JP2017521677A - タンパク質高次構造を比較するための方法 - Google Patents

タンパク質高次構造を比較するための方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017521677A
JP2017521677A JP2017513614A JP2017513614A JP2017521677A JP 2017521677 A JP2017521677 A JP 2017521677A JP 2017513614 A JP2017513614 A JP 2017513614A JP 2017513614 A JP2017513614 A JP 2017513614A JP 2017521677 A JP2017521677 A JP 2017521677A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
labeled
target protein
suspension buffer
target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017513614A
Other languages
English (en)
Inventor
グラバン,エリック,エム.
ヴァシェット,リチャード
ゾウ,ユーピン
Original Assignee
リクレイムアールエックス,エルエルシー
ユニバーシティ オブ マサチューセッツ
ユニバーシティ オブ マサチューセッツ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by リクレイムアールエックス,エルエルシー, ユニバーシティ オブ マサチューセッツ, ユニバーシティ オブ マサチューセッツ filed Critical リクレイムアールエックス,エルエルシー
Publication of JP2017521677A publication Critical patent/JP2017521677A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6803General methods of protein analysis not limited to specific proteins or families of proteins
    • G01N33/6848Methods of protein analysis involving mass spectrometry
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/13Labelling of peptides
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2560/00Chemical aspects of mass spectrometric analysis of biological material

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

本開示のいくつかの態様は、質量分析法を用いてタンパク質治療物質のHOSの変化を直接的に比較することを可能にする共有結合標識物質を用いて、タンパク質の高次構造(HOS)を比較するための方法を含む。本発明の方法を用いて、複雑な生物学的化合物を製造および/または保存する工程を変更することの影響についての情報を得、さらには、タンパク質治療物質のHOSが保存中に自発的に変化したか判定することもできる。さらに他の用途には、商標の付いた生物学的治療用化合物をバイオシミラー化合物と比較すること、およびタンパク質の凝集状態の変化を測定することが含まれる。

Description

優先権主張
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2014年5月21日に出願した米国仮特許出願第62/001,303号明細書の利益を主張するものである。
本発明は、タンパク質の高次構造の特徴付け、ならびにそれらの高次構造の差異の存在および程度を決定するためのそれらの比較に関する。
タンパク質は、重要かつ発展している種類の治療用化合物に相当する。ヒトおよび動物の疾患および他の状態を治療するための多くの極めて重要な治療用化合物は、現在、市場に出まわっており、さらに多くのものが開発中である。一般的なタンパク質および特に治療物質として使用されるタンパク質によってもたらされる1つの問題は、それらの高次構造(HOS)の正確な理解を得、かつ薬物の開発および商品化のライフサイクルの間、このHOSが不変のままであるように徹底することである。例としては、製造、輸送、または保存条件の変更がタンパク質の高次構造に与える影響を決定することが挙げられる。さらに他の例としては、提案されるバイオシミラー治療用化合物と生物学的に同等と推定される認可されたタンパク質治療物質との構造的類似性を決定することが挙げられる。
しかし、タンパク質構造の固有の複雑さが原因で、タンパク質の高次構造の高分解能解析を実現するために取り組まなければならない問題が生じる。これらの問題を克服するために、様々な方法が開発されている。これらの問題は、タンパク質の構造のわずかな変化がその生物学的特性に影響を及ぼし得る場合、およびコストが工程に織り込まれる場合、急激に増える。
本明細書において開示する本発明の態様は、これらの問題に取り組もうとするものである。
実施形態の第1のセットは、タンパク質の高次構造の変化を検出するための方法であって、所定の一連の条件下で、参照タンパク質を第1の化合物で処理するステップであって、共有結合によって標識された参照タンパク質をもたらす、ステップと;所定の一連の条件下で、標的タンパク質を第1の化合物と接触させるステップであって、共有結合によって標識された標的タンパク質をもたらす、ステップとを含み、ここで、参照タンパク質および標的タンパク質は、同一の一次構造を有し;共有結合によって標識された標的タンパク質および共有結合によって標識された参照タンパク質を質量分析法によって解析するステップとを含む、前記方法を含む。
実施形態の第2のセットは、共有結合によって標識された参照タンパク質および共有結合によって標識された標的タンパク質の解析の結果を比較するステップと;比較するステップにおいて差異が検出される場合に、参照タンパク質と標的タンパク質の高次構造に差異があると結論を下すステップとをさらに含む、実施形態の第1のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第3のセットは、参照タンパク質および標的タンパク質が、システイン、ヒスチジン、リジン、チロシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸を含む、実施形態の第1または第2のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第4のセットは、標的タンパク質が、抗体、酵素、リガンド、または調節因子からなるタンパク質の群から選択される、実施形態の第1〜第3のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第5のセットは、参照タンパク質が、標的タンパク質と同じ処理ステップまたは同じ製造ステップにさらされていない、実施形態の第1〜第4のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第6のセットは、参照タンパク質を安定させるように設計された懸濁緩衝液中または凍結乾燥形態で、参照タンパク質が懸濁緩衝液中または凍結乾燥形態で保存された時間よりも長い期間、標的タンパク質が保存されている、実施形態の第1〜第4のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第7のセットは、懸濁緩衝液が、リン酸、アミノ酸、無機塩類、界面活性剤、金属キレート剤、ポリマー、不活性タンパク質、および保存剤を含む試薬の群から選択される少なくとも1種の試薬を含む、実施形態の第6のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第8のセットは、懸濁緩衝液が、約2.0から約10.0の間、約2から約9.0の間、3から約10.0の間、3から約8.0の間、約3.5から約7.5の間、約4.5から約6.5の間、および約5.5から約7.3の間からなる群から選択される少なくとも1つのpH範囲にあるpHを有する、実施形態の第6または第7のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第9のセットは、懸濁緩衝液が、ヒスチジン、アルギニン、グリシン、メチオニン、プロリン、リジン、グルタミン酸、アラニン、およびアルギニン混合物からなる群から選択されるアミノ酸の内の少なくとも1つを含む、実施形態の第6〜第8のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第10のセットは、懸濁緩衝液が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムからなる群から選択される無機塩類の内の少なくとも1つを含む、実施形態の第6〜第9のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第11のセットは、懸濁緩衝液が、ポリソルベート、SDS、Brij35、およびトリトンX−10からなる群から選択される界面活性剤の内の少なくとも1つを含む、実施形態の第6〜第10のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第12のセットは、懸濁緩衝液が、金属キレート剤としてEDTAを含む、実施形態の第6〜第11のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第13のセットは、懸濁緩衝液が、ポリエチレングリコール(PEG)および多糖からなる群から選択されるポリマーの内の少なくとも1つを含む、実施形態の第6〜第12のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第14のセットは、懸濁緩衝液が、デキストラン、ヒドロキシルエチルデンプン(HETA)、PEG−4000、およびゼラチンからなる群から選択される不活性タンパク質の内の少なくとも1つを含む、実施形態の第6〜第13のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第15のセットは、懸濁緩衝液が、ベンジルアルコール、m−クレゾール、およびフェノールからなる群から選択される保存剤の内の少なくとも1つを含む、実施形態の第6〜第14のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第16のセットは、参照タンパク質および標的タンパク質を標識するのに使用される化合物がピロ炭酸ジエチル(diethyl pyrocarbonate)である、実施形態の第1〜第15のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第17のセットは、標識されるタンパク質が、分子量が少なくとも5kDaであるタンパク質である、実施形態の第1〜第16のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第18のセットは、標識されるタンパク質が、分子量が少なくとも12kDaであるタンパク質である、実施形態の第1〜第16のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第19のセットは、標識されるタンパク質が、治療用タンパク質である、実施形態の第1〜第18のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第20のセットは、標識されるタンパク質が、モノクローナル抗体である、実施形態の第1〜第18のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第21のセットは、接触させるステップにおけるタンパク質の濃度および/または化合物の濃度の関数として、標的タンパク質中の標識されるアミノ酸の割合を決定するステップをさらに含む、実施形態の第1〜第20のセットに記載の方法を含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、化合物はDEPCである。
実施形態の第22のセットは、標的タンパク質中の、化合物によって修飾されるアミノ酸の割合が、標的タンパク質および化合物が互いに接触している時間の関数として決定される、実施形態の第1〜第21のセットに記載の方法を含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、化合物はDEPCである。
実施形態の第23のセットは、アッセイにおけるタンパク質の1つまたは複数が、部分的な分解または変性を受けている、実施形態の第1〜第22のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第24のセットは、タンパク質凝集物の発生および増大が、1つまたは複数のアミノ酸における標識率(%)に基づいて観察され、標識率(%)は凝集と相関している、実施形態の第1〜第23のセットに記載の方法を含む。
実施形態の第25のセットは、タンパク質のHOSを比較するための手段であって、参照タンパク質を共有結合標識で標識して、標識された参照タンパク質を形成させるステップと;標的タンパク質を共有結合標識でタグ化して、標識された標的タンパク質を形成させるステップとを含み、ここで、参照タンパク質と標的タンパク質の両方とも、タンパク質を共有結合によって標識する少なくとも1つの試薬で処理され;標識された参照タンパク質と標識された標的タンパク質の両方を、同じ質量分析法を用いて解析するステップと;標識された参照タンパク質および標識された標的タンパク質の質量スペクトルを互いに比較するステップとを含み、ここで、前記参照タンパク質および前記標的タンパク質は、互いに実質的に類似している、前記手段を含む。
実施形態の第26のセットは、参照タンパク質および標的タンパク質を共有結合によって標識する試薬がピロ炭酸ジエチルである、実施形態の第25のセットに記載の手段を含む。
本発明のいくつかの実施形態において、改変されていない状態のタンパク質の試料が、ペプチドマップを決定するために消化され解析される。消化は、トリプシンまたはキモトリプシンなどのタンパク質分解酵素とタンパク質を組み合わせることおよび共にインキュベートすることからなる。酵素は、反応を停止され、後処理後、ペプチドが質量分析法によって解析される。
いくつかの実施形態において、改変されていない状態のタンパク質(すなわち、参照タンパク質)の試料は、次いで、共有結合によって修飾される。修飾は、そのタンパク質のアミノ酸構成に基づいて、目的のタンパク質を標識するのに最も適した共有結合標識を最初に特定するステップを含んでよい。複数の共有結合標識が使用されることになっている場合、各々が、個別にタンパク質と組み合わされてもよく、または同時にタンパク質と組み合わされてもよい。タンパク質の試料は、適切な緩衝液中で共有結合標識と組み合わされる。これらの方法のいくつかの実施形態において、試料は、標識の組込み率(%)を追跡できるように、時間の関数として溶液から採取される。この方法の他の実施形態において、複数の試料調製物が発生し、各調製物中のタンパク質および共有結合標識の相対濃度は異なり、試料は、同じ反応時間が経過した後、これらの各調製物から採取される。この場合、標識の組込み率(%)は、共有結合標識濃度の関数として追跡することができる。この手法は、共有結合標識が反応溶液中で分解し得る場合、例えば、無水物標識が水性緩衝液中で使用される場合に、しばしば使用される。前述したように、各試料は、消化され、質量分析法によって解析される。共有結合標識実験の質量分析結果を最初のペプチドマッピング実験と比較することにより、共有結合標識によって修飾される残基を同定すること、ならびに各残基における修飾の程度を時間および/または濃度の関数として特定することが可能になる。複数の標識から得られた結果を合わせて、全体的なタンパク質HOSについての、より完全な説明を与えることができる。
いくつかの実施形態において、標的タンパク質の試料は、次いで、参照タンパク質について説明したのと同じ共有結合標識方法に供される。次いで、標的タンパク質の質量分析結果は、参照タンパク質と比較することができ、その際、時間および/または濃度の関数として、標識の位置および標識の程度が比較される。位置および/または組込み率(%)の変化から、参照タンパク質と比べて標的タンパク質のHOS構造が変化していることが示唆される。
本発明のいくつかの実施形態は、タンパク質の高次構造を決定するための方法であって、共有結合によって標識された標的タンパク質を作製するために、標的タンパク質の少なくとも一部分を共有結合標識と接触させるステップと;標識された参照タンパク質を作製するために、同じ共有結合標識を用いて参照タンパク質を修飾するステップと;同じ質量分析技術を用いて、共有結合によって標識された標的タンパク質および標識された参照タンパク質を解析するステップと;標識された標的タンパク質と標識された参照タンパク質の間に検出可能な差異があるかを判定するために、共有結合によって標識された標的タンパク質の解析の結果を参照タンパク質と比較するステップとを含む、前記方法を含む。
本発明のいくつかの実施形態において、標的タンパク質は、システイン、ヒスチジン、リジン、チロシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、単一の共有結合標識が、共有結合によって標識された標的タンパク質を作り出すのに使用される。他の実施形態において、2つ以上の異なる共有結合標識が、共有結合によって標識された標的タンパク質を作り出すのに使用され、その際、個々の共有結合解析の結果がまとめられて、所与のアッセイで測定される、標的タンパク質中のアミノ酸の割合が高まる。
いくつかの実施形態において、これらの方法は、接触させるステップにおけるタンパク質の濃度および/または共有結合標識モディファイヤー(modifier)の濃度の関数として、標的タンパク質中の標識されるアミノ酸の割合を決定するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、標的タンパク質中の、共有結合標識によって修飾されるアミノ酸の割合は、標的タンパク質および少なくとも1つの共有結合標識が互いに接触している時間の関数として決定される。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、部分的な分解または変性を経た可能性があるタンパク質、特に標的タンパク質を用いて実施される。
本発明のさらに他の態様は、タンパク質のHOSを比較するための手段であって、参照タンパク質を共有結合標識で標識して、標識された参照タンパク質を形成させるステップと;標的タンパク質を共有結合標識でタグ化して、標識された標的タンパク質を形成させるステップと;標識された参照タンパク質と標識された標的タンパク質の両方を、同じ質量分析法を用いて解析するステップと;標識された参照タンパク質および標識された標的タンパク質の質量スペクトルを互いに比較するステップとを含み、ここで、前記参照タンパク質および前記標的タンパク質は、互いに実質的に類似している、前記手段を含む。
熱分解を受けたβ−2−ミクログロブリンのピロ炭酸ジエチル(DEPC)標識の結果を示す棒グラフである。 酸化的分解を受けたβ−2−ミクログロブリンのDEPC標識の結果を示す棒グラフである。 熱分解を受けたエリスロポエチン(EPO)のDEPC標識の結果を示す棒グラフである。 熱分解を受けたIgG1のDEPC標識の結果を示す棒グラフである。重鎖残基1〜199の標識結果を示している。 熱分解を受けたIgG1のDEPC標識の結果を示す棒グラフである。重鎖残基200〜435の標識結果を示している。 熱分解を受けたIgG1のDEPC標識の結果を示す棒グラフである。軽鎖残基の標識結果を示している。 様々な分解条件下での個々のβ−2−ミクログロブリンアミノ酸の修飾率(%)を示す棒グラフである。 75℃で1日経過後のβ−2−ミクログロブリンのサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示すグラフである。 10%過酸化水素への曝露後のβ−2−ミクログロブリンのサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示すグラフである。
新規技術の原理を理解するのを促進するために、その好ましい実施形態が、以下で言及され、特殊な専門用語が、それを説明するのに使用される。それでもなお、それによって新規技術の範囲を限定することはまったく意図されず、この新規技術が関係する技術分野の熟練者が通常思い付くと思われるような、企図される新規技術の原理の変更、修正、およびさらなる応用は、本開示および特許請求の範囲に収まることが理解されよう。
別段の明示的な定義もなく、別段の明確な意図もない限り、本明細書において使用される用語はすべて、当技術分野で慣習的な意味を与える。
本明細書において使用される場合、別段の明示的な記載もなく、別段の明確な暗示もない限り、「約」という用語は、±10%の値の範囲を意味し、例えば、約1.0は、0.9から1.1までの値を包含する。
本明細書において使用される場合、別段の明確な記載がない限り、高次構造(HOS)とは、二次および三次のタンパク質構造、すなわち、アミノ酸残基および一次構造が、互いに対して3次元空間でどのように並んでいるか、を意味する。タンパク質の二次構造および三次構造の変化が、関連タンパク質を含むタンパク質複合体の四次構造に影響を与える場合があることが、理解されている。
タンパク質の三次構造を決定するための最も分解能が高い方法としては、X線結晶解析およびNMRが挙げられる。しかし、多くのタンパク質は、これらの方法で検査することができない。X線結晶解析は、解析のためにタンパク質を結晶化する必要性(すべてのタンパク質を上手に扱って結晶化できるわけではない)によって、また、結晶型のタンパク質のみが解析されるというこの方法の静的性質によって、制限されている。最も安定な結晶型は、溶液中のタンパク質構造の動的性質を必ずしも表していないため、このことは問題であることが示されている。(Johnson and Suizdak Nature Structural Biology, 1999, 6(2), 114-116)。
タンパク質構造のNMR解析は、溶液中のタンパク質に対して実施されるが、NMRには、高分子量タンパク質に対する限定的な有効性、ならびにHOS情報を得るための、費用および時間のかかる同位体標識を組み込む必要性、といった欠点もある。
さらに、X線結晶解析もNMRも、多量のタンパク質を必要とする場合があり、このことは、限られた試料量のみが利用可能である場合、または化合物を製造するのに費用がかかる場合、問題となり得る。結果として、これらの方法は、配列が現在公知である限られた数のタンパク質にのみ、適用されている。(Reilly, Anal Biochem, 2007, 367, 13-19)。
また、FTIR、UV、蛍光、またはCDなどの分光学的方法も、タンパク質高次構造を解析するためによく使用される。これらの方法は、個々のペプチドまたはアミノ酸といったレベルまでタンパク質構造を分解できず、その代わりに、αヘリックス程度またはβシート程度などの大きな構造特徴に限定されるため、これらの手法には、精度を欠くという欠点がある。(この例については、Ehrard Biochemistry, 1996, 35, 9097-9105を参照されたい)。
タンパク質の質量分析解析。
質量分析法は、タンパク質解析のためにアミノ酸レベルの分解能を提供でき;大型タンパク質、立体構造的柔軟性が高いタンパク質にも対応でき、同位体標識の組込みを必要とせず、また、小さな試料サイズを用いて実施できるため、タンパク質HOS解析のための強力な方法として台頭しつつある。
タンパク質の構造を決定するための多くの質量分析技術は、そのタンパク質の3次元構造に応じた様式で、タンパク質またはそのタンパク質分解断片の質量を変更することを伴う。いくつかの例において、これは、タンパク質を修飾する作用物質とそのタンパク質を接触させることによって、達成することができる。多くの例において、修飾の程度は、タンパク質の様々な領域の溶媒接触性の関数である。これらの方法を用いると、溶媒接触が高レベルで、したがって修飾物質との接触が多いタンパク質領域において、より高い比率で修飾が起こる。接触に影響を与える因子としては、溶媒接触性、タンパク質の折り畳みパターン、および標的/受容体物質とのタンパク質相互作用が挙げられる。
典型的な質量分析解析は、参照として役立つ天然状態の単離タンパク質の試料をペプチドマッピングすることから始まってよい。溶液中で実施される場合、ペプチドマップは、目的のペプチドまたは残基の溶媒接触性の程度を、これらの部位における修飾の程度を測定することによって、示すことができる。次いで、そのタンパク質は、目的の系において研究され得る(例えば、潜在的な結合物質にタンパク質を引き合わせて(introducing)、結合の程度および位置を決定する)。その後、そのタンパク質のペプチドマップを単離タンパク質のペプチドマップのものと比較することにより、各ペプチドまたは残基における溶媒接触性を直接比較することが可能になる。その際、修飾の程度の変化は、タンパク質HOSの変化に、または溶媒中に存在する(based)修飾物質への接近を妨害し得る、受容体への影響された領域の結合に、起因すると考えることができる。この手法は、タンパク質の表面構造解析、タンパク質−リガンド複合体解析、およびタンパク質−タンパク質複合体解析を実施する際に有用であった。
タンパク質の質量分析解析のために一般に使用される方法としては、水素/重水素(H/D)交換、ヒドロキシルラジカルフットプリント法、架橋、およびアミノ酸特異的共有結合標識が挙げられる。
H/D交換戦略は、標識剤としてDOを使用することを伴い、水素結合した水性陽子または重陽子と接触した不安定なアミド水素原子または非脂肪族側鎖水素原子の迅速な交換能力を利用する。この手法では、不安定な水素原子が重水素原子と入れ替わって、タンパク質の主鎖または側鎖の中に重水素が組み込まれる。その後のタンパク質分解切断および質量分析解析によって、タンパク質中への重水素組込みの程度を検出して、前述したように溶媒接触性の決定がなされるのを可能にすることができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5658739号明細書を参照されたい。
H/D交換の利点としては、各アミノ酸はタンパク質主鎖の一部としてアミド官能基を有するため、高分解能でタンパク質動態を測定することが潜在的に可能であること、およびDOはサイズが小さいので、大型分子への接近は限定的であり得るタンパク質部分(例えば、タンパク質折り畳みの内部のアミノ酸)のより近くに接近することが可能になること、が挙げられる。しかし、この手法には、タンパク質中に組み込まれた重水素が、溶媒中に存在する水素原子と逆交換できる、という欠点がある。逆交換は、HPLC/MS解析のための試料調製およびHOベースの移動相への試料曝露を含めて、解析時の多数の時点に起こり得る。低温で、かつ交換される試料のpHを厳密に管理して、H/D交換、タンパク質分解、および質量分析解析を実施することを含めて、様々な戦略が、逆交換を減らすのに使用される。これらの戦略の有効性は、技術に依存し得るか、または特殊な自動化された質量分析システムの使用を必要とし得る。温度およびpHの厳密な必要条件によって課されるさらなる問題は、ペプシンなどのタンパク質分解酵素を用いてタンパク質分解を実施する必要があることであり、これらの酵素は高レベルの基質特異性を欠く場合があり、その結果、多数のペプチドを作り出す酵素消化が起こり、それによって、複雑なデータセットが生じ、骨の折れる解析が必要となる。(Reilly Anal. Chem. 2005, 77, 7274-7281)。
ヒドロキシルラジカルフットプリント法(HRF)戦略では、標識剤としてヒドロキシルラジカルを使用する。この方法では、ヒドロキシルラジカルが、レーザー励起によってタンパク質の存在下で過酸化水素から生成するか、または水へのX線照射によって生じる。ヒドロキシルラジカルは、付加速度はかなり異なるものの、任意のアミノ酸の側鎖と共有結合を形成できるため、HRFは、高分解能の測定を提供する。その後のタンパク質分解切断および質量分析解析によって、タンパク質中へのヒドロキシルラジカル組込みの程度を検出して、前述したように溶媒接触性の決定がなされるのを可能にすることができる。
HRFの利点としては、タンパク質中のほぼ任意のアミノ酸を標識することが潜在的に可能であること、および形成された共有結合は不可逆性であり、H/D交換の場合のように逆交換を減らす必要がなくなること、が挙げられる。しかし、HRFは、ヒドロキシルラジカルを生成させるために、特殊な機器(すなわち、レーザー源またはシンクロトロン源)を必要とする。さらに、ヒドロキシルラジカル標識は、50種を超える異なるタイプの生成物を生じ得るため、データ解析は困難であり、そのことによっても、この方法の感度は低下する。
架橋戦略では、1つのタンパク質構造体内の2つの別々のアミノ酸側鎖に結合する二官能性または三官能性の分子を使用する。架橋剤の官能基の内の2つが、3次元空間において近くに存在する2つの異なるアミノ酸側鎖との結合を形成する。異なる架橋剤は、各反応性官能基間の距離の点で異なっており、したがって、タンパク質の残基間の距離に関する情報を、架橋標識の各末端に結合するそれらの能力に基づいて確認することができる。この方法は、タンパク質構造に関する空間的情報を提供するものの、表面のカバー率は限定的であることが多く、データ解析は極めて困難である。
アミノ酸特異的共有結合標識戦略では、特定のアミノ酸側鎖の官能基と共有結合を形成できる低分子を利用する。この手法では、低分子共有結合標識は、タンパク質溶液に添加され、溶媒に曝露される特定のアミノ酸側鎖と共有結合を形成する。HRFと比べて、共有結合標識と反応できるアミノ酸は少なく、典型的には、ただ1種類の生成物が生成することから、データ解析が平易になり、感度が保持される。次いで、タンパク質分解切断および質量分析解析によって、全ペプチドおよびアミノ酸について側鎖修飾の程度を決定して、溶媒接触性の決定がなされるのを可能にすることができる。共有結合は、特定の側鎖官能基を標的とするため、これらの研究は、特定の残基の反応性を決定するために実施されることが多い。
表1.いくつかの代表的な共有結合標識およびそれらが修飾するアミノ酸の要約を、下記の表に示す。
この手法の1つの利点は、形成する共有結合の不可逆性である。これにより、H/D交換と比べて、試料調製および解析のあらゆる段階で使用される時間、温度、およびpH範囲の融通性が高くなる。また、これにより、トリプシンまたはキモトリプシンなどのペプシンよりも特異性が高いタンパク質分解酵素の使用が可能になり、データ解析を平易にするのに役立つ。別の利点は、標識自体のサイズが比較的大きいことである。重水素とは対照的に、ペプチドに共有結合標識を組み込むと、質量分析法によって検出しやすい標識タンパク質が生じ、それによって、データ解析が平易になる。
この手法の別の利点は、共有結合標識とアミノ酸側鎖官能基の間に共有結合を発生させることが容易であることである。HRFが、ヒドロキシルラジカルを生成させるために特殊な装置の使用を必要とするのに対し、共有結合標識との共有結合形成は、単にタンパク質溶液に共有結合標識を添加することによって、達成することができる。
さらに別の利点は、データ解析が比較的平易であることである。HRF標識は、より多くのアミノ酸を標的とするものの、ずっと多くの異なるタイプの生成物が生じて、質量スペクトル解析を大いに複雑にする。対照的に、アミノ酸特異的共有結合標識は、任意の所与の残基に1つの標識を付加するにすぎず、標識部位の同定を平易にする。
アミノ酸特異的共有結合標識の1つの不利な点は、標識が、特定のアミノ酸側鎖官能基に対して特異的であるということである。20種のアミノ酸の内で、容易に修飾可能な官能基を含む側鎖を有するのは、約14種だけである。さらに、それら14種の修飾可能な側鎖は、同じ部類の修飾物質に対して反応性ではなく、これは、大半の標識が、タンパク質中のアミノ酸の約3〜12%のみと反応する可能性があることを意味する。したがって、今日まで、アミノ酸特異的共有結合標識は一般に、単一のアッセイで、あるタンパク質中に存在する全アミノ酸に関する情報を提供することができない。この方法は、所与のタンパク質中の特定のアミノ酸残基の活性および/またはポジションを検査するのに特に好適であるが、タンパク質の全体的HOSを決定するための方法として使用するには限定的すぎることが判明している。
単一標識手法ほど一般的には使用されていないが、単一共有結合標識手法の特異性によって課される制限を克服するために使用されてきた1つの技術は、タンパク質解析において複数の標識を使用するものである。この技術は、別々の実験を実施することを伴い、各実験は、別個の異なる修飾物質をタンパク質と共に使用する(例えば、EDCおよびGEEを用いてグルタミン酸およびアスパラギン酸を標的とし、次いで、新しく供給された非標識タンパク質を用いる別の実験において、無水マレイン酸を用いてリジンを標的とする。グルタミン酸/アスパラギン酸標識実験およびリジン標識実験の両方の結果を合わせて、アミノ酸の両方のセットに対する総合的な影響を示すことができる)。
複数の修飾物質の使用は、タンパク質結合部位を研究するために、および化学修飾に対する様々な残基の相対的反応速度を決定するために、以前に使用されている。一般に、このような研究の目的は、タンパク質相互作用における残基の相互作用をさらに深く理解すること、または表面マッピングを介してタンパク質の固有の構造的外観を確認することであった。
ピロ炭酸ジエチル(DEPC)は、主に、タンパク質結合相互作用におけるヒスチジン残基の役割を研究するために、アミノ酸特異的共有結合標識のために使用されてきた。DEPCが最高6個の異なるアミノ酸残基(Cys、Lys、Ser、Thr、His、およびTyr)を標識するのに有効であることを示す報告を含めて、タンパク質表面マッピングおよびリガンド結合研究のためのDEPC使用の進歩が、最近起こっている。しかし、これらの研究は、タンパク質とタンパク質の相互作用に限定されており、タンパク質の全体的HOSを測定するのに適した標的としてのDEPCの潜在能力は検討していない。(Mendoza, Antwi, Baron-Rodriguez, and Vachet Biochemistry. 2010, 49, 1522-1532);(Mendoza, Baron-Rodriguez, Blanco, and Vachet Biochemistry. 2011, 50, 6711-6722)。
タンパク質構造の質量分析比較
生物製剤薬物(biologics drugs)の使用の増加に伴い、タンパク質のHOSを高分解能で精査することができる解析方法を開発することへの関心が高まってきている。H/D交換およびHFRなどの質量分析法に基づく方法が、この目的のために調査されている。しかし、H/D交換、HRF、架橋、およびアミノ酸特異的共有結合標識は、タンパク質表面構造解析、タンパク質−リガンド複合体解析、およびタンパク質−タンパク質複合体解析において有効性を示しているが、あるタンパク質の全体的HOSを参照と比較する低コストの信頼性が高い方法が、依然として必要とされている。既存の方法には、特に、タンパク質のHOSが不変のままであるという保証が必要とされる状況において(例えば、製造工程の変更を検討する場合、輸送条件がタンパク質HOSに与える潜在的影響を評価する場合、またはバイオシミラーを評価する場合)、依然として制限がある。アミノ酸特異的共有結合標識は、特定のアミノ酸残基の立体構造研究のために使用されており、立体構造的変化を検出できるが、標識できる残基の数が少ないことが妨げとなって、この方法は、高分解能のタンパク質HOS研究を実現する(generating)単独手段として使用されていない。実際に、最近の研究は、アミノ酸特異的共有結合標識は単独の方法として十分ではなく、H/D交換またはHFRなどの高分解能方法の補完物としてのみ使用されるべきであると主張している。タンパク質治療物質のHOS解析のための既存の方法を評価または考察する他の報告は、H/D交換、HRF、または架橋など他の方法を含む考察において、アミノ酸特異的共有結合標識に言及していない。(Zhang, Shen, Rempel, Monsey, Vidavsky, Gross, and Bose Molecular and Cellular Proteomics, 2011, 10, M110.005678-1 to 16);(Gau, Garai, Frieden, and Gross Biochemistry, 2011, 50, 8117-8126);(Kaur, Kiselar, Shi, Deperalta, Wecksler, Gokulrangan, Ling, and Chance mAbs, 2014, 606, 1486-1499);(Shang, Cui, and Gross FEBS Letters, 2014, 588, 308-317);(Konermann, Vahidi, and Sowole Analytical Chemistry, 2014, 86, 213-232);(Berkowitz, Engen, Mazzeo, and Jones Nature Reviews: Drug Discovery, 2012, 11, 527-540)。
Mendoza, et al. (2008)は、β−2−ミクログロブリンへのCu(II)結合に直接的に関連している構造変化を調査するための、改良されたピロ炭酸ジエチル(DEPC)標識手法に関する。Mendoza and Vachet (2008), Improved Protein Surface Mapping Using Diethylpyrocarbonate with Mass Spectrometric Detection, Anal Chem. 2008 April 15; 80(8): 2895-2904を参照されたい。これらの文献の開示内容は、本明細書の明示的教示と矛盾しない程度まで、その全体が参照により組み込まれる。
Mendoza, et al. (2010)は、Cu(II)結合に直接的に関連しているβ−2−ミクログロブリンのプレアミロイド二量体形成を調査するための共有結合標識手法に関する。Mendoza, et al., Structure of the Pre-amyloid Dimer of β-2-microglobulin from Covalent Labeling and Mass Spectrometry, Biochemistry, 2010 February 23; 49(7): 1522-1532を参照されたい。これらの文献の開示内容は、本明細書の明示的教示と矛盾しない程度まで、その全体が参照により組み込まれる。
Mendoza, et al. (2011)は、Cu(II)結合に直接的に関連しているβ−2−ミクログロブリンのプレアミロイド四量体の構造に関する見識を探求するための共有結合標識手法に関する。Mendoza, et al., Structural Insights into the Pre-amyloid Tetramer of β-2-microglobulin from Covalent Labeling and Mass Spectrometry, Biochemistry, 2011 August 9; 50(31): 6711-6722を参照されたい。これらの文献の開示内容は、本明細書の明示的教示と矛盾しない程度まで、その全体が参照により組み込まれる。
Mendozaらは、DEPC標識およびMS解析の組合せを用いて、特定のアミノ酸残基の標識率(%)にリガンド結合相互作用が与える影響を決定することができることを実証している。Mendozaらによって報告されている研究は、特定のタンパク質のHOSの全体的変化、例えば、治療用タンパク質の構造的完全性を維持するように意図されている条件で保存されているこれらのタンパク質が自発的に変性する間に起こり得るものを、これらの技術が検出できる可能性については言及していない。
また、本明細書において開示する方法は、そのようなタンパク質(例えば、製剤化されていない治療用タンパク質)を製造する間に起こり得るようなタンパク質のHOSの変化および/または差異を検出するのにも使用され得る。また、これらの方法は、商標の付いたタンパク質生物製剤と機能が類似しているバイオシミラータンパク質との差異を検出するのにも使用され得る。
本発明によって、高分解能のタンパク質HOS解析を提供するための単独の方法としてアミノ酸特異的共有結合標識を使用することが可能になる。過去のアミノ酸特異的共有結合標識の主な欠点の内の1つは精査できる残基の数が限定的であることであった(例えば、リジン特異的標識の場合、約7〜8%、またはグルタミン酸/アスパラギン酸特異的標識の場合、約11%)。この制約は、タンパク質のHOSの小さな変化さえも、製品の安定性および有効性に悪い影響を与える場合がある、バイオテクノロジー産業および製薬産業にとって特に重大な意味を持つ。DEPCは、6種の異なるアミノ酸残基を標識するのに使用できて、カバー率が最高で約30%のアミノ酸まで増加するため、それによって、治療用タンパク質およびモノクローナル抗体を含む、タンパク質構造体の高分解能のHOS特徴付けを実現するための単独の方法としてアミノ酸特異的共有結合標識を使用することが可能になる。
さらに、本発明は、アミノ酸特異的共有結合標識の組合せを、H/D交換またはHRFなどの他の方法を必要とせずに、大きな残基カバー率で同じ目的に使用できることも示す。
本発明の1つの利点は、アミノ酸特異的共有結合標識が、HRFおよびH/D交換に必要とされるような特殊な専門技術および/または装置を必要とせずに、タンパク質HOS測定を可能にすることである。その代わりに、アミノ酸特異的共有結合標識は、一般に使用される実験室備品および方法論しか必要としないことから、タンパク質の質量分析解析を日常的に実施する本質的に任意の実験室で実践することが可能になっている。
本発明の別の利点は、少量のタンパク質試料を標識し反応を停止するという単純な工程によって、タンパク質HOS情報を「閉じ込める」ことができることである。結果に影響を与えずに、この試料を凍結し、保存/輸送することができる。これは、H/D交換の場合は可能ではなく、HRFが使用される場合には、試料採取時にレーザー源またはシンクロトロン源の存在を必要とすると思われる。したがって、本発明によって、質量分析装置を直接的に利用できない場所での高分解能タンパク質HOS解析が可能になる。その代わりに、試料を採取し、質量分析解析のために他の場所に輸送することができる。
本発明のいくつかの実施形態は、アミノ酸特異的共有結合標識を用いてタンパク質アミノ酸の溶媒接触性をマッピングし、次いで、標的とされるタンパク質のHOS類似性の程度を決定するために、この解析から得られた結果を参照タンパク質と比較する。この方法のいくつかの実施形態は、単一の低分子共有結合標識、または2つ以上の共有結合標識の組合せの使用を伴ってよい。複数の共有結合標識の使用は、従来の共有結合方法によって提供される、高いロバスト性という利点および低コストという利点を保持しつつ、この技術を用いて直接的に測定されるアミノ酸の比率(%)を高めるのに役立ち得る。
本発明のいくつかの実施形態により、実務者が、タンパク質のアミノ酸組成に基づいて1つまたは複数の低分子共有結合標識を戦略的に選択することが可能になる。これにより、研究される個々のタンパク質に合わせられた、狙いを定めた努力が可能になる。この手法は、実験者が、類似しているがおそらく同一ではない2つ以上の3次元タンパク質構造物のHOSを比較しようとしている場合に、特に有用である。1つまたは複数の共有結合標識の使用は、タンパク質結合部位を研究するために、かつ/または化学修飾に対する様々な残基の相対的反応速度を決定するために、以前に使用されているが、この手法は、タンパク質と参照タンパク質のHOSの比較には適用されていない。
本発明のいくつかの実施形態は、本発明の方法を用いて、望ましい場合があるが、実施前に克服しなければならないタンパク質のHOSへの影響に関する懸念を生じさせる場合もある、製造工程、保存工程、または輸送工程の改善を含む変更を観察することを含む。いくつかの実施形態において、これらの方法は、提案される条件がタンパク質のHOSに与える影響または影響の不在を決定するために、提案される条件と比べてタンパク質試料の現行の条件を用いて、タンパク質試料を比較するのに使用され得る。同様に、この方法は、製造、輸送、または保存条件の故意ではない変化がタンパク質のHOSに与える影響を確かめるのを助けるのにも使用され得る。いくつかの実施形態において、これらの方法は、何らかの即時的影響(例えば、変性または凝集)があるかを判定するのにも使用され得、また、低レベルの変性タンパク質または凝集タンパク質を検出できると考えられるため、安定性を知らせる方法としても使用され得る。いくつかの実施形態において、この方法は、病院、薬局、または診療所での治療用タンパク質試料の受け取り、取扱い、および/または製剤化の前および後にそれらを比較して、これらの活動がタンパク質のHOSに与える影響を決定するのに、使用され得る。さらに他の実施形態は、本発明の方法を用いて、提案されるバイオシミラー化合物が、標的とされる、この場合、商標の付いたタンパク質と同じHOSを有するかを判定するのを助けることを含む。
本発明のいくつかの実施形態は、タンパク質凝集物の発生および増大を観察するために、本発明の方法を使用することを含む。いくつかの実施形態において、これらの方法は、標識の程度が凝集物の形成および増大と相関している残基を特定および観察するために、提案される条件に対してタンパク質試料の現行の条件を用いて、タンパク質試料を比較するのに使用され得る。
開示する主題のいくつかの実施形態において、標的タンパク質は、それだけには限らないがヒスチジン、クエン酸、および/またはリン酸を含んでよい懸濁緩衝液に溶かして提供されてよい。
いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、約3.5から約7.5の間、または約4.5から7.5の間、または約5.5から7.5の間、または約5.5から約7.3の間のpHを有する懸濁緩衝液に溶かして提供されてよい。
さらなる緩衝剤としては、コハク酸、酢酸、トリス、および炭酸を挙げることができる。
ヒスチジン、アルギニン、グリシン、メチオニン、プロリン、リジン、グルタミン酸、アラニン、およびアルギニン混合物などのアミノ酸が、懸濁緩衝液に含まれてよい。
ポリソルベート(例えば、Tween−20またはTween−80)、SDS、Brij35、およびトリトンX−10などの界面活性剤が、懸濁緩衝液に含まれてよい。
また、糖、ポリオール、金属キレート剤、および凍結保護物質などの安定化剤も、懸濁緩衝液に含まれてよい。糖の例としては、それだけには限らないが、グルコース、スクロース、トレハロース、マンノース、およびデキストロースを挙げることができる。ポリオールとしては、それだけには限らないが、ソルビトール、マンニトール、およびグリセロールを挙げることができる。
金属キレート剤としては、EDTAを挙げることができる。プルロニックF−68およびプルロニックF−127などのポロキサマー、ポリビニルピロリドン、アルキル糖、およびセルロース系物質が、懸濁緩衝液に含まれてよい。
懸濁緩衝液に含まれてよい塩としては、それだけには限らないが、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムが挙げられる。
タンパク質を非特異的に安定させ、かつタンパク質の組立てを強化するために、ポリエチレングリコール(PEG)、多糖類、および不活性タンパク質などのポリマーおよび不活性タンパク質が、懸濁緩衝液に含まれてよい。例として、デキストラン、ヒドロキシルエチルデンプン(HETA)、PEG−4000、およびゼラチンが挙げられる。微生物増殖を防止するために、ベンジルアルコール、m−クレゾール、およびフェノールなどの保存剤が、懸濁緩衝液に含まれてよい。
開示する主題のいくつかの実施形態において、標的タンパク質は、凍結乾燥された形態で提供されてよい。
Goswami S. et al., Developments and Challenges for mAb-Based Therapeutics, Antibodies 2013, 2:452-500を参照されたい。また、米国特許出願公開第2014/0186446号明細書も参照されたい。これら両方の開示内容は、本明細書の明示的教示と矛盾しない程度まで、その全体が参照により組み込まれる。
タンパク質のHOSの比較を可能にするにあたってのこの技術の有効性は、構造が詳細に定義されたタンパク質を用いることによって実証することができる。例としては、β−2−ミクログロブリンのような低分子量タンパク質、エリスロポエチンのような中程度の分子量のタンパク質、およびIgG1などの高分子量タンパク質が挙げられる。各タンパク質について、いくつかのアミノ酸を共有結合標識の標的とし、本文書で説明するHOS構造比較の結果を示す。さらに、強制分解研究を各タンパク質について行って、比較されるタンパク質間の低率の立体構造的差異さえ検出するこの方法の感度を実証する。
〔実施例〕
β−2−ミクログロブリン
β−2−ミクログロブリンを、熱分解条件のために75℃で30分間または1日、インキュベートした。また、還元剤の存在下で、加熱実験も行い、この場合、タンパク質を加熱した後に、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を添加した。酸化条件は、3%Hまたは10%H(w/w)の存在下で、室温で1日、タンパク質をインキュベートすることによって、実行した。強制分解条件の後、これらのタンパク質をDEPCと反応させた。DEPCの保存溶液は、アセトニトリル中で調製した。タンパク質のDEPC反応は、37℃で1分間実施し、DEPCを2.5のモル過剰で添加することによって開始した。実験の合計反応体積は100μLであり、添加したアセトニトリルの総量は1%であった。10mMイミダゾールを添加することによって、1分後に反応を停止させた(14)。タンパク質分解消化の前に、10,000MWCOフィルターを用いて、修飾されたタンパク質を精製した。β2mはジスルフィド結合を有しているため、TCEP(タンパク質:TCEP=1:40のモル比)を添加してジスルフィド結合を還元し、ヨードアセトアミドを暗所、室温で30分間、同時に添加して、還元されたCys残基をアルキル化した。得られた試料を、固定したキモトリプシン(1:10の酵素/基質比)を用いて37℃で消化する前に、50℃で45分間、10%(体積/体積)アセトニトリルと共にインキュベートした。2時間後、相対遠心力9000で2分間、反応混合物を遠心分離して、タンパク質から酵素を分離させた。その後、LC−MSによって試料を直ちに解析した。図1〜5は、β−2−ミクログロブリンのDEPC標識に関する熱分解研究、酸化的分解研究、および還元分解研究の結果を示す。
次に図1に言及すると、標識された残基の標識率(%)を3つの条件について示している。各残基について、未変性条件を一番左の棒に示し、30分間の加熱を中央の棒に示し、1日の加熱を一番右の棒に示している。図1は、熱分解条件(30分および1日の熱)が、未変性条件と比べた場合に、特定のアミノ酸の修飾率(%)に変化を引き起こしたことを示している。例えば、1日の熱処理により、β−2−ミクログロブリンの残基(S20)の修飾率(%)は約2%から5%を超える修飾まで上昇した。
次に図2に言及すると、標識された残基の標識率(%)を3つの条件について示している。各残基について、未変性条件を一番左の棒に示し、3%過酸化水素への曝露を中央の棒に示し、10%過酸化水素への曝露を一番右の棒に示している。図2は、酸化的分解条件(3%および10%の過酸化水素)が、未変性条件と比べた場合に、特定のアミノ酸の修飾率(%)に変化を引き起こしたことを示している。例えば、10%過酸化水素での処理により、β−2−ミクログロブリンの残基(Y67/T68)の修飾率(%)は約3%から12%を超える修飾まで上昇した。
エリスロポエチン(EPO)
EPOを50℃で2時間の熱分解に供した。試料は、β−2−ミクログロブリンについて説明したのと同じ方法で処理した。次に図3に言及すると、標識された残基の標識率(%)を2つの条件について示している。各残基について、未変性条件を一番左の棒に示し、熱分解条件を一番右の棒に示している。図3は、熱分解条件が、未変性条件と比べた場合に、特定のアミノ酸の修飾率(%)に変化を引き起こしたことを示している。例えば、熱分解処理により、EPOの残基(116)の修飾率(%)は約62%から約75%の修飾まで上昇した。
IgG1
熱変性:IgG1を、未変性の状態で、または75℃で15分間インキュベートした後に、解析した。
DEPC標識:アセトニトリル中の0.75mMのDEPC溶液を用いて、IgG1の標識を実施した。タンパク質溶液は、50mMリン酸緩衝液(pH7.4)中に5μΜ IgG1を含んだ。これらの溶液を、22℃で5分間(IgG1)、1:4(タンパク質:DEPC)の比でDEPCと反応させた。1:50(DEPC:イミダゾール)の比でイミダゾールを添加することによって、DEPC反応を停止させた。
タンパク質分解消化:次いで、1:100(パパイン:タンパク質)の比を用いて2.5時間、消化を行った。完了したら、1M尿素、20mM DTTを含む緩衝液(50mMリン酸緩衝液、pH7.4)中、60℃で20分間、IgG1をインキュベートした。次に、IgG1を40mMヨードアセトアミドと2分間反応させて、結果として生じる遊離チオールをアルキル化した。次いで、固定されたトリプシンを添加して、1:3(酵素:基質)の比を実現した。22℃で一晩、消化反応を進行させた。完了後、試料を10000RPMで5分間、遠心した。上清を採取し、液体窒素中で急速冷凍した。解凍し、直ちにLCMSによって解析するまで、各試料を−80℃で保存した。
次に図4、図5、および図6に言及すると、標識された残基の標識率(%)を2つの条件について示している。各残基について、熱分解条件を一番左の棒に示し、未変性条件を一番右の棒に示している。図4は、熱分解条件が、未変性条件と比べた場合に、重鎖残基1〜199の修飾率(%)に変化を引き起こしたことを示している。次に図5に言及すると、熱分解条件は、未変性条件と比べた場合に、重鎖残基200〜435の修飾率(%)に変化を引き起こした。次に図6に言及すると、熱分解条件は、未変性条件と比べた場合に、軽鎖残基の修飾率(%)に変化を引き起こした。
β−2−ミクログロブリン凝集
前述した実施例のβ−2−ミクログロブリン試料を、タンパク質凝集と相関があるDEPC標識パターンについて解析した。標識する前に還元剤(TCEP)を添加してタンパク質構造をさらに分解させること以外は、先に説明した熱分解研究を繰り返すことによって、追加のβ−2−ミクログロブリン分解試料を生成した。その後のステップはすべて、β−2−ミクログロブリンについて前述した方法と同一であった。次に図7に言及すると、残基11、13、67、および68の標識率(%)を、条件が厳しくなる順に示している。図では、未変性条件を一番左の棒によって示し、30分間の加熱を左から2番目の棒によって示し、30分間の加熱/還元を左から3番目の棒によって示し、1日の加熱を左から4番目の棒によって示し、3%HOOHへの曝露を左から5番目の棒によって示し、10%HOOHへの曝露を左から6番目の棒によって示し、1日の加熱/還元を左から7番目の棒によって示している。さらに図7に言及すると、残基11および13の調査は、厳しい条件が使用されるにつれて、標識率(%)の低下を示しているのに対し、残基67および68は、条件が厳しくなると共に、標識率(%)の上昇を示している。次に図8に言及すると、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)データを用いて、凝集物のレベルを測定することができ、10分より前に溶出するピークはβ−2−ミクログロブリン凝集物に対応するのに対し、10.5分でのピークは、β−2−ミクログロブリン単量体に対応する。SECデータの考察により、75℃で1日経過後に採取した試料中の凝集物の存在、および10%過酸化水素への曝露後に採取した試料における凝集物の増加が実証されている(図9)。これらの残基のいずれかの標識率(%)の観察は、タンパク質凝集物の発生および増大の指標として使用され得る。
図面および前述の説明において、新規技術を例示し、詳細に説明してきたが、これは、例示的であり特徴を制限しないとみなされるべきであり、好ましい実施形態のみが示され説明されたこと、および新規技術の精神に含まれる変更および修正はすべて、保護されることが望まれることが理解される。同様に、理論的な主張、説明、および例示を用いて新規技術を例示したが、これらの例示および付随する考察は、この技術を限定するものとして決して解釈されるべきではない。本出願において参考にする特許、特許出願、ならびに教科書、科学論文、および刊行物などの参照はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (26)

  1. タンパク質の高次構造の変化を検出するための方法であって、
    所定の一連の条件下で、参照タンパク質を第1の化合物で処理するステップであって、 共有結合によって標識された参照タンパク質をもたらす、ステップと;
    前記所定の一連の条件下で、標的タンパク質を前記第1の化合物と接触させるステップであって、共有結合によって標識された標的タンパク質をもたらす、ステップと
    を含み、ここで、前記参照タンパク質および前記標的タンパク質は、同一の一次構造を有し;
    前記共有結合によって標識された標的タンパク質および前記共有結合によって標識された参照タンパク質を質量分析法によって解析するステップと
    を含む、前記方法。
  2. 前記共有結合によって標識された参照タンパク質および前記共有結合によって標識された標的タンパク質の前記解析の結果を比較するステップと;
    前記比較するステップにおいて差異がある場合に、前記参照タンパク質と前記標的タンパク質の高次構造に差異があると結論を下すステップと
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記参照タンパク質および前記標的タンパク質が、システイン、ヒスチジン、リジン、チロシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記標的タンパク質が、抗体、酵素、リガンド、または調節因子からなるタンパク質の群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記参照タンパク質が、前記標的タンパク質と同じ処理ステップまたは同じ製造ステップにさらされていない、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記参照タンパク質を安定させるように設計された懸濁緩衝液中または凍結乾燥形態で、前記参照タンパク質が前記懸濁緩衝液中または凍結乾燥形態で保存された時間よりも長い期間、前記標的タンパク質が保存されている、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  7. 前記懸濁緩衝液が、リン酸、アミノ酸、無機塩類、界面活性剤、金属キレート剤、ポリマー、不活性タンパク質、および保存剤を含む試薬の群から選択される少なくとも1種の試薬を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記懸濁緩衝液が、約3.5から約7.5の間、約4.5から約6.5の間、および約5.5から約7.3の間からなる群から選択される少なくとも1つのpH範囲にあるpHを有する、請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記懸濁緩衝液が、ヒスチジン、アルギニン、グリシン、メチオニン、プロリン、リジン、グルタミン酸、アラニン、およびアルギニン混合物からなる群から選択されるアミノ酸の内の少なくとも1つを含む、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記懸濁緩衝液が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、および塩化マグネシウムからなる群から選択される無機塩類の内の少なくとも1つを含む、請求項6〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記懸濁緩衝液が、ポリソルベート、SDS、Brij35、およびトリトンX−10からなる群から選択される界面活性剤の内の少なくとも1つを含む、請求項6〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記懸濁緩衝液が、金属キレート剤としてEDTAを含む、請求項6〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記懸濁緩衝液が、ポリエチレングリコール(PEG)および多糖からなる群から選択されるポリマーの内の少なくとも1つを含む、請求項6〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記懸濁緩衝液が、デキストラン、ヒドロキシルエチルデンプン(HETA)、PEG−4000、およびゼラチンからなる群から選択される不活性タンパク質の内の少なくとも1つを含む、請求項6〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記懸濁緩衝液が、ベンジルアルコール、m−クレゾール、およびフェノールからなる群から選択される保存剤の内の少なくとも1つを含む、請求項6〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 前記参照タンパク質および前記標的タンパク質を標識するのに使用される前記化合物がピロ炭酸ジエチル(diethyl pyrocarbonate)である、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記標識されるタンパク質が、分子量が少なくとも5kDaであるタンパク質である、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記標識されるタンパク質が、分子量が少なくとも12kDaであるタンパク質である、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  19. 前記標識されるタンパク質が、治療用タンパク質である、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  20. 前記標識されるタンパク質が、モノクローナル抗体である、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  21. 前記接触させるステップにおける前記タンパク質の濃度および/または共有結合標識モディファイヤー(modifier)の濃度の関数として、前記標的タンパク質中の標識される前記アミノ酸の割合を決定するステップ
    をさらに含む、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
  22. 前記標的タンパク質中の、前記化合物によって修飾される前記アミノ酸の前記割合が、前記標的タンパク質および前記化合物が互いに接触している時間の関数として決定される、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
  23. アッセイにおける前記タンパク質の1つまたは複数が、部分的な分解または変性を受けている、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. タンパク質凝集物の発生および増大が、1つまたは複数のアミノ酸における標識率(%)に基づいて観察され、標識率(%)は凝集と相関している、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
  25. タンパク質のHOSを比較するための手段であって、
    参照タンパク質を共有結合標識で標識して、標識された参照タンパク質を形成させるステップと;
    標的タンパク質を、共有結合によって標識された参照タンパク質を形成させるための共有結合標識でタグ化して、標識された標的タンパク質を形成させるステップと
    を含み、ここで、前記参照タンパク質と前記標的タンパク質の両方とも、前記タンパク質を共有結合によって標識する少なくとも1つの試薬で処理され;
    前記標識された参照タンパク質と前記標識された標的タンパク質の両方を、同じ質量分析法を用いて解析するステップと;
    前記標識された参照タンパク質および標識された標的タンパク質の質量スペクトルを互いに比較するステップとを含み、
    ここで、前記参照タンパク質および前記標的タンパク質は互いに実質的に類似しているものである、
    前記手段。
  26. 前記参照タンパク質および前記標的タンパク質を共有結合によって標識する前記試薬がピロ炭酸ジエチル(diethyl pyrocarbonate)である、請求項25に記載の手段。
JP2017513614A 2014-05-21 2015-05-21 タンパク質高次構造を比較するための方法 Pending JP2017521677A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201462001303P 2014-05-21 2014-05-21
US62/001,303 2014-05-21
PCT/US2015/032081 WO2015179714A1 (en) 2014-05-21 2015-05-21 A method for the comparison of protein higher order structures

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017521677A true JP2017521677A (ja) 2017-08-03

Family

ID=54554804

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017513614A Pending JP2017521677A (ja) 2014-05-21 2015-05-21 タンパク質高次構造を比較するための方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US10031143B2 (ja)
EP (1) EP3146345A4 (ja)
JP (1) JP2017521677A (ja)
CA (1) CA2985501A1 (ja)
WO (1) WO2015179714A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021512300A (ja) * 2018-02-02 2021-05-13 リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド タンパク質二量体化を特徴解析するためのシステムおよび方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023167619A (ja) 2022-05-12 2023-11-24 株式会社日立製作所 タンパク質の分析方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20030077616A1 (en) 2001-04-19 2003-04-24 Ciphergen Biosystems, Inc. Biomolecule characterization using mass spectrometry and affinity tags
GB0306756D0 (en) * 2003-03-24 2003-04-30 Xzillion Gmbh & Co Kg Mass labels

Non-Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
HOBBS, C.A. ET AL.: "Structural Characterization of the Conformational Change of Calbindin-D28k Upon Calcium Binding Usin", BIOCHEMISTRY, vol. Author Manuscript, JPN6019010516, September 2010 (2010-09-01), pages 1 - 28, ISSN: 0004183805 *
MENDOSA, V.L. ET AL.: "Improved Protein Surface Mapping Using Diethylpyrocarbonate with Mass Spectrometric Detection", ANALYTICAL CHEMISTRY, vol. Author Manuscript, JPN6019010519, 14 November 2014 (2014-11-14), pages 1 - 29, ISSN: 0004183806 *
MENDOSA, V.L. ET AL.: "Probing Protein Structure by Amino Acid-Specific Covalent Labeling and Mass Spectrometry", MASS SPECTROMETRY REVIEWS, vol. Author Manuscrpit, JPN6019010523, September 2010 (2010-09-01), pages 1 - 61, ISSN: 0004002747 *
ZHOU, Y. ET AL.: "Diethylpyrocarbonate Labeling for the Structural Analysis of Proteins: Label Scrambling in Solution", JOURNAL OF THE AMERICAN SOCIETY FOR MASS SPECTROMETRY, vol. 23, JPN6019010507, 2012, pages 899 - 907, XP055417703, ISSN: 0004183804, DOI: 10.1007/s13361-012-0349-3 *
ZHOU, Y. ET AL.: "Increased Protein Structural Resolution from Diethylpyrocarbonate-based Covalent Labeling and Mass S", JOURNAL OF THE AMERICAN SOCIETY FOR MASS SPECTROMETRY, vol. 23, JPN6019010510, 2012, pages 708 - 717, XP055417704, ISSN: 0004183807, DOI: 10.1007/s13361-011-0332-4 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021512300A (ja) * 2018-02-02 2021-05-13 リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド タンパク質二量体化を特徴解析するためのシステムおよび方法
JP7171746B2 (ja) 2018-02-02 2022-11-15 リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド タンパク質二量体化を特徴解析するためのシステムおよび方法
JP7449351B2 (ja) 2018-02-02 2024-03-13 リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド タンパク質二量体化を特徴解析するためのシステムおよび方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP3146345A4 (en) 2017-11-29
WO2015179714A1 (en) 2015-11-26
EP3146345A1 (en) 2017-03-29
US10031143B2 (en) 2018-07-24
US20170122963A1 (en) 2017-05-04
CA2985501A1 (en) 2015-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hewings et al. Reactive-site-centric chemoproteomics identifies a distinct class of deubiquitinase enzymes
Kim et al. Efficient site-specific labeling of proteins via cysteines
Tian et al. Study of the interaction of kaempferol with bovine serum albumin
Lu et al. Structure of the Rpn13-Rpn2 complex provides insights for Rpn13 and Uch37 as anticancer targets
Stănciuc et al. Fluorescence spectroscopy and molecular modeling investigations on the thermally induced structural changes of bovine β-lactoglobulin
Viner et al. Peroxynitrite modification of protein thiols: oxidation, nitrosylation, and S-glutathiolation of functionally important cysteine residue (s) in the sarcoplasmic reticulum Ca-ATPase
Dovgan et al. Arginine-selective bioconjugation with 4-azidophenyl glyoxal: application to the single and dual functionalisation of native antibodies
Mendoza et al. Probing protein structure by amino acid‐specific covalent labeling and mass spectrometry
Blanden et al. 4-aminophenylalanine as a biocompatible nucleophilic catalyst for hydrazone ligations at low temperature and neutral pH
Deperalta et al. Structural analysis of a therapeutic monoclonal antibody dimer by hydroxyl radical footprinting
Norrgran et al. Optimization of digestion parameters for protein quantification
Zhang et al. Binding of bisphenol A and acrylamide to BSA and DNA: insights into the comparative interactions of harmful chemicals with functional biomacromolecules
Carmona et al. Study of ferritin self-assembly and heteropolymer formation by the use of Fluorescence Resonance Energy Transfer (FRET) technology
Katrahalli et al. The effect of anti-tubercular drug, ethionamide on the secondary structure of serum albumins: A biophysical study
Tran et al. Slow histidine H/D exchange protocol for thermodynamic analysis of protein folding and stability using mass spectrometry
Peran et al. General strategy for the bioorthogonal incorporation of strongly absorbing, solvation-sensitive infrared probes into proteins
Sorenson et al. In-gel detection of biotin–protein conjugates with a green fluorescent streptavidin probe
Dong et al. Preparation of Quenchbodies by protein transamination reaction
Haaf et al. Peptide and protein quantitation by acid-catalyzed 18O-labeling of carboxyl groups
Maciążek-Jurczyk et al. Alteration of methotrexate binding to human serum albumin induced by oxidative stress. Spectroscopic comparative study
Tian et al. The effect of Cu2+ on the interaction between an antitumor drug–mitoxantrone and human serum albumin
Yamazaki et al. Lipoate-acid ligase a modification of native antibody: Synthesis and conjugation site analysis
Brigotti et al. Change in conformation with reduction of α-helix content causes loss of neutrophil binding activity in fully cytotoxic Shiga toxin 1
Zosel et al. Labeling of proteins for single-molecule fluorescence spectroscopy
Badghisi et al. Sequence Mapping of Epoxide Adducts in Human Hemoglobin with LC− Tandem MS and the Salsa Algorithm

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180511

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190320

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190326

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190626

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200107