JP2018018202A - 無線センサ端末、無線センサシステムおよびセンサデータ収集方法 - Google Patents

無線センサ端末、無線センサシステムおよびセンサデータ収集方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的短時間で多数回測定が必要とされていたセンサを用いた場合の、無線センサ端末の消費電力を削減する。【解決手段】物理量を電気信号に変換して測定するセンサ2と、電気信号を増幅する増幅回路6と、増幅回路6で増幅された信号に基づくデータを無線送信し、外部から無線送信されてくるコマンドを受信する無線通信機9と、コマンドに基づいて、増幅回路6のパラメータを制御する制御部8と、を備える無線センサ端末101である。【選択図】図1

Description

本発明は、センサネットワークシステムに関する。
本技術分野の背景技術として、特開2014−81860号公報(特許文献1)がある。この公報には、センサネットワークシステムにおいて、環境情報を収集するセンサ端末の無線通信に必要な消費電力を削減し、自立電源を用いてセンサ端末を動作させるための方法が記載されている。
特開2014−81860号公報
前記特許文献1には、自立電源を用いて無線センサ端末を動作できる程度に低消費電力化するため、無線通信の消費電力を削減するため、できるだけ短電文でセンサ測定結果を通信し、そのデータを時系列に蓄積するための方法が記載されている。しかしながら、無線通信量を減らすために短いデータ量しか送信することができず、温度、湿度、照度など、利用可能なセンサ種類が、1回の測定で数バイト程度のデータ量で済む物理量に限定されていた。そのため、例えば振動スペクトルの測定のような、比較的短時間で多数回測定が必要なセンサではデータ量が多くなるため、適用できないという課題があった。
上記課題を解決するため、本発明の一側面は、無線センサ端末を、センサおよび、センサからのアナログ信号を増幅する増幅回路と、増幅回路の出力をデジタルデータに変換するアナログデジタル変換回路、を設ける。さらに、増幅回路の増幅率および応答速度の少なくとも一つを、無線センサ端末の外部より指示された値に可変な構成とする。
本発明の他の一側面は、物理量を電気信号に変換して測定するセンサと、電気信号を増幅する増幅回路と、増幅回路で増幅された信号に基づくデータを無線送信する送信機と、外部から無線送信されてくるコマンドを受信する受信機と、コマンドに基づいて、増幅回路のパラメータを制御する制御部と、を備える無線センサ端末である。
本発明の他の一側面は、無線センサ端末およびデータ収集・分析装置を備える無線センサシステムであって、無線センサ端末は、物理量を電気信号に変換して測定するセンサと、電気信号からの信号を増幅する増幅回路と、増幅回路で増幅された信号に基づくデータをデータ収集・分析装置に無線送信する送信機と、データ収集・分析装置から無線送信されてくるコマンドを受信する受信機と、コマンドに基づいて、増幅回路のパラメータを制御する制御部と、を備える無線センサシステムである。
本発明の他の一側面は、無線センサ端末およびデータ収集・分析装置を備える無線センサシステムにおける、センサデータ収集方法であって、無線センサ端末は、物理量を電気信号に変換して測定するセンサと、電気信号からの信号を増幅する増幅回路と、増幅回路で増幅された信号に基づくデータをデータ収集・分析装置に無線送信する送信機と、データ収集・分析装置から無線送信されてくるコマンドを受信する受信機と、コマンドに基づいて、増幅回路のパラメータを制御する制御部とを備える。無線センサ端末は、初期モードにおいては、センサで得られた電気信号を、増幅回路のスルーレートと増幅率を第1の状態に設定して増幅し、増幅した信号に基づくデータを前記データ収集・分析装置に無線送信する第1のステップと、データ収集・分析装置から無線送信されてくるコマンドを受信する第2のステップと、コマンドに基づいて、増幅回路のスルーレートを下げるとともに、増幅率を上げることにより、第2の状態に設定して、定常モードに移行させる第3のステップを実行する。無線センサ端末は、定常モードにおいては、センサで得られた電気信号を、増幅回路で増幅し、増幅された信号に基づくデータをデータ収集・分析装置に無線送信する第4のステップを実行し、第1のステップにおける無線送信頻度は、第4のステップにおける無線送信頻度よりも小さい。
本発明によれば、比較的短時間で多数回測定が必要とされていたセンサを用いた場合の、無線センサ端末の消費電力を削減することができる。
センシングシステムの一例の構成を示すブロック図である。 センサ信号を処理するフローの例を説明した流れ図である。 センサ信号処理の具体例を説明する模式図である。 センサ信号処理の具体例を説明する模式図である。 センサ信号処理の具体例を説明する模式図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数または順序を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
以下の実施例の概要を説明すると、無線センサ端末に、センサおよび、センサからのアナログ信号を増幅する増幅回路を設ける。また、増幅回路の出力をデジタルデータに変換するアナログデジタル変換回路、を設けるものである。さらに、増幅回路の増幅率、オフセット電圧およびスルーレート等の少なくとも一つを、無線センサ端末の外部より指示された値に可変な構成とするものである。
増幅率とは、増幅回路の特性の一つであり、入力信号に対する出力信号の大きさの比をいう。増幅率が大きい、小さな入力信号を検出できるが、一般に消費電力が大きくなる。オフセット電圧とは、差動入力回路を有する増幅回路の誤差電圧のことで、入力端子に同相電圧を入力した際に出力される電圧である。理想的には0であり、オフセット電圧を0にするために、入力端子間に与える電圧差を入力オフセット電圧と言いう。オフセット電圧が0に近ければ検出精度が優れるが、入力オフセット電圧を与える必要があり消費電力が大きくなる。スルーレートとは、増幅回路の特性の一つであり、出力電圧が単位時間当りに変化できる割合をいう。スルーレートが高いほど、高速な入力信号に追従できるが、一般に消費電力が大きくなる。
<1.システム構成>
図1は、本実施例のセンシングシステムの構成例を示す図である。無線センサ端末101は自立電源システム1を備え、その発電電力で振動センサ2および測定回路部3を動作させてセンサ機能を実現する端末である。センサ機能は、周囲の各種物理量を測定し、測定した結果を無線でデータ収集・分析装置102に送信する。ここで「測定」とは、無線センサ端末101が、1度に送信するべきデータを準備する処理全体をいうことにする。本実施例では、振動センサ2により、周囲の振動を測定し、その結果を送信する例を扱うものとする。また、データ収集・分析装置102が1台に対して、無線センサ端末101は複数台でセンシングシステムを構成することができる。以下では簡略化のため、無線センサ端末101のうち、1台のみの動作について説明するが、複数台に対して同様の動作が行われるものとする。
無線センサ端末101は、電源を供給するための線路を確保することが困難な場合が多い。そこで、自立電源システム1は、太陽電池、ピエゾ素子やペルチエ素子などの発電素子や、電池などの電力供給および蓄電素子と、電源制御回路や整流回路などから構成される。自立電源システム1は、無線センサ端末101の外部から電力を供給されることなく、振動センサ2および測定回路部3に電力を供給することができる。
振動センサ2は、測定対象物の振動を電気信号に変換し、振動の大きさに対応した電圧等を出力する素子である。圧電型振動センサやMEMS加速度センサなど、一般に振動測定用として用いられているセンサ素子を用いることが可能である。また、振動に伴い発生する音波を測定するマイクロフォンなどでも良い。測定の対象とする振動の帯域は、測定対象により様々であり、適切なセンサを選択して用いることになる。本実施例では、10Hz〜100kHz程度までの帯域で振動を測定し、振動の大きさに比例した電圧を出力するセンサを用いる。
測定回路部3は、振動センサ2の出力信号に対して整形処理を行った後に、デジタル値へと変換し、そのデジタル値を測定データとして無線でデータ収集・分析装置102に送信する。測定回路部3は、増幅回路6、アナログデジタル変換回路7、CPU8、無線通信回路9で構成される。
増幅回路6は、振動センサ2からの入力信号を増幅する回路である。CPU8からの制御信号により、増幅率、増幅の基準となるオフセット電圧、およびスルーレートの少なくとも一つを変更する機能を備える。また、増幅率、オフセット電圧もしくはスルーレートが異なる複数の増幅回路を用意し、それらをCPU8からの制御信号で切り替えても良い。
アナログデジタル変換回路7は、増幅回路6からの入力信号を、デジタル信号に変換する回路である。必要に応じて、適切なフィルタ回路を増幅回路6とアナログデジタル変換回路7の間に挿入し、アナログ信号のノイズを抑制しても良い。なお、アナログデジタル変換回路7は、CPU8に含めて構成することもできる。アナログデジタル変換のサンプリング周波数は、振動のスペクトル解析が可能な程度に高い必要がある。本実施例では、振動センサが100kHzまで対応していることから、1MHzでサンプリングを行う。
CPU8は、無線通信回路9を通してデータ収集・分析装置に送信する測定データの生成と出力、および、データ収集・分析装置102からの信号を受信する。また、受信した信号に基づき、振動センサ2および測定回路部3の各ブロックの動作制御を行う。CPU8は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアで構成することができる。また、CPU8はデータ等の記憶のために図示しないメモリを備えていてもよい。メモリは例えば不揮発性の半導体メモリである。ハードウェアと同様の処理は、メモリに格納されたプログラムを汎用のプロセッサによって実行することで、定められた処理を他のハードウェアと協働して実現することもできる。
無線通信回路9は、CPU8からの信号を無線送信、および、データ収集・分析装置からの無線信号を受信する回路であり、特に無線周波数や無線方式については問わない。例えば、センシングシステムで一般に用いられている無線方式である、Wi-SUN(登録商標)、Zigbee(登録商標)、WiFi(登録商標)、WirelessHART(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの規格に準拠した無線を用いることができる。また、独自のプロトコルで通信しても良い。
データ収集・分析装置102は、無線センサ端末101が送信する測定データを受信し、保存する機能を持つ。さらに、保存した測定データについて解析を行い、その結果を基に、無線センサ端末101に測定パラメータを無線により送信する機能を持つ。測定パラメータには、無線センサ端末101の増幅回路の設定を指示する情報が含まれる。測定パラメータは、CPUに対するコマンドと考えてもよい。情報とは例えば、増幅回路のON/OFF、設定する増幅率やオフセット電圧などのパラメータである。データ収集・分析装置102は通常、入力装置、出力装置、記憶装置、処理装置を含むコンピュータに通信機能を追加することで構成することができる。あるいは、専用ハードウェアで構成しても良い。また、一般的なパソコン等に無線通信機能を持たせることでも実現できる。
<2.動作フロー>
図2は、図1の実施例のセンシングシステムの動作フローを示す図である。無線センサ端末101とデータ収集・分析装置102のそれぞれの動作を順に説明する。
無線センサ端末101は、初期状態(初期モード)では、振動スペクトル分析が可能な測定パラメータで、多数の点を1回の測定で取得する(S201)。測定したデータは、CPU8のメモリに蓄えて送信する(S202)。初期状態の測定では未知の信号を取り扱うため、高精度の検出が必要な場合がある。その場合には、増幅回路6の設定を、高増幅率、低オフセット、高スルーレートとして高精度で検出する。この測定および送信動作については、自立電源システム1で実現可能な平均消費電力で測定したデータを送るため、測定頻度を抑える必要がある。例えば1時間に1回程度の頻度で行う。
上記の例では、増幅回路6のパラメータの全てを高性能な条件で動作させたが、自立電源システム1の条件によっては、重要なパラメータを高性能にするとともに、1または複数のパラメータの性能を低下させ、消費電力を低減することも可能である。例えば、スルーレートを最大とし、オフセットをゼロとして、増幅率は最小とする。あるいは、許容される消費電力の条件下で、スルーレートを最大とし、増幅率は低下させるパターンと、スルーレートを低下させ、増幅率を最大にするパターンの両方を試みてもよい。以下では、初期状態においてはスルーレートを最も重視し、スルーレートを最大にするとともに、増幅率を低下させる方式を例として説明することにする。
スルーレートは信号の追従性に関連するパラメータであり、増幅回路のが取り扱える信号の周波数帯域を規定する。スルーレートを最大にすることにより、最も広範囲の周波数帯域について信号の検出が可能となる。ただし、スルーレートが高いと消費電力が増えるため、その分は増幅率を下げて全体の消費電力を動作可能な範囲に維持する。
次に、測定した振動データを、データ収集・分析装置102が受信する。データ収集・分析装置102は、必要に応じて複数回、受信を繰り返す。受信したデータは必要に応じて記憶装置に保存する。そして、複数回の振動データの差分を比較分析する(S203)。分析結果に基づいて、例えばセンサを設置した機器の動作状態などと強い相関を持って発生する信号のような、特徴的な信号を決定する(S204)。分析や決定は所定のソフトウェアにより自動的に行ってもよいし、操作者による検討が含まれていてもよい。操作者の検討・分析結果は、データ収集・分析装置102の入力装置から入力し記憶装置に保持する。
そして、データ収集・分析装置102より、無線センサ端末101へ、特徴的な量を含んだ周波数領域の振動の振幅を測定するように、測定パラメータを含む測定指示を送信する(S205)。
無線センサ端末101は、データ収集・分析装置102からの指示に従い、振動データのうち、特徴的な振動振幅に着眼して測定する(S206)。すなわち、増幅回路6が取り扱う周波数帯域を、特徴的な振動の周波数をカバーするために必要な周波数帯域に制限することができる。このため、初期状態の測定よりも低スルーレートで測定することで端末の消費電流を小さくすることができる。また、スルーレートを下げた分、消費電力の余剰が生じ、適切な増幅率に設定することで、微弱な信号も測定することができる。これにより、この測定および送信動作については、着目する信号については、初期状態より微弱な特徴信号も測定しながら、1回につき初期状態より低消費電力に測定を行うため、自立電源システム1で実現可能な平均消費電力を鑑みても、比較的、高頻度に行うことができる。例えば10分に1回の頻度で行う(S207)。
最終的に、定常状態(定常モード)においては、データ収集・分析装置102は、特徴的な信号を高い増幅率で測定した振動振幅のデータを10分に1回の高頻度に収集することが可能になる。すなわち、初期状態で測定していた時と比べて、意味のあるデータのみを、高頻度に収集できる(S208)。
<3.データ分析原理>
図3Aは、このセンシングシステムを、ポンプや切削加工装置等の工場設備の稼動状態を振動センサにより取得するシステムとして適用した場合を例として、システムの動作を具体的に説明する模式図である。
この例では、無線センサ端末101を工場設備に取り付け、振動を測定するものとする。また、データ収集・分析装置102は、無線センサ端末101からの信号を受信する時に、測定対象の工場設備の電源がONかOFFか、の情報を別途取得可能とする。図3の無線センサ端末101で測定および送信する測定データ301には、設備OFF時のデータと、設備ON時のデータが含まれている。
図2で説明したように、初期状態(S201〜S202)においては、無線センサ端末101は、未知の信号を取り扱うため、最も低増幅率かつ高スルーレートに設定し、センサ信号の全体を取得する。すなわち、CPU8からの制御により、増幅回路6は、最も低増幅率かつ高いスルーレートに設定され、振動センサ2の出力をアナログデジタル変換回路7でデジタル値に変換し、その変換した値を測定データ301として無線送信する。
振動は様々な周波数成分を含んでいるため、その分析に十分な測定点として、1024〜16384点程度が必要となる。本例では、アナログデジタル変換回路7は1MHzのサンプリング周波数で16384点をサンプリングし、無線送信する。この測定を、無線センサ端末101で用いている自立電源システム1で動作可能な消費電力で行う必要があるが、自立電源で用いることができるエネルギーが小さい、もしくは、電池で長期間動作させることを鑑み、間欠的に動作する必要がある。高スルーレートで増幅すると、一般に消費電力は大きくなることから、この測定動作は、1〜24時間に1回程度の低頻度にする必要がある。本例では、1時間に1回、測定および送信を行うものとする。
そのようにして取得された測定データ301をデータ収集・分析装置102が受信して分析する。本例では、受信した振動データに対してFFT(Fast Fourier Transform)処理を行い周波数スペクトル302に変換したうえで、測定対象の工場設備の電源がONかOFFか、の信号と併せて、複数の振動スペクトルデータを比較する。
図3Bに、ON状態で取得された振動スペクトルデータと、OFF状態で取得された振動のスペクトルデータを比較する概念を示す。図3Bでは2つのデータのみであるが、実際には、それぞれに対して複数回ずつ取得したデータを基に解析するのが望ましい。そして、ON状態とOFF状態のそれぞれの振動スペクトルの差分を分析した結果、装置がONの状態の際にのみ強くなる振動の特徴的な周波数成分303を特定する。
図3Cはデータ収集・分析装置102より、抽出した特徴的な周波数成分303の振幅強度を測定する測定パラメータを無線センサ端末101に指示する概念を示す。すなわち、CPU8からの制御により、増幅回路6は特徴的な周波数成分を含む帯域を測定するのに十分な増幅率とスルーレートに設定され、その出力をアナログデジタル変換回路7でデジタル値に変換し、その変換した値を無線送信するように設定される。この結果、測定回路部3は、初期状態と比較して低スルーレートで測定すれば良くなるため、その消費エネルギーは減少するため、自立電源システム1を用いても、例えば10分に1回の測定頻度で通信することが可能となる。すなわち、多くのスペクトルを含むデータと比較して、低電力に測定を行うことができるため高頻度にデータを取得することが可能となる。
このようにして得られた測定データ304は、すなわち、装置の稼動状態を反映した特徴的な周波数の振幅強度であり、低頻度にしか振動スペクトルを取得できなかった初期状態と比較して、その変化を詳細に取得することができる。従って、工場設備の詳細な運転状況の把握や、予兆診断などに用いるデータを効率的に収集できる。
<4.システム動作詳細>
図1を再度参照して、システムの動作を具体的に説明する。先に述べたように、初期状態(S201〜S202)では振動センサ2で収集したデータを、低増幅率、高スルーレートに設定した増幅回路6で増幅し、アナログデジタル変換器でデジタル信号に変換し、測定データ301としてデータ収集・分析装置102に送信する。低増幅率(例えば1倍)であるため、未知のセンサ信号全体を取得することができるが測定精度は低い。また、高スルーレート(例えば5V/秒)であるため、未知のセンサ信号を広帯域に測定することができるが、測定のための消費電力が大きいので、測定や送信の頻度は小さい(例えば1時間に1回)。
データ収集・分析装置102では、測定データ301の分析により、測定すべき特徴周波数を決定し、測定パラメータとして無線センサ端末101に送る(S203〜S205)。測定パラメータは、例えば、CPU8に対するコマンドであり、CPU8はコマンドに従って増幅回路6の動作設定を行う。
無線センサ端末101では、受信した測定パラメータに従って各回路の動作設定を行う。定常状態(S206〜S207)では、増幅回路6を高増幅率、低スルーレートに設定し、特徴周波数の信号を高増幅率で測定する。通常、特徴周波数はシステムが扱う最高周波数より低いので、低スルーレート(例えば0.005V/秒)で測定することができるため、初期状態と比較して測定のための消費電力を小さくすることができる。測定データ304をアナログデジタル変換回路7でデジタル信号として、データ収集・分析装置102へ送信する。定常状態では、測定のための消費電力が小さいので、測定や送信の頻度は大きくできる(例えば10分に1回)。
<5.補足>
図3の説明では、特徴周波数を抽出した後は定常状態として、単一の測定パラメータで測定し、データをデータ収集・分析装置102に送信することにしたが、複数のパラメータで測定してもよい。また、例えば異常を検知した際には、初期状態にパラメータを戻して詳細なデータを収集し直しても良い。
実施例では、設備のON、OFFに基づいて分析を行い、特徴周波数を特定する例を示したが、他にも、正常時と異常時、冷却時と加熱時、新品状態と経年後など、分析のための比較手法は種々あり、特に限定するものではない。
以上説明したように、従来は、自立電源で動作する程度に無線センサ端末を低電力化した場合、無線通信量を減らすために短いデータ量しか送信することができず、温度、湿度、照度など、利用可能なセンサ種類が、1回の測定で数バイト程度のデータ量で済む物理量に限定されていた。そのため、例えば振動スペクトルの測定のような、比較的短時間で多数回測定が必要なセンサでは測定に必要な消費電力が大きくなるため、適用できないという課題があった。本発明の実施例では、センサおよび、センサからのアナログ信号を増幅する増幅回路と、増幅回路の出力をデジタルデータに変換するアナログデジタル変換回路、を設ける。さらに、増幅回路の増幅率とオフセット電圧およびスルーレートを、無線センサ端末の外部より指示された値に可変な構成とする。
このような実施例の構成により、センサ信号の、ある周波数範囲の信号強度を高利得で取得することにより、電力の追加消費は少なく実現することができ、無線センサ端末のセンサ測定に必要な電力を減らすことができる。その結果、振動スペクトルのような比較的短時間で多数回測定が必要とされていたセンサを用いた場合の無線センサ端末の消費電力を削減できる。従来の課題を解決することができる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
101 無線センサ端末
102 データ収集・分析装置

Claims (15)

  1. 物理量を電気信号に変換して測定するセンサと、
    前記電気信号を増幅する増幅回路と、
    前記増幅回路で増幅された信号に基づくデータを無線送信する送信機と、
    外部から無線送信されてくるコマンドを受信する受信機と、
    前記コマンドに基づいて、前記増幅回路のパラメータを制御する制御部と、
    を備える無線センサ端末。
  2. 前記制御部は、
    初期状態においては、前記増幅回路の第1のパラメータを第1の状態に設定し、
    前記コマンドを受信した後に前記第1のパラメータを、前記第1の状態よりも消費電力の小さな第2の状態に設定して、定常状態に移行させる、
    請求項1記載の無線センサ端末。
  3. 前記制御部は、
    初期状態においては、前記増幅回路の第2のパラメータを第3の状態に設定し、
    前記コマンドを受信した後に前記第2のパラメータを、前記第3の状態より消費電力の大きな第4の状態に設定して、定常状態に移行させる、
    請求項2記載の無線センサ端末。
  4. すくなくとも前記送信機に電力を供給する自立電源システムを備え、
    前記自立電源システムは、環境発電あるいは電池で動作する、
    請求項1記載の無線センサ端末。
  5. 前記パラメータは、増幅率、スルーレート、およびオフセット電圧の少なくとも一つである、
    請求項1記載の無線センサ端末。
  6. 前記制御部は、
    初期状態においては、前記スルーレートを第1の状態に設定し、
    前記コマンドを受信した後に前記スルーレートを、前記第1の状態よりも低スルーレートの第2の状態に設定して、定常状態に移行させる、
    請求項5記載の無線センサ端末。
  7. 前記制御部は、
    初期状態においては、前記増幅率を第3の状態に設定し、
    前記コマンドを受信した後に前記増幅率を、前記第3の状態よりも高い増幅率の第4の状態に設定して、定常状態に移行させる、
    請求項6記載の無線センサ端末。
  8. 無線センサ端末およびデータ収集・分析装置を備える無線センサシステムであって、
    前記無線センサ端末は、
    物理量を電気信号に変換して測定するセンサと、
    前記電気信号からの信号を増幅する増幅回路と、
    前記増幅回路で増幅された信号に基づくデータを前記データ収集・分析装置に無線送信する送信機と、
    前記データ収集・分析装置から無線送信されてくるコマンドを受信する受信機と、
    前記コマンドに基づいて、前記増幅回路のパラメータを制御する制御部と、
    を備える無線センサシステム。
  9. 前記制御部は、
    初期状態においては、前記増幅回路の周波数帯域を広くし、
    前記コマンドを受信した後に前記増幅回路の周波数帯域を狭くして、定常状態に移行させる、
    請求項8記載の無線センサシステム。
  10. 前記制御部は、
    前記増幅回路のスルーレートを制御することにより、前記周波数帯域を制御する、
    請求項9記載の無線センサシステム。
  11. すくなくとも前記送信機に電力を供給する自立電源システムを備え、
    前記自立電源システムは、環境発電あるいは電池で動作する、
    請求項8記載の無線センサシステム。
  12. 前記パラメータは、増幅率、スルーレート、およびオフセット電圧の少なくとも一つである、
    請求項8記載の無線センサシステム。
  13. 前記制御部は、
    初期状態においては、前記スルーレートを第1の状態に設定し、
    前記コマンドを受信した後に前記スルーレートを、前記第1の状態よりも低スルーレートの第2の状態に設定して、定常状態に移行させる、
    請求項12記載の無線センサシステム。
  14. 前記制御部は、
    初期状態においては、前記増幅率を第3の状態に設定し、
    前記コマンドを受信した後に前記増幅率を、前記第3の状態よりも高い増幅率の第4の状態に設定して、定常状態に移行させる、
    請求項13記載の無線センサシステム。
  15. 無線センサ端末およびデータ収集・分析装置を備える無線センサシステムにおける、センサデータ収集方法であって、
    前記無線センサ端末は、
    物理量を電気信号に変換して測定するセンサと、
    前記電気信号からの信号を増幅する増幅回路と、
    前記増幅回路で増幅された信号に基づくデータを前記データ収集・分析装置に無線送信する送信機と、
    前記データ収集・分析装置から無線送信されてくるコマンドを受信する受信機と、
    前記コマンドに基づいて、前記増幅回路のパラメータを制御する制御部と、
    を備え、
    前記無線センサ端末は、
    初期モードにおいては、
    前記センサで得られた電気信号を、前記増幅回路のスルーレートと増幅率を第1の状態に設定して増幅し、増幅した信号に基づくデータを前記データ収集・分析装置に無線送信する第1のステップと、
    前記データ収集・分析装置から無線送信されてくるコマンドを受信する第2のステップと、
    前記コマンドに基づいて、前記増幅回路のスルーレートを下げるとともに、前記増幅率を上げることにより、第2の状態に設定して、定常モードに移行させる第3のステップを実行し、
    前記定常モードにおいては、
    前記センサで得られた電気信号を、前記増幅回路で増幅し、増幅された信号に基づくデータを前記データ収集・分析装置に無線送信する第4のステップを実行し、
    前記第1のステップにおける無線送信頻度は、前記第4のステップにおける無線送信頻度よりも小さい、センサデータ収集方法。
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