JP2017526673A - アジュバント - Google Patents

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Abstract

本発明は、リポアラビノマンナンを含むデクチン−2発現細胞の活性化剤、およびリポアラビノマンナンを含むアジュバントを提供する。

Description

本発明は、リポアラビノマンナンを含むアジュバントおよびリポアラビノマンナンを使用することによりデクチン−2(Detin−2)発現細胞を活性化させる方法に関する。
ミコバクテリアは、トレハロース−6,6’−ジミコール酸(TDM)、ミコール酸、ホスファチジルミオイノシトールマンノシド(PIM)、リポマンナン(LM)およびリポアラビノマンナン(LAM)などの、宿主の免疫応答に影響を及ぼす多彩な細胞壁の成分を持つ。LAMは、主要なリポグリカンであり、ミコバクテリアの重要な病原性因子であり(Mishra et al., 2011)、これによって、ミコバクテリアが宿主生物に感染し、宿主細胞内で生残することが可能となる。LAM合成の阻害剤であるエタンブトールが、抗ミコバクテリア薬物として広く使用されている(Belanger et al., 1996)。LAMは、マンノシルホスファチジルミオイノシトール(MPI)アンカー、マンノース骨格、アラビナンドメインおよびキャップ部分という4つの成分からなる。アラビナンドメインの最終末端に位置するキャップ部分は、例えばマンノースキャップ型LAM(Man−LAM)、ホスフォイノシトールキャップ型LAM(PI−LAM)および非キャップ型LAM(Ara−LAM)など、ミコバクテリア種の内で異なっている。なかでも、Man−LAMは、宿主の免疫に対し多面的な効果を発揮することから、精力的に研究されてきた(Mishra et al., 2011)。
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含めて、病原性種は、宿主免疫系(Briken et al., 2004)およびファゴソーム−リソソーム融合(Fratti et al., 2003)を抑制すると示されているMan−LAMを持つ。様々な阻害機構がこれまでに提案されているが、主要な事象の1つは、免疫抑制サイトカインであるインターロイキン−(IL−)10の産生である。他方、Man−LAMは一酸化窒素放出および炎症性サイトカインの分泌などの、免疫刺激性応答も増強する(Chan et al., 2001; Gringhuis et al., 2009; Mazurek et al., 2012)。
C型レクチン受容体(CLR)が極めて多様な病原体に対するパターン認識受容体(PRR)として近年同定された。CLRのメンバーである、樹状細胞(DC)特異的細胞接着分子−3結合ノンインテグリン(Dendritic cell (DC)-specific intercellular adhesion molecule-3 grabbing nonintegrin)(DC−SIGN、CD209とも称される)ならびにその推定上のマウス相同体とされているSIGN−related 1(SIGNR1、CD209bとも称される)およびSIGNR3(CD209d)が、Man−LAMを認識し、その免疫抑制活性を媒介すると報告されている(Geijtenbeek et al., 2003; Schlesinger et al., 1994; Tailleux et al., 2003)。マクロファージマンノース受容体(MMR、CD206とも称される)は、負のシグナルを伝達してDC活性化を減弱させることから(Nigou et al., 2001)、LAMに対する阻害性受容体の候補でもある。阻害機能に関するこれらの報告に加えて、Man−LAMによるSIGNR3への結合はまた、SIGNR3をトランスフェクトしたマクロファージにおいてIL−6および腫瘍壊死因子(TNF)の分泌も誘導する(Tanne et al., 2009)。さらに、スカベンジャー受容体CD36は、リポ多糖類(LPS)刺激性マクロファージ細胞株においてTNF放出をもたらすMan−LAMの刺激性活性を増強する(Jozefowski et al., 2011)。多数のタンパク質が、Man−LAMの受容体であると提案されているが、そのいずれの受容体もMan−LAMの多様な機能、すなわち刺激性および抑制性の両方の効果を十分には説明しておらず、このことは未同定の分子がMan−LAMに対する受容体として機能している可能性を示唆している。
本発明者らは近年、CLRであるMincle(遺伝子記号Clec4e)およびMCL(遺伝子記号Clec4d)が、ミコバクテリア糖脂質に対するFc受容体γ鎖(FcRγ、遺伝子記号Fcer1g)と共役した活性化受容体であることを実証した(Ishikawa et al., 2009; Miyake et al., 2013)。別のCLR、樹状細胞関連型C型レクチン2(デクチン−2、遺伝子記号Clec4n)は第6染色体上の遺伝子クラスター内においてMincleおよびMCLに隣接している。デクチン−2は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の菌糸を認識して、この真菌に対する宿主防御を媒介する、FcRγと共役したCLR(Sato et al., 2006)である(Robinson et al., 2009; Saijo et al., 2010)。デクチン−2とMCLは、有胎盤類後、Mincleから遺伝子重複により生じ、かつ種の内でよく保存されてきたと思われる(Miyake et al., 2013)。これらの知見は、その遺伝子クラスター内のこれらCLRが「ミコバクテリア受容体」として進化をとげた可能性があること、およびデクチン−2もミコバクテリアを認識する可能性あることを暗示している。
本発明者らは、鋭意研究し、デクチン−2がMan−LAMに対する直接の受容体であることをついに発見した。デクチン−2によるMan−LAM認識により、DCにおいて炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカイン双方の産生が誘導された。本発明はこの発見に基づくものである。
したがって、本発明は以下を提供する:
(1)リポアラビノマンナンを含む、デクチン−2発現細胞の活性化剤。
(2)リポアラビノマンナンがマンノースキャップ型リポアラビノマンナンである、請求項1に記載の活性化剤。
(3)リポアラビノマンナンを含むアジュバント。
(4)リポアラビノマンナンがマンノースキャップ型リポアラビノマンナンである、(3)に記載のアジュバント。
(5)抗原性成分および(3)または(4)に記載のアジュバントを含むワクチン。
(6)抗原性成分への免疫応答を向上させる方法であって、(3)または(4)に記載のアジュバントおよび抗原性成分を含むワクチンを対象に投与するステップを含む方法。
(7)デクチン−2−発現細胞を活性化させる方法であって、リポアラビノマンナンを前記細胞と接触させるステップを含む方法。
(8)リポアラビノマンナンがマンノースキャップ型リポアラビノマンナンである、(7)に記載の方法。
LAMは、FcRγ軸を介してEAEを誘導することを示す図である。(AおよびB)WTマウス(n=4)およびFcer1g−/−マウス(n=4)を、LAM(500μg)を含有するIFA中のMOG35〜55ペプチドで免疫し、続いてPT(500ng)をi.p.注射した(1、2および3日目)。各マウスの疾患重症度をスコアし、そして指定された時間における平均臨床スコア(A)および疾患発症率(B)をプロットした。(CおよびD)免疫して23日後に腰部リンパ節(C)および鼠径リンパ節(D)を採取した。リンパ節細胞をMOG35〜55ペプチドで4日間刺激した。IL−17、IFN−γおよびGM−CSFの濃度をELISAを使用して決定した。(EおよびF)WTマウス、Clec4e−/−マウス、Fcer1g−/−マウスまたはMyD88−/−マウスから得たBMDCを、プレートにコーティングしたLAM(0.3μg/ウェル)またはLPS(10ng/ml)で48時間刺激した。MIP−2(E)およびTNF(F)の濃度をELISAを使用して測定した。(A〜D)データは個別の2回の実験(EおよびF)の代表である。全てのデータは、3回反復の平均値±SDとして提示され、個別の3回の実験の代表である。図8も参照されたい。 デクチン−2は、LAMを介して病原性ミコバクテリア種を認識すること示す図である。(A)Mincle+FcRγ(Mincle)またはデクチン−2+FcRγ(デクチン−2)を発現するNFAT−GFPレポーター細胞を加熱殺菌型結核菌(M. tuberculosis)H37Rvまたはウシ型結核菌(M. bovis)BCGで刺激した。TDMおよびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の細胞壁マンナンを陽性対照としてプレートにコーティングした形態で使用した。(B)レポーター細胞をプレートにコーティングした水抽出物またはC:M抽出物で24時間刺激した。(C)FcRγ単独をまたはデクチン−2+FcRγ発現するレポーター細胞を、プレートにコーティングした形態にある、結核菌(M. tuberculosis)青山B株に由来するLAMの指定量で24時間刺激した。NFAT−GFPの誘導をフローサイトメトリーを使用して分析した。全てのデータは、3回反復アッセイの平均値±SDとして提示され、同様の結果を有する独立した3回の実験からの代表的結果が示されている。図9も参照されたい。 デクチン−2はマンノースキャップ型LAMを選択的に認識することを示す図である。(A)Mincle+FcRγまたはデクチン−2+FcRγを発現するNFAT−GFPレポーター細胞を加熱殺菌型NTMの指定株で刺激した。(B)デクチン−2+FcRγを発現するレポーター細胞を、マンノシダーゼによる前処理ありまたは前処理なしのウシ型結核菌(M. bovis)BCGで24時間刺激した。(CおよびD)デクチン−2WT+FcRγまたはデクチン−2QPD+FcRγを発現するレポーター細胞を、プレートにコーティングしたLAM(C)およびNTM株(D)で24時間刺激した。全てのデータは、3回反復の平均値±SDとして提示され、個別の3回の実験の代表である。図10も参照されたい。 LAMはデクチン−2依存的にサイトカイン産生を誘導することを示す図である。(A〜D)WTマウスまたはClec4n−/−マウスから得たBMDCを、プレートにコーティングしたLAMまたはTDMの指定量で48時間刺激した(AおよびC)。BMDCを1〜10×10のウシ型結核菌(M. bovis)BCGで48時間感染させた(BおよびD)。LPSを対照として使用した。MIP−2、TNF、IL−6(AおよびB)、IL−10およびIL−2(CおよびD)の濃度をELISAを使用して測定した。(E)BMDCを、ウシ型結核菌(M. bovis)BCGまたは個々の10人の患者に由来する、加熱殺菌型M.アブセッサス(M. abscessus)の臨床分離株で48時間刺激した。MIP−2、IL−10およびIL−2の濃度をELISAを使用して測定した。全てのデータは、3回反復の平均値±SDとして提示され、個別の3回の実験の代表である。図11も参照されたい。 LAMは肺において過度の炎症を引き起こさないことを示す図である。(AおよびB)マウスにLAM100μg(WT、n=13;Fcer1g−/−、n=5)、LPS10μg(WT、n=9)または対照として滅菌生理食塩水100μl(WT、n=7)を気管内投与した。8時間後、BALFを得、次いでBALF中のTNF濃度をELISAを使用して決定した(A)。総細胞数は血球計算板にて決定した(B)。全てのデータは平均値±SDとして提示されている。(C)対照マウス(Cont.、n=11)の肺、50μgのLAM注射マウス(LAM、n=11)の肺または50μgのTDM注射マウス(TDM、n=7)の肺を7日目に分離し、炎症強度について肺の重量指数を算出することにより評価した。各記号は、個々のマウスを表す。データは個別の3回の試験の代表である。(D)7日目に、対照マウス、LAM注射マウス(50μg)またはTDM注射マウス(50μg)由来の肺について、ヘマトキシリン−エオシン染色による組織学的検査を行った。スケールバーは0.1mmを表す。データは個別の3回の試験の代表である。 LAMはデクチン−2を介して獲得免疫応答を誘導することを示す図である。(A)WTマウス、Clec4n−/−マウス、Clec4e−/−マウス、またはFcer1g−/−マウスから得たBMDCを、未処理のままとするかまたはプレートにコーティングしたLAMまたはLPSで48時間刺激した。CD40およびCD80の表面発現をフローサイトメトリーを使用して分析した。(B)BMDCを、OVA323〜339ペプチドでパルスし、プレートにコーティングしたLAMの存在下または非存在下でCFSEで標識したCD4OT−II T細胞と3日間共培養した。サイトカイン濃度をELISAを使用して決定した。細胞増殖は、CD4集団内のCFSEの希釈についてフローサイトメトリーを使用して分析した。データは、3回反復の平均値±SDとして提示され、個別の3回の実験の代表である。(CおよびD)WTマウス(n=10)およびClec4n−/−マウス(n=10)を図1Aに記載のように、LAM(500μg)を含有するIFA中のMOG35〜55ペプチドで免疫した。指定された時間における平均臨床スコア(C)および疾患発症率(D)をプロットした。(E)EAEへ免疫して23日後にリンパ節を採取し、MOG35〜55ペプチドで4日間刺激した。サイトカインの濃度をELISAを使用して決定した。データは平均値±SDとして提示されている。図12も参照されたい。 Clec4n−/−マウスにおけるミコバクテリア感染に対する免疫応答の図である。(A)肺の重量はClec4n−/−マウスでより高い。MACを感染して23日後に肺を分離した。WTマウス(n=10)およびClec4n−/−マウス(n=10)を使用した。(B)非感染もしくはMAC感染のWTマウス由来の肺または非感染もしくはMAC感染のClec4n−/−マウス由来の肺に関するHE染色による組織学的分析。スケールバーは0.1mmを表す。(C)センシチン(sensitin)またはMACAg85で4日間再刺激後の脾細胞におけるサイトカイン産生。脾細胞はMACで感染して23日後に得、各群において10匹のマウスからプールした。データは平均値±SDとして提示されている。図13も参照されたい。 マンノースキャップ型LAMの模式構造の図である(図1に関連して)。結核菌(M. tuberculosis)のMan−LAMの典型的構造が示されている。 デクチン−2はMan−LAMに直接に結合することを示す図である(図2に関連して)。指定量のhIgG1−Fc(Ig)またはデクチン−2−Igを、プレートにコーティングしたLAM(0.3μg/ウェル)とインキュベートした。結合したタンパク質を抗hIgG−HRPで検出し、続いて比色基質を添加した。全てのデータは3回反復の平均値±SDとして提示されている。 レポーター細胞においてデクチン−2QPDの表面発現レベルは野生型の表面発現レベルに匹敵することを示す図である(図3に関連して)。野生型デクチン−2またはデクチン−2QPDを抗デクチン−2mAb(クローン:D2.11E4)にて染色し、続いてフィコエリスリン結合ロバ抗ラットIgG(H+L)とインキュベートし、次いでそれらの表面発現をフローサイトメトリーにて測定した。 SIGNR1、SIGNR3およびMMRはDCにおけるMan−LAMに誘導されるサイトカイン産生には必須ではないことを示す図である(図4に関連して)。(A)SIGNR1欠損(CD209bDTR/DTR)マウスの作出。ゲノムSIGNR1構造およびジフテリア毒素受容体(DTR)とネオマイシン耐性との挿入を備える標的指向構築物。Cd209bエクソンは黒色のボックスとして示されている。TK;チミジンキナーゼ、E;EcoRI部位、B;BamHI部位。(B)WTマウスおよびCd209b−/−マウスから得たBMDCを、プレートにコーティングしたLAMの指定量で48時間刺激した。TNF、IL−6、IL−2およびIL−10の濃度をELISAを使用して測定した。(C)脾臓DCおよびBMDCにおけるClec4n、Cd209dおよびCd206のRT−PCR分析。(D)WTマウス由来のBMDCおよびClec4n−/−マウス由来のBMDCをベクター単独で(−)またはレンチウイルスベクターを介してSIGNR3(R3)で誘導した。SIGNR3の発現はRT−PCRおよび抗フラッグ mAbでの染色により確認した。細胞をMan−LAMで48時間刺激し、TNFおよびIL−10の濃度をELISAにより決定した。(E)WTマウスから得たBMDCを、抗MMR mAbまたは対照としてラットIgG1で処理し、次いでプレートにコーティングしたLAMの指定量で48時間刺激した。IL−10およびIL−2の濃度をELISAを使用して測定した。(F)WTマウス、Fcer1g−/−マウス、Clec4e−/−マウスまたはClec4d−/−マウスから得たBMDCを、プレートにコーティングしたLAMの指定量で48時間刺激した。TNFおよびIL−10の濃度をELISAを使用して測定した。(G)WTマウスまたはMyD88−/−マウスから得たBMDCを、プレートにコーティングしたLAMの指定量で48時間刺激した。IL−10の濃度をELISAを使用して測定した。(H)WTのBMDCを、プレートにコーティングした抗デクチン−2 mAbまたは抗Mincle mAbで48時間刺激した。IL−10の濃度をELISAを使用して測定した。(BおよびD〜H)全てのデータは、3回反復の平均値±SDとして提示され、個別の3回の実験の代表である。 Man−LAMは結核患者からのPBMCにおいてT細胞応答を促進することを示す図である(図6に関連して)。(A)IL−2中和抗体の存在下における、Man−LAMで刺激したBMDCによるT細胞増殖の阻止。CSFE標識T細胞を抗IL−2mAbまたはイソタイプ適合対照Abの存在下においてMan−LAMで刺激したBMDCと3日間共培養した。CFSElow(すなわち増殖した細胞)の頻度を示した。データは3回反復の平均値±SDとして提示されている。(B)ヒトデクチン−2+FcRγを発現するNFAT−GFPレポーター細胞を、抗ヒトデクチン−2抗体の存在下または非存在下で、プレートにコーティングした形態にあるLAMの指定量で24時間刺激した。NFAT−GFPの誘導をフローサイトメトリーを使用して分析した。全てのデータは、3回反復の平均値±SDとして提示され、個別の3回の実験の代表である。(C)ヒト単球からのTNF産生。ヒト単球を健常ドナーのPBMCから調製し、抗ヒトデクチン−2 mAbの存在下または非存在下でLAMで96時間刺激した。(D)ヒト樹状細胞からのサイトカイン産生。ヒト樹状細胞を、抗ヒトデクチン−2 mAbの存在下または非存在下でBCGで48時間刺激した。(E)抗原ペプチド(CFP−10)に最も強く応答した結核患者由来のPBMCを、CFP−10由来の合成ペプチドの存在下または非存在下で、プレートにコーティングしたLAMの存在下または非存在下でまたは抗ヒトデクチン−2抗体の存在下または非存在下で、4日間インキュベートした。(F)3人の結核患者由来のPBMCを、抗ヒトデクチン−2抗体とともにまたはそれなしで、合成ペプチドおよびプレートにコーティングしたLAMの存在下で4日間(左パネル)または6日間(中央および右パネル)インキュベートした。(C〜F)各サイトカインの濃度をELISAを使用して測定した。データは平均値±SDとして提示されている。、p<0.05。**、p<0.01。 肺におけるサイトカイン発現の図である(図7に関連して)。肺ホモジネートを、WTマウス(n=10)またはClec4n−/−(n=10)からMAC感染後0日および23日目に調製した。ケモカイン濃度をサイトメトリービーズアレイを使用して測定した。各記号は個々のマウスを表し、カラムは各群の平均値を示す。、p<0.05。Wilcoxson検定。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施形態は本発明を説明するため例示するものであって、本発明をそれらの実施形態のみに制限するものではない。本発明は、本発明の精神から逸脱することなく様々な形態で実行することができる。
本明細書に記載の全ての刊行物は、先行技術文献、特許公報および他の特許文献を含めて、参照により本明細書に組み込まれることに留意されたい。さらに、本明細書には特願2014−173066(2014年、8月27日出願)の明細書および図面に開示された内容が組み込まれ、本出願はこれに基づく優先権を主張するものである。
本発明においては、アジュバントとは、抗原に対する免疫応答を非特異的に高める物質として定義される。アジュバントは、その特性により、細胞性免疫応答、液性免疫応答、またはこの2つの混合応答のいずれかを促進できる。免疫応答の増強は非特異的であることから、本発明のアジュバントを様々な抗原と使用して様々な標的に対する応答を促進できること、例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来の抗原と使用して結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に対する免疫を促進できること、または腫瘍に由来する抗原と使用して、特定種類の腫瘍に対する免疫を促進できることは、当分野でよく理解されている。アジュバントは抗原性成分に添加され、ワクチンとして使用される。
本明細書では、抗原性成分または抗原性物質は、樹状細胞、マクロファージおよび顆粒球上の特異的受容体と反応する分子である。ワクチン接種という意味では、分子は特異的樹状細胞、T細胞、B細胞またはNKT細胞の発生を刺激でき、免疫細胞が抗原と2回目に遭遇した場合に、より迅速な「記憶」反応を促進する、免疫細胞からなる記憶集団を形成できる分子である。記憶集団がクローン性であることは稀であるので、実際的にはこれは、抗原とは、前にその抗原に暴露された個体に由来する免疫細胞がその抗原と再度遭遇した時に免疫応答の上昇を刺激できる、任意の分子または分子の集団であることを意味している。本発明においては、デクチン−2発現細胞の例は、限定されないが、樹状細胞、T細胞、B細胞またはNKT細胞である。
抗原性成分は、ポリペプチドまたはポリペプチドの一部分とすることができ、これらは、動物もしくはヒト、および/または生物サンプルにおいていずれかの生物学的検出法によって決定される免疫応答を惹起する。原則として、抗原性成分は純粋な任意の化学種、例えばタンパク質もしくはその断片またはこのような種で調製された人工的混合物とすることができる。しかし、例えば、細胞ホモジネートもしくはその画分、微生物由来の培養濾液または高等動物などの多細胞生物由来の細胞組織などといった、化学種の天然に存在する任意の混合物とすることもできる。具体的には、抗原性物質は、代謝している結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)および例えばミコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)およびミコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)などの他の環境中のミコバクテリアの培養液に由来してもよい。
用語免疫応答とは、例示的には、ワクチン、感染性の生物もしくはそのほかの外部の生物、組織、細胞、抗原、抗体、ヌクレオチド鎖、または当業界において認められている他の免疫刺激物質からのチャレンジに応答した、対象の免疫系に関する任意の変化である。免疫応答の非限定的例としては、樹状細胞のin vitro活性化、CD4T細胞またはCD8T細胞におけるIL−2、IL−4、IFN−γ、IL−17またはGM−CSFのin vitro分泌;結核菌(M. tuberculosis)または他の感染性微生物の後のチャレンジからの防御;亜硝酸塩レベルの変化;様々な免疫コンパートメントにおけるTh1およびTh2サイトカイン応答;アロ型抗体レベルおよびイソタイプ抗体レベルにおける変化;抗原のin vitro認識;B細胞応答;感染したマクロファージにおける結核菌(M. tuberculosis)の成長阻害;生存率;または当業界で公知の他の応答が挙げられる。
ワクチンとは、疾患に対する免疫を発生するための、死んだ、弱毒化された、もしくはその他改質された微生物(細菌、ウイルスまたはリケッチア)、またはそれらの一部から構成される接種用懸濁物として定義される。ワクチンは、疾患を防止するため予防的に、またはがんもしくは潜在性感染症などの既存の疾患と戦うための治療ワクチンとして、なおまたアレルギーや自己免疫疾患とも関連した治療ワクチンとしていずれかで投与できる。ワクチンは免疫応答を強化するために本発明のアジュバント中で乳化できる。
本発明のワクチン(ワクチン組成物)は、当業界において適した任意の手段に従って凍結乾燥製剤または液体製剤として製剤化することができる。液状形態の製剤の非限定的例としては、液剤、懸濁剤、シロップ剤、スラリー剤、および乳剤が挙げられる。適切な液体担体としては、好ましくは滅菌形態で、適切な任意の有機溶媒または無機溶媒、例えば、水、アルコール、生理食塩水、緩衝生理食塩水、生理的食塩水溶液、ブドウ糖溶液、水−プロピレングリコール溶液等が挙げられる。
ワクチンは、中性または塩の形態いずれかで製剤化されてもよい。薬学的に許容される塩には、酸付加塩が含まれる。それらは、例えば塩酸またはリン酸などの無機酸、または、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等などの有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基から形成される塩も、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄などの無機塩基、および、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノールなどの有機塩基から誘導され得る。
ワクチンは対象への接種または注射用に製剤化されることが好ましい。注射用には、本発明のワクチンは、水もしくはアルコールなどの水溶液中に、またはHanks溶液、Ringer溶液もしくは生理的食塩水緩衝液などの生理的適合緩衝液中に製剤化することができる。溶液は、懸濁化剤、保存剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有してよい。注射製剤は個体形態製剤としても調製してもよいが、これは、例えば、滅菌水、生理食塩水、またはアルコールなどの適切な媒体で使用前に構成することにより、注射に適した液体形態製剤へと使用直前に変換することを意図する。
また、本発明のワクチンは徐放媒体中にまたはデポー剤中に製剤化されてもよい。そのような長期作用性製剤は接種もしくは移植(例えば皮下または筋肉内)によりまたは注射により投与することができる。したがって、例えば、ワクチンは、(例えば、許容される油中の乳剤として)適当な重合性材料もしくは疎水性材料またはイオン交換樹脂とともに、または難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として製剤化してもよい。リポソームおよび乳剤は、担体としての使用に適した送達媒体の例として周知である。
ワクチンは、投与製剤に適合するように、および治療上効果的かつ免疫原性的になるような量で投与される。ワクチンの投与量は、投与経路に依存するとともに、ワクチン接種を受ける人の年齢、および度合いは低いが、ワクチン接種を受ける人の体格に、免疫応答を高める個々の免疫系の能力に、および所望の保護程度に従って変化するであろう。適当な投与量範囲は、約0.1μg/kg/日から1000μg/kg/日を好ましい範囲とし、例えば約1μg/kg/日から300μg/kg/日の範囲で、特に約10μg/kg/日から50μg/kg/日の範囲で、1回のワクチン接種につき活性成分数百マイクログラムオーダーである。初回投与およびブースター注射に適したレジメンも様々であるが、初回投与、次いでそれに続く接種または他の投与が典型となっている。
本発明においては、本発明者らはデクチン−2がMan−LAMの直接の受容体であることを示す。デクチン−2によるMan−LAM認識は、DCにおいて炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカイン双方の産生を誘導した。Man−LAMは、有害な炎症を引き起こすことなくアジュバントとしてT細胞媒介獲得免疫を強力に促進した。本発明者らは、さらに、デクチン−2欠損マウスによって、デクチン−2はミコバクテリア感染に対して宿主応答において重要な役割を演じていることを実証する。まとめると、これらの知見は、デクチン−2はミコバクテリアMan−LAMに対して機能性PRRとして働くことを示している。
ミコバクテリアは細胞壁上に様々な免疫調節分子を持つ。マンノースキャップ型リポアラビノマンナン(Man−LAM)は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の主たるリポグリカンであるが、宿主免疫性に対し抑制性効果と刺激性効果の両方を有することが長く知られている。しかし、その多面的活性を説明する直接のMan−LAM受容体は、はっきりとは同定されていなかった。本明細書で、本発明者らは、C型レクチン受容体であるデクチン−2(遺伝子記号Clec4n)がMan−LAMの直接受容体であることを報告する。Man−LAMは骨髄由来の樹状細胞(BMDC)を活性化して、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインを産生したが、一方、このことはClec4n−/−のBMDCでは完全に阻止されていた。Man−LAMは、DC上でデクチン−2を介して抗原特異的T細胞応答を促進した。さらに、マウスにおいて、Man−LAMはアジュバントとして、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導したのに対し、Clec4n−/−マウスは耐性であった。ミコバクテリアの感染に際して、Clec4n−/−マウスは肺の病変の拡張を示した。これらの結果は、デクチン−2はMan−LAMの認識を介してミコバクテリア感染に対する宿主の免疫に寄与することを実証している。
LAMはFcRγを介して実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を促進する。
本発明者らは、LAMがin vivoでアジュバント活性を持つかどうかまず検討した。この目的のため、本発明者らは、T細胞媒介自己免疫疾患のマウスモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を実施した(図1A〜図1D)。マウスを、強毒株である結核菌(M. tuberculosis)青山B株に由来するLAMと一緒にミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)ペプチドで免疫した。不完全フロインドアジュバント(IFA)単独によりEAEは誘導されなかったが、LAMでの単回注射では、100%の発症率でEAEが誘発された(図1Aおよび図1B)。EAEの徴候はFcer1g−/−マウスでは完全に阻止され(図1Aおよび図1B)、FcRγと共役した受容体はLAM誘発EAEに貢献している可能性が示唆された。さらに、野生型マウスからのリンパ球と対照的に、Fcer1g−/−マウスからのリンパ球では、IL−17インターフェロン−γ(IFN−γ)の産生および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)の産生により判断して、MOGペプチドに対するex vivo再生応答が障害されることが示された(図1Cおよび図1D)。これらの結果は、LAMは、FcRγ依存性経路を介してEAEの発症をもたらす強力なアジュバントとして作用する可能性があることを示している。
FcRγは主としてミエロイド細胞で発現するので、本発明者らは次に、DCをin vitroにてLAMで処理した。細菌壁上にLAMの均一な構成および多価性を再現するように、LAMを、骨髄由来のDC(BMDC)の刺激用に培養プレート上にコーティングした。可溶性のLAMはサイトカイン産生を誘導しなかったが、プレートにコーティングしたLAMは、BMDCを刺激して、多量の炎症性サイトカイン、すなわちマクロファージ炎症性タンパク質−2(MIP−2)およびTNFを分泌することができた(図1Eおよび図1F)。これらのサイトカインは、Clec4e−/−のDC(図1Eおよび図1F)およびClec4d−/−のDCにおいて依然として産生されていた。MyD88はこの応答に必須ではなく、トール様受容体(TLR)はLAM認識において主要な役割は演じていない可能性が示された。対照的に、LAM誘導のサイトカイン産生はFcer1g−/−のDCにおいて阻止された。これらの結果は、未知のあるFcRγと共役した受容体がBMDCにおいてLAMに対する活性化受容体として機能している可能性を示している。
デクチン−2はミコバクテリアのLAMを認識する。
Mincle、MCLおよびデクチン−2は、同一遺伝子クラスター内のFcRγと共役した活性化受容体であり、これらの受容体のうちの2つ、MincleおよびMCLはミコバクテリアを認識する(Ishikawa et al., 2009; Miyake et al., 2013)。したがって、本発明者らは、デクチン−2もミコバクテリアに対する受容体として進化をとげた可能性があると仮定した。実際、デクチン−2は、Mincleと同様に、強毒株である結核菌(M. tuberculosis)H37Rvおよびワクチン株であるウシ型結核菌(M. bovis)カルメットとゲランの桿菌(BCG)を認識して、レポーター細胞を活性化することが実証された(図2A)。しかし、デクチン−2に対するリガンドは、Mincleのリガンドであるトレハロース−6,6’−ジミコール酸(TDM)とは異なっていた(図2A)。
本発明者らは次に、クロロフォルム:メタノール(C:M)および水などの、親油性溶媒および親水性溶媒を使用してウシ型結核菌(M. bovis)BCGの成分を分画した。両抽出物のそれぞれに対するデクチン−2リガンド活性は、レポーター細胞を使用してプレートにコーティングした形態で評価した。本発明者らは、Mincle発現細胞を活性化するC:M相(図2B、左)とは打って変わって、水性相のみがデクチン−2に対する刺激活性を示すことを見出した(図2B、右)(Ishikawa et al., 2009)。これらの結果は、ミコバクテリアの親水性成分がデクチン−2リガンドの候補であることを示唆する。ミコバクテリアの親水性成分のうち、LAMは最も豊富な親水性リポグリカンを構成する(Leopold and Fischer, 1993)(図8)。本発明者らの予測と一致して、結核菌(M. tuberculosis)に由来するLAMはデクチン−2を発現するレポーター細胞を活性化した(図2C)。可溶性デクチン−2タンパク質(デクチン−2−Ig)は精製LAMに用量依存的に結合したことから、デクチン−2はLAMを直接に認識していた(図9)。これらの知見は、デクチン−2はミコバクテリウムのLAMに対する直接の受容体であることを示している。
デクチン−2はマンノースキャップ型LAMを介してミコバクテリを認識する。
LAMの構造は、ミコバクテリア種に依存して、特にキャップ部分に従って異なる(Briken et al., 2004)。結核菌(M. tuberculosis)およびウシ型結核菌(M. bovis)BCGを含む成長の遅い株はMan−LAMを持つが、一方、ミコバクテリアの成長の速い株はそれを持たない。M.スメグマティス(M. smegmatis)はPI−LAMを持つ。LAMのどの構造がデクチン−2との相互作用の要因であるか解明するため、本発明者らは非結核性ミコバクテリア(NTM)を含め様々な株のミコバクテリアを使用した。
デクチン−2は、Man−LAMを持つ成長の遅い株、例えばM.イントラセルラーレ(M. intracellulare)およびM.ゴルドナエ(M. gordonae)を認識した。対照的に、デクチン−2は、マンノースキャップを欠くM.アブセサス(M. abscesssus)およびM.スメグマティス(M. smegmatis)を認識しなかった(図3A)。重要なことには、Mincleはこれらの株を認識することができた(図3A)。本発明者らは、これらの株いずれもがFcRγのみを発現するレポーター細胞を活性化しないことを確認した。これらの結果は、デクチン−2は、Man−LAMを発現するミコバクテリア種を優先的に認識することを示唆している。この見解を支持して、結核菌(M. tuberculosis)に由来するMan−LAMの活性は(図2C)、末端マンノースキャップを取り除くα−マンノシダーゼで処理すると消失した(図3B)。これらの結果は、キャップ構造はデクチン−2によるMan−LAMの認識にとって重要な決定因子であることを示している。
本発明者らは次に、デクチン−2のマンノース結合能力がMan−LAMの認識に関与しているかどうか検討した。この目的のため、本発明者らは、EPN配列(グルタミン酸−プロリン−アスパラギン)をガラクトース型QPD配列(グルタミン−プロリン−アスパラギン酸)に置換することによりマンノース結合活性が取り除かれているデクチン−2QPD変異体を用いた(Drickamer, 1992; Ishikawa et al., 2013)。Man−LAMは、細胞表面上で野生型デクチン−2とデクチン−2QPDとが類似の蛍光強度であったにもかかわらず(図10)、デクチン−2QPDを発現するレポーター細胞を活性化しなかった(図3C)。デクチン−2による全ミコバクテリアの認識はこのEPNモチーフにも依存していた(図3D)。まとめると、これらの結果は、デクチン−2とのMan−LAMの相互作用にはMan−LAMのマンノースキャップとデクチン−2のマンノース認識特性との両方が必要であることを示している。
Man−LAMはデクチン−2に依存してDCによりサイトカイン産生を誘導する。
ミエロイド細胞のうち、DCはデクチン−2を最も豊富に発現する(Ariizumi et al., 2000)。本発明者らは、したがって、BMDCにおいてMan−LAMに応答したサイトカイン産生について検討した。TDMと同様に、Man−LAMは、MIP−2、TNFおよびIL−6などの炎症性サイトカインの発現を用量依存的に誘導した(図4A)。LAM誘導のサイトカイン産生はClec4n−/−のBMDCにおいて消失したが、一方、TDM媒介のサイトカイン産生は変化しなかった(図4A)。Man−LAMはまたデクチン−2に依存的にIL−12p40を若干促進した。ウシ型結核菌(M. bovis)BCGの感染によるTNFおよびIL−6の産生については、デクチン−2に非依存的なサイトカイン産生は残存したものの、WTのBMDCと比較して、Clec4n−/−のBMDCにおいては一部減少した(図4B)。これらのデータは、デクチン−2がDCにおけるMan−LAM媒介性の炎症性サイトカインの産生にとって必要不可欠であることを示している。
本発明者らは次に、Man−LAMに関する免疫抑制作用の重要性を強調する証拠(Geijtenbeek et al., 2003; Wieland et al., 2007)が増えつつあるという事実から、Man−LAM−デクチン−2経路の抗炎症性の潜在的能力に焦点をあてた。炎症性サイトカインに加え、Man−LAMはBMDCにおいて抗炎症性サイトカインであるIL−10の産生を強力に誘導した(図4C、左)。他の病原体関連分子パターン(PAMP)であるTDM(図4C、右)およびLPSではIL−10およびIL−2の分泌は誘導されず、Man−LAMはサイトカイン産生に関して独特のプロファイルを有することが示された。これらのサイトカインのMan−LAM誘導性の放出は、Clec4n−/−のBMDCでは完全に抑制されていた(図4C)。ウシ型結核菌(M. bovis)BCGに感染時のTNF産生は上記のようにデクチン−2に部分的に依存していたが(図4B)、IL−10およびIL−2の産生はウシ型結核菌(M. bovis)BCGで感染したClec4n−/−のDCではほぼ完全に失われていた(図4D)。その一方では、マンノースキャップを欠いているM.アブセッサス(M. abscessus)は、MIP−2の産生は可能であったのと比べ、IL−10およびIL−2の産生は誘導できなかった(図4E)。これらの結果は、ミコバクテリアに応答したIL−10およびIL−2の産生における、デクチン−2の中心的な役割を示唆している。
デクチン−2媒介性の固有シグナルはDCにおけるMan−LAM誘導性のサイトカイン産生を調節する。
Man−LAMにより誘導されるサイトカイン産生はClec4n−/−細胞において阻止されることから(図4Aおよび図4C)、デクチン−2がこのようなサイトカイン産生にとって必要であることは明らかである。しかし、デクチン−2が媒介する固有のシグナルは、このような応答にとって十分であるのか、または他のある補受容体も必要であるのか依然として不確かである。独特のサイトカインプロファイルは、特にIL−10およびIL−2の産生は、デクチン−2と他のMan−LAM受容体との共結合により付与されている可能性がある。この可能性を調べるために、本発明者らは、Man−LAMに対するいくつかの候補受容体の貢献について検討した。ヒトDC−SIGNの推定上のマウス相同体であるSIGNR1はMan−LAMを認識することから(Koppel et al., 2004)、本発明者らはSIGNR1欠損マウスを確立することによりSIGNR1の役割を評価した(図11A)。しかし、SIGNR1を欠くBMDCは試験を行った全てのサイトカインを、WTのBMDCにおけるサイトカインに匹敵する量で、産生することが依然として可能であった(図11B)。別のDC−SIGN相同体であるSIGNR3はミエロイド細胞の限定された集団において発現するが(Nagaoka et al., 2004)、これは、BMDCにおいて検出されなかった(図11C)。さらに、BMDCにおいてSIGNR3を強制発現しても、Man−LAM誘導性のサイトカイン産生は増大しなかった(図11D)。とりわけ、Clec4n−/−のBMDCは、SIGNR3が発現していてもサイトカインを産生することができなかった(図11D)。まとめると、これらの結果は、SIGNR1およびSIGNR3の両方ともがBMDCにおけるMan−LAMにより誘導されるサイトカイン産生にとって必須というわけではないことを示している。
マクロファージマンノース受容体(MMR)はまた、Man−LAMに結合し得る(Nigou et al., 2001)。MMR発現がBMDCにおいて検出されたので(図11C)、本発明者らは、抗MMR遮断モノクローナル抗体(mAb)を使用してMan−LAM誘導性のサイトカイン放出におけるその役割を評価した。しかし、mAb処理は、BMDCにおけるIL−10およびIL−2の産生に影響を及ぼさなかった(図11E)。
最近の報告では、デクチン−2はMCLとの会合が可能であることが示された(Zhu et al., 2013)。その一方では、Clec4d−/−のBMDCの分析により、MCLはMan−LAM誘導のサイトカイン産生にとって必要ではないことが明らかとなった(図11F)。Man−LAMはTLR2およびTLR4によって弱く認識される(Mazurek et al., 2012)。しかし、Man−LAMにより誘導されるIL−10産生はMyD88−/−のBMDCでは変化せず(図11G)、TLR−MyD88シグナル伝達はMan−LAMの効果において主要な役割を演じていないことが示唆された。最終的には、本発明者らは、抗デクチン−2の架橋によりデクチン−2単独の直接的結合がIL−10の産生を再現したことを確認した(図11H)。
まとめると、これらの結果は、Man−LAMのIL−10を誘導する潜在的能力はデクチン−2媒介シグナル伝達の固有の特性に起因する可能性が高いことを示唆している。
Man−LAMはin vivoで最小の炎症を誘導する。
Man−LAMが炎症応答を惹起するかどうか検討するために、本発明者らはin vivoでMan−LAM投与へのマウスの応答を評価した。LAMまたはLPSを気管内投与して、続いて、気管支肺胞洗浄液(BALF)における炎症細胞の浸潤およびサイトカインの産生について調べた(図5Aおよび図5B)。WTマウスにおいてLPSはTNFの産生および細胞の浸潤の有意な増加を誘導したが、対照的に、Man−LAMは顕著な炎症応答は誘導しなかった。この観察と一致して、FcRγ欠損はMan−LAM処理のWTマウスと比べて明らかな影響を有していなかった。
TDMの静脈注射により、以前に報告したように(Ishikawa et al., 2009)、肺の重量指数(LWI)で評価して炎症性の肺の腫脹(図5C)と肺における肉芽腫の形成(図5D、右)とが誘導された。対照的に、同量のMan−LAMでは、肺の腫脹(図5C)も肉芽腫の形成(図5D、中央)もどちらも誘導されなかった。これらの結果は、Man−LAMは、TDMまたはLPSなどの他のPAMと比べ、肺の強い炎症を誘導しないことを示している。
in vitroでMan−LAM刺激はAPC機能を増強してIL−17産生を促進する。
本発明者らは、Man−LAMのアジュバント活性についてin vitroでさらに評価した。DC成熟に対するMan−LAMの効果を検討するため、本発明者らは、Man−LAMによる刺激後のBMDCにおける補助刺激分子の発現について調べた。Man−LAM刺激はWTのBMDCにおいてCD40およびCD80の発現を上方制御したが、その発現はLPSにより誘導されたものに匹敵していた(図6A)。しかし、そのような補助刺激分子の誘導は、デクチン−2およびそのサブユニットであるFcRγの非存在下では消失していた(図6A)。MincleはLAM誘導性の応答にとって必須ではなかった。本発明者らは、LPS媒介性の応答はこれらのマウスにおいては変化しなかったことを確認した。これらの結果は、Man−LAMはDC成熟をデクチン−2依存的に促進することを実証している。
本発明者らは次に、Man−LAM刺激に対する抗原提示細胞(APC)の機能ついて調べた。BMDCを、卵白アルブミン(OVA)抗原ペプチドでパルスし、Man−LAMの存在下または非存在下で、OVA特異的なOT−II TCRトランスジェニックマウスから得たT細胞と共培養した。T細胞はデクチン−2を発現しないので(Ariizumi et al., 2000)、このシステムにより、T細胞のプライミングおよび活性化に向けたAPCの機能におけるMan−LAMの役割を評価することが可能となる。CD4 OT−II T細胞からのIL−17の抗原特異的分泌は、細胞をMan−LAMにより処理したAPCと共培養した際に有意に増強した(図6B)。しかし、Clec4n−/−のAPCを使用すると、この増強は著明に減弱した。抗原誘導性のT細胞増殖は、CFSE希釈で評価すると、DCのデクチン−2発現にかかわらず観察された(図6B、最下)。共培養上清のIL−10濃度は抗原用量に依存して上昇し、Man−LAM−デクチン−2軸により刺激されたDCの存在下でIL−10を産生するT細胞が発生したことが示唆された(図6B)。
Man−LAMは、抗原の非存在下でもT細胞−DC共培養において弱いT細胞増殖を誘導したが、これにはDC上のデクチン−2も必要であった(図6B)。このような「抗原非依存増殖」は、抗IL−2中和mAbを添加するとこの応答は除去されたので(図12A)、DC上のデクチン−2を介する多量のIL−2分泌により付与される可能性がある(図4C)。
IL−17産生の増強とは対照的に、Man−LAM処置は抗原依存IFN−γ産生に対する影響を本質的に有していなかった(図6B)。IL−4は本試験のいずれの時点においても検出されなかった。まとめると、これらのin vitroでの結果は、Man−LAM刺激はAPC機能を増強して、デクチン−2に依存してIL−17の産生を促進することを示唆している。
Man−LAMはヒトデクチン−2を介して抗原特異的なヒトT細胞応答を促進する。
本発明者らは次いで、Man−LAMはマウスT細胞において観察されたようにヒトT細胞応答に影響を及ぼすかどうか評価した。重要なことには、Man−LAMはhデクチン−2を発現するレポーター細胞を活性化し、そしてこの活性は抗hデクチン−2 mAbの存在下でブロックされた(図12B)。ヒト単球および単球由来のDCにおけるMan−LAM誘導性のサイトカイン産生も抗hデクチン−2 mAbにより有意に抑制された(図12Cおよび図12D)。結核患者由来の末梢血単核細胞(PBMC)を結核菌(M. tuberculosis)由来のCFP−10(10kDa培養濾液抗原)のC10ペプチド(VVRFQEAANKQKQEL(配列番号1))で刺激した。抗原ペプチドのみが、PBMCにおいて実質量のIFN−γ産生を誘導したが、一方、抗原ペプチドと併用でMan−LAMで刺激するとIFN−γ産生は増加した。IFN−γ産生に関するMan−LAM誘導性の増加は抗hデクチン−2 mAbの存在下で顕著に損なわれた(図12E)。IFN−γ産生に関するデクチン−2依存性の増強は、他の個々の3人の患者においても観察された(図12F)。これらの結果は、Man−LAM−hデクチン−2の相互作用により、結核患者由来のT細胞のミコバクテリア抗原特異的応答が、おそらくはPBMC中のミエロイド細胞の活性化を介して促進されることを示している。
デクチン−2−FcRγ軸を介するMan−LAM免疫によるEAEの誘導。
本発明者らは次いで、Man−LAMによるデクチン−2活性化はin vitroでIL−17産生を誘導したことから、Tヘルパー−17(Th17)細胞性自己免疫疾患のマウスモデルであるEAEを実施した(図6B)。際だったことに、Clec4n−/−マウスはMan−LAM誘導EAEに対して完全に耐性を示し(図6Cおよび図6D)、これから、他のMan−LAM受容体は、in vivoにおいてデクチン−2の欠損を代償できないことが示された。さらに、IL−17、IFN−γおよびGM−CSFの産生で評価すると、Clec4n−/−マウスにおいて、鼠径リンパ節、腰部リンパ節および腋窩リンパ節から採取したリンパ節細胞のex vivo再生応答は完全に阻止されていた(図6E)。これは、Man−LAMはデクチン−2の欠損環境ではT細胞を効率的にプライムできないことを示している。一緒にすると、デクチン−2はin vivoでMan−LAMのアジュバント活性にとって必須の受容体である。
ミコバクテリア感染におけるデクチン−2の役割
最終的に本発明者らは、ミコバクテリアの感染におけるデクチン−2の役割についてin vivoで調べた。WTマウスおよびClec4n−/−マウスをM.アビウム(M. avium)コンプレックス(MAC)で経鼻的に感染させた。感染して3週間後肺における細菌の量に有意な変化はなかったものの、肺当たりのコロニー形成単位(CFU)の平均値はWTマウスに比べClec4n−/−マウスにおいて大きかった(WT、6.54±6.47;Clec4n−/−、13.1±8.32(×10))。本発明者らは、したがって、感染マウスの肺の病変を特徴付けた。肺腫瘤から評価した肺腫脹はClec4n−/−マウスにおいて有意に大きかった(図7A)。また、Clec4n−/−マウスでは感染後肺における組織病変が増加していた(図7B)。ケモカイン濃度は、感染後3週目でWTマウスと比べClec4n−/−マウスの肺において上昇していた(図13)。それぞれ個々のマウスにおけるケモカイン濃度が肺の細菌量と相関していたことから、これらのケモカインは肺に定着した細菌による誘導が考えられた。TNF、IL−6およびIL−10などのサイトカイン産生は、感染して23日後のWTマウスおよびClec4n−/−マウスの肺において上昇していなかった。本発明者らはまた、感染マウスにおいて抗原特異的T細胞応答について調べた。Clec4n−/−マウス由来の脾臓T細胞では、ミコバクテリア抗原により再生刺激を行ったところ有意に大量のIFN−γが産生され、一方、IL−17産生は変化しなかった(図7C)。このように、デクチン−2の欠損により、おそらくミコバクテリアの排除が不十分になることから、肺の病変の拡張および獲得免疫がもたらされた。まとめると、これらの結果は、デクチン−2がミコバクテリアに対する宿主の防御に関与していることを示唆する。
考察
本稿では、本発明者らは、デクチン−2はミコバクテリアMan−LAMに対する直接のそして機能的な受容体であることを実証した。Mincle、MCL、およびデクチン−2は同一の遺伝子クラスターに位置するが、本発明者らはこれらのCLR全てがミコバクテリアを認識することを見出した(Ishikawa et al., 2009; Miyake et al., 2013)。進化の過程で、異なるミコバクテリア成分を認識する様々なCLRを獲得することにより、宿主はこの生命を脅かす細菌に対する安定した免疫応答を発揮することができたのであろう。
デクチン−2は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に由来するα−1,2−マンナン(Robinson et al., 2009; Saijo et al., 2010)およびマラセジア属(Malassezia)真菌由来のマンノプロテイン(Ishikawa et al., 2013)などの、真菌の高マンノース構造を認識すると報告されている(McGreal et al., 2006)。DC−SIGN、SIGNR1、SIGNR3およびMMRに類似して(McGreal et al., 2006)、デクチン−2は高マンノース構造に優先的に結合するが、これらの全てがその炭水化物認識ドメイン(CRD)内にマンノースを結合するEPN配列を持つことが(Drickamer, 1992)、グリカンアレイ分析により確認されている。Man−LAMは、α−1,2−マンノースキャップで終了する多糖類鎖を持つ(Mishra et al., 2011)。Man−LAMのα−1,2−結合マンノース残基がデクチン−2により認識される直接の決定因子である可能性が極めて高い。
Man−LAMは特異的な構成でミコバクテリアのエンベロープに高密度に分布し、この結果、その極性マンノースキャップはオリゴマー価数を備えて細菌表面上で露出している。多価性のα−1,2−マンノース残基は、デクチン−2により認識される病原体関連分子パターン(PAMP)の特徴と矛盾しない(Ishikawa et al., 2013; Saijo et al., 2010)。本研究におけるデクチン−2媒介性の応答を評価するために、in vitroでそのような構成を再現するように、Man−LAMをプレートにコーティングした形態で使用した。先の研究では、可溶性のMan−LAM単独では、ミエロイド細胞におけるサイトカイン産生は誘導されないことが示されているが(Geijtenbeek et al., 2003; Gringhuis et al., 2009; Nigou et al., 2001)、本発明者らはBMDCを用いてこのことを確かめた。刺激に応じて異なるこのような結果は、リガンドの性質、すなわち単価(可溶性)対多価(不動性)により引き起こされる、受容体の結合における差に起因する可能性がある。可溶性Man−LAMは、TLRリガンドなどの他の刺激の存在下でミエロイド細胞の機能に影響を及ぼすことが実証されている(Geijtenbeek et al., 2003; Gringhuis et al., 2007; Nigou et al., 2001)。これらの知見について可能な1つの説明は、TLR結合リポタンパク質が水性培地において親水性相互作用を介して可溶性Man−LAMに対して足場を提供し、これがデクチン−2の結合に十分なリガンドの多量体化をもたらし得るというものである。この着想と一致して、油乳化物中の多量体化Man-LAMはin vivoで強力なアジュバンド活性を示した。まとめると、デクチン−2は「真の」病原体上にある多価性のPAMPを区別して、おそらくはその標的の誤認を防いでいる可能性がある。
α−1,2−結合マンノース残基はホスファチジルミオイノシトールマンノシド(PIM)にも存在する。PIMはMMRおよびDG−SIGNと会合する可能性があることが示されていることから(Torrelles et al., 2006)、デクチン−2はPIMを認識する可能性がある。しかし、Man-LAMを欠損するがPIMを持つM.アブセッサス(M. abscessus)は、デクチン−2を発現するレポーター細胞を活性化しなかったが、このことは、PIMはデクチン−2にとって強力なリガンドではない可能性を暗示する。また、デクチン−2は長鎖ミコール酸、糖脂質、リポグリカンおよび多糖類などの「高い」細胞壁成分内の「短い」PIMにアクセスできない可能性もある(Mishra et al., 2011; Torrelles et al., 2006)。
SIGNR1、SIGNR3およびMMRはMan−LAMに対するマウス受容体として報告されている(Koppel et al., 2004; Schlesinger et al., 1994; Tanne et al., 2009)。Cd209b−/−マウス由来の腹腔内マクロファージは、Man−LAMに応答してわずかであるが検出可能なIL−10を産生する(Wieland et al., 2007)。しかし、SIGNR1の遺伝子破壊および抗MMR遮断mAbはBMDCにおけるLAM−誘導のサイトカイン産生に影響を及ぼさなかった。SIGNR3はBMDC上で発現せず、SIGNR3の強制発現はClec4n−/−のBMDCにおけるサイトカイン産生をレスキューしなかった。このように、Man−LAMにより誘導される特徴的なサイトカイン産生は、DC中のデクチン−2を介する固有のシグナル伝達により決定されると考えられる。Man−LAM誘導性のin vivo応答もClec4n−/−マウスにおいて完全に消失したが、SIGNR3が、SIGNR3を発現する特定の細胞、例えば皮膚DCのMan-LAM応答においてある役割を演じている可能性がある(Nagaoka et al., 2010)。また、Man−LAMを結合するこれらの分子が、Man−LAMを保有する細菌へのミエロイド細胞の結合を促進することによって(Tanne et al., 2009)、ミコバクテリアの効率的な食作用が可能となる可能性もある。
本発明者らのデータにより、Man−LAMはIL−10産生を惹起するのに十分な成分であることが実証される。しかし、Man−LAMを欠損するNTM株M.アブセッサス(M. abscessus)はIL−10産生を誘導しなかったが、本発明者らは、Man−LAMはミコバクテリア全体により誘導されるIL−10産生にとって必ずしも必要ではないという可能性を除外することはできない。LAMのマンノースキャップを欠く変異ウシ型結核菌(M. bovis)BCGからの結果は、LPSでプライムしたヒトDCのIL−10産生におけるその重複した機能を示唆している(Appelmelk et al., 2008)。ミコバクテリアは、マンノシル化タンパク質などの他の可能性のある未知のデクチン−2リガンドを持ち得ることが報告されている(Pitarque et al., 2005)。そのような成分が、少なくとも部分的には、全細菌により誘導されるIL−10産生の原因である可能性がある。
感染時のIL−10産生は結核菌(M. tuberculosis)に対する感受性と相関することが報告されている。大量のIL−10を、特に結核菌(M. tuberculosis)のハイパー強毒株に対して応答した、活動性結核患者の血清中に検出することができる(O'Garra et al., 2013)。これらの観察と一致して、ミコバクテリアに対する感受性が上昇していることが、IL−10を恒常的に過剰発現したマウスにおいて示されている(Feng et al., 2002)。また、別の免疫調節性サイトカインであるトランスフォーミング成長因子β(TGF−β)の分泌もデクチン−2を介してMan−LAMによりわずかに増強された。しかし、ミコバクテリアの毒力に対するLAMのマンノースキャップの正確な貢献については、in vivoでは依然として議論の余地がある(Afonso-Barroso et al., 2013; Appelmelk et al., 2008)。
他方、IL−10は宿主組織に対する過剰の損傷を制限し得ることが提案されている(Redford et al., 2011)。FcRγの下流アダプターであるCARD9を欠損する変異マウスでは、重度の肺の病変を呈し、結核菌(M. tuberculosis)に応答した致死性が増強されたが、このことはIL−10の分泌が消失したことと相関している(Dorhoi et al., 2010)。CARD9はMincleを介するシグナル伝達も媒介するが、ミコバクテリア感染時の病変に対するMincle欠乏の影響は、CARD9−/−のマウスの病変と比べ中程度であった(Behler et al., 2012; Heitmann et al., 2013; Lee et al., 2012)。Clec4n−/−のマウスにおける肺炎症の拡張を考慮すると、デクチン−2−FcRγ−CARD9軸は、ミコバクテリア感染の制御に関与していると考えられる。実際、Fcer1g−/−のマウスではミコバクテリア感染時の肺において免疫病変の増加が示された(Maglione et al., 2008)。
Man−LAMは、マウスにおいてTh17細胞応答をいかに効率的に促進しているのであろうか?以前の研究により、デクチン−2リガンドは、可溶性因子の放出を介してTh17細胞の分化を誘導することができることが実証されている(Saijo et al., 2010)。Man−LAM刺激はまた、IL−6、TNFおよびTGF−βの産生も誘導したが、これらの全てはTh17細胞を誘導するサイトカインである。また、本発明者らは、IL−23p19の転写は、C.アルビカンス(C. albicans)で刺激したBMDCにおいて以前に報告されたように(Robinson et al., 2009)、Man−LAMに対してBMDCにおいてデクチン−2依存的に上方制御されていることを観察した。最近の報告は、Man−LAMを保有するNTM株M.アビウム(M. avium)はIL−23産生を誘導することができることを実証している。この活性はその株の親油性抽出物では失われ(Jonsson et al., 2012)、このことにより親水性Man−LAMはTh17細胞の分化の促進に関与するという着想が支持される。
結核患者由来のヒトPBMCにおいて、本発明者らは、Man−LAMはミコバクテリア抗原により誘導されるIFN−γ産生を増強することを見出した。検出不可能な濃度のIL−17分泌については以前の観察と一致するが(Yamashita et al., 2013)、根底にある機序については現在不明である。結核患者におけるT細胞は、感染時に繰り返し抗原に暴露することでTh1細胞表現型に既に傾いていた可能性があるということが、1つの可能な説明である。
MincleのリガンドTDMとは打って変わって、デクチン−2のリガンドMan−LAMは、両方のCLRとも同一シグナル伝達サブユニットであるFcRγを共有するという事実にかかわらず、IL−10およびIL−2の産生を独特に誘導する。DCからのIL−2産生は、T細胞のプライミングを促進することによりアジュバント活性に貢献する可能性がある(Granucci et al., 2001)。TLR−MyD88経路またはTRIF経路によりこれらのサイトカインの分泌は起こらないので(LeibundGut-Landmann et al., 2007)、以前の研究ではDCのIL−10およびIL−2の産生におけるSyk−CARD9経路の役割に注目が集まった(LeibundGut-Landmann et al., 2007; Robinson et al., 2009; Saijo et al., 2010)。しかし、MincleのリガンドTDMはIL−10とIL−2の両方の産生を可能としなかったことから、Syk−CARD9経路はこれらのサイトカインを誘導するには不十分である。共通のシグナル伝達サブユニットを介して異なるCLRが様々な細胞応答をどのように引き起こすのかは不明のままである。本発明者らは以前、FcRγシグナルの量および期間が細胞応答の質を決定することができることを報告した(Yamasaki et al., 2004)。受容体結合の動態、親和性、または価数によってFcRγを介する異なるシグナル伝達が生じる可能性があると仮定することは興味深い。
上記のMan−LAMの機能に加えて、Man−LAMはミコバクテリア感染時に多面発現的な機能を有すると知られている。ミコバクテリアは、ファゴソーム−リソソーム融合を制限して、マクロファージ中で生存するが、これによりミコバクテリアは潜伏感染および持続感染を確立することが可能となる(Pieters, 2008)。Man−LAMは、このプロセスに関与する候補の1つであるが(Fratti et al., 2003; Vergne et al., 2004)、デクチン−2媒介性のシグナル伝達がファゴソーム−リソソーム融合に影響するかどうか判定するさらに詳細な研究が必要である。最近の研究では、Man−LAM処理により流入領域リンパ節からのT細胞の移動が阻害されることが実証された(Richmond et al., 2012)。デクチン−2の発現がT細胞のいずれのサブセットにおいても検出されなかったことから(Ariizumi et al., 2000)、そのような効果はデクチン−2とはかかわりなく生じると考えられる。
本研究において、本発明者らは、デクチン−2がMan−LAMを認識してそのアジュバント活性を媒介することを示した。また、Man−LAM−デクチン−2軸により免疫刺激性応答および抑制性応答の両方を同時に誘導することは、宿主生物がバランスのとれた免疫応答を維持するのに有益であり得る。EAE発症時に、TDMをアジュバントとして使用した時、注射部位に皮膚炎症が観察される(Miyake et al., 2013)。しかし、Man−LAMを注射したマウスの皮膚にはそのような炎症は観察されなかったが、これはMan−LAMにより誘導された抗炎症性サイトカインは注射部位の過剰な炎症を制御し得ることを暗示する。このように、Man−LAMにより誘導される制限された炎症応答は、感染性疾患およびがん用の治療ワクチン向けのアジュバントとして有益である可能性がある。したがって、Man−LAMアナログは、最小限の有害な炎症を伴う、獲得性免疫の発達を促進する独特な親水性の「調節性」アジュバントであり得ることを提唱する。
実施例
脂質抽出
ウシ型結核菌(M. bovis)BCGを5回の繰り返し洗浄で蒸留水により分画した。遠心分離後、可溶性画分を採取した。不溶性画分をC:M(2:1、vol/vol)でさらに脱脂した。各画分を当初のウシ型結核菌(M. bovis)BCG重量の0.1mg当量で大量のイソプロパノールに再懸濁させた。
細胞
FcRγ単独、Mincle、デクチン−2、およびデクチン−2QPDを発現する2B4−NFAT−GFPレポーター細胞を以前に記載のように調製した(Yamasaki et al., 2009)。BMDCを以前に記載のように調製した(Miyake et al., 2013)。
in vitro刺激
ミコバクテリア脂質抽出物、水溶液のLAM(1mg/ml)、1mg/mlでC:Mに溶解したTDMおよびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の細胞壁マンノース(5mg/ml)をイソプロパノール中に希釈し、20μl/ウェルで96ウェルプレートに加え、続いて以前に記載のように溶媒を蒸発させた(Ishikawa et al., 2009)。レポーター細胞を24時間刺激し、フローサイトメトリーを用いてNFAT−GFPの活性化をモニターした。BMDCを2日間刺激し、次いで培養上清を採取した。各サイトカインの濃度をELISAにより決定した。活性化は共刺激分子であるCD40およびCD80の表面染色を使用してフローサイトメトリーにより決定した。
OVA特異的CD4T細胞応答
BMDCは上記のようにWTマウスおよびClec4n−/−マウスから作製した。BMDCを未処理のままとするかまたはOVA323〜339ペプチド(ABGENT)の存在下で、プレートにコーティングしたLAMの指定量で刺激した。OT−II Tgマウス由来のCD4T細胞を抗CD4結合磁気ビーズで精製し(MACS、Miltenyi)、次いでCFSE(同仁化学研究所(DOJINDO))で標識し、96ウェルプレート中でOVAパルス化DCとともに共培養した。3日目に、上清を回収し、ELISAを使用してIFN−γ、IL−17およびIL−10の濃度を決定した。CFSE標識T細胞をフローサイトメトリーを使用してCD4T細胞集団内のCFSEの希釈について分析した。
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)
マウスを、LAM500μgを含有するIFA(Difco)中で乳化させたMOG35〜55ペプチド(Invitrogen)200μgで皮下投与により0日目に免疫した。マウスは、1日目から開始する、百日咳毒素(List Biological Laboratories)500ngの連日腹腔内投与を3回受けた。以前に記載のように疾患重症度をスコアした(Miyake et al., 2013)。in vitroの再刺激分析用に、23日目に細胞を腋窩リンパ節、鼠径リンパ節および腰部(大動脈周囲)リンパ節から採取した。リンパ細胞(5×10細胞/ウェル)をMOG35〜55ペプチド(0、3、10および30μg/ml)で4日間刺激した。培養上清中のIL−17、IFN−γおよびGM−SCFの濃度をELISAにより決定した。
ミコバクテリア感染
in vitro感染については、BMDCを1〜10×10CFUのウシ型結核菌(M. bovis)BCGで感染させた。48時間後、培養上清を採取し、サイトカイン濃度をELISAにて決定した。in vivo感染については、WTマウスおよびClec4n−/−マウスをイソフルランで麻酔し、次いでそれぞれのマウスをマウス1匹当たり2.5×10CFUのM.アビウム(M. avium)コンプレックス(MAC)で経鼻的に感染させた。感染の3週間後、肺を分離し、Physcotron handy micro homogenizer(Microtec Co.Ltd.)でホモジネートした。ホモジネートの段階希釈物について、OADCおよびペニシリン(100U/ml)で補充した7H11寒天プレート上のCFUを決定した。ホモジネートについては、Cytometric Bead Array System(BD Biosciences)を用いてケモカインも決定した。他の感染マウス由来の肺をヘマトキシリン−エオシン染色向けに10%ホルムアルデヒドで固定した。脾細胞の単一細胞懸濁液(5×10細胞)をM.アビウム(M. avium)センシチンPPD(5μg/ml)またはMAC Ag85A(10μg/ml)で4日間刺激し、培養上清のサイトカインおよびケモカインの濃度をELISAにて決定した。
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追加実験手順
マウス
C57BL/6マウスは日本クレア(Japan Clea)(東京、日本)または九動(Kyudo)(福岡、日本)から入手した。Clec4n−/−マウスは少なくとも9世代C57BL/6Jへ戻し交雑した(Saijo et al., 2010)。Fcer1g−/−マウス(Park et al., 1998)、MyD88−/−マウス(Kawai et al., 1999)およびOVA特異的なTCR OT−IIトランスジェニックマウス(Barnden et al., 1998)はC57BL/6の背景上で使用した。Cd209bDTR/DTRマウスは、R1胚幹細胞(129X1/SvJおよび129S1/SvマウスのF1子孫)で確立し、C57BL/6−129混合の遺伝的背景として使用した(図11A)。全てのマウスは除菌空気の層流エンクロージャに維持され、所与の標準実験室食および水を自由摂取で与えられた。全ての動物プロトコルは、九州大学医学部、千葉大学または東京薬科大学の動物実験に関する倫理委員会により承認された。
ミコバクテリア
M.スメグマティス(M. smegmatis)mc2155株は依然記載したようにMiddlebrook 7H9ブロスで培養した(Morita et al., 2005)。ウシ型結核菌(M. bovis)カルメットとゲランの桿菌(BCG)は日本BCG研究所(Japan BCG Laboratory)から購入した。M.アビウム(M. avium)、M.イントラセルラーレ(M. intracellulare)、M.アブセサス(M. abscesssus)およびM.ゴルドナエ(M. gordonae)を含む10種のNTM株は、鹿児島大学医学部歯学部附属病院呼吸器ストレスケアセンターの呼吸器内科により提供された。これらの株は米国胸部学会の基準に従ってNTM肺疾患と診断された患者から分離された(Griffith et al., 2007)。強毒性株結核菌(M. tuberculosis)H37Rv株およびNTM株は使用前に加熱殺菌した。
試薬
結核菌(M. tuberculosis)青山B株由来のLAMはナカライテスク(Nacalai tesque)から購入した。TDM、LPS(L4516)およびα−マンノシダーゼはSigma−Aldrichから購入した。カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の細胞壁マンナン(MG001)はタカラバイオ株式会社(Takara Bio Inc.)から入手した。TNF、IL−6、IL−10、IL−2、IFN−γ、GM−CSF(BD Biosciences、Franklin Lakes、NJ)、MIP−2およびIL−17(R&D Systems、Abingdon、英国)の濃度をELISAにより決定した。PBMCのヒトIFN−γの濃度は、ヒトIFN−γ高感度ELISAキット(Abcam、米国)を使用して分析した。実験はメーカーの説明に従って実施した。ケモカインの濃度はメーカーの説明に従ってBD Cytometric Bead Array(CBA)により測定する。ミコバクテリア抗原であるM.アビウム(M. avium)センシチンPPDはStatens Serum Instit(Copenhagen、デンマーク)から購入した。組換えMAC Ag85AはM.Sugita(京都大学)から好意で提供いただいた(Matsunaga et al., 2008)。
研究集団
東京病院(National Tokyo Hospital)(東京、日本)からの4人の患者を、インフォームドコンセントを与えた後に本研究に登録した(図12Eおよび図12F)。活動型疾患の1人の患者(図12F、右パネル)および既往疾患の3人の患者(図12Eおよび図12F、中央および右パネル)はQuantiFERON Gold in−Tubeテストに関して全て陽性反応であったが、これは結核に対する細胞性免疫が残ったままであることを示唆している。患者のPBMCとESAT−6またはCFP−10由来の結核菌(M. tuberculosis)特異的抗原のオーバーラップペプチドとの共培養によるIFN−γELISPOTデータは、各々の患者において陽性のウェル(≧6スポット/2.5×10PBMC)を示した(Nagai et al., 2014)。ELISPOTアッセイの陽性ウェル由来のオーバーラップペプチドを本研究のIFN−γELISA用に使用した(図12Eおよび図12F)。研究手順は、ヒト対象を使用する医学研究のための東京病院の治験審査委員会によりおよび国立感染症研究所の倫理員会により承認された(Nagai et al., 2014)。PBMCを結核患者に由来するヘパリン処理静脈血からFicoll−Paque(Pharmacia−Upjohn、Uppsala、スウェーデン)勾配遠心分離にて分離した。PBMC(2×10/ウェル)を、ESAT−6もしくはCFP−10由来の合成ペプチド、LAMまたは抗ヒトデクチン−2 Abとともにまたはこれらなしで、96ウェルプレート中で4日間インキュベートした。培養上清をサイトカイン滴定用に採取した。IFN−γの濃度を、ELISAを使用して決定した。
抗体
中和用の抗マンノース受容体mAb(15−2)はAbcamから購入し(Da Silva et al., 2009)、中和用の抗ヒトデクチン−2 mAb(545943)はR&D Systems製であった(Gringhuis et al., 2011)。抗マウスデクチン−2 mAb(D2.11E4)はAbcamから購入した。抗フラッグ mAb(1E6)は和光純薬工業(Wako)から購入した。フィコエリスリン結合ロバ抗ラットIgG(H+L)(712−116−153)およびロバ抗マウスIgG(H+L)(715−116−151)はJackson ImmunoResearchから入手した。中和抗IL−2 mAb(JES6−1A12)およびイソタイプ適合対照mAbラットIgG2a κ(eBR2a)はeBioscienceから購入した。
気管内注射
WTマウスおよびFcer1g−/−マウスを麻酔し、次いで水溶液100μl中のLAM100μgおよびLPS10μgをマウスに気管内投与した。対照として滅菌生理食塩水100μlをマウスに投与した。投与8時間後に、PBS800μlで2回肺をフラッシングすることにより気管支肺胞洗浄液(BALF)を採取した。BALF中のTNFの濃度をELISAにより測定した。
静脈内注射
Man−LAMを水中油中水の乳化物として調製し(Takimoto et al., 2006)、以前に記載のようにTDMを水中油の乳化物として調製した(Ishikawa et al., 2009)。LAMまたはTDM50μgを含有する乳化物100μlを6〜10週令のマウスに静脈内注射した。LAMとTDMともなしの乳化物を媒体対照として投与した。7日目に、以前に記載のように肺の重量指数(LWI)を算出し(Ishikawa et al., 2009)、肺をヘマトキシリン−エオシン染色向けに10%ホルムアルデヒドで固定した。
レンチウイルス媒介遺伝子導入
SIGNR3遺伝子を発現ベクター(CSII−CMV−MCS−IRES−Bsd)に導入した。HEK293T細胞を、パッケージングベクター(pCMV−VAV−G−RSV−RevおよびpCAG−HIVgp)と一緒にSIGNR3発現ベクターをトランスフェクトした。トランスフェクトして3日後に培養上清を採取した。ウイルスを超遠心分離(50,000×g、2時間、20℃)により濃縮した。遺伝子導入のため、BMDCをポリブレン(Sigma−Aldrich)8μ/mlとともにレンチウイルスとインキュベートした。24時間後、培地を新しい培養培地と代えた。レンチウイルス感染細胞をブラストサイジンS(InvivoGen)10μg/mlで選別した。
ヒト単球および単球に由来するDCの調製
最初に、ヒトPBMCをリンパ球分離溶液(d=1.077)(ナカライテスク)の勾配遠心分離により健常ドナーの末梢血から分離した。ヒト単球をMonocyte Isolation Kit II(Miltenyi Biotech、ドイツ)を使用してPBMCから精製した。単球に由来するDC向けに、ヒトCD14単球を抗ヒトCD14MicroBeads (Miltenyi Biotech、ドイツ)を使用してPBMCから精製した。樹状細胞を、10%FBS、非必須アミノ酸、抗生物質、ヒトGM−CSF10ng/mlおよびヒトIL−4の10ng/mlを補充したRPMI1640中で7日間培養した後、CD14単球から得た。ヒト単球(2.5×10/ウェル)を抗ヒトデクチン−2 mAbの存在下または非存在下でLAMとともに96ウェルプレート中で4日間インキュベートした。ヒト樹状細胞(2×10/ウェル)を抗ヒトデクチン−2mAbの存在下または非存在下でBCGとともに96ウェルプレート中で48時間インキュベートした。培養上清をサイトカイン滴定用に採取した。TNF、IL−10およびIL−1βの濃度をELISAを使用して決定した。
RT−PCR
全RNAを、Sepazol RNA I Super G(ナカライテスク)を使用してBMDCおよびCD11c脾細胞から調製し、ReverTra Ace(東洋紡(TOYOBO))でcDNA鋳型を作製するために使用した。MMR用のプライマー(Dewals et al., 2010)およびSIGNR3のプライマー(Tanne et al., 2009)を前述のように使用した。
統計
対応のない両側検定でのStudentのt−検定およびWilcoxson検定(図1C、図1D、図7Aおよび図13)を統計解析のために使用した。、p<0.05。**、p<0.01。
追加の参考文献
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Claims (8)

  1. リポアラビノマンナンを含む、デクチン−2発現細胞の活性化剤。
  2. 前記リポアラビノマンナンがマンノースキャップ型リポアラビノマンナンである、請求項1に記載の活性化剤。
  3. リポアラビノマンナンを含むアジュバント。
  4. 前記リポアラビノマンナンがマンノースキャップ型リポアラビノマンナンである、請求項3に記載のアジュバント。
  5. 抗原性成分および請求項3または4に記載のアジュバントを含むワクチン。
  6. 抗原性成分への免疫応答を向上させる方法であって、請求項3または4に記載のアジュバントおよび抗原性成分を含むワクチンを対象に投与するステップを含む方法。
  7. デクチン−2−発現細胞を活性化させる方法であって、リポアラビノマンナンを前記細胞と接触させるステップを含む方法。
  8. 前記リポアラビノマンナンがマンノースキャップ型リポアラビノマンナンである、請求項7に記載の方法。
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