本発明についての様々な態様を作り、また使用する際に、より高い詳細度を提供するために、マルチ・キャリア通信に対する本発明者等のアプローチについての説明と、ある種の非常に特定の実施形態についての説明とが、例のために続いている。図1乃至図3は、本発明の特定のプロトコル・スタックのいくつかの例と、特定の実施形態とを例証する試みの中で参照される。
キャリア・アグリゲーションは、データ・フローが、複数のキャリアの上の同時送信から利益を得ることを可能にするように設計されてきている送信技法である。3GPPロング・ターム・エボリューション(LTE)ファミリー規格に基づいた通信システムでは、キャリア・アグリゲーションは、3GPP規格のリリース10において規定されてきている。
3GPP LTEシステムにおいては、異なるアプリケーションに関連するパケット・フローは、1つまたは複数の無線ベアラの上で搬送される。無線ベアラは、ある種の品質の特徴(例えば、パケット損失、遅延、および/またはレートの要件)を有する、ユーザ要素(UE)と無線アクセス・ネットワーク(RAN)との間の論理接続である。与えられたユーザ・アプリケーションに属するパケットは、一般的に単一の無線ベアラの上で搬送され、この単一の無線ベアラは、同様に他のユーザ・アプリケーションに属するパケットを搬送することができる。図1は、キャリア・アグリゲーションのない、LTEシステムにおけるユーザ・プレーンのためのプロトコル・スタック100を示すものである。
図1に示されるように、3GPP LTE規格に基づいた単一キャリア通信システムにおいては、無線ベアラ当たりに、1つのパケット・データ・コンバージェンス・プロトコル(PDCP:Packet Data Convergence Protocol)エンティティと、1つの無線リンク制御(RLC)レイヤ・エンティティとが、存在している。他方では、共通の媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)レイヤは、キャリアに関連する無線インターフェースの上で搬送されている無線ベアラのすべてをサポートする。
本説明に最も関連しているのは、プロトコル・スタックのRLCレイヤとMACレイヤとの機能である。RLCレイヤの主要な機能は、現在のチャネル状態とトラフィック状態とに基づいて、下位(MAC)レイヤによって示されるサイズに上位レイヤ・パケット(RLCサービス・データ・ユニットまたはRLC SDUと称される)を適応させるための、上位レイヤ・パケットのセグメンテーションおよび(再)アセンブリである。また、エラー・フリー送信、すなわち、肯定応答モード(AM:Acknowledged Mode)データを必要とする無線ベアラでは、RLCレイヤは、レシーバ・フィードバックに基づいて、誤りのあったフレームの再送信を提供する。RLCレイヤ(受信端における)はまた、万一それらのパケットが下位レイヤにおける遅延/再送信のためにその順序が乱れて配信される場合には、受信されたパケットの再順序付けを実行する。MACレイヤは、主として、それらのサービス品質(QoS:Quality of Service)要件に基づいて、異なる無線ベアラ(すなわち、異なるRLCエンティティ)からのデータを多重化するための役割を担う。前述されるように、送信ポイント(すなわち、基地局またはUE)に関連する無線インターフェースの上で搬送されている無線ベアラのすべてに関連するデータを取り扱う単一のMACレイヤ・エンティティが存在している。MACレイヤは、通信リソース(プロトコル・スタック100の物理−PHY−レイヤによって表される)を使用して、無線インターフェースを介してRLCレイヤ・データを送信する。MACレイヤは、ハイブリッド自動反復要求(HARQ:Hybrid Automatic Repeat request)プロセスを使用して、必要に応じて、送信データと、対応する肯定応答と、再送信とを追跡する。
基地局が、それと通信するUEに対してデータを送信するために、複数のキャリアをサポートする場合のシナリオを対象としているキャリア・アグリゲーションを用いると、共通のMACレイヤが、異なる無線ベアラからのデータを多重化するための役割を担う点を除いて、プロトコル・スタックは、図1のプロトコル・スタックに似ており、その結果、データは、送信ポイント(例えば、基地局)によってサポートされている複数のキャリアに関連する通信リソースを使用して送信される可能性がある。それゆえに、2つのキャリアを有するシステムの場合には、キャリア・アグリゲーションは、与えられた無線ベアラからのデータの一部が、第1のキャリアに関連する通信リソースの上で搬送されることを可能にするが、その無線ベアラに関連するデータの残りは、第2のキャリアの上で搬送される。これは、キャリア・アグリゲーションの可能なUEと基地局とについての送信スピードにおけるかなりの増大をもたらすであろう。図2は、そのデータが、2つのキャリアの通信リソースの上で搬送される無線ベアラをサポートすることができるプロトコル・スタック200を示すものである。
キャリア・アグリゲーションを使用した無線ベアラのためのプロトコル・スタック(プロトコル・スタック200)と、単一キャリア・オペレーションにおける無線ベアラのためのプロトコル・スタック(プロトコル・スタック100)との間の主要な違いは、前者におけるMACレイヤが、キャリアの両方に関連する通信リソースとHARQプロセスとを使用して、無線ベアラに属するデータを送信することができることである(対照的に、単一キャリア・キャリア・オペレーションにおけるMACレイヤは、単一キャリアに関連する通信リソースとHARQプロセスとを使用する)。それゆえに、キャリア・アグリゲーションを使用した無線ベアラ(例えば、プロトコル・スタック200の無線ベアラ1)の場合には、2つのキャリアのうちのいずれかの上の通信リソースが、その無線ベアラに属するデータの送信のために使用可能であるときに、MACレイヤは、現在のチャネル状態と負荷状態とに基づいて、取り扱われ得るペイロード・サイズについて、対応するRLCエンティティに通知する。次いで、RLCエンティティは、そのサイズまでペイロード(プロトコル・データ・ユニットまたはPDU)を構築し、またそれを無線インターフェースを介する送信のためにMACレイヤに対して手渡す。上記で述べられたように、AMデータの場合には、RLC PDUが失われ、またレシーバがその喪失について送信ポイントに通知する場合、RLCレイヤは、この失われたデータを再送信する。しかしながら、この失われたデータの再送信のために使用可能な通信リソースの量が、データが最初に送信されたときに使用可能だったものと異なる可能性があるので、RLCレイヤは、セグメンテーションおよび再アセンブリ(SAR:Segmentation and Re−Assembly)の能力を装備しており、これにより、それは、元のPDU(これは、失われた)とは異なるサイズのPDUを構築し、また次いでレシーバ端においてこれらのセグメントから元のPDUを再構築することができるようになる。RLCレイヤは、キャリア・アグリゲーションが使用されているか否かにかかわらず、このSAR能力を有している。
プロトコル・スタック200によって表されるキャリア・アグリゲーション・スキームは、2つの(またはそれより多くの)キャリアが同一場所に配置され、また共通のMACレイヤ・エンティティと、RLCレイヤ・エンティティとの制御の下で動作するというシナリオにおいて、よく機能する。これが可能になるための重要な要件は、PHYレイヤと、MACレイヤと、RLCレイヤとの間のレイテンシが低く、ミリ秒の程度またはそれよりも低いことである。UEに対するキャリア・アグリゲーションに似たマルチ・キャリア送信が望ましいこともあるが、2つのキャリアが同一場所に配置されていないこともあり、あるいは密接な低レイテンシの協調が、それらのそれぞれのPHYレイヤ・エンティティと、上位レイヤ・エンティティとの間で可能でないこともあるという、いくつかのシナリオが存在している。異機種ネットワーク(Hetnet:Heterogeneous Metworks)におけるそのようなシナリオの一例は、UEが、1つのセル(一般的には、マクロ・セル)に対する一次接続と、1つまたは複数のマクロ・セルもしくはメトロ・セルに対する二次接続とを有することを可能にするシームレス・マクロ・セル・アンカー無線送信(SMART)技法である。一次接続は、無線リソース制御(RRC)が、「アンカー」送信ポイントを用いて常に保持されることを保証するが、二次接続は、遥かに高速なタイム・スケールで動的に追加され、または脱落されて、無線ベアラに関連するデータ・トラフィックについての日和見的なアクセスを提供する。この技法は、データの異なるストリームが一次リンクと二次リンクとを通して送信されることを可能とするので、cdma2000またはWCDMAにおけるソフト・ハンドオフ技法とは異なっており、また3GPPロング・ターム・エボリューションにおける協調マルチポイント(CoMP)技法(LTE/LTE−進化型)の一部分として考えられている共同送信技法とも異なっている。キャリア・アグリゲーションがUEによってサポートされる場合に、リンクは、同じキャリアの上で、または複数のキャリアの上で確立されることもある。研究は、この技法の性能の利点が、セル・エッジ・スループットを改善する観点からも、同様にハンドオーバの失敗を減少させる観点からも、非常に重要である可能性があることを示してきている。SMART技法はまた、「デュアル接続性」という名前によっても知られており、また3GPPによる標準化のために着手されている。
SMARTシステムまたはデュアル接続性システムにおいては、UEは、リソースの複数の組(すなわち、専用のキャリア、または代替的な時間/周波数リソース・パーティション)の上のセルラー方式ネットワークの内部の1つまたは複数の送信エンドポイントおよび受信エンドポイントと同時に通信することができるであろう。しかしながら、これらの送信ノードと受信ノードとは、同一場所に配置されていないこともあり、またはそれらの間のメッセージングは、(ほぼ数十ミリ秒以上程度の)かなりのレイテンシを経験する可能性がある。そのような場合には、プロトコル・スタック200によって表される通信スキームは、(PHYレイヤと、MACレイヤと、RLCレイヤとの間の低いレイテンシの基本的な要件が、違反されることになるので)望ましいように機能することができない。それゆえに、我々は、プロトコル・スタック200に対して変更を行って、ネットワーク側の上のそれらのそれぞれのエンドポイントがそれらの間にかなりのレイテンシを有する場合に、無線ベアラが、複数のキャリア、または他の時間/周波数リソース・パーティションの上の同時送信を利用することを可能にする必要がある。
LTE/LTE−A(キャリア・アグリゲーションをサポートするこれらを含む)に基づいた現在のネットワークにおいては、そこでは、UEは、1つのサービング・セルに関連づけられ、図1または図2の中に示されるプロトコル・レイヤは、サービング基地局において実施される。しかしながら、複数のセル(例えば、SMARTまたはデュアル接続性ネットワークにおける)の上の単一の無線ベアラに関連するデータの信頼できる送信は、ネットワークおよび/またはUEにおけるプロトコル・スタックに対していくつかの変更を必要とする。以前に我々が見てきたように、下位のレイヤ(例えば、MAC/PHY)におけるデータ・ストリームの分割が続く共通のRLCレイヤの使用は、一次サービング・セルと、二次サービング・セルとの間の低いレイテンシ・バックホール接続を必要とする。そのような構成は、SMARTネットワークにおける一次セルと、二次セル(単数または複数)との間の地理的な分離のために、可能ではない。PDCPレイヤにおいてデータ・ストリームを分割し、また一次リンクと二次リンクとの上でRLCレイヤと、MACレイヤと、PHYレイヤとの独立したインスタンスを有することは、可能である。しかしながら、特に二次リンクが悪化し、またはモバイルUEのために非常に簡単に脱落する可能性があるので、上位レイヤ・データの信頼できる順序通りの配信についての必要性は、PDCPにおける再送信能力を有する別のレイヤを必要とするであろう。これは、追加の非効率性と遅延とを導入する可能性がある。
これらのやりがいのある課題に対処するために、相互接続バックホール・ネットワークが必ずしも非常に低いレイテンシをサポートするとは限らないときに、分割無線リンク制御(RLC)の問題解決手法が、複数の空間的に分離された、または同一場所に配置された送信ポイントの上で分割される単一の無線ベアラについての、信頼できる順序通りのデータ配信のために提案される。説明を簡単にするために、本発明者等は、UEが、一次接続(またはリンク)と、1つまたは複数の二次接続(またはリンク)とを確立し終わっているものと仮定する。これらのリンクを確立するために使用される方法は、無線測定値、負荷、または他のファクタに基づいている可能性があり、また本説明の範囲外にある。本発明者等はまた、1つまたは複数のリンクの上のダウンリンク・オペレーションに関連するフィードバックが、アップリンクを経由して使用可能にされる可能性があることを仮定している。アップリンク・フィードバック報告のためのプロシージャはまた、この説明の範囲外にある。
ここで焦点は、肯定応答モード(AM)データのダウンリンク送信に当てられる。本発明者等のアプローチの一実施形態においては、AM無線ベアラに関連するデータは、一次リンク上及び1つまたは複数の二次リンク上で同時に配信される。ただ1つのPDCPプロトコル・インスタンスがこの場合に仮定されるが、RLCプロトコル機能は、図3のプロトコル・スタック300によって示されるように、上位および下位のRLCインスタンスを通して分割される。LTEなどのセルラー方式システムにおいて現在使用されるRLCレイヤは、各送信機会において下位レイヤによって示されるRLC PDUの許容可能サイズと、信頼できる順序通りの配信のための自動反復要求(ARQ:Automatic Repeat Request)再送信メカニズムと、肯定応答モードにおける再送信のためのRLCデータPDUの再セグメンテーションと、上位レイヤに対する配信のためのレシーバにおけるRLC SDUの再アセンブリとに基づいて、上位レイヤプロトコル・データ・ユニット(PDU)の転送、これらのPDUの連結、セグメンテーションなど、多数の機能をサポートすることに注意すべきである。RLC PDUサイズが、下位レイヤにおいて行われるスケジューリング決定に基づいて選択されるので、このアプローチは、RLCデータが2つ以上のリンクの上で分割されるアーキテクチャに対してよく適合されてはおらず、これらのリンクのうちのそれぞれは、異なる地理的サイトにおいて独立してスケジュールされる可能性がある。とりわけ、バックホール・ネットワーク上のレイテンシは、一般的に、RLCレイヤが下位レイヤのスケジューリングに(LTEの場合に、1msのサブフレームまたは送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)ごとに)迅速に適応することを可能にするために十分に低くはないであろう。
本発明者等が、提案している分割RLCアプローチは、より高いバックホール・レイテンシを可能にしながら、地理的に分離されたサイトからの2つ以上のリンクの上でのデータ送信を受け入れることができる。この場合に、本発明者等は、各無線ベアラについてのただ1つの上位RLCインスタンスを生成するが、複数の下位RLCインスタンスが、無線リンクごとに1つ、確立されることを可能にしている。分割RLCオペレーションの主要な態様は、以下のようである。
上位RLCオペレーション(送信側):上位RLCエンティティは、上位レイヤからRLC SDU(LTEの場合におけるPDCP PDU)を受信する。上位RLCエンティティは、次いで、PDUごとにシーケンス番号を含むヘッダを付け加えることにより、所定のサイズ限界を用いてRLC PDUを生成し、また受信するピアRLCエンティティ(すなわち、UEにおける)に対して配信するための一次送信ポイントおよび/または二次送信ポイントにおける下位RLCインスタンスに対してRLC PDUを下方に転送する。可変サイズのRLC SDUがサポートされ、また連結され、またセグメント化されて、各PDUの内部で受け入れられるデータ・ユニットを生成することができる。これらの連結/セグメンテーション・プロシージャと、仮定されるヘッダとは、LTEにおいて指定されるこれらの連結/セグメンテーション・プロシージャに類似している可能性がある。上位RLCインスタンスは、一次サービング基地局または適切と見なされる任意の他のノードにおいて、確立されることもある。上位RLCレイヤはまた、UEに対する送信中に失われ、または遅延されてしまっている可能性のあるRLCレイヤ・データを再送信する役割を担ってもいる。この機能をサポートするために上位RLCレイヤによって使用される自動反復要求(ARQ)オペレーションは、現在の3GPP LTEプロトコル・スタック(例えば、図1および図2におけるこれら)の中のRLCレイヤによって使用される自動反復要求(ARQ)オペレーションと同じとすることができる。RLCの現在の実施におけるように、上位RLCレイヤは、受信側からステータス報告を受信することができ、またその報告が1つまたは複数のRLC PDUの喪失を示す場合に、上位RLCレイヤは、失われたRLC PDUを再送信することを決定することができる。上位RLCレイヤは、一次送信ポイントまたは二次送信ポイントのいずれかの中に存在する下位RLCレイヤ・エンティティに対して、失われたRLC PDUのコピーを手渡すことにより、この再送信を実行することができる。現在のLTEプロトコル・スタックの中のRLCエンティティは、それらが肯定応答されるまで(またはそれらが、配信における反復された失敗のために切り捨てられる必要があるまで)RLC PDUのコピーを保持することに注意すべきである。これらのコピーは、再送信中に使用される。提案された分割RLCオペレーションにおける上位RLCレイヤは、単にこの動作をエミュレートするだけである。そのコピーが、上位RLCレイヤによって保持されるRLC PDUは、下位RLCエンティティに対して上位RLCレイヤによって手渡されるこれらのRLC PDUと同一であることにも注意すべきである。上位RLCレイヤは、下位RLCレイヤにおいて発生する可能性のあるセグメンテーションなど、さらなる処理について完全に無関心である。要約すれば、提案された分割RLCオペレーションにおける上位RLCレイヤは、セグメンテーション以外の、現在のLTEプロトコル・スタックの中のAM RLCエンティティの全体の機能をサポートする。
下位RLCオペレーション(送信側):各下位RLCエンティティによって受信されるRLC PDUは、下位レイヤによって示される送信機会を待ちながら、バッファリングされる。フロー制御が、上位RLCエンティティと、下位RLCエンティティとの間で仮定されて、下位RLCエンティティにおいてバッファの枯渇またはオーバーフローが存在していないことを保証する。ある種のサイズ(バイトまたはビットの数の形の)を受け入れることができる送信機会が下位レイヤによって示されるときに、下位RLCエンティティは、以下を行い、すなわち、RLC PDUのサイズが下位プロトコル・レイヤによって受け入れられ得るサイズ以下である場合に、RLC PDUは、下位プロトコル・レイヤに対して「そのまま」手渡される。他方では、RLC PDUが下位プロトコル・レイヤによって取り扱われ得るサイズよりも大きい場合に、RLC PDUは、セグメント化されて、下位プロトコル・レイヤによって示されるサイズに従うように、より小さなサイズのRLC PDUセグメントを形成する。これらのRLC PDUセグメントは、次いで、送信のために下位プロトコル・レイヤに手渡される。下位RLCエンティティによるRLC PDUのこの処理は、LTE仕様における(RLCレイヤによる)再送信の取り扱いに類似している。したがって、効果的に、RLC PDUの(下位RLCレイヤによる)第1の送信でさえも、再送信のように取り扱われ、またセグメント境界を示す関連のあるヘッダが含められる。UEの観点から、状況は、サイズと境界とが上位RLCによって下方に手渡されるRLC PDUのこれらのサイズと境界とに従うRLC PDUについての初期の送信があった場合に、現在のLTEプロトコルにおいて起こることになるものに類似しており、また何らかの形で、これらのPDUは失われてしまい、また下位RLCは、単に、ローカルな現在のサイズ限界当たりの新しいサイズへと(例えば、変更されたチャネル/負荷の状態によって決定されるように)場合によってはそれらを再セグメント化することにより、これらのPDUを再送信しているだけである。スケジューリング決定のための役割を担っている下位レイヤ(MACおよびPHY)が、下位RLCレイヤと同一場所に配置されることが仮定されるので、このアプローチは、支配的な負荷状態とチャネル状態とを考慮に入れることができる効率的な動的なスケジューリング決定を受け入れる。手短に言えば、下位RLCレイヤは、ただ、現在のLTEプロトコル・スタックにおけるRLCレイヤのSAR機能を実施するだけである(厳密に言えば、送信端は、セグメンテーションを行うが、受信端は、再アセンブリを行うので、これは、SAR機能のうちの「セグメンテーション」部分だけである)。
受信RLCオペレーション:受信RLCエンティティによって続けられるプロシージャは、単一リンクの場合においてUEによって続けられるプロシージャと同一とすることができる。受信側RLCエンティティは、受信ウィンドウを保持し、またシーケンス番号がウィンドウ内に含まれる場合だけに、PDUまたはPDUセグメントを受け入れるだけであろう。受信側RLCエンティティはまた、どのような複製も切り捨て、再順序づけし、またセグメントをPDUへと再アセンブリし、また最終的には上位レイヤへと順々に配信されるRLC SDUへとPDUを再アセンブリする。プロトコル・スタック200に基づいた受信RLCオペレーションはこの能力を有しているので、変更は、全般的なマルチ・キャリア通信スキームを実施するためにレシーバ側で必要とされないであろう。
上記で説明される分割RLCスキームは、無線ベアラがキャリア・アグリゲーションから利益を得ることに類似したやり方で、AM無線ベアラが複数のセルからの同時送信から利益を得ることを可能にするであろう。同時に、分割RLCスキームは、とりわけUEの観点から、既存のLTEプロトコル・スタックに対する最小限の変更を伴う。このスキームの数少ないわずかな変形が可能であり、これらは、このアプローチの意図と完全に整合している。
例えば、上位RLCレイヤが所定のサイズ限界を有するRLC PDUを下方に手渡すことが、述べられてきている。これらの所定のサイズ限界は、下位RLCエンティティによって定期的に提供される情報に基づいて準静的に変更される可能性がある。したがって、各RLCエンティティは、その端部における支配的なチャネル状態と負荷状態とに基づいて、望ましいRLC PDUサイズを示すメッセージを、上位RLCエンティティに対して定期的に送信することができ、また上位RLCエンティティは、最新のそのような情報を使用して、上位RLCエンティティが対応する下位RLCエンティティに対して送信するRLC PDUを構築することができる。与えられた無線ベアラについての下位RLCエンティティと上位RLCエンティティとが同一場所に配置されるこれらの場合において、この(下位RLCエンティティから上位RLCエンティティへの)メッセージングは頻繁に起こる可能性があり、さらに、そのような場合におけるレイテンシが小さいので、上位RLCは、現在のチャネル状態と負荷状態とのために適切であるRLC PDUを構築することができるようになり、このようにして下位RLCエンティティによるさらなる再セグメンテーションのための必要性を取り除いている。
さらに、下位RLCによって指定されるPDUサイズ限界は、上位RLCが、より小さい任意のPDUサイズを選定することを可能にするであろう。しかしながら、上位RLCが、結局最後に、(データ・バックログを有するにもかかわらず)あまりにも小さすぎるPDUサイズを選定することになることがある。上位RLCは、下位RLCにオプションの好ましい最小のPDUサイズを示させることにより、より高いPDUサイズを選定するように動作する可能性がある。次いで、上位RLCは、一般的に、好ましい最小値と、PDUサイズ限界との間のサイズを選定することになる。しかしながら、好ましい最小サイズを満たすには不十分なデータ・バックログが存在する場合、そのときには上位RLCは、好ましい最小サイズよりも小さいサイズを選定する可能性がある。十分なデータ・バックログが存在しているときに、より大きなサイズを選定する利点は、それが、(ヘッダが、あらゆるPDUについて追加されるので)RLCオーバーヘッドを減少させることである。
この場合にも、このアプローチの基本的なアイデアは、セルラー方式ネットワークと、移動局との間の通信を制御する、プロトコル・スタックにおけるRLCレイヤの機能を分割することである。RLCレイヤのこの分割は、無線ベアラに関連するデータが、複数のキャリアの上で同時に搬送されることを可能にする。移動局におけるRLCレイヤは、現在のモバイル側のオペレーションに対する変更なしに、このデータを収集し、またそれをより高いプロトコル・レイヤに対して、「順序正しく」手渡すことができる。このようにして、この分割RLC技法は、キャリア・アグリゲーションが提供するものと同様に、SMARTまたはデュアル接続性ネットワークにおける無線ベアラが複数のキャリアの上で同時送信の恩恵を享受することを可能にする。
詳細な、また時には非常に詳細な上記の説明が、提供されて、当業者が、当技術分野においてすでに知られているものを考慮して、本発明を作り、使用し、また最もよく実行することを効果的に可能にしている。例の中で、詳細が、本発明の可能な実施形態を例証する目的のために提供され、またより広範な発明の概念の範囲を制限し、または限定するように解釈されるべきではない。
ある種の実施形態を上記で詳細に説明してきており、本発明の実施形態の多くに共通のより一般的な態様についての再検討は、図4を参照して理解される可能性がある。図4の図400は、本発明の様々な実施形態による、無線アクセス・ネットワーク(RAN)402と、ユーザ要素(UE)401とについてのブロック図表現である。
RAN402は、複数のネットワーク・ノード403〜406を含んでいる。当業者なら、図4におけるRAN402の表現が、必ずしも、本明細書における実施形態の説明に特に関連のあるこれらのシステム・コンポーネントと論理エンティティとだけを商用的に動作させるために必要な物理固定ネットワーク・コンポーネントのすべてを示しているとは限らないことを認識するであろう。例えば、ネットワーク・ノードは、処理ユニットと、ネットワーク・インターフェースと、ワイヤレス・トランシーバとを備えていることが、知られている。一般に、そのようなコンポーネントは、よく知られている。例えば、処理ユニットは、それだけに限定されてもおらず、また必ずしも必要とするとも限らないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、メモリ・デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC:application−specific integrated circuits)および/または論理回路などの基本的コンポーネントを備えていることが知られている。そのようなコンポーネントは、一般的に、高レベルの設計の言語または記述を使用して表現され、コンピュータ命令を使用して表現され、信号フロー図を使用して表現され、かつ/または論理フロー図を使用して表現されてきているアルゴリズムおよび/またはプロトコルを実施するように適合されている。
それゆえに、高レベル記述、アルゴリズム、論理フロー、メッセージング/信号フロー、および/またはプロトコル仕様を仮定すると、当業者なら、与えられたロジックを実行する処理ユニットを実施するために使用可能な多数の設計技法と開発技法とについて知っている。それゆえに、ネットワーク・ノード403および406は、例えば、本明細書における説明に従って、本発明の複数の実施形態を実施するように適合された既知のデバイスを表す。さらに、当業者なら、本発明の態様は、様々な物理コンポーネントの形で、かつ/または様々な物理コンポーネントを通して、実施される可能性があり、またどれも、必ずしも単一プラットフォーム実装形態だけに限定されるものとは限らないことを認識するであろう。例えば、ネットワーク・ノード403〜406のうちのどれかの処理ユニットと、ワイヤレス・トランシーバと、ネットワーク・インターフェースとは、1つまたは複数の物理ネットワーク・プラットフォームの形で、または1つまたは複数の物理ネットワーク・プラットフォームを通して実施される可能性がある。
図400の例においては、RAN402は、プロトコル・スタックを使用して、キャリア411および412を経由して、ユーザ要素(UE)401に対してパケット・データを送信するように動作するネットワーク・ノード403および406を含んでいる。プロトコル・スタックは、図3のプロトコル・スタックにおいて示されるものなど、上位RLC処理レイヤと、複数の下位RLC処理レイヤとに分割される無線リンク制御(RLC)レイヤを含んでいる。各下位RLC処理レイヤは、キャリア(411または412)のうちの一方に関連づけられ、また各下位RLC処理レイヤは、その関連するキャリアを経由してパケット・データ送信をサポートする。上位RLC処理レイヤは、キャリア411と412との両方を経由して、パケット・データ送信をサポートする。
RAN402を様々な程度まで変更した多数の実施形態が存在する。いくつかの実施形態においては、複数のネットワーク・ノードのうちのネットワーク・ノード403は、上位RLC処理レイヤをホストするように動作するが、ネットワーク・ノード403と406とは、それぞれ、下位RLC処理レイヤをホストするように動作する。実施形態に応じて、ネットワーク・ノード403と406とは、地理的に分離されることもある。
上位RLC処理レイヤをホストするように動作するステップは、RLCサービス・データ・ユニット(SDU)を受信し、受信されたSDUからプロトコル・データ・ユニット(PDU)を生成し、また下位RLC処理レイヤのうちのそれぞれに対してPDUを送信するように動作するステップを含んでいる。実施形態に応じて、上位RLC処理レイヤをホストするように動作するステップはまた、複数の下位RLC処理レイヤのうちの少なくとも1つからPDUサイズ限界についての表示を受信するように動作するステップを含む可能性があり、またこのPDUサイズ限界を用いてPDUを生成するように動作するステップをさらに含む可能性がある。
複数の下位RLC処理レイヤのうちの下位RLC処理レイヤをホストするように動作するステップは、上位RLC処理レイヤからPDUを受信し、また再送信されるべきデータとして上位RLC処理レイヤからのPDUを処理するように動作するステップを含む。この処理は、下位RLC処理レイヤにおいて、ローカルな現在のサイズ限界に従うように上位RLC処理レイヤからのPDUをセグメント化するように動作するステップを含む可能性がある。
当業者なら、様々な上記で説明された方法のステップが、プログラムされたコンピュータによって実行され得ることを簡単に認識するであろう。本明細書においては、いくつかの実施形態は、プログラム記憶デバイス、例えば、デジタル・データ記憶媒体を対象として含むことを意図しており、このプログラム記憶デバイスは、マシン読み取り可能、またはコンピュータ読み取り可能であり、また命令のマシン実行可能なプログラム、またはコンピュータ実行可能なプログラムを符号化しており、ここで、前記命令は、本明細書において説明される方法のステップのうちのいくつかまたはすべてを実行する。プログラム記憶デバイスは、例えば、デジタル・メモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハード・ドライブ、または光学的に読み取り可能なデジタル・データ記憶媒体とすることができる。それらの実施形態はまた、本明細書において説明される方法の前記ステップを実行するようにプログラムされるコンピュータを対象として含むことも意図している。
利益と、他の利点と、問題に対する問題解決手法とが、本発明の特定の実施形態に関して、上記で説明されてきている。しかしながら、そのような利益、利点、または問題解決手法の要因となり、またはもたらし、あるいはそのような利益、利点、または問題解決手法がより顕著になるようにする可能性のある利益と、利点と、問題に対する問題解決手法と、任意の要素(単数または複数)とは、任意のまたはすべての特許請求の範囲についての重要な、必要とされる、または不可欠な特徴または要素として解釈されるべきではない。
本明細書において、また添付の特許請求の範囲において使用されるように、用語「備えている/含む(comprises)」、「備えている/含んでいる(comprising)」またはその他の任意の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、製造の物品、または装置が、そのリストの中のこれらの要素だけを含むのではないが、明示的にリストアップされていない、あるいはそのようなプロセス、方法、製造の物品、または装置に固有の、他の要素を含むことができるように、非排他的な包含のことを意味することを意図している。本明細書において使用されるような1つの(a)または1つの(an)という用語は、1つのではなくて、1つまたは複数のとして、規定される。本明細書において使用されるような複数という用語は、2つではなくて2つ以上として規定される。本明細書において使用されるような別という用語は、少なくとも第2またはそれよりも多くのものとして規定される。本明細書においてそれ以外の方法で示されていない限り、もしあれば、第1および第2、最上部および最低部など、相関的な用語の使用は、必ずしもそのようなエンティティまたはアクションの間の任意の実際のそのような関係または順序を必要とする、または意味するものとは限らずに、別のエンティティまたはアクションから1つのエンティティまたはアクションをただ区別するためだけに使用される。
本明細書において使用されるような、含んでいること、および/または有していることという用語は、備えていること/含んでいること(comprising)(すなわち、オープンな言語)として規定される。本明細書において使用されるような、結合される(coupled)という用語は、必ずしも直接的にとは限らないが、また必ずしも機械的にとは限らないが、接続される(connected)として規定される。単語「示していること(indicating)」から導き出される専門用語(例えば、「示す(indicates)」および「表示(indication)」)は、示されているオブジェクト/情報を通信し、または参照するために使用可能なすべての様々な技法を包含することを意図している。示されているオブジェクト/情報を通信し、または参照するために使用可能な技法の、必ずしもすべてとは限らないが、いくつかの例は、示されているオブジェクト/情報の伝達と、示されているオブジェクト/情報の識別子の伝達と、示されているオブジェクト/情報を生成するために使用される情報の伝達と、示されているオブジェクト/情報のある部分または一部分の伝達と、示されているオブジェクト/情報の何らかの派生物の伝達と、示されているオブジェクト/情報を表す何らかの記号の伝達とを含む。