JP2018025466A - 液体クロマトグラフィーによる親水性化合物および疎水性化合物の分取方法 - Google Patents

液体クロマトグラフィーによる親水性化合物および疎水性化合物の分取方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の分取用カラムおよび複数の分取装置を用いず、親水性化合物および疎水性化合物を1本のカラムにて簡便に分取することができる液体クロマトグラフィーによる分取方法を提供すること。【解決手段】水酸基を有するポリマー充填剤が充填された分取用カラムを用いること、前記ポリマー充填剤の体積基準の平均粒子径が6〜10μmであること、移動相として水溶性有機溶媒および水の混合溶媒を用いること、および、前記混合溶媒の水溶性有機溶媒と水との組成比率を変えることにより逆相クロマトグラフィーモードと親水性相互作用クロマトグラフィーモードとを切替えることを特徴とする液体クロマトグラフィーによる親水性化合物および疎水性化合物の分取方法。【選択図】なし

Description

本発明は、液体クロマトグラフィーによる親水性化合物および疎水性化合物の分取方法に関する。
医薬品、食品および化粧品などの有効成分または不純物等の化合物を分取する方法として液体クロマトグラフィー法が用いられている。前記化合物を分取する際には、分析用カラムにて、前記化合物の同定および定量等を行い、分取条件を検討し、その後、分析用カラムに対応した分取用カラムを用いて、前記化合物を分取する方法が広く用いられている。
一般的には、例えば分子量が2000以下の有機化合物を分取する場合、オクタデシルシリカゲル(ODS)などの疎水性充填剤が充填された分取用カラムを用いて、前記有機化合物を逆相クロマトグラフィー法にて分取する方法が用いられる。
しかしながら、これらの有機化合物には、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の極性官能基を有する親水性化合物も多く存在している。これらの親水性化合物は逆相クロマトグラフィー法においてはほとんどカラム内にて保持および分離されず溶出してしまう。
一方、親水性化合物の分離方法としては、親水性相互作用クロマトグラフィー法が知られている。親水性相互作用クロマトグラフィー法では、未修飾のシリカゲル、または、水酸基、アミノ基、アミド基、スルホ基、カルボキシル基、スルホベタイン基もしくはホスホリルコリン基などの置換基を導入した親水性充填剤を用いたカラム(例えば、特許文献1)を用いる。これにより、逆相クロマトグラフィー法と同様の移動相を用いて溶出順序を逆転させることができるため、親水性化合物を良好に保持し、分離することができる。
しかしながら、親水性相互作用クロマトグラフィー用の分析用カラムは充分に市場に供給されているものの、前記分析用カラムに対応した分取用カラムは充分に供給されていない。また、親水性相互作用クロマトグラフィー法では、芳香族化合物およびアルキル基を有する化合物などの疎水性の高い化合物がカラム内にて保持および分離されずに溶出してしまう。このため、親水性化合物および疎水性化合物を分取するためには、分取用カラムの検討が必要であったり、複数のカラムおよび装置を用いる必要があったりなど、多くの問題が生じている。
疎水性化合物および親水性化合物を連続分析するための方法として、逆相クロマトグラフィー用カラムと親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムとを同時に用いる方法が提案されている(例えば、非特許文献1)。この方法では、まず、疎水性化合物および親水性化合物の混合物から疎水性化合物のみを逆相クロマトグラフィー用カラムを用いて分離して溶出させ、親水性化合物を親水性相互作用クロマトグラフィー用カラムにトラップさせる。次に親水性相互作用クロマトグラフィー用カラム中の親水性化合物を分離して溶出させることができる。
しかしながら、この方法は2本のカラムが必要になること、配管系が複雑となること、高価な専用装置が必要となることなどから必ずしも簡便に分析できる方法とは言えず、また、分析から分取に応用することは容易ではない。
したがって、より簡便に疎水性化合物および親水性化合物を分取できる方法が望まれる。
特開2010−71707号公報
S.Louw,A.S.Pereira,F.Lynen,M.Hanna−Brown,P.Sandra,J.Chromatogr.A.,2008,1208,pp90.
本発明は、複数の分取用カラムおよび複数の分取装置を用いず、親水性化合物および疎水性化合物を1本のカラムにて簡便に分取することができる液体クロマトグラフィーによる分取方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成を有する分取方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば、以下の[1]〜[8]に関する。
[1]水酸基を有するポリマー充填剤が充填された分取用カラムを用いること、前記ポリマー充填剤の体積基準の平均粒子径が6〜10μmであること、移動相として水溶性有機溶媒および水の混合溶媒を用いること、および、前記混合溶媒の水溶性有機溶媒と水との組成比率を変えることにより逆相クロマトグラフィーモードと親水性相互作用クロマトグラフィーモードとを切替えることを特徴とする液体クロマトグラフィーによる親水性化合物および疎水性化合物の分取方法。
[2]前記分取用カラムが、内径4.0〜50.0mm、長さ100〜300mmの分取用ハウジングを有し、かつ、該分取用ハウジングに前記ポリマー充填剤が充填されている、[1]に記載の分取方法。
[3]前記ポリマー充填剤が、水酸基および水酸基に変換可能なエステル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有するモノマー(A)を含む原料モノマーを重合させて得られるポリマーである、[1]または[2]に記載の分取方法。
[4]前記モノマー(A)が、ヒドロキシ(メタ)アクリレートまたはカルボン酸ビニルエステルである、[3]に記載の分取方法。
[5]前記ポリマー充填剤が、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート系樹脂またはポリビニルアルコール系樹脂からなる、[1]〜[4]のいずれかに記載の分取方法。
[6]前記ポリマー充填剤1gあたりの水酸基の含有量が0.1〜10mmolである、[1]〜[5]のいずれかに記載の分取方法。
[7]前記混合溶媒の水溶性有機溶媒と水との組成比率を混合前の体積比で5:95〜95:5の範囲内で変える、[1]〜[6]のいずれかに記載の分取方法。
[8]前記水溶性有機溶媒が、アセトニトリル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンおよびテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[7]のいずれかに記載の分取方法。
本発明の液体クロマトグラフィーによる親水性化合物および疎水性化合物の分取方法は、複数の分取用カラムおよび複数の分取装置を用いず、親水性化合物および疎水性化合物を1本のカラムにて簡便に分取することができる。このため、医薬品、化粧品、食品、環境、農業、医療、工業材料等の幅広い分野に有用であり、特に医薬品、食品および化粧品などの有効成分または不純物を分取する方法として有用である。
実施例1の移動相がアセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒でのクロマトグラムである。 実施例1の移動相がアセトニトリル:水=90:10(混合前の体積比)の混合溶媒でのクロマトグラムである。 実施例2の移動相がアセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒でのクロマトグラムである。 実施例2の移動相がアセトニトリル:水=90:10(混合前の体積比)の混合溶媒でのクロマトグラムである。 比較例1の移動相がアセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒でのクロマトグラムである。 比較例1の移動相がアセトニトリル:水=90:10(混合前の体積比)の混合溶媒でのクロマトグラムである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の液体クロマトグラフィーによる親水性化合物および疎水性化合物の分取方法は、水酸基を有するポリマー充填剤が充填された分取用カラムを用いること、前記ポリマー充填剤の体積基準の平均粒子径が6〜10μmであること、移動相として水溶性有機溶媒および水の混合溶媒を用いること、および、前記混合溶媒の水溶性有機溶媒と水との組成比率を変えることにより逆相クロマトグラフィーモードと親水性相互作用クロマトグラフィーモードとを切替えることを特徴とする。以下、本明細書では、本発明の「液体クロマトグラフィーによる親水性化合物および疎水性化合物の分取方法」のことを単に「分取方法」ともいい、「水酸基を有するポリマー充填剤」のことを単に「ポリマー充填剤」ともいう。また、「重合」は単独重合および共重合を包含する意味で用い、「重合体」は単独重合体および共重合体を包含する意味で用いる。
本発明の分取方法は、複数の分取用カラムおよび複数の分取装置を用いることなく親水性化合物および疎水性化合物を分離して溶出させることが可能である。
前記親水性化合物および疎水性化合物は、化合物の骨格および官能基などの構造に制約はないが、分子量が2000以下の有機化合物であることが好ましく、水、または、アセトニトリルおよびアルコール類などの水溶性有機溶媒に可溶であることが好ましく、紫外吸光度検出器、示差屈折率検出器等の液体クロマトグラフィー用検出器にて検出可能であることが好ましい。
本発明の分取方法は、例えば、1回目の試料注入にて逆相クロマトグラフィーモードにおいて疎水性化合物を分離して溶出させた後、親水性相互作用クロマトグラフィーモードに切替えて、1回目の試料注入を行ったカラムと同じカラムを用いて2回目の試料注入にて親水性化合物を分離して溶出させる方法である。ここで、逆相クロマトグラフィーモードとは、通常、移動相として水溶性有機溶媒および水の混合溶媒を用いた際に、前記混合溶媒の水の比率を高くして、親水性の高い成分から順に溶出させるモードをいう。対して、親水性相互作用クロマトグラフィーモードとは、通常、前記混合溶媒の水溶性有機溶媒の比率を高くして、極性の低い成分から順に溶出させるモードをいう。なお、本発明では、逆相クロマトグラフィーモードを発現させた後に親水性相互作用クロマトグラフィーモードへ切替えてもよく、反対に、親水性相互作用クロマトグラフィーモードを発現させた後に逆相クロマトグラフィーモードへ切替えてもよい。逆相クロマトグラフィーモードと親水性相互作用クロマトグラフィーモードとの切替えは移動相の混合溶媒の水溶性有機溶媒と水との組成比率を変えることで容易に行うことができる。また分取中に単一の移動相を用いるイソクラティック法および水溶性有機溶媒比率に勾配を設けるグラジエント法のいずれにおいても分取が可能である。逆相クロマトグラフィーモードと親水性相互作用クロマトグラフィーモードとの切替えは、イソクラティック法では、例えば、逆相クロマトグラフィーモードで用いる移動相を送液している送液ポンプを停止し、送液する移動相を親水性相互作用クロマトグラフィーモードで用いる移動相に交換して、再度送液ポンプを作動させることで完了し、グラジエント法では、例えば、分取時間を設定しその時間内で逆相クロマトグラフィーモードで用いる移動相の組成比率から親水性相互作用クロマトグラフィーモードで用いる移動相の組成比率へと一定の勾配によって変えることで完了する。1回の分取中に移動相の切替えを完了させることができるという観点ではグラジエント法が好ましく、移動相の調製の簡易性という観点ではイソクラティック法が好ましい。
上記のようにモードの切替えによって、逆相クロマトグラフィーモードと親水性相互作用クロマトグラフィーモードの両方の分取を連続的に行うことができる。ここで分取を連続的に行うとは、同一の分取用カラムを使用して試料を異なるモードで連続して分取することを意味し、1回の分取の間にモードが切り替わる場合、1回毎にモードを切替える場合、複数回に一度モードを切替える場合等が含まれる。
なお、モードの切り替え前の試料注入と切り替え後の試料注入とで、試料は同一の組成を有する試料でもよい。しかしながら、分取を確実に行う観点から、モードの切り替え前の分取で分離できなかった試料を含む区画を回収し、好ましくは濃縮した後、移動相を切替え、前記回収した試料を注入することが好ましい。また、各モードにおいて、複数回試料注入および分取を行ってもよい。
本発明の分取方法に用いる水酸基を有するポリマー充填剤は、水酸基および水酸基に変換可能なエステル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有するモノマー(A)を含む原料モノマーを重合させて得られるポリマーであることが好ましい。
本願においてエステル基とは、エステル結合を含む官能基であり、R−COO−で表すことができる。なお、前記Rは、炭化水素基である。
また、水酸基に変換可能なエステル基とは、エステル交換反応やケン化によって当該エ
ステル基が水酸基に変換され得ることを意味する。
前記モノマー(A)としては、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレートおよびカルボ
ン酸ビニルエステルが挙げられる。
ここで(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及びアクリレートから選ばれる少な
くとも1つを意味する。
前記ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、1個以上のエチレン性炭素−炭素二重結合と1個以上の水酸基とから構成されるヒドロキシ(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、グリセリンジメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレートが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、得られるポリマー充填剤の粒径を小さくでき、液体クロマトグラフィー用充填剤としての強度、高性能化を図れるなどの点で、モノマー(A)として、グリセリンジメタクリレートを含むことが好ましく、ポリマー充填剤としては、グリセリンジメタクリレートの単独重合体が特に好ましい。
前記カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニルおよびピバリン酸ビニル等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルが比較的親水性が高く重合およびケン化が容易であるので好ましい。そして、これらのモノマーを重合して得られる重合体は、ケン化等によってエステル基を水酸基に変換させることができる。
原料モノマーは、モノマー(A)以外のモノマーを含んでも良い。モノマー(A)以外のモノマーとしては、特に制限されない。
前記ポリマー充填剤としては、ヒドロキシ(メタ)アクリレート系樹脂またはポリビニルアルコール系樹脂を用いることが望ましい。
前記ヒドロキシ(メタ)アクリレート系樹脂としては、例えば、前記ヒドロキシ(メタ)アクリレートを含む原料モノマーの重合体が挙げられる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、前記カルボン酸ビニルエステルと架橋性単量体とから構成される架橋共重合体のエステル基をケン化またはエステル交換反応によってアルコール性水酸基に変換した樹脂が挙げられる。前記架橋性単量体としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンが挙げられる。
前記ポリマー充填剤には、任意の割合で水酸基以外のアミノ基、スルホ基およびカルボキシル基等のイオン性官能基を導入することもできる。
前記ポリマー充填剤は、水酸基の含有量が前記ポリマー充填剤1gあたり0.1〜10mmolであることが好ましく、0.5〜8mmolであることがより好ましく、1〜5mmolであることが特に好ましい。前記水酸基は、モノマー(A)に含有されている水酸基でもよく、モノマー(A)またはポリマーに含有されているエステル基を変換した水酸基でもよく、ポリマー中の水酸基などを介して新たに導入した水酸基でもよい。水酸基の含有量が前記ポリマー充填剤1gあたり10mmolを超えると、前記ポリマー充填剤の親水性が強すぎてしまい、逆相クロマトグラフィーモードによる化合物の分離および保持が不十分となることがある。一方、水酸基の含有量が前記ポリマー充填剤1gあたり1mmol未満であると、前記ポリマー充填剤の親水性が弱くなり、親水性相互作用クロマトグラフィーモードが作用しなくなることがある。
前記ポリマー充填剤の体積基準の平均粒子径は、6〜10μmである。平均粒子径が前記範囲内であると、充分な分離性能および高感度を有し、1〜30MPaの圧力に耐えうる強度を得ることができる。本願における上記の体積基準の平均粒子径は、コールターカウンター法を用いて次のように測定される。すなわち、測定装置としてMultisizer 4(ベックマン・コールター社製)を用い、ポリマー充填剤0.2gにアイソトン(希釈液)25mLを加え、超音波を3分間当てて分散させた後、約1000個の測定個数にて体積平均粒子径を測定する。体積平均粒径を好ましい範囲とするには、風力分級、ふるい分けによる分級、沈殿を利用した分級等で制御できる。また、前記ポリマー充填剤の形状は球形であることが好ましい。
本発明の分取方法では、移動相として、水および水溶性有機溶媒の混合溶媒が用いられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明の分取方法では、移動相の混合溶媒の水溶性有機溶媒と水と組成比率を調節することで、逆相クロマトグラフィーモードと親水性相互作用クロマトグラフィーモードとを切替えることができる。移動相に用いる混合溶媒は分取対象に応じて適宜選択することができるが、通常、水溶性有機溶媒の組成比率(混合前の体積比)として50〜70%に境界があり、その境界よりも水溶性有機溶媒の組成比率を低くすると逆相クロマトグラフィーモードが、高くすると親水性相互作用クロマトグラフィーモードが発現する。前記混合溶媒の水溶性有機溶媒と水との組成比率(混合前の体積比)は、通常、1:99〜99:1、好ましくは5:95〜95:5の範囲内で変えることができる。
疎水性化合物の分離および溶出には逆相クロマトグラフィーモードが用いられ、逆相クロマトグラフィーモードでの水溶性有機溶媒と水との組成比率(混合前の体積比)は、通常、1:99〜70:30であり、1:99〜50:50とすることが好ましく、5:95〜50:50とすることがさらに好ましく、10:90〜50:50とすることが特に好ましい。また、親水性化合物の分離および溶出には親水性相互作用クロマトグラフィーモードが用いられ、親水性相互作用クロマトグラフィーモードでの水溶性有機溶媒と水との組成比率(混合前の体積比)は、通常、50:50〜99:1であり、60:40〜99:1とすることが好ましく、70:30〜95:5とすることがさらに好ましく、75:25〜95:5とすることが特に好ましい。
また、移動相には親水性レベルおよび試料の保持時間を調整する目的で、任意の割合でギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどを添加することもできる。
本発明の分取方法で用いる分取用カラムは、前記ポリマー充填剤が充填されたものであり、分取用カラムが有する分取用ハウジングの材質およびサイズには特に制限はないが、材質は、一般的に、液体クロマトグラフィー用ハウジングとして用いられているステンレスまたはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂製が好ましい。サイズは、より高純度および高回収率で分取を行うために、内径は、4.0〜50.0mmが好ましく、4.6〜20.0mmがより好ましく、長さは100〜300mmが好ましく、150〜250mmがより好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
<体積基準の平均粒子径>
ポリマー充填剤の体積基準の平均粒子径は、Multisizer 4(ベックマン・コールター社製)を用いて、ポリマー充填剤0.2gにアイソトン(希釈液)25mLを加え、超音波を3分間当てて分散させた後、約1000個の測定個数にて体積平均粒子径を測定した。
[実施例1]
ポリマー充填剤としてグリセリンジメタクリレートを単独重合して得られたヒドロキシメタアクリレート樹脂(体積基準の平均粒子径6μm)を用いた。ピリジン33ml中、前記樹脂2.5gと無水酢酸17mlとを90℃の加熱下で16時間撹拌して反応させ、その反応量から前記樹脂に含まれる水酸基の含有量を測定した。その結果、水酸基の含有量は樹脂1gあたり2.0mmolであった。
液体クロマトグラフィー装置としてNexera(島津製作所(株)製)を用い、カラムとして前記樹脂を内径4.6mm、長さ150mmのステンレス製のハウジングに充填したカラムを用い、検出器には紫外検出器(UV、波長:254nm)を用いた。分取条件は、カラム温度を40℃、移動相の流速を1.0ml/minとした。
まず初めにアセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒を移動相として用いた。移動相に用いた混合溶媒と同様の組成を有する混合溶媒0.25mLに、シチジン、ウリジン、ウラシル、トルエンおよびナフタレンの5種のサンプルをそれぞれ100mgずつ溶解し、混合試料とした。この混合試料のうち50μLを用いて、逆相クロマトグラフィーモードにて検出器で分析をしながら分取を行った。前記分析によって得られたクロマトグラムを図1に示す。まず、シチジンが溶出され、その次にウリジンおよびウラシルが溶出され、その後、トルエン、ナフタレンの順に溶出された。移動相としてアセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒を用いた場合には、疎水性の高いトルエンおよびナフタレンが良好に保持され、分離されたことが分かる。前記分析でシチジン、ウリジンおよびウラシルの分離が不十分であることが判明したため、これらを含む溶出液を検出器出口からバイアルに回収した。
前記図1のクロマトグラムをもとに、残りの混合試料についても同様に逆相クロマトグラフィーモードで以下のように分取を行った。混合試料50μLをカラムに注入し、注入後1.2分から2.5分までの溶出時間に対応する溶出液を検出器出口からバイアルに回収した。前記混合試料の注入から回収までの操作を数回繰り返し、分離が不十分だったシチジン、ウリジンおよびウラシルを含む分画のみを分取した。前記分取で得られた分画をエバポレーターで濃縮した。
次に、移動相をアセトニトリル:水=90:10(混合前の体積比)の混合溶媒に切替えた。上記で濃縮したシチジン、ウリジンおよびウラシルを含む試料を前記移動相と同様の組成を有する混合溶媒0.25mLに溶解し、分取試料とした。前記分取試料のうち50μLを用いて親水性相互作用クロマトグラフィーモードにて検出器で分析をしながら分取を行った。前記分析で得られたクロマトグラムを図2に示す。移動相としてアセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒を用いたときとは溶出順序が逆転し、ウラシル、ウリジン、シチジンの順に溶出した。移動相としてアセトニトリル:水=90:10(混合前の体積比)の混合溶媒を用いた場合には、親水性の高いシチジン、ウリジンおよびウラシルが良好に保持され、分離されたことが分かる。
前記図2のクロマトグラムをもとに、残りの分取試料についても同様に親水性相互作用クロマトグラフィーモードで以下のように分取を行った。分取試料50μLをカラムに注入し、注入後2.8分から3.1分までの溶出時間に対応する溶出液、3.2分から3.8分までの溶出時間に対応する溶出液、および6.0分から7.2分までの溶出時間に対応する溶出液をそれぞれ検出器出口からバイアルに回収した。前記混合試料の注入から回収までの操作を、数回繰り返すことで、分離が不十分だったシチジン、ウリジンおよびウラシルを含む分画をそれぞれ分取した。
[実施例2]
実施例1に記載の液体クロマトグラフィー装置、樹脂および検出器を用い、カラムとして前記樹脂を内径10.0mm、長さ250mmのステンレス製のハウジングに充填したカラムを用いた。分取条件は、カラム温度を40℃、移動相の流速を3.0ml/minとした。
まず初めに、アセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒を移動相として用いた。移動相に用いた混合溶媒と同様の組成を有する混合溶媒2.5mLに、シチジン、ウリジン、ウラシル、トルエンおよびナフタレンの5種のサンプルをそれぞれ0.3gずつ溶解し、混合試料とした。この混合試料のうち0.5mLを用いて、逆相クロマトグラフィーモードにて検出器で分析をしながら分取を行った。前記分析によって得られたクロマトグラムを図3に示す。まず、シチジンが溶出され、その次にウリジンおよびウラシルが溶出され、その後、トルエン、ナフタレンの順に溶出された。移動相としてアセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒を用いた場合には、特に疎水性の高いトルエンおよびナフタレンが良好に保持され、分離されたことが分かる。前記分析でシチジン、ウリジンおよびウラシルの分離が不十分であることが判明したため、これらを含む溶出液を検出器出口からバイアルに回収した。
前記図3のクロマトグラムをもとに、残りの混合試料についても同様に逆相クロマトグラフィーモードで以下のように分取を行った。混合試料0.5mLをカラムに注入し、注入後3分から5分までの溶出時間に対応する溶出液を検出器出口からバイアルに回収した。前記混合試料の注入から回収までの操作を、最初の分析をしながら行った操作を含め合計5回繰り返すことで、分離が不十分だったシチジン、ウリジンおよびウラシルを含む分画のみを分取した。前記分取で得られた分画をエバポレーターで濃縮した。
次に、移動相をアセトニトリル:水=90:10(混合前の体積比)の混合溶媒に切替えた。上記で濃縮したシチジン、ウリジンおよびウラシルを含む試料を前記移動相と同様の組成を有する混合溶媒2.5mLに溶解し、分取試料とした。前記分取試料のうち、0.5mLを用いて親水性相互作用クロマトグラフィーモードにて検出器で分析をしながら分取を行った。前記分析によって得られたクロマトグラムを図4に示す。移動相としてアセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒を用いたときとは溶出順序が逆転し、ウラシル、ウリジン、シチジンの順に溶出した。移動相としてアセトニトリル:水=90:10(混合前の体積比)の混合溶媒を用いた場合には、親水性の高いシチジン、ウリジン、ウラシルが良好に保持され、分離された。シチジンを含む溶出液、ウリジンを含む溶出液、ウラシルを含む溶出液をそれぞれ検出器出口からバイアルに回収した。
前記図4のクロマトグラムをもとに、残りの分取試料についても同様に親水性相互作用クロマトグラフィーモードで以下のように分取を行った。分取試料0.5mLカラムに注入し、注入後7.6分から8.3分までの溶出時間に対応する溶出液、8.8分から9.6分までの溶出時間に対応する溶出液、および16.4分から18.0分までの溶出時間に対応する溶出液をそれぞれ検出器出口からバイアルに回収した。前記混合試料の注入から回収までの操作を、最初の分析をしながら行った操作を含め合計5回繰り返すことで、分離が不十分だったシチジン、ウリジンおよびウラシルを含む分画をそれぞれ分取した。前記分画をそれぞれエボパレーターにて濃縮した。
最終的に回収された量は、シチジン0.294g(回収率98質量%)、ウリジン0.293g(回収率98質量%)、ウラシル0.289g(回収率96質量%)であった。
[比較例1]
ポリマー充填剤として水酸基を有しないエチレングリコールジメタクリレートを単独重合して得られたメタアクリレート樹脂(体積基準の平均粒子径5μm)を用いた。
実施例1に記載の液体クロマトグラフィー装置、樹脂および検出器を用い、カラムとして前記樹脂が内径4.6mm、長さ150mmのステンレス製のハウジングに充填されたカラムであるShodex DE−413 4D(昭和電工(株)製)を用いた。分取条件は、実施例1と同様とした。
まず初めに、実施例1と同様の方法で、移動相にアセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒を用いてシチジン、ウリジン、ウラシル、トルエンおよびナフタレンの混合試料について検出器で分析をしながら分取を行った。前記分析によって得られたクロマトグラムを図5に示す。まず、シチジン、ウリジンおよびウラシルが溶出され、その後、トルエン、ナフタレンの順に溶出された。そして、実施例1と同様の方法で分離が不十分だったシチジン、ウリジンおよびウラシルを含む分画のみを分取し濃縮した。
次に、移動相をアセトニトリル:水=90:10(混合前の体積比)の混合溶媒に切替え、上記で濃縮したシチジン、ウリジンおよびウラシルを含む試料ついて実施例1と同様の方法にて検出器で分析をしながら分取を行った。前記分析で得られたクロマトグラムを図6に示す。移動相としてアセトニトリル:水=40:60(混合前の体積比)の混合溶媒を用いた場合およびアセトニトリル:水=90:10(混合前の体積比)の混合溶媒を用いた場合のいずれにおいても親水性の高いシチジン、ウリジンおよびウラシルの保持および分離が不充分であり、シチジン、ウリジンおよびウラシルをそれぞれ分取することはできなかった。
1 シチジンのピーク
2 ウリジンのピーク
3 ウラシルのピーク
4 トルエンのピーク
5 ナフタレンのピーク

Claims (8)

  1. 水酸基を有するポリマー充填剤が充填された分取用カラムを用いること、
    前記ポリマー充填剤の体積基準の平均粒子径が6〜10μmであること、
    移動相として水溶性有機溶媒および水の混合溶媒を用いること、および、
    前記混合溶媒の水溶性有機溶媒と水との組成比率を変えることにより逆相クロマトグラフィーモードと親水性相互作用クロマトグラフィーモードとを切替えること
    を特徴とする液体クロマトグラフィーによる親水性化合物および疎水性化合物の分取方法。
  2. 前記分取用カラムが、内径4.0〜50.0mm、長さ100〜300mmの分取用ハウジングを有し、かつ、該分取用ハウジングに前記ポリマー充填剤が充填されている、請求項1に記載の分取方法。
  3. 前記ポリマー充填剤が、水酸基および水酸基に変換可能なエステル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有するモノマー(A)を含む原料モノマーを重合させて得られるポリマーである、請求項1または2に記載の分取方法。
  4. 前記モノマー(A)が、ヒドロキシ(メタ)アクリレートまたはカルボン酸ビニルエステルである、請求項3に記載の分取方法。
  5. 前記ポリマー充填剤が、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート系樹脂またはポリビニルアルコール系樹脂からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分取方法。
  6. 前記ポリマー充填剤1gあたりの水酸基の含有量が0.1〜10mmolである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分取方法。
  7. 前記混合溶媒の水溶性有機溶媒と水との組成比率を混合前の体積比で5:95〜95:5の範囲内で変える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分取方法。
  8. 前記水溶性有機溶媒が、アセトニトリル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンおよびテトラヒドロフランからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分取方法。
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