JP2018017156A - 過給機 - Google Patents
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Abstract
【課題】オイル室からコンプレッサ室へとオイルが漏れ出ることを抑制可能な過給機を得る。【解決手段】過給機100の軸受ハウジング3には、スラストベアリング10とスラストカラー9との間にオイルを供給するための給油通路3Aが形成されており、オイル室15は、スラストベアリング10とスラストカラー9との間の隙間を通過したオイルを軸受ハウジング3の側へと排出するものであり、軸受ハウジング3には、オイル室15と、給油通路3A内の圧力よりも高い圧力を有する空間とを連通させるための連通通路3Hが形成されている。【選択図】図2
Description
本発明は、過給機に関する。
内燃機関に設けられる過給機は、排気通路内に配置されるタービンインペラと、吸気通路内に配置されるコンプレッサインペラと、タービンインペラとコンプレッサインペラとを互いに連結するシャフトとを備える。排気エネルギーによりタービンインペラが回転すると、タービンインペラの回転力はシャフトを介してコンプレッサインペラに伝達される。吸気通路内の吸気は、コンプレッサインペラの回転によって圧縮され、エンジンに供給される。
このような過給機においては、高速で回転するシャフトを軸受が保持しており、軸受に潤滑用のオイルが供給されてシャフトと軸受との間の摺動性を確保している。そして、軸受を潤滑した後のオイルはハウジング下部に集められて、ハウジング下部のオイル出口から外部(たとえば、オイルパンなど)に排出される。
ところが、軸受に供給されたオイルの一部は、シャフトの表面上をコンプレッサ室側に向かって移動し、過給機の運転状態などに起因してコンプレッサ室内に漏れ出たりすることがある。軸受を潤滑するオイルが過給空気に混入するとエンジン性能が低下し、排気ガスが汚染するおそれがあるため、過給機のオイルシール性能を向上する手段として、種々のオイルシール構造が従来から提案されている。
たとえば、特開平05−280366号公報(特許文献1)には、シャフトに嵌合されるシールリングカラーの外周に、シャフトの軸方向に間隔をあけて配置されたシールリングとリップシールとの2つのシール部材を設けた過給機のオイルシール構造が開示されている。
一般的に、過給機のコンプレッサ側においては、リテーナがハウジングに取り付け固定され、リテーナとシャフトとの間に、シャフト上に取り付けられたシールリングカラーとシールリングカラーに取り付けられたシールリングとを有するシール構造が設けられる。リテーナのスラストベアリング側には、オイル室が形成されており、このオイル室は、シャフトの周囲を軸方向に移動するオイルのコンプレッサ室側への漏出を規制する。また、シールリングカラーに取付けられるシールリングは、自身をシールリングカラーに挿入するための合口を有している。このため、過給機の回転数が上昇するなどしてオイル室にまで到達するオイルの量が多くなると、シール構造の近傍に存在するオイルが多くなって、シールリングの合口の部分を介してオイルがコンプレッサ室へ漏れ出てしまうという可能性がある。
本発明は、オイル室に到達するオイル量が多くなることを抑制して、オイル室からコンプレッサ室へのオイルの漏出を効果的に抑制可能な過給機を提供することを目的とする。
本発明に基づく過給機は、コンプレッサインペラおよびタービンインペラが取り付けられたシャフトと、上記シャフト上に設けられたスラストカラーと、上記スラストカラーの径方向外側に設けられたスラストベアリングと、上記スラストベアリングが固定されており、上記スラストベアリングおよび上記スラストカラーを介して上記シャフトを回転自在に支持する軸受ハウジングと、上記コンプレッサインペラを収容するコンプレッサ室と、上記コンプレッサ室の径方向外側に形成されたディフューザ通路と、上記ディフューザ通路の下流に形成されたスクロール通路とを有する、コンプレッサハウジングと、上記シャフト上に設けられ、上記スラストカラーと上記コンプレッサインペラとの間に位置するシールリングカラーと、上記シールリングカラーの径方向外側に設けられ、上記軸受ハウジングに固定されており、上記スラストベアリング側にオイル室を形成するリテーナと、上記リテーナの内周に設けられ、上記シールリングカラーと対向するように配置されたシールリングと、を備え、上記軸受ハウジングには、上記スラストベアリングと上記スラストカラーとの間にオイルを供給するための給油通路が形成されており、上記オイル室は、上記スラストベアリングと上記スラストカラーとの間の隙間を通過したオイルを上記軸受ハウジングの側へと排出するものであり、上記軸受ハウジングには、上記オイル室と、上記給油通路内の圧力よりも高い圧力を有する空間とを連通させるための連通通路が形成されている。
上記の構成によれば、オイルがスラストベアリングとスラストカラーとの間の隙間を通過した後そのまま軸方向に沿ってオイルがコンプレッサ室に近づく方向に移動しようとすることは、オイル室内の圧力が高められることによって抑制される。オイルは、コンプレッサ室に近づく方向に移動することを抑制されつつ重力によって流下する。結果として、オイルがオイル室からコンプレッサ室に漏れ出ることは抑制され、オイルの消費量が増大することを効果的に抑制可能となる。
上記過給機において好ましくは、上記リテーナのうちの上記オイル室を形成している部分には、上記連通通路と上記オイル室とを接続する貫通孔が設けられており、上記貫通孔は、上記シャフトの中心軸の高さ位置よりも重力方向の上側に位置している。
一般的に、過給機の回転数が上がった時には、オイル室内のオイルは、より多く巻き上げられることとなる。上記の構成によれば、オイル室内の上方の空間の圧力が、オイル室内の下方の空間の圧力に比べて高くなる。このような圧力の分布は、オイルが巻き上げられることに対して抵抗として作用し、オイルは下方に位置するオイルパン等に向けて流下しやすくなる。結果として、オイルがコンプレッサ室へ漏れ出ることをより一層抑制することが可能となる。
上記過給機は、好ましくは、デフレクタをさらに備え、上記デフレクタは、上記スラストベアリングと上記リテーナとの間の空間を、上記スラストベアリングの側の空間と上記リテーナ側の空間とに分けている。
デフレクタは、スラストベアリングとスラストカラーとの間から流出したオイルや、遠心力で周囲に飛散しようとするオイルを捕集しつつ、その捕集オイルを下方に位置するオイルパン等に向けて流下させやすくする。結果として、オイルがコンプレッサ室へ漏れ出ることをより一層抑制することが可能となる。
上記過給機において好ましくは、上記連通通路は、上記オイル室と、上記スクロール通路とを連通させている。
スクロール通路は、過給機の内部に形成された複数の空間のうち、比較的オイル室の近くに存在している空間である。たとえばハウジングに穴あけ加工を施すことによって、オイル室とスクロール通路とを容易に連通させることが可能である。
上記過給機において好ましくは、上記連通通路は、上記オイル室と、上記ディフューザ通路とを連通させている。
ディフューザ通路は、過給機の内部に形成された複数の空間のうち、比較的オイル室の近くに存在している空間である。たとえばハウジングに穴あけ加工を施すことによって、オイル室とディフューザ通路とを容易に連通させることが可能である。
上記の構成によれば、オイル室に到達するオイル量が多くなることを抑制して、オイル室からコンプレッサ室へのオイルの漏出を効果的に抑制可能となる。
実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
[実施の形態1]
(過給機100)
図1〜図4を参照して、実施の形態1における過給機100の構成について説明する。図1は、過給機100を示す断面図である。図2は、過給機100のオイル室15などを拡大して示す断面図である。
(過給機100)
図1〜図4を参照して、実施の形態1における過給機100の構成について説明する。図1は、過給機100を示す断面図である。図2は、過給機100のオイル室15などを拡大して示す断面図である。
図1に示すように、過給機100は、コンプレッサハウジング1、タービンハウジング2、軸受ハウジング3、シャフト4、タービンインペラ5、コンプレッサインペラ6、ナット7、ベアリング8、スラストカラー9、スラストベアリング10、デフレクタ11、リテーナ12、シールリングカラー13、シールリング14を備える。
軸受ハウジング3は、コンプレッサハウジング1とタービンハウジング2との間に設けられる。コンプレッサハウジング1は、コンプレッサ室1A、ディフューザ通路1B、スクロール通路1Cを有する。コンプレッサ室1Aは、コンプレッサインペラ6を収容する。ディフューザ通路1Bは、コンプレッサ室1Aの径方向外側に形成される。スクロール通路1Cは、ディフューザ通路1Bの下流に形成される。
シャフト4にベアリング8を装着した状態で、シャフト4は軸受ハウジング3内に配置される。シャフト4の一端には、ナット7によってコンプレッサインペラ6が取り付けられる。シャフト4の他端には、タービンインペラ5が取り付けられる。シャフト4上には、スラストカラー9およびシールリングカラー13も設けられる(図2参照)。
シールリングカラー13は、スラストカラー9とコンプレッサインペラ6との間に位置する。スラストカラー9およびシールリングカラー13は、それぞれ、シャフト4に嵌合されており、シャフト4と一体的に回転する。スラストベアリング10は、スラストカラー9の径方向外側に配置され、軸受ハウジング3に固定される。軸受ハウジング3は、ベアリング8、スラストベアリング10およびスラストカラー9等を介して、シャフト4を回転自在に支持する。
(リテーナ12)
リテーナ12は、シールリングカラー13の径方向外側に設けられる。スラストベアリング10は、リテーナ12と軸受ハウジング3に挟まれることによって軸方向に固定される。図3は、過給機100に備えられるリテーナ12を軸方向に沿って見た様子(リテーナ12のスラストベアリング10の側に位置する表面)を示す図である。
リテーナ12は、シールリングカラー13の径方向外側に設けられる。スラストベアリング10は、リテーナ12と軸受ハウジング3に挟まれることによって軸方向に固定される。図3は、過給機100に備えられるリテーナ12を軸方向に沿って見た様子(リテーナ12のスラストベアリング10の側に位置する表面)を示す図である。
図1〜図3を参照して、リテーナ12は、スラストベアリング10側にオイル室15を形成する部材であり、中心筒部12A(図2)、凹部12B(図2,図3)、および一対のボルト座12C,12D(図3)を有する。リテーナ12は、凹部12Bの内側に、オイル室15(図1,図2)を形成している。
本実施の形態では、オイル室15内にデフレクタ11が配置される。デフレクタ11は、スラストベアリング10と概ね平行に配置され、スラストベアリング10とリテーナ12との間の空間(オイル室15)を、スラストベアリング10の側の第1室15A(空間)と、リテーナ12側の第2室15B(空間)とに分けている。
デフレクタ11の下部は、オイルを案内するための舌片形状を有している(図1)。デフレクタ11の下部とリテーナ12との間には、オイル排出口3B(図1)が形成される。軸受ハウジング3は、ベアリング8やスラストベアリング10の下方の位置に、潤滑室3Cを有している。オイル排出口3Bは、この潤滑室3Cに連通している。デフレクタ11は、スラストベアリング10とスラストカラー9との間から流出したオイルや、遠心力で周囲に飛散しようとするオイルを捕集しつつ、その捕集オイルを下方に位置するオイル排出口3B(オイルパン等)に向けて流下させやすくする。
リテーナ12に設けられた一対のボルト座12C,12D(図3)は、径方向の外側から内側に向かって膨出する形状を有し、おおよそ水平方向において相互に対向している。ボルト座12C,12Dに設けられた図示しない貫通孔に、ボルト16,17(図3)が挿通される。ボルト16,17によって、リテーナ12は、デフレクタ11とスラストベアリング10と共に、軸受ハウジング3に固定される。
図2に示すように、リテーナ12の中心筒部12Aは、リテーナ12の径方向の中央に位置する。中心筒部12Aの内側(リテーナ12の内周)に、シールリング14が取り付けられる。シールリング14は、周方向の1箇所に合口が形成された略C字状の形状を有する部材である。上述のとおり、シャフト4には、シールリングカラー13が取り付けられる。したがって、シールリングカラー13の外周側には、リテーナ12が配置されることになる。シールリングカラー13は、スラストベアリング10を潤滑した後のオイルがオイル室15からコンプレッサインペラ6側(コンプレッサ室1A側)へと漏れ出ることを抑制する。
具体的には、シールリングカラー13には、環状の溝13Bが形成されており、シールリング14は、この溝13Bの中に配置される。シールリング14は、シールリングカラー13の溝13B内に配置された後、縮径された状態でリテーナ12(中心筒部12A)の内面側に組みつけられる。その後、シールリング14が自身の弾性復元力によって拡径することにより、シールリング14の外周面はリテーナ12(中心筒部12A)の内面に密着する。シールリングカラー13の環状の溝13Bよりもスラストベアリング10寄りの部分には、鍔部13A(図3も参照)が形成される。
図3に示すように、リテーナ12(具体的には、リテーナ12のスラストベアリング10の側に位置する凹部12B)を軸方向に沿って見たとする。ボルト座12C(ボルト16)とボルト座12D(ボルト17)とを結ぶ直線LL1を仮想的に描いたとする。さらに、シャフト4の中心軸4Gを通る水平な直線LL2を描いたとすると、直線LL1は、直線LL2と小さな角度を持って交差しており、直線LL2は略水平である。
オイル室15(具体的には、図2に示す第2室15B)のうちの直線LL1よりも上方側の位置には、上方空間15uが規定される。オイル室15(具体的には、図2に示す第2室15B)のうちの直線LL1よりも下方側の位置には、下方空間15dが規定される。ボルト座12Cと鍔部13Aとの間には、隙間C1が形成され、ボルト座12Dと鍔部13Aとの間には、隙間C2が形成される。上方空間15uと下方空間15dとは、隙間C1,C2を介して連通している。また、下方空間15dの図中右下に位置する部分にオイル排出口3B(図1も参照)が設けられており、オイル室15内に溜まったオイルはオイル排出口3Bからハウジング下部の潤滑室3C(図1)へと排出される。
(オイルの流れ)
図4を参照して、潤滑用のオイルは、軸受ハウジング3に設けられた給油通路3Aから供給される。オイルは、ベアリング8に設けられた図示しない給油孔を通してベアリング8の内側(ベアリング8の内周面とシャフト4の外表面との間)へ供給されたり、スラストベアリング10やスラストカラー9に設けられた図示しない給油孔を通してスラストカラー9の内側(スラストカラー9の内周面とシャフト4の外表面との間)へ供給されたりする(矢印AR1,AR2参照)。
図4を参照して、潤滑用のオイルは、軸受ハウジング3に設けられた給油通路3Aから供給される。オイルは、ベアリング8に設けられた図示しない給油孔を通してベアリング8の内側(ベアリング8の内周面とシャフト4の外表面との間)へ供給されたり、スラストベアリング10やスラストカラー9に設けられた図示しない給油孔を通してスラストカラー9の内側(スラストカラー9の内周面とシャフト4の外表面との間)へ供給されたりする(矢印AR1,AR2参照)。
オイルは、スラストカラー9とスラストベアリング10との間の隙間を通過した後、オイル室15の第1室15Aに到達する。デフレクタ11は、第1室15A内のコンプレッサ側へと飛散するオイルを捕集し、捕集されたオイルが第1室15A内に存在することとなる。第1室15A内に存在するオイルのほとんどは、デフレクタ11の下部に設けられた舌片形状部分を介してオイル室15(第1室15A)の外部へと排出される。
一方で、第1室15A内に存在するオイルの一部は、デフレクタ11とシールリングカラー13との間の隙間を通って、オイル室15の第2室15Bへ流入する。過給機100の回転数が上昇するなどしてオイル室15(第1室15A)に到達するオイルの量が多くなると、オイル室15(第1室15A)の内部で飛散するオイルの量も増加し、ひいてはオイル室15の第2室15Bへ流入するオイルの量も増加する。上述のとおり、シールリングカラー13の環状の溝13Bよりもスラストベアリング10寄りの部分には、鍔部13Aが形成されている。
鍔部13Aは、シールリング14とシールリングカラー13に設けられた溝13Bとの隙間へ、オイルが直接的に流入することを抑制する。具体的には、オイルは、鍔部13Aのデフレクタ11の側に位置する側面に、粘性によって付着する。オイルは、鍔部13Aの回転によって遠心力を与えられて、鍔部13Aの側面から半径方向外側に振り飛ばされる。
これにより、オイルが軸方向に環状の溝13Bまで伝って行くことは抑制される。鍔部13Aによって振り飛ばされたオイルは、リテーナ12(凹部12B)の内壁面や、デフレクタ11のリテーナ12の側に位置する壁面によって受け止められる。その後、オイルは重力によって流下し、オイル排出口3B(図1)に集められて、ベアリング8やスラストベアリング10を潤滑してから潤滑室3Cへと落ちるドレンオイルと合流し、図示しないオイルパンへと戻る。
(連通通路3Hおよび貫通孔12H)
オイル室15から見てコンプレッサ室1Aの側には、シールリング14とシールリングカラー13(溝13B)とを用いたシール構造が構成されている。シールリング14の合口の部分は完全にはシールされておらず、オイル室15からコンプレッサ室1Aの側へと開放されている。
オイル室15から見てコンプレッサ室1Aの側には、シールリング14とシールリングカラー13(溝13B)とを用いたシール構造が構成されている。シールリング14の合口の部分は完全にはシールされておらず、オイル室15からコンプレッサ室1Aの側へと開放されている。
図5は、比較例における過給機101において、潤滑用のオイルが移動している様子を説明するための断面図である。過給機101の回転数が低い場合には、第1室15A内のオイルのほとんどは、デフレクタ11の下部に設けられた舌片形状部分を介してオイル室15(第1室15A)の外部へと排出される。過給機101の回転数が上昇するなどしてオイル室15(第1室15A)に到達するオイルの量が多くなると、オイル室15(第1室15A)の内部で飛散するオイルの量も増加し、ひいてはオイル室15の第2室15Bへ流入するオイルの量も増加する。
過給機101のように、特段の対策を施していない場合には、オイルは、シャフト4とスラストベアリング10との間に供給されてオイル室15に到達した後、軸受ハウジング3の側とコンプレッサ室1Aの側との圧力差の影響を受けることによって、シールリング14とシールリングカラー13(溝13B)との間の隙間を通過して、オイル室15からコンプレッサ室1Aへと漏れ出やすい。
特に、過給機101の回転数が上がった時には、背圧が上昇する分だけ、コンプレッサ室1Aの中のコンプレッサインペラ6の背面側に位置する部分1D(図4,図5参照)の圧力がより一層低くなる。したがって、当該部分1Dの付近に負圧が発生することとなり、オイル室15内のオイルは、シールリング14とシールリングカラー13(溝13B)との間の隙間を通過して、コンプレッサ室1Aへとより漏れ出やすくなる。その結果、オイルの消費量が増大してしまうことがある。
図4を参照して、これに対して本実施の形態の過給機100においては、軸受ハウジング3に、オイル室15と、給油通路3A内の圧力よりも高い圧力を有する空間とを連通させるための連通通路3Hが形成されている。オイル室15には、当該空間から、給油通路3A内の圧力に比べて高い圧力を有する流体が供給されることとなる。給油通路3A内の圧力とは、仕様にもよるが、おおむね大気圧と等しい圧力である。
本実施の形態においては、「給油通路3A内の圧力よりも高い圧力を有する空間」とは、ディフューザ通路1Bである。連通通路3Hは、オイル室15とディフューザ通路1Bとを連通させる。リテーナ12のうちのオイル室15を形成している部分には、連通通路3Hとオイル室15とを接続するための貫通孔12Hが設けられており、ディフューザ通路1Bは、連通通路3Hおよび貫通孔12Hを通して、オイル室15に連通している。
オイルは、スラストカラー9とスラストベアリング10との間の隙間を通過した後、オイル室15の第1室15Aに到達する。過給機100の回転数が低い場合には、第1室15A内のオイルのほとんどは、デフレクタ11の下部に設けられた舌片形状部分を介してオイル室15(第1室15A)の外部へと排出される。過給機100の回転数が上昇するなどしてオイル室15(第1室15A)に到達するオイルの量が多くなると、オイルの一部は、デフレクタ11とシールリングカラー13との間の隙間を通って、オイル室15の第2室15Bへ流入する。ディフューザ通路1Bから高圧の流体が供給されることによって、オイルが上記のように流れる方向において、シールリング14が設けられている位置よりも手前(上流)側に、高圧の空間が形成される。
本実施の形態においては、オイル室15とディフューザ通路1Bとが連通しており、過給機の回転数が上がった時には、ディフューザ通路1Bからより高い圧力を有する流体がオイル室15に供給されることとなる。上記のように流れようとするオイルに対し、オイル室15内の圧力が高くなることは、抵抗として作用する。
たとえば、オイルがスラストカラー9とスラストベアリング10との間の隙間を通過した後、そのまま軸方向に沿ってオイルがコンプレッサ室1Aに近づく方向に移動しようとすることは、高い圧力の作用によって抑制される。オイルがデフレクタ11とシールリングカラー13との間の隙間を通過した後、そのまま軸方向に沿ってオイルがコンプレッサ室1Aに近づく方向に移動しようとすることも、高い圧力の作用によって抑制される。さらに、鍔部13Aの回転によってオイルが遠心力を与えられて、鍔部13Aの側面から半径方向外側に振り飛ばされる。そのようなオイルがコンプレッサ室1Aに近づく方向に移動しようとすることも、高い圧力の作用によって抑制される。
オイルは、コンプレッサ室1Aに近づく方向に移動することを抑制されつつ、重力によって流下する。オイルは、オイル排出口3B(図1)に集められ、ベアリング8やスラストベアリング10を潤滑してから潤滑室3Cへと落ちるドレンオイルと合流し、図示しないオイルパンへと戻る。すなわち、オイルがオイル室15から漏れ出ることはほとんどなくなり、結果として、オイルの消費量が増大することは効果的に抑制される。
(オイルの巻き上げについて)
本実施の形態においては、リテーナ12に設けられた貫通孔12Hが、シャフト4の中心軸4Gの高さ位置よりも重力方向の上側に位置している。したがって、オイル室15(具体的には、図2に示す第2室15B)の上方空間15uに、高圧の流体が供給される。上方空間15uの圧力は、下方空間15dの圧力に比べて高くなる。上述のとおり、上方空間15uと下方空間15dとは、隙間C1,C2を介して連通している。
本実施の形態においては、リテーナ12に設けられた貫通孔12Hが、シャフト4の中心軸4Gの高さ位置よりも重力方向の上側に位置している。したがって、オイル室15(具体的には、図2に示す第2室15B)の上方空間15uに、高圧の流体が供給される。上方空間15uの圧力は、下方空間15dの圧力に比べて高くなる。上述のとおり、上方空間15uと下方空間15dとは、隙間C1,C2を介して連通している。
シールリングカラー13は、シャフト4とともに矢印DR1方向に回転する。シールリングカラー13の鍔部13Aが回転することによって、オイル室15内のオイルは、矢印DR2に示すように巻き上げられる。過給機の回転数が上がった時には、オイル室15内のオイルは、より多く巻き上げられることとなる。
オイルが巻き上げられることは、オイルが流化してドレンパンに向かう方向とは逆向きであり、上方空間15u内のオイルが増加するほど、オイル室15内のオイルは、シールリング14とシールリングカラー13(溝13B)との間の隙間を通過して、コンプレッサ室1Aへとより漏れ出やすくなる。
これに対して本実施の形態においては、上方空間15uの圧力(図6中の二点鎖線で示す領域の圧力)が、下方空間15dの圧力に比べて高くなるように構成される。過給機の回転数が上がった時には、ディフューザ通路1Bからより高圧の流体が供給されるため、上方空間15uの圧力は下方空間15dの圧力に比べてより高くなる。このような圧力の分布は、オイルが(矢印DR2に示すように)巻き上げられることに対して抵抗として作用し、上方空間15u内のオイルが増加することを抑制する。
すなわち、本実施の形態の過給機100によれば、オイル室15内の圧力を高めることによってオイルがコンプレッサ室1Aへ漏れ出ることを抑制できるだけでなく、特に、オイル室15の上方空間15uの圧力を下方空間15dの圧力よりも高くなるように構成することによって、オイルの巻き上げを抑制し、ひいてはオイルがコンプレッサ室1Aへ漏れ出ることをより一層抑制することが可能となっている。これらの効果をより多く得られるものとするべく、連通通路3Hや貫通孔12Hの開口面積を最適化するとよい。
[実施の形態2]
図7は、実施の形態2における過給機102のオイル室15などを拡大して示す断面図である。上述の実施の形態1においては、リテーナ12のうちのオイル室15を形成している部分に、連通通路3Hとオイル室15とを接続する貫通孔12Hが設けられている。リテーナ12には、必ずしも貫通孔12Hが設けられていなくてもよい。
図7は、実施の形態2における過給機102のオイル室15などを拡大して示す断面図である。上述の実施の形態1においては、リテーナ12のうちのオイル室15を形成している部分に、連通通路3Hとオイル室15とを接続する貫通孔12Hが設けられている。リテーナ12には、必ずしも貫通孔12Hが設けられていなくてもよい。
過給機102においては、リテーナ12とデフレクタ11との間に隙間12Uが設けられている。ディフューザ通路1Bは、連通通路3Hおよび隙間12Uを通して、オイル室15に連通している。当該構成によっても、上述の実施の形態1と略同様の作用および効果を得ることができる。
また、上述の実施の形態1における貫通孔12Hや、本実施の形態における隙間12Uは、シャフト4の中心軸4Gの高さ位置よりも重力方向の上側に位置している。この構成は必須ではなく、必要に応じて、貫通孔12Hや隙間12Uは、シャフト4の中心軸4Gの高さ位置よりも重力方向の下側に位置していてもよいし、シャフト4の中心軸4Gの高さ位置と同等の高さ位置に設けられていてもよい。
このような構成によっても、オイル室15内の圧力を高めることによって、たとえば、オイルがスラストカラー9とスラストベアリング10との間の隙間を通過した後、そのまま軸方向に沿ってオイルがコンプレッサ室1Aに近づく方向に移動しようとすることを抑制でき、ひいては、オイルがコンプレッサ室1Aへ漏れ出ることを抑制できる。また、デフレクタ11も、必須の構成ではなく、必要に応じて設けられているとよい。
[実施の形態3]
図8は、実施の形態3における過給機103のオイル室15などを拡大して示す断面図である。上述の実施の形態1においては、「給油通路3A内の圧力よりも高い圧力を有する空間」とは、ディフューザ通路1Bである。
図8は、実施の形態3における過給機103のオイル室15などを拡大して示す断面図である。上述の実施の形態1においては、「給油通路3A内の圧力よりも高い圧力を有する空間」とは、ディフューザ通路1Bである。
図8に示す過給機103においては、「給油通路3A内の圧力よりも高い圧力を有する空間」とは、スクロール通路1Cである。連通通路3Hは、オイル室15とスクロール通路1Cとを連通させており、スクロール通路1Cは、連通通路3Hおよび貫通孔12Hを通してオイル室15に連通している。当該構成によっても、上述の実施の形態1と略同様の作用および効果を得ることができる。
「給油通路3A内の圧力よりも高い圧力を有する空間」とは、ディフューザ通路1Bやスクロール通路1Cとは異なる空間であってもよい。それは、過給機100の内部の空間であってもよいし、過給機100の外部の空間であってもよい。
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 コンプレッサハウジング、1A コンプレッサ室、1B ディフューザ通路、1C スクロール通路、1D 部分、2 タービンハウジング、3 軸受ハウジング、3A 給油通路、3B オイル排出口、3C 潤滑室、3H 連通通路、4 シャフト、4G 中心軸、5 タービンインペラ、6 コンプレッサインペラ、7 ナット、8 ベアリング、9 スラストカラー、10 スラストベアリング、11 デフレクタ、12 リテーナ、12A 中心筒部、12B 凹部、12C,12D ボルト座、12H 貫通孔、12U,C1,C2 隙間、13 シールリングカラー、13A 鍔部、13B 溝、14 シールリング、15 オイル室、15A 第1室、15B 第2室、15d,15u 空間、16,17 ボルト、100,101,102,103 過給機、AR1,AR2,DR2 矢印、LL1,LL2 直線。
Claims (5)
- コンプレッサインペラおよびタービンインペラが取り付けられたシャフトと、
前記シャフト上に設けられたスラストカラーと、
前記スラストカラーの径方向外側に設けられたスラストベアリングと、
前記スラストベアリングが固定されており、前記スラストベアリングおよび前記スラストカラーを介して前記シャフトを回転自在に支持する軸受ハウジングと、
前記コンプレッサインペラを収容するコンプレッサ室と、前記コンプレッサ室の径方向外側に形成されたディフューザ通路と、前記ディフューザ通路の下流に形成されたスクロール通路とを有する、コンプレッサハウジングと、
前記シャフト上に設けられ、前記スラストカラーと前記コンプレッサインペラとの間に位置するシールリングカラーと、
前記シールリングカラーの径方向外側に設けられ、前記軸受ハウジングに固定されており、前記スラストベアリング側にオイル室を形成するリテーナと、
前記リテーナの内周に設けられ、前記シールリングカラーと対向するように配置されたシールリングと、を備え、
前記軸受ハウジングには、前記スラストベアリングと前記スラストカラーとの間にオイルを供給するための給油通路が形成されており、
前記オイル室は、前記スラストベアリングと前記スラストカラーとの間の隙間を通過したオイルを前記軸受ハウジングの側へと排出するものであり、
前記軸受ハウジングには、前記オイル室と、前記給油通路内の圧力よりも高い圧力を有する空間とを連通させるための連通通路が形成されている、
過給機。 - 前記リテーナのうちの前記オイル室を形成している部分には、前記連通通路と前記オイル室とを接続する貫通孔が設けられており、
前記貫通孔は、前記シャフトの中心軸の高さ位置よりも重力方向の上側に位置している、
請求項1に記載の過給機。 - デフレクタをさらに備え、
前記デフレクタは、前記スラストベアリングと前記リテーナとの間の空間を、前記スラストベアリングの側の空間と前記リテーナ側の空間とに分けている、
請求項1または2に記載の過給機。 - 前記連通通路は、前記オイル室と、前記スクロール通路とを連通させている、
請求項1から3のいずれかに記載の過給機。 - 前記連通通路は、前記オイル室と、前記ディフューザ通路とを連通させている、
請求項1から3のいずれかに記載の過給機。
Priority Applications (1)
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JP2016147169A JP2018017156A (ja) | 2016-07-27 | 2016-07-27 | 過給機 |
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JP2016147169A JP2018017156A (ja) | 2016-07-27 | 2016-07-27 | 過給機 |
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JP2018017156A true JP2018017156A (ja) | 2018-02-01 |
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Family Applications (1)
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JP2016147169A Pending JP2018017156A (ja) | 2016-07-27 | 2016-07-27 | 過給機 |
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2016
- 2016-07-27 JP JP2016147169A patent/JP2018017156A/ja active Pending
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