JP2017505771A - 血管リモデリング - Google Patents

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Abstract

本発明は、ヒト染色体の座位14q32に位置するマイクロRNA遺伝子クラスターからのマイクロRNAが、血管の発達およびリモデリングにおいて重要な役割を果たすという知見に基づく。14q32マイクロRNAのいずれかのモジュレーターを、血管リモデリングプロセスを調節するための手段として、および/または血管障害または疾患の処置および/または防止において、利用することができる。

Description

発明の分野
本発明は、血管障害の処置に使用するため、および/または血管リモデリングのプロセスを調節するための、マイクロRNA阻害化合物を提供する。
発明の背景
心血管疾患は、ヨーロッパおよび北米における主要な死亡原因である。バルーン血管形成術またはバイパス手術などの血管内介入は、重度の閉塞性動脈疾患を有する患者を救命することができる。しかし、最高で50%の患者においては、動脈の生理学的位置に依存して、介入により誘発される再狭窄は、動脈の1年以内の完全な再閉塞をもたらす。
血管新生、血管形成および動脈形成は、虚血後の身体の自然な修復機構である。治療的血管新生は、下流の組織への血流を回復する。しかし、血管新生を刺激することを目指した臨床試験は、これまで成功していない。
治療的血管新生に伴う重要な問題は、血管形成および動脈形成などの正の血管リモデリングを刺激する因子は、多くの場合、アテローム性動脈硬化および再狭窄などの負の血管リモデリングも刺激することである。これは「ヤーヌス現象(Janus phenomenon)」として知られており、閉塞性動脈疾患を有する患者において、特に(血管内)介入後に血管新生を刺激する場合に、明白な問題を引き起こす。
アテローム性動脈硬化は、免疫調節およびコレステロール恒常性を含む様々なプロセスが関与する、複雑な多因子疾患である。大および中サイズの動脈における内皮層の損傷は、接着分子およびケモカイン産生の局所的上方制御をもたらし、これらは共に、血管壁への単球の流入を促進する。スカベンジャー受容体を介する酸化脂質のその後の取り込みは、初期脂肪線条の形成をもたらす。継続的な炎症は複数の免疫細胞を病変部に引きよせ、最終的には進行性アテローム硬化性プラークとなるii、iii。進行性アテローム硬化性プラークは、コラーゲンと平滑筋をほとんど含有しない薄い線維性被膜で覆われた大きな脂質コアを有するプラークとして、定義されるiv、v。進行性プラークの破裂は、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な急性心血管イベントを引き起こし得る。現在の脂質低下療法にもかかわらず、心血管疾患は依然として、西洋社会における主要な死亡原因である。アテローム性動脈硬化の多因子的性質を考えると、治療戦略の改善は、単一の要因に着目するのではなく、プロセスを全体として標的化することにより達成することができるであろう。
マイクロRNA(miR)は、約20ヌクレオチド長の短い非コードRNAのクラスであり、転写後レベルで、標的遺伝子発現を下方制御することができるvi。単一のmiRは、平均200個の推定標的遺伝子を有するvii。複数の遺伝子の発現を微調整するそれらの能力は、それらを、複雑な疾患のための優れた薬物標的とする。
アテローム性動脈硬化におけるmiRの阻害は、いくつかの研究において以前に検討されている。Raynerらは、miR−33の阻害が、血漿HDLを増加させつつ、血漿VLDLの低下をもたらすことを示したviii。コレステロール恒常性の調節に加えて、miRはまた、アテローム性動脈硬化に影響を与える他の細胞メカニズムに関与している。例えば、miR−126は、トリグリセリドリッチリポタンパク質に応答した転写後VCAMの発現を調節するix。また、miR−92aの阻害は、アテローム形成抑制特性を有するクルッペル様因子であるxi内皮KLF−2およびKLF−4の発現を上方制御することが実証されている。さらに、平滑筋細胞の増殖および遊走は、miR−195によって抑制することができる;したがって、新生内膜形成は、miR−195遺伝子治療によって低減することができるxii。miR−155は転写因子BcL6を抑制することが示され、これによりマクロファージにおけるNF−κB活性化およびCCL2の発現を増加させるxiii。したがって、この研究分野における結果は非常に有望であるように見える。しかし、これらの研究の多くは、miRの単一の細胞型またはプロセスに対する効果に焦点を当てていることは明らかであり、このためmiRの広範囲な効果を発揮する能力については、不当に扱われている。Yael Nossent et al, 2013 Annals of Surgery Vol. 258(5) 743-753には、14q32マイクロRNA−487bが、大動脈の高血圧誘発性のリモデリングにおいて、抗アポトーシスインスリン受容体基質1を標的とすることが記載されている。
本発明は、ヒト染色体の座位14q32に位置するマイクロRNA遺伝子クラスターからのマイクロRNA(以下では「14q32マイクロRNA」と称する)が、血管の発達およびリモデリングにおいて重要な役割を果たすという知見に基づく。したがって、本発明は、血管リモデリングのプロセスを調節するための手段として、および/または血管障害または疾患の処置および/または防止に、利用することができる。
したがって第1の側面において、本発明は、血管リモデリングプロセスを調節するため、および/または血管障害の処置または防止に使用するための、1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーターを提供する。
第2の側面において、本発明は、血管リモデリングプロセスを調節するため、および/または血管障害を処置または防止するための方法であって、これを必要とする対象に対して、1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーターを投与することを含む、前記方法を提供する。モジュレーターは、治療的に有効な量で投与することができる。必要とする対象は、ヒトまたは動物の対象であってよい。
なお、本明細書を通して用語「含む」および/または「含むこと」は、本発明の態様が注目の特徴を「含む」ことを示すために使用され、したがって他の特徴も含み得ることに留意すべきである。しかしながら、本発明の文脈において、用語「含む」および「含むこと」は、発明が関連する特徴「から本質的になる」か、または関連する特徴「からなる」態様を、包含する。
用語「血管」は、ヒトまたは動物の体内の、任意の形態の血管を包含してよい。具体的には、用語「血管」は、動脈、毛細血管および/または静脈などの血管に適用することができる。したがって、用語「血管リモデリング」は、動脈、毛細血管および/または静脈内および/またはそれらが定義する管腔の機能、大きさ、形状および/または構造の任意の変化に適用することができる。したがって、「血管リモデリングプロセス」は、血管の機能、大きさ、形状および/または構造の変化に関連するか、またはこれを導く、任意のプロセスとして定義することができる。同様に、用語「血管障害」は、ヒトまたは動物の体内の血管の1または2以上の種類に影響を与える、任意の疾患、状態、または症候群に適用することができる。
血管リモデリングは、正のリモデリングの形態をとり得る;すなわち、リモデリングは、例えば血管新生、血管形成および/または動脈形成などの血管機能の回復を目的としたプロセスを含む。血管リモデリングはまた、負のリモデリングの形態をとり得る;すなわち、さらなる血管損傷および/または血管構造および/または支持体の有害な調節を導くリモデリングである。負のリモデリングは、例えば、アテローム性動脈硬化および/または再狭窄を含み得る。したがって用語「血管リモデリング」は、リモデリングの正と負両方の形態を包含する。
用語「血管系」は、ヒトまたは動物の身体の特定の組織型、器官または領域内の血管(動脈、毛細血管および/または静脈)を包含し得る。したがって、用語「血管障害」および「血管リモデリングプロセス」は、血管系、例えば心血管(冠動脈)系、ならびに四肢(たとえばヒトまたは動物の身体の構造、例えば脚または腕)、および肺、脳、腎臓および/または肝臓の器官、組織および/または領域の血管系内の任意の血管に影響を与える疾患およびプロセスを包含することができる。
したがって本発明は、ヒトまたは動物の身体の血管および/または血管系のいずれかに影響を与える障害、疾患、症候群および/または状態の処置および/または防止に、用途を見出すことができる。さらに本発明は、これらの血管および/または系のいずれかにおける血管リモデリングのプロセスを調節するための手段として、利用することができる。
理論に束縛されるものではないが、1種または2種以上の14q32マイクロRNAの調節は、血管リモデリングに関連する遺伝子の調節を導く。血管新生、血管形成、および動脈形成などの正のリモデリングプロセスは、血管損傷に対する身体の自然な反応の一部を形成する。しかし、負のリモデリングプロセスが、正のリモデリングプロセスと同時に(またはこれに続いて)起きることが知られている(ヤーヌス現象:以下を参照)。本発明者らは、1種または2種以上の14q32マイクロRNAの阻害が、アテローム性動脈硬化および再狭窄に対する有効な処置を提供するだけでなく、これがさらに、例えば血管新生、血管形成、および動脈形成などの正のリモデリングプロセスを刺激することを発見した。
「血管リモデリングプロセス」に適用される「調節する」との用語は、血管リモデリングプロセスの速度または出現/発生率の任意の増加または減少を包含し得る。したがって、本発明で開示された14q32モジュレーターは、1または2以上の血管リモデリングプロセスを阻害(防止または抑制)および/または刺激(助長または増加)する手段として利用することができる。本発明の14q32モジュレーターおよび方法は、血管新生、血管形成、および/または動脈形成などのリモデリングプロセスを、増加または刺激するために使用することができる。本発明の14q32モジュレーターが影響を及ぼす調節の程度は、血管疾患に関連する病状を示さない、および/または本明細書に記載の1種または2種以上の14q32阻害剤と接触していない、細胞または組織で生じるであろう血管リモデリングの「正常」または「対照」レベルと比較して、評価することができる。
14q32マイクロRNA発現の適切なモジュレーターの具体例は、他の箇所に記載されているが、しかし読者は、14q32マイクロRNA発現のモジュレーターは、関連するマイクロRNAの発現を増加および/または阻害(減少)することができる、任意の分子または化合物であることに留意すべきである。典型的には、本発明のモジュレーターは、マイクロRNA阻害剤;具体的には、1種または2種以上の14q32マイクロRNAの阻害剤である。マイクロRNA阻害剤は、本明細書に記載の14q32マイクロRNAを含む1種または2種以上のマイクロRNAの発現、機能および/または活性を阻害または低下させる化合物または分子を含んでもよい。当業者は、調節の程度は、マイクロRNA発現の「正常」または「対照」レベルと比較して評価できることを理解するであろう。例えば、調節の程度は、血管疾患に関連する病状を示さない、および/または14q32マイクロRNAモジュレーターに供されていないかこれと接触していない試験系(例えば細胞ベースの系)における、同等のマイクロRNA(複数可)の発現と比較して評価することができる。
本発明は、末梢動脈疾患の処置および/または防止に、および/または末梢動脈における血管リモデリングプロセスの調節に、適用することができる。
本発明は、心血管/冠動脈および/または脳血管における血管リモデリングプロセスの調節に使用するための、1種または2種以上の14q32マイクロRNAの方法および/またはモジュレーターを提供することができる。さらに本発明は、心血管/冠動脈および/または脳動脈疾患の処置および/または防止に、用途を見出すことができる。
用語「心血管」または「冠動脈」疾患は、(重度)閉塞性動脈疾患、心筋梗塞(および/またはそれに起因する血管損傷)、虚血性脳卒中、ならびに虚血イベントの結果として起こる組織または血管損傷を包含することができる。
さらに、本発明は、疾患、手術または処置の後に起こり得る、障害、疾患、症候群または状態の処置および/または防止(prevention)(予防(prophylaxis))にも適用することができる。心血管疾患の文脈において、本発明のマイクロRNAモジュレーター化合物および方法は、再狭窄および/またはアテローム性動脈硬化などの状態の処置および/または防止に使用することができる。
本発明はまた、例えば、心筋梗塞(心臓リモデリングと呼ばれる)、動脈瘤形成(腹部または胸郭大動脈瘤を含むがこれに限定されない)の後に発生し得る血管リモデリングプロセスの調節にも適用することができる。本発明は、かかる状態(またはそれに関連する合併症)の処置および/または防止に応用され得る。
これに加えて、または代替的に、1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーターは、例えば、バイパス手術(冠動脈および末梢バイパス手術を含む)、透析手順(透析シャントリモデリング)および/またはステントの移植またはバルーン血管形成術などを含む、外科的処置または介入などの後に起き得る再狭窄を、処置または防止するために使用することができる。
さらに、本発明の使用および方法は、血管疾患および/または血管リモデリングプロセスと関連する、またはこれの原因となる、障害、疾患、状態および/または症候群の処置および/または防止に適用することができる。例えば、本発明者らは、1種または2種以上の14q32マイクロRNAの調節を介して、血中コレステロールレベルを調節することが可能であることを指摘している。当業者は、上昇した血中コレステロールレベルは多くの場合、アテローム性動脈硬化に関連しているため、本発明が、アテローム性動脈硬化および他のコレステロール関連疾患、状態、または症候群の処置に適用され得ることを理解するであろう。本発明は、高コレステロール血症をコントロールするための手段として利用することができる。
本発明のマイクロRNAモジュレーター化合物および方法は、例えば、血管新生、血管形成および/または動脈形成を調節する、例えば増加、増進、促進または増強するために、使用してもよい。
本発明者らは、本発明の方法および使用が、血管疾患に対する従来技術の治療に多くの場合に連関する副作用である、ヤーヌス現象に関連する問題を克服し得ることに気付いた。ヤーヌス現象は、正の血管リモデリング(すなわち、血管形成および動脈形成)を刺激する因子が、負のリモデリング(すなわち、アテローム性動脈硬化および再狭窄)も刺激すると述べている。上述したように本発明者らは、以下を発見した;すなわち、14q32マイクロRNAの調節を介して血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化など)を抑制することが可能であり、しかも負の血管リモデリングプロセスも刺激する可能性のある他の治療法とは異なって、本発明の化合物、使用および方法は、血管新生、血管形成および/または動脈形成を(同時に)調節する、例えば増加、刺激、増強または促進することができる。
具体的には、血管疾患のための先行技術の処置は、血管新生、血管形成および/または動脈形成を刺激することができるが、それらは多くの場合再狭窄および/またはアテローム性動脈硬化ももたらし得る。しかし、本発明者らは、14q32マイクロRNAの阻害による血管障害または疾患(本明細書中に記載される)の処置が、アテローム硬化性プラーク形成および病変サイズの減少、ならびに血管新生、血管形成および/または動脈形成などの正のリモデリングプロセスの増加をもたらすことを、観察した。
上記を考慮し、本発明は、アテローム性動脈硬化の処置または防止に使用するための、1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーター(例えば阻害剤)を提供する。実際本発明者らはまた、1種または2種以上の14q32マイクロRNAの調節が、アテローム硬化性プラークの形成および病変サイズの一般的な減少をもたらすのみでなく、アテローム硬化性プラーク内の壊死性コアの形成を低減することを発見した。壊死性コアのサイズは、プラーク安定性およびプラーク破裂と相関するため、本発明のマイクロRNAモジュレーターは、アテローム硬化性プラークを安定化するために使用することができる。
本発明はさらに、高コレステロール血症の処置または防止における使用のための、または血中コレステロールレベルを調節するための、1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーターを提供する。
本発明は、プラーク安定性の調節における使用のための、または再狭窄を処置または防止するための、1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーターを提供する。
本発明はさらに、動脈形成および/または血管形成の調節に使用するための、1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーターに関する。ここでアテローム性動脈硬化および/または再狭窄の同時の阻害もさらに観察され得ることが理解されるべきである。
誤解を避けるために、本発明はさらに、アテローム性動脈硬化、再狭窄および/または高コレステロール血症を処置または防止する方法、または血管形成、動脈形成、および/または血中コレステロールレベルを調節する方法にも拡張され、該方法は、1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーターの治療的有効量を、それらを必要とする対象に対して投与することを含む。ここで再び、次のことが理解されるべきである;すなわち、本発明の1つの利点は、血管形成および/または動脈形成(すなわち正の血管リモデリング)の調節に適用される本発明の薬剤(14q32マイクロRNAのモジュレーターを含む)が、顕著に減少したレベルの、例えばアテローム性動脈硬化および/または再狭窄を含む負のリモデリングまたは疾患をもたらすと思われることである。
なお、本発明は一般に14q32マイクロRNAの「モジュレーター」について言及するが、14q32マイクロRNAの阻害剤であるモジュレーターは特に有用であり得ることが理解されるべきである。
当業者は、用語「マイクロRNA」(または「miRNA」)に精通しているであろう。マイクロRNAは、遺伝子発現の調節に影響を与える、約22ヌクレオチドの長さの小さな非コードRNA分子である。これらは、遺伝子配列またはイントロン/エキソン配列のいずれかから産生され;多くは、遺伝子間配列によってコードされる。
ヒト染色体座位14q32は、マイクロRNAのアレイまたはクラスターをコードし、これらのマイクロRNAの各々は、本発明の範囲内に包含されるとみなされるべきである。血管リモデリングにおけるそれらの役割のために、14q32マイクロRNAは、総称して「血管作用性マイクロRNA」と称されてもよい。
一例として、本発明は、以下からなる群から選択される1種または2種以上のマイクロRNAの調節、例えば阻害、に関し得る:
1)マイクロRNA−2392
2)マイクロRNA−770
3)マイクロRNA−493
4)マイクロRNA−337
5)マイクロRNA−665
6)マイクロRNA−431
7)マイクロRNA−433
8)マイクロRNA−127
9)マイクロRNA−432
10)マイクロRNA−136
11)マイクロRNA−370
12)マイクロRNA−379
13)マイクロRNA−411
14)マイクロRNA−299
15)マイクロRNA−380
16)マイクロRNA−1197
17)マイクロRNA−323a
18)マイクロRNA−758
19)マイクロRNA−329−1
20)マイクロRNA−329−2
21)マイクロRNA−494
22)マイクロRNA−1193
23)マイクロRNA−543
24)マイクロRNA−495
25)マイクロRNA−376c
26)マイクロRNA−376a−2
27)マイクロRNA−654
28)マイクロRNA−376b
29)マイクロRNA−376a−l
30)マイクロRNA−300
31)マイクロRNA−1185−1
32)マイクロRNA−1185−2
33)マイクロRNA−381
34)マイクロRNA−487b
35)マイクロRNA−539
36)マイクロRNA−889
37)マイクロRNA−544a
38)マイクロRNA−655
39)マイクロRNA−487a
40)マイクロRNA−382
41)マイクロRNA−134
42)マイクロRNA−668
43)マイクロRNA−485
44)マイクロRNA−323b
45)マイクロRNA−154
46)マイクロRNA−496
47)マイクロRNA−377
48)マイクロRNA−541
49)マイクロRNA−409
50)マイクロRNA−412
51)マイクロRNA−369
52)マイクロRNA−410
53)マイクロRNA−656
54)マイクロRNA−1247
誤解を避けるために、上記の54のマイクロRNAの各々は、14q32マイクロRNAである−すなわち、これらはヒト染色体の14q32座位内に位置する配列によってコードされる。さらに、上記1〜54のマイクロRNAの各々は、「血管作用性マイクロRNA」と称してもよい。
したがって本発明は、血管リモデリングプロセスを調節するため、および/または血管障害の処置または防止における使用のための、上記1〜54としてリストされた1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーター、例えば阻害剤を提供する。
さらに、本発明は、血管リモデリングプロセスを調節する、および/または血管障害を処置または防止する方法であって、該方法が、上記1〜54としてリストされた1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーター、例えば阻害剤を、それを必要とする対象に対して投与することを含む、前記方法を提供する。モジュレーターは、治療的に有効な量で投与することができる。それを必要とする対象は、ヒトまたは動物の対象であってよい。
本発明は、血管障害/疾患の処置における、および/または血管リモデリングのプロセスの調節における使用のための、1種または2種以上のmiR−329、miR−494、miR−487bおよび/またはmiR−495のモジュレーター(例えば阻害剤)を提供する。より具体的には、これらマイクロRNAのモジュレーター例えば阻害剤は、アテローム性動脈硬化を阻害する(特にmiR−329、miR−494および/またはmiR−495のモジュレーター)、血中コレステロールレベルを低下させる(特にmiR−494および/またはmiR−495のモジュレーター)、プラークの安定性を高める(特にmiR−329、miR−494および/またはmiR−495のモジュレーター)、および血管形成および/または動脈形成を誘発する(特にmiR−329、miR−494、miR−487bおよび/またはmiR−495のモジュレーター)方法における使用のためであってよい。
miR−487bのモジュレーターは、高血圧が誘発する大動脈のリモデリングを調節するために使用することはできない。
ヒト14番染色体の14q32に位置するクラスターに等価なマイクロRNAクラスターは、マウスの12番、およびラットの6番染色体上に位置していることが理解されるべきである。したがって、本発明がヒトゲノムの血管作用性マイクロRNAを利用する方法および使用に関する限りにおいて、本発明は、他の哺乳類の染色体座位からの等価なマイクロRNAの方法および使用に及ぶことが理解されるべきである。
動脈形成現象を調査している間に、本発明者らは、特定のマイクロRNAの発現パターンが異なることに気付いた。例えば、いくつかのマイクロRNAは、動脈形成の発生後に、発現の急速な減少を示すことに気付いた−これらは、「高速応答者」と名付けられた。別のものは、動脈形成の発生後に、発現の適度な初期増加と、続いて約3〜7日後に強い減少を示した。約7日後、これらのマイクロRNAの発現レベルは再び上昇した。これらのマイクロRNAは、「低速応答者」と名付けられた。別のものは、動脈形成の全期間を通して、発現のわずかな減少のみを示した−これらは「非応答者」である。以下の表1は、高速、低速および非応答マイクロRNAを同定する。
上記に基づいて、および特定の疾患を処置するかまたは動脈形成などの血管リモデリングプロセスを調節する際に、当業者は、14q32マイクロRNAの調節に段階的なアプローチを採用する場合もあろう。例として、および動脈形成を増加または促進することを目的とする使用および方法を参照して、まず1種または2種以上の高速応答型マイクロRNA(表1に識別されているような)の発現を、次に1種または2種以上の低速応答型マイクロRNAの発現を調節することを選ぶ可能性がある。必要に応じて、1種または2種以上の非応答型マイクロRNAもまた継続して阻害する可能性がある。
本発明での使用に適したモジュレーターとしては、本明細書に記載の特定の14q32マイクロRNAを含む、14q32マイクロRNAの阻害剤が挙げられる。
本発明での使用に適した阻害剤は、例えば、有機/無機小分子、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、核酸(RNA、DNA、および/またはPNAを含む合成もしくはペプチドベースの核酸を含む)、炭水化物、脂質、抗体(その抗原結合断片を含む)などを含んでよい。
特に、用語「阻害剤」は、DNAおよび/またはRNAベースのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに適用され、これらは、特定の標的マイクロRNAに結合するかまたはこれと相補的な分子/配列を含む。オリゴヌクレオチドベースの阻害剤は、「遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチド」(GSO)と称してもよい。したがって、本発明は、GSO型阻害剤化合物を利用することができる。
例えば、用語「阻害剤」は、WO2012/135152(この開示はその全体が本明細書に組み込まれる)およびBhagat et al, (J. Med. Chem., 2011, 54, 3027-3036)に記載された、合成オリゴヌクレオチドベースの化合物を包含することができる。
本発明における使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の1種または2種以上の14q32マイクロRNA配列(またはマウスおよびラットのゲノムを含む他のゲノムにおける等価なマイクロRNA配列)の全体または一部に相補的である(核酸、DNAおよび/またはRNA、または下記のような合成/修飾塩基)配列を含むことができる。例えば、本発明における使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的マイクロRNAのシード配列に相補的な配列を含むことができる。標的マイクロRNA(複数可)の配列に相補的な配列を含むことにより、アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤は、標的マイクロRNAと二本鎖を形成することができ、かかる二重鎖の形成は、マイクロRNAがその意図される(mRNA)標的に結合することを防止する。
本発明のオリゴヌクレオチドおよび/またはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、アンタゴmir、および/またblockmir型阻害剤、ならびに阻害性RNA分子を含んでもよい。
当業者は、「アンタゴmir」が、標的マイクロRNAと少なくとも部分的に相補的な配列を有する一本鎖の化学修飾リボヌクレオチド、例えば、本発明の標的血管作用性マイクロRNA配列であることを理解するであろう。
本発明における使用のためのオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1種または2種以上の修飾オリゴヌクレオチドおよび/または1つ以上の化学修飾を含むことができる。例えば、本発明における使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドマイクロRNA阻害剤は、ペプチド核酸(PNA)を含むことができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、他の化学的修飾を含むことができ、例えば、2’−O−アルキル(例えば、2’−O−エチルおよび2’−O−メトキシエチル)、2’−フルオロ、および4’−チオ修飾などの糖修飾、ならびにホスホロチオエート、モルホリノまたはホスホノカルボキシ結合などの骨格修飾(例えば、米国特許第6,693,187号および第7,067,641号、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)である。本発明のオリゴヌクレオチドは、分子の安定性および/またはそのin vivo送達の向上を目的とした修飾を、含むかまたはさらに含むことができる。例えば、オリゴヌクレオチド/アンチセンスオリゴヌクレオチドは、コレステロール部分を含むことができる。本発明のオリゴヌクレオチドは、5’末端および3’末端に2’−O−メトキシエチル修飾リボヌクレオチドと、それらの間に少なくとも10のデオキシリボヌクレオチドを含む、2’−O−メトキシエチル「ギャップマー」を含むことができる。「ギャップマー」は、RNA標的のRNase I依存性分解のメカニズムの引き金となることができる。
本発明のオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1種または2種以上のロックされた核酸(LNA)を含むことができる。LNAは、リボース部分が2’酸素と4’炭素を接続する余分な架橋で修飾されている、「ロックされた形態」の修飾リボヌクレオチドである。LNAヌクレオチドは、DNAまたはRNA残基と混合されて、本発明における使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドを形成することができる。
本発明の阻害分子(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、少なくとも約5〜約50のヌクレオチド、例えば、少なくとも約10〜約40のヌクレオチド、または少なくとも約15〜約30のヌクレオチドを含むことができる。適切なアンチセンス阻害剤分子は、少なくとも約20〜約25のヌクレオチド、例えば約22のヌクレオチドを含むことができる。当業者は、マイクロRNA阻害剤としての用途を見出すアンチセンスオリゴヌクレオチド分子が、標的マイクロRNA配列に存在するヌクレオチドの数に対応する多数のヌクレオチドを含むことができることを理解するであろう。
本発明の阻害剤は阻害性RNA分子を含んでよく、この阻害性RNA分子は、標的マイクロRNA配列に相補的な配列を含む。適当な阻害性RNA阻害剤は、低分子干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)およびリボ核酸酵素(リボザイム)であってよい。
14q32マイクロRNA阻害剤を利用することに加えて、当業者は、本発明が、該14q32(血管作用性)マイクロRNAの標的である遺伝子の発現、機能および/または活性のいくつかの側面を調節する化合物または分子も利用し得るか、またはさらに利用することを理解するであろう。マイクロRNAの役割は遺伝子発現を制御することであるため、マイクロRNA発現の調節は次に、遺伝子発現の調節につながることが理解されるべきである。このように、1種または2種以上の14q32遺伝子標的の発現、機能および/または活性を増加させる化合物を含むモジュレーターは、血管リモデリングプロセスの調節、および/または血管障害、疾患、状態および/または症候群の処置および/または防止を達成するために使用することができる。
適切なモジュレーターは、14q32マイクロRNAが標的とする遺伝子の発現、機能および/または活性を増強する分子を含んでもよい。この種類のモジュレーターは、特定の遺伝子に関連するプロモーターの活性に影響を及ぼす(増加させる)ことができる。遺伝子発現を増強するモジュレーターは、問題の遺伝子のタンパク質産物(またはその機能的断片)またはそれをコードする核酸配列を、含むことができる。モジュレーターとして使用するための核酸配列は、発現ベクターの形態で提供することができる。
本発明における使用のためのモジュレーターは、14q32マイクロRNAが標的とする遺伝子の発現、機能および/または活性を阻害または抑制する分子を含んでもよい。この種類のモジュレーターは、特定の遺伝子に関連するプロモーターの活性を阻害する(低減する)ことができる。阻害性モジュレーターはさらに、オリゴヌクレオチド、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、または特定の遺伝子の発現を抑制、切除または阻害するように設計された合成的に調製されたマイクロRNA分子を含むことができる。この種類の阻害剤(核酸ベース)分子を設計するための技術および「apps」は、当該技術分野の当業者に知られており、更なる情報は、Rebecca Schwab et al (2006: Highly Specific Gene Silencing by Artificial MicroRNAs in Arabidops is Plant Cell 18: 1121-1133およびStephan Ossowski et al (2008: Gene silencing in plants using artificial microRNAs and other small RNAs The Plant Journal 53 (4), 674-690から得ることができる。
本発明における使用のためのモジュレーターは、その発現を14q32マイクロRNAによって(少なくとも部分的に)制御することができる遺伝子のタンパク質産物(またはそのエピトープ)に対する親和性または特異性を示す、抗体の形態をとることができる。抗体は、ポリクローナルおよび/またはモノクローナルであってよく、抗体を作製するために使用する技術は、当該技術分野で知られており、これは、動物の免疫化プロトコルの使用(ポリクローナル抗体の生成のため)またはハイブリドーマの生成(モノクローナル抗体の生成のため)を、含むことができる。ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体の調製および使用に関するさらなる情報は、Using Antibodies: A Laboratory Manual by Harlow & Lane (CSHLP: 1999)およびAntibodies: A Laboratory Manual by Harlow & Lane (CSHLP: 1988)から得ることができ、これらは両方とも、本明細書に参照により組み込まれる。
したがって、さらなる側面において、本発明は、血管のリモデリングプロセスを調節するため、および/または血管障害の処置または防止に使用するための、1種または2種以上の14q32マイクロRNAにより標的化されるか、または少なくとも部分的に調節される、1種または2種以上の遺伝子のモジュレーターを提供する。
本発明のモジュレーターは、1種または2種以上の賦形剤、担体および/または希釈剤を含む組成物として、提供することができる。組成物は、医薬組成物の形態をとることができ、したがって、無菌であるか、および/または薬学的に許容し得る賦形剤、担体および/または希釈剤を含んでもよい。
本発明を、ここに以下の図を参照して詳細に説明する。図は、以下を示す:
ヒト14q32座位およびマウス12F1座位の概略図。色は、マウスmiRが、健康なC57B1/6マウスにおける大腿動脈の単結紮により誘発される後肢虚血後に、高速応答、低速応答または非応答であったかどうかを示す。 有効な動脈形成の間の14q32 miR発現。左大腿動脈の単結紮の前、ならびに1、3、および7日後のマウス(1時点あたり4匹のマウス)の左内転筋から単離された全RNAのマイクロアレイ解析。miR−329、miR−487b、miR−495およびmiR−494の発現レベルは、大腿動脈結紮前のそれらの個々の発現レベルのパーセンテージとして表す。
初代ヒト動脈線維芽細胞および後肢虚血を施したマウスの内転筋組織におけるmiR阻害。(A)アンタゴmiR(5ng/μl)による、初代HUAFにおける個々の14q32 miRの阻害。(B)GSO(5ng/μl)による、初代HUAFにおける個々の14q32 miRの阻害。(C)アンタゴmiR−494(5ng/μl)での処置後の、初代HUAFにおける個々の14q32 miRの発現レベル(上の図)、およびGSO(5ng/μl)での処置後の、初代HUAFにおける個々の14q32 miRの発現レベル(下の図)。少なくとも3つの独立した実験からの、miR−191と比較した平均発現レベルを、±SEMで示す。P<0.05、**P<0.01。(D)GSO−329、GSO−487b、GSO−494およびGSO 495での処置後4、8および18日目における、左大腿動脈の二重結紮を施したC57B1/6マウスの内転筋組織における14q32 miRの発現を、GSO対照と比較して示す。1群当たり、3匹のマウスの内転筋組織を用いた。let−7Cに相対的な平均発現レベル±SEMを示す。P<0.05。
in vivoでの14q32 miR阻害後の血流の回復。(A)PBSまたはGSO(1mg/マウス)のいずれかで処置したマウス(1群当たり11匹)における、経時的なLDPI測定の定量化。データは、虚血足の非虚血足に対する比率として算出する。データは、平均±SEMとして提示する。(B)GSO対照またはGSO−329のいずれかで処置したマウスの左肢でのHLIの誘発の直後および7日後における、代表的なLDPIの画像。 14q32 miR阻害後のin vivo動脈形成。GSOで処置したマウスの右(処置なし)および左(大腿動脈を結紮)内転筋組織の代表的なα−SMA染色の画像を、GSO対照で処置したマウスにおける増加と比較した、α−SMA細動脈の直径の増加の定量化。1群当たり、11匹のマウスの左右の内転筋を含めた。各筋肉から8つの切片を使用し、各切片から代表的な1枚の写真を用いた。スケールバーは100μmを表す。データは、平均±SEMとして示す。
14q32 miR阻害後のin vivo血管形成。GSOで処置したマウスの右(正常酸素)および左(虚血性)ヒラメ筋におけるCD31染色の代表的な画像、およびGSO対照で処置したマウスでの増加と比較した、右および左ヒラメ筋の間のCD31面積の増加の定量化。1群当たり、3匹のマウスからの左右のヒラメ筋を含めた。各筋肉について6切片を使用し、各切片から代表的な1枚の写真を用いた。スケールバーは100μmを表す。データは、平均±SEMとして示す。 推定標的遺伝子のin vivoでの調節。miR−329についての推定標的遺伝子の発現レベルを、HLIの後3日目(A)および7日目(B)の、GSO−329で処置したマウスの内転筋組織におけるHPRT1と比較したもの。miR−494についての推定標的遺伝子の発現レベルを、HLIの後3日目(C)および7日目(D)の、GSO−494で処置したマウスの内転筋組織におけるHPRT1と比較したもの。1群当たり、3匹のマウスからの内転筋組織を使用した。データは、平均±SEMとして示す。P<0.05。
14q32 miR阻害のin vitro効果。(A)GSO処置(15ng/μl)後のHUAECの増殖を、Hチミジン取り込みにより、GSO対照と比較して測定したもの。(B)GSO処置(10ng/μl)後のHUAECの増殖を、Hチミジン取り込みにより、GSO対照と比較して測定したもの。データは平均±SEMとして示し、少なくとも3回の独立した実験を表す。P<0.05。 14q32/12FL miRの発現。miR−329、miR−487b、miR−494およびmiR−495の発現レベルを、健康な成体C57B1/6マウスの大動脈、心臓、脾臓、腎臓、骨格筋と脳でのLet−7c、および肝臓でのLet−7cおよびmiR−122と比較して示したもの。9匹のマウスからの組織/臓器が含まれており、3匹の動物ごとにプールした。データは、平均±SEMとして示す。 miR−495の推定標的遺伝子のin vivoでの調節。miR−495についての推定標的遺伝子の発現レベルを、HLIの後3日目(A)および7日目(B)の、GSO−495で処置したマウスの内転筋組織でのHPRT1と比較したもの。1群当たり、3匹のマウスからの内転筋組織を使用した。データは、平均±SEMとして示す。
14q32 miR阻害のin vitro効果。GSO処置(10ng/μl)後のHUASMCの増殖を、Hチミジン取り込みにより、GSO対照と比較して測定したもの。データは平均±SEMとして示し、少なくとも3回の独立した実験を表す。 miR−494、miR−495およびmiR−329の阻害は、アテローム硬化性病変の形成を減少させる。GSOによるmiR−494およびmiR−495の阻害は、ApoE-/-マウスの頚動脈におけるアテローム硬化性プラーク形成の減少をもたらす。GSO−329は、病変サイズの減少傾向を示す。PBSとGSO対照の間で有意差は見出されなかった。顕微鏡写真は、各処置群の代表的な画像を示す(10×)。
GSO−494、GSO−495による処置は、大幅に増加したアテローム硬化性病変の安定表現型につながる。miR−494、miR−495およびmiR−4329の阻害の、プラーク形態および病変の安定性に対する効果。A.病変におけるコラーゲン含有量は、GSO 494および495で処置した群で増加した(P<0.05)。B.壊死性コアサイズは、デブリの豊富な細胞面積として定義され、総プラーク面積のパーセンテージとして測定した。興味深いことに、miR−494およびmiR−495の阻害は、壊死性コアサイズの減少をもたらし(P<0.05、***P<0.0001)、これは、増加したコラーゲン含有量と共に、増加した安定表現型を示唆するものである。C.マクロファージをMAC−3抗体により可視化し、内膜中の染色面積のパーセンテージとして表した。GSO−495で処置したマウスのみが、病変マクロファージの減少を示した(P<0.05)。D.アテローム硬化性プラークの平滑筋細胞中含有量に、差は見られなかった。顕微鏡写真は、すべての処置群における壊死性コアサイズの代表的な画像を示す(10×)。 miR−494およびmiR−495の阻害後のコレステロールレベルの減少。コレステロールレベルは、GSO−494およびGSO−495で処置した後に、6週間の西洋型食餌の後のサクリファイス時(A)に減少した。AKTA−FPLC分析は、VLDL/LDLレベルの明らかな低下を示した(B)。P<0.05;**P<0.001。
GSO処置後の血中リンパ球と好中球の変化。miR−329およびmiR−495の阻害は、28日目に、血液中のリンパ球の絶対量の減少を導く(A)。さらに、miR−329の阻害はまた、好中球の減少をもたらした(B)。P<0.05。 GSO処置後のTIMP/MMP比の増加。GSOによる処置後、miR−329およびmiR−494の標的遺伝子であるTIMP3の発現レベルは、BM由来マクロファージ中で顕著に増加した。miR−495の標的遺伝子であるTIMP2は、GSO−495での処置後にBM由来マスト細胞において増加した。MMPレベルは、GSO処置後にも変化せず、正のTIMP/MMP比をもたらした。P<0.05。 マウス内皮細胞、平滑筋細胞、骨髄(BM)由来マスト細胞およびBM由来マクロファージにおける、miR−494のGSO誘発性阻害後の、標的遺伝子発現のin vitro調節。
マウス内皮細胞、線維芽細胞、骨髄(BM)由来マスト細胞およびBM由来マクロファージにおける、miR−495のGSO誘発性阻害後の、標的遺伝子発現のin vitro調節。 マウス内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞および骨髄(BM)由来マクロファージにおける、miR−329のGSO誘発性阻害後の、標的遺伝子発現のin vitro調節。 1mgのGSO、GSO対照またはPBSの注射後3日目のマウスの頸動脈における、miR−329、miR−495およびmiR−494の発現。 in vitroでのコラーゲン合成を、H−プロリンの取り込みにより、GSO対照と比較して、miR−494、miR−495またはmiR−329のGSO誘発性阻害の後にマウス平滑筋細胞において測定した。結果は、総タンパク質合成と比較した毎分の崩壊(DPM)として表す。
例1
材料および方法
逆標的予測
動脈形成および血管形成に関与するmiRを識別するために、in silicoの逆標的予測(RTP)を実施した。選択は、文献および我々のグループ内の以前の研究から、動脈形成と血管形成において重要な役割を果たすことが知られている127の遺伝子についてなされた(表S1)。識別されたmiRのマスタースイッチの特徴を確認するために、我々は、血管リモデリングのすべての側面をカバーする標的遺伝子を選択した;内皮活性化、平滑筋細胞増殖、細胞外マトリックス再配列、ケモカインおよびサイトカインおよびそれらの受容体、増殖因子およびそれらの受容体、ナチュラルキラー複合体、動脈形成促進および血管形成促進転写因子、およびシグナル伝達分子(表S1)。次に我々は、それぞれの個々の遺伝子についてwww.target.scan.orgを使用し、これらの127の遺伝子を標的とすることが予測されるすべてのmiRのリストを生成した。制限の適用なしの各リストをスプレッドシートにコピーし、各miRについて、それらがファイルに現れた回数を単純にカウントした。
我々の調査結果の妥当性を確認するために、マイクロアレイ解析を使用して、左大腿動脈の単結紮を施されたC57B1/6マウスの内転筋群における活性な動脈形成の部位において、上方制御されたことが判明した追加の70の遺伝子を選択した(表S2)。我々は、これらの70の遺伝子についてRTPを繰り返し、2つの逆標的予測で識別されたmiRの間における類似点を探索した(14q32 miRについて、表S3)。
両方のRTPは、臨床的関連性を保証するために、ヒト標的遺伝子のmiR結合部位を探索して実施した。ヒトおよびマウスの標的部位間の保存をチェックして、後肢虚血の我々のマウスモデルの妥当性を確認した(14q32 miRについて、表S4)。
マイクロアレイ
健康な成体の雄C57B1/6マウスに、以下の記載のように大腿動脈の単結紮を行った。4匹のマウスを、以下の各時点でサクリファイスした:結紮前;結紮の24時間後;結紮の72時間後;結紮の1週間後。内転筋を採取し、ドライアイス上でスナップ凍結した。全RNAを、RNeasy線維組織ミニキット(Qiagen)を用いて単離した。RNA濃度、純度および完全性を、ナノドロップ(NanoDrop(登録商標)Technologies)およびBioanalyzer(Agilent 2100)測定によって調べた。
全ゲノム発現のプロファイリングのために、増幅されビオチン化されたRNAを、Illumina TotalPrep RNA増幅キットを使用して生成した。配列解析には、45,200より多くの転写産物を含むMouseWG-6 v2.0 Expression BeadChip(Illumina)を使用した。発現レベルはLog2変換し、クォンタイル(quantile)正規化の後、ベースラインおよびHLI誘発後の両方でバックグラウンド強度を示した転写物は、分析から除外した。
miR発現プロファイリングは、LNAベースのアレイ上の2色共通の基準ハイブリダイゼーション(miRCURY LNA(商標)miR Array既製スポットプローブセット、Exiqon, Denmark)として実施し、CodeLink(商標)HD活性化スライド上(DHD1-0023, SurModics, Eden Prairie, MN)に製造業者のプロトコルに従ってインハウスでスポットした。試料は、miRCURY LNA miR Array Power標識キット(208032-A, Exiqon)を使用してHY5で標識し、16時間ハイブリダイズした。スライドを洗浄し(208021, Exiqon)、Agilent(G2565CA)マイクロアレイスキャナーでスキャンし、Genepix 6.0ソフトウェアで解析した。正規化およびバックグラウンド補正を、「統計的言語R」で「vsn」パッケージ(Bioconductor)を用いて行い、四重のスポットを平均した。差次的発現変動(differential expression)は、「limma」パッケージ(Bioconductor)を使用し、eBayes線形モデルを当てはめて、個々の処置を未処置の対照と対比することにより分析した。Log2の倍率変化はlimmaパッケージのtoptable関数を使用して算出した。
様々なマウス組織における、mRNA、rt/qPCRを介したmiR発現、および14q32 miR発現を、図9に示す。
マイクロRNA阻害剤
アンタゴmiRは、成熟標的miR配列に対して完全な逆相補性で設計されており、VBC Biotech(Vienna, Austria)から購入した。アンタゴmiRは、5’末端および3’末端ホスホロチオエート結合を有する一本鎖O−メチル修飾RNA鎖、および3’末端のコレステロール尾部からなる。
遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチド(GSO)は、成熟標的miR配列に対して完全な逆相補性で設計されており、Idera Pharmaceuticals (Cambridge, MA, USA)で合成された21。陰性対照としてスクランブル配列を使用し、これは、任意の既知のマウスmiRを標的としないように設計された。GSOは、その5’末端でホスホロチオエートリンカーにより互いに連結された、2つの一本鎖O−メチル修飾DNA鎖から成る。一本鎖オリゴヌクレオチドの5’末端の遮蔽は、Toll様受容体を介して自然免疫系の活性化を防止する;DNA二重鎖は、標的miRに対する特異性を増加させる。
使用するすべてのアンタゴmiRおよびGSOの配列を、表S5に示す。
「X」:ホスホロチオエートリンカー
「-NNN-」:2’−O−メチル修飾ヌクレオチド
「S」:ホスホロチオエート結合
「Chol」:ヒドロキシプロリノール結合を介して結合されたコレステロール基
後肢虚血モデル
8〜12週齢の健康な成体雄C57B1/6マウス(Charles River and Harlan)を、4〜5匹の群で、水道水および通常の飼料に自由にアクセスできるようにして収容した。すべての実験は、Leiden University Medical Center (Leiden, The Netherlands)の動物福祉に関する委員会によって承認された。
miR阻害実験のために、マウスに対し、PBS中1mg(〜40mg/kg)のGSOまたはPBSのみのボーラス注射を、大腿動脈結紮の1日前に行った。
マウスの麻酔は、ミダゾラム(8mg/kg、Roche Diagnostics)、メデトミジン(0.4mg/kg、Orion)およびフェンタニル(0.08mg/kg、Janssen Pharmaceuticals)の腹腔内(i.p.)注射によって実施した。片側後肢虚血は、浅腹壁動脈近傍の左大腿動脈のみの電気凝固(単一結紮:有効動脈形成のモデル)、または膝窩動脈と伏在動脈の分岐に近傍の遠位大腿動脈の電気凝固と組み合わせて22(二重結紮:重度の末梢動脈疾患のモデル)、実施した。手術後、麻酔を、フルマゼニル(0.7mg/kg、Fresenius Kabi)、アチパメゾール(3.3mg/kg、Orion)およびブプレノルフィン(0.2mg/kg、MSD Animal Health)で拮抗させた。
足への血流の回復は、記載のようにレーザードップラー灌流イメージング(Laser Doppler Perfusion Imaging)(LDPI)を用いて経時的に測定した。
鎮痛薬フェンタニル(0.08mg/kg)を最後のLDPI測定後に皮下投与し、マウスをサクリファイスした。内転筋、腓腹筋およびヒラメ筋を採取し、ドライアイス上でスナップ冷凍するか、または4%PFAに固定した。
組織を用いて、miRのrt/qPCR分析および標的遺伝子発現のため、または免疫組織化学のために、全RNAを単離した。
初代ヒト動脈細胞における増殖アッセイ
初代ヒト臍帯動脈内皮細胞(HUAEC)、平滑筋細胞(HUASMC)および線維芽細胞(HUAF)の単離および培養について、以下に説明する。
細胞を48ウェルプレートに、ウェル当り2500個(HUAF)または5000個(HUASMCおよびHUAEC)の細胞で播種した。翌日、細胞を培養培地中でGSO(HUAFSとHUASMCについては10ng/μl、HUAECについては15ng/μl)と共にインキュベートした。24時間後、培地を、HUAFSとHUASMCについては0.5%FCS、またはHUAECについては10%NBCSと、GSOとを共に含む培地と交換した。再度24時間後に、細胞を、HUAFSとHUASMCについては24時間、またはHUAECについては40時間刺激し、続いて細胞増殖をHチミジン(PerkinElmer, Zaventum, Belgium)を0.5μCi/mlの最終濃度で添加することによって決定した。5時間後、細胞を、氷冷PBSで洗浄し、100%メタノールで固定し、5%のトリ塩素酸を透過させ、0.3NのNaClで溶解した。1分当たりの崩壊(DPM)は、Ultima Gold(商標)シンチレーションカクテル(Canberra-Packard, Frankfurt, Germany)中、試料あたり5分間カウントした。
rt/qPCR
miR RT/qPCR.全RNAを、標準のTRIzol−クロロホルム抽出プロトコルを用いて単離した。RNA濃度、純度および完全性は、ナノドロップ(Nanodrop(登録商標)Technologies)によって調べた。miRの定量は、製造業者のプロトコルに従って、TaqMan(登録商標)miRアッセイ(Applied Biosystems)を使用して実施した。qPCRは、7900HT Fast Real-Time PCR System(Applied Biosystems)上で実行し、増幅効率は、標準曲線によって確認した。データの正規化は、安定的に発現する内因性対照(マウス試料についてmmu−let−7cとmmu−miR−122、およびヒト細胞培養物についてhsa−miR−191)を用いて実施した。
mRNA RT/qPCR.相対的な定量mRNA PCRは、タックマン遺伝子発現アッセイを用いて逆転写されたcDNAで実施した。qPCRは、7900HT Fast Real-Time PCR System(Applied Biosystems)上で実行し、増幅効率は、標準曲線によって確認した。データの正規化は、安定的に発現する内因性対照(GAPDH、HPRT1)を用いて実施した。
レーザードップラー灌流イメージング
足への血流の回復は、Laser Doppler Perfusion Imaging(LDPI)(Moore Instruments)を用いて経時的に測定した。マウスを、ミダゾラム(8mg/kg)およびメデトミジン(0.4mg/kg)のi.p.注射により麻酔した。マウスを二重ガラスポットに入れ、各測定の前に、37℃の水で5分間灌流した。LDPI後、麻酔をフルマゼニル(0.7mg/kg)とアチパメゾール(3.3mg/kg)の皮下注射により拮抗した。処置した足のLDPI測定は、内部対照として未処置の足の測定値に対して正規化した。
免疫組織化学
α−SMA.内転筋の厚さ5μmのパラフィン包埋断面を再水和化し、内因性ペルオキシダーゼ活性をブロックした。平滑筋細胞を、抗α平滑筋アクチン(抗α−SMA)(DAKO, Glostrup, Denmark)で染色した。切片をヘマトキシリンで対比染色した。α−SMA陽性の細動脈を、画像分析を用いて解析した(Image J 1.43, NHI, USA)。
CD31.ヒラメ筋の厚さ6μmの新鮮凍結断面において、内皮細胞を氷冷アセトン中に固定し、抗CD31(BD Pharmingen)で染色した。切片をヘマトキシリンで対比染色した。CD31陽性面積の定量化は、ランダムに撮影した切片上で(群当たり3匹の動物、マウス当たりの筋肉あたり、6つの代表画像)、画像解析(Qwin, Leica, Wetzlar, Germany)を用いて実施した。
ヒト臍帯動脈内皮細胞、平滑筋細胞および線維芽細胞(HUAEC、HUASMCおよびHUAF)の単離
臍帯は、満期妊娠から収集し、滅菌PBS中に4℃で保存し、その後7日以内に細胞単離のために使用した。HUAEC単離のために、カニューレを臍動脈の1つに挿入し、滅菌PBSでフラッシュした。動脈に、0.075%のコラゲナーゼII型(Worthington, Lakewood, NJ, USA)を注入し、37℃で20分間インキュベートした。コラゲナーゼ溶液を回収し、動脈をPBSでフラッシュして、すべての剥離した内皮細胞を収集した。細胞懸濁液を400gで5分間遠心分離し、ペレットをHUAEC培養培地(M199(PAA, Pasching, Austria)、10%熱不活性化ヒト血清(PAA)、10%熱不活性化新生ウシ血清(PAA)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(MP Biomedicals, Solon, OH, USA)、150μg/mlの内皮細胞成長因子(Dr. Koolwijk, VU Medical Center, Amsterdam, the Netherlandsからの提供)、および0.1%ヘパリン(LEO Pharma, Ballerup Danmark))に再懸濁した。HUAECは、1%ゼラチンで被覆したプレート中で培養した。
第2動脈を取り出し、残りの結合組織を除去した。内皮細胞は、動脈をブラントな針を介してゆっくり転がすことにより除去した。外膜と中膜を、手術用鉗子を用いて分離した。HUASMC/HUAF培地(DMEM GlutaMAX(商標)(Invitrogen, GIBCO, Auckland, New Zealand)、10%熱不活性化ウシ胎児血清(PAA)、10%熱不活性化ヒト血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび1%非必須アミノ酸(PAA))中で一晩インキュベートした後、両方の膜を、2mg/mlのコラゲナーゼタイプII溶液(Worthington)中で別々に、37℃でインキュベートした。細胞懸濁液を70μmセルストレーナーで濾過し、400gで10分間遠心分離した。細胞ペレットを再懸濁させ、培養培地中にプレートした。外膜から単離した細胞は、90分後に培養培地で洗浄して、ゆっくり接着する非線維芽細胞を除去した。
初代細胞培養
細胞を、加湿した5%CO環境において37℃で培養した。培養培地は、2〜3日毎に交換した。細胞は、トリプシンEDTA(Sigma, Steinheim, Germany)を使用して、90〜100%(HUAECおよびHUASMC)または70〜80%(HUAF)のコンフルエンシーで継代させた。HUASMCおよびHUAFは6継代まで、およびHUAECは3継代まで使用した。4継代までの単離されたHUASMCおよびHUAF、および2継代までの単離されたHUAECのストック溶液を、−180℃で、20%FBSおよび10%DMSO(Sigma)を含有するDMEM GlutaMAX(商標)中に保存した。
結果
逆標的予測
我々は、2つの逆標的予測分析を行った。最初のRTPでは、文献および我々自身の研究の両方から血管新生に関与することが知られている、127の遺伝子を含めた(表S1)。予想通り、虚血後の血管新生に影響を与えることが以前に報告されたいくつかのmiRについて、推定結合部位の富化を観察し、これは以下を含む:miR−17/92a10(それぞれ、29および21の推定標的遺伝子)、miR−106b/93/258,9(それぞれ、29、29および21の推定標的遺伝子)、miR−15aファミリー11、12、17(26の推定標的遺伝子)、miR−50314(11の推定標的遺伝子)、およびmiR−100(2つの推定標的遺伝子);ただし例えば、miR−126は含まれない。しかし、より驚くことは、14q32 miR遺伝子クラスターからの27のmiRについての推定結合部位の富化であり、これは以下を含む:miR−329、miR−494およびmiR−495(それぞれ、20、31および44の推定標的遺伝子)(表S3)。
第2のRTPでは、有効な血管新生のモデルである、大腿動脈の単結紮により誘発される後肢虚血後のマウス組織における血管リモデリングの初期段階に上方制御されることを我々が見出した、70の追加の遺伝子を含めた(表S2)。我々は再度、miR−17/92(それぞれ、8および4の推定標的遺伝子)、miR−106/93/25(それぞれ、8、8および4の推定標的遺伝子)、miR−15aファミリー(3の推定標的遺伝子)、miR−503(5の推定標的遺伝子)、およびmiR−100(1の推定標的遺伝子)についての結合部位の富化を観察した。さらに、最初に識別された27の14q32 miRのうち、26の結合部位の富化が回収され、これは、miR−329、miR−494およびmiR−495(それぞれ、10、8および7の推定標的遺伝子)を含む(表S3)。
我々は、両方のRTPでヒト標的遺伝子配列を使用し、ヒトとマウスの標的部位の間の保存を確認した。14q32 miR遺伝子クラスターは哺乳動物の間で高度保存され、我々は、全てではないが多くの推定標的部位も、同様に保存されていることを見出した(表S4)。
マイクロアレイ
我々は、mRNAマイクロアレイ解析に使用したのと同じマウスの組織試料の、miR発現プロファイルのマイクロアレイ解析を行った。後肢虚血(大腿動脈の単一結紮)後の24時間および72時間の時点で、14q32 miR−494は、最も顕著に調節されたマイクロRNAであった。miR−494は24時間および72時間後に急速に下方制御された;発現は、7日後に正常化された(図2)。他の14q32 miRを見ると、半分以上のクラスターメンバーが、有効な血管新生の間に下方制御されたことを観察した。10個の14q32 miRは、虚血の24時間後に既に下方制御されていた(初期応答者);24個の14q32 miRは、虚血72時間後に初めて下方制御された(後期応答者);16個の14q32 miRは、全く制御されなかった(非応答者)。9個の14q32 miRは、マイクロアレイ上に存在しなかった(表S6)。
さらなる研究のために、我々は各応答者群から1種ずつの14q32 miRを調査することを選択し、これらのすべては複数の血管新生遺伝子を標的とすることが予測されたものであった。miR−494(初期応答者)、miR−329(後期応答者)およびmiR−495(非応答者)を選択した。miR−487bは、2番目に顕著に下方制御された14q32 miR(初期応答者)であった。これはどちらのRTPにおいても識別されなかったが、我々は以前に、miR−487bが大動脈の外向きリモデリングに重要な役割を果たしていることを報告し24、したがってmiR−487bもさらなる研究に含めた。
遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチド
より一般的に使用されるアンタゴmiRに対するGSOの有効性および特異性を、初代ヒト動脈外膜線維芽細胞の培養物を用いて比較した。アンタゴmiRとGSOの両方は、HUAFにおけるその標的miRの発現を阻害するのに、同様に強力であることが証明された(図3A&B)。しかし、他のmiRの発現を測定すると、GSOはその標的miRの発現のみを阻害するが、アンタゴmiRは、他のmiRの発現にも影響を与えたことがわかった(図3C)。したがってGSOは、主要な動脈線維芽細胞においてアンタゴmiRと同等の有効性と、しかしより高い特異性を示した。
in vivoでのmiR阻害
rt/qPCRを使用して、GSO処置マウスの内転筋における標的14q32 miRの下方制御を確認した。全4種のGSOは、GSO対照と比較して、注射後4日目および8日目に対応する、手術後3日目および7日目において、それらの標的miRの顕著なノックダウンを達成した(7日目におけるGSO−494のp値は、0.06であった)。手術後17日目、GSOの注射後18日目に、miR−329、miR−494およびmiR−495の発現は正常化されたが、miR−487bは、まだ下方制御されていた(図3D)。
in vivoでの血流の回復
マウスに、尾静脈を介してPBS中の1mgのGSO、またはPBS単独のボーラス注射を行った。翌日マウスに、重度の末梢動脈疾患のモデルである左大腿動脈の二重結紮を行った。足への血流の回復は、後肢虚血後の17日までLDPIで追った。全群のマウスは健康に見え、顕著な体重減少は観察されなかった。全4つの処置群、GSO−329、GSO−487b、GSO−494およびGSO−495は、PBSおよびGSO対照群の両方に比べて、大幅に改善された血流の回復を示した(図4A)。PBSおよびGSO対照群の間で有意差はなかった。GSO−329またはGSO−495のいずれかを受けたマウスは、GSO対照と比較し、虚血誘発後3日目という早い時期に、灌流の増加を示した。灌流の増加は、両群で時間経過と共に持続し、GSO−329で処置したマウスは、驚異的にも虚血の誘発後7日以内に足の灌流の完全な回復を示し、これと比較してGSO対照処置マウスでは約60%の回復率であった(図4B)。GSO−495またはGSO−494で処置したマウスは、10日後にほぼ完全に灌流を回復し、それに続くのはGSO−487bで処置したマウスの2週間後であった。GSO対照およびPBS群は、17日目にサクリファイスされる前に、完全な回復を示さなかった。
in vivo動脈形成
細動脈の数および直径を、左大腿動脈の二重結紮の7日後にサクリファイスしたGSO処置マウスの内転筋のα−SMA陽性の血管を分析することにより決定した。側副動脈は既存細動脈から形成される。したがって、左右の足の間で側副動脈の数が、群内でも、また群間でも類似していたことに驚きはなかった。しかし、GSO対照と比較して、GSO−329(2.6倍、p=0.09)およびGSO−487b(3倍、p=0.02)で処置したマウスの左右の内転筋の細動脈の直径の間で、増加が観察された。細動脈の直径はまた、GSO−494(1.9倍、p=0.3)およびGSO−495(2.3倍、p=0.3)で処置したマウスにおいても増加したように見え、GSO誘発性の動脈形成の増加を示唆した(図5)。
in vivo血管形成
左大腿動脈の二重結紮の7日後にサクリファイスした、GSO処置マウスの左(虚血性)と右(正常酸素)ヒラメ筋をCD31について染色し、毛細管形成を可視化した。GSO対照と比較して、毛細血管形成の増加がGSO−329(9.5倍、p=0.003)およびGSO−494(8.1倍、p=0.06)で処置したマウスの左ヒラメ筋で観察された。毛細管形成はまた、GSO−487b(4.2倍、p=0.1)およびGSO−495(5.9倍、p=0.2)で処置したマウスの左ヒラメ筋でも、増加したように見えた(図6)。
in vivo標的遺伝子調節
14q32マイクロRNAを、広範囲の動脈形成促進よび血管形成促進標的遺伝子を標的とするそれらの可能性に関して選択した。すべての推定標的に対する調節を確認することは可能ではないであろうため、ヒトとマウスの間で保存された標的部位の数に基づき、潜在的な14q32 miR標的の3’UTRにおいて、選択を行った(表S5)。miR−329について、TLR4、MEF2A、ITGB3、EFNB2、VEGFAおよびFGFR2を選択した;miR−494について、ARF6 TLR4、VEGFA、EFNB2およびFGFR2を選択した;miR−495について、TGFB2、ITGAV、STAT3およびTGFBRを選択した。我々が以前に示したように、miR−487bは、わずか14の保存された推定標的遺伝子を有する。我々は、miR−487bが、動脈壁内の血管作用性インスリン受容体基質1(IRS1)を直接対象とし、内側平滑筋細胞および外膜線維芽細胞の両方の生存の上昇につながることを確認した24
rt/qPCRを使用して、これらの遺伝子が、関連するGSOで処置したマウスの左内転筋において上方制御されたかどうかを決定した。GSO−329で処置したマウスの内転筋において、miR−329についていくつかの標的遺伝子の上方制御を観察し、これにはHLIの3日後のTLR4、ITGB3、VEGFAおよびFGFR2を含むが、HLIの7日後にはそうではなかった(図7A−B)。GSO−494で処置したマウスでは、HLIの3日目後に標的遺伝子TLR4とVEGFAの、および7日後にTLR4、ARF6およびFGFR2の、上方制御を観察した(図7C−D)。miR−329は後期応答者であるため、miR−329阻害の最大の利益は、HLI後の早期に観察されることが予想され、これは初期応答者であるmiR−494がHLI後に急速に下方制御され、したがって、追加的な阻害の利益が、後期の時点で観察されることが予想されるのとは対照的である。
miR−495は効率的に下方制御され、血管新生および血流の回復に対するGSO−495の刺激効果も同時に観察されたが、我々は、GSO−495で処置したマウスにおける推定標的遺伝子の上方制御を、rt/qPCRによって確認することはできなかった(図10)。
14q32 miR阻害のin vitro効果
血管形成は主に、内皮細胞のみの活性化および増殖に依存するのに対して、動脈形成は、動脈内皮細胞、平滑筋細胞および線維芽細胞の活性化および増殖を必要とする。したがって我々は、GSO処置の、これらの3つの細胞型に対する効果を検討した。我々が以前にGSO−487b24について示したように24、いずれのGSOも、平滑筋細胞の増殖に影響を与えなかった(図11)。しかし、動脈内皮細胞において、miR−329、miR−487bおよびmiR−495の阻害はすべて、それぞれ約20%、50%および35%の細胞増殖の増加をもたらした。miR−494の阻害は、内皮細胞増殖には影響しなかった(図8A)。対照的に、線維芽細胞において、miR−494阻害後に細胞増殖の20%の増加を観察し(図8B)、一方他のGSOについては、効果は観察されなかった。
考察
本研究において、我々は、個々の14q32 miRの阻害が血流の回復を改善し、内転筋の動脈形成および虚血性腓腹筋の血管形成の両方を刺激することを示す。我々は、それらのマスタースイッチの特徴を利用し、逆標的予測によって血管新生を調節するmiRを識別した。血管形成と動脈形成の両方に関連するおよそ200の遺伝子のセット全体において、すべてがヒト14番染色体上のmiR遺伝子クラスターに属する27個のmiRの結合部位について、富化があった。14q32 miRは、マウスでの有効な血管新生の間、下方制御される。我々は遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチドを使用して、in vivoで4種の14q32 miRの発現を阻害し、マウスでの左大腿動脈の二重結紮後の、足への血流の回復を追跡した。
以前の研究では、個々のmiR阻害の、虚血後の血管新生への有益な効果を実証しているが、特にmiR−329についてここで観察された効果の大きさは、前例がないものである。2009年にBonauerら10は、血管形成におけるmiR−17/92aクラスターの役割について報告した。彼らは、miR−92aの阻害が、C57B1/6マウスにおいて、虚血後の血流の回復を改善したことを示した。著者らは、血流回復の実際のパーセンテージを報告していないが、著者らのLDPI画像は明らかに、大腿動脈と静脈の二重結紮後14日目にマウスが回復していないことを示している。2011年にGrundmannら14は、miR−100の阻害はまた、虚血後に血流回復の改善につながることを示した。著者らは、C57BL/6マウスにおける大腿動脈の二重結紮後7日目に、10〜15%の灌流の絶対的増加を記述した。最後に、2012年にYinら11は逆のアプローチを取り、miR−15aの過剰発現が虚血後の血流の回復を減衰させ、大腿動脈の切除後7日目に10%、14日目に25%の、灌流の絶対的な減少が、対照動物と比較してもたらされることを実証した。
大規模なRTPを使用して、血管新生を調節するmiR、またはこれについての任意の生理学的プロセスを識別することは、新規のアプローチである。血管新生に対して、RTPは、堅牢かつ効果的な方法であることを証明した。我々は、以前に血管新生と関連することが報告されたほとんどのmiRを回収し、新たな血管新生miRの大規模なセット、14q32 miR遺伝子クラスターを識別した。14q32 miRの阻害が虚血後の血流の回復を実際に増加させ、in vivoで動脈形成および血管形成の両方を増強するという事実は、この新規な方法の有効性を支持する。
しかし興味深いことには、我々は、血管新生を阻害することが以前に報告されたmiRを回収しただけでなく、血管新生を増強することが以前に報告されたmiRも回収し、これにはmiR−106b/93/258,25およびmiR−42423を含むが、ここでmiR−424は、抗血管形成効果を有することが報告されているものである26。我々の標的遺伝子のリストは、主に動脈形成促進遺伝子および血管形成促進遺伝子から構成され;これらの遺伝子を標的とすることが予測されたmiRはしたがって、血管新生を阻害する可能性がある。おそらく、血管新生促進経路および抗血管新生経路の調節は、以前に考えられていたよりも緊密に絡み合っている。この知見はまた、RTPを使用して、抗動脈形成遺伝子を標的とする、動脈形成促進miRを識別できることを示す。血管新生は、miR模倣物を使用することによって潜在的に改善することができ、これらのmiRの過剰発現およびそれらの抗動脈形成標的の下方制御が導かれる。しかし、例えばmiR模倣物の使用によるmiR過剰発現は、阻害よりも多くのオフターゲット効果につながる可能性があり、また、標的としたmiRを内因的に発現しない臓器または組織におけるmiRの過剰発現、したがって遺伝子阻害活性が生じ得る。
いくつかのmiR標的遺伝子予測アルゴリズムがオンラインで利用可能であるが、我々は、我々のRTPをwww .targetscan.org.に限定することを選択した。miR結合部位における多型に関する以前の研究において、我々は、TargetScanによって行われた予測が、約60%の精度を有することを見出した27;RTPに含まれる多数の遺伝子と組み合わせて、TargetScanの予測のみで、重要な血管新生miRを識別するのに十分な堅牢性を証明した。マイクロアレイ解析は、有効な血管新生の間において、ほとんどの14q32 miR遺伝子クラスターメンバーの下方制御を示し、これはさらに、両方のRTPの知見を確認する。
14q32 miR遺伝子クラスターは、ヒトとマウスの間で高度に保存されている。in vivoサイレンシングのために選択された4種の14q32 miRのうち、hsa−miR−329の配列のみは、そのマウスのバリアントMMU−miR−329からわずかに変化していた(表S1)。しかし、多くの推定結合部位は、ヒトとマウスの間で保存されていた。驚くべきことに、RTP1においてほとんどの推定の動脈形成促進および血管形成促進標的を有したmiR−495は、選択された4種のmiRの内で、最も少ない保存標的部位を有していた。種にわたる保存は多くの場合にゲノム配列の生物学的意義を反映するため、この低い保存の程度はおそらく、免疫組織化学によって測定されるように、新生血管新生に対するmiR−495阻害のより緩やかな効果を説明する。これはまた、miR−495が、マウスにおける有効な血管リモデリングおよび血管新生の間に調節されなかった理由、証拠に基づくRTP2においてより少ない推定標的を有していた理由、および、GSO−495処置後の推定標的遺伝子の上方制御を確認できなかった理由を、説明することができる。
miR−487bは、ヒトとマウスの両方で14個のみの保存された推定標的遺伝子を有するために、例外的なmiRである。我々は以前に、大動脈の外向き(outward)リモデリングにおけるmiR−487bの役割を、in vivoでラットにおいて、およびin vitroでヒト初代動脈細胞において、生存促進因子インスリン受容体基質1(IRSl)を標的とすることにより、確認した24。単一の保存された血管新生標的遺伝子のみを有するため、IRSlは、血流の回復と血管新生に対するmiR−487b阻害の、miR−329およびmiR−494阻害と比べてわずかにより緩やかな効果を説明する。ヒト肺癌におけるmiR−487bの役割に関する最近の研究は、SUZ12、BMIl、WNT5AおよびKRAを、miR−487bについての直接の標的として確認した28。しかし、WNT5A 3’UTR内の2つの部位の1つを除いて、これらの遺伝子におけるmiR−487bのための結合部位はマウスで保存されておらず、したがって我々のマウスモデルにおける血管新生に対する効果には、貢献することができない。
我々は、マスタースイッチとして機能し、動脈形成のすべての側面に関与する多くの異なる標的遺伝子の発現レベルに、おそらく適度な効果のみを有するmiRを識別することを目指した。特にmiR−329およびmiR−494は、in vivoで選択された標的遺伝子の大部分を調節することが判明した。血管リモデリングの様々な側面に関与するこれらの標的遺伝子は、miR−329またはmiR−494阻害後にin vivoで上方制御された。これに対応して、血流の回復、動脈形成および血管形成に対する効果は、堅牢であった。miR−329の阻害は、足の灌流の前例のない急速な回復をもたらした。miR−329は我々のマイクロアレイ解析で後期応答者であったため、血管新生の初期段階でのmiR−329の阻害はおそらく、全体としてのプロセスを大幅に強化する。この仮説は、せん断応力によって誘発される内皮活性化の後に動脈形成が開始されるため、内皮細胞増殖がGSO−329での処置の後に強化されたとの観察によって支持される。miR−329と同様に、miR−495の阻害もまた、虚血後血管新生の非常に早い段階で足の灌流の増加につながった。miR−495阻害後の内皮細胞の増殖のここに示された増加に加えて、以前の研究はまた、細胞の生存および遊走の両方におけるmiR−495の役割を示している29〜31。miR−487bの阻害もまた、内皮細胞増殖を増加させる。
我々のマイクロアレイ解析により、miR−494の発現は、迅速な下方制御の後、虚血後1週間以内に正常化し始めることが示された。本研究で用いた4種のGSOのうち、GSO−494は血流の回復に関して最も遅いスターターであるが、しかし特に大腿動脈結紮後の7日と10日の間、GSO−494処置は、対照と比較して、足の灌流を改善する。miR−494は以前に、他の細胞種類の中でも心筋細胞の増殖および生存の両方に影響を与えることが報告された32、33。我々は、miR−494が、動脈内皮細胞の増殖に影響を与えないが、動脈外膜線維芽細胞の増殖を強化することを観察し、これは、我々がin vivoで観察した、遅いスタートと、その後の、特に血管新生(すなわち線維芽細胞の動員および細胞外マトリックスの回復)の後期段階の流れにおける強い増加と整合する。したがって潜在的には、GSO−329とGSO−494の併用投与は、虚血後の血流の回復と血管新生をさらに高めるであろう。
結論として、ここで我々は、個々の14q32 miRの阻害がin vivoでの虚血後の血流回復の増加につながることを実証した。我々は、14q32 miRが、血管リモデリングおよび血管新生におけるマスタースイッチとして機能すると考える。14q32 miRの個々の、または組み合わせの阻害は、将来的に治療的血管新生における成長因子の代替を提供することができるであろう。
例2
材料および方法
逆標的予測
文献xiv,xv,xvi,xvii,xviiiおよび我々のグループ内の既存の知識に基づき、ケモカイン、サイトカイン、接着分子、スカベンジャー受容体、脂質関連標的、補体因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)および増殖因子を含む、アテローム性動脈硬化に関与する163の遺伝子のリストを編集した。全遺伝子を2つの群に分けた:アテローム性動脈硬化を低減すると予想されるもの(43遺伝子)、および悪化させると予想されるもの(120遺伝子)。オンラインアルゴリズムTargetscan(www .targetscan.org)を使用して、我々が選択した遺伝子を標的とすることが予想されるすべてのmiRについてのリストを生成した。これらのリストを次にスプレッドシートに移し、リスト回数(個々のmiRが総スプレッドシートにリストされた回数)を、各miRについて手動でカウントした。miRを、その出現率に応じてランク付けし、これは、3’UTR結合部位で最も高出現のmiRが、ほとんどのアテローム性動脈硬化関連遺伝子を調節すると予測されることを意味する(表1a)。RTPを、ヒト標的遺伝子における結合部位を分析することにより実施して、臨床的関連性を保証した。その後、ヒトおよびマウスの標的部位間の保存をチェックし、我々のマウスモデルの、アテローム性動脈硬化のための使用の妥当性を確認した。
マウス
すべての動物の作業は、オランダ政府のガイドラインおよび欧州議会のDirective 2010/63/EUに準拠して実施した。地元の動物飼育施設(Gorlaeus Laboratories, Leiden, the Netherlands)から入手した雄のapoE−/−マウスには、0.25%コレステロールおよび15%のカカオバターを含有する西洋型食餌(SSDS, Sussex, UK)を6週間与えた。外科的介入前に、マウスは、年齢、コレステロール、および体重を適合させた。コレステロール測定の詳細については後述する。白血球(WBC)数および細胞分化は、Sysmex細胞分化装置(Goffin Meyvis, Etten-Leur, The Netherlands)で決定した。
外科的介入
西洋型食餌の開始の2週間後、頸動脈プラークの形成を、前述のように、血管周囲のカラーの配置により誘発したxix。簡単に述べると、半収縮カラーを、マウスの左右の頸動脈の周囲に配置した。カラーの近位部位での低せん断応力および流れの妨害は、内皮接着分子の発現増加とアテローム硬化性病変形成をもたらす。カラー配置の4週間後、マウスを麻酔し、in situで灌流し、その後頸動脈病変を分析した。
GSOによる処置
手術後4日目に、マウスに、1mgの遺伝子サイレンシングオリゴヌクレオチド(GSO、Idera Pharmaceuticals, Cambridge, MA, USAからの提供)またはPBS対照のいずれかの静脈注射を施した。マウスのサブセット(群あたりn=6)を、in vivoでのmiRの下方制御を確立するために、4日後にサクリファイスした。アテローム性動脈硬化に対する効果について、残りのマウスに、マウスあたり0.5mgのGSOの第2の注射を、18日目に施した(群あたりn=15)。GSOは、成熟した標的miR配列に対して完全な逆相補性で設計され、Idera Pharmaceuticalsにより合成された。陰性対照として、任意の既知のマウスmiRを標的としないように設計されたスクランブル配列を使用した。GSOは、TLR活性化を避けるために、ホスホロチオエートリンカーによりその5’末端で一緒に連結された2つの一本鎖O−メチル修飾DNA鎖で構成される。使用される全てのGSOの配列を、表S1aに示す。
コレステロール測定と解析
血液を尾部出血によりマウスから採取した。血漿中のコレステロール濃度は、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル中の0.025U/mlのコレステロールオキシダーゼ(Sigma)および0.065U/mlのペルオキシダーゼおよび15μg/mlのコレステロールエステラーゼ(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)、ならびに7.5%メタノールとのインキュベーションにより決定した。Precipath(標準化血清;Boehringer Mannheim, Germany)を、内部標準として使用した。吸光度は490nmで測定した。
脂質プロファイリングのために、血漿をプールし(試料当たりn=3匹のマウス)、6回希釈し、その後血漿リポタンパク質の分画を、AKTA−FPLCを使用して実施した。トリグリセリドレベルおよび総コレステロールレベルは、各画分中および元のプールされた試料中で、コレステロールCHOD−PAP試薬(Roche/Hitachi)とのインキュベーションにより測定した。吸光度を492nmで測定した。
組織学および形態学
パラフィン切片(厚さ5μm)を、規定通りにHPS(ヘマトキシリン−フロキシン−サフラン)染色し、これを使用してプラークのサイズを決定した。ピクロシリウス赤染色を使用して、コラーゲンを視覚化し、壊死性コアの大きさを測定した。プラーク組成物はさらに、平滑筋細胞(α平滑筋アクチン、Sigma)およびマクロファージ(MAC3, BD-Pharmingen)についての染色により調査した。マスト細胞の量およびそれらの活性化状態は、酵素染色キット(Naphtol-CAE, Sigma)を用いて可視化した。
形態計測分析(Leica Qwin画像解析ソフトウェア)を、HPS染色アテローム硬化性病変の最大狭窄部位で実施した。(免疫)組織化学染色は、コンピュータ支援解析(Leica, Qwin)によって定量化し、総病変面積に対する正の染色面積の割合として表した。マスト細胞は手動でカウントした。全ての顆粒が細胞内に維持されている場合に、マスト細胞は休止中と考えられ、一方顆粒がマスト細胞の周囲の組織に堆積された場合に、マスト細胞は活性化されたと評価された。壊死性コアは、細胞性デブリに富んだプラーク領域の、総プラーク面積に対するパーセンテージとして定義した。
細胞培養
C57B1/6マウスから単離したBM(骨髄)細胞を、20%ウシ胎児血清(FCS)、2mmol/Lの1−グルタミン、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを補充したRPMI培地、およびマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)のソースとしての30%L929細胞馴化培地中で、7日間培養し、BM由来マクロファージ(BMDM)を生成したxx。初代マスト細胞の生成のため、BM細胞を、10%IL−3上清(WEHI細胞を過剰発現し分泌するマウスインターロイキン3(mIL3)の上清)、1mMピルビン酸ナトリウム、MEM非必須アミノ酸、10%FCS、2mmol/Lの1−グルタミン、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを補充したRPMI培地で、4週間培養したxxi。マスト細胞の純度および成熟は、サイトスピンを0.5%水性トルイジンブルーで染色することにより、顕微鏡で測定した。初代培養マウス平滑筋細胞(vSMC)ならびに線維芽細胞(3T3)および内皮細胞(H5V)の細胞株を、10%FCS、2mmol/Lの1−グルタミン、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを補充した、完全DMEM培地で培養した。
マスト細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞および内皮細胞を、10細胞/mLの密度で、トリプリケートでプレートした。GSOを5ng/mLの濃度で一晩添加し、その後細胞をRNA単離のために溶解した。
BMDMについては、GSOは、BMからの単離の直後に、5ng/mLの濃度で添加した。3日後、培地を、5ng/mL濃度のGSOの同様の添加で新鮮にした。4日後、培地を除去し、細胞をRNA単離のために溶解した。
RNA単離、cDNA合成およびqPCR
カラー配置の7日後からの3つの頸動脈セグメントをプールし、Pellet Pestle Cordless Motor(Kimble Chase Life Science, USA)を用いて粉砕することにより均質化した。全RNAを、標準のTRIzol−クロロホルム抽出プロトコルを用いて単離した。RNA濃度、純度および完全性は、ナノドロップ(Nanodrop(登録商標)Technologies)によって調べた。miRの定量は、製造業者のプロトコルに従い、TaqMan(登録商標)miRアッセイ(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて実施した。qPCRは、7900HT Fast Real-Time PCR System(Applied Biosystems)で実施した。データの正規化は、安定的に発現された内因性対照(mmu−let−7c)を用いて行った。
in vitro実験のために、全RNAを、グアニジンチオシアネート(GTC)法xxiiを用いて細胞から抽出した。RNAは、M−MuLV逆転写酵素(RevertAid, MBI Fermentas, Leon-Roth)により逆転写し、ABI PRISM 7700 Taqman装置(Applied Biosystems)によるマウス遺伝子(表S2a)の定量分析のために使用した。マウスHPRTおよびRPL27は、標準的なハウスキーピング遺伝子として使用した。
コラーゲン合成アッセイ
vSMCによるコラーゲン産生を測定するために、細胞を、ウェル当たり0.2×10細胞の密度で播種した。細胞の付着後、対照培地または、GSO対照、GSO−494、GSO−495またはGSO−329(5ng/mL)を含有する培地を添加した。続いて、50μg/mlのアスコルビン酸の存在下で、1μCi[H]プロリン(Perkin Elmer)を加え、37℃で一晩インキュベートした。細胞をウェルから剥離し、20mMのトリス×HCl/0.36mMのCaCl(pH=7.6)に入れ、2分間超音波処理した。コラーゲンを、100U/mLのコラゲナーゼとともに37℃で2時間インキュベートすることによって分解し、その後試料を、13.2gで15分、遠心分離した。タンパク質を、氷上で30分間、50%トリクロロ酢酸を用いて沈殿させ、その後上清中の[H]プロリン含有量を、コラーゲン産生の指標として、液体シンチレーションアナライザー(Packard 1500 Tricarb, USA)で定量した。タンパク質含有量は、標準的なBCAタンパク質アッセイを用いて測定した。
統計分析
データは、平均±SEMとして表す。両側スチューデントt検定を、in vivo研究における個々の群を比較するために使用した。ノンパラメトリックデータは、マンホイットニーU検定を用いて分析した。P<0.05のレベルを有意とみなした。
結果
miR−494、miR−495およびmiR−329は、複数のアテローム性動脈硬化関連遺伝子を調節することが予測される
文献および以前の研究から知られている我々が編集した150のアテローム性動脈硬化関連遺伝子のリストに基づき、逆標的予測を行った。予想されたように、我々は、miR−143/145xxiii、miR−23/24xxivおよびmiR−3311を含む、アテローム性動脈硬化において以前に記載されている複数のmiRを識別した。より確立されていないmiR、例えばmiR−590−3pも同様に識別された。miR−590−3pはほとんどの遺伝子を標的とすると予測され、これは、miR−590−3pが、最小限に酸化されたLDLが誘発するvSMC表現型形質転換において調節されているという最近の知見と、一致しているxxv
興味深いことに、我々は、14番染色体(14q32(マウスの染色体12fl))の長腕上のインプリント領域に位置する、単一のmiR遺伝子クラスターからの複数のmiRについての結合部位の富化を見出した(表1a)。我々は、以下を含む、この遺伝子クラスターの11のmiRを識別した:miR−329(23のアテローム生成促進性標的および11の抗アテローム生成標的)、miR−494(30のアテローム生成促進性標的および8の抗アテローム生成標的)およびmiR−495(35のアテローム生成促進性標的および10の抗アテローム生成標的)、これらは、さらなる調査のために選択された。14q32 miR遺伝子クラスターは、哺乳動物の間で、より具体的にはマウスとヒトの間で高度に保存され、また我々は、全てではないがほとんどの推定上の標的部位も保存されていることを見出した。
標的遺伝子発現はGSOによるmiRの阻害後にin vitroで上方制御される
miR−494、miR−495、およびmiR−329の阻害後の標的遺伝子発現の上方制御を確認するために、培養細胞をGSOで処置した。アテローム性動脈硬化における種々の細胞種類の関与を反映させるために、平滑筋細胞、内皮細胞、マクロファージ、線維芽細胞およびマスト細胞を、これらのアッセイに使用した。サイトカイン、補体成分、脂質関連標的およびメタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP)を含む複数の標的遺伝子を調査し、miRが発揮することができる幅広い効果を調べた。
miR−494の阻害は、内皮細胞および平滑筋細胞の両方において、ケモカイン受容体CXCR4の有意な上方制御をもたらした。また、そのリガンドCXCL12(SDF−1)は、マクロファージおよびマスト細胞において有意に増加した。CXCR4/CXCL12は以前に、アテローム性動脈硬化において保護的な役割を果たしていることが示されているxxvi、xxvii。miR−494の阻害はまた、ACVR1(TGF−βスーパーファミリーのメンバー)およびADIPOR2(脂肪酸酸化に関与する)の上方制御を導いた(図17)。miR−495の阻害は、線維芽細胞におけるCDKN1B発現の有意な増加をもたらした。CDKN1B(p27Kip1)は、アテローム硬化性プラーク中で発現され、vSMC増殖を阻害する能力を有するxxviii。補体調節タンパク質CD59の発現もまたマクロファージにおいて増加し、抗炎症性サイトカインIL−10の表現も同様であった(図18)。miR−329の阻害後の標的遺伝子発現は、ADIPOR2、CD59、IL10RAおよびCXCL12の上方制御を明らかにした(図19)。
miR−494、miR−495およびmiR−329の阻害はアテローム硬化性病変形成を低減する
アテローム硬化性病変を、apoE−/−マウスの両方の頸動脈の周囲に血管周囲のカラーを配置することによって誘発した。手術の4日後、マウスに、miR−494、miR−495、またはmiR−329に対するGSOを与えた;対照群には、PBSまたはGSO対照のいずれかを与えた。miR−494(46%)、miR−495(23%)およびmiR−329(35%)の発現の下方制御は、GSOの注射後3日目に頸動脈において検出された(図20)。
miR−494、miR−495およびmiR−329阻害の、アテローム性動脈硬化の発症に対する効果を評価するために、マウスをカラー配置の4週間後にサクリファイスし、プラークを、サイズおよび組成について分析した。HPS染色した切片により、GSO−494で処置した群において、アテローム硬化性プラークのサイズの65%の減少が明らかになった(GSO対照:47±11×10μm;GSO−494:16±3×10μm;GSO対照に対してp<0.05)。GSO−495による処置は、病変サイズの52%の減少につながった(GSO−495:22±5×10μm;GSO対照に対してp<0.05、図12)。GSO−329で処置したマウスも、プラークサイズの減少(42%)を示したが、有意性には達しなかった(GSO−329:27±6×10μm;GSO対照に対してp<0.13)。我々は、PBSと対照GSO処置の間で、病変サイズの違いを観察せず(GSO対照:47±11×10μm;PBS:38±11×10;p=0.47;図12)、GSO対照が非特異的効果を発揮しなかったことを例証した。
GSO−494およびGSO−495の処置は、アテローム硬化性病変の強化された安定表現型をもたらす
興味深いことに、アテローム硬化性プラークは、GSOでの処置後にサイズが縮小されるだけではなかった;プラークはまた、プラーク安定性の増加を示した。いわゆる「安定な病変」は、小さな壊死性コアおよび、コラーゲンと平滑筋細胞が豊富な厚い線維性被膜によって特徴付けられる。実際に、壊死性コアのサイズは、GSO−494で処置したマウスにおいて80%(対照GSO:33±6%;GSO−494:6±3%;P<0.001;図13)、GSO−495で処理したマウスでは60%(対照GSO:33±6%;GSO−495:13±5%;P<0.05)と、有意に減少した。さらに、コラーゲン含有量は、miR−494の阻害後(対照GSO:6.6±1.6%;GSO−494:12.7±2.1%;P<0.05)およびmiR−495の阻害後(対照GSO:6.6±1.6%;GSO−495:15.8±3.1%;P<0.02)に、有意な増加を示した。まとめると、壊死性コアサイズの減少と、同時のコラーゲン含有量の増加は、強化されたプラーク安定性を示す。
プラーク形態計測を、抗α平滑筋アクチン抗体を用いて平滑筋細胞を可視化することにより、さらに検討した。陽性染色された病変面積のパーセンテージは、処置群の間で類似していた(対照GSO:4.6±1.0%;GSO−494:6.4±1.8%;GSO−495:4.7±1.6%;GSO−329:6.0±1.3%)。マクロファージ含有量は、GSO−495で処置した群のみで減少した(対照GSO:20.0±2.2%:GSO−495:14.1±1.3%;P<0.05)。マスト細胞数(対照GSO:2.9±0.6マスト細胞/mm;GSO−494:2.2±0.5マスト細胞/mm;GSO−495:2.0±0.4マスト細胞/mm;GSO−329:2.5±0.6マスト細胞/mm)またはそれらの活性化状態(データは示さず)のいずれにおいても、差は見出されなかった。
miR−494およびmiR−495の阻害後のコレステロールレベルの低下
総コレステロールレベルは、GSO−494での処置後(対照GSO:30.4±1.1mM、GSO−494:26.4±0.7mM;P<0.01;図14A)およびGSO−495での処置後(GSO−495:26.4±1.6;対照GSOに対してP=0.056、図14A)に、減少を示した。AKTA−FPLCによる脂質プロファイリングは、GSO−494およびGSO−495で処置した後に、VLDL画分の減少を明らかにした(図14B)。
miR−329およびmiR−495の阻害は、GSO処置後の血中リンパ球および好中球の数を変化させる
Sysmex細胞分化分析によるWBCの分析は、GSO−495で処置後のサクリファイス時における、リンパ球の絶対量の減少を示した。GSO−329で処置したマウスはまた、リンパ球の数の減少だけでなく、血液中の好中球の絶対量の減少を有した。(図15)
miR−494およびmiR−495の阻害はコラーゲン恒常性の変化をもたらす
プラークに存在するコラーゲン量の増加の裏にあるメカニズムを解明するために、我々は、コラーゲン合成とコラーゲン分解の両方を研究した。初めに、in vitroのセットアップにおけるコラーゲン合成を見た。平滑筋細胞におけるmiR−494、miR−495およびmiR−329の阻害は、コラーゲン合成速度の増加をもたらさなかった(図21)。
次に、コラーゲン分解を調べた。我々は、培養細胞をGSOで処置した後の、TIMP発現を測定した;これは、TIMPがMMPによるコラーゲンの分解を阻害するためである。TIMP3は、miR−494およびmiR−329の予測標的であり、TIMP2は、miR−495の標的遺伝子である。実際、TIMP3の発現は、GSO−329で処置後の内皮細胞で増加した。また、TIMP3の発現レベルは、miR−494の阻害後のマスト細胞およびマクロファージにおいて増加した。miR−495の阻害は、マスト細胞におけるTIMP2発現の上方制御をもたらした。我々は次に、コラーゲンを分解することができるためにプラーク安定性に重要であることが知られている、MMP2、MMP8、MMP9およびMMP12を含むMMPの発現を測定した。MMP8のみは、miR−495の予測標的であり、実際に我々は、miR−495の阻害後にMMP8発現の増加を観察した。他のMMPの発現レベルは変化せず、TIMP/MMP比の純増加をもたらした(図16)。したがって、プラーク中のコラーゲン含有量の増加は、コラーゲン合成の増加によるのではなく、その分解の減少が原因である可能性が高い。
考察
本研究は、すべて14q32 miR遺伝子クラスターのメンバーであるmiR−494、miR−495およびmiR−329の、アテローム性動脈硬化の発症における役割を報告する、最初のものである。我々は、ユニークな戦略を使用し、我々自身の以前の実験と文献からの知識をin silicoアプローチで組み合わせることにより、これらのmiRを識別した。この逆標的予測のために、我々は、アテローム性動脈硬化を悪化させるかまたは改善することが予想される、miRの2つのリストを編集した。予想されるように、このアプローチによって識別されたmiRの多くは、血管炎症に影響を与えることが文献に記載されている。アテローム性動脈硬化において重要であることが知られているmiRの回収に加えて、我々は、この疾患ではまだ調べられていないmiRを、特に14q32クラスターからのものを、識別することができた。14q32 miR遺伝子クラスターは、哺乳動物において高度に保存され、マウスにおいて59の、およびヒトにおいて54のmiR遺伝子から構成されているxxix。以前に、14q32 miRの多くが、ヒトの疾患に関与していることが示されているxxx。アテローム性動脈硬化におけるそれらの役割を確立するために、我々は、アテローム性動脈硬化のin vivoモデルにおいてmiR−494、miR−495およびmiR−329を阻害した。我々は、アテローム硬化性プラーク形成における減少と同時に、プラーク安定性の増加を観察した。
miR−494は、我々のRTPにおいて、抗炎症標的遺伝子よりも多くの炎症促進性標的遺伝子を標的化すると予測されたが、miR−494の阻害のin vivo効果は、アテローム性動脈硬化に対するプラスの効果を明らかにした。我々は、miR−494の阻害、およびこれについてのmiR−329およびmiR−495の阻害は、アテローム硬化促進性および抗アテローム硬化性の両方の遺伝子の、上方制御につながる。多くの研究は、アテローム性動脈硬化を低減するために、アテローム生成促進性遺伝子を標的としているが、我々のデータは、抗アテローム生成遺伝子の上方制御も、この複雑な疾患を処置する際に、同様に、またはより以上に有望であることを示唆する。
スタチンによるコレステロールレベルの低下は、依然としてアテローム性動脈硬化の最も一般的に使用される処置法である。スタチン処置後のLDLレベルの低下は20〜60%の範囲であり、これは、約30%の心血管イベントの減少をもたらすxxxi。miR−494およびmiR−495の阻害は、主にVLDL画分の減少によって、コレステロールレベルをわずか13%低下させた。この減少が寄与することはほぼ確実であるが、しかし我々は、プラークサイズの主な減少が、血漿コレステロールのこの比較的控えめな減少のみによるものである可能性は低いと考えている。さらに、血漿リポタンパク質で観察された変化は、我々の研究に見られるプラーク安定性の顕著な増加を完全には説明しておらず、我々はしたがって、miRNA阻害の、マトリックス恒常性への影響をさらに解明することを目的とした。miR−494およびmiR−495の阻害は、壊死性コアサイズの減少およびコラーゲン含有量の増加によって示されるように、アテローム硬化性プラークの安定性の向上に有効であることが判明した。平滑筋細胞の含有量に差は検出されなかったので、我々は特にコラーゲンの増加量に注目し、これが、増加したコラーゲン恒常性によって引き起こされ得るとの仮説を立てた。平滑筋細胞をin vitroで、GSOで処置した後に、コラーゲン合成速度の変化は検出されなかった。しかし、TIMP/MMP比が著しく増加し、コラーゲン分解の低下を示唆した。in vivoにおいて、コラーゲン分解の低下は線維性被膜の厚さの増加をもたらし、それによって、プラークの破裂と付随する心血管イベントのリスクを低減するであろう。
まとめると、我々の結果は、miRが、その標的遺伝子を完全に阻害するというよりも、複数の遺伝子の発現を微調整できることを示す。miRは、多数の個々の遺伝子を調節することができるため、遺伝子発現の微妙な変化は、加えると大きな正味の効果となり得る。本研究において、14q32 miRの阻害は多くのアテローム性動脈硬化関連遺伝子に影響を与え、アテローム硬化性病変の発症および進行の著しい低減をもたらす。
14q32 miR遺伝子クラスターの関与は、アテローム性動脈硬化において以前には示されていない;しかし、我々のグループは最近、これらのmiRの、治療的血管新生における役割を記述した38。末梢動脈疾患および心筋梗塞後などの虚血に罹患している患者に対して、組織への血流を増加させることは重要である。動脈形成および血管形成の刺激には常に炎症反応が伴い、これは多くの場合、虚血の根本的な原因であるアテローム性動脈硬化の悪化につながる。このいわゆるヤーヌス現象はxxxii、研究のこの分野における、特に診療所における、主な欠点である。興味深いことに、我々のグループは、miR−494、miR−495およびmiR−329の阻害が、後肢虚血後の血流の大幅な増加につながることを示したxxxiii。14q32遺伝子クラスターを阻害することはしたがって、アテローム性動脈硬化を同時に低減しつつ、血管形成および動脈形成の誘発にユニークであることができる。
結論として、我々は、複数の遺伝子および細胞プロセスを調節するmiRの特定の特性を利用することによる、アテローム性動脈硬化における14q32 miR遺伝子クラスターの役割を発見した。14q32 miR−494、miR−495およびmiR−329の阻害は、病変サイズの減少、プラーク安定性の増加およびコレステロールレベルの低下につながった。このことは、14q32 miRを、心血管疾患を患う患者のための新しい有望な治療標的とする。
参考文献

Claims (21)

  1. 血管リモデリングプロセスの調節に使用するため、および/または血管障害の処置または防止に使用するための、1種または2種以上の14q32マイクロRNAの、モジュレーター。
  2. 血管障害が、ヒトまたは動物の身体の任意の血管および/または血管系に影響を与える障害、疾患、症候群および/または状態である、請求項1に記載の使用のための請求項1に記載のモジュレーター。
  3. モジュレーターが、14q32マイクロRNA発現のモジュレーターである、請求項1または2に記載の使用のための請求項1または2に記載のモジュレーター。
  4. モジュレーターが、14q32マイクロRNA発現を増加させるかまたは阻害する/減少させることができる、分子または化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜3のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  5. モジュレーターが、1種または2種以上の14q32マイクロRNAの阻害剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜4のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  6. モジュレーターが、末梢動脈疾患の処置および/または防止、および/または末梢動脈の血管リモデリングプロセスの調節において用いられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜5のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  7. モジュレーターが、心血管/冠動脈および/または脳血管の血管リモデリングプロセスの調節において用いられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜6のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  8. モジュレーターが、心血管/冠動脈および/または脳動脈疾患の処置および/または防止において用いられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜7のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  9. モジュレーターが、再狭窄および/またはアテローム性動脈硬化の処置および/または防止において用いられる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜8のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  10. モジュレーターが、心筋梗塞後に起きる血管リモデリングプロセスの調節における使用、および動脈瘤形成の処置および/または防止のためである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜9のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  11. モジュレーターが、外科手術または介入の後に起き得る再狭窄の処置および/または防止において用いられる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜10のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  12. モジュレーターが、高コレステロール血症の処置において用いられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜11のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  13. プラーク安定性の調節における使用、および/または再狭窄の処置または防止のための、1種または2種以上の14q32マイクロRNAの、モジュレーター。
  14. モジュレーターが、以下からなる群:
    1)マイクロRNA−2392
    2)マイクロRNA−770
    3)マイクロRNA−493
    4)マイクロRNA−337
    5)マイクロRNA−665
    6)マイクロRNA−431
    7)マイクロRNA−433
    8)マイクロRNA−127
    9)マイクロRNA−432
    10)マイクロRNA−136
    11)マイクロRNA−370
    12)マイクロRNA−379
    13)マイクロRNA−411
    14)マイクロRNA−299
    15)マイクロRNA−380
    16)マイクロRNA−1197
    17)マイクロRNA−323a
    18)マイクロRNA−758
    19)マイクロRNA−329−1
    20)マイクロRNA−329−2
    21)マイクロRNA−494
    22)マイクロRNA−1193
    23)マイクロRNA−543
    24)マイクロRNA−495
    25)マイクロRNA−376c
    26)マイクロRNA−376a−2
    27)マイクロRNA−654
    28)マイクロRNA−376b
    29)マイクロRNA−376a−l
    30)マイクロRNA−300
    31)マイクロRNA−1185−1
    32)マイクロRNA−1185−2
    33)マイクロRNA−381
    34)マイクロRNA−487b
    35)マイクロRNA−539
    36)マイクロRNA−889
    37)マイクロRNA−544a
    38)マイクロRNA−655
    39)マイクロRNA−487a
    40)マイクロRNA−382
    41)マイクロRNA−134
    42)マイクロRNA−668
    43)マイクロRNA−485
    44)マイクロRNA−323b
    45)マイクロRNA−154
    46)マイクロRNA−496
    47)マイクロRNA−377
    48)マイクロRNA−541
    49)マイクロRNA−409
    50)マイクロRNA−412
    51)マイクロRNA−369
    52)マイクロRNA−410
    53)マイクロRNA−656
    54)マイクロRNA−1247
    から選択される1種または2種以上のマイクロRNAのモジュレーターである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜13のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  15. モジュレーターが、1種または2種以上のmiR−329、miR−494、miR−487bおよび/またはmiR−495のモジュレーターである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜14のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  16. モジュレーターが、DNAおよび/またはRNAベースのアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の使用のための請求項1〜15のいずれか一項に記載のモジュレーター。
  17. 血管リモデリングプロセスを調節する、および/または血管障害を処置または防止するための方法であって、これを必要とする対象に対して、1種または2種以上の14q32マイクロRNAのモジュレーターを投与することを含む、前記方法。
  18. 血管障害が、ヒトまたは動物の身体の任意の血管および/または血管系に影響を与える障害、疾患、症候群および/または状態である、請求項17に記載の方法。
  19. モジュレーターが、以下からなる群:
    1)マイクロRNA−2392
    2)マイクロRNA−770
    3)マイクロRNA−493
    4)マイクロRNA−337
    5)マイクロRNA−665
    6)マイクロRNA−431
    7)マイクロRNA−433
    8)マイクロRNA−127
    9)マイクロRNA−432
    10)マイクロRNA−136
    11)マイクロRNA−370
    12)マイクロRNA−379
    13)マイクロRNA−411
    14)マイクロRNA−299
    15)マイクロRNA−380
    16)マイクロRNA−1197
    17)マイクロRNA−323a
    18)マイクロRNA−758
    19)マイクロRNA−329−1
    20)マイクロRNA−329−2
    21)マイクロRNA−494
    22)マイクロRNA−1193
    23)マイクロRNA−543
    24)マイクロRNA−495
    25)マイクロRNA−376c
    26)マイクロRNA−376a−2
    27)マイクロRNA−654
    28)マイクロRNA−376b
    29)マイクロRNA−376a−l
    30)マイクロRNA−300
    31)マイクロRNA−1185−1
    32)マイクロRNA−1185−2
    33)マイクロRNA−381
    34)マイクロRNA−487b
    35)マイクロRNA−539
    36)マイクロRNA−889
    37)マイクロRNA−544a
    38)マイクロRNA−655
    39)マイクロRNA−487a
    40)マイクロRNA−382
    41)マイクロRNA−134
    42)マイクロRNA−668
    43)マイクロRNA−485
    44)マイクロRNA−323b
    45)マイクロRNA−154
    46)マイクロRNA−496
    47)マイクロRNA−377
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    から選択される1種または2種以上のマイクロRNAのモジュレーターである、請求項17または18に記載の方法。
  20. モジュレーターが、1種または2種以上のmiR−329、miR−494、miR−487bおよび/またはmiR−495のモジュレーターである、請求項17、18または19のいずれか一項に記載の方法。
  21. モジュレーターが、DNAおよび/またはRNAベースのアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項17、18、19または20のいずれか一項に記載の方法。
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