JP2017520768A - インビトロ組織における物質作用のモニタリング - Google Patents
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Abstract
本発明は、インビトロ生体組織を非破壊的に特徴づけるための方法及び手段に関し、その際、特に、詳細には非侵襲的かつとりわけ反復的に測定可能な電気的パラメータに基づく、物質が生体組織に及ぼす作用の決定又は生体組織の成熟度若しくは分化度の決定に関する。これらのパラメータは、新規の方法によって、生体組織の測定された電気インピーダンスから算出可能である。【選択図】図1
Description
本発明は、インビトロ生体組織を非破壊的に特徴づけるための方法及び手段に関し、その際、特に、詳細には非侵襲的かつ特に反復的に測定可能な電気的パラメータに基づく、物質が生体組織に及ぼす作用の決定又は生体組織の成熟度若しくは分化度の決定に関する。これらのパラメータは、新規の方法によって、生体組織の測定された電気インピーダンスから算出可能である。
生物学的基礎研究において、ところで特に生物医学応用研究において、インビトロ培養生体組織、特にまた多層組織、中でも単離された単一細胞から新規に再構成された、いわゆる組織等価物は、物質及び有効成分の生物学的、つまり特に生理的又は細胞性の作用を検査するための重要なツールである。特別な利用分野は、物質が皮膚に及ぼす刺激作用の調査である。インビトロ組織等価物の提供及びインビトロ組織等価物に基づく物質作用の決定は、医学研究においても化粧品製造においても、これまで要求された生体動物の実験に対する魅力的な代替法である。
たいていの場合は医学研究のためにバイオリアクター内で培養可能である、動物体又は人体から直接に外植された組織又は生検試料と共に、特に試験シリーズ用として、特に単離された単一細胞及び/又は細胞株から新規に多層に構築可能な組織等価物を使用することができる。その際、これらのインビトロ組織等価物は、組成及び/又は細胞構造を具体的な試験及び問題の設定に適合させることもできる。その際に問題となるのは、これらのインビトロ組織等価物(例えば、インビトロ皮膚等価物)を数多く、かつ特に構造、成熟度、又は分化度が一定品質で再現性良く提供することである。シリーズで製造される組織等価物の品質に関する信頼できる記載を可能にする、継続的検査及び/又は最終検査を使用できることが望ましい。
それに加えて、特に多層のインビトロ生体組織中で物質作用を決定する、特に定量するための公知の非侵襲的方法は、中でも、刺激性さらには準刺激性のプロセスをインビトロ組織を用いて確かに検出し得るため、しかもとりわけ定量し得るために十分に敏感ではない。物質作用及びその作用速度を同定及び/又は定量するための、より正確かつより広範囲な記載を可能にする、改善された、中でもより高感度かつより高時間分解能の非侵襲的な管理方法を使用できることが望ましい。
本発明の基礎となる課題は、一方では、インビトロ培養生体組織中のプロセスを決定するための、改善された非破壊方法を提供することである。これと関連するのは、パラメータに基づいてインビトロ組織を特徴づけるための方法及び手段を提供するという技術的課題である。物質がインビトロ培養多層生体組織に及ぼす生物学的作用を特に敏感に検出できる方法及び手段を提供するという技術的課題もこれと関連する。標準化された、検査目的に使用するインビトロ生体組織、とりわけインビトロ組織等価物の状態の非侵襲的、つまり特に継続的なモニタリング又は非破壊性のプロセス管理を可能にする方法及び手段を提供するという技術的課題もこれと関連する。その際、とりわけ生体組織の細胞分化度又は成熟度も、容易かつ確かに決定できるものにすべきである。それに加えて、測定時に高い時間分解能、つまり高い走査速度を達成するべきである。
本発明は、請求項1による、生体組織を特徴づけるための方法、及び本発明による方法を実施できるように特殊に構成されている手段を提供することにより、基盤となる技術的課題を完全に解決する。
本発明の主題は、特に、とりわけインビトロ多層生体組織を特徴づけるための方法であって、
a)生体組織の電気インピーダンスを周波数に依存して測定し、インピーダンススペクトルZ(ω)を得るステップ、
b)n個のモデルスペクトルZm(ω)nを、測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)に反復適合させるステップであって、各モデルスペクトルZm(ω)nがそれぞれ、式(1)による、n個の式の式群から選択される式によって決定されており、
Zm(ω)n=RS+ZCPE(ω)+ΣZCell(ω)iで、i=1〜n (1)
式中、各iに関して、
ZCell(ω)iが、組織内の電気活性層iの固有インピーダンスであり、式(2)による、この層の抵抗成分RCelliとこの層の実容量成分CCell(ω)(Ni)iとの並列回路の形態のネットワークにそれぞれ対応し、
ZCell(ω)i=RCelli||CCell(ω)(Ni)i (2)
式中、
Niは、この実容量成分CCell(ω)(Ni)iの理想係数であるステップ、
及び
c)n個のモデルスペクトルZm(ω)nのそれぞれについて、各nごとに、測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)に最適に適合するモデルスペクトルをそれぞれ決定するステップ、
d)生体組織を特徴づけるパラメータとして、適合するn個のモデルスペクトルのそれぞれの抵抗成分RCell及び実容量成分CCell(ω)(N)から選択される、少なくとも1つのパラメータを算出するステップ
を含む方法である。
a)生体組織の電気インピーダンスを周波数に依存して測定し、インピーダンススペクトルZ(ω)を得るステップ、
b)n個のモデルスペクトルZm(ω)nを、測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)に反復適合させるステップであって、各モデルスペクトルZm(ω)nがそれぞれ、式(1)による、n個の式の式群から選択される式によって決定されており、
Zm(ω)n=RS+ZCPE(ω)+ΣZCell(ω)iで、i=1〜n (1)
式中、各iに関して、
ZCell(ω)iが、組織内の電気活性層iの固有インピーダンスであり、式(2)による、この層の抵抗成分RCelliとこの層の実容量成分CCell(ω)(Ni)iとの並列回路の形態のネットワークにそれぞれ対応し、
ZCell(ω)i=RCelli||CCell(ω)(Ni)i (2)
式中、
Niは、この実容量成分CCell(ω)(Ni)iの理想係数であるステップ、
及び
c)n個のモデルスペクトルZm(ω)nのそれぞれについて、各nごとに、測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)に最適に適合するモデルスペクトルをそれぞれ決定するステップ、
d)生体組織を特徴づけるパラメータとして、適合するn個のモデルスペクトルのそれぞれの抵抗成分RCell及び実容量成分CCell(ω)(N)から選択される、少なくとも1つのパラメータを算出するステップ
を含む方法である。
その際、ステップb)において、各nに関して、モデルスペクトルZm(ω)nを、各電気活性層iのインピーダンス決定成分RCelli及びCCell(ω)(Ni)iのうちのそれぞれ少なくとも1つを自動変動させることにより、ステップa)で測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)にそれぞれ近似させることが好ましい。
その際、ステップb)での反復適合が、最小二乗法により特に自動的に行われることが好ましい。ステップc)では、各nに関して、それぞれ最適に適合するモデルが、測定されたインピーダンススペクトルに対してそれぞれ最小残差を示すことを特徴とする。
つまり、そのようにして、n個のモデルのそれぞれに関して、それぞれ最適に適合する、測定されたインピーダンススペクトルを最適に代表するモデルスペクトルが見出される。一変形形態では、モデルスペクトル及びその結果として得られる特性値を決定するための自動分析の開始時又は終了時に、それぞれ検査されるべきであるとりわけ多層の組織にとって合理的な電気活性層の数を、数値nの選択によって指定することが想定されている。例えば、細胞生物学的知識、組織学的所見、及び/又は以前の測定に基づき、多層組織において2層の電気活性層が見込まれる場合は、ちょうど2層のiを有するモデルに分析を限定するために、数値n=2を選択することができる。例えば、多層組織中に、組織全体のインピーダンスに関して、顕著な電気特性を有する唯一の顕著な層が存在すれば、ちょうど1層のiを有するモデルに分析を限定するために、数値n=1を選択することができる。それゆえ、いわゆる大まかな方法が好ましく、ただし、n=1又はn=2が選択される。本発明による分析のこの大まかなアプローチでは、このようにして見出されたパラメータを用いて、多くの場合に、生体組織に及ぼす物質作用の十分に正確かつ敏感な特徴づけを行うことができ、それと同時に、電子データ処理のリソースコストは低く保つことができる。
その別法としての好ましい一変形形態では、ステップc)において、見出されたn個の最適に適合するモデルZm(ω)nのうち、すべてのn個のモデルにわたって観察して、測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)に対して最小偏差を示すモデルが最良適合モデルZm(ω)として選択され、ステップd)において、少なくとも1つのパラメータがこの最良適合モデルスペクトルZm(ω)から算出される。モデルに含まれる電気活性層iの数に関しても自動的なこのモデル調整により、生体組織を最も良く特徴づけるパラメータを自動的に算出することができると同時に、生体組織中に現在存在する電気活性層の数に関する記載を行うことができる。
それによると、本発明は、好ましくは、ステップd)において、見出された最良適合モデルスペクトルの各電気活性層iに関して、抵抗成分RCelli及び容量成分CCell(ω)(Ni)iから選択される少なくとも1つのパラメータを、生体組織のまさにこの電気活性層iを特徴づけるパラメータとして個別に算出することを想定する。
それによると、さらに、見出された最良適合モデルスペクトルの式Zm(ω)nにおいてnが、生体組織中で現在支配的な電気活性層の数を示すことが好ましい。
つまり、本発明による方法は、それ自体公知の様式で、生体組織から非侵襲的に算出された電気インピーダンススペクトルから、モデリングにより、生体組織の生理状態に関する確かな記載を可能にする、特定の電気特性値を抽出することを特に想定する。モデリングには、生体組織中の電気主要成分の相互連結(Verschaltung)に関する新規モデルを使用する。組織は、本質的には膜又はその種の他のものの上で培養又は固定されており、バイオリアクターチャンバーを上側(頂端)チャンバー及び下側(基底)チャンバーに分けることは自明である。電気インピーダンスは、頂端側から基底側に向うベクトルに沿って、つまり生体組織の平面に対して垂直に測定される。インピーダンス測定用の電極は、それ自体公知の様式で、一方は、バイオリアクターの頂端チャンバー内に、そして他方は、バイオリアクターの基底チャンバー内に存在する。それに応じて、生体組織の等価回路図は、この両基準点に沿って延在する。本発明の基盤となる、組織の等価回路図を図1に示す。この等価回路図は、本質的には、統合されたいわゆる一定位相要素と直列接続された、統合されている本質的には周波数非依存性の直列抵抗RSからなり、その一定位相要素は、周波数に依存するが、本質的に、生体組織内で起こる生物学的プロセスには依存しないため、本発明により算出される特性値には寄与しない。さらに直列接続されているのは、生体組織内の電気関連層の抵抗成分とこの層の容量成分との並列回路からなる少なくとも1つのネットワークである。容量成分においては、従来技術の教示とは異なって、いわゆる実際のコンデンサのモデルを使用する。実際のコンデンサは、理想係数N<1を特徴とし、この理想係数は、理論に拘束されているという意図はなく、コンデンサの「粗さに準拠」を顧慮する。それによると、電気活性層のこのネットワークのインピーダンス分率(Impedanzanteil)は、式(2)に従って計算される。
ZCell(ω)i=RCelli||CCell(ω)(Ni)i (2)
ZCell(ω)i=RCelli||CCell(ω)(Ni)i (2)
本発明によると、等価回路図は、このネットワークの少なくとも1つが、しかしさらには複数のネットワーク(n>1)が直列接続されていてよいという可能性を付加的に想定する。本発明によると、生体組織内に入る電気活性層が、そのようなネットワークによって特徴づけられる。それによると、本発明の基盤となる電気等価回路図の総インピーダンスは、多層生体組織中に存在する電気活性層の数nに応じて、
Zm(ω)n=RS+ZCPE(ω)+ΣZCell(ω)iで、i=1〜n (1)
に従って計算される。
Zm(ω)n=RS+ZCPE(ω)+ΣZCell(ω)iで、i=1〜n (1)
に従って計算される。
測定されたインピーダンススペクトルを分析するためには、それ自体公知の様式で、選択される電気等価回路図から生じる、電気インピーダンスのモデリング曲線(モデルスペクトル)を、測定されたインピーダンススペクトルに適合させる、つまりフィッティングさせる。本発明による特徴的なパラメータとして、少なくとも、電気活性層に相応する、電気等価回路図中の並列ネットワークの容量成分及び/又は抵抗成分を算出する。その際、各電気活性層(n>2)に関して、活性「層」が特定の細胞層と一致していることが好ましい。別のケースでは、電気活性層が、別の、場合によっては生体組織中の非細胞性構造によって形成される。それらの例は、角質層、結合組織層、血管層、又は顕著な基底膜である。生体組織中に存在する顕著な細胞外マトリックスも、そのような電気活性層を形成することができる。つまり、本発明は、いわゆる電気活性層という着想を使用するインピーダンススペクトルを分析するための等価回路図の考慮を想定する。具体例として利用されるのは、例えば、外植され、インビトロ培養された、本質的には上皮層及びその下にある内皮層からなる脊椎動物の眼の角膜(Cornea)である。上皮層も内皮層も、本発明による等価回路図において区別可能なそれぞれ1つの電気活性層を形成する。
つまり、本発明の主題は、インビトロ生体組織を特徴づけるための方法であって、a)生体組織の電気インピーダンスを周波数に依存して測定し、インピーダンススペクトルZ(ω)を得るステップ、b)測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)に適合させるステップであって、モデルスペクトルZm(ω)nが、式群:Zm(ω)n=RS+ZCPE(ω)+和(ZCell(ω)i)でi=1〜nから選択される式によって決定されており、式中、nZCell(ω)iが、組織内の電気活性層iのインピーダンスであり、この層の抵抗成分RCelliとこの層の実容量成分CCell(ω)(Ni)iとの並列回路に対応し、つまりZCell(ω)i=RCelli||CCell(ω)(Ni)iであり、式中、Niは、この実容量成分CCell(ω)(Ni)iの理想係数であって常に1より小さいステップ、c)各モデルスペクトルZm(ω)nについて、測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)にそれぞれ最適に適合するモデルスペクトルを決定するステップ、d)生体組織を特徴づけるパラメータとして、適合するモデルスペクトルのそれぞれの抵抗成分RCell、容量成分から選択される、少なくとも1つのパラメータを算出するステップを含む方法であり、ただし、好ましくは、ステップb)において、各nに関して、モデルスペクトルZm(ω)nをそれぞれ、各電気活性層iのインピーダンス決定成分RCelli及び容量成分CCell(ω)(Ni)iのうちのそれぞれ少なくとも1つを変動させることにより、ステップa)で測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)に近似させ、及び/又は好ましくは、ステップb)での反復適合が、最小二乗法により行われ、ステップc)では、各nに関して、それぞれ最適に適合するモデルが、測定されたインピーダンススペクトルに対してそれぞれ最小残差を示すことを特徴とする。
この関連で、本発明は、固有電気活性層、角膜の場合は上皮層又は内皮層の電気的パラメータを意図的に個別に分析することを特に想定する。別の具体例は、角質層(Stratum corneum)及びその下に位置する上皮細胞からなる、皮膚又は皮膚等価物の上皮層である。第1の電気活性層は、この非生体角質層から形成され、第2の電気活性層は、上皮細胞層によって形成される。若い皮膚組織又は皮膚等価物中では、この角質層がまだ比較的薄く形成されており、電気的パラメータの量に関して、上皮細胞層と匹敵する電気活性層である。それに対して、成熟した皮膚又は成熟した皮膚等価物は、より厚い角質層を示し、この角質層は、電気的パラメータの量に関して、上皮層と比べて目立つ。本発明によるモデリングでは、若い、未成熟の皮膚上皮は、2つの、とりわけ同等に評価される電気活性層を有する(n=2)等価回路図に基づくと最も良く表されると思われるが、厚い角質層をもつ成熟した皮膚上皮は、唯一の顕著な電気活性層をもつ(n=1)等価回路図によって表される。
本発明の関連では、「多層」生体組織とは、必ずしも、2つの解剖学的に区別可能な、中でも互いに異なる生体細胞層、例えば角化細胞と線維芽細胞とを有する組織と理解される必要はない。「多層」生体組織とは、生体細胞層と非生体層、例えば角質層(Stratum corneum)とが存在する組織とも理解される。さらに、生体組織の、解剖学的又は組織学的に定義可能な1つの層が、必ずしも、それぞれ唯一の、本発明による等価回路図に基づくいわゆる電気活性層と一致する訳ではないことが自明である。つまり、多層組織の、組織学的に異なる複数の層が、唯一の電気活性層によって表されることも可能である。
特別な形態では、本発明は、有効成分の急性作用を、さらには組織の成熟及び分化の枠内での変化を特定の層に限定するか、又はその層で特異的に検査することも可能にする。
好ましくは、被検査生体組織が、人体若しくは動物体の単離細胞及び/又は細胞株から再構成された新規な組織等価物、並びに外植された、人体若しくは動物体の生体外組織(生検試料)から選択される。本発明の特別な一実施形態では、生体組織が、特に、DE10062623A1及びDE102010023156A1に記載されたようないわゆるインビトロ皮膚等価物であり、これに関するそれらの文献の開示内容は、本明細書により本発明の開示に含まれるものとする。
しかしながら、本発明は、皮膚組織での使用に制限されるものではない。別の、好ましく使用され得る生体外組織及びインビトロ組織等価物は、腸上皮、網膜、角膜、腎組織、肝組織その他から選択される。
本発明の特殊な使用は、物質が生体組織に及ぼす準刺激、刺激、及び/又は腐食作用の特徴づけ、分類、及び特に定量である。そのうちの特殊な使用は、インビトロ皮膚等価物の形態で、本発明による方法及び/又は本発明による手段を利用して確実かつ敏感に行うことができる、試験物質が皮膚に及ぼす腐食及び/又は刺激作用の決定である。中でも、本発明は、公知の測定・分析法を用いて従来可能であったよりも正確な、物質作用の定量及び分類を可能にする。有利なことには、腐食作用つまり組織の不可逆的損傷を、刺激作用つまり組織の可逆的損傷、及び準刺激作用つまり組織への損傷を伴わない生理作用とから区別することができる。特に、インビトロ皮膚等価物の形態での皮膚への物質作用の検査との関連では、そのような分類が合理的であり、ただし、一般的には「burn(ひりひり)」、「itch(むずむず)」又は「sting(ちくちく)」と呼ばれる、とりわけ物質の準刺激作用の確かな検出が極めて重要である。
本発明との関連では、例えば、前記の感覚を伴う準刺激作用が、主には、非生体層、この場合は上皮細胞層の角質層でのプロセスによって現れるということが判明した。例えば、準刺激性に作用する溶媒、例えば2-プロパノールは、例えば、非生体角質層においてバリア形成成分の可溶性を高めることにより角質層が透過性になるということによって、主に、非生体角質層において作用する。このことは、本発明による方法を利用して検出することができ、有利なことには定量もできる。つまり、組織中における電気的パラメータの観察可能な変化は、必ずしも、生細胞の層内で起こる生物学的プロセスに起因する訳ではなく、非生体層内での純化学物理学的プロセスに起因することも可能である。
特にインビトロ皮膚等価物の形態での皮膚組織の検査との関連において、驚くべきことに、ある物質の高刺激性又は高腐食性の作用は、電気関連層でのパラメータ「オーム抵抗」の著しい低下及びこの層でのパラメータ「実容量」の著しい上昇を伴うということが判明した。これと対照的に、弱刺激作用は、同じく、オーム抵抗の著しい低下をもたらすが、その際に実容量ははるかに少ししか変化せず、パラメータは、物質作用が終了した後の時間経過において、再びおおむねその本来の値に戻り、このことは、損傷の可逆性を特徴づける。物質の準刺激作用の場合、観察可能な変化は、オーム抵抗でのみか、又はおおかたオーム抵抗でのみ起こる。その上、この変化は、最初の接触後の非常に短時間でしかなく、その後は完全に可逆性である。分析結果の強固さに基づき、本発明による方法を用いて、統計的に信頼できる、物質作用の分類に関する記載、及び用量/作用の関係に関する記載も、わずかなランダムサンプル数ですでに実現することができる。
本発明は、電気インピーダンス測定のデータ分析に基づく。組織でのインピーダンス測定は、それ自体公知の様式で行うことができる。好ましくは、ステップa)において、好ましくは1Hz〜100kHz、さらに好ましくは20Hz〜20kHzの範囲にある交番周波数成分を有する交流を印加すること、及び組織層を越えて低下する、周波数に依存した交番電圧を測定することによって、生体組織のインピーダンススペクトルの測定を行う。およそ2〜5mA、好ましくは最大限およそ3mAの交流を印加して、結果として生じる周波数依存性の電圧低下を測定することが好ましい。
インピーダンス測定の別法としての一変形形態では、ステップa)において、好ましくは1Hz〜100kHz、さらに好ましくは20Hz〜20kHzの範囲にある交番周波数成分を有する交番電圧を組織層上に印加すること、及びその際に流れる周波数依存性の交流を測定することによって、生体組織のインピーダンススペクトルの測定を行う。
電気インピーダンススペクトルを算出するには、本質的には正弦曲線及び離散単一周波数を有する交番電圧又は交流を使用することが公知である。その際、インピーダンススペクトルは、例えば、8進又は10進繰り上がり(Dekadensprung)で同調する、異なる離散周波数での単一測定により算出される。しかしながら、本発明は、別法として、倍音を含む曲線、構造化ノイズ及び/又は過渡的インパルスを有する交番電圧又は交流を使用することも想定し、それにより、複数の周波数成分においてインピーダンスを同時に測定して、FFT及びその他の分析法のような、適した分析法により記録することができる。複数の周波数において並行して同時にインピーダンスを算出することにより、測定時間を短縮することができ、及び/又は測定結果に影響を及ぼしかねない、電極材料若しくは表面での不利なプロセスを回避若しくは軽減することができる。
別法としての一形態では、生体組織の電気インピーダンスが、1Hz〜100kHzの範囲内にある数少ない選択される周波数においてのみ、例えば100Hz及び1000Hz、特に唯一の周波数、例えば100Hzにおいて測定される。この形態では、本発明による分析法は、その他の場合には必要な、測定したモデルスペクトルへのモデリングスペクトルの曲線フィットなしですむ。むしろ、この場合は、選択されるある特定の等価回路図を指定して、例えば、電気活性層に関する指定、並びに、別法として又は付加的に、測定構成内の電気直列抵抗及び一定位相要素(CPE)の量の指定をして、測定データから直接に生体パラメータが抽出される。
本発明の主題は、有効成分がインビトロ生体多層組織に及ぼす生物学的作用を特徴づけるための、
A)少なくとも1つの第1の生体パラメータRCell及び/又はCCell(ω)(N)を、前記の請求項のいずれか一項に記載の方法に従って、生体組織又は生体組織の一群において最初に算出するステップ、
B)この生体組織又はこの生体組織群を、有効成分と接触させるステップであって、有効成分で処理された組織、又はそのような生体組織の処理された群が得られるステップ、及び
C)少なくとも1つの生体パラメータRCell及び/又はCCell(ω)(N)を、前記の請求項のいずれか一項に記載の方法に従って、処理された生体組織又は処理された生体組織群において改めて算出するステップ、
D)接触させる前に最初に算出された少なくとも1つの生体パラメータを、接触後に改めて算出された少なくとも1つの第2の生体パラメータと比較するステップであって、少なくとも1つの生体パラメータの、最初の算出と改めての算出との間での変化が、この有効成分が生体組織に及ぼす生物学的作用を示すステップ
を含む方法でもある。
A)少なくとも1つの第1の生体パラメータRCell及び/又はCCell(ω)(N)を、前記の請求項のいずれか一項に記載の方法に従って、生体組織又は生体組織の一群において最初に算出するステップ、
B)この生体組織又はこの生体組織群を、有効成分と接触させるステップであって、有効成分で処理された組織、又はそのような生体組織の処理された群が得られるステップ、及び
C)少なくとも1つの生体パラメータRCell及び/又はCCell(ω)(N)を、前記の請求項のいずれか一項に記載の方法に従って、処理された生体組織又は処理された生体組織群において改めて算出するステップ、
D)接触させる前に最初に算出された少なくとも1つの生体パラメータを、接触後に改めて算出された少なくとも1つの第2の生体パラメータと比較するステップであって、少なくとも1つの生体パラメータの、最初の算出と改めての算出との間での変化が、この有効成分が生体組織に及ぼす生物学的作用を示すステップ
を含む方法でもある。
本発明の主題は、インビトロ多層生体組織の生体パラメータを決定するための、本発明による測定・分析法を実施するために特別に構成されている装置でもある。そのためには、この装置は、少なくとも、次のコンポーネント、
1)請求項1から10のいずれか一項に記載の方法のステップa)に従ってインピーダンススペクトルZ(ω)を測定するための測定ユニット、及び
2)特に本明細書中で開示される方法のステップb)〜d)で特徴づけられているような本発明による分析法を自動的に実施するために特殊にプログラミングされている計算ユニット
を含む。そのためには、計算ユニットが、少なくとも次のプログラムステップを実施し得る。
- 方法のステップb)に従って、電気的パラメータのモデリングにより得られたn個のモデルスペクトルZm(ω)nを、測定されたインピーダンススペクトルに反復適合させるステップ、
- 方法のステップc)に従って、適合するモデルスペクトルを決定するステップ、及び
- 方法のステップd)に従って、生体組織の少なくとも1つのパラメータを算出するステップ。
1)請求項1から10のいずれか一項に記載の方法のステップa)に従ってインピーダンススペクトルZ(ω)を測定するための測定ユニット、及び
2)特に本明細書中で開示される方法のステップb)〜d)で特徴づけられているような本発明による分析法を自動的に実施するために特殊にプログラミングされている計算ユニット
を含む。そのためには、計算ユニットが、少なくとも次のプログラムステップを実施し得る。
- 方法のステップb)に従って、電気的パラメータのモデリングにより得られたn個のモデルスペクトルZm(ω)nを、測定されたインピーダンススペクトルに反復適合させるステップ、
- 方法のステップc)に従って、適合するモデルスペクトルを決定するステップ、及び
- 方法のステップd)に従って、生体組織の少なくとも1つのパラメータを算出するステップ。
好ましくは、装置が、電圧/電流を印加するため、及び培養生体組織上のインピーダンスを測定するための電極を装備した、インビトロ生体組織を培養するための、少なくとも1つのバイオリアクターを付加的に含む。
好ましくは、バイオリアクターが、複数のインビトロ生体組織を並行して別々に培養するための複数の区画、各区画に個別に割り当てられた複数の電極を含む。
その際、好ましくは、測定ユニットが付加的に、並行して培養される複数の生体組織中でインピーダンスを連続測定するために、バイオリアクターの複数の電極を測定ユニットと相互連結するマルチプレクサを有する。
バイオリアクターは、生体組織を測定することができる無菌条件を提供する。好ましくは、バイオリアクターが、その中で培養される8つの生体組織のインピーダンススペクトルを決定するために、8つの同種の測定チャンバーを装備する。バイオリアクターは、好ましくは、バイオリアクターベースプレート及びバイオリアクターカバーから、公知の様式でプラスチック材料(特に、PEEK)から構築されている。そのようなバイオリアクターは、例えば、それに関連するその開示内容が本発明の開示に含まれるDE102009022345A1から公知である。特別な形態では、バイオリアクターは、各生体組織を、個別のフレーム又は支持体、いわゆるインサートに張り渡されている培養膜上で培養することを想定する。このインサートは、バイオリアクター内に存在する別々の複数のチャンバーの1つの中にそれぞれ装入されている。特別な形態では、インサート内の生体組織、及びインサートを、バイオリアクター内に存在する電極上方で中心に配置することを可能にする手段及び措置が、バイオリアクター内に想定されている。生体組織が、電極による電場中で、中心に配置されることが好ましい。
バイオリアクターの電極は、好ましくは金属電極である。一変形形態では、電極が、それ自体公知の、接触電位差が低い被覆電極、例えば、Ag/AgCl電極である。別法としての好ましい一変形形態では、電極が、耐腐食性のステンレス材料から作製されている。その際、特に、電極表面が、例えば、電解研磨によって平滑に研磨されている。その際、驚くべきことに、電解研磨した電極の表面粗さの低下により、電気インピーダンスの測定が改善することが判明した。
好ましくはベース部とカバー部の2つの部分から構成されているバイオリアクターでは、リアクターの上半分(カバー部)に作用電極が形成されていることが好ましい。その際、好ましくはシリンダー形状を有する上側作用電極が、バイオリアクターの各区画において、カップ形状の細胞培養インサートへと潜入することで、電極表面がそれぞれ、生体組織の表面にできるだけ近くに位置するようになることが好ましい。好ましくは、作用電極が、リアクターチャンバーに浸漬するピストンの形状で形成されている。バイオリアクターの各区画が、個別の作用電極を有するのに対して、対極は、同じく各区画ごとに別々に形成されているか、又はバイオリアクターのベースに、連続する、複数の区画を包括する共有の対極として形成されていてもよい。対極を、バイオリアクターの床に固定的に組み込むことが好ましい。この対極は、例えば、プレート電極として製作されており、好ましくは複数の区画の床を含む。バイオリアクター又はそのうちの一区画の構造の好ましい一形態を、図2に示す。
本発明の主題は、算出された電気的パラメータの変化に基づいて、試験物質がインビトロ培養多層生体組織に及ぼす生物学的作用を決定するため、本明細書中で記載される装置の使用でもある。
本発明の主題は、算出された電気的パラメータに基づいて、インビトロ培養多層生体組織の成熟度及び分化度を決定するため、本明細書中で記載される装置の使用でもある。
最終的に、本発明の主題は、本明細書中で記載されるステップb)〜d)において特徴づけられる方法を自動的に実施するための指示を含むコンピュータプログラム製品でもある。
本発明を、以下の図及び例示的実施形態によってより詳細に説明するが、これらの図及び例示的実施形態は、制限的に理解されるものではない。
図1は、本発明のデータ分析の基盤となる、電気インピーダンス測定と関連する、生体組織の技術的な等価回路図を示す。生体組織の頂端極10(作用電極)から、その基底極60(対極)まで、この生体組織の等価回路図は、頂端一定位相要素20、オーム直列抵抗30、及び生体組織内の電気活性層ごとに、並列接続されている容量成分42と抵抗成分44とからなるネットワーク40、及びその下流側に直列する基底一定位相要素50を含む。
電気直列抵抗30は、モデルによりまとめると、導線及び電極での線抵抗を含めた、測定設定のすべての周波数非依存性オーム直列抵抗を表す(同じく、電解質溶液(培養培地)の抵抗も電気直列抵抗30の成分である)。頂端一定位相要素20及び基底一定位相要素50は、系内の周波数依存性現象、中でも活性電極又は対極の界面上で起こるプロセスをそれぞれ表す。これらの位相要素は、このモデルによると、生物学的作用及び物質作用に依存せず、共同の一定位相要素(CPE)とまとめることができる。本発明によると生体組織を特徴づけて生物学的プロセスを示す、生物学的に重要なパラメータは、生体組織の各電気活性層iごとのネットワーク40の抵抗成分44及び容量成分42である。生体組織が、例えば、唯一の電気活性生体層を有する場合(n=1)、等価回路図は唯一のネットワーク40を含む。多層生体組織が、2層以上の電気活性層を有する場合、各電気活性層iごとの等価回路図は、個別の、別の成分に直列接続されたネットワーク40をそれぞれ示す。
各ネットワーク40ごとに、帰属の抵抗成分及び容量成分42、44は、それぞれ異なる値を含んでよい。簡略化された別法としての本発明によるモデルでは、抵抗成分及び容量成分42、44の電気的パラメータが、各ネットワーク40ごとに、同じ大きさで設定されている。さらに簡略化された本発明によるネットワークでは、数値n=2であり、それゆえその等価回路図は、ちょうど2つの直列接続されたネットワーク40を有する。別法としての簡略化された、本発明の一変形形態では、電気等価回路図が、ちょうど1つのネットワーク40を示す(n=1)。
本発明による等価回路図の特徴は、ネットワーク40においてそれぞれ存在する容量成分42が、実際の表面特性を有する実容量としてモデリングされていることである。その際、理想係数Nは<1である。
図2は、ベース部110及びカバー部120を装備した、少なくとも1つの細胞培養チャンバー130(その中には、細胞培養膜145を担持する細胞培養インサート140が掛けられている)を形成するバイオリアクター又はその一区画の概略図を示す。具体的に示すために、細胞培養膜145上には例示的に、多層組織150が配置されている。(ここで例示される)組織150中では、頂端電気活性層152が形成されている。
基本培地132は、頂端培地134から電気分離されている。ベース部110には、電気対極115が装入されている。カバー部120には、ピストン形状の作用電極125が存在し、この電極は、バイオリアクターが組み立てられた状態において、チャンバー130の内腔へと、特に細胞培養インサート140内へと直接に突出する。インピーダンスは、対極115と作用電極125との間で、電極間に配置された生体組織150中で測定する。
バイオリアクター中のベース部110には、少なくとも1つのリアクターチャンバー130が形成されており、その中では生体組織150をそれぞれ培養することができる。
図3は、多層生体組織で測定された電気インピーダンススペクトルを、振幅(複素抵抗の値)及び位相角に関するボード線図として例示する。測定されたインピーダンススペクトルは、具体的な測定点によってそれぞれ表されている。本発明による等価回路図に従ってモデリングされた、最適なモデルスペクトルを重ねてある。最小二乗法(「least mean square」)によりフィッティングを行う。
図4は、非刺激性物質(PBS)、高刺激性物質(SDS)、又は準刺激性物質(2-プロパノール)でおよそ35分間処理する前、初期洗浄ステップ後、並びにおよそ42.5時間経過した回復後の、本発明による方法を利用して算出された特性値である、皮膚等価物の、Stratum corneum(角質層)を伴う上皮層の生体インピーダンス及び生体容量を示す。図4Aは、細胞インピーダンスを、図4Bは、容量を示す。
図5は、図4と同一の測定されたインピーダンススペクトルから、比較法(n=1、N=1)によって算出された特性値を示す。図5Aは、細胞インピーダンスを、図5Bは、細胞容量を示す。
生体組織中で物質が及ぼす準刺激作用の検出
多層インビトロ皮膚等価物を、それ自体公知の様式で、単離細胞、詳しくは一次線維芽細胞及び角化細胞から再構成する。詳細には、第1ステップにおいて、皮膚等価物の真皮部を構築し、その中では、一次線維芽細胞が、懸濁によって、主にI型コラーゲンを含むコラーゲン基質に組み込まれる。第2ステップにおいて、そのように形成された真皮に角化細胞を重ねると、この角化細胞が上皮層を形成する。任意選択で、膜を形成させるために、角化細胞をアプライする前に、形成されたコラーゲン基質にフィブロネクチンを付加することが可能である。インビトロ皮膚等価物の構築は、全体として、およそ21日間を含む。最後の培養段階では、複数の皮膚等価物が、そのベース部に平面型対極が装入されているバイオリアクター内のそれ自体公知の細胞培養インサート中にそれぞれ存在する。上側のカバー部には、頂端培地に潜入しているピストン形状の作用電極が存在する。頂端培地と基底培地とは、それぞれ互いに電気分離されており、インビトロ皮膚等価物を介してのみ互いに連絡している。
多層インビトロ皮膚等価物を、それ自体公知の様式で、単離細胞、詳しくは一次線維芽細胞及び角化細胞から再構成する。詳細には、第1ステップにおいて、皮膚等価物の真皮部を構築し、その中では、一次線維芽細胞が、懸濁によって、主にI型コラーゲンを含むコラーゲン基質に組み込まれる。第2ステップにおいて、そのように形成された真皮に角化細胞を重ねると、この角化細胞が上皮層を形成する。任意選択で、膜を形成させるために、角化細胞をアプライする前に、形成されたコラーゲン基質にフィブロネクチンを付加することが可能である。インビトロ皮膚等価物の構築は、全体として、およそ21日間を含む。最後の培養段階では、複数の皮膚等価物が、そのベース部に平面型対極が装入されているバイオリアクター内のそれ自体公知の細胞培養インサート中にそれぞれ存在する。上側のカバー部には、頂端培地に潜入しているピストン形状の作用電極が存在する。頂端培地と基底培地とは、それぞれ互いに電気分離されており、インビトロ皮膚等価物を介してのみ互いに連絡している。
バイオリアクター内の個々の皮膚等価物の電気インピーダンスを測定するには、振幅がおよそ3mAの交番周波数の交流を、プラス極である頂端作用電極とマイナス極である基底対極との間に印加する。周波数は、1Hz〜100kHzまで、対数スケールの40段階で変化させる。離散周波数の正弦波交流を使用する。
図4は、刺激作用に関して公知の3つのモデル物質(欧州連合のCLP規則又はGHS基準に準拠)を用いた処理に対する、そのように算出されたパラメータを示す。
1.例示的な非刺激物質であるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)
2.例示的な準刺激物質である2-プロパノール
3.例示的な高刺激・研磨物質である5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
1.例示的な非刺激物質であるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)
2.例示的な準刺激物質である2-プロパノール
3.例示的な高刺激・研磨物質である5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
皮膚等価物への物質作用を検査するために、処理前(対照測定)、及び皮膚等価物を対照物質の1つとおよそ35分間接触させてから培養培地で複数回洗浄した直後(最初の測定)に電気インピーダンスの測定をそれぞれ行う。もう1回の測定は、対照物質との最初の接触からおよそ42.5時間後のいわゆる回復後に行う(2回目の測定)。
測定された各インピーダンススペクトルに関して、本発明によりモデリングされたモデルスペクトルを、それぞれ測定されたインピーダンススペクトルにフィッティングさせることにより、本発明による電気的パラメータを算出する。
対照アプローチでは、測定された同一インピーダンススペクトル(対照、最初の測定、2回目の測定)を、電気的パラメータを算出するために、常に唯一の電気活性層(n=1)しか想定しないモデルであって、生体組織を表す容量成分が、理想係数Nを考慮しない理想コンデンサにより表されるモデルにフィッティングさせる(N=1)。図5A及び5Bは、そのように算出された比較データを示す。
本発明による分析法と比較法との比較から、とりわけここでは物質2-プロパノールとの接触によって表される準刺激作用が、比較法では検出できないことが判明する。それに加えて、本発明による分析法は、物質の刺激作用の定量も可能にするのに対して、比較法は、物質の刺激作用及び準刺激作用に対するその感度が低いため、十分に妥当性のある定量は認めないが、なぜなら、その場合は有意な用量・作用関係を確立できないからである。
Claims (18)
- インビトロ生体組織を特徴づけるための方法であって、
a)生体組織の電気インピーダンスを周波数に依存して測定し、インピーダンススペクトルZ(ω)を得るステップ、
b)n個のモデルスペクトルZm(ω)nを、測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)に適合させるステップであって、各Zm(ω)nが、式群(1)から選択される式によって決定されており、
Zm(ω)n=RS+ZCPE(ω)+和(ZCell(ω)i)でi=1〜n (1)
式中、各iに関して、
ZCell(ω)iが、組織内の電気活性層iのインピーダンスであり、式(2)による、この層の抵抗成分RCelliとこの層の実容量成分CCell(ω)(Ni)iとの並列回路に対応し、
ZCell(ω)i=RCelli||CCell(ω)(Ni)i (2)
式中、
Niは、この実容量成分CCell(ω)(Ni)iの理想係数であり、常に1より小さいステップ、
c)各モデルスペクトルZm(ω)nについて、各nごとに、測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)にそれぞれ最適に適合するモデルスペクトルを決定するステップであって、それぞれ最適に適合するモデルが、測定されたインピーダンススペクトルに対してそれぞれ最小残差を示すことを特徴とするステップ、及び
d)生体組織を特徴づけるパラメータとして、最適に適合する各モデルスペクトルの抵抗成分RCell及び容量成分から選択される、少なくとも1つのパラメータを算出するステップ
を含む、前記方法。 - ステップb)において、各nに関して、モデルスペクトルZm(ω)nを、各電気活性層iのインピーダンス決定成分RCelli及び容量成分CCell(ω)(Ni)iのうちのそれぞれ少なくとも1つを変動させることにより、ステップa)で測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)にそれぞれ近似させる、請求項1に記載の方法。
- ステップb)での反復適合が、最小二乗法により行われる、請求項1又は2に記載の方法。
- ステップc)において、見出されたn個の最適に適合するモデルZm(ω)nのうち、すべてのn個のモデルにわたって観察して、測定されたインピーダンススペクトルZ(ω)に対して最小偏差を示すモデルが最良適合モデルZm(ω)として選択され、ステップd)において、少なくとも1つのパラメータがこの最良適合モデルスペクトルZm(ω)から算出される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- ステップd)において、見出された最良適合モデルスペクトルの各電気活性層iに関して、抵抗成分RCelli及び容量成分CCell(ω)(Ni)iから選択される少なくとも1つのパラメータを、生体組織のこの電気活性層iをまさに特徴づけるパラメータとして個別に算出する、請求項4に記載の方法。
- 見出された最良適合モデルスペクトルの式Zm(ω)nにおいて、nが、生体組織中で現在支配的な電気活性層の数を示す、請求項4又は5に記載の方法。
- n=1又はn=2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- ステップa)において、1Hz〜100kHzの範囲にある交番周波数成分を有する交流を印加すること、及び組織層を通して低下する周波数依存性の交番電圧を測定することによって、生体組織のインピーダンススペクトルの測定を行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- ステップa)において、1Hz〜100kHzの範囲にある交番周波数成分を有する交番電圧を組織層上に印加すること、及びその際に流れる周波数依存性の交流を測定することによって、生体組織のインピーダンススペクトルの測定を行う、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 多層生体組織が、
- 人体若しくは動物体の単離細胞から及び/又は細胞株から再構成された新規な組織等価物、並びに
- 外植された、人体又は動物体の生体外組織
から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 - 有効成分がインビトロ生体組織に及ぼす作用を特徴づけるための方法であって、
A)少なくとも1つの第1の生体パラメータRCell及び/又はCCell(ω)(N)を、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法に従って、生体組織又は生体組織の一群において最初に算出するステップ、
B)この生体組織又はこの生体組織群を、有効成分と接触させるステップであって、有効成分で処理された組織、又はそのような生体組織の処理群が得られるステップ、並びに
C)少なくとも1つの生体パラメータRCell及び/又はCCell(ω)(N)を、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法に従って、処理された生体組織又は処理された生体組織群において改めて算出するステップ、
D)接触させる前に最初に算出された少なくとも1つの生体パラメータを、接触後に改めて算出された少なくとも1つの第2の生体パラメータと比較するステップであって、少なくとも1つの生体パラメータの、最初の算出と改めての算出との間での変化が、この有効成分が生体組織に及ぼす生物学的作用を示すステップ
を含む、前記方法。 - インビトロ生体組織又は組織等価物の生体パラメータを決定するための装置であって、
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法のステップa)に従って、インピーダンススペクトルZ(ω)を測定するための測定ユニットと、
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法のステップb)に従って、電気的パラメータのモデリングにより得られたn個のモデルスペクトルZm(ω)nを、測定されたインピーダンススペクトルに反復適合させ、
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法のステップc)に従って、適合するモデルスペクトルを決定し、
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法のステップd)に従って、生体組織の少なくとも1つのパラメータを算出する
ためにプログラミングされている計算ユニットと
を含む、前記装置。 - - 電圧/電流を印加し、培養生体組織上のインピーダンスを測定するための電極を装備した、インビトロ生体組織を培養するためのバイオリアクター
を付加的に含む、請求項12に記載の装置。 - バイオリアクターが、
- 複数の生体組織を並行して別々に培養するための複数の区画、
- 各区画に個別に割り当てられた電極
を有する、請求項13に記載の装置。 - バイオリアクターが、
- 並行して培養される複数の生体組織中でインピーダンススペクトルを連続測定するために、複数の電極を測定ユニットと相互連結するマルチプレクサ
を有する、請求項13又は14に記載の装置。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載されるステップb)〜d)の方法を自動的に実施するための指示を含むコンピュータプログラム。
- 算出された電気的パラメータの変化に基づいて、物質がインビトロ培養生体組織に及ぼす生物学的作用を決定するための、請求項12〜15のいずれか1項に記載の装置の使用。
- 算出された電気的パラメータに基づいて、インビトロ培養生体組織の成熟度及び分化度を決定するための、請求項12〜15のいずれか1項に記載の装置の使用。
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