JP2017523964A - 生体分子中のカルコゲンの遷移金属をベースとする選択的官能基化 - Google Patents

生体分子中のカルコゲンの遷移金属をベースとする選択的官能基化 Download PDF

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Abstract

生理学的に関連性のある条件下におけるペプチド/タンパク質分子上の選択的システイン及びセレノシステイン修飾の方法が開示される。本方法は、他の求核物質(例えば、アミン、ヒドロキシル)に勝るチオール及びセレノールに対する特異性、優れた官能基許容性、及び穏やかな反応条件などの、ペプチド修飾の既存の方法に勝るいくつかの利点を特徴とする。

Description

関連出願
本出願は、2014年7月15日出願の米国特許出願第62/024,769号、及び2014年12月15日出願の同第62/091,720号に対する優先権の利益を主張するものであり、これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
政府支援
本出願は、米国国立衛生研究所により授与された認可番号GM046059及びGM101762の下で、政府支援を受けてなされた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
本発明は、生体分子中のカルコゲンの遷移金属をベースとする選択的官能基化に関する。
翻訳後修飾は、タンパク質の機能を大幅に拡大する。生体分子(例えば、アミド、酸、アルコール、アミン)中に存在する潜在的に反応性の官能基の多様性は、高速の反応速度及び穏やかな反応条件(例えば、水性溶媒、PH6〜8、T<37℃)のための必要条件と相まって、タンパク質を官能基化するための新しい技術の開発に高いハードルを設定する。タンパク質分子中の天然及び非天然アミノ酸の生体共役反応のための特定の方法が浮上しているが、システイン残基の官能基化は未だ課題である。システインは、(1)チオール官能基の特有の反応性、及び(2)天然起源のタンパク質中のシステイン残基の低含有量のために、タンパク質の化学修飾のために重要な残基である。
システインの官能基化、より一般的にはチオール修飾は、化学、生物学、医学、及び材料科学における重要なツールである。チオールを含有する唯一のアミノ酸であるために、システインは、通常、チオールをベースとする反応を用いるタンパク質修飾に利用される。現在、生体分子中のシステイン官能基化を可能にするいくつかの化学修飾技術が存在する。その1つの化学的官能基化であるアリール化は、優れた安定特性を有する強固なアリールチオエーテル抱合体の形成を可能にする。しかしながら、最先端のアリール化法は、いくつかの欠点に悩まされている。これらのアリール化法は、SArの化学的性質に依存し、例えば、全フッ素置換されたアリール化剤などの電子欠乏芳香族試薬に基本的に限定される。更に、これらの試薬は、生体分子中に広く存在する窒素系求核種と非特異的に反応する生成物の複雑な混合物を生成する。更に悪いことに、現行法は、ゆっくりとした反応速度を示し、過酷なpH及び/または溶媒条件を必要とする。したがって、システイン官能基化の方法、特に様々な官能基、反応条件を許容することができ、かつ安定な生成物を生成することができる方法を開発する必要性が存在する。
ある特定の実施形態では、本発明は、チオールまたはセレノールを官能基化する方法を提供し、該方法は、スキーム1によって表され、
式中、
は、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
は、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Yは、SまたはSeであり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
Arは、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルであり、
Xは、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
Lは、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
nは、1〜5の整数であり、
mは、1または2であり、
溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、または非極性溶媒である。
ある特定の実施形態では、本発明は、方法に関し、該方法は、スキーム4によって表され、
式中、各出現につき独立して、
は、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
は、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
、A、及びAは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸からなる群から選択され、
Yは、SまたはSeであり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
は、芳香族基、ヘテロ芳香族基、アルケン基、またはシクロアルケン基を含む任意に置換された架橋部分であり、
yは、2、3、4、5、または6であり、
Xは、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
Lは、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
nは、1〜5の整数であり、
mは、1または2であり、
各Zは、独立して
−S−アルキル、−SH、−S−(CH−COH、−SCH(CH)−COH、または−SCH(COH)−CHCOHであり、
溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、または非極性溶媒である。
本発明はまた、スキーム5による方法も提供し、
式中、各出現につき独立して、
は、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
は、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
、A、及びAは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸からなる群から選択され、
Yは、SまたはSeであり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
Xは、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
Lは、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
は、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルであり、
は、任意に、ハロゲン化物、アシル、アジド、イソチオシアネート、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニルまたは保護されたアルキニル、アルコキシル、アリールカルボニル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−CF、−CF、−CFR 、−CN、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、−(CH−FG−R、及びZから選択される1つ以上の置換基によって更に置換され、
Zは、
−S−アルキル、−SH、−S−(CH−COH、−SCH(CH)−COH、または−SCH(COH)−CHCOHであり、
pは、各出現につき独立して、0〜10の整数であり、
FGは、各出現につき独立して、C(O)、CO、O(CO)、C(O)NR、NRC(O)、O、Si(R、C(NR)、(RN(CO)N(R、OC(O)NR、NRC(O)O、及びC(N=N)からなる群から選択され、
は、各出現につき独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択され、
nは、1〜5の整数であり、
mは、1または2であり、
溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、または非極性溶媒である。
ある特定の実施形態では、Lは、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
からなる群から選択され、
は、各出現につき独立して、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
は、CHまたはNであり、
は、Hまたはアルキルであり、
は、Hまたはアルキルであり、
は、H、アルコキシ、またはアルキルであり、
は、アルキルまたはアリールであり、
は、アルキルまたはアリールであり、
qは、1、2、3、または4である。
ある特定の実施形態では、Mは、NiまたはPdである。
ある特定の実施形態では、Xはトリフレートまたはハロゲン化物である。
ある特定の実施形態では、Arは、(C〜C10)炭素環式アリール、(C〜C12)ヘテロアリール、(C〜C14)多環式アリール、またはアルケニルであり、かつArは、任意に、ハロゲン化物、アシル、アジド、イソチオシアネート、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニルまたは保護されたアルキニル、アルコキシル、アリールカルボニル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−CF、−CF、−CFR 、−CN、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、及び−(CH−FG−Rからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基によって置換され、
pは、各出現につき独立して、0〜10の整数であり、
FGは、各出現につき独立して、C(O)、CO、O(CO)、C(O)NR、NRC(O)、O、Si(R、C(NR)、(RN(CO)N(R、OC(O)NR、NRC(O)O、及びC(N=N)からなる群から選択され、
は、各出現につき独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択され、
2つ以上の置換基がAr上に存在する場合には、該置換基のうちの2つは一緒になって、環を形成してもよい。
ある特定の実施形態では、Arは、蛍光体、造影剤、検出試薬、生体分子、治療薬、親油性部分、高親和性結合対の成員、または細胞−受容体標的化剤に共有結合される。一実施形態では、Arは、ビオチンに結合される。別の実施形態では、Arは、フルオレセインに結合される。一実施形態では、治療薬は、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブである。
ある特定の実施形態では、Arは、蛍光体によって構成される。
ある特定の実施形態では、Arは、治療薬によって構成される。
ある特定の実施形態では、A及びAは、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質である。
ある特定の実施形態では、A及びAは、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、またはトリプトファンを含む。
ある特定の実施形態では、本発明は、チオールまたはセレノールを官能基化する方法であり、限定試薬は、
である。
ある特定の実施形態では、A及びAが、−SHまたは−SeH部分を含むとき、
の量対
の量に
中の−SH及び−SeH部分の総数を乗じたモル比は、1:1超である。
本発明の方法のある特定の実施形態では、A及びAは、共有結合されている。
ある特定の実施形態では、本発明の方法で使用される溶媒は、水を含む。
ある特定の実施形態では、本発明の方法で使用される溶媒は、水性緩衝液を含む。
他の実施形態では、本発明は、バイオポリマー中のチオールまたはセレノールを官能基化する方法に関し、方法は、チオールまたはセレノール部分を含むバイオポリマーを構造式IIの試薬と接触させ、これにより、チオールまたはセレノール部分が−S−Arまたは−Se−Arに変換された、官能基化バイオポリマーを生成することを含む。
ある特定の実施形態では、バイオポリマーは、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、オリゴ糖、または多糖である。
本発明において有用な例示のリガンド(例えば、tBuBrettPhos=L15;AdBrettPhos=L16;及びRockPhos=L17)を描写する。 本発明において有用な例示のリガンドを描写する。 システイン及びセレノシステインのアリール化のためのPdをベースとする試薬の代表的合成を描写する。 非保護モデルペプチドにおける選択的システインS−アリール化を描写する。 非保護モデルペプチドのS−アリール化の生成物のLCMSトレースを描写する。 アリール化がないこと(例えば、スレオニンまたはリシンにおいて)を立証する、アリール化条件下のAKLTGF−NH(CH)についてのLCMSトレースである。 水性媒体中のCys含有ペプチドのアリール化からの生成物のLCMSトレースである。 対応するPd(II)試薬を用いて、ペプチド6から調製されたS−アリール化生成物のLCMSトレースを描写する。 対応するPd(II)試薬を用いて、ペプチド6から調製されたS−アリール化生成物のLCMSトレースを描写する。 対応するPd(II)試薬を用いて、ペプチド6から調製されたS−アリール化生成物のLCMSトレースを描写する。 対応するPd(II)試薬を用いて、ペプチド6から調製されたS−アリール化生成物のLCMSトレースを描写する。 対応するPd(II)試薬を用いて、ペプチド6から調製されたS−アリール化生成物のLCMSトレースを描写する。 対応するPd(II)試薬を用いて、ペプチド6から調製されたS−アリール化生成物のLCMSトレースを描写する。 対応するPd(II)試薬を用いて得られたペプチド6のS−アリール化型の例示の種を描写する。 ペプチドへの生体共役反応に好適な例示の医薬品を描写する。 フルオレセイン含有Pd(II)試薬(左)、及び標識化のSDS−PAGE分析(右)を用いるDARPinの代表的なアリール化を示す。 Pdをベースとする試薬を用いる抗体中のCys側鎖のアリール化のための例示の戦略を描写する。 ヒトIgG1抗体のフルオレセインアリール化についての実験的スキーム及びその結果を描写する。 環状またはステープルペプチドの形成のための多金属試薬(二官能性)の例示の合成を描写する。 環状、多環、またはステープルペプチドの形成のための多金属試薬(三官能性)の例示の合成を描写する。 本発明の方法を用いる、トラスツズマブのバンデタニブ(星印で表された)の抗体−薬物複合体についての代表的な手順の概略図を描写する。 P2システイン抱合体の酸化条件下での安定性を示すグラフである。 本発明のパラジウム試薬を用いるタンパク質修飾を描写する4つのパネル(上部、a、b、及びc)を有する。反応スキームは、上部パネルに示される。パネルa、b、及びcは、パラジウム錯体1Dとの反応後の、タンパク質のa)N末端(P4)、b)ループ(P5)、及びc)C末端(P6)における、クマリンによるシステイン残基の定量的修飾を示す。 パラジウム錯体1Dによるタンパク質標識化についての比較対照反応を描写する4つのパネル(上部、a、b、及びc)を有する。反応スキームは、上部パネルに示される。パネルa、b、及びcは、得られたタンパク質P7〜P9が、システイン残基を含有しないことを示す。 パラジウム錯体1Jを用いるタンパク質修飾を描写する4つのパネル(上部、a、b、及びc)を有する。反応スキームは、上部パネルに示される。パネルa、b、及びcは、パラジウム錯体1Jとの反応後の、タンパク質のa)N末端(P4)、b)ループ(P5)、及びc)C末端(P6)における、薬物分子によるシステイン残基の定量的修飾を示す。 パラジウム錯体1Jによるタンパク質標識化についての比較対照反応を描写する4つのパネル(上部、a、b、及びc)を有する。反応スキームは、上部パネルに示される。パネルa、b、及びcは、得られたタンパク質P7〜P9が、システイン残基を含有しないことを示す。 3つのパネル(上部、中間、及び下部)を有し、二重クロスカップリング反応の反応スキーム(上部)、ならびに1:1のCHCN:HO(中間)及び5:95のCHCN:HO(下部)での様々な生成物を示すトレースを描写する。 Pdをベースとするハロアリール化試薬を用いる、ステープルペプチドの合成についての代表的手順の概略図を描写する。 空気中で安定するPh−メシレートパラジウムプレ触媒及びハロゲン化アリールを用いるCys残基のアリール化についての代表的手順の概略図を描写する。
概要
ある特定の実施形態では、本発明は、チオールまたはセレノールを官能基化する方法に関し、この方法は、スキーム1によって表され、
式中、
は、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
は、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Yは、SまたはSeであり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
Arは、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルであり、
Xは、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
Lは、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
nは、1〜5の整数であり、
mは、1または2であり、
溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、または非極性溶媒である。
この方法は、他の反応性官能基(例えば、ヒドロキシル、アミン)に勝るチオール及びセレノールの官能化に対する特異性、優れた官能基許容性、ならびに極性有機溶媒及び緩衝水性溶媒両方の媒体おける穏やかな反応条件などの、既存の官能基化法に勝るいくつかの大きな利点を特徴とする。更に、反応速度研究は、本発明の方法が高速であり、数分以内に生体分子のマイクロモル濃度において完全な標識化をもたらすことを立証している。本明細書に提示される方法は、チオールまたはセレノールを担持するアミノ酸を含有する生体分子の修飾に広範囲に適用可能である。生体分子を選択的に化学的に修飾するための能力は、医薬品及びバイオテクノロジー産業における研究及び開発に関連する重要な用途である。
ある特定の実施形態では、本発明は、生理学的に関連性のある条件下での、非保護ペプチド/タンパク質分子上の選択的システイン及びセレノシステイン修飾に関する。このプロセスは、他の競合する求核性アミノ酸(例えば、セリン、スレオニン、リシン)に勝る、システイン(Cys)及びセレノシステイン(Sec)に対する特異性、優れた官能基許容性、ならびに穏やかな反応条件を示す。
ある特定の実施形態では、本発明は、スキーム1による方法であり、式中、mは、0〜3の整数である。
ある特定の実施形態では、本発明の方法において官能基化されるチオールまたはセレノールは、式(I)の構造を有するアルファアミノ酸であり、
式中、A、A、Y、n、及びRは、上記で定義された通りである。ある特定の実施形態では、チオールはシステインであり、セレノールはセレノシステインである。ある特定の実施形態では、nは1または2である。
例示の官能基化複合体
ある特定の実施形態では、本発明は、スキーム1に従ってチオールまたはセレノールを官能基化する(例えば、アリール化する)方法に関し、この官能基化剤は、式(II)の化合物であり、
式中、Lはリガンドであり、Xは、ハロゲン化物またはトリフレートであり、mは、1または2であり、Arは、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルである。
ある特定の実施形態では、本発明は、スキーム1による方法に関し、この官能基化剤は、式(II)の化合物であり、式中、mは、0〜3の整数である。ある特定の実施形態では、mは、1〜3の整数である。ある特定の実施形態では、mは、1または2である。より具体的な実施形態では、mは、1である。mが2または3である特定の実施形態では、Lの1つの出現例は、リンカー部分を介して、Lの1つ以上の他の出現例に共有的に結合される。このような特定の実施形態では、Mは、リガンドの2つまたは3つの出現例と一緒になっての環式または二環式構造である。
ある特定の実施形態では、式(II)のリガンドLは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,858,784号に記載されるリガンドである。
ある特定の実施形態では、式(II)のリガンドLは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0015401号に記載されるリガンドである。
ある特定の実施形態では、式(II)のリガンドLは、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンである。ある特定の実施形態では、式(II)のリガンドLは、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、またはトリアルキルホスフォネートである。
ある特定の実施形態では、式(II)のリガンドLは、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
からなる群から選択され、
は、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
は、CHまたはNであり、
は、Hまたはアルキルであり、
は、Hまたはアルキルであり、
は、H、アルコキシ、またはアルキルであり、
は、アルキルまたはアリールであり、
は、アルキルまたはアリールであり、
qは、1、2、3、または4である。
ある特定の実施形態では、式(II)のXは、Xは、ハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)またはトリフレートである。
ある特定の実施形態では、式(II)のXは、四フッ化ホウ素、テトラアリールボレート(B(C 及び(B[3,5−(CFなど)、ヘキサフルオロアンチモネート、四フッ化リン、六フッ化リン、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(アルキルスルホニル)アミド、ハロゲン化物、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、及び次亜塩素酸塩からなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、式(II)のXは、アルキルスルホネートであり、このアルキルは置換アルキルである。ある特定の実施形態では、式(II)のXは、アルキルスルホネートであり、このアルキルは非置換のアルキルである。
ある特定の実施形態では、式(II)のXは、アルキルスルホネートであり、このアルキルは、メチル、エチル、プロピル、またはブチルである。ある特定の実施形態では、式(II)のXは、アルキルスルホネートであり、このアルキルは、メチルまたはエチルである。
ある特定の実施形態では、式(II)のXは、ハロアルキルスルホネートである。ある特定の実施形態では、式(II)のXは、フルオロアルキルスルホネートである。
ある特定の実施形態では、式(II)のXは、フルオロメチルスルホネートである。ある特定の実施形態では、Xは、トリフルオロメチルスルホネートである。
ある特定の実施形態では、式(II)のXは、シクロアルキルアルキルスルホネートである。ある特定の実施形態では、Xは、
またはその鏡像異性体である。
ある特定の実施形態では、式(II)のmは、1または2である。ある特定の実施形態では、mは、1である。
ある特定の実施形態では、式(II)のArは、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルである。ある特定の実施形態では、Arは、任意に置換されたアリールまたはヘテロアリール基である。
ある特定の実施形態では、式(II)のArは、(C〜C10)炭素環式アリール、(C〜C12)ヘテロアリール、(C〜C14)多環式アリール、またはアルケニルであり、かつArは、任意に、ハロゲン化物、アシル、アジド、イソチオシアネート、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニルまたは保護されたアルキニル、アルコキシル、アリールカルボニル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−CF、−CF、−CFR 、−CN、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、及び−(CH−FG−Rからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基によって置換され、
nは、各出現につき独立して、0〜10の整数であり、
FGは、各出現につき独立して、C(O)、CO、O(CO)、C(O)NR、NRC(O)、O、Si(R、C(NR)、(RN(CO)N(R、OC(O)NR、NRC(O)O、及びC(N=N)からなる群から選択され、
は、各出現につき独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択され、
2つ以上の置換基がAr上に存在する場合には、該置換基のうちの2つは一緒になって、環を形成してもよい。
ある特定の実施形態では、式(II)のArは、蛍光体、造影剤、検出試薬、生体分子、治療薬、親油性部分、高親和性結合対の成員、または細胞−受容体標的化剤に共有結合される。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の化合物のうちのいずれか1つに関し、式中、Arはビオチンに共有結合される。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の化合物のうちのいずれか1つに関し、式中、Arはフルオレセインに共有結合される。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の化合物のうちのいずれかに関し、式中、Arは治療薬に共有結合され、この治療薬は、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブである。
ある特定の実施形態では、式(II)のArは、蛍光体によって構成される。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の化合物のうちのいずれかに関し、式中、Arは治療薬によって構成される。ある特定の実施形態では、この治療薬は、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブである。
ある特定の実施形態では、蛍光体は、キサンテン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、ナフタレン、アントラセン、オキサジアゾール、ピレン、アクリジン、テトラピロール、アリールメチン、ホウ素−ジピロメテン(BODIPY)の誘導体、またはシアニン色素である。特定の他の実施形態では、蛍光体は、蛍光タンパク質である。ある特定の実施形態では、検出試薬は、例えば、ナノ粒子、MRI造影剤、色素部分、または放射性核種である。特定の他の実施形態では、生体分子は、タンパク質、ペプチド、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、脂質、糖脂質、グリセロ脂質、リン脂質、ホルモン、神経伝達物質、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ステロール、代謝産物、ビタミン、または天然産物である。
ある特定の実施形態では、治療薬は、薬剤が投与される対象において治療的効果をもたらす化合物または化合物の部分構造である。ある特定の実施形態では、治療薬は、ある特定の細胞に対して毒性である。式(II)のArに共有結合される例示の治療薬としては、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブが含まれる。
ある特定の実施形態では、親油性部分は、Arを担持する化合物が、本明細書に記載される脂質、脂肪、油、及び非極性溶媒に対して親和性を有するか、またはこれらに可溶性であることを可能にする。例示の親油性部分としては、ケイ皮酸などの両親媒性界面活性剤が含まれる。
ある特定の実施形態では、細胞−受容体標的化剤は、エピトープなどのリガンド、ペプチド、抗体、小有機化合物、神経伝達物質である。高親和性結合対としては、ビオチン−アビジン、ビオチン−ストレプトアビジ、リガンド−細胞受容体、S−ペプチドならびにリボヌクレアーゼA、ジゴキシゲニンならびにその受容体、及び相補的オリゴヌクレオチド対が含まれる。
例示の方法
ある特定の実施形態では、本発明は、スキーム1の方法に関し、
式中、
は、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
は、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Yは、SまたはSeであり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
Arは、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルであり、
Xは、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
Lは、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
nは、1〜5の整数であり、
mは、1または2であり、
溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、または非極性溶媒である。
ある特定の実施形態では、本発明は、方法に関し、該方法は、スキーム4によって表され、
式中、各出現につき独立して、
は、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
は、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
、A、及びAは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸からなる群から選択され、
Yは、SまたはSeであり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
は、芳香族基、ヘテロ芳香族基、アルケン基、またはシクロアルケン基を含む任意に置換された架橋部分であり、
yは、2、3、4、5、または6であり、
Xは、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
Lは、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
nは、1〜5の整数であり、
mは、1または2であり、
各Zは、独立して、
−S−アルキル、−SH、−S−(CH−COH、−SCH(CH)−COH、または−SCH(COH)−CHCOHであり、
溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、または非極性溶媒である。
本明細書に記載される本発明は、ハロアリール基を担持するモノ金属化触媒を用いてステープルペプチドを生成するための方法も提供する。このような方法は、ステープルペプチドの代替的不斉合成を提供する。例えば、このような合成は、段階的様式で生じることができ、ここでは、第1の結合形成ステップが、ペプチド中の第1のシステイン残基とモノ金属化ハロアリール化試薬との間で起こる。次いで、第2のクロスカップリングステップが、第2のシステイン残基とアリールハロゲン化物との間で起こり、目的のステープルペプチド生成物を得ることができる。
ある特定の実施形態では、本発明は、方法に関し、該方法は、スキーム5によって表され、
式中、各出現につき独立して、
は、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
は、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
、A、及びAは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸からなる群から選択され、
Yは、SまたはSeであり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
Xは、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
Lは、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
は、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルであり、
は、任意に、ハロゲン化物、アシル、アジド、イソチオシアネート、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニルまたは保護されたアルキニル、アルコキシル、アリールカルボニル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−CF、−CF、−CFR 、−CN、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、−(CH−FG−R、及びZから選択される1つ以上の置換基によって更に置換され、
Zは、
−S−アルキル、−SH、−S−(CH−COH、−SCH(CH)−COH、または−SCH(COH)−CHCOHであり、
pは、各出現につき独立して、0〜10の整数であり、
FGは、各出現につき独立して、C(O)、CO、O(CO)、C(O)NR、NRC(O)、O、Si(R、C(NR)、(RN(CO)N(R、OC(O)NR、NRC(O)O、及びC(N=N)からなる群から選択され、
は、各出現につき独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択され、
nは、1〜5の整数であり、
mは、1または2であり、
溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、または非極性溶媒である。
ある特定の実施形態では、本発明は、前述の方法のうちのいずれか1つに関し、ここでは溶媒は不活性溶媒であり、好ましくは、触媒を含む反応成分がその中で実質的に可溶性であるものである。好適な溶媒としては、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、水など;ハロゲン化溶媒、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼンなど;脂肪族もしくは芳香族炭化水素溶媒、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、ペンタンなど;エステルならびにケトン、例えば、酢酸エチル、アセトン、及び2−ブタノン;極性非プロトン性溶媒、例えば、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなど;または2つ以上の溶媒の組み合わせが含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明は、前述の方法のうちのいずれか1つに関し、ここでは、溶媒は、溶媒混合物である。ある特定の実施形態では、溶媒混合物は、極性非プロトン性溶媒を含む水性溶媒混合物である。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の方法のうちのいずれか1つに関し、ここでは、溶媒混合物は、水と、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、またはジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒とを含む。ある特定の実施形態では、溶媒は、水とアセトニトリルとを含む溶媒混合物である。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の方法のうちのいずれか1つに関し、ここでは、溶媒は、水とジメチルホルムアミドとを含む溶媒混合物である。ある特定の実施形態では、溶媒混合物は、約20:1の水対極性非プロトン性溶媒〜約1:20の水対極性非プロトン溶媒、約約19:1の水対極性非プロトン性溶媒〜約1:19の水対極性非プロトン溶媒、または約18:1の水対極性非プロトン性溶媒〜約1:18の水対極性非プロトン溶媒を含む。ある特定の実施形態では、溶媒混合物は、約5:1の水対極性非プロトン性溶媒〜約1:5の水対極性非プロトン溶媒を含む。ある特定の実施形態では、溶媒混合物は、緩衝液を更に含む。例えば、緩衝液は、トリス、HEPES、MOPS、MES、またはNaHPO:NaHPOであってもよい。ある特定の実施形態では、緩衝液の濃度は、約0.01M〜約1M、例えば、約25mMまたは約0.1Mである。
ある特定の実施形態では、本発明は、前述の方法のうちのいずれか1つに関し、ここでは、反応は約4℃〜約40℃で行われる。ある特定の実施形態では、本発明は、反応が、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、または約35℃で行われる、前述の方法のうちのいずれか1つに関する。
ある特定の実施形態では、本発明は、前述の方法のうちのいずれか1つに関し、ここでは、反応は、約10秒後、約20秒後、約30秒後、約40秒後、約50秒後、約1分後、約2分後、約3分後、約4分後、約5分後、約10分後、約15分後、約20分後、約25分後、約30分後、約35分後、約40分後、約45分後、約50分後、約55分後、約60分後、約65分後、約70分後、約75分後、約80分後、約85分後、または約90分後に実質的に完了する。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の方法のうちのいずれか1つに関し、ここでは、反応は、約2時間後、約3時間後、約4時間後、約5時間後、約6時間後、約7時間後、約8時間後、約9時間後、約10時間後、約11時間後、または約12時間後に実質的に完了する。
本明細書に挙げられた溶媒及び温度範囲は限定的ではなく、本発明のプロセスの例示の様式に相当するにすぎないことが理解されるが、本発明の反応は、広範囲にわたる条件下で行われてもよい。
一般に、反応は、反応物質、プレ触媒、または生成物に悪影響を及ぼさない穏やかな条件を用いて行われることが望ましいであろう。例えば、反応温度は、反応の速度、及び反応物質ならびに触媒の安定性に影響を及ぼす。反応は、通常、20℃〜300℃の範囲で、より好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度で行われるであろう。ある特定の実施形態では、反応は、室温で(すなわち、約20℃〜約25℃)で行われるであろう。ある特定の実施形態では、反応混合物のpHは、約8.5であってもよい。ある特定の実施形態では、反応混合物のpHは、約8.0、約7.5、約7.0、約6.5、約6.0、約5.5、約5.0、約4.5、約4.0、約3.5、約3.0、約2.5、約2.0、または約1.5であってもよい。
本発明の別の態様は、チオールまたはセレノール部分を含むバイオポリマーを、上で定義された構造式IIの試薬と接触させることを含む、バイオポリマー中のチオールまたはセレノールを官能基化する方法に関する。バイオポリマー及びIIが互いに接触する条件は、Arが、バイオポリマーのチオールまたはセレノールに導入されている官能基化バイオポリマーを生成するために十分なものである。ある特定の実施形態では、バイオポリマーは、オリグヌクレオチド、ポリヌクレオチド、オリゴ糖、または多糖である。
ある特定の実施形態では、本発明は、バイオポリマー中のチオールまたはセレノールを官能基化する方法に関し、この官能基化試薬は、上述された式(II)の化合物である。
本発明の別の態様は、第1のチオール部分または第1のセレノール部分と第2のチオール部分または第2のセレノール部分とを含むバイオリマーを、本明細書で定義される式IVの試薬と接触させ、これによって、第1のチオール部分または第1のセレノール部分が、Rを介して第2のチオール部分または第2のセレノール部分に共有結合された、官能基化バイオポリマーを生成することを含む方法に関する。バイオポリマー及びIVが互いに接触する条件は、官能基化バイオポリマーを生成するために十分なものである。ある特定の実施形態では、バイオポリマーは、オリグヌクレオチド、ポリヌクレオチド、オリゴ糖、または多糖である。
ある特定の実施形態では、バイオポリマー中のチオールまたはセレノールを官能基化する方法に関し、官能基化試薬は、本明細書に記載される式(IV)の化合物である。
スキーム1によって表された方法の特定の実施形態では、Arは、ハロゲン化物、アシル、アジド、イソチオシアネート、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニルまたは保護されたアルキニル、アルコキシル、アリールカルボニル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−CF、−CF、−CFR 、−CN、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、及び−(CH−FG−Rからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基によって置換された、(C〜C10)炭素環式アリール、(C〜C12)ヘテロアリール、(C〜C14)多環式アリール、またはアルケニルであり、
pは、各出現につき独立して、0〜10の整数であり、
FGは、各出現につき独立して、C(O)、CO、O(CO)、C(O)NR、NRC(O)、O、Si(R、C(NR)、(RN(CO)N(R、OC(O)NR、NRC(O)O、及びC(N=N)からなる群から選択され、
は、各出現につき独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択され、
1つ以上の置換基のうちの少なくとも1つは、ハロゲン化物である。
特定のアリール化生成物は、生成物の更なる官能基化を可能にする官能基を含有する。ある特定の実施形態では、アリール−ハロゲン化物結合は、このような更なる官能基化のための有用なきっかけを提供する。例えば、アリール−ハロゲン化物結合は、追加のチオール含有試薬との金属触媒反応または金属媒介クロスカップリング反応を起こすことができる。
したがって、Arが、少なくとも1つのハロゲン化物によって置換された(C〜C10)炭素環式アリール、(C〜C12)ヘテロアリール、(C〜C14)多環式アリール、またはアルケニルである特定の実施形態では、スキーム1によって表された方法は、化合物IIIを、チオール部分またはセレノール部分を含有する化合物と接触させて、これによって、カップリング生成物を得ることを更に含む。
ある特定の実施形態では、チオール部分またはセレノール部分を含有する化合物は、約500g/モル未満の分子量を有する小分子である。
ある特定の実施形態では、チオール部分またはセレノール部分を含有する化合物は、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質などの生体分子である。
ある特定の実施形態では、化合物IIIをチオール部分またはセレノール部分を含有する化合物と接触させるステップは、スキーム1に示された反応からのPd副産物の存在下で起こる。
例示の化合物
ある特定の実施形態では、部分構造IIIを含む化合物に関し、
式中、
は、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
は、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Yは、SまたはSeであり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
nは、1〜5の整数であり、
Arは、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルである。
ある特定の実施形態では、本発明は、部分構造IIIを含む化合物に関し、式中、Arは、蛍光体、造影剤、検出試薬、生体分子、治療薬、親油性部分、高親和性結合対の成員、または細胞−受容体標的化剤に共有結合される。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の化合物のうちのいずれか1つに関し、式中、Arはビオチンに共有結合される。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の化合物のうちのいずれか1つに関し、式中、Arはフルオレセインに共有結合される。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の化合物のうちのいずれかに関し、式中、Arは治療薬に共有結合される、この治療薬は、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブである。
ある特定の実施形態では、本発明は、部分構造IIIを含む化合物に関し、式中Arは、蛍光体によって構成される。ある特定の実施形態では、本発明は、前述の化合物のうちのいずれかに関し、式中、Arは治療薬によって構成される。ある特定の実施形態では、この治療薬は、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブである。
ある特定の実施形態では、蛍光体は、キサンテン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、ナフタレン、アントラセン、オキサジアゾール、ピレン、アクリジン、テトラピロール、アリールメチン、ホウ素−ジピロメテン(BODIPY)の誘導体、またはシアニン色素である。特定の他の実施形態では、蛍光体は、蛍光タンパク質である。ある特定の実施形態では、検出試薬は、例えば、ナノ粒子、MRI造影剤、色素部分、または放射性核種である。特定の他の実施形態では、生体分子は、タンパク質、ペプチド、単糖、オリゴ糖、多糖、脂質、糖脂質、グリセロ脂質、リン脂質、ホルモン、神経伝達物質、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ステロール、代謝産物、ビタミン、または天然産物である。
ある特定の実施形態では、治療薬は、薬剤が投与される対象において治療的効果をもたらす化合物または化合物の部分構造である。ある特定の実施形態では、治療薬は、ある特定の細胞に対して毒性である。部分構造III中のArに共有結合される例示の治療薬としては、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブが含まれる。
ある特定の実施形態では、親油性部分は、部分構造IIIの化合物が、本明細書に記載される脂質、脂肪、油、及び非極性溶媒に対して親和性を有するか、またはこれらに可溶性であることを可能にする。例示の親油性部分としては、ケイ皮酸などの両親媒性界面活性剤が含まれる。
ある特定の実施形態では、細胞−受容体標的化剤は、エピトープなどのリガンド、ペプチド、抗体、小有機化合物、神経伝達物質である。高親和性結合対としては、ビオチン−アビジン、ビオチン−ストレプトアビジ、リガンド−細胞受容体、S−ペプチドならびにリボヌクレアーゼA、ジゴキシゲニンならびにその受容体、及び相補的オリゴヌクレオチド対が含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明は、部分構造IIIを含む化合物に関し、式中、A及びAは、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質である。
ある特定の実施形態では、部分構造IIIのA及びAは、それぞれ独立して、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、またはトリプトファンを含む。ある特定の実施形態では、A及びAは、システインまたはセレノシステインを含まない。ある特定の実施形態では、A及びAは、−SHまたは−SeH部分を含有するいかなるアミノ酸も含まない。
ある特定の実施形態では、本発明は、部分構造IIIを含む化合物に関し、式中、Rは、Hである。ある特定の実施形態では、本発明は、部分構造IIIを含む化合物に関し、式中、Xは、塩化物などのハロゲン化物である。ある特定の実施形態では、Xはトリフレートである。
ある特定の実施形態では、本発明は、部分構造IIIを含む化合物に関し、式中、A及びAは、共有結合されている。ある特定の実施形態では、部分構造IIIは、官能基化S部分または官能基化Se部分を有する環状ペプチドを含む。ある特定の実施形態では、官能基化S部分または官能基化Se部分は、それぞれアリール化S部分またはアリール化Se部分である。
ある特定の実施形態では、AまたはAは、抗体または抗体断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体は無処置であり、官能基化(例えば、アリール化)Cys、Secによる単一点突然変異、または−S(官能基)もしくは−Se(官能基)をその主鎖末端に含む人工アミノ酸を含む。代替的な実施形態では、AまたはAは、部分的抗体還元後に、抗体断片を含む。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物のいずれか1つに関する。
例示のステープル化合物
ある特定の実施形態では、本発明は、部分構造Vを含む化合物に関し、
式中、各出現につき独立して、
は、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
は、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
、A、及びAは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸からなる群から選択され、
Yは、SまたはSeであり、
nは、1〜5であり、
は、芳香族基、ヘテロ芳香族基、アルケン基、またはシクロアルケン基を含む任意に置換された架橋部分であり、
yは、2、3、4、5、または6であり、
各Zは、独立して、
−S−アルキル、−SH、−S−(CH−COH、−SCH(CH)−COH、または−SCH(COH)−CHCOHであり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片である。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書記載される化合物のいずれかに関し、式中、A、A、A、A、及びAのいずれもシステインを含まない。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のいずれかに関し、式中、A、A、A、A、及びAのうちの1つ以上は、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンを含む。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のいずれかに関し、式中、Rは、任意に置換された二官能性架橋部分または任意に置換された三官能性架橋部分である。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のいずれかに関し、式中、Rは芳香族基である。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のいずれかに関し、式中、Rは、任意に置換された、
またはである。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のいずれかに関し、式中、Rは、全フッ素置換されたアリールパラ置換ジラジカルではない。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のいずれか1つに関し、式中、yは、2であり、Rは、
からなる群から選択され、二官能性架橋部分のいずれかは、任意に置換されてもよい。
ある特定の実施形態では、本発明は、部分構造VIを含む化合物に関し、
式中、各出現につき独立して、
は、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
は、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
、A、及びAは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸からなる群から選択され、
Yは、SまたはSeであり、
は、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
Xは、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
Lは、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
は、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルであり、
は、任意に、ハロゲン化物、アシル、アジド、イソチオシアネート、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニルまたは保護されたアルキニル、アルコキシル、アリールカルボニル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−CF、−CF、−CFR 、−CN、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、−(CH−FG−R、及びZから選択される1つ以上の置換基によって更に置換され、
Zは、
−S−アルキル、−SH、−S−(CH−COH、−SCH(CH)−COH、または−SCH(COH)−CHCOHであり、
pは、各出現につき独立して、0〜10の整数であり、
FGは、各出現につき独立して、C(O)、CO、O(CO)、C(O)NR、NRC(O)、O、Si(R、C(NR)、(RN(CO)N(R、OC(O)NR、NRC(O)O、及びC(N=N)からなる群から選択され、
は、各出現につき独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択され、
nは、1〜5の整数であり、
mは、1または2である。
部分構造VIを含む化合物の特定の実施形態では、
は、
からなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、式中、A及びAは、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質である。
ある特定の実施形態では、Aは、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、またはトリプトファンを含む。
ある特定の実施形態では、Aは、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、またはトリプトファンを含む。
ある特定の実施形態では、A及びAは、システインまたはセレノシステインを含まない。
ある特定の実施形態では、RはHである。
例示の多金属試薬
ある特定の実施形態では、本発明は、式IVの化合物に関し、
式中、各出現につき独立して、
Mは、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
は、芳香族基、ヘテロ芳香族基、アルケン基、またはシクロアルケン基を含む任意に置換された架橋部分であり、
yは、2、3、4、5、または6であり、
Xは、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
Lは、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
mは、1または2である。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のうちのいずれか1つに関し、式中、Rは、任意に置換された二官能性架橋部分または任意に置換された三官能性架橋部分である。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のうちのいずれか1つに関し、式中、Rは芳香族基を含む。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のうちのいずれか1つに関し、式中、Rは、任意に置換された
である。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のうちのいずれか1つに関し、式中、yは2であり、Rは、
からなる群から選択され、式中、二官能性架橋部分のいずれかは、任意に置換されてもよい。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される化合物のうちのいずれか1つに関し、式中、yは3であり、Rは、
からなる群から選択され、式中、三官能性架橋部分のいずれかは、任意に置換されてもよい。
例示のプレ触媒及び方法
本発明はまた、金属プレ触媒をArX(例えば、ハロゲン化アリール)試薬とともに用いて、(例えば、スキーム6によって表される代表的な反応のように)チオールまたはセレノールを官能基化する方法(例えば、アリール化)を提供する。
ある特定の実施形態では、プレ触媒は、空気安定性の有利な特性を示す。例示のプレ触媒としては、Ph−メシレートパラジウムプレ触媒(例えば、第2世代ブッフワルド触媒などの2−アミノビフェニルPd種)が含まれる。
スキーム6によって表された反応の実施形態では、
Arは、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルであり、
Xは、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
10は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアラルキル、またはヘテロアリールを表し、
、A、R、Y、L、M、m、及びnは、スキーム1について定義された通りである。
例示の抱合化合物
ある特定の実施形態では、本発明は、ハイブリッド組成物に関し、ハイブリッド組成物は、リンカーと、部分構造IIIの化合物と、検出可能な部分とを含み、リンカーは、化合物を検出可能な部分に結合させる。
ある特定の実施形態では、本発明は、前述のハイブリッド組成物のうちのいずれか1つに関し、検出可能な部分は、蛍光体部分、色素部分、放射性核種、薬物分子、エピトープ、またはMRI造影剤である。
ある特定の実施形態では、本発明はハイブリッド組成物に関し、ハイブリッド組成物は、リンカーと、部分構造IIIの化合物と、生体分子とを含み、リンカーは、化合物を生体分子に結合させる。
ある特定の実施形態では、本発明は、前述のハイブリッド組成物のうちのいずれか1つに関し、生体分子はタンパク質である。
ある特定の実施形態では、本発明は、前述のハイブリッド組成物のうちのいずれか1つに関し、生体分子は抗体である。
ある特定の実施形態では、本発明は、前述のハイブリッド組成物のうちのいずれか1つに関し、生体分子は、DNA、RNA、またはペプチド核酸(PNA)である。
ある特定の実施形態では、本発明は、前述のハイブリッド組成物のうちのいずれか1つに関し、生体分子は、siRNAである。
ある特定の実施形態では、本発明はハイブリッド組成物に関し、ハイブリッド組成物は、リンカーと、部分構造IIIの化合物と、ポリマーとを含み、リンカーは、化合物をポリマーに結合させる。
ある特定の実施形態では、本発明は、前述のハイブリッド組成物のうちのいずれか1つに関し、ポリマーはポリエチレングリコールである。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるハイブリッド組成物のうちのいずれか1つに関する。
例示のペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質
ある特定の実施形態では、本発明は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質を生成するための方法に関し、これらのペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、部分構造IIIを含む。
ある特定の実施形態では、本発明は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質に関し、これらのペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、部分構造IIIを含む複数の部分構造を含む。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質のうちのいずれか1つに関する。
ある特定の実施形態では、本発明は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質を生成するための方法に関し、これらのペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、部分構造Vを含む。
ある特定の実施形態では、本発明は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質に関し、これらのペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、部分構造Vを含む複数の部分構造を含む。
ある特定の実施形態では、本発明は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質を生成するための方法に関し、これらのペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、部分構造VIを含む。
ある特定の実施形態では、本発明は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質に関し、これらのペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、部分構造VIを含む複数の部分構造を含む。
ある特定の実施形態では、本発明は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質に関し、あるいはその全体が参照により本明細書に組み込まれる、公開された米国特許出願公開第US2014/0113871号に記載される、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質に関与する方法に関する。
例示の治療方法
抗体−薬物複合体(ADC)は、抗癌治療薬の発展段階の部類である。高細胞毒性の小分子薬剤が、抗体に結合され、単一の分子実体を作り出す。ADCは、小分子の高い有効性を目的の抗体の特異性と組み合わせて、癌性組織への薬理量の選択的送達を可能にし、従来の小分子薬剤の全身毒性を低減する。
慣例的に、ADCは、小分子薬剤を、内部ジスルフィド結合を還元することから生じたシステイン、または表面露出されたリシンのいずれかに結合することによって調製される。複数のリシン及びシステインが抗体中に存在するために、これらの従来的なアプローチは、通常、不明確な薬物−抗体比を有する異種生成物をもたらし、このことが、製造及び特性評価の困難を引き起こす場合がある。更に、それぞれの個々の抗体−薬物複合体は、異なる薬物動態、有効性、及び安全性プロファイルを呈し、最適化ADCベースの癌治療への合理的なアプローチを妨げることがある。
最近の研究は、部位特異的結合技術を用いて調製されたADCが、改善された薬理学的プロファイルを呈することを示した。
したがって、ある特定の実施形態では、本発明は、薬物結合の明確にされた位置及び明確にされた薬物の抗体に対する比を有するADCに関する。ある特定の実施形態では、本発明のADCは、ADCベースの療法の合理的な最適化を可能にする。ある特定の実施形態では、ADCは、本明細書に記載される方法によって生成された化合物のうちのいずれか1つの構造を含む。ある特定の実施形態では、薬物対抗体比は、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、または約12:1である。
ある特定の実施形態では、本発明は、抗体に共有的に結合されたモノメチルオーリスタチンE(MMAE)を含む、本明細書に言及されたADCのうちのいずれか1つに関し、この抗体は、癌細胞中で過剰発現される細胞表面受容体を標的化する。MMAEは、チューブリン重合を遮断することによって、細胞分裂を阻害する高毒性の有糸分裂阻害剤である。MMAEは、ヒトCD30を標的化する抗体に首尾よく結合され、ホジキンリンパ腫ならびに分化大細胞型リンパ腫を治療するためにFDAに承認されたADCを作り出す。ある特定の実施形態では、本発明は、抗体に共有的に結合されたMMAEを含むADCの選択的合成のための方法に関する。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に言及されるADCのうちのいずれか1つに関し、この抗体は、細胞受容体CD30、CD22、CD33、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)、または上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)を標的化する。薬物を異なる受容体を標的化する抗体に結合させることによって、調製されたADCは、異なる癌を治療するために有用であるはずであることに留意するべきである。
定義
便宜上、本発明の更なる説明の前に、本明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語がここで集められている。
本明細書で使用される冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的目的語のうちの1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すためのものである。例として、「an element」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
用語「ヘテロ原子」は、当該技術分野において承認されており、炭素または水素以外の任意の元素の原子を指す。例示的なヘテロ原子としては、ホウ素、窒素、酸素、リン、イオウ、及びセレンが含まれる。
用語「アルキル」は、飽和脂肪族基のラジカルを指し、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基が含まれる。好ましい実施形態では、直鎖または分岐鎖アルキルは、30個以下の炭素原子をその主鎖に有し(例えば、直鎖ではC〜C30、分岐鎖ではC〜C30)、より好ましくは20個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、3〜10個の炭素原子をそれらの環構造中に有し、より好ましくは、5、6、または7個の炭素原子を環構造中に有する。
炭素の数が特に指定されない限り、本明細書で使用される「低級アルキル」は、上記で定義されたアルキル基を意味するが、1〜10個の炭素、より好ましくは1〜6個の炭素原子をその主鎖構造中に有するものを意味する。同様に「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は、同様な鎖長であるが、少なくとも2つの炭素原子を有する。好ましいアルキル基は、低級アルキルである。好ましい実施形態では、本明細書でアルキルと示された置換基は、低級アルキルである。
本明細書で使用される用語「アラルキル」は、本明細書で定義されるアルキル基を介して親分子部分に付加される本明細書で定義されるアリール基を意味する。アリールアルキルの代表的な例としては、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、及び2−ナフタ−2−イルエチルが含まれるが、これらに限定されない。
用語「アルコキシ」は、酸素原子を介して親分子部分に付加された、本明細書に定義されるアルキル基を意味する。アルコキシの代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシが含まれるが、これらに限定されない。
用語「アルコキシカルボニル」は、本明細書で定義される、−C(=O)−によって表されるカルボニル基を介して親分子部分に付加される、本明細書に定義されるアルコキシ基を意味する。アルコキシカルボニルの代表的な例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、及びtert−ブトキシカルボニルが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「カルボキシ」は、−COH基を意味する。
本明細書で使用される用語「アルキルチオ」は、イオウ原子を介して親分子部分に付加される、本明細書で定義されるアルキル基を意味する。アルキルチオの代表的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、tert−ブチルチオ、及びヘキシルチオが含まれるが、これらに限定されない。例えば、用語「アリールチオ」、「アルケニルチオ」、及び「アリールアルキルチオ」も同様に定義される。
本明細書で使用される用語「アミド」は、−NHC(=O)−を意味し、このアミド基は、窒素を介して親分子部分に結合される。アミドの例としては、CHC(=O)N(H)−及びCHCHC(=O)N(H)−などのアルキルアミドが含まれる。
本明細書で使用される用語「アリール」は、0〜4個のヘテロ原子を含み得る5員、6員、及び7員の芳香族基であり、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンならびにピリミジンなどを含む。
環構造中にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「アリール複素環」または「ヘテロ芳香族」と称されてもよい。芳香族環は、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分、−CF、−CNなどの上述されたこのような置換基で、1つ以上の環位置において置換され得る。用語「アリール」は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環(これらの環は「縮合環」である)に共通する、2つ以上の環を有する多環式環系も含み、これらの環のうちの少なくとも1つは芳香族であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/またはヘテロシクリルとすることができる。
略語Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Ms、及びdbaは、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、及びジベンジリデンアセトンを表す。また「DCM」は、ジクロロメタンを表し、「rt」は、室温を表し、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、または約26℃を意味してもよい。「THF」は、テトラヒドロフランを表し、「BINAP」は、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを表し、「dppf」は、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを表し、「dppb」は、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノブタンを表し、「dppp」は、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを表し、「dppe」は、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを表す。当業者の有機化学者によって利用される略語のより包括的なリストは、Journal of
Organic Chemistryの各巻の創刊号に出ており、このリストは、略語標準表(Standard List of Abbreviations)と題された表に提示されている。該リストに含まれる略語、及び当業者の有機化学者によって利用される全ての略語は、参照により本明細書に組み込まれる。
用語オルト、メタ、及びパラは、それぞれ、1,2−、1,3−、及び1,4−ニ置換ベンゼンに適用する。例えば、名称1,2−ジメチルベンゼン及びオルト−ジメチルベンゼンは同義である。
用語「ヘテロシクリル」または「複素環基」は、3員〜10員の環構造、より好ましくは3員〜7員環を指し、これらの環構造は、1〜4個のヘテロ原子を含む。複素環は、多環とすることもできる。ヘテロシクリル基としては、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノン及びピロリジノンなどのラクタム、スルタム、スルトンなどが含まれる。複素環は、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分、−CF、−CNなどの上述されたこのような置換基で、1つ以上の環位置において置換され得る。
用語「非配位アニオン」とは、カチオンと弱く相互作用する陰性荷電部分に関するものである。非配位アニオンは、求電子性カチオンの反応性を研究する上で有用であり、一般ン、不飽和配位球圏を有するカチオン性金属錯体についての対イオンとして見いだされる。多くの場合、非配位アニオンは、多くの電気的に陰性の原子にわたって対称的に分配される負電荷を有する。これらのアニオンの塩は、多くの場合、ジクロロメタン、トルエン、またはアルカンなどの可溶性非極性有機溶媒である。
用語「ポリシクリル」または「多環式基」は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環、例えば、環が「縮合環」であるものに共通である、2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/またはヘテロシクリル)を指す。非隣接原子を介して結合される環は、「架橋」環と呼ばれる。多環の環のそれぞれは、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分、−CF、−CNなどの上述されたこのような置換基で置換され得る。
本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、イオウ、及びリンである。
本明細書で使用される用語「ニトロ」は、−NOを意味し、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、−F、−Cl、−Br、または−Iを示し、用語「スルフヒドリル」は、−SHを意味し、用語「ヒドロキシル」は、−OHを意味し、用語「スルホニル」は、−SO−を意味し、用語「シアノ」は、−CN基を意味する。
用語「ハロアルキル」は、本明細書に定義されるアルキル基を介して親分子部分に付加された、本明細書で定義される少なくとも1つのハロゲンを意味する。ハロアルキルの代表的な例としては、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、及び2−クロロ−3−フルオロペンチルが含まれるが、これらに限定されない。
用語「アミン」及び「アミノ」は、当該技術分野において承認されており、非置換及び置換アミンの両方、例えば、一般式によって表すことができる部分を指す。

式中、R、R10、及びR’10は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、−(CH−Rを表すか、あるいはR及びR10は、それらが結合しているN原子と一緒になり、環構造中に4〜8個の炭素原子を有する複素環を完成し、Rは、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環、または多環を表し、mは、0であるか、または1〜8の範囲の整数である。好ましい実施形態では、RまたはR10のうちの1つのみがカルボニルであることができ、例えば、R、R10、及び窒素は一緒にイミドを形成しない。更により好ましい実施形態では、R及びR10(及び任意にR’10)は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH−Rを表す。したがって、本明細書で使用される用語「アルキルアミン」は、それに結合した置換または非置換のアルキルを有する、上で定義されたアミン基を意味し、すなわち、R及びR10のうちの少なくとも1つは、アルキル基である。
各表現、例えば、アルキル、m、nなどの定義は、それが任意の構造において複数回出現するとき、同一構造におけるどこか他の場所のその定義とは無関係であることを意図する。
用語トリフリル(−Tf)、トシル(−Ts)、メシル(−Ms)、及びノナフリルは、当該技術分野において承認されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、及びノナフルオロブタンスルホニル基を指す。用語トリフレート(−OTf)、トシレート(−OTs)、メシレート(−OMs)、及びノナフレートは、当該技術分野において承認されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホネートエステル、p−トルエンスルホネートエステル、メタンスルホネートエステル、及びノナフルオロブタンスルホネートエステル官能基ならびに該基を含有する分子を指す。
本明細書で使用されるフレーズ「保護基」は、潜在的に反応性の官能基を、望ましくない化学的変換から保護する、その一時的修飾を意味する。このような保護基の例としてはアルコールのシリルエーテル、及びアルデヒドならびにケトンのそれぞれアセタール及びケタールが含まれる。本発明の実施形態では、カルボキシレート保護基は、カルボン酸をエステルとして覆い隠す。特定の他の実施形態では、アミドは、アミドの−NHを、例えば−NH(アルキル)、または−N(アルキル)として覆い隠すアミド保護基によって保護される。保護基化学の分野がレビューされている(Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.;Wiley:New York,1991)。
「置換」または「で置換される」は、このような置換が、置換原子及び置換基の許容された原子価に従うこと、及び置換が、例えば、転位、環化、脱離などの変換を自然に受けることがない安定な化合物をもたらすことの暗黙の条件を含む。
本明細書で使用される用語「置換された」は、有機化合物の全ての許容し得る置換基を含むよう企図される。広義の態様において、許容し得る置換基としては、有機化合物の非環式ならびに環式、分岐ならびに非分岐、炭素環式ならびに複素環式、芳香族ならびに非芳香族置換基が含まれる。例示的な置換基としては、例えば、本明細書で上述されたものが含まれる。許容し得る置換基は、適切な有機化合物に対して、1つ以上であり、かつ同一また異なることができる。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基及び/またはヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載される有機化合物の任意の許容し得る置換基を有してもよい。
本明細書で使用される「極性プロトン性溶媒」は、約1.4〜4.0Dの双極子モーメントを有し、O−H結合またはN−H結合などの水素結合にあずかる化学部分を含む溶媒である。例示の極性プロトン性溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、アンモニア、水、及び酢酸が含まれる。
本明細書で使用される「極性非プロトン性溶媒」は、O−HまたはN−Hなどの水素結合基を欠如する、約1.4〜4.0Dの双極子モーメントを有する溶媒を意味する。例示の極性非プロトン性溶媒としては、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、酢酸エチル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、及びジメチルスルホキシドが含まれる。
本明細書で使用される「非極性溶媒」は、低誘電率(<5)及び約0.0〜約1.2の低双極子モーメントを有する溶媒を意味する。例示の非極性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、及びジエチルエーテルが含まれる。
本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表(Periodic Table of the Elements)、CAS式、Handbook of Chemistry and Physics,67th Ed.,1986−87、内表紙に従って特定される。
例示
本発明は、以下の実施例を参照して理解することができ、これらの実施例は、例示の目的で提示されたものにすぎず、限定するものではない。これらの実施例で利用された基質は、市販されていたものであるか、または市販の試薬から調製されたかもののいずれかであった。
一般試薬情報
トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP・HCl)は、Hampton Research(Aliso Viejo,CA)から購入した。1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、D−ビオチン、Fmoc−Rinkアミドリンカー、Fmoc−L−Gly−OH、Fmoc−L−Leu−OH、 Fmoc−L−Lys(Boc)−OH、Fmoc−L−Ala−OH、Fmoc−L−Cys(Trt)−OH、Fmoc−L−Gln(Trt)−OH、Fmoc−L−Asn(Trt)−OH、Fmoc−L−Glu(OtBu)−OH、Fmoc−L−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−L−Phe−OH、Fmoc−L−Ser(tBu)−OH、Fmoc−L−Thr(tBu)−OH、Fmoc−L−Tyr(tBu)−OH、及びFmoc−L−His(Trt)−OHは、Chem−Impex International(Wood Dale,IL)から購入した。アミノメチルポリスチレン樹脂は、自社プロトコルに従って調製した。ペプチド合成グレードのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)ジクロロメタン(DCM)、ジエチルエーテル、HPLCグレードのアセトニトリル、及び塩酸グアニジンは、VWR International(Philadelphia,PA)から入手した。ハロゲン化アリール及びアリールトリフルオロメタンスルホネートは、Aldrich Chemical Co.,Alfa Aesar、またはMatrix Scientificから購入し、更なる精製を行うことなく使用した。全ての重溶媒は、Cambridge Isotopesから購入し、更なる精製を行うことなく使用した。全ての他の試薬は、Sigma−Aldrichから購入し、受け取ったままの状態で使用した。トラスツズマブは、MITのK.Dane Wittrup博士より有難くも贈呈された。
ペプチド、タンパク質、及び抗体を用いる全ての反応は、ベンチトップ上で設定し、周囲条件下で行った。窒素充填グローブボックス内で行われる手順については、活性アルミナカラムを通過させ、その後アルゴンでパージすることによって、乾燥脱気THFを得た。無水ペンタン、シクロヘキサン、及びアセトニトリルを、Aldrich Chemical CompanyからSureseal(登録商標)ボトル内で購入し、使用前にアルゴンでパージした。
一般分析情報
全ての小分子有機及び有機金属化合物は、H、13C NMR、及びIR分光法、ならびに元素分析によって特性評価した(特記しない限り)。19F NMR分光法は、トリフルオロメタンスルホネート対イオンを含有する有機金属錯体に使用した。31P NMR分光法は、パラジウム錯体の特性評価に使用した。H、13C、31P、及び19F NMRのコピーは、補足情報(Supporting Information)の終わりに見出すことができる。各磁気共鳴スペクトルは、Bruker 400MHz装置及びVarian 300MHz装置で記録した。特に明記しない限り、全てのH NMR実験は、σ単位、百万分率(ppm)で報告し、重溶媒中の残留プロトン共鳴CHCl(5.32ppm)またはCHCN(1.94ppm)の信号に対して測定した。全ての13C NMRスペクトルは、H核からのデカップリングとして測定し、特に明記されない限り、CDCl(54.00ppm)またはCDCN(118.69ppm)に対するσ単位(ppm)で報告する。全ての31P NMRスペクトルは、H核からのデカップリングとして測定し、HPO(0.00ppm)に対するppmで報告する。19F NMRスペクトルは、H核からのデカップリングとして測定し、CFCl(0.00ppm)またはα,α,α−トリフルオロトルエン(−63.72ppm)に対するppmで報告する。全てのFT−IRスペクトルは、Thermo Scientific − Nicolet iS5分光光度計(iD5 ATR−ダイヤモンド)で記録した。元素分析は、Atlantic Microlabs Inc.,Norcross,GAによって行った。
LC−MS分析
LC−MSクロマトグラム及び関連する質量スペクトルは、Agilent 6520 ESI−Q−TOF質量分析装置を用いて取得した。大部分の実験において使用された溶媒組成は、HO中、0.1%のTFA(溶媒A)及びアセトニトリル中、0.1%のTFA(溶媒B)である。以下のLC−MS法を使用した。
方法A LC条件:Zorbax SB Cカラム:2.1×150mm、5μm、カラム温度:40℃、勾配:0〜3分 5%のB、3〜22分 5〜95%のB、22〜24分 95%のB、流速:0.8mL/分。MS条件:質量範囲300〜3000m/zにおいて動的モードで拡張された正エレクトロスプレーイオン化(ESI)、乾燥ガスの温度=350℃、乾燥ガスの流速=11L/分、ネブライザガスの圧力=60psi、キャピラリ−、フラグメンター、及び八極子高周波電圧は、それぞれ、4000、175、及び750に設定した。
方法B LC条件:Zorbax SB Cカラム:2.1×150mm、5μm、カラム温度:40℃、勾配:0〜2分 5%のB、2〜11分 5〜65%のB、11〜12分 65%のB、流速:0.8mL/分。MS条件は、方法Aと同様である。
方法C LC条件:Zorbax SB Cカラム:2.1×150mm、5μm、カラム温度:40℃、勾配:0〜2分 5%のB、2〜10分 5〜95%のB、10〜11分 95%のB、流速:0.8mL/分。MS条件は、方法Aと同様である。
データを、Agilent MassHunterソフトウェアパッケージを用いて処理した。タンパク質のデコンボリュートされた質量を、最大エントロピーアルゴリズムを用いて得た。
示されたLC−MSデータは、特に明記しない限り、方法Aを用いて取得し、補足図中に示された全てのクロマトグラムのY軸は、全イオン電流(TIC)を表し、質量スペクトル挿入図は、特に明記しない限り、TICピークの積分に相当する。
反応収率の決定
全ての報告された収率は、TICスペクトルを積分することによって決定した。初めに、クロマトグラム上の全ての関連するペプチド含有種についてのピーク面積を、Agilent MassHunterソフトウェアパッケージを用いて積分した。この実験においては、ペプチドベースの副産物が生成されなかったために、表2に示された収率を、以下のように決定した:収率%=Spr/Stotal(式中、Sprは、生成物のピーク面積であり、Stotalは、組み合わされたペプチド含有種(生成物及び出発物質)のピーク面積である)。ステープルペプチド(実施例19)の収率を、以下の通りに算出した:収率%=k・Spr/Sst(式中、Sprは、反応生成物のピーク面積であり、Sstは、既知の量の精製生成物のピーク面積であり、kは、出発物質の初期量で割られた標準物質の既知量の比に等しい)。ペプチド安定性実験については、変換を以下の通りに計算した:残りのペプチド%=S/S(式中、Sは、対応のシステイン抱合体の時間tにおけるピーク面積であり、Sは、時間0におけるシステイン抱合体のピーク面積である)。
実施例1−アリール化試薬の調製
Cys部分を選択的に認識し、かつアリール基を移動させることができる、一連のPd(II)試薬を設計した。これらの試薬は、嵩高の立体的及び電子過剰環境を、求電子基質の容易な酸化付加を好む金属中心に付与するビアリールホスフィンリガンドを特徴とする。例えば、錯体1a−bを、空気安定性固体として単離し、Pd(0)前駆体及びホスフィンリガンドから、それぞれアリールトリフレートまたは塩化物求電子の存在下で、好都合に合成した(図3)。代替的な合成では、トリフレート種を、Ag(I)塩との塩メタセシスによって、塩化物錯体1bから調製した。全般的に、これらの合成変換は、広範なPd(II)をベースとする試薬にいくつかの補完ルートを提供する。
実施例2−モデルポリペプチド
1aと非保護モデルポリペプチド2との間の反応(図4)は、反応混合物のLC−MS分析によって示唆されたように、出発ペプチド材料の完全な変換をもたらした。重要なことには、Cys S−アリール化生成物3のみが、LC−MS運転溶媒混合物中に存在する酸による急冷の際に生成された1のいくつかの分解生成物と組み合わせて、この変換の結果として観察された。これらの分解生成物は、アリール化RuPhosホスホニウム塩及び連結されたPd(I)−Pd(I)二量体種として特定され、これらのどちらも、ペプチド生成物3に比較して、著しく遅く溶離した。Pd(I)−Pd(I)二量体副産物を、独立して調製し、溶液中でNMR分光法を介して、及び固体状態で単結晶X線回折を介して構造的に特性評価し、反応混合物中のその同一性を確認した。
実施例3−比較対照ペプチド
Cys残基またはSec残基を欠如する比較対照ペプチドを、アリール条件に置いた。例えば、AKLTGF−NH(CH)及びVTLPSTFGASは、変換及び/または分解を示さず、アリール化がCysまたはSec残基で限定的に起こることを示唆している。アリール条件下のAKLTGF−NH(CH)についてのLCMSトレースを図5に示す。
実施例4−反応条件の変化
本明細書に記載されるCysアリール化は、水を含有する溶媒混合物においても作動する。アリール化実験を、モデルペプチド4(γ−Glu−Cys−Gly−Pro−Leu−Leu)と試薬1aとの間で、それぞれ、1:1 DMF:HO及び2:1 HO:MeCN混合物中で行った。どちらの場合も、S−アリール化ペプチド5(γ−Glu−CysTol−Gly−Pro−Leu−Leu)を生成する選択的変換が、数分以内に起こり、非常に高速の反応速度を示唆した(図6)。
実施例5−官能基許容性
この変換の官能基許容性に対処するために、いくつかのPd系トリフレート試薬と、OH(例えば、Tyr、Ser、Thr)及びNH/NH(例えば、His、Lys、Arg)などの他の共通の求核性アミノ酸残基を特徴とする非保護ペプチド6(FRSNLYGCEKHKAT−NH)との間で試験を行った。アリール化反応は、特に明記しない限り、pH8.5の0.1Mトリスの存在下で、1:2 CHCN:HOの溶媒系で、5分間行った。試験された全てのアリール化試薬(6a〜f)について、使用されたPd(II)の性質に関わりなく、選択的かつほぼ定量的なS−アリール化を観察した(図7)。更に、トリフレートの代わりに塩化物リガンドを含有するPdをベースとする種1bを用いた試験は、1mMのペプチド濃度において、S−アリール化ペプチド6aを5分以内に生成する同様な反応性を示した。アリール化戦略は、複雑な薬物分子を含有するPd(II)種による生体共役反応にも従順である(図8)。
実施例6−モデルタンパク質
次に、アリール化の化学作用を、単一のCys残基を含有するモデルタンパク質を用いて評価した。Cys残基を配列鎖のN末端に組み込む単一点突然変異を有するDARPinタンパク質を、これらの試験のために設計し、大腸菌(E.coli)中で発現させた(最終的アミノ酸配列:GGCGGSDLGKKLLEAARAGQDDEVRILMANGADVNAYDDNGVTPLHLAAFLGHLEIVEVLLKYGADVNAADSWGTTPLHLAATWGHLEIVEVLLKHGADVNAQDKFGKTAFDISIDNGNEDLAEILQKLN)。50uMのタンパク質と5当量の1aとの間の反応は、出発物質の5分間以内の完全な消費をもたらした。得られた生成混合物を、LC−MSによって分析し、タンパク質の定量的モノアリール化を確認した。
トリプシン消化の後の生成混合物のMS/MS分析は、修飾がCys残基上で限定的に起こり、ペプチド基質を用いて得られた結果を更に裏付けた(上記参照)。試薬1aに加えて、Cysアリール化を、ビオチン化されたフルオレセインをベースとする種を含む他の試薬を用いて成功裏に行った。例えば、DARPinとフルオレセインを含有するPd(II)試薬との間の反応は、S標識タンパク質種の定量的形成をもたらした(図9)。反応混合物のSDS−PAGE分析は、フルオレセイン標識の組み込みを確認した(図9)。
実施例7−抗体中のCys−S−アリール化
更なる試験は、IgG抗体中の天然性ならびに非天然性Cys残基の官能基化を目指した。具体的には、部分的な抗体還元後に天然性Cys部分を官能基化することができるか、または主鎖末端上のCysもしくはセレノシステイン部分による単一点突然変異を含有する完全な抗体で官能基化を実行することができるかのいずれかの2つの独立したアプローチを検討した(図10)。どちらの場合も、得られた構築物は、それらのアルキル、ジスルフィド、及びマレイミド同類物よりも、分解に対して著しく化学的に安定である。この安定性の改良は、Pd(II)試薬により付与される高度に選択的かつ迅速な生体共役反応と併せて、大幅に改善された処理能力及び得られた抗体−薬物複合体についての拡張された治療特性を提供するはずである。図11は、フルオレセインをアリール化部分として用いる、ヒトIgG1抗体基質における更なるS−アリール化のスキームを示す。反応条件(1)は、0.75mg/mLのIgG、0.1Mのトリス、15mMのTCEP、pH8.5、室温、2時間において行った。反応条件(2)は、0.5mg/mLの部分的に還元されたIgG、0.1Mのトリス、100mMのPd試薬、5%のアセトニトリル、pH8.5で、室温にて30分で行った。
実施例8−パラジウム試薬の合成
窒素充填したグローブボックス内で、磁気撹拌棒を装備し、テフロン(登録商標)製スクリューキャップセプタムを備え付けた、オーブン乾燥したシンチレーションバイアル(10mL)に、RuPhos(66mg、0.14ミリモル)、4−ブロモトルエン(24.2mg、0.14ミリモル)、及びシクロヘキサン(1.0mL)を充填した。固体(COD)Pd(CHSiMe(50.0mg、0.13ミリモル)を素早く一度に添加し、得られた溶液を、室温で16時間撹拌した。その後、ペンタン(3mL)を添加し、得られた混合物を、−20℃の冷凍庫に3時間配置した。次いで、バイアルをグローブボックスの外に取り出し、得られた沈殿物を濾過し、ペンタン(3×3mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、酸化的付加錯体を得た(78.4mg、82%)。
H NMR(400MHz、CDCl) δ 7.61(m、2H)、7.43(tt、J=7.5、1.6Hz、1H)、7.37(m、1H)、6.91(dd、J=8.2、2.3Hz、2H)、6.86(ddd、J=7.8、3.1、1.5Hz、1H)、6.76(d、J=8.0Hz、2H)、6.64(d、J=8.4Hz、2H)、4.60(hept、J=6.1Hz、2H)、2.22(s、3H)、2.14(m、2H)、1.77(m、6H)、1.60(m、6H)、1.38(d、J=6.0Hz、6H)、1.17(m、6H)、1.01(d、J=6.0Hz、6H)、0.78(m、2H)。
13C NMR(101MHz、CDCl) δ 159.42、145.38、145.20、137.74、137.70、134.88、134.18、133.84、133.11、133.01、132.94、131.62、131.56、130.99、130.97、128.20、126.81、126.76、112.44、112.41、107.88、71.44、34.40、34.14、28.73、28.17、28.15、27.82、27.69、27.49、27.46、27.35、26.60、22.46、21.93、20.79(観測された複雑性は、C−Pカップリングに起因する)。
31P NMR(121MHz、CDCl) δ 29.89。
実施例9−システインアリール化
ペプチドP1(上記の4μL、150μM)、HO(47μL)、有機溶媒(1μL)、及び緩衝液(6μL、1M)を、0.6mLのプラスチック製エッペンチューブ内で混ぜ合わせ、ボルテクサーを用いて、得られた溶液を混合した。有機溶媒中のパラジウム錯体の原液(2μL、600μM)を一度に添加し、反応チューブをボルテックスし、適切な試薬混合を確実にし、室温で5分間放置した。3−メルカプトプロピオン酸(6.3μL、0.05μL/mLの溶液)の添加によって、反応物を急冷させた。更に5分後に、LCMS溶液(60μL)をエッペンチューブに添加し、反応混合物をLCMSにより分析した。
急冷前の反応物の最終濃度:
ペプチド−10μM、
Pd錯体−20μM、
トリス緩衝液−100mM、
CHCN:HO=5:95
実施例10−多金属種の合成
窒素充填したグローブボックス内で、磁気撹拌棒を装備し、「テフロン」製スクリューキャップセプタムを備え付けた、オーブン乾燥したシンチレーションバイアル(10mL)に、RuPhos(139.4mg、0.30ミリモル)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン(30.0mg、0.12ミリモル、1当量)、及びシクロヘキサン(1.2mL)を充填した。固体(COD)Pd(CHSiMe(116.2mg、0.30ミリモル、2.5当量)を素早く一度に添加し、得られた溶液を、室温で16時間撹拌した。その後、ペンタン(3mL)を添加し、得られた混合物を、−20℃の冷凍庫に3時間配置した。次いで、バイアルをグローブボックスの外に取り出し、得られた沈殿物を濾過し、ペンタン(3×3mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、酸化的付加錯体を得た。
H NMR(400MHz、CDCl) δ 7.64(m、4H)、7.45(m、2H)、7.39(m、2H)、7.32(d、J=8.0Hz、4H)、7.25(dd、J=8.4、2.1Hz、4H)、6.88(ddd、J=7.7、3.1、1.3Hz、2H)、6.65(d、J=8.5Hz、4H)、4.64(hept、J=6.1Hz、4H)、2.14(m、4H)、1.70(m、24H)、1.39(d、J=6.0Hz、12H)、1.20(m、12H)、1.02(d、J=6.0Hz、12H)、0.75(m、4H)。
13C NMR(101MHz、CDCl) δ 197.01、159.78、149.09、145.47、145.30、137.25、137.21、135.49、134.06、133.94、133.58、133.06、132.95、131.55、131.23、131.21、128.34、126.98、126.92、111.50、107.69、71.53、34.39、34.12、28.78、28.32、27.73、27.59、27.38、27.27、26.59、22.44、21.89(観測された複雑性は、C−Pカップリングに起因する)。
31P NMR(121MHz、CDCl) δ 33.27。
実施例11−ステープル処理
ペプチド(4μL、150μM)、HO(23μL)、及びトリス緩衝液(3μL、1M、pH=7.5)を、0.6mLのプラスチック製エッペンチューブ内で混ぜ合わせ、ボルテクサーを用いて、得られた溶液を混合した。CHCN中のパラジウム錯体の原液(30μL、40μM)を一度に添加し、反応チューブをボルテックスし、適切な試薬混合を確実にし、室温で10分間放置した。3−メルカプトプロピオン酸(6.3μL、0.1μL/mLの溶液)の添加によって、反応物を急冷させた。更に5分後に、LCMS溶液(60μL)をエッペンチューブに添加し、反応混合物をLCMSにより分析した。
急冷前の反応物の最終濃度:
ペプチド−10μM、
OA−20μM、
トリス緩衝液−100mM、
CHCN:HO=1:1
実施例12−パラジウム試薬による薬物分子の抗体への抱合
結合プロトコル:トラスツズマブを、20μLスケールで、TCEPで部分的に還元した。反応条件:10μMのトラスツズマブ(1.5mg/mLまで)、30μMのTCEP、0.1Mのトリス、pH8.0、37℃、2時間。
DMF中に溶解した0.4mMのパラジウム−バンデタニブ複合体1μLを、部分的に還元された抗体20μLに添加し、得られた混合物を、室温で30分間放置した。図13を参照されたい。
LC−MS分析:20μLの粗反応混合物を、4mMのメルカプトプロピオン酸1μLの添加によって急冷させた。得られた溶液を室温で5分間放置し、次いで、10Kスピンコンセントレータを用いて、緩衝液を緩衝液P(20mMのトリス、150mMのNaCl、pH7.5)に交換した。N−結合グリカンを、PNGase F(New England Biolabs)1μLの添加によって除去し、抗体100μgに添加し、45℃で1時間インキュベーションした。得られた溶液を、200mMのTCEP溶液(pH7.5)の1/10容量の添加によって完全に還元させ、37℃で30分間インキュベーションし、その後、LC−MS分析にかけた。この分析に基づいて、薬物対抗体比(DAR)を計算し、約5.5であった(データ図示せず)。
実施例13−酸化的付加錯体の合成
酸化的付加錯体の合成のための一般手順
窒素充填したグローブボックス内で、磁気撹拌棒を装備した、オーブン乾燥したシンチレーションバイアル(10mL)に、RuPhos(1.1当量)、Ar−X(1.1当量)、及びシクロヘキサンを充填した。固体(COD)Pd(CHSiMe(McAtee,J.R.Angew Chem.,Int.Ed.51,3663−3667(2012))(1当量)を素早く一度に添加し、得られた溶液を、室温で16時間撹拌した。その後、ペンタン(3mL)を添加し、得られた混合物を、−20℃の冷凍庫に3時間配置した。次いで、バイアルをグローブボックスの外に取り出し、得られた沈殿物を濾過し、ペンタン(3×3mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、酸化的付加錯体を得た。
例示の酸化的付加錯体
一般手順に従って、4−クロロトルエン(17μL、0.14ミリモル)、RuPhos(66mg、0.14ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(50mg、0.13ミリモル)を含有する混合物を、シクロヘキサン(1.5mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1A−Clを白色固体(68.7mg、77%)として得た。
一般手順に従って、4−ブロモトルエン(24.2mg、0.14ミリモル)、RuPhos(66.0mg、0.14ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(50.0mg、0.13ミリモル)を含有する混合物を、シクロヘキサン(1mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1A−Brを灰白色固体(78.4mg、82%)として得た。
一般手順に従って、4−ヨードトルエン(61.7mg、0.28ミリモル)、RuPhos(131.9mg、0.28ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(100.0mg、0.26ミリモル)を含有する混合物を、シクロヘキサン(1.5mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1A−Iを鮮黄色固体(180.0mg、89%)として得た。
一般手順に従って、4−トリルトルフルオロメタンスルホネート(100.0mg、0.42ミリモル)、RuPhos(194.0mg、0.42ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(147.0mg、0.38ミリモル)を含有する混合物を、シクロヘキサン(1.5mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1A−OTfを灰白色固体(270.0mg、88%)として得た。
一般手順に従って、2−エチル−6−メチルピリジン−3−イルトリフルオロメタンスルホネート(76.0mg、0.28ミリモル、注記:2.2当量を使用した)、RuPhos(66.0mg、0.141ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(50.0mg、0.129ミリモル)を含有する混合物を、シクロヘキサン(0.75mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1Bを淡黄色固体(95.0mg、88%)として得た。
一般手順に従って、フルオレセインモノトリフルオロメタンスルホネート(52.5mg、0.11ミリモル、注記:限定試薬として使用した)、RuPhos(66.0mg、0.14ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(50.0mg、0.13ミリモル)を含有する混合物を、THF(0.75mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1Cを明橙色の沈殿物(107.5mg、92%)として得た。
一般手順に従って、2−オキソ−2H−クロメン−6−イルトリフルオロメタンスルホネート(38.2mg、0.13ミリモル、注記:1.01当量を使用した)、RuPhos(66.0mg、0.14ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(50.0mg、0.13ミリモル)を含有する混合物を、THF(0.75mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1Dを淡黄色固体(103.3mg、93%)として得た。
一般手順に従って、アリールトリフルオロメタンスルホネートS1(100.0mg、0.21ミリモル、注記:1当量を使用した)、RuPhos(109.8mg、0.24ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(83.2mg、0.21ミリモル)を含有する混合物を、THF(1.5mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1Eを淡橙色固体(179.0mg、80%)として得た。
一般手順に従って、4−クロロベンズアルデヒド(39.7mg、0.28ミリモル、注記:1当量を使用した)、RuPhos(131.9mg、0.28ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(100.0mg、0.26ミリモル)を含有する混合物を、シクロヘキサン(1.5mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1Fを白色固体(166.0mg、91%)として得た。
一般手順に従って、4−クロロアセトフェノン(36.7μL、0.28ミリモル)、RuPhos(131.9mg、0.28ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(100.0mg、0.26ミリモル)を含有する混合物を、シクロヘキサン(1.5mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1Gを白色固体(187.1mg、80%)として得た。
一般手順に従って、4−クロロベンゾフェノン(61.2mg、0.28ミリモル)、RuPhos(131.9mg、0.28ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(100.0mg、0.26ミリモル)を含有する混合物を、シクロヘキサン(1.5mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1Hを白色固体(170.3mg、84%)として得た。
一般手順に従って、(4−クロロフェニルエチニル)トリメチルシラン(71.6mg、0.34ミリモル)、RuPhos(131.9mg、0.28ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(100.0mg、0.26ミリモル)を含有する混合物を、シクロヘキサン(1.5mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1Iを白色固体(157.7mg、78%)として得た。
一般手順に従って、バンデタニブ(61.7mg、0.13ミリモル、注記:1.01当量を使用した)、RuPhos(66.0mg、0.14ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(50.0mg、0.13ミリモル)を含有する混合物を、THF(1.5mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1Jを灰白色固体(119.0mg、88%)として得た。
若干修正された一般手順に従って、4,4’−ジクロロベンゾフェノン(30.0mg、0.12ミリモル、1当量)、RuPhos(139.4mg、0.30ミリモル、2.5当量)、及び(COD)Pd(CHSiMe(116.2mg、0.30ミリモル、2.5当量)の混合物を、シクロヘキサン(1.2mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、2Aをベージュ色固体(146.8mg、88%)として得た。
一般手順に従って、4−クロロベンゾニトリル(42.4mg、0.31ミリモル、1当量)、RuPhos(144.0mg、0.31ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(100.0mg、0.26ミリモル)の混合物を、シクロヘキサン(1.5mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1−ベンゾニトリルを白色固体(186.4mg、99%)として得た。
一般手順に従って、4−ブロモ−1,2,3,6−テトラヒドロ−1,1’−ビフェニル(30.0mg、0.127ミリモル)、RuPhos(59.0mg、0.127ミリモル)、及び(COD)Pd(CHSiMe(44.7mg、0.115ミリモル)を含有する混合物を、シクロヘキサン(0.75mL)中、室温で16時間撹拌した。一般ワークアップ作業を行い、1−ビニルを黄色固体(80.0mg、86%)として得た。
実施例14−アリール化反応条件
例示されたシステイン抱合反応の多くは、ほぼ中性からわずかに塩基性のpH値で動作する。パラジウム試薬を用いる反応条件の更なる評価は、様々な緩衝液中の共通の有機共溶媒(5%のDMF、DMSO、CHCN)を用いる、広範なpH範囲内(5.5〜8.5)の出発ペプチドの対応するS−アリールシステイン抱合体への定量的変換を明らかにした。注目すべきことには、0.1%のTFA溶液(pH2.0)中であっても、反応は、7時間後に、59%のS−アリール化生成物を得た。このプロセスは、マレイミド及びα−ハロアシル基と反応することによって、生体共役反応を妨害することが示されているタンパク質ジスルフィド還元剤のトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)とも互換性があった。
実施例15−例示のアリール化反応
パラジウム媒介抱合は、完全な生成物形成が4℃において15秒以内に起こり、高速である。反応速度を、通常使用されるN−メチルマレイミドシステイン連結に対する競合実験によって推定した(Gorin,G.,et al.Arch.Biochem.Biophys.115,593−597(1966))。pH7.5においては、パラジウム媒介反応の速度は、マレイミド連結に匹敵し、生成物の70%がパラジウム−トリル錯体(1A−OTf)から生じた。とりわけ、パラジウム媒介抱合は、pH5.5においてマレイミド連結を上回り、ここではアリール化生成物のみが生成された。
最適化条件(0.1Mのトリス緩衝液、5%のCHCN、pH7.5、室温)を基質範囲の更なる評価に用いた(一般アリール化手順A)。塩化物、臭化物、及びヨウ化物対イオンを含有するパラジウム錯体は、全てが、所望の生成物(1A−Cl、1A−Br、及び1A−I)を生成することが判明した。この方法は、非保護ペプチドを、蛍光タグ(1C、1D)、親和性標識(1E)、生体共役反応ハンドル(アルデヒド1F、ケトン1G、及びアルキン1H)、光化学架橋剤(1I)、ならびに複合体薬物分子(1J)を含む様々な重要な基で官能基化するために用いることができる。重要なことには、パラジウム(II)錯体は、周囲条件下で安定であり、密閉されたバイアル中で、4℃の空気下で、4か月以上にわたって保管することができる。「時間を経過した」試薬は、新たに作製された錯体に匹敵する反応性をなお示した。
一般アリール化手順A。ペプチドP1(4μL、水中150μM)、HO(47μL)、有機溶媒(1μL)、及び緩衝液(6μL、1M)を、0.6mLのプラスチック製エッペンチューブ内で混ぜ合わせ、10秒間ボルテックスすることによって、得られた溶液を混合した。有機溶媒中のパラジウム錯体の原液(2μL、600μM)を一度に添加し、反応チューブをボルテックスし、適切な試薬混合を確実にし、室温で5分間放置した。3−メルカプトプロピオン酸(6.3μL、水中0.05μL/mLの溶液、パラジウム錯体に対して3当量)の添加によって、反応物を急冷させた。更に5分後に、(例えば、50%A:50%B(v/v、60μL))の溶媒混合物をエッペンチューブに添加し、反応混合物をLC−MSにより分析した。
急冷前の反応物の最終濃度:ペプチドP1−10μM、Pd錯体−20μM、緩衝液−100mM、有機溶媒:HO=5:95。
アリール化ペプチドP1−Aを、一般手順Aに従って合成した。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1A−OTf−20μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
アリール化ペプチドP1−Bを、一般手順Aに従って合成した。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1B−20μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
アリール化ペプチドP1−Cを、一般手順Aに従って合成した。3−メルカプトプロピオン酸(12.5μL、水中0.05μL/mL溶液、1Cに対して2当量)の添加によって、反応を急冷させた。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1C−30μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
アリール化ペプチドP1−Dを、一般手順Aに従って合成した。3−メルカプトプロピオン酸(6.3μL、水中0.05μL/mL溶液、1Dに対して2当量)の添加によって、反応を急冷させた。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1D−30μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
アリール化ペプチドP1−Eを、一般手順Aに従って合成した。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1E−20μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
アリール化ペプチドP1−Aを、一般手順Aに従って合成した。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1A−X(X=Cl、Br、I)−20μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
アリール化ペプチドP1−Fを、一般手順Aに従って合成した。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1F−20μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
アリール化ペプチドP1−Gを、一般手順Aに従って合成した。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1G−20μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
アリール化ペプチドP1−Hを、一般手順Aに従って合成した。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1H−20μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
アリール化ペプチドP1−Iを、一般手順Aに従って合成した。3−メルカプトプロピオン酸(6.3μL、水中0.05μL/mL溶液、1Iに対して1当量)の添加によって、反応を急冷させた。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1I−60μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
アリール化ペプチドP1−Jを、一般手順Aに従って合成した。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1J−20μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
ビニル化ペプチドP1−ビニルを、一般手順Aに従って合成した。3−メルカプトプロピオン酸(6.3μL、水中0.05μL/mL溶液、1−ビニルに対して1.5当量)の添加によって、反応を急冷させた。急冷前の最終濃度:ペプチド−10μM、1−ビニル−40μM、0.1Mのトリス(pH7.5)、CHCN:HO=5:95
実施例16−アリール化ペプチドの安定性評価
アリール化ペプチドの安定性を、N−エチルマレイミド、2−ブロモアセトアミド、及び臭化ベンジルを含む試薬との反応から形成された抱合体のものと比較した。S−アリール化ペプチドは、酸、塩基、及び外部チオール求核試薬に対して安定であることを示した。対照的に、対応するアセトアミド誘導体は、酸性及び塩基性条件下で不安定であり、マレイミド抱合体は、塩基及び外因性チオールの存在下で分解した。最終的に、過ヨウ素酸酸化剤による処理に対するアリール及びベンジル抱合体の両方の同程度の安定性が、37℃で観察された。
塩基、酸、または外部チオール求核試薬の存在下での安定性評価
ペプチドP1抱合体を、プラスチック製エッペンチューブ内で水に予め溶解し、安定性評価実験で使用される1.11mMの原液を得た。各実験については、対応するシステイン抱合体(1.11mM、18μL)及び安定性試験試薬(2μL、HO中50mMまたは1Mのトリス、pH7.4中50mM)を、プラスチック製エッペンチューブ内で混ぜ合わせ、室温で2日間放置し、その後、37℃で4日まで放置した。その後、個々の反応を、50%A:50%B(v/v、200μL)の溶液で急冷させ、得られた試料をLC−MSにより分析した。
基本条件
安定性試験試薬:KCO(2μL、水中、50mM);
急冷後の最終条件:1mMのペプチド、5mMのKCO;室温で2日間、その後37℃で4日間。
酸性条件
安定性試験試薬:HCl(2μL、水中、1M);
急冷後の最終条件:1mMのペプチド、0.1MのHCl;室温で2日間、その後37℃で4日間。
外部チオール求核試薬:GSHの存在
安定性試験試薬:グルタチオン(2μL、1Mのトリス;pH7.4中、50mM)
急冷後の最終条件:1mMのペプチド、5mMのGSH、0.1Mのトリス、pH7.4;室温で2日間、その後37℃で4日間。
酸化に対するシステイン抱合体の安定性
パラ電子求引性シアノ基を取り付けることによって、アリール化ペプチドの芳香族環の電子特性の更なる同調を達成することができた。この修飾は、酸化の量を著しく減少させ、全ての評価された抱合体にわたって、最も安定なペプチドを生成した。とりわけ、ベンジル抱合体中にパラシアノ基を取り付けることは、酸化に対していかなる影響も有さなかった。
ペプチドP2抱合体を、プラスチック製エッペンチューブ内で水に予め溶解し、酸化安定性評価実験で使用される111.1μMの原液を得た。次いで、対応するシステイン抱合体(18μL、HO中、111.1μM)及びHIO(2μL、HO中、4mM)を、プラスチック製エッペンチューブ内で混ぜ合わせ、ボルテクサーを用いて混合し、37℃に予熱した水浴に移した。個々の反応物を、10分、30分、1時間、2時間、4時間、及び6時間後に、NaSO(20μL、HO中、4mM)で急冷し、得られた混合物を、室温で更に10分間保持した。その後、50%A:50%B(v/v、160μL)の溶液を添加し、得られた試料をLC−MSにより分析した(図14)。急冷前の最終条件:100μMのペプチド、400μMのHIO、37℃。
実施例17−タンパク質修飾
この反応は、タンパク質を用いて探究した。N末端、C末端、及びループを含む構造的に別個の位置にシステインを含有する、3つの抗体模倣物タンパク質(P4〜P6)を発現させた。反応の選択性を確認するために、システインを含まない同じタンパク質を比較対照として用いた(P7〜P9)。全ての3つのタンパク質(P4〜P6)を、クマリン(図15)または薬物分子(図17)のいずれかで、1μMのタンパク質濃度にて30分以内に定量的にタグ付きした。システインを欠如するタンパク質では、アリール化生成物は生成しなかった(図18)。低マイクロモルタンパク質濃度におけるこの反応の高反応速度及び高効率は、より長い反応時間が必要とされ、かつ一般的により低い変換が観察された、報告された有機金属試薬を用いる生体共役反応法(Kung,K.K.−Y.et al.Chem.Commun.50,11899−11902(2014))とは、対照的である。修飾タンパク質は、標準脱塩技術を用いて、残りのパラジウム種、リガンド、及び多の小分子から容易に分離することができる。
タンパク質標識付け
20mMのトリス及び150mMのNaCl緩衝液(pH7.5)の475μL中、タンパク質(500ピコモル)の溶液に、DMF中、パラジウム−クマリン錯体1Dまたはパラジウム−薬物錯体1J(25μL、200μM)を添加した。この溶液を、上下に20回ピペッティングし、適切な試薬混合を確実にした。反応混合物を、室温で30分間放置した。その後、20mMのトリス及び150mMのNaCl緩衝液(pH7.5)中に溶解した3−メルカプトプロピオン酸(25μL、2mM)の添加によって、反応物を急冷させた。室温で更に5分間放置した後に、0.2%のTFAを含有する1:1のCHCN/HO(v/v)の500μLを添加し、得られた混合物を、LC−MSにより分析した。
実施例18−ハロアリール化生成物の反応性
ハリアリール化ペプチド(すなわち、アリール−ハロゲン化物結合を含有する)は、外部チオールにより更なるクロスカップリング反応を受け、更なる複雑さを備えたアリール化ペプチドを生成することができる。図19で実証されるように、ペプチドアリール化反応の生成物は、他のチオール含有ペプチドとの反応、または更にはチオール含有冷却剤との反応も受けた。
実施例19−ステープルペプチド
本明細書で論じられるステープルペプチドもまた、代替的な非対称プロセスによって生成することができる。ものパラジウムハロアリール化試薬(すなわち、アリール−ハロゲン化物結合を含有する試薬)は、システイン含有ペプチドとの反応を受けた。この第1のクロスカップリング反応ステップ後の、ペプチド中の第2のシステイン残基との第2のクロスカップリング反応は、目的のペプチド生成物を得た(図20)。
実施例20−プレ触媒による生体分子アリール化
空気安定性Ph−メシレートパラジウムプレス触媒(例えば、第2世代ブッフワルド触媒などの2−アミノビフェニルPd種)もまた、生体分子アリール化反応のための触媒として使用することができる。ハロゲン化アリール試薬とともに使用されたとき、これらのプレ触媒は、アリール化ペプチド生成物を生成した(図21)。
参照による援用
本明細書に挙げられた米国特許及び米国特許出願公開の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
均等物
当業者は、本明細書に記載される本発明の多くの均等物を認識し、またはわずかな日常的な実験を用いるだけでこれらを確認することができるであろう。このような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるよう意図される。

Claims (123)

  1. チオールまたはセレノールを官能基化する方法であって、前記方法が、スキーム1によって表され、
    式中、
    が、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
    が、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
    Yが、SまたはSeであり、
    が、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
    Mが、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
    Arが、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルであり、
    Xが、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
    Lが、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
    nが、1〜5の整数であり、
    mが、1または2であり、
    溶媒が、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、または非極性溶媒である、方法。
  2. Lが、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    からなる群から選択され、
    が、各出現につき独立して、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
    が、CHまたはNであり、
    が、Hまたはアルキルであり、
    が、Hまたはアルキルであり、
    が、H、アルコキシ、またはアルキルであり、
    が、アルキルまたはアリールであり、
    が、アルキルまたはアリールであり、
    qが、1、2、3、または4である、請求項1に記載の方法。
  3. Lが、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. Mが、PdまたはNiである、請求項2に記載の方法。
  5. MがPdであり、Lが、
    である、請求項2に記載の方法。
  6. Lが、
    である、請求項5に記載の方法。
  7. Lが、
    である、請求項6に記載の方法。
  8. MがNiであり、Lが、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    である、請求項2に記載の方法。
  9. Lがdppfである、請求項8に記載の方法。
  10. Lが、
    である、請求項2に記載の方法。
  11. Lが、
    である、請求項2に記載の方法。
  12. Xが、ハロゲン化物またはトリフレートである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. Arが、(C〜C10)炭素環式アリール、(C〜C12)ヘテロアリール、(C〜C14)多環式アリール、またはアルケニルであり、かつArが、任意に、ハロゲン化物、アシル、アジド、イソチオシアネート、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニルまたは保護されたアルキニル、アルコキシル、アリールカルボニル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−CF、−CF、−CFR 、−CN、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、及び−(CH−FG−Rからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基によって置換され、
    pが、各出現につき独立して、0〜10の整数であり、
    FGが、各出現につき独立して、C(O)、CO、O(CO)、C(O)NR、NRC(O)、O、Si(R、C(NR)、(RN(CO)N(R、OC(O)NR、NRC(O)O、及びC(N=N)からなる群から選択され、
    が、各出現につき独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択され、
    2つ以上の置換基がAr上に存在する場合には、前記置換基のうちの2つが一緒になって、環を形成してもよい、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. Arが、蛍光体、造影剤、検出試薬、生体分子、治療薬、親油性部分、高親和性結合対の成員、または細胞−受容体標的化剤に共有結合される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. Arが、ビオチンに共有結合される、請求項14に記載の方法。
  16. Arが、フルオレセインに共有結合される、請求項14に記載の方法。
  17. Arが、治療薬に共有結合され、前記治療薬が、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブである、請求項14に記載の方法。
  18. Arが、蛍光体によって構成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  19. Arが、治療薬によって構成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記治療薬が、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブである、請求項19に記載の方法。
  21. 及びAが、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. が、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、またはトリプトファンを含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. が、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、またはトリプトファンを含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 及びAが、システインまたはセレノシステインを含まない、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 限定試薬が、
    である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 及びAが、−SHまたは−SeH部分を含むとき、
    の量対
    の量に
    中の−SH及び−SeH部分の総数を乗じたモル比が、1:1超である、請求項1〜23及び25のいずれか一項に記載の方法。
  27. がHである、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. Xがハロゲン化物である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. Xが塩化物である、請求項28に記載の方法。
  30. Xがトリフレートである、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  31. 及びAが、共有結合される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 溶媒が水を含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記溶媒が水性緩衝液を含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
  34. バイオポリマー中のチオールまたはセレノールを官能基化する方法であって、チオールまたはセレノール部分を含むバイオポリマーを、構造式IIの試薬と接触させ、これによって、前記チオールまたはセレノール部分が、−S−Arまたは−Se−Arに変換された官能基化バイオポリマーを生成することを含み、
    式中、
    Mが、Ni、Pd、またはPtであり、
    Arが、任意に置換されたアリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルであり、
    Xが、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
    Lが、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
    mが、1または2である、方法。
  35. 前記バイオポリマーが、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、オリゴ糖、または多糖である、請求項34に記載の方法。
  36. Lが、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    からなる群から選択され、
    が、各出現につき独立して、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
    が、CHまたはNであり、
    が、Hまたはアルキルであり、
    が、Hまたはアルキルであり、
    が、H、アルコキシ、またはアルキルであり、
    が、アルキルまたはアリールであり、
    が、アルキルまたはアリールであり、
    qが、1、2、3、または4である、請求項34または35に記載の方法。
  37. Lが、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
  38. Mが、PdまたはNiである、請求項36に記載の方法。
  39. MがPdであり、Lが、
    である、請求項36に記載の方法。
  40. Lが、
    である、請求項39に記載の方法。
  41. Lが、
    である、請求項39に記載の方法。
  42. MがNiであり、Lが、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    である、請求項36に記載の方法。
  43. Lがdppfである、請求項42に記載の方法。
  44. Lが、
    である、請求項36に記載の方法。
  45. Lが、
    である、請求項36に記載の方法。
  46. Xが、ハロゲン化物またはトリフレートである、請求項34〜45のいずれか一項に記載の方法。
  47. Arが、(C〜C10)炭素環式アリール、(C〜C12)ヘテロアリール、(C〜C14)多環式アリール、またはアルケニルであり、かつArが、任意に、ハロゲン化物、アシル、アジド、イソチオシアネート、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニルまたは保護されたアルキニル、アルコキシル、アリールカルボニル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−CF、−CF、−CFR 、−CN、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、及び−(CH−FG−Rからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基によって置換され、
    pが、各出現につき独立して、0〜10の整数であり、
    FGが、各出現につき独立して、C(O)、CO、O(CO)、C(O)NR、NRC(O)、O、Si(R、C(NR)、(RN(CO)N(R、OC(O)NR、NRC(O)O、及びC(N=N)からなる群から選択され、
    が、各出現につき独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択され、
    2つ以上の置換基がAr上に存在する場合には、前記置換基のうちの2つが一緒になって、環を形成してもよい、請求項34〜46のいずれか一項に記載の方法。
  48. Arが、蛍光体、造影剤、検出試薬、生体分子、治療薬、親油性部分、高親和性結合対の成員、または細胞−受容体標的化剤に共有結合される、請求項34〜47のいずれか一項に記載の方法。
  49. Arが、ビオチンに共有結合される、請求項48に記載の方法。
  50. Arが、フルオレセインに共有結合される、請求項48に記載の方法。
  51. Arが、治療薬に共有結合され、前記治療薬が、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブである、請求項48に記載の方法。
  52. Arが、蛍光体によって構成される、請求項34〜47のいずれか一項に記載の方法。
  53. Arが、治療薬によって構成される、請求項34〜47のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記治療薬が、トラメチニブ、トポテカン、アビラテロン、ダブラフェニブ、またはバンデタニブである、請求項53に記載の方法。
  55. 方法であって、前記方法が、スキーム4によって表され、
    式中、
    が、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
    が、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
    、A、及びAが、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸からなる群から選択され、
    Yが、SまたはSeであり、
    が、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
    Mが、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
    が、芳香族基、ヘテロ芳香族基、アルケン基、またはシクロアルケン基を含む任意に置換された架橋部分であり、
    yが、2、3、4、5、または6であり、
    Xが、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
    Lが、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
    nが、1〜5の整数であり、
    mが、1または2であり、
    各Zが、独立して
    −S−アルキル、−SH、−S−(CH−COH、−SCH(CH)−COH、または−SCH(COH)−CHCOHであり、
    溶媒が、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、または非極性溶媒である、方法。
  56. Lが、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    からなる群から選択され、
    が、各出現につき独立して、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
    が、CHまたはNであり、
    が、Hまたはアルキルであり、
    が、Hまたはアルキルであり、
    が、H、アルコキシ、またはアルキルであり、
    が、アルキルまたはアリールであり、
    が、アルキルまたはアリールであり、
    qが、1、2、3、または4である、請求項55に記載の方法。
  57. Lが、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    からなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
  58. Mが、PdまたはNiである、請求項56に記載の方法。
  59. MがPdであり、Lが、
    である、請求項56に記載の方法。
  60. Lが、
    である、請求項59に記載の方法。
  61. Lが、
    である、請求項60に記載の方法。
  62. MがNiであり、Lが、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    である、請求項56に記載の方法。
  63. Lがdppfである、請求項62に記載の方法。
  64. Lが、
    である、請求項56に記載の方法。
  65. Lが、
    である、請求項56に記載の方法。
  66. Xが、ハロゲン化物またはトリフレートである、請求項55〜65のいずれか一項に記載の方法。
  67. が、芳香族基を含む、請求項55〜66のいずれか一項に記載の方法。
  68. yが2であり、Rが、
    からなる群から選択される、請求項55〜66のいずれか一項に記載の方法。
  69. 及びAが、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質である、請求項55〜68のいずれか一項に記載の方法。
  70. が、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、またはトリプトファンを含む、請求項55〜69のいずれか一項に記載の方法。
  71. が、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、またはトリプトファンを含む、請求項55〜70のいずれか一項に記載の方法。
  72. 及びAが、システインまたはセレノシステインを含まない、請求項55〜71のいずれか一項に記載の方法。
  73. がHである、請求項55〜72のいずれか一項に記載の方法。
  74. Xがハロゲン化物である、請求項55〜73のいずれか一項に記載の方法。
  75. Xが塩化物である、請求項74に記載の方法。
  76. Xがトリフレートである、請求項55〜73のいずれか一項に記載の方法。
  77. 及びAが、共有結合される、請求項55〜76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 溶媒が水を含む、請求項55〜77のいずれか一項に記載の方法。
  79. 前記溶媒が水性緩衝液を含む、請求項55〜77のいずれか一項に記載の方法。
  80. 方法であって、
    第1のチオール部分または第1のセレノール部分と、第2のチオールまたは第2のセレノール部分とを含むバイオポリマーを、式IVの試薬と接触させて、これによって、前記第1のチオール部分または前記第1のセレノール部分が、−Rによって前記第2のチオール部分または前記第2のセレノール部分に共有結合された、官能基化バイオポリマーを生成することを含み、
    式中、各出現につき独立して、
    Mが、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
    が、芳香族基、ヘテロ芳香族基、アルケン基、またはシクロアルケン基を含む任意に置換された架橋部分であり、
    yが、2、3、4、5、または6であり、
    Xが、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
    Lが、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
    mが、1または2である、方法。
  81. 前記バイオポリマーが、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、オリゴ糖、または多糖である、請求項80に記載の方法。
  82. Lが、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    からなる群から選択され、
    が、各出現につき独立して、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
    が、CHまたはNであり、
    が、Hまたはアルキルであり、
    が、Hまたはアルキルであり、
    が、H、アルコキシ、またはアルキルであり、
    が、アルキルまたはアリールであり、
    が、アルキルまたはアリールであり、
    qが、1、2、3、または4である、請求項80または81に記載の方法。
  83. Lが、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    からなる群から選択される、請求項82に記載の方法。
  84. Mが、PdまたはNiである、請求項82に記載の方法。
  85. MがPdであり、Lが、
    である、請求項82に記載の方法。
  86. Lが、
    である、請求項85に記載の方法。
  87. Lが、
    である、請求項85に記載の方法。
  88. MがNiであり、Lが、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    である、請求項82に記載の方法。
  89. Lがdppfである、請求項88に記載の方法。
  90. Lが、
    である、請求項82に記載の方法。
  91. Lが、
    である、請求項82に記載の方法。
  92. Xが、ハロゲン化物またはトリフレートである、請求項80〜91のいずれか一項に記載の方法。
  93. が、芳香族基を含む、請求項80〜92のいずれか一項に記載の方法。
  94. yが2であり、Rが、
    からなる群から選択される、請求項80〜92のいずれか一項に記載の方法。
  95. Arが、少なくとも1つのハロゲン化物置換基によって置換され、かつアシル、アジド、イソチオシアネート、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニルまたは保護されたアルキニル、アルコキシル、アリールカルボニル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−CF、−CF、−CFR 、−CN、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、及び−(CH−FG−Rからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基によって任意に置換された(C〜C10)炭素環式アリール、(C〜C12)ヘテロアリール、(C〜C14)多環式アリール、またはアルケニルであり、
    pが、各出現につき独立して、0〜10の整数であり、
    FGが、各出現につき独立して、C(O)、CO、O(CO)、C(O)NR、NRC(O)、O、Si(R、C(NR)、(RN(CO)N(R、OC(O)NR、NRC(O)O、及びC(N=N)からなる群から選択され、
    が、各出現につき独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択される、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
  96. 化合物III、
    を、チオール部分またはセレノール部分を含有する化合物と接触させ、これによって、カップリング生成物を得ることを更に含む、請求項95に記載の方法。
  97. チオール部分またはセレノール部分を含有する前記化合物が、約500g/モル未満の分子量を有する小分子である、請求項96に記載の方法。
  98. チオール部分またはセレノール部分を含有する前記化合物が、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質などの生体分子である、請求項96に記載の方法。
  99. 化合物IIIをチオール部分またはセレノール部分を含有する化合物と接触させる前記ステップが、スキーム1に示された前記反応からのPd副産物の存在下で起こる、請求項95〜98のいずれか一項に記載の方法。
  100. 方法であって、前記方法が、スキーム5によって表され、
    式中、
    が、H、アミン保護基、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
    が、NH、NH(アミド保護基)、N(アミド保護基)、OH、O(カルボキシレート保護基)、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
    、A、及びAが、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸からなる群から選択され、
    Yが、SまたはSeであり、
    が、H、アルキル、アリールアルキル、アシル、アリール、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、または抗体断片であり、
    Mが、Ni、Pd、Pt、Cu、またはAuであり、
    Xが、ハロゲン化物、トリフレート、テトラフルオロボレート、テトラアリールボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(アルキルスルホニル)アミド、テトラフルオロホスフェート、ヘキサフルオロホスフェート、アルキルスルホネート、ハロアルキルスルホネート、アリールスルホネート、過塩素酸塩、ビス(フルオロアルキルスルホニル)アミド、ビス(アリールスルホニル)アミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロアルキル−カルボニル)アミド、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ホスフィン酸塩、または次亜塩素酸塩であり、
    Lが、各出現につき独立して、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、(アルケニル)(アルキル)(アリール)ホスフィン、アルケニルジアリールホスフィン、アルケニルジアルキルホスフィン、酸化ホスフィン、ビス(ホスフィン)、ホスホラミド、トリアリールホスホネート、N−複素環状カルベン、任意に置換されたフェナントロリン、任意に置換されたイミノピリジン、任意に置換された2,2’−ビピリジン、任意に置換されたジイミン、任意に置換されたトリアゾリルピリジン、または任意に置換されたピラゾリルピリジンであり、
    が、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはシクロアルケニルであり、
    が、任意に、ハロゲン化物、アシル、アジド、イソチオシアネート、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニルまたは保護されたアルキニル、アルコキシル、アリールカルボニル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、−CF、−CF、−CFR 、−CN、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、−(CH−FG−R、及びZから選択される1つ以上の置換基によって更に置換され、
    Zが、
    −S−アルキル、−SH、−S−(CH−COH、−SCH(CH)−COH、または−SCH(COH)−CHCOHであり、
    pが、各出現につき独立して、0〜10の整数であり、
    FGが、各出現につき独立して、C(O)、CO、O(CO)、C(O)NR、NRC(O)、O、Si(R、C(NR)、(RN(CO)N(R、OC(O)NR、NRC(O)O、及びC(N=N)からなる群から選択され、
    が、各出現につき独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニルからなる群から選択され、
    nが、1〜5の整数であり、
    mが、1または2であり、
    溶媒が、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、または非極性溶媒である、方法。
  101. Lが、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    からなる群から選択され、
    が、各出現につき独立して、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、
    が、CHまたはNであり、
    が、Hまたはアルキルであり、
    が、Hまたはアルキルであり、
    が、H、アルコキシ、またはアルキルであり、
    が、アルキルまたはアリールであり、
    が、アルキルまたはアリールであり、
    qが、1、2、3、または4である、請求項100に記載の方法。
  102. Lが、PPh、PhP−CH、PhP(CH、P(o−tol)、PCy、P(tBu)、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    からなる群から選択される、請求項101に記載の方法。
  103. Mが、PdまたはNiである、請求項101に記載の方法。
  104. MがPdであり、Lが、
    である、請求項101に記載の方法。
  105. Lが、
    である、請求項104に記載の方法。
  106. Lが、
    である、請求項105に記載の方法。
  107. MがNiであり、Lが、BINAP、dppb、dppe、dppf、dppp、
    である、請求項101に記載の方法。
  108. Lがdppfである、請求項107に記載の方法。
  109. Lが、
    である、請求項101に記載の方法。
  110. Lが、
    である、請求項101に記載の方法。
  111. Xが、ハロゲン化物またはトリフレートである、請求項100〜110のいずれか一項に記載の方法。

  112. が、
    からなる群から選択される、請求項100〜111のいずれか一項に記載の方法。
  113. 及びAが、独立して、天然もしくは非天然アミノ酸、複数の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質である、請求項100〜112のいずれか一項に記載の方法。
  114. が、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、またはトリプトファンを含む、請求項100〜113のいずれか一項に記載の方法。
  115. が、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、チロシン、またはトリプトファンを含む、請求項100〜114のいずれか一項に記載の方法。
  116. 及びAが、システインまたはセレノシステインを含まない、請求項100〜115のいずれか一項に記載の方法。
  117. がHである、請求項100〜116のいずれか一項に記載の方法。
  118. Xがハロゲン化物である、請求項100〜117のいずれか一項に記載の方法。
  119. Xが塩化物である、請求項118に記載の方法。
  120. Xがトリフレートである、請求項100〜117のいずれか一項に記載の方法。
  121. 及びAが、共有結合される、請求項100〜120のいずれか一項に記載の方法。
  122. 溶媒が水を含む、請求項100〜121のいずれか一項に記載の方法。
  123. 前記溶媒が水性緩衝液を含む、請求項100〜121のいずれか一項に記載の方法。
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