JP2017533815A - 発電所の燃焼排ガスの脱硫排水および他の工業廃水用の廃水処理システム - Google Patents
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Abstract
熱電発電所、他の産業で生成される廃水、および/または他の産業廃水源の廃水を処理するための方法、システム、および/または装置が開示される。この廃水は、直接接触式断熱濃縮システムを含む廃水濃縮器を通って導かれる。高温の供給ガスのストリームが、この廃水濃縮器を通って流れる。この廃水濃縮器は、この高温供給ガスを直接この廃水流と混合し、この廃水から水を蒸発させる。この廃水濃縮器は、この水蒸気を、残りの濃縮された廃水から分離する。搭載されている気液界面液体蒸発器は、この廃水濃縮器によって処理される前に、この廃水を前処理するように配設することができる。【選択図】 図5
Description
本発明は、概して、熱電発電所、他の産業プラント、および/または他の産業の発生源で生成される廃水処理用の方法、システム、および/または装置に関する。
たとえば石炭、石油のような炭化水素を燃焼する発電所、および/または天然ガスを燃焼する発電所を含む熱電発電所、および原子力発電所、および他の重工業でのプロセスは、様々な処理を行うためおよび補助的な機能を提供するための非常に多量な水を使用する。この水は、しばしば、たとえば付近の川または湖等の周囲環境から取り込まれ、そしてこの水は、場合によりこの川または湖に戻される。
問題は、しばしばこの水がこの工業処理からの化学物質および/または廃棄生成物によって汚染され、廃水となることである。このためこの廃水を環境に戻す前に、しばしばその汚染物質をある程度あるいは全て除去することが必要となる。
炭化水素を燃焼する熱電発電所で生成される1つの具体的な廃水源は、燃焼排ガスの脱硫(flue gas desulfurization,"FGD")用のパージ水または「ブローダウン」である。FGD用パージ水は、燃焼排ガス、すなわちボイラまたは他の炭化水素燃料の燃焼プロセスからの排出ガスのストリームから除去された硫黄および/または他の化学物質を含む廃水またはスラリである。FGD用パージ水は、燃焼排ガス脱硫システムの副産物であり、通常このシステムではアブソーバと呼ばれる部品において、硫黄および他の汚染物質が燃焼排ガスから除去される。このアブソーバにおいては、硫黄および/または他の汚染物質が燃焼排ガスから除去され、通常は燃焼排ガスのストリームを、様々な化学物質を輸送する水ベースのスラリと共に噴霧することによって、この硫黄および/または他の汚染物質を除去することを助けるように設計されている。このスラリは、上記の燃焼排ガスのストリームの中へ噴霧された後に回収され、通常は上記のアブソーバを通して何回も再循環される。FGDパージ水は、たとえばこのスラリに溶けた固体物の全量(total dissolved solids、"TDS")をある事前に選択された範囲内またはある事前に選択された上限値未満に維持するように、このスラリにおける硫黄および/または他の汚染物質の集積が増加する際にこのスラリから取り除かれる廃水流である。
発電所および他の工業プラントでしばしば発生する、もう1つの廃水源は、冷却塔のパージ水または「ブローダウン」である。上記のFDGパージ水と同様に、冷却塔パージ水は、溶けた固体を含む廃水であり、通常この冷却水における上記のTDSを、ある事前に選択された範囲内かまたはある事前に選択された上限未満に維持するために、排出ガスを冷却するために用いられる用水から取り除かれたものである。
発電所でしばしば発生するもう1つの廃水源は、発電所その他における、主復水器以外の様々な熱交換機または冷却器を冷却するために用いられる給水である。上記のFGDパージ水および上記の冷却塔パージ水と同様に、通例この給水は溶けた固体物を集積するが、通例その程度は管理される必要がある。
この給水、FGDパージ水、および冷却塔パージ水は、通例環境に戻すかまたはこの工業プラント内でさらに使用するために再循環する前に、この溶けた固体物をある程度または全て取り除くために処理される必要がある。
本発明のいくつかの態様である1つ以上の、方法、システム、および/または装置は、熱電発電所における廃水を処理するために開示されているものであり、水を周辺環境に戻すかまたはこの水をこの発電所内でさらに使用するために再循環する前に、直接接触式断熱濃縮システムを含む廃水濃縮器を用いて処理するものである。この方法、システム、および装置は、硫黄または他の酸性ガスを含む廃水流を生成する他のプロセス、たとえば石油化学精製所および/または天然ガス処理プラントに適用することができる。
本発明の他のいくつかの態様である1つ以上の、方法、システム、および/または装置は、多段処理システムにおいて廃水を処理するために開示されているものであり、この多段処理システムでは、第1の段階が貯留所に設置されて機能する液体蒸発器を含み、第2の段階はこの貯留所から廃水を受け取るための、この容器に接続されて機能する廃水濃縮器を含む。この多段処理システムは、熱電発電所での廃水を処理するためのシステムの一部として使用することができるが、この熱電発電所での使用に限定するものではない。
本発明の1つの例示的な態様によれば、熱電発電所用の廃水処理システムは、熱電発電所において生成される、直接接触式断熱廃水濃縮システムを搭載している廃水濃縮器を通って流れる廃水流を含む。高温の供給ガスのストリームが、同時にこの廃水濃縮器を通って流れる。この廃水濃縮器は、この高温供給ガスを直接この廃水と混合し、この廃水から水を蒸発させて水蒸気および濃縮された廃水を生成する。この廃水濃縮器は、この水蒸気をこの濃縮された廃水から分離する。この廃水濃縮器は、水蒸気および上記の供給ガスの一部または全部を含む放出ガスを排出する。この放出ガスは、大気に排出され得るが、またはさらなる処理、回収、または使用のために他の部品へ排出され得る。残っている濃縮された廃水あるいは放出ブラインは、さらなる濃縮のためにこの廃水濃縮器を通って再循環されてよく、および/またはさらなる処理、回収、および/または処分が行われてよい。
本発明のもう1つの例示的な態様によれば、直接接触式断熱廃水濃縮システムを搭載している廃水濃縮器を用いた熱電発電所からの廃水を処理する方法が開示されている。この発電所は、廃水源および高温供給ガス源を含む。この方法は、上記の高温供給ガスのストリームを受け取ってこの廃水濃縮器に投入するステップと、この熱電発電所から導管を介して上記の廃水を含む供給廃水を受け取ってこの廃水濃縮器に投入するステップと、この廃水濃縮器においてこの高温供給ガスをこの供給廃水と直接混合して、この供給廃水から水蒸気を蒸発させるステップと、この廃水濃縮器においてこの水蒸気をこの供給廃水から分離して、濃縮された放出ブラインおよび放出ガスを生成するステップと、この廃水濃縮器からの放出ガスを排出するステップと、を備える。
本発明のもう1つの例示的な態様によれば、熱電発電所は、たとえば電力を生成するための発電機に接続されて機能するタービンを回転するための蒸気を生成するためのボイラ等の熱電発電装置および/またはガスタービンと、直接接触式断熱廃水濃縮システムを有する廃水濃縮器と、この廃水濃縮器に接続されて機能する、この廃水濃縮器に供給廃水を供給する廃水源と、およびこの廃水濃縮器に接続されて機能する、上記の高温供給ガスをこの廃水濃縮器に供給する高温供給ガス源とを含む。この廃水濃縮器は、上記の高温供給ガスを直接この供給廃水と混合し、この供給廃水から水蒸気を蒸発させ、この水蒸気をこの供給廃水から分離し、この際放出ブラインおよび放出ガスを生成し、この放出ガスを大気および/または他の処理部品へ排出し、そしてこの放出ガスから分離される放出ブラインのさらなる処理および/または処分を行うためにこの放出ブラインを供給する。
さらに、上記の例示的な態様のいずれか1つ以上においては、発電所の廃水を処理するためのシステム、装置、および/または方法、および/または多段階廃水処理システムは、さらに任意に以下の好ましい形態のいずれか1つ以上を含んでよい。
いくつかの好ましい形態においては、上記の廃水は、発電所からのパージ水、用水、浸出水、および/または一時貯留水を含む。このパージ水は、上記の燃焼排ガス脱硫システムからの燃焼排ガス脱硫パージ水および/または冷却塔からのパージ水を含み得る。
いくつかの好ましい形態においては、熱電発電所は、蒸気を発生するための炭化水素を燃焼する燃焼加熱器を有するボイラと、この燃焼加熱器からの燃焼排ガスの第1のストリームと、燃焼排ガス脱硫システムと、を含む。この燃焼排ガス脱硫システムは、この燃焼加熱器からの燃焼排ガスの上記の第1のストリームに接続されて機能するようになっていてよい。この燃焼排ガス脱硫システムは、硫黄および/または他の汚染物質をこの燃焼排ガスから除去するように、たとえばアブソーバを有して構成されていてよく、燃焼排ガス脱硫パージ水を生成するように構成されていてよい。この燃焼加熱器は、炭化水素、たとえば石炭、石油、および/または天然ガスを燃焼するものであってよい。上記の廃水濃縮器は、上記の燃焼排ガス脱硫システムに接続されて、上記の燃焼排ガス脱硫パージ水を含む供給廃水を受け取るように機能するようになっていてよい。いくつかの態様においては、熱電発電所は、他のタイプの熱電発電機、たとえばガスタービンを含んでよい。このガスタービンは、たとえば単独で一次電力発生プラントとして、および/または他のタイプの熱電発電機と組み合わせるピークシェービングまたはバックアップ電力発生プラントとして使用されてよい。
いくつかの形態においては、熱電発電所は、冷却塔を含んでよい。この冷却塔は、冷却塔パージ水を生成する。上記の廃水濃縮器は、この冷却塔に接続されて、この冷却塔パージ水を含む供給廃水を受け取るように機能するようになっていてよい。
いくつかの形態においては、熱電発電所は用水を生成する。上記の廃水濃縮器は、この用水源に接続されて、濃縮のためにこの用水を含む供給廃水を受け取るように機能するようになっていてよい。
いくつかの形態においては、上記の廃水濃縮器は、発電所の浸出水源に接続されて、濃縮のためにこの発電所の浸出水が上記の廃水濃縮器に供給されるように機能するようになっていてよい。
いくつかの好ましい形態においては、上記の廃水濃縮器は、一時貯蔵所に接続されて、この一時貯蔵所からの水が濃縮のためにこの廃水濃縮器に供給されるように機能するようになっていてよい。
いくつかの好ましい形態においては、上記の高温供給ガスは、高温排出ガスまたはこの発電所内の1つ以上の他のプロセスからの他の廃熱を含む。上記の高温供給ガスは、上記の燃焼排ガスの第1のストリームからたとえばスリップストリームのように取り出され、上記の燃焼加熱器用の燃焼空気の予熱器からの熱風から取り出されてよい。上記の高温供給ガスは、約150°F〜約800°Fの温度で上記の第1のストリームから取り出されてよい。このスリップストリームは、この第1のストリームがバーナー用の燃焼空気の予熱用の燃焼空気予熱器を通過した後で、この第1のストリームから取り出されてよい。このスリップストリームは、この第1のストリームが上記の燃焼排ガス脱硫システムに到達する前に、この第1のストリームから取り出されてよい。上記の燃焼加熱器は、石炭燃焼ボイラ、内燃エンジン、タービンスタック、および他の燃焼装置のいずれか1つ以上を含んでよい。このボイラは、発電機用のタービンへの供給蒸気を発生するボイラを含んでよい。
いくつかの好ましい形態においては、上記の高温供給ガスは、上記の燃焼空気予熱器によって生成された熱風から取り出されてよい。この燃焼空気予熱器からの熱風は、高温供給ガスとして供給される前に、任意に、たとえばフレアーまたはバーナーを用いてさらに加熱されてよい。
いくつかの好ましい形態においては、上記の高温供給ガスは、フレアーまたはバーナーによって直接燃焼される。このフレアーまたはバーナーは、上記の廃水濃縮器に供給される高温供給ガスの加熱専用となっていてよい。
いくつかの好ましい形態においては、上記の高温供給ガスは、たとえば非常用ガスタービンまたは他のピークシェービング発電機のような非常用発電装置から取り出される。
いくつかの好ましい形態においては、上記の高温供給ガスは、ここで説明する熱風源のいずれか1つ以上を含む、複数の異なる熱風源から取り出される。
いくつかの好ましい形態においては、上記の廃水濃縮器は、たとえばベンチュリ(venturi)蒸発装置またはドラフトチューブ蒸発器のような、上記の廃水を混合し、蒸発させて直接上記の高温排出ガスに投入する装置を含む。この廃水濃縮器は、クロスフロー気液分離器、サイクロン式気液分離器あるいは湿式静電集塵器のいずれか、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでいてよい。この廃水濃縮器は、発電所に恒久的に設置されていてよい。この廃水濃縮器は、可搬型であって、発電所に一時的に設置されるものであってよい。
多段廃水処理システムを形成する、いくつかの好ましい形態においては、上記の廃水は、処理のために第2の段階で上記の廃水濃縮器に廃水として供給される前に、第1の段階で追加の廃水処理システムによって前処理されてよい。この前処理は、貯留所に設置されて機能する液体蒸発器を含んでよく、上記の廃水を上記の廃水濃縮器に供給する前に、この廃水の少なくともある程度の水を蒸発させるようにしてよい。この貯留所は、発電所からの廃水を、たとえば1つ以上の供給管を介して受け取ってよい。この貯留所は、上記の廃水濃縮器に1つ以上の追加的な放出管を介して接続されて機能するようになっていてよい。上記の廃水は、この発電所における1つ以上のプロセスから上記の供給管を介してこの貯留所に流入してよい。上記の廃水は、上記の放出管を介してこの貯留所から上記の廃水濃縮器に流入してよい。上記の液体蒸発器は、好ましくは強制空気源に接続されて、部分的に封止された容器内で、たとえば多量の上記の廃水の中での空気泡の形成等によって、不連続気相を廃水の連続液相と激しく混合する。この強制空気は、たとえばこの発電所内の燃焼排ガスのような廃熱源または他の廃熱源によって、加熱されてよい。上記の液体蒸発器は、単にこの発電所の種々のプロセスからの直接の廃水を供給廃水として供給する以外に、この廃水を前処理してさらに濃縮された供給廃水を上記の廃水濃縮器に供給してよい。第2の段階での廃水濃縮器用の供給廃水を前処理するために、第1の段階で使用される液体蒸発器を組み合わせることは、上記で例示した熱電発電所に加えて他の使用環境で実施されてよい。
いくつかの好ましい形態においては、上記の廃水濃縮器によって生成された、濃縮された放出ブラインは、追加の処理システムおよび/または方法によって後処理される。この放出ブラインは、後処理プロセスにおいて脱水されてよい。この後処理プロセスにおいて、この放出ブラインから除去された液体は、上記の廃水濃縮器へ再循環されて再処理されてよい。
いくつかの好ましい形態においては、静電集塵機(electrostatic precipitator, ESP)、湿式静電集塵機(wet electrostatic precipitator, WESP)、および/またはバグフィルタが上記の燃焼排ガスの第1のストリームまたは燃焼排ガスのスリップストリームに接続されて機能するようになっている。このESP,WESP,またはバグフィルタは、上記の燃焼排ガスが上記の廃水濃縮器に進入する前に、この燃焼排ガスからフライアッシュおよび/または他の汚染物質を除去するために配設されていてよい。
いくつかの好ましい形態においては、上記の廃水濃縮器から排出される放出ガスは、大気へ放出する前にさらなる処理のために、1つ以上の追加の放出制御システムに導かれる。上記の廃水濃縮器からの放出ガスは、このプラントの排出ストリームに戻される前に加熱または再加熱されてよい。この放出ガスは、バーナー,電気ヒータ,または他の加熱されたガスのストリームのいずれか、またはこれらの任意の組み合わせを用いて加熱または再加熱されてよい。この放出ガスは、酸性ガスの凝縮温度より上に加熱されてよい。この放出ガスは、上記の燃焼排ガス脱硫システムに戻されてよい。この放出ガスはまた、あるいは代替として、さらなる処理または回収を行うことなく直接大気に排出されてよい。
他の態様および形態が以下の詳細な説明を考慮し、および添付された請求項を参照して明らかにされる。
ここで図を参照すると、 図1は、熱電発電所12における発電所廃水を処理するための例示的な廃水処理システム10を示す。このシステム10は、廃水濃縮器14を含む。この廃水濃縮器14は、たとえば導管16を介して第1の流入口17においてこの熱電発電所12内の1つ以上のプロセスによって生成された廃水のストリームに接続されて機能するようになっている。またこの廃水濃縮器14は、たとえば導管18を介して第2の流入口19において高温供給ガスのストリームに接続されて機能するようにもなっている。廃水濃縮器14は、直接接触式断熱濃縮システムを含み、ここでこの廃水濃縮器14は、導管18からの高温供給ガスのストリームを、直接に導管16からの廃水のストリームと混合し、この廃水から水を蒸発させて水蒸気および濃縮された廃水を生成する。この廃水濃縮器14は、上記の供給廃水から、水蒸気を残りの濃縮された廃水から分離する。この廃水濃縮器14は、この水蒸気および、この時点で冷却されている供給ガスを含む放出ガスのある部分または全てを、排出蒸気のストリームとして排出し、たとえば導管20を介して排出用流出口22から排出する。この放出ガスは、大気に排出されてよく、たとえば燃焼排ガス排出スタック40を通ってこのプラントの排出システムに排出されてよく、あるいはさらなる処理、回収、または使用のために別の部品(不図示)に排出されてよい。廃水濃縮器14は、上記の濃縮された排水の放出ブラインを、ブライン放出用流出口24を通って放出し、このブライン放出用流出口は、好ましくは上記の廃水濃縮器14からの放出ブラインを輸送するために配設された導管25に接続されて機能するようになっている。この導管25は、この放出ブラインの処理および/または処分のために、任意に上記のブライン放出用流出口24を後処理システム24に接続して機能するようになっている。いくつかの構成においては、このブライン放出用流出口24はまた、あるいは代替として、上記の第1の流入口17または第3の流入口(不図示)に接続されて機能し、さらなる処理および濃縮のために上記の放出ブラインを、廃水濃縮器14を通して再循環するようになっている。
1つの好ましい構成においては、システム10は、熱電発電所12からの液体放出がゼロとなっている。この構成においては、廃水濃縮器14からの放出ブラインは、この放出ブラインがTDSの飽和レベル、またはむしろTDSの過飽和レベルに達するまで、この廃水濃縮器14を通って再循環されてよい。次にこの放出ブラインは、1つ以上の追加の脱水システム、および/または他の水除去システムおよび/または固体除去システムを有する後処理システムによってさらに処理されてよく、たとえば圧縮型脱水システムを用いて、全ての水が、あるいは実質的に全ての水が固体物から分離されるまで処理されてよい。水が固体物から分離されて、連続的に上記の廃水濃縮器に戻されるので、この稼働モードはゼロ液体放出(zero liquid discharge, ZLD)を可能とし、残った固体物は所望に適切なやり方で処分することができる。
熱電発電所12は、どのようなタイプの発電所であってもよく、たとえば原子力発電所または炭化水素を燃焼する発電所であってよい。図示された例示的な構成においては、熱電発電所12は、炭化水素を燃焼する発電所である。この熱電発電所12は、1つ以上の燃焼ヒータ30を含み、たとえば発電機タービン(不図示)を回転するためにボイラの供給水31を加熱して蒸気33にするボイラを含む。このボイラ30は、高温燃焼排ガスの主ストリーム32を放出し、この高温燃焼排ガスは順に、このボイラ30に接続されて機能するエコノマイザ34、ボイラの燃焼供給空気を予熱するための空気予熱器36、この燃焼排ガスからフライアッシュおよび二酸化硫黄を除去するための燃焼排ガス脱硫システム(flue gas desulfurization system, "FGD")38、およびこの燃焼排ガスを大気に排出するための燃焼排ガス排出スタック40を通過する。このボイラ30は、石炭燃焼ボイラ、ガス燃焼ボイラ、および/または石油燃焼ボイラであってよい。
いくつかの選択可能な構成においては、例示的なFGDシステム38は、たとえば布製のバグフィルタのようなフライアッシュ除去装置42、静電集塵機(electrostatic precipitator, "ESP")または湿式静電集塵機(wet electrostatic precipitator, "WESP")が空気予熱器36に接続されて機能するようになっており、湿式スクラバ44がフライアッシュ除去装置42に接続されて機能するようになっており、そして二酸化硫黄を除去するためのアブソーバ46がこの湿式スクラバ44に接続されて機能するようになっている。吸着剤スラリ、たとえば粉末石灰を含むスラリはアブソーバ46を通って循環され、燃焼排ガスと混合されて硫黄酸化物(SOx)および/または他の汚染物質をこの燃焼排ガスから取り込んで沈殿する。このスラリはこのアブソーバを通って再循環されるので、このスラリにおけるTDSは増加する。このスラリを事前に設定された範囲内あるいは事前に設定された最大のTDS未満に維持するために、高濃度のTDSを有するスラリの少量がこのアブソーバから取り出され、この際低濃度のTDSを有する未使用の組成の吸着剤スラリ48がこのアブソーバ46に供給されて、このアブソーバ46を通って循環されるスラリの所望のTDS濃度が維持される。沈殿したSOxの生成物、石膏49は、アブソーバ46から取り出されて、続けて使用、販売、または処分される。
ここで記載する熱電発電所12およびFGDシステム38は、上記の廃水処理システム10がどのように熱電発電所12に組み込まれてここで生成される廃水を処理するかということを理解するための背景を充分示すために例示的にのみ提供されているものである。なお熱電発電所12およびFGDシステム38は、従来技術で良く知られているような追加および/または代替の部品を含んでいてよく、これらについては本願ではさらに説明対象としない。
アブソーバ46から取り出された、燃焼排ガス脱硫(FGD)パージ水あるいは「ブローダウン」と呼ばれる高TDS濃度のスラリは、稼働時には1つ以上の導管16を介して流入口17に導かれ、供給廃水として機能するように廃水濃縮器14に供給される。高温供給ガスもまた、1つ以上の導管18によって、流入口19に供給され、この廃水濃縮器14の内部で上記の供給廃水と直接混合される。好ましくは上記の高温供給ガスおよび上記の供給廃水は、上記の廃水濃縮器14に連続的に供給され、かつ同時に連続的な直接混合および蒸発が促進される。
1つの選択可能な多段システムにおいては、上記のFGDパージ水は、廃水濃縮器14に進入する前に、適宜前処理が行われる。たとえば導管16は、アブソーバ46と前処理装置50の一部とを適宜接続するように機能して、第1の段階を形成するこの前処理装置50にFGDパージ水を配給する。この導管16は、この前処理装置50と流入口17とを接続するように機能し、上記の供給廃水を、この前処理システムにおいて処理した後、廃水濃縮器50に配給する。こうして第2の段階が形成される。この前処理装置50は、廃水濃縮器14における供給廃水の後処理に不適合とならないような、どのようなタイプの前処理システムであってもよい。他の構成においては、上記の廃水は前処理されず、この場合上記の前処理装置50は省略され、そして導管16は直接に廃水濃縮器14に接続される。
いくつかの選択可能な構成においては、冷却塔パージ水は、追加的にまたは代替として、冷却塔52からの冷却水から取り出され、そして供給廃水として廃水濃縮器14に供給される。たとえば導管54は、機能的に導管16に接続されるかまたは直接流入口17に接続されることによって、冷却塔52を流入口17に接続するように機能する。この導管54は、適宜前処理装置50に接続されて機能し、冷却塔パージ水が供給廃水の一部として廃水濃縮器14に供給される前に、この冷却塔パージ水を、この前処理装置50に導いてこの前処理装置を通過させるようになっている。
いくつかの選択可能な構成においては、他の様々なプロセスおよび装置からの用水は、追加的にあるいは代替として、供給廃水として廃水濃縮器14に供給される。たとえば導管56は、用水を接続するように機能し、この用水はこのプラントの様々な場所および/または他の装置(57で略示)で収集されて廃水濃縮器14に送られる。この導管56は、適宜導管16に接続されて機能し、前処理装置50は用水が廃水濃縮器14に進入する前にこの用水を前処理し、および/または流入口17に進入する供給廃水に直接接続されている。こうしてこのプラント全体からの用水は、追加的にまたは代替として、廃水濃縮器14に同様に供給される。もう1つの例においては、熱電発電所12は、たとえば石膏、フライアッシュ、およびまたは他の廃棄生成物等の固形または反固形の廃棄生成物が保持される、たとえば埋立エリアのような処分エリアからの浸出水や、流出水のような発電所浸出水を生成し得る。このような場合、廃水濃縮器14は、いくつかの構成において、この発電所浸出水源に接続されて機能するようになっており、この発電所浸出水が処理のために廃水濃縮器14に供給されるようになっている。もう1つの例においては、熱電発電所は、水および廃棄物質の混合物用の1つ以上の一時貯留所、たとえば溜池、蒸発池、沈殿池、または無蓋の沈殿槽を含んでよく、これらは様々な廃棄物を含み得る水を保持する。このような場合、廃水濃縮器14は、この一時貯留所に接続されて機能し、この一時貯蔵所からの水が処理のためにこの廃水濃縮器14に供給されるようになっている。発電所の浸出水源およびこの一時貯留所は番号57で簡単に示されている。こうして、廃水濃縮器14に供給される供給廃水は、ここで説明した例示的な廃水源のいずれか1つ以上を含み得、および/または発電所で生成されるかまたは発電所を源とする他のタイプの廃水を含み得る。
上記の高温供給ガスは、いくつかの任意に選択可能な構成においては、この発電所12における他のプロセスからの廃熱を用いて加熱され、および/または専用の加熱システムによって加熱される。図1に示す例示的な構成においては、上記の高温供給ガスは燃焼排ガスの主ストリーム32から分れた、たとえば導管18に沿った、燃焼排ガスのスリップストリームを用いて直接的または間接的に加熱される。このスリップストリームは、主ストリーム32に沿って1つ以上の部位から取り出されてよい。この例示的な構成においては、導管18は、この主ストリーム32に接続されて機能してエコノマイザ34と空気予熱器36との間で高温燃焼排ガスを取り出すようになっている。しかしながら、この導管18はまた、あるいは代替的に、主ストリーム32に接続されて機能し、ボイラ30とエコノマイザ34との間、空気予熱器36とフライアッシュ除去装置42との間、フライアッシュ除去装置42と湿式スクラバ44との間、および/または湿式スクラバ44とアブソーバ46との間で、高温燃焼排ガスを取り出すようになっていてよい。上記の高温供給ガスは、このスリップストリームがどこで主ストリーム32に接続されるか、および上記の高温ガス用の加熱部の配設が直接的か間接的かに依存して、約150°F〜約800°Fの温度を有し得る。上記の高温燃焼排ガスは、廃水濃縮器14に直接的に供給されてよく、および/またはたとえば熱交換器によって、きれいなガス/空気またはもっときれいなガス/空気を直接加熱するために使用されてよい。発電所内の他の廃熱源、たとえば複数のフレアー、バーナー、蒸気凝縮器、およびエンジンからの廃熱源もまた、あるいは代替として、廃水濃縮器14に流入口19で供給される高温供給ガスを加熱するために用いられてよい。1つの構成においては、この燃焼空気予熱器36を廃水濃縮器14と接続して機能する、任意に追加される導管18"で示すように、上記の高温供給ガスは、燃焼空気予熱器36によって生成される加熱された空気から取り出される。この燃焼空気予熱器36からの加熱された空気は、高温供給ガスとして供給される前に、任意に追加的にさらに加熱されてよく、たとえば導管18"に沿って配置されて機能するフレアーまたはバーナー18aを用いて加熱されてよい。この導管18"は、流入口19に直接接続されてよく、あるいはこの流入口19に、たとえば上記の導管18との接続を介して接続されて機能するようになっていてよい。追加としてまたは代替的に、上記の高温供給ガスは、フレアーまたはバーナーによって直接燃焼されてよく、これはこの供給ガスが流入口19に供給される前に加熱されるための専用のものであってよい。もう1つの構成においては、廃水濃縮器14は、たとえば非常用ガスタービンまたは他のピークシェービング発電装置(不図示)等の非常用発電装置の一部に接続されて機能し、たとえば高温排ガスまたはこの装置で生成された加熱された空気が、ここで説明したと同様に、供給廃水を加熱するために、廃水濃縮器14に供給されるようになっている。また、いくつかの構成においては、廃水濃縮器14は複数の異なる廃熱源に接続されて機能するようにも考案されており、たとえばここで説明したいずれか1つ以上の廃熱源または他の廃滅源に接続されて機能し、供給廃水を加熱するために高温供給ガスを流入口19に供給するようになっている。たとえばボイラ30からの高温燃焼排ガス等の発電所12における他のプロセスからの廃熱を使用することの利点は、さらに良い効率を得ることであり、および/または大気へ放出される、使用されない廃熱のロスを低減することによって、環境への悪影響を低減することである。
図2に概略的に示すように、廃水濃縮器14には、直接接触式断熱濃縮システムが組み込まれている。この廃水濃縮器14は、廃水供給用流入口17、高温ガス供給用流入口19、直接接触式蒸発部58、気液分離器またはガス巻き込み分離器60、ガス放出用流出口22、およびブライン放出用流出口24を含む。廃水供給用流入口17および高温供給ガス用流入口19は、直接接触式蒸発部58の中へ開いている。この直接接触式蒸発部58においては、高温供給ガスと供給廃水とが、たとえば直接混合によって互いに直接接触し、高表面積気液界面を形成し、ここからたとえばバーナー等の専用の熱源を必要とすることなく、この供給廃水の水が蒸発して供給ガスに入り込み、水が高速に蒸発してこの供給ガスに入り込むようになっている。むしろ、たとえば2012年6月13日出願のUS特許出願第13/548,838号、2010年2月12日出願のUS特許出願第12/706,462号、および2012年6月20日出願のUS特許出願第61/673,967号のいずれにも記載されて説明されているようなベンチュリ装置を用いて、この高表面積気液界面を形成することによって、たとえば連続した空気量を不連続な水量と高速に混合することによって高速な蒸発が実現され、あるいはUS特許第7,416,172号に説明されているようなドラフトチューブを有する液体に沈み込んだガス蒸発器におけるように、連続した水量を不連続な空気量と高速に混合することによって高速な蒸発が実現される。1つの好ましい構成においては、廃水濃縮器14は、ハートランドテクノロジーパートナーズ社、9870、ビッグベンド通り、セントルイス、ミズーリ州、のLM−HT(米国登録商標)廃水蒸発器の1つ以上の態様を含む。この廃水濃縮器14は、上記の特許および出願特許に開示された態様および特徴のいずれか1つ以上を含み、これらの特許および出願特許の全体はここで参照することにより本願に組み込まれるものである。直接接触式蒸発部58は、たとえば導管および/または開口部によって気液分離器60に接続されて機能し、上記の供給ガスと上記の廃水から蒸発された水蒸気とを含む混合ガス、およびこの混合ガスに巻き込まれた廃水が気液分離器60に移動するようになっている。この直接接触式蒸発部58から出る混合ガスに巻き込まれた廃水は、気液分離器60においてこの混合ガスから分離される。気液分離器60は、クロスフロー式気液分離器であってよく、ここでこの混合ガスおよびこれに巻き込まれた液体のストリームが、強制的に1つ以上のデミスターパネルを通過させられ、このガスに巻き込まれた液体がガスから分離される。代替として、気液分離器60は、サイクロン式気液分離器であってよく、またはクロスフロー式気液分離器とサイクロン式気液分離器とを組み合わせたものであってよい。サイクロン式気液分離器内では、ガスおよびガスに巻き込まれた液体のストリームが、強制的にサイクロン室を通過させられ、ガスに巻き込まれた液体がガスから分離される。1つの構成においては、廃水濃縮器14は、毎分約30ガロン(gpm)の、新たな廃水および放出ブラインからの循環される廃水を含む供給廃水のプロセス処理速度を有するような大きさとなっており、および/または約30%〜60%のTDSを有する放出ブラインを生成する。他の構成においては、廃水濃縮器14は、より大きなプロセス処理速度、たとえば60gpm、100gpm、200gpmまたはこれ以上であってよく、より小さなプロセス処理速度、たとえば30gpm以下であってよく、およびこれらの範囲の間のいずれのプロセス処理速度となるような大きさであってよい。廃水濃縮器14は、好ましくは恒久的に熱電発電所12に設置されている。代替として、廃水濃縮器14は、可搬性であり、一時的にこの熱電発電所12に設置されるものであってよい。
図4は、廃水濃縮器14の1つの例示的な構成を示しており、この廃水濃縮器は直接接触式断熱濃縮システムが組み込まれており、ここで直接接触式蒸発部58はベンチュリ装置62を含み、そして気液分離器60は、クロスフロー式気液分離器64を含む。導管18は流入口19に接続されており、この流入口はベンチュリ装置62の中へ開いており、高温供給ガスを廃水濃縮器14に供給するようになっている。導管16は流入口17に接続されており、この流入口はベンチュリ装置62の中へ開いており、供給廃水を廃水濃縮器14に供給するようになっている。高温の供給ガスおよび供給廃水は、強制的にベンチュリの狭窄したスロートを通過させられ、この狭窄したスロートは導管18を通過するガスの速度に比べて速度を増加させ、ここで高温の供給ガスおよび供給廃水が完全に混合されて高速な水蒸気の蒸発を引き起こす。ベンチュリ装置62のスロートから、混合された廃水およびガスは導管66を介してクロスフロー式気液分離器64に導かれる。クロスフロー式気液分離器64は、内部空間を形成する外殻68、この内部空間への流入ポート70、およびこの内部空間からの流出ポート72を含み、そして複数のデミスターパネル74がこの流入ポート70と流出ポート72との間でこの内部空間に設置されている。これらのデミスターパネル74は垂直に支持されており、流入ポート70と流出ポート72との間のガスフロー経路に対して90°で交差するようになっており、この内部空間を通って流れるガスによって輸送される巻き込まれた廃水を収集し、そして収集された廃水をこの内部空間の底の汚水槽76に蓄積するように配設されている。導管20は流出ポート72に接続されており、そしてファン78は任意に追加的にこの導管20に接続されて機能し、この内部空間に渡って負圧を付与して廃水濃縮器14を通るガスを取り出すようになっている。この例示的な廃水濃縮器14に関するさらなる詳細は、上記した米国特許出願第12/705,462号に記載されている。
再び図1,2を参照すると、1つの例示的な方法においては、熱電発電所12における様々なプロセスによって生成される廃水、たとえばFGDシステム38および/または冷却塔52からのパージ水および/または用水は、以下の好ましい例示的な処理ステップに基づいて廃水濃縮器14内で処理される。高温供給ガスのストリームは、流入口19に接続されて機能する導管18を用いて廃水濃縮器14に供給される。好ましくは、導管18は主燃焼排ガスストリーム32に接続されて機能し、上記の高温供給ガスがボイラ30からの廃熱を用いて加熱されるようになっている。パージ水(複数)および/または用水の1つ以上を含む、供給廃水のストリームは、1つ以上の流入口17に接続されて機能する1つ以上の導管16を介して廃水濃縮器14に供給される。この導管16は、パージ水(複数)および/または用水の1つ以上に接続されて機能する。上記の高温供給ガスは、廃水濃縮器14の内部で上記の供給廃水と直接混合され、たとえば直接接触式蒸発部58において、この供給廃水から水蒸気を蒸発させるようになっている。好ましくは上記の高温供給ガスおよび上記の供給廃水は、ベンチュリ装置を通って導かれることによって混合される。次にこの水蒸気およびガスは、ガスに巻き込まれた濃縮された廃水から、廃水濃縮器14において、たとえば気液分離器60の内部で分離され、この際濃縮された放出ブラインおよび放出ガスを生成する。この放出ブラインは、この水蒸気およびガスから分離された、濃縮された廃水を含んでいる。この放出ガスは、上記のガスおよび水蒸気を含んでいる。この後この放出ガスは廃水濃縮器14から、たとえば排出用流出口22を通り、そして導管20を介して排出される。この放出ブラインは周期的または連続的に廃水濃縮器14から放出用流出口24を通って放出される。
1つの選択可能な構成においては、この放出ブラインは、固液分離器を含む後処理装置26に供給される。この固液分離器はこのブラインにおける固体と液体とを分離する。この液体は、廃水濃縮器14による再処理のために、たとえばこの固液分離器を上記の流入口(複数)17の1つに接続して機能する、戻し導管80を用いて戻される。固体はこの固液分離器から除去されて、さらなる処理、再使用、および/または処分が行われる。
図3を参照すると、上述した処理ステップに加えて、廃水濃縮器14を有する熱電発電所12からの廃水の処理のための、追加および代替の、任意に選択可能な例示的な処理ステップが示されている。この例示的な構成においては、導管16はFDGシステム38に接続されて機能し、FGDパージ水を、廃水濃縮器14の流入口17に供給される供給される供給廃水の一部として供給する。このFGDパージ水は、たとえば廃水濃縮器14に進入する前に導管16に沿って配置されて機能する前処理装置50によって、前処理される。導管18は主燃焼排ガスストリーム32に接続されて機能する。たとえばESP,WESP,またはバグフィルタのようなフライアッシュ除去装置82は、好ましくは導管18に沿って配置されて機能し、燃焼排ガスが廃水濃縮器14に進入する前に、フライアッシュおよび/または他の微粒子状物質を除去および/または低減するようになっている。代替的または追加的に、主燃焼排ガスストリームからの高温燃焼排ガスは、処理されること無しに、たとえば主燃焼排ガスストリーム32に接続されて機能する第1の端部と廃水濃縮器14の流入口19に接続されて機能する第2の端部とを有する導管18'によって、廃水濃縮器14に供給されてよい。いくつかの構成においては、供給廃水のストリーム中に再投入されるか、あるいは供給廃水のストリームからの除去が不完全とされるかによって、制御された量のフライアッシュをこの供給廃水中に供給することができる。導管20は、追加の放出制御装置、たとえば再加熱器84に接続されて機能する。上記の放出ガスは、導管20を介して再加熱器84に導かれる。この再加熱器84は、廃水濃縮器14からの放出ガスを、たとえばフレアー、バーナー、または他の加熱されたガスのストリームを用いて、好ましくは放出ガスの生成のために適切な酸性ガスの凝縮温度の上の温度まで加熱あるいは再加熱する。この後この再加熱された放出ガスは、このプラントの排出システム、たとえば排出スタック40に戻され、および/またはこのプラント内の他の装置、たとえばFGDシステムで再使用するために戻される。さらに、固液分離器26から除去された固体は、さらなる処理のために、たとえば導管86によって、追加の後処理装置26'に導かれる。この固体はこの後処理装置26'から除去され、そして処分、たとえば販売、再利用、埋め立て等で処分するために運び出される。
図5を参照すると、いくつかの好ましい構成においては、図1および3に示す上記の前処理装置50は、1つ以上の内蔵された気水界面液体蒸発器、たとえば発電所12内の1つ以上のプロセスから得られた廃水の貯留所92に設置されて機能する液体蒸発器90,90',および/または90"を含む。この貯留所92は、たとえば槽または外部環境に開かれた池であってよい。発電所12の少なくとも1つ以上の廃水源、たとえば導管16,54,および/または56は、貯留所92への1つ以上の流入口94aに接続されて機能し、この発電所12からの廃水をこの貯留所92に供給するようになっている。導管16の他の部分は、貯留所92の1つ以上の流出口94bを廃水濃縮器14の流入口17に接続するように機能し、この貯留所92からの廃水をこの廃水濃縮器14に輸送するようになっている。この廃水は、上述したように、FGDパージ水、冷却塔パージ水、用水、発電所浸出水、および/または一時貯留水を含んでよい。液体蒸発器90もまた強制空気源、たとえばファン93に接続されて機能する。この強制空気は、本願の他の部分で説明したように、この発電所における1つ以上の廃熱源によって適宜追加的に加熱される。好ましくは、ファン93は導管95に接続されて機能し、上記の液体蒸発器に空気を吹き込むようになっている。このファン93は、たとえば液体蒸発器90に上記の高温ガスを強制的に送り込むために充分な、そしてこのために配設されるどのようなタイプの送風機であってよく、こうして以下に詳細に説明するような激しい気水混合が実現される。液体蒸発器90は、発電所の廃水を、この廃水のある程度の水を蒸発させることによって前処理し、この際もっと濃縮された廃水のストリームがもたらされ、廃水濃縮器14に供給されるようになっている。こうして、この液体蒸発器90を前処理装置50における前処理ステップの一部として使用することで、処理時間が短縮されて廃水濃縮器14の生産能力が改善され、廃水濃縮器14から放出されるブラインの所望の程度の濃度が得られるようになっている。さらに、たとえばこの発電所からの廃熱を用いて、液体蒸発器90に強制的に送り込まれる空気を加熱することで、この液体蒸発器90の効率が改善されるようになっている。発電所12において生産された廃熱によって空気が加熱されると、この液体蒸発器90はこの発電所12のエネルギー効率をさらに改善することができる。さらに、他の例示的な気水界面液体蒸発器、たとえば図6および7に示すような液体蒸発器90'および/または90"は、追加的または代替として、貯留所92に設置されて機能し、前処理装置50で廃水を前処理するようになっていてよい。発電所12の環境における使用に関連して説明したが、上記の液体蒸発器90,90',90"のいずれも廃水を、廃水濃縮器14における処理用に供給される前に、前処理するために用いられてよく、他の工業環境における廃水処理システムの一部として、単独または他の装置と組み合わせて用いられてよい。このように、廃水濃縮器14で処理される廃水用の前処理装置として液体蒸発器90,90',または90"を組み合わせることは発電所12での使用に限定されない。それぞれの例示的な液体蒸発器90,90',および90"の簡単な説明を以下で行う。液体蒸発器90,90',および90"の追加的な詳細な説明は、米国特許出願第61/614,601号に示されており、この特許出願の内容はここで参照することにより本願に組み込まれるものである。
図5の例示的な構成においては、液体蒸発器90は、部分的に封止された容器96を画定する本体を有し、この容器は廃水の貯留所92の1つの位置に浮いているかあるいは保持されており、この廃水の上面がこの廃水より上に配置された容器の最上部と、この廃水に設置された容器の最下部との間に位置するようになっている。容器96は、この容器の壁によって閉じ込められる内部空間98を画定する。この容器96の液体に沈み込んだ部分を通る開口部100は、廃水がこの容器96内に閉じ込められた内部空間98の最下部に進入することを可能とする。この内部空間98の最下部は、この内部空間98の上部と流体連結しており、水蒸気が、この最下部から最上部へ移動できるようになっている。この内部空間98の最上部は、この容器96内部の廃水の上面から周囲環境への1つ以上の排出ポート102への、排出経路Aを少なくとも部分的に画定する。これらの排出ポート102はこの廃水の上面の上に配置されて機能する。空気降下管104は、たとえば導管95として、空気供給ラインに接続されるように配設されている。この空気降下管104は、内部空間98の最下部の内部に配置された放出用流出口106を有する。この放出用流出口106は、空気降下管104の開放された下端106aを含んでよい。この放出用流出口106は、空気降下管104の側壁を貫通する複数の散布口106bを、この開放された下端106aの近傍に有してよい。放出用流出口106が配置されている、閉じ込められた空間98の最下部の内部の領域は、この液体蒸発器の動作の際の空気巻き込み室108を形成する。動作中は、たとえばファン93のような空気ポンプは、空気を、空気下降管104を通してこの空気巻き込み室108に強制的に送り込み、ここで空気が廃水を移動させ、廃水が空気巻き込み室108の開放された下端100の中へ流れ込み上向きに内部空間98を通るようにし、こうして空気の廃水との激しい混合が達成される。この気水混合は、閉じ込められた内部空間98の内部の廃水の最上面まで自然に移動し、ここで空気と水蒸気が廃水から、たとえばバブリングによって分離される。内部空間98の内部の廃水の上面からは、空気と水蒸気が上記の排出経路Aを通って容器96の外部に、排出ポート(複数)102を通って、水蒸気を含む湿った排出空気として排出され、他方濃縮された廃水および汚染物はこの容器96内で捕捉されて廃水に戻される。このようにして、廃水のミストあるいは噴霧が周囲環境に野放しに撒き散らされること無しに、水が汚染物から蒸発されて分離される。液体蒸発器90は、任意の適当な機構、たとえば支持脚、吊り下げ構造、および/または浮揚により、貯留所92における廃水の上面での動作位置に保持することができる。
1つの任意に選択可能な構成においては、容器96の内部空間98は、上部室110、中央室112、および下部室114を含み、これらは互いに流体連結している。下部室114の開放された下端は、開口部100を画定している。下部室114の開放された上端は、中央室11の下端の開口部と接続している。動作位置においては、廃水の最高水位は、中央室112に達しており、下部室114および中央室112の下部は、この廃水の中に配置され、そして上部室110および中央室112の上部は、この廃水の上に配置される。空気巻き込み室108は、下部室114に内部に画定されている。容器96によって担持されている浮揚装置116は、液体蒸発器90を動作位置に維持するように設置されている。排出ポート(複数)102は、下向きに廃水の上面に向かっている。降下管104は容器96の上端を通過して下側に延伸し、上部室110および中央室112を通って、下部室114に入っている。放出用流出口106は、通常の動作条件で、この放出用流出口106を通って放出される空気が開口部100を通って出て行かないことを確実にするために充分な空間だけ、開口部100aの上方に離間している。バッフル118は、上部室110を中央室112から分離している。このバッフル118を貫通する開口部120は、水蒸気が中央室112から上部室110に移動することを可能とする。デミスタ構造122は、上部室内に、上記の排出経路Aにおいて、および/またはこの排出経路Aに渡って配置され、開口部120から排出ポート102への曲がりくねった経路を形成するようになっている。液体放出チューブ124a,124bは、中央室112から下に、下部室114の両側で延伸している。これらの液体放出チューブ124a,124bは、容器96bの下で、単一の放出用ライザー124cに合流している。空気抜きチューブ124dは、この放出用ライザー124cの上端で、放出パイプ124aおよび124bの分岐合流部に設置されている。空気抜きチューブ124dは、液体放出チューブ124a,124bあるいは放出用ライザー124cよりも大幅に小さい。この放出用ライザー124cは、下向きに貯留所92の底部に向かって延伸している。空気が降下管104を介して吸引されて下部室114に入るので、水は空気巻き込み室108において上向きに中央室112へ循環し、この中央室112において径方向外向きに移動し、そしてこの中央室から下向きに液体放出チューブ124a,124bの中へ進む。水は放出用ライザー124cの1つ以上の開口部から貯留所92の中へ放出されて戻される。液体蒸発器90は、好ましくは殆ど全体がプラスチック、たとえばポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、または高密度ポリエチレンから製造されている。
図6の例示的な構成においては、液体蒸発器90'は、多段システムにおける使用に適しており、この多段システムは、廃水を他の処理ステップ、たとえば他の液体蒸発器90,90',または90"へ輸送するため、あるいは離れた排出場所へ輸送するための接続部を有する中間インラインユニットとしてこの液体蒸発器90'を用いている。この液体蒸発器90'は、上部室110においてこの液体蒸発器90'が、他の輸送導管に接続するために、複数の排出ポート102の代わりにただ1つの排出ポート102を有し、そしてこの液体蒸発器90'が複数のバッフル122の代わりに単一のバッスル130を有すること以外は、液体蒸発器90とほぼ同じである。容器96、降下管104、および排出経路Aは、好ましくは垂直軸Zの回りで径方向に対称的に配設されており、そして排出ポート102は、この垂直軸Zの回りに非対称に、上部室110の一つの側の単一の場所に配設されている。好ましくはこの蒸発器90'の他の全ての部分は、蒸発器90の対応する部分と同じであり、簡単のため説明は繰り返さない。バッスル130は、非対称に設置された排出ポート102が、上部室110内部から空気と水を引き出すことを可能とするように配設されており、こうして、たとえばバッスル130の周りの全ての円周の位置で、このバッスル130の内側から径方向で外向きにこのバッスル130の外側の領域の排出ポート102まで、空気の均一な径方向流量が生じるようにすることによって、散布口(複数)106bから上向きに空気の径方向に対称的な、下部室114および上部室112を通るフローが維持されている。このバッスル130は、環状壁132、好ましくは円筒壁から形成されており、バッフル118から上向きに延伸しており、上部室110の内壁の上端に向かって途中まで延伸している。この環状壁132は、上部室110の外周壁と開口部120との間に径方向で間隔をおいて配設されており、これによりこのバッスル130によって包囲される内側容積と、このバッスル130と外周壁との間の外周容積とを形成している。環状壁132は、この内側容積と外周容積との間の間隙134を画定する。この間隙134は、この環状壁132の上端縁部と上部室110の天井壁との間に幅Wを有している。この間隙134の幅Wは、この壁132の長さに沿って連続的に変化している。この間隙134は、排出ポート102の位置の直近で最も小さな幅Wを有する(すなわち壁132が最も高くなっている)。この間隙134は、直径方向で排出ポート102の反対側の位置で最も大きな幅Wを有している。この例においては、環状壁132は円筒状であり、そしてその上端縁部は最高点が排出ポート102の近くにあり、その最低点が直径方向でこの排出ポート102の反対側にある、傾いた平面を画定する。好ましくはこの間隙134の幅Wは変化するように構成されており、導管106に対し垂直な平面にある、この間隙134のどの断面を通っても、排出空気の速度が一定となるようになっている。上記の内側容積から外向きの、径方向の均一な空気の流量を提供するかあるいは改善する他のバッスルの構造も可能であり、たとえば米国特許第7,442,035に開示されているようなものがあり、この特許の内容はここで参照することにより本願に組み込まれるものである。排出ポート102は、他の機器、たとえば他の蒸発器90,90',または90"に接続されて機能する導管136に適宜追加的に接続される。この排出ポート102は、代替として大気へ排出するか、または他の装置に接続されていてよい。
図7の例示的な構成においては、液体蒸発器90"は、液体蒸発器90および/または90'とほぼ同じであるが、ただし追加の1つの調整可能な安定化システム140および追加の2つの放出チューブ124eおよび124fを有している。上述した液体蒸発器90および90'と同様に、この液体蒸発器90"も、上部室110と下部室114との間に配置された中央室112を有する、部分的に封止された容器96を含み、たとえば下部室114によって形成される空気巻き込み室108へ空気が流入するための導管95のような空気供給ラインへの接続用に配設された、空気供給降下管104を含み、そして1つ以上の排出用流出口102への曲がりくねった経路を提供するための、上部室110に配設された内部バッフル(複数)122および/またはバッスル(不図示)130を含んでいる。放出チューブ124a,b,e,fは、好ましくは軸Zから径方向で等しく離間しており、そして好ましくは外周で中心に対して90°の角度の間隔となっている。さらに、下部室114の外円周は、むしろ液体蒸発器90または90'のようにこれらの放出チューブ124a,b,e,fにすぐ隣接して配置されるよりは、これらの放出チューブ124a,b,e,fからは径方向で内向きに離れている。好ましくは、部分的に封止された容器96の他の特徴は、これらの液体蒸発90または90'のいずれの対応する特徴とも同一であり、上述の説明を参照して理解できるものである。調整可能な安定化システム140は、垂直方向の動作位置における液体蒸発器90"を安定化することを助けるように配設されており、すなわち、空気が強制的に空気供給降下管104を介して下部室114に供給される間は、廃水の中に配置されている下部室114、およびこの廃水の上に配置されている上部室110は、軸Zに関して通常垂直方向に揃えられている。この安定化システム140は、容器96に固定されたアウトリガー(複数)144によって機能する浮揚装置(複数)142を含む。これらの浮揚装置142の位置は、軸方向および/または径方向で調整することができ、この容器96が廃水より高く位置するように、または廃水中に位置するようにすることができる。これらの浮揚装置142は、容器96の反対側でそれぞれ直径方向で互いに対向して配置されている。好ましくは各々の浮揚装置142は、この容器の外円周から径方向に離間しており、そして廃水の上面の上で上部室110を保持するような十分な浮力を提供するような大きさとなっている。このアウトリガー144は、降下管104の対向する両側に平行に配設された2つの支柱によって形成されており、この容器の最上部に結合されている。各々の支柱は、上部室110の外円周の対向する両側から外向きに延伸しており、そして各々の浮揚装置142は、これらの支柱の端部付近に取り付けられている。この支柱にある1つ以上の蝶番146は、上部室110の外円周から離間しており、そしてそれぞれの蝶番を中心にしてこれらの支柱の端部が旋回することによって、これらの浮揚装置142が選択的に上昇および/または下降することが可能となるように配設されている。好ましくはこれらの浮揚装置142は、容器96の上方で導管95の軸に沿って離間して降下管104に接近するように配置されている。これらの浮揚装置142は、導管95を強制的に通流される空気に対応してこの容器96をほぼ垂直なアラインメントからずらすように働く回転力を、打ち消すように配設されている。
図8および9には、発電所廃水を処理するためのもう1つの例示的な廃水処理システム1010が示されている。このシステム1010は、廃水濃縮器1014を含む。この廃水濃縮器1014は、たとえば導管1016を介して、熱電発電所内の1つ以上のプロセスによって生成される廃水のストリームに接続されて機能する。またこの廃水濃縮器1014は、たとえば導管1018を介して、高温供給ガスのストリームに接続されて機能するようにもなっている。廃水濃縮器1014は、直接接触式断熱濃縮システムを含み、ここでこの廃水濃縮器1014は、導管1018からの高温供給ガスのストリームを、直接に導管1016からの廃水のストリームと混合し、この廃水から水を蒸発させて水蒸気および濃縮された廃水を生成する。 この廃水濃縮器1014は、上記の供給廃水から、水蒸気を残りの濃縮された廃水から分離する。この廃水濃縮器1014は、この水蒸気および、この時点で冷却されている供給ガスのる部分または全てを、排出蒸気のストリームとしてたとえば導管1020を介して排出する。図1の実施形態とは対照的に、図8および9の実施形態は、さらなる処理のために、この放出ガスをこの発電所の排出システムへ、静電集塵機1080の上流に戻し排出する。この廃水濃縮器1014は、濃縮された廃水をこの廃水濃縮器1014から輸送するために配設された放出管1025を介して、濃縮された廃水を放出する。この導管1025は、たとえばスラリの固形化のような後処理システムおよびこの放出廃水のさらなる処理のための処分システム1026に接続されている。いくつかの構成においては、上記の廃水放出用流出口は、上記の第1の流入口または第3の流入口(不図示)に接続されて機能し、上記の放出廃水をさらなる処理および濃縮のために、この廃水濃縮器1014を通して再循環するようになっていてよい。
熱電発電所12は、燃焼排ガスからフライアッシュおよび二酸化硫黄を除去するための燃焼排ガス脱硫システム("FGD")1038を含んでよい。
このFGDシステム1038は、微細なフライアッシュの除去装置、たとえば静電集塵機1080を含んでよい。 追加的に、このFGDシステム1038は、たとえばバグフィルタのような粗いフライアッシュの除去装置1082を、この濃縮器1014の上流に含んでよい。この粗いアッシュの除去装置1082からのアッシュは、処分のためにアッシュホッパ1086に収集されてよい。いくつかの実施形態においては、選択的触媒還元装置1088が、この濃縮器1014の上流に含まれていてよい。
上記のFGDパージ水へ石灰を加え、および/または上記のFGDパージ水およびガス混合物にアルカリを加えて、この濃縮器1014におけるpH値を上げるために、アルカリ源1084が上記の濃縮器1014に、この濃縮器1014の濃縮部の上流で接続されてよい。いくつかの実施形態においては、このアルカリ源は、水酸化ナトリウムを含んでよい。アルカリ源1084からのアルカリは、所望のpH範囲たとえば3.5〜4に維持するような割合で計量されてこの濃縮器1014に投入されてよい。自動制御器(不図示)がこのシステムのpH値を監視して、上記の燃焼排ガス脱硫水における変動を補償するようなアルカリの割合の計量値を自動的に調整してよい。このアルカリは、計量されてこの濃縮器1014へ、汚水溜め(不図示)に投入されてよく、または濃縮器システム(これも不図示)内の再循環回路へ投入されてよい。たとえばpH値は所望のシステムpH値に基づいて、および/または濃縮器1014内の所望の化学反応の最適なpH範囲に基づいて調整されてよい。たとえばいくつかの硫黄化合物はpH値に敏感であり得るので、このpH値はこの化合物を溶液として維持するように調整することができ、またはこの化合物を溶液から所望の効果で強制的に取り出すように調整することができる。
スラリの固化および処分のシステム1026は、沈殿槽1090、二次沈殿用ホッパー1092、および最終的な固形スラリの固化槽1094を含んでよい。この沈殿槽は、第1の再循環回路1096および第2の再循環回路1098へ流体結合していてよい。この第1の再循環回路1096および第2の再循環回路1098は、この濃縮器1014自身内のいずれの再循環回路からも独立している。第1の再循環回路1096は、沈殿槽1090において濃縮された廃水の液体部分を取り出して、この取り出された部分をさらなる濃縮のためにこの濃縮器1014に戻してよい。第2の再循環回路1098は、二次沈殿用ホッパー1092において濃縮された廃水の液体部分を取り出して、この取り出された部分をさらなる濃縮のためにこの沈殿槽1090に戻してよい。このようにしてシステム1010は、複数の濃縮段階を含み、これらの濃縮段階の各々は、実質的に液体放出がゼロに達するまで(これは10%未満の液体に相当する)、濃縮された廃水の液体成分を連続して低減する。
上記の高温供給ガスは、いくつかの任意に選択可能な構成においては、発電所における他のプロセスからの廃熱を用いて加熱され、および/または専用の加熱システムによって加熱される。図8および9に示す例示的な構成においては、この高温供給ガスは、燃焼排ガスの主ストリーム1032から分かれた、燃焼排ガスのスリップストリームを用いて直接的または間接的に加熱される。このスリップストリームは、主ストリーム1032に沿って1つ以上の部位から取り出されてよい。たとえば導管1018は、主ストリーム1032に接続されて機能し、選択的触媒還元装置1088と空気予熱器1036との間でこの高温燃焼排ガスから取り出されてよい。この導管1018は、代替として主ストリーム32に接続されて機能し、他の部位において高温排ガスを取り出すようになっていてよい。この高温排ガスは、上記のスリップストリームがどこで主ストリーム1032に接続されるか、および上記の高温ガス用の加熱部の配設が直接的かまたは間接的かに依存して、約150°F〜約800°Fの温度を有し得、さらに具体的には約350°F〜450°Fの温度を有し得る。発電所内の他の廃熱源、たとえば複数のフレアー、バーナー、復水器、およびエンジンからの廃熱源もまた、あるいは代替として、廃水濃縮器1014に供給される高温供給ガスを加熱するために用いられてよい。
本願で開示された燃焼排ガス脱硫パージ水および他の形態の廃水を処理するための上記のシステム、装置、および方法は、熱電発電ユニット、具体的には炭化水素燃料の燃焼を用いるユニット用の水の使用の問題に対処するために有用である。いくつかのアプリケーションにおいては、上記の複数のシステム、装置および方法は、ゼロ液体放出(zero-liquid discharge, ZLD)処理システム、蒸気回収、廃水処理、埋め立ての管理、二酸化炭素技術、冷却塔および先進冷却システム技術用の水管理、および/または総合的な水管理、および熱電発電ユニットのモデリング、の重要な要素として組み込まれてよい。上記の複数のシステム、装置および方法は、熱電発電ユニットのオペレータが水の使用を増やすことおよび/または再使用の効率を上げること、水の引出および/または消費を低減すること、および/または水の放出制限を満たすことを助けることができる。いくつかの構成においてここで開示された技術は、現在知られている燃焼排ガス脱硫パージ水および他の形態の廃水の処理プロセスの代替として、費用対効果の高い処理を提供することができる。ここで開示された技術は、電力消費を低減することができ、および/または、環境にやさしい放出汚染物質の処分のために、廃水の汚染物質をさらに効果的なプロセスを用いて捕獲することができる。
いくつかの実施形態においては、濃縮器1014への投入物は、圧縮空気1110、用水1112、および電力1114を含んでよい。
濃縮器1014は、高温ガスに対する所望の流入圧力を維持するための、速度可変なインダクションファン(不図示)を含んでもよい。発電所の出力は増減するので、この発電所の排出システムにおける圧力は増減する。このインダクションファンは速度を上げ下げして、濃縮器1014への比較的一定な流入ガス圧を維持することができる。さらに、発電所の排出ガス温度は負荷に基づいて増減し得る。上記の濃縮器は、150°F程度の低い流入ガス温度で有利に稼働し、好ましくは350°F〜450°Fで有利に稼働し、これは発電所の排出ガス温度の変化に容易に対応する。
1つの例においては、ここに開示された廃水濃縮システムは、図8に示すように、フライアッシュ除去装置の上流でこの濃縮器に供給される高温ガスのストリームを含んでいた。この結果、フライアッシュは捕獲されてこの濃縮システム内で循環していた。予想されたように、このフライアッシュは容易にこの濃縮システムを通って移動したにも拘わらず、この濃縮器にフライアッシュを含むことは固液分離装置における固体生成を驚くほど促進し、これは全体としてこのシステムへの利点となった。理論に縛られることなく、発明者らはこのフライアッシュが固体微粒子の生成用のシードとして働いたことを確信している。
上記の例では、約3.5%の全固形成分および約3.5%の全溶解固形成分を有するFGD水が廃水濃縮システムに供給された。このFGD水は、比重約1.0、約6,500mg/Lのカルシウム濃度、約120mg/Lのナトリウム濃度、約15,000mg/Lの塩素濃度、および約1,000mg/Lの硫酸塩濃度であった。サンプルには部分的に濃縮されたFGD水および充分濃縮されたFGD水が採取され、以下のような結果となった。濃縮器の循環流自体から採取されたサンプルの結果では、全固形物30%〜40%、全溶解固形物30%〜35%、比重1.2、カルシウム濃度約55,000mg/L、ナトリウム濃度30,000mg/L超、塩素濃度210,000mg/L超、および硫酸塩濃度約350mg/Lであった。沈殿槽の放出物から採取されたサンプルの結果では、全固形物50%〜60%、全溶解固形物約10%、比重約1.5、カルシウム濃度約55,000mg/L、ナトリウム濃度20,000mg/L超、塩素濃度230,000mg/L超、および硫酸塩濃度約350mg/Lであった。
ここで開示された廃水濃縮システムは、発電所の排出ガスに当然存在するフライアッシュの部分を有利に捕獲し、これにより下流のアッシュ除去装置を減らすかあるいは不要とすることができる。さらに、ここで開示された廃水濃縮システムは、発電所の排出ガスにおける硫黄化合物の部分を除去し、これにより発電所で、環境放出基準を満たしつつ、低品質の石炭をエネルギー源として使用することが可能となる。
ここで開示されたシステム、装置、および方法へのさらなる変更を行うことは、上述の説明を参照すれば当業者にとって明白であろう。したがってここでの説明は、単に例示的なものと理解されるべきものであり、当業者が本発明を実施および利用すること、およびこれらを実施するための最良の形態を教示することを目的として提示されているものである。以下に添付する特許請求の範囲内に該当する全ての変更に対する独占権が留保されている。
Claims (20)
- 熱電発電所用の廃水処理システムであって、
当該システムは、
直接接触式断熱濃縮システムが組み込まれている廃水濃縮器であって、当該廃水濃縮器が、直接接触式蒸発部および気液分離器を備える廃水濃縮器と、
前記直接接触式蒸発部に廃水を供給するための、前記廃水濃縮器に接続されて機能する、熱電発電所において生成される廃水のストリームと、
前記廃水濃縮器に接続されて機能する高温供給ガスのストリームであって、前記廃水のストリームと同時に、供給ガスを前記直接接触式蒸発部に供給する高温供給ガスのストリームと、
を備え、
前記直接接触式蒸発部は、前記高温供給ガスを直接前記廃水と混合し、当該廃水から水を蒸発させて水蒸気および濃縮された廃水を生成し、
前記気液分離器は、前記濃縮された廃水から前記水蒸気を分離し、当該水蒸気および前記供給ガスの一部または全部を含む前記気液分離器からの放出ガスを排出する、
ことを特徴とする廃水処理システム。 - 前記廃水のストリームは、燃焼排ガス脱硫パージ水、冷却塔パージ水、用水、発電所浸出水、および発電所の一時貯留水の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の廃水処理システム。
- 前記高温供給ガスのストリームは、前記熱電発電所内からの廃熱を用いて加熱されることを特徴とする、請求項2に記載の廃水処理システム。
- 前記高温供給ガスは、炭化水素を燃焼する燃焼加熱器からの高温燃焼排ガスを含むことを特徴とする、請求項3に記載の廃水処理システム。
- 前記直接接触式蒸発部は、ベンチュリ部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の廃水処理システム。
- 前記気液分離器は、前記直接接触式蒸発部に接続されて機能する、クロスフロー式気液分離器およびサイクロン式気液分離器の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載の廃水処理システム。
- 廃水濃縮器を有する熱電発電所からの廃水を処理する方法であって、当該廃水濃縮器は、直接接触式断熱廃水濃縮システムを含み、当該発電所は、廃水源および高温供給ガス源を含み、
前記方法は、
前記高温供給ガスのストリームを受け取って前記廃水濃縮器に投入するステップと、
前記熱電発電所から導管を介して前記廃水を含む供給廃水を受け取って前記廃水濃縮器に投入するステップと、
前記廃水濃縮器において前記高温供給ガスを前記供給廃水と直接混合し、当該供給廃水から水蒸気を蒸発させるステップと、
前記廃水濃縮器において前記水蒸気を前記供給廃水から分離し、濃縮された放出ブラインおよび放出ガスを生成するステップと、
前記廃水濃縮器からの放出ガスを排出するステップと、
を備えることを特徴とする方法。 - 前記廃水は、燃焼排ガス脱硫パージ水、冷却塔パージ水、および用水の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記高温供給ガスは、炭化水素を燃焼する燃焼加熱器から放出される高温燃焼排ガスを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記供給廃水を受け取って前記廃水濃縮器に投入するステップの前に、前記供給廃水の前処理ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記放出ブラインの後処理ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記後処理ステップは、固液分離器において前記放出ブラインの液体から固体を除去するステップおよび/または前記放出ブラインをさらに濃縮するステップを含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 前記高温供給ガスのストリームを受け取って前記廃水濃縮器に投入するステップの前に、当該高温供給ガスから微粒子を分離するための、前記高温供給ガスのストリームの前処理ステップをさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 請求項7に記載の方法において、さらに、
前記放出ガスを当該放出ガスの酸性ガスの凝縮温度より上に再加熱するステップと、
前記放出ガスを前記熱電発電所の排出システムに戻すステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 熱電発電所であって、
電力を生成するための熱電発電機と、
直接接触式断熱廃水濃縮器システムを含む廃水濃縮器と、
前記廃水濃縮器に接続されて機能する、前記廃水濃縮器に供給廃水を供給する廃水源と、
前記廃水濃縮器に接続されて機能する、前記高温供給ガスを前記廃水濃縮器に供給する高温供給ガス源と、
を含み、
前記廃水濃縮器は、前記高温供給ガスを直接前記供給廃水と混合し、当該供給廃水から水蒸気を蒸発させ、当該水蒸気を当該供給廃水から分離し、この際放出ブラインおよび放出ガスを生成し、当該放出ガスを大気および/または他の処理部品へ排出し、当該放出ガスから分離される放出ブラインのさらなる処理および/または処分を行うために適した形態で当該放出ブラインを供給する、
ことを特徴とする熱電発電所。 - 請求項15に記載の熱電発電所において、
前記熱電発電所は、発電機に接続されて機能するタービンを回転するための蒸気を生成するためのボイラを含み、
前記廃水源は、前記ボイラに接続されて当該ボイラから燃焼排ガスを受け取るように機能する、燃焼排ガス脱硫システムを含み、
前記燃焼排ガス脱硫システムは、硫黄を前記燃焼排ガスから除去し、そして汚染物質を含む燃焼排ガス脱硫パージ水を生成し、
前記廃水濃縮器は、前記燃焼排ガス脱硫システムに接続されて機能し、前記燃焼排ガス脱硫パージ水の少なくとも一部を含む供給廃水を受け取るようになっている、
ことを特徴とする熱電発電所。 - 前記ボイラは、炭化水素を燃焼する燃焼加熱器を含むことを特徴とする、請求項16に記載の熱電発電所。
- 前記高温供給ガス源は、前記ボイラからの高温排ガスを含むことを特徴とする、請求項16に記載の熱電発電所。
- 前記廃水源は、冷却塔パージ水および用水の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項15に記載の熱電発電所。
- 前記熱電発電所はガスタービンを含み、前記高温供給ガス源は当該ガスタービンによって生成される廃熱を含む、ことを特徴とする、請求項15に記載の熱電発電所。
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