球が始動入賞口に入球した場合には、ブラックアウト演出実行中であっても保留入賞音が出力されることになる。
[16−1−2.グループボリューム制御処理]
続いて、本実施形態におけるボリューム制御の手順について説明する。図272は、本実施形態の出力された音が属するグループに対応した音制御を行うグループボリューム制御処理の手順を示すフローチャートである。グループボリューム制御処理は、周辺制御部電源投入時処理の周辺制御部定常処理(図230、ステップS1030)における音データ作成処理で実行される。以下、グループボリューム制御処理について説明する。
周辺制御MPU1530aは、グループボリューム制御処理が開始されると、まず、新規音の再生要求があるか否かを判定する(ステップS1401)。新規音の再生要求がない場合には(ステップS1401の結果が「No」)、ステップS1420以降の処理を実行する。
一方、周辺制御MPU1530aは、新規音の再生要求がある場合には(ステップS1401の結果が「Yes」)、再生要求のあった音の音番号からチャンネルグループを特定し、チャンネルグループ別ボリューム制御テーブル(図271)から、チャンネルグループに対応する、抑制ボリューム値とグループボリューム優先順位を取得する(ステップS1402)。
次に、周辺制御MPU1530aは、取得した抑制ボリューム値が「−1」(抑制制御なし)であるか否かを判定する(ステップS1403)。取得した抑制ボリューム値が「−1」である場合(ステップS1403の結果が「Yes」)、すなわち、再生中の音に対する制御を行わない場合には、ステップS1406以降の処理を実行する。
取得した抑制ボリューム値が「−1」でない場合(ステップS1403の結果が「No」)、すなわち、再生中の音に対する制御を行う場合には、周辺制御MPU1530aは、さらに、再生要求された音の音番号、抑制ボリューム値及びグループボリューム優先順位がワーク領域に登録済みか否かを判定する(ステップS1404)。音番号、抑制ボリューム値及びグループボリューム優先順位が登録済みの場合には(ステップS1404の結果が「Yes」)、ステップS1406以降の処理を実行する。
音番号、抑制ボリューム値及びグループボリューム優先順位が登録済みでない場合には(ステップS1404の結果が「No」)、周辺制御MPU1530aは、再生要求された音の音番号、抑制ボリューム値及びグループボリューム優先順位をワーク領域に保持する(ステップS1405)。このワーク領域は、現在再生中の優先順位が最も高い音のパラメータ(音番号、抑制ボリューム値及びグループボリューム優先順位)が記録される。
続いて、周辺制御MPU1530aは、既に再生中の音があるか否かを判定する(ステップS1406)。再生中の音がない場合には(ステップS1406の結果が「No」)、新規再生要求のあった音のボリュームにあらかじめ定められたボリューム値をセットする(ステップS1407)。一方、既に再生中の音がある場合には(ステップS1406の結果が「Yes」)、ステップS1410以降の処理でワーク領域に記憶されたパラメータ及び新規音のパラメータに基づいて音制御を行う。
再生中の音に対する制御について説明すると、周辺制御MPU1530aは、まず、ワーク領域に再生中の音の出力を抑制する音のパラメータが登録済みか否かを判定する(ステップS1410)。再生中の音の出力を抑制する音のパラメータが登録済みでない場合には(ステップS1410の結果が「No」)、新規再生要求のあった音の出力をセットする(ステップS1407)。
ステップS1410以降で実行される音制御について説明すると、再生中の音の出力を抑制する音が登録済みの場合には(ステップS1410の結果が「Yes」)、周辺制御MPU1530aは、新規再生要求のあった音のグループボリューム優先順位と、ワーク領域に保持済みのグループボリューム優先順位とを比較する(ステップS1411)。
新規再生要求のあった音のグループボリューム優先順位が、既にワーク領域に保持済みのグループボリューム優先順位よりも低い場合には(ステップS1411の結果が「<」)、周辺制御MPU1530aは、新規再生要求のあった音のボリュームをワーク領域の抑制ボリューム値に基づいて低減させる(ステップS1414)。
また、新規再生要求のあった音のグループボリューム優先順位が、ワーク領域に保持済みのグループボリューム優先順位よりも高い場合には(ステップS1411の結果が「>」)、周辺制御MPU1530aは、新規再生要求のあった音の音番号、抑制ボリューム値及びグループボリューム優先順位をワーク領域に上書きし(ステップS1412)、新規再生要求のあった音のボリュームをあらかじめ定められたボリューム値に設定する(ステップS1413)。
さらに、新規再生要求のあった音のグループボリューム優先順位が、ワーク領域に保持済みのグループボリューム優先順位と等しい場合には(ステップS1411の結果が「=」)、周辺制御MPU1530aは、ワーク領域の内容を維持したまま、新規再生要求のあった音のボリュームをあらかじめ定められたボリューム値に設定する(ステップS1413)。
続いて、周辺制御MPU1530aは、既に再生中の音のグループボリューム優先順位はワーク領域に記録済みのグループボリューム優先順位よりも低いか否かを判定する(ステップS1415)。再生中の音のグループボリューム優先順位はワーク領域に記録済みのグループボリューム優先順位よりも低い場合には(ステップS1415の結果が「Yes」)、再生中の音のボリュームをワーク領域に記録された抑制ボリューム値に基づいて低減させる(ステップS1416)。
すべての再生中の音に対してステップS1415及びステップS1416の処理を実行した場合(ステップS1417)、又は、ステップS1407の処理の終了後、周辺制御MPU1530aは、抑制ボリューム値とグループボリューム優先順位がワーク領域に登録済みか否かを判定する(ステップS1420)。抑制ボリューム値とグループボリューム優先順位がワーク領域に登録済みでない場合には(ステップS1420の結果が「No」)、本処理を終了する。
抑制ボリューム値とグループボリューム優先順位がワーク領域に登録済みである場合には(ステップS1420の結果が「Yes」)、周辺制御MPU1530aは、ワーク領域に登録済みの音番号に対応する音の再生が終了したか否かを判定する(ステップS1421)。ワーク領域に登録済みの音番号に対応する音の再生が終了していない場合には(ステップS1421の結果が「No」)、本処理を終了する。
ワーク領域に登録済みの音番号に対応する音の再生が終了した場合には(ステップS1421の結果が「Yes」)、周辺制御MPU1530aは、音番号、抑制ボリューム値及びグループボリューム優先順位をワーク領域から消去する(ステップS1422)。最後に、再生中のすべての音に対し、あらかじめ定められた元のボリューム値に戻し(ステップS1423、ステップS1424)、本処理を終了する。
以上が本実施形態における新規音の再生が要求された場合に、再生中の音のボリュームを制御する処理である。続いて、時系列に沿って音のボリューム制御について説明する。図273は、本実施形態におけるボリュームを制御する手順を時系列に沿って説明するためのタイミングチャートであり、(A)は演出の実行タイミング、(B)は各演出のボリュームを示す。図273では、予告演出及びブラックアウト演出を実行する例について説明する。
遊技機の電源が投入されると、遊技が開始され、通常BGMが固定チャンネル(固定ch2)で出力される。固定ch2は、図271に示したように、グループボリューム優先順位が「4」、抑制ボリューム値が「−1」になる。通常BGMは、抑制ボリューム値が「−1」であるため、通常BGMの音番号、グループボリューム優先順位及び抑制ボリューム値がワーク領域に記録されずに音が再生される。
遊技球が始動入賞口に入賞すると(ここでは、保留入賞時の音出力は省略する)、特別図柄の変動表示(動的表示)が開始され、前半予告Aが開始される(時刻t21)。前半予告Aの演出効果音は、AUTOグループ2に属するチャンネルで出力され、グループボリューム優先順位が「3」、抑制ボリューム値が「50」になる(ステップS1402、ステップS1403の結果が「No」)。前半予告開始時には、ワーク領域にパラメータが記録されていなかったため(ステップS1404の結果が「No」)、前半予告の演出効果音のパラメータがワーク領域に記録される(ステップS1405)。
前半予告Aの開始時には、通常BGMが出力されており(ステップS1406の結果が「Yes」)、ワーク領域には前半予告Aの演出効果音の音番号が登録されている(ステップS1410の結果が「Yes」)。このとき、新規再生要求のあった音のグループ優先順位と、ワーク領域のグループ優先順位とは同じであるため(ステップS1411の結果が「=」)、新規再生要求のあった音のボリュームにあらかじめ定められたボリューム値をセットする(ステップS1413)。
このとき、通常BGMが再生中であり、前半変動の演出効果音よりもグループボリューム優先順位が低いため(ステップS1415の結果が「Yes」)、前半予告Aの演出効果音のパラメータに基づいて音の出力が抑制される(ステップS1416)。具体的には、通常BGMのボリュームが50%の出力に低減(抑制)される。
その後、所定条件の成立により、ブラックアウト演出が実行される(時刻t22)。ブラックアウト演出の効果音は、AUTOグループ1に属するチャンネルで出力され、グループボリューム優先順位が「2」、抑制ボリューム値が「0」になる(ステップS1402)。このとき、ワーク領域には前半予告Aのパラメータが記録されているが、ブラックアウト演出のほうがグループボリューム優先順位が高いため(ステップS1411の結果が「>」)、ワーク領域の内容をブラックアウト演出のパラメータに更新し(ステップS1412)、新規再生要求のあった音のボリュームにあらかじめ定められたボリューム値をセットする(ステップS1413)。
さらに、再生中の通常BGM及び前半予告Aの演出効果音はグループ優先順位がブラックアウト演出の効果音のグループ優先順位がブラックアウト演出よりも低いため(ステップS1415の結果が「Yes」)、これらの効果音のボリュームが低減される(ステップS1416)。ブラックアウト演出では、抑制ボリューム値が0であるため消音される。
さらに、ブラックアウト演出実行中に後半予告Bが開始される(時刻t23)。このとき、後半予告Bのグループボリューム優先順位はブラックアウト演出のグループボリューム優先順位よりも低いため(ステップS1411の結果が「<」)、後半予告Bは消音された状態で開始され、ブラックアウト演出が終了するまで継続する。
その後、遊技球が始動入賞口に入賞すると、保留入賞音が出力される(時刻t24)。保留入賞音は、AUTOグループ3に属するチャンネルで出力され、グループボリューム優先順位が「2」、抑制ボリューム値が「50」になる。本実施形態では、グループボリューム優先順位が同じ場合には(ステップS1411の結果が「=」)、ワーク領域に記録されたパラメータを維持する一方、あらかじめ定められたボリュームで出力する。したがって、ブラックアウト演出の実行中であっても保留入賞音は通常通り出力されることになる。
そして、ブラックアウト演出が終了すると(時刻t26)、ワーク領域に記録されたブラックアウト演出のパラメータが消去され(ステップS1422)、規制されていたボリュームがあらかじめ定められたボリュームに戻される(ステップS1423)。具体的には、通常BGM、前半予告A及び後半予告Bのボリュームがあらかじめ定められたボリュームに戻される。その後、前半予告A及び後半予告Bの音の出力が終了する(時刻t27、t28)。
以上のように、本実施形態では、グループ優先順位の高い効果音が出力されている間は、グループ優先順位の低い効果音の出力を抑制することによって、特定の演出を際立たせることができる。さらに、抑制ボリューム値によるボリューム制御によって、複数の演出が同時に進行していることを遊技者に認識させることができ、大当り確定音のように遊技者の期待感を大きく高める演出効果音についてはグループ優先順位を高く設定することによって、演出効果を損なうことなく実行することが可能となる。
また、新たに優先順位の高い音が出力され、再生中の演出効果音の出力が抑制される場合、前述した実施形態では、再生中の演出効果音のボリュームを抑制ボリューム値に基づいて即時出力を低下させるように制御していたが、優先順位の高い音が出力されるタイミングから他の演出効果音のボリュームを徐々に目標値(抑制ボリューム値に基づく音量)まで下げてフェードアウトさせるようにしてもよい。この場合、開始値(現在再生中の音量)及び目標値までに達する時間、変化量を規定してもよいし、演出効果音の再生時間の長さ等の演出内容に基づいて目標値までに達する時間、変化量を設定するようにしてもよい。例えば、新たな演出効果音の出力が短ければ、目標値まで達する時間を短く設定して演出効果音を際立たせるようにしてもよいし、新たな演出効果音の出力が比較的長ければ、目標値までに達する時間を長く設定して演出効果音が切り替わる際に生じる可能性のある違和感を低減させるようにしてもよい。
例えば、新たに出力される効果音が大当り確定音やV入賞音のように短時間の出力であれば、BGMなどの再生中の演出効果音の出力を比較的短時間でフェードアウトさせることで、遊技のテンポを崩さずに、新たに出力される演出効果音をより際立たせることができる。
さらに、新たな演出効果音の出力が終了し、他の演出効果音の出力が再開される場合に、当該他の演出効果音のボリュームを目標値(あらかじめ定められたボリューム値)にすぐに戻すのではなく、開始値(規制中の音量)及び目標値までに達する時間、変化量を規定して、フェードインさせるように制御してもよい。例えば、前半予告Aの効果音再生時に通常BGMの出力が50%に抑制されるが、通常BGMの出力を再開する際に通常のボリュームを目標値とし、開始値(現在再生中の音量。ここでは、50%に抑制されている音量)として、規定した時間、変化量に基づいてフェードインするように制御する。このように構成することによって、演出効果音の切り替わりを際立たせながらも、遊技者の違和感を抑制することが可能となり、遊技の興趣を向上させることができる。
また、本実施形態は演出効果音を例に説明したが、警報音や報知音の場合にも同様に適用することができる。一例としては、重要度(優先順位)の高い報知音(例えば、不正行為による警報音)を出力する場合には、演出効果音だけでなく、比較的重要度(優先順位)の低い報知音(例えば、球詰まりの報知音)の出力を規制してもよい。一方、重要度(優先順位)の低い報知音が出力されている間に不正行為が行われた場合には、当該報知音の出力を中断し、重要度(優先順位)の高い報知音(警報音)を優先して出力するようにしてもよい。
なお、警報音や報知音は、演出効果音のように音の出力時間が設定されているのではなく、警報や報知の原因が解消されるまで音の出力が継続される。そのため、警報音や報知音が複数種類出力される状況になった場合には、優先順位の最も高い音を出力し、当該音を出力する原因が解消された後、他の報知音を出力する。このとき、次に優先順位の高い音を出力して残りの音の出力を規制するようにしてもよいし、残りのすべての音を同時に出力するようにしてもよい。
[16−2.音の出力時間(長短)によるボリューム制御]
以上、グループ間の優先順位によって重複して出力される音の制御の説明をした。続いて、音の出力時間(長短)に基づいて、音のボリュームを制御する制御例について説明する。
[16−2−1.効果音別ボリューム制御テーブル]
図274は、本実施形態における音の総再生時間(出力時間)ごとのボリューム(音量)制御を示す効果音別ボリューム制御テーブルの一例を示す図である。効果音ごとに、使用再生チャンネル(ch)、総再生時間、抑制ボリューム値が設定されている。
使用再生チャンネルは、図271に示した例と同様に、各チャンネルを、固定ch1、固定ch2、AUTOグループ1、AUTOグループ2、AUTOグループ3の5つのグループに分割している。
総再生時間は、効果音の出力開始から停止までの時間である。総再生時間に−1が設定されている場合には、他に出力する効果音による抑制制御の影響を受けず、あらかじめ設定されたボリュームで当該効果音が出力される。このとき、当該効果音のボリュームを抑制することができないように制御される。
総再生時間に0が設定されている場合には、繰り返して出力されるループ再生となっており、同じチャンネルに別の効果音が割り当てられるまで出力が継続される。総再生時間に設定されている数値がこれ以外の数(正の数)の場合には、当該効果音の再生時間である。なお、総再生時間の単位はミリ秒(ms)である。
抑制ボリューム値は、図271に示した例と同様に、同時に出力される他の効果音のボリュームを変化させる態様を示す数値である。具体的には、「−1」の場合には、再生中の音を変化させずにそのまま音の再生を継続し、「0」の場合には、再生中の効果音(総再生時間に−1が設定されている効果音を除く)の出力を抑制(消音)させる。「0」以外の数値の場合、例えば、「50」が設定されている場合には、再生中の音のボリュームを50%に抑制する。
続いて、図274を参照して各効果音について説明すると、本実施形態においても前述した実施形態と同様に、固定チャンネル方式と自動チャンネル方式のチャンネルが混在しており、割り当てられる効果音も同様である。また、図274に示す例では、チャンネルグループごとに抑制ボリューム値が設定されているが、効果音ごとに設定するようにしてもよい。
固定ch1に割り当てられる効果音には、総再生時間が「−1」、抑制ボリューム値に「0」が設定されているため、これらの効果音が再生される場合には、再生中の他の音はすべて消音される。固定ch1で再生される音は、遊技者や遊技場の従業員など外部に報知するための報知音であり、不正行為や故障の発生などを要因とするものであるため、出力される効果音のボリュームを抑制することができず、また、他の再生中の効果音の出力は強制的に抑制(中止、消音)される。
固定ch2に割り当てられる効果音には、総再生時間が「0」、抑制ボリューム値に「−1」が設定されているため、出力の開始から繰り返し、効果音が出力される。これらの効果音は再生中の他の音には影響を与えないようになっている。固定ch2に割り当てられる効果音は主に遊技におけるBGMである。
AUTOグループ1に割り当てられる効果音には、総再生時間が効果音ごとに設定された値(再生時間)、抑制ボリューム値に「0」が設定されているため、固定ch1から出力される報知音以外の再生中の音はすべて消音される。すなわち、AUTOグループ1で出力される音は演出において最優先で出力され、他の音を消音させて単独で出力されるものである。AUTOグループ1で出力される具体的な音としては、図271に示したように、大当り確定音、ブラックアウト効果音、V入賞音などである。
AUTOグループ2及びAUTOグループ3に割り当てられる効果音には、総再生時間が効果音ごとに設定された値(再生時間)、抑制ボリューム値に「50」が設定されているため、AUTOグループ2で音が再生される場合には、再生中の他の音の出力がすべて半減(50%の出力に抑制)される。これにより、例えば、BGMの出力を半減させて遊技の流れを継続しながら演出を際立たせることができるAUTOグループ2で出力される具体的な音としては、例えば、前半予告効果音や後半予告効果音などであり、また、AUTOグループ3で出力される具体的な音としては、例えば、始動入賞時の保留入賞音、保留表示が変化したことを示す保留変化音、演出ボタンを押下したことを報知するボタン押下音などである。
[16−2−2.ボリューム制御処理]
本実施形態では、効果音の再生時間によって、重複して再生される効果音の出力を制御する。図275A及び図275Bは、本実施形態の効果音ごとに設定されたパラメータに基づいて音制御を行うボリューム制御処理の手順を示すフローチャートである。以下、本実施形態における効果音の出力制御の手順について説明する。
周辺制御MPU1530aは、ボリューム制御処理が開始されると、まず、新規音の再生要求があるか否かを判定する(ステップS1501)。新規音の再生要求がない場合には(ステップS1501の結果が「No」)、ステップS1530以降の処理を実行する。
一方、周辺制御MPU1530aは、新規音の再生要求がある場合には(ステップS1501の結果が「Yes」)、再生要求のあった音の音番号に基づいて効果音名を特定し、効果音別ボリューム制御テーブル(図274)から、抑制ボリューム値と総再生時間を取得する(ステップS1502)。
次に、周辺制御MPU1530aは、取得した抑制ボリューム値が「−1」(抑制制御なし)であるか否かを判定する(ステップS1503)。取得した抑制ボリューム値が「−1」である場合(ステップS1503の結果が「Yes」)、すなわち、再生中の音に対する制御を行わない場合には、ステップS1506以降の処理を実行する。
取得した抑制ボリューム値が「−1」でない場合(ステップS1503の結果が「No」)、すなわち、再生中の音に対する制御を行う場合には、周辺制御MPU1530aは、さらに、再生要求された音の音番号、抑制ボリューム値及び総再生時間がワーク領域に登録済みか否かを判定する(ステップS1504)。音番号、抑制ボリューム値及び総再生時間がワーク領域に登録済みの場合には(ステップS1504の結果が「Yes」)、ステップS1506以降の処理を実行する。
音番号、抑制ボリューム値及びグループボリューム優先順位が登録済みでない場合には(ステップS1504の結果が「No」)、周辺制御MPU1530aは、再生要求された音の音番号、抑制ボリューム値及び総再生時間をワーク領域に保持する(ステップS1505)。
続いて、周辺制御MPU1530aは、既に再生中の音があるか否かを判定する(ステップS1506)。再生中の音がない場合には(ステップS1506の結果が「No」)、新規再生要求のあった音のボリュームにあらかじめ定められたボリューム値をセットする(ステップS1507)。一方、既に再生中の音がある場合には(ステップS1506の結果が「Yes」)、ステップS1510以降の処理でワーク領域に記憶されたパラメータ及び新規音のパラメータに基づいて音制御を行う。
ワーク領域に記憶されたパラメータ及び新規音のパラメータに基づく音制御について説明すると、周辺制御MPU1530aは、まず、新規再生要求のあった音の総再生時間が「−1」であるか否かを判定する(ステップS1510)。新規再生要求のあった音の総再生時間が「−1」である場合には(ステップS1410の結果が「Yes」)、前述のように、異常発生時などにおける警報音が出力され、当該新規再生音のボリュームの抑制を禁止し、他の再生中の効果音の出力を強制的に抑制する。
周辺制御MPU1530aは、新規再生要求のあった音にあらかじめ定められたボリューム値をセットする(ステップS1511)。さらに、新規再生要求のあった音番号、抑制ボリューム値及び総再生時間をワーク領域に上書きする(ステップS1512)。
そして、周辺制御MPU1530aは、新規再生要求のあった音の抑制ボリューム値に基づいて、再生中の効果音のボリュームを抑制する(ステップS1513)。すべての再生中の効果音のボリュームを抑制すると、ステップS1530以降の処理を実行する(ステップS1514)。
一方、周辺制御MPU1530aは、新規再生要求のあった音の総再生時間が「−1」でない場合には(ステップS1510の結果が「No」)、ワーク領域に保持された音の総再生時間が「−1」又はワーク領域に音番号が設定されていないか判定する(ステップS1520)。ワーク領域に保持された音の総再生時間が「−1」又はワーク領域に音番号が設定されていない場合には(ステップS1520の結果が「Yes」)、ステップS1530以降の処理を実行する。
ワーク領域に保持された音の総再生時間が「−1」でなく、かつ、ワーク領域に音番号が設定されている場合には(ステップS1520の結果が「No」)、周辺制御MPU1530aは、ワーク領域に保持済みの抑制ボリューム値よりも新規再生要求のあった音の抑制ボリューム値が小さいか否かを判定する(ステップS1521)。
ワーク領域に保持済みの抑制ボリューム値よりも新規再生要求のあった音の抑制ボリューム値が小さい場合には(ステップS1521の結果が「Yes」)、周辺制御MPU1530aは、新規再生要求のあった音番号、抑制ボリューム値及び総再生時間をワーク領域に上書きする(ステップS1522)。
続いて、周辺制御MPU1530aは、ワーク領域に保持済みの総再生時間よりも新規再生要求のあった音の総再生時間が短いか否かを判定する(ステップS1523)。ワーク領域に保持済みの総再生時間よりも新規再生要求のあった音の総再生時間が短い又は同じ場合には(ステップS1521の結果が「Yes」)、新規再生要求のあった音のボリュームにあらかじめ定められたボリューム値をセットする(ステップS1524)。一方、ワーク領域に保持済みの総再生時間よりも新規再生要求のあった音の総再生時間のほうが長い場合には(ステップS1521の結果が「No」)、新規再生要求のあった音のボリュームに、ワーク領域の抑制ボリューム値に基づいて低減させたボリューム値をセットする(ステップS1525)。
続いて、周辺制御MPU1530aは、すべての再生中の音に対し、抑制ボリューム値がワーク領域に記録済みの抑制ボリューム値よりも小さい又は同じであるか否かを判定する(ステップS1526)。そして、再生中の音の抑制ボリューム値がワーク領域に記録済みの抑制ボリューム値よりも大きい場合には(ステップS1526の結果が「No」)、再生中の音のボリュームをワーク領域に記録された抑制ボリューム値に基づいて低減させる(ステップS1527)。
周辺制御MPU1530aは、すべての再生中の音に対してステップS1526及びステップS1527の処理を行うと、ステップS1530以降の処理を実行する(ステップS1528)。
新規再生要求のあった音及び再生中の音に対するボリューム制御を完了すると(ステップS1507、ステップS1514、ステップS1524、ステップS1525、ステップS1528)、周辺制御MPU1530aは、音番号、抑制ボリューム値及び総再生時間がワーク領域に登録済みか否かを判定する(ステップS1530)。音番号、抑制ボリューム値及び総再生時間がワーク領域に登録済みでない場合には(ステップS1530の結果が「No」)、本処理を終了する。
音番号、抑制ボリューム値及び総再生時間がワーク領域に登録済みの場合には(ステップS1530の結果が「Yes」)、周辺制御MPU1530aは、ワーク領域に登録済みの音番号に対応する音の再生が終了したか否かを判定する(ステップS1531)。ワーク領域に登録済みの音番号に対応する音の再生が終了していない場合には(ステップS1531の結果が「No」)、本処理を終了する。
ワーク領域に登録済みの音番号に対応する音の再生が終了した場合には(ステップS1531の結果が「Yes」)、周辺制御MPU1530aは、音番号、抑制ボリューム値及び総再生時間をワーク領域から消去する(ステップS1532)。最後に、再生中のすべての音に対し、あらかじめ定められた元のボリューム値に戻し(ステップS1533、ステップS1534)、本処理を終了する。
以上が本実施形態における効果音の総再生時間に基づいて、音のボリュームを制御する処理である。続いて、時系列に沿って音のボリューム制御について具体的に説明する。図276は、本実施形態におけるボリュームを制御する手順を時系列に沿って説明するためのタイミングチャートであり、(A)は演出の実行タイミング、(B)は各演出のボリュームを示す。図276では、前半予告演出及びブラックアウト演出を実行する例について説明する。
遊技機の電源が投入されると、遊技が開始され、通常BGMが出力される。通常BGMは、固定ch2で出力され、図274に示したように、抑制ボリューム値が「−1」に設定される。また、通常BGMは、BGMが切り替えられるまで再生が繰り返されるループ再生であり、総再生時間には0が設定される。抑制ボリューム値が「−1」であるため(ステップS1503の結果が「Yes」)、ワーク領域には通常BGMのパラメータは登録されない。そして、あらかじめ設定されたボリューム値が設定され、通常BGMが出力される(ステップS1507)。
その後、遊技球が始動入賞口に入賞し、特別図柄の変動表示(動的表示)が開始されると、前半予告Aを実行するために、前半予告Aの効果音の出力が新規に要求される(時刻t31)。前半予告Aの効果音は、AUTOグループ2に属するチャンネルで出力され、総再生時間が15000ms、抑制ボリューム値が50に設定されている(ステップS1503の結果が「No」)。
また、この時点でワーク領域にパラメータが登録されていないため(ステップS1504の結果が「No」)、前半予告Aの効果音の音番号、総再生時間及び抑制ボリューム値をワーク領域に保持する(ステップS1505)。
さらに、前半予告Aの開始タイミングでは通常BGMが再生中であり(ステップS1506の結果が「Yes」)、前半予告Aの総再生時間が15000msであり(ステップS1510の結果が「No」)、新規再生要求のあった前半予告Aの効果音のパラメータがワーク領域に登録済みとなっている(ステップS1520の結果が「No」、ステップS1521の結果が「No」、ステップS1523の結果が「Yes」)。そのため、新規再生要求のあった前半予告Aの効果音のボリュームをあらかじめ定められたボリューム値に設定する(ステップS1524)。
続いて、この時点で通常BGMが再生中であり、まだボリュームが抑制されていないため抑制ボリューム値は「100」となり、ワーク領域に記録済みの前半予告Aの抑制ボリューム値「50」より大きいため(ステップS1526の結果が「No」)、前半予告Aの抑制ボリューム値「50」に基づいて通常BGMのボリュームを50%に低減する(ステップS1527)。
続いて、前半予告Aの効果音のパラメータがワーク領域に登録済みとなっており(ステップS1530の結果が「Yes」)、前半予告Aが継続されるため(ステップS1531の結果が「No」)、本処理は終了する。
その後、所定条件の成立によりブラックアウト演出が実行され、ブラックアウト演出効果音の新規音再生要求を受信する(時刻t32)。ブラックアウト演出効果音は、AUTOグループ1に属するチャンネルで出力され、総再生時間が「8000」、抑制ボリューム値が「0」になる(ステップS1503の結果が「No」)。このとき、前半予告Aの効果音のパラメータがワーク領域に登録済みとなっており(ステップS1504の結果が「Yes」)、通常BGM及び前半予告Aの効果音が出力中である(ステップS1506の結果が「Yes」)。
さらに、新規再生要求のあったブラックアウト演出効果音は総再生時間が「8000」であり(ステップS1510の結果が「No」)、ワーク領域に保持された前半予告Aの効果音の総再生時間は「15000」となっている(ステップS1520の結果が「No」)。
次に、ワーク領域に保持された前半予告Aの効果音の抑制ボリューム値は「50」であり、新規再生要求のあったブラックアウト演出効果音の抑制ボリューム値が「0」であるため(ステップS1521の結果が「Yes」)、新規再生要求のあったブラックアウト演出効果音の音番号、抑制ボリューム値「0」及び総再生時間「8000」をワーク領域に上書きする(ステップS1522)。
また、前半予告Aの効果音の総再生時間(15000ms)よりもブラックアウト予告演出の効果音の総再生時間(8000ms;a1)のほうが短いため(ステップS1523の結果が「Yes」)、ブラックアウト予告演出効果音のボリュームにあらかじめ定められたボリューム値がセットされる(ステップS1524)。
続いて、再生中の音の抑制ボリューム値は通常BGMが「50」、前半予告Aの効果音が「100」であり、ワーク領域に記録済みのブラックアウト予告演出効果音の抑制ボリューム値「0」よりも大きいため(ステップS1526の結果が「No」)、通常BGM及び前半予告Aの効果音のボリュームを「0」にする(ステップS1527)。
その後、ブラックアウト演出の実行中に、始動入賞口に遊技球が入賞すると、保留入賞音の新規音再生要求を受信する(時刻t33)。保留入賞音は、AUTOグループ3に属するチャンネルで出力され、総再生時間が「2000」、抑制ボリューム値が「50」になる(ステップS1503の結果が「No」)。このとき、ブラックアウト演出効果音のパラメータがワーク領域に登録済みとなっており(ステップS1504の結果が「Yes」)、ブラックアウト演出効果音、通常BGM及び前半予告Aの効果音が出力中である(ステップS1506の結果が「Yes」)。なお、このとき通常BGM及び前半予告Aの効果音は出力が抑制されている。
さらに、新規再生要求のあった保留入賞音は総再生時間が「2000」であり(ステップS1510の結果が「No」)、ワーク領域に保持されたブラックアウト演出効果音の総再生時間は「8000」となっている(ステップS1520の結果が「No」)。
次に、ワーク領域に保持されたブラックアウト演出効果音の抑制ボリューム値は「0」で、新規再生要求のあった保留入賞音の抑制ボリューム値が「50」であるため(ステップS1521の結果が「No」)、ワーク領域を上書きしないが、ブラックアウト演出効果音の総再生時間(8000ms;a1)よりも保留入賞音の総再生時間(2000ms;a2)のほうが短いため(ステップS1523の結果が「Yes」)、保留入賞音のボリュームにあらかじめ定められたボリューム値がセットされる(ステップS1524)。また、ワーク領域は更新されていないため、再生中の音の抑制ボリューム値はワーク領域に記録された抑制ボリューム値と同じである(ステップS1526の結果が「Yes」)。そして、保留入賞音の出力が終了しても(時刻t34)、ワーク領域にはブラックアウト演出効果音のパラメータが記録されているため、ブラックアウト演出効果音の出力が継続される。
その後、ブラックアウト演出が終了すると(時刻t35)、ワーク領域に登録済みの音番号に対応する音の再生が終了するため(ステップS1531の結果が「Yes」)、ワーク領域に格納されたブラックアウト演出効果音のパラメータが消去される(ステップS1532)。そして、音の再生が抑制されていた(ボリュームが低減されていた)通常BGMと前半予告Aの効果音のボリュームがあらかじめ定められたボリューム値に戻される(ステップS1533)。このとき、前半予告Aの効果音再生時に通常BGMは抑制されたが、通常のボリュームで復帰している。
以上のように、本実施形態では、他の再生中の効果音のボリュームを消音し、特定の演出(例えば、ブラックアウト演出)を際立たせることを可能としながら、消音期間中に演出効果音の出力が終了してしまう場合であっても遊技者に演出機会を提供することが可能となる。具体的には、消音期間中に効果音の出力が完了してしまう場合には特定の演出が実行されて他の演出の効果音の出力が抑制されている間であっても効果音を出力して遊技者に報知する一方、消音期間終了後まで効果音の出力が継続される場合には消音期間中の当該演出の効果音の出力を抑制することによって、特定の演出の実行を際立たせることができる。
ところで、上述の通り、チャンネルの数が有限とされるパチンコ機1では、音データの割り当て対象とされるチャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)にあるときに新たな音データの割り当て条件が成立すると、いずれかの音出力を破棄せざるを得ず、演出設計上の意図しない音出力の態様が現れることによる遊技興趣の低下が懸念される。
そこで、この実施例にかかるパチンコ機1では、上述の通り、チャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)にあるときに新たな音データの割り当て条件が成立した場合、あらかじめ設定した優先順位に基づいて、より重要度の低い音出力が選択的に破棄されるように制御することで、演出設計上の意図しない音出力の態様が現れることを回避して遊技興趣の低下が抑制されるようにすることを提案した。ただし、チャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)これ自体をいかに現れ難くするか、といった点で技術的工夫を施すようにすることも重要であるといえる。
この点、この実施例にかかるパチンコ機1では、演出効果音(演出音)に対してより多くのチャンネルリソースの割り当てを可能ならしめるべく、適正な遊技が行われる限り出力されることのない各種の報知音については単一のチャンネルのみで異常内容などを適切に報知可能とするチャンネル節約型の制御構造を採用可能となっている。以下、各種の報知音の出力に関してチャンネル節約型の制御構造を採用した場合についての一例を説明する。
図277は、演出音を除いた各種の報知音(払出報知音や異常報知音)を固定チャンネル方式による音制御として、用意されている有限数のチャンネルのうちの特定チャンネル(以下、チャンネルXと言う)でのみ出力させる処理を実現する場合における音定義テーブルの一例を示している。この音定義テーブルにおいては、音の名称ごとに、再生にかかる優先順位、左右パン初期値、上下パン初期値、ボリューム初期値、音番号、シークポイント、再生タイプ設定及び出力タイプ設定の定義を管理している。なおここでは、説明の便宜上、報知音1〜7に関しての定義のみを示しており、その他の報知音や演出音などの定義については説明を省略している。なお、演出音については、図236で例示した固定チャンネル方式による定義のほか、報知音の割り当て対象とされるチャンネルXを除く他の各チャンネルに対して図240で例示した自動チャンネル方式による定義を用いるようにすることも可能である。
優先順位は、複数の報知音が出力条件をそれぞれ満たした状況にあるとき、それら報知音のいずれをチャンネルXに割り当てて出力させるかについての判断に供されるパラメータであり、優先順位の数値が高い報知音は、優先順位の数値が低い報知音のチャンネルXに対する割り当て状態に関係なく、チャンネルXに対して割り当てられて出力されることとなる。なお後述するが、優先順位が同じ場合は、チャンネルXに対して先に割り当てられている報知音が優先されることとなり、該報知音の出力が終了した後にチャンネルXに対して割り当てられて出力されることとなる。
左右パン初期値は、上部左スピーカ573L及び下部左スピーカ921Lと上部右スピーカ573R及び下部右スピーカ921Rとの組み合わせでなる左右のスピーカによる音の音像定位初期位置を表している。音の再生中に左右パンの設定値を動的に変化させることにより左及び右スピーカから個別に出力される音量に差が生まれ、左右スピーカ間の任意の空間に音像を定位させることが出来る。例えば「0x00」と設定されると、左スピーカ(上部左スピーカ573L及び下部左スピーカ921L)のみから出力されることを示し、例えば「0x80」と設定されると、上部左スピーカ573L及び下部左スピーカ921Lと上部右スピーカ573R及び下部右スピーカ921Rとの組み合わせでなる左及び右スピーカから個別に出力される音量差は0となり左右スピーカの中央に音像が定位することとなる。例えば「0xFF]と設定されると右スピーカ(上部右スピーカ573R及び下部右スピーカ921R)のみから出力されることを示している。
上下パン初期値は、例えば一対の上部スピーカ573(上部左スピーカ573L及び上部右スピーカ573R)及び一対の下部スピーカ921(下部左スピーカ921L及び下部右スピーカ921R)などの上下のスピーカによる音の音像定位初期位置を表している。音の再生中に上下パンの設定値を動的に変化させることによりそれら上及び下スピーカから個別に出力される音量に差が生まれ、上下スピーカ間の任意の空間に音像を定位させることが出来る。例えば「0x00」と設定されると一対の上部スピーカ573のみから出力されることを示し、例えば「0x80」と設定されると、これらの組み合わせでなる上及び下スピーカから個別に出力される音量差は0となり上下スピーカの中央に音像が定位することとなる。例えば「0xFF]と設定されると一対の下部スピーカ921のみから出力されることを示している。
ボリューム初期値は、再生開始時の音量設定を表しており、例えば「0x00」から「0xFF」の設定範囲で定めることができる。音番号は、上述した各音を区別するための識別子である。再生タイプ設定は、対象とする音を繰り返し再生するループ再生(図示の「LOOP」に相当)であるか、或いは、対象とする音を1回再生する1SHOT再生(図示の「1SHOT」に相当)であるかを表している。出力タイプ設定は、対象とする音をモノラルで再生するか、或いは、ステレオで再生するかを表している。
図278は、図277で例示した各報知音について、それら報知音の種類別に、報知内容や、報知態様、報知時間のほか、報知が終了される条件(解除条件)を示す表である。なお、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、いずれの報知音に関しても有限の報知時間を定めることとしているが、これは単一のチャンネルXを有効活用するべくこれを可能な限り空きチャンネルの状態にて維持しておき、その後の報知音出力に控えるための処置である。
同図278に示されるように、報知音1(磁気異常)は、磁気センサ2404によって磁気の検出が行われた状態(磁石を用いた不正行為が行われている可能性が高い状態)にあることを報知するものである。そして、その報知態様としては、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(例えば、「磁気を検知しました」)と、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプ(発光装置)による点灯とがそれぞれ実行されるようになっている。また、報知時間としては、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理については磁気センサ2404による検出があったときから60秒(6回分の報知音繰り返しに相当)で終了されるのに対し、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示、及び各種ランプによる点灯については、解除条件である「電源再投入」が満たされるまでその実行が継続されるようになっている。
この点、この実施例にかかるパチンコ機1では、報知音1(磁気異常)のほか、振動センサ2405によって振動の検出が行われた状態(ドツキ行為による不正行為が行われている可能性が高い状態)にあることを報知する報知音2(振動異常)、及び大当り遊技状態(大入賞口が開放された状態)にないにもかかわらず第一大入賞口センサ2403又は第二大入賞口センサ2402による検出が行われた状態(閉鎖状態にある大入賞口を強制開放させて遊技球を入賞させる不正行為が行われている可能性が高い状態)にあることを報知する報知音3(大入賞異常)を、何らかの不正行為が行われた可能性が高い状態にあるときの第1報知グループに属するものとして捉えており、該第1報知グループに属する報知音については、それらの報知態様や報知時間、解除条件をいずれも共通したものに設定することとしている。
例えば、報知音2(振動異常)では、その報知態様として、「ブーブー 振動を検知しました」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(例えば、「振動を検知しました」)と、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプ(発光装置)による点灯とがそれぞれ実行されるとともに、報知時間として、振動センサ2405による検出があったときから60秒(6回分の報知音繰り返しに相当)で報知音を繰り返し出力させるループ処理を終了させるのに対し、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示、及び各種ランプによる点灯については、解除条件である「電源再投入」が満たされるまでその実行が継続されることとなる。また、報知音3(大入賞異常)では、その報知態様として、「ブーブー 大入賞異常を検知しました」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(例えば、「大入賞異常を検知しました」)と、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプ(発光装置)による点灯とがそれぞれ実行されるとともに、報知時間として、第一大入賞口センサ2403又は第二大入賞口センサ2402による検出があったときから60秒(6回分の報知音繰り返しに相当)で報知音を繰り返し出力させるループ処理を終了させるのに対し、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示、及び各種ランプによる点灯については、解除条件である「電源再投入」が満たされるまでその実行が継続されることとなる。
なお、この実施例にかかるパチンコ機1では、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示については、第1報知グループに属する報知音1〜3でそれぞれ異なる表示態様を採用するが、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプ(発光装置)による点灯については、第1報知グループに属する報知音1〜3でそれぞれ同じ点灯態様(各種のランプのすべてを必ずしも点灯させる態様でなくてもよい)を採用するようにしている。また、ループ処理の対象とされる報知音については、第1報知グループに属するもの(不正行為が行われた可能性が高い状態)であることを報知する役割を担う「ブーブー」といった報知音1〜3のいずれでも用いられる警報音と、報知の内容がいずれであるかについての個体識別を報知する役割を担うメッセージ音(ユニーク音)との順次出力による組み合わせを採用するようにしている。警報音は、緊迫した不正状況下での警告的な意味合いをもたせるために単調な音からなるものであり、メッセージ音は、他の報知音との区別を明確にするために多様な音から構成されるようにすることが望ましい。
すなわち、第1報知グループに属するもの(不正行為が行われた可能性が高い状態)を報知する場合は、それがいずれの報知種別であるかを特定することよりも、不正行為に対するホール側対応の初動を迅速化させることが重要である。この点、上記構成によれば、「ブーブー」の報知音や、各種のランプ(発光装置)による第1報知グループ独自の点灯態様が出力されるだけで第1報知グループに属するもの(不正行為が行われた可能性が高い状態)であることが認識可能とされることから、不正行為に対するホール側対応の初動を迅速化させることが期待されるようになる。またさらに、「ブーブー」の報知音に続くようにいずれの報知種別であるかを報知するメッセージ音を出力したり、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示を行うようにしていることから、ホール側対応の初動後の処置もスムーズに行うことが期待されるようになる。
一方、報知音4(扉開放)は、扉枠開放スイッチ618によって本体枠4に対して扉枠3が開放していることが検出された状態(扉開放による不正行為が行われている可能性はあるものの、ホール側による異常対応処置によって扉開放されている可能性もある状態)にあることを報知するものである。そして、その報知態様としては、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(例えば、「扉が開いています」)と、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプ(発光装置)による点灯とがそれぞれ実行されるようになっている。また、報知時間としては、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理については扉枠開放スイッチ618による検出があったときから30秒(3回分の報知音繰り返しに相当)で終了されるのに対し、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示、及び各種ランプによる点灯については、解除条件である「扉閉鎖検知(扉枠開放スイッチ618によって本体枠4に対して扉枠3が閉鎖したことの検出)」が満たされるまでその実行が継続されるようになっている。
この点、この実施例にかかるパチンコ機1では、報知音4(扉開放)のほか、本体枠開放スイッチ619によって外枠2に対して本体枠4が開放していることが検出された状態(本体枠開放による不正行為が行われている可能性はあるものの、ホール側による異常対応処置によって本体枠開放されている可能性もある状態)にあることを報知する報知音5(枠開放)を、何らかの不正行為が行われた可能性が中程度ありこれを否定できない状態にあるときの第2報知グループに属するものとして捉えており、該第2報知グループに属する報知音については、それらの報知態様や報知時間、解除条件をいずれも共通したものに設定することとしている。
例えば、報知音5(枠開放)では、その報知態様として、「枠が開いています ピンポンピンポン」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(例えば、「枠が開いています」)と、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプ(発光装置)による点灯とがそれぞれ実行されるとともに、報知時間として、本体枠開放スイッチ619による検出があったときから30秒(3回分の報知音繰り返しに相当)で報知音を繰り返し出力させるループ処理を終了させるのに対し、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示、及び各種ランプによる点灯については、解除条件である「枠閉鎖検知(本体枠開放スイッチ619によって外枠2に対して本体枠4が閉鎖したことの検出)」が満たされるまでその実行が継続されることとなる。
なお、この実施例にかかるパチンコ機1では、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示については、第2報知グループに属する報知音4,5でそれぞれ異なる表示態様を採用するが、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプ(発光装置)による点灯については、第2報知グループに属する報知音4,5でそれぞれ同じ点灯態様(各種のランプのすべてを必ずしも点灯させる態様でなくてもよい)を採用するようにしている。ただし、第2報知グループに属する場合におけるランプ(発光装置)による点灯態様は、第1報知グループに属する場合におけるランプ(発光装置)による点灯態様とは異なっている。また、ループ処理の対象とされる報知音については、報知の内容がいずれであるかについての個体識別を報知する役割を担うメッセージ音(ユニーク音)と、第2報知グループに属するもの(不正行為が行われた可能性が中程度ある状態)であることを報知する役割を担う「ピンポンピンポン」といった報知音4,5のいずれでも用いられる警報音との順次出力による組み合わせを採用するようにしている。
すなわち、第2報知グループに属するもの(不正行為が行われた可能性が中程度ある状態)を報知する場合は、適正な遊技を行っている者に対して嫌悪感を覚えさせないようにしつつもホール側の異常対応処置もある程度迅速に行いうるようにすることが重要である。この点、上記構成によれば、報知音として、まず、後述の第3報知グループに属するものである場合と同様、いずれの報知種別であるかを報知するメッセージ音を出力するようにしていることから、適正な遊技を行っている者が嫌悪感を覚え難くなることが期待されるようになる。その一方で、適正な遊技を行っている者に対して嫌悪感を覚えさせ難くするべく第1報知グループに属する場合とは異なる警報音ではあるものの「ピンポンピンポン」といった警報音をメッセージ音に続くように出力したり、適正な遊技を行っている者に対して嫌悪感を覚えさせ難くするべく第1報知グループに属する場合とは異なる点灯態様ではあるものの第3報知グループに属する場合には出力されない各種ランプの点灯による報知を行うことで、ホール側の異常対応処置をある程度迅速化させることが期待されるようになる。
また一方、報知音6(左打ち案内)は、非時短の状態にあるにもかかわらず遊技領域5aのうちセンター役物2500に対して右側となる領域内に設けられるゲート部2003を遊技球が通過したことがゲートセンサ2401によって検出された状態(遊技者にとって不利益となる態様で遊技が行われており、それを適正な態様(左打ち)での遊技へと是正させるべき状態)にあることを報知するものである。そして、その報知態様としては、「左打ちに戻してください」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(例えば、「左打ちに戻してください」)とがそれぞれ実行されるようになっている。また、報知時間としては、「左打ちに戻してください」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示とのいずれもが、非時短の状態においてゲートセンサ2401による検出があったときから20秒(2回分の報知音繰り返しに相当)で終了されるようになっている。
この点、この実施例にかかるパチンコ機1では、報知音6(左打ち案内)のほか、満タン検知センサ279によって下皿322が遊技球で満タンであることが検出された状態(下皿322内にある遊技球の玉抜きを行うべき状態)にあることを報知する報知音7(玉抜き案内)を、不正行為の可能性は低いものの遊技を適正に進行させるための遊技案内を行うべき状態にあるときの第3報知グループに属するものとして捉えており、該第3報知グループに属する報知音については、それらの報知態様や報知時間、解除条件をいずれも共通したものに設定することとしている。
例えば、報知音7(玉抜き案内)では、その報知態様として、「下皿の球を抜いてください」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(例えば、「下皿の球を抜いてください」)とがそれぞれ実行されるとともに、報知時間として、「下皿の球を抜いてください」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示とのいずれもが、満タン検知センサ279による検出があったときから20秒(2回分の報知音繰り返しに相当)で終了されるようになっている。
ただし、報知音6(左打ち案内)や報知音7(玉抜き案内)については、ゲートセンサ2401や満タン検知センサ279による検出があったときから20秒で終了された時点でそれらセンサ2401,279が未だ検出状態にあるときには、再び最初から報知処理(報知音6(左打ち案内)や報知音7(玉抜き案内))を実行することとなる。
なお、この実施例にかかる第3報知グループでは、報知音6,7としてメッセージ音のみが出力されるが、より厳密には、例えば5秒間のメッセージ音が出力し終わった後には5秒間の無音データがチャンネルXに割り当てられてそれに応じた音が出力(無音出力)されるようになっており、それらメッセージ音と無音データとをセットにした10秒間の報知音を繰り返すループ処理が行われるようになっている。そして、報知音6,7では、いずれも同じ時間分だけ無音データを出力するようになっていることから、第1報知グループや第2報知グループとは異なる独自の報知態様として機能することとなり、ホール側としても、喧騒なホール内で聞き取りにくいメッセージ音の部分ではなく無音データの部分を確認するだけでも第3報知グループに属する報知であることを適正に認識することができるようになる。無音データに関しては、メッセージ音を含めた一の音データ(10秒間の音データ)としてあらかじめ用意し、これをチャンネルXに割り当てたままでループ処理を行うようにすることが望ましい。
ちなみに、第1報知グループや第2報知グループで用いられる報知音内(警報音とメッセージ音との間など)にも無音部分は存在しうるが、これらは「間」を持たせるためのごく短時間のものであり、グループ識別機能を有する上述の比較的長い時間を持った無音部分(第3報知グループ)とは根本的に異なるものであることは明らかである。
このような構成によれば、「ブーブー」や「ピンポンピンポン」などの警報音が出力されず、メッセージ音のみが所定の無音時間を挟んで繰り返し出力されるようになることから、遊技者に対して嫌悪感を覚えさせることなく、遊技案内に関する報知を行うことができるようになる。
図277や図278に示した例では、同じ報知グループ内に属する報知音に関しては、優先順位を同じに設定することとしたが、同じ報知グループ内に属する報知音の間で優先順位を異ならせるようにしてもよい。また、再生タイプ設定として、対象とする音を繰り返し再生するループ再生を採用することとしたが、必ずしもこれに限られず、対象とする音を1回再生する1SHOT再生を採用するようにしてもよい。また、第1報知グループに属する報知音で共通して用いられる「ブーブー」や、第2報知グループに属する報知音で共通して用いられる「ピンポンピンポン」については、メッセージ音と繋がりをもった一の音データとして各報知音の別にそれぞれ用意するようにしてもよいし、メッセージ音とは別の音データとして用意しておき、出力に際してメッセージ音と警報音とを結合させた音データを作成してからチャンネルに割り当てるようにしてもよい。
図279(a)は、第1報知グループに属する一の報知音が再生されているときに、第1報知グループに属する別の報知音の出力条件(異常検出)が満たされたときの処理についてその一例を示すものである。
同図279(a)に示されるように、いま、何らの報知音も出力されていないタイミングtα1において、ステップS84(図212)の処理内で磁気センサ2404による磁気検出があったとすると、主制御MPU1310aでは、まず、磁気検出があったことが示されるように報知フラグの状態を更新する。次いで、磁気検出があった旨の情報を周辺制御基板1510に対するコマンドとしてセットする。これにより、ステップS90(図212)の処理では、上記更新された報知フラグの状態に基づいて磁気検出があった旨の情報が外部出力されてホールコンピュータ内で管理されるようになるとともに、ステップS92(図212)の処理では、周辺制御基板1510に対してコマンドが送信されてその情報(磁気検出)が上記周辺制御MPU1530a内の報知に関する処理に供されるようになる。
これに対し、周辺制御MPU1530aでは、何らの報知音も出力されていない上記タイミングtα1(若しくは、その直後)においてステップS1022(図230)の受信コマンド解析処理でコマンドを解析した結果、磁気検出の情報が含まれていることを把握すると、ステップS1024(図230)の警告処理にて、図278で示した報知音1(磁気異常)をチャンネルXに対して割り当てて(セットして)その報知態様(ここでは、「ブーブー 磁気を検知しました」のループ)での報知音再生を開始させるとともに、報知音1(磁気異常)の報知時間を計時するためのタイマ(60秒)をセットする。
なお、報知音1(磁気異常)をチャンネルXに対して割り当てるに際しては、磁気検出に応じた音生成用スケジューラーデータを、周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットすることとなる。そしてこの上で、報知音1(磁気異常)をチャンネルXに対して割り当てることで、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音があらかじめ定められた処理態様(ループ)で報知音再生されるようになる。
またこの際、周辺制御MPU1530aでは、磁気検出に応じた画面生成用スケジューラーデータ、及び磁気検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータを、周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットすることで、上述した液晶内表示やランプ点灯も併せて実行することとなる。これら液晶内表示及びランプ点灯の実行は、磁気異常の解除条件である電源再投入が行われるときまで継続して実行される。
このような処理を通じて、タイミングtα1から「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音が60秒間にわたって繰り返し実行されるとともに、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(例えば、「磁気を検知しました」)と、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプによる点灯(第1報知グループの点灯態様)とがそれぞれ実行されるようになる。
ただし、図279(a)に示される例では、タイミングtα1から60秒が経過しておらず「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音がループ再生中の状態にあるタイミングtα2において、ステップS84(図212)の処理内で振動センサ2405による振動検出があった場合を想定している。この点、主制御MPU1310aでは、磁気検出があったタイミングtα1の場合と同様、まず、振動検出があったことが示されるように報知フラグの状態を更新する。次いで、振動検出があった旨の情報を周辺制御基板1510に対するコマンドとしてセットする。これにより、ステップS90(図212)の処理では、上記更新された報知フラグの状態に基づいて振動検出があった旨の情報が外部出力されてホールコンピュータ内で管理されるようになるとともに、ステップS92(図212)の処理では、周辺制御基板1510に対してコマンドが送信されてその情報(振動検出)が上記周辺制御MPU1530a内の報知に関する処理に供されるようになる。
これに対し、周辺制御MPU1530aでは、報知音1(磁気異常)が出力状態(再生状態)にある上記タイミングtα2(若しくは、その直後)においてステップS1022(図230)の受信コマンド解析処理でコマンドを解析した結果、振動検出の情報が含まれていることを把握したとしても、ステップS1024(図230)の警告処理にて、図278で示した報知音2(振動異常)をチャンネルXに対して割り当てることはしない。すなわち、チャンネルXには優先順位が同じである報知音1(磁気異常)が既に割り当て状態になっていることから、報知音2(振動異常)をチャンネルXに対して新たに割り当てないようにすることで、既に割り当て状態になっている側の報知音1(磁気異常)の再生を優先的に実行してこれを継続させるようにしている。
また、この実施の形態にかかる周辺制御MPU1530aでは、タイミングtα2において振動検出に応じた音生成用スケジューラーデータこれ自体のセットも行わないようにしている。したがって、チャンネルXに対して割り当てられていない状態で報知音2(振動異常)に応じた音生成用スケジューラーデータが進展処理されることもない。
ただしその一方、この実施の形態にかかる周辺制御MPU1530aでは、タイミングtα2(若しくは、その直後)においては、未だセットしていない報知音2(振動異常)の報知時間を計時するためのタイマ(60秒)についてはこれをセットするようにしておき、報知音1(磁気異常)の出力状態(再生状態)が終了した時点で該タイマ(60秒)がタイムアップしていないときには振動検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットし、その残り時間分だけ報知音2(振動異常)をチャンネルXに対して割り当ててその報知態様(ここでは、「ブーブー 振動を検知しました」のループ)での報知音再生を実行するものとなっている。
また、周辺制御MPU1530aでは、タイミングtα2(若しくは、その直後)においては、振動検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットすることはしないものの、振動検出に応じた画面生成用スケジューラーデータ、及び振動検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータを、周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットすることで、上述した液晶内表示やランプ点灯についてはこれらを実行するようにしている。
なお、液晶内表示では、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域のうち磁気異常に応じた表示が行われている位置とは異なる位置にて振動異常に応じた表示が別に現れるようになっている。ランプ点灯では、振動検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータこそセットされるものの、磁気検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータが既にセットされておりその優先順位が同じになっていることから、既にセット状態にあった磁気検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータの点灯態様が各種のランプ発光でそれぞれ反映されることとなり、振動検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータの点灯態様が各種のランプ発光でそれぞれ反映されることはない。振動検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータについても、音生成用スケジューラーデータと同様、タイミングtα2(若しくは、その直後)においてセットしないようにしてもよい。
ただし上述の通り、この実施例では、磁気検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータと、振動検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータとは同じデータ内容になっていることから、それらのいずれを反映させるようにした場合であってもランプ点灯に変化が生じることはない。
そしてこの後、タイミングtα1から60秒が経過したタイミングtα3では、報知音1(磁気異常)のタイマ(60秒)がタイムアップしたことに基づいて「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音を繰り返し実行させるループ処理が終了されることとなる。なおここでは、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音を1回再生するのに要する時間を10秒に設定してあることから、報知音1(磁気異常)のタイマ(60秒)がタイムアップしたタイミングtα3では、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音が6回分再生し終わった、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されるようになっている。
またこの際、報知音2(振動異常)のタイマ(60秒)がタイムアップしていない状態にあることから、周辺制御MPU1530aでは、振動検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットし、その残り時間(タイミングtα2からタイミングtα3までの時間(α)を60秒から減算した時間)分だけ報知音2(振動異常)をチャンネルXに対して割り当てることで、その報知態様(ここでは、「ブーブー 振動を検知しました」のループ)での報知音再生を実行することとなる。
すなわち、タイミングtα2においては報知音2(振動異常)のタイマをセットする一方で、振動検出に応じた音生成用スケジューラーデータについてはこれをセットせずタイミングtα3になったときにセットするようにしたことから、タイミングtα3においては、「ブーブー 振動を検知しました」の報知音を頭から再生させることができるとともに、報知音2(振動異常)のタイマがタイムアップするときには、「ブーブー 振動を検知しました」といった報知音のうち中途半端なタイミング(例えば、「ブーブー 振」などのタイミング)でそのループ処理が終了されて再生されなくなるように促すことができるようになる。
このような構成によれば、第1報知グループに属する一の報知音が再生されているときに第1報知グループに属する別の報知音の出力条件(異常検出)が満たされたときは(図279(a))、6回目の警報音(ここでは「ブーブー」)と6回目のメッセージ音(ここでは「磁気を検知しました」)とが再生し終わったところで、7回目の警報音(ここでは「ブーブー」)が再生されたかのような、スムーズな報知音切り替えを実現することができるようになる。これにより、「ブーブー 磁気を検知しました」と「ブーブー 振動を検知しました」が変な箇所で繋がってしまい、緊迫した状況にあるなかで不正報知を認識できなくなってしまうような事態(例えば、報知音1が「ブーブー 磁」で終了し、報知音2が「動を検知しました」で開始されるようなことがあれば、「ブーブー 磁動を検知しました」のような意味不明な報知内容となり、現場を混乱させかねない)の発生を好適に抑制することができるようになる。
また、上記構成によれば、タイミングtα3において、振動検出に応じたタイマの残り時間が短くなっており、報知音2が「ブーブー」の警報音のところでタイムアップして終了してしまいメッセージ音が再生されなかったとしても、中途半端なタイミングでそのループ処理が終了されて再生されなくなったことで、何らかの異常検出が同時に発生した状態にあることを認識することが可能である(磁気異常のみの報知であれば、切りの良いところで報知音が終了されるため)。これにより、中途半端なタイミングで報知音が途絶えたときには液晶内表示を確認することが促されるようになり、液晶内表示に「磁気を検知しました」と「振動を検知しました」とがそれぞれ表示されていることで、磁気検出と振動検出とが行われた状態にあることを適正に認識することができるようになる。
図279(b)は、第2報知グループに属する一の報知音が再生されているときに、第2報知グループに属する別の報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときの処理についてその一例を示すものである。
ここで、第2報知グループに属する一の報知音が再生されているときに第2報知グループに属する別の報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときの処理は、図279(a)を参照しつつ上述した処理(第1報知グループに属する一の報知音が再生されているときに第1報知グループに属する別の報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときの処理)と概ね同様である。
例えば、同図279(b)に示されるように、いま、何らの報知音も出力されていないタイミングtβ1において、ステップS82又はS84(図212)の処理内で本体枠開放スイッチ619による枠開放検出があったとすると、主制御MPU1310aでは、まず、枠開放検出があったことが示されるように報知フラグの状態を更新する。次いで、枠開放検出があった旨の情報を周辺制御基板1510に対するコマンドとしてセットする。これにより、ステップS90(図212)の処理では、上記更新された報知フラグの状態に基づいて枠開放検出があった旨の情報が外部出力されてホールコンピュータ内で管理されるようになるとともに、ステップS92(図212)の処理では、周辺制御基板1510に対してコマンドが送信されてその情報(枠開放検出)が上記周辺制御MPU1530a内の報知に関する処理に供されるようになる。
これに対し、周辺制御MPU1530aでは、何らの報知音も出力されていない上記タイミングtβ1(若しくは、その直後)においてステップS1022(図230)の受信コマンド解析処理でコマンドを解析した結果、枠開放検出の情報が含まれていることを把握すると、ステップS1024(図230)の警告処理にて、図278で示した報知音5(枠開放)をチャンネルXに対して割り当てて(セットして)その報知態様(ここでは、「枠が開いています ピンポンピンポン」のループ)での報知音再生を開始させるとともに、報知音5(枠開放)の報知時間を計時するためのタイマ(30秒)をセットする。
なお、報知音5(枠開放)をチャンネルXに対して割り当てるに際しては、枠開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータを、周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットすることとなる。そしてこの上で、報知音5(枠開放)をチャンネルXに対して割り当てることで、「枠が開いています ピンポンピンポン」といった報知音があらかじめ定められた処理態様(ループ)で報知音再生されるようになる。
またこの際、周辺制御MPU1530aでは、枠開放検出に応じた画面生成用スケジューラーデータ、及び枠開放検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータを、周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットすることで、上述した液晶内表示やランプ点灯も併せて実行することとなる。これら液晶内表示及びランプ点灯の実行は、枠開放検出の解除条件である枠閉鎖検知が行われるときまで継続して実行される。
このような処理を通じて、タイミングtβ1から「枠が開いています ピンポンピンポン」といった報知音が30秒間にわたって繰り返し実行されるとともに、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(例えば、「枠が開いています」)と、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプによる点灯(第2報知グループの点灯態様)とがそれぞれ実行されるようになる。
ただし、図279(b)に示される例では、タイミングtβ1から30秒が経過しておらず「枠が開いています ピンポンピンポン」といった報知音がループ再生中の状態にあるタイミングtβ2において、ステップS82又はS84(図212)の処理内で扉枠開放スイッチ618による扉開放検出があった場合を想定している。この点、主制御MPU1310aでは、枠開放検出があったタイミングtβ1の場合と同様、まず、扉開放検出があったことが示されるように報知フラグの状態を更新する。次いで、扉開放検出があった旨の情報を周辺制御基板1510に対するコマンドとしてセットする。これにより、ステップS90(図212)の処理では、上記更新された報知フラグの状態に基づいて扉開放検出があった旨の情報が外部出力されてホールコンピュータ内で管理されるようになるとともに、ステップS92(図212)の処理では、周辺制御基板1510に対してコマンドが送信されてその情報(扉開放検出)が上記周辺制御MPU1530a内の報知に関する処理に供されるようになる。
これに対し、周辺制御MPU1530aでは、報知音5(枠開放)が出力状態(再生状態)にある上記タイミングtβ2(若しくは、その直後)においてステップS1022(図230)の受信コマンド解析処理でコマンドを解析した結果、扉開放検出の情報が含まれていることを把握したとしても、ステップS1024(図230)の警告処理にて、図278で示した報知音4(扉開放)をチャンネルXに対して割り当てることはしない。すなわち、チャンネルXには優先順位が同じである報知音5(枠開放)が既に割り当て状態になっていることから、報知音4(扉開放)をチャンネルXに対して新たに割り当てないようにすることで、既に割り当て状態になっている側の報知音5(枠開放)の再生を優先的に実行してこれを継続させるようにしている。
また、この実施の形態にかかる周辺制御MPU1530aでは、タイミングtβ2において扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータこれ自体のセットも行わないようにしている。したがって、チャンネルXに対して割り当てられていない状態で報知音4(扉開放)に応じた音生成用スケジューラーデータが進展処理されることもない。
ただしその一方、この実施の形態にかかる周辺制御MPU1530aでは、タイミングtβ2(若しくは、その直後)においては、未だセットしていない報知音4(扉開放)の報知時間を計時するためのタイマ(30秒)についてはこれをセットするようにしておき、報知音5(枠開放)の出力状態(再生状態)が終了した時点で該タイマ(30秒)がタイムアップしていないときには扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットし、その残り時間分だけ報知音4(扉開放)をチャンネルXに対して割り当ててその報知態様(ここでは、「扉が開いています ピンポンピンポン」のループ)での報知音再生を実行するものとなっている。
また、周辺制御MPU1530aでは、タイミングtβ2(若しくは、その直後)においては、扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットすることはしないものの、扉開放検出に応じた画面生成用スケジューラーデータ、及び扉開放検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータを、周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットすることで、上述した液晶内表示やランプ点灯についてはこれらを実行するようにしている。
なお、液晶内表示では、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域のうち枠開放に応じた表示が行われている位置とは異なる位置にて扉開放に応じた表示が別に現れるようになっている。ランプ点灯では、扉開放検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータこそセットされるものの、枠開放検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータが既にセットされておりその優先順位が同じになっていることから、既にセット状態にあった枠開放検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータの点灯態様が各種のランプ発光でそれぞれ反映されることとなり、扉開放検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータの点灯態様が各種のランプ発光でそれぞれ反映されることはない。扉開放検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータについても、音生成用スケジューラーデータと同様、タイミングtβ2(若しくは、その直後)においてセットしないようにしてもよい。
ただし上述の通り、この実施例では、枠開放検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータと、扉開放検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータとは同じデータ内容になっていることから、それらのいずれを反映させるようにした場合であってもランプ点灯に変化が生じることはない。
そしてこの後、タイミングtβ1から30秒が経過したタイミングtβ3では、報知音5(枠開放)のタイマ(30秒)がタイムアップしたことに基づいて「枠が開いています ピンポンピンポン」といった報知音を繰り返し実行させるループ処理が終了されることとなる。なおここでは、「枠が開いています ピンポンピンポン」といった報知音を1回再生するのに要する時間を10秒に設定してあることから、報知音5(枠開放)のタイマ(30秒)がタイムアップしたタイミングtβ3では、「枠が開いています ピンポンピンポン」といった報知音が3回分再生し終わった、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されるようになっている。
またこの際、報知音4(扉開放)のタイマ(30秒)がタイムアップしていない状態にあることから、周辺制御MPU1530aでは、扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットし、その残り時間(タイミングtβ2からタイミングtβ3までの時間(β)を30秒から減算した時間)分だけ報知音4(扉開放)をチャンネルXに対して割り当てることで、その報知態様(ここでは、「扉が開いています ピンポンピンポン」のループ)での報知音再生を実行することとなる。
すなわち、タイミングtβ2においては報知音4(扉開放)のタイマをセットする一方で、扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータについてはこれをセットせずタイミングtβ3になったときにセットするようにしたことから、タイミングtβ3においては、「扉が開いています ピンポンピンポン」の報知音を頭から再生させることができるとともに、報知音4(扉開放)のタイマがタイムアップするときには、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音のうち中途半端なタイミング(例えば、「扉が開いています ピ」などのタイミング)でそのループ処理が終了されて再生されなくなるように促すことができるようになる。
このような構成によれば、第2報知グループに属する一の報知音が再生されているときに第2報知グループに属する別の報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときも(図279(b))、3回目のメッセージ音(ここでは「枠が開いています」)と3回目の警報音(ここでは「ピンポンピンポン」)とが再生し終わったところで、4回目のメッセージ音(ここでは「扉が開いています」)が再生されたかのような、スムーズな報知音切り替えを実現することができるようになる。これにより、「枠が開いています ピンポンピンポン」と「扉が開いています ピンポンピンポン」が変な箇所で繋がってしまい、緊迫した状況にあるなかで報知内容を認識できなくなってしまうような事態の発生を好適に抑制することができるようになる。
また、上記構成によれば、タイミングtβ3において、扉開放検出に応じたタイマの残り時間が短くなっており、報知音4が中途半端なところで途切れてしまったとしても、メッセージ音が先に再生されるようになっていることから、扉が開放していることを確実に把握可能にすることができるようになる。
図279(c)は、第3報知グループに属する一の報知音が再生されているときに、第3報知グループに属する別の報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときの処理についてその一例を示すものである。
同図279(c)に示されるように、いま、何らの報知音も出力されていないタイミングtγ1において、ステップS84又はS88(図212)の処理内で非時短の状態にあるにもかかわらず遊技領域5aのうちセンター役物2500に対して右側となる領域内に設けられるゲート部2003を遊技球が通過したことがゲートセンサ2401によって検出(非時短状態での右打ち検出)されたとすると、主制御MPU1310aでは、非時短状態での右打ち検出があった旨の情報を周辺制御基板1510に対するコマンドとしてセットする。これにより、ステップS92(図212)の処理では、周辺制御基板1510に対してコマンドが送信されてその情報(時短状態での右打ち検出)が上記周辺制御MPU1530a内の報知に関する処理に供されるようになる。なお、第3報知グループの処理に関しては、主制御MPU1310a内で報知フラグの更新は行われず、その情報がホールコンピュータへと外部出力されることはない。
これに対し、周辺制御MPU1530aでは、何らの報知音も出力されていない上記タイミングtγ1(若しくは、その直後)においてステップS1022(図230)の受信コマンド解析処理でコマンドを解析した結果、非時短状態での右打ち検出の情報が含まれていることを把握すると、ステップS1024(図230)の警告処理にて、図278で示した報知音6(左打ち案内)をチャンネルXに対して割り当てて(セットして)その報知態様(ここでは、「左打ちに戻してください」のループ)での報知音再生を開始させるとともに、報知音6(左打ち案内)の報知時間を計時するためのタイマ(20秒)をセットする。
非時短状態での右打ち検出に関して、この実施の形態では、主制御MPU1310aからその旨の情報がコマンドとして出力されるようにしたが、これに代えて、主制御MPU1310aからはゲート部2003を遊技球が通過したことがゲートセンサ2401によって検出された旨の情報だけをコマンドとして出力されるようにして、周辺制御MPU1530a側で、ゲートセンサ2401による検出が非時短状態で行われたか否かの判断を行い、非時短状態でゲートセンサ2401による検出があったことに基づいて報知音6(左打ち案内)に関する処理を行うようにしてもよい。
なお、報知音6(左打ち案内)をチャンネルXに対して割り当てるに際しては、非時短状態での右打ち検出に応じた音生成用スケジューラーデータを、周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットすることとなる。そしてこの上で、報知音6(左打ち案内)をチャンネルXに対して割り当てることで、「左打ちに戻してください」といった報知音があらかじめ定められた処理態様(ループ)で報知音再生されるようになる。
またこの際、周辺制御MPU1530aでは、非時短状態での右打ち検出に応じた画面生成用スケジューラーデータを、周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットすることで、上述した液晶内表示も併せて実行することとなる。液晶内表示の実行は、報知音6(左打ち案内)の解除条件である報知終了(報知音6(左打ち案内)の報知時間を計時するためのタイマ(20秒)がタイムアップ)になるまで継続して実行される。なお、不正可能性が低い第3報知グループの処理に関しては、演出の進行妨げを回避することを重要視しており、非時短状態での右打ち検出に応じた発光態様生成用スケジューラーデータがセットされることはない。
このような処理を通じて、タイミングtγ1から「左打ちに戻してください」といった報知音が20秒間にわたって繰り返し実行されるとともに、その報知音が終了されるまでの間、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(例えば、「左打ちに戻してください」)が実行されるようになる。
ただし、図279(c)に示される例では、タイミングtγ1から20秒が経過しておらず「左打ちに戻してください」といった報知音がループ再生中の状態にあるタイミングtγ2において、ステップS82又はS84(図212)の処理内で満タン検知センサ279による下皿満タン検出があった場合を想定している。この点、主制御MPU1310aでは、非時短状態での右打ち検出があったタイミングtγ1の場合と同様、下皿満タン検出があった旨の情報を周辺制御基板1510に対するコマンドとしてセットする。これにより、ステップS92(図212)の処理では、周辺制御基板1510に対してコマンドが送信されてその情報(下皿満タン検出)が上記周辺制御MPU1530a内の報知に関する処理に供されるようになる。
これに対し、周辺制御MPU1530aでは、報知音6(左打ち案内)が出力状態(再生状態)にある上記タイミングtγ2(若しくは、その直後)においてステップS1022(図230)の受信コマンド解析処理でコマンドを解析した結果、下皿満タン検出の情報が含まれていることを把握したとしても、ステップS1024(図230)の警告処理にて、図278で示した報知音7(球抜き案内)をチャンネルXに対して割り当てることはしない。すなわち、チャンネルXには優先順位が同じである報知音6(左打ち案内)が既に割り当て状態になっていることから、報知音7(球抜き案内)をチャンネルXに対して新たに割り当てないようにすることで、既に割り当て状態になっている側の報知音6(左打ち案内)の再生を優先的に実行してこれを継続させるようにしている。
また、この実施の形態にかかる周辺制御MPU1530aでは、タイミングtγ2において下皿満タン検出に応じた音生成用スケジューラーデータこれ自体のセットも行わないようにしている。したがって、チャンネルXに対して割り当てられていない状態で報知音7(球抜き案内)に応じた音生成用スケジューラーデータが進展処理されることもない。
ただしその一方、この実施の形態にかかる周辺制御MPU1530aでは、タイミングtγ2(若しくは、その直後)においては、未だセットしていない報知音7(球抜き案内)の報知時間を計時するためのタイマ(20秒)についてはこれをセットするようにしておき、報知音6(左打ち案内)の出力状態(再生状態)が終了した時点で該タイマ(20秒)がタイムアップしていないときには下皿満タン検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットし、その残り時間分だけ報知音7(球抜き案内)をチャンネルXに対して割り当ててその報知態様(ここでは、「下皿の球を抜いてください」のループ)での報知音再生を実行するものとなっている。
また、周辺制御MPU1530aでは、タイミングtγ2(若しくは、その直後)においては、下皿満タン検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットすることはしないものの、下皿満タン検出に応じた画面生成用スケジューラーデータを、周辺制御ROM1530b又は周辺制御RAM1530cの各種制御データコピーエリアから抽出して周辺制御RAM1530cのスケジューラーデータ記憶領域に1530caeにセットすることで、上述した液晶内表示についてはこれを実行するようにしている。
なお、液晶内表示では、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域のうち左打ち案内に応じた表示が行われている位置とは異なる位置にて球抜き案内に応じた表示が別に現れるようになっている。
そしてこの後、タイミングtγ1から20秒が経過したタイミングtγ3では、報知音6(左打ち案内)のタイマ(20秒)がタイムアップしたことに基づいて「左打ちに戻してください」といった報知音を繰り返し実行させるループ処理が終了されることとなる。なおここでは、「左打ちに戻してください」といった報知音を1回再生するのに要する時間を10秒に設定してあることから、報知音6(左打ち案内)のタイマ(30秒)がタイムアップしたタイミングtγ3では、「左打ちに戻してください」といった報知音が2回分再生し終わった、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されるようになっている。
またこの際、報知音7(球抜き案内)のタイマ(20秒)がタイムアップしていない状態にあることから、周辺制御MPU1530aでは、下皿満タン検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットし、その残り時間(タイミングtγ2からタイミングtγ3までの時間(γ)を20秒から減算した時間)分だけ報知音7(球抜き案内)をチャンネルXに対して割り当てることで、その報知態様(ここでは、「下皿の球を抜いてください」のループ)での報知音再生を実行することとなる。
すなわち、タイミングtγ2においては報知音7(球抜き案内)のタイマをセットする一方で、下皿満タン検出に応じた音生成用スケジューラーデータについてはこれをセットせずタイミングtγ3になったときにセットするようにしたことから、タイミングtγ3においては、「下皿の球を抜いてください」の報知音を頭から再生させることができるとともに、報知音7(球抜き案内)のタイマがタイムアップするときには、「下皿の球を抜いてください」といった報知音のうち中途半端なタイミング(例えば、「下皿の球を抜いてくだ」などのタイミング)でそのループ処理が終了されて再生されなくなるように促すことができるようになる。
このような構成によれば、第3報知グループに属する一の報知音が再生されているときに第3報知グループに属する別の報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときも(図279(c))、2回目のメッセージ音(ここでは「左打ちに戻してください」)が再生し終わったところで、3回目のメッセージ音(ここでは「下皿の球を抜いてください」)が再生されたかのような、スムーズな報知音切り替えを実現することができるようになる。これにより、「左打ちに戻してください」と「「下皿の球を抜いてください」が変な箇所で繋がってしまい、報知内容を認識できなくなってしまうような事態の発生を好適に抑制することができるようになる。
また、この実施例にかかる第3報知グループでは、上述した通り、メッセージ音が出力し終わった後には5秒間の無音データがチャンネルXに割り当てられてそれに応じた音が出力(無音出力)されるようになっている。したがって、第3報知グループに属する一の報知音が再生されているときに第3報知グループに属する別の報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときは、5秒間の無音データを挟んで別の報知音のメッセージ音が再生されるようになることから、警報音が無いことによって2つの異なるメッセージ音が繋がってしまい、報知内容を認識できなくなってしまうような事態の発生を好適に回避することができるようになる。
図280(a)は、第1報知グループに属する一の報知音が再生されているときに第2報知グループに属する報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときの処理についてその一例を示すものである。
同図280(a)に示されるように、何らの報知音も出力されていないタイミングt‐1において、ステップS84(図212)の処理内で磁気センサ2404による磁気検出があったとすると、該磁気検出に応じた処理(磁気異常処理)に関しては、図279(a)を参照して説明した場合と同様の処理が行われる。したがって、タイミングt‐1では、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音を繰り返し実行させるループ処理が開始されることとなり、報知音1(磁気異常)のタイマ(60秒)がタイムアップしたタイミングt‐3では、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音が6回分再生し終わった、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されることとなる。また、液晶内表示及びランプ点灯の実行は、磁気異常の解除条件である電源再投入が行われるときまで継続して実行されることとなる。
ここで、図280(a)に示される例では、タイミングt‐1から60秒が経過しておらず「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音がループ再生中の状態にあるタイミングt‐2において、ステップS82又はS84(図212)の処理内で扉枠開放スイッチ618による扉開放検出があった場合を想定している。この点、磁気検出に応じた報知音1(磁気異常)の処理は、扉開放検出に応じた報知音4(扉開放)の処理よりも優先順位が高くされていることから(図277を参照)、扉開放検出が生じた場合であっても、報知音1(磁気異常)の処理を継続して行うこととなる。
そして通常は、優先順位が低い側の処理については、図279(a)〜(c)を参照しつつ説明した同じ優先順位の処理が重なった場合と同様、優先順位が低い側の報知音のタイマだけをセットし、音生成用スケジューラーデータこれ自体のセットは行わないようにする処理がなされる。
ただし、磁気異常が発生してすぐに扉開放されるような状況とは、単に扉開放だけが発生した場合とは異なり、何らかの不正行為が行われている可能性が高くなっており、もはや「不正可能性が中程度である第2報知グループ」に属する報知とは言い難い状況になっているといえる。そこで、図280(a)に示される例では、タイミングt‐2において、扉開放検出に応じた報知音4(扉開放)のタイマと音生成用スケジューラーデータとのいずれについてもそれらをセットせず、扉開放検出に応じたフラグのセットのみを行う。そして、タイミングt‐3において、該フラグがセットされていることに基づいて、扉開放検出に応じた報知音4(扉開放)のタイマと扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータとをそれぞれセットするとともに、報知音4(扉開放)をチャンネルXに対して割り当ててその報知態様(ここでは、「扉が開いています ピンポンピンポン」のループ)での報知音再生を開始させるようにしている。なお、扉開放検出に応じた液晶内表示及びランプ点灯の実行は、タイミングt‐2から開始される。
このような構成によれば、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音がループ再生中の状態において扉枠開放スイッチ618による扉開放検出があったにもかかわらず、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音のループ再生が終了されるタイミングt‐3から扉開放検出に応じた報知音4(扉開放)が30秒間にわたって丸々再生されるようになり、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音が3回分再生し終わった、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されることとなる。このように、通常の優先順位に基づく処理とは異なる、より丁寧な報知態様で扉開放検出に応じた報知音4(扉開放)を再生するようにしたことで、第2報知グループに属する報知内容(ここでは、「扉が開いています ピンポンピンポン」のループ)ではあるものの、不正可能性が高くなっている状況にあることの認識を促すことが期待されるようになる。
また、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音の後、メッセージ音(扉が開いています)から報知内容が開始されるようになることで、最も緊迫した状況下にある第1報知グループに属する報知は終了されたことを早い段階で認識させることができるようになる。その一方で、メッセージ音の後に「ピンポンピンポン」の警報音が再生されることにより第3報知グループに属する報知でもないことを容易に認識させることができるようになる。
図280(b)は、第2報知グループに属する一の報知音が再生されているときに第3報知グループに属する報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときの処理についてその一例を示すものである。
同図280(b)に示されるように、何らの報知音も出力されていないタイミングtδ1において、ステップS82又はS84(図212)の処理内で扉枠開放スイッチ618による扉開放検出があったとすると、該扉開放検出に応じた処理(扉開放時処理)に関しては、図279(b)を参照して説明した「枠開放検出に応じた処理(枠開放時処理)」と同様の処理が行われる。したがって、タイミングtδ1では、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音を繰り返し実行させるループ処理が開始されることとなり、報知音4(扉開放)のタイマ(30秒)がタイムアップしたタイミングtδ3では、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音が3回分再生し終わった、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されることとなる。また、液晶内表示及びランプ点灯の実行は、扉開放の解除条件である扉閉鎖が検出されるときまで継続して実行されることとなる。
ここで、図280(b)に示される例では、タイミングtδ1から30秒が経過しておらず「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音がループ再生中の状態にあるタイミングtδ2において、ステップS84又はS86(図212)の処理内でゲートセンサ2401による非時短状態での右打ち検出があった場合を想定している。この点、扉開放検出に応じた報知音4(扉開放)の処理は、非時短状態での右打ち検出に応じた報知音6(左打ち案内)の処理よりも優先順位が高くされていることから(図277を参照)、非時短状態での右打ち検出が生じた場合であっても、報知音4(扉開放)の処理を継続して行うこととなる。
すなわち上述の通り、優先順位が低い側の処理については、図279(a)〜(c)を参照しつつ説明した同じ優先順位の処理が重なった場合と同様、優先順位が低い側の報知音のタイマだけをセットし、音生成用スケジューラーデータこれ自体のセットは行わないようにする処理がなされる。
したがって、図280(b)に示される例では、タイミングtδ2において、報知音6(左打ち案内)のタイマ(20秒)をセットする一方で、非時短状態での右打ち検出に応じた音生成用スケジューラーデータはセットしない。そして、タイミングtδ3において、報知音6(左打ち案内)のタイマ(20秒)がタイムアップしていないときには非時短状態での右打ち検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットし、その残り時間分だけ報知音6(左打ち案内)をチャンネルXに対して割り当ててその報知態様(ここでは、「左打ちに戻してください」のループ)での報知音再生を実行することとなる。
このような構成によれば、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音が3回分再生し終わった、切りの良いタイミングで「左打ちに戻してください」といった警報音が含まれない報知音が再生されるようになることから、報知状態を継続させつつも、不正可能性が低くなったことを容易に認識可能とすることができるようになる。また、この実施例にかかる第3報知グループでは、上述した通り、メッセージ音が出力し終わった後には5秒間の無音データがチャンネルXに割り当てられてそれに応じた音が出力(無音出力)されるようになっている。したがって、このような無音データによっても、それまで再生されていた種別の報知音は終了しており、第3報知グループに属する報知音が再生されていることを容易に認識可能とすることができるようになる。
図280(c)は、第2報知グループに属する一の報知音が再生されているときに第1報知グループに属する報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときの処理についてその一例を示すものである。
同図280(c)に示されるように、何らの報知音も出力されていないタイミングtε1において、ステップS82又はS84(図212)の処理内で扉枠開放スイッチ618による扉開放検出があったとすると、該扉開放検出に応じた処理(扉開放時処理)に関しては、図279(b)を参照して説明した「枠開放検出に応じた処理(枠開放時処理)」と同様の処理が行われる。したがって、タイミングtε1では、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音を繰り返し実行させるループ処理が開始されることとなり、報知音4(扉開放)のタイマ(30秒)がタイムアップしたタイミングtε3では、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音が3回分再生し終わった、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されることとなる。また、液晶内表示及びランプ点灯の実行は、扉開放の解除条件である扉閉鎖が検出されるときまで継続して実行されることとなる。
ただし、図280(c)に示される例では、タイミングtε1から30秒が経過しておらず「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音がループ再生中の状態にあるタイミングtε2において、ステップS84(図212)の処理内で磁気センサ2404による磁気検出があった場合を想定している。この点、扉開放検出に応じた報知音4(扉開放)の処理は、磁気センサ2404による磁気検出に応じた報知音1(磁気異常)の処理よりも優先順位が低くされていることから(図277を参照)、磁気センサ2404による磁気検出に応じた報知音1(磁気異常)の処理を優先させ、報知音4(扉開放)の処理については、音、ランプ点灯のいずれにおいてもその出力内容が各アクチュエータの作動として反映されないようにすることとなる。なお、液晶内表示については、各報知ごとに、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内の異なる位置にそれぞれ表示されるようになっていることから、優先順位の低い報知の実行中に優先順位の高い報知が発生した場合であっても、優先順位の低い側の液晶内表示は維持される。
ここで、報知音4(扉開放)の処理について、音、ランプ点灯のいずれにおいてもその出力内容が各アクチュエータの作動として反映されないようにする手法としては、タイミングtε2において、それまでセットしていた扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータ及び発光態様生成用スケジューラーデータをセット状態からそれぞれ解消させる処理を行うようにしてもよい。
この点、この実施の形態では、タイミングtε2においては、扉開放検出に応じた画面生成用スケジューラーデータのみならず、扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータ及び発光態様生成用スケジューラーデータについてもそれらをセット状態で維持したままとし、それらの各データよりも優先順位がそれぞれ高くなっている磁気検出に応じた音生成用スケジューラーデータ、画面生成用スケジューラーデータ、及び発光態様生成用スケジューラーデータをそれぞれセット状態にする。そして、チャンネルXと各種のランプ作動に対する割り当てを、扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータ、発光態様生成用スケジューラーデータに基づく内容から、磁気検出に応じた音生成用スケジューラーデータ、発光態様生成用スケジューラーデータに基づく内容へと切り替えるようにすることで、磁気センサ2404による磁気検出に応じた報知音1(磁気異常)の処理を、音、液晶内表示、ランプ点灯のいずれにおいてもその出力内容が各アクチュエータの作動として反映させるようにしている。
このような構成によれば、図280(c)に示されるように、タイミングtε2において、実行状態にある優先順位が低い側の処理(扉開放時処理)については何らの操作も行うことなく、2つの異なる処理(扉開放処理、磁気異常処理)の間での優先順位に基づく報知内容の変更を実現することができるようになる。
したがって、図280(c)に示される例では、タイミングtδ2において、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音を繰り返し実行させるループ処理が開始されることとなり、報知音1(磁気異常)のタイマ(60秒)のタイムアップに合わせて「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音が6回分再生し終わった、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されることとなる。また、液晶内表示及びランプ点灯の実行は、磁気異常の解除条件である電源再投入が行われるときまで継続して実行されることとなる。
このような構成によれば、不正行為が行われている可能性の高い磁気検出が発生してすぐに、報知音1(磁気異常)の処理を、音、液晶内表示、ランプ点灯のいずれにおいてもその出力内容が各アクチュエータの作動として反映されるようになる。しかも、報知音として、まず、「ブーブー」といった警報音が再生されることから、第1報知グループに属する報知が行われており、緊迫した状況へと切り替わったことをホール側へといち早く伝達することが期待されるようになる。
図280(d)は、第3報知グループに属する一の報知音が再生されているときに第2報知グループに属する報知音の出力条件(状態検出)が満たされたときの処理についてその一例を示すものである。
同図280(d)に示されるように、何らの報知音も出力されていないタイミングtζ1において、ステップS84又はS86(図212)の処理内でゲートセンサ2401による非時短状態での右打ち検出があったとすると、該非時短状態での右打ち検出に応じた処理(左打ち案内処理)に関しては、図279(c)を参照して説明した場合と同様の処理が行われる。したがって、タイミングtζ1では、「左打ちに戻してください」といった報知音を繰り返し実行させるループ処理が開始されることとなり、報知音6(左打ち案内)のタイマ(20秒)がタイムアップしたタイミングtζ3では、「左打ちに戻してください」といった報知音が2回分再生し終わった、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されることとなる。また、液晶内表示及びランプ点灯の実行は、左打ち案内の解除条件である報知音のタイマアップまで継続して実行されることとなる。
ただし、図280(d)に示される例では、タイミングtζ1から20秒が経過しておらず「左打ちに戻してください」といった報知音がループ再生中の状態にあるタイミングtζ2において、ステップS82又はS84(図212)の処理内で扉枠開放スイッチ618による扉開放検出があった場合を想定している。この点、非時短状態での右打ち検出に応じた報知音6(左打ち案内)の処理は、扉開放検出に応じた報知音4(扉開放)の処理よりも優先順位が低くされていることから(図277を参照)、扉開放検出に応じた報知音4(扉開放)の処理を優先させ、報知音6(左打ち案内)の処理については、その出力内容がアクチュエータの作動として反映されないようにすることとなる。なお、液晶内表示については、各報知ごとに、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内の異なる位置にそれぞれ表示されるようになっていることから、優先順位の低い報知の実行中に優先順位の高い報知が発生した場合であっても、優先順位の低い側の液晶内表示は維持される。
ここで、報知音6(左打ち案内)の処理について、その出力内容がアクチュエータの作動として反映されないようにする手法としては、タイミングtζ2において、それまでセットしていた非時短状態での右打ち検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセット状態から解消させる処理を行うようにしてもよい。
この点、この実施の形態では、タイミングtζ2においては、非時短状態での右打ち検出に応じた画面生成用スケジューラーデータのみならず、非時短状態での右打ち検出に応じた音生成用スケジューラーデータについてもそれらをセット状態で維持したままとし、これよりも優先順位が高くなっている扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータはもとより、扉開放検出に応じた画面生成用スケジューラーデータ及び発光態様生成用スケジューラーデータをそれぞれセット状態にする。そして、チャンネルXに対する割り当てを、非時短状態での右打ち検出に応じた音生成用スケジューラーデータに基づく内容から、扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータに基づく内容へと切り替えるようにすることで、扉開放検出に応じた報知音4(扉開放)の処理を、音、液晶内表示、ランプ点灯のいずれにおいてもその出力内容が各アクチュエータの作動として反映されるようにしている。
このような構成によれば、図280(d)に示されるように、タイミングtζ2において、実行状態にある優先順位が低い側の処理(左打ち案内処理)については何らの操作も行うことなく、2つの異なる処理(左打ち案内処理、扉開放処理)の間での優先順位に基づく報知内容の変更を実現することができるようになる。
したがって、図280(d)に示される例では、タイミングtζ2において、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音を繰り返し実行させるループ処理が開始されることとなり、報知音4(扉開放)のタイマ(30秒)のタイムアップに合わせて「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音が3回分再生し終わった、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されることとなる。また、液晶内表示及びランプ点灯の実行は、扉開放の解除条件である扉閉鎖検出が行われるときまで継続して実行されることとなる。
このような構成によれば、不正行為が行われている可能性が中程度の扉開放検出が発生してすぐに、報知音4(扉開放)の処理を、音、液晶内表示、ランプ点灯のいずれにおいてもその出力内容が各アクチュエータの作動として反映されるようになる。しかも、報知音としては、まず、メッセージ音(扉が開いています)から再生させるようにしていることから、適正な遊技を行っている者に対して嫌悪感を覚えさせないようにしつつも、その後の「ピンポンピンポン」による警報音によって第2報知グループに属する報知が行われており、不正可能性が生じた状況へと切り替わったことをホール側へといち早く伝達することが期待されるようになる。
この実施例にかかるパチンコ機1では、図277に示した各報知音が複数出力されるべき状況になった場合は、優先順位に応じた上述の各処理を行うようにすることで、各種の報知音に関して単一のチャンネル(チャンネルX)のみを用いるものでありながらも、異常内容や遊技案内などを適切に報知可能としている(チャンネル節約型の制御構造)。ただし上述の通り、不正可能性が中程度である第2報知グループに属する報知音であっても、その他の検出状況によっては、不正可能性が中程度よりも高くなる場合があることから、上述の優先順位に基づく制御だけでは現在の遊技機の状態を適正に報知しているとは言い難い。
また、報知音とは、不正行為が行われた可能性の高い異常検出があったときのみならず、不正行為が行われた可能性の低い異常検出があったときにも出力されるものである。すなわち、不正行為が行われた可能性の高い異常検出であればその検出状態が継続される限り報知音の出力を行うことが求められるが、不正行為が行われた可能性の低い異常検出であれば、ホール側の都合(各種エラーの復旧対応など)でそのような検出状態を維持している可能性もあることから、その検出状態が継続されていたとしても、報知音の出力を必ずしも継続させることは求められないなど、当該パチンコ機1の状況に応じてより柔軟な報知処理を実行可能とすることが重要である。
そこで、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、図281〜図286に例示する各状況においては、上述の優先順位に基づく制御のほか、特殊な条件も加味して、遊技機の状態をより適切に表現可能とするような態様での報知を実現することとしている。以下、特殊な報知処理について、図281〜図286を参照して各状況の別に説明する。
図281に示される例では、何らの報知音も出力されていないタイミングtα11において、扉枠開放スイッチ618による扉開放検出が発生する。すると、扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータがセットされてその報知音がチャンネルXに割り当てられるとともに、扉開放検出に応じた画面生成用スケジューラーデータ及び発光態様生成用スケジューラーデータについてもそれらがセット状態にされる。そしてこの際、報知音4(扉開放)の報知時間を計時するためのタイマ(30秒)がセットされることで、扉開放検出に応じた報知音については、タイミングtα12が到来するまでの30秒間にわたって再生されるようになる。
これに対し、扉開放検出に応じた液晶内表示については、扉枠開放スイッチ618によって扉開放が検出されなくなるタイミングtα16が到来するまでその表示が維持されることとなる。
ただし、図281に示される例では、扉開放検出に応じた報知音再生が終了してチャンネルXが空き状態になっているタイミングtα13において、報知に関する優先順位が相対的に高くされている磁気センサ2404による磁気検出が発生する。したがって、タイミングtα11から開始された扉開放検出に応じたランプ発光については、発光態様生成用スケジューラーデータこそ上記タイミングtα16が到来するまでセット状態にて維持されるものの、各種のランプ作動に対する割り当てに関しては、タイミングtα13において磁気検出に応じたランプ発光の態様へと切り替えられることとなる。
すなわち、タイミングtα13では、磁気検出に応じた音生成用スケジューラーデータがセットされてその報知音がチャンネルXに割り当てられるとともに、磁気検出に応じた画面生成用スケジューラーデータ及び発光態様生成用スケジューラーデータについてもそれらがセット状態にされる。そしてこの際、報知音1(磁気異常)の報知時間を計時するためのタイマ(60秒)がセットされることで、磁気検出に応じた報知音については、タイミングtα14が到来するまでの60秒間にわたって再生されるようになる。
これに対し、磁気検出に応じた液晶内表示及びランプ発光については、電源オフにされない限り、その表示と発光とがそれぞれ維持されることとなる。
ところで、図281に示される例では、扉開放検出に応じた報知音再生が終了しており、且つ扉枠開放スイッチ618による扉開放検出が未だ継続している状況にあるときに、磁気センサ2404による磁気検出が発生している。このような状況とは、何らかの不正工作を行う意図のある者が扉枠3を開放させてこれを開放状態にした後、扉開放検出に応じた報知音再生が終了するのを待って、ほとぼりが冷めた状態で扉枠3内部に不正目的の磁石を秘かに配置させようとしたときに磁気センサ2404の検出範囲に磁石が瞬間的に入った状況にある可能性が想定され、極めて悪質な行為であることから、磁気検出に応じた報知音処理を行うだけではその対策として不十分であることが懸念される。その一方で、磁気センサ2404による磁気検出の状態は既にオフになっていることから、何らかの対策を行おうとしてもその契機として磁気検出を用いることはできない。
そこで、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、磁気検出に応じた報知音再生が終了されるタイミングtα14になると、扉枠開放スイッチ618による扉開放検出が未だ継続していることを利用し、これに基づいて、報知音再生がその報知時間(30秒)分だけ既に報知し終わった状態にある「扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータ」を再びセットしてその報知音をチャンネルXに再び割り当てる特殊処理を行うこととしている。なおこの際も、報知音4(扉開放)の報知時間を計時するためのタイマ(30秒)がセットされることで、タイミングtα15が到来するまでの30秒間にわたって扉開放検出に応じた報知音が再生される。
このような構成では、既に終了状態にあった扉開放検出に応じた報知音が「磁気検出に応じた報知音再生」と繋がるかたちで再生されるようになることから、ホール内に大きな違和感を生じさせて皆の注目が集まることが期待されるようになる。また、不正を行う者としても「磁気報知が終われば報知音再生がすべて終了されたこととなり、不正行為をしていることをようやく目立ち難い状況にすることができる」と安心しているところで、既に終了したはずの扉開放検出に応じた報知音が再生されることで、想定外の報知状況になることから、これ以上の不正行為はリスクが大きすぎるとの認識を持たせることが期待されるようになる。
なお後述するが、この実施例では、第1報知グループに属する報知処理が行われている期間中と、第2報知グループに属する報知処理が行われている期間中とにおいては、その他のチャンネルに割り当てられている図柄変動中の演出音やそれ以外の遊技音のボリュームを抑制させる処理(音量を特定値まで低下させる処理)を行うこととしている。特定値は、音量0であってもよい。第3報知グループに属する報知処理が行われている期間中は、その他のチャンネルに割り当てられている図柄変動中の演出音やそれ以外の遊技音のボリュームは抑制されない。
ここで、報知処理が行われている期間(ボリュームの抑制対象とされる期間)とは、第1報知グループ又は第2報知グループで用いられるセンサのいずれかが特定の検出状態にあるか(異常状態にあるか)、第1報知グループ又は第2報知グループに属する報知音が再生中であるか(報知音再生中か)の条件が満たされている期間のことである。したがって、図281に示される例では、タイミングtα11〜tα13の期間とタイミングtα14〜tα16の期間とにおいては、第1報知グループによる報知処理が行われている期間中であることに基づいて、図柄変動中の演出音やそれ以外の遊技音のボリュームを抑制させる処理(音量を特定値まで低下させる処理)が行われ、タイミングtα13〜tα14の期間においては、第1報知グループ及び第2報知グループによる報知処理が行われている期間中であることに基づいて、図柄変動中の演出音やそれ以外の遊技音のボリュームを抑制させる処理(音量を特定値まで低下させる処理)が行われることとなる。
なお、この実施例では、第1報知グループによる報知処理のみが行われている期間中(タイミングtα11〜tα13,tα14〜tα16)と、第1報知グループ及び第2報知グループによる報知処理が両方行われている期間中とで、図柄変動中の演出音やそれ以外の遊技音の音量を同じ値まで低下させることとしたが、第1報知グループ及び第2報知グループによる報知処理が両方行われている期間中になると、第1報知グループによる報知処理のみが行われている期間中よりも低い値にまで低下させる処理を行うようにしてもよい。すなわちこの場合、報知以外の演出音を確認するだけでも複数の報知状態にあることが認識することができるようになり、ホール側の初動をより迅速化させることが期待されるようになる。
また、図281に示される例では、扉開放検出が終了されるタイミングtα16になると、図柄変動中の演出音やそれ以外の遊技音のボリュームを抑制させる処理を終了させることとした。ただし、既に終了状態にあった扉開放検出に応じた報知音が「磁気検出に応じた報知音再生」と繋がるかたちで再生された場合は、極めて悪質な行為が行われていた可能性があることに鑑みて、扉開放検出が終了されるタイミングtα16になっても図柄変動中の演出音やそれ以外の遊技音のボリュームを抑制させず、これを継続させるようにしてもよい。
また、図281に示される例では、扉開放検出に応じた処理を見ると明らかであるように、扉開放検出に応じた報知音が再生される期間、扉開放検出に応じた液晶内表示が行われる期間、及び扉開放検出に応じた態様でランプ発光する期間は、それらの開始時期は同じであるものの、それらの終了時期はすべて異なるようにされている。このように、報知音、液晶内表示、ランプ発光でそれぞれ異なる役割を持たせるようにそれらを作動させるようにしたことで、各種の報知音に関して単一のチャンネル(チャンネルX)のみを用いるものでありながらも、異常内容や遊技案内などを適切に報知することができるようになる。
これに対し、図282に示される例では、扉開放検出に応じた報知音(タイミングtα21〜tα22)が終了した後、タイミングtα23において、ゲートセンサ2401による非時短状態での右打ち検出が発生した場合を想定している。ただしこの例では、図281に示した例の場合とは異なり、極めて悪質な行為が行われている可能性は低いことから、該非時短状態での右打ち検出に応じた報知音再生が終了されるタイミングtα24において、既に終了状態にある扉開放検出に応じた報知音が再び再生されることはない。また、タイミングtα22〜タイミングtα23の期間において、図柄変動中の演出音やそれ以外の遊技音の音量の抑制態様が変化されることもない。ちなみに、扉開放検出に応じた報知音(タイミングtα21〜tα22)が終了した後、ゲートセンサ2401による非時短状態での右打ち検出ではなく、枠開放検出が発生した場合であっても、極めて悪質な行為が行われている可能性は低いことから、これに応じた報知音が終了したときに既に終了状態にある扉開放検出に応じた報知音が再び再生されることはない。
一方、図283に示される例では、扉開放検出に応じた報知音(タイミングtα31〜tα32)が終了した後のタイミングtα33において磁気センサ2404による磁気検出が発生する点では、図281に示した例と同じである。ただし、図283に示される例では、該磁気検出に応じた報知音が再生されている期間内であるタイミングtα34において、扉枠3が閉鎖されて扉開放検出が終了された場合を想定している。
図283に示される例では、磁気検出に応じた報知音再生が終了されるタイミングtα35において、既に終了状態にあった扉開放検出に応じた報知音が「磁気検出に応じた報知音再生」と繋がるかたちで再生されるようなことはない。すなわち、図283に示される例でも、図281に示した例の場合と同様、何らかの不正工作を行う意図のある者が扉枠3を開放させてこれを開放状態にした後、扉開放検出に応じた報知音再生が終了するのを待って、ほとぼりが冷めた状態で扉枠3内部に不正目的の磁石を秘かに配置させようとしたときに磁気センサ2404の検出範囲に磁石が瞬間的に入った状況にある可能性が想定される。ただし、タイミングtα34以降は、扉枠3が閉鎖されており且つ磁気検出も生じていない非不正の状態にあることに鑑みれば、このような非不正の状態にありながらも、磁気検出に応じた報知音をタイミングtα35が到来するまで継続再生するだけで報知音処理としては十分な役割を果たしていると考えられ、それよりも更なる報知音処理が必要になったときのためにチャンネルXを空き状態にして確保しておくことのほうが有益であるといえる。したがって、図283に示される例では、各種の報知音に関して単一のチャンネル(チャンネルX)のみを用いるものでありながらも、異常内容や遊技案内などを適切に報知することができるようになる。
また一方、図284に示される例では、扉開放検出に応じた報知音(タイミングtα41〜tα42)が終了した後のタイミングtα43において磁気センサ2404による磁気検出が発生する点では、図281に示した例と同じである。ただし、図284に示される例では、該磁気検出に応じた報知音が再生されている期間内であるタイミングtα44において、磁気センサ2404による磁気検出が再び発生した場合を想定している。
すなわち、図284に示される例では、扉開放検出に応じた報知音再生が終了するのを待って、ほとぼりが冷めた状態で扉枠3内部に不正目的の磁石を秘かに配置させようとしたときに磁気センサ2404の検出範囲に磁石が瞬間的に入り、これに応じて磁気異常の報知音が再生されたにもかかわらず、こうした状況にひるむことなく磁気センサ2404の検出範囲内に磁石を再び置こうとしていることが想定され、より悪質な不正行為が行われている可能性がある。そこで、この例では、タイミングtα44において、磁気センサ2404による磁気検出が再び発生した場合は、磁気検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセット状態で維持させたままにする一方で、報知音1(磁気異常)の報知時間を計時するためのタイマ(60秒)をセットし直す処理を行うようにしている。
このような構成によれば、1回目の磁気検出があったときから2回目の磁気検出があったタイミングtα44を基点とした60秒が経過するまでのより長い時間にわたって磁気検出に応じた報知音を継続再生させることができるようになる。またこの場合、タイミングtα43からタイミングtα45までの期間にわたって「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音が途切れることなく継続して再生されるようになる。そして最後には、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音が、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されず、例えば、「ブーブー 磁気を検」といった中途半端なタイミングでそのループ処理が終了されるようになることから、ホール内に大きな違和感を生じさせて皆の注目が集まることが期待されるようになる。
またさらに、2回目の磁気検出があったタイミングtα44を基点とした60秒が経過したタイミングtα44では、報知音再生がその報知時間(30秒)分だけ既に報知し終わった状態にある「扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータ」を再びセットしてその報知音をチャンネルXに再び割り当てる特殊処理を行うこととしている。なおこの際も、報知音4(扉開放)の報知時間を計時するためのタイマ(30秒)がセットされることで、タイミングtα15が到来するまでの30秒間にわたって扉開放検出に応じた報知音が再生される。
このような構成では、既に終了状態にあった扉開放検出に応じた報知音が「磁気検出に応じた報知音再生」と繋がるかたちで再生されることはもとより、「ブーブー 磁気を検」といった中途半端なタイミングでそのループ処理が終了された「磁気検出に応じた報知音再生」と繋がるかたちで再生されるようになる。したがって、既に終了状態にあった扉開放検出に応じた報知音の優先状態が高くなって磁気検出の報知音を途中で止めるかたちで再生されたかのような報知態様が現れるようになり、ホール内にさらに大きな違和感を生じさせて皆の注目が集まることが期待されるようになる。
また一方、図285に示される例では、扉開放検出に応じた報知音(タイミングtα51〜tα52)が終了した後のタイミングtα53において磁気センサ2404による磁気検出が発生する点では、図281に示した例と同じである。ただし、図285に示される例では、該磁気検出に応じた報知音が再生されている期間内であるタイミングtα54において、振動センサ2405による振動検出が発生した場合を想定している。
図285に示される例でも、扉開放検出に応じた報知音再生が終了するのを待って、ほとぼりが冷めた状態で扉枠3内部に不正目的の磁石を秘かに配置させようとしたときに磁気センサ2404の検出範囲に磁石が瞬間的に入り、これに応じて磁気異常の報知音が再生されたにもかかわらず、こうした状況にひるむことなく当該パチンコ機1を大きく揺らした状況にあることが想定され、より悪質な不正行為が行われている可能性がある。そこで、この例では、磁気検出に応じた報知音再生が終了されるタイミングtα55において、振動検出に応じた報知音を「磁気検出に応じた報知音再生」と繋がるかたちで再生させた後、該振動検出に応じた報知音再生が終了されるタイミングtα56において、既に終了状態にあった扉開放検出に応じた報知音を「振動検出に応じた報知音再生」とさらに繋がるかたちで再生させるようにしている。
しかも、振動センサ2405による振動検出が発生したタイミングtα54においては、振動検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットせず、且つ報知音2(振動異常)の報知時間を計時するためのタイマ(60秒)をセットするようにし、磁気検出に応じた報知音再生が終了されるタイミングtα55において、振動検出に応じた音生成用スケジューラーデータをセットしてその報知音をチャンネルXに割り当てるようにしている。
このような構成によれば、「ブーブー 振動を検知しました」といった報知音が、切りの良いタイミングでそのループ処理が終了されなくなり、例えば、「ブーブー 振動を検」といった中途半端なタイミングでそのループ処理が終了されるようになることから、ホール内に大きな違和感を生じさせて皆の注目が集まることが期待されるようになる。
またさらに、振動検出に応じた報知音再生が終了されるタイミングtα56では、報知音再生がその報知時間(30秒)分だけ既に報知し終わった状態にある「扉開放検出に応じた音生成用スケジューラーデータ」を再びセットしてその報知音をチャンネルXに再び割り当てる特殊処理を行うこととしている。なおこの際も、報知音4(扉開放)の報知時間を計時するためのタイマ(30秒)がセットされることで、タイミングtα15が到来するまでの30秒間にわたって扉開放検出に応じた報知音が再生される。
このような構成では、既に終了状態にあった扉開放検出に応じた報知音が「磁気検出に応じた報知音再生」と繋がった「振動検出に応じた報知音再生」に対してさらに繋がるかたちで再生されることはもとより、「ブーブー 振動を検」といった中途半端なタイミングでそのループ処理が終了された「振動検出に応じた報知音再生」と繋がるかたちで再生されるようになる。したがって、既に終了状態にあった扉開放検出に応じた報知音の優先状態が高くなって振動検出の報知音を途中で止めるかたちで再生されたかのような報知態様が現れるようになり、ホール内にさらに大きな違和感を生じさせて皆の注目が集まることが期待されるようになる。
他方、図286に示される例では、扉開放検出ではなく、枠開放検出に応じた報知音(タイミングtα61〜tα62)が終了した後のタイミングtα63において磁気センサ2404による磁気検出が発生した場合を想定している。
図286に示される例でも、枠開放検出があってからすぐに磁気検出がさらに発生する状況が、何らかの不正行為を行っている可能性が高い状況にあるといえる。ただしその一方で、不正行為を目的として磁石を用いるのであれば扉枠3を開放状態にするはずであり、本体枠4を開放状態にしたとしても磁石を配置させて有益となるようなことはないことから、ホール側が球タンクや払い出し通路などにおける球詰まり解消のために磁石を用いた時に誤って磁気センサ2404を誤検出させてしまった可能性も想定されうる状況にあるといえる。
そこで、図286に示される例においても、磁気検出に応じた報知音再生が終了されるタイミングtα64では、既に終了状態にあった枠開放検出に応じた報知音が「磁気検出に応じた報知音再生」と繋がるかたちで再生させることで(タイミングtα64〜tα65)、ホール内に大きな違和感を生じさせて皆の注目が集まることが期待されるようにする。ただしその後、本体枠4が閉鎖されて枠開放検出が終了されるタイミングtα66においては、枠開放検出に応じた各報知処理(報知音、液晶内表示、ランプ)のみならず、磁気検出に応じた各報知処理(報知音、液晶内表示、ランプ)についてもそれらを終了させる特殊処理を行うこととしている。
このような構成によれば、不正行為に対する機能を好適に奏するようにしつつも、ホール側の誤検出であったときには本体枠4を閉鎖させるだけで枠開放検出及び磁気検出に応じた報知処理(報知音、液晶内表示、ランプ)をすべて終了させることができるようになることから、誤検出に対するホール側の対応を迅速化させてホール内の雰囲気を好適に維持することが期待されるようになる。
なお、図286に示される例において、磁気検出に応じた報知音が再生されている期間内にあるときに本体枠4が閉鎖されて枠開放検出が終了された場合も、該枠開放検出が終了されたタイミングで、枠開放検出に応じた各報知処理(報知音、液晶内表示、ランプ)のみならず、磁気検出に応じた各報知処理(報知音、液晶内表示、ランプ)についてもそれらを終了させる特殊処理を行うようにしてもよい。
ところで、この実施例にかかるパチンコ機1には、遊技者側音量調整機能が搭載されていることは上述した通りである。
例えば、周辺制御MPU1530aでは、ステップS1108の処理(図232を参照)において、演出選択左ボタン331や演出選択右ボタン332が操作されたか否かを監視しており、演出選択左ボタン331が操作された旨判断されるとスピーカのボリュームに関して遊技者による設定値(遊技者設定値)を低下させる処理を行い、演出選択右ボタン332が操作された旨判断されるとスピーカのボリュームに関して遊技者による設定値(遊技者設定値)を上昇させる処理を行う。また、遊技者設定値が低下されて実際に低下された音量がスピーカから出力される状況になると、音量調整完了音(例えば、「ピ!」)をその低下後の音量値で出力させるのに対し、遊技者設定値が上昇されて実際に上昇された音量がスピーカから出力される状況になると、音量調整完了音(例えば、「ピピ!」)をその上昇後の音量値で出力させることで、音量調整が完了してどの程度の音量に変化したかを把握することが可能とされるようにしている。なお、音量調整完了音については、音量値を低下させる場合と上昇させる場合とで同じ音を出力させるようにしてもよい。ちなみに、音量調整完了音は、空きチャンネルがなくなったときに参照される上述の優先順位が比較的高いものとなっており(例えば、ボタン押下音と同じ「20」)、演出音の出力音量(可聴音の音量)が変化したことをより確実に伝達することができるようになっている。
そして、この実施の形態にかかる周辺制御MPU1530aでは、このような音量調整処理を、大当り判定に応じた図柄変動が未だ行われておらず遊技が開始されるよりも前の期間(デモ表示などが行われうる期間)のみならず、遊技が開始されて大当り判定に応じた図柄変動が実行されている期間中においても遊技者による受付を許容するようになっており、より重要な演出が出現したときなどに音量値の機動的な設定変化を可能ならしめることで遊技興趣の維持を図るようにしている。
一方、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、これも上述した通り、図柄変動の実行期間中に表示演出の進展に応じて各種の演出音のチャンネル割り当てがなされている状況において、当該パチンコ機1が磁気異常や扉開放などの特定の状態になったことが検出されると、複数種類の報知音のうち検出内容に応じた特定の報知音をチャンネルに割り当てて出力させる処理を行う。またこの際、表示演出の進展に応じた各種の演出音のチャンネル割り当てこれ自体も中止せず、その出力音量を特定値まで低下させる演出進展下報知処理を実行可能としている。すなわちこの場合、複数種類の報知音のうち特定の報知音がチャンネルに割り当てて出力される状況になったとしても、表示演出の進展に応じた各種の演出音のチャンネル割り当てこれ自体は中止されないことから、特定の報知音のチャンネル割り当て若しくは異常状態が終了しさえすれば、演出表示の進展に応じた演出音の出力音量を適切に復帰させることで演出を再び楽しむことができるようになる。
ただし、上記演出進展下報知処理では、表示演出の進展に応じた各種の演出音のチャンネル割り当てこれ自体を中止させないようにしていることから、特定の報知音がチャンネルに割り当てられる分だけ通常時(非報知の状態)よりも多くのチャンネルが使用されることとなり、特定の報知音のチャンネル割り当て(報知状態)が終了するよりも前の段階で音データが割り当てられていない空きチャンネルがなくなってしまうリスクが高くなる傾向にある。そして、特定の報知音のチャンネル割り当て(報知状態)が終了するよりも前の段階で音データが割り当てられていない空きチャンネルがなくなってしまうようなことがあれば、その時点で音データのいずれか1つのチャンネル割り当てを破棄せざるを得なくなることから、その後、特定の報知音のチャンネル割り当て(報知状態)が終了したとしても、チャンネルに割り当てることができずに破棄された音データを再生させることはできず、遊技興趣が低下する懸念がある。
こうした演出音に関わる空きチャンネルの懸念については、報知音のチャンネル割り当てに関して固定チャンネル方式を採用している場合には直接的な弊害は生じないが、報知音のチャンネル割り当てに関して固定チャンネル方式を採用するか、若しくは自動チャンネル方式を採用するかは、遊技や演出の設計上の観点から決定されるべきものであるから、いずれのチャンネル方式が採用された場合であっても上記演出進展下報知処理として共通の処理プログラムを採用することができるような処理構造を用意しておくことが、パチンコ機1の開発にかかるコスト低減や信頼性の向上を確保する上で重要である。したがって、以下に説明する例では、報知音と演出音とのいずれについても、固定チャンネル方式と自動チャンネル方式とのいずれを採用するようにしてもよい。
そこで、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、演出進展下報知処理が実行されている間、演出選択左ボタン331や演出選択右ボタン332に対する操作が行われたとしても、特定値まで低下されている演出音の出力音量は可変とされずこれを維持させるようにしている。すなわちこの場合、演出進展下報知処理が実行されている間は遊技者による操作があったとしても上述の音量調整完了音(「ピ!」又は「ピピ!」)を発生させる必要がなくなることから、その分だけチャンネルに余裕を持たせて空きチャンネルがなくなってしまうリスクの低減を促すことが期待されるようになる。
ただし、より重要な演出が出現したときなどに音量値の機動的な設定変更を可能としたパチンコ機1であるにもかかわらず、演出進展下報知処理が実行されている間は出力音量の設定変更が不可とされてしまうと、誤検出やホール側都合(扉開放など)による報知を起因とした演出進展下報知処理が実行された場合に、演出進展の内容に合わせた音量適正値に適宜に設定変更できなくなったことによる遊技興趣の低下が避けられない。また、演出進展下報知処理が行われている期間中に演出が進展した結果、演出内容に合わせた音量適正値と実際の設定値との間に大きなズレが生じるようになると、出力音量(可聴音の音量)の設定変更が許容されるようになった以降、音量適正値に変更させるために複数回の操作受付が必要とされるが、これでは上述の音量調整完了音によってチャンネルが占有されることとなってしまい、演出進展下報知処理がようやく終了したにもかかわらず空きチャンネルが足らずに演出音を適切に出力させることができなくなってしまうことによる遊技興趣の低下が懸念される。
この点、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、まず、演出進展下報知処理が実行されている間、演出選択左ボタン331や演出選択右ボタン332に対する操作が行われると、特定値まで低下されている演出音の出力音量(可聴音の音量)は可変とせずこれを維持させる一方で、音量に関しての遊技者による設定値(遊技者設定値)これ自体の変更受付は許容して、上記演出進展下報知処理(出力音量を特定値まで低下させる処理)が終了されたときにそれまでの操作がすべて反映された出力音量(可聴音の音量)へと一括変化させるようにしている。
このような構成によれば、演出進展下報知処理が実行されている間に演出進展に合わせて遊技者による設定値(遊技者設定値)の変更受付を行うようにしておけば、新たな操作を行わずとも、当該演出進展下報知処理が終了されたときにそれまでの操作がすべて反映された出力音量(可聴音の音量)へと一括変化させることができるようになる。このように、演出進展下報知処理が実行されている期間中であっても遊技者による設定値(遊技者設定値)の変更受付を許容するようにしたことで、演出進展下報知処理が終了するまでの遊技興趣の低下を抑制することが期待されるようになる。また、当該演出進展下報知処理が終了してすぐに音量値(可聴音の音量)が複数段階にわたって設定変更されてその都度の音量調整完了音によって空きチャンネルに不足が発生するような事態の発生も好適に回避されるようになる。
なお、上記構成によれば、演出進展下報知処理が終了されたときに遊技者設定値への出力音量の一括変化を実行する場合は、演出進展下報知処理が実行されていた期間中における遊技者設定値の変更回数や遊技者による操作回数などにかかわらず、音量調整完了音を、一括変更された後の音量で1回分だけ再生することとなるが、この音量調整完了音については通常時とは異なる特別態様の音(例えば、「ビー!」)で出力させるようにしてもよい。
またさらに、演出進展下報知処理が終了したときの空きチャンネルの不足をより好適に解消させる上では、演出進展下報知処理が実行されていた期間中における遊技者設定値の変更回数や遊技者による操作回数などにかかわらず、演出進展下報知処理が終了されることに伴って出力音量(可聴音の音量)を一括変更させるときには音量調整完了音これ自体の再生を行わないようにすることが望ましい。このような構成によれば、特に、誤検出やホール側都合(扉開放など)による報知を起因とした演出進展下報知処理がようやく終了されたにもかかわらず、空きチャンネルの不足によって適正な演出を楽しむことができなくなるような事態の発生を好適に抑制することができるようになる。
以下、このような演出進展下報知処理が実行されてから出力音量(可聴音の音量)が一括変更されるまでの処理についてその一例を説明する。
図287は、演出進展下報知処理の内容について当該パチンコ機1の報知状態の別に説明する図である。
まず、演出進展下報知処理が実行されてから出力音量(可聴音の音量)が一括変更されるまでの処理を説明するのに先立って、図287を参照して、演出進展下報知処理の内容について簡単に説明する。ここでは、説明の便宜上、図277で例示した報知音1〜7に関してのみ示しており、その他の報知音については説明を省略している。
同図287に示されるように、この説明例では、まず、演出音の音量抑制態様として、2種類の抑制態様(第1の音量抑制態様、第2の音量抑制態様)が用意されており、例えば、第1の音量抑制態様は、音量に関しての遊技者による設定値(遊技者設定値)変更では「20」〜「50」の範囲での演出音の出力音量(可聴音の音量)変更が可能とされているなかで、演出音の出力音量(可聴音の音量)を「10」に設定するものとなっている。これに対し、第2の音量抑制態様は、演出音の出力音量(可聴音の音量)を「0」に設定するものとされている。したがって、第2の音量抑制態様は、第1の音量抑制態様よりもその抑制度合いが大きいものとなっており、特に、この説明例では、出力にかかる処理これ自体は行われるものの演出音を無音化させるものとして例示されている。
この点、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、報知音1〜7のうち、不正可能性が高い第1報知グループに属する報知音1〜3(磁気異常、振動異常、大入賞異常)のいずれかに関する報知処理が実行される場合は、抑制度合いの高い側である第2の音量抑制態様で演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる処理を行うこととしている。しかも、第1報知グループに属する報知音1〜3(磁気異常、振動異常、大入賞異常)のいずれかに関する報知処理が実行される場合は、異常検出がオフになった場合であっても、異常検出があってからあらかじめ定められた時間(ここでは、60秒)が経過するまでの間は、抑制度合いの高い側である第2の音量抑制態様で演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる処理を終了させず、これを継続させるようにしている。
なお、この説明例では、第1報知グループに属する報知音1〜3(磁気異常、振動異常、大入賞異常)のいずれかに関する報知処理が実行される場合は、演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる処理が継続される期間を、異常検出に応じた報知音(磁気異常、振動異常、大入賞異常)の再生がされてからこれが終了されるまでの期間と同じになるように設定されている。
一方、報知音1〜7のうち、不正可能性が中程度の第2報知グループに属する報知音4,5(扉開放、枠開放)のいずれかに関する報知処理が実行される場合は、抑制度合いの低い側である第1の音量抑制態様で演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる処理を行うこととしている。ただし、第2報知グループに属する報知音4,5(扉開放、枠開放)のいずれかに関する報知処理が実行される場合は、異常検出が生じてからすぐに異常検出がオフになると、その時点で、抑制度合いの低い側である第1の音量抑制態様で演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる処理を終了させることとなる。
他方、報知音1〜7のうち、遊技案内に関連した第3報知グループに属する報知音6,7(左打ち案内、球抜き案内)のいずれかに関する報知処理が実行される場合は、演出性の維持を重視しており、演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる処理は何ら実行されない。
なお、この説明例では、第1報知グループに属する報知音が実行される場合と、第2報知グループに属する報知音が実行される場合とで抑制態様を異ならせるようにしたが、該抑制態様については必ずしも異ならせなくてもよく、第1報知グループに属する報知音が実行される場合と、第2報知グループに属する報知音が実行される場合とで一の抑制態様で演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる処理を行うようにしてもよい。ただし、該抑制させる処理の終了条件については、第1報知グループに属する報知音が実行される場合のほうが、第2報知グループに属する報知音が実行される場合よりも厳格化されるかたちで異ならせるようにすることが重要である。
図288は、異常検出が発生しておらず報知音に関する処理が実行されていないなかで、演出選択左ボタン331又は演出選択右ボタン332が操作されたことに伴う音量調整に関する処理についてその内容を説明する図である。
なお、この説明例にあって、遊技者設定値は、演出選択左ボタン331又は演出選択右ボタン332による操作によって「1」〜「5」の範囲内で「1」ずつ可変とされるようになっており、その値が小さいほど演出音の音量が小さくなるものとして設定されている。また、演出音の出力音量(可聴音の音量)は、演出音に対して上述の抑制態様(第1の音量抑制態様、第2の音量抑制態様)が設定されていない状態では、遊技者設定値の20倍の数値として設定されるものとなっている。したがって、この説明例では、演出音の出力音量(可聴音の音量)は、遊技者による操作によって「20」〜「100」の範囲で可変とされることとなる。
いま、同図288(A)に示されるように、演出音の音量に関して遊技者設定値が「1」〜「5」のうちの「3」であり、何らの報知フラグも設定されておらず、演出音の出力音量(可聴音の音量)がその20倍の「60」に設定されているとする。また、装飾図柄SZが停止した状態にあり、且つ大当り判定が行われておらず始動入賞待ちの状態にあるとすると、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域では、演出選択左ボタン331を模した表示画像331aと、演出選択右ボタン332を模した表示画像332aとが表示されており、それらの操作を通じて音量調整を行うことができる旨の音量調整案内表示OAHが行われる。またこの際、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域では、現在の遊技者設定値が「1」〜「5」のいずれであるかを認識可能とする第1の音量値表示OH1も実行される。これら音量調整案内表示OAH及び第1の音量値表示OH1については、常時表示されるようにしてもよいし、背景画像が変化した状態で実行されるリーチ演出であるスーパーリーチ演出などの特定期間中にあるときには非表示にして遊技者による操作があったときに第1の音量値表示OH1及び後述の第2の音量値表示OH2の少なくとも一方が現れるようにしてもよい。また、音量調整案内表示OAH及び第1の音量値表示OH1については、必ずしもそれらの両方を表示しなくてもよく、それらの一方を割愛し、その他方のみを表示するようにしてもよい。
このような図288(A)に示される状況にあるなかで、演出選択左ボタン331又は演出選択右ボタン332による操作が行われると、該操作がある都度、遊技者設定値が「1」ずつ変化され、これに伴って演出音の出力音量(可聴音の音量)が「20」ずつ変化されるようになる。また、演出音の出力音量(可聴音の音量)が変化する都度、その変化後の音量で、音量調整完了音(例えば、「ピ!」)が再生されるようになる。
またこの際、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域では、遊技者設定値の範囲である「1」〜「5」のなかで現在の設定値がいずれであるかをゲージ表示によって示す第2の音量値表示OH2(図288(C)を参照)が、音量調整案内表示OAHに代わって実行されることとなるが、これについては後述することとする。
なお、遊技者設定値が「1」のときに演出選択左ボタン331が操作された場合は、遊技者設定値と演出音の出力音量(可聴音の音量)とのいずれも低下されず、遊技者設定値は「1」のまま(演出音の出力音量(可聴音の音量)は「20」のまま)とされる。したがって、遊技者設定値が「1」のときに演出選択左ボタン331が操作されたとしても、音量調整完了音はチャンネル自体に割り当てないようにするか、チャンネルに割り当てたとしてもその音量を「0」にすることによって可聴出力されないようにすることが望ましい。このことは、遊技者設定値が「5」のときに演出選択右ボタン332が操作された場合も同様である。
これに対し、始動入賞が発生して大当り判定が行われると、図288(B)に示されるように、大当り判定の結果や変動パターンの種別に基づいて装飾図柄SZが所定の演出パターンで変動表示される。また、装飾図柄SZが変動表示される間は、所定演出が進展されるとともに、該所定演出の進展に合わせた演出音が出力される。
この点、この実施の形態にかかる音量調整処理では、図288(A)に示される期間(デモ表示などが行われうる期間)のみならず、遊技が開始されて大当り判定に応じた図柄変動が実行されている期間中においても遊技者による受付を許容するようになっており、例えば、図288(C)に示されるリーチ演出などのより重要な演出が出現したときに音量値の機動的な設定変化を可能ならしめる構成とされていることは上述した通りである。
すなわち、図288(C)では、図288(B)に示される状態においてリーチ演出が実行されたことに伴い遊技者によって演出選択右ボタン332による操作が2回行われた後の様子を示しており、そのうちの1回目の操作では、遊技者設定値が「3」→「4」に変化されており、且つ演出音の出力音量(可聴音の音量)がそれらの20倍の「60」→「80」に設定変更されているもとで、その変化後の音量である「80」で音量調整完了音が所定のチャンネルに割り当てられて再生されるとともに、2回目の操作では、遊技者設定値が「4」→「5」に変化されており、且つ演出音の出力音量(可聴音の音量)がそれらの20倍の「80」→「100」に設定変更されているもとで、その変化後の音量である「100」で音量調整完了音が所定のチャンネルに割り当てられて再生されることとなる。
また、この実施の形態にかかる遊技盤側演出表示装置1600の表示領域では、こうした操作によって遊技者設定値が変化されると、遊技者設定値の範囲である「1」〜「5」のなかで現在の設定値がいずれであるかをゲージ表示によって示す第2の音量値表示OH2が、音量調整案内表示OAHに代わって実行されることとなる。これは、遊技者設定値の範囲である「1」〜「5」に対して現在の設定値がいずれであるかを明瞭化させることで、より重要な演出が現れた緊迫した状況下においても、遊技者設定値が最大値の「5」であるにもかかわらず演出選択右ボタン332に対する操作が繰り返し実行されるなどの操作ミスが生じないようにすることを目的としたものである。ゲージ表示では、「1」〜「5」の数値範囲が定常的にブロック表示されており、これらのブロックのうち塗り潰されているブロックの数が遊技者設定値の変化に応じて増加・減少される表示を行うことで、現在の遊技者設定値を示すようになっている。
なお、第2の音量値表示OH2は、図288(D)に示されるように、図288(C)に示される状態において演出選択左ボタン331又は演出選択右ボタン332に対する操作があったときから所定時間(例えば5秒)の経過後に非表示にされ、その後は音量調整案内表示OAHが再び実行されるようにしている。したがって、遊技者設定値に変更が生じない態様での操作(遊技者設定値が最大値の「5」であるときの演出選択右ボタン332に対する操作)であったとしても、演出選択左ボタン331又は演出選択右ボタン332に対する操作が繰り返される限りは、第2の音量値表示OH2の表示は維持されることとなる。すなわち、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、遊技者設定値に変更が生じない態様での操作(遊技者設定値が最大値の「5」であるときの演出選択右ボタン332に対する操作)が行われる場合、該操作がある都度、音量調整完了音は可聴出力されないが、第2の音量値表示OH2を非表示にするまでの時間を計時するタイマ値はリセットされることとなる。これにより、遊技者設定値が最大値の「5」であるにもかかわらず演出選択右ボタン332に対する操作が繰り返し実行されるなどの操作ミスが生じないようにすることがより好適に促されるようになる。
一方、図289は、図柄変動の実行期間中に扉開放検出が発生してこれに応じた報知音に関する処理が実行されているなかで、演出選択左ボタン331又は演出選択右ボタン332が操作されたことに伴う音量調整に関する処理についてその内容を説明する図である。
図289(A)に示される状況は、図柄変動が開始される前の状況であり、図288(A)を参照しつつ説明した状況と同じである。このような状況において始動入賞が発生して大当り判定が行われると、図289(B)に示されるように、図288(B)を参照しつつ説明した状況と同様、大当り判定の結果や変動パターンの種別に基づいて装飾図柄SZが所定の演出パターンで変動表示される。また、装飾図柄SZが変動表示される間は、所定演出が進展されるとともに、該所定演出の進展に合わせた演出音が出力される。
ただし、図289(B)に示される状況では、図柄変動の実行期間中に第2報知グループに属する扉開放検出が発生してこれに応じた報知音4(扉開放)に関する処理が実行されており、より具体的には、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理(30秒間)と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(ここでは、「扉開放中」)と、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプ(発光装置)による点灯とがそれぞれ実行されるようになっている。
また上述の通り、図柄の変動期間中、第2報知グループに属する扉開放検出が発生してこれに応じた報知音4(扉開放)に関する処理が実行されると、第1の音量抑制態様で演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる演出進展下報知処理が行われるようになる。したがって、図289(B)に示される状況においては、遊技者設定値は、図289(A)の状況にあったときと同様の「3」のままで維持されているにもかかわらず、演出音の出力音量(可聴音の音量)は、本来の数値(遊技者設定値の20倍)よりも低いあらかじめ定められた第1特定値(ここでは「10」)に設定されることとなり、こうした音量値のもとで演出内容が進展されるようになる。
この点、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、このような演出進展下報知処理が実行されている間、演出選択左ボタン331や演出選択右ボタン332に対する操作が行われると、第1特定値(ここでは「10」)まで低下されている演出音の出力音量(可聴音の音量)は可変とせずこれを維持させる一方で、音量に関しての遊技者による設定値(遊技者設定値)これ自体の変更受付は許容して、上記演出進展下報知処理(出力音量を特定値まで低下させる処理)が終了されたときにそれまでの操作がすべて反映された出力音量(可聴音の音量)へと一括変化させるようにしていることは上述した通りである。
すなわち、図289(C)では、図289(B)に示される状態においてリーチ演出が実行されたことに伴い遊技者によって演出選択右ボタン332による操作が2回行われた後の様子を示しており、演出選択右ボタン332による操作によって遊技者設定値が「3」→「5」に変更されているにもかかわらず、演出音の出力音量(可聴音の音量)は、本来の数値(遊技者設定値の20倍)よりも低いあらかじめ定められた第1特定値(ここでは「10」)のままで維持されていることがわかる。したがって、遊技者によって演出選択右ボタン332による操作が2回行われたとしても、上記演出進展下報知処理(出力音量を特定値まで低下させる処理)が終了されるまでの間は演出音の音量は変化されず、第1特定値の音量のままで演出内容が進展されるようになる。
またこの際、遊技者による操作のうち、1回目の操作では、遊技者設定値が「3」→「4」に変化されるものの、演出音の出力音量(可聴音の音量)は第1特定値(ここでは「10」)のままで維持されることから音量調整完了音が可聴出力されることはないし、2回目の操作でも、遊技者設定値が「4」→「5」に変化されるものの、演出音の出力音量(可聴音の音量)は第1特定値(ここでは「10」)のままで維持されることから音量調整完了音が可聴出力されることはない。
ただし、1回目の操作では、遊技者設定値これ自体は「3」→「4」に変化しており、音量調整のための遊技者操作は受け付られていることから、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域では、遊技者設定値の範囲である「1」〜「5」のなかで現在の設定値が「4」であることをゲージ表示によって示す第2の音量値表示OH2が、音量調整案内表示OAHに代わって実行されるとともに、第1の音量値表示OH1においてもその数値を「3」→「4」に変化して表示させることとなる。
また、2回目の操作も、遊技者設定値これ自体は「4」→「5」に変化しており、音量調整のための遊技者操作は受け付られていることから、第2の音量値表示OH2では、遊技者設定値の範囲である「1」〜「5」のなかで現在の設定値が「4」→「5」に変化したことをゲージ表示によって示すとともに、第1の音量値表示OH1においてもその数値を「4」→「5」に変化して表示させることとなる。
そしてその後、音量調整案内表示OAHが再び実行される状態に戻っているもとで扉枠3が閉鎖されて報知音4(扉開放)に関する処理と演出進展下報知処理(出力音量を特定値まで低下させる処理)とがそれぞれ終了すると、図289(D)に示されるように、当該処理が終了されたことに応じてそれまでの操作がすべて反映された出力音量(可聴音の音量)へと一括変化させる。すなわちこの場合、遊技者設定値は、演出進展下報知処理の実行期間中に「3」から1回目の操作に応じた「4」、2回目の操作に応じた「5」へと段階的に変化していることから、出力音量(可聴音の音量)としても、本来であれば、第1特定値(ここでは「10」)から1回目の操作に応じた「80」、2回目の操作に応じた「100」へと段階的に変化させるべきところ、第1特定値(ここでは「10」)からそれまでの操作がすべて反映された「100」へと一括変化されるようになる。
このように、演出進展下報知処理が実行されている期間中であっても遊技者による設定値(遊技者設定値)の変更受付を許容するようにしたことで、演出進展下報知処理が終了するまでの遊技興趣の低下を抑制することが期待されるようになる。また、当該演出進展下報知処理が終了してすぐに音量値(可聴音の音量)が複数段階にわたって設定変更されてその都度の音量調整完了音によって空きチャンネルに不足が発生したり余裕がなくなったりするような事態の発生も好適に回避されるようになる。
しかも、この説明例では、演出進展下報知処理が終了されることに伴って出力音量(可聴音の音量)を一括変更(「10」→「100」)させるときには、出力音量に変化が生じるにもかかわらず音量調整完了音のチャンネル割り当てこれ自体を行わないようにしている。このような構成によれば、特に、誤検出やホール側都合(扉開放など)による報知を起因とした演出進展下報知処理がようやく終了されたにもかかわらず、空きチャンネルの不足によって適正な演出を楽しむことができなくなるような事態の発生を好適に抑制することができるようになる。
他方、図290は、図289で発生した状態検出が扉開放ではなく磁気異常であった場合に、これに応じた報知音に関する処理が実行されているなかで、演出選択左ボタン331又は演出選択右ボタン332が操作されたことに伴う音量調整に関する処理についてその内容を説明する図である。
図290(A)に示される状況は、図柄変動が開始される前の状況であり、図289(A)を参照しつつ説明した状況と同じである。このような状況において始動入賞が発生して大当り判定が行われると、図290(B)に示されるように、図289(B)を参照しつつ説明した状況と同様、大当り判定の結果や変動パターンの種別に基づいて装飾図柄SZが所定の演出パターンで変動表示される。また、装飾図柄SZが変動表示される間は、所定演出が進展されるとともに、該所定演出の進展に合わせた演出音が出力される。
図290(B)に示される状況では、図柄変動の実行期間中に第1報知グループに属する磁気検出が発生してこれに応じた報知音1(磁気異常)に関する処理が実行されており、より具体的には、「ブーブー 磁気を検知しました」といった報知音を繰り返し出力させるループ処理(60秒間)と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(ここでは、「磁気検出」)と、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプ(発光装置)による点灯とがそれぞれ実行されるようになっている。
また上述の通り、図柄の変動期間中、第1報知グループに属する磁気検出が発生してこれに応じた報知音1(磁気異常)に関する処理が実行されると、第2の音量抑制態様で演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる演出進展下報知処理が行われるようになる。したがって、図290(B)に示される状況においては、遊技者設定値は、図290(A)の状況にあったときと同様の「3」のままで維持されているにもかかわらず、演出音の出力音量(可聴音の音量)は、本来の数値(遊技者設定値の20倍)よりも低いあらかじめ定められた第2特定値(ここでは「0」)に設定されることとなり、こうした音量値(ここでは、消音)のもとで演出内容が進展されるようになる。
この点、このような磁気異常に応じた演出進展下報知処理が実行される場合も、演出選択左ボタン331や演出選択右ボタン332に対する操作が行われると、第2特定値(ここでは「0」)まで低下されている演出音の出力音量(可聴音の音量(ここでは消音))は可変とせずこれを維持させる一方で、音量に関しての遊技者による設定値(遊技者設定値)これ自体の変更受付は許容して、上記演出進展下報知処理(出力音量を特定値まで低下させる処理)が終了されたときにそれまでの操作がすべて反映された出力音量(可聴音の音量)へと一括変化させるようにしていることは上述した通りである。
すなわち、図290(C)では、図290(B)に示される状態においてリーチ演出が実行されたことに伴い遊技者によって演出選択右ボタン332による操作が2回行われた後の様子を示しており、演出選択右ボタン332による操作によって遊技者設定値が「3」→「5」に変更されているにもかかわらず、演出音の出力音量(可聴音の音量)は、本来の数値(遊技者設定値の20倍)よりも低いあらかじめ定められた第2特定値(ここでは「0(消音)」)のままで維持されていることがわかる。したがって、遊技者によって演出選択右ボタン332による操作が2回行われたとしても、上記演出進展下報知処理(出力音量を特定値まで低下させる処理)が終了されるまでの間は演出音の音量は変化されず、第2特定値の音量のままで演出内容が進展されるようになる。
またこの際、遊技者による操作のうち、1回目の操作では、遊技者設定値が「3」→「4」に変化されるものの、演出音の出力音量(可聴音の音量)は第2特定値(ここでは「0」)のままで維持されることから音量調整完了音が可聴出力されることはないし、2回目の操作でも、遊技者設定値が「4」→「5」に変化されるものの、演出音の出力音量(可聴音の音量)は第2特定値(ここでは「0」)のままで維持されることから音量調整完了音が可聴出力されることはない。
ただし、1回目の操作では、遊技者設定値これ自体は「3」→「4」に変化しており、音量調整のための遊技者操作は受け付られていることから、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域では、遊技者設定値の範囲である「1」〜「5」のなかで現在の設定値が「4」であることをゲージ表示によって示す第2の音量値表示OH2が、音量調整案内表示OAHに代わって実行されるとともに、第1の音量値表示OH1においてもその数値を「3」→「4」に変化して表示させることとなる。
また、2回目の操作も、遊技者設定値これ自体は「4」→「5」に変化しており、音量調整のための遊技者操作は受け付られていることから、第2の音量値表示OH2では、遊技者設定値の範囲である「1」〜「5」のなかで現在の設定値が「4」→「5」に変化したことをゲージ表示によって示すとともに、第1の音量値表示OH1においてもその数値を「4」→「5」に変化して表示させることとなる。
ちなみに、この説明例では、図290(C)に示される状況において、磁気検出これ自体は既に非検出の状態とされている。ただし、扉検出の場合とは異なり、磁気検出があってから所定時間(ここでは、60秒)が経過するまでの間は第2の音量抑制態様で演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる演出進展下報知処理が継続して実行されるようになっている。
そしてその後、音量調整案内表示OAHが再び実行される状態に戻っているもとで磁気検出があってから所定時間(ここでは、60秒)が経過して演出進展下報知処理(出力音量を特定値まで低下させる処理)が終了すると、図290(D)に示されるように、当該処理が終了されたことに応じてそれまでの操作がすべて反映された出力音量(可聴音の音量)へと一括変化させる。すなわちこの場合、遊技者設定値は、演出進展下報知処理の実行期間中に「3」から1回目の操作に応じた「4」、2回目の操作に応じた「5」へと段階的に変化していることから、出力音量(可聴音の音量)としても、本来であれば、第2特定値(ここでは「0」)から1回目の操作に応じた「80」、2回目の操作に応じた「100」へと段階的に変化させるべきところ、第2特定値(ここでは「0」)からそれまでの操作がすべて反映された「100」へと一括変化されるようになる。
なお、磁気異常に応じた報知処理が実行された場合は、扉開放に応じた報知処理が実行された場合とは異なり、図290(D)に示される状況においても、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における表示(ここでは、「磁気検出」)と、扉枠3及び遊技盤5に配設されている各種のランプ(発光装置)による点灯とはそれぞれ実行されたままとなっている。すなわち、磁気異常に応じた報知処理では、報知音が終了されると、液晶内表示による報知とランプによる報知とが継続されるなかで、演出音は抑制対象から外れて遊技者設定値に応じた出力音量に反映させるのに対し、扉開放に応じた報知処理では、報知音が終了したとしても、液晶内表示による報知とランプによる報知とが継続されるなかでは演出音は抑制対象のままとされるようになっている。
このように、磁気異常が発生した場合も、演出進展下報知処理が実行されている期間中であっても遊技者による設定値(遊技者設定値)の変更受付を許容するようにしたことで、演出進展下報知処理が終了するまでの遊技興趣の低下を抑制することが期待されるようになる。また、当該演出進展下報知処理が終了してすぐに音量値(可聴音の音量)が複数段階にわたって設定変更されてその都度の音量調整完了音によって空きチャンネルに不足が発生したり余裕がなくなったりするような事態の発生も好適に回避されるようになる。
しかも、この説明例では、磁気異常に伴う演出進展下報知処理が終了されることに伴って出力音量(可聴音の音量)を一括変更(「0」→「100」)させるときにも、出力音量に変化が生じるにもかかわらず音量調整完了音のチャンネル割り当てこれ自体を行わないようにしている。このような構成によれば、特に、誤検出による報知を起因とした演出進展下報知処理がようやく終了されたにもかかわらず、空きチャンネルの不足によって適正な演出を楽しむことができなくなるような事態の発生を好適に抑制することができるようになる。
なお、「扉が開いています ピンポンピンポン」といった扉開放に応じた報知音や、「ブーブー 磁気を検知しました」といった磁気異常に応じた報知音については、図201に示したように、ボリューム初期値の3バイト目に「1」(0x1FF)を設定していることから、遊技者設定値にかかわらず、必ず初期値で設定された音量で再生される。
また、報知音6(左打ち案内)や報知音7(球抜き案内)が実行される場合には、演出進展下報知処理が実行されないことから、それらの報知の実行中には、遊技者設定値と演出音の出力音量(可聴音の音量)との両方を適宜可変させることが可能である。ただし、これらの報知音6,7についても、図201に示したように、ボリューム初期値の3バイト目に「1」(0x1FF)を設定していることから、遊技者設定値にかかわらず、必ず初期値で設定された音量で再生されることとなる。
報知音1〜7のうち、第3報知グループに属する報知音6(左打ち案内)や報知音7(球抜き案内)については、ボリューム初期値の3バイト目に「1」を設定せず、遊技者による音量調整の対象に含ませるようにしてもよい。
また、図289及び図290で説明した各処理については、図柄変動の実行期間中のみならず、図柄変動が開始される前の状態や、図柄変動の開始や終了のタイミングに跨るかたちで状態検出に応じた報知処理が実行される場合においても、同じ態様で実行されるようにしてもよい。
また、図289及び図290で説明した各処理において、演出進展下報知処理が終了された後は、該演出進展下報知処理が開始される前と同様、演出選択左ボタン331又は演出選択右ボタン332による操作によって遊技者設定値が変化されると、これに伴って演出音の出力音量(可聴音の音量)が変化される。そして、演出音の出力音量(可聴音の音量)が変化する都度、その変化後の音量で、音量調整完了音(例えば、「ピ!」)が再生されるようになる。
また、図289で説明した処理と図290で説明した処理とで、演出進展下報知処理が行われている期間中における演出音の抑制態様を異ならせるようにしたが、該抑制態様については必ずしも異ならせなくてもよく、第1報知グループに属する報知音が実行される場合と、第2報知グループに属する報知音が実行される場合とで一の抑制態様で演出音の出力音量(可聴音の音量)を抑制させる処理を行うようにしてもよいことは上述した通りである。
また、演出進展下報知処理では、各種遊技音の出力音量(可聴音の音量)を抑制することとなるが、これら遊技音のうち、第一始動口2002又は第二始動口2004に遊技球が入賞したことに応じて再生される音(入賞音)など、一部の遊技音については音量抑制の影響を受けることなく初期値設定の音量のままで再生するようにしてもよい。すなわちこの場合、パチンコ機1としての異常状態が発生しているにもかかわらず遊技が継続されている状況にあるか否かをホール側が把握し易くすることができるようになる。この意味では、演出進展下報知処理が実行されているときに第一始動口2002又は第二始動口2004に遊技球が入賞したことに応じて再生される音(入賞音)など、一部の遊技音については、演出進展下報知処理が実行されていないときには出力され得ない特殊な音として再生するようにすることが望ましい。
上述の通り、図277〜図290では、各種の報知音に関して単一のチャンネルのみで異常内容などを適切に報知可能とするチャンネル節約型の制御構造を採用することで、チャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)これ自体をいかに現れ難くするか、といった点での技術的工夫を施すようにすることを提案した。ただし、このような制御構造を採用した場合であっても、演出効果音(演出音)の割り当て対象とされるチャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)が生じて演出設計上の意図しない音出力の態様が現れることに対する懸念は未だ残される。
この点、この実施例にかかるパチンコ機1では、演出音のチャンネル割り当てに関しても、チャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)が発生するよりも前の段階で様々な技術的工夫を施すようにしている。以下、演出音の出力に関して施されている様々な技術的工夫について順次説明する。なお、当該パチンコ機1としてこれらの技術的工夫を採用するにあたり、各種の報知音に関して単一のチャンネルのみで異常内容などを適切に報知可能とする上述のチャンネル節約型の制御構造については必ずしも採用しなくてもよい。また、以下に説明する各例では、報知音と演出音とのいずれについても、固定チャンネル方式と自動チャンネル方式とのいずれを採用するようにしてもよい。また、自動チャンネル方式を採用した場合、上述の優先順位に基づく制御については必ずしも採用しなくてもよく、すべてのチャンネルが使用状態になったときには新たな音を破棄する処理を行うようにしてもよい。また、以下に説明する各例は、適宜に組み合わせて実施することが可能である。
[チャンネル予約処理]
上述の通り、チャンネルの数が有限とされる遊技機では、入賞に応じた判定手段による判定にて特別の結果が得られたとしても、音データの割り当て対象とされるチャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)では特別の結果が得られたことに応じた特別音をチャンネルに割り当てることができず、これを出力できないことによる遊技興趣の低下が懸念される。
この点、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、まず、「当該パチンコ機1に対して手をかざしてお祈りする行為」や「ボタン操作」などの特定行為が行われたか否かを所定の検出手段によって検出可能としている。このような特定行為が行われたことが検出されると、例えば、無音の音のみから構成される無音データに応じた音(音量が0の出力音)など、何らの期待度も示さない所定音をあらかじめ定められた時間にわたってチャンネルに割り当てる処理を実行することで(チャンネル予約処理)、該チャンネルが他の音によって使用状態にされることないように維持する。一方、こうしてチャンネル予約処理が行われている間は、特定入賞口に遊技球が受け入れられた結果として、例えば、大当り確定演出や先読み演出などの特別の演出条件が成立した場合であってもその時点では該演出に応じた特別音をチャンネルに割り当てない。そして、上記チャンネル予約処理が終了するのを待ってから特別音をチャンネルに割り当ててこれを再生させる演出を実行可能としている(後告知演出)。
すなわちこの場合、特別音の割り当て対象にすることができるチャンネルのうち少なくとも1つが、遊技者による特定行為に起因して、何らの期待度も示さない所定音によって事前確保(チャンネル予約)されるようになることから、入賞に応じた判定にて特別の結果が得られたにもかかわらずチャンネル不足によって特別音を出力させることができなくなるような事態の発生を回避させることができるようになる。
なお、特別音については、例えば、入賞に応じた大当り判定で大当りに当選したときにのみ実行される大当り確定音のほか、入賞に応じた大当り判定に基づく演出判定で高期待の演出態様(例えば、リーチ演出の実行中などに行われる期待度の高い予告演出)が選択されたときに実行される高期待告知音や、入賞に応じた先読み判定で所定の判定結果が得られたときに先読み演出として実行される先読み告知音などを例示することが可能であるが、要は、入賞に応じた所定の判定手段による判定にて特別の判定結果が得られたときにチャンネルに割り当てられて出力されるものであればよい。
図291は、第一始動口2002又は第二始動口2004に遊技球が入賞したときに「特別音」としていわゆる先読み演出に合わせた特別音(例えば、キュイン)を出力するのに先立って、その特別音を割り当てることのできるチャンネルを、該特別音が未出力の状態(より正確には、特別音を出力させる旨の判定(先読み演出を行う旨の判定)が未だされていない状態)にあるときから事前に確保しておくチャンネル予約処理についての一例を示すタイムチャートである。
はじめに、チャンネル予約処理についての一例を説明するのに先立って、まず、周知技術である一般的な先読み演出について簡単に説明する。
すなわち上述の通り、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞が発生すると、該入賞に基づいて所定数の遊技球の払い出しが行われるほか、図257に示される第一・第二始動口入賞処理が行われる。この第一・第二始動口入賞処理では、始動口(第一始動口2002又は第二始動口2004)に遊技球が入賞したか否かの判断が行われ、入賞した旨判断したときには該当する特別図柄側の保留数を1増加させる処理などが行われることは上述した通りである。
ただし実際には、この第一・第二始動口入賞処理では、図示は割愛するが、入賞した始動口側の先読み演出を実行するための先読み処理も実行される(例えば、第一始動口2002側(第1特図側)であればステップS6204,S6205の間の処理として実行され、第二始動口2004側(第2特図側)であればステップS6207,S6208の間の処理として実行される)ようになっている。
ここで、第1特図側の先読み演出は、第一特別図柄の変動表示を開始する前に第一特別図柄の判定結果(若しくは、その期待度)を事前に示唆する演出である。この第1特図先読み処理では、周辺制御基板1510側で先読み演出の実行有無や演出内容などを決定するために必要とされる情報(先読み判定用の当落に関する情報、先読み判定用の図柄種別に関する情報、先読み判定用の変動パターン番号に関する情報等)を生成し、周辺制御基板1510に対する送信情報として対応する記憶領域に記憶する。この際、第一特別図柄の判定結果そのものの代わりに、大当り遊技の種別を示唆している情報として特別図柄の停止図柄に関する情報をコマンドに含めるようにしてもよい。例えば、変動パターンのうちのSPリーチ群、ノーマルリーチ群、図柄種別のうちの潜確当り群、小当り群といった、最終的に決定される前の段階の情報を先読みコマンドとして送信してもよい。
これに対し、第2特図側の先読み演出は、第二特別図柄の変動表示を開始する前に第二特別図柄の判定結果(若しくは、その期待度)を事前に示唆する演出である。この第2特図先読み処理では、周辺制御基板1510側で先読み演出の実行有無や演出内容などを決定するために必要とされる情報(当落情報、図柄種別、変動パターン番号等)を生成し、周辺制御基板1510に対する送信情報として対応する記憶領域に記憶する。この際、第二特別図柄の判定結果そのものの代わりに、大当り遊技の種別を示唆している情報として特別図柄の停止図柄に関する情報をコマンドに含めるようにしてもよい。例えば、変動パターンのうちのSPリーチ群、ノーマルリーチ群、図柄種別のうちの潜確当り群、小当り群といった、最終的に決定される前の段階の情報を先読みコマンドとして送信してもよい。
すなわち、周辺制御基板1510では、大当りに当選したか否かについての判定処理やその図柄変動が消化されておらず、それらが保留の状態にされているときに、上記先読みコマンドから得られる情報(第1特図側の先読み演出に関わる情報、第2特図側の先読み演出に関わる情報)に基づいて、保留の状態にされている大当り判定が特別の結果を得るものであるかについての期待度を事前示唆する先読み演出を実行可能としている。
より具体的には、周辺制御MPU1530aは、まず、始動入賞が発生した状況にあるかを判断し、該状況にあるときには始動入賞に応じた保留表示や先読み演出に関する制御を行う。そしてこの後、把握した遊技状況に基づいて特別図柄の処理フラグを更新することで、図256に示される上述の変動開始処理、変動パターン設定処理、変動中処理、大当り遊技処理、小当り成立時処理のいずれかを実行する。そしてこのうち、先読み演出に関する制御では、例えば、始動入賞に応じた新たな保留表示を複数態様(例えば、相対的に期待度の低い青色、相対的に期待度の高い赤色)のいずれの態様で表示させるかによって先読み期待度を示唆する特定の先読み演出を行うか否かの判定を行うとともに、該判定の結果に応じた態様(例えば、青色、赤色、若しくは先読み演出を行わない旨判定したときの通常の表示態様)で保留表示を行う処理を行うこととなる。これにより、該保留表示に対応した大当り判定が消化されるまでの間、その表示態様によって大当り期待度が先行示唆される先読み演出が実行されるようになる。
ところで、このような先読み演出では、期待度の高い態様で保留表示(大当り確定の保留表示も含む)を出現させる場合、先読み実行に合わせて特別音(例えば、キュイン)の出力が行われることが多い。ただし、このような特別音(先読み演出)は、不定期に発生する遊技球の入賞タイミングで再生されるものであるから、チャンネルに空きがないタイミングで遊技球の入賞が発生して先読み判定に当選するようなことがあると、先読み判定に当選したにもかかわらず特別音が再生されず、期待度の高い態様(青色や赤色)で保留表示が出現していることを遊技者が認識できずに遊技興趣が低下することが懸念される。
そこで、図291に示される例では、上述の通り、第一始動口2002又は第二始動口2004に遊技球を入賞させて特別音(先読み演出)を出力させるのに先立って、その特別音を割り当てることのできるチャンネルを、該特別音が未出力の状態(より正確には、特別音を出力させる旨の判定(先読み演出を行う旨の判定)が未だされていない状態)にあるときから事前に確保しておくチャンネル予約処理を実行可能としている。
例えば、図291に示されるタイミングtY10において、いま、保留状態にされている大当り判定の数(保留数)が0の状態であり、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域において通常背景表示が現れているもとで装飾図柄の変動表示が行われている状況にあるとすると、遊技者は、通常、保留数を増加させるべく、第一始動口2002又は第二始動口2004に遊技球が入賞されるように遊技(ハンドル操作)を行う。そしてこの結果、第一始動口2002又は第二始動口2004に遊技球が入賞されると、それらの入賞に応じて最大で4つまでの大当り判定が保留状態にされるとともに、それら大当り判定が保留状態にされる都度、入賞に応じた保留表示や先読み演出に関する処理が行われることとなる。
ここで、チャンネル予約処理が実行されていないときの先読み演出としては、例えば、第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞順で、1回目入賞(第1保留)、2回目入賞(第2保留)、3回目入賞(第3保留)、4回目入賞(第4保留)が発生したとすると、それらの保留が発生した各タイミングで先読み演出に関する処理が行われる。そして、先読み判定に当選して先読み演出が行われるときには、該当する保留が発生したタイミング(入賞して先読み判定が行われた各タイミング)で特別音(例えば、キュイン)を出力するとともに、特定態様をもった保留表示を出現させることとなる。
これに対し、チャンネル予約処理が実行されているときの先読み演出も、例えば、第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞順で、1回目入賞(第1保留)、2回目入賞(第2保留)、3回目入賞(第3保留)、4回目入賞(第4保留)が発生したとすると、それらの保留が発生した各タイミングで先読み演出に関する処理が行われる。ただし、先読み判定に当選して先読み演出が行われるときには、該当する保留が発生したタイミング(入賞したタイミング)で特別音(例えば、キュイン)を出力させるのではなくこれを実行待ちの状態にて維持させ、チャンネル予約処理の対象とされたチャンネルが空きになるのを待ってから特別音(例えば、キュイン)を出力させるようにしている。なお、特定態様をもった保留表示については、特別音(例えば、キュイン)を出力させるタイミングに合わせて出現させてもよいし、先読み判定に当選した保留が発生したタイミングで出現させるようにしてもよい。ただし、先読み判定に当選した保留が発生したタイミングで特定態様をもった保留表示を出現させる場合は、チャンネル予約処理が実行されているときの先読み演出と、チャンネル予約処理が実行されていないときの先読み演出とのいずれにおいても、特定態様として一の態様のみ(例えば、赤色のみ)を出現可能とするようにすることが望ましい。
すなわち、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域の前方辺りに手をかざすと、図示しない非接触タイプのセンサ(例えば、超音波センサや赤外線センサなど)がこれをオブジェクトとして検出し、これを契機としてチャンネル予約処理を開始させる構成となっている。
例えば、同図291に示されるタイミングtY11では、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域の前方辺りに遊技者が手をかざした状態にあり、これがオブジェクトとして検出された状態となっている。すると、周辺制御基板1510では、該検出があったことに基づいて、お祈り演出モードを発生させる。このお祈り演出モードでは、まず、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域において「神社の鳥居」が背景画像として表示されるお祈りモード背景表示が行われるとともに、所定時間(30秒間)にわたって「カウントダウンの音声」を所定チャンネルに割り当てて再生させる処理が行われる。なお、カウントダウンの音声は、例えば、「30」から開始されて1秒ごとにカウントダウンされ「0」になったときに終了される。また、こうしてお祈りモード背景表示が表示されている期間中も、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域では、装飾図柄が所定の演出パターンで変動表示される演出が継続して実行される。
ただし、このような表示領域における「神社の鳥居(お祈りモード背景表示)」や所定チャンネルにおける「カウントダウンの音声」は、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域の前方辺りに遊技者が手をかざすだけでこれを契機(センサによる検出を契機)として発生させることができるものであり、実行中の図柄変動内で進展されている演出内容(期待度を示唆する演出)に関係したものではないし、大当り判定の結果にも何ら依存するものではない。したがって、遊技者が手をかざしたときに発生させる表示や音については別の内容に適宜変更してもよいが、このような処理を行うようにすることで、所定時間(30秒間)にわたって所定チャンネルを使用状態(ここでは、何らの期待度も示さない「カウントダウンの音声」による使用状態)にて維持させることができるようになり、この所定時間(30秒間)が経過するまでの間は、所定チャンネルに対していつ終わるかもわからない他の音が割り当てられてしまうような事態の発生を回避することができるようになる(チャンネル予約処理)。
そして、こうしてチャンネル予約処理が実行されている所定時間(30秒間)が経過するまでの間に、遊技者は、第一始動口2002又は第二始動口2004に遊技球が入賞されるように遊技(ハンドル操作)を行うこととなる。そしてこの結果、図291に示されるように、1回目入賞(第1保留)、2回目入賞(第2保留)、3回目入賞(第3保留)、4回目入賞(第4保留)が発生したとすると、それらの保留が発生した各タイミングで先読み演出に関する処理が行われる。ただし上述の通り、「カウントダウンの音声」が再生されている間(チャンネル予約処理が実行されている間)は、入賞に応じた判定の結果として先読み演出を行う旨の判定結果(先読み当選)が得られたとしても、該入賞時に特別音(例えば、キュイン)をチャンネルに割り当てるようなことはせず、これを実行待ちの状態として記憶させる。こうして実行待ちの状態とされた特別音(例えば、キュイン)は、タイミングtY11から所定時間(30秒間)が経過したタイミングtY12において、入賞時よりも後で出力される後告知音として出力させることとなる。
これに対し、遊技者が手をかざして「カウントダウンの音声」の再生(チャンネル予約処理)を自らの意思で開始させてからこれが終了されるまでの間(タイミングtY11〜tY12)に入賞が発生しなかった場合や、入賞は発生したものの特別の判定結果が得られなかった(先読み演出に当選しなかった)場合は、「カウントダウンの音声」の再生が終了されるタイミングtY12が到来したとしても特別音は再生されない。
このような構成によれば、遊技者が手をかざして「カウントダウンの音声」の再生(チャンネル予約処理)を自らの意思で開始させてからこれが終了されるまでの間(タイミングtY11〜tY12)に入賞を発生させ、該入賞に応じた判定にて特別の判定結果(先読み当選)が得られるようなことがあると、特別音(キュイン)をその時点では出力させず、「カウントダウンの音声」が終了されてチャンネルに空きが生じるタイミングを狙って出力させる後告知演出として実行されるようになる。したがって、特別の判定結果(先読み当選)が得られたにもかかわらず、空きチャンネルがないことによって特別音を出力させることができないような事態の発生を好適に回避することができるようになる。また、タイミングtY11〜tY12の間のいずれのタイミングで特別の判定結果(先読み当選)が得られたとしても、これに応じた特別音(キュイン)を、少なくとも1つのチャンネルに空きが生じる一のタイミングtY12を狙って再生させることとなることから、タイミングtY12で特別音(キュイン)が発生するか否かを確認しさえすれば、タイミングtY11〜tY12の比較的長い時間内で特別の判定結果(先読み当選)が得られたかを容易に認識することができるようになる。
なお、特別音(キュイン)をこのような後告知音として出力させる場合は、タイミングtY12において空き状態になっているチャンネルのうち、いずれのチャンネルに割り当てて再生するようにしてもよい。ただし、特別音(キュイン)を、「カウントダウンの音声」がそれまで割り当てられていた所定チャンネルに選択的に割り当てるようにすれば、1つのチャンネルだけで、チャンネル予約処理とそれに応じた後告知演出を実現することができるようになり、限られたチャンネル数のなかで演出の幅を広げることができるようになる点で有益であるといえる。
また、この実施の形態では、「神社の鳥居」が背景画像として表示されるお祈りモード背景表示については、「カウントダウンの音声」の再生が終了されるタイミングtY12や、特別音(キュイン)の再生が終了されるタイミングが到来した以降も継続して表示させるようにしている。これは、このようなチャンネル予約処理の実行を求める者は、保留数が少なくなる都度、チャンネル予約処理を再び発生させるように手をかざす傾向にあることを踏まえたものであり、手をかざす前から「神社の鳥居」が背景画像として表示されているほうが手をかざしたときのご利益がある(後告知のタイミングで特別音が再生される確率が高くなる)ように見えることを考慮したものであり、チャンネル予約処理とは関係のない特定条件が成立(例えば、ボタンによる解除操作など)するまでお祈りモード背景表示を継続して行うようにしている。ただし実際には、「神社の鳥居」が背景画像として表示されている状態であっても、「神社の鳥居」が背景画像として表示されていない状態であっても、遊技者が手をかざしたときにこれが検出されると、所定音(カウントダウンの音声)によって所定チャンネルを所定時間にわたって割り当て状態にて維持する処理が行われるだけであるから、「カウントダウンの音声」の再生が終了されるタイミングtY12や、後告知音としての特別音(キュイン)の再生が終了されるタイミングなどでその表示を通常背景表示に戻すようにしてもよい。
また、タイミングtY11〜tY12の期間中に遊技者が再び手をかざしてこれが検出されたときには、該再度の検出から所定時間(ここでは30秒間)が経過するタイミングまで「カウントダウンの音声」の再生時間を延長させ、該タイミングが到来したときに先読み当選に応じた特別音を出力させるようにしてもよい。
また、このようなお祈り演出モードについては、図柄変動が変動中の状態にあるときのほか、図柄変動が変動中の状態にないときにも遊技者による特定行為が検出されたことに基づいて実行するようにしてもよい。また、特定行為については、非接触タイプのセンサによる検出対象とされる行為のほか、所定のボタン操作など、接触タイプのセンサによる検出対象とされる行為であってもよい。
ただし、特別音(キュイン)をこのような後告知音として出力させるようにした場合、入賞時に特別音(キュイン)を出力させる場合に比べて、1回目入賞(第1保留)、2回目入賞(第2保留)、3回目入賞(第3保留)、4回目入賞(第4保留)のいずれの保留で特別の判定結果(先読み当選)が得られたのかを把握し難くなることから、先読み当選した保留であることを認識しないままで保留消化されることによる遊技興趣の低下が懸念される。これに対し、特別音として再生される内容を、一律の音(ここでは、「キュイン」)ではなく、1回目入賞(第1保留)、2回目入賞(第2保留)、3回目入賞(第3保留)、4回目入賞(第4保留)のいずれの保留で先読み当選したかに応じて異ならせるようにすることも考えられる。ただしこれでは、チャンネル予約処理が実行されていないときの先読み演出で再生される音(ここでは、「キュイン」)からその内容が変わってしまうことで、先読み当選したことこれ自体把握することができなくなってしまうことが懸念される。
そこで、この実施の形態にかかる周辺制御MPU1530aでは、タイミングtY11〜tY12の間のいずれのタイミングで入賞されたもの(第1保留、第2保留、第3保留、第4保留)で特別の判定結果(先読み当選)が得られたかに応じて、タイミングtY12から開始される特別音(ここでは、「キュイン」)の再生時間を可変させる処理を行うこととしている。
例えば、図291に示される例では、タイミングtY11〜tY12の間のうち極めて早いタイミングで入賞した1回目入賞(第1保留)で特別の判定結果(先読み当選)が得られた場合を想定しているが、この場合は、タイミングtY12から3秒間にわたって特別音(ここでは、「キュイン」)を再生させるようにしている。
これに対し、図292に示される例では、タイミングtY11〜tY12の間のうち比較的早いタイミングで入賞した2回目入賞(第2保留)で特別の判定結果(先読み当選)が得られた場合を想定しているが、この場合は、タイミングtY12から6秒間にわたって特別音を再生させるようにしている。なおここでは、「キュイン」を1回再生するのに要する時間が3秒になっており、6秒間にわたって特別音(ここでは、「キュイン」)を再生した場合は、「キュイン」が2回分再生されて「キュイン キュイン」といった態様の音が出力されるようになっている。
一方、図293に示される例では、タイミングtY11〜tY12の間のうち比較的遅いタイミングで入賞した3回目入賞(第3保留)で特別の判定結果(先読み当選)が得られた場合を想定しているが、この場合は、タイミングtY12から9秒間にわたって特別音を再生させるようにしている。なおここでは、「キュイン」を1回再生するのに要する時間が3秒になっていることから、9秒間にわたって特別音(ここでは、「キュイン」)を再生した場合は、「キュイン」が3回分再生されて「キュイン キュイン キュイン」といった態様の音が出力されるようになっている。
また一方、図294に示される例では、タイミングtY11〜tY12の間のうち極めて遅いタイミングで入賞した4回目入賞(第4保留)で特別の判定結果(先読み当選)が得られた場合を想定しているが、この場合は、タイミングtY12から12秒間にわたって特別音を再生させるようにしている。なおここでは、「キュイン」を1回再生するのに要する時間が3秒になっていることから、12秒間にわたって特別音(ここでは、「キュイン」)を再生した場合は、「キュイン」が4回分再生されて「キュイン キュイン キュイン キュイン」といった態様の音が出力されるようになっている。
このような構成によれば、タイミングtY12において特別音が出力されると、タイミングtY11〜tY12の間で特別の判定結果(先読み当選)が得られたことが把握可能とされることはもとより、タイミングtY11〜tY12の間のいずれのタイミングで発生した入賞で特別の判定結果(先読み当選)が得られたかを予測することができるようになる。この例では、タイミングtY12からの特別音の再生時間が短いほど、タイミングtY11〜tY12の間のうちの早いタイミングで発生した入賞で特別の判定結果(先読み当選)が得られたことを示唆しており、タイミングtY12からの特別音の再生時間が長いほどタイミングtY11〜tY12の間のうちの遅いタイミングで発生した入賞で特別の判定結果(先読み当選)が得られたことを示唆するようにしている。
なおこの例では、タイミングtY11〜tY12の間に1回目入賞しか発生せず該入賞に応じて特別の判定結果が得られる場合も想定されうるが、この場合も、その入賞が発生したタイミングに応じて、タイミングtY12からの特別音の再生時間の長さを上述のように可変させることとなる。ただしこれに代えて、保留数が最大で4つまでに制限されていることに鑑み、1回目入賞で特別の判定結果が得られた場合はその入賞タイミングにかかわらず特別音を「キュイン」1回分の再生時間に設定し、2回目入賞で特別の判定結果が得られた場合はその入賞タイミングにかかわらず特別音を「キュイン」2回分の再生時間に設定し、3回目入賞で特別の判定結果が得られた場合はその入賞タイミングにかかわらず特別音を「キュイン」3回分の再生時間に設定し、4回目入賞で特別の判定結果が得られた場合はその入賞タイミングにかかわらず特別音を「キュイン」4回分の再生時間に設定するようにしてもよい。
また、この実施の形態では、先読み当選が得られた場合、特別音として「キュイン」を再生させるようにしたが、入賞したときの先読み判定で第1の判定結果(例えば、比較的期待度の低い先読み当選)と第2の判定結果(例えば、比較的期待度の高い先読み当選)とのいずれが得られたかに応じて、特別音としての再生内容を変化させるようにしてもよい。例えば、入賞したときの先読み判定で第1の判定結果(例えば、比較的期待度の低い先読み当選)が得られた場合は特別音として「キュイン」を再生させるのに対し、入賞したときの先読み判定で第2の判定結果(比較的期待度の高い先読み当選)が得られた場合は特別音として「ドカン」を再生させるようにすれば、タイミングtY11〜tY12の間のいずれのタイミングで発生した入賞で先読み当選が得られたかについての予測に加えて、先読み当選として第1の判定結果(比較的期待度の低い先読み当選)及び第2の判定結果(比較的期待度の高い先読み当選)のいずれが得られたかについての予測も行うことができるようになる。なおこの場合、チャンネル予約処理が実行されていないときの先読み演出においても、判定結果に応じて特別音として「キュイン」又は「ドカン」を再生するようにすることが望ましい。
例えば、図295に示される例では、タイミングtY11〜tY12の間のうち極めて早いタイミングで入賞した1回目入賞(第1保留)における先読み判定で第1の判定結果(比較的期待度の低い先読み当選)が得られており、且つ極めて遅いタイミングで入賞した4回目入賞(第4保留)における先読み判定で第2の判定結果(比較的期待度の高い先読み当選)が得られた場合を想定しているが、この場合は、タイミングtY12から3秒間にわたって「キュイン」の態様で特別音を再生させてから、さらに9秒間にわたって「ドカン」の態様で特別音を再生させるようにしている。
このような構成によれば、「キュイン」の態様での特別音の再生時間が3秒であることを確認することで、タイミングtY11〜tY12の間のうち極めて早いタイミングで入賞した1回目入賞(第1保留)における先読み判定で第1の判定結果(比較的期待度の低い先読み当選)が得られたことを予測することが可能とされるようになる。また、特別音の再生時間これ自体は12秒間(3+9秒間)にわたって行われたことを確認することで、極めて遅いタイミングで入賞した4回目入賞(第4保留)における先読み判定で先読み当選したことが把握可能とされる。さらに、タイミングtY11〜tY12の間のうち極めて早いタイミングで入賞した1回目入賞(第1保留)における先読み判定で第1の判定結果(比較的期待度の低い先読み当選)が得られたことに応じて再生された1回分の「キュイン」が終了してから「ドカン」の態様で特別音が再生されていることを確認することで、4回目入賞(第4保留)における先読み判定では第2の判定結果(比較的期待度の低い先読み当選)が得られたことを予測することが可能とされるようになる。
若しくは、第一始動口2002への入賞に応じた先読み判定で第1の判定結果(第1特図側の先読み当選)が得られた場合に特別音として「キュイン」を再生させるようにするとともに、第二始動口2004への入賞に応じた先読み判定で第2の判定結果(第2特図側の先読み当選)が得られた場合に特別音として「ドカン」を再生させるようにしてもよい。なおこの場合、チャンネル予約処理が実行されていないときの先読み演出においても、第一始動口2002への入賞に応じた先読み判定と第二始動口2004への入賞に応じた先読み判定とのいずれであるかに応じて、特別音として「キュイン」又は「ドカン」を再生するようにすることが望ましい。
このような構成によれば、例えば、図295に示される状況が発生した場合、「キュイン」の態様での特別音の再生時間が3秒であることを確認することで、タイミングtY11〜tY12の間のうち極めて早いタイミングで入賞した1回目入賞(第1保留)は第一始動口2002側への入賞であり、且つこれに応じた先読み判定で第1の判定結果(第1特図側の先読み当選)が得られたことを予測することが可能とされるようになる。また、特別音の再生時間これ自体は12秒間(3+9秒間)にわたって行われたことを確認することで、極めて遅いタイミングで入賞した4回目入賞(第4保留)における先読み判定でも先読み当選していることが把握可能とされる。さらに、タイミングtY11〜tY12の間のうち極めて早いタイミングで入賞した1回目入賞(第1保留)における先読み判定で第1の判定結果(第1特図側の先読み当選)が得られたことに応じて再生された1回分の「キュイン」が終了してから「ドカン」の態様で特別音が再生されていることを確認することで、4回目入賞(第4保留)は第二始動口2004側への入賞であり、且つこれに応じた先読み判定で第2の判定結果(第2特図側の先読み当選)が得られたことを予測することが可能とされるようになる。
なお上述の通り、この実施の形態では、チャンネル予約処理を実行している間に特定入賞口に遊技球が受け入れられたことに基づいて特別の判定結果が得られた場合におけるチャンネル制御の例として、先読み演出における先読み当選が得られた場合を例示することとした。ただし、図291〜図295を参照して説明した実施例とは、要は、特定入賞口に遊技球が受け入れられたときに判定処理が行われる遊技機にあって、その判定処理で特別の判定結果が得られたときに特別音を出力させる場合にチャンネル不足が発生して出力することができなくなることを回避可能としたチャンネル制御(チャンネル予約処理など)これ自体に技術的特徴を有するものであるから、その適用例としては必ずしも先読み演出における先読み当選に限られないことは明らかである。
[チャンネル使用制限]
上述の通り、チャンネルの数が有限とされる遊技機では、入賞に応じた判定手段による判定にて特別の結果が得られたとしても、音データの割り当て対象とされるチャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)では特別の結果が得られたことに応じた特別音をチャンネルに割り当てることができず、これを出力できないことによる遊技興趣の低下が懸念される。
この点、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、遊技が進行されるなかで空きチャンネルの数を監視しておりこれが所定数未満になると、各種の遊技音のうち少なくとも一部の遊技音の出力に関連する処理の実行を制限する割合が高くされるようにしている(チャンネル使用制限)。すなわちこの場合、少なくとも一部の遊技音については空きチャンネルの数が0になるよりも前の段階からその出力に関連する処理の実行に制限をかけるとともに、空きチャンネルの数が0に近づくにつれて実行制限する割合が高くなるようになることから、空きチャンネルの数を0にし難くすることができるようになる。
より具体的には、この実施の形態にかかる周辺制御MPU1530aでは、保留状態にあった大当り判定に応じた図柄変動が消化される都度(始動条件が成立する都度)、該消化される図柄変動の実行期間中におけるチャンネルの空き状況を判定する。そしてこの結果、チャンネルの空き状況に余裕があるときには判定対象とされた当該図柄変動が少なくとも終了されるまでの間はチャンネル使用が制限される割合(チャンネル制限レベル)を低くし、該チャンネルの空き状況に余裕がないときには判定対象とされた当該図柄変動が少なくとも終了されるまでの間はチャンネル使用が制限される割合(チャンネル制限レベル)を高くし、こうした図柄変動を一単位としたチャンネル制限を実行することで、判定対象とされた図柄変動の実行期間中に空きチャンネルの数が0になってしまうような事態の発生を抑制するようにしている。なお後述するが、チャンネル制限レベルとしては複数のレベル値が用意されており、該レベル値が高くなるにつれて遊技音の出力に関連する処理の実行を制限する割合が高くなるようになっている。
図296は、このようなチャンネル制限レベルの設定にかかる処理についてその手順の一例を示すフローチャートである。
いま、ステップS1022(図230)の処理内において、主制御基板1310からパターンコマンド(変動パターン)を受信した旨判定された状態にあるとする。すると、周辺制御MPU1530aでは、まず、同図296に示されるように、ステップS3101の処理として、前回設定したチャンネル制限レベルの値をリセットする。なお、このリセット処理(ステップS3101)については、図柄変動が終了されるときに行うようにしてもよい。
次いで、ステップS3102の処理として、受信した変動パターンに対応した変動前半の演出パターンの種別に基づいて、該変動前半の期間(例えば、図柄変動開始からリーチ演出が開始されるまでの期間や、図柄変動開始からリーチ演出が開始されることなく図柄停止されるまでの期間など)内でチャンネルに最も空きがなくなるタイミングを基準とした空きチャンネルの数(最小空きチャンネル数)である「X」を特定する。また、ステップS3103の処理として、受信した変動パターンに対応した変動後半の演出パターンの種別に基づいて、該変動後半の期間(例えば、リーチ演出の開始から図柄変動停止までの期間など)内でチャンネルに最も空きがなくなるタイミングを基準とした空きチャンネルの数(最小空きチャンネル数)である「Y」を特定する。
ただし、図柄変動開始からリーチ演出が開始されることなく図柄停止される演出パターンが選択されている場合は「変動後半」に相当する図柄変動が行われない。この場合は、ステップS3103の処理これ自体を行わずに次のステップ処理を行うか、若しくはステップS3103の処理において空きチャンネルの数「Y」として設定可能な最大数値(チャンネル制限の対象とならない数値)を設定することとなる。
そして次に、ステップS3104の処理として、上記ステップS3102の処理で特定された「X」と上記ステップS3103の処理で特定された「Y」とを比較し、これら「X」及び「Y」のうちの最小空きチャンネル数が小さい側(空きチャンネルの数に余裕がない側)の値に基づいて、判定対象とされた当該図柄変動が少なくとも終了されるまでの間におけるチャンネル制限レベルを設定する。これにより、判定対象とされた図柄変動が開始されてから終了されるまでの間は、該設定されたチャンネル制限レベルに基づいて遊技音の出力に関連する処理の実行が制限されうるようになり、空きチャンネルの数を0になり難くし、意図しない演出態様が現れることによる遊技興趣の低下を抑制することが期待されるようになる。
なお、この実施の形態では、チャンネル制限レベルを設定するにあたり、その判断に供される「最小空きチャンネル数」を、変動前半(ステップS3102)と変動後半(ステップS3103)とで分けてそれぞれ特定することとしている。これは、変動前半の演出内容(図柄変動開始からリーチ演出が開始されるまでの期間など)が、複数の演出パターン(例えば、ロングリーチ,スーパーリーチA,スーパーリーチBなど)で共用になっていることが多いことから、変動前半を単位としてその最小空きチャンネル数を特定するようにすれば、最小空きチャンネル数を特定するのに必要なデータ量を削減することができることを考慮したものである。
ただし、チャンネル制限レベルの設定判断に供される最小空きチャンネル数については、必ずしも変動前半と変動後半とで分けてそれぞれ特定しなくてもよく、図柄変動が開始されてから停止されるまでの演出パターンを一単位として、該演出パターンが実行される期間内でチャンネルに最も空きがなくなるタイミングを基準とした空きチャンネルの数(最小空きチャンネル数)を特定するようにしてもよい。
また、ここでの「最小空きチャンネル数」とは、判定対象とされる演出パターン(演出内容)が進展すると自動的に発生する音(BGM関連や大当り判定に応じた図柄停止関連、大当り判定に応じた効果音関連など)のみを対象としてそれらが各チャンネルに対して割り当て状態になったときにどれだけのチャンネルが空き状態として残されるかを示すものである。したがって、ボタン押下音(ボタン操作に基づいて発生する演出に伴う音など)や音量調整完了音、各種報知音、ブロック入賞音(一般入賞口への入賞に伴う音)、保留入賞音(第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞に伴う音)、普電演出音(普通図柄の判定に応じた演出に伴う音)など、判定対象とされる演出パターン(演出内容)が進展されるだけでは必ずしも実行されない各種の音についてはその判断対象として含まれていない。
図297は、ステップS3104の処理において特定された「最小空きチャンネル数」の別に設定されるチャンネル制限レベルの値を示すとともに、該チャンネル制限レベルの別に定められる制限内容についての一例を示す図である。
同図297に示されるように、この実施の形態にかかる周辺制御MPU1530aでは、まず、チャンネル使用の制限対象とされる音として、各種の遊技音のうち、ブロック入賞音(一般入賞口への入賞に伴う音)、保留入賞音(第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞に伴う音)、普電演出音(普通図柄の判定に応じた演出に伴う音)、音量調整完了音を例示している。したがって、空きチャンネルに余裕がない図柄変動の実行期間中は、各種の遊技音のうち、少なくともこれらの遊技音(ブロック入賞音、保留入賞音、普電演出音、音量調整完了音)に対してチャンネル使用の制限が発生しうることとなる。
より具体的には、上記ステップS3103の処理において特定された「最小空きチャンネル数」が12以上である場合、上記ステップS3104の処理では、図297に示される対応付けをもとにチャンネル制限レベルを「0」に設定する。すなわちこの場合、空きチャンネルに余裕がある図柄変動が実行される状況にあるとして、チャンネル使用の制限対象とされる音(ブロック入賞音、保留入賞音、普電演出音、音量調整完了音)のうちいずれも制限されず、当該図柄変動の実行中に一般入賞口への入賞があればブロック入賞音を所定の空きチャンネルに割り当てて再生し、当該図柄変動の実行中に第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞があれば保留入賞音を所定の空きチャンネルに割り当てて再生し、当該図柄変動の実行中に普通図柄の判定に応じた演出が行われるときには該演出に応じた普電演出音を所定の空きチャンネルに割り当てて再生し、当該図柄変動の実行中に音量調整が行われたときにはこれに応じた音量調整完了音を所定の空きチャンネルに割り当てて再生することとなる。
これに対し、上記ステップS3103の処理において特定された「最小空きチャンネル数」が6〜11のいずれかである場合、上記ステップS3104の処理では、図297に示される対応付けをもとにチャンネル制限レベルを「1」に設定する。すなわちこの場合、空きチャンネルに若干余裕のない図柄変動が実行される状況にあるとして、チャンネル使用の制限対象とされる4つの音(ブロック入賞音、保留入賞音、普電演出音、音量調整完了音)のうち、ブロック入賞音に対してチャンネル使用の制限(25%制限)を発生させる。すなわちこの場合、当該図柄変動の実行中に一般入賞口への入賞がありこれが検出されたときには、該入賞に応じた数量分の賞球の払い出しは行うものの、ブロック入賞音についてはこれを所定の空きチャンネルに割り当てないように処理することとなる。なおこの際、一般入賞口への入賞に応じた音生成用スケジューラーデータをセットせず、ブロック入賞音の再生これ自体を行わないようにすることが望ましい。
一方、上記ステップS3103の処理において特定された「最小空きチャンネル数」が2〜5のいずれかである場合、上記ステップS3104の処理では、図297に示される対応付けをもとにチャンネル制限レベルを「2」に設定する。すなわちこの場合、空きチャンネルに比較的余裕のない図柄変動が実行される状況にあるとして、チャンネル使用の制限対象とされる4つの音(ブロック入賞音、保留入賞音、普電演出音、音量調整完了音)のうち、ブロック入賞音及び保留入賞音の2つの音に対してチャンネル使用の制限(50%制限)を発生させる。すなわちこの場合、上述のブロック入賞音に対する制限に加えて、当該図柄変動の実行中に第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞がありこれが検出されたときには、該入賞に応じた数量分の賞球の払い出し、及び上述の第一・第二始動口入賞処理は行うものの、保留入賞音についてはこれを所定の空きチャンネルに割り当てないように処理することとなる。なおこの際、第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞に応じた音生成用スケジューラーデータをセットせず、保留入賞音の再生これ自体を行わないようにすることが望ましい。
また一方、上記ステップS3103の処理において特定された「最小空きチャンネル数」が0,1のいずれかである場合、上記ステップS3104の処理では、図297に示される対応付けをもとにチャンネル制限レベルを「3」に設定する。すなわちこの場合、空きチャンネルに全く余裕のない図柄変動が実行される状況にあるとして、チャンネル使用の制限対象とされる4つの音(ブロック入賞音、保留入賞音、普電演出音、音量調整完了音)のすべてに対してチャンネル使用の制限(100%制限)を発生させる。すなわちこの場合、上述のブロック入賞音に対する制限、及び保留入賞音に対する制限に加えて、当該図柄変動の実行中に普通図柄の判定に応じた演出が行われたとしても普電演出音についてはこれを所定の空きチャンネルに割り当てないように処理することとなる。また、当該図柄変動の実行中に遊技者による音量調整操作があったときにはこれに応じた音量調整これ自体は行うものの、音量調整完了音についてはこれを所定の空きチャンネルに割り当てないように処理することとなる。なおこの際、普電演出音や音量調整完了音についても、それらに相当する音生成用スケジューラーデータをセットせず、普電演出音や音量調整完了音の再生これ自体を行わないようにすることが望ましい。
このような構成によれば、遊技が進行されるなかで、音が割り当てられていない状態にある空きチャンネルの数が所定数未満になる図柄変動が実行される場合、同空きチャンネルの数が所定数未満にならない図柄変動が実行される場合に比べて、各種の遊技音のうち少なくとも一部の遊技音の出力に関連する処理の実行を制限する割合が高くされるようになる。すなわちこの場合、一部の遊技音(ブロック入賞音、保留入賞音、普電演出音、音量調整完了音)については、空きチャンネルの数が実際に0になるよりも前の段階からその出力に関連する処理の実行に制限がかけられ、且つ空きチャンネルの数が少なくなるにつれて実行制限される割合が高くされるようになることから、図柄変動の実行中に空きチャンネルの数が0になってしまうような事態の発生を好適に抑制することが期待されるようになる。
また、上記構成では、各種の遊技音のうちチャンネル使用の制限対象とされる音を、当該パチンコ機1において最も重要な「大当り判定に関わる演出音」ではなく、それ以外の「入賞に伴う音」や、「普通判定に関わる演出音」、「音量調整に関わる音」だけに限定することとしている。すなわち、図柄変動の実行中にチャンネル使用の制限を発生させたとしても、該図柄変動で大当り図柄が現れるかについての演出に制限はかけられず好適に実行されることから、図柄変動の実行中にチャンネル使用の制限をかけたときの遊技興趣の低下は抑制されるようになる。
なお、上記構成では、各種の遊技音のうちチャンネル使用の制限対象の候補とされる音の種別としてこれを複数用意(ブロック入賞音、保留入賞音、普電演出音、音量調整完了音)し、チャンネル制限レベルが高くなるにつれて(最小空きチャンネル数が小さい図柄変動であるほど)、チャンネル使用の制限対象とされる音の種別数を増加させることとした。ただし、空きチャンネルの数が実際に0になるよりも前の段階からその出力に関連する処理の実行に制限をかけて、且つ空きチャンネルの数が少なくなるにつれて実行制限される割合を高くさせる手法としてはこれに限られず、例えば、以下に図298を参照して説明する手法を採用するようにしてもよい。
図298は、チャンネル制限レベルの別に定められる制限内容についての別例を示す図である。
同図298に示されるように、この別例では、上記ステップS3103の処理において特定された「最小空きチャンネル数」や、上記ステップS3104の処理において特定されたチャンネル制限レベルに応じて、チャンネル使用に制限をかけるか否かについての制限抽選を行う。ただしここでは、チャンネル使用の制限対象の候補とされる音を複数用意せず、該制限抽選において制限をかける旨の判定結果が得られたときは、一の遊技音(例えば、音量調整完了音など)に対してのみチャンネル使用にかかる制限処理を行うようにしている。
例えば、この別例においてチャンネル制限レベルが0(最小空きチャンネル数が12以上)である場合、制限抽選において制限をかける旨の判定結果が得られる確率は0/100にされており、チャンネル使用の制限対象とされる特定遊技音(例えば、音量調整完了音)に対してチャンネル使用にかかる制限処理が実行されることはない。
ただし、チャンネル制限レベルが1以上になると、その値が大きくなるにつれて制限抽選において制限をかける旨の判定結果が得られる確率が高くされるなるようになっており、チャンネル制限レベルが1(最小空きチャンネル数が6〜11)である場合における同確率は25/100であり、チャンネル制限レベルが2(最小空きチャンネル数が2〜5)である場合における同確率は50/100であり、チャンネル制限レベルが3(最小空きチャンネル数が0,1)である場合における同確率は100/100である。そして、この別例では、制限抽選において制限をかける旨の判定結果が得られた場合は、チャンネル制限レベルにかかわらず同じ内容でチャンネル使用にかかる制限処理が実行されるようにしている。
このような構成であっても、遊技が進行されるなかで、音が割り当てられていない状態にある空きチャンネルの数が所定数未満になる図柄変動が実行される場合、同空きチャンネルの数が所定数未満にならない図柄変動が実行される場合に比べて、各種の遊技音のうち少なくとも一部の遊技音の出力に関連する処理の実行を制限する割合が高くされるようになる。すなわちこの場合、遊技音のうちの一部の遊技音(音量調整完了音)については、空きチャンネルの数が実際に0になるよりも前の段階からその出力に関連する処理の実行に制限がかけられ、且つ空きチャンネルの数が少なくなるにつれて実行制限される割合が高くされるようになることから、図柄変動の実行中に空きチャンネルの数が0になってしまうような事態の発生を好適に抑制することが期待されるようになる。
また、上記構成によれば、図柄変動の実行期間中に特定音(音量調整完了音)が再生されるか否かを確認するようにすることで、当該図柄変動の実行期間中における最小空きチャンネル数に余裕がなくなる可能性を推測することが可能とされるようになり、その推測に見合った遊技進行(入賞やボタン操作など)を促すことができるようになる。
なお、図297や図298で例示した構成では、演出パターンに基づいて各種の予告演出にかかる判定処理を実行した後にそれら予告演出の発生状況から最小空きチャンネル数を特定し、該特定した最小空きチャンネル数に基づいてチャンネル制限レベルを設定することとしたが、必ずしもこれに限られない。例えば、図柄変動期間中に最大でどれだけの音が同時にチャンネル割り当てされた状態になるかについては演出パターン毎にあらかじめ想定可能であることから、演出パターンの別にチャンネル不足の生じ易さをあらかじめ分類しておく。そして、演出パターンが決定されたときに、該演出パターンがあらかじめ分類されているチャンネル不足の生じ易さが高いほど、チャンネル制限する割合が高くなるようにしてもよい。すなわちこの場合、多くのチャンネルを同時使用する傾向にある特定種別の演出パターンが実行されると、実際にはボタン操作がなかったり、各種入賞が発生せずに多くのチャンネルが使用されず空きチャンネルの数に余裕がある場合であっても、その図柄変動の実行中は遊技音の出力に関連する処理の実行が制限されうる事態が生じることとなるが、簡単な処理を行うだけで空きチャンネルの数が0になることを回避することができるようになる点では極めて有益であるし、このような処理を実行した場合であっても、「図柄変動中における空きチャンネルの数が相対的に少ないときには遊技音の出力に関連する処理の実行が制限される割合が高くなり、図柄変動中における空きチャンネルの数が相対的に多いときには遊技音の出力に関連する処理の実行が制限される割合が低くなる」といった現象が現れるだけであり、遊技者側からしても特に違和感のない現象であるから遊技興趣についても好適に維持することが期待されるようになる。またこの場合、音が制限されたか否かを確認するようにすることで、チャンネル不足の生じ易い演出パターンである可能性を推測することが可能とされるようになる。
また、図297や図298で例示した構成やそれらの別例では、図柄変動を一単位としたチャンネル制限を実行するようにしたが、一の図柄変動内で演出内容が進展されるなかでチャンネル制限レベルを可変させ、その都度のチャンネル制限レベルに応じたチャンネル制限を実行するようにしてもよい。若しくは、複数回の図柄変動にわたって特定の演出モードが実行される場合など、所定の制限条件が満たされたときには複数回の図柄変動にわたってチャンネル制限レベルを特定値にて不変とし、該チャンネル制限レベルに応じてチャンネル制限を実行するようにしてもよい。
ところで、図297や図298で例示した構成やそれらの別例では、チャンネル使用の制限対象とされる音として、パチンコ機1において最も重要な「大当り判定に関わる演出音」ではなく、それ以外の「入賞に伴う音」や、「普通判定に関わる演出音」、「音量調整に関わる音」のみを採用することとした。しかしながら、これらの音には、演出音に比べて発生頻度が低いものも含まれていることから、空きチャンネルをより効果的に確保可能とする制限処理を実現する上では、「大当り判定に関わる演出音」についても制限対象として採用するようにすることが望まれる。ただしその一方で、「大当り判定に関わる演出音」に対して上述の制限処理を実行すると、演出音が再生されないことで盛り上がりに欠けた演出に成り下がってしまうことが懸念され、このような状況にあるなかで大当り図柄が停止されるようなことがあると遊技興趣が低下するおそれがある。
この点、図297や図298で例示した構成やそれらの別例にあって、「大当り判定に関わる演出音」のうち、「保留状態にあり将来消化される図柄変動に関する演出」に限りその演出音のチャンネル使用を制限するようにすれば(例えば、図298やその別例において制限対象とされる特定遊技音として採用するようにすれば)、実行中の図柄変動の結果に関わる演出に対しては何ら制限をかけずに、発生頻度の高い演出音を制限対象として採用することができるようになる。
例えば、図柄変動が実行されている期間中に、第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞が発生してこれに応じた大当り判定が保留状態にされる場合、通常は、該保留状態にされた大当り判定に関して先読み演出を行うかについての判定処理を行う。なおこの結果、特別の結果が得られたときには該保留状態にされた大当り判定が大当りに当選するものであるかについての期待度を事前示唆する先読み演出(演出表示、演出音)を行うこととなる。
ただし、使用チャンネル数が多くなって空きに不安が生じるような事態(最小空きチャンネル数が0,1の図柄変動が実行中の状態など)になり、チャンネル使用の制限対象として、「保留状態にあり将来消化される図柄変動に関する演出に応じた演出音」が対象にされている場合は、第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞が発生してこれに応じた大当り判定が保留状態にされたとしても、保留状態にされた大当り判定に関して先読み演出についての判定処理これ自体を実行せず、先読み演出とこれに応じた演出音との両方が行われないようにする。
このような構成によれば、使用チャンネル数が多くなって空きに不安が生じるような事態になると、実行中の図柄変動ではない将来分の図柄変動に関する演出にあてがわれるチャンネル分を、実行中の変動に関する演出音に対して供給することができるようになることから、実行中の図柄変動の結果に関わる演出に対しては何ら悪影響を及ぼすことなく、発生頻度の高い演出音を制限対象にすることができるようになる。また、制限対象にする演出は、「未実行の状態にある将来分の図柄変動に関する演出」のみであり、制限対象にされた図柄変動であっても、将来、これが保留消化されたときには制限対象にされない図柄変動中演出(演出パターンに応じた演出内容)が必ず実行されるようになることから、演出を制限対象にすることによる遊技興趣の低下も好適に抑制されるようになる。
また、「大当り判定に関わる演出音」を制限対象にするとき、演出(演出表示、演出音)のうち演出音のみを制限対象(音出力なし)にしてしまうと、盛り上がりに欠けた演出に成り下がってしまい遊技興趣を逆に低下させかねない状況になりうるが、上記構成では、使用チャンネル数が多くなって空きに不安が生じるような事態になると、入賞して大当り判定が保留状態にされるときに先読み演出についての判定処理これ自体を実行せず、先読み演出に関する演出表示と演出音との両方を行わないようにしたことから、先読み判定にて特別の結果(先読み当選)が得られなかったときと同じ演出状況(先読み演出が実行されないときの保留表示)になるだけであり、盛り上がりに欠けた演出実行による遊技興趣の低下を好適に回避することができるようになる。
なお、「大当り判定に関わる演出音」を制限対象にするとき、入賞して大当り判定が保留状態にされるときに先読み演出についての判定処理これ自体を実行せず、先読み演出に関する演出表示と演出音との両方を行わないようにしたが、これに限られない。例えば、「大当り判定に関わる演出音」を制限対象にするとき、入賞したときに先読み演出についての判定処理は行うが、特別の結果が得られたとしても図柄変動中における特定タイミングが到来するまでは先読み演出に関する演出表示と演出音との両方を実行せずこれらを制限するようにして、図柄変動中における特定タイミングが到来したときに、演出表示と演出音とのうちの演出表示に対する制限のみを解除してこれを行うようにしてもよい。すなわちこの場合、「大当り判定に関わる演出音」が制限対象にされていないとき(通常時)とは異なる、専用の態様(タイミング)で先読み演出に関する演出表示が行われるようになり、且つ特別の結果(先読み当選)が得られなかったかのように見せた後に先読み演出が実行されるようになることから、先読み演出に応じた演出音を出力させないことによる遊技興趣の低下を抑制しつつ先読み演出を好適に行うことができるようになる。
また、チャンネル使用が制限されている状況下における将来演出に関する処理として、
・入賞したときに先読み演出についての判定処理は行うが、特別の結果が得られたとしても図柄変動中における特定タイミングが到来するまでは先読み演出に関する演出表示と演出音との両方を実行せずこれらを制限するようにして、図柄変動中における特定タイミングが到来したときに、演出表示と演出音とのうちの演出表示に対する制限のみを解除してこれを行う
といった構成を第1の制限下処理とし、
・入賞したときに先読み演出についての判定処理これ自体を実行せず、先読み演出に関する演出表示と演出音との両方を行わない
といった構成を第2の制限下処理としたとき、遊技が進行されるなかで、音が割り当てられていない状態にある空きチャンネルの数が所定数未満になる図柄変動が実行される場合、同空きチャンネルの数が所定数未満にならない図柄変動が実行される場合に比べて、第1の制限下処理及び第2の制限下処理のいずれかが実行される割合が高くされるようにするとともに、第1の制限下処理が行われるときに実行状態にあった図柄変動内で使用されるチャンネルの数の期待値を「A」、第2の制限下処理が行われるときに実行状態にあった図柄変動内で使用されるチャンネルの数の期待値を「B」とするとき、それらの関係が「A<B」なる関係となるように、それら第1の制限下処理及び第2の制限下処理のいずれかが実行されるようにすることがより望ましい。すなわちこの場合、使用チャンネル数が多くなって空きにより大きな不安が生じるようになるにつれて、演出音のみを制限対象にした第1の制限下処理ではなく、演出表示と演出音との両方を制限対象にした第2の制限下処理によってチャンネル制限がかけられる割合が高くなるようになることから、使用チャンネル数が多くなったときの不安感をより好適に抑制することが期待されるようになる。
[チャンネル特別開放処理]
上述の通り、チャンネルの数が有限とされる遊技機では、入賞に応じた判定手段による判定にて特別の結果が得られたとしても、音データの割り当て対象とされるチャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)では特別の結果が得られたことに応じた特別音をチャンネルに割り当てることができず、これを出力できないことによる遊技興趣の低下が懸念される。
この点、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、複数の遊技音が各別のチャンネルに割り当てられて出力状態にあるとき、それら遊技音のうち少なくともいくつかの遊技音の音量を低下させ、該音量が低下されている状態(抑制状態)で特定遊技音のチャンネルへの割り当てを終了させる処理を行いうる。そして、こうして特定遊技音のチャンネルへの割り当てが終了された後、チャンネルへの割り当てが継続されている他の遊技音の音量を上昇させる処理を実行可能としている(チャンネル特別開放処理)。
このような構成によれば、遊技音のチャンネル割り当ての態様に変化が生じたことを認識し難い状況(遊技音の音量が低下されている状態(抑制状態))にあるタイミングを狙って使用状態にあるチャンネルの数を減少させる(空きチャンネルの数を増加させる)こととなる。したがって、例えば、重要な遊技音をより確実に出力させるために、これに先立って使用状態にあるチャンネルの数を減少させるようにした場合であっても、該使用状態にあるチャンネルの数が減少したことには気付かれ難くなり、特定の遊技音が出力されなくなったことによる遊技興趣の低下を抑制することができるようになる。
図299は、このようなチャンネル特別開放処理が行われるときの各チャンネルの割り当て状況の一例を示すタイムチャートである。
同図299に示されるように、大当り判定の結果に応じた図柄変動が実行されている期間中にあって、タイミングtk11では、遊技盤側演出表示装置1600で演出進展されている所定の演出パターンに応じた「通常BGM再生」の音が再生チャンネル02,03に割り当てられて再生(ここでは、ステレオ再生)されており、且つ遊技盤側演出表示装置1600で表示されている演出Aに応じた「演出A再生」の音が再生チャンネル08,09に割り当てられて再生(ここでは、ステレオ再生)されている状況にある。
この点、図299(a)に示されるように、これら再生状態にある音(通常BGM再生、演出A再生)のうち、「演出A再生」の音は、所定の演出パターンが演出途中の段階(図柄変動の実行途中)であるタイミングtk13になると再生チャンネル08,09から外されてその再生が終了されるようになっている。このように、所定の演出パターンが演出途中の段階であっても、チャンネルから演出音の割り当てを終了させてこれを速やかに空きチャンネルに変える処理を行うことで、所定の演出パターンの演出内容が進展するときに空きチャンネルに不足して新たな音を割り当てて再生することができなくなる事態の発生を抑制することができるようになる。
ただし上述の通り、大当り判定の結果に応じた所定の演出パターンが演出途中の段階(図柄変動の実行途中)にあるときにチャンネルから演出音の割り当てを外してこれを空きチャンネルに変化させる場合、再生状態にある演出音の数が減少することとなり、その減少分だけ当該演出パターンで大当り図柄が現れる期待度が低下したかのように思わせてしまう懸念が生じる。
そこで、この説明例では、図299(a)に示されるように、まず、「演出A再生」の音を再生チャンネル08,09から外してその再生を終了させるタイミングtk13が到来するよりも前の「タイミングtk12」から、上記タイミングtk13よりも後の「タイミングtk14」が到来するまでの期間にわたって、遊技盤側演出表示装置1600で表示されている演出Bに応じた「演出B再生」の音を再生チャンネル08,09に割り当てて再生(ここでは、ステレオ再生)の状態にさせる。そして、図299(b)に示されるように、こうして「演出B再生」の音が再生の状態にされる期間(タイミングtk12〜tk14)のうち、「演出A再生」が再生終了されるタイミングtk13が到来するのに合わせて、当該「演出B再生」の音を含めた複数の演出音をチャンネルに割り当てた状態にしたままでそれぞれ音量低下させる処理(音量抑制処理)を行うこととしている。
より具体的には、この説明例における「演出B再生」の音は、図299(c)に示されるように、最大4回まで演出内容が発展可能なステップ演出に応じた演出音として出力されるものとなっており、演出内容が3回(ステップ1,ステップ2,ステップ3)にわたって順次発展した後は、ステップ4に応じた演出内容へとさらに発展するかについての演出が実行されるなかで、当該ステップ演出に応じた「演出B再生」の音を含めた複数の演出音をチャンネルに割り当てた状態にしたままでそれぞれ音量低下させる処理(音量抑制処理)を行うようにしている。なお、この音量抑制処理が終了されて通常時の音量に戻されるときにステップ4に応じた演出内容へとさらに発展する高期待演出態様が現れる場合は(相対的に期待度の高い演出)、「演出B再生」の音として該ステップ4の演出内容に応じた特定演出音が出力されるのに対し、ステップ4に応じた演出内容へと発展せずステップ3に応じた演出内容で当該ステップ演出が終了される低期待演出態様が現れる場合は(相対的に期待度の低い演出)、「演出B再生」の音として特定演出音とは異なる演出音が出力されることとなる。
このような構成によれば、複数の演出音に対して音量抑制処理が行われるときを狙って上記タイミングtk13を到来させる演出設計がなされており、該音量抑制処理が行われるなかで「演出A再生」の音を再生チャンネル08,09から外してその再生が終了されるようになることから、使用状態にあるチャンネルの数が減少したこと(「演出A再生」の音が非再生の状態にされたこと)に気付かれ難くすることができるようになる。
特に、同図299(a)〜(c)に示される例では、相対的に期待度の高い演出内容(ステップ4へと発展する演出内容)と、相対的に期待度の低い演出内容(ステップ4へと発展しない演出内容)とのいずれにも繋がる演出内容(ステップ4へと発展するか否かの演出)が現れている期間(発展するかが不明にされる期間)内で、上述の音量抑制処理を実行し、「演出A再生」の音を再生チャンネル08,09から外してその再生を終了させるようにしている。このような構成によれば、演出音の音量が低下されている状況にあるだけでなく、遊技者の興味これ自体を演出B(「演出B再生」の音)へと強く惹きつけているなかで演出A(「演出A再生」の音)が終了されるようになることから、その後、「演出B再生」の音も含めて音量抑制の対象とされていた演出音の音量が戻されたときに、「演出A再生」の音が再生されないようにしたとしても、相対的に期待度の高い演出内容(ステップ4へと発展する演出内容)と、相対的に期待度の低い演出内容(ステップ4へと発展しない演出内容)とのいずれが現れたかに興味を惹きつけて、「演出A再生」の音が再生されなくなったことに気付かれ難くすることができるようになる。
しかも、この説明例にかかる音量抑制処理では、「演出B再生」の音を含めた複数の演出音をチャンネルに割り当てた状態にしたままでそれぞれ音量低下させるものではあるが、すべての演出音を音量低下させることはせず、特定の演出音(ここでは、「通常BGM再生」の音)についてはこれを通常時の音量のままで継続して再生させるようにしている。すなわちこの場合、一部の演出音(「通常BGM再生」の音)については音量が抑制されることなく通常通り再生されているなかで複数の演出音の音量が低下されて、こうして音の聞き分けがより一層困難とされる間に「演出A再生」の音の再生が終了されるようになることから、「演出A再生」の音が再生されなくなったことにより一層気付かせ難くすることができるようになる。
またさらに、この説明例では、複数の演出音に対して音量抑制処理が行われてすぐに「演出A再生」の音の再生を終了させず、該音量抑制処理が開始されてから所定時間が経過したタイミングtk13が到来するのを待ってから「演出A再生」の音の再生を終了させるようにしている。すなわち、音量抑制処理が開始された直後は、「音量の低下」という変化が生じた演出音A,Bに対して遊技者による興味が惹きつけられるおそれがあるが、音量が特定値まで低下して該特定値で変化しない状態が所定時間維持されたときには、このような興味はもはや薄れたものとなっていると想定されることから、このようなタイミングを狙って「演出A再生」の音の再生を終了させることで、「演出A再生」の音が再生されなくなったことにより一層気付かせ難くすることができるようになる。
特に、この説明例では、音量抑制処理の対象とされる演出音を段階的に音量低下させ、その音量が0(消音)になってから「演出A再生」の音の再生を終了させるようにしたことから、「演出A再生」の音が再生されなくなったことにより一層気付かせ難くすることができるようになる。
なお、図299に示した例では、「演出A再生」の音を再生している状態において「演出B再生」の音を再生開始させることとしたが、これに限られない。例えば、「演出B再生」の音を再生している状態において「演出A再生」の音を再生開始させ、「演出B再生」の音が抑制状態にて再生されているなかで「演出A再生」の音の再生を終了させるようにしてもよい。
また、演出A,Bについては、必ずしも遊技盤側演出表示装置1600における演出表示を伴う演出でなくてもよく、例えば、音のみの演出として実行されるものであってもよい。
また、図299に示した例では、「演出B再生」の音を再生させるタイミングtk12を、大当り判定に応じた変動パターン(演出パターン)が進展されることにより到来するものとしたが、これに限られない。例えば、所定の操作手段(操作ボタン410など)に対する操作に基づいて「演出B再生」の音を再生開始させ、該「演出B再生」の音が再生されるなかで「演出A再生」の音の再生を上述の態様で終了させるようにしてもよい。
また、音量抑制処理の対象とされる演出音については、必ずしも段階的に音量低下させるようにしなくてもよい。また逆に、演出音の音量を戻すときの処理としても、音量を段階的に戻すようにしてもよい。また、音量についても必ずしも0(消音)にしなくてもよく、通常時よりも低い音量へと抑制するものであれば、「演出A再生」の音の再生が終了したことを気付かれ難くすることは可能である。
また、図299に示した例では、演出パターンに応じた特定の演出音(ここでは、「通常BGM再生」の音)についてはこれを音量抑制処理の対象外とし、通常時の音量のままで継続して再生させるようにしたが、音量抑制処理が行われるときにはすべての演出音の音量を低下させるようにしてもよい。また逆に、「演出A再生」の音については、音量抑制処理が行われるときに必ずしも音量を低下させずにこれを維持するようにしてもよく、このような場合であっても、音量低下された状態にある「演出B再生」の音に対して遊技者による興味を惹きつけているなかで「演出A再生」の音の再生を終了させ、その後、「演出B再生」の音も含めて音量抑制の対象とされていた複数の演出音の音量が戻されたときに、「演出A再生」の音が再生されないようにしたとしても、相対的に期待度の高い演出内容(ステップ4へと発展する演出内容)と、相対的に期待度の低い演出内容(ステップ4へと発展しない演出内容)とのいずれが現れたかに興味を惹きつけて、「演出A再生」の音が再生されなくなったことに気付かれ難くすることができるようになる。
また、「演出A再生」,「演出B再生」の音を再生させる演出パターンが行われる期間のうち少なくとも音量抑制処理が行われる間(「演出B再生」の音量が通常値から低下されてから通常値に戻されるまでの間)は、「演出B再生」の音への興味をより好適に持続させるべく、第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞が発生したとしてもこれに応じた保留入賞音を再生させないようにすることが望ましい。また、第一始動口2002又は第二始動口2004への入賞が発生したときに先読み判定で特別の結果(先読み当選)が得られたとしても先読み演出に応じた演出音を再生させないようにすることが望ましい。
また、図299に示した例では、演出音が音量低下される期間内で「演出A再生」の音再生を終了させ、当該期間が終了するときにそれまで音量低下の状態でチャンネルに割り当てられていた演出音の音量を上昇させる(元の音量値まで戻す)こととしたが、これに加えて、当該期間が終了するときにそれまでチャンネルに割り当てられていなかった特別の演出音をチャンネルに新たに割り当てて再生(通常時の音量で再生)させるようにしてもよい。このような構成によれば、音量が戻されるときに特別の演出音が再生されるか否かに興味が集まるようになり、「演出A再生」の音が再生されなくなったことにより一層気付かれ難くすることができるようになる。しかも、音量低下前よりも音量復帰後に使用しているチャンネル数が減少すると、当該図柄変動で大当り図柄が現れる期待度が低下したかのように思わせてしまう懸念があるが、特別の演出音をチャンネルに新たに割り当てて再生(通常時の音量で再生)させるようにすることで、音量低下前と音量復帰後とで同じか、それよりも多く(2つ以上の演出音をチャンネルに対して新たに割り当てた場合)のチャンネルを使用した状態にすることが可能とされるようになることから、期待度が低下したかのような感覚を遊技者が覚えてしまうようなことも好適に回避されるようになる。なおこの場合、音量が戻されるときに特別の演出音が再生される場合と再生されない場合とがあり、特別の演出音が再生されると期待度が相対的に高いことが示唆されるようにすることが望ましい。
なお、音量が戻されるときにチャンネルに割り当てられていなかった特別の演出音をチャンネルに新たに割り当てて再生させる場合は、「演出A再生」の音割り当てが外されたことによって空きとなったチャンネルに対して特別の演出音を割り当てるようにすることが望ましい。このような構成によれば、少ないチャンネル資源で幅広い演出を実現することが可能とされるようになる。
また、このようなチャンネル特別開放処理については特定の演出パターンを実行する旨決定されたときに必ずしも行わなくてもよく、例えば、図297や図298を参照して説明した処理内での制限対象として「演出A」を採用し、最小空きチャンネル数が少ない図柄変動であるほど(図柄変動での最小空きチャンネル数が所定数未満であるときには、所定数未満でないときに比べて)当該チャンネル特別開放処理の行われる割合が高くされるようにしてもよい。このような構成によれば、チャンネル不足になる不安感を覚えさせないような、空きチャンネル数に余裕がある状況では、「演出A」を途中で終了させることなく継続して出力させることができるようになる。
[抑制下操作音出力処理]
上述の通り、チャンネルの数が有限とされる遊技機では、入賞に応じた判定手段による判定にて特別の結果が得られたとしても、音データの割り当て対象とされるチャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)では特別の結果が得られたことに応じた特別音をチャンネルに割り当てることができず、これを出力できないことによる遊技興趣の低下が懸念される。
この点、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、大当り判定の結果に応じた図柄変動として特定の演出パターンを実行する旨決定されると、当該図柄変動が開始されてから終了されるまでの期間中、遊技盤側演出表示装置1600において特定の演出パターンに応じた表示演出を進展させる処理を行うとともに、所定チャンネルに対して特定の演出パターンに応じた「BGM再生」の音を割り当てて再生させる処理を行う。そして、遊技盤側演出表示装置1600における表示演出が図柄変動期間内の所定タイミングまで進展すると所定チャンネルに対して「BGM再生」の音を割り当てたままにして抑制態様又は無音で出力される状態(「BGM再生」の音量を特定値まで低下して出力される状態)にし、この状態で所定の操作手段(操作ボタン410など)に対する操作が検出されると、当該図柄変動にて大当り図柄(当該演出パターンで特別の表示態様)が現れる期待度を示唆する特別演出音を非抑制の態様で出力させることとしている(抑制下操作音出力処理)。特別演出で示唆される期待度は100%であってもよい。
すなわちこの場合、操作検出に応じた特別演出音の出力に際しては、所定チャンネルに対して「BGM再生」の音が割り当てられたままの状態ではあるものの抑制態様又は無音で出力される状態にされることから、チャンネルの使用状況に余裕がありそうな雰囲気を提供することができるようになる。したがって、「もしかするとチャンネルに空きがなく、特別演出音を出力させることができないかもしれない」といった不安感を取り除いた状態で、遊技者に対して特別演出音を出力させる操作機会を提供することができるようになり、これによって遊技興趣の低下が抑制されるようになる。
ところで、特定の演出パターンに応じた音(「BGM再生」の音)をチャンネルに割り当てたままにしてこれを抑制態様又は無音で出力させようとする場合、一般的には、チャンネルに割り当てられている音(「BGM再生」の音)のボリュームを抑制させる処理(音量を特定値まで低下させる処理)を行うことが想定される。事実、遊技者に対して操作機会を付与する(演出受付の有効期間を発生させる)のに先立って、このようなボリューム抑制処理を行うようにすれば、特定の演出パターンに応じた音(「BGM再生」の音)を抑制態様又は無音で出力される状態にしてから遊技者に対して操作機会を付与する(演出受付の有効期間を発生させる)ようにすることは可能である。
ただし周知の通り、遊技者に対して操作機会を付与する場合は演出受付の有効期間を所定時間にわたって発生させることとなるが、この有効期間内のいずれのタイミングで操作(演出受付)が行われるかは不定(遊技者次第)でありこれを事前予測することはできない。したがって、有効期間内で操作(演出受付)が行われたときにこれを契機としてボリューム抑制処理を終了させボリュームを初期値まで戻す処理を行うことはできたとしても、こうして音量が戻されることとなる不定のタイミングでこれに合わせた音を再生開始させるように「BGM再生」の音をあらかじめ記憶しておくようにすることは不可能である。
なお、遊技者による操作があったときに音量を戻す処理を行うことに加えて、「BGM再生」の音データを、「特別演出音再生時専用のBGM再生」の音データに切り換えてこれを再生させる処理を行うようにすることも考えられる。ただし、「BGM再生」の音とは、特定の演出パターンが図柄停止されて終了されるまでの各種演出の内容や図柄停止のタイミングなどに合わせて再生されるものであるから、有効期間内のいずれのタイミングで操作(演出受付)が行われるか不定(遊技者次第)とされるなかで、該操作(演出受付)を契機として「BGM再生」の音を新たに再生させるようにしてしまうと、それ以降の各種演出や図柄停止のタイミングとの間にいわゆる音ズレが発生してしまい遊技興趣が低下することが懸念される。
そこで、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、特定の演出パターンが実行される場合は、まず、該特定の演出パターンに対応する「BGM再生」の音として記憶されている複数の音データ(例えば、通常変動時の音データ、スーパーリーチ演出前半時の音データ、スーパーリーチ演出後半時の音データなど)を、これらに対応した各音生成用スケジューラーデータにより規定されている時系列通りに所定チャンネルに順次割り当てる処理を行う。そして、このような特定の演出パターンに対応する「BGM再生」の音として記憶されている複数の音データのうち、特定の音データ(1つの音素材)は、上記音生成用スケジューラーデータにより規定されている時系列通りに所定チャンネルに割り当てられると、当該特定の演出パターン内で演出受付の有効期間が発生するよりも前のタイミングから所定チャンネルに割り当てられて再生開始され、該有効期間が終了した後のタイミングまでの長い期間にわたって所定チャンネルに対する割り当て状態を維持して再生されるようにしている。
この点、上記特定の音データ(1つの音素材)を時系列的に見たときの一部区間(特別期間)には、その他の区間と比べて抑制態様、又は無音で音出力にかかる処理が行われることを規定するデータ内容があらかじめ設定されており、当該特定の音データが上記音生成用スケジューラーデータにより規定されている時系列通りに所定チャンネルに割り当てられると、その一部区間(特別期間)内で演出受付の有効期間が発生する時系列的関係となるようにされている。これに加えて、特別期間(一部区間)内で発生する上記演出受付の有効期間内のいずれのタイミングで遊技者による操作が行われたとしても、特別期間(一部区間)から該特別期間(一部区間)が終了した後の期間(他の区間)との、当該特定の音データ内の2つの区間に跨って、演出受付に応じた特別演出音を、「BGM再生」の音が割り当てられている所定チャンネルとは別のチャンネルで非抑制の態様で再生させるようにしている。
このような構成によれば、特定の演出パターンに対応する「BGM再生」の音として記憶されている複数の音データ(例えば、通常変動時の音データ、スーパーリーチ演出前半時の音データ、スーパーリーチ演出後半時の音データなど)を、これらに対応した各音生成用スケジューラーデータにより規定されている時系列通りに所定チャンネルに順次割り当てる処理を行うだけで、初期値からのボリューム調整を行わずとも、「抑制態様又は無音で出力される状態(特別期間)」を創出させることが可能とされるようになる。また、こうして創出される「抑制態様又は無音で出力される状態(特別期間)」において遊技者による操作が演出受付されたときには、これを契機とした即時性の高い処理によって非抑制の態様で特別演出音が再生開始されるようにする一方で、所定チャンネルで再生状態にある「BGM再生」の音については、演出受付とは関係なく、「抑制態様又は無音で出力される状態(特別期間)」を所定時間にわたって維持させる。そしてこの後、特別演出音が再生されているなかでこれに紛れ込ませるかたちで、特定の音データ(1つの音素材)のうちの一部区間(抑制態様又は無音の音出力)が終了してその他の区間(非抑制の音出力)のデータ内容が再生されるようになることから、「BGM再生」の音を密かに非抑制の態様での出力に戻すことが可能とされるようになり違和感のない演出音を提供することができるようになる。すなわちこの場合、抑制態様又は無音で「BGM再生」の音が出力される状態において遊技者による操作が演出受付されたときにはこれを契機とした即時性の高い処理によって特別演出音を非抑制の態様で再生開始させるようにしつつも、それ以降に各種演出や図柄停止のタイミングとの間に音ズレが生じることを好適に回避することができるようになる。
図300は、このような抑制下操作音出力処理が行われるときの各チャンネルの割り当て状況の一例を示すタイムチャートである。以下、図300を参照して、このような抑制下操作音出力処理を実行するときの具体例について説明する。
同図300(a)に示されるように、大当り判定の結果に応じた図柄変動が実行されている期間中にあって、タイミングts11では、遊技盤側演出表示装置1600で演出進展されている特定の演出パターンに応じた「BGM再生」の音が再生チャンネル02,03に割り当てられて既に再生(ここでは、ステレオ再生)されている状況にある。この「BGM再生」の音は、例えば、特定の演出パターンが実行される旨決定されたときに図柄変動が開始されてから終了されるまでの図柄変動の全期間にわたる一の音データ(1つの音素材)として音生成用スケジューラーデータに基づいて再生されるものであってもよいし、図柄変動の全期間が複数期間に分けられてそれらの期間毎に用意された各別の音データがそれらに対応した音生成用スケジューラーデータに基づいて順次再生されるものであってもよい。なお、図300に示される例では、タイミングts11を含めた図中の全期間(図柄変動期間のうちの一部期間)にわたって「BGM再生」の音としての一の音データ(1つの音素材)がチャンネル02,03に対して割り当てられて再生の状態になっている。
この点、図300(a),(b)に示されるように、チャンネル02,03に対して割り当てられて再生の状態になっている一の音データ(「BGM再生」の音)は、特別演出音の発生契機となる操作機会が付与される操作有効期間(演出受付の有効期間)が発生するタイミングts13が到来するよりも前の、タイミングts12になると、無音のデータ内容が設定されている一部区間での再生状態にされるようになっている。これにより、「BGM再生」の音に関して初期値からのボリューム調整を行わずとも、これを所定チャンネルに割り当てたままで無音で出力される状態にすることができるようになる。
このような構成によれば、タイミングts13において、「BGM再生」の音が無音のデータ内容として設定されている一部区間内での再生状態になっておりチャンネルの使用状況に余裕がありそうな雰囲気が提供されているなかで、遊技者に対して操作機会が付与される操作有効期間(演出受付の有効期間)を発生させることができるようになる。これにより、「もしかするとチャンネルに空きがなく、特別演出音を出力させることができないかもしれない」といった不安感を取り除いた状態で、遊技者に対して特別演出音を出力させる操作機会を提供することができるようになり、これによって遊技興趣の低下が抑制されるようになる。
しかも、この説明例にかかる操作有効期間は、遊技者による操作がなかった場合であっても、「BGM再生」の音として無音のデータ内容が設定されている一部区間が終了されるタイミングts16が到来するよりも前の、タイミングts15になると、遊技者による操作を演出受付しなくなるように当該期間を終了させるようにしている。したがって、操作有効期間のうちのいずれのタイミングで遊技者による操作が受け付けられたとしても、「BGM再生」の音が無音のデータ内容として設定されている一部区間内での再生状態になっておりチャンネルの使用状況に余裕がありそうな雰囲気が提供されているなかで、遊技者による操作に応じた特別演出音を発生させることができるようになる。なお、操作有効期間は、遊技者による操作がないままでタイミングts15が到来したときのほか、遊技者による操作が演出受付されたときにも終了される。遊技者による操作がないままでタイミングts15が到来したときには、そのタイミングで遊技者による操作があったときと同様、特別演出音を発生させるようにしてもよい。
そして、この説明例では、タイミングts14において、遊技者による操作が演出受付された場合を想定しており、該演出受付されたことに基づいて、「BGM再生」の音が割り当てられているチャンネル02,03とは異なるチャンネル08,09に対して特別演出音を割り当てて再生させるようにしている。
この点、この説明例では、操作有効期間が開始されてから終了されるまでの最大時間(タイミングts13からタイミングts15までの時間)を「SY」とし、且つこの最大時間で操作有効期間が終了されてから「BGM再生」の音として無音のデータ内容が設定されている一部区間が終了されるまでの時間(タイミングts15からタイミングts16までの時間)を「BF」とするとき、操作有効期間内のいずれのタイミングで遊技者による操作が受け付けられたとしても、特別演出音を「SY+α(>BF)」の一定時間にわたってチャンネル08,09に対して割り当てて再生させるようにしている。
このような構成によれば、操作有効期間内のいずれのタイミングで遊技者による操作が受け付けられたとしても、特別演出音が再生状態にあるときにタイミングts16が必ず到来するようになることから、特別演出音に紛れ込ませるかたちで「BGM再生」の音を非抑制の態様として出力させることができるようになる。すなわちこの場合、遊技者による操作が受け付けられるタイミングに応じて特別演出音の再生が開始されてから「BGM再生」の音が非抑制の態様として出力されるようになるまでの時間は可変するものの、当該特別演出音の出力期間を、「BGM再生」の音を非抑制の態様で復帰させるためのバッファ期間(特別演出音に紛れ込ませて「BGM再生」の音が非抑制の態様で復帰されたことに気付き難くする期間)として機能させることで、遊技者による操作が受け付けられたときに「BGM再生」の音を非抑制の態様として復帰させず、その所定時間後に復帰させることによる違和感を覚え難くすることができるようになる。
そして、こうして「BGM再生」の音がBGM再生用演出音のデータ内容(非抑制態様)として復帰された後は、タイミングts17が到来したときに、「BGM再生」の音が非抑制態様で再生状態にあるなかで特別演出音の再生が終了されるようになる。
なお、上記説明例では、「特別演出音の再生が開始されるタイミング」及び「特別演出音の再生が終了されるタイミング」は、図300(b)に示されるように、遊技者による操作が受け付けられるタイミングに応じて点線矢印で示される範囲内でそれぞれ可変とされることとなるが、それらがいずれのタイミングに該当したとしても、特別演出音が再生状態にあるときにタイミングts16が到来し、「BGM再生」の音としてBGM再生用演出音のデータ内容(非抑制態様)が設定されている通常区間が開始されるようになることは明らかである。
また、図300に示した例において、「遊技者による操作が受け付けられたときに「BGM再生」の音を非抑制の態様として復帰させずその所定時間後に復帰させることによる違和感」をより一層覚え難くするようにする上では、特別演出音のボリューム初期値を、通常区間におけるBGM再生の初期値よりも大きく設定するようにすることが望ましい。このような構成によれば、ボリューム初期値の大きい特別演出音に注目を集めているなかで、BGM再生の音を通常区間での再生状態へと密かに移行させることができるようになる。
また、図300に示した例では、遊技者による操作が演出受付されると該演出受付に基づいて特別演出音を発生させることとしたが、変動パターンや大当り判定の結果に応じた特定の演出条件が満たされているときに限り演出受付されたことに基づいて特別演出音を発生させるようにしてもよい。なお、特定の演出条件が満たされていない場合であっても、タイミングts14においては操作有効期間を発生させ、該操作有効期間内で遊技者による操作が演出受付されたときには、該演出受付されたことに基づいて所定の演出音(失敗演出音など)を再生させる。そして、操作有効期間内のいずれのタイミングで操作されたとしても、所定の演出音(失敗演出音など)が再生状態にされているなかでBGM再生の音を通常区間での再生状態へと密かに移行させるようにする点も、図300に示した例の場合と同様にすることが望ましい。
ただしこれに代えて、所定の演出音(失敗演出音など)を再生させる場合は、その再生時間を、特別演出音が再生状態にされる場合よりも短くし、該所定の演出音(失敗演出音など)の再生が終了した状態でBGM再生の音を通常区間での再生状態へと復帰させるようにしてもよい。なおこの場合、操作有効期間内のいずれのタイミングで操作されたとしても、BGM再生の音が通常区間での再生状態へと復帰されるタイミングを、所定の演出音(失敗演出音など)の再生が終了した後に到来するように設定することとなる。このような構成によれば、所定の演出音(失敗演出音など)が終了してからBGM再生の音が通常区間での再生状態へと復帰されるまでの間に無音期間(操作タイミングに応じて長さが可変される期間)をバッファ期間として発生させることができるようになる。また、この無音期間で、期待度(100%であってもよい)が高くなる復活演出が発生しうるように設定すれば、遊技興趣の維持を図ることも期待されるようになる。
若しくは、所定の演出音(失敗演出音など)を再生させる場合は、BGM再生の音が通常区間での再生状態へと復帰されることなく、当該図柄変動がハズレ態様で停止されるようにしてもよい。なおこの場合、タイミングts12において、チャンネル02,03に対するBGM再生の音の割り当てを終了させ、これを空きチャンネルにするようにしてもよい。
また、特別演出音を発生させる場合は、演出受付に基づいて所定の可動体を動作させる可動演出も併せて行うようにして、BGM再生の音に対する注目度合いを低下させるようにすることが、BGM再生の音を通常区間での再生状態へと密かに移行させるようにする上で望ましい。
また、図300に示した例では、一部区間において「BGM再生」の音を無音出力させるようにしたが、これに限られず、その他の区間における「BGM再生」の音よりも抑制された態様で出力されるものであればよい。ここで、抑制された態様とは、相対的に音量が低くされる態様のほか、単位時間当たりのスピーカのコーンの振動頻度を低下させる態様などを例示することができる。
また、図300に示した例では、所定チャンネルに割り当てられる「BGM再生」の音データこれ自体に抑制態様又は無音とされる時系列的な期間を設定しておくことで、「BGM再生」の音のボリューム調整を行うことなく、これを再生するだけで抑制態様又は無音で出力される状態(特別期間)を創出可能とした。ただし、所定チャンネルに割り当てられる「BGM再生」の音データこれ自体に抑制態様又は無音とされる時系列的な期間を必ずしも設定しなくてもよく、例えば、タイミングts12において「BGM再生」の音の音量を特定値(消音であってもよい)まで低下させるボリューム調整を行うようにしてもよい。すなわちこの場合、タイミングts14において遊技者による操作が演出受付されたとしても、該演出受付を契機として「BGM再生」の音の音量を特定値から上昇させる処理(ボリューム初期値に戻す処理)は行わないようにする。そして、特定の演出条件が満たされている場合は、あらかじめ定められたタイミングts16が到来するときに、特別演出音が再生されているなかで「BGM再生」の音の音量を特定値から上昇させる処理(ボリューム初期値に戻す処理)を行うこととなる。これに対し、特定の演出条件が満たされていない場合は、上述の別例と同様、所定の演出音(失敗演出音など)が再生されているなかで「BGM再生」の音の音量を特定値から上昇させる処理(ボリューム初期値に戻す処理)を行うようにしてもよいし、所定の演出音(失敗演出音など)の再生が終了した状態で「BGM再生」の音の音量を特定値から上昇させる処理(ボリューム初期値に戻す処理)を行うようにしてもよいし、所定の演出音(失敗演出音など)を特定値から上昇させることなく当該図柄変動が終了されるようにしてもよい。
また、図300に示した例においては、少なくともタイミングts12が到来するよりも前の所定タイミングからタイミングts16までの期間にわたって、空きチャンネルに対して新たな音割り当てを発生し難くさせる制限処理を行うようにすることが望ましい。なお、このような制限処理としては、例えば、ブロック入賞音、保留入賞音、普電演出音、調整音など、実行中の図柄変動で大当り図柄が現れるか否かの結果とは何ら関係のない特定の遊技音を制限対象とし、この制限対象とした特定の遊技音をチャンネルに新たに割り当てずにその再生を行わないようにすることが望ましい。
また、大当り判定の結果に応じた図柄変動として特定の演出パターンを実行する旨決定された場合は、タイミングts12が到来するよりも前にチャンネル02,03とは異なるチャンネルで特定の演出音(BGMの音とかぶらないように、音楽ではなく、効果音やセリフなどの演出音であることが望ましい)を再生させ、該特定の演出音が再生されている間にタイミングts12が到来してBGM再生の音が抑制態様又は無音で出力されるようにすることが望ましい。すなわちこの場合、特定の演出音にBGM再生の音が紛れ込むようになることから、BGM再生の音が抑制態様又は無音の状態にされたことを気付き難くすることができるようになる。なお、特定の演出音については、特別演出音(又は、所定の演出音)が出力されるタイミングts14以前(タイミングts14、又は該タイミングts14よりも前)にその再生状態を終了させるようにすることが特別演出音が出力されない不安感を緩和させる上で望ましい。
また、大当り判定の結果に応じた図柄変動として特定の演出パターンを実行する旨決定された場合は、特別演出音(又は、所定の演出音)が出力されるタイミングts14から、BGM再生の音が抑制態様又は無音にされる状態が終了されるタイミングts16までの間に、複数のチャンネルで演出音を出力させるようにすることが望ましい。すなわちこの場合、特別演出音を含めた複数の演出音が出力されるようになることから、それら演出音にBGM再生の音を容易に紛れ込ませることができるようになり、BGM再生の音を通常態様での再生状態へと密かに移行させることができるようになる。
また、このような抑制下操作音出力処理については特定の演出パターンを実行する旨決定されたときに必ずしも行わなくてもよく、例えば、図297や図298を参照して説明した処理内での制限対象として「BGM再生の音」を採用し、最小空きチャンネル数が少ない図柄変動であるほど(図柄変動での最小空きチャンネル数が所定数未満であるときには、所定数未満でないときに比べて)当該抑制下操作音出力処理の行われる割合が高くされるようにしてもよい。このような構成によれば、チャンネル不足によって特別演出音が出力されない不安感を覚えさせないような、空きチャンネル数に余裕がある状況では、BGM再生の音を抑制態様又は無音にすることなく出力させることができるようになる。
[チャンネル割当解消操作]
上述の通り、チャンネルの数が有限とされる遊技機では、入賞に応じた判定手段による判定にて特別の結果が得られたとしても、音データの割り当て対象とされるチャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)では特別の結果が得られたことに応じた特別音をチャンネルに割り当てることができず、これを出力できないことによる遊技興趣の低下が懸念される。
この点、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、音データが割り当てられているチャンネルのうち少なくとも1つを、音データが割り当てられていない空きチャンネルに変化させる処理を検出手段による検出を契機として実行可能としている(チャンネル割当解消操作)。すなわちこの場合、遊技者による操作を契機として空きチャンネルが創出されるようになることから、遊技者の好みの演出音や特別音が発生する直前タイミングなどで遊技者による操作を行って空きチャンネルを事前確保するようにすることで、こうして事前確保された空きチャンネルを通じて遊技者の好みの演出音や特別音を確実に出力させることができるようになる。
なお、この説明例における操作(チャンネル割当解消操作)としては、「ボタン操作」に限られず、当該パチンコ機1に対して手をかざしてお祈りする行為など、図291〜図295を参照して例示した特定行為であってもよく、要は、こうした検出対象とされる特定行為(チャンネル割当解消操作)が行われたときに生じる何らかの状態変化を検出可能な接触式又は非接触式の所定センサによる検出があったことを契機として、チャンネルに割り当てられている状態にある音を該チャンネルから外して再生終了させる処理を行うものであればよい。
図301は、このようなチャンネル割当解消操作に関連した処理が行われるときの各チャンネルの割り当て状況の一例を示すタイムチャートである。
同図301に示されるように、大当り判定の結果に応じた図柄変動が実行されている期間中にあって、タイミングtw11では、遊技盤側演出表示装置1600で演出進展されている所定の演出パターンに応じた「BGM1再生」の音(例えば、スーパーリーチ演出の実行中に再生される演出効果音など)が再生チャンネル00,01に割り当てられて再生(ここでは、ステレオ再生)されており、且つ演出モードに応じた「BGM2再生」の音(例えば、時短遊技状態などで複数変動に跨って継続再生される一の楽曲など)が再生チャンネル02,03に割り当てられて再生(ここでは、ステレオ再生)されている状況にある。
この点、図301(a),(b)に示されるように、これら再生状態にある音(BGM1再生、BGM2再生)のうち、「BGM2再生」の音は、特定行為(チャンネル割当解消操作)が検出された時点でチャンネル割り当てを強制終了させる対象とされており、当該図柄変動が実行されている期間中にあって、タイミングtw12になると、該特定行為(チャンネル割当解消操作)の演出受付が許容される受付期間をタイミングtw13までにわたって発生可能としている。なお、タイミングtw12〜タイミングtw13の受付期間では、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域において「ボタンを操作し、空きチャンネルを確保せよ」などの検出対象とされる特定行為(チャンネル割当解消操作)を行うことを促す操作指示画像が表示される。
ここで、図301(a)は、タイミングtw12〜タイミングtw13の受付期間内で特定行為(チャンネル割当解消操作)が行われず、所定の検出手段による検出がなされなかった場合における各チャンネルの割り当て状況を示している。
同図301(a)に示されるように、タイミングtw13が到来するまでの間に所定の検出手段による検出がなされなかった場合は、再生チャンネル02,03から「BGM2再生」の音が外されることなく、タイミングtw13が到来した以降もこれが継続して再生される。また、受付期間が終了されるタイミングtw13では、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域において表示されていた操作指示画像(ボタンを操作し、空きチャンネルを確保せよ)が非表示とされる。
また、タイミングtw13では、空きチャンネル(再生チャンネル10,11)に対して所定の演出音(ここでは、大当り確定音)を割り当てて再生させる処理が行われる。この説明例では、所定の検出手段による検出によって再生チャンネル02,03を空きチャンネルに変化させなくても、他のチャンネル(再生チャンネル10,11)に空きが事前確保されていたことから、該空きチャンネルに対して所定の演出音(ここでは、大当り確定音)を割り当てて再生させることが可能とされている。しかしながら、他のチャンネルに空きが事前確保されていなかった場合は、所定の演出音(ここでは、大当り確定音)を割り当てることのできる空きチャンネルが存在せず、これを再生出力することができなくなる懸念が生じることとなる。
図301(b)は、タイミングtw12〜タイミングtw13の受付期間のうち、タイミングtw12aにおいて特定行為(チャンネル割当解消操作)が行われ、所定の検出手段による検出がなされた場合における各チャンネルの割り当て状況を示している。
これに対し、同図301(b)に示されるように、タイミングtw13が到来するまでの間に所定の検出手段による検出がなされた場合は、該検出がなされたタイミングtw12aにおいて再生チャンネル02,03から「BGM2再生」の音が外されるようになる。これにより、タイミングtw13が到来するまでの間に所定の演出音(ここでは、大当り確定音)の割り当て対象として機能しうる空きチャンネル(再生チャンネル02,03)を事前確保することができるようになり、所定の演出音(ここでは、大当り確定音)を再生出力することができなくなる懸念が解消されるようになる。また、所定の検出手段による検出がなされた時点で「BGM2再生」の音の再生状態が強制終了されることとなり、この場合、「BGM2再生」の音としての楽曲やセリフなどが最後まで(若しくは、切りの良いところまで)再生されることなく中途半端な箇所で再生終了とされるようになることから、遊技者による特定行為(チャンネル割当解消操作)によって空きチャンネルが事前確保された実感を覚えやすくすることができるようになり、所定の演出音(ここでは、大当り確定音)が再生されるタイミングを安心して待つことができるようになる。
なお、所定の検出手段による検出がなされたタイミングtw12aにおいては、「BGM2再生」の音の再生状態が強制終了されるほか、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域において表示されていた操作指示画像(ボタンを操作し、空きチャンネルを確保せよ)が非表示とされるとともに、特定行為(チャンネル割当解消操作)の演出受付が許容される受付期間が終了されるようになる。
また、図301(b)に示される例では、タイミングtw13において、空きチャンネルとして事前確保した再生チャンネル02,03ではなく、それよりも前から空きチャンネルとされていた他のチャンネル(再生チャンネル10,11)に対して所定の演出音(ここでは、大当り確定音)を割り当てて再生させるようにしている。ただし、タイミングtw13において他のチャンネルに空きがない場合は、事前確保した再生チャンネル02,03に対して所定の演出音(ここでは、大当り確定音)を割り当てて再生させることとなる。
若しくは、タイミングtw12aにおいて特定行為(チャンネル割当解消操作)が行われて所定の検出手段による検出がなされたことに基づいて特定のチャンネルから演出音が外されるときには、他のチャンネルに空きがあったとしても、該特定のチャンネルに対して所定の演出音(ここでは、大当り確定音)を割り当てて再生させるようにしてもよい。すなわちこの場合、特定のチャンネルに対して所定の演出音(ここでは、大当り確定音)を割り当ててこれを再生させるにあたり、該特定のチャンネルに対して所定の演出音とは異なる演出音(ここでは、BGM2)が割り当てられていたとしても、ボタン操作などの特定行為検出(チャンネル割当解消操作)を契機として割り当て状態をその時点で解消させることとなることから、一のチャンネル(特定のチャンネル)を用いるだけで「BGM2再生」の音と所定の演出音(ここでは、大当り確定音)とをそれぞれ再生することができるようになり、有限資源である再生チャンネルを有効利用することができるようになる。
また、図301(b)に示される例では、受付期間が終了されるタイミングtw13において、所定の演出音(ここでは、大当り確定音)を再生させることとしたが、タイミングtw13よりも後のタイミングで所定の演出音(ここでは、大当り確定音)を再生させるようにしてもよい。
また、所定の演出音としては、大当り確定音のほか、大当り図柄が現れる期待度を示唆する演出音や、大当りに落選したことを示唆する演出音などであってもよい。これらの演出音については、当該図柄変動で現れる演出パターンの種別に基づいて選択的に出力されるようにすることが望ましい。若しくは、大当りに落選したことを示唆する場合は、タイミングtw13が到来したとしても何らの演出音も出力せず、空きチャンネルを必ずしも利用しないようにしてもよい。
これに対し、特定行為(チャンネル割当解消操作)が検出された時点でチャンネル割り当てが終了される音としては、複数の態様のいずれかで出力される音ではなく、一の態様のみで出力される特定音として実行するようにすることが望ましい。すなわちこの場合、再生状態が強制終了されるときにその特定音の内容を聞き逃したとしても、その内容を容易に予測することが可能であり何らの支障も出ないことから、特定行為によって再生状態が強制終了されるときの遊技興趣の低下を抑制することができるようになる。
また、図301(b)に示される例では、図柄変動内の所定のタイミングが到来したときに特定行為(チャンネル割当解消操作)の演出受付が許容される受付期間を発生させることとしたがこれに限られない。例えば、少なくともチャンネル割り当てから外される対象としての特定音が再生状態にある期間中はいつでも特定行為(チャンネル割当解消操作)の受付を許容し、該受け付けられたことに基づいて特定音のチャンネル割り当てを解消させるようにしてもよい。なおこの場合、例えば、特定音が再生状態にされてからの所定時間が経過した所定タイミングなど、事前確保した空きチャンネルの状態を所定時間にわたって維持してから該空きチャンネルに対して別の音が割り当てられて再生されるようにすることが望ましい。
また、強制終了の対象とされる特定音のチャンネル割り当てを解消させる手法としては、該特定音が割り当てられていたチャンネルをその時点で空きチャンネルにする手法のほか、所定の音(例えば、0.1秒などの極めて短い割当解消受付音)を同チャンネルに上書きするかたちで割り当てることによって特定音のチャンネル割り当てを解消させるようにしてもよい。このような構成であっても、特定行為が受け付けられて強制終了されたときのほうが、同強制終了がなかったときよりも早い段階で特定音のチャンネル割り当てを解消させることが可能である。
また、少なくとも特定行為(チャンネル割当解消操作)の演出受付が許容されてから、該演出受付によって創出された空きチャンネルを利用した所定の演出音の再生が終了されるまでの期間では、新たな音が発生してチャンネルが無駄に利用されることがないように、当該図柄変動内で大当り図柄が現れるかの演出とは関係のない特定遊技音(例えば、入賞音や保留変化音、音量調整音、先読み演出音など)についてはその出力を行わないようにすることが望ましい。
また、強制終了の対象とされる特定音(「BGM2再生」の音)については、ループせずに所定時間に限って再生される楽曲やセリフなどの非ループ演出音として再生されるものであることが、最後まで再生されることなく中途半端な箇所で再生終了とされるようにして遊技者による特定行為(チャンネル割当解消操作)によって空きチャンネルが事前確保された実感を覚えやすくする上で望ましい。
[演出パターンに応じた演出が行われているなかでの異常報知]
上述の通り、チャンネルの数が有限とされる遊技機では、入賞に応じた判定手段による判定にて特別の結果が得られたとしても、音データの割り当て対象とされるチャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)では特別の結果が得られたことに応じた特別音をチャンネルに割り当てることができず、これを出力できないことによる遊技興趣の低下が懸念される。
この点、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、特定の異常状態が発生した場合であっても、これに応じた特定の報知音を必ずしもチャンネルに割り当てて出力せず、該特定の異常状態が特定の状況において発生したことを条件として特定の報知音をチャンネルに割り当てて出力させるようにしている。すなわちこの場合、特定の異常状態が発生したときにこれに応じた特定の報知音が必ずしも出力されないことで、その分だけチャンネルに余裕を持たせて空きチャンネルがなくなってしまうリスクの低減を促すことが期待されるようになる。
より具体的には、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、所定の可動装飾体が特定位置(原点位置)にあるべきタイミングであるにもかかわらず、該特定位置(原点位置)にないことが所定のセンサにより検出(可動体異常)されると、所定の可動装飾体に異常(可動体異常)が生じた旨判断する。そして、このような可動体異常が発生した場合は、パチンコ機1による報知処理として、該可動体異常に対応した報知音(例えば、「可動体異常が発生しました」など)の出力と、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における異常時表示(例えば、「裏中可動演出ユニット3200に異常発生」など)とをそれぞれ実行可能としている。なお、表示領域内における異常時表示としては、複数の可動装飾体のいずれに異常が発生したのかが特定可能とされるように行うことが望ましいが、複数の可動装飾体をグループ分けし、それらグループのいずれに属する可動装飾体に異常が発生したかを特定する態様であってもよい。例えば、複数の可動装飾体として、扉枠3側に設けられる図示しない複数の枠側可動装飾体と、遊技盤5側に設けられる複数の盤側可動装飾体(例えば、裏前飾りユニット3100や、裏中可動演出ユニット3200、裏左可動演出ユニット3300、裏右可動演出ユニット3400、裏上可動演出ユニット3500、裏下可動演出ユニット3700など)とがそれぞれ設けられる場合であれば、枠側可動装飾体と盤側可動装飾体とのいずれの側に異常が発生したかを特定可能な態様で表示領域内における異常時表示を行うこととなる。なお、複数の可動装飾体とは、駆動源がそれぞれ異なり別個に設けられる関係にある可動装飾体のことを言うこととする。
しかしながら、このような可動体異常は、基本的には、可動装飾体の故障によって生じるものであり遊技者側には何らの過失もない可能性が高いことはもとより、報知されたところで対処のしようもないことから、大当り判定に応じた各種遊技(図柄変動や、大当り遊技など)が実行されている期間中にその報知処理が表立って実行されるようなことがあると、実行中の演出に対して悪影響が及ぼされることとなり遊技者にとっては興ざめである。そればかりか、可動体異常に応じた報知音が出力される分だけ空きチャンネルの数に余裕がなくなることから、新たな音を出力することができなくなる不安感を遊技者に対して与えかねず、遊技興趣の低下が懸念される。
ただしその一方で、可動装飾体の故障は、通常、該可動装飾体が動作するときに発生することが多く、何ら動作していないときに突然故障するような事態は想定し難い側面もある。そうすると、可動装飾体が何ら動作していないときに可動体異常が発生した場合とは、ドツキ行為又は針金進入などによる不正行為によって可動装飾体が特定位置(原点位置)から外されたことによって異常検出された状況にある可能性があり、このような状況下にあるにもかかわらず可動体異常に対応した報知音を出力しないようにすることがあれば、不正行為を助長しかねず、正当な遊技者からすれば遊技興趣の低下が懸念される。
そこで、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、このような可動体異常が大当り判定に応じた各種遊技(図柄変動や、大当り遊技など)が実行されている期間中に発生してこれが検出された場合であっても、パチンコ機1による報知処理(報知音の出力、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における異常時表示、各種ランプによる異常時点灯など)を実行可能としている。ただし、大当り判定に応じた各種遊技(図柄変動や、大当り遊技など)が実行されている期間のうち、少なくとも周辺制御基板1510による演出制御によって可動装飾体を動作させる処理(変動パターン(演出パターン)や大当り遊技中の演出パターンなどに基づいて可動装飾体を動作させる可動体駆動処理)が行われているなかで可動体異常が検出された場合は、パチンコ機1による報知処理(報知音の出力、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における異常時表示、各種ランプによる異常時点灯など)を行わないようにしている。なお、可動装飾体に異常が発生した旨の情報の外部出力(ホール側報知)については表立って行われるものではなく演出に悪影響を及ぼすものではないから状況にかかわらず行うようにしてもよい。
このような構成によれば、大当り判定に応じた各種遊技(図柄変動や、大当り遊技など)が実行されている期間内といえども可動装飾体に故障が発生し難い状況(周辺制御基板1510による演出制御によって可動装飾体を動作させる処理(変動パターン(演出パターン)や大当り遊技中の演出パターンなどに基づいて可動装飾体を動作させる可動体駆動処理)が行われていない状況)で可動体異常が発生した場合は異常報知音などのパチンコ機1による報知処理が行われうるようにするが、少なくとも可動装飾体に故障が発生しやすい状況下(可動体の演出動作中)で可動体異常が発生した場合は異常報知音などのパチンコ機1による報知処理を行わないようにしたことから、不正行為を行う者に対しては該不正行為を行うことを抑制させるようにしつつも、正当な遊技者に対しては実行中の演出に対して悪影響が及ぼされることを回避するようにすることが期待されるようになる。
例えば、周辺制御基板1510による演出制御によって可動装飾体を動作させる処理内で可動体異常が検出されたとしても、遊技盤側演出表示装置1600における表示制御、チャンネルに対する演出音の割り当て制御、異常発生した可動装飾体に搭載されているランプも含めた発光部の発光制御については、可動体異常が検出されなかったときと同じ態様でそのまま実行されることから、実行中の演出に対して悪影響が及ぼされることは抑制されるようになる。ただし、可動体異常が検出された後に該当の可動装飾体を再び動作させる演出タイミングが到来したとしても、該可動装飾体が異常状態から未だ復旧されていない間は該可動装飾体を動作させる可動演出は実行されない。
すなわち、この実施の形態にかかる周辺制御基板1510では、可動体異常が検出されると、該可動体異常に応じた異常報知音などのパチンコ機1による報知処理を行う状況にあるか否かにかかわらず該当の可動装飾体を異常状態から復旧させるべく該可動装飾体に対して所定の復元動作(特定位置(原点位置)へと移動させる動作)を行わせる復元処理を実行可能としている。この復元処理は、異常が発生した可動装飾体の種別によって異なる内容で実行されるものであってもよい。このような構成によれば、特定の可動装飾体を動作させる特定可動演出が行われる図柄変動の実行期間中、特定の可動装飾体が異常状態にあったとしても、特定可動演出が開始されるよりも前の段階で特定の可動装飾体が異常状態から復旧された場合は、該特定の可動装飾体を動作させる特定可動演出を実行することができるようになる。
なお、該当の可動装飾体に対して所定の復元動作(特定位置(原点位置)へと移動させる動作)を行わせる復元処理を実行したにもかかわらず、該可動装飾体が所定時間内に特定位置(原点位置)へと復帰しなかった場合は、復旧に失敗したとして、その異常状態を維持したまま遊技や演出が進展されるようになる。
図302は、図柄変動が行われる期間のうち、大当り判定に応じた変動パターン(演出パターン)に応じて可動装飾体を動作させる処理内で可動体異常が検出されたときの各チャンネルの割り当て状況や、可動装飾体側の状況について、それらの一例を示すタイムチャートである。
同図302(a)に示されるように、大当り判定の結果に応じた図柄変動(特定の演出パターン)が実行されている期間中にあって、タイミングti11では、遊技盤側演出表示装置1600で演出進展されている特定の演出パターンに応じた「BGM再生」の音が再生チャンネル02,03に割り当てられて既に再生(ここでは、ステレオ再生)されている状況にある。
この図柄変動(特定の演出パターン)では、タイミングti12になると、遊技者に対して操作機会が付与される操作有効期間(演出受付の有効期間)が最大でタイミングti14までの期間にわたって発生しうる。そして、この期間(タイミングti12〜タイミングti14までの期間)内で遊技者による操作(例えば、操作ボタン410)が検出されると、これを契機として操作有効期間(演出受付の有効期間)が終了されて特定の可動装飾体を動作させる演出制御が実行されるようになっている。なお、操作有効期間(演出受付の有効期間)内に遊技者による操作(例えば、操作ボタン410)が検出されなかった場合は、タイミングti14以降に特定の可動装飾体を動作させる演出制御を実行するようにしてもよいし、特定の可動装飾体を動作させる演出制御これ自体を実行しないようにしてもよい。
この点、図302に示す例では、タイミングti13において、遊技者による操作が演出受付された場合を想定している。したがって、タイミングti13では、遊技者による操作が演出受付されたことに基づいて、可動体駆動処理が実行されて特定の可動装飾体を演出動作させる可動演出が行われるとともに(図302(b)を参照)、チャンネル08,09に対して該可動演出に合わせた演出音が割り当てられて再生されるようになる(図302(a)を参照)。
ここで、可動体駆動処理としては、例えば、特定の可動装飾体を動作させるに際して、まず、異常履歴が記憶されている状態にあるかを判定する。そしてこの結果、異常履歴が記憶されているときには、復元処理に失敗した状態にあり復旧が見込めないことから何らの駆動も行うことなく当該可動体駆動処理を終了させる。これに対し、異常履歴が記憶されていないときには、所定センサからの情報を取得し、該情報に基づいて特定の可動装飾体が特定位置(原位置)にあるかを判定する。そしてこの結果、特定の可動装飾体が特定位置(原位置)にあれば、演出パターンにより定められる態様で特定の可動装飾体を動作させる。このような動作では、特定の可動装飾体は最終的には特定位置(原位置)まで戻されるようになっており、特定の可動装飾体に対する駆動が終了すると所定センサからの情報を取得し、該情報に基づいて特定位置(原位置)まで戻された状態にある旨判定されると当該可動体駆動処理が終了される。ただし、当該可動体駆動処理内で特定の可動装飾体が特定位置(原位置)にない旨判定された場合は、特定の可動装飾体に対して所定の復元動作を行わせる復元処理を実行してから当該可動体駆動処理を終了させることとなる。またこの際、復元処理に失敗した場合は、異常履歴を所定の記憶領域に記憶させることとなる。
このような可動体駆動処理によって、特定の可動装飾体はタイミングti13から演出動作を行うこととなるが、この説明例では、この演出動作が行われる期間内のタイミングti15において特定の可動装飾体に異常が発生してこれが動作し得なくなった場合を想定している。なお、図302(b)では、点々の付されている範囲が、特定の可動装飾体が異常状態にある期間を示している。したがって、特定の可動装飾体に対する駆動(演出動作用の駆動)が終了された後のタイミングti17では、特定の可動装飾体が特定位置(原位置)まで戻された状態にない旨判定(可動体異常の判定)されるとともに、該判定に基づいて特定の可動装飾体に対して所定の復元動作を行わせる復元処理を実行することとなる。
ただし上述の通り、大当り判定の結果に応じた演出パターンに基づいて特定の可動装飾体が動作しているなかで該特定の可動装飾体に異常(可動体異常)が発生した状況とは、可動装飾体の故障によって生じた可能性が高い状況にあるといえることから、この説明例では、可動体異常に応じた異常報知音をチャンネルに割り当てて再生させるようなことは行われない。すなわちこの場合、遊技盤側演出表示装置1600における表示制御、チャンネルに対する演出音の割り当て制御、異常発生した可動装飾体に搭載されているランプも含めた発光部の発光制御については、可動体異常が検出されなかったときと同じ態様でそのまま実行されることから、実行中の演出に対して悪影響が及ぼされることは抑制されるようになる。
なお、タイミングti18では、特定の可動装飾体に対して所定の復元動作を行わせる復元処理が終了されるが、この際、可動装飾体が特定位置(原点位置)へと復帰したことが検出された場合(可動体異常が解消された旨判定された場合)は異常履歴の記憶は消去されることとなり、それ以降は、通常通りの可動演出を実行することが可能とされるようになる。これに対し、図302(b)に示される例のように、可動装飾体が特定位置(原点位置)へと復帰したことが検出(可動体異常が解消された旨判定)されず復旧に失敗した場合は、それ以降、RAMクリアされず電源供給が継続される限りは所定の復元動作を行わせることもなくその異常状態を維持したまま遊技や演出が進展されるようになる。すなわちこの場合、同じ図柄変動内、若しくは次回以降の図柄変動内で、演出パターンに基づいて特定の可動装飾体を用いた可動演出が実行されるタイミングが到来したとしても、特定の可動装飾体の演出動作は行われず、遊技盤側演出表示装置1600において該可動演出が行われるときの表示演出が実行され、チャンネルに対しては該可動演出が行われるときの操作演出音が割り当てられて再生され、異常発生した可動装飾体に搭載されているランプも含めて各種の発光部が該可動演出が行われるときの発光態様で発光されるに留まることとなる。しかしながら、特に、可動装飾体これ自体は動作しなくてもこれに搭載されているアクチュエータ(ランプ)を動作時の態様で作動(発光)させるようにしたことで、可動演出が行われないときの遊技興趣を抑制することが期待されるようになる。
このように、図柄変動が行われる期間のうち、少なくとも、大当り判定に応じた変動パターン(演出パターン)に基づいて可動装飾体を動作させる処理内で可動体異常が検出された場合は、可動体異常に応じた異常報知音をチャンネルに割り当てず、これを再生しないようにすることで、実行中の演出に対して悪影響が及ぼされることが抑制されうるようになる。
これに対し、図302に示した例と同じ変動パターン(特定の演出パターン)内で同じ可動装飾体(特定の可動装飾体)に異常が発生した場合であっても、この可動体異常が、演出制御(演出パターン)によって特定の可動装飾体を動作させるときとは異なるタイミングで発生したときには、該可動体異常に応じた異常報知音をチャンネルに割り当てて再生させることとなる。
図303は、図柄変動が行われる期間のうち、大当り判定に応じた変動パターン(演出パターン)に応じて可動装飾体を動作させる処理内ではなく、これとは別の処理内で可動体異常が検出されたときの各チャンネルの割り当て状況や、可動装飾体側の状況について、それらの一例を示すタイムチャートである。
同図303(a)に示されるように、大当り判定の結果に応じた図柄変動(特定の演出パターン)が実行されている期間中にあって、タイミングti11では、上述の通り、遊技盤側演出表示装置1600で演出進展されている特定の演出パターンに応じた「BGM再生」の音が再生チャンネル02,03に割り当てられて既に再生(ここでは、ステレオ再生)されている状況にある。
そして、これも上述した通り、この図柄変動(特定の演出パターン)では、タイミングti12になると、遊技者に対して操作機会が付与される操作有効期間(演出受付の有効期間)が最大でタイミングti14までの期間にわたって発生しうる。そして、この期間(タイミングti12〜タイミングti14までの期間)内で遊技者による操作(例えば、操作ボタン410)が検出されると、これを契機として操作有効期間(演出受付の有効期間)が終了されて特定の可動装飾体を動作させる演出制御が実行されるようになっている。
ただし、図303に示す例では、このような特定の可動装飾体が演出動作しうるタイミングti12よりも前のタイミングti11aにおいて特定の可動装飾体が何らかの外力によって移動(演出パターンに基づかずに動作)してしまい、特定位置(原位置)にあるべきタイミングti11bにおいて特定の可動装飾体が特定位置(原位置)で検出されなかった場合(可動体異常)を想定している。なお、図303(b)においても、点々の付されている範囲が、特定の可動装飾体が異常状態にある期間を示している。したがって、タイミングti11bでは、可動体異常が発生した旨の判定がなされたことに基づいて、特定の可動装飾体に対して所定の復元動作を行わせる復元処理が実行されることとなる。
タイミングti13aでは、特定の可動装飾体に対して所定の復元動作を行わせる復元処理が終了されるが、この際、可動装飾体が特定位置(原点位置)へと復帰したことが検出(可動体異常が解消された旨判定)された場合は異常履歴の記憶は消去されることとなり、それ以降は、何らの異常報知も行われないままで通常通りの可動演出を実行することが可能とされるようになる。この点、図303に示す例では、操作有効期間(タイミングti12〜タイミングti14)が、このようなタイミングti13aを跨ぐように発生するようになっている。したがって、操作有効期間のうち、タイミングti12〜タイミングti13aの期間内で遊技者による操作が受け付けられたときは特定の可動装飾体が未だ異常状態にあることから、特定の可動装飾体の演出動作は行われず、遊技盤側演出表示装置1600において該可動演出が行われるときの表示演出が実行され、チャンネルに対しては該可動演出が行われるときの操作演出音が割り当てられて再生され、異常発生した可動装飾体に搭載されているランプも含めて各種の発光部が該可動演出が行われるときの発光態様で発光されるに留まることとなる。これに対し、操作有効期間(タイミングti12〜タイミングti14)のうち、タイミングti13a〜タイミングti14の期間内で遊技者による操作が受け付けられたときは、上記復元処理によって特定の可動装飾体の異常状態が解消されていれば、特定の可動装飾体の演出動作も含めて、通常通りの演出制御(可動体、表示演出、演出音、発光)が実行されるようになる。なお、この説明例は、特定の可動装飾体(一の可動装飾体)のみに可動体異常が発生してこれに応じた復元処理が実行されている状況下にあることを想定したものである。すなわち、特定の可動装飾体を含めた複数の可動装飾体が復元処理を実行している状況下にあるときには、タイミングti13a〜タイミングti14の期間内で遊技者による操作が受け付けられたとしても特定の可動装飾体の演出動作は必ずしも行われないが、これについては、図304及び図305を参照して後述することとする。
ただし、図303に示す例では、タイミングti13aにおいて、可動装飾体が特定位置(原点位置)へと復帰したことが検出(可動体異常が解消された旨判定)されず復旧に失敗した場合を想定している。したがって、タイミングti13a以降は、RAMクリアされず電源供給が継続される限りは所定の復元動作を行わせることもなくその異常状態を維持したまま遊技や演出が進展されるようになる。
また上述の通り、大当り判定の結果に応じた演出パターンに基づいて特定の可動装飾体が動作されるタイミングでないにもかかわらず、該特定の可動装飾体に異常(可動体異常)が発生した状況とは、ドツキ行為又は針金進入などによる不正行為によって特定の可動装飾体が特定位置(原点位置)から外されたことによって異常検出された状況にある可能性があるといえる。しかも、タイミングti13aとは、特定の可動装飾体に対して所定の復元動作を行わせる復元処理ですら何らかの外力によって可動体異常が解消されなかった状況にあり、不正行為が行われた可能性がますます高まっているといえる。
そこで、このタイミングti13aでは、図柄変動(特定の演出パターン)の実行中ではあるものの、可動体異常に応じた報知処理を実行することとしている。すなわちこの場合、チャンネルにおいては、特定の演出パターンに応じた各種の演出音が演出内容の進展に応じて割り当てられて再生されるのに加えて、異常報知音を所定時間にわたって再生チャンネル00,01に割り当てて再生させることとなる。また、遊技盤側演出表示装置1600における表示領域においては、特定の演出パターンに応じた表示演出がそのまま進展して実行されるのに加えて、可動体異常に対応した異常時表示(例えば、「裏中可動演出ユニット3200に異常発生」など)が実行されることとなる。また、各種の発光部においては、可動体異常に対応した態様として、一部の発光部を異常時態様で発光させるとともに、それ以外の発光部を演出内容の進展に合わせた通常通りの態様で発光させることとなる。
図302及び図303の例によれば、一の図柄変動中に同じ可動体異常が発生した場合であっても、少なくとも変動パターンに基づく可動装飾体の演出動作にかかる制御を実行している期間中に当該可動体異常が発生したときには、不正行為が行われている可能性が低く、且つ演出動作時の故障の可能性もあることから異常報知よりも演出を優先して出力させることとなる。これに対し、変動パターンに基づく可動装飾体の演出動作にかかる制御を実行していないときに当該可動体異常が突然発生したときには、不正行為が行われている可能性が高く、演出よりも異常報知を出力させることのほうが重要とされうることを想定した特徴的な構成となっている。
なお、図303に示す例では、タイミングti11bにおいては可動体異常に応じた報知処理を行わず、復元処理を実行したものの可動体異常が解消されなかったタイミングti13aにおいて可動体異常に応じた報知処理を行うこととした。ただし、タイミングti11bでは、特定の可動装飾体が演出パターンに基づいて動作し得ない状況にあるにもかかわらず可動体異常が検出されており、これだけでもドツキ行為又は針金進入などによる不正行為が行われている可能性が高い状況にあるといえることから、このタイミングti11bにおいて可動体異常に応じた報知処理を行うようにしてもよい。
要は、可動体異常に応じた報知処理については、図柄変動が行われる期間内では、「特定の可動装飾体が演出パターンに基づく演出動作を行っていないにもかかわらず該特定の可動装飾体に異常が発生したこと」を必要条件として実行されるようにし、且つ「特定の可動装飾体が演出パターンに基づいて演出動作しているなかで該特定の可動装飾体に異常が発生したこと」を十分条件として実行されないようにすることが重要であり、これによって不正行為を行う者に対しては該不正行為を行うことを抑制させるようにしつつも、正当な遊技者に対しては実行中の演出に対して悪影響が及ぼされることを回避するようにすることが期待されるようになる。なお、図柄変動が行われる期間内で可動体異常に応じた報知処理を行う条件としては、「特定の可動装飾体が演出パターンに基づく演出動作を行っていないにもかかわらず該特定の可動装飾体に異常が発生したこと」を少なくとも採用した上で、例えば、「異常発生に応じて行われる復元処理に失敗すること」や、「異常発生が特定の状況下にあるときに発生したこと」などをさらなる条件として採用することが可能である。
また、図302や図303に示す例では、特定の可動装飾体を演出パターンに応じて動作させる処理内では該特定の可動装飾体に異常が発生したか否かを判定することとした。ただし、特定の可動装飾体を演出パターンに応じて動作させるときに異常が発生した場合は、これを契機として可動体異常に応じた報知処理が行われるようなことがないことから、特定の可動装飾体を演出パターンに応じて動作させる処理内で該特定の可動装飾体に異常が発生したか否かを判定しないようにしてもよい。この場合、可動装飾体に異常が発生したか否かの判定については、定期的に訪れる所定タイミングや所定時間ごとに行われるようにすることが望ましい。
また、可動体異常の検出手法としては、検出対象とされる可動装飾体の位置検出に限られず、例えば、可動装飾体を動作させるモータなどのアクチュエータに過負荷がかかったときに可動体異常の検出を行うなどの他の手法を採用するようにしてもよい。すなわちこの場合、図302の例ではタイミングti17において可動装飾体を動作させるモータなどのアクチュエータに過負荷がかかり、これによって可動体異常の検出が行われることとなる。また、図303の例ではタイミングti11bにおいて可動装飾体を動作させるモータなどのアクチュエータに過負荷がかかり、これによって可動体異常の検出が行われることとなる。
また、図302や図303に示す例では、遊技者による操作があったタイミングで特定の可動装飾体を演出動作させるものとして例示したが、演出パターンにより定められる特定のタイミングで特定の可動装飾体を演出動作させるものであってもよい。
また、可動体異常に応じた報知のうち、異常報知音は、所定時間にわたってチャンネルに割り当てられて再生されることとなるが、この再生期間中は、演出音の音量を特定値(0)まで低下させる処理を行うようにしてもよい。
なお、「特定の可動装飾体が演出パターンに基づいて演出動作しているなかで該特定の可動装飾体に異常が発生したこと」を十分条件として異常報知が実行されなかった場合は、それ以降も、異常状態が解消されず残されていたとしても少なくともRAMクリアされず電源供給が継続される限りは異常報知が行われないようにすることが望ましい。また、所定の復元動作を行わせることもなくその異常状態を維持したまま遊技や演出が進展されるようにすることが望ましい。
[複数の可動装飾体の復元処理]
上述の通り、チャンネルの数が有限とされる遊技機では、入賞に応じた判定手段による判定にて特別の結果が得られたとしても、音データの割り当て対象とされるチャンネルに空きがない状況(空きチャンネルの数が0の状況)では特別の結果が得られたことに応じた特別音をチャンネルに割り当てることができず、これを出力できないことによる遊技興趣の低下が懸念される。したがって、従来は、複数の可動装飾体(駆動源がそれぞれ異なり別個に設けられる関係にある可動装飾体)のいずれに可動体異常が生じた場合であっても共通の異常音データ(一の異常音データ)をチャンネルに割り当てて再生させるようにすることで、複数の可動装飾体に対して可動体異常が同時発生した状況下でも使用チャンネルの数が無駄に多くならないようにすることがなされていた。なお、可動体異常とは、可動体が適正に動作し得なくなった状態にあることであり、「演出パターンに応じた演出が行われているなかでの異常報知」で例示したものと同じである。
しかしながら、近年は、遊技機に搭載される可動装飾体の数が多くなってきており、すべての可動装飾体に対して共通の異常音データ(一の異常音データ)を対応付けるだけでは、当該遊技機としての状態を適切に報知し難くなりつつある。そこで、この実施の形態にかかるパチンコ機1では、まず、複数の可動装飾体を2以上のグループに分け、それらグループのいずれに属する可動装飾体に異常が生じたかによって異なる異常報知音をチャンネルに割り当てて再生可能とすることで、パチンコ機1に搭載される可動装飾体の数が多くなってきているなかでも当該パチンコ機1としての状態を適切に報知することができるようにしている。
なお、この例でも、可動体異常が発生した場合は、上述した「演出パターンに応じた演出が行われているなかでの異常報知」の例(図302や図303を参照)で説明した通りの処理が行われる。したがって、この例においても、各種遊技(図柄変動や、大当り遊技など)が実行されている期間中に発生してこれが検出された場合であっても、パチンコ機1による報知処理(報知音の出力、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における異常時表示、各種ランプによる異常時点灯など)は実行可能とされる。また、これも同様、大当り判定に応じた各種遊技(図柄変動や、大当り遊技など)が実行されている期間のうち、少なくとも周辺制御基板1510による演出制御によって可動装飾体を動作させる処理(変動パターン(演出パターン)や大当り遊技中の演出パターンなどに基づいて可動装飾体を動作させる可動体駆動処理)が行われているなかで可動体異常が検出された場合は、パチンコ機1による報知処理(報知音の出力、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における異常時表示、各種ランプによる異常時点灯など)を行わないようにしている。
ただしこの例では、さらに、複数の可動装飾体に可動体異常が同時発生した場合、チャンネルに割り当てられて再生状態とされる異常音データを、上記グループのうちの特定グループに対応する1つのみにする一方で、該異常が生じた複数の可動装飾体のすべてに対して復元動作を行わせる処理を実行することとしている。このような構成によれば、複数の可動装飾体に可動体異常が発生した場合であっても、チャンネルに余裕を持たせて空きチャンネルがなくなってしまうリスクの低減を促すことが期待されるようになることはもとより、各可動装飾体についての迅速な異常復帰が可能とされるようになり、異常発生時の処理これ自体の効率化を通じてチャンネル使用時間を低減させることが期待されるようになる。なお、復元処理の内容や、その成功時、失敗時の各処理については、上述の「演出パターンに応じた演出が行われているなかでの異常報知」の例(図302や図303を参照)の場合と同様である。
ここで、複数の可動装飾体を2以上のグループに分ける態様としては、当該パチンコ機1としての状態を報知するのに適した態様であることが求められ、例えば、扉枠3側に設けられる図示しない複数の枠側可動装飾体と、遊技盤5側に設けられる複数の盤側可動装飾体(例えば、裏前飾りユニット3100や、裏中可動演出ユニット3200、裏左可動演出ユニット3300、裏右可動演出ユニット3400、裏上可動演出ユニット3500、裏下可動演出ユニット3700など)との2つにグループ分けした場合は、扉枠3を開放せずとも接触可能な枠側可動装飾体に異常が発生したのか、それとも扉枠3を開放しなければ接触が困難とされる盤側可動装飾体に異常が発生したのかを異常報知音の種別によってホール側に伝達することが可能とされるようになる。すなわち、盤側可動装飾体に異常が発生した場合は、枠側可動装飾体に異常が発生した場合よりも接触が困難とされる分だけ不正行為が行われている可能性が高いといえることから、このようなグループ分けに基づく報知音出力を行うようにすることで、可動体異常に応じた報知音でありながらもその種類によって、遊技者側には気付かれることなく(不快な思いをさせることなく)、当該パチンコ機1が不正可能性の度合いが高い状況にあることを密かにホール側に対して伝達することができるようになる。
そして、この実施の形態にかかるパチンコ機1も、可動体異常が発生した場合は、パチンコ機1による報知処理として、該可動体異常に対応した上記報知音の出力のほか、遊技盤側演出表示装置1600の表示領域内における異常時表示を実行可能としていることは上述した通りである。この点、この説明例では、可動体異常に応じた報知処理のうち遊技盤側演出表示装置1600における表示による報知態様としても、複数の可動装飾体を2以上のグループに分け、それらグループのいずれに属する可動装飾体に異常が生じたかによって異なる報知表示を行うようにすることが望ましい。ただし、上記「表示による報知」とは、上記「音による報知」の場合よりも異常が生じたことに対する拡散機能に劣るのに対し、異常内容をより詳細に報知することに対する情報伝達機能では優れた性質を有するものである。したがって、上記「表示による報知」では、その性質上の違いを利用して、上記「音による報知」を行う場合とは異なる態様で、情報伝達機能がより発揮される態様で上記グループ分けを行うこととし、こうして独自に分けられたグループのいずれに属する可動装飾体に異常が生じたかによって異なる表示を行うようにすることが望ましい。
すなわちこの場合、例えば、可動装飾体Aに可動体異常が発生した場合と可動装飾体Bに可動体異常が発生した場合とで、それら可動装飾体A,Bがいずれにグループ分けされたものであるかに応じて、「いずれの可動体異常が発生した場合であっても再生される異常報知音は同じとされるにもかかわらず、遊技盤側演出表示装置1600において表示される報知内容としては異なる表示が行われる第1の報知態様」、「いずれの可動体異常が発生した場合であっても再生される異常報知音も表示される報知内容も互いに同じとされる第2の報知態様」、及び「いずれの可動体異常が発生した場合であっても再生される異常報知音も表示される報知内容も互いに異なる態様とされる第3の報知態様」のいずれかが発生するようになり、こうした音と表示との2つの異なる内容による報知によってよりきめ細やかな報知態様を提供することができるようになる。
図304は、図柄変動が行われる期間のうち特定のタイミングで複数の可動装飾体に可動体異常が同時発生したときの各チャンネルの割り当て状況や、可動装飾体側の状況について、それらの一例を示すタイムチャートである。
同図304(a)に示されるように、大当り判定の結果に応じた図柄変動(特定の演出パターン)が実行されている期間中にあって、タイミングtj11では、遊技盤側演出表示装置1600で演出進展されている特定の演出パターンに応じた「BGM再生」の音が再生チャンネル02,03に割り当てられて既に再生(ここでは、ステレオ再生)されている状況にある。
この図柄変動(特定の演出パターン)では、タイミングtj13になると、遊技者に対して操作機会が付与される操作有効期間(演出受付の有効期間)が最大でタイミングtj15までの期間にわたって発生しうる。そして、この期間(タイミングtj13〜タイミングtj15での期間)内で遊技者による操作(例えば、操作ボタン410)が検出されると、これを契機として操作有効期間(演出受付の有効期間)が終了されて特定の可動装飾体を動作させる演出制御が実行されるようになっている。なお、操作有効期間(演出受付の有効期間)内に遊技者による操作(例えば、操作ボタン410)が検出されなかった場合は、タイミングtj15以降に特定の可動装飾体を動作させる演出制御を実行するようにしてもよいし、特定の可動装飾体を動作させる演出制御これ自体を実行しないようにしてもよい。
この点、図304に示す例では、タイミングtj14において、遊技者による操作が演出受付された場合を想定している。したがって、タイミングtj14では、本来であれば、遊技者による操作が演出受付されたことに基づいて、可動体駆動処理が実行されて特定の可動装飾体を演出動作させる可動演出が行われるとともに、チャンネル08,09に対して該可動演出に合わせた演出音が割り当てられて再生されることとなる。
ただし、図304に示す例では、タイミングtj11において複数の可動装飾体が何らかの外力によって移動(演出パターンに基づかずに動作)してしまい、上記特定の可動装飾体が演出動作しうるタイミングtj13よりも前のタイミングtj12においてそれらの可動体異常が検出された場合を想定している。なお、図304(b)や後述の図305(b)においては、点々の付されている範囲が、各可動装飾体が異常状態にある期間を示している。したがって、タイミングtj12では、可動体異常が発生した旨の判定がなされたことに基づいて、可動体異常が発生した各可動装飾体に対して所定の復元動作を行わせる上述の復元処理が実行されることとなり、この復元処理との関係では、タイミングtj14にて遊技者による操作が演出受付されたとしても特定の可動装飾体を必ずしも動作させないこととなる。なお、図304に示す例では、遊技盤5側に設けられる盤側可動装飾体A、遊技盤5側に設けられる盤側可動装飾体B、遊技盤5側に設けられる盤側可動装飾体C、扉枠3側に設けられる枠側可動装飾体D、扉枠3側に設けられる枠側可動装飾体E、及び扉枠3側に設けられる枠側可動装飾体Fに対して可動体異常がそれぞれ発生した状況を想定している。
より具体的には、図304に示す例にかかる復元処理では、まず、遊技盤5側に設けられる盤側可動装飾体A,B,Cと、扉枠3側に設けられる枠側可動装飾体D,E,Fとの間でその処理態様を異ならせている。例えば、遊技盤5側に設けられる盤側可動装飾体A,B,Cについては、比較的狭い空間内に複数の可動装飾体が配されており、同時動作すると互いに接触による干渉が生じかねないことから、タイミングtj12以降、あらかじめ定められた順番に基づいて動作期間が互いに重ならないように復元処理を行うようにしている。これに対し、扉枠3側に設けられる枠側可動装飾体D,E,Fについては、パチンコ機1外部の空間を利用して動作するものであり、盤側可動装飾体A,B,Cとの関係も含めて互いの動作によって干渉する懸念は無いことから、タイミングtj12において同時に復元処理を行うようにして各可動装飾体についての迅速な異常復帰が可能とされるようにしている。
このような構成では、タイミングtj12〜タイミングtj18までの長い時間にわたって遊技盤5側に設けられる盤側可動装飾体A,B,Cの復元処理が行われることとなるのに対し、扉枠3側に設けられる枠側可動装飾体D,E,Fでは、タイミングtj12〜タイミングtj16までの比較的短い時間でそれらの復元処理を終了させることができるようになる。
しかしながら、図304に示す例では、遊技者に対して操作機会が付与される操作有効期間(演出受付の有効期間)が終了するまでの間に、遊技盤5側に設けられる盤側可動装飾体A,B,Cの復元処理と、扉枠3側に設けられる枠側可動装飾体D,E,Fの復元処理とのいずれもが終了されない場合を想定している。したがって、上記特定の可動装飾体が盤側可動装飾体A,B,Cのいずれかに該当する場合は、盤側可動装飾体A,B,Cのいずれに該当しており、且つ上記操作有効期間(演出受付の有効期間)内のいずれのタイミングで演出受付されたとしても、該演出受付されたときにこれを契機とした演出動作を行わないように処理されることとなる。
すなわちこの場合、特定の可動装飾体に対する復元処理が実行されている期間内に演出受付が発生したとすれば、これを契機として該特定の可動装飾体を演出動作させることができないことは明らかであるし、特定の可動装飾体に対する復元処理が終了された後に演出受付が発生したとしても、未だ復元処理を実行している段階にある他の盤側可動装飾体との間で互いの動作によって干渉する懸念が生じてしまう。したがって、図304に示す例にあって、上記特定の可動装飾体が盤側可動装飾体A,B,Cのいずれかに該当する場合は、操作有効期間(タイミングtj13〜タイミングtj15)内のいずれのタイミングで遊技者による操作が受け付けられたとしても、特定の可動装飾体の演出動作は行われず、遊技盤側演出表示装置1600において該可動演出が行われるときの表示演出が実行され、チャンネルに対しては該可動演出が行われるときの演出音(操作演出音)が割り当てられて再生され、異常発生した可動装飾体に搭載されているランプも含めて各種の発光部が該可動演出が行われるときの発光態様で発光されるに留まることとなる。要は、特定の可動装飾体が盤側可動装飾体A,B,Cのいずれかに該当する場合は、それらの復元処理がすべて終了(すべての復元処理が成功で終了)された後に、当該特定の可動装飾体の演出動作が行われるタイミングが到来したときに限り、該演出動作の実行が許容されることとなる。
これに対し、上記特定の可動装飾体が枠側可動装飾体D,E,Fのいずれかに該当する場合は、枠側可動装飾体D,E,Fのいずれに該当しており、且つ上記操作有効期間(演出受付の有効期間)内のいずれのタイミングで演出受付されたかによって、該演出受付されたときにこれを契機とした演出動作を行うか否かが変化するように処理されることとなる。
すなわちこの場合、まず、特定の可動装飾体が枠側可動装飾体Eであれば、その復元処理が終了(復元処理に成功)した後に、特定の可動装飾体が演出動作しうるタイミングtj13〜tj15が必ず到来するし、他の可動装飾体A〜C,D,Fが復元処理の実行中であったとしてもそれらとの間で干渉する懸念はない。したがって、図304に示す例にあって、上記特定の可動装飾体が枠側可動装飾体Eに該当する場合は、操作有効期間(タイミングtj13〜タイミングtj15)内のいずれで遊技者による操作が受け付けられた場合であっても、特定の可動装飾体の演出動作が行われ、遊技盤側演出表示装置1600において該可動演出が行われるときの表示演出が実行され、チャンネルに対しては該可動演出が行われるときの演出音(操作演出音)が割り当てられて再生され、異常発生した可動装飾体に搭載されているランプも含めて各種の発光部が該可動演出が行われるときの発光態様で発光されることとなる。
一方、特定の可動装飾体が枠側可動装飾体Dであれば、操作有効期間(タイミングtj13〜タイミングtj15)が、その復元処理が終了されるタイミングを跨ぐように発生するようになっている。したがって、操作有効期間のうち、その復元処理が終了されるよりも前の期間内で遊技者による操作が受け付けられたときは特定の可動装飾体が未だ異常状態にあることから、特定の可動装飾体の演出動作は行われず、遊技盤側演出表示装置1600において該可動演出が行われるときの表示演出が実行され、チャンネルに対しては該可動演出が行われるときの演出音が割り当てられて再生され、異常発生した可動装飾体に搭載されているランプも含めて各種の発光部が該可動演出が行われるときの発光態様で発光されるに留まることとなる。これに対し、操作有効期間のうち、その復元処理の終了(復元処理に成功)後の期間内で遊技者による操作が受け付けられたときは、他の可動装飾体A〜C,Fが復元処理の実行中であったとしてもそれらとの間で干渉する懸念はないことから、特定の可動装飾体の演出動作も含めて、通常通りの演出制御(可動体、表示演出、演出音、発光)が実行されるようになる。
他方、特定の可動装飾体が枠側可動装飾体Fであれば、その復元処理が終了(復元処理に成功)された以降に、操作有効期間(タイミングtj13〜タイミングtj15)が到来することはない。したがって、したがって、図304に示す例にあって、上記特定の可動装飾体が盤側可動装飾体Fに該当する場合は、操作有効期間(タイミングtj13〜タイミングtj15)内で遊技者による操作が受け付けられたとしても、特定の可動装飾体の演出動作は行われず、遊技盤側演出表示装置1600において該可動演出が行われるときの表示演出が実行され、チャンネルに対しては該可動演出が行われるときの演出音(操作演出音)が割り当てられて再生され、異常発生した可動装飾体に搭載されているランプも含めて各種の発光部が該可動演出が行われるときの発光態様で発光されるに留まることとなる。
ここで、図304に示す例にかかる報知処理について説明すると、この例では、可動体異常に応じた報知音の報知に際しては、遊技盤5側に設けられる複数の盤側可動装飾体A,B,Cと、扉枠3側に設けられる複数の枠側可動装飾体D,E,Fとの2つにグループ分けしており、異常発生した可動装飾体がこれらのグループのいずれに属するものであるかに応じて異なる報知音を出力するようにしている。
この点、図304に示す例では、盤側可動装飾体と枠側可動装飾体とに可動体異常が同時発生する場合を想定している。しかしながら、このような事態とは、適正な遊技が進行されるなかでは通常は起こり得ないし、不正行為の結果として生じることもあり得ないことから、ホール側が役物の動作確認や修理のためにすべての可動装飾体を手作業でいじった、等々といった特殊な状況にある可能性が高い。いずれにせよ、このような特殊な状況では、報知処理これ自体が煩わしいものとなりかねず、該報知状態を早期終了させることが求められる。
そこで、図304に示す例にあって、盤側可動装飾体A,B,Cと枠側可動装飾体D,E,Fとに対して可動体異常が発生していることがそれぞれ検出されたタイミングtj12では、盤側可動装飾体側の復元処理と枠側可動装飾体側の復元処理とについては、上述の通り、それらの復元処理を同時に開始させるのに対し、報知音出力については、枠側可動装飾体D,E,F側に対応する枠側共通の異常報知音についてはチャンネルに割り当てず、盤側可動装飾体A,B,C側に対応する盤側共通の異常報知音をチャンネルに割り当てて出力させるのに留めるようにしている。
すなわち、可動体異常に応じた異常報知音が再生される時間は、報知対象とされる可動装飾体の異常が解消されるまでの時間か、異常報知音が出力されてからあらかじめ定められた所定時間(例えば、盤側と枠側とで共通の30秒)が経過するまでの時間として設定されるものである。したがって、盤側可動装飾体A,B,Cと枠側可動装飾体D,E,Fとのうち、復元処理が終了されるまでに要する時間が長い側である「盤側可動装飾体A,B,C側に対応する盤側共通の異常報知音」のみをチャンネルに割り当てるようにすることで、「盤側可動装飾体A,B,C側に対応する盤側共通の異常報知音」が再生されている間に枠側可動装飾体D,E,Fの復元処理を終了させることができるようになり、「盤側可動装飾体A,B,C側に対応する盤側共通の異常報知音」の出力が終了した以降に、「枠側可動装飾体D,E,F側に対応する枠側共通の異常報知音」の出力要求が求められることが回避されるようになることから、より簡易な態様で報知処理を終了させることができるようになる。
したがって、図304に示す例では、盤側可動装飾体A,B,Cと枠側可動装飾体D,E,Fとに対して復元処理が行われているなか、盤側可動装飾体A,B,Cの復元処理がすべて終了されるタイミングtj18までの期間にわたって「盤側可動装飾体A,B,C側に対応する盤側共通の異常報知音」がチャンネルに割り当てられて再生されることとなり、「枠側可動装飾体D,E,F側に対応する枠側共通の異常報知音」が再生されることはない。なおこの際、チャンネルに対する演出音の割り当て制御については通常通り行われることは上述した通りである。
一方、可動体異常に応じた報知処理のうち遊技盤側演出表示装置1600における表示による報知態様では、上述した報知音との性質上の違いを利用して、上記「音による報知」を行う場合とは異なる態様で、情報伝達機能がより発揮される態様で上記グループ分けを行うこととし、こうして独自に分けられたグループのいずれに属する可動装飾体に異常が生じたかによって異なる表示を行うようにしている。すなわちこの場合、例えば、枠側可動装飾体Eが、枠側可動装飾体Fとの間でグループ化されているとすると、枠側可動装飾体Eの復元処理が終了したとしてもこれに応じた「表示による報知」は維持されたままとなり、枠側可動装飾体Fの復元処理が終了したタイミングで該「表示による報知」が終了される。また、これと同様、例えば、盤側可動装飾体Aが、枠側可動装飾体Dとの間でグループ化されているとすると、枠側可動装飾体Aの復元処理が終了したとしてもこれに応じた「表示による報知」は維持されたままとなり、枠側可動装飾体Dの復元処理が終了したタイミングで該「表示による報知」が終了されることとなる。したがって、特定の可動装飾体の復元処理が先に終了したとしても、該特定の可動装飾体とグループ化されている可動装飾体の復元処理にかかる実行状況によっては、特定の可動装飾体よりも後に復元処理の終了された可動装飾体に応じた「表示による報知」が先に終了されることが生じうることとなる。
図304の例によれば、可動体異常に対応する報知音として、可動体異常が発生した可動装飾体の種別に応じた複数の報知音が用意されている。そして、それらの各報知音に対応する複数の可動装飾体に可動体異常が同時発生した場合は、複数の報知音のうちの1つのみを再生可能とするが、復元処理については、再生状態にある報知音に対応した可動装飾体に限られず、該報知音に対応しない可動装飾体もその再生期間中に実行される。しかも、再生状態にある報知音に対応した可動装飾体として、複数の可動装飾体が異常状態になっているときにはこれらの可動装飾体をあらかじめ定められた順序にしたがって個別に復元処理を行うのに対し、再生状態にある報知音に対応しない可動装飾体として、複数の可動装飾体が異常状態になっているときにはこれらの可動装飾体にかかる復元処理を同時に実行させるようにしている。これにより、再生状態にある報知音に対応しない可動装飾体については、再生状態にある報知音に対応した可動装飾体よりも復元処理に要する総時間を短くすることができるようになり、複数の報知音のうち1つの特定報知音が再生されている間にすべての可動装飾体を異常状態から正常状態へと復帰させることができるようになり、2つ目の報知音が出力されるのを回避することが可能とされるようになる。
すなわち、この実施の形態では、複数の可動装飾体を、盤側可動装飾体と枠側可動装飾体とにグループ分けしてそれらのグループ毎に応じた復元処理をそれぞれ同時に行うこととしたがこれに限られない。要は、複数の可動装飾体(上記例ではA〜F)を、他のグループに属する可動装飾体の動作状況に影響されることなく動作可能な2つ以上のグループ(上記例では盤側と枠側)に分類してそれらグループ毎に復元処理を独立して実行可能とし、且つそのうちの少なくとも1つのグループ(上記例では枠側)に属する複数の可動装飾体(D〜F)については、それらの間のなかでも互いの動作状況に影響されることなく動作可能な可動装飾体として選定するようにしてすべてを同時に復元動作可能としたものであれば、図304及び図305を参照して説明した作用効果が得られるように構成することは可能である。
なお、図304に示す例において、可動装飾体に異常が発生したか否かの判定については、定期的に訪れる所定タイミングや所定時間ごとに行われるようにすることが望ましい。また、可動体異常の検出手法としては、検出対象とされる可動装飾体の位置検出に限られず、例えば、可動装飾体を動作させるモータなどのアクチュエータに過負荷がかかったときに可動体異常の検出を行うなどの他の手法を採用するようにしてもよい。
また、図304に示す例では、遊技者による操作があったタイミングで特定の可動装飾体を演出動作させるものとして例示したが、演出パターンにより定められる特定のタイミングで特定の可動装飾体を演出動作させるものであってもよい。
また、可動体異常に応じた報知のうち、異常報知音は、所定時間にわたってチャンネルに割り当てられて再生されることとなるが、この再生期間中は、演出音の音量を特定値(0)まで低下させる処理を行うようにしてもよい。
また、図304に示す例では、図柄変動が実行されている期間内に、盤側可動装飾体A,B,Cと枠側可動装飾体D,E,Fとに可動体異常がそれぞれ発生した状況を想定したものとして説明したが、図柄変動は必ずしも実行されていなくてもよい。すなわち、大当り遊技の実行期間中や、特別図柄の遊技が進行待ちの状態(例えば、デモ画面中など)にあるときに、盤側可動装飾体A,B,Cと枠側可動装飾体D,E,Fとに可動体異常がそれぞれ発生した場合であっても、図304を参照して説明した例と同じ態様で可動体異常に応じた各処理が行われることとなる。
また、図304に示す例では、遊技盤5側に設けられる盤側可動装飾体A,B,Cのすべてをあらかじめ定められた順番に基づいて動作期間が互いに重ならないように復元処理を行うこととした。ただし、同時動作しても互いに接触による干渉が起こらない複数の可動装飾体が盤側可動装飾体のなかに含まれている場合は、あらかじめ定められている順番に基づいて盤側可動装飾体の復元処理を行うなかで、互いに接触による干渉が起こらない一部の可動装飾体に限り同時に復元処理を行うようにしてもよい。
また、図304に示す例では、盤側可動装飾体A,B,Cに可動体異常が発生したかの判定が行われるタイミングと、枠側可動装飾体D,E,Fに可動体異常が発生したかの判定が行われるタイミングとが同じである場合を想定したが、これらのタイミングは異なっていてもよい。例えば、図305に示されるように、盤側可動装飾体A,B,Cに可動体異常が発生した旨判定された後に、枠側可動装飾体D,E,Fに可動体異常が発生した旨判定された場合であっても、盤側可動装飾体A,B,C側の復元処理が終了されるよりも早いタイミングで枠側可動装飾体D,E,Fの復元処理が終了される関係にある限りは、「盤側可動装飾体A,B,C側に対応する盤側共通の異常報知音」の出力が終了した以降に、「枠側可動装飾体D,E,F側に対応する枠側共通の異常報知音」の出力要求が求められることは回避されうる。
また逆に、図304に示す例では、枠側可動装飾体D,E,Fに可動体異常が発生した旨判定された後に、盤側可動装飾体A,B,Cに可動体異常が発生した旨判定される処理構造とするようにしてもよい。ただしこの場合、枠側可動装飾体D,E,Fに可動体異常が発生した旨判定された時点では可動体異常に応じた報知処理と、枠側可動装飾体D,E,Fの復元処理とをそれぞれ行わないようにして、盤側可動装飾体A,B,Cに可動体異常が発生した旨判定されるのを待ってから、盤側可動装飾体A,B,C側に対応した報知処理が行われるなかで、盤側可動装飾体A,B,Cの復元処理と枠側可動装飾体D,E,Fの復元処理とをそれぞれ行うようにすることが望ましい。なお、盤側可動装飾体A,B,Cに可動体異常が発生したかの判定処理が行われるのを待った結果、盤側可動装飾体A,B,Cに可動体異常が発生しなかった場合は、枠側可動装飾体D,E,F側に対応した報知処理が行われるなかで、枠側可動装飾体D,E,Fの復元処理が行われることとなる。
[17.検出センサの信号誤検知防止]
続いて、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を防止するための構成について説明する。ここで説明する遊技機は、例えば、パチンコ遊技機やスロットマシン等に代表される遊技機であって、遊技者により遊技が行われる遊技機に関する。
遊技領域に向けて遊技球を打ち込み、遊技領域において打ち込まれた遊技球を転動流下させることで遊技を行う遊技機(例えば、所謂パチンコ機)が広く知られている。このような遊技機の遊技盤には、入賞口(始動口や大入賞口や普通入賞口等)への遊技球の入賞を検出する入賞検出センサや、遊技盤に対する不正な遊技行為を検出するためのセンサ(例えば、振動検出センサや磁気検出センサ)などの検出センサが多数配設されている(例えば、特開2009−165673号公報)。
遊技機では、検出センサは遊技領域内の複数箇所(例えば、始動口、入賞口、大入賞口、アウト口等の近傍にそれぞれ配置させる)を設置対象とする事情がある。そのため、検出センサと検出センサからの検出信号を検出する検出回路部(例えば、パネル中継基板のトランジスタ等)との電気的接続にはコネクタ部材を用いて接続することが一般的に行われている。
ところで、コネクタ部材によって信号伝達を行っている場合、コネクタ部材が腐食したり、コネクタ接続部分に塵埃が入り込むと、接触抵抗が発生する。また、コネクタ部材に振動が加わる場合も同様に接触抵抗が発生する。例えば、右打ちをして遊技しているとき等、多数の遊技球が連続的に集中して流下する遊技領域の特定部分からの振動がコネクタ部材に加わった場合、これによって接触抵抗が発生する虞がある。
このようなことが原因となって発生した接触抵抗に電流が流れると、接触抵抗の上流側の電位が持ち上がってしまい、本来の正常な状態とは異なる異常な電圧が検知回路部に入り込む虞がある。すなわち、検出センサの信号を誤検知する虞がある。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を防止できる遊技機を提供することにある。
[手段1]に係る遊技機は、所定位置に配置された検出センサ部と、前記検出センサ部の検出信号を主制御基板に中継する中継基板とが備えられたものであって、上記課題を解決するために、前記主制御基板は、電圧出力部から出力された第1の電圧又は前記第1の電圧よりも低い電圧である第2の電圧に対応して検出信号の出力のオンオフを切り換える検知回路部を備え、前記中継基板は、前記検出センサ部が第1の状態のときは前記第1の電圧を出力する一方、前記検出センサ部が第2の状態のときは前記第2の電圧を出力する前記電圧出力部と、前記電圧出力部と前記主制御基板の検知回路部との間に、前記検出センサ部が前記第2の状態の前記第2の電圧に、前記第2の電圧よりも高く前記第1の電圧よりも低い所定の電圧が加算されても、前記検知回路部に対する前記所定の電圧による作用を回避する回避部をと備え、コネクタ部材を介して前記検出センサ部と前記電圧出力部とが電気的に接続され、前記回避部を介して前記電圧出力部と前記検知回路部とが電気的に接続されている、ことを特徴とする。
[手段1]に係る遊技機によれば、検出センサ部が第2の状態の第2の電圧に、コネクタ部の接触抵抗に電流が流れることで、第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が加算されても、回避部は、検知回路部に対する前記所定の電圧による作用を回避する。これにより、検知回路部の電圧に影響を与えないため、コネクタ部材の微摺動摩耗等が原因で接触抵抗が発生したとき、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を防止することができる。
[手段2]に係る遊技機は、[手段1]に係る遊技機において、前記回避部は、前記所定の電圧よりもツェナー電圧が高いツェナーダイオードを含んで構成されたことを特徴とするものである。
[手段2]に係る遊技機によれば、検出センサ部が第2の状態の第2の電圧に、コネクタ部の接触抵抗に電流が流れることで、第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が加算されても、所定の電圧よりもツェナー電圧が高いため、ツェナーダイオードは非導通状態を維持する。すなわち、ツェナーダイオードにより、検知回路部に対する前記所定の電圧による作用を回避している。
これにより、検知回路部の電圧に影響を与えないため、コネクタ部材の微摺動摩耗等が原因で接触抵抗が発生したとき、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を防止することができる。
上記した遊技機によれば、コネクタ部材の接触抵抗が発生したときに起因する検出センサからの信号の誤検知を防止することができる。
[17−1.従来の磁気センサ入力回路]
図306は遊技機に配備された従来の磁気センサ入力回路の一例を示す回路図である。遊技機は主制御基板1310とパネル中継基板4161とを有している。図示するように、磁気検出センサ4024には、+5V作成回路1310gで作成された電圧+5Vが供給されている。なお、磁気検出センサ4024は、図203にて説明した磁気センサ2404と同じものである。
磁気検出センサ4024は、磁気センサMGSと内蔵型のトランジスタSTRとにより構成されている。磁気センサMGSは、例えば、磁気抵抗効果素子等からなり、所定値以上の磁気を検出しないときは所定の電圧(例えば、+5V)を出力し、所定値以上の磁気を検出したときは電圧を出力しない(0V)ようになっている。
トランジスタSTRのベース端子は磁気センサMGSの出力端子に接続され、トランジスタSTRのエミッタ端子は接地されている。トランジスタSTRのコレクタ端子はコネクタCON1を介してパネル中継基板4161に配備されたプルアップ抵抗IR0の一端に接続され、プルアップ抵抗IR0の他端には+12Vが印加されている。これにより、トランジスタSTRがオフ状態である場合には、トランジスタSTRのコレクタ端子は、プルアップ抵抗IR0により+12V側に引き上げられている(第1の電圧に相当する)。
トランジスタSTRは、磁気センサMGSが磁気を検出しない非検出状態のときは、磁気センサMGSから出力される電圧によりオンし、コレクタ端子からエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。また、トランジスタSTRは、磁気センサMGSが磁気を検出した検出状態のときは、磁気センサMGSからの出力が停止されることによりオフし、コレクタ端子からエミッタ端子への電流の流れが停止される。
また、トランジスタSTRのコレクタ端子は、プルアップ抵抗IR0と接続されるほかに、抵抗IR1の一端と接続され、抵抗IR1の他端はトランジスタITR0のベース端子に接続されている。トランジスタITR0のエミッタ端子は接地され、トランジスタITR0のコレクタ端子はプルアップ抵抗IR2の一端に接続され、プルアップ抵抗IR2の他端には+12Vが印加されている。これにより、トランジスタITR0がオフ状態である場合には、トランジスタITR0のコレクタ端子は、プルアップ抵抗IR2により+12V側に引き上げられている。
また、トランジスタITR0のコレクタ端子は、プルアップ抵抗IR2と接続されるほかに、後段にあるトランジスタITR1のベース端子と接続されている。トランジスタITR1のエミッタ端子は接地され、トランジスタITR1のコレクタ端子は、コネクタCON2を介して主制御基板1310の主制御入力回路1310bに接続されている。
主制御入力回路1310bは、プルアップ抵抗NR1、抵抗NR2、トランジスタNTR1により構成されており、プルアップ抵抗NR1の一端がコネクタCON2を介してパネル中継基板4161の前段のトランジスタITR1のコレクタ端子と接続され、プルアップ抵抗NR1の他端には、+12Vが印加されている。これにより、前段のトランジスタITR1がオフ状態である場合には、トランジスタITR1のコレクタ端子は、プルアップ抵抗NR1により+12V側に引き上げられている。
また、トランジスタITR1のコレクタ端子は、プルアップ抵抗NR1と接続されるほかに、抵抗NR2の一端と接続され、抵抗NR2の他端はトランジスタNTR1のベース端子に接続されている。トランジスタNTR1のエミッタ端子は接地され、トランジスタNTR1のコレクタ端子は、主制御MPU1310aの入力ポートに電気的に接続されている。
同図において、検出センサ部は磁気検出センサ4024が該当し、電圧出力部4163は、磁気検出センサ4024と接続され、+12Vが印加されたプルアップ抵抗IR0が該当する。また、検知回路部4164は、トランジスタITR0のコレクタ端子に接続されるとともに、+12Vが印加されたプルアップ抵抗IR2と、トランジスタITR0のコレクタ端子にベース端子が接続されたトランジスタITR1とにより構成された回路が該当する。
また、検知回路部4164の前段において、コネクタCON1、電圧出力部4163、抵抗IR1及びトランジスタITR0により構成された回路によりセンサ信号入力部4162が構成されている。このように、パネル中継基板4161には、センサ信号入力部4162及び検知回路部4164が配備されていることになる。
[17−1−1.検出動作]
磁気検出センサ4024の磁気センサMGSが磁気を検出しない非検出状態のときは、磁気センサMGSから出力される電圧が内蔵のトランジスタSTRのベース端子に印加されることで内蔵のトランジスタSTRがオンする。トランジスタSTRがオンすると、プルアップ抵抗IR0、コネクタCON1、トランジスタSTRのコレクタ端子、トランジスタSTRのエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。また、トランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が接地側に引き下げられる(第2の電圧に相当する)。また、トランジスタSTRのコレクタ端子にトランジスタITR0のベース端子が接続されていることで、トランジスタITR0のベース端子に印加される電圧も接地側に引き下げられる。これにより、トランジスタITR0がオフする。
トランジスタITR0がオフすると、プルアップ抵抗IR2により+12V側に引き上げられた電圧がトランジスタITR1のベース端子に印加されることで、トランジスタITR1がオンする。トランジスタITR1がオンすると、プルアップ抵抗NR1、コネクタCON2、トランジスタITR1のコレクタ端子、トランジスタITR1のエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。
また、トランジスタITR1がオンすることで、トランジスタITR1のコレクタ端子に接続されているトランジスタNTR1のベース端子に印加される電圧が接地側に引き下げられ、トランジスタNTR1がオフする。トランジスタNTR1がオフとなっているコレクタ端子の論理がLOW(オフ)となった磁気検出スイッチ信号が主制御MPU1310aの入力ポートに入力される。
磁気センサMGSが磁気を検出した検出状態のときは、磁気センサMGSからの電圧の出力が停止され、トランジスタSTRのベース端子に印加される電圧がなくなることで内蔵のトランジスタSTRがオフする。トランジスタSTRがオフすることで、内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が+12V側に引き上げられる。また、トランジスタSTRのコレクタ端子にトランジスタITR0のベース端子が接続されていることで、トランジスタITR0のベース端子に印加される電圧も+12V側に引き上げられる(第1の電圧に相当する)。これにより、トランジスタITR0がオンする。
トランジスタITR0がオンすると、プルアップ抵抗IR2、トランジスタITR0のコレクタ端子、トランジスタITR0のエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。また、トランジスタITR0がオンすることで、トランジスタITR0のコレクタ端子に接続されているトランジスタITR1のベース端子に印加される電圧が接地側に引き下げられ、トランジスタITR1がオフする。
トランジスタITR1がオフすると、主制御入力回路1310bのプルアップ抵抗NR2により+12V側に引き上げられた電圧がトランジスタNTR1のベース端子に印加されることで、トランジスタNTR1がオンする。トランジスタNTR1がオンすることで、トランジスタNTR1のコレクタ端子に接続されている論理がHI(オン)となった磁気検出スイッチ信号が主制御MPU1310aの入力ポートに入力される。
以上に説明した、磁気センサMGS、内蔵のトランジスタSTR、トランジスタITR0、トランジスタITR1、トランジスタNTR1の作動状態を図310に表形式で示している。なお、磁気検出センサ4024がパネル中継基板4161に対して断線した場合も磁気センサMGSが磁気を検出したときの作動と同様に、トランジスタITR0がオンし、トランジスタITR1がオフし、トランジスタNTR1がオンする。
ところで、コネクタ部材によって信号伝達を行っている場合、コネクタ部材が腐食したり、コネクタ接続部分に塵埃が入り込むと、接触抵抗が発生する。コネクタ部材には、コネクタ部材の接触部端子の形状によってピンコンタクトタイプとベローズコンタクトとがあるが、ベローズコンタクトタイプの場合では、接続作業等の際にコネクタ部材に付帯するハーネスを引っ張ると、ピンコンタクトタイプに比べ隙間が開きやすい。隙間が開くと、この部分から塵埃等が入り込みやすくなる。
また、コネクタ部材に振動が加わる場合も同様に接触抵抗が発生する。例えば、右打ちをして遊技しているとき、多数の遊技球が連続的に集中して流下する遊技領域の特定部分からの振動がコネクタ部材に加わることで微摺動摩耗が発生した場合にも、これによって接触抵抗が発生する虞がある。
ここで、磁気検出センサ4024とパネル中継基板4161の電圧出力部4163とを電気的に接続しているコネクタ部材(コネクタCON1)にこのような接触抵抗RRが発生した場合の従来の磁気センサ入力回路の動作について説明する。例えば、図306においては、コネクタ部材に接触抵抗RRが発生した場合、接触抵抗RRが鎖線にて示されている。なお、接触抵抗RRの大きさは、コネクタの接触が正常な場合の100倍〜1000倍となる。
先に説明したように、磁気検出センサ4024の磁気センサMGSが磁気を検出しない非検出状態のときは、内蔵のトランジスタSTRがオンする。内蔵のトランジスタSTRがオンすると、プルアップ抵抗IR0、接触抵抗RR(コネクタCON1)、トランジスタSTRのコレクタ端子、トランジスタSTRのエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。これにより、内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が接地側に引き下げられるものの(第2の電圧に相当する)、接触抵抗RRに電流が流れることで、接触抵抗RRの上流側の電位が持ち上がってしまう。図306においては、接触抵抗RRの上流側の電位が持ち上がってしまう箇所として、プルアップ抵抗IR0と抵抗IR1との接続点が黒丸として例示されている。
つまり、コネクタ部の接触状態に起因して発生する接触抵抗RRに電流が流れることで第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い電圧がトランジスタITR0のベース端子に印加されることになる。そして、接触抵抗RRによって持ち上げられた電圧がトランジスタITR0のベース端子とエミッタ端子間の規定電圧に達することが起こると、トランジスタITR0がオン状態となる。そのため、磁気検出センサ4024が非検出状態であるにもかかわらず、トランジスタITR0がオン状態となる虞がある。すなわち、パネル中継基板4161に配備された従来のセンサ信号入力部4162では、接触抵抗RRが発生するとセンサの信号を誤検知する虞がある。
[17−2.磁気センサ入力回路の実施例1]
図307は実施形態の遊技機に配備された磁気センサ入力回路の一例(実施例1)を示す回路図である。本実施形態における実施例1の磁気センサ入力回路は、図306の従来の磁気センサ入力回路の磁気検出センサ4024、コネクタCON1、パネル中継基板4161の電圧出力部4163、検知回路部4164、主制御基板1310の主制御入力回路1310bは同一の回路構成である。そのため、同一の回路構成部分には、同一の符号を使用する。
なお、磁気検出センサ4024は遊技領域内の複数箇所、例えば、第一始動口2002、第二始動口2004、一般入賞口2001、大入賞口2005、アウト口1126等の近傍にそれぞれ設置されることになる。
本実施形態の磁気センサ入力回路が従来の磁気センサ入力回路と異なる点は、電圧出力部4163と検知回路部4164との間に、磁気検出センサ4024が磁気を検出しない非検出状態(第2の状態)のとき、内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子が接地側に引き下げられる電圧(第2の電圧)に、第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が加算されても、検知回路部4164に対する前記所定の電圧による作用を回避する回避部4166が備えられ、回避部4166を介して電圧出力部4163と検知回路部4164とが電気的に接続されている点である。
この実施例1では、回避部4166は、前記所定の電圧よりもツェナー電圧が高いツェナーダイオードZD0で構成されている例である。具体的には、ツェナーダイオードZD0のカソード端子は電圧出力部4163のプルアップ抵抗IR0の一端と接続され、接続部分の前段においてコネクタCON1を介して磁気検出センサ4024の内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子と接続されている。
ツェナーダイオードZD0のアノード端子は、後段に配されているトランジスタITR0のベース端子と接続されている。また、プルアップ抵抗IR0の他端には+12Vが印加されている。トランジスタITR0のエミッタ端子は接地され、トランジスタITR0のコレクタ端子は、検知回路部4164において、+12Vが他端に印加されたプルアップ抵抗IR2の一端に接続されるとともに、検知回路部4164のトランジスタITR1のベース端子に接続されている。トランジスタITR1のエミッタ端子は接地され、トランジスタITR1のコレクタ端子は、コネクタCON2を介して主制御基板1310の主制御入力回路1310bと接続されている。なお、コネクタCON1、電圧出力部4163、回避部4166によりセンサ信号入力部4162が構成されている。
[17−2−1.コネクタの接触が正常な場合の検出動作]
磁気検出センサ4024の磁気センサMGSが磁気を検出しない非検出状態のときは、磁気センサMGSから出力される電圧が内蔵のトランジスタSTRのベース端子に印加されることで内蔵のトランジスタSTRがオンする。トランジスタSTRがオンすると、プルアップ抵抗IR0、コネクタCON1、トランジスタSTRのコレクタ端子、トランジスタSTRのエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。
これにより、トランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が接地側に引き下げられる(第2の電圧に相当する)。また、トランジスタSTRのコレクタ端子はツェナーダイオードZD0を介してトランジスタITR0のベース端子が接続されていることで、ツェナー電圧が第2の電圧よりも高いため、ツェナーダイオードZD0は非導通状態を維持する。このため、トランジスタITR0のベース端子に電圧が印加されることはない(0V)。これにより、トランジスタITR0がオフする。
トランジスタITR0がオフすると、プルアップ抵抗IR2により+12V側に引き上げられた電圧が検知回路部4164のトランジスタITR1のベース端子に印加されることで、トランジスタITR1がオンする。トランジスタITR1がオンすると、プルアップ抵抗NR1、コネクタCON2、トランジスタITR1のコレクタ端子、トランジスタITR1のエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。
また、トランジスタITR1がオンすることで、トランジスタITR1のコレクタ端子に接続されている主制御入力回路1310bのトランジスタNTR1のベース端子に印加される電圧が接地側に引き下げられ、トランジスタNTR1がオフする。トランジスタNTR1がオフとなっているコレクタ端子の論理がLOW(オフ)となった磁気検出スイッチ信号が主制御MPU1310aの入力ポートに入力される。
磁気センサMGSが磁気を検出した検出状態のときは、磁気センサMGSからの電圧の出力が停止され、トランジスタSTRのベース端子に印加される電圧がなくなることで内蔵のトランジスタSTRがオフする。トランジスタSTRがオフすることで、内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が+12V側に引き上げられる。また、トランジスタSTRのコレクタ端子はツェナーダイオードZD0を介してトランジスタITR0のベース端子と接続されていることで、トランジスタITR0のベース端子にはツェナー電圧が印加される(第1の電圧に相当する)。これにより、トランジスタITR0がオンする。
トランジスタITR0がオンすると、プルアップ抵抗IR2、トランジスタITR0のコレクタ端子、トランジスタITR0のエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。また、トランジスタITR0がオンすることで、トランジスタITR0のコレクタ端子に接続されている検知回路部4164のトランジスタITR1のベース端子に印加される電圧が接地側に引き下げられ、トランジスタITR1がオフする。
トランジスタITR1がオフすると、主制御入力回路1310bのプルアップ抵抗NR1により+12V側に引き上げられた電圧がトランジスタNTR1のベース端子に印加されることで、トランジスタNTR1がオンする。トランジスタNTR1がオンすることで、トランジスタNTR1のコレクタ端子に接続されている論理がHI(オン)となった磁気検出スイッチ信号が主制御MPU1310aの入力ポートに入力される。
そして、主制御MPU1310aが、このような異常な状態であると判定した場合には、上記の例では、磁気検出スイッチ信号の論理がHIであると判定した場合には、主制御MPU1310aが周辺制御部1530にエラーコマンドを送信し、外部端子板784からホールコンピュータにその旨の信号を出力する処理等を行う。周辺制御部1530がエラーコマンドに応じて、遊技盤側演出表示装置1600や扉枠側演出表示装置460、警報ランプ、音声等で異常を報知する。
[17−2−2.コネクタの接触が異常な場合の検出動作]
磁気検出センサ4024の磁気センサMGSが磁気を検出しない非検出状態(第2の状態)のときは、磁気センサMGSから出力される電圧が内蔵のトランジスタSTRのベース端子に印加されることで内蔵のトランジスタSTRがオンする。
内蔵のトランジスタSTRがオンすると、プルアップ抵抗IR0、接触抵抗RR(コネクタCON1)、トランジスタSTRのコレクタ端子、トランジスタSTRのエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。これにより、内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が接地側に引き下げられるものの(第2の電圧に相当する)、接触抵抗RRに電流が流れることで、接触抵抗RRの上流側の電位が持ち上がる。図307においては、接触抵抗RRの上流側の電位が持ち上がってしまう箇所として、プルアップ抵抗IR0とツェナーダイオードZD0との接続点が黒丸として例示されている。
つまり、コネクタ部の接触状態に起因して発生する接触抵抗に電流が流れることで、第2の電圧に、第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が加算され、ツェナーダイオードZD0のカソード端子に印加されることになる。第2の電圧よりも高い所定の電圧が加算されて印加されても、所定の電圧よりもツェナー電圧が高いため、ツェナーダイオードZD0は非導通状態を維持する。このため、トランジスタITR0のベース端子に電圧が印加されることはない(0V)。これにより、トランジスタITR0がオフする。つまり、回避部4166により検知回路部4164に対する前記所定の電圧による作用を回避している。
なお、後段の検知回路部4164と主制御入力回路1310bの動作は、コネクタの接触が正常な場合の検出動作と同じとなる。
これにより、検知回路部4164の電圧に影響を与えないため(電圧変化がないため)、コネクタ部材の微摺動摩耗等が原因で接触抵抗が発生したとき、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を防止することができる。
なお、従来と同様に、磁気センサMGSによる異常が検知された場合には、主制御MPU1310aが周辺制御部1530にエラーコマンドを送信し、周辺制御部1530が送信されたエラーコマンドに応じて、磁石を用いた不正な遊技行為が行われたこと、又は磁気検出センサ4024に断線が生じていることを遊技盤側演出表示装置1600や扉枠側演出表示装置460、警告表示器、音声等で報知する。また、外部端子板784からホールコンピュータにエラー信号を出力する。
[17−3.磁気センサ入力回路の実施例2]
図308は実施形態の遊技機に配備された磁気センサ入力回路の一例(実施例2)を示す回路図である。実施例2の磁気センサ入力回路は、図306の従来の磁気センサ入力回路の磁気検出センサ4024、コネクタCON1、パネル中継基板4161の電圧出力部4163、検知回路部4164、主制御基板1310の主制御入力回路1310bは同一の回路構成である。そのため、同一の回路構成部分には、同一の符号を使用する。
この実施例2では、回避部4166は、一端が電圧出力部4163に接続された第1の抵抗IR1と、第1の抵抗IR1の他端に一端が接続され、他端が接地された第2の抵抗IR3とを含んで構成されている。本実施形態2のセンサ信号入力部4162と、図306の従来のセンサ信号入力部4162とを比較すると、他端が接地された抵抗IR3の一端が、抵抗IR1の他端と後段に配されたトランジスタITR0のベース端子との接続点に、接続されている点で異なっている。すなわち、実施例2では、回避部4166は、前記所定の電圧が印加されたときに接地に電流を流して落としてしまう抵抗IR3で構成されている例である。
なお、第1の抵抗IR1の一端は、電圧出力部4163のプルアップ抵抗IR0の一端と接続され、接続部分の前段においてコネクタCON1を介して磁気検出センサ4024の内蔵トランジスタSTRのコレクタ端子と接続されている。
また、トランジスタITR0のコレクタ端子は、検知回路部4164において、+12Vが他端に印加されたプルアップ抵抗IR1の一端に接続されるとともに、トランジスタITR1のベース端子に接続されている。トランジスタITR1のエミッタ端子は接地され、トランジスタITR1のコレクタ端子は、コネクタCON2を介して主制御基板1310の主制御入力回路1310bと接続されている。なお、コネクタCON1、電圧出力部4163、回避部4166によりセンサ信号入力部4162が構成されている。
[17−3−1.コネクタの接触が正常な場合の検出動作]
磁気検出センサ4024の磁気センサMGSが磁気を検出しない非検出状態のときは、磁気センサMGSから出力される電圧が内蔵のトランジスタSTRのベース端子に印加されることで内蔵のトランジスタSTRがオンする。トランジスタSTRがオンすると、プルアップ抵抗IR0、コネクタCON1、トランジスタSTRのコレクタ端子、トランジスタSTRのエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。
これにより、トランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が接地側に引き下げられる(第2の電圧に相当する)。また、トランジスタSTRのコレクタ端子はトランジスタITR0のベース端子に接続されていることで、接地側に引き下げられた電圧がトランジスタITR0のベース端子に印加される。これにより、トランジスタITR0がオフする。
トランジスタITR0がオフすると、プルアップ抵抗IR2により+12V側に引き上げられた電圧がトランジスタITR1のベース端子に印加されることで、トランジスタITR1がオンする。トランジスタITR1がオンすると、プルアップ抵抗NR1、コネクタCON2、トランジスタITR1のコレクタ端子、トランジスタITR1のエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。
また、トランジスタITR1がオンすることで、トランジスタITR1のコレクタ端子に接続されている主制御入力回路1310bのトランジスタNTR1のベース端子に印加される電圧が接地側に引き下げられ、トランジスタNTR1がオフする。トランジスタNTR1がオフとなっているコレクタ端子の論理がLOW(オフ)となった磁気検出スイッチ信号が主制御MPU1310aの入力ポートに入力される。
磁気検出センサ4024が磁気を検出した検出状態のときは、磁気センサMGSからの電圧の出力が停止され、トランジスタSTRのベース端子に印加される電圧がなくなることで内蔵のトランジスタSTRがオフする。トランジスタSTRがオフすることで、内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が+12V側に引き上げられる。
また、+12Vの電圧がプルアップ抵抗IR0、回避部4166の第1の抵抗IR1、第2の抵抗IR3で構成された直列抵抗回路に印加され、プルアップ抵抗IR0、回避部4166の第1の抵抗IR1、第2の抵抗IR3を経由して電流が接地に流れる。第2の抵抗IR3に電流が流れることにより、第2の抵抗IR3の両端間に発生する電位差が、トランジスタITR0のベース端子とエミッタ端子間に印加されることで、トランジスタITR0がオンする。
トランジスタITR0がオンすると、プルアップ抵抗IR2、トランジスタITR0のコレクタ端子、トランジスタITR0のエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。また、トランジスタITR0がオンすることで、トランジスタITR0のコレクタ端子に接続されている検知回路部4164のトランジスタITR1のベース端子に印加される電圧が接地側に引き下げられ、トランジスタITR1がオフする。
トランジスタITR1がオフすると、主制御入力回路1310bのプルアップ抵抗NR1により+12V側に引き上げられた電圧がトランジスタNTR1のベース端子に印加されることで、トランジスタNTR1がオンする。トランジスタNTR1がオンすることで、トランジスタNTR1のコレクタ端子に接続されている論理がHI(オン)となった磁気検出スイッチ信号が主制御MPU1310aの入力ポートに入力される。
[17−3−2.コネクタの接触が異常な場合の検出動作]
磁気検出センサ4024の磁気センサMGSが磁気を検出しない非検出状態のときは、磁気センサMGSから出力される電圧が内蔵のトランジスタSTRのベース端子に印加されることで内蔵のトランジスタSTRがオンする。
内蔵のトランジスタSTRがオンすると、プルアップ抵抗IR0、接触抵抗(コネクタCON1)、トランジスタSTRのコレクタ端子、トランジスタSTRのエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。これにより、内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が接地側に引き下げられるものの(第2の電圧に相当する)、接触抵抗RRに電流が流れることで、接触抵抗RRの上流側の電位が持ち上がる。図308においては、接触抵抗RRの上流側の電位が持ち上がってしまう箇所として、プルアップ抵抗IR0と第1の抵抗IR1との接続点が黒丸として例示されている。
つまり、コネクタ部の接触状態に起因して発生する接触抵抗RRに電流が流れることで、第2の電圧に第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が加算されて第1の抵抗の一端に印加されることになる。この電圧は、磁気検出センサ4024の内蔵のトランジスタがオフしたときに印加される電圧に比べて十分に低い電圧となる。
第2の電圧よりも高い所定の電圧が加算されて第1の抵抗の一端に印加されると、第1の抵抗IR1に電流が流れ、さらにこの電流は第2の抵抗IR3を通じて接地に流れる。つまり、第2の抵抗IR3の他端が接地されているため、第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が第2の電圧に加算された電圧による電流がほぼ接地に落ちて、第2の抵抗IR3の後段のトランジスタITR0のベース端子には電流がほとんど流れ込まない。よって、後段のトランジスタITR0はオンしない。この結果、後段のトランジスタITR0はオフ状態を維持する。つまり、回避部4166により、検知回路部4164に対する前記所定の電圧による作用を回避している。
なお、後段の検知回路部4164と主制御入力回路1310bの動作は、コネクタの接触が正常な場合の検出動作と同じとなる。
これにより、検知回路部4164の電圧に影響を与えないため(電圧変化がないため)、コネクタ部材の微摺動摩耗等が原因で接触抵抗が発生したとき、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を防止することができる。
[17−4.磁気センサ入力回路の実施例3]
図309は実施形態の遊技機に配備された磁気センサ入力回路の一例(実施例3)を示す回路図である。実施例3の磁気センサ入力回路は、図306の従来の磁気センサ入力回路の磁気検出センサ4024、コネクタ、パネル中継基板4161の電圧出力部4163、検知回路部4164、主制御基板1310の主制御入力回路1310bは同一の回路構成である。そのため、同一の回路構成部分には、同一の符号を使用する。
この実施例3では、回避部4166は、第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧よりも高い動作電圧に設定されたダーリントン回路を構成する2つのトランジスタITR0、ITR2と抵抗IR1、IR4、IR5を含んで構成されている。前述の実施例2と比較すると、実施例3では、他端が接地された抵抗IR3に代えて直列接続した抵抗IR4と抵抗IR5とをダーリントン回路を構成する2つのトランジスタITR0、ITR2に各々並列に接続している。すなわち、実施例3では、回避部4166は、前記所定の電圧が印加されたときに接地に電流を流して落としてしまう抵抗IR4と抵抗IR5で構成されている例である。
より具体的には、抵抗IR1の一端が電圧出力部4163のプルアップ抵抗IR0の一端に接続され、抵抗IR1の他端がダーリントン回路の前段のトランジスタITR0のベース端子に接続されている。トランジスタITR0のエミッタ端子は、ダーリントン回路の後段のトランジスタITR2のベース端子と接続され、トランジスタITR2のエミッタ端子は接地されている。
また、抵抗IR1の他端は前段のトランジスタITR0のベース端子と接続されるほかに、抵抗IR4の一端に接続され、抵抗IR4の他端は前段のトランジスタITR0のエミッタ端子と接続されている。また、前段のトランジスタITR0のエミッタ端子には、抵抗IR5の一端が接続され、抵抗IR5の他端は接地されている。
つまり、前段のトランジスタITR0のベース端子とエミッタ端子間に抵抗IR4が並列接続され、後段のトランジスタITR2のベース端子とエミッタ端子間に抵抗IR5が並列接続されていることになる。また、2つのトランジスタITR0、ITR2のコレクタ端子は、検知回路部4164の+12Vが他端に印加されたプルアップ抵抗IR2の一端にされるとともに、トランジスタITR1のベース端子と接続されている。
[17−4−1.コネクタの接触が正常な場合の検出動作]
磁気検出センサ4024の磁気センサMGSが磁気を検出しない非検出状態のときは、磁気センサMGSから出力される電圧が内蔵のトランジスタSTRのベース端子に印加されることで内蔵のトランジスタSTRがオンする。トランジスタSTRがオンすると、プルアップ抵抗IR0、コネクタCON1、トランジスタSTRのコレクタ端子、トランジスタSTRのエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。また、トランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が接地側に引き下げられる(第2の電圧に相当する)。トランジスタSTRのコレクタ端子にトランジスタITR0のベース端子が接続されていることで、トランジスタITR0のベース端子に印加される電圧も接地側に引き下げられる。これにより、トランジスタITR0がオフし、トランジスタITR2もオフする。
トランジスタITR0がオフすると、プルアップ抵抗IR2により+12V側に引き上げられた電圧が検知回路部4164のトランジスタITR1のベース端子に印加されることで、トランジスタITR1がオンする。トランジスタITR1がオンすると、プルアップ抵抗NR1、コネクタCON2、トランジスタITR1のコレクタ端子、トランジスタITR1のエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。
また、トランジスタITR1がオンすることで、トランジスタITR1のコレクタ端子に接続されている主制御入力回路1310bのトランジスタNTR1のベース端子に印加される電圧が接地側に引き下げられ、トランジスタNTR1がオフする。トランジスタNTR1がオフとなっているコレクタ端子の論理がLOW(オフ)となった磁気検出スイッチ信号が主制御MPU1310aの入力ポートに入力される。
磁気検出センサ4024が磁気を検出した検出状態のときは、磁気センサMGSからの電圧の出力が停止され、トランジスタSTRのベース端子に印加される電圧がなくなることで内蔵のトランジスタSTRがオフする。トランジスタSTRがオフすることで、内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が+12V側に引き上げられる。
また、+12Vの電圧がプルアップ抵抗IR0、回避部4166の抵抗IR1、抵抗IR4、抵抗IR5で構成された直列抵抗回路に印加され、プルアップ抵抗IR0、回避部4166の抵抗IR1、抵抗IR4、抵抗IR5を経由して電流が接地に流れる。抵抗IR4に電流が流れることにより、抵抗IR4の両端間に発生する電位差が、前段のトランジスタITR0のベース端子とエミッタ端子間に印加される。これにより、前段のトランジスタITR0がオンする。
前段のトランジスタITR0がオンすると、プルアップ抵抗IR2、トランジスタITR0のコレクタ端子、トランジスタITR0のエミッタ端子、抵抗IR5を経由して接地に電流が流れる。抵抗IR5に電流が流れることにより、抵抗IR5の両端間に発生する電位差が、後段のトランジスタITR2のベース端子とエミッタ端子間に印加される。これにより、後段のトランジスタITR2がオンする。
後段のトランジスタITR2がオンすると、プルアップ抵抗IR2、後段のトランジスタITR2のコレクタ端子、トランジスタITR2のエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。また、トランジスタITR2がオンすることで、後段のトランジスタITR2のコレクタ端子に接続されている検知回路部4164のトランジスタITR1のベース端子に印加される電圧が接地側に引き下げられ、トランジスタITR1がオフする。
トランジスタITR1がオフすると、主制御入力回路1310bのプルアップ抵抗NR1により+12V側に引き上げられた電圧がトランジスタNTR1のベース端子に印加されることで、トランジスタNTR1がオンする。トランジスタNTR1がオンすることで、トランジスタNTR1のコレクタ端子に接続されている論理がHI(オン)となった磁気検出スイッチ信号が主制御MPU1310aの入力ポートに入力される。
[17−4−2.コネクタの接触が異常な場合の検出動作]
磁気検出センサ4024の磁気センサMGSが磁気を検出しない非検出状態のときは、磁気センサMGSから出力される電圧が内蔵のトランジスタSTRのベース端子に印加されることで内蔵のトランジスタSTRがオンする。
内蔵のトランジスタSTRがオンすると、プルアップ抵抗IR0、接触抵抗RR(コネクタCON1)、トランジスタSTRのコレクタ端子、トランジスタSTRのエミッタ端子を経由して接地に電流が流れる。これにより、内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子に印加される電圧が接地側に引き下げられるものの(第2の電圧に相当する)、接触抵抗RRに電流が流れることで、接触抵抗RRの上流側の電位が持ち上がる。図309においては、接触抵抗RRの上流側の電位が持ち上がってしまう箇所として、プルアップ抵抗IR0と抵抗IR1との接続点が黒丸として例示されている。
つまり、コネクタ部の接触状態に起因して発生する接触抵抗に電流が流れることで、第2の電圧に、第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が加算された電圧が抵抗IR1の一端に印加されることになる。この電圧は、磁気検出センサ4024の内蔵のトランジスタがオフしたときに印加される電圧に比べて十分に低い電圧となる。
第2の電圧よりも高く第1の電圧よりも低い所定の電圧が抵抗IR1の一端に印加されると、抵抗IR1に電流が流れ、さらにこの電流は抵抗IR4及び抵抗IR5を通じて接地に流れる。つまり、抵抗IR5の他端が接地されているため、印加された所定の電圧による電流のほとんどが接地に落ちて、抵抗IR1の後段にあたるダーリントン回路の前段のトランジスタITR0のベース端子にはほとんど電流が流れ込まない。よって、前段のトランジスタITR0はオンしない。また、後段のトランジスタITR2もオンしない。この結果、ダーリントン回路の2つのトランジスタITR0、ITR2はオフ状態を維持する。つまり、回避部4166が検知回路部4164に対する前記所定の電圧による作用を回避している。
なお、後段の検知回路部4164と主制御入力回路1310bの動作は、コネクタの接触が正常な場合の検出動作と同じとなる。
これにより、検知回路部4164の電圧に影響を与えないため(電圧変化がないため)、コネクタ部材の微摺動摩耗等が原因で接触抵抗が発生したとき、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を防止することができる。
また、図311に示すように、複数の磁気検出センサ4024の各々にそれぞれ接続された複数のオープンコレクタ型のセンサ信号入力部4162が検知回路部4164のトランジスタITR1のベース端子に複数並列に接続されている。これらセンサ信号入力部4162のいずれか1つが、磁気を検出してオンしたときに、検知回路部4164のトランジスタITR1がオフするものである。
なお、磁気検出センサ4024とセンサ信号入力部4162との結線のいずれか1つが断線した場合も同様に、断線した磁気検出センサ4024に対応するセンサ信号入力部4162がオンすることで検知回路部4164のトランジスタITR1がオフする。また、センサが複数ある場合、これら複数のセンサに対して電圧出力部4163をそれぞれ設け、それぞれ設けた電圧出力部4163を、ダーリントン回路を複数有するトランジスタアレイ、例えば「TD62083AP」(市販品、TOSHIBA社製)に接続して用いることができる。
以上、本実施形態のパネル中継基板4161に配備されたセンサ信号入力部4162について説明したが、センサ信号入力部4162に適用できる検出センサは、磁気検出センサ4024に限定されるものではなく、コネクタ部材により検出センサからセンサ信号の伝達を行うものであればよく、各種センサ、例えば、一般入賞口センサ4020、第一始動口センサ4002、第二始動口センサ4004、カウントセンサ4005、振動検出センサ、接触センサ等を適用することが可能である。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
以上、本発明の実施形態について、実施例1〜3を示して説明したが、本発明の要旨、すなわち、回避部4166が備えられた回路構成を変更するものでなければ、電圧出力部4163、回避部4166、検知回路部4164についての基板上の配設箇所は、必要に応じて種々選択的に変更して配置することが可能である。以下には、配置例のバリエーションを数例示す。
[17−5.実施例4]
図312は、磁気センサ入力回路の検知回路部4164を主制御基板1310に配置した一例を示す。この例では、電圧出力部4163と、回避部4166と、信号中継用のトランジスタITR0とをパネル中継基板4161に配置している。なお、電気的な基本接続は、図307に示した回路と変わりはない。また、回避部4166による作用、効果の点も図307に示した回路と変わりはない。
図312に示すように、パネル中継基板4161の信号中継用のトランジスタITR0のコレクタ端子と、主制御基板1310の検知回路部4164のプルアップ抵抗IR2の他端及びトランジスタITR1のベース端子とがコネクタCON2によって電気的に接続されているものである。
[17−6.実施例5]
図313は、磁気センサ入力回路の検知回路部4164を主制御基板1310に配置した他の例を示す。この例では、電圧出力部4163と、回避部4166とをパネル中継基板4161に配置し、信号中継用のトランジスタITR0は、配置箇所を主制御基板1310に移し、検知回路部4164の前段に設けている。この実施例5についても、電気的な基本接続は、図307に示した回路と変わりはない。また、回避部4166による作用、効果の点も図307に示した回路と変わりはない。
図313に示すように、パネル中継基板4161の回避部4166を構成しているツェナーダイオードZD0のアノード端子と、主制御基板1310の信号中継用のトランジスタITR0のベース端子とがコネクタCON2によって電気的に接続されているものである。
また、図312に示した実施例4と図313に示した実施例5では、パネル中継基板4161と主制御基板1310とが両端にコネクタ部材を備えたハーネス(図312では単にCON2と記している)によって電気的に接続している。このため、コネクタ接続部分においても、接触抵抗が発生する虞がある。そこで、この接触抵抗による信号の誤検知を回避するために、実施例4における変形実施例として、回路上、コネクタ部材CON2の後段に、すなわち、一端に+12Vが印加されたブルアップ抵抗NR1の他端とコネクタ部材CON2に接続している信号線との接続点と、トランジスタITR1のベース端子との間に、回避部4166と同様に、さらにもう1つ回避部を設けるようにしてもよい。これによると、さらに信号の誤検知を低減でき、信号検知の信頼性が高まる。
なお、本発明において、実施例4及び実施例5における+12Vが一端に印加されたプルアップ抵抗IR2及びトランジスタITR1で検知回路部4164を構成している例を用いて説明している。このことは、本質的には、後段に接続されている主制御MPU1310aに入力される論理(HIレベルアクティブとするのか、LOWレベルアクティブとするのか)の違いにより制御上有利となる方を選択して設けているものであって、そのためにプルアップ抵抗IR2及びトランジスタITR1からなる回路を検知回路部4164として設け、これを主制御MPU1310aの前段に配しているものである。
しかしながら、一端に+12Vが印加されたブルアップ抵抗NR1の他端が信号線に接続され、かつその信号線の後段に抵抗NR2を介してベース端子が接続されるとともに、エミッタ端子が接地され、かつコレクタ端子が入力ポート(図示省略)に接続してなる主制御入力回路1310bそのものが検知回路部4164を代用しているもの(換言すると、検知回路部4164としての機能を果たしている回路、つまり、主制御入力回路1310bで検知を行うことが可能であるわけであるから)、でも本願発明は十分に成り立つものである。
[17−7.実施例6]
図314は、磁気センサ入力回路の回避部4166と検知回路部4164とを主制御基板1310に配置した例を示す。なお、信号中継用のトランジスタITR0も、配置箇所を主制御基板1310に移し、検知回路部4164の前段に設けている。この実施例6についても、電気的な基本接続は、図307に示した回路と変わりはない。また、回避部4166による作用、効果の点も図307に示した回路と変わりはない。
図314に示すように、パネル中継基板4161の電圧出力部4163のプルアップ抵抗IR0の他端が接続されているコネクタCON1に通じる信号線と、主制御基板1310の回避部4166を構成しているツェナーダイオードZD0のカソード端子とがコネクタCON2によって電気的に接続されているものである。
なお、上記の実施例4〜実施例6のようにパネル中継基板4161及び主制御基板1310を回路構成すると、パネル中継基板4161を検出センサ部(この実施例では、磁気検出センサ4024としているがこれに限定されない)の種類の如何によらず、共通化することが可能となる利点がある。
なお、組み付け性の立場からいえば、中継基板を利用することは望ましいが、遊技者に抽選をもたらす始動口に設けられる第一始動口センサ4002、第二始動口センサ4004については、利便性を欠いてでも、不正防止の観点から中継基板に回路素子を設けることなく、主制御基板1310に直接コネクタで接続するようにした方がよい場合がある。このような場合においては、実施例7の構成が好適に機能する。
[17−8.実施例7]
図315は、磁気センサ入力回路の電圧出力部4163と、回避部4166と、検知回路部4164とを主制御基板1310に配置した例を示す。この例でも、信号中継用のトランジスタITR0も、配置箇所を主制御基板1310に移し、検知回路部4164の前段に設けている。この実施例7についても、電気的な基本接続は、図307に示した回路と変わりはない。また、回避部4166による作用、効果の点も図307に示した回路と変わりはない。
図315に示すように、パネル中継基板4161は、磁気検出センサ4024からの信号を単純に中継する信号線(例えばプリント配線による)が形成されているのみである。当該信号線はパネル中継基板4161上でコネクタに接続されたハーネスにより主制御基板1310のコネクタCON1と電気的に接続されているものである。つまり、主制御基板1310のツェナーダイオードZD0のカソード端子は電圧出力部4163のプルアップ抵抗IR0の一端と接続され、接続部分の前段においてコネクタCON1及びパネル中継基板4161を介して磁気検出センサ4024の内蔵のトランジスタSTRのコレクタ端子と接続されていることになる。
なお、図315ではコネクタ(CON3、CON4)のみを設けた中継基板を用いているが、中継基板を用いることなく、磁気検出センサ4024の出力を直接主制御基板1310に接続するように構成することもできる。
[実施例4]〜[実施例7]に示した構成によっても、回避部4166を備えていることにより、検知回路部4164の電圧に影響を与えないため(電圧変化がないため)、コネクタ部材の微摺動摩耗等が原因で接触抵抗が発生したとき、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を防止することができる。
上記実施例7においては、磁気検出センサ4024はパネル中継基板4161に設けられたコネクタCON3(図中では四角で表している)を通じてパネル中継基板4161に電気的に接続され、さらに、パネル中継基板4161に設けられたコネクタCON4(図中では四角で表している)を通じて主制御基板1310に設けられたコネクタ部材CON1と電気的に接続された構成となっている。よって、接触抵抗はコネクタCON3、コネクタCON4およびコネクタCON1の3箇所で発生する虞がある。
このことを配慮して、パネル中継基板4161の接続部分(図中では四角で表しているCON3及びCON4)のゆるみで生じた接触抵抗とコネクタCON1の部分の接触抵抗RRに電流が流れることによる電圧(上記した3箇所のコネクタ接続部分で各々発生する接触抵抗により電圧の加算分)が、検出センサ部(磁気検出センサ4024)が第2の状態の第2の電圧に加算されても、回避部4166は、検知回路部4164に対する前記所定の電圧による作用を回避するように選択されて設けられている。これにより、検知回路部4164の電圧に影響を与えないため、各コネクタ部材の微摺動摩耗等が原因で接触抵抗が発生したとき、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を防止することができる。
また、[実施例4]〜[実施例7]に示した構成において、回避部4166としてツェナーダイオードZD0を用いて説明しているが、回避部4166はツェナーダイオードZD0に限らず、先に説明した図308(実施例2)の回避部4166や図309(実施例3)の回避部4166を用いることができる。
実施例7に示すパネル中継基板4161は、検出センサ部からの信号を単純に中継する信号線(例えばプリント配線による)が形成されているのみであるから、複数個の検出センサ部からの信号をパネル中継基板4161において各々独立的に集約し、1つのコネクタ部材に纏めるようにプリント配線を形成し、主制御基板1310とコネクタ接続する利点がある。
[17−9.検出センサ部、パネル中継基板及び主制御基板の電気的接続]
次に、検出センサ部4000、パネル中継基板4161及び主制御基板1310の電気的接続について説明する。図316は主として検出センサ部とパネル中継基板と主制御基板との電気的接続の基本的構成を示すブロック図である。検出センサ部4000は、遊技盤5の所定位置に配置された各種検出センサを総称するものであり、先に説明したように、例えば、一般入賞口センサ4020、第一始動口センサ4002、第二始動口センサ4004、カウントセンサ4005、振動検出センサ、磁気検出センサ4024等が相当する。
主制御基板1310は遊技の進行を制御するもので、制御主体となる主制御MPU1310aが搭載された基板である。パネル中継基板4161は検出センサ部4000の検出信号を主制御基板1310に中継する基板である。
検出センサ部4000は、パネル中継基板4161に設けられたコネクタ部材4501を介してパネル中継基板4161に電気的に接続されている。また、パネル中継基板4161と主制御基板1310とは、パネル中継基板4161に設けられたコネクタ部材4502と、主制御基板1310に設けられたコネクタ部材4503とが、両端に接続用コネクタを備えたハーネスによってコネクタ接続されることにより、電気的に接続されている。つまり、検出センサ部4000は、パネル中継基板4161が備えるコネクタ部材4501及びコネクタ部材4502、主制御基板が備えるコネクタ部材4503を介して主制御基板1310に電気的に接続され、検出センサ部4000の検出信号が主制御基板1310の主制御MPU1310aに入力される構成となっている。
[17−10.パネル中継基板4161並びに主制御基板1310の遊技機における配置位置]
図317はパネル中継基板4161並びに主制御基板1310の遊技機1における配置位置の各例を模式的に示す正面図である。図317(A)〜図317(D)において、パネル中継基板4161並びに主制御基板1310は、遊技者から視認されない位置となる遊技盤5の後部であって、基本的には遊技盤側演出表示装置(例えば、液晶表示装置)1600の下方に配置される。なお、符号300は図9等に示されている扉枠3に設けられ、遊技者に操作されるハンドルユニットであり、符号410は図9等に示されている扉枠3の下部中央に設けられ、遊技者により演出のため押し込み操作される操作ボタンである。
図317(A)は、遊技盤5の後部下部の中央に主制御基板1310が配置され、遊技盤5の後部下部であって、正面視で主制御基板1310の右方にパネル中継基板4161が配置されている配置パターンを示している。なお、図317(A)〜186(D)において、具体的には、遊技領域5aの後端を区画する板状の透明な遊技パネル1100の後面に取り付けられる箱状の裏ユニット3000の後面に対して、パネル中継基板4161並びに主制御基板1310は、取り付けられる。
図317(B)は、遊技盤5の後部下部の中央にパネル中継基板4161が配置され、遊技盤5の後部下部であって、正面視でパネル中継基板4161の右方に主制御基板1310が配置されている配置パターンを示している。図317(C)は、遊技盤5の後部下部の中央に主制御基板1310が配置され、遊技盤5の後部下部であって、正面視で主制御基板1310の左方にパネル中継基板4161が配置されている配置パターンを示している。
また、図317(A)〜図317(C)において、主制御基板1310に対するパネル中継基板4161の前後方向の位置関係は、主制御基板1310と同層或いは主制御基板1310の前方にパネル中継基板4161が位置している。
また、図317(D)は、遊技盤5の後部下部の中央に主制御基板1310及びパネル中継基板4161が前後方向において重ね合わされて配置されている配置パターンを示している。図317(D)では、主制御基板1310の前方にパネル中継基板4161が配置されている。以上に示した図317(A)〜図317(D)に示すように、パネル中継基板4161や主制御基板1310は、様々な条件からその配置が決定される。
検出センサ部4000は、パネル中継基板4161に設けられたコネクタ部材4501を介してパネル中継基板4161に電気的に接続されている。また、パネル中継基板4161と主制御基板1310とは、パネル中継基板4161に設けられたコネクタ部材4502と、主制御基板1310に設けられたコネクタ部材4503とが、両端に接続用コネクタを備えたハーネスによってコネクタ接続されることにより、電気的に接続されている。つまり、検出センサ部4000は、パネル中継基板4161が備えるコネクタ部材4501及びコネクタ部材4502、主制御基板が備えるコネクタ部材4503を介して主制御基板1310に電気的に接続され、検出センサ部4000の検出信号が主制御基板1310の主制御MPU1310aに入力される構成となっている。
そこで、以下に述べる実施例は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を回避する回避部ユニットを提供することはもとより、振動発生源と制御基板との配置位置関係を考慮して、回避部ユニットをパネル中継基板や主制御基板に適切に配置した遊技機に関するものである。
[17−11.回避部ユニットの配置例]
図318(A)〜図318(C)は、パネル中継基板4161や主制御基板1310に対する回避部ユニット4510の配置例を示す図である。なお、回避部ユニット4510は、コネクタ部材に発生する接触抵抗による電圧の加算作用を回避するための回避部4166を含む回路構成を示すものである。回避部4166は、先に図307乃至図309において説明したものであり、回避部4166よりも前段に配置された回路部分において、コネクタ部材の接続状態に緩みを生じ、この部分に接触抵抗が発生することで、接触抵抗により電圧が加算されても、回避部4166よりも後段に配置された検知回路部に対する加算分の電圧による作用を回避するものである。
上述のように、コネクタ部材に振動が加わると、コネクタ部材の接触抵抗により検出センサ部4000からの信号の誤検知する虞が高まる。しかしながら、上述の図317(A)〜図317(D)に示したように、通常、パネル中継基板4161や主制御基板1310は、様々な条件から遊技盤5におけるその配置が決定される。その際に各基板を振動から影響を受けることを避けるように配置することまで配慮されないことが多い。一方、影響する振動発生源としては、先に述べた右打ちによる遊技領域5aの右側領域に配された遊技球誘導路部材と遊技球との衝突によるものの他、例えば、演出ボタン(操作ボタン410)の殴打操作によるもの、球発射装置の打球槌の打球動作、高出力のスピーカによる音等が挙げられる。
そこで、以下に説明する実施形態は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コネクタ部材の緩みによって接触抵抗が発生し、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を回避する回避部ユニット4510を提供することはもとより、振動発生源との位置関係に考慮して、回避部ユニット4510をパネル中継基板4161や主制御基板1310に適切に配置したものである。
図318(A)はパネル中継基板4161に回避部ユニット4510を設けた例を示しており、検出センサ部4000とパネル中継基板4161とを電気的に接続するコネクタ部材4501に振動が加わることによってコネクタ部材4501が緩みを生じ、この緩みによって接触抵抗が発生しても、接触抵抗による電圧の加算作用を回避部ユニット4510で回避することで、検出センサ部4000からの信号の誤検知を回避するものである。
図318(B)は主制御基板1310に回避部ユニット4510を設けた例を示しており、パネル中継基板4161に設けられたコネクタ部材4502或いは主制御基板1310に設けられたコネクタ部材4503に振動が加わることによってコネクタ部材4502又は4503が緩みを生じ、この緩みによって接触抵抗が発生しても、接触抵抗による電圧の加算作用を回避部ユニット4510で回避することで、パネル中継基板4161から中継されて出力された信号の誤検知を回避するものである。
図318(C)はパネル中継基板4161及び主制御基板1310の両基板に夫々回避部ユニット4510を設けた例を示しており、検出センサ部4000とパネル中継基板4161とを電気的に接続するコネクタ部材4501に振動が加わること、および、パネル中継基板4161に設けられたコネクタ部材4502或いは主制御基板1310に設けられたコネクタ部材4503に振動が加わること、これらによってコネクタ部材4501、コネクタ部材4502又はコネクタ部材4503が緩みを生じ、この緩みによって接触抵抗が発生しても、接触抵抗による電圧の加算作用を回避部ユニット4510で回避することで、検出センサ部4000からの信号の誤検知を回避し、かつパネル中継基板4161から中継されて出力された信号の誤検知を回避するものである。
[17−12.振動発生源の具体例と回避部ユニット4510の配設例]
図319(A)乃至図319(F)は、遊技機1における振動発生源の具体例と、パネル中継基板4161及び主制御基板1310の配置例を示す図である。なお、各図において、振動発生源となる部材をハッチング部分で示している。図319(A)〜図319(C)は、右打ちをして遊技しているとき、遊技領域5aの右側領域に、右打ちされた多数の遊技球が連続的に集中して流下する遊技球誘導路ユニット4200が備えられ、遊技球誘導路ユニット4200からの振動がコネクタ部材に加わることで微摺動摩耗が発生した場合、これによって接触抵抗が発生する虞がある、という例を示している。
図319(A)に示す基板配置の遊技機の場合で振動発生源が右打ちによる遊技盤5と遊技球との衝突であるときには、振動発生源となる遊技球誘導路ユニット4200に対してパネル中継基板4161が近接して配置されているので、パネル中継基板4161のコネクタ部材[図318(A)に示したコネクタ部材4501]が影響を受けやすい。よって、回避部ユニット4510をパネル中継基板4161に配置する[図318(A)参照]。
図319(B)に示す基板配置の遊技機の場合で振動発生源が右打ちによる遊技盤5と遊技球との衝突であるときには、振動発生源となる遊技球誘導路ユニット4200に対して主制御基板1310が近接して配置されているので、主制御基板1310のコネクタ部材[図318(B)に示したコネクタ部材4503]が影響を受けやすい。よって、回避部ユニット4510を主制御基板1310に配置する[図318(B)参照]。
図319(C)に示す基板配置の遊技機の場合で振動発生源が右打ちによる遊技盤5と遊技球との衝突であるときには、振動発生源となる遊技球誘導路ユニット4200に対して主制御基板1310もパネル中継基板4161も近接して配置されている、と考慮すると、どちらの基板のコネクタ部材[図318(C)に示したコネクタ部材4501、コネクタ部材4502及びコネクタ部材4503]も振動の影響を受けやすい。よって、主制御基板1310にもパネル中継基板4161にもそれぞれ回避部ユニット4510を配置する[図318(C)参照]。
図319(D)は、振動発生源が操作ボタン410である場合を示している。例えば、遊技者が遊技に集中する余り、操作ボタン410を力んで殴打操作した場合や、特定演出時に遊技盤側演出表示装置1600にて「連打」のメッセージが表示され、遊技者が該メッセージを認識することにより、遊技者が操作ボタン410を連続して殴打した場合等、振動発生源が演出のための操作ボタン410への操作によるものであるときには、操作ボタン410が振動発生源となる場合が想定される。このような場合に対して図319(D)では、振動発生源となる操作ボタン410に対して主制御基板1310が近接して配置されているので、主制御基板1310のコネクタ部材[図318(B)に示したコネクタ部材4503]が振動の影響を受けやすい。よって、回避部ユニット4510を主制御基板1310に配置する[図318(B)参照]。
図319(D)に示した基板配置の遊技機の場合に限らず、図317(B)〜図317(D)に示した基板配置の遊技機の場合では、図318(A)〜図318(C)に示した回避部ユニット4510の配置パターンを採用することができる。
図319(E)は、振動発生源が球発射装置680の打球槌683(具体的な配置位置は図91を参照)である場合を示している。例えば、右打ちによる遊技では、球発射装置680の打球槌683による発射する遊技球に対する打力(弾発力)が大きくなり、この時の衝撃が振動発生源となることが想定される。このような場合に対して図319(E)では、振動発生源となる打球槌683に対してパネル中継基板4161が近接して配置されているので、パネル中継基板4161のコネクタ部材[図318(A)に示したコネクタ部材4501]が振動の影響を受けやすい。よって、回避部ユニット4510をパネル中継基板4161に配置する[図318(A)参照]。
図319(E)に示した基板配置の遊技機の場合に限らず、図317(B)〜図317(D)に示した基板配置の遊技機の場合であっても、図318(A)乃至図318(C)に示した回避部ユニット4510の配置パターンを採用することができる。
図319(F)は、振動発生源が音出力のためのスピーカ921(具体的な配置位置は図91を参照)である場合を示している。例えば、特定演出時に遊技状態を盛り上げるため大音量の効果音がスピーカ921から出力されるのであるが、この際のスピーカ921の振動が振動発生源となることが想定される。このような場合に対して図319(F)では、振動発生源となるスピーカ921に対してパネル中継基板4161が近接して配置されているので、パネル中継基板4161のコネクタ部材[図318(A)に示したコネクタ部材4501]が振動の影響を受けやすい。よって、回避部ユニット4510をパネル中継基板4161に配置する[図318(A)参照]。
図319(F)に示した基板配置の遊技機の場合に限らず、図317(A)、図317(B)及び図317(D)に示した基板配置の遊技機の場合であっても、図318(A)乃至図318(C)に示した回避部ユニット4510の配置パターンを採用することができる。
以上に示した振動発生源となる部材は、遊技機1において1つに限られるものではない。例えば、遊技球誘導路ユニット4200と打球槌683とを備えたもの、遊技球誘導路ユニット4200と操作ボタン410とを備えたもの等のように、遊技状態に応じて振動発生源となる部材も変化することが想定される。すなわち、振動発生源となる部材を複数個備えた遊技機が想定される。その場合であっても、図318(A)乃至図318(C)に示した回避部ユニット4510の配置パターンの何れかを採用することができる。
以上に説明したように、振動発生源との位置関係に考慮して、回避部ユニット4510をパネル中継基板4161や主制御基板1310に適切に配置することができる。また、回避部ユニット4510を適切に配置することによって、振動発生源となる部材からの振動によってコネクタ部材に緩みが生じ、これによって接触抵抗が発生した場合であっても、接触抵抗による検出センサ部4000やパネル中継基板4161からの信号の誤検知を回避することが可能である。
先にも述べたが、コネクタ部材によって信号伝達を行っている場合、コネクタ部材が腐食したり、コネクタ接続部分に塵埃が入り込むと、接触抵抗が発生する。また、コネクタ部材に振動が加わる場合も同様に接触抵抗が発生する。例えば、右打ちをして遊技しているとき等、多数の遊技球が連続的に集中して流下する遊技領域の特定部分からの振動がコネクタ部材に加わった場合、これによって接触抵抗が発生する虞がある。
このようなことが原因となって発生した接触抵抗に電流が流れると、接触抵抗の上流側の電位が持ち上がってしまい、本来の正常な状態とは異なる異常な電圧が検知回路部に入り込む虞がある。すなわち、検出センサの信号を誤検知する虞がある。
そこで、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を防止することが必要となる。上述のように、コネクタ部材に振動が加わると、検出センサからの信号の誤検知する虞が高まる。しかしながら、通常、パネル中継基板や主制御基板は、様々な条件から遊技盤におけるその配置が決定される。その際に各基板を振動から影響を受けることを避けるように配置することまで配慮されないことが多い。一方、影響する振動発生源としては、先に述べた右打ちによる遊技盤と遊技球との衝突によるものの他、例えば、演出ボタンの殴打操作によるもの、球発射装置の打球槌の打球動作、高出力のスピーカによる大音量等が挙げられる。
そこで、以下の述べる実施例は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接触抵抗による検出センサからの信号の誤検知を回避する回避部ユニットを提供することはもとより、振動発生源との位置関係に考慮して、回避部ユニットをパネル中継基板や主制御基板に適切に配置した遊技機に関するものである。
以上に説明した実施形態を総括すると以下の技術的手段として纏めることができる。
[手段1]に係る遊技機は、
遊技盤の所定位置に配置された検出センサ部と、遊技の進行を制御する主制御基板と、前記検出センサ部の検出信号を前記主制御基板に中継するパネル中継基板と、が備えられたものであって、上記課題を解決するために、
遊技球が打ち込まれる遊技領域の右側領域に、前記遊技球が右打ちされることにより連続的に右打ちされた遊技球が流下する遊技球誘導路ユニットが配置され、
前記主制御基板と前記パネル中継基板との少なくとも一方がコネクタ部材を有し、
前記コネクタ部材を有している基板が前記遊技球誘導路ユニットに近接して配置されており、前記主制御基板と前記パネル中継基板との何れか一方に、前記コネクタ部材に発生する接触抵抗による電圧の加算作用を回避するための回避部ユニットが設けられている、
ことを特徴とする。
[手段1]に係る遊技機によれば、振動発生源となる遊技球誘導路ユニットとの位置関係に考慮して、回避部ユニットをパネル中継基板及び主制御基板のうちの何れか一方に適切に配置することができる。また、回避部ユニットを適切に配置することによって、振動発生源となる部材からの振動によってコネクタ部材に緩みが生じ、これによって接触抵抗が発生した場合であっても、接触抵抗による検出センサ部やパネル中継基板からの信号の誤検知を回避することが可能である。
[手段2]に係る遊技機は、
遊技盤の所定位置に配置された検出センサ部と、遊技の進行を制御する主制御基板と、前記検出センサ部の検出信号を前記主制御基板に中継するパネル中継基板と、が備えられた遊技機において、
遊技者により演出のための所定の操作が可能とされた操作ボタンを有し、
前記主制御基板と前記パネル中継基板との少なくとも一方がコネクタ部材を有し、
前記コネクタ部材を有している基板が前記操作ボタンに近接して配置されており、前記主制御基板と前記パネル中継基板との何れか一方に、前記コネクタ部材に発生する接触抵抗による電圧の加算作用を回避するための回避部ユニットが設けられている、
ことを特徴とする。
[手段2]に係る遊技機によれば、振動発生源となる操作ボタンとの位置関係に考慮して、回避部ユニットをパネル中継基板及び主制御基板のうちの何れか一方に適切に配置することができる。また、回避部ユニットを適切に配置することによって、振動発生源となる部材からの振動によってコネクタ部材に緩みが生じ、これによって接触抵抗が発生した場合であっても、接触抵抗による検出センサ部やパネル中継基板からの信号の誤検知を回避することが可能である。
[手段3]に係る遊技機は、
遊技盤の所定位置に配置された検出センサ部と、遊技の進行を制御する主制御基板と、前記検出センサ部の検出信号を前記主制御基板に中継するパネル中継基板と、が備えられた遊技機において、
打球ハンドルへの操作に応じて遊技領域内に向けて遊技球を発射する球発射装置を有し、
前記主制御基板と前記パネル中継基板との少なくとも一方がコネクタ部材を有し、
前記コネクタ部材を有している基板が前記球発射装置の打球槌に近接して配置されており、前記主制御基板と前記パネル中継基板との何れか一方に、前記コネクタ部材に発生する接触抵抗による電圧の加算作用を回避するための回避部ユニットが設けられている、
ことを特徴とする。
[手段3]に係る遊技機によれば、振動発生源となる球発射装置の打球槌との位置関係に考慮して、回避部ユニットをパネル中継基板及び主制御基板のうちの何れか一方に適切に配置することができる。また、回避部ユニットを適切に配置することによって、振動発生源となる部材からの振動によってコネクタ部材に緩みが生じ、これによって接触抵抗が発生した場合であっても、接触抵抗による検出センサ部やパネル中継基板からの信号の誤検知を回避することが可能である。
[手段4]に係る遊技機は、
遊技盤の所定位置に配置された検出センサ部と、遊技の進行を制御する主制御基板と、前記検出センサ部の検出信号を前記主制御基板に中継するパネル中継基板と、が備えられた遊技機において、
音出力のためのスピーカを有し、
前記主制御基板と前記パネル中継基板との少なくとも一方がコネクタ部材を有し、
前記コネクタ部材を有している基板が前記スピーカに近接して配置されており、前記主制御基板と前記パネル中継基板との何れか一方に、前記コネクタ部材に発生する接触抵抗による電圧の加算作用を回避するための回避部ユニットが設けられている、
ことを特徴とする。
[手段4]に係る遊技機によれば、振動発生源となると高出力のスピーカの位置関係に考慮して、回避部ユニットをパネル中継基板及び主制御基板のうちの何れか一方に適切に配置することができる。また、回避部ユニットを適切に配置することによって、振動発生源となる部材からの振動によってコネクタ部材に緩みが生じ、これによって接触抵抗が発生した場合であっても、接触抵抗による検出センサ部やパネル中継基板からの信号の誤検知を回避することが可能である。
上記各実施形態の遊技機によれば、振動発生源となる遊技部材の位置関係に考慮して、回避部ユニットをパネル中継基板及び主制御基板のうちの何れか一方に適切に配置することができる。また、回避部ユニットを適切に配置することによって、振動発生源となる部材からの振動によってコネクタ部材に緩みが生じ、これによって接触抵抗が発生した場合であっても、接触抵抗による検出センサ部やパネル中継基板からの信号の誤検知を回避することが可能である。
上述した事情に限らず、昨今の遊技機では演出用に用いられるモータやソレノイド等の駆動源により電気的に駆動される可動演出体(可動役物)は複数個設けられることが一般的である。これらの可動役物については、その体積や動作範囲が増加傾向にあり、また動作範囲、ものによっては動作速度も拡大傾向にあって、可動方法も複雑化しているのが現状である。そのため、可動役物自体が振動発生源となり、コネクタ部材に緩みが生じ、これによって接触抵抗が発生することが考えられる。本発明の実施形態は、こうした場合であっても、接触抵抗による検出センサ部やパネル中継基板からの信号の誤検知を回避することが可能である。
ところで、複数の可動役物が初期位置にない場合には、所定の演出を正常に開始することができなく虞がある。
そのために、可動演出体の初期位置を確実に把握するために原点位置検出センサ(投光式及び受光式を一組としてなるフォトセンサが多く用いられている)が可動演出体もしくは駆動モータ内蔵直接型にあって、これらの検出信号を制御主体にフィードバックさせて制御に利用している。演出用の制御基板と駆動基板の電気的信号のやり取りは、やはりコネクタ部材並びにそれらを接続するハーネスによって実現されている。
具体的な図示は既に多く実施されているので図示は省略するが、上記可動演出役物の遊技盤面における配置位置は、例えば、遊技領域5aの上部背後(初期位置)、遊技領域5aの左側背後(初期位置)、遊技領域5aの中央部で左右に分かれた演出可動体が遊技パネルの中央部で合体演出するとか、遊技領域5aの中央下部(大入賞口ユニットの後方等)にある初期位置のものが上方に移動するとか、というように、その機種とバージョンの違いによって遊技機の特色性をアピールするために配置位置が様々に変化する。
さて、駆動データやそれを動作させるための各信号の送信と原点検出信号を正しく送受信できなくなれば、誤り検出ができなく虞があるばかりでなく、誤送信を起こす虞もあることが想定される。ここで、上述の回避部ユニット4166を原点位置検出センサの送信方向の後段において駆動基板上に設ける、又は、制御側の周辺制御基板1510に信号入力側に設けることが考慮される。
上記のように、急速に少なくとも2つの可動部材が合体する演出を行う場合にも、その時の衝突による振動が激しく伝わる虞が予想され、この場合にもそれなりの対策を抗じる必要がある。一具体例として図320(C)に示すように、ハッチングで示した左右の可動部材が遊技盤5の中央部で合体する激熱演出を実施する場合、周辺制御基板の配置位置や、左右の演出可動体の原点位置検出するセンサの配置箇所を考慮する必要が出て来る。
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[17−13.原点位置検出センサ部、駆動基板及びそれを制御する周辺制御基板の電気的接続]
図320(A)は、周辺制御基板1510と駆動基板4161と駆動手段及び可動演出体の原点位置を検出するための原点位置検出センサ4000についての主として電気的接続の基本的構成を示すブロック図である。
周辺制御基板1510は演出の進行を制御するもので、演出制御主体となる周辺制御MPU1530aが搭載された基板である。駆動基板4161は原点位置検出センサ部4000の検出信号を周辺制御基板1510に中継する基板でもある。
図320において、周辺制御基板1510は演出のための制御主体を行うもので、駆動基板4180は周辺制御基板1510から出力された駆動データを駆動源に出力するとともに少なくとも可動演出体の初期位置(原点位置検出センサ)の情報を入力して入力した情報を周辺制御基板1510に伝達し、周辺制御基板1510はこれを基に制御に用いるものとされている。駆動基板4161は駆動手段に駆動信号に応じた駆動電流を供給するためのものであり、その他、可動演出体に応じた駆動電流を供給するため初期位置を検出するための原点位置検出を駆動基板4161に受け渡す。図320(A)に示すように、これらの制御信号の送受信は、コネクタ部材4504、4505、4506による電気的接続によって行われている。
振動発生源演出のための可動部材の位置関係と周辺制御基板1510或いは駆動基板4161と原点位置検センサとを結ぶコネクタ部材の位置関係は様々であるので、このうち一方に「振動によるコネクタ接続の緩みが生じるのかという適切な影響を考慮して」回避ユニット4150を配置する。図320(A)又は図320(B)に示すように適宜配設することができる。このことによって、振動発生源となる部材からの振動によってコネクタ部材の緩みが生じ、これらによって接触抵抗が発生した場合であっても、接触抵抗による原点位置検出センサ4000や駆動基板からの信号の誤検知を回避することが可能である。
なお、可動役物を動作する際、コネクタにより接続される、駆動手段、原点位置検出センサ部、駆動基板、周辺制御基板でのコネクタ接続の緩みを問題視したが、当然、右打ち、操作ボタン、球発射装置、スピーカーを振動発生源と考えた場合にも適用される。
[17−14.複数の演出用の可動役物のグループ分け]
先にも述べたが、遊技機では演出用に用いられるモータやソレノイド等の駆動源により電気的に駆動される可動演出体(可動役物)は複数個設けられることが一般的である。これらの可動役物については、その体積や動作範囲が増加傾向にあり、また動作範囲、ものによっては動作速度も拡大傾向にあって、可動方法も複雑化している。さらに。異なる可動役物毎の可動範囲が交差する場合もある。
複数の可動役物のうちの1つに不具合が発生した場合、他の可動役物の動作状態はほとんど考慮されていないのが現状である。他の可動役物を考慮せず不具合が発生した可動役物のみで復帰動作を行わせると、他の可動役物に干渉してしまう虞がある。そうなると、遊技者に不安感を抱かせて遊技の興趣を低下させてしまう虞がある。
ここで、演出に可動役物を用いるためには、すべての可動役物を初期位置に復帰させる必要がある。また、役物が意図せず、何らかの原因で初期位置ではない箇所に停止している場合、可動役物を初期位置へ復旧させる動作を行うが、複数の役物が初期位置ではないとき、上述のように可動役物同士の可動範囲が交差するとっいたことを考慮しないと、復帰動作を行う際に、他の可動役物と物理的に干渉してすべての可動役物を初期位置に復帰させることができなくなる場合がある。なお、このような場合には、可動役物の物理的な干渉によって、普段とは異なる大きな振動等が発生することもあるが、前述のように回避部ユニット4166を備えているので、周辺制御基板1510においては、センサの検出信号の誤検知を回避することができる。
そこで、以下に説明する実施形態は、複数の役物の初期位置への復帰を確実に行うために、物理的に干渉する役物同士を1つのグループとしてまとめて管理し、グループ内の役物をあらかじめ定められた動作シーケンスで復帰動作を行うことで、初期位置ではない箇所からの復帰を確実に行わせるものである。
以下の実施形態において、複数の各可動役物は、動作を開始する初期位置から動作が終了するまでの作動位置までの動作範囲内を可動である。また、周辺制御基板1510において、複数の各可動役物は、動作範囲同士が互いに干渉しない複数のグループに区分けされ、かつ少なくとも1つのグループにあっては動作範囲同士が互いに干渉する複数の可動役物を含んでいる。
また、複数の可動役物はそれぞれについてあらかじめ設定された初期位置を検出する初期位置検出センサ(例えば、フォトセンサ)を備えている。周辺制御基板1510は、動作範囲同士が互いに干渉する複数の可動役物を含んだグループ内の複数の可動役物のうち1つでも初期位置が検出されない不具合があったときには、あらかじめ定められた動作シーケンスに従って当該グループ内のすべての可動役物をそれぞれの初期位置に復帰動作させる。
図321は、遊技機1に設けられた演出用の複数の可動役物と、複数の可動役物のグループ分けを概念的に示した正面図である。図321に示すように、遊技機1の中央部には役物グループ01(符号5000)が配設され、遊技機1の右側部には役物グループ02(符号5002)が配設され、遊技機1の左側部には役物グループ03(符号5004)が配設され、遊技機1の上部略中央には役物グループ04(符号5006)が配設され、遊技機1の下部略中央には役物グループ05(符号5008)が配設されている。つまり、5つの役物グループを遊技機1は有している。
5つの役物グループ01〜05は、互いに動作範囲内で物理干渉しないようになっている。より具体的には、役物グループ01は、仮面役物、胴体変形左役物、胴体変形右役物、胴体格納−出現役物、上液晶駆動役物、下液晶駆動役物で構成されている。役物グループ02は右肩役物のみで構成され、役物グループ03は左肩役物のみで構成され、役物グループ04は顔役物のみで構成され、役物グループ05はポップアップ役物のみで構成されている。
よって、物理干渉する役物は同一グループとされている。上記の例では、役物グループ01に属する仮面役物、胴体変形左役物、胴体変形右役物、胴体格納−出現役物、上液晶駆動役物、下液晶駆動役物は、動作範囲同士が互いに干渉するものとされている。
周辺制御基板1510は、この例では、役物グループ01に属している複数の可動役物のうち1つでも初期位置が検出されない不具合があったときには、あらかじめ定められた動作シーケンスに従って当該グループ内のすべての可動役物をそれぞれの初期位置に復帰動作させる。
より具体的には、同一グループ(役物グループ01)内の可動役物のひとつでもフォト異常と判断された場合は、グループ内の役物はすべて動作を停止させる。なお、フォト異常とは、可動役物があらかじめ規定された初期位置に戻っていないことを意味する。グループにおける役物補正動作は、問題のある場所にある可動役物だけではなく、あらかじめ定められた役物補正モータシーケンスデータを用いて、グループ内のすべての可動役物を動作させることで、問題のある可動役物の正しい初期位置への復旧を行う。
役物補正モータシーケンスデータとは、主として駆動するモータの駆動順序とその動作時間(換言すると、駆動開始タイミング並びに駆動終了タイミング)等が定義されているものであり、周辺制御基板1510の周辺制御ROM1530bに記憶されている。上述の役物グループ01の場合であると、可動役物は6つあるので、これら6つの可動役物を駆動させる駆動源としてのモータをそれぞれモータA(仮面役物)、モータB(胴体変形左役物)、モータC(胴体変形右役物)、モータD(胴体格納−出現役物)、モータE(上液晶駆動役物)、モータF(下液晶駆動役物)、と呼ぶことにする。
初期位置への復旧動作を行う場合、駆動させるモータを1つずつ順番に駆動させるようにしてもよいが、これに限らず、可動役物同士の物理的な干渉が起こりえない場合には、駆動させるモータを複数駆動させるようにしてもよい。例えば、駆動開始時間をずらして一緒に駆動させたり、複数同時に駆動させるようにしてもよい。
例えば、胴体格納−出現役物(モータD)についてフォト異常が検出されたと仮定する。図322は、一例として、この時に行われる初期位置への復旧動作を行う場合のタイミングチャートである。図322において、時刻t0に初期位置への復旧動作が開始されている。時刻t0ではまずモータAが駆動され、時刻t1でモータAの駆動が停止される。
これと同時に、すなわち、時刻t1にモータB及びモータCが同時に駆動されている。この後、時刻t2にはモータE及びモータFが同時に駆動されている。さらにこの後、時刻t3にモータB及びモータCが同時に駆動停止されている。この後、時刻t4にモータE及びモータFが同時に駆動停止されている。また、同時刻t4に、モータDが駆動されている。そうして、時刻t5に、モータDの駆動が停止されている。すなわち、時刻t5に初期位置への復旧動作が終了されている。なお、各モータの駆動停止は、フォト検出が正常であることが条件となる。
なお、異なるクループ同士は物理的に干渉することがないため、並行して復帰動作を行ってもよい。
[14.スケジューラによる演出制御]
遊技機は、音声出力、ランプの点灯・点滅、画像の表示などによって、遊技中に種々の演出が行われ、遊技の興趣を高めるために、種々の趣向を凝らした演出が試みられている。遊技機は、前述したように、主制御基板1310から出力されるコマンドに基づいて演出制御装置である周辺制御基板1510によって複数種類の演出装置を制御して遊技の遊技状態に応じた演出を実行する。主制御基板1310と周辺制御基板1510とは、単方向で信号伝達を行う単方向信号線で接続されている。
複数種類の演出を連携して実行するために、例えば、特開平7−313694号公報には、シナリオデータを用いて、多様な演出表示を実現する制御技術を開示している。シナリオデータとは、画面に表示する図柄を時系列で順次規定したデータである。このシナリオデータに従って、指定された図柄を順次表示させる汎用的な処理を実現する制御処理を用意しておくことにより、シナリオデータを切り換えるだけで多種多様な演出表示を容易に実現できる利点がある。シナリオデータには、BGMの指定を含めることも可能である。この場合は、音源ICが指定されたBGMを出力することによって、表示画面に対応した音声を出力させることが可能となる。
しかしながら、遊技機では、更に趣向を凝らした演出が求められている。上述の従来技術では、音声出力、ランプの点灯、画像の表示など、複数の演出装置を連動させて多様な演出を行うことが困難であった。例えば、シナリオデータに従った画像表示を実行している間にBGMを変更することはできなかった。また、画像表示の途中で、ユーザの操作に応じて効果音を出力する場合には、画像の表示及びBGMの出力を停止し、効果音を出力していた。効果音の出力が終わると、BGMがどこまで演奏されていたかに関わらず、また最初からBGM及び画像表示が再開され、違和感を与える演出となっていた。ランプの点灯・点滅については、遊技状態に応じて、画像表示の内容とは無関係に、個別のプログラムによって制御されており、画像表示に連動した多種多様な点灯・点滅を実現することは困難であった。
[18−1.周辺制御部におけるソフトウェア構成]
本実施形態の遊技機では、周辺制御基板1510に備えられる周辺制御部1530が主制御基板1310からのメインコマンドを受信し、遊技の演出を実行する。本実施形態では、受信したメインコマンドに基づいて演出を実行する各構成をソフトウェアとして構成しているが、ハードウェアとして構成してもよい。以下、本実施形態における演出制御を実現するための機能の構成及び概要を説明した後、各機能の詳細について説明する。
[18−1−1.各機能の構成及び概要]
図323は、本実施形態における演出制御を実行するための機能の構成及び概要を説明する機能ブロック図である。周辺制御部1530は、入力コマンド解析部5010、演出制御部5020、レイヤデータ記憶部5030、演出ブロック制御部5040、演出ブロックデータ記憶部5050、スケジューラ実行部5060、スケジューラーデータ記憶部5070及び出力モジュール部5080を備える。
入力コマンド解析部5010は、メインコマンドの入力を受け付け、入力されたコマンドを解析する。演出制御部5020は、メインコマンドの解析結果に基づいて、レイヤデータ記憶部5030からレイヤデータを取得し、ブロック制御情報(演出ブロック番号)を決定する。レイヤについて説明すると、本実施形態では、背景やキャラクタなどの演出区分ごとにレイヤを設定し、各レイヤに各演出要素を描画して、これらのレイヤを重ねて表示することで液晶表示装置に画像を出力する。これにより、例えば、背景のみが異なり、キャラクタの表示(動作)が同じであれば、キャラクタを表示するレイヤを共通化することが可能となる。これにより、演出データ(スケジューラーデータ)の容量を削減したり、開発効率を向上させたりすることができる。レイヤデータ記憶部5030には、レイヤ毎の演出を特定するための情報などが格納される。
演出ブロック制御部5040は、演出制御部5020で決定されたブロック制御情報(演出ブロック番号)を受け取り、演出ブロック番号に対応した演出ブロックデータを演出ブロックデータ記憶部5050から取得する。演出ブロックデータには演出を実行するためのスケジューラーデータが含まれる。スケジューラーデータとは、各演出装置における演出の制御を行うために、演出装置に応じて要求される複数の処理のうち実行すべき所定の処理を指示するファンクションを、実行すべき順序で複数格納したデータである。演出ブロックデータは、液晶表示装置に表示する演出を実行するための「液晶演出ブロックデータ」と、液晶表示装置に識別図柄を変動表示するための「液晶図柄ブロックデータ」と、サウンド(音)、ランプ、役物などを制御するための「サブ演出ブロックデータ」との3種類がある。演出ブロック制御部5040は、演出ブロックデータの種類に応じた制御を実行し、演出ブロックデータを含むスケジューラ制御情報をスケジューラ実行部5060に受け渡す。
スケジューラ実行部5060は、演出ブロックデータに含まれるスケジューラーデータをスケジューラーデータ記憶部5070から取得する。そして、スケジューラーデータを実行し、各演出装置に対応したファンクションを呼び出し、出力モジュール部5080に演出装置制御情報を送信する。
出力モジュール部5080は、スケジューラ実行部5060から演出装置制御情報を受け取り、当該演出装置制御情報に基づいて各演出装置に演出装置駆動データを送信する。各演出装置は、演出装置駆動データに基づく動作を行う。出力モジュール部5080は、演出制御装置(周辺制御基板1530)に備えられたCPU(周辺制御MPU1530a)によって演出制御部5020がソフトウェア的に構成されており、当該CPUが別のコンピュータプログラムを実行することによって実現している。なお、演出制御部5020と別の演算回路によって構成し、ハードウェアとして構成してもよい。
[18−1−2.モジュール構成]
続いて、前述した各機能を実現するモジュール等の構成の詳細について説明する。図324は、本実施形態の遊技機の周辺制御部1530におけるモジュール等の構成の一例を示す図である。各構成は、周辺制御部1530の周辺制御MPU1530aが実行するコンピュータプログラムによってソフトウェアとして構成されているが、一部又は全部をハードウェアとして構成してもよい。
本実施形態では、各演出装置を駆動するためのシステムモジュール5100が周辺制御部1530によって処理される。システムモジュール5100には、演出に関するモジュールとして、コマンド解析モジュール5200、液晶モジュール5400、サウンドモジュール5500、ランプモジュール5600及び駆動装置モジュール5700などが含まれる。また、メインコマンドに基づいて各演出装置を駆動するための演出装置制御情報を作成するための演出制御部5020が含まれる。
システムモジュール5100は、メインコマンドバッファ5110、液晶ディスプレイリストコマンドバッファ5120、ランプデータ出力バッファ5130、モータデータ出力バッファ5140及びシリアル制御IC5150を含む。メインコマンドバッファ5110は、主制御基板1310から送信されるメインコマンドを受信し、コマンド解析モジュール5200に受け渡す。本実施形態では、メインコマンドは3バイトワンセットの情報であり、先頭バイトから順にコマンドステータス値、コマンドモード値、コマンドステータスとモード値のチェックサム値となっており、8ビットずつ3回に分けて出力される、メインコマンドバッファ5110で、この信号を受信して、チェックサム値を評価し、受信したコマンドが正しいと判断されなかった場合には、受信したコマンドを破棄し、また正しいコマンドと判断された場合には、コマンド解析モジュール5200に受け渡す。
メインコマンドには、遊技状態や遊技機の動作状態のうち演出に関連する内容を表す情報が含まれる。例えば、始動入賞口等への遊技球の入賞の有無、特図抽選の結果、特別図柄の変動パターン(変動時間)などをメインコマンドに含めることができる。また、本実施形態をスロットマシンに適用する場合には、扉開放その他のセンサ出力や、始動レバーや停止ボタンの操作、リールの回転や停止、停止時の役の成否などが挙げられる。なお、ここに挙げたコマンドは例示であり、遊技機の機種や、演出内容に応じて種々のコマンドを含めることができる。
コマンド解析モジュール5200は、入力コマンド解析部5010に含まれ、メインコマンドの内容を解析し、演出に関わるコマンドか否かを判定する。演出に関わるコマンドと判定された場合には、演出制御部5020に受け渡す。
演出制御部5020は、メインコマンドの解析結果に基づいて、演出制御の対象となるレイヤをレイヤーデータテーブルから特定する。そして、特定されたレイヤからブロックデータ番号(演出ブロック番号)を取得し、各レイヤに対応するブロックデータ番号を演出ブロック制御部5040に送信する。
演出ブロック制御部5040は、液晶演出ブロック制御部5310及びサブ演出ブロック制御部5320を含む。液晶演出ブロック制御部5310は、液晶表示装置に画像を表示する演出を実行するための制御情報を決定する。サブ演出ブロック制御部5320は、音出力やランプの点灯・点滅、役物の動作などを実行するための制御情報を決定する。
液晶演出ブロック制御部5310は、演出ブロック番号が決定されると、当該演出ブロック番号に対応する液晶演出ブロックデータを実行する。液晶演出ブロックデータは、液晶表示演出を実行するためのブロックデータであり、一又は複数の描画スケジューラーデータを含む。描画スケジューラーデータを実行することによって、背景、キャラクタ、識別図柄などが液晶表示装置に表示される。
液晶演出ブロック制御部5310は、制御(表示)対象に応じたスケジューラ実行部5060を起動し、ブロックデータに含まれる描画スケジューラーデータを実行する。液晶表示用のスケジューラ実行部5060には、背景、キャラクタなどの演出要素を表示するための液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331と、識別図柄を表示するための液晶図柄1f描画スケジューラ実行部5332とが含まれる。
液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331及び液晶図柄1f描画スケジューラ実行部5332は、画面の更新周期であるフレーム周期(1f=約33.334ミリ秒)で実行される。液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331及び液晶図柄1f描画スケジューラ実行部5332は、液晶演出ブロックデータで特定される描画スケジューラーデータを描画スケジューラで駆動し、液晶モジュール5400によって液晶ディスプレイリストコマンドを生成する。液晶ディスプレイリストコマンドは、液晶ディスプレイリストコマンドバッファ5120を介して、演出表示装置(遊技盤側液晶表示装置1600、扉枠側液晶表示装置460)に受け渡される。
音源内蔵VDP1540aは、液晶ディスプレイリストコマンドバッファ5120に基づき表示データを生成し、演出表示装置(遊技盤側液晶表示装置1600、扉枠側液晶表示装置460)に出力する。表示データは、例えば、液晶ディスプレイリストコマンドで指定されたキャラクタデータを指定された位置にフレームバッファ上に展開する方法で生成する。
サブ演出ブロック制御部5320は、演出ブロック番号が決定されると、当該演出ブロック番号に対応するサブ演出ブロックデータを実行する。サブ演出ブロックデータは、ランプ、音、モータの各演出を実行するためのブロックデータであり、一又は複数のサブ演出スケジューラーデータを含む。サブ演出スケジューラーデータを実行することによって、ランプ、音、モータの各演出装置が、サブ演出スケジューラーデータに予め定義された動作を行う。
サブ演出ブロック制御部5320は、各種演出装置の実行周期に応じたスケジューラ実行部5060を起動し、サブ演出ブロックデータに含まれるサブ演出スケジューラーデータを実行する。各種演出装置制御用のスケジューラ実行部5060には、1フレーム間隔で演出装置を制御するサブ演出1fスケジューラ実行部5333と、1ミリ秒間隔で演出装置を制御するサブ演出1msスケジューラ実行部5334とが含まれる。このように、実行間隔に応じたスケジューラ実行部を備えることによって遊技機の構成や演出装置の要求仕様に応じて演出を実行することが可能となる。例えば、1fは描画の更新間隔に対応するため、音出力や役物の動作などを液晶表示と同期させることが可能となる。また、センサの検出間隔が1ms単位であれば、役物の動作に不具合が生じた場合に迅速に対応することが可能となる。
サブ演出ブロック制御部5320は、液晶表示以外の演出制御を実行するが、本実施形態では、例として、サウンド(音)出力、ランプの点灯・点滅、役物の動作の3種類の演出制御について説明する。なお、サブ演出1fスケジューラ実行部5333とサブ演出1msスケジューラ実行部5334による演出制御は、実行周期以外は同じものとして特に区別することなく説明する。以下、演出装置の種類に応じた制御の概要について説明する。
まず、サウンド(音)出力による演出を実行する場合について説明する。サブ演出ブロックデータに音出力用のスケジューラーデータが含まれていると、スケジューラ実行部5060が音出力用のスケジューラを起動し、当該スケジューラーデータを実行する。そして、音出力用のファンクション(例えば、SPLAY)を実行すると、指定されたパラメータに基づいてサウンドモジュール5500が音源駆動データ(音源コマンド)を生成する。なお、スケジューラは複数起動することが可能となっており、例えば、BGMと演出効果音の出力を異なるスケジューラで制御することによって並行して音源駆動データを生成し、同時に音を出力することができる。音源内蔵VDP1540aは、音源駆動データで指定された音源データを液晶及び音ROM1540bから読み出し、オーディオデータ送信IC1540cによってスピーカ921、573から出力する。
次に、ランプによる演出を実行する場合について説明する。サブ演出ブロックデータにランプ制御用のスケジューラーデータが含まれていると、スケジューラ実行部がランプ用スケジューラを起動し、当該スケジューラーデータを実行する。そして、ランプ制御用のファンクション(例えば、HPLAY)を実行すると、指定されたパラメータに基づいてランプモジュール5600がランプ駆動データを生成する。なお、音出力の場合と同様にスケジューラを複数起動することが可能となっており、複数のランプやレイヤを並行して制御することができる。
ランプモジュール5600は、ランプ駆動データを周期(1フレーム又は1ミリ秒)毎に作成し、ランプデータ出力バッファ5130に出力する。ランプデータ出力バッファ5130は、ダブルバッファ構造を有しており、ランプモジュール5600によって生成されたランプ駆動データを一時的に格納し、シリアル制御IC5150に出力する。ランプデータ出力バッファ5130をダブルバッファにすることによって単一周期でランプデータの作成と出力を同時に行うことができる。このように構成することによって、ランプの系統が増加したり、ランプのレイヤーを重ね合わせたりすることによるランプ制御の処理時間の増加に対して、ランプデータの出力をランプデータの作成の次の動作周期とすることで、ランプデータの作成に関わる処理が処理周期内で終了すれば良いことになる。
具体的には、ランプデータ出力バッファ5130がバッファAとバッファBとによって構成されている場合、例えば、バッファAに前回作成済みのランプ駆動データが格納されていればバッファBに次周期用のデータを出力し、バッファAから前回作成済みのランプ駆動データをDMAによってシリアル制御IC5150に出力し、各ランプを点灯・点滅させる。次の周期では、バッファを切り替え、ランプモジュール5600からバッファAにランプ駆動データを出力し、バッファBに格納されたランプ駆動データをシリアル制御IC5150に出力する。なお、LEDの点灯・点滅を制御する場合についてもランプと同様であり、ランプの制御についての説明は特に断りのない限りLEDに置き換えることができる。
最後に、役物を動作させるための駆動装置(例えば、モータ、ソレノイド)を制御する場合について説明する。サブ演出ブロックデータに駆動装置制御用のスケジューラーデータが含まれていると、スケジューラ実行部が駆動装置用スケジューラ(モータスケジューラ)を起動し、当該スケジューラーデータを実行する。そして、駆動装置制御用のファンクション(例えば、MPLAY)を実行すると、指定されたパラメータに基づいて駆動装置モジュール5700がランプ駆動データを生成する。なお、音出力の場合と同様にスケジューラを複数起動することが可能となっており、複数の駆動装置を並行して制御することができる。
駆動装置モジュール5700は、モータ駆動データを周期毎に作成し、モータデータ出力バッファ5140に出力する。本実施形態では、1ミリ秒周期でモータ駆動データの作成及び出力が行われる。モータデータ出力バッファ5140は、駆動装置モジュール5700によって生成されたモータ駆動データを一時的に格納し、シリアル制御IC5150に出力する。なお、モータ駆動データは、DMAによらずに周辺制御MPU1530aのシリアルポートから出力される。ただし、各駆動装置にモータデータを反映するためのラッチ信号の出力は、モータデータ出力バッファ5140からシリアル制御IC5150に出力するタイミングと同一タイミングではなく、全モータデータ送信の次の周期でラッチ信号を出力している。これはラッチ信号の出力タイミングが、全モータデータのシリアル送信完了後になるため、モータデータのシリアル送信時間が長くなるにつれて、シリアル送信完了までの待ち時間がオーバーヘッドとなり、フレーム周期毎の全体の処理時間が足りなくなるためである。本実施形態ではモータデータシリアル送信と対応するラッチ信号出力のタイミングをずらすことで、シリアル送信完了までの待ち時間を0にすることを実現しているが、使用するCPUにより、DMAを複数使用できる場合には、モータ駆動データをDMAを用いてシリアル送信し、DMA完了割り込みでラッチ信号を出力することで、同じようにシリアル送信完了までの待ち時間を0にすることができる。また、モータ駆動データの出力と同時に、演出駆動フォト情報が駆動装置モジュール5700(周辺制御MPU1530a)に入力される。各演出駆動フォト情報はパラレルシリアル制御IC経由でシリアル通信で受信される。
[18−2.データ構成]
本実施形態において、スケジューラーデータは、種々の構造を採ることができる。例えば、他のスケジューラーデータをスケジューラーデータの一部として取り込むためのコールファンクションを設けてもよい。スケジューラ実行部5060は、スケジューラーデータで規定された処理を順次実行するとともに、コールファンクションの実行時には、一旦、コールファンクションで指定された他のスケジューラーデータを実行した後、元のスケジューラーデータの処理を継続して実行することになる。こうすることにより、一般のプログラムにおいてサブルーチンをコールするのと同じように、汎用的な演出内容を、種々の場面で活用することが可能となる。
この機能は、単にスケジューラーデータを作成する負荷を軽減できるというだけでなく、次に示す通り、遊技機に特有の効果も有する。遊技機では、遊技中に種々の抽選等が行われ、その結果に応じて遊技の展開が変わってくる。遊技者の中には、抽選中の演出内容の微妙な違いを見つけて、抽選結果等を推測することができる者もいる。これに対し、本実施形態では、コールファンクションによって、汎用的な演出内容を種々の場面で活用することができるため、こうした微妙な違いを解消することができ、抽選結果等を予測しづらくすることができ、遊技の興趣が損なわれるのを抑制することができるのである。
スケジューラーデータは、また別の構成として、遊技状態に応じて演出内容を切り替える条件分岐ファンクションを含めるようにしてもよい。スケジューラ実行部5060は、スケジューラーデータで規定された処理を順次実行するとともに、条件分岐ファンクションの実行時には、メインコマンドに基づいて遊技状態を判定し、遊技状態に応じた演出内容を実行することになる。こうすることにより、一つのスケジューラーデータで、多種多様に分岐する遊技状態に対応することが可能となる。条件分岐に用いられる遊技状態としては、例えば、遊技中に行われる抽選の結果や、遊技者によるボタン等の操作の有無などが挙げられる。回胴式遊技機では、回転リールの停止状態、パチンコ機では始動入賞口への入賞状態などを用いてもよい。また、遊技中のエラー発生の有無によって条件分岐するようにしてもよい。
条件分岐後の演出内容も種々の構成が可能である。例えば、条件分岐以後は、2つ以上の処理に完全に分離される構成としてもよい。また、条件分岐によって所定の処理を行った後は、分岐前の処理に復帰するように構成してもよい。後者の態様によれば、例えば、遊技中にボタンが押された場合に一時的に効果音を出力する処理を実行した後、従前の演出に違和感なく復帰させることが可能となる。
先に説明した通り、遊技機には、種々の演出装置を含めることができ、一例として、画像を表示するための表示装置を含めることもできる。表示装置としては、液晶パネル、CRT、有機ELパネル、プラズマディスプレイなど、画像を表示可能な種々の装置を用いることができる。表示装置の表示内容は、画像処理装置によって制御される。画像処理装置は、所定の表示コマンドに従って画像をビットマップ展開し、表示装置に画像を表示するための表示データを生成する装置である。例えば、VDP(Video Display Processor)と、画面に表示するキャラクタ等をビットマップで用意したキャラクタROMなどの組合せで構成することができる。
[18−3.演出制御の基本概念]
図325は、本実施形態の遊技機における演出制御の基本概念を示す説明図である。ここでは、主な演出制御がファンクションを含むスケジューラーデータを実行することによって実行されるサブ演出の場合について説明し、特に、サウンド(音)出力を例として説明する。
スケジューラ実行部5060(サブ演出スケジューラ実行部5320)は、演出実行時に演出装置に応じた種類及び数のスケジューラ5502を起動する。スケジューラ実行部5060は、サブ演出ブロックデータに指定されたスケジューラーデータをスケジューラーデータ記憶部5070から取得し、当該スケジューラーデータに含まれるファンクションを実行する。スケジューラーデータの構造については後述する。
音出力時に実行されるサウンド用ファンクションには、フレーズを再生させる「SPLAY」、再生中のフレーズを停止させる「STOP_PH」、フレーズ再生時のボリュームレベルを設定する「VOL_PH」などが含まれる。これらのサウンド用ファンクションは、サウンドモジュール5500によって処理され、パラメータなどによって指定された制御が実行される。サウンドモジュール5500は、サウンド用ファンクションの実行を受け付けると、音源駆動データを生成し、音源駆動データを音源内蔵VDP1540aに対して出力する。
サウンドモジュール5500によって処理されたファンクションによって、指定されたチャンネルに対応する音の出力が制御される。本実施形態の遊技機では、32個のチャンネルが設けられているが、理解を容易にするためにチャンネル数を4として説明する。また、各チャンネルによって出力される音は、ボリューム5506v[1]〜[4]を介してスピーカ[1]〜[4]から出力される。なお、ここに図示したスピーカ[1]〜[4]は、各チャンネルCh1〜Ch4の出力を模式的に表したものであり、遊技機に設けられた物理的ないずれか一つのスピーカと対応していることを意味している訳ではない。
スケジューラ5502と出力チャンネルとの対応関係は、チャンネルCh1〜Ch4に対応づけて設けられたチャンネル管理用ワーク5507[1]〜5507[4]によって管理される。図の右下にチャンネル管理用ワーク5507のデータ構造を例示した。ワーク5507には、フレーズ番号、ステレオ再生フラグ、出力ボリューム、ループ属性が格納される。フレーズ番号は、現在、どのフレーズが再生されているのかを示す情報である。ステレオ再生フラグは、ステレオ出力するか否かを表している。出力ボリュームはチャンネルごとのボリュームである。ループ属性は、繰り返し再生するか否かの指定である。これらの情報は、サウンド用ファンクションに基づいてサウンドモジュール5500によって指定される。
以上、図325では音(サウンド)出力制御を例として本実施形態における演出制御の基本概念を示した。サブ演出スケジューラ実行部は、サブ演出ブロックデータで指定されたスケジューラを起動し、当該スケジューラ上でスケジューラーデータを実行する。スケジューラーデータが実行されると、各演出装置を制御するファンクションが呼び出され、各演出装置に対応するモジュール(サウンドモジュール5500、ランプモジュール5600、駆動装置モジュール5700)によって処理される。
[18−4.演出制御におけるデータの流れ]
以上、遊技機の演出制御におけるモジュール構成及び制御の基本概念について説明した。続いて、メインコマンドを受信してからスケジューラーデータを取得するまでの演出制御の流れについて説明する。
[18−4−1.演出制御に必要なデータの取得]
図326Aは、本実施形態の遊技機の演出制御に必要なデータを取得するまでの構成を説明する図である。演出制御部5020は、図324にて説明したように、主制御基板1310からメインコマンドを受信すると、コマンド解析モジュール5200によって解析し、解析結果を演出制御部5020に通知する。
演出制御部5020は、レイヤデータテーブルを元に、各レイヤ、変動パターンレイヤ(変動パターンに関わる演出を行うレイヤ)、保留レイヤ(保留演出に関わる演出を行うレイヤ)、遊技指示レイヤ(遊技指示を行うレイヤ)、通信エラーレイヤ(通信エラーの報知を行うレイヤ)、報知レイヤ(各種報知を行うレイヤ)、異常報知レイヤ(異常報知を行うレイヤ)毎に、コマンド解析モジュール5200による解析結果に基づいて、各レイヤ毎に対応する演出ブロックデータ番号の取得及び更新管理を行う。また、取得した演出ブロックデータ番号を演出ブロック制御部5040に引き渡す。演出ブロック番号は、例えば、変動パターンレイヤであれば、変動パターン番号に基づいて、変動パターン別液晶演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル、変動パターン別液晶図柄ブロックデータ組み合わせ番号テーブル、変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブルから決定される。演出ブロックの分割の単位は、一連の演出(例えば、特別図柄の変動が開始されてから停止するまでに実行される演出)内で共通の演出となる所定単位(ブロック)に分割される。また、ブロックごとに各演出装置毎の演出内容、演出時間などの制御情報を含むブロックデータが定義される。演出ブロック番号に基づき演出ブロック単位で演出を制御することによって各演出装置による演出を同期させることができる。また、レイヤの並びは液晶表示上のレイヤと対応しており、本実施形態であれば、変動パターンレイヤは最背面、異常報知レイヤは最前面となり、これは重要な情報ほど、前面に表示するための構成である。
演出ブロック制御部5040は、各レイヤに対応するブロックデータ番号(演出ブロック番号)を受信すると、各レイヤに対応するスケジューラ制御部(液晶演出ブロック制御部5310、液晶図柄ブロック制御部5311、サブ演出ブロック制御部5320)によって、対応するブロックデータ(液晶演出ブロックデータ5051、液晶図柄ブロックデータ5052、サブ演出ブロックデータ5053)を取得する。各ブロックデータには、前述のように、演出を実行するためのスケジューラーデータが含まれる。
例えば、メインコマンドが始動入賞コマンドの場合には保留レイヤが特定され、液晶表示画面上に保留表示を行うための液晶演出ブロックデータ5051や始動入賞時の効果音を出力するためのサブ演出ブロックデータ5053が取得される。また、特別図柄の変動開始時には、変動開始コマンドなどが送信され、変動パターンレイヤが特定される。さらに、エラーの発生や警告を報知する場合にもコマンドが送信され、異常検知レイヤが特定される。また、レイヤ毎に演出を行うことで複数の演出を同時に重ねて行うことができる。
液晶演出ブロック制御部5310は、液晶演出ブロックデータ番号を元に、各レイヤに対応する液晶演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブルから、液晶演出ブロックデータ5051を取得すると、液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331によって液晶演出1fスケジューラを起動する。液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331は、さらに、液晶演出スケジュールデータ5071を取得する。そして、液晶演出1fスケジューラ上で液晶演出スケジュールデータ5071を実行することによって、液晶演出スケジュールデータ5071に定義されたファンクションの処理を液晶モジュール5400に指示する。液晶モジュール5400は、指定されたスケジューラーデータに基づいて実行を指示されたファンクションを処理し、VDP1540aを駆動するために必要なディスプレイリストコマンドを作成し、VDP1540aに当該ディスプレイリストコマンドを出力し、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460に画像を描画する。液晶演出1fスケジューラにおける処理は、画面の更新間隔(1フレーム)に同期して実行される。
また、液晶図柄ブロック制御部5311は、液晶図柄ブロックデータ番号を元に、各レイヤに対応する液晶図柄ブロックデータ組み合わせ番号テーブルから、液晶図柄ブロックデータ5052を取得すると、液晶図柄1f描画スケジューラ実行部5332によって液晶図柄1fスケジューラを起動する。液晶図柄1f描画スケジューラ実行部5332は、さらに、液晶図柄スケジュールデータ5072を取得する。そして、液晶図柄1fスケジューラ上で液晶図柄スケジュールデータ5072を実行することによって、液晶図柄スケジュールデータ5072に定義されたファンクションの処理を液晶モジュール5400に指示する。液晶モジュール5400は、指定されたスケジューラーデータに基づいて実行を指示されたファンクションを処理し、VDP1540aを駆動するために必要なディスプレイリストコマンドを作成し、VDP1540aに当該ディスプレイリストコマンドを出力し、遊技盤側演出表示装置1600及び扉枠側演出表示装置460に画像を描画する。液晶図柄1fスケジューラにおける処理は、画面の更新間隔(1フレーム)に同期して実行される。
サブ演出ブロック制御部5320は、サブ演出ブロックデータ5053を取得すると、サブ演出ブロックデータ5053に指定された情報などに基づいて、実行周期(1フレーム又は1ミリ秒)を特定する。そして、実行周期が1フレームの場合にはサブ演出1fスケジューラ実行部5333によってサブ演出1fスケジューラを起動し、又は、実行周期が1ミリ秒の場合にはサブ演出1msスケジューラ実行部5334によってサブ演出1msスケジューラを起動する。
さらに、サブ演出1fスケジューラ実行部5333又はサブ演出1msスケジューラ実行部5334は、サブ演出スケジュールデータ5073を取得し、対応するスケジューラ上で実行する。サブ演出スケジュールデータ5073は、実行周期による差違はなく、すべてのファンクションをすべての実行周期のスケジューラで実行可能である。これにより、実行周期の異なるスケジューラで共通で使用するスケジューラデータの作成が可能となり、データ容量の削減となる。また、演出装置の実行周期の変更にも迅速に対応できる。また、同一のスケジュールデータを別々のスケジューラで同時に実行可能であり、これによりスケジューラデータの共有化が可能となり、同種の不具合が複数個所で発生することを防ぎ、データ容量の削減も実現することができる。
ここで、同一のスケジュールデータを別々のスケジューラで同時に実行する具体例について説明する。図326Bは、本実施形態のステップアップ予告の液晶描画演出を説明する図である。ステップアップ予告には、ステップアップ予告1から4までの4種類が実行可能となっており、段階的に演出内容を発展させた演出を実行することにより、遊技者に図柄の変動表示結果の期待度を示唆する。
ステップアップ予告1では、ステップアップ1演出が実行されると予告演出が終了する。ステップアップ予告2では、ステップアップ1演出の終了間際にステップアップ2演出が発生し、ステップアップ2演出の終了後、予告演出が終了する。ステップアップ予告3、4に関しても同様に演出が実行され、それぞれステップアップ3演出、ステップアップ4演出の終了後、予告演出が終了する。
ステップアップ予告では、液晶演出に合わせて、音及びランプもステップアップ予告演出を実行する。音の演出ではステップアップ演出の各段階で異なる音を出力するため、演出の進行状況(段階)ごとに、ステップ1からステップ4までの4種類のスケジューラーデータが定義される。一方、ランプの演出では、ステップアップ演出の各段階で同じランプパターンを表示するため、共通のランプ用スケジューラーデータを1種類定義しておけばよい。
なお、ステップアップ予告の液晶演出は次の段階に発展する際には、現段階のステップアップ予告終了間際に次のステップアップ予告が開始されるため、一時的に複数のステップアップ演出が同時に行われる期間がある。前述のように、ランプの演出では後続のステップアップ演出に対しても同一のスケジューラーデータを実行する必要があるが、本実施形態では、複数のスケジューラで同一のスケジューラーデータを同時に実行可能な構成となっている。そのため、各段階で同一の演出を実行する場合、演出の実行期間が重複しても共通のスケジューラーデータを1種類定義しておけばよい。
具体的には、ステップアップ1演出においてランプスケジューラ(LMP_SCH01)でステップアップ予告ランプスケジューラデータ(SCH_LMP_STEP)を実行する場合、ステップアップ1演出終了間際に開始されるステップアップ2演出発生時に、同じステップアップ予告ランプスケジューラデータ(SCH_LMP_STEP)を別のランプスケジューラ(LMP_SCH02)で実行する。このように構成することによって、同一のスケジューラーデータを重複して定義することなく、同一のスケジューラーデータを同時に(重複して)実行することによって、一連の演出において、同一パターンの演出を並行して実行することを実現している。
サブ演出1fスケジューラ実行部5333又はサブ演出1msスケジューラ実行部5334は、制御対象の演出装置に対応するモジュール(サウンドモジュール5500、ランプモジュール5600、駆動装置モジュール5700)を呼び出し、サブ演出スケジュールデータ5073に定義されたファンクションの処理を指示する。各モジュールは、指定されたスケジューラーデータに基づいて実行を指示されたファンクションを処理し、演出装置を駆動するために必要なデータを作成し、演出装置に当該駆動データを出力する。
[18−4−2.スケジューラーデータの実行概要]
図327は、本実施形態のスケジューラーデータの実行時の流れを説明する図である。演出制御部5020は、コマンド解析モジュール5200によるメイン(主基板)コマンドの解析結果に基づいて演出内容を決定し、音源内蔵VDP1540a、サウンドモジュール5500、ランプモジュール5600及び駆動装置モジュール5700によって各種演出装置を制御する。図327には、このコマンドを設定するために参照されるスケジューラーデータ5401の構造を示す。
本実施形態では、スケジューラーデータ5401は、演出ブロック制御部5040から指定される演出番号ごとに用意され、周辺制御ROM1530bに格納されている。スケジューラーデータ5401と演出番号との対応関係は、演出管理テーブルに規定されている。図の左側に示す通り、演出管理テーブルは、スケジューラーデータの格納アドレスを示す、演出管理ポインタを備えている。演出管理ポインタは、演出番号に対応する数だけ用意されているが、ここでは5つのみを例示した。図の例では、例えば、演出管理ポインタ[1]は、最初は、スケジューラーデータ5401の先頭アドレスA1を格納していることになる。スケジューラーデータの処理が実行されるにつれ、演出管理ポインタ[1]の値は、順次、A1、A2と移行していく。
本実施形態では、演出番号は、演出管理ポインタのアドレス値を用いる。図327の例では、演出番号01H、02H等は、それぞれ演出管理ポインタ[1]、[2]等の格納アドレスを表している。なお、演出番号はアドレス値に限らず、任意の識別情報を用いることができる。この場合には、演出管理テーブルを、演出番号と演出管理ポインタとを対応づけた構成とすればよく、スケジューラ実行部5060は、演出番号をキーとして演出管理ポインタを検索した上で、スケジューラーデータの処理を行うようにすればよい。また、演出管理ポインタのアドレス値を演出番号として用いれば、演出管理テーブルのデータ量を軽減できるとともに、上述の検索も不要となるため、スケジューラーデータの処理に要する負荷を軽減することができる。
スケジューラーデータ5401を構成する各コマンドは、図327に示すように、原則としてファンクションとパラメータから構成される。ファンクションとは、前述したように、演出装置を制御するための命令であり、例えば、演出装置の動作を各モジュールに指示するためのものである。パラメータは、ファンクションの処理内容を具体的に指示する変数である。なお、パラメータを指定する必要がないファンクションを設けてもよい。
ファンクションは、シーケンス制御、ランプ、音、モータ(駆動装置)及びユーザなどグループに分類されている。シーケンス制御は、演出制御を行うための基本的なファンクションであり、ランプ、音及びモータは、各演出装置を制御するためのファンクションである。ユーザは、これらのグループに属さないファンクションである。ファンクションの具体的な説明については、図330から図332にて後述する。
図327に示す例では、アドレスA2において「コール」ファンクションが指定されている。「コール」ファンクションは、シーケンス制御のグループに属し、次のファンクションのポインタ値を待避した上で、パラメータで指定されたアドレスを演出管理ポインタにセットする。スケジューラ実行部5060は、一時的にパラメータで指定されたアドレスに移行してスケジューラーデータの処理を行った後、上述の待避したポインタ値に基づき、従前の処理に復帰することができる。
スケジューラ実行部5060は、アドレスA2の次に、「コール」ファンクションのパラメータで指定されたアドレスA31を実行する。アドレスA31において液晶コマンドをセットし、A32において音声動作番号、A33においてランプ動作番号をセットして、A3nでリターンする。演出コマンドは、これらの処理を終了すると、「コール」が指定されたアドレスA2に復帰し、次のアドレスA3の処理に移行する。
このように、「コール」ファンクションを活用することによって、アドレスA31〜A3nで指定された一連のブロックBL3の内容をスケジューラーデータの種々の部分に取り込むことが可能となる。こうすることによって、スケジューラーデータの容量を低減できるとともに、その作成負荷を軽減することができる。パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機では、遊技中に種々の抽選等が行われ、その結果に応じて遊技の展開が変わってくる。遊技者の中には、抽選中の演出内容の微妙な違いを見つけて、抽選結果等を推測することができる者もいる。これに対し、本発明では、コールによって、汎用的な演出内容を種々の場面で活用することができるため、こうした微妙な違いを解消することができ、抽選結果等を予測しづらくすることができ、遊技の興趣が損なわれるのを抑制することができるのである。
このように「コール」ファンクションを用いることが可能ではあるが、本実施形態のスケジューラーデータ5401は、インタプリタのプログラムとは異なるものである。上述の通り、スケジューラーデータ5401で使用する主たるファンクションは、「役物動作番号セット」、「音声動作番号セット」、「ランプ動作番号セット」など、他のスケジューラへの指示内容を設定するものであり、スケジューラ実行部5060が実現できる非常に限定的な機能を具体的に指示するものに過ぎないからである。
図327に示す例では、次にアドレスA3でNOP(ウェイト)が実行される。「NOP」ファンクションでは、指定されたフレーム数分だけ待機し、スケジューラーデータの処理を継続する。ここでは、パラメータPrm[031]で指定された時間が経過するまで、スケジューラーデータの処理を待機する。後述する通り、本実施形態では、タイマ割り込みによって処理が繰り返し実行される。したがって、スケジューラ実行部5060は、「NOP」ファンクションでは、パラメータPrm[031]の値が0でなければ、以降の処理を行うことなくスケジューラーデータの処理を一旦終了し、この値が0であれば、次のアドレスのファンクションに移行する処理を行う。
本実施形態では、図326Aで示したワーク領域5301と同じ形式のワークを利用して、音声動作番号等の指定を行っている。システムイベントが使用するワーク領域5301とスケジューラ実行部5060が使用するワークとは別に用意されており、スケジューラ実行部5060は、スケジューラーデータの指定に従って、音声動作番号等をそれぞれワークに格納する。また、演出制御部5020が指定するレイヤも、システムモジュール用のレイヤ(図326A参照)とは別に設けられている。各モジュール用のワークにおいても、これらのレイヤの中から、音声動作番号、ランプ動作番号を並行して複数指定可能となっている。
条件分岐のアドレスA11以降も同様にスケジューラーデータは、ファンクション及びパラメータによって規定される。図327に示した例では、条件分岐のアドレスA11以降、演出終了(アドレスAn)に至るまで、条件分岐は設けられていない。この範囲は、上述のブロックBL1とは別のブロックBL2となるため、ブロックBL1との抵触を考慮することなく、役物コマンド(アドレスA22)や音声動作番号(アドレスA21)などが指定可能である。これらの設定に代えて、「コール」ファンクションによって、ブロックBL3等を取り込むようにしてもよい。
スケジューラーデータでは、条件分岐と「コール」ファンクションとを組み合わせて用いてもよい。例えば、演出内容を切り換えるための乱数を発生させ、その乱数の値に応じて異なるアドレスをコールすればよい。図327に示した例では、アドレスA2において、「乱数値≦Th1?」という条件を付せば、この条件を満たす時にアドレスA31〜A3nの演出が実行されることになる。また、アドレスA2の次(アドレスA2+1)において、「Th1<乱数値≦Th2?」という条件を付して、アドレスA41(図示しない)をコールすれば、乱数の値に応じて、アドレスA31以降とは異なる演出が実行される。このように、乱数に応じた条件分岐で異なるアドレスをコールすれば、乱数によって演出内容をランダムに切り換えることができ、遊技の興趣を高めることが可能となる。以下、このように演出内容を切り換えることを、本明細書では、「演出抽選」と呼ぶものとする。
演出抽選では、表示、音、ランプ、駆動装置のすべてを切り換える場合もあれば、一部のみを切り換える場合もある。すべてを切り換える場合には、「コール」ファンクションで呼び出されたスケジューラーデータ内で、表示、音、ランプの内容をすべて指定すればよい。一部のみを切り換える場合には、「コール」ファンクションで呼び出されたスケジューラーデータ内で、切り換えの対象となる部分のみを指定し、その他の部分は「コール」ファンクションからリターンしてきた後に統一して指定すればよい。
また、スケジューラーデータ内で、条件分岐と「コール」ファンクションを用い、演出抽選用の乱数に応じて、異なるスケジューラーデータをコールするように規定してもよい。この場合には、表示、サウンド、ランプ、駆動装置が独立して演出抽選を行う結果、その組み合わせによって実現される演出態様は非常に多彩となり、より興趣を高めることができる利点がある。
ただし、表示、サウンド、ランプ、駆動装置の演出抽選の結果に関わらず、違和感のない演出を実現するためには、これらの演出が同時に終了することが好ましい。したがって、本実施形態では、演出抽選の選択対象となるスケジューラーデータは、同一時間で演出が終了する内容となっている。なお、同一時間で演出が終了することは必須の要件ではなく、これらの演出時間が同じでなくてもよい。
スケジューラーデータでの演出抽選には、演出内容が多彩になるほか、表示、サウンド、ランプ、駆動装置の出力状況に応じて抽選態様を切り換えることができる利点もある。例えば、演出抽選が指示された時点で、駆動装置が8の字状の振り分け動作を実行中であり、他の動作が制限されている時には、駆動装置モジュール5700は駆動装置に関する演出抽選を禁止してもよい。同様に、表示、サウンド、ランプについても、演出抽選が指示された時の状況に応じて、演出抽選を禁止してもよい。また、演出抽選禁止において、一部のスケジューラーデータを選択禁止とすることにより、演出抽選を一部禁止としてもよい。
上述の通り、演出抽選は、あくまでも周辺制御基板1510の制御処理によって、演出内容を切り換えるものであり、遊技自体に影響を与えるものではない。しかし、このように演出抽選を可能とすることによって、主制御基板1310から出力されるコマンドの種類よりも多彩な演出を実現することができ、興趣をより高めることができる。
[18−4−3.サウンド(音)出力制御の概要]
続いて、音の出力を制御するサウンドモジュールの機能について説明する。図328は、本実施形態のサウンドモジュール5500の機能を示す説明図である。サウンドモジュール5500は、スケジューラ実行部5060から指示を受け、スケジューラーデータに含まれるファンクションに指定された処理を実行し、音声出力を行う。サウンドモジュール5500は、複数のスケジューラ5502から要求を受け付けて処理を行うことができる。各スケジューラ5502は、音声用のサウンドレイヤと対応づけて設けられている。また、各スケジューラ5502には、動作管理用のワーク5507がそれぞれ用意されている。ワーク5507の内容は後述する。
スケジューラ実行部5060は、スケジューラ制御情報に基づいて音声動作番号を特定すると、音声動作番号テーブルを参照し、実行すべきスケジューラーデータ5505を特定する。音声動作番号テーブルは、音声動作番号に対して、サウンドポインタ及びサウンドレイヤを対応づけたテーブルである。本実施形態では、音声動作番号は、音声動作番号テーブルの格納アドレスに対応する。音声動作番号は、任意の識別情報を用いることが可能であるが、前述した演出番号の場合と同様に、格納アドレスに対応させたほうが音声動作番号テーブルの容量低減及びテーブル参照時の処理負荷軽減を可能とするという利点がある。
サウンドポインタは、スケジューラーデータ5505の格納アドレスを指定している。本実施形態では、サウンドポインタ[1]にアドレスSA1が格納されている。
スケジューラーデータ5505は、ファンクションとパラメータによって構成される。音出力を制御するためのスケジューラーデータ5505で使用されるファンクションについては、図331及び図332にて後述する。
図328に示す例では、アドレスSA2において、「コール」ファンクションが規定されている。スケジューラ実行部5060は、アドレスSA31(図示せず)以降の一連のブロックを実行した後、アドレスSA2の次のアドレスSA3の処理を行う。
アドレスSA3では、フレーズ再生が規定されている。スケジューラ実行部5060は、パラメータで指定されたフレーズ番号00Hに対応するフレーズデータ5508を読み込み、これを再生する。
また、図328の右側にフレーズデータ5508の構造例を示す。フレーズ番号は、各フレーズデータに付された識別情報である。本実施形態では、任意の識別情報を用いることが可能だが、フレーズデータ5508の格納アドレスをフレーズ番号として用いてもよい。この場合には、フレーズデータ5508からフレーズ番号を省略することが可能となる。
チャンネルは、フレーズ再生時に指定された出力チャンネルである。左右パンポット、上下パンポットとは、遊技機に備えられた各スピーカの左右/上下の出力バランスである。ボリュームは、出力ボリュームである。曲番号は、再生すべき音声の識別番号である。曲番号が音源内蔵VDP1540aに通知されると、音源内蔵VDP1540aは、曲番号に対応する音源データを液晶及び音ROM1540bから読み出し、音声を再生する。ループは、音声を繰り返し再生するか否かの指定である。ステレオは、ステレオ出力するか否かの指定である。
各スケジューラ5502には、動作管理用のワーク5507が対応づけられている。ワーク5507には、図中に示す種々の情報が格納される。動作状態は、各レイヤが動作中か否かを示している。音声番号は、動作中のスケジューラーデータ5505の番号を表している。本実施形態では、スケジューラーデータ5505の先頭アドレスを用いている。サウンドポインタは、スケジューラ5502が実行しているスケジューラーデータ5505のアドレスである。図328に示す例では、処理が進むにつれ、サウンドポインタの値が、順次、SA2、SA3と移行する。タイマ値は、次のファンクションを実行するまでの待ち時間を表す。スケジューラーデータ5505で待ち時間が指定された時に設定され、時間の経過とともに、順次、減算される。サウンドモジュール5500は、この値が0となった時に次のファンクションを実行する。
コールネスト数、ループネスト数は、スケジューラーデータ5505及びフレーズ番号で多重的に指定されたコール、ループのネスト数を表している。つまり、例えば、アドレスSA2の「コール」ファンクション(第1コール)で呼び出されるアドレスSA31以降の処理において、さらに「コール」ファンクション(第2コール)によって別のアドレスのスケジューラーデータ5505を呼び出すと、コールネスト数は2となる。第2コールを終えて、第1コールに復帰すると、コールネスト数は1に減じられる。ループも同様である。コール戻りアドレスはコール先からの戻りアドレスでありコールネスト数に応じて設けられる。ループ先頭アドレスは、ループ範囲の先頭アドレスであり、ループ回数は、ループの繰り返し回数である。ループ先頭アドレス等は、ループネスト数に応じて設けられる。
[18−4−4.ランプ出力制御の概要]
続いて、ランプの出力を制御するランプモジュールの機能について説明する。図329は、本実施形態のランプモジュール5600の機能を示す説明図である。ランプモジュール5600は、スケジューラ実行部5060から指示を受け、スケジューラーデータに含まれるファンクションに指定された処理を実行し、ランプ出力、すなわちランプの点灯・点滅制御を行う。ランプモジュール5600も、サウンドモジュール5500と同様に、複数のスケジューラ5602から要求を受け付けて処理を行うことができる。各スケジューラ5602は、ランプ用のランプレイヤと対応づけて設けられている。また、各スケジューラ5602には、動作管理用のワーク5603がそれぞれ用意されている。ワーク5603の内容は後述する。
スケジューラ実行部5060は、スケジューラ制御情報に基づいてランプ動作番号を特定すると、ランプ動作番号テーブルを参照して、実行すべきスケジューラーデータ5601を特定する。ランプ動作番号テーブルは、ランプ動作番号に対して、ランプポインタ及びランプレイヤを対応づけたテーブルである。本実施形態では、ランプ動作番号は、ランプ動作番号テーブルの格納アドレスに対応する。ランプ動作番号は、任意の識別情報を用いることが可能であるが、前述した演出番号の場合と同様に、格納アドレスを用いたほうがランプ動作番号テーブルの容量低減及びテーブル参照時の処理負荷軽減を可能とするという利点がある。
ランプポインタは、スケジューラーデータ5601の格納アドレスを指定している。本実施形態では、ランプポインタ[1]にアドレスLA1が格納されている。
スケジューラーデータ5505は、演出データ(図327)と同様に、ファンクションとパラメータによって構成されている。ランプを制御するためのスケジューラーデータ5505で使用されるファンクションについては、図331にて後述する。
図329に示した例では、アドレスLA2において、「コール」ファンクションが規定されている。スケジューラ実行部5060は、アドレスLA31(図示せず)以降の一連のブロックを実行した後、アドレスLA2の次のアドレスLA3の処理を行う。
アドレスLA3では、階調パターン設定が規定されている。スケジューラ実行部5060は、パラメータで指定されたアドレスLA11に格納されている階調パターンデータ5606を設定する。ランプスケジューラ5602には、それぞれ階調スケジューラ5604が対応づけて設けられており、指定された階調データ1でランプを点灯させ、タイマ値で指定された時間が経過すると、階調データ2でランプを点灯させる。ここでは、2通りの階調データが指定されている例を示したが、3つ以上指定されている場合も、タイマ値の時間間隔で順次、階調データを切り換えつつ、ランプを点灯させる。階調パターン設定をアドレスLA12以降も複数用意しておくことにより、階調データ間の切り換えタイマ値を変化させつつ、種々の階調パターンでランプを点灯させることが可能となる。階調パターンデータ内に、ループを設けることも可能である。階調スケジューラ5604は、アドレスLA11〜LA1nの一連の処理を実行すると、ランプの点灯を終了する。ランプスケジューラ5602は、スケジューラーデータ5601のアドレスLA3の処理に復帰し、次のアドレスの処理を停止(アドレスLAn)に至るまで実行する。
各スケジューラ5602には、動作管理用のワーク5603が対応づけられている。ワーク5603には、図中に示す種々の情報が格納される。スケジューラステータスは、スケジューラが起動中か否かを示す。動作パターンナンバーは、動作中のスケジューラーデータ5601の番号を表している。本実施形態では、スケジューラーデータ5601の先頭アドレスを用いるものとした。スケジューラタイマは、次のファンクションを実行するまでの待ち時間を表す。スケジューラーデータで待ち時間が指定された時に設定され、時間の経過とともに、順次、減算される。ランプは、この値が0となった時に次のファンクションを実行する。階調データタイマは、階調パターンデータ5606の実行時に、次の階調データを実行するまでの待ち時間を表す。図329に示す例で、アドレスLA11に規定された階調データを実行する際には、階調データタイマに、設定されたタイマ値が0になると、階調データ1から階調データ2に移行し、再びタイマ値が0になると、アドレスLA11の処理を終了してアドレスLA12の処理に移行する。
ランプポインタは、スケジューラ5602が実行しているスケジューラーデータ5601のアドレスである。図329に示す例では、処理が進むにつれ、ランプポインタの値が、順次、LA1、LA2、LA3と移行する。階調データポインタは、階調スケジューラ5604が実行している階調パターンデータ5606のアドレスである。図中の例では、処理が進むにつれ、階調データポインタの値は、順次、LA11、LA12と移行する。ループ回数は、ループの繰り返し回数であり、ループ先頭アドレスは、ループ範囲の先頭アドレスである。サウンドの場合と同様、ループにネストを許容してもよい。
[18−4−5.駆動装置制御の概要]
続いて、駆動装置の動作を制御する駆動装置モジュール5700の機能について説明する。駆動装置は、例えば、ステッピングモータである。制御に関してはランプモジュール5600と同様であるため図示を省略する。駆動装置モジュール5700は、スケジューラ実行部5060から指示を受け、スケジューラーデータに含まれるファンクションに指定された処理を実行し、駆動装置の動作制御を行う。駆動装置モジュール5700も、複数のスケジューラから要求を受け付けて処理を行うことができる。
駆動装置の制御項目には、例えば、移動量(ステッピングモータの回転ステップ角)、移動時間、移動速度(モータの回転速度)、励磁方法、台形駆動、回転方向などがある。さらに、原点位置まで戻すための復帰動作の実行指示やメカエンド停止(駆動装置の可動範囲が機械的に制限されている場合に可動範囲の限界位置に付勢した状態で停止させること)の指示が含まれる。なお、台形駆動では、回転開始、停止時にステップ関数的に速度を変化させるのではなく、所定の角加速度で回転速度を変化させる。
スケジューラーデータは、ファンクションとパラメータによって構成されている。駆動装置を制御するためにスケジューラーデータで使用されるファンクションについては、図332にて後述する。
[18−5.ファンクション]
以上、演出制御に用いられるモジュールにおいてファンクションを使用する例について説明した。ここで、その他のファンクションについて説明する。図330から図332は、本実施形態の遊技機の演出制御におけるファンクションの一例を示す図である。前述のように、ファンクションは、シーケンス制御、ランプ、サウンド(音)、モータ及びユーザのグループに分類されている。以下、各グループに属するファンクションについて説明する。
[18−5−1.ファンクションの詳細(シーケンス制御)]
シーケンス制御のグループに属するファンクションは、主として、演出の流れを制御するための機能である。図330には、シーケンス制御のファンクションの一例が挙げられている。以下、各ファンクションの概要を説明する。
「STOP」は、スケジューラーデータの終端を表すファンクションである。「NOP」は、パラメータとして実行回数を指定することによって、実行回数に応じた時間だけ待機するウエイト用ファンクションである。実行回数に応じた時間は「NOP」ファンクションを実行する処理周期により異なり、フレーム周期で実行する場合であれば、1フレームは本実施形態では、約33.334ミリ秒であるため、実行回数として30を指定すると約1秒間待機することになり、また1ms周期で実行する場合であれば、同じく実行回数を30と指定すると約30ms間待機することになる。「NOP_F_VALUE」は、実行回数(フレーム数)、スケジューラメモリ番号、マスク値及び比較値をパラメータとし、スケジューラメモリ番号、マスク値及び比較値に基づく条件を満たすと「NOP_F_VALUE」ファンクションを終了し、条件を満たさない場合には、実行回数に応じた時間だけ待機する条件付きウエイト用ファンクションである。
「MEMW」は、対象スケジューラワーク番号及び値をパラメータとし、対応するスケジューラワークエリアに指定された値を書き込むファンクションである。「LOOPST」は、繰り返し処理(ループ)を行うためのファンクションであり、ループ先頭の指定し、パラメータとしてループ回数を設定する。なお、ループ回数に「0」を設定した場合、無限ループになる。「LOOP」は、繰り返し処理(ループ)の終端を指定するためのファンクションである。
「RET」は、呼び出し元のブロック(ファンクションデータ)に処理を復帰させるためのファンクションである。「コール」ファンクションによって待避されたポインタ値を、演出管理テーブルに設定する。「CALL」は、前述した「コール」ファンクションであり、指定されたアドレス(ブロック)から処理を実行し、パラメータとしてアドレス値やラベルなどの呼び出し先を特定する情報が設定される。「CALL」では、次に実行されるファンクションのポインタ値を退避し、呼び出し先のアドレスを演出管理ポインタにセットする。そして、呼び出し先の処理を実行した後、上述した「RET」ファンクションで退避されたアドレスを演出管理ポインタにセットし、従前の処理に復帰する。
「SUBC」は、パラメータに指定された対象スケジューラワーク番号及び分岐テーブルに基づいて、スケジューラーワーク番号値をインデックスとして、呼び出す処理(実行するブロック)を選択し、選択された処理を実行する。すなわち、指定された条件に基づいて「コール」ファンクションを実行する。「SUBC」を利用した具体例については、図335にて後述する。「SUBC」ファンクションによって呼び出し先の処理が終了すると、呼び出し元の処理(「SUBC」ファンクションの次の処理)に復帰する。
「SUBJ」は、パラメータに指定された対象スケジューラワーク番号及びテーブルに基づいて、スケジューラーワーク番号値をインデックスとして、呼び出す処理(実行するブロック)を選択し、選択された処理を実行する。すなわち、指定された条件に基づいて後述する「JUMP」ファンクションを実行する。「SUBJ」を利用した具体例については、図336にて後述する。「SUBJ」ファンクションを実行した呼び出し元の処理には復帰せず、呼び出し先の処理をそのまま継続する。「JUMP」は、パラメータで指定したアドレスを演出管理ポインタにセットし、指定されたアドレスやラベルから処理を継続する。
「REQ」は、パラメータで指定された他のスケジューラを起動するためのファンクションである。「REQ」を利用した具体例については、図337にて後述する。「REQF」は、「REQ」と同様に、パラメータで指定された他のスケジューラを起動するためのファンクションであり、パラメータで指定された上書き禁止時間が経過するまでは、他のスケジューラーデータが上書きされて起動することを禁止する。「REQ」では複数のスケジューラーデータによる制御を並列して実行することができる。一方、「REQF」は実行するスケジューラーデータの処理を指定した期間、単独で実行させることが可能となり、例えば、役物の初期化の場合に役物を動作させる他のスケジューラーデータが実行されて制御不能になることを防止することができる。
[18−5−2.ファンクションの詳細(ランプ)]
ランプのグループに属するファンクションは、ランプ演出の流れを制御するための機能である。図331にはランプ制御に関するファンクションの一例が挙げられており、各ファンクションの概要について説明する。
「HPLAY」は、パラメータで指定された階調データに基づいてランプを点灯させるランプ階調データ再生処理を実行するためのファンクションである。「HPLAY」では、同じ階調データでランプが再生されている状態であっても再セットし、ファンクション実行時に最初からランプの再生を開始する。階調データは階調パターンデータアドレスを設定することで指定し、ワーク5603内の階調データタイマをクリアすることによって、階調データの実行を指示する。
「KPLAY」は、「HPLAY」と同様に、パラメータで指定された階調データに基づいてランプを点灯させるランプ階調データ再生処理を実行するためのファンクションである。「KPLAY」では、同じ階調データでランプが再生されている場合には再セットせずに実行中のランプの再生を継続する。
「HPLAY2」は、パラメータで階調データに加えてレイヤを指定してランプ階調データ再生処理を実行するファンクションである。処理については「HPLAY」と同様である。「KPLAY2」は、「HPLAY2」と同様に、パラメータで階調データに加えてレイヤを指定してランプ階調データ再生処理を実行するファンクションである。処理については「KPLAY」と同様である。
「HPLAY」及び「KPLAY」は、パラメータに指定されたランプ階調データを再生する、指定ランプ階調データ再生処理を実行する。ランプ階調データが既に再生されている場合、「HPLAY」による再生時には当該ランプ階調データの再生を中断して同じランプ階調データを先頭から再生し、「KPLAY」による再生時にはランプ階調データの再生を中断せずに継続する。すなわち、ランプ階調データが再生されている間に、同一のランプの階調データを「KPLAY」を用いて実行を行ったとしても特に処理を実行しない。
「HPLAY2」は、前述した「HPLAY」の機能に加えて、パラメータでランプ階調データを再生するレイヤーを指定する、パラメーターでレイヤーを指定すること以外は「HPLAY」と処理は変わらない。
「KPLAY2」は、前述した「KPLAY」の機能に加えて、パラメータでランプ階調データを再生するレイヤーを指定する、パラメーターでレイヤーを指定すること以外は「KPLAY」と処理は変わらない。
[18−5−3.ファンクションの詳細(サウンド(音))]
サウンド(音)のグループに属するファンクションは、音出力を制御するための機能である。図331及び図332には音制御に関するファンクションの一例が挙げられており、各ファンクションの概要について説明する。
「SPLAY」は、パラメータで指定されたフレーズ番号に基づいて音を出力するフレーズ再生処理を実行するためのファンクションである。「SPLAY」では、同じフレーズ番号の音が再生されている状態であっても再セットし、ファンクション実行時に最初から音の再生を開始する。「SXPLAY」は、「SPLAY」と同様に、パラメータで指定されたフレーズ番号に基づいて音を出力するフレーズ再生処理を実行するためのファンクションである。「SXPLAY」では、同じフレーズ番号の音が再生されている場合には再セットせずに音の再生を継続する。「STOP_PH」は、パラメータで指定されたフレーズ番号に基づく音の再生を停止するフレーズ停止処理を実行するためのファンクションである。
「PAN_PH」は、パラメーターで指定された再生中のフレーズを「PAN_PH」ファンクション実行開始時の音声出力座標位置から、同じくパラメーターで指定された遷移時間とパンポット終了座標位置を用いて、パンポット終了座標位置まで指定された遷移時間で音声出力座標位置の移動を行うためのファンクションである。「PAN_PH2」は「PAN_PH」ファンクションの機能に加えて、パラメータでパンポット開始座標位置も指定できるようになっており、「PAN_PH」ファンクションと同じように、ファンクション実行開始時に対象のフレーズの音声出力座標位置がパラメータで指定されたパンポット開始座標位置からパンポット終了座標位置まで指定された遷移時間で音声出力座標位置の移動を行うためのファンクションである。
「VOL_FADE_PH」は、パラメータで指定された再生中のフレーズを「VOL_FADE_PH」ファンクション実行開始時のボリューム値から同じくパラメーターで指定された遷移時間とフェード終了ボリューム値を用いて、フェード終了ボリューム値まで指定された遷移時間でボリューム値の増減を行うためのファンクションである。「VOL_FADE_PH2」は「VOL_FADE_PH」ファンクションの機能に加えて、パラメータでフェード開始ボリューム値も指定できるようになっており、「VOL_FADE_PH」ファンクションと同じように、ファンクション実行開始時に対象のフレーズのボリューム値がパラメータで指定されたフェード開始ボリューム値からフェード終了ボリューム値まで指定された遷移時間でボリューム値の増減を行うためのファンクションである。
「VOL_PH」は、パラメータで指定された再生中のフレーズのボリューム値の増減をパラメータで指定されたボリューム値で行うファンクションである。「VOL_MUTE_ON_PH」は、パラメータで指定されたフレーズの音量を消音(ミュート)にするファンクションである。「VOL_MUTE_OFF_PH」は、パラメータで指定されたフレーズの音量の消音(ミュート)を解除するファンクションである。
「SCPLAY」及び「SXCPLAY」は、パラメータに指定されたフレーズ番号に対応するフレーズを、指定されたチャンネルで再生する指定ch曲再生処理を実行する。同じフレーズが既に再生されている場合、「SCPLAY」による再生時には当該フレーズの再生を中断して同じフレーズを先頭から再生し、「SXCPLAY」による再生時にはフレーズの再生を中断せずに継続する。すなわち、すなわち、フレーズが再生されている間に、同一のフレーズを「SXCPLAY」を用いて実行を行ったとしても特に処理を実行しない。
「PAN_CH」は、前述した「PAN_PH」がフレーズを対象としたパンポットを行うのに対して、ch(チャンネル)を対象としたパンポットを行う、chはパラメータで指定されフレーズがchに変わること以外「PAN_PH」と処理は変わらない。「PAN_CH2」に関しても前述した「PAN_PH2」がフレーズを対象としたパンポットを行うのに対して、chを対象としたパンポットを行う、chはパラメータで指定されフレーズがchに変わること以外「PAN_PH2」と処理は変わらない。
「VOL_FADE_CH」は、前述した「VOL_FADE_PH」がフレーズを対象としたフェードを行うのに対して、chを対象としたフェードを行う、chはパラメータで指定されフレーズがchに変わること以外「VOL_FADE_PH」と処理は変わらない。「VOL_FADE_CH2」に関しても前述した「VOL_FADE_PH2」がフレーズを対象としたフェードを行うのに対して、chを対象としたフェードを行う、chはパラメータで指定されフレーズがchに変わること以外「VOL_FADE_PH2」と処理は変わらない。
「VOL_CH」は、前述した「VOL_PH」がフレーズを対象としたボリューム値の増減を行うのに対して、chを対象としたボリューム値の増減を行う、chはパラメータで指定されフレーズがchに変わること以外「VOL_PH」と処理は変わらない。「VOL_MUTE_ON_CH」に関しても前述した「VOL_MUTE_ON_PH」がフレーズを対象とした消音(ミュート)を行うのに対して、chを対象とした消音(ミュート)を行う、chはパラメータで指定されフレーズがchに変わること以外「VOL_MUTE_ON_PH」と処理は変わらない。「VOL_MUTE_OFF_CH」に関しても前述した「VOL_MUTE_OFF_PH」がフレーズを対象とした消音(ミュート)の解除を行うのに対して、chを対象とした消音(ミュート)の解除を行う、chはパラメータで指定されフレーズがchに変わること以外「VOL_MUTE_OFF_PH」と処理は変わらない。
[18−5−4.ファンクションの詳細(モータ)]
モータのグループに属するファンクションは、モータやソレノイドの出力を制御するための機能である。図332にはモータ制御に関するファンクションの一例が挙げられており、各ファンクションの概要について説明する。
「MPLAY」は、パラメータに指定されたモータデータ番号に基づく動作をモータに再生させるモータ再生処理を実行する。「MMPLAY」は、パラメータに指定されたモータにモータデータ番号に基づく動作を再生させるモータ再生処理を実行する。「SOL_ON」は、パラメータに指定されたソレノイドデータ番号に基づく動作をソレノイドに実行させるソレノイドON処理を実行する。「SOL_OFF」は、パラメータに指定されたソレノイドデータ番号に基づく動作をソレノイドに停止させるソレノイドOFF処理を実行する。
[18−5−5.ファンクションの詳細(ユーザ)]
ユーザのグループに属するファンクションは、ここまでに説明したグループに属さない制御を実行するための機能である。図332にはこれらのファンクションの一例が挙げられており、各ファンクションの概要について説明する。
「MBUF_SET」は、モータ出力バッファにスケジューラワーク値をセットするモータ出力バッファスケジューラワーク値セット処理を実行する。「COMMAND」及び「COMMAND0」は、スケジューラ内からコマンドを発行する処理である。「COMMAND」では音源内蔵VDP1540aなどに対してコマンドを発行する。例えば、液晶表示装置に描画を開始するためのコマンドを発行する。一方、「COMMAND0」によって発行されたコマンドは、コマンド解析モジュール5200によって解析され、メインコマンドと同様の動作を行う。「MEMC」は、実行中のスケジューラのワーク領域の内容を、別のスケジューラのワーク領域にコピーするスケジューラメモリコピー処理を実行する。
[18−6.スケジューラ]
続いて、各ファンクションを呼び出すスケジューラについて説明する。スケジューラは、一連の処理を実行するために必要なファンクションを実行順に定義したデータ列であるスケジューラーデータを実行するために使用される。スケジューラは、管理上用途ごとに一又は複数設けられているが、すべてのスケジューラですべてのファンクションが実行可能であり、音用のスケジューラでランプに関わるファンクションを実行したり、役物用のスケジューラで音用のファンクションを実行することができる、用途毎に複数設けられたスケジューラには処理周期(フレーム又は1ms)以外の差違はなく、全てのファンクションを混在して実行することも可能である。またスケジューラの実行本数に制限はなく、登録済みのスケジューラを複数同時に実行することができる。
図333は、本実施形態のスケジューラ定義の一例を示す図である。スケジューラは、状態遷移や制御対象となる装置によって便宜的に分類することができる。以下、スケジューラの代表的な種類について概要を説明する。
まず、状態遷移に関するスケジューラの例について説明すると、遊技全体の遊技状態の遷移を制御するメイン状態遷移スケジューラーデータを実行するための特図状態スケジューラ(特図状態SCH、TOK_SCH)がある。周辺制御基板1510における演出制御において、主制御基板1310から受信したコマンドに基づいて遊技状態の遷移を制御する。特図状態スケジューラの処理周期は1f(フレーム)である。
また、周辺制御基板1510における内部状態(サブ内部状態)の遷移を制御するサブ状態スケジューラーデータを実行するためのサブ状態スケジューラ(サブ状態SCH、SUB_SCH)がある。内部状態は、所定条件成立時などに遷移し、例えば、遊技者が演出ボタンを操作したり、演出の実行抽選に当選したり、変動開始から所定時間経過したりする場合に他の状態に遷移する。サブ状態スケジューラの処理周期は1f(フレーム)である。
音を対象とするスケジューラには、背景表示や図柄の変動表示にともなって出力される音の出力を制御する背景、図柄音スケジューラーデータを実行するためのスケジューラ(SND_SCH01)、予告演出実行時に出力される音の出力を制御するスケジューラ(SND_SCH02、03)、役物による予告実行時の音の出力を制御するスケジューラ(SND_SCH04)がある。音を対象とするスケジューラの処理周期は1f(フレーム)である。
ランプを対象とする関連のスケジューラには、音関連のスケジューラと同様に、背景表示や図柄の変動表示にともなうランプの点灯・点滅を制御する背景、図柄ランプスケジューラーデータを実行するためのスケジューラ(LMP_SCH01)、予告演出実行時のランプの点灯・点滅を制御するスケジューラ(LMP_SCH02、03)、役物による予告実行時のランプの点灯・点滅を制御するスケジューラ(LMP_SCH04)がある。ランプを対象とするスケジューラの処理周期は1f(フレーム)である。
また、音及びランプを連動させて制御するスケジューラも定義されている。このようなスケジューラには、球切れや球詰まりなどの報知や磁気センサなどによる異常検知による警報などを外部に報知するために、音の出力やランプの点灯・点滅を実行する音・ランプ報知レイヤスケジューラーデータをレイヤごとに実行するためのスケジューラ(INF_SCH01〜03)がある。また、音の出力とランプの点灯・点滅を連動させた演出を実行するために汎用的に使用される音・ランプ汎用スケジューラ(SNDLMP_SCH01〜05)がある。これらのスケジューラの処理周期は1f(フレーム)である。
モータを対象とするスケジューラには、システム動作を実行するためのモータシステムスケジューラーデータを実行するためのスケジューラ(MOTSYS_SCH)、RAMクリア時の設定を行うためのモータラムクリアスケジューラーデータを実行するためのスケジューラ(MOTRAM_SCH)、役物の配置などを初期化するためのモータ役物初期化スケジューラーデータを実行するためのスケジューラ(MOTINI_SCH)、役物の位置補正を行うためのモータ役物補正スケジューラーデータを実行するためのスケジューラ(MOTHOS_SCH)、演出等による役物の動作を実行するためのスケジューラ(MOT_SCH)がある。
演出等による役物の動作を実行するためのスケジューラには、特定の役物の動作を制御するためのスケジューラ(MOT_SCH01〜05)や役物の種類などに依存せずに使用される汎用的なスケジューラ(MOT_SCH05〜10)とがある。
なお、モータを対象とするスケジューラの処理周期は1ms(ミリ秒)であり、遊技状態の管理、音やランプを対象とするスケジューラの処理周期(本実施形態 1f=約33.334ms)よりも短くなっている。
なお、各対象装置を制御するスケジューラの数は、本実施形態では固定であるが、スケジューラの本数を遊技状態や予告に対応して動的に増減するように制御してもよい。これにより、遊技機に備えられた役物などの数や演出数に依存せずに各スケジューラを起動することが可能となり、演出を実行するための制約を少なくすることができる。
[18−7.スケジューラーデータの適用例(演出1)]
以上、演出制御で用いられるファンクションやこれらのファンクションを組み合わせて一連の制御を行うスケジューラの種類や機能の概要について説明したが、以下、図面を参照しながらスケジューラーデータ、ファンクションの具体的な適用例について説明する。
[18−7−1.演出概要]
図334Aは、本実施形態のスケジューラーデータを利用して制御される役物の動作の一例を示す図である。図334Aに示すように、本実施形態の遊技盤5には、ロゴ役物5001、星役物5002(左星役物5002a、中星役物5002b、右星役物5002c)及び鉈役物5003が配置される。
ロゴ役物5001は、遊技領域の左上方に配置される。ロゴ役物5001が動作すると、初期位置(上段位置)から中間位置まで落下(移動)し、演出終了後、初期位置に復帰する。さらに、ロゴ役物5001は、上下方向の移動のほか、移動前後に上下左右に振動する演出を行うことも可能となっている。
星役物5002は、遊技領域の上方に配置され、左星役物5002aは左側、中星役物5002bは中央、右星役物5002cは右側に配置される。各星役物5002はそれぞれ独立して動作可能となっており、演出内容に応じて一又は複数の星役物5002が所定のタイミングで動作する。
左星役物5002aは左下方に移動し、遊技領域の中央やや左下の位置まで移動可能となっている。また、中星役物5002bは下方に移動し、遊技領域の中心よりもやや上方の位置まで移動可能となっている。右星役物5002cは右下方に移動し、遊技領域の中央やや右下の位置まで移動可能となっている。なお、各星役物5002は、最終到達位置まで移動する前に停止してもよいし、最終到達位置に到達後、途中位置まで戻って停止するようにしてもよい。
鉈役物5003は、遊技領域の中央上方に配置される。鉈役物5003は、初期位置(上段位置)から、中間位置及び下段位置まで落下(移動)可能となっている。遊技者による演出ボタンの操作や鉈役物予告演出の抽選結果などに応じて、初期位置から中間位置まで移動して一旦停止し、その後下段位置まで移動したり、初期位置から下段位置まで一気に移動したりする動作態様が設定されている。鉈役物5003についてもロゴ役物5001と同様に、移動前後に上下左右に振動する演出を行うことが可能となっている。
続いて、1回の図柄変動で実行される予告演出の流れについて説明する。まず、図334Bを参照して、ステップアップ予告、ボタン(BTN)カットイン予告、群予告、星役物予告及びボタン(BTN)ロゴ役物落下予告について説明する。なお、鉈予告演出を含む予告演出の流れについては、図344を参照して説明する。
図334Bは、本実施形態における特別図柄の変動開始から停止するまでの一連の変動表示において実行される予告演出の実行タイミングの一例を示し、このとき使用されるスケジューラ及びスケジューラーデータを説明する図である。図334Bに示す一連の変動表示では、変動前半にステップアップ予告及びボタン(BTN)カットイン予告が実行される。その後、リーチが発生し、変動後半には群予告、星役物予告及びボタン(BTN)ロゴ役物落下予告が実行される。各予告演出には、ランプの点灯や音の出力、画像出力、役物の動作などを制御するためのスケジューラーデータが実行される。
以下、各予告演出を実行するためのスケジューラーデータの一部を抜粋し、当該スケジューラーデータによる制御及び構成するファンクションについて説明する。具体的には、ステップアップ予告においてランプを制御するスケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_STP」(図335)、ボタンカットイン予告においてランプを制御するスケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_CUT」(図336)、星役物予告において星役物5002の動作を制御するモータスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA1」(図337〜図339)、ボタンロゴ役物落下予告においてロゴ役物5001の動作を制御するモータスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_LGO」(図340)について説明する。
[18−7−2.ステップアップ予告におけるランプ制御]
本実施形態のステップアップ予告では、期待度(ステップアップ予告の抽選結果値)に応じて、所定のランプの点灯態様が段階的に変化するように制御する。図334Bに示したように、ステップアップ予告ランプスケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_STP」は、予告グループ01に属し、予告グループ01ランプスケジューラーデータ用スケジューラ(ランプSCH予告01)「LMP_SCH02」で駆動される。
図335は、本実施形態のステップアップ予告におけるランプの点灯・点滅制御を行うスケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_STP」の内容を説明する図である。
スケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_STP」が開始されると、まず、ファンクション「SUBC:YKK_STP:TBL_LMP_STP」が実行される。このファンクションは、スケジューラワークエリアインデックス分岐コール「SUBC」であり、対象スケジューラワーク番号「YKK_STP」、ステップアップ予告分岐コールアドレステーブル「TBL_LMP_STP」をパラメータとして実行される。
スケジューラ実行部5060は、指定されたステップアップ予告分岐コールアドレステーブル「TBL_LMP_STP」を参照し、ステップアップ予告ワークエリア「YKK_STP」の内容に基づいて、分岐先となるスケジューラーデータのアドレスを特定する。ステップアップ予告ワークエリア「YKK_STP」には、ステップアップ予告の抽選結果値が格納され、ステップアップ予告分岐コールアドレステーブル「TBL_LMP_STP」の各レコードのインデックス(アドレス)に対応する。
ステップアップ予告分岐コールアドレステーブル「TBL_LMP_STP」には、ステップアップ予告ランプスケジューラーデータのアドレスが格納されている。具体的には、スケジューラーデータのアドレスを示すSUBC_NON、SUBC_LMP_STP1、SUBC_LMP_STP2、SUBC_LMP_STP3、SUBC_LMP_STP4が格納されている。なお、SUBC_NONは、何も処理をしないことを示すダミーコール用のアドレスであり、ダミーコール用のアドレスを用意しておくことで、予告非当選時にランプを非点灯とすることを実現している。SUBC_LMP_STP1、SUBC_LMP_STP2、SUBC_LMP_STP3、SUBC_LMP_STP4は、ステップアップ数(1〜4)に対応するステップアップ予告を実行するためのスケジューラーデータのアドレスである。
本実施形態では、ステップアップ予告ワークエリア「YKK_STP」にはステップアップ数が4のステップアップ予告に対応する抽選結果値が格納されており、スケジューラーデータ「SUBC_LMP_STP4」が実行される。スケジューラーデータ「SUBC_LMP_STP4」は、各ステップに対応する階調パターンデータ(PTA_STP_PT1〜4)を指定してランプ階調データ再生処理(KPLAY)を実行し、ステップごとに90フレーム(約3秒間)のウエイト処理を実行する。これにより、各ステップで、3秒間、対応する階調パターンでランプを点灯・点滅させる。このとき、スケジューラーデータ「SUBC_LMP_STP4」は、背景、図柄ランプスケジューラーデータ用スケジューラ「LMP_SCH01」を使用して駆動される。
その後、スケジューラーデータ「SUBC_LMP_STP4」において、ファンクション「RET」が実行されることで、呼び出し元(スケジューラーデータ「SUBC_LMP_YKK_STP」)の処理に戻る。さらに、ファンクション「STOP」を実行し、スケジューラーデータ「SUBC_LMP_YKK_STP」を終了する。
本実施形態では、ステップアップ予告ワークエリア「YKK_STP」にはステップアップ数が4のステップアップ予告に対応する抽選結果値が格納されており、スケジューラーデータ「SUBC_LMP_STP4」が実行される。スケジューラーデータ「SUBC_LMP_STP4」は、各ステップアップに対応するランプ階調パターンデータ(PTA_STP_PT1〜4)を指定してランプ階調データ再生処理(KPLAY)を実行し、ステップごとに90フレーム(約3秒間)のウェイト処理を実行する。これにより、各ステップで、3秒間、対応するランプ階調パターンでランプを点灯・点滅させる。このとき、スケジューラーデータ「SUBC_LMP_STP4」は、予告グループ01ランプスケジューラーデータ用スケジューラ「LMP_SCH02」を使用して駆動される。
その後、スケジューラーデータ「SUBC_LMP_STP4」において、ファンクション「RET」が実行されることで、呼び出し元(スケジューラーデータ「SUBC_LMP_YKK_STP」)の次の処理に戻る。さらに、ファンクション「STOP」を実行し、スケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_STP」を終了する。
以上、ステップアップ予告について説明したが、ここで、スケジューラワークエリアインデックス分岐コール「SUBC」で実現可能な機能を記載する。1つ目には動的に書き換わるワークメモリ内容(本実施形態では予告抽選結果値)に基づき複数の抽選結果に対して、ワンアクションで、抽選結果に対するスケジューラーデータの呼び出しを可能としていることである。予告の内容によっては、抽選結果値の範囲が数百になるものも存在し、IF文の様な二分岐では、判断に対するスケジューラデータ数が増え複雑になりすぎ修正等の管理が困難になる。一方、「SUBC」では、ワークメモリ内容をインデックスとすることで上記の問題を簡単に解決している。また、本実施形態ではワークメモリ及び分岐用のコールアドレステーブルの個数は互いに1つとなっているが、共に複数にすることで複雑な条件分岐をワンアクションで処理するようにしてもよい。2つ目には「CALL」の形式を取っているため、「SUBC」ファンクション実行後に共通のスケジューラデータを実行することが可能となり、分岐後のスケジューラデータを分岐数分記載する必要がなく、たった1つのスケジューラデータを記載することで、すべての分岐後に同じ処理を実行することができる。また、プログラムの不具合に対応するために、ワークメモリの値が分岐用のコールアドレステーブルの要素数を超える場合には分岐処理を行わず、「SUBC」ファンクションを終了するようにしてもよい。
すなわち、ファンクション「SUBC」は、あらかじめテーブル形式で保持された分岐先からワーク領域に格納された値に基づいて分岐先のスケジューラーデータを選択し、選択されたスケジューラーデータを呼び出すことができる。単なる条件分岐では、分岐の数に応じて条件を定義し、分岐先のスケジューラーデータを各々設定する必要があるが、ファンクション「SUBC」では、分岐先の追加や削除を容易に行うことができるため、演出内容の追加・変更の対応を容易にし、開発効率を向上させることができる。
[18−7−3.ボタンカットイン予告におけるランプ制御]
本実施形態のボタンカットイン予告は、変動前半に開始され、所定期間内に遊技者による演出ボタンの操作入力を受け付けることによって最後まで予告が実行される。また、ステップアップ予告と同様に、期待度(ボタンカットイン予告の抽選結果値)に応じて、所定のランプの点灯態様が制御される。
ボタンカットイン予告は予告グループ02に属し、ランプスケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_CUT」は、図334Bに示したように、予告グループ02ランプスケジューラーデータ用スケジューラ(ランプSCH予告02)「LMP_SCH03」で駆動される。ステップアップ予告とは別の予告グループに属し、別のスケジューラでスケジューラーデータが駆動されるため、並行して予告を実行することが可能となっている。
図336は、本実施形態のボタンカットイン予告におけるランプの制御を行うスケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_CUT」の内容を説明する図である。
スケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_CUT」が開始されると、まず、ファンクション「KPLAY:LMP_SCH03:PTA_CUT_STA」を実行し、その後、30フレーム(約1秒間)のウエイト処理「NOP:30」を実行する。これにより、階調パターンデータ「PTA_CUT_STA」に基づいて、1秒間、指定されたランプが点灯(点滅)する。このとき、ランプスケジューラ「LMP_SCH03」が使用される。
続いて、遊技者からの演出ボタンの入力を受け付けるために、3秒間のループ処理を実行する。具体的には、パラメータのループ回数を90回としてファンクション「LOOPST」を実行する。ループ1回あたり1フレームに対応するため、90回のループで3秒間に相当する。ループ処理では、ループの開始を示す「LOOPST」からループの終了を示すファンクション「LOOP」までのファンクションを最大で指定された回数だけ実行する。したがって、ファンクション「SUBC:YKK_BTN:TBL_LMP_CUB」が最大90回実行される。
ファンクション「SUBC:YKK_BTN:TBL_LMP_CUB」について説明すると、スケジューラワークエリアインデックス分岐コール「SUBC」が、対象スケジューラワーク番号「YKK_BTN」及びボタンカットイン予告分岐コールアドレステーブル「TBL_LMP_CUB」をパラメータとして実行される。
スケジューラ実行部5060は、ボタンカットイン予告分岐コールアドレステーブル「TBL_LMP_CUB」を参照し、ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」の内容に基づいて、分岐先となるスケジューラーデータの先頭アドレスを特定する。ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」には演出ボタンの操作状態が格納され、演出ボタンが操作されていない場合には「0:ボタン OFF」、演出ボタンが操作された場合には「1:ボタン ON」が設定される。演出ボタンの操作状態は、ボタンカットイン予告分岐コールアドレステーブル「TBL_LMP_CUB」の各レコードのインデックス(アドレス)に対応する。また、ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」の内容は、スケジューラーデータ外のボタン処理用のプログラムで書き換えが行われる。
ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」に「0:ボタン OFF」が設定されている間はボタンカットイン予告分岐コールアドレステーブル「TBL_LMP_CUB」において、ボタンカットイン予告ボタンOFF時ランプスケジューラーデータ「SUBC_LMP_CUT_BTNOFF」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_LMP_CUT_BTNOFF」の内容は、ファンクション「RET」のみであり、呼び出し元のスケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_CUT」のファンクション「SUBC:YKK_BTN:TBL_LMP_CUB」の直後(ファンクション「LOOP」)に戻る。したがって、90回のループ処理の間に演出ボタンの入力が検出されなかった場合には、ループ処理から抜け出してファンクション「STOP」が実行され、スケジューラーデータ「SCH_LMP_YKK_CUT」が終了する。
一方、ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」に「1:ボタン ON」が設定された場合には、ボタンカットイン予告分岐コールアドレステーブル「TBL_LMP_CUB」において、ボタンカットイン予告ボタンON時ランプスケジューラーデータ「SUBC_LMP_CUT_BTNON」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_LMP_CUT_BTNON」の内容は、ファンクション「SUBJ:YKK_CUT:TBL_LMP_CUT」であり、スケジューラワークエリアインデックス分岐ジャンプ「SUBJ」が、対象スケジューラワーク番号「YKK_CUT」及びボタンカットイン予告分岐ジャンプアドレステーブル「TBL_LMP_CUT」をパラメータとして実行される。
ボタンカットイン予告分岐ジャンプアドレステーブル「TBL_LMP_CUT」には、ボタンカットイン予告ランプスケジューラーデータのアドレスが格納されている。具体的には、スケジューラーデータのアドレスを示すSUBJ_NON、SUBJ_LMP_CUT1、SUBJ_LMP_CUT2、SUBJ_LMP_CUT3、SUBJ_LMP_CUT4が格納されている。なお、SUBJ_NONは、何も処理をしないことを示すダミーコール用のアドレスであり、ダミーコール用のアドレスを用意しておくことで、予告非当選時にランプを非点灯とすることを実現している。SUBJ_LMP_CUT1、SUBJ_LMP_CUT2、SUBJ_LMP_CUT3、SUBJ_LMP_CUT4は、ボタンカットイン予告の抽選結果値に対応するランプの点灯パターン(色、点灯時間)を実行するためのスケジューラーデータのアドレスである。
本実施形態では、ボタンカットイン予告ワークエリア「YKK_CUT」には、ボタンカットイン予告のパターン(PTN)4を示す抽選結果値が格納されており、スケジューラーデータ「SUBJ_LMP_CUT4」が実行される。スケジューラーデータ「SUBJ_LMP_CUT4」では、まず、ランプ階調データ再生処理(KPLAY)によってランプを赤色(階調データパターン「PTA_CUT_RED」)に点灯させた後、150フレームのウェイト処理を実行することで5秒間継続させる。このとき、ランプスケジューラ「LMP_SCH03」を使用してスケジューラーデータを駆動する。このとき、スケジューラーデータ「SUBC_LMP_STP4」は、予告グループ02ランプスケジューラーデータ用スケジューラ「LMP_SCH03」を使用して駆動される。
なお、ボタンカットイン予告ランプスケジューラーデータ「SUBJ_LMP_CUT4」の呼び出しは、CALLではなくJUMPなので、ボタンカットイン予告ランプスケジューラーデータの実行はファンクション「STOP」で終了し、呼び出し元のスケジューラ「SUBC_LMP_YKK_CUT」には復帰しない。したがって、スケジューラ「SCH_LMP_YKK_CUT」の終了は、「SCH_LMP_YKK_CUT」に含まれる「STOP」ファンクションが実行された場合と、スケジューラ「SUBJ_LMP_CUT1」から「SUBJ_LMP_CUT4」に含まれる「STOP」ファンクションが実行された場合の2種類がある。
以上、ボタンカットイン予告について説明したが、ここで、スケジューラワークエリアインデックス分岐ジャンプ「SUBJ」で実現可能な機能を記載する。1つ目には動的に書き換わるワークメモリ内容(本実施形態では予告抽選結果値)に基づき複数の抽選結果に対して、ワンアクションで、抽選結果に対するスケジューラーデータの呼び出しを可能としていることである、予告の内容によっては、抽選結果値の範囲が数百になるものも存在し、IF文の様な二分岐では、判断に対するスケジューラデータ数が増え複雑になりすぎ修正等の管理ができなくなる。「SUBJ」では、ワークメモリ内容をインデックスとすることで上記の問題を簡単に解決している。また、本実施形態ではワークメモリ及び分岐用のコールアドレステーブルの個数は互いに1つとなっているが、共に複数にすることで複雑な条件分岐をワンアクションで処理するようにしてもよい。2つ目には「JUMP」の形式を取っているため、「SUBJ」ファンクション実行後の分岐したスケジューラデータ別にすべて違った処理を実行することができる。また、「SUBC」と同様に、プログラムの不具合に対応するために、ワークメモリの値が分岐用のコールアドレステーブルの要素数を超える場合には分岐処理を行わず、「SUBC」ファンクションを終了するようにしてもよい。
すなわち、ファンクション「SUBJ」は、ファンクション「SUBC」と同様に、あらかじめテーブル形式で保持された分岐先からワーク領域に格納された値に基づいて分岐先のスケジューラーデータを選択し、選択されたスケジューラーデータに処理を遷移させることが可能となり、ファンクション「SUBC」と同様の効果を得ることができる。
また、ファンクション「SUBJ」は、ファンクション「SUBC」とは異なり、呼び出し先のスケジュールデータの処理を継続して実行し、呼び出し元の処理に復帰しないため、択一的に処理を実行する場合に適している。例えば、演出ボタンを操作するか否かによって実行する演出内容が異なる場合にファンクション「SUBJ」を使用することによって重複して演出が実行されることを抑制することができる。一方、ファンクション「SUBC」では呼び出し元のスケジューラーデータによる処理に復帰するため、呼び出し先の処理実行後、共通化した事後処理を実行することが可能となり、処理を簡素化することができる。
したがって、ファンクション「SUBC」及びファンクション「SUBJ」を用いることによって、スケジューラーデータの構造を簡素化しながら処理分岐に柔軟に対応可能な構造とすることが可能となる。さらに、テーブル形式の分岐先を変更するだけでの追加・変更の対応も容易になるため、開発効率を向上させるとともに、遊技機の仕様変更に対応することも容易になる。
[18−7−4.星役物予告におけるモータ制御]
続いて、本実施形態における変動後半において実行される星役物予告の制御について説明する。特別図柄の変動表示にリーチが発生し、変動後半に移行すると、群予告が発生し、群予告とは独立して星役物予告が実行される。星役物予告は、駆動体(モータ)によって動作可能な複数種類の星役物5002(本実施形態では、左星役物5002a、中星役物5002b及び右星役物5002cの3種類)が動作することによって図柄変動の期待度を報知する。具体的には、星役物5002が出現する数が多いほど期待度が高くなる。
本実施形態の星役物予告は、図334Bに示したように、星役物予告モータスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA1」をモータスケジューラ「MOT_SCH02」(左星役物スケジューラーデータ用スケジューラ)で駆動することによって実行される。なお、本実施形態の遊技機では、星役物5002を動作させるための専用スケジューラ(MOT_SCH02〜04)があらかじめ設けられているが、汎用のスケジューラ(MOT_SCH05〜09)を使用することも可能である。
図337から図339は、本実施形態の星役物予告におけるモータ制御を行うスケジューラーデータの内容を説明する図である。図337は全体の流れ及び左星役物5002aを制御するスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA1」、図338は右星役物5002cを制御するスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA2」、図339は中星役物5002bを制御するスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA3」を説明する図である。
スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA1」が開始されると、まず、ファンクション「SUBC:YKK_HYA:TBL_MOT_HYA」が実行される。このファンクションは、スケジューラワークエリアインデックス分岐コール「SUBC」であり、対象スケジューラワーク番号「YKK_HYA」、星役物予告分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_HYA」をパラメータとして実行される。
スケジューラ実行部5060は、指定された星役物予告分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_HYA」を参照し、星役物予告ワークエリア「YKK_HYA」の内容に基づいて、分岐先となるスケジューラーデータのアドレスを特定する。星役物予告ワークエリア「YKK_HYA」には、星役物予告の抽選結果値が格納され、星役物予告分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_HYA」の各レコードのインデックス(アドレス)に対応する。
星役物予告分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_HYA」には、星役物出現スケジューラーデータのアドレスが格納されている。具体的には、スケジューラーデータのアドレスを示すSUBC_NON、SUBC_MOT_HYA1、SUBC_MOT_HYA2、SUBC_MOT_HYA3が格納されている。なお、SUBC_NONは、何も処理をしないことを示すダミーコール用のアドレスであり、ダミーコール用のアドレスを用意しておくことで、予告非当選時に役物を非動作とすることを実現している。SUBC_MOT_HYA1、SUBC_MOT_HYA2、SUBC_MOT_HYA3は星役物予告を実行するためのスケジューラーデータのアドレスであり、具体的には、SUBC_MOT_HYA1は左星役物5002aのみ、SUBC_MOT_HYA2は左星役物5002a及び右星役物5002c、SUBC_MOT_HYA3は3種類すべての星役物5002を動作させるためのスケジューラーデータである。
本実施形態では、星役物予告ワークエリア「YKK_HYA」には、左星役物5002a、中星役物5002b、右星役物5002cを出現させる星役物予告を実行することを示す抽選結果値「3」が格納されており、スケジューラーデータ「SUBC_MOT_HYA3」が実行される。なお、左星役物5002aのみを動作させる場合には星役物予告の抽選結果値に「1」、左星役物5002a及び右星役物5002cを動作させる場合には星役物予告の抽選結果値に「2」が設定される。
スケジューラーデータ「SUBC_MOT_HYA3」は、まず、左星役物5002aの出現動作のパターンを示すパラメータ「PTA_HYA_LEF」を指定して、モータ再生処理に対応するファンクション「MPLAY」を実行する。このとき、ファンクション「MPLAY」は、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA1」が実行されているモータスケジューラ「MOT_SHC02」で実行される。
次に、スケジューラ実行部5060は、ファンクション「REQ」によって、右星役物5002c出現スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA2」を実行する。ファンクション「REQ」は、パラメータで指定したスケジューラーデータを、同じくパラメータで指定したスケジューラで実行するためのファンクションである。ここでは、右星役物5002c出現スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA2」を、右星役物5002cスケジューラーデータ用スケジューラ「MOT_SHC03」を使用して実行する。同様に、ファンクション「REQ」によって、中星役物5002b出現スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA2」を、中星役物5002bスケジューラーデータ用スケジューラ「MOT_SHC04」を使用して実行する。なお、本実施形態では、左星役物5002aに対するモータ再生処理と同一フレーム内で、右星役物5002c及び中星役物5002bを動作させるためのモータ再生処理(ファンクション「MPLAY」)を実行させている。以上のように、各星役物5002を動作させるスケジューラーデータを異なるスケジューラで実行させることによって、各星役物5002を並行して制御することができる。
続いて、スケジューラ実行部5060は、300フレーム(10秒間)のウエイト処理「NOP:300」を実行する。このウエイト時間の間、指定した態様で左星役物5002aが動作する。ウエイト処理終了後、ファンクション「RET」を実行し、呼び出し元の星役物予告モータスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA1」に戻り、ファンクション「ストップ」によってスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA1」の実行が終了する。
次に、図338を参照して右星役物5002cの制御について説明する。右星役物5002c出現スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA2」は、ファンクション「REQ」による実行時に指定された右星役物5002cスケジューラーデータ用スケジューラ「MOT_SHC03」を使用して実行される。
スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA2」が開始されると、図338に示すように、右星役物5002cの出現動作態様(パターン)を示すパラメータ「PTA_HYA_RGT」を指定して、モータ再生処理「MPLAY」を実行する。続いて、300フレーム(10秒間)のウエイト処理「NOP:300」を実行する。このウエイト時間が右星役物5002cの動作時間となる。ウエイト処理終了後、呼び出し元のスケジューラーデータの処理には復帰せずにファンクション「STOP」の実行によって処理を終了する。
最後に、図339を参照して中星役物5002bの制御について説明する。中星役物5002b出現スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA3」は、ファンクション「REQ」による実行時に指定された中星役物5002bスケジューラーデータ用スケジューラ「MOT_SHC04」を使用して実行される。
スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_HYA3」が開始されると、図339に示すように、中星役物5002bの出現動作態様(パターン)を示すパラメータ「PTA_HYA_MID」を指定して、モータ再生処理「MPLAY」を実行する。続いて、300フレーム(10秒間)のウエイト処理「NOP:300」を実行する。このウエイト時間が中星役物5002bの動作時間となる。ウエイト処理終了後、呼び出し元のスケジューラーデータの処理には復帰せずにファンクション「STOP」の実行によって処理を終了する。
以上のように、本実施形態では、左星役物5002aを動作させるスケジューラーデータにおいて、右星役物5002cを動作させるスケジューラーデータと中星役物5002bを動作させるスケジューラーデータとを、ファンクション「REQ」を使用して実行することによって、各役物を並列して動作させることが可能となる。すなわち、各役物の動作はそれぞれ個別に定義したスケジューラーデータを必要に応じて実行することで、特別な制御を行うことなく並列して実行することができる。スケジューラーデータを並列に実行させる利点は、まず、他のスケジューラを意識することなく単一の役物動作を記載できる点である。さらに、スケジューラ1本で予告パターンに対応する複数の動作を行う場合、組み合わせ数が膨大となり、スケジューラーデータが複雑化するとともにデータ数が膨大となってしまうことに対し、ファンクション「REQ」を使用してスケジューラーデータを並列に呼び出すことによって、最小数のスケジューラーデータを作成し、呼び出すことで、簡易に制御することが可能となる。なお、本実施形態では、3種類の役物を並行して動作させる例について説明したが、役物の動作に支障がなければさらに多くの役物を並列して実行することが可能である。以上より、本実施形態によれば、複雑な制御を必要とすることなく複数の役物を並列して動作させることを可能とし、バリエーションに富んだ演出を容易に実現することができる。
[18−7−5.ロゴ役物落下予告におけるモータ制御]
続いて、本実施形態における変動後半に実行されるロゴ役物落下予告の制御について説明する。ロゴ役物落下予告は、群予告及び星役物予告とは独立して実行される。ロゴ役物落下予告は、遊技機のロゴを模したロゴ役物5001が遊技盤側演出表示装置1600の前方を垂直方向に落下するように動作する予告演出であり、通常よりも大当りの発生確率が高いことを示している。
本実施形態のロゴ役物落下予告は、図334Bに示したように、ロゴ役物落下予告モータスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_LGO」をモータスケジューラ「MOT_SCH01」(ロゴ役物スケジューラーデータ用スケジューラ)で駆動することによって実行される。なお、汎用のスケジューラ(MOT_SCH05〜09)をロゴ役物5001を動作させることも可能である。
図340は、本実施形態のロゴ役物落下予告におけるモータ制御を行うスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_LGO」の内容を説明する図である。
スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_LGO」が開始されると、まず、ファンクション「MPLAY:PTA_LGO_GAT」を実行し、その後、30フレーム(約1秒間)のウエイト処理「NOP:30」を実行する。これにより、動作パターンデータ「PTA_LGO_GAT」に基づいて、1秒間、指定された動作を行う。具体的には、ロゴ役物5001がガタガタ振動する。このとき、モータスケジューラ「MOT_SCH01」が使用される。
続いて、遊技者からの演出ボタンの入力を受け付けるために、3秒間のループ処理を実行する。具体的には、パラメータのループ回数を90回としてファンクション「LOOPST」を実行する。前述のように、ループ処理では、「LOOPST」と「LOOP」の間のファンクションを繰り返し実行する。したがって、ファンクション「SUBC:YKK_LGO:TBL_YKK_LGO」が最大90回実行される。
ファンクション「SUBC:YKK_LGO:TBL_YKK_LGO」について説明すると、スケジューラワークエリアインデックス分岐コール「SUBC」が、対象スケジューラワーク番号「YKK_LGO」及びボタンロゴ役物落下予告抽選結果分岐コールテーブル「TBL_YKK_LGO」をパラメータとして実行される。
スケジューラ実行部5060は、ボタンロゴ役物落下予告抽選結果分岐コールテーブル「TBL_YKK_LGO」を参照し、ボタンロゴ役物予告ワークエリア「YKK_LGO」の内容に基づいて、分岐先となるスケジューラーデータの先頭アドレスを特定する。ボタンロゴ役物予告ワークエリア「YKK_LGO」にはボタンロゴ役物落下予告の実行抽選の結果が格納され、ボタンロゴ役物落下予告の実行抽選にはずれた場合には「0:未実行」、ボタンロゴ役物落下予告の実行抽選に当選した場合には「1:ロゴ落下予告実行」が設定される。ボタンロゴ役物落下予告の実行抽選の結果は、ボタンロゴ役物落下予告抽選結果分岐コールテーブル「TBL_YKK_LGO」の各レコードのインデックス(アドレス)に対応する。
ボタンロゴ役物予告ワークエリア「YKK_LGO」に「0:未実行」が設定されている間はボタンロゴ役物落下予告抽選結果分岐コールテーブル「TBL_YKK_LGO」において、ロゴ役物落下予告未実行時モータスケジューラーデータ「SUBC_YKK_LGO_NON」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_YKK_LGO_NON」の内容は、ファンクション「RET」のみであり、呼び出し元のスケジューラ「SCH_MOT_YKK_LGO」のファンクション「SUBC:YKK_LGO:TBL_YKK_LGO」の直後(ファンクション「LOOP」)に戻る。したがって、ボタンロゴ役物落下予告の実行抽選にはずれた場合には、90回のループ処理が実行された後、ループ処理から抜け出してファンクション「STOP」が実行され、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_LGO」が終了する。
一方、ボタンロゴ役物予告ワークエリア「YKK_LGO」に「1:ロゴ落下予告実行」が設定された場合、すなわち、ボタンロゴ役物落下予告の実行抽選に当選した場合には、ボタンロゴ役物落下予告抽選結果分岐コールテーブル「TBL_YKK_LGO」において、ロゴ役物落下予告実行時モータスケジューラーデータ「SUBC_YKK_LGO_DOWN」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_YKK_LGO_DOWN」の内容は、ファンクション「SUBC:YKK_BTN:TBL_MOT_LGO」であり、スケジューラワークエリアインデックス分岐コール「SUBC」が、対象スケジューラワーク番号「YKK_BTN」及びボタンロゴ役物落下予告ボタン分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_LGO」をパラメータとして実行される。
スケジューラ実行部5060は、ボタンロゴ役物落下予告ボタン分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_LGO」を参照し、ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」の内容に基づいて、分岐先となるスケジューラーデータの先頭アドレスを特定する。ボタンカットイン予告の場合と同様に、ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」には演出ボタンの操作状態が格納され、演出ボタンが操作されていない場合には「0:ボタン OFF」、演出ボタンが操作された場合には「1:ボタン ON」が設定される。演出ボタンの操作状態は、ボタンロゴ役物落下予告分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_LGO」の各レコードのインデックス(アドレス)に対応する。
ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」に「0:ボタン OFF」が設定されている間はボタンロゴ役物落下予告ボタン分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_LGO」において、ロゴ役物落下予告ボタンOFF時モータスケジューラーデータ「SUBC_MOT_LGO_BTNOFF」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_MOT_LGO_BTNOFF」の内容は、ファンクション「RET」のみであり、呼び出し元のスケジューラーデータ「SUBC_YKK_LGO_DOWN」のファンクション「SUBC:YKK_BTN:TBL_MOT_LGO」の直後(ファンクション「RET」)に戻る。これにより、さらに、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_LGO」のファンクション「LOOP」に戻る。したがって、ボタンロゴ役物落下予告の実行抽選に当選した場合であっても90回のループ処理の間に演出ボタンの入力が検出されなかった場合には、ループ処理から抜け出してファンクション「STOP」が実行され、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_LGO」が終了する。
一方、ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」に「1:ボタン ON」が設定された場合には、ボタンロゴ役物落下予告ボタン分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_LGO」において、ロゴ役物落下予告ボタンON時モータスケジューラーデータ「SUBC_MOT_LGO_BTNON」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_MOT_LGO_BTNON」の内容は、まず、ファンクション「COMMAND:COM_LGO_ON」を実行する。ファンクション「COMMAND」は、スケジューラーデータの実行時にコマンドを発行するためのファンクションである。ここでは、コマンド「COM_LGO_ON」を発行する。コマンド「COM_LGO_ON」は、ロゴ役物5001落下時のエフェクトを遊技盤側演出表示装置1600に描画を開始させるためのコマンドであり、演出制御部5020に対して発行される。
さらに、スケジューラ実行部5060は、コマンド「COM_LGO_ON」の発行と同じフレーム内で、ファンクション「MPLAY:PTA_LGO_DOWN」を実行する。パラメータ「PTA_LGO_DOWN」はロゴ役物5001を落下させる動作を行うためのパターンデータである。さらに、ファンクション「NOP:120」によって、120フレーム(約4秒間)のウエイト処理を実行する。このとき、ロゴ役物5001は3秒間かけて落下動作を行い、残りの1秒間は落下位置で停止する。
さらに、ファンクション「MPLAY:PTA_LGO_INI」を実行することによって、ロゴ役物5001が落下位置から初期位置に移動する動作を行う。続いて、ファンクション「NOP:90」によって、90フレーム(約3秒間)のウエイト処理を実行し、その間にロゴ役物5001を初期位置に復帰させる。ウエイト処理終了後には、ロゴ役物落下動作の実行を終了したため、ファンクション「MEMW:YKK_LGO:0」を実行し、ボタンロゴ役物予告抽選結果を「0:未実行」に書き換え、呼び出し元のスケジューラーデータ「SUBC_YKK_LGO_DOWN」のファンクション「SUBC:YKK_BTN:TBL_MOT_LGO」の直後(ファンクション「RET」)に戻る。これにより、さらに、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_LGO」のファンクション「LOOP」に戻る。スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_LGO」のファンクション「LOOP」に復帰するが、ボタンロゴ役物予告抽選結果を「0:未実行」に書き換えているため、ボタンロゴ役物の落下を行うスケジューラデータ「PTA_LGO_DOWN」は実行されず残りのループ回数処理を行い、ファンクション「STOP」によってスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_LGO」の実行を終了する。
以上のように、ロゴ役物5001を落下させる場合にコマンドを内部発行することによって、ロゴ役物5001の落下時のみ、かつ、ロゴ役物5001の落下タイミングで、液晶にエフェクトを表示することが実現できる。本実施形態では、ファンクション「COMMAND」を使用することによって、複数種類の演出装置を連携して適切なタイミングで必要に応じて実行することを可能とし、より興趣の高い演出を実行することができる。
本実施形態では、ファンクション「COMMAND」を用いて、音源内蔵VDP1540aに液晶にエフェクトを表示させているが、ファンクション「COMMAND」で発行したコマンドをプログラム側で処理することで、制御をスケジューラからプログラムに一旦戻し、ファンクションコマンドでは対応できない複雑な処理を行い、処理結果をその後のスケジューラで使用するワークエリアに書き込むことで、本来ファンクションコマンドでは制御できない処理も行うことができる。また、スケジューラーデータ内でコマンドを発行するメリットは、コマンド発行タイミングがそのまま処理タイミングとすることで、プログラムによる時間管理や実行判定が必要ない点である。また、変動開始時にあらかじめ決定されないユーザによる外部入力(ボタン、ジョグダイヤル、タッチパッド)に対してインタラクティブに処理し、ファンクション「COMMAND」を用いてコマンド発行を行い、処理を行うことが可能となる。
また、本実施形態で、ファンクション「COMMAND」は、固定値のコマンドを送信する機能となっているが、固定値ではなく、ワークエリアを指定して、ワークエリアの内容をコマンドとして送信するようにしてもよい。
[18−8.スケジューラーデータの適用例(電源投入時)]
続いて、遊技機の電源投入時に周辺制御基板1510において実行されるスケジューラーデータについて説明する。ここでは、遊技機の電源投入から遊技が開始されて最初の変動表示が開始されるまでの制御について説明する。
[18−8−1.処理概要]
図341は、本実施形態の遊技機の電源投入時に実行されるスケジューラーデータを説明する図面である。本実施形態の遊技機では、遊技機の電源が投入されると、主制御基板1310から周辺制御基板1510に電源投入時コマンドが出力される。
スケジューラ実行部5060は、電源投入時コマンドを受信すると、サブ状態スケジューラ「SUB_SCH」で、スケジューラーデータ「SCH_STS_POWERON」を駆動する。
スケジューラーデータ「SCH_STS_POWERON」が実行されると、所定の順序でサブ内部状態遷移スケジューラが実行され、サブ遊技状態(サブ内部状態)に対応するスケジューラーデータが起動される。スケジューラーデータ「SCH_STS_POWERON」の進行にともなって、液晶表示画面にはサブ内部状態に対応する画面、例えば図341に示すように、待機中画面、メーカデモ画面、機種デモタイトル画面、ゴト防止画面などが表示される。このとき、メイン遊技状態は待機中状態となっている。待機中状態が終了すると、遊技が開始され、始動入賞口に遊技球が入賞すると、メイン遊技状態及びサブ内部状態が変動中状態に遷移する。
[18−8−2.電源投入時制御]
続いて、各種コマンド及びスケジューラーデータを処理するための構成について説明する。図342は、本実施形態の遊技機の周辺制御基板1510においてコマンド及びスケジューラーデータを処理するための構成及びこれら構成の関係を説明する図である。
前述のように、遊技機の電源を起動した場合や主制御基板1310における遊技制御において所定のイベントが発生した場合には、主制御基板1310からメインコマンドが送信され、周辺制御基板1510によって受信される。メインコマンドは、図324にて説明したように、システムモジュール5100のメインコマンドバッファ5110に格納され、コマンド解析モジュールにおけるメインコマンド解析処理によって解析される。コマンド解析モジュールは、メインコマンド解析処理によって発生したイベントの種類などを特定し、対応するスケジューラを起動してスケジューラーデータを実行する。
また、ファンクション「COMMAND0」(図331)が実行され、スケジューラからコマンドが出力された場合にも、メインコマンドと同様に、出力されたコマンドがメインコマンドバッファ5110に格納され、メインコマンド解析処理によって解析される。
メインコマンドやファンクション「COMMAND0」によって出力されたコマンドを受信すると、メインコマンド解析処理によって周辺制御基板1510での制御を実行するためのコマンドが生成される。生成されるコマンドには、スケジューラを起動するコマンドや各種演出装置を制御するコマンド(サブ内部出力用コマンド)が含まれる。
スケジューラを起動するコマンドでは、例えば、主制御基板1310における遊技状態の変化や周辺制御基板1510における制御の進行によるサブ内部状態の変化に対応する制御を行うためのスケジューラーデータ、始動入賞など主制御基板1310から通知されたイベントに対応した演出を実行させるためのスケジューラーデータ、各種演出装置が一連の態様で動作するように定義されたスケジューラーデータなどが実行される。本実施形態では、コマンドから直接スケジューラを起動する以外にも、スケジューラーデータに含まれるファンクション「REQ」によって別のスケジューラを起動することが可能となっている。
一方、演出装置を制御するコマンド(サブ内部出力用コマンド)は、例えば、液晶表示装置に所定の画像を表示する液晶コマンドなどである。演出装置を制御するコマンドは、メインコマンドを解析した結果に基づいて出力される場合の他に、スケジューラーデータに含まれるファンクション「COMMAND」によって出力される。演出装置を制御するコマンドは、一旦、サブ内部出力用コマンドバッファに格納され、バッファの先頭から格納された順に処理される。
以上のように、本実施形態では、スケジューラから他のスケジューラをさらに起動させることによって、一のメインコマンドを受信することで複数のスケジューラを階層的に組み合わせて実行することが可能となる。これにより、周辺制御基板1510における各種制御をスケジューラーデータ単位で部品化することが可能となり、スケジューラを組み合わせることによって、多様な演出制御を実現しながら、複数種類の演出を並行して実装したり、デバッグの作業を効率化したりするなど、遊技機の開発効率を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、ファンクション「COMMAND0」によるコマンド出力によって、コマンドの解析処理を共通化することが可能となる。これにより、コマンド解析によるスケジューラーデータの選択ロジック、ファンクションのパラメータの決定ロジックを共通化することが可能となるため、膨大な数のスケジューラーデータの組み合わせをテーブルで管理しなければならないといった問題点が生じることを抑制することができる。
続いて、主制御基板1310から電源投入時のコマンドを受信した場合のスケジューラの起動及びスケジューラーデータの実行について説明する。図343は、本実施形態の電源投入時においてスケジューラーデータを実行する過程について説明する図である。
図342にて説明したように、遊技機に電源が投入され、主制御基板1310から送信された電源投入コマンドを周辺制御基板1510が受信すると、メインコマンド解析処理によって電源投入コマンドが解析され、スケジューラ起動処理によってサブ状態スケジューラが起動され、対応するスケジューラーデータが順次実行される。各スケジューラーデータを実行において、ファンクション「COMMAND0」を実行してコマンをド発行することにより、サブ内部状態を作成し、さらに、必要に応じてサブ内部状態に対応する、ランプや音の出力を行う。
実行されるスケジューラについて具体的に説明すると、まず、サブ状態スケジューラ「SUB_SCH」を使用して、状態電源投入スケジューラーデータ「SCH_STS_POWERON」を実行する。状態電源投入スケジューラーデータ「SCH_STS_POWERON」では、ファンクション「COMMANDO」によって次の内部状態に遷移するコマンド「COM_STS_TAIKI」を発行し、スケジューラを停止する。
コマンド「COM_STS_TAIKI」は、「メインコマンド解析処理」で処理され、次のサブ内部状態に対応する状態待機時スケジューラーデータ「SCH_STS_TAKI」が実行される。
続いて、サブ状態スケジューラ「SUB_SCH」を使用して、状態待機時スケジューラーデータ「SCH_STS_TAKI」が実行されると、ファンクション「KPLAY:PTA_LAMP_TAIKI」を実行する。これにより、待機状態のランプ点灯パターン「PTA_LAMP_TAIKI」に基づいて、ランプの点灯が開始される。その後、ファンクション「NOP:900」を実行することで900フレーム(30秒)の間、待機状態になる。待機状態終了後、ファンクション「COMMANDO」によって次の内部状態に遷移するコマンド「COM_STS_MDEMO」を発行し、スケジューラを停止する。
コマンド「COM_STS_MDEMO」は、「メインコマンド解析処理」で処理され、次のサブ内部状態に対応する状態メーカーデモスケジューラーデータ「SCH_STS_MDEMO」が実行される。
続いて、サブ状態スケジューラ「SUB_SCH」を使用して、状態メーカーデモスケジューラーデータ「SCH_STS_MDEMO」が実行されると、ファンクション「KPLAY:PTA_LAMP_MDEMO」を実行する。これにより、メーカデモ状態のランプ点灯パターン「PTA_LAMP_MDEMO」に基づいて、ランプの点灯が開始される。その後、ファンクション「NOP:300」を実行することで300フレーム(10秒)の間、待機状態になる。待機状態終了後、ファンクション「COMMANDO」によって次の内部状態に遷移するコマンド「COM_STS_KDEMO」を発行し、スケジューラを停止する。
コマンド「COM_STS_KDEMO」は、「メインコマンド解析処理」で処理され、次のサブ内部状態に対応する状態機種デモスケジューラーデータ「SCH_STS_KDEMO」が実行される。
続いて、サブ状態スケジューラ「SUB_SCH」を使用して、状態メーカーデモスケジューラーデータ「SCH_STS_KDEMO」が実行されると、ファンクション「KPLAY:PTA_LAMP_KDEMO」を実行する。これにより、機種デモ状態のランプ点灯パターン「PTA_LAMP_KDEMO」に基づいて、ランプの点灯が開始される。その後、ファンクション「NOP:900」を実行することで900フレーム(30秒)の間、待機状態になる。待機状態終了後、ファンクション「COMMANDO」によって次の内部状態に遷移するコマンド「COM_STS_GOTO」を発行し、スケジューラを停止する。
コマンド「COM_STS_KDEMO」は、「メインコマンド解析処理」で処理され、次のサブ内部状態に対応する状態ゴト防止スケジューラーデータ「SCH_STS_GOTO」が実行される。
続いて、サブ状態スケジューラ「SUB_SCH」を使用して、状態ゴト防止スケジューラーデータ「SCH_STS_GOTO」が実行されると、ファンクション「KPLAY:PTA_LAMP_GOTO」を実行する。これにより、ゴト防止状態のランプデータ「PTA_LAMP_GOTO」の点灯パターンに基づいて、ランプの点灯が開始される。さらに、ファンクション「SPLAY:PTA_SND_GOTO」を実行することで、ゴト防止状態の音データ「PTA_SND_GOTO」に基づいて、音の再生が開始される。その後、ファンクション「NOP:450」を実行することで450フレーム(15秒)の間、待機状態になる。待機状態終了後、ファンクション「COMMANDO」によって次の内部状態に遷移するコマンド「COM_STS_TAIKI」を発行し、スケジューラを停止する。
コマンド「COM_STS_TAIKI」は、「メインコマンド解析処理」で処理され、次のサブ内部状態に対応する状態待機時スケジューラーデータ「SCH_STS_TAKI」が実行される。遊技機は、この段階で遊技可能な状態となり、遊技が開始され、遊技球が入賞するまで、この待機状態のままループする。
以上のように、本実施形態では、主制御基板から送信される電源投入コマンドを受信するのみで周辺制御基板1510における内部状態を設定することを可能としている。具体的には、ファンクション「COMMAND0」によって、あたかも主制御基板1310がコマンドを発行したかのように制御することができる。例えば、電源投入時の初期化コマンドはパラメータが固定値の場合があり、主制御基板1310からのメインコマンドではなく、ファンクション「COMMAND0」でコマンドを出力することによって、主制御基板1310から送信されるメインコマンドの数を削減することが可能となる。これにより、主制御基板1310の遊技制御プログラムの容量を削減することが可能となり、特に遊技制御プログラムの容量に制約がある場合には有効である。
[18−9.スケジューラーデータの適用例(演出2)]
続いて、ボタンカットイン予告とボタンロゴ役物落下予告の代わりに鉈役物落下予告を実行する例について説明する。鉈役物落下予告は、前半と後半に分かれており、前半予告と後半予告が連携して実行される。この際、前半予告に使用されたパラメータを後半予告に引き継ぐなどの制御が行われる点でここまで説明した制御とは異なる制御が行われる。
[18−9−1.演出概要]
図344は、本実施形態における特別図柄の変動開始から停止するまでの一連の変動表示における予告演出の一例を示す図であり、(A)は変動開始から終了するまでに実行される演出及び当該演出を実行するためのスケジューラーデータ及び実行されるスケジューラを示し、(B)は鉈役物落下予告における鉈役物5003の位置を説明する図である。
図344(A)に示す一連の変動表示では、変動前半にステップアップ予告及び鉈役物落下予告の前半部であるボタン(BTN)鉈役物前半落下予告が実行される。その後、リーチが発生し、変動後半には群予告、前半から継続されたボタン鉈役物前半落下予告に続いて鉈役物後半落下予告が実行される。各予告演出には、ランプの点灯や音の出力、画像出力、役物の動作などを制御するためのスケジューラーデータが実行される。ステップアップ予告の内容については、前述した通りである。
次に、図344(B)を参照しながら、鉈役物落下予告の内容について説明する。鉈役物落下予告は、前述のように、ボタン(BTN)鉈役物前半落下予告と、鉈役物後半落下予告に分かれて構成されている。
前半部であるボタン鉈役物前半落下予告では、演出ボタンを操作することによって予告演出が進行する。そのため、ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に当選していても演出ボタンを操作しなければ、鉈役物5003の落下演出が実行しないようになっている。一方、後半部である鉈役物後半落下予告では、演出ボタンの操作によらず、鉈役物後半落下予告の実行抽選の結果に基づいて演出が実行される。
ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に当選し、演出ボタンを所定のタイミングで操作すると、鉈役物5003は中段位置まで落下する。さらに、鉈役物5003が中段位置まで落下した状態で鉈役物後半落下予告の実行抽選に当選すると、鉈役物5003が下段位置まで落下する。すなわち、鉈役物5003は、鉈役物落下予告の前半で上部(上段位置、初期位置)から中央(中段位置)まで落下し、後半で下部(下段位置)まで落下するようになっている。なお、鉈役物後半落下予告の実行抽選に当選すると、鉈役物5003の位置に関わらず、下部まで落下するようになっている。また、鉈役物落下予告が終了すると、鉈役物5003は上部(初期位置)に復帰する。
したがって、図344(B)に示すように、鉈役物落下予告は6種類のパターンで演出が実行される。具体的に説明すると、ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選の結果が非当選の場合には、演出ボタンの操作に依存しないため、鉈役物後半落下予告が非当選の場合(パターン1)と当選の場合(パターン2)がある。パターン1の場合、ボタン鉈役物前半落下予告及び鉈役物後半落下予告が非当選であるため、鉈役物5003は落下せず上部から移動せずに維持される。パターン2の場合には、鉈役物落下予告では鉈役物5003が落下せずに上部に位置する一方、鉈役物後半落下予告では実行抽選に当選したため、鉈役物5003が上部から下部まで一気に落下する。
ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に当選した場合には、演出ボタンを操作したか否かによってボタン鉈役物前半落下予告の演出態様が異なっている。したがって、鉈役物落下予告は、演出ボタンの操作の有無、鉈役物後半落下予告の実行抽選の結果によって4パターンの演出態様が実行可能となっている。
ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に当選し、演出ボタンを操作せず、さらに、鉈役物後半落下予告の実行抽選の結果が非当選の場合には、鉈役物5003は落下せずに上部に位置したままとなる(パターン3)。ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に当選し、演出ボタンを操作し、さらに、鉈役物後半落下予告の実行抽選の結果が非当選の場合には、演出ボタン操作時に、鉈役物5003が上部から中間まで落下し、鉈役物落下予告が終了するまで中間に位置したままとなる(パターン4)。
ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に当選し、演出ボタンを操作せず、さらに、鉈役物後半落下予告の実行抽選に当選した場合には、演出ボタンを操作していないため、鉈役物後半落下予告が開始されるまで鉈役物5003は落下せずに上部に位置し、鉈役物後半落下予告において上部から下部まで落下する(パターン5)。ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に当選し、演出ボタンを操作し、さらに、鉈役物後半落下予告の実行抽選に当選した場合には、演出ボタン操作時に、鉈役物5003が上部から中間まで落下し、さらに、鉈役物後半落下予告において上部から下部まで落下する(パターン6)。
以上のように、本実施形態の鉈役物落下予告は、6パターンの演出態様が出現可能であり、以下、鉈役物落下予告における鉈役物5003の動作を制御するスケジューラーデータについて説明する。具体的には、図344(A)に示した、ボタン鉈役物前半落下予告において鉈役物5003の動作を制御するボタン鉈役物前半落下予告モータスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA1」と、鉈役物後半落下予告において鉈役物5003の動作を制御する鉈役物後半落下予告モータスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」について説明する。
[18−9−2.鉈役物落下予告における各種制御]
図345は、本実施形態の鉈役物落下予告の前半部であるボタン鉈役物前半落下予告におけるモータ制御を行うボタン鉈役物前半落下予告スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA1」の内容を説明する図である。前述のように、ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に当選した場合には、ファンクション「LOOP」によって3秒間演出ボタンの操作を受け付け、演出ボタンが操作された場合に鉈役物5003を動作させる演出を実行する。ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選が非当選の場合、当選しても演出ボタンが操作されなかった場合には、鉈役物5003を動作させずに終了する。ボタン鉈役物前半落下予告スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA1」の実行には、モータスケジューラ「MOT_SCH01」が使用される。
スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA1」が開始されると、まず、ファンクション「COMMAND:COM_NTA1_STA」を実行し、遊技盤側演出表示装置1600に鉈役物5003をガタガタさせる時のエフェクトの描画を開始する。その後、ファンクション「MPLAY:PTA_NTA_GAT」を実行し、その後、30フレーム(約1秒間)のウエイト処理「NOP:30」を実行する。これにより、動作パターンデータ「PTA_NTA_GAT」に基づいて、1秒間、指定された動作を行う。具体的には、鉈役物5003がガタガタ振動する。
続いて、遊技者からの演出ボタンの入力を受け付けるために、3秒間のループ処理を実行する。具体的には、パラメータのループ回数を90回としてファンクション「LOOPST」を実行する。前述のように、ループ処理では、「LOOPST」と「LOOP」の間のファンクションを繰り返し実行する。したがって、ファンクション「SUBC:YKK_NTA1:TBL_YKK_NTA1」が最大90回実行される。
ファンクション「SUBC:YKK_NTA1:TBL_YKK_NTA1」について説明すると、スケジューラワークエリアインデックス分岐コール「SUBC」が、対象スケジューラワーク番号「YKK_NTA1」及びボタン鉈役物前半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA1」をパラメータとして実行される。
スケジューラ実行部5060は、ボタン鉈役物前半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA1」を参照し、ボタン鉈役物前半落下予告ワークエリア「YKK_NTA1」の内容に基づいて、分岐先となるスケジューラーデータの先頭アドレスを特定する。ボタン鉈役物前半落下予告ワークエリア「YKK_NTA1」にはボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選の結果が格納され、ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に非当選の場合には「0:非当選」、ボタン鉈役物前半落下予告実行抽選に当選した場合には「1:鉈役物前半落下予告実行」が設定される。ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選の結果は、ボタン鉈役物前半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA1」の各レコードのインデックス(アドレス)に対応する。
ボタン鉈役物前半落下予告ワークエリア「YKK_NTA1」に「0:非当選」が設定されている場合には、ボタン鉈役物前半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA1」において、ボタン鉈役物前半落下予告未実行時モータスケジューラーデータ「SUBC_YKK_NTA1_NON」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_YKK_NTA1_NON」の内容は、ファンクション「STOP」のみであり、ボタン鉈役物前半落下予告抽選の結果が「非当選」であるため、ボタン鉈役物前半落下予告を実行せずにスケジューラーデータの実行を終了する。
一方、ボタン鉈役物前半落下予告ワークエリア「YKK_NTA1」に「1:鉈役物前半落下予告実行」が設定された場合、すなわち、ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に当選した場合には、ボタン鉈役物前半落下予告抽選結果分岐コールテーブル「TBL_YKK_NTA1」において、鉈役物落下予告実行時モータスケジューラーデータ「SUBC_YKK_NTA1_DOWN」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_YKK_NTA1_DOWN」の内容は、ファンクション「SUBC:YKK_BTN:TBL_MOT_NTA1」であり、スケジューラワークエリアインデックス分岐コール「SUBC」が、対象スケジューラワーク番号「YKK_BTN」及びボタン鉈役物前半落下予告ボタン分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_NTA1」をパラメータとして実行される。
スケジューラ実行部5060は、ボタン鉈役物前半落下予告ボタン分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_NTA1」を参照し、ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」の内容に基づいて、分岐先となるスケジューラーデータの先頭アドレスを特定する。ボタンカットイン予告やボタンロゴ役物落下予告の場合と同様に、ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」には演出ボタンの操作状態が格納され、演出ボタンが操作されていない場合には「0:ボタン OFF」、演出ボタンが操作された場合には「1:ボタン ON」が設定される。演出ボタンの操作状態は、ボタン鉈役物前半落下予告分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_NTA1」の各レコードのインデックス(アドレス)に対応する。
ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」に「0:ボタン OFF」が設定されている間はボタン鉈役物前半落下予告ボタン分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_NTA1」において、ボタン鉈役物前半落下予告ボタンOFF時モータスケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_BTNOFF」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_BTNOFF」の内容は、ファンクション「RET」のみであり、呼び出し元のスケジューラーデータ「SUBC_YKK_NTA1_DOWN」のファンクション「SUBC:YKK_BTN:TBL_MOT_NTA1」の直後(ファンクション「RET」)に戻る。これにより、さらに、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA1」のファンクション「LOOP」に戻る。したがって、ボタン鉈役物前半落下予告の実行抽選に当選した場合であっても90回のループ処理の間に演出ボタンの入力が検出されなかった場合には、ループ処理から抜け出してファンクション「STOP」が実行され、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA1」が終了する。
一方、ボタンON_OFFワークエリア「YKK_BTN」に「1:ボタン ON」が設定された場合には、ボタン鉈役物前半落下予告ボタン分岐コールアドレステーブル「TBL_MOT_NTA1」において、ボタン鉈役物前半落下予告ボタンON時モータスケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_BTNON」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_BTNON」の内容は、まず、ファンクション「COMMAND:COM_NTA_STA−MID」を実行し、コマンド「COM_NTA_STA−MID」を発行する。コマンド「COM_NTA_STA−MID」は、鉈役物落下時のエフェクトを遊技盤側演出表示装置1600に描画を開始させるためのコマンドであり、演出制御部5020に対して発行される。
さらに、スケジューラ実行部5060は、コマンド「COM_NTA_STA−MID」の発行と同じフレーム内で、ファンクション「MPLAY:PTA_NTA_STA−MID」を実行する。パラメータ「PTA_NTA_STA−MID」は鉈役物5003を中間位置まで落下させる動作を行うためのパターンデータである。さらに、ファンクション「NOP:120」によって、120フレーム(約4秒間)のウエイト処理を実行し、この間に鉈役物5003が中間位置まで落下する。
最後に、ファンクション「MEMW:SCH_MEM_NTA:1」を実行することによって、スケジューラ用鉈位置情報ワークエリア「SCH_MEM_NTA」に「1」を書き込み、鉈役物5003が中間位置に移動したことを記録する。その後、ファンクション「STOP」によってスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA1」の実行を終了する。
鉈役物落下予告の前半部であるボタン鉈役物前半落下予告が終了すると、後半部である鉈役物後半落下予告を開始する。図346及び図347は、本実施形態の鉈役物落下予告の後半部である鉈役物後半落下予告におけるモータ制御を行う鉈役物後半落下予告スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」の内容を説明する図である。鉈役物後半落下予告スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」の実行には、ボタン鉈役物前半落下予告スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA1」と同様に、モータスケジューラ「MOT_SCH01」が使用される。
スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」が開始されると、まず、ファンクション「COMMAND:COM_NTA2_STA」を実行し、遊技盤側演出表示装置1600に鉈役物5003が落下するか否かを示唆するエフェクトの描画を開始する。その後、90フレーム(約3秒間)のウエイト処理「NOP:90」を実行する。鉈役物5003が落下した場合に大当りの期待が大きくなるため、3秒間、エフェクト描画を行うことによって遊技者の期待感を高める。
続いて、スケジューラ実行部5060は、ファンクション「SUBC:YKK_NTA2:TBL_YKK_NTA2」を実行する。ファンクション「SUBC:YKK_NTA2:TBL_YKK_NTA2」では、スケジューラワークエリアインデックス分岐コール「SUBC」が、対象スケジューラワーク番号「YKK_NTA2」及び鉈役物後半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2」をパラメータとして実行される。
スケジューラ実行部5060は、鉈役物後半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2」を参照し、鉈役物後半落下予告2ワークエリア「YKK_NTA2」の内容に基づいて、分岐先となるスケジューラーデータの先頭アドレスを特定する。鉈役物後半落下予告2ワークエリア「YKK_NTA2」には鉈役物後半落下予告の実行抽選の結果が格納され、鉈役物後半落下予告の実行抽選に非当選の場合には「0:非当選」、鉈役物後半落下予告実行抽選に当選した場合には「1:鉈役物後半落下予告実行」が設定される。鉈役物後半落下予告の実行抽選の結果は、鉈役物後半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2」の各レコードのインデックス(アドレス)に対応する。
鉈役物後半落下予告2ワークエリア「YKK_NTA2」に「0:非当選」が設定されている場合には、鉈役物後半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2」において、鉈役物後半落下予告未実行時モータスケジューラーデータ「SUBC_YKK_NTA2_NON」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_YKK_NTA2_NON」では、ファンクション「SUBC:SCH_MEM_NTA:TBL_YKK_NTA2NON」を実行し、スケジューラ用鉈位置情報ワークエリア「SCH_MEM_NTA」の値及び鉈役物後半落下予告抽選結果非当選時分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2NON」に基づいて分岐する。
スケジューラ用鉈位置情報ワークエリア「SCH_MEM_NTA」に「0:初期位置」が設定されている場合には、鉈役物後半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2NON」において、鉈役物後半落下予告未実行時モータスケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_NON_NTA2_NON」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_NON_NTA2_NON」では、ファンクション「RET」を実行し、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」まで復帰する。
「0:初期位置」が設定されている場合には、鉈役物後半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2NON」において、鉈役物後半落下予告未実行時モータスケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_NON_NTA2_NON」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_NON_NTA2_NON」では、ファンクション「RET」を実行し、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」まで復帰する。その後、スケジューラ用鉈位置情報ワークエリア「SCH_MEM_NTA」の値を「0:初期位置」に上書きし、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」を終了する。
一方、スケジューラ用鉈位置情報ワークエリア「SCH_MEM_NTA」に「1:中間位置」が設定されている場合には、鉈役物後半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2NON」において、鉈役物前半落下予告実行・後半落下予告非当選時モータスケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_DOWN_NTA2_NON」が選択される。
鉈役物前半落下予告実行・後半落下予告非当選時モータスケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_DOWN_NTA2_NON」では、まず、120フレーム(約4秒間)のウエイト処理「NOP:120」を実行する。ここで実行されるウエイト処理では、後述するように、鉈役物5003が下段位置にある場合に中間位置まで戻すための待機時間になる。ここでは、もともと中間位置に鉈役物5003があるため、4秒間待機することになる。
ウエイト処理終了後、ファンクション「MPLAY:PTA_NTA_INIT_MID−TOP」を実行し、鉈役物5003を中間位置から初期位置に復帰させる。さらに、鉈役物5003の動作時間を確保するために、120フレーム(約4秒間)のウエイト処理「NOP:120」を実行し、ファンクション「RET」によってスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」まで復帰する。
また、鉈役物後半落下予告2ワークエリア「YKK_NTA2」に「1:鉈後半落下予告」が設定されている場合には、鉈役物後半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2」において、鉈役物後半落下予告当選時モータスケジューラーデータ「SUBC_YKK_NTA2_DOWN」が選択される。スケジューラーデータ「SUBC_YKK_NTA2_DOWN」では、ファンクション「SUBC:SCH_MEM_NTA:TBL_YKK_NTA2DOWN」を実行し、スケジューラ用鉈位置情報ワークエリア「SCH_MEM_NTA」の値及び鉈役物落下予告2分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2DOWN」に基づいて分岐する。
スケジューラ用鉈位置情報ワークエリア「SCH_MEM_NTA」に「0:初期位置」が設定されている場合には、鉈役物後半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2DOWN」において、鉈役物前半落下予告未実行・後半落下予告当選時モータスケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_NON_NTA2_DOWN」が選択される。
スケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_NON_NTA2_DOWN」では(図347)、まず、ファンクション「COMMAND:COM_NTA_STA−END」を実行し、コマンド「COM_NTA_STA−END」を発行する。コマンド「COM_NTA_STA−END」は、遊技盤側演出表示装置1600に鉈役物5003が初期位置から下段位置まで落下するエフェクトの描画を開始させるためのコマンドである。
さらに、スケジューラ実行部5060は、コマンド「COM_NTA_STA−END」の発行と同じフレーム内で、ファンクション「MPLAY:PTA_NTA_STA−END」を実行する。パラメータ「PTA_NTA_STA−END」は鉈役物5003を下段位置まで落下させる動作を行うためのパターンデータである。さらに、ファンクション「NOP:240」によって、240フレーム(約8秒間)のウエイト処理を実行し、この間に鉈役物5003を初期位置から下段位置まで落下させる。
そして、鉈役物5003が下段位置まで移動したタイミングで、ファンクション「COMMAND:COM_NTA_END」を実行し、コマンド「COM_NTA_END」を発行する。コマンド「COM_NTA_END」は、遊技盤側演出表示装置1600に鉈役物5003が下段位置に到達したエフェクトの描画を開始させるためのコマンドである。さらに、ファンクション「NOP:90」によって、90フレーム(約3秒間)のウエイト処理を実行し、遊技盤側演出表示装置1600でエフェクトの描画を継続させる。
その後、ファンクション「MPLAY:PTA_NTA_INIT_END−MID」を実行する。パラメータ「PTA_NTA_INIT_END−MID」は鉈役物5003を下段位置から中間位置まで復帰させる動作を行うためのパターンデータである。
続いて、ファンクション「CALL:SUBC_MOT_NTA1_DOWN_NTA2_NON」を実行し、前述したスケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_DOWN_NTA2_NON」を呼び出すことで、鉈役物5003を中段位置から初期位置に復帰させる。その後、ファンクション「RET」によってスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」まで復帰する。
一方、スケジューラ用鉈位置情報ワークエリア「SCH_MEM_NTA」に「1:中間位置」が設定されている場合には、鉈役物後半落下予告抽選結果分岐コールアドレステーブル「TBL_YKK_NTA2DOWN」において、鉈役物前半落下予告実行・後半落下予告当選時モータスケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_DOWN_NTA2_DOWN」が選択される。
スケジューラーデータ「SUBC_MOT_NTA1_DOWN_NTA2_DOWN」では(図347)、まず、ファンクション「COMMAND:COM_NTA_MID−END」を実行し、コマンド「COM_NTA_MID−END」を発行する。コマンド「COM_NTA_MID−END」は、遊技盤側演出表示装置1600に鉈役物5003が中間位置から下段位置まで落下するエフェクトの描画を開始させるためのコマンドである。
さらに、スケジューラ実行部5060は、コマンド「COM_NTA_STA−END」の発行と同じフレーム内で、ファンクション「MPLAY:PTA_NTA_STA−END」を実行する。パラメータ「PTA_NTA_STA−END」は鉈役物5003を下段位置まで落下させる動作を行うためのパターンデータである。さらに、ファンクション「NOP:120」によって、120フレーム(約4秒間)のウエイト処理を実行し、この間に鉈役物5003を中間位置から下段位置まで落下させる。
そして、鉈役物5003が下段位置まで移動したタイミングで、ファンクション「COMMAND:COM_NTA_END」を実行し、コマンド「COM_NTA_END」を発行する。コマンド「COM_NTA_END」は、遊技盤側演出表示装置1600に鉈役物5003が下段位置に到達したエフェクトの描画を開始させるためのコマンドである。さらに、ファンクション「NOP:90」によって、90フレーム(約3秒間)のウエイト処理を実行し、遊技盤側演出表示装置1600でエフェクトの描画を継続させる。
ここで、初期位置から下段位置まで鉈役物5003が落下した場合と鉈役物5003を初期位置に復帰させる動作を開始するタイミングを合わせるために、ファンクション「NOP:120」によって、120フレーム(約4秒間)のウエイト処理を実行する。この時間は、鉈役物5003が初期位置から中間位置に移動するまでの時間である。
その後、「SUBC_MOT_NTA1_NON_NTA2_DOWN」の場合と同様に、ファンクション「MPLAY:PTA_NTA_INIT_END−MID」を実行し、鉈役物5003を下段位置から中間位置まで復帰させる。さらに、ファンクション「CALL:SUBC_MOT_NTA1_DOWN_NTA2_NON」を実行し、鉈役物5003を中段位置から初期位置に復帰させる。その後、ファンクション「RET」によってスケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」まで復帰する。
鉈役物5003が初期位置に戻り、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」まで復帰すると、ファンクション「MEMW:SCH_MEM_NTA:0」を実行し、スケジューラ用鉈位置情報ワークエリア「SCH_MEM_NTA」の値を「0:初期位置」に更新し、スケジューラーデータ「SCH_MOT_YKK_NTA2」を終了する。
鉈役物落下予告では、前半部と後半部にスケジューラーデータが分割されており、前半部において遊技者が演出ボタンを操作するか否かによって、後半部における鉈役物5003の動作が異なる。そこで、前半部においてファンクション「MEMW」を使用して鉈役物5003の位置を書き込み、後半部で書き込まれた位置情報を取得することによって、鉈役物5003の位置を特定することを可能とする。これにより、鉈役物5003の位置ごとにモータの移動量を判断することができ、各対応したスケジューラデータを呼び出すことで演出ボタンの操作結果に応じた演出を実行することを可能としている。
また、鉈役物5003の動作後の初期位置への復帰動作においても中間位置から初期位置への移動で共通のスケジューラーデータを呼び出しているため、スケジューラーデータ全体を簡素化することができる。
ファンクション「MEMW」は、スケジューラーデータの実行時に所定の領域に固定値を書き込み、他のスケジューラーデータの実行時に参照することによって共通の値を参照することができる。これにより、複数のスケジューラーデータの実行によって変化する状態などを示す値を各スケジューラーデータの実行時に特定することができるため、遊技者の操作などに応じた処理をプログラムコードを作成したり、状態ごとにスケジューラーデータを作成したりすることなく、スケジューラーデータの定義のみで処理を完結させることができる。これにより、状態によって異なる処理を必要とするスケジューラーデータであっても必要数を最低限に抑制することが可能となり、スケジューラーデータの作成やデバッグを効率化し、管理を容易にすることができる。また、本実施形態では、固定値を書き込むファンクションとなっているが、固定値の代わりにワーク名称をファンクションのパラメータで指定することで、プログラム側からのデータの受け渡しや、コマンド情報に基づいた処理をスケジューラ上で行えることになり、より複雑な処理をスケジューラで行えることになる。ファンクション「MEMW」の特異な特徴は、ファンクション「MEMW」を含むスケジューラデータ実行開始時に決定していない情報に関しても、ファンクション「MEMW」実行時までに情報が決定すれば処理を行うことができる。これにより有効時間の制御やインタラクティブな制御を可能としている。
[18−10.スケジューラーデータの構成例(変動パターン)]
以上、一連の予告演出を実行する流れについて説明した。このような一連の予告演出の実行内容は、主制御基板1310から送信された変動パターンコマンドに基づいて抽選される。さらに、具体的な演出内容が予告演出ごとに抽選される。
以下、主制御基板1310から送信された変動パターンコマンドに基づいて、一連の予告演出の実行を制御する手順と、これら一連の予告演出と変動パターンに関わる基本演出(予告演出以外の抽選に関わらず演出され、変動パターンと一対一となる背景演出や図柄演出に関わる演出)を実行するためのスケジューラーデータの構成について説明する。
本実施形態では、特別図柄の変動が開始されてから変動停止するまでの期間を所定の構成単位で分割したブロック単位(演出区間)で管理している。ブロックは、例えば、図柄変動の開始からリーチが発生するまで、又は、リーチが発生しない場合には図柄が停止するまでの間(前半変動)、リーチ発生から図柄が停止するまでの間(後半変動)、図柄の停止から当該変動が終了するまでの間などとなっている。また、各ブロックには、変動パターンに対応した時間が割り当てられており、割り当てられた時間内での予告演出の実行タイミングや実行時間が定義されている。各ブロックに対応する時間及び実行される基本演出に関するデータをあわせてブロックデータとする。
また、ブロック分割のルールは、複数の変動パターンで変動に関わる基本演出を比較した場合、同一の基本演出部分を共通のブロックデータとし、液晶表示の基本演出に相違がある部分をブロックデータとして分割する。図348Aを参照すると、本実施形態における変動パターンコマンドに対応する液晶演出ブロックデータの組み合わせを格納する変動パターン別液晶演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(LCD_CTL_BLOCKDATA_NO)では、変動パターン「10H01H」は通常変動6秒ハズレとなっており、通常の変動を6秒間行い、その後ハズレの図柄演出を行う。通常変動の6秒演出、ハズレ停止演出は他の変動パターンでも使用するため、通常変動の6秒間の液晶演出ブロックデータ(LCD01_BLK)と、ハズレ停止の液晶演出ブロックデータ(LCD02_BLK)に分割される。
変動パターン「10H02H」は通常変動12秒ハズレとなっており、通常の変動を12秒間行い、その後ハズレの図柄演出を行う。通常変動の12秒演出は他の変動パターンでも使用するため、通常変動の12秒間の液晶演出ブロックデータ(LCD03_BLK)として分割し、ハズレの図柄演出に関しては変動パターン「10H01H」とまったく同じとなるため、ハズレ停止の液晶演出ブロックデータは、変動パターン「10H01H」で液晶表示ブロックに分割した、ハズレ停止の液晶演出ブロックデータ(LCD02_BLK)を共通で使用する。他の変動パターンに関しても、同じように、基本演出に関して既にブロックデータ化されている部分に関しては、共通で使用し、相違がある部分に関しては新たにブロックデータ化を行う。
以上のように、ブロック化を行うことによって共通の基本演出部分はユニークな数のブロックデータとなり、すべての変動パターン及び変動以外の大当り等の基本演出は、ユニークな液晶演出ブロックデータを組み合わせることで、すべての変動パターン及び変動以外の大当り等の基本演出の実現が可能となる。なお、作成すべき演出データの総量が大幅に少なくなることも重要であるが、ブロック化の最大の目的は、特定の基本演出の変更があった場合に、特定の基本演出が含まれる液晶演出ブロックデータを使用しているすべての変動パターンに変更が反映されることである。
本実施形態における液晶表示に関しては、音源内蔵VDP1540aを制御するため、本実施形態における、音、ランプ、役物のスケジューラーデータとはまったく異なったフォーマットと機能になっているが、ブロックデータごとに基本演出用の描画スケジューラーデータと予告演出用の描画スケジューラーデータが組み合わされる構成は、音、ランプ、役物等を制御するサブ演出ブロックデータと同じ構成となっている。また、液晶表示用の描画スケジューラーデータは、背景に表示される絵やムービー、図柄に関わる演出に関わる、フレーム情報、静止画や動画素材ID、表示位置情報、拡大縮小情報、回転角度情報、色情報、アルファ情報等、音源内蔵VDP1540aに対するディスプレイリストコマンドを生成するための制御情報を指定可能なファンクションで構成されており、また、ブロックデータ内で発生する予告演出に関わる演出の種類や実行タイミングを示す情報などが埋め込まれている。
さらに、本実施形態では、液晶表示装置に識別図柄を変動表示させるためのブロックデータを、その他の液晶演出を行うためのブロックデータとは別に、液晶図柄ブロックデータとして定義している。これにより、識別図柄を変動表示させるための制御を他の液晶演出の制御と独立させることが可能となり、例えば、識別図柄の形状を異ならせて変動表示させる場合であっても共通の予告演出を液晶表示装置で実行することが可能となる。なお、図柄表示用の描画スケジューラーデータは、液晶演出用の描画スケジューラーデータと同じフォーマットと機能になっている。また、ブロックデータごとに基本演出用の描画スケジューラーデータと図柄に関わる予告演出用の描画スケジューラーデータが組み合わされる構成は、前述したサブ演出ブロックデータや液晶演出ブロックデータと同じ構成となっている。図柄表示用の描画スケジューラーデータは、液晶表示用の描画スケジューラーデータと同じ構成及び機能となっており、加えて、識別図柄の変動表示の態様を特定する情報などが埋め込まれている。
図348Aは、本実施形態における変動パターンコマンドに対応する液晶演出ブロックデータの組み合わせを格納する変動パターン別液晶演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(LCD_CTL_BLOCKDATA_NO)を説明する図である。図348Bは、本実施形態における変動パターンコマンドに対応する液晶図柄ブロックデータの組み合わせを格納する変動パターン別液晶図柄ブロックデータ組み合わせ番号(ZUG_CTL_BLOCKDATA_NO)を説明する図である。図349は、本実施形態における変動パターンコマンドに対応するサブ演出ブロックデータの組み合わせを格納する変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(SCH_CTL_BLOCKDATA_NO)を説明する図である。
変動パターン別液晶演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(LCD_CTL_BLOCKDATA_NO)は、変動パターンごとの液晶演出ブロックデータの組み合わせを示す情報を保持するテーブルである。例えば、変動パターン番号に対し、構成する液晶演出ブロックデータを特定するユニークな番号が時系列順に保持されている。例えば、変動パターン番号が「10H03H」の場合には、前半変動において12秒間の通常変動を示す「LCD03_BLK」、後半変動においてノーマルショートリーチを示す「LCD04_BLK」、はずれ停止時を示す「LCD02_BLK」によって構成される。このとき、「LCD03_BLK」、「LCD04_BLK」、「LCD02_BLK」の順に格納される。このように、変動パターンごとに液晶演出ブロックデータをつなげ合わせることによって基本演出及び予告演出の構成を定義(実現)することができる。
また、図348に示すように、同一の演出区間には、すべて同じ液晶演出ブロックデータが使用されている。例えば、前半変動が通常変動12秒の場合には実際に実行される予告演出の内容に関わらず「LCD03_BLK」が使用される。これにより、液晶演出ブロックデータの数を変動の種類に対応するユニークな個数で実現することが可能となっており、変動パターンごとに液晶演出ブロックデータを一意に特定することができる。
図348Bに示すように、変動パターン別液晶図柄ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(ZUG_CTL_BLOCKDATA_NO)は、変動パターン別液晶演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブルと同様に、変動パターンごとのブロックデータの組み合わせを示す情報を保持する。また、変動パターン番号に対応するサブ演出ブロックデータは、同じ変動パターン番号の液晶演出ブロックデータと一対一に対応する構成(同じ組み合わせ、同じ演出時間)で定義される。
また、図349に示すように、変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(SCH_CTL_BLOCKDATA_NO)は、変動パターン別液晶演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブルと同様に、変動パターンごとのブロックデータの組み合わせを示す情報を保持する。また、変動パターン番号に対応するサブ演出ブロックデータは、同じ変動パターン番号の液晶演出ブロックデータ及び液晶図柄ブロックデータと一対一に対応する構成(同じ組み合わせ、同じ演出時間)で定義される。
次に、変動パターンに対応するスケジューラーデータに基づく予告演出の実行手順について説明する。ここでは、変動パターン「10H03H」に対応する演出スケジューラーデータに基づく基本演出と予告演出の実行手順について説明する。まず、液晶演出ブロックデータに基づく演出制御、液晶図柄ブロックデータに基づく演出制御及びサブ演出ブロックデータに基づく演出制御を実行する手順の概要について説明する。図350は、本実施形態における変動パターン「10H03H」の前半変動(通常変動12秒)の演出制御の概要を説明する図である。
主制御基板1310から変動パターンコマンド(メイン変動関連コマンド)「10H03H」を受信すると、コマンド解析モジュール5200が受信したコマンドを解析することによって、変動パターン番号「10H03H」が特定され、演出制御部5020に通知する。
演出制御部5020は、図326Aにて説明したように、使用するレイヤを決定するとともに、レイヤに対応するブロックデータ番号を決定し、決定したブロック番号を元に、各変動パターン番号「10H03H」に対応するブロックデータ番号を、変動パターン別液晶演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(LCD_CTL_BLOCKDATA_NO)、変動パターン別液晶図柄ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(ZUG_CTL_BLOCKDATA_NO)及び変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(SCH_CTL_BLOCKDATA_NO)から取得する。各演出装置に対応するブロックデータ番号をすべて同じ番号とすることで、各演出装置の演出をすべて同期して実行することが可能となる。
そして、演出制御部5020は、液晶演出ブロック制御部5310、液晶図柄ブロック制御部5311及びサブ演出ブロック制御部5320に、全レイヤ数分のブロックデータ番号を送信する。
その後、液晶演出ブロック制御部5310は液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331、液晶図柄ブロック制御部5311は液晶図柄1f描画スケジューラ実行部5332、サブ演出ブロック制御部5320はサブ演出1f(1ms)スケジューラ実行部5333(5334)によって、送信されたブロックデータ番号に対応するブロックデータを時系列順に実行する。具体的には、液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331は前半変動に対応する通常変動12秒液晶演出ブロックデータ「LCD03_BLK」、液晶図柄1f描画スケジューラ実行部5332は通常変動12秒液晶図柄ブロックデータ「ZUG03_BLK」、サブ演出1f(1ms)スケジューラ実行部5333(5334)は通常変動12秒サブ演出ブロックデータ「SCH03_BLK」を実行する。
液晶演出ブロックデータの処理を開始すると、当該液晶演出ブロックデータに対応する一又は複数の液晶演出1fスケジューラを起動し、演出内容に応じて特定された描画スケジューラーデータを実行する。描画スケジューラーデータには、液晶表示装置に画像を表示するための液晶ファンクション情報が含まれ、演出内容に応じたパラメータを指定し、所定の順序で液晶ファンクション情報を液晶モジュール5400に送信する。液晶モジュール5400は受信した液晶ファンクション情報を解析実行し、音源内蔵VDP1540aに対してDISPLAYリストを送信することで液晶表示装置に描画が行われる。
また、液晶図柄ブロックデータを処理する場合には、液晶図柄1fスケジューラを起動し、識別図柄の変動表示態様に応じた描画スケジューラーデータを実行する。液晶表示装置に描画する手順については、液晶演出ブロックデータを処理する場合と同様である。
一方、サブ演出ブロックデータの処理を開始すると、当該サブ演出ブロックデータに対応する一又は複数のサブ演出1f(1ms)スケジューラを起動し、演出内容に応じて特定されたスケジューラーデータを実行する。なお、スケジューラは実行周期に応じて用意してもよいし、共用として起動時に実行周期を設定するようにしてもよい。
スケジューラーデータには、前述したように、ランプ(「KPLAY」)、スピーカー(「SPLAY」)、役物(「MPLAY」)などの演出装置を制御するための演出データ指定ファンクションが含まれている。演出データ指定ファンクションを定義された順序で順次実行することによって指定された演出を実行するように構成されている。演出データ指定ファンクションは、制御対象の演出装置に対応するモジュール(ランプモジュール5600、サウンドモジュール5500、駆動装置(モータ)モジュール5700等)に送信され、各モジュールによって各種演出装置による演出が実行される。
また、スケジューラーデータから他のスケジューラーデータをファンクション「REQ、REQF」によって呼び出すことも可能である。このとき呼び出されたスケジューラーデータにおいて演出データ指定ファンクションを実行することによって各種演出装置を制御することが可能となっている。さらに、コマンド送信ファンクション「COMMAND」又は「COMMAND0」を使用することによって、ファンクションではなくコマンドによる制御が可能となっている。例えば、役物の動作を制御する演出データ指定ファンクションを実行するタイミングで、液晶コマンドを液晶モジュール5400に送信することによって、前述した鉈役物落下予告演出のように役物の動作と描画が連携した演出を実行することができる。
ここで、サブ演出ブロックデータを使用して演出制御を実行する手順について説明する。図351は、本実施形態の変動パターンレイヤに関わる変動パターン別サブ演出ブロックデータ制御開始処理の手順を示すフローチャートである。
演出ブロック制御部5040は、コマンド解析モジュール5200から通知された変動パターン番号に基づいて、演出制御部5020で変動パターンレイヤが選択され、変動パターンに対応する、変動パターン別ブロックデータ番号の制御を変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(図349)用いて制御を開始する。変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル(図349)の行位置を変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル行インデックスにセットする(ステップS7001)。例えば、図349に示すテーブルであれば、変動パターン番号が「10H01H」であれば変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル行インデックスに「0」が設定され、変動パターン番号が「10H03H」であれば3行目であるため、変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル行インデックスに「2」(行―1)が設定される。
次に、演出ブロック制御部5040は、変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル列インデックスを「0」で初期化する(ステップS7002)。指定された行(変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル行インデックス)の1列目に対応するサブ演出ブロックデータから開始される。最後に、演出ブロック制御部5040は、スケジューラ実行部5060によって変動パターン別サブ演出ブロックデータ制御スケジューラ起動処理を実行する(ステップS7003)。これにより、変動パターン別サブ演出ブロックデータを実行するためのスケジューラを起動し、サブ演出ブロックデータに含まれるスケジューラーデータを実行する。
図352は、本実施形態の変動パターン別サブ演出ブロックデータ制御起動処理の手順を示すフローチャートである。
スケジューラ実行部5060は、まず、変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブルから行及び列インデックスに基づいて、変動パターン別サブ演出ブロックデータ番号テーブルの番号を取得する(ステップS7011)。さらに、サブ演出ブロックデータ番号テーブル行インデックスを「0」で初期化する(ステップS7012)。これにより、変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブルから特定された変動パターン別サブ演出ブロックデータ番号テーブルの先頭のレコードから処理を開始する。
続いて、スケジューラ実行部5060は、変動パターン別サブ演出ブロックデータ内に登録されたスケジューラデータを起動する(ステップS7013)。スケジューラデータは、変動パターン別サブ演出ブロックデータ番号テーブル(図354(B))に登録された各演出に対応するサブ演出ブロックデータ内に登録されている。具体的には、サブ演出ブロックデータ番号テーブル行インデックスに基づいて、サブ演出ブロックデータ番号テーブルから各演出(背景サブ演出ブロックデータ、予告に対応するサブ演出ブロックデータ)に対応するサブ演出ブロックデータを取得する。各演出(背景サブ演出ブロックデータ、予告に対応するサブ演出ブロックデータ)に対応するサブ演出ブロックデータには、一又は複数のスケジューラデータが登録されており、スケジューラデータ毎に対応するスケジューラが定義されている。複数のスケジューラデータが登録されている場合には、予告の抽選結果等に基づいて一又は複数のスケジューラデータを対応させる。
さらに、スケジューラ実行部5060は、サブ演出ブロックデータ内に定義されたすべてのスケジューラデータの起動が終了すると、サブ演出ブロックデータ番号テーブル行インデックスを更新し、サブ演出ブロックデータ番号テーブル行インデックスが変動パターン別サブ演出ブロックデータ番号テーブルの行の要素数を超えたか否かを判定する(ステップS7014)。変動パターン別サブ演出ブロックデータ番号テーブルの行の要素数を超えた場合には(ステップS7014の結果が「YES」)、サブ演出ブロックデータ制御起動処理を終了する。一方、変動パターン別サブ演出ブロックデータ番号テーブル行要素数を超えない場合には(ステップS7014の結果が「NO」)、次のサブ演出ブロックデータを処理する。
図353は、本実施形態の変動パターン別サブ演出ブロックデータ制御更新処理の手順を示すフローチャートである。変動パターン別サブ演出ブロックデータ制御更新処理では、変動パターン別サブ演出ブロックデータ番号テーブルを構成する各演出(背景サブ演出ブロックデータ、予告に対応するサブ演出ブロックデータ)に対応するサブ演出ブロックデータ内のすべてのスケジューラデータの実行が完了した場合に、次の変動パターン別サブ演出ブロックデータを実行するための処理である。変動パターン別サブ演出ブロックデータ制御更新処理は、周期的に実行され、変動パターン別サブ演出ブロックデータの実行状況を監視する。
スケジューラ実行部5060は、まず、変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブルから変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル行及び列インデックスを用いて、変動パターン別サブ演出ブロックデータ番号テーブルの番号を取得する(ステップS7021)。これにより、変動パターン別サブ演出ブロックデータ番号テーブルを構成する各演出(背景サブ演出ブロックデータ、予告に対応するサブ演出ブロックデータ)に対応するサブ演出ブロックデータを特定し、サブ演出ブロックデータに定義されているスケジューラが実行中であるか否かを判定する(ステップS7022)。実行中であれば(ステップS7022の結果が「YES」)、そのままスケジューラの実行を継続し、サブ演出ブロックデータ制御更新処理を終了する。
次に、スケジューラ実行部5060は、変動パターン別サブ演出ブロックデータで定義された各演出(背景サブ演出ブロックデータ、予告に対応するサブ演出ブロックデータ)に対応するサブ演出ブロックデータの全スケジューラの動作が終了した場合には(ステップS7022の結果が「NO」)、変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせ番号テーブル列インデックスをインクリメントし、次の列データが終了データ(「DATA_END」)であるか否かを判定する(ステップS7023)。終了データであれば(ステップS7023の結果が「YES」)、一連の演出が完了しているため、変動パターン別サブ演出ブロックデータ制御更新処理を終了する。
一方、次の列データが終了データでない場合には(ステップS7023の結果が「NO」)、スケジューラ実行部5060は、次の列データに対応する変動パターン別サブ演出ブロックデータの実行を開始するため、変動パターン別サブ演出データブロック制御スケジューラ起動処理を実行する(ステップS7024)。
図348A、図348B及び図349にて説明したように、変動パターン別サブ演出ブロックデータは液晶演出ブロックデータや液晶図柄ブロックデータに対応付けて定義され、対応するブロックデータを同じタイミングで実行し、各ブロックデータの実行時間を同一にすることによって描画スケジューラによる演出制御とサブ演出スケジューラによる演出制御、複数のスケジューラによる演出制御を同期させることができる。また、ブロック化を行うことで、同一の変動パターンであれば、演出の組み合わせや演出の出現の有無にかかわらず、演出ブロック及び演出ブロックで定義されるスケジューラの起動回数は必ず同じ回数となり、プログラムの複雑さを低減することができ、結果、品質を向上させることができる。
以上のように、本実施形態では、一又は複数の描画スケジューラ及びサブ演出スケジューラによる演出制御を同期させることによって、各種演出装置の動作を連携させることを可能とし、違和感のない多彩な演出を実行することができる。また、同一の実行時間を有するスケジューラーデータを並行して実行可能とすることから、各種演出装置の制御を行うスケジューラーデータを演出装置単位、ブロックデータ単位で、独立して開発及び動作確認を行うことが可能となり、開発効率を向上させることができる。
図354は、本実施形態の変動パターン「10H03H」に対応する変動表示の基本演出と予告演出を実行する手順について説明する図であり、(A)は基本演出と予告演出を実行するタイミング及び当該予告演出の実行時間、(B)は変動パターン別サブ演出ブロックデータの構成を示している。変動パターン別サブ演出ブロックデータは、背景演出と予告演出を実行するための背景サブ演出ブロックデータと予告サブ演出ブロックデータを含む。なお、図354(B)では、背景ブロックデータ、予告ブロックデータの2種類のサブ演出ブロックデータの組み合わせとなっているが、サブ演出ブロックデータの数を変動させることができる。
図354に示すように、変動パターン「10H03H」の変動表示を構成する変動パターン別サブ演出ブロックデータは、「SCH03_BLK」(通常変動12秒)、「SCH04_BLK」(ノーマルショートリーチ)、「SCH02_BLK」(ハズレ停止)によって構成される。変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH03_BLK」は、変動開始から左図柄及び右図柄が停止するまでの12秒間に対応する。変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH04_BLK」は、左図柄及び右図柄が同じ識別図柄で停止し、ノーマルショートリーチが実行される期間に対応する。変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH02_BLK」は、中図柄が停止して変動表示の結果がハズレに確定し、確定図柄が表示されている期間に対応する。
変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH03_BLK」では、図354(A)に示すように、ステップアップ予告、BTNロゴ役物落下予告及び図柄停止予告の予告に関わるサブ演出ブロックデータと背景に関わるサブ演出ブロックデータが定義される。また、サブ演出ブロックデータ「SCH04_BLK」では、カットイン予告及び群予告のサブ演出ブロックデータと背景に関わるサブ演出ブロックデータが定義される。さらに、サブ演出ブロック「SCH02_BLK」では、予告演出サブ演出ブロックデータは定義せず、背景に関わるサブ演出ブロックデータが定義される。なお、図中では、予告演出の実行が重複しないようになっているが複数の予告演出を重複するよう予告ブロックデータを複数定義して実行してもよい。なお、図354に示した各予告演出の内容は前述したとおりである。
以下、各サブ演出ブロックデータによる演出制御について説明する。図354(B)に示すように、変動パターン「10H03H」の変動表示における2種類のサブ演出ブロックデータが並行して実行される。まず、変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH03_BLK」について説明する。
背景に関わるサブ演出スケジューラデータには、通常変動12秒背景サブ演出ブロックデータが定義されている。通常変動12秒背景サブ演出ブロックデータには、通常変動12秒背景に関わるサブ演出スケジューラ番号とサブ演出スケジューラデータが定義されている。通常変動12秒背景サブ演出ブロックデータは、背景に関わるスケジューラデータとなるため、サブ演出ブロックデータ「SCH03_BLK」と同一の演出時間となっている。そのため、サブ演出ブロックデータ「SCH03_BLK」が終了するまで継続して実行される。
予告に関わるサブ演出スケジューラデータには、ファンクション「NOP」とステップアップ予告サブ演出ブロックデータ、BTNロゴ役物落下予告サブ演出ブロックデータ、図柄停止予告サブ演出ブロックデータが定義されている。ファンクション「NOP」は液晶演出スケジューラと同期させるためのウエイトとなり、液晶演出に合わせてサブ演出を行うために定義している。ステップアップ予告サブ演出ブロックデータは、ステップアップ予告に関わるサブ演出スケジューラ番号とサブ演出スケジューラデータが定義されている。ステップアップ予告サブ演出ブロックデータは、ステップアップ予告液晶演出ブロックデータと同一の演出時間となっている。BTNロゴ役物落下予告サブ演出ブロックデータはBTNロゴ役物落下予告に関わるサブ演出スケジューラ番号とサブ演出スケジューラデータが定義されている。BTNロゴ役物落下予告サブ演出ブロックデータは、BTNロゴ役物落下予告液晶演出ブロックデータと同一の演出時間となっている。図柄停止予告サブ演出ブロックデータは図柄停止予告に関わるサブ演出スケジューラ番号とサブ演出スケジューラデータが定義されている。図柄停止予告サブ演出ブロックデータは、図柄停止予告液晶演出ブロックデータと同一の演出時間となっている。変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH03_BLK」は、上記のサブ演出ブロックデータを組み合わせ実行することで構成される。
上記のサブ演出ブロックデータを液晶演出ブロックデータと同期して実行することにより、サブ演出ブロックデータ内に定義される、各音、ランプ、モータのスケジューラデータが、液晶演出と同期して実行されることになる。
このとき、変動開始から最初の液晶演出ブロックデータ(ステップアップ予告)が開始されるまでの間、各液晶予告演出に対応する液晶演出ブロックデータの終了から次の液晶予告演出対応する液晶演出ブロックデータの開始までの間、及び、最後の液晶予告演出(図柄停止予告)に対応する液晶演出ブロックデータが終了してから変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH03_BLK」の実行が終了するまでの間、ファンクション「NOP」が実行され、指定された時間だけ待機する。このように、変動パターン別スケジューラブロック内での各液晶演出ブロックデータに対応するサブ演出スケジューラーデータの出現タイミングをファンクション「NOP」によって制御することにより、プログラムなどによって各予告演出の実行タイミングで逐次スケジューラーデータの実行を指示することなく、対応するスケジューラーデータを開始すれば、指定されたタイミングで液晶予告演出に対応した各演出装置の演出を実行することが可能となる。また、変動パターン別サブ演出ブロックデータ内の各スケジューラーデータの最後のファンクション「NOP」はなくてもよいものとする。
ランプ、音、役物などの演出装置を制御するスケジューラーデータで設定される予告演出の実行時間は、予告演出ごとに共通の時間が定義される。これにより、サブ演出ブロックデータによる制御が開始されてから各予告演出が実行されるまでの時間が一意に決定されるため、各演出装置の制御タイミングを同期させることができる。
また、変動パターン別サブ演出ブロックデータ実行時における時間情報は、変動開始でからはなく変動パターン別サブ演出ブロックデータ実行開始時からの相対値で管理される。これにより、同一の変動パターン別サブ演出ブロックデータを複数の変動パターンで使用した場合に、変動パターン毎に、変動パターン別サブ演出ブロックデータ内の各演出は、変動開始時からの演出開始時間が異なることになるが、変動パターン別サブ演出ブロックデータ内で時間値が相対的に管理されているため、問題なく処理することができる。なお、変動パターン別液晶演出ブロックデータの場合も同様に変動パターン別液晶演出ブロックデータ実行開始時からの相対値で管理され、変動パターン別液晶図柄ブロックデータの場合も同様に変動パターン別液晶図柄ブロックデータ実行開始時からの相対値で管理される。
次に、変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH04_BLK」について説明する。変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH04_BLK」はノーマルショートリーチに対応するが、このとき、2種類のサブ演出ブロックデータが並行して実行される。
背景に関わるサブ演出スケジューラデータには、ノーマルショートリーチ背景サブ演出ブロックデータが定義されている。ノーマルショートリーチ背景サブ演出ブロックデータには、ノーマルショートリーチ背景に関わるサブ演出スケジューラ番号とサブ演出スケジューラデータが定義されている。ノーマルショートリーチ背景サブ演出ブロックデータは、背景に関わるスケジューラデータとなるため、変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH04_BLK」と同一の演出時間となっている。そのため変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH04_BLK」が終了するまで継続して実行される。
予告に関わるサブ演出スケジューラデータには、ファンクション「NOP」とカットイン予告サブ演出ブロックデータ、群予告サブ演出ブロックデータが定義されている。ファンクション「NOP」は、液晶演出スケジューラと同期させるためのウエイトとなり、液晶演出に合わせてサブ演出を実行するために定義されている。カットイン予告サブ演出ブロックデータは、カットイン予告に関わるサブ演出スケジューラ番号とサブ演出スケジューラデータが定義されている。カットイン予告サブ演出ブロックデータは、カットイン予告液晶演出ブロックデータと同一の演出時間となっている。群予告サブ演出ブロックデータは、群予告に関わるサブ演出スケジューラ番号とサブ演出スケジューラデータが定義されている。群予告サブ演出ブロックデータは、群告液晶演出ブロックデータと同一の演出時間となっている。変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH04_BLK」は上記のサブ演出ブロックデータを組み合わせ実行することで構成される。
上記のサブ演出ブロックデータを液晶演出ブロックデータと同期して実行することにより、サブ演出ブロックデータ内に定義される、各音、ランプ、モータのスケジューラデータが、液晶演出と同期して実行されることになる。
また、変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH04_BLK」では、変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH03_BLK」と同じ、サブ演出ブロックデータ列数となっているが、サブ演出ブロックデータ列数の増減することは問題ない。
最後に、変動パターン別サブ演出ブロックデータ「SCH02_BLK」では、予告に関わる演出が行われないため、ハズレ停止背景サブ演出ブロックデータのみ実行される。背景に関わるサブ演出スケジューラデータには、ハズレ停止背景サブ演出ブロックデータが定義されている。ハズレ停止背景サブ演出ブロックデータには、通常変動12秒背景に関わるサブ演出スケジューラ番号とサブ演出スケジューラデータが定義されている。ハズレ停止背景サブ演出ブロックデータは、背景に関わるスケジューラデータとなるため、サブ演出ブロックデータ「SCH02_BLK」と同一の演出時間となっている。そのためサブ演出ブロックデータ「SCH02_BLK」が終了するまで継続して実行される。
図355は、本実施形態の変動パターン別液晶演出ブロックデータと変動パターン別液晶図柄ブロックデータとの関係を説明する図である。変動パターン別液晶演出ブロックデータと変動パターン別液晶図柄ブロックデータは、液晶演出スケジューラデータ内でのスケジューラデータにおいて実行されるファンクションが、サブ演出ブロックデータ内のスケジューラデータで実行されるファンクションと相違するのみであり、データフォーマット及び制御方法に関しては共通であるため説明を省略する。
続いて、図326Bにて説明したステップアップ演出を例に、サブ演出ブロックデータの構成について説明する。まず、ステップアップ予告用の液晶表示スケジューラーデータを作成する概要について説明する。図356は、本実施形態の液晶表示用のステップアップ予告を映像合成・モーション作成グラフィックツールでステップアップ演出単位(ステップアップ1演出〜4演出)で描画用データファイルを作成するイメージを示す図である。
描画用データファイルは、ステップアップ演出単位で作成され、静止画や動画を組み合わせた一連の演出で構成されている。また、図356に示すように、描画用データファイルは、ツールによって本実施形態における液晶演出スケジューラデータにステップアップ演出単位で変換される。
液晶予告演出(ステップアップ予告1〜4)と一対一で描画用データファイルを作成しない理由は、例えば、ステップアップ1演出のみが変更された場合、本実施形態のように4種類のステップアップ予告が実行可能であれば4本分の描画用データファイルを変更する必要があり、変更に要する作業時間や修正漏れのリスクを考量すると、描画用データファイルはステップごとにユニークな個数で作成し、組み合わせて予告を実現したほうが効率がよいからである。
図357は、本実施形態のステップアップ予告の演出ブロックデータの構成を説明する図である。(A)はステップアップ予告液晶演出ブロックデータの構成を示し、(B)はステップアップ予告サブ演出ブロックデータの構成を示す。前述のように、本実施形態では4種類のステップアップ予告が実行可能となっているが、(A)及び(B)にはステップアップ予告1及び2について示す。ステップアップ予告3及び4では、ステップアップ3演出、ステップアップ4演出が所定のタイミングで実行される。
ステップアップ予告液晶演出ブロックデータについて説明すると、まず、変動開始時に取得されたステップアップ予告の抽選結果値に基づいて、ステップアップ予告1〜4の何れかのステップアップ予告を実行するかが決定される。ステップアップ予告の抽選結果値が非当選であれば、ステップアップ予告液晶演出ブロックデータを実行せずに終了するため、ステップアップ予告は実行されず、液晶表示装置に対する描画は行わない。
一方、ステップアップ予告の抽選結果値がステップアップ予告1であれば、ステップアップ予告液晶演出ブロックデータのステップアップ予告1が選択され、ステップアップ予告の抽選結果値がステップアップ予告2であれば、ステップアップ予告液晶演出ブロックデータのステップアップ予告2が選択され、対応する演出ブロックデータが選択される。ステップアップ予告2の演出ブロックデータは、ステップアップ1液晶演出スケジューラデータを実行するための液晶スケジューラLCD_SCH01、及び、ステップアップ2液晶演出スケジューラデータを並行して実行するための液晶スケジューラLCD_SCH02において動作する。
液晶スケジューラLCD_SCH01では、ステップアップ1液晶演出スケジューラデータを実行すると、次に実行するデータが「DATA_END」であるため、液晶スケジューラLCD_SCH01における動作を終了する。
また、液晶スケジューラLCD_SCH02でファンクション「NOP」を実行し、パラメータで指定された時間分ウエイトを行った後、ステップアップ2液晶演出スケジューラデータを実行する。ステップアップ2液晶演出スケジューラデータ実行終了後、次に実行するデータが「DATA_END」であるため、液晶スケジューラLCD_SCH02における動作を終了する。
以上のように、予告の演出スケジューラデータを最小の構成単位で組み合わせることによって、単一の予告の複数のバリエーションを実現できることになる。
続いて、図357(B)を参照しながらステップアップ予告サブ演出ブロックデータについて説明する。ステップアップ予告サブ演出ブロックデータは、ステップアップ予告液晶演出ブロックデータと、ブロック構成及び実行時間がすべて一対一で対応して構成されている。これにより、変動パターンや予告の抽選結果の組み合わせに対しても、動的にすべての演出装置で同期させることが可能となり、一体感のある演出を実現することができる。
なお、ステップアップ予告サブ演出ブロックデータは、ステップアップ予告液晶演出ブロックデータとの間で、液晶演出スケジューラデータで実行されるファンクションと、サブ演出スケジューラデータで実行されるファンクションが相違するだけであり、データフォーマット及び制御方法に関しては共通するため説明を省略する。
以上のように、本実施形態では、主制御基板1310から変動パターンコマンドを受信すると、変動パターン別サブ演出ブロックデータ組み合わせテーブル「SCH_CTL_BLOCKDATA_NO」からデータアクセス順に格納されたサブ演出ブロックデータを取得する。そして、データアクセス順に従って、取得したサブ演出ブロックデータに含まれるスケジューラーデータを実行することによって、所定の順序、かつ、所定のタイミングで定義された基本演出と予告演出を実行することが可能となる。
したがって、本実施形態によれば、各種演出装置を制御するスケジューラーデータを並行して実行可能とするとともに、同じタイミングで実行されるスケジューラーデータを同一の実行時間に定義することによって、各種演出装置による演出を同期させることができる。さらに、スケジューラーデータの実行を開始すると、その後はスケジューラーデータ内で設定されたタイミングで所定の動作が行われる。これにより、変動パターンなどの演出内容を特定する情報に基づいて対応するブロックデータを実行するだけで、階層化されて定義されたスケジューラーデータが自動的に取得され、定義されたタイミングで演出を実行することが可能となっている。
さらに、本実施形態によれば、複数のスケジューラを起動し、各スケジューラでスケジュールデータを各々独立して実行できるため、複数種類のスケジューラーデータを並行して開発することが可能となり、開発効率を飛躍的に向上させることができる。
また、本実施形態によれば、所定のフォーマットで記述されたスケジューラーデータをスケジューラが解析し、演出装置を制御するように構成されている。したがって、遊技機の制御機構(例えば、周辺制御基板1510やこれに含まれる演算装置など)が更新された場合であっても、新たな遊技機に対応するスケジューラを搭載することによって、共通のスケジュールデータを使用することができる。すなわち、スケジューラは異なるプラットフォームで共通のスケジュールデータを実行するためのミドルウェアとしての機能を有しており、遊技機の演出制御に関するソフトウェア資産を長期的に活用することが可能となる。
なお、本実施形態におけるスケジューラはソフトウェアによって実現してもよいし、ハードウェアによって実現してもよい。ソフトウェアによってスケジューラを実現する場合には、スケジューラーデータの実行時に起動されたスケジューラを使用後停止させ、メモリの使用領域を開放するようにしてもよい。スケジューラを停止させることによってメモリの使用量を削減することができる。例えば、スケジュールデータの実行が完了してから所定時間経過した場合に開放してもよいし、遊技機が客待ち状態になった場合に最低限のスケジューラ以外停止させるようにしてもよい。
[19.液晶演出スケジューラーデータによる演出制御]
続いて、液晶演出ブロックデータを構成する液晶演出スケジューラーデータの詳細について説明する。液晶演出スケジューラーデータは、サブ演出ブロックデータと同様に、演出対象を制御するファンクションの組み合わせによって構成される。サブ演出ブロックデータでは、音の出力、ランプの点灯、駆動装置の動作などが制御対象となっていたが、液晶演出スケジューラーデータは、液晶表示装置への描画が制御対象となる。
[19−1.液晶演出用スケジューラファンクション]
まず、液晶演出スケジューラーデータを構成するファンクション(液晶演出用スケジューラファンクション)について説明する。液晶演出用スケジューラファンクションは、前述した液晶演出ブロックデータを構成する液晶演出用スケジューラデータに記述される演出制御用の命令(ファンクション、コマンド)であり、液晶演出用スケジューラファンクションによって音源内蔵VDP1540aにコマンドを送信し、演出を実行する。また、液晶演出用スケジューラファンクションを実行する際に、パラメータを指定することによって表示するオブジェクトの属性(例えば、色や形状、動作内容など)を変化させることができる。
[19−1−1.液晶演出用スケジューラファンクション]
図358は、本実施形態の液晶演出用スケジューラファンクションの一例を示す図である。以下、各液晶演出用スケジューラファンクションの概要について説明する。
各液晶演出用スケジューラファンクションは、グループごとに管理されている。本実施形態では、座標設定、スケール設定、回転角度設定、α設定、フレーム設定、Zインデックス設定、演出SW設定、サブスケジューラ設定のグループがある。
まず、座標設定のグループに属するファンクションについて説明する。座標設定グループに属するファンクションは、例えば、液晶表示装置の表示領域の座標を指定して、液晶表示対象物をセットするものである。これにより、液晶表示対象物の位置を指定して表示することが可能となる。
ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_POSX」「LCD_FUNC_TYPE_POSY」「LCD_FUNC_TYPE_POSZ」は、それぞれX軸座標位置、Y軸座標位置、Z軸座標位置を指定して液晶表示対象物の表示位置を設定する。
ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_ANCHORX」はX軸座標位置、ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_ANCHORY」はY軸座標位置を指定して、液晶表示対象アンカーポイント位置を設定する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_ANCHORXY」は、X軸、Y軸座標位置を指定して、液晶表示対象アンカーポイント位置を設定する。液晶表示対象アンカーポイント位置とは、液晶表示対象物の中心位置である。
次に、表示対象(静止画、動画)のスケーリング(スケール設定)を行うためのファンクションが属するグループについて説明する。スケーリングとは、例えば、CGROM上に格納される静止画や動画のサイズから液晶表示装置に表示する際に拡大や縮小を行う指定となる表示領域の中心を設定したり、座標の単位を変換したりすることである。表示領域に適切な座標系を設定して描画処理を行うことにより、液晶表示対象物を適切な位置・サイズで表示することができる。
スケール設定のグループには、ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_SCALE」「LCD_FUNC_TYPE_SCALEX」「LCD_FUNC_TYPE_SCALEY」「LCD_FUNC_TYPE_SCALEZ」「LCD_FUNC_TYPE_SCALEXY」「LCD_FUNC_TYPE_SCALEXYZ」が属する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_SCALE」は、X軸、Y軸値を指定して、液晶表示対象物の拡大又は縮小率を設定する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_SCALEX」は、X軸値を指定して、液晶表示対象物の座標を設定する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_SCALEY」は、Y軸値を指定して、液晶表示対象物の拡大又は縮小率を設定する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_SCALEZ」は、Z軸値を指定して、液晶表示対象物の拡大又は縮小率を設定する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_SCALEXY」は、X軸、Y軸値を指定して、液晶表示対象物の拡大又は縮小率を設定する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_SCALEXYZ」は、X軸、Y軸、Z軸値を指定して、液晶表示対象物の拡大又は縮小率を設定する。
次に、液晶表示対象物を回転させて表示させる際の角度を設定するためのファンクションが属するグループについて説明する。基準となる液晶表示対象物のみをCGROMに記憶しておき、角度を指定して表示することによって、回転後の液晶表示対象物を複数記憶する必要がなくなり、記憶容量の増大を抑制することができる。
回転角度設定のグループには、ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_ANGLEX」「LCD_FUNC_TYPE_ANGLEY」「LCD_FUNC_TYPE_ANGLEZ」「LCD_FUNC_TYPE_ANGLEXYZ」が属する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_ANGLEX」はX軸値、ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_ANGLEY」はY軸値、ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_ANGLEZ」はZ軸値を指定して、液晶表示対象物を回転させる。また、ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_ANGLEXYZ」は、X軸値、Y軸値、Z軸値を指定して、液晶表示対象物を回転させる。
続いて、その他のファンクションについて説明する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_ALPHA」はα設定処理であり、具体的にはα値を指定して液晶表示対象物の透過度を設定する。α値とは透過度を示す数値であり、背景色を完全に透過する透明(無色)から、背景色をまったく通さない完全な不透明まで設定することができる。
ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_FRAME」はフレーム設定処理であり、具体的には、液晶表示対象物の描画更新間隔であるフレーム値を設定する。フレーム値とは、アニメーション処理時に液晶表示対象物を再描画する間隔を示す数値である。
ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_ZINDEX」は、液晶表示対象物のZインデックスを設定する。Zインデックスとは、液晶表示対象物を表示する階層であり、これを設定することによって液晶表示対象物を画面上で前面に表示させたり、背面側に移動させたりする。例えば、液晶表示対象物が背景である場合には、最背面に描画されるようにZインデックスを設定する。
ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_LCDSW」「LCD_FUNC_TYPE_FRAMELCDSW」「LCD_FUNC_TYPE_KICKLCDSW」は、演出SWに関する情報を設定するため演出SW設定グループに属する。演出SWは、詳細は後述するが、描画(画像、動画)を行うための制御情報に組み込まれた情報であり、この情報を検出することで所定の処理がコールバックされ、演出内容を切り替えたり、別の演出を実行したりする。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_LCDSW」は、液晶演出スケジューラーデータ内のCGROM上の静止画インデックス番号やCGROM上の動画インデックス番号に演出SW情報を設定する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_FRAMELCDSW」は、液晶演出スケジューラーデータ全体にフレーム演出SW情報を設定する。ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_KICKLCDSW」は、液晶演出スケジューラーデータに後述する特殊制御の情報を定義したSW情報を設定する。
ファンクション「LCD_FUNC_TYPE_SUBSCH」は、サブスケジューラを呼び出すためのファンクションである。汎用性の高い処理をサブスケジューラとして定義し、所定のタイミングでコールバックすることによって、処理を簡素化するとともに開発効率を向上させることができる。
[19−1−2.液晶演出用スケジューラファンクションパラメータ]
以上、本実施形態の遊技機で使用される液晶演出用スケジューラファンクションの一例について説明した。続いて、液晶演出用スケジューラファンクションの実行時に指定されるパラメータについて例を挙げて説明する。図359及び図360は、本実施形態における液晶演出用スケジューラファンクション用のパラメータの一例を示す図である。
液晶演出用スケジューラファンクションのパラメータは、液晶演出用スケジューラファンクションと同様にグループごとに管理されている。液晶演出用スケジューラファンクションのグループとパラメータのグループとは、異なるグループ分けとなっている。パラメータのグループには、シーケンス制御、演出SW、フッテージ設定、図柄差し替え関連、サブ演出用スケジューラファンクションなどがある。
シーケンス制御のパラメータのグループには、「AAD_FRAME」「AAD_POS」「AAD_POS2」「AAD_POS3」「AAD_ALPHA」「AAD_ANGLE」「AAD_ENTRY」「AAD_ENTRY_B」「AAD_SKIP」「AAD_SKIP_B」「AAD_SCALE」「AAD_SCALE2」「AAD_SCALE3」「AAD_SIZE」などが含まれる。以下、各パラメータについて説明する。
「AAD_FRAME」は、フレーム値を指定するためのパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_POS」は、X軸座標位置を指定するためのパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_POS2」は、X軸及びY軸座標位置を設定するための用パラメータであり、各々16ビットの長さである。「AAD_POS3」は、X軸、Y軸及びZ軸座標位置を設定するためのパラメータであり、各々16ビットの長さである。
「AAD_ALPHA」は、液晶表示対象物の透過度であるα値を指定するためのパラメータであり、8ビットの長さである。「AAD_ANGLE」は、液晶表示対象物の回転角度を指定するためのパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_ENTRY」は、設定するパラメータの総データ数を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_ENTRY_B」は、設定するパラメータの総データ数を指定するパラメータであり、8ビットの長さに分割した2個のパラメータとなる。
「AAD_SKIP」は、スキップするフレーム数を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_SKIP_B」は、液晶表示の際にスキップするフレーム数を指定するパラメータであり、8ビットの長さに分割した2個のパラメータとなる。
「AAD_SCALE」は、表示領域の座標系が1軸である場合にスケール値を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_SCALE2」は、表示領域の座標系が2軸である場合に拡大又は縮小率を指定するパラメータであり、それぞれ16ビットの長さである。「AAD_SCALE3」は、表示領域の座標系が3軸である場合に拡大又は縮小率を指定するパラメータであり、それぞれ16ビットの長さである。「AAD_SIZE」は、XY2軸で液晶表示対象物のサイズを指定するパラメータであり、それぞれ16ビットの長さである。
演出SWのパラメータのグループには、「AAD_LCDSWENTRY」「AAD_LCDSW」「AAD_LCDSW_PARAM」「AAD_KICKLCDSWENTRY」「AAD_KICKLCDSW」「AAD_FRAMELCDSWENTRY」「AAD_FRAMELCDSW_PARAM」などが含まれる。
「AAD_LCDSWENTRY」は、演出SWの総登録数を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_LCDSW」は、演出SWの番号を指定するパラメータであり、16ビットの長さの数値を2個指定する。「AAD_LCDSW_PARAM」は、演出SW番号を渡すためのパラメータであり、16ビットの長さである。
「AAD_KICKLCDSWENTRY」は、キック演出SWの総登録数を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_KICKLCDSW」は、キック演出SWの番号を指定するパラメータであり、16ビットの長さの数値を2個指定する。「AAD_FRAMELCDSWENTRY」は、フレーム演出SWの総登録数を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_FRAMELCDSW_PARAM」はフレーム演出SW番号を渡すためのパラメータであり、16ビットの長さである。
フッテージ設定のパラメータのグループには、「AAD_SEQFOOTENTRY」「AAD_SEQFOOT」などが含まれる。「AAD_SEQFOOTENTRY」は、所定の領域に登録する静止画像の数を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_SEQFOOT」は、CGROMに格納された静止画像のインデックス番号を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。
図柄差し替え関連のパラメータのグループには、「AAD_ZUGARA」などが含まれる。「AAD_ZUGARA」は、図柄インデックス番号を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。
サブ演出用スケジューラファンクションのパラメータのグループには、「AAD_SUBENTRY」「AAD_SUB」などが含まれる。「AAD_SUBENTRY」は、サブスケジューラファンクションパラメータ数を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。「AAD_SUB」は、サブスケジューラファンクション番号を指定するパラメータであり、16ビットの長さである。
[20.画像情報に基づくコールバック制御]
遊技機における演出制御は、従来、各種演出装置を個別に制御するプログラムや複数の演出装置を連携させるプログラムなどを組み合わせて実行することによって実現していた。これらのプログラムは、変動パターンと関連するコマンドに加えて予告の内容毎に、演出装置の動作内容や制御手順を表すプログラムコードによって記述され、高度な技術を有するプログラマによって作成されていた。液晶描画においては、演出が実行されるフレームで個々の演出描画データを呼び出し、複数の演出描画(背景、図柄、予告、保留等)を組み合わせていた。
しかしながら、近年の遊技機では、ハードウェアの性能向上とともに遊技機の興趣を向上させるため、多種多様な演出を実行することが求められ、複雑な演出制御を実現する必要があった。これにより、プログラマ個人に高度な技術が要求されるとともに開発工数が増大し、質的にも量的にも必要な人員(プログラマ)を確保することが困難になった。さらに、演出制御プログラムのプログラムコードの総量が増大することで、遊技機の動作確認や品質向上を目的とするテストに要する工数も増大していた。
そこで、前述の課題を解決するため、本実施形態の遊技機では、開発期間短縮と品質向上のために、液晶描画(画像表示)と連携して実行される演出をプログラムコードによって実現するのではなく、液晶描画演出を作成するツールによって遊技機用のプログラムデータを出力し、出力されたプログラムデータに基づいて演出を制御することによって、開発期間の短縮と品質の向上を実現する。
具体的には、液晶表示装置に表示される画像や動画を時系列に沿って割り当てることによって、液晶描画演出を実行するためのデータを作成可能なツールを利用する。このツールでは、単一の演出描画データ(予告、背景、図柄、保留等)を一の演出ブロックと定義し、変動パターンや大当り等の状態ごとに演出ブロックをまとめて演出共通ブロックを作成し、複数の演出共通ブロックを組み合わせることで、変動パターンや大当り等の一連の演出描画を実現する。
しかしながら、遊技機の構成上、抽選に関わる演出の表示又は非表示、演出及び図柄の差し替え、遊技者による外部入力に対するインタラクティブな演出が発生するため、単に組み合わせられた演出共通ブロックをそのまま実行するだけでは、すべての演出を実現することは不可能である。
そこで、本実施形態では、上述したツールによって演出共通ブロックを作成する際に、所定のタイミングで演出を実行したり、所定の制御を実行したりするためのプログラムを呼び出すための演出スイッチ(演出SW)を設定する(組み込む)ことができる。演出SWは、RAM上のフラグであり、ON又はOFFに設定される。描画を行うための演出データに設定された演出SWが設定されている場合には、演出SWの「ON」「OFF」に関わらず、必ずコールバックが発生する。また、コールバック先の関数で演出SWがONであった場合には、演出SWに対応する定義済みの演出SW情報に基づいてあらかじめ定められた制御を行う。演出SWは、主制御基板1310又は周辺制御基板1510の内部で発行するコマンドによりONに設定される。演出SWは、液晶レイヤーテーブル、液晶演出共通ブロック、液晶演出ブロック、液晶演出スケジューラデータ、液晶演出スケジューラデータ内の各表示対象、静止画、動画にそれぞれ設定される。
液晶演出ブロック制御部5310が液晶描画時に演出共通ブロックに含まれる演出ブロックを実行解析し、組み込まれた演出SWを検出すると、検出された演出SWに基づいてプログラム関数を動的に呼び出す(コールバックする)。そして、コールバックされたプログラム関数によって処理された情報に基づいて、ディスプレイリストコマンドを作成し、演出表示のON/OFFや演出の差し替えを実現することができる。なお、コールバックによって呼び出されるプログラム関数では、液晶演出以外の演出(例えば、音出力、ランプの点灯、役物の動作など)を実行することも可能となっている。また、フラグの設定や所定領域のデータの更新など、後続の演出制御に必要な情報を設定するなどの処理も可能である。以上のように、演出SWの検出によってプログラム関数を呼び出すことで、複数の演出ブロックによる描画の表示又は非表示、演出及び図柄の差し替え、遊技者による外部入力に対するインタラクティブな演出を実現することができる。
コールバックによって呼び出される液晶演出のON/OFFや演出の差し替え用のプログラム関数は、周辺制御部1530にあらかじめ組み込まれており、新たに作成する必要がない。したがって、高度なプログラムの知識を持たないデザイナーや企画作成者が演出設計時に画像や動画などの演出要素を設定しながら、あらかじめ定義されているプログラム関数を呼び出すように演出SWを設定することによって、複雑な演出仕様を実現することができる。さらに、演出作成ツールを利用して演出の構成単位で演出ブロック(液晶演出スケジューラーデータ)を作成することで大幅な開発期間の短縮が可能となり、加えて、ランダムな抽選結果に基づいて演出内容のテストを行わずに、演出SWを用いたテストを行うことによってテスト工程の簡略化とテストに要する時間の大幅な削減を実現することができる。
[20−1.演出スイッチの構成]
続いて、演出スイッチ(SW)の構成について説明する。図361は、本実施形態における演出スイッチの構成を説明する図である。演出SWは、演出SW番号によって一意に識別され、演出を差し替えるために必要な情報やコールバックによって呼び出されるプログラム関数などが関連付けられている。
演出SW番号には、演出SWグループID、演出SWリセットグループID、演出SWアトリビュート、演出SW起動コマンドアドレス、演出差し替え情報テーブルアドレス等が関連付けられる。
演出SWグループとは、演出の実行態様に応じてグループ化された演出SWの集合であり、演出SWグループIDは演出SWグループの識別子であり、どの演出SWグループに属しているかを定義する。演出SWリセットグループは演出SWグループと同じ構成であり、演出SWリセットグループIDを指定することで当該演出SWリセットグループに属する演出SWグループをOFFに設定し、一括して演出SWグループに属する演出を非表示にするにことができる。演出SWリセットグループIDは演出SWリセットグループの識別子である。演出SWグループID及び演出SWリセットグループIDは、ビット構成になっているため、複数の演出SWグループを指定することができる。
図362は、本実施形態の演出SWグループの構成の一例を示す図である。また、前述のように、演出SWにはアクティブとパッシブとがあり、演出SWグループは、一又は複数のアクティブ演出SWとパッシブ演出SWによって構成されている。具体的には、演出SWグループに属するアクティブ演出SWの先頭グループ番号とアクティブ演出SWの個数、及び、パッシブ演出SWの先頭グループ番号とパッシブ演出SWの個数が含まれる。
演出SWアトリビュートは、演出SWの属性を示す情報であり、具体的には、液晶演出SW全リセット情報、差し替え情報、特殊制御情報、パッシブ・アクティブ情報等が含まれる。液晶演出SW全リセット情報は、演出SWの評価時に指定された演出グループに属する演出SWをOFFに設定するか否かを指定する情報である。差し替え情報は、演出SWの評価時に演出差し替え用のコールバック関数を呼び出すか否かを指定する情報である。特殊制御情報(特殊制御ビヘイビア)は、演出SWの評価時に既定のコールバック関数を呼び出すか否かを指定する情報である。パッシブ・アクティブ情報は、演出SWの評価方法を示すものであり、パッシブでは演出SWを静的に評価し、アクティブでは演出SWを動的に評価する。
演出SW起動コマンドアドレスは、演出SW起動コマンドテーブルのアドレスである。演出SW起動コマンドとは、演出SWをONに設定するためのコマンド列であり、演出SW起動コマンドテーブルには、演出SWをONに設定するためのコマンドが定義される。図363は、本実施形態の演出SW起動コマンドテーブルの一例を示す図である。図363には、演出SW起動コマンドテーブル「lcdsw_cmd_en_ykk_b051_crs_charenge_suc」と演出SW起動コマンドテーブル「lcdsw_cmd_act_b056_cmc_su3_out_red」が例示されている。各テーブルは、コマンド数と、判定用のコマンド数分のデータによって構成されている。
[20−2.ステップアップ予告演出における演出スイッチによる制御]
次に、演出スイッチを利用した演出制御を、ステップアップ予告演出を例として説明する。図364は、本実施形態におけるステップアップ予告の一例を示す図であり、(A)はステップアップ予告演出が実行される段階を示し、(B)は各段階で液晶表示装置に表示される画面の一例を示す。
本実施形態のステップアップ予告は、図364(A)に示したように、最大4段階まで実行可能であり、各段階のステップアップ予告の終了時に、次の段階への発展演出が実行される。ステップアップ予告が発展する場合には次段階のステップアップ予告演出が継続して実行され、発展しない場合にはそのままステップアップ予告が終了する。
ここで、各段階のステップアップ予告演出のバリエーションについて説明する。ステップアップ予告演出開始後の最初の段階であるステップアップ予告1では、表示画面が墨によって塗りつぶされる演出が実行される。このとき、墨の色と塗りつぶしのパターンによって期待度が示唆される。例えば、墨の色が黒の場合には期待度が低く、白、赤、虹色の順で期待度が高くなる。また、塗りつぶしのパターンとしては、塗りつぶしが開始される位置が多いほど期待度が高く、また、塗りつぶしが開始される位置そのもので期待度が変化するようにしてもよい。例えば、左下一箇所のみから塗りつぶしが開始される場合には期待度が低く、左下と左上の二箇所から塗りつぶしが開始される場合、左下と左上と右上の三箇所から塗りつぶしが開始される場合の順で期待度が高くなり、そして、四隅から塗りつぶしが開始される場合には最も期待度が高くなる。
また、前述のように、各段階のステップアップ予告の終了時に、次の段階のステップアップ予告への発展演出が実行される。発展演出は、実際に次の段階に発展するか否かに関わらず遊技者の期待感を高めるために途中まで共通の態様で演出が実行される。ステップアップ予告1の場合について説明すると、まず、液晶表示画面を抽選によって決定された墨の色と塗りつぶしパターンの組み合わせで画面を塗りつぶしていく。その後、完全に画面が塗りつぶされると、徐々に墨がはけていき(薄くなり)、ステップアップ予告2で表示するための文字が浮かび上がる。ステップアップ予告2に発展する場合には、そのまま墨がはけるとともに文字の表示が濃くなり、演出が継続される。一方、発展演出に失敗する場合には、文字の表示が濃くならずに墨がはけるとともに非表示になる。
ステップアップ予告2では、期待度に応じた文字が表示される。文字のパターンは、「変化」「押忍」「気合」「継続」「一撃必殺」の順で期待度が高くなる。ステップアップ予告2の演出態様は、まず、文字が表示された状態でステップアップ予告1における墨の色と塗りつぶしのバリエーションの組み合わせで塗りつぶされる領域を拡大しながら画面を埋める。その後、墨によって画面が完全に塗りつぶされると、ステップアップ予告3に移行する。一方、発展演出が失敗した場合には、墨によって画面が完全に塗りつぶされる前に徐々に墨がはけていき、最終的に墨が完全にはけてしまい、表示されていた文字が消えてしまうことになる。
ステップアップ予告3では、ステップアップ予告2によって液晶表示画面が墨によって塗りつぶされた状態なっており、この状態から徐々に墨がはけていく演出が実行される。このとき、墨がはけていくパターンに応じて期待度が示唆される。例えば、左下一箇所のみから墨がはけていく場合には期待度が低く、左下と左上の二箇所から墨がはけていく場合、左下と左上と右上の三箇所から墨がはけていく場合の順で期待度が高くなり、そして、四隅から墨がはけていく場合には最も期待度が高くなる。墨がはけていく過程で文字が表示され、すべてはけた後に液晶表示画面上に文字が表示されている場合には発展演出が成功し、ステップアップ予告4に移行する。一方、墨がすべてはけた後に液晶表示画面上に文字が表示されていない状態であれば発展演出に失敗したことになる。
ステップアップ予告4は、ステップアップ予告の最終段階であり、液晶表示画面に表示された文字の内容(パターン)及び色によって期待度が示唆される。例えば、文字のパターンは、「勝負」「好機」「発展」「熱闘」「激熱」「幸福」の順で期待度が高くなる。また、文字色は、黒、白、赤、虹の順で期待度が高くなる。ステップアップ予告4の演出態様では、表示された文字が拡大するアニメーション等が実行される。
続いて、以上説明したステップアップ予告を演出SWによって実行する手順について説明する。図365から図367は、本実施形態における演出SWを用いたステップアップ予告の実行手順を説明する図である。図365はステップアップ予告1におけるすべての演出内容と演出SWの対応を示す。図366(A)はステップアップ予告1を実行するための液晶演出スケジューラデータ、(B)はステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータを用いた描画イメージを示している。図367はステップアップ予告1に関わる演出を差し替えるための演出SWと演出の関係性を示した図である。
図365は、ステップアップ予告1で演出されるすべての演出となり、各描画(墨描画左下、墨描画左上、墨描画右下、墨描画右上、文字失敗、文字成功)別に区分されており、各区分毎に演出SWの名称と演出内容を対応させて記載している。図に示すステップアップ演出の総数は、左下、左上、右下、右上描画区分について各4演出で計16演出、また、文字失敗、文字成功描画区分について各5演出で計10演出、総計26演出となっている。また、各描画区分内で同時に実行可能な演出は常に1つとなり、描画区分「文字失敗」と「文字成功」に関してはどちらか一方のみ実行されるため、ステップアップ予告1で同時に実行する最大演出数は描画区分「左下」、描画区分「左上」、描画区分「右下」、描画区分「右上」と描画区分「文字失敗」又は描画区分「文字成功」の合わせて5演出となる。
また、ステップアップ予告1の予告抽選結果値に合わせて、各描画区分の演出決定方法に関して具体的に説明する。まず、ステップアップ予告1の抽選が行われ、墨に関わる演出内容を決定する。墨に関わる演出内容とは、具体的には、描画区分「左下、左上、右下、右上」から墨が出現する位置の選択と、選択された墨の出現場所から出現する墨の色となる。加えて描画区分「文字失敗」又は描画区分「文字成功」のいずれかと、このとき表示される文字の内容となる。本実施形態では、ステップアップ予告1の抽選結果が、描画区分「左下」から赤色の墨が広がり、かつ、描画区分「右上」から赤色の墨が広がり、描画区分「文字失敗」で文字が「気合」となっている。したがって、ステップアップ予告1の抽選の結果、描画区分「左下が赤」、描画区分「左上なし」、描画区分「右下なし」、描画区分「右上が赤」、描画区分「文字失敗が気合」、描画区分「文字成功なし」のコマンドが発行される。
また、発行された各抽選コマンドの内容によって対応する演出の演出SWがそれぞれONに設定される。具体的には、ステップアップ予告1抽選コマンド描画区分「左下が赤」に対して、「LEDSW_LEFDW_S1_RED」がONに設定され、ステップアップ予告1抽選コマンド描画区分「右上が赤」に対して、「LEDSW_RIGUP_S1_RED」がONに設定され、ステップアップ予告1抽選コマンド描画区分「文字失敗が気合」に対して、「LEDSW_MOJI_NGS1_KIA」がONに設定される。一方、ステップアップ予告1抽選コマンド描画区分「左上なし」、ステップアップ予告1抽選コマンド描画区分「右下なし」、ステップアップ予告1抽選コマンド描画区分「文字成功なし」のコマンドは演出が行われないため、いずれの演出SWもONに設定されずにOFFに設定された状態となる。
以上により、ステップアップ予告1の全演出の中から描画区分「左下」から赤色の墨が広がり、かつ、描画区分「右上」から赤色の墨が広がり、描画区分「文字失敗」で「気合」の文字を表示する場合に対応する演出SWを、ステップアップ予告1の抽選結果に基づいてコマンドに対応させてONに設定することを実現している。
次に、図366(A)を用いてステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータの構成とステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータを何の制御も行わず実行した場合のステップアップ予告1描画イメージを説明する。上述したように、ステップアップ予告1の演出総数は総計26演出になるが、ステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータには左下、左上、右下、右上、文字失敗、文字成功の描画区分毎に一つの演出データが定義されているだけである。ステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータを何の制御も行わず実行した場合、すなわち、すべてのステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータを同時に実行した場合には、ステップアップ予告1描画イメージの図にあるように、描画区分「左下、左上、右下、右上」から同時に黒色の墨が広がり、描画区分「文字失敗」と描画区分「文字成功」で「変化」の文字が薄く表示され、その後、描画区分「文字失敗」で「変化」の文字が消去され、同時に描画区分「文字成功」で「変化」の文字がはっきり表示される。
さらに、図366(B)では上述したようにステップアップ予告1でステップアップ予告1の抽選のコマンドが、描画区分「左下が赤」、描画区分「左上なし」、描画区分「右下なし」、描画区分「右上が赤」、描画区分「文字失敗が気合」、描画区分「文字成功なし」のコマンドを発行した場合のステップアップ予告1描画イメージとなる。描画イメージは描画区分「左下」から赤色の墨が広がり、かつ、描画区分「右上」から赤色の墨が広がり、描画区分「文字失敗」で「気合」の文字が薄く表示され、その後、描画区分「文字失敗」で「気合」の文字が消去される。
続いて、図367を参照しながら、図366(A)のステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータを用いて、図367(B)のステップアップ予告1の抽選結果にあわせた演出を行うための、演出差し替えを行う仕組みを説明する。
図367は、本実施形態における描画区分毎に液晶演出スケジューラデータ上に定義されるマスタデータと、当該マスタデータと差し替えられる差し替えデータに対応する演出SWを説明する図である。図367の左下墨演出差し替えグループを参照して具体的に説明すると、ステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータのマスタデータに対応する演出SWは、左下から黒の墨が広がる動画のCGROM上のインデックス番号と対応する演出SW「LEDSW_LEFDW_S1_BLK」となる。一方、差し替えデータに対応する演出SWは、左下から白の墨が広がる動画のCGROM上のインデックス番号と対応する演出SW「LEDSW_LEFDW_S1_WHI」、左下から赤の墨が広がる動画のCGROM上のインデックス番号と対応する演出SW「LEDSW_LEFDW_S1_RED」、左下から虹の墨が広がる動画のCGROM上のインデックス番号と対応する演出SW「LEDSW_LEFDW_S1_REI」になる。なお、差し替えデータはステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータには定義されず、左下墨演出差し替えテーブルに別途定義される。また、マスタデータの左下から黒の墨が広がる動画のCGROM上のインデックス番号と対応する演出SW「LEDSW_LEFDW_S1_BLK」はステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータと左下墨演出差し替えテーブルの両方に定義される。
液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331では、演出の描画を行うためにディスプレイリストコマンドを作成する行程でステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータを解析実行し、ステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータに定義されている演出SW「LEDSW_LEFDW_S1_BLK」をトリガとして(検出すると)、コールバックを発生させ、液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331から演出差し替え用のプログラム関数に制御を移す。
コールバックにより呼び出される差し替え用のプログラム関数では、左下墨演出差し替えテーブルを参照し、当該左下墨演出差し替えテーブルに登録されているすべての演出SWを判定し、ONに設定されている演出SWを特定する。本実施形態では、ステップアップ予告1抽選コマンド描画区分「左下が赤」を元にして演出SW「LEDSW_LEFDW_S1_RED」がONに設定されているので、演出SW「LEDSW_LEFDW_S1_RED」に対応する左下から赤の墨のCGROM上の動画番号が特定される。
コールバックにより呼び出される差し替え用のプログラム関数は、特定した左下から赤の墨のCGROM上の動画番号を液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331に引き渡し実行を終了する。制御が再び液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331に戻ると、液晶演出1f描画スケジューラ実行部5331は、ステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータに定義された左下から黒の墨が出現する動画に対応するCGROM上の動画番号を用いてディスプレイリストコマンドを作成するのではなく、差し替え用のプログラム関数から引き渡された左下から赤の墨が出現する動画に対応するCGROM上の動画番号を用いてディスプレイリストコマンドを作成する。
本実施形態形態のコールバックによる演出の差し替えの特徴は、低レベルな制御構造(本実施形態形態では液晶演出スケジューラデータ、変更が容易でツール化に適したデータ構造)から高レベルな制御構造(本実施形態形態では差し替え用のプログラム関数、変更は不向きだが複雑な処理を実行可能とするプログラム関数)をコールバックにより呼び出すことで、差し替えを行うタイミングの検知と差し替え制御を分離することが可能となり、簡易なデータ構造である液晶演出スケジューラデータを用いて複雑な処理を行うことを実現する。
また、本実施形態では、コールバックするための識別子(本実施形態における演出SWのON/OFF設定値)に関わらず、必ずコールバックによって処理が実行される。本実施形態の演出制御と同じ制御をコールバックによって実行するのではなく、液晶演出スケジューラデータ側に複雑な制御を行うための構造を取り入れて、液晶1f描画スケジューラ実行部側で複雑な液晶演出スケジューラデータを解析実行することで演出制御を実現した場合には、液晶1f描画スケジューラ実行部側で処理するプログラムコードの複雑さが増し、さらに、新しい機能の追加や機能の変更を行う場合には必ず液晶演出スケジューラデータの変更が必要になる。この場合、プログラムコードとデータの両方の変更が必ず必要となり、制御の変更による不具合の発生だけではなく、変更前には正常に動作していた機能にも影響を与えて新たな不具合が発生してしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態形態では、コールバックの実行はコールバックするための識別子本実施形態(演出SWのON/OFF設定値)に関わらず、必ずコールバックによって処理を実行し、コールバックによって実行された複数のコールバック関数内で実行可否や処理内容を判断する。単一の機能を実現するために対応するコールバック関数を作成することで、新しい機能の追加や機能の変更を行う場合でも液晶演出スケジューラデータ構造の変更は必要なく、新たな機能に対応するコールバック関数を作成するか、既存のコールバック関数を変更することで実現できる。このため、機能の変更や追加による影響範囲が新規追加又は変更対象のコールバック関数にとどまり、他のコールバック関数に影響を与えて不具合の原因となる可能性が少なくなる。また、単一の大きなプログラムで液晶演出スケジューラデータの実行解析を一元的に実行する場合と比較して、各機能を実現するための複数のコールバック関数と液晶演出スケジューラデータによって実行解析を行う方が、プログラムの構造や構成をより単純化することができる。
本実施形態形態では、演出の差し替えに特化して説明したが、本実施形態コールバックによる制御の仕組みは演出の差し替えだけではなく、図柄の差し替え、演出の表示又は非表示の制御、描画対象の描画データの変換及び他の演出表示装置のスケジューラデータの実行やスケジューラデータの変換にも適用可能である。
ここで、マスタデータの左下から黒の墨が広がる動画のCGROM上のインデックス番号と対応する演出SW「LEDSW_LEFDW_S1_BLK」をステップアップ予告1液晶演出スケジューラデータと左下墨演出差し替えテーブルの両方に定義する目的について説明する。演出差し替えテーブルにマスタの演出SWと対応するCGROM上のインデックス番号を定義しない場合には、マスタと差し替え対象の関係性、すなわち、マスタの演出SWと対応するCGROM上のインデックス番号は必ず液晶演出スケジューラデータ上にのみ存在し、また、マスタに対応する差し替え用の演出SWと対応するCGROM上のインデックス番号は演出差し替えテーブルのみに存在することになる。本実施形態の遊技機では演出差し替えテーブル及び演出SWが各々数千程度定義されている。遊技機の企画開発から市場に投入されるまでの間に遊技仕様の変更や遊技仕様の追加が頻繁に発生する状況下では、CGROM上の動画(画像)のインデックス番号と演出SWとの整合性を維持することはきわめて困難となる。
CGROM上のインデックス番号と演出SWとの関係性では、演出差し替えテーブルにマスタの演出SWと対応するCGROM上のインデックス番号を誤って定義してしまったり、逆に差し替え用の演出SWと対応するCGROM上のインデックス番号を液晶演出スケジューラデータに誤って登録してしまったりすることが起こりえる。この場合には、演出抽選のコマンド値と差し替えテーブル上の演出SWと対応するCGROM上のインデックス番号のデータ数に相違が発生し、演出抽選で選択された演出とは異なる演出で差し替えが行われる。演出にはそれぞれ期待度が設定されているため、はずれの変動では出現しない大当り専用の演出が出現するようなことが起こりえるため、遊技機としては致命的な不具合となる。本実施形態のように、演出差し替えテーブルにマスタの演出SWと対応するCGROM上のインデックス番号も含めて定義することで、整合性の確認は演出総数と差し替えテーブルとを対比することによって実現可能となる。また、液晶演出スケジューラデータでは差し替えテーブル内のいずれのデータを定義しても問題なく動作するため、きわめて不具合が起こりにくい制御手法となる。本実施形態形態では、演出抽選の結果、液晶演出スケジューラデータ上に定義されているマスタの演出が抽選されたとしても、液晶演出スケジューラデータ上のマスタのCGROM上のインデックス番号は使用されず、必ず差し替えテーブル内に定義されたマスタのCGROM上のインデックス番号を用いてディスプレイリストコマンドが作成され演出が描画される。
ステップアップ予告3では、前述のように、塗りつぶされた状態から表示領域の頂点の一部又は全部から徐々に墨が消去され、発展演出成功時には文字が浮かび上がる。一方、発展演出失敗時には文字は表示されずに墨が完全に消去され、そのままステップアップ予告が終了する。成功時及び失敗時のいずれの場合であっても表示領域の頂点から墨が徐々に消去される演出が実行されるため、頂点ごとに墨を徐々に消去する描画パターン4種類分の演出SWフラグ(レイヤ)が定義される。また、発展演出の結果に対応する2種類の演出SWフラグ(レイヤ)が定義される。
図367に記載した左下墨差し替えグループ以外の左上墨差し替えグループ、右下墨差し替えグループ、右上墨差し替えグループ、文字失敗演出差し替えグループ、文字成功演出差し替えグループも左下墨差し替えグループと構成と制御方法は同様である。
ステップアップ予告4では、以降継続してステップアップ予告が実行されないため、表示された文字のアニメーションに態様に応じた演出SWフラグ(レイヤ)を定義してもよいし、1種類の演出SWフラグ(レイヤ)のみを定義し、パラメータで文字のアニメーションの種類を設定するようにしてもよい。
以上のように、本実施形態では、墨の出現位置又は文字内容別の描画演出パターンを個別に定義し、実行する演出に対応する演出SWフラグをONに設定することで、異なる種類の演出を実行したり、組み合わせた演出を実行することができる。演出の切り替えや組み合わせは演出SWフラグの設定を個別に切り替えるだけであるため、新たにプログラムを作成するなどの技術を必要とせずに演出を構成する企画者などがツールによってパラメータを設定するだけで様々なバリエーションの演出を実現することができる。例えば、ステップアップ予告1では、墨の出現位置による描画パターン4種類、発展演出の結果表示パターン2種類を組み合わせるだけで数十種類の描画パターンを実現可能とする。これにより、開発するプログラムの種類を最小限に抑制し、遊技機の演出制御プログラムの開発効率を向上させるとともに、開発された演出制御プログラムの検査の効率化などにより品質を向上させることができる。
[20−3.演出スイッチに基づく制御の概要]
続いて、演出スイッチに基づく制御の概要について説明する。図368は、本実施形態の演出スイッチによる制御手順を説明する図であり、特に、演出SWをONに設定する評価手順を示す。本実施形態では、まず、主制御基板1310から演出開始の契機となるメインコマンド(主制御コマンド)を受信すると、周辺制御部1530によって周辺制御基板1510内の構成に対して発行される周辺制御内部発行コマンドが生成される。周辺制御内部発行コマンドは、予告抽選を実行したり、周辺制御部1530によって演出を実行したりするためのコマンドである。
周辺制御基板1510の演出SWコマンド解析モジュールは、解析された主制御コマンドと受信したサブ内部発行コマンドを評価し、対応する演出SWをONに設定する。具体的には、周辺制御ROM1530bに格納されている演出SW判定データと比較し、受信したコマンドと一致するデータが登録されているか否かを判定する。演出SW判定データのコマンド列に受信したコマンドと一致するデータが登録されているか否かを判定し、一致するデータが存在する場合には、コマンド列に対応する演出SW番号に基づいて、周辺制御RAM1530cに記憶されている演出SWフラグをONに設定する。
演出SW判定データは2種類の情報で構成され、第1の情報は演出SWをONにするための演出SW判定コマンド列となる。演出SW判定コマンド列は固定長ではなく、複数のコマンド値、主制御コマンド値とサブ内部コマンド値を組み合わせたり、周辺制御内部発行コマンド値と周辺制御内部コマンド値を組み合わせることが可能となっている。例えば主制御基板1310から送信される変動開始指定コマンド値と確率状態指定コマンド値とを並べて定義したり、周辺制御内部発行コマンド値の背景指定コマンドとミニキャラ予告の抽選結果のコマンド値を並べて定義することが可能となっている。
複数のコマンドを並べて定義することによって、例えば、同じミニキャラ予告であっても、背景別に演出表示されるミニキャラが異なる場合、背景コマンド値を判定し、背景を特定した後にミニキャラコマンド値を判定することで初めて背景に対応したミニキャラの演出を特定できることになるが、コマンドの数分だけ複数回の判定が必要となってしまう。これに対し、本実施形態のように、背景指定コマンドとミニキャラ予告の抽選結果のコマンド値を並べて定義することで、コマンド値に対応する演出SWは背景に対応したミニキャラとすることが可能となり、複数回判断する必要がなく、複数のコマンドの組み合わせで定義される演出に関しても、単一のコマンドで定義される演出と同じように対応する演出を特定することができる。また、同一のコマンド値に対して、複数の演出SWを定義することが可能であるため、単一のコマンド値で複数の演出SWを同時に起動することができる。
演出SW判定データの第2の情報は演出SW番号となり、演出SWフラグ配列のインデックス番号となる。演出SW判定データは、演出SW判定コマンド値と演出SW番号の組み合わせで、すべての演出SWに対して登録される。
以上より、図368に示すように、コマンド「0x103001」を受信した場合には、演出SW判定データに演出SW番号100の「LCDSW_LEFDW_S1」が登録されているため、RAMに記憶されている演出SWフラグlcdsw_flg[LCDSW_LEFDW_S1]をONに設定する。
以上のように、コマンドに対応する演出SWフラグを設定することによって、図365から図367に示したように、対応する予告演出を実行するための液晶演出スケジューラーデータの実行時に所定の処理が呼び出される。
また、演出SWコマンド解析モジュールには、演出SWに基づく演出を実行するための関数が定義されている。以下、これらの関数の一例を説明する。図369は、本実施形態の演出SWコマンド解析モジュールに定義される関数の一例を説明する図である。各関数は、演出SW番号(LEDSW番号)を引数とする。
LEDSW_TSTは、定常プログラムやコールバックされたプログラムから、演出SW番号がONであるか否かを判定する関数である。LEDSW_SETは、コマンドによる演出SW起動ではなく、定常プログラムやコールバックされたプログラムから演出SWをONにするための関数である。
LEDSW_OFFは、定常プログラムやコールバックされたプログラムから演出SWをOFFにする関数である。また、演出SWのアトリビュートに「全リセット」の属性が定義されている場合には、演出SW番号に対応する「演出SW情報テーブル」の「リセット対象演出SWグループID」に基づき、リセット対象演出SWグループに属するすべての演出SWをOFFに設定する。
LEDSW_GETは、定常プログラムやコールバックされたプログラムから、対象の演出SWのアトリビュート情報を取得する関数である。LCDSW_ATIMERは、定常プログラムやコールバックされたプログラムから、アクティブ演出SW起動時からのフレーム時間を取得する関数である。
[20−4.演出スイッチの実装例]
続いて、演出スイッチを用いた制御の実装例について説明する。図370から図375は、本実施形態における演出スイッチを用いた制御を実行するためのプログラムコードの一部を示す図である。なお、各図に示すプログラムコードはC言語によって記載されている。
演出SWは、前述のように、液晶レイヤーテーブル、液晶演出共通ブロック、液晶演出ブロック、液晶演出スケジューラデータ、液晶演出スケジューラデータ内の各表示対象、静止画、動画にそれぞれに設定される。なお、すべての演出ブロックに演出SWが設定されるため、演出ブロックの実行時には常に演出SWに基づく処理をコールバックする。特定の処理を実行する必要がない場合であってもコールバックを実行し、コールバック関数内で特定の処理を行わない判断を行いコールバック関数を終了する。
図370は、本実施形態の演出SW情報テーブルの構成の詳細を説明する図であり、(A)は演出SW情報テーブルを定義するプログラムコードの一例、(B)は演出SW制御情報のビットアサイン、(C)は演出SWグループの一例を示す図である
演出SW情報テーブルは、(A)に示す演出SW情報テーブル管理構造体に基づいて構成されており、演出SWグループID、リセット対象演出SWグループID、演出SW制御情報(演出SWアトリビュート)、演出SWコマンド情報アドレス、演出差し替え情報テーブル情報を含む。
演出SWグループIDは、対応する演出SWが属する演出SWグループの識別情報である。演出SWグループは、同じ(同種の)予告演出を行うための演出SWであったり、保留表示のための演出SWであったり、報知のための演出SWであったりするなど、機能などによってグルーピングされている。演出SWグループIDはビットで表現されており、一の演出SWが複数の演出SWグループに属することが可能となっている。
リセット対象演出SWグループIDは、後述する「attribビットアサイン」で「演出SW全リセット」が指定されていた場合に、演出SWをOFFにセットする演出SWグループを指定するための識別情報である。これにより、演出SWの切り替え時などに同時に処理を中止(リセット)する演出SWをまとめて指定することが可能となる。リセット対象演出SWグループIDは演出SWグループIDと同様にビットで表現されており、複数のグループを指定することが可能となっている。
演出SW制御情報は、演出SWの機能を定義する情報であり、具体的には、液晶演出SW全リセット情報、差し替え情報、特殊制御情報、パッシブ・アクティブ情報を含む。また、演出SW制御情報は、16ビットで構成されており、各ビットで演出SWの機能を定義する。演出SWの機能に対応するビットは(B)に示したとおりであり、以下、内容を説明する。
パッシブ(PASSIVE)・アクティブ(ACTIVE)情報は、演出SWの評価方法を示すものであり、ビットが“0”の場合は「PASSIVE」、“1”の場合は「ACTIVE」となる。パッシブでは演出SWが定義されている期間に演出SWを起動するコマンドを複数回受信した場合においても演出SWに対応する描画演出は一度のみ行われ、アクティブでは演出SWが定義されている期間に演出SWを起動するコマンドを複数回受信した場合は対応する演出を受信したコマンド回数分演出を再実行する。アクティブはボタン有効期間内でボタンが複数回押下される場合にボタン押下に対応する描画演出を表示する場合等に使用する。
特殊制御情報(特殊制御ビヘイビア)は、演出SWの評価時に既定のコールバック関数を呼び出すか否かを指定する情報である。ビットに“1”設定されている場合には、システム側のコールバック関数ではなく、ユーザ側のコールバック関数が呼び出される。
差し替え情報は、演出SWの評価時に演出差し替え用のコールバック関数を呼び出す情報である。ビットに“1”設定されている場合には、液晶演出スケジューラデータ内の各表示対象、静止画、動画にそれぞれに定義された演出SW評価時に、あらかじめ定義済みの差し替え用のコールバック関数が呼び出される。
液晶演出SW全リセット情報は、演出SWの評価時に指定された演出グループに属する演出SWをOFFに設定するか否かを指定する情報である。ビットに“1”設定されている場合には、演出SW評価時に、「リセット対象演出SWグループID」で設定されたすべてのグループに属する演出SWがOFFに設定される。
ここで、図370(A)の説明に戻る。演出SWコマンド情報アドレスは、演出SW評価時において演出SWがONに設定されている場合に、定義されたコマンド情報が出力される。出力されるコマンドは、演出SWコマンド情報アドレスの参照先に格納されており、出力されたコマンドによって新たな演出SWの制御や演出を実行する。
演出SW差し替えテーブル情報は、演出SW制御情報の差し替え情報のビットに“1”が設定されていた場合(「差し替えあり」が指定されていた場合)、差し替え対象のデータが定義されている差し替えテーブルのアドレスが格納されている。差し替えテーブルの詳細については、図373にて後述する。
次に、演出SWグループについて説明する。本実施形態では、関連する複数の演出SWを設定する場合など、演出グループとして管理する。演出グループは、演出SWグループID、アクティブ演出SW先頭ID、アクティブ演出SW個数、パッシブ演出SW先頭ID、パッシブ演出SW個数を含んで構成される。
演出SWグループIDは、演出SWグループの識別子である。演出SWグループでは、アクティブ演出SW及びパッシブ演出SWが連続した領域で格納されている。アクティブ演出SW先頭IDは、演出SWグループに属するアクティブ演出SWの中で、先頭に位置する演出SWの識別情報である。アクティブ演出SW個数は、アクティブ演出SW先頭IDに対応する演出SWから配置されたアクティブ演出SWの個数である。パッシブ演出SW先頭IDは、演出SWグループに属するパッシブ演出SWの中で、先頭に位置する演出SWの識別情報である。パッシブ演出SW個数は、パッシブ演出SW先頭IDに対応する演出SWから配置されたパッシブ演出SWの個数である。以上のように、演出SWグループIDをリセット対象演出SWグループIDに定義することにより、「attribビットアサイン」で「演出SW全リセット」が指定されていた場合には、演出SWグループIDに属する連続した複数のパッシブ演出SW及び連続した複数のアクティブ演出SWを同時にOFFに設定することが可能となる。
図371は、本実施形態における演出SWに対応する演出SW番号を定義するプログラムコードの一例を示す図である。図371に示すプログラムコードでは、列挙型(enum)を用いて演出SW番号に具体的な数値を定義している。本実施形態では、演出SW番号をインデックスとしてワーク領域や演出情報テーブルを参照することができる。
このように演出SW番号を列挙型で定義することによって、プログラム内で演出SW番号を設定又は参照する場合に、直接数値で扱う必要がなくなり、プログラムの可読性を向上させることができる。
次に、演出SWフラグ及び演出SW情報テーブルについて説明する。図372は、本実施形態の演出SWフラグ及び演出SW情報テーブルを定義するプログラムデータの一例を示す図であり、(A)は演出SWフラグ、(B)は演出SW情報テーブルを示す。
演出SWフラグは、対応する演出SWに基づく処理をコールバックしたコールバック関数側で実行するか否か(ON/OFF)を示すフラグである。(A)に示すように、演出SWフラグはバイト型の配列変数に格納されており、配列のインデックスは演出SW番号に対応する。演出SW番号に対応する演出SWを実行する場合には“1”(ON)が設定され、実行しない場合には“0”(OFF)が設定される。
演出SW情報テーブルは、図370(A)に示した演出SW情報テーブル管理構造体によって定義されており、演出SW情報テーブルの各要素はプログラム実行時に読み込まれ、プログラムデータを変更しない限り更新されない定数となっている。また、演出SW情報テーブルは、演出SWフラグと同じく演出SW番号をインデックスとする配列に格納され、すべての演出SWに対応するデータが格納される。
続いて、演出差し替えを行うための演出SW差し替えテーブル情報及び演出SW差し替えテーブルについて説明する。演出SW差し替えテーブル情報は、図370(A)に示したように、演出SW情報テーブルに含まれている。図373は、本実施形態の演出SW情報テーブルに含まれる演出SW差し替えテーブル情報及び演出SW差し替えテーブルを定義するプログラムデータの一例を示す図であり、(A)は演出SW差し替えテーブル情報、(B)は演出SW差し替えテーブルを示す。
図373(A)は、演出SW差し替えテーブル情報「lcdsw_cchanege_info_lefdw_s1」の構成を示すプログラムデータである。演出SW差し替えテーブル情報には、演出SW差し替えテーブルのアドレス、演出SWマスタデータ、演出SW差し替えデータが格納される。演出SW差し替えテーブルのアドレスは、実際の差し替え素材の番号が格納されているテーブルのアドレスとなる。
演出SWマスタデータは、液晶演出スケジューラデータに定義される演出SWデータであり、「lcdsw_cchanege_info_lefdw_s1」の場合は、墨の色が黒の場合がこれに該当する(LCDSW_LEFDW_S1_BLK)。差し替えデータは、マスターデータから差し替えられる素材を示す情報であり、例えば、墨の色を白に差し替える場合(LCDSW_LEFDW_S1_WHI)等があり、演出SWを評価することで対応する差し替えデータに素材情報を差し替える。
図373(B)は、演出SW差し替えテーブル「lcdsw_cchanege_lefdw_s1」の構成を示すプログラムデータである。演出SW差し替えテーブルには、まず、差し替えテーブル内に定義される素材番号の列数及び行数が定義されており、本実施形態では列数が1、行数が4となっている。列数及び行数の定義の後、差し替え素材を示す情報が格納される。本実施形態では、差し替え情報は1次元のテーブル構造となっているが、2次元や3次元のテーブル構造でも問題ない。
具体的な差し替え方法は、まず、演出SW差し替えテーブル情報を参照し、演出SW差し替えテーブル情報内に定義されている演出SW演出スイッチマスタデータ、演出SW差し替えデータをすべて評価する。このとき、演出抽選の結果により発行されたコマンドにより演出SW差し替えテーブル情報内に定義されているいずれかの演出SWがONに設定されている。ここでは、演出SW差し替えデータ(LCDSW_LEFDW_S1_WHI)がONに設定されていると仮定して説明する。演出SW差し替えテーブル情報内でONに設定されている演出SWの行数をインデックスとして演出SW差し替えテーブルの同じ行を特定する。演出差し替えデータ内で演出SW差し替えデータ(LCDSW_LEFDW_S1_WHI)の行に対応するのは、素材番号(CG_MOVE_LEFDW_S1_WHI)となり、差し替えを行う素材番号が特定される。素材番号とはCGROM上の静止画又は動画を特定するインデックス番号となる。
[21.レイヤの構成]
次に、画像や動画を表示するレイヤーについて説明する。レイヤは、液晶表示対象物を複数の領域(層、レイヤ)に分割して描画することによって、表示結果を汎用的に利用することが可能となる。例えば、背景のレイヤを分けることによって、表示されるキャラクタを変更しても共通の方法で描画することができる。
本実施形態では、レイヤーの情報を格納するテーブル(レイヤー情報テーブル)を個別に格納・管理することによって、一部のレイヤの変更があっても他のレイヤに影響を与えないように構成することができる。
図374は、本実施形態のレイヤー情報テーブルを定義するプログラムデータの一例を示す図であり、(A)は各レイヤー情報テーブルを格納するアドレスを格納するリスト、(B)はレイヤー情報テーブル(背景用)の内容を示す。レイヤー情報テーブルにも上述した演出SWが定義されており、演出SWをトリガとしてコールバック関数が呼び出されコールバック関数内において演出SWの情報に基づいて対応する液晶レイヤーテーブルを実行するか否かを決定する。例えば演出SW(LEDSW_BG_RIV)がONの場合、川背景のレイヤーテーブル(direct_layer01_common0002)が実行される。また、図375は、本実施形態のレイヤー情報テーブルを定義するプログラムデータの一例を示す図であり、(A)はレイヤー情報テーブル(予告前半1)の内容、(B)はレイヤー情報テーブル(予告前半2)の内容を示す。予告前半1、2のレイヤー情報テーブルは、ともに背景用のレイヤー情報テーブルと同じく、演出SWによって実行するレイヤーテーブルを決定する。
本実施形態では、図374(A)に示すように、背景用、図柄表示用、前半予告用、大当り演出用、役物動作用、保留表示用等のレイヤー情報テーブルが定義される。
また、図374(B)は背景用のレイヤー情報テーブルを示しており、本実施形態における演出では、海背景、山背景、川背景が定義されており、さらに、遊技状態に応じた背景(時短中背景、高確中背景)も定義されている。さらに、演出SWによって、一部背景色を変更するなどバリエーションを追加することができる。
図375(A)は予告前半1用のレイヤー情報テーブルを示しており、ルーレット予告、ブラックアウト予告、ウインドウ予告が定義されており、予告クリア用のコマンドも定義されている。図375(B)は予告前半1用のレイヤー情報テーブルを示しており、ステップアップ予告、ボタンミニキャラ予告、会話予告が定義されており、予告前半1の場合と同様に、予告クリア用のレイヤーテーブルも定義している。予告クリア用のレイヤーテーブルは各予告のレイヤー情報テーブルで定義する各予告のレイヤーテーブルで実行する予告の描画を終了するために使用される。具体的には、上述した演出SWの演出SW制御情報のリセット対象演出SWグループIDに予告レイヤーの演出SWグループIDを定義し、「attribビットアサイン」で「演出SW全リセット」を定義する。そして、演出SW(LEDSW_YKK_CLR)がONに設定されている場合、リセット対象演出SWグループIDに定義された演出SWグループIDに属するすべての予告の演出SWがOFFに設定されて演出SWに対応する描画が終了し、非表示となる。なお、予告クリア用のレイヤーテーブルは演出を何も行わないため空のデータとなる。
なお、レイヤテーブルを格納するリストやレイヤ情報を格納するテーブルに割り当てられた領域の最後には、終端判断用レコードが格納され、終端判断用レコードを検出すると、データの読み込みが終了したことを判定することが可能となる。これにより、要素数をあらかじめリストやテーブルごとに設定することなく、動的にデータ量(レコード数)を変更することが可能となる。
[22.ステップアップ予告の実装例]
続いて、液晶演出ブロックデータ(共通ブロック)による予告演出の実装例について、ステップアップ予告演出を例として説明する。
[22−1.演出レイヤーテーブル・液晶演出ブロックデータ]
図376は、本実施形態における液晶レイヤーテーブル及び液晶演出共通ブロックを定義するプログラムデータの一例を示す図であり、(A)はステップアップ予告演出の液晶レイヤーテーブル、(B)は液晶演出共通ブロックの構成を示す。
図376(A)に示すように、ステップアップ予告演出に対応する液晶レイヤーテーブルは液晶レイヤーテーブル内に登録する液晶演出共通ブロックの個数と個数分の液晶演出共通ブロックが液晶演出共通ブロックの総描画フレーム数、演出SWと対になって定義されている。本実施形態では、総描画フレーム数(580)フレーム、演出SW「LCDSW_STEPUP」、共通ブロック「LCD_COMMONBLK_STEPUP」が定義されている。演出SW「LCDSW_STEPUP」に基づいてコールバックを実行し、コールバック関数内で演出SW「LCDSW_STEPUP」の情報に基づいて共通ブロック「LCD_COMMONBLK_STEPUP」を実行するか否かを決定する。
図376(B)に示すように、液晶演出共通ブロック「LCD_COMMONBLK_STEPUP」は、演出SW、描画総フレーム数、ループ開始フレーム位置、再生時間、液晶演出ブロックの順で定義され、液晶演出ブロックが複数の場合には、同じフォーマットで複数行定義される。ステップアップ予告4の後には、終端(terminal)が設定されており、ステップ数の増減に対応できるように構成されている。例えば、ステップアップ予告5を追加する場合には、ステップアップ予告4と終端との間にステップアップ予告5に対応するデータを追加すればよい。
演出SWは、レイヤーテーブルで定義されている演出と同じ制御を行う。描画総フレーム数は液晶演出ブロックの総演出フレーム数を定義し、1行目のステップアップ予告1を用いて説明すると(150)フレームとなり、ステップアップ予告1の液晶演出ブロックの再生を(150)フレーム行うことを定義する。ループ開始フレーム位置は、1行目の液晶演出ブロック「LCD_YKK_STEPUP_SU1」の再生終了後にどの表示データフレームに復帰するかを決定するためのフレーム位置となる。
再生時間は、液晶演出ブロック「LCD_YKK_STEPUP_SU1」の再生時間となる。総再生時間、ループ開始フレーム位置及び再生時間の関係は、再生時間が液晶演出ブロック「LCD_YKK_STEPUP_SU1」の再生時間となるため、液晶演出ブロック「LCD_YKK_STEPUP_SU1」の再生完了後に、再度、液晶演出ブロック「LCD_YKK_STEPUP_SU1」の先頭又は途中からループ再生を行う場合には、ループさせるフレーム数を再生時間に加算し、加算したフレーム数を総再生時間に定義する。ステップアップ予告1「LCD_YKK_STEPUP_SU1」の液晶演出ブロックの再生時間は(150)フレームのため、液晶演出ブロック「LCD_YKK_STEPUP_SU1」の再生終了後に後半の50フレームを2回ループさせる場合には、総再生時間に再生時間(150)フレーム+ループ再生時間(50×2)フレームの(250)フレームを定義し、ループ開始フレーム位置に(100)フレームを定義することで実現できる。擬似連演出時に図柄が確定せずに、ゆらゆら変動を行うような演出はループ再生の機能を使用することで実現できる。
また、本実施形態の液晶演出ブロック「LCD_YKK_STEPUP_SU1」の総再生時間と再生時間が同じであるにも関わらずループ開始フレームが再生終了の1つ前のフレームに定義されている理由は、何らかの不具合で次の演出共通ブロックが実行されない場合に描画の更新が行われなくなり、液晶画面が停止することを防ぐために、総再生時間を超えた場合にはループ開始ポイントに基づいて描画を繰り返している。
本実施形態でステップアップ予告1からステップアップ予告3までの演出を実行する場合における液晶演出共通ブロック「LCD_COMMONBLK_STEPUP」による制御は、周辺制御基板1530で演出に関わる予告の抽選を実行した後、ステップアップ予告演出に関わる周辺制御内部コマンド、ステップアップ予告1コマンド、ステップアップ予告2コマンド、ステップアップ予告3コマンドを発行する。続いて、発行されたコマンドに対応してステップアップ1演出SW「LEDSW_YKK_STEP_SU1」、ステップアップ2演出SW「LEDSW_YKK_STEP_SU2」、ステップアップ3演出SW「LEDSW_YKK_STEP_SU3」をONに設定する。一方、ステップアップ4演出SW「LEDSW_YKK_STEP_SU4」はステップアップ予告4コマンドが発行されていないため、OFFに設定されたままである。
演出SWの設定後、液晶演出共通ブロック「LCD_COMMONBLK_STEPUP」内に定義されているすべての演出SWに基づいてコールバックを実行し、コールバック関数を呼び出す。呼び出されたコールバック関数内で、各演出SWがONに設定されているか否かを判定し、ONに設定されている演出SWに対応する液晶演出ブロックを実行する。液晶演出共通ブロック「LCD_COMMONBLK_STEPUP」では、「LEDSW_YKK_STEP_SU1」、「LEDSW_YKK_STEP_SU2」、「LEDSW_YKK_STEP_SU3」がONに設定されているので、それぞれ液晶演出ブロック「LCD_YKK_STEPUP_SU1」、「LCD_YKK_STEPUP_SU2」、「LCD_YKK_STEPUP_SU3」が実行される。一方、「LEDSW_YKK_STEP_SU4」はOFFに設定されているため、「LCD_YKK_STEPUP_SU4」は実行されない。以上のように、液晶演出共通ブロック内に複数の液晶演出ブロックを定義し、演出SWを用いて液晶演出ブロックを実行するか否かを制御可能であるため、複数の予告を組み合わせて実行することを可能とし、さらに、各演出の表示/非表示の切り替えを可能とする。
続いて、ステップアップ予告における各ステップの液晶演出ブロックの内容について説明する。図377は、ステップアップ予告の各ステップの液晶演出ブロック(LCD_YKK_STEPUP_SU1〜4)を定義するプログラムデータの一例を示す図である。
液晶演出ブロックの内容は、まず、液晶演出ブロックに定義するデータの総数が定義される。実行フレーム数、ファンクション又は液晶演出スケジューラデータとなる液晶演出ブロックで使用されるファンクションは、「LCD_NOP」と「LCD_NULL」の2種類と液晶演出スケジューラデータとなる。「LCD_NOP」は実行フレーム数分ウエイトするファンクションとなり、また、「LCD_NULL」は液晶演出ブロックの終了を示すファンクションとなる。
続いて、液晶演出ブロックについて具体的な説明を行う。液晶演出ブロック「LCD_YKK_STEPUP_SU2」を参照しながら説明すると、先頭の(3)は「LCD_YKK_STEPUP_SU2」が3行のデータ(ステップ数が3)で構成されていることを示す。次の行では、実行フレーム数(120)を指定した「LCD_NOP」となるため、液晶演出ブロックの実行開始から(120)フレームの間、ウエイトする。(120)フレームの間ウエイトした後、フレーム数(175)が指定された次の行を実行する。次の行では、液晶演出スケジューラデータ「LCD_DIR_STEPUP_SU2」を実行フレーム数(175)に対応するフレーム分だけ実行する。その後、実行フレーム数(1)が指定された「LCD_NULL」を実行し、液晶演出ブロック「LCD_YKK_STEPUP_SU2」の実行を終了する。
図364で説明したようにステップアップ予告の各段階のステップアップ予告の終了時に、次の段階のステップアップ予告への発展演出の実行を実現するために「LCD_NOP」のウエイトを使用することで実現している。
具体的には、液晶演出ブロック「LCD_DIR_STEPUP_SU1」はウエイトを行わず、液晶演出スケジューラデータ「LCD_DIR_STEPUP_SU1」の実行を開始する。液晶演出ブロック「LCD_DIR_STEPUP_SU2」は「LCD_NOP」のウエイトを使用し、(120)フレームウエイトをした後、液晶演出スケジューラデータ「LCD_DIR_STEPUP_SU2」の実行を開始することで、液晶演出スケジューラデータ「LCD_DIR_STEPUP_SU1」が実行を開始してから(120)フレーム経過した時点で液晶演出スケジューラデータ「LCD_DIR_STEPUP_SU2」が実行を開始する。これにより、ステップアップ予告1の終了時に、次の段階のステップアップ予告2への発展演出を重ねて実行することを可能にしている。
また、液晶演出ブロックには時系列順に複数の液晶演出スケジューラデータを定義することが可能であり、連続して液晶演出スケジューラデータを定義した場合には、実行フレーム数の期間対応した液晶演出スケジューラデータを実行し、次の行の液晶演出スケジューラデータを実行する。
ステップアップ予告2の演出スケジューラーデータでは、ファンクションの総数の後、ステップアップ予告演出1を実行している間待機するファンクションNOPを実行し、その後、ステップアップ予告演出2を実行するためのファンクションLCD_YKK_STEPUP_SU2、最後にスケジューラデータの終了を示すファンクションLCD_NULLが記載される。ステップアップ予告3及びステップアップ予告4についても同様に記述される。
[23.ボタンミニキャラ演出の実装例]
以上、ステップアップ予告演出の液晶演出スケジューラーデータの説明をした。続いて、図柄の変動中に演出ボタンの操作をうながし、所定期間内に演出ボタンを操作することによって、液晶表示画面にミニキャラクタが登場する演出について説明する。
[23−1.ボタンミニキャラ演出の態様]
図378は、本実施形態のボタンミニキャラ演出の概要を説明する図である。ボタンミニキャラ演出は、メインコマンド受信時又は変動開始時に実行抽選を行い、当選した場合に実行される。ボタンミニキャラ演出では、ボタンの操作入力の受付期間に演出ボタンが操作されると、液晶表示画面上に所定のキャラ(ミニキャラ)が表示される。また、ボタンの操作入力の受付期間には、前半有効期間と後半有効期間とが設定されており、異なる態様でミニキャラが表示される。
さらに説明すると、ボタンミニキャラ演出の実行抽選に当選し、変動開始から90フレーム(f)経過すると、ボタンミニキャラ前半有効期間となる。ボタンミニキャラ前半有効期間は90フレームであり、ボタンミニキャラ前半有効期間の開始とともに液晶表示画面上にボタンの押下をうながす画像(動画)が表示される。ボタンミニキャラ前半有効期間にボタンを操作するとミニキャラが表示される。
ボタンミニキャラ前半有効期間が終了し、30フレームが経過すると、ボタンミニキャラ後半有効期間が開始される。ボタンミニキャラ前半有効期間は120フレームであり、ボタンミニキャラ後半有効期間の開始とともに液晶表示画面上にボタンの押下をうながす画像(動画)が表示される。このとき、ボタンミニキャラ前半有効期間と同じ画像(動画)を表示するようにしてもよいし、異なる画像(動画)を表示するようにしてもよい。また、ボタンミニキャラ前半有効期間でボタンが操作された場合に限り、異なる画像を画像(動画)を表示するようにしてもよい。
ボタンミニキャラ後半有効期間にボタンを操作すると、ボタンミニキャラ後半有効期間と同様に、ミニキャラが表示される。図378では、ボタンミニキャラ前半有効期間にボタンを操作した場合と異なる態様でキャラクタが表示されているが、同じ態様で表示してもよいし、ボタンミニキャラ前半有効期間でボタンが操作された場合に限り異なる態様でキャラクタを表示するようにしてもよい。
[23−2.液晶演出共通ブロック]
図379は、本実施形態におけるボタンミニキャラ演出に対応する液晶レイヤーテーブルを定義するプログラムデータの一例を示す図である。
図379に示すように、ボタンミニキャラ演出に対応する液晶レイヤーテーブル「direct_layer05_common0002」は液晶レイヤーテーブル内に登録する液晶演出共通ブロックの個数と個数分の液晶演出共通ブロックが液晶演出共通ブロックの総描画フレーム数、演出SWと対になって定義されている。本実施形態では、総描画フレーム数(180)フレーム、演出SW「LCDSW_BTN_MINIBEF」、液晶演出共通ブロック「LCD_COMMONBLK_MINIBEF」が定義されている。続いて、総描画フレーム数(150)フレーム、演出SW「LCDSW_BTN_MINIAFT」、液晶演出共通ブロック「LCD_COMMONBLK_MINIAFT」が定義されている。液晶レイヤーテーブル「direct_layer05_common0002」では、まず、(180)フレームの間、液晶演出共通ブロック「LCD_COMMONBLK_MINIBEF」を実行する。その後、(150)フレーム間、液晶演出共通ブロック「LCD_COMMONBLK_MINIAFT」を実行し、液晶レイヤーテーブル「direct_layer05_common0002」の実行を終了する。
次に、ボタンミニキャラ演出の各液晶演出共通ブロックの構成について説明する。図380は、本実施形態におけるボタンミニキャラ演出の個別の共通ブロックを定義するプログラムデータの一例を示す図である。
図380の液晶演出共通ブロック「LCD_COMMONBLK_MINIBEF」と「LCD_COMMONBLK_MINIAFT」の構成及び制御方法に関しては、図376にて説明した演出レイヤーテーブル及び液晶演出ブロックデータと同様である。液晶演出ブロックデータ「LCD_YKK_MINIBEF」及び「LCD_YKK_MINIAFT」を実行するか否かを判断するためにコールバックされるコールバック関数を呼び出す演出SW「LEDSW_YKK_MINIBEF」及び「LEDSW_YKK_MINIAFT」は、演出SW制御情報にアクティブ属性を定義したアクティブ演出SWとなる。
[23−3.液晶演出ブロックデータ]
図381は、本実施形態におけるボタンミニキャラ演出を実行するための液晶演出ブロックデータを定義するプログラムデータの一例を示す図である。
図381に示した液晶演出ブロックデータ「LCD_YKK_MINIBEF」及び「LCD_YKK_MINIAFT」の構成及び制御方法に関しては、図377にて説明した液晶演出ブロックデータと同様である。各液晶演出ブロックデータによる処理について説明すると、まず、液晶演出ブロックデータ「LCD_YKK_MINIBEF」内の先頭に定義される「LCD_NOP」を実行し、変動開始から(90)フレームの間ウエイトし、ボタンミニキャラ前半有効期間に対応する液晶演出スケジューラデータ「LCD_DIR_MINIBEF」を(90)フレーム実行し、液晶演出ブロックデータ「LCD_YKK_MINIBEF」の実行を終了する。その後、ボタンミニキャラ後半有効期間に対応する液晶演出ブロックデータ「LCD_YKK_MINIAFT」内の先頭に定義される「LCD_NOP」を実行し、変動開始から(30)フレームの間ウエイトし、ボタンミニキャラ後半有効期間に対応る液晶演出スケジューラデータ「LCD_DIR_MINIAFT」を(120)フレーム実行し、液晶演出ブロックデータ「LCD_YKK_MINIAFT」の実行を終了する。
上述したように、演出SW「LEDSW_YKK_MINIBEF」と「LEDSW_YKK_MINIAFT」はアクティブ演出SWのため、液晶演出スケジューラデータ「LCD_DIR_MINIBEF」と「LCD_DIR_MINIAFT」の実行中に演出SW「LEDSW_YKK_MINIBEF」と「LEDSW_YKK_MINIAFT」をONに設定するコマンドが複数回発行された場合には、演出SW「LEDSW_YKK_MINIBEF」と「LEDSW_YKK_MINIAFT」に対応する描画演出を発行された回数分実行する。また、演出SWにより必ず毎フレーム、コールバックが発生し、対応するコールバック関数を呼び出す。呼び出されたコールバック関数内でボタン押下時の制御を実行し、また、ボタン押下制御終了後も液晶演出スケジューラデータ実行終了後まで毎フレームコールバックを実行する。ボタン有効期間中の演出描画を行う液晶演出スケジューラデータを作成してアクティブ演出SWで制御することにより、別途ボタン有効期間を判断することなくコールバックが実行されている期間をボタン有効期間とする制御が可能となる。
[24.図柄用液晶演出スケジューラ]
以上のように、本実施形態では、予告演出を実行する場合に、遊技状態や予告対象となる変動表示ゲームの期待度に応じて描画内容を差し替えることを可能とする。同様に、変動表示ゲームにおいて変動表示させる識別図柄を遊技状態などの所定条件が成立した場合に差し替えることも可能である。以下、識別図柄の差し替えの手順について概要を説明する。
本実施形態の遊技機では、左図柄、右図柄、中図柄の順に識別図柄の変動表示が停止し、各列には識別図柄が所定の順序で配置されたリールが割り当てられる。各リールには遊技状態に応じた態様で識別図柄が描画されており、態様ごとに各リールが定義される。識別図柄の変動表示は、各リールに描画された識別図柄を背景画像とともに順次表示することによって実現される。
識別図柄の表示は、予告演出と同様に、1フレームごとに更新され、演出SWが割り当てられている。識別図柄を表示するための液晶演出スケジューラデータには、識別図柄を表示するための静止画又は動画のCGROM上のインデックス番号とCGROM上のインデックス番号に対応する演出SWがマスタデータとして定義されている。識別図柄差し替え用の演出SWにはリール番号が定義されている。リール番号は遊技状態や演出別に表示されるユニークな識別番号を表す。例えば、山背景、川背景、海背景で表示される識別図柄がそれぞれ違う場合は山背景の左図柄はR0、中図柄はR1、右図柄はR2となり、川背景の左図柄はR3、中図柄はR4、右図柄はR5となり、山背景の左図柄はR6、中図柄はR7、右図柄はR8となる。リール番号を用いることで遊技状態や演出に対して個別に対応させることが可能となり、また、識別図柄識別図柄の表示位置も特定することが可能となる。
さらに、リール番号はリールインデックス番号を含む。リールインデックス番号とは識別図柄のリール配列数毎に定義される。リール配列とは識別図柄が1,2,3,4,5,6,7,8,9,0と順に表示され0の次は1に戻って表示する時の識別図柄のデザインと識別図柄の総数と識別図柄の表示順を定義したものをリールインデックスと定義する。リールインデックスも複数定義することが可能である。
また、識別図柄を差し替えるためのテーブルには、リール番号とリール番号に対応するリールインデックス番号に対応した識別図柄の差し替えテーブルと、リール差し替え用のリール差し替えワーク番号テーブルがある。識別図柄の差し替えテーブルには、リールインデックス毎にリール配列に対応した静止画又は動画のCGROM上のインデックス番号が定義されている。
識別図柄の差し替えは、識別図柄の差し替えテーブルに加えてリールインデックス差し替えワーク番号テーブルを用いて行う。リールインデックス差し替えワーク番号テーブルには、リールインデックス毎に対応する一又は複数のRAM上のリール差し替え用のワーク番号を定義している。リール差し替えワークには、擬似連変動に関わる識別図柄の仮停止図柄番号値や識別図柄の確定図柄番号値等、識別図柄が停止又は遊技者から停止しているように認識可能な場合に表示される識別図柄番号値が演出内容に合わせて周辺制御プログラムによって変動開始時にあらかじめ格納される。
識別図柄を差し替えためのデータの特定について説明すると、識別図柄差し替え用の演出SWに基づいてコールバックを実行したときに、識別図柄差し替え用のコールバック関数内でリール番号に対応するリールインデックス番号に基づいてリールインデックス差し替えワーク番号テーブルから対象となるリールインデックス差し替えワーク番号を特定する。さらに、リールインデックス差し替えワーク内に格納される識別図柄番号値を取り出し、液晶演出スケジューラデータ内で演出される識別図柄の表示個数に基づいてリールインデックス差し替えワーク番号を補正する。同じく、リール番号に対応するリールインデックス番号に基づいて、識別図柄の差し替えテーブルで対応する差し替えテーブルを特定し、特定したテーブル内の差し替え対象の静止画又は動画のCGROM上のインデックス番号を補正したリールインデックス差し替えワーク番号を用いて特定する。
また、識別図柄の差し替えは、演出差し替えと同様に液晶演出スケジューラデータ上に定義されているマスタの演出が選択されたとしても、液晶演出スケジューラデータ上のマスタのCGROM上のインデックス番号は使用されず、必ず差し替えテーブル内に定義されたマスタのCGROM上のインデックス番号を用いてディスプレイリストコマンドが作成され、演出内容が描画される。
さらに、識別図柄の差し替えを毎フレーム行うことによって、ノイズの発生などによって誤った識別図柄が表示されてもすぐに正常な表示に復帰することが可能となる。また、遊技状態に応じたリールを設定することで、エラーによって識別図柄の差し替えに不具合が生じた場合であっても、識別図柄の内容に関わらず遊技者は遊技状態を把握することが可能となり、遊技者の興趣低下を抑制することができる。
[25.コールバックタイミング]
続いて、演出SW検出時におけるコールバックの発生タイミングについて説明する。本実施形態では、コールバックするコールバック関数内で関数に引き渡されるパラメータにより、描画区分の判別が可能となっている。
図382は、本実施形態の演出SWによるコールバック実行時のコールバック関数内で判断可能な描画区分の一例を示す図である。
「LCD_EFF_BEF_LCD_A」は液晶A描画開始前、「LCD_EFF_AFT_LCD_A」は液晶A描画開始後にコールバックが発生する。また、「LCD_EFF_BEF_LCD_B」は液晶B描画開始前、「LCD_EFF_AFT_LCD_B」は液晶B描画開始後にコールバックが発生する。液晶Aと液晶Bはそれぞれ別の液晶となり、各液晶の描画開始前、描画完了の判定を可能とすることで液晶Aの描画完了を契機として液晶Bに描画を行ったり、液晶Bの描画終了を契機として液晶Aに描画を行うことが可能となる。
「LCD_EFF_BEF_ANIM」は、すべての描画が開始される前にコールバックが発生し、「LCD_EFF_AFT_ANIM」は、すべての描画が完了した後にコールバックが発生する。描画開始前の判定を行うことで描画前にフレームバッファを必要な背景色で初期化したり、描画終了の判定を行うことで描画完了時に他の演出装置に対して演出の実行を指示することが可能となる。
「LCD_EFF_BEF_ANIM」は対応するレイヤの描画が開始される前にコールバックが発生し、「LCD_EFF_AFT_ANIM」は対応するレイヤの描画が完了した後にコールバックが発生する。特定のレイヤの描画の開始前又は完了後に所定の処理を実行することができる。例えば、レイヤ描画開始前の判定を行うことで報知のレイヤの描画時に複数の報知が発生している場合には、優先順位の高い報知の表示を拡大して描画することが可能となる。また、レイヤ描画開始後の判定を行うことで図柄レイヤ描画開始前に期待度の高い図柄が停止するタイミングに合わせて描画された図柄の周りにエフェクトの描画を行うことにより、期待度の高い図柄が停止するときにのみ図柄の周りにエフェクトを表示することが可能となる。
以上のように、描画区分を特定して描画の開始前又は完了後に所定の処理を実行することができる。また、共通ブロックごとにコールバックを発生させることも可能である。図382に示すように、「LCD_EFF_BEF_COMBLK」は共通ブロック描画開始前、「LCD_EFF_AFT_COMBLK」は共通ブロック描画完了後にコールバックを発生させることができる。共通ブロック描画開始前の判定を行うことで液晶演出共通ブロックを構成する単一の演出に対応する特定の液晶演出ブロックの実行を中止して演出の描画を行わなくすることや、液晶演出共通ブロック描画終了後の判定を行うことで変動開始時にあらかじめ決定していた実行予定の液晶演出共通ブロックとは別の液晶演出共通ブロックの実行を行うことも可能となる。
また、「LCD_EFF_BEF_DIR」は液晶演出共通ブロック中の液晶演出ブロック描画開始前、「LCD_EFF_AFT_DIR」は液晶演出ブロック描画完了後にコールバックを発生させる。液晶演出ブロック描画開始前の判定を行うことで遊技者による外部入力の結果で実行する液晶演出ブロックを変更することが可能となる。また、液晶演出ブロック描画開始後の判定を行うことで単一の演出を描画する液晶演出ブロックの描画内容に基づいて新たな描画を液晶演出ブロックで描画した内容に加えることが可能となる。さらに、「LCD_EFF_BEF_CAST」は液晶演出スケジューラデータ中の静止画及び動画描画開始前、「LCD_EFF_AFT_CAST」は静止画及び動画描画完了後にコールバックを発生させることができる。静止画や動画の描画開始前の判定を行うことで各種演出の差し替えが可能となる。また、静止画や動画の描画完了後の判定を行うことで各種演出の差し替え内容に応じた演出の描画を加えることが可能となる。
以上のように描画区分によって実現可能な制御が異なるため、コールバックした各種コールバック関数内で描画区分を判断することは大変重要となる。
[26.演出スイッチグループ管理]
ここまで説明したとおり、本実施形態では、液晶演出ブロックごとに液晶演出スケジュラーデータによって複数の手順(ファンクション)が管理され、遊技機の状態や演出の区分に基づいてレイヤごとに画像や動画が描画される。また、前述のように、各レイヤに一又は複数の演出SWが設定される。
演出の実行時には、複数のレイヤに並行して画像などが描画されており、複数の液晶演出スケジュラーデータが並列して実行される。例えば、ステップアップ予告演出では、ステップアップ予告1の実行時には、背景レイヤ背景が描画され、図柄レイヤに識別図柄が描画される。さらに、予告レイヤ(予告_前半1レイヤ)にステップアップ予告1による描画が行われる。図383は、本実施形態の予告演出実行時における個別のレイヤの描画結果及び全レイヤの描画結果の一例を示す図である。
このとき、各レイヤに一又は複数の演出SWが設定されているが、これらの演出SWを個別に管理しようとすると、処理が複雑になってしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、レイヤや遊技機の状態、演出の区分ごとに演出SWをグループ化して管理する。
例えば、レイヤごとに割り当てられた演出SWをグループ化する。具体的には、図383に示すように、背景レイヤ、図柄レイヤ、予告レイヤに対応して演出SWグループ背景、演出SWグループ図柄、演出SWグループ予告を構成する。これらの演出SWグループをさらにグループ化して管理し、遊技機の状態や演出の区分ごとに演出SWを管理してもよい。
このように、演出SWをグループ化して管理することによって、個別の演出要素を一括して制御することができる。例えば、現在表示中の背景と背景に合わせた図柄表示及び保留表示を新たな変動開始する際に別の背景に変化させる場合には、背景に合わせた区分で背景レイヤ、図柄レイヤ、保留レイヤの演出SWをグループ化し、グループに属する演出SWをコールバックを用いたコールバック関数内で一括にOFFに設定する。これにより、現在の背景に合わせた図柄表示及び保留表示を背景とともに一括して非表示にすることが可能となり、新たな背景に合わせた図柄表示及び保留表示を対応するレイヤで行うことによって複数のレイヤで重ね合わせて表示している複数の演出表示の中から必要な演出表示のみを対象として描画の切り替えを行うことが可能となる。
また、遊技状態にまたがる演出、例えば、変動開始から変動終了後の大当り演出では、図柄は非表示となり、背景は大当りの演出に変更されるが、保留に関しては変動中に描画していた保留を継続して表示することも可能である。このような制御は、上述した非表示にする対象の演出グループをリセット対象演出SWグループIDに定義し、かつ、演出SW全リセットの指定を行った演出SWを変動開始時の液晶演出共通ブロックや大当り演出開始時の液晶演出共通ブロックに定義することで実現することができる。
[27.例外共通ブロック]
本実施形態では、遊技者の興趣を高めるため、複雑化する遊技演出の描画制御を効率化する目的で、演出をすべて一定の長さのブロック単位で共通ブロックとして管理していた。変動パターンや予告抽選の結果に合わせて演出ブロックを選択し、選択された演出ブロックに基づいて描画することで図柄の変動表示や大当り等の一連の演出を実現していた。共通ブロックは、図柄の変動開始から図柄確定までの間で所定のタイミングで区切られた期間が設定されており、これらの期間は、例えば、前半変動や後半変動に対応し、変動パターンに割り当てられた図柄の変動時間に合わせて設定されていた。
このように構成することによって、複数種類の変動パターンで共通ブロックを汎用的に利用可能となっていた。さらに、前半変動で実行される予告演出と、後半変動で実行される予告演出との独立性を確保することによって、共通ブロックの組み合わせの自由度を高くすることができた。
しかし、上述のように共通ブロックは所定の期間で区切られているため、一定の長さの演出ブロックを組み合わせるだけでは変動開始から変動終了まで継続する演出は実現することは困難であった。このような複数の期間にまたがる演出を実行する場合、先行する共通ブロックと後続の共通ブロックとが対応付けられて汎用性が低下してしまうことに加えて、各共通ブロックが独立して実行されるため、演出の連続性を維持するために制御が複雑になってしまうおそれがあった。そのため、このような演出を実現するためには、プログラムデータの設定ではなく、個別にプログラムコードを作成して制御する必要があった。
そこで、前述の課題を解決するため、本実施形態では、すべての演出で一定の長さの演出ブロックを組み合わせて図柄の変動表示や大当りの一連の演出を行うだけではなく、演出ブロックの長さを例外的に一定の長さではなく、演出期間に合わせた演出ブロック長を許容するようにする。さらに、演出時間の異なる演出ブロックを組み合わせて描画可能とし、また、組み合わせた演出ブロックにまたがるような演出ブロックも同時に描画可能とすることで、変動開始から変動終了まで継続する描画演出を実現する。
複数の期間にまたがる演出には、例えば、図柄の変動開始とともに数字のカウントダウン表示し、前半変動から後半変動にまたがってカウントダウン表示を継続するカウントダウン演出がある。図384は、本実施形態の複数期間にまたがる共通ブロックの一例を説明する図であり、(A)は図柄の表示及び予告演出の実行タイミング、(B)は共通ブロックによる液晶予告演出ブロックの構成、(C)は複数期間にまたがる共通ブロックによる液晶予告演出ブロックの構成を示す。
図384に示す例では、変動パターン「10H03H」に対応し、前半変動が「通常変動12秒」、後半変動が「ノーマルショートリーチ」となっている。図384(A)に示すように、前半変動では、ステップアップ予告及びBTNロゴ役物落下予告が実行され、後半変動では、カットイン予告及び群予告が実行される。各予告演出の内容については前述したとおりである。また、ステップアップ予告の開始時から群予告の終了時までカウントダウン予告が実行される。
図384(B)では、共通ブロックを使用する予告演出(ステップアップ予告、BTNロゴ役物落下予告、カットイン予告及び群予告)の液晶演出ブロックデータの構成を示している。各ブロックデータについては、前述したとおりである。
図384(C)では、ステップアップ予告の開始時から群予告の終了時までの期間実行されるカウントダウン予告の演出ブロックを示している。カウントダウン予告の演出ブロックでは、液晶演出予告ブロックデータを開始するまで待機するファンクションNOP、液晶演出予告ブロックデータ、液晶演出予告ブロックデータ終了後、後半変動が終了するまで待機するファンクションNOPによって構成されている。なお、液晶演出予告ブロックデータを開始するまで待機するファンクションNOPは図384(B)においてステップアップ予告が開始される前に実行されるNOP、後半変動が終了するまで待機するファンクションNOPは図384(B)において群予告終了後に実行されるNOPと同じ待機時間が設定されている。
以上のように、演出ブロックの実行期間に例外を設定することを可能とすることで、共通ブロックの運用をより柔軟に行うことが可能となる。また、演出開始前後に待機時間を設定することによって、例外設定によって他の演出ブロックの実行タイミングがずれるなどの影響を最小限にすることができる。なお、例外共通ブロックの制御も他の共通ブロックと同様に演出SWを用いたコールバック関数によって制御を行う。
[28.画像変換]
遊技の興趣を高める目的や描画に関わる処理時間の短縮のために、液晶表示1画面分の描画データをフレームバッファから取り出し、フレームバッファとは別に音源内蔵VDP1540aのキャプチャー用の記憶領域に格納することで、画像の再利用や変形・追加描画などの加工処理を行っていた。このように、一時的に別の領域に描画データを格納し、次フレームの描画に利用することによって、効率的に多様な演出表現を実現していた。
図385は、各レイヤに書き込まれた画像をそれぞれ書き込むことでフレームバッファに画像を書き込む従来の構成を説明する図である。図385に示すように、従来は各レイヤに描画された画像をフレームバッファに重ねて書き込み、その後、表示装置に出力するように構成されていた。
具体的には、まず、背景レイヤに表示される動画や静止画をディスプレイリストコマンドを用いてフレームバッファ上に書き込む。次に、図柄レイヤに表示される動画や静止画をディスプレイリストコマンドを用いて、フレームバッファ上に上書きする。さらに、予告レイヤに表示される動画や静止画をディスプレイリストコマンドを用いて、フレームバッファ上に上書きする。最後に、保留レイヤに関わる動画や静止画をディスプレイリストコマンドを用いて、フレームバッファ上に上書きし、1フレーム分の描画データを作成している。
その後、周辺制御基板1530は、フレームバッファに作成された表示予定の1フレーム分の描画データを、音源内蔵VDP1540aのRAMに別途割り当てられたキャプチャー用のバッファにコピーする。キャプチャー用のバッファに記憶された描画データに対して新たに図柄の周りにエフェクトを加えた後、フレームバッファに書き戻し、次回表示用の1フレーム分の描画データを作成する。
このようにすることで、次回フレームに表示する描画データを、作成済みの描画データに対してエフェクトを加えることだけで、簡易に作成することが可能となっている。しかしながら、このような従来技術による画像変換では、1フレーム分の描画データに対する画像変換のみが実現可能であり、1フレーム分の液晶描画画面に対する新たな描画要素の加算に加えて、1フレーム分の液晶描画画面全体の拡大や縮小に限られてしまう。キャプチャー用のバッファ上で各レイヤに描画された描画要素又はレイヤ内の各描画要素に画像変換を行うことは不可能である。
描画要素ごとに画像変換を行うことができない理由は、各演出における描画要素、例えば、背景、図柄、予告などは、レイヤ順にフレームバッファ上で上書きされるため、重なりがある描画要素に関しては、後から描画されるレイヤの描画要素によって上書きされてしまう。また、描画要素は、フレームバッファ上に描画された時点で色が付されたドット(点)の集合となるため、矩形で描画要素を取り出そうとしても、別の描画要素で上書きされた時点で、上書きされた部分の描画要素のデータは失われているためである。
現在では、VDPの処理能力が向上したことにより、描画済みの液晶表示1画面分の画像データを再利用する必要性は乏しくなったが、遊技の興趣向上を目的として演出の表現を多様化するために複雑化した描画処理を実行するために負荷の増大が予想されていた。
本実施形態では、前述の課題を解決し、より多様性のある演出を行うために、作成済みのフレームバッファの液晶表示1画面分の画像データをキャプチャし、キャプチャした画像に対する変形や新たな描画の追加を行うのではなく、液晶表示1画面分の画像データを新たに描画する時に、液晶表示1画面分の画像データを構成する各演出表示単位で、描画中に動的に画像の変更や新たな描画を加えることにより複雑な演出表現を実現する。
具体的には、単一の演出描画データ(予告、背景、図柄、保留等)をひとつの演出ブロックと定義し、演出ブロックによる表示を行うための液晶演出スケジューラデータ内に演出ブロック単位で演出SWを組み込む。そして、液晶描画時に液晶演出スケジューラデータを実行解析し、液晶演出スケジューラデータに組み込まれた演出SWの情報に基づいて処理(プログラム関数)を動的に呼び出す(コールバック)。
画像を変更する場合には、液晶演出スケジューラデータ及びコールバックされたプログラム関数内で対応する演出ブロックをフレームバッファ上に描画するのではなく、フレームバッファとは別に音源内蔵VDP1540aのRAM上に割り当てたオフスクリーンバッファ(画像表示情報一時記憶手段)上に描画を行う。そして、オフスクリーンバッファ上の画像に対し画像の変更や新たな画像の追加を行った後、当該画像をフレームバッファ上に書き戻す。このように構成することによって、特定の予告のみの画像の変更や新たな画像の追加や背景のみの演出の差し替えに加えて、複数の演出を重ね合わせた画像に対する画像の変更や新たな画像の追加を実現することができる。
以下、各レイヤに描画された画像をオフスクリーンバッファに格納し、当該オフスクリーンバッファに格納された画像を変換してフレームバッファに書き込む構成について具体的に説明する。図386は、本実施形態におけるオフスクリーンバッファに格納された画像ファイルを変換してからフレームバッファに書き込む手順を説明する図である。
前述のように、音源内蔵VDP1540aのRAMにフレームバッファとは別のオフスクリーンバッファと呼ばれる画像変換用のバッファを一又は複数割り当てる。そして、画像変換用のバッファで画像変換を行い、一又は複数のオフスクリーンバッファ上で変換された画像とフレームバッファ上に描画された画像を組み合わせることで複雑な画像変換を可能とする。
さらに説明すると、演出に対応して各レイヤを構成する液晶演出ブロックデータと液晶演出ブロックデータを構成する各液晶演出スケジューラデータに演出SWが埋め込まれており、液晶描画時のディスプレイリストコマンド作成時に埋め込まれた演出SWに基づいてコールバックによってコールバック関数が呼び出され、当該コールバック関数において画像変換を行う。
図386では、まず、背景レイヤの描画を開始する前に、演出SWに基づいてコールバックされた関数内で、描画対象をフレームバッファからオフスクリーンバッファAに切り替える。次に、背景レイヤの各演出要素の描画タイミングで、演出SWに基づいてコールバックされた関数内で、オフスクリーンバッファAに背景レイヤの各演出要素の拡大用のディスプレイリストコマンドを作成して送信することで、オフスクリーンバッファA上に拡大された各背景を描画する。
続いて、図柄レイヤの描画を開始する前に、演出SWに基づいてコールバックされた関数内で、描画対象をフレームバッファからオフスクリーンバッファAに切り替えて描画する。次に、図柄レイヤの各演出要素の描画タイミングで、演出SWに基づいてコールバックされた関数内で、オフスクリーンバッファA上に描画された背景上に描画された図柄に対して、エフェクトを加えるディスプレイリストコマンドを作成する。このディスプレイリストコマンドを送信することにより、オフスクリーンバッファAに描画された背景と図柄に対してエフェクトを加えることができ、さらに、オフスクリーンバッファAに描画された画像をフレームバッファに上書きする。
続いて、予告レイヤの描画を開始する前に、演出SWに基づいてコールバックされた関数内で、描画対象をフレームバッファからオフスクリーンバッファBに切り替えて描画する。次に、予告レイヤに関連するすべての演出要素の描画が終了したタイミングで、演出SWに基づいてにコールバックされた関数内で、予告レイヤの各演出要素の予告描画を回転させるディスプレイリストコマンドを作成する。このディスプレイリストコマンドを送信することにより、オフスクリーンバッファBに回転した各予告を描画し、さらに、オフスクリーンバッファBに描画された画像をフレームバッファに上書きする。
最後に、保留レイヤのすべての演出要素をフレームバッファに書き込み、今回表示するための1フレーム分の液晶描画画面を作成する。
以上の手順によって、前述した従来の画像変換とは異なり、画面全体に対する画像変換ではなく、各レイヤ描画単位、レイヤを構成する描画要素単位、また、フレームバッファに描画する順番によらずに画像変換を行うことができる。
本実施形態では、1フレーム分の液晶画面の描画開始から描画終了までの期間内で同一の演出SWに基づくコールバックが描画タイミング毎に複数回行われることが特徴となっている。なお、描画タイミングの種類についての詳細は、上述した図382を使用した説明の通りである。
また、コールバックにより画像変換を行うことによって、描画中の画像が画像変換の対象であるか否かを判定したり監視したりする必要がない。さらに、一連の変動関連の描画開始ではなく、画像変換対象の画像を描画するディスプレイリストコマンドを作成するタイミングで、予告抽選の抽選結果値やユーザの外部入力によるインタラクティブな動作の結果に基づいて画像変換の方法を決定することが可能となる。
[29.RAMレス転送]
従来、CGROM上に記憶されたアニメーションデータを元にしてディスプレイリストコマンドを作成し、作成されたディスプレイリストコマンドを音源内蔵VDP1540aが処理することによって遊技演出実行時の描画を行っていた。このとき、CGROMに記憶されたアニメーションデータを解析しながら作成したディスプレイリストコマンドを、周辺制御RAM1530cに割り当てられたバッファに格納し、1画面分のディスプレイリストコマンド作成終了後に外部リクエストDMA(転送手段)を用いてバッファの内容をVDPに送信していた。
しかしながら、現状では演出仕様が複雑化し、処理が増大することにより、変動開始時の予告抽選処理等の処理時間が増加する一方、ランプ系統数増加によるランプ点灯データレイヤ合成処理や、モータ系統数増加によるモータデータ作成処理の処理時間も同様に増加している。演出等の周辺制御の処理時間は定められた周期で実行されているため、上記のような負荷の高い処理が重複して実行される場合には、周期内に処理を完了できないおそれがあった。
例外的に周期内に処理を完了できない場合はともかく、定常的に周期内に処理を完了できない場合には、処理周期に基づいて主制御装置による遊技制御と周辺制御装置による演出制御が同期できなくなり、遊技の進行と各演出装置による遊技の演出とが同期することができなくなってしまい、著しく遊技の興趣を低下させてしまうおそれがあった。
そのため、演出等の周辺制御処理において負荷の高い処理に要する時間を削減するなどして周辺制御処理の処理時間を短縮する必要があった。そこで、本実施形態では、周辺制御処理において比較的負荷の高い描画処理、特に前述した、CGROM上のアニメーションデータを解析し、音源内蔵VDP1540aが処理可能なネイティブなディスプレイリストコマンドを作成する処理時間を削減し、周辺制御処理の処理時間を短縮する手段について説明する。
まず、液晶表示装置に画像を表示するためのディスプレイリストコマンド群を音源内蔵VDP1540aに転送する従来の手順について説明する。図387は、本実施形態におけるディスプレイリストコマンド群を周辺制御RAM1530cに一時的に記憶してから音源内蔵VDP1540aに転送する手順を説明する図である。
図387に示す手順では、まず、液晶演出スケジューラディスプレイリスト制御モジュールによって周辺制御ROM1530bから各種液晶演出スケジューラーデータを取得し、当該液晶演出スケジューラーデータをVDPネイティブディスプレイリストコマンド群に解析変換する。液晶演出スケジューラーデータをVDPネイティブディスプレイリストコマンド群に変換する目的は、液晶演出スケジューラーデータには音源内蔵VDP1540aに送信するディスプレイリストコマンドに関する情報(VDPレジスタ番号やレジスタ番号に対応するパラメータ値)が含まれていないため、液晶演出スケジューラーデータを音源内蔵VDP1540aが実行可能なVDPネイティブディスプレイリストコマンドに変換する必要がある。変換されたVDPネイティブディスプレイリストコマンド群は、周辺制御RAM1530cに一時的に記憶される。また、液晶演出スケジューラーデータ実行時に演出SWによって呼び出されたコールバック関数が実行された場合に必要に応じて液晶演出スケジューラーデータをVDPネイティブディスプレイリストコマンド群に解析変換し、周辺制御RAM1530cに記憶する。
そして、周辺制御MPU1530aが液晶演出スケジューラーデータを処理する過程で外部リクエストDMAにディスプレイリスト転送設定を行う。これにより、周辺制御RAM1530cに記憶されたVDPネイティブディスプレイリストコマンド群は、外部リクエストDMAによって周辺制御RAM1530cから取得され、音源内蔵VDP1540aに転送される。
音源内蔵VDP1540aは、転送されたVDPネイティブディスプレイリストコマンドを受信すると、ディスプレイリスト用FIFOに一時的に記憶する。音源内蔵VDP1540aは、ディスプレイリスト用FIFOに記憶されたディスプレイリストを先頭から処理し、液晶表示装置に画像(動画)を出力する。
以上のように、1フレーム分のディスプレイリストコマンド群を周辺制御RAM1530cのバッファに記憶し、ディスプレイリストコマンド群を作成した次の処理周期で外部リクエストDMAを用いてバッファからディスプレイリストコマンド群をVDP1540aに送信することで描画を実現している。ただし、一画面分の膨大な液晶演出スケジューラデータをVDPネイティブディスプレイリストコマンド群に解析変換する処理は大きな処理負荷となる。なお、一の遊技機に異なるメーカのVDPを複数搭載する構成であった場合には、中間データ形式である液晶演出スケジューラデータをメーカ毎のVDPに対応したVDPネイティブディスプレイリストコマンド群に解析変換することが可能となる。
そこで、本実施形態では、一部又は全部のディスプレイリストコマンド群について、周辺制御RAM1530cに記憶することなく音源内蔵VDP1540aに転送する手順を説明する。図388は、本実施形態におけるディスプレイリストコマンド群を周辺制御RAM1530cに記憶せずに音源内蔵VDP1540aに転送する手順を説明する図である。
図388に示す手順では、まず、液晶演出スケジューラディスプレイリスト選択管理モジュールによって外部リクエストDMAにディスプレイリスト転送設定を行う。外部リクエストDMAは、設定されたディスプレイリストコマンド群を周辺制御RAM1530cからではなく、周辺制御ROM1530bから取得する。
周辺制御ROM1530bには、ディスプレイリストコマンド群を周辺制御RAM1530cに一時的に記憶する場合と同様に液晶演出スケジューラーデータが記憶されているが、各液晶演出スケジューラーデータは変換済のVDPネイティブディスプレイリストコマンド群と、割り込みディスプレイリストコマンドによって構成されている。
外部リクエストDMAは、液晶演出スケジューラディスプレイリスト選択管理モジュールによる転送設定に基づいて、指定された液晶演出スケジューラーデータを周辺制御ROM1530bから取得し、音源内蔵VDP1540aに転送する。音源内蔵VDP1540aは、転送されたVDPネイティブディスプレイリストコマンド及び割り込みディスプレイリストコマンドを、ディスプレイリスト用FIFOに一時的に記憶する。
音源内蔵VDP1540aは、ディスプレイリスト用FIFOからVDPネイティブディスプレイリストコマンドを取り出し、取り出したVDPネイティブディスプレイリストコマンドを解析及び実行し、フレームバッファに画像を書き込む。さらに、VDPネイティブディスプレイリストコマンド群とともに転送された割り込みディスプレイリストコマンドを解析実行した契機でディスプレイリストの解析を中断し、外部リクエストDMAに対して転送中断要求を発生させる。その後、周辺制御MPU1530aに対して割り込みを発生させる。
周辺制御MPU1530aは、音源内蔵VDP1540aからの割り込みを検知すると、割り込み処理モジュールにおいて割り込み要因が割り込みディスプレイリストコマンドによる割り込みであることを判断し、コールバックを実行する。コールバック関数では、液晶演出スケジューラーデータ対応コールバック情報テーブルを参照し、演出の差し替えや図柄の差し替えを行う。演出の差し替え方法に関しては上述した図373等を使用した説明と同じとなり、また、図柄の差し替え方法も上述した図373等を使用した説明と同じとなる。液晶演出スケジューラーデータ対応コールバック情報テーブルは、液晶演出スケジューラーデータ内に定義されている割り込みディスプレイリストコマンドの数と対応する演出SWが定義されている。コールバック関数によって差し替え情報を確定し、確定した差し替え情報を元にディスプレイリストコマンドを作成し、音源内蔵VDP1540aに送信する。その後、周辺制御MPU1530aは、音源内蔵VDP1540aに対してディスプレイリスト解析再開のディスプレイリストコマンドを送信する。音源内蔵VDP1540aは、ディスプレイリスト解析再開のディスプレイリストコマンドを解析し、外部リクエストDMAに対して転送再開要求を発生させるとともにディスプレイリストコマンドの解析を再開する。
上記のようにコールバック関数を用いて演出の差し替え部分のみ処理することによって、差し替え以外のすべての演出に関わるVDPネイティブディスプレイリストの変換を一切行わずに周辺制御RAM1530c(一時記憶手段)を使用せず、周辺制御ROM1530bから外部リクエストDMA(転送手段)を用いて音源内蔵VDP1540aに転送を行うことが可能となる。
以上のように構成することによって、VDPネイティブディスプレイリストコマンド群を周辺制御RAM1530cに記憶することなく、音源内蔵VDP1540aに転送することができる。これにより、画像の表示にともなう周辺制御MPU1530aの負荷を軽減することが可能となり、画像処理を高速化することができる。また、周辺制御RAM1530cの使用領域を節約することができるため、記憶領域を有効に利用することが可能となる。
なお、周辺制御ROM1530bには、使用頻度の高いVDPネイティブディスプレイリストコマンド群のみを記憶し、使用頻度の低いVDPネイティブディスプレイリストコマンド群については、従来の手順で処理してもよい。これにより、使用頻度の高いディスプレイリストコマンドの処理が短縮されることで全体的に処理速度を高めることができるとともに周辺制御ROM1530bの容量の増大を抑制することができる。また、汎用性の高い画像(動画)に対応するディスプレイリストコマンドを周辺制御ROM1530bに記憶し、機種やバージョンの相違により異なる画像の処理を従来の手順で行うことにより、開発効率の向上を図ることも可能となる。
[30.アライメント調整]
遊技機の遊技制御や周辺制御(演出制御)で使用されるプロセッサ(CPU,MPU)は、基本的には整数型及び浮動小数型のデータ型を扱うことができる。32ビットのCPUで使用可能な整数型は、char(文字、キャラクタ)型、int(整数)型、long(長整数)型であり、それぞれ1バイト、2バイト、4バイトのサイズとなっている。また、浮動小数点型は、float(単精度)型、double(倍精度)型であり、それぞれ4バイト、8バイトのサイズとなっている。
遊技機の周辺制御で使用するプロセッサは、CISCプロセッサ又はRISCプロセッサのいずれであっても、メモリ(ROM、RAM)上のデータを1バイト単位ですべてのアドレスに格納されたデータを読み書き可能なバイトマシンとなっている。なお、複数バイトのデータを読み書きするアドレスはこの限りではない。プロセッサが複数バイトのデータの読み込みを行う場合には、常にバイト境界から読み込みが行われ、バイト境界をまたぐようにアクセスした場合にはアライメント違反が発生する。アライメント違反発生時の挙動はプロセッサによるが、例えば、処理を継続できる代わりにメモリアクセスが複数回発生することによってプログラムの実行が遅延してしまったり、実行時例外の発生により処理が中断してしまったりする。
しかし、現状の遊技機の開発において、遊技を制御するプログラムを実行したときに、メモリ(ROM、RAM)上に複数の情報で構成されるデータ構造に関しては、アライメントを意識せずに作成されることが多かった。そのため、プログラム実行時にアライメント違反が発生し、プログラムの実行速度が低下してしまうことがあった。遊技機の周辺制御では、所定の処理周期内ですべての処理を完了させる必要があったため、プログラムの実行速度の低下は大きな問題となる場合があった。特に、遊技機の演出は、複数の要素に基づいて構成されているため、各要素に関連する様々な情報を一括して管理する必要があり、異なる種類のデータ型で様々な情報を格納するデータ構造が採用されている。
以上の課題を解決するため、本実施形態に係る遊技機では、遊技制御に用いる複数の情報で構成されるデータ構造では、メモリ上に当該データ構造に対応するデータを記憶する場合に、各情報を格納する領域間又は終端に空のデータを明示的に埋め込む。これにより、プロセッサによるデータのアクセス開始位置を調整し、必ずバイト境界アドレスからプロセッサがアクセスするように情報を配置することで、アライメント違反を発生させないようにし、プログラムの実行速度の低下を防止することができる。すべてのROM上、RAM上のデータ構造に対してアライメントの調整を行うことは膨大な作業となるため、プロセッサに対する負荷が大きく処理時間が長くなる変動開始時の演出抽選処理、電源投入時の初期化処理、液晶の描画に関わる制御処理、ランプ制御処理等に関わるROM上、RAM上のデータ構造でアライメントの調整を行うことが望ましい。また、上述した処理以外でアライメントの調整を行うことは何も問題ない。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記の実施形態では、遊技機としてパチンコ機1に適用したものを示したが、これに限定するものではなく、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機に、適用しても良く、この場合でも、上記と同様の作用効果を奏することができる。
上記の実施形態では、第三演出装飾回転体ユニット530Bにおいて、装飾回転体ユニット530に、第一装飾面部532及び第二装飾面部533の二つを、第一軸線CL周りに対して周方向に列設したものを示したが、これに限定するものではなく、第三装飾面部、第四装飾面部のように、三つ以上を周方向に列設させるようにしてもよい。
上記の実施形態では、装飾回転体ユニット530を、第一軸線CL周りに対して、180度の角度範囲でのみ回転可能としたものを示したが、360度までの角度範囲内で回転可能とするようにしてもよいし、無限に回転可能とするようにしてもよい。
更に、上記の実施形態では、装飾回転体ユニット530の回転軸線である第一軸線CLが、水平に延びたものを示したが、これに限定するものではなく、操作ボタン410の中心軸線CLに直交するように上下に延びたものとしてもよい。