以下の説明で記載される、または図面で示される、構成の詳細及び構成要素の配置は、制限することを意図しない。他の実施形態や本発明を実施する異なるやり方も、明らかに包含される。同じく、本明細書中使用される表現及び用語は、説明を目的とするものであって、制限するものとしてみなされるべきではない。本明細書での「including(含む)」、「comprising(含む)」、または「having(有する)」、「containing(含有する)」、「involving(伴う)」、及びそれらの活用形の使用は、その後ろに列挙される項目及びその等価物、ならびに追加項目を包含することを意味する。
定義:
上記及び本発明の説明全体を通じて使用される場合、以下の用語は、特に他に示されない限り、以下の意味を有するものとする。
本明細書中使用される場合、「上昇したレベルの2−HG」という用語は、変異IDHアレル(例えば、変異IDH2アレル)を保有しない対象に存在するよりも10%、20%、30%、50%、75%、100%、200%、500%、またはそれより多い2−HGを意味する。「上昇したレベルの2−HG」という用語は、細胞内、腫瘍内、腫瘍を含む臓器内、または体液内の、2−HGの量を示す場合がある。
「体液」という用語は、胎児を取り巻く羊水、水性体液、血液(例えば、血漿)、血清、脳脊髄液、耳垢、消化粥、カウパー液、女性精液、間質液、リンパ、母乳、粘液(例えば、鼻水または痰)、胸水、膿、唾液、皮脂、精液、血清、汗、涙、尿、腟分泌物、または嘔吐物のうちの1種または複数を含む。
本明細書中使用される場合、「阻害する」または「予防する」という用語は、完全及び部分的の双方の、阻害ならびに予防を含む。阻害剤は、目的とする標的を完全に阻害しても部分的に阻害してもよい。
「変異IDH2阻害剤」または「IDH2変異体(複数可)の阻害剤」という用語は、IDH2変異体サブユニットに結合して、例えば、二量体の形成を阻害することにより、例えば、変異IDH2サブユニットのホモ二量体または変異体と野生型サブユニットのヘテロ二量体の形成を阻害することにより、新活性を阻害する分子、例えば、ポリペプチド、ペプチド、もしくは小分子(例えば、1,000ダルトン未満の分子)、またはアプタマーを意味する。いくつかの実施形態において、新活性阻害は、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、または99%である。
「治療する」という用語は、疾患/障害(例えば、進行固形腫瘍、例えば、それぞれがIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、もしくは胆管細胞癌、またはAITL)の発症または進行を、低下、抑制、減弱、減少、停止、または安定化、あるいは疾患/障害の重篤度を低下、あるいは疾患/障害と関連する症候を改善することを意味する。
本明細書中使用される場合、化合物の、その結晶形も含めて、障害を治療するのに有効な量、または「治療上有効量」、または「治療上有効用量」は、化合物、またはその薬学上許容される塩の、その結晶形も含めて、対象に単回または複数回用量投与した際に、細胞を治療するのに有効な、あるいはそのような治療がない場合に予想されるよりも、障害を持つ対象を治癒、軽減、緩和、または改善するのに有効である量を示す。
本明細書中使用される場合、「対象」という用語は、ヒトを意味することが意図される。ヒト対象の例は、障害、例えば、本明細書中記載される障害を有するヒト患者(患者とも称する)、または正常な対象を含む。
本明細書中使用される場合、「遊離塩基当量」または「遊離塩基当量強度」という用語は、ある化合物が塩ではない、すなわち遊離塩基の場合と等しい量を達成するために必要とされる、その化合物の塩での量である。ある化合物の塩は、その化合物の塩ではない場合よりも重くなる可能性があるため、ある化合物の塩は、非塩(遊離塩基の)形状にあるその化合物と等しい量を達成するために、より多く必要になる可能性がある。化合物2は、化合物1のメシル酸塩であり、結果的に、化合物2は、化合物1よりも大きい分子量を有する。したがって、特定量の化合物1が望ましく、そして化合物1が化合物2などの塩の形態をしているならば、化合物1と等しい量を達成するために必要な化合物2の量(例えば、mgの数字)は、化合物1の量よりも大きくなるであろう。例えば、30mg(遊離塩基当量強度)は、36mgの化合物2に等しくなるだろうし、50mg(遊離塩基当量強度)は、60mgの化合物2に等しくなるだろうし、75mg(遊離塩基当量強度)は90mgに等しくなるだろうし、100mg(遊離塩基当量強度)は120mgに等しくなるだろうし、125mg(遊離塩基当量強度)は150mgに等しくなるだろう。
「第1型」または「化合物1第1型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例3Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図1に示されるデータにより表されるとおりの、化合物1の第1型を記載する。
「第2型」または「化合物1第2型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例4Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図2、図3、及び図4に示されるデータにより表されるとおりの、化合物1の第2型を記載する。
「第3型」または「化合物2第3型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例6Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図5、図6、図7、及び図8に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第3型を記載する。
「第4型」または「化合物2第4型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例7Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図9及び図10に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第4型を記載する。
「第5型」または「化合物2第5型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例8Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図11及び図12に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第5型を記載する。
「第6型」または「化合物2第6型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例9Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図13及び図14に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第6型を記載する。
「第7型」または「化合物2第7型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例10Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図15及び図16に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第7型を記載する。
「第8型」または「化合物2第8型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例11Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図17及び図18に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第8型を記載する。
「第9型」または「化合物2第9型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例12Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図19及び図20に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第9型を記載する。
「第10型」または「化合物2第10型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例13Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図21及び図22に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第10型を記載する。
「第11型」または「化合物2第11型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例14Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図23、図24、及び図25に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第11型を記載する。
「第12型」または「化合物2第12型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例15Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図26及び図27に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第12型を記載する。
「第13型」または「化合物2第13型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例16Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図28及び図29に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第13型を記載する。
「第14型」または「化合物2第14型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例17Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図30及び図31に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第14型を記載する。
「第15型」または「化合物2第15型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例18Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図32及び図33に示されるデータにより表されるとおりの、化合物2の第15型を記載する。
「第16型」または「化合物1第16型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例2Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図34、図35、及び図36に示されるデータにより表されるとおりの、化合物1の第16型を記載する。
「第17型」または「化合物1第16型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例20Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図37に示されるデータにより表されるとおりの、化合物1の第16型を記載する。
「第18型」または「化合物1第16型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例21Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図38に示されるデータにより表されるとおりの、化合物1の第16型を記載する。
「第19型」または「化合物1第16型」は、同義で使用され、以下の実施例の節の実施例22Aで合成されるとおりの、かつ以下に記載され、図39に示されるデータにより表されるとおりの、化合物1の第16型を記載する。
本明細書中使用される場合、「結晶状」は、高度に規則的な化学構造を有する固体を示す。詳細には、結晶状化合物1または化合物2は、1種または複数の単結晶形の化合物1または化合物2として生成する場合がある。本出願の目的に関して、「結晶形」、「単結晶形」、及び「多形」という用語は、同義語である。これらの用語は、異なる性質(例えば、異なるXRPDパターン及び/または異なるDSC走査結果)を有する結晶同士を区別する。「多形」という用語は、偽多形を含み、偽多形は、典型的には、ある物質の異なる溶媒和物であるので、そのためそれらの性質は互いに異なっている。すなわち、化合物1または化合物2の各個別の多形及び偽多形は、本明細書中、別個の単結晶形であると見なされる。
「実質的に結晶状」は、少なくとも特定の重量パーセント結晶状である可能性がある形を示す。特定の重量パーセントは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または10%〜100%の任意のパーセントである。いくつかの実施形態では、実質的に結晶状は、少なくとも70%結晶状である化合物1または化合物2を指す。他の実施形態において、実質的に結晶状は、少なくとも90%結晶状である化合物1または化合物2を指す。
本明細書中使用される場合、「単離された」という用語は、少なくとも特定の重量パーセントが化合物2または化合物1の特定結晶形である可能性がある形態を示す。特定の重量パーセントとは、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または90%〜100%の任意のパーセントである。
「溶媒和物または溶媒和した」という用語は、本発明の化合物の、その結晶形も含めて、1種または複数の溶媒分子との物理的な会合を意味する。この物理的会合として、水素結合が挙げられる。ある特定の場合において、溶媒和物は、例えば、1種または複数の溶媒分子が結晶状固体の結晶格子に組み込まれている場合などで、単離することができるようになる。「溶媒和物または溶媒和した」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物として、例えば、水和物、エタノラート、またはメタノラートが挙げられる。
「水和物」という用語は、溶媒分子が定められた化学量論的量で存在するH2Oである溶媒和物であり、例えば、半水和物、一水和物、二水和物、または三水和物を含み得る
「混合物」という用語は、組み合わせの相状態(例えば、液体または液体/結晶)に関わらず要素を組み合わせた混合物を示すのに用いる。
「種を加える」という用語は、再結晶または結晶化を起こさせるために結晶状物質を加えることを示すのに用いる。
「貧溶媒」という用語は、化合物が、その結晶形も含めて、あまり溶解しない溶媒を示す。
本明細書中使用される場合、「約」という用語は、およそ、その領域にある、おおまかに、または大体の、を意味する。「約」という用語が数値範囲と一緒に使用される場合、この用語は、記載される数値範囲の上下に境界を広げることにより、その範囲を修飾する。概して、「約」という用語は、本明細書中、記載される値を10%の変動で上下に修飾するのに使用される。
医薬組成物及び治療方法
提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要とする対象に、変異IDH2阻害剤を治療上有効量で投与することを含む。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要とする対象に、2−メチル−1−[(4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−6−{[2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル]アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−オール(本明細書中以下、化合物1として特徴づける)またはその薬学上許容される塩を治療上有効量で投与することを含む。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要とする対象に、2−メチル−1−[(4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−6−{[2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル]アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−オール・メタンスルホン酸塩(本明細書中以下、化合物2として特徴づける)を治療上有効量で投与することを含む。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要とする対象に、治療上有効量の変異IDH2阻害剤、及び1種または複数の薬学上許容される担体を含む医薬組成物を投与することを含む。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要とする対象に、治療上有効量の化合物1またはその薬学上許容される塩、及び1種または複数の薬学上許容される担体を含む医薬組成物を投与することを含む。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要とする対象に、治療上有効量の化合物2、及び1種または複数の薬学上許容される担体を含む医薬組成物を投与することを含む。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要とする対象に、治療上有効量の化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を投与することを含む。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要とする対象に、治療上有効量の化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形、及び1種または複数の薬学上許容される担体を含む医薬組成物を投与することを含む。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要とする対象に、治療上有効用量の化合物1の薬学上許容される塩(例えば、化合物2)を投与することを含み、治療上有効用量は、約30mg〜約300mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回または1日2回、例えば、1日1回(例えば、約30mg〜約200mgを1日1回または1日2回(例えば、1日1回)、あるいは約30mg〜約150mgを1日1回または1日2回(例えば、1日1回))である。1つの実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で30mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で50mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で75mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回である)。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で100mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で125mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で150mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で175mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で200mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で225mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で250mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で275mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。別の実施形態において、治療上有効用量は、遊離塩基当量強度で300mgを、1日1回または1日2回(例えば、1日1回)である。
いくつかの実施形態において、本発明の方法において、化合物1の薬学上許容される塩が、任意の組み合わせの5、10、50、または200mg遊離塩基当量強度錠剤として、1日2回または1日1回(例えば、1日1回)、経口投与される。いくつかの実施形態において、化合物2が、任意の組み合わせの5、10、50、または200mg遊離塩基当量強度錠剤として、1日2回または1日1回(例えば、1日1回)、経口投与される。いくつかの実施形態において、ある結晶形の化合物2が、任意の組み合わせの5、10、50、または200mg遊離塩基当量強度錠剤として、1日2回または1日1回(例えば、1日1回)、経口投与される。
いくつかの実施形態において、本発明の方法において、化合物1の薬学上許容される塩が、任意の組み合わせの5、10、50、100、150、または200mg遊離塩基当量強度錠剤として、1日2回または1日1回(例えば、1日1回)、経口投与される。いくつかの実施形態において、化合物2が、任意の組み合わせの5、10、50、100、150、または200mg遊離塩基当量強度錠剤として、1日2回または1日1回(例えば、1日1回)、経口投与される。いくつかの実施形態において、ある結晶形の化合物2が、任意の組み合わせの5、10、50、100、150、または200mg遊離塩基当量強度錠剤として、1日2回または1日1回(例えば、1日1回)、経口投与される。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物2を、少なくとも約30mg(遊離塩基当量強度)の用量で(例えば、約30mg〜約300mg、約30mg〜約200mg、または約30mg〜約150mg(遊離塩基当量強度)の量で)、1日1回投与することを含む。
いくつかの実施形態において、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形を、または化合物2もしくはその結晶形を、少なくとも約30mg(遊離塩基当量強度)の用量で(例えば、約30mg〜約300mg、約30mg〜約200mg、または約30mg〜約150mg(遊離塩基当量強度)の量で)、1日1回投与することを含む。
いくつかの実施形態において、2回目の毎日投与が、1回目の投与後約12時間〜約36時間の間に、例えば約24時間後に提供される。
1つの実施形態において、用量は、30mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。別の実施形態において、用量は、50mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。別の実施形態において、用量は、75mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。別の実施形態において、用量は、100mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。別の実施形態において、用量は、125mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。別の実施形態において、用量は、150mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。別の実施形態において、用量は、175mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。別の実施形態において、用量は、200mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。別の実施形態において、用量は、225mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。別の実施形態において、用量は、250mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。
いくつかの実施形態において、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形を、または化合物2もしくはその結晶形を、約75mg〜約150mg(遊離塩基当量強度)の用量で1日1回投与することを含む。
1つの実施形態において、本方法は、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、この方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形を、または化合物2もしくはその結晶形を、錠剤という経口剤形で、約75mg〜約150mg(遊離塩基当量強度)の用量で1日1回投与することを含む。
いくつかの実施形態において、2回目の毎日投与が、1回目の投与後約12時間〜約36時間の間に、例えば約24時間後に提供される。
いくつかの実施形態において、本明細書中記載される方法は、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を、対象に、約30mg、約50mg、約75mg、約100mg、125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、または約250mgの用量で(これらはそれぞれ、遊離塩基当量強度である)で1日1回経口投与することを含む。
いくつかの実施形態において、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物2を、約75mg〜約300mg(遊離塩基当量強度)の用量で1日1回(例えば、約75mg〜約200mg(遊離塩基当量強度)で、1日1回)投与することを含む。
いくつかの実施形態において、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形を、または化合物2もしくはその結晶形を、約75mg〜約300mg(遊離塩基当量強度)の用量で1日1回(例えば、約75mg〜約200mg(遊離塩基当量強度)で、1日1回)投与することを含む。
いくつかの実施形態において、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法、あるいはその結晶形は、そのような治療を必要とする対象に、化合物2もしくはその結晶形を、約75mg〜約300mg(遊離塩基当量強度)の用量で1日1回(例えば、約75mg〜約200mg(遊離塩基当量強度)で、1日1回)投与することを含む。
1つの実施形態において、用量は、100mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。1つの実施形態において、用量は、150mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。1つの実施形態において、用量は、175mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。1つの実施形態において、用量は、200mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。1つの実施形態において、用量は、225mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。1つの実施形態において、用量は、250mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。1つの実施形態において、用量は、275mg(遊離塩基当量強度)を、1日1回である。
いくつかの実施形態において、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形を、または化合物2もしくはその結晶形を、約150mg〜約300mg(遊離塩基当量強度)の用量で1日1回(例えば、約150mg〜約200mg(遊離塩基当量強度)で、1日1回)投与することを含む。
1つの実施形態において、本方法は、IDH2の変異アレルの存在を特徴とする神経膠腫などの進行固形腫瘍を治療する方法であり、この方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形を、または化合物2もしくはその結晶形を、約100mg〜約300mg(遊離塩基当量強度)の用量で1日1回(例えば、約150mg〜約200mg(遊離塩基当量強度)で、1日1回)投与することを含む。
1つの実施形態において、本方法は、IDH2の変異アレルの存在を特徴とする神経膠腫などの進行固形腫瘍を治療する方法であり、この方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物2もしくはその結晶形を、錠剤という経口剤形で、約150mg〜約300mg(遊離塩基当量強度)の用量で1日1回投与することを含む。
1つの実施形態において、本方法は、IDH2の変異アレルの存在を特徴とする血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、この方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形を、または化合物2もしくはその結晶形を、約100mg〜約300mg(遊離塩基当量強度)の用量で1日1回投与することを含む。
1つの実施形態において、本方法は、IDH2の変異アレルの存在を特徴とする血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、この方法は、そのような治療を必要とする対象に、化合物1もしくはその結晶形を、または化合物2もしくはその結晶形を、錠剤という経口剤形で、約150mg〜約300mg(遊離塩基当量強度)の用量で1日1回投与することを含む。
いくつかの実施形態において、本方法は、化合物1もしくはその結晶形を、または化合物2もしくはその結晶形を、約75、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、または約300mg(これらはそれぞれ遊離塩基当量強度である)の用量で1日1回、対象に経口投与することを含む。
当然のことながら、治療上有効用量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効量の化合物2もしくはその結晶形は、日中または夜間の何時に摂取されてもよい。他の実施形態において、治療上有効用量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効量の化合物2もしくはその結晶形は、朝または晩に摂取される。当然のことながら、治療上有効用量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効量の化合物2もしくはその結晶形は、食物とともにまたはなしで摂取されてもよい。いくつかの実施形態において、治療上有効用量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効量の化合物2もしくはその結晶形は、食事とともに摂取される(例えば、高脂肪食[高脂肪食及び薬物投与の標準食、例えば、2個の特大卵をバターで調理したもの、2切れの塩漬け調理済ベーコン、2枚の栄養強化白パンにバターを付けたもの、4オンスのハッシュドブラウンポテト、及び8オンスの全乳(3.3%)]の開始30分後に単回経口用量を投与)。いくつかの実施形態において、対象は、治療上有効用量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効用量の化合物2もしくはその結晶形の後、少なくとも4時間絶食することが要求される。水は、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形の投与1時間前から1時間後までを除いて、いつでも許される。
いくつかの実施形態において、治療上有効用量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効用量の化合物2もしくはその結晶形は、絶食の間に摂取される(例えば、少なくとも2時間絶食後に単回経口用量を投与)。
1つの実施形態において、本発明は、治療上有効用量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効用量の化合物2もしくはその結晶形を含む経口剤形を包含する。別の実施形態において、本発明は、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、150mg、または200mg(これらはそれぞれ遊離塩基当量強度である)の経口剤形を包含し、剤形は、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2化合物2もしくはその結晶形を含む。1つの実施形態において、経口剤形はさらに、1種または複数の薬学上許容される担体を含む。
1つの実施形態において、本発明は、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法において、そのような治療を必要とする対象に使用するための、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2化合物2もしくはその結晶形を包含する。1つの実施形態において、本発明は、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法において、そのような治療を必要とする対象に使用するための、治療上有効用量の化合物1もしくはその結晶形、または治療上有効用量の化合物2もしくはその結晶形、及び1種または複数の薬学上許容される担体を含む医薬組成物を包含する。
同じく提供されるのは、本明細書中記載される方法において、2−HGの治療前またはベースラインレベル(例えば、患者の−3日目の治療前レベル、またはIDH−2遺伝子変異疾患のない対象で測定されるレベル)を低下させる方法(例えば、プロトン磁気共鳴分光法または磁気共鳴画像により測定されるとおり)、腫瘍試料でのKi67レベルの治療前またはベースラインレベル(例えば、患者の−3日目の治療前レベル、またはIDH−2遺伝子変異疾患のない対象で測定されるレベル)を修飾する(例えば、低下させる)方法、腫瘍細胞におけるヒストン及びDNAメチル化特性を修飾、例えば低下させる方法、抗腫瘍活性または耐性を予測することが可能な遺伝子発現特性または他の予後診断マーカーを評価する方法、IDH2変異型腫瘍細胞における代謝特性の変化を評価する方法、ならびに、血漿コレステロール及び4β−OHコレステロールレベルを、例えば、シトクロムP450(CYP)3A4誘導マーカーとして、モニタリングする方法であり、本明細書中記載される方法とは、例えば、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)のある対象を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、この方法は、対象に、(a)化合物1もしくはその結晶形、または化合物2化合物2もしくはその結晶形を少なくとも約30mg(遊離塩基当量強度)の用量で、1日1回または1日2回、例えば、1日1回(例えば、遊離塩基化合物1の約30mg〜約300mg当量で(例えば、約30mg〜約200mgで1日1回または1日2回、または約30mg〜約150mgで1日1回または1日2回(例えば、1日1回))、あるいは(b)化合物1もしくはその結晶形、または化合物2化合物2もしくはその結晶形を少なくとも約30mg(遊離塩基当量強度)の用量で(例えば、遊離塩基化合物1の約30mg〜約300mg当量で(例えば、約30mg〜約200mgで1日1回または1日2回(例えば、1日1回)、または約30mg〜約150mgで1日1回または1日2回(例えば、1日1回))含み、及び1種または複数の薬学上許容される担体を含む医薬組成物を投与することを含む。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を有する対象における治療、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)の治療の有効性を評価する方法であり、本方法は、以下を含む治療反応の査定方法を含む:
腫瘍試料の治療前またはベースラインレベルについての知見を得る(例えば、治療前またはベースラインレベルを測定する)こと(例えば、固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)のある対象でコンピュータ断層撮影法またはMRIを用いて、あるいは神経膠腫以外の固形腫瘍のある、またはAITLを有する対象についてポジトロン放出断層撮影法(PET)/CTスキャンを用いて)、
対象に、(a)化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を、少なくとも約30mg(遊離塩基当量強度)の用量で(例えば、遊離塩基化合物1の約30mg〜約300mg当量で(例えば、約30mg〜約200mgで1日1回または1日2回(例えば、1日1回)、または約30mg〜約150mgで1日1回または1日2回(例えば、1日1回))、あるいは(b)化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を、少なくとも約30mg(遊離塩基当量強度)の用量で(例えば、遊離塩基化合物1の約30mg〜約300mg当量で(例えば、約30mg〜約200mgで1日1回または1日2回(例えば、1日1回)、または約30mg〜約150mgで1日1回または1日2回(例えば、1日1回))含み、及び1種または複数の薬学上許容される担体を含む医薬組成物を、投与すること、
腫瘍試料の治療後レベルについての知見を得る(例えば、治療後レベルを測定する)こと(例えば、神経膠腫などの固形腫瘍のある対象でコンピュータ断層撮影法またはMRIを用いて、あるいは神経膠腫以外の固形腫瘍のある、またはAITLを有する対象についてポジトロン放出断層撮影法(PET)/CTスキャンを用いて)
対象の骨髄及び/または末梢血芽細胞の治療後レベルを、治療前またはベースラインレベルと比較すること、及び
治療が有効であるかどうか判定すること(例えば、RECIST v.1.1に従って、改変RANO判定基準により、またはIWG判定基準により(例えば、AITL対象の場合))。
1つの実施形態において、変異IDH2阻害剤は、ポリペプチドである。ある実施形態において、ポリペプチドは、変異酵素の新活性に関してドミナントネガティブ体として作用する。ポリペプチドは、全長IDH2に一致していても、その断片に一致していてもよい。ポリペプチドは、野生型IDH2の相当する残基と同一である必要はないが、いくつかの実施形態において、野生型IDH2と、少なくとも60、70、80、90、または95%相同性を有する。
1つの実施形態において、変異IDH2阻害剤は、IDH2新活性変異タンパク質のNADH、NADPH、または二価金属イオン、例えば、Mg2+もしくはMn2+に対する親和性を低下させるか、あるいは、NADH、NADPH、または二価金属イオン、例えば、Mg2+もしくはMn2+のレベルまたは利用可能度を、例えば、変異酵素と結合について競合することにより、低下させる。ある実施形態において、酵素は、Mg2+またはMn2+がCa2+に置き換えられることにより阻害される。
1つの実施形態において、変異IDH2阻害剤は、IDH2の新活性、例えば、2−HG新活性のレベルを低下させる。
1つの実施形態において、変異IDH2阻害剤は、IDH2変異体の新活性を有する変異体の産生レベルを低下させ、例えば、この阻害剤は、2−HG、例えば、R−2−HGのレベルを低下させる。
ある実施形態において、変異IDH2阻害剤は、変異IDH2タンパク質と直接相互作用する、例えば結合するか、または変異IDH2のmRNAと直接相互作用する、例えば結合する。
ある実施形態において、変異IDH2阻害剤は、変異IDH2タンパク質と直接相互作用する、例えばこの阻害剤は結合する。
ある実施形態において、変異IDH2阻害剤は、変異IDH2のmRNAと直接相互作用する、例えばこの阻害剤は結合する。
ある実施形態において、変異IDH2阻害剤は、新活性な酵素活性の量を、例えば、変異IDH2タンパク質と相互作用する、例えば結合することにより、低下させる。
ある実施形態において、変異IDH2阻害剤は、小分子、例えば、化合物2であり、変異RNA、例えば、変異IDH2のmRNAと相互作用、例えば結合する。
いくつかの実施形態において、変異IDH2阻害剤は、1つまたは複数の同位体置換も含み得る。例えば、Hは、どのような同位体形でもよく、1H、2H(Dまたは重水素)、及び3H(Tまたはトリチウム)を含み、Cは、どのような同位体形でもよく、11C、12C、13C、及び14Cを含み、Nは、どのような同位体形でもよく、13N、14N、及び15Nを含み、Oは、どのような同位体形でもよく、15O、16O、及び18Oを含み、Fは、どのような同位体形でもよく、18Fを含む、などである。例えば、化合物には、H、C、N、O及び/またはFの特定の同位体形が少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%豊富に含まれている。例えば、化合物2または化合物1の同位体置換体として、2−メチル−1−[(4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−6−{[2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル]アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル−4−14C)アミノ]プロパン−2−オール、1−((4−(6−(ジフルオロ(フルオロ−18F)メチル)ピリジン−2−イル)−6−((2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)−2−メチルプロパン−2−オール、1−((4−((2−(ジフルオロ(フルオロ−18F)メチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)−2−メチルプロパン−2−オール、2−(((4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−((2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)メチル)プロパン−1,1,1,3,3,3−d6−2−オール、2−メチル−1−((4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−((2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)プロパン−1,1−d2−2−オール、またはそれらの薬学上許容される塩(例えば、2−メチル−1−[(4−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−6−{[2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル]アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル−4−14C)アミノ]プロパン−2−オール・メタンスルホン酸塩、1−((4−(6−(ジフルオロ(フルオロ−18F)メチル)ピリジン−2−イル)−6−((2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)−2−メチルプロパン−2−オール・メタンスルホン酸塩、1−((4−((2−(ジフルオロ(フルオロ−18F)メチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)−2−メチルプロパン−2−オール)メタンスルホン酸塩、2−(((4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−((2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)メチル)プロパン−1,1,1,3,3,3−d6−2−オール・メタンスルホン酸塩、2−メチル−1−((4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−((2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ)プロパン−1,1−d2−2−オール・メタンスルホン酸塩)が挙げられる。
これらの治療方法及び医薬組成物を、以下に示す詳細な説明及び例示の実施例によりさらに説明する。
組成物及び投与経路
本明細書に記載される方法で使用される変異IDH2阻害剤、例えば、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形は、1種または複数の薬学上許容される担体またはアジュバント(複数可)と一緒に、薬学上許容される組成物に配合されてから、対象に投与されてもよい。
「薬学上許容される担体またはアジュバント」という用語は、本明細書中記載される化合物と一緒に対象に投与することができ、かつ化合物の薬理活性を破壊することがなく、かつ化合物が治療的量で送達されるのに十分な用量で投与された場合に無毒である、担体またはアジュバントを示す。
いくつかの実施形態において、医薬組成物に使用してもよい薬学上許容される担体、アジュバント、及びビヒクルとして、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、d−a−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシナートなどの自己乳化薬物送達系(SEDDS)、Tweenなどの医薬剤形で使用される界面活性剤もしくは他の同様な重合体送達マトリクス、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、緩衝物質、例えば、リン酸化合物、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質など、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリラート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック重合体、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂を挙げることができるが、これらに限定されない。シクロデキストリン、例えば、α−、β−、及びγ−シクロデキストリン、または2−及び3−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンをはじめとするヒドロキシアルキルシクロデキストリンなどの化学修飾誘導体、または他の可溶化誘導体も、本明細書中記載される式の化合物の送達を向上させるのに都合よく使用され得る。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経口で、非経口で、吸入スプレーにより、外用で、直腸で、経鼻で、頬側で、経膣で、または移植リザーバーを介して、好ましくは、経口投与により、または注射による投与で、投与され得る。本発明の1つの態様の医薬組成物は、従来の無毒の薬学上許容される担体、アジュバント、またはビヒクルをどれでも含有してよい。いくつかの場合には、配合物のpHを、薬学上許容される酸、塩基、または緩衝剤で調整して、配合された化合物またはその送達形の安定性を向上させてもよい。非経口という用語は、本明細書中使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、及び頭蓋内の注射または輸液技法を含む。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、滅菌注射製剤、例えば、滅菌注射用水性もしくは油性懸濁剤の形態であり得る。この懸濁剤は、当該分野で既知の技法に従って、適切な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween80など)及び懸濁化剤を用いて配合することができる。滅菌注射製剤はまた、無毒の非経口で許容される希釈剤または溶媒に加えた滅菌注射用液剤または懸濁剤、例えば、1,3−ブタンジオール液剤であり得る。使用可能な許容されるビヒクル及び溶媒には、マンニトール、水、リンガー溶液、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌、不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、どのような無刺激不揮発性油を使用してもよく、そのような無刺激不揮発性油として、合成モノまたはジグリセリドが挙げられる。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は注射液の製造に有用であり、天然の薬学上許容される油、例えば、オリーブ油またはヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化体も同様である。これらの油性液剤または懸濁剤は、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、あるいはカルボキシメチルセルロースまたは乳剤及びまたは懸濁剤など薬学上許容される剤形の配合に一般的に使用される同様な分散剤も含有する場合がある。他の一般的に使用される界面活性剤、例えばTweenまたはSpans及び/または薬学上許容される固形剤形、液状剤形、または他の剤形の製剤で一般的に使用される他の同様な乳化剤または生体利用度向上剤もまた、配合の目的で使用され得る。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、任意の経口で許容される剤形で経口投与することができ、そのような剤形として、カプセル剤、錠剤、乳剤、ならびに水性の懸濁剤、分散剤、及び液剤が挙げられるが、これらに限定されない。経口用錠剤の場合、一般的に使用される担体として、ラクトース及びトウモロコシデンプンが挙げられる。滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムなども、典型的に加えられる。カプセル剤形での経口投与の場合、有用な希釈剤として、ラクトース及び乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁剤及び/または乳剤が経口投与される場合、活性成分は、乳化剤及び/または懸濁化剤と組み合わせた油相に分散または溶解させてもよい。望ましければ、ある特定の甘味剤及び/または香味剤及び/または着色剤を加える場合がある。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、直腸投与用坐剤の形態でも投与され得る。そうした組成物は、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を、室温では固体だが直腸温度では液体であり、したがって直腸で溶解して活性成分を放出する適切な無刺激性賦形剤と混合することにより製造することができる。そのような材料として、カカオバター、ミツロウ、及びポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、所望の治療が外用投与で容易に到達可能な領域または器官に関与する場合に、医薬組成物の外用投与が有用である。皮膚に外用塗布するためには、医薬組成物は、活性成分を担体に分散または溶解させて含む適切な軟膏と配合しなければならない。化合物1もしくはその結晶形または化合物2もしくはその結晶形の外用投与用担体として、鉱物油、石油、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、及び水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、医薬組成物は、適切な乳化剤を用いて活性化合物を担体に分散または溶解させて含む適切なローションまたはクリームで配合することができる。適切な担体として、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の1つの態様の医薬組成物は、直腸坐剤配合物として、または適切な浣腸配合物にして、下部消化管に外用投与することもできる。外用経皮パッチもまた、本発明の1つの態様に含まれる。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経鼻エーロゾルまたは吸入により投与され得る。そのような組成物は、医薬配合物の当該分野で周知の技法に従って製造され、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存料、生体利用度を向上させるための吸収促進剤、フッ化炭素、及び/または当該分野で既知の他の溶解もしくは分散剤を用いて、生理食塩水溶液として製造され得る。
本明細書中記載される方法で使用される変異IDH2阻害剤、例えば、化合物1もしくはその結晶形または化合物2もしくはその結晶形は、例えば、静脈内、動脈内、真皮下、腹腔内、筋肉内、皮下で注射により、あるいは、経口で、頬側で、経鼻で、経粘膜で、外用で、点眼製剤にして、または吸入により、約0.5〜約100mg/体重kgの範囲の投薬量で、あるいは1mg〜1000mg/用量の投薬量で4〜120時間ごとに、あるいは特定の薬物の必要性に応じて、投与することができる。本明細書中の方法は、化合物または化合物の組成物を、所望のまたは所定の効果を達成するのに有効な量で投与することを企図する。典型的には、医薬組成物は、1日あたり約1〜約6回、あるいは連続注入液として投与され得る。そのような投与は、慢性または急性治療として使用可能である。単回剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療される宿主及び特定の投与様式に応じて変わるであろう。典型的な製剤は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含有するであろうい。あるいは、そのような製剤は、約20%〜約80%の活性化合物を含有する。
対象には、実施例に記載されるとおり、変異IDH2阻害剤、例えば、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形の1用量が投与され得る。上に記載されるよりも低いまたは高い用量が必要とされる場合もある。任意の特定の対象に対する具体的な投薬量及び治療レジメンは、様々な要因に依存し、そのような要因として、使用される特定化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与の時間、排出速度、薬剤の組み合わせ、疾患、症状、または症候の重篤度及び過程、疾患、症状、または症候に対する対象の性質、及び治療する医師の判断が挙げられる。
対象の状態が改善した際、必要であれば、本発明の1つの態様の化合物、組成物、結晶形、またはそれらの併用を維持用量で投与する場合がある。症状が所望のレベルまで軽減されたら、続いて、投薬量または投与頻度、あるいはその両方を、症状の関数として、軽減された状態が維持されるレベルまで低下させてもよい。しかしながら、対象は、疾患症状の任意の再発に際して、長期的に断続的な治療を必要とし得る。
本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも1種の薬学上許容される担体、及び変異IDH2阻害剤を含む錠剤に関する。
本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも1種の薬学上許容される担体、及び化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を含む錠剤に関する。本発明のいくつかの実施形態の中は、少なくとも1種の薬学上許容される担体、及び化合物2もしくはその結晶形を含む錠剤に関する。
本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも1種の薬学上許容される担体または希釈剤、及び化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を含む錠剤に関する。他の実施形態において、化合物1または化合物2の結晶形は、少なくとも90重量%が特定の結晶形をしており、特定の結晶形は、本明細書中記載される形である。他の実施形態において、化合物1または化合物2の結晶形は、少なくとも95重量%が特定の結晶形をしており、特定の結晶形は、本明細書中記載される形である。
使用方法
化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形の、IDH2変異体(例えば、IDH2R140Q及びIDH2R172K)に対する阻害活性は、PCT公報第WO2013/102431号及びUS公報第US2013/0190287号の実施例12に記載される方法または類似する方法により試験することができ、これらの公報は、本明細書によりそのまま全体が参照として援用される。
提供されるのは、変異IDH2活性を阻害する方法であり、本方法は、そのような阻害を必要としている対象を、変異IDH2阻害剤と接触させることを含む。1つの実施形態において、変異IDH2活性を阻害する方法は、そのような阻害を必要としている対象を、化合物1または化合物2(例えば、化合物2)と接触させることを含む。1つの実施形態において、治療しようとする進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)は、IDH2の変異アレルの存在を特徴とし、このIDH2の変異の結果、酵素は、患者において、α−ケトグルタル酸からR(−)−2−ヒドロキシグルタル酸へのNAPH依存性還元を触媒する新たな能力を持つ。この実施形態の別の態様において、R140X変異は、R140Q変異である。この実施形態の別の態様において、R140X変異は、R140W変異である。この実施形態の別の態様において、R140X変異は、R140L変異である。この実施形態の別の態様において、変異IDH2は、R172X変異を有する。この実施形態の別の態様において、R172X変異は、R172K変異である。この実施形態の別の態様において、R172X変異は、R172G変異である。
別の実施形態において、変異IDH2活性を阻害する方法は、そのような阻害を必要としている対象を、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形と接触させることを含む。1つの実施形態において、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)、または治療しようとする血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療することは、IDH2の変異アレルの存在を特徴とし、このIDH2の変異の結果、酵素は、患者において、α−ケトグルタル酸からR(−)−2−ヒドロキシグルタル酸へのNAPH依存性還元を触媒する新たな能力を持つ。この実施形態の1つの態様において、変異IDH2は、R140X変異を有する。この実施形態の別の態様において、R140X変異は、R140Q変異である。この実施形態の別の態様において、R140X変異は、R140W変異である。この実施形態の別の態様において、R140X変異は、R140L変異である。この実施形態の別の態様において、変異IDH2は、R172X変異を有する。この実施形態の別の態様において、R172X変異は、R172K変異である。この実施形態の別の態様において、R172X変異は、R172G変異である。それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、及び血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)は、細胞試料を配列決定して、IDH2の140番及び/または172番アミノ酸に変異が存在する、及び変異の特定の性質がある(例えば、変更されたアミノ酸がそこに存在する)かどうか判定することにより、分析することができる。
1つの実施形態において、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)、及び血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)の治療の有効性は、対象の2HGレベルを測定することによりモニタリングされる。典型的には、2HGレベルを治療前に測定し、その高いレベルが、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、及び血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療するための化合物2の使用の適応を示す。
1つの実施形態において、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)、及び血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)の治療の有効性は、対象の2−HGレベルを測定することによりモニタリングされる。典型的には、2−HGレベルを治療前に測定し、その高いレベルが、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療するための化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形の使用の適応を示す。いったん、上昇したレベルが確立されたら、治療過程中及び/または治療終了後に2−HGのレベルを判定し、有効性を確立する。ある特定の態様において、2−HGのレベルは、治療過程中及び/または治療終了後に判定されるのみである。治療過程中及び治療後の2−HGレベルの低下は、有効性を示す。同様に、治療過程中及び/または治療後に2−HGレベルが上昇しないという判定も、有効性を示すものである。典型的には、これらの2−HG測定は、癌治療の有効性を判定する他の周知の方法、例えば腫瘍及び/または他の癌関連病変の個数及び大きさの減少、骨髄生検及び/または吸引液の評価、全血球数、末梢血塗沫標本検査、対象の全体的な健康の改善、ならびに、癌治療有効性と関連する他のバイオマーカーでの変化などと併用されることになる。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を有する対象において、2−HGの治療前またはベースラインレベル(例えば、患者の治療前−3日目、またはIDH−2遺伝子変化型疾患のない対象で測定されたレベル)との比較として2−HGを(例えば、少なくとも50%)阻害する方法であり、本方法は以下を含む:
対象の2−HGの治療前またはベースラインレベルについての知見を得る(例えば、治療前またはベースラインレベルを測定する)こと、
対象に、(a)化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を、少なくとも約30mg(遊離塩基当量強度)の用量で(例えば、遊離塩基化合物1の約30mg〜約300mg当量の量で、あるいは(b)化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を、少なくとも約30mg(遊離塩基当量強度)の用量で(例えば、遊離塩基化合物1の約30mg〜約300mg当量の量で)含み、及び1種または複数の薬学上許容される担体を含む医薬組成物を、投与すること、
対象の2−HGの治療後レベルの知見を得る(例えば、治療後レベルを測定する)こと
対象の2−HGの治療後レベルを治療前またはベースラインレベルと比較すること、及び
2−HGのレベルが(例えば、少なくとも50%)阻害されたかどうか判定すること。
いくつかの実施形態において、本方法は、IDH2のR140Q変異を有する、または有すると判定された患者において、治療前またはベースラインレベル(例えば、患者の治療前−3日目、またはIDH−2遺伝子変化型疾患のない対象で測定されたレベル)との比較として、2−HGを少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)阻害することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、IDH2のR172K変異を有する、または有すると判定された患者において、治療前またはベースラインレベル(例えば、患者の治療前−3日目、またはIDH−2遺伝子変化型疾患のない対象で測定されたレベル)との比較として、2−HGを上限60%まで阻害する(例えば、2−HGのレベルを、上限50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%までで低下させる)ことを含む。いくつかの実施形態において、対象での2−HGレベル測定は、分光分析、例えば、磁気共鳴を利用した分析、例えば、MRI及び/またはMRS測定、体液試料分析、例えば、血液、血漿、尿、骨髄、または脊椎液分析などにより、あるいは外科材料の分析、例えば、質量分析(例えばLC−MS、GC−MS)により、達成され得る。
2−HGは、PCT公報第WO2013/102431号及びUS公報第US2013/0190287号の方法により、または類似の方法により、試料で検出することができ、これらの公報はそのまま全体が本明細書により参照として援用される。
1つの実施形態において、2−HGは、直接評価される。
別の実施形態において、分析方法を行う過程で形成される2−HG誘導体が評価される。例として、そのような誘導体は、MS分析で形成される誘導体であることができる。誘導体として、塩付加物、例えば、Na付加物、水和変異体、または水和変異体であると同時に塩付加物でもあるもの、例えば、MS分析で形成されるような、例えばNa付加物を挙げることができる。
別の実施形態において、2−HGの代謝誘導体が評価される。例として、2−HGの存在の結果として、構築される、または増加もしくは減少する種、例えば2−HGと相関するグルタル酸またはグルタミン酸、例えば、R−2−HGが挙げられる。
2−HG誘導体の例として、脱水誘導体、例えば以下に提示する化合物またはそれらの塩付加物などが挙げられる:
1つの実施形態において、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)は、診断または治療時に、腫瘍細胞の少なくとも30、40、50、60、70、80、または90%がIDH2変異を、特にIDH2のR140Q、R140W、もしくはR140L及び/またはR172KもしくはR172G変異を保有している腫瘍である。
いくつかの実施形態において、対象は、診断または治療時に、IDH2遺伝子変異型疾患(例えば、R140Q変異またはR172K変異)を有しているまたは有すると判定されている。いくつかの実施形態において、対象は、診断または治療時に、FLT3−ITD(Fms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)遺伝子内縦列重複(ITD))、CEPBA(CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ)、NPM1(ヌクレオフォスミン(核小体リン酸化タンパク質B23))、及びDNMT3A(DNA(シトシン−5−)メチルトランスフェラーゼ3アルファ、ASXL1:追加性決定櫛様(additional sex combs like)1)から選択される変異を有しているまたは有すると判定されている。
いくつかの実施形態において、対象は、治療前に細胞遺伝学的に正常である。他のいくつかの実施形態において、対象は、治療前に細胞遺伝学的に異常または不都合であり、例えば以下の1種または複数を有する:7番染色体モノソミー(または7番染色体の長腕の部分欠失(7q−))、8番染色体トリソミー、11番染色体トリソミー、t(17;18)転座、またはt(1;13)転座。
ある実施形態において、本方法は、黒色腫、神経膠腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌、例えば、進行神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌を治療することを含む。
本明細書中記載される方法は、神経系での癌、例えば、脳腫瘍、例えば、神経膠腫、例えば、多形神経膠芽腫(GBM)を治療するのに有用である。
神経膠腫は、脳腫瘍の1種であるが、これは、世界保健機構(WHO)により確立された組織病理学的及び臨床的基準に基づいて、グレードIからグレードIVまで分類することができる。WHOグレードIの神経膠腫は、良性と判断されることが多い。WHOグレードIIまたはIIIの神経膠腫は、浸潤性であり、より高いグレードの病変へと進行する。WHOグレードIVの腫瘍(神経膠芽腫)は、最も浸潤性の高い形態である。脳腫瘍の例として、例えば、星細胞腫瘍(例えば、毛様細胞性星細胞腫、上衣下巨細胞性星状細胞腫、びまん性星状細胞腫、多形黄色星状細胞腫、未分化星状細胞腫、星状細胞腫、巨細胞膠芽腫、神経膠芽腫、続発性神経膠芽腫、原発性成人神経膠芽腫、及び原発性小児神経膠芽腫)、乏突起膠細胞腫瘍(例えば、乏突起膠腫、及び退形成乏突起膠腫)、乏突起膠星細胞腫(例えば、乏突起膠星細胞腫、及び退形成乏突起膠星細胞腫)、上衣腫(例えば、粘液乳頭状上衣腫、及び退形成上衣腫)、髄芽細胞腫、原始神経外胚葉性腫瘍、シュワン細胞腫、髄膜腫、非定型髄膜腫、退形成髄膜腫、ならびに下垂体腺腫が挙げられる。癌の例は、Acta Neuropathol (2008) 116:597−602及びN Engl J Med. 2009 Feb 19;360(8):765−73に記載されており、これらの内容は、それぞれが、本明細書中参照として援用される。
複数の実施形態において、進行固形腫瘍は、神経膠腫である。ある実施形態において、神経膠腫は、標準療法などの先の治療後に再発した、または進行したものである。ある実施形態において、神経膠腫などの進行固形腫瘍は、標準療法に反応しなかったものである。1つの実施形態において、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形は、神経膠腫などの進行固形腫瘍の第二選択、第三選択、または第四選択治療として投与される。1つの実施形態において、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形は、初回再発後に投与される。1つの実施形態において、化合物2が、一次誘導失敗後に投与される。1つの実施形態において、化合物2が、再誘導失敗後に投与される。1つの実施形態において、再発及びその後の再誘導失敗後に、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形は、投与される。
ある実施形態において、本方法は、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)の治療方法を含む。血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)は、米国の全NHL症例のうち1パーセント〜2パーセントを占める稀な、侵襲性(高増殖性)T細胞リンパ腫である。高齢の患者のほうがAITLになりやすく、また女性よりも男性で発生することが多い。AITLの症状として、高熱、寝汗、発疹、ならびに自己免疫障害、例えば自己免疫性溶血性貧血(AIHA)及び免疫性血小板減少症(ITP)が挙げられる。これらの自己免疫障害の結果として、身体の免疫系は、自分自身の細胞及び組織、例えば赤血球(AIHAの場合)または血小板(ITPの場合)を認識しなくなり、その結果破壊する。AITLの患者の大部分は、進行した段階の疾患、ステージIIIまたはステージIVの疾患いずれかとして診断される。ステージIIIでは、冒されたリンパ節が横隔膜の上下両方で見つかる。ステージIVでは、リンパ節外の1つまたは複数の器官、例えば、骨、骨髄、皮膚、または肝臓などが冒される。それほど大規模ではない疾患、ステージIまたはIIは、稀である。ステージIの患者は、患部が腫瘍外に拡散しておらず局在しており、ステージIIの患者は、癌が拡散していたとしても、近くのリンパ節しか冒していない。
いくつかの実施形態において、AITLは、再発である、及び/または原発性治療抵抗性である。他の実施形態において、AITLは、治療されていない。1つの実施形態において、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形が、AITLの第一選択治療として投与される。1つの実施形態において、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形は、AITLの第二選択、第三選択、または第四選択治療として投与される。1つの実施形態において、化合物2が、AITLの第一選択治療として投与される。1つの実施形態において、化合物2が、AITLの第二選択、第三選択、または第四選択治療として投与される。1つの実施形態において、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形は、初回再発後に投与される。1つの実施形態において、化合物2は、一次誘導失敗後に投与される。1つの実施形態において、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形は、再誘導失敗後に投与される。1つの実施形態において、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形の投与は、移植の前、最中、または後に行うことができる。1つの実施形態において、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形は、移植後の再発後に投与される。
本明細書中記載される治療方法は、変異IDH2阻害剤、例えば、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を用いた治療の前及び/または後に様々な評価ステップを追加で含むことができる。
1つの実施形態において、変異IDH2阻害剤、例えば、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を用いた治療の前及び/または後、本方法はさらに、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)、あるいはAITLの、増殖、大きさ、重さ、侵襲性、ステージ、及び/または他の表現型を評価するステップを含む。
1つの実施形態において、変異IDH2阻害剤、例えば、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を用いた治療の前及び/または後、本方法はさらに、癌のIDH2遺伝子型を評価するステップを含む。これは、当該分野で通常の方法、例えば、DNA配列決定、免疫分析、及び/または2−HGの存在、分布、もしくはレベルの評価により達成され得る。
1つの実施形態において、変異IDH2阻害剤、例えば、化合物1もしくはその結晶形、または化合物2もしくはその結晶形を用いた治療の前及び/または後、本方法はさらに、対象の2−HGレベルを決定するステップを含む。これは、分光分析、例えば、磁気共鳴を利用した分析、例えば、MRI及び/またはMRS測定、体液試料分析、例えば、血液、血漿、尿、骨髄、または脊椎液分析などにより、あるいは外科材料の分析、例えば、質量分析(例えばLC−MS、GC−MS)により、達成され得る。
結晶形
化合物1及び化合物2の結晶形が提供される。
1つの実施形態において、化合物1は、単結晶形であるか、本明細書中記載される複数の単結晶形のいずれか1種である。同じく提供されるのは、少なくとも1種の薬学上許容される担体または希釈剤、及び化合物1を含む医薬組成物であり、化合物1は、単結晶形であるか、本明細書中記載される複数の単結晶形のいずれか1種である。同じく提供されるのは、医薬組成物を製造するための化合物1の使用であり、化合物1は、単結晶形であるか、本明細書中記載される複数の単結晶形のいずれか1種である。
1つの実施形態において、化合物2は、単結晶形であるか、本明細書中記載される複数の単結晶形のいずれか1種である。同じく提供されるのは、少なくとも1種の薬学上許容される担体または希釈剤、及び化合物2を含む医薬組成物であり、化合物2は、単結晶形であるか、本明細書中記載される複数の単結晶形のいずれか1種である。同じく提供されるのは、医薬組成物を製造するための化合物2の使用であり、化合物2は、単結晶形であるか、本明細書中記載される複数の単結晶形のいずれか1種である。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要としている対象に、(a)単結晶形の化合物1または化合物2、あるいは(b)(a)及び薬学上許容される担体を含む医薬組成物を投与することを含む。1つの実施形態において、(a)の単結晶形は、純度が90%〜100%の任意のパーセンテージである。
同じく提供されるのは、それぞれIDH2の変異アレルの存在を特徴とする、進行固形腫瘍、例えば、神経膠腫、黒色腫、軟骨肉腫、または胆管細胞癌(例えば、神経膠腫)を治療する、あるいは血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を治療する方法であり、本方法は、そのような治療を必要としている対象に、(a)単結晶形の化合物1または化合物2、あるいは(b)(a)及び薬学上許容される担体を含む医薬組成物を投与することを含む。1つの実施形態において、(a)の単結晶形は、純度が90%〜100%の任意のパーセンテージである。
本明細書中提供されるのは、化合物1及び化合物2の結晶形を説明する特性決定情報の取り合わせである。しかし、当然のことながら、所定の組成物に、そのような特定の形態が存在することを決定するために当業者がこうした情報全てを必要とするわけではなく、特定の形態の決定は、当業者が特定の形態の存在を確立させるのに十分であると認める特性決定情報の任意の一部分を用いて達成することができ、例えば、1つの際立ったピークだけでも、当業者にはそのような特定の形態が存在すると認めるのに十分となり得る。
化合物2の結晶形は、医薬配合物の大規模製造に適切な物性を有する。本明細書中記載される化合物2の結晶形の多くは、高い結晶性、高い融点、及び限定的な吸蔵されたまたは溶媒和した溶媒を示す。化合物2の結晶形は、化合物2の非晶質形と比べて改善された生体利用度を有する。特に、第3型は、非吸湿性であり、相対湿度が上限40%まで、室温で少なくとも3ヶ月間、安定性の利点(例えば、熱力学的、化学的、または物理的安定性)を示す。
1つの実施形態において、化合物1の少なくとも特定の重量パーセンテージが、結晶状である。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または10%〜100%の任意のパーセンテージであり得る。化合物1の特定の重量パーセンテージが結晶状である場合、化合物1の残りは、化合物1の非晶質形である。結晶状化合物1の非限定例として、単結晶形の化合物1または様々な単結晶形の混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、化合物1は、少なくとも90重量%が結晶状である。他のいくつかの実施形態において、化合物1は、少なくとも95重量%が結晶状である。
別の実施形態において、結晶状化合物1の特定の重量パーセンテージが特定の単結晶形であるかまたは複数の単結晶形の組み合わせである。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または10%〜100%の任意のパーセンテージであり得る。別の実施形態において、化合物1は、少なくとも90重量%が単結晶形である。別の実施形態において、化合物1は、少なくとも95重量%が単結晶形である。
1つの実施形態において、化合物2の少なくとも特定の重量パーセンテージが結晶状である。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または10%〜100%の任意のパーセンテージであり得る。化合物2の特定の重量パーセンテージが結晶状である場合、化合物2の残りは、化合物2の非晶質形である。結晶状化合物2の非限定例として、単結晶形の化合物2または様々な単結晶形の混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、化合物2は、少なくとも90重量%が結晶状である。他のいくつかの実施形態において、化合物2は、少なくとも95重量%が結晶状である。
別の実施形態において、結晶状化合物2の特定の重量パーセンテージが特定の単結晶形であるかまたは複数の単結晶形の組み合わせである。特定の重量パーセンテージは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または10%〜100%の任意のパーセンテージであり得る。別の実施形態において、化合物2は、少なくとも90重量%が単結晶形である。別の実施形態において、化合物2は、少なくとも95重量%が単結晶形である。
以下の化合物1の記載において、本発明の実施形態は、本明細書中説明される1つまたは複数の性質により特徴づけられるとおりの、化合物1の特定の結晶形に関して記載され得る。結晶形を特徴づける記載はまた、結晶状化合物1に存在する可能性がある様々な結晶形の混合物を説明するのにも用いられ得る。しかしながら、化合物1の特定の結晶形は、特定の結晶形に言及するしないに関わらず、本明細書中記載されるとおりの結晶形の特徴の1つまたは複数によっても特徴づけられる。
以下の化合物2の記載において、本発明の実施形態は、本明細書中説明される1つまたは複数の性質により特徴づけられるとおりの、化合物2の特定の結晶形に関して記載され得る。結晶形を特徴づける記載はまた、結晶状化合物2に存在する可能性がある様々な結晶形の混合物を説明するのにも用いられ得る。しかしながら、化合物2の特定の結晶形は、特定の結晶形に言及するしないに関わらず、本明細書中記載されるとおりの結晶形の特徴の1つまたは複数によっても特徴づけられる。
結晶形を、以下に示す詳細な説明及び実例によりさらに例示する。表1A〜表19Aに示すXRPDピークは、データを得るために使用した装置に応じて、±0.2°変動し得る。表1A〜表19Aに示すXRPDピークの強度は、10%変動し得る。
第1型
1つの実施形態において、化合物1の単結晶形第1型は、CuKa線を用いて得られた、図1に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表1に示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表1Aに示すとおり、図1から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表1Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第1型は、8.9、13.0、18.9、23.8、及び28.1°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。別の実施形態において、第1型は、8.9、18.9、及び24.8°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
第2型
1つの実施形態において、化合物1の単結晶形第2型は、CuKa線を用いて得られた、図2に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表2Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表2Aに示すとおり、図2から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表2Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第2型は、12.7、17.1、19.2、23.0、及び24.2°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。別の実施形態において、第2型は、12.7、19.2、及び24.2°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第2型は、図3に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約88.2℃の開始温度及び約91.0℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第2型は、図4に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約26.6℃から150.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約9.9%減少することを表す。
第3型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第3型は、CuKa線を用いて得られた、図5に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表3Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表3Aに示すとおり、図5から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表3Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つまたは10のピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第3型は、7.5、9.3、14.5、18.8、21.3、及び24.8°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第3型は、7.5、14.5、18.8、及び24.8°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。別の実施形態において、第3型は、7.5、14.5、及び24.8°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第3型は、図6に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約210.7℃の開始温度及び約213.4℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第3型は、図7に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約21℃から196℃へと変化するにつれて、試料の重量が約0.03%減少し、温度が、約196℃から241℃へと変化するにつれて、試料の重量が約7.5%減少することを表す。
別の実施形態において、第3型は、図5と実質的に同様な粉末X線回折パターンにより特徴づけられる。別の実施形態において、第3型は、図6と実質的に同様な示差走査熱量測定(DSC)特性により特徴づけられる。別の実施形態において、第3型は、図7と実質的に同様な熱重量分析(TGA)特性により特徴づけられる。さらなる実施形態において、第3型の単結晶形は、この段落に列挙される特徴の1つまたは複数により特徴づけられる。別の実施形態において、第3型は、図8と実質的に同様なDVS特性により特徴づけられる。
第4型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第4型は、CuKa線を用いて得られた、図9に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表4Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表4Aに示すとおり、図9から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表4Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第4型は、6.5、19.0、19.4、19.9、及び24.7°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第4型は、6.5、19.4、及び19.9°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第4型は、図10に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約59.2℃の開始温度及び約85.5℃における融解での弱い吸熱転移により、ならびに約205.2℃の開始温度及び約209.1℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第4型は、図10に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約44.8℃から140.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約1.8%減少することを表す。
第5型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第5型は、CuKa線を用いて得られた、図11に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表5に示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表5Aに示すとおり、図11から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表5Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
1つの実施形態において、第5型は、7.1、14.5、17.1、及び21.8°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第5型は、7.1及び21.8°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第5型は、図12に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約50.1℃の開始温度及び約77.5℃における融解での弱い吸熱転移により、ならびに約203.1℃の開始温度及び約208.2℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第5型は、図12に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約36.0℃から120.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約0.3%減少することを表す。
第6型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第6型は、CuKa線を用いて得られた、図13に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表6Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表6Aに示すとおり、図13から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表6Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第6型は、6.3、7.2、8.1、12.7、及び14.9°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第6型は、6.3、7.2、及び8.1°の2θ角度で特定されるピークにより、特徴づけることができる。
別の実施形態において、第6型は、図14に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、3つの弱い吸熱転移、約61.7℃の開始温度及び約86.75℃における融解での吸熱転移、約140.0℃の開始温度及び約149.0℃における融解での吸熱転移、ならびに約175.3℃の開始温度及び約192.1℃における融解での吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第6型は、図14に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約31.8℃から150.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約5.4%減少することを表す。
第7型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第7型は、CuKa線を用いて得られた、図15に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表7Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表7Aに示すとおり、図15から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表7Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第7型は、14.1、19.1、21.8、23.5、及び25.7°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第7型は、19.1、21.8、及び23.5°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第7型は、図16に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により、特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約213.6℃の開始温度及び約214.7℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第7型は、図16に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約32.2℃から150.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約0.01%減少することを表す。
第8型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第8型は、CuKa線を用いて得られた、図17に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表8Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表8Aに示すとおり、図17から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表8Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第8型は、9.0、9.2、21.9、22.1、24.2、及び24.6°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第8型は、21.9、22.1、24.2、及び24.6°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第8型は、図18に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約211.5℃の開始温度及び約212.8℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第8型は、図18に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約31.2℃から150.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約0.2%減少することを表す。
第9型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第9型は、CuKa線を用いて得られた、図19に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表9Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表9Aに示すとおり、図19から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表9Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第9型は、6.5、19.6、20.1、及び21.6°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第9型は、19.6及び20.1°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第9型は、図20に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により、特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約172.3℃の開始温度及び約175.95℃における融解での強い吸熱転移により、ならびに約192.3℃の開始温度及び約202.1℃における融解での吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第9型は、図20に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約24.7℃から150.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約0.7%減少することを表す。
第10型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第10型は、CuKa線を用いて得られた、図21に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表10Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表10Aに示すとおり、図21から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表10Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第10型は、6.7、9.1、10.8、19.9、及び21.9°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第10型は、9.1、10.8、及び19.9°の2θ角度で特定されるピークにより、特徴づけることができる。
別の実施形態において、第10型は、図22に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により、特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約139.9℃の開始温度及び約150.9℃における融解での吸熱転移により、ならびに約197.3℃の開始温度及び約201.3℃における融解での吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第10型は、図22に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約31.0℃から120.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約0.5%減少することを表す。
第11型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第11型は、CuKa線を用いて得られた、図23に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表11Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表11Aに示すとおり、図23から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表11Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つまたは10または11のピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第11型は、6.3、20.0、20.2、20.5、21.2、及び26.5°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第11型は、20.0、20.2、20.5、及び21.2°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第11型は、図24に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約144.3℃の開始温度及び約154.5℃における融解での吸熱転移により、ならびに約193.4℃の開始温度及び約201.6℃における融解での吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第11型は、図25に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約25.7℃から98.4℃へと変化するにつれて、試料の重量が約3.0%減少することを表す。
第12型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第12型は、CuKa線を用いて得られた、図26に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表12Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表12Aに示すとおり、図26から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表12Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
表12A
別の実施形態において、第12型は、7.2、7.4、8.0、8.2、16.5、及び18.6°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第12型は、7.2、7.4、8.0、及び8.2°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第12型は、図27に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約80.9℃の開始温度及び約106.3℃における融解での吸熱転移により、約136.32℃の開始温度及び約150.3℃における融解での吸熱転移により、ならびに約199.0℃の開始温度及び約203.1℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第12型は、図27に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約25.9℃から80.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約6.4%減少すること、及び温度が、約25.9℃から150.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約7.2%減少することを表す。
第13型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第13型は、CuKa線を用いて得られた、図28に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表13Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表13Aに示すとおり、図28から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表13Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第13型は、6.3、12.7、20.3、20.8、及び26.5°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第13型は、6.3、12.7、及び20.3°の2θ角度で特定されるピークにより、特徴づけることができる。
別の実施形態において、第13型は、図29に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により、特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約144.1℃の開始温度及び約152.4℃における融解での弱い吸熱転移により、ならびに約198.1℃の開始温度及び約204.8℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第13型は、図29に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約24.9℃から150.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約4.1%減少することを表す。
第14型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第14型は、CuKa線を用いて得られた、図30に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表14Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表14Aに示すとおり、図30から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表14Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第14型は、6.6、17.5、20.8、及び23.3°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第14型は、6.6及び20.8°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第14型は、図31に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約122.3℃の開始温度及び約134.5℃における融解での弱い吸熱転移により、ならびに約207.6℃の開始温度及び約211.8℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第14型は、図31に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約28.1℃から150.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約5.71%減少することを表す。
第15型
1つの実施形態において、化合物2の単結晶形第15型は、CuKa線を用いて得られた、図32に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表15Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表15Aに示すとおり、図32から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表15Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第15型は、6.4、12.9、20.2、及び26.1°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。さらなる実施形態において、第15型は、6.4、12.9、及び26.1°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第15型は、図33に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により、特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約136.5℃の開始温度及び約140.1℃における融解での弱い吸熱転移により、ならびに約213.1℃の開始温度及び約215.2℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第15型は、図33に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約28.7℃から150.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約7.6%減少することを表す。
第16型
1つの実施形態において、化合物1の単結晶形第16型は、CuKa線を用いて得られた、図34に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表16Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表16Aに示すとおり、図34から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表16Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第16型は、6.8、10.6、13.6、14.2、及び19.2°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。別の実施形態において、第16型は、10.6、14.2、及び19.2°の2θ角度で特定されるピークにより、特徴づけることができる。
別の実施形態において、第16型は、図35に示す示差走査熱量測定特性(DSC)により、特徴づけることができる。DSCグラフは、温度の関数として試料からの熱流をプロットしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。特性は、約169.7℃の開始温度及び約172.1℃における融解での強い吸熱転移により特徴づけられる。
別の実施形態において、第16型は、図36に示す熱重量分析(TGA)により特徴づけられる。TGA特性は、温度の関数として試料の重量減少パーセントをグラフにしたものであり、変温速度は、約10℃/分である。重量減少は、温度が、約23.9℃から150.0℃へと変化するにつれて、試料の重量が約0.1%減少することを表す。
第17型
1つの実施形態において、化合物1の単結晶形第17型は、CuKa線を用いて得られた、図37に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表17Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表17Aに示すとおり、図37から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表17Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第17型は、7.2、13.6、18.5、19.3、21.9、及び23.5°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。別の実施形態において、第17型は、13.6、18.5、及び23.5°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
第18型
1つの実施形態において、化合物1の単結晶形第18型は、CuKa線を用いて得られた、図38に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表18Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表18Aに示すとおり、図38から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表18Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つまたは9つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第18型は、6.4、8.4、9.8、17.8、及び19.7°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。別の実施形態において、第18型は、8.4及び9.8°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
第19型
1つの実施形態において、化合物1の単結晶形第19型は、CuKa線を用いて得られた、図39に示す粉末X線回折(XRPD)パターン、及び表19Aに示すデータにより特徴づけられる。特定の実施形態において、多形体は、表19Aに示すとおり、図39から選出した1つまたは複数のピークにより特徴づけることができる。例えば、多形体は、表19Aに示すピークのうち、1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つまたは7つまたは8つのピークにより特徴づけることができる。
別の実施形態において、第19型は、8.1、14.1、16.4、17.3、20.5、及び24.1°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。別の実施形態において、第19型は、8.1、16.4、17.3、及び24.1°の2θ角度で特定されるピークにより特徴づけることができる。
他の実施形態は、本明細書中記載される単結晶形のいずれかについての上記特徴の組み合わせにより特徴づけられる、化合物1または化合物2の単結晶形に関する。特徴づけは、特定の多形体について記載したXRPD、TGA、DSC、及びDVSのうちの1つまたは複数の任意の組み合わせによるものでもよい。例えば、化合物1または化合物2の単結晶形は、XRPDスキャンの主要ピークの位置に関してXRPDの結果の任意の組み合わせ、及び/またはXRPDスキャンから得られるデータに由来する1つまたは複数のパラメーターの任意の組み合わせにより特性決定されてもよい。化合物1または化合物2の単結晶形はまた、指定の温度範囲にわたる、及び/または特定の重量減少転移が始まる温度での、試料に付随する重量減少のTGA測定により特性決定されてもよい。熱流転移中の最大熱流に伴う温度及び/または試料が熱流転移を開始する温度のDSC測定もまた、結晶形を特徴づけ得る。ある範囲の相対湿度(例えば、0%〜90%)にわたる水吸着/脱離測定で決定されるとおりの、試料の重量変化及び/または化合物1または化合物2の1分子あたりの水吸着/脱離変化もまた、化合物1または化合物2の結晶形を特徴づけ得る。
上記で説明される特徴づけの組み合わせを用いて、本明細書中説明される化合物1または化合物1の多形体のいずれか、あるいはそれら多形体の任意の組み合わせを記載し得る。
略号
ca 約
CHCl3−クロロホルム
DCM−ジクロロメタン
DMF−ジメチルホルムアミド
Et2O−ジエチルエーテル
EtOH−エチルアルコール
EtOAc−酢酸エチル
MeOH−メチルアルコール
MeCN−アセトニトリル
PE−石油エーテル
THF−テトラヒドロフラン
AcOH−酢酸
HCl−塩酸
H2SO4−硫酸
NH4Cl−塩化アンモニウム
KOH−水酸化カリウム
NaOH−水酸化ナトリウム
Na2CO3−炭酸ナトリウム
TFA−トリフルオロ酢酸
NaHCO3−重炭酸ナトリウム
DMSO ジメチルスルホキシド
DSC 示差走査熱量測定
DVS 動的水蒸気吸収
GC ガスクロマトグラフィー
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
min 分
m/z 質量電荷比
MS 質量スペクトル
NMR 核磁気共鳴
RT 室温
TGA 熱重量分析
XRPD 粉末X線回折/粉末X線回折図/粉末X線回折装置
方法全般
以下の実施例において、試薬は市販品(Alfa、Acros、Sigma Aldrich、TCI、及びShanghai Chemical Reagent Companyを含む)を購入し得、さらに精製することなく使用し得る。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Brucker AMX−400 NMR(Brucker、Switzerland)で測定し得る。化学シフトは、テトラメチルシランからの低磁場への移動を百万分率(ppm、δ)で報告する。質量スペクトルは、Waters LCT TOF質量分析器(Waters、USA)を用いエレクトロスプレーイオン化(ESI)で測定し得る。
この節で説明される、例示化合物については、それらの結晶形も含めて、立体異性体の特定(例えば、(R)または(S)立体異性体)は、その化合物が、その特定される立体中心において少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、または99%豊富であるように、その化合物を調製することを示す。
以下に記載される例示化合物のそれぞれの化学名は、ChemDrawソフトウェアにより作成する。
粉末X線回折(XRPD)パラメーター:XRPD分析は、PANalytical Empyrean粉末X線回折装置(XRPD)を使用し、12−オートサンプルステージで行った。使用したXRPDパラメーターを表20に記載する。
第3型については、XRPD分析を、LYNXEYE XE検出器(Bruker)を用いて行った。使用したXRPDパラメーターを表21に記載する。
示差走査熱量測定(DSC)パラメーター:DSC分析は、TA InstrumentsのTA Q100、またはQ200/Q2000 DSCを使用して行った。温度は、室温から所望の温度まで、加熱速度10℃/分で勾配させ、パージガスとしてN2を使用し、パンは圧着した。
熱重量分析(TGA)パラメーター:TGA分析は、TA InstrumentsのTA Q500/Q5000 TGAを使用して行った。温度は、室温から所望の温度まで、加熱速度10℃/分または20℃/分で勾配させ、パージガスとしてN2を使用した。
動的水蒸気吸収(DVS)パラメーター:DVSは、SMS(Surface Measurement Systems)DVS Intrinsicで測定した。25℃での相対湿度を、LiCl、Mg(NO
3)
2、及びKClの潮解点に対して較正した。使用したDVSパラメーターを、表22に記載する。
実施例1:化合物1の合成
実施例1、ステップ1:6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸の調製
N2雰囲気下の反応容器に、ジエチルエーテル(4.32L)及びヘキサン(5.40L)を加え、−75℃〜−65℃に冷却する。N2雰囲気下、−65℃未満で、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液で3.78L)を滴下し、続いてジメチルアミノエタノール(327.45g、3.67mol)を滴下し、それから10分後、2−トリフルオロメチルピリジン(360g、2.45mol)を滴下する。温度を−65℃未満に維持しながら、反応物をN2下で約2.0〜2.5時間攪拌する。反応混合物を、N2下で、砕いたドライアイスにそそぎ、次いで攪拌しながら0〜5℃の温度にして(約1.0〜1.5h)、続いて水(1.8L)を加える。反応混合物を、5〜10分間攪拌し、5〜10℃に昇温させる。混合物のpHが1.0〜2.0になるまで、6NのHCl(900mL)を滴下し、次いで混合物を5〜10℃で10〜20分間攪拌する。反応混合物を、25〜35℃で、酢酸エチルで希釈し、次いでブライン溶液で洗浄する。反応物を濃縮し、n−ヘプタンですすぎ、次いで乾燥させて、6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸を得る。
実施例1、ステップ2:6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルの調製
窒素雰囲気下の反応容器に、メタノールを加える。周囲温度で、6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸(150g、0.785mol)を加えて溶解させる。45℃未満の温度で、塩化アセチル(67.78g、0.863mol)を滴下する。反応混合物を、約2〜2.5時間、65〜70℃に維持し、次いで35〜45℃で減圧濃縮し、25〜35℃に冷却する。混合物を、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3溶液ですすぎ、次いでブライン溶液ですすぐ。混合物を、35〜45℃の温度で減圧濃縮し、25〜35℃に冷却し、次いでn−ヘプタンですすいで35〜45℃の温度で減圧濃縮し、次いで脱気して、褐色固体を得る。この固体をn−ヘプタンですすぎ、25〜35℃で10〜15分間攪拌する。懸濁液を、攪拌しながら−40〜−30℃に冷却し、ろ過し、乾燥させて、6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
実施例1、ステップ3:6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1H−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオンの調製
N2雰囲気下の反応容器に、1Lの無水エタノールを投入し、N2雰囲気下、50℃未満で、ナトリウム金属(11.2g、0.488mol)を少しずつ加える。反応物を5〜10分間攪拌し、次いで50〜55℃に加熱する。N2雰囲気下の反応容器に、50〜55℃の温度で乾燥ビウレット(12.5g、0.122mol)を加え、10〜15分間攪拌する。50〜55℃に維持しながら、6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(50.0g、0.244mol)を加える。反応混合物を加熱還流させ(75〜80℃)、それを1.5〜2時間維持する。次いで、35〜40℃に冷却し、45〜50℃の温度で減圧濃縮する。水を加え、混合物を減圧濃縮し、次いで35〜40℃に冷却し、さらに水を加え、混合物を0〜5℃に冷却する。6NのHClをゆっくりと加えてpHを7〜8に調整すると、固体が沈殿し、これを遠心し、水ですすぎ、再度遠心する。オフホワイト〜明褐色固体の6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1H−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオンを、50℃〜60℃で600mm/Hg圧下、8〜10時間真空乾燥させて、6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1H−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオンを得る。
実施例1、ステップ4:2,4−ジクロロ−6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジンの調製
反応容器に、20〜35℃で、POCl3(175.0mL)を投入し、50℃未満で、6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1H−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオン(35.0g、0.1355mol)を少しずつ加える。5〜20分N2ガスでパージすることにより、反応混合物を脱気する。攪拌しながら、50℃未満で、五塩化リン(112.86g、0.542mol)を加え、得られるスラリーを加熱還流させ(105〜110℃)、それを3〜4時間維持する。反応混合物を50〜55℃に冷却し、55℃未満で濃縮し、次いで20〜30℃に冷却する。反応混合物を酢酸エチルですすぎ、攪拌しつつ、温度を10℃未満に維持しながら、酢酸エチル層を冷水(温度約5℃)にゆっくりと加える。混合物を10〜20℃の温度で3〜5分間攪拌し、酢酸エチル層を集める。反応混合物を重炭酸ナトリウム溶液ですすぎ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。物質を、45℃未満で、2〜3時間真空乾燥させ、2,4−ジクロロ−6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジンを得る。
実施例1、ステップ5:4−クロロ−6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−N−(2−(トリフルオロメチル)−ピリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−アミンの調製
反応容器に、20〜35℃で、THF(135mL)と2,4−ジクロロ−6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン(27.0g、0.0915mol)の混合物を加え、次いで4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ピリジン(16.31g、0.1006mol)及び重炭酸ナトリウム(11.52g、0.1372mol)を加える。得られるスラリーを、20〜24時間加熱還流させる(75〜80℃)。反応物を、30〜40℃に冷却し、THFを、45℃未満で、減圧蒸発させる。反応混合物を20〜35℃に冷却し、酢酸エチル及び水ですすぎ、酢酸エチル層を集め、0.5NのHCl及びブライン溶液ですすぐ。有機層を、45℃未満で減圧濃縮し、次いでジクロロメタン及びヘキサンですすぎ、ろ過し、ヘキサンで洗い、45〜50℃で5〜6時間真空乾燥させて、4−クロロ−6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−N−(2−(トリフルオロメチル)−ピリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−アミンを得る。
実施例1、ステップ6:2−メチル−1−(4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−(2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)プロパン−2−オールの調製
反応容器に、20〜35℃で、THF(290mL)、4−クロロ−6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−N−(2−(トリフルオロメチル)−ピリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−アミン(29.0g、0.06893mol)、重炭酸ナトリウム(8.68g、0.1033mol)、及び1,1−ジメチルアミノエタノール(7.37g、0.08271mol)を加える。得られるスラリーを、16〜20時間加熱還流させる(75〜80℃)。反応物を30〜40℃に冷却し、THFを、45℃未満で減圧蒸発させる。反応混合物を20〜35℃に冷却し、酢酸エチル及び水ですすぎ、酢酸エチル層を集める。有機層を、45℃未満で減圧濃縮し、次いでジクロロメタン及びヘキサンですすぎ、ろ過し、ヘキサンで洗い、45〜50℃で8〜10時間、真空乾燥させて、2−メチル−1−(4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−(2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)プロパン−2−オールを得る。
実施例2:化合物2の合成
反応容器に、20〜35℃で、アセトン(435.0mL)及び化合物1(87.0g、0.184mol)を加える。別の容器中、攪拌しながら、冷(0〜4℃)アセトン(191.4mL)にメタンスルホン酸を10分かけて加え、メタンスルホン酸溶液を調製する。ミクロンフィルターを通過させながら、調製したばかりのメタンスルホン酸溶液を、反応混合物に滴下する。得られるスラリーを、ヌッチェフィルターでろ過し、アセトンで洗う。ろ過した物質を30〜40分間真空乾燥させて、化合物2を得る。
実施例2A:化合物1第16型の合成
実施例2A、ステップ1:6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸の調製
N2雰囲気下の反応容器に、ジエチルエーテル(4.32L)及びヘキサン(5.40L)を加え、−75℃〜−65℃に冷却する。N2雰囲気下、−65℃未満で、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液で3.78L)を滴下し、続いてジメチルアミノエタノール(327.45g、3.67mol)を滴下し、それから10分後、2−トリフルオロメチルピリジン(360g、2.45mol)を滴下する。温度を−65℃未満に維持しながら、反応物をN2下で約2.0〜2.5時間攪拌する。反応混合物をN2下で砕いたドライアイスにそそぎ、次いで攪拌しながら0〜5℃の温度にして(約1.0〜1.5h)、続いて水(1.8L)を加える。反応混合物を、5〜10分間攪拌し、5〜10℃に昇温させる。混合物のpHが1.0〜2.0になるまで、6NのHCl(900mL)を滴下し、次いで混合物を5〜10℃で10〜20分間攪拌する。反応混合物を、25〜35℃で、酢酸エチルで希釈し、次いでブライン溶液で洗う。反応物を濃縮し、n−ヘプタンですすぎ、次いで乾燥させて、6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸を得る。
実施例2A、ステップ2:6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルの調製
窒素雰囲気下の反応容器に、メタノールを加える。周囲温度で、6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸(150g、0.785mol)を加えて溶解させる。45℃未満の温度で、塩化アセチル(67.78g、0.863mol)を滴下する。反応混合物を、約2〜2.5時間、65〜70℃に維持し、次いで35〜45℃で減圧濃縮し、25〜35℃に冷却する。混合物を、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO3溶液ですすぎ、次いでブライン溶液ですすぐ。混合物を、35〜45℃の温度で減圧濃縮し、25〜35℃に冷却し、次いでn−ヘプタンですすいで35〜45℃の温度で減圧濃縮し、次いで脱気して、褐色固体を得る。この固体をn−ヘプタンですすぎ、25〜35℃で10〜15分間攪拌する。懸濁液を、攪拌しながら−40〜−30℃に冷却し、ろ過し、乾燥させて、6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルを得る。
実施例2A、ステップ3:6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1H−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオンの調製
N2雰囲気下の反応容器に、1Lの無水エタノールを投入し、N2雰囲気下、50℃未満で、ナトリウム金属(11.2g、0.488mol)を少しずつ加える。反応物を5〜10分間攪拌し、次いで50〜55℃に加熱する。N2雰囲気下の反応容器に、50〜55℃の温度で乾燥ビウレット(12.5g、0.122mol)を加え、10〜15分間攪拌する。50〜55℃に維持しながら、6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(50.0g、0.244mol)を加える。反応混合物を加熱還流させ(75〜80℃)、それを1.5〜2時間維持する。次いで、35〜40℃に冷却し、45〜50℃の温度で減圧濃縮する。水を加え、混合物を減圧濃縮し、次いで35〜40℃に冷却し、さらに水を加え、混合物を0〜5℃に冷却する。6NのHClをゆっくりと加えてpHを7〜8に調整すると、固体が沈殿するので、これを遠心し、水ですすぎ、再度遠心する。オフホワイト〜明褐色固体の6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1H−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオンを、50℃〜60℃で600mm/Hg圧下、8〜10時間真空乾燥させて、6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1H−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオンを得る。
実施例2A、ステップ4:2,4−ジクロロ−6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジンの調製
反応容器に、20〜35℃で、POCl3(175.0mL)を投入し、50℃未満で、6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1H−1,3,5−トリアジン−2,4−ジオン(35.0g、0.1355mol)を少しずつ加える。5〜20分N2ガスでパージすることにより、反応混合物を脱気する。攪拌しながら、50℃未満で、五塩化リン(112.86g、0.542mol)を加え、得られるスラリーを加熱還流させ(105〜110℃)、それを3〜4時間維持する。反応混合物を50〜55℃に冷却し、55℃未満で濃縮し、次いで20〜30℃に冷却する。反応混合物を酢酸エチルですすぎ、攪拌しつつ、温度を10℃未満に維持しながら、酢酸エチル層を冷水(温度約5℃)にゆっくりと加える。混合物を10〜20℃の温度で3〜5分間攪拌し、酢酸エチル層を集める。反応混合物を重炭酸ナトリウム溶液ですすぎ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。物質を、45℃未満で、2〜3時間真空乾燥させ、2,4−ジクロロ−6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジンを得る。
実施例2A、ステップ5:4−クロロ−6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−N−(2−(トリフルオロメチル)−ピリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−アミンの調製
反応容器に、20〜35℃で、THF(135mL)と2,4−ジクロロ−6−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン(27.0g、0.0915mol)の混合物を加え、次いで4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ピリジン(16.31g、0.1006mol)及び重炭酸ナトリウム(11.52g、0.1372mol)を加える。得られるスラリーを、20〜24時間加熱還流させる(75〜80℃)。反応物を、30〜40℃に冷却し、THFを、45℃未満で、減圧蒸発させる。反応混合物を20〜35℃に冷却し、酢酸エチル及び水ですすぎ、酢酸エチル層を集め、0.5NのHCl及びブライン溶液ですすぐ。有機層を、45℃未満で減圧濃縮し、次いでジクロロメタン及びヘキサンですすぎ、ろ過し、ヘキサンで洗い、45〜50℃で5〜6時間真空乾燥させて、4−クロロ−6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−N−(2−(トリフルオロメチル)−ピリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−アミンを得る。
実施例2A、ステップ6:2−メチル−1−(4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−(2−(トリフルオロメチル)−ピリジン−4−イルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)プロパン−2−オール化合物1の調製
反応容器に、20〜35℃で、THF(290mL)、4−クロロ−6−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−N−(2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−アミン(29.0g、0.06893mol)、重炭酸ナトリウム(8.68g、0.1033mol)、及び1,1−ジメチルアミノエタノール(7.37g、0.08271mol)を加える。得られるスラリーを、16〜20時間加熱還流させる(75〜80℃)。反応物を30〜40℃に冷却し、THFを、45℃未満で減圧蒸発させる。反応混合物を20〜35℃に冷却し、酢酸エチル及び水ですすぎ、酢酸エチル層を集める。有機層を、45℃未満で減圧濃縮し、次いでジクロロメタン及びヘキサンですすぎ、ろ過し、ヘキサンで洗い、45〜50℃で8〜10時間、真空乾燥させて、2−メチル−1−(4−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−6−(2−(トリフルオロメチル)−ピリジン−4−イルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)プロパン−2−オールを得る。
実施例3A:化合物1第1型の合成
方法A:
第3型約10mgを水0.5〜1.0mLに懸濁させて、スラリー変換を行う。懸濁液を50℃で48時間攪拌した後、残存する固体を遠心して、第1型を得る。
方法B:
第3型9.61mgを、エタノール0.2mLに溶解させる。溶液を周辺条件で放置し、エタノールを蒸発させて第1型を得る。
方法C:
第3型6.93mgを酢酸イソプロピル0.2mLに溶解させる。溶液を周囲温度で放置し、酢酸イソプロピルを蒸発させて第1型を得る。
実施例4A:化合物1第2型の合成
方法A:
第3型約10mgを水0.5〜1.0mLに懸濁させて、スラリー変換を行う。懸濁液をRTで48時間攪拌した後、残存する固体を遠心して、第2型を得る。
方法B:
第3型6.07mgを水1.0mLに懸濁させる。懸濁液を室温で約24時間攪拌する。固体を単離して第2型を得る。
実施例6A:化合物2第3型の合成
反応容器に、攪拌しながら、アセトン(961.1ml)を加える。反応物を攪拌及び15℃に冷却し、次いでメタンスルホン酸(28.3g)を加え、反応物を少なくとも10分間熟成させる。第3型の結晶化が、以下の塩形成を介して達成される:1)晶析装置に、アセトン(500ml、4.17vol)を投入し、混合物を10分間攪拌する(550rpm)、2)晶析装置に、化合物1(120.0g、253.5mmol)を、固体投入器を介して45分かけて投入する、3)固体投入器をアセトン(100ml、0.83vol)ですすぐ、4)反応物を攪拌(550rpm)及び35℃に加熱して、透明な溶液を(10分で)得る、5)MSA/アセトン溶液(0.3mol/L、18.1ml、3.8ml/分)の最初の投入分(2%)を、ピストンポンプを介して5分かけて加え、次いでポンプのパイプラインをアセトン(5ml、0.04vol)で洗う、6)溶液が透明なままであることを確保しながら、混合物を35℃で10〜15分間熟成させる、7)化合物2の種(実施例5で生成したとおりのもの2.4g、2wt%)を、透明溶液に加える、8)MSA/アセトン溶液(0.3mom/L、444ml、3.7ml/分)の2番目の投入分(49%)を2時間かけて加える、9)混合物を35℃で30分間熟成させる、10)MSA/アセトン溶液(0.3mom/L、444ml、7.4ml/分)の3番目の投入分(49%)を1時間かけて加える、11)混合物を35℃で2時間熟成させる、12)混合物を20℃で1時間冷却する、13)混合物をろ過し、ろ過ケーキをアセトン(240mlで2回)で洗う、17)そして30℃で真空乾燥して、第3型結晶を得る。
実施例7A:化合物2第4型の合成
MeCN中で化合物1(0.1mol/L)とメタンスルホン酸(0.1mol/L)を混合することにより反応晶析を行い、第4型を得る。
実施例8A:化合物2第5型の合成
イソプロピルアルコール中で化合物1(0.1mol/L)とメタンスルホン酸(0.1mol/L)を混合することにより反応晶析を行い、第5型を得る。
実施例9A:化合物2第6型の合成
3−mLガラスバイアル中、溶媒0.4〜3.0mLに第3型約10mgを溶解させることで、ゆっくりと蒸発を行う。穴を約6〜8つ開けたホイルでバイアルを覆い、見た目に透明な溶液をRTでゆっくりと蒸発させて、沈殿を誘導する。次いで、固体を単離する。第6型は、溶媒または溶媒混合物が、MeOH、EtOH、IPA、THF、MeOH/トルエン=3:1、MeOH/CAN=3:1、MeOH/IPAc=3:1、MeOH/H2O=3:1、EtOH/アセトン=5:1、EtOH/DCM=5:1、MeOH/ジオキサン=3:1、MeOH/MTBE=3:1、EtOH/アセトン=1:1、及びTHF/H2O=3:1である場合に、得られる。
実施例10A:化合物2第7型の合成
アセトンまたはMeCN中で化合物1(0.1mol/L)にメタンスルホン酸(0.1mol/L)を素早く加えることにより反応晶析を行い、第7型を得る。
実施例11A:化合物2第8型の合成
方法A
アセトン中で化合物1(0.1mol/L)にメタンスルホン酸(0.1mol/L)を素早く加えて、第8型を得る。
方法B
TGA中に第12型を155℃に加熱し、RTに冷却すると、第8型が得られる。
実施例12A:化合物2第9型の合成
アセトン中で化合物1(0.1mol/L)とメタンスルホン酸(0.1mol/L)を混合すると、第9型が直ちに溶液から沈殿する。
実施例13A:化合物2第10型の合成
TGA中に、第12型を10℃/分で80℃に加熱するか第12型をN2掃引条件下に維持することにより、第10型が生成する。
実施例14A:化合物2第11型の合成
XRPD中に、第6型を80℃に加熱するか第13型を100℃に加熱することにより、第11型が得られる。
実施例15A:化合物2第12型の合成
方法A
溶媒または溶媒混合物0.3〜1.0mLに、60℃で、第3型約10mgを溶解させることで、ゆっくりと冷却を行う。懸濁液を、60℃でろ過し、濾液を集める。飽和溶液を、インキュベーター中、0.05℃/分の速度で、60℃から5℃に冷却する。沈殿が観察されない場合は、溶液をRTで蒸発させて、沈殿を誘導する。溶媒または溶媒混合物がMeOH/H2O=3:1、n−PrOH/H2O=3:1、またはTHF/MTBE=3:1である場合に、固体が単離されて第12型が得られる。
方法B
3mLバイアル中、MeOHに第3型約10mgを溶解させて透明な溶液を得ることにより、RTで、溶媒中で溶液蒸気拡散を行う。このバイアルを、水約3mLを入れた20mLバイアルに入れて密閉し、5〜7日間RTに維持して、沈殿に十分な時間を経過させる。固体を分離して、第12型を得る。
実施例16A:化合物2第13型の合成
方法A:
第6型を80℃に加熱し、RTに冷却することにより、第13型を得る。
方法B:
RTで、水活性0.31で、第6型と第12型の混合物から開始して、スラリー変換を行う。
実施例17A:化合物2第14型の合成
3-mLバイアル中、MeOHに第3型約10mgを溶解させて透明な溶液を得ることにより、RTで、溶媒中で溶液蒸気拡散を行う。このバイアルを、ヘプタン約3mLを入れた20-mLバイアルに入れて密閉し、5〜7日間RTに維持して、沈殿に十分な時間を経過させる。固体を分離して、第14型を得る。
実施例18A:化合物2第15型の合成
3-mLバイアル中、EtOHに第3型約10mgを溶解させて透明な溶液を得ることにより、RTで、溶媒中で溶液蒸気拡散を行う。このバイアルを、IPAcまたはMTBE約3mLを入れた20-mLバイアルに入れて密閉し、5〜7日間RTに維持して、沈殿に十分な時間を経過させる。固体を分離して、第15型を得る。
実施例20A:化合物1第17型の合成
方法A:
第16型10.26mgをヘプタン0.4mLに懸濁させる。懸濁液をRTで約24時間攪拌する。固体を単離して、第17型を得る。
方法B:
第16型10.10mgをメチルtert−ブチルエーテル0.2mLに溶解させる。懸濁液をRTで約24時間攪拌する。固体を単離して、第17型を得る。
実施例21A:化合物1第18型の合成
第16型8.17mgをMeOH0.2mLに溶解させる。溶液を周囲RTに維持し、MeOHを蒸発させて、第18型を得る。
実施例22A:化合物1第19型の合成
第16型905.61mgを水5.0mLに懸濁させる。懸濁液をRTで約4時間攪拌し、固体を単離して、第19型を得る。
以下の実施例3、4、及び5では、化合物2は、非晶質、または複数の結晶形の混合物、または単結晶形であり得る。
実施例3:
臨床試験は、神経膠腫を含む進行固形腫瘍のある対象、及びIDH2変異を有する血管免疫芽球性T細胞リンパ腫のある対象での化合物2の第I/II相、多施設、非盲検、用量漸増試験である。この実施例では、化合物2の用量強度は、遊離塩基当量強度を反映することが意図される(例えば、化合物2の用量強度が30mgと記載される場合、この用量は、遊離塩基化合物1の30mgを反映し、化合物2の36mgに等しい)。
主要目的は、以下を含む:1)神経膠腫を含む進行固形腫瘍のある対象及び血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)のある対象に28日サイクルの1日目から28日目まで単独薬剤の経口投薬として連続的に投与した場合の、化合物2を用いた治療の安全性及び耐用性の評価、ならびに、神経膠腫を含む進行固形腫瘍のある対象及びAITLのある対象における、化合物2の最大耐用量(MTD)及び/または推奨される第II相用量の決定。試験の副次目的は、以下を含む:1)進行悪性腫瘍のある対象における、化合物2の用量規制毒性(DLT)の描写、進行固形腫瘍のある対象における、化合物2及びその代謝産物の薬物動態(PK)の特徴づけ、血液試料中の、化合物2と2−ヒドロキシグルタル酸(2−HG)とのPK/薬物動力学(PD)関連性の評価、ならびに、進行悪性腫瘍のある対象における、化合物2に関連した臨床活性の特徴づけ。
探索試験の目的は、以下を含む:1)腫瘍試料におけるKi67レベルの変化の評価、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ−2(IDH2)変異型腫瘍細胞の細胞分化のパターンにおける変化、ならびにIDH2変異型腫瘍細胞のヒストン及びデオキシリボ核酸(DNA)メチル化特性における変化を査定することによる、進行悪性腫瘍のある対象における、化合物2のPD効果の特徴づけ、磁気共鳴画像(MRI)でプロトン磁気共鳴分光法(1H−MRS)により検出されるとおりの2−HG濃度変化の査定による、神経膠腫のある対象における、化合物2のPD効果の特徴づけ、抗腫瘍活性及び/または抵抗性の予測因子を調査するための、IDH2変異型腫瘍細胞における遺伝子変異状態、全般的な遺伝子発現特性、及び他の予後マーカー候補の評価(細胞遺伝学)、IDH2変異型腫瘍細胞における代謝特性変化の評価、ならびにシトクロムP450(CYP)3A4誘導マーカー候補として血漿コレステロール及び4β−OH−コレステロールレベルのモニタリング。
この試験は、IDH2変異を有する、神経膠腫を含む進行固形腫瘍のある対象及びAITLのある対象に経口投与された化合物2の、第I/II相、多施設、非盲検、用量漸増、安全性、PK/PD、及び臨床活性評価である。組織学的または細胞学的に固形腫瘍が確認された対象で、神経膠腫のない場合は固形癌効果判定基準(RECIST)v1.1(Eisenhauerら、2009)により測定可能な疾患のある対象、または神経膠腫のある場合は改変された神経腫瘍応答評価(RANO)基準(Wenら、2010)により測定可能な疾患のある対象が適格であり、同じく適格であるのは、組織学的または細胞学的にAITLが確認された対象で、悪性リンパ腫についての改訂国際作業部会(IWG)応答基準により測定可能な疾患のある対象である(Chesonら、2007)。
用量漸増スキームの概略図を図40に示す。この試験は、MTDを決定するための用量漸増相、続いてコホートを拡大することによりMTDの安全性及び耐用性をさらに評価することを含む。用量漸増相は、標準の「3+3」計画を用いる。用量漸増相の間、同意した適格対象を化合物2の漸増用量の連続コホートに登録する。各用量コホートは、最小で3人の対象を登録する予定である。用量漸増相で登録された各コホートの最初の3人の対象は、−3日目(すなわち、毎日の投薬を開始する3日前)に、化合物2の単回用量を最初に投与されて、化合物2濃度、その代謝産物、及び2−HGレベルを評価されることになる。安全性も査定されることになるが、ただしメディカルモニターがこれを不要と伝えた場合は行わない。連続した毎日の投薬はC1D1に開始されることになる。最初の投薬レジメンは、1日1回(約24時間ごと)になる。最新データに基づいて是認されるならば、代替投薬スケジュール(例えば、初回量に続く1日1回の投薬)が、臨床試験チームによる合意に基づき、用量漸増相及び症例拡大相で調査され得る。コホート内の3番目の対象が治療を開始する時点でスクリーニング過程に複数の対象が存在するならば、追加の対象をメディカルモニターの認可とともに登録する場合がある。これらの追加の対象について、−3日目のPK/PD査定は、メディカルモニターと検討した結果、任意選択とみなされ得る。
臨床試験の候補者は、18歳以上の成人対象で、組織学的または細胞学的に固形腫瘍が確認されており、神経膠腫のない場合はRECISTv1.1により測定可能な疾患のある対象、または神経膠腫のある場合は改変RANO基準により測定可能な疾患のある対象、及び組織学的または細胞学的にAITLが確認されており、悪性リンパ腫の改訂IWG効果基準により測定可能な疾患のある対象である。
原発性悪性腫瘍の確定が必要である。対象は、地域施設での検査により文書で確認されたIDH2遺伝子変異型疾患を有することが要求される。同時に伴行診断開発を支援するために遺伝子変異の後向き確証分析を中央検査室で行う。地域施設での検査ができない場合は、治療開始前、スクリーニング期間中に、中央検査質から確定を得てもよい。
投薬の安全性は、臨床試験チームにより評価されるが、このチームは、試験依頼者(医療責任者)、試験メディカルモニター、及び治験責任医師で構成される。臨床試験チームは、各コホートから得られつつある安全性データを審査して、用量漸増を行うかどうかを判断することになる。もし、3番目の対象が28日間のDLT評価期間(すなわち、サイクル1)を完了した後、DLTが観測されなければ、臨床試験チームによる審査に従って、臨床試験は、用量漸増して次のコホートへと進行することになる。もし、最初のサイクル中に、対象3人のうち1人にDLTが出たならば、3人の追加対象をそのコホートに登録する。もし、追加の対象3人の誰にもDLTが出なければ(すなわち、DLTが対象6人のうち2人未満で出たならば)、臨床試験チームによる審査に従って、次のコホートへと用量漸増を続け得る。もし、最初のサイクル中に、コホートの2人以上の対象でDLTが出たならば、用量漸増を中止し、一段階低い用量レベルがMTDと宣言される。あるいは、その用量で対象6人のうち2人未満でDLTが出たならば、MTDを上回る用量レベルとその手前の用量レベルの中間の用量レベルを調査してMTDとして宣言し得る。もし、MTDコホートに3人しか対象が含まれていなかったならば、3人の追加対象をその用量レベルで登録し、その用量で対象6人のうち2人未満でDLTが出ることを確認する。
なお、もし所定のコホートが最初に4または5人の対象を登録していた(すなわち、もし、コホート内の3番目の対象が治療を開始した時点でスクリーニング過程に複数の対象が存在していた)ならば、用量漸増のものと同じ規則が適用される。もし、4人(または5人の対象)のうち1人にDLTが出たならば、合計で6人の対象を含むようにコホートを拡大する。用量漸増は、対象6人のうち1人だけにDLTが出たならば行い、2人以上の対象にDLTが出たならば中止する。
毒性の重篤度は、国立癌研究所有害事象共通用語規準(NCI CTCAE)第4.03版に従って等級付けする。DLTは、化合物2と関連するとみなされる、以下の基準の1つに当てはまる事象と定義される。非血液学的:基礎疾患または介入性疾病と関連しないことを考慮して、NCI CTCAEがグレード3以上である全ての臨床上顕著な非血液学的毒性、ただし、ウリジン二リン酸(UDP)−グルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー、ポリペプチドA1(UGT1A1)変異を持つ対象でのグレード3以上の血液ビリルビン上昇は除く。UGT1A1変異を持つ対象では、正常の上限(ULN)の5倍を超える血液ビリルビンの上昇なら、DLTとみなされる場合がある。血液学的:サイクル1の28日目を超えて続く≧グレード4の好中球減少症または血小板減少症という薬物関連の骨髄抑制延長、ただしAITLによる骨髄介入と関連する場合を除く。
試験中の集団における同時罹患性及び併用療法の頻度が高いため、有害事象(AE)を特定の薬物のせいにすることは、困難である場合がある。したがって、化合物2と関連しないと明らかに判断することができないAEは全て、DLTの判定に関連するとみなされ、臨床試験チームの審査対象となる。臨床試験チームは、DLT基準により明確に定義されてはいない他のどのような創発毒性も審査して、どのようなものでも、DLT指定を是認するかどうかを判断する。
計画された試験薬物用量を、表23にまとめる。この試験の開始用量は、GLP用量範囲設定試験の結果及び進行中の第I相臨床検査の暫定的結果に基づいて、100mgが約24時間ごとに投与される。先の用量レベルの安全性、耐用性、及びPK/PDデータの評価に基づいて、表23に指定されていない中間の用量レベルで漸増を行うかどうかを判断する場合もある。
各用量コホートについて化合物2の用量の増加は、加速漸増デザインに誘導される。コホートにまたがる用量の増加の絶対パーセントは、MTDが決定されるまで、先の用量コホートで見られたあらゆる毒性の種類及び重篤度ならびに、可能性としてPK及びPK/PDデータに基づいて、臨床試験チームにより決定される(しかし、決して100%を超えない)。最新データに基づいて是認されるならば、代替投薬スケジュール(例えば、初回量に続く1日1回の投薬)が、臨床試験チームによる合意に基づき、調査される場合がある。MTDは、対象6人のうち2人未満でDLTを引き起こす最高用量である。
もし、3番目の対象が28日間のDLT評価期間(すなわち、サイクル1)を完了した後、DLTが観測されなければ、臨床試験チームによる安全性審査に従って、臨床試験は、用量漸増して次のコホートへと進行する。もし、最初のサイクル中に、対象3人のうち1人にDLTが出たならば、3人の追加対象をそのコホートに登録する。もし、追加対象3人の誰にもDLTが出なければ、臨床試験チームによる安全性審査に従って、次のコホートへと用量漸増を続け得る。もし、最初のサイクル中に、コホートの2人以上の対象でDLTが出たならば、用量漸増を中止し、一段階低い用量レベルがMTDと宣言される。あるいは、MTDを上回る用量レベルとその手前の用量レベルの中間の用量レベルを調査して、その用量で対象6人のうち2人未満でDLTが出たならば、MTDとして宣言し得る。もし、MTDコホートに3人しか対象が含まれていなかったならば、3人の追加対象をその用量レベルで登録し、その用量で対象6人のうち2人未満でDLTが出ることを確認する。
各用量コホートについて化合物2の用量の増加は、加速漸増デザインに誘導される。コホートにまたがる用量の増加の絶対パーセントは、先の用量コホートで見られたあらゆる毒性の種類及び重篤度ならびに可能性としてPK及びPK/PDデータに基づいて、臨床試験チームにより決定されることになる(しかし、決して100%を超えない)。最新データに基づいて是認されるならば、代替投薬スケジュール(例えば、初回量に続く1日1回の投薬)が、臨床試験チームによる合意に基づき、調査され得る。MTDは、対象6人のうち2人未満でDLTを引き起こす最高用量である。用量漸増相中にDLTが特定されることがなければ、用量漸増は、PK/PDの進行中の査定及び観察されるあらゆる臨床活性により決定して、計画された最大生物学的効果曝露を超える少なくとも2段階の用量レベルで続けて、推奨される第II相用量を決定してもよい。
11日1回投与(約24時間ごとに)。最新データに基づいて是認されるならば、臨床試験チームによる合意に基づき、代替投薬スケジュール(例えば、初回量に続く1日1回の投薬)を、用量漸増及び症例拡大相で続けて調査し得る。
2DLTが用量レベル1(100mg)で観測されるならば、第二コホートの用量は、75mg(用量レベル−1)に低下させる。
3後に続くコホート(コホート2の後)の用量の増加の絶対パーセントは、MTDが決定されるまで、先の用量コホートで見られたあらゆる毒性の種類及び重篤度ならびに可能性としてPK及びPK/PDデータに基づいて、臨床試験チームにより決定される。用量漸増は、決して100%を超えない。
4対象3人のうち1人未満または6人のうち2人未満でDLTを引き起こす最高用量として定義される。DLTが同定されることがなければ、PK/PDの進行中の査定及び観測されるあらゆる臨床活性により決定して、投薬を、計画された最大生物学的効果曝露より高い少なくとも2段階の用量レベルまで続けて、推奨される第II相用量を決定してもよい。
5それぞれ12人からなる少なくとも3つのコホートを含む。
6この表では、化合物2の用量強度は、遊離塩基当量強度を反映する(例えば、化合物2の用量強度が30mgと記載される場合、この用量は、遊離塩基化合物1の30mgを反映し、化合物2の36mgに等しい)。
治療中止基準のどれにも当てはまらない対象は、サイクル1後も治療を続けてよい。臨床上適切な可能性のある用量で治療されている対象数を最適にするため、メディカルモニターの認可により対象内での用量漸増を許容する。
定期的に予定された遠隔会議が、臨床試験チームによる安全性及び他の関連するデータを審査するための会議となる。用量漸増の決定を、決定を支持する情報の要約と合わせて文書化する。
推奨される第II相用量の決定後、それぞれ約12人の対象からなる固形腫瘍、神経膠腫、及びAITL適応症の少なくとも3つの拡大コホートをその用量で治療する。拡大コホートの目的は、具体的な疾患適応症における、推奨される第II相用量の安全性、耐用性、及び臨床活性を評価及び確認することである。これらのコホートに登録された対象は、用量漸増コホートの対象と同じ手順を踏むことになるが、ただし−3日目〜1日目のPK/PDの査定は、メディカルモニターの認可により任意選択である。
この臨床試験は、米国及びフランスの最大12箇所の臨床施設で行われることになると予想される。
約45人の対象がこの臨床試験に登録されると見積もられる。これは、MTDの特定が、2種類の用量レベルの化合物2で1用量レベルあたり3人のみの対象しか必要としないが、ただし、MTDは、6人の対象を必要とすること(n=9)、及び3つの拡大コホートに12人の対象が登録される(n=36)ことを前提としている。追加対象が、用量漸増中のコホート拡大のため、評価不能な対象の交換のため、あるいは計画された漸増スキーム以外の代替投薬レジメンまたはMTDの評価のため、推奨される第II相用量を最適化するのに、必要となる場合がある。
インフォームドコンセント後、対象は、適格性を判定するために、試験薬治療の開始前28日以内にスクリーニング手順を受ける。スクリーニング期間中、腫瘍生検を1プロトコルごとに行わなければならない。スクリーニング中に腫瘍生検を行うことができない場合、メディカルモニターに通知する。AITLのある対象では、スクリーニング中に骨髄生検及び/または吸引液を得るものとする。AITLのある対象で皮膚に合併症がある対象は、スクリーニング時に皮膚生検も行う必要がある。追加スクリーニング手順として、病歴、手術歴、及び薬歴、疾患の範囲を決めるX線検査、完全身体検査(肝腫大、脾腫大、リンパ節腫大の評価、及びAITLのある患者での皮膚の合併症を含む)、バイタルサイン、東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)活動状態(PS)、12リード心電図(ECG)、左室駆出分画(LVEF)、生殖細胞系列変異分析用頬側スワブ、臨床検査査定(血液検査、化学検査、凝固検査、尿検査、及び血清妊娠検査)、2−HG測定用の血液及び尿試料、ならびにUGT1A1変異状態、及び血漿コレステロール及び4β−OH−コレステロールレベルの判定用血液試料が挙げられる。
化合物2の連続毎日投薬を開始する3日前(−3日目)、用量漸増相の各コホートの最初の3人の対象に、診療所で単回用量の化合物2を投与し、化合物2、その代謝産物、及び2−HGの血液/血漿濃度を測定するために連続して血液試料を採取するが、ただしメディカルモニターがそれを不要と伝えた場合は行わない。完全72時間PK/PD特性を得る:対象は、−3日目は少なくとも10時間、検査施設に留まっていること、及び−2日目、−1日目、及び1日目に、それぞれ24時間、48時間、及び72時間試料のために戻ってくることが要求される。−3日目の診療所滞在中、臨床的観察ならびに連続的な12リードECG及びバイタルサイン査定を、最初の投薬後8時間にわたり行う。
化合物2を用いた毎日の治療がC1D1に始まる。最初の投薬レジメンは、1日1回(約24時間ごと)となる。最新データに基づいて是認されるならば、代替投薬スケジュール(例えば、初回量に続く1日1回の投薬)が、臨床試験チームによる合意に基づき、用量漸増相及び症例拡大相で調査され得る。化合物2の−3日目投薬を受けなかった対象は、臨床的観察、連続的な12リードECG、及びバイタルサイン査定のため、C1D1投薬後8時間診療所に留まるものとする。治療期間中に行われる安全性査定には、身体検査、バイタルサイン、ECOG PS、12リードECG、LVEFの評価、及び臨床検査査定(血液検査、化学検査、凝固検査、及び尿検査)が含まれる。
全ての対象が、C2D1、C4D1、及びC6D1で、10時間にわたり、PK/PD査定を受ける。追加の投薬前尿及び/または血液試料採取が、C1D8、C1D15、C1D22、C2D15、C3D1、C3D15で、及びその後の全てのサイクルの1日目に行われる。
全ての対象が、スクリーニング時、及び試験薬物治療中、投薬遅延及び/または投薬中止に関わらずスクリーニングの後56日ごとに、及び/または疾患の進行が疑われる任意の時点で、対象らの疾患の範囲を査定するためにコンピュータ断層撮影(CT)/MRIスキャンを受ける。神経膠腫以外の固形腫瘍のある対象及びAITLの対象については、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャンもスクリーニング時に行い、もし陽性であれば、スクリーニング後にCT/MRIスキャンと同時点で行う。神経膠腫のある対象については、1H−MRSも、探索分析の一部として、CT/MRIスキャンと同時点で、ならびに追加でC1D15及び29日目に行う。1H−MRSスキャンの結果は、治療維持状況に関して判断するのには使用されない。施設で1H−MRSを行うことができない場合及び神経膠腫のある患者を登録する場合は、メディカルモニターに通知するものとする。
腫瘍生検(及びベースラインで活動性皮膚合併症のあるAITLの患者については皮膚生検)及び血漿試料を、スクリーニング時、反応の最初の査定時、客観的反応についての時点、及び疾患進行時及び/または治療終了(EOT)訪問時に採取する。予定される査定時点の前後±3日間の幅が、全ての生検試料について許容される。血漿試料は、生検の時点で採取されなければならない。何らかの理由により必要とされる腫瘍生検を行うことができない場合は、メディカルモニターに通知するものとする。
AITLの患者については、身体検査の一部分として、治療全体を通じて、肝腫大、脾腫大、リンパ節腫大、及び皮膚の合併症の有無の評価を行う。完全奏功(CR)したAITLの患者は、CRを確認するため反復骨髄生検及び/または吸引を受ける。対象は、疾患が進行するまたは他の許容できない毒性が発生するまでは、化合物2を用いた治療を続け得る。全ての対象が、治療終了の査定を(試験薬物の最終投薬の約5日以内に)受けるものとする。さらに、追跡調査が最後の投薬から28日後に予定されるものとする。
治療に対する反応は、神経膠腫のない対象についてはRECIST v1.1(Eisenhauerら、2009)に基づいてまたは神経膠腫のある対象については改変RANO基準(Wenら、2010)により、及びAITLの対象については悪性リンパ腫の改訂IWG反応判定基準(Chesonら、2007)により、治験責任医師が判定する。対象は、スクリーニング時、治療中の指定された時点、及び/または疾患の進行が疑われる任意の時点で、対象の疾患の範囲を査定するために連続X線撮影検査を受ける。神経膠腫のある対象については、1H−MRSも、探索分析の一部分として行う。1H−MRSスキャンの結果は、治療維持状況に関して判断するのには使用されない。施設で1H−MRSを行うことができない場合及び神経膠腫のある患者を登録する場合は、メディカルモニターに通知するものとする。
約45人の対象がこの臨床試験に登録されると見積もられる。患者の50%が組入れ及び/または排除基準に合わない、すなわちスクリーニングで落ちると仮定すると、45人を登録するために約90人の患者がスクリーニングされる必要がある。スクリーニングで落ちた理由を記録する。MTDの特定に約2種類の化合物2の用量レベルの評価が必要であり、また6人の対象を必要とするMTDを除いては、1用量レベルあたり3人の対象しか必要としないという前提から、臨床試験の用量漸増段階中、9人の対象が登録される。特定の固形腫瘍、神経膠腫、及びAITLのある12人の追加対象からなる少なくとも3つのコホート(合計36人の対象)が、臨床試験のコホート拡大段階で登録されることが予測される。追加対象が、用量漸増中のコホート拡大のため、評価不能な対象の交換のため、あるいは計画された漸増スキーム以外の代替投薬レジメンまたはMTDの評価のため、推奨される第II相用量を最適化するのに、必要となり得る。
対象は、臨床試験に登録されるために以下の基準を全て満たさなければならない:
1.対象は、年齢が18歳以上でなければならない。
2.対象は、標準治療後に再発または進行した、あるいは標準治療に反応しなかった、組織学的または細胞学的に確定した、神経膠腫を含む進行固形腫瘍またはAITLを有さなければならない。
3.対象は、地域施設での検査に基づき記録されたIDH2遺伝子変異型疾患を有していなければならない。(集中検査が遡及的に行われることになる。)
4.対象は、神経膠腫のない固形腫瘍の対象についてはRECIST v1.1により、または神経膠腫のある対象については改変RANO基準により、またはAITLの対象については改訂IWG効果判定基準により測定可能な疾患を有していなければならない。
5.対象は、連続末梢血試料採取、尿試料採取、及び生検を受け入れられなければならない。
6.対象は、インフォームドコンセントを理解することができ、かつそれに署名することに同意しなければならない。施設及び/または施設の施設内倫理委員会(IRB)が許容及び認可するならば、何らかの理由でインフォームドコンセントを提出することができない対象の代わりに、法律上公認の代理人が同意してインフォームドコンセントを提出することができる。
7.対象は、0〜2のECOG PSを有していなければならない。
8.対象は、3ヶ月以上生存することが予想されていなければならない。
9.AITLの対象以外の対象は、以下のエビデンスのとおりの適切な骨髄機能を有していなければならない:
a.好中球絶対数が1.0×109/L以上、
b.ヘモグロビンが9g/dL超(対象は、このレベルまで輸血することが認められる)
c.血小板が50×109/L以上。
10.対象は、以下のエビデンスのとおりの適切な肝機能を有していなければならない:
a.血清総ビリルビンが1.5×正常の上限値(ULN)未満、ただし、ジルベール病、UGT1A1の遺伝子変異、または疾患の合併症によるものとみなされ、メディカルモニターにより認可を受けた場合を除く。
b.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及びアルカリホスファターゼ(ALP)が2.5×ULN以下。骨への転移がある対象及び/または疾患関連の肝臓または胆管合併症があることが疑われる対象については、ALPは、5×ULN以下でなければならない。
11.対象は、以下のエビデンスのとおりの適切な腎機能を有していなければならない:
a.血清クレアチニンが2.0×ULN以下
または
b.クレアチニンクリアランスが、コッククロフト・ゴールト糸球体濾過速度(GFR)推定に基づいて40mL/分超:
(140−年齢)×(kgでの体重)×(女性の場合は0.85)/72×血清クレアチニン
12.対象は、あらゆる以前の手術、放射線治療、または癌治療を目的とする他の治療法のどのような臨床上関連する毒性効果からも回復していなければならない。(例えば、以前の化学療法によるグレード1の残留毒性または安定なグレード2の末梢神経障害がある対象は、メディカルモニターによる認可を受けることで認められる。)
13.生殖能力のある女性対象は、治療開始前の7日以内の血清妊娠検査が陰性でなければならない。生殖能力のある対象は、生物学的に妊娠可能である対象と定義される。妊娠の可能性がある女性、ならびに繁殖力のある男性とそのパートナーは、臨床検査中及び化合物2の最後の投薬後90日間(女性及び男性)、性交渉を控えるまたは避妊の有効な手段を使用することに同意しなければならない。
14.以前の同種幹細胞移植は、対象が幹細胞移植から100日超経過しており、未制御の急性または慢性移植片対宿主病を有していない場合に限り、認められる。
以下の基準のどれかを満たす対象は、臨床試験に登録されない:
1.試験薬物投与の初日前の21日未満内に全身性抗癌治療または放射線治療を受けた対象。
2.試験薬物投与の初日前の14日未満内に治験薬を受けた対象。さらに、化合物2の最初の投薬は、治験薬の半減期の5倍以上の長さの期間が経過する前に行われてはならない。
3.狭い治療範囲を有する以下の感受性シトクロムP450(CYP)基質薬物を摂取している対象は、臨床試験から排除されるが、ただし登録前に対象が他の薬物に移行可能な場合を除く:パクリタキセル(CYP2C8)、ワルファリン、フェニトイン(CYP2C9)、S−メフェニトイン(CYP2C19)、チオリダジン(CYP2D6)、テオフィリン、及びチザニジン(CYP1A2)。
4.P−糖タンパク質(P−gp)及び乳癌抵抗性タンパク質(BCRP)輸送体感受性基質ジゴキシン及びロスバスタチンを摂取している対象は、臨床試験から排除されるが、ただし登録前に対象が他の薬物に移行可能な場合を除く。
5.根治的抗癌治療を利用できる可能性がある対象。
6.妊娠中または授乳中の対象。
7.スクリーニングで来訪中に、または試験薬物投与の初日に、抗感染療法の必要な活性で重篤な感染のある、または38.5℃超の不明な高熱のある対象(研究員の慎重さ次第で、腫瘍熱のある対象は登録される場合がある)。
8.化合物2の成分のいずれかに対して既知の過敏症のある対象。
9.C1D1の約28日内に、ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIもしくはIVのうっ血性心不全のある、またはLVEFが心エコー図(ECHO)もしくはマルチゲート(MUGA)スキャンで40%未満である対象。
10.最近6ヶ月以内に心筋梗塞歴のある対象。
11.未制御の高血圧(収縮期血圧が180mmHg超または拡張期血圧が100mmHg超)の対象は排除される。高血圧を制御するために2種以上の薬物を必要とする対象は、メディカルモニターによる認可があれば適格になる。
12.既知の不安定または未制御の狭心症のある対象。
13.重篤な及び/または未制御の心室性不整脈の既知の病歴がある対象。
14.心拍補正QT(QTc)時間が450ms以上またはQT延長もしくは不整脈事象の危険性を高める他の因子(例えば、心不全、低カリウム血症、長期QT間隔症候群の家族歴)を持つ対象。右脚ブロック及びQT間隔延長のある対象は、組入れの可能性についてメディカルモニターにより審査されなければならない。
15.QT間隔を延長することが既知である薬物を摂取している患者。
16.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または活動性B型もしくはC型肝炎の既知の感染がある対象。
17.臨床試験においてインフォームドコンセントに署名する、協力する、または参加する対象の能力に干渉する可能性があると治験責任医師がみなす、何か他の医学的または心理学的条件のある対象。
18.嚥下障害、短腸症候群、胃不全麻痺、または経口投与される薬物の摂取もしくは胃腸吸収を制限する他の症状のあることが既知の対象。
19.未治療、症候性、または症状を制御する治療を必要とする脳腫瘍転移のある対象、あるいは最初の投薬の2ヶ月以内に、症状を制御するために使用されるものも含めて、放射線、手術、または他の療法を何であれ受けた対象。MRIでのスクリーニングの前に、安定したステロイド投薬レジメンを受けている神経膠腫の対象は、メディカルモニターによる認可があれば登録可能になる場合がある。
20.AITLの対象では、髄膜もしくは大脳疾患のエビデンスまたは進行性多巣性白質脳症歴。
21.試験治療の最初の投薬前21日以内に、造血性活動性骨髄の25%未満が関与する放射線治療。
22.試験治療の最初の投薬前42日以内に、造血性活動性骨髄の25%以上が関与する放射線治療。
化合物2は、経口投与するために、錠剤配合物1(5、10、50、及び200mg遊離塩基当量強度)または錠剤配合物2(25、50、100、及び/または150mg遊離塩基当量強度)いずれかで提供される。
臨床試験の用量漸増相における各コホートの最初の対象3人は、−3日目に、試験薬物の単回用量を投与されるが、ただしメディカルモニターがこれを不要と伝えた場合は行わない。試験薬物の対象への次の用量はC1D1に投与され、その時点で対象は、28日サイクルで1日目から28日目まで1日1回(約24時間ごと)の投薬を開始し、これには、最新データに基づいて是認されるならば、代替投薬レジメンを調査する計画が含まれる。C1D1で開始して、投薬は連続して行い、サイクル中の休止期間はない。−3日目のPK/PD査定を受ける必要がない対象は、C1D1に化合物2の投薬を開始する。
対象全員が、1日1回(約24時間ごとに)化合物2を経口投与される。最新データに基づいて是認されるならば、代替投薬スケジュール(例えば、初回量に続く1日1回の投薬)が、臨床試験チームによる合意に基づき、用量漸増及び症例拡大相で引き続き調査され得る。各対象についての化合物2の用量は、属するコホートに基づく。
各用量コホートは、最初に対象3人を登録する。コホート内の3番目の対象が試験薬物治療を開始する時点でスクリーニング過程に複数の対象が存在するならば、追加の対象をメディカルモニターの認可とともに登録し得る。
追加対象が、用量漸増中のコホート拡大のため、PK/PD、安全性、もしくは臨床活性について評価不能な対象の交換のため、あるいは計画された漸増スキーム以外の代替投薬レジメンまたはMTDの評価のため、推奨される第II相用量を最適化するのに、必要となり得る。
対象に投与される化合物2の用量は、対象が臨床試験に適格である場合に、どの用量コホートに登録の空きがあるかに左右される。最初のコホートの対象に投与される化合物2の開始用量は、100mgを1日1回経口投与するものである。
化合物2は、28日サイクルで1日目から28日目まで1日1回(約24時間ごとに)経口投与される。最初の投薬レジメンは、1日1回(約24時間ごと)になる。最新データに基づいて是認されるならば、代替投薬スケジュール(例えば、初回量に続く1日1回の投薬)が、臨床試験チームによる合意に基づき、用量漸増及び症例拡大相で継続して調査され得る。C1D1で開始して、投薬は連続して行う。サイクル中の休止期間はない。治療中止基準のどれにも当てはまらない対象は、サイクル1後も治療を続けてよい。
対象は、絶食することが要求され、これは、各一日量(PK/PD血液試料採取が関係する日を含む)が、絶食(水は許容される)から2時間後に摂取されることを意味する。食物の摂取は、試験薬物投与後少なくとも1時間は回避しなければならない。投薬中の絶食は、進行中の食物効果試験の結果が完全に得られたら中止される場合がある。
対象は、彼らの一日量を毎日ほぼ同時刻に摂取するように指導されなければならない。各用量は、コップ1杯の水とともに摂取され、できるだけ短時間で消費されなければならない。対象は、錠剤を噛まずに丸ごと嚥下するように指導されなければならない。錠剤(複数可)を嚥下することが困難な対象については、メディカルモニターは、投与について相談を受けなければならない。
対象が毎朝の投薬の摂取を忘れた場合、その対象は、忘れた投薬の12時間以内に化合物2を摂取しなければならない。12時間超が経過してしまった場合は、その投薬は省略しなければならず、対象は、次に計画された用量で治療を再開しなければならない。
以下の治療は、臨床試験中に許容されない:
・他の抗悪性腫瘍治療。対象の疾患を治療するのに代替治療が必要な場合は、その対象での試験薬物治療は中止しなければならない。
・コルチコステロイド、ただし、外用の皮膚ステロイド、眼ステロイド、鼻ステロイド、及び吸入ステロイドは除く。(共存疾患を治療するための短期間のステロイド治療、悪性腫瘍ではない基礎疾患を治療するための慢性的低用量ステロイドの使用、及び神経膠腫のある対象で症状を制御するためのステロイド治療は、メディカルモニターの認可とともに許容される。)(AITL関連皮疹及び/または関節痛を治療するためのコルチコステロイドは、メディカルモニターの認可により許容され得る。)
・QT間隔を延長することが既知の薬物療法:アミオダロン、三酸化ヒ素、アステミゾール、アジスロマイシン、ベプリジル、クロロキン、クロルプロマジン、シサプリド、シタロプラム、クラリスロマイシン、ジソピラミド、ドフェチリド、ドンペリドン、ドロペリドール、エリスロマイシン、エスシタロプラム、フレカイニド、ハロファントリン、ハロペリドール、イブチリド、レボメタジル、メソリダジン、メサドン、モキシフロキサシン、ペンタミジン、ピモジド、プロブコール、プロカインアミド、キニジン、セボフルラン、ソタロール、スパルフロキサシン、テルフェナジン、チオリダジン、またはバンデタニブ。
・狭い治療範囲を有する感受性CYP基質薬物療法:パクリタキセル(CYP2C8)ワルファリン、フェニトイン(CYP2C9)、S−メフェニトイン(CYP2C19)、チオリダジン(CYP2D6)、テオフィリン、及びチザニジン(CYP1A2)。他のCYP2C8、2C9、2C19、2D6、及び1A2基質の同時投与は、使用が医療上必要な場合に限定されなければならない。
・P−pg及びBCRP輸送体感受性基質ジゴキシン及びロスバスタチン。他のP−gpまたはBCRP基質の同時投与は、使用が医療上必要な場合に限定されなければならない。
対象は、化合物2を摂取している間、制酸薬、H2遮断薬、またはプロトンポンプ阻害薬の摂取を回避しなければならない。化合物2の溶解特性を考慮すると、胃のpHが上昇した対象では曝露量が非常に低くなる可能性がある。
上記に指定されるもの以外の薬物及び治療は、臨床試験中に許容される。基礎悪性腫瘍の全ての介入性病状及び合併症は、治験責任医師の裁量で、現場の医療許容基準に従って治療される。対象は、必要に応じて、鎮痛薬、制吐薬、抗感染薬、解熱薬、及び血液製剤を投与されなければならない。全ての併用薬物は、血液製剤の輸液も含めて、eCRFに記録される。
増殖因子(顆粒球コロニー刺激因子[G−CSF]、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子[GM−CSF])を使用して、用量を規制するグレード4の好中球減少またはグレード3の好中球減少を発症しており発熱及び/または感染のある対象を支援することができる。赤血球生成刺激剤の使用は、米国臨床腫瘍学会ガイドライン(Rizzoら、2010)に従って許容される。
脳転移の症状を制御するために、または神経膠腫のある対象について、安定用量のステロイドがメディカルモニターの認可とともに許容される。AITL関連皮疹及び/または関節痛を治療するためのコルチコステロイドは、メディカルモニターの認可により許容され得る。
全ての併用薬物は、AEを治療するために使用されるものをはじめとして臨床試験中に行われたあらゆる手技を含めて、eCRFに記録される。
化合物2は、直接型及び間接型の日光に対する敏感性を引き起こし得る。対象には、直接日光を浴びることを回避するように警告しなければならない。15分より長く日光を浴びることが予想される場合、対象には、露出した部分に指数30以上の日焼け止めを使用するように、ならびに保護用衣服及びサングラスを着用するように指導しなければならない。
評価基準
安全性
完全身体検査が、体重測定も含めて、スクリーニング時、及びEOT訪問時に行われる。限定的な身体検査が、体重測定も含めて、−3日目(72時間PK/PD特性を調べる対象について)、サイクル1の1、8、及び15日目、ならびにその後の各治療サイクルの1日目に、行われる。身長は、スクリーニングで訪問した際に測定する。
AITLの対象については、完全身体検査は、肝腫大、脾腫大、リンパ節腫大、及び皮膚合併症の有無の査定を含む。
ECOG PSの測定を、スクリーニング時、−3日目(72時間PK/PD特性を調べる対象について)、サイクル1の1及び15日目、その後の各治療サイクルの1日目、EOT訪問時、ならびに経過観察訪問時に行う。
12リードECGを、スクリーニング時、サイクル1の8、15、及び22日目、サイクル2の1及び15日目、その後の各治療サイクルの1日目、治療終了の訪問時、ならびに経過観察訪問時に測定するものとする。さらに、連続12リードECGを、試験治療の最初の投薬(すなわち、72時間PK/PD特性を調べる対象については−3日目、−3日目査定に参加しない対象についてはC1D1)後、以下の時点で測定するものとする:投薬前、ならびに投薬後30±10分及び2、4、6、及び8時間後(±15分)。連続ECGは、バイタルサイン査定に続いて行われなければならない。12リードECGは、3分間の横臥位または半横臥位後に3つ組で測定されなければならない。
対象は、C1D1の28日以内にECHOまたはMUGAによりLVEFを決定するものとする。繰り返し査定は、C3D1、その後の治療サイクル1つおきに1日目(例えば、C5D1、D7D1など)、EOT訪問時、及び経過観察訪問時に行われるものとする。LVEFを評価する同一手順が臨床試験を通じて行われなければならない。
以下の安全性の検査パラメーターを測定するものとする:
血液学及び血清化学用の血液は、スクリーニング時、−3日目(72時間PK/PD特性を調べる対象について)、サイクル1の1、8、15、及び22日目、サイクル2及び3の1及び15日目、その後の各治療サイクルの1日目、ならびにEOT訪問時に採取するものとする。
クレアチンキナーゼ、心筋トロポニン、アミラーゼ、及びリパーゼ用の血液は、スクリーニング時、−3日目(72時間PK/PD特性を調べる対象について)、各治療サイクルの1日目、及び治療終了の訪問時に採取するものとする。
凝固検査用の血液は、スクリーニング時、−3日目(72時間PK/PD特性を調べる対象について)、サイクル1の1及び15日目、その後の各治療サイクルの1日目、ならびに治療終了の訪問時に採取するものとする。
尿検査用の尿は、スクリーニング時、−3日目(72時間PK/PD特性を調べる対象について)、サイクル1の1及び15日目、その後の各治療サイクルの1日目、ならびに治療終了の訪問時に採取するものとする。
妊娠検査:妊娠する可能性のある女性は全て、適格となるためには妊娠検査で陰性でなければならない。血清妊娠検査は、スクリーニング時に行われる。尿妊娠検査は、試験薬物投与の初日の投薬前(72時間PK/PD特性を調べる対象については−3日目、そうでなければC1D1)に行って陰性であることを確認しなければならない。
各対象は、インフォームドコンセントの署名から最終投薬の28日後まで、臨床試験全体を通じてどのようなものでもAEの発生がないか注意深くモニタリングされなければならない。さらに、処置後28日を超えて生じる、試験治療と関連する可能性があるまたは可能性が高いと査定されるSAEも報告されるものとする。
腫瘍生検(及びベースラインで活動性皮膚合併症を有するAITLの対象については皮膚生検)及び血漿試料採取を、スクリーニング時、最初の疾患査定時(56日目)、客観的効果の時点、及び疾患進行が疑われる任意の時点、及び/またはEOT訪問時に行う。全ての生検試料について、予定される査定時点前後±3日間の幅が許容される。血漿試料は、生検の時点で採取されなければならない。何らかの理由により必要とされる腫瘍生検を行うことができない場合は、メディカルモニターに通知するものとする。
腫瘍組織は、施設でその場で、形態評価、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色による細胞分化評価、及び免疫組織化学(IHC)方法によるKi67レベル評価を行う。さらに、腫瘍組織の試料は、IDH2遺伝子変異状態、2−HGレベルの評価のため、ならびにIHC、遺伝子発現特性決定、及びヒストン及びDNAメチル化を介した特定の細胞型マーカーのため、試験依頼者(または被指名人)に提出される。腫瘍試料はまた、代謝特性について、及び実行可能な場合は、腫瘍内化合物2レベルについても評価する場合がある。
腫瘍生検の時点で採取された血漿試料は、IDH変異状態及び代謝特性について、試験依頼者(または被指名人)が評価する。
臨床活性査定
化合物2の臨床活性は、治療に対する反応を、神経膠腫のない固形腫瘍のある対象についてはRECIST v1.1(Eisenhauerら、2009)に従って、神経膠腫のある対象については改変RANO基準(Wenら、2010)により、またはAITLの対象については改訂IWG基準(Chesonら、2007)により、査定することにより評価する。
腫瘍測定図を得るためのコンピュータ断層撮影またはMRIスキャンは、全ての対象で、スクリーニング時、及び試験薬物治療中、投薬遅延及び/または投薬中止に関わらずスクリーニングの後56日ごとに、及び疾患の進行が疑われる任意の時点で、行うものとする。査定は、疾患の進行以外の理由で臨床試験を中止する対象のEOT訪問時にも行われる。
固形腫瘍(神経膠腫以外)のある対象及びAITLのある対象については、スクリーニング時にポジトロン放出断層撮影(PET)/CTスキャンが必要である。対象がベースラインにPET陽性(PET−avid)疾患を有する場合は、連続PET/CTスキャンをCT/MRIスキャンと同じスケジュールで測定しなければならない。固形腫瘍のある対象については、反応がRECIST基準に基づくことになるので、PET画像化の結果は探査の性質のものとなる。
神経膠腫のある対象については、1H−MRSもまた、探索分析の一部として、CT/MRIスキャンと同じスケジュールで、ならびにC1D15及び29日目の追加スキャンとして、行われる。1H−MRSスキャンの結果は、治療維持状況に関して判断するのには使用されない。施設で1H−MRSを行うことができない場合及び神経膠腫のある患者を登録する場合は、メディカルモニターに通知するものとする。
AITLの対象については、骨髄生検及び/または吸引液を、スクリーニング時に得るものとし、スクリーニングで陽性の場合は、サイクル1の終了時、サイクル2の前に(C1D28またはC2D1)及びCRの時点で繰り返して反応を確認するものとする。骨髄吸引液及びコア試料採取は、国際血液学標準化協議会(ICSH)ガイドライン(Leeら、2008)に従って、治療基準に従って行われなければならず、現場の検査室で分析されなければならない。
活動性皮膚合併症のあることが既知または疑われるAITLの対象については、6mm以上のパンチ生検が、スクリーニング時、56日目に行われる最初の疾患査定時、客観的反応の時点、及び疾患進行時及び/またはEOT訪問時に必要である。予定される査定時点前後±3日間の幅が許容される。皮膚疾患の程度は、関与する全身表面積(BSA)の評価及び発疹のCTCAEグレードも含めて、スクリーニング時、各疾患査定時、客観的反応の時点、及び疾患進行時及び/またはEOT訪問時に行われる。全身BSAは、以下の解剖学的構造による関与パーセント(9の法則)に基づいて評価される:前後頭部(各4.5%)、前後胴体(各18%)、前後脚部(各脚について各9%)、前後腕部(各腕について各4.5%)、及び生殖器/会陰部(1%)。
神経膠腫以外の固形腫瘍のある対象については、腫瘍病変は、RECIST v1.1(Eisenhauerら、2009)に基づき、測定可能対測定不能、及び標的対非標的として分類されるものとする。
腫瘍病変:少なくとも一方向で正確に測定されていなければならず(測定面の最長径が記録されるものとする)、その最小寸法が以下のもの:
・CTスキャンで10mm(CTスキャン用スライスの厚さは5mmを超えない)。
・臨床検査でノギス測定により10mm(ノギスで正確に測定することができない病変は、測定不能と記録しなければならない)。
・胸部X線で20mm。
悪性リンパ節:病理学的に肥大かつ測定可能とみなされるためには、リンパ節は、CTスキャンにより査定した場合に短軸が15mm以上でなければならない。
全ての他の病変、これには、小病変(最長径が10mm未満または10mm以上〜15mm未満の短軸を持つ病的リンパ節)ならびに真に測定不能な病変が含まれ、そのような病変として、再現性のある画像化技法で測定不能な、身体検査で特定される、軟髄膜疾患、腹水、胸水または心膜液貯留、炎症性乳房疾患、皮膚または肺のリンパ管性合併症、腹部腫瘤/腹部臓器肥大が挙げられる。
1つより多い測定可能な病変がベースラインに存在する場合、全ての関与する臓器を代表する最大で合計5までの全ての病変(及び1臓器あたり最大2の病変)が、標的病変として特定され、ベースラインとして測定されなければならない。
標的病変は、それらの大きさ(最長径を持つ病変であること)、全ての関与する臓器を代表するものであることに基づいて選択されなければならないが、それだけでなく、再現可能な繰り返し測定を行うことができるものでなければならない。
測定可能と定義されかつ標的病変として特定される病的リンパ節は、CTスキャンで短軸が15mm以上でなければならない。これらリンパ節の短軸のみがベースライン合計に寄与する。
全ての標的病変の径(非結節性病変の最長径、結節性病変の短軸)の合計は、ベースライン合計径として計算及び記録される。ベースライン合計径は、疾患の測定可能な寸法における客観的腫瘍退縮をどのようなものでもさらに特徴づけるための参照として使用される。
病的リンパ節を含む全ての他の病変(または疾患部位)は、非標的病変として説くk定されなければならず、同じくベースラインとして記録されなければならない。測定は必要ではなく、これらの病変は、「あり」、「なし」、または「明らかに進行」として追跡されなければならない。表24及び表25にまとめる以下の基準が、治療に対する反応を査定するのに使用される。
この試験は、神経腫瘍効果判定(RANO)作業部会により最近提案された基準(Wenら、2010)を使用する。RANO基準は、確立されたその前バージョン、改変Macdonald基準(Macdonaldら、1990)を更新したものである。
特定の病変が、連続的に評価されなければならず、造影領域、ならびに非造影構成要素の変化の比較分析が行われなければならない。Macdonald基準(Macdonaldら、1990)を用いる場合と同様、最大造影断面径の積を用いて、造影病変の大きさを求める。
測定可能な疾患:
・CTまたはMRIスキャンにより輪郭のはっきりした辺縁を持ち、最小径が1cmであり、2枚の横断スライス、これらは少なくとも5mm離れておりスキップが0mmである、で視認できる、二次元で造影する測定可能な病変。嚢胞または摘出腔周囲の腫瘍の測定は、必要な場合には、最小厚さ3mmが必要である。測定可能な病変が多すぎて各評価で測定しきれない場合、治験責任医師は、対象を試験に登録するまえに、追跡すべき最大の病変2つを選択しなければならない。残りの病変は、客観的効果判定の目的に関して測定不能とみなされる。
測定不能で評価可能な疾患:
・一次元で測定可能な病変、輪郭のはっきりしない辺縁を持つ腫瘤、最大径が1cm未満の病変。
病変数:
複数の造影病変が存在する場合、RECIST v1.1で全身性腫瘍用に提案される基準と同様に、最少で2つの最大病変を測定しなければならず、これらの病変の垂直径の積の合計を求めなければならない。しかしながら、高悪性度の神経膠腫の不均一性及び病変によっては測定が困難であることを考慮すると、最多で5つの最大病変を測定し得る。一般に、最大の拡大中病変(複数可)を選択しなければならない。しかしながら、再現可能な繰り返し測定を可能にする病変に重点が置かれなければならない。時に、最大病変は、再現可能な測定ができない場合があり、再現可能に測定可能な次に大きい病変を選択しなければならない。再発疾患の対象で複数の病変を有しそのうち1つまたは2つのみが大きくなっていっている対象については、出現してきている病変を応答評価のための最大病変とみなす。その他の病変は、非標的病変とみなし、同じく記録されなければならない。
応答/進行の分類
なお、全ての測定可能及び測定不能な病変が、臨床試験全体を通じて同一の技法を用いて査定されなければならないことに留意する。
進行が観察されない限り、客観的応答は、全ての測定可能及び測定不能な病変が査定される場合にのみ決定することができる。
低悪性度神経膠腫の査定については、以下に概要を述べるとおりのRANO高悪性度神経膠腫基準を用いる。しかしながら、腫瘍の大きさは、造影径の代わりに水抑制反転回復(FLAIR)の最大横断面径の積により決定しなければならない。
完全奏功(CR)
以下の基準の全てを満たさなければならない:
・全ての造影する測定可能及び測定不能な疾患の完全な消失が少なくとも4週間続くこと。4週間後の確認スキャンがない間は、このスキャンは安定疾患とみなされる。
・新病変がないこと。
・参加者は、ステロイド投与がないのであってはならず、または生理的補充用量のみの投与中でなくてはならない。
・安定または改善された非造影(T2/FLAIR)病変。
・ベースラインに存在し、疾患に関連すると記録されている臨床徴候及び症状に関して、臨床的に安定または改善されている。
測定不能な疾患のみを持つ対象は、CRになり得ない。可能な最良応答は、安定疾患である。
部分奏功(PR)
以下の基準の全てを満たさなければならない:
・全ての測定可能な造影病変の垂直径の積の合計が、ベースラインと比較して50%以上減少し、それが少なくとも4週間続くこと。4週間後の確認スキャンがない間は、このスキャンは安定疾患とみなされる。
・測定不能な疾患の進行がないこと。
・新病変がないこと。
・スキャン評価時点でのステロイド用量が、ベースラインスキャン時点の用量より多くあってはならない。
・ベースラインスキャンと比較して、同じまたはそれより少ない用量のコルチコステロイドを投与されていて、安定または改善された非造影(T2/FLAIR)病変。
・ベースラインに存在し、疾患に関連すると記録されている臨床徴候及び症状に関して、臨床的に安定または改善されている。
測定不能な疾患のみを持つ対象は、PRになり得ない。可能な最良応答は、安定疾患である。
安定(SD)
以下の基準の全てを満たさなければならない:
・CR、PR、または進行の基準を満たさない。
・ベースラインスキャンと比較して、同じまたはそれより少ない用量のコルチコステロイドで、安定な非造影(T2/FLAIR)病変。神経画像処理で疾患進行の確定はないが新症状及び徴候のためコルチコステロイド用量を増加させ、その後の経過観察画像で、疾患進行のためこのコルチコステロイド増量が必要であったことが示される事象では、安定疾患を示すとみなされる最後のスキャンは、コルチコステロイド用量がベースライン用量と等しかった時点で得られたスキャンとなる。
・臨床的に安定。
進行(PD)
以下の基準の全てを満たさなければならない:
・ベースライン(減少がない場合)または安定もしくは増加用量のコルチコステロイドでの最良応答いずれかで得られた最小腫瘍測定値と比較して、造影病変の垂直径の積の合計が25%以上増加
及び/または以下の1つまたは複数の基準:
・併存事象(放射線療法、脱髄、虚血傷害、感染、発作、術後の変化、または他の治療効果)によらない、ベースラインスキャンまたは治療開始後の最良応答と比較して、安定または増加用量のコルチコステロイドでのT2/(FLAIR)非造影病変の顕著な増加。
・あらゆる新病変
・腫瘍と切り離される他の原因(例えば、発作、薬物副作用、治療の合併症、脳血管イベント、感染など)またはコルチコステロイド用量の変化に起因するのではない明白な臨床的増悪。
・死亡または症状悪化により評価に復帰できないこと
・測定不能な疾患の明白な進行。
まれに、標的病変での安定または部分奏功の設定でも、治療の中止が必要になる非標的病変の明らかな進行または新たな造影病変の発生が起こる場合がある。こうした変化は、進行と判定される。
a*のついた基準のいずれかが存在する場合、進行が起こっている。
bNA:コルチコステロイド増加は、それのみでは持続性の臨床的増悪のない進行を判断するのに考慮にいれない。
AITLのある対象での治療に対する反応の評価は、改訂IWG基準(Chesonら、2007)に基づくものとする。リンパ節腫大は、リンパ腫で示される主な異常である。さらに、関連する節外性合併症の部位は、肝臓、脾臓、胃、腸、皮膚、鼻腔、及び他の解剖学的場所に存在する場合がある(すなわち、節外性病変)。連続画像化のためのベースラインとして特定された患部節、結節性腫瘤、及び節外性病変は、以下に説明するとおり、評価対象病変または非評価対象病変と分類されるものとし、さらに「結節性」または「節外性」と分類されるものとする。
評価対象病変及び非評価対象病変の特定
IWG基準に基づいて、異常リンパ節または結節性腫瘤を、以下に基づいて特定する:
1.少なくとも2つの垂直寸法で明らかに測定可能であり、最長寸法の測定値が最小でも10mm超である、
2.できるだけ身体の異なる領域にある場所、及び
3.疾患の縦隔及び後腹膜領域が関与していた場合はいつでもそれらの部位から。
評価対象病変は、病変の最大直線寸法(主軸)及び最長垂直寸法(短軸)で測定される。1時点あたりの疾患の総負荷を、評価対象病変の二方向積和(SPD)を用いて求めるこ。異常リンパ節及び/または結節性腫瘤を代表する最大6つの結節性評価対象病変を特定する。放射線科医は、最大結節を選択することが(解剖学上の部位基準に従いながらも)強く奨励される。
さらに、リンパ腫と一致するが、リンパ節を含まない(ベースラインで10mm超)測定可能疾患のエビデンス、例えば、肝小結節、脾臓小結節、皮膚病変、またはリンパ系の外側で見つかるあらゆる関連病変などは、節外性評価対象病変として特定されるものとする。結節性プラス節外性疾患が存在するならば、または節外性疾患のみが存在するならば、最大で10の評価対象病変を選択するものとする。
他の査定可能な疾患は全て、非評価対象病変として特定されるものとする。非評価対象病変の有無または明らかな進行、及びあらゆる新病変の出現は、臨床試験を通じて記録されるものとする。
薬物動態学的査定
血液試料採取及び用量漸増中の薬物動態測定
化合物2(及び技術的に実現可能であれば、化合物2の代謝産物)の循環血漿中濃度を求める目的で、連続血液試料採取を、化合物2の投薬前後に行う。血液試料は、2−HG濃度及び代謝特性を求めるために、ならびにコレステロールレベル及び4β−OH−コレステロールレベルを評価するためにも使用される。
用量漸増相中にコホートに登録された最初の3人の対象について、単回用量の化合物2を、−3日目(すなわち、彼らに計画されていたC1D1投薬の3日前)に投与するが、ただしメディカルモニターがこれを不要と伝えた場合は行わない。血液試料は、化合物2の単回用量投与前(30分以内)、及び投与後の以下の時点で採取する:30(±10)分、ならびに1、2、3、4、6、8、及び10時間後(±10分)、ならびに24、48、及び72時間後(±1時間)。72時間の血液試料採取後、対象は、化合物2の毎日の経口投薬を開始する(すなわち、C1D1)。−3日目から1日目までのPK/PD特性は、用量漸増相に追加登録された対象(すなわち、コホートに最初から登録されている対象3人以降のあらゆる対象)及び拡大コホートに登録された対象については、任意選択である(メディカルモニターの承認に従う)。
全ての対象が、C2D1、C4D1、及びC6D1で10時間PK/PD試料採取を受ける。この特性については、1つの血液試料をその日の最初の化合物2投薬の直前に行う(すなわち、化合物2の投薬は臨床施設で行う)。その後の血液試料は、以下の時点で採取される:30(±10)分後、ならびに1、2、3、4、6、8、及び10時間後(±10分)。血液試料は、サイクル1の8、15、及び22日目、サイクル2の15日目、サイクル3の1及び15日目、ならびにその後の各サイクルの1日目にも採取される。全ての試料は、投薬前に採取される(すなわち、化合物2の投薬は臨床施設で行う)。さらに、1つの血液試料をEOT訪問時に採取する。
化合物2濃度測定用の血液試料採取の時点は、最新のデータが、化合物2のPK特性をより良く特徴づけるのに試料採取スキームの変更が必要であることを示すならば、変更され得る。
薬物動力学査定
血液試料
2−HGの循環濃度を求めるために、連続血液試料採取を、化合物2の投薬前後に行う。PK査定用に収集された試料は、2−HG濃度及び代謝特性を査定するためにも使用される。さらに、対象は、スクリーニング査定時に、2−HGレベルを求めるために血液を採取される。
2−HG濃度測定用の血液試料採取の時点は、最新のデータが、化合物2治療に対する2−HG反応をより良く特徴づけるのに試料採取スキームの変更が必要であることを示すならば、変更され得る。
尿試料
対象は、2−HGレベルを求めるために、スクリーニング査定時、ならびにサイクル1の15日目の投薬前、サイクル2の1日目の投薬前、及びその後の各サイクルの1日目の投薬前に尿試料を採取される。各試料に少なくとも20mLの尿が集められる。
各収集物の体積を測定して記録し、尿中2−HG濃度測定のため中央検査室に送る。各収集物の一定分量を尿中クレアチニン濃度について分析する。
腫瘍及び皮膚生検試料
腫瘍及び皮膚生検検体も、2−HGレベル、代謝特性、及び実現可能であれば、腫瘍内化合物2レベルについて査定する。
コレステロール及び4β−OH−コレステロールの評価
CYP3A4誘導マーカーとなる可能性がある血漿コレステロール及び4β−OH−コレステロールレベルを求めるため、連続血液試料採取を行う。PK査定用に収集された試料は、コレステロールレベル及び4β−OH−コレステロールレベルを査定するためにも使用される。具体的には、−3日目の投薬前(30分以内)、ならびに24、48、及び72時間後(±1時間)に得られた試料を、コレステロールレベル及び4β−OH−コレステロールレベルについて査定し、サイクル1の8、15、及び22日目、サイクル2及び3の1及び15日目、ならびにその後の各サイクルの1日目の投薬前試料でも同じく査定する。
さらに、対象は、スクリーニング査定時にも、コレステロールレベル及び4β−OH−コレステロールレベル測定用の血液を採取される。
有害事象
AEのモニタリングが、臨床試験全体を通じて行われる。有害事象及びSAEは、インフォームドコンセントに署名した時点から最後の試験薬物投薬の28日後までeCRFに記録される。さらに、処置から28日超後に生じた試験治療と関連する可能性があるまたは可能性が高いと査定されるSAEも、報告される。全てのAEは、それらが解消されるまで、あるいはそれらが対象の安定もしくは慢性症状または介入性疾病(複数可)によるものであると断定されるまで、モニタリングされなければならない。
有害事象(AE)とは、薬物に関連するとみなされるかどうかにかかわらず、ヒトでの薬物使用に伴うあらゆる有害な医薬的出来事である。AE(有害体験とも称する)は、因果関係についてのどのような判断もなく、あらゆる、望ましくない及び意図しない、徴候(例えば、異常な検査所見)、症状、または薬物使用に一時的に関連した疾患が可能である。AEは、どのような薬物使用(例えば、適応外使用、別の薬物との併用)から生じたのかも、どのような投与経路、配合、または過剰投与を含む投薬から生じたのかも問わない。
副作用と疑われるものは、薬物が引き起こしたAEであるとする合理的な可能性が存在するあらゆるAEである。安全性報告の迅速化の目的で、「合理的な可能性」は、薬物とAEの間に因果関係があることを示唆するエビデンスが存在することを意味する。
予期せぬAEとは、その事象の性質または重篤度が、適応製品情報、例えば、治験責任医師向けパンフレットと一致しないもののことである。
AEまたは副作用と疑われるものは、それが以下の結果のいずれかをもたらす場合に、治験責任医師または試験依頼者いずれかの見解で、重篤(SAE)と見なされる:
・死亡
・生命を危うくする。生命を危うくするとは、その事象が起こることで対象が差し迫った死亡の危険にさらされたことを意味する、すなわち、この事象には、より重篤な形で起こったとしたら死を引き起こすかもしれないと仮定される反応は含まれない。
・入院患者の入院加療または既存の入院加療の長期化。臨床検査期間中に行うことが計画されていたが、臨床試験に入る前の予定であった入院加療の承認及び/または外科手術は、対象が臨床試験に登録される前から疾病または疾患が存在していた場合にはAEと見なされないが、ただしその疾病または疾患が、臨床試験中に予期せぬ様式で悪化(例えば、手術が予定より早く行われたなど)しなかった場合に限る。
・持続性もしくは顕著な無能または正常な生活機能をこなす能力の実質的な破壊。
・先天性異常/先天性欠損。
・重大な医療事象。重大な医療事象とは、死亡を招く、生命を危うくする、または入院加療が必要にならないかもしれないが、適切な医療判断に基づいて、その事象が患者または対象を危険にさらす可能性があり、SAEの定義で列挙される結果の1つを防ぐために医療介入または手術介入が必要になる可能性がある場合にSAEであると見なされ得る事象である。そのような医療事象の例として、救急治療室または在宅での集中治療を必要とするアレルギー性気管支痙攣、入院患者の入院加療を招くものではない血液疾患または痙攣、あるいは薬物依存または薬物乱用の発生が挙げられる。
統計手法
標本の大きさの推定
予定される用量漸増スキームに基づいて、約45人の対象がこの臨床試験に登録されると見積もられる。これは、MTDの特定に化合物2の2種類の用量レベルの評価が必要であり、6人の対象を必要とするMTDを除いては、1用量レベルあたり3人の対象しか必要とせず(n=9)、症例拡大相では1コホートあたり12人の対象が登録される(n=36)ことを前提とする。追加対象が、用量漸増中にコホートを拡大するため、評価不能な対象の交換のため、あるいは予定された漸増スキーム以外の代替投薬レジメンまたはMTDの評価のため、推奨される第二相用量を最適化するのに、必要となり得る。
図41は、標準の3+3用量漸増計画において、DLTの真の割合の範囲に対して、低い方の用量からその次に高い用量へと漸増させる可能性を表す。例えば、真のDLT割合が0.20(20%)であったならば、用量漸増の可能性は、約0.70(70%)になる。
MTDまたはさらなる試験で使用され得る他の用量及びレジメンでの毒性を確実にするために、MTDで最大36の追加対象が生じる。毒性割合の見積もりは、36人の追加対象及びMTDで先に投薬された6人の対象に基づく。毒性割合は、n=42の場合、±13.4%の最大マージンまたは誤差(90%正確信頼区間)で推定することができる。n=42という標本規模は、95%信頼性で6.9%の真の発生率を持つ少なくとも1つのAEの検出を可能にするであろう。n=42という標本規模及び6.9%という真の発生率を用いると、少なくとも1つのAEを観測する95%の可能性がある。
データを提示するために、以下の対象集団(すなわち、分析セット)を評価及び使用する:
・治療企図(ITT)解析セット:試験治療に登録されており試験治療の少なくとも1種の用量を投与された全ての対象。ITT解析セットは、安全性データ分析の基本セットになる。
・パープロトコル(PP)解析セット:ITT解析セットに含まれていて、重大なプロトコル違反のなかった全ての対象。化合物2の臨床活性の可能性についての結果は、PP解析セットに基本的に基づく。
欠落データ要素の補完は行わない。
AEデータを表にする場合、部分的な日付を以下のとおり処理する。発生日について、月の日が欠けている場合、その月の初日に設定するものとするが、ただし試験治療と同月及び同年である場合を除く。この場合、事象を治療中に出現したものとして控えめに記録する目的で、発生日は、治療の日付であると仮定される。発生の日付及び月の両方が欠けている場合、その日付及び月は、1月1日であると仮定されることになるが、ただし事象が試験治療と同年に発生した場合を除く。この場合、事象を治療中に出現したものとして控えめに記録する目的で、事象の発生は、治療の日付が付けられる。欠けている発生日は、治療日が付けられる。
データの公式の中間解析は行わない。安全性の中間総括は、各投薬コホートの完了後、用量漸増及び次のコホートの登録の前に、臨床試験チームにより行われる。PK及びPD変数の評価も、化合物2のレベルと2−HGレベルの間の関連性の可能性を評価するために、必要性に応じて行われる。
統計分析は、基本的に性質が記述的となる。なぜなら、臨床検査の目的は、化合物2のMTDを求めることだからである。これは、決定論アルゴリズムの結果により達成される。すなわち、統計的仮説検定は、MTDの査定を意図するものでもない。表によるまとめは、適切な、内訳、人口統計、ベースライン、安全性、PK、PD、及び臨床活性パラメーターについて、臨床試験の用量漸増相と症例拡大相とで別々に行われる。用量漸増相については、データは、用量レベルごと及び総合でまとめられ、症例拡大相については、悪性腫瘍タイプごと及び総合でまとめられる。カテゴリー変数は、頻度分布(対象の人数及びパーセンテージ)によりまとめられ、及び連続変数は、記述統計(平均、標準偏差、中央値、最小値、及び最大値)によりまとめられる。
全てのデータは、対象別一覧で提供される。
対象の内訳の表が提示され、表には登録人数、治療人数、及び治療中止の理由が合わせて報告される。組入れ基準及びプロトコル逸脱も列挙される。
用量群の比較可能性を記述的に査定する目的で、人口統計及びベースラインの疾患特性データのまとめが行われる。表によるまとめの対象のデータには、性別、年齢、ならびに人種及び民族、ならびに疾患に特定した情報が含まれる。
投与された用量の数、合計用量、治療期間、服薬遵守、及び用量修飾した対象の割合を含めて試験薬物服用のまとめが作成される。
有害事象は、国際医薬用語集(MedDRA)器官別大分類及び基本語によりまとめられる。全ての治療により発生したAE(TEAE)、治療関連AE(治験責任医師により薬物関連の可能性が少なくともあると見なされるもの)、SAE、AEによる中止、及び少なくともグレード3の重篤度のAEについて、別々の表によるまとめが行われる。対象別一覧は、死亡、SAE、DLT、及び治療中止を招くAEについて提供される。
記述統計は、臨床検査、ECG間隔、LVEF、及びバイタルサインデータについて提供され、これらは、実際の値、ならびに各試験中の評価の及び試験での最後の評価のベースラインからの変化の両方で表される。
治療での、ベースラインから最悪値まで及びベースラインから最小値までの検査データのシフト表は、CTCAE v4.03等級付けに基づいて表される。シフト表は、治療での、ECOG PSの、ベースラインから最悪値まで、ベースラインから最高値まで、及びベースラインから最終値までについても提供される。
薬物動態分析
記述統計(すなわち、対象数、平均、標準偏差、幾何平均及び変動係数、中央値、最小値、ならびに最大値)を用いて、各用量群について、及び適切であれば、全集団について、PKパラメーターをまとめる。そのようなパラメーターには、Cmax、Tmax、AUC、排出半減期が含まれる(が、これらに限定されない)。用量と、Cmax及びAUC両方との関連性を、用量比例性についてグラフを使って調査する。
薬力学分析
化合物2の血漿レベルと血液/血漿または尿2−HGレベルとの関連の可能性を、記述的及びグラフを使った方法で調査する。
臨床活性分析
施設の治験責任医師がRECIST、改変RANO、または改訂IWG基準を用いて査定したとおりの治療に対する反応を表にまとめる。各用量レベル及び全体について反応割合の両側90%信頼区間を計算する。データはまた、悪性腫瘍の型についてもまとめる。
記述統計を用いて、腫瘍生検からKi67レベルをまとめる。
初期臨床活性の評価及びPD生体マーカーとの関連性の可能性を含む探査分析の評価の詳細は、統計分析計画において記載する。
実施例4:
表Aに記載する乾式ブレンドプロセスを用いて、5mg及び10mg用量強度の錠剤(遊離塩基当量)を調製することができる。
表Bに記載する乾式造粒プロセスを用いて、50mg及び200mg用量強度の錠剤(遊離塩基当量)を調製することができる。
表Cに記載する乾式造粒共通ブレンドを用いて、25mg、50mg、100mg、及び150mg用量強度の錠剤(遊離塩基当量)を調製することができる。
明確にするため及び理解のため、上記の発明をある程度詳細に説明したが、これらの特定の実施形態は、例示であって限定ではないと見なされるものである。当業者には、本開示を読むことで本発明の真の範囲から逸脱することなく形状及び詳細に様々な変化を加えることができ、本発明の真の範囲は、特定の実施形態によるのではなく、添付の請求項により定義されることが理解される。
本明細書中言及される特許及び科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立するものである。特に記載がない限り、本明細書中使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者が一般的に理解するとおりのものと同じ意味を有する。本明細書中記載される交付済み特許、出願、及び参照は、それぞれが、参照により援用されると具体的かつ個別に示されるのと同じ程度に本明細書により参照により援用される。矛盾が生じる場合は、本開示が、定義も含めて、優先されるものとする。