本願は様々な修正形態および代替形態に従うものであるが、その特定の実施形態が図面に例として示され、詳細に説明されている。しかしながら、説明された特定の例示的な実施形態に本願の態様を限定する意図はないことが理解されるべきである。むしろ、本願の意図および範囲に含まれるすべての修正形態、均等形態、および代替形態を包含することが企図される。
以下の説明は図面を参照して読まれるべきものである。図面においては、異なる図中の同様の要素には同様の番号が付されている。説明と、必ずしも縮尺通りとはなっていない図面とは、例示的な実施形態を示しており、本願の範囲を限定することは意図していない。
正常で健康な心臓は、心臓を通して内因的に生成された電気信号を伝導することによって収縮を誘発する。これらの内因性信号は、心筋細胞または心臓の組織を収縮させる。この収縮によって血液が心臓を出入りし、身体の残りの部分を通した血液の循環を生じさせる。しかしながら、多くの患者は心臓の収縮に影響を与える心臓の状態を有している。例えば、もはや内因性電気信号を生成し、または伝導させることのできない病変組織が心臓に生じている場合がある。いくつかの実施形態において、罹病した心臓組織は異なる速度で電気信号を伝導するため、心臓の非同期かつ非効率的な収縮をもたらす。別の実施形態において、心臓は心拍数が危険なほど低くなるような低速で内因性信号を生成する場合がある。さらに別の実施形態において、心臓は異常なほどの高速で電気信号を生成する場合もある。いくつかの場合において、そのような異常は、患者の心臓の収縮がほぼ完全に同期しておらず、心臓がほとんど、または全く血液を排出しない細動状態に発展する可能性がある。
このような異常を有する患者を支援するため、多くの医療装置システムが開発されてきた。例えば、内因性心臓電気信号を検出し、検出された電気信号に基づいて患者が一つ以上の不整脈を有するか否かを判定するためのシステムが開発されてきた。このようなシステムはまた、検出された不整脈を治療するため、患者の心臓に電気刺激を送達する機能を有していてもよい。一実施形態において、いくつかの医療装置システムは、心臓が徐脈と呼ばれる非常に遅い速度で鼓動している時を特定する機能を有していてもよい。このようなシステムは、より速くて安全な速度で心臓を収縮させる電気刺激治療、すなわち「ペーシングパルス」を送達することができる。いくつかの医療装置システムは、心臓が頻脈と呼ばれる非常に速い速度で鼓動している時を特定することができる。このようなシステムは、一つ以上の抗頻脈ペーシング(ATP)治療をさらに含んでいてもよい。このようなATP治療の一つは、内因的に生成された信号よりも速い速度で心臓に電気刺激パルスを送達することを含む。これは一時的に心臓を速く鼓動させ得るが、このような刺激プロトコルは内因的に生成される信号とは対照的に、送達されるペーシングパルスに応じて心臓を収縮させることができる。ATP治療はその後、送達されるペーシングパルスの速度を低下させ、これにより、心拍数をより低くて安全なレベルに低下させることができる。
他の医療装置システムは、細動状態および非同期収縮を検出することができる。例えば、検出された信号に基づいて、いくつかのシステムは心臓が細動状態にある時を判定することができる。このようなシステムは、電気刺激治療によってこのような細動状態を治療するようにさらに構成されていてもよい。このような治療の一つは、内因的に生成された信号を超えることを目的として、心臓に比較的大量の電気エネルギー(「除細動パルス」)を送達することを含む。このような治療は、電気的な観点から心臓を「リセット」することができ、通常の電気的プロセスを引き継ぐことができる。他の医療システムは、内因的に生成された信号が異なる時間に生成されたこと、または心臓がこのような信号を異なる速度で伝達したことを検出することができる。これらの異常は、非同期で非効率的な心臓の収縮を引き起こす場合がある。システムは、一つ以上の心臓再同期治療(CRT)を管理する機能をさらに有していてもよい。このようなCRTの一つは、心臓上および心臓内の少なくとも一方における異なる位置で心臓に電気刺激を送達することを含んでいてもよい。このような方法は、ほぼ同時に、すなわちシステムが異なる時間に異なる位置に対して電気刺激を送達する場合には同期して、心臓の異なる部分を収縮させることができる。
本願は一般に、患者内に埋め込まれた複数の装置を用いて異常な心臓活動の検出および治療の少なくとも一方を調整するためのシステムおよび方法に関する。いくつかの場合において、医療装置システムは、心臓の不整脈を検出し、電気刺激治療を送達するための複数の装置を含んでいてもよい。例えば、例示的なシステムは、皮下心臓除細動器(S−ICD)、外部除細動器、植込み型心臓ペースメーカー(ICP)、リードレス心臓ペースメーカー(LCP)、および診断専用装置(心臓電気信号の検出および不整脈の判定の少なくとも一方を行い得るが、電気刺激治療を送達することはできない装置)の少なくとも一つのような装置を含み得る。
図1は、本願の様々な実施形態に従って使用可能な例示的な医療装置100(以下、MD100と呼ぶ)のブロック図を示している。いくつかの場合において、MD100は内因性心臓活動を検出し、不整脈の発生を判定し、不整脈の発生の判定に応じて電気刺激を送達するために使用することができる。いくつかの場合において、MD100は心臓活動の検出および調整の少なくとも一方を行うため、患者の体内の特定の位置(例えば、患者の心臓に非常に近接した位置)に埋め込むことができる。別の実施形態において、MD100は心臓活動の検出および調整の少なくとも一方を行うため、患者の外部に配置されていてもよい。一実施形態において、心臓の収縮は一般に、心臓によって内因的に生成された電気信号から生じる。これらの電気信号は心臓組織を通して伝導され、心筋細胞を収縮させる。MD100は、このような電気信号および他の心臓の物理的パラメータ(例えば、機械的収縮、心音、血圧、血液酸素レベル等)の少なくとも一つを検出可能とする特徴を含むことができる。このような電気信号および物理的特性は、「心臓活動」と呼ぶことができる。MD100は検出された心臓活動に基づいて、不整脈の発生を判定する機能を有していてもよい。いくつかの実施形態において、MD100は検出された不整脈を治療するため、心臓に電気刺激を送達することができる。例えば、MD100は徐脈治療、ATP治療、CRT、除細動、または他の電気刺激治療のような一つ以上の治療を実行するため、電気刺激、ペーシングパルス、除細動パルス等の少なくとも一つを送達するように構成されていてもよい。
図1は、医療装置100の一実施形態を示している。例示的なMD100は検出モジュール102と、パルス発生モジュール104と、処理モジュール106と、遠隔測定モジュール108と、バッテリ110とを含むことができ、そのすべてがハウジング120内に収容されている。MD100はリード112と、ハウジング120に取り付けられており、かつ、ハウジング120内に収容されたモジュール102、104、106、および108のうちの一つ以上と電気的に通信可能な電極114とをさらに含むことができる。
リード112はMD100のハウジング120に接続されており、かつ、ハウジング120から離れるように延在していてもよい。いくつかの実施形態において、リード112は患者の心臓上または心臓内に埋め込まれる。リード112は、ハウジング120から距離を置いたリード112上の様々な位置に配置された一つ以上の電極114を含むことができる。いくつかのリード112は単一の電極114のみを含み得る一方で、別のリード112は複数の電極114を含んでいてもよい。電極114は一般に、リード112が患者内に埋め込まれた時に、一つ以上の電極114が患者の心臓組織と接触するようにリード112上に配置される。従って、電極114は内因的に生成された電気信号をリード112に伝導することができる。次に、リード112は受信された電気信号をMD100の一つ以上のモジュール102、104、106、および108に伝導することができる。同様の方法で、MD100は電気刺激を生成することができ、リード112は生成された電気刺激を電極114に伝導することができる。その後、電極114は電気信号を患者の心臓組織に伝導することができる。本願では内因性信号を検出し、電気刺激を送達することについて論じる場合、これらのプロセスにはそのような伝導が内在しているということを考慮することができる。
検出モジュール102は、心臓の電気的活動を検出するように構成することができる。例えば、検出モジュール102はリード112と、リード112を介して電極114とに接続されていてもよく、検出モジュール102は電極114およびリード112を介して伝導される心臓電気信号を受信するように構成することができる。いくつかの実施形態において、リード112は加速度計、血圧センサ、心音センサ、血液酸素センサ、心臓や患者の生理学的パラメータを測定する他のセンサ等の様々なセンサを含むことができる。別の実施形態において、このようなセンサはリード112ではなく、検出モジュール102に直接接続することもできる。いずれにしても、検出モジュール102は、検出モジュール102に接続されたセンサによって生成された信号を、直接、またはリード112を介して受信するように構成することができる。検出モジュール102は追加的に処理モジュール106に接続されていてもよく、受信された信号を処理モジュール106に通信するように構成することができる。
パルス発生モジュール104は電極114に接続されていてもよい。いくつかの実施形態において、パルス発生モジュール104は心臓に電気刺激治療を提供するため、電気刺激信号を生成するように構成することができる。例えば、パルス発生モジュール104はMD100内のバッテリ110に蓄積されたエネルギーを用いて、このような信号を生成することができる。パルス発生モジュール104はいくつかの異なる治療のうちの一つ以上を提供するため、電気刺激信号を生成するように構成することができる。例えば、パルス発生モジュール104は徐脈治療、ATP治療、心臓再同期治療、細動治療、および他の電気刺激治療を提供するため、電気刺激信号を生成するように構成することができる。徐脈治療は心拍数を増加させるため、内因的に生成される電気信号よりも速い速度でペーシングパルスを生成および送達することを含むことができる。頻脈治療は、本明細書に記載されるATP治療を含むことができる。心臓再同期治療は、本明細書に記載されるCRT治療を含むことができる。細動治療は心臓をオーバーライドして細動状態を停止させるため、細動パルスを送達することを含むことができる。別の実施形態において、パルス発生モジュール104は検出された一つ以上の不整脈を治療するように、本明細書に記載された治療とは異なる電気刺激治療を提供するための電気刺激信号を生成するように構成することができる。
処理モジュール106は、MD100の動作を制御するように構成することができる。例えば、処理モジュール106は、検出モジュール102から電気信号を受信するように構成することができる。受信された信号に基づいて、処理モジュール106は不整脈の発生を判定することができる。判定された不整脈に基づいて、処理モジュール106は、判定された一つ以上の不整脈を治療するための一つ以上の治療に従った電気刺激を生成するため、パルス発生モジュール104を制御するように構成することができる。処理モジュール106はさらに、遠隔測定モジュール108から情報を受信することができる。いくつかの実施形態において、処理モジュール106は不整脈が発生したか否かを判定する際、または情報に応じた特定の処置をとるべきか否かを判定する際、この受信された情報を利用することができる。処理モジュール106は追加的に、他の装置に情報を送信するように遠隔測定モジュール108を制御することができる。
いくつかの実施形態において、処理モジュール106は、超大規模集積(VLSI)チップまたは特定用途向け集積回路(ASIC)等の予めプログラミングされたチップを含むことができる。このような実施形態において、チップはMD100の動作を制御するため、制御ロジックで予めプログラミングされていてもよい。予めプログラミングされたチップを用いることによって、処理モジュール106は他のプログラミング可能な回路よりも使用電力を低減しつつ基本機能を維持することができ、MD100のバッテリ寿命を延ばすことができる。別の実施形態において、処理モジュール106はプログラミング可能なマイクロプロセッサを含んでいてもよい。このようなプログラミング可能なマイクロプロセッサにおいて、ユーザはMD100の制御ロジックを調整することができ、予めプログラミングされたチップを用いる場合よりもMD100の柔軟性を高めることができる。いくつかの実施形態において、処理モジュール106はメモリ回路をさらに含むことができ、処理モジュール106はメモリ回路に情報を記憶し、かつ、メモリ回路から情報を読み出すことができる。別の実施形態において、MD100は処理モジュール106と通信可能な別個のメモリ回路(図示略)を含むことができ、処理モジュール106はこの別個のメモリ回路との間で情報の読み書きを行うことができる。
遠隔測定モジュール108は、MD100の外部に位置するセンサ、または他の医療装置等の装置と通信するように構成することができる。このような装置は患者の体外または体内のいずれかに配置することができる。この位置にかかわらず、外部装置(すなわち、MD100の外部にあるが、必ずしも患者の体外にある必要はない装置)は一つ以上の所望の機能を達成するため、遠隔測定モジュール108を介してMD100と通信することができる。例えば、MD100は遠隔測定モジュール108を介して、検出された電気信号を外部医療装置に通信することができる。外部医療装置は通信された電気信号を、不整脈の発生を判定する際に利用することができる。MD100は追加的に、遠隔測定モジュール108を介して外部医療装置から検出された電気信号を受信することができ、MD100は検出されて受信された電気信号を、不整脈の発生を判定する際に利用することができる。別の実施形態において、システムの様々な装置は、電気刺激治療の送達を調整するための命令を通信することができる。遠隔測定モジュール108は、外部装置と通信するための一つ以上の方法を用いるように構成することができる。例えば、遠隔測定モジュール108は無線周波数(RF)信号、誘導結合、光信号、音響信号、伝導通信信号、または他の任意の通信に適した信号を介して通信することができる。MD100と外部装置との間の通信技術は、以下の図3を参照してより詳細に説明される。
バッテリ110はMD100に、その動作のための電源を供給することができる。一実施形態において、バッテリ110は非充電式リチウム系バッテリであってもよい。別の実施形態において、非充電式バッテリは当技術分野で知られた他の適切な材料から生成することができる。MD100が植込み型装置である実施形態において、MD100へのアクセスは限定されるため、数日、数週間、数か月、または数年等の治療期間にわたって十分な治療を送達するのに十分なバッテリ容量を有している必要がある。別の実施形態において、バッテリ110はMD100の使用可能寿命を延ばすため、再充電式リチウム系バッテリとすることもできる。
一般に、MD100は多数の既存の医療装置のうちの一つと同様のものとすることができる。例えば、MD100は様々な植込み型医療装置と同様のものであってもよい。このような実施形態において、MD100のハウジング120は、患者の経気管領域に埋め込むことができる。ハウジング120は一般に、人体に埋め込んでも安全であるとして知られるいくつかの既知の材料のうちのいずれかを含むことができ、埋め込まれた時に、MD100の様々な構成要素を患者の体液および組織から密封することができる。
いくつかの実施形態において、MD100は植込み型心臓ペースメーカー(ICP)であってもよい。このような実施形態において、MD100は、患者の心臓上または心臓内に埋め込まれる一つ以上のリード、例えばリード112を有することができる。一つ以上のリード112は、患者の心臓の組織および血液の少なくとも一方に接触する一つ以上の電極114を含むことができる。MD100はまた、内因的に生成された心臓電気信号を検出し、検出された信号の分析に基づいて、例えば一つ以上の心臓不整脈を判定するように構成することができる。MD100はさらに、心臓内に埋め込まれたリード112を介してCRT、ATP治療、徐脈治療、細動治療、および他の種類の治療の少なくとも一つを送達するように構成することができる。
いくつかの場合において、MD100は皮下植込み型除細動器(S−ICD)であってもよい。このような実施形態において、リード112の一つは皮下的に埋め込まれたリードを含むことができる。いくつかの場合において、MD100は内因的に生成された心臓電気信号を検出し、検出された信号の分析に基づいて一つ以上の心臓不整脈を判定するように構成することができる。MD100はさらに、不整脈の判定に応じて一つ以上の除細動パルスを送達するように構成することができる。
さらに別の実施形態において、MD100はリードレス心臓ペースメーカー(LCP、図2に関連してより具体的に記載される)であってもよい。このような実施形態において、MD100は、ハウジング120から延びるリード112を含んでいなくてもよい。むしろMD100は、ハウジング120に対して結合された電極114を含んでいてもよい。これらの実施形態において、MD100は患者の心臓上または心臓内の所望の位置に埋め込むことができ、電極114を介してCRT、ATP治療、徐脈治療、および他の種類の治療の少なくとも一つを送達するように構成することができる。
いくつかの場合において、MD100は診断専用装置であってもよい。いくつかの場合において、MD100は心臓電気信号や、機械的収縮、心音、血圧、血液酸素レベル等の物理的パラメータの少なくとも一つを検出または受信するように構成することができる。MD100はさらに、検出または受信された心臓電気信号および物理的パラメータの少なくとも一つに基づいて、不整脈の発生を判定するように構成することができる。一実施形態において、MD100は不整脈の発生の判定に応じて電気刺激を送達するように構成されていなくてもよいため、パルス発生モジュール104を廃除することができる。むしろ、検出された心臓不整脈に応答するため、MD100を医療装置のシステムの一部とすることができる。このようなシステムにおいて、MD100はシステム内の他の装置と情報を通信することができ、他の装置のうちの一つ以上はMD100からの情報の受信に応じて、例えば電気刺激治療の送達等の処置をとることができる。また、パルス発生器という用語は、例えば装置について言えば、ICD、ICP、LCP等の心臓に電気刺激治療を送達可能な装置について説明するために用いることができる。
いくつかの実施形態において、MD100は植込み型医療装置でなくてもよい。むしろ、MD100は患者の体外の装置であってもよく、患者の身体上に位置する皮膚電極を含んでいてもよい。このような実施形態において、MD100は表面心臓電気信号(例えば、心臓、または患者の体内に埋め込まれた装置によって生成され、身体を通して皮膚に伝導される電気信号)を検出することができる。このような実施形態においても、MD100は様々な種類の電気刺激治療を送達するように構成することができる。しかしながら、別の実施形態において、MD100は診断専用装置であってもよい。
図2は、例示的なリードレス心臓ペースメーカー(LCP)200を示す図である。図示の実施形態において、LCP200はリード112を含まないことを除いて、MD100のモジュールおよび構成要素のすべてを含むことができる。図2に見られるように、LCP200は、LCP200内に収容された、またはハウジング220上に直接配置されたすべての構成要素を備えたコンパクトな装置とすることができる。図2に示すように、LCP200は遠隔測定モジュール202と、パルス発生モジュール204と、処理モジュール210と、バッテリ212とを含むことができる。このような構成要素は、図1のMD100に関連して説明された、同様の名称のモジュールおよび構成要素と同様の機能を有することができる。
いくつかの実施形態において、LCP200は電気的検出モジュール206および機械的検出モジュール208を含むことができる。電気的検出モジュール206は、MD100の検出モジュール102と同様のものとすることができる。例えば、電気的検出モジュール206は心臓によって内因的に生成された電気信号を受信するように構成することができる。電気的検出モジュール206は電極214に電気的に接続していてもよく、これは内因的に生成された電気信号を電気的検出モジュール206に伝導することができる。機械的検出モジュール208は、心臓の一つ以上の生理的パラメータを表す一つ以上の信号を受信するように構成することができる。例えば、機械的検出モジュール208は加速度計、血圧センサ、心音センサ、血液酸素センサ、および患者の生理学的パラメータを測定する他のセンサ等の一つ以上のセンサを含むか、これに電気的に接続することができる。別個の検出モジュールであるとして図2に関連して説明されているが、いくつかの実施形態において、電気的検出モジュール206および機械的検出モジュール208は単一のモジュールに組み合わせることもできる。
少なくとも一つの実施形態において、図2に示す各モジュール202、204、206、208、および210は、単一の集積回路チップ上に実装することができる。別の実施形態において、図示された構成要素は、互いに電気的に通信可能な複数の集積回路チップ上に実装することもできる。モジュール202、204、206、208、210、およびバッテリ212のすべては、ハウジング220内に収容することができる。ハウジング220は一般に、人体に埋め込んでも安全であるとして知られる任意の材料を含むことができ、LCP200が患者内に埋め込まれた時に、モジュール202、204、206、208、210、およびバッテリ212を体液および組織から密封することができる。
図2に示すように、LCP200は、ハウジング220に対して固定されているが、LCP200を取り囲む組織および血液の少なくとも一方に曝され得る電極214を含むことができる。このように、電極214は一般に、LCP200のいずれかの端部に配置され、モジュール202、204、206、208、および210のうちの一つ以上と電気的に通信可能とすることができる。いくつかの実施形態において、電極214はハウジング220に短い接続ワイヤを介して接続されており、ハウジング220に対して直接固定されていなくてもよい。いくつかの実施形態において、LCP200は追加的に、一つ以上の電極214´を含んでいてもよい。電極214´はLCP200の側面に配置され、LCP200の心臓電気活動の検出および電気刺激の送達の少なくとも一方を可能にする電極の数を増加させることができる。電極214および214´の少なくとも一方は、人体に埋め込んでも安全であるとして知られる様々な金属または合金等の一つ以上の生体適合性のある導電性材料で構成することができる。いくつかの場合において、LCP200に接続された電極214および214´の少なくとも一方は、隣接する電極、ハウジング220、および他の部材の少なくとも一つから電極214を電気的に絶縁する絶縁部を有していてもよい。
患者の体内にLCP200を埋め込むため、操作者(例えば医師、臨床医等)は患者の心臓組織にLCP200を固定する必要がある場合がある。固定を容易にするため、LCP200は一つ以上のアンカー216を含むことができる。アンカー216は、いくつかの固定機構または係止機構のうちのいずれかとすることができる。例えば、アンカー216は一つ以上のピン、ステープル、ねじ山、ねじ、らせん、歯等を含むことができる。いくつかの実施形態において、図示されていないが、アンカー216は、アンカー216の少なくとも一部の長さに沿って延び得る筋をその外面上に含むことができる。この筋は心臓組織とアンカーとの間に摩擦を生じさせて、心臓組織におけるアンカー216の固定を支援することができる。別の実施形態において、アンカー216は周囲の心臓組織との係合を容易にするため、とげ、スパイク等の他の構造を含んでいてもよい。
図1および図2に示すMD100およびLCP200の設計および寸法はそれぞれ、様々な要因に基づいて選択することができる。例えば、医療装置が心内膜組織上に埋め込むためのものである場合(例えばLCPの場合等)、医療装置は大腿静脈を介して心臓に導入することができる。このような場合、医療装置の寸法は、静脈の周辺組織に損傷を与えることなく静脈の蛇行経路を滑らかに誘導することができるようなものとすることができる。一実施形態によれば、大腿静脈の平均直径は約4mm〜約8mmであり得る。大腿静脈を介した心臓への誘導のため、医療装置は8mm未満の直径を有するものとすることができる。いくつかの実施形態において、医療装置は円形の断面を有する円筒形状とすることができる。しかしながら、医療装置は長方形、楕円形等の他の任意の適切な形状とすることもできることに留意されたい。医療装置が皮下に埋め込まれるように設計されている場合、薄型で平坦な長方形の医療装置が望ましい場合がある。
上述の図1および図2においては、MD100の様々な実施形態を説明した。いくつかの実施形態において、医療装置システムは複数の医療装置を含む場合がある。例えば、複数の医療装置100/200は、心臓不整脈および他の心臓の異常の少なくとも一つを検出および治療するため、協調して使用される場合がある。いくつかの例示的なシステムが、図3〜図10に関連して以下に説明される。このような複数装置システムにおいて、医療装置を互いに通信させたり、少なくとも他の医療装置から様々な通信信号を受信させたりすることが望ましい場合がある。
図3は医療装置システムと、複数の医療装置が通信可能な通信経路との実施形態を示す図である。図示の実施形態において、医療装置システム300は、LCP302および304と、外部医療装置306と、他のセンサ/装置310とを含むことができる。外部装置306は、MD100に関連して説明された装置のいずれかとすることができる。他のセンサ/装置310もまた、MD100に関連して説明された装置のいずれかとすることができる。別の実施形態において、他のセンサ/装置310は加速度計、血圧センサ等のセンサを含むことができる。さらに別の実施形態において、他のセンサ/装置310は、システム300の一つ以上の装置をプログラミングするために使用可能な外部プログラミング装置を含んでいてもよい。
システム300の様々な装置は、通信経路308を介して通信することができる。例えば、LCP302および304の少なくとも一方は、内因性心臓電気信号を検出することができ、この信号を通信経路308を介してシステム300の一つ以上の他の装置302/304、306、および310に通信することができる。一実施形態において、外部装置306はこの信号を受信し、受信された信号に基づいて、不整脈の発生を判定することができる。いくつかの場合において、外部装置306はこの判定を、システム300の一つ以上の他の装置302/304、306、および310に通信することができる。また、システム300の一つ以上の他の装置302/304、306、および310は、通信された不整脈の判定に基づいて、適切な電気刺激の送達等の処置をとることができる。この説明は、システム300の様々な装置間の通信における様々な理由のうちの単なる一例に過ぎない。
通信経路308は、様々な通信手段のうちの一つ以上を表し得る。例えば、システム300の装置はRF信号、誘導結合、光信号、音響信号、または他の任意の通信に適した信号を介して互いに通信することができ、通信経路308はこのような信号を表すことができる。
少なくとも一つの実施形態において、通信経路308は伝導通信信号を表すことができる。従って、システム300の装置は伝導通信可能な構成要素を有することができる。通信経路308が伝導通信信号を含む実施形態において、システム300の装置は他の装置によって患者の体内に送達された電気通信パルスを検出することによって、互いに通信することができる。患者の身体は、これらの電気通信パルスをシステム300の他の装置に伝導することができる。このような実施形態において、送達された電気通信パルスは上述の電気刺激治療の電気刺激パルスとは異なっていてもよい。例えば、システム300の装置は、サブスレッショルドの電圧レベルにおいてこのような電気通信パルスを送達することができる。すなわち、送達される電気通信パルスの電圧振幅は、心臓を捕捉しないように(例えば、収縮を生じさせないように)十分低くすることができる。しかしながら、場合によっては、一つ以上の送達された電気通信パルスが心臓を捕捉することがあってもよい。また、別の場合において、送達される電気刺激パルスは心臓を捕捉しないものであるが、電気通信パルスである必要はない。いくつかの場合において、送達される電気通信パルスについて変調(例えば、パルス幅の変調)を行うことができ、または通信される情報を符号化するため、通信パルスの送達タイミングを変調することができる。これらはほんの一部の例である。
上述のように、いくつかの例示的なシステムは不整脈の発生の判定と、一つ以上の不整脈の判定に応じた電気刺激治療の送達との少なくとも一方を行うため、複数の装置を使用することができる。図3〜図10は、不整脈の発生の判定および電気刺激治療の送達の少なくとも一方を行うため、複数の装置を使用可能な様々な例示的なシステムについて説明している。しかしながら、図3〜図10は限定的な例であるとみなすべきではない。例えば、図3〜図10は様々な複数装置システムがどのように様々な不整脈の検出および治療の少なくとも一方を調整するかを説明している。しかしながら、不整脈の検出および治療の少なくとも一方のための以下の技術と併せて、MD100およびLCP200に関連して説明された装置の任意の組み合わせを用いることができる。
図4は、LCP402およびパルス発生器406を含む例示的な医療装置システム400を示している。いくつかの実施形態において、パルス発生器406は外部除細動器またはICDのいずれかとすることができる。例えば、パルス発生器406はMD100に関連して説明されたような装置とすることができる。いくつかの実施形態において、パルス発生器406はS−ICDとすることができる。パルス発生器406が外部除細動器である実施形態において、電極408a、408b、および408cは患者の身体上に位置する皮膚電極とすることができる。パルス発生器406がS−ICDである実施形態において、電極408a、408b、および408cは、心臓410の近位であるが心臓410上または心臓410内ではない患者の体内の位置に埋め込まれた皮下リードに取り付けられていてもよい。
図示のように、LCP402は心臓410内に埋め込むことができる。LCP402は心臓410の左心室(LV)内に埋め込まれているとして図示されているが、別の実施形態において、LCP402は心臓410の異なるチャンバ内に埋め込まれていてもよい。例えば、LCP402は心臓410の左心房(LA)、または心臓410の右心房(RA)内に埋め込まれていてもよい。別の実施形態において、LCP402は心臓410の右心室(RV)内に埋め込まれていてもよい。
いずれにしても、LCP402およびパルス発生器406は、心臓410の不整脈の発生を判定するために協働することができる。いくつかの場合において、装置402および406は心臓410の活動を検出するため、独立して動作することもできる。上述のように、心臓活動は、検出された心臓電気信号および検出された生理学的パラメータの少なくとも一つを含むことができる。このような実施形態において、LCP402およびパルス発生器406の各々は、独立して検出された心臓活動に基づいて互いに独立して不整脈の発生を判定するように動作することができる。LCP402またはパルス発生器406のうちの第一の装置が不整脈についての第一の判定を行う場合、その第一装置は第二装置に、その第一判定について通信することができる。システム400の第二装置も自身で検出した心臓活動に基づいて不整脈の判定、例えば不整脈についての第二判定を行う場合、不整脈を確認し、システム400は心臓410への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。このようにして、システム400の装置402および406の両方を不整脈の発生の判定のために使用することができる。いくつかの実施形態において、装置402または406のいずれか一方のみが不整脈の発生の判定を行い、他方は行わない場合であっても、システム400は心臓410への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。
別の実施形態において、装置402および406の一方のみが能動的に心臓活動を検出し、不整脈の発生を判定する。例えば、能動的な検出装置(例えばLCP402)は不整脈の発生を判定し、システム400の他の装置(例えばパルス発生器406)に判定を通信することができる。システム400はその後、心臓410への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。別の実施形態において、能動的に心臓活動を検出する装置は、検出された心臓活動を他の装置に通信することができる。その後、受信された心臓活動に基づいて、他の装置は不整脈の発生を判定することができる。システム400はその後、心臓410への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、他の装置は追加的に、能動的な検出装置に不整脈の判定を通信することができる。
さらに別の実施形態において、装置402または406のうちの第一装置のみが連続的に心臓活動を検出する。第一装置(例えばパルス発生器406)は検出された心臓活動に基づいて、不整脈の発生を連続的に判定することができる。このような実施形態において、第一装置が不整脈の発生を判定する場合、第一装置は第二装置(例えばLCP402)に判定を通信することができる。不整脈の発生の判定を受信すると、第二装置は心臓活動の検出を開始することができる。その検出された心臓活動に基づいて、第二装置もまた、不整脈の発生を判定することができる。このような実施形態において、第二装置も不整脈の発生を判定した後でのみ、システム400は心臓410への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。いくつかの代替実施形態において、第一装置が心臓活動を検出し、不整脈が発生しているか否かを判定する一方で、第二装置も心臓活動を検出することができる。これらの実施形態において、第二装置は不整脈が発生しているか否かを第一装置と同時に判定することができるが、第一装置から不整脈を表す指示を受信した後にのみ、不整脈が発生していることの最終的な判定をすることができる。
いくつかの実施形態において、不整脈の発生を判定することは不整脈の開始を判定することを含むことができ、システム400は電気刺激治療の送達を開始する時を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態において、不整脈の発生を判定することは、不整脈の終了を判定することを含むことができる。このような実施形態において、システム400は、電気刺激治療の送達を停止する時を決定するように構成することもできる。
システム400が心臓410に適切な電気刺激治療を送達するように動作する実施形態において、判定された不整脈が細動であった場合、パルス発生器406は心臓410に除細動パルスを送達するように動作することができる。判定された不整脈が頻脈であった場合、LCP402は心臓410にATP治療を送達することができる。判定された不整脈が徐脈であった場合、LCP402は心臓410に徐脈治療を送達することができる。判定された不整脈が非同期の収縮であった場合、LCP402は心臓410にCRTを送達することができる。いくつかの実施形態において、パルス発生器406およびLCP402は、図11〜図16に関連して以下に記載される技術のうちの一つ以上に従って心臓410に電気刺激治療を送達するように調整することができる。
図5は、LCP502およびパルス発生器506を含む例示的な医療装置システム500を示している。本実施形態において、パルス発生器506は植込み型心臓ペースメーカー(ICP)とすることができる。例えば、パルス発生器506は、MD100に関連して説明されたようなICPとすることができる。パルス発生器506がICPである実施形態において、一つ以上のリードを介して心臓510の右心室および右心房の少なくとも一方の上または内に電極504a、504b、および504cを埋め込むことができる。
LCP502は心臓510内に埋め込むことができる。LCP502は心臓510の左心室(LV)内に埋め込まれているとして図示されているが、いくつかの場合において、LCP502は心臓510の異なるチャンバ内に埋め込まれていてもよい。例えば、LCP502は心臓510の左心房(LA)、または心臓510の右心房(RA)内に埋め込まれていてもよい。別の実施形態において、LCP502は心臓510の右心室(RV)内に埋め込まれていてもよい。
いずれにしても、LCP502およびパルス発生器506は、心臓510の不整脈の発生を判定するために協働することができる。いくつかの場合において、装置502および506は心臓510の活動を検出するため、独立して動作することもできる。上述のように、心臓活動は、検出された心臓電気信号および検出された生理学的パラメータの少なくとも一つを含むことができる。いくつかの場合において、LCP502およびパルス発生器506の各々は、独立して検出された心臓活動に基づいて互いに独立して不整脈の発生を判定するように動作することができる。LCP502またはパルス発生器506のうちの第一の装置が不整脈についての第一の判定を行う場合、その第一装置は第二装置に、その第一判定について通信することができる。システム500の第二装置も自身で検出した心臓活動に基づいて不整脈の判定、例えば不整脈についての第二判定を行う場合、システム500は不整脈を確認し、心臓510への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。このようにして、システム500の装置502および506の両方を不整脈の発生の判定のために使用することができる。いくつかの場合において、装置502または506のいずれか一方のみが不整脈の発生を判定する場合であっても、システム500は心臓510への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。
いくつかの実施形態において、装置502および506の一方のみが能動的に心臓活動を検出し、不整脈の発生を判定することができる。例えば、能動的な検出装置(例えばパルス発生器506)は不整脈の発生を判定し、システム500の他の装置(例えばLCP502)に判定を通信することができる。システム500はその後、心臓510への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。いくつかの実施形態において、能動的に心臓活動を検出する装置は、検出された心臓活動を他の装置に通信することができる。その後、受信された心臓活動に基づいて、他の装置は不整脈の発生を検出して判定することができる。システム500はその後、心臓510への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。いくつかの場合において、他の装置は追加的に、能動的な検出装置に不整脈の判定を通信することができる。
さらに別の実施形態において、装置502または506のうちの第一の装置のみが連続的に心臓活動を検出することができる。第一装置はさらに、検出された心臓活動に基づいて、不整脈の発生を連続的に判定することができる。いくつかの実施形態において、第一装置が不整脈の発生を判定する場合、第一装置は第二装置に判定を通信することができる。不整脈の発生の判定を受信すると、第二装置は心臓活動の検出を開始することができる。その検出された心臓活動に基づいて、第二装置もまた、不整脈の発生を判定することができる。このような実施形態において、第二装置も不整脈の発生を判定した後でのみ、システム500は心臓510への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。いくつかの代替実施形態において、第一装置が心臓活動を検出し、不整脈が発生しているか否かを判定する一方で、第二装置も心臓活動を検出することができる。これらの実施形態において、第二装置は不整脈が発生しているか否かを第一装置と同時に判定することができるが、第一装置から不整脈を表す指示を受信した後にのみ、不整脈が発生していることの最終的な判定をすることができる。
いくつかの実施形態において、不整脈の発生を判定することは不整脈の開始を判定することを含むことができ、システム500は電気刺激治療の送達を開始する時を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態において、不整脈の発生を判定することは、不整脈の終了を判定することを含むことができる。このような実施形態において、システム500は、電気刺激治療の送達を停止する時を決定するように構成することもできる。複数の装置が心臓不整脈の発生を判定するまでシステム500が心臓510への適切な電気刺激治療の送達を開始しない実施形態において、電気刺激治療の送達を引き起こさない判定はそれぞれ、仮判定と呼ぶことができる。
システム500が心臓510に適切な電気刺激治療を送達するように動作する実施形態において、判定された不整脈が頻脈であった場合、パルス発生器506またはLCP502のいずれか、またはその両方は、心臓510にATP治療を送達することができる。判定された不整脈が徐脈であった場合、パルス発生器506またはLCP502のいずれか、またはその両方は、心臓510に徐脈治療を送達することができる。判定された不整脈が非同期の収縮であった場合、パルス発生器506またはLCP502のいずれか、またはその両方は、心臓510にCRTを送達することができる。いくつかの実施形態において、パルス発生器506およびLCP502は、図11〜図16に関連して以下に記載される技術のうちの一つ以上に従って心臓510に電気刺激治療を送達するように調整することができる。
図6は、LCP602およびLCP606を含む例示的な医療装置システム600を示す図である。LCP602およびLCP606は心臓610内に埋め込まれているとして図示されている。LCP602およびLCP606はそれぞれ心臓610の左心室(LV)および心臓610の右心室内に埋め込まれているとして図示されているが、別の実施形態において、LCP602および606は心臓610の異なるチャンバ内に埋め込まれていてもよい。例えば、システム600は心臓610の両心房内に埋め込まれたLCP602および606を含むことができる。別の実施形態において、システム600は心臓610の一つの心房と一つの心室とに埋め込まれたLCP602および606を含むことができる。さらなる実施形態において、システム600は心室および心房内に任意の組み合わせで埋め込まれたLCP602および606を含むことができる。さらに別の実施形態において、システム600は心臓610の同じチャンバ内に埋め込まれたLCP602および606を含んでいてもよい。
いずれにしても、いくつかの実施形態において、LCP602およびLCP606は心臓610の不整脈の発生を判定するために協働することができる。例えば、装置602および606は心臓610の活動を検出するため、独立して動作することもできる。上述のように、心臓活動は、検出された心臓電気信号および検出された生理学的パラメータの少なくとも一つを含むことができる。このような実施形態において、LCP602およびLCP606の各々は、独立して検出された心臓活動に基づいて独立して不整脈の発生を判定するように動作することができる。LCP602またはLCP606のうちの第一の装置が不整脈についての第一の判定を行う場合、その第一装置は第二装置に、その第一判定について通信することができる。システム600の第二装置も自身で検出した心臓活動に基づいて不整脈の判定、例えば不整脈についての第二判定を行う場合、システム600は不整脈を確認し、心臓610への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。このようにして、システム600の装置602および606の両方を不整脈の発生の判定のために用いることができる。いくつかの実施形態において、装置602または606のいずれか一方のみが不整脈の発生を判定する場合であっても、システム600は心臓610への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。
別の実施形態において、装置602および606の一方のみが能動的に心臓活動を検出し、不整脈の発生を判定することができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、能動的な検出装置(例えばLCP606)は不整脈の発生を判定し、システム600の他の装置(例えばLCP602)に判定を通信することができる。システム600はその後、心臓610への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。いくつかの場合において、能動的に心臓活動を検出する装置は、検出された心臓活動を他の装置に通信することができる。その後、受信された心臓活動に基づいて、他の装置は不整脈の発生を判定することができる。システム600はその後、心臓610への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、他の装置は追加的に、能動的な検出装置および別の装置の少なくとも一つに不整脈の判定を通信することができる。
いくつかの実施形態において、装置602または606のうちの第一の装置のみが連続的に心臓活動を検出することができる。第一装置は検出された心臓活動に基づいて、不整脈の発生を連続的に判定することができる。このような実施形態において、第一装置が不整脈の発生を判定する場合、第一装置は第二装置にその判定を通信することができる。不整脈の発生の判定を受信すると、第二装置は心臓活動の検出を開始することができる。その検出された心臓活動に基づいて、第二装置もまた、不整脈の発生を判定することができる。このような実施形態において、第二装置も不整脈の発生を判定した後でのみ、システム600は心臓610への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。いくつかの代替実施形態において、第一装置が心臓活動を検出し、不整脈が発生しているか否かを判定する一方で、第二装置も心臓活動を検出することができる。これらの実施形態において、第二装置は不整脈が発生しているか否かを第一装置と同時に判定することができるが、第一装置から不整脈を表す指示を受信した後にのみ、不整脈が発生していることの最終的な判定をすることができる。
いくつかの実施形態において、不整脈の発生を判定することは不整脈の開始を判定することを含むことができ、システム600は電気刺激治療の送達を開始する時を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態において、不整脈の発生を判定することは、不整脈の終了を判定することを含むことができる。このような実施形態において、システム600は、電気刺激治療の送達を停止する時を決定するように構成することもできる。複数の装置が心臓不整脈の発生を判定するまでシステム600が心臓610への適切な電気刺激治療の送達を開始しない実施形態において、電気刺激治療の送達を引き起こさない判定はそれぞれ、仮判定と呼ぶことができる。
システム600が心臓610に適切な電気刺激治療を送達するように動作する実施形態において、判定された不整脈が頻脈であった場合、LCP602、606のいずれか、またはその両方は、心臓610にATP治療を送達することができる。判定された不整脈が徐脈であった場合、LCP602、606のいずれか、またはその両方は、心臓610に徐脈治療を送達することができる。判定された不整脈が非同期の収縮であった場合、LCP602、606のいずれか、またはその両方は、心臓610にCRTを送達することができる。いくつかの実施形態において、パルス発生器606およびLCP602は、図11〜図16に関連して以下に記載される技術のうちの一つ以上に従って心臓610に電気刺激治療を送達するように調整することができる。
必ずしも図4〜図6に示されてはいないが、システム400、500、または600の二つの装置のうちの一つは、診断専用装置であってもよい。このような実施形態において、一つ以上の装置が不整脈の発生を判定した後、診断専用装置は電気刺激治療を送達しなくてもよい。むしろ、電気刺激治療は必要に応じて、適切な電気刺激治療を送達可能なシステムの他の装置によって送達することができる。
図7は、LCP702、LCP704、およびLCP706を含む三つの別個のLCPを備えた例示的な医療装置システム700を示している。システム700はLV、RV、およびLA内にそれぞれ埋め込まれたLCP702、704、および706を備えているとして示されているが、別の実施形態は、心臓710の異なるチャンバ内に埋め込まれたLCP702、704、および706を含んでいてもよい。例えば、システム700は心臓710の両心房および一つの心室内に埋め込まれたLCPを含んでいてもよい。別の実施形態において、システム700は心臓710の両心室および一つの心房内に埋め込まれたLCPを含んでいてもよい。より一般的には、システム700は心室および心房内に任意の組み合わせで埋め込まれたLCPを含むことができる。いくつかの場合、システム700において、LCP702、704、および706のうちの二つ以上が心臓710の同じチャンバ内に埋め込まれていてもよい。
実際、そのようなシステム700は、図4〜図6に関連して説明された技術のうちのいずれかに従って動作することができる。しかしながら、いくつかの場合において、システム700は少なくともある程度、異なる動作をすることもできる。例えば、システム700が心臓710への適切な電気刺激治療の送達を開始する前に、LCP702、704、および706の大半が不整脈の発生を判定する必要がある。例えば、いくつかの場合において、LCP702、704、および706のすべては心臓活動の検出と不整脈の発生の判定とを独立して行うことができる。いくつかの場合において、LCP702、704、および706の大半が不整脈の発生を判定した後でのみ、システム700は心臓710に適切な電気刺激治療を送達することができる。いくつかの場合において、LCPの一つがマスタLCPとして指定され、他のスレーブLCPは自身が不整脈の発生を判定したか否かをマスタLCPに通信することができる。マスタLCPはその後、LCP702、704、および706の大半が不整脈の発生を判定したか否かを判定し、もしそうであれば、心臓710への適切な電気刺激治療の送達を指示することができる。いくつかの場合において、マスタLCPは検出された不整脈の種類および位置の少なくとも一方に基づいて、心臓710に電気刺激治療を送達するようにLCP702、704、および706の特定の一つに指示することができる。
あるいは、場合によっては、システム700が心臓710への適切な電気刺激治療の送達を開始する前に、単一のLCPのみが不整脈の発生を判定する必要がある場合がある。さらに別の実施形態において、システム700が心臓710への適切な電気刺激治療を送達する前に、LCP702、704、および706の三つすべてが不整脈の発生を判定する必要がある場合がある。
いくつかの場合において、LCP702、704、および706の一つのみが能動的に心臓活動を検出し、不整脈の発生を判定することができる。不整脈の発生を判定した後、能動的な検出装置は他の装置の一方または両方に判定を通信することができる。いくつかの場合において、他の装置の一方または両方はその後、不整脈の発生の検出および判定を開始することができる。いくつかの場合において、他の装置のうちの第一の装置が不整脈の発生を判定した場合、システム700は心臓710への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。別の場合において、他の装置の両方が不整脈の発生を判定した時、システム700は心臓710への適切な電気刺激治療の送達を開始することができる。
いくつかの場合において、LCP702、704、および706はデイジーチェーンで構成されていてもよい。例えば、能動的な検出装置は他の二つの装置のうちの一方のみに不整脈の判定を送信することができる(あるいは、二つの受信装置のうちの一方のみが能動的な検出装置から受信された判定に応じて動作することができる)。受信装置はその後、不整脈の発生の能動的な検出および判定を開始することができる。不整脈の発生を判定すると、受信装置は最後の装置に判定を通信することができる。最後の装置はその後、不整脈の発生の検出および判定を開始することができる。いくつかの場合において、最後の装置が不整脈の発生を判定した時にのみ、システム700は心臓710への適切な電気刺激治療の送達を開始する。いくつかの代替実施形態において、様々な装置が能動的な不整脈の発生の検出および判定を同時に行うことができる。しかしながら、装置のいくつかは例えば上述のカスケード方式で、他の装置から不整脈が発生しているという指示を受信した後にのみ、不整脈が発生しているという判定を完了することができる。
システム400、500、および700の説明によれば、いくつかの実施形態において、不整脈の発生を判定することは不整脈の開始を判定することを含むことができ、システム700は電気刺激治療の送達を開始する時を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態において、不整脈の発生を判定することは、不整脈の終了を判定することを含むことができる。このような実施形態において、システム700は、電気刺激治療の送達を停止する時を決定するように構成することもできる。複数のLCP装置が不整脈の発生を判定するまでシステム700が心臓710への適切な電気刺激治療の送達を開始しない実施形態において、電気刺激治療の送達を引き起こさない判定はそれぞれ、仮判定と呼ぶことができる。
システム700が心臓710に適切な電気刺激治療を送達するように動作する実施形態において、判定された不整脈が頻脈であった場合、LCP702、704、および706の一つ以上は、心臓710にATP治療を送達することができる。判定された不整脈が徐脈であった場合、LCP702、704、および706の一つ以上は、心臓710に徐脈治療を送達することができる。判定された不整脈が非同期の収縮であった場合、LCP702、704、および706の一つ以上は、心臓710にCRTを送達することができる。LCP702、704、および706のうちのすべてより少ない装置が、不整脈の検出に応じて電気刺激治療を送達することができると考えられる。例えば、LCP702、704、および706のうちの一つのみが電気刺激治療を送達することができる。別の実施形態において、LCP702、704、および706のうちの二つが電気刺激治療を送達することができる。いくつかの実施形態において、LCP702、704、および706は、図11〜図16に関連して以下に記載される技術のうちの一つ以上に従って心臓710に電気刺激治療を送達するように調整することができる。
上記説明によれば、三つより多いLCP装置を有するシステムに上記技術をどのように拡張することができるかが見えてくる。例えば、四つのLCP装置システムにおいて、システムが適切な電気刺激治療の送達を開始する前に不整脈の発生を判定するために、一つ、二つ、三つ、または四つの装置を用いることができる。いくつかのこのような実施形態において、LCP装置のすべて、いくつか、または一つは、まず能動的に不整脈の発生を検出して判定することができる。すべてより少ない装置がまず能動的に検出を行う実施形態において、能動的な検出装置のうちの一つが不整脈の発生を判定し、その判定をシステムの他の装置に通信すると、システムの他の装置のうちの少なくとも一つは、能動的な心臓活動の検出および不整脈の発生の判定を開始することができる。ここでも、上記技術は、五つ、六つ、七つ、または患者の体内への埋め込みが実際に実現可能な他の任意の数のLCP装置または他の装置を含むシステムに拡張することができる。また、いくつかの代替実施形態において、装置のうちの一つ以上は他の装置から不整脈が発生しているという指示を受信するまで不整脈が発生しているという判定を完了しないように構成することもできるが、システムの複数の装置またはすべての装置は、能動的な心臓活動の検出および不整脈の発生の判定を同時に行うことができる。
また、三つ以上のLCP装置に関して説明してきたが、同じ技術を図4および図5に関連して説明したシステムのいずれかに適用することもできる。例えば、システム400および500のいずれかはさらに、第二のLCP装置のような第三の装置を含むことができる。このようなシステムにおいて、第三装置は不整脈の検出および電気刺激治療の送達の少なくとも一方が可能なパルス発生器とともに、システム700の上述の技術のうちのいずれかに従って動作することができる。別の実施形態において、システム400および500のいずれかは複数の追加の装置を含むことができる。例えば、システム400および500のいずれかは、パルス発生器406および506に追加して実際に患者に埋め込むことのできる三つ、四つ、五つ、または任意の数のLCP装置を含むことができる。従って、そのような実施形態において、複数の装置は上述の技術のうちのいずれかに従って協働することができる。
複数装置システムはいくつかの場合において、単一装置システムより効果的な電気刺激治療を送達することができる。例えば、電気刺激治療の送達を開始する前に、例示的なシステムは、システムのどの装置が第一に心臓の脱分極波を検出するかを判定することができる。このような実施形態において、システムは、第一に脱分極波を検出する装置に電気刺激治療を送達するように指示することができる。これにより、システムは不整脈の起点に近い部位において電気刺激治療を送達することが可能となり、電気刺激治療の効果を高めることができる。
システム700の実施形態において、システム700の装置の一つは、上述の技術のうちのいずれかに従ったシステム700の他の装置による仮判定とは別個に、またはこれに加えて、頻脈性不整脈の発生を判定することができる。システム700の装置の一つ(例えばマスタ装置)は心臓710にATP治療を送達することを決定するか、システム700の他の装置にATP治療を送達するように指示することを決定することができる。ATP治療を送達する前、またはATP治療を送達するように他の装置に指示する前に、システム700の装置の一つは、システム700のどの装置が心臓710の内因性心臓脱分極波を第一に検出するかを判定することができる。このような脱分極波を第一に検出する装置はその後、ATP治療の送達を開始することができる。
上記説明は、内因性心臓脱分極波を第一に検出する装置によって電気刺激治療を送達するためにシステムがどのように動作することができるかについての単なる一例に過ぎない。別の実施形態において、不整脈および治療の種類は異なっていてもよい。また、このような特徴は装置の特定の構成または数に結びついている訳ではないため、本明細書に記載されたシステムはいずれも、このような特徴をさらに含むことができる。システムにおける唯一の制限は、システムの装置が適切な電気刺激治療を送達することができるか否かということであり得る。
心房性不整脈と心室性不整脈との区別をするため、複数装置システムを用いることができる。例えば、本明細書に記載された例示的なシステムは、このような不整脈をより効果的に治療するため、不整脈が心房性不整脈であるか心室性不整脈であるかに応じて異なる動作をすることができる。
例示的な一実施形態として、システム700の装置の一つは上述の技術のうちのいずれかに従ったシステム700の他の装置による仮判定とは別個に、またはこれに加えて、頻脈性不整脈の発生を判定することができる。また、システム700の装置は不整脈が心房頻脈であるか心室頻脈であるかを判定することができる。頻脈が心房頻脈である場合、システム700の装置のうちの一つ以上は電気刺激治療を送達しないことを決定することができる。頻脈が心室頻脈である場合、システム700の装置のうちの一つ以上は追加的に、頻脈の速度が閾値を上回っているか否か、および心臓電気信号が多形性の信号であるか否かを判定することができる。頻脈の速度が閾値を下回っており、かつ、心臓電気信号が多形性の信号でない場合には、システム700の装置のうちの一つ以上は心臓710にATP治療を送達するか、心臓710にATP治療を送達するようにシステム700の他の装置に指示することができる。頻脈の速度が閾値を上回っているか、または心臓電気信号が多形性の信号である場合、システム700の装置のうちの一つ以上は心臓710に除細動パルスを送達するか、心臓710に除細動パルスを送達するようにシステム700の他の装置に指示することができる。このように心房性不整脈と心室性不整脈とを区別し、不整脈の種類に応じて異なる動作をすることによって、送達される電気刺激治療の効果を高め、送達される電気刺激治療の負の結果を減少させることができる。上記説明は、様々な不整脈を区別して、判定された様々な不整脈に応じて電気刺激治療を送達するために開示されたシステムがどのように動作することができるかについての単なる一例に過ぎない。
図8および図9は、複数装置医療システムのための別の例示的な埋め込み位置および構成を示す図である。例えば、図8の医療装置システム800は三つのLCP装置、LCP802、804、および806を示している。LCP装置のうちの二つ、LCP802および804は、心臓810の単一のチャンバ内に埋め込まれて示されている。別の実施形態において、三つの装置すべてが心臓810の単一のチャンバ内に埋め込まれていてもよい。二つのLCP802および804が心臓810のLV内に埋め込まれて示されているが、別の実施形態において、心臓810の任意のチャンバ内に複数のLCP装置が埋め込まれていてもよい。単一のチャンバ内に複数の装置を埋め込むことによって、信号を生じさせる不整脈の起点の心臓部位付近において複数の装置が電気刺激治療を送達する可能性が高くなるため、送達される電気刺激の効果を高めることができる。他のシステムに関して説明したように、システム400および500のような本明細書に記載された他のシステムはいずれも必要に応じて、心臓の単一のチャンバ内に埋め込まれた一つ以上の装置を含むことができる。
図9の医療装置システム900は、心臓910の心外膜表面上に埋め込まれたLCP902を含んでいる。LCP904および906は、心臓910の心内膜表面上に埋め込まれて示されている。いくつかの場合において、システム900の一つ以上の追加の装置を心外膜表面上に埋め込むことができる。いくつかの場合において、心臓の心外膜表面上に埋め込まれた装置は、内因性心臓電気信号の検出および心臓への適切な電気刺激治療の送達の少なくとも一方を行うことができる。また、本明細書に記載されたシステムのいずれかは必要に応じて、心臓の心内膜表面上に埋め込まれた一つ以上の装置を含むことができる。
上述のように、いくつかの実施形態において、医療システムの一つの装置がマスタ装置として動作し、他の装置がスレーブ装置として動作することができる。図10は、マスタ装置1002と、複数のスレーブ装置1004、1006、および1008とを含む例示的な医療装置システム1000のブロック図である。図示の実施形態において、マスタ装置1002は患者の身体を通してスレーブ装置1004、1006、および1008と伝導通信することができる。別の実施形態において、マスタ装置およびスレーブ装置は必要に応じて、無線周波数(RF)信号、誘導結合、光信号、音響信号、または他の任意の通信機構に適した信号等の異なる通信機構を介して通信することができる。
一実施形態において、マスタ装置1002はICD装置、例えばICDまたはS−ICDであってもよく、一つ以上のスレーブ装置1004、1006、および1008から心臓情報を受信するように構成されていてもよい。いくつかの場合において、スレーブ装置はLCPであってもよい。通信される心臓情報には、スレーブ装置1004、1006、および1008によって検出される心臓電気信号、スレーブ装置1004、1006、および1008によって行われる予備判定、またはスレーブ装置1004、1006、および1008によって検出または判定される他の情報が含まれ得る。いくつかの実施形態において、マスタ装置1002はまた、心臓活動を検出することもできる。このような実施形態において、マスタ装置1002は、自身が検出した心臓活動、およびスレーブ装置1004、1006、および1008から受信された心臓活動の少なくとも一方に基づいて、不整脈の発生を判定することができる。いくつかの場合において、マスタ装置1002は、システム1000の一つ以上の装置からの心臓活動が不整脈の発生を表していることを判定することができる。いくつかの場合において、システム1000の複数の装置はそれぞれ心臓活動を検出可能であるが、マスタ装置1002等の単一の装置のみが、心臓不整脈が発生しているということ、および適切な電気刺激治療が必要であるということを判定することができる。
不整脈の発生の判定に応じて、マスタ装置1002は電気刺激治療を送達することを決定することができる。一実施形態において、マスタ装置1002は不整脈の種類に基づいて適切な電気刺激治療を決定することができる。また、マスタ装置1002は、どの装置が電気刺激治療を送達すべきかを決定することができる。マスタ装置1002はマスタ装置自身を含み得る装置のうちの一つ以上に対して、所望の電気刺激治療を実際に送達するように指示することができる。マスタ装置1002は前記開示技術のうちのいずれかに従って動作することができる。例えば、マスタ装置1002は不整脈の実際の発生を判定する前に、不整脈の発生についての一つ以上の仮判定を行うことができる。マスタ装置1002は追加的に、心房性不整脈と心室性不整脈とを区別し、不整脈について判定された種類に基づいて送達すべき適切な電気刺激治療を決定することができる。いくつかの実施形態において、マスタ装置1002は、どの装置が心臓サイクルの心臓脱分極波を第一に検出したかに基づいて、どの装置が電気刺激治療を送達する必要があるかを決定することができる。
いくつかの場合において、システム1000の複数の装置が不整脈の発生を判定することができる。例えば、スレーブ装置1004、1006、および1008はそれぞれ不整脈の発生を判定することができ、この判定をマスタ装置1002に通信することができる。いくつかの実施形態において、このような判定は実際の判定、または暫定的な判定であると考えることができる。受信されたこのような判定に基づいて、マスタ装置1002は前記開示技術のうちのいずれかに従って不整脈の発生を判定することができる。不整脈の判定に基づいて、マスタ装置1002は適切な電気刺激治療を送達するか、適切な電気刺激治療を送達するようにスレーブ装置1004、1006、および1008のうちの一つ以上に指示するか、またはその両方を行うことができる。
場合によっては、マスタ装置1002、スレーブ装置1004、1006、および1008のすべてが能動的に不整脈を検出しているとは限らない。例えば、上述のように、いくつかの実施形態において、マスタ装置1002、スレーブ装置1004、1006、および1008のうちの一つ、またはすべてではないいくつかが、能動的に不整脈を検出することができる。少なくとも一つの実施形態において、能動的な検出装置はマスタ装置1002に心臓活動を送信することができる。受信された心臓活動に基づいて、マスタ装置1002は不整脈の発生を判定することができる。不整脈の発生を判定した後、マスタ装置1002は能動的な心臓活動の検出を開始するようにシステム1000の第二の装置に指示することができる。この第二装置は追加的に、検出された心臓活動をマスタ装置1002に通信することができる。マスタ装置1002は再び、第二装置から受信された心臓活動に基づいて不整脈の発生を判定することができる。不整脈の発生についての一つ以上の判定を行った後、マスタ装置1002は適切な電気刺激治療を送達するか、適切な電気刺激治療を送達するようにスレーブ装置1004、1006、および1008のうちの一つ以上に指示することができる。別の実施形態において、検出された心臓データを送信する代わりに、装置はマスタ装置1002に不整脈の発生についての判定を送信することができる。いくつかの場合において、マスタ装置1002は心臓活動を検出しなくてもよい。むしろ、マスタ装置1002は受信された心臓活動に基づいて心臓不整脈の発生の判定を行うか、心臓活動を検出したスレーブ装置から判定を受信するか、またはその両方を行うことができる。
いくつかの場合において、マスタ装置1002はLCP装置、外部除細動器、ICP、または診断専用装置とすることができる。いくつかの実施形態において、マスタ装置1002とスレーブ装置1004、1006、および1008とは同様のハードウェア構成を有していてもよいが、異なるソフトウェアがインストールされていてもよい。いくつかの実施形態において、すべての装置が同じハードウェアおよびソフトウェア機能を有しているにもかかわらず、スレーブ装置1004、1006、および1008を「スレーブモード」に設定し、マスタ装置1002を「マスタモード」に設定することができる。また、いくつかの実施形態において、システム1000の装置はマスタ装置とスレーブ装置との間で切り替えられるように構成されていてもよい。例えば、外部プログラマがこのようなシステムの装置のうちのいずれかに接続されていてもよく、必要に応じてシステムの装置のうちのいずれかのプログラムを変更することができる。
図11〜図14は、医療装置システムの装置が心臓に適切な電気刺激治療を送達するように協働するための様々な方法および技術について説明している。図11は、医療装置システムの少なくとも二つの医療装置1102および1104が電気刺激治療を送達するように協働するための第一の技術について示す図である。図11に示す実施形態において、システム400、500、600、または他の任意の適切なシステムのうちのいずれかのような医療装置システムの第一医療装置1102は、システムの第二医療装置1104に複数のトリガ信号1106を通信することができる。一つ以上のトリガ信号1106は第二医療装置1104に、心臓に対して電気刺激治療、例えばペーシングパルス1108を送達させることができる。図11の実施形態において、第一医療装置1102は複数のトリガ信号1106を送信することができ、各トリガ信号1106は第二医療装置1104に、一つのペーシングパルス1108を送達させることができる。
いくつかの実施形態において、第一医療装置1102は、第二医療装置1104によって心臓に送達されるペーシングパルス1108についての一つ以上のパラメータを通信することができる。例えば、第一医療装置1102は第二医療装置1104に、例えば電圧振幅、パルス幅、連結期(内因性心臓信号からペーシングパルスまでの間隔)、および対応するペーシングパルス1108についての他の適切なパラメータの少なくとも一つを示す一つ以上の信号を送信することができる。いくつかの場合において、一つ以上の信号はトリガ信号1106内に符号化されても、別個の信号において提供されてもよい。いくつかの場合において、各トリガ信号1106は第二医療装置1104に対応するペーシングパルス1108を送達させることに加えて、対応するペーシングパルス1108の電圧振幅およびパルス幅の少なくとも一方のような情報を用いて符号化することができる。いくつかの場合において、一つのトリガ信号1106は電圧振幅、パルス幅、および他の任意の適切なペーシングパラメータの少なくとも一つを用いて符号化することができる。その後、第二医療装置1104が第一医療装置1102から異なるパラメータを受信するまで、第二医療装置1104は通信されたペーシングパラメータに従って後続のペーシングパルス1108を送達することができる。
いくつかの実施形態において、システムが不整脈の発生を判定する前に、このようなパラメータを第二医療装置1104に通信することができる。例えば、第一医療装置1102、または別の装置は、埋め込み時、またはプログラミングセッションの間または後に、このようなパラメータを第二医療装置1104に通信することができる。さらに別の実施形態において、このようなパラメータは工場等において、第二医療装置1104に予めプログラミングされていてもよい。これらの場合、パラメータはトリガ信号1106とは別個に第二医療装置1104に通信されてもよい。
二つの装置に関して説明したが、図11の技術は追加の装置を含むシステムに拡張することもできる。例えば、このような複数装置システムにおいて、一つの装置がシステムの複数の装置に複数のトリガコマンドを送信し、複数の装置に対応するペーシングパルスを送達させることができる。このような実施形態において、第一装置は複数の装置にわずかに異なる時間でトリガ信号を送信することにより、各受信装置にわずかに異なる時間でペーシングパルスを送達させることができる。別の実施形態において、第一装置は複数の異なる装置をトリガする単一のトリガ信号を送信することもできる。
いくつかの場合において、第一装置は、他の複数の装置のうちの一つのみにトリガ信号を送信してもよい。例えば、第一装置は、複数装置システムの他の装置と比較して最後に心臓の脱分極波を検出した特定の装置にトリガ信号を送信することができる。さらに別の実施形態において、複数の装置は必要に応じて、他の複数の装置にトリガ信号を送信することができる。いくつかの場合において、第一装置は皮下心臓除細動器(S−ICD)であってもよく、他の装置はリードレス心臓ペースメーカー(LCP)であってもよいが、これは単なる一例に過ぎない。
図12は、医療装置システムの少なくとも二つの装置が電気刺激治療を送達するように協働するための別の例示的な技術を示す図である。図12の実施形態において、システム400、500、600、または他の任意の適切なシステムのようなシステムの第一医療装置1202は、システムの第二医療装置1204にトリガ信号1206を通信することができる。トリガ信号1206は、第二医療装置1204に電気刺激治療を送達させることができるものであり、図示の実施形態において、心臓に複数のペーシングパルス1208を送達させている。図12において、第一医療装置1202は第二医療装置1204に一つのトリガ信号1206を送信することができ、これは第二医療装置1204に複数のペーシングパルス1208を送達させることができる。
いくつかの実施形態において、第一医療装置1202は、第二医療装置1204によって心臓に送達されるペーシングパルス1208についての一つ以上のパラメータを通信することができる。例えば、第一医療装置1202は第二医療装置1204に、電圧振幅、パルス幅、およびペーシングパルス1208についての他の任意の適切なパラメータの少なくとも一つを示す一つ以上の信号を送信することができる。これに代えて、またはこれに加えて、第一医療装置1202はパルス列長パラメータ、パルス周波数(ペーシングパルス間の間隔)、連結期、および他のパルス情報の少なくとも一つを第二医療装置1204に通信することができる。パルス列長パラメータは、一つのトリガ信号1206の受信に応じて第二医療装置1204が送達すべきペーシングパルス1208の数を示し得る。
いくつかの実施形態において、一つ以上の信号がトリガ信号1206において符号化されていてもよい。例えば、トリガ信号1206は第二医療装置1204にペーシングパルス1208の列を送達させることに加えて、電圧振幅、パルス幅、列長、パルス周波数、およびペーシングパルス1208の他の任意の適切なパラメータの少なくとも一つのような情報を用いて符号化することができる。いくつかの実施形態において、第一医療装置1202は遅延パラメータを通信することができ、これは第二医療装置1204が第一医療装置1202からトリガ信号1206を受信した後、どのくらい速くペーシングパルス1208を送達し始めるかを示し得る。
いくつかの実施形態において、システムが不整脈の発生を判定する前に、このようなパラメータを第二医療装置1204に通信することができる。例えば、第一医療装置1202、または別の装置は、埋め込み時、またはプログラミングセッションの間または後に、このようなパラメータを第二医療装置1204に通信することができる。さらに別の実施形態において、このようなパラメータは工場等において、第二医療装置1204に予めプログラミングされていてもよい。
いくつかの場合において、第一医療装置1202は開始トリガ信号1206と、停止トリガ信号1206aとを通信することができる。例えば、開始トリガ信号1206は第二医療装置1204に、電圧振幅パラメータ、パルス幅パラメータ、および他のパラメータの少なくとも一つのような一つ以上のパラメータに従ってペーシングパルス1208の送達を開始させることができる。第一医療装置1202は続いて、停止トリガ1206a(点線で示す)を送達することができる。このような停止トリガ1206aは、第二医療装置1204にペーシングパルス1208の送達を停止させることができる。いくつかの実施形態において、第一医療装置1202が停止トリガ1206aを送達した後、システムの一つ以上の装置は不整脈がまだ発生しているか否かを判定することができる。不整脈がまだ発生しているとシステムの装置の一つが判定した場合、第一医療装置1202は第二医療装置1204に別の開始トリガ信号1206を通信することができる。
二つの装置に関して説明したが、図12の技術は追加の装置を含むシステムに拡張することもできる。例えば、このような複数装置システムにおいて、一つの装置がシステムの複数の装置にトリガ信号1206を送信し、他の複数の装置に、通信または格納されたパラメータに従ってペーシングパルス1208を送達させることができる。例えば、このような複数装置システムにおいて、一つの装置がシステムの複数の装置に複数のトリガコマンドを送信し、複数の装置に対応するペーシングパルスを送達させることができる。このような実施形態において、第一装置は複数の装置にわずかに異なる時間でトリガ信号を送信することにより、各受信装置にわずかに異なる時間でペーシングパルスを送達させることができる。
いくつかの場合において、第一装置は、他の複数の装置のうちの一つのみにトリガ信号を送信してもよい。例えば、第一装置は、複数装置システムの他の装置と比較して最後に心臓の脱分極波を検出した特定の装置にトリガ信号を送信することができる。さらに別の実施形態において、複数の装置は必要に応じて、他の複数の装置にトリガ信号を送信することができる。いくつかの場合において、第一装置は皮下心臓除細動器(S−ICD)であってもよく、他の装置はリードレス心臓ペースメーカー(LCP)であってもよいが、これは単なる一例に過ぎない。
図13は、医療装置システムの少なくとも二つの装置が電気刺激治療を送達するように協働するためのさらに別の例示的な技術について示す図である。図13の実施形態において、システム400、500、600、または他の任意の適切なシステムのようなシステムの第一医療装置1302は、システムの第二医療装置1304にトリガ信号1306を通信することができる。トリガ信号1306は第二医療装置1304に、心臓に対して電気刺激治療、例えば複数のペーシングパルス1308を送達させることができる。図13に示す実施形態において、第一医療装置1302は第二医療装置1304にトリガ信号1306を送信することができ、これは第二医療装置1304に、所定の治療プロトコルに従って電気刺激治療を送達させることができる。
いくつかの実施形態において、第一医療装置1302(または別の医療装置)は第二医療装置1304に、一つ以上の治療プロトコルを通信することができる。図13は、そのような治療プロトコルの一つを示す図である。図13に示す例示的な治療プロトコルは、それぞれ1310、1312、1314とラベル付けされた三つの別個の期間を含む。この治療プロトコルは第二医療装置1304に、第一期間1310中にペーシングパルス1308を送達させることができる。さらに治療プロトコルは第二医療装置1304に、第二期間1312中にペーシングパルス1308の送達を停止させることができる。いくつかの実施形態において、治療プロトコルは追加的に第一医療装置1302、第二医療装置1304、およびシステムの他の装置の少なくとも一つに、第二期間1312中に不整脈がまだ発生しているか否かを判定させることができる。不整脈がまだ発生していると判定された場合、例示的な治療プロトコルは第二医療装置1304に、第三期間1314中にペーシングパルス1308を続けて送達させることができる。いくつかの実施形態において、ペーシングパラメータ(例えばペーシングパルス間隔)は、期間1310と期間1314とで異なっている。第二期間1312中にどの装置も不整脈がまだ発生していると判定せず、このような判定が第二医療装置1304に通信された場合、治療プロトコルは第二医療装置1304に、第三期間1314中にペーシングパルスを送達させないことができる。これは、第二医療装置1304に対して通信可能な治療プロトコルについての単なる一例に過ぎない。別の実施形態は、より多くの期間、またはより少ない期間を含む治療プロトコルや、いつ電気刺激パルス1308を送達して、いつ送達しないかを指示するための異なるロジックを含む治療プロトコルを含んでいてもよい。
いくつかの場合において、治療プロトコルは電圧振幅、パルス幅、およびパルス列長の少なくとも一つのようなペーシングパルス1308のためのパラメータを含むことができる。いくつかの場合において、このようなパラメータは治療プロトコルの一部としてではなく、治療プロトコルとは別個に通信されてもよい。図11および図12に関連して説明したように、このようなパラメータおよび治療プロトコルの少なくとも一つは、様々な方法で第二医療装置1304に通信することができる。例えば、パラメータおよび治療プロトコルの少なくとも一つは、トリガ信号1306の前に、またはこれとともに通信することができる。別の実施形態において、システムが不整脈の発生を判定する前に、このようなパラメータを第二医療装置1304に通信することができる。例えば、第一医療装置1302、または別の装置は、埋め込み時、またはプログラミングセッションの間または後に、このようなパラメータを第二医療装置1304に通信することができる。さらに別の実施形態において、このようなパラメータは工場等において、第二医療装置1304に予めプログラミングされていてもよい。第二医療装置1304が複数の格納された治療プロトコルを含む実施形態において、工場で予めプログラミングされるか第二医療装置1304に事前に通信されるかにかかわらず、第一医療装置1302は単に、第二医療装置1304内に格納された送達すべき治療プロトコルを参照し、または選択することができる。
二つの装置に関して説明したが、図13の例示的な技術は追加の装置を含むシステムに拡張することもできる。例えば、このような複数装置システムにおいて、一つの装置がシステムの複数の装置にトリガ信号1306を送信し、複数の装置に、通信または格納されたパラメータおよび治療プロトコルの少なくとも一つに従ってペーシングパルス1308を送達させることができる。このような実施形態において、第一装置は複数の装置にわずかに異なる時間でトリガ信号を送信することにより、各受信装置にわずかに異なる時間でペーシングパルスを送達させることができる。
いくつかの場合において、第一装置は、他の複数の装置のうちの一つのみにトリガ信号を送信してもよい。例えば、第一装置は、複数装置システムの他の装置と比較して最後に心臓の脱分極波を検出した特定の装置にトリガ信号を送信することができる。さらに別の実施形態において、複数の装置は必要に応じて、他の複数の装置にトリガ信号を送信することができる。いくつかの場合において、第一装置は皮下心臓除細動器(S−ICD)であってもよく、他の装置はリードレス心臓ペースメーカー(LCP)であってもよいが、これは単なる一例に過ぎない。
いくつかの実施形態において、システムは上述の技術のうちのいくつか、またはすべてを任意の組み合わせで利用して動作することができる。このような実施形態において、システムの各装置は、装置が動作すべき動作モードを示す通信信号を受信することができる。いくつかの場合において、各装置はアドレスを有していてもよく、装置間の通信は、適切なアドレスを参照することによって特定の装置に向けられる。いくつかの場合において、通信は必要に応じて、すべての装置にブロードキャストで通信される。
図14は、医療装置システムの少なくとも二つの装置が電気刺激治療を送達するように協働するための別の例示的な技術を示す図である。図11〜図13は、一つ以上の医療装置が心臓に電気刺激治療を送達する契機となるトリガ信号とともに、複数の装置が一つ以上のトリガ信号を通信することによって、どのように心臓に電気刺激を送達するように協働するかについて示すものであった。図14は、電気刺激治療を送達するために装置がトリガ信号1406を受信するタイミングと、電気刺激治療が実際に送達されるタイミングとの間の特定のタイミングについて示している。
図14に示す実施形態において、第一医療装置1402は不整脈が検出された時に、第二医療装置1404にトリガ信号1406を通信する。上述の技術のうちのいずれかに従って、トリガ信号1406を受信した後、第二医療装置1404は心臓にペーシングパルス1408を送達することができる。いくつかの場合において、第二医療装置1404は図14に示すように、トリガ信号1406を受信した直後にはペーシングパルス1408を送達しなくてもよい。例えば、第二医療装置1404は心臓サイクルの特定の期間中にペーシングパルスを送達するのが有益である場合がある。
心臓サイクルを特定するため、心臓信号1414を利用することができる。図示の実施形態において、心臓信号1414はQRS波1410を含み、これはいくつかの場合において、第二医療装置1404によって検出することができる。心臓は一般に、心臓の収縮直後(すなわち不応期)は電気刺激に応答して収縮することができない。収縮後にある程度の時間が経過した後、心臓の細胞は再び電気刺激に応答して収縮することができる。従って、心臓を収縮させる可能性の高い電気刺激治療、または不整脈を停止させる可能性の高い電気刺激治療を送達するため、第二医療装置1404は不応期が終わるまでペーシングパルスの送達を待つことができる。
図14に示す実施形態において、第一医療装置1402は第一のQRS波1410の後の第一時間1430に、トリガ信号1406を通信することができる。トリガ信号1406を受信した後、第二医療装置1404は次のQRS波1410を待つことができる。第二時間1432でQRS波1410を検出した後、第二医療装置1404は第三時間1434においてペーシングパルス1408を送達する前に、所定の期間1412だけ待つことができる。期間1412は、第二医療装置1404がペーシングパルス1408を送達する時に、心臓の不応期以外の期間、または不整脈を停止させる可能性のより高い期間に第二医療装置1404がペーシングパルス1408を送達するように予め設定することができる。後に送達される各ペーシングパルス1408は、後続の不応期以外の期間に送達することができる。例えば、ペーシングパルス1408は、後続のQRS波1410の各々に続く所定の期間1412で送達することができる。いくつかの場合において、所定の期間1412は、例えば第一医療装置1402から第二医療装置1404に通信されるペーシングパルス1408のパラメータであってもよいが、これは必須ではない。
いくつかの実施形態において、心臓に電気刺激治療を送達する第二医療装置は、治療の送達を一つ以上の除細動パルスと同期させることができる。一実施形態として、医療システムはATP治療を送達するように構成されたLCPを含んでいてもよい。システムはさらに、除細動パルスを送達するように構成されたSICDを含んでいてもよい。本明細書に記載された技術のうちのいずれかに従ってシステムが不整脈の発生を判定した後、SICDは図11〜図14に関連して説明された例示的な技術のうちのいずれかのように、ATP治療プロトコルに従ってペーシングパルスを送達するためのトリガ信号をLCPに送信することができる。LCPがATP治療を送達している間、SICDは除細動パルスを送達するためにコンデンサ等を充電することができる。SICDが除細動パルスのためにコンデンサ等の充電を完了すると、SICDはLCPと通信して、例えば停止トリガ信号等を通信することによって、ATP治療の送達を停止させることができる。別の実施形態において、LCPは例えばSICDがコンデンサを完全に充電するためにかかる時間と一致していても一致していなくてもよい、格納または受信されたパルス列長パラメータに応じた一定の期間に限ってATPを送達するように構成することができる。LCPがATP治療の送達を停止した後、システムは不整脈がまだ発生しているか否かを確認することができる。不整脈がまだ発生しているとシステムが判定した場合、SICDは心臓に除細動パルスを送達することができる。不整脈が発生していないとシステムが判定した場合、システムは通常の動作状態に戻ることができる。
いくつかの場合において、LCPはトリガ送信装置であってもよく、SICDへのトリガはSICDに除細動パルスのための充電を開始させる。LCPからの別の通信は、不整脈がまだ検出されているか否かに応じて、SICDに除細動パルスを送達させるか、または除細動パルスの送達を中止させることができる。
いくつかの場合において、SICDは不整脈が発生しているか否かを判定する。SICDはSICD自身によって、あるいは一つ以上のLCPまたは他の装置から受信された入力とあわせて、不整脈が発生しているか否かを判定することができる。SICDはその後、ATP治療を開始するためのトリガ信号を送信することができる。トリガ信号を受信した後、LCPはATP治療の送達を開始する前に、自身のロジックに基づいて不整脈の存在を確認することができる。例えば、LCPは検出された心臓電気データを検出または受信することができ、そのデータから、不整脈が発生しているか否かを判定することができる。
いくつかの場合において、LCPおよびSICDは、異なる識別方法を用いて不整脈が発生する時を特定することができる。例えば、LCPはSICDよりも速く、すなわち少ない心拍で不整脈を特定することができる。例えば、LCPは8拍の心拍の後に不整脈を特定することができる一方で、SICDは24泊の心拍の後にしか不整脈を特定することができない。いくつかの場合において、LCPは不整脈の特定または判定を行うために心拍数のみを用いる一方で、SICDは不整脈の特定または判定を行うために心拍数に加えて、または心拍数の代わりに、egramの形態を用いることができる。LCPおよびSICDにおいて別個に実行可能な不整脈の特定および判定の少なくとも一方のための技術の他の例には、心拍数の安定性/不安定性、心拍数についての所与の変化のための時間間隔(例えば不整脈の発症時間)、不整脈の持続時間、血圧、心拍出量、心房レートと心室レートとの比較、egramの複数のバージョンを生成するためのスペクトルフィルタリングの使用、異なる心臓位置における電極の使用、異なる種類の検出電極(例えば、ペーシング電極およびショック電極)の使用、心臓伝導時間(例えばPR間隔)が含まれる。
いくつかの場合において、LCPはSICDへの非アクティブな通信リンクを有する通常状態で動作することができる。このような実施形態において、LCPはトリガ信号等のSICDから送信される信号を受信しないか、ブロックすることができる。このような実施形態において、LCPは、LCP自身が不整脈の発生を判定した後にのみ、通信リンクをアクティブにすることができる。別の実施形態において、LCPは、LCP自身が不整脈の可能性が高い、または近い将来(例えば1〜60分以内)不整脈が発生する可能性が高いと判定した後にのみ、通信リンクをアクティブにすることができる。このような実施形態において、通信リンクを非アクティブに保つことによって、LCPのバッテリ寿命を延ばすことができる。
上述の実施形態のうちのいくつかはLCPおよびSICDに関連して説明されているが、開示された方法および技術は、本明細書に開示されたシステム、例えば異なる種類の装置を含むシステムや異なる数の装置を含むシステム等の任意の適切なシステムに適用することができる。
図15は、例示的な医療システムによって実施可能な例示的な方法1500を示すフロー図である。図15において、1502に示すように、複数の植込み型医療装置のうちの第一植込み型医療装置は、患者の心臓に抗頻脈ペーシング治療を送達することを決定することができる。例えば、複数の植込み型医療装置のうちの一つ以上は、心臓データの検出および受信の少なくとも一方を行うことができる。検出または受信された心臓データに基づいて、複数の植込み型医療装置のうちの一つ以上は、本明細書に記載された技術のうちのいずれかに従って不整脈の発生を判定することができる。次に、複数の植込み型医療装置のうちの第一植込み型医療装置は、複数の植込み型医療装置のうちの第二植込み型医療装置にメッセージを通信することができる。このメッセージは1504に示すように、複数の植込み型医療装置のうちの第二植込み型医療装置に、心臓に対して抗頻脈ペーシング(ATP)治療を送達するように指示することができる。例えば、複数の植込み型医療装置のうちの第一植込み型医療装置は、本明細書に記載された技術のうちのいずれかに従って、複数の植込み型医療装置のうちの第二植込み型医療装置にトリガ信号を送信することができる。メッセージの受信に応じて、複数の植込み型医療装置のうちの第二植込み型医療装置は1506に示すように、患者の心臓に対して抗頻脈ペーシング(ATP)治療を送達することができる。例えば、複数の植込み型医療装置のうちの第二植込み型医療装置は、本明細書に記載された技術のうちのいずれかに従って、トリガ信号の受信に応じてATP治療を送達することができる。
図16は、例示的な医療システムによって実施可能な例示的な方法1600を示すフロー図である。図16において、1602に示すように、複数の植込み型医療装置のうちの第一植込み型医療装置は不整脈の存在を判定することができ、複数の植込み型医療装置のうちの第一植込み型医療装置にはSICDが含まれ得る。一実施形態において、SICDは一つ以上の心臓信号を検出するか、他の装置から一つ以上の心臓電気信号を受信するか、またはその両方を行うことができる。SICDは検出または受信された心臓信号の分析に基づいて、不整脈の発生を判定することができる。複数の植込み型医療装置のうちの第一植込み型医療装置(例えばSICD)は1604に示すように、その後、不整脈の存在の判定に応じて患者の心臓に抗頻脈ペーシング治療を送達することを決定することができる。例えば、SICDは判定された不整脈が頻脈性であると判定することができ、判定された頻脈に応じて、システムがATP治療を送達することが望ましいと判定することができる。いくつかの場合において、1606に示すように、SICDはその後、判定された頻脈に応じて除細動パルスの送達を予測し、ショックチャネルのコンデンサの充電を開始することができる。いくつかの場合において、コンデンサの充電には特定の、非瞬間的な時間がかかる場合がある。SICDはその後、1608に示すように、複数の植込み型医療装置のうちの第二植込み型医療装置に、心臓に対して抗頻脈ペーシング治療を送達するためのメッセージを通信することができる。複数の植込み型医療装置のうちの第二植込み型医療装置はリードレスペースメーカーであってもよい。例えば、SICDは本明細書に記載された技術のうちのいずれかに従って、LCPにトリガ信号を送信することができる。LCPはその後、1610に示すように、SICDのコンデンサの充電中に心臓に対して抗頻脈ペーシング(ATP)治療を送達することができる。いくつかの場合において、LCPは例えば図14に関連して説明したように、SICDの除細動パルスに対してATP治療の送達を調整することができる。
当業者であれば、本願が本明細書において記載または意図された特定の実施形態以外の様々な形態で表され得ることを認識するであろう。一例として、本明細書に記載するように、様々な実施形態は様々な機能を実行するとして記載された一つ以上のモジュールを含む。しかしながら、他の実施形態は、記載された機能を本明細書に記載されたものよりも多くの数のモジュールに分割する追加のモジュールを含んでいてもよい。また、他の実施形態においては、記載された機能がより少ないモジュールに統合されていてもよい。従って、本願の範囲および意図から逸脱することなく、形態および詳細の変更を行うことができる。